県政報告
(主な質疑)
- 1:(主な質疑)
《議案関係》
なし《請願関係》
なし《一般質問》
【田中泰彦委員】
私立高等学校の授業料軽減補助の拡大について伺う。
本定例議会の一般質問における公私の父母負担格差に対する答弁では、公立高等学校と私立高等学校の父母負担格差は、なお残っているものと認識しているが、父母負担の一層の軽減は、国で私立高等学校授業料の実質無償化を検討中であることから、国の動向を注視していきたいとのことであった。
本年12月8日に閣議決定された私立高等学校授業料の実質無償化の具体的な内容は、一つ目は、住民税非課税世帯では実質無償化、二つ目は、年収約350万円未満の世帯では最大35万円を支給、三つ目は、年収約590万円未満の世帯では最大25万円を支給することができる財源を消費税の使途変更により確保するものであり、消費税の使途変更後の2020年度までに、現行制度の平年度化等に伴い確保される財源など、引き続き、政府全体として安定的な財源を確保しつつ、家庭の経済状況にかかわらず、幅広く教育を受けられるようにする観点から、年収590万円未満世帯を対象とした私立高等学校授業料の実質無償化を実現するということである。
県では、父母負担軽減を図るため、国の就学支援金に上乗せする形で、独自に授業料軽減補助を行っているが、就学支援金制度が拡充された場合、県の授業料軽減補助金への影響額は幾らになるのか。
- 2:【私学振興室主幹(認可・助成)】
本年12月8日に閣議決定された新しい経済政策パッケージによる私立高等学校の授業料の実質無償化では、就学支援金を引き上げ、年収250万円未満の住民税非課税世帯には授業料の全国平均約39万円を支給して実質無償化し、年収350万円未満の世帯には35万円を支給し、年収590万円未満の世帯には25万円を支給するという考え方が示されており、本県の私立高等学校分の就学支援金は約20億円増加する。これは、県の授業料軽減補助額の範囲内であるため、県の負担も同額の20億円軽減される。
また、年収590万円未満の世帯全てを実質無償化するよう就学支援金が39万円に引き上げられた場合、本県の私立高等学校分の就学支援金は約40億円増加する。このうち、県の授業料軽減補助額を上回る分は、県の負担に関係なく上乗せされるため、県の負担軽減は、約24億円にとどまる。
授業料軽減補助の拡充は、公私格差の是正、父母負担の軽減のため重要であると認識しており、国の就学支援金制度の見直しについて、引き続き動向を注視していきたい。
また、就学支援金制度の拡充について、本年7月と11月に国に対する要請活動を行っており、引き続き、しっかりと要請していきたい。
- 3:【田中泰彦委員】
次に、専修学校高等課程の父母負担について伺う。
私立高等学校の入学納付金の平均が約20万円であるのに対し、専修学校高等課程の入学納付金は、調理、美容、看護等、多様な教育内容に応じ、学校により大きく異なっているということであるが、実態について伺う。
- 4:【私学振興室主幹(認可・助成)】
専修学校高等課程の入学納付金は、調理、美容、看護等、多様な教育内容に応じ、約5万円から38万円までと、学校により大きく異なっている。
学校ごとの分布では、全26校の入学納付金の分布は、10万円未満の学校が2校、10万円から20万円までが7校、20万円から30万円までが15校、30万円以上が2校となっている。
例えば、自動車整備に関する学校は約5万円、医療に関する学校はその約7倍の34万円であるなど、教育内容により大きな差が生じている。
- 5:【田中泰彦委員】
専修学校高等課程への進学を希望する生徒の中には、経済的に厳しい家庭の生徒が多いとも聞いたが、実際に県内の専修学校高等課程に就学している生徒の家庭の経済状況について伺う。
- 6:【私学振興室主幹(認可・助成)】
昨年度の授業料軽減補助の支給実績で見ると、県の所得区分で甲I・甲II区分、年収350万円未満の低所得世帯が全体に占める割合は、高等学校が18.5パーセントに対して、専修学校高等課程は34.0パーセントとなっている。
また、県の授業料軽減補助の所得制限である840万円未満の世帯が全体に占める割合は高等学校が65.5パーセントに対して、専修学校高等課程は84.5パーセント、国の就学支援金制度の所得制限である910万円未満では高等学校が73.5パーセントに対して、専修学校高等課程は87.0パーセントとなっており、専修学校高等課程に通う生徒の世帯の方が経済的に困難な状況である。
- 7:【田中泰彦委員】
本定例議会の一般質問の答弁では、専修学校高等課程の入学納付金は、学校ごとの差が大きいことから、一律の補助制度は設けていないということであった。確かに学校によって額が大きく異なるようだが、経済的に厳しい生徒が多いことも事実である。専修学校高等課程の入学納付金への補助拡大について、県はどのように考えているのか伺う。
- 8:【私学振興室長】
専修学校高等課程の入学納付金は、調理、美容、福祉、デザイン、看護といった多様な教育内容に応じて額が大きく異なっており、高等学校と同じ一律の補助制度を設けることは、なかなか困難である。
そうした中、本県では、専修学校高等課程は、中学3年生の進路決定で重要な選択肢の一つであるとの認識の下、昭和51年の専修学校制度創設以来、本県独自に父母負担の軽減につながる経常費補助を行ってきた。
本県では、毎年2,000人以上が専修学校高等課程に進学しているが、経済的に厳しい家庭の生徒が多いという現状もあり、入学納付金の父母負担軽減は、今後の課題であると認識している。
- 9:【田中泰彦委員】
様々な課題があるが、私立学校の生徒の保護者と交流を図る中で、行きたい学校があるのに経済的に行けないという話が現場の声としてある。日本経済をけん引する本県としては、人材育成、教育が大事だと思うので、公私格差がない環境、特に専修学校のように特別な道に進みたいと思う人が、経済的な要因で断念することがない環境になればいいと思う。引き続き協力を要望する。
- 10:【浅井よしたか委員】
あいちトリエンナーレについて伺う。
本年8月にあいちトリエンナーレ2019の芸術監督に就任した津田大介氏は、これまでの芸術監督と違い、芸術の専門家ではなく、ジャーナリストであるが、どのように芸術監督を決めているのか。
- 11:【トリエンナーレ推進室主幹(トリエンナーレ)】
芸術監督の選任に当たっては、過去3回の芸術監督を含む、7人の学識経験者で構成する芸術監督選考委員会を設置し、次回のあいちトリエンナーレ芸術監督にふさわしい人物を候補者として選考した。この選考結果を受け、本年7月に開催したあいちトリエンナーレ実行委員会運営会議で、津田大介氏を芸術監督として決定した。
- 12:【浅井よしたか委員】
津田大介氏を芸術監督に選んだ理由は何か。
- 13:【トリエンナーレ推進室主幹(トリエンナーレ)】
芸術監督選考委員会からは、津田大介氏を芸術監督として選考した理由が三つ示されている。一つ目として、ジャーナリストである津田大介氏は、社会情勢を踏まえた明確なコンセプトを打ち出すことができる。二つ目に、津田大介氏は、ITにも造詣が深く、様々な情報を発信することにより、国内外へ強くアピールできる。三つ目に、津田大介氏は、バランス感覚に優れ、いろいろなアイデアや意見を取り込んで、あいちトリエンナーレを創り上げることができる、というものである。
- 14:【浅井よしたか委員】
あいちトリエンナーレ2019のテーマが情の時代と発表され、併せて決定したコンセプトも非常に面白く読ませてもらった。このコンセプトは深い内容であるが、どのように説明したらよいか。
- 15:【トリエンナーレ推進室主幹(トリエンナーレ)】
このテーマ・コンセプトについて、津田大介芸術監督からは「情報によって感情が翻弄され、世界中で分断が起きているこの時代において、アートの力で問題解決の糸口を探っていきたい」との解説・説明をもらっている。
- 16:【浅井よしたか委員】
これまで3回のあいちトリエンナーレにもいろいろなテーマ・コンセプトがあったが、きちんと作品に反映されていたのか。
- 17:【トリエンナーレ推進室主幹(トリエンナーレ)】
これまでのあいちトリエンナーレも、芸術監督とそれを支えるキュレーターが一体となって創り上げており、テーマ・コンセプトに沿った企画になっていたと考えている。
- 18:【浅井よしたか委員】
津田大介芸術監督の思いを具体化していくため、今後どのように進めていくのか。
- 19:【トリエンナーレ推進室主幹(トリエンナーレ)】
津田大介芸術監督は、いわゆる芸術の専門家ではないが、選考理由にもあるとおり、社会情勢を踏まえた明確なコンセプトを打ち出すことができるとともに、バランス感覚に優れ、いろいろなアイデアや意見を取り込んで、あいちトリエンナーレを創り上げることができる人である。今後は、美術、舞台など各分野の専門家であるキュレーターが、津田大介芸術監督と密接に意見交換しながら、芸術監督の思いを受けて、作家や作品の選定を行い、テーマ・コンセプトの具体化を進めていく。
- 20:【浅井よしたか委員】
津田大介芸術監督には期待している。芸術監督やキュレーターに全部任せるのではなく、県も当事者として一緒になって、よいあいちトリエンナーレにしてほしい。
本年6月定例議会の委員会でも質問したが、来場者数が伸び悩んでいる中で、今後、来場者を増やすために、どのように取り組むのか。
- 21:【トリエンナーレ推進室主幹(トリエンナーレ)】
あいちトリエンナーレは、国内最大級の国際芸術祭として、より多くの人々に現代アートに触れ、楽しんでもらうことが重要であり、そのための仕掛けづくりが大切であると考えている。これまでのあいちトリエンナーレでは、国際芸術祭としてのクオリティやスケール、現代美術と舞台芸術の複合、まちなか展開や県内での広域展開などについて高く評価された。一方で、作品が分かりにくい、にぎわいが不足しているといった課題も見えてきた。こうした課題を解決するために、ITにも造詣の深い津田大介芸術監督の知見を生かし、スマートフォンのアプリケーションを活用した分かりやすい作品解説の導入や、祝祭感あふれるイベントの開催などの対策を検討していく。また、2019年は、ラグビーワールドカップが日本で開催される年でもあるので、インバウンドも視野に入れた広報戦略を検討するなど、これまで以上に多くの人々に来場してもらい、にぎわいのある芸術祭となるよう、しっかりと取り組んでいきたい。
- 22:【浅井よしたか委員】
前回の総来場者数は、約60万人であったが、今回の目標はどのくらいか。
- 23:【トリエンナーレ推進室主幹(トリエンナーレ)】
まだ、企画内容が決まっていないことから、今後、もろもろの状況を勘案して考えていきたい。
- 24:【浅井よしたか委員】
是非、盛り上げてほしい。
次に、本年12月8日に、三重県が県内の自治体での生活必需物資・資機材等の備蓄状況を調査したところ、想定される避難者に対して、全ての自治体で十分な備蓄がされていないことが分かったとの報道があった。また、飲料水、毛布、食料やおむつなどは、全く備蓄されていない自治体もあったとのことであった。それを受け、三重県の災害対策課長は「それぞれの自治体に財政事情があると思うが、災害時に必要となる備蓄なので計画的に備えてほしい」とコメントしていた。
本県では、各市町村の生活必需物資・資機材等の備蓄状況をどのように把握しているのか。
- 25:【災害対策課主幹(調整・支援)】
県では、毎年6月に県内の市町村に対し、食料、飲料水、毛布及びトイレなどの生活必需物資・資機材等の備蓄量を照会して状況を把握している。
- 26:【浅井よしたか委員】
平成26年5月に県が公表した、愛知県東海地震・東南海地震・南海地震等被害予測調査報告書では、過去地震最大モデルで、発災1日後の避難所における避難者数を約37万7,000人と想定しており、その避難者数に対する備蓄の確保は大変重要である。食料、飲料水、毛布、乳児・小児用おむつ、大人用おむつ、トイレの備蓄状況はどのようになっているのか。
- 27:【災害対策課主幹(調整・支援)】
本県では、想定する必要備蓄量について、被害予測調査の公表後に熊本地震の課題も踏まえ、数量を増やす見直しを行っている。
被害予測を公表した後の平成27年度から本年度までの3年間における市町村の備蓄状況は、食料が314万食から501万食、飲料水が78万リットルから110万リットル、トイレが115万回分から748万回分など、いずれの物資の備蓄量も着実に増加している。
また、必要備蓄量の見直しを実施した時点での県内の市町村の備蓄量の合計は、毛布のみが81万枚の必要数に対して74万枚と7万枚不足しているが、それ以外の物資は、全て必要数を確保できている。しかし、個々の市町村の状況では、食料は15、飲料水は13、毛布は24、小児用おむつは27、大人用おむつは20、トイレは21の市町村で備蓄が不足している。
- 28:【浅井よしたか委員】
備蓄物資が不足している市町村に対して、県はどのように対応しているのか。
- 29:【災害対策課主幹(調整・支援)】
本県では、県民に対し、可能な限り一週間分程度の備蓄に努めるよう呼びかけるとともに、避難時の非常持ち出し品として、食料や飲料水のほか、乳幼児や持病のある人など、各家庭で必要に応じて備蓄し、それらを持参して避難することを啓発している。
市町村に対しては、必要数を備蓄するよう指導・助言を行うことに加え、昨年度から南海トラフ地震等対策事業費補助金により、市町村の備蓄物資の積み増し分に対して支援を行っている。
県では、こうした県民の家庭内備蓄や市町村の備蓄を補完するため、アレルギー対応の食料を始めとした必要な物資を備蓄するとともに、民間企業と災害時の物資の優先供給等に関する協定の締結を進めるなど、備蓄物資の確保に努めている。
- 30:【浅井よしたか委員】
備蓄は、保管場所や賞味期限などの問題もあるが、極力無駄のない備蓄に努め、民間事業者との協定の締結など市町村に助言・指導を実施してほしい。また、備蓄量が不足している市町村がかなりあることから、なるべく早く必要数を確保し、その上で無駄のない対応等を工夫してほしい。
本定例議会の一般質問における大規模災害時の初動体制に関する答弁では、職員が速やかに参集して災害対応に当たるとのことであった。職員の参集は、平成21年2月定例議会の委員会でも質問したが、そもそも職員の自宅が倒壊してしまうと参集できないことから、阪神・淡路大震災時の参集を基準にして、参集率は3割と想定しているという答弁であったと記憶している。全職員に対し、自宅の耐震化などの調査を行い、参集率の根拠をある程度把握しておかないと机上の空論になる旨、重ねて質問したところ、個人情報の問題などもあり全庁的には難しいとの答弁であったが、現在までに、こうした調査は行われているのか。
- 31:【防災危機管理課主幹(総務・危機管理)】
職員の自宅の耐震化の状況は、本年度と平成27年度の2回調査を実施している。住宅の着工が、昭和56年6月以前の建物かそれより後の建物かに分け、以前の場合は耐震性が低いと指摘されているため、耐震診断実施の有無や耐震改修実施の有無などを確認している。
- 32:【浅井よしたか委員】
調査は全職員を対象としたのか。
- 33:【防災危機管理課主幹(総務・危機管理)】
全職員を対象としており、約6,000人から回答があった。
- 34:【浅井よしたか委員】
これまでに2回調査したとのことだが、結果は変化しているのか。
- 35:【防災危機管理課主幹(総務・危機管理)】
本年度の調査では、87.8パーセントの職員の自宅が耐震化対策済みとなっており、前回の平成27年度の結果は87.2パーセントであったので、若干ではあるが向上している。
- 36:【浅井よしたか委員】
例えば1万人の職員がいるとすれば、1,200人の職員は耐震化対策を未実施となり、数としてはまだ多い。
速やかに職員が参集するためには、職員やその家族の安全確保が大前提であり、耐震化が更に進めば、参集率は高まるはずである。まずは、無料の耐震診断を受けてもらう必要があると考えるが、更に耐震化対策の実施率を向上するために、どのような取組を考えているのか。
- 37:【防災危機管理課主幹(総務・危機管理)】
職員の参集は、職員や家族の安全確保が大前提であり、耐震化が進めば参集可能な職員も増えると考えている。そのため、自宅の耐震化を始め自ら身を守る対策を、会議を通じて全職員に啓発するとともに、毎年度当初に実施している県庁BCPの職員研修などでも啓発に努めていく。
- 38:【浅井よしたか委員】
まずは、県職員が先頭に立って耐震診断を受けることから始めてもらい、地震に強い愛知県を目指して、これからも努力してほしい。
- 39:【石井芳樹委員】
平成25年に策定された消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律第8条には、地方公共団体は、消防団の抜本的な強化を図るため、必要な措置を講ずる、とあるが、この法律に規定されている県の責務は何か。
- 40:【消防保安課主幹(消防・予防)】
消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律では、国及び地方公共団体の責務として、消防団の強化、事業者・大学等の協力、消防団員の処遇改善などが図られるよう必要な措置を講ずるものとされている。
- 41:【石井芳樹委員】
消防団加入促進事業補助金について伺う。現在、執行残があるようだが、その理由を県としてどう考えているのか。
- 42:【消防保安課主幹(消防・予防)】
本年11月末現在の執行状況は、名古屋市始め24市に629万1,000円の補助を行っており、750万円の予算に対し120万9,000円の残額がある。
市町村が消防団加入促進事業に取り組む中で、消防団加入促進事業補助金は補助率が2分の1であることから、残り2分の1の自主財源が必要であり、対象事業を実施する予定がなければ使いづらいため、申請状況が少ないのではないかと考えている。
- 43:【石井芳樹委員】
昨年度の執行状況を伺う。
- 44:【消防保安課主幹(消防・予防)】
昨年度は1,000万円の予算に対して、18市町に606万2,000円を交付し、400万円ほどの執行残となった。
- 45:【石井芳樹委員】
消防団への加入促進のため作った制度だが、周知不足や使い勝手の問題があるのか、昨年から予算も減り、さらに執行残がある状況なので、制度を見直すか、周知をしっかりと行い、来年度は市町村に使ってもらえるような仕組みとしてほしい。
次に、消防団員退職報償金について伺う。消防団員退職報償金を5年未満で支給したり、1年刻みで支給したりするなど、独自の基準で支給している市町村はどれだけあるか。
また、市町村からの消防団員退職報償金の受給資格・勤続年数に対する改善要望に対し県としてどのように対応しているのか。
- 46:【消防保安課主幹(消防・予防)】
消防団員退職報償金を独自の基準で支給しているのは県内で14市町ある。
また、県として、消防庁及び消防団員等公務災害補償等共済基金(消防基金)に対し、退職報償金の受給資格・勤続年数の改正を毎年要望している。
- 47:【石井芳樹委員】
県内では5年未満で退団する団員が約3割を占めると聞いている。消防団に入りやすくするため、引き続き国や消防基金にしっかり要望してほしい。
次に、消防団員の報酬は普通交付税で措置されているが、標準単価の団員1人当たり3万6,500円を下回る市町村は県内でどれだけあるのか。
- 48:【消防保安課主幹(消防・予防)】
消防団員の報酬額は、団長、副団長から団員まで7段階の階級ごとに各市町村の条例等で規定されており、団員の報酬が普通交付税標準単価の3万6,500円を下回るのは28市町村である。
一方で、県内全体では、団長や分団長の報酬を高く設定している市町村が多く、団長ではほとんどの市町村が標準単価を上回っている。
- 49:【石井芳樹委員】
団員の確保が重要である観点から、28市町村が団員の普通交付税標準単価を下回る現状や、また、みよし市の1万8,600円や蟹江町の1万8,800円のように極端に低いところもある現状について、県としてどう考えているのか。
- 50:【消防保安課主幹(消防・予防)】
消防団員報酬は、それぞれの市町村の経過・歴史や、ほかの委員報酬も関係していると思うが、国からも普通交付税標準単価の3万6,500円までの引上げを求める通知が出されているので、報酬を確保するよう、県としても市町村に働きかけていきたい。
- 51:【石井芳樹委員】
県内の半分以上の市町村が普通交付税標準単価を下回る中で、国からの通知にも、市町村への助言を行うことが県の責務として記されているため、鋭意努力してほしい。
また、普通交付税標準単価で出動手当は1回当たり7,000円であるが、これを下回る市町村はどれだけあるのか。
- 52:【消防保安課主幹(消防・予防)】
県内のほとんどの市町村が、火災、風水害、警戒の際の出動手当を2,000円から4,000円の間で設定している。
- 53:【石井芳樹委員】
市町村が自主財源でやらなければならない部分があるので、7,000円で収まるよう工夫しているのかもしれないが、消防団員が長期にわたり災害対応に当たることに鑑み、特に手当が低い市町村では早急に手当を上げなければならないと国の通知でも示されている。県としてこの状況をどのように考え、今後どのように対応していくのか。
- 54:【消防保安課主幹(消防・予防)】
火災等の危険度の高いものと行事・訓練等で出動手当に差をつけるのはやむを得ないと考える。一方、国の普通交付税措置の考えでは、出動手当の総額は人口10万人の標準的な市町村で2,330万円と少ない。その中で市町村が工夫しながら手当額を決めていると考える。
- 55:【石井芳樹委員】
国の普通交付税措置が少ないと考えるのであれば、出動手当についても、国に対してしっかり要望してほしい。
次に、消防団員の報酬の特別交付税措置は、平成27年3月交付分から拡充され、対象を標準団員数の2倍以上の実員数の市町村とし、上限を撤廃し、普通交付税措置された額を超える2分の1が措置されることとなったが、その効果は実際にあったのか伺う。
- 56:【消防保安課主幹(消防・予防)】
制度改正により、前年度より消防団員の実員数が増加している市町村も特別交付税措置の対象となったことから、消防団員加入促進の一つのインセンティブになっていると考える。
- 57:【石井芳樹委員】
昨年度から本年度にかけて若干消防団員数が増えていることからも、国の施策として効果があったのではないかと考える。今後も消防団への加入促進に資する施策を国に対してしっかりと要望してほしい。
次に、学生消防団について、名古屋市では公立大学法人名古屋市立大学に学生分団ができたが、県立大学ではどのような取組を行っているのか伺う。
- 58:【消防保安課主幹(消防・予防)】
県立大学である愛知県立大学や愛知県立芸術大学は長久手市にあり、長久手市消防団の組織に学生分団を位置づけて運用するかどうかは長久手市の意向が大切である。県としては県立大学に学生分団が設置されることは望ましいと考えるので、長久手市と相談しながら対応を考えていきたい。
- 59:【石井芳樹委員】
県からも市町村や県立大学にしっかりと働きかけを行う努力をすべきと考える。
次に、学生消防団活動認証制度について、導入市町村がまだ19市町村と少ないようだが、今後県としてどのように対応していくのか。また、企業へはどう周知していくのか。
- 60:【消防保安課主幹(消防・予防)】
制度導入済みの19市町村のほか、11市町が制度の導入を検討している。なお、導入を検討していない市町村の中には、学生団員数が少ないことや、団員数が充足しているため、制度導入の必要性に迫られていないという意見もある。県としては、啓発パンフレットを作成し、市町村へ配布したり、会議などの場を通じて制度の導入を呼びかけたりして、先行実施している市町村の事例などを紹介している。
また、企業への周知は、昨年度に県内主要経済5団体に対し、知事名の要請書を提出し制度への協力を呼びかけている。
- 61:【石井芳樹委員】
必要性を感じていない市町村もあるのは分かるが、学生に対しては就職活動で有利に活用できるメリットを感じてもらうとともに、企業に対しては学生から消防団活動を通して社会貢献してきた実績が示されることで、消防団に対する理解を深めることができるなど、学生、企業、市町村も含めた消防団活動の周知につながるため、県全体で等しく周知を図っていく必要があるのではないか。
次に、消防団協力事業所表示制度について、県内で導入している市町村数及び事業所数を伺う。
- 62:【消防保安課主幹(消防・予防)】
名古屋市始め28市町村が制度を導入し、事業所数は県全体で241店舗となっている。
- 63:【石井芳樹委員】
まだ半数の市町村が未実施であるが、事業効果としてメリットを示すことが重要で、例えば長野県、岐阜県、静岡県のように、消防団協力事業所を対象に法人税等の減免措置や入札参加資格、更には総合評価方式の加点を行っている県もある。京都府では、消防団協力事業所からの物資の調達や、あるいは中小企業融資を行うなどのメリットを示すことにより消防団協力事業所数を増やしている。本県は、どのように努力しているのか。
- 64:【消防保安課主幹(消防・予防)】
防災局が主催する市町村幹部や実務担当者が出席する会議などで、市町村に対して制度の導入を働きかけている。
- 65:【石井芳樹委員】
未実施の市町村に制度の導入を促すため、従業員が入団しやすい環境を作ることが事業者の地域貢献をPRする一つの手段であることを認識し、今後の実行力のある施策づくりにつなげてほしい。
次に、あいち消防団応援の店について伺う。現在の登録店舗数は幾つか。
- 66:【消防保安課主幹(消防・予防)】
本年12月8日現在で594店舗が登録されている。
- 67:【石井芳樹委員】
地域ごとの登録状況を見ると、名古屋市内が極端に少ない。以前の資料では、登録491店舗のうち名古屋市内が35店舗で、東区、西区、昭和区、瑞穂区、中川区はゼロとなっている。消防団員にとっては、あいち消防団応援の店が繁華街にある方が利用しやすくメリットもあると思うが、都市部で非常に少ないのはなぜか。
- 68:【消防保安課主幹(消防・予防)】
あいち消防団応援の店は、県、市町村、地元が協力して店舗の拡大を図っている。名古屋市では、県が制度を導入する前から、名古屋市消防団連合会の福利厚生事業として約30施設200店舗程度で独自の制度を運用しており、名古屋市内では市独自制度の方が優位な状況にある。
- 69:【石井芳樹委員】
公益財団法人日本消防協会の制度、県の制度、市町村の制度とバラバラになっている。もう少し役割分担を含めてしっかりと整理するか、あるいは統合した方が分かりやすいと思うがどうか。
- 70:【消防保安課主幹(消防・予防)】
県の制度であれば、消防団員やその家族は、所属する消防団がある市町村以外の店舗が利用でき、スマートフォン等により店舗を容易に検索することもできる。また、店舗にとっては、県内全域からの来客が期待できるとともに、県のホームページで店舗をPRできる。さらに、市町村にとっては、県が制度を一本化することで事務を省略化できる。こうしたそれぞれのメリットを周知し、十分理解してもらいながら、県の制度に一本化していきたい。
一方、国の制度は、県や市町村が制度に取り組んでいることを前提とし、その中で了解を得られた店舗を公益財団法人日本消防協会の全国消防団応援の店に登録しており、国制度への登録窓口は県に一本化されている。
- 71:【石井芳樹委員】
幾つかあるものをまとめ、全部可視化することによって、メリットも分かり、消防団員をやってよかったと思えるので、県が主体となって整理してほしい。また、商工会も含めて他部局とも協力しながら拡充してほしい。
次に、消防団員となる公務員の職務専念義務の免除等について、県ではどう考えているか。
- 72:【消防保安課主幹(消防・予防)】
消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律では、公務員が消防団員となることに対し、兼職は原則認めること、兼職が認められれば任命権者の許可を要しないこと、活動する際の職務専念義務の免除を柔軟・弾力的に取り扱うことと規定されており、公務員にとっては、消防団に加入しやすい状況が作られていると思う。
- 73:【石井芳樹委員】
公務員の消防団加入促進を図る観点から、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律に公務員の消防団員との兼職に関する特例が規定されていると思うが、県職員の消防団加入状況はどうなっているのか。
- 74:【消防保安課主幹(消防・予防)】
県職員の消防団加入状況を把握するための調査は、毎年、国の調査に合わせて実施している。直近の昨年7月の調査では、43人が消防団に加入している。
- 75:【石井芳樹委員】
自主性があるので、加入するかしないかの選択はあると思うが、知事部局には1万1,000人程度の職員がいる中で、43人は他県と比べてどうか。
また、特に地域性が重んじられる地方機関では、消防団に入ることによって地域の人々とのコミュニケーション促進や、地域の内情をくまなく知ることができるため、加入の声掛けを行うべきと考えるがどうか。
- 76:【消防保安課主幹(消防・予防)】
他県の状況は把握していない。また、地方機関に対しては、毎年、消防団加入状況を調査する際に、職員の消防団加入について配慮するよう通知している。
- 77:【石井芳樹委員】
最後に、消防団の日について伺う。消防団の日は毎年1月20日とされているが、その日が平日であれば、ほとんどの人が仕事のため、実際何をやっているのか分からないし、有り難みも少ないという意見もある。土曜日、日曜日に啓発を行う方法もあると思うがどうか。
- 78:【消防保安課主幹(消防・予防)】
各市町村では、毎年1月20日までの1週間ほどの間に啓発実施日を決め、平日であれば通勤時間帯の駅や、土曜日や日曜日であれば市民が多く集まる場所等で啓発活動を実施している。また、県では、毎年1月20日に、名古屋駅の夕方の混雑時に合わせて、知事が出席して啓発活動を実施している。それぞれ、啓発に効果的な場所・時間を考えて啓発活動を実施していきたい。
- 79:【石井芳樹委員】
消防団加入促進補助金には執行残が生じており、また、学生消防団活動認証制度や消防団協力事業所表示制度は県内の半分の市町村が加わっていないことから、県がすべきことはたくさんあると思う。今後、南海トラフ地震を見据え、消防団の拡充は皆の共通の思いであるので、努力するよう要望する。
- 80:【富田昭雄委員】
愛知芸術文化センターの改修工事について伺う。私の認識では、最近こういったホールがどんどん閉館しており、また、改修工事の時期が重なっている。愛知厚生年金会館や愛知県勤労会館は閉館し、名古屋市公会堂、日本ガイシホールは改修工事中であり、間もなく日本特殊陶業市民会館のホールも隣接する駐車場に移転するという話がある。私の地元の中学校のブラスバンドのイベントも、名古屋市内では開催できないので三重県で開催したと聞いている。
愛知芸術文化センターの改修工事もこれらと重なって実施され、県内の施設利用環境が大変厳しい状況の中で、利用者に迷惑が掛かることになるが、どのように対応していくのか。
- 81:【文化芸術課主幹(文化芸術)】
改修工事に当たっては、できるだけ早く工期を公表し、また、一斉休館とせずコンサートホールと大ホールの改修時期を変えるなど、できる限り利用者への影響を小さくするよう努めている。また、受付窓口では必要に応じて、近隣にどのような施設があるかという情報提供を行っている。
- 82:【富田昭雄委員】
なるべく愛知県内で代替施設を確保し、利用者に迷惑が掛からないようにしてほしい。
あわせて、ホールの改修工事後の需要と供給はどの程度一致しているのか。改修工事が集中しているために不足しているのであればよいが、絶対数が不足しているのであれば、何らかの行事ができるホールを増やす必要があるので、しっかりと調査してほしい。
次に、改修工事費は幾らなのか。また、改修によりどのように施設が変わるのか。
- 83:【文化芸術課主幹(文化芸術)】
改修工事の工事費は総額116億円を予定している。
改修工事は、次の三つの方針で実施している。一つ目は、利用者の安心・安全の確保である。東日本大震災で問題となった、吊り天井の脱落対策を行うとともに、自動火災報知設備、消防設備、電気設備の更新を行う。二つ目は、質の高い芸術創造機能の強化である。現在、多くの劇場では、舞台上で、天井から幕や舞台セットなどを吊り下げることで、背景等を演出することが多く、その吊り下げ装置の機能向上や、音響・照明設備の更新などを行う。美術館では、照明をLED化し、より明るい環境下で鑑賞できるようにする。三つ目は、魅力ある施設の維持である。利用者からのニーズに対応するため、トイレの洋式化や、ウォシュレット設置工事を行う。また、大ホールでは、1階席は傾斜がなく、舞台が見えにくいという声が寄せられているため、どの位置からも舞台が見えるよう、前後の椅子を互い違いに並べる千鳥配置とする。
- 84:【富田昭雄委員】
大ホールの椅子を千鳥配置にするのは良いと思う。私も、前の人の頭で見えなかったという話をよく聞いている。せっかく116億円の予算を使うので、改修して良くなったと言われるよう、今から準備を進めてほしい。
一方で、施設を良くするだけではなく、運営を良くしていくことも大切である。最近は指定管理者が運営しているので、良くなったのかもしれないが、今後どのように運営していくのか伺う。
- 85:【文化芸術課主幹(文化芸術)】
愛知芸術文化センターは、芸術文化の振興及び普及を図るために設置した施設であるため、劇場を利用できるのは、音楽、歌劇、舞踊、演劇などの舞台公演や、文化芸術及び学術に関する会議などとしている。現在では、民間劇場出身の館長の下、利用者対応を行う支配人及び舞台技術スタッフなどを新たに配置し、利用者からの要望にも丁寧に対応し、利用者満足度調査の結果も良くなってきている。
なお、改修後は、コンサートホールの申込みを、最大3年前から可能とし、公演を招致しやすくするよう改善を図っている。
今後とも、利用者の声に耳を傾け、より利便性の高い劇場となるよう、取り組んでいきたい。
- 86:【富田昭雄委員】
いろいろな人の声を聞いてもらうよう要望する。
県内では利用可能な施設が少なくなっており、愛知芸術文化センターも改修工事に入るにもかかわらず、コンサートホールや大ホールの稼働率が7割、8割ではどうしようもないので、100パーセント近い稼働率で回してもらうことを前提として努力してほしい。
さらに、東京都や大阪府で開催される質の高いイベントを、愛知県でも是非開催してもらえるよう、招致活動も含め努力してほしい。
先ほど、浅井委員から発言があったあいちトリエンナーレについては、来場者数の見込みが分からないと言わずに、瀬戸内国際芸術祭では13億円と本県と同程度の予算で来場者数が110万人なので、100万人を超す意気込みでやってもらう必要がある。また、あいちトリエンナーレのテーマ・コンセプトを分かりやすく解説するとともに、呼び水になるような作品も必要だと思う。成功している事例をみると、誰が見ても度肝を抜かれるような作品が中心にあり、すごいと思ってもらうことでその周りまで回遊してもらえる仕掛けがあるので、トータルでコーディネートしてもらわないと、なかなか来場につながらないし、リピーターが増えていかない。その当たりも今度の芸術監督に期待する。
次に、あいちトリエンナーレの会期中、愛知芸術文化センターの催事室や愛知県美術館のギャラリーが使えないことについて、どのように対応するのか伺う。
- 87:【文化芸術課主幹(文化芸術)】
あいちトリエンナーレでは、国際芸術祭にふさわしいスケールとクオリティを確保するため、これまで、愛知県美術館の8階・10階全てを展示会場として使ってきた。このため、あいちトリエンナーレの会期中に8階ギャラリーで展覧会を開催したいという利用者には、開催時期の変更をお願いするとともに、ほかの利用者と重なった場合は、愛知芸術文化センターが間に入って、お互いの利用スペースを減らすことを依頼するなど、調整を行ってきた。
あいちトリエンナーレ2019の詳細はまだ決まっていないが、できる限り利用者に不便をかけないよう努めていく。
- 88:【富田昭雄委員】
建物には消防法の規制があるので、どこでも作品を設置できるというわけではないが、利用できるものは全部利用して芸術家の作品を並べたらよいと思うので、いろいろな発想で施設全体を飾ってほしい。
次に、高齢者福祉施設などの要配慮者利用施設での避難について、避難確保計画の策定が義務化された。
昨年の台風第10号の災害では、死者22人、行方不明者5人、負傷者15人など甚大な被害が発生し、岩手県下閉伊郡岩泉町の高齢者福祉施設では、入所者9人が濁流に巻き込まれ尊い命が失われた。岩泉町では、昨年8月30日の午前に避難準備情報を発表していたが、高齢者福祉施設の理事は、避難準備情報が高齢者や体が不自由な人が避難を開始する目安であるという認識がなかったと当時は報道されていた。
そのような状況等を踏まえ、水防法等の一部を改正する法律が施行され、浸水想定区域内にある要配慮者利用施設で市町村地域防災計画に定められた施設の管理者等に対し、これまで努力義務であった、水害や土砂災害が発生するおそれがある場合における利用者の円滑かつ迅速な避難の確保を図る避難確保計画の策定や避難訓練の実施が義務化された。そこで、県内の市町村地域防災計画に定められた要配慮者利用施設数及び避難確保計画の策定状況について伺う。
- 89:【災害対策課主幹(調整・支援)】
本年6月の水防法等の一部を改正する法律の施行前ではあるが、本年3月31日時点で国土交通省が取りまとめた数値によると、浸水想定区域内には、名古屋市始め20市町で2,023施設があり、そのうち26施設が避難確保計画を策定している。
- 90:【富田昭雄委員】
避難に対する認識が薄く、余りにも低い数値だと思える。法改正もされたことから、避難確保計画を策定し、日頃からしっかりと訓練を実施しなければならない。県の支援状況と取組について伺う。
- 91:【災害対策課主幹(調整・支援)】
昨年8月の台風第10号における岩手県小本川での災害では、避難準備情報の意味を施設管理者が理解していなかったため、本県では、本年3月から4月にかけて、要配慮者利用施設の管理者を対象とした説明会を建設部主催で開催し、水害・土砂災害への備えに関することを説明した。説明会では、気象庁、国土交通省、建設部からそれぞれ水害や土砂災害に関する説明を行い、各施設での具体的な取組が更に進むよう、健康福祉部が社会福祉施設等の管理者に対して利用者の安全確保や災害時の体制整備について直接説明している。
水防法等の一部を改正する法律の施行に伴い、要配慮者利用施設の管理者に対して避難確保計画の策定が義務づけられたことから、県庁内の関係課室で連携して市町村を支援するため、愛知県要配慮者利用施設避難確保計画作成等推進支援連絡調整会議を本年10月に設置し、県内の市町村を構成員とした愛知県市町村要配慮者利用施設避難確保計画作成等推進会議を11月及び12月に開催している。今後もこれらの会議を通じて、県の関係部局と市町村が連携して避難確保計画の推進に努めていく。また、避難確保計画をより実効性のあるものとするためには、訓練の実施も重要であることから、要配慮者利用施設における避難訓練の実施についても関係部局が連携して支援していく。
- 92:【富田昭雄委員】
県が市町村や施設管理者としっかりと連携して、施設管理者が避難確保計画を策定し避難訓練ができるよう支援してほしい。また、施設管理者の認識を新たにしてもらう取組が重要である。避難確保計画を策定するだけでなく、施設管理者にしっかりと認識してもらう取組を行ってほしい。
的確な避難指示・避難勧告が重要であるが、今までの事例を見ても、発令の時期を逸したり、避難しようとしてもできなかったりして、結果的に尊い命が奪われ、被害が増えている。
本年12月定例議会の一般質問の答弁でも、総務省が行う災害情報伝達手段等の高度化事業として、防災情報システムに係る実証事業の実施団体に愛知県が選定され、システムの構築が進められているという話があったが、システムを整備する目的は何か。
- 93:【災害対策課主幹(災対・通信)】
市町村は、災害が発生し又は発生するおそれがある場合には、関係機関からの情報や自ら収集した情報などにより、的確に判断を行って、避難勧告等を発令し、速やかに住民に伝える必要がある。そのため、具体的な基準に基づく発令、多様な手段による情報伝達などを行う必要がある。
また、昨今の災害で、市町村の災害対策本部で、被害などの情報を一元的に把握することの重要性が改めて認識されているが、被災した市町村の水害対応の実態として、災害現場からの通報が増え多様で膨大な情報を処理しきれなくなった、また、業務が著しく増加した結果、情報の収集・伝達でミスが多くなったなどの事例が報告されている。
そのため、新たな防災情報システムでは、市町村の災害対応業務を支援する機能を整備することとしている。具体的には、被災市町村における情報の収集伝達や、災害対応の判断材料となる情報の取得などを支援する機能を持たせ、このシステムの活用により、膨大な情報を処理しなければならない市町村の災害対応業務の効率化を図り、市町村災害対策本部の機能強化を支援することを目的に整備するものである。
- 94:【富田昭雄委員】
今は、携帯電話などに個別に緊急災害情報や避難情報が届くが、SNSや個別メールでは作業が大変である。この仕組みでは一元的に、一度の入力で配信可能と聞いているが、どういう機能があるのか教えてほしい。
- 95:【災害対策課主幹(災対・通信)】
まず、スマートフォンやタブレットなどからシステムにアクセスする機能がある。インターネットにつながっていれば、避難所や災害現場などからでも、パスワードを入力してログインすることにより、被害情報や物資の要請を新たな防災情報システムに入力することができ、必要なシステム内の情報を引き出すことができる。
そのほか、避難所や避難者、応援物資の情報を一元的に管理する機能、さらに、被害情報や避難情報など複数の情報を地図上に重ね合わせて表示し、視覚的に情報の把握を行うことができる機能も整備する。
- 96:【富田昭雄委員】
それは大変すばらしいと思うが、そのシステムを県だけで持っていても仕方がない。新たな防災情報システムを市町村に周知徹底して、より的確かつ迅速に避難勧告や避難指示などを県民一人一人に伝えることが大事である。答弁では市町村防災担当課長会議で導入を働きかけるとのことだが、それだけでは不十分だと思う。どうやって周知徹底していくのか。
- 97:【災害対策課主幹(災対・通信)】
新たな防災情報システムは、現在、名古屋市、岡崎市、江南市など県内13市町の協力を得て開発を進めているが、その他の市町村では、システムの内容について十分に把握していないところもある。このため、現在、システムの内容を十分に把握していない市町村を個別に訪問して、内容の説明と導入への働きかけを行っている。このシステムは、災害発生のおそれの高まりの程度に応じた、市町村長による避難勧告や避難指示などの適時的確な発令に役に立つものである。洪水時などの住民の逃げ遅れによる人的被害をなくすため、このシステムが早期に導入されるよう市町村に働きかけていきたい。
- 98:【富田昭雄委員】
是非とも、政令指定都市である名古屋市などとモデル的なシステムをしっかりと作って、訓練しながらより良いものとし、改めて市町村に周知徹底してほしい。
- 99:【岩村進次委員】
本県の私立高等学校における非構造部材の耐震化の状況について、昨年の資料では全国平均より低かったが、現状はどうなっているのか。
- 100:【私学振興室主幹(認可・助成)】
文部科学省による私立高等学校等の実態調査では、体育館・武道場・講堂・屋内プールなどの建物のうち、天井の高さが6メートルを超える建物又は天井面積が200平方メートルを超える建物を吊り天井の耐震点検・耐震対策状況調査の対象としている。
本年4月1日現在、本県で調査対象となる建物は、私立高等学校55校で113棟あり、そのうち吊り天井でないため対策が必要ない建物と吊り天井の撤去や補強などの対策が完了している建物は、30校で75棟であり、対策実施率は66.4パーセントとなっている。
また、吊り天井以外の窓ガラスや外壁、書棚など、倒壊により人に重大な被害を与えるおそれのある非構造部材への耐震対策は、私立高等学校55校中19校が完了しており、対策実施率は34.5パーセントとなっている。
文部科学省の全国集計では、私立高等学校のみの数値が公表されていないため、高等学校を含めた私立の小・中・高・中等・特別支援学校で比較した場合、吊り天井対策の実施率が全国平均75.9パーセントに対し、本県は67.7パーセントとなっている。また、吊り天井を除く窓ガラス等の非構造部材の耐震対策は、全国平均が51.9パーセントに対し、本県は32.5パーセントとなっており、いずれも全国平均より低い状況である。
県立高等学校の吊り天井対策の実施率は59.4パーセントで、私立高等学校より7.0ポイント低い状況である。県立高等学校は、生徒への危険性を考慮し、体育館を優先して吊り天井対策を実施し、対策が必要な体育館61棟は、昨年度までに全て吊り天井対策を完了している。今後は、武道場127棟の吊り天井対策を、2022年度までに完了する予定と聞いている。
- 101:【岩村進次委員】
県立高等学校では愛知県が責任者となるが、私立高等学校で被災した場合は、学校の設置者が責任をとることになる。子供たちの教育の場でそのようなことがあっては困るので、早期に工事を実施する必要がある。私立学校に対する補助制度の予算が10億円ほどあったと思うが、どのような状況になっているのか。
- 102:【私学振興室主幹(認可・助成)】
吊り天井等の落下防止工事や外壁等の剥落・落下防止工事などを対象とする国と県の補助制度があり、補助対象事業経費2億円を限度として3分の1以内を補助する制度となっている。県による補助は、私立学校施設設備整備費補助金として、本年度は10億円を予算措置しているが、国庫補助が採択された場合は、そちらを優先し、国庫補助が採択されない場合に県が補助する制度となっている。
平成26年度から昨年度までの3年間の補助実績は、平成26年度は1校で、1,027万4,000円、平成27年度は3校で、4,468万1,000円、昨年度は2校で、4,340万9,000円、合計6校で、9,836万4,000円となっている。これらの事業は、全て国からの補助となっている。
- 103:【岩村進次委員】
実施するのは私立学校の経営者だが、できる範囲内で県もしっかりと支援してほしい。
次に、毎年問題となっているが、私立高等学校の定員について、昨年度は欠員が2,000人を超えたと聞いたが、現在どうなっているのか。
- 104:【私学振興室主幹(認可・助成)】
募集計画に対する実際の入学者数では、本年度は2,000人弱不足している。
- 105:【岩村進次委員】
私立高等学校は学費が高くて選択できなかったという声も聞くが、学校経営としては、2,000人の欠員が生じると、経常費補助金が減るのではないか。
- 106:【私学振興室主幹(認可・助成)】
経常費補助金は定員内実員で補助しており、定員を下回る分には補助金が交付されない。
- 107:【岩村進次委員】
経常費補助金が減ると学校経営にとってマイナスとなるが、生徒数が減ったからといって、教員を辞めさせることはできない。教員の配置は、募集計画に基づく定員で考えられており、特に専任教員比率を高めてもらうなど、いろいろと努力してもらっている。
県では特別枠で経常費補助金を加算することなどを考えているが、募集計画に対して入学者数が不足する場合はどうするのか。私立学校の経営的な観点からどのような考えで臨むのか。
- 108:【私学振興室長】
生徒数が減少すると経常費補助金も減少する。私立学校の収入は、入学納付金や授業料といった父母からの負担金と経常費補助金が主となって運営されているため、経営に対する影響は非常に大きいと思う。
現在の私立学校に対する経常費補助金は、基本的に、生徒数に単価を掛けて予算を措置しており、生徒数が募集を下回ったことに対する特別な手当は、現状の配分の仕組みの中にはない。今後、生徒数が減少していく中で、生徒の数が計画を下回ったからといって、高等学校の場合は特に学科の編成もあるので、教員の数が大きく変わるわけではない。私立学校の経営では、教員の人件費は固定的経費で、経常費の中に占める割合が非常に大きい。そうした中で、本年、幼稚園の配分基準を見直し、教員の充実状況に着目して配分を行うという項目を取り入れている。今後、同様の考えを取り入れられないか、私学関係団体とも意見交換しながら検討していきたい。
- 109:【岩村進次委員】
検討を進めてもらい、できるだけ早く良い結果が出るよう要望する。
次に、刈谷市が災害用トイレトレーラーを導入するという報道があった。東日本大震災や熊本地震などの大規模災害時に、水道・電気などのライフラインが途絶すると、水洗トイレは使えず、仮設トイレは、使用期間が長くなるほど非常に使いにくい状況になる。
災害用トイレトレーラーは、4部屋の水洗トイレを備え、屋根には太陽光発電装置を備え自家発電もでき、さらには外部電源にもつなげられる。刈谷市では、インターネットで資金を集めるクラウドファンディング手法を活用し、不足分を市が負担するとのことである。時間が経過すればライフラインが復旧していくが、災害用トイレトレーラーをある程度の台数保有するとよいと思う。防災局はどう考えているのか。
- 110:【災害対策課主幹(調整・支援)】
災害用トイレトレーラーは、4部屋の洋式水洗トイレを備え、被災直後からすぐに使用できる。汚水がたまった場合には、下水道の管につなぎ、汚水を流すことができ、元の場所に戻せば、再びくみ取り式トイレとして使用できる、また、下水道の管につなげて使用すれば、普通のトイレとして使用できる大変優れたものである。
市町村の役割となっている避難所のトイレの確保は、平成26年5月に公表した県の被害予測調査に基づく必要数と比較して現時点で88万回分が不足している状況である。県の役割は、市町村の避難所でトイレが不足した場合に支援することである。当面は、多くの市町村の避難所でトイレの不足が想定されることから、市町村の不足分を補填できる数の簡易トイレや携帯トイレを計画的に備蓄していきたい。
- 111:【岩村進次委員】
今、先行して簡易トイレなどの備蓄を行うことは理解しているが、将来に向けて県と市町村が連携して、ある程度の台数の災害用トイレトレーラーを保有すれば、本県のみならず、他県での災害援助として活用でき、県としてPRができる。災害用トイレトレーラーの活用を将来的にどのように考えているか。
- 112:【災害対策課主幹(調整・支援)】
刈谷市の災害用トイレトレーラーは、災害時の相互応援協定を締結している他県の市町村との相互応援に活用することを想定している。内閣府では、昨年4月に避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインを作成し、避難所の良好な生活環境と併せてトイレの衛生環境の確保にも注力しており、災害用トイレトレーラーやマンホールトイレなど衛生面で優れたものに可能な範囲でできるだけ早く切り替えていければと思っている。
- 113:【岩村進次委員】
ある建設会社では車載型トイレを保有していた。工事現場には女性の現場監督もいるため、現在の仮設トイレでは働きにくいことから、福利厚生の一環として保有しているとのことである。県の工事を発注する関係部局が企業等に保有を働きかけ、保有している企業等と協定を締結すれば、トイレの確保につながると考えられる。最低限のトイレの確保に当たって、ほかの方法も考えていかなければいけないと考えるが、どのように考えていくのか。
- 114:【災害対策課主幹(調整・支援)】
車載型トイレも、災害用トイレトレーラーと同様に洋式水洗トイレの機能を有しているトイレである。車載型であることから、使用する場所に自ら移動して使用でき、汚水がたまった場合には捨てに行くことも可能である。衛生面でも優れたトイレと認識している。建設業界と協定を締結することができれば、避難所のトイレ不足の解消に役立つものと考えられることから、関係部局等と相談して災害時に役立つ仕組みづくりについて取り組んでいければと考えている。
- 115:【岩村進次委員】
このトイレを実際に見たことがあるか。
- 116:【災害対策課長】
過去に工事現場で実際に見たことがある。水洗式で、男性用及び洋式トイレを備えており、工事を施工している企業が保有していることも確認できた。快適な衛生環境が保たれていると感じた。
- 117:【岩村進次委員】
局長は、このことをどのように進めていくのか。
- 118:【防災局長】
災害時の衛生的なトイレの確保は重要であると以前から認識している。家庭用トイレの衛生環境が向上しており、公共施設のトイレの環境も向上してきている中、災害が起きた際に平時との環境の差が大きすぎると、特に女性や高齢者などは、体への悪影響が予想されることから、車載型トイレ等は、臨時的なトイレとしては最も優秀なものと認識している。
しかし、いろいろな制約条件がある中で予算の確保を始め最大限努力しているが、88万回分のトイレが愛知県内で足りない現実を前にして、10年計画で補っていこうと昨年度からスタートしたばかりであるため、その取組を優先的に進めていきたい。
同時並行して、レンタル会社も含めて世の中により多くの災害用トイレトレーラーを普及させ、県が直接保有するのではなく、レンタルできるように、民間事業者に保有してもらうことも含め、世の中の情勢も含めて観察していきたい。
- 119:【岩村進次委員】
今後の災害に備え、他県への応援も踏まえ、どこの地域で災害が発生しても愛知県として支援することができるよう、よいものを確保してほしい。