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石井よしき
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県政報告・石井よしき発言
令和3年
令和3年県民環境委員会
令和3年県民環境委員会
2021年10月1日
石井よしき発言
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(主な質疑)
《議案関係》
【南部文宏委員】
芸術文化センター費の増額補正の理由について、なぜ新型コロナウイルス感染症の影響により減少した利用料金収入相当分の指定管理料を増額するのか。
2:【文化芸術課長】
愛知県芸術劇場では、新型コロナウイルス感染症の影響により、コンサートやイベントの中止、縮小を余儀なくされ、厳しい経営環境にあるイベント事業者や文化芸術団体の活動継続を支援するため、各ホールを来年3月31日までに利用する場合、利用料金の50パーセントを減免している。
また、利用日の6か月前以降のキャンセルは、通常、取消申請のあった日に応じてキャンセル料を徴収しているが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を理由として利用をキャンセルする場合は、キャンセル料を不要として、施設利用料金全額を還付している。
こうした対応に伴い、愛知県芸術劇場の指定管理者である公益財団法人愛知県文化振興事業団では、各ホールの利用料金収入が大幅に減少しており、指定管理業務を行うのに必要な年間の予算が不足する状況である。
県と文化振興事業団で締結している愛知芸術文化センターの管理に関する基本協定では、不可抗力の発生に起因して、文化振興事業団に費用が発生した場合は、合理性が認められる範囲内で県が費用を負担することとなっているため、本年4月以降に発生した減収分や、今後、年度末までに発生する減収額等を見込み、文化振興事業団に対する指定管理料を2億4,500万円追加する補正予算案を提出した。
3:【南部文宏委員】
指定管理者を救済するだけでなく、県内の文化芸術に携わる人を応援する意図があるとのことである。踏み込んだ取組と思うが、他県の劇場や県内の市町村の公設劇場における利用料金減免の実施状況を伺う。
4:【文化芸術課長】
他県の状況であるが、愛知県芸術劇場と同じように、文化庁の劇場・音楽堂等機能強化総合支援事業に採択されている日本トップレベルの15の劇場、ホールの状況を確認したところ、利用料金の50パーセント減免を昨年度実施していたのは5施設であり、本年度も継続して実施しているのは滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール、新潟市民芸術文化会館、北九州芸術劇場の3施設である。
また、県内市町村で、昨年度、市町村立の文化施設の利用料金について減免措置をしていたのは10の市町であり、本年度も引き続き減免措置をしているのは6市町である。
5:【南部文宏委員】
利用料金の減免措置は、県内外でも、あまり実施していない状況である。本県が昨年度に引き続き実施している理由を伺う。
6:【文化芸術課長】
愛知県芸術劇場の利用料金の50パーセント減免については、昨年度の7月1日利用分から実施している。昨年度、この減免措置を開始したときは、公演の内容にかかわらず、ホールの入場者数が50パーセントに制限されていたため、減免率を50パーセントとした。
本年度は、愛知県芸術劇場の各ホールの規模の場合、緊急事態宣言発令時を除き、大声を出さない公演であれば観客を100パーセントとすることができる。
しかし、観客の観覧に対する意識が完全に戻っていないことや、感染予防の観点から客席を満席にする公演が少ないこと、会場でのグッズ販売が制限されていることから、収入減が見込まれるとともに、感染予防対策に必要な消毒液の購入や出演者のPCR検査費用など、従来はかからなかった経費が発生するなど、主催する事業者や文化芸術団体は厳しい経営状況にある。
そのため、愛知県芸術劇場の50パーセント減免措置や、新型コロナウイルスを理由とするキャンセル料の全額還付については、昨年度に引き続き本年度中の利用まで対象としている。
7:《一般質問》
【朝日将貴委員】
来年度開催する国際芸術祭「あいち2022」では、愛知芸術文化センターのほか、一宮市、常滑市、名古屋市の有松地区を会場として開催を予定している。
まず、今回市町村会場となった一宮市、常滑市、名古屋市の有松地区がどのような経緯で会場となったのか伺う。
8:【国際芸術祭推進室長】
国際芸術祭「あいち2022」では、STILL ALIVEのテーマの下、愛知の歴史や地場産業、伝統文化などを視野に入れ、伝統工芸、先住民の芸術表現など、現代芸術の文脈から再考することをコンセプトの一つとしている。
また、愛知の産業史や自然史、社会史などが投影された作品も考慮したいと考えており、文化的歴史の感じられる場所を探すことを念頭に置き、片岡真実芸術監督と事務局とで会場候補地を選び、実際に現地を視察した。その結果、陶芸や染織などの伝統工芸、窯業や繊維業といった地場産業があり、町並みや風景から歴史を感じられる場所であり、今回の国際芸術祭「あいち2022」の開催のイメージに合うことから、一宮市、常滑市、名古屋市の有松地区を会場とした。
9:【朝日将貴委員】
今回の国際芸術祭「あいち2022」では、歴史や地場産業、文化など、現代アートを通じて発信していくということである。会場となる一宮市、常滑市、名古屋市の有松地区の歴史や文化などをどのように発信するのか。
10:【国際芸術祭推進室長】
国際芸術祭「あいち2022」に参加するアーティストの中には、事前に現地を訪れ、その地域の歴史や文化などを調査し、それらを作品制作に反映させる人もいる。国際芸術祭「あいち2022」では、コロナ禍の現状を踏まえると、海外のアーティストが来日して調査することは難しいが、オンラインを活用して調査を行うなどの工夫をしたい。
また、国内のアーティストについては、可能な限り現地を訪問してもらい、作品を通して愛知の歴史や文化などが発信されるようにしていきたい。
また、ラーニング・プログラムで、愛知の歴史や文化などの調査を通してアートを読み解くための基礎体力づくりを行うということで、「愛知と世界を知るためのリサーチ1)監督と学ぶ」と題したプログラムを行っていく。これは、国際芸術祭「あいち2022」の開催の前に、片岡真実芸術監督自身が会場となる一宮市、常滑市、名古屋市の有松地区を中心に、専門家や地域の方々をゲストに迎えて、対談形式で歴史、文化、産業など様々な側面から愛知について学ぶものである。
第1回目として、一宮市の株式会社国島の伊藤正樹相談役から、一宮の繊維産業の歴史について聞いた。この内容は、現在、国際芸術祭「あいち2022」の公式ウェブサイトで公開している。第2回目も、同じく一宮市の真清田神社の宮司や神主と対談しており、その模様を近日中に公開する予定である。今後も、常滑や有松の関係者との対談を行い、順次公開する予定だが、単に会場地の紹介にとどまるものではなく、本県全体の歴史や文化について触れる内容としたい。
このほか、会期中に配布する会場マップは、出展作家、作品の情報だけでなく、地域の観光資源などの情報も盛り込み、来場者がアート作品を楽しみながら、地域の魅力を再発見できるような仕組みを考えていきたい。
11:【朝日将貴委員】
8月下旬に22組の参加アーティストが発表されたが、市町村会場のどの場所で、誰の作品を展示するかなどは決まっているのか。その進捗状況を伺う。
12:【国際芸術祭推進室長】
国際芸術祭「あいち2022」では、現代美術のアーティストは80組程度、パフォーミングアーツは10演目程度を見込んでいる。8月の発表では、まず参加承諾の得られた一部のアーティストを発表し、来年3月末までには、全ての参加アーティストを発表できるよう調整を進める予定としている。
発表済みのアーティストも含め、具体的な展示場所のアイデアを、片岡真実芸術監督は持っているが、候補物件の所有者との調整のほか、物件によっては建築基準法や消防法などの法令確認も必要である。現在、こうした調査や調整を行っている段階であり、場所は確定していない。
また、展示に当たっては、作品と展示場所とのマッチングも重要な要素である。新作を制作するアーティストの場合は、作品の構想に合わせて展示場所を検討する必要があるため、具体的な展示場所の決定が開幕の直前までかかる場合もある。
13:【朝日将貴委員】
記者発表資料によると、連携事業として参加アーティストによる短期間の巡回展示を県内数か所で行うとのことである。
これは、一宮市や常滑市以外の場所なのか。どこを巡回するのか。
14:【国際芸術祭推進室長】
巡回展示は、これまでモバイル・トリエンナーレという名称で、あいちトリエンナーレ2013から行っており、毎回、会期期間中に、本展の会場以外の市町村4か所を巡回し、20組程度の参加アーティストの作品を週末の短期間で展示してきた。
国際芸術祭「あいち2022」でも、これまでと同様に開催したいと考えており、本年7月に市町村に開催希望を募ったところ、10市町から希望があった。現在、希望のあった市町村に対し、会場となる施設の調査を行っている。その結果と地域のバランスを考慮の上、現在選定を進めている。
巡回展示では、国際芸術祭「あいち2022」に参加するアーティストの本展に出展している作品とは別の作品を展示していくため、こうした協議も並行して行い、来年3月末までに開催地と概要の発表を行いたい。
15:【朝日将貴委員】
市町村会場や短期間の巡回展示により、広く県内に展開することが理解できた。国際芸術祭「あいち2022」の開催を通して、最先端の現代アートの魅力を県民に広く親しんでもらうことが重要である。
市町村会場では、現代アートを身近に接することができるいい機会となるため、希望する市町村が、その市町村の規模に関係なく開催できることが望ましい。これまでは、開催地となる市町村に費用負担があると聞いているが、市町村は人口や財政基盤など様々な違いがあり、市町村によって受け止めが変わってくる。
この費用負担により、規模の小さな市町村では、芸術祭の会場となって地域を盛り上げたいと考えても、積極的には手を挙げられない状況である。
開催地となる市町村の費用負担について、県による負担を検討し、多くの県民が現代アートに親しむことができる環境づくりを進めてほしい。
16:【日比たけまさ委員】
インターネットモニタリング事業について伺う。
6月定例議会の委員会において、委託に至った背景や県職員が実施する中で感じていた問題点や課題を質問し、県からは、事業委託の際には事業者の技術、技能を見極めて契約するとの答弁があった。その後、8月23日からインターネットモニタリングを開始したことや、委託事業者がピットクルー株式会社になったことなどを確認した。
そこで、事業者選定の過程や当該事業者の実績について伺う。
17:【人権推進課長】
事業者選定の過程と事業者の実績であるが、今回のインターネットモニタリング事業は、差別を助長する書き込みをいかに検出するかがポイントであるため、単に契約金額の低廉性のみで委託事業者を決定するのではなく、事業者のノウハウや知識、技術を生かした企画や手法等を審査する企画コンペ方式で事業者を選定した。
コンピューターサービス事業者で、インターネット関連サービスを取り扱っている事業者を対象に企画提案書の提出を求めて募集したところ、一社から応募があった。
企画内容の審査に当たっては、人権擁護の観点から、名古屋法務局、愛知県人権擁護委員連合会の職員等を外部委員に迎えて選定委員会を開催し、モニタリングの対象とするメディアが事業の趣旨に合っているか、キーワード検索の実効性は十分であるか、迅速な報告は可能か、類似業務の受託実績はあるかなど、様々な観点から審査を行った。
その結果、岐阜県や福井県など、複数の自治体でインターネットモニタリング事業の受託実績がある事業者を委託事業者として決定した。
18:【日比たけまさ委員】
この事業を開始してから1か月がたった。委託事業者からは、どういう内容の書き込みが報告されているのか。
19:【人権推進課長】
今回のモニタリング事業では、対象とする人権の分野を愛知県内の新型コロナウイルス感染症、同和問題、外国人、障害者に関するものとしている。
新型コロナウイルス感染症に関するものでは、店舗の営業状況や人々の行動など、コロナ対策を十分に行っていないことに対する批判的な書き込みや、コロナ禍におけるイベントの開催やその参加者に対する批判的な書き込みなどが報告されている。同和問題に関するものでは、特定の地域を同和地区であると指摘する書き込みが報告されている。さらに、外国人については、外国人が多く住んでいる地域に関する否定的な書き込みや、外国人の素行に関する批判的な書き込みなどが報告されている。なお、障害者に関する書き込みについては、まだ報告数が少なく、分析ができていない状況である。
事業を開始して約1か月が経過したが、書き込み内容を見ると、明らかに違法性があり、国の人権擁護機関へ削除要請が必要であるとまでは言えないものの、誹謗中傷など有害と考えられる書き込みが多数見られる状況である。
20:【日比たけまさ委員】
こうした報告を受けた書き込みについて、今後どのような対応をしていくのか。
21:【人権推進監】
今回のモニタリング事業の目的は、インターネット上の悪質な書き込み等の実態を把握して防止策等を検討することや、報告された書き込みのうち、削除することが適当と県が判断したものについて、国の人権擁護機関である名古屋法務局に削除要請を行うことである。
これまでに委託事業者から報告を受けた書き込みの中で、同和地区を指摘する書き込みのうち、同和地区の場所を相当程度に範囲を特定するような書き込みについては、法務省が各地方法務局宛に通知したインターネット上の人権侵害情報による人権侵犯事件に関する処理要領など、国の取扱いに照らして削除要請することが適当であると認められるため、名古屋法務局へ削除要請をしていく。その他の書き込みについても、適宜、名古屋法務局と調整の上、必要に応じて削除要請等を行っていく。
また、防止策等については、今後、愛知の人権施策に関する有識者会議でも意見を聴きたいと考えているが、まずは、インターネット上の悪質な書き込みを防止するための啓発として、12月の人権週間を中心とした広報活動において、インターネット上の人権侵害をはじめとした様々な人権課題をテーマにしたポスターを作成し、県内のJRや名鉄の主要駅に掲出するなど、啓発活動にしっかりと取り組んでいく。
さらに、人権課題をコンパクトにまとめたポケットブックを3,000部作成し、本県の人権啓発の拠点施設であるあいち人権啓発プラザ等で配布していく。こうした啓発を粘り強く行うことにより、インターネット上の人権侵害を未然に防止していく。
22:【日比たけまさ委員】
次に、男女共同参画の取組について伺う。
女性活躍推進法は、仕事で活躍したいと希望する全ての女性が、個性や能力を存分に発揮できる社会の実現を目指して2015年8月に成立した。国や自治体、企業などの事業主に対し、女性の活躍状況の把握や課題分析、数値目標の設定、行動計画の策定、公表などが求められ、当初は300人以下の事業主は努力義務とされていたが、来年4月以降、この義務化が101人以上の事業主に拡大される。
そこで、これに伴う県の対応について伺う。
23:【男女共同参画推進課長】
事業主の行動計画の策定については、改正女性活躍推進法が施行される来年の4月までに改正内容を周知し、計画の策定、届出をしてもらうことが必要であるため、昨年と本年の2年間をかけて集中的に事業を展開し、計画的に進めている。
具体的には、改正内容を周知するための説明会の開催、中小企業へ年20社、2年合計で40社に社会保険労務士を派遣し、行動計画の策定に向けた助言、指導を行っている。
また、支援した企業で相談のあった課題、解決策などをQ&A方式にして、あいち女性の活躍促進応援サイトに掲載して、計画策定の参考としてもらえるよう、情報発信している。
改正法の施行日が迫っているため、行動計画の策定、届出を所管している愛知労働局と情報共有し、役割分担をしながら、一層の連携を取り該当する企業への周知や働きかけを行っていく。
24:【日比たけまさ委員】
次に、県民意識の把握について伺う。
本年3月、世界経済フォーラムが国別に男女格差を数値化したジェンダー・ギャップ指数2020が発表され、日本は調査対象となった世界156か国中120位、主要7か国首脳会議(G7)では最下位だった。
男女間のあらゆる格差をなくし、男女共同参画の実現を目指すためには、現状の把握が大切である。県民意識に関する調査をどのように行っているのか伺う。
25:【男女共同参画推進課長】
県では、2019年度に男女共同参画に関する県民意識の変化、企業等における女性活躍の現状や課題などを把握して、次期あいち男女共同参画プラン策定の基礎資料とするとともに、今後の施策推進の参考とすることを目的に、県民意識調査を実施した。この県民意識調査は、プラン策定の前年度に実施しているので、プランの計画期間である5年に1回実施している。
さらに、プラン策定後の2年目に、政策企画局が実施する県政世論調査を活用し、プランの5年間の計画期間で少なくとも2回の調査を行っている。
26:【日比たけまさ委員】
男女共同参画プラン2025には、施策の展開に当たって様々な進捗管理指標が目標値に設けられているが、目標値が設定されていない項目もある。県が取り組む領域を超えたものもあり、例えば、地方議会に占める女性の割合という項目は、県ではなく議員自身がこの現実を重く受け止めて、取組を考えなければならない。
一方で、共働き世帯の夫、妻の1週間の育児・家事関連平均時間や、夫は外で働き妻は家庭を守るべきであるという考え方に反対する人の割合などの項目は、県民文化局として取り組む余地がある。目標値に対する結果で全てを評価するつもりはないが、目標設定があると、取組の進捗度合いや課題などが明確になり、施策の真剣度がより伝わる。この点について県の考えを伺う。
27:【男女共同参画推進課長】
あいち男女共同参画プラン2025には、42の進捗管理指標があり、このうち、共働き世帯の夫、妻の1週間の家事・育児関連平均時間及び夫は外で働き妻は家庭を守るべきであるという考え方に反対する人の割合は、目標値を設定せず、その結果を調査し、公表して推移を見守るとしている。これは、同プランに先立って策定された国の第5次男女共同参画基本計画や本県のあいちビジョン2030において、目標値のない参考指標や進捗管理指標となっていることを踏まえたものである。当該数値は、進捗管理の中で状況をしっかり把握しながら、それぞれの数値が向上するよう意識啓発にしっかり取り組んでいきたい。
28:【日比たけまさ委員】
男女共同参画への取組は、市町村との連携が大変重要である。ジェンダー統計の把握や公表など、市町村ではどのように対応しているのか。また、市町村と県との連携について伺う。
29:【男女共同参画推進課長】
市町村におけるジェンダー統計の把握や公表については、県として正式に調査をしているものではないが、公表されている各市町村の男女共同参画に関する計画を確認したところ、多くの市町村で男女の地位の平等感や固定的な性別役割分担意識、審議会の委員や市町村の管理職の女性の登用率について調査を行い、それを基礎資料として計画策定が行われている。
また、市町村との連携については、本県では、男女共同参画についての情報を共有して、市町村において積極的に取り組んでもらうことを目的に、毎年度、市町村男女共同参画推進担当課長会議や市町村職員を対象にした研修などを開催している。こうした場を活用して、県民意識調査等についても情報共有している。
今後とも、県と市町村が共に施策に取り組むことにより、男女共同参画社会の形成を進めていきたい。
30:【日比たけまさ委員】
コロナ禍におけるジェンダー意識について伺う。この質問に当たって配付した資料は、本年7月に公表された令和3年版厚生労働白書の調査結果の抜粋である。
厚生労働白書では、新型コロナウイルス感染症の蔓延で見えた社会保障の五つの課題が示されており、その一つとして、性差によって負担に偏りが生じない社会づくりが掲げられている。その中に記載されている二つの調査結果とその考察文書を紹介する。
一つ目は、感染拡大に伴う自粛生活により、昨年5月時点の女性の家事・育児時間が、前年の12月と比べ11.7パーセント増え、男性の増加幅3.6パーセントを上回ったとの調査結果である。これを踏まえた考察文書では、我が国では、意識の面でも実態としても、性別役割分担の度合いが他の主要先進国と比べ強いとされるが、女性の育児・家事等の負担が大きい中で、昨年4月から5月の緊急事態宣言下における学校等の一斉休業やテレワークなどの在宅生活への移行は、男性よりも女性に多くの育児・家事等の時間の増加をもたらすこととなったとされている。
二つ目は、感染症による暮らしの変化に伴う人々の生活満足度の変化についての意識調査のうち、家族と過ごす時間の変化と子育てのしやすさ及び生活全体の満足度の低下幅という調査である。感染拡大前と比べて、感染拡大後の満足度は、男性、女性ともに低下している。その上で、この調査結果は、家族と過ごす時間が変化することによる満足度の低下幅が男女によって異なるという点に注目し、以下、厚生労働白書の文章を紹介する。
男性の場合は、家族と過ごす時間が増加したことがプラスに働き、子育てのしやすさの満足度も、生活全体の満足度も低下幅が抑えられた。一方、女性の場合は、家族と過ごす時間が増加したことがマイナスに作用し、子育てのしやすさ満足度も、生活全体の満足度も低下幅が大きいという結果をもたらしている。テレワークを含む在宅時間が増えたことにより、女性の家事・育児の負担の軽減につながるのではないかと期待していたので、この調査結果には衝撃を受けた。
今こそ意識変容を促す取組を強力に進めるべきと考えるが、県としてのこの結果に対する認識と思いを伺う。
31:【女性の活躍促進監】
コロナ禍で女性の家事・育児の負担がかえって高まっていること、併せて、生活の満足度に性差が生じ、女性のほうがマイナスの要素が大きく出ている背景には、家事は女性の役割であるとする固定的な性別役割分担意識が影響していることが考えられる。女性の負担が、本人の意に反して増加し、女性の活躍の妨げや制約となることについては、好ましいことではない。
本県では、これまでも身近なところから男女共同参画を考えてもらえるよう、絵と文字で表現したはがきの募集や、男性の育児から見る男女共同参画をテーマに、女性が活躍できる社会を考えるセミナーなどを実施している。県民意識の調査においても、固定的な性別役割分担意識は、少しずつ変化してきている。
今後は、例えばはがきの募集事業において、家事の分担をテーマとして、固定的な役割分担意識について、県民に改めて考えてもらう取組を検討するなど、しっかりと取り組んでいく。
32:【南部文宏委員】
舞台芸術への支援について伺う。
愛知芸術文化センターに舞台芸術としての会場は、大ホールや小ホール、コンサートホールがあるが、小さな劇団は、より安価で身近にある市町村の施設や民間の施設を利用する。小さな劇団が苦境に陥っている中で、身近にあり、収容人数も手頃な劇場で利用料金を減免してほしいという意見は多いが、県の考えを伺う。
33:【文化芸術課長】
各市町村における施設の利用料金については、財政負担も伴うため、各市町村がそれぞれの事情に応じて判断している。県では、県内の市町村と文化施策に係る情報交換や連携強化を図るため、毎年、市町村文化行政ネットワーク会議を開催している。
本年も7月16日に開催したが、その中で、新型コロナウイルス感染症に対応するために本県が取り組んでいる、愛知芸術文化センターの利用料金の50パーセント減免について紹介した。市町村に対しては、県の取組を参考に、各市町村で文化芸術活動関係者への支援について取り組んでもらうようお願いしたところであり、今後も市町村に県の取組について情報共有を図っていく。
34:【南部文宏委員】
舞台芸術は人が集まるという性質から、新型コロナウイルス感染症の感染リスクの大きい業種と位置づけられており、入場制限があるという点では飲食業界と同じである。舞台芸術に携わる演者や照明、音響、小道具やシナリオ作成などを行う人は、専門職であり、育成には長い時間を要する。廃業する人が多いと聞いているが、本県の舞台芸術を絶やしてはならない。今こそ支えなければならない。
そこで、舞台芸術関係者への独自の支援策について考えを伺う。
35:【文化芸術課長】
舞台芸術関係者への独自の支援策であるが、本県では昨年度、愛知県文化芸術活動応援金を独自に設け、県内で活動する文化芸術活動事業者に交付したが、この交付金は、国の持続化給付金の支給対象であり、今後も県内で活動を継続する意思があることなど一定の要件を満たせば、新たな事業を実施しなくても交付対象として、申請後速やかに審査をして交付をした。交付実績は、法人事業者653件、個人事業者3,660件であり、交付額の総額は4億9,660万円である。
本年度は、緊急事態措置等による不要不急の外出、移動の自粛に伴い、売上げが減少した中小企業者等に対する国の月次支援金や、愛知県中小企業者等応援金一般枠が交付されており、文化芸術活動事業者も要件に該当すれば支援の対象となる。文化芸術活動関係者には、こうした制度をぜひ活用してほしいと考えており、県のホームページや文化芸術団体へ情報提供をするなどし、周知を図っている。
36:【南部文宏委員】
舞台芸術関係者が陰性であれば、客席との間に一定の距離を設けるため、舞台から客席に感染することはない。舞台芸術関係者は、練習中や本番の直前にPCR検査を行うが、これらは本人の自己負担であり、大きな負担となっている。
舞台芸術関係者に対してPCR検査費用の補助ができないのか、考えを伺う。
37:【文化芸術課長】
舞台芸術関係者へのPCR検査費用の補助は、様々な形で舞台に携わっている人がおり、その線引きも難しいことから、実施は難しい。
なお、本県では愛知県文化活動事業費補助金があり、この補助事業に採択された場合には、PCR検査に係る費用も補助対象としている。本年度は125件の申請があり、83件の事業に対して交付決定し、このうち、舞台芸術関係は46件である。
今後もこうした取組を通じ、文化芸術活動関係者の活動を支援していく。
38:【南部文宏委員】
新型コロナウイルスの影響で児童生徒が舞台芸術に触れる機会が減少しており、何らかの対応策を考えてほしい。また、舞台芸術の担い手を絶やさない取組をお願いしたい。
39:【佐波和則委員】
消費者を取り巻く社会経済環境は大きく変化を続けている。特に、インターネット社会の進展は、便利で豊かな消費生活を実現させているが、新たな消費者トラブルも増加している。また、高齢者の消費者被害も深刻であり、来年4月1日から成年年齢の引下げに伴う若年者の消費者被害の増加も懸念されている。
県は、あいち消費者安心プラン2024を策定し、消費者を取り巻く環境変化と課題に対応するため、県と市町村が連携した地域の消費者問題解決力強化、高齢者等を消費者被害から守る見守りネットワークの拡大、成年年齢引下げを踏まえた消費者教育の充実などの取組を推進しているが、民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げる施行日が6か月後に迫っていることも踏まえ、成年年齢の引下げに伴う消費者被害防止に向けたこれまでの取組と今後の施策展開について伺う。
まず、消費生活に関する相談は多様化、複雑化してきているが、県全体の消費生活相談件数はどのような状況で推移しているのか。また、相談体制を充実強化することが重要だが、どのような体制で取組を進めてきたのか。
40:【県民生活課長】
消費生活相談件数について、県及び市町村の相談窓口に寄せられる相談の件数は、2017年度以降、減少傾向であったが、昨年度は、県が1万2,266件、市町村が3万5,825件の合計4万8,091件で、前年度と比べて3,468件、7.8パーセント増加した。これは新型コロナウイルスに関連した相談、例えばマスクの品不足や各種給付金関連、結婚式や旅行などのキャンセル等の相談が多数寄せられたことによるものである。
相談体制の充実強化については、2015年度に消費生活相談の専門窓口となる愛知県消費生活総合センターを設置し、高度な相談対応力を備え、市町村支援機能も併せ持つ地域における中核的相談機関として機能強化を図ってきた。具体的には、携帯電話サービス等の電気通信サービスやインターネット等を利用した電子商取引などの情報通信の分野や、クーリングオフ制度などを定めている特定商取引法といった法律に関する分野など、専門性の高い相談にも対応するため、消費生活相談員による専門分野チームを設置して、調査研究を行っている。
さらに、法律相談を定期的に実施するなど、弁護士等の専門家との協力体制を構築し、相談体制の充実強化を図っている。また、市町村支援として、県の相談員が市町村へ出向く巡回指導や県相談窓口で市町村の相談員が指導を受ける実践研修、市町村相談員との専用ダイヤルである市町村ホットラインなどを設けて助言、指導を行うなど、様々な支援を行っている。
41:【佐波和則委員】
全国の消費生活相談窓口における消費者トラブルの相談は、成人して間もない20代前半で急増する傾向にあると言われており、本県においても同様の傾向にあるが、年代別の相談状況と相談内容の特徴について伺う。
42:【県民生活課長】
年代別の相談であるが、昨年度の契約当事者の年代3区分、一般、高齢者、若者別の相談は、いずれも増加している。
一般からの相談は2万6,178件、前年度比5.1パーセント増、70歳以上の高齢者からの相談は9,125件、前年度比5.4パーセント増である。30歳未満の若者からの相談は7,169件、前年度比11.7パーセント増であり、若者からの相談は増加が著しく、2011年度からの10年間で最多である。特に、成人して間もない20代前半で急増しており、本県でも全国と同様の傾向がある。
相談内容の特徴は、インターネットを通じて得られる情報であるデジタルコンテンツに関するものが増加しており、アダルトサイトや出会い系サイトなどの相談が多い。そのほか、健康食品や化粧品に関する相談において、インターネット通販で1回だけのお試しのつもりで申し込んだら、複数回購入しなければならない定期購入であったという、通信販売に関する相談も増加している。
また、情報商材という副業や投資等で高収入を得るためのノウハウと称して販売される情報、マルチ商法、デート商法に関する相談については、社会経験の少ない若者が狙われる傾向にあり、成人を境として急増している。
43:【佐波和則委員】
若者の消費者教育の推進は極めて重要であり、本県においても消費者庁が作成した消費者教育教材、社会への扉を活用した実践的事業を実施しているが、これまでの実施状況を伺う。
44:【県民生活課長】
消費者庁が作成した消費者教育教材、社会の扉を活用した実践的授業の実施状況については、昨年度は、県立高校は98パーセント、県立特別支援学校は93.5パーセント、私立高校等は92.2パーセントだった。
本年度は、成年年齢引下げを見据え、県内全ての高校で実施されることを目指し、県消費生活総合センターの消費者教育コーディネーターが、消費生活相談員や弁護士などの外部講師の紹介や授業案の作成など、学校における消費者教育を支援している。
45:【佐波和則委員】
これまでの教育の中で100パーセントにならなかったことは残念だが、それぞれの学校において、この社会の扉とは別に教育をしていることもあると認識している。本年度は100パーセントを目指して取り組んでほしい。
次に、消費者被害の未然防止につながる実践的な消費者教育についてであるが、これまでの取組により、成年年齢引下げについては、周知はされているが、18歳、19歳の若者が未成年者取消権を失うことの意味やリスクに関する周知を徹底していくことが必要不可欠であり、若者をはじめ、保護者や教職員に対し、どのような消費者教育を行ってきたのか。また、消費者被害の未然防止に向けて、今後どのように取り組んでいくのか。
46:【県民生活部長】
成年年齢の引下げにより、民法の未成年者取消権の保護がなくなるため、特に18歳、19歳の若者に対する消費者被害の増加が懸念される。本県では、消費生活情報あいち暮らしっくに若者向けの特集号を作成し、若者が巻き込まれやすい消費者トラブル事例や、それに対する対処方法の中身をウェブで配信し、若者やその保護者にも注意を促している。
また、年間で50万ページビューのアクセスがあるウェブページ、あいち暮らしWEBにも若者向けのページを設け、トラブル事例等について知らせている。消費者教育の観点からは、教育委員会と連携し、県立高校3校と特別支援学校1校を消費者教育研究校に指定し、弁護士や消費生活相談員などの外部の専門家の講義などを交えた実践的な消費者教育を行っている。
また、この結果は、あいち消費者教育リポートという形で取りまとめ、県内の中高特別支援学校に配布し、活用してもらうよう働きかけをしている。本年度は、成年年齢の引下げの前年であるため、若者に広く注意を呼びかける直前動画メッセージを作成し、訴求効果の高いユーチューブで配信をしていく。
直前動画メッセージを学校の消費者教育にも使ってもらい、なるべく多くの生徒に注意を呼びかけ、特に新成人となる18歳、19歳の若者を中心に消費者被害の未然防止に力を入れていく。
47:【佐波和則委員】
継続した取組が大切である。今後も県の教育委員会や学校現場など、横のつながりを強化し、これまでの取組をさらに進めるとともに、成年年齢が引き下げられることで、より早い時期から、適切な消費行動に結びつく知識の習得や実践的な能力を育成することが重要である。県は小学校や中学校などの児童生徒の発達段階に応じた消費者教育の充実強化を図るために、積極的に支援してほしい。
48:【谷口知美委員】
愛知県新体育館の建設地から埋蔵文化財が出土したが、その内容と出土の経緯を伺う。
49:【文化財室長】
新体育館の整備に伴い、名古屋市が地下鉄名城公園駅から新体育館整備計画地までの地下鉄連絡通路の工事を行うこととしている。工事場所は、新体育館の整備計画地の東南角となる。
この工事を行うに当たり、名古屋市が工事場所の埋蔵文化財の有無を確認するために、6月末に試掘調査を行ったところ、古墳時代初頭のかめの破片が多数出土した。
50:【谷口知美委員】
埋蔵文化財の出土を踏まえ、今後、愛知県新体育館の建設地ではどのような対応、調査が行われていくのか、スケジュールも含めて伺う。
51:【文化財室長】
今回、新体育館の整備計画地において、古墳時代の土器が出土したため、整備計画地内のほかの場所でも同様に埋蔵文化財が発見される可能性がある。このことを踏まえ、スポーツ局と対応を相談し、新体育館の本体工事着工前の現段階で、新体育館の整備計画地全体を対象にして、早急に試掘調査を行うこととした。試掘調査を行う場所や方法などはほぼ固まっており、今月には試掘調査を始める。現時点の予定では、幅1メートル、長さは五、六メートルから90メートルまでの試掘坑を約50本掘り、地中の調査をしていく。年末までには試掘調査の結果を取りまとめ、その結果、本発掘調査が必要となった場合には、スポーツ局と調整の上、新体育館整備スケジュールへの影響が極力生じないよう、本発掘調査を実施していく。
52:【谷口知美委員】
本発掘調査に至った場合には、スポーツ局と相談をしながらしっかり進めてほしい。
試掘調査に当たり、国や名古屋市との関係や、予算はどうなるのか。
53:【文化財室長】
今回の調査では、名古屋市と既に情報を共有している。試掘調査の結果によっては、文化庁との相談や協議が必要になる。今回の試掘調査のための予算、費用は、スポーツ局の新体育館整備事業の予算の中で行っていく。
54:【谷口知美委員】
予算内でできるということか。
55:【文化財室長】
試掘調査は、スポーツ局の予算で行う。
56:【谷口知美委員】
愛知県新体育館の建設地は名古屋城の近くであるため、何か出土するかもしれないと想定ができたのではないか。今回、新体育館整備の計画の早い段階で、文化財室や埋蔵文化財調査センターは関わったのか。
57:【文化財室長】
新体育館整備計画地は、文化財保護法で規定される埋蔵文化財包蔵地、遺跡ではないため、工事前の届出義務がなく、これに付随する調査は必要ないとされている。ただし、工事中に埋蔵文化財が発見された場合には、工事を一旦止めて、速やかに県の文化財室へ届出の上、対応を協議するとされている。
一方で、今回の新体育館の整備計画地は、江戸時代の絵図を見ると、名古屋城の庭園の一部がかかっていたこと、新体育館の整備計画地から東に100メートルほど離れた場所に弥生時代の遺跡が確認されていることもあり、未発見の埋蔵文化財包蔵地が所在する可能性があったため、文化財室及び埋蔵文化財調査センターとしては、新体育館のPFI業務発注前の昨年6月に、当時の担当であった建築局に対し、文化財保護法上は試掘等の事前調査が必要ないとしても、整備工事中に埋蔵文化財が発見された場合の影響を考えると、事前に試掘調査を行い、埋蔵文化財の有無を確認したほうがよいと意見を提出して協議を行ってきた。
協議では、新体育館の整備計画地が、現在、公園や野球場として使われていることや、野球場を試掘した場合の原状復旧の方法に制約が多いことなどがあり、最終的には、工事中に文化財が発見された場合は速やかに協議をすること、埋蔵文化財の発見により発掘調査が必要となった場合は工事を中断することを条件として、建築局の意見を尊重して、事前の試掘調査は行わないことにした。
しかし、今回、新体育館の整備計画地で古墳時代の土器が出土したことから、新体育館を本年度から所管しているスポーツ局において改めて検討が行われ、新体育館建設工事中に埋蔵文化財が発見されて工事が中断となり、工事の手戻りやスケジュールに支障が生じるようなリスクを避けるために、着工前に試掘調査を実施することとなった。
58:【谷口知美委員】
本発掘調査に至ると多くの人も必要になると聞いているので、その辺りもしっかりと踏まえて取り組んでほしい。もし、遺跡が出てきた場合には、どうなるのかという心配と、何が出土するのかという期待もあるので、アジア競技大会もしっかりと行えるよう想定しながら調整して進めてほしい。
次に、国際芸術祭「あいち2022」について伺う。
片岡真実監督は、以前開催された議員研修会において、現代芸術について日本では教育があまり行われておらず、その魅力が伝わっていないと話していた。
そこで、現代芸術について、県として意義をどのように考えているのか。
59:【国際芸術祭推進室長】
現代アートは、同時代を生きるアーティストが作品や表現方法を通じ、社会の諸問題や地域の歴史、文化についてのメッセージを投げかけており、作品を見る側に、その作品の見た目のすばらしさだけでなく、様々な気づきや考えるきっかけを与えてくれる。また、アーティストが生きているので、アーティストから直接話を聞くことができ、作品によってはその作品の制作に直接参加することができることも現代アートの魅力の一つである。こうした体験を通じ、現代アートだけでなく、様々な芸術に興味を持つことができるようになり、自由な発想や創造性を養うことができる。
国際芸術祭は、世界の様々な地域の歴史や社会、文化を反映した表現に触れる貴重な機会である。多くの人に来場してもらい、世界の最先端の現代アートに触れてもらうとともに、現代社会がいかに多様であるかを実感してほしい。
60:【谷口知美委員】
前回の国際芸術祭で、学校にアーティストを派遣するアーティスト派遣事業があった。津島市の高台寺小学校で、日比野克彦氏を迎えた授業を参観したが、生徒が仲間と作品を作る授業を通して協力し、工夫をする力をつけていた。子供たちは楽しそうであり、芸術について考えるきっかけになったと思う。
今回の片岡真実芸術監督は教育系大学出身ということもあり、現代芸術のラーニングプログラムに力を入れていくということである。子供たちへのプログラムなど、前回と比べて力を入れているプログラムについて伺う。
また、教育委員会など、他部局との連携についても伺う。
61:【国際芸術祭推進室長】
国際芸術祭「あいち2022」のラーニングプログラムは三つの柱に基づき展開していきたい。
一つ目は、一般の方が参加するレクチャーやリサーチなどを行う参加プログラム、二つ目は、学校関係者や児童生徒を対象としたスクールプログラム、三つ目は、芸術祭に関わってもらうボランティア向けのボランティアプログラムである。
このうち、参加プログラムは、現代アートに限らず、愛知の歴史、文化、伝統や、その芸術祭の成り立ちなどについて学ぶ企画を進めていきたいと考えており、アーティストによる美術史講座や、愛知と世界を知るためのリサーチなどを本年度から順次実施していきたい。今回は、参加者だけでなく、このプログラムの内容を原則動画撮影し、公式ウェブサイトで公開することにより、参加者だけでなく、多くの人に学びの機会を提供していきたい。
また、スクールプログラムは、芸術祭の開催に先立ち、まず第1回目の企画として、夏休み期間中に教育委員会の協力を得て、学校関係者を対象として12人に参加してもらい、サマースクールを開催した。この企画では、片岡真実芸術監督によるレクチャーやキュレーターによるワークショップなどを実施し、芸術祭や現代アートについて理解を深めるとともに、アートを用いた学びの手法を体験してもらった。
さらに、国際芸術祭「あいち2022」の開催期間中には、学校向け団体鑑賞プログラムを実施する予定であり、冬以降に、県内の小中学校や高校などに対し募集の案内を送りたい。
今後も、教育委員会の協力を得ながら事業を進め、他部局の事業についても、芸術祭と同時期に開催されるイベントなどを連携事業として位置づけ、相互に協力を行いたい。
62:【谷口知美委員】
その時代の人に直接会い、刺激を受けることが、特に子供たちには大きい体験になる。団体鑑賞プログラムは、子供たちにとって感動につながるプログラムにしてほしいし、そのことが、より一層芸術祭の価値につながると思う。そして、次代を担う人づくりという形で、今求められている自由な発想、多様な発想につながっていくと思う。
また、2000年から始まった越後妻有アートトリエンナーレは、地方で行う芸術祭のモデルになり、大地の芸術祭として、里山の風景の中に現代アートを共存させており、廃校や使っていないトンネル、山や棚田など、自然の景色とともにある芸術作品でインパクトがある。
本県の巡回展示では、豊かな自然との融合のような展開はないのか。また、コンセプトとの関係についても伺う。
63:【国際芸術祭推進室長】
会場の開催地の選定に当たっては、愛知芸術文化センターのある名古屋市以外を含めた県内での広域展開を条件にしており、芸術監督を中心に企画案等を検討してもらっている。あいちトリエンナーレ2019までは、開催を希望する自治体があったため、その自治体を開催地にしてきた。国際芸術祭「あいち2022」では、自治体からの希望がなかったため、芸術監督のテーマ、コンセプトを踏まえて決定した。
越後妻有アートトリエンナーレは、瀬戸内国際芸術祭と並んで里山型の芸術祭として人気があり、本県の国際芸術祭は、横浜トリエンナーレとともに、都市型の芸術祭で、美術館を中心に、空きビルや古民家など、まちなかで作品を展示することにより、日常へのアートの浸透を図っている点が評価されている。
また、本県では、毎回芸術監督を選定し、その回ごとにテーマ、コンセプトを打ち出し、テーマに沿った作品を美術館やまちなかに展示し、その作品を残していないこともあり、そのとき、その場所でしか見られない展示となっており、これも一つの特色となっている。
本県の芸術祭としては、他の芸術祭との差別化という意味でも、基本的には愛知芸術文化センターを中心とした、まちなかでの展開を継続発展させていきたいと考えており、離島や山村など、地域の特色を生かした開催については今後の検討課題としていきたい。
64:【谷口知美委員】
明確なコンセプトの下でやっているとのことであるが、発想の広がりの中で、検討してもらい、より一層よいものにしてほしい。
65:【石井芳樹委員】
陶磁美術館は、2013年に陶磁資料館から陶磁美術館に名称が変わった。来館者は当時、最高で約12万人を記録したが、徐々に減少し、名称を変えることを契機に来館者数を増やしたいという意図があったと認識している。
その後、来館者数はどのようになっているのか。
66:【文化芸術課長】
来館者数は、2013年度の開館35周年に合わせて、名称を陶磁資料館から陶磁美術館に変更し広報活動を強化した結果、2014年度には11万人台に持ち直したが、その後再び減少に転じ、2017年度には6万8,463人まで減少した。そのため、2018年度からは来館者の増加を図るため、展覧会の充実を図るほか、陶磁器の存在によって成り立つお茶や生け花と連携したイベントや、陶磁美術館の建物自体の魅力を発信するイベントなどを実施することにより、来館者は少しずつ増加に転じ、2018年度は7万3,444人、2019年度は7万6,639人であった。
しかし、昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、4月から5月にかけて休館を余儀なくされ、再開後も、外出自粛の影響により来館者数は伸び悩んだことから、開館以来最少の4万9,468人であった。
本年度は、年度当初に開催した展覧会が好評だったこともあり、来館者数は2019年度近くまで回復している。
また、緊急事態宣言も解除されたので、来週の10月9日から開催される特別展などに多くの人に来てもらえるよう取り組んでいる。
67:【石井芳樹委員】
本年度の予算は合計で約4億5,200万円であり、その内訳は職員給与で約1億2,000万円、管理運営費で約2億9,000万円、陶磁美術館整備費で約4,000万円であるが、この中に投資的経費である展示事業費はどのくらい入っているのか。また、毎年の推移はどのようになっているのか。
68:【文化芸術課長】
企画展やイベントの開催に係る事業費は、愛知万博が開催された2005年度には1億円を超えていたが、その後、増減を繰り返し、2018年度は9,703万3,000円、昨年度は8,062万3,000円と年々減少している。予算の減少に伴い、年間の企画展の回数を従来の5回から4回に減らさざるを得ないような状況である。年間に開催する企画展の回数が減少することが来館者の減少につながることは認識しており、本年度は新たに文化庁の助成金を獲得して展示内容の充実に努めているほか、内閣府の地方創生推進交付金を活用して、企画展とは別に現代陶芸魅力発信事業を実施する。
本年度の事業費の予算は、昨年度より約2,600万円多い1億626万4,000円となっており、今後も新たな財源を獲得したい。
69:【石井芳樹委員】
展示の事業費が多いと来場者が多いという相関関係があるということか。
70:【文化芸術課長】
2015年度から2019年度までの5年間の状況を見ると、おおむね、来場者の多い年度は展示に係る事業費も多い。ただし、事業費が多くても来場者数が少ない場合もあるため、必ず増加するとまでは言えない。
71:【石井芳樹委員】
モリコロパークのもりの学舎では学校関係者を呼んでいると思うが、陶磁美術館では、コロナ禍の前、学校関係者や生徒がどれくらい来ていたのか。
また、コロナ禍における現状についても伺う。
72:【文化芸術課長】
学校関係者や生徒は、作品鑑賞で利用してもらう場合と、陶芸体験で利用してもらう場合がある。
作品鑑賞での利用は、2016年度は4校、137人であったが、2019年度には22校、1,276人まで増えた。昨年度は、コロナ禍の影響もあり10校、524人であり、本年度は9月末現在で4校、144人である。
陶芸体験での利用は、2016年度から2018年度までの3年間は、毎年70校以上、約4,000人であった。2019年度はコロナの影響で年度末にキャンセルが出たことにより若干減り、さらに昨年度は26校、1,715人まで減少した。本年度は、9月末現在で19校、852人である。
73:【石井芳樹委員】
もりの学舎の場合、モリコロパークは長久手市にあるが、長久手市の小学校は利用が少ない。遠くの学校が来ることが多いが、本来であれば、近いところの生徒たちが来て、生徒が大きくなったら身近に通ってもらう。そして遠心的に、どんどん広がっていくのが美しい形と思う。
教育委員会のプログラムの都合など様々な事情はあると思うが、利用する学校はどのような地域が多いのか。
74:【文化芸術課長】
近隣の学校が多いとまでは言い切れない状況であり、名古屋市や尾張地域からも来ている。その地域と比べると、瀬戸市の学校の数は少ない状況である。
75:【石井芳樹委員】
瀬戸市といえば瀬戸焼、陶磁器であり、近隣の学校から理解をもらえるよう努力をしていくことが大事である。コロナ禍で大変な中、来場者数も一昨年度並みになり、非常に努力をしていることはよく理解した。
コロナ禍にあって、来場者をどのように確保していくのか伺う。
76:【文化芸術課長】
陶磁美術館では、新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえ、新たにオンライン配信や、SNSを活用した効果的な情報発信に取り組んでいる。
まず、オンライン配信については、昨年度外出を控えた人にも展覧会を見てもらえるよう、動画配信サービス、ニコニコ動画を提供するドワンゴ株式会社と連携し、二つの展覧会の模様を配信した。この配信では、延べ3万7,000人に視聴してもらい、これまで来館したことがない人にも展覧会を見てもらうことができた。
次に、SNSを活用した情報発信については、職員が効果的にインスタグラムやツイッターで情報発信できるようにするため、昨年度、民間業者に委託して、SNSアクションプランを策定し、現在、プランに基づいて日替わりで職員が情報を発信している。
その結果、陶磁美術館のインスタグラムのフォロワー数は、2019年度に約1,000人であったのが現在は1,900人、ツイッターのフォロワー数は、2019年度に約700人だったのが現在は1,350人と伸びてきており、特に来館者に占める割合が少ない若い世代向けの情報発信を強化していきたい。
今後は、オンライン配信やSNSを見た人に、実際に足を運んでもらえるように展示の充実に取り組んでいきたいと考えており、本年度は現代陶芸魅力発信事業として、現在西館で展示している瀬戸・美濃地域を中心に制作された約200体の陶製のこま犬コレクションを本館1階のロビーに移設し、来年1月からロビーの空間全体を生かしたインスタレーション作品として常設展示していく予定である。本館を訪れた際に最初に目にする場所であるため、写真を撮ってSNSで発信したくなるような、魅力ある展示にしていきたい。
また、来年1月から3月にかけては、若手の現代陶芸作家6人の新作を本館の通路や屋外に展示する予定であり、これもSNSなどを活用してPRしていく。
77:【石井芳樹委員】
2019年に伊藤嘉章氏が総長に就任したことが非常に大きいと思う。
経歴を見ると、東京国立博物館や京都国立博物館、九州国立博物館の副館長を務めるなど、様々な経験を持つ人が本県で手腕を振るうのは非常に大きいと思うが、総長が就任してどのような変化が生じたのか。
78:【文化芸術課長】
伊藤嘉章総長が就任してから3年目だが、その効果は主に2点挙げられる。
1点目は、展示内容の充実、レベルアップである。伊藤嘉章総長の豊富な知識、経験や、他の博物館や研究機関との広い人的ネットワークを活用することで、企画展の展示内容の充実が図られている。例えば10月9日から始まる特別展に併せて、館の所蔵品を活用した特集展示を行うが、伊藤嘉章総長のネットワークにより東京国立博物館などの特別協力を得て、東京国立博物館の所蔵する重要美術品1点を含む9点を併せて展示する。さらに、その展示において、重要美術品のレプリカを手に取ると、本物を8Kで撮影した鮮明な映像が連動して動き、まるで本物を触っているかのような感覚を体験できる展示も行う。また、伊藤嘉章総長就任後の展覧会では、来館者から展示が見やすくなった、キャプションの解説文が分かりやすくなったという声をもらっている。
2点目は、学芸員の資質向上、意識改革である。陶磁美術館には現在、副館長をはじめとする9人の学芸員がいるが、若い学芸員も多く、展覧会や資料収集などの学芸業務に対応してもらうためには経験不足な面もある。総長からは学芸員に対して様々なアドバイスがされており、総長の指導を受けて企画した展覧会が好評だったことから、もっといい展覧会を開催したい、多くの方にもっと見てもらいたいと、学芸員の意欲が高まっており、展示の充実につながっている。
79:【石井芳樹委員】
陶磁美術館を訪れると、陶器の知識だけでなく、それに関連した歴史も含めて教えてもらえるなど、学芸員はすばらしい。学芸員の人数を見ると2010年から現在まで9人である。学芸員もスキルが高い人がずっといるわけではなく、退職により変わっていく。年によっては大きく変わっていくときもあると思うが、学芸員の力量の平均化、標準化については、どのように努力をしているのか。
80:【文化芸術課長】
学芸員の力量の標準化について、2010年度以降では7人が退職して新たに6人を採用、残る1人は臨時的任用職員で対応している。新人にいきなり展覧会を任せるわけにはいかないので、採用すると、まずは先輩職員、ベテラン学芸員のアシスタントとし、様々な業務を経験してもらい、徐々に副担当として企画展を任せ、早ければ3年目ぐらいから、企画展の主担当、特別展の主担当というような形でやってもらっており、学芸員の入れ替わりによって展覧会に差が出ないように努めている。
81:【石井芳樹委員】
陶磁美術館は他県の美術館と比べて非常に大きく、陶磁器が好きな人であっても見て回るのに疲れてしまうほど展示物が多い。展示物が多いのはすばらしいが、陶磁美術館は本館のほかに南館と西館があり、雨の日だと南館と西館には傘を差して行かなければならない。高齢者や足の悪い人は南館や西館には行かないと思う。雨の日に傘を差して、南館、西館に行くことについて、どのように捉えているのか伺う。
82:【文化芸術課長】
本館から南館までは歩いて約5分はかかり、雨が降ったときに傘を差して移動する以外方法はないが、そういうときでも南館に行ってみたいと思ってもらえる展示内容にしたり、案内表示のデザインを外部の専門家に委託して検討し、敷地内の案内表示のデザインを順次直していく。
83:【石井芳樹委員】
いろいろな人から寄附を受け、大きくしてきたという成り立ちは理解しているので、動線は工夫してほしい。陶磁美術館と同じような施設は全国に八つあり、八つのうち三つが指定管理により運営されているが、指定管理は考えているのか。
84:【文化芸術課長】
本県の陶磁美術館への指定管理者制度の導入は、2011年度から2012年度にかけて、学芸部門を除いた施設管理業務を中心に民間企業から聞き取りをするなどして、指定管理者制度の導入の可能性を検討した。
その結果、陶磁美術館は、その当時で既に管理運営に係る業務委託の大部分を長期継続契約とするなど、経費を大幅に削減しており、制度導入による経費削減効果を見込めないことから導入を見送った。
85:【石井芳樹委員】
国際芸術祭について、常滑市が市町村会場として選ばれ、その理由として、本県の誇る歴史、地場産業、伝統文化の再発見というコンセプトがあると聞いている。その意味では、瀬戸焼も同じぐらい知名度があると思う。
以前、国際芸術祭を愛知芸術文化センターや岡崎市、豊橋市でやるので、地下鉄東山線やリニモ、愛知環状鉄道も一つの会場として、その中間点に陶磁美術館を使い、県内を周遊するように見せたらどうかと提案したことがある。県の答弁では、総監督の意向にもよるとの話があったが、せっかく常滑市が会場になるのであれば、陶磁美術館も何らか関わっていくべきと思うが、どうか。
86:【文化芸術課長】
国際芸術祭の会場の一つに常滑市が選ばれたことは、芸術監督がこの地域に受け継がれてきた陶磁器、陶芸の文化について何らかの形で表現したいという理由だと考えている。そうしたことを考えると、常滑市と同様に、日本遺産に登録された六古窯の一つである瀬戸市に立地する陶磁美術館でも、国際芸術祭のタイミングに合わせて、この地域に伝わる陶磁文化を積極的に発信していく必要がある。
現在、来年度に向けて企画を詰めているが、瀬戸にゆかりのある作家をはじめとした本県内の作家を中心に、現代陶芸作品の制作を依頼し、完成した作品を敷地内に展示する展覧会を開催していきたい。国際芸術祭に来る人にも見てもらえる現代陶芸の展覧会を開催することで、この地域に受け継がれてきた陶磁文化の魅力を発信していきたい。
87:【石井芳樹委員】
来年はジブリパークが開業する。ジブリパークに来た人にも、陶磁美術館に寄ってもらえるような仕組みづくりについて伺う。
88:【文化芸術課長】
ジブリパークを目的に県内外から多くの人が訪れるので、陶磁美術館の存在をPRし、来館者の増加につなげていきたい。
具体的には、陶磁美術館の駐車場は、ジブリパークの開業に伴い、愛・地球博記念公園の臨時駐車場として利用されることも想定している。陶磁美術館の駐車場を利用してもらうことで、陶磁美術館の存在を知ってもらうとともに、大人から子供まで陶芸体験をしてもらえる楽しい施設であることなどをPRし、改めて陶磁美術館での観覧、体験を目的に訪れてもらえるように取り組んでいきたい。
またジブリパークの開業に伴い、陶磁美術館周辺の交通量の増加が見込まることから、陶磁美術館に隣接する県道を通行する車両に対して陶磁美術館をPRしていきたい。現状では、陶磁美術館の建物が県道から離れているので、県道を通行する車両に陶磁美術館があることをPRできていない状況にある。ジブリパークを目的地として通行する車両にもPRできるよう、目について分かりやすい案内看板を設置する方向で調整していく。さらに、ジブリパークを中心とした観光周遊コースに陶磁美術館での陶芸体験を加えてもらえるよう、働きかけをしていきたい。
89:【石井芳樹委員】
ジブリパークに来た人に、陶磁美術館に来館してもらうのは恐らく難しいと思う。ジブリパークでは相当歩かなければならず、その後に陶磁美術館に来てもらうことは考え難い。
しかし、陶磁美術館の駐車場に車をとめた人に、陶磁美術館があるということをしっかりPRをし、次はジブリパークではなく陶磁美術館に行こうと思う人を増やすことが、来場者のさらなる増加につながる。
一方、気になるのは、リニモの駅名が陶磁資料館南駅となっていることである。本来であれば、陶磁美術館南駅に変えなければならない。陶磁美術館と名称を変更した2013年から8年がたっているが、何か意図があるのか。
90:【文化芸術課長】
リニモの陶磁資料館南駅という名前を変更するには非常に多大な経費がかかり、その予算が確保できていないという状況である。
91:【石井芳樹委員】
陶磁資料館の名前を陶磁美術館に変えた理由を考えると、駅名だけ変更していないというのは、その整合性が問われるし、地元の人たちも疑問に思っている。PRをすればするほどそういう問題は顕著に出てくると思う。費用対効果もあるが、駅名の変更もぜひ検討してほしい。
三鷹の森のジブリ美術館では、外国人の来館者が平日は約3割、休日は約5割と聞いた。外国人、特にヨーロッパは文化、歴史を重んじる風土がある中で、陶磁美術館は価値のあるものを展示しているので、来てもらえる可能性があると思う。
外国人向けの発信も今後行っていかなければいけないと思うが、どうか。
92:【文化部長】
本年4月に陶磁美術館で開催した特別展、「海を渡った古伊万里~ウィーン、ロースドルフ城の悲劇~」でも紹介したとおり、昔から日本の陶磁器はヨーロッパ等で非常に珍重されており、当地におけるオールドノリタケや瀬戸ノベルティなども海外で人気がある。
また、来年ジブリパークが開業するが、ジブリは海外でも人気の高いコンテンツであるので、このジブリパーク開業に合わせて海外の人が多く来場すると期待される。そうした機会を捉え、海外でも人気の高い陶磁器の専門美術館である陶磁美術館を知ってもらい、この地域の陶磁文化のすばらしさを世界に発信できるよう、例えばジブリパークに来る人、特に外国人の観光周遊コースに陶磁美術館での陶芸体験を入れてもらうなどの働きかけを積極的に取り組んでいきたい。
93:【石井芳樹委員】
独自の文化は外国人に興味を持って見てもらえると思うので、国内のみならず海外にも目を向け、今後ともグローバルにPRしてほしい。
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