県政報告
(主な質疑)
- 1:【石井芳樹委員】
ヤードにおける盗難自動車の解体の防止に関する条例(ヤード条例)について伺う。
愛知県では、平成15年が戦後最多の刑法犯認知件数を記録した年であり、そのころから約4分の1に縮減されているが、種目別で見るとまだまだ刑法犯認知件数は多く、自動車盗が毎年、認知件数の上位である。
そのような中で、実際にヤードと呼ばれる施設と自動車盗との関連性はどの程度あるのか伺う。
- 2:【国際捜査課長】
2018年の都道府県別ヤード把握数は、多い順に、千葉県、茨城県、埼玉県、愛知県、神奈川県となっている。一方、自動車盗の認知件数は、多い順に、茨城県、大阪府、千葉県、愛知県、埼玉県となっていることから、ヤードが多い県では、自動車盗の認知件数も多いという関係が認められる。
このような関係の背景として、自動車盗の犯人にとっては、盗んだ自動車を近くのヤードに運び込むことで、移動中に警察に発見される危険が低く、処分する効率がよいこと、また、悪質な解体業者にとっては、数多くある正規のヤードに紛れ潜在化しやすいことが考えられる。
- 3:【石井芳樹委員】
この条例について、他の都道府県における制定状況はどのようになっているか、また、制定されている適用実績はどうなっているか。
- 4:【国際捜査課長】
本年5月現在、いわゆるヤード条例は、千葉県で2015年4月に、茨城県で2017年4月にそれぞれ施行されており、当県は全国で3例目となる。
各県の条例の適用実績については、条例の施行により、届け出、立ち入り、条例違反事件の検挙などで実績を上げていると承知している。
- 5:【石井芳樹委員】
千葉県、茨城県でヤード条例が施行されているが、この両県における自動車盗の抑止効果はどうか。
- 6:【国際捜査課長】
千葉県では、条例が施行された2015年とその前年との自動車盗認知件数を比較すると、マイナス569件、約30パーセントの減少となっている。また、条例が施行されてからの4年間では、全体として減少傾向が見られ、条例施行前の2014年と2018年とを比較すると、マイナス966件、約50パーセントの減少となっている。
一方、茨城県では、条例が施行された2017年と、その前年とを比較すると、マイナス193件、約12パーセントの減少となっている。なお、施行翌年の2018年については、プラス94件、約7パーセント増加したものの、施行前と比較すれば減少している。
これらから、条例制定が両県において自動車盗の抑止に一定の効果を上げていると考えている。
- 7:【石井芳樹委員】
両県とも条例を定めることによって自動車盗が減ったという効果がしっかり出ているということは確認させてもった。
その中で、愛知県が定めるこのヤード条例の特色は何か。
- 8:【国際捜査課長】
これまで本県において、ヤードで盗難自動車を解体していた者については、主に刑法の罪で検挙していたが、過去に行った違法な行為について刑事責任を問うのみであり、将来にわたって繰り返し盗難自動車の解体をさせない仕組みはなかった。
また、既にヤード条例が施行されている県でも、違反者に対して罰則による刑事責任を問うにとどまり、悪質業者が検挙されても、再び盗難自動車の解体を行ったり、別の悪質業者が同じヤードを借り受けたりすることを防ぐことが困難であった。
そこで、本条例においては、将来に向けた悪質なヤード排除による犯罪インフラ根絶のための行政処分や地権者対策を盛り込むこととした。
まず、公安委員会が、一定の要件のもとに自動車解体業の停止命令をすることができると規定し、将来に向かって悪質なヤードを排除することを可能としている。
また、自動車解体業者に土地等を貸しつけている者についても、盗難自動車の解体の防止に向けた責務を規定するだけでなく、当該土地等で盗難自動車の解体が行われていた場合には、貸しつけている者に対して必要な措置を講ずるよう勧告することができるとするなど、地権者対策として、違法なヤードを排除していく仕組みを設けている。
このほかにも、他県にない規程を盛り込むことで、実態把握の強化と巧妙化する手口に対応できるものとなっている。
- 9:【石井芳樹委員】
そのような特色を含めて、どのような効果が期待できると考えているか。
- 10:【国際捜査課長】
第1に、条例の施行や周知活動によって、県民にヤードの存在を広く知ってもらい、ヤードで行われていることに関心を持ってもらうこと、第2に、ヤードに対する規制により盗難自動車が持ち込まれることを防止し、自動車を盗もうとする犯人にとって、犯罪をしがたく感じさせる環境を整備することにより、自動車の盗難防止に資する効果があると考えている。
- 11:【石井芳樹委員】
最後に、自動車盗難の防止に対する決意及び意見等を伺う。
- 12:【刑事部長】
自動車盗については、盗難自動車が、不正に解体され海外に輸出されたり、侵入盗などの別の犯罪に利用されているという状況がある。
このように、自動車盗は、被害額が多額であることも問題だが、それにも増して、盗難自動車自体が他の犯罪を誘発したり、不正に売却されて得た犯罪収益がまた他の犯罪に利用されたりすることが問題であり、自動車盗が治安に及ぼす影響は非常に大きい。
こうした状況を受け、県警察では、現在、組織的な自動車盗の窃盗グループの摘発を強化しており、また、自動車の所有者等に対する広報啓発活動や防犯指導等を行っている。
このような対策に加え、本条例は、処分先となる自動車解体業者に対してさまざまな規制を加えるものであり、盗難自動車の不正な取引を遮断することが趣旨である。そのために、本条例が成立した暁には、自動車の盗難防止に向けた新たなアプローチをとることができ、これまでの対策と一体となって、総合的な自動車対策を行うことが可能である。
県警察としては、本条例を初めとした各種法令等を積極的に活用することにより、自動車盗そのものの抑止に努めることはもとより、自動車盗を起因とした各種犯罪の抑止を推進していく。
今後も安心して暮らせる安全な愛知の確立に向けた努力を、引き続き行っていきたい。
- 13:《一般質問》
【中村竜彦委員】
今月16日、大阪府吹田市の千里山交番前で、警察官が男に胸を包丁で刺された上、実弾の入った拳銃を奪われるという事件が発生した。ほかにも、昨年6月には富山県富山市で、9月には宮城県仙台市で、警察官の拳銃を狙って交番が襲撃される事件が発生するなど、警察官が死傷する事件が近年多発し、また、大きく報道されることもあり、県民も大変不安に思っている。
そこで、愛知県内の交番を襲撃から守るための対応策について、どのように取り組まれているのか伺う。
- 14:【地域総務課長】
県民の身近で活動する地域警察官と警察活動の拠点である交番、駐在所の安全を確保することは、地域の治安を守るために不可欠であり、これまでも不断の取り組みを推進してきたが、交番襲撃事件や拳銃奪取事件が全国的に相次いで発生している現状に鑑み、一層の対策強化を図っている。
主な取り組みとしては、勤務中、常に周囲の状況を観察すること、来訪者等の動静を注視することや防護衣の着装を徹底させることに加え、さまざまな状況を想定した実践的な訓練を重ねることで、警戒意識を高めるとともに、不意の攻撃への対処能力の向上を図っている。
また、交番、駐在所施設についても、防犯カメラや緊急事態発生時に警察本部通信指令室や管轄警察署に直ちに通報できる機器を整備するなど、各種セキュリティー機器の充実を図っているほか、事務室内の机等を効果的に配置したり、防犯性能の高いカウンターの設置を急いだりするなど、施設面におけるセキュリティーも一層強化している。
今後もこれらの各対策を総合的に推進し、安全対策を徹底していきたい。
- 15:【中村竜彦委員】
宮城県仙台市の事件を受けて警察庁が配備を進めている新型拳銃入れであるホルスターについて、愛知県の配備状況はどうか。
- 16:【装備課長】
新型拳銃入れについては、警察庁から一定数配分され、本年4月下旬から着装している。
- 17:【長江正成委員】
愛知県は平成17年1月から総合文書管理システムを使って、保存文書をファイル管理簿として電子化し、リスト化しているが、今後、廃棄される文書のリストを警察本部として公表すべきと考えるが、考えを伺う。
また、平成17年より前に作成された文書についても、考えを伺う。
- 18:【警務課長】
公文書の取り扱いについては、国や県の取り扱いに準拠して、愛知県警察行政文書管理規程を制定し、適正に行っている。したがって、廃棄される文書のリストについては、県と同様、作成や公表はしていない。
ただし、県警察でも、行政文書は行政文書ファイルで整理した上で、行政文書ファイル管理簿を作成しており、その当該管理簿において、保存期間や満了日を公表しているため、廃棄される文書を確認することは可能となっている。
また、総合文書管理システム適用以前の文書のうち、愛知県情報公開条例施行後の平成13年4月1日から平成16年12月31日までの間に作成された行政文書についても、それぞれの所管所属で紙媒体で管理し、行政文書ファイル管理簿として、保存期間や満了日を公表している。
- 19:【長江正成委員】
長期保存文書を破棄する際に、第三者によるチェックを受けるべきと考えるが、考えを伺う。
また、一定の保存期間が過ぎた行政文書を破棄するときの基準があるか伺う。
- 20:【警務課長】
長期保存文書については、原則として、保存期間を延長する。
ただし、所管所属長が保存期間を延長する必要がないと判断した場合は、長期保存文書の保管を主管する総務課長の承認を受けた上で、保存期間満了時に廃棄する。
第三者によるチェックについては、現時点で導入の予定はないが、所管所属長による保存期間の延長の判断や、総務課長による破棄の承認を適切に行っていくとともに、公文書管理に精通した職員の育成、資質の向上などに努め、行政文書の適正な管理に努めていく。
- 21:【長江正成委員】
公文書を電子化すると、整理する手間が省け、また、業務もより効率的になると考えるが、そのためには、警察本部としてどのような検討を行う必要があるか確認したい。
- 22:【警務課長】
県警察では、国や県と同様、法令等の制約が存在する場合や、電子化によって、かえって業務が煩雑、非効率となる場合については、紙媒体での保存が併用されている。
今後も、押印された行政文書を電子媒体に変換する場合の取り扱いや、紙媒体と電子媒体が混在する場合の管理方策などについて、国や県の取り組みを参考にしながら、文書事務の電子化による業務の効率化が図られるよう、適切に対応していきたい。
- 23:【長江正成委員】
個人が所有しているアカウントでのメール文書について、行政文書に該当するのか、確認したい。もし、該当する場合、どのように警察本部としてメール文書を管理しているか伺いたい。
- 24:【警務課長】
行政文書の定義については、愛知県情報公開条例や愛知県警察行政文書管理規程により、実施機関の職員が職務上作成し、または取得した文書及び図画並びに電子的記録であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が管理しているものと規定されている。
したがって、メール文書がこの定義に該当すれば、行政文書に該当することとなるため、愛知県警察行政文書管理規程に基づいて、適切に管理する。
- 25:【長江正成委員】
電子メールは、もともと紙媒体ではなく非常に保存がしやすいため、廃棄しなくとも長期間保存ができる状態だと考える。
仮に、別に電子メールだけ基準を定めたとしても、警察本部の業務が煩雑になるとは思えないが、電子メールだけ別に規程等を設ける考えはないか。
- 26:【警務課長】
電子メールであっても、行政文書の定義に該当すれば、他の行政文書と同様に、愛知県警察行政文書管理規程に基づいて保存することが適当であるため、基準を別に定める必要はないと考えている。
- 27:【長江正成委員】
警察職員の文書管理状況に対する人事評価について伺いたい。
- 28:【警務課長】
県警察の人事評価制度については、業績評価と能力評価の二つで構成している。行政文書管理規程等に則り適正に文書を管理することは、能力評価において評価される。
能力評価では、職級に応じて、5又は6項目の評価項目を設けているが、適切な文書管理については、警視以上の職員であれば倫理、組織統率や人材育成の項目において、警部以下の職員であれば倫理の項目において、評価を受ける。
今後とも、人事評価制度の運用を通じて、適正な業務処理を行うことに対する職員の意識を高めていきたい。
- 29:【天野正基委員】
現在、愛知県におけるドローン飛行の規制区域はどの範囲で、どのような場所が規制区域となるか伺いたい。
- 30:【生活経済課長】
航空法では、空港などの周辺空域、地表または水面から150メートル以上の高さの空域、人口集中地区の上空の飛行が禁止されている。また、愛知県都市公園条例などの条例では、公園上空の飛行が禁止されている。
このほか、国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律では、外国公館、防衛関係施設などの周辺上空が飛行禁止場所として個別に指定されているが、現時点で、愛知県内には、この法律による飛行禁止場所の指定はない。
- 31:【天野正基委員】
規制区域内における、現在までの検挙状況、また、罪を犯す動機を伺いたい。
- 32:【生活経済課長】
検挙状況については、2017年は4件で6人、昨年は3件で3人、本年は5月末現在で、4件で4人となっており、既に昨年中の検挙数を上回っている。また、検挙した11件については、いずれも航空法違反によるものであった。
動機については、上空からの景色を見たい、撮影したい、あるいは単に飛ばしてみたいという欲求を満たすためであり、別の犯罪を企てる目的で飛行をさせたものではなかった。
- 33:【天野正基委員】
お祭りなど、人口密集地域で、万一、悪意を持ってドローンを落下させた場合、多大な人的被害が出る可能性は高いと言われており、対策を強化する必要がある。
そのためには、高性能ドローンやドローンを動かす高度な技術を持った人材が必要である。
県警察におけるドローンを使用したテロへの対策について伺う。
- 34:【警備課長】
県警察においては、違法ドローンの飛行を防止するため、対象施設周辺における地上警戒などにより、飛行中の違法ドローンの早期発見に努めるとともに、飛行している違法ドローンを発見した場合には、資機材を活用するなどして、危険を未然に防ぐこととしている。
- 35:【天野正基委員】
全国植樹祭は警察の尽力によって無事に終えることができた。本年は、9月にはラグビーワールドカップ2019日本大会、11月にはG20外相会合など、重要なイベントが開催されるため、全国植樹祭の経験を生かし、ドローンによるテロ対策を強化してほしい。
また、平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の法改正により、ドローンの飛行が禁止されるエリアは、大会組織委員会の要請に基づいて期間を定め、文部科学大臣が指定した大会会場などの周辺上空、または国土交通大臣が指定した空港の周辺上空とされるとのことである。
ラグビーワールドカップ2019日本大会が開催される豊田スタジアムが飛行禁止区域に指定されるかどうかは不透明だが、多数の観客が集まるため対策が必要と考える。
そこで、ラグビーワールドカップ2019日本大会において、ドローンが飛行しているのを発見した場合、県警察として、どのような対策をとるか伺いたい。
- 36:【警備課長】
平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部改正により、対象大会関係施設及び対象空港については、それぞれ文部科学大臣及び国土交通大臣が指定することは承知している。
そこで、違法ドローンが飛行しているのを発見した場合、危険を未然に防止するため、やむを得ないと認められる限度において、当該違法ドローンの飛行の妨害、機器の破壊、その他の必要な措置をとるが、具体的な措置要領については、これを明らかにすることにより、今後の警備上の支障が生じるおそれがあるため、回答は控えたい。
- 37:【天野正基委員】
ドローンを使用したテロへの有効な対策資機材があるかどうか、また、県警察として導入されているかどうかを伺いたい。
- 38:【警備課長】
県警察において、ドローンを使用したテロへの対策資機材として、いかなる資機材を保有しているかについては、それを明らかにすることで警備上の支障が生じるおそれがあるため、回答は控えたい。
一般的に、ドローンを使用したテロへの対策資機材としては、ドローンの位置を特定する検知器や発見したドローンに対処するジャミング装置、迎撃ドローン及びネットランチャー等があると承知している。
県警察としても、今後有効な対策資機材の導入、活用方法を検討していきたい。
- 39:【天野正基委員】
テロ資機材を活用するにしても、それを活用できる人材が必要である。県警察として、人材育成について、どのように考えるか伺いたい。
- 40:【警備課長】
ドローン技術の進歩は日進月歩であり、それらドローンへの対策を確実に行える人材の育成は不可欠である。
ただし、対策資機材も常に新たなものが出てきているため、それらを効果的、かつ有効に操作できる人材を今後の大規模警備を見据えながら、計画的に育成していく考えである。
- 41:【天野正基委員】
しっかりと予算を措置し、テロ対策を行ってほしい。
- 42:【柴田高伸委員】
警察施設のうち、警察署、交番及び駐在所の再編整備に関する県警察の考え方を伺う。
近年、本県を取り巻く治安情勢は、犯罪の悪質・巧妙化、スピード化、広域化、グローバル化が進んでいる。こうした中、県警察においては、県内45の警察署体制で、その治安の維持に当たっている。
複雑多様化する社会情勢及び治安情勢のもと、限られた警察力の中で、将来にわたって、より高い水準の治安を県民に提供するためには、治安維持活動の拠点としての警察署の再編整備、あるいは管轄区域の見直しなど、必要の都度、不断に行われるべきである。
本県の治安責任を担う県警察の現状をみると、刻々と変化する治安情勢に的確に対応し、県民が安全で安心して暮らせる地域社会を実現するため、限られた警察力を適正に配分させて、県内全体の治安水準を向上させる不断の努力を続けており、結果として、現在、警察署が県内45カ所に配置されている。
そうした中、現在、この警察署施設の老朽化が全般的に進んでおり、治安活動とあわせて、災害警備活動の拠点である警察署の計画的な建てかえや整備を、優先すべき喫緊の課題として取り組んでいる。
そこで、県内警察署の施設整備に関する基本的な考え方を伺いたい。
- 43:【会計課長】
警察署については、経年40年以上が全体の5割を超え、全般的に老朽化が進んでいる。加えて、治安情勢に対応するための増員による狭隘化のほか、増築等による駐車場の不足、相談室の不足など、住民サービス機能面においても不十分となっている。
警察署は、県民の安全・安心を確保するための治安活動の拠点であるとともに、災害発生時の災害警備活動の拠点となるため、経年や施設の現状等を把握の上、建てかえ整備を進めている。
現在、蟹江、蒲郡、西尾、津島、豊川及び岡崎警察署の建てかえ整備を順次進めているが、このまま整備を進めても、目標耐用年数60年を超える警察署が出てくることから、おおむね経年35年を目途とした適切な時期に大規模改修を行うなど、予防保全型の維持管理に努めていきたい。
- 44:【柴田高伸委員】
経年40年未満の施設についても、経年劣化していくため、適切な時期における大規模改修など、長寿命化対策とあわせて、計画的な建てかえを行って、勤務警察官及び住民のニーズに準じた整備を進めてほしい。
昨今の治安情勢の変化及び自治体区域との整合性などを踏まえて、今後の警察署の新設について、県警察の基本的な考えを伺いたい。
- 45:【警務課長】
警察署の設置は、住民の利便性、管内の人口、世帯数、行政区画、各種事件、事故の発生状況、その他地域の特殊事情等、諸般の状況を踏まえて、総合的に検討していく必要がある。
- 46:【柴田高伸委員】
先ほど、建てかえ整備の説明があった件数だけでも、現在の整備ペースで20数年かかるということであり、その状況に照らせば、警察署の新設というのは、現状、基本的に行えないと理解した。この間の社会情勢の著しい変化などへの対応として、最善の選択として、警察署新設が検討され得ることも理解した。ぜひ、検討の際には、内部事情、財源の確保などとの兼ね合いなど、あり得るべき機能と配置を考慮し、英断してほしい。あわせて、住民及び自治体からの要望には、丁寧に説明、対応してほしい。
次に、交番、駐在所の再編整備について伺いたい。
交番、駐在所については、本年度、8交番、1駐在所の建てかえ整備を実施すると聞いている。交番、駐在所施設も警察署施設同様、全般的に老朽化が進んでおり、バリアフリー化などを解決するための計画的な整備が必要である。
そこで、交番、駐在所の整備方針について伺いたい。
- 47:【地域総務課長】
本年4月1日現在、交番、駐在所は、経年30年以上を経過した施設が、全535施設の約58パーセントに当たる308施設あり、老朽化が進んでいる。
交番、駐在所の整備方針については、今後も財政負担の平準化に配慮しつつ、バリアフリー化等に対応した施設を計画的に整備していきたい。
- 48:【柴田高伸委員】
経年や施設の現状などを考えれば、この建てかえペースはもう少し引き上げる必要があるのではないか。また、交番、駐在所の安全対策について、しっかりと考慮した構造、内装、装備についても、現場の声を十分反映したものとしてほしい。
交番、駐在所の新設については、本年度、交番1カ所の新設に向けた設計をすると聞いている。交番、駐在所は、言うまでもないが、地域住民の身近なところに配置され、パトロールなどによる犯罪の未然防止及び事件・事故への対応など、日々地域住民の暮らしの安全と安心を守っている。
一方、昨今の社会情勢の変化や、増大する住民ニーズに的確に対応するためには、常に時代に即応した再編整備が求められており、地域防犯力の拠点として、交番、駐在所機能の充実・強化を不断に図っていく必要がある。
そこで、交番、駐在所の整備計画について伺いたい。
- 49:【地域総務課長】
交番、駐在所の整備計画については、老朽化対策を第一に取り組んでいきたいが、警察を取り巻く情勢は決して不変のものではなく、時を経るに従って変化していくものと認識しており、警察力の適正な配分を不断に検討していくことが重要である。
交番、駐在所のあり方についても、県内全体の治安情勢等を勘案しつつ、検討を続けており、今後もそのようにしていきたい。
- 50:【柴田高伸委員】
都市化の進展など、社会情勢の変化に伴って、とりわけ、移転、統合については、地域住民及び自治体の理解が十分に得られるよう、移転、統合前後に、説明をしっかり行ってほしい。交番勤務警察官は、受け持ち地域制を敷いており、交番、駐在所が身近に感じられるところに配置されている、いないにかかわらず、空白地域は存在しておらず、パトロール活動など、防犯活動の地域不均衡はあり得ないと承知しているが、地域住民、自治体に対して、移転、統合については、しっかりとした説明を行ってほしい。
今後も県警察が治安のプロとして、求められる本県地域の安全と安心を守る警察活動を遂行するために、警察官自身の安全確保にも配慮した施設整備及び業務運営を行ってほしい。