県政報告
平成25年公営企業会計決算特別委員会
2013年10月15日
(主な質疑)
- 1:(主な質疑)
【佐藤 敦委員】
決算審査意見書4ページに、過年度の医業未収金が約1億883万円で、前年度に比べ減少とあるが、ここ数年の推移はどのようになっているか。また、ピークはいつ頃で、その額はいくらであったか伺う。
- 2:【経営課主幹(経営)】
未納となっている診療費等のうち、1年以上未払いのものは不良債権となるおそれがあるため、過年度未収金として整理している。過年度未収金の年度末での残高は、病院事業庁が発足した平成16年度では、8,734万3,895円であったが、その翌年度には、1億円を超えた。その後、21年度に1億2,362万9,608円と残額のピークであったが、その後は減少傾向にある。
- 3:【佐藤 敦委員】
支払いが滞っているのは、生活保護を受けているなど生活困窮を理由とする者がほとんどだと思われるが、その他にはどのようなケースがあるのか。
- 4:【経営課主幹(経営)】
未収金については、事業不振、失業、病気治療、借金及びその他収入の減を理由とする生活困窮者によるものが、金額、件数ともに約半分ほどを占めている。その他の要因として、患者本人や保証人が行方不明になったもの、あるいは外国人の患者が帰国したもの、患者本人が死亡し相続人が相続放棄したものが主なケースである。
- 5:【佐藤 敦委員】
決算審査意見書4ページに、債権回収業務の外部委託を効果的に活用するとあるが、民間業者に委託しているのはどのようなことか。
- 6:【経営課主幹(経営)】
未収金回収業務の委託についてであるが、未収金が発生すると、患者本人や家族に対して、まずは病院の事務部門の担当者や主治医を通じ、速やかな支払いを促している。また、支払いが滞りがちな患者に対しては、患者の所在や家族関係を調査し、患者本人やその親族、保証人に対して、電話や文書による連絡のほか、自宅訪問などにより支払いの催促をするなどし、回収に努めている。しかし、患者が死亡したり行方不明となった場合は、診療費債務の相続関係や本人の所在確認など、病院職員に大きな負担が強いられ、回収が滞る原因となる。
そこで、一定の回収努力を行っても、なお回収が滞っているものは、平成22年7月から民間の業者に債権回収業務を委託し、未収金回収の促進を図っている。その委託業務の内容は、行方不明になった債務者の居場所などの調査や、債務者に対し文書や電話によって自主的納付を促すことなど、回収に係る補助的な業務である。業者からは業務報告を定期的に提出させ、回収の判断や追跡調査の範囲などを逐次指示し、回収に努めている。
- 7:【佐藤 敦委員】
決算審査意見書4ページにも、各部門の連携による納入指導・相談など未収金発生防止の対策に取り組み、早期解消に努められたいとある。やはり、未収金は発生させないことが最も重要であるが、今後どのような取組を行っていくのか。また、今年度も半分終わったが、既に取り組んでいることがあれば教えてほしい。
- 8:【経営課主幹(経営)】
委員指摘のとおり、未収金の早期回収は言うまでもなく、発生を防止することが最も大切である。そこで、各病院における各種会議において、未収金対策の定期的な進行管理のほか、未収金が発生する理由の分析や情報交換などにも取り組んでいる。具体的な取組内容としては、診察時に、医師から患者に自己負担の概算額の説明を行うほか、医事業務の担当者から入退院時及び定期請求時など機会を捉えて患者への支払方法等の説明、各種医療費補助制度・貸付制度の案内を行う等の相談体制を取っている。さらに、土曜日、日曜日に退院する場合は、金曜日までに会計処理を行い、退院時に患者が支払手続を済ませていることを看護師が確認するなど、病院部門と会計部門との連携強化を図っている。
今後も、病院職員が一体となって努力するとともに、民間業者への回収業務委託の活用を進めて、未収金の早期解消を目指したい。
- 9:【石井芳樹委員】
貸借対照表における流動資産の未収金とは、そもそも1年以内に回収を予定しているもののはずである。40億円近くの未収金が流動資産に計上されていることについては、どう理解したらいいのか。
- 10:【経営課主幹(経営)】
平成24年度に調定を行った未収金総額は、39億6,500万円であり、8月末時点で全体の99.7パーセントが回収できている。まだ回収できていない額は約1,200万円あり、来年度に過年度未収金になるおそれがあるため、今年度中に回収努力をする必要がある。
- 11:【石井芳樹委員】
不納欠損処理した金額はどれくらいか。
- 12:【経営課主幹(経営)】
平成24年度の額は、およそ699万円である。
- 13:【石井芳樹委員】
例えば、公営住宅の家賃や共益費が未納の場合には少額訴訟をしていることがあるが、県立病院では訴訟などを行っているか。
- 14:【経営課主幹(経営)】
現在は行っていない。債権回収業務については、二つの弁護士法人に委託しており、将来的には訴訟をすることも見据えて検討していく必要がある。
- 15:【石井芳樹委員】
愛知県公営企業会計決算の概要において、一般会計繰入金が約62億5,000万円とある。一方、損益計算書では約51億円ぐらいだが、その差は何か。
- 16:【経営課主幹(経営)】
事業運営での収益的収入である一般会計負担金が約51億円であり、残りの約11億5,000万円は資本的収入であり、損益計算書には計上していない。
- 17:【石井芳樹委員】
四・五年前から一般会計負担金が減っているが、平成24年度に大幅に減った主な理由は、経費削減の中で併せて繰入金も減ってきたためか、それとも行政的な業務が減ったためか。
- 18:【経営課主幹(経営)】
一般会計からの負担金については、地方公営企業法第17条の2が根拠であり、毎年度、財政当局と協議をして金額を決めている。平成24年度については、前年度と比べて約8億円の減額となった。主な要因は、統括管理費の繰出基準の見直しである。これまで、本庁職員分の給与費の全額を一般会計負担金で受け入れていたが、平成24年度からはその半額となった。加えて、病院の事務職員分の給与費は、これまで3分の1を一般会計負担金で充てていたが廃止となった。これは、県の財政状況が大変厳しく、県組織全体が歳出を抑制する中で、病院事業庁も応分の負担を求められたものである。また、給与費で執行している法定福利費のうち、退職者の昭和37年12月以前の公務員期間の年金給付の原資となる共済負担金の追加費用の事業主負担率が大幅に減少したこと、さらに、職員の給与費が平成24年度は年間を通して抑制され支出が減少したことに伴い、一般会計負担金も減少している。
- 19:【病院事業庁長】
約8億円も削減されたことは、現場にとっては大変厳しいものであった。そのようなことがなければ、病院長の涙ぐましい努力の結果、黒字になったはずである。なぜ削減をされるのか、事前に詳しい調整があってもいいはずだと思っている。
- 20:【石井芳樹委員】
一般会計の負担金は、公営企業法で繰り入れる項目が決まっている。しかし、裁量が大きいがために、事業状況が悪ければ更に税金を投入することも、良ければもっと縮減することもできる。そのことに関しては、きちんと基準を設けなければならないと思うが、どう考えているか。
- 21:【病院事業庁長】
そのことは、全国の病院事業管理者会議でも毎年話題になっている。そこで、今回約8億円も削減があったため、愛知県はもともと一般会計からの繰入れが多かったのではと、全国調査を行った。削減前は全支出額の約20パーセントで全国平均ぐらいであったが、今回削減されたことで平均以下となった。
- 22:【石井芳樹委員】
一般会計からあまり繰入れをしてはいけないという議論になりがちになると思うが、これまで必死に切り詰めてきた上に突然削減されると、本来行わなければならない事業までできなくなってしまうのではないか。日頃から、財政当局とコミュニケーションを取り、良い医療を行ってもらうことを要望する。
次に、損益計算書では、給与と材料費が大半を占めている。高額医療の増大に伴って薬品費等が増えてきたのではないか。
- 23:【病院事業庁長】
薬品費の総額は、右肩上がりでどこまで上がっていくか分からない状況である。特に、抗がん剤については、高価な薬剤を多く購入している。また、新しい分子標的治療薬が開発されているが、とても価格が高く、一部の病院でしか扱っていない薬もある。新しい薬は値段が高く、利幅が少ないものの、使わざるをえず、経営的には厳しいところもある。薬の購入に当たっては、納入業者と価格について厳しく交渉しており、以前と比べると相当抑制されている。また、患者に過度の負担とならないよう配慮することはもちろんであるが、がんセンター中央病院では、入院治療では価格の安い薬、外来では利幅の多い薬を使い分け、なるべく病院の収益を上げるように努力している。
- 24:【石井芳樹委員】
愛知県がん対策推進条例を作るときに医師会から、薬品によっては金庫で管理しなければならないなど保管管理に労力を要すため、その改善要望を受けた。そこで伺うが、県立病院では薬の管理を委託しているか。また、管理は病院ごとか、病院事業庁全体で行っているか。
- 25:【病院事業庁長】
薬品の管理については、それぞれの病院で行っている。
- 26:【石井芳樹委員】
現在は、病院事業庁長が薬品の購入事務や管理など積極的に関わっているそうだが、今後は、収益を上げるためにどういった方法を取るべきか考えはあるか。
- 27:【病院事業庁長】
業者に委託することについては、職員の仕事量の軽減になると思うが、その分中間手数料がかかる。また、業者任せになると、現場の意識が余り高まらないため、委託は行わない方が良いと考えている。