県政報告
平成25年地域振興環境委員会
2013年6月25日
(主な質疑)
- 1:(主な質疑)
《一般質問》
【小林 功委員】
設楽ダムについては本会議での知事の答弁によると、本体事業の着工については判断を先送りするが、生活再建対策事業については継続して進めていくとのことであった。そこで、これまでの生活再建対策事業の進捗状況について伺う。
- 2:【土地水資源課主幹(水資源調整)】
水源地域対策事業全体の予算額903億円に対し、平成25年度までに268億円、約30パーセントの進捗が見込まれる。また、移転契約が済んだ方は124世帯のうち、5月末現在で114世帯、92パーセントの方が移転契約を終わっている。ただし、どれだけの方が移転されたかは把握していない。
- 3:【小林 功委員】
その124世帯は、いくつの集落からなるのか。
- 4:【土地水資源課主幹(水資源調整)】
川向、八橋など6集落である。
- 5:【小林 功委員】
ダムができることを前提に、既にこれだけお金をかけて生活再建事業として移転が進んでいる。少なくともこの6集落のコミュニティについては壊れており、元に戻せないと理解しているがどうか。
- 6:【土地水資源課主幹(水資源調整)】
全戸移転する集落は川向、八橋など一部の地区であり、全ての集落においてコミュニティが壊れているわけではないと考えている。
- 7:【小林 功委員】
それは違う。例えば、一部が移転し、50戸あったものが20戸に減ると、元々あったコミュニティは壊れてしまっているのではないか。
- 8:【土地水資源課主幹(水資源調整)】
指摘のとおりである。
- 9:【小林 功委員】
生活再建対策はダム本体とセットであり、生活再建だけやるということ自体に無理がある。仮に、生活再建を全てやったのに、ダムができなかったとしたら、設楽町はどうなってしまうのか考えているか。
- 10:【土地水資源課主幹(水資源調整)】
県としては、地元住民に安心していただけるように、必要な予算を計上し、毎年度着実に生活再建対策に取り組んでいるという状況である。
- 11:【小林 功委員】
知事の答弁によると、巨額な費用がかかるから、判断を先延ばししたいということであるが、この事業は40年もかかって進めてきた事業である。地元の設楽町が建設同意の調印をした時も、当時の設楽町長は、将来の東三河全体を考えて苦渋の決断をさせていただいたと言っていた。決して喜んで同意したわけではない。きちんとやってくれるであろうという前提で、県を信用して判を押して、生活再建事業も進めてきたにもかかわらず、今、知事が先送りすると言ったことで、地元は大変不安な気持ちに置かれている。判断を先送りするということは、ダム建設をやめることもありうるということだ。やめた場合に、地元の生活は元通りに戻せるのか。住み慣れた土地を離れて、慣れない所で暮らしている高齢の移転者のことを考えたら、そんなことができるわけがない。知事一人の勝手な考え方で、何百人という住民の生活を狂わせている。県はお金がないと言うが、急に負担額が高くなったわけではない。約3,000億円という額は昔から変わっていない。不景気だと言っても、県の予算規模や中身は変わってきているかもしれないが、それほど変わっていないはずだ。それをお金がなくなるので、ダム建設をやめますというのであれば、県の信用はなくなってしまう。民間会社同士の契約ならば、社長が替わったからやめるといったら、損害賠償を払えということになる。
もし仮に、元通りの生活に戻してコミュニティを再生し、更に慰謝料も払うとしたら、どのくらいの費用がかかるのか検討をしたことはあるのか。
- 12:【土地水資源課長】
設楽町へ実施計画調査の協力を申し入れて以来40年という長い年月を経てきた。また、平成21年2月に地元から建設同意をいただき、現在に至っていることは、我々も十分認識をしている。そうした中、リーマンショック以降、いろいろな予算が抑えられてきている中で、県全体のいろいろな面を総合的に判断したいというのが知事の答弁であると思う。
なお、仮に建設をやめた場合の、移転者に対する損害賠償等については積算していないし、それについて、まだ考えに至っていない。
- 13:【小林 功委員】
考えていないということは、やめないという事ではないか。やめるという選択肢を含むなら、そこまで考えて当たり前である。八ツ場ダムの事業検討においても、やめたらいくらかかるかという検討があった。県は山村振興、過疎対策と言っているが、本当に考えているのか。最初に県がお願いしますと申し込んでおいて、嫌々でも了承してくれたにもかかわらず、いざ動く時にたまたま民主党に政権交代し、ダムの再検証が始まり、事業が止まってしまったのだが、知事はこれに便乗しているのではないかと疑う。政権交代があろうがなかろうが、真摯に考えてもう一度必要性を検討するなら、移転した住民の生活を元通りに戻して、補償までするという腹があるべきで、それがないのであればやるべきではない。仮に、民主党のダム検証がなかったとしたらどうなっていたのか。
- 14:【土地水資源課主幹(水資源調整)】
平成21年度に民主党政権の下でダム検証が始まり、新たな段階に入らない、転流工の工事の段階に入らないまま、4年間生活再建対策を実施してきた。今年に入って検証の報告書案が出されて、再度動き出したわけであるが、再検証がなかったらという仮定の話については、判断材料がないので、その点は理解願いたい。
- 15:【小林 功委員】
おかしなことをやっているということを認識してほしい。先日も知事に陳情した時に伝えたが、蛇の生殺しの状態だ。地域の住民は県の要請に従った上、何も悪いことをしていないのに、毎日不安な状況で暮らしている。それが県の行政の姿勢なのか。もし県政全体にそういう姿勢があるとしたら、県民に不信感を抱かせる政治手法だと思うがどうか。
- 16:【豊川水系対策本部副本部長】
知事が回答期限の猶予を申し出たことで、地元住民、とりわけ現在水没地域で生活しており、これから新しいところで生活再建を始めようとしている方々を、大変不安にさせていることは申し訳なく思う。平成20年2月に議会で議決を頂き、設楽ダムの基本計画についてゴーサインを出したが、その後の経済状況の変化や、東日本大震災などによる社会状況の変化等もあり、今しばらく県として考えていきたいということで猶予をいただいたものであり、もうしばらくお待ちいただきたい。地元の方々の不安は極力回避をするように、生活再建にはしっかりと取り組み、設楽町がダム計画に協力したことでマイナスにならないよう努めていく。
- 17:【小林 功委員】
財政状況が苦しいので着工時期を遅らせるとか、工事期間を延ばして毎年の財政負担を軽くするということで、やることについては間違いないのであれば、地元の人たちも安心するが、やるかやらないかの返事を先送りするということは、全く意味が異なる。知事が勝手に言っている話だから、これ以上職員に聞いても仕方ないが、今更、やるかやらないかの返事を保留すると言っていること自体、どういう思惑があるのか分からないが、おかしな話である。
次に、ダムの利水と治水の機能について今一度確認をしておきたい。
豊川用水の末端の地域においては、水は潤沢にあるわけではなく、ローテーション給水をしている。豊川流域は他の水系と比べて流域が非常に短く、大雨が降ってもすぐに流れていってしまう。
治水の面では、左岸側ばかり四つの霞堤がまだ残っている。豊川放水路ができた時に右岸側は全部閉めたが、中部地方整備局に要請しても、設楽ダムが完成して3,000万トンの水をカットできるようになれば閉めるという話である。最近の気象状況を見ていると、熱帯のスコールのような雨が降るので大変なことになる。これは命に関わる問題であり、ゆっくりやっていけばよい、あるいは、お金があればやるという問題ではない。ダムが必要かどうかの議論をすべき時期ではなく、どうやって作っていくか前向きな議論をする時だと思うのだが、担当課としてはどう考えているのか。
- 18:【土地水資源課長】
東三河地域の豊川流域は長年にわたり、豊川の氾濫による洪水と、渇水による水不足に悩まされてきた地域と認識している。豊川用水の整備により農業、産業が発展した地域でもあるが、利水、治水が大変重要な地域であり、地元から設楽ダム建設について強い要望があるということは十分承知している。そういったことからも引き続き、利水、治水対策をしっかりと検討したい。
- 19:【小林 功委員】
自治体だけでなく農業団体や経済団体も数え切れないほど要望をしている。東三河は名古屋から遠いので、名古屋の人からは状況が見えないのではないか。現場の声をよく聞いて、担当部局として知事に言うべきである。時には知事に意見具申をすることも必要である。職員が一番データを持っていて知っているのだから、地元70万人の住民のために、判断を先送りするなどと言わず、一日も早く決断して前に進めてほしい。
- 20:【小久保三夫委員】
設楽ダムに平成24年度までに国費と県費がそれぞれどれだけ投入されたか。また25年度の予算はどうなっているのか。
- 21:【土地水資源課主幹(水資源調整)】
ダム本体の総事業費2,070億円の内、25年度の国予算は87億7,900万円で、これを含めて493億円ほどの事業費が投入されている。また、県費の水源地域の生活再建対策については903億円の総事業費で、これまで268億円の事業費となっている。ダム本体の進捗率は約24パーセント、生活再建対策の進捗率は約30パーセントとなっている。
- 22:【小久保三夫委員】
既に750億円強が投入され、粛々と進められている。こういった状況であるのなら、やると言った方が早いのではないか。国も検証すると言っていながら、昨年度だけでも99億円ほど設楽ダムに投入している。今年度も八十数億円である。これは、検証した結果、やるという姿勢を示しているのではないか。国土交通省も知事に対して、検証は終えたからこれから進めるということで、知事に伺ったはずだ。いよいよ国はお金を、民主党政権でも投入し始めている。私は地元で皆から、おかしい、どうなっているのかとよく聞かれる。このように予算が投入されていることについてどう考えているのか。
- 23:【土地水資源課長】
既に760億円の予算が投入されている。全体で3,000億円であるので、残りは2,000億円強である。決して少ない金額ではないので、本会議での答弁でもあったように、総合的にいろいろなことを考えたいので、専門家を含めて多方面からいろいろな意見を聞きながら、更に幅広く検討したいということである。
- 24:【小久保三夫委員】
国土交通省の検証委員会には、愛知県の副知事も参加して賛成と言っているのではないか。だからこそ、国土交通省から愛知県に対して、事業を進めて良いかという照会が正式に来たのではないか。
- 25:【地域振興部長】
委員の言うとおり副知事は検証の場に出席している。治水、利水のあらゆる場面において、どの方法がより有効かということを検証した。ダムによる手法が一番効率的なのかどうかといった議論には、粛々と真摯に対応してきたと認識している。
- 26:【小久保三夫委員】
そのとおり、真摯に対応してくれている。副知事も愛知県を代表しているのだから、逃げてはいけない。
平成23年9月の台風による集中豪雨で、豊橋市内で4,000世帯が水につかり、1万2,000人が避難命令を受けた。地元の住民は、右岸側には立派な堤防ができたのに、なぜ左岸側はできないのかと言っている。私も、設楽ダムができたら、国土交通省が左岸側も作ってくれるからと苦しい説明をしている。最近は、世界中で豪雨や干ばつなどが起きており、日本も例外ではない。昨年、豊川水系でも雨が降らず干上がったが、運よく台風が来て救われた。今年も同じことがあった。気象条件の変化で、利水が難しくなってきている。
そういう中で、豊川総合用水事業があり、万場調整池や大島ダムが作られた。万場調整池は貯水量が500万トンであるが、それでも最大1日100万トン使うので、5日で水がなくなる。宇連川の大野頭首工で水をせき止めているが、その下流4キロメートルくらいで水が無い時期が年間で何日くらいあるのか。
- 27:【土地水資源課主幹(水資源計画)】
昭和43年に豊川用水が完成し、大野頭首工から豊川用水へ水を流している。その当時は、年間平均50日ほど水が下流に流れており、300日余りは水枯れの状態であった。その後の豊川総合用水事業で大島ダムや万場調整池が作られ、寒狭川頭首工もできたことにより、水枯れの状態は大分改善されたが、現在でも近年の平均で200日位は水枯れの状態である。
- 28:【小久保三夫委員】
設楽ダムができると改善されると聞いているがどうか。
- 29:【土地水資源課主幹(水資源計画)】
設楽ダムの治水計画の中には、流水の正常な機能の維持というものがある。これにより最低でも毎秒1.3トンの水を下流に流すことで、水枯れの状態をなくすという計画になっている。
これは、豊川水系の最終計画の形であり、今まで河川環境に関しても非常に負担を強いていた状態を、設楽ダムを用いて豊川用水の水を使いながら、なるべく環境も復元したいというものである。
- 30:【小久保三夫委員】
治水も環境も考えているところが、設楽ダムの良いところである。また、ダムを作れば小水力発電ができるが、設楽ダムではどうか。
- 31:【土地水資源課主幹(水資源調整)】
設楽ダムの基本計画の目的の中には発電は入っていない。ただし、ダムの放流水を事務所管理用の発電に使うことは計画の中にあり、1,000キロワット程度の発電は行われるということだが、小水力発電については、今のところ計画にはない。
- 32:【小久保三夫委員】
1,000キロワット程度の小水力発電は非常にもうかるので、検討してほしい。
次に、利水の面では、現状はどうなっているのか。飲み水、農業用水、工業用水がどういう状況なのか。農業産出額、工業出荷額という観点から教えてほしい。
- 33:【土地水資源課主幹(水資源計画)】
水道については、豊川用水ができる前は、井戸などから取っていた。平成22年現在の給水人口は75万人程度である。工業、農業については、豊川用水が通水された昭和43年に約2,000億円であった製造品出荷額は、平成22年現在では約20倍の約4兆円となっている。同様に通水当時約400億円であった農業産出額は4倍弱の約1,400億円となっている。
平成23年の時点において、湖西も含めた東三河で、農業用水が1億8,600万トン、飲み水としての上水が6,300万トン、工業用水が1,600万トン使用されている。
- 34:【小久保三夫委員】
湖西を含めた農業産出額は、全国20番目の兵庫県を上回っている。工業出荷額も湖西のスズキ自動車等を入れると約4兆5,000億円で、これは全国21番目の福島県を上回る。それほどの農業力、工業力があるにもかかわらず、設楽ダムの建設にイエスと言えない気持ちが分からない。知事は「生産を上げなければ」と言っており、東三河は工業も農業もこれだけ貢献しているのに、OKを出してくれないのは寂しい。
豊川水系は矢作川水系、天竜川水系、木曽川水系などに比べて懐がとても小さい。短い上に、急勾配ですぐに流れてしまうので、あちこちに水がめを造って利用してきた。節水もいろいろやったが、一番ひどかったのは平成6年の時で、7年、8年も大変だった。最近の節水状況はどのような具合か。
- 35:【土地水資源課主幹(水資源計画)】
平成6年以降の節水状況であるが、平成6年度は1年の半分にあたる181日間、平成7年度は3分の2にあたる257日間、平成8年度は186日間であった。最大節水率もやはり平成6年度が一番厳しく、農業用水が60パーセント、水道用水が35パーセント、工業用水が60パーセントであった。平成7年度についても、農業用水が50パーセント、水道用水が30パーセント、工業用水が30パーセント。平成8年度も同様であった。そういった状況から豊川総合用水事業が平成14年度から本格的に動いており、かなりの貯水量を確保できるようになった。
とはいえ、平成17年度は夏に一度節水があったが、節水開始後雨が降り、夏の渇水は免れたものの、降水量が非常に少なかったため、年が替わって平成18年1月からまた節水が開始された。
また、昨年は平成24年6月11日から節水を開始したものの、6月18日の台風による大雨で一気に回復した。今年も昨年と同じような状況であったが、幸いにして恵みの雨が降ったので、一息ついたところである。
- 36:【小久保三夫委員】
節水で一番困った時は、知事が静岡県まで出向いて、佐久間ダムの水を下さいと2回もお願いに行っている。今も水がない時は佐久間ダムからいただいている状況である。その佐久間ダムが、砂でだいぶ埋まってきているという話を聞いた。どのくらい埋まっているのか。
- 37:【土地水資源課主幹(水資源計画)】
天竜川水系は破砕帯が多く、砂の流出が多いので、佐久間導水からの水はいつも白濁している。佐久間ダムは砂の流入量が年間100万トンほどあり、そのうち40万トンほどの堆砂を除去しているが、年間で平均して60万トンほどたまりつつある。佐久間ダムは非常に大きいダムであり、容量が3億トンほどあるので、まだ大丈夫であるが、現在40パーセント程度、1億2,000万トンほど堆積していると聞いている。
- 38:【小久保三夫委員】
40パーセントもだめということである。今年は天竜川水系が節水に入っており、ダムの水は分けられないといつ言われるか分からない。心配事が従来よりも出てきた。以前とは気象が変わってきている。だから設楽ダムは必要だと思う。国土交通省は、利水については良かろう、治水については良かろう、環境については良かろうと全て言うわけである。そういう結論を出したようであるから、この次は知事がしっかりと承知するように、職員からきちんと説明することを要望する。
- 39:【犬飼明佳委員】
車いすマラソンの開催について伺う。先日の報道によると、毎年3月に開催されている名古屋ウィメンズマラソンに併せて、女子の車いすマラソンを開催する構想を固め、県は関係者と調整しているとのことである。名古屋ウィメンズマラソンは、名古屋シティマラソンとともに開催されており、「マラソンフェスティバル ナゴヤ・愛知」として、大変な盛り上がりを見せている。特に、名古屋ウィメンズマラソンは、約1万5,000人が出場する、世界最大の女子マラソンとしてギネスに認定されており、世界的にも注目されている大会である。木崎良子選手や野口みずき選手などが力走した前回大会の様子は、多くの方々に感動を与えた。
この大会は、エリートランナーだけでなく、一般の女性ランナーも参加することができる。さらに、目が不自由な方々も出場されたと伺っている。しかし、これまでは、競技用の車いすで参加することができる種目がなく、残念に思っていたところである。
ちなみに、競技用の車いすマラソンは、東京マラソンや大阪マラソンでも開催されている。東京マラソンでは、フルマラソンで男女25人の募集枠に対し、男性23名、女性3名の計26名が参加し、10キロメートルマラソンも男女25人の募集枠に対し、男性13名、女性1名の14名が参加したと聞いている。
競技人口自体は、まだまだ少ないかもしれないが、今回、女子選手のみの車いすマラソンを開催することは、全国初の取組になるとのことである。障害者の社会参加を促すノーマライゼーションの観点と併せ、名古屋での開催を大変、楽しみに、そして期待しているところである。
そこで、現在、どのような計画を考えており、関係者との調整状況はどうなっているのかを伺う。
- 40:【地域政策課主幹(スポーツ事業振興)】
車いすマラソンについては、本県のほか、中日新聞社や名古屋市などの関係者で構成する組織委員会が、先週の6月21日に開催され、「名古屋ウィメンズ車いすマラソン2014」として、本県と中日新聞社の主催のもと、新たに実施することの了承が得られたところである。
この「名古屋ウィメンズ車いすマラソン」は、「世界最大の女子マラソン」である名古屋ウィメンズマラソンを、ノーマライゼーションの観点からも世界に誇れる大会にすることや、競技人口の少ない女子車いすマラソンをより一層普及させるきっかけにすることなどを目的として開催するものである。まだ競技人口が少ない状況にあるので、5人から10人程度の参加になると思われるが、県内だけでなく、国内の一流選手に声をかけ、招待する形で実施する予定である。
コースとしては、ナゴヤドーム前をスタートし、瑞穂陸上競技場をゴールとするおおむね10キロメートルで、フルマラソンの4分の1のクォーターマラソンとする計画であり、今後は開催に向け、詳細な運営計画の策定や、関係者との調整を引き続き進めていく。
- 41:【犬飼明佳委員】
開催する方向で基本的な了承が得られたとのことであるが、競技用の車いすマラソンについては、あまり馴染みがない競技であり、しっかりとPRし、盛り上げていく必要があると思う。そこで、どういったPRを行っていくのか伺う。
- 42:【地域政策課主幹(スポーツ事業振興)】
より多くの方々に車いすマラソンを観戦していただくため、大会概要や選手を紹介するWEBサイトの構築、車いすマラソンの特色や競技の見どころを紹介するネット動画の制作、さらには、フェイスブックやツイッターなどを活用したきめ細かな情報発信に努めていきたいと考えている。
また、ゴールである瑞穂陸上競技場においてイベントを開催するなど、車いすマラソンが一層盛り上がるように、しっかりと取り組んでいきたいと考えている。
さらに、この車いすマラソンの競技人口の拡大につなげていきたいと考えており、健康福祉部などの関係部局とも連携しながら、障害を持つ方々に関心を持っていただく工夫をしていきたいと考えている。
- 43:【犬飼明佳委員】
女子の車いすマラソンの選手はまだまだ少ないということであり、これをきっかけに、マラソンにチャレンジする方が増えるように、PRをしっかりと行い、第2回、第3回と続けていけるようにしてほしい。また、車いすマラソンだけでなく、「マラソンフェスティバル ナゴヤ・愛知」全体を、国内外に対してアピールできるように、しっかりと盛り上げていってほしい。
- 44:【日比たけまさ委員】
県営名古屋空港の運営について質問する。県営名古屋空港は、平成17年2月に開港し、この6月で8年4か月を迎える。この間、地元が大きな期待を寄せていた株式会社ジェイエアが撤退を発表した平成22年には、この空港の今後はどうなってしまうのかと、地元では大変大きな不安に包まれた。こうした時に株式会社フジドリームエアラインズ(FDA)の就航が決まり、「地獄に仏」と思ったものである。
昨年度の県営名古屋空港を発着するFDA便の利用者数は約50万人に達し、県営空港になって以来、最高の旅客数になっている。
一方、空港周辺は平成20年にエアポートウォークという大規模ショッピングセンターと映画館の開業に伴い、大変なにぎわいをみせている。また、昨年度はターミナルビルの屋上に展望デッキが8年ぶりに復活し、身近に空港と航空機を楽しめる場として、地元のみならず多くの方に来場いただいている。
こうした空港とその周辺のにぎわいを作っているのが、名古屋空港ビルディング株式会社、通称「空ビル」である。先ほど紹介した展望デッキは、空ビルの設立55周年記念事業として整備されたものであり、エアポートウォークは、空ビルが10ヘクタールを超える用地を国から購入し、ユニー株式会社を誘致したものである。
この空ビルは県営空港の管理を受託する指定管理者でもあり、愛知県、名古屋市と名鉄、全日空などの民間企業によって、昭和32年に設立された第三セクターで、国営空港時代には、国内線・国際線のターミナルビル運営をはじめ様々な旅客サービスを担っていた。
県営空港の開港後は、8年余にわたり空港管理全般を担う指定管理者となっているわけであるが、これまでの空ビルによる指定管理について、県はどのように評価しているのか伺う。
- 45:【航空対策課主幹(管理・計画)】
名古屋空港ビルディング株式会社は、平成16年9月の県議会において議決をいただき、県営空港の指定管理者となっている。空港の指定管理業務には、広大な着陸帯の維持・管理、航空灯火の保守・点検、エプロン・スポットへの小型機の誘導、事業者からの使用料の徴収、ターミナルビルの管理等がある。
空ビルは国営空港時代から培われたターミナルビルの運営ノウハウと航空事業者との緊密な連携を生かして、指定管理業務を堅実・着実に進めていると評価している。
また、空ビルは県営空港のエアポートセールスにも極めて熱心で、社長自ら海外に出向き、都心に近く、コンパクトで使い勝手のよい県営空港の魅力をPRしている。
加えて同社の決算は、これまで4期連続黒字と健全な経営となっており、こうした点からも名古屋空港ビルディング株式会社は、安定した空港運営ができる事業者であると評価している。
- 46:【日比たけまさ委員】
次に、県営名古屋空港の今後の運営について伺う。県営名古屋空港においては、国営空港から県営化する際、空港利用者へのサービスレベルの向上と経費節減を目的として、全国の空港で初めて、地方自治法に基づく指定管理者制度を導入した。この県営空港への指定管理者制度の導入は、愛知県における同制度の初めての適用でもある。
現在、県営名古屋空港を含む周辺の地域は、アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区の指定を受け、空港に隣接する三菱重工業株式会社小牧南工場では、YS-11以来の国産旅客機となるMRJの試作機開発が進められている。
また、県では本格的に航空機の生産・整備拠点を誘致するため、今年度から国有地の取得などを具体的に進めると聞いており、県営空港においても、リージョナルジェットの生産用地としてエプロンや駐車場などの再整備を進めるため、5,000万円余が調査・設計費として今年度予算に計上されている。
こうした地域を上げての取組が県営空港の再整備とともに動き出している中で、再来年の平成27年3月には、空ビルによる10年間の指定管理期間が終了する。そこで、次の県営空港の運営を担う指定管理者は、どのような団体・企業を選定していく考えか伺う。
一方、今国会で審議が進められていた「民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律」いわゆる空港版のPFI法が、6月19日に参議院本会議で可決、成立している。
この法律は、地域の実情を踏まえながら、民間ノウハウを活用した空港運営を図るため、国や地方が管理する空港に運営権を設定するもので、この運営権をコンセッションと言っている。運営権を取得した民間企業は、着陸料の設定、ターミナルビルや駐車場の運営、エアポートセールスの展開など、空港運営と関連事業を一体的に実施できるということであり、これがコンセッション設定のアピールポイントとなっている。県営名古屋空港においても、この法律を適用すれば、設置者である愛知県の判断によって運営権が設定でき、これを取得した民間企業による運営が可能になるわけである。
そこで、再来年に迫った指定管理期間の終了を控え、新たに制度化されたコンセッションの導入についてはどのように検討を進めていくのか伺う。
- 47:【航空対策課主幹(企画・利用促進)】
県営名古屋空港は、航空機産業振興への対応はもちろん、広域防災拠点という新たな空港機能の追加、さらには自衛隊小牧基地が着陸帯を共用するという、他の空港にはない特性と将来構想を持っている。指定管理期間終了後の空港運営については、こうした空港の特性と将来構想に的確に対応するとともに、良好なサービスの提供と経費節減も達成しなければならない。
とりわけ、国際拠点空港であるセントレアとは適切な機能分担を図りつつ、県営名古屋空港の運営に当たる必要もある。これらについて十分に考慮し、指定管理者制度や、新たに制度化されたコンセッション方式も含めて、それぞれの制度の有効性を見極めながら、県営空港に最も適した運営手法を採用し、その運営を託す事業者が確実に選定できるように、様々な角度から慎重に検討を進めたいと考えている。
- 48:【日比たけまさ委員】
地元2市1町の委員として県営名古屋空港に対する地元の思いを述べる。県営名古屋空港は、第二次世界大戦の最中に、地元の方々が土地を提供し、くわやもっこを持ち寄って、空港造成に協力してできあがった空港である。その後も自衛隊機の墜落事故や、今なお残る騒音問題なども含め、地元ではこの空港を自衛隊基地の機能が全面的に強調されることのないよう、地域と共に歩み、地域が利用できる空港でなければならないものと考えている。よって、地域が利用できるコミューター路線の存続は絶対に守り抜くこと、これは地域の総意であり、固い決意である。
また、県営名古屋空港は全国初の本格的なコミューター航空の拠点であり、今後コミューター航空の需要増加が見込まれる中、中部国際空港との相乗効果も期待できるものと確信している。県当局においては、こうした地域の固い決意をくみ取って、空港運営に当たることを強く要望する。
- 49:【石井芳樹委員】
先の2月定例議会でもリニモについて質問したが、その後経過したことや時間の関係で質問できなかったこと、第二次安定化策が始まる前にもう一度展望しておくべきことを含め質問をする。
まずは、リニモの社員の横領事件に関わる民事訴訟について、裁判の状況と今後の見通しについて伺う。
- 50:【交通対策課主幹(鉄道対策)】
横領事件の裁判については、去る5月8日に名古屋地裁で判決が言い渡され、元社員に請求額の全額を、名鉄に対してはその半額を元社員と連帯して支払えという内容であった。愛知高速交通株式会社としては、会社の過失が認定され、名鉄に対し損害額の5割の負担しか認められなかったことを不服として、名鉄の全額負担を求め、5月21日に名古屋高裁に控訴した。
今後はまず、控訴から50日後の7月10日までに控訴理由を裁判所に提出することとなる。その後の進行は、裁判所の判断なのではっきりとしたことは言えないが、遅くても1年後くらいまでには判決が示されるか、もしくは和解を勧められるものと聞いている。
- 51:【石井芳樹委員】
一般質問の際に、部長が損害金は全額回収できると答弁したが、損害金は会社の貸借対照表の科目の中で流動資産の未収金として計上されている。すなわち資産として計上しているわけで、全額しっかりと回収しなければ、帳簿上どうなのかということになるし、市町村の信頼にもつながってくる。判決の文面は読んでいないが、当時、横領した社員の上司は県からの出向職員であるし、県と様々な関わりのある中で、本当に回収できるのかもう一度答弁を求める。
- 52:【交通対策課主幹(鉄道対策)】
横領による損害金については、全額回収を目指して訴訟を起こしたものであり、その結果が確定するまでの間は、会計上、未収金として計上されているものである。こうした会計処理は、会社顧問の公認会計士の指導のもとに行っているところである。
- 53:【石井芳樹委員】
そういう答弁にしかならないと思うが、リニモを作るときにも、1日3万1,500人が乗ると、当時、県から長久手町に出向し参事の職にあった職員が言った。私は当時町議会議員で、そんなに乗るわけがないと主張したが、県が提示した資料しか信頼するものがなく、最終的にはそれを飲んで、議会で議決をした経緯がある。今回もまた6,300万円の回収に努力するというのは良く分かるが、もし裁判の結果がそれぞれ5割の負担になったとしたら、県としては「しようがなかった」で済むかもしれないが、沿線市町では「またか」ということとなり、さらには二次支援、もしくは三次があるか分からないが、そんなことで各市町の協力が得られるのかということを大変危惧している。県が努力するのは当然であるが、発言の一言一句を各市町は聞いているので、責任を自覚して発言をお願いしたい。
次に、リニモが借りている民間金融機関の融資の利率はどの程度なのか伺う。
- 54:【交通対策課主幹(鉄道対策)】
日本政策投資銀行からは、3回に分けて融資を受けており、利率は固定で1.75パーセントから1.95パーセントとなっている。また、三菱東京UFJ銀行を中心に名古屋銀行などが加わった協調融資については変動金利で、現在は1.775パーセントとなっている。
- 55:【石井芳樹委員】
自治体はリニモ支援の増資を一般会計から支出しているが、民間からも協力が得られないかと強く思う。リニモは利子だけで年間約2億円余支払っている。会社の営業収益は約10億円であるので、利子分だけでも会社の経営には負担が大きい。リニモの大口借入先である日本政策投資銀行を含めて、借入金利の引下げをお願いできないのか、それがかなわないなら一括で償還することを第二次安定化策の中に入れたらどうかということを本会議で質問したが、その後の経過と現状はどうなのか聞きたい。
- 56:【交通対策課主幹(鉄道対策)】
日本政策投資銀行からの借入金については、平成16年度に借入をしており、借入金利は固定となっている。その契約の中で、借入金利については、10年後となる平成26年度に利率を見直すこととなっているので、そうしたことも含めて今回の二次支援の中で検討していきたいと考えている。
また、一括償還をした場合、契約によっては、必ずしも金利分が軽減されるとは限らない状況にあるので、その点も含めて今後、二次支援に向けて関係者との検討・協議を進めていきたいと考えている。
- 57:【石井芳樹委員】
聞くところによると政策投資銀行はかなり固く、元々貸している条件なのでその金利で返してくれと言うとの話も聞くが、ぜひとも交渉を引き続き行うと同時に、もっといろいろな方法を考えた方が良いと思う。例えば長久手市には60億円の基金がある。そのうち30億円くらいで市債を買うなどして運用している。その運用の利率としては、0.8パーセントとか0.7パーセントとかの大変低い率であるので、それよりもリニモに貸し付けたほうがいいのではないかと思ったこともある。ただ、条例には、安心安全なところにしか融資はできないという条項があったように思う。それは裏を返せばリニモは安心ではないのかということになるが、それらも含めて、実際にリニモに貸し付けることはできないものなのか聞きたい。安い金利で運用するならリニモに貸したほうが、リニモも高い金利を払わずに済むのではないか。
- 58:【交通対策課主幹(鉄道対策)】
金利負担を軽減するために、県や市の基金から低利で貸し付けてはどうかとの趣旨の提案だが、委員の発言にもあったように、基金はそれぞれ条例でその設置目的が定められており、基金の運用についても、銀行その他の金融機関への預金、その他確実な方法により運用しなければならないとされているので、基金からリニモへの貸付は事実上困難ではないかと思われる。
また、仮に自治体から貸付を受け、民間金融機関からの借入金を返済し、金利が抑えられたとしても、自治体からの借入金が依然として残り、経営安定化の課題である初期投資に伴う長期借入金返済負担の解消には至らないと考えている。
- 59:【石井芳樹委員】
リニモは初期投資だけではなくて、当然、経年劣化も考えていかなければならない。第一次安定化策でも平成25年から駅務機器の更新を年間2億9,500万円かけて、約3年間で行っていく計画としている。その中で当然のことながら、駅の老朽化、信号、電子系統、車両を含めて、ある時期にどれだけのお金を使って更新していくのかという計画は、一次安定化策でも二次安定化策の中でも出てきていない。二次安定化策を作っても今後どれだけお金がかかるのか、その奥に潜んでいるのは何かということは、市町ではなかなか把握できない。今後の車両更新費やその他の改修費について、およそどれくらいの年度で改修するということをぜひとも示してほしい。
- 60:【交通対策課主幹(鉄道対策)】
愛知高速交通株式会社においては、昨年度、県や長久手市など出資団体の実務者クラスで構成する経営改善検討会議を設置し、経営の安定化に向けた経営改善策の検討を進めてきたが、その中で今後の設備更新についても、原則的には耐用年数を考慮して見込む方針で進めてきた。長期的な設備更新についても、一応織り込む形で会議の中では検討されてきた。こうした状況を踏まえ、二次支援策においては、車両更新等の設備更新への対応方針も含めて検討していきたいと考えている。
- 61:【石井芳樹委員】
車両の更新はいつ頃で、駅の改修はいつ頃かも示されるということでよいか。
- 62:【交通対策課主幹(鉄道対策)】
会社の経営改善検討会議で検討された計画の中では、10年後くらいに信号通信システムの更新があり、更に5年後くらいに車両の更新があるといったことも示されているので、そういったことも今回の二次支援の検討のそ上に乗せてやっていくこととしている。
- 63:【石井芳樹委員】
163億円が二次支援に必要な額となっているが、これに上乗せをしていくということでよいか。
- 64:【交通対策課主幹(鉄道対策)】
現在、検討のもとになっているのは、昨年度、会社が策定した経営改善計画であり、その中では長期的な資金需要等も示されているが、「163億円を上限として」となっているので、そこからスタートするものと考えている。
- 65:【石井芳樹委員】
もう一度聞く。この中に全部入っているということなのか。
- 66:【交通対策課主幹(鉄道対策)】
163億円の試算には車両更新や大規模な設備更新等は含まれていない。それはまた別の時点での検討課題となっている。
- 67:【石井芳樹委員】
まさにその点が沿線自治体が不安に思うところであって、始めに163億円ありきで作って、支援をお願いしますと言っておいて、同意を得たらその後に車両の更新が必要、駅や電気設備や信号機も新しくしないといけないとなり、新たに必要となるお金を入れると第三次支援策が必要になる。163億円ありきで行うのではなくて、今後の見通しも含めて全部合わせたものを入れるべきである。二次支援策は二次支援策でよいが、その先に必要となるものもある程度は示してもらわないと、いくらお金を投入したら終わるのか、終わることはないかもしれないが、どれだけ投入しなければいけないのかということが見えてこない。
また、そうした増資を繰り返すと、自治体の持ち株比率が上がる。長久手市においては当初9パーセントだったのが、現在は14.6パーセントくらいになっている。増資の負担割合が増えれば、いずれ長久手市のような小さな市では支えられなくなってくる。今後かかる経費を第二次支援策でつまびらかに出すべきと思うがどうか。
- 68:【交通対策課長】
これから先、一体いくらお金を出せばいいのかというのが、沿線自治体における大きな不安材料となっていることは十分認識している。そうした中で県としては、会社の計画では平成41年くらいから大きな車両更新が予定されており、その少し前からも大きな設備更新が予定されているが、少なくともそれは会社の内部留保金でできるだけ対応するように考えている。これから先も減価償却前営業損益の黒字は変わらないので、163億円で開業当初の負債を解消すれば、支払利息も無くなる。その上で、確実に毎年何億円というお金を積み上げていき、しっかりと貯えて、将来の大型の設備更新に備えることは可能である。また、それだけの積立能力があるということであれば、金融機関からお金を借りることも可能と考えている。自前の資金と金融機関からの借入、そして国の補助制度で利用できるものは利用するなど、できるだけのことをやった上で、なお足りないということがあれば、沿線自治体に相談をさせてもらう。このことについては別枠で議論をお願いするという説明をさせていただいている。よって何年までかのシミュレーションはやりきれていないが、それまではこの163億円を解消すれば一切の経営支援はいらないということをしっかりと打ち出していきたいという方向で検討を進めている。
- 69:【石井芳樹委員】
だから、一括で返す、もしくは利子を下げてもらい内部留保が貯まるようにしようという話を今までずっとしてきているつもりである。しかし、それについて「やりましょう」という話がないので、結果、どこまでお金を払うのかという話に変わってきてしまった。一括で前の借金を返してしまえば、ランニングコストが黒字なのかどうかよく分かるので、営業としては内部留保も貯まってくるという論理も分かる。しかし、一括でやるという答弁はないし、金利を下げるという話もないので、そうであれば先が見える形で提示をしてもらわないと、県としてもどれだけ金を使っていくのか分からないという話をしている。今後、安定化策が出てくると思うが、その時にはきちんとした形で説明してほしい。
また、車両更新の話があったが、リニモは世界でここしかなく汎用性がない。1編成8億円するが、8編成あるので買い替えると64億円になる。万一、製造した会社がなくなってしまったら、特殊な車両なので新たに製造するのに10億円、あるいは12億円かかるかもしれない。車両一つ考えただけでも将来の見通しは恐ろしいというのが私の感想である。将来的に車両を製造できる業者が別にあるのか聞いても分からないと思うが、こういった点も踏まえて、事前に業者としっかり交渉をしながら、費用も含めて準備しておくことが安心につながるということを重ね重ね理解願う。
それともう1点、本会議で質問した際に、車両に関して9編成あったうちの1編成がどこかに行ってしまった話をしたが、博覧会協会が1編成買っていて、それが伊藤忠商事に渡り、販売しようとしたが芳しくないので、三菱重工業に売却されて、現在広島の三原工場にあるとのことだが、そもそもなぜ博覧会協会がリニモを売ってしまったのか。売却理由は何か。
- 70:【交通対策課主幹(鉄道対策)】
博覧会協会が博覧会対応用に特別に製作したリニモの第9編成は、博覧会終了後に、博覧会協会から伊藤忠商事に売却された後、更に三菱重工業に売却された。当時、伊藤忠商事は、HSSTシステムの海外販売を強化したいとの狙いがあって買い取ったものと聞いているが、三菱重工業に売却された経緯は承知していない。
- 71:【石井芳樹委員】
普通の車両なら1編成増やして走らせると人件費がかかるが、リニモは無人でありかかるのは電気代だけなので、本来ならば売る必要はなかった。9編成あれば、車両更新が平成41年度からであればその更新時期が伸びる可能性もあるし、ダイヤをもっと密にして走らせても電気代しかかからない。万博の歓喜の中でリニモのことは忘れ去られ、最終的に、今はその陰の部分を背負っている形になっているのだと思う。どこに行ったのかよく分からないものは仕方ないが、きちんと海外に販売をしてもらい、リニモが広まることが結果的には汎用性も含めて車両製作費の低減にもかかってくるので、県はそうなるように努力をお願いしたい。
それとあわせて愛知環状鉄道も同じようなことが起こっている。もともと国からの払下げで、リニモと違って最初の設備投資はいらなかったため、ランニングコストで運営をしていけるから、内部留保も貯まっていく状況にはある。しかし、鉄道資産としては40年以上経過しており、老朽化に対しては国、県、市町の補助金をもらい修繕を行っている。これはリニモと同じで、駅も信号も電気機器も含めて今後改修を行っていかなければならないが、愛知環状鉄道が常に黒字かといえば、平成18、21、23年度は赤字である。今後、リニモより多い23駅を持つ愛知環状鉄道が、果たして100億円以上かかる修繕等の設備投資の資金が生み出せるのか。瀬戸市も豊田市も出資団体として入ってくるので、今後両自治体は、リニモと愛知環状鉄道の両方の負担をしていかなければならない厳しい状況にあるが、そのあたりの計画をどう考えているのか聞かせてほしい。
- 72:【交通対策課主幹(鉄道対策)】
愛知環状鉄道の将来的な車両・駅務機器等の更新にかかる費用については、今、内部留保の話もあったが、県としては原則として、会社が自己資金で実施すべきものと考えている。
ただ、車両については、開業当初に導入した車両は、旧国鉄車両の中古部品を使用するなど老朽化が激しいことから、平成14年度から順次、新型車両への更新を進めており、現在では開業当初の車両は全て退役し、40両すべてが新型車両となっている。
また、会社では平成24年2月に「中期経営計画」を策定し、24年度から28年度までの5年間で約54億円の更新・保守修繕を計画しているが、この維持更新にかかる費用については極力、営業力の強化による増収や積極的な経費削減などにより資金を確保することで、経営の健全性に影響しないよう努めることとしている。
しかしながら、会社は近年、赤字と黒字を交互するような状況で、設備更新等の経費を積み立てられるような経営状況ではなかったことから、県としては、高架橋コンクリート剥離の修繕など必要度・緊急度の高い設備改修について、24年度から国や沿線市と協調・連携して助成を行っている。しかし、通常の車両・駅務機器等の更新については、原則どおり会社の自己資金で実施すべきものと考えている。
- 73:【石井芳樹委員】
第三セクターは、議会からも、職員にとってもなかなか見えにくい部分がある。裏を返せば各市町と連携をとっていかなければならないところであって、当然のことながらそこには信頼関係がなければつながっていかない。県が示したものはしっかりと守って、もしくは県が示した方向性はしっかりと貫き通すという姿勢で、間違いのないよう積算をし、各市町に周知しながら第二次安定化策を作ってほしい。また、愛知環状鉄道に関しても、会社単独で行えるようにと言っていたが、そうなることを私は望んでいる。そうなるように県から指導してほしい。
- 74:【かしわぐま光代委員】
リニモなどに比べると、施設や車両も安くできると言われている路面電車について、愛知県の公共交通政策、あるいは地域交通政策にどう位置づけていくのか伺いたい。
まず現状についてだが、県内で唯一の豊橋を含め、日本国内では広島、富山、鹿児島、札幌など計17都市で19事業者が運営しており、延長は206キロメートルと言われている。日本で初めて京都で開通して以来、最盛期は1932年頃で、65都市、82事業者、延長1,479キロメートルであったが、それから比べると7分の1に減っている。モータリゼーションの流れの中で、車の通行に支障をきたすなどとして見捨てられてきた。しかし、最近また、CO2の削減に貢献するなど環境政策に合致するだけでなく、低床で人間にもやさしい乗り物であるということで見直されている。富山市などでは停留所も改良して、バリアフリーに近い形でスムーズに乗り降りができるようになっているところもある。
全世界では50か国、400都市で路面電車が走っているとはいえ、バス路線も次々廃止され、鉄道もなかなか厳しい状況にあるということもよく分かっている。しかし、高齢化が進んでいく中で、お年寄りの買い物難民が増えており、車を持っている人と持っていない人との格差が広がっていて、車を持っていない人が外に出る機会は、持っている人の3分の1だと言われる状況になっている。高齢化が進む日本の将来を見れば、LRT(ライト・レール・トランジット)のような交通基盤を求める声がもっと増えていくのではないかと思う。
そのような中で豊橋の路面電車の状況であるが、これからの時期、電車の中でビールを飲みながらガタゴトと行って、また駅に戻ってくるビール電車といったものも結構盛況である。また、冬になると、「おでんしゃ」といって、おでんをつつきながらお酒を飲んで、のんびりと行き来する企画もあり、必死の営業努力をしている。
少し古くなるが、平成11年11月定例議会での私の本会議での質問に対して、鉄軌道ネットワーク整備の検討にあたっては、愛知県としては、課題を総合的に考慮しながら研究していきたいと考えているという答弁もあったが、その後、目立った動きもない。路面電車をきちんと位置づけ、将来的に方向性を出していく必要があるのではないか。東三河振興ビジョンの中にも、観光も含めて路面電車の位置づけが載っている。
そこで、県においては交通政策の中に路面電車をどう位置づけているのか。また、今後位置づけたいという気持ちがあるのか伺う。
- 75:【交通対策課長】
愛知県の交通特性として、移動に係るクルマの利用割合が7割超と、他の大都市圏と比較して極めて高いことが特徴となっている。このことが、地球温暖化を始め交通事故や渋滞などの問題を引き起こす要因となっていると認識している。
クルマからバス・鉄道などの公共交通への転換を促していくことは、本県の公共交通政策において大きな目標となっており、路面電車は委員の指摘のとおり、非常に環境にやさしく、高齢者にもやさしい乗り物であると認識しており、クルマからの転換先としてふさわしい交通手段であろうと認識している。
- 76:【かしわぐま光代委員】
車社会から転換させるのに、路面電車はふさわしいということだが、愛知県の交通政策の中で、これまでどのように進めてきたのか。
- 77:【交通対策課長】
平成20年に、クルマから公共交通への転換を促進する組織として、あいちエコモビリティライフ推進協議会を設置した。「エコ モビリティ ライフ」とは、県民の一人ひとりがクルマと公共交通、自転車、徒歩などを賢く使い分けるライフスタイルであり、略して「エコモビ」と言っている。この協議会は、行政、交通事業者、経済団体、NPOなど173団体で組織しており、平成20年度から県民運動として展開している。
- 78:【かしわぐま光代委員】
173団体で組織しているということであるから、幅広い人たちではあるが、県民全体にこの意識が広がっているかといえば、まだまだだと思う。平成20年度から実施しているということであるから、そろそろ形として現れてくる部分もあるのかと思うが、もう少し積極的にすべきであるし、政策としてももう少し工夫がいるのではないか。
- 79:【交通対策課長】
あいちエコモビリティライフ推進協議会の活動に刺激を受けてかどうかは分からないが、県内では、各地域、会社・事業所単位でエコモビと同じ考え方の活動をしていただいている団体が多数ある。そこで、あいちエコモビリティライフ推進協議会の活動として、昨年度から、活動を一生懸命やっていただいている団体の方の表彰制度を新たに設けており、今年度も引き続き行っているところである。各地域の活動に目配りし、良いものは表彰するということを新たな運動として進めているところである。
- 80:【かしわぐま光代委員】
本年10月に、豊橋でLRT都市サミット豊橋2013が開催される。全国のLRT化に取り組む都市の首長が一堂に会して情報交換をしたり、成果を発表し、都市間の連携強化をしながらLRTの推進をしていこうというサミットであるが、県はどのような関わりをしていくつもりか。
- 81:【交通対策課長】
今年の10月に豊橋市で開催されるLRT都市サミットについては、豊橋市とこれから具体的な検討を進めていかなければならないと考えている。サミット開催時に豊橋市が関連イベントをいろいろと計画していると聞いているので、カーフリーデーのPRを実施する際に、本県もエコモビのPRを併せて積極的に行うことで、少しでもLRT都市サミットを盛り上げていきたいと考えている。
- 82:【かしわぐま光代委員】
規模はまったく異なるが、B-1グランプリは大いに盛り上がっている。それに対してLRT都市サミットが開かれることは、ほんの一部の人にしか知られておらず、非常に寂しい思いである。早めにPRすることを考えないといけないと思う。愛知県で唯一の路面電車であるのだから、ぜひ積極的に関わってほしいがどのように考えているか。
- 83:【交通対策課長】
できるだけ多くの方にLRT都市サミットに参加していただきたいと考えており、あいちエコモビリティライフ推進協議会の173団体の方々に、参加の声かけを積極的に行っていきたいと考えている。また、他のエコモビの関連事業においても可能な限り応援していきたい。