県政報告
(主な質疑)
- 1:(主な質疑)
《議案関係》
なし《一般質問》
【鈴木 純委員】
刑法犯の検挙人員は、平成16年のピークを過ぎてから減少を続けているが、平成8年に10万人を大きく下回っていた再犯者人員は、ここのところ減少傾向であるものの、高止まりの状況にある。このため、刑法犯検挙人員に占める再犯者率は大きく上昇しており、平成28年の再犯者率は前年から0.7ポイント上昇の48.7パーセントとなっている。本県の再犯者率はどのような状況か。
- 2:【地域安全課長】
本県の再犯者率は、平成22年に39.7パーセントだったが、平成28年には47.3パーセントとなっており、国と同様に年々上昇している。
- 3:【鈴木 純委員】
行政や各種団体、地域のボランティアの力で刑法犯の認知件数は大幅に減少してきているが、再犯防止は我が国の刑事政策の焦眉の課題となっている。このような中、国は、平成24年7月の再犯防止に向けた総合対策の策定や平成28年12月の再犯の防止等の推進に関する法律の制定など、再犯防止の取組を強化してきており、昨年12月には再犯防止推進計画を閣議決定した。この再犯防止推進計画では、再犯の防止等の推進に関する法律の基本理念に基づく五つの基本方針と同法の基本的施策に基づく七つの重点課題を掲げている。
本県では、あいち地域安全戦略2017に基づく再犯防止に積極的に取り組んでいるが、本定例議会の一般質問で、現在策定中のあいち地域安全戦略2020では再犯防止対策を重点施策に位置づけているとの答弁があったので、具体的な取組の内容について伺う。
- 4:【地域安全課長】
本年3月下旬に公表予定のあいち地域安全戦略2020では、再犯防止対策を重点施策に位置づけており、六つの主要事業に取り組むこととしている。
一つ目の就業機会や住居の確保及び福祉サービス等の提供による支援では、地域生活定着支援センターの運営による再犯防止に関する福祉的支援に加え、少年サポートセンターにおける就職や就労継続に向けた支援の充実強化、生活困窮者自立支援制度に基づく自立に向けた相談や住居確保給付金の支給等に取り組むこととしている。
二つ目の薬物依存を有する者への支援では、精神保健福祉センターでの薬物問題を考える家族教室の開催等に取り組むこととしている。
三つ目の学校等と連携した就学等の支援では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの設置促進等に取り組むこととしている。
四つ目の再非行防止の支援を始めとした犯罪をした者等の特性に応じた支援では、ストーカー加害者に対するカウンセリング等の受診の働きかけなどに取り組むこととしている。
五つ目の県民の理解促進のための広報啓発活動の実施では、社会を明るくする運動での広報啓発活動の実施等に取り組むこととしている。
最後に、六つ目の関係機関との連携の推進では、本年2月に、地域安全戦略の庁内推進組織である安全なまちづくり推進本部の構成員に、福祉や就労など再犯防止に関係する部局課室を新たに追加した。また、国、県警察、福祉団体、雇用主団体などの関係者で構成する協議の場を新たに設けることとしている。
- 5:【鈴木 純委員】
県民の理解促進のための広報啓発活動の実施について、国では、昨年7月1日に東京都の有楽町駅前広場で、第67回社会を明るくする運動の中央行事及び再犯防止啓発月間オープニングイベントとして、若年層を主なターゲットにした立ち直りフェスティバルを実施したが、本県ではどのようなことに取り組むか。
- 6:【地域安全課長】
再犯の防止等の推進に関する法律第6条により、再犯防止啓発月間が、社会を明るくする運動の強化月間と同じ7月に定められたため、県内各地で実施される社会を明るくする運動と連携して広報啓発活動を実施することを考えている。来年度は、再犯防止啓発月間中に大型スーパーや駅前など県民が多く集まる場所で、関係機関や関係団体の協力を得ながら、啓発ちらしを配布し、再犯防止への理解の呼び掛けに取り組む。また、安全なまちづくり推進協議会が季節ごとに実施する安全なまちづくり県民運動でも、県警察、市町村及び関係団体と連携して、県民に再犯防止の重要性を広く訴えていく。
- 7:【鈴木 純委員】
再犯防止の取組には広報啓発が大変重要なので、しっかり取り組んでほしい。
地域安全戦略の庁内推進組織である安全なまちづくり推進本部の構成員に、福祉や就労など再犯防止に関係する部局課室を新たに追加したとのことだが、その目的と役割は何か。
- 8:【地域安全課長】
再犯防止対策の実施には、医療・福祉・就労・住居・教育など幅広いアプローチからの取組が必要であり、全庁を挙げて再犯防止対策を総合的かつ効果的に推進するため、再犯防止に関係する部局課室を新たに構成員に追加した。
- 9:【鈴木 純委員】
新たに追加した部局課室ともしっかりと連携して再犯防止対策に取り組んでほしい。
国、県警察、福祉団体、雇用主団体などの関係者で構成する協議の場を新たに設けるとのことだが、具体的にどのように取り組むのか。また、国の再犯防止推進計画では、民間協力者との連携強化として弁護士との連携強化が挙げられているが、本県ではどのように取り組むのかも併せて伺う。
- 10:【地域安全課長】
再犯防止対策は、支援の担い手となる関係機関や関係団体との密接な連携が必要なため、新たな協議の場では、支援を必要とする者の実態や支援の現状等について情報交換を図り、今後の取組の方向性を共有していく。現在、構成員の検討を行っているが、できるだけ早い時期に協議の場を設けたい。
また、本県でも愛知県弁護士会と意見交換を行い、弁護士との連携の在り方を検討していく。
- 11:【鈴木 純委員】
国の再犯防止推進計画では、地方自治体の地方再犯防止推進計画の策定は努力義務とされているが、本県には、全国で3番目の規模を有する名古屋刑務所や全国に4か所しかない医療刑務所の一つである岡崎医療刑務所が所在していることから、積極的に取り組んでほしい。
そこで、本県の地方再犯防止推進計画策定の進め方と、計画策定に要する期間、及び予算額をどのように考えているか伺う。また、他の都道府県や県内市町村の取組状況も併せて伺う。
- 12:【地域安全課長】
関係者で構成する協議の場を新たに設け、法務省や検察庁等の国の機関、支援に当たる福祉団体や就労団体など、様々な主体の意見を聴いた上で、来年度中に今後の取組の方向性を取りまとめることとしている。また、当面は協議の場で検討を行うため、既存の予算の中で対応していく。
他の都道府県における地方再犯防止推進計画の策定状況は、鳥取県が本年度に策定しており、東京都と神奈川県が来年度の策定を予定していると聞いている。なお、県内市町村では、いずれの市町村も策定を含め時期は未定と聞いている。
- 13:【鈴木 純委員】
県が先行しないと、市町村での計画策定は進まないと思うので、しっかりと策定に向けた検討に取り組むとともに、市町村へのサポートにも努めてほしい。
次に、国の地域再犯防止推進モデル事業について伺う。国は、地方公共団体との協働による地域における効果的な再犯防止対策の在り方を調査し、地方再犯防止推進計画の策定につなげる一連の取組を支援するため、地域再犯防止推進モデル事業を展開するとしている。この事業は、本県における地方再犯防止推進計画の策定にとって大変有効だと思うが、県としてどのように考えるか。
- 14:【地域安全課長】
再犯防止という重要な課題に国がモデル事業を実施することは有意義である。一方で、募集開始が本年3月末で締切りが4月末と聞いており、庁内関係部局や関係団体との調整も必要なことから、時間的に大変厳しい状況であるが、モデル事業への応募について研究していきたい。
- 15:【鈴木 純委員】
本県の総力を挙げてモデル事業への応募に取り組み、地方再犯防止推進計画の策定に寄与させてほしい。
次に、寄り添い弁護士制度について伺う。兵庫県弁護士会では、受刑者らの円滑な社会復帰に向け、公判を通じて生活環境や生い立ちなどを把握している担当弁護士が、服役中の受刑者への面会、仮出所申請や再犯防止には欠かせない居住地と収入の確保のため、福祉や就労の専門機関との仲介などに取り組む寄り添い弁護士制度を平成28年8月から実施している。再犯防止推進計画の中でも弁護士との連携がうたわれているが、寄り添い弁護士制度について県としてどのように考えるか。
- 16:【地域安全課長】
現在、本県における出所者に対する支援は、高齢者や障害者を対象とした地域生活定着支援センターでの支援や生活困窮者自立支援制度に基づく自立に向けた給付金の支給等を実施している。今後、寄り添い弁護士制度の具体的な内容、有効性、課題等について、愛知県弁護士会からも話を聴き、既存の制度との整合性を考慮しながら、支援の一つとして研究していきたい。
- 17:【鈴木 純委員】
大変有効で意義深い取組だと思うので、しっかりと検討してほしい。
成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案の閣議決定や高齢者、障害者の増加など、再犯防止を取り巻く状況も変化してきているが、犯罪被害者やその家族の悲しみや苦しみが変わることはないので、犯罪被害者へのサポートにより一層取り組んでほしい。
また、本県では、再犯を犯した加害者に厳罰を望んでいた犯罪被害者の家族が、葛藤の末に更生を望むようになったケースもあるので、その思いに応えるためにも、地方再犯防止推進計画の策定にしっかりと取り組んでほしい。
- 18:【田中泰彦委員】
先日、熊本県危機管理防災企画監の有浦隆氏から、熊本地震発生時の熊本県の対応等について話を聴く機会があった。その内容も踏まえ、防災について何点か伺う。
まず、避難所外避難者への対応について、熊本地震では、車中泊避難者等の災害関連死も多かったと聞いており、それを防ぐための対応が必要だと思うが、県としてどのように考えるか。
- 19:【災害対策課主幹(調整・支援)】
県民には、原則として市町村があらかじめ指定する避難所に避難するよう周知しているが、避難所の過密化やプライバシー確保等の観点から、今後も多くの車中泊避難者等が発生すると考える。
車中泊避難は、エコノミークラス症候群や持病の悪化、エアコンの使用を控えることによる熱中症や低体温症など、様々な健康被害のリスクが想定されることから、現在見直しを進めている避難所運営マニュアルの中で、車中泊避難者への注意喚起や保健師による見回りなどの対策を行うこととしている。
また、指定避難所で、車中泊避難者を避難所利用者として登録するが、登録の際に車中泊避難で注意すべき事項をまとめたちらしを、内容を説明した上で手渡すことにより、健康被害等の防止に努めることとしている。
なお、見直し後の避難所運営マニュアルの内容は、市町村が地域の実情に沿って避難所ごとに作成する運営マニュアルに反映させるとともに、平時から車中泊のリスクを住民に周知してもらえるよう、普及啓発に努める。
- 20:【田中泰彦委員】
避難所外避難者の健康被害の防止にしっかりと取り組んでほしい。
次に、避難所運営について伺う。熊本地震では、避難所を住民が自主的に運営したことによって行政の負担が減り、災害応急対策に専念できたケースもあったと聞いている。本県では、住民による避難所の自主的な運営を推進するためにどのような取組を行っているか。
- 21:【災害対策課主幹(調整・支援)】
大規模災害発生時には、市町村の災害応急対策業務が大幅に増加することから、避難所を運営する市町村職員の確保が困難となることが想定される。そのため、見直し後の避難所運営マニュアルでは、避難所の運営は避難所利用者の自主運営を原則とすることを基本方針の一つとして定め、住民による自主運営ができるよう、避難所の開設から撤収までに行うべき業務を分かりやすく説明することとしている。
また、各市町村で、県の避難所運営マニュアルを活用し、避難所ごとの運営方法を整備してもらうため、地域住民の役割分担や緊急連絡先、避難所の備蓄物資や設備、要配慮者への対応など、平時から地域で決めておくべき事項について、手引としてまとめることとしている。
さらに、昨年6月に設置したあいち・なごや強靱化共創センターと連携し、市町村職員が地域住民の避難所運営を支援できるよう、避難所運営支援研修を実施している。
- 22:【田中泰彦委員】
次に、市町村の災害対応力向上に向けた取組について伺う。熊本地震では、昭和56年以前に建てられた耐震性の低い住宅などの倒壊による圧死が多かったと聞いている。本県では耐震性の低い住宅についての情報を建設部が把握しているそうだが、防災局としてはその情報をどのように活用しているか。
- 23:【防災危機管理課主幹(政策・啓発)】
防災局としては、建設部等と連携して昨年度末に熊本地震の検証報告書をまとめており、それに基づいて第3次あいち地震対策アクションプランも修正した。特に、住宅の耐震化は、修正後の第3次あいち地震対策アクションプランの中で、耐震シェルターの整備補助制度や段階的耐震改修費補助金等を新たにアクション項目に盛り込むことによって、建設部とも連携しながら命を守るための対策を全県的に進めている。
- 24:【田中泰彦委員】
浸水や液状化、土砂崩れなど、市町村ごとの災害リスクに合わせた対応を進めていくことが被害の軽減につながると思うが、県として、大規模地震が発生した際に生じる各市町村の災害リスクに関する情報を把握し、その情報を市町村が防災減災対策に活用できるように提供しているか。
- 25:【防災危機管理課主幹(政策・啓発)】
本県では、東日本大震災の影響を教訓として、平成26年5月に被害想定を抜本的に見直し、愛知県東海地震・東南海地震・南海地震等被害予測調査結果を公表している。この中で、各地の震度や液状化の危険度、津波の到達時間や最大浸水深、急傾斜危険地などでのがけ崩れの予想などの災害リスクに関する情報をデータとして全市町村に提供している。
このデータを基に、市町村でハザードマップを作成してもらうことで、住民への災害リスクの周知を図っている。
さらに、市町村が災害リスクに応じた対策を促進できるよう、民間住宅の耐震診断費補助や耐震改修費補助制度、南海トラフ地震等対策事業費補助金による財政的な支援も行っている。
市町村が防災減災対策を効果的に行う上で、地域がどのような災害リスクを抱えており、どのような被害が発生するかを正確に把握することは非常に重要であるので、引き続き市町村を支援していく。
- 26:【田中泰彦委員】
東日本大震災では、言い伝えなどによって地震発生時の津波リスクが示唆されていた地域もあり、それを踏まえて地震が来たらすぐに逃げるという指導が徹底され、児童が被害を免れた小学校があった。一方で、指導が行き届いてなかったため、9割に近い児童が被害を受けた小学校もあった。災害リスクに基づく避難行動がとれないのは行政の責任だと思うので、しっかりと取り組んでほしい。
次に、罹災(りさい)証明書について伺う。罹災証明書は、被災者生活再建支援金とその後の生活再建に向けた各支援を受ける際に必要であり、その交付の遅れは被災者の生活再建の遅れにもつながるため、行政には迅速な対応が求められる。熊本地震では、同じような被害状況の建物でも、罹災証明書を発行する市町村によって被害認定結果が異なるようなケースもあり、多くの住民から苦情があったと聞いている。本県でも、南海トラフ地震の発生時には罹災証明書を大量に交付することになると思うが、県内市町村で統一的な住家の被害認定を行うため、どのようなことに取り組んでいるか。
- 27:【災害対策課主幹(調整・支援)】
熊本地震では、被災市町村で住家の被害認定調査に従事する職員が不足したことから、本県では、住家の被害認定調査を行うことができる職員の育成を進めることとし、昨年6月に設置したあいち・なごや強靱化共創センターで、県や市町村の職員を対象とした住家の被害認定研修を実施した。この研修では、内閣府が作成した災害に係る住家の被害認定研修テキストを活用することで、県内の市町村での調査方法や判定の統一化を図っており、本年度は215人が受講した。
また、本年度から、研修を受講した県や市町村の職員を家屋被害認定士として登録する制度を創設しており、大規模災害時に家屋被害認定士を被災市町村に速やかに派遣することで、住家の被害認定調査の迅速化や罹災証明書の早期交付に取り組む。
- 28:【田中泰彦委員】
県は、災害発生時に被害状況の把握と判断を迅速かつ的確に行うことが必要だが、本県でそれを担う災害対策本部はどのような体制になっているか。
- 29:【災害対策課主幹(災害対策・通信)】
本県では、震度5弱以上の地震等が発生した場合、知事を本部長とする災害対策本部を設置するとともに、自治センターの6階に災害情報センターを開設する。この災害情報センターでは、防災局長を統括指令長とし、災害応急対策を円滑に実施するため、市町村や公共機関などから県内の被害情報等を収集するとともに、国や防災関係機関と連絡調整を行う。
また、災害の発生場所や被害の程度、時間の経過などに応じて必要な対応が異なることから、プロジェクトチームの設置や災害情報センターの人員の増員などにより、適正に対応していく。
- 30:【田中泰彦委員】
熊本地震では、熊本県危機管理課が住民からの問合せ等への対応に人員をとられ、災害応急対策に支障が生じるケースがあったと聞いているが、本県では大規模災害発生時の県民からの問合せにどのように対応することを考えているか。
- 31:【災害対策課主幹(災害対策・通信)】
本県では、大規模災害が発生した場合、自治センターの地下2階に災害情報センターのプロジェクトチームとして、県民相談を受け付ける専門チームを設置することとしている。この専門チームが、県民からの問合せを一元的に受け付け、情報提供等を行うことで相談者の不安の解消を図るなど、災害応急対策に支障が生じないよう対応する。
- 32:【田中泰彦委員】
熊本地震で国のプッシュ型支援は有効だったが、倉庫や職員が不足する中、単品で大量の物資が送られてくることが問題となるので、食料や当面必要な日用品をパッケージにして送る方法に変更すべきとの意見を有浦隆氏から聞いている。パッケージにすることも簡単ではないと思うが、いろいろな選択肢を視野に入れて取り組んでほしい。
また、防災の本質は予防にあり、どれだけ予防をしっかりやるかで人命が助かる確率が高くなるとのことだったので、そういった点も踏まえ、しっかりと防災減災対策に取り組んでほしい。
- 33:【富田昭雄委員】
ヤフー株式会社が、スマートフォンを活用し、本年3月1日から3月31日まで全国統一防災模試を実施している。ゲームのような遊び感覚で防災を学ぶことができ、防災啓発の手法として非常に有効だと思う。東日本大震災から7年を迎えるに当たり、災害の記憶を風化させないため、民間企業がこのような啓発に取り組んでいることについて、県としてどう考えるか。
- 34:【防災危機管理課主幹(政策・啓発)】
全国統一防災模試は、民間企業が自らの情報通信技術等を活用し、幅広い年齢層に普及しているスマートフォンを使用するなど、時代に適合したアイテムと手法に基づいて実施されており、所要時間も15分程度ということで、多忙な社会生活の中でも多くの人が参加できるよう配慮もされている。
また、スマートフォンの機能を使用した対話形式の設問も用意されており、防災啓発に関する斬新な取組であると考える。
- 35:【富田昭雄委員】
防災啓発へのアプローチに大変有効であり、子供たちの防災意識を高める手段としても活用できると思うが、県としてどのように考えるか。
- 36:【防災危機管理課主幹(政策・啓発)】
ヤフー株式会社は、全国統一防災模試の終了後に検証を行うと思われるので、その検証結果や実施に係るノウハウ、留意点などを把握した上で、本県としてふさわしい手法や内容を研究していきたい。
- 37:【富田昭雄委員】
防災意識を高めるために大変有効な手法だと思うので、しっかりと研究してほしい。
次に、大規模災害時に市町村からの情報が入らない場合に備え、県としてどのような対策を講じているか伺う。
- 38:【災害対策課主幹(調整・支援)】
県としては、災害が発生した場合等に、県職員で構成する先遣・情報収集チームを市町村に派遣し、市町村災害対策本部の活動状況の確認や市町村の被害状況や対応状況等の情報収集を行い、それらの情報を県に伝達することとしている。先遣・情報収集チームの要員は、それぞれの職員の役割や業務をあらかじめ明確にするため、平成20年4月に創設した登録制度に基づき登録を行っている。また、地震などの突発的な災害についても、職員が携行する災害対策実施マニュアルに登録業務や担当市町村を明記することとしており、勤務時間外であっても自らの参集場所や役割等を確認し、迅速に対応できるように備えている。
- 39:【富田昭雄委員】
先遣・情報収集チームは、どのような職員を要員登録し、災害が発生した場合にはどのような形で派遣されるのか。また、派遣実績についても併せて伺う。
- 40:【災害対策課主幹(調整・支援)】
先遣・情報収集チームの要員には、東三河、尾張及び西三河にそれぞれ設置される三方面本部とその支部等を構成する地方機関の職員を登録している。
なお、勤務時間外に突発的な地震が発生した場合には、登録された要員が担当市町村に速やかに参集できない場合も想定されるので、市町村から居住地が近い職員を、要員が参集するまでの間一時的に業務を代行する一時代行者としてあらかじめ指名することとしており、初動体制の確立に努めている。
また、台風などの災害対策本部の設置前から準備ができる災害に対しては、防災局長、東三河総局長及び県民事務所長が協議の上、必要な要員を県民事務所等に参集させ、そこから関係市町村に派遣することも可能としている。
先遣・情報収集チームの派遣は、これまでに2回の派遣実績があり、平成23年9月の台風15号では名古屋市を始め19市町村に41人派遣し、平成25年9月の台風18号では豊橋市に2人派遣している。
- 41:【富田昭雄委員】
災害発生時には状況把握が一番重要だと思うので、日頃から要員同士の情報交換や研修、顔を合わせる形での訓練などにもしっかりと取り組んでほしい。
次に、私学助成について伺う。例年、私立学校経常費補助金には多額の不用額が発生しているが、最近の不用額発生の状況と不用額が発生する理由を伺う。
- 42:【私学振興室主幹(認可・助成)】
私立学校経常費補助金の不用額は、私立高等学校に係る経常費補助金で、実際の生徒数が見込みの生徒数を下回ったことによる予算との差が大きく影響している。本年度の実際の生徒数は5万8,496人で、見込みの生徒数6万536人を2,040人下回った結果、約6億7,000万円の不用額が発生している。なお、過去の不用額発生の状況は、平成26年度が約7億6,000万円、平成27年度が約7億1,000万円、昨年度が約6億3,000万円となっている。
また、前年の在校生徒数から勘案した翌年度の2年生と3年生の生徒数に生徒募集計画による新1年生の人数を加え、翌年度の生徒数を見込んでいるため、主に新1年生の生徒数が生徒募集計画を下回った場合に、実際の生徒数が見込みの生徒数を下回ることになる。
- 43:【富田昭雄委員】
不用額の用途は何か。
- 44:【私学振興室主幹(認可・助成)】
私立高等学校で、生徒募集計画に対する欠員が高い水準にある中、積極的な生徒受入れを促すため、平成22年度から、各校の生徒募集計画の範囲内で、定員を超えて在籍する生徒を募集対象として加算する制度を設けており、本年度は1,494人分を加算している。
また、昨年度からは、基礎学力向上対策分を設けており、本年度は16校に200万円ずつ加算している。これらの制度により、本年度は、不用額約6億7,000万円のうち、約4億7,000万円を執行しており、最終的な不用額は約2億円となっている。
今後も不用額が減少するよう、研究していきたい。
- 45:【富田昭雄委員】
計画進学率の93パーセントはずっと変わっていないが、結果は91パーセントくらいしかないため、6億円から7億円の不用額が発生し続けている。また、定員割れが2,000人も出ることが続いていることは問題であり、公立と私立が共に議論して改善する必要があると思うが、県としてどのように考えるか伺う。
また、平成32年に予定されている高大接続改革に対応するためには、大阪府のように、教育庁で公立学校も私立学校も所管するような改革も必要だと思うが、県としてどのように考えるかも併せて伺う。
- 46:【県民生活部長】
県としては、公教育は公と私の両輪が共に支えていくという基本姿勢の下、愛知県公私立高等学校設置者会議で、全日制高等学校への進学を希望する生徒の進路実現に向け、より効果的な取組が進むよう、引き続き協議検討していく。
平成32年に予定されている高大接続改革等の実施に当たっては、各学校でそれぞれ新たな学習指導要領に基づくカリキュラムを編成することになるが、県立高等学校は県教育委員会が、私立高等学校は私学振興室がそれぞれサポートし、各学校におけるカリキュラムの編成が円滑に進むように、しっかりと取り組んでいきたい。
- 47:【鳴海やすひろ委員】
あいち国際プラザはどのような経緯で三の丸庁舎内に設置したのか。
- 48:【多文化共生推進室長】
あいち国際プラザを運営する公益財団法人愛知県国際交流協会は、名古屋国際センターに事務所を構えていたが、三の丸庁舎が完成した時に事務所を移転し、本県の国際交流の拠点となる施設として、平成9年6月にあいち国際プラザを開設した。
- 49:【鳴海やすひろ委員】
立地条件が良く、来場者用の無料駐車場まで整備されているにもかかわらず、あいち国際プラザを訪れる外国人は少なく、十分に活用できていないと思う。
公益財団法人愛知県国際交流協会の事務局長から話を聴いたところ、あいち国際プラザ相談窓口の外国人による利用件数は年間約700件で、そのうち約8割が電話相談とのことだった。また、名古屋国際センターの利用状況について名古屋市の観光文化交流局に確認したところ、サービスコーナーへの入室者数は1万5,908人、電話の問合せは1万4,242件、図書室の利用者数は約1万8,000人とのことだった。
あいち国際プラザと名古屋国際センターの利用状況には、余りにも大きな差があると思うが、公益財団法人愛知県国際交流協会は現在どのような取組を行っており、県はこのような状況をどのように認識しているのか。
- 50:【多文化共生推進室長】
公益財団法人愛知県国際交流協会は、国際交流・国際協力活動の推進や日本語教室の開催、多文化ソーシャルワーカーによる相談対応などの多文化共生の地域づくりの推進、市町村職員等を対象とした人材の育成、調査研究・情報提供などに取り組んでいる。これらの取組を通じ、市町村や市町国際交流協会をサポートする役割等も担っており、直接外国人に対応するだけでなく、幅広い役割を果たしている。
また、平成11年度にスタートし、本年度で19年目となる日本語教室は、60人以上の経験豊かなボランティアが熱心に指導し、毎年300人以上の外国人が受講しており、県内屈指の日本語教室として認知されている。
- 51:【鳴海やすひろ委員】
あいち国際プラザでの外国人交流活性化には、この日本語教室は欠かせないものと考えており、受講している外国人からも大変喜ばれていると聞いている。一方で、日本語教室で指導するボランティアとの意見交換では、県と公益財団法人愛知県国際交流協会のボランティアに対する支援は不十分で、関係も非常に希薄になってきており、自分たちが本当に必要とされているのか不安で残念だという意見も聴いている。
日本語教室で長年指導しているボランティアは、多文化共生や国際交流に関する経験と意識が高く、その活躍が今後のあいち国際プラザの活性化だけでなく、本県の多文化共生や国際交流の推進にも寄与すると考えるが、県は、ボランティアの活躍に向けて今後どのように取り組んでいくのか。
- 52:【多文化共生推進室長】
外国人が急増する中、地域の日本語教室はボランティアの献身的な努力により支えられている。また、2026年のアジア競技大会といった国際イベントの開催にもボランティアの力は不可欠であり、その役割はますます大きくなっている。
しかしながら、高齢化の進展や世代交代が進まないことを原因に、ボランティア数は減少傾向にある。
そのため、県では、ボランティア人材確保のため、公益財団法人愛知県国際交流協会を通じ、企業や教員のOBを対象とした日本語教育指導員の養成を実施している。
また、ボランティアがやりがいを持って活動できることが重要であると考えており、ボランティアの意見をあいち国際プラザの事業に取り入れる仕組みを来年度から実施するなど、その活躍促進に向けて取り組む。
- 53:【鳴海やすひろ委員】
外国人労働者数も12万9,000人を超えており、今後ますます増加していくことが予想される中、多くの外国人にとってあいち国際プラザが駆け込み寺のような相談窓口となるよう、しっかり取り組んでほしい。
- 54:【石井芳樹委員】
現在の愛知県陶磁美術館には、館長の上に総長が置かれており、ここ数年は県民生活部を所管する副知事が就任しているが、総長の職務内容と具体的に本年度は何を行ったのか伺う。
- 55:【文化芸術課主幹(文化芸術)】
総長の職務内容は、設置要綱では、業務の企画及び運営その他について意見を述べ、指導を行うこととされている。具体的には、学識経験者や陶芸作家等をメンバーとする愛知県陶磁美術館運営会議を主宰し、館の運営や展覧会、普及活動等について協議を行うほか、美術館における重要事項について、館長から相談を受けて指導を行っている。
また、企画展の開会式における賓客への対応など対外的な役割も果たしており、昨年4月には、総長が大韓民国の2017年京畿世界陶磁ビエンナーレに招待され、開幕式に出席した。
また、本県と大韓民国京畿道は、平成27年11月に友好交流及び相互協力に関する覚書を締結しているため、総長が京畿道の副知事と面会し、陶磁器を通じた文化交流を深めるとともに、愛知県陶磁美術館の積極的なPRを行った。
- 56:【石井芳樹委員】
総長の設置を来館者数の増加につなげる必要があると思うので、総長である宮本副知事には、女性の視点やふかん的な目で愛知県陶磁美術館を見てもらい、それを開館40周年にも生かしてほしい。
次に、愛知県陶磁美術館の子供たちへの普及活動について伺う。愛知県陶磁美術館では、学校と連携して出前講座を行っているが、最近は、小中学校もやるべきことがたくさんあり、出前講座を授業に取り入れにくい状況にあると聞いている。多くの子供たちが、地場産業や自分たちが住んでいる地域のことに触れる機会を増やすことは大切なことだと思うが、愛知県陶磁美術館では、子供たちへの陶磁文化の普及にどのように取り組んでいるか。
- 57:【文化芸術課主幹(文化芸術)】
平成28年2月にリニューアルした南館では、小学校4年生と5年生の社会科の授業に対応した内容を展示することで、本県の陶磁器産地について学習できるようにしており、これまでに約1万2,000人が来館した。
また、小中学校への学校出前講座に加え、本年度から新たに学童保育への出張授業も行っており、小中学校と学童保育を合わせて17校942人の子供たちが参加した。
さらに、中学生の職場体験や小中学校教員向けに陶磁講座を行うなど、教育現場とも連携した普及啓発に取り組んでいる。
こうした取組を通じて子供の頃から陶磁文化に親しむことで、大人になっても愛知県陶磁美術館に足を運んでもらえるよう、しっかり取り組んでいきたい。
- 58:【石井芳樹委員】
学童保育への出張授業は何校で実施したか。
- 59:【文化芸術課主幹(文化芸術)】
3校で実施した。
- 60:【石井芳樹委員】
地域の文化をその地域で学ぶことは教育に必要なことだと思うので、多くの子供たちが陶磁文化に触れることができるよう、教育委員会とも連携し、出前講座などの制度設計に取り組んでほしい。
次に、愛知県陶磁美術館の入館者数について伺う。平成26年度に11万人だった入館者数は、昨年度には8万人、本年度は2月末までで6万5,000人と毎年減少傾向にあるが、この状況を県としてどのように認識しているか。
- 61:【文化芸術課主幹(文化芸術)】
陶磁文化を広めていくためには、多くの県民に愛知県陶磁美術館に訪れてもらい、楽しみながら伝統的な陶磁文化を知ってもらうことが大事だと思うので、入館者数の減少に歯止めをかけるための取組が必要であると考える。
- 62:【石井芳樹委員】
愛知県陶磁資料館から愛知県陶磁美術館への名称変更は、入館者数を増やすためであったと記憶しているが、効果はあったか。
- 63:【文化芸術課主幹(文化芸術)】
名称変更は入館者数には直接結び付いていない。
また、近年は愛知県陶磁美術館の入館者も高齢化しているので、対応を工夫していきたい。
- 64:【石井芳樹委員】
愛知県陶磁美術館館報に昨年度実施した展覧会別の収支比率が記載されているが、平均しておおむね3割という状況だった。愛知県陶磁美術館は美術作品の中でも陶磁器を専門としている特殊性から、観覧料などの収入だけで支出を全て賄うことが難しいことは理解しているが、展覧会を行う以上は収支率を上げる努力も必要であると思う。
そこで、平均3割という昨年度の展覧会の収支比率について、県としてどのように評価しているか伺う。
- 65:【文化芸術課主幹(文化芸術)】
他県における陶磁専門の美術館の収支比率がおおむね2割から3割であることから、愛知県陶磁美術館の展覧会の収支比率は平均的な数値であると考える。陶磁器を中心とした展覧会には興行的な派手さがないことや中学生以下の入館料を無料にしていることから、収益を上げることが難しいが、愛知県陶磁美術館の安定した運営のためには、収支比率を少しでも上げていくことが重要であると認識している。
- 66:【石井芳樹委員】
愛知県陶磁美術館は来年度に開館40周年を迎えることから、この機会に多くの人に来館してほしいと思うが、そのためには新たなにぎわい創出の取組が必要と考える。そこで、来年度開館40周年を迎えるに当たり、何か新たな取組は考えているか伺う。
- 67:【文化芸術課主幹(文化芸術)】
来年度の開館40周年を記念した新たな取組として、お茶や生け花といった陶磁器と関わりの深い伝統文化と連携したイベントの実施を予定している。具体的には、著名な陶芸家が制作した花器を使用した生け花の公開デモンストレーションや陶磁美術館が収蔵する茶器を使用して茶会を開催するなど、これまで陶磁器に興味のなかった人にも足を運んでもらえるような取組を考えている。
さらに、SNSの活用など、若者向けの広報の充実にも積極的に取り組むこととしている。
- 68:【石井芳樹委員】
開館40周年という節目にふさわしい魅力ある取組をしっかりと行ってほしい。
次に、愛知県陶磁美術館とあいちトリエンナーレとの連携について伺う。愛知県陶磁美術館には、28万平方メートルという広大な敷地があり、現代陶器の展示だけなく、この敷地を利用したあいちトリエンナーレ2019とのコラボレーションも可能だと思うが、県としてはどのように考えるか。
- 69:【トリエンナーレ推進室主幹(トリエンナーレ)】
あいちトリエンナーレ2016では、愛知県陶磁美術館を会場として、アーティストと子供たちが敷地内で一緒に集めたいろいろな種類の土で大きな壁画を描く体験型プログラムや、盲学校の生徒たちと自然を感じながら粘土で作品を作り上げるプログラムなどを実施した。子供たちが自然の中でのびのびとアートを体験することができ、現代アートと陶磁文化両方への興味につながる機会を提供できたと考えている。
こうした取組も参考にしながら、愛知県陶磁美術館とあいちトリエンナーレ2019の連携により相乗効果が図られるような企画を検討する。
- 70:【石井芳樹委員】
これまでのあいちトリエンナーレは、尾張と三河で別々に取り組んできたが、両方の地域の展示に足を運んでもらうためには、しっかりと動線をつなげることが必要であり、その中間に位置するのが愛知県陶磁美術館だと思う。
また、愛知県陶磁美術館の近隣には県立芸術大学や県立大学、トヨタ博物館などがあり、それらと尾張と三河を結ぶリニモや愛知環状鉄道もあるので、これら全てが連携して取り組めば、来場者が県内を循環することとなり、あいちトリエンナーレ全体の来場者数の増加にもつながると思うので、このような仕組みを是非検討してほしい。
- 71:【岩村進次委員】
本定例議会に提出された愛知県文化芸術振興条例第17条に学校教育における文化芸術活動の充実を定めているが、条例の制定も踏まえ、来年度は本年度よりも積極的に取り組むという理解でよいか。
- 72:【文化芸術課長】
子供たちにも文化芸術に親しんでもらえるよう、条例にも学校教育における文化芸術活動の充実を定めた。
具体的には、来年度、公益財団法人愛知県文化振興事業団で、市町村とも連携し、劇場と子ども7万人プロジェクトとして、県内の一学年の子供たち全員が劇場を体験できるような取組を検討している。
県としても、子供たちが文化芸術に親しむ機会の充実にしっかり取り組んでいきたい。
- 73:【岩村進次委員】
愛知県陶磁美術館は設置から40年が経過するが、愛知県文化芸術振興条例第18条には県が設置している愛知県陶磁美術館等の施設整備に努めるとの記述もあるので、展示内容の検討も含め、今の時代に合った施設となるよう、積極的に改修にも取り組んでほしい。