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県政報告・石井よしき発言
令和3年
令和3年県民環境委員会
令和3年県民環境委員会
2021年6月28日
石井よしき発言
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(主な質疑)
《一般質問》
【朝日将貴委員】
2017年6月に国内で初めて確認された特定外来生物ヒアリは、本年5月末現在、東京都、大阪府、愛知県など16都道府県で、65事例が確認されている。
本県では、2017年6月30日に名古屋港の鍋田埠頭コンテナターミナルの敷地内で、国内3事例目となるヒアリが確認され、昨年9月には11例目として、名古屋港の事業者の敷地内などで女王アリを含むヒアリ約1,700個体が確認された。
ヒアリは、本県はじめ関係者により駆除が進められているが、定着のリスクが高まっている。一度ヒアリの定着を許してしまうと、その根絶は極めて困難であるため、侵入した初期の段階で徹底した駆除を実施するなど初動が大切である。
そこで、本県におけるヒアリの確認状況を伺う。
2:【自然環境課担当課長(自然環境)】
本県でのヒアリの確認は、2017年6月30日の初確認から2019年度までは、コンテナや倉庫などでの確認事例のみであったが、11例目となる昨年9月には、歩道や事業者敷地内で女王アリを含む1,700個体以上が確認された。昨年10月18日、12事例目となる名古屋港飛島埠頭のコンテナヤードでの確認を最後に、新たな事例はない。
3:【朝日将貴委員】
ヒアリの根絶は、本県だけの対応では難しい。関係機関と協力、連携することが大切だが、その際の対策の基本的な考え方を伺う。
4:【自然環境課担当課長(自然環境)】
一度ヒアリの定着を許してしまうと分布の拡大を止められず、根絶は難しくなり、県民の暮らしや生態系などにも大きな影響が出て、取り返しがつかなくなる。
また、全国のヒアリの確認事例を見ると、定着国などからコンテナに付着し、国内に侵入してくるため、海外からの物資の玄関となる港湾施設での水際対策が大変重要である。
このため、環境省はヒアリ対策を取りまとめたマニュアル、ヒアリの防除に関する基本的な考え方を示している。このマニュアルに基づき、ヒアリ発見時の確実な防除や侵入・拡散防止に向け、国が中心となって、ヒアリが分布している海外からの定期航路を有する主要港湾で、定期的に侵入状況の調査を実施し、発見された際には緊急駆除と継続的な監視調査を行っている。
本県では、地元市町村、名古屋港管理組合等関係機関と連携し、国の行う現地調査等に協力するとともに、県民に向けた情報発信を行っている。
5:【朝日将貴委員】
オーストラリアや中国、台湾などでは初期防除に失敗しており、安全性の担保ができない上に、数百億円規模の対策予算を講じており、その被害は甚大である。
その中で、世界唯一初期防除に成功している国がニュージーランドである。
根絶達成の要因は、定着範囲が拡大する前の侵入初期段階で駆除したことであり、発見ポイントから1キロメートル範囲内の目視とトラップによる調査、さらに空港から5キロメートル範囲内の植え込みや畑地など高リスクエリアもトラップ調査を実施するなどにより、生息エリアを特定し、根絶を達成している。
このような成功例も踏まえて、基本的な考えの下、これまでどのような取組を行ってきたのか。また、今後どのように取り組んでいくのか。
6:【自然環境課担当課長(自然環境)】
現地調査については、ヒアリ発見の2017年以降、国は東京港、名古屋港など68港湾を対象に、夏、秋に年2回の確認調査を実施してきた。また、ヒアリが確認された場所及びその周辺において殺虫餌を継続的に設置し、確認地点周辺において生息状況を調査してきた。
名古屋港管理組合では、独自調査として、名古屋港鍋田埠頭や弥富埠頭においても、2017年以降、二、三か月に1回、生息調査等を継続的に実施してきた。
本県及び地元市町村ではこれらの調査や駆除活動において、港湾地域のコンテナ集積場、その周辺の地面などにおいて、ヒアリの侵入監視と生息状況の把握を、国や名古屋港管理組合と一緒に取り組んできた。
情報発信については、国は電話相談の窓口として、ヒアリダイヤルを設置するとともに、ヒアリの見分け方や注意点を取りまとめたヒアリ同定マニュアルやパンフレット、ストップ・ザ・ヒアリなどにより注意喚起を行ってきた。
本県ではホームページを通じた県民への注意喚起、県民からの問合せ窓口の設置等を行った。問合せ窓口では、2017年からこれまで508件の問合せがあり、その大半はヒアリかどうかの相談であったが、このうち3件はヒアリ発見の貴重な情報元となった。
このほか、経済団体、運送事業者等への注意喚起や協力要請を行ってきた。さらに、海外での貨物の積込み時における予防的防除が実施されるよう、関係国等に働きかけることなどについて国へ要請してきた。
ヒアリへの対応は、まだ生息数の少ない侵入初期に発見し、徹底的な防除により地域から完全に排除すること、いわゆる早期発見、早期防除が重要であるため、今後とも国をはじめ関係機関と連携協力し、本県への定着を許さぬよう水際対策にしっかりと取り組んでいく。
7:【朝日将貴委員】
ニュージーランドやオーストラリアでは、新車の輸出入の際、かなり厳しく洗浄をしている。そのような対策を講じていくのが正しい姿勢と考えており、引き続き関係機関とも連携してほしい。
8:【日比たけまさ委員】
環境分野における企業との連携について伺う。
本年2月に行われたSDGs AICHI EXPO2020において、企業とどのような連携をしたのか。また、本年10月に開催予定のSDGs AICHI EXPO2021ではどのような取組を行うのか。
9:【環境政策課担当課長(企画・法規)】
SDGs達成には、企業をはじめとする多様な主体がSDGsを理解し主体的に行動する必要があるため、主体間のパートナーシップの構築や行動変容のきっかけづくりを目的に、SDGs AICHI EXPOを開催している。このエキスポは、県をはじめ経済や学術団体、NPO、国際機関等から成る実行委員会を設立し、各主体と連携して開催している。
オンライン開催となったSDGs AICHI EXPO2020では、本エキスポの公式サイト上に42の企業がSDGsの取組をPRした。また、オンラインイベントとして、池上彰氏によるSDGsに関する講演や、水素エネルギー社会実現に向けたシンポジウム等を開催し、約2万1,800人の視聴があった。
本年度は県国際展示場で10月22日及び23日の開催に向け、現在、ブース出展する企業や協賛企業を募集している。本年度のテーマは、地球・まち・ひとが共生できる社会へ、多世代パートナーシップでつくるSDGsあいちである。
昨年度、開催がオンラインとなったことにより実現が難しかった各主体のネットワーク構築に向け、出展者同士で優れたブースや取組内容を投票し、互いの活動を知る機会を通じてパートナーシップを構築したいと考えており、連携を重視したSDGs推進フェアとしたい。
10:【日比たけまさ委員】
企業ではESG経営をはじめ環境分野への取組に関心が高まっており、意欲のある中小企業も多い。本県におけるESG経営の周知について、環境分野に貢献したいが、その方法がわからずに悩んでいる企業に対する県の関わり方について伺う。
11:【環境政策課担当課長(企画・法規)】
第5次環境基本計画では目指すべき姿の一つとして、環境課題の解決と企業の利益を同時に実現するという考え方が定着し、環境ビジネスやESG投資が拡大するなど、環境と経済成長が好循環するあいちを目標として掲げている。この目標の実現に向け、企業に対しESG投資や環境の取組を促す事業を実施している。
ESG投資については、SDGs AICHI EXPO2020において、環境金融コンサルティングの第一人者である吉高まり氏によるSDGsとESG投資をテーマとした特別セミナーを行い、ESGという理念の普及に努めている。
一方、環境への取組を促すため、社会人を対象としたあいち環境塾において、持続可能な社会づくりのための知識や環境の視点で考え合意形成する力を習得し、さらには、塾生同士の交流を深め、お互いの視野を広げてもらうよう取り組んでいる。
また、環境保全基金条例に基づき創設した環境保全基金に、企業が寄附することによって環境貢献できる制度もある。県ではこの基金を財源として、様々な環境保全活動を実施している。さらに、自然保護活動を希望する企業と県が協定を締結し、海上の森自然環境保全地域において希少な動植物の生息生育環境を改善するために、周辺樹木の伐採を共同で実施している。
これらの事業やイベント等により、企業の自主的・積極的な取組を促進していく。
12:【日比たけまさ委員】
次に、環境政策推進における原動力として、若者の活用について伺う。
若い世代は環境分野への関心が高いと思うが、若い力と企業との連携といった観点から、県の取組について伺う。
13:【環境政策課担当課長(企画・法規)】
本県では、未就学児からシニアまで世代に応じた環境学習を推進しており、若い世代が企業と連携する取組として、かがやけ☆あいちサスティナ研究所と生物多様性あいち学生プロジェクトがある。
かがやけ☆あいちサスティナ研究所は、研究員である大学生がパートナー企業から提示された環境課題に対し企業の先進的な環境の取組を学んだり、企業の現場で調査し、企業担当者と議論することにより解決策を提案する事業である。2015年度の事業開始から昨年度までの6年間で26大学220人の大学生が参加し、パートナー企業30社にも参画してもらっている。
生物多様性あいち学生プロジェクトは、生物多様性の保全に向け2019年度からユース世代が企業等と連携して外来種駆除やビオトープ整備等に取り組んでおり、この取組から、オール愛知で生物多様性保全に取り組む学生団体GAIAが立ち上がるなど、連携の輪が広がっている。
このように、若い世代が企業と連携して社会における実際の環境課題に向き合い、関係者との議論あるいは指導を受けながら活動する機会を設けることは、若い世代の力を大きく育てていく上で大変重要であると考えている。
14:【日比たけまさ委員】
企業との連携に向けては、新たな展開も必要だと考えるが、今後、どのような取組を考えているのか。
15:【環境政策課長】
企業のSDGsの取組をさらに促進するためには、企業等のSDGsに係る先進的な取組事例を伝えて発信すること、情報を得たい人には、優良な取組が効率的に調べられること、知恵を持っている企業、大学、NPO等がマッチングをして一緒に取り組んでいくことが必要である。
SDGs AICHI EXPOはその一つの機会であるが、常設の基盤となるプラットフォームが必要であると考えており、本年度から取組を進めている。
この中核となるのは、取組に関するデータベースであり、企業、金融機関、大学、NPO、自治体等の多様な主体におけるSDGsの取組やESG投資に係る情報を格納していくことが基本であり、本年度、データベースの機能の検討を行い、来年度、データベースを構築し、運用を開始する。本年度は、データベースの構築のための事例調査や、企業の意識改革を促すためのESG投資に関するセミナーも併せて実施していく。
このプラットフォームの構築と運用を通じて、企業、金融機関、大学、NPO、自治体等の多様な主体が連携したSDGsの取組を促進していく。
16:【日比たけまさ委員】
カーボンニュートラルの実現に向けても、企業との連携が大変重要である。
先日、設置が公表されたあいちカーボンニュートラル戦略会議では、本県のカーボンニュートラル実現に向けた動きを加速するため、幅広い事業、企画、アイデアを企業団体から募集するとのことだが、企業、団体への周知はどのように行っていくのか。
17:【地球温暖化対策課担当課長(温暖化対策)】
県内外に広く周知するため、知事自らが会見の場で発表し、併せて募集要項をウェブページに掲載し、新聞にも取り上げられた。
今後とも、県の様々な広報媒体を活用することに加え、民間団体から依頼される地球温暖化対策等に関する研修会等の場で周知を図り、民間の技術、ノウハウを生かした多くの提案を得られるよう努めていく。
18:【日比たけまさ委員】
カーボンニュートラルの実現に向けた新たな取組を追求する背景の一つに、地球温暖化対策の推進に関する法律の改正が挙げられる。
法改正に伴い、県としてどのようなことに取り組むのか。また、あいち地球温暖化防止戦略2030はどのように見直すのか。
19:【地球温暖化対策課担当課長(温暖化対策)】
地球温暖化対策の推進に関する法律の改正の内容は主に3点あり、1点目がパリ協定及び2050年カーボンニュートラル宣言等を踏まえた基本理念の新設、2点目が地球の再生可能エネルギーを活用し、脱炭素化を促進する事業を推進するための計画・認定制度の創設、3点目が本法で義務づけられている企業の温室効果ガス排出量の国への報告を原則電子化するものである。
これらのうち、特に二つ目の内容が自治体に影響を与え、県に対して再生可能エネルギーの導入目標等の設定が義務化されるとともに、市町村における再生可能エネルギーを活用した促進地域の設定に関する環境配慮の基準を、環境省令に即して定めることができるとされており、本年度中に、国はこの詳細について、省令の改正やガイドラインの整備を行うこととしている。
また、国は本年4月に2030年度の温室効果ガスの削減目標を2013年度比で、これまでの26パーセントから46パーセントまで大幅に引き上げることを表明した。同時に、地球温暖化対策計画やエネルギー基本計画の見直しの検討を進めており、46パーセント削減のための具体的な対策や、その削減量の積み上げを行っている。
こうした国の動きに対応し、本県においても、あいち地球温暖化防止戦略2030で目標としている2013年度比26パーセントの削減目標の修正が必要となってくるので、国の動向を注視しながら、適切に対応していきたい。
20:【日比たけまさ委員】
昨年の12月定例議会で、大村秀章知事から、本県は日本一のモノづくり県であるからこそ、環境分野でもトップランナーであるべきであり、持続可能な社会を構築するリーディングモデルを、本県から牽引するといった力強い答弁があった。
今後は環境局の枠を超えた取組も必要になってくるので、ぜひ環境局がその中心となって取り組んでほしい。
21:【神戸健太郎委員】
鳥獣の保護管理について伺う。
一宮市では、多数のカラスが住宅地の電線や屋根瓦に集まってきて、その鳴き声やふんに悩まされているという声をよく聞く。また、一宮駅前の街路樹には多数のムクドリが集まってきて、駅前広場では会話も聞こえないほどである。
こうしたことは県内各地で発生していると思われるが、カラスやムクドリの鳥獣保護管理法上の位置づけについて伺う。あわせて、被害を防除するために行政ができる対策には、どのようなことがあるのか伺う。
22:【自然環境課担当課長(自然環境)】
鳥獣保護管理法は鳥類と哺乳類に属する野生動物を適切に保護管理することを目的としたものであり、カラスやムクドリも対象に含まれる。
この法律では、原則、鳥獣の捕獲は禁止されているが、生活環境や農林水産業、生態系に係る被害の防止を図るために、許可を得て捕獲ができることとされている。
本県では、鳥獣保護管理法に基づき、計画期間を5年とした第12次の鳥獣保護管理事業計画を2017年4月に作成した。この計画では、人と鳥獣の適切な関係を構築し、生物多様性を維持するため、減少が問題となっているものはその保護を、増え過ぎて問題となっているものは適切に管理するため捕獲を行うこととしている。
この計画では、生活や農業に大きな影響を及ぼす鳥獣は、その生息数を低下させるために、実際に被害が生じている場合だけではなく、被害のおそれのある場合にも許可を得て捕獲ができることとなっており、カラスは県内の全域で、ムクドリは一宮市をはじめ平野部の15市でその対象となっている。
行政が行う被害防除対策は、生活面や農業での被害状況を把握し、関係機関と情報共有するとともに、捕獲事業の実施や、農業関係者、地域住民への啓発などである。
23:【神戸健太郎委員】
実際に県内でどれぐらいの数量の捕獲を行っているのか。また、捕獲以外に、被害を防除するための対応はどのようなことを行っているのか。
24:【自然環境課担当課長(自然環境)】
各市町村では、カラスやムクドリによる生活環境、農業、生態系への被害に対処するため、捕獲と被害防除の両面で対策を行っている。
捕獲については、被害を受けた者が許可を得て行うもののほか、市町村の事業として実施している例がある。これらを合わせ、県内全体でカラスは年間7,000羽程度、ムクドリは年間2,000から3,000羽程度を捕獲している。
カラスのごみ散乱対策については、市町村において、ごみ出しルールの啓発やごみ散乱防止ネットの提供、貸出しが行われている。ムクドリが集団をつくり問題になっている場所では、ねぐらとする木の剪定や鷹による追い払いが行われている例もある。
このように、地域の住民から寄せられた情報を基に、市町村では個々の事情に合わせて対応がなされている。
25:【神戸健太郎委員】
第12次の鳥獣保護管理事業計画には、野鳥の保護に影響を及ぼす安易な餌付けの防止に努める、生ごみや未収穫作物等の不適切な管理や耕作放棄地の放棄等がないように地域住民に対する普及啓発に努めるなどと書かれているが、その具体的な取組内容を伺う。
26:【自然環境課担当課長(自然環境)】
野生鳥獣への接し方については、野生のものは野生のままに、が原則である。安易な餌づけは餌を目当てに集まるカラスやムクドリなどの鳴き声、ふん尿、羽毛の飛散、攻撃、威嚇等により、周辺の生活環境等へ影響を及ぼす。また、人から餌を与えられることに依存し、自ら自然の中で餌を探す能力が低下するだけでなく、増え過ぎたりして生態系に悪い影響を与えるおそれがある。このため、多くの市町村では安易に餌づけをしないことや、ごみ出しルール等の啓発が行われている。
未収穫作物の適切な管理等については、本県の各農林水産事務所の普及指導員が現地で指導したり、地域で開催される勉強会へ出席するなどして啓発している。
さらに、本県では生物多様性の保全のために、県民向けのリーフレット、私たちにできることを作成し、その中で野生生物に餌を与えないことなどを呼びかけている。
今後とも、本県のホームページの掲載や様々な広報機会を捉え、分かりやすい啓発を行う。
27:【神戸健太郎委員】
カラス対策は、環境保全という観点からは環境局が、農作物を守るという観点からは農業水産局が担当している。他県でも、どちらの局が担当するかは様々であり、環境局がカラス対策全般にわたる専用のコーナーを設けていたり、農林水産部局がイノシシや鹿などへの対策と併記する形でカラスへの対策を取り上げている例もある。
環境局が農業水産局等と連携し、他県の例も参考にしながら、住民向けのマニュアルを作ったり、ホームページを充実させるなどしてほしい。
鳥獣対策の最前線に立つのは市町村であるが、市町村任せにするのではなく、各市町村に共通する部分は県が主導したり、足りない部分は補ったりするなどの取組も必要ではないかと考える。
28:【佐波和則委員】
プラスチックの資源循環促進法への対応について伺う。
昨年1月、県は消費者、事業者、行政が取り組むべき事項を取りまとめたあいちプラスチックごみゼロ宣言を発表したが、県内におけるペットボトル及びプラスチック製容器包装の回収状況はどのようになっているのか。また、プラスチックの廃棄物の課題についてどのように考えているのか。
29:【資源循環推進課担当課長(循環・一般廃棄物)】
容器包装リサイクル法に基づく2019年度の回収実績は、ペットボトルは県内全市町村で約2万トン、プラスチック製容器包装は50市町村で約6万トンである。
プラスチック廃棄物の課題としては、既に制度化されているペットボトル、トレーなど容器包装の回収において、排出者による分別が正しく行われていないことや、分別された場合でも、リサイクルに適さない異物が混入・付着していることなどがある。
さらに、今回の新法で新たに対象となる様々なプラスチック製品の廃棄物については、リサイクルをどのような方策・技術で実現させていくのかが大きな課題と考えている。
30:【佐波和則委員】
県民、事業者等の意識向上、行動の促進など、これまで様々な取組が行われてきたが、その内容と成果について伺う。
31:【資源循環推進課担当課長(循環・一般廃棄物)】
県民の意識向上に関しては、従来からイベント等で実施しているプラスチックごみを含む海洋ごみの問題を理解してもらう動画や、カードゲームなどを活用した環境学習プログラムなどの啓発事業を行っており、昨年は二つの中学校でプログラムを活用した授業を行い、合計で425人の生徒に体験してもらった。
一方、事業者に向けては、2007年度からレジ袋削減に協力した店舗に表彰を行っており、これまでに延べ291店舗を表彰している。2018年度にはこうした削減の取組により、1年間で約3億枚のレジ袋を削減できた。本年度は、新たに使い捨てとなるワンウェイプラスチックのごみの削減取組についても、表彰を実施していきたい。
また、従来からの先導的な循環ビジネスを促進するためにセミナーを実施しているが、本年3月には、プラスチックをめぐる環境問題への取組をテーマとした講演と、再生プラスチック技術の先進事例の紹介を併せたオンラインのセミナーを開催し、約300人の参加があった。
32:【佐波和則委員】
県は昨年度、プラスチック製品等の製造メーカー、使用事業者、リサイクル業者などに対して、アンケートやヒアリングを実施したと聞いている。その結果、どのような課題が明らかになったのか。また、課題解決に向けて今後どのように取り組んでいくのか。
33:【資源循環推進課担当課長(循環・一般廃棄物)】
昨年度、プラスチックの製造や加工、販売、リサイクルなどを行っている県内の事業者にアンケートやヒアリングを実施し、各ステージにおける状況や課題を把握した。
製造加工関係の事業者からの回答では、再生された原料はその価格が新品よりも高いこと、発生元や品質が不明であること、安定して確保することが難しいことなどの理由で敬遠されており、リサイクルが進んでいないことが分かった。
また、リサイクル関係の事業者からの回答では、金属やガラスなど異なる素材とプラスチックの分離が非常に困難であること、紙製シールなど異物の除去に手間やコストがかかることなどがリサイクルを実施する上で課題となっていることが分かった。
こうした課題の解消に向けて、製造段階から廃棄後の再利用を意識した製品開発を行うほか、ライフサイクル全体を視野に入れながら、再生原料の製造コストやCO2排出量も考慮した方法を選択するなど、プラスチック資源を循環させる経済の仕組み、いわゆるサーキュラーエコノミーの実現に向けた検討をしっかり行う必要がある。
このため本年度は、あいち地域循環圏形成プランの改定に向けた検討の中で、有識者の意見を聞きながらプラスチックを循環利用する、新たな循環ビジネスモデルを考案・提示することとしており、県内の事業者を巻き込み、実現を図っていきたい。
34:【佐波和則委員】
今回の新法では、メーカー等が努めるべき環境配慮設計に関する指針を策定し、この指針に適合した製品であることを認定する制度の新設や、小売業や飲食店などへ、使い捨てのスプーンやストローなどプラスチック製品の提供の削減を求めること、家庭から排出されるプラスチック製品を市町村が分別回収、再商品化する仕組みを設けることなど、まさに多様化したプラスチック資源の高度な循環利用を促進していくことが大きな課題であると考えるが、県として、今後どのように対応するのか。
35:【資源循環推進課担当課長(循環・一般廃棄物)】
今回の法律では都道府県の責務として、市町村への技術的援助及び国の施策に準じたプラスチックに係る資源循環の促進等に必要な措置を講じるよう努めることと規定されており、まずは市町村に対し、プラスチック使用製品廃棄物の分別収集等が円滑に進むよう、意見交換や情報共有の場を設けていく。
事業者に対しては、昨年度から先導的、効果的な循環の取組を支援する循環型社会形成推進事業費補助金の補助メニューに、廃プラスチック処理施設の整備に関する事業を追加しており、昨年度は、製造工程の改善によるプラスチック廃棄物の削減や、従来は再生が困難であったプラスチックのリサイクル技術の導入など3件の事業に補助を行っている。
本年度も同様の補助メニューに対する申請を既に受け付けており、現在、採択に向けた審査を行っている。
また、県内の優れた環境技術や事業を表彰している愛知環境賞では、昨年度15件の表彰を行ったが、このうち5件がプラスチック関係の表彰であった。こうした補助金や環境賞の事業から、プラスチック資源の循環利用に貢献する企業が多数現れることを期待している。
さらに本年度は、プラスチック製品の設計段階からプラスチックの使用を削減する先進事例などを紹介する事業者向けのオンラインセミナーを開催するとともに、このオンラインセミナーの内容を県民にも公開するなど、様々な手段や機会を通じて、プラスチックごみの重要性や深刻性を分かりやすい形で訴えていく。
今後も国が策定する基本方針や政省令の動向を注視しながら、効果的な事業体系をしっかり検討して対応していく。
36:【佐波和則委員】
プラスチックは社会的な問題になっており、事業者や消費者の関心は高い。分別の難しさ等も大きな課題であるため、周知徹底や啓発活動を引き続き行ってほしい。
プラスチック製品の代替品が大きく期待されているので、先を見据えた施策を展開してほしい。
37:【石井芳樹委員】
カーボンニュートラルの実現に向けた動きが世界中で加速している。本県でも本年3月にあいち自動車ゼロエミッション化加速プランを策定し、EV・PHVの普及加速に向けて取組を進めてきた。
一方で、先日、中日新聞には、充電設備の老朽化による撤去が相次ぎ、整備を進めてきて初めて設置基数が減少したという記事があった。今後の次世代自動車の普及に向けて残念な状況である。
本県では自動車の電動化を進めるに当たり、どのように取り組んでいるのか。
38:【地球温暖化対策課担当課長(温暖化対策)】
自動車の導入においては、本県独自の自動車税の課税免除制度により、EV・PHV・FCVの保有に対し優遇を行ってきた。さらに、旅客・貨物運送事業者、中小企業等の事業者に対して、EV等の次世代自動車の導入に係る経費の一部の補助を行ってきた。こうした取組により、昨年3月には、EV・PHVの登録車の保有台数は2万4,155台で、全国1位である。
一方、充電インフラについては、本県では2009年に経済産業省のEV・PHVタウンのモデル地域に選定され、電力会社や充電器メーカー、市町村など幅広い分野の関係者で構成するあいちEV・PHV普及ネットワークを設立するとともに、愛知県次世代自動車充電インフラ整備・配置計画を策定し、整備促進に取り組んできた。
県として、充電インフラへの補助制度はないが、充電設備の導入に当たっての留意事項や国の補助制度の紹介、整備・運用方針を記した実務的な手引書として、愛知県次世代自動車充電インフラ整備・運用ガイドラインを策定するなど、支援を行ってきた。その結果、充電設備は昨年度末で1,269箇所、1,948基と、ガソリンスタンド数と遜色ないところまで整備が進み、おおむね県内での空白地帯はなくなっている。
39:【石井芳樹委員】
国は昨年にEV・PHVの保有台数を最大100万台にするという目標を定めた。実際は26万台にとどまっているが、県としてはその目標台数を達成しているのか。今後どのような形で増やしていくのか。
40:【地球温暖化対策課担当課長(温暖化対策)】
2019年度末でEV・PHV・FCVで2万5,294台、うちEVは9,053台、PHVが1万5,102台、FCVが1,139台となっている。
41:【石井芳樹委員】
おおむね計画どおりに推移しているということか。
42:【地球温暖化対策課担当課長(温暖化対策)】
2018年度の県の実績は、新車販売台数のうちEV・PHV・FCVの割合は1.4パーセントであり、やや鈍化している。
43:【石井芳樹委員】
特にEVの場合、充電スタンドが整備されないと普及していかない。
公共施設が率先して整備をしていくことが大事だと思うが、市町村が設置している台数を伺う。
44:【地球温暖化対策課担当課長(温暖化対策)】
e-Mobility Powerに加盟提携している公共施設での県内の充電器の状況は、急速充電器が4基、普通の充電器が27基である。
45:【石井芳樹委員】
中日新聞の記事によると、日本全国で3万基ある充電スタンドが昨年1,000基ほど減少した。2012年から国が積極的に補助をして充電設備を増やしてきたが、充電設備の寿命が8年から10年と言われる中で、多くの設備が更新期を迎えている。
今後、多くの設備が更新期を迎えるが、県としてどのような対応を行うのか。
46:【地球温暖化対策課長】
電力会社や自動車メーカー、充電器メーカー、駐車場の関係者、市町村などで構成するあいちEV・PHV普及ネットワークの構成員に設置を働きかけていく。
先日、国から成長戦略が示されたが、かなり高い目標が示され、国の取組も加速化すると期待をしており、国にも設置の支援、拡充を働きかけていきたい。
47:【石井芳樹委員】
今後、多くの設備が更新期を迎える中で、戦略を抜本的に考える必要がある。
県本庁舎や環境調査センターの充電スタンドはどちらも赤字であり、設置すればするほど赤字になる。
この点が、公共施設で充電スタンドが増えない理由だと思うが、どのように考えているのか。
48:【地球温暖化対策課担当課長(温暖化対策)】
充電設備の設置に当たっては、基礎充電を行う集合住宅や事業所等、外出先の経路において継ぎ足し充電を行うサービスエリアや道の駅等、目的地となる商業施設や公共施設等それぞれに対して国の補助制度が設けられている。
維持管理などの運用面では、大規模小売店等、充電施設を有する施設の大部分は、全国的な充電ネットワークであるe-Mobility Powerと契約し、電気代権利金として一部費用の還付を受ける形を取っている。こうした施設では、設置者が顧客・利用者サービスの一環として、また、EV・PHVの普及に向けた社会的意義を理解し、維持管理に係る負担を承知の上で運用しているのが現状であるが、充電設備の運用に係る負担軽減に関しても、国に働きかけていきたい。
49:【石井芳樹委員】
コロナ禍で民間が経済的に大きなダメージを受けている中で、本県が率先して、モリコロパークを含めて設置を進めていく必要がある。条例改正等の課題もあると承知しているが、環境局としてどのように考えているのか。
50:【地球温暖化対策課長】
モリコロパーク等の施設への充電設備の設置については、都市公園条例の改正など様々な課題はあると聞いている。県の施設でも設置の必要性は感じているため、公共施設の建て替えや整備に併せて、関係部局に対し、設置を働きかけていきたい。
51:【石井芳樹委員】
利用料金や条例の改正という様々な問題を抜本的に考えて解決しなければ、カーボンニュートラルについて本県が遅れを取る可能性がある。来年度開業を予定しているジブリパークは、環境万博を行った地域であり、そこに充電ステーションがないのはどうかと思う。
本県には多くの都市公園があり、条例改正が必要であれば、環境局が主体となり、関係部局に対して働きかけてほしいと考えるが、どうか。
52:【環境局長】
現在、本県において、EV・PHV・FCVは約2万5,000台で、全国1位であるが、裏を返せば、まだ2万5,000台だけといえる。
これまで、自動車については補助事業や課税免除で台数を確保してきた。充電インフラは県庁本庁舎と環境調査センターに設置しており、今回、知多総合庁舎においても、電気自動車を導入する。
県営公園については、他局と情報共有をしており、様々な可能性も含めて働きかけていきたい。
53:【富田昭雄委員】
カーボンニュートラルに向けた取組として、住宅もしっかりと整備をする必要がある。
住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助金の補助件数と、全体の太陽光発電施設の導入台数について伺う。
54:【地球温暖化対策課担当課長(温暖化対策)】
現在、46市町村と住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助金の中で協調補助をしており、昨年は6,611件、1億3,100万円ほどの補助実績であった。
2003年からこの補助制度を始めており、18年間の累計は約10万9,000件の実績となっている。本県は、都道府県の中でも日照時間が長いという土地柄もあり、住宅用太陽光発電施設は昨年12月末現在で約21万3,000件、93万8,000キロワットの導入実績であり、件数、導入容量とも全国1位である。
55:【富田昭雄委員】
新築の家は環境に配慮した住宅が増えてきて、太陽光発電設備をつけると思うが、固定価格買取(FIT)制度がはやった時期に買った設備は老朽化して使えないところもある。今設置されているものも含め、設備を今後どう活用していくのか。
56:【地球温暖化対策課担当課長(温暖化対策)】
住宅用太陽光発電施設は、2019年11月以降、FIT制度に基づく10年間の買取り期間が満了している。
国は、FITから自立する電源、いわゆる卒FIT電源を活用して、自立・分散型エネルギーシステムの構築を進める観点から、買取り期間の終了とその後のオプションとなる自家消費または相対・自由契約について、広報・周知を行っている。
本県としては、卒FIT電源を蓄電池や電気自動車等充給電設備と組み合わせ、余すことなく自家消費を進めることで地域内の脱炭素化に貢献できることから、自家消費を促すよう蓄電池等の導入についても補助メニューに加え、進めている。
卒FIT電源の自家消費については、家庭部門の温室効果ガス削減を図る好機と捉えており、昨年度には県のホームページなどの広報媒体を通じ、買取り期間の満了や蓄電池の導入補助の活用について広報を行ってきた。
今後とも、太陽光発電設備等が地域の自立電源として有効活用されるよう、市町村と連携し、太陽光発電施設をはじめ再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んでいく。
57:【富田昭雄委員】
詐欺まがいの業者がはびこらないよう、正しい情報を提供してほしい。
豊田市がおいでんエネルギーという、充電をつけることを条件に、無料で太陽光パネルをつけるという取組を行っている。これは、初期投資が要らず、大変いいことだと思うが、家庭用の再生エネルギー促進について、県の考えを伺う。
58:【地球温暖化対策課担当課長(温暖化対策)】
豊田市や、三河の山里課題解決ファームなど、現在、県内ではそのような地域内での脱炭素化に有効な、地域の再生可能エネルギーの地産地消に向けて動きが少しずつ進んでいる。
本年度は県内での再生可能エネルギー地産地消の具体事例の創出に向けて、地域の脱炭素化の担い手となる県内自治体と事業者との連携により、課題の抽出や解決等の検討、採算性の検証という事業化検討調査を行い、得られた成果を県内の市町村等に提供することとしている。
市町村や事業者と一体となり、再生可能エネルギーの地産地消を推進し、地域の温室効果ガス排出量の削減につなげていきたい。
59:【富田昭雄委員】
住宅用の再生可能エネルギーの取組についても、しっかりと県として全体を見通しながら、民間と連携して進めてほしい。
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