2021年12月8日
昨年10月、国は2050年にカーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言し、本年4月に、2030年度に温室効果ガス排出量を46パーセント削減することを表明した。
イギリスのグラスゴーで開催されたCOP26では、世界の気温上昇を1.5度に抑えるため、今世紀半ばでの温室効果ガス実質排出ゼロ及びその経過点である2030年に向けて、野心的な気候変動対策を各国に求めるとの合意がなされ、今後一層の温室効果ガスの削減やそのための取組の強化が求められる。
そこで、あいち地球温暖化防止戦略2030の改定の方向性と、今後どのような調査を実施していくのか伺う。
国の温室効果ガス排出量削減の目標の引上げを受け、本県の削減目標を見直すとともに、地球温暖化対策推進に関する法律の改正を踏まえ、再生可能エネルギーの導入目標等を定めるほか、削減目標を達成するために必要となる新たな取組を検討し、これらを盛り込んだ戦略に改定することとしている。
そのため、現行のあいち地球温暖化防止戦略の取組状況の分析、本県における温室効果ガス排出量の実態把握や将来予測、再生可能エネルギーの導入実績の把握や将来予測を行うとともに、戦略改定に必要な支援について委託をする予定である。
11月定例議会には再生可能エネルギー実現可能性検討調査の議案が提出されているが、経済産業局とどのように連携していくのか。
経済産業局が提案している調査は、再生可能エネルギーの拡大や地域産業への波及が見込まれる案件に対し、その実現可能性について、検討、分析を行うと聞いている。
これに対し、環境局の調査は、文献資料等により、地球温暖化対策に係る国内の関連施策の把握をするとともに、それを整理し、本県の温室効果ガス排出実態の把握や要因分析、排出量の将来予測などを行う。
本年6月の地球温暖化対策推進法の改正で都道府県に再生可能エネルギーの導入目標量等の設定化が義務づけられたため、再生可能エネルギー導入目標量などを定めるために必要な再生可能エネルギーのポテンシャルなどの情報収集をすることとしている。
具体的には、経済産業局の調査では、例えば、立地条件や自然環境の状況変化と再生可能エネルギーの発電効果の関係性や、発電施設の設置に伴う周辺環境への影響などについてシミュレーションし、事業の実現可能性を検討していくことを想定している。
一方、環境局の再生可能エネルギーに関する調査については、県内で2030年度に再生可能エネルギーをどれだけ導入できるか、その目標量を定めるため、例えば日照量や日照時間、設置可能面積等について文献等を活用して調査する予定である。
いずれにしても、調査の実施に当たっては、経済産業局と十分に情報共有を行い、連携しながら進めていく。
今回は排出量の削減目標を見直すということだが、新たな削減目標はどのように設定するのか。
本県の新たな削減目標の設定に当たっては、国の温暖化対策計画による本県分の削減見込量と、県独自の施策による削減見込量の二つの事項を積み上げて設定することとしている。
具体的には、国の地球温暖化対策計画における各施策による全国の温室効果ガス排出の削減見込量から、全国と本県の活動量の比率等を用いて本県分を按分したものを、学識者等を交えた検討を通じて、本県独自の特色ある取組や追加的な施策による削減見込量を積み上げて算出をすることとしている。
国が掲げている46パーセント削減は非常に高い目標であり、国に準じた目標を設定するためには、本県独自の取組が必要となるため、しっかりと検討していきたい。
先進環境対応自動車導入促進費補助金について、今後、カーボンニュートラルの実現に向け、EV、PHV、FCVというゼロエミッション車の普及を進めていく必要がある中、補助金の申請増加に伴う増額であるので、よい傾向だと思う。
ゼロエミッション車の普及拡大に向けて、導入支援を継続することが重要であるが、補助金と今後の普及施策について、今回の増額補正を行う必要性をどのように考えているのか。
本年度は前年度と比べて、EV、PHV、FCVの申請台数が伸びており、UDタクシーを除いた予算額、2億3,273万円に対し、9月末の時点で、合計266台の申請があった。
予算の執行額が1億8,946万円であり、上半期だけで執行率81パーセントと、予定を大幅に上回る申請があり、10月以降このペースで申請があった場合、年内にも補助金が枯渇することが見込まれる。
そこで、不足が見込まれる6,342万円の予算を増額し、補助を継続することで、EV、PHV、FCVのさらなる普及加速を図りたい。
予定を大幅に上回る申請があった要因についてどのように考えているか。
県民の地球温暖化対策への関心が高まる中、昨年10月にはレクサスUXのEVモデル、12月には新型MIRAIなど、新型車両が発売された。
また、米国テスラ社の中国生産拠点の稼働により、本年2月から国内におけるEVテスラの車両販売価格が大幅に引き下げられたことなどから、EV、FCVといったゼロエミッション車への需要が高まり、申請数の増加につながったと考えている。
EV等の新型車両が次々と発売されていくことが見込まれるが、今後のゼロエミッション車の普及と補助に対する考え方について伺う。
本県では、本年3月にあいち自動車ゼロエミッション化加速プランを策定し、EV、PHV、FCVの新車販売割合を2030年度に30パーセントとする目標を掲げ、普及を推進していくこととしている。
新型車両が発売され、EV等の車両の種類が増えることにより、消費者ニーズが徐々に高まってくると考えられるが、従来車に乗っているユーザーのEV等の機能に対する認知度が低く、車両価格も高額であることから、本県独自の自動車税種別割の課税免除や中小企業者等を対象とした補助金の導入支援により、下支えをしている。
今後も、インフラ環境の改善に向けた支援はもとより、まずはEV等に関心を持ってもらうために、外部給電機能の実演をするなどの啓発活動に取り組むとともに、引き続き導入支援を行うことにより、自動車のゼロエミッション化の加速を図り、カーボンニュートラルの実現に向けて取組を進めていく。
2030年度温室効果ガス排出量46パーセント削減は、非常に大きな挑戦である。実現に向けて、関係部局と連携したあらゆる施策の実施が求められる。
さらに、中部圏水素利用協議会など、民間との連携強化も含めて、オール愛知で調整してほしい。ぜひ環境局が先頭に立って取組を強力に推進するよう要望する。
本県は、2018年2月に策定したあいち地球温暖化防止戦略2030で、2030年度の本県の温室効果ガス排出量を2013年度比で26パーセント削減する目標を掲げ、目標達成に向けて、暮らし、事業活動、自動車などの各分野において様々な取組を実施している。
この26パーセント削減は、国の従来の削減目標と同じだが、本年10月、国は地球温暖化対策計画を改定し、2030年度に2013年度比で46パーセント削減すると目標を大幅に引き上げた。
今後、あいち地球温暖化防止戦略2030を改定していくが、改訂に当たっては、これまでの戦略をしっかり点検し、その課題を一つ一つ解決していくことが重要である。
現行のあいち地球温暖化防止戦略2030の進捗状況と、これまでの成果について伺う。
2018年2月に、あいち地球温暖化防止戦略2030を策定し、同年10月には、県、事業者、県民の責務を明確にして、全ての主体の自主的かつ積極的な取組を促す地球温暖化対策に特化した愛知県地球温暖化対策推進条例を制定した。
この戦略や条例に基づく主な取組の進捗状況としては、2018年度からCO2の削減効果などを見える化しながら、低炭素型ライフスタイルへの転換を呼びかける新たな県民運動、あいちCOOL CHOICEや、あいち省エネ家電サポーター店登録制度を開始した。
また、あいち低炭素水素サプライチェーン2030ビジョンを策定するとともに、知多市、豊田市再エネ事業低炭素水素プロジェクトを皮切りにして、これまで5件のプロジェクトについて低炭素を認定した。
2018年度末には適用策に関する情報について、地域へ情報提供などを行う愛知県気候変動センターを愛知県環境調査センター内に中部圏で初めて設置した。
また、2019年度には、温室効果ガスの多量排出事業者を対象にした、地球温暖化対策計画書制度に評価、助言を拡充するとともに、住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助金にゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)等のメニューの追加や、先進環境対応自動車導入促進費補助金にFCバスのメニューを追加するなど進めてきた。
また、昨年には、県内の小学生とその家族が省エネ行動の実践に取り組む、夏休み!おうちでエコアップ大作戦の開始や、公用車に新型MIRAIを導入するほか、公共施設では全国トップクラスのゼロ・エネルギー・ビルディング(ZEB)を実現化した愛知県環境調査センター、愛知県衛生研究所の供用を開始した。
本年度は、あいちカーボンニュートラル戦略会議を設置するとともに、事業・企画アイデアの募集を開始し、昨年度末までとしていた本県独自の自動車税課税免除制度を2年間延長するなど、様々な取組を進めてきた。
本県の2018年度における温室効果ガスの総排出量は、約8,000万トン‐CO2であり、基準年度である2013年度と比較して、3.5パーセントの減少にとどまっているものの、こうした取組の成果が今後反映されることを期待している。
十分に温室効果ガスの削減は進んでいないが、その要因や課題について伺う。
温室効果ガスの排出量の状況については、2013年度から2018年度までに、家庭部門では19.7パーセント削減し、業務部門では18.7パーセント削減と順調に推移しているが、本県の排出量の50パーセント以上を占める産業部門では、2018年度が約4,000万トンと、2013年度より0.6パーセント増加している。
これは、本県が日本一の産業県であり、景気の動向にも左右されているためである。製造品出荷額等は2013年度と2018年度を比較すると16パーセント増加しており、産業部門からの排出が減りにくいことが、県全体の削減が進まない要因と考えている。
事業者においては、徹底した省エネルギーや再生可能エネルギーの導入拡大に懸命に取り組むなど、温暖化対策に関する意識は高いものの、強い経済活動を背景にして、温室効果ガスの総排出量は全国最多の状況であり、温室効果ガスの大幅な削減、カーボンニュートラルの実現においては、産業界はもとより、県全体で、これまでの取組の加速と、脱炭素に資する新たな取組が必要だと考えている。
課題解決に向けて、今後どのように戦略の改定を進めていくのか。
国の温室効果ガス削減目標の引上げや法律の改正を受け、今後、あいち地球温暖化防止戦略2030を改定していくこととしているが、まず、改定に必要な調査を行った上で、新たな削減目標、あるいは再生可能エネルギーの導入目標の達成に向けた取組等について、有識者等の意見を聴きながら、施策や取組をまとめていく。
カーボンニュートラルの実現に向けて、これまでの戦略の取組に加え、革新的な県独自の取組を検討していく必要があると考えている。
この県独自の取組については、本年6月からカーボンニュートラルの実現に向けた新たな取組に着手しており、学識者で構成されるあいちカーボンニュートラル戦略会議を設置し、優れたアイデアの事業化を支援していくこととしている。
第一段として、矢作川の流域をモデルケースとして、水循環をキーワードに再生可能エネルギー等の導入による国土強靱化をはじめ、森林保全、治水、水道からエネルギーまでを含め、官民連携で総合的かつ分野横断的にカーボンニュートラルの実現を目指す矢作川カーボンニュートラルプロジェクトに着手した。こうした取組についても、戦略改定の中で、本県独自の取組として、位置づけができるよう検討していきたい。
また、温室効果ガスを削減していくためには、県民、事業者、県、市町村が連携して、徹底した省エネルギーと再生可能エネルギーの導入拡大に取り組むことが基本である。これらを積極的に推進させるための施策についても、戦略改定でしっかり検討していきたい。
地球温暖化防止戦略2030の改定に向けて大変厳しい目標に引き上げたことを評価する。グリーン戦略を進めることは、環境だけでなく、経済分野においても大きな影響を及ぼす。
特に今回のあいち温暖化防止戦略2030の調査項目にあるエネルギー分野、カーボンニュートラルの実現に向けた取組は、日本の成長産業になっていくと考えている。
カーボンニュートラル戦略会議では、産官学の識者が集うので、カーボンニュートラルの実現により地球温暖化に歯止めをかけることはもちろん、経済分野では成長産業として、本県の発展に寄与できることを大いに期待したい。厳しい目標の達成に向けて、引き続き推進してほしい。
あいち地球温暖化防止戦略2030の改定に向けて、これまで取り組んできたことを環境局としてどのように分析し、生かしていくかが大切な視点である。
平成30年2月定例議会の一般質問において、照明のLED化は温室効果ガスの排出削減に有効な取組であると述べた。あいち地球温暖化防止戦略2030によると、オフィスや店舗等の業務部門及び家庭部門の温室効果ガス排出量をそれぞれ5割削減する必要があった。
このうち、オフィスや店舗などの業務部門で使用されるエネルギーの約4分の1が、照明であると言われており、県では、LED照明の導入に積極的に取り組んできたと理解している。そうした観点から、これまでの取組と、今後の施策の展開について伺う。
まず初めに、2017年度に従来型蛍光灯の設置本数が多く、点灯時間が長い自治センター及び西三河総合庁舎の蛍光灯約9,300本をリース方式によりLED照明に変え、2018年度以降は2施設への導入により得られた省エネ効果やコストメリットを基に、他の県有施設へLED照明を導入したと認識しているが、これまでの導入実績と効果について伺う。
これまでのLED照明の導入実績については、2017年度に自治センターや西三河総合庁舎等12施設、2018年度には三の丸庁舎や東三河総合庁舎等31施設に導入するなど、知事部局の183の県有施設のうち、昨年度末までに56施設でLED化が完了した。LED化が完了していない施設でも、施設の一部の照明でLEDを導入するなど、全体で約5万1,000台が導入済みである。
その効果は、推計であるが、年間の電力消費量が約740万キロワットアワーの削減、CO2排出量では約3,000トンの削減効果があったと試算している。
この削減効果は、長時間点灯照明全体の電力消費量の年間約2,200万キロワットアワー及びCO2排出量約8,800トンの約3割になると推計している。
知事部局におけるLED照明の導入率と今後の導入計画について、どのように考えているのか。
また、知事部局以外の県有施設にもLED照明の導入を進めていくことが必要であるが、どのような状況であるか。
知事部局内のLED照明の導入については、長時間点灯照明の約10万4,500台のうち、約5万1,000台が導入済みである。LED化率は約49パーセントと、導入当初の2018年2月の約16パーセントからは大幅に増加している。
導入当初から現在までに、リースによるコストメリットが生じる施設については、リース方式による導入を進め、リース方式での導入はおおむね終了している。
また、これと並行して、建て替えや建物の長寿命化改修の際に、天井等の改修工事の機会を捉え、買取り方式によるLED照明の導入も進めている。
今後の導入計画としては、本年度、東部家畜保健衛生所、東部家畜保健衛生所新城設楽支所の2施設で、長寿命化改修によるLED化が進められており、来年度以降は当該計画等に基づき、各施設管理者において順次導入が予定されているため、引き続き関係部局にLED照明の導入を働きかけていく。
知事部局以外の県有施設、企業庁、病院事業庁、教育委員会、警察等の導入状況については、現在、13施設でLED化が完了しており、全体のLED化率は約20パーセントである。
知事部局と同様、引き続きLED照明の導入を働きかけていきたい。
LED照明の導入は、計画的に進んでいるのか。遅れているのであれば、どのような課題があったのか。
当初、リース方式による導入のほうがメリットがあるとしていた施設について、施設建て替えの際に導入したほうがメリットがあると最終的に判断し、当初の予定よりも導入が遅れた施設があると聞いている。
新しい目標をつくるには、これまでの取組を総括することが大切である。
LED照明の導入は、温室効果ガス削減に大きな効果があることから地域全体へ波及させていくことが重要だが、県と同様に、多くの公共施設を有する市町村や事業者等に対し、どのような働きかけや啓発活動を行ってきたのか。
多くの公共施設を有する市町村に対して、LED照明の導入による消費電力量やCO2削減の効果のほか、導入に当たっての費用の試算方法など、LED照明の導入に有用な情報を市町村連絡会議等の場で提供するなどして、公共施設におけるLED化の導入を働きかけている。
事業者に対しては、専門家による中小企業向けの省エネに相談において、LED照明の導入について具体的なアドバイスをしたり、条例に基づく地球温暖化対策計画書制度において、省エネ効果が大きい照明設備のLED化を助言するなど、導入を促している。
県民に対しては、環境イベント等において、LED照明を選択することによって、電気代の具体的な節減効果を示したチラシを配布するなど、効果を分かりやすく説明するとともに、県内の925店舗のあいち省エネ家電サポーター店の協力も得ながら、家庭におけるLED照明への買換えを促している。
これまでの取組状況を踏まえ、様々な視点で調査分析をして、新たな2030年度の目標を設定していくことが必要だが、2030年度までにストックで100パーセントの普及を目指すという当初の目標の考え方について伺う。
国の地球温暖化対策計画の中では、既存の照明器具の老朽化に伴う買換え需要とトップランナー制度を通じた高効率照明の普及拡大により民主導の普及を目指すとしており、2030年までにストックでLED100パーセントを目標に掲げている。
この目標に向け、国において、現在商品化されている製品のうち、最も省エネ性能の高い製品、トップランナー以上の性能を目標基準値に設定し、この基準よりも上を目指すトップランナー方式によって、LED照明器具よりもエネルギー効率の劣る蛍光灯器具は生産が中止されている状況で、一般社団法人日本照明工業会の自主統計では、新たに出荷される照明器具のうち、99.5パーセントがLED照明という状況である。こうしたことから、今後もLED照明器具への転換は着実に進んでいくと思う。
県では、これまで、例えば蛍光灯からLEDのシーリングに取り替えると、一般的に使用する条件下で、電気代が年間1世帯当たり約1,840円節約もでき、約3年で買換え時の超過負担分を回収できることなどの具体例を示したチラシを作成し、省エネ家電サポーター店等を通じて配置したり、LED照明のコストメリット等を強く訴えて、LED照明の買換えを消費者に働きかけてきた。
今後とも、地道な取組に工夫を加え、省エネ、節約の見える化に努め、県民、事業者、市町村など、地域全体に地球温暖化対策に向けた賢い選択、あいちCOOL CHOICEに掲げる照明のLEDへの買換えを呼びかけるなど、様々な取組を展開して、普及を図っていく。
課題は多いが、目標の達成に向けて引き続き努力してほしい。
2012年に再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)ができてから、太陽光発電を設置する人が増えたが、現在、県内でどのくらいの設置台数があるのか。
また、設置台数は将来どれぐらい増える見込みであるのか。
FIT制度の認定では、本年3月末現在、県内には家庭用と事業用合わせて26万件、276万キロワットの太陽光発電設備がある。これは、全国に設置されている太陽光発電設備件数348万件の約7.5パーセント、容量6,094万キロワットの約4.5パーセントに相当する。
県内ではここ数年、年間に約1万5,000件、約20万キロワットの太陽光発電設備が新しく設置されており、今後も設置件数は増加していくと見込んでいる。
2009年に太陽光余剰電力買取制度が開始され、10年の買取り期間を経て2019年に制度が終了した。そのときに太陽光発電を設置した人は既に廃棄を始めており、今後、廃棄量が増加すると思うが、廃棄量の見込みはどのくらいか。
FIT制度は2012年度から始まっており、太陽光発電パネルの耐用年数は20年から30年と言われている。国は、耐用年数を25年とした場合、2040年代に太陽光発電パネルの排出が年間約80万トンに達すると推計している。これを基に県内の排出量を試算すると、ピーク時には年間約3万6,000トンの排出が見込まれる。
廃棄時のリサイクルの状況について伺う。
国の調査によると、現在は全国で太陽光発電パネルは年間4,400トン排出されており、このうち約4分の3に当たる3,400トンがリユースされ、残りの1,000トンがリサイクルまたは処分されている。
これを基に県内の排出量を試算すると、年間約200トンが排出され、そのうち150トンがリユースされ、50トンがリサイクルまたは処分されていると見込んでいる。
国の試算によると、2030年半ばから廃棄がピークを迎える中で、きちんと計画をしなければ、不法投棄になる可能性がある。本来、FIT制度で得たお金から廃棄処分する費用を捻出するが、その認識がない人もおり、県が市町村に向けて周知をしていかなければならない。
国では、法改正も含めて検討されているが、県の考え方を伺う。
FIT制度では、事業用太陽光発電設備については、廃棄等に必要な費用を織り込み、調達額が決定されてきたが、廃棄等費用の積立実施率が低い状況にあった。
このため、国は法律を改正し、来年7月から廃棄等費用を源泉徴収的に積み立てる制度が開始される。この制度は、FITの買取り期間20年間のうち、後半の11年目から20年目まで廃棄等費用として売電額の一部を売電量に応じて源泉徴収的に積み立てるものである。この制度が開始されると、確実に廃棄等費用が積み立てられるため、太陽光発電パネルの適正な処分が担保されていくと考えている。
産業廃棄物とならないよう、適正な廃棄処分について周知徹底をお願いする。
福岡県では、廃棄量のピークを2036年と見込み、本年4月から排出者と運搬業者、リサイクル業者が三位一体となって、運搬業者がリサイクル業者に持っていく仕組みをつくった。
本県として、どのような方針で取組を行うのか。また、現在の具体的な取組を伺う。
不要となった太陽光発電パネルは、まずはリユース、リサイクルをし、リサイクルできないものは、適切に最終処分することが必要と考えている。このため、あいち地域循環圏形成プランおいて、太陽光発電パネルの最終処分量をできる限り低減できるよう、リユース、リサイクルを促進することとしている。
具体的な取組として、プランで掲げたことを受け、県では、愛知県循環型社会形成推進事業費補助金という補助制度において、本年度太陽光発電パネルのリサイクル事業のための施設整備に1件、事業化検討調査に1件の支援をしている。
さらに、これまでも愛知県産業資源循環協会や愛知県建設業協会、県内市町村等と連携して、不適正処理が行われないように監視を行っており、引き続き、不法投棄等の不適正処理を防止していきたい。
環境によいものを設置したのに、それが原因で環境が悪化すれば、無意味なものになるので、周知徹底をしながら、クリーンエネルギーとして活用できるよう、進めてほしい。
環境省がグリーンライフポイント制度を創設する方針を固めた。地球温暖化の防止のため、住まいや食など身近な行動にインセンティブを与えることで、国民のライフスタイルを転換することが狙いであり、よいことだと思う。
容器包装リサイクル法が改正され、レジ袋が有料化されたが、まだレジ袋を購入している人もいる。その実態について、県はどのくらい把握しているのか。
チェーンストア協会やコンビニエンスストアの業界団体の発表によると、レジ袋の有料化が義務化された昨年度には、全国で約75パーセントの消費者がレジ袋を辞退した。
本県では、2007年からレジ袋の削減に協力している取組店を登録したり、表彰する制度を設けており、これらの取組店では、従来からレジ袋を有料化するなどしている。各取組店の報告から試算すると、昨年度は、216店舗のスーパーマーケットにおいて、約3.7億枚のレジ袋が削減できたと推測される。
さらに、コンビニエンスストアでは、レジ袋の有料義務化に伴い、それまでは無料で配布していた状況から有料に変わった。公表されているレジ袋の使用重量や配布率などの全国データを基に実績を試算すると、県内にコンビニエンスストアが約3,500店舗あり、有料化前の状況と昨年度の実績を比較すると、約2.7億枚が削減されたと推測される。
これらを合算すると、本県では、有料義務化の後、少なくとも6.4億万枚以上のレジ袋が削減された。
グリーンライフポイント制度ができて、プラスチック製の使い捨てスプーンなどを辞退すると、ポイントがたまり、そのポイントで買物ができれば、インセンティブになる。まずは、実態を把握することが大事である。
次に、プラスチック資源循環促進法が制定され、レジ袋の削減だけではなく、容器も含め、プラスチックごみの削減を行っていく必要があるが、県の取組について伺う。
プラスチック資源循環促進法は、本年6月に制定され、事業者に対し、環境に配慮した設計について国の認定を受けた製品の製造や、使い捨てとなるワンウエイプラスチックの使用の合理化など、様々な資源循環の取組を促進していくこととしており、来年4月に施行される。
本県では、ごみゼロ社会推進あいち県民会議において、昨年1月に、あいちプラスチックごみゼロ宣言を行い、消費者に向けては、繰り返し使える製品を使用することや、詰め替え製品やプラスチック代替製品を選択して購入することなどを、事業者に対しては、容器やストローの代替や量り売りなど、食品販売時のプラスチック製品を削減することや、簡易包装や紙袋の使用など、物販時のプラスチックを削減することなどを呼びかけている。このほか、動画やカードゲームなどを活用した普及啓発事業などにより、プラスチックごみの削減のための施策を展開している。
また、県内企業の先進的なワンウエイプラスチックごみ削減の取組を、県内に広く知ってもらうために、本年度から、優れた取組を行った事業者に対する表彰制度を設け、表彰も行っている。本年度表彰した4事業者の取組内容は、年内に本県のウェブページで発信していく予定である。
こうした本県の取組はプラスチック資源循環促進法の趣旨にも合致したものであるので、継続して実施することにより、プラスチックごみ削減の機運の醸成に取り組んでいきたい。
優れた取組は積極的に発信し、他者が真似をする動機づけの材料として広めてほしい。
プラスチックの削減も含め、社会全体で環境に配慮する取組を行うためには、県が、今後、小売店や商品を提供する事業者と連携して取り組むことが必要になるが、どのように考えているのか。
プラスチック製品は大変便利であるので、今まで無償で提供され、使い捨てされやすいレジ袋や製品パッケージ、ストローなどに使われてきた。プラスチックごみを削減するためには、こうしたワンウエイプラスチックの過剰なサービスや無駄なものをできるだけ排除し、社会全体で循環型のライフスタイルへ転換していくことが必要である。
このため、先進的な事業者の取組を、環境イベントでのブース出展やセミナーなどで広く紹介し、普及啓発を図るとともに、こうした取組を消費者に知ってもらい、消費者の行動変容につながるよう、事業者と連携した取組を推進していきたい。
そのため、ごみゼロ社会推進あいち県民会議を通じ、プラスチックごみなどのさらなる削減や循環利用に向け、自治体と事業者が連携して様々な主体から意見を聴きながら、地域全体で環境に好影響を与える取組を検討していきたい。
商品やサービスを購入する際に、価格や品質だけでなく、環境への負荷ができるだけ小さいものを優先的に購入するいわゆるグリーン購入の普及と定着を図るため、2002年度から毎年度、愛知県、岐阜県、三重県及び名古屋市からなる東海3県1市の行政、事業者、関係団体が協力し、東海三県一市グリーン購入キャンペーンを実施している。
キャンペーンでは、協力店舗内でポスター等による啓発や、詰め替え商品、環境ラベル商品、地元や旬のものなど対象商品の購入者に、詰め替え洗剤や地産地消商品などが当たる懸賞応募企画を実施している。
本年度は新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受け、キャンペーンは中止としたが、昨年度は61事業者、団体の協賛、協力を得て、3県1市の約4,600店舗でキャンペーンを実施した。
懸賞応募者へのアンケート結果では、地元や旬の野菜が輸送エネルギーなどの面で環境によいとキャンペーンで知った、今後は気にしていきたい、環境ラベルを意識するようになった、子供と一緒にラベルについて勉強しながら購入していきたいなどの回答が得られ、キャンペーンが、グリーン購入の気づきや取組を始めるきっかけになった。
今後の実施に当たっては、協賛企業、協力店舗の意見を聴きながら、より効果的なキャンペーンの在り方について、連携する2県1市と協議していくとともに、グリーン購入による環境への効果をより具体的に示すなど、効果的な啓発についても検討を行い、環境に配慮した消費行動が一層普及、定着するように取り組んでいく。
国の概算要求では、再生エネルギーの発電施設を導入した自治体に最大75パーセント補助する交付金制度を新設したり、二酸化炭素削減につながる高性能エアコンの利用促進や自治体と住民とのEVのシェアリングの支援事業を新しく盛り込むと言われているので、本県としても知恵を絞り、食品ロスや衣類のロス等の解決につながるようなアイデアを考えてほしい。
まだ、概算要求の段階であり、財務省の原案が12月末から1月の頭にかけて示された折に、ネットワークを広げて情報収集に努める。
国が行う事業は各都道府県を経由せず、各業界団体を通じて行う場合もあるので、それも含めて、幅広く情報収集に努め、事業に生かしていきたい。