県政報告
平成29年9月定例会(第2号)
2017年9月26日
(主な質疑)
- 1: 午前十時開議
◯議長(中野治美君) おはようございます。
ただいまから会議を開きます。
直ちに議事日程に従い会議を進めます。
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日程第一 一般質問並びに第百五号議案平成二十九年度
愛知県一般会計補正予算から第百二十五号議案
教育委員会の委員の選任についてまで及び決算
第一号平成二十八年度愛知県一般会計歳入歳出
決算から決算第十六号平成二十八年度愛知県用
地造成事業会計決算まで
- 2:◯議長(中野治美君) 第百五号議案平成二十九年度愛知県一般会計補正予算から第百二十五号議案教育委員会の委員の選任についてまで及び決算第一号平成二十八年度愛知県一般会計歳入歳出決算から決算第十六号平成二十八年度愛知県用地造成事業会計決算までを一括議題といたします。
なお、第百八号議案職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正について、地方公務員法第五条第二項の規定により、人事委員会の意見を徴しましたところ、妥当なものであると認める旨の回答を受けましたので、御報告いたします。
これより一般質問並びに提出議案及び決算に対する質問を許します。
通告により質問を許可いたします。
石井芳樹議員。
〔八十五番石井芳樹君登壇〕(拍手)
- 3:◯八十五番(石井芳樹君) おはようございます。
自由民主党愛知県議員団を代表いたしまして、県政の諸問題について順次質問をしてまいります。
質問の第一は、行財政運営についてであります。
初めに、県税収入の見通しと今後の財政運営についてお尋ねをいたします。
まず、県税収入の見通しについてお伺いいたします。
先般、内閣府が発表した本年四月から六月期の国内総生産は、個人消費や住宅投資が堅調に増加したことに加え、公共投資も大幅に増加するなど、内需が牽引する形で、六四半期連続のプラス成長となりました。
また、企業収益の状況を見ますと、新聞報道によれば、全国の三月期上場企業の、本年四月から六月期の連結経常利益は、世界的な景気回復や為替相場の円安・ドル高を追い風に、製造業を中心に業績が拡大をし、全産業ベースでは、前年同期比で二四%増と高い伸びでありました。
このように、我が国の景気は緩やかな回復基調が続いており、今後も企業収益の拡大が賃金の上昇につながり、個人消費が力強さを増すことにより、内需主導の経済成長が持続していくことが期待されるところであります。しかしながら、緊迫化する北朝鮮情勢やアメリカの経済政策などの動向が、為替や我が国経済に与える影響も大変懸念されるところであります。
そこでお尋ねをいたします。
このような景気動向を踏まえ、本年度及び来年度の県税収入についてどのように見通しをされているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、今後の財政運営についてお伺いをいたします。
本年度当初予算は、企業の本年三月期の業績の落ち込みや外形標準課税の再拡大の影響などを踏まえ、法人二税の大幅減を見込んだ結果、千五百九十億円もの多額の収支不足を抱えた中で編成され、基金や県債を最大限活用して対応したところであります。
一方で、地方財政全体の状況を見ますと、地方税収は本県の状況とは異なり、平成二十九年度地方財政計画において、七年連続の増収が見込まれております。
また、先ごろ総務省が発表した平成三十年度地方財政収支の仮試算においても、政府経済の見通しを反映し、前年度比〇・七%の税収増が見込まれており、この増収を背景に、来年度の地方交付税の概算要求額は、前年度に対して約四千億円、二・五%の減少となっております。
社会保障費を初め、地方歳出の増加が見込まれる中での交付税の減少は極めて厳しい内容であると言わざるを得ません。しかしながら、このような環境下にあっても、これからの十年間が愛知の将来の発展に向け極めて重要であるとの認識のもと、防災、減災、医療、福祉など、県民の安全・安心な暮らしを確保するための施策はもとより、日本一の産業県愛知の競争力をさらに高める施策に積極果敢に取り組んでいかなければならないと考えます。
そこでお尋ねをいたします。
現下の財政状況をどのように認識し、来年度にかけての財政運営をどのように対応していくお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第二は、活力と魅力あふれる愛知の実現についてであります。
初めに、アジア競技大会の開催に向けた取り組みについてお伺いをいたします。
アジア競技大会については、本年九月二十五日までに開催都市契約を締結するとしておりましたが、アジア・オリンピック評議会(OCA)との間で、大会開催費の負担軽減やスポンサー収入の分配など、契約内容をめぐる協議が続いており、締結が延期されております。
私が視察に行った二〇一七年冬季アジア札幌大会では、OCAとの協議により、オセアニア地域からのゲスト参加で規模が拡大したことなどを理由として、開催経費が当初の見込みを上回ったと聞いております。OCAとは開催経費が膨らむことのないよう、しっかりと協議を進めていただきたいと思います。
それでは、まず、アジア競技大会の開催に向けた組織のあり方についてでありますが、私は、早急に、アジア最大のスポーツの祭典であるアジア大会開催にふさわしい強力な推進組織を整備することが必要と感じております。今後、OCAや組織委員会との協議、交渉を重ねながら、市町村や競技団体、経済団体などの協力、連携のもと、競技会場の調整や選手村の整備など、開催に向けた準備を着実に進めていかなければなりません。
知事のリーダーシップのもとでアジア競技大会の推進を一元的に所管し、スピード感を持ち、円滑かつ適切に対応できる新たな組織を知事部局に設置すべきではないでしょうか。
例えば、石川県においては、本年度から県民文化スポーツ部が新設をされております。これまでスポーツに関する施策は教育委員会が所管しておりましたが、文化とスポーツに関する施策の重要性が増す中で、知事部局の県民文化局を格上げし、文化とスポーツを一元的に所管する新たな部を設けたとのことであります。
本県においても、知事部局にスポーツに関する施策を一元的に所管する新たな部局を設け、全庁を挙げて、アジア競技大会の開催を推進する体制を整えることを検討すべきと考えます。
そこでお尋ねをいたします。
新たな部局の設置など、アジア競技大会の開催に向けた組織のあり方についてどのようにお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。
続いて、アジア競技大会の開催に向けた選手の育成についてお伺いをいたします。
アジア競技大会を県民全体で盛り上げていくためには、大会で活躍できる選手の育成が大切と考えます。アジア競技大会が、毎日のように地元の選手の活躍が報じられ、全ての県民が大会に興味を持ち、感動を分かち合える大会となることを大いに期待するところであります。
しかしながら、大会で活躍できる選手の育成は簡単なことではありません。選手の育成には、種目ごとに専門の指導者が必要であり、県だけで行っていくのは難しいと考えます。したがって、今から九年後を見据え、体育協会や各競技団体、連盟が自主性を持って、すぐれた指導者のもとで計画的かつ専門的な選手の育成ができるよう、県が、例えば資金援助や場所の提供など、十分なバックアップを行うべきではないかと考えます。
そこでお尋ねをいたします。
アジア競技大会の開催に向けた選手の育成についてどのようにお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、文化芸術振興に係る新たな条例の制定についてお伺いをいたします。
本県は、現代芸術の祭典であるあいちトリエンナーレの開催や、国内有数の文化芸術施設である愛知芸術文化センターを拠点としたさまざまな文化芸術振興施策に取り組んできました。
あいちトリエンナーレは二〇一〇年に初めて開催されて以降、昨年度で三回目を迎えましたが、来場者数は六十万人を上回り、アンケート調査でも、来場者の八割がよかったと回答するなど好評を博しております。
また、愛知芸術文化センターは、美術展、オペラ、コンテンポラリーダンス等の多彩なプログラムを提供し、毎年約二百万人の方が訪れております。
こうした中、昨年十二月に実施した県政世論調査では、文化芸術を振興することは地方公共団体の基本的な課題の一つであると思いますかとの問いに対して、そう思うが四〇%、どちらかといえばそう思うが三六%と、約八割の方が文化芸術振興は地方公共団体の基本的な課題であると回答されています。また、文化芸術活動をもっと活発にするためには何に力を入れるべきと思いますかの問いに対しては、最も多い五七%の方が、子供たちが文化芸術を体験する機会の提供、充実と回答されています。このことからも、多くの県民の皆様が、本県における文化芸術の振興の重要性を認識されるとともに、子供たちが文化芸術に親しむことに期待を寄せているものと思われます。
一方、国においては、本年六月に、文化芸術振興基本法を文化芸術基本法に改正し、基本理念として、年齢、障害、経済的な状況にかかわらず、ひとしく文化芸術の鑑賞、参加、創造ができる環境の整備、児童生徒等に対する文化芸術に関する教育の重要性及び観光、まちづくり、国際交流等の分野との有機的な連携などを新たに加え、文化芸術に対する基本的な姿勢を明らかにしたところであります。
本県においても、文化芸術の振興に対する基本的な考え方などを条例で示し、県民の期待に応え、さらなる文化芸術の振興を図っていくべきではないかと考えます。
そこでお尋ねをいたします。
本県の文化芸術振興に対する基本的な考え方を示すとともに、施策のよりどころとなる新たな条例を制定する必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、ジブリパーク(仮称)構想についてお伺いをいたします。
二〇〇五年の愛知万博の理念継承につながるジブリパークを愛・地球博記念公園内に二〇二〇年代初頭に開業することを目指し、検討が進められております。愛知万博においては、このジブリ作品の代表作の一つである映画となりのトトロに出てくるサツキとメイの家が再現されました。そして、愛知万博のレガシーとして、愛・地球博記念公園に引き継がれており、これまで百万人を超える方が訪れていると伺っております。
ジブリ作品は、子供から大人まで世代を超えて愛され、国籍を問わず、世界の人々に感動を与え続けていることから、ジブリファンのみならず、多くの方々がジブリパークの開業を心待ちにしていると思われます。
ジブリパークが将来にわたり、愛知万博の理念と成果を次世代に継承するとともに、家族そろって楽しめる魅力的な施設となるよう、具体化に向けた検討を着実に進めていただきたいと思います。また、構想実現に向けて、スタジオジブリとの調整や必要な調査、さらには、関係する地域や団体の声を聞く中でさまざまな問題や課題に直面することとなると思いますので、推進体制の拡充も検討していただきたいと思います。
そこでお尋ねをいたします。
ジブリパーク(仮称)構想の具体化に向けてどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第三は、新しい時代に飛躍する愛知づくりであります。
初めに、MICEを核とした国際観光都市の実現についてお伺いをいたします。
まず、国際観光都市の実現に向けた取り組みについてであります。
世界経済の中で観光産業の占める割合は高く、世界旅行ツーリズム協議会の報告によれば、世界のGDPの一〇・二%を占めており、今後も成長産業として大きな期待が寄せられております。さらに、北東アジア地域や東南アジア地域を中心に国際観光客数は大きく増加していくものと見込まれており、世界中の国や地域で、より付加価値の高いMICEの誘致に向け、激しい競争が繰り広げられていくものと思われます。
我が国では、平成二十八年三月に策定をされた明日の日本を支える観光ビジョンの中で、観光は真に我が国の成長戦略と地方創生の大きな柱であるとの認識のもと、二〇三〇年に訪日外国人旅行者数六千万人、訪日外国人旅行消費額十五兆円を目指すこととし、観光先進国の実現に向けた取り組みが推進されております。このビジョンの取り組みの一つとして、MICE誘致の促進が位置づけられており、東京、横浜、大阪などの国内主要都市では、ハード、ソフト両面での機能強化を図る動きが着々と進められております。
本県においても、魅力ある国際観光都市を目指した取り組みを世界の潮流や国内主要都市の動向におくれをとることなく積極的に進めていく必要があると考えます。
そうした中、本県ではこの八月に、国際観光都市としての機能整備に関する研究会が設置をされております。研究会では、国際観光の推進に向けた戦略が必要である、MICEの視点が重要である、統合型リゾート(IR)は経済効果が大きいなど、積極的な事業展開を期待する意見が出されたと伺っております。IRについては、国際競争力を一層高め、より多くのMICEを呼び込むために大変有効なツールであるとの意見がある一方で、ギャンブル依存症などへの対策の必要性が指摘をされております。
国は、先月、依存症対策を強化するための具体策を取りまとめたところであり、本県議会も、さきの六月定例会において、ギャンブル等依存症対策の強化を国に求める旨の意見書を可決したところであります。
そこでお尋ねをいたします。
MICEを核とした国際観光都市の実現に向け、IRも含め、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
続いて、クルーズ船の寄港誘致についてお伺いをいたします。
近年、我が国へのクルーズ船の寄港が急増しており、観光客がもたらす大きな経済効果への期待が高まっております。国は、クルーズ船のインバウンド効果を全国に波及させていく観点から、寄港地を全国各地に展開する取り組みを進めているところであります。
本県においても、名古屋港には金城ふ頭などに、外国クルーズ船のダイヤモンド・プリンセスを初め、年間四十隻ほどのクルーズ船が寄港しており、金城ふ頭については、自動車の輸出とクルーズ船の着岸を同じ埠頭で行わなければならないことや、受け入れのために必要となる税関などの施設を臨時に開設しなければならないことなどの課題はありますが、さらなる寄港回数の拡大に取り組んでいるところであります。また、三河港においても、昨年度は飛鳥IIやぱしふぃっくびいなすが来航するなど、大型クルーズ船の寄港に対する期待が高まっており、蒲郡地区において、大型クルーズ船の寄港に対応した水深十一メートルの岸壁延伸整備が進められているところであります。
こうした中、一層のクルーズ船の寄港誘致を促進するには、中部国際空港エリアの活用が考えられるのではないでしょうか。中部国際空港エリアでは、現在、国際展示場や複合商業施設などの整備が進められるとともに、MICEを核とした国際観光都市として魅力ある機能整備のあり方について検討が進められております。こうした地域開発の進展に加え、世界的に飛行機での移動とクルーズを組み合わせたツアー、いわゆるフライ・アンド・クルーズも盛況な状況です。
空港に隣接するという絶好のロケーション、さらには、空港島の周辺は比較的水深が深いことを踏まえると、中部国際空港エリアにクルーズ船が直接寄港できる環境整備を行うことで、国際観光都市の実現を加速させることができるのではないかと考えます。
そこでお尋ねをいたします。
中部国際空港エリアを含めた本県へのクルーズ船の寄港誘致について、今後どのように進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、二〇二三年技能五輪国際大会の招致についてお伺いいたします。
本県では、二〇一九年度には技能五輪全国大会が、二〇二〇年度には技能五輪全国大会・全国アビリンピックが開催されることとなっております。
本県の選手団は、これまでの技能五輪全国大会においてすばらしい活躍をされており、十二年連続で最優秀技能選手団賞を受賞しております。また、二年に一度開催される国際大会では、全国大会を勝ち抜いた、原則二十二歳以下の選手が出場しており、ことしの十月にアラブ首長国連邦のアブダビで開催される大会には、日本から参加する四十職種四十五名のうち、本県から十四職種十八名という大変多くの選手が参加されると伺っております。
二年前に行われたブラジル・サンパウロ大会では、日本選手団が獲得した五個の金メダルのうち、四個の金メダルを本県の選手が獲得いたしました。今回のアブダビ大会でも大いに活躍してくれるものと期待しているところであります。
こうした中、本県は、二〇二三年に開催される技能五輪国際大会の招致を目指し、ことしの三月に基本構想を国に提出し、招致の要請を行ってきたところでありますが、先週二十二日、厚生労働大臣が、日本・愛知への招致方針決定を表明されました。今後は、二〇一九年夏のワールドスキルズインターナショナルの総会で開催地が決定されると伺っております。
技能五輪国際大会が本県で開催されれば、子供たちが世界の舞台で競い合う若者の姿を間近に見る機会となり、物づくりに対して憧れを抱くきっかけになることが大いに期待をされます。さらに、常滑の空港島に開設される愛知県国際展示場が競技会場に予定をされており、PRの大きな機会となると思います。物づくり県愛知のさらなる発展のため、技能五輪国際大会の招致をぜひとも実現していただきたいと思います。
そこでお伺いをいたします。
二〇二三年の技能五輪国際大会の招致実現に向け、どのように招致活動を進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、次世代産業の振興についてお伺いをいたします。
本県は、世界有数の物づくり産業拠点であり、平成二十六年の製造品出荷額は、四十三兆八千億円以上と全国の一四・四%を占めており、昭和五十二年以来、三十八年連続で日本一となっております。そして、窯業や繊維産業から機械産業まで、すぐれた技術を持った幅広い業種が集積をしていることも特徴となっており、これまで、物づくりの幅広い集積を生かしながら時代の変化に対応し、消費者のニーズを踏まえた新技術やサービス、さらには新たな産業を創出してまいりました。
特に本県の基幹産業である自動車を中心とした輸送用機械においては、常に時代の変化や消費者ニーズに沿った製品が生み出されており、製造品出荷額の五一%以上を占めるまでに成長したところであります。
一方で、このところ、自動車産業をめぐる技術革新は、EVに代表されるような電動化や自動運転化の進展に伴い、グローバルかつ異業種も加わった競争が激化しております。
今後も本県が物づくり産業拠点として日本をリードしていくためには、愛知県の将来を支える革新的な技術やサービスを創出し続けていくことが必要と考えます。また、そうしたイノベーションを育む原動力としてのベンチャー企業育成に取り組むことも重要であります。
現在は、技術革新をめぐる環境変化が予想困難なスピードで起きていると言われており、今後も時代の変化に合わせたイノベーションを起こし続けるために、地域が一体となり、スピード感を持って取り組む必要があります。
こうした中、その動きに合わせ、我が党は、本年八月に自由民主党愛知県議員団次世代産業振興議員連盟を設立し、積極的に本県の次世代産業の振興を推進していくこととしております。
そこでお尋ねをいたします。
次世代産業創出の意義や今後の取り組みの方向性など、次世代産業の振興について、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第四は、次代を担う人づくりについてであります。
杉原千畝顕彰施設の整備についてお尋ねをいたします。
戦前の我が国の外交官であった杉原千畝氏は、リトアニアのカウナスで領事代理を務めていた一九四〇年に、ナチスドイツの迫害から逃れてきた多くのユダヤ系避難民に対して、人道的な配慮から、日本の通過ビザ、いわゆる命のビザを発給いたしました。千畝氏が発給したビザによって、シベリア鉄道と船を乗り継ぎ、無事福井県敦賀市にたどり着いたユダヤ人たちは、その後、神戸や横浜を経由して、アメリカ、オーストラリア、カナダなどに移り住むことができ、ビザを発給された本人とその家族約六千人のとうとい人命が救われたと言われております。
千畝氏の功績は現在も世界中で語り継がれており、本年八月には、千畝氏のビザにより命を救われたユダヤ系ポーランド人の一人であったアメリカ在住のシルビア・スモーラー医学博士とその御子息一家が来日され、千畝氏の故郷である岐阜県八百津町で記念講演をされたと伺っております。
千畝氏は、本県とも深いかかわりがあります。当時税務署に勤められていた千畝氏の父、好水さんの転勤に伴い、一九〇七年、小学校二年生のときに、名古屋市金山駅近くにあった古渡尋常小学校、現在の平和小学校に転入され、その後、瑞穂区の県立第五中学校、現在の瑞陵高校に入学し、一九一七年までの五年間、学生生活を送られた後、早稲田大学に進学されております。このように、千畝氏は多感な青少年期の十年間をこの愛知で過ごされており、本県と大変ゆかりの深い方であります。
こうした中、本県では、千畝氏の人道的な立場を貫いた足跡を広く県民に伝え、県民の郷土に対する誇りの醸成や地域の活性化につなげるため、千畝氏の母校である県立瑞陵高校の敷地内に顕彰施設を整備することとしております。
千畝氏の人道的な功績に関しては、岐阜県八百津町から、ユダヤ系避難民のために大量発給した日本通過ビザ発給リストなどの資料がユネスコ世界の記憶として登録申請されており、ことしの秋にも決定される見込みと伺っております。今後、千畝氏の功績に対する県内外の関心はさらに高まるものと思われます。
顕彰施設については、今や世界的な存在である郷土の偉人、杉原千畝氏の功績を後世に伝えるとともに、県内外に十分にアピールできる施設にしていただきたいと思います。
そこでお伺いをいたします。
杉原千畝顕彰施設の整備について、どのような思いで今後進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
最後の質問は、安全・安心な暮らしの実現についてであります。
初めに、豪雨対策についてお伺いをいたします。
まず、豪雨災害への対応についてであります。
ことし七月五日から六日にかけての九州北部豪雨では、福岡県朝倉市、大分県日田市で、観測史上一位となる記録的な大雨となり、死者、行方不明者が合わせて四十一名にも及ぶ大規模な災害となりました。また、今月には、大型の台風十八号が列島を縦断し、九州、近畿、北海道などで猛烈な雨が降り、住宅の浸水や冠水などの被害が発生し、死者、行方不明者は合わせて五人となっております。
この夏は本県においても、七月十二日から十三日にかけて猛烈な雨、いわゆるゲリラ豪雨に見舞われ、浸水害や道路損壊などの被害が発生し、交通機関にも大きな影響があったほか、落雷により国宝犬山城の天守閣のしゃちほこが破損するという被害を受けました。さらに、七月十四日にも大気の状態が不安定になり、東三河北部では十四日未明から明け方にかけて、また、尾張東部や尾張西部では十四日朝から昼前にかけて激しい雨となり、合瀬川、五条川など、越水いたしました。そして、七月の豪雨の記憶がさめやらぬ八月十八日には、まるで一カ月前の雨の再現かと思うような大雨が降り、同じような場所で再び被害が発生しております。
これらの災害で亡くなられた方々、御家族の皆様に対しましては、心から哀悼の意を表しますとともに、被災された方々にあわせて心からお見舞いを申し上げます。
近年、我が国では、一日百ミリ以上の大雨となる日数が増加する一方で、全く雨の降らない日もふえております。気象庁の統計によると、一時間に五十ミリ以上の大雨が降る頻度は、一九七〇年代や八〇年代に比べて三割程度増加しているとのことであります。
こうした中、本県では、数年に一度程度しか発生しないような一時間に百ミリを超える猛烈な雨が観測された場合に発表される記録的短時間大雨情報が、ことし既に五回も発表されております。いま一度気を引き締め、県民の皆様の安心・安全の確保に向けて、豪雨に対する備えに万全を期していかなければならないと考えます。
そこでお尋ねをいたします。
近年、全国各地で頻発する豪雨災害への対応についてどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
続いて、河川の治水対策についてお伺いをいたします。
本県は、世界的に有数な自動車・航空宇宙産業などが多く立地する日本一の産業集積地であります。この地域に一たび洪水の被害が生ずれば、住民の皆さんの生活はもとより、日本経済に深刻な影響をもたらすおそれがあります。
平成二十七年の関東・東北豪雨の鬼怒川破堤を契機に、堤防等の施設では防ぎ切れない大洪水は起こり得るものとして、逃げおくれる方々をなくす取り組みなどが全国的に進められております。大雨の際にはいち早く避難をしていただくことが大事であるということは言うまでもありませんが、こうしたソフト対策とあわせて、洪水の発生を防ぐため、河川堤防の整備や河床掘削などの河川の整備をしっかりと行っていくことが求められております。
特にこれまでに浸水などの被害が発生した地域においては、住民の皆様の生活や地域の産業活動に安心を取り戻すため、河川整備を速やかに実施していかなければなりません。しかしながら、県管理河川の整備状況を見ますと、その整備率は平成二十八年度末で約五三%にとどまっており、県内全域に甚大な被害をもたらした平成十二年の東海豪雨や岡崎市内で観測史上最大の猛烈な雨を記録した平成二十年八月末豪雨後には、被害を受けた河川を中心にしっかりと整備が進められました。
しかしながら、その後も、平成二十三年の台風十五号による春日井市等の浸水被害や、先ほど申し上げました本年七月、八月の大雨による被害など、依然として県内各地で災害が頻発しております。
そこでお尋ねをいたします。
県管理河川の治水対策についてどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
続いて、災害に強い森づくりについてお伺いをいたします。
七月の九州北部豪雨では、多くの山崩れが発生し、被害が拡大をいたしました。テレビ画面に映し出される被災地の惨状を目の当たりにして、改めて災害に強い森づくりの必要性を痛感したところであります。
この災害に関して、地すべり学会及び林野庁の現地調査結果が公表されております。この調査結果では、山腹崩壊が発生した箇所は、樹木の種類や植栽してからの年数、間伐の有無といった森林の状態による関連は確認できず、記録的な豪雨が特定の箇所に集中し、森林の有する土砂崩壊防止機能や土砂流出防止機能の限界を超え、山腹崩壊等が発生したものと考えられるとのことでありました。また、流木は根がついたものがほとんどであり、立っていた木が崩壊土砂とともに流されてきたものと認められたとされております。さらに、治山施設は、一部では山腹崩壊に伴い損壊が認められたものの、崩壊土砂や流木の捕捉が確認されており、下流への被害軽減効果があったとされております。
そして、今後の対応として、流木に対応した防災ダムなど、適切な防災施設の整備や降雨への耐性を向上させるため、災害に強い森づくりに留意することなどが挙げられております。
本県に目を向けますと、県土面積の約四割は森林であります。そのうちの六割は適切な手入れを必要とする杉、ヒノキなどの人工林となっております。また、地質面では、尾張東部の丘陵地域から西三河山間地域にかけては花崗岩が風化してできた真砂土が広がっているなど、県内には脆弱な地質も分布しております。
実際、本年七月、八月の豪雨では土砂崩れが発生しております。自然災害の発生によるリスクが増す中で、県民の生命、財産を守るため、あいち森と緑づくり税を生かしながら、山地災害に対する防災・減災対策を速やかに進めていかなければなりません。
そこでお尋ねをいたします。
災害に強い森づくりに向けてどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、ヒアリを初めとする特定外来生物の対策についてお伺いをいたします。
本年六月、兵庫県尼崎市において、南米原産の特定外来生物のヒアリが日本で初めて確認をされました。その後、十一都府県で相次いでヒアリが確認されており、愛知県内でも四カ所でヒアリの確認がされました。ヒアリは、既に中国、台湾等に定着しておりますが、県内の港湾に寄港するコンテナ船の中にはこれらの国を経由しているものが多くあり、行政や港湾関係者が連携して、水際でのヒアリ侵入防止に取り組んでいく必要があります。
特定外来生物とは、もともと日本にいなかった生物のうち、生態系や人の生命、身体、農林水産業に被害を及ぼすものとして、法に基づき指定された生物で、飼育や輸入等の規制を受けております。特定外来生物には、アライグマのようにペットとして国内に流通していたものが飼い切れなくなり捨てられたもの、オオキンケイギクのように観賞用として人が意図的に導入したもの、そして、ヒアリやアルゼンチンアリ、セアカゴケグモのように、海外からの人や物の移動に伴い、非意図的に侵入してくるものがあります。
地域の自然体系を維持し、住民の健康や生活を守るためには、特定外来生物を入れない、捨てないはもちろんでありますが、広げない取り組みをしていくことが重要であります。
私の地元、長久手市では、オオキンケイギクを広げない取り組みが進められております。オオキンケイギクは、五月から七月にかけて鮮やかな黄色い花を咲かせますが、この花は非常に繁殖力が強く、在来の植物を駆逐し、地域の生態系に大きな影響を及ぼす特定外来生物であります。この五月には外来種勉強会が開催され、住民の皆様が専門家からオオキンケイギクの特徴や駆除の方法を学び、実際に香流川で駆除活動を行っており、川沿いのオオキンケイギクの減少が確認されております。
近年の貿易の自由化、経済社会のグローバル化の進展により、海外と人、物資の移動は活発化しており、特定外来生物の侵入は今後も続いていくものと考えられます。特定外来生物の侵入や拡散防止に向けて、行政と地域、専門機関などの関係者が連携して、できる限り対策を速やかに行っていく必要があると考えます。
そこでお尋ねをいたします。
本県では、ヒアリを初めとする特定外来生物の対策についてどのように進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、治安対策についてお尋ねをいたします。
初めに、犯罪抑止についてお伺いをいたします。
昨年の刑法犯認知件数は七万二百五十四件と、昭和五十六年以降最少となり、本年八月末時点では、昨年同時期と比べて千九百五十三件減少するなど、犯罪は着実に減少しているものと認識しております。しかしながら、県民の身近で発生し、不安を感じる空き巣などの侵入盗については、複数の者が連続して犯行を繰り返す組織窃盗グループの暗躍などにより、平成十九年以降、連続して全国ワースト一位という状況にあります。本年八月末時点においても、四千六百十二件と昨年の同時期よりは減少しているものの、依然として全国ワースト一位という憂慮すべき状況にあります。
また、振り込め詐欺を初めとした特殊詐欺については、具体的な被害事例を示すなどして、広く県民の皆様に注意喚起するとともに、金融機関と連携をし、キャッシュカード振り込み限度額ゼロ円設定などの被害防止対策を講じていただいているところでありますが、昨年の認知件数は、特殊詐欺の被害統計をとり始めて以降、最多となる千六十件となり、その被害総額は三年連続して三十億円を超えており、深刻な状況にあります。
本年八月末時点では認知件数は減少しているものの、昨年末ごろから、インターネットの有料サイト利用料等の請求名目で架空請求詐欺の被害が増加傾向にあるなど、依然として看過できない状況にあります。
さらに、暴力団情勢につきましても、平成二十七年八月に、六代目山口組と神戸山口組が分裂し、さらに、本年四月には、神戸山口組の一部が新たな団体の結成を表明するなど、混沌とした状況にあります。本県には六代目山口組の中核組織である弘道会の本部事務所があり、対立抗争事件が発生する危険性が高いと思われます。また、今月十一日には、飲食店等からみかじめ料を受け取ったとして、暴力団排除条例違反の疑いで弘道会会長らが逮捕されております。
万が一にも県民の皆様が抗争や事件に巻き込まれることがないよう、警戒の強化、取り締まりの徹底を図っていただきたいと思います。
そこでお尋ねをいたします。
加藤県警本部長は御着任されて一カ月余となるわけでありますが、このような治安情勢を踏まえた上で、県民の安全・安心を確保するためどのような取り組みを進めていかれるのか、御所見と抱負をお伺いいたします。
続きまして、交通安全対策についてお伺いをいたします。
本県の交通事故死者数は、平成十五年から十四年連続で全国ワースト一位となっており、本年も現在までワースト一位となっております。なぜ、これほどまでに愛知県で死亡事故が多発するのでしょうか。移動する手段として、自動車を利用する方の割合が、他の都市部と比べて高いとはいうものの、愛知県の人口は全国第四位であります。また、交通事故死者数の約五割を御高齢の方が占めておりますが、愛知県の高齢化率は、沖縄、東京に次いで三番目に低くなっております。
このような状況にもかかわらず、交通事故死者数が十四年もの間全国ワースト一位になっているというのは、何か要因があるものと思われます。多発する交通死亡事故の要因を分析し、本県交通死亡事故の特徴を踏まえた、より一層効果的な対策を検討していかなければなりません。
例えば、世界初のLED式の信号灯器は愛知県で導入されたと聞いておりますが、本県の信号灯器LED化率は、昨年度末時点で四七%といまだ半分にも達しておらず、LED化を早急に進めていくことも効果的な対策の一つであると考えます。
それ以外にも、交通安全対策を推進していくためには、県民を巻き込んだ交通安全運動等の啓発や取り締まりなど、さまざまな場面で効果的な対策が求められております。
そこでお尋ねをいたします。
本県の交通死亡事故の多発要因をどのように捉え、どのような対策を講じておられるのか、また、死亡事故抑止に向けた決意を、県警本部長にお伺いをいたします。
以上、自由民主党愛知県議団を代表して、県政各般にわたるさまざまな課題について質問をしてまいりました。明快な御答弁を期待いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事大村秀章君登壇〕
- 4:◯知事(大村秀章君) 自由民主党愛知県議員団の石井芳樹幹事長の質問にお答えをいたします。
初めに、県税収入の見通しについてのお尋ねであります。
本年度の県税収入は、主要税目であります法人二税の大幅な減収を見込んで予算計上いたしましたが、全体の約七割を占める三月期決算法人の申告実績を見ましても、大幅な減収という状況は基本的に変わっておりません。今後の為替や景気の動向が企業収益へ与える影響に十分注意を払いながら、予算額の確保に全力で取り組んでまいります。
続いて、来年度の県税収入の見通しについてでございます。
来年度の法人二税収入に影響を及ぼします上場企業の平成三十年三月期の業績予想は、連結経常利益が全国の全産業ベースで七%の増益見込みとなっておりますが、本県の主要産業であります自動車関連産業は、北米市場での販売の減速が見込まれることなどにより、二年連続の減益予想となっております。加えて、法人事業税の外形標準課税の拡大に伴い、所得課税分に対する税率が大幅に縮減されたことにより、企業収益が回復しても税収増につながりにくい税収構造となっております。
このような状況を踏まえますと、現時点におきましては、来年度の法人二税収入について急激な回復を見込むことは難しいものと考えられますが、今後の国内外の経済や税制改正の動向等を注視し、来年度の税収を慎重に見きわめてまいりたいと考えております。
続いて、今後の財政運営についてであります。
本年度の法人二税収入の予算額は、本県が前年度比二二%の減となっているのに対し、本県を除く都道府県合計ではほぼ横ばいにとどまるなど、主要産業である自動車関連産業の業績動向に左右されやすい本県の税収構造が顕著にあらわれております。来年度におきましても、税収の急激な回復が見込めない一方で、医療、介護等から成る扶助費が確実に増加することなどにより、依然として厳しい財政状況が続くものと認識しております。
したがいまして、まずは、本年度当初予算で取り崩すこととした基金の残高を、本年度内にできる限り回復させることが急務であり、経費の効率的執行やさらなる財源確保に全力を挙げてまいります。
また、国に対しましては、本県を含む全ての地方自治体が、安定的な財政運営を行うのに必要となる地方一般財源総額の増額確保、とりわけ地方交付税の増額確保を強く求めてまいります。
さらには、しなやか県庁創造プランに沿って、歳入歳出両面にわたる行政改革に着実に取り組むとともに、産業経済の活性化を進め、税源の涵養につなげていくことが必要であります。
本年六月に閣議決定をされました骨太方針二〇一七では、人材への投資による生産性向上が大きく掲げられておりますが、本県ではこれに先んじて、全ての人が輝く愛知の実現に全力で取り組んでおります。
今後も引き続き人財力を高め、本県の総合力を一層強化することを通じて、税源を豊かにし、健全で持続可能な財政基盤の確立に取り組んでまいります。
次は、アジア競技大会の開催に向けた組織のあり方についてお答えをいたします。
アジア競技大会につきましては、昨年九月の開催決定後、直ちに全庁推進組織として、私を本部長とする推進本部を設置し、さらに今年度から、振興部内に、部次長級の国際スポーツ大会推進監を置くとともに、アジア競技大会推進課を設置し、体制を強化して取り組みを推進しております。
全国の都道府県におけるスポーツ施策に関する組織体制については、平成二十九年の七月現在で、学校体育を除いたスポーツ関連施策を知事部局に一元化した団体が、御指摘のありました石川県を初め、二十二団体となっております。また、スポーツ施策の一部を知事部局が所管する団体は、本県を初め十三団体、全てを教育委員会が所管する団体は十二団体となっております。
アジア競技大会の開催に向けた取り組みにつきましては、開催が近づくにつれ、業務が拡大、増加してまいります。本県におきましても、こうした業務を着実に進めるため、他の地方公共団体の国際的スポーツ大会の開催に向けた組織体制の例を参考にしながら、組織のあり方を検討してまいります。
続いて、アジア競技大会の開催に向けた選手の育成についてであります。
地元ゆかりの選手の国際大会での活躍は、大会が大きく盛り上がることはもちろん、大会後におきましてもこの地域のスポーツ振興に大きな効果をもたらすものと考えております。そこで、本県では、従来から、各競技団体が実施する練習会等の事業に、県体育協会を通じ、補助を行っておりますが、平成二十七年度から、東京二〇二〇オリンピックに向けた選手強化のため、直接、強化指定選手に遠征費等への助成を開始いたしました。さらに、将来の活躍が期待される中高生を対象に、トップレベルの選手等による実技指導を行うなど、次世代を担う選手の育成にも取り組んでおります。
他の都道府県におきましては、小学生の段階からの育成、特定の競技に集中した選手強化など、各地で工夫を凝らしたさまざまな取り組みが進められております。
地元の選手の育成につきましては、これまでも取り組みを行ってきたところでありますが、九年後のアジア競技大会に向け、他の都道府県の選手育成の例などを参考にしながら、県体育協会や各競技団体に果たしていただきたい役割及びそのためのバックアップのあり方も含め、さらなる取り組みについて検討してまいります。
次に、文化芸術振興に係る新たな条例の制定についてのお尋ねであります。
文化芸術は、人に感動や喜びを与え、人生を豊かにするとともに、人々の交流や地域活力の源でもあると認識しております。
本県は、あいちトリエンナーレを開催してきた実績や質の高い文化芸術を創造、発信し続けている愛知芸術文化センター、山車祭りを初めとする伝統文化など、さまざまな文化芸術の資源を有しております。また、今後、ラグビーワールドカップやアジア競技大会の開催などにより、国内外から多くの方が訪れ、交流人口の大幅な増加が見込まれるところでもあります。
こうした愛知の文化芸術が持つさまざまなポテンシャルを最大限に生かし、さらに魅力ある愛知をつくるために、今後の文化芸術振興の指針となる新たな条例制定に向けた検討を始めてまいります。
条例では、子供から高齢者まで、また、障害の有無等にかかわらず、全ての県民がひとしく文化芸術に親しむことができる環境整備を基本理念として掲げるとともに、愛知の風土が育んだ伝統文化や物づくり文化など、本県の独自性を盛り込んだものにしてまいりたいと考えております。
続いて、ジブリパーク(仮称)の構想についてお答えをいたします。
本県において愛知万博が二〇〇五年に開催され、その理念を継承するため、愛・地球博記念公園を整備、開園いたしました。今後も万博の理念を次世代へ継承し、未来につなげていくことが重要であります。
一方、ジブリ作品に一貫して脈々と流れるのは、人、生き物、地球に対する愛であり、愛知万博の理念と合致しております。
こうしたことから、愛・地球博記念公園にジブリの作品群を保存し、多くの方々に見て楽しんでいただけるジブリパークをつくるという構想について、スタジオジブリさんと合意をいたしました。この構想の具体化に向けて、公園の利用状況や自然環境に関する現状分析などの調査に着手したところであり、今後、この調査を進めていくとともに、どのようにジブリ作品の世界を展開していくのか、どのようなスケジュールで進めていくのかなど、スタジオジブリと協議を重ねてまいります。
そして、これらの協議を精力的に進めるため、新たにジブリパーク構想推進室を県庁内に設置して、体制を強化してまいります。
これからも愛知から世界に向けて広く発信していくプロジェクトとして、構想の実現に全力で取り組み、子供から大人まで家族そろって楽しめる夢とファンタジーの世界を創造してまいります。
次は、MICEを核とした国際観光都市の実現に向けた取り組みについてであります。
国際会議や展示会など、いわゆるMICEは、大きな経済効果を生み出し、新たなビジネス機会やイノベーションの創出、都市の競争力の向上に寄与するものと認識をしております。
近年、多くの国や都市がMICE戦略に積極的に取り組む中、愛知も今こそ日本一の産業集積とすぐれた交通基盤を生かし、MICEを核とした国際観光都市を目指す必要があります。
こうした中、中部国際空港エリアでは、本県の国際展示場を初め、複合商業施設などの整備も着々と進められ、競争力の高い魅力ある滞在型観光ゾーンを実現できる可能性が高いと考えております。そこで、国際競争力をさらに高め、数多くのMICEを呼び込むため、常滑商工会議所や常滑市議会から要望いただきました統合型リゾート(IR)を含めた都市の機能整備に関して、有識者による研究会を八月に設置いたしました。これまでに二回開催し、幅広い観点から御意見や御提言をいただいているところであります。
引き続き、MICEを核とした国際観光都市の実現に向けてIRの活用を含め、研究会等においてさまざまな検討を重ね、本県の考え方をまとめてまいりたいと考えております。
続いて、クルーズ船の寄港誘致についてお答えをいたします。
世界のクルーズ人口は、過去十年間で約一・七倍に拡大をしており、特に我が国における訪日クルーズ旅客数は、二〇一六年は対前年比で約一・八倍と急激に増加しております。
こうした中、国は、明日の日本を支える観光ビジョンにおいて、訪日クルーズ旅客を二〇二〇年に五百万人とする目標を設定し、国際クルーズ拠点の形成に向けた受け入れ環境の整備を推進することとしております。
本県におきましても、観光振興や地域経済の活性化を図るため、クルーズ船の誘致に積極的に取り組む必要があると考えております。とりわけ、国際展示場や宿泊施設などの整備により、国際競争力のある滞在型観光ゾーンとなり得る中部国際空港エリアは、新たなクルーズ船寄港地としても魅力的な場所であります。
一方、大型クルーズ船を受け入れるためには、常滑港空港地区に係留施設や航路整備を初めとしたハード対策が必要であるとともに、確かなクルーズ需要を見込めるかといった課題もあり、クルーズ船寄港の可能性について、今後、調査検討を進めてまいります。
また、名古屋港及び三河港につきましては、引き続き名古屋港外航クルーズ船誘致促進会議や地元自治体などとも連携して、国内外のクルーズ船運航会社や旅行会社に対し、クルーズ船寄港地としての本県の魅力を発信し、さらなるクルーズ船の誘致に努めてまいります。
次に、二〇二三年技能五輪国際大会の招致についてお尋ねをいただきました。
私ども愛知県が三月に、この国際大会の基本構想を国に提出したことを受けまして、国のほうで検討していただき、さきの九月二十二日に厚生労働大臣から、二〇二三年国際大会を、愛知を開催地として招致する方針を発表していただきました。
今回の決定は、開催地として愛知がふさわしく、日本のレベルアップや情報発信、日本を盛り上げることにつながると期待されたものであり、招致をしっかりと成功させたいと思っております。
今後は、技能五輪国際大会の運営組織であるWSI日本代表の中央職業能力開発協会や国とともに、愛知らしさを打ち出した開催計画づくりを進めながら、WSI加盟国に招致を働きかけていく必要があります。
その第一弾として、ことし十月のアブダビ大会に幹部職員を派遣し、招致にかける思いと愛知の実力や魅力を参加国に強くアピールしてまいります。
また、国際大会に向けた全県的な盛り上がりも必要であり、PRイベントや学校への出前講座などを通じて県民の関心を高め、国際大会の招致機運醸成を図ってまいります。
二〇一八年秋ごろの正式立候補の後、WSIによる現地調査、開催提案書の提出を経て、二〇一九年夏にロシア・カザンで開催地が決定されます。
いよいよこれからが招致に向けた本番であり、愛知での開催実現に向けて、経済界や関係団体の協力を得ながら、国とともにしっかりと取り組んでまいります。
続いて、次世代産業の振興についてであります。
次世代自動車、航空宇宙、ロボットといった次世代産業の振興に当たっては、愛知の強みである圧倒的な物づくり産業の集積を生かしつつ、消費者のニーズを先取りした魅力的な商品、サービスを速やかに創出していくイノベーションの循環の構築が不可欠です。
また、その起爆剤として、ベンチャーが提案する卓抜したビジネスアイデアと、県内企業が有する製品化への豊富なノウハウ、技術との有機的な融合が重要な役割を果たすと考えられます。
このようにさまざまな主体が連携する中で、愛知からイノベーションが巻き起こるような仕組みづくりを、本県がリードする形で推進しております。
例えば、次世代自動車の鍵となるベンチャー企業が有する最先端の自動運転管理技術を大規模な公道実証を通じて実用化する取り組み、ロボット産業では、ユーザーやメーカー、ベンチャー等から成るあいちロボット産業クラスター推進協議会を母体に、先駆的なロボットの創出と社会実装を図る取り組み、航空宇宙産業では、産学行政が連携し、知の拠点あいちにおいて、ロボット技術やAI技術を活用して、航空エンジンの製造技術の高度化を目指す取り組みを進めているところであります。
次世代産業分野におけるこうした取り組みを通じて、産業首都あいちの動力源となるイノベーションが湧き起こるような環境づくりを強化してまいります。
次は、杉原千畝顕彰施設の整備についてお尋ねをいただきました。
議員御指摘のように、杉原千畝氏の関連資料が、この秋にもユネスコ世界の記憶遺産として登録される見込みであり、改めて世界中から注目を集めております。
第二次世界大戦中の緊迫した国際情勢の中で、職を失う危険を冒して多くのユダヤ人の命を救った杉原氏は、尋常小学校から旧制中学校を卒業までの人間形成に一番大事な時期をこの名古屋で過ごされており、私たち愛知県民にとって大きな誇りであります。
顕彰施設の整備に当たりましては、まず、ビザ発給時の杉原氏の執務姿を等身大のブロンズ像で再現するとともに、カウナスとプラハで発給された二千二百五十六名分のビザリスト全てを展示することで、杉原氏の人道的行為の歴史的意義に触れ、平和への思いを深めることのできる場所にしてまいりたいと考えております。
また、瑞陵高校ならではのものとして、第五中学校在籍時の様子を紹介するほか、外交官としての業績、ユダヤ避難民を支援した人々の存在なども幅広く展示し、杉原氏にかかわる歴史的事実をたどることのできる見応えのある内容にしてまいります。
さらに、教育的な観点も重要であると考えております。折しも、来年度から小学校でスタートする特別の教科道徳では、八社中四社の六年生用教科書が、杉原氏の人道的行為を取り上げております。次代を担う子供たちがみずからの行動や生き方について考えるきっかけともなるよう、展示内容を工夫してまいります。
このような展示により、誰でも自由に見学できる屋外型施設として、国内外のより多くの方々に見学していただける、深みのある、そして、中身の濃いものとなるよう整備を進めてまいりたいと考えております。
次は、豪雨災害への対応についてのお尋ねであります。
積乱雲の急な発達による豪雨の際には、県民の皆様が名古屋地方気象台の発表する最新の注意報、警報や、市町村長から発令される避難勧告等を確認し、速やかにみずからの安全を確保するよう行動していただくことが重要であります。
このため、県では、防災・減災カレッジや気象台及び名古屋市との共催による防災講演会あいちを通じて、県民の皆様への啓発活動に取り組んでおります。
また、市町村に対しましては、住民の方々の避難行動を促す避難勧告等を適時的確に発令する必要があることから、気象台と連携して、市町村防災担当者を対象とした防災気象情報に関する講習会を開催するとともに、避難勧告等の発令基準の整備を行う市町村を個別に訪問し、助言を行っております。
引き続き、こうした取り組みを通じて豪雨対策を推進し、県民の皆様の安全・安心の確保に努めてまいります。
また、ことし七月の九州北部豪雨では、全地形対応車、いわゆるレッドサラマンダーを中心とする緊急消防援助隊愛知県大隊が被災地で捜索活動を行っており、この活動により得られた知見を、今後の浸水害における初動対応に生かしてまいります。
続いて、河川の治水対策についてであります。
県が管理する河川の整備は、当面の実施箇所等を定めた河川整備計画に基づき、着実に実施するとともに、床上浸水など甚大な被害が発生した場合には、緊急かつ重点的な対策を実施しております。
甚大な浸水被害を受けた春日井市と名古屋市の境では、八田川の堤防整備と、交差する地蔵川の排水機場を新設する対策を進めてまいりましたが、今年度、新たに災害対応の補助事業の採択を受け、整備を加速させてまいります。
また、昨年八月に浸水被害を受けた北名古屋市内においては、補助事業を活用し、鴨田川の護岸整備等を被災直後から一挙に進め、地域からの排水を流れやすくしております。
さらに、本年七月と八月に越水し、被害が発生した大口町内の合瀬川においても同様の補助事業の採択を受け、河川拡幅や河床掘削など、整備の速度を上げてまいります。この整備を進めていくことで、上流において交差する五条川の流量も軽減でき、越水対策につながってまいります。
今後も、計画的な河川整備や住民の円滑な避難に結びつくソフト対策をしっかりと進めるとともに、水害後の緊急かつ重点的な対策にも取り組み、住民の皆様の安全・安心の確保に努めてまいります。
次に、災害に強い森づくりについてお答えをいたします。
近年、全国各地で山地災害が多発する中、森林を整備し健全な状態に保つとともに、治山事業により災害を防止することは、流域管理の観点からも県が主体的に行っていく必要があるものと認識しております。
このため、あいち森と緑づくり事業などにより間伐に取り組むとともに、山地の崩壊により人家や公共施設に被害が及ぶおそれのある約五千カ所を山地災害危険地区に指定し、治山ダムや土どめ工などの防災施設の設置を進めているところでございます。
また、この危険地区を県の防災計画に位置づけ、ホームページで公表するとともに、関係する住民の方々に災害から身を守るためのパンフレットなどを配布し、防災意識の向上を図っております。
さらに、このたびの九州北部豪雨で見られた流木による被害を減らすため、今後の治山事業では、くし状に配置した鋼管により流木を捕捉するスリットダムの設置も進めてまいります。
県といたしましては、集中豪雨による山地災害の防災・減災対策として、森林整備とあわせて治山事業を着実に実施していくことで、県民の皆様が安心して生活できるよう、引き続き災害に強い森づくりに取り組んでまいります。
私からの最後の答弁となりますが、ヒアリを初めとする特定外来生物の対策についてであります。
外来生物法に基づき、現在、百三十二種の動植物が特定外来生物に指定されており、県内では、ヒアリ、カミツキガメ、オオキンケイギク等の二十九種が確認されております。これらの特定外来生物は、人の生命や健康を脅かしたり、在来生物を駆逐するなど地域の生態系に悪影響を与えるため、その対策に取り組んでいく必要があります。
このためには、特定外来生物について県民の皆様の理解を深めることが重要でありますので、県では、専門家の意見を伺いながら、県内の特定外来生物の生態や対策をハンドブックに取りまとめ、ウエブにより公開するなど普及啓発に取り組んでおります。
また、地域住民に身近な市町村による取り組みも非常に大切でありますので、市町村職員を対象とした研修を行うとともに、専門家を派遣することによって、その取り組みを支援しているところでございます。
県といたしましては、この地域の生態系を守り、県民の皆様の安全・安心を確保するため、国や市町村等の関係者と連携をして、今後ともヒアリを初めとする特定外来生物の侵入や拡散防止に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
なお、昨年夏に、地方の農業用水でちょっとした釣り大会をしたときに私も参りましたが、釣れたのはブルーギルとブラックバスと、目の前にはミドリガメをとる施設があって、とにかくフナとかそういうのはおらんのかと思うぐらいでございました。ですから、そういう意味で、こういう身近なところまで特定外来生物が本当に繁殖しているというのを身近に感じることができました。
改めて、関係の皆さんとともに、これの駆除、抑制、そうしたことにしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っておりますので、今後ともよろしくお願いを申し上げます。
以上、御答弁申し上げました。
- 5:◯警察本部長(加藤達也君) 初めに、犯罪抑止についての御質問にお答えいたします。
良好な治安は県民生活の礎であり、県民の皆様が安全に安心して暮らすための基盤を提供することが、私ども県警察の使命であります。
侵入盗につきましては、部門連携による組織窃盗グループ壊滅プロジェクトの推進や、多発地域での簡易設置式防犯カメラの運用など、検挙、抑止両面からの対策により効果を上げているところであり、引き続きこれらの対策を推進してまいります。
また、特殊詐欺につきましては、議員お示しの被害防止対策のほか、犯行グループの拠点の急襲による検挙など、被害の減少につながるような諸対策を推進してまいります。
暴力団対策につきましては、先日、弘道会会長らを暴力団排除条例違反で逮捕しておりますが、引き続き資金源対策を初め、暴力団の壊滅に向けた諸対策を推進してまいります。
また、混沌とした暴力団情勢が続いておりますので、警戒活動や取り締まりを徹底し、対立抗争事件の防圧を図るとともに、県民の皆様が万が一にも事件に巻き込まれることのないよう、安全確保に万全を期してまいります。
いずれにしましても、県を初め、各自治体、事業者、県民の皆様の御理解と御協力を得ながら、安心して暮らせる安全な愛知の確立に向け、全力を挙げてまいりたいと考えております。
次に、交通安全対策についてお答えします。
愛知県は人口が多いこと、移動手段として自動車の依存度が高いこと、幅の広い道路が整備されていることなどの要素が相まって交通死亡事故が多発しているものと認識しております。
こうした中、交通死亡事故の分析結果等を踏まえ、事故の加害者とも被害者ともなる高齢者対策、重大な交通事故が多発している交差点対策、県内で多く利用されている自転車対策を重点とした活動を推進しております。
まず、高齢者対策としては、企業等と連携した運転免許の自主返納がしやすい環境の整備や歩行中の被害を防ぐ反射材の着用促進、ドライバーに対するハイビームの使用を励行する広報啓発活動などを行っております。
交差点対策としては、信号灯器のLED化や道路標識・標示の更新整備のほか、横断歩行者妨害や信号無視など、交差点関連違反の取り締まりを強化しております。
自転車対策としては、シミュレーターを用いた参加・体験・実践型の交通安全教育や、街頭での指導啓発活動、悪質、危険な自転車利用者の検挙などを実施しております。
悲惨な交通死亡事故を抑止することは、警察に課せられた最も重要な使命の一つであると認識しておりますので、各種対策の効率を高め、交通死亡事故の抑止に全力を挙げてまいりたいと考えております。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 6:◯四十一番(近藤ひろひと君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 7:◯議長(中野治美君) 近藤ひろひと議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 8:◯議長(中野治美君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時十四分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後一時開議
- 9:◯議長(中野治美君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
鈴木純議員。
〔五十九番鈴木純君登壇〕(拍手)
- 10:◯五十九番(鈴木純君) 稲沢市選出の鈴木純でございます。
中野議長のお許しをいただきましたので、民進党愛知県議員団を代表し、県政の諸課題につきまして順次質問をしてまいります。
最初に、ライフシフト、長寿社会への対応についてお伺いします。
本年の五月に、連合愛知第十八回地域政策推進フォーラムが開催され、慶應義塾大学経済学部の駒村教授より、超高齢社会における社会保障、長寿、人口減と格差の視点からと題して基調講演をいただきました。
その講演で、リンダ・グラットン氏、アンドリュー・スコット氏の著したライフシフト百年時代の人生戦略の紹介があり、日本では、二〇〇七年生まれの子供の半数が百七歳に到達するという衝撃的なお話をお伺いしました。東洋経済新報社から出版されているこの著書によると、今、二十の人は百歳以上、四十歳の人は九十五歳以上、六十歳の人は九十歳以上生きる確率が半分以上あるということであります。
また、ことしの五月には、経済産業省の事務次官と若手三十人で構成された次官・若手プロジェクトによる「不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~」という資料が公表されましたが、その中でも、人生百年、自分の生き方を自分で決断しなければならない、そして、我々は、自由の中にも秩序があり、個人が安心して挑戦できる新たな社会システムをつくるための努力を始めなければならないのではないかとの問題提起がなされました。
これらの著書や提言書では、かつて人生には、教育、仕事、引退という三つのステージの目指すべきモデルがあったこと、これからの不確実で長いマルチステージでの人生、労働には、一つのスキルでは対応できないこと、そして、単なる定年延長という考えではなく、貯蓄などの財政的な手当ても含めて、根本的な制度改革、意識改革が必要であることなどが指摘されています。
もちろん、人の寿命は個人それぞれに違いますし、百歳がひとり歩きをするのは必ずしもよいとは思いませんが、高齢者の方の体力、運動能力の推移を見ても、前述の次官・若手プロジェクトの資料では、今の七十代前半の高齢者の方の能力は十四年前の六十代後半と同程度ということで五歳若返っており、六十五歳以上でも働く意欲のある方は六割を超えていることから、高齢者を一概に弱者とは言えないとしております。
また、日本老年学会なども、六十五歳以上の体の状態や知的機能は、十年から二十年前と比べ五歳から十歳ほど若返っていると考えられるとし、高齢者の定義を七十五歳以上に見直すべきだという提言を本年の一月に発表しております。
人生百年と言われる長寿社会においては、人生という長いスパンの中でのワーク・ライフ・バランスの取り組みはより重要でありますし、働きがいのある人間らしい仕事と訳されるディーセント・ワークを深めたディーセント・ライフといった考えを持つことが、広い意味での豊かな人生を送ることになると考えます。
日本より労働生産性の高いドイツでは、年間実労働時間が我が国より三百時間以上少なく、毎年三十日の有給休暇も全て使うとのことですが、若いときから長期休暇が取得でき、恋人や家族、友人との時間、技術革新する社会の中で自己研さんの時間を持つことも可能で、子育てをしながら、介護をしながら、治療をしながらなど、個人の状況に応じて働き続けられる社会、転職や復職することが当たり前にでき、七十歳まで、もしくは生涯現役で生き生きと働ける社会の実現に向けて大きくかじを切るときであると考えます。
国においても、人づくり革命の具体策を検討する人生百年時代構想会議のメンバーに、先ほど御紹介したリンダ・グラットン氏を招聘していますし、公務員の定年を六十五歳へ延長する方向で検討に入っており、長く働くことへの魅力づくり、長寿社会が負のイメージとならないための魅力づくりが必要だと考えます。
そこで、少子・高齢社会、人口減少社会への対応に加え、長寿社会、もちろん幸せな健康長寿社会を実現するという大きな流れの中で、健康福祉、労働行政、教育政策を初め、大きな影響を受けると思いますが、県として、長寿化に伴う人口構造の変化をどう捉え、また、取り組むべき課題と政策の方向性についてどのようにお考えか、知事の御所見をお伺いします。
次に、防災、減災の取り組みについてお伺いします。
本県の防災行政につきましては、第三次地震対策アクションプランの策定、地域強靱化計画の策定など、積極的に取り組みをしているところであり、昨年の熊本地震における新たな課題に対しても、家屋被害認定士の養成など、速やかに各種防災・減災施策に反映させ、的確に対応をいただいていますが、新耐震木造住宅検証法については、まだ県民の皆様に周知が不十分と思いますので、最初に、この点についてお伺いします。
地震対策アクションプランには、住宅の耐震化率について、平成三十二年度までに九五%という高い目標を掲げており、建築基準法が大きく改正された昭和五十六年六月より前の木造住宅については、耐震診断の無料化や改修費の補助など制度を充実させ、平成二十五年度推計値では耐震化率は八五・八%という全国四位の取り組みとなっています。
しかし、昨年の熊本地震では、被害の大きかった益城町では、新耐震となった昭和五十六年六月から平成十二年五月建築の木造住宅八百七十七棟のうち、倒壊、崩壊と大破を合わせて百六十一棟、率にして一八・四%が大きな被害を受けています。もちろん、昭和五十六年五月以前の四五・七%の被害に比べれば低い値ですが、新耐震基準がさらに厳しくなった平成十二年六月以降の六%に比べ三倍と、被害が目立っています。
国土交通省では、熊本地震の実態を捉え、本年五月十六日に、新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法について策定、公表したところですが、所有者などによる検証、既存の長期優良住宅化リフォーム推進事業による補助制度の活用にとどまっております。
このような状況の中、この新耐震基準の木造住宅に対して、千葉県を初め六県は耐震診断の支援制度を、耐震改修につきましては七県が支援制度を設けております。
住宅・土地統計調査結果によりますと、昭和五十六年から平成十二年までの間に、本県では四十九万九千八百戸の木造住宅が建設されているとのことです。新耐震に対応したはずの改正建築基準法にのっとり建てたマイホームで、家族の幸せを夢見て、これからも二十年、三十年とこの愛知で暮らしていくはずの方々が対象となるわけであります。
そこで、新耐震基準の木造住宅の問題に対して、国への要請はもちろんでありますが、県民の皆様への周知を初め、県として積極的な対応が望まれますが、知事の御所見をお伺いします。
続いて、防災、減災の観点からもう一点、今後の取り組みについてお伺いします。
さきに述べましたように、本県の防災、減災の取り組みは、基本となる各種計画が策定され、災害に対する備えは確実に高まったものと考えております。今後は、事前復興ビジョンの策定などを順次進めていくとともに、次のステージとして、策定した計画の目的や目標の達成に向けて、行政、企業、各種団体、ボランティア、そして県民の皆様との取り組みをより一層強化していくことが必要であり、そのためには防災意識の向上が不可欠であります。
鳥取県では、防災及び危機管理に関する基本条例を改正し、住民が自治会単位で自主的に開設する避難所を支え愛避難所として、市町村は食料など必要な支援をするように定めるなど、自助、共助と公助の連携に踏み込んだ新たな取り組みをしております。
また、東京都の東京防災に続き、熊本県も防災ハンドブックを、企業などの支援も得て、全世帯に配布する取り組みを進めていますし、東京都の全国初のバーチャルリアリティー防災体験車の導入など、防災意識を高めるための新たな動きも始まっております。
このような中、県や県民、事業者などの責務や役割を定めて平成十六年に制定された愛知県地震防災推進条例も、十三年を経過しています。
この間、平成二十三年には東日本大震災が、昨年平成二十八年には熊本地震などが発災しており、最近では、大規模地震対策特別措置法の改廃は先送りされましたが、予知を前提とした現行の防災対策について議論されるなど、条例制定当時とは状況も異なってきております。
また、物づくりの本県としては、BCP(事業継続計画)を事業者の責務として明確に条例に位置づける必要もあると考えますし、さらに、中経連が国へ要望されている、防災力を高める設備投資を企業に促す減税措置の創出、いわゆる防災設備投資減税も、本県としてタイアップできるものと期待しております。
そのほか、学校での防災教育の取り組みや高校生ボランティアなども、新たな事項として記載してもよいのではと思います。
加えて、近年の多発している局所的集中豪雨などの激化する自然災害に対しても、行政のハード整備の推進に限界がある中、ソフト面での対応がより重要となっており、こういった点からも、例えば地震防災推進条例から総合的な防災・減災条例としてリニューアルすることなどにより、広く県民の皆さんの防災意識を高めるような取り組みも必要と思います。
昭和三十四年の本日、伊勢湾台風が襲来し、本県に甚大な被害をもたらしました。あと二年後には六十年の節目を迎えますが、こういった機を捉え、想定を超え激甚化している災害に対して、防災、減災に係るさまざまな取り組みを展開、見直ししていくことは、非常に効果的であると考えます。
そこで、こうしたことから、地震を初めとする自然災害に対する本県の防災・減災対策について今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
次に、子供の貧困対策についてお伺いします。
平成二十六年の七月に厚生労働省から、平成二十四年の国民生活基礎調査の結果、子供の相対的貧困率が一六・三%となり、我が国の子供の六人に一人が貧困状態にあるという衝撃的なデータが公表されました。貧困といえば、世界中で約十四億人と言われている、主として途上国に見られる、生活費が一ドル二十五セント未満の絶対的貧困と、先進国における経済格差に基づく相対的貧困がありますが、相対的貧困は、等価可処分所得の中央値の五〇%以下で暮らすこととされ、日本の場合、この貧困線は百二十二万円になります。この百二十二万円以下で暮らす子供たちの割合、子供の貧困率が一六・三%という値は、先進諸国の中でも極めて高い値となっております。
本県が昨年十二月に、関係各位に御協力をいただき実施した愛知子ども調査の結果では、本県の子供の貧困率は五・九%であり、全国に比べかなり低い数値でありました。それでも、本県の十七歳以下の子供は約百二十五万人でありますので、県内でも七万人以上の子供が相対的貧困状態にあるということになります。
また、県独自に算出した愛知県の貧困線は百三十七万五千円と、全国の百二十二万円より十五万五千円高くなりますが、これに対する貧困率は九・〇%に上昇します。
ひとり親家庭等実態調査では、子供の貧困率は五二・九%と高い数値となり、各種調査などでも指摘されていたひとり親家庭の苦しい経済状況が確認されました。
これを、同じく愛知県の貧困線百三十七万五千円に当てはめますと、実に六五・五%、ひとり親家庭の子供の三分の二が県の一般的な世帯の半分以下の所得で暮らしていることになります。
七月に、今こそ子供への投資のとき、効果的な子供の貧困対策とはという日経グローカルセミナーに参加いたしました。講師は、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林主任研究員でありました。
講演では、本年六月二十七日に公表された平成二十八年国民生活基礎調査の結果から、子供の貧困率が一三・九%と七人に一人に低下したことの要因分析を初め、海外の研究事例から、子供の貧困による社会的損失に対しては、幼少期に家庭訪問などの費用として百六十万円ほど投資したものが、税収や社会保障給付の節約、犯罪の抑制などで、その便益は二千百万円を超える高い投資効果があることなどもお聞きをいたしました。特に家庭を巻き込んで早期にコミュニケーション能力などの非認知能力を高めることや、経済的な貧困だけではなく、地域とのつながりなどの関係性の貧困に対処することの必要性を指摘されていました。
また、先日は、昨年度に引き続き設置している我が団の子どもの貧困問題研究会で、あいち子ども食堂ネットワーク呼びかけ人の成中京大学教授と、ネットワークの共同代表でわいわい子ども食堂プロジェクト運営委員長の杉崎様からお話を伺いました。
単に食事を提供するだけではない子ども食堂のニーズは高く、貧困家庭だけではなく多様性のある場所としての意義や家庭の見守りにもつながっている点、生き生きと働くボランティアや食品を提供いただく方々との人と人とのつながりの大切さなど、現場の声をお聞かせいただきました。
既に、福岡県では子ども食品提供事業、京都府では子ども食堂開設・運営支援事業、大阪府では家庭訪問や地域の見守りを行うなど、新たに取り組みを始めています。
本県では、この九月の補正による新たな事業を初め、あいちはぐみんプランの中で、子供の貧困、ひとり親家庭への支援を盛り込み、取り組みを推進していますが、特にひとり親家庭への重点的な支援や、幼少期での早期の対応、ボランティアの方との協働等、方向性が見えてきているものと思います。
そこで、子どもの貧困対策検討会議の提言を初め、子供の貧困問題に対しさまざまな議論がされている中、県として今後どのような取り組みの強化を図っていかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
次に、次世代産業である航空機産業の支援についてお伺いします。
昨年の四月に民進党県議団有志でカナダを訪ね、ケベック州の航空機関連機関などを調査いたしました。
概要等は我が団の森井議員からの既報のとおりでありますが、この調査を含めて、次世代産業の重要な柱である航空機産業について質問してまいります。
世界の航空機産業の中では、大型機の生産を進めるボーイングの拠点であるアメリカのシアトル、航空機関連企業数約千二百五十社、従業員数約十三万人、エアバスの拠点であるフランスのトゥールーズ、航空機関連企業数約千六百社、従業員数約十二万人がぬきんでている状況でありますが、リージョナルジェットの分野では、カナダのボンバルディアとE2シリーズを投入するブラジルのエンブラエルが、国産初のジェット旅客機三菱リージョナルジェット(MRJ)の文字どおりのライバルであり、グローバルなサービス提供も含めて目指すべき姿であると考えます。
知事も著書で御指摘されているとおり、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区として、航空機機体部品の国内シェア五割以上を誇るこの中部地域から、個別部品ではなく完成機の生産に挑戦することが、物づくりの愛知に及ぼす効果に大いに期待しているところであります。
さて、調査先のケベック州での航空機関連の従業員数約四万二千人に対して、愛知県を中心とした東海地域の航空機関連の従業員数は一万五千人と言われています。この二つの地域での取り組みを見てみますと、第一に人材の育成についてでありますが、ケベック州では、航空産業専門の職業訓練校や技能訓練機関により公的なライセンスが取得でき、毎年四千八百名もの人材を輩出しております。
当地域におきましても、作業手順を統一化したカリキュラムを作成し、一般社団法人中部航空宇宙産業技術センターが中心となって技能講習を行うなど、人材育成に取り組んでおりますが、取得した技能を認める国の制度が整備されていないなど課題があります。
第二点は研究機関などの集積であります。中部大学では来年度、工学部に宇宙航空理工学科を開設との明るい話題もありますが、モントリオール周辺には、七大学、十以上の研究機関が集積しており、中でもケベック航空宇宙イノベーションコンソーシアムでは、カナダ政府の研究開発資金の受け皿として非常に重要な役割を担っております。
本県においては、平成二十七年の政府関係機関の地方移転に係る愛知県の提案として出された宇宙航空研究開発機構(JAXA)の移転については不採択でありました。大変残念な結果でありますが、県営名古屋空港の強みを生かして今後も取り組んでいかなければならない重要な点だと考えます。
三点目は海外への販路開拓についてです。ケベック州の主要な航空宇宙産業の支援機関であるエアロモントリオールでは、中小企業の海外販路開拓支援や海外の展示会、商談会への参加支援を行っており、カナダの航空宇宙産業に関する輸出は、二〇一〇年からの五年間に五四%も増加したと伺っております。
本県の航空宇宙産業は、MRJ量産化のおくれなどから一時的に厳しい状況にあると聞いております。これまで余り取引のなかった新たな地域も含めた海外への販路開拓についても検討すべきときが来ているのではないでしょうか。
以上、ケベック州と本県の状況を比較してまいりましたが、本来こうした取り組みを進めていくためには、国家プロジェクトとして国からの支援があってしかるべきと考えます。このような状況を打開するためには、愛知を中心としたクラスター形成地域だけで内向きに集積するのではなく、全国各地で航空機産業への動きが活発化している中、広く国内外から愛知に人や知恵を集積させることが重要と考えます。
国、JAXAの参画が進展しなくても、大学等のトップ機関との連携、世界からの技術者の招聘や新たなシンクタンクの設立なども含め、エアロスペースジャパンの看板を掲げ、進むことを考える時期に来ていると思います。
この十一月三十日にはいよいよ、あいち航空ミュージアムが開館します。この施設が航空機産業の拠点ともなるよう期待していますが、次世代産業のかなめであります航空機産業への本県としてのさらなる取り組みについて、知事の御所見をお伺いします。
続いて、本県の基幹産業である自動車産業への支援についてお伺いします。
愛知の物づくりの中心は、トヨタ自動車を初めとした自動車産業であることは論をまちません。実際、平成二十六年の工業統計によりますと、県内製造業の従事者数七十九万五千四百九十六人のうち、二十六万八千百六十四人と三割以上が自動車産業関係に従事しております。
このような中、八月十五日の中日新聞経済面で、世界で急速に進む電気自動車(EV)へのシフトで、自動車大国ドイツが国内の雇用六十万人に影響すると報道されました。フランスとイギリスは二〇四〇年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止することを決めていますが、エンジン車に比べ電気自動車の部品点数は三分の二と言われており、こういった基幹産業の浮沈にかかわる状況に対し、ドイツ政府も敏感に反応し、ディーゼル車を悪者にすべきではないとくぎを刺したとのことであります。
我が国におきましては、環境性能の高いガソリン車やプラグインハイブリッド自動車、電気自動車などが混在していますが、過渡期はあるにせよ将来的には、水素社会を構成する、MIRAIに代表される究極のエコカー、燃料電池自動車(FCV)へのシフトが予測されております。
トヨタ自動車が東京五輪モデルのEVとFCVを投入することや、燃料電池バスの提供などは、持続可能な車社会へ向けたすぐれた取り組みと思います。
しかし、豊田佐吉翁生誕百五十周年を記念した愛知の発明の日の記念講演会で、障子をあけてみよ、外は広いぞと言う佐吉翁の言葉を紹介し、若人にエールを送られた豊田章一郎名誉会長も、自動車産業の現状については、電動化や自動運転などに向けた流れが加速していると述べられております。
八月二十五日の経済面では、トヨタグループの部品メーカーから、完全EV化で売上高二兆円減、急速シフトに危機感との記事もありました。
世界の自動車産業の潮流が急速に大きく変わろうとしている状況の中、もちろん幾多の困難を克服してきた自動車産業界ではしっかり対応いただけるものと思いますが、本県の基幹産業に対して行政で行うべき支援もあると思います。
愛知県が中心になって進めている自動運転について例にとりますと、本年七月に設立したあいち自動運転推進コンソーシアムは、当面の目標として、実証実験のマッチングや実証ルート情報の提供などの一元的な支援を行い、オール愛知により自動運転の社会実装を目指すとしていますが、こういった新技術は、デファクト・スタンダード、事実上の標準の獲得が重要であり、県としての支援が鍵を握ると思われます。
同じように、電気自動車への対応についても、また、それに伴う急速な産業構造の変化や雇用への影響に対しても、広域的にさまざまな協議体との連携のもと、県として果たすべき役割があると考えます。
約半世紀前、昭和四十年の本県の製造品出荷額の第一位は繊維産業で全体の二四・四%、自動車産業は二一・〇%でありましたが、平成二十六年には自動車産業が、製造品出荷額の五一・二%、二十二兆四千五百八十七億円を占めるまでに発達しています。
そこで、愛知の今を、そして未来の愛知を支えるであろう自動車産業について、県として今後どのように取り組みをされていくのか、知事の御所見をお伺いします。
次に、中小企業支援としてプロフェッショナル人材などの確保についてお伺いします。
中小企業、小規模事業者の人材不足が今、喫緊の課題となっております。総務省の労働力調査によれば、雇用者数についてはここ二十年で、五百人以上の従業者の規模の企業では約三百八十二万人増加しているのに対し、二十九人以下の企業では、従業者数は二百十五万人減少しています。
また、二〇一七年版中小企業白書によりますと、中小企業、小規模事業者の雇用状況は、二〇〇九年以降、特に二十九人以下の事業所の求人数が大幅に増加しております。
最新の雇用環境に目を向けますと、本県の七月の有効求人倍率は、一・八四倍と前月をやや下回ったものの、リーマンショック以降で最高水準にあり、このような、いわゆる売り手市場と言われる中、新卒学生は大手志向が強く、中小企業、小規模事業者は人材確保に大変苦戦していると聞いております。
一方で、IoTに代表される第四次産業革命や、サイバー空間の積極的な活用を進めるソサエティー五・〇──超スマート社会と言われておりますが、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く人類史上五番目の社会ということであります──こういったことの実現など、新たな技術革新の導入により人手不足の解消を図るとともに、生産性の向上や働き方改革への期待も高まっております。
こうした中、中小企業、小規模事業者には、このような新技術の導入を初め、研究開発、営業など、多種にわたる分野で企業の事業活動における中核的な役割を担う人材や経験豊富なアドバイザーが求められております。既に、シェアリングエコノミーやオープンイノベーションと言われる新しい経済活動も行われており、こういった人材不足は、企業が戦略的に成長していく上で大きな痛手となります。
しかし、中小企業、小規模事業者において、このような専門性の高い人材を育成することは難しく、また、即戦力として自社が求めるプロの人材をみずから獲得することも、人材情報が限られている中、非常に困難な状況にあると言わざるを得ません。
先日、我が団の中小企業対策研究会では、プロフェッショナル人材戦略拠点にも御協力をいただいている愛知中小企業家同友会の方をお招きし、現場の声をお伺いしましたが、ニーズに合った人材の確保に苦慮していることや、物づくり愛知の経験豊富な働く意欲のあるOBのアドバイザーとしての活用案などをお伺いいたしました。
県では内閣府の事業を活用し、平成二十七年十二月よりプロフェッショナル人材戦略拠点を設置し、県内中小企業の人材確保支援を行っており、成果も上げられていると思います。
そこでお尋ねします。
県内企業のうち、中小・小規模企業は九九・七%、約二十二万社を数えますが、プロフェッショナル人材などのニーズに対し、これまでの実績を踏まえ、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
次に、物づくり愛知への人材支援強化についてお伺いします。
今回の代表質問の原稿を整理していたときに、本県が招致を目指して国へ要請しておりました二〇二三年技能五輪国際大会について、国から本県を開催地として招致することを決定した旨の吉報が届きました。
まずもって、これまでの知事を筆頭にした皆様の御努力に感謝を申し上げますとともに、お祝いを申し上げます。
さて、二〇一七年版のものづくり白書の魅力発信の項の冒頭には現代の名工の趣旨がうたわれ、続いて、技能五輪国際大会、一九八一年の国際障害年に第一回大会が東京で開催された国際アビリンピック、技能五輪全国大会、全国障害者技能競技大会などが紹介されています。
本県の選手たちは、物づくりの愛知を代表し、各大会で優秀な成績をおさめており、私も県民の一人として誇らしく思っております。過去の成績を見てみますと、技能五輪では十二年連続全国一位の成績を上げており、特に物づくり愛知として、機械系や情報通信系などに強みを発揮しております。
現代の名工についてもこの傾向は変わりませんが、逆に見ると、技能五輪全国大会二〇一四あいち大会で選手宣誓を務めた稲沢高校のタナカさんが出場した造園などの建設・建築系の分野や、理容や日本料理などのサービス・ファッション系の、いわゆるなりわい系の分野における成績が相対的に低くなっております。
このサービス・ファッション系の競技職種は、貴金属装身具、フラワー装飾、美容、理容、洋裁、洋菓子製造、西洋料理、和裁、日本料理、レストランサービスの十職種となっていますが、愛知県における若い二十前後の東京圏への流出超過に対して、この世代の感覚にマッチするこういったサービス業の技術力を含めた魅力度を高めることにより、愛知への定着もふえるのではないかと期待をしております。
また、二〇一九年夏のWSIで、日本・愛知での開催地決定を目指す二〇二三年技能五輪国際大会でありますが、今までの一九七〇年の東京大会、二〇〇七年の静岡大会を初め、金メダル獲得数では日本も一位に輝いています。
しかし、相対的に韓国勢が強い状況にありますので、ぜひ、物づくりの愛知、日本として、国際大会に向けてしっかりとした取り組みを進めていただきたいと思います。とりわけ得意分野である自動車関連などの各分野での金賞を目指し、各種目に愛知からエントリーを出すことなど、取り組みの強化を進め、大会に備えることが重要と考えます。
そして、若い優秀な技能者が研さんを積んで、愛知の名工、現代の名工へとつながるよう、大いに期待をいたしております。
そこで、物づくり愛知において、技能五輪での得意分野を伸ばし、弱い分野を引き上げ、また、新たな参加企業・団体の発掘や女性選手の育成などについて、県として今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
次に、スポーツの振興についてお伺いをします。
スポーツの秋、各地で運動会などが開催されておりますが、スポーツは健康増進に寄与することはもちろんですが、子供たちの真剣なまなざしや、地域や国を代表する選手の活躍が大きな感動と勇気を与えてくれるように、近年では、スポーツをするだけではなく、見る、支えるなど、人それぞれの立場でスポーツにかかわることで生活に活力を与え、人生を豊かにするなど、スポーツは大きな社会的役割を担っていると言っても過言ではありません。
国においては、スポーツ行政の一元化を図るためにスポーツ庁を設置し、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け準備を進めていますが、愛知県においても昨年九月に、一千六百二十五億円の経済効果とも言われている二〇二六年のアジア競技大会の開催が決定をいたしております。
本県では、この二〇二六年のアジア競技大会だけではなく、来月十月のセーリングワールドカップ愛知・蒲郡大会や、十二月のISUグランプリファイナル国際フィギュアスケート競技大会愛知・名古屋二〇一七、スペシャルオリンピックス二〇一八愛知、ラグビーワールドカップ二〇一九など、国際的、全国的なスポーツイベントが連続して開催されますが、こうしたスポーツイベント相互の関連を深め、関係者が連携していくことで、県民の健康意識の向上だけではなく、スポーツや地域の振興、国際交流などに大きな相乗効果が期待できるものと考えます。
このような中、ことし三月に国は第二期スポーツ基本計画を策定し、これまで以上に、スポーツの成長産業化、スポーツを通した地域活性化など、スポーツが変える、未来をつくる、エンジョイスポーツ、エンジョイライフをキーワードに、一億総スポーツ社会の実現に取り組むという基本方針が示されました。
さらに、今年度に入り、神奈川県、愛媛県、石川県においてスポーツ推進条例が制定され、条例制定は十三県に上っています。県の施策としてスポーツを重視し、スポーツ推進の機運を盛り上げる取り組みを推進しており、このように、スポーツを取り巻く環境は大きく変化してきていると感じております。
本年、計画期間の中間を迎えた本県のスポーツ推進計画いきいきあいちスポーツプランの改定があると聞いておりますが、現行の計画の中では、県は、スポーツを通して県民の夢と希望を育み、地域を盛り上げることができるようなスポーツイベントの推進体制を整え、国際競技大会等の招致、開催を積極的に推進することで、国際的な交流の機会を拡充していくと記載されております。
現計画の後半を迎える今、こうしたスポーツを取り巻く大きな環境の変化を踏まえ、どのようなお考えで本県のスポーツのさらなる振興を図っていくおつもりなのか、知事の御所見をお伺いします。
最後に、生活道路における交通安全対策について伺います。
国においては、平成二十八年度から三十二年度までの五年間を計画期間とした第十次交通安全基本計画が策定されていますが、その計画の道路交通安全についての対策の三つの視点の一つとして、生活道路における安全確保が挙げられています。
近年の傾向では、死亡事故件数全体が減少傾向にある中、車道幅員五・五メートル未満の生活道路で死亡事故が発生する割合はやや増加の傾向を示しています。
また、計画には、我が国の歩行中、自転車乗用中の死者数の割合は、主な欧米諸国と比較して約二倍から三倍となっているなど、歩行者や自転車が多く通行する生活道路における安全対策をより一層推進する必要があるとうたわれています。
本県においての車道幅員別の交通事故発生状況を見ますと、交通死亡事故のうちおおむね一〇%は道幅が五・五メートル未満の生活道路で発生しており、人身事故では全体の約二〇%に上っています。
また、過去五年間、平成二十四年から平成二十八年の人身事故のうち、十六歳未満の子供の死傷者は全体の約七%ですが、これが道幅五・五メートル未満の生活道路で見ますと約一〇%となるなど、生活道路での子供の交通事故の被害が多くなっております。
昨今では、渋滞を避けるために、生活道路への通過交通の流入ばかりか、通学路となっている道路を猛スピードで走行し動画にアップするなど、危険きわまりない違法行為も行われております。
地域で過ごすことの多い高齢者の方や子供たちにとって、本来最も安全なエリアであるべき生活ゾーンにおける交通の安全を確保するための対策は、歩行者の視点や生活者の視点を通した総合的なまちづくりの中で地域の方たちとともに推進していくことが重要と考えます。
残念ながら、愛知県の交通事故死者数は現在も全国ワースト一位となっており、危機的な状況が続いています。暫定値でありますが、昨日までの愛知県の交通事故死者数は、昨年よりは三人少ないものの百三十八人で、全国ワースト一位、二番目の埼玉県の百十九人とは十九人離れている状況であります。
昨年末に行われました県政世論調査では、あなたはどんなときに安全・安心な県だと感じますかとの問いに対し、三分の一以上の方が交通死亡事故が減少したときと回答されており、愛知県を安心でより魅力あるまちにするために、また、何より悲惨な交通事故による犠牲者をゼロに近づけるためにも、交通事故の抑止は喫緊の課題であります。
そこで、県民の皆様にとって最も身近な生活道路における交通事故を抑止するため、今後どのような対策を講じていかれるのか、警察本部長の御所見をお伺いします。
以上、県政各般について質問をさせていただきました。終わりに、本年は、日本国憲法並びに地方自治法が施行され七十年の節目に当たります。省庁の分散と地方分権の進展を心から願い、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事大村秀章君登壇〕
- 11:◯知事(大村秀章君) 民進党愛知県議員団の鈴木純幹事長の質問にお答えをいたします。
初めに、ライフシフト、長寿社会への対応についてお答えをいたします。
二〇一五年十月に策定をいたしました本県の人口ビジョンでは、二〇六〇年時点でも七百万人程度の人口を確保できるとの見通しをお示しいたしました。その際には、今後さらに寿命が延びていくことを織り込んでおり、六十五歳以上の人口割合である高齢化率は一貫して上昇し、二〇四〇年には初めて三〇%を超えるものと見込んでおります。また、七十五歳以上の人口は、二〇一五年の七十九万八千人から二〇四〇年には約一・五倍の百二十三万五千人まで増加し、総人口に対する割合では約一七%になる見込みとなっております。
このような、かつて経験したことのない長寿社会を持続可能なものとしていくためには、高齢者の方々にも社会の支え手として活躍していただく、生涯現役の社会をつくっていくことが不可欠であります。
そうした社会に向けては、心身ともに健康で自立して生活できる期間、いわゆる健康寿命を延ばしていくことや、長い人生を通じて必要なスキルを高めながらキャリアアップできるような機会が確保されることが一層重要になります。
また、県民の皆様御自身にも、元気なうちは能力や経験を生かしながら活躍し、社会を支えていくという意識を持っていただくことが大切であると認識しております。
こうした中、本県としては、生活習慣の見直しや疾病の予防など、若いころからの健康づくりの支援を初め、生涯を通じて社会的、職業的に自立していくためのキャリア教育や学び直しのためのリカレント教育の推進、さらには、シニア世代の就労や地域活動への参加を促進するための機会の確保や意識啓発などの取り組みを進めているところであります。
今後の人生百年時代をしっかりと見据え、これらの取り組みを一層充実強化しながら、県民の皆様が安心して生き生きと暮らせる社会の実現を目指してまいります。
次に、防災、減災の取り組みについてお尋ねをいただきました。
まず、新耐震基準の木造住宅についてであります。
本県では、南海トラフ地震等の大規模地震発生時に住宅の倒壊から県民の生命や財産を守るため、昭和五十六年以前に建設された、いわゆる旧耐震基準の住宅について、耐震診断や耐震改修への補助制度を創設し、補助件数の累計は、耐震診断では全国一位、耐震改修では全国二位の実績となるなど、積極的に住宅の耐震化を進めてまいりました。
また、昨年四月に発生した熊本地震でも多くの旧耐震基準の住宅が被害を受けたことから、本県では県内の三つの国立大学法人や建築関係団体と連携して被害状況の検証を行い、今年度から新たに一階部分のみの補強について補助制度を整備するなど、耐震化施策を拡充してまいりました。
一方、国におきましては、熊本地震で、昭和五十六年以降に建設された、いわゆる新耐震基準の木造住宅のうち、平成十二年以前の住宅の一部に被害が見られたことを受けて、第一段階で住宅の所有者等が簡易な方法により検証を行い、必要に応じて第二段階として専門家が詳細な検証を行うこととした新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法が、ことしの五月に策定、公表されたところであります。
これを受けて、本県では既にホームページや市町村窓口での情報提供を行っておりますが、今後さらに、一般県民向けのセミナーだけでなく、建築士、大工、工務店などの建築技術者向けの講習を開催することにより、一層の周知を図ってまいります。
本県といたしましては、引き続き旧耐震基準の住宅の耐震化を着実に進めるとともに、新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法についてもあらゆる機会を捉えて周知を図ることで、県民の皆様の安全・安心な住まいの確保に努めてまいります。
続いて、防災・減災対策の今後の取り組みについてお答えをいたします。
本県におきましては、大規模自然災害に対して、愛知県地域強靱化計画や第三次あいち地震対策アクションプラン等に基づき、住宅、建築物や河川・海岸堤防の耐震化等の防災・減災対策を進めております。昨年度には、熊本地震における課題の検証結果に基づき第三次アクションプランを見直し、現在、市町村など関係機関と連携しながら、車中泊など避難所外避難者への的確な支援や支援物資の輸送の円滑化に向けた具体的な検討を行い、本県の災害対応力の充実に努めているところであります。
また、自分の命はみずから守る自助の取り組みや、地域で支え合う共助の取り組みをより一層促進していく必要があります。
まず、自助の主な取り組みといたしましては、住宅の耐震化、家具固定や食料等の備蓄が挙げられます。この取り組みを推進するため、あいち防災フェスタ等の啓発イベントを開催するとともに、家具固定推進員を初めとする地域の防災リーダーの方々などの協力を得て、啓発活動を引き続き進めてまいります。
また、共助の主な取り組みとしては、地域の皆様が互いに助け合い行う避難や救出、救助、避難所運営等が挙げられます。この取り組みを進めるためには、中核となる消防団や自主防災組織の強化が重要でありますので、消防団員の確保対策や自主防災組織のリーダーの養成、資質向上に取り組むとともに、地域の皆様が一体となって防災訓練に取り組んでいただけるよう呼びかけてまいります。
今後とも、国や市町村等関係機関と連携して防災・減災対策にしっかりと取り組んでいくとともに、県民の皆様による自助、共助の取り組みが一層促進されるよう、積極的に啓発活動を行ってまいります。
次に、子供の貧困対策についてのお尋ねであります。
未来を担う子供たちが、生まれ育った環境に左右されることなく健やかに生育していく環境を整備することは大変重要であります。
子供の貧困対策は社会全体で早急に取り組むべき課題であると考え、昨年六月に子どもの貧困対策検討会議を設置し、十二月には県内全域の三万三千人を超える子供と保護者を対象に、かつてない大規模な、生活困窮世帯の子供と保護者の生活実態を解明するための愛知子ども調査を実施いたしました。
今月十二日には、こうした調査を検討していただきました子どもの貧困対策検討会議から、調査の詳細分析を踏まえ、教育の機会の均等、健やかな成育環境、そして支援体制の充実の三つの視点から、必要な四十八の施策を、子どもが輝く未来に向けた提言としていただいたところであります。
この提言を道しるべといたしまして県では、学校教育の充実やスクールソーシャルワーカーの配置、生活困窮世帯に対する相談員の資質向上、子供が安心して過ごせる居場所づくりなど、教育の支援や生育環境の整備などに早急に取り組んでまいりたいと考えております。
そこで、今議会に提出した補正予算案におきまして、子供の貧困対策について三つの事業を盛り込んでおります。
一つ目は、来年度以降に、県や市町村が実施する学習支援事業を充実させるため、その学習支援事業をサポートするボランティアを確保するための取り組みであります。
二つ目は、子ども食堂の充実を図るため、アンケート調査や聞き取り調査を行い、フードバンクによる食料支援を活用した支援方法について調査をしてまいります。
三つ目は、子供の貧困問題について県民の皆様に理解をしていただくために、シンポジウムを開催するものであります。
さらに、来年度以降の取り組みにつきましては、宮本副知事をチームリーダーとする庁内横断的なプロジェクトチームにおきまして精力的に作業を進め、年度内に、三年、五年の中長期的視点でロードマップを作成して、全庁を挙げて子供が輝く未来への施策を強力に推進してまいりたいと考えております。
愛知の子供たち全員が夢と希望を持って、そして、子供たちそれぞれの個性、特性、そして可能性を十分に発揮できる社会の実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。
続きまして、次世代産業である航空機産業の支援についてお答えをいたします。
海外の先進的なクラスター地域では、国家レベルの研究機関や大学、人材育成機関を中核として企業が集積をし、公的資金の受け皿としての役割も果たしておりますが、我が国におきましては、それと比較して、国による戦略的・積極的関与が決定的に不足しております。
そのため、私はことし二月、国に対して、クラスターを牽引する中核組織を設置し、財源や権限を付与することや研究開発機能の強化を図ること、そして、全国統一の人材育成プログラムの標準化や資格化等を国の責任において進めていくよう提案をしてまいりました。その結果、ことし六月九日に閣議決定をされた地域未来投資戦略二〇一七におきましては、クラスターの育成に向けて海外企業との商談機会を創出することや、航空関連部品の国内開発を加速させるため、開発完了後のMRJを実証インフラとすること、そして、事業規模の拡大に向けた人材育成の実施等が盛り込まれたところであります。
まずは、こうした取り組みがスピード感を持って進められるよう、国に対して働きかけてまいります。
また、県といたしましても、海外主要メーカーに対する県内企業の販路拡大を強力に後押しする中核機関の育成、強化や、国家技能検定制度における航空機製造技能コースの新設など、当地域の航空宇宙産業クラスターの強化に向けたさらなる取り組みを検討する中で、国に対して積極的な支援を求めてまいります。
このような取り組みを着実に実行していくとともに、本年十一月にオープンするあいち航空ミュージアムを人材育成や情報発信の場として活用することで、当地域がアメリカのシアトルやフランスのトゥールーズに続く航空宇宙産業における世界の第三極となることを目指してまいります。
次に、基幹産業である自動車産業への支援についてのお尋ねであります。
次世代の自動車につきましては、部品の軽量化や小型化がさらに進むとともに、電動化や自動運転化の進展に伴い、エンジン関連部品等が減少する一方で、電池やモーター、センサーなどの部品が増加するなど、産業構造が大きく変化し、本県企業の雇用環境にも影響を及ぼし得るものと認識をいたしております。
また、本格化するシェアビジネスなど、周辺産業を組み込んだ新たな市場創出が期待されるほか、従来型の内燃エンジン搭載車についても、新興国市場のさらなる発展に伴い、海外市場における競争激化も予想されるところであります。
こうした状況の中で、本県の自動車産業が激しい環境変化に的確に対応し、引き続き当地域の経済を牽引していくためには、次世代の自動車に携わる関係者が一丸となってその強みを生かし、新分野、新市場に果敢に挑戦することが重要であると考えております。
このため、愛知県では、あいち自動車産業イノベーションプランに基づいて、技術開発や工場立地等への支援、人材育成、水素ステーションなど関連インフラの整備促進のほか、車体課税の軽減に向けた国への働きかけなど、包括的な取り組みを展開しているところであります。
特に技術や規制の変化が著しい電気自動車関連につきましては、例えば知の拠点あいちにおいて、リチウムイオン電池材料の開発支援や、電気自動車にとって重要となる軽量化材料の開発に継続的に取り組んでおります。
また、自動運転につきましても、遠隔型自動運転システムなど、最先端の自動運転実証実験の実施や、国家戦略特区のワンストップサービスセンターを含むあいち自動運転推進コンソーシアムの設置など、オール愛知による社会実装を推進しているところであります。
県としては引き続き、次世代自動車に係る国内外の動向を注視し、調査研究を進めながら、将来にわたり自動車産業が本県の基幹産業たり得るよう、先を見据えた施策対応に全力を尽くしてまいります。
次に、中小企業のプロフェッショナル人材等の確保についてであります。
IoTを初めとした技術革新が進む中で中小企業が持続的に成長していくためには、新たな商品開発や販路拡大、生産性向上などを担う専門性の高い人材の確保、育成が不可欠となっております。
そうした専門人材を即戦力として採用できるよう、県では平成二十七年度にプロフェッショナル人材戦略拠点を設け、県内中小企業への訪問相談により経営課題の解決に必要な人材を見きわめ、民間人材ビジネス事業者を通じて中小企業の人材確保につなげております。この拠点の責任者となるマネジャーには、中小企業の実情をよく知る人物が適任と考え、私がみずから面談した上で、愛知中小企業家同友会の会長さんに委嘱をさせていただいたところであります。
そして、マネジャー等の精力的な活動のもと、これまでに四百件を超える中小企業からの相談に対し、約百件の人材ニーズを発掘し、製造業やサービス業などの幅広い業種において、プロの営業マンや現場リーダーなど、中小企業の中核を担う二十四名の専門人材の採用につなげてきたところであります。
さらに、このプロフェッショナル人材戦略拠点では、ことしの八月以降、大企業から中小企業への出向や研修といった新たな形での人材交流の手法を追加したところでありまして、県内中小企業における専門人材確保に向けて、引き続きしっかりと支援をしてまいります。
また、中小企業が一時的に専門人材からのアドバイスを受けたいというニーズに対しては、すぐれた技能を有する企業OB等を中小企業等に実技指導者として派遣する熟練技能者派遣事業を実施しております。今年度は二十六企業等に延べ百四日の講師派遣を予定しておりますが、指導能力にすぐれた企業OB等の人材発掘にも努め、さらなる充実を図ってまいりたいと考えております。
今後とも、県内中小企業のニーズに応じた専門人材の確保、育成を支援することで、企業の持つ力を最大限に引き出し、日本一の産業力を支える本県中小企業の成長につなげてまいります。
続いて、物づくり愛知への支援強化についてお答えをいたします。
技能五輪全国大会では、機械系や金属系など大きく六つに区分される四十余りの職種で競技が行われます。このうち、機械、金属、電子技術、情報通信の四系統二十一の職種では、昨年の山形大会において、県内の自動車関連メーカーの企業内職業訓練校に所属する選手を中心に十七の職種で入賞、うち九の職種で金メダルを獲得するなど、群を抜く成績を誇っております。
一方、なりわい系と言われる建設・建築系とサービス・ファッション系の二十の職種では、十年前は本県からの出場が六職種にとどまっておりましたが、昨年は参加した十六職種のうち八の職種で入賞を獲得することができました。
また、女性選手につきましては、十年前の六職種十一名から、ことしの栃木大会では十八職種四十四名へと大幅に増加をしてきております。
このようななりわい系まで広がる本県の選手層の厚みは、ちょうど三年前、二〇一四年のあいち大会が契機となって、技能への関心が高まり、事業主や業界団体の皆様方、また、専門学校、高校の指導者の方々が、選手の育成、強化に大変な御努力をいただいた成果であります。
こうした勢いを加速するためにも、選手の育成主体となる中小企業、専門学校等に対して積極的な支援を行い、職種や育成主体の拡大、人材育成力の強化につなげていくことが必要だと考えております。
そこで、本県では、中小企業や専門学校などが行う訓練の経費や大会の参加費用に対して支援を行うとともに、選手が大会で最大の実力を発揮できるよう、観客の前で競技を行う合同公開練習会を、サービス・ファッション系を中心に六職種で開催してまいります。
そして、今後、二〇一九年、そして二〇二〇年と二年連続で、技能五輪の全国大会をこの本県で開催いたします。
そして、ことしの三月に本県の基本構想を取りまとめ、国に提示をし、そして、さきの九月二十二日に決定をし、表明をしていただきましたが、二〇二三年の技能五輪の国際大会を、この愛知を候補地として国として誘致するということを九月二十二日に表明していただきました。この誘致に向けて、関係機関としっかり連携して、全力で取り組んでいきたいというふうに思っております。
こうした二〇一九年、二〇年の全国大会、そして、二〇二三年の国際大会の誘致ができますれば、技能を志す県内の若者にとりましては大きな大きな目標になるわけでございます。訓練に励む若者をしっかりと後押しし、最優秀技能選手団賞を、今現在十二年連続で愛知県選手団はとっております。ことしもぜひその連勝記録を伸ばしていただけるものと期待いたしておりますが、これを伸ばすことはもちろん、国際大会での愛知県選手の活躍につなげていただきたいと思います。
ことしは、来月十月にアブダビでありますので、大いに期待をしたいというふうに思っております。日本選手団のうちの四割が愛知県選手ということでありますので、大いに活躍を期待したいというふうに思っております。
そして、私からの最後の答弁になりますが、スポーツの振興についてお答えいたします。
二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催まで三年を切り、さまざまなスポーツの国際大会において、日本人選手、とりわけ本県ゆかりの選手が多数活躍する様子が連日報じられております。
八月にパリで開催されたレスリングの世界選手権におきましては、土性沙羅選手、川井梨紗子選手、奥野春菜選手が金メダル、向田真優選手が銀メダル、九月には、イタリアでの新体操の世界選手権において、杉本早裕吏選手、竹中七海選手が出場した団体総合で、日本チームが四十二年ぶりの表彰台となる銅メダルなど、本県のオリンピック強化指定選手が見事な成績をおさめてくれました。
こうした姿を目の当たりにし、スポーツへの県民の期待や関心は一層高まっていくものと肌で感じているところでございます。
今後、本県では、来月十月十五日から日本で初の開催となるセーリングワールドカップ愛知・蒲郡大会、そして、ことしの十二月には、グランプリファイナル国際フィギュアスケート競技大会愛知・名古屋二〇一七が開催され、さらに、二年後のラグビーワールドカップ二〇一九では、豊田スタジアムが会場の一つとなります。そして、二〇二六年にはアジア最大のスポーツの祭典であるアジア競技大会の、愛知・名古屋での開催が決定をいたしております。
こうしたスポーツイベントは、強力な集客力や情報発信力があり、地域の魅力創造やブランド化、さらには高い経済効果をもたらすものでありまして、あいちスポーツコミッションを中心として、大会招致、開催支援など、地域を挙げた盛り上げを図っているところであります。
今年度に予定をしておりますスポーツ推進計画の中間見直しにおきましても、従来の健康増進や、地域のきずな、連帯感の醸成、競技力の向上といった視点に加えまして、スポーツツーリズムの一層の推進や国際大会の開催を契機とした地域の活性化など、新たな視点からの取り組みにつきましても計画に盛り込んでいきたいと考えております。
今後とも、県内市町村、スポーツ関係団体はもとより、経済界やメディアの皆さんとも連携を図り、豊かで活力に満ちたスポーツ愛知の実現を目指し、さらなるスポーツの振興に努めてまいりたいと考えております。
以上、御答弁申し上げました。
- 12:◯警察本部長(加藤達也君) 生活道路における交通事故抑止対策についてお答えいたします。
愛知県内の道幅が五・五メートル未満の道路で発生した人身交通事故は、本年八月末現在、五千百六十八件発生しており、全体の約二〇・〇%を占めております。
また、死亡事故では、八月末までに十五件発生し、全体の一二・五%を占めております。
幅員の狭い、いわゆる生活道路は、主として地域住民の方々の日常生活に利用され、自動車の通行よりも歩行者、自転車の安全確保が優先されるべき道路でありますことから、車両の速度抑制を初めとした各種対策を講じております。中でも、生活道路において最高速度三十キロメートル毎時の区域規制等を行うゾーン30は、車両の速度や通過交通の抑制を図ることで交通事故の抑止に高い効果が期待されますことから、道路管理者と連携し、本年八月末までに県内二百三十一カ所に整備しております。
また、こうした速度規制が確実に守られるよう、本年四月から全国に先駆けて、可搬式速度違反自動取締装置を運用しております。
これにより、道路幅員が狭く、違反車両の停止を求めることができないなどの理由で取り締まりが困難であった生活道路での速度超過違反の取り締まりが可能となりましたことから、県民の皆様の御要望や交通事故の発生状況等を踏まえ、通学時間帯などを中心に取り締まりを実施しております。
今後も道路管理者等と連携してこれらの取り組みを積極的に推進し、生活道路における安全の確保に努めてまいりたいと考えております。
- 13:◯議長(中野治美君) 進行いたします。
市川英男議員。
〔五十二番市川英男君登壇〕(拍手)
- 14:◯五十二番(市川英男君) 議長のお許しをいただきましたので、私は、公明党愛知県議員団を代表して、県政の諸問題について、順次お尋ねしてまいります。
質問の第一は、財政運営についてであります。
まず、県税収入の見通しについてお伺いいたします。
内閣府が発表した八月の地域経済動向によれば、この東海地域は、自動車生産の拡大に伴い、雇用情勢が着実に改善し、個人消費も持ち直しの動きが見られることなどから、景況判断を緩やかな回復基調が続いているとしております。
また、新聞報道によれば、名古屋証券取引所に上場する中部の三月期決算企業の本年四月から六月期の全産業ベースでの連結経常利益は、輸出が好調であった製造業が全体を牽引し、前年同期比で七%の増益となっております。
しかしながら、通期の業績見通しについて、米国や中国などの海外経済の動向が不透明であるとして、慎重な見方をする企業もあることから、若干の減益見込みとなっております。
そこでお尋ねいたします。
最近の東海地域の景気動向を踏まえ、今年度の県税収入についてどのように見通されているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、今後の財政運営についてお伺いいたします。
本県では、医療、介護等から成る扶助費の増加が続いておりますが、今後、いよいよ人口減少や本格的な超高齢社会の到来により、この流れは継続していくものと考えられます。
さらに、本年度当初の予算では、法人二税収入が大幅に落ち込み、本県財政は、従来にも増して厳しい局面に立たされております。
こうした中にあっても、高齢者も若者も男性も女性も、誰もが活躍できる活気ある温かな地域づくりを目指して、着実に施策を進めるとともに、時代の変化に対応して、矢継ぎ早に手を打っていくことも重要であると考えております。加えて、足元の地域経済の緩やかな回復基調をより確かなものとするための景気・雇用対策にも、適時適切に取り組む必要もあります。
そして、そのための礎となるのは、健全かつ安定的な財政基盤であり、この確立のためには、県財政の収入源への備えが必要不可欠なものと考えます。
とりわけ本県税収は、年度間の変動幅が大きく、急激な税収減に見舞われることもあるため、年度間の財源調整手段として、基金が重要な役割を果たしております。
ところが、国では近年、地方の基金残高全体が増加していることを取り上げて、地方財政に余裕が生じているのではないかといった、現場の実情を顧みない議論が浮上しており、大変懸念をいたしております。
そこでお尋ねいたします。
地方の基金をめぐる国の議論の動向も踏まえ、今後の財政運営にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第二は、支え合う地域づくりについてであります。
まず、第七期高齢者健康福祉計画の策定についてお伺いいたします。
国立社会保障・人口問題研究所が平成二十五年三月に公表した推計によると、介護が必要となる割合が大きく上昇する七十五歳以上の愛知県の人口は、平成二十二年の六十六万人から、団塊の世代が七十五歳以上となる平成三十七年には百十六万六千人と、約一・八倍になると見込まれております。
一方、平成二十四年の本県の県民世論調査によると、自分が介護が必要となったときにどこで介護を受けたいかという質問に対して、自宅で介護を受けたいと答えた方の割合が四二・二%と最も多くなっております。
こうした状況の中、県では今年度、第七期愛知県高齢者健康福祉計画の策定作業を進めております。
この計画は、三年度ごとに策定されておりますが、平成三十年度から三十二年度までの三年間を計画期間とする第七期計画は、団塊の世代の方々が七十五歳以上となる平成三十七年を見据え、大変重要なものになると考えます。
そこでお尋ねいたします。
今年度策定する第七期愛知県高齢者健康福祉計画において、介護が必要となった高齢者が安心して生活ができるように、どのような点に重点を置き策定されるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、次期障害福祉計画の策定についてお伺いいたします。
全ての県民が、障害の有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重し共生する地域社会の実現に向け、県では、平成二十七年三月に第四期障害福祉計画を策定し、地域で適切な障害福祉サービスを提供できる体制の整備に取り組んでおります。
例えば、私の地元春日井市にある心身障害者コロニーでは、専門的かつ広域的な支援を行う医療療育総合センター(仮称)に再編する整備が進められており、また、県内各地で、重症心身障害児者の方のための施設の整備を進めてきました。
さらに、本県独自の規制緩和により、既存住宅を活用したグループホームの整備促進にも取り組み、地域の基盤整備が進んでおります。
こうした取り組みの一方で、障害への理解を促進することも重要であります。
県では、平成二十七年に、障害者差別解消推進条例、そして、昨年には、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例を制定しました。今年度には、公明党愛知県議員団が要望してきた、軽度・中等度難聴児の補聴器購入補助制度の創設や、カラーユニバーサルデザインのガイドラインの策定がされるほか、新たな特別支援学校の整備や障害者の雇用についても、県では積極的に取り組まれております。
また、本年四月二日の世界自閉症啓発デーには、大村知事みずからが啓発イベントに参加され、発達障害の啓発にも力を入れておられます。知事のもとで進められている、こうした障害者支援の取り組みは、公明党議員団として大いに評価するところであります。
こうした中、今年度は、現行の第四期障害福祉計画の最終年度に当たります。県では、来年度からの第五期計画の策定を進めており、障害福祉に関する施策が、引き続き充実していくことを期待しております。
そこでお尋ねいたします。
今年度策定する第五期障害福祉計画において、障害者支援の一層の推進に向け、どのような内容を盛り込んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、子供の貧困対策についてお伺いいたします。
NHKの特集で、最近の子供たちは、家計を支える学生バイトを行うだけでなく、ファストファッションや格安スマホを持つことで貧困を隠しており、一見しただけでは子供の貧困の実態は見えにくいため、見えない貧困と報じておりました。この見えない貧困によって、日々の生活に困難を抱えた子供たちは、将来の展望を描くことが難しい状況にあります。
こうした中、県が発表した愛知子ども調査の分析結果では、暮らしぶりの観点から子供の貧困を明らかにし、子供の生活実態や子育て支援のニーズ、経済的な要因が及ぼす影響を見える化することができ、意義のある調査であったと考えます。
この調査結果の中でも、私が関心を持ったのは、保護者の所得が低い子供ほど、学校のない日に一人で御飯を食べ、地域の行事に参加していないと答えた割合が高く、また、ひとり親や両親ともに非正規雇用である家庭において同様の傾向が見られた点であります。
貧困世帯にある子供は、人とのつながりが奪われていることがわかり、地域社会から孤立しがちな子供たちに対して、子ども食堂のような、人とのつながりが得られる支援が重要であると考えます。
子ども食堂は、貧困家庭や孤食の子供たちに安心して食事ができる場所を提供しようと始まった取り組みであります。現在は、生活困窮世帯の学習支援や、地域との交流や世代間を超えたつながりづくりなど、多面的な役割を果たすことが期待されております。
そこでお尋ねいたします。
貧困世帯の子供たちが健やかに成長するためには、子供を見守り支える子ども食堂のような取り組みが効果的であると考えますが、県としてどう取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
さらに、貧困世帯の子供や保護者に対する支援体制の充実についてお尋ねいたします。
愛知子ども調査の分析結果では、保護者の所得が低く、支援が必要と思われる家庭ほど、奨学金や就職相談窓口といった支援制度が認知されていないことが明らかになりました。
この結果を踏まえ、教育、福祉の分野を初め、地域における多様な関係者が連携、協力しながら、支援を必要とする人に対し、支援機関や支援制度などの情報を確実に届ける仕組みづくりが必要であります。さらには、支援が必要な世帯を早期に発見し、相談窓口につなげていく配慮や工夫を行うことが大切であります。
そこでお尋ねいたします。
県では、貧困世帯の子供や保護者に対する支援体制の充実をどのように図っていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第三は、魅力ある地域づくりについてであります。
まず、若年女性の東京圏への転出対策についてお伺いいたします。
県では、平成二十七年に、二〇六〇年時点でも七百万人を確保するとした人口ビジョンと、その実現に向けた五カ年のまち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、東京一極集中にストップをかけ、日本の活力を取り戻す核となる地域を目指すという大きな考え方のもとに、県を挙げてさまざまな施策に取り組んでおります。
本県の人口については、着実に増加を続け、本年八月時点で七百五十二万五千人となっております。我が国人口が平成二十年をピークに減少する中にあって、総務省の人口推計によりますと、平成二十八年で人口増加を維持しているのは、本県を含め、わずか七都県となっております。
本県の人口増加の大きな要因となっているのが人口移動による社会増であり、男性、女性ともに十五歳から二十九歳にかけての若年層を中心に、大幅な転入超過となっておりますが、東京圏に対しては、一貫して転出超過の状況が続いております。
中でも、二十歳から二十四歳までの女性の東京圏への転出超過数は、平成二十八年一年間で千三百二人と、ほかの年齢区分に比べて顕著となっており、同じ年齢区分の男性の東京圏への転出超過五百八十八人と比較して、二倍以上となっています。
また、総合戦略の策定時に比べ、転出超過数は拡大しており、歯どめがかかっておりません。その結果、本県の人口構成は、とりわけ二十歳から三十四歳の若年層において、男性人口の比率が極めて高く、アンバランスな状況となっております。
このような若年層での男女の人口差は、未婚率の上昇や少子化などにつながり、ひいては都市力の低下をもたらすとの指摘もあります。若年女性の東京圏への転出超過に歯どめをかけ、女性人口の確保を図っていくことは、愛知の地方創生にとっても大きな課題と考えます。
そこでお尋ねいたします。
若年女性の東京圏への転出超過の問題について、現状やその要因をどう認識し、この問題にどのように対応していこうとされているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、あいち航空ミュージアムについてお伺いいたします。
いよいよ十一月三十日、あいち航空ミュージアムがオープンいたします。
このミュージアムは、航空機産業の情報発信、航空機産業をベースとした産業観光の強化、次代の航空機産業を担う人材育成の推進をコンセプトに、さまざまな展示コンテンツが用意されていると伺っております。
公明党愛知県議員団は、自動車産業に次ぐ本県の成長産業として、航空機産業を発展させるため、先端技術の情報発信、人材育成、航空機を生かした産業観光が重要であると考えており、ミュージアムはまさにその拠点ともいうべき施設であります。
名古屋空港周辺は、国産初のジェット旅客機MRJが開発、生産される唯一の地域であります。また、国産初の旅客機YS11が、昭和三十七年に初飛行を行ったのも名古屋空港であります。
そして、本年五月末、ミュージアムの展示の目玉ともなるYS11が、名古屋空港に里帰りしました。私もラストフライトに立ち会い、機体が名古屋空港におり立つのを目の当たりにして、日本の航空機産業を支えてきた先人の偉業に思いをはせるとともに、MRJを初めとした日本の航空機産業の未来への期待が、改めて大きく膨らみました。
県営名古屋空港に整備されるあいち航空ミュージアムのオープンを多くの県民が注目し、大いに楽しみにしております。
一方で、名古屋空港周辺の道路は、隣接する大型商業施設のお客さんや空港内で働く従業員の方の車などで慢性的に混雑しており、さらに、最近では、三菱関連の従業員やFDAの旅客の車も増加しており、さらにミュージアムの来場者も加えると、周辺道路の混雑に拍車がかかることが予測されます。
また来たいという気持ちになっていただけるようなミュージアムにするためには、展示内容だけでなく、周辺環境、特に混雑対策をしっかり行っていくことも必要であります。
そこでお尋ねいたします。
ミュージアムのオープンまで残り二カ月となりましたが、まず、展示内容の整備、対外的なPRなど、最近の準備状況についてお伺いいたします。
また、ミュージアムのオープンに伴う周辺道路の混雑対策について、県としてどのような対応を考えているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第四は、安心な地域づくりについてであります。
まず、災害対策拠点となる庁舎の非常用電源の確保についてお伺いいたします。
県では、南海トラフ地震などの大規模地震発生時に災害対策が適切に実施されるよう、あいち地震対策アクションプランを策定し、ハード面、ソフト面もあわせ、さまざまな対策がとられておりますが、今回は、中でも、大規模地震発生時の電力の確保、つまり非常用電源の確保対策についてお尋ねいたします。
過去に、大規模地震が発生した際の停電の復旧状況につきましては、平成七年の阪神・淡路大震災では、停電が解消するまでに六日間、平成二十三年の東日本大震災では、停電が八割程度解消するまでに三日間、さらに、昨年の熊本地震においては、本震の発生から停電が解消するまで五日間程度かかったとの経済産業省の報告があります。
また、県が平成二十六年度に公表した、愛知県東海地震・東南海地震・南海地震等被害予測調査においては、四日目に停電率が一%程度になると想定されております。
また、国が策定した防災基本計画では、業務継続の観点から電力を確保することが示され、さらに、平成二十八年二月に、大規模災害発生時における地方公共団体の業務継続の手引きにおいて、七十二時間は外部からの燃料供給なしで非常用発電機の稼働を可能とする措置が必要とされております。
こうしたことから、七十二時間の期間においては、必要な電力を供給できる非常用電源を整備し、災害時の電力を確保しておくことが重要であります。特に、災害対策本部が設置される庁舎で必要な電力を確保できない事態となれば、迅速な初動対応ができなくなり、災害復旧活動はもとより、県民生活の各分野へ重大な影響を及ぼすことになります。
そこでお尋ねいたします。
県では、災害対策拠点となる庁舎の非常用電源の確保について、どのように取り組んでおられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、特定外来生物ヒアリ対策についてお伺いいたします。
強い毒性を持つ南米原産の外来種のヒアリは、本年の六月に我が国で初めて確認されて以降、これまで十一都府県において確認がされております。本県では六月三十日に、名古屋港の鍋田ふ頭コンテナターミナルで確認され、七月十日には、私の地元春日井市内の倉庫において、国内で初となる内陸部で確認されました。
そこで、翌十一日に、公明党愛知県議員団は、大村知事に対して、名古屋港、三河港等での早急な現状調査の実施、関連機関が連携して拡大防止に万全を期すこと、港湾関係者や県民に十分な情報提供、注意喚起など、迅速かつ的確な対策を行うよう、緊急要望を行いました。
その後も、八月四日にも鍋田ふ頭で、さらに九月一日には船見ふ頭のコンテナの中から、女王アリを含む約千匹ものヒアリが確認されております。
ヒアリは、攻撃性が強く、刺されるとやけどのような激しい痛みがあり、場合によってはアナフィラキシーショックを起こす可能性もあり、県民の皆様は大きな不安を抱えているものと思います。春日井市で確認された際には、私のところにも、県民の方々から不安や心配の声が多く寄せられました。
世界的に見ると、ヒアリは、アメリカ、中国、オーストラリア、台湾などの環太平洋諸国に急速に分布を拡大しており、各国でヒアリ対策が実施されているようですが、根絶に成功した国はニュージーランドのみで、巣を確認した初期の段階で徹底した駆除を実施したことから、定着を防ぐことができたとされております。
こうした成功事例に学び、初期段階における早期発見、早期防除に取り組んでいくことが極めて重要だと考えます。そのためには、国、県、名古屋港管理組合を初め、関係者がしっかり連携して、ヒアリ対策に取り組んでいく必要があります。また、県民の皆様に正しい知識や情報を提供し、ヒアリの疑いがある個体を見つけた場合には、県に速やかに報告していただくことも重要であります。
そこでお尋ねいたします。
県民の安心・安全を守るべき本県として、ヒアリ対策にどのように取り組んでいかれるか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、交通死亡事故抑止対策についてお伺いいたします。
県内の交通事故死者数は、十四年連続全国ワースト一位であり、ことしも、昨日までに百三十八人もの方が交通事故でお亡くなりになり、全国ワースト一位となっております。
これは、すなわち、交通事故により御家族や友人など親しい人を失ってしまった方が日本一多いとも言えます。
過去五年間の本県の交通死亡事故の発生状況を調べてみますと、例年、年末に向けて増加傾向となり、自転車利用中の死亡事故が最も多いのは十月、歩行中の死亡事故が十二月に最も多く発生しており、発生時間帯では夕方に多発しております。
ことしも残すところあと三カ月余りとなりましたが、これから交通死亡事故が増加する時期になってまいります。
こうした中、今月八日には、知事から県民の皆様に、交通死亡事故抑止に向けた交通安全メッセージが発信されました。交通死亡事故が多発する年末に向けて、時宜を得た取り組みだと思います。県民の皆様に、大変厳しい状況にある交通事故情勢を認識していただき、自動車の運転を初めとした、みずからの交通行動を改善していただくことは、大きな効果があるものと考えます。悲惨な交通死亡事故の抑止に向け、さらなる取り組みをお願いしたいと思っております。
また、こうした人の意識と行動を変える活動に加え、交通事故が起きにくい道路交通環境づくりを進めることも重要であります。
そこでお尋ねいたします。
例年、年末に向けて交通死亡事故が多発する中、交通死亡事故を抑止するためにどのような取り組みを行っていかれるのか、警察本部長の御所見を伺います。
質問の第五は、活力ある地域づくりについてであります。
まず、名古屋港の物流機能強化につながる広域幹線道路網の整備についてお伺いいたします。
本県の製造品出荷額等は三十八年連続日本一であり、自動車を中心とする輸送機械などの生産活動に伴い、国内外との物流が非常に活発に行われております。この地域最大の物流拠点として、物づくり愛知を支えているのが、日本屈指の国際貿易港、名古屋港であります。
平成二十八年度の実績を見てみますと、総取扱貨物量は十五年連続日本一、貿易黒字額は十九年連続日本一となっております。中でも、飛島ふ頭地区は、海外向け自動車部品等のコンテナ貨物取扱量が、この二十年間で約三倍に増加しております。また、名古屋港南部地区には、エネルギーの輸入基地や素材産業の工場などが立地しており、名古屋港全体の約三割の貨物量を取り扱っております。
そうした中、名古屋港周辺の道路の現状は、国道三〇二号では、名古屋西ジャンクション付近から飛島ふ頭までの間が慢性的に渋滞しております。
また、西知多産業道路では、ピーク時に最大約七キロもの渋滞が発生するなど、産業集積地の物流活動が阻害される状況となっております。
このため、公明党愛知県議員団は本年七月、自民党愛知県議員団とともに、国土交通大臣に対して、成長力、強靱化を加速し、生産性向上に資する道路の整備推進を強く要望いたしました。また、西知多道路につきましては、事業採択される前の平成二十六年度に、公明党、自民党の国会議員、県議会議員有志の一人として私も参加し、当時の太田国交大臣に早期事業化を要望いたしました。その西知多道路が、平成二十八年度に一部区間で事業化されたことは大変うれしく感じております。
さらに、本年七月、名古屋環状二号線が平成三十二年度に全線開通するとの見通しが国から公表され、より一層道路網が充実すると期待しております。
経済のグローバル化が進展する中、引き続き本県が日本経済をリードしていくためには、名古屋港の物流機能の強化、とりわけ背後地を結ぶ広域幹線道路網の整備が重要と考えます。
そこでお尋ねいたします。
名古屋港の物流機能強化につながる広域幹線道路網の整備を今後どのように進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、中小企業の海外展開支援についてお伺いいたします。
日本全体が人口減少の局面を迎える中、労働力不足や国内消費市場の縮小などにより、県内企業の生産力低下や売り上げの減少など、事業活動への影響が懸念されております。
このように企業を取り巻く国内環境が厳しさを増す中、国際通貨基金が本年七月に発表した世界経済見通しでは、アジアの国や地域における本年の経済成長率は、全世界の中でも最も高い六・五%と予測されております。そのため、これからも経済成長が続くアジアの活力を積極的に本県に取り込む必要があると考えます。
本県企業の海外進出動向についても、公益財団法人あいち産業振興機構が今月発表した、愛知県内企業の海外事業活動の調査では、平成二十八年十二月末現在で、県内企業七百九十社、四千二百四十三拠点が海外に進出しており、この十年間で九百五十八拠点が増加しておりますが、そのうち、アジアの拠点増加数は七百十二拠点と、約七五%を占めております。
私も、平成二十七年十月に、愛知県議会海外調査団の一員として、インドネシアとシンガポールを訪問いたしました。この調査の中で、特にインドネシアに進出している県内企業のお話や現場を見聞きし、その活躍ぶりに感銘を受けるとともに、海外でビジネスを行う難しさと支援の必要性を感じたところであります。
独立行政法人日本貿易振興機構が本年三月に発表した、日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査によりますと、中小企業の海外ビジネスの課題として、現地でのビジネスパートナー探し、海外ビジネスを担う人材の育成、現地市場や海外の制度情報の入手などが挙げられています。県内中小企業にとって、海外ビジネスに関する課題は、多様化かつ複雑化しており、一層の支援体制の充実、強化が求められております。
そこでお尋ねいたします。
県内中小企業の海外展開支援について今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、多文化共生社会づくりについてお伺いいたします。
平成元年の出入国管理及び難民認定法の改正により、日系三世までの外国人などが日本国内で自由に活動ができる、定住者という在留資格が創設され、就労を目的とした多くの日系の方々が、いわゆる出稼ぎとして来日されました。
特に物づくりの盛んな本県においては、日系ブラジル人を初めとする南米出身者が多数就労され、文化、生活習慣の違いから日本社会への適応が大きな課題となったため、県では平成二十年に、初めて、あいち多文化共生推進プランを策定しました。現在は、あいち多文化共生推進プラン二〇一三─二〇一七に基づき、さまざまな施策を実施し、全国的にも多文化共生先進県として認知されております。
本県の最近の状況を見てみますと、外国人県民の増加傾向にあり、昨年末現在で、東京都に次いで二番目に多い二十二万人余りとなっております。国籍については、ブラジル、ペルーなどの南米系にかわり、フィリピン、ベトナムといったアジア系の方が急増しており、多国籍化が進んでおります。
また、外国人県民の約四割、八万四千人の方が、永住者の資格を取得しております。これは、十年前の一・七倍で、生活の基盤を日本に置く方が着実にふえていると言えます。
こうした永住化に伴って、外国人県民の生活上の課題は、日本人県民と同様に、ライフサイクル全般にわたるようになってきております。特に日本で生まれ育っている子供がふえてきており、次代を担う子供たちへの対策が、地域社会にとっても重要になってきていると考えます。
このため、今年度行うあいち多文化共生推進プランの改定に当たっては、広く県民の声に耳を傾けながら、必要とされる施策を盛り込んでいただきたいと思います。
そこでお尋ねいたします。
多文化共生社会づくりをさらに進めるため、あいち多文化共生推進プランの改定に当たっての知事の御所見をお伺いいたします。
最後に、多様な学びを保障する教育施策についてお伺いいたします。
本年四月に、本県県立高校初の二部制単位制の定時制高校である、城北つばさ高等学校が開校いたしました。この高校には、普通科の昼間部とものづくり科の夜間部があり、学ぶ時間や内容を自分のペースに合わせて選択できることや、中途退学者等を対象とした秋季入学が実施されることなどの特色があります。
今月七日、公明党愛知県議員団で、城北つばさ高校の視察に行ってまいりました。開校初年度のため、全ての取り組みが新たに始められたばかりであり、試行錯誤しながらも、教職員が一丸となって懸命に学校づくりに取り組んでいる様子が印象に残りました。
中学校時代に不登校になった経験を持つ生徒や、図らずも高校を中途退学した生徒も入学されていますが、この城北つばさ高校への入学を機に、新たな目標を持ち、そして、先生方のきめ細やかな指導を受けながら、毎日学校に通い、意欲的に学校生活を送ることができるようになった生徒も多いとのことであります。さまざまな学習歴を持つ生徒にとっての貴重な学びの場として、県民からの期待に応えられるよう、教育委員会のバックアップをぜひお願いしたいと思います。
一方、本県の児童生徒の状況を見てみますと、平成二十七年度の文部科学省の、児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査において、不登校の児童生徒は、小学校においては、千人当たり五・三人と全国四番目に高く、中学校においては、三十二・六人と全国五番目に高い状況にあります。
また、高校における中退率は一%で、全国平均に比べて低く減少傾向にあるものの、公立、私立合わせて年間で約二千人の生徒が中退しております。
さらに、本県では、日本語指導が必要な外国籍の児童生徒が非常に多く、平成二十八年度には七千二百七十七名が在籍し、全国で最も多い県であります。
こうした不登校、中退などのさまざまな事情を抱える児童生徒の多くは、将来の就職やキャリアアップを考えたときに、高校卒業の資格が必要だという認識は持っているようですが、この子供たちの思いに応える支援体制は十分とは言えない状況があると考えております。
そこでお尋ねいたします。
子供たちが、いつからでも学び直しができ、夢や希望を持って社会的自立を目指すことのできるような、多様な学びを保障する教育施策をどのように進めていかれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。
以上、公明党愛知県議員団を代表して、県政各般にわたるさまざまな課題について質問してまいりました。知事初め理事者各位の明快な答弁を期待いたしまして、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事大村秀章君登壇〕
- 15:◯知事(大村秀章君) 公明党愛知県議員団の市川英男幹事長の質問にお答えをいたします。
初めに、県税収入の見通しについてお尋ねをいただきました。
本年度の県税収入は、主要税目であります法人二税につきまして、昨年秋まで続いた円高の影響により、輸出関連を初めとした県内の主要企業において大幅な減益が見込まれていたことなどから、大幅な減収を見込んで予算計上したところでありますが、三月期決算法人の申告実績を見ましても、大幅な減収という状況は基本的に変わっておりません。
また、景気の先行きにつきましても、海外経済の情勢や為替・金融資本市場の動向とその影響などが懸念されておりますことから、企業収益につきましても慎重な見通しがされております。
したがいまして、今後の企業収益や景気の動向には十分に注視をしながら、当初予算額の確保に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。
次に、基金をめぐる議論と、今後の財政運営についてであります。
本県には、年度によって県税収入が大きく変動するという財政運営上の特徴があります。このため、従前から歳入の上振れが生じた際には、基金に積み立てを行い、財源不足が生じた際にはこれを取り崩して対応するという財政運営を行ってきております。
現に本年度当初予算におきましては、大幅な税収減により生じた多額の収支不足に対処するため、財政調整基金や任意分の減債基金を、枯渇に至るまで取り崩さなければならなかったところであります。
国と異なりまして、地方は収支均衡を図るための赤字債を自由に発行できないことから、年度間の財源調整手段として、一定規模の基金残高の確保は不可欠であります。
国の議論は、地方の予算編成におきまして、基金取り崩し以外の財源調整手段をとることは困難であるという、こうした実態を直視しておらず、適切ではないと考えており、六月に開催されました全国知事会地方税財政常任委員会の場におきましても、このことについて私からしっかりと発言をしたところであります。
今後の財政運営といたしましては、来年度以降も厳しい財政状況が続くと見込まれる中、まずは、本年度当初予算で取り崩すこととした基金の残高を、本年度内にできる限り回復させることが喫緊の課題でありますので、さらなる財源確保や経費の効率的な執行に全力で取り組んでまいります。
さらには、引き続き、しなやか県庁創造プランに基づき、歳入歳出両面にわたる行政改革の取り組みを着実に進め、健全で持続可能な財政基盤の確立を目指してまいります。
次は、第七期高齢者健康福祉計画についてのお尋ねであります。
本県では、第六期以降の計画は地域包括ケア計画と位置づけ、平成三十七年度まで、段階的に地域包括ケアシステムを構築することとしております。
そこで、第七期計画では、第六期計画に引き続き、高齢者の自立と自己実現を地域で支える地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みをさらに進めていくこととしております。
一方、市町村におきましては、国の基本指針により、今後、地域の実情に合わせて地域包括ケアシステムを深化、推進させていくため、個別事例の検討を行い、地域に共通する課題の把握から政策形成へつなげていく地域ケア会議の充実を、市町村計画に新たに位置づけることとされました。
そのため、県といたしましては、地域ケア会議の充実に向けて、市町村職員等に対する研修の充実、強化を計画に位置づけてまいりたいと考えております。
また、介護が必要な高齢者の方が住みなれた地域で生活を続けていただくためには、医療との連携が大変に重要であります。
第七期計画が始まります平成三十年度以降は、地域保健医療計画と高齢者健康福祉計画の作成、見直しのサイクルが一致をいたしますので、これを契機として、それぞれの計画において、在宅医療の提供体制と在宅介護サービスの基盤整備との整合性を確保しながら、医療と介護が連携した地域包括ケアを一体的に推進してまいりたいと考えております。
続いて、次期障害福祉計画についてお答えをいたします。
今年度策定をいたします第五期障害福祉計画は、五つの大きな柱として、施設入所者の地域移行、精神障害にも対応した地域包括ケアシステム、地域生活支援拠点等の整備、一般就労への移行及び障害児支援体制の整備の五つを掲げております。
この五つの柱のうち、施設入所者の地域移行につきましては、入所者三千八百五十九人全てを対象として、五月に地域移行に関するニーズ調査を実施いたしました。この調査結果を活用いたしまして、入所者御自身の意向を十分に反映して、地域移行の取り組みを進めてまいります。
また、障害児支援体制の整備では、現在、医療療育総合センター(仮称)として、再編整備を進めております心身障害者コロニーを、県内の障害児に係る医療機関や重症心身障害児者施設のネットワークの中心とする支援体制などについて盛り込んでまいります。
このほか、新たな項目といたしまして、本県独自の条例に基づく、障害を理由とする差別の解消、それから手話などの障害者コミュニケーション手段の利用促進、さらには、発達障害者支援の充実や障害者芸術活動の推進について盛り込むことといたしております。
障害当事者や関係団体の方々の御意見を伺いながら、本県の実情に即した目標を設定するとともに、必要な施策を障害福祉計画に位置づけまして、障害の有無にかかわらず、身近な地域でともに暮らせる社会の実現に向けて着実に取り組んでまいります。
次は、子供の貧困対策のうち、子ども食堂についてであります。
子ども食堂は、子供が安心して食事ができる場としてのみならず、参加される地域の人たちと一緒に食事をすることで、地域とのつながりが芽生え、社会性が身につく大変有意義な取り組みであると認識をしております。
子ども食堂に対する支援につきましては、地域のボランティアや民間からの寄附などの形で既に始まっておりますが、ことし六月には、県内の子ども食堂の運営団体が交流し、輪を広げることで子ども食堂の普及を目指すあいち子ども食堂ネットワークが設立されました。
県としましても、地域における子ども食堂の一層の充実を図るため、現在の活動状況の把握と、フードバンクを活用した食料支援について調査する予算案を今議会に提出させていただいたところであります。
今後、子供たちが地域で孤立することを防ぎ、健やかに成長できるよう、それぞれの地域の子ども食堂が安定して継続的に運営されるよう、必要な支援をさまざまな面から検討してまいります。
続いて、貧困世帯に対する支援体制についてお答えをいたします。
子供たちの健やかな成長のためには、子供と保護者を温かく見守り、必要なときに手を差し伸べることができる支援体制づくりが重要であります。特に経済的に苦しい世帯ほど、必要な支援制度が認知をされておらず、地域社会からも孤立しがちであることが、愛知子ども調査の分析の結果、明らかになりました。
そのため、まずは、こうした各種支援制度等に関する情報が入手できるよう、インターネットなどを活用した情報発信を充実してまいります。
さらに、福祉や教育などの関係機関が連携して、支援を必要とする子供や保護者を早期に発見し、必要な支援につなぐことが重要でありますので、生活困窮者自立支援窓口の相談支援員が、窓口を訪れることができない方の家庭に出向く、アウトリーチによる相談支援を充実させてまいります。
また、全ての妊産婦や子供に対し、関係支援機関と連携して切れ目のない支援を提供する、子育て世代包括支援センターが全ての市町村に設置されるよう働きかけてまいります。
さらに、学校と福祉をつなぐスクールソーシャルワーカーの充実など、専門職による支援体制を強化してまいります。
県としましては、市町村と協力して、貧困世帯の子供や保護者への途切れのない支援に努めるとともに、学校、地域住民や民間支援団体とも連携し、未来の愛知を担う子供たちを社会全体で支えて育てるための支援にしっかりと取り組んでまいります。
次に、若年女性の東京圏への転出超過について御質問をいただきました。
本県から東京圏への転出超過につきましては、男女ともに十代後半から二十代において多くなっており、とりわけ就職時に当たる二十二歳時の転出超過数は、二〇一五年十月からの一年間で、男性百四十五人に対し女性五百三十一人と、女性が男性を大きく上回っております。
その背景として、まず、本県は、男性の労働者が多い製造業中心の産業構造となっており、男性に比べると、女性の雇用の受け皿が十分でないことが挙げられております。加えて、東京には、文化や娯楽などの多様な都市機能が相対的に多く集積していることも、若年女性を引きつける大きな要因ではないかと考えられます。
こうした中、県では、現在、あいち女性輝きカンパニーの認証や、女子中高生の理系分野への進路選択の支援、女性起業家の育成など、女性が活躍できる職場づくりや就業機会の拡大に取り組んでおります。
また、保育サービスの充実やワーク・ライフ・バランスの推進など、女性が安心して子供を産み育て、働き続けられる環境づくりのほか、今年度からは、愛知の強みである住みやすさという新たな切り口から、魅力の発信やイメージアップにも取り組んでいるところであります。
今後とも、さまざまな角度から効果的な対策を検討、実施し、若年女性の東京圏への転出超過の抑制に努めてまいります。
続いて、あいち航空ミュージアムについてであります。
施設整備につきましては、今月末に建屋が竣工する予定でありまして、映像、シミュレーターなど、コンテンツの本格的な整備に入っております。
また、かつて昭和天皇が搭乗されたVIP用輸送機としても活躍したYS11、先ほど議員も御指摘の、自衛隊美保基地から小牧の基地に私も搭乗してきたものでございますが、そのYS11や、名古屋市立工業高校の生徒が製作し、高校生として初めて飛行に成功した有人動力飛行機──これを名市工フライヤーと名づけておりますが──など、展示機の搬入作業も、これから順次進めてまいります。
ミュージアムの一層のPRに向けて、こうした実際の準備状況を広く公開するとともに、SNSの活用、プレイベントなどに積極的に取り組むことにより、さらなる機運の盛り上げを図ってまいります。
また、名誉館長に映画監督の堤幸彦氏、館長に東京大学大学院の航空工学が御専門の鈴木真二教授をお迎えし、お二人の情報発信力も生かしたPRに努めてまいります。
周辺道路の混雑対策につきましては、公共交通の利用を促すことがまずは重要であります。
県としては、ミュージアムのオープンにあわせて新設をされます、名古屋市内からのバス二路線等の利用をPRするとともに、交通事業者に空港バス路線のミュージアムへの延伸を働きかけるなど、公共交通の利用促進を図ってまいります。
また、平成二十八年度に空港中央線の四車線化を実施したほか、案内標識の工夫やカーナビ事業者との調整を行っているところであり、豊山町が進めております県道春日井稲沢線からの町道整備とあわせて、ミュージアム周辺の道路混雑緩和に取り組んでまいります。
次は、災害対策拠点となる庁舎の非常用電源についてお答えをいたします。
本県では、大規模地震発生時に、災害応急対策に必要な業務を継続して実施できるよう、必要な対策を進めております。
電力の確保対策は、被害状況の把握や関係機関との連絡など、速やかな初動対応のために最重要の対策の一つであり、防災行政無線を設置し、災害対策の拠点となる庁舎につきましては、既に非常用電源を確保しておりますが、長時間の停電にも対処するため、非常用電源の七十二時間化に係る改修を進めております。
災害対策本部が設置され、災害対応のかなめとなる県庁本庁舎、西庁舎、自治センターでは、既にこの七十二時間化を完了し、現在は、方面本部・支部等が設置される七つの総合庁舎など、防災上重要な庁舎を優先して計画的に進めており、今年度は、東三河、西三河、海部の各総合庁舎の改修工事が完了する予定であります。
なお、こうした取り組みに加え、災害時に非常用電源の燃料を優先的に確保できるよう、愛知県石油商業組合と協定を締結しているほか、全国レベルの石油の精製会社と元売会社で組織する石油連盟とも覚書を締結し、停電の長期化にも備えております。
県民の皆様の生命、財産を守るため、大規模地震発生時に本県の災害応急対策が滞ることのないよう、必要な対策をしっかりと進めてまいります。
次に、特定外来生物ヒアリ対策についてお尋ねをいただきました。
ヒアリは、定着を許せば、人の健康や生活、経済活動に大きな影響を与えますので、国と地域が連携をして、早期発見、駆除に努め、根絶に向けて取り組んでいくことが極めて重要であります。
そのためには、まずは、国において、貨物の輸入等により非意図的に持ち込まれることを防止するための総合的な対策や、専門家の意見を踏まえた拡散防止対策を行うことが重要でありますので、本県でヒアリが確認された後、直ちに、私みずから国に対して緊急要請を行ったところであります。
また、県といたしましても、国や市町村、名古屋港管理組合と連携して、県内港湾やヒアリ確認地点を継続的に調査するとともに、実際に海外からの荷物を扱う荷主や運送事業者の方々に対して、コンテナの確認と、ヒアリと疑わしい個体を見つけた場合の通報をお願いしているところでございます。
さらに、県民の皆様への正しい知識や情報を提供するため、県のホームページにヒアリの特徴や発見時の対応などについて具体的に掲載するとともに、相談窓口を環境部内に開設し、個々の相談に対して丁寧に対応しているところであります。
現時点では、ヒアリが定着している状況ではありませんが、今後とも、県民の皆様の安心・安全の確保のため、関係者が一丸となって、ヒアリの侵入防止に全力を挙げて取り組んでまいります。
続いて、名古屋港の物流機能強化につながる広域幹線道路網の整備についてのお尋ねであります。
世界規模での都市間競争が激しさを増す中、愛知の産業が発展し続けるためには、世界とつながる名古屋港を取り巻く物流の効率化を図り、国際競争力を強化する必要があります。
そのためには、輸送時間の短縮や定時性の向上による物流のコスト縮減が重要であり、物流拠点である名古屋港と内陸部に広がる産業集積地や臨海部の生産拠点とを有機的に連携する広域幹線道路網の整備が急務であります。
こうした中、このたび、名古屋港と航空宇宙産業などの生産拠点とを結ぶ名古屋環状二号線の開通見通しが公表されました。沿線において企業の進出や設備投資がさらに進むことが期待されます。国や中日本高速道路株式会社としっかり協力をし、一日も早い全線開通を目指してまいります。
また、西知多産業道路を六車線化し、伊勢湾岸自動車道と直結することとなる西知多道路は、名古屋港南部地区の物流の効率化に大きく寄与してまいります。引き続き、未着手区間の国による事業化及び早期全線開通に取り組んでまいります。
今後も、国際拠点港湾である名古屋港の物流を支える広域幹線道路網の整備促進を図り、本県を初めとする中京大都市圏のさらなる発展につなげてまいります。
次は、県内中小企業の海外展開支援についてお答えいたします。
県内企業の九九%以上を占める中小企業が、海外ビジネスに果敢にチャレンジし、アジアを初めとする活力を取り込んでいくことは、その収益力の向上や経営基盤の強化を通じ、本県産業の強化に大きくつながっていくものと考えております。
そうした中で、海外展開の経験の浅い中小企業に対しては、一般的な法制度等の情報提供に加え、スピード感のある的確な対応がとれるよう助言することが鍵となります。そのため、本県といたしましては、海外の現場での豊富な知見やノウハウを有する金融機関や商社と協定を締結し、その国内外の幅広いネットワークを活用して、中小企業が抱える喫緊の課題に対して実践的なアドバイスができるよう、今年度さらに対応を強化しております。
また、海外の現場では、法務や税務等の実務にたけた専門家を配置するサポートデスクの活動を広げていくことにより、よりスピーディーに中小企業のニーズに応えられる体制の構築を目指しております。
直近では、ことしの二月に、経済交流に関する覚書を締結したインドネシアを先月訪問した際、カッラ副大統領初め関係閣僚との面談におきまして、来年一月にジャカルタに設置予定のサポートデスクへの支援要請を行いましたところ、インドネシア政府として、サポートデスクをしっかりと支援をしていく旨の発言をいただいたところであります。
今後とも、私自身が先頭に立ちまして、本県中小企業による海外ビジネスの拡大に向けた取り組みを強化してまいります。
私からの最後の答弁になりますが、多文化共生社会づくりについてであります。
国籍や民族などの違いにかかわらず、互いの社会的背景や考え方を理解し、ともに生きる多文化共生社会づくりは、世界に開かれた愛知の魅力向上や活性化に資するものと考えております。
昨今の永住化の進展により、あらゆる年代の外国人の方がふえて、その課題も、出産から高齢期まで多岐にわたっております。とりわけ外国人県民の出生数が増加をしておりまして、愛知で生まれた子供たちが健やかに成長し、将来、母国と日本のかけ橋として活躍していただくためにも、乳幼児期からの支援が重要となってきております。
そこで、次期プランでは、ライフサイクル全体を見渡した課題と施策を整理するとともに、特に乳幼児を持つ外国人保護者に対しましては、子育てマニュアルの作成や子育てサークルを通じたきめ細かな情報提供など、各種支援策を盛り込みたいと考えております。
プランの改定に当たりましては、県内各地域でのタウンミーティングや、外国人県民とともに次世代を生きる高校生から提言をいただく機会を設けるなど、広く県民の皆様の声をお聞きしながら、永住化の進展などに伴う新たな課題にも対応し、全ての県民がともに安心して暮らし、活躍できる多文化共生社会づくりを目指してまいります。
以上、御答弁申し上げました。
- 16:◯警察本部長(加藤達也君) 年末に向けた交通安全対策についてお答えいたします。
例年、愛知県では、年末に向けて交通死亡事故が多発する傾向にあり、中でも、歩行中、自転車利用中の方が犠牲となる交通死亡事故が多発いたします。
こうした交通死亡事故を抑止するため、九月八日には、知事から県民の皆様に対する交通安全のメッセージを発出していただきましたことから、これを重要な起点といたしまして、組織を挙げた取り組みを展開することとしております。
具体的には、警察本部員を交通死亡事故多発警察署に派遣し、パトカーによる機動広報や指導啓発活動を行っております。
また、現在実施されております秋の全国交通安全運動の活動として、企業や自治体等と連携した街頭活動を実施しており、特に昨日二十五日には、約二万人の方に街頭活動へ参加していただきました。
こうした活動により、県民の皆様の交通安全に対する意識を高め、もって安全な行動の実践を促してまいりたいと考えております。
さらに、道路交通環境の整備につきましては、視認性の高いLED式の信号灯器の整備のほか、道路標識や道路標示の更新を進めることとしており、こうした交通安全施設整備に係る予算を九月補正予算案に計上させていただいております。
今後、関係機関、団体等と連携しつつ、組織の総合力を発揮した対策を講じ、交通死亡事故抑止に努めてまいりたいと考えております。
- 17:◯教育長(平松直巳君) 多様な学びを保障する教育施策についてお答えいたします。
四月に開校した城北つばさ高校には、昼夜間合わせて百六十名が入学しており、同校の特色である昼夜間共通の時間を活用して、多くの生徒が三年間での卒業を目指して学習に励んでおります。さらに、十月からは、高校中退者等を対象とした本県初となる秋季入学制度により、三名の入学生を新たに迎えることとしております。
今後も地域バランスを勘案して、生徒が自分のペースで学習できる、昼間定時制や全日制単位制高校の設置を検討してまいります。
また、学校外での取り組みとして、市町村が開設する地域未来塾では、家庭学習が困難であったり、学習習慣が十分でなかったりする中学生等を対象に学習支援を実施しており、県としても、財政的支援とさらなる拡大に向けた働きかけを行っております。
さらに、この七月からは、県が事業主体となって、新たに若者・外国人未来塾を、名古屋市、豊田市、豊橋市の県内三カ所で開設し、中学校卒業後の進路未定者や高校中退者、外国人等を対象に、高卒認定試験合格等に向けた無料の学習支援を始めたところであります。
教育委員会といたしましては、こうした多様な学び直しの場を充実していくことにより、子供たちがみずからの可能性を広げ、社会の中でたくましく生きていけるよう、引き続き知事部局とも連携しながら、切れ目のない支援に努めてまいりたいと考えております。
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- 18:◯四十番(中根義高君) 本日はこれをもって散会し、明九月二十七日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 19:◯議長(中野治美君) 中根義高議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 20:◯議長(中野治美君) 御異議なしと認めます。
明九月二十七日午前十時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会をいたします。
午後三時六分散会