県政報告
(主な質疑)
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- 1:(主な質疑)
《議案関係》
なし《一般質問》
【山田たかお委員】
下水道の汚泥の利用によるバイオマス発電は、豊川浄化センターで始められているが、現在の取組状況と把握しているほかの地域の状況を伺う。
- 2:【下水道課主幹(整備)】
本県の流域下水道における昨年度の発生汚泥量は脱水汚泥の状態で約19万2,000トンであり、セメント、肥料等の原料や炭化燃料としてほぼ全量を有効利用するとともに、3か所の浄化センターでエネルギー利用を進めている。
衣浦東部浄化センターでは、平成24年度から汚泥燃料化施設を稼動し、県全体の脱水汚泥の約17パーセントを利用して炭化燃料を製造している。製造した炭化燃料は、隣接する中部電力株式会社碧南火力発電所に供給している。
次に、矢作川浄化センターでは、汚泥のメタン発酵により発生するメタンガスを汚泥焼却のための燃料として活用する事業に平成25年度から着手した。現在、メタン発酵用タンク、ガス貯留タンク及び附属施設等の整備が完了し、試運転をしている状況で、メタンガスが徐々に発生しつつあり、本年12月には稼動する予定である。
次に、豊川浄化センターでは、休止中のメタン発酵用タンクを復活させ、発生するメタンガスをガス発電で利用し、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)を適用するPFI事業に平成26年度から着手した。本年10月1日よりPFI事業者による汚泥処理業務の運営が開始され、来年2月より売電が開始される予定である。
- 3:【山田たかお委員】
全量有効活用しているということだが、実際には燃焼し、灰にして利用している。もっと有効に活用できる方法があるのではないかと感じる。
矢作川浄化センターは県内でも最大の下水汚泥が発生する処理場で、試験的に一部を利用しているということだが、既にいろいろな地域で先駆的に行われており、実験をしなければならないという段階でもないと考える。
再生可能エネルギー固定価格買取制度は、技術が開発されていくと買取価格が下がっていき、太陽光発電については来年度から下がる方向になると考えられる。
20年間、固定価格で買取りができるので、矢作川浄化センターの残りの汚泥についても民間の資金等を活用して一刻も早く事業に取り組む必要があると考えるがどうか。
- 4:【下水道課長】
矢作川浄化センターについては、本年12月の稼動後、メタン発酵におけるメタンガスの発生状況や、発酵により発生する高濃度のCOD、窒素、リンなどを含む排水の水処理への負荷等の検証を行っていく。
現在の施設規模は、全体汚泥量の8分の1相当、現在発生している汚泥量のおおむね4分の1相当となっており、エネルギー利用の余地はあることから、今後もエネルギー利用を積極的に推進していきたいと考えている。
メタンガスの利用については、汚泥焼却のための燃料利用のほか、新しい技術が開発されつつある分野であることから、事業化に当たっては最新の技術等の検証を行い、関連する市町の意向を聞きながら進めていく。
- 5:【山田たかお委員】
有効利用できる可能性があり、メーカーなども様々な開発をしていると考えられるので、情報を一刻も早く入手し、本県の情報もできるだけ公開した上で、挑戦する事業者を探し、早期に有効利用につなげてもらいたい。
次に、整備が予定されているバイパスと現道の取扱いについて伺う。古い県道の渋滞などを緩和するためにバイパスが予定され、用地の買取りや工事をしているところがある。バイパスと現道の両方が併存しているところもあるが、そのバイパスと現道の取扱いはどうなるのか。
- 6:【道路維持課主幹(管理・技術)】
バイパス整備は、幹線道路の渋滞を解消して交通の円滑化を図るため、現道の拡幅に替えて、市街地等をう回する新たな道路を整備するものである。
現道については、新たなバイパスの整備が完了し、幹線道路の交通が現道からバイパスに転換されると、幹線道路としての役割を終え、地域の生活道路としての役割を果たしていくことから、原則として市町村道に降格することとしている。このため、将来的に現道を管理することになる市町村とは、現道の降格に関する協議を行うこととしている。
- 7:【山田たかお委員】
バイパスが計画されると、現道の整備計画が後回しになることが考えられる。現道の拡幅のために用地を買ったが工事がされていない箇所や、危険な箇所もあると思うが、維持管理についてはどのようになっているか。
- 8:【道路維持課主幹(管理・技術)】
バイパスの整備に際しては、現道の替わりとなる新たな幹線道路を早期に整備し、効果を発現させる必要がある。限られた事業費の中で効率的に整備を進めるため、現道については、新たな改良事業の実施を避け、バイパスの整備に集中的な投資を行っている。
一方、バイパスが供用されるまでの間は、現道は幹線道路として、また、地域の生活道路としての役割を果たしていく必要があるので、その他の道路と同様に、道路パトロールによる点検や舗装の修繕などの日常の維持管理をしっかりと行い、安全で安心な道路交通環境を維持している。
また、交通安全上、歩行空間の改善や交差点の交通事故対策などが必要となった場合には、現道でも実施可能な対策を講じることとしており、具体的には、道路ののり面を利用した小規模な擁壁などの設置により歩道の幅を広げたり、多くの家屋が接道している区間では路肩のカラー舗装により歩行空間を明示している。
また、交差点では、現在の車道の中で1.5車線の右折ポケットや、カラー舗装、路面標示による注意喚起対策など、それぞれの現場の状況に即して、可能な対策を実施している。
- 9:【山田たかお委員】
バイパスの整備に力が注がれており、現道の整備には力が注がれないのは仕方ないことであるが、市町村道と比べ、生活道路である県道の整備が遅れていると感じる県民もいることから、安全対策等の弾力的な運用をしてもらいたい。その上で、バイパス完成後は市町村道へ降格することになるので、現道の整備を市町村と協力して行い、市町村が整備を行いたいということであれば、整備を任せる手続をすることはできるのか。
- 10:【道路維持課主幹(管理・技術)】
降格後に現道の管理者となる市町村が、移管を受ける前に、現道の管理などの事業に取り組みたいとされる場合には、道路法第17条による管理の特例に基づき、県に協議を行い、同意の下で、県道の管理を行うことができる。
また、改良事業についても、同法第24条による承認工事を実施することが可能であるので、現道を管理する県の承認を受けて、改良工事や維持工事を実施することが可能である。
- 11:【山田たかお委員】
承認は上から目線のように感じられるが、住民からすれば県の管理している道路であろうが市の管理している道路であろうが、安全に使いたいと考えているので、市町村にやらせてあげるという姿勢ではなく、市町村にお願いするという協力体制で是非やってもらいたい。
- 12:【丹羽洋章委員】
東三河には三河港という大きな港があり、その臨海部には自動車関連産業など多くの企業が進出しているが、以前から道路網が弱く、高速道路に乗るのに1時間以上かかるときもある。
そこで、まず1点目に、国道151号は、本年3月に小坂井バイパスが無料化され、国道1号と交差する宮下交差点の交通量調査も実施したとのことだが、無料化の前後で交通状況はどのように変わっているのか伺う。
次に、豊橋市明海地区の豊橋渥美線について、既に交差点改良がなされ、以前より交通の流れが良くなっているが、いまだに渋滞が発生している。明海地区はこれから埋立てをしていくので、交通量の増加が見込まれているが、今後の明海地区の主要交差点の立体化若しくは完全立体化などの取組について伺う。
- 13:【道路建設課主幹(事業)】
まず、小坂井バイパスが無料化になった前後の宮下交差点の交通量について、無料化前の調査を昨年1月に、無料化後の調査を本年6月に実施し、いずれも午前7時から午後7時までの12時間交通量を測定した。
宮下交差点4断面のうち、まず、小坂井バイパス側の断面で比較すると、無料化前は1万1,283台、無料化後は1万3,562台と、約20パーセント増加しており、その反対側の豊川インターチェンジ側の断面で比較すると、無料化前は1万6,630台、無料化後は1万7,349台と、約4.3パーセント増加していた。
次に、国道1号の岡崎側の断面で比較すると、無料化前は2万4,598台、無料化後は2万4,193台と、ほぼ横ばいであり、その反対側の浜松側の断面で比較すると、無料化前は2万5,209台、無料化後は2万5,409台と、こちらもほぼ横ばいとなっており、国道1号の交通量には顕著な差は見られなかった。
これらの結果から、小坂井バイパスの無料化により国道151号の利用者が増加し、連動して宮下交差点の交通量も増加しているものと考えている。
次に、明海地区の取組についてである。
主要県道である豊橋渥美線は、豊橋市明海地区周辺における渋滞対策として、臨海部から国道23号バイパス豊橋港インターチェンジまでの区間で、平成18年度から19年度にかけて、海軍橋交差点等4か所の右折レーンを付加する交差点改良工事を実施した。
さらに、平成21年度から24年度にかけて、交差する市道整備と歩調を合わせて多門田交差点の改良を実施した。これらの一連の交差点改良工事によって混雑状況は大幅に改善されている。
また、明海地区周辺に集中する交通の分散を図るため、豊橋渥美線に並行する国道259号の強化が重要であると考えており、平成24年度末までに植田バイパスを全線暫定2車線で完成させた。
さらに、本年7月には、大崎インターチェンジ西交差点の豊橋市街地方面へ向かう北向き車線の左折レーン設置などの工事が完了した。引き続き、国道259号の田原市側に位置する天津交差点の改良を進めていく。今後は、事業効果の高い箇所から国道259号の順次4車線化の整備を進め、国道259号の強化を図っていく。
なお、豊橋渥美線の立体化については、まずは豊橋渥美線の先線をつなぐことが重要であると考えており、田原市浦地区のバイパスを整備していくので、現在事業中の区間の進捗状況、周辺の交通状況や土地利用状況を見ながら検討を進めていく。
- 14:【丹羽洋章委員】
明海地区については、走っている車の種類は国道259号では乗用車、豊橋渥美線では大型トラックが多く、トラックの運転手から、時間がかかり過ぎると聞いている。田原市側では事業が進められているが、その進捗も見ながら明海地区の主要交差点の立体化若しくは完全立体化事業に取り組んでもらいたい。
国道151号と国道1号が交差する宮下交差点について、立体化の事業化に向けての進捗状況とスケジュールを含めた必要な手続の進捗状況について伺う。
- 15:【道路建設課主幹(事業)】
国道151号は、三河港や国道23号名豊道路と東名高速道路の豊川インターチェンジを結ぶ重要な路線であるとともに、今回の交通量調査の結果や三河港の重要性から、交通量は今後さらに増加すると考えており、三河港の発展のためには、走行性の向上が必要であると認識している。
立体化の検討状況としては、小坂井バイパスから豊川インターチェンジへ向かって、国道1号の宮下交差点とその前後合わせて三つの交差点を越える区間を連続した高架橋とすることを基本として、高架橋の設計に必要となる地質調査や高架橋の構造形式の検討、及び平面交差点の検討など、道路計画の策定に必要となる調査・検討を進めている。
現在は、道路計画を固めるために必要となる公安委員会との協議や、交差する国道1号の管理者である国土交通省との協議を実施しており、これらを早期に完了させて、道路計画をまとめていきたいと考えている。
次に、今後の事業化に向けての手続については、愛知県公共事業評価実施要領に基づき有識者で構成された愛知県事業評価監視委員会において、事業実施の妥当性について、今後審議されることとなる。現在、本事業の費用対効果の分析など、事業評価監視委員会に諮るために必要となる資料の作成を進めている。
一方で、交付金による新規事業化に向けては、現在、国と予算要求に向けた調整を進めている。この事業は社会資本整備総合交付金による事業化を目指しており、その整備目標などを定めた社会資本総合整備計画に新たに位置づけて国へ提出し、予算要望をしていく。
これらの手続を着実に進め、事業化に向けてしっかりと取り組んでいく。
- 16:【丹羽洋章委員】
豊橋市、田原市には高速道路のインターチェンジが一つもなく、従前より多くの事業主から早く高速道路に乗りたいとの要望を受けている。
整備場所もいろいろ考えられるが、国道23号バイパスの前芝インターチェンジから東名高速の豊川インターチェンジまでの間が、一番早く、費用もかからずに整備できるのではないかとの意見もある。この場所については用地買収も必要ないため、一日も早い整備を要望する。
次に、道路、河川、橋などの工事については、地形や土地の利用状況、交通状況などの、様々な環境要因があるが、厳しい制約がかかる工事を行うに当たって、設計上の配慮や特殊な施工方法の採用などの工夫をしていると考える。現場の条件にあった適切な設計や最適な施工を行っていくため、最近開発された新たな資材や施工方法を用いる場合、どのような過程を経てその資材や施工方法を採用しているのか伺う。
- 17:【建設企画課主幹(技術・検査)】
基本的には、概略設計や予備設計などの調査設計段階で、必要な機能と現地の条件を前提として、現場に適した設計をまとめていくが、その際には、国土交通省の新技術活用システムや文献、カタログなどの調査、学会の学識経験者や専門的な開発技術の普及啓発を図っている工法協会などへの相談、委託コンサルタントからの提案など、有用な新技術や新工法などの適用について、経済性も考慮した上で十分な検討を行い、採用について判断していく。
また、工事発注段階においても、工事の規模によっては、総合評価落札方式の入札手続の中で技術提案を求め、その内容を評価する場合もある。
さらに、工事契約後においても、受注者から資材や施工方法についてより有用な提案があった場合には、提案に基づく施工方法などを我々発注者が承諾することにより工事を進めたり、あらかじめ契約書にコスト縮減に資する変更提案を受け付けることを明記して受注者からの提案を促し、提案に基づく施工方法等を採用する場合もある。
いずれにしても、それぞれの現場条件に合った設計、施工を行うことが重要であり、今後も新技術、新工法の動向に十分注視していく。
- 18:【丹羽洋章委員】
新技術・新工法の採用は、リスクを抱えることにもなると思うが、様々な現場の条件に応じて柔軟に対応、採用していくよう要望する。
工事発注段階で、総合評価落札方式で技術提案を評価する場合があるとのことだが、本県の総合評価の場合も委員会等で評価されているのか。
- 19:【建設企画課主幹(企画・調整)】
本県では、発注者が施工業者の技術的能力を適切に審査し、価格と品質が総合的に優れた調達を可能とする総合評価落札方式を導入している。
総合評価落札方式により契約する工事の中でも、技術的な工夫の余地が大きい工事に関しては、構造物の品質や施工精度の確保など工事目的物の性能や機能に関する技術提案や、施工現場周辺の安全対策、環境への配慮など社会的要請に対する技術提案を求める方式、いわゆる標準型の方式を適用している。この技術提案については、新技術・新工法の提案も含め、総合評価審査委員会において審査し、効果・効用等の優位性が認められれば技術点を加算し、最終的に、価格を加味した評価値により落札予定者を決定している。
- 20:【水谷満信委員】
名古屋市内には県営都市公園が幾つかあり、多くの県民が日常の憩いの場として利用している。
県営都市公園の整備については、様々な場面、角度から議論されており、計画を進めていると思うが、現在の整備状況を伺う。
- 21:【公園緑地課主幹(企画・事業)】
名古屋市内には、熱田神宮公園、大高緑地、小幡緑地、牧野ヶ池緑地の4公園が設置されている。
熱田神宮公園は計画面積7.6ヘクタールの全区域が供用されている。
牧野ヶ池緑地は、全体計画面積150.2ヘクタールのうち、147.6ヘクタールについて事業施行中で、そのうち147.1ヘクタールが供用済みである。現在は未供用の0.5ヘクタールの区域に牧野池を周遊する園路を整備するべく用地買収を進めている。
大高緑地は、全体計画面積121.2ヘクタールのうち、117.7ヘクタールについて事業施行中で、このうち101.6ヘクタールが供用済みとなっており、現在は、国道302号沿いの樹林地4.6ヘクタールの買収をほぼ終えたことから、この区域において散策路の整備を進めている。
小幡緑地は、名古屋市内の計画面積207.5ヘクタールのうち、116.8ヘクタールについて事業施行中で、そのうち56.8ヘクタールが供用済みとなっており、現在は、供用区域の東に隣接した区域において、用地買収を進めつつ樹林地を生かした散策路などの整備も進めようとしている。
また、各公園には老朽化した施設もあるため、施設の状況、利用状況、更新した場合の費用を勘案しつつ、施設の更新、改修又は撤去等を行っている。
- 22:【水谷満信委員】
以前は民間企業などが所有していたグラウンドや空き地等などを利用していたが、これらも売却され、また、住宅に変わっていくなど環境が変わっており、土日祝日は野球の練習や試合のグラウンドの場所の確保が困難だとの話を聞くことがある。
名古屋市内にある県営都市公園には、野球場や野球の練習等ができるグラウンドはどのくらいあるのか。また、大高緑地の土日祝日の野球場の利用状況を伺う。
- 23:【公園緑地課主幹(企画・事業)】
まず、名古屋市内の野球場は、熱田神宮公園に1面、大高緑地に3面、小幡緑地に1面の合計5面ある。また、野球ができるグラウンドが熱田神宮公園に1面、牧野ヶ池緑地に1面ある。このほかに、小学生以下の利用に限定した児童野球場や広場が、大高緑地に1面、牧野ヶ池緑地に2面ある。
次に、大高緑地の野球場の利用状況について、本年9月までの土日祝日の利用率は約60パーセントとなっており、時間帯別に見ると、午前9時から午後5時までの日中の時間帯では約80パーセント、午前7時から午前9時までの早朝及び午後5時から午後7時までの薄暮の時間帯では約30パーセントとなっている。
- 24:【水谷満信委員】
休日の特定の時間帯に利用が集中しているようであるが、チームで行う野球はメンバーが集まる時間が限定されてしまう。
大高緑地と小幡緑地において、今後、供用区域を拡張する予定とのことであるが、拡張区域に野球場を新設することはできるのか。
- 25:【公園緑地課主幹(企画・事業)】
大高緑地の未整備区域は起伏のある地形であり、野球場を整備する場合は大規模な造成が必要となるとともに、現在、樹林地の中の散策路の整備が進んでいることから野球場の整備は非常に困難な状況である。
小幡緑地についても、池や湿地、これを取り囲む樹林地を生かした整備を進めることとしており、大規模な造成が必要となる野球場の整備は非常に難しい状況である。
なお、例えば大高緑地では、午前7時から午前9時までの早朝の時間帯や、午後5時から午後7時までの薄暮の時間帯は、土日祝日も比較的すいている場合が多いため、これをホームページなどでアピールして、野球利用の需要に応えていきたい。
- 26:【水谷満信委員】
地元の人などから話を聞いたところ、事前に予約しておいて前日にキャンセルするケースもしばしばあるとのことである。前日のキャンセルは利用料が発生しないなど様々な理由があるとのことであるので、その点も見直しをして利用率を上げていく必要があると考える。ほかにも利用したい人は多くいるので、利用率を100パーセントに近づける努力をしてもらいたい。
次に、大高緑地のプールについて、以前はA、B、C、Dの四つのプールが営業されていたが、現在は児童・幼児用のA、Bの二つのプールでの営業となっている。
このプールは緑あふれる環境の中の屋外プールで、名古屋市営の屋外プールが廃止される中で子供たちが遊べる非常に貴重な存在である。
この大高緑地のプールは老朽化が進んでいるが、現在の利用状況を伺う。
- 27:【公園緑地課主幹(企画・事業)】
大高緑地のプールは昭和46年に設置され、昭和53年の約18万2,000人をピークに、昭和の時代には年平均約13万6,000人の利用があった。その後年々利用者が減少し、平成5年からは年間利用者が5万人を下回るようになり、その後も減少し、本年度は約2万人の利用となっている。
なお、平成16年度にはC、Dの二つのプールが老朽化のため使用不能となり、現在、A、Bの二つのプールのみの営業となっている。
- 28:【水谷満信委員】
過去には13万人もの利用があり、その当時は大変な混雑状態であったことを私も記憶している。現在の利用者2万人という数字は安全に利用できる人数なのかとも思うが、是非とも、多くの人が利用できるように大高緑地のプールを工夫して運営してもらいたい。
- 29:【嶋口忠弘委員】
油ヶ淵水辺公園は、県内で唯一の天然湖沼である油ヶ淵とその周辺を含めた安城市と碧南市にまたがる区域に、西三河地域で初めてとなる県営都市公園として、平成17年10月に都市計画決定された。平成18年度から事業着手し、既に10年が経過している。
当初、10年程度で開園したいとの話があったと記憶しているが、公園整備の現在の進捗状況について伺う。
- 30:【公園緑地課主幹(企画・事業)】
油ヶ淵水辺公園は、全体計画面積139.9ヘクタールのうち、安城市の区域の20.9ヘクタール、碧南市の区域の14.6ヘクタールの計35.5ヘクタールについて、平成18年3月に都市計画事業認可を受け、平成18年度から用地買収に着手した。また、平成24年度からは造成工事に着手し、公園施設の整備を進めている。
進捗状況については、昨年度末現在で、第1期整備区域35.5ヘクタールのうち用地買収が不要な河川区域を除く17.8ヘクタールにおいて、13.1ヘクタールの用地買収を完了しており、用地買収が必要な区域の74パーセントの買収を完了している。なお、河川区域を含めた全体面積では、約9割の用地取得を完了している。
施設の整備としては安城市と碧南市の2か所で進めている。安城市東端町内においては、油ヶ淵の自然環境を再生し、身近な生き物とのふれあいの場となる自然ふれあい生態園の工事を実施している。碧南市油渕町内においては、花や植栽により季節感のあふれる風景の創出を目指す水生花園の工事を実施している。
工事の進捗状況としては、第1期整備区域全体に対する事業費ベースで、約28パーセントにとどまっているが、できる限り早い時期に一部開園できるよう、整備区域を絞って集中的に工事を進めている。
- 31:【嶋口忠弘委員】
知立建設事務所の主催で、本年10月16日と30日に、油ヶ淵水辺公園のPRイベントが予定されており、このイベントを通じて、さらに地元市民の期待が大きくなることが明らかなことから、今後の公園整備がどのようになるのか伺う。また、供用開始時期の見込みについても伺う。
- 32:【公園緑地課主幹(企画・事業)】
できる限り早い時期に一部開園できるよう、安城市の区域では自然ふれあい生態園のうち、ドングリの丘、プロムナード、冒険遊び広場、野草広場、駐車場等を中心とした区域を、碧南市の区域では水生花園のうち、ハス池、駐車場等の整備を集中的に進めており、今後もこれらの施設の完成に向け、整備を進めていく。
平成18年度の事業着手以来、10年を経過しており、地元住民から公園の早期供用開始を望む声が強いことも十分認識している。県としては、事業投資効果の早期発現が重要と考えているので、現在整備を進めている安城市東端町内、碧南市油渕町内の両エリアにおいて、引き続き精力的に整備を進め、できる限り早い時期に両エリアを同時開園できるよう努力していきたい。
- 33:【嶋口忠弘委員】
住民の期待感が、県の事業に対する不信感にならないよう、早期の供用開始を要望する。
- 34:【石井芳樹委員】
本年9月20日、清須市の県道名古屋祖父江線がJR東海道新幹線と東海道本線の下をくぐる古川アンダーパスにおいて冠水し、車で進入した運転者1名が亡くなるという痛ましい事故が発生した。
清須市の古川アンダーパスでは、その1か月前の8月2日の豪雨時にも、通行規制が間に合わず、2台の車が冠水区間に進入し立ち往生する事故が発生していたと聞いた。
また、9月19日には、岡崎市内の県道岡崎西尾線が名鉄本線をくぐる矢作アンダーパスでも、通行規制の準備作業中に車が誤って冠水区間に進入する事故が発生したと聞いた。
さらに、これら2か所3件の事故では、ドライバーに冠水情報などを知らせる情報表示板が故障していたことが、大きく新聞紙面等で取り上げられている。
今回の事故は、雨に弱いアンダーパスで起こった事故だが、しっかりと再発防止対策を講じて県民の不安を解消し、安心・安全な道路交通の環境を維持していかなければならないと考える。
そこで、今回の2か所3件の冠水事故について、事故の状況、アンダーパスの通行規制や情報表示板の点検の仕組み、及び今回の事故を受けての県として捉えている課題と再発防止に向けた取組状況について伺う。
その前にまず、10月5日に接近した台風18号による雨での冠水や通行規制の状況等について伺う。
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- 35:【道路維持課主幹(管理・技術)】
台風18号の接近に伴い、10月5日午前中には早期通行規制体制を立ち上げるなど、万全の体制をとるよう、各建設事務所に再度、確認を行った。
午後5時5分に県内のほぼ全域に大雨洪水注意報が発令されると同時に県関係機関が非常配備体制をとり、建設部では、アンダーパスへの対応として大雨警報発令時に速やかにアンダーパスの現地巡視活動を行うことができるよう準備するとともに、ゲリラ豪雨の発生にも留意し、レーダー雨量等により雨雲の移動状況も併せて監視を継続した。その後、台風18号は日本海を東に向かい、午後8時頃、この地域に最接近した後、午後9時に佐渡沖で温帯低気圧となった。
本県では、大雨警報の発令には至らず、午後10時57分、県内の大雨注意報が解除され、午後11時20分には県の全機関でとっていた非常配備体制も解除となった。アンダーパスにおける冠水は発生せず、交通規制も行うことなく、無事、監視活動を終了した。
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- 36:【石井芳樹委員】
今回報じられている2か所3件の冠水事故について、まず、時間的な経過を含めて事故の発生状況について伺う。
- 37:【道路維持課主幹(管理・技術)】
まず、最初に発生した8月2日の清須市の古川アンダーパスの事故について、当日は、清須市を中心に尾張北部で集中豪雨が発生し、JR線や名鉄本線がストップするなどの被害が発生し、清須市役所では、60分間の最大雨量が121ミリメートルを記録するなど、短時間に猛烈な雨が集中するゲリラ豪雨となった。
本県では、アンダーパスの冠水位が5センチメートルの出動水位に達した段階で、防災安全協定を締結した地元の建設業者に現地への出動を要請し、また、冠水位が10センチメートル又は15センチメートルの通行規制水位に達した段階で、通行止めを行うこととしている。
この時は短時間に猛烈な雨が集中したため、清須市内の県が管理する4か所のアンダーパスのうち、古川アンダーパスを始め3か所では、現地での巡視活動を要請する出動水位5センチメートルから瞬間的に通行規制水位15センチメートルを超過するなど、極めて急激な路面冠水が発生した。
尾張建設事務所は、直ちに協定業者に現地への出動を要請したが、通行規制が間に合わず、3か所のアンダーパスで車両各2台、合計6台が冠水区間に進入して立ち往生する物損事故が発生した。また、事故が発生した3か所のうち、古川アンダーパス以外の2か所の情報表示板では、正常に通行止めを表示していたが、古川アンダーパスでは東西両側の表示板に故障が発生していた。
なお、この事故を踏まえ、尾張建設事務所では大雨警報発令時点をもって、冠水が始まる前から現地の警戒体制をとることとした。
次に、同じ古川アンダーパスで9月20日に発生した事故についてである。
当日は、台風16号が九州、四国、紀伊半島に上陸し東進しており、尾張建設事務所は午後1時30分、清須市の大雨警報発令と同時に協定業者に出動を要請した。古川アンダーパスでは午後2時頃に現地の巡視活動を開始し、通行規制水位到達と同時に、尾張建設事務所の指示に従い、午後5時に東西両側の交差点で通行規制し、う回誘導を開始した。
今回の死亡事故は、規制開始から約1時間半が経過した午後6時30分頃、東側の規制区間内側にあるアパートの駐車場から1台の車が冠水区間に進入して発生したものである。通行規制の作業員や地域巡視中の清須市職員が事故に気付き、所轄警察署と消防署に電話連絡し、15分後に消防が到着し、30分後にドライバーを救出して病院に搬送したが、翌朝亡くなった。
8月2日に故障していた情報表示板は8月5日に復旧したが、8月22日、死亡事故が発生した東側の情報表示板に再び故障が発生し、9月20日の時点では修理中であった。
最後に、岡崎市の矢作アンダーパスで9月19日に発生した冠水事故についてである。
この日は、台風16号が接近する中、秋雨前線によって岡崎市を中心に豪雨があり、午後9時22分、矢作アンダーパスが出動水位に達したため、西三河建設事務所が協定業者に出動を要請した。午後9時30分には通行規制水位に達したため、現地に向かっていた協定業者に通行規制を指示した。午後9時45分、協定業者が規制準備作業を開始し、岡崎側で車両3、4台、西尾側で5、6台の車が作業員の警告に従い引き返したものの、午後9時55分、岡崎側で誤って車両1台が進入・水没する物損事故が発生した。また、この時岡崎側の情報表示板が故障し、点灯していなかった。この表示板は翌日の緊急点検時には自然復旧しており、現在まで原因を特定するに至っていない。
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- 38:【石井芳樹委員】
ゲリラ豪雨によって通行規制が間に合わなかったり、情報表示板が壊れていたり、様々な事情があって事故が起こったことは理解した。
県内にはアンダーパスは何箇所あるのか。また、通行規制はどのような流れで、どのように行われているのか伺う。
- 39:【道路維持課主幹(管理・技術)】
降雨時に冠水することが想定されるアンダーパスは、現在27路線30か所であり、このうち、冠水の深さなどから車の冠水事故が発生する可能性がある27か所では、現地に雨水を排水するポンプや、出動水位、通行規制水位などを感知するセンサー、ドライバーに注意を促す情報表示板を、また、各建設事務所には管内アンダーパスを集中的に監視する装置を設置して、通行規制を行っている。
迅速に通行規制を行うために、アンダーパス箇所ごとの受持ちの出動協定業者に対し、出動水位5センチメートルで現場の巡視活動を要請することとし、同時に現地の情報表示板に自動的に冠水注意を表示する。
10センチメートル又は15センチメートルの通行規制水位に達した段階で、協定業者に通行規制の開始を指示するとともに表示板を自動的に冠水・通行止めの表示に切り替える。
幹線道路における通行規制は、多くの交通量を確実に遮断する必要があること、交通のまひや二次的な交通事故の発生を回避するために、う回誘導が必要であることから、前後の信号交差点で行うこととしており、バリケード・通行止め看板に加えて、夜間には照明を設置し、規制員がう回誘導する体制をとっている。
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- 40:【石井芳樹委員】
緊急対策にはスピードが大事である。例えば表示板が壊れていて、直そうと思って書面で決裁をとり、業者に発注をしているうちにまた事故が起きたというように、約1か月若しくは1か月半といったタイムラグがまた事故を招くといった現状を踏まえて、そのような体制を改善していかなければならないと考える。また、情報表示板も正常に稼働しているにもかかわらず故障が多いと感じるが、施設の老朽化も影響しているのではないかと考える。
まず、再発防止対策としての緊急対策とそれ以降に継続して取り組むべき対策の二つに分けて、今後の警戒を行っていかなければいけないと思う。現在は台風のシーズンであることや、ゲリラ豪雨が日常化してきており、どこで発生してもおかしくないような状況から、今後の課題を絞り込んでいかなければならないと思うので、次の点について伺う。第1に、直ちに対処すべき課題として認識したことは何か。第2に、その認識の下で、どのような対策を実施するのか。第3に、いつまでに実施するのか、また、現時点での進捗状況はどのようになっているのか。
- 41:【道路維持課長】
まず、第1に、今回の一連の事故を踏まえ、直ちに対処すべき課題として整理した事項については、3点である。
1点目は、今回の3件の事故に共通する情報表示板の故障への対応について。2点目は、異常なゲリラ豪雨による冠水で通行規制が間に合わない場合への対応について。3点目は、9月20日の事故のように、規制区間の内側において、民地乗り入れ口などから車が進入することへの対応についてである。
第2に、これら三つの課題に対して、緊急対策の中でどのような対策を実施しているのかについてである。
まず、1点目の課題である情報表示板の故障については、故障した表示板は、出水期前の点検において正常な動作を確認していたが、制御装置などで不測の故障が発生し、矢作アンダーパスでは現在も原因を特定できていない。したがって、表示板など装置の故障は2か所のアンダーパスの固有の問題ではなく、装置の故障は、どこのどの装置でも生じ得る課題として捉えて、緊急対策では、全てのアンダーパスにおいて管理システム全体が正常に稼働しているかを、直ちに再度確認する緊急点検を実施するとともに、異常が認められた場合は速やかに修繕を行うこととした。
2点目の課題の通行規制体制については、8月2日のゲリラ豪雨では出動水位の5センチメートルに達してからの出動では通行規制が間に合わない事態が多発した。
このため緊急対策では、通行規制体制の強化策の一つとして、豪雨のおそれがある大雨警報発令時には協定業者に現場巡視を要請し、冠水が発生する前から現地での通行規制体制をとることとした。
3点目の課題である規制区間内側の民地乗り入れ口からの車両の進入への対応については、これまではアンダーパス前後の交差点で規制を行っていたが、今回の事故を踏まえ、規制区間の内側に民地からの乗り入れ口や支道接続部がある場合には、従来の通行規制断面に加え、民地や支道から冠水区間への誤進入を防止するために、アンダーパス進入口に通行規制断面を追加し、二重の規制を実施することとした。
最後に、実施時期及び現時点での進捗状況についてであるが、今回の緊急対策は、9月20日の事故発生から3日後の9月23日に該当のアンダーパスを管理する7建設事務所に通知するとともに、翌週26日に緊急事務所長会議の場で、緊急対策で実施する内容と各協定業者及び所内への周知徹底を確認し、即時実施に移行している。
管理システムの緊急点検は、遅くとも10月上旬の完了を目標とし、順次作業を進めてきており、10月5日までに27か所全てにおいて点検作業に入っている。10月26日中には27か所全ての点検作業を完了させたいと考えている。
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- 42:【石井芳樹委員】
県内30か所のアンダーパスを造った以上は、道路管理者として建設部がしっかりと緊張感を持って維持していかなければならないと考える。不測の故障、故障の理由が分からないものは経年劣化が原因と考えられるものであり、点検では問題がなくても人命に関わるものであるので、予算措置を行い更新していく仕組み作りを検討してもらいたい。
続いて、緊急対策以降も継続して取り組むべき対策について伺う。メンテナンス体制や管理システムの強化、また、ドライバーへの注意喚起など改善に向けた今後の取組について検討していること、また、現時点で検討したいと考えていることがあれば伺う。
- 43:【道路維持課長】
第1に、メンテナンス体制の強化については従来、出水期前の1年点検を基本としてきたが、今回、出水期間中に故障が発生しているため、出水期間中の定期点検など、点検方法の見直しが必要であると考えている。
また、修繕期間の短縮も重要な課題であり、更新時に交換部品の調達に長期間を要するタイプの装置を避け、ユニットとしてまとめて交換することにより作業効率を高めるとともに、交換ユニットを事前に備蓄するなど、メーカーの意見も聴きながら検討していきたいと考えている。
これらは、現在、橋りょうなど道路構造物で進めている長寿命化対策の一環ともいえ、従来の事後保全から、定期点検によって小さな異常や損傷、劣化の進行を見つけて、重大な故障が生じる前に修繕を行う予防保全型へと転換を進めていくべきと考えている。
第2に、管理システムの強化についてである。まず、見やすい表示板やエアー遮断機の導入については、今回問題となった情報表示板は、従来より古い字幕型からドライバーにとって見やすいLED型の表示板への更新を進めているが、現在、古川アンダーパス始め6か所で古い表示板が残っているので、今後も、引き続き更新作業に取り組んでいきたいと考えている。
また、エアー遮断機の導入についても、全国の先駆的な導入実績や信頼性を調査するなどして検討している。
このほかにも、現地に冠水深さが一見して分かる路面表示や壁面の表示、また、アンダーパス進入区間では注意喚起を呼びかけるPR看板の設置や路面へのカラー舗装など、効果的なハード対策を検討していきたいと考えている。
次に、老朽化対策としてのシステム更新についてである。
27か所のアンダーパスのうち、供用後20年を経過したアンダーパスは22か所で全体の約8割となっており、部品の交換を行っているものの、劣化の著しい装置や管理システム全体の老朽化が進行していることは否めない。
管理システムは、新たな技術による信頼性や機能の向上が速い分野でもあるので、予防保全を進める一方、機能強化を含めたシステムの更新を進め、システム全体の信頼性を高めていくことも重要であると考えていることから、しっかりと検討していく。
第3に県民へのPRなどのソフト対策についてである。交通安全対策では、既に道路管理者、所轄警察署、学校、PTA、地域の代表が協力して通学路の危険箇所を合同で点検し、地域が連携して対策を講じる通学路安全プログラムを推進している。
アンダーパスの危険性についても、この枠組みを活用して県民に幅広くPRしていくことができればと考えている。
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- 44:【石井芳樹委員】
何度も言うが、県内部の体制の事情により、尊い人命が失われるようなことがあってはならない。前の事故から表示板が故障しており、直そうとしているうちに1か月半がたち、またそこで事故が起こったという結果を踏まえた上で、速やかに対応ができるような体制作りについて改めて要望する。
最後に、日常の道路管理について、県民の不安を解消し、道路の安全・安心を維持していくことが求められていく中、今回の事故を踏まえ、改めて建設部長の決意を伺う。
- 45:【建設部長】
日常の維持管理においても、従来からパトロールと早期補修などの着実な道路管理に努めるとともに、適切な再発防止対策を講じてきたところである。
今回、異常な豪雨や規制区間内の事故とはいえ、痛ましい事故が発生したことは極めて遺憾であり、現在、再発防止に向け、全県的な緊急対策に県庁・現場の職員一丸となって取り組んでいる。
1日も早く緊急点検を完了させるとともに、強化した通行規制体制を確実に実施することにより、二度と同じような事故が発生することのないよう全力で取り組んでいく。
また、緊急対策に続き間断なく取り組んでいくべき改善策についても、今回の事故を踏まえ、しっかりと検討していく。
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- 46:【石井芳樹委員】
都市ブランドイメージ調査の結果で、名古屋市は一番行きたくない街だという記事が出された。一番行きたい街は京都市で37.6ポイント、2番目が札幌市で36.6ポイント、名古屋市は1.4ポイントで格段に離れている。
本来、都市計画というのは、各市町村が絵を描いて、県が調整をしていくものであるが、愛知県全体のグランドデザインは、県がしっかり描いていかなければならないと考える。
県の都市計画課の人員が、この10年ぐらいで確実に減ってきているが、どれくらい減ってきたのか。また、例えば、名古屋市の再開発を行うとなると尾張建設事務所管内であるが、建設事務所には都市計画課という課がない理由についても伺う。
- 47:【都市計画課長】
都市計画課の職員数については、地方分権の流れの中で段階的に都市計画決定権限が市町村に委譲されたことなどに伴い、平成14年度は県職員30名であったものが、平成23年度に21名まで減少し、現在に至っている。
都市計画では、国道・県道や鉄道などの広域的なものを県が、用途地域など身近なまちづくりに関するものを市町村が決定し、お互いに協議・意見照会することにより一体性を確保し進めており、県・市町村間の連携、情報共有が非常に重要であると考えている。
こうしたことから、年度始めの市町村担当者会議に加え、都市計画区域ごとに市町村担当課長会議、担当者会議を定期的に開催するとともに、市町村の都市計画担当職員を対象とする勉強会を開催するなど、都市計画に関する情報共有、意見交換、技術力の向上を積極的に進めている。
今後も、広域的見地からの都市計画の方針である都市計画区域マスタープランを県として示した上で、県内市町村との綿密な情報共有を図りつつ、県全体の都市計画をしっかり進めていきたいと考えている。
また、建設事務所の対応については、現在は各建設事務所の総務課企画・防災グループが窓口となって都市計画を担当している。
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- 48:【石井芳樹委員】
各市町村の都市計画課の職員の話によると、様々な日常業務をこなすだけで1日が終わっていく中で、グランドデザインを描くまでの余裕がないとのことである。知識があって、組織的にも人を確保している県がそれを助け、各市町村が活性化をしていくことで、最終的には名古屋市も含めてよそから多くの人が来ることになると考えるので、頭脳の部分である人員をきちんと配置してもらいたい。
東京都や大阪府はこれ以上いろいろなものを建てようと思っても空き地がなかなか見つからない。そうした中で国は建物の容積率の緩和を打ち出し、本年6月には国土交通省が全国の自治体に容積率の緩和を検討するように通知した。東京都は容積率に関する運用基準をいろいろと変えているようであるが、本県の現状を伺う。
- 49:【都市計画課長】
建物の容積率は、機能的な都市活動の推進及び良好な都市環境の形成の観点から、都市計画決定を行う用途地域の中で定めた数値を基準とし、高度利用地区や地区計画などの都市計画制度のほか、建築確認を受ける際に総合設計制度を適用することにより緩和できるものとなっている。
なかでも、名古屋市内の名古屋駅周辺・伏見・栄地域、名古屋千種・鶴舞地域及び名古屋臨海地域の3地域、約570ヘクタールについては、都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域等に指定されており、この地域内においては民間事業者等の提案に基づき容積率の緩和を含む都市再生特別地区の都市計画決定を行うことができる。既に名駅四丁目7番地区、いわゆるミッドランドスクエア始め6地区において、この制度を活用し容積率の緩和を行っている。
今後も、リニア中央新幹線の開業に向けた都市開発や集約型都市構造への転換などにより、主要駅周辺の中心市街地において高度な土地利用が必要となることが想定されるため、市町村と連携を図りながら、都市再生緊急整備地域の適用を含め、容積率の運用の在り方について検討を進めていく。
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- 50:【石井芳樹委員】
例えば容積率の緩和の特例として、都市再生特別地区や特定街区、高度利用地区、再開発等促進区などいろいろある中で、東京都、大阪府と本県を比べると、都市再生特別地区は東京都が38件、大阪府が17件、本県が6件であり、再開発等促進区は東京都が72件、大阪府が24件、本県が17件である。東京都、大阪府に比べ少ないと思う。また、建築基準法の中に、公開空地を作ればさらに上に建物を乗せてもよいという総合設計制度という制度があるが、これも東京都が788件、大阪府が1,030件、本県は145件と一番少ない。本県は土地があるので容積率の緩和は必要ないということかもしれないが、それは裏を返せば、今までちゃんと開発できていたのかという話になる。繁華街を含めた駅周辺には土地がない箇所もあるので、このような制度を利用して再開発を県が促進し、市町村に促すようしっかり指導していかなければいけないのではないか。また、なぜこのように件数が少ないと考えているか伺う。
- 51:【都市計画課長】
東京都、大阪府に比べて容積率の緩和の特例が適用される地区の件数が少ない理由については、人口密度が大きく影響していると思われる。人口密度でいうと、東京23区の人口集中地域が1ヘクタール当たり145人、大阪市が120人、名古屋市が80人ということで、大阪が名古屋の1.5倍、東京が1.8倍くらいである。従業員の数で比較すると、東京23区が720万人、大阪は名古屋より面積は少ないが、大阪市は219万人、名古屋市が136万人で、こういう高次都市機能の集積度や人口密度が、容積率緩和の適用が低い大きな原因であると感じている。
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- 52:【石井芳樹委員】
人口密度が低いのも従業員が少ないのも、都市の魅力を感じて集まってくる施策を怠ったとは言わないが、それを進めてこなかったから、こういう状態になったのではないかとも考えられるのではないか。
例えば、東京には商店街がたくさん残っているが、これは、東京は地価が高いから大きな商業施設が来なかった、だから商店街が残ったという話を聞いたことがある。本県は逆で、たくさんの商業施設が来たことで商店街がほとんどなくなった。東京都は今、容積率の緩和をしている。建物を高く積めば積むほど、地価単価は安くなる。そうすることで、さらに人が東京に集まっていくような気がしてならない。
リニアインパクトについて、県議会でもたくさん取り上げているが、東京まで1時間40分から40分で行けるようになったとしても、何も特別変わらないのではないかと思う。ただ、それに向けて都市の再整備を行っていくことで、最終的にリニアを通じた名古屋、若しくは愛知の魅力につながっていく。これからの10年間は大変重要だと思うが、その中で東京都が更に容積率の緩和を行えば、今まで東京都内に本社を持てなかった人たちが安い値段でテナントに入れるなど、名古屋・愛知の企業が東京都に行ってしまうストロー現象につながるという危惧がある。今後更に東京都に人が集まっていくような容積率の緩和は、東京への一極集中につながっていく危惧があるが、県はどう考えているか。
また、国に対し必要な予算などを要求するのは結構だが、施策を実施しないでほしいということも言っていくべきではないかと思うがどうか。
- 53:【都市計画課長】
東京一極集中に対する本県のまちづくりについて、本県が首都圏に対抗していくためには、リニア中央新幹線の開業により形成される大交流圏の中で、アジア競技大会開催による地域ポテンシャルの向上などを生かしつつ、地域独自の強みを発揮し、求心力を高めていくことが重要と考えている。本県は、我が国をリードする産業集積や、豊かな自然環境、地域によって特色のある様々な歴史・文化資源を有しており、このような本県の特色・魅力を生かしたまちづくりについて、また、容積率の緩和の適用について、市町村と一緒になって十分検討していきたいと考えている。
- 54:【石井芳樹委員】
東京に一極集中が進んでいく危惧がある中で、本県はどうやって対抗していくのかを、都市計画課を中心に頭脳をしっかり働かせ、国に対してしっかりものを言っていかなければいけないと思うので、建設部がしっかりと事業を進め、振興部と協力していくことを要望する。
- 55:【建設部長】
リニア中央新幹線の開業に向けて、都市の基盤をどのように作っていくのかが重要な問題である。名古屋駅をこれからどのように改造していくのかについて、名古屋駅の東西方向に対して都市高速のアクセスを今後改善し、また、名古屋市とともに名古屋駅をこれからどのようにスーパーターミナル化していくかを検討しているところである。
まさに都市計画であり、都市計画課の出番はこれからも多くあるが、都市改造をどうしていくか、また、それに伴って交通が集中し、人が集中していくので、どのように用途地域を考えていくのか、総合的な計画を作っていかなければならないと考えている。
- 56:【渡辺 靖委員】
河川の維持管理について、維持管理の基準はどうなっているのか。また、河川堤防の雑木は、どの程度成長したところで伐採するのか。雑木による堤防の強度の基準について伺う。
- 57:【河川課主幹(企画・事業)】
河川堤防の維持管理については、定期的な巡視と年1回の点検を行っている。堤防点検の項目としては、洪水時に安全に流すため、堤防や護岸に割れ目、亀裂などの損傷がないか、川の中の堆積状況、深掘れの状況を点検している。
雑木については、堤防や川の中に雑木が繁茂し、洪水の流下に著しい支障が生じる場合は高木化した樹木の除去・伐採を行っている。また、現場の状況によっても判断する。例えば、川を横断する橋りょうなどの構造物の基準があり、橋脚が洪水時の流水に影響を与える流下断面の割合の数値を参考に、伐採の判断をしている。横断だけでなく、川の流れる方向に向かって連続して繁茂している場合なども、延長が長いと伐採を検討する。
また、堤防上に生えている樹木の根が支障となり、洪水時に堤防を傷めるかについては、樹木の種類による。根が深く入り込む樹木もあれば、根が幅広く生える樹木もあり、そうした樹木は堤防に影響を与えるため、樹木の種類を現場で確認しながら対応を検討している。
- 58:【渡辺 靖委員】
年1度点検しているのは理解したが、草の生えた状況で、漏水の点検をどのように行っているのか。樹木の伐採について、根が張るということは堤防に影響を与えることは間違いない。早いうちに期限を切って対応すべきと考えるので検討してほしい。
また、不法投棄も多いが、草の管理をしっかりしていないから捨てられるのではないか。道路も同じで、マナーの問題ではあるが非常に多いと感じる。パトロールしているのであればその点についても点検してほしい。
- 59:【河川課主幹(管理)】
定期的な点検と、年に1度集中して歩き点検をしているが、定期点検では川の中に草が繁茂しており堤防面が確認できないことが多い。年1度の職員による集中点検は、12月から1月の冬場の堤防面が見える時期に全県的に行っている。堤防の亀裂やくぼみ、護岸の崩れを点検している。
樹木の伐採を早期に行うことについては、根が堤防に何らかの影響を与えることは認識しており、堤防の面にある樹木については優先順位を付けて鋭意取り組んでいく。
不法投棄については、小さな投棄は定期的なパトロールの機会を利用して撤去している。冷蔵庫やテレビといった大きな物については別の機会を設けて撤去している。
- 60:【渡辺 靖委員】
他県では、個人で伐採した樹木を持ち帰ることができる。本県でも樹木が欲しい人に対応する制度を考えてみてはどうか。
また、河川管理用通路は道幅が狭くガードレールがないため通行に危険を伴う。この通路の位置づけは河川の管理用ではあるが、朝には通勤道路として利用され交通量が多い状況である。規制はないのか。
- 61:【河川課長】
河川の管理用通路は、日常点検の通行スペース、洪水時に護岸が崩壊したときの復旧作業のスペースとして確保している。一般交通を積極的に通す道ではないが、通行止めをしていないので日常的に自由使用の範囲で使ってもらっている。通勤には道路法上の道路を利用してもらいたいと思う。
- 62:【渡辺 靖委員】
管理用通路を勢いよく通行する車が多いと感じるが、事故が起きた例は年にどれくらいあるか。
- 63:【河川課長】
管理用通路で事故があったという報告は受けていない。
- 64:【渡辺 靖委員】
県の予算の中でも計上されているが、事故に対する補償が起こる。道路のパトロールはしっかりと日々行っていると思うが、もう少し細かいところまで見るような方法にできないか。そうすれば、事故の補償をすることもなくなるのではないか。
また、道路の草が本当に目立つようになっている。以前は道路の除草に除草剤を使っていた時期があった。今は除草剤の使用は禁止となっているが基準はどうなっているのか、なぜ禁止なのか。
それから、農作物に被害を与えると聞いたことがあるが、現状、農家の人も道路に面したところでも除草剤を使っている方が非常に多い。草刈りもいいが除草剤で対処できないか伺う。
- 65:【道路維持課主幹(管理・技術)】
まず道路パトロールについては、県では4,650キロメートルと長い距離を管理していることもあり、各建設事務所でおおむね週に1回以上の頻度で巡視してはいるが、車に乗って移動して点検しているので、なかなか細かいところまで目が届かないということがある。
一方、歩道の点検は職員が歩いて、目で見て、植樹帯の中、側溝の状態に目を配って行っているが、全てをカバーすることはできないので、昨年度からは試験的に業者に委託して歩道点検を実施している。委託は本年度で2年目になるが、委託と直営による点検を併せて全歩道を点検している。
道路パトロールでは目の届かないところを歩道点検で補足している状態であるが、今後も道路パトロールの在り方について考えていきたい。
次に、除草については年に1回、街路樹のせん定については中高木は3年に1回、低木は1年に1回くらいの頻度で行っており、道路パトロールで除草が必要なところ、歩行通行に支障があるところ、信号や標識が見えづらいところの除草や街路樹のせん定等を行っている。
除草に薬品を使用することについては、やはり土壌汚染や、除草剤散布後にペットが口にして体調を崩してしまうというような例があるため控えている。
- 66:【渡辺 靖委員】
道路管理パトロールや草の管理は、できる限りやってもらうことが大事である。その一方、住民に道路管理パートナーのような形で、例えば自分の家の目の前の草は自分で除こうという活動を勧めてはどうか。
また、草刈りを業者に依頼していると思うが、地元に協力してもらい、地域全体を年契約で管理してもらうなどいろいろな方法がある。景観上、草が生えて見苦しいと感じているので、その点についても検討してもらいたい。
伐採するときは少し踏みこんで、1年、2年たつと同じ状況になる程度の簡単な作業ではなく、しばらく伐採しなくてもよいような作業になるようにしてほしい。
- 67:【筒井タカヤ委員】
県営住宅の管理上問題となる家財道具等の残置物の取扱いについて伺う。
本年9月23日の中日新聞朝刊の一面に「公営住宅 増える孤独死、遺品放置部屋貸せず」という見出しの記事が掲載された。
内容は、公営住宅では高齢の単身入居者が増えており、単身高齢者が死亡した後、身寄りがなかったり、引取りを拒まれたりするため、家財道具などの遺品が相続人に引き取られず、長期にわたって入居者募集が停止になる部屋が出ている。公営住宅を管理する自治体では、相続人全員の同意を得ることなく一部の相続人の委任で処分をしたり、事前に家財道具を引き取る代理人を選任したり、部屋から遺品を移動させ、別の場所で保管するなど、様々な対応をとっているものの決め手がなく苦慮している。そこで、国土交通省は本年8月に、全国の自治体に家財道具が残った場合の対応についてアンケートを行い、集計を進めており、実態を把握した上で処分の指針を示すかどうか検討するということであった。
そこで伺うが、県営住宅における単身の入居者数と、そのうち65歳以上の高齢者はどれだけいるのか。
また、単身の入居者が亡くなって県営住宅を退去する件数と、誰にもみとられず住宅内で死亡後に発見される孤独死の発生件数はどれだけあるのか。
- 68:【県営住宅管理室主幹(県営住宅)】
昨年度の数値であるが、県営住宅の入居戸数4万8,800戸のうち1万1,800戸ほどが単身入居者となっている。このうち、約70パーセントの8,200戸ほどは65歳以上の方が入居している。
次に、死亡により退去された単身入居者は、昨年度123名であった。単身の入居者が誰にもみとられることなく県営住宅の住戸内で死亡し、その後発見されたいわゆる孤独死は24件発生した。
- 69:【筒井タカヤ委員】
今や、県営住宅は低所得の高齢者のついの住みかとして、人生の最期を迎える場となってきた。最初は家族で生活していた入居者の子供が成長し、一人また一人と家族が県営住宅から離れ、配偶者にも先立たれ、結果的に残された高齢者が一人で県営住宅に住んでいる。
そこで伺うが、単身高齢者の孤独死防止にどのように取り組んでいるのか。
- 70:【県営住宅管理室主幹(県営住宅)】
県営住宅の孤独死防止対策であるが、まず基本的な対策として、住宅内に住宅管理業務を補助するための業務所、連絡員を配置し、日々の補助業務を通じて入居者の状況把握に努めるとともに、不測の事態に備えた対応の統一化を図っており、緊急を要する場合には、警察官の立会いの下住宅内に立ち入ることとしている。
さらに、県内市町村において、電気、水道等のライフライン事業者等で構成される高齢者等見守りネットワークの構築が進められているので、このようなネットワークを通じて情報共有が図られるよう、県営住宅管理者としてネットワークとの密接な連携を図っている。
- 71:【筒井タカヤ委員】
孤独死防止については、市町村でも積極的な取組をしている。県営住宅においても関係機関としっかり連携して対応してほしい。
一方で、様々な孤独死防止対策を講じても、住宅に一人で住んでいる以上、孤独死は致し方ない面もある。県営住宅で孤独死が発生した場合、その部屋はどのように管理していくのか。
- 72:【県営住宅管理室主幹(県営住宅)】
孤独死のあった部屋については、入居者の親族など関係者に退去手続等をしてもらう。
孤独死のあった部屋は事故部屋として扱い、一般の住戸の入居者募集とは区分して、募集案内書に「過去に室内死亡等があった空住戸も募集することがありますので、お問い合わせください」と記載し対応している。
- 73:【筒井タカヤ委員】
入居者の親族がきちんと退去の手続を取ればよいが、親族との関わりが薄く手続を拒否される場合や、そもそも身寄りがないような入居者の場合はどうしているのか。
- 74:【県営住宅管理室主幹(県営住宅)】
親族がいない場合や親族との関わりが薄くて退去手続に協力してもらえない場合は、入居者の連帯保証人に手続をお願いしている。
- 75:【筒井タカヤ委員】
家族関係が希薄となり、一人で亡くなる方も大勢いる。そして、亡くなった後始末もしてもらえない単身の高齢者がいるのも現実である。
公営住宅の単身入居者が死亡した場合、残された家財道具等は遺産分割協議によって最終的に承継者が決まるまでは、相続人の共有物になる。本来、相続人全員の同意の下に相続人が家財の引取りを行うことが原則ではあるが、相続人全員の同意を取ることは困難であり、現実問題として、親族や保証人が退去書類くらいの手続はしても、家財の処分までは手が回らず放置されることがある。
県営住宅の単身入居者が亡くなった場合、入居者の親族等が退去手続を行うとのことだが、家財についても引き取ってもらっているのか。
- 76:【県営住宅管理室主幹(県営住宅)】
単身の入居者が亡くなった場合には、入居者の親族の方に退去手続と合わせて、家財を引き取ってもらうこととなっている。しかしながら、やむを得ず家財の引取りができない場合には、県に処分を委任される場合がある。
- 77:【筒井タカヤ委員】
亡くなった方の親族が家財を引き取ることが原則とのことだが、単身の入居者が亡くなった場合、実際にどのくらい親族が家財の処分を行っているのか。また、処分されず残っているものはどれくらいあるのか。
- 78:【県営住宅管理室主幹(県営住宅)】
昨年度、死亡により退去した単身入居者123名のうち親族に家財を処分してらった件数は110件である。残りの13件については、県に処分が委任されている。
- 79:【筒井タカヤ委員】
新聞報道では、弁護士が「相続人は家財の所有権だけでなく引取りの義務を負う。自治体が相続人全員の同意なしに家財を処分すれば所有権の侵害と見なされる恐れがある」とコメントしている。おおむね亡くなった方の親族が残された家財を処分しているようであるが、新規の入居者を募集するために一部の相続人からの委任で自治体が家財を処分せざるを得ない実態があり、自治体は法律と現実のはざまで苦慮している。
そこで、国は調査の上で指針を示すことを検討しているとのことであるが、県はどのように対応していくのか。
- 80:【県営住宅管理室長】
親族や身寄りのない単身入居者の死亡に伴う退去の際には、家財の引取りを含めて、退去手続を保証人に行ってもらっている。ただし、何らかの事情により家財の引取りをしていただけなかった場合には、県に処分が委任される。
しかし、単身入居者が亡くなった時点で家財道具等は相続財産となり、相続人全員の同意の下で引き取っていただくのが、より望ましい。
本県としては、当面これまでの方法により対応していくが、現在、国が全国的な状況調査を行っており、今後残置家財の処分の在り方について検討すると聞いているので、情報収集に努めていく。
- 81:【筒井タカヤ委員】
県営住宅はこの20年間で、応能応益家賃制度への転換や三位一体改革による国庫補助金の税源移譲などにより収入が大幅に減少し、修繕費を減額することで対応してきた。そのため、定期的に行うべき計画修繕を取りやめるだけでなく、一般の修繕費も大幅に減額してしまい、その結果空き家の修繕ができず、放置されたまま空き家が増えるという悪循環に陥っている。
この問題について、過去の県議会で厳しく指摘し、当局に改善を求めてきた。その結果、数年前から空家修繕費を確保して空き家の解消に取り組むようになった。しかし、修繕未完了の空き家の解消に努めるのが精一杯で、家財道具が残っている空き家については、修繕費がかさむため後回しになっていたのではないか。
残置家財のない空き家と残置家財のある空き家の修繕費は、それぞれ幾らか。
- 82:【県営住宅管理室主幹(県営住宅)】
残置家財のない一般的な空き家の修繕費は、平均して1戸当たり40万円程度である。一方、残置家財があればその処分費が別途必要であり、処分費は残置家財の状況によるが、平均して1戸当たり25万円程度、合計して65万円ほどの空家修繕費が必要である。
- 83:【筒井タカヤ委員】
県営住宅に入居を希望する方は、依然多くいる。住宅に残置家財が残されれば、これを片付けるまで入居者の募集をすることができず、県営住宅への入居を求める方々の入居機会を阻害することになる。修繕費をしっかりと確保して、通常の空き家は当然として、残置家財のある空き家を解消することに全力で取り組んでほしいが、県の所見はどうか。
- 84:【県営住宅管理室長】
家賃収入の減少等により十分な修繕費が確保できず、空き家の修繕に遅れが生じていたが、平成25年度から空家修繕費を増額したことにより、修繕の遅れも次第に解消してきた。
残置家財のある空き家についても、家財の処分及び修繕に取り組み、空き家の解消に努めている。
- 85:【筒井タカヤ委員】
最後に建築局長から総括して答弁を求める。
- 86:【建築局長】
県営住宅で単身の高齢者が年々増えてきていることは、十分認識し、課題であると感じている。市町村の福祉部局又は県の健康福祉部局でも包括ケアシステムの構築等を進めており、そのような福祉部局等ともしっかり連携して対応を進めていきたいと考えている。
残置家財の処理については、国において調査を行っており、その処分の在り方についての検討がされているので、方針等が示された場合には、それに従って適切に対応していきたい。入居を希望される方が多く見込まれる住宅を優先して処理をするなど空家修繕費の効果的な執行に努めるとともに、来年度以降の修繕費の確保にもしっかり取り組んでいきたい。
- 87:【筒井タカヤ委員】
今日、超高齢社会を迎え、県営住宅は低所得の高齢者のついの住みかとなった。介護も在宅介護が基本となり、県営住宅で人生の最期を迎える高齢者が多数いる。今後も高齢単身入居者が急速に増えることは確実である。高齢者が安心して住み続けられるよう、ついの住みかとしての県営住宅はどうあるべきか、しっかり考え責任を持って管理してもらいたい。
次に、最近の地価情勢と開発に係る諸問題について伺う。
本年9月20日に全国の地価調査の結果が発表された。三大都市圏の商業地区・近隣商業地区・住宅地区の土地取引が活発となり、地価は値上がり傾向となっている。
特に、愛知県・名古屋市内での地価の値上がりが注目されている。私は住宅地の値上がりは、個人住宅、マンション需要があるからだと思う。しかし、名古屋市内でも港区だけは例外的に地価の値上がりがストップしている。港区だけ地価が下落している状況について、どのように捉えているか。
- 88:【用地課主幹(用地)】
本年9月20日に本県が公表した地価調査の結果において、名古屋市各区の住宅地平均変動率を見ると、港区のみが0.9パーセント下落している。
本県では、振興部が国土利用計画法施行令第9条に基づき毎年1回、県内の基準地872地点について不動産鑑定士の鑑定評価を求め、これを審査、調整し、基準日の7月1日時点における正常価格を公表している。
地価調査を担当する振興部が公表している今回の地価調査における港区の住宅地の鑑定評価書の市場の特性欄には、一部の地域では駅への利便性が劣ること、需要者の中心は一次取得者層が主体であり、地域性が強く地縁者・血縁者が中心であることなどから市場はやや弱含みである等の記載がされている。
- 89:【筒井タカヤ委員】
例えば、大規模なマンションが建設される場合には、その周辺に、保育園、幼稚園、小学校、中学校の増設が必要となるような場合がある。このような公益的施設の整備は市町村が行わざるを得ず、企業側が応分の負担をしないと、各市町村も困るのではないかと思う。これに対応するため、市町村では民間企業側と事前調整を行っていると思う。
そこで、民間企業が行う大規模なマンション建設等により、既存の保育園、幼稚園、小学校等では対応できなくなる問題を阻止する施策はどのようなものがあるのかを伺う。
- 90:【建築指導課主幹(指導・開発)】
民間企業が行う大規模なマンション建設等に伴う諸問題に対して、各市町村においては、いわゆるまちづくり条例や宅地開発指導要綱等を策定して対応している。その内容は様々だが、事業者に対し、計画内容について近隣住民へ事前に説明することや、日照対策や駐車場対策などに配慮を求める例などがある。
なお、名古屋市においては、名古屋市中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び調整等に関する条例を定めている。
- 91:【筒井タカヤ委員】
民間企業は、大規模マンション等を数多く建設する際に、保育園や幼稚園等の公益的施設の用地や施設の整備に関し、応分の負担をすべきと考えるが、県はどのように考えるか。
- 92:【建築指導課主幹(指導・開発)】
大規模なマンション建設等に伴い公益的施設が不足する場合、県内の一部の市町村では、まちづくり条例や宅地開発指導要綱等に基づき、事業者に保育園等の用地の提供を求めるなど一定の協力を求めている事例もある。
一方、平成15年3月4日付けで、国から宅地開発等指導要綱の適正な見直しについて通知があり、事業者が公益的施設を整備するよう指導要綱等で義務付けることは、行き過ぎた行政指導であるとされているため、応分の負担を義務付けることは困難と考える。
なお、名古屋市中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び調整等に関する条例においても、公益的施設の設置を要請する旨の条項はない。
- 93:【筒井タカヤ委員】
本県では、かつて桃花台ニュータウンにおける新住宅市街地開発事業など宅地開発事業を実施していたと承知している。県住宅供給公社においても、宅地分譲を行うとともに分譲マンションを建設してきたが、最近では新規の事業は行っていない。また、民間事業者も、周辺の環境が住宅地には適切でない土地や住宅地需要がないところには、大量の分譲・賃貸マンションを建設しないのが、過去の例を見ても一般的である。
本県において、今後、新たな住宅地開発を行う予定があるのか伺う。
- 94:【住宅計画課主幹(管理・民間住宅)】
本県では、県民の旺盛な住宅地需要に対応するために、昭和47年から県が事業主体となって桃花台ニュータウンにおいて新住宅市街地開発事業を開始し、平成11年3月に事業を完了している。
現時点においては、本県による今後の新たな住宅地開発の予定はない。
- 95:【筒井タカヤ委員】
県の要請による民間住宅の開発があり得ると思うが、その場合はどういう関係になるのか。建築局長に伺う。
- 96:【建築局長】
民間も含めて、住宅需要に応じて住宅供給を行うのが当然であり、需要を無視した供給はないと考えている。
- 97:【筒井タカヤ委員】
県管理道路の歩道の設置率について伺う。
私の地元である名東区を始め、名古屋市内の道路にはほとんど歩道が整備されているが、名古屋市外では歩道のない道路を多く見かける。
そこで、県管理の国道及び県道において、市街化区域とその他の区域に区別して、10年前と現在とを比べ、歩道設置の進捗状況はどのようになっているのか伺う。
- 98:【道路維持課主幹(管理・技術)】
現在、県が管理している国道・県道の総延長は、昨年度末で約4,650キロメートルであり、両側を合わせた歩道の延べ延長は約4,255キロメートルで整備率は約46パーセントとなっている。
このうち、市街化区域内について、10年前と現在で整備の状況を比較してみると、道路の総延長約1,380キロメートルに対し、歩道の延べ延長は、10年前の平成17年度末では、1,652キロメートルで整備率は61パーセントだったが、この10年間で109キロメートルの整備を行い、昨年度末では1,761キロメートルで整備率64パーセントと、3ポイント増加した。
次に市街化区域以外のその他の区域では、道路の総延長約3,270キロメートルに対し、歩道の延べ延長は、10年前は2,351キロメートルで整備率36パーセントだが、この10年間で143キロメートルの整備を行い、昨年度末では2,494キロメートルで整備率38パーセントと2ポイント増加した。
- 99:【筒井タカヤ委員】
市街化区域と比べると、その他の区域の歩道設置が遅れている。
本年、岡崎市内の主要道路における歩道設置工事の現場を視察した。この現場は中部電力株式会社と行政当局、土地の所有者が協議して電柱を地下に埋設して歩道を新設していた。
- 100:【道路維持課主幹(管理・技術)】
本県では、平成15年以降、交通事故死者数の全国ワーストを記録するなど、交通安全対策の強化が求められており、幹線道路で交通事故が集中している交差点の改良や、生活道路における歩行空間を確保する歩道の整備に取り組んでいる。
具体的には、歩行者、自転車が多い区間や、通学路として利用されている区間など、特に必要性の高い区間から優先的に整備を進めている。特に市街化区域では、歩行者や自転車の利用ニーズが高いため整備の促進を図っているが、沿道に人家や事業所が建ち並ぶ密集市街地では、用地補償に多くの費用と時間を要する。このため、用地補償を行って歩道を整備する抜本的な対策を推進するとともに、路肩をカラー舗装し歩行空間を明示する速効対策を導入することにより、対策の加速を図っている。
また、平成24年に、京都府の亀山市で通学中の児童の列に車が突っ込み、児童と母親が亡くなる事故が発生したため、全国的な生活道路の交通安全対策の強化が図られ、平成24年度から平成25年度に全国緊急合同点検が実施された。平成26年度からは、各市町村で通学路交通安全プログラムを策定して、この地域連携による安全対策を継続実施することとしている。
本県においても、昨年度、全市町村でプログラムを策定し、県警、学校・PTAとも連携して、合同点検により抽出された危険箇所の解消に向け、歩道設置等の対策に持続的に取り組んでいるところである。さらに、岡崎市の例のように、景観や防災機能に着目した無電柱化対策、病院や駅を結ぶ経路のバリアフリー化など、地域の実情に即した対策も進めている。
- 101:【筒井タカヤ委員】
次に、橋りょうの点検・塗装について伺う。
橋りょうの塗装をしてから期間が経過して、塗装が劣化している光景が多いことに気付いた。橋りょうの保守点検の基本は、塗装点検から始まるとまでいわれている。
そこで始めに、建設時又は前回の塗り替えから、どれくらいの期間で再塗装が行われているのか伺う。
- 102:【道路維持課主幹(管理・技術)】
鉄製の橋りょうでは、鋼材の腐食による劣化を防止するため、新設時に表面の塗装を行っているが、降雨や紫外線などの影響により塗装自体も劣化が進行していくので、劣化の状況に応じて再塗装を行う必要がある。再塗装の周期については、全国的に、一般的な橋りょうでは10年から20年、長大橋などで用いられる高品質な塗装では20年から60年が目安とされている。
橋りょうは、海上から山間地域に至るまでの河川、内陸部の鉄道や道路との交差部など、様々な環境の中に設置されているので、塗装の劣化が進行する速度は、海からの潮風や温度差、冬期に散布する凍結防止剤、さらには自動車からの排気ガスやばい煙などの要因によって大きく異なる。
本県が管理する橋りょうは、現在約4,360橋あり、このうち、再塗装の対象となる鉄製の橋りょうは860橋である。平成18年度から昨年度までの10年間に再塗装を行った橋りょうは195橋あり、これらの建設時又は前回の塗り替えから再塗装までの期間は平均で25年である。
- 103:【筒井タカヤ委員】
次に、塗装の塗り替えの判断として、どのような方法で点検しているのか。また、点検を再塗装の工事にどのように反映しているのか、県の再塗装の考え方を伺う。
- 104:【道路維持課主幹(管理・技術)】
全国的な再塗装の期間の目安を参考として、各橋りょうが設置されている環境、前回の塗装からの経過年数などを考慮し、目視によりさびなどの劣化の進行状況を把握して再塗装の必要性を判断してきた。
平成25年度の道路法等の改正により、長寿命化対策の一環として、5年に1度の近接目視点検が義務化され、本県においても、翌年度から計画的な点検を開始した。この定期点検では、高所作業車などを用いて、近接目視に加え、打音検査や触診検査により全ての部材の劣化の進行状況を詳細に確認している。塗装の劣化についても、この点検の中でさびの有無はもとより、内部の腐食による塗膜の浮きや剥がれ、さらにはこれらの劣化の範囲と割合などを詳細に確認し、再塗装の必要性・緊急性を判定している。
平成26年度から昨年度までの2か年の点検結果は、鉄製の橋りょうの全体の約3割に当たる270橋の点検を実施したが、塗装の劣化が著しく進行し早期に措置を講じるべき橋りょうはなかった。
今後は、予防保全対策として、小規模なさびについて部分的な塗装を行うとともに、5年周期の定期点検により、橋りょう全体の塗装の劣化状況を判定し、適切に再塗装を実施していきたいと考えている。
- 105:【筒井タカヤ委員】
活発な経済活動や安全で快適な県民生活を支える上で、道路は重要な基幹インフラであることは言うまでもない。橋りょうの高齢化は避けられないとしても、再塗装を行えば長持ちさせることは可能なので、今後もしっかりとメンテナンスに取り組んでいってもらいたい。
また、新たな技術の活用という点について、橋りょうやトンネルなどで起きるひび割れなどを、超音波を使って検出する超音波可視化カメラの試作機を株式会社島津製作所が開発し、本年9月から京都大学との共同研究に着手したとの情報を得ている。平成31年度を目標にカメラの開発を進め事業化を図る方針のようである。インフラの老朽化が社会問題化するなか、点検作業の効率化や防災対策にも応用が期待されるものである。
内容は、超音波を当てて発生する振動の変化を特殊カメラで読み取ることでインフラの鋼構造物やコンクリートのひび割れ、剥落した場所などを特定できる仕組みのようである。
トンネルや橋りょうなどのインフラの定期点検においては、現在は作業員らによる目視や打音検査が一般的のようである。超音波可視化カメラは、実用化すれば、作業の省力化、効率化に寄与すると期待されている。
実用化された際には、是非建設部でも早急に取り入れるよう求めたいが、答弁を求める。
- 106:【道路維持課主幹(管理・技術)】
現在、定期点検作業は、点検員による近接目視打音検査及び触診検査を行っている。
超音波可視化カメラは、部材内部の損傷の確認を可能とするなど、点検精度の向上や作業の効率化が期待されるところである。このほかにも、ドローン技術の導入など、様々な技術の開発が進められているので、県としても、点検作業の精度を高めるとともに、これらの技術の開発動向を注視し、効率化・省力化に向けて、しっかりと検討していきたいと考えている。
- 107:【筒井タカヤ委員】
ふだんから水がたまっている池や沼などの土堤は、一たび崩壊すると大きな被害が発生すると予想される。そこで、建設部所管の河川・砂防施設の中で、土堤によりふだんから水がたまっている池や沼はどれだけあるか伺う。
- 108:【河川課主幹(企画・事業)】
河川施設では、県内唯一の天然湖沼である高浜川水系の油ヶ淵の1か所がある。
また、砂防施設では、土構造の砂防えん堤について、ふだんからたん水して池となっているものが、県内に43か所ある。
- 109:【筒井タカヤ委員】
地震対策として、これらの施設について、これまでどのような取組をしてきたのか。
- 110:【河川課主幹(企画・事業)】
油ヶ淵からは高浜川と新川の二つの川が衣浦湾へ注いでおり、油ヶ淵周辺は低地が広がっていることから、満潮時の海水の遡上の防止や台風時の高潮の防御、地震による津波の遡上の防止の機能を有する水門が二つの河川に設置されている。
東日本大震災を踏まえ実施された愛知県東海地震・東南海地震・南海地震等被害予測調査では、油ヶ淵から衣浦湾へ注ぐ高浜川河口付近において、津波が到達し浸水被害が発生することが明らかとなっている。このことから、油ヶ淵の土堤にかかる水圧を増加させないよう、地震発生後にも津波などによる水位上昇を防ぐため、高浜川、新川の両水門の耐震化を第3次あいち地震対策アクションプランに位置づけたところである。
- 111:【砂防課主幹(砂防)】
東日本大震災を踏まえて改めて実施した砂防設備の点検・調査により把握したこれら43か所の土堤について耐震診断を進めており、これまでに13か所で耐震診断を終えた。このうち2か所については地震時の安全性を有しているものの、11か所では何らかの対策が必要であることを確認している。現在、残り30か所について、順次耐震診断を進めている。
- 112:【筒井タカヤ委員】
今後の対策はどのように進めていくのか。
- 113:【河川課主幹(企画・事業)】
アクションプランに位置づけた河川管理施設などの整備については、9年間のアクションプラン期間中に計画的かつ着実に実施するため、昨年度末にロードマップを作成した。
高浜川水門と新川水門については、このロードマップにのっとり、現在、現況施設の詳細な調査や耐震対策工法の検討を実施している。引き続き検討を進め、計画的に耐震対策を進めていく。
- 114:【砂防課主幹(砂防)】
今後は、平成30年度までに残り30か所の耐震診断を完了させ、その上で、対策が必要と判断された施設については、アクションプランの見直し時に計画へ位置づけ、対策を進めていく。
具体的な対策としては、まずは池の水利用の調整を進め、池の水位を下げることが可能な箇所については、水位を下げることにより地震時の安全性を確保していく。
一方、水利用調整の結果、水位を下げられない、若しくは水位を下げても安全性を確保できない箇所については、堤体の耐震補強等を順次実施していく。
- 115:【筒井タカヤ委員】
ふだんから池や沼となっている土堤は、一たび決壊すれば瞬く間に被害が広がる。ましてや地震で決壊した場合は、住民は逃げる時間がないことが危惧される。建設部には土堤の耐震対策にしっかり取り組んでもらいたい。
次に、リニア中央新幹線のトンネル工事の土砂を瀬戸市内の陶土掘削した跡地、通称瀬戸グランドキャニオンと呼ばれる地区に処分するとの報道がなされて注目を集めている。私自身もこの地区を視察した際に、長期的な計画で埋め立てるとの説明を聞いている。
しかし、瀬戸市長、瀬戸市議会は事前の了解もしておらず困惑しており、地元住民にも事前の相談もなく、土砂が処分されるとなると大量のダンプが住宅地を走行することになるため、反対の声が出ている。今回の報道ではリニア事業による残土の受入候補地が明らかになるのは初めてとのことだが、受入箇所、残土処分地の選定はどのように行われるのか。
- 116:【建設企画課主幹(技術・検査)】
県内の発生土の有効利用に関しては、JR東海と地元市町村、関係省庁、愛知県で組織する調整会議を通して、公共事業等での受入可能箇所の情報提供をしている。
受入箇所の選定は、JR東海が独自に情報収集した民間候補地と、県が情報提供した公共事業等での候補地から、関連工事の状況に応じてJR東海が個別に判断することとなっている。
建設部も振興部を通して県発注工事の情報提供をしており、残土の受入候補地となれば、受入条件等についてJR東海と具体的に協議していくことになる。
- 117:【筒井タカヤ委員】
昨年、県が行うトンネル工事で自然界にあるヒ素等有害物質が見つかって、谷間に残土を封じ込める方法で処理した三河地区の現場を視察した。JR東海が発注する工事だから知らぬではいけない。県は県民の安全を守るという観点でしっかりとJR東海と連携してもらいたい。受入箇所周辺の住民としては、残土に有害物質が含まれていないか心配である。JR東海は残土にヒ素等有害物質が含まれているかどうかをどのように調査しているのか。
- 118:【建設企画課主幹(技術・検査)】
JR東海によると、資料等調査などの結果により土壌汚染の可能性がある地域においては、発生土に含まれる重金属等の定期的な調査を実施し、その結果、汚染のおそれがある土壌が確認された場合には、掘削土を選別して対象物質の種類や含有状況等に合わせた現場管理を行うとともに、関係法令等に基づき処理・処分を行い、拡散を防止する対策をとることとしている。
なお、JR東海では瀬戸市内の陶土等採取跡地への土の搬出に際して、搬出土が土壌汚染の基準値以下であることを確認の上搬出すると瀬戸市に対し説明している。
- 119:【筒井タカヤ委員】
私が見た現場では谷間に残土を封じ込める方法で処理していたが、JR東海はヒ素等有害物質が出た場合、その処理をどのように行う考えか。
- 120:【建設企画課主幹(技術・検査)】
JR東海が公表しているところによると、現在までの工事の進捗においては、名城非常口新設工事用地で基準値を超える鉛及びその化合物が含まれる土砂が発生しており、専門の処理業者の工場に搬入する方法で処理をしていくとのことである。
今後も同様に、JR東海の責任において適切に処理を行うものと聞いている。
- 121:【筒井タカヤ委員】
東京都では豊洲市場の建設において、東京ガス工場跡地の土壌汚染対策を土盛りにより対応する予定であった。しかし、土盛りされずにモニタリングする地下空間が施工され、その地下空間の底面には地下水がたまっていた。東京都議会では土盛り工事がされている旨の答弁が繰り返されていた。都の内部調査によると、土木部門と建築部門の縦割り行政が原因とのことである。
本県では、名古屋市とのアジア競技大会の共催が決まったが、施設整備が縦割り行政で進められると大変不安に感じる。本県では、土木と建築の連携について、どのように取り組んでいくのか伺う。
- 122:【建設企画課長】
現在、建設部の組織は、土木・建築がひとつの部の下で仕事をしていく体制となっている。土木・建築を含めた部所管事項全体の企画・調整、建設技術、基準等に係る総括は建設企画課が担当しており、相互に連携が必要となる事項については、建設企画課が中心となって意思疎通が図られるよう部内調整を行っている。
また、個々の工事においても、土木の工事に建築物が含まれる場合、また、建築の工事に大規模な土工事・擁壁工事などが含まれる場合には、建設企画課が窓口となり、発注の段階で建設企画課に情報をあげてもらい、設計・積算上の注意点や最新の基準類について、場合によってはほかの発注機関の協力も得てアドバイスを行うなど、土木・建築技術者が相互に協力し合う体制となっている。今後も緊密に連携を図っていく。
- 123:【筒井タカヤ委員】
アジア競技大会の所管は振興部であるが、教育委員会や建設部などいろいろな部局に関わってくるため、縦割り行政のままでは県民の不安は払拭されないとの思いが根強くある。
特に、施設整備については、突貫工事で無理矢理完成期日に間に合わせようとせず、施設利用者の安全を最優先して工事を進めてもらいたい。
アジア競技大会の施設整備などにおける県庁内での他部局との連携について、どのように取り組んでいくのか伺う。
- 124:【建設企画課長】
アジア競技大会では、その推進が県庁内の多くの部局に関係することから、知事を本部長とし、建設部長、建築局長を始め関係部局長を本部員とする第20回アジア競技大会推進本部が設置され、その第1回会議が本年10月3日に行われたところである。また、推進本部には、細部にわたる調整や検討を行うため、関係課室長を幹事とする幹事会が置かれており、さらに担当職員レベルの作業部会も設置され、必要な業務を行う体制となっている。
具体的な調査業務はこれからであるが、今後、アジア競技大会の推進に関する事務については、この推進本部会議を中心として進められていくことになり、節目、節目において、関係部局が顔を合わせた確認調整など、庁内が連携してアジア競技大会の成功に向けて取り組んでいく中で、建設部としても与えられた役割をしっかりと果たしていきたいと考えている。
- 125:【筒井タカヤ委員】
関西地区では2025年に大阪万博を開催するため、国に対して真剣に働きかけている。大阪万博開催が現実となった場合、工事施工にかかる人員不足・資材値上がりについて、真剣に考えなければならない。深刻な状況となった場合には、アジア競技大会関連施設整備に際して、無理難題が起こるかもしれない。
そのような場合に、専門家である建設部・建築局がいかにき然とした態度で臨むかが非常に重要になってくる。建設部長、建築局長にき然とした所感を述べてもらいたい。
- 126:【建築局長】
アジア競技大会の開催に当たっては、施設整備が必要となる。今後、振興部が中心となって進めていくと思うが、これまでも県の施設整備に当たっては、計画段階・構想段階から、建築局も一緒に参加して意見などを伝えてきた。引き続き、言うべきことは言って、円滑に事業が進むようにき然とした態度で進めていきたいと思っている。
- 127:【建設部長】
今回のアジア競技大会開催に向け、建設部の所管する施設が競技会場になることもあるだろうし、また、アクセス道路の整備についても求められるだろうと思っている。様々な役割を建設部が担っていかなければならないと考えている。
アジア競技大会は総合的な大会なので、いろいろな部局に関係が及ぶと思われるが、建設部としては、しかるべき役割をきちんと果たして、大会を成功に導いていかなければならないと考えている。過去、中部国際空港開港や愛知万博開催において、我々はこうした役割を果たしてきたという自負がある。したがって、今後10年間、アジア競技大会開催やリニア中央新幹線開業に向けて、我々の後輩も、きちんとインフラ整備を進めてくれると確信している。さらに、後々の世代にも引き継いでいかれるものと思っている。
- 128:【筒井タカヤ委員】
大阪万博が行われたら、工事費の高騰が心配である。東京では、約7,000億円の工事費が3兆円を超えるまで高騰している。今後、アジア競技大会ではもっと厳しくなるだろう。しかし、県民に情報公開していかなければならないので、安易に振興部の下で黙っていることはしないで、き然と対応してもらいたい。
- 129:【久保田浩文委員】
アンダーパスの件で、先ほどの答弁で分からなかった点について2点伺う。
1点目は、今まで以上にしっかりとしたストップ機能を果たしていくということで、二重の閉切りとして2か所で対応していくとあったが、その2か所というのは、アンダーパスの手前側ともう1か所は水面ぎりぎりのところで事故のないように冠水を表示していくということか。
もう1点は、エアー遮断機とはどういうものか説明を求める。
- 130:【道路維持課長】
まず、二重の閉切りという点については、今回の事故が規制区間内の民地の駐車場からの誤進入であったことを踏まえ、最終的には、アンダーパスの進入口とそれ以降は民地のない断面で再度閉め切るということである。ただ、県が交通規制を行う幹線道路は非常に交通量が多い所であり、交通の混乱を回避する必要があるので、従来どおり信号の交差点で一度交通規制をし、円滑にう回できることを継続した上での二重の閉切りである。
2点目のエアー遮断機については、イメージとして、長い筒状の風船、およそ3メートルから4メートルの長さ、直径60センチメートル程度のものが、ふだんは遮断したい箇所に設置する鋼製の箱にしまわれ、水位が通行規制水位である15センチメートルに到達するとスイッチが入り、おおむね20秒で空気が入って横に広がり、1車線を塞ぐものである。色は一般的に蛍光色で見やすい色と聞いており、その前面には通行止めという文字が書いてあり、ドライバーの目の前にその風船が伸びていくものである。いわゆるゲリラ豪雨などで通行規制が間に合わないときに、自動的にスイッチを入れて補助的に使うものである。
これは新しい技術として開発され、導入が試みられているので、その実績等をもとに検討したい。
- 131:【久保田浩文委員】
交通規制をかけるということは、事故を防ぐという意味で当然必要なことである。ただ、そこを通って向こう側へ行かなければならないドライバーは、どういう形でう回すればいいのかを非常に不安に思うであろう。地域の事情が分かっている地元の方はいいと思うが、そこを通過道路として利用している方も多数いると思うので、そういった方々にどうやってう回して向こう側へ行ってもらうかということもしっかり検討してもらいたい。
また、県内27路線30か所のアンダーパスがあると聞いたが、私の知る限り清須市内には、国の管理、市の管理の箇所もあり、県の管理と合わせて10か所以上あると思う。そこで、国はもちろん地元の自治体ともしっかり協議、協力して、県管理のみならず市管理のところもしっかり指導しながら対応してもらいたい。
県管理の道路の歩道の安全施設や下水、砂防、公園の管理、災害への対応などを通じて県民の安心・安全をしっかり確保しつつ将来に向かって進んでいくのが県行政の在り方だと思う。それぞれの市町としっかり協議しながら、これから建設部として、将来に向かってどういうまちづくりをしていくのか、決意を伺う。
- 132:【建設部長】
まず、国、清須市を含めたほかの自治体との協力については、清須市とは既にしっかりと調整を行っており、しっかりと協力をしながら道路管理者として対応していきたい。
私ども建設部は、将来に向かってインフラの整備をするだけでなく、道路や港湾、河川、砂防、下水や公園など、県民の皆様の暮らしを支え、愛知の社会経済を支える重要な社会インフラの管理を預かる立場にある。
今回の事故を踏まえ、日常の維持管理はもとより、豪雨や台風、さらにはこの地域に迫る大規模な地震などの様々な事態にも迅速かつ的確に対応し、安全・安心な愛知を守っていくこができるよう、職員一同、全力を挙げて取り組んでいく。