愛知県議会議員石井よしき

  • HOME
  • プロフィール
  • 政策
  • 県政情報
  • 県政報告
  • ブログ

県政報告

  • ホーム
  • >
  • 県政報告・石井よしき発言
  • 平成27年
  • 平成27年12月定例会(第4号)

平成27年12月定例会(第4号)

2015年12月7日

石井よしき発言

  • 34
  • 38

(主な質疑)

  •   午前十時開議
    ◯副議長(杉浦孝成君) 皆さん、おはようございます。
    ただいまから会議を開きます。
    直ちに議事日程に従い会議を進めます。
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━
    日程第一 一般質問並びに第百四十号議案平成二十七年
    度愛知県一般会計補正予算から第二百二十七号
    議案愛知県総合射撃場の指定管理者の指定につ
    いてまで
  • 2:◯副議長(杉浦孝成君) 第百四十号議案平成二十七年度愛知県一般会計補正予算から第二百二十七号議案愛知県総合射撃場の指定管理者の指定についてまでを一括議題といたします。
    これより一般質問並びに提出議案に対する質問を許します。
    通告により質問を許可いたします。
    久野哲生議員。
    〔三十九番久野哲生君登壇〕(拍手)
  • 3:◯三十九番(久野哲生君) 皆様、おはようございます。
    それでは、通告に従い、順次質問をしてまいります。
    私は、海外調査団員として、去る十月十八日から二十五日まで、アメリカ合衆国ワシントン州とカリフォルニア州に、鈴木孝昌団長初め十四名で調査へ出かけました。
    現地では、航空宇宙産業に係る人材育成を行う学校、シアトル航空博物館、ボーイング社の工場、ビジネスジェット機を取り巻く現状、ロボット産業等に関して調査を行いましたが、私からは、その点を踏まえ、航空宇宙産業の人材育成、県営名古屋空港見学者受け入れ拠点施設、ビジネス機受け入れ拠点化の推進について、調査団を代表いたしまして、順次伺ってまいります。
    初めに、航空宇宙産業の人材育成についてお聞きします。
    航空宇宙産業の集積するワシントン州では、ボーイング社を含め、産業界における人材の高齢化が進み、若い働き手の確保と育成が必要とされております。
    私たち調査団は、本県の人材確保及び育成の取り組みへの参考とするため、ワシントン州シアトルにある航空宇宙産業の人材を育成する施設、スノーアイルカレッジとワシントン・エアロスペース・トレーニング・アンド・リサーチセンター、以降WATRと言いますが、これら二カ所の学校を訪れました。
    まず、スノーアイルカレッジでは、医療、フードサービス、自動車関係等、産業別に二十二の学科があり、その中の一つとして、航空関係の学科が設置されている公立の学校でありました。
    ここに通う生徒は、本来はほかの高校に通う二年生、三年生の学生であり、一日のうち約三時間を在学する高校で勉強し、その後、それぞれの高校からスクールバスに乗ってスノーアイルカレッジに行き、約二時間半の航空機製造に係る勉強を百八十日間行います。
    そして、この学校に通っていたということで、在学する高校の卒業資格のほか、航空関係のカリキュラムを修了したと認められ、航空技術の資格やボーイング社が求める技能水準を得ることもできるとのことでした。
    次に訪れたWATRは、十八歳から上は六十七歳まで幅広く学んでおり、ここには、大学を卒業して職業につくために再訓練をする方、失業された方など、いろいろな境遇の方が通っている州政府が設置した航空宇宙産業の職業訓練学校でありました。
    そこでの訓練プログラムは、まずは自宅などで対話型のオンライン学習を八週間受け、一定のレベルに達した者が、次に実際に学校へ通い、実技プログラムを四週間から六週間の間、毎日八時間、週五日制で受けるというものでした。
    そして、プログラムを修了した生徒は、航空宇宙関連の優良企業と面接を受ける機会を得ることができ、二〇一〇年六月の開校以来、現在までに二千九百名が卒業し、そのうち約半数の千六百名が関連企業で仕事をしているとのことでした。
    私が訪れたこれら二つの学校で特に印象に残ったことは、航空機の製造を教えている講師の多くが航空機メーカーを退職した方など業界の出身者であること、授業内容が道具の管理の仕方、リベット打ちなどの基礎的なことから、関連企業と連携し、企業が求める作業内容を小まめにカリキュラムに取り入れるなど、柔軟な対応がなされていること。
    学校に通っている生徒さんと実際に話をする機会を得ましたが、親が航空機メーカーで働いており、自分も同じ職につきたいという目標、夢を強く持って勉強しているということでした。
    また、アメリカの航空宇宙関連企業は、即戦力の人材を求め、これらの人材を確保、育成するため、学校または州政府に対して、道具や小型飛行機などの教材の提供や寄附、特にボーイング社は、雇用した者が働きながら大学に通いたいと希望すれば大学へ通わせ、学費も全額企業で援助するなど、非常に驚くことばかりでありました。
    私は、航空宇宙産業の人材育成については、本県の重要な課題として承知はしておりましたが、人材確保に真剣に取り組むシアトルにおいて、州政府と民間関連が連携し、対策がなされている現状を見られたことは大変参考になったと思っております。
    現在、本県では、ボーイング787の増産、我が国初の国産ジェット旅客機であるMRJの量産や現行ボーイング777の後継機である777Xの生産開始を控え、業界は活気に満ちていますが、同時に人材確保及び育成が喫緊の課題であります。
    現在、航空機の製造分野では、人材不足を補完するために機械化の導入も一部始まっているとはいえ、いまだに手作業による部分や人の経験則によるところも多く、人材を確保できたとしても育成するには時間がかかるとともに、今後、シアトルと同様、産業界の高齢化は避けられないことから、県として一層取り組みを急ぐ必要があると考えます。
    そこでお伺いします。
    本県においては、航空宇宙産業に携わる人材を育成するための具体策の一つとして、来年四月に開校する県立愛知総合工科高等学校の専攻科に自動車・航空産業コースを設置し、関連企業とも連携しながら、専門的な知識や技術、技能を身につけさせていくと聞いております。
    この専攻科をきっかけとして、今後、県立学校でどのように人材育成の輪を広げていこうと考えているか、お聞かせください。
    また、今後増加するであろう航空機を製造する人材への需要に対しての県としての課題の認識と、工科高校以外のこれからの取り組みについてもお聞かせください。
    航空宇宙関係の仕事につくための学校へ調査に行っておりますので、当たり前と言われればそれまでですが、親と同じ航空機メーカーに勤めるために頑張って勉強をしていると堂々と言えるシアトルで会った学生さんの言葉が今も忘れられません。
    本県にも、大空に夢を抱いて頑張ろうと考えている子供たちや、関係の仕事につきたいとの希望を持っている若者がたくさんいると思います。夢や希望を現実にするため、この後押しを本県が担うことは、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区のさらなる発展につながると考えますので、一層の取り組みをいただきますようお願いいたします。
    次に、県営名古屋空港見学者受け入れ拠点施設についてお聞きします。
    県営名古屋空港見学者受け入れ拠点施設、以降、拠点施設と言いますが、平成二十九年秋ごろの開館を目指して準備が始まっております。
    この拠点施設を中心として、県営名古屋空港周辺地域が世界水準の航空機産業の観光拠点として、そして、航空フィールドミュージアム構想を目指し、実現させる参考とするため、私たち調査団は、本県が先進事例の一つとしているシアトル航空博物館へ、施設、展示内容、運営管理の手法などの調査を行いました。
    シアトル航空博物館は、ボーイングフィールドと称される区域のキング郡国際空港に隣接する施設であり、屋内主要展示場のグレートギャラリーを初め、屋内外に大きく五カ所の展示スペースで構成されていました。
    そこには、実物大の航空機、戦闘機、スペースシャトル訓練機など、実機、復元機合わせて百五十機が展示されているほか、子供が操縦席に自由に乗って操舵の仕組みを体験できるセスナの模型や、翼の仕組みを体験できる風洞実験機、フライトシミュレーターなど、多岐にわたって工夫がなされていました。
    運営に関しては、一般的な博物館では、国や州からの支援が収入の約三割を占める中で、ここの博物館では、行政からの支援を受けず、収入のうち寄附が三九%、入場料が二六%、ショップの売り上げが一四%、その他基金の運用収入など、独立採算で行っているとのことでした。
    施設の展示物、運営の方法について説明を受けた中で印象に残ったことは多くありましたが、博物館全体のビジョンを定めていることは当然として、博物館の組織として、例えば運営部門、展示部門などの各部署において、方針や目標が明確に設定され、具体な取り組みがされていることが特に印象的でありました。
    例えば運営部門では、集客における取り組みとして、来場者の分析を重要視し、年齢層ごとに年間七百もの企画イベントの開催や二千種類以上の教育プログラムを用意し、その充実によって若年層の集客につなげようとする点については、拠点施設のコンセプトに呼応するものを感じました。
    また、展示部門では、来場者にアンケートを行い、各コンテンツの満足度を調査した上で定期的に展示物の更新を図っており、現在の展示も、来場者の約九割が展示機体の中に入ることや、フライトシミュレーター等の体験を希望する点から、単に眺めるだけの展示方法から、展示物を活用して五感に訴える方法へと転換したことからも、常に来場者を呼び込むための調査及び分析を行い、不断の改善に努めている姿勢に敬服をしたところであります。
    さらに、ボランティアの活用方法についても、シアトル航空博物館では、二百名以上の方々が来場者に対して体験を交えた興味深い解説により大変好評を得ているだけでなく、航空機等の展示物のメンテナンスも担っており、本県の拠点施設にも、この地域の航空宇宙産業の分野で働き、退職された方などにボランティアになっていただき、拠点施設の運営とともに、次代を担う子供たちに航空宇宙産業の魅力の伝承に御尽力いただけたら非常によいことではないかと感じました。
    本県の進めている拠点施設は、施設の実施設計費及び展示施設の基本設計費の予算計上、基金条例の制定など、まだ歩み始めたばかりでありますが、基本構想にあるこの施設を核として、MRJ量産工場内に計画されている見学施設、隣県のかかみがはら航空宇宙科学博物館、豊山町の航空館boonなどと連携、協力して、相乗効果を発揮したフィールドミュージアムが構築されることを大いに期待したいところであります。
    そこで伺います。
    拠点施設に多くの来場者を誘客するためには、新規の来場者だけでなく、リピーターをも確保するための展示コンテンツの充実を図ることが重要であると考えます。本年度、その検討を進められると思いますが、今後のスケジュールを初め、どのように進めていくのか、お聞かせください。
    また、本県が整備する拠点施設では、どのような運営方法を考えているのか、お聞かせください。
    次に、ビジネス機受け入れ拠点化の推進についてお聞きします。
    国内外からのビジネス機の受け入れについては、県営名古屋空港では、あいちビジョン二〇二〇において、国際交流基盤等の整備、機能強化への取り組みの一つとして、本県の重要政策課題として挙げられており、中部国際空港とも連携をして、拠点化の推進に向けた取り組みを行っていると認識をしております。
    私たち調査団は、ビジネス機の利用が盛んなアメリカにおいて、空港の施設整備やサービスの状況を調査するため、二カ所のビジネスジェット運航支援会社とビジネスジェットの利用概況を知るため、ジェトロサンフランシスコを訪れました。
    まず、カリフォルニア州のサンフランシスコ空港に隣接するシグネチャーフライトサポートは、アメリカ国内に百二十カ所の拠点を、サンノゼ空港に隣接するアトランティックアビエーションは、同じく七十カ所の拠点を持つ運航支援会社で、発着するビジネスジェットに対する給油、整備等の運航支援や、機内清掃や機体誘導等のグランドハンドリングを業務としています。
    利用客は、ビジネスを目的とした離発着はもちろんですが、地域柄、プライベートでスーパーボールなどスポーツ観戦のためにこの空港を利用する方も多いとのことでした。
    運航支援会社では、プライバシー、セキュリティーに関する配慮はもちろんのこと、クルーを対象とした休憩ラウンジ、無線LAN、シャワー施設、レストランなどが非常に充実している点において、日本の施設よりも快適度が高いと感じました。
    また、出迎えに来た自動車が機体に横づけされ、利用者がジェットからおりるや否や、車に乗り込み、颯爽と走り去っていく光景を短時間に何度も目の当たりにしたとき、アメリカにおける飛行機の利活用に関する風土や意識が日本のそれとは随分違うことにも気づかされました。
    そして、日本においての課題である離発着における申請や、税関、出入国管理などのCIQ審査については、例えばシグネチャーフライトサポートでは、朝七時から深夜零時まで毎日対応可能で、手続も機内で行うことで非常に速く、かつプライバシーやセキュリティーにも配慮しているとのことでありました。
    本県について見れば、県営名古屋空港では、空港に到着してからのターミナル動線が一般の乗降客とは異なっており、また、CIQ検査が一体となっていることから、非常にスピーディーに、そしてプライバシーの点において配慮されていること、さらに、駐機場からターミナルへの動線が短いため、非常に便利に利用できる等、こうした点においては、全国の空港に先駆けて整備がされ、国内では先進的な空港とされています。
    ただ、CIQ審査については、CIQの要員が常駐していないため、事前の調整が必要であることや、発着時間も限られていることから、時間を争いビジネスを成立させるための手段としてビジネスジェット機を活用する利用者にとっては、使い勝手がよいとは言えない状況にあります。
    また、中部国際空港では、離発着は二十四時間対応と県営名古屋空港より利用がしやすくなっていますが、CIQ審査においては、ビジネスジェット専用ターミナル用のCIQ要員が確保できない場合、定期便乗客が使用するターミナルビルでの出入国を余儀なくされ、迅速性とプライバシー、セキュリティー確保において課題が残ります。
    実際に現地の二社で話を聞いたことで、改めて施設の使い勝手や手続の迅速化への対応など、利用者が求めていることに対してよく考えられていると感じました。
    次に調査に訪れたジェトロサンフランシスコでは、ビジネスジェット機の利用者は、企業経営者層の利用が約二割に対し、中堅管理職層の利用が約五割、また、エネルギー、自動車、航空機メーカーなどの分野では、顧客サービスや機械修理など、現場担当者、作業員の利用も五割以上と、経済活動の時間短縮を目的に広く利用がされている現状の説明を受けたことで、それまでの富裕層であるとか、企業の社長クラスが主に利用しているというイメージから認識を新たにしました。
    また、日本では、エアラインの大型機に適用する航空機関連の法律をそのままビジネス機に適用しているため、運航に関する費用が高コストになり、ビジネス機の普及がおくれており、国内の空港に受け入れるための施設も整っていないことから、日常的な利用がされていないのではないかとの分析も伺いました。
    例えば、海外からビジネス機を利用して日本へ来る場合に、直接飛来せずに中国や台湾などの近隣諸国へ駐機し、そこから通常のエアラインを利用して日本へ来るという非常に残念な実態もあるそうであります。
    アメリカでは、ビジネス機を受け入れる空港が地域の経済貢献に役立っていること、その背景には、自治体がリーダーシップをとった積極的な取り組みが空港の成功への鍵であるとの事例も聞き、今後、県営名古屋空港と中部国際空港に受け入れをふやすためには、本県の役割は極めて大きいものと強く感じました。
    世界のグローバル企業と物づくり愛知の産業、企業とを迅速に結ぶツールとして、その利用がさらに高まっていくことはアメリカの例からも想定ができますし、求められてくると思います。
    加えて、法律の制約はあるにしても、県営名古屋空港や中部国際空港の施設やサービスをグローバルな基準に近づけることは、愛知の産業発展には不可欠と考えます。
    そこでお伺いします。
    初めに、空港をビジネス機の受け入れ拠点化とするためには、どのような施設、サービスが必要か、お聞かせください。
    次に、この地域の玄関となる県営名古屋空港と中部国際空港の受け入れ拠点化を推進するためにどのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
    さきにも述べましたが、アメリカでは、ビジネスのみならず、スポーツ観戦などのレジャー目的でも多くの小型ジェット機の利用がされております。
    二〇二〇年には東京オリンピックの開催が予定され、羽田や成田に駐機できない海外からの小型ジェット機が発着先を県営名古屋空港や中部国際空港に求めることや、先の話になりますが、二〇二七年に開業予定のリニア中央新幹線の開通により東京と名古屋が短時間で結ばれれば、さらに本県の二つの空港を発着拠点とすることは十分に想定されますので、国内の規制の緩和の働きかけを行いながら、将来に向けた受け入れ拠点としての整備を願うものであります。
    最後に、本県が今後、航空宇宙産業やロボット産業を核として発展していくことは疑う余地のないもので、世界を相手としたグローバルなビジネス展開がされ、規模も年々歳々拡大するものと考えます。
    今回、海外調査に関連して質問をした三つの項目は、その成否が本県の将来を占うものであるとともに、当然明るい展望が非常に期待される点においておのおのつながっているものであり、そして、本県がリーダーシップをとって進めるべき重要課題であると思いますので、さらなる取り組みを再度お願いしつつ、壇上での質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
  • 4:◯教育長(野村道朗君) 県立高校における航空宇宙産業を支える人材の育成についてお尋ねをいただきました。
    本県は、全国有数の航空宇宙産業の集積地でございますが、県内の各工業高校からは、毎年、機械加工技術、機械制御技術、電子情報技術などの基礎を学んだ生徒がこれらの企業に就職し、本県の航空宇宙産業を支える一員となっております。
    来年四月に開校する県立愛知総合工科高等学校におきましても、機械加工科、電子情報科など、航空宇宙産業に直結する多様な学科を設置するほか、議員お示しのように、専攻科先端技術システム科の中に自動車・航空産業コースを設けてまいります。
    この自動車・航空産業コースでは、自動車産業や航空宇宙産業などの第一線で活躍する技術者、技能者から生徒が直接指導を受ける機会を積極的に設けたり、三カ月間程度の長期の現場実習であるデュアルシステムを導入するなどして、高い精度の加工技術や品質管理の知識、技術なども身につけた産業現場のリーダーとなる人材を育成してまいりたいと考えております。
    現在、本県の県立工業高校には、航空宇宙産業に関する内容を専門的に学ぶ学科やコースを設けている学校はございませんが、今後、本県の航空宇宙産業の生産活動がさらに拡大していくことが見込まれますので、そうした産業現場で活躍する人材を育成していくために、将来的には、工業高校の学科改編や教育課程の見直しなども検討していかなければならない、このように考えております。
  • 5:◯産業労働部長(小山和久君) 航空機製造人材の需要増に係る課題認識と今後の取り組みについてお答えいたします。
    MRJについては、建設中の最終組み立て工場が来年には完成することで、いよいよ量産が始まってまいります。また、ボーイング787の大幅な増産やボーイング777Xの生産開始も今後予定されており、航空機製造における技能人材の需要増への対応は喫緊の課題であると認識をしております。
    中部経済産業局は、昨年八月に技能レベル標準化研究会を設置し、地域のメーカーや業界団体との連携により、航空機製造の技能教育の標準化に取り組んできました。その成果として、航空機の機体構造組み立てに係る初等教育のカリキュラム及びテキストが本年二月に作成されました。
    本県は、厚生労働省の地域創生人材育成事業の採択を受け、今年度から三カ年の事業で、この成果を生かした航空機製造人材育成に取り組んでおります。この中で、今年度は、標準カリキュラム、テキストによる実技指導等を補助するための映像教材を作成しております。
    さらに、これからの取り組みとして、来年度からの二年間は、標準カリキュラム、テキストを活用した研修を従業員に受講させる中堅・中小企業への支援を行うこととしており、来年度は百三十五名、平成二十九年度は百二十名の技能者育成を行うこととしております。
  • 6:◯振興部長(植田昌也君) 県営名古屋空港見学者受け入れ拠点施設について御質問をいただきました。
    見学者受け入れ拠点施設は、平成二十九年秋ごろのオープンを目安とし、現在、建物の設計を進めております。この施設の年間来場者数は、オープン初年度に六十五万人を、その後は三十五万人を見込んでおりますが、そのためには魅力ある展示コンテンツが不可欠であります。
    展示コンテンツについては、リピーターを獲得できるよう、既存のアイデアに捉われない斬新なものとし、かつ数年後を見通した先見性のあるものとしたいと考えております。多くの来場者を呼び込むためには、来場者が直接触れ、体験できるなど、特徴のある展示コンテンツの発掘が大変重要であります。
    また、オープン後には、この地域にある自動車、鉄道、醸造業等に関連した産業観光施設との連携を図るなど、相互に行き来する仕組みを構築する必要もあります。
    現在、九月議会でお認めいただいた調査費を活用して、集客力の高いアミューズメント施設の企画等を行ってきた事業者に、展示コンテンツの検討調査をお願いしたところであります。
    この調査では、さまざまな視点からの意見を取り入れ、よりよい展示コンテンツとするため、航空機産業、ロボット産業、旅行・観光業等、各分野で活躍されている方々を委員とした検討会を設置することとしております。
    展示コンテンツについては、この検討会の意見を踏まえまして、年度内を目途に基本計画を策定してまいりたいと考えております。
    次に、拠点施設の運営方法についてでございます。
    拠点施設の運営に関しましては、効率的な運営を図ることはもちろんのこと、展示物に関する知識、経験を有した人材を効果的に配置していく必要があります。このため、民間のノウハウの活用や利用者への質の高いサービスの提供が期待できる指定管理者制度により運営したいと考えております。
    こうした施設でのボランティアの活用につきましては、国内の多くの美術館や博物館でも、サポートスタッフとしてボランティアが施設の案内など管理運営の一部を担っております。
    また、海外でも、例えばドイツ博物館分館のシュライスハイム航空館では、企業の従業員やOBなど、年間約三千人の方々がボランティアとしてガイドツアーや展示物のメンテナンス、修復に積極的に携わるなど、博物館を地域全体で盛り上げようという取り組みがなされております。
    見学者受け入れ拠点施設の展示につきましては、航空機実機を間近で見られるだけでなく、わかりやすい解説が必要不可欠でありますし、楽しんでいただけるさまざまな企画が必要と考えております。
    こうした知識、経験が豊富な航空機関連企業のOBや航空ファンなど、さまざまな方々がボランティアとなって展示の解説、展示物のメンテナンスなどのサポートをいただくことで、来場者に対する質の高いサービスの提供や受け入れ拠点施設の魅力向上につながるものと考えております。
    県といたしましては、拠点施設の展示コンテンツの検討とあわせまして、ボランティアの方々が携わっていただける運営方法についても検討を行ってまいりたいと考えております。
    次に、ビジネス機の拠点化に必要となる施設、サービスについてお答えいたします。
    ビジネス機は、目的地へダイレクトかつスピーディーに移動するため、企業活動のグローバル化に伴い、欧米の企業を中心に欠かせないビジネスツールとなっており、これに対応した施設や出入国の審査体制が求められております。
    県営名古屋空港は、開港当初よりビジネス機専用のターミナルを整備し、車から航空機まで最短で百メートルという短い動線と、一カ所での出入国審査が実現するCIQ施設により、高いプライバシー性とセキュリティー性を確保しており、利用された海外の方からも高く評価されております。
    県営名古屋空港は、国内で初めてビジネス機専用の施設を整備したものであり、県営名古屋空港を参考に、成田、羽田、中部国際空港を初めとする空港においても施設の整備が進み、日本のビジネス機の受け入れ環境が整ってまいりました。
    また、空港における施設以外にも、ビジネス機の運航のためには、航空機の運航を支援するサービスを提供する事業者も必要です。県営名古屋空港内にはこうした運航支援事業者が事業展開しており、目的地までの移動支援や宿泊地の手配など、きめ細かいサービスを提供しております。
    県としても、空港内事業者と連携しながら、引き続き利用者に必要とされる施設の整備等を行ってまいります。
    続いて、当地域の二つの空港のビジネス機の受け入れ拠点化に向けて必要な取り組みについてお答えいたします。
    県営名古屋空港は、都市部に近いメリットがあるものの、午前七時から午後十時までの運用時間という制約がありますので、二十四時間離着陸が可能という中部国際空港の特徴も生かし、二つの空港が連携しながら、地域全体でユーザーのニーズに合わせた受け入れ体制を整えているところであります。
    県では、受け入れ拠点化をさらに進めるために、海外で開催されるビジネス機関連の国際展示会においてブースを出展し、この地域におけるビジネス機の受け入れ体制について、中部空港会社とともに連携してPRを行っているところでございます。
    具体的には、日本の中心にあるという地域の特徴やターミナル等の専用施設などを紹介し、また、空港内の運航支援事業者とともに、国内機への乗り継ぎサービスや機体のメンテナンスサポートを初めとする提供可能なサービスの情報発信にも努めております。
    来年開催される伊勢志摩サミットや二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを契機として、ビジネス機による訪日客の急増が予想されます。
    県としては、引き続きビジネス機関連事業者などに対し情報発信を行うとともに、国とも連携し、二空港が相互に連携することで、この地域におけるビジネス機の受け入れ拠点化を進め、この地域の発展につなげてまいりたいと考えております。
  • 7:◯知事(大村秀章君) 久野哲生議員の質問のうち、県営名古屋空港見学者受け入れ拠点施設に関しまして、私からもお答えを申し上げます。
    先月の十一日、県営名古屋空港におきまして、国産初、日本初のジェット旅客機(MRJ)の試験機が初飛行を実施し、日本及び世界からも注目を集めたところでございます。この地域で初飛行が行われたことは、本県のみならず中部地域全体の航空宇宙産業の発展にとっても大変意義深いことだと考えております。
    空港隣接地におきましては、MRJの量産工場の建設が進められておりまして、今後、空港にMRJの機体が並び始めますと、この県営名古屋空港が一層注目されることになるわけでございます。三菱重工で計画されておりますMRJの量産工場の見学コースと連携をすることにより、日本の航空機産業の歴史や現状だけではなく、航空機の開発、生産から飛行までの全ての過程を身近に感じていただけるようにしてまいりたいと考えております。
    そして、この受け入れ拠点施設を通じまして、この地域の持つ航空機産業の魅力を感じていただき、将来、航空機産業に携わる人材育成につながるとともに、この地域が名実ともにシアトル、トゥールーズと並ぶ航空機産業の世界の拠点として発展してくための礎となるように取り組んでまいりたいと考えております。
  • 8:◯三十九番(久野哲生君) 一点要望を行います。
    県営名古屋空港見学者受け入れ拠点施設についてであります。
    今回の調査団は、現地での理解をより深めるために、各課題について、国内の関係施設を十四カ所、予習として訪れまして、調査、視察を入念に行いました。
    その一つとして、私を含め有志で、千葉県は成田空港に近接する航空科学博物館を訪れたわけでありますが、館長さんとのヒアリングの中で、一にも二にも来場者の確保が大変困難な課題であるということがわかりました。開館から二十七年目を迎え、認知度も上がっており、そんな現在でも手を変え品を変え、魅力的なイベントを開催したり、遠隔地の旅行代理店へも営業に回ったりして、ようやく年間二十万人の来場者を確保しているそうであります。
    これに対し、本県の拠点施設は、先ほどの御答弁にもありましたが、初年度六十五万人、以降三十五万人の誘客が目標として掲げられております。私は率直に言って、極めて厳しい数字ではないかと思っております。県民の注目するこの拠点施設が常ににぎわいにあふれ、また、航空宇宙産業の裾野を広げる役割をも担うものとなるよう、後々必ずや県民に納得していただける結果を出す、そういった気概を持って事に当たっていただきますように要望して、質問を終わります。
  • 9:◯副議長(杉浦孝成君) 進行いたします。
    山下智也議員。
    〔四十四番山下智也君登壇〕(拍手)
  • 10:◯四十四番(山下智也君) 通告に従いまして、順次質問をさせていだきます。
    初めに、フランス・パリでの同時多発テロを踏まえ、来年五月に開催されます伊勢志摩サミットに対する愛知県警察の警備対策についてお伺いをいたします。
    先月、十一月十四日にフランスのパリで銃器や爆発物を使ったISIL──ISISだとかISとか、いろいろ言い方はございますが──によります無差別の同時多発テロが発生いたしました。このテロにより多くの罪のない人たちが命を落とすことになりました。改めまして、犠牲になられた方々の御冥福をお祈りしますとともに、負傷された方々に心からのお見舞いを申し上げます。非道な無差別テロに対して強い怒りを表明いたします。
    このISILが、これまでも欧米諸国のほか、我が国及び邦人をテロの標的として挙げていることは、皆さん御承知のとおりだと思います。
    警察庁が発行しております平成二十七年の警察白書によりますと、トピックスとして、国際テロの脅威と警察の取り組みと題して大きく取り上げておりまして、少し御紹介をさせていただきますと、我が国に波及する国際テロの脅威について、一、最近の国際テロ情勢は、イラクとシリアにまたがる地域で活動するISILの台頭に伴い、大きく変容している。ISILは、制圧した油田等から得る莫大な資金や巧妙なメディア戦術等を背景に、世界各国から多くの外国人戦闘員を誘引しており、こうした外国人戦闘員が母国に帰還した後にテロを敢行する危険性が指摘されている。
    二、我が国でも、ISILに戦闘員として加わるため、シリアへの渡航を企てた疑いのある者について、警視庁が私戦予備陰謀被疑事件として捜査を行っており、外国人戦闘員問題は決して対岸の火事ではない。
    三、本年一月及び二月、シリアにおいて邦人殺害テロ事件が発生、三月にはチュニジアにおけるテロ事件で日本人が死亡したなどと国内外に大きな衝撃を与えた。
    このように、サミットをめぐる国際情勢が非常に厳しいことを公表するとともに、八月にはタイの爆弾テロで日本人が重体に、十月にはバングラデシュで日本人が殺害されるなど、テロが多々発生しており、まさに脅威は高まっていると言えます。
    ISILは、サミットに出席する我が国、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダのG7の首脳のほか、サミットの議題に関連して参加が見込まれるアウトリーチ国の首脳らに対しても、一部を攻撃対象国としているところであります。
    サミットを初めとする国際会議や国際スポーツ大会等は世界的に大きな注目を集めることから、テロの格好の攻撃対象となり得ます。実際、過去には、昭和四十七年のドイツ・ミュンヘンオリンピックにおけるイスラエル選手団襲撃事件、平成八年の米国・アトランタオリンピックにおけるオリンピック百年記念公園爆弾テロ事件が発生しております。
    また、近年では、平成十七年七月、英国・グレンイーグルズにおけるサミットの開催中にロンドン中心部で地下鉄等に対する爆弾テロ事件が発生し、五十六人が死亡したほか、平成二十五年四月には、米国・ボストンにおいて開催されていたマラソン大会のゴール付近で爆弾テロ事件が発生し、三人が死亡、さらに、オリンピック開催を控えたロシア・ソチの北東約六百八十キロ離れた都市、ボルゴグラードにおいて、平成二十五年十月から十二月の三カ月間の間に三件の自爆テロ事件が発生し、合計四十人もの人が死亡するなど、世界各国では、大規模イベントを狙ったテロ事件により多数の犠牲者が出ております。
    警察では、テロの未然防止等を図るため、外国治安情報機関等との連携を通じた情報の収集、分析、爆発物の原料となり得る化学物質の販売事業者に対する管理者対策、国際空港等における水際対策、重要施設の警戒警備等を推進しているとお聞きしております。
    また、テロが万一発生した場合に備え、特殊部隊(SAT)、銃器対策部隊、NBCテロ対応専門部隊等の各種部隊が日々訓練を実施し、対処能力の向上を図るとともに、自衛隊や海上保安庁との共同実動訓練の実施等の取り組みを行っているとのことであります。
    伊勢志摩サミットに目を転じますと、愛知県は開催地ではありませんが、各国首脳や海外報道陣の来日と離日の玄関口、つまり、ゲートウエーとして中部国際空港や名古屋駅を抱えるほか、サミット警備で一番重要となる要人の宿泊場所は三重県内では限りがあることから、アウトリーチ国の首脳に関しては名古屋市内となる可能性が高いと指摘をされております。
    特に、空の玄関口となります中部国際空港には、本年に入り、リーマンショック直前の水準まで国際便が回復するなど、旅行客の増加が見込まれるほか、五千人を超える報道陣が名古屋駅を利用することが予想されるなど、こうした情勢を考えますと、愛知県警察の要人警備の成否がサミット成功の鍵を握っていると言っても過言ではありません。
    近年のサミット開催の特徴点ですが、リトリート型──これは保養地とか隠れ家という意味だそうですが──での開催とアウトリーチ国の参加が挙げられます。
    平成十三年のイタリア・ジェノバサミットでの二十万人規模の反グローバリズムデモや米国同時多発テロを契機に、開催地を市街地から切り離すことが重視され、近年は先進七カ国、G7各国の保養地等で開催をされており、前回日本で開催されました北海道の洞爺湖サミットも、リトリート型での開催となりました。
    アウトリーチ国は、討議内容の広がり等を理由に、平成十二年の九州・沖縄サミットから参加しておりまして、今回の伊勢志摩サミットでもアウトリーチ国の参加が見込まれております。
    会議は、平成二十二年のカナダ・ハンツビルサミット以降、一泊二日の日程で行われております。各国首脳などサミット参加者の多くは、中部国際空港からヘリコプターで直接英虞湾に浮かぶ主会場の賢島に向かいますが、悪天候の場合には、同空港から主会場への移動は車となりまして、約二百キロの沿道を警備することとなります。
    私の地元であります小牧市には、中部管区警察学校や愛知県警察機動隊があり、中部管区の警察官や愛知県の機動隊の皆さんが訓練に励むとともに、二十四時間、県内の重要施設の警戒警備だけではなく、全国で発生する有事に際しては、北は北海道、南は九州、沖縄まで派遣をされ、治安の安定のため全力を尽くされていることは承知をしております。
    今回のサミット警備では、機動隊だけではなく、あらゆる分野の警察官が昼夜を問わず警備に従事されることと思います。我が国に対する国際テロの脅威が現実のものとなっている中、テロで武器として使用された銃器や爆発物への対策は喫緊の課題でありまして、愛知県警察としても、さまざまな機関と連携して、テロの未然防止に全力を挙げていただきたいと思います。
    そこで、二点について、警察本部長にお尋ねをいたします。
    一点目として、伊勢志摩サミットにおけるテロ等の未然防止を図り、サミット警備の万全を期するため警戒警備を徹底されると思いますが、愛知県警察として、国際テロの現状をどのように認識されているのか、御所見をお尋ねいたします。
    二点目として、このような国際テロ情勢を踏まえ、伊勢志摩サミットに向けて愛知県警察が取り組む警備対策、テロ対策についてお尋ねをいたします。
    次に、伊勢志摩サミットにおける地域の魅力発信についてお伺いをいたします。
    先ほどは、伊勢志摩サミットに対する愛知県警察の警備対策について、一言で申しますと、守りについて伺いましたが、続いては、サミットの攻めの部分であります地域の魅力発信について伺いたいと思います。
    来年の五月二十六日、二十七日、三重県伊勢志摩地区において開催されます伊勢志摩サミットにつきましては、先ほど来申し上げましたとおり、既に開幕まで半年を切り、このところ連日のように新聞等で報道がなされております。
    開催県であります三重県はもちろん、首脳等を最初にお出迎えするゲートウエーとなる本県でも、多くの県民の皆様の注目を集めているところであります。
    そして、開催時には日本国中、さらには世界中から大きな関心がこの会議、そして、この地域に寄せられるものと思います。
    昭和五十年、経済問題の協議を中心に六カ国でスタートしたサミットは、現在では、米国、英国、イタリア、カナダ、ドイツ、フランスに我が国を加えた、いわゆるG7の首脳と、EU欧州連合の欧州理事会常任議長及び欧州委員会委員長、そして、アウトリーチと呼ばれるサミットの議題に関連した国々の首脳や国際機関のリーダーがお越しになります。さらには、サミットを取材するため、国内外からメディア関係者が五千人規模でお越しになるとも聞いております。
    わずか二日間という短い日程ではありますが、政治、経済、あるいは地球規模のさまざまな課題の解決に向けて世界のリーダーが集まり、また、世界各国から報道関係者がこのように多数当地を訪れることは、今後しばらくはないのではないかと思われます。
    これは、開催県であります三重県のみならず、各国首脳が最初に我が国の地を踏むこととなるセントレア、また、鉄道利用の際は乗り継ぎ駅となる名古屋駅を有し、サミットのゲートウエーという大切な役割を担う本県にとりまして、まさに地域の魅力を発信し、国際的知名度を向上させる上での千載一遇のチャンスであると言えるのではないでしょうか。
    私の地元であります小牧市においても、天下の奇祭で有名な田縣神社を初め、日本で唯一のお乳のお寺であります間々観音、小牧が発祥の地であります名古屋コーチン等、日本はもちろん、世界に発信できるコンテンツがあります。
    そこで、二点についてお伺いをいたします。
    一点目として、伊勢志摩サミットの開催というチャンスを生かし、県では、地域の魅力をどのように発信していくおつもりか、御所見をお尋ねいたします。
    また、今回の伊勢志摩サミットは、平成二十年、前回我が国で開催されました北海道の洞爺湖サミットとは異なり、会場は三重県伊勢志摩地区、ゲートウエーは愛知県の中部国際空港が担うなど、県境をまたぎ、広域的に役割分担がなされて開催されます。
    サミットを担当する外務省には、三重県のみならず本県からも職員が派遣されており、また、九月には、本県も二〇一六伊勢志摩サミット対策室が設置されたところであります。
    さらに、名古屋市、岐阜県も加え、東海三県一市が連携して受け入れを行い、サミットの成功に向けて万全の体制で取り組んでいくことが求められていると思います。一方、この地域の魅力発信を行う上でも、広域連携という視点は大変重要であると思います。
    そこで、二点目の質問ですが、各自治体がそれぞればらばらに魅力発信を行うのではなく、東海地域の魅力を総動員した、いわばオール東海としての取り組みが効果的であると考えますが、今後、県としてどのように取り組んでいくおつもりか、御所見をお尋ねいたします。
    最後に、公共施設の長寿命化対策について伺います。
    初めに、皆さんは、国や全国の地方自治体が保有する不動産がどのくらいの規模であるか御存じでしょうか。私は全く知りませんでしたが、国土交通省が平成二十四年度末時点のデータで試算した資料によりますと、民間も含めた我が国全体の不動産の規模は約二千四百兆円でありまして、その四分の一に当たる五百七十兆円が国と地方公共団体の不動産となっているそうであります。今年度の国の一般会計予算が九十六兆円でしたが、その五倍を超える大変大きな規模であるということであります。
    国や地方公共団体の不動産とは、庁舎、学校、道路といった公共施設のことでありますが、この膨大な規模の公共施設をいかに適切に維持管理し、有効活用を図っていくかという観点から、今、国を挙げてさまざまな取り組みが進められようとしております。
    青森県や浜松市が取り組みで有名なんですが、これまでもファシリティマネジメントといった言葉で、公共施設、特に、いわゆる箱物を適切に管理運営する取り組みが進められてきました。
    その取り組みのポイントは、量と質の二つの観点からのアプローチであります。端的に申し上げますと、量を減らすことにより維持していく施設を絞る、そして、維持すべき施設は質の向上を図るということであります。
    こうした公共施設のマネジメントにつきまして、本県の状況を見てみますと、これまで一定の取り組みは進められてきております。
    量の観点については、県は、これまで行政改革に取り組まれており、その取り組みの一環として、社会情勢の変化や地方分権の進展などに伴い、県としての役割を終えた施設については積極的に廃止をしたり、地元市町村に移管をしたりして進めてこられております。
    一方、質の観点、今ある施設をしっかりと保全していくことにつきましては、計画的に庁舎や学校の耐震改修が進められており、来年度で対象施設の工事が完了する予定となっているとのことであります。
    しかしながら、こうした取り組みが進められる中、三年前の平成二十四年十二月、中央自動車道笹子トンネルにおいて天井板が落下し、九名ものとうとい命が失われる事故が発生いたしました。先日も、新聞やテレビ等で慰霊祭の様子や、橋やトンネルの点検が国に比べて市町村がおくれている状況などが報道され、私も大変心配をしております。
    この事故は、建設後約四十年が経過し、ボルトや接着剤などの部材が老朽化したことが原因の一つだと言われております。笹子トンネルの事故を契機に、公共施設の老朽化がクローズアップされました。老朽化した施設は、場合によっては国民の命をも奪いかねない凶器にもなり得るものであり、喫緊の対策が必要であることを思い知らされたところであります。
    本県の公共施設は耐震改修が完了するとのことで、当面の安全性は確保できたのかもしれませんが、質の見直しはこれからがまさに本番であり、今後、老朽化という潜在的な危険性を除去するべく、さらなる質の向上を図っていかなければなりません。
    この不幸な事故を踏まえ、平成二十五年十一月には、国の関係省庁連絡会議において、インフラ長寿命化基本計画が決定され、各省庁及び地方公共団体に対し、公共施設を適切に維持管理するための行動計画であるインフラ長寿命化計画の策定が要請されました。
    そして、平成二十六年四月には、総務省から全ての地方公共団体に対し、地方公共団体版のインフラ長寿命化計画である公共施設等総合管理計画を策定するよう通知が出されたところであります。
    この総合管理計画の策定状況につきましては、総務省のホームページで公表されておりますが、平成二十七年四月時点の調査によれば、既に計画を策定済みの団体は、都道府県、市町村合わせて七十五団体、率にして四・二%、今年度中に策定を予定している団体は四百七十団体、率にして二六・三%、合計で約三〇%であります。残りの七〇%の団体につきましては、来年度以降の策定を予定しており、総務省が示す計画の策定期限である平成二十八年度中に策定を完了すべく、現在、全国の地方公共団体で一斉に計画策定の取り組みが進められているところであります。
    こうした状況の中、本県では、既に愛知県公共施設等総合管理計画が策定され、今年度から県有施設の老朽化対策に本腰を入れて取り組むこととされたところであります。
    本年二月の定例県議会では、我が党の代表質問において、今年度以降の取り組みの進め方などを質問させていただきましたが、知事からは、今年度は、施設の安全・安心を確実にすることを最優先に、具体的な取り組みとして、点検、診断の充実や、建築年度の古い庁舎などを対象として、建物の長寿命化に向けたモデル調査を実施する旨の御答弁をいただきました。
    その後、年度末には予定どおり計画を策定され、現在、今年度も残り四カ月を切っておりますが、計画に基づき鋭意取り組みが進められているところだと思われます。
    総合管理計画の策定という点では、本県は、地方公共団体の中でも最も早いグループの中に入っておりますが、申し上げるまでもなく、計画はあくまでも計画にしかすぎません。それが着実に実施されなければ、単なる絵に描いた餅になってしまいます。
    県の計画を見ますと、維持、更新に係る経費の軽減、平準化とともに、安全・安心の確保を最優先することが基本方針として位置づけられ、また、計画期間全体の目標として、施設の老朽化に起因する重大事故ゼロを継続することが掲げられております。
    しかしながら、県の施設は築三十年を超えるものが半数弱、これが十年後には六、七割までに達するとのデータを踏まえますと、近い将来、その安全性が失われることが大いに危惧されるところであります。
    公共施設は、県民の皆様が広く利用される施設でありますことから、何よりも安全・安心の確保が重要であります。そのためには、策定した計画を着実に推進していくことが求められるところであります。
    そこで、二点についてお尋ねをいたします。
    一点目は、本県において公共施設等総合管理計画を着実に推進するためには、初年度である今年度の取り組みが重要だと考えますが、現在どのような取り組みを進められているのか、お尋ねをいたします。
    また、本県同様、県内の市町村においても、現在、総合管理計画の策定に向けた取り組みが進められていることと思います。しかしながら、着実に取り組みを進められている団体もある一方で、中には、速やかな計画策定や計画の推進が困難な団体もあるのではないかと思われます。
    一言で市町村といいましても、市町村合併により類似の施設が著しく増加した団体や、組織の規模が小さいがために技術の専門職員が不足する団体もあるなど、その置かれている状況はさまざまであると思われます。
    県は、総合管理計画に基づき、みずからが保有する施設を適切に保全していく必要があることは当然のことでありますが、広域自治体の責務として、県内の市町村の状況を把握し、各市町村が必要とする支援を行っていくことも必要ではないでしょうか。
    そこで、二点目のお尋ねであります。
    県内市町村において、総合管理計画の策定の進捗状況はどのようになっているのか、また、県では、市町村の総合管理計画の策定について、どのような支援を行っているのか、お尋ねをいたします。
    以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
  • 11:◯警察本部長(桝田好一君) 伊勢志摩サミットに対する愛知県警察の警備対策について、二点御質問をいただきました。
    初めに、国際テロの現状についてお答えいたします。
    我が国を取り巻く国際テロ情勢は大変厳しく、一月及び二月には、シリアにおきまして、ISILに邦人二人が殺害されたところであります。また、三月には、チュニジアにおきまして、襲撃テロ事件が発生し、邦人三人を含む約二十人が犠牲となっております。
    このような厳しい情勢の中、十一月には、パリにおいて、ISIL関係者によるとされる連続テロが発生しましたが、パリの事件は、我が国にとって対岸の火事ではないと考えております。
    ISILは、邦人をテロの標的とすることを宣言しており、我が国に対するテロの脅威はこれまでになく高くなっていると認識しております。
    次に、伊勢志摩サミットに向けて愛知県警察が取り組む警備対策、テロ対策についてお答えいたします。
    県警察では、総理によりサミット開催地の発表があった六月五日に二〇一六年伊勢志摩サミット警備準備室を、六月十二日には伊勢志摩サミット警備対策委員会を設置し、さらに、天皇、皇后両陛下の行幸啓に伴う警衛警備が終了いたしました翌日の七月二十九日にサミット対策課を発足させ、秋の定期異動に合わせ、警備部にサミット担当の専任の参事官を配置するなど、体制の整備を図ったところでございます。また、警戒警備に必要な各種装備品の調達も進めているところでございます。
    一方、厳しい国際テロ情勢を受け、テロ関連情報の収集の強化を図るとともに、テロリストの入国や銃器等の流入を阻止する水際対策を徹底するため、入国管理局等との訓練等を実施しております。
    また、手製爆弾の製造を防止するため、爆発物の原料となり得る化学物質等を取り扱う事業者等との連携強化に努めているところであります。
    これらに加えまして、部隊の対処能力向上を図るため、さまざまな訓練を繰り返し実施しておりまして、先月の六日には、伊勢志摩サミット開催に向けた愛知県警察総合警備訓練を実施したところでございます。
    海上保安庁や鉄道事業者など、関係機関との連携も重要であり、例えば、十月十六日には海上保安庁と、十二月三日には鉄道事業者と合同で訓練を実施したほか、来る十五日には、中部国際空港で空港運営会社や鉄道事業者との合同訓練も予定しているところでございます。
    今後も情報収集、訓練を強化し、関係機関、事業者等との連携をより一層深めるとともに、警戒警備を徹底いたしまして、サミット開催時におけるテロ等の未然防止、県民の安全確保に努めてまいる所存でございます。
  • 12:◯政策企画局長(平岩昭彦君) 伊勢志摩サミットにおける地域の魅力発信についてお答えをいたします。
    本県は、伊勢志摩サミットのゲートウエーとして重要な役割を担うことになり、この機会を捉えまして、各国首脳や海外メディアなど、お越しになる関係者の方々に本県の魅力を発信することは大変重要であると考えております。
    このため、各国首脳等が最初におり立つセントレアでの政府歓迎式典におきまして、愛知の日本一のテクノロジーや伝統文化の魅力に触れていただけるような取り組みを検討し、政府に提案をしているところでございます。
    また、各国関係者や海外メディアなど、多くの方々に本県の魅力を紹介するため、英語、フランス語、ドイツ語など七カ国語で本県のさまざまな魅力を紹介したガイドブックやホームページの作成にも取り組んでおります。
    さらには、海外メディア向けの県内視察ツアーや、G7を初めとした大使館関係者の皆様を対象としたツアーの実施に向けた準備も進めているところでございます。
    これらの取り組みを、十一月に海外への情報発信等の専門家に委嘱いたしましたサミットアドバイザーの意見なども参考にしながら、効果的に進めてまいりたいと考えております。
    次に、魅力発信における広域的な取り組みについてでございます。
    今回のサミットは、開催地である三重県とゲートウエーの役割を担う本県が分担する形で開催されますことから、歓迎、おもてなし、さらには、地域の魅力を発信する上におきましても、広域的な連携がより重要であると考えております。
    このため、十月に発足いたしました愛知県、岐阜県、三重県、名古屋市による伊勢志摩サミット東海三県一市担当課長会議や、十一月に発足いたしました地元経済界等が参画いたしました官民一体の伊勢志摩サミット東海会議、こうした場を活用いたしまして、ゲートウエーとなりますセントレア、名古屋駅、さらには三重県に設けられます国際メディアセンターにおきまして、本県はもとよりでございますが、東海地域の魅力発信の取り組みを連携して行ってまいりたいと考えております。
    今後とも、関係県市、経済界が一体となりまして、魅力発信などの取り組みを進めていきたいと考えております。
  • 13:◯総務部長(平松直巳君) 公共施設の長寿命化対策に関するお尋ねのうち、まず、県の取り組み状況についてお答えをいたします。
    本年三月に策定いたしました愛知県公共施設等総合管理計画の推進につきましては、年度明けの四月に全庁的な推進体制を立ち上げ、取り組みに着手いたしております。
    この計画の目標は、施設の老朽化に起因する重大事故ゼロを継続することであり、それに向けまして、庁舎、学校、道路、河川といった十六の施設類型ごとに個々の施設の長寿命化対策を盛り込んだ個別施設計画を策定し、順次具体的な対策を実施していくことといたしております。
    このうち、道路、公園、下水道など、既に個別施設計画を策定済みの施設類型につきましては、計画的に補修工事を行うなど、メンテナンスサイクルの構築に取り組んでおります。
    一方、個別施設計画が未策定の庁舎や公の施設などにつきましては、まずは建物の状態を把握することが重要でございますので、老朽化により危険が見込まれる施設や災害拠点に位置づけられた施設など、緊急性や優先度が高い施設から技術職員による巡回点検を進めているところでございます。
    また、長寿命化の可能性を確認するためのモデル調査として、築五十年を超える新城設楽総合庁舎や愛知県体育館を対象に、コンクリート強度の試験や改修内容の検討を行っております。引き続き対象施設を拡大して長寿命化に向けた調査を実施してまいります。
    今後は、危険箇所への速やかな対応など、安全・安心の確保を最優先にしつつ、平成三十二年度を目途に全ての施設類型について個別施設計画を策定し、長期的視点を持って着実に県有施設の長寿命化対策を進めてまいりたいと考えております。
    次に、市町村における公共施設等総合管理計画策定の進捗状況と県の支援についてでございます。
    県内市町村の総合管理計画の策定状況は、本年十月時点での調査によれば、策定済みが一団体、今年度中の策定予定が十二団体、来年度中の策定予定が四十一団体となっており、県内全ての市町村において、国から要請されている平成二十八年度までの策定を目指して取り組みが進められております。
    こうした市町村の総合管理計画策定に対する県の支援についてでございますが、各市町村が策定作業を円滑に進められるよう、昨年八月には、計画策定の必要性や策定の具体的な手法について、国や先進自治体から講師を招き、市町村担当職員を対象とするセミナーを開催いたしました。
    さらに、本年五月には、市町村の財政担当課長を対象に、県が三月に策定した総合管理計画の内容に関する説明会を実施したところでございます。
    また、財政面の支援といたしましては、計画策定に対する特別交付税措置や計画に基づく施設の撤去、集約化、複合化などに対する特別な地方債といった新たな国の財政支援制度が設けられておりますので、こうした制度の周知を図りますとともに、市町村からの相談に応じて適切な活用を助言しているところでございます。
    県といたしましては、平成二十八年度中に全ての市町村において総合管理計画が策定できますよう、各市町村の取り組み状況を確認しながら、引き続きしっかりと支援をしてまいります。
  • 14:◯知事(大村秀章君) 山下智也議員の質問のうち、伊勢志摩サミットにつきまして、私からもお答えをいたします。
    来年五月の伊勢志摩サミットでは、各国首脳を初め、国内外から多くの方々が中部国際空港や名古屋駅などを利用して愛知にお越しになります。十一月にフランスのパリで発生をいたしましたテロ事件を踏まえまして、テロの防止や県民の皆様の安全の確保に万全を期してまいらねばならないと考えております。
    加えまして、サミットのゲートウエーとなる本県での万全な受け入れと歓迎、そして魅力発信は、サミットの成功に不可欠であると存じます。
    このため、各国首脳等が最初におり立つセントレアにおきまして、先日初飛行に成功いたしました国産ジェット旅客機としては我が国初となるMRJや、世界初の量産型燃料電池自動車MIRAI、FCV・MIRAI、また、五十二年連続産出額日本一を誇る愛知の花など、愛知が世界に誇るさまざまな魅力を発信できるよう、外務省や関係機関等と現在協議を進めているところでございます。
    また、サミット開催年となる年明けからは、多言語で愛知の魅力を紹介したガイドブック等を活用いたしまして、各国の大使館へ本県のさまざまな魅力をPRするとともに、首脳等の視察を働きかけてまいりたいと考えております。
    この伊勢志摩サミット開催という好機、この貴重な機会を逃すことなく、愛知の魅力を世界に向けて発信をしてまいりたいと考えております。
  • 15:◯四十四番(山下智也君) 一点要望させていただきたいというふうに思います。
    先ほど警察本部長のほうから、伊勢志摩サミットに対する愛知県警察の取り組みについて答弁をいただきましたが、本当に大変なプレッシャーの中での警備になるかと思います。本当に御尽力いただきますようにお願い申し上げたいと思いますが、一方で、我々県民として何ができるのかなというふうに考えたときに、我々県民も、例えば何らかの形で情報提供だとか、そういった形でサポートができるのではないかなというふうに個人的にも思っておりまして、そういった情報収集、いわゆる県民からの情報収集なんかをできるような、やりやすくできるような体制も整えていただければ大変ありがたいなということで、この点につきまして要望させていただきまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  • 16:◯副議長(杉浦孝成君) 進行いたします。
    丹羽洋章議員。
    〔二十二番丹羽洋章君登壇〕(拍手)
  • 17:◯二十二番(丹羽洋章君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。
    私は、今回、東三河、豊橋市のインフラ整備について、そして、全庁的な観光振興策についての、この二点についてお伺いさせていただきます。
    まず、一点目の東三河、豊橋市のインフラ整備についてお伺いいたします。
    私の地元であります東三河、豊橋市は、海、山、川といった自然豊かな地域であると同時に、農業、工業、商業とバランスのとれた産業構造を持つ地域でもあります。
    工業、商業はもとより、現在は、平成の大合併により隣接の田原市にその座を譲ってはいますが、豊橋市は、三十六年間連続農業粗生産高日本一であった一大農業生産地でもあります。
    また、自動車産業を中心とした物づくりを物流面で支える国際貿易港で、特に輸入自動車の取り扱いについては、台数、金額ともに二十二年連続日本一であり、日本国内に輸入される自動車の半数以上が陸揚げされる、世界的に見ても有数の自動車輸出入港である三河港があります。
    東三河、豊橋市は、すぐれた地域資源があり、将来的にもまだまだ成長、発展するポテンシャルを秘めた地域でもあります。
    ではありますが、今の現状を見ますと、例えば、人口一人当たりの市町村民所得は、豊橋市は約二百九十九万円と県内平均の八七%にとどまっています。東三河全体を見ても、隣接の田原市、蒲郡市に押し上げられて、やっと県内平均に対して九二・五%であります。西三河の一一七・七%と比べてみましても、経済的に見て東三河は、その持っているポテンシャルがまだまだ生かし切れていないのが現状であると言えます。
    そこで、東三河、豊橋市、ひいては愛知県全体の成長、発展のためにも、道路や港湾といったインフラの整備が非常に重要だと考えます。
    豊橋市においては、以前より水、道、港の頭文字をとった、いわゆる三つのMの整備が必要だと言われ続けてきました。慢性的な渇水に悩まされてきた東三河にとって、設楽ダムの建設は着実に進めていただきたい事業の一つであります。
    また、年が明けた来年二月にいよいよ愛知県内区間の供用が開始されます新東名高速道路のように、広域的な連携や交流の軸となる幹線道路の整備は着々と進んできております。
    しかし、その一方で、これらの広域的な幹線道路へのアクセスを担い、地域内各地の連携を強固にする東三河環状線を初め、地域の幹線道路の整備や三河港の港湾整備はおくれており、まだまだ不十分であります。
    都市計画道路の整備率を見ても、愛知県の平均が七一%、名古屋地域が七八%、西三河地域が七五%に対し、東三河地域は六一%、豊橋市においても六五%の整備率であり、他地域と比較してみますと依然として低く、成長、発展を支えるインフラとしてはまだまだ心もとない状況であります。
    さらに本年九月、関東・東北豪雨で鬼怒川の決壊により大規模な災害が発生したことはまだ記憶に新しいところであります。安心して安全に暮らしていくために、本県でも着実かつ早急に河川整備を行うことが重要であると考えます。
    こうした中、本年十月に公表されました愛知県建設部方針二〇二〇において、国際競争力を強化する基盤整備など、日本の成長を牽引する成長力や、県民の生命、財産を守る防御力などの目標に対して、中長期的な時間軸を見据え、事業の優先度を明確にし、かつ選択と集中を徹底しながら事業を戦略的に進めていくとされています。
    そこで、今後、東三河、豊橋市の成長、発展のためにも、インフラ整備を着実かつ早急に進めていただきたいという期待を込めて、以下の点についてお伺いいたします。
    まず、水、道、港の頭文字の三つのMの一つ、道、道路整備についてお伺いいたします。
    豊橋市のインフラにおいて最大の弱点の一つは、高速道路のインターチェンジが豊橋市内に一つもないことであるとよく指摘されます。特に東三河の産業、とりわけ物づくり産業にとって、輸出入拠点の三河港と高速道路へのアクセスの強化が必要であると考えます。
    三河港は、高速道路のインターチェンジまでの所要時間が非常にかかるのが現状で、日本で一番高速道路へのアクセスが悪い重要港湾であるとさえ言われております。
    現在、地元地域から整備促進を要望されている浜松三ヶ日・豊橋道路の整備は、国道二十三号名豊バイパスから東名、新東名、三遠南信自動車道を結ぶ南北軸を形成し、三河港が県外地域とつながる非常に大きな役割を果たす道路であります。あわせて、物流の定時性の確保等からも、浜松三ヶ日・豊橋道路のみならず、現在進んでいる一般道路の一層の整備も必要であると考えます。
    そこで、まず一点目としまして、浜松三ヶ日・豊橋道路の調査の進捗状況と今後の見通しについてお伺いいたします。
    二点目といたしまして、三河港から東名高速豊川インターチェンジへのアクセス向上策と、県道東三河環状線の豊川を渡る区間の整備見通しについてお伺いいたします。
    三点目といたしまして、その他の路線を含めた豊橋市内の未整備区間について、今後どのように整備を進めていくのか、お伺いいたします。
    次に、二つ目のMであります三河港の整備についてお伺いいたします。
    日本の中心に位置する三河港は国際貿易港であり、特に日本に輸入される外国産車の半数以上がこの三河港から陸揚げされており、世界有数の自動車輸出入港でもあります。
    特に神野地区は、自動車メーカーの輸出入拠点として多くの完成自動車が取り扱われていますが、関係事業者の方々から常々、モータープールの不足に対する要望をいただいております。
    しかも、神野地区にはコンテナターミナルもあり、完成自動車とコンテナ貨物が混在しているため、効率的な利用が十分に図られていないのが現状であります。
    そこで、一点目としまして、三河港神野地区で現在進められていますモータープール拡張事業の進捗状況と見通しについてお伺いいたします。
    二点目としまして、神野地区における完成自動車とコンテナ貨物が混在している状況への対応について、ゾーニング等の考え方や今後の整備の進め方をお伺いいたします。
    また、三河港神野地区の北側には、アサリの稚貝が湧く六条潟があります。この六条潟は、愛知県産のアサリの九割以上を支える稚貝が湧く場所であり、全国シェアの六割を超える愛知のアサリ漁業を支える優良な漁場でもあります。といっても、そもそもこの六条潟は、三河港を整備するということで、平成十一年に全ての漁業補償が終わり、漁業権が消滅しておりますが、いまだに港の整備は行われず、港湾計画の改訂、見直しによって、当面、港の整備が行われることもありません。
    豊橋市や我々地元民にしてみますと、アサリやノリの優良な漁場を失っただけで、それにかわる港を得ることなく今日に至っております。漁業という産業を失っただけで今終わってしまっております。仮に、今後、港の整備が行われないのであれば、沖は入会、磯は地つきという漁業権の根本となっている考え方に基づいて、漁業権の再設定を含めて検討していただけたらと思います。
    ただ、近い将来行われる港湾計画の見直しによって埋め立てられる可能性も残っており、恒久的に埋め立ての可能性がなくなっているわけでもありません。
    私は、三河港の整備拡充を要望しつつも、この六条潟については、豊橋、東三河のみならず、愛知県、日本にとっても重要かつ優良な漁場であると同時に、三河湾の水質浄化という重要な役割を果たしていることも鑑み、今後、明確かつ我が国の歴史、伝統、慣習にのっとった適正な形での管理、保全を要望するものであります。
    そこで、三点目としまして、港湾管理者として、この六条潟の開発もしくは管理、保全をどのようにお考えになっているのか、見解をお伺いいたします。
    最後に、三つ目のMであります水、今回は治水対策、具体的には柳生川、梅田川の整備、改修についてお伺いいたします。
    河川整備は、地域住民にとって、安心・安全に暮らしていくためのみならず、安定した産業活動を支える重要なインフラですが、豊橋市においては対策が不十分であります。
    豊橋市内の中心地を貫くように流れる柳生川は、豊橋駅周辺の中心市街地付近では川幅が狭く、まとまった雨が降るとすぐに水位が上昇し、あふれ出します。しかも、この区間には、JR東海道線、新幹線、豊橋鉄道渥美線、国道二百五十九号線の橋梁が集中的に連続してかかっており、川幅の拡幅をするにも、これらの橋梁を改築することが必要であるため、今日までなかなか整備、改修が進んでいないのが現状であります。
    そんな中、平成二十年の八月豪雨では、床上浸水七十九戸、床下浸水六十戸の被害を出しています。
    そこで、県は、この区間の整備方針として、全国的に見ても余り例のない地下河川、地下バイパスをつくる計画を策定されました。
    また、平成二十一年十月の台風では、発生した高潮により、JR東海道新幹線より下流の柳生川下流域において、堤防の高さいっぱいまで水位が上昇し、あふれ出す一歩手前まで行っております。地域住民の皆様から整備、改修を求める声が多く上がっており、つい先日も要望書を提出させていただいたばかりです。
    また、豊橋市南部を流れる梅田川では、昨年十月の台風に伴う出水により、県道小松原小池線の御厩橋付近であふれるなど、この川も柳生川同様、地域住民の皆様から早急に対策を講じるよう求められております。
    そこで、柳生川と梅田川について、洪水や高潮などの浸水対策について、取り組み状況と今後の進め方についてお伺いいたします。
    柳生川改修については、耐震対策もあわせて進めていくことになると思いますが、浸水対策とあわせた整備の考え方についてお伺いいたします。
    続きまして、大きな二番、全庁的な観光振興策についてお伺いいたします。
    我が国は、力強い日本経済を立て直すための成長戦略の柱として、世界に誇る魅力あふれる観光立国の実現に向けて強力に施策を推進しております。
    昨年の訪日外国人旅行者数は一千三百四十一万人と急増し、ことしに入ってもその勢いは衰えておらず、毎月単月での過去最高を更新している状況であります。また、昨年、訪日外国人による旅行消費額は二兆二百七十八億円に達しました。
    今や、この訪日外国人旅行者による消費が我が国の経済に一定の活力を与えるまでになり、既に交通、旅行、飲食、宿泊はもとより、小売、流通、製造、伝統工芸などの産業もインバウンド需要の取り込みを図るようになってまいりました。
    こうした中、本県においても、平成二十七年を観光元年とし、観光を物づくりに続く新たな観光産業に位置づけており、本年四月からは、新たに観光局を設置し、観光集客の取り組みを進めているところであります。
    また、自民党愛知県議員団では、本年六月、愛知県にふさわしい地方創生のあるべき姿を県当局に提言すべく、特に地方の特色を生かした取り組みが期待される観光振興と農林水産の二つの地方創生プロジェクトチームが設置されました。活発な調査研究の成果が取りまとめられた提言書が十月に神野団長から大村知事に渡されております。
    私は、観光振興プロジェクトチームの一員として調査研究する機会をいただきました。そこで、地域の観光資源の活用や訪日外国人の誘客など、観光振興を軸とした地方創生について、交通や宿泊といった観光に関する事業者はもとより、観光コンベンション協会、自治体等に伺い、現場の生の声も聞かせていただく機会をいただきました。
    また、急激な人口減少、少子・高齢化に直面する我が国において、地方において需要を生み出し、雇用を創出する地方創生は、喫緊の最重要課題であり、その中で観光は、海外からの旺盛なインバウンド需要の取り込みによって交流人口を拡大させ、地域を活性化させる原動力となります。魅力ある観光地域づくりを進めて、点から線、線から面へとネットワーク化して内外から観光客を呼び込み、観光の力で地方創生に魂を吹き込むことが今強く求められております。
    そんな中で、本県の観光の現状は、宿泊者数、訪日外国人旅行者数、国際会議の開催状況等々、ほかの大都市に比べてみてもまだまだ残念ながら劣っており、観光面で本県の持つポテンシャルが十分発揮できていないのが現状であろうと思います。
    そこで、本県においても、新設された観光局はもとより、全ての部局が観光局と連携を図りながら、全庁的に観光振興、観光誘客を推し進めていかなければならないと考えます。
    そこで、以下の点についてお伺いいたします。
    まず一点目です。クルーズ船誘致についてお伺いいたします。
    先日、日本政府観光局上海事務所を訪問した際に、上海から日本へ向けてのクルーズ船、大型客船が本年急増し、数多く出航している状況を聞いてまいりました。
    飛行機を使うツアーと比べてクルーズ船の旅は、まず料金が安い、乗りかえなどの移動も少なく、家族でゆったりと過ごせる、そして、何よりも飛行機と違って、買い物による持ち込み量が格段に大きいなどが人気の理由だそうです。
    そこで、ほかの都道府県では、港湾担当部局が物流のみならず、クルーズ船の誘致に向けて積極的にポートセールスを行っているそうです。一方、県内の港においては、全国の主要な港に比べ、クルーズ船の寄港が少ない状況にあります。
    そこで、港湾管理者として、クルーズ船誘致に対して現在どのように取り組んでいるのか、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
    また、名古屋港においてクルーズ船の誘致を行うと同時に、三河港へも誘致すべきと考えますが、どのようなお考えであるか、今後どのように取り組んでいかれるのか、あわせてお伺いいたします。
    次に、クールジャパン資源の活用についてお伺いいたします。
    クールジャパンの言葉のもとに、我が国発の文化や文化を生かした産業を発信するため、我が国政府も以前より、関係府省連携のもとで日本の魅力を海外に発信しています。
    また、以前より、アニメ、漫画などの世界から注目を集めるポップカルチャーなどのクールジャパン資源を活用した訪日外国人の増加や日本ファンの拡大に取り組みながら、訪日外国人の消費拡大による地域経済の活性化の研究なども行われてまいりました。
    昨年九月には、クールジャパン機構と日本政府観光局との業務連携が結ばれ、外国人観光客の誘致等についても協力した取り組みが始まっております。
    アニメや漫画を活用した美術館やイベントなどは、国内観光客のみならず、外国人観光客への訴求性、集客性が高いものもあります。
    また、本年、鳥取空港の愛称が鳥取砂丘コナン空港という愛称に変わりましたが、こうした人気アニメ、漫画キャラクターやソフトコンテンツを入り口に、地方都市に外国人観光客が訪れると、そういった流れも出てきております。
    官民協働の取り組みやさまざまな権利関係の調整が必要ではありますが、こうした空港や港、駅といった交通結節点の名称の愛称を変えるなどして積極的にPRしていくことも一つの有効な手段だと考えます。
    そこで、本県においても、ポップカルチャーなどのクールジャパン資源を活用した観光振興を図っていくことを考えられてはどうかと考えますが、認識と対応についてお伺いいたします。
    次に、観光を支える地域交通、二次交通の充実についてお伺いいたします。
    今日、訪日外国人観光客は、団体旅行よりも個人旅行(FIT)のほうが多く、しかも、年々増加傾向であります。観光振興を考えるとき、空港や鉄道の主要駅におり立った後の移動手段であるほかの鉄道やバス、タクシーといった二次交通の充実は必要不可欠であります。
    ある県では、FIT対応のために、県、市、タクシー会社の三者の費用負担による三時間乗り放題千円タクシーを導入し、二次交通の充実を図ったところもあります。
    また、去る十月二十日の国家戦略特区諮問会議で、バスやタクシーなどの公共交通手段が少ない過疎地において、一般ドライバーがマイカーを使い、お客さんを有料で送迎するライドシェアのサービス解禁が検討されることになりました。既にアメリカを初め世界の主要都市では、ウーバーというスマホアプリを使った配車サービスが急速に浸透しております。
    我が国においても、高齢者や観光客の足の確保のために解禁を求める声が上がっており、安倍総理が前向きに検討する意向を示したものです。
    これらは一例ではありますが、本県でいいますと、二次交通、公共交通機関が脆弱な奥三河中山間地の観光振興を考えるとき、せっかくの美しい自然や温泉、おいしい食事などの観光資源に恵まれていても、交通機関が弱いということだけで観光振興、地域振興につながらないようでは大変残念なことであり、また、そうあってはならないと考えます。
    今後さらに増加するFIT、海外からの個人旅行に対応するために二次交通の充実は必要不可欠であり、そのために公共交通機関が重要な役割を担うことは想像にかたくなく、その充実が必要であると考えます。
    また、公共交通機関が脆弱な地域等で国が検討を始めたライドシェア等の導入の検討もされてはいかがと思いますが、本県のお考えと対応をお伺いいたします。
    続きまして、人材育成についてお伺いいたします。
    急増する訪日外国人観光客に対応するために、観光産業事業者やその従事者を対象とする研修やサポート事業の充実も必要であると考えます。
    例えば、まちの小さな飲食店では、外国語表記のメニューづくりでさえ困難を伴う場合もあります。そうしたこと一つ一つが中小零細事業者にとっては外国人観光客を受け入れるハードルとなっていたりすることも散見されます。
    そこで、観光振興を地域振興の一つと捉え、商工会議所や商工会が主体となった初歩的な研修やサポート事業、相談業務の展開も必要であると考えます。県のお考えと対応についてお伺いいたします。
    以上、壇上からの質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
  • 18:◯建設部長(市川育夫君) 東三河、豊橋市のインフラ整備について、大きく三点お尋ねをいただきました。
    まず一つ目の道路整備のうち、浜松三ヶ日・豊橋道路についてであります。
    浜松三ヶ日・豊橋道路は、名豊道路と東名高速を南北に結び、三河湾と高速道路を連絡する重要な路線であります。
    本県では、平成二十年度から三遠地域の連携強化策について調査を行い、名豊道路と東名高速を結ぶ新たな連携軸の必要性とそのルート帯を明らかにしました。
    今年度からは、より具体化を図るため、静岡県と浜松市とともに、おおむねのルート位置や道路構造などの検討に着手しております。
    また、国においても、昨年度より広域的な視点に立った物流交通の実態や将来需要の調査が進められております。
    今後とも国と連携し、関係する豊橋市、田原市、湖西市の協力も得ながら、浜松三ヶ日・豊橋道路の早期具体化に向け、調査を着実に進めてまいります。
    続いて、三河港から東名高速豊川インターへのアクセス向上策についてであります。
    三河港から東名高速豊川インターへは複数のルートがありますが、最短となる名豊道路前芝インターから小坂井バイパス、国道百五十一号を経由するルートの交通の流れを円滑にすることがアクセス向上のための重要なポイントの一つであります。
    このうち、小坂井バイパスは、来年三月に無料化の予定であり、より走行しやすくなるものと考えております。一方、交通量の増加に伴い、国道一号と交差する宮下交差点において新たな渋滞発生が懸念されることから、交通量調査を行い、交差点の立体化など、走行性の向上に向けて必要な検討を進めてまいります。
    続いて、県道東三河環状線の豊川を渡る区間の整備についてであります。
    東三河環状線は、豊橋市内において、今年度末に国道一号から現道の東三河環状線までの約七・一キロメートルがつながる予定であり、中心市街地の渋滞緩和や豊川インターへのアクセス向上に寄与するものと期待しております。
    その先の豊川を渡る区間約二・四キロメートルにつきましては、これまでに橋梁の予備設計などの調査を実施しており、現道の東三河環状線から橋梁までの区間については、用地買収に向けて、現在、公安委員会などの関係機関協議や地元調整を進めているところであります。引き続き、豊川を渡る区間の整備に向け、全力で取り組んでまいります。
    続いて、豊橋市内における道路整備の進め方についてであります。
    本県においては、今後六年間の事業の方向性や取り組み方針をまとめた建設部における社会資本整備の基本方針を本年十月に策定しており、この方針に従い、国際競争力を強化する道路整備、人の交流を支え、地域を活性化する道路整備などを重点的に進めることとしております。
    中でも、豊橋市内につきましては、名豊道路と接続し、三河港へのアクセスを強化する国道二百五十九号、豊橋市を中心とした都市間の交流、連携を促進し、あわせて市内の交通渋滞の緩和を図るための東三河環状線、さらには、土地区画整理事業などによるまちづくりと一体となった豊橋環状線の整備などを中心に進めていくこととしております。
    これらの道路整備により、豊橋市内を中心とする東三河地域の幹線道路ネットワークの充実が図られ、この地域における活力の向上や経済の発展に寄与するものと考えております。
    これからも豊橋市内において未整備となっている区間について、交通状況や事業効果を勘案しながら着実に整備を進めてまいります。
    次に、二点目の三河港整備のうち、神野地区のモータープール拡張事業についてであります。
    神野地区は、岸壁背後に外資系自動車メーカーの新車整備センターが立地しており、陸揚げから保管、整備、点検までを同一地区内で行える利点があります。こうしたこともあり、近年は、外資系自動車メーカーの進出が相次ぐとともに、国内メーカーを含めた完成自動車の取扱量が急速に増加しており、モータープール不足が深刻な状況となっております。
    このため、本県といたしましては、神野地区において、埋立造成約七ヘクタールと地区内未整備箇所の舗装約四ヘクタール、合わせて約十一ヘクタールのモータープールの拡張事業について、昨年度から着手しております。現在までに約一ヘクタールの舗装が完了し、既に利用を開始しております。
    今後も、逼迫するモータープールの需要に対応できるよう、拡張事業の早期完成を目指し、全力で取り組んでまいります。
    続いて、神野地区における完成自動車とコンテナ貨物の混在している状況への対応についてでございます。
    神野地区の中心的な役割を担う七号岸壁においては、三バースを活用し、完成自動車、コンテナ貨物のほか、鋼材等の一般貨物を取り扱っておりますが、岸壁の延長不足から大型船が同時に着岸できないこと、背後の荷さばきスペースが狭く、完成自動車と鋼材等が混在して取り扱われていること、さらには、完成自動車とコンテナ貨物の保管場所が混在し、貨物の移動時に錯綜するなど、利用面での課題が生じております。
    こうした課題に対応するため、平成二十六年度より、国において新たに七号岸壁の拡張が進められております。この整備に伴い、連続四バースの陸揚げが可能となり、あわせて背後の荷さばきスペースが拡充されることから、貨物の混在が緩和され、より効率的な取り扱いが可能となります。
    本県といたしましても、神野地区における新たな埠頭用地の整備を着実に進め、完成自動車とコンテナ貨物の保管場所を分離することにより、埠頭用地の利用区分を明確化し、さらなる効率化に取り組んでまいります。
    今後とも、国に早期完成を要望するとともに、港湾関係者と連携を図り、三河港の物流機能強化に向けた取り組みを着実に進めてまいります。
    続いて、六条潟の開発もしくは管理、保全についてであります。
    愛知の物づくり産業を支えるためには三河港の機能強化が重要でありますが、同時に、豊かな自然が残る三河湾の海域環境への配慮も必要であり、これらのバランスをとっていくことが重要であると考えております。
    このため、平成二十三年の三河港港湾計画の改訂において、六条潟付近に計画されていた埋立計画を縮小した上で、六条潟を保全する区域として位置づけております。
    また、近隣部に海浜緑地を整備することにより、人と自然の触れ合いや環境学習の場として活用していただける計画としております。
    これまでも、国とともに、環境や水産関係などの学識経験者で構成される伊勢湾再生海域検討会三河湾部会を設置し、海域環境の改善について検討を進めてきたところであります。この部会での検討を踏まえ、港湾整備で発生するしゅんせつ土砂等を活用した干潟、浅場の造成や、深掘り跡の修復工事を実施してきております。
    今後も引き続き、干潟、浅場の造成等に取り組み、港湾の開発と環境の両立が図られるよう整備を進めてまいります。
    次に、三つ目の柳生川と梅田川の整備、改修についてであります。
    柳生川につきましては、洪水対策として、国道二百五十九号の境橋から下流に向けて小池橋までの狭窄区間約五百メートルに対する地下河川の整備と、高潮対策として、狭窄区間から河口までの堤防のかさ上げを計画しております。
    また、昨年策定した第三次あいち地震対策アクションプランに、河口部付近における堤防の耐震対策を位置づけたところです。
    整備の進め方につきましては、地下河川による下流への影響を考慮して、地下河川の出口から河口までの河床掘削や、それに伴う護岸等の補強を地下河川の整備に先行して実施してまいります。さらに、この区間においては、高潮対策としての堤防のかさ上げや、耐震対策としての液状化対策を同時期に進めてまいります。
    今年度は、河口部付近において液状化対策に着手するとともに、地下河川の整備については、地下につながる立て坑等の整備に必要な用地取得などを進めております。
    次に、梅田川についてであります。
    梅田川は、これまで河口から約四キロの浜田川合流点付近まで河床掘削を行ってまいりました。今後は、中上流部の洪水対策や下流部の高潮対策を進める必要があるため、平成二十六年度より、上流を管理する静岡県とともに河川整備の基本方針の検討を進めているところです。基本方針策定後は、具体的な整備内容を定め、できるだけ早期に整備に着手してまいります。
    次に、全庁的な観光振興策についてのお尋ねのうち、私からは、クルーズ船誘致に対する港湾管理者としての取り組みについてお答えをいたします。
    クルーズ船につきましては、国土交通省が地方の創生を図るため、二〇二〇年にクルーズ百万人時代を実現することを目指して取り組みを進めているところであります。
    本県といたしましても、港湾管理者や関係自治体などで構成される全国クルーズ活性化会議に参加し、免税に関する新規制度創設などの要望活動や、海外のクルーズ動向の情報収集に努めております。
    港湾管理者といたしましては、愛知の物づくりを支える物流機能の強化を優先課題と位置づけておりますが、同時に、貨物埠頭等の既存ストックを有効活用しつつ、同じ水深でも貨物船より大型となるクルーズ船が安全に寄港できるよう、国の補助金事業を活用しながら施設を改良し、受け入れ体制を整えてまいります。
    私からは以上でございます。
  • 19:◯振興部観光局長(加納國雄君) 外航クルーズ船の誘致に向けた取り組みについてお答えいたします。
    外航クルーズ船の誘致は、乗船客による買い物や観光地訪問により寄港地への経済効果が期待できることから重要な取り組みであると考えております。
    本県は、平成二十六年二月に、名古屋市とともに名古屋港管理組合、名古屋商工会議所などから成る名古屋港外航クルーズ船誘致促進会議に参画し、地元が一体となってクルーズ船の誘致に取り組んでおります。
    具体的な活動といたしましては、寄港後に乗船客が県内の観光地をめぐる際に参考となる交通情報を盛り込んだ観光案内資料の作成や、外航クルーズ船が入港した際の歓迎式典の実施、観光情報を検索するために不可欠である良好なWi─Fi環境の提供を行うとともに、クルーズ船にツアーを造成している国内旅行会社へのセールスを実施しております。
    引き続き、名古屋港については、名古屋市、名古屋港管理組合等と一体となって名古屋港への外航クルーズ船の誘致活動を展開してまいります。
    三河港については、日本の船会社が運航するクルーズ船の寄港はあるものの、これまで外国の船会社が運航するクルーズ船の寄港はありませんでした。三河港周辺には、県内有数の温泉地、テーマパークなどがあり、さらに、伝統的な祭りも行われておりますので、こうした観光資源のさらなる活用に向けて、クルーズ船誘致に熱心な地元市などと連携し、クルーズ船誘致への取り組みを検討してまいりたいと考えております。
    次に、クールジャパン資源を活用した観光振興についてお答えいたします。
    外国人がクール、格好いいと感じる漫画、アニメなどのコンテンツ、日本食、伝統的工芸品などを観光資源として活用していくことは、外国人観光客数を増加させるために有効な手段であると認識しております。
    本県は、外務省、名古屋市、中部国際空港株式会社などとともに毎年夏に、日本のアニメやゲームのキャラクターに扮し、パフォーマンスを競う世界コスプレサミットを開催しております。
    世界から注目を浴びるこのサミットは、回を追うごとに参加国が増加し、ことしは二十六の国と地域から参加があり、観客も二十四万八千人と過去最高となっております。
    また、来年一月九日、十日には、愛・地球博記念公園において、今回で五回目となる総合ポップカルチャーイベント、ぽぷかる5を開催いたします。アーティスト、クリエーターの顕彰や自主作品コンテンツの展示、販売など、ポップカルチャーを活用した観光振興を図ってまいります。
    さらに、一昨年にユネスコ無形文化遺産に登録された和食は、世界的な人気を集めております。本県が誇るみそや酢といった醸造文化、この地域特有の食文化なごやめしなども、クールジャパン資源として高いポテンシャルがありますので、海外の観光説明会などにおいて、外国人に対して積極的にPRしているところであります。
    引き続き、外国人に十分知られていない本県が有するクールジャパン資源の発信に取り組み、外国人誘客につなげてまいりたいと考えております。
  • 20:◯振興部長(植田昌也君) 観光を支える二次交通の充実についてお尋ねをいただきました。
    この地域に人を呼び込むためには、人の円滑な移動を支える交通ネットワークの充実は重要な課題であると認識しております。
    特に、今後増加が予想される海外からの個人旅行者にとりましては、公共交通機関を利用しての移動が主流となるため、わかりやすく使いやすい公共交通機関で空港や主要駅から目的地を結ばなければ、ごく限られた場所にしか訪れていただけないことになります。
    このため、交通結節点での乗りかえ利便性の向上や多言語化を含めた情報提供、低額で複数の交通機関を何度でも利用できる共通カードの導入など、利用者目線に立った公共交通ネットワークの構築に向け、国、県、市町村、交通事業者等が連携して取り組むことが重要となってまいります。
    そこで、今年度は、本県の公共交通の実態について調査を行うとともに、空港及び鉄道駅からビジネス・観光拠点へのアクセス充実策の検討も進めております。
    こうした成果を来年度策定するあいち公共交通ビジョン(仮称)に位置づけるとともに、訪日客がストレスなしに県内各地を訪問できる公共交通体系を目指して、どのような方策があるのか、関係者ともどもしっかり検討してまいります。
    また、自家用車によるライドシェアにつきましては、バスやタクシーなどの公共交通機関が脆弱な地域において、観光客や高齢者の足としての効果が期待されております。
    現在、他地域において特区申請が行われていることから、その動向を注視し、規制改革が行われた場合には、当地域でも活用できるかどうか研究してまいりたいと考えております。
  • 21:◯産業労働部長(小山和久君) 訪日外国人観光客の誘致に関する商工会議所等の対応についてお答えいたします。
    訪日外国人観光客が急増する中、それを地域の活性化につなげるためには、地域に根づく中小企業、小規模事業者をサポートする商工会議所等の役割も重要であると認識しております。
    商工会議所等が中心となって外国人観光客誘致を進めている例としては、今年度、豊川商工会議所が豊川市内の四商工会とともに、セミナーや語学講座の開催、ホテル等へのヒアリングに基づく調査によるインバウンド促進事業を実施しており、県は、広域連携・合併支援事業として支援をしております。
    また、事業者からの個別の相談への対応については、昨年六月に開設したよろず支援拠点に観光振興の専門家を配置し、相談に対応しています。
    今後、さらに商工会議所等が無料で専門家を派遣する専門家派遣事業に観光振興の専門家を登録するなど、支援体制の強化を図ることを検討してまいります。
  • 22:◯二十二番(丹羽洋章君) それでは、幾つか要望させていただいて終わりたいと思います。
    まず、インフラ整備についてでありますが、大村知事は常々、東京一極集中をとめて日本一元気な愛知をつくると言われております。そんな中で、豊橋市を含めて、実は東三河はもう既に人口減少社会に突入しておりまして、一極集中の是正というのは、愛知県全体を見たときでもやはり同じことが言えるのではないかと思います。
    そこで、県全体がそれぞれ発展して、活性化していくように、地域の特色を生かしながら活性化できますように、特に東三河については、東三河振興ビジョンの着実な推進と必要な施策、必要な整備等を適切なタイミングで行っていただくことを要望いたします。
    また、観光振興についてでございますが、県内においても、無料Wi─Fiの設置ですとか、多言語での案内板、看板、そうしたものは早急に進めていただきたいと要望させていただきます。
    また、本県において観光をPRしていく国は、日本に四回以上訪れたことがあるリピーターが多い香港、台湾、タイなどにまず絞ってみるのも一つの手ではないかというふうに考えます。
    やはり初めて我が国を訪れる外国人は、東京、大阪、京都、富士山といったところに集中するのはいたし方ないとして、その次、二回目、三回目は愛知というふうに、日本に数回来ていただいているリピーターに焦点を合わせてPRをしていくのもよいのではないかというふうに考えるからでございます。
    また、来年、伊勢志摩サミットが開催されます。また、三河港においては、夏に海に関するさまざまなイベントが展開されます。海フェスタも開催されます。こうした機会を最大限に生かしていただいて、観光振興にもつなげていただくようにあわせて要望しまして、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━
  • 23:◯四十一番(石塚吾歩路君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  • 24:◯副議長(杉浦孝成君) 石塚吾歩路議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  • 25:◯副議長(杉浦孝成君) 御異議なしと認め、暫時休憩をいたします。
    午後零時休憩
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━
    午後一時十分開議
  • 26:◯議長(横井五六君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
    通告により質問を許可いたします。
    樹神義和議員。
    〔二十一番樹神義和君登壇〕(拍手)
  • 27:◯二十一番(樹神義和君) 豊田市選出の樹神でございます。
    通告に従い、持続可能な社会の実現に向けた本県の取り組み状況に関し、順次質問してまいります。
    さて、環境的側面、経済的側面、社会的側面が複雑にかかわっている現代において、健全で恵み豊かな環境を継承し、持続可能な社会を実現するためには、社会経済システムに環境配慮が織り込まれ、環境面から持続可能であると同時に、経済、社会面でも健全で持続的である必要があります。
    さらに、持続可能な社会を実現するためには、社会経済システム全体に環境配慮を織り込むだけではなく、それぞれの地域における自然、経済、社会等の特性に合わせた、多様で持続可能な地域づくりが不可欠であります。
    そもそも、この持続可能な社会という概念は、一九八四年に国連の中に設置された環境と開発に関する世界委員会が作成した報告書において明らかにされたものであり、それは世界に向けてのメッセージだったと言われております。
    ちなみに、この委員会は、一九八二年の国連環境計画管理理事会特別会合において、我が国が提案し設置が決まったことから、委員会の生みの親は日本であると言われております。
    そして、その後の一九九二年の環境と開発に関する国連会議、いわゆる地球サミットにおいて、持続可能な社会の構築を目指すアジェンダ21という国際行動計画が採択され、このアジェンダ21の第三十六章、教育、人々の認識、訓練の推進の中で、持続可能な開発のための教育の重要性とその取り組みの指針が盛り込まれました。
    このような教育と持続可能な開発に関する取り組みが世界的に行われる中で、持続可能な開発のための教育(ESD)の概念についての議論が深められ、国連持続可能な開発委員会において、ユネスコが中心となり、持続可能な開発のための教育のあり方について検討が進められ、二〇〇二年に開催された持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)では、我が国が国内NPOから提言を受け、持続可能な開発のための教育の十年を提案し、各国政府や国際機関の賛同を得て、持続可能な開発に関する世界首脳会議実施計画に盛り込まれることとなりました。
    このことを踏まえ、我が国より二〇〇二年の第五十七回国連総会に二〇〇五年からの十年間をESDの十年とする旨の決議案を提出し、満場一致で採択され、二〇〇三年の第五十八回国連総会、二〇〇四年の第五十九回国連総会においても、ESDの十年を推進するための決議案を提出し、それぞれ採択されたことから、これらの国連決議に基づき、ESDの十年の推進機関として指名されたユネスコにより国際実施計画が策定され、二〇〇五年より活動がスタートしました。
    くしくもこの二〇〇五年には、本県において、自然の叡智をテーマとし、百二十一カ国・四国際機関が参加した愛知万博が開催され、環境に配慮した会場づくり、環境負荷の少ない交通システムや新エネルギーの導入、企業や県民の自主的な参加による環境へのさまざまな取り組みが展開され、会期中の百八十五日間には二千二百万人が来場するなど、大成功をおさめました。
    また、本県では、生物多様性条約第十回締約国会議(COP10)の開催を愛知万博の理念と成果を発展させるための事業と位置づけ、名古屋市や経済界などとともに誘致活動を行った結果、愛知万博から五年後の二〇一〇年十月、COP10が愛知・名古屋で開催されたことにより、県民の環境に対する関心、意識を一層高めることにつながっただけではなく、COP10の開催地、そして名古屋議定書、愛知目標の誕生の地として、生物多様性の保全に先進的に取り組む地域として世界に名を広める契機となりました。
    そして、昨年の二〇一四年には、世界初の環境をテーマとした国際博覧会である愛知万博と生物多様性保全のための新たな世界目標である愛知目標が採択されたCOP10の開催という世界でも例のない経験を生かし、国連持続可能な開発のための教育の十年を総括する場として、ユネスコと日本政府の共催により、本県において持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議が開催され、国連ESDの十年の後継プログラムであるESDに関するグローバル・アクション・プログラムが正式に開始されるとともに、あいち・なごや宣言も採択され、今後もESDに継続して取り組んでいくことが確認されるなどの成果をおさめました。
    このように、持続可能な社会の実現に向けて、世界的な活動の中心として本県はこれまで歩んできたわけでありますが、ここで、私の地元である豊田市の取り組みについても、少し御紹介をさせていただきたいと思います。
    豊田市は、自動車産業を中心とした物づくりのまちでありながら、広大な森林を有する農山村と都市とが共生する特徴をあわせ持っており、活発な市民活動・強い経済活動と水と緑の低炭素社会が両立する持続可能なまちづくりに取り組んでおります。
    二〇〇九年には、豊田市の特徴と強みである交通、産業、森林の三つの分野に、市民のライフスタイルの変化につながる民生と先進環境技術の集約の場、国内外への情報発信の場所としての都心を加えた五つの分野を取り組みの柱に据えて、国から環境モデル都市の選定を受け事業を進めるとともに、二〇一〇年からは、交通と民生分野の取り組みを加速するために、新たに国から次世代エネルギー・社会システム実証地域の認定を受け、企業、団体の協力のもと、スマートコミュニティーの構築などにも取り組んでおります。
    そして、これらの活動が世界的に評価され、本年一月には、国連と豊田市の共催による「持続可能な都市に関するハイレベルシンポジウム~人と環境と技術の融合~」が豊田市において開催され、二十三の国と七国際機関から計二百五十名の参加のもと、さまざまな課題が話し合われ、その成果をまとめた持続可能な都市と都市化の影響に関する豊田宣言が取りまとめられました。
    以上、持続可能な社会の実現に向けた世界、愛知、豊田の活動について述べてまいりましたが、ESDユネスコ世界会議のあいち・なごや宣言、国連、豊田市共催のハイレベルシンポジウムにおける豊田宣言の内容を踏まえ、持続可能な社会の実現に関する県としての取り組みについて、大きくは四点について質問してまいります。
    まず初めに、地球温暖化対策に関する本県の取り組みについて伺いますが、昨今、地球温暖化に端を発すると思われる異常気象が全国各地において発生しております。
    本年も、台風十八号等の影響により関東地方と東北地方の広い範囲で大雨となり、茨城県常総市においては、鬼怒川の堤防が決壊したことによりとうとい命が失われるなど、甚大な被害が生じ、大きな爪跡を残しました。
    地球温暖化の進行は、このような大規模自然災害をもたらすのみならず、地球全体の生態系そのものへ多大な影響を及ぼすことから、自然災害に備えるだけではなく、地球温暖化に歯どめをかけることが人類の未来にとって重要であります。
    このような状況の中、現在、パリにおいて、国連気候変動枠組条約第二十一回締約国会議、いわゆるCOP21が開かれ、温室効果ガス排出削減に向けた新たな国際的な枠組みについて話し合われており、我が国も先進国の一員として、地球環境問題の解決に向け尽力しているところでありますが、過去を振り返ってみますと、我が国は、一九九七年のCOP3で合意された京都議定書において、二〇〇八年度から二〇一二年度までの第一約束期間に一九九〇年度比で温室効果ガスを六%削減する約束をしました。
    しかしながら、国が発表している我が国の温室効果ガス削減の状況を見ますと、京都議定書の基準年度である一九九〇年に対して二〇一二年度においては六・五%の増加、二〇一三年度においては一〇・八%の増加とむしろ増加傾向にあります。
    本県においては、国の削減目標を受け、二〇一二年二月に、二〇二〇年度を目標とするあいち地球温暖化防止戦略二〇二〇を策定しましたが、この戦略では、環境首都あいちとして、二〇五〇年ごろに持続可能な低炭素社会をつくることを長期的な目標とし、二〇二〇年度の温室効果ガス排出量を一九九〇年度比で一五%削減するという意欲的な目標を掲げて取り組みを進めており、計画策定から四年が経過しようとしています。
    そこでお尋ねしますが、本県における温室効果ガス削減目標の達成状況について、現状どのようになっているのかを伺います。
    次に、目標達成に向けてどのような課題があるのか、また、その課題を踏まえ、今後どのように取り組んでいかれるのかについて伺います。
    あわせて、地球温暖化対策としてのグリーン・イノベーション、環境・エネルギー分野での技術革新支援についても伺いますが、物づくり産業の厚い集積を有する本県の高いポテンシャルを生かして、県は、あいち産業労働ビジョン二〇一一─二〇一五において、新エネルギー関連産業を次世代成長産業と位置づけ、その育成、振興を施策の柱の一つとしています。
    その具体的施策としては、中部臨空都市に設置したあいち臨空新エネルギー実証研究エリアにおける実証研究の推進を初め、愛知県新エネルギー産業協議会を通じて、新エネルギー関連の課題別研究会活動やコーディネーターによる企業支援の実施や、県内における新エネルギーに関する先進的な取り組みを全県的に波及させる取り組み、さらには、次代の担い手づくりを目的とした人材育成を行うなど、これまで成果を上げてこられました。
    しかしながら、現行のあいち産業労働ビジョン二〇一一─二〇一五は今年度が最終年度となり、次期産業労働ビジョンが現在策定中でありますが、グリーン・イノベーションの推進は、地球温暖化対策としてだけではなく産業政策としても大変重要であり、次期ビジョンにおいてもしっかりと位置づけしていく必要があると考えます。
    そこでお尋ねしますが、まず初めに、環境・エネルギー分野の産業振興における県としての現状の課題認識についてお示しください。
    また、その課題解決に向けて、グリーン・イノベーションの推進に向けた環境・エネルギー分野の産業振興を次期産業労働ビジョンにどのように位置づけ、どのように取り組んでいくつもりなのかも伺います。
    続きまして、持続可能な社会の実現に向けた森林・林業のあり方について伺います。
    さて、森林の機能とは何でしょうか。
    現在では、気候変動への影響、生物多様性の損失といった問題が大きく取り上げられ、この点での森林の役割がクローズアップされていますが、このほかにも、木材や食べ物などの生産機能はもちろん、水源の涵養や土砂災害の防止、レクリエーションの場の提供など、森林には多種多様な機能があり、持続可能な社会の実現において、森林整備や林業の振興は必要不可欠であります。
    しかしながら、生活様式の変化等による森林と人との関係の希薄化や、輸入木材の増加による木材価格の長期低迷などにより手入れ不足の森林が全国的に増加をし、本来、森林が持つ多面的機能の低下が危惧されております。
    このような状況を受け、本県においては、森と緑の持つさまざまな公益的機能の発揮のため、平成二十一年度からあいち森と緑づくり税を導入し、その税収等により整備が困難な奥地や作業が困難な公道、河川沿いの人工林を初めとする森林のみならず、里山林、都市の緑の整備保全に努め、特に、本県森林面積の約六割を占める人工林整備については、平成二十六年度までで計画を上回る約八千五百ヘクタールの間伐に寄与するなど、大きな成果をおさめられたわけでありますが、一方で、今年度で計画最終年度を迎える食と緑の基本計画二〇一五で掲げた間伐の実施による多面的機能を発揮させる森林面積、五年間で二万六千ヘクタールは未達となる見通しであるなど、森林整備は必ずしも順調に進んでいるとは言えないのが実情であります。
    そこでお尋ねしますが、森林が有する多面的機能の適切かつ十分な発揮に向けて、間伐事業を初めとする森林整備に継続して取り組む必要があると考えますが、今後どのように取り組んでいかれる予定であるか、伺います。
    また、林業の動き二〇一五によると、本県の杉、ヒノキなどの人工林は、樹齢四十五年を超える主伐対象面積が全国平均五二・一%に対し七六・一%と大きく、森林資源の成熟が他県と比較して進んでおり、間伐のみならず主伐もこれまで以上に推進する必要があると考えます。
    このため、切る、植える、育てるの循環を効率的に行う林業を実現させるとともに、県産木材の生産から供給までの一貫した流通加工体制の強化が必要と考えますが、県としてどのように取り組んでいかれる予定であるか、伺います。
    続きまして、持続可能な社会の実現に向けた都市づくりについて伺います。
    我が国では、戦後、人口増加等を背景に急激な都市化が進展しましたが、その一方で、我が国の都市では、その都市構造の特徴として、低密度の市街地が郊外に薄く広がっていく市街地の拡散が進みました。
    その結果、総務省及び国土交通省の調査によれば、都市内部におけるビルや住宅、商店が立ち並んでいる都市的地域をあらわす人口集中地区の人口密度は、特に地方圏において直近に至るまで低下し続け、市街地の拡散の度合いが大きくなっている都市は道路の整備が進んでいる傾向にあります。こうした拡散型の市街地を有する都市は、集約型の都市に比べ、道路や上下水道などの社会インフラの建設、維持管理、更新費用、廃棄物処理施設の収集運搬費用等がより多く必要になるため、行政コスト増加の一因となっていると考えられます。
    さらに、今後、市街地が拡散したまま人口が減少していけば、インフラの維持管理費用などの一人当たりの行政コストはさらに増加するおそれがあります。
    また、経済面では、市街地の拡散により、いわゆるロードサイド型店舗など郊外型店舗の売上比率が高くなる一方、中心市街地の売り上げが低下し、中心市街地の衰退が進んでおり、社会面では、拡散型の市街地を有する都市においては自動車への依存度が高くなっていますが、高齢化の進展に伴い、自動車の運転が困難になる人々がふえているにもかかわらず、地方圏では、平成二十五年度に地域鉄道の七四%、民間の乗り合いバス事業者の七一%が赤字となっており、路線廃止が増加しています。
    この結果、高齢者の外出手段がさらに限られ、いわゆる買い物弱者の増加等が社会問題化しています。
    これに加え、自動車への依存度が高くなると運動量が減少することにより健康にも影響を及ぼす可能性があり、自動車分担率が高い都市は、介護保険法に基づく重い介護の認定、要介護三以上を受けた人の割合が高くなっているとの調査結果も示されています。
    こうした諸問題に対応するためには、経済情勢や社会情勢の変化に応じた持続可能な都市構造への再構築が必要であり、その方策として考えられるのがコンパクトシティーであると言われております。
    では、このコンパクトシティーとはどのようなものであるのか、少し紹介させていただきますが、これは都市の中心部に住宅や公共施設、商業施設などさまざまな機能を集約し、徒歩や自転車で移動できる程度のコンパクトな規模に市街地をおさめる都市形態のことであり、これまでの郊外へ向かって膨張する都市構造から中心拠点へ集約した都市構造への転換であり、人口が減少しても都市機能や地域の活力が維持できることを目的とした都市構造のことであります。
    我が愛知県は、十月末に策定された人口ビジョンでも示されているように、国全体が人口減少社会に陥っている中にあっても、現在、人口増加を続ける数少ない県となっているものの、二〇二〇年にはピークを迎え、本県もいよいよ人口減少社会へと突入していくわけでありますが、そのような中にあって、都市機能や地域の活力の維持に向けて、県内主要都市のコンパクトシティー化は必要不可欠であると考えます。
    しかしながら、コンパクトシティー化に先行して取り組んだ都市が幾つかあるものの、残念ながら順調にもくろみどおりの成果を上げているところは少なく、逆にコンパクトシティー化のために新たな公共投資をして、かえって財政が悪化したとの話も聞かれます。
    そこでお尋ねしますが、来るべき人口減少社会において、都市機能や地域の活力の維持に向けて、今後どのように都市づくりに取り組んでいかれるのか、伺います。
    最後に、持続可能な社会の実現に向け、ESD(持続可能な開発のための教育)への取り組みを含む県としての県民意識の高揚と各種活動支援に向けた取り組み施策について伺います。
    今回の質問では、持続可能な社会の実現に向けた地球温暖化対策、森林・林業のあり方、都市づくりと大きく三点について伺ってまいりましたが、ESDとは、私たちの暮らしの中にある環境、貧困、平和、人権、国際理解、多文化共生、防災など、さまざまな課題を自分の課題として捉え、みんなで意見を出し合いながら学んだりしていくこと、そして、ただ考えるだけではなく、身近なところから課題の解決につながる行動を起こし、みんなで新たな価値観や持続可能な社会をつくっていくことを目指す学習や活動のことであると言われております。
    したがって、持続可能な社会の実現のためには、ESDを核とする各種取り組みを継続的に実施することが必要不可欠でありますが、本年十月に策定された愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略では、環境首都あいちを支える担い手の育成として、愛知万博やCOP10、さらに、ESDユネスコ世界会議の成功を経て、環境に対する県民の意識が高まる中、環境面から持続可能な社会を支える人づくりを幅広い年代層を対象に推進するとの記載がされているものの、県としての取り組みが必ずしも十分でないと感じるのは私だけではないと思います。
    そこで、我が愛知県と同じくESDユネスコ世界会議を開催した岡山市にお邪魔をし、その後の取り組み等について伺ってまいりましたが、岡山市においては、世界会議開催を機に、二〇〇五年に組織されていた岡山ESD推進協議会の運営体制を見直し、新たに岡山県、大学、高校、公民館、企業などの連合組織が参加し、今までの取り組みの成果と課題をもとに、これからのESDの取り組みを岡山ESDプロジェクト二〇一五─二〇一九基本構想にまとめ、公民館を中心とした地域コミュニティーに根差したESDの推進、拡大など、八項目についての取り組みを協働で進めているとのことであり、我が愛知においても、ESDユネスコ世界会議を成功に導いた熱意を風化させぬためにも、これまで以上の取り組みが必要であると感じました。
    そこでお尋ねしますが、持続可能な社会の実現に向け、ESDの推進体制は現在どのようになっているのか、また、世界会議開催から既に一年が経過いたしましたが、県民意識の高揚と各種活動支援に向け、この間の主な活動実績とその成果について伺います。
    また、持続可能な社会の実現に向けては、各施策に継続的に取り組んでいくことが必要と考えますが、県として今後どのように取り組まれていかれる予定であるのか、伺います。
    以上、持続可能な社会の実現に向け、大きくは四点について伺ってまいりましたが、前向きな答弁を期待しまして、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
  • 28:◯環境部長(杉浦健二君) 初めに、地球温暖化対策に関するお尋ねのうち、まず、本県における温室効果ガスの削減目標の達成状況についてお答えいたします。
    二〇一二年二月に策定いたしましたあいち地球温暖化防止戦略二〇二〇では、本県の温室効果ガスの削減について、一九九〇年度の排出量七千七百一万トンから二〇二〇年度に一五%削減することを目標とし、取り組みを進めております。
    本県の排出量は、二〇〇七年度までは増加傾向にございましたが、二〇〇八年度以降はリーマンショックの影響もあり減少しました。しかし、二〇一一年度以降、景気の回復や東日本大震災の影響により火力発電への依存が増したことから再び増加し、最新のデータである二〇一二年度の排出量は七千七百四十一万トンで、一九九〇年度と比較すると〇・五%の増加となっております。
    二〇一二年度の排出状況を産業、運輸、家庭、業務の四つの部門に分けてみますと、まず産業部門は、工場などの合理化、省エネ化が進んだことなどから排出量は一九九〇年度比で七・四%の減少となっております。
    また、運輸部門は、乗用車やトラックなどのエコカーへの買いかえが進んだことなどから排出量は〇・四%の減少となっております。
    しかしながら、家庭部門におきましては、核家族化が進み世帯数が一九九〇年度比で三六%もふえたことや、エアコンやパソコンなど多様な家電機器の普及が進んだことなどによって排出量は一九・七%の増加となっております。
    また、業務部門では、オフィスビルの建設や大型店舗の進出が相次ぎ、コンビニの店舗数も大幅にふえたことなどにより排出量は一三・九%の増加となっております。このように、温室効果ガス削減の目標は現状では達成が厳しい状況にございます。
    次に、削減目標の達成に向けた課題と取り組みですが、ただいま申し上げたとおり、家庭部門と業務部門の増加が顕著であることから、特にこの二つの部門で減少させることが課題であると考えております。
    そこで、まず家庭部門につきましては、これまで本県では、住宅用の太陽光発電設備に対して市町村と協調補助を行い、その設置基数は全国一の約十三万基となっております。温室効果ガス削減に一定の役割を果たしているものと考えておりますが、さらに今年度から、家庭用のエネルギー管理システム(HEMS)や蓄電池、燃料電池、電気自動車等充給電設備を新たに補助対象としており、家庭における創エネ、省エネ、蓄エネ設備の普及に取り組んでまいります。
    また、業務部門に対しては、年間のエネルギー使用量が原油換算で千五百キロリットル以上の事業者から定期的に地球温暖化対策計画書及びその実施状況報告書を提出いただき、公表することにより排出量削減を促しております。
    また、県内に、金融機関などに御協力いただき千五百カ所を超える窓口を設け、無料の省エネ相談を実施し、中小事業者などに省エネの取り組みを働きかけております。
    今後につきましては、電力と熱を同時に供給するコージェネレーションなどによって、地域ぐるみでエネルギーの効率利用を図る手法などについても検討してまいりたいと考えております。
    また、現在パリで開かれているCOP21で日本政府は、二〇三〇年度に二〇一三年度比で二六%の温室効果ガスを削減するとの方針を示しており、今後本県としても、このような国の方針を受けて対応を検討してまいりたいと考えております。
    次に、持続可能な社会の実現に向けた県民意識の高揚と各種活動支援についてお答えをいたします。
    初めに、ESDの推進体制についてでございます。
    本県におけるESDの推進につきましては、昨年のESDユネスコ世界会議の開催を契機として、県内の全ての市町村を初め、大学、学校、NPO、企業など、多様な主体がさまざまな分野でそれぞれの立場から積極的に取り組んでおります。
    例えば日進市では、市民団体と協働でにっしんESD普及啓発事業を実施しており、さまざまな世代の市民が生物多様性保全や地球温暖化防止、防災など、多様な分野のイベントに参加することにより、持続可能な社会に向けみずから行動できる人材を育成しています。
    また、中部大学と名古屋大学の総長が代表を務める中部ESD拠点では、大学、行政、NPO、企業など約八十団体が集まり、社会の発展と持続可能性を追求する人材育成の取り組みとして、ESDユネスコ世界会議において提案した伊勢・三河湾流域圏ESDモデルを発展させ、具体化する活動に取り組んでおられます。
    さらに、学校教育においてESD推進拠点となっているユネスコスクールにつきましては、世界会議の開催をきっかけに、世界会議誘致決定前に県内で二校であった加盟校が現在は百六十校と全国一の規模となっています。今年度は、県教育委員会の主催でユネスコスクール交流会が十月に開催され、小学生から高校生までの未来を担う子供たちが持続可能な社会づくりの重要性を学び合いました。
    県といたしましては、こうした多様な主体により県内各地においてさまざまなテーマで展開されているESDの取り組みが今後とも継続され、広がることが重要と考えており、情報交流の場を提供するネットワークづくりや団体間の交流促進につながる県民参加型のイベントの開催などに努めているところでございます。
    次に、活動実績とその成果についてでございます。
    県では、愛知万博、COP10、ESDユネスコ世界会議を通して、県民の皆様に育まれ、広まりつつある高い環境意識を生かしながら、持続可能な社会の実現を図るための環境配慮行動、いわゆるエコアクションの促進を図ってまいりました。
    具体的には、参加型イベント、Let’sエコアクションin AICHIを本年二月と十一月に名古屋市内で開催し、合わせて約五万人の皆様に御参加いただきました。このイベントでは、ブース出展やステージイベントなどにおいて、市町村、大学、NPO、企業など、ESDに取り組んでいる多様な主体の皆様にそれぞれの取り組みを発表していただき、多くの県民の皆様に活動への参加を呼びかけました。
    また、活動情報を投稿したり、情報交流ができるウエブサイト、エコリンクあいちをことし一月から本格的に運用開始いたしました。いただいた投稿の中には、海岸のクリーンアップ活動など、多くの方に参加を呼びかけるイベントも数多くあります。活動に参加された方々からもその感想などが投稿されており、このウエブサイトにより活動の輪が広まっていることがうかがわれます。
    さらに、ことし、愛知万博十周年の節目に当たり、自然の叡智に学ぶことの大切さを県民の皆様に改めて思い起こしていただくため、十月に世界六カ国の方々をお招きし、インタープリター愛・地球ミーティングを開催しました。国内のインタープリターや環境教育などに取り組むNPO、企業、教育関係者や県民の皆様約八千人の参加を得て、活発な意見交換や交流が行われ、地球環境や自然の大切さを考え行動する人づくりに向けたメッセージを発信いたしました。
    最後に、今後の取り組みについてでございます。
    ESDユネスコ世界会議の成果であるあいち・なごや宣言では、ユース世代を重要なステークホルダーとして巻き込み、育成を強化することなど、若い世代の人づくりの重要性がうたわれました。
    また、ESD世界会議の開催に当たっては、愛知学長懇話会が主催したESD大学生リレーシンポジウムを初め、併催イベントでのブース出展やステージ発表、会議場内での運営補助や交通案内を行うボランティアなどにおいて、大学生が大いに活躍し、その成功に大きく寄与したところでございます。
    県といたしましては、こうした若い世代の人たちを育てていくため、今年度から、持続可能な社会の担い手となる人づくりプログラムとして、かがやけ☆あいちサスティナ研究所を立ち上げました。今年度は、県内の十三の大学から二十名の大学生が参加し、先進的な取り組みを進めている企業五社の課題に対し、現場での調査研究やディスカッションが行われました。その成果発表では、学生ならではの意欲的な解決策が提案され、企業からは、ぜひとも実現に取り組みたいなど高い評価を得たところでございます。
    今後につきましては、こうした大学や企業と一体となった取り組みをさらに充実させるとともに、活動発表や情報交流の場を提供するなど、引き続き市町村やNPOなど多様な主体を巻き込みながら、地域を挙げて人づくりのネットワークが大きく広がるよう取り組んでまいります。
  • 29:◯産業労働部長(小山和久君) まず、環境・エネルギー分野の産業振興における現状の課題認識についてお答えいたします。
    世界的な人口増加や新興国の経済発展に伴い、資源・エネルギーの需給逼迫や環境への負荷拡大が懸念されている中、活発な産業活動を展開する当地域にとっては、安定的かつ持続可能なエネルギーの確保は不可欠であります。
    加えて、環境・エネルギー産業分野は、社会課題を解決する内需型産業として、国内においても今後大きな需要拡大が見込まれることから、エネルギー供給の多様化の実現は、産業面、環境面の両面から当地域にとって重要かつ喫緊の課題であると考えております。
    続いて、環境・エネルギー分野における産業振興の次期産業労働ビジョンへの位置づけと取り組みについてでございます。
    現在策定中のビジョンの中では、水素エネルギーを活用したスマートコミュニティーの形成を新たな視点として加えた上で、環境・新エネルギーの産業振興を内需型産業の主要な柱の一つとして位置づけております。
    具体的な取り組みとしては、知の拠点あいちでの新エネルギー実証研究エリア事業の実施や、水素エネルギー社会形成研究会における産学行政連携による水素エネルギーを利活用したプロジェクトの推進などを掲げており、引き続き環境・新エネルギー分野の産業振興にしっかりと取り組んでまいります。
  • 30:◯農林水産部農林基盤局長(山本信介君) 私からは、持続可能な社会の実現に向けた森林・林業のあり方についてのお尋ねのうち、まず、間伐事業を初めとする森林整備の継続的な取り組みについてお答えいたします。
    森林が有する水源涵養や県土の保全などの多面的機能を十分に発揮させるためには、森林の適切な整備が極めて重要な施策であると認識しております。
    間伐につきましては、平成二十七年度までの五年間で二万六千ヘクタールの目標に対し、平成二十六年度までの四年間では一万七千百三ヘクタールを実施してまいりましたが、今後これまでにも増して間伐の推進に取り組んでいく必要があると考えております。
    このため、今後さらなる機械化や複数の事業地をまとめた集約化を促進することで、より採算性の高い間伐の普及に努めてまいります。あわせて、効率的な間伐を推進するために必要な林道や作業道の整備についても促進してまいります。
    また、これら事業の着実な実施のため、国に対して森林整備関係予算が十分に確保されるよう強く働きかけを行ってまいります。
    さらに、地域の皆様から高い評価をいただいております県独自の取り組みでありますあいち森と緑づくり事業により、所有者の努力では整備が困難な奥地や公道沿いでの間伐を引き続き推進するとともに、市町村とも連携を図りながら、総合的かつ継続的に森林整備を進めてまいります。
    次に、切る、植える、育てるといった循環型林業の実現と県産木材の流通加工体制の強化についてでございます。
    現在、本県の林業は、間伐を主体として年間約十二万立方メートルの丸太を生産しておりますが、杉、ヒノキの人工林の多くは植栽後四十五年を超え、いよいよ主伐も可能となっております。こうした中、平成三十年度に豊田市内で年間三万から五万立方メートルの丸太を消費する大型製材工場の操業が予定されております。木材資源の充実期を迎える中、こうした丸太の新たな供給先ができることは、木材生産量を増大させる絶好の機会と捉えており、主伐による木材生産に取り組んでまいりたいと考えております。
    しかしながら、主伐の後には苗木を植栽し、かつこれを鹿やウサギの被害から守らなければならず、こうした対策を含めた経費を抑えることで経営として成り立たせる必要があります。
    こうしたことから、今年度、豊田市と豊根村の二カ所で高性能林業機械のさらなる活用と獣害防護ネットの設置を組み合わせ、経費削減に向けた実証調査を行っているところでございます。今後は、得られた成果をもとに、伐採し植栽して育てる循環型林業の普及に向けて取り組んでまいります。
    また、流通加工体制の強化のため、現在、県や生産者、流通事業者等で構成している協議会に、新たに加工を担う製材工場にも御参加いただき、必要となる丸太の規格や数量の情報を共有するなど、生産から供給までの一貫した体制の強化に努めてまいります。
    こうした新たな取り組みを通じまして、本県林業のさらなる振興を図ってまいります。
  • 31:◯建設部長(市川育夫君) 持続可能な社会の実現に向けた都市づくりについてお尋ねをいただきました。
    我が国では、二〇〇八年をピークに人口減少の局面に入っており、二〇五〇年には人口が一億人を割り込むものと推計されております。昨年七月に国において策定された国土のグランドデザイン二〇五〇では、このような急激な人口減少や高齢化の進展などの制約下においても、社会経済の活力を維持、増進していくためには、コンパクト・プラス・ネットワークが今後の地域づくりの基本的方向となるものと位置づけられております。
    また、昨年八月に施行された改正都市再生特別措置法では、人口減少の中にあっても、一定のエリアにおいて人口密度と生活サービスが維持されるよう、居住や都市機能を誘導すべき区域などを定める立地適正化計画が制度化されたところであります。
    本県においては、二〇二〇年ごろに人口のピークを迎え、その後、緩やかに減少するものと推計しており、あいちビジョン二〇二〇にも、主要駅周辺の中心市街地などにおける都市機能の集積とともに、都市間、地域間が公共交通などにより結ばれた多角連携型の集約型まちづくりを主要な政策に位置づけております。
    こうした中、市町村ごとに見ますと、既に人口減少が進行している市町村や、当面の間、人口が増加するものの、高齢者が急速に増加する市町村など、県内においても地域ごとに大きな差異があり、集約型まちづくりを進めるためには、人口構造や都市基盤整備の状況など、地域特性をしっかり把握する必要があると考えております。
    そこで、現在、県内の都市計画区域において、人口分布、鉄道や道路の整備状況、商業施設、病院を初めとする都市機能の立地などの詳細なデータを活用し、地域ごとの現在及び将来における生活のしやすさなどに関する課題を把握した上で、本県独自の集約型まちづくりをどのように進めるかについて、学識経験者の助言を受けながら検討を進めているところであります。
    この検討結果をもとに、市町村が立地適正化計画を作成する際に技術的支援を行うとともに、都市計画区域ごとの将来の都市像などを示すマスタープランの改定につなげ、市町村との連携を図りながら、人口減少・超高齢化社会においても持続可能な都市づくりを推進していきたいと考えております。
  • 32:◯二十一番(樹神義和君) それぞれ御答弁をいただきましたけれども、一点要望させていただきたいと思います。
    今回、持続可能な社会の実現に向けて、地球温暖化対策、森林・林業のあり方、都市づくり、そして県民意識の高揚と各種活動支援と大きく四点について質問をさせていただきましたけれども、それぞれ課題はあるものの、県として前向きに取り組んでいることが確認できました。
    しかしながら、持続可能な社会の実現に向けては、質問の中でも申し上げたとおり、四項目以外にも、私たちの暮らしの中にある環境や貧困、平和、人権、国際理解とか、さまざまなことが複雑に絡み合い、これら全てを克服しなければ真の持続可能な社会の実現はあり得ないと思っております。
    そのようなことから、今回、ESDの推進体制についても確認をさせていただきましたけれども、答弁では、昨年のESDユネスコ世界会議開催を契機として、県内全ての市町村、大学、学校、NPO、企業など、さまざまな主体がさまざまな分野でそれぞれの立場で積極的に取り組んでいるということでありましたけれども、確かにこれらの各主体が自主的で積極的に取り組んでいくことは大変重要と考えますが、ESD推進に対する責任所在が非常に不明確であることから、ややもすると各主体の横同士の連携が希薄となったり、ESD本来の目的である環境、経済、社会の総合的な発展という概念が意識されず、活動が縮小化していくのではないかというふうに感じております。そのため、県庁内それぞれの部署が各主体を今後もサポートしていくことは当然ではありますけれども、それと同時に、県としてのESD推進に関する責任所在を明確にし、計画性を持って取り組んでいくことが必要と考えます。
    したがって、例えば、県庁内に新たにESD推進室を設置するなどして、まずは県としての推進体制を確立し、その部署が司令塔となってESDに取り組んでいかれることを要望し、私の質問を終わります。
  • 33:◯議長(横井五六君) 進行いたします。
    〔六十九番石井芳樹君登壇〕(拍手)
  • 34:◯六十九番(石井芳樹君) それでは、過日提出しました通告書に従い、二項目について順次質問をさせていただきます。
    一項目め、ロボット産業の振興についてであります。
    我が国は、産業用ロボットの年間出荷額、国内稼働台数ともに世界一であり、名実ともにロボット大国と言われて久しいところであります。
    しかしながら、欧米では、付加価値を高めたデジタル化、ネットワーク化を用いた新たな生産システムを成長の鍵としたイノベーションが起こり、また、従来優位であった産業用ロボット分野においても、新興国ではロボットへの投資を一層加速させる中で、中国では既に産業ロボットの年間導入台数で日中が逆転している現状下であります。
    これを受けて、我が国では、日本再興戦略二〇一五の中で、向こう五年間をロボット革命への集中・実行期間と位置づけ、官民で総額一千億円のロボット関連プロジェクトへの投資を行うことを決定し、ロボット市場を現状の六千億円から二・四兆円へ引き上げていくことを目指す方針を定めたところであります。
    その中、本県においては、現在、ロボット製造業出荷額は全国シェアの約二五%を占め、事業所数、従業員数はいずれも国内一位であります。
    しかしながら、今後、国の施策の転換によって大きく変わり行くロボット産業の中で、大きな成長が期待をされるサービス用ロボット分野への進出も含め、地域間競争に打ち勝っていかなければいけないと思うところであります。
    そこで、これらの諸課題を共通認識として、その解決策を探るため、事前に幾度となく国内調査及び勉強会等を積み重ね、さらなる調査を必要とした鈴木孝昌団長を初めとする精鋭十四名によって北米視察団を組織し、十月十八日から二十五日まで八日間において、ロボットイノベーションの先進地でありますサンフランシスコへ視察に行ってまいりました。
    ここでは、先ほど前述しました久野議員の航空宇宙産業にかかわる諸課題については、重複を避けるため割愛をさせていただきたいと思います。
    まずは行程であります。
    ロボットに関する調査に当たっては、調査日程も折り返しに入った十月二十一日、シアトルからサンフランシスコの地に移ってからロボット関連の調査が本格的に始まりました。サンフランシスコ到着後、ロボット産業について、サンフランシスコ日本国総領事並びに同領事館経済担当領事から聞き取り調査を行いました。
    そこでは、進化するロボット技術に対しての法の規制の問題、日米の大学教育の違い、資金集めとしてのベンチャーキャピタルの存在、そしてシリコンバレーが目指すロボットについてなどの聞き取り調査を行いました。
    翌二十二日、ロボット調査としては夕方からジェトロサンフランシスコに移動し、NEDOシリコンバレー事務所次長からアメリカ国内でのシリコンバレーの位置づけと現状、ロボット産業のトレンド、各種サービスロボット実践例等についての調査を行いました。
    そして、視察最終日の二十三日は、企業回りの日と位置づけ、午前中は非営利団体シリコンバレー・ロボティクスを訪問し、SRIインターナショナルの商品開発ディレクターからスタートアップの育成、さまざまな企業でのロボット開発の取り組み、会社概要並びにそのシステムについての調査を行い、午後からはアップルの初代マウスをデザインしたIDEO社に移り、デザインシンキングという考え方やゼロから一をつくるためには、ニーズからさかのぼり物をつくっていくという思考法や、ロボットに関して新たなアイデアやイノベーションを生み出す方法論等について、聞き取り調査を行ったところであります。
    以上が大まかでありますが、我々が行った視察の行程であります。
    その中、視察全体を通じて感じるのは、どのロボット分野の育成を目指すかによっておのずと道は異なり、今後、国が力を入れ、多くの需要が見込まれるサービス分野のロボットにおいては、本県はまさに今始まったばかりであり、考えていかなければならないこと、整備していかなければならないこと等が多数あり、シリコンバレー風に言うならば、スタートアップ状態に本県はあります。
    そのシリコンバレーでは、歴史と蓄積された知識と経験のもとで、さまざまな人材とアイデア、豊富な資金によってロボットの概念、もっと言えば、物の価値すら変えようとする試みが日々実証されており、一概には本県でできる容量とは合わないところは多々ございますが、その中であって、これからのロボット産業振興において愛知が常にゼロ地点となり、どんな会社でも一度はここを通過するシステムをつくっていくことが真に第三の本県を支える柱へとつながるものだという思いの中で、この視察で感じたものを含め五つの分野に分けて質問をさせていただきたいと思います。
    一点目、我々が訪れたシリコンバレー・ロボティクスは、多数のロボット産業会社の集まる拠点であり、同時に新たな関連会社を生み出す非営利法人でもあります。そして、その活性化施策として常に四つの活動を行っておりました。
    一つ目は、投資関係者に対してロボット産業に参入したい企業がプレゼンテーションを行う場の提供を行い、資金確保に努めておりました。
    二つ目は、ロボットの展示イベントを開催することによって、情報収集はもちろんのこと、会社同士の人的交流や一般の方々やメディアに対しても興味を引くきっかけづくりの場を提供しておりました。
    三つ目は、ロボット関係者以外の人たちに向けた講演会でロボット産業の裾野を広げることに努めるのとともに、四つ目は、スタートアップ関係者同士が交流の場を持つことにより、技術と情報を結ぶ役割を担っておりました。
    本県でも、ロボット振興策として、あいちロボット産業クラスター推進協議会を立ち上げ、三つのワーキンググループを設立し、ロボット産業の集積を促進しております。
    また、国立長寿医療研究センター内にあいちサービスロボット実用化支援センターを開設し、医療、介護を初めとするサービス分野のロボットの実用化、普及に向けて支援を行っているところであります。
    しかしながら、本県と同じような役割を担うロボティクスの視察で感じたのは、成熟度が増せば増すほど新たな問題が発生してくると予想されることであります。
    ロボットはイノベーション産業であるため、つくられたその成果物は時に旧薬事法、電波法、道路交通法、医師法等の法の規制を越えていかなければなりません。また、実用化に当たっても、特許の申請などの総合的なプランナーが必要になってくると思うところであります。
    あわせて、開発の資金集めや参加企業の技術と技術を組み合わせる専門コーディネーター等も必要になってくると考えますが、商品実用化に向けては、これらのハードルを越えるための行政のサポートは必須であると思われる中で、以上のようなシステムづくりをどう考え、構築していくのか、今後の協議会の展望についてお伺いをさせていただきます。
    二点目、災害用ロボットの第一人者である京都大学の松野教授の言葉によれば、ロボットはいずれ消えていき、製品の中に入っていくとおっしゃっておりました。
    我々が視察を行ったシリコンバレーでは、ハードで進化が出せる余地とソフトで進化が出せる余地の差に着目し、複雑なロボットはつくられておりませんでした。そのかわり、簡易なロボットを組み合わせて複合的にもっと便利に、もっと高度なことが行えるような研究が各所でなされておりました。IoTの言葉に代表されるように、世の中に存在するさまざまな物体に通信機能を持たせ、インターネットに接続し、相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うことを目指した研究が特に目についたところであります。
    ジェトロサンフランシスコの調査においても、視察団からの介護ロボットの開発についての質問に対し、介護ロボットは、個々のユーザーとのマッチングが難しく、マーケットの需要はそれほど大きくないとの回答の中、ロボットを売るのは難しいが、汎用性のあるロボットを使ったサービスを売ることに力を各社注いでいるとのことでした。
    例えば、ドローンは手段であり、それを使用し、農業の高度化を図るソフトを作成したり、スマートホームのような家電と家電を結びつけるインターフェースを作成するようなソフトづくりを行っているとのことでありました。
    また、事前の調査で訪れたソフトバンク社においても、ロボットが精巧になればなるほど動きを正確に指示できる賢い頭が必要になってくる、賢いソフトとコアになるハードが一体となってロボットの役割を果たし、その経過の中で、近い未来には賢い頭脳は一極化されてくると考えられており、だからこそペッパーというロボットを通じて世界に先んじるために、日本初のインターフェースとしてのAIクラウドのプラットホーム作成に力を入れているという言葉を改めて思い起こしたところであります。
    我々日本人は、ともするとロボットといえばドラえもん、鉄腕アトムなどの一体型で全てが行える人型完結ロボットを想像しがちでありますが、シリコンバレーでは、掃除は掃除、料理は料理と分野分野でのロボットとロボットのネットワークを通じて一体化させていくことがロボットの概念であるということを改めて認識する中で、本県でも、AIを含めたソフト部門の開発も同時に手がけていかなければならないと思いますが、その御所見をお伺いします。
    三点目、今後は成果物の精度と安全性を高めるためにも、実証評価と安全評価の仕組みづくりが必要になってくると思われます。
    本県では、これまで実証実験の場として愛・地球博記念公園を提供してきましたが、新たに本年九月に名古屋港南五区を、十一月には矢作川浄化センターを無人飛行機ロボット実証実験場として協議会の会員に提供を行い、実証評価に努めているところであります。
    その一方で、作成された成果物に対して検証を繰り返し、このロボットが安全であると認定する安全評価に関しての基準を示した仕組みづくりを考えていかなければなりません。
    例えば、つくばにある生活支援ロボット安全検証センターのような機能を備えた施設も今後必要になってくると思われる中で、本県では、安全評価についてはどのような施策を講じていくつもりなのか、お伺いをいたします。
    あわせて、アメリカ・シリコンバレーのホテルチェーンで採用されているサービスロボットでは、障害物を避けながらホテル内を移動し、違う階に移動する際にはWi─Fiや4G回線を通じてエレベーターを呼び出し、違う階におりてアメニティー等を届けるルームサービス用ロボットが活躍しております。
    国に準じてサービス用ロボットの需要を喚起するためには、室内での実証評価の場も必要となってくると考えます。
    そこでお伺いをいたします。
    現在県が持つ使用していない建物等を実験の場として広く提供してはどうかと思いますが、その御所見を伺います。
    四点目、次に、役割についてであります。
    調査で訪れた兵庫県では、政令市である神戸市と役割分担をしながらロボット事業を進めていく計画があります。市では、主に介護ロボット研究機関の集積の場とすべくロボットの開発を担い、県では、利用者サイドに立ち、現場のニーズの伝達、マッチングの機会、評価等に努めることによって、互いに役割を分担することで予算の削減とその分野に特化できる仕組みづくりを考えております。これは本県にあっても同様で、名古屋市と協働して事業を進めていくほうがあらゆる意味で効率的であると考えます。
    その中、一つの機会としては、名古屋市は、二〇五〇年までに人型ロボットでサッカーのワールドカップチャンピオンに勝つことを目標とした知能を持った自立移動ロボットによる国際的なサッカー競技大会であるロボカップ二〇一七世界大会について誘致活動を行い、過日開催されましたその会議において、名古屋市での開催が正式に決定をしたところであります。
    そこでお伺いをいたします。
    ロボカップ二〇一七世界大会は、協働に向けた絶好の機会であると思いますが、本県での取り組みについてお伺いをいたします。
    あわせて、本県においても独自にロボットの導入と普及の契機となるイベント等の誘致は考えていかないものか、お伺いをいたします。
    五点目、最後の質問になりますが、我々の訪れたカリフォルニア州は、二〇一四年度の州内総生産は二兆三千百十六億ドルと全米最大規模であります。国別GDPでもイタリアに次ぐ世界七位に相当する経済規模であり、また、一人当たりの個人所得は、全米平均が四万四千七百六十五ドルに対して、四万八千四百三十四ドルと大きく平均値を上回り、さらには、産業主要都市であるサンフランシスコ、オークランド、サンノゼ、サンタクララ等は、個人所得が約七万ドルと実に平均所得額より一・五倍の数値を示しております。
    そして、このシリコンバレーがその経済の牽引的な役割を果たし、情報通信、ソーシャルメディア、コンテンツ、バイオ、ライフサイエンス、環境、省エネ等のさまざまな産業が集積をしております。
    また、好景気に支えられたベンチャーキャピタルの投資動向においても、実にその四五%がシリコンバレーに集中し、年間を通じて約二兆円から三兆円の潤沢な資金が集まっている中で、本年の投資額は過去最高水準に達しているとのことであります。
    また、ロボット関連の投資に関しても、昨年の第三・四半期の投資額も過去最高の約二億ドルとなっており、世界の若者がこの地に集まるのもうなずけるところであります。
    さらに、このエリアに進出をする日系企業数も後を絶たず、これまでのピークである六百八十社を上回り、七百十九社となり、過去最高社数となっております。
    先日、トヨタ自動車も自動運転などに使う人工知能の開発拠点として、来年一月、アメリカ・シリコンバレーに新会社を設けると発表したことは記憶に新しいところであります。
    その中、本県においては、一年半前、サンフランシスコ事務所を行革の一環で廃止したことは重々承知をしているところでありますが、今や再びアイデアと技術において先進の地となったシリコンバレーにおいて、ロボット技術においての情報収集の施策をこの地でも講じていかなければならないと思いますが、その御所見をお伺いいたします。
    次に、二項目め、本県の道路行政についてであります。
    産業の集積地である本県にあっては、その血流に当たる道路網の整備は必然的に行っていかなければならないものであります。効率的な物流の強化は、さらなる産業の立地を促進し、多くの金、人、物を呼び込むことにつながり、産業のみならず災害に際しても、県民の大切な生命と財産を守るネットワークとして機能することとなる大切な社会資本であります。
    本県は、言わずと知れた物づくり立県であり、御承知のとおり、製造品出荷額は昭和五十二年以降連続一位を記録しております。
    今後、国際間の競争が新興国を含めて激化していくと予想される中で、国土が限られている我が国において、対等にそれらの国と闘っていくためには、物流の効率化は必要不可欠で、特に空港、港湾、インターチェンジ等のアクセス強化に努めていかなければならないところであります。
    また、産業の視点のみではなく生活面においても道路網の整備は同様で、本県は自動車依存度が極めて高い県であり、自動車保有台数は約五百十万台であり、二位の東京が約四百四十万台、三位の埼玉が約四百万台の中で十五年連続保有台数一位であります。
    また、移動に占める車の利用率も同様で、東京、大阪では公共交通機関の利用率が高く、車の利用は四割未満に対して、本県では車の利用率が約六割を超えている中、県内各地で渋滞が起こり、それを回避するため生活道路へ進入する車も多々見かけるところであります。
    その中、産業振興及び生活の幹線道路としての整備を望む声が県内各地で上がっております。いまだ未開通の市町村で構成をする補助国道、地方道の期成同盟会の数を調べてみますと、実に三十もの同盟会が存在をしております。
    どれもが地域性や課題があって現在に至っているとは思いますが、中には相当来古い歴史のあるものも見かけることができます。
    例えば、名古屋津島バイパスであります。同盟会設立は昭和四十五年で、津島市とあま市を結ぶ全長八・八キロの道路であります。進捗率は、暫定二車線道路を含めて四九%となっております。
    また、北尾張中央道では、同盟会設立は昭和四十三年で、私の生まれた年から行われ、一宮、江南、大口、小牧、春日井を経由して名古屋へと結ぶ全長三十・九キロの道路であります。進捗率は、暫定二車線道路を含めて六〇%となっております。
    そして、最後に、県内最古で日本全国で最も古い同盟会であります瀬戸大府東海線であります。同盟会設立は昭和三十三年で、瀬戸市から東海市を全長三十八・一キロを結ぶ道路で、進捗率は九一%となっております。
    これらは必要な道路であることもさることながら、郷土を思い早くから用地交渉に応じていただいた人々の思いに応えるべく早期開通を目指し、積極的に人員を確保し、用地の交渉を行っていかなければならないと思うところであります。
    また、交渉と同時に必要なのが予算の確保であります。ここで、本県道路三課の交付金事業費の推移を見てみますと、過去十年の前半では約五百五十億円以上が確保されており、後半の五年でも毎年四百五十億円以上が確保されてきました。ある資料によると、道路関係予算を一億円投資することにより、約三十二億円の製造品出荷額の増加がなされるとの記載がある中で、本年度道路三課の交付金事業費は三百六十六億円で、前年度比約七十億円、二十五年度比約百億円の大幅な減額となっており、経済的にも大変な損失であると言えます。
    本県では自動車産業や、先ほど質問しましたロボット産業、さらには、MRJに代表される航空機産業等を初めとする製造業では、本社のほかに多種多様な関連生産拠点が県内全域に立地し、サプライチェーンを形成しております。これらの拠点を結び、円滑な物流を確保することがこれからの製造業の発展、ひいては本県のさらなる成長にとって極めて重要であり、そのための地域の幹線道路整備をスピード感を持って強力に推し進める必要があると思います。
    そこでお伺いをいたします。
    以上のような状況下で、今後、道路予算をどのように確保し、地域の幹線道路の整備を進めていくのか、お伺いをいたします。
    次に、今では由緒あるとも格式あるとも例えられ、やゆされる日本一古い期成同盟会である瀬戸大府東海線についてであります。
    こちらも、尾張東部の生産業と港を結ぶ大切な幹線道路であります。瀬戸市から東海市までの事業費としては今年度約六億円でありましたが、しかしながら、最も用地買収が必要とされる長久手においては、予算措置としては総額で約三千七百万円程度であり、うちその半額が工事費などに使われてしまうため、用地の買収費としては一千五百万ほどしか残っていない状況下にあります。これでは一筆買収できるかどうかしかない金額であります。
    また、その用地交渉に当たっても、もっともっと積極的な交渉を求める声が市内では上がっております。私の選出であります長久手市だけ見ても、リニモの活性化のため区画整理を行い、イオン、イケアの出店が今後待たれており、その二つの大型商業施設を合わせると年間で約一千四百万人の来訪者を想定しております。
    また、沿線市町では、ららぽーとの出店や他の大型商業複合施設の出店も計画される中で、幹線道路としての瀬戸大府東海線の果たす役割なしにこの地域の交通を円滑化させることは不可能と感じるところであります。
    そこでお伺いをいたします。
    瀬戸大府東海線全線の進捗状況と今後の進め方についてお伺いをいたします。
    以上、二項目について質問させていただきました。執行部の明確な答弁を期待いたしまして、壇上からの質問を終わります。(拍手)
  • 35:◯産業労働部長(小山和久君) まず初めに、あいちロボット産業クラスター推進協議会の展望についてお答えいたします。
    本協議会は、昨年十一月の発足以来、三つのワーキンググループを定期的に開催するとともに、医療・介護等分野では、あいちサービスロボット実用化支援センターの設置、製造・物流分野では、ロボットメーカーを中心とした幹事会の設立、そして、無人飛行ロボット分野では、実証実験場の提供など、分野ごとにロボットの実用化に向けた支援や取り組みを積極的に行ってまいりました。
    協議会委員からは、これまでもさまざまな御意見をいただいておりますが、その中には、技術やシステム間の橋渡しを行うシステムインテグレーターの育成についても御意見をいただいております。
    今後については、各ワーキンググループでの実証事例を会員企業等にフィードバックしていくことで活動を進めてまいります。
    また、ワーキンググループでの取り組みの進捗状況や、これまで開催された協議会での委員の意見を施策等に反映している状況を協議会に報告した上で、施策の方向性を議論していただくことによりロボット産業の拠点形成に向けた取り組みを強化してまいります。
    次に、AIを含めたソフト部門の開発についてお答えいたします。
    本県では、あいちロボット産業クラスター推進協議会を設立し、ロボットの実用化に必要となる実証実験の場の提供や、実際の普及に必要となる実証評価に力を入れてまいりました。
    一方、国は、ロボット新戦略を推進する中で、AIなどを組み込んだシステム全般をロボットと捉え、その利活用で世界をリードしていくことに取り組んでおります。
    当地域では、実証実験や実証評価の場の提供など、他地域に先駆けて取り組んできた強みを今後さらに伸ばしていく中で、例えば、ソフトウエア関連産業の誘致等により国が推進している最先端分野の活動を取り込んでいくことも可能になると考えられます。そのための具体的な進め方については、推進協議会での議論等を踏まえ、検討してまいります。
    次に、ロボットの安全評価に係る考え方及び取り組みについてお答えいたします。
    人と共存して作業する生活支援ロボットは、その実用化のためには特に安全性が求められることから、実証実験に加え、安全評価についても十分に検討する必要があります。このため、今年度は、生活支援ロボットの開発に携わる企業等を対象としたサービスロボット・リスクアセスメント研修の実施や、国際安全規格の内容や認証取得方法などに関するセミナーの開催を行ってきたところです。
    今後も、安全評価に関するセミナーの開催等を継続するとともに、個別の事案については、さまざまな相談を受け付けるあいちサービスロボット実用化支援センターが窓口となり、専門家の紹介や関係機関との連携などを図ってまいります。
    次に、実験の場としての建物等の提供についてお答えいたします。
    本県では、現在、愛・地球博記念公園、名古屋港南五区、矢作川浄化センターにおいて、無人飛行ロボットなどの屋外での実証実験場の提供を行っています。推進協議会においても、試作品に対する円滑な実証評価及び安全性評価の仕組みづくりが必要との御意見をいただいております。
    サービスロボット市場拡大に伴い、屋内での実証評価の場の提供のニーズも今後高まってくるものと考えられることから、県内の利用可能な施設等の情報を収集し、実証実験が可能な施設を探ってまいります。
    次に、ロボカップ世界大会に向けた対応についてお答えいたします。
    第二十一回ロボカップ世界大会は、再来年の七月二十二日から二十八日にかけて、ポートメッセなごやなどで開催されます。我が国での開催は、二〇〇五年の大阪大会以来十二年ぶり、名古屋での開催は第一回の一九九七年以来二十年ぶりとなります。
    本県におきましても、ロボットの普及促進を図るため、推進協議会を通じ、名古屋市への誘致にかかわってきました。ロボカップ二〇一七名古屋大会開催委員会の準備会合が先月開催されており、これから本格的な取り組みが始まってまいります。大会の成功に向け、本県としてもしっかり支援してまいります。
    続いて、ロボットに関連したイベント誘致についてお答えいたします。
    ロボカップ世界大会の際には、世界中からロボットに精通した方々がこの地域を訪れることから、物づくりの盛んな愛知のロボット産業がさらなる発展を目指す上で絶好の機会になるものと考えております。
    国では、二〇二〇年の東京オリンピックに合わせ、ロボットの競技会や実証実験などを行うロボットオリンピックの開催が検討されています。こうした国の動きも注視しつつ、本県のロボット産業の拠点形成につながるさらなるイベントの開催、誘致についても、推進協議会での御議論を踏まえ検討してまいります。
    最後に、シリコンバレーにおけるロボット技術の情報収集についてお答えいたします。
    ドイツのインダストリー四・〇、アメリカのインダストリアル・インターネットと呼ばれるIoTやビッグデータを活用した取り組みに対応し、国のロボット革命イニシアティブ推進協議会においても、我が国に応じた新たなビジネスモデルの創出に向けた議論が開始されております。
    本県においても、こういった最新の動向を会員企業等に提供することは非常に重要なことであると考えております。議員御指摘のシリコンバレーでの先進的な取り組みを含め、国レベルの議論も注視しながら、最新の情報収集に努めてまいります。
  • 36:◯建設部長(市川育夫君) 道路予算の確保と地域の幹線道路整備の進め方についてお尋ねをいただきました。
    国の平成二十八年度概算要求方針によると、高速道路のインターチェンジへのアクセス道路の整備や、工業団地の造成等の民間投資と連携して行われる道路の整備など、事業効果の高い取り組みを重点的に支援することとされております。
    物づくり産業の中心地域である本県は、道路整備による効果が極めて高い地域であり、この地域への道路投資の重要性を機会あるごとに国にしっかり訴えているところであります。来年度予算要望に向けては、国の重点施策に合致する路線など、事業効果の高い道路ネットワークの整備を中心に予算の確保に努めてまいります。
    次に、地域の幹線道路の整備の進め方についてであります。
    本県におきましては、平成三十二年度までの建設部における社会資本整備の基本方針を十月に取りまとめたところであり、本県がこれからも物づくりの中心として日本の成長をリードし、地域の発展を支えていくための重要な基盤として幹線道路の整備を位置づけております。
    中でも、空港や港湾と産業集積地や拠点都市を結ぶ広域道路ネットワーク、人の交流を支える都市・地域間、あるいは観光地を結ぶ道路ネットワーク、山間部の暮らしや産業を支える道路など、本県の活力や魅力を高める幹線道路の整備に重点化を図り、六年間の目標値を掲げ、着実に整備を進めることとしております。
    今後も地域ニーズを的確に捉え、中長期的な時間軸を見据え、事業の優先度を明確にし、戦略的に道路整備を進めてまいります。
    次に、瀬戸大府東海線全線の進捗状況と今後の進め方についてであります。
    長久手市を初めとする尾張東部地域は、名古屋近郊という地理的優位性もあり、今後も発展が見込まれる地域であります。瀬戸大府東海線は、そうした尾張東部の諸都市を結ぶとともに、知多地域と連絡する重要な幹線道路であり、大府市及び東海市内で国道百五十五号と重複する区間を含めて、全線約三十八キロメートルの都市計画道路であります。このうち、暫定二車線整備を含み約九一%が整備済みとなっております。
    現在の事業中区間でありますが、瀬戸市では、菱野橋のかけかえを進めており、昨年度は仮橋を設置し、今年度は旧橋の撤去を終え、新橋の工事に着手したところであります。
    長久手市では、現在の大草交差点から名古屋長久手線までの約一・三キロメートルのバイパスを整備しており、現在の用地買収率は七三%で、今年度からは一部工事にも着手してまいります。
    大府市から東海市については、本年八月に新幹線と交差する約一・一キロメートルの区間が完成したところであり、渋滞状況を勘案しながら、順次四車線化工事を進めております。
    今後の進め方につきましては、まずは事業中の区間について、地元市の協力も得ながら早期完成を目指してまいります。また、瀬戸市から長久手市に残る未着手区間約二・三キロメートルにつきましても、現地の状況を踏まえながら、局所的な改良も含め、優先順位の高い箇所から効果的に事業を進めてまいります。瀬戸大府東海線の全線の開通に向け、これからもしっかりと事業進捗に努めてまいります。
  • 37:◯知事(大村秀章君) 石井芳樹議員の質問のうち、ロボット産業の振興について、私からもお答えをいたします。
    本県のロボット産業は、自動車産業を初めとした基幹産業の製造現場への導入による生産性向上等により大きく発展をし、産業用ロボットの出荷額全国一の規模を誇っておりますが、今後は、こうした分野に加えまして、医療、介護や生活支援など、幅広い分野でのロボットの活用が求められております。
    国は、ロボット新戦略を取りまとめ、ロボット革命イニシアティブ推進協議会におきまして、新たなビジネスモデルの創出に向けた議論を開始いたしました。
    本県では、それに先立ちまして、あいちロボット産業クラスター推進協議会を設立し、すぐれた物づくり技術を持つ企業や先進的な取り組みを進める大学等も数多く立地をするといった高いポテンシャルを生かした取り組みを積極的に進めているところであります。
    これまで、特にロボットの実用化に必要となる実証実験の場の提供や実際の普及に必要となる実証評価に力を入れてまいりましたが、今後は、こうした強みをさらに伸ばすことで、この地域の魅力を高め、世界に誇れるロボット産業の拠点として発展をさせてまいりたいと考えております。
  • 38:◯六十九番(石井芳樹君) 御答弁いただきありがとうございました。
    それでは、要望とさせていただきたいと思います。
    まず、道路関係であります。
    道路三課のその交付金は、当然御承知のとおりでありますが、一〇〇%国のお金ではありません。裏負担として五割または五割五分、路線によって違いますが、県が裏負担をしていくわけであります。すなわち、前年度比三割、当初予算から仮に三割減ったとすると、その一割五分のお金が県費であり、国から来ないがためにその一割五分のお金が、本来ならば道路予算で使うべきところの予算が使われないまま終わってしまうわけであります。額にすれば数十億という大きな大きなお金でありますので、まずは、来年度予算を組むときには、今の三百六十六億で組むのではなく、当初予定をしていたしっかりとしたその額でまずは組んでいただきたい。そして、また、あわせて、まだ本年度、本年はもう終わりかけておりますが、本年度はまだ三カ月半あるわけでありますので、一億とってこれば二億の道路予算と変わるわけでありますから、ぜひとも国に対してしつこく予算要望を強くお願いするところであります。
    そして、また、次に、瀬戸大府東海線であります。
    先ほどもあと九%でありますが、未着手区間があり、そして、事業区間の中でも測量予算が流れてしまっているという状況である中であります。
    また、地権者の方とお話をしますと、一年に一回来るか来ないかではというような話も出るわけでありますので、来年長久手市では、専属で市の職員を用地担当に充てると言っておるところの中で、県も尾張建設だけではなかなかままならないところは重々承知でありますが、しかしながら、市の建設部へ県から出向されている職員もいるわけでありますので、その方たちもフル活用していただきながら、間もなく還暦を迎えようとする瀬戸大府東海線でありますが、少なくともそれまでにはしっかりと目鼻がつくように御尽力をお願いするところであります。
    そして、次に、ロボットであります。
    アメリカに行って痛切に感じるのは、やはりソフト部門であり、そして、もっと言えば、日本は技術があるからこそ、ロボットというのは、つくられたその技術によって何か活用できるところがないかというところから探りを始める。
    しかしながら、アメリカでは、ニーズをしっかりと把握する中で、一つの成果物としてそれを集約していくということでありました。
    特に、大学でも風土は違いますが、学生を例えば医療現場等に派遣をし、百のアイデアを持ち帰ってきて、その中で教授と話す中で十のアイデアにし、そして、最終的には一つのアイデアとして商品化をするということでありました。
    その意味でも、今後さらに活躍が期待される協議会においては、ニーズの把握と、そしてまた、もう一つは、大学との連携も、先生は来ておりますが、成果物であったり、学生さんとの連携も含めて行っていただければありがたいなというのと、あとはソフト部門でのさらなる進化であります。
    例えば、フィルムカメラがはやって、その後にデジタルカメラが来たときには、町中皆さんがデジタルカメラを持っていました。しかしながら、スマートフォンの存在をもって、なかなか今デジカメを見ることはなくなりました。なぜかといえば、通信技術とインターネットに通じているからであり、誰もが即時にその写真を送れる、その便利さで、やはりスマートフォンに一日の長があったということであると思います。
    また、あわせてどれだけ優秀なパソコンをつくったとしても、OSはウィンドウズを通さなければやはり使うことができないわけでありますので、ある意味技術としての手足の部分の体の協議会も必要でありますが、今後は、頭の、頭脳のソフトの部分も含めて大いに広げていただきながら、県が真に第三のロボット産業が柱となりますこと御期待申し上げまして、要望とかえさせていただきたいと思います。
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━
  • 39:◯四十番(須崎かん君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  • 40:◯議長(横井五六君) 須崎かん議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  • 41:◯議長(横井五六君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
    午後二時三十五分休憩
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━
    午後三時十九分開議
  • 42:◯副議長(杉浦孝成君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
    通告により質問を許可いたします。
    朝倉浩一議員。
    〔四番朝倉浩一君登壇〕(拍手)
  • 43:◯四番(朝倉浩一君) 議長にお許しをいただきましたので、通告に従い、順次御質問させていただきます。
    私からは、中部国際空港開港十年を迎えて、開港当時から現在の状況における地域の観光と産業の移りかわりについてお話をさせていただき、中部国際空港の利用促進に関して、今後の地域振興も含め質問をさせていただきます。
    中部国際空港セントレアは、二〇一五年二月十七日に開港十周年を迎えました。振り返りますと、開港直後には、愛知万博の開催を追い風に順調にスタートした航空需要が、二〇〇八年のリーマンショックを境に減少し、その後も、新型インフルエンザや日本航空の経営破綻を初めとするイベントリスクにも見舞われ、二〇一一年には利用者数が八百九十万人、国際貨物量は十一・六万トンまで大きく落ち込むなど、長らく低迷をしておりましたが、その翌年には利用者数が前年比増に転じ、昨年は利用者数が九百九十万人、国際貨物量も十七・六万トンまで回復し、今年度は七年ぶりに一千万人の大台回復が現実となってきたと伺っております。
    また、空港対岸部の中部臨空都市では、今月十二月四日に海と空を一二〇%楽しむエンターテイメントパークをコンセプトにしたイオンモール常滑がオープンをいたしました。これは、中部国際空港を核とした国際的、都市的な要素を生かし、当地が持つ魅力のさらなる向上の一助となるよう、グローバルとローカルを組み合わせたグローカルな取り組みを推進するとされており、中京圏を代表する新たなランドマークになることを期待しております。
    ここで、私の地元半田の観光について紹介をさせていただきます。
    半田には、歴史や文化の集積が厚く、まちの魅力を伝える山車、蔵、南吉、赤レンガ等がございます。そのうち、半田赤レンガ建物は、かつてのカブトビールの製造工場を改修し、常時公開の半田の観光拠点施設として、ことし七月にリニューアルオープンをいたしました。半田市長からは、知事も足をお運びいただき、生カブトビールを飲んでいただいたとお聞きいたしました。ありがとうございました。また、先月十一月には、江戸前ずしの普及にもつながった醸造の歴史を伝えるミツカンミュージアム(MIM)もオープンをいたしました。
    カブトビールは、明治の時代に、当時の国内四大メーカーに半田の地から敢然とチャレンジしていった物づくり、愛知の進取の先駆けでもあります。私の好きな宮崎駿さんの映画「風立ちぬ」の中にも、名古屋駅前のカブトビールの広告塔が出てまいります。この映画には、零式戦闘機、いわゆるゼロ戦が三菱重工を舞台に描かれています。実は、三菱がつくったものの約二倍の数を半田市にも工場があった中島飛行機が製造していたことを現在の富士重工半田工場の方からお聞きをいたしました。
    現在、富士重工半田工場では、ボーイング社の787型機の中央翼部分が年間約二百二十機分組み立てられており、衣浦港から常滑港まで台船により知多半島の先を回り、セントレアから三菱重工や川崎重工で組み立てられたものと一緒に、ドリームリフターという専用の航空機でアメリカ西海岸はワシントン州に運ばれて組み立てられており、来春からは増産すると聞いております。
    また、半田工場は、ボーイング777の新型機の中央翼組み立てのための新しい工場も建設中であり、来春からは、さらに組み立て機数も増加すると聞いており、中部国際空港セントレアの常滑市に隣接する半田市の雇用や人口、そして、税収の増加に大きく寄与されております。
    一方、県営名古屋空港においても、十一月十一日には、一九六二年八月に初飛行したプロペラ機YS11以来、半世紀ぶりに国産初の小型ジェット旅客機MRJが初フライトに成功し、物づくり日本と日本一元気な物づくり愛知が改めてクローズアップをされましたが、今後のさらなる地域の発展を期待するのは私だけではないと思います。
    ここで、空港の周辺地域の活性化を目的につくられた知多半島ナビについての説明をさせていただきます。
    地域の地元中小企業七十八社が出資してできた知多半島ナビは、インターネットやSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)を利用して、地元の企業紹介並びに各業種の紹介や活性化を図った事業継続をすることから始まりました。
    すなわち、知多半島に住んでいる人、招く人が誇りに思える知多半島になり、いろいろな木、店舗や企業が成り立つ森をつくる公共的な事業目的を掲げながら、同時に収益事業に取り組む目的としてつくられました。
    中でも、スポーツ部会(トレスポ知多)といたしまして、九月に開催をされました第四十七回中部日本サイクリング大会、トレスポ知多「おいなぁ、サイクリングin知多半島」には、大村知事にも開会式に参加をいただきましたが、日本でも有数のサイクリングコースである知多半島コースを、また、知多半島ナビでは、コース上の観光地、特産品、バイクラック設置店などもあわせて紹介をしており、知多半島の観光資源をつなぎ合わせ、地域の振興につながるような工夫がされております。
    そこで御質問をさせていただきます。
    地元企業、また、空港周辺の活性化のためにも、空港の利用促進、とりわけインバウンド対策が大変重要と考えますが、本県として今後どのように取り組みをされるのか、お伺いをいたします。
    次に、中部国際空港セントレアについてお伺いいたします。
    セントレアは、中国路線を中心にLCCの新規就航などが相次ぎ、この十二月には、国際線の便数がこれまで最高であった二〇〇七年のピーク時に迫る週三百五十便に達する見込みとなる等、活況を呈しております。
    また、二〇一六年には、伊勢志摩サミットの開催が、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックが、そして、二〇二七年にはリニア中央新幹線の開通が控えていることは、皆様御承知のとおりであります。
    リニアの開通を展望すると、きちんと国際空港として二本目の滑走路を整備しておくことが、私ども知多地域はもちろんのこと、この愛知県、地元三県一市にとって不可欠であることは共通認識をしていただけるところと思います。
    セントレアの二本目滑走路の整備を進めるためには、まずは需要を伸ばすことが大変重要であります。ここで、私が提唱したいのは、地元の方々が積極的にセントレアを使っていただくことであります。外に向け地元の声をアピールしていくためには、地元で盛り上げることがぜひとも必要であると思うのであります。
    九月議会におきましても、我が団の安藤議員の代表質問に対する知事答弁にもありました、那覇空港や福岡空港における年間離発着回数、二本目の滑走路建設に向けた取り組みの動きがマスコミ等の報道で伝わってきており、安閑としておれない気持ちになっているのは私ばかりではないと思います。
    トヨタグループでは、社員の方々がヨーロッパに出張する際には、多少不便であってもセントレアから就航しているルフトハンザ航空やフィンランド航空を使用し、フランクフルトやヘルシンキで乗り継ぎ、目的地に赴くよう努められておられるようで、こうした取り組みを広げていくことが大変重要と考えます。
    さきの質問をさせていただきましたインバウンド対策だけではなく、アウトバウンドをふやすための行動を三県一市で一体となって取り組み、官公庁のみならず経済界にも呼びかけ、さらに盛り上げていくことが必要であると考える次第です。
    今後の利用促進と二本目滑走路の実現に向け、今後どのように取り組みを進めていかれるのか、お伺いいたします。
    続きまして、子育て支援全般について御質問させていただきます。
    本県では、平成二十二年三月に、平成二十六年度までの五年間を計画期間とするあいちはぐみんプランを策定し、中長期的な視野に立った少子化対策について、若者の就学から子育てまでのライフステージに応じた体系を設けて、切れ目のない支援施策を展開してまいりました。
    本県の平成二十六年の合計特殊出生率は一・四六で、全国平均一・四二を上回っていますが、まだまだ安定的に人口を維持できる二・〇七を大きく下回っており、依然として少子化傾向が続いております。
    国においては、社会保障と税の一体改革の中に子育て支援を位置づけ、平成二十四年八月には、子育てをめぐるさまざまな課題の解決に向けて、質の高い幼児期の学校教育、保育の総合的な提供や地域の子育て支援を充実していくため、子ども・子育て関連三法を制定し、これにより子ども・子育て支援新制度が創設をされました。
    このような状況を踏まえて、本年三月に策定をされましたあいちはぐみんプラン二〇一五─二〇一九の新たな三つの計画の一つであります子ども・子育て支援事業支援計画についてお伺いいたします。
    まず、放課後児童クラブについてお伺いいたします。
    放課後児童クラブは、主に保護者が就労等により昼間は家庭にいない小学生に、適切な遊びや生活の場を与えて、児童の健全育成を図るものであります。
    本県では、平成二十六年五月一日時点で五十四市町村千八十カ所で実施をされ、四万一千百七十四人の児童生徒が登録をしております。平成二十二年からの四年間での実施箇所は百三十七カ所、登録児童数は五千四百四十二人と増加していますが、まだまだ登録できない児童、待機児童は解消に至らず、放課後児童クラブの需要はますます高まっております。
    平成二十六年七月に新たな放課後児童対策として策定をされた国の放課後子ども総合プランにおきましても、新たに開設する放課後児童クラブの八〇%を小学校内で実施することを目指し、また、設備及び運営については、省令により専用区面の面積の基準や支援の単位ごとに放課後児童支援員を置かなければならないこととされました。
    私の地元半田市におきましては、現在十三小学校区で十七のクラブを開設し、五百八十八人の登録児童が利用をしております。民設民営を基本に民間団体へ委託を実施しております。ただ、一クラブのみ公設民営があり、小学校内に設置をされています。
    主な課題としては、共働き家庭等の小一の壁の縮小や解消、保育料等が県下でも高価であるため、利用者の負担の軽減が喫緊の課題となっております。量の見込みから見ても、平成三十一年までは増加の一途をたどっており、核家族はもちろんのこと、ワーク・ライフ・バランスやイクメンへの理解を促進するとともに、誰もが働きやすい労働環境の改善に向けた各種啓発、情報提供に努めなければならないと思われます。
    そして、もう一つの大きな課題は、放課後児童支援員の不足と質の向上であります。
    放課後児童支援員の認定資格研修が義務づけられました。研修日程についても、県でお取り組みをいただいているとお聞きいたしました。四会場五回実施で、受講者は、原則として十六科目二十四時間受講しなければなりません。支援員の数の不足もあり、校長経験者も採用しているところもあり、なかなか参加できるところは少ないとの声も実際にお聞きをしております。また、資格取得後の質の向上についても、県の責務として子ども・子育て支援法に位置づけられております。
    そこで質問をいたします。
    今後の課題であります放課後児童クラブの職員の質の向上及び配置の充実について、どのようにお取り組みをいただけるのか、お答えをください。
    続きまして、コミュニティ・スクールについてお伺いをいたします。
    コミュニティ・スクールとは、学校運営協議会を設置した学校を指します。学校運営協議会制度は、地域ぐるみで子供の成長を支えていくために、保護者や地域の人々が学校運営に参画をする制度です。地域とともにある学校づくりを目指すという趣旨は誰でも賛同できるものだと思います。しかし、学校運営協議会の設置状況は、平成十六年導入以来十年余り経過をしているにもかかわらず、全国で七・六%にとどまっております。子供や学校の抱える課題解決、未来を担う子供たちの豊かな成長のためには、社会総がかりでの教育の実現が不可欠でございます。
    そこで、半田市が取り組んでいる子育て支援についての一例を紹介いたします。
    平成十八年に立ち上げをいたしました青山中学校区内の行政機関、成岩第三区教育懇話会についてですが、地域の子は地域で育てるをモットーに設立がされました。地元小学校の子供にかかわる事件が週末に発生をいたしました。スポーツクラブ、部活動などがあり、子供たちの部活等の通学が心配で、PTA会長から何とか地区の皆様に協力をいただきたいとの旨がありました。
    そんな中、少年を守る会の会長と区長さんにお願いしたところ、地元の幼稚園、保育所、小学校、中学校、老友会、地域コミュニティーの団体さんと緊急招集会議を行い、朝昼晩の見守り、パトロールで事なきを得たそうです。その後、何度も協議を重ね、年四回の開催までこぎつくことができ、地域の皆様の顔が見えることこそがコミュニティーの始まりだと感じたのであります。
    毎年かわる行政区長、幼保小中PTA、学校関係者の方の顔も知らない、幼稚園、保育所、小中学校機関の様子もわからない、核家族化、少子・高齢化、いじめ、暴力など、地域社会のつながりの希薄化など、現在の子供たちを取り巻く環境は年を重ねるたびに難しくなってきております。
    このような成岩第三区教育懇話会などは、学校の職員が事務局ではなく、地域ボランティアの人みずからが事務局を運営しないと継続はできません。地元の皆さんとの協力こそが不可欠なのです。
    本年度、半田市では、教育長みずから旗を振って、全国に先んじて学校運営協議会と学校支援地域本部の仕組みを融合し、各学校十八校に学校教育運営支援協議会を立ち上げております。半田商工会議所、教育改革協議会からいただいた教育改革を目指す関係の皆様の熱い提言に対して、子供たちに我が地域、我が国の将来を立派に担い得る確かな力をつけさせることでお応えすべく取り組みをいただいておりますところです。
    こうした地域とともにある学校づくりの一つとして、文部科学省の進めているコミュニティ・スクールについて、現在、本県では二市七十一校が指定校となっており、江南市が導入に取りかかっているとお聞きをいたしました。
    そこで御質問いたします。
    本県のコミュニティ・スクールの取り組み状況と今後の方向性についてお伺いいたします。
    次に、フリースクールについてお伺いいたします。
    文部科学省が九月に公表しました生徒指導上の諸問題調査結果によりますと、平成二十六年度の本県の不登校児童生徒数は、小学生で二千五十七人、中学生で六千八百九十四人、合計して八千九百五十一人となっております。そのうち、県内六十四施設の各市町村に設置する適応指導教室に通っている小学生は百九十六人、中学生は千三十三人と聞いております。
    適応指導教室とは、いじめや学校になじめない、勉強についていけないなど、やむを得ない理由ではありますが、不登校になった子供たちが普通に小中学校に通えるよう指導していくために、市町村教育委員会が設置しているものと認識をしております。
    また、県内の民間団体、NPO法人が運営をしますフリースクールについては、十四の施設で義務教育段階の児童生徒が出席扱いとなっております。フリースクールの形態はさまざまではありますが、出席扱いとなっている児童生徒は、不登校児童生徒数から考えますと余りふえていないのが現状です。
    平成二十七年度に公表された文科省のアンケートによるフリースクールの活動内容を見てみますと、学習カリキュラムを決めている施設は四九・七%と半分にも満たしておらず、学習教材も偏りが多く見られます。
    私の地元半田市では、現在、不登校の子供たちを支援するために、適応指導教室マーキュリールームとNPO法人子どもたちの生きる力をのばすネットワーク(以後、のばす会)というフリースクールがございます。のばす会は、不登校、中退、ひきこもり等に悩む子供たちや若者に対して、父母の方たちの相談業務に関する事業を行い、生活及び学習に係る問題の解決を図り、自立心と主体性の確立及び向上、また、心身の健康の増進に寄与することを目的として運営をしております。
    学習カリキュラムについても独自でつくり、時には地元の畑をお借りして、生徒たちが育てた野菜を使って食事会を行うなど、さまざまな活動をしております。
    また、この施設は、半田市以外からも電車通学をしている生徒さんもいて、親御さんの負担も大きいそうです。指導員の方は指導経験の豊かな方ばかりですが、経済面やメンタル面などの対応にも大変御苦労をされているようです。
    このように、子供たちが今までどおりに学校に通えるように、地域の皆様、また、職員で努力をいたしております。こうした学校に通えず悩んでいる子供たちが通うフリースクールの実態をもっと把握し、フリースクールとの連携についても積極的に取り組むべきだと感じます。
    先日の新聞報道でもありましたが、国におきましても、フリースクールを初めとする多様な学びの機会を確保して支援をする法案の準備が進められていると聞いております。学校への在籍が前提となりますが、フリースクールなどで教育を受けた場合でも、義務教育課程の修了を認めるなどの議員立法の法案がまとまったわけであります。
    今後、県として不登校児童生徒の学校復帰に向けた場として、義務教育段階におけるフリースクールとの連携をどのように進めていかれるのか、教育長の御所見をお伺いします。
    以上で壇上からの質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
  • 44:◯振興部長(植田昌也君) 中部国際空港の利用促進について御質問をいただきました。
    中部空港を利用する訪日客は、開港当初、国際線利用客の二割ほどでしたが、二十七年度の上半期では四割を超えてまいりました。今後は、中国路線や台湾路線の就航が計画されていることもあり、さらにその割合がふえていく状況にあり、訪日客を受け入れ、地域の活性化を図るためには、中部空港だけではなく地元企業や周辺地域が連携、協力し、受け入れ環境を整備することが重要です。
    このため、本県を初め岐阜、三重、名古屋市、地元経済界、中部空港会社で構成する中部国際空港利用促進協議会を中心として、中部九県で取り組む昇龍道プロジェクトとも連携し、海外のメディアや旅行会社を通じて、この地域の魅力を発信するなど、誘客のための取り組みを強化しているところでございます。
    また、中部空港においては、国際線到着エリアで愛知県内のグルメやイベント、観光地等をパネルで紹介するとともに、この十月には、到着ロビーへ観光案内所を移して、多言語での案内のほか、JR切符の販売、宿泊施設の手配機能を充実させ、訪日客の受け入れ環境を整備しているところでございます。
    また、中部空港会社は、空港近隣にオープンした大型商業施設と相互で連携することで地域の魅力向上に寄与することを目的として、地域活性化プロジェクトCHITA CATを発足し、その第一弾として、空港─商業施設間を無料で行き来できるバスを運行させました。この商業施設では、旅行者が楽しみにしている買い物だけでなく、知多地域等の観光紹介もしており、空港周辺の魅力を発信し、空港周辺に人を呼び込むことで中部空港の利用促進にも寄与すると期待しております。
    今後とも、訪日客増加のため、エアポートセールスや海外プロモーションでの情報発信に努めるとともに、訪日客のニーズに合わせた利用促進に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
    続いて、今後の利用促進と二本目滑走路の実現に向けた取り組みについてお答えいたします。
    中部国際空港の航空旅客は、一昨年度から増加に転じ、今年度は七年ぶりに一千万人を超える見通しですが、二本目滑走路の実現に向けては、まずは需要を拡大させることが必要です。このため、中部空港会社では、航空旅客の目標値を平成三十一年度に千五百万人とする中期経営計画を策定し、需要拡大等の取り組みを進めているところです。
    ことしの四月から十月までの国際線の利用状況は、対前年同期比で約四%増加しているものの、その内訳は外国人旅客が四六%増加したのに対し、日本人旅客は七%減少しております。
    全国的に見ても、国が進める首都圏空港の機能強化により、平成二十六年の夏ダイヤから羽田空港の国際線定期便の発着枠が広がり、国内の海外旅行者が首都圏空港へ集中し、成田、関空、中部等の国際線の日本人利用者が減少しております。
    中部空港では、現在就航している航空会社や今後の就航を検討している航空会社からは、路線の収益性を高めるため、中部空港発の旅客の増加策、いわゆるアウトバウンド対策が求められているところでございます。
    このため、地元自治体、経済界と連携し、地元企業等に対して、セントレアの優先利用を呼びかけ、利用増を図るフライセントレア活動を初めとするアウトバウンド対策と訪日客の増加のためのインバウンド対策を双方とも強化し、航空需要を増加させ、二本目滑走路の実現に向け、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
  • 45:◯健康福祉部長(伊藤輝明君) 私からは、子育て支援全般のうち、放課後児童クラブについてお答えをいたします。
    放課後児童クラブは、共働き家庭等の児童が、放課後安心・安全に過ごすことができる居場所でございまして、本県では、これまで積極的に設置を促進しますとともに、指導員に対する初任者研修や現任研修等を実施し、職員の質の向上にも取り組んでまいりました。
    本年四月にスタートした子ども・子育て支援新制度では、放課後児童クラブの対象児童が小学校六年生までに拡大されるとともに、新たに放課後児童支援員を一クラスに二名以上配置することが義務づけられるなど、放課後児童支援員の養成、確保が急務となっております。
    このため、本県では、あいちはぐみんプラン二〇一五─二〇一九において、児童の放課後対策の拡充を基本施策の一つとして位置づけ、今後、五年間で新たに約一万人分の受け皿を確保するとともに、必要となる放課後児童支援員を計画的に養成することとしております。
    放課後児童支援員認定資格研修は、一定の知識、技能を有する者を対象としており、保育士や社会福祉士、教員の資格を有する者は、その資格等に応じて研修科目の一部が免除されております。
    放課後児童支援員については、経過措置により五年以内に配置することとされているため、県としましては、まず既に設置されているクラブに必要となる約二千八百人を五年以内に配置できるよう、今年度から計画的に養成を進めております。
    今後、市町村の整備状況や登録児童の増加を踏まえながら、必要となる支援員を適切に配置できるよう、認定資格研修の拡充に努めてまいりたいと考えております。
    一方、放課後児童クラブの職員の資質の向上につきましては、これまでの基礎的な研修にかえて、保護者との連携など、専門的な知識等が求められるものをテーマとした研修を実施するなど、配置後も資質の向上に継続的に取り組んでまいりたいと考えております。
    県としては、引き続き放課後児童クラブの職員の人材の確保及び質の向上にしっかりと取り組んでまいります。
    以上です。
  • 46:◯教育長(野村道朗君) 教育委員会には、まず、本県のコミュニティ・スクールの取り組み状況と今後の方向性についてお尋ねをいただきました。
    学校が抱える課題が複雑化、多様化している状況の中で、学校だけでなく家庭や地域が課題を共有し、地域ぐるみで子供たちを育んでいくことがますます重要になると考えております。
    このため、現在、県内の小中学校では、学校評議員制度やコミュニティ・スクールにより、保護者や地域住民の学校運営に関する意見を聞き、協力を得て、地域を巻き込んだ学校づくりを進めているところでございます。また、地域住民が学習や部活動指導、校内環境整備などを支援する学校支援地域本部の仕組みによりまして、地域とのつながりを強めているところもございます。
    こうした中で、地域とともにある学校づくりの一つであるコミュニティ・スクールにつきましては、一宮市の六十一校と北名古屋市の十校で、その比率は五・一%にとどまっているところでございます。全国的に見ましても、コミュニティ・スクールの導入は進んでいないところでございまして、その要因といたしまして、教職員の任用に関する地域住民らの意見を反映させる機能や運営するための予算措置など、制度上の課題が指摘をされておりまして、国もその制度の見直しについて議論を進めているところでございます。
    県といたしましては、地域とともにある学校づくりは、今後ますます重要になると考えておりますので、国の動きを注視しながら、コミュニティ・スクールはもとより、半田市のように地域の実情に合った取り組み等につきましても、学校教育担当指導主事会等で紹介をし、学校、家庭、地域が一体となった仕組みづくりの啓発と普及に努めてまいりたいと考えております。
    次に、義務教育段階におけるフリースクールとの連携をどのように進めるのかについてお尋ねをいただきました。
    不登校児童生徒の学校復帰に向けての対応につきましては、当該児童生徒の状況に違いはございますものの、将来、社会の一員として自立して生活していけるようにきめ細かな支援を継続して行っていく必要がございます。
    このため、小中学校では、スクールカウンセラーの活用や市町村教育委員会が設置をする適応指導教室と密接に連携をしながらその対応に努めておりますが、今後は、フリースクール等の民間施設を含めた学校外の専門機関との連携も一層必要になってくると考えております。
    このフリースクール等につきましては、本県では、平成二十六年度、県内十四の施設に、児童生徒二十七名が通っております。これらの施設は、市町村を越えた広域からの通所となりますために、在籍する学校との日常的な情報共有が図りにくく、相互理解が十分に進まないなど、公的機関でございます適応指導教室に比べ密接な連携がとりにくい状況にございます。
    したがいまして、県教育委員会といたしましても、今後、不登校児童生徒のための居場所づくりに実績を持つ県内のフリースクール等を訪問し、施設の教育環境や活動内容、通所する児童生徒の状況を把握し、学校と連携する上での課題を明らかにしながら、効果的な連携のあり方について検討を進めてまいりたいと、このように考えております。
    以上でございます。
  • 47:◯知事(大村秀章君) 朝倉浩一議員の質問のうち、中部国際空港の二本目滑走路の実現に向けた取り組みに関しまして、私からもお答えをいたします。
    中部国際空港が日本のゲートウエーの一翼を担うためには、二本目滑走路を備えることが不可欠であると認識をいたしております。
    国が掲げる訪日外国人二千万人の早期達成が見込まれる中で、当地域につきましても、年間で訪日外国人二百万人、航空貨物取扱量三十万トンの取り込みを目指して、国とも連携をし、地元三県一市、経済界が一丸となって需要の拡大に向けた取り組みを進めているところであります。
    中部国際空港は、二十四時間運用の利点を生かして、中国や台湾などの格安航空会社(LCC)の旅客便や国際航空貨物便が深夜、早朝に運航されるようになりました。一方で、通常運航のない深夜帯に行っておりました滑走路等のメンテナンス時間の確保が難しくなっておりまして、二本目滑走路を初めとした機能強化の実現が大変重要でございます。
    このため、二本目滑走路の実現に向けまして、国が主体となって必要な調査、検討に取り組むよう強く要望しているところであります。
    いずれにいたしましても、二本目滑走路の実現に向けましては、まずは需要の拡大が不可欠でございますので、引き続き関係自治体、地元経済界と連携をし、利用促進の取り組みを確実に行い、より一層の需要の拡大を図ることで、二本目滑走路を初めとした機能強化の実現に向けましてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
  • 48:◯四番(朝倉浩一君) それぞれ御答弁いただきましたので、私からは一点御要望をさせていただきます。
    フリースクールについてですが、不登校児童生徒の中には、適応教室やフリースクールなどにも通えず、家庭に引きこもっている児童生徒も多々おります。国が準備している義務教育の段階に相当する普通教育の多様な機会の確保に関する法案にあるように、このような学校復帰が困難な児童生徒に対しても学習面の支援などをするなどして、一人でも多くの子供たちが自立できるような取り組みを進めていただきますよう強く要望いたしまして、終わらせていただきます。
  • 49:◯副議長(杉浦孝成君) 進行いたします。
    寺西むつみ議員。
    〔四十七番寺西むつみ登壇〕(拍手)
  • 50:◯四十七番(寺西むつみ君) 通告に従いまして、私からは、地方創生に関する提言をもとに、三つの観点からそれぞれ質問をいたします。
    去る十月十四日、我が党愛知県議員団の総意のもと、地方創生プロジェクトチームを設置し、愛知県にふさわしい地方創生のあるべき姿を地方創生に関する提言としてまとめ上げ、大村知事に提出いたしました。
    この提言は、我が党の森下利久議員をプロジェクトリーダーとして、各地域の特色を生かした取り組みが期待される観光と農林水産業の二分野を柱に、本年六月にプロジェクトチームを発足以来、飛田常年議員、中根義高議員をそれぞれの分野の座長として、約四カ月かけて調査研究を重ね、愛知県が取り組むべき振興策として取りまとめたものであります。
    それでは、まず初めに、農林水産業の振興を軸とした地方創生の推進の観点から、地産地消による食の充実について、特に本県産小麦きぬあかりについて質問をいたします。
    おととし十一月、名古屋市内で三日間にわたり開催された第三十九回外食産業フェアの会場を訪れた際、愛知県産の新品種の小麦きぬあかりで打ったパスタ風きしめんを試食させていただきました。たしか大村知事も会場で御一緒に試食をされたと記憶いたしております。職人の方からの説明のとおり、腰があって喉越しがよく、こりゃうまいと思わず言葉に出ました。麺打ち職人の方が試験的にこのきぬあかりを使用して焼き上げた自家製パンもいただきましたが、香りがよく味もいい。また、きぬあかりを使用したケーキも試食させていただきましたが、これもまたおいしい。先日、愛西市の製粉加工会社で行われました外国産輸入小麦と北海道産の小麦粉を使用して打った麺との比較による試食会にも伺いましたが、確かに喉越しとつるつるとした食感はきぬあかりのほうが特化していると一消費者として感じたところであります。
    ことし五月一日から十月三十一日までイタリア・ミラノで開催されましたミラノ万博では、八月四日から八月八日に実施したあいち・なごやフェアinミラノにおいて、その味は高評価を得たとのメディア報道などがあったと記憶しています。
    平成二十三年、二〇一一年に新品種きぬあかりとして登録され、翌平成二十四年から生産者による一般生産が開始され、その年は百四十五ヘクタールの作付でしたが、昨年、平成二十六年においては千八百九十三ヘクタールの作付、平均収量もこれまでの県産小麦と比較しておよそ二倍と大幅に多収であり、品質、収量ともに良好であったと聞いております。
    また、本年の作付面積は、平成二十七年産が三千六百四十七ヘクタールで、平成二十八年産の作付計画が四千五百八十ヘクタールとなっており、平成三十年までに本県全体の愛知県産小麦、作付面積五千五百ヘクタールのうち約五千ヘクタールを目標に計画が進んでいると聞いております。
    当然、一般消費者の評価も高まりつつあることと思い、先日、幼稚園に通うお子さんのある御家庭、家族の食に敏感な主婦の皆さん約六十人に、愛知県産の小麦きぬあかりを御存じですかと質問してみたところ、知っている、聞いたことがあると答えた方は、驚くことにゼロでした。一般の消費者、特に直接購買者層の大半を占める主婦層の方々にはまだほとんど認知されていないのではないでしょうか。
    しかしながら、これはPR、広告宣伝の手法によってはまだまだ一般消費者における伸び代が期待できるということであります。
    きぬあかりが一般消費者市場に流通するようになってはや三年、本県が目指す観光振興の目玉の一つとも言われる地産地消による食の充実を担う主軸として、このきぬあかりをブランド化し、生産、加工、流通の各部門が連携して、きしめんなどの麺類のみならず、洋食やスイーツ、パン類など、消費拡大に向けた潜在的な需要の掘り起こしと需要拡大に向けた効果的なPR手法がより重要だと考えます。
    そこで、まず、消費者側の視点から、新品種小麦きぬあかりの需要拡大に向けて、県としてどのように取り組んでいるのかをお伺いいたします。
    また、生産振興のためには、安定した品質と生産量の確保が不可欠となるとともに、先発ブランドの認知度を高めるマーケティング手法の一つとして、第二弾の商品、つまり、きぬあかりに次ぐ新たな品種の開発、商品化は、先発ブランドの認知を高めるための効果的な方法の一つであると言われています。もちろん、それにはより戦略的なPR、広報宣伝が必要不可欠でもあります。
    そこで、生産者側の視点から、県産小麦きぬあかりの生産振興に向けて、今後より安定した品質と生産量の確保に対して、県としてどのように取り組まれていくのか、さらには、きぬあかりに次ぐ新品種の開発の現状についてもあわせてお伺いいたします。
    次に、観光振興を軸とした地方創生の推進の観点から、特にFIFAフットサルワールドカップの二〇二〇年招致など、国際的にもインパクトのあるスポーツ大会の招致、開催についてお伺いいたします。
    昨年四月、大村知事が目指すスポーツを通じた県政振興の施策として発表されました国際サッカー連盟FIFAが主催するFIFAフットサルワールドカップ二〇二〇を愛知県へ招致するとの構想は、県民にとりましても明るい話題の一つとして、地元メディアを中心に全国的なニュースとしても大きく取り上げられたことはまだ記憶に新しいところであります。
    ある民間会社の試算によれば、知事が招致構想を発表した昨年四月三日の夕方以降、公益財団法人日本サッカー協会の大仁邦彌会長との連携協力が整った同年十月九日の翌朝までの約半年間、ニュースとして発信された報道状況を広告費に換算すると、新聞報道で三千五百万円、テレビ報道で約五千九百万円、合計約九千四百万円に達すると考えられるとのことであります。ここには、専門誌などの雑誌、ラジオ、インターネットなどによる数字は含まれておりませんが、クロスメディアによる情報発信により、一定のPR効果と認知が得られたものと考えてよいでしょう。
    しかしながら、ことしに入り、マスコミなどの情報によれば、大会を主催するFIFAの組織刷新に伴う次期会長選挙が来年二〇一六年二月二十六日に行われるとのことであります。来年は、四年に一度のFIFAフットサルワールドカップが南米コロンビアで九月に開催されます。FIFAフットサルワールドカップ二〇二〇につきましては、FIFAによる開催国の募集はまだ行われていないと聞いておりますが、過去の大会決定のプロセスなどから考えると、来年九月十日から十月一日までの日程で開催されるコロンビア大会までには開催国が決定されるのではないかとの情報もあるようです。
    昨年、愛知県が日本サッカー協会と連携、協力して、二〇二〇年のワールドカップ招致に世界で最初に名乗りを上げて以来、現在のところ日本のほかに立候補する国があるとの情報はないようですが、過去の大会では毎回複数の国が立候補しており、二〇二〇年大会も、ヨーロッパやアジア、南米など、フットサルの強豪国などによる複数国の招致合戦になることも想定されます。そう考えますと、開催国決定までかなり時間が迫ってきていると思いますが、フットサルワールドカップ二〇二〇年の招致をより確実にするため、今後、本県として日本サッカー協会などとの連携、協力のもとでどのような招致活動を行っていくのか、お尋ねいたします。
    次に、昨年六月の定例議会一般質問におきまして、私から知事に御提案いたしました二〇二七年のリニア中央新幹線開業に合わせた本県へのアジア競技大会の招致など、国際的なスポーツ大会の招致の検討についてであります。
    過日、愛知県公館においてお受け取りいただいた我が党愛知県議員団による地方創生に関する提言にも記載させていただいておりますが、さきに申し上げたFIFAフットサルワールドカップ二〇二〇年招致のほかにも、こうしたスポーツ大会の誘致、開催には、国境を越えて広く地域の魅力を伝える情報発信力や、多くの参加者や観戦者を集める求心力があります。
    昨年十二月には、公益財団法人名古屋青年会議所(名古屋JC)の青木照護理事長、杉浦、川島両副理事長ら執行部の方々が大村秀章愛知県知事への意見書を提出いたしました。リニア時代を迎える十二年後には、彼らは五十歳になり、まさに社会の中心となって活躍するころ、そんな未来を見詰める目線から、世界をリードする愛知、名古屋を確立するためのダイナミックなアイデアとして、アジア競技大会や世界陸上選手権大会など、愛知、名古屋のこれからのまちづくりと人づくり、国際的なブランドイメージを確立していくためにふさわしい象徴的かつ国際的なスポーツ大会の招致、開催を知事に直接要望しています。
    また、こうした大規模なスポーツ大会は、開催波及効果が広域に及ぶため、本県のみならず、三県一市と言われる岐阜県、三重県、名古屋市、そして三遠南信エリアとの緩やかなアライアンスを持って進めていかれることで、競合する国々との招致活動などにおいても、優位性を持って臨んでいけるのではないかと考えられます。
    ことしは戦後七十年、さきの大戦は、私たちが暮らすこのアジアにも痛々しい戦禍の爪跡を残しました。しかし、アジアの国々は、その絶望の中から共存共栄という希望への道を模索してきました。その一つの答えが、おおむね四年に一度、アジア各国で開催されるアジア競技大会と言えるのかもしれません。
    スポーツを通じて友情を育み、多様性を認め合い、アジアの地に恒久の平和を築こうとするこの一大イベントは、まさにアジアの国々を結ぶ希望への道として定着し、昨年、韓国で開催された仁川大会で第十七回を迎えることとなりました。
    戦後間もない一九五一年三月、我が国も含め、たった十一カ国の参加国により開催されたインド・ニューデリーでの第一回大会以来、幾つもの困難を乗り越えて大会を実現し、成功に導いてこられた先人たちのその姿に思いをはせるとき、私たちは、スポーツを通じた人間の交流のすばらしさとその可能性に新たな感動と勇気を与えられるような気がしてなりません。
    第一回インド・ニューデリー大会が掲げたスローガンは、EVER ONWARD、日本語で限りなき前進を意味しています。それはまさに、私たちが目指すべき愛知県の姿そのもののように感じられます。図らずも、リニア中央新幹線開業のころに開催が予定されているアジア競技大会は、第一回大会開催から数えることちょうど二十回目となる節目の記念大会でもあります。
    そこで、先ほど申し上げましたFIFAフットサルワールドカップ二〇二〇招致のほかにも、提言にあるとおり、二〇二七年のリニア中央新幹線開業を契機としたアジア競技大会を初め、国際的にもインパクトのあるスポーツ大会の招致、開催に、全県レベルでの競技施設の再検証、整備なども含め、積極的に取り組むべきであると考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
    最後に、リニア中央新幹線開業が本県に与えるであろうさまざまな影響、多様な効果、いわゆるリニアインパクトについて質問をいたします。
    我が党による地方創生に関する提言では、リニア中央新幹線の開業を本県が進むべき未来へのマイルストーンとして捉えており、次の十年、三十年、五十年先を見据えた県政発展につなげるべきタイミングであると考えております。
    さて、そもそもリニアインパクトとは何でしょうか。最近のメディアによる報道などでも取り上げられる名古屋駅の乗りかえ改善や豊田市へのアクセス改善は、本県による長年の懸案であり、たとえリニア計画が具体化していなかったとしても解決しなければならない重要な行政課題の一つでありますので、これらの課題解決を指し示す言葉がリニアインパクトというわけではないと思います。
    今まさにリニア駅建設のための用地取得が始まろうとしています。開削工事による手法で駅が建設された後、現在の名古屋駅を挟んで、東西合わせて約二ヘクタール強の空き地が生まれると見込まれておりますが、これをどのように活用するのか。ステークホルダーと思われる名古屋市、名古屋駅周辺に拠点を置く企業などの関係者にヒアリングをしてみましたところ、まだほぼ白紙の状態等の答え。残念ながら、未来を予感させてくれるような夢のある回答は得られておりません。
    リニア駅建設が開削工事の手法で行われ、十年以上の工期であることを考えると、その間一旦離れた住民や住宅、オフィスは、魅力ある将来ビジョンが提示されていなければ、その後、再びその地へは戻ってこないのではないかとの不安な声も聞こえてきます。
    ちなみに、用地取得そのものは、東海旅客鉄道株式会社(JR東海)によるものですが、跡地利用とその周辺を含めた近隣とのネットワークなどの構想は、行政によるものが強く求められています。
    さきの振興環境常任委員会などにおいて、我が党の石塚吾歩路委員は、リニアインパクトをチャンスと捉え、平成四年の運輸政策審議会の答申、名古屋圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画に、今日のリニアインパクトの要素、効果が含まれていない点を指摘し、LRTなど新交通システムなどの新しい発想と技術の導入により、名古屋駅を起点とした西部地域、大治町、あま市、津島市、愛西市などへのさらなる西進について、リニア開業をチャンスと捉え、本県が目指す観光振興とも連動させ、さらなる交通ネットワークの強化を加速するべきとの趣旨の発言をしておられます。まさに、リニア開業によるインパクトとはチャンスを意味しているのであり、リニアインパクトはリニアチャンスと言いかえるべきなのかもしれません。
    一方で、リニアにおけるネガティブインパクトの懸念もあります。品川と四十分で結ばれると活力が吸い取られてしまうという、いわゆるストロー現象への危機感や不安感です。
    では、その処方箋となり得るものとはどのようなものなのでしょうか。
    平成八年、一九九六年二月に発行された東京大学名誉教授、伊藤滋氏の著書「提言・都市創造」、およそ二十年近くも前に書かれたこの著書の中で、伊藤滋氏は以下のように述べておられます。
    「大深度地下」を使おうという動きは、中央リニアモ
    ーターカー(超電導磁気浮上式鉄道)の開発に多くを負
    っています。
    リニアモーターカーに代表される第二東海道新幹線は
    時速五百キロ。東京・大阪間が一時間、東京・名古屋間
    が三十分、名古屋・大阪間が二十分となっており、「新
    幹線の二倍の速度で時間は二分の一」がキャッチフレー
    ズです。これだけ時間が短縮されれば、東京・名古屋・
    大阪は、一体化した都市圏になりますね。
    つぎに、わたしが名古屋で実際にどんな都市計画の図
    面を思い描いているのかを説明しておきましょう。まず
    名古屋駅前ですが、いずれ完成するリニアモーターカー
    が駅の下を通ります。これに乗れば、東京と大阪から一
    時間で名古屋にやって来ることができる。第二東名・名
    神高速も名古屋の市街地まで入ってきます。飛行場は小
    牧にあるし、将来は知多半島に中部国際空港ができる。
    そして、名古屋駅前の、お城のある東側ではなく、そ
    の反対側、いまの河合塾があるあたりを官庁街にあてた
    い─中略─比較的古いビルばかりですから、それを取り
    壊して民間の高層ビルを建てます。議事堂は笹島の貨物
    駅の敷地につくる。
    地下鉄もすでに完備している。おまけに名古屋駅前に
    はJR東海が立派なオフィスビルと商業ビルをつくるこ
    とになっている。もちろん充実した繁華街もある。
    などなどであります。
    当時の首都機能移転の議論では、栃木県の那須地域や岐阜県の東濃地域が候補地とされ、ある意味で荒唐無稽な大胆きわまりないとも言える案だったのかもしれませんが、リニア中央新幹線が着工した今日では、むしろリアリティーがあると言えます。二十年近くも前にこれほどの構想力を持って名古屋駅周辺のポテンシャルを言い当てておられることに驚きます。
    伊藤滋氏の首都機能移転論への賛否をここで申し上げるつもりはありませんが、今私たち愛知県の未来図を示す役割の一翼を担う者にとって必要なのは、リニア中央新幹線開業をリニアチャンスとして捉えた伊藤滋氏のような未来を描く構想力であると考えます。
    政府が進める地方創生の柱の一つとして期待されている首都圏内にある政府機関の地方移転があることは御承知のとおりであります。大村知事が目指す西の横綱として日本を牽引する地域となるためには、首都的な機能、つまり、我が国でオンリーワンと言える象徴的なものを誘致、立地させることが、リニアによるネガティブインパクトへの危機感や不安感を払拭し得る効果的な処方箋の一つと言えるのではないかと考えます。
    ここで、私から御提案申し上げたいのは、名古屋駅の東西に出現する約二ヘクタールの空き地とその周辺をより効果的に活用して、物づくり愛知、日本にふさわしい首都的な機能と言える求心力のあるものを設立することへの検討についてであります。
    物づくり愛知、日本の象徴的なものの設立とは、例えば産業・技術史博物館、いわゆる国立物づくり博物館と呼べるような機能を名古屋駅周辺エリアに設置することにより、物づくり愛知、名古屋の魅力を発信するだけでなく、物づくりに関するナレッジを共有し醸成することで、国内外における技術継承、人材育成、研究開発の拠点として、日本、アジア、世界の物づくりの中心地として愛知をより国際競争力の強い物づくりのエリアへと進化を加速させていくことであります。
    もちろん、我が国初の国立物づくり博物館として、世界各地からの観光の目玉となることも設立の主たる目的であります。
    ちなみに、こうした産業技術に関する国立の施設は、海外ではドイツ・ミュンヘンにあるドイツ博物館、イギリスのロンドン科学博物館、アメリカ国立航空宇宙博物館、これはスミソニアン航空宇宙博物館とも呼ばれています、イタリアのレオナルド・ダ・ヴィンチ国立科学技術博物館など、物づくりの国を自負する海外諸国においては、産業技術史をテーマとして扱う博物館が既に設置されていますが、物づくり大国を標榜する我が国には、まだ同様のミュージアムはありません。もちろん、本県にはトヨタ博物館、トヨタ産業技術記念館、リニア・鉄道館、ミツカンミュージアムなど、我が国を代表する民間企業によるすばらしい施設が存在していますが、それぞれ民営による業種別の博物館であり、国立による総合的かつ包括的な物づくりを体感、体験、学習する産業技術史博物館とは異なります。
    かつて我が国では、国立産業技術史博物館の設立構想が大阪府吹田市の万博記念公園にありましたが、計画は頓挫し、収集した数百点に及ぶ貴重な産業遺産は廃棄されてしまったと聞いています。また、平成十年三月、財団法人中部産業活性化センターによる国立の産業技術博物館(仮称)構想実現化に関する調査報告書では、二〇〇五年、日本国際博覧会の恒久施設として検討を試みたようですが、実現には至っておりません。
    ここでの私からの提案は、アイデアフラッシュの域を超えるものではありませんが、リニア開業を見据え、国際レベルのターミナル駅を有する魅力と活力あふれるまちを目指す名古屋駅周辺まちづくりの検討が名古屋市を中心として進められている中、その名古屋市を抱く愛知県として、県民の期待に応えるために、今、本県の構想力と実現力、夢を描く力と夢を形にする力が問われています。
    そこでお尋ねいたします。
    リニア中央新幹線の西の拠点となる名古屋駅の機能強化とその周辺まちづくり及び名古屋駅を起点とした近隣の交通ネットワークについての県の考えをお伺いいたします。
    以上、理事者各位の明快な御答弁を期待し、壇上からの質問を終わります。(拍手)
  • 51:◯農林水産部長(加藤正人君) 県産小麦きぬあかりについてのお尋ねのうち、まず、需要拡大の取り組みについてであります。
    平成二十三年に、農業総合試験場で開発した小麦品種きぬあかりは、麺にすると色が明るく美しいクリーム色となり、もちもち感が強いという特色を持つことから、製粉事業者や製麺事業者にうどんやきしめんへの利用を積極的に働きかけてまいりました。
    また、平成二十五年には、生産者団体や製粉協会、製麺協同組合等を構成員とする普及推進プロジェクトチームを立ち上げ、シンボルマークの作成やホームページによる情報発信などに取り組み、普及に努めてまいりました。
    これらの取り組みにより、現在、麺用としてきぬあかりを使用した商品は三十種類以上、シンボルマークの使用登録事業者数は、飲食店を含めて七十六社となり、きぬあかりの本格的な栽培から三年を経過し、需要は拡大しつつあると考えているところでございます。
    また、議員御指摘のとおり、食やグルメは観光振興の目玉でもありますので、県民の皆さんはもとより、本県を訪れる皆様にもきぬあかりを味わっていただくため、なごやめしを提供する飲食店へのきぬあかりの普及拡大に努めるとともに、集客力のあるイベントにPRコーナーを設置し、きぬあかりの試食品を提供してまいります。
    さらに、きぬあかりを使った料理やスイーツなどを広く県民の皆様に提案していただくレシピコンクールを開催するとともに、来年の二月を県の農林水産物のPR強化月間とし、地下鉄やリニモの車内広告の活用を予定しておりますので、きぬあかりを名古屋コーチンや花、抹茶などのブランド力を有する品目とあわせてPRして、認知度向上と需要拡大に取り組んでまいります。
    次に、きぬあかりの生産振興と新品種の開発についてであります。
    小麦は、気象条件や栽培条件により収量、品質のばらつきがあるため、製粉事業者等からは、安定した品質と生産量の確保が求められております。このため、平成二十六年には、県、生産者団体、製粉事業者、製麺協同組合で構成する検討会議において、小麦の品質を決める主要な指標となるたんぱく質の含有量など、愛知県産きぬあかりの品質目標を設定したところでございます。
    また、県と生産者団体等が連携して、各産地の収量や品質分析等の情報を取りまとめ、その結果を活用して、肥料の量や時期について技術指導を行うなど、目標とする品質を備えたきぬあかりの安定的な生産に努めているところでございます。
    さらには、きぬあかりに続く品種として、農業総合試験場において、パンや中華麺に適した新品種ゆめあかりを開発し、平成二十六年五月に品種登録をいたしました。
    ゆめあかりは、きぬあかりに比べ収穫時期が遅いため、収穫作業の分散が可能となり、生産効率の向上に寄与するなど、生産者にとってメリットの大きい品種であると考えております。現在、平成二十九年産からの本格的な栽培を目指し、種子の供給と栽培技術の確立に取り組んでいるところでございます。
    県といたしましては、今後とも、関係団体との連携を密にし、きぬあかりの安定した品質と生産量の確保に取り組むとともに、きぬあかり、ゆめあかりそれぞれの特性を生かしたブランド形成に努め、愛知の小麦の需要拡大と生産振興を図ってまいります。
    以上でございます。
  • 52:◯振興部長(植田昌也君) 私からは、まず、FIFAフットサルワールドカップ二〇二〇の招致活動についてお答えいたします。
    FIFAフットサルワールドカップ二〇二〇の開催国につきましては、FIFAによる募集の後、立候補国への事前視察、FIFAフットサル委員会の決定、FIFA理事会での承認というプロセスで決定されると聞いております。現時点では、FIFAによる募集時期についての情報はございませんが、正式な募集を待つことなく、日本が愛知県でフットサルワールドカップを開催する意向があることをFIFAのフットサル委員や理事等の関係者に知ってもらうことが必要であると考えております。
    このため、まずは日本サッカー協会と連携して、招致活動に用いるパンフレットを作成しているところでございます。この招致パンフレットでは、効率的でコンパクトな大会運営ができることや、アジアのフットサル人口の増加に資することなど、日本・愛知での開催の優位性をアピールしてまいりたいと考えております。
    また、FIFAには、女子のフットサルワールドカップを立ち上げたいという構想もあると聞いているため、例えば二〇二〇年の大会に合わせ、女子チームよるエキシビションマッチを開催すれば、日本での開催が女子フットサルの盛り上げにつながることをFIFAにアピールしていきたいと考えております。
    さらに、日本・愛知の大会運営の能力の高さをFIFA関係者に示すため、日本と海外の代表チームによる親善試合を愛知県で開催することについて、本県から日本サッカー協会に提案しているところでございます。
    今後、日本サッカー協会では、FIFA関係者と接触できるあらゆる機会を捉えて、日本・愛知での開催を働きかけていくとのことですので、本県といたしましても、招致活動にしっかりと取り組んでまいります。
    続きまして、名古屋駅の機能強化と駅周辺のまちづくり及び名古屋駅を起点とした近隣の交通ネットワークについてお答えいたします。
    リニア中央新幹線の開業後、本県が西の拠点として発展していくためには、当地域の強い産業力などの強みを生かし、より高めていくことが重要でございます。
    そのため、本県の産業に関連した政府関係機関の誘致を提案するとともに、MRJの開発、生産を契機に航空宇宙産業の集積をさらに進め、産業観光の拠点施設整備も行っております。
    名古屋駅の機能強化と駅周辺のまちづくりにつきましては、名古屋市が策定したまちづくり構想の実現に向けて、国、県、市、鉄道事業者等で都市機能の強化、リニア駅周辺の面整備及びわかりやすい乗りかえ空間の形成などの主要プロジェクトに関する協議を進めております。
    県といたしましては、駅機能の強化として、名古屋駅と県内各地との移動を円滑にし、かつ国内外からの来訪者の増加にも対応した名古屋駅の利便性の向上が特に重要と考えております。
    また、駅周辺のまちづくりについては、名古屋市が中心となって、関係者とともに国際的、広域的なビジネス・交流拠点機能を目指して、その方向性を固めていくこととなります。名古屋駅及び駅周辺が中京大都市圏の玄関口としてふさわしいものとなるよう、広域自治体である県としての役割を果たしてまいります。
    次に、名古屋駅を起点とした交通ネットワークにつきましては、昨年度末に定めた方策案に基づき、四十分交通圏の拡大を目指し、名鉄三河線の複線化等による速達化に向け、将来的な輸送需要調査を行うとともに、関係者と具体化に向けた協議を進めております。
    さらに、今年度から二カ年であいち公共交通ビジョン(仮称)の策定を進めており、空港及び鉄道駅からビジネス・観光拠点へのアクセスの充実や、多言語化を含めた情報提供など、利用者目線に立った公共交通体系を目指しており、その中で名古屋駅周辺の交通ネットワークについても検討してまいります。
    県といたしましては、リニア開業の効果を最大限に活用していくため、今後も名古屋駅の機能強化と駅周辺のまちづくりや交通ネットワークの充実に向け、名古屋市や交通事業者等と連携しながら、しっかりと取り組んでまいります。
  • 53:◯知事(大村秀章君) 寺西むつみ議員の質問のうち、リニア中央新幹線開業を契機とした国際的なスポーツ大会の招致、開催について、私からお答えをいたします。
    二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機といたしまして、東京では、スポーツ施設のみならず交通基盤も整備をされ、また、湾岸地域を中心に大規模開発が計画されるなど、都市機能を大きく充実させようといたしております。
    これに対しまして、本県が二〇二七年度のリニア開業に伴い誕生する人口五千万人規模の大交流圏の西の拠点となるためには、県内の交通機能等の都市基盤のさらなる充実が求められております。
    国際的なスポーツ大会は、強い情報発信力を持ち、開催地である愛知県の知名度を大きく向上させるとともに、多くの観戦客を国内外から集め、地域経済にも大きな効果をもたらします。
    とりわけアジア競技大会は、オリンピックを上回る数の競技が行われ、また、オリンピックに匹敵する一万五千人もの選手や大会関係者が参加する、大変スケールが大きく、国際的にも注目度の高いスポーツ大会であります。こうした大会の開催に当たりましては、国際競技団体が求める基準を満たすスポーツ施設の整備に加え、国内外から訪れる多数の選手や観戦客等の円滑な移動や快適な滞在を可能とする交通機関や宿泊施設などの確保も不可欠となります。
    そこで、本県といたしましては、このリニア開業前後の時期、二〇二七年、この時期をターゲットにいたしまして、アジア競技大会を初めとするさまざまな国際的なスポーツ大会の招致可能性について、県内のスポーツ施設の状況も勘案して検討をしていきたいと考えております。
    こういった国際的なスポーツ大会が開催できれば、大会そのものがさまざまな効果をもたらすだけでなく、当地域のリニア大交流圏の西の拠点としての発展にも大きく寄与するものと考えております。
  • 54:◯副議長(杉浦孝成君) 以上で質問を終結いたします。
    ─────────────
  • 55:◯四十一番(石塚吾歩路君) ただいま議題となっております議案は、さらに審査のため、それぞれ所管の常任委員会に付託されたいという動議を提出いたします。
    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  • 56:◯副議長(杉浦孝成君) 石塚吾歩路議員の動議のとおり決しまして御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  • 57:◯副議長(杉浦孝成君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております議案は、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
    なお、議案付託表は議席に配付いたしました。
    ─────────────

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━
    日程第二 決算第一号平成二十六年度愛知県一般会計歳
    入歳出決算から決算第十二号平成二十六年度愛
    知県県営住宅管理事業特別会計歳入歳出決算ま
    で

  • 58:◯副議長(杉浦孝成君) 次に、決算第一号平成二十六年度愛知県一般会計歳入歳出決算から決算第十二号平成二十六年度愛知県県営住宅管理事業特別会計歳入歳出決算までを一括議題といたします。
    本件につきましては、一般会計・特別会計決算特別委員会において閉会中継続審査されておりますので、委員長の報告を求めます。
    一般会計・特別会計決算特別委員長小林功議員。
  • 59:◯九十六番(小林功君) 一般会計・特別会計決算特別委員会に付託されましたのは、決算第一号平成二十六年度愛知県一般会計歳入歳出決算外十一件の決算であります。
    各決算につきましては、十月二十六日、十一月十日、十一日、十二日、十六日及び十八日の六日間にわたって慎重に審査を行い、採決の結果、決算第一号から決算第十二号までは、いずれも全員一致をもって認定すべきものと決しました。
    以上、御報告申し上げます。
    ─────────────

    ─────────────

  • 60:◯副議長(杉浦孝成君) これより採決いたします。
    決算第一号平成二十六年度愛知県一般会計歳入歳出決算、決算第二号平成二十六年度愛知県公債管理特別会計歳入歳出決算、決算第十二号平成二十六年度愛知県県営住宅管理事業特別会計歳入歳出決算、以上、三件の決算を一括起立により採決いたします。
    一般会計・特別会計決算特別委員長の報告のとおり、決算第一号、決算第二号及び決算第十二号の三件の決算を認定することに賛成の議員の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
  • 61:◯副議長(杉浦孝成君) 起立多数と認めます。よって、決算第一号、決算第二号及び決算第十二号の三件の決算は認定されました。
    ─────────────
  • 62:◯四十番(須崎かん君) 一般会計・特別会計決算特別委員長の報告のとおり、決算第三号から決算第十一号までの九件の決算は認定されたいという動議を提出いたします。
    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  • 63:◯副議長(杉浦孝成君) 須崎かん議員の動議のとおり決しまして御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  • 64:◯副議長(杉浦孝成君) 御異議なしと認めます。よって、決算第三号から決算第十一号までの九件の決算は認定されました。
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━
    日程第三 決算第十三号平成二十六年度愛知県県立病院
    事業会計決算から決算第十六号平成二十六年度
    愛知県用地造成事業会計決算まで
  • 65:◯副議長(杉浦孝成君) 次に、決算第十三号平成二十六年度愛知県県立病院事業会計決算から決算第十六号平成二十六年度愛知県用地造成事業会計決算までを一括議題といたします。
    本件につきましては、公営企業会計決算特別委員会において閉会中継続審査されておりますので、委員長の報告を求めます。
    公営企業会計決算特別委員長松川浩明議員。
  • 66:◯八十一番(松川浩明君) 公営企業会計決算特別委員会に付託されましたのは、決算第十三号平成二十六年度愛知県県立病院事業会計決算外三件の決算であります。
    各決算につきましては、十月十九日及び二十日の二日間にわたって慎重に審査を行い、採決の結果、決算第十三号から決算第十六号までの四件の決算については、いずれも全員一致をもって認定すべきものと決し、決算第十三号の欠損金処理計算書案並びに決算第十四号及び決算第十五号の二件の剰余金処分計算書案については、いずれも全員一致をもって原案を可決すべきものと決しました。
    以上、御報告申し上げます。
    ─────────────

    ─────────────

  • 67:◯副議長(杉浦孝成君) これより採決いたします。
    決算第十三号平成二十六年度愛知県県立病院事業会計決算、決算第十四号平成二十六年度愛知県水道事業会計決算、決算第十五号平成二十六年度愛知県工業用水道事業会計決算、決算第十六号平成二十六年度愛知県用地造成事業会計決算、以上四件の決算を一括起立により採決いたします。
    公営企業会計決算特別委員長の報告のとおり、決算第十三号から決算第十六号までの四件の決算を認定し、決算第十三号の欠損金処理計算書案並びに決算第十四号及び決算第十五号の二件の剰余金処分計算書案を原案のとおり可決することに賛成の議員の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
  • 68:◯副議長(杉浦孝成君) 起立多数と認めます。よって、決算第十三号から決算第十六号までの四件の決算は認定され、決算第十三号の欠損金処理計算書案並びに決算第十四号及び決算第十五号の二件の剰余金処分計算書案は原案のとおり可決されました。
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━
    日程第四 請願(十三件)
  • 69:◯副議長(杉浦孝成君) 次に、請願を議題といたします。
    本議会に提出されました請願十三件については、お手元に配付してあります請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
    ─────────────

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━

  • 70:◯四十一番(石塚吾歩路君) 本日はこれをもって散会し、明十二月八日から十二月十七日までは委員会開会等のため休会とし、十二月十八日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  • 71:◯副議長(杉浦孝成君) 石塚吾歩路議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  • 72:◯副議長(杉浦孝成君) 御異議なしと認めます。明十二月八日から十二月十七日までは委員会開会等のため休会とし、十二月十八日午前十時より本会議を開きます。
    日程は文書をもって配付いたします。
    本日はこれをもって散会いたします。
    午後四時三十八分散会

愛知県議会議員
石井よしき事務所

〒480-1114 愛知県長久手市長配3-210

TEL 0561-61-2225 FAX 0561-62-9511

MAIL ishi43@peach.plala.or.jp

  • HOME
  • プロフィール
  • 政策
  • 県政情報
  • 県政報告
  • ブログ