県政報告

(主な質疑)
- 1:(主な質疑)
《議案関係》
【石井芳樹委員】
民生委員について伺う。平成28年12月1日の改選時に86名の定数を増やすとのことであるが、5,716名の定数に対して5,692名と、現状でも定数を24名下回っている状況の中で、民生委員の充足について問題はないのか。
- 2:【地域福祉課主幹(地域福祉)】
今回の改正で86名の定数増となるが、この増員については、社会全体の高齢化の進行を反映し、高齢者単身世帯や高齢者のみの世帯の増加などに対応するため、市町村から定員増の要望があったものである。
それを踏まえて、市町村において人選が行われ、必要な民生委員数を推薦してもらえると考えており、今回の増員分を含めた必要な民生委員数が確保できると考えている。
- 3:【石井芳樹委員】
市町村において、民生委員の推薦はどのように行われるのか。また、現状では24名の欠員があるが、欠員対策をどうしていくのか。
- 4:【地域福祉課主幹(地域福祉)】
民生委員の推薦については、民生委員法の規定により、各市町村に設置された民生委員推薦会が推薦する者について、知事が愛知県社会福祉審議会の意見を聴いた上で厚生労働大臣に推薦し、厚生労働大臣が委嘱する。
各市町村の民生委員推薦会は、当該市町村の区域の実情に通ずる者の中から、市町村長が委嘱することとされている。民生委員推薦会では、民生委員の候補者として当該市町村の有権者の中から、人格識見が高く、広く社会の実情に通じ、社会福祉の増進に熱意のある者で、児童福祉法の規定する児童委員としても適当である者を推薦してもらっている。ただし、任期の中途に体調不良等で退任する民生委員もおり、欠員となる場合もあるが、民生委員定数に対して欠員が生じた場合には、市町村に早急に補充してもらうよう依頼し、適切に対応してもらっている。
- 5:【石井芳樹委員】
担当する民生委員がいない地区では、ほかの地区の民生委員がカバーしなければならず、非常に負担になっており、それが原因で、その地区まで欠員になる場合もある。公職者にも適当な人がいないかと聞かれることも多々ある。現行の制度自体が、善意によって、充足率を達成するために頑張っているという点を、まず県にしっかり認識してもらいたい。
次に、民生委員の活動実態として、現在の民生委員の平均年齢、年齢層の比率や活動日数について伺う。
- 6:【地域福祉課主幹(地域福祉)】
直近の改選である平成25年12月1日現在、民生委員の平均年齢は63.3歳で、年齢層の比率は、20歳代が0パーセント、30歳代が0.2パーセント、40歳代が4.8パーセント、50歳代が17.1パーセント、60歳代が59.1パーセント、70歳代が18.8パーセントである。
民生委員の活動日数等については、昨年度の実績で、県所管分では、民生委員1人当たりの1か月の平均活動日数は9.2日であった。
- 7:【石井芳樹委員】
県では以前、年齢制限が65歳の時があったと思う。現在の平均年齢が63.3歳ということは、ほとんどの方は、以前の県の年齢制限であれば、辞めなければならない時期が近づいているが、年齢に幅を持たせることによって、今の制度が保たれている。
また、活動頻度はおよそ3日に1回であるが、恐らく、活動外も含めれば、2日に1回程度は活動していると思われる。そのような負担を県はしっかり認識しながら市町村対応をしてほしい。
例えば、消防団もまた同様な職務を帯びている職業であるが、本年度予算や来年度予算では、消防団を盛り上げていこうということで、各種施策が盛り込まれている。本県において、民生委員に対する表彰制度やその他の施策について、どのようなことを行っているのか。
- 8:【地域福祉課主幹(地域福祉)】
民生委員や児童委員に対しての表彰制度について、知事からは、県が実施している社会福祉大会で表彰される社会福祉事業功労者に対する知事表彰、感謝状、愛知県表彰条例に基づき社会福祉功労者として表彰されるものがある。また、厚生労働大臣からは、全国の社会福祉大会で表彰される社会福祉事業功労者に対する厚生労働大臣表彰、辞職された方には、在任期間等に応じて厚生労働大臣感謝状、厚生労働大臣特別表彰がある。このほか、社会福祉功労者としての春秋の叙勲及び褒章がある。
本年度の実績では、知事表彰は7名、知事感謝状は1,008名、愛知県表彰条例に基づく表彰は1名、厚生労働大臣表彰は6名、厚生労働大臣感謝状は14名、厚生労働大臣特別表彰は3名、叙勲は3名、褒章は3名となっている。
- 9:【石井芳樹委員】
次に、民生委員活動の現在の助成はどうなっているのか伺う。
- 10:【地域福祉課主幹(地域福祉)】
民生委員は、民生委員法第10条の規定により無報酬とされているが、委員活動に対する実費弁償費として、民生委員活動等費用弁償費が年額2万9,100円支給されている。また、児童福祉法第16条第2項の規定により、民生委員は児童委員を兼ねるため、児童委員の活動費として同額が支給されている。また、民生委員法第20条の規定により、民生委員は区域ごとに民生委員協議会を組織することとなっており、その活動は、委員活動の連絡調整や情報収集、研修等の知識習得、行政機関との連絡等である。これらの活動に対して、民生委員協議会活動費交付金が支給されており、各協議会への支給金額は、平均で年額10万円である。
- 11:【石井芳樹委員】
民生委員協議会活動交付金は、現在1団体10万円だが、平成21年までは14万円と、各団体4万円上乗せされていた。恐らく、県財政が非常に悪い時期において削減されたものと思うが、県税収入が1兆円を超えた今、いまだに10万円に据え置かれた状況にあるのは、やはり民生委員の気持ちに応えるという意味で疑問に感じる。
民生委員協議会のお金は、研修やほかの民生委員との交流、様々な意見交換、スキルアップにつながるものだと思うが、県税収入が増加している中、県としては今後どのように対応していくのか。
- 12:【地域福祉課長】
民生委員、児童委員には、各地域において様々な取組を通じて地域福祉の推進に尽力してもらっている。
活動費については、原則的にはボランティア精神による活動ということで、旅費や通信費等の実費弁償としての意味合いを持っているため、直ちに引き上げることは難しい部分もある。ただし、民生委員協議会活動交付金は、平成22年から据置きになっているため、国の交付税単価なども参考にして、国に提案を行いながら検討していきたい。
- 13:【石井芳樹委員】
民生委員からは、今、個人情報保護法という高い壁があり、様々な情報が得られないと聞く。家庭内に障害者がいるとか、要介護や要支援の状態であるということは、伝えられることが少ないとのことだが、どのような情報が民生委員に与えられているのか。
- 14:【地域福祉課主幹(地域福祉)】
民生委員への地域住民に関する情報の伝達について、民生委員に委嘱されたことのみを理由に、個人情報に該当する名簿等が交付されるということは、個人情報保護法等により制約される。
しかしながら、例外的に、本人の同意を得た場合や、災害対策基本法に定める避難行動要支援者を保護するために特に必要があると認められる場合などには、本人の同意を得ずに、民生委員に個人情報が提供され、いわゆる孤立死対策及び大規模災害などにおいて、人の生命、身体等の保護に必要な範囲で、情報の提供が可能となる。そのため、要介護・要支援・障害者情報について、民生委員への提供が求められる場合があるが、市町村は情報の利用目的等を十分勘案して実施しており、県としては、その活動に必要な情報が適切に提供されるよう市町村に助言、依頼を行っている。
- 15:【石井芳樹委員】
最後に、民生委員の身分について伺う。民生委員から、例えば個人宅を訪問したときなどに、「あなたたちはお金をもらってやっているのでしょう」ということを言われると聞いた。実費弁償の中で一生懸命やっているにもかかわらず、住民に対する民生委員の活動の周知が十分でないため、なり手も少ないという悪循環に入っているものと思う。民生委員の働きに報いるためにも、究極のボランティアとして一生懸命務めてもらっていることを地域にPRすることも重要だと思うが、その点についてどう考えるのか。
- 16:【地域福祉課主幹(地域福祉)】
民生委員活動のPRについて、地域住民が民生委員や児童委員の活動について理解を深めるとともに、地域の問題解決に自ら積極的に参加してもらうことが、地域福祉を推進する上で何よりも大きな力になると認識している。
平成28年12月1日には民生委員が一斉改選されるので、市町村に対しては引き続き広報誌等により、地域住民に対する民生委員の役割や活動内容の周知に努めてもらうよう働きかけていく。
- 17:【わしの恵子委員】
健康保険法の改正により新たに導入される患者申出療養とはどのような制度か。
- 18:【障害者施設整備室長】
患者申出療養は、国内未承認の医薬品等を迅速に保険外併用療養として使用したい患者に応えるために創設されたもので、患者からの申出を起点として国内未承認医薬品等の使用を、前例がない場合は原則6週間、前例がある場合は原則2週間の審査により迅速に保険外併用療養として使用できる仕組みである。
- 19:【わしの恵子委員】
保険診療と保険外診療の併用、いわゆる混合診療に道を開くものだと思うが、国民皆保険制度が守られなくなるおそれがあり、当該制度については賛同できない。
- 20:《一般質問》
【田中泰彦委員】
児童虐待防止対策について伺う。本県の児童虐待の相談対応件数は、平成21年度の637件から平成26年度の3,188件と約5倍に急増している。今議会においても、公明党の木藤議員が代表質問で、我が党の高桑議員が議案質疑で質問したように、その対応が急務であり、それを反映するように、連日のように新聞、テレビ等で児童虐待に関する報道が取り上げられている。
本県における事件も新聞で大きく取り上げられているが、新聞で取り上げられるのは死亡事故につながった事件が多く、死亡事故につながっていない事件を含めると本当に大きな社会問題であると感じる。以前ならば大家族や地域で子育てをする環境があったが、現在は核家族化や都市化の進展によって親族等からの援助も受けにくく、地域社会との関係も希薄化している。妊娠や子育てに不安を抱えたり孤立したりしている家庭に対して、周りの大人や地域で見守る体制を作り、児童虐待を防止することが必要である。そのため、地域において児童相談に応じる市町村の役割はますます大きくなっているが、児童虐待に対する職員の専門性という点では十分でない面もある。
直接的に児童虐待に至る理由は複数あるが、子供を殺害するような刑事事件では、責任能力を判断するために精神鑑定を受けるような事例もある。子育てする上での多大なストレスも原因の一つとなっているが、ほかの原因として、子供を育てるという気持ちが育っていないのに親になってしまう事例が多いことも考えられる。さらに、望んでいない子供、子供をつくる気がなかったにもかかわらず出産してしまい、愛情を注ぐことができないという場合もある。
子育てにストレスを感じて虐待のリスクを抱える保護者が、我が子を虐待してしまう悲劇を繰り返す事態を招かないため、児童相談センターは虐待のリスクの高い保護者への支援や予防についてどのように取り組んでいるのか。
- 21:【児童家庭課主幹(児童家庭)】
虐待リスクの高い保護者への支援については、地域で様々な情報を持つ市町村がリスクの高い家庭を把握し、相談指導を行い、県は、専門性の高い困難事例等への対応として、未然防止や再発防止のために保護者への指導援助を行っている。現在、市町村が設置している要保護児童対策地域協議会が、地域の情報を集約し要保護児童を把握しており、支援が必要な家庭に対して、市町村の児童福祉担当職員が家庭訪問等により相談指導を行っているが、特に虐待のリスクの高い家庭については、児童相談センターへ相談、通告することとなる。
県の児童相談センターでは、児童福祉司や児童心理司が、児童虐待対応精神科医師の助言・指導の下、児童虐待の相談や通告、市町村からの情報提供等で児童虐待のリスクの高い家庭の保護者に対して家庭訪問等による心理的なケアなどの支援を継続して行い、児童虐待の未然防止や再発防止に努めている。
- 22:【田中泰彦委員】
保護者と子供がマンツーマンで対応しなければならない時代になってきた中で、地域を挙げて見守るために、関係機関との連携をどのように進めていくのか。
- 23:【児童家庭課主幹(児童家庭)】
児童虐待防止のための地域の見守りについては、市町村が設置する要保護児童対策地域協議会が中心となり、その構成メンバーである地域の児童委員、学校、医療機関等が一体となり取り組んでいく必要がある。
市町村要保護児童対策地域協議会の体制強化については、県の児童福祉司を市町村の児童福祉担当課へ派遣し、直接助言を行うなどの支援を進めているが、来年度も引き続き協議会の機能強化を支援するため、困難事例等の検討など実践的な研修を実施することとしており、当該研修には地域の主任児童委員にも参加してもらうこととしている。
また、児童相談センターにおいて、児童虐待に地域を挙げて取り組むため、センターが事務局となって、管内市町村の児童福祉主管課、教育委員会、主任児童委員、医療機関等が参加する関係機関連絡調整会議を定期的に開催している。
児童虐待の早期発見・早期対応、未然防止のため、今後も本調整会議を活用し、関係機関の地域におけるネットワークの強化を図っていく。
- 24:【石井芳樹委員】
関連して児童虐待対策について伺う。本県では、市町村児童相談の手引き、児童虐待に関するマニュアルを作成している。当該手引を読むと、例えば「虐待の継続ケースが転居した場合、市町村間の情報提供はどのようにしたらよいですか」という質問に対して、回答は「保健業務の中では、必要な場合には市町村間の情報交換が行われていると思いますので、そのやり方に準じて行うと良いでしょう」となっており、内容が分かりにくい。また、「転居に伴って前居住地である他市町村からの情報提供が必要となる場合で、保護者の了解が得られない場合の情報収集の方法を教えてください」という質問に対する回答は「児童の福祉上、必要な場合は元の居住地の市町村に情報提供を依頼することもあります。これまでも保健部門では、こうした情報交換がなされている場合が少なくないと思われますので、参考にされると良いでしょう」と、抽象的で、非常に困惑するようなQ&Aになっている。
これについては、発行日を調べてみると平成18年2月15日であった。先ほど話があったように、相談件数が平成21年から平成26年までの間に5倍になっており、その間であれば私の地元長久手市の近隣である尾張旭市では、市独自の児童虐待防止対応マニュアルを策定するなどの取組を進めている。県の策定した市町村児童相談の手引きは平成18年のままであることに対して、どのような見解であるか。
- 25:【児童家庭課長】
市町村児童相談の手引きは、市町村における児童相談体制の整備を支援するために、国が定めた市町村児童家庭相談援助指針の概要と、相談活動において発生すると考えられる疑問や必要な知識・技術に関してQ&A形式で県として作成したものである。
本手引は、平成16年の児童福祉法の改正や児童虐待防止法の改正を踏まえ、児童家庭相談が市町村の業務に位置づけられたことや児童虐待の通告先に市町村が加えられたことから、市町村が主体的に児童の相談援助活動を実施する参考となるように、県として作成したものである。手引については、基本的な部分についてはその後も大きな変わりはないと考え、平成18年2月以降、改訂をしていない状況であったが、国においては、新たな子育て支援事業を法定化するために児童福祉法を改正し、市町村児童家庭相談援助指針を改定したため、県のQ&Aを追加するなどした市町村児童虐待対応職員必携ハンドブックを平成23年度に作成し、配布している。
- 26:【石井芳樹委員】
手引については今後改訂しないのか。転居を繰り返すうちに所在不明になり、ある時事件になってしまうことが社会的に問題となっている。本県で、児童虐待のおそれがあるとして改善指導中の保護者が転居して所在不明になった事例は、昨年度何件あったのか。
- 27:【児童家庭課長】
そのような事例の数字的な把握はしていない。
- 28:【石井芳樹委員】
私が平成20年の資料で確認した際には7名であったと記憶している。
その時々のトレンドとして手法が変わっていく中で、転居先をしっかりと把握し虐待を防ぐことが大事であり、このようなマニュアルではよくない。また、児童相談センターのホームページを見ると、「11月29日から12月6日まで庁舎が停電するので子供家庭110番は利用できません」という昨年の内容がまだ掲載されている。それでは、県民が困って電話しても、県の姿勢はその程度かという話になる。広報分野において、マニュアルもホームページも、県が真剣である姿勢を示す必要がある。
- 29:【児童家庭課長】
手引については、市町村が実際に活用できるようにするために、最新の動向等を踏まえて見直していきたい。また、市町村児童虐待対応職員必携ハンドブックについて、国の指針を含めたものを追加していなかったことから、直ちにホームページに掲載した。
国で今、法改正により市町村と県の児童虐待に対する役割を見直そうという動きがあることから、この動きを注視し県と市町村の役割分担の中で、市町村が適切に対応できるよう市町村相談の手引きの見直しも含めて取り組んでいく。
- 30:【大嶽理恵委員】
県内の保育士の給与実態は、どういう状況なのか。また、特に民間保育園や若い年齢の保育士の給与が低いと思うが、状況を把握できているのか伺う。
- 31:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
本県の保育士の給与実態について、民間事業者を対象とした厚生労働省の賃金構造統計調査によると、平成26年の本県の保育士の給与は、月額25万1,900円で全国平均より3万5,800円高く、都道府県別では全国1位となっている。なお、本県の全職種の平均給与は、月額35万2,400円で、保育士より10万500円高くなっているが、これは勤続年数が保育士の6.2年に対し、全職種では13.2年と長いことが要因の一つと考えられる。
年齢別の状況については、賃金構造統計調査では都道府県別の結果が集計されていないため全国平均になるが、20歳から24歳の給与では、男性が19万3,900円、女性が18万5,100円となっている。
- 32:【大嶽理恵委員】
今後、県として保育士の処遇改善のため、どう取り組むのか。
- 33:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
平成27年4月にスタートした子ども・子育て支援新制度では、保育士の処遇改善として、給与に3パーセントの加算を実施している。また、国家公務員の給与改定により、公定価格も1.9パーセント増加していることから、保育士の処遇は本年度において約5パーセント改善している。しかし、処遇改善加算については算定方法が複雑であることから、市町村によっては適切な対応が取れない状況もあるため、県では、市町村ヒアリングの実施や県独自のマニュアルの配布等により適切に保育士の処遇改善がなされるよう、市町村に対して情報提供や助言を行っている。今後も、処遇改善に係る給付費等が円滑に支給されるよう、引き続き市町村に対してきめ細かな助言等を行うとともに、国に対しても保育士の処遇改善に必要な財源を早期に確保するよう要望していきたい。
また、保育士は、指導計画の書類作成等の様々な業務が必要であり、特に経験の少ない保育士の負担軽減を図るため、来年度に国においてICT化を推進するための保育業務支援システムの導入等に対する助成事業が創設された。県内では、20市町において実施予定であることから、県としてはシステムの導入等に向けた情報提供を行い保育士の職場環境改善を支援していきたい。
- 34:【大嶽理恵委員】
次に、放課後児童クラブについて伺う。放課後児童クラブは、長期休暇において、昼間、保護者が家庭にいない子供たちのためにも適切に対応することが必要と考えるが、県内の自治体で夏休み、冬休み、春休みに放課後児童クラブの特別利用ができない自治体はどれくらいあるのか。
- 35:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
県が実施した調査によると、冬休みのみの利用ができない市町村は54市町村中23市町、春休みのみの利用ができない市町村も同じく23市町ある。なお、夏休みのみの限定利用は、48市町村で受け付けており、ほとんどの市町村において利用可能となっている。
- 36:【大嶽理恵委員】
冬休みや春休みに、2か月分の利用料を払わなければならない自治体はどのくらいあるのか。
- 37:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
冬休みのみ利用の場合において、12月と1月の2か月分の利用料が必要な市町村は、冬休みの利用ができる31市町村のうち10市町、春休みのみ利用する場合において、3月と4月の2か月分の利用料が必要な市町村は、利用できる31市町のうち9市町となっている。
- 38:【大嶽理恵委員】
子育て支援サービスを受けやすい環境にするため、これらの状況の改善が必要だと思うが、県としてどう取り組むのか。
- 39:【子育て支援課長】
共働き家庭等の児童が安全・安心に過ごすことができる居場所の確保は、非常に大切な課題であり、県としても保護者のニーズに応じて、必要なときに放課後児童クラブを利用できるよう積極的に取り組む必要がある。今後とも、放課後児童クラブの整備を計画的に進め、市町村担当課長会議等において各市町村の取組状況や好事例について情報提供を行うとともに、市町村ヒアリングにおいて個別に助言・指導を行うなど、実施主体である市町村との連携を図り、放課後だけでなく長期休暇中の子供の安全・安心な居場所の確保を図る。
- 40:【大嶽理恵委員】
次に、子供の貧困の実態把握について伺う。18歳未満の6人に1人が、いわゆる貧困状態で暮らしているという状態を改善するため、国においては子どもの貧困対策の推進に関する法律を制定、平成26年8月に基本方針となる「子供の貧困対策に関する大綱」を閣議決定した。これを踏まえ、各自治体において、子供の食事支援や放課後の居場所づくり、ひとり親のサポート等を充実していく必要があり、実効性のある対策を行うためには、前提として、地域の実態を把握することが必要となる。
そこで、ほかの自治体では、子供の貧困についての実態調査に乗り出したという新聞記事を最近多く見るが、他県などではどのような項目を調査しているのか伺う。
- 41:【地域福祉課主幹(地域福祉)】
ほかの自治体が実施した実態調査で、本県が内容を把握している実態調査としては、大阪市が平成24年11月に実施した「大阪子ども調査」と、沖縄県が平成27年10月から11月までに実施した「沖縄子ども調査」があるが、沖縄県の実態調査は大阪市の調査を参考に実施し、大阪市で調査対象とした小学5年生、中学2年生に加え、小学1年生も対象に実施している。
大阪市の実態調査は、子供と保護者を対象にした抽出調査だが、調査項目としては、世帯構成、保護者の年間の可処分所得などのほか、子供を対象とした調査項目として将来の夢、物品の所有、放課後の過ごし方、友達、会話、食事、学校生活、子供の自己肯定感の8項目となっている。また、保護者を対象とした調査項目としてはクラブ活動と習い事、就学援助費、子供の進学に関する意識、家計と子供への支出、子供との関係、医療サービスの受診状況の6項目となっている。これらの調査項目ごとに貧困層と貧困ではない層に分けて比較している。
- 42:【大嶽理恵委員】
生活保護世帯の状況はもちろん、就学援助を受けている世帯も支援を必要としていると感じる。本県でも、子供の貧困に対する課題を適切に捉えていくため、実態調査が必要だと思うが、どのように取り組むのか。
- 43:【地域福祉課主幹(地域福祉)】
子供の貧困に対する実態調査については、住民に身近な市町村が各地域の実態に応じて調査・把握し、その結果により、地域の社会資源等を踏まえた具体的施策に反映させることが必要と考える。そこで、国では平成27年度補正予算において創設した地域子供の未来応援交付金制度のメニューとして、市町村を実施主体とした、貧困状況にある子供や家庭の実態把握及び支援ニーズの調査並びに支援体制整備の計画策定に必要な経費に対する助成制度が設けられた。
県においては、各市町村を対象とした担当者会議を開催し、この交付金の内容、趣旨を説明し、積極的な活用をお願いしたところ、幾つかの市から来年度に実施する意向があった。
今後、各市町村で実施する実態調査の調査内容が統一できていないと、他市町村との比較や地域性を明らかにしにくいことから、県内の実態を把握するためにも、県内統一の調査項目が必要となる。そこで、県としては、市町村に対して、実態調査に当たっての県内共通の調査項目の設定など、必要に応じて助言するとともに県内外の先進事例等の情報提供を積極的に行っていく。
- 44:【大嶽理恵委員】
次に、ひとり親対策について伺う。ひとり親家庭の保護者が資格などを取得し、自立できるように支援する高等職業訓練促進給付金等事業について、今回も国が新規で、母子・父子家庭高等職業訓練促進資金貸付事業を創設したが、ひとり親の保護者からは、もともと貯金がある人でないと本制度は利用しにくいという話を聞いた。もともとの貯金がなくても、助成を受けて資格取得ができるような制度になっていることが大切であるが、看護師の場合の学費、保育士の場合の学費等を含めて、子供とともに生活していけるだけの金額かどうか、また、貸付者への支援は、どのようになっているのか。
- 45:【児童家庭課主幹(児童家庭)】
母子・父子家庭高等職業訓練促進資金貸付事業について、看護師や保育士の資格を取得する場合、養成校の入学金や授業料と学校に通う間の生活費とが必要となる。修学中の生活費の補填については、非課税世帯に月額10万円が支給される高等職業訓練促進給付金、所得に応じて3歳から小学校修了までの第1子に月額1万円が支給される児童手当、平成28年度から第1子に最高月額4万2,330円が支給される児童扶養手当、そして、子供1人当たり月額最高額4,350円が支給される県独自の遺児手当がある。よって、子供1人のひとり親家庭では、給付金と手当額の合計が最高で月額16万円程度となる。
次に、資格取得養成校の入学金、授業料、教材費等の必要経費については、新たな貸付事業としての入学準備金50万円と母子父子寡婦福祉貸付金の技能習得資金の年額貸付限度額81万6,000円までを借りることができ、合計で約130万円までの借入れが可能となる。最も費用が高額になる初年度については、平均的な看護専門学校で入学金が20万円台、その他授業料等を合計すると年額約60万円が必要になり、保育専門学校では平均の入学金が40万円台、また授業料等を合計すると年額約110万円が必要となるが、これらの費用については、貸付金の中で対応ができるものと考えている。預貯金がなくても、ひとり親家庭に対する公的な支援制度を活用すれば、資格取得のために養成校で修学しながら生活することが可能である。
また、このようなひとり親の自立支援に向けた制度の活用について、相談相手となる各福祉事務所に配置している母子・父子自立支援員が非常に重要な役割を果たすことから、母子・父子自立支援員が支援制度の周知を適切に行うとともに、各地域において、ひとり親家庭をしっかりと支援を行うよう、県及び各市の福祉事務所に働きかけていく。
- 46:【大嶽理恵委員】
介護者支援について伺う。豊川市でも地域包括ケアモデル事業の取組が進められており、関係者の努力のおかげで医療と福祉の連携が進んできたと感じるが、問題は、介護をする側の支援である。平成28年2月に産業労働部が発表した仕事と介護の両立支援等実態調査結果のアンケート回答を見ると、両立できる制度の構築のほかに、従業員が得ている仕事と介護の両立に関する情報量が少ない、相談の場を作る必要があるといった課題が見えた。大きな会社では、社内に介護に関する相談窓口や相談担当者を設けるなどの取組が始められているようだが、中小零細企業では、そのような対応は難しいのが現状である。
地域包括ケアシステムは、医療、福祉の専門家や、地域の方々が連携し、高齢者がその地域に住み続けられるように支援する制度であるが、この中に、介護者を支え介護と仕事との両立を支援する専門家も含めたものにしていくべきである。地域の方々の話を聞いても、介護で仕事を辞めた方や、老老介護で体調を崩した方、介護うつの状態の方が増えていると実感している。介護者に対して、介護者の視点で支援を行うことが重要であるが、地域包括ケアシステムの中で、介護者支援をどのように位置づけているのか。また、地域包括ケアシステムについて、どのような姿を目指していくのか。
- 47:【医療福祉計画課地域包括ケア推進室長】
地域包括ケアシステムにおいて、要介護者への支援を始めるに当たっては、介護者や要介護者の状況や意向も踏まえ、丁寧な相談を行った上で必要なサービス内容を検討している。しかし、介護が長期化したり認知症などの場合は、介護者の方が介護うつになったり、体調を崩したりすることもあるため、県が実施している地域包括ケアモデル事業においても、介護者の方が孤立しないよう介護者同士の交流会や介護者教室などを開催している。
また、介護者を地域の中で支えていけるよう、介護保険の地域支援事業で取り組んでいる見守りや買物・食事等の生活支援のほか、地域で不足している生活支援の強化策についても取り組んでいく。こうしたモデル事業での取組については、報告会を開催するなどして、ほかの地域に情報提供し、県全体へ広げていく。
さらに、高齢者やその家族からの様々な相談に対応し、必要なサービス利用につなげていく役割を担う地域包括支援センターの職員に対する研修においても、介護者支援に関する内容を取り入れていきたい。
- 48:【わしの恵子委員】
川崎市にある大手企業、株式会社メッセージ傘下の介護付有料老人ホームであるSアミーユ川崎幸町において、入居者3名が連続して転落死した事件は全国に大きな衝撃を与えた。
しんぶん赤旗編集部は、この施設が川崎市に提出した事故報告書等を情報公開で入手したが、施設側が市に示した再発防止策は、3件とも同じような記述であった。また、報告書によると、平成27年7月には、入居者が不在だと誤解して2日間も食事や排せつの介助をしなかった事故が起きたが、7月の暑い時期に2日間も居室で放置すれば、脱水症状などで命に関わりかねない事案であった。
株式会社メッセージが設置する施設アミーユは、名古屋市内に16か所あり、入居定員は893名である。また、アミーユの介護職員は、平成27年8月末現在で414名であるが、昨年度は154名が入職した一方、160名が退職しており、職員のおよそ4割が離職している計算である。厚生労働省が所管している財団法人の平成25年度調査では、介護職員の離職率は全国平均で16.6パーセントなので、アミーユの離職率の高さは異常である。そこで、株式会社メッセージが設置する有料老人ホームアミーユは名古屋市のほかに、県内に何箇所あり、それはどこの市町村にあるのか伺う。
- 49:【高齢福祉課主幹(高齢者福祉)】
名古屋市以外の県内には、豊山町に1か所ある。
- 50:【わしの恵子委員】
豊山町の1か所について、川崎市の事故を受けて、県はどのような対応をとったのか。
- 51:【監査指導室長】
川崎市の事故は平成27年9月に全国的に報道されたが、その頃、大阪府豊中市において高齢者虐待により株式会社メッセージの事業所が処分された。この処分に関連し、国から平成27年9月に株式会社メッセージ関連の介護保険事業所の直近の実地指導の結果について照会があったことから、平成23年6月の実地指導における「指示事項なし」の結果を報告した。同時に、本県として、平成23年の実地指導以後虐待が疑われる事故報告や苦情がないかを豊山町に確認したところ、「該当事例なし」との報告を受けた。
さらに、国から平成27年10月に再度、過去5年の死亡事故や医療機関受診等の重大事故の有無について照会があったことから豊山町に調査を依頼したところ、市町村への報告義務のある事故報告は4件あったが、転倒骨折等一般的な事故であり虐待を疑わせる事故はなかった。県としては、当該施設が過去の実地指導でも指示事項がなく、豊山町にも虐待を疑わせるような事故報告や苦情が報告されていないことを確認している。
- 52:【わしの恵子委員】
介護施設や有料老人ホームに対する指導・監査について、川崎市高齢者事業推進課は転落事故が2件連続した時点で、いずれも口頭で再発防止に努めるよう指導しただけで、川崎市が施設に立入調査を行ったのは、事故発生から半年以上もたってからであった。有料老人ホームなど様々な施設があるが、特別養護老人ホームと指導・監査のやり方が異なる。例えば、川崎市では市内239施設の有料老人ホームやグループホームに対し、担当職員は基本的に2名だけで監査に入っており、毎年約20施設しか監査できていない。単純計算で、監査が入るのは10年に1度だけであるが、特別養護老人ホームについては、2年か3年に1回は監査に入る計画であるとのことであった。
介護職員の離職率が高いといわれる中、介護職員の体制が不十分なのは、このアミーユに限ったことではないことから、ほかの有料老人ホームでも起こり得る問題であると懸念されるが、本県では県内の有料老人ホームへの指導・監査について、どのような職員体制で、どれくらいの頻度で実施しているのか。また、どのような基準により指導・監査しているのか。
- 53:【高齢福祉課主幹(高齢者福祉)】
老人福祉法に基づく有料老人ホームの立入調査の実施に当たり、本県では、立入調査の実施回数や調査方法を規定する有料老人ホーム立入調査実施要綱を定めている。現在は、立入調査に関する業務だけではなく、ほかの業務との兼務であるが、高齢福祉課の職員5名の体制で対応しており、調査当日は2名1組となって原則3年に1回調査を実施している。指導の基準としては、本県では愛知県有料老人ホーム設置運営指導指針を定めており、立入調査に当たっては、指針に基づき、職員の配置状況、施設や設備の状況、サービスの提供状況などが指針に定める内容に適合し適切に運営されているかを、業務記録や介護記録、出勤簿など、各種の記録書類により確認している。
- 54:【わしの恵子委員】
特別養護老人ホームに対する指導・監査について、県はどのような職員体制で、どれくらいの頻度で実施しているのか。また、どういった基準により指導・監査しているのか。
- 55:【監査指導室長】
介護保険法の特別養護老人ホームの実地指導については、監査指導室の担当職員8名で対応しており、調査当日は2名1組で1日かけ、おおむね2年に1回調査を実施している。監査については、不正請求や著しい運営基準違反等の疑いがある場合に行うものであり、実地指導の結果や内部告発等から、不正の疑わしい事業所には迅速かつ適切に監査を実施している。実地指導・監査については、国の介護保険施設等指導指針及び監査指針と県の介護保険サービス事業者等指導及び監査実施要綱により、有料老人ホームと同様、人員が適正に配置されているか、運営面において一連のケアマネジメントが適切に行われているか、報酬は算定要件に基づき適切に請求されているか等を確認し、適正な事業実施の確保を図っている。
- 56:【わしの恵子委員】
有料老人ホームについては5名で3年に1回、特別養護老人ホームについては8名で2年に1回ということだが、調査対象になっている事業者数については、有料老人ホームと特別養護老人ホーム、それぞれどれくらいあるのか。
- 57:【高齢福祉課主幹(高齢者福祉)】
県で所管する政令・中核市以外の有料老人ホーム数については、平成28年1月1日現在、297か所である。
- 58:【監査指導室長】
介護保険の指導対象としている特別養護老人ホームは、本年度で143か所となっている。
- 59:【わしの恵子委員】
有料老人ホームは監査・指導の対象が297か所に対して職員が5名、特別養護老人ホームは143か所に対して職員が8名と、やはり特別養護老人ホームの方が指導・監査できる体制が整っている。
次に、国において、指針を改正し、介護施設に対し抜き打ちで実地指導を実施することが可能になるとの報道があったが、本県ではどのように対応するつもりか。
- 60:【監査指導室長】
国は、3月7日の全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議において、高齢者虐待との関連が疑われる場合等を含め、事業所の日常におけるサービスの提供状況を確認する必要がある場合には、介護保険施設等指導指針を改正し、正式に抜き打ちでの実地指導を行うことを認めるとの説明があった。
本県では、苦情や内部告発等不正が疑われる事業所には、現行の国の指針では、「あらかじめ」通知することとされており、通常は1か月前に送付している実施通知を、当日の朝を含めた直前に送付することで、従来から実質的な抜き打ちでの実地指導を適時適切に行ってきた。今後も、国の指針の改正内容を踏まえつつ、より効果的な抜き打ちの実地指導を行っていく。
- 61:【わしの恵子委員】
介護職員の離職率の高さや職員体制の不十分さ、介護職員の給与等の待遇面の悪さなどは、ほかの施設でも抱えている問題だと思う。厚生労働省によると、介護施設の職員らによる高齢者への虐待は、昨年度に300件が確認され8年連続で過去最多を更新しているが、職員体制の問題もあるのではないかと思う。貧困な介護の現状を打開し、介護の受皿を作るためにも介護労働者の処遇改善は待ったなしの課題である。介護職員は、他職種に比べ月額で10万円低く、本来は介護報酬改定で抜本的な処遇改善を図るべきところ、平成27年4月には2.27パーセントの介護報酬の引下げが行われた。
そこで、介護従事者の処遇改善や資質の向上について、県としてどのように取り組むのか。
- 62:【地域福祉課主幹(地域福祉)】
県では、地域医療介護総合確保基金事業を活用し、介護職員の専門性や社会的評価向上のための人材の資質向上及び労働環境・処遇改善の取組を進めている。
労働環境や処遇の改善に向けた具体的な取組としては、事業所の労務管理のための管理職員研修や、子育て中の介護従事者のための介護施設内保育所の設置促進などに取り組んでいる。
一方、介護従事者の資質向上としては、認知症への対応研修など専門分野の研修に加え、中堅職員や管理職員など、職位に応じたキャリアパス対応生涯研修を始め、介護従事者の資格取得のための研修費用に助成を行うなど、介護従事者のキャリアアップ支援に努めている。
- 63:【わしの恵子委員】
本県においては、介護を有料老人ホームに頼るのではなく、特別養護老人ホームを増設すべきと考えるが、所見を伺う。
- 64:【高齢福祉課主幹(介護保険)】
特別養護老人ホームの増設について、定員30名以上の施設では、県の高齢者健康福祉計画において、定員29名以下の施設では、市町村の介護保険事業計画において、市町村が推計したサービス量の見込みにより整備目標を定め、計画的に整備を進めている。
平成27年3月に策定した第6期愛知県高齢者健康福祉計画においては、平成27年度から平成29年度までの3年間で、定員30名以上の特別養護老人ホームは2,327人分、定員29名以下の特別養護老人ホームでは899人分の定員増を計画しており、着実な整備を進めていく。
- 65:【わしの恵子委員】
80名規模のような大規模施設について、本県で計画を作る考えはないのか。
- 66:【高齢福祉課主幹(高齢者福祉)】
定員30名以上の大規模な特別養護老人ホームについては、来年度、継続を含めて13施設で1,140名分の予算化を図っている。
- 67:【わしの恵子委員】
次に、第三子保育料無料化等事業費補助金について伺う。この制度を創設した目的は、当時の平均理想子供数2.48人を達成するための施策であったと理解しているがどうか。
- 68:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
国においては、子育て家庭の経済的負担を軽減するため、昭和51年度から、同一世帯で2人以上が保育所に入所している場合、2人目以降の保育料を減額している。本県では、平成19年度から、多子世帯の経済的負担を軽減するため、国の制度に加え、18歳未満の児童が3人以上いる家庭に対して、特に保育料の高い3歳未満児のうち第3子以降児の保育料を軽減することで、就労と育児の両立を支援している。
- 69:【わしの恵子委員】
当時の平均理想子供数2.48人を達成するための施策だったということか。
- 70:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
多子世帯の経済的負担を更に軽減するための施策として制度を創設している。
- 71:【わしの恵子委員】
本県が、第三子以降を産みやすくするための制度として導入した第三子保育料無料化等補助金事業に所得制限を導入したのは、少子化対策と子育て支援施策に逆行するものと言わざるを得ないが、県の見解を伺う。
- 72:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
第三子保育料無料化等事業費補助金への所得制限の導入は、真に必要な世帯に対して必要な補助を行うという観点及び福祉施策における応能負担の考えから実施したものである。したがって、第三子保育料無料化事業の所得制限導入が、直ちに少子化対策や子育て支援施策の後退につながったとは考えていない。
- 73:【わしの恵子委員】
国の閣議決定は、全ての子育て家庭を支援していく中で、3人以上子供を持ちたいとの希望を実現するための環境整備をしていくことが重要であるとしているが、それをどのように受け止めているのか。
- 74:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
本県では、平成27年3月に、子ども・子育てに関する総合計画として、「あいちはぐみんプラン2015-2019」を策定している。このプランでは、四つの重点目標の一つに、すべての子ども・子育て家庭への切れ目ない支援を掲げ、多様な保育サービスや放課後児童対策の拡充、自宅で子育てを行う家庭への支援などを促進することで、誰もが結婚や子ども・子育てに関する希望をかなえ、安心して子供を産み育てることができる社会づくりに取り組んでいる。したがって、国の少子化社会対策大綱で示された取組の方向性と本県の子育て支援の方向性は、軌を一にするものと考えている。
- 75:【わしの恵子委員】
所得制限を設けることで、どれくらい県として節減することができるのか。
- 76:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
平成28年度当初予算で試算すると、仮に所得制限を廃止した場合、3億2,400万円強の支出が増加する。
- 77:【犬飼明佳委員】
県の来年度の取組である、結婚に伴う新生活の支援を行う市町村に対する助成制度に関して、その具体的な内容を伺う。
- 78:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
結婚新生活支援事業費補助金は、地域における少子化対策を強化するため、新たに結婚した世帯所得300万円未満の方を対象に結婚に伴う住居費や引っ越しに係る費用として、最大18万円を、結婚新生活支援事業を実施する市町村に対して補助するもので、国の平成27年度補正予算で創設された事業である。
県では、事業実施の意向を示した豊橋市始め4市を補助対象として平成28年度当初予算に計上しており、より多くの結婚を希望する方が、結婚に踏み出すことができるよう、市町村担当課長会議等を通じて周知に努めていく。
- 79:【犬飼明佳委員】
次に、妊娠期から出産期における支援について伺う。国は、妊娠期から子育て期の家庭への支援体制として、ワンストップで様々なニーズに対応して総合的な相談支援を提供する、日本版ネウボラともいえる子育て世代包括支援センターの設置の推進を掲げており、児童虐待防止対策強化プロジェクトにおいても、同センターの全国展開を掲げている。
2月定例議会の公明党代表質問において、大村知事から、全ての市町村で設置されるよう取組を進めると大変心強い答弁があったことで公明党としても非常に期待している。
そこで、子育て世代包括支援センターの本県における設置状況と、今後、設置促進に向けてどのような取組を行っていくのか伺う。
- 80:【児童家庭課主幹(児童家庭)】
本県における子育て世代包括支援センターの設置については、本年度に3市が設置しており、来年度には15市まで拡大される予定である。
子育て世代包括支援センターの設置拡大に向けた来年度の取組として、センターで様々な相談に対応し、中心的な役割を担うこととなる母子保健コーディネーターの人材確保が重要であるので、全市町村を対象に養成研修を開催していきたい。また、子育て世代包括支援センターの未設置市町村に対しては、センターの必要性を十分理解してもらうために、地域の保健所において管内市町村担当者を対象に先進的な取組を学ぶ研修会を開催するとともに、地域の医療機関や市町村の保健福祉関係団体、児童相談センター、子育て支援関係団体との情報共有や具体的な連携方法などを議論する設置促進会議を開催するなど、市町村における子育て世代包括支援センターの設置の促進を支援していきたい。
- 81:【犬飼明佳委員】
産後ケアについて伺う。この妊娠期からの切れ目のない支援として、妊娠中はもちろんのこと、出産後の母親のケアについても支援を行う必要がある。そこで、産後ケア事業の実施促進に向けて、本年度どのように取組を行い、そして来年度に向けてどのような取組を行っていくのか伺う。また、市町村によっては、管内に医療資源などが乏しくて産後ケア事業を実施可能な医療機関がない場合もあるが、医療資源が乏しい市町村に対してどのような取組を行っていくのか伺う。
- 82:【児童家庭課主幹(児童家庭)】
産後ケア事業については、医療機関の空きベッドを活用して母子のケアを行う宿泊型、また、日帰り又は家庭を訪問するデイサービス・アウトリーチ型があり、いずれも医療機関の協力が必要となる。このため、産後ケア事業の実施促進に向けて、本年度の取組としては、市町村が産後ケア事業の実施検討の参考とするために、県内の産科を標ぼうする医療機関及び助産所385施設に対して、産後ケア事業の実施協力に関する調査を実施した。その結果、宿泊型で53施設、デイサービスで56施設、アウトリーチ型では55施設が協力できるとの回答を得たので、協力してもらえる施設の一覧を作成し、平成26年9月に各市町村に情報提供をした。
産後ケア事業については、現在、県内5市で実施されるにとどまっているが、現在、幾つかの市町村では平成29年度実施に向け具体的な検討に入っていると聞いている。
来年度には、子育て世代包括支援センターの設置促進会議や母子保健コーディネーター養成研修を開催する中で、産後ケア事業についても実施してもらうよう市町村に働きかけをしていきたい。
医療資源の乏しい市町村への取組について、管内に産科を標ぼうする医療機関や助産所が少なく、協力を得られる施設のない市町村もある。このため、医療資源の乏しい市町村が産後ケアを実施する際には、近隣市町村の医療資源を活用できるよう、来年度、各保健所で開催する子育て世代包括支援センターの設置促進会議において広域的な調整を行う仕組みづくりを検討していく。
- 83:【犬飼明佳委員】
昨年、春日井市の取組を視察しデイサービスの施設を見たが、お風呂もあり、お風呂を出たところに化粧室のようなスペースがしっかり確保されていた。担当者から、母親がここに来て子供と少し離れた場所でデイサービスを受けるという中で、久しぶりにゆっくりお風呂に入ったということと、久しぶりにゆっくり化粧をしたということで、心がリフレッシュされた方が多いという話を聞いた。産後ケアとしてこれまで支援が不足していた部分であると思うが、産後ケアの宿泊型やデイサービス・アウトリーチ型、またNPO等の民間の活力も含めて地域による支援の差が生じないように県としてもしっかりサポートしてもらいたい。
次に、県内の市町村における子育てアプリの取組状況及び今後の県の取組について伺う。
- 84:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
子育てアプリは、スマートフォンの携帯性を生かし、地図情報と連携した現在地周辺の授乳スペース等の検索機能、生年月日などの登録した情報に応じて予防接種等のお知らせを提供する機能及び子育てイベントの検索機能などの特徴があり、幅広い情報を簡単に入手できる様々なアプリが無料配信されている。
県内では、本年度から刈谷市、清須市及び東郷町の3市町で配信されており、名古屋市が平成28年度当初予算に開発費を計上している。本県においても、子育て家庭優待割引の協賛店である、はぐみん優待ショップを現在地から検索できる機能など、アプリを導入すれば利便性の向上が期待できる一方、子育て支援情報の多くは市町村が持つ情報であり、県が常に最新の情報を一括管理するためには入力方法など様々な課題もある。今後、既に配信サービスを行っている千葉県など他県の取組状況等を参考とし、市町村との連携も含め、子育てアプリについて研究していく。
- 85:【犬飼明佳委員】
次に、健康寿命について伺う。直近の本県の健康寿命の値、全国順位はどうなっているのか。
- 86:【健康対策課主幹(健康づくり)】
直近の都道府県別の健康寿命については、平成27年12月、国の健康日本21推進専門委員会において、平成25年の都道府県別健康寿命の値が報告・公表されている。この報告によると、本県の健康寿命は、男性が71.65年で、前回の平成22年の71.74年より0.09年短くなっているが、全国平均の71.19年を0.46年上回っている。また、女性は、74.65年で前回の平成22年の74.93年より、0.28年短くなっている。こちらも同じく全国平均の74.21年を0.44年上回っている。国は、都道府県別の順位付けをしていないが、発表された資料を基に当課において順位付けをしたところ、本県は、男性が12位、女性が18位となっている。
- 87:【犬飼明佳委員】
健康づくりチャレンジ推進事業では、健康に関心の低い方々にも届くよう、行政だけでなく関係団体などとも連携して生活習慣の改善を呼びかけ健康づくりの気運を高めていくとのことだが、具体的にはどのような団体等と連携する予定か。また、情報の発信について、事業のスケジュールは、どのような予定か。
- 88:【健康対策課主幹(健康づくり)】
健康づくりチャレンジ推進事業では、健康に関心の低い方々にも届くよう健康情報を一斉に発信したいと考えているため、行政や関係団体、民間企業、大学等が連携し一体となって食と運動を中心とした健康情報を県民の皆様の生活の身近な場所から発信する。具体的な連携先としては、情報を発信する場として、スーパーやコンビニ、飲食店、社員食堂などの関係企業、団体の方々と連携を進めていく。また、提供する情報について、健康づくりに役立つ野菜を使ったレシピや弁当の開発などを進めるため、栄養の専門課程のある大学の方々と連携を進めていく。運動の啓発については、愛知県健康づくりリーダーと連携していく。
次に、スケジュールについては、来年度当初にこれらの事業連携をお願いする関係団体等による検討会議を開催し事業の枠組みを定め事業実施に向けた準備を進める。健康情報の発信については、期間を定めて一斉に行うため平成28年11月から12月を想定しており、11月上旬には、名古屋市内で若い世代に人気のある著名人を招いた啓発イベントを開催する予定である。なお、詳細は検討会議で関係者から意見を聴取し決定したい。
- 89:【犬飼明佳委員】
あいち健康マイレージ事業は、現在どのような状況か。
- 90:【健康対策課主幹(健康づくり)】
あいち健康マイレージ事業は、平成26年9月から県と市町村の協働事業として開始している。本事業は、県民が特定健診などの健康診断やスポーツ活動への参加など健康づくりの取組を実践してポイントをためて一定以上のポイントを獲得すると県内の協力店で様々なサービスが受けられる優待カード「まいか」を発行するというものである。実施市町村の状況については、昨年度は9市町であったが、本年度は既存の9市町を含めた29市町村で実施している。さらに、来年度は、新たに17市町村でスタートする予定で、全体として46市町村に拡大する。また、サービスを提供する協力店については、昨年度末に467店舗であったものが平成28年2月末現在で661店舗に増加しており、来年度からは大手ドラッグストアが協力店に登録する予定である。引き続きカードの魅力が高まるよう協力店の拡大に努めていく。
- 91:【石井 拓委員】
高齢化が進む中、平成37年においては、団塊の世代の方々の全てが75歳以上になり、医療や介護を必要とする人が大幅に増加することが見込まれる。また、高齢者が骨折などにより入院した場合、若い世代よりも回復に時間がかかるため急性期以降のリハビリテーションのための病床の確保も求められる。一方、入院のためのベッドや医師、看護師などの人材には限りがあり、将来にわたって地域で必要とされる医療を提供するため、患者の病状に応じた適切な医療を効率的に提供する医療提供体制を構築することが大きな課題である。
そのため、医療法が改正され、都道府県は地域ごとに高度急性期、急性期、回復期、慢性期の四つの医療機能別に、平成37年において必要とされる病床数など目指すべき将来の医療提供体制を定める地域医療構想を策定することとされた。そこで、本県における策定の進捗状況と、策定に当たっての課題を伺う。
- 92:【医療福祉計画課主幹(企画・医療計画)】
地域医療構想策定には、まず、必要病床数の地域的な単位となる構想区域を設定する必要がある。本県では、原則2次医療圏を構想区域とし、患者の受療動向を踏まえ名古屋医療圏と尾張中部医療圏は一つの構想区域とすることで、平成27年10月開催の医療審議会に諮り設定している。現在は、構想区域ごとの四つの医療機能別の必要病床数及び将来のあるべき医療提供体制を実現するための方策等について、医療審議会及び地域の医療関係者等で構成する構想区域ごとのワーキンググループで審議している。
策定に当たっての課題は、将来の必要病床数を示すことが地域の医療機関等に非常に大きな影響を与えるため、地域の医療機関や住民に説明を行い納得してもらう必要があること、また、構想区域ごとの医療課題について共通の認識を持ってもらうことである。
県としては、ワーキンググループなどで様々な医療データを示しながら意見交換を進めていく。
- 93:【石井 拓委員】
本県の地域医療構想の策定の時期はいつか。
- 94:【医療福祉計画課主幹(企画・医療計画)】
地域医療構想の策定時期については、最短のスケジュールで本年度中の策定を考えていたが、必要病床数や地域の医療課題等について、ワーキンググループや医療審議会での議論が必要な状況であるため、平成28年9月を目途に策定していきたい。
- 95:【石井 拓委員】
病床の四つの医療機能のうち、多くの構想区域で急性期と慢性期が過剰となり回復期が不足すると聞いている。病床の転換も必要になってくると思うが、県としてどのように進めていくつもりか。
- 96:【医療福祉計画課主幹(企画・医療計画)】
地域における将来の医療需要見込みや医療課題等を示しながら、医療機関の自主的な取組を促すとともに、ワーキンググループ等の場を設定し医療機関同士の協議や調整を進めていく。病床の機能を転換する場合に必要となる施設・設備整備費について、地域医療介護総合確保基金を活用して助成していきたい。
- 97:【石井 拓委員】
6月定例議会において、子宮けいがん予防ワクチンの副反応について聞いたが、その後の本県における対応状況はどうか。
- 98:【健康対策課主幹(感染症対策)】
診療体制については、これまで協力医療機関が名古屋市近郊に偏在していたこともあり、被害者及びその家族等からは地域偏在をなくし患者が身近な地域で医療を受けられるような体制作りが求められたため、県としては、受診時の負担を減らし患者に寄り添った医療が提供できるよう通院の利便性等も考慮し、新たに10か所の協力医療機関を平成27年11月26日付けで追加選定した。また、相談体制については、従前より設置している予防接種の実施主体である市町村相談窓口に加えて、医療、生活、教育等の相談を一元的に受け付けることができる総合相談窓口を平成27年11月16日付けで健康対策課と教育委員会健康学習課に設置した。なお、名古屋市及び中核市においても同様の相談窓口を設置し緊密に連携して実施している。
- 99:【石井 拓委員】
碧南市では医療支援として医療費及び医療手当を給付する独自の制度を設けているが、そのほかの市町村の対応はどうか。
- 100:【健康対策課主幹(感染症対策)】
県内市町村における医療給付の対応状況については、平成27年7月1日から刈谷市、碧南市及び知立市の3市において、子宮けいがん予防ワクチン接種後に生じた健康被害に対して、医療費等を支給する事業を開始しており、現在、3市合わせて5名の方が給付を受けている。
- 101:【石井 拓委員】
給付の制度にはどのようなものがあるか。
- 102:【健康対策課主幹(感染症対策)】
健康被害救済制度には、定期予防接種により健康被害を生じ当該予防接種との因果関係が否定できないと認定された場合は、予防接種法に基づき被害救済が行われる。任意予防接種の場合は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構が実施する医薬品副作用救済制度に基づき被害救済が行われる。なお、同機構による救済は、本来入院治療のみが医療費等の支給対象となるが、平成25年の定期接種化以前に国の基金事業を活用して市町村が実施した子宮けいがんワクチンについては、任意予防接種であっても予防接種法に基づく救済と同等に通院についても国の事業予算により平成27年12月から医療費等の支援対応がなされている。
- 103:【石井 拓委員】
国の原因究明について、現状と見通しはどうか。
- 104:【健康対策課主幹(感染症対策)】
国は、平成27年9月開催の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会において、子宮けいがん予防ワクチンを接種したことによる副反応の追跡調査結果を公表した。その結果を受けて、同部会では検討継続が必要と判断され原因究明には至っていないことから、平成25年6月から実施している積極的勧奨の差し控えを現在継続している。そうした中、本年になって国は、ワクチンを接種していない方々におけるとう痛や運動障害など類似症状の発生状況等を検証するため、全国の協力医療機関の協力を得ながら現在調査研究を実施している。
本県においては、こうした国の動向に注視しながら情報収集に努め、予防接種の実施主体である市町村向けの研修会を引き続き開催するなど知識啓発や情報伝達を適切に行っていく。
- 105:【南部文宏委員】
平成27年4月から始まった新しい介護予防・日常生活支援総合事業の市町村における実施状況と今後の予定について伺う。
まず、介護保険制度の地域支援事業について、平成26年6月の介護保険法の一部改正によって平成27年4月から介護給付のうち訪問介護と通所介護を地域支援事業に移行させることになった。それを受けて、市町村が新しい介護予防・日常生活支援総合事業を実施することになったが、市町村が条例で定めた場合には、平成29年4月まで開始時期を延期することができる。
そこで、新しい介護予防・日常生活支援総合事業の県内市町村における実施状況と、今後の予定について伺う。また、市町村に対して県はどのような支援を行ってきて、今後どのような支援を行っていくのかも伺う。
- 106:【高齢福祉課主幹(高齢者福祉)】
新しい介護予防・日常生活支援総合事業、いわゆる新しい総合事業では、今まで全国一律の基準で提供された訪問介護と通所介護を、平成27年4月から、地域の実情に応じて、市町村の判断で国や県も一定の費用の負担を行う介護保険制度の地域支援事業として実施することが可能となった。
平成29年4月までに全市町村において新しい総合事業を実施する予定であり、県内で本年度から実施しているのが2市町、来年度中に実施する予定が9市町、43市町村が平成29年4月から開始する予定である。
次に、平成29年度から全市町村で新しい総合事業を適切に実施できるように、本県としては、本年度から市町村や地域包括支援センターの職員に対する研修や担当者会議を実施し、市町村からの相談に対して助言を行っている。今後は、現在の取組を引き続き実施するとともに、来年度は県内の市町村の取組の参考となるよう先行して総合事業を実施している県内、県外の市町村の先駆的な事例を取りまとめて市町村へ周知を図る。
- 107:【小山たすく委員】
本県の認知症対策の進捗状況について伺う。
平成28年3月1日に大府市の認知症患者による列車事故の最高裁判決が出たが、裁判を通して明らかになった問題が多くあると認識している。平成26年4月に名古屋高裁の判決が出たことで社会的な認知度も高まってきたと思うが、この高裁判決から最高裁判決までの約2年間で、県としてどのような施策を進めてきたか伺う。
- 108:【高齢福祉課主幹(高齢者福祉)】
県では、平成24年3月に策定した第5期愛知県高齢者健康福祉計画において、認知症高齢者支援対策を重点事業として位置づけ、認知症サポーターの養成やかかりつけ医に対する認知症対応力向上のための研修、認知症介護従事者への研修、認知症高齢者はいかい捜索ネットワークづくりや介護者支援並びに認知症疾患医療センターの充実などに取り組んできた。
昨年度から約2年間における実績について、認知症サポーターの養成では、平成26年当初で25万7,451名だったものが、平成27年12月現在で36万3,914名と増加しており、10万6,463名の養成を行った。また、認知症対応力向上研修では、昨年度当初の研修受講者数の累計は2,075名であったものが、本年度までの累計が2,664名と増加しており、589名のかかりつけ医に対して認知症対応力の向上研修を実施した。加えて、新たに認知症サポーターの活用支援を図るために、ボランティア養成講座を本年度から実施したほか、病院の医療従事者に対する認知症対応力向上のための研修や認知症カフェの設置促進、国立研究開発法人国立長寿医療研究センターと協定を締結するなど、研究事業などを新たに実施してきた。特に、認知症高齢者はいかい捜索ネットワークの整備については、平成26年5月時点で27市町であったものが、平成28年1月末現在47市町で整備されており、広域的なネットワークの構築に取り組んだ。また、認知症カフェは、昨年度は1市のみであったが、本年度は17市町が実施しており、確実に増加している。
平成27年4月からの国立長寿医療研究センターとの協定事業については、認知症予防の効果的な取組、認知症初期集中支援チームの効果的な運用、家族介護者支援の効果的な実施及びはいかい高齢者の効果的な捜索という四つの研究等事業を協働で行っており、4事業のうち、認知症初期集中支援チームの効果的な運用及び高齢者の効果的な捜索の二つの事業では、本年度末までに新たな本県独自の対応プログラムを作成する予定である。
- 109:【小山たすく委員】
危機感を持って丁寧に取り組んだ成果だと思うが、今後の取組について、目標や方向性について定まっているものがあるのか。
- 110:【高齢福祉課主幹(高齢者福祉)】
県では、平成27年3月策定の第6期愛知県高齢者健康福祉計画に基づき、地域支援体制の充実、介護体制の整備、認知症予防の推進を三つの柱として、それぞれ個別の事業について平成29年度までの数値目標などを掲げている。具体的には、認知症サポーターの養成や、かかりつけ医及び一般病院の医療従事者の方への認知症対応力向上研修や介護職員に対する研修などを引き続き実施していく。特に認知症サポーターについては、若い世代に普及させていくことが認知症の理解を広げる上で非常に重要であることから、例えば、みよし市では全小中学校の授業に認知症サポーター養成講座が実施されているが、こうした取組が全市町村で実施されるよう県教育委員会と連携を図り市町村に働きかけていく。
また、来年度からは、かかりつけ医や病院の医療従事者に対する研修に加えて、新たに歯科医師、薬剤師等を対象とした認知症対応力向上のための研修を実施するとともに、国立長寿医療研究センターとの四つの協定事業のうち、認知症予防の効果的な取組と家族介護者支援の効果的な実施について、本県独自の効果的な対応プログラムを来年度に新たに作成し、普及啓発を行っていく。さらに、若年性認知症の方に対する支援を強化する必要があるため、来年度から新たに若年性認知症コーディネーターを設置する予定である。
県としては、今後とも計画に基づき認知症施策を推進し、認知症の方や家族を支える地域づくりに取り組んでいく。
- 111:【神戸健太郎委員】
看護職員の不足について伺う。次期あいち健康福祉ビジョン案にも、「医師・看護師など医療従事者の慢性的不足・偏在。医師不足を理由に医療制限を行っている病院数は平成27年72病院」と書いてある。ある300床以上の病院の事務局長と話をしたところ、「医師不足、看護師不足、両方とも課題であるが、特に看護師の採用には心を砕いている。医師は大学病院の医局と接触をする中で、一定の採用が見込まれるが、看護師の就業は、結婚、出産等により流動的な部分が多く求人紹介サイトが多数存在しているため、処遇条件の競争も厳しく看護師を呼び込めない」と言っていた。そこで、看護職員の不足の現状について、県全体の状況を伺う。また、今後、訪問看護の需要増大を考えると、更に職員不足が懸念されるがどのように取り組むのか。
- 112:【医務国保課主幹(看護・医療指導)】
本県では、看護師確保を喫緊の課題と捉え、看護師の養成、再就業支援、離職防止を柱として取り組んでいる。本県が策定した愛知県看護職員需給見通しにおいては、平成26年に7万3,321名の看護職員が必要と見込んでいる。一方、平成26年末の保健師等業務従事届によると、県内の看護職員は6万5,609名と、依然として看護職員が不足している状況である。今後の高齢化の進展を考えると、訪問看護等の在宅医療の需要拡大が増加するため、看護職員の需要も高まることから、看護師確保に一層努めていく。
- 113:【神戸健太郎委員】
7,000名以上の看護職員が昨年度には不足している。看護職員の確保を考える場合に、かつて看護師だった方で、現在、復職が可能な方である、いわゆる潜在看護師の再就業を支援することが有効かと思う。その再就業を支援するため、各都道府県にナースセンターが設置されているが、公益社団法人日本看護協会がまとめたデータでは都道府県別のナースセンターの求人倍率は、本県は4倍を超えて全国で一番高く、東京、大阪、神奈川、埼玉、兵庫などでは2倍から3倍であった。
このような状況の中で、本県のナースセンターの現状と今後について伺う。
- 114:【医務国保課主幹(看護・医療指導)】
ナースセンターは、公益社団法人愛知県看護協会に委託し、看護師等人材確保の促進に関する法律に規定されている病院等における看護師等の確保の動向及び就業を希望する看護師等の状況に関する調査や無料の職業紹介等の事業を実施している。特に、近年の看護職員不足の状況下で、ナースセンターは看護職員の確保対策事業として重要な役割を担っている。ナースセンター経由で就職する者の数は、昨年度は682名で、毎年700名前後で推移しているが、求人登録を行っている医療機関側の期待には十分に応えられていない。その要因の一つとして考えられる求職者側の知名度不足について、本年度の10月から始まっている看護職等有資格者の届出制度の登録促進を図るため、地下鉄の車内つり広報等と併せ、ナースセンターの積極的な周知に努めている。また、平成27年7月には、交通の利便性が高い名古屋駅前の愛知県産業労働センターに名駅支所を開所するなど、利用しやすい環境づくりを進めており、求職者を増やしていく。
今後は、公共職業安定所、ハローワークと連携した再就業支援をより拡充して行うほか、新たに届出制度により得た情報を生かし、看護職員復職支援交流会を開催して潜在看護師の復職を積極的に支援していく。
- 115:【神戸健太郎委員】
看護師に復職したいが離職してからの空白期間があったために最新の医療技術の知識を持ち合わせておらず復職が決心できないといったこともあると思う。復職支援の研修状況はどうか。
- 116:【医務国保課主幹(看護・医療指導)】
名古屋市にある県立総合看護専門学校内の看護研修センターにおいて、復職支援として基本的な技術から最新の医療情報など、職場復帰に必要な技術や知識を習得することを目的とした看護職カムバック研修を実施している。研修は5日間集中コース、技術選択コース及び講義選択コースの三つで、平成25年度からはより身近な地域で受講できるよう岡崎市の県立愛知看護専門学校においても一部実施している。研修参加の実績としては、平成15年度の事業開始から平成26年度までの12年間で1,508名が受講し753名の方が職場復帰を果たした。名古屋市においても同様の研修を実施しており、県としても復職を支援するため引き続き取り組んでいく。
