県政報告
(主な質疑)
- 午前十時開議
◯議長(須崎かん君) ただいまから会議を開きます。
直ちに議事日程に従い会議を進めます。
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日程第一 一般質問
- 2:◯議長(須崎かん君) これより一般質問を行います。
通告により質問を許可いたします。
石井芳樹議員。
〔九十八番石井芳樹君登壇〕(拍手)
- 3:◯九十八番(石井芳樹君) おはようございます。
それでは、自由民主党愛知県議員団を代表いたしまして、大村知事の県政運営に臨む基本姿勢と県政の諸問題について、順次質問をしてまいります。
質問の第一は、行財政運営についてであります。
初めに、県政運営に臨む基本姿勢についてお伺いいたします。
大村知事は、二月五日の愛知県知事選挙において、三期十二年の実績と積極的な政治姿勢が評価され、見事再選を果たされました。心からお祝いを申し上げます。このことは、知事が選挙戦を通じて、これまでの実績、そして日本一元気な愛知づくり、人が輝く愛知を築いていくことを県民の皆様に訴え、各界各層から幅広く支持を集められた結果だと思います。
知事の三期十二年の県政運営や取組を振り返りますと、昨年十一月に開園したジブリパークや国内最大のスタートアップ支援拠点のSTATION Aiの整備推進など、愛知の未来をつくる大型プロジェクトの推進だけではなく、新型コロナウイルス感染症対策や、道路、河川をはじめとする社会資本の整備、南海トラフ地震等を想定した防災・減災、少子・高齢化に対応した医療・福祉対策、さらには治安対策や交通安全対策など、日々の安心で安全な暮らしを支える施策を推進され、県政の幅広い分野にわたって、きめ細かく、全力を注いでこられました。
知事の当選時に特に私が印象的だったのは、発言の中に、種をまいて収穫して果実を県民の皆様にお配りするような仕事が三期目は多かったと思う。行政や政治は連綿と続いていくので、これまでも時代の流れに合わせて次の施策を仕掛けてきた。次なる四年間も県民の皆様と協働して愛知をさらに前進させたいと語っていたことが印象的でありました。
社会環境が複雑さを増し、将来の予測が困難である現代において、知事には、愛知県の将来の発展のため、リーダーシップを発揮して、スピード感を持って着実に推進していただきたいと考えております。
我が党県議団としても、常日頃から県内各地域において県民の切実な声に耳を傾けており、県民福祉の向上と魅力ある愛知づくりを目指して、これまでどおり、知事と議論し、協議、連携を図っていきたいと考えております。
そこでお尋ねをいたします。
大村県政四期目のスタートに当たって、日本一元気な愛知づくりをどのように進めていかれるのか、知事の抱負と決意をお伺いいたします。
次に、県税収入の見通しについてお伺いいたします。
我が国の経済は、このところ、一部に弱さが見られるものの、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある中で、緩やかに持ち直しております。先行きにつきましても、ウイズコロナの下で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待されておりますが、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスク、物価上昇や供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意をする必要があります。
このような経済情勢の中、来年度の当初予算案における県税収入は、本年度の当初予算額を九百七十八億円上回る一兆二千四百六十七億円が計上されております。
そこでお伺いをいたします。
来年度の県税収入をどのような見通しの下で計上されておられるのか、知事の御所見を伺います。
次に、今後の財政運営についてお伺いいたします。
二〇二三年度当初予算案では、二〇二二年度に引き続き、企業収益の回復に伴い法人二税収入が増加し、県税全体として大幅な増加が見込まれておりますが、税収増に連動して、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた額は大きく減少しております。また、歳出面では、少子・高齢化の進展に伴い、医療、介護などの扶助費の増加が続いております。
このため、二〇二三年度当初予算案においても、依然として多額の基金の取崩しを計上せざるを得ない状況が続いており、当年度内に確保した財源により基金残高を回復させた上で、翌年度再度取り崩すという二か年にわたる財源対策が行われているところであります。
こうした中にあっても、地域経済の早期回復を最優先課題として取り組むとともに、県民の多様なニーズに的確に応えつつ、中長期的な視点を持ち、地域の活性化に向けた取組や将来の税源の涵養に向けた取組を着実に推進することが求められております。
とりわけ、南海トラフ地震をはじめとした自然災害や感染症等のリスクに対応し得る危機に強い地域づくりの推進はもちろんのこと、DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)の動きを的確に捉えつつ、次世代産業の育成、振興等の施策に重点的に取り組んでいく必要があり、こうした施策を積極的に進めていくためにも、安定的な財政基盤の確立が不可欠であります。
そこでお伺いをいたします。
厳しい財政状況の中にあっても、愛知の未来を切り開くための施策を積極的に行うとともに、それを支える財政基盤の確立に向け、今後の財政運営にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見を伺います。
質問の第二は、安全・安心な暮らしの実現についてであります。
初めに、ドクターヘリ運航体制の強化についてお尋ねをいたします。
我が国におけるドクターヘリは、二〇〇一年四月に岡山県の川崎医科大学附属病院において日本で初めての本格運航が始まり、現在は全国的に配備をされております。本県においては、二〇〇二年一月から、全国的にも非常に早い段階で、全国では四機目のドクターヘリとして愛知医科大学病院において運航を開始して以来、二十年以上にもわたり、本県の救急医療の要として、関係の皆様の御尽力の下、数多くの救急患者の搬送に対応され、多くの県民の命を救ってこられました。
愛知医科大学病院は県中央部に位置しており、県内全域に対して要請から三十分以内に治療開始が可能であります。現在、本県のドクターヘリは六割以上が三河地方への出動となっており、特に東三河山間部などで重症の救急患者が発生した場合を中心に、ドクターヘリを利用することにより、地域医療格差の是正に貢献されております。しかし、現在のドクターヘリ一機体制では、消防機関から救急現場への出動要請があったにもかかわらず、他の救急現場に出動中などの理由で出動要請に応えられなかった事例も年間五十件ほど発生をしていると聞いております。
また、ドクターヘリの要請件数自体は少ない地域もあり、本県の人口規模を踏まえますと、相当数の潜在需要があると見込まれ、今後、県内全域でのドクターヘリのさらなる活用が望まれるところであります。さらに、多くの重症患者の発生が想定される南海トラフ地震等の大規模災害時においても、高度救命医療が必要な患者のドクターヘリによる搬送体制の充実も期待をされます。
こうした中、このたび、藤田医科大学病院に本県二機目となるドクターヘリを導入する方針が示されました。藤田医科大学病院は、愛知医科大学病院に続き、二〇二一年四月に本県では二か所目となる高度救命救急センターに指定されました。また、両病院は災害時に全県的な災害医療体制の機能強化を担う基幹災害拠点病院にも指定されております。ドクターヘリ二機による運航体制を整備することは、本県の救急医療及び災害医療の体制強化につながるものと考えます。
そこでお伺いをいたします。
今後どのようにドクターヘリ二機による運航体制を整備されていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、盛土等による災害の防止についてお伺いいたします。
二〇二一年七月に静岡県熱海市で発生した土石流災害では、大雨に伴って上流部の盛土が崩落し、多くの貴い命や財産が失われるなど、甚大な被害が生じました。
現行法では、盛土等の行為は、宅地造成等規制法、森林法、農地法、砂防法等の各法律で規制され、それぞれの目的に応じて対象となる区域や規模が異なっていることから、規制対象にならない規模や規制区域外で無秩序な建設残土の盛土や土砂等の採取が行われるおそれがあります。
そこで、本県では、国による法制化を待つのではなく、独自の条例制定に向けた検討を速やかに行い、二〇二一年十二月に骨子を取りまとめております。骨子では、県下全域で埋立て等、面積三千平米以上、切土等は面積千平米以上を規制対象として、それらの安全性を確保するための基準を定めるとともに、条例としては最も厳しい罰則である懲役二年または百万円以下の罰金を盛り込んでおります。
一方で、国においても、危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制する法制度が必要であることから、昨年五月に宅地造成等規制法を抜本的に改正し、宅地造成及び特定盛土等規制法、通称盛土規制法を制定しました。その後、同法の基本方針案が九月に公表され、規制対象となる盛土等の具体的な規模や技術基準を含む政令が十二月に公布されております。この盛土規制法は、都道府県知事または政令市、中核市の市長が、基礎調査を行い、盛土等を規制する区域を指定し、規制区域内で行われる盛土等は知事等の許可の対象とするとともに、施工状況の検査などを通じて、安全対策が行われているかどうかをチェックするなど、盛土等の安全性を確保する仕組みが新たに設けられました。また、罰則は、個人は三年以下の懲役または一千万円以下の罰金、法人に対しては三億円以下の罰金と非常に厳しく、実効性のあるものとなっております。同法は本年五月に施行され、その後は、都道府県等は盛土規制法の運用について重要な役割を担っていくこととなります。
また、大規模な盛土等の崩落が発生すれば、道路や鉄道等のインフラ機能に大きな支障を来すなど、県民生活に多大な影響を与え、県民の生命、財産に危険を及ぼすことも想定されます。
このため、本県においても、これまで、宅地や森林、農地等を所管する各局が取り組んできた盛土等の規制に関するノウハウを十分に活用し、部局横断的に盛土等の対策に取り組んでいく必要があると思います。
そこでお伺いをいたします。
今後、県独自条例の取扱いも含め、盛土等による災害の防止に向けどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、治安対策についてお伺いいたします。
まず、暴力団情勢についてであります。
六代目山口組と神戸山口組が特定抗争指定暴力団等に指定され三年が経過しました。一向に終息する状況ではなく、また、昨年には新たに六代目山口組と池田組も特定抗争指定暴力団等に指定されるなど、暴力団情勢は予断を許さない状況にあります。そして、他県において、銃器を使用した対立抗争と見られる事件が発生していることを見れば、当県においても対立抗争事件等が発生することは十分に考えられることから、今後、万が一にも県民の皆様に危害が及ぶことのないよう、暴力団への対策を強力に推進していく必要があると思います。
続いて、交通事故情勢についてであります。
本県における昨年の交通事故死者数は百三十七人で、四年連続で全国ワースト一位を免れたところであり、また、一九四八年の統計開始以降、過去二番目に少ない死者数だったことを踏まえれば、交通死亡事故の減少傾向は続いているものと考えます。
一方で、対一昨年比では二十人の増加であって、依然として高齢者が当事者となる交通死亡事故が多発しているほか、昨年三月には、修了式を終え下校中の小学生が自動車にはねられて死亡するなどの悲惨な事故も発生しており、引き続き、交通事故抑止対策を推進していく必要があります。
最後に、犯罪情勢についてであります。
当県における昨年の刑法犯認知件数は四万千二百四十八件と、戦後最少を更新した一昨年に比べ三千四百十六件増加しましたが、統計開始以降、最も刑法犯認知件数の多かった二〇〇三年の二十二万五千七百六件と比べると約二割まで減少しており、各種広報啓発活動、安全なまちづくり条例やヤード条例等の制定といった各種対策と警察の検挙活動が相まって、着実に効果を上げていると言えます。
一方で、高齢者を対象とした特殊詐欺や高級自動車等の特定車種を対象とした自動車盗、住宅以外の事業所、店舗などを対象とした侵入盗などの県民の身近で発生する犯罪の増加やサイバー犯罪についての相談件数が過去最多を更新していることからすれば、官民が協力して、一層の対策が求められております。
そこでお伺いをいたします。
このような治安情勢を踏まえた上で、県民の安全・安心を確保するためにどのような取組を進めていかれるのか、県警本部長の御所見をお伺いいたします。
質問の第三は、活力と魅力あふれる愛知の実現についてであります。
まず、人口減少問題への対応についてお尋ねいたします。
我が国屈指の産業県である本県では、これまで国内外から多くの若者や外国人が流入し、それが愛知の発展の大きな支えとなってきました。そうした人口流入に加え、本県は、大都市圏としては比較的出生率が高いこともあり、我が国の人口が二〇〇八年をピークに減少局面に転じる中であっても人口の増加が続いてきました。
その本県の人口も、昨年十二月に公表された愛知県人口動向調査結果によれば、二〇一九年の七百五十五万四千二百四十二人をピークに、三年連続で減少し、現在は七百五十万人を切って、七百四十九万七千五百二十一人となっております。
市町村別に見ますと、この一年間に県内で人口が増加したのは十一市町であり、日進市、長久手市をはじめとした名古屋周辺や、刈谷市など西三河地域の一部にとどまっております。一方で、人口が減少したのは四十三市町村に及び、今や全県に広がっております。
人口の減少の内訳を見ますと、まず、出生数から死亡数を差し引いた自然増減が約二万六千人の減と、六年連続の減少となっております。また、転入数から転出数を差し引いた社会増減は約八千人の増加となり、二年ぶりに転入超過となりましたが、東京圏への転出超過数は一万人を超えており、依然として高い水準にあります。
そうした中、国は、昨年十二月に二〇二三年から五か年を計画期間とするデジタル田園都市国家構想総合戦略を策定いたしました。この総合戦略は、これまでのまち・ひと・しごと創生総合戦略を継承するものであり、デジタルの力を活用して地方創生を加速化、深化し、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指すとしております。そして、総合戦略では、現在も年間八万人を超える地方から東京圏への転入超過の是正を図り、二〇二七年度に転出入を均衡させるとの目標が掲げられております。
人口減少の問題については、戦後長らく人口増加が続いてきた本県にとってまだまだ先のように捉えがちでありましたが、いよいよ避けては通れない差し迫ったものとなってまいりました。さらに、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、若者の出会いの場が減少したり、結婚や出産を控えたりする動きも出てきており、今後、人口減少が加速していくことを懸念されるところであります。もちろん、人口減少の問題は様々な社会経済的な要因が絡んでおり、一朝一夕に解決できるような問題ではありませんが、人口減少に直面する市町村ともより一層連携を図りながら対策に取り組んでいくことが重要ではないかと考えます。
そこでお伺いをいたします。
本県の人口が減少している現在の状況をどう認識しておられるのか、また、この問題に今後どのように対応していかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、障害者の文化芸術活動の推進についてであります。
障害のある方がその人らしく生きがいを持って暮らしていくためには、社会の一員として、社会、経済、文化など様々な分野での活動の場を広げる環境づくりが非常に重要であると考えます。とりわけ、文化芸術分野の活動は、障害の有無にかかわらず、心の豊かさやお互いの理解をもたらすことから、文化芸術活動を通じてその個性や能力を発揮し活躍していただくことは大変有意義であると思います。
本県では、大村知事の障害者福祉への熱い思いにより、二〇一四年度から、障害のある方が創作した絵画、陶芸、書道などの芸術作品を全県から募集して展示するあいちアール・ブリュット展を開催しており、昨年九月に名古屋市東区の矢田ギャラリーを全館貸し切って行った作品展には、七百五十五点もの個性豊かな作品が集まり、大変好評であったと伺っております。この作品展の名称アール・ブリュットとは、加工されていない生の芸術、自身の内側から湧き上がる衝動のままに表現した芸術を示すそうであります。
私も、先日、ある金融機関のボックスティッシュに障害のある方の作品がデザインされているのを目にし、作品からあふれ出る力を間近に感じたところであります。このボックスティッシュは、二〇一七年度から始まったあいちアール・ブリュット展の出展作品から企業が原画を選定し、ノベルティーグッズを製作する取組により作られたものでありました。さらに、二〇一八年度から、ノベルティーグッズを製作した企業の社屋や店舗などで採用された原画を展示するまちなかギャラリーも開催されており、福祉関係者のみならず、企業とも連携して障害のある方の活動を支援する、まさに愛知の強みを生かした取組が展開をされております。作品展を開くだけではなく、日常、何気のないところで障害のある方の作品が多くの県民の目に留まる、とてもよい取組であると思います。
来年度は、二〇一四年にあいちアール・ブリュット展を初開催してから十年目の節目となり、記念事業を行うと伺っております。これまでの取組を総括する重要な機会となることと思いますが、この十周年を機に、文化芸術活動を通じた障害のある方の社会参加がより一層進むことを期待するところであります。
そこでお伺いをいたします。
障害のある方の文化芸術活動のさらなる推進について今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見を伺います。
次に、今後の技能五輪全国大会・全国アビリンピックについてお伺いいたします。
本県は、製造品出荷額等が一九七七年以来、四十四年連続で全国一位を続けるなど、モノづくりの集積地として日本の産業経済をリードしております。デジタル化が急速に進展している中ではありますが、高い技術力や技能はモノづくりの根幹であり、引き続き本県が産業首都として発展し続けるためには、産業を支える技術者や技能者を育成、確保し、本県の持つ高い技術、技能を確実に次の世代につなげていくことが必要であります。
本県には、技能研さんに励み、技能五輪全国大会や全国アビリンピックを目指す若者が他地域に比べ圧倒的に多く、愛知県選手団は、技能五輪全国大会で十八年連続の最優秀技能選手団賞を受賞、全国アビリンピックでも最多のメダルを獲得するなど、大いに活躍しているところであります。
そうした中、本県では、技能五輪全国大会・全国アビリンピックが、二〇一四年度、二〇一九年度、二〇二〇年度と三度にわたり開催をされており、地元の選手たちが身近な人たちの前で活躍する姿を見せられることは励みにもなりますし、全国から集まった技能五輪選手が一流の技を競い合う姿を会場を訪れた多くの若者に見てもらうことで、技能のすばらしさを感じてもらうことができたのではないかと思うところであります。また、同時に開催された全国アビリンピックも併せて見学いただき、障害者の有する高い能力や障害者に対する理解の促進にもつながっております。
技能五輪全国大会・全国アビリンピックが、今年十一月に、国等の主催ではありますが、アイチ・スカイ・エキスポをメイン会場として、再び本県で開催されます。十二月定例会において、我が党の杉江議員の質問に対し、知事は、二〇一九年の大会では、アイチ・スカイ・エキスポが中も外も若い人であふれ返り、多くの子供たちが目を輝かせながら競技に見入っていたのが印象的であった。アイチ・スカイ・エキスポを技能の甲子園としてずっと愛知でやってくれと厚生労働省に働きかけているとの答弁がされました。
日本一のモノづくり県である本県で、技能五輪全国大会・全国アビリンピックが開催されることは、本県の産業人材の育成、確保や障害者への理解促進だけではなく、全国にモノづくり技術、技能を発信する大きな効果があり、愛知のモノづくりを将来につないでいくためとても有意義であると考えます。ぜひ今後も継続的に本県で全国大会を開催していただきたいと考えます。
そこでお伺いをいたします。
技能五輪全国大会・全国アビリンピックの本県での継続的な開催に向け、取組の現状と知事の御所見を伺います。
次に、アジア競技大会、アジアパラ競技大会の開催についてお伺いをいたします。
二〇二六年の第二十回のアジア競技大会、第五回アジアパラ競技大会開催までいよいよ三年半余りとなりました。今年の秋には、一年延期となっていた中国・杭州でのアジア競技大会、アジアパラ競技大会が開催されます。日本選手のメダルラッシュが期待され、多くのメディアで取り上げられることで、次回の開催都市である愛知・名古屋への注目が集まるものと考えております。
愛知・名古屋大会では、アジアの各国から多くの観客、観光客が、この地域を訪れることとなり、拡大するアジアとの交流を一層深める機会となります。本県はもとより日本全体にとっても大変意義のあるスポーツの祭典であり、大会が大いに盛り上がることを心から期待するところであります。
さて、二〇二一年に開催された東京オリンピック・パラリンピック競技大会では、日本人選手をはじめとするアスリートのパフォーマンスに世界中の人々が魅了され、多くの感動を呼び、大会開催を評価する意見が多数ありました。
しかしながら、その一方で、大会前には大会関係者によるジェンダーをめぐる発言などが問題となり、また、大会後には新たに多くの問題が明らかになってきております。大会組織委員会の元理事がスポンサー企業関係者から便宜を図った謝礼を受け取ったとして、逮捕、起訴されました。さらに、大会組織委員会の元幹部が民間企業との間でテスト大会の入札をめぐり談合を行った疑いで逮捕されております。
このような事案の発生は、多くの方の努力を一瞬にして消し去り、感動を与えてくれるはずのオリンピック・パラリンピックの価値を大きくおとしめるものであり、公正性が重視されるスポーツ界にとってゆゆしき問題であると思います。
一方、二〇二一年三月に、国際オリンピック委員会は、オリンピックムーブメントの新たなロードマップであるアジェンダ二〇二〇プラス五を採択しました。この中では、国連の持続可能な開発目標の重要な実現手段としてのスポーツの役割の強化や良好なガバナンスを通じたオリンピックムーブメントの強化が提言として掲げられております。
まさに、こうした考え方、理念に立ち、愛知・名古屋大会を開催することが不可欠であり、そうした結果、広く県民に受け入れられることとなると考えております。そして、東京大会での様々な課題に対し真摯に取り組み、マーケティングや競技実施面での意思決定のプロセスにおける公正性、透明性などがしっかりと確保されたガバナンス体制を構築することが必要であると考えます。
そこでお伺いをいたします。
国際スポーツ大会を取り巻く環境の変化を踏まえて、今後、アジア競技大会、アジアパラ競技大会の準備をどのように進めていかれるのか、知事の御所見を伺います。
質問の第四は、新しい時代に飛躍する愛知づくりについてであります。
まず、STATION Aiの開業に向けた取組についてお尋ねをいたします。
国においては、岸田総理が二〇二二年をスタートアップ創出元年と位置づけると宣言され、その後、スタートアップ担当大臣を設置し、同年十一月には、我が国の今後のスタートアップ支援指針であるスタートアップ育成五か年計画を策定いたしました。そして、現在、各省庁を挙げてスタートアップの創出に向けた様々な取組が行われております。
本県は、二〇一八年、国に先駆けて、大村知事のリーダーシップの下、スタートアップ推進の施策を開始し、近年のイノベーション創出に向けた取組とともに、全国最先端の施策が展開されております。これからも引き続き本県が日本の成長エンジンとして日本の活力を生み出していくためにも、さらなる取組の強化が求められているものと考えます。
こうした中、スタートアップ推進の本丸であるSTATION Aiについて、二〇二四年十月開業に向けて着々と準備が進んでおります。去る一月六日には無事起工式が執り行われ、私も出席いたしましたが、国からは内閣府の鈴木大臣政務官が御出席をされたほか、名古屋市長、名古屋大学、中部経済連合会や名古屋商工会議所といった様々な機関の幹部にお集まりをいただき、地域としての盛り上がりを強く感じるところであります。
このような最先端の技術、サービス、人材を呼び込み、新たなイノベーション創出につながるスタートアップ支援拠点がこの愛知に姿を現すことに、私は本県の将来に大いに期待をするところであります。
また、私は、昨年十二月二十一日から二十五日まで佐藤一志副議長を団長とするシンガポール共和国訪問団の一員として渡航させていただき、県の連携機関であるシンガポール国立大学の関連機関が運営をするスタートアップ支援拠点ブロック71を訪問いたしました。ブロック71については、現在、日本初となる拠点をSTATION Ai開業までの先行拠点であるプレ・ステーションAiに開設する準備を進めているところであります。そして、ブロック71に入居しているスタートアップから、ここでは定期的なイベントによる数多くの偶然の出会いや気軽に相談できるコミュニティーなどがあり、ビジネスを行う上で非常に役立っているとの話も伺いました。
こうしたことから、ハードという器だけでイノベーションが創出されるわけではなく、その中身であるソフト支援も重要であり、ソフト支援が硬直的なものでは日々成長に邁進するスタートアップのニーズをうまくすくい取ることができず、せっかくの立派な器も絵に描いた餅に終わってしまうことも考えられます。開業まで二年を切ったSTATION Aiにおいて、その器にふさわしい中身としてのソフト支援を今のうちから充実させていく必要があります。
そこでお伺いをいたします。
STATION Aiの順調なスタートに向けて今後どういった取組を行っていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、農業分野のイノベーションの創出についてお伺いいたします。
県では、昨年十二月に、愛知発のイノベーションを絶え間なく創出していくため、新たな仕組みとして革新事業創造戦略が策定されました。この戦略では、イノベーションのアイデアを発掘、共有し、民間からの提案を起点として、社会課題の解決、地域の活性化を図る官民連携プロジェクトの創出を目指しており、重点的に取り組む政策分野の一つとして農林水産業を位置づけ、その中核の取組としてあいち農業イノベーションプロジェクトを進めていく方向性が示されております。
あいち農業イノベーションプロジェクトは、愛知県農業総合試験場と大学、スタートアップが連携をし、イノベーションの創出による農業課題解決を目的に始まった取組であり、まさに革新事業創造戦略において目指している官民連携プロジェクトを先行的に実施しているモデル的な取組であると考えます。
これまで、本県農業が抱える課題の解決に向けて、スタートアップ等から技術提案を募集し、その中から農業総合試験場と共同で研究開発を進めるスタートアップ等が選定され、予備試験などにより事業化に向けた取組が始まっていると聞いております。
このプロジェクトの中心となっている農業総合試験場は、県の農業関係の試験研究機関を統合した試験場として一九六六年に現在の長久手市に拠点が置かれ、本県における農業研究機関の中枢として、産出額日本一を誇る花の品種育成をはじめ、名古屋コーチンの改良など、長きにわたり本県の農業に貢献する新しい栽培技術や品種を開発してまいりました。この歴史と実績ある農業総合試験場において、新しい発想や革新的な技術を有するスタートアップや大学と共同でイノベーション創出に取り組む新たなチャレンジであるあいち農業イノベーションプロジェクトが始まったと聞き、その成果が農業分野の様々な課題の解決につながることを大いに期待するところであります。
現在、農業は大きな変革期に直面しております。これからは、複雑化する社会のニーズに迅速かつきめ細やかに対応するため、多様な主体との連携により、先進的、革新的な技術や品種を次々と生み出し、スピーディーかつ的確に社会実装を進めていく、こうした取組がより重要になってくると考えます。
そこでお伺いをいたします。
農業分野におけるイノベーション創出に今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見を伺います。
最後に、県立普通科高校の魅力についてお伺いいたします。
県では、これまで時代の教育ニーズに対応する様々な県立高校の改革に取り組んでこられました。
モノづくり愛知を支える人材を輩出してきた工業高校では、技術の急速な進展と産業界のニーズに合わせて、IT工学科やロボット工学科といった先端技術が学べる新たな学科を設置するとともに、モノづくりを科学的に理解し、技術革新の加速化にも対応できる人材の育成を目指して、工業と科学を融合した工科高校に名称を変更されました。
また、商業高校では、経済社会の変化に対応できる実践力を備えた人材を育成するため、ビジネスの現場で実際に生じた課題について解決方法を考える学習や、地域企業とのコラボレーションによって新商品を開発する学習を取り入れるなど、商業教育のリニューアルに取り組んでおられます。
一方、高校生の七割は全日制の普通科高校で学んでおりますので、今後は、普通科高校の魅力化を図っていくことが、高校改革の大きな目標となっていくのではないでしょうか。
普通科高校は、県内各地域に設置されており、地元の普通科高校に通う子供たちが、地域に愛着を持ち、将来地域を支える人材となっていくためには、数多くある地元の普通科高校が、ぜひこの高校で学びたいと思えるような、魅力ある学校である必要があると思います。また、校舎の外観をはじめ、きれいな施設の高校に通いたいと思っている中学生が少なくないことも事実であり、魅力ある高校となるためには、施設整備も大切な要素となっていますが、県立高校では、昭和四十年代から五十年代の生徒急増期に建設された建物が全体の七割を占めており、多くの建物で老朽化が進んでいる状況にあります。
こうした中、県立学校施設長寿命化計画に基づき、現在、取り組まれている老朽改修や集中的に取り組んでいるトイレ改修の結果、生徒からは、校舎や教室が明るくなった、トイレがとてもきれいになり悪臭もなくなったとの声も聞き、改修の成果が上がっていると考えます。中学生が進学したいと思う県立高校になるために、引き続き着実に校舎等の改修工事に取り組む必要があります。
そこでお伺いをいたします。
現在、進められている県立高校改革の中で今後の大きな目標となる普通科高校の魅力化についてどのようにお考えか、教育長の御所見をお伺いいたします。
以上、自由民主党愛知県議員団を代表して、県政各般にわたる様々な課題について質問をいたしました。明快な御答弁を期待いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事大村秀章君登壇〕
- 4:◯知事(大村秀章君) 自由民主党愛知県議員団の石井芳樹団長の質問にお答えをいたします。
最初に、このたびの知事選挙におきまして、自由民主党愛知県議員団の皆様には力強い御支援をいただき、また、ただいま丁重なお祝いのお言葉をいただきました。誠にありがとうございます。心から御礼を申し上げます。引き続き、自由民主党愛知県議員団はじめ県議会の皆様と協議、連携を図りながら今後の県政運営に当たってまいりますので、お力添えいただきますように何とぞよろしくお願いを申し上げたいと存じます。
それでは、質問にお答えを申し上げます。
初めに、県政運営に臨む基本姿勢についてお尋ねをいただきました。
私は、日本一元気な愛知をつくるという決意の下、三期十二年間、全力で県政運営に取り組んでまいりました。御質問いただきました石井芳樹議員、そして自由民主党愛知県議員団はじめ県議会の皆様、そして県民の皆様の御理解と御協力をいただき、県民の皆様の命と健康を守るため、新型コロナウイルス感染症対策に全力で取り組んでまいりました。また、社会インフラの整備を着実に進め、日本一の産業力を強化してまいりました。その結果、愛知の県内総生産(GDP)は、十二年前の二〇一〇年度から二一%伸びて四十一兆円となり、一人当たり県民所得は東京に次ぐ全国第二位となりました。あわせて、愛知を支える教育、医療、福祉、女性の活躍、子供・子育て支援、高齢者・障害者福祉など、人づくりを大きく前進させることができました。
続く四期目の四年間は、その勢いを加速して、日本一元気な愛知をつくり、日本の未来をつくってまいります。継続は力であります。新型コロナウイルス感染症を克服し、愛知の経済・産業力をさらに強くする。若者、女性、高齢者、障害者の雇用、活躍につながり、人づくりが進み、地域が元気になるという愛知の今のいい流れ、好循環をさらに前進させ、働くことを軸とする安心社会を愛知からつくってまいります。そうした思いを持って、今後とも躍動する愛知をつくるための施策の実現に向けて一つ一つ取り組んでまいります。
二〇二三年度のジブリパークの第二期開園、二〇二四年度のSTATION Ai、二〇二五年度の愛知国際アリーナ、二〇二六年度のアジア・アジアパラ競技大会、二〇二七年度のリニア中央新幹線開業、中部国際空港第二滑走路供用開始など、日本の未来をつくっていく大型プロジェクトを丹念に進め、次々に変化する時代の流れに応じて、新たな種まき、新たな仕掛けづくりに常に不断に取り組んでまいります。そして、グローバル化、デジタル化、SDGsに全力で取り組み、日本一の産業集積愛知をさらに成長させ、県民の皆様全てが豊かさを実感できる、住みやすさ日本一の愛知、全ての人が輝き、多様な文化、スポーツ、歴史を享受できる未来へ輝く進化する愛知をつくってまいります。
今後とも七百五十万愛知県民の皆様の幸せのために、自由民主党愛知県議員団はじめ県議会の皆様と十二分に連携して、全力で県政運営に取り組んでまいりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
続いて、県税収入の見通しについてお答えをいたします。
来年度の県税収入につきましては、各種経済指標や主要企業への聞き取り調査の結果などを踏まえて積算をしたところであります。
主要税目であります法人二税収入に大きな影響を及ぼします上場企業の本年三月期の通期業績予想は、懸念材料である海外景気の下振れ、物価上昇や金融資本市場の変動等の影響などから、慎重な見通しを立てている企業が多くなっております。こうした企業収益の見通しを反映し、法人二税につきましては、本年度当初予算額から四百四十二億円の増収を見込んでおりますが、これまでの収入実績などから算定した本年度最終予算見込額に対しては、逆に三百四十四億円の減収となります。
県税全体といたしましては、個人所得の回復による個人県民税の増収や輸入の増加による地方消費税の増収などと合わせまして、来年度は本年度当初予算額から九百七十八億円増収の一兆二千四百六十七億円を計上しております。これは、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大する前の二〇一九年度決算額一兆二千六億円の水準を回復するものの、本年度の県税最終予算見込額一兆二千八百四十五億円と比較をいたしますと、これもまた逆に三百七十八億円の減収となっております。
今後は、世界的な金融引締め等に伴う海外経済の動向や為替など金融資本市場の変動等が本県経済に与える影響を注視しながら、県税収入の確保に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。
次に、今後の財政運営についてであります。
二〇二三年度当初予算案では、県税収入が九百七十八億円の増収を見込むものの、地方交付税及び臨時財政対策債は税収増に対応して減少する仕組みとなっており、これらを合わせた額が六百億円の減少を見込んでおりますので、そうしたことなどから、一般財源の増加額は限られております。
一方、歳出では、二〇二五年にかけて団塊の世代が七十五歳以上の高齢者となることなどに伴い、医療、介護などの扶助費が大きく増加することから、二〇二三年度予算編成においても多額の基金の取崩しを計上せざるを得ず、厳しい財政状況が続いております。
こうした中にあっても、二〇二三年度当初予算案は、イノベーションを創出する好循環を生み出す日本の成長エンジンとして将来にわたって我が国の発展を力強くリードし続けられるよう、さらに愛知を発展させていかなければならないとの思いを盛り込んで編成したところであります。
今後も多様な政策課題や県民ニーズに対応し、各種の施策を着実に前に進めていくためには、持続可能な財政基盤の確立が不可欠であります。このため、昨年十二月に策定したあいち行革プラン二〇二〇後半期の取組に基づいて、歳入歳出全般にわたって不断の行財政改革に取り組んでまいります。
加えて、日本一元気な愛知、全ての人が輝く愛知、日本一住みやすい愛知の実現を目指した幅広い施策を推進し、産業の活性化や雇用の維持、拡大を図ることで、税収の確保につなげてまいりたいと考えております。
次は、ドクターヘリ運航体制の強化についてのお尋ねであります。
本県では、二〇〇二年一月から愛知医科大学病院高度救命救急センターにドクターヘリを配備し、救急医療の確保と救命率の向上を図っておりますが、消防機関からの重複要請により出動できない事例の解消が課題であると認識をしております。
このため、二〇二一年四月に高度救命救急センターに指定をいたしました藤田医科大学病院に本県二機目のドクターヘリを来年度から配備することにより、全ての出動要請に対応してまいります。また、出動件数が少ない地域への潜在需要にも対応できるよう、県内全域に対応可能な体制整備に努めてまいります。
さらに、重複要請により出動できない事例の解消は、一機体制で運航する他県におきましても共通の課題と認識しておりますので、岐阜県や三重県との広域連携についても協議を進め、近隣県との広域救急搬送体制を構築してまいります。もう既に協議は始めておりますので、広域体制でしっかりと進めていければというふうに思っております。
なお、藤田医科大学病院に配備するドクターヘリは、現在よりも大型の機種を予定しておりまして、平時におきましては、人工心肺等の医療機器を装備した重篤患者の転院搬送に対応するとともに、近い将来必ず発生すると言われております南海トラフ地震等の大規模災害時においては、二機を機能的に役割分担することで救急患者の搬送体制の確保を図ってまいります。
今後とも県民の皆様に安心と安全を提供することができるよう、二〇二三年度中のドクターヘリ二機運航体制の構築を目指ししっかりと取り組んでまいります。
続いて、盛土等による災害の防止についてお答えをいたします。
改正された盛土規制法につきましては、石井県議がるる説明をいただいたとおりでありますが、知事等が盛土の崩落等によって人家や道路などに被害を及ぼすおそれのある区域をあらかじめ規制区域として指定するとともに、その区域内において五百平方メートルを超える盛土や切土などを行う者は、事前に許可等を受けることが必要とされております。また、許可に際しては、盛土等の崩落事例も踏まえた具体的かつ詳細な技術基準に適合しているか否かについて審査することにより、その安全性を確保することとされております。
加えて、事前に許可を受けていない、または許可を受けたものの申請どおり施工されていない盛土等については、盛土や切土などを行った者等に対して施工停止や擁壁設置等の災害防止措置を講じるように命令をすることができます。さらに、これに応じない場合は、重い罰則が科せられるとともに、知事等が代執行によって災害防止措置を講じることも可能となっております。
このように、盛土規制法は、これまで県が検討してきた独自条例よりもさらに厳しい規制内容となっておりますことから、これまで県議会での御意見を受けて県独自の対策を十二分に検討してきた経緯等も踏まえまして、同法を適切に執行することにより、危険な盛土等から県民の命や財産を守ることが可能であり必要であると考えております。
今後につきましては、来年度に盛土規制法に基づく基礎調査を実施いたしまして、二〇二五年五月までに市町村の意見を踏まえて規制区域を的確に指定してまいります。あわせて、許可等の執行体制を強化するとともに、関連部局が一丸となって盛土等による災害の防止に全力で取り組んでまいります。
次は、人口減少問題への対応についてのお尋ねであります。
本県の人口は、二〇一九年をピークに三年連続で減少する厳しい状況となっております。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う入国規制により外国人の方々の流入が減少したことが要因の一つではありますが、東京圏への流出超過が続くとともに、少子・高齢化による自然減も年々拡大しており、本県の人口問題は、東三河などの一部の地域の問題ではなく、県全体に関わる重要な課題であると認識しております。
そこで、まずは、この三月に、県庁全体で危機意識を共有し連携を強化するため、私を本部長とする人口問題対策本部を設置いたします。また、県内を六ブロック程度に分けて、市町村と人口問題について協議する体制を構築するとともに、現在、東三河地域で行っている移住などの市町村支援を全県に広げるなど、県と市町村が協働して人口問題に対応してまいりたいと考えております。
さらに、国のデジタル田園都市国家構想総合戦略を踏まえ、新たな総合戦略を今年十月を目途に策定してまいります。この戦略を本県の人口問題対策プランと位置づけ、産業振興や魅力の発信、結婚・子育て支援、デジタルを活用した地域課題解決など幅広い施策を盛り込むとともに、各地域の実情に応じた方向性なども示していきたいと考えております。
人口問題は県の取組だけで効果が上げられるものではありません。市町村はじめ、産業界、労働界などとも連携しながら、人口減少に歯止めをかけていくとともに、県内各地域が活力を維持し、安心、快適に暮らせる社会づくりを進めてまいります。
続いて、障害者の文化芸術活動の推進についてお答えをいたします。
障害のある方の文化芸術活動は、御自身の社会参加とともに、県民の皆様の障害への理解促進に大変意義があるものと考えております。
二〇一四年度から始めたあいちアール・ブリュット展には、私も毎年鑑賞に出向き、多くの情熱あふれる作品から元気をいただいております。この作品展などを通じて芸術的な才能が発掘され、現在二十一名の方が絵を描くことを仕事として企業に就職されるなど、全国に先駆けて始めた企業連携が着実に広がっており、取組を積み重ねることのすばらしさを感じているところであります。
来年度は十年目の節目に当たることから、例年の行事に加え、十月にこれまでに複数回入選された方など約百名の作者の活躍をたたえる記念式典や、十周年記念美術館と称した作品展を開催いたします。また、この記念行事を皮切りに、県図書館や愛知芸術文化センターにて翌年三月までの長期展示を行うなど、より多くの県民の皆様に作品を御覧いただく機会を設けてまいります。
さらに、障害者支援施設等に芸術の専門家が出向いて指導する出前講座について、愛知県立芸術大学以外の芸術大学にも連携を呼びかけて拡充し、施設等の創作活動の機会を増やすことで、障害のある方の文化芸術活動の裾野を広げてまいります。
このように、障害のある方の文化芸術活動推進の機運をさらに盛り上げることにより、障害の有無にかかわらず、誰もが文化芸術を享受し、その人らしく活躍することができる、全ての人が輝く愛知の実現を目指してまいります。
次に、今後の技能五輪全国大会・全国アビリンピックについてであります。
若手技能者や障害者の技能の祭典である技能五輪全国大会・全国アビリンピックは、技能の重要性をアピールし、未来を担う若者に技能への興味、関心を高めてもらう絶好の機会であることから、産業首都として日本のモノづくりをリードしている愛知県で開催することが最もふさわしい大会だと考えております。
このため、本県での継続的な開催を国に働きかけておりましたが、このたび、二〇二四年度、二〇二五年度大会について、本県も主催者の一員として、アイチ・スカイ・エキスポを主会場として開催することが決定いたしました。国等主催の二〇二三年度を、今年の十一月を含めますと、史上初めての二十三、四、五と三年連続アイチ・スカイ・エキスポで開催するということになります。子供たちをはじめ、多くの県民の皆様に見学をしていただきたいと思います。
アイチ・スカイ・エキスポでの開催は二〇一九年八月の開業から七年間で五回の開催となりまして、技能五輪・アビリンピックといえばアイチ・スカイ・エキスポと、まさに技能の甲子園として愛知からモノづくりの魅力や大切さを全国に発信していきたいと考えております。
今後も本県で継続的に開催できるよう国に働きかけるとともに、全国大会の連続開催により国内外に技能五輪国際大会の招致を強く訴えてまいりたいと考えております。
次に、アジア競技大会、アジアパラ競技大会の開催についてお答えをいたします。
新型コロナウイルス感染症拡大のため一年延期となっておりました中国・杭州大会が、今年の秋に開催される予定で準備が着々と進められております。世界的にコロナが終息しつつある中での大規模な国際総合スポーツ大会となるため、アジアをはじめ世界から注目が集まり、日本選手の活躍も大いに期待をされます。多くのメディアでも取り上げられることで、次の愛知・名古屋大会の盛り上げにもつながるものと期待をいたしております。
一方で、議員も触れられましたが、東京二〇二〇大会後、大規模スポーツ大会の運営面におけるガバナンスの課題が浮き彫りとなり、国民に不信感や失望感を与えた側面があった点は否めないと思います。こうした事態を受けて、国は、先月、適切な組織運営を行う上で遵守すべきガバナンス強化に係る指針案を公表いたしました。今後策定される指針に対応するため、アジア・アジアパラ競技大会組織委員会において体制や規程をしっかりと整備してまいります。
一方、本県におきましては、そうした動きに先んじて、国際スポーツ大会の開催意義そのものが問われているとの危機感の下、私が先頭に立ち、時代のニーズに応えた大会開催を目指し、新たな大会理念、すなわちパーパスを再構築するためのアジア・アジアパラ競技大会に関する懇談会を昨年十一月に名古屋市と共に設置いたしました。第一回懇談会では、大会開催におけるクリーンさや運営の透明性が必要であること、アジアの子供の未来のためにというアジアの人々が共有できる理念を掲げるべきなどの御意見をいただいております。今後も議論を重ね、最終的に提言として取りまとめ、広く県民の皆様に受け入れられる大会を目指してまいります。
こうした取組を進めながら、引き続き、名古屋市、組織委員会と連携し、運営面における透明性や公平性を確保するとともに、次世代に夢をつなぐ国際スポーツ大会の開催に向けて全力で取り組んでまいります。
次は、STATION Aiの開業に向けた取組についてのお尋ねであります。
日本最大のスタートアップ支援拠点であるSTATION Aiについては、本年一月の起工式を経て本格的に建設工事が始まったところであり、二〇二四年十月の開業に向け、地域一丸となった支援拠点の創出に取り組んでいるところであります。
既に開業までの切れ目ないソフト支援策として、プレ・ステーションAiにおいて、リアルとリモートとを合わせて百六十八社のスタートアップに対し、成長ステージに応じた総合的なバックアップを行っております。
また、来年度は、開業後の目標であるスタートアップ千社の集積に向けて、プレ・ステーションAiメンバーのさらなる増強を図るとともに、資金調達と並びスタートアップの成長段階で課題となる人材の確保を支援するため、スタートアップへの就業希望者を集約した人材プール構築をはじめとする人材紹介機能を整備してまいります。
さらに、世の中に大きなインパクトを与える最先端の科学技術であるディープテックを用いて成長を目指すスタートアップを支援する仕組みを新たに構築し、この愛知からいわゆるユニコーン企業の創出を目指してまいります。
加えて、海外の先進的なスタートアップ支援機関や大学との連携につきましては、今年度に締結した中国の浙江大学やイスラエルイノベーション庁との覚書等に基づく新たな連携プログラムを新年度に実施するなど、一層の充実、強化を図ってまいります。
こうした取組を着実に実行することで、STATION Ai開業までの機運醸成とともに、開業後のロケットスタートに弾みをつけて、世界に類例のないグローバルイノベーション都市を目指してまいります。
私からの最後の答弁となりますが、農業分野におけるイノベーションの創出についてお答えをいたします。
本県ではSTATION Aiプロジェクトの一環として、二〇二一年にあいち農業イノベーションプロジェクトを立ち上げて、農業分野におけるイノベーション創出の取組を進めております。今年度は新たな技術の提案をスタートアップ等から募集し、AIや画像解析による収量の予測や病害虫の判定など優れた技術やアイデアを持つ十九者を選定して、現在、研究開発から社会実装までのロードマップをまとめているところであります。これらの提案のうち、燃油価格の高騰など喫緊の課題に対応するため、新しい保温資材の開発や企業等から排出される二酸化炭素を栽培管理、再利用する技術などにつきましては、既に昨年十月から先行して共同研究に取り組んでおります。
また、収穫作業などの負担を軽減する農業用アシストスーツの共同開発では、既に県内でのテスト販売が始まっておりまして、こうした成果が次々と生まれるよう、引き続きスピード感を持って農業総合試験場がスタートアップ等と共同で研究開発を進めてまいります。
さらに、来年度、農業水産局内に新たに農業イノベーション推進室を設置して、STATION Aiの支援の下で絶え間なくイノベーションを創出できるよう、産学官連携の体制を強化してまいります。
こうした取組を通じて、農業総合試験場を拠点に、開発から社会実装までを一体的に推進し、新技術や新品種の実用化を早期に実現することで、本県農業のさらなる振興を図ってまいります。
以上、御答弁申し上げました。
- 5:◯警察本部長(鎌田徹郎君) 治安対策の御質問についてお答えいたします。
初めに、暴力団対策につきましては、暴力団対策法に基づく規制等によって、対立抗争事案の未然防止に努めることはもとより、暴力団主要幹部の社会隔離を見据え、あらゆる法令を駆使した戦略的な取締りを徹底するとともに、資金源となっている暴力団関係企業等からの資金の流れを解明し、遮断してまいります。
さらには、県民の方々や事業者と連携した暴力団排除活動に加え、組織からの離脱意思を有する暴力団員に対する離脱やその後の就労等の社会復帰を支援する取組を強化するなど、総合的な暴力団排除活動を推進してまいります。
続いて、交通事故抑止対策につきましては、交通事故分析に基づき、交通事故に直結する悪質、危険な違反の取締りを強化するほか、歩行者や自転車を含む車両運転者の交通安全意識の醸成を促すため、各年代に応じた交通安全教育や広報啓発活動を積極的に推進してまいります。
また、交通弱者に配意した道路交通環境を整備するなど、総合的な交通事故抑止対策をより一層推進してまいります。
最後に、犯罪抑止対策につきましては、特殊詐欺やサイバー犯罪等の社会情勢の変化を反映した犯罪のほか、自動車盗や侵入盗などの多発傾向にある犯罪につきまして、自治体、事業者等と連携し、訴求力のある広報啓発活動をはじめとした防犯対策を推進し、被害の未然防止を図るとともに、発生した事案に対しては、被疑者の早期検挙等、事案の解明を徹底してまいります。
今後とも、治安上の課題に的確に対応し、県民の方々が安心して暮らせる安全な社会の実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと、かように考えています。
以上でございます。
- 6:◯教育長(飯田靖君) 県立普通科高校の魅力化についてお答えをいたします。
子供たちが先行き不透明な時代の中でたくましく生きていくためには、自ら課題を見つけ、深く考え、解決していく力を身につけることが何より大切でございます。そのためには、最も多くの生徒が通う普通科高校においても、ふだんから学校の外に出て、大学や地域の企業、自治体などの協力を得ながら、探究活動を進めるといった、これまでの教室内での学びにとどまらない学びに転換をしていくことが必要でございます。
そこで、来年度から、地域社会が抱える課題などに関する実践的な学びを盛り込んだカリキュラムを普通科高校二校においてモデル的に実施をしてまいります。そして、その二校における実践や、そして、二〇二五年と二〇二六年の四月に開校をする七校の探求学習重視型の中高一貫校における実践を他の普通科高校にも広げることで、普通科高校における学びの活性化と変革を進めてまいります。
一方、施設の老朽化対策につきましては、二〇一九年に策定をいたしました県立学校施設長寿命化計画に基づき、二〇二九年度までの十一年間で、総額千百七十二億円、一年当たり百億円以上を投ずることとしております。具体的には、県立学校百十八校、五百九十四棟で、外壁やトイレの改修、照明のLED化、内装のリフレッシュ工事を行うこととしておりまして、既に改修を終えた高校では、体験入学で来校した中学生にも大変好評でございました。来年度は五十三棟の改修を行う予定でございまして、ICT環境のさらなる整備を含め、今後も教育環境の充実に着実に取り組んでまいります。
こうしたソフトとハードの両面からのアップデートにより、県立普通科高校の魅力を高め、普通科高校で学ぶ生徒たちが地域の未来を担う人材となって羽ばたいていけるようにしてまいります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 7:◯四十番(南部文宏君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 8:◯議長(須崎かん君) 南部文宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 9:◯議長(須崎かん君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時十一分休憩
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午後零時五十九分開議
- 10:◯議長(須崎かん君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
長江正成議員。
〔七十四番長江正成君登壇〕(拍手)
- 11:◯七十四番(長江正成君) 新政あいち県議団を代表して、順次質問をさせていただく前に、まずは、大村知事におかれましては、四期目の御当選おめでとうございます。二位以下の候補者に百二十万票以上の差をつけ、全市町村でトップの得票であったことは、これまでの三期十二年の実績や成果を多くの県民が評価し、大村県政続投を願う大きな結果であります。大村知事一番の公約である、日本一元気な愛知をつくり、日本の未来をつくるために、大村知事と共に、オール愛知で未来に向かって共にチャレンジしてまいりましょう。
また、二月七日に三菱重工業が、国産初のジェット旅客機、スペースジェットの開発から撤退することを正式に発表しました。日の丸ジェットとしての期待から、大変残念な結果になりました。
思えば、二〇二〇年八月六日に、我が新政あいち県議団の勉強会として、三菱航空機株式会社の方から、SJの現状と今後をテーマにお話をいただき意見交換したときには、今後の事業性について見通せる結論でありました。今後も、本県の航空機産業発展の施策にブレーキをかけず、成長産業として支援していくべきと考えております。
それでは、質問に入ります。
今後の財政運営についてお伺いいたします。
社会経済情勢や行政を取り巻く環境は刻々と変化を続けています。新型コロナウイルス感染症については、去る一月二十七日に、政府は感染症法上の位置づけを、現在の二類相当から季節性インフルエンザなどと同じ五類へ引き下げる決定を正式にしました。これにより、今後の政府の対応は大きく転換していくことが想定され、本県においては、こうした状況の中で社会経済活動を回していくことが大きな目標となっていきます。
昨今の経済動向に目を向けると、日銀は、一月十八日、大規模緩和継続を決定し、翌十九日に財務省が発表した二〇二二年の貿易収支は十九兆九千七百十三億円の赤字となり、一九七九年以降で最大になりました。
先月二十四日に総務省が発表した一月の全国消費者物価指数は、値動きの大きい生鮮食品を除く総合指数が前年同月比四・二%上昇し、上昇率は四十一年四か月ぶりの大きさとなりました。
また、本年二月の月例経済報告では、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクになっているとされています。
二〇二三年度当初予算案においては、県税収入が本年度当初予算から一千億円近く増加しておりますが、本年度最終予算からは法人二税収入について、本年度下半期の業績について慎重な見通しを立てている企業が多いことなどから減収が見込まれ、県税全体では三百七十八億円の減収となっています。
今後の国内外の経済情勢の変化によっては、来年度以降の県税収入も大きく変動し、決して楽観視できるものではないと認識しています。また、二〇二三年度当初予算編成においても、千四百二十四億円もの多額の基金の取崩しを計上せざるを得ない状況となっています。
こうした状況下にあっても、私たち新政あいち県議団は、県民の声を丁寧にお聞きし、それを未来の形にしていくことが極めて重要であると考えています。そして、そのための施策を実現していくためには、様々な環境変化に柔軟に対応できる財政基盤を確立していくことが肝要と考えます。
そこでお伺いします。
県政を取り巻く環境変化に対応していくため、今後どのように財政運営に取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
次に、コロナ禍における保健師の育成についてお伺いいたします。
二〇二〇年一月に新型コロナウイルス感染症の陽性者が本県で確認されて以降、手洗いやマスクの着用、三密の回避、効果的な換気といった基本的な感染防止対策の徹底を行うほか、新たな働き方としてテレワークやオンライン会議が導入されるなど、私たちの生活は大きく変わりました。
新型コロナウイルス感染症は、皆様も御承知のとおり、ウイルス株が変異し、この約三年間、流行の波を繰り返してきました。
感染者の増加に伴い、感染症対策を担う保健所においては、通常業務に加えて、帰国者・接触者相談センターとしての相談対応や、医療機関からの発生届を受けて行う積極的疫学調査、在宅療養に伴う配食サービス等の業務が増大し、運営面で逼迫したことと思います。その間、入院確保病床の増加や、治療薬及びワクチンの開発などが進み、三年前と比べて医療体制も充実してきました。
こうした中、昨年九月に政府はウイズコロナの新たな段階への移行に向け、全数届出を見直しするとし、感染症法に基づく医師の届出、いわゆる発生届の対象を六十五歳以上の方、入院を要する方、重症化リスクがあり、かつ新型コロナ治療薬の投与が必要な方及び妊婦など、四類型に限定し、保健医療体制の強化、重点化を進めていくこととしました。
さらに、先ほど述べたとおり、政府は新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけを、本年五月に五類感染症へ移行することを決定したほか、現在、これまでの様々な施策、措置などについて段階的に移行することを検討しています。
こうした新型コロナウイルス感染症業務全般の見直しなどにより、発生当初に比べて保健所業務は次第に正常化したようですが、今回の経験から、例えば、クラスターが発生した施設において、保健所が感染対策の相談、指導を行うなど、感染症対策における保健所の役割の重要性が再認識されました。また、国の財政措置においても、感染症の拡大時に円滑に業務ができるよう保健所の恒常的な人員体制を強化するため、保健師の増員が図られています。
しかし、本県の人口十万対保健師数は、全国平均を大きく下回っており、県保健師の拡充と育成を進めていくことは非常に重要であると考えます。
そこでお伺いします。
県では、コロナ禍において保健所業務が逼迫していた時期もありましたが、通常業務に影響がないようにどのような対策が取られてきたのか、また、保健師の育成について今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
続いて、持続可能な環境社会の構築についてのうち、カーボンニュートラルあいちの実現についてお伺いいたします。
化石燃料の大量消費に起因する大気中の温室効果ガスの急激な上昇は、大規模な自然災害の増加や世界各地で異常気象の頻発など、気候変動問題を引き起こしており、今や人類の生存基盤を揺るがす気候危機とも言われる状況にまで至っています。ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギーの供給不安等を背景に、一時期、各国において、比較的安価で調達しやすくCO2排出量の多い石炭など、化石燃料への回帰が生じ、気候変動対策が停滞しているとの報道もありました。
しかしながら、対策が遅れるほど被害は甚大となります。気候変動対策は待ったなしの状況であり、脱炭素の歩みを止めるわけにはいきません。
こうした中、本県においては、昨年十二月にあいち地球温暖化防止戦略二〇三〇を改定し、国と歩調を合わせる形で、二〇三〇年度に温室効果ガス排出量を二〇一三年度比で四六%削減し、二〇五〇年までにカーボンニュートラルの実現を目指すことを掲げました。
また、再生可能エネルギーについては、現在の発電容量三百三十五万キロワットから、二〇三〇年度までに一・七倍に増加させ、五百八十万キロワットを目指すという新たな目標も設定しています。
二〇五〇年のカーボンニュートラル実現には、早期に脱炭素社会への移行に向けた取組を加速していくことが必要です。
国では、昨年の夏以降、GX実行会議を設置して議論を進め、産業革命以降の化石エネルギー中心の産業構造や社会構造をクリーンエネルギー中心へ転換する、グリーントランスフォーメーションの実現を掲げ、今後十年間で官民合わせて百五十兆円の投資と、二酸化炭素の排出に負担を求めるカーボンプライシングの活用などにより、脱炭素社会の構築に向けた取組を大きく加速しようとしています。
今回の県の戦略における二〇三〇年度目標である四六%削減は、これまでの二六%削減を大幅に引き上げた大変意欲的な目標でありますが、直近の二〇一九年度の温室効果ガス排出量は、二〇一三年度比で僅か八・一%の減少にとどまっており、こうした状況からすると非常に高い目標となっています。
また、再生可能エネルギーの導入量を一・七倍とする目標も、これまで太陽光発電や風力発電の導入がある程度進み適地が少なくなる中、今後導入を加速することは容易ではないと考えます。
しかしながら、カーボンニュートラルに向けた取組は、将来にわたって、本県の経済、社会の発展と県民の快適で豊かな暮らしを維持できる持続可能な新しい社会につくり変えるために不可欠でありますので、目標実現に向け、これまで以上にしっかりと取り組むことが重要と考えます。
そこでお伺いします。
二〇五〇年のカーボンニュートラルを実現するため、具体的にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
続いて、あいち生物多様性戦略二〇三〇の推進についてお伺いいたします。
二〇一〇年に生物多様性条約第十回締約国会議が本県で開催され、そこで採択された生物多様性の世界目標は愛知目標と名づけられました。それ以降、本県は、愛知目標の達成に貢献するため、地域の様々な主体と共に生物多様性の保全に積極的に取り組み、また、愛知目標達成に向けた国際先進広域自治体連合を設立して、世界の取組促進にも貢献してきたところであります。
私は、生物多様性の施策を学ぶためにドイツやカナダを訪問したことがありますが、希少種保全や森林資源の保護など、国や地域によって生物多様性保全の価値観や取組方が様々であることを実感しました。
昨年十二月には、カナダでCOP15が開催され、愛知目標に代わる新たな世界目標、昆明・モントリオール生物多様性枠組が採択されました。
今回のCOPで特徴的だったのは、民間による取組の重要性、特に企業、ビジネスと生物多様性の関係が非常に注目を浴びたことです。
新たな世界目標には二十三の個別目標が含まれていますが、このうち特に注目されるものがサーティ・バイ・サーティ目標です。これは、二〇三〇年までに陸と海の三〇%以上を保全する目標です。その達成に向けては、法令による保護地域に加え、民間の取組による保全を活性化し、例えば企業所有林等で生物多様性保全に貢献する場所を増やしていくことが必要だとされています。
また、もう一つ注目を集めているものが、事業者による生物多様性に係るリスクや影響等の評価、開示を促進するということです。これについては、現在、自然関連リスクに関する情報開示の枠組みが自然関連財務情報開示タスクフォースによって検討されているところです。
このように、企業の参画が世界目標の達成に不可欠となったことは、生物多様性において非常に大きな転換点であると言えます。今や生物多様性への対応が重要な経営課題となり、企業の関心もこれまでになく高まると思います。
そこでお伺いします。
本県では二〇二一年二月に、あいち生物多様性戦略二〇三〇を策定して様々な施策を進めていますが、新たな世界目標や国内外の動向を踏まえ、企業における生物多様性への取組の活性化に向けて今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
次に、誰もが活躍できる社会の実現についてのうち、中小企業等におけるワーク・ライフ・バランスの推進についてお伺いいたします。
近年、企業に対しては働き方改革関連法の施行により、時間外労働の上限規制や年次有給休暇年五日の取得義務化などが導入されました。
また、育児・介護休業法の改正では、育児休業の分割取得や、通常の育児休業とは別に、子供の出生後八週間以内に最長四週間まで育児休業が取得できる出生時育児休業、いわゆる産後パパ育休が新たに制度化されるなど、ワーク・ライフ・バランスの推進に向けた様々な取組が進められています。
本県では、連合愛知や経済団体等と共に県内一斉ノー残業デーをはじめとする推進運動を展開しているほか、ファミリー・フレンドリー企業登録制度による仕事と生活の両立支援、テレワークの導入や定着による多様で柔軟な働き方の促進など、企業の取組を支援する各種施策を行っています。
しかしながら、県が実施した二〇二二年労働条件・労働福祉実態調査の結果によると、二〇二二年における県内企業全体の年次有給休暇取得率は六九・一%となっており、政府が目標としている七〇%と同水準であるものの、県内企業の大半を占める中小企業では五八%台と、企業規模が小さいほど取得率が低い状況にあります。
また、男性従業員の育児休業取得率についても、政府目標である三〇%を大きく下回る一〇・八%にとどまっています。
ワーク・ライフ・バランスの推進は、若者、女性、高齢者などの労働市場への参加を促進し、労働力人口の減少の緩和を図るとともに、優秀な人材の確保や従業員の定着促進につながる取組です。
また、厚生労働省が過去に公表した労働市場分析レポートによると、有給休暇の取得率が高いほど、従業員の離職率が低く、労働生産性が高いという傾向が見られることから、コロナ禍で特に厳しい経営環境に置かれている中小企業のワーク・ライフ・バランスの取組をしっかりと支援することは、県政にとって極めて重要な課題であると考えます。
そこでお伺いします。
中小企業等におけるワーク・ライフ・バランスの推進を図るため、県はどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
次に、通常の学級に在籍する子供への特別な教育的支援についてお伺いいたします。
昨年、十二月十四日付の新聞に、小中学生発達障害八・八%という見出しで、文部科学省が実施した通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果が掲載されました。
この調査は、通常の学級に在籍する児童生徒のうち、知的な遅れはないものの、学習面または行動面で著しい困難を示す児童生徒の実態と支援の状況を明らかにすることを目的に、学級担任の先生方などを対象に行われたものです。したがって、医師などの専門家による判断ではありませんが、いわゆる発達障害の児童生徒の割合は、小中学校では八・八%ということで、三十五人学級であれば三人程度はいるということになります。十年前の前回調査では六・五%でしたので、この十年間で二・三ポイント増加したことになります。増加の背景には、社会全体で発達障害に対する理解が進み、目が向けられるようになったこともあると分析されております。
しかし、各クラスに三人程度はいる発達障害の子供に対し、それぞれの特性に応じた支援が行われていればよいのですが、十分な支援が行われていないと、知的な遅れはないのに学習についていけなくなったり、人間関係のトラブルから学校に登校できなくなるなど、その子の学校生活に大きな支障が生じます。
実際、保護者からは、うちの子供は、文字を小さな升の中に書くことが苦手なので、特別に大きな升にしてもらっているとか、うちの子供は、お友達と仲良くしたい気持ちはあるのに、うまく表現できずに、周りの子とよくけんかになってしまい困っているという話を聞きます。
このように、学習面や行動面で著しい困難を抱えている子供が、文部科学省の調査で小中学校に一割近くいることが明らかになったわけですから、こうした子供たちへの支援の現状について点検し、充実を図っていくことが重要であると考えます。
そこでお伺いします。
通常の学級に在籍する、いわゆる発達障害の子供に対して小中学校ではどのような支援が行われているのか、また、県教育委員会として今後どのように支援の充実に取り組んでいかれるのか、教育長の御所見をお伺いします。
次に、持続的な本県産業の振興についてのうち、起業家の育成に向けた取組についてお伺いいたします。
昨年十一月、政府は新しい資本主義の実現に向けた取組の一環として、官民による我が国のスタートアップ育成策の全体像を取りまとめたスタートアップ育成五か年計画を策定しました。この計画では、日本にスタートアップを生み育てるエコシステムを創出し、戦後に次ぐ第二の創業ブームを実現するためには、創業の数の増加や規模の拡大を図る大きな目標を掲げて、官民一体で取組を進めていくことが必要であるとしています。
今回、政府が大きな目標として掲げたのは、スタートアップへの投資額を二〇二七年度に十兆円規模とすること、将来的にスタートアップを十万社創出すること、評価額十億ドル以上のユニコーンを百社創出することにより、我が国がアジア最大のスタートアップハブとして世界有数の集積地となることを目指すというものです。
スタートアップを数多く創出するためには、当然ながら起業する人材が数多く存在することが必要です。しかしながら、政府の資料によると、起業を望ましい職業選択と考える人の割合は、中国では七九%、アメリカでは六八%であるのに対し、日本は二五%と先進国、主要国の中で最も低い水準にあるとされています。
このため、政府はスタートアップ育成五か年計画の実現に向けた施策の第一の柱として、スタートアップ創出に向けた人材、ネットワークの構築、すなわち起業人材の育成に向けた取組を掲げ、起業を志す若い人材の育成や起業を行おうとする者への支援を強化するとしております。
一方、本県では、二〇一八年に策定したAichi─Startup戦略に基づき、国の動きに先行する形で、この地域に愛知独自のスタートアップ・エコシステムを形成するための取組が進められております。
とりわけ二〇二四年十月の開業に向けて整備が進められているSTATION Aiは、この戦略の中核をなす拠点であり、県は、この施設に開業から五年を目途に千社のスタートアップを集積させることを目標にしていますが、そのためにも、まず、起業家を志す人材をできるだけ数多く発掘、育成し、その裾野の拡大を図ることが急務であると考えます。
県では、これまでにも、あいちスタートアップキャンプなどのプログラムを実施し、プレ・ステーションAiで活躍するスタートアップも生まれておりますが、二〇二四年十月のSTATION Aiの開業に向け、取組のギアを一段上げる必要があると考えます。
そこでお伺いします。
STATION Aiの開業に向け、起業家の育成を一層推進するため、今後どのような取組を行っていかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
次に、ウナギ養殖業の振興についてお伺いいたします。
本県のウナギ養殖業は、西尾市や豊橋市を中心に営まれており、生産量は全国第二位と、国内有数の養殖ウナギの一大産地であります。また、年間約百七十億円規模の生産額を上げる、地域の重要な産業でもあり、ウナギは本県の特産品になっております。
ウナギは、良質なたんぱく質やカルシウム、ビタミン類など豊富な栄養素を含んでおり、疲労回復に効果がある食べ物として日本人の食文化に古くから根づいています。
私の地元瀬戸市にはおいしいウナギを食べられる専門店が昔から多くありますが、これは、力仕事を伴う陶器作りの職人たちの栄養補給に重宝されていた歴史があるためと言われています。
夏の土用のうしの日にウナギを食べる方が多いと思いますが、本県の養殖業者は一年を通しておいしいウナギを生産していますので、県民の皆様には寒い冬にも栄養満点のウナギを食べていただきたいと思います。
しかし、ウナギ養殖業は、近年、生産面で大きな課題を抱えています。
私たちが食べるウナギのほとんどは養殖されており、海や川で捕れた稚魚であるシラスウナギを養殖業者が池に入れ、育てて出荷しています。そうした中、近年、シラスウナギの捕れる量が減少し、取引価格が高騰しているため、養殖ウナギの生産量の減少やコストの増加など、養殖経営に大きな影響が生じています。
また、二〇一三年に環境省がニホンウナギを絶滅危惧種に指定したことや、水産庁がウナギ資源の持続的利用を確保していくため、ウナギ養殖業を二〇一五年から許可制にすることで、池に入れるシラスウナギの量を制限していることもあり、より一層、ウナギ資源を守りながら養殖することを考えていく必要があります。
こうした状況の中、本県では、二〇一八年度から、水産試験場において、シラスウナギを雄に比べて大きく身が軟らかい雌に効率的に育てる技術開発に取り組み、既にその開発には成功し、今後は養殖業者への技術普及や市場出荷を目指す取組を進めていくと伺っております。私もこの技術で育てたウナギを食べる機会がありましたが、身も軟らかくて大変おいしいと思いました。この技術が早く広まることを期待する一方で、今後は天然のシラスウナギに頼らないウナギの完全養殖の実現も必要であると考えます。
そこでお伺いします。
本県のウナギ養殖業について、ウナギ資源を守りながら将来にわたって継続させるため、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
次に、さらなる愛知の発展についてのうち、陶磁美術館の運営についてお伺いいたします。
愛知県陶磁美術館は、陶磁文化の普及、向上と陶磁器産業の振興に資することを目的に、一九七二年二月、県政百年記念事業として猿投山麓の緑豊かな瀬戸市に建設計画が発表され、一九七八年六月に開館しました。開館後は、施設の増築や収蔵品の充実に努めるなど、昨年三月には入館者が累計で三百五十万人を超え、多くの皆様方に御来館いただいたところであります。
昨年開催された国際芸術祭あいち二〇二二では、連携企画事業として、瀬戸にゆかりのある作家をはじめとする東海地域の作家の現代陶芸作品を陶磁美術館の敷地内に展示する展覧会、ホモ・ファーベルの断片が開催されており、私も鑑賞させていただきました。展覧会開催に併せて行われた片岡芸術監督を招いた記念シンポジウムには、多くの方が陶磁美術館に来館し、国際芸術祭の来場者にも当地域の現代陶芸作品を御覧いただくことで、この地域に受け継がれてきた陶磁文化の魅力を発信することができたと思います。
また、これまで西館に展示されていた愛知県指定有形民俗文化財を含む陶製狛犬コレクションを本館に移し、本館のロビーにタワー型の大型展示台を設置して行っているインスタレーション展示は大変好評のようです。
このような新たな試みは、二〇一九年度より元九州国立博物館副館長の伊藤嘉章氏を新たに総長に迎え、陶磁美術館の新たな活性化策を打ち出していただいていることが大きく影響していると、地元議員として感じています。
しかしながら、美術館の独自性や特色、力量が問われる特別展や企画展は、過去には年間六回開催されていましたが、二〇二〇年度以降は年間四回しか開催されておらず、学芸員はじめ職員の数も以前に比べて減少しています。
また、陶磁美術館は、自然に囲まれた立地から、植栽等の環境整備が必要ですが、地元を中心としたボランティアの方々に整備活動等で支援していただいております。
ただいま述べたとおり、陶磁美術館の運営費が縮減されていく中、国内屈指の陶磁専門ミュージアムとして、当館の基本理念である、人々の知性と感性を高め、創造的で多様性のある心豊かな地域社会の実現を目指すためには、民間資金の活用などを積極的に検討する必要があると考えます。
そのような中、陶磁美術館は、長寿命化改修工事等のため、本年六月中旬頃から二〇二五年三月までの約一年九か月間休館し、二〇二五年四月にリニューアルオープンするとお聞きしております。
そこでお伺いします。
長期休館中であっても、陶磁美術館の活性化にしっかりと取り組む必要があると考えますが、リニューアルオープンに向けどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
次に、MICEの誘致に向けた取組についてお伺いいたします。
昨年九月、知事は、日台観光サミットについて、本年秋頃に本県で開催することを発表しました。日台観光サミットは、公益社団法人日本観光振興協会等で構成される日台観光推進協議会と台日観光推進協議会が主催し、我が国と台湾の間における観光交流の促進と交流人口の拡大を目指して、双方の旅行業界、観光業界のトップが集う国際会議であると聞いております。日台観光サミットの開催は、MICEの誘致に向けたこれまでの地道な取組の成果として、私も非常にうれしく思います。
改めて申し上げるまでもありませんが、MICEとは、企業等の会議、企業等が行う報奨、研修旅行、国際機関、団体等が行う国際会議、展示会、見本市などにより、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントのことです。MICEの開催を通じた主催者、参加者等の消費支出や関連の事業支出は、開催地域を中心に大きな経済波及効果を生み出します。また、MICEは、会議開催、宿泊、飲食、観光等といった経済・消費活動の裾野が広く、滞在期間も比較的長いと言われており、一般的な観光客以上に周辺地域への経済効果を生み出すことが期待されます。そのほかにも、MICEを開催することにより、地域の国際的知名度、イメージの向上や交流人口の拡大などといった様々な波及効果が見込まれます。
コロナ禍においては、予定されていたMICEも多くが開催できていない状況にあると思いますが、そうした中においても、MICEの開催に必要とされる施設は着実に整備されてきており、ハイレベルな国際会議の開催や海外の富裕層旅行者の誘致等に向けて、本県が名古屋市と共に創設した高級ホテル立地促進事業費補助金制度を活用した第一号のホテルが、今年七月に名古屋市内に開業する予定です。
私は、こうして整備された施設も最大限活用して、MICEの誘致に積極的に取り組むことが重要であると考えます。
そこでお伺いします。
MICEの誘致に向けて今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
次に、安全・安心の確保についてのうち、防災航空業務の推進についてお伺いいたします。
来週三月十一日で、東北地方を中心に未曽有の被害をもたらした東日本大震災の発生から十二年が経過します。この間、各自治体では、この悲惨な経験を教訓として災害対策が進められてきました。
災害発生時には、人命救助を第一に考え、様々な活動を行いますが、その中でも防災ヘリコプターは、その機動力を生かして、山や海での遭難者等の人命救助、救急搬送などのほか、災害発生時には上空から迅速かつ広範囲に被災地での情報収集や現場で必要な資機材、人員の輸送等、多岐にわたる任務を遂行することができるなど、消防防災活動には欠かすことができないものと思います。
本県では、阪神・淡路大震災を契機として、災害対応力の向上を図るため、一九九六年に防災ヘリコプターわかしゃちを導入しました。ヘリコプターの乗組員は県内の消防本部から救助隊員を派遣していただき、操縦士と整備士は民間に委託する体制で運航してきました。
また、来年度からは、救急・災害医療体制のさらなる強化のため、愛知医科大学病院に加え、藤田医科大学病院に本県二機目のドクターヘリが導入されることとされています。
さて、防災ヘリコプターについては、運航開始からこれまで一度も事故を起こすことなく、県内で発生した救助・救急事案や林野火災など千三百件余りに出動し、数多くの命を救ったところであります。
このように、防災ヘリコプターは、今や我が国の消防防災活動になくてはならない存在となっている中で、他県においては、消防防災ヘリコプターの墜落事故が相次いで発生しました。最近では、二〇一八年に起きた群馬県の事故が記憶に新しいところですが、このような事故を契機に、国の安全に係る運航基準が一層強化されるなど、万全な体制を確保し、適切に対応することが求められています。
また、実際の運用においては、運航の委託先である民間航空会社の経験豊富な操縦士の退職等に伴い、安全面の問題から夜間の運航を休止せざるを得なくなったことや、機体の法定検査などにより長期の運航不能期間が発生してしまうなど、課題がありました。
本県では、こうした課題に対応するため、地方自治法に基づき、今年度から名古屋市に運航事務の委託を行いました。委託に当たり、昨年度伺っていたメリットとして、県の防災ヘリコプター一機と名古屋市の消防ヘリコプター二機の合計三機を名古屋市消防航空隊が一体的に運用できるとのことでしたが、委託開始からおおむね一年がたち、具体的な効果が見えてきたと思います。
そこでお伺いします。
名古屋市に防災ヘリコプターを委託したことにより従前からの課題はどのように改善したのか、また、今後の取組について、知事の御所見をお伺いします。
最後に、犯罪捜査の高度化、効率化に向けた取組について、お伺いいたします。
本県の犯罪情勢を見てみると、犯罪情勢をはかる指標のうち、刑法犯認知件数の総数については、官民一体となった総合的な犯罪対策の推進や防犯機器の普及、その他の様々な社会情勢の変化を背景に、戦後最多であった二〇〇三年と比較すると、昨年は五分の一以下にまで減少しています。
しかし、侵入盗や特殊詐欺といった県民の皆様の身近で発生する犯罪は増加傾向にあり、その被害も高額化するなど、被害は深刻化している状況です。
また、暴力団情勢に関しては、六代目山口組と神戸山口組との対立抗争がいまだ終結していない中、新たに六代目山口組と池田組も特定抗争指定暴力団等に指定されるなど、依然として予断を許さない情勢にあります。
さらには、新聞やテレビなどで報道されておりますが、関東地方を中心に組織的な強盗事件が連続して発生しており、今後、本県でも発生する可能性がゼロではなく、私は懸念をしています。
こうした情勢の中、県警察におきましては、昼夜を分かたず、犯人の早期検挙に尽力していただき、犯人検挙の手法につきましても、職務質問や聞き込み捜査といった伝統的なものが思い浮かぶところでありますが、防犯カメラやスマートフォンが普及した今、時代の変化に応じて、それらの技術を活用した捜査が今後ますます有用になるのではないかと考えます。
特に防犯カメラは、犯罪の予防効果も高く、その画像は犯人検挙の有力な証拠となるもので、今や警察の捜査には欠かせないものとなっているのではないでしょうか。昨今、自治体による防犯カメラの設置台数は増加し、私の周りにおいても設置台数が着実に増えていることを実感します。
警察には、各種の治安上の課題に的確に対応し、県民の安全・安心を守ることが求められており、限られた警察力の中で組織化、複雑化する各種犯罪に対抗して犯人を早期検挙するためには、今後、民間や研究機関が持つ技術を導入するなどし、これまで以上に犯罪捜査の高度化、効率化を図っていくことが不可欠であると考えます。
そこでお伺いします。
各種の治安上の課題に的確に対応するため、今後どのように犯罪捜査の高度化、効率化に取り組んでいかれるのか、警察本部長の御所見をお伺いします。
以上、新政あいち県議団を代表して、県政各般にわたる様々な課題についてお尋ねいたしました。真摯な御答弁をお願い申し上げまして、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事大村秀章君登壇〕
- 12:◯知事(大村秀章君) 新政あいち県議団の長江正成団長の質問にお答えをいたします。
最初に、このたびの知事選挙におきまして、新政あいち県議団の皆様には力強い御支援をいただきまして誠にありがとうございます。また、ただいま丁重なお祝いのお言葉をいただきました。誠にありがとうございます。心から御礼を申し上げます。引き続き、新政あいち県議団をはじめ県議会の皆様と連携、協議を図りながら今後の県政運営に当たってまいりますので、お力添えいただきますように何とぞよろしくお願いを申し上げたいと存じます。
それでは、質問にお答えを申し上げます。
初めに、今後の財政運営についてお答えをいたします。
本県は、年度によって県税収入が大きく変動するという財政運営上の特徴があることから、一定規模の基金残高を確保することが不可欠であります。また、二〇二〇年度以降、新型コロナウイルス感染症に対応するため、累次の補正予算を編成してきた経験から、年度途中の不測の財政事情に機動的に対応できるようにするためにも、基金残高の確保は重要であると認識をいたしております。
本年度は、県税収入及び地方交付税がともに当初予算額を上回ったことなどにより確保した財源によって、年度内に予定をしておりました基金の取崩しを全額取りやめた上で、本年度中の法人二税の増加等に伴う交付税の後年度減額精算に備えるため、財政調整基金に三百七十億円を積み立てることといたしました。
二〇二三年度は、再び多額の基金取崩しを計上せざるを得ない厳しい状況にあるものの、当初予算編成後の財政調整基金の残高は千四百一億円を確保できる見込みとなっております。
今後も、昨年十二月に策定をしたあいち行革プラン二〇二〇後半期の取組に基づく歳入歳出両面にわたる行財政改革の取組を着実に進め、円滑な政策展開のための基金残高の確保に努めてまいります。
加えて、産業の活性化や雇用の維持、拡大を図ることで税収の確保につなげ、健全で持続可能な財政基盤の確立に向けて取り組んでまいります。
次に、コロナ禍における保健師の育成についてのお尋ねであります。
あわせまして、新型コロナウイルス感染症の状況ですが、本日、この後、午後三時に集計して発表いたしますが、本日の陽性者数の発表数値は六百九十一人でありまして、一週間前の同じ曜日で八十二人減って〇・八九倍、七日間平均で一日当たり六百四十六人ということで、一月の前半の一番多かったときから比べますと二十五分の一ぐらいという感じですかね。ということで、落ち着いてきております。入院者数も減少をしておりますので、終息が近づいてきているということだと思っておりますが、引き続きしっかりと対応していきたいというふうに思います。
さて、そういう中で、保健師さんでありますが、県では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大時には、その対応に注力するため、保健所の通常業務のうち、県民生活に直ちに支障のない業務を延期するなど、業務の重点化を図り、医師、薬剤師、獣医師及び保健師等が一丸となって感染症対策業務に当たっております。
また、保健所への応援は、全庁体制による職員の派遣並びに市町村から保健師、事務職を派遣いただくとともに、配食サービスなど保健所職員でなければ対応が困難な業務以外は外部委託をいたしまして、通常業務に影響がないように取り組んできたところであります。
そうした中で、感染症対応業務に従事する保健師については、国の方針に基づく保健所の恒常的な人員体制強化のため、二〇二一年度、二〇二二年度の二年間で保健師の定数を三十一名増員しております。保健師は専門知識に加えて個別支援能力などの専門能力が必要となることから、愛知県保健師人材育成ガイドラインに基づいて、保健師の技術的及び専門的側面から指導を行う統括保健師を各保健所及び本庁に配置いたしております。統括保健師は、年度当初に各所属の全ての保健師と面談を行いまして、おのおのの保健師が獲得を目指す専門能力を共有して、年間を通じた助言、指導によりその能力獲得を図っております。
また、県といたしましては、新たに採用した保健師に対して、新型コロナウイルス感染症について年度当初で学ぶ機会を設けるなど、専門能力を獲得するための研修を体系的に実施しております。
さらに、今年度から受講状況を保健所統括保健師にフィードバックするなど、保健所と本庁の統括保健師が一体となって育成に取り組んでおります。
今後も職場内、職場外において保健師の人材育成にしっかりと取り組み、県民が健康で安心して暮らせる愛知を目指してまいります。
続いて、カーボンニュートラルあいちの実現についてお答えをいたします。
二〇五〇年までにカーボンニュートラルを実現するためには、革新的、独創的な脱炭素型プロジェクトの創出をはじめ、産業、業務、家庭、運輸などあらゆる分野で従来の延長線上にはない脱炭素化の取組を強力に推進していく必要があります。
このため、あいちカーボンニュートラル戦略会議で選定した矢作川カーボンニュートラルプロジェクトなど二件のプロジェクトについて、事業化に向けた具体的な検討などを行うとともに、今後も民間の有望なアイデアを選定、具体化してまいります。
また、本県の温室効果ガス排出量の約六割を占める産業・業務部門では、排出量が相当程度多い事業所を対象とした地球温暖化対策計画書制度において、再エネの導入目標量を盛り込むよう見直しを行うとともに、中小企業にアドバイザーを派遣して、脱炭素経営に向けた取組を支援いたします。
さらに、グリーン購入など、県民の環境配慮行動を促進するため、あいちエコアクション・ポイント事業を先月十五日から開始したほか、太陽光発電設備、EV、充電設備をセットで導入する個人への補助制度を創設し、ゼロカーボン・ドライブを推進いたします。
また、CO2吸収拡大に向けて、三河湾におけるブルーカーボンに係る取組や森林クレジット制度の活用促進に着手します。
再生可能エネルギー関係では、これまでの県民向けの太陽光発電設備の導入補助に加え、今年度から開始した事業者に対する太陽光発電等の再エネ設備の導入補助を継続し、工場や倉庫の屋根等の空きスペースを活用した設置を促進するとともに、県有施設においてPPA方式による太陽光発電設備の導入を検討します。
今後、こうした脱炭素に資する様々な施策を積極的に展開し、カーボンニュートラルあいちの実現を目指してまいります。
次に、あいち生物多様性戦略二〇三〇の推進についてであります。
本県では、二〇一〇年のCOP10以降、企業を含めた多様な主体と連携して、県内九地域で生態系ネットワーク協議会を設立したほか、地域住民やNPOとの協働をコーディネートするなどして、企業の自主的な生物多様性の保全活動を促進してまいりました。これにより、知多半島臨海部に立地する複数の企業が所有する広大な緑地帯、グリーンベルトでの生態系保全活動、命をつなぐプロジェクトや幸田町内の工場に隣接するソニーの森におけるフクロウの棲む森づくりなど、企業が重要な役割を担う形で優良な保全活動が展開されております。
こうした活動が県内各地で大きく広がっていくためには、地域の核となる企業の取組を一層促進していく必要があるため、今年度優れた取組を行う企業を県が認証する、あいち生物多様性企業認証制度を創設いたしまして、既に四十社を認証したところであります。今後は、毎年度認証を進めるとともに、認証企業とその先駆的な取組を国内外に発信し、他企業への波及を目指してまいります。
一方、国におきましては、現在新たな世界目標であるサーティ・バイ・サーティに関する日本の取組の一環として、民間企業等によって生物多様性の保全が図られている区域を自然共生サイトとして国が認定する仕組みを検討中であります。
本県といたしましては、来年度から始まる認定に向け、県内の有望な区域に係る事業者の申請を積極的に支援し、我が国におけるサーティ・バイ・サーティ目標の達成に貢献してまいりたいと考えております。
今後とも、数多くの企業が立地する産業県として、これまでの取組や新たに創設した認証制度により、多くの企業の取組意欲を高め、企業の力を生物多様性の保全に十分生かせるよう、しっかりと取り組んでまいります。
続いて、中小企業等におけるワーク・ライフ・バランスの推進についてお答えをいたします。
労働力人口が減少傾向にある中、誰もが多様で柔軟な働き方ができるワーク・ライフ・バランスの推進は、優秀な人材の確保や職場定着にもつながる重要な取組であります。
このため、中小企業に対して、働き方改革関連法などの周知啓発を図るとともに、働きやすい環境づくりを一層促進する必要があると認識しております。
そこで、来年度は、休暇を取得しやすい職場づくりを奨励するため、年次有給休暇の取得率の高い中小企業を認定する制度を創設いたします。認定企業には県の委託事業の選定に当たり評価点を加点するなど優遇措置を付与することで、中小企業の取組をしっかりと後押ししてまいります。
また、育児・介護休業法の改正を踏まえて、仕事と育児の両立を支援するため、アドバイザー派遣等を通じて、男性の育児休業を促進する新たな取組を実施いたします。
このほか、多様で柔軟な働き方ができるテレワークの導入、定着についても、引き続き、あいちテレワークサポートセンターを拠点として、きめ細かな支援を実施してまいります。
中小企業等におけるワーク・ライフ・バランスの充実を図り、全ての人が、やりがいを持って働き、幸せを実感できる社会の実現を目指してまいります。
次に、起業家の育成に向けた取組についてであります。
STATION Aiは、開業から五年を目途に千社のスタートアップの集積を目指す日本最大のスタートアップ支援拠点であります。この集積の実現に向けては、起業を志す人材の発掘や育成を通じた起業家の裾野の拡大が不可欠であると考えます。
そこで、本県では、起業家人材の育成を重視した取組を進めております。
具体的には、今年度から開始した、小中高生向け起業家育成プログラム、あいちスタートアップスクールでは、小中高生が自ら課題を見つけ、その解決策をグループワークで導き出すワークショップを開催し、起業を職業選択の一つとして考える機会の創出を図っております。
また、二〇一八年度から実施しているあいちスタートアップキャンプでは、起業を志す方を対象に、起業に必要な知識やノウハウを身につける実践的なプログラムを提供しており、五年間で二百十二名の方が起業スキルを習得し、起業家として、または起業を目指して活動をしているところであります。
今後は、さらなる裾野の拡大を図るため、起業家人材の育成プログラムの定員を増やすとともに、内容の充実を図ってまいります。
来年度から新たに、学生向けには夏と春の休み期間に六日間程度の短期集中プログラムを実施するほか、社会人向けには、企業で働きながらの副業や兼業を促し、スピンオフ・スピンアウト人材の発掘、育成を加速させる勉強会などのプログラムを実施いたします。受講定員はいずれも二百四十名の規模といたしまして、全体で四百八十名というこれまでを大きく上回る規模で起業家人材を育成します。
このような全国でも例を見ないあらゆる世代を対象としたフルセットの支援プログラムを提供することで、この地域に世界有数のスタートアップ・エコシステムの形成を着実に進めてまいります。
続いて、ウナギ養殖業の振興についてのお尋ねであります。
ウナギの養殖業におきましては、養殖に用いるシラスウナギの減少が課題であり、ウナギ資源の保護や有効活用が必要と考えております。
県では、資源保護の取組として、全国に先駆けてシラスウナギの保護や親ウナギの放流などを関係団体と協力して行うとともに、資源の有効活用に向けた取組として、長江議員お示しの技術については、昨年度に特許を取得して、現在その実用化を進めているところであります。
この技術は、雌が雄に比べて大きくなり身も軟らかいことに着目し、さらに大豆イソフラボンを混ぜて与えることで、育ったウナギの九割以上を雌にするもので、一匹のシラスウナギをこれまでの二倍の大きさのおいしいウナギに育てて出荷することにより、資源の有効活用に加え、生産量の増大も期待できるものであります。今年度から養殖業者の池でこの技術の実証実験を始めており、さらに、来年度は、大きくておいしいウナギのブランド化を図るため、業界団体と連携して、その名称やロゴマークの公募、試験販売などを行ってまいります。
また、ウナギの完全養殖で課題となっていたシラスウナギの人工生産については、国において技術開発され、現在その実用化に向けて産学官連携による研究プロジェクトが進められております。本県もこのプロジェクトに参画し、採卵用の雌ウナギの育成や、稚魚に与える新しい餌の開発といった重要な研究分野を担っております。今後も研究を進め、将来的には、本県においてシラスウナギを安定的に供給できることを目指してまいります。
こうした取組を通じて、ウナギ養殖業が持続的に発展できるよう、今後も養殖業の振興にしっかりと努めてまいります。
次に、陶磁美術館の運営についてお答えをいたします。
本年六月中旬から長寿命化改修工事等のため、一年九か月休館予定となっておりますが、休館中だからこそできる取組として、陶磁美術館の多くの優れたコレクションを、まずは豊川市の桜ヶ丘ミュージアムをはじめ、県内各地で展示するとともに、県外施設での開催についても検討しております。現にいろいろ具体的な引き合いもありますし、話も今進めているところでございます。
また、焼き物作りを体験できる敷地内の施設、陶芸館をさらに知っていただくため、県内の文化施設において、地元の陶芸家等によるワークショップや初心者向けの陶芸教室を行います。
こうした取組を実施し、多くの皆様に実際に所蔵作品を御覧いただいて、作陶を体験していただくことで、陶磁美術館の魅力を伝えてまいりたいと考えております。
さらに、優れた展覧会を企画することなどにより、民間団体からの助成金や国の科学研究費補助金など、外部資金の獲得に努めるとともに、公募で選定する民間事業者と連携して、施設の活性化に寄与する事業を試行的に実施するなど、民間活力の導入も検討してまいります。
陶磁美術館は、古代から現代までの愛知の焼き物と日本陶磁の歴史、その歴史と関連深い外国陶磁をも鑑賞できる日本有数の陶磁専門美術館であり、県民の皆様だけでなく全国の方々にぜひ一度御覧いただきたい施設であります。二〇二五年四月のリニューアルオープン時には、多くの皆様に楽しんでいただけるよう、休館中もさらなる魅力の向上と情報発信に努め、陶磁美術館の活性化にしっかりと取り組んでまいります。
続いて、MICEの誘致に向けた取組についてであります。
本県では、高級ホテルの新設に対する補助制度を二〇二〇年度に創設しており、アジア競技大会及びアジアパラ競技大会の開催までにこの制度を活用した三つのホテルが名古屋市内に順次開業してまいります。これにより、G20首脳会議をはじめとするハイレベルな国際会議の開催を求められ、宿泊施設の要件ともなっているスイートルームの数は、制度が創設する前の二倍以上に増加をいたしまして、横浜市と同レベルになるなど、本県のMICE開催地としての能力は着実に向上してまいります。
一方、MICEの誘致には、こうした施設整備のみならず、主催者に対して地域が有するポテンシャルや開催メリットなどの情報を発信することが欠かせません。
本県では、名古屋市をはじめ地元の大学関係者や経済界などで構成される愛知・名古屋MICE推進協議会を通じ、誘致に向けた活動を展開しております。具体的には、海外のMICE見本市やセミナー、商談会への出店、参加の際に、アイチ・スカイ・エキスポにおける補助制度をはじめとしたこの地域での開催を促す最新情報を提供しているところであります。
さらに、来年度からは、国レベルで国際会議の誘致等に取り組む日本政府観光局へ県の職員を派遣するなど、連携体制を強化してまいります。これにより、国内外のMICEに関する市場動向の収集や関係者との人的ネットワークを充実させてまいります。
こうした取組を通じて、地域のブランド力向上や経済波及効果など、様々なメリットが期待できるMICEについて、一層の誘致を図ることで、さらなる愛知の発展につなげてまいります。
私からの最後の答弁になりますが、防災航空業務の推進についてお答えをいたします。
山間部、離島を含め県内全域をくまなくカバーし迅速に現場に到達できる防災ヘリコプターが担う役割は大変大きく、いかなるときも確実に運航できる体制を備えておくことが重要であります。
今年度から名古屋市へ県の防災ヘリコプターを運航委託し、県と名古屋市の計三機を用いて一体的に運用する体制を整えたことで、点検等による運航休止期間を発生させることなく運航できるとともに、複数機を機動的かつ柔軟に活用し、同時発生した事案、長時間の捜索、救助活動にも対応できるようになりました。さらに、夜間活動の経験値の高い名古屋市に委託したことで、活動可能時間の幅が広がり、実際に日没後の三河山間地域の山岳救助などに大きな効果が現れております。
南海トラフ地震など大規模で広範囲の災害の発生が危惧される本県にとりましては、県内全域の災害対応力を強化していくことが喫緊の課題であり、今回の防災ヘリコプターの運用体制の充実は大きな力となるものと考えております。
今後は、この三機一体での新しい体制がさらに強固なものとなるよう、自衛隊、海上保安庁等の防災関係機関との実践的な訓練や、他県の航空隊との合同研修などを積み重ねることにより、技術、能力の向上に努めてまいります。
また、県内の全市町村及び消防本部で構成する愛知県防災ヘリコプター運営協議会において、年間の活動状況を振り返り、そこで得た現場の知見を今後の運用に生かすなど、防災航空体制のさらなる充実、強化を図ってまいります。
以上、御答弁申し上げました。
- 13:◯教育長(飯田靖君) 小中学校の通常の学級に在籍をする、いわゆる発達障害の子供に対する教育的支援についてお答えをいたします。
知的な遅れはないものの、学習面または行動面で困難を示す、いわゆる発達障害の子供に対しては、その子供が抱えている困難の状況を的確に把握し、適切な支援を行っていく必要がございます。
そのために、小中学校におきましては、保護者も交えて個別の教育支援計画を作成し、これに基づく組織的な支援を行っております。また、進級や進学で支援が途切れることのないよう、個別の教育支援計画を新旧の担任間や学校間で引き継ぐようにしております。
こうした子供たちへの支援を今後さらに充実していくため、次の三つの取組に力を入れてまいります。
一つ目は、小中学校の教員の特別支援教育に関する専門性を高めるために、経験年数などに応じた研修内容の充実を図るとともに、小中学校と特別支援学校の教員の人事交流を積極的に進めてまいります。
二つ目は、一人一人の困難の状況に応じたきめ細かな指導を行うために、取り出し指導を担当する小中学校の教員を今年度よりも六十二人増やし、来年度は四百五十八人配置をいたします。
三つ目は、特別支援学校の教員が地域の小中学校に出向き、その学校の教員と一人一人への適切な支援方法についての検討会を行うことなどを通じて、小中学校における特別支援教育の底上げを図ってまいります。
こうした取組により、小中学校の通常の学級に在籍をする、いわゆる発達障害の子供が、生きづらさを乗り越えて持てる力を最大限発揮し、社会の一員として自立していけるよう支援を充実してまいります。
- 14:◯警察本部長(鎌田徹郎君) 犯罪捜査の高度化、効率化に向けた取組についての御質問にお答えいたします。
議員お示しのとおり、限られた警察力の中で組織化、複雑化する各種犯罪に対応していくためには、AIなどの先端技術を捜査活動に積極的に取り入れることが重要であると考えておりまして、県警察においては、各種の取組を進めているところでございます。
その一つが、防犯カメラ映像を活用した捜査の高度化、効率化でございます。
県民の方々の防犯意識の高まりなどを背景に、地域社会において防犯カメラの普及が進む中、その映像は被疑者の特定や犯行の立証など、今や犯罪捜査において欠かせないものとなっております。
一方、限られた人的資源の下において、最大限の効果を上げることができるよう、普及が進む防犯カメラの映像解析について強化を図っていく必要性も生じているところでございます。
そこで、県警察としては、AIなどの先端技術による映像解析システムの導入を検討しております。このシステムは、強盗などの凶悪事件はもとより、多発する侵入盗や特殊詐欺事件、暴力団犯罪などにおいて、犯行現場周辺から収集した大量の防犯カメラ映像の中から、現場より逃走した人物や車両を短時間で絞り込むことを可能にし、被疑者の早期検挙、事件の早期解決を実現するものでございます。
引き続き、県警察においては、迅速、的確な事案対処、効果的な捜査活動を可能とすべく、先端技術の積極的な活用を図るなど、犯罪捜査の高度化、効率化に取り組んでまいります。
以上でございます。
- 15:◯議長(須崎かん君) 進行いたします。
木藤俊郎議員。
〔八十九番木藤俊郎君登壇〕(拍手)
- 16:◯八十九番(木藤俊郎君) 議長のお許しをいただきましたので、公明党愛知県議員団を代表して、県政の諸問題についてお尋ねします。
質問に入る前に、大村知事には、このたびの愛知県知事選挙において、日本一元気な愛知をつくり、日本の未来をつくる、躍動する愛知をつくるという明確で力強いメッセージが県民の皆様から高く評価され、圧倒的な支持を得て、めでたく四期目の当選をされましたことを心からお祝い申し上げます。誠におめでとうございます。
知事は、これまでの三期十二年間にわたる県政運営の中で、様々な施策の仕掛けをされ、種をまき、育て、花を咲かせてこられました。
この四期目は、今回の知事選挙で訴えられた政策集、あいち重点政策ファイル360プラス1に掲げられた各種施策の実行に大いに期待をするとともに、今回の選挙期間中、愛知県の隅から隅まで休むことなく回られ、お聞きになった県民の皆様の生の声を新しい仕掛けづくりに生かしていっていただきたいと思います。
公明党愛知県議員団といたしましても、地域の声を知事にお届けし、時に提言申し上げながら、全力でお支えしてまいりたいと考えております。
それでは、私たち公明党が考える現下の県政の諸課題について、順次質問をしてまいります。
質問の第一は、財政運営として、県税収入の見通しと今後の財政運営についてお尋ねいたします。
初めに、県税収入の見通しについてお伺いいたします。
東海地域の最近の経済情勢は、生産活動に足踏みの状況が続いているものの、個人消費や雇用情勢は改善しつつあり、緩やかに回復しております。先行きにつきましても、引き続き景気が緩やかに回復していくことが期待されますが、海外景気の下振れが景気を下押しするリスク、物価上昇、供給面での制約や金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
こうした中で編成された来年度当初予算案における県税収入は、本年度の当初予算額を八%上回る一兆二千四百六十七億円が計上され、そのうち主要税目である法人二税収入につきましては三千九百八十一億円と、本年度当初予算額と比較して一二%、四百四十二億円の増となっております。
そこでお尋ねします。
東海地域における景気の回復が期待される中、来年度の法人二税収入をどのように見込まれたのか、知事の御所見をお伺いいたします。
続いて、今後の財政運営についてお伺いいたします。
二〇二三年度当初予算案では、コロナ禍から県民を守る施策や医療、子育て、教育など多岐にわたり、支え合い、一人一人が輝く地域づくりのための施策が計上されており、私たち公明党が掲げる安心と希望の未来、人と地域を生かす社会を目指した地域づくりにつながる内容となっているものと受け止めております。
この予算には、千四百二十四億円に上る基金取崩しが歳入計上されており、本県財政は依然として厳しい状況が続いていると言わざるを得ません。
とはいえ、知事はこれまで数々の政策課題に速やかに道筋をつけ、次々に実現しながら、同時に、財政の健全化にも意を用い、着実に成果を上げてこられたと認識しています。
かつては、財政調整に用いる基金が枯渇し、取り崩すことすらできないので、他の基金から借り入れる、いわゆる繰入運用により予算を編成していましたが、二〇一五年度以降は繰入運用を行わない予算編成を今回の二〇二三年度当初予算まで九年間続けておられます。また、新型コロナウイルス感染症の拡大初期に、国による財源の手当てを待つことなく施策を次々に打ち出すことができたのも、基金残高の確保に努めてきたためです。
今後を展望しますと、我が国、我が県にとっての喫緊の課題は、少子化、人口減少の克服であります。また、足元では、物価上昇が暮らしや経済に多大な影響を及ぼしております。これらについては、国での大きな議論を注視しながら、県も臨機応変に対策を講じていく必要があり、そのためには、今後も安定的な財政基盤を確立していくことが不可欠です。
とりわけ昨今の金融資本市場の不安定な環境を考えますと、公債費負担の増加が財政の足かせになるのを避けるため、県債残高を適切な水準に維持、抑制することが、ますます重要になってきていると考えます。
県におかれては、これまでも県債残高は、建設事業に充てる通常の県債、臨時財政対策債などの特例的な県債ともに抑制基調にあり、二〇二三年度当初予算案においても九百七十八億円の残高の縮減を図っているところでございます。
そこでお尋ねいたします。
今後の財政運営を進めていく上で、県債残高の維持、抑制についてどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第二は、子供の幸せを最優先する地域づくりについてであります。
まず、子育て家庭への支援についてお伺いします。
私たち公明党は、子供の幸せを最優先する社会を目指して、二〇〇六年少子社会トータルプランを策定し、以来、児童手当の拡充や幼児教育、保育の無償化など、プランの具体化、実現に党を挙げて努めてまいりました。
しかしながら、出生数は減少の一途をたどり、本県では、二〇二一年に五万三千九百十八人と、ピークであった一九七三年の十二万人超から半数以下となり、過去最少を記録しました。全国で見ても同様であり、少子化対策はもはや待ったなしの状況であります。
そこで、公明党では、昨年十一月に新たに子育て応援トータルプランを発表し、児童手当の充実などライフステージに合わせた具体的な子育て家庭への支援策のほか、障害や不登校など多様な子供への支援や働き方改革について、大胆かつ具体的な提言を取りまとめました。
国の動きは早く、プランで提言した、妊娠時から出産、子育てまでの切れ目ない支援については、早速、市町村が伴走型相談支援と妊娠届出時、出生届出時各五万円相当の経済的支援を一体として実施するための出産・子育て応援交付金として制度化され、既にスタートを切りました。各地域で妊婦、子育て家庭のニーズに即した効果的な支援が行われるよう、県としてもサポートしていただきたいと思います。
さらに、岸田総理が今年年頭の記者会見で、異次元の少子化対策に挑戦することを表明されました。今月末には、たたき台を示し、六月の骨太の方針で子供予算倍増に向けた大枠を提示することとされており、現在、国会でもまさに目下の最重要課題として少子化対策が熱心に議論されています。
国、地方自治体はもちろん、企業、民間団体が密に連携し、若い世代の結婚、妊娠、出産などのライフイベントを応援するとともに、共働き社会の進展などに伴う子育てへの不安や負担を軽減していく必要があります。
県はこれまでも様々な子供・子育て支援に実にきめ細かく取り組んでこられましたが、現下の出生数の減少に対する危機感を県民が共有しつつある今こそ、さらに加速をしていただきたいと考えます。
そこでお尋ねします。
子供を産み育てたいと願う全ての人が安心して出産、子育てができるよう、県としてどのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
続いて、全ての子供が安心して学校生活を送るために重要な二つのケア、医療的ケアと心のケアについてお尋ねしたいと思います。
まず、医療的ケア児の通学支援についてであります。
医療的ケアとは、人工呼吸器による呼吸の管理やたんの吸引、栄養をチューブで胃や腸に直接送り込む経管栄養など、子供の命を守っていくために日常的に必要となる医療的な行為のことです。医療的ケアは、本来は看護師などの有資格者が行う医療行為でありますが、日常生活に必要なものであることから、多くの場合、保護者が医師の指導の下で行っています。そのため、ケアを担う保護者は四六時中子供に付き添う必要が生じ、仕事を辞めなくてはならない場合もあります。
医療技術の進歩に伴い、医療的ケアがあれば日常生活を送ることができる子供が増加していることは大変望ましいことですが、医療的ケア児を持つ保護者が離職しなくても済むように、適切な支援を行うことが重要な課題となっています。
県教育委員会では、二〇二一年に医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律ができるずっと以前から、医療的ケア児が在籍する特別支援学校に看護師を配置し、その増員に取り組んでこられました。その御努力により、登校して下校するまでの学校で過ごす間は保護者が付き添わなくてもよい環境が整ってまいりました。
しかし、通学の場面については、医療的ケア児の大多数はスクールバスでの通学が難しいことから、保護者が自家用車で毎日送迎しており、依然として保護者の負担が軽減されていない状況です。
大村知事就任以降、特別支援学校を次々に増設され、教育環境は格段に向上しましたが、もう一段、保護者の負担を軽減する必要があると考えます。
そこでお尋ねします。
医療的ケア児の通学時の支援について今後どのように取り組んでいかれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。
次に、児童生徒の心のケアについてお伺いします。
昨年十月に文部科学省が公表された、二〇二一年度の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によりますと、愛知県の小中学校におけるいじめの認知件数は三万千六十九件で前年度比三〇%もの増、不登校児童生徒数は一万六千九百五十九人で前年度比二八%もの増で、過去最多を更新する驚くべき結果となりました。特に不登校については、コロナ前の二〇一九年度と比較すると四〇%の増加となっており、大変憂慮すべき状況となっています。
こうした大幅な増加の要因として、長引くコロナ禍の影響が指摘されています。現在は緩和されつつありますが、この三年間は運動会や修学旅行などの行事を中心に活動が制限され、学校の楽しさを感じられる機会が減っています。そうした閉塞的な状況が子供たちの心に少なからぬ影響を与え、不登校の増加につながっているという分析もあります。公立中学校では来週卒業式が行われますが、今年の中学校三年生は、三年間のほとんどをマスク生活で過ごし、お互いの笑顔をほとんど知らないまま卒業することになります。
今後、ウイズコロナが定着して、以前のような学校生活が戻ってきたとしても、変化の激しい、将来の見通しが持ちにくい社会を生きていかなければならない子供たちの不安や悩みが解消されるわけではありませんので、引き続き心のケアが重要です。
このような中、県教育委員会は、子供たちの不安や悩みに対応するために、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった外部人材の活用による相談体制の充実に努めてこられました。しかし、小中学校でいじめや不登校がこれほど増加している状況からすれば、新たな方法も用いて子供たちを支えていく必要があると考えます。また、小中学校でいじめや不登校を経験した生徒が進学する高校でも、心のケアの体制をさらに充実する必要があります。
そこでお尋ねします。
県として今後児童生徒の心のケアにどのように取り組んでいかれるつもりか、教育長の御所見をお伺いします。
続いて、ワーク・ライフ・バランスの推進についてお伺いします。
夫婦がともに働き自立できる収入を得て生活することが当たり前になった今日、次世代を育む社会を持続していくためには、女性が出産や子育てを機に離職することなく生き生きと働き続けることが重要であります。
国立社会保障・人口問題研究所の二〇二一年の調査によると、いまだに約三割の女性が第一子の出産を機に離職しているという現状があります。
また、コロナ禍を契機として、外出自粛による在宅時間の増加など、ライフスタイルの変化に伴い、男女ともに家事、育児の時間が増加したものの、その負担の多くは依然として女性に偏っており、女性は仕事を続けたくても続けられない状況に置かれています。
二〇二二年度県政世論調査においても、女性が職業を持つことについて、ずっと職業を持ち続けるほうがよいと回答した人の割合は四九・八%にとどまるのに対して、男性が職業を持つことについて、ずっと職業を持ち続けるほうがよいと回答した人の割合は八五・五%に上っており、男性は仕事、女性は家事といった性別役割分担意識がいまだに根強く残っていることがうかがえます。
こうした中、男性が妻の産後に柔軟に育児休業を取得できる産後パパ育休制度の創設を含む改正育児・介護休業法が昨年四月から順次施行されるなど、今こそ、性別役割分担を前提とした働き方を大胆に見直し、男性の積極的な家事、育児への参画を進める好機であります。
しかしながら、子育て期にある労働者は、職場で育児に関する休暇や休業を取得しづらい雰囲気があると感じており、企業には性別に関わりなく、誰もが仕事と子育てを両立でき、柔軟な働き方が実現できる環境の整備が一層求められています。
そこでお尋ねいたします。
ワーク・ライフ・バランスを推進し、男女がともに子育てをしながら安心して働くことができる職場環境づくりにどのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いします。
質問の第三は、ウイズコロナ、アフターコロナに向けた地域づくりについてであります。
まず、感染症法改正を踏まえた今後の医療提供体制についてお伺いします。
二〇二〇年一月に国内で最初の新型コロナウイルス感染者が確認されてから三年が経過いたしました。
現在の国内における新型コロナウイルス感染症については、第八波のピークを越えたと思われます。その対策については転換期を迎えており、国においては、新型コロナの感染症法上の分類が五月八日から五類感染症に移行されることが決定し、国民が日常に戻るための行程を歩み始めたところです。
この間、新型コロナ患者の治療に尽力してこられた医療従事者の皆様をはじめ、地域の医療、福祉を支えてこられた方々に、心から敬意を表するとともに、感謝を申し上げます。
五類になっても、新型コロナウイルス感染症と向き合っていくこと、ウイズコロナが終わったわけではなく、むしろこれからが本番です。これまでの経験を生かし、今後に生かしていくことが重要です。
さきの臨時国会において、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律が成立し、十二月九日に公布されました。この法改正では、これまでの新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、国民の生命や健康に重大な影響を与えるおそれのある新たな感染症の発生、蔓延に備えて、流行時に確実な医療提供体制を確保できるよう、医療機関が担うべき医療を提供する義務や、国や地方自治体の権限等について新たに定められ、主な事項については二〇二四年四月一日に施行されることとなっております。
新型コロナウイルス感染症への対応においては、感染の波が繰り返し訪れるたびに、感染拡大に伴う医療の逼迫が問題となりました。また、新型コロナの医療以外でも、救急患者の受入れの難航や、入院、手術の延期、医療従事者の間で感染が拡大したことによる患者の受入れの一時停止など、一般医療へも重大な影響が生じました。
改正法の施行まで一年余りの時間が残されていますが、実効性のある医療提供体制の構築を進めるための時間としては、決して長いとは思われません。次の新興感染症の発生に備えて、地域において必要とされる医療を確実に提供できる体制を整備し、県民の皆様が安心して医療を受けられるよう、早急に準備を進める必要があると考えます。
そこでお尋ねいたします。
県では、感染症法改正による新たな制度に対応するためにどのように準備を進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
続いて、外国人旅行者の誘致についてお伺いします。
昨年十月十一日に水際対策が緩和され、一日五万人とされていた入国者総数の上限が廃止されたことに加え、外国人観光客の入国についてパッケージツアーに限定する措置が解除となり、個人旅行の受入れが再開されました。さらに、一時的に停止されていたビザの免除措置についても、六十八の国、地域に対する短期滞在ビザの免除措置の適用が再開されるとともに、入国時に実施していた新型コロナウイルス感染症の検査は原則として不要となりました。
これらの水際対策の緩和等に伴って、外国人旅行者は、昨年十月以降、大幅に増加してきております。日本政府観光局(JNTO)の発表によると、訪日外客数は、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける前の二〇一九年と比較して一%以下まで減少していましたが、本年一月には百五十万人となり、二〇一九年同月比でマイナス四四・三%と、五割以上まで回復しました。
また、観光庁が発表している宿泊旅行統計調査によれば、外国人の宿泊者数は、二〇一九年と比較し、昨年九月まではマイナス九〇%以上と激減していましたが、昨年十月には、全国で二百十二万人泊、二〇一九年同月比でマイナス七九・四%、本年一月には、全国で六百二十二万人泊となり、二〇一九年同月比でマイナス三二・五%と、六割以上にまで回復しました。
一方、この地域の状況を見ますと、本県の外国人宿泊者数は、昨年十二月に八万八千人泊、二〇一九年同月比でマイナス七〇・二%となっております。また、最多で週四百八十六便が運航されていた中部国際空港の国際旅客便は、二〇二〇年に全便運休となっていた期間があった後、段階的な水際対策の緩和等に伴い、アジア路線を中心に、徐々に運航再開や増便が進んでおります。
このように、水際対策が緩和されたことにより、インバウンドは回復してきておりますが、二〇一九年の水準に対しては道半ばといった状況であります。新型コロナウイルス感染症で大きな打撃を受けた観光産業の復活には、観光消費単価の高い外国人旅行者の誘致を積極的に進める必要があります。
そこでお尋ねします。
外国人旅行者の誘致に向けて今後どのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いします。
質問の第四は、魅力、活力ある地域づくりについてであります。
まず、運輸部門のカーボンニュートラルに向けた取組についてお伺いします。
カーボンニュートラルは世界の潮流となっており、あらゆる分野において脱炭素化に向けた取組が進められておりますが、運輸部門は、我が国の温室効果ガス排出量の約二割を占めており、約三割を占める産業部門に次ぐ排出源となっています。この運輸部門のカーボンニュートラルを進める上では、運輸部門における温室効果ガス排出量の約九割を占める自動車分野への取組が極めて重要であります。
このため、本県においては、二〇二一年三月に策定したあいち自動車ゼロエミッション化加速プランの下、走行時にCO2を排出しないEV、PHV、FCVといったゼロエミッション自動車の普及加速に向けた取組が進められておりますが、本県の運輸部門の温室効果ガス排出量を見ると、自動車の燃費は改善しているものの、県内の自動車の保有台数や走行距離の増加などにより、近年横ばいで推移しています。
こうした中、県は、昨年十二月、あいち地球温暖化防止戦略二〇三〇を改定し、二〇三〇年度の運輸部門における温室効果ガス排出削減目標を二〇一三年度比で二八・九%減から四六・二%減へと大幅に引き上げられました。これは、大変意欲的、野心的な目標であると考えます。近年ずっと横ばいで推移してきたものを残り八年程度で半減近くにするのですから、並大抵のことではありません。その達成に向けて、政策のレベルアップをしていくことが不可欠です。
特に、ゼロエミッション自動車の一層の普及拡大は、自動車保有台数が全国一である本県にとっては大変重要な課題であります。
そこでお尋ねします。
運輸部門におけるカーボンニュートラルの実現に向けて、戦略に掲げた削減目標を達成するためにどのような方針で臨まれるのか、知事の御所見をお伺いします。
次に、矢作川カーボンニュートラルプロジェクトについてお伺いします。
あいち地球温暖化防止戦略二〇三〇改定版の重点施策の一つに、矢作川カーボンニュートラルプロジェクトが位置づけられております。
矢作川流域は、ほぼ愛知県内であり、上流には多数のダムが建設されているほか、循環型林業に取り組むなど林業活動も盛んであります。また、豊田市や岡崎市などの市街地を抱え、自動車産業をはじめとした産業が集積し、上水道や工業用水道による水利用、さらには、古くから明治用水による農業用水としての水利用も行われております。
このように、矢作川流域には多くの検討分野がそろっており、分野をまたいで総合的なカーボンニュートラルの検討を行うモデル地区として最適であると考えております。
県においては、知事のリーダーシップの下、直ちに調査、検討が進められ、昨年度末には二十八項目の施策が盛り込まれた全体像が取りまとめられました。
昨年八月には、本プロジェクトを推進していくため、知事が会長を務める矢作川カーボンニュートラル推進協議会が立ち上げられ、さらに、分野別に再生可能エネルギー、省エネルギー、CO2吸収量の維持・拡大及び新技術・新システムの四つの分科会を設置し、具体的な検討に着手されたものと承知をしております。
全体像に盛り込まれた二十八項目の施策を見てみますと、再生可能エネルギーの分野では、ダム群の高度利用や様々な施設への小水力発電の設置、公共空間を活用した太陽光発電からバイオマス発電まで、今まで利用されなかったものを有効活用する有意義な取組であり、かつ実現の可能性を感じております。
また、省エネルギーの分野においては、水道施設の再編や下水道施設の統廃合など既存の枠組を超えた提案もあり、実現すれば大きなエネルギーの省力化が図られるのではないかと期待をしております。
このほか、CO2吸収量の維持・拡大や新技術・新システムの分野においても、多様な興味深い取組が盛り込まれております。
本プロジェクトは、水循環という視点に立ち、流域という領域単位において、これまで縦割りの事業分野単体で進まなかった施策について、様々な機関が分野横断的に検討や調整を行う、全国的にも例を見ない、先進的な取組であると認識しております。
さらに、製造業の中心地として世界経済をリードする産業首都あいちで取り組むことに大変意義を感じており、今後、このプロジェクトがどのように具体化されていくのか、私も期待をしつつ、関心を持っております。また、温室効果ガス排出量を二〇三〇年度に二〇一三年度比四六%削減、二〇五〇年にはカーボンニュートラルという高い目標に寄与するためには、スピード感も重要です。
そこでお尋ねします。
矢作川カーボンニュートラルプロジェクトについてどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
最後になりますが、質問の第五は、安全・安心な地域づくりであります。
まず、交通死亡事故抑止対策についてお伺いします。
二〇二二年中の交通事故死者数は、前年に比べて二十人の増加となる百三十七人であり、これだけ多くの方が交通事故によって命を奪われ、その御遺族の方も深い悲しみの中におられるという事実を重く受け止めなければなりません。
全国的には、大阪府の百四十一人に次ぐワースト二位と、四年連続で全国ワースト一位を免れたものの、交通事故死者数が対前年比で七年ぶりに増加しており、交通事故情勢は依然として厳しいということを改めて認識させられました。
一方で、交通事故死者数百三十七人というのは、全国統計が開始された一九四八年以降、二〇二一年の百十七人に次いで少ないものであり、交通死亡事故を一件でも減らすという県民の悲願達成に向けて、官民一体となって全力で取り組んできたことは、決して無駄ではなかったと考えております。
第十一次愛知県交通安全計画では、二〇二五年までに二十四時間死者を百二十五人以下にするという目標が定められておりますので、目標達成に向けて、交通死亡事故抑止対策を一層推進し、交通事故死者数を着実に減少させていかなければなりません。
昨年の交通死亡事故の特徴につきましては、年齢別では高齢者は前年比で減少したものの依然として多発しているほか、当事者別では歩行者が、道路形状別では交差点内が、それぞれ多発したと伺っております。さらに、悪質、危険な交通違反に起因する交通死亡事故も多発したとのことであり、交通死亡事故抑止対策を効果的に推進するためには、こうした特徴を踏まえた上で、対策の必要性が高い部分に注力していく必要があると考えております。
県警察では、過去の交通事故データを分析し、交通事故が多発した場所等を地図上に表示する交通事故分析システムを導入しており、我々公明党県議団も実際に視察し、非常に有効なツールであると感じたところであります。交通死亡事故抑止対策を推進するに当たり、積極的に活用していただきたいと考えております。
そこでお尋ねします。
県民の命を守るために交通死亡事故抑止対策をどのように進めていかれるのか、県警本部長の御所見をお伺いします。
最後に、地域における防災対策の充実についてお伺いします。
東日本大震災では、亡くなった方の六割以上が六十歳以上の高齢者であり、さらに、障害のある人の死亡率は住民全体の死亡率と比べ二倍だったことから、国は、二〇一三年に災害対策基本法を改正し、各市町村に高齢者や障害者等の災害時に自ら避難することが困難で特に支援が必要な避難行動要支援者を把握するための名簿作成が義務づけられました。
本来、こうした方々を確実に避難させるためには、支援が必要な高齢者や障害者ごとに避難先や経路等をあらかじめ定める個別避難計画が整備されるべきですが、全国的にも十分とは言えない状況であることから、私たち公明党が以前から災害対策基本法の改正を含む防災対策の充実を政府に提言し、安心して暮らせる地域づくりを訴えてきた結果、二〇二一年の法改正で個別避難計画の作成が市町村の努力義務とされたところです。
高齢化が進む我が国において、外来での通院が難しくなったり、なれ親しんだ自宅での治療を希望する等により、在宅医療や訪問医療の需要が高まる中、市町村の個別避難計画の作成を推進するとともに、そうした方々が避難生活を送る際の医療面でのケアなど、避難所の環境整備も含め、避難支援対策の一層の充実を図っていくことが重要であると考えます。
県では、ゼロメートル地帯における広域的な防災活動拠点の整備に取り組んでこられ、間もなく、愛西市の旧永和荘跡地に整備を進めてきた一か所目の拠点が供用開始されます。大規模災害時には、この防災拠点を活用し、浸水区域に取り残された人々を救出することになりますが、高齢者や障害者など配慮が必要な方々は避難に時間がかかることから、取り残される危険性が高いと考えられます。
県におかれては、地元市等と密接に連携し、円滑、迅速な救出救助活動をお願いするとともに、避難を余儀なくされた全ての方々が安全な場所で避難生活を送ることができるよう、市町村の避難支援対策をはじめとする災害対応力の一層の強化を図っていただくことを希望するところであります。
そこでお尋ねいたします。
市町村に求められる防災の取組が変化する中、県と市町村が一致団結をして災害時にも県民が安心して暮らせる地域づくりを進めるためには、市町村に一層の地震防災対策を促し、この地域の防災力をさらに強化していく必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
以上、公明党愛知県議員団を代表いたしまして、県政各般にわたる課題について質問いたしました。知事はじめ理事者各位の明快な答弁を期待いたしまして、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事大村秀章君登壇〕
- 17:◯知事(大村秀章君) 公明党愛知県議員団の木藤俊郎団長の質問にお答えいたします。
最初に、このたびの知事選挙におきまして、公明党愛知県議員団の皆様には力強い御支援をいただきまして、また、ただいま丁重なお祝いのお言葉をいただきました。誠にありがとうございます。心から御礼を申し上げます。引き続き、公明党愛知県議員団をはじめ県議会の皆様と協議、連携を図りながら今後の県政運営に当たってまいりますので、引き続きお力添えいただきますように何とぞよろしくお願いを申し上げたいと存じます。よろしくお願いいたします。
それでは、質問にお答えを申し上げます。
初めに、県税収入の見通しについてお答えをいたします。
来年度の法人二税収入につきましては、各種経済指標や企業の業績予想のほか、主要企業五百社に対する個別の聞き取り調査の結果などを踏まえて見込んだところであります。
上場企業の二〇二三年三月期の通期業績予想は、懸念材料である海外景気の下振れ、物価上昇や金融資本市場の変動等の影響などから、本県の主要産業であります自動車関連産業をはじめとする輸出型産業を中心に慎重な見通しを立てている企業が多くなっております。
こうした企業収益の見通しを踏まえまして、法人二税は三千九百八十一億円を見込んだところでありまして、これは、本年度当初予算額を四百四十二億円上回るものの、これまでの収入実績などから算定した本年度の最終予算見込額と比較をいたしますと、三百四十四億円の減収となっております。
今後は、海外経済の情勢等が本県経済に与える影響を注視しながら、当初予算計上額の確保に努めてまいりたいと考えております。
続いて、今後の財政運営についてお答えをいたします。
二〇二三年度末の県債残高は依然として五兆円を超える規模となる見込みであるものの、前年度に比べて九百七十八億円の減となる見込みであり、着実に減少をいたしております。
県債残高のうち、投資的経費に充てる通常の県債の実質的な残高は、二〇二三年度末で二兆五十四億円となる見込みでありまして、昨年十二月に策定したあいち行革プラン二〇二〇後半期の取組においても維持することとした数値目標である二〇一九年度末決算における残高二兆五百六十七億円を超えない水準を堅持しております。
今後も必要な公共投資は、交付税措置のある有利な県債などを活用しながら積極的に対応する一方、着実に償還を進め、残高の水準を維持、抑制するよう努めてまいります。
また、県債残高の半分以上は臨時財政対策債をはじめとした特例的な県債が占めております。
本県は、これまで地方交付税の原資となる国税の法定率の引上げ等による臨時財政対策債の廃止、縮減について、国に対し直接要請を行ってまいりました。今後も臨時財政対策債のさらなる縮減及び廃止に向けて、引き続き粘り強く国に対し主張してまいります。
次に、子育て家庭への支援について御質問をいただきました。
本県ではこれまで、子供を産み育てたいという希望を持つ全ての方々が安心して出産、子育てができるよう、保育サービスの充実、周産期医療体制の整備、ワーク・ライフ・バランスの推進など、総合的な子育て支援に取り組んでまいりました。
特に、保育所整備を積極的に進め、二〇二二年度の保育所等の定員数は十九万二千八百五十人と、二〇一〇年度と比べまして約三割増えて、待機児童は着実に減少しております。
また、安心して出産できる医療体制を整備するため、総合周産期母子医療センターを中心とした全県的なネットワークを構築しております。
こうした取組に加え、子育て家庭への経済的支援が強く求められておりますので、今年度は、物価高に対する緊急の支援として児童一人当たり一万円を県独自に給付いたしました。さらに、妊娠時と出産時に合わせて十万円の給付を今年度から継続的に実施してまいります。
私は、選挙期間中に、多くの子育て家庭の皆様の生の声をお聞きし、それぞれの家庭の置かれた状況に寄り添ったきめ細かい支援が一層必要と感じました。出産、子育てに関する様々な悩みを身近な市町村で相談に応じ、ニーズに即した支援につなぐ伴走型支援について多くの方に御利用いただけるよう、県としてもしっかりと市町村をサポートしてまいります。
子供は社会の宝であり、将来にわたって愛知が発展し続けるため、こうした子供・子育て支援の取組をさらに加速させ、日本一子育てしやすい愛知の実現を目指してまいります。
木藤議員はじめ公明党県議団、また、県議会の皆様の御理解と御支援を何とぞよろしくお願いを申し上げます。
次は、ワーク・ライフ・バランスの推進についてのお尋ねであります。
誰もが仕事と子育てを両立しながら働き続けるためには、企業と労働者が協力して職場環境を改善していくことが重要であります。
このため、本県では、経済団体や労働団体、行政機関等で構成する協議会を設置し、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、構成員が一体となり、仕事と子育ての両立支援などの取組の普及拡大を図っております。
また、従業員の仕事と家庭の両立支援に取り組んでいる愛知県ファミリー・フレンドリー企業のうち、優れた企業を表彰する制度にイクメン・イクボス企業賞を設け、男性従業員の育児参加を促す社内規定の整備や上司の理解が進んでいる企業を表彰するなど、男性の仕事と育児の両立を推進しております。
さらに、昨年四月から産後パパ育休の創設などを盛り込んだ改正育児・介護休業法が順次施行され、企業においては、男性が育児休業を取得しやすい職場づくりを行うことが求められております。
しかしながら、規模が小さい企業ほどこうした職場環境の整備が進んでおらず、取組を行う上で具体的な対応などのノウハウを必要としていることから、来年度、新たに労務管理の専門家をアドバイザーとして派遣するほか、普及啓発セミナーや先進事例の紹介などを通じて、中小企業の実情に応じてしっかり支援をしてまいります。
また、子育て期における多様で柔軟な働き方を広めるため、テレワークの導入、定着を図るとともに、年次有給休暇の取得促進に取り組む企業の認定制度も創設をいたします。
今後とも、男女がともに安心してその能力を十分に発揮できる職場環境を整備することにより、人が輝く愛知の実現につなげてまいります。
続いて、感染症法改正を踏まえた今後の医療提供体制についてお答えをいたします。
先ほども申し上げましたが、新型コロナ感染症の感染状況は、第八波の山もようやく終息に向かっておりまして、先ほど、感染者が七日間平均、一週間平均で一日当たり六百四十六人まで着実に減少してきたと申し上げましたが、入院状況も今日の時点ではコロナ病床の入院者が昨日よりも四十一人減って二百六十九人となっておりまして、病床の確保フェーズ、最大で二千五百までコロナ病床を確保してありますので、そこからいいますと、二百六十九人ですので一割強ぐらいのところということでございますが、また、この日曜日までの病床確保フェーズ二で千六百九十床をベースにいたしますと、一五・九%というところまで減少してきておりまして、そういった形で着実に終息に向かっていると、第八波は、という状況でございますので、また木藤議員御指摘のようにアフターコロナに向けて取り組んでいく、そういう時期だと考えております。
そして、新型コロナウイルス感染症は、そうした流れの中で、五月八日から五類感染症に位置づけるということにされました。これまでの感染拡大時に医療逼迫の状況が発生したことから、平時より新たな感染症の発生に備えて医療提供体制を整備しておくことは非常に重要であると認識をいたしております。
このたびの感染症法の改正によりまして、平時からの備えを確実に推進するため、現行の感染症予防計画に病床、外来、医療人材、検査能力等の確保に関する数値目標を新たに明記することとなりました。
県といたしましては、来年度、保健所設置市や医療関係者、消防機関、高齢者施設の関係者等を構成員とする連携協議会を創設することとし、保健所設置市以外の市町村の意見も取り入れながら、入院調整の方法や保健所体制、そして情報共有の在り方等も含めて議論、協議を行い、感染症予防計画に反映してまいります。その後、計画上の数値目標に従って、県内の医療機関と協議を行い、それぞれの役割に応じて病床確保等に関する協定を締結いたします。
特に、流行初期の対応はなかなかハードルが高いことから、これらを担う医療機関につきましては追加的な財政支援を行うことといたしております。そうした対応も準備を進めてまいります。
今後、国から示される指針等を踏まえまして、実効性のある医療提供体制の整備を着実に進め、新たな感染症への対応に万全を期してまいります。
続いて、外国人旅行者の誘致についてお答えいたします。
水際対策の緩和に伴いまして、海外からの誘客に向けた取組を積極的に展開していくことは、観光産業の再始動を推し進める上で極めて重要であります。中でも、国際的な会議やイベントを活用してプロモーションを行うことは効果的であると考えております。
今年九月には、本県において、日本と台湾の交流人口の拡大を目指す日台観光サミットが開催され、旅行商品を造成している台湾の旅行・観光業界の方々が多数訪れます。この機を捉えまして、私も開催地のトップとして出席する歓迎晩さん会や、県内各地の多彩な観光資源を巡る視察旅行を通じ、愛知の魅力をしっかりとアピールしてまいります。
また、二〇二六年には、アジア最大のスポーツの祭典であるアジア競技大会及びアジアパラ競技大会を愛知・名古屋で開催いたします。今年の中国・杭州大会の開催により、次期開催地である本県への注目が集まることから、この機会を生かして観光地としての魅力を発信し、競技観戦や周遊観光のツアー造成につなげていくことが重要と考えております。
そこで、中国や韓国などアジア地域の旅行会社とのネットワークづくりをはじめとしたセールス活動を行うとともに、外国人旅行者に影響力のあるメディアやインフルエンサーを活用した情報発信も実施してまいります。
こうした取組を進めていくことで、海外から本県への誘客を促し、観光産業の活性化並びに地域経済の発展につなげてまいります。
次は、運輸部門のカーボンニュートラルに向けた取組についてであります。
本県の運輸部門における温室効果ガス排出量を削減するためには、その九割を占める自動車について、走行時にCO2を排出しないEV、PHV、FCVの普及が必要不可欠でありまして、今回改定したあいち地球温暖化防止戦略二〇三〇においても、ゼロエミッション自動車の普及加速を重点施策の一つに位置づけ、削減目標の達成に向けて取組を強化することといたしております。
来年度は、EV等の導入を支援する取組として、中小企業等の事業者を対象とした補助を引き続き実施するとともに、本年度末で期限を迎える本県独自の自動車税種別割の課税免除につきましても、二〇二五年三月まで二か年延長し普及を促進してまいります。
また、EVの走行に再エネ電力を活用するゼロカーボン・ドライブを推進するため、太陽光発電設備の新規設置を条件として、EVと充電設備をセットで導入する個人を対象とした新たな補助制度を創設いたします。
さらに、充電インフラや水素ステーションの設置促進といった環境整備や、本県の率先取組として公用車に導入したFCV、MIRAIやEV、bZ4Xを活用したゼロエミッション自動車の普及啓発なども着実に進めてまいります。
こうした取組によりまして、世界有数の自動車産業の集積地である本県から自動車のゼロエミッション化を先導し、運輸部門のカーボンニュートラルの実現を目指してまいります。
続いて、矢作川カーボンニュートラルプロジェクトについてのお尋ねであります。
本プロジェクトは、水循環をキーワードに、既存の枠組みにとらわれず、再生可能エネルギーの創出やエネルギーの省力化などによりカーボンニュートラルを目指す先導的な取組であります。
再生可能エネルギーの創出のうち、水力発電については、水力のさらなる活用に向けた検討を進めております。
国管理の矢作ダムでは、今年の出水期から最新の気象予測技術等を活用し、まとまった降雨が予測されない場合に、洪水調節に支障のない範囲でダムの水位を上げることにより、発電量を増加させる新たな運用の開始に向け、関係者間で調整を図っているところであります。
また、発電施設のない県管理の木瀬ダムや水道施設への小水力発電施設の導入に向けて、構造や採算性について検討を進めております。具体化に向けて検討を進めているということでございます。
太陽光発電につきましては、矢作川浄化センターや幸田町で整備中の菱池遊水地におきまして、民間資金等を活用した導入について早期に具体化できるように、これも具体化できるように検討を進めております。
エネルギーの省力化につきましては、今年度策定する汚水処理の広域化・共同化計画に基づき、農業集落排水等の流域下水道への統廃合を順次進めておりまして、使用電力量の削減を図ってまいります。
このほか、循環型林業の推進や木材利用の促進により、CO2吸収量の維持、拡大にも取り組んでまいります。
今後、実現できるものから順次事業化を進め、カーボンニュートラル実現の新機軸として愛知から全国に発信をしてまいります。要は、矢作川をモデルにして具体化をして、そして横展開をしていくということで、当初から意図しているところでありますが、しっかり進めていきたいというふうに思っております。
さて、私からの最後の答弁となりますが、地域における防災対策の充実についてであります。
発生が危惧される南海トラフ地震から県民の命を守ることは最重要課題でありまして、これまでも市町村と連携して様々な地震防災対策、とりわけ避難対策に積極的に取り組んでまいりました。
本県では、全国最大のゼロメートル地帯を有することから、浸水区域から円滑に避難できるよう県内四か所に広域防災活動拠点の整備を進めておりまして、あわせて、関係市町村や防災関係機関とその運用に当たっての各機関の役割分担や救出・救助手順などについて協議、情報共有しているところであります。
この三月十八日には、一か所目の愛西市の拠点を開始いたします。午前中に開所式典を行い、午後には、愛西市や関係機関と連携し、この拠点の円滑な運用に向けて、ヘリコプターによる救出、救助の手順を確認する訓練を実施いたします。
また、避難対策における市町村の役割は極めて重要であります。
私は、知事就任以来、毎年、市町村と共催で津波、地震の防災訓練を実施してまいりました。昨年十一月には、内閣府にも共催をいただきまして、常滑市で実施した訓練では、私も住民の方と一緒にシェイクアウト訓練や歩いて高台へ避難する訓練に参加をいたしました。
加えて、市町村の避難所の機能向上など地震対策を促進するため、継続的に財政支援に取り組んでおりまして、来年度からは避難する方のニーズの多様化に対応するため、医療的ケアに係る資機材も新たに補助対象に含めるなど、避難所対策の充実をより一層強力に後押ししてまいります。
今後も、ハード、ソフト両面にわたりまして、南海トラフ地震対策、地震防災対策に全力で取り組んでまいります。
以上、御答弁申し上げました。
- 18:◯教育長(飯田靖君) 初めに、医療的ケア児の通学支援についてお答えをいたします。
県立特別支援学校には二百三十九名の医療的ケア児が通学をしておりますが、そのうちの百九十七名は通学途上でもたんの吸引などの医療的ケアが必要となる場合がございます。特別支援学校は、通学区域が広くスクールバスを運行しておりますが、医療的ケアを行うためにバスを路上で臨機応変に停車させることは難しいため、こうした医療的ケア児につきましては保護者に自家用車で送迎をしていただいているところでございます。
二〇二一年九月のいわゆる医療的ケア児支援法の施行を踏まえた文部科学省の通知では、学校の設置者は積極的に看護師の配置の促進に努め、学校における医療的ケア児とその家族に対する支援の推進を図ることとされました。
そこで、毎日、自家用車で送迎を行っていただいている保護者の負担を少しでも軽減するため、保護者の都合に合わせて、保護者に代わって子供を学校まで送り届けるモデル事業に来年度から取り組んでまいります。
具体的には、車椅子のままで乗ることができる介護タクシーなどで医療的ケア児を送迎し、そこに看護師が同乗をして、通学途上でも必要なときに速やかに医療的ケアを行うというものでございます。
まずは、通学区域内に訪問看護ステーションなどが比較的多い県立名古屋特別支援学校において、一人当たり年間十二日の通学支援を行い、車両や看護師の確保といった持続的な取組としていくために必要となる方策を整理した上で、対象校や支援日数の拡大を目指してまいります。
次に、児童生徒の心のケアについてお答えをいたします。
議員お示しのとおり、小中学校におけるいじめや不登校が増加をしておりまして、これまで以上にきめ細かな心のケアを行うための相談窓口の充実や、様々な悩みや不安を抱えた子供たちの新たな受入れ体制の整備が必要だと認識をしております。
そこで、来年度は、小中学校におけるスクールカウンセラーの配置時間を県全体で五千九百三十六時間、約千日分増やしてまいります。家庭環境などの課題に対応をするスクールソーシャルワーカーにつきましても配置をしている市町村への経費の支援を拡充してまいります。
学校以外の相談先としては、現在の電話による二十四時間SOS子供ダイヤルに加えまして、より気軽に相談ができるSNSによる相談窓口を小学四年生から中学校の三年生までの全員を対象に新たに開設いたします。
また、教室に入りづらい中学生の新たな居場所として校内教育支援センター、いわゆる校内フリースクールを中学校二校にモデル的に設置いたします。そこでは、常駐をする教員の支援を受けながら、生徒が自分のペースで学習をすることや、進路をはじめとする様々な相談ができるようにしてまいります。
中学校卒業後の進学先となります県立高校におきましては、二〇二五年度から施設に余裕のある全日制高校四校の中に、通信制のサテライト校と小規模な昼間定時制を設置し、生徒が自分のペースで学ぶことができるようにしてまいります。さらに、二〇二六年度には、不登校特例校の制度を活用いたしました中高一貫校を日進高校に設置いたします。こうした学校には、スクールカウンセラーの常駐化を検討するなどし、いじめや不登校などの多様な背景を持つ生徒の心のケアに万全を期していきたいと考えております。
こうした取組を通じまして、子供たちに寄り添いながらしっかり心のケアを行い、一人一人が安心をして学校生活を送り未来を切り開いていけるよう支援をしてまいります。
- 19:◯警察本部長(鎌田徹郎君) 交通死亡事故抑止対策についての御質問にお答えいたします。
昨年は、横断歩行者等妨害等や信号無視、著しい速度超過など、運転手の法令軽視に起因する事故が多発した一方で、歩行者の信号無視等に起因する事故も発生いたしました。
交通事故死者につきましては、年齢別では高齢者が約五割を占めたほか、当事者別では歩行者が全体の四割を占め、このうち横断中に被害に遭われた方が約七割を占めております。また、交通死亡事故の約七割が交差点またはその付近で発生したものであり、こうした特徴を踏まえた上で交通死亡事故抑止対策を推進してまいります。
具体的には、議員お示しの交通事故分析システムを活用した上で、時間帯や場所、違反種別を適切に選定し、重大事故に直結する悪質、危険な交通違反の取締りを重点的に実施してまいります。
また、自転車を含む車両の運転者には、歩行者保護などの交通ルールの徹底を図るとともに、歩行者には安全確認の徹底をはじめとした自らの安全を守る行動を促すなど、道路利用者それぞれの属性に応じた広報啓発活動を推進してまいります。
あわせて、生活道路における子供や高齢者等の安全な通行の確保を図るゾーン30プラスの整備や、交通事故多発交差点等における歩車分離式信号等の交通安全施設の整備などを推進してまいります。
県警察としては、自治体をはじめ、関係機関、団体と緊密連携の上、これらの交通死亡事故抑止対策に取り組み、悲惨な交通事故を一件でも減らせるように努めてまいります。
以上でございます。
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- 20:◯四十一番(山田たかお君) 本日はこれをもって散会し、明三月三日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 21:◯議長(須崎かん君) 山田たかお議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 22:◯議長(須崎かん君) 御異議なしと認めます。
明三月三日午前十時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後三時八分散会