県政報告
令和4年教育・スポーツ委員会
2022年7月19日
(主な質疑)
- (主な質疑)
【山田たかお委員】
併設型中高一貫教育制度について、中学校に入学する段階で試験を行うが、義務教育学校からも併設型中学校に応募することができるのか。
併せて、併設型中学校から別の高等学校に受験することはできるか。
- 2:【高校改革室長】
義務教育学校から併設型中学校への応募は想定していなかったため、今後検討する。
併設型中学校から一般の高校入試を経て、別の高校へ入学することは可能である。
- 3:【山田たかお委員】
今回の導入の狙いには、チェンジメーカーの育成が掲げられているが、それを受け入れる教員のチェンジが相当大変ではないかと思う。それを踏まえ、どのように育成に取り組むのか。
- 4:【高校改革室長】
子供たちを育てていく教員が非常に重要である点も踏まえ、しっかり検討していく。
- 5:【山田たかお委員】
他府県の併設型中高一貫校例としてこれまで3校の紹介があったが、京都府立洛北高等学校への聞き取りでは、難関大学へ合格する生徒が多いという結論づけをしている。
難関大学への合格が増えたことを中高一貫教育制度導入の成果としている点は、本県の導入の方向性とは異なり、現在進めている教育の延長線上にあると思う。本県としては、どのように進めていくのか。
- 6:【高校改革室長】
本県としては、大学受験対策を狙いとした先取り学習は行わず、大学受験のためだけの中高一貫教育制度にはしない。
生徒が、将来に思い描く自分のイメージの実現のために、難関大学に入学しなければならないと感じた結果、難関大学への進学が増えることは否定するものではないが、難関大学等への進学者を増やすための中高一貫教育制度ではない。
- 7:【山田たかお委員】
推薦選抜において、生徒が推薦を得るため教員に忖度することもある。その点について、教員の資質向上を図らなければならないと思うが、どのように考えているのか。
- 8:【高校改革室長】
併設型中学校への入学に当たり、市町村等に聞き取りをしたところ、小学校6年生の担任教員は大変忙しいと聞いており、教員の負担軽減も図るため、調査書を参考にしていく。
どのような形で参考にしていくか等について、先日開催された中高一貫教育導入検討部会等でも意見が出たため、今後、ワーキンググループを立ち上げ、詳細はこれから決めていく。
- 9:【高等学校教育課長】
高校入試では通知表の評定等は非常に大きな割合を占めるため、入試を行う側として、中学校の教員に対しては、慎重に評価してほしいと日頃から伝えている。
また、今回の入試制度改革では、さらに精度を高めるため、学力検査合計得点を2倍にする方式を含め、五つの方式に増設した。これに伴い、中学校側により適切に評価するよう依頼し、生徒たちが安心して受検に臨めるようにしていく。
- 10:【いなもと和仁委員】
併設型中高一貫制度の導入により受験の加熱が予測されるが、対策を伺う。
また、私立中学校の試験は1月末から2月初め頃に実施されるが、試験結果はいつ頃発表するのか。併せて、入試日程はいつ決めるのか。
さらに、今回、併設型中高一貫校制度の導入校はいずれも共学だが、その男女比率を伺う。
- 11:【高校改革室長】
入試日程について、千葉県の東葛飾中学校・高等学校では、私立中学校よりも先に行っていると聞いた。東葛飾中学校に合格した生徒の半分程度は辞退し、私立学校に入学すると思われるが、併設型中学校には国立や私立の学校もあるため、そういった先催県の例も参考にしながら順次決定していく。
男女比率についても、これから検討するが、比率を決める予定はない。
また、受験の過熱が懸念されるため、大学受験に偏らない探究学習を重視した学校にする。入学者の選抜方法は小学校の学習指導要領の範囲内にすることなどを、早期かつ随時に、保護者や生徒等に周知を図ることで過熱化が進行しないよう対策する。
- 12:【犬飼明佳委員】
中高一貫校学区内における入学者の地域偏在をなくすために、抽選制の導入は検討しているのか。
- 13:【高校改革室長】
現時点では、併設中学校の学区は高校の通学区域に準じて尾張学区、三河学区とする予定であり、地域を絞ることまでは想定していないが、今後検討していく。
- 14:【犬飼明佳委員】
名古屋市内は私立の中学校受験がかなり過熱しているため、バランスをどうするか今後検討してほしい。
また、カリキュラムについて、学習内容の前倒しはしない方針だが、他の事例では前倒しをしてできた時間の中で、より特色のある学びを実施している。
前倒しをせずにより特色のある学びを実施するのであれば、どのように時間を確保するのか。
- 15:【高校改革室長】
ある程度優秀な生徒が集まると自然と授業が進み、そこで創出された時間で、探究的でより深い学びをすることが可能である。その点はワーキンググループ等でしっかり検討していく。
- 16:【犬飼明佳委員】
医歯薬コースやバカロレアは比較的将来何になるのか分かりやすいが、スーパーサイエンスハイスクールは、将来何になるのかが幅広いと感じる。第一次導入校ではスーパーサイエンスハイスクールが主で一番数が多いが、スーパーサイエンスハイスクールの特色の出し方を伺う。
- 17:【高校改革室長】
中学校の段階から、生徒一人一人の好奇心や探究心を高める発展的な学びの導入を検討しており、導入が確定し次第、各学校でカリキュラムなど、より具体的に検討する体制を整える。
- 18:【犬飼明佳委員】
中高一貫校に入学したが辞めたい、転校したいという生徒がいた場合、他の高校へ編入するのか、他の高校を受験するのか、そのような生徒への対応について伺う。
- 19:【高校改革室長】
現時点では、中学校から高校まで希望者を無試験で進学させる予定だが、1学年80人と少ない人数の中でついていけない可能性もあるため、一般の高校入試を受検して、他の高校に入学できるようにしていきたい。
学年の途中での編入については、これから検討していく。
- 20:【犬飼明佳委員】
部活について、私立の中高一貫校では中学校1年生から高校3年生まで、文化系の部活等を一体で行う学校もあると聞くが、今回の第一次導入校では内進生と外進生も含めて、中高の部活をどのように実施するのか。
- 21:【高校改革室長】
1学年2クラス80人で小さな中学校となるため、大きな中学校のような部活はできない可能性があるが、地元の中学校の大会等にも出場できるよう調整していく。
また、刈谷高校のサッカー部は全国的にも有名であるため、県民から中学生のうちから刈谷高校サッカー部の高校生と一緒に練習できることは魅力的だとの意見もある。
千葉県の葛飾中学校では、今後、中学校体育連盟への加盟を辞め、その代わりに一年間の授業の前半、後半で様々な種目に触れられるようにしていくことも検討しているとのことであり、いろいろな他県の取組も参考にしたい。
- 22:【河合洋介委員】
教員の確保について、中学校からの派遣に加え、新たに中高一貫校の教員の採用枠を設ける話があるが、現状、中学・高校でも教員の欠員が出ている中、どのように教員を確保していくかが大きな課題である。
採用枠を別で設けると教員数は純増になると思うが、どの程度を想定しているのか。
- 23:【高校改革室長】
調査の結果、中学校3学年で2学級ずつの6学級では、教員が10人程度、校長、教頭、養護教諭、事務などを合わせて14人程度の教員が必要となる見込みであるため、中学校の教員を確保していく。
中学校教員の不足に対応するため、中高の人事交流を行い、高校教員の中で中学生を指導することができる教員を増やしていく。
- 24:【河合洋介委員】
2025年4月の開校であれば、2025年度から採用枠を増やすのでは遅い。本年度中に方針が決定するとのことであるが、教育委員会として来年度の採用枠から増加させる方針なのか。
- 25:【教育委員会事務局次長兼管理部長】
教員の採用枠について、昨今の欠員状況も踏まえ、正規教員数を増加させていくことが基本であるため、来年度の採用計画からそのような方向で反映させていきたい。
- 26:【河合洋介委員】
高校入試では、東浦町の生徒は尾張地区の明和高校や半田高校、三河地区の刈谷高校にも願書を出すことができるが、複数の中高一貫校に願書を出すことは可能なのか。
- 27:【高校改革室長】
試験日が同じ日になることが予想されるため、願書を出すのは1校のみになると思うが、これから検討していく。
- 28:【河合洋介委員】
全国のケースを見ると、都道府県における中高一貫校設置数の中央値は3、4校だと思うが、現在、教育委員会では中高一貫校をさらに増設することは考えていないのか。
- 29:【高校改革室長】
第2回中高一貫教育導入検討部会で、第二次以降の候補校の方向性について説明している。同部会において、第一次導入候補校と同様のスーパーサイエンスハイスクールなど、既に探究的な学びを行っている学校の校長の意向、地元の理解や協力、地域バランスを考え、幾つか増やす方向性を示している。
また、探究的な学びを行う学校だけでなく、地域課題を学びのテーマにし、地域に密着した中高一貫校も検討し、現在山間部でしか行っていない連携型について、都市部でも検討していく。
第二次以降の導入について、具体的な校数や地域は決まっていない。
- 30:【石井芳樹委員】
チェンジメーカーをつくるためのカリキュラムにはどのようなものがあるのか。
- 31:【教育委員会事務局次長兼管理部長】
チェンジメーカーをどのようにつくるかについて、先行事例では、まず自分と向き合わせ、自分とは何かを考えさせることからスタートしている。
さらに多様性の中で、自分とは一体何かを考えさせ、その次の段階で自分と社会の課題をどう結びつけていくかを考えさせるカリキュラムを行う中で、様々なチャレンジをさせ、失敗を何度も重ねさせることも学校の活動の中で体験させていく。長野県軽井沢町の国際学校など、全国の先行事例も参考にしながら検討していく。
- 32:【石井芳樹委員】
チェンジメーカーをつくるから、このような学校をつくりたいという構成にしなければ、導入したあとは形骸化していくだけだと思う。
他の中高一貫校の参考事例を見ても、難関高校に合格することが一つの指標になっている。優秀な生徒は、学習内容の前倒しで空いた時間を、人と向き合う、自分と向き合う時間に使うのではなく、自分で新たな勉強をするための時間に使い、学校に行かず、自分たちで勉強するようになる。
そのような中高一貫校をつくらないために、まずチェンジメーカーをつくるためにどうするのか考えた上で6年間のカリキュラムをつくらなければ、チェンジメーカーは育成できない。
関西の私学の理事長の話では、優秀な生徒は高校で起業し、さらに優秀な生徒は海外の大学に進学すると聞いた。そのような話も踏まえ、今後の競争社会の中でチェンジメーカーという言葉だけでなく、チェンジメーカーをつくるための6年間を逆算して考えるような仕組みをつくってほしい。
- 33:【教育長】
今回の併設型中高一貫校導入の意図は、答えのない不安定な社会で、世の中を切り開き、しっかりと生きていける子供を育てることである。そのため、チェンジメーカーを育てる仕組みとして、非常に効果的な探究型の教育に重点を置いた中高一貫校を導入した。
そして、チェンジメーカーの育成のために具体的に何を行うのかについて、各学校でこれまで培ってきた財産を生かし、子供たちをどのように育成していくかのカリキュラムをしっかりとつくり込んでいく。それを保護者に周知し、今回導入の中高一貫校を選択してもらえるようにしていく。