県政報告
(主な質疑)
- 1:(主な質疑)
《議案関係》
【わしの恵子委員】
第116号議案、愛知県社会福祉施設条例の一部改正について伺う。
今回、廃止の対象となっている南知多老人福祉館は、ここ5年間の利用状況は、26年度は49.7パーセントと若干減少傾向ではあるが、それでも50パーセントあり、人気は高いと思われる。
南知多老人福祉館の利用者について、60歳以上と以下の割合、リピーターの割合、家族利用の割合など、現在の状況について伺う。
- 2:【高齢福祉課主幹(高齢者福祉)】
南知多老人福祉館の平成26年度の利用状況は、宿泊者のうち60歳以上の方が78.5パーセント、それ以外の方が21.5パーセントとなっている。
また、リピーターについては、統計を取り始めた平成26年8月から平成27年7月までの1年間では、80.5パーセントとなっている。
なお、家族での利用の状況については、統計はないが、平成26年度の小学生及び中学生の利用は2.6パーセントであり、指定管理者である平安閣からは、平日は高齢者の利用が多く、連休や長期休暇時には家族での利用もあると聞いている。
- 3:【わしの恵子委員】
この施設は平成8年に30億円をかけて全面建て替えをし、耐用年数もあと20年くらいは残っていると聞いている。廃止理由として、「その他の公衆浴場が増えた」「必ずしも公の施設によるサービスの提供が必要でなくなった」とあるが、日帰りのお風呂と、宿泊してゆっくり休む保養所は性格が違うのではないか。これから高齢者人口が大きく増加し、年金も削減され、消費税の増税もある中で、高齢者にとって、低廉で健全な保健休養のための施設はますます必要になってくると思うがどうか。
- 4:【高齢福祉課主幹(高齢者福祉)】
平成23年社会生活基本調査結果によれば、65歳以上の高齢者のうち1年間に国内観光旅行をした人の割合は、平成8年は47.1パーセント、平成23年は37.9パーセントと大きく減少している。一方で、音楽会での音楽鑑賞は8.8パーセントから15.3パーセントへ、映画館での映画鑑賞は6.2パーセントから13.7パーセントと約2倍に増えるなど、高齢者の余暇の楽しみ方は多様化しており、民間事業者により、そのニーズに応えたサービスの提供が進んできていると考えている。
また、南知多老人福祉館の宿泊料金は、1泊2食で7,700円からとなっているが、施設のある南知多町師崎地区の他の旅館4館のうち3館の宿泊料金は8,640円からとなっている。
これらの状況を総合的に勘案し、必ずしも公の施設によるサービス提供が必要ではなくなったと判断したところである。
- 5:【わしの恵子委員】
現在施設で働いているスタッフは、9割が地元の方で貴重な就労の場にもなっているとのことである。また、海辺の近くにありながら高台にあり、津波などの避難場所として貴重な場所であることから、地元にとっても大切な場所だと思う。
新聞報道などで、廃止を知った利用者からも存続を求める声があると聞いているが、どう受け止めているか。
- 6:【高齢福祉課主幹(高齢者福祉)】
南知多老人福祉館の従業員は、常勤雇用5名、パートなどの非常勤雇用45名で、合計50名となっている。そのうち南知多町に自宅住所のある従業員は26名で、全従業員の52パーセントの割合となっている。
南知多老人福祉館の公の施設としての廃止の検討に当たり、南知多町へ意向確認を行ったところ、町からは、民間に売却する場合には、宿泊施設としての利活用、津波避難所機能の継続、地元雇用の確保について配慮をしてほしいとの意見があったため、民間への譲渡条件を検討する際の参考にしたいと考えている。
また、県には直接存続を求める意見は寄せられていないが、現在の施設は平成8年に建て替えており、宿泊施設としての機能を十分有しているため、引き続き宿泊施設としての条件を付した売却を検討している。
なお、昨年10月に実施された行政改革の推進に向けた外部有識者による公開ヒアリングでも、「南知多老人福祉館を公の施設としては廃止し、民間事業者へ施設譲渡する考え方は妥当」と、有識者7人全員の判定をもらっている。
- 7:【わしの恵子委員】
指定管理者制度になる前は愛知県厚生事業団が運営し、当時の県からの委託料は5,000万円以上だったと聞いている。他の類似の保養施設への指定管理料を調べてみると、名古屋市の松ヶ島保養所が、宿泊定員が80人と規模が小さいにもかかわらず、1億2,600万円の指定管理料を払っている。
平安閣が南知多老人福祉館の指定管理者になった当初の5年間の指定管理料は0円、2期目は500万円ということであるが、それまでの委託料等と比較しても大変低いのではないか。維持管理費や修繕費が高いということで公の施設としての意義がないというのは納得できないが、どう考えているか。
- 8:【高齢福祉課主幹(高齢者福祉)】
公の施設の廃止については、維持運営に要する費用の多寡ではなく、平成26年12月に策定されたしなやか県庁創造プランにおいて、「民間事業者において高齢者の様々なニーズに応えた保養サービスが提供されるようになり、必ずしも公の施設によるサービス提供が必要でなくなったことから、公の施設としては廃止の方向で検討するとともに、施設としてはニーズがあることから民間による施設活用を検討する」と位置づけられたことに伴い、検討を進めた結果、廃止の判断に至ったものである。
- 9:【わしの恵子委員】
公の施設だからこそ、低廉な料金で安心して高齢者が利用できるのではないか。民間の施設は他にもあるが、高齢化が進む中で大切な施設であり、公の施設として是非存続させてほしい。
- 10:【犬飼明佳委員】
地域医療介護総合確保基金のうち介護分について伺う。この基金は介護施設の整備に関する事業と介護従事者の確保に関する事業の両面から成り立っており、重要な事業だと認識している。後者の事業のうち資質の向上に資する、介護職員の資質の向上の研修に対する助成と、介護福祉士資格の取得に対する2点の支援について伺う。
先般、介護事業所の方から、介護職員のかくたん吸引等の研修費用が負担になっていると聞いた。15から16万、場合によっては20万円程度かかり、名古屋市や岡崎市では独自の補助制度がある中、県に対して補助制度の創設を望む声が強いが、こうした中、基金に含まれた研修受講費用支援事業と介護福祉士資格取得支援の補助の内容、補助率について伺う。
- 11:【地域福祉課主幹(地域福祉)】
介護職員等のかくたん吸引等研修に対する助成としては、地域医療介護総合確保基金を財源として、かくたん吸引等研修を受講する費用の2分の1を助成する制度の創設を予定している。
また、かくたん吸引等研修は受講期間が1か月以上となるため、この研修に参加することで手薄となる事業所での非常勤職員の雇用費用の2分の1を助成する介護福祉士資格取得支援補助金の実施により、この研修を受講しやすくすることも考えている。
- 12:【犬飼明佳委員】
こうした制度は早くスタートしてほしいが、いつから始める予定なのか。
- 13:【地域福祉課主幹(地域福祉)】
事業開始については、予算成立後、なるべく早くと考えているが、準備等の都合もあり、来年の11月になると考えている。
- 14:【犬飼明佳委員】
大変良い制度でニーズも高いと思うので、しっかりと周知をしながら取り組んでもらいたい。
次に認知症支援実習体験をいかしたボランティア養成事業について伺う。
10年後には65歳以上の方の5人に1人が認知症になるといわれている中で、認知症の方及びその家族に対する地域での見守り、サポートが大変重要になっており、ボランティアの存在は欠かせないものとなっている。そこで、認知症支援実習体験をいかしたボランティア養成事業の具体的な内容について伺う。
- 15:【高齢福祉課主幹(高齢者福祉)】
認知症支援実習体験をいかしたボランティア養成事業費の具体的な内容としては、認知症サポーター等を対象として、ボランティア活動を実践するために必要な、認知症の方への効果的な支援の仕方を講義やグループワークで学んでもらい、その後、介護事業所などで実習体験をしてもらうことを予定している。
また、民間企業などへ認知症の方への対応状況や課題などの聞き取り調査を行い、その結果を検証し、企業向けの対応マニュアルを作成し、配布することとしている。
- 16:【犬飼明佳委員】
現在、認知症サポーター養成講座も県内各地域で活発に実施されているが、この講座は認知症を正しく理解することが目的となっており、サポーターとなっても、その後具体的な活動というものは特に準備はされていない。
サポーターは、今、県内で20万人以上といわれており、今後、更に増えていくと思う。社会的活動や地域貢献の意識の高いサポーターにより活躍してもらうために、ボランティア養成事業に積極的に参加してもらうべきと考えるが、改めて県の具体的な取組を伺う。
- 17:【高齢福祉課主幹(高齢者福祉)】
認知症サポーターの中には、より積極的な支援活動を行いたいという方も多数おり、県としては、市町村に対して、認知症サポーター養成講座においてボランティア養成事業の周知をしてもらうとともに、既に見守りネットワークなどに登録されている認知症サポーターにも、この事業への参加を呼びかけるように働きかけをしていく予定である。
- 18:【犬飼明佳委員】
より多くの県民に、このボランティアに参加してもらえるように、広報・啓発にもしっかりと力を入れてもらいたい。
- 19:《請願関係》
【わしの恵子委員】
請願第11号、18歳年度末までの医療費無料制度実施を求める請願について、紹介議員として採択を求める意見を述べる。
愛知県の子供の医療費助成制度は、通院で小学校入学前、入院で中学校卒業までとなっており、全国の都道府県でも高い水準となっている。しかし、県内の市町村の助成制度は県より上回っている。現行制度は平成20年4月から拡充されたが、それ以来拡充がされていない。18歳年度末までの医療費助成制度を県の制度とすることは、特に子育て世代からの強い要望となっているため、本請願の採択を求める。
次に、請願第12号、後期高齢者医療制度の保険料軽減特例の恒久化を求める意見書を国に提出を求める請願について、採択を求める意見を述べる。
政府は、後期高齢者の保険料軽減特例を段階的に縮小し、平成29年度から廃止するとしている。特例の9割、8.5割を軽減するもので、県内の後期高齢者82万人のうち、半数の41万人が対象となっている。
後期高齢者医療制度が始まって7年目であるが、当初の県の平均保険料は年額7万6,388円であったが、2年ごとの改定により、現在は8万2,584円と、6,196円も引き上げられている。保険料が払えない人が増え、短期保険証の発行は、今年2月時点で過去最多の834人となっている中で、軽減特例を廃止・縮小すれば、保険料は5倍、10倍に増える例もある。
愛知県高齢者広域連合議会では、今年度、後期高齢者医療制度の保険料軽減特例の恒久化を求める意見書を国に提出しており、県市長会でも、国への要望事項として、後期高齢者の保険料軽減特例措置の継続を盛り込んでいる。
愛知県議会でも、同様の趣旨の意見書を提出するよう請願の採択を求める。
次に、請願第13号、介護保険給付の充実のため国へ意見書を求めるについて、採択を求める意見を述べる。
介護報酬が2.27パーセント引き下げられ、県社会保障推進協議会が実施した介護事業所アンケートでも、訪問介護や通所介護、グループホームなどは大幅な減収で、事業所の休止・廃業も考えざるを得ないという回答もある。また、利用者の自己負担は、一定所得以上者は2割の引上げ、介護福祉施設の室料、食費の制限、特養ホーム多床室の負担限度額引上げなど、大幅に増えている。
さらに、特養の入所基準は、原則、要介護3以上となり、要支援者の訪問介護、通所介護も介護保険の給付から外され、市町村の地域支援事業に移行されることになり、介護保険料も、第5期では月額4,768円であったのが、第6期は5,191円となり、423円、8.9パーセントの引上げとなっている。
高齢者の生活はますます苦しくなるため、介護報酬2.27パーセントの引下げを撤回し、大幅引上げする緊急改定をするとともに、利用者の自己負担を本年3月の基準に戻すことを求める意見書を国に提出するよう請願の採択を求める。
- 20:【奥村悠二委員】
請願第11号、18歳年度末までの医療費無料制度実施を求める請願について、不採択の立場で意見を述べる。
子供医療費助成制度については、本県は全国の助成制度の中でも高い補助水準である。
子供医療を始めとする福祉医療制度は、財政負担が87億円ほど必要となるが、持続可能な制度にすることが必要であると考えており、限られた財源の中で制度を維持していくことが重要であると考えている。
医療費無料化は子育て家庭にとって助かるという意見もあるが、本来、子供たちが病気にならないようにするべきであり、食などから子供たちの健康を考える制度を設けてほしいという意見もある。財政的な観点も含め、もっと大きな観点で子供たちのことを考えると、これ以上医療費無料を進めるべきではないと考える。
次に、請願第12号、後期高齢者医療制度の保険料軽減特例の恒久化を求める意見書を国に提出を求める請願について、不採択の立場から意見を述べる。
後期高齢者医療制度については、世帯の所得に応じた保険料軽減が設けられており、国保と同じく低所得者の均等割が7割、5割、3割の軽減となっている。
この特例措置について、国保での軽減割合は最大7割であるが、後期高齢者医療制度の軽減割合は最大9割となっていることなど不公平であるとの指摘がある。
こうしたことから、平成27年1月に社会保障制度改革推進本部により決定された医療保険制度改革骨子において、低所得者に配慮しつつ、特例措置を段階的に縮小し、平成29年度から原則的に本則に戻すとともに、急激な負担増となる者については、きめ細かな激変緩和措置を講ずることとされたところである。
激変緩和措置の内容については、今後検討し結論を得るとされており、動向を注視する必要があることから、現段階において、後期高齢者医療制度の保険料軽減特例の恒久化を求めることは適切ではないと考える。
次に、請願第13号、介護保険給付の充実のため国へ意見書を求めるについて、不採択の立場から意見を述べる。
平成27年度の介護報酬改定においては、国が実施した介護事業経営実態調査等の調査結果に基づく検討結果を踏まえて引き下げられたものであるが、介護報酬に関しては、平成26年12月定例議会で可決された「福祉・介護人材の確保対策の充実についての意見書」の中で、介護報酬の引上げやキャリアと能力にふさわしい賃金体系の再構築など、福祉・介護従事者の給与等の処遇改善を図ることについて、特段の措置を講じることを既に要望している。
また、介護保険利用者の自己負担は、平成27年8月より一定以上の所得がある場合に限り、2割負担に引き上げられたところである。介護保険の総費用は、年々増加傾向にあり、介護保険の財源は、40歳以上の方が納める保険料、国や都道府県・市区町村の負担金、利用者負担からなっている。保険料の上昇を可能な限り押さえつつ、現役世代の過度な負担を避けるとともに、高齢者世代内で負担の公平化を図っていくためには、65歳以上の被保険者のうち、一定以上の所得のある方に、2割の利用者負担はやむを得ないと考える。
- 21:《一般質問》
【小山たすく委員】
筋萎縮性側索硬化症、いわゆるALSの支援体制について伺う。
ALSとは、身体を動かすための神経系の変性により、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだん痩せて力がなくなっていく病気であり、今のところ原因は不明で有効な治療法がほとんどない難病である。また、他の病気に比べ病気の進行速度が極めて早いことから早期の診断と治療の開始が重要であるが、根治するための治療法や特効薬がなく、医療費が高額となっている。そこで、指定難病の認定を受ければ医療費の助成が受けられる難病医療費助成制度の概要について伺う。
- 22:【健康対策課主幹(原爆・難病・がん対策)】
難病医療費助成制度は、平成27年1月に施行された難病の患者に対する医療等に関する法律、いわゆる難病法に基づき国が指定した難病に対して、国及び都道府県の負担において、医療費を助成するもので、医療費の助成対象となる疾病数は、本年1月からは110、7月には306に拡大されたところである。
- 23:【小山たすく委員】
難病診断を受けてから、県の難病指定を受けるまでの流れを伺う。手続としては、患者が難病指定医から診断を受け、県に申請書を提出することになるが、どういう手順で審査を行い、現状、どの程度の期間を要しているのか。
- 24:【健康対策課主幹(原爆・難病・がん対策)】
申請手続については、まず申請者の住所を所管している保健所に申請書類一式が提出された後、提出書類に不備がないかを確認する形式審査、申請者の基本的なデータの電算システムへの入力が行われ、健康対策課に書類が進達される。この受付から進達までは数週間を要している。健康対策課では、申請内容の確認、外部の専門医による診断書の医学的審査、申請者の加入する健康保険にかかる調査等を経て受給者証を発行するが、ここまでに約一月かかる。なお、受給者証交付のための外部の専門医の審査について更に数週間から一月ほどかかるため、トータルして3か月ほどかかることとなる。
- 25:【小山たすく委員】
現在の県内の医療費助成の受給者数を伺う。
また、難病法施行により対象疾病数が大きく増加しているため、昨年までよりも対象者数が増加することが予想されるが、増加の見込数も併せて伺う。
- 26:【健康対策課主幹(原爆・難病・がん対策)】
本県における受給者数は、平成26年度末現在で、4万2,065人であり、本年度末には、国の推計を基に積算すると、6万9,000人程度に増加すると見込まれる。なお、現時点での申請状況等を考慮すると、この推計値を下回り、5万人から5万5,000人程度になるのではないかと考えている。
- 27:【小山たすく委員】
そのうち、新規申請者数は毎年どの程度か。
- 28:【健康対策課主幹(原爆・難病・がん対策)】
難病法が施行されるまで、特定疾患治療研究事業として同様の事業を実施していたが、その時は年間6,000件程度の新規申請であった。今年度は、指定難病として7,000から8,000件程度になると考えている。
- 29:【小山たすく委員】
この一連の流れを担う県の審査体制について、担当職員数と委託医師数について伺う。
- 30:【健康対策課主幹(原爆・難病・がん対策)】
審査を担当している職員は、健康対策課難病医療給付グループの8名で、このうち常時審査事務に携わるのは3名となる。ただし、繁忙期には8名全員で行う体制となっている。専門医として審査を依頼している委員は20名となっている。
- 31:【小山たすく委員】
難病医療費の助成制度は毎年更新手続が必要であり、申請が集中する時期もある。職員への負担はもとより、医療費助成の手続が遅れてしまうおそれがあるため、職員配置の見直し、拡充が必要と思われるが、事務量の増加に伴い、職員の拡充はされているのか。
- 32:【健康対策課主幹(原爆・難病・がん対策)】
今年度は、法施行に伴う事務量の増加を見込み、健康対策課で1名、特に受給者数の多い4保健所に各1名、計5名の職員を新たに配置した。また、申請が集中する6月から9月までの期間については、事務補助員として臨時職員が雇用できるよう新たに賃金を予算化し、保健所に配分している。今後も、事務の状況等により、必要な人員等について要求をしていきたいと考えている。
- 33:【小山たすく委員】
今年は制度の変わり目で特に多忙であると思うが、人の配置も含め、より迅速な審査体制とすることが必要であると思うが、見解を伺う。
- 34:【健康対策課主幹(原爆・難病・がん対策)】
新たな医療費助成制度の開始に当たって、法律の公布から施行までの準備期間が短く、制度開始当初はかなりの混乱が生じ、本県の更新申請の時期と医療費助成対象の疾病が拡大された時期が重なったことなどから、事務処理にも影響が出たが、10月に入り更新申請も一段落したため、今後は少しでも早く受給者証が発行できるよう努めていきたい。
- 35:【小山たすく委員】
なるべく早く審査体制を整えてもらいたい。
次に申請書の記載内容として重症度分類について伺う。ALSは、判断基準としての重症度分類に就労規定がある。今回の指定難病の拡大も踏まえ、就労規定のある疾病はどの程度あるのか伺う。
- 36:【健康対策課主幹(原爆・難病・がん対策)】
ALSと同様に「生活における重症度分類」のみを使用している疾病は、ALSと原発性側索硬化症の2疾病である。
- 37:【小山たすく委員】
就労が可能であると軽症と見なされ申請が通らないが、就労の内容について記述する箇所がないため、職場の配慮などで就労を続けている場合も軽症とされてしまう。仕事は、収入を得るだけではなく、社会貢献や職場の仲間の支えなどを通じて、病気と闘う勇気を持つより所となることもあり、就労の内容を見ることなく判断される就労規定は見直されるべきである。
就労規定については国の様式ではあるが、就労状態等を追記するなど改善すべきと考えるが、県の見解を伺う。
また、保健所で申請を受け付ける際に、申請者等に対して就労状況等を確認し、申請内容に疑義があれば、その時点で内容を訂正できるよう運用を改善する必要があると思うが見解を伺う。
- 38:【健康対策課主幹(原爆・難病・がん対策)】
申請内容の審査に当たっては重症度分類の記載項目が重要な判断基準となるが、それのみで判断されるのではなく、重症度以外にも生活状況の記入部分があり、重症度と比較して専門医は総合的に判断している。様式は全国統一で定められているため、県の権限で変更することは難しいと思われるが、主治医が、患者の経過と特記すべき事項を記載できるよう、既存の様式の連絡事項欄等を活用するように周知をしていきたいと考えている。
また、保健所で受付をする際にも、できるだけ申請者に関する情報収集に努めるようにしていきたい。
- 39:【小山たすく委員】
ALSは進行が早いため、申請時と判断時の時間のずれによって本人の状況が大きく変わる。そのため、申請に係る必要な改善が図られないと、症状が悪化しているにもかかわらず不許可となってしまう例もある。不許可となると本人等にとって精神的な負担となるばかりでなく、再申請を行っても、結果として審査が半年程度かかるため、その間の医療費の負担も大きい。再申請や症状が重くなってから申請しなければ通らないようなことではいけないため、改めて制度と運用の見直しを求めたい。
また、医療費負担については、市町村で障害認定を受けることで福祉医療によっても同様の助成を受けられることから、病院やケアマネージャーから、難病指定ではなく障害認定をすすめられることもある。しかし、難病はデータの蓄積による病態の研究も重要であるため、もれなく申請してもらうことが重要であると思う。
難病認定により病気ごとに受けられる補助があったり、障害認定では、他県に移住した際には十分な福祉医療が受けられなくなる可能性もあることから、医師・ケアマネージャー等に難病認定の必要性を働きかけるべきだと考えるが見解を伺う。
- 40:【健康対策課主幹(原爆・難病・がん対策)】
難病対策事業については、難病に関する調査・研究を推進していくことも事業目的の一つとされている。したがって、県としても、制度が十分に理解され、適切な運用がされるように周知を図っている。具体的には県のホームページでの周知のほか、愛知県医師会、愛知県病院協会、愛知県薬剤師会等の各会員への周知を図っている。
そのほか、本県では、愛知県医師会、名古屋市と共催で、医師、保健師、ケアマネージャー、ソーシャルワーカー、医療事務担当者等を対象とした難病講習会を毎年開催している。さらに、県医師会の難治性疾患委員会やソーシャルワーカーの勉強会などにおいても、個別に制度説明を行うなど、今後も、機会を捉えて制度周知を図っていきたいと考えている。
- 41:【小山たすく委員】
難病対策地域協議会について伺う。県はこの協議会の役割と目的をどのように考えているのか。また、構成メンバーとして、どういった人を想定しているのか。加えて、設置時期の目途について伺う。
- 42:【健康対策課主幹(原爆・難病・がん対策)】
難病対策地域協議会は、関係機関等の連携の緊密化を図るとともに、地域の実情に応じた体制の整備について協議を行うこととされており、難病患者を地域で支援するために重要な役割を果たすものと認識している。
具体的な構成メンバーについては、今後調整していく予定であるが、現段階では保健所の職員のほか、患者会、医師・医師会、介護・福祉サービス事業者、看護サービス事業者、市町村職員等を想定している。設置時期については、今年度内を目指している。
- 43:【小山たすく委員】
保健所単位の設置で地域の実情に即した対応が求められるため、協議会を通じて、より細かく情報共有を図ってもらいたい。また、市町村ごとに受けられる介護サービス等が異なることから、本人・家族にとっても分かりにくく、ケアマネージャー等がアドバイスに苦慮しているとの声も聞く。こうした市町村ごとのサービス一覧の作成・共有なども大切な役割であると思う。より患者の立場に寄り添った施策展開を図るためにも、協議会を通じて当事者の声を丁寧に吸い上げ、施策に反映してもらいたいと考えるが見解を伺う。
- 44:【健康対策課主幹(原爆・難病・がん対策)】
難病対策地域協議会の設置に当たっては、関係者の意見を十分に聞く必要があるため、県内の難病関係団体で構成されている愛知県難病団体連合会を始めとする関係者、中でも難病患者本人やその御家族の方々にも参加してもらうよう考えている。
- 45:【小山たすく委員】
最後に、難病対策の推進について、組織のトップとして保健医療局長に見解を伺う。
- 46:【保健医療局長】
県としては、当事者や家族の声にしっかりと耳を傾け、改善すべきところはしっかりと改善し取り組んでいきたい。県民共通の願いは、健康、安全、安心だと思うので、県民と共に考え、共に行動していきたいと考えている。
- 47:【小山たすく委員】
是非患者が病気は治るんだと希望が持てる体制を作ってもらいたい。そのためには、1人で頑張るのではなく皆で頑張っていく体制の整備に向けて尽力してもらいたい。
- 48:【奥村悠二委員】
難病認定に係る新規の申請が年間7,000件から8,000件あり、なおかつ更新も4万9,000件ある中で、健康対策課の最大8名で対応しているとのことであるが、窓口である保健所において、ある程度難病指定に係る申請や審査などを完結させることはできないのか。
- 49:【健康対策課主幹(原爆・難病・がん対策)】
現状では、保健所においては書類の形式審査を主体に事務処理を行っており、各保健所によって判断が異なることがあってはいけないため、医学的な専門審査等は、健康対策課において一括して外部の専門員に依頼している。
しかしながら、書類の不備で不承認となり差戻しとなると、更に時間を要してしまうため、保健所における書類審査を確実に行うようにしている。
- 50:【奥村悠二委員】
8名程度で、これだけの業務に対応するのは無理があるのではないか。人員を増員するか、統一したマニュアルを作成し指導することにより、保健所において審査を含めて、ある程度の事務処理を行うことができれば、申請者に対して更に時間短縮などの便宜を図ることができると思われるので、是非検討してほしい。
- 51:【保健医療局長】
今回、疾患数の増により、健康対策課の業務量は更に増加しているが、専門的な疾患が多く、それぞれの判断が難しいため、申請一つ一つに対して、健康対策課から20人の専門医に審査を依頼している。しかしながら、改善すべきところは少しずつでもしっかり改善していきたいと考えている。
- 52:【南部文宏委員】
介護現場での虐待について伺う。
マスコミ等において、介護施設での虐待などが報道され、加害者が写真や動画を撮影し、その映像がネットに流出するなど、大きな社会問題となっている。本県の介護施設における虐待の実態についてどのように把握しているか。また、虐待の通報があった場合、改善、指導など、どのような対応をしているか。
- 53:【高齢福祉課主幹(高齢者福祉)】
平成26年度中の本県の介護施設における虐待の状況は、通報のあった40件のうち、事実確認の結果、虐待の事実が認められた事例は16件であった。
施設種別ごとの内訳としては、特別養護老人ホームが5か所、認知症グループホームが3か所、有料老人ホームが3か所、小規模多機能型居宅介護等が5か所である。
また、虐待を受けた高齢者の人数は、男性6名、女性24名、計30名となっている。
虐待の種別では介護職員の暴言等の心理的虐待が17人と、最も多くなっている。
虐待の通報があった場合の改善、指導などの対応については、高齢者虐待防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づき、施設所在地の市町村が事実確認を行い、虐待の事実が認められた場合は、施設に対する指導や改善計画の提出等により改善を図ることとしている。
また、県では、市町村から依頼があった場合は、市町村と共同で事実確認や改善指導を行うなどの市町村支援を行うこととしている。
加えて、県は、特別養護老人ホームはおおむね2年に1回、有料老人ホーム等については3年に1回、定期的に老人福祉法及び介護保険法に基づく立入調査を実施しており、調査の際に虐待の防止を指導するとともに、適切に介護サービスが提供されているか等をチェックし、指導を行っている。
- 54:【石井 拓委員】
災害時における医療活動、特に医薬品の供給、備蓄に関して伺う。
愛知県の医療救護活動計画は今年度策定すると聞いているが、医薬品、医療機器等の確保体制についてはどのようになっているのか。
災害拠点病院などにも、ある程度は備蓄されていると思うが、災害は一定の地域に集中する可能性もあり、広域で考える必要がある。不足が生じた場合は、どこから、どのように調達するのか。
また、特定の医薬品が早々に不足してしまい、県内の備蓄では足りなくなるおそれもあるが、愛知県内での備蓄が不足した場合には、それを県外、全国に求める体制はできているのか。
- 55:【医薬安全課主幹(医薬)】
本県の災害時医薬品等の確保体制については、医療救護活動に必要な医薬品等の備蓄を、愛知県医薬品卸協同組合及び中部衛生材料協同組合に委託して実施しており、発災後3日間において緊急性の点で優先度の高い、外傷用を中心に備蓄を行っている。
備蓄方法としては、医薬品については10か所、衛生材料については5か所の備蓄倉庫を設け、通常の流通在庫に上乗せして災害時に必要となる医薬品等を備蓄する、いわゆるランニング備蓄方式により実施している。
これ以外の医薬品や医療機器等については、関係する5団体と災害時における医薬品等の供給に係る協定を締結し、災害時には各団体が保有する医薬品等を県に優先的に供給していただくことにより、備蓄品目のみならず幅広い医薬品等の供給体制を確保しているところである。
供給方法については、まずは医療圏ごとに設置する地域災害医療対策会議で不足する医薬品等の把握及び供給調整を行い、医療圏で対応が困難な場合には、県に設置する災害医療調整本部で調整の上、関係団体に供給の要請を行うことになる。
さらに、県内の備蓄が不足する場合には、災害医療調整本部から近隣県や国に要請を行う体制も構築しており、災害時の医薬品等の供給に万全を期する体制を整えている。
- 56:【石井 拓委員】
ランニング備蓄方式について、どのような方式で行われるのか、もう少し詳しく説明してほしい。
- 57:【医薬安全課主幹(医薬)】
ランニング備蓄方式とは、医薬品卸業者が保管している通常の備蓄に加えて、災害発生時に必要となる医薬品を上乗せして備蓄することをいう。
備蓄量については、阪神・淡路大震災における負傷者数や南海トラフ地震の被害想定などから算定しており、通常の備蓄が8万4,500人分のところ、災害発生後3日間必要となる分として1万2,200人分と算定しており、これを加えた9万6,700人分の医薬品を備蓄している。
- 58:【石井 拓委員】
東日本大震災のような大規模地震災害が起きた場合に一番恐れるのはやけどであり、その際の応急治療に有効で欠かせないものが人工皮膚であるが、その備蓄は愛知県では確保されているのか。
昨年5月に公表された本県の東海地震・東南海地震・南海地震等被害予測調査結果では、建物被害で地震火災による焼失が2万3,000棟となっている。人的被害では、地震火災の中で、最も被害の大きいといわれる冬の夕方で、死者が約900名、重傷者が約400名、軽傷者が約900名とのことであり、火災による負傷者が多く生じることが想定されている。
人工皮膚は医薬品ではなく、医療機器の分類に入るようであるが、その確保についてはどのようになっているのか。
- 59:【医薬安全課主幹(医薬)】
人工皮膚については、法令上医療機器と分類されている。
人工皮膚の備蓄については、県の災害時医薬品等の備蓄品目の対象とはなっていないが、災害時においては、愛知県医薬品卸協同組合及び愛知県医療機器販売業協会と締結している、災害用医薬品等の供給に関する協定に基づき、県に優先的に供給してもらうこととなっている。
さらに、県域を超えた確保体制も構築しており、災害発生時に必要とされる分を供給できるよう、体制を整えているところである。
- 60:【石井 拓委員】
次に、災害時における透析患者の支援について伺う。
東日本大震災においては、人工透析を行う医療機関が被災し、透析患者が被災前と同じ医療機関で人工透析を受けることが困難になるという状況が発生し、課題となっている。
愛知県内に慢性透析患者数は、日本透析医学会の調べでは平成25年末時点で高齢者層を中心に1万7,138名となっており、毎年増加傾向にある。
透析施設数としては、愛知県内に190余あると思うが、透析患者は一般的に週に二、三回、4時間程度の透析治療が必要で、常に利用している透析医療機関の施設が耐震化され、必要となる電気や水が確保されていることが重要だと思う。避難所に緊急的、臨時的に開設した救護所で透析治療を行うというわけにはいかない。県内の透析医療機関の災害対策はどのように行っているのか伺う。
- 61:【医務国保課主幹(医療体制)】
平成25年10月に人工透析を行っている191医療機関に対し、災害対策についての調査を行い、186医療機関から回答を得た。
その結果、透析医療の提供に必要な施設の耐震化がなされている医療機関は169か所で、90.9パーセントとなっている。また、人工透析には多量の水が必要だが、上水道が使用できなくなった場合の代替手段について、受水槽・高置水槽、井戸水など、何らかの手段をとっている医療機関が176か所で94.6パーセントである。
医療機関の災害対策は進んでいるが、今後も引き続き、災害時に透析医療が継続できるよう医療機関の災害対策の充実・強化に努めていきたいと考えている。
- 62:【石井 拓委員】
被災した患者が、常に利用する透析医療機関が被災し、機能しなくなった場合、当然、他の透析医療機関を利用することになる。災害時に医療機関がどこにあるのか戸惑うことにならないよう、透析患者の受入可能な医療機関を紹介する窓口が必要となる。
また、災害時に、医療機関に通院できるのかどうかといった情報提供に対して、どのような対応になっているのか伺う。
- 63:【医務国保課主幹(医療体制)】
本県においては、県内の透析医療機関が愛知県透析医会を組織しており、平成26年9月1日時点で181施設が会員となっている。
災害時には、透析医会が地区ごとにグループ分けされた会員の連絡網を使い、医療機関の被災状況、稼働状況、患者の受入可否情報などを集約し、会員が共有することで、透析患者の受入先医療機関を把握するシステムとなっている。
県としても、愛知県透析医会と連携して、透析可能な医療機関情報を収集し、保健所を通じて、市町村が設置する避難所等へ情報を提供することなどにより、透析医療の確保を図っていく。
また、医療機関に通院するためのアクセスについては、本庁に設置する県災害対策本部や方面本部で得た道路の通行状況等を、保健所を通じて、透析医療機関や透析患者へ提供していく。
- 64:【病院事業庁長】
補足であるが、東日本大震災の際には、透析医会のネットワークがしっかりと機能しており、被災地域で透析ができなくなった医療機関が、透析医会のネットワークを通じてメンバーのところへすぐに伝わり、「うちにこういう患者がいるから助けてほしい」という情報を医師同士で共有していた。透析患者は二、三日のうちに透析医療を受けなければならないので、関東はもちろん愛知県にも大勢の方が来ていたが、行政が間に入って調整すると遅くなるのではないかと思う。医師同士でもすぐに対応していたため、そういった動きが大切であると思う。
- 65:【犬飼明佳委員】
結婚支援について伺う。
今年度の新規事業、あいち結婚サポート事業について、現在までの取組状況はどうか。
- 66:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
出会い応援団、婚活協力団体について、7月1日から募集を行い、現在、出会い応援団18団体、婚活協力団体13団体が登録している。なお、募集に先立ち、婚活協力団体については、4月に県内企業454社に結婚支援の取組状況等のアンケートを行い、21社を個別訪問して協力依頼を行った。出会い応援団は、あいこんナビにイベント掲載するNPO、市町村等の担当者向け説明会を5月に開催して協力を呼びかけた。
また、結婚支援ウェブシステムは企画提案による公募を行い、7月に委託業者を決定し、現在は画面の基本デザインやプログラム開発を進めている。
- 67:【犬飼明佳委員】
これまでの進捗状況を踏まえた、今後の取組について伺う。
- 68:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
アンケートで前向きな回答があった企業等に対し、引き続き登録あっせんしていくとともに、登録済みの企業や団体等の紹介を行う。PR用の専用ホームページも10月中に開設する予定である。
また、登録済みの婚活協力団体に対し、婚活モデルイベントを10月以降に開催する予定である。
さらに、結婚支援ウェブシステムは、モデルイベントでの課題等を踏まえ、利便性の高いシステムとなるよう構築を進め、来年2月の稼働開始を目指していく。
あわせて、2月には、独身者や企業担当者等を対象とした結婚フォーラムを開催し、社会全体で結婚を応援する機運の醸成を図っていく。
- 69:【犬飼明佳委員】
結婚支援ウェブシステムに加え、マッチングをサポートする人の配置をどう考えているのか。
- 70:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
現在構築中の結婚支援ウェブシステムは、これまでの個人への婚活イベントの情報提供に加え、企業同士の婚活イベントをウェブ上でマッチングすることができる全国でも先駆的な取組となっている。ウェブ上で企業同士が簡単に婚活イベントの実施依頼や提案等を行えることが、このシステムのメリットであり、県としてはこのシステムがきちんと構築されるよう取り組んでいきたい。
また、人の配置についても、システムに人が関わることで、より効果的な活用が可能と考えており、婚活協力団体同士のマッチングがよりスムーズになるようシステム稼働後の在り方について人的な関与も含め、検討していきたいと考えている。
- 71:【犬飼明佳委員】
人的な関与を検討したいとのことだが、具体的にはどのようなことを検討しているのか。
- 72:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
システム稼動後も、出会い応援団や婚活協力団体の登録促進に努めるとともに、婚活イベントの活性化に向け登録団体への積極的な働きかけを行っていく。具体的には、県職員が婚活協力団体等を直接訪問して婚活イベントの好事例を紹介し、システムの利用促進の働きかけを行っていくことを検討している。
- 73:【犬飼明佳委員】
山梨県のやまなし出会いサポートセンターでは、出会いサポーターが引き合わせの日程調整や当日の立会い、2人の交際の状況についてきめ細やかな対応をし、成婚につなげる取組をしているとのことである。本県でも、こうしたサポーターを検討するとともに、成婚カップルに対して県からお祝い品等のプレゼントの贈呈などを検討するよう要望する。
次にイクメン推進について伺う。今年度の新規事業であるイクメン推進事業の具体的な実施内容と進捗状況はどうか。
- 74:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
イクメン応援キャラバン隊2015を市町村児童館や県立児童厚生施設に派遣し、あそびの体験プログラムを実施するほか、イクメン推進の講演会を実施する予定である。
イクメン応援キャラバン隊2015については、7月から順次児童館へ派遣し、これまでに6児童館、計180人の親子が参加した。また、9月6日には、愛知県児童総合センターで、あそびの体験プログラムや、父親に子育ての楽しさを伝えながら母親も楽しめる子育てトークやウクレレライブなどを行い、約460人の親子が参加した。
講演会は、来年3月に児童総合センターで、あそびの体験プログラムを広く紹介するとともに、著名人のイクメン推進に関するトークショー等を行う予定としており、現在、具体的な企画内容について検討している。
- 75:【犬飼明佳委員】
今年度の参加者の声と、今後のイクメン推進の取組について伺う。
- 76:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
あそびの体験プログラムを実施した市町村児童館で、参加者や児童館職員へアンケートを行ったところ、非常に高い評価を頂いた。
具体的には、参加した父親からは「大人も楽しめる遊びで、家でも親子で一緒に楽しめる」や「テレビゲームより楽しく、子どもと楽しい時間を過ごせた」、「大変よいプログラムだ。父親向けの企画を増やしてほしい」等があり、職員からは「児童館が父親たちの交流の場となるよう今後の計画を立てたい」や「イクメン養成の方法を学べて大変参考になった」などの声があった。このように、あそびの体験プログラムはイクメンの推進に大変効果的であるため、県内全域で実施できるよう市町村に働きかけていきたいと考えている。
- 77:【犬飼明佳委員】
大変好評であり、参加希望者も多いとのことなので、是非、来年度以降も事業規模を拡大して実施するよう要望する。
高齢者が、住み慣れた地域で最後まで自分らしい暮らしを安心して続けるためには、医療、介護、予防、住まい、生活支援が切れ目なく提供される地域包括ケアシステムを、市町村が主体となって構築する必要がある。この地域包括ケアシステムを構築する上で要となるのが在宅医療であるが、在宅医療を推進するに当たっては課題も多く、市町村を始めとした行政機関だけでは、これらの課題を解決することは困難である。とりわけ在宅医療を推進するためには、関係機関との密接な連携が重要であると思うが、関係機関との連携について、県の役割とその取組内容を伺う。
- 78:【医務国保課主幹(医療体制)】
県では、平成25、26年度に在宅医療推進の先駆的事業として、地域の医療や介護関係者の協働による在宅医療連携拠点推進事業を県内12か所で実施した。この事業により、医療・介護・行政関係者が協議会や研修会を通じて、情報交換することで互いの理解が進むなど、連携体制が構築され、これらの成果を報告会で全ての市町村や医療・介護関係者に還元し、在宅医療の拡大につなげている。
この4月から在宅医療の中心的役割を担う郡市区医師会全てに在宅医療サポートセンターを設置し、市町村と関係機関との協議会を開催するなど、県内全域の在宅医療連携体制の構築を図っている。
今後とも、在宅医療サポートセンター事業を推進するなど、県内全域で地域の実情に応じた在宅医療提供体制を構築していきたい。
- 79:【犬飼明佳委員】
在宅医療を推進するに当たっては、24時間365日対応できる在宅医療サービスの提供体制を構築することが求められており、地域ごとに医師、看護師を始めとした在宅医療従事者を確保することが大変重要である。医師、看護師を始めとした在宅医療従事者を増加させ、県内全域で在宅医療が推進できるよう、県としてどのような取組をしているのか伺う。
- 80:【医務国保課主幹(医療体制)】
在宅医療従事者の増加策のうち、まず医師の確保についてであるが、在宅医療サポートセンターにおいて、在宅医療に従事する医師を増やす取組として医師の訪問診療導入研修を実施することとしており、24時間365日対応可能な在宅医療提供体制を県内全域で構築し、在宅医療の充実・強化を図っていきたい。
- 81:【医務国保課主幹(看護・医療指導)】
次に、医療従事者のうち看護職員については、平成5年度から、訪問看護に従事する職員に対して、質の高い訪問看護の提供に資するために必要な基本的知識と技術を提供できるよう研修を実施している。なお、本年度から新たに、訪問看護ステーションに就職した新人職員に対する定着支援を目的に、7日間の研修会を開催し、20人が受講している。
看護師確保全般としては、昨日10月1日より、看護職員有資格者に対する離職時のナースセンターへの届出制度が開始された。今後は、登録された方に対し、必要な情報提供、研修案内なども行い、再就業支援にも取り組む。
- 82:【犬飼明佳委員】
在宅医療の柱の一つとしてこの訪問看護ステーションが大変重要な役割を担っていると思われる。現在、訪問看護ステーションを始め訪問看護事業を行っている事業所数は幾つあり、第6期愛知県高齢者健康福祉計画では、その必要性をどのように見込んで策定したのか。
- 83:【高齢福祉課主幹(介護保険)】
訪問看護ステーションの指定数は、平成27年8月1日現在で496か所、病院等で訪問看護事業を行っている数は、平成27年7月実績では64か所の計560か所となっている。
第6期計画の考え方としては、訪問看護事業は、地域包括ケアの要であり、今後ますます必要になるものと考え、第5期の評価と、市町村が見込んだニーズ等を踏まえて、訪問回数として、平成27年度は年間利用延回数163万7,522回、平成28年度は183万1,703回、平成29年度は206万4,270回という目標を立てたところである。
- 84:【犬飼明佳委員】
訪問看護師から仕事が大変だという話をよく聞く。その理由として、介護支援専門員始め他機関との連携が難しいとの声も聞いているが、介護支援専門員の医療知識が向上すれば訪問看護師の負担感の軽減にもつながると思う。具体的には何か対応をしているのか。
- 85:【高齢福祉課主幹(介護保険)】
要介護高齢者に対しては、介護保険により、医療も含めた総合的なサービスが提供される。しかしながら、医療に精通していない介護支援専門員もいるため、医療連携等が不十分なままサービス提供がなされるなど、訪問看護事業所からは、介護支援専門員始め他機関との連携が大変である等の声も聞いている。
このため、介護支援専門員に対しては、医療職との連携を含めた相談に対応するため、名古屋大学の地域医療支援センターや愛知県居宅介護支援事業者連絡協議会に相談窓口を設けて対応に当たっているところである。
また、平成28年度からは、介護支援専門員の研修カリキュラムが大幅に改訂され、研修時間が倍増するが、その多くは医療関係のカリキュラムとなっており、今後、医療に関する知識レベルの高い介護支援専門員が徐々に増えることにより、訪問看護との連携もスムーズに行われるものと期待している。
- 86:【犬飼明佳委員】
様々な負担がどこかに集中しないように、医療、介護、行政等あらゆる関係機関との連携を図り、安心で切れ目のない体制の構築に向けて取り組んでもらいたい。
- 87:【わしの恵子委員】
介護保険について伺う。
今年度からデイサービスや特養ホームなど介護事業所に支払われる介護報酬の大幅削減が実施され、報酬全体で2.27パーセントという過去最大規模のマイナス改定に、多くの介護関係者から「人手不足の深刻化やサービスの低下を招きかねない」と心配の声が上がっていた。
この報酬削減による介護現場への影響を調べるため、日本共産党が介護事業所の廃止数等の緊急調査を行ったところ、今年4月から5月にホームヘルプやデイサービスなど在宅介護事業所を廃止若しくは休止した件数は3,612件であり、昨年同時期の3,119件より493件多く、15.8パーセントも増加している。この傾向は特に大都市部で顕著であり、廃止、休止の理由としては、人手不足を理由とするところが多くなっている。
また、施設経営者が、報酬削減への対策として検討していることは、職員の非常勤化、そして配置基準の引下げなど職員体制の見直しが一番多く、次いで、職員給与の見直し、給食や年中行事などのサービスの見直しとなっている。
私にも、今回の報酬改定で大幅な単価切下げとなったグループホームの入所者から、負担金額の値上げがいきなり通知され、非常に困惑しているといった相談があった。
県では、そういった料金改定に係る相談、苦情等は把握しているか。
- 88:【高齢福祉課主幹(介護保険)】
話のあった事例を含め、料金改定に関する苦情などについて、市町村から県には報告されていない。
- 89:【わしの恵子委員】
介護報酬の引下げや制度改定により、介護事業所や介護利用者が受けている影響について調査をすべきだと思うが、その予定はあるのか。
- 90:【高齢福祉課主幹(介護保険)】
介護サービス施設・事業所の数、在所者、利用者や従事者の状況、提供されるサービスの種類やその提供状況といった介護サービスに関する実態を明らかにするため、あるいは介護サービス行政の推進に役立てることを目的として、厚生労働省が毎年行っている調査があり、今年度は、平成27年10月1日に実施されている。
- 91:【わしの恵子委員】
その調査の結果はいつでるのか。また、毎年の調査も必要であるが、今回のマイナス2.27パーセントの過去最大規模の改定を受けての緊急的な調査、対応は検討しているか。
- 92:【高齢福祉課主幹(介護保険)】
国の調査結果は、過去の調査実績から類推すると、29年3月頃に公表されると思われる。
また、今回の改定を受けての調査については、介護保険計画の策定年度のタイミングに合わせて国がおおむね3年に1回、経営実態調査を行っているが、現在、もう少し細かいインターバルで調査するべきではないかといったことが討議されている。
- 93:【わしの恵子委員】
次に、介護利用者の負担について、部屋代、食事代、おむつ代など日常生活で必要となる費用負担のルールはどのようになっているか。
- 94:【高齢福祉課主幹(介護保険)】
介護保険事業所における利用者の実費負担等のルールについては、制度が始まる前の平成12年3月30日付けで、通所介護等における日常生活に要する費用の取扱いが国から通知され、その通知を含め、六つほどの基準が定められている。
これらの基準に基づき、例えば通所介護事業所においては、その食事代について、食材料費及び調理に係る費用相当額となっている。また、教養娯楽費についても、利用者の希望に基づき教養娯楽として日常生活に必要なものを事業者が提供する場合に係る費用とされており、他の事業類型についても同様な定めとなっている。
- 95:【わしの恵子委員】
私に相談があったように、介護報酬が引き下がったことにより、利用者に費用負担を求めることはあってもよいことなのか。
- 96:【高齢福祉課主幹(介護保険)】
利用者へ負担させる金額については、基本的には介護報酬の1割の負担となっている。
今回、全体的に報酬が下がっているため、利用者負担額も1割下がることになる。
それ以外の食材料費、教養娯楽費、あるいはおむつ代等に係る負担については、基本的に実費相当の範囲内としか規定されていない。居住費等において、今まで企業利益の中で若干軽減していたものを、企業利益が悪化することが見込まれ、正常料金に戻すための値上がりなどは考えられるが、それ以外の企業利益の減少を補うような自己負担への転嫁は認められていない。仮にそういう事例があれば、個別に対応していきたい。
- 97:【わしの恵子委員】
国が調査しているとのことであるが、やはり県が相談窓口を持つなどして、今回の介護報酬の引下げや制度改定などによる影響等を調査していくべきだと思う。今のところ県に具体的な相談はないとのことであるが、是非相談窓口を設けてもらいたい。
次に、国民健康保険について伺う。
平成30年度から都道府県が国民健康保険の保険者となるが、市町村が国保運営から撤退するわけではなく、都道府県と市町村の両方が国保の保険者となって、制度を共同で運営するというのが改革の趣旨だと考えるが、間違いはないか。
- 98:【医務国保課主幹(国保・福祉医療)】
平成30年度からの国民健康保険の保険者については、改正された国民健康保険法において、「都道府県は、当該都道府県内の市町村とともに、国民健康保険を行うものとする」と規定されているところであり、指摘のとおりである。
- 99:【わしの恵子委員】
6月定例会において、都道府県化への県の対応とロードマップを伺ったが、各市町村との協議がどのように進んでいるのか伺う。
- 100:【医務国保課主幹(国保・福祉医療)】
本県においては、平成30年度からの国保制度改正を円滑に進めるため、本年6月に国保制度改革ワーキンググループを設置した。このワーキンググループは、県と市町村との役割分担や事務処理の効率化・標準化等、予想される実務的なテーマについて幅広く意見交換・研究を行い、課題の洗い出しやその対応方法の検討を行うことを目的としており、規模や地域を考慮して選定した11の市町及び国保連合会の実務者レベルでの意見交換を行うこととしている。
本年7月以降、このワーキンググループを2回開催しており、市町村における事務処理の標準化について、該当事務の洗い出しを始めるなど、実務的な課題について幅広く意見交換・研究を行っている。
新制度への移行を円滑に行うことができるよう、今後も、市町村と十分な協議を行っていきたいと考えている。
- 101:【わしの恵子委員】
国保の都道府県化による医療費の削減や、保険料の引上げが行われるのではないかという心配に対して、6月定例会で伺った時には、「毎年3,400億円の国保への財政支援の拡充によって保険料の伸びの抑制などの負担軽減が図られることになる」との答弁であった。
政府の説明では、今年度からの低所得者数に応じた自治体への財政支援策は、全国レベルで1,700億円、つまり、被保険者1人当たりに換算すると平均で年額5,000円になるわけであるが、この保険料負担の軽減が、愛知県内の市町村では、どのような財政支援となって計上されているのか伺う。
- 102:【医務国保課主幹(国保・福祉医療)】
まず、平成27年度から拡充された国保に対する財政支援の内容については、保険料の法定軽減措置を受ける低所得者の人数に応じて、平均保険料の一定割合を財政支援する保険者支援制度があり、国が2分の1、県と市町村が残りの4分の1ずつを負担するという内容になっている。
平成27年度から1,700億円の財政支援の拡充がなされたわけであるが、これは、この保険者支援制度について、これまで財政支援の対象となっていなかった低所得者にまで範囲を拡大する、1人当たりの財政支援額を引き上げる、こういった内容である。
本県においては、この財政支援の拡充に伴い、本年度当初予算において本県全体の拡充分として約20億円余を見込み、保険者支援制度全体として31億円余の予算を計上している。
市町村については、それぞれの市町村において、今回の財政支援の拡充を踏まえた判断がなされている。
なお、委員から、被保険者1人当たり平均で年額5,000円の保険料負担の軽減という指摘があったが、これは、全国ベースの1,700億円を全国ベースの被保険者で単純に割り返したものであり、今回の財政支援の拡充が、直接一人一人の保険料5,000円の軽減になるというものではない。
- 103:【わしの恵子委員】
今回の財政支援策であるが、国民の健康保険料負担の公平性を求める全国知事会を始め各地の自治体や地域住民の声に押されて計上されたものであると思う。本来は、3,400億円ではなく1兆円という国庫負担増を要求していた。加入者がそのメリットを実感できるよう、特に低所得者層の加入者の負担軽減につながるようにすべきだと思うがどうか。
- 104:【医務国保課主幹(国保・福祉医療)】
このたびの保険者支援制度の拡充は、低所得者が多く、財政的に厳しい市町村保険者の財政の改善を図るために行われたものである。この拡充分を、市町村においてどのように活用するかということであるが、例えば、国保の決算補填等を目的として一般会計からの法定外繰入れを行っているような市町村においては、今回の財政支援の拡充により、その一般会計の繰入額を減らして、子育て対策等、他の施策の充実に用いることができるし、あるいは、もともと一般会計からの法定外繰入れを行っていなかった市町村においては、今回の財政支援策により、保険料額の伸びを抑制することができる。
いずれにしても、今回の財政支援をどのように活用するかということは、それぞれの市町村において判断するものと考えている。
- 105:【わしの恵子委員】
それぞれの市町村においての判断とのことであるが、県からも、低所得者への支援が目的ということを踏まえて、市町村に対して指導するよう強く要望する。
次に、一般会計からの法定外の繰入れについて伺う。広域化した場合、法定外の繰入れをこれまでどおりできるのか心配している自治体もある。これまで法定外繰入れを実施している市町村では、今回の財政支援の拡充策を保険料負担の軽減にあてるのではなく、保険料は据え置いたままで、一般会計からの繰入れや独自軽減など今まで市町村が負担していた分を減らすこともあるのではと心配されている。広域化により、市町村が一般会計からの法定外繰入れを行うことについて何か制約がかかるのか。
- 106:【医務国保課主幹(国保・福祉医療)】
国保に対する、市町村における一般会計からの繰入れについては、さきの通常国会において、衆議院の厚生労働委員会で、「一般会計からの繰入れをどうするかということについては、それぞれの自治体で判断してもらう。これを制度によって禁止するというふうなことは考えていない」との答弁があった。本県としても、同じように考えている。
- 107:【わしの恵子委員】
国の答弁のとおり、独自繰入れについては今までどおりできるということを市町村にしっかりと周知してもらいたい。
次に、国会において共産党の小池晃参議院議員が、被保険者数に応じて定額を賦課する均等割について質問し、子供が多い世帯ほど国保料の負担が重くなる問題を追及した。子育て支援への逆行であり、人頭税ではないかという指摘に、塩崎厚生労働相は、子供の均等割については、地方自治体から軽減措置の導入が要求されていると言明をし、検討を約束された。
子供の保険料の軽減は本県としても強く求めていたことであり、子供の多い世帯の負担軽減策を導入するということは、子育て支援の立場から言っても大切なことで、高すぎる国保料の引下げにつながると思う。県としても更に強く、この問題を国に要望し、実現させるべきだと思うがどうか。
- 108:【医務国保課主幹(国保・福祉医療)】
本県としては、この国保制度について、子供に係る均等割保険料軽減措置の導入を始め、国定率負担の引上げ等様々な財政支援の方策を講じることによって、国保の財政基盤の確立を図るよう全国知事会を通じて国に要望しているところであり、今後も引き続き要望していきたいと考えている。
- 109:【わしの恵子委員】
次に、子供の医療費の問題に関連して伺う。
愛知県内の全市町村が県の基準を超えて助成を実施しており、53市町村が中学卒業までの医療費助成をしているが、市町村が独自に軽減した場合、国保への国庫補助を減額するペナルティがある。これまでも、県は国に対して見直しを求めてきたと思うが、厚労省は、全国の自治体からの要望を受け、検討会を設けて見直しの方針を検討するということになった。
国が見直しを行った場合に、愛知県内の市町村の国保財政の負担はどれだけ軽減されるのか。
- 110:【医務国保課主幹(国保・福祉医療)】
まず、委員からペナルティと表現された、子供医療費等の地方単独事業の実施に係る国保の減額措置について説明する。市町村国保が保険給付に要した費用については、公費により一定割合が負担されているところであるが、市町村が地方単独事業として、患者が医療機関の窓口で支払う一部負担金を軽減すると医療費の波及増が発生し、この波及増分に係る費用は広く国民全体ではなく、その自治体の負担で賄うべきものということから、昭和59年以降、地方単独事業の実施に伴う波及増に係る費用については、国保の国庫負担の減額調整がなされているというものである。
それから、厚生労働省の検討会については、本年9月に設置されているが、これは国保の国庫負担の在り方を含め、子供の医療を巡る問題を幅広く議論していくために設置されたものであり、現時点で、国保の減額措置を見直すといった方針が確定しているわけではない。
第1回の検討会においては、子供医療費助成制度の創設や無償化、先ほどのペナルティを廃止するという意見も出されていたが、一方で、「無償化はモラルハザードを生じさせるおそれがある」、「過度な無償化や助成は過剰な受診につながる」、「地方単独事業は地方の負担で賄うべきである」というように、双方の意見が出されている。
次に、質問のペナルティ分、国保の減額調整分の額であるが、これは先ほどの厚生労働省の検討会の資料によると、地方単独事業に係る市町村の国保に係る公費負担に係る全国ベースでの減額調整規模、これは都道府県負担分を含めて480億6,000万円、このうち国庫負担は約394億円、都道府県分は約86億円ということである。
このうち、国庫負担影響額を都道府県別でみると、本県については、子供医療関係で約9億円、地方単独事業全体では約40億円の減額調整がなされているとのことであり、減額調整措置が廃止された場合には、この分の国庫負担が増額になると考えている。
- 111:【わしの恵子委員】
県としては、この検討会に対して、何か要望はしていくのか。
- 112:【医務国保課主幹(国保・福祉医療)】
本県としては、この子供医療費、地方単独事業に係る国保の減額調整措置については見直すべきであるということを国へ要望している。
- 113:【わしの恵子委員】
子供の医療費助成については、6月定例会でも質問したが、県として新たに拡充する考えはないという答弁であった。国においては、少子高齢化が一層進行する中で、今後の重要政策である子育て支援などを抜本的視点から考えるとして、子どもの医療制度の在り方等に関する検討会等において検討を始めている。本県としても、中学卒業まで、若しくは高校卒業までの医療費助成を拡充すべきであると思うが、改めて県の考えを伺う。
- 114:【児童家庭課主幹(児童家庭)】
本県の子供医療費助成制度については、都道府県の中でも高い水準になっており、市町村においては、県の制度をベースにして順次拡大し、ほとんどの市町村において中学校卒業まで窓口を無料化している。今後、子供医療を始めとする福祉医療制度は、限られた財源の中で持続可能な制度とすることが必要だと考えている。
厚生労働省の子どもの医療制度の在り方等に関する検討会においては、子供の医療のかかり方や、医療提供体制などの課題について、幅広く議論するため設けられたものと認識している。
全国知事会においても、子育て世帯全般に対し、全ての子供を対象にした医療費助成制度の創設を国に求めているところである。厚生労働省における検討についても注視していかなければならないと考えているが、本県としては、当面は現行制度を維持することとし、新たに対象を拡大することは考えていない。
- 115:【わしの恵子委員】
限られた財源だからこそ有効に使ってもらいたい。少子高齢化が一層進む中で、高校卒業まで、せめて中学卒業までの医療費助成は時代の要請であると思うので、是非実現してもらいたい。
- 116:【大嶽理恵委員】
現在、県で検討されている子育て支援員研修体制について伺う。
保育の質の確保のため、この研修は重要であり、県が策定したはぐみんプランの課題に則した現場に役立つ研修を行ってもらいたいが、現段階で決定している研修内容、県としての方針や特徴、今後のスケジュールについて伺う。
- 117:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
子育て支援員研修は、保育士の資格を持っていないが、保育や子育て支援等の仕事に関心を持ち、保育や子育て支援分野の各事業に従事することを希望する者が、必要最低限の知識や技能を習得するための研修として、今年度創設されたものである。
子育て支援員研修は全国共通の研修制度であり、県としては、国の実施要綱で定める内容に基づき、適切に研修を実施していきたいと考えている。
今年度は、おおむね200名程度の小規模保育事業などの研修を、年内を目途に実施する予定であり、現在、事業者の公募等の準備を進めている。
- 118:【大嶽理恵委員】
既に各施設などで働いている方々は研修の対象となるのか。ファミリーサポートセンター援助会員の研修については、市町村で既に充実した研修を行っているところもあるが、市町村が実施している研修と、県が実施する研修との整合性はどうなっているのか。
- 119:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
子育て支援員研修の受講対象者は、国の子育て支援員研修実施要綱において、子育て支援分野の各事業に従事することを希望する者及び現に従事する者とされており、既に施設で働いている方も対象となる。
また、ファミリーサポートセンター事業の実施要綱において、市町村が援助会員の養成講習を実施し、これを修了した会員が活動を行うことが望ましいとされており、子育て支援員研修の修了者は、援助会員の養成講習を修了した者とみなすとされている。
したがって、子育て支援員の研修に関わりなく、市町村が従来どおり養成講習を実施することは支障ないと考えている。
- 120:【大嶽理恵委員】
研修を終えれば支援員の資格がもらえるとのことであるが、質の確保については、どう考えているのか。例えば浦安市では、子育て家庭支援者研修について、フォローアップ研修や更新制度を実施し、支援員のステップアップに努めているとのことである。本県においても、保育の質の向上を図る取組が必要と思うがどうか。
- 121:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
国の実施要綱では、フォローアップ研修や現任研修について「研修を終了し、各種事業等に従事しているものを対象に、事業の特性や必要性等に応じて実施することが望ましい」とされている。
子育て支援員の認定は、今年度から新たに開始したところであるので、まずは子育て支援員研修を確実に実施していきたいと考えているが、子育て支援員の資質の改善につながるよう、今後、必要に応じて、フォローアップ研修の実施についても検討していきたい。
なお、子育て支援員は、保育士のような国家資格ではないが、研修の実施主体が修了者を子育て支援員として認定することとされており、更新制度については、国の制度上予定されていない。
- 122:【大嶽理恵委員】
子育て支援員が定期的に研修を受けられる体制を構築してもらいたい。
保育士がおらずに、子育て支援員のみで運営される施設もあり得るのか伺う。
- 123:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
子育て支援員は、保育士以外の保育従事者として位置づけられている。
したがって、配置基準に基づき保育士の配置が義務付けられている施設においては、子育て支援員のみで保育が行われることはない。
また、各施設では、子育て支援員のみで保育が行われる時間帯がないよう、常時保育士が配置される勤務体制となっており、保育の質は確保されている。
- 124:【大嶽理恵委員】
保育ママと呼ばれる家庭的保育者は、どういう位置づけか。
- 125:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
保育ママ、いわゆる家庭的保育事業については、市町村長が行う研修を修了した保育士、又は、保育士と同等以上の知識及び経験を有すると市町村長が認める者により行われるとされている。
- 126:【大嶽理恵委員】
子育て支援員の人件費はどのくらいと想定されているのか伺う。勤める施設によって異なってくるのか。
- 127:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
子育て支援員は、研修修了後は、保育従事者として小規模保育事業などに勤務することになる。
給与については、施設によって異なるが、例えば、国の小規模保育事業の公定価格では、子育て支援員など保育従事者の人件費は、年額約250万円程度と算定されている。
- 128:【大嶽理恵委員】
子育て支援員の研修講師の選任方法について伺う。
- 129:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
国の実施要綱では、研修の講師について「略歴、資格、実務経験、学歴等に照らして選定し、各科目の研修を適切に実施するために必要な体制を確保すること」とされており、研修の実施主体である県が、国の要綱で規定されたカリキュラムに基づき研修を適切に実施できる方を研修講師として選任する。研修科目の一部が保育士養成施設の履修科目と同様の研修内容となっていることから、講師については、保育士養成施設の教員等が考えられる。
- 130:【大嶽理恵委員】
研修を委託する事業者を公募する予定とのことであるが、専門的知識を有する団体をどのように選定するのか。また委託期間は何年とするのか。公募団体が一団体であった場合は、公募の意味が薄れてしまうと思うが審査方法等含め、どのように対処するのか。また、事業者のモニタリングの手法はどのように考えているのか。
- 131:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
事業者の公募に係る審査については、外部の有識者を加えた企画案の選定委員会を設置し、適正に審査する。委託期間については、単年度事業であり、今年度内の委託となり、公募に当たっては、応募団体数にかかわらず選定委員会で適正に審査していく。
また、委託事業が、適正に実施されているかについては、県において確認する予定である。
- 132:【大嶽理恵委員】
公募に当たっての評価項目は具体的に決まっているのか。
- 133:【子育て支援課主幹(子育て支援)】
選定委員会における評価項目については、例えば、講師の研修内容の適正さ、団体における事業の実施能力、研修内容の実現可能性等について審査することとなる。
- 134:【神戸健太郎委員】
災害時要支援者制度について、平成25年に災害対策基本法が改正され、本県においてもマニュアルが改訂された。
昨年度、避難行動要支援者名簿の作成が市町村に義務付けられたが、本県の市町村における名簿の作成状況はどのようになっているのか伺う。
- 135:【地域福祉課主幹(地域福祉)】
県内市町村における避難行動要支援者名簿の作成状況は、本年4月1日現在で、54市町村中、30の市町村で作成が完了しており、残りの24市町村が作成中という状況である。
なお、計画作成中の24市町村については、本年4月に実施した照会により、今年度中に作成を完了するとの回答を受けている。
- 136:【神戸健太郎委員】
市町村によっては、町内会長や民生委員に、この名簿を利用して、要支援者の安否確認や避難支援を求めている。災害時における地域コミュニティの役割の重要性は理解しているが、地域の町内会の役員は大変な業務を担わされているという状況にある。自治会長や民生委員に避難の支援を求めることの法的な根拠は何か。
- 137:【地域福祉課主幹(地域福祉)】
自治会長や民生委員が避難の支援を行うという法令上の直接的な根拠はないが、災害対策基本法に基づき、市町村が地域の実情を踏まえて策定する地域防災計画の中で、避難行動要支援者名簿に掲載された方々の避難を支援する避難支援等関係者として、自主防災組織の長となることが多い自治会長が位置づけられている。
ただし、この避難支援については、支援者やその家族の生命及び身体の安全を守ることを前提として、可能な範囲で行うこととされている。
- 138:【神戸健太郎委員】
町内会長は、毎年代わることもあり、制度の趣旨が伝わりにくいという現状があると思う。
地域によってばらつきはあると思うが、この制度を実効性の高いものにしていくために、県として更に関与が必要かと考えるが、考えを伺う。
- 139:【地域福祉課主幹(地域福祉)】
本県では、昨年度、市町村のための災害時要配慮者支援体制構築マニュアルの三度目の改訂を行ったが、その際に、高齢者や障害者を始めとする要配慮者の意見も伺いながら、具体的な配慮事項等を記載するなど、最大限分かりやすく策定を行った。
さらに、このマニュアルを市町村において有効に活用してもらえるよう、市町村の担当者を対象に会議を開催し、地域コミュニティにおける共助の重要性を含め、マニュアルの概要について説明するとともに、市町村が地域と連携して取り組むよう働きかけを行った。
今後も、避難行動要支援者名簿の作成が完了していない市町村に対し、早期の作成を要請するとともに、地域における要配慮者への支援について、地域の実情に応じた実効性のある取組がなされるよう、市町村に働きかけていく。
- 140:【神戸健太郎委員】
名簿の早期作成は必要であるが、目的は名簿を作ることではなく、実際にこの制度を有効に活用することだと思う。地域包括ケアでも同じであるが、共助により地域のきずなを満たしていくには、様々な努力が必要となってくる。民生委員やNPO、消防団もあるが、そういった方々は人数的に限られており、広域的に目が届くという意味では、町内会に頼るという部分は強いかと思う。制度を有効活用できるよう、県の方からも支援していくという踏み込んだ姿勢が求められているのではないかと考えるが、健康福祉部長の考えを伺う。
- 141:【健康福祉部長】
平成25年度以来、県においても、マニュアルの改訂や全庁をあげてプロジェクトチームを立ち上げるなどして、要配慮者への対応や、市町村と県との関係などについて課題を抽出し、26年度から具体的な対応をとっているところである。
要配慮者を24時間、365日、誰がどのように支援するのかという個別計画を立てる必要があり、名簿はその第一歩である。
名簿を作った後に、誰がどのように支援するのかということが具体的になってくるので、県としては、そこまでの目的があることを伝えていかなくてはならない。単に自治会長や民生委員ということではなく、本当に要配慮者を肉体的にも時間的にも支援できる方にお願いすることとなるが、それを一人に限定する必要はない。
名簿や個別支援計画の作成について、ヒアリングや説明、あるいは市町村担当者会議の時に、健康福祉委員会でこういう指摘があったということを伝えていきたい。
防災については、共助として、地域の方々に自らやってもらう必要がある。したがって、県も市町村も地域住民を巻き込んで、とにかく一緒に動いて、地域住民が動かないとできないという認識を醸成していくことが、県の仕事と考えているので、引き続き、一生懸命取り組んでいきたい。
- 142:【石井芳樹委員】
精神障害者施策について伺う。
第4期の障害者福祉計画によると、平成18年と比較して、障害者手帳所持者数が身体障害者は2割、療育は3割の増加にとどまっているが、一方で精神障害者は約2.2倍と桁違いに増加している。社会背景や新制度の確立など様々な要因があるかとは思うが、根本的な理由は何か。
- 143:【こころの健康推進室長】
精神障害者保健福祉手帳の所持者の増加要因としては、平成18年度から障害者総合支援法が施行され、精神障害者も障害福祉サービスの対象となったことが要因の一つではないかと考えている。
また、愛知県障害者医療費助成制度において、平成20年度から、新たに精神障害者保健福祉手帳1、2級の所持者の精神疾患に係る入院・通院医療費の助成を行っており、平成20年度から平成21年度にかけて、1、2級の手帳の所持者数は約16パーセント増加している。
そのほかにも、こころのクリニックやメンタルクリニックなどの心療内科を標ぼうする診療所数が年々増加しており、こうした診療所が身近にあることにより、手帳申請用の診断書の作成も含め受診しやすい環境となったことも要因の一つと考えている。
- 144:【石井芳樹委員】
日本は、精神障害による入院者数が、他の先進国と比較して4倍、5倍と極めて高い状況にあり、一度入院してしまうと、なかなか退院できない現状となっている。
1年未満であれば75パーセント程度は退院できるが、1年以上入院すると、そのまま退院できない現状にある。入院患者が多い理由について伺う。
- 145:【こころの健康推進室長】
入院患者数についてはデータがないため、病床数での話となるが、人口10万人当たりの精神科病床数については、平成23年の経済協力開発機構、OECDの調査では、アメリカ、ドイツなど加盟国の平均が68床であるのに対し、日本は269床と、約4倍となっている。
日本の精神科医療は、歴史的に入院医療中心の施策がとられてきている。昭和25年の精神衛生法の制定により、それまで行われていた私宅監置を廃止し、公立精神科病院の設置を義務付け、精神障害者の医療中心の法制度が形成された。
しかし、公立病院の設置が進まなかったため、精神科特例として、精神科病院における医師や看護師の配置基準を一般病院より緩和する措置や、民間病院への補助などによって、昭和30年代から40年代にかけて民間精神科病院が多く設置され、現在に至っている。
同時期に、OECDの諸外国では、精神医療改革により入院医療から地域生活を支えるための支援を重視する考えへと移行していたため、日本と諸外国との格差が拡大した。
- 146:【石井芳樹委員】
国の精神医療の施策は、従来、入院中心のものであったが、平成26年に改正された精神保健福祉法では、入院中心の医療を改めて、地域で生活をしながら治療、回復を行っていくとして、これまでの方針から転換している。
そのように施策の転換が行われている中、本県においては、現在、城山病院が改築工事を進めているが、地域生活支援への転換との整合性について伺う。
- 147:【経営課主幹(経営)】
城山病院では、現在、全面改築工事を進めており、改築後は、病床数を現在の342床から273床に減らした上で、精神科救急の強化や、思春期患者への先進的な専門医療の提供、さらに医療観察法に基づく触法精神障害者の治療などに取り組むこととしている。
また、長期に入院されている患者や入退院を繰り返す患者の地域移行を着実に行うために、外来でのデイケアやナイトケアを充実するとともに、患者が安心して地域で暮らせるよう、しっかりとした支援を行う取組を進めていく。
こうした地域生活支援の取組、いわゆるアウトリーチ型の医療の一つとして、看護師、医師、精神保健福祉士、作業療法士を含めた多職種のチームで患者を訪問し支援する事業、ACTを今年度から本格的に始めたところである。
ACTは、診療報酬上は不採算医療となるが、国の精神科医療政策の柱のうちの一つになっており、このような城山病院の取組は、国の「精神保健医療行政の入院医療中心から地域生活中心へ」の基本方針に沿ったものであると考えている。
- 148:【石井芳樹委員】
国の施策の転換により、地域における患者数が今後増加することが見込まれる。そうした中、採算が採れないため民間ではできないことに特化していくことが、今後の城山病院の大きな方針になると思う。誰もが城山病院はなくてはいけないと思うような病院づくりを今後しっかりと進めてもらいたい。
次に、地域生活へなかなか移行できない理由として、患者本人の事情と、家庭以外のグループホーム等の受入施設の状況があると思うが、受入施設の現状と対策について伺う。
グループホームは、一人暮らしの方や、住居がない方にとっては住居となり、コミュニケーションの場となるため、今後整備していかなければならない施設であると思う。
現在、本県のグループホームの設置数はどの程度あり、また、県からグループホームに対して、具体的にどのような施策を行っているのか。
- 149:【障害福祉課主幹(地域生活支援)】
グループホームの数は、平成27年3月31日現在、303か所、定員が3,785人となっている。
障害者自立支援法、現在の障害者総合支援法が施行される前の平成18年4月時点では、知的障害者及び精神障害者をそれぞれ対象とするグループホームが、合わせて260か所、1,142人であり、当時の3.3倍となっている。
現在行っている施策としては、国の制度に基づく施設整備に対する補助のほか、グループホームの拡充に既存の住宅、戸建て住宅の活用が有効であるため、平成26年4月から、本県独自に建築基準法の規制を緩和している。規制緩和の内容は、十分な防火・避難対策を講じた場合、建築基準法上の寄宿舎への用途変更を要しないものとするということで、防火間仕切り壁等の設置を不要としている。この緩和策により改修費用が大幅に減少し、事業者の負担も減るため、これまで19件の相談があり、うち6件が開設、1件が現在協議中となっている。
さらに、グループホームの新規開設を支援するため、平成26年度からグループホームの設置・運営に精通した方による支援コーディネーター制度を設けて、開設準備や運営に関するノウハウを伝える説明会、見学会を実施しており、平成26年度には、10か所の新規開設につながっている。
- 150:【石井芳樹委員】
全国における平成22年3月の人口100万人当たりのグループホームの利用者数を比較すると、本県は46位と下から2番目であり、平成26年でも43位と下位である。
本県のグループホーム設置数がなぜ少ないのか、その理由を伺う。
- 151:【障害福祉課主幹(地域生活支援)】
もともと本県は、グループホームの入所数が非常に少なく推移してきており、傾向としては、在宅で生活をされる方の割合が高いということが考えられる。また、入所施設から地域生活に移行される方も少ないことから、グループホームの利用者数も少なかったと考えている。
- 152:【石井芳樹委員】
そういったことを踏まえ、今後どのような対策を進めていくのか。
- 153:【障害福祉課主幹(地域生活支援)】
今後の対策としては、規制緩和や、グループホームの支援制度等の周知を図るなどして環境づくりを進め、整備促進を図っていきたい。
- 154:【石井芳樹委員】
入所施設から地域へ戻ってくることができるよう、一つの受皿としてグループホームの整備をしっかり進めてもらいたい。
次に、地域生活への移行状況は、第3期障害福祉計画では平成26年度末までに1,316人と目標値を定めていた。本県では、目標値達成まで734人であるが、どう考えているのか。
- 155:【障害福祉課主幹(企画・給付)】
第3期障害福祉計画では、平成26年度末までの地域生活移行者数の目標を1,316人としたが、これは国の基本指針に即して、平成17年10月1日現在の施設入所者の30パーセントを見込んだものであり、全国の都道府県と同様の考え方に基づき目標設定したものである。
なお、目標値達成まで734人とは、今年3月に策定した第4期計画策定時の見込数字であり、最終的な実績では、目標達成まで729人である。
未達成の理由としては、本県は、人口当たりの障害者支援施設への入所者数が全国的にも少なく、現在の入所者は、相対的に障害の重い方が入所されている状況にある。これまでの第1期及び第2期計画を通じて地域生活への移行を進めた結果、地域生活移行が可能な方の多くは既に移行していること、また、家族の高齢化などの家庭の事情により、地域生活への移行が困難な方の割合が高いためと考えている。
- 156:【石井芳樹委員】
第4期愛知県障害福祉計画では、入院後1年時点での患者退院率を91パーセントに、また、在院1年以上の患者を平成24年よりも18パーセント以上減少させるとした、今の現状からすると高い目標を掲げているが、実現可能なのか。
- 157:【こころの健康推進室長】
精神障害のある方の地域移行に関する目標のうち、入院1年後の退院率については、平成26年度の実績は89.7パーセントとなっており、目標に近い状況である。
在院1年以上の長期入院患者については、平成24年6月30日現在の長期在院者は7,655人であり、これを18パーセント以上減少させるためには、6,277人以下とする必要がある。平成26年6月30日現在で7,401人に減少しているが、目標値達成のためには、更に今年度も含め3年間で1,124人減少させることが必要である。これは、国の指針に基づき設定した目標であり、大きな数字ではあるが、医療・福祉双方の関係者を対象とした研修会を実施し、退院支援の手法を習得してもらうとともに、グループホームの利用促進などにより精神障害者の地域移行に努力していきたいと考えている。
- 158:【石井芳樹委員】
目標を定めた以上、近づけるよう、やれることは全てやってもらいたい。
次に、来年4月から障害者差別解消法が施行されるが、本県の対応について伺う。
- 159:【障害福祉課主幹(企画・給付)】
法により地方公共団体に対応が求められているのは、義務として、障害者等からの相談に的確に応ずるための体制の整備、障害を理由とした差別の解消について、県民の関心と理解を深めるために必要な啓発活動の実施の二つがある。次に努力義務として、職員が適切に対応するために必要な要領の策定があり、できる規定として、障害者差別解消支援地域協議会の設置がある。
県としては、これら全てについて取り組んでいきたいと考えており、法施行に向けた国の動向も注視しながら、県における体制整備を着実に進めていきたい。
- 160:【石井芳樹委員】
精神障害者の方からよく聞くのは、例えば身体や知的障害者は、1、2級があれば、全科に対して補助制度があるが、精神障害者は、精神科の疾患だけしか補助されず、全科に対して補助制度がないということである。今後、障害者差別解消法が施行される中で、県はどのような対応をするのか。
- 161:【こころの健康推進室長】
今年2月に閣議決定された障害者差別解消法に基づく国の基本方針において、不当な差別的取扱いの基本的な考え方が示されており、正当な理由なく、障害者の方を障害者でない方より不利に扱うことが、不当な差別的取扱いであるとしていることから、障害者でない方より障害者の方が優遇される制度の内容に関しては、この法律の差別的取扱いの対象ではないと考えている。
福祉医療補助制度については、対象者・補助額ともに規模が大きく、制度を今後も安定的に継続していくことが大きな課題となっており、当面は、精神障害者に係る補助対象範囲については、現行の範囲を維持していきたいと考えている。
- 162:【奥村悠二委員】
身体、知的障害者が適用されている医療費助成が、精神障害者だけが適用されていないのは、なぜか。
- 163:【こころの健康推進室長】
精神障害者に対して、精神疾患のみに医療費助成の対象を限定しているのは、精神疾患は、治療すればある程度安定的になり、日常生活を営むことができるということで、精神疾患の治療に関して手厚く補助するという考え方があるからである。
- 164:【石井芳樹委員】
平成20年から始まった補助制度が、現在、通院医療は44市町村、入院医療は42市町村が全科で実施している。これは、裏返すと、やっていない市町村は財政的にやりたくてもできない可能性もあるのではないか。
県は、実施していない市町村を財政的に支援して、精神障害者の方が54市町村どこに住んでも安心できるよう、責任を持って取り組むべきではないか。
- 165:【こころの健康推進室長】
市町村において、大半の市町村が一般疾病に拡大して対応していることは承知している。
子供医療も同様であるが、市町村は、県の対象範囲を超えて助成しているところもあり、やっていないところもあるため、今後、研究していきたい。
- 166:【石井芳樹委員】
平成23年度に調べたところ、身体、知的、精神の3障害でかかる県費が67億円で、うち精神疾患が15億円かかるとのことであった。補助対象を全科に広げるとどのくらいかかるかと尋ねたら、当時の担当者は5億円あればできるとのことであった。現在では、助成した場合、どのくらい必要となるのか。
- 167:【こころの健康推進室長】
以前に福祉医療の調査を行った際、現行制度を一般疾病まで拡大した場合、どのくらい医療費が増えるかのシミュレーションした経緯があり、医療費全体で11.4パーセントほど増加するとされている。
- 168:【石井芳樹委員】
他県の例では、岐阜県では所得制限を設けているが、精神障害者も全科が補助対象となっている。三重県では、通院は全科対象となっているが、所得制限や様々なことをして余った財源を全科に回すということを行っている。
本県でも、障害者差別解消法が施行される中で、もう一度、精神障害者に対する福祉医療の在り方を抜本的に見直し、しっかりと新たな目標値を見いだすよう、強く要望する。
次に、名古屋市では、障害者差別解消法の施行に伴い、来年度から地下鉄、市バスに割引料金を提供して半額にするとの報道があった。バス、鉄道両事業を行う全国7都市の中では初の取組ということである。
県も出資しているあおなみ線もやるかもしれないが、その他県内の交通機関であるリニモ、愛知環状鉄道へ働きかけを行っていく予定はあるか。
- 169:【こころの健康推進室長】
愛知環状鉄道やリニモの運賃については、現状、身体障害者と知的障害者とその介助者が割引の対象とされており、精神障害者の方は対象となっていない。
これは、障害者でない方より障害者の方が優遇される制度の内容であり、障害者差別解消法における差別的取扱いの対象ではないと考えているが、名古屋市の対応については、担当部局である振興部に、改めて健康福祉部からも情報提供していきたい。
- 170:【石井芳樹委員】
障害のある方もない方も差別をなくすと言われたが、障害のある人が改善してほしいと言われた場合は、過重な負担がなければ、その障害を除去するよう、努力をしていかなければならないと差別の禁止条項に書いてあるが、どのように考えればよいか。
- 171:【障害福祉課主幹(企画・給付)】
差別解消法においては、行政機関等に対して、障害者から社会的障壁の除去を必要としている意思の表明があった場合、その実施に伴う負担が過重でない場合、障害者の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならないことを規定している。
一方、民間事業者については、障害者と相手方の関係も様々であり、求められる配慮も多種多様であることから、合理的な配慮の提供を努力義務とした上で、当該事業を所管する主務大臣が定める事業者向けの対応指針に基づき、自発的な取組を促すこととしている。
- 172:【石井芳樹委員】
法律では、行政は行われなければならない義務であり、民間は努力義務とされているが、具体的に、精神障害者が、身体・知的障害者と同じ医療制度、割引制度を適用してほしいと求められた場合に、この法律は適用されるのか。
- 173:【障害福祉課主幹(企画・給付)】
この法律で求められているものは、障害のある方と障害のない一般の人との間の障害者の差別を禁止するものであり、運賃を半額にするなど、軽減することを求めているものではないと考えている。
- 174:【障害福祉課長】
障害者差別解消法においては、障害を理由とする差別的取扱いは、行政であっても民間であっても禁止であり、例えば、障害を理由に乗車拒否するということは、民間であっても禁止される。
合理的配慮は、障害のある人から申出があった場合に、過重な負担がない範囲で行うとなっており、運送業の場合、切符を買うことを補助したり、電車に乗るときに、渡し板を使ったりすること等が合理的配慮であり、これは、行政は義務で、民間事業者は努力義務となっている。
料金については、例えば障害のある人を通常の方の2倍の金額とすることは、差別的取扱いとして禁止されるが、障害のない人より、障害者を安くすることについては、障害者差別解消法の差別的取扱いや合理的配慮の対象には当たらず、法とは別の考え方に基づき、事業者が判断することになる。
- 175:【石井芳樹委員】
名古屋市交通局が、障害者差別解消法の施行に伴い、精神障害の人の運賃についても他の障害と同じように半額にするという答弁をされているが、この考え方は間違っているのか。
- 176:【障害福祉課長】
来年4月から障害者差別解消法が施行されるため、それをきっかけとして半額にするもので、障害者差別解消法により、そうしなければいけないという趣旨ではないものと理解している。
- 177:【石井芳樹委員】
民間のバスやタクシー、高速道路の利用料金なども、身体や知的障害は助成対象となるが、精神障害者は助成の対象となっていない。
今後、県はこれをきっかけに民間事業者等に対しても働きかける必要があると思うがどうか。
- 178:【障害福祉課長】
障害者差別解消法において都道府県に求められる責務として、法の趣旨の啓発があるため、健康福祉部だけでなく運送業を所管する振興部など全庁一体となって、事業者に対して、法の趣旨についてしっかりと周知していきたい。
- 179:【石井芳樹委員】
医療費助成については、改めてどう考えるか。
- 180:【健康福祉部長】
医療費については、今後、財政的な負担が増大することが懸念されることから、現状制度を維持、継続するため、マイナンバー制度の導入に併せて一部負担金の導入についても研究していきたいと知事が表明している。
障害者差別解消法の解釈については、国に対して、具体的な事例を照会しながら、検討していきたいと考えているが、仮に国から県に与えられた義務とするのであれば、本県だけではなく、全国的な問題である。精神疾患に対する医療費助成についても、自治体の財政状況にかかわらず、統一的になされるべきことであるため、国に対して財政的な支援を含めた制度の創設を求めていきたい。
- 181:【石井芳樹委員】
是非、法の趣旨も含めて検討し、財源の問題もあると思うが、精神疾患に対する医療費助成についても、身体や知的障害と同じ対応ができるよう検討を進めてもらいたい。
また、障害者差別解消法では、国の責務と地方公共団体の責務と国民の責務と明記されているため、民間事業者に対しても、しっかりと制度について周知してもらいたい。