県政報告
平成25年2月定例会(第8号)
2013年3月11日
(主な質疑)
- 1: 午前十時開議
◯議長(小林功君) ただいまから会議を開きます。
この際、申し上げます。
本日三月十一日は、東日本大震災の発生から二年目に当たります。東日本大震災は、被災地域が広範に及び、極めて多数の犠牲者を出すとともに、国民生活に多大な影響を及ぼした未曽有の大災害でありました。
ここに、この震災により亡くなられました方々の御冥福を祈って黙祷をささげたいと存じます。御起立願います。
〔全員起立〕
- 2:◯議長(小林功君) 黙祷。
〔黙 祷〕
- 3:◯議長(小林功君) 黙祷を終わります。御着席願います。
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- 4:◯議長(小林功君) それでは、直ちに議事日程に従い会議を進めます。
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日程第一 第一号議案平成二十五年度愛知県一般会計予
算から第五十二号議案包括外部監査契約の締結
についてまで
- 5:◯議長(小林功君) 第一号議案平成二十五年度愛知県一般会計予算から第五十二号議案包括外部監査契約の締結についてまでを一括議題といたします。
この際、第一号議案平成二十五年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳出第九款建設費から第十五款予備費まで及び第二条繰越明許費から第六条歳出予算の流用まで並びに第二号議案平成二十五年度愛知県公債管理特別会計予算から第五十二号議案包括外部監査契約の締結についてまでに対する質問を許します。
通告により質問を許可いたします。
山下智也議員。
- 6:◯六番(山下智也君) 私からは、第三十一号議案産業立地の促進のための不動産取得税の減額等に関する条例の一部改正についてお尋ねいたします。
昨年十二月の総選挙の結果、安倍総理を中心とした新政権が誕生しました。新政権は、デフレからの脱却を掲げ、日銀とも協力し、金融政策、財政政策、成長戦略の三本の矢により日本経済の再生に取り組んでおります。
こうした動きの中で、これまでの行き過ぎた円高は是正されつつありますが、新興国を初め、海外とのコスト競争や、市場の成長性の違いなどから、当面、物づくりの海外展開の動きは継続するものと考えられます。
私は、物づくりの国際分業が進む中にあって、本県経済の活力の維持向上を図るためには、航空宇宙分野など新たな成長産業の振興、集積が不可欠であるとの基本認識に立ち、生まれ育った小牧、愛知をもっとよくしたいとの思いで質問をしてまいります。
私の地元であります小牧市は、伊勢湾台風からの復興を契機として、農業依存からの転換と財政基盤の確立のため、積極的な企業誘致に取り組んでまいりました。県営名古屋空港や名神・東名高速道路、中央自動車道、名古屋高速道路の結節点という立地条件にも恵まれ、今日まで内陸工業都市、物流都市として発展してきております。
小牧市は、昨年度から、十年後も集積度の高い産業を維持発展させることで、市内の経済の活力を維持向上させることをテーマとして、産業立地戦略会議を立ち上げ、産業振興基本計画の策定に向けた検討を重ねております。
平成二十二年の工業統計によりますと、本県の製造品出荷額は三十八兆二千百八億円と三十四年連続で日本一になりました。このうち、小牧市は一兆一千三百八十億円を占め、県内では第十位の順位となっております。
市内の立地企業としては、今年度、新あいち創造産業立地補助金Aタイプの採択を受けた自動車用各種センサー、半導体部品などを製造する日本特殊陶業株式会社や、自動車用防振ゴムの製造で世界トップシェアを占める東海ゴム工業株式会社など、我が国を代表する優良企業が立地し、本県の物づくりの一翼を担っております。
航空宇宙分野では、三菱重工業株式会社名古屋誘導推進システム製作所が航空機やロケットエンジンなどの製造、開発を行うほか、五十年ぶりに開発される国産旅客機となるMRJ(三菱リージョナルジェット)用エンジンの最終組み立てを行う予定となっております。そのほかにも、最新鋭旅客機ボーイング787型機の開発、設計に携わる企業も立地しております。
さて、最近の我が国の航空機産業の状況を見てみますと、ボーイング787型機の生産分担比率は約三五%となり、愛知、岐阜に拠点を有する企業がこれを担っております。
さらに、787型機の機体には、軽量化や燃費向上のため炭素繊維複合材が使用されており、これを独占的に供給しているのも我が国のメーカーであり、世界の航空機産業における我が国の存在感は年々大きくなっていると思います。
MRJにつきましても、今年度の第三・四半期には試験機の初飛行が、平成二十七年度には量産初号機の納入がそれぞれ予定をされており、全日空やアメリカのスカイウエスト社などから既に三百二十五機の受注を得ております。
こうした中、平成二十三年十二月には、県や小牧市を含む県内八市町村が岐阜県などと共同申請したアジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区が国の国際戦略総合特区として指定を受けました。このことに地元の関係者は大きな期待を抱きました。
しかしながら、この国際戦略総合特区にはさまざまな問題が指摘されております。具体的には、地方からの規制緩和の提案がなかなか受け入れられないことに加え、特区の区域が市町村という面単位ではなく、大手機体メーカーなどの敷地という点単位で指定されていることが挙げられます。
このため、特別償却といった国の税制上の支援措置や、工場敷地の緑地規制の緩和といった優遇措置は、指定を受けた区域にある企業だけに適用され、それらの企業と取引関係を有する地域の中小の企業はメリットを享受することができません。この点に対する不満の声は、地元を初め多くの中小企業から私のもとに届けられております。
今回提案をされております産業立地の促進のための不動産取得税の減額等に関する条例の一部改正は、航空宇宙産業を対象として新たに不動産取得税を全額免除する制度を導入されるものとなっております。
その対象は、特区の指定区域という点に限定することなく、特区の推進協議会に参加をする八市町村の工業系の用途地域などといった面にまで拡大されております。これは、特区に基づく国の支援の限界を地域の創意と工夫によって克服しようとする試みの一つとして、私は大変高く評価をしたいと考えます。
そこで、二点お尋ねいたします。
県独自の取り組みとして、航空宇宙分野の製造業の立地に際して、不動産取得税の免除措置を設けられた狙いは何か。また、今回新たに設けられた措置などを活用し、今後、航空宇宙産業の新規立地や再投資をどのように支援していかれるのかお尋ねをいたします。
以上です。
- 7:◯産業労働部長(木村聡君) 不動産取得税の免除措置についてお答え申し上げます。
工場などの建物や土地の取得に係る不動産取得税を軽減する現行の産業立地促進税制は、平成十四年度の創設以来、昨年度までに合計三百九十九件の利用があり、立地企業の初期投資の負担軽減に寄与してきたところでございます。
この産業立地促進税制は、今年度末が期限となっておりますことから、まずはその適用期間を三年間延長いたします。そして、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区構想を実現いたしますため、来年度から、航空宇宙産業に特化した不動産取得税の免除措置を創設することといたしました。
新たに導入する免除措置は、大手機体メーカーやそれを支える中堅、中小のサプライヤー企業の立地を支援し、特区の区域や、同区域が所在する市町村の工業系用途地域などにおきまして、航空宇宙産業のさらなる集積拡大を図ろうとするものでございます。
県といたしましては、立地セミナーや個別の企業訪問などの機会を通じまして、この不動産取得税の免除措置や、今年度、航空宇宙分野で四件の採択実績を有します産業空洞化対策減税基金に基づく立地補助制度などの支援制度をあわせてPRいたしまして、同分野におけます県外企業の新規立地や、県内企業の再投資を促進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 8:◯議長(小林功君) 進行いたします。
佐藤敦議員。
- 9:◯十三番(佐藤敦君) 私からは、第十款警察費第二項警察活動費より女性に対する性犯罪防止対策についてお尋ねをいたします。
私たちの身近で起きている犯罪といえば、自転車盗、自動車盗、空き巣などの窃盗のほか、振り込め詐欺に代表される詐欺や傷害などが思いつくところではありますが、数ある犯罪の中で最も卑劣で憎むべき犯罪は、女性を狙った性犯罪であると私は思います。
性犯罪被害に遭われた女性は、体の傷以上に心に大きく深い傷を負ってしまい、恐怖で外出ができなくなったり、悪夢でうなされ不眠となってしまうなど、実にさまざまな後遺症に悩まされているとのことで、何の罪もないか弱い女性を不幸のどん底に陥れる、人間として最も恥ずべき犯罪であると思うのであります。
私たちが住む愛知県内における平成二十四年中の性犯罪の発生状況を調べてみますと、強盗強姦が前年比で四件マイナスの三件、強姦が同じく二十三件マイナスで五十七件、強制わいせつは前年より十二件増加した三百七十八件であり、合計四百三十八件の被害が警察により認知されております。
幸いにも、この数は、平成十六年の六百九十六件から、少しずつではありますが、右肩下がりとなっております。この四百三十八件という被害件数を多いと見るか少ないと見るかは人それぞれ感じ方が違うかもしれませんが、ワーストワン返上を県挙げて目指している交通事故による死者数が二百三十五人であることを考えますと、その倍近い被害者がみえる性犯罪の発生実態は決して楽観視できるものではないと思います。
もう一つつけ加えるならば、被害の性質上、警察へ届け出ずに泣き寝入りされている被害者もかなりみえるはずで、被害実態は警察が認知している数よりもかなり多くなるのではないかと思われます。
日本では、昔から人のものを盗むなとか、弱い者いじめをするな、女性に手を上げるななど、人間として守るべき当たり前の教育というものが学校だけでなく家庭においてもなされてきました。しかし、今の日本のいろんな現状を見ると、このような家庭教育は一体どうなってしまったのか、今後、誰が両親にかわって教育に携わっていくのかと不安に思うのは私だけではないと思います。
こうした中、先日、目をみはる記事が新聞に掲載されました。
「性犯罪から女性を守ろう 男子高校生対象に防犯教室」という見出しで、県内の南山高校男子部一年生二百人を対象に、県警が防犯教室を開催したという内容でありました。県内でも初の試みであるとのことです。
男子生徒に、性犯罪防止教室を開催であります。記事では、性犯罪に対する規範意識を高めるために開催したなどとありましたが、まさに失われつつある家庭教育にかわる教育が警察により始められたとも感じました。これこそ現代の日本に必要な教育の一つであると私は思います。
そこで、一つ目の質問は、この男子高校生に対する性犯罪防止教室の概要と、受講した男子生徒の反応などについて御説明をお願いいたします。
次に、県警では、これまで性犯罪被害防止のために護身術教室や各種セミナーなど、女性を対象とした講習会などを多数開催してこられており、いわゆる女性自身が被害に遭わないようにするための各種施策を進めてみえたことと理解しております。
実際に受講された女性の声としましては、身近に危険が潜むことがわかったとか、いざというときに大声を出せないことがよくわかったなどと、女性自身の危機感の醸成にはとても効果が上がっていることは間違いありません。
ただ、幾ら被害に遭わないように心がけていても、加害者側が存在する限りは被害がゼロになることは不可能なのではないかと思うほどであります。
ゼロにすべきであることはどのような犯罪も全て同じではありますが、特に女性の人間としての尊厳を踏みにじる性犯罪被害をなくすために、被害に遭われた女性に対する施策と並行して、被害に遭われた女性の苦しみや悲しみ、さらには、恋人や家族など身近な女性に被害があった場合の苦悩など、目に見えない性犯罪の実態を男性側に訴えかけていくことにより、加害者を生み出さないための施策を推進していくことこそが重要であり、憎むべき性犯罪被害の撲滅につながるものと私は思います。
そこでお尋ねをいたします。
性犯罪被害を撲滅するために、今後どのような対策を進めていかれるおつもりかお示しください。
以上、警察費より二点について質問させていただきましたので、よろしくお願いいたします。
- 10:◯警察本部長(沖田芳樹君) 性犯罪防止対策についての御質問にお答えいたします。
まず、男子高校生に対する性犯罪防止教室の概要についてでございます。
これまで、性犯罪の未然防止を目的とした防犯対策は、被害者となる女性を対象とした施策を中心に行ってまいりましたが、これに加え、男性が性犯罪に関して主体的に考え、規範意識や女性を守るための行動を身につけることを主眼に置いた施策を実施することといたしました。
具体的には、男子高校生を対象とした性犯罪の未然防止を目的とした防犯教室を本年二月、南山高等学校男子部において、全国でも初めての試みとして開催いたしました。
男子高校生二百人を十のグループに分け、各グループごとに警察官が、大切な人が被害に遭った場合を考えてほしいなどと高校生と対話しながら、参加者全員が性犯罪の被害を防ぐ方法等をみずから考えて討議する対話型の防犯教室を実施したものであります。
次に、受講した高校生の反応などについてでありますが、被害に遭った女性は想像以上に恐怖で苦しむことを知った、性犯罪についてこれまで余り考えたことはなかったが、女性の安全のために自分でできることは積極的にやっていきたいなどの感想や意見があり、学校側からは、生徒が性犯罪の実態や被害者の心情をよく理解できたことから、今後も毎年実施してほしいとの要望をいただいております。
次に、今後の対策といたしましては、性犯罪を未然に防止するためには、性犯罪の前兆と認められる声かけやつきまといなどの事案を的確に把握し、犯罪については早期に検挙し、犯罪に至らないものについても積極的に指導、警告を行うなど、早目に手を打つことが重要であると考えております。
さらに、防犯対策といたしましては、これまで実施してきました女性の防犯意識を高める防犯教室や安全フォーラムなどに加え、高校、大学、企業等の男性を対象に、女性を守る意識を醸成する女性安全対策セミナーを開催するなど、各種対策を積極的に推進し、性犯罪の未然防止に努めてまいります。
- 11:◯議長(小林功君) 進行いたします。
小島丈幸議員。
- 12:◯六十九番(小島丈幸君) 私からは、第九款建設費第六項漁港費に関連し、篠島漁港における津波や高潮からの防災・減災対策についてお尋ねをいたします。
先日、知多半島の先端から三キロ沖合にある南知多町の篠島を訪れる機会があり、島の方たちから離島における地震や台風などの防災対策について、生の声を聞くことができました。
その中で、日間賀島の海岸は町が管理しているので、町の職員は近い存在で島民の意見をよく聞いてくれるが、篠島は県が管理しており、県職員は遠い存在に感じるときがあるため、要望がうまく伝わらないというお話をお伺いいたしました。
そのようなことから、県が防災・減災対策などの計画を策定する場合や実施に当たっては、町を通じてでも構いませんが、実際に住居を構えている島の方たちからのさまざまな意見をよく聞いて進めていただきたいと思います。
今回、島の方々とお話をしていて強く感じたのは、周りを海に囲まれた離島では、台風による波浪が激しく、災害を受けやすい特性を持っているため、本土に住む人と比べようもないほどに生命、財産を脅かされ、不安を感じながら暮らしているということであります。昨年九月末の台風十七号では、台風の接近と満潮が重なったこともあり、道路の冠水や数件の家屋が浸水したとの話も伺いました。
そこでお伺いをいたします。
県が管理している篠島漁港における台風による高潮や地震の津波から島民の生命や財産を守る海岸堤防などの整備について、どのように対応していくのかお伺いをいたします。
続きまして、第九款建設費第七項都市計画費に関連し、離島における避難路の整備について伺います。
東日本大震災では、規模の著しく大きな津波に対しては、構造物のみで人命を守っていくことには限界があり、速やかに避難するための取り組みを進めていくことが重要であることを改めて認識いたしました。
東日本大震災での避難に関する報道や国の調査結果報告では、岩手県大船渡市における避難路の整備の取り組みが紹介されております。十一メートルを超える津波が観測された大船渡市の三陸鉄道の三陸駅に近い越喜来小学校は、津波による被災をしたものの、全ての児童が助かった学校の一つであります。
海岸から二百メートルほどしか離れていない越喜来地区は、地震発生から十分後には津波の第一波が観測され、その後押し寄せた津波によっておよそ五百世帯が被害を受け、六十六人もの方々が犠牲となりました。三階建ての校舎も屋上の一部を除いて水没いたしましたが、当時学校にいた七十一名の児童は全員無事に避難することができました。
この七十一名の児童の命を守ったのが、校舎の二階から海抜二十メートルほどの一時避難場所に続くスロープであります。被災前に完成したばかりのこのスロープを使って児童たちは避難をいたしました。
スロープができるまでは、全員が一旦一階にある出入り口までおりて、校舎を半周して回り込んでいたため、校舎から一時避難場所までの距離は今の二倍以上ありました。スロープを通ることで、わずか三分ほどで避難を終えることができ、地震発生から十五分ほどでさらに安全な公民館まで全員が移動できたとのことであります。
このように、津波避難においてはより早く、より高くが基本となり、一秒でも早く安全な高台に避難することが欠かせません。
篠島や日間賀島では、沿岸部などの限られた平地に住宅等が密集する形で古くから市街地が形成されてきたため、狭く入り組んだ通路が多くあることや、沿道の建物倒壊によって避難路が閉塞してしまう可能性があることなど、速やかな避難の支障となるおそれがあります。
津波避難路は、高台に向けて最短経路で直線的に配置していくことが望ましいのでありますが、密集した市街地では用地の制約が多く、拡幅など抜本的な整備を進めていくにはなかなか難しい問題があります。そのため、今求められている喫緊の避難対策は、時間をかけずにできることから実施していくことが重要であります。
また、離島では、ライフラインや情報通信手段が途絶しやすいという課題があります。速やかで的確な避難のためには、島と本土との確実な情報通信手段が必要不可欠であります。
さらに、篠島や日間賀島では、観光客が多いのが特徴であります。有事の際には地理不案内な観光客も容易に避難ができるよう、適切な誘導案内などにも配慮していくことが重要と考えます。
このように、避難路等の確保は、島民や観光客の生命に直結するもので、最善の備えを進めていくことが大変重要であると考えます。
そこでお尋ねをいたします。
篠島や日間賀島における迅速で確実な避難を図るための避難路等の整備について、県はどのように対応していくのかお伺いをいたします。
- 13:◯建設部長(近藤隆之君) 離島における防災・減災対策につきまして、二つの御質問をいただきました。
初めに、篠島漁港における海岸堤防などの整備についてでございます。
篠島の漁港区域で海岸堤防などによりまして、背後の水産加工場や住宅を守る必要がある区間千二百八十八メートルのうち、現在、六百六十八メートルで施設の整備が完了しておりますが、古くから漁港の中心として漁業活動に利用されてまいりました六百二十メートルの区間につきましては、未整備の状態となっております。
しかし、漁業活動の場が沖合の埋立地に移り、漁港の利用状況が変わってきたこと、また、東日本大震災の津波被害を目の当たりにして、地域の防災に対する危機感が高まってきたことを受け、未整備区間の防潮壁の整備を進めることといたしまして、今回、国の補正予算を活用して調査に着手することといたしました。
本県といたしましては、篠島漁港の高潮や津波に対する防護機能を高めるため、漁業関係者を初め、地元の方々の御意見をしっかり伺いながら、海岸堤防などの早期整備に努めてまいります。
次に、離島における避難路等の整備についてお答えをいたします。
篠島や日間賀島において、津波から確実に避難するためには、議員お示しの避難路の整備や情報通信手段の確保、適切な誘導案内が大変重要でございます。
篠島、日間賀島両島を抱える南知多町とは、昨年五月より町の津波防災対策について協議を進めてきた結果、まずは緊急性の高い防災行政無線の整備について、国土交通省の社会資本整備総合交付金を活用することとし、この二月の国の補正予算で事業化されることとなりました。これにより、篠島や日間賀島においても合計七基の屋外拡声機が新たに設置され、より確実な情報伝達網の形成が進められることとなります。
さらに、来年度からは、避難路や誘導案内施設などに係る町の整備計画が策定される予定でございますが、特に篠島や日間賀島では、津波の到達時間が短い上、安全な高台が少なく、狭隘な道路が多いなど、本土と異なる離島特有の課題も多いため、実効性のある計画策定ができますよう、県といたしましても引き続き適切な助言をしてまいります。
その後の事業実施に当たりましても、緊急性が高く、効果的なものから順次整備が進められ、迅速で確実な避難が図られるよう、しっかりと支援してまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 14:◯議長(小林功君) 進行いたします。
中根義高議員。
- 15:◯七番(中根義高君) 私からは、歳出第九款建設費第一項建設管理費のうち、県有施設耐震改修費についてお伺いをいたします。
東日本大震災の発災から二年目に当たるきょう、耐震関係の質問をさせていただくということで特別な思いでありますけれども、東日本大震災では、平成二十五年二月二十六日の内閣府の発表によりますと、建物の全壊及び焼失がおよそ十三万戸、死者、行方不明者がおよそ二万人というとても大きい被害を受けております。被災直後から多くの方々が避難所生活を余儀なくされ、今なお仮設住宅などに多くの方が住んでおられます。
また、災害復旧・復興業務を担う行政、消防、警察の庁舎が大きな被害を受けました。十三の市町村では、本来、復旧・復興業務の拠点施設となるはずであった庁舎を移転せざるを得なくなり、一部移転まで含めますと、その数は二十八にも上ります。
この東海地方においても、高い確率で発生が危惧されております南海トラフの巨大地震におきましては、最大クラスで二百三十八万棟の建物が全壊及び焼失し、三十二万人が亡くなるという被害想定が去年の八月に内閣府より公表されておるところであります。
大規模災害のときには、まず、多くの人命を守り、被害を減らすことが重要であります。また、災害復旧活動に対応するため、活動の指揮をとる活動拠点本部、地域の活動拠点施設、避難施設など、数多くの県有施設を確保することが必要であります。
そのため、本県では、この東日本大震災の被害を踏まえ、建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づき、あいち建築減災プラン二〇二〇を策定しております。
これによりますと、県立高校などの学校施設、病院はもとより、鉄筋コンクリートづくりや鉄骨づくりなどで床面積が二百平米以上の多数の人が利用する全ての県有施設において、平成二十七年度までに耐震化を図ることとしております。
県のホームページによりますと、平成二十四年九月末時点での県有施設の耐震化の状況は、昭和五十六年以前の旧耐震基準で建てられた県有施設のうち、耐震改修を行った建物に、もともと耐震性能がある建物を合わせた耐震化率は、庁舎については九〇%、病院、保健所については八四%、警察署は八二%と掲載をされております。
本庁舎及び西庁舎の免震工事を初め、総合庁舎、保健所、警察署など、防災上の拠点施設となる県有施設においては、平成十四年度から耐震改修工事を行い、かなり耐震化が進んでいると聞いております。
また、県立学校においては、公立小中学校と比べ建物耐震化の進捗がおくれておりました。そこで、生徒や保護者、地域の方々の不安を一刻も早く払拭することが急務であるとの考えで、一昨年の六月議会におきまして、耐震化の予算の大幅な増額を行い、工事の前倒し、スピードアップを図られております。
耐震改修が必要な施設は、いずれも建設されてから相当な年数を経過しており、老朽化も進んでいることや施設が狭いことから総合的に判断し、警察や病院では、補強ではなく建てかえによって耐震性能の確保がなされた例もあると伺っております。
地震災害は、あすにも起こるかもわかりません。一刻も早い県有施設の耐震性能の確保が望まれるところであります。
そこで、これまでの県有施設の耐震改修の進捗状況はどのようになっておられますでしょうか、また、平成二十五年度の耐震改修の実施予定についてお伺いをさせていただきます。
以上です。
- 16:◯建設部建築担当局長(松井宏夫君) 県有施設の耐震改修の状況についてお尋ねをいただきました。
庁舎、保健所、警察署などの県有施設のうち、建てかえや廃止を検討している建物を除きまして、百五十四棟を対象として耐震改修を進めております。
耐震改修は、施設の規模が大きく、耐震性能のより低い建物から順に行っており、今年度末までに八十三棟の工事が完了いたします。進捗率では、棟数で五四%、事業費で八九%となります。
平成二十五年度の耐震改修工事につきましては、農業大学校の体育館及び旧本館、栽培漁業センター中央棟、総合看護専門学校事務棟など七施設八棟を実施いたします。あわせて、基本調査二十六棟、実施設計二十棟についても実施いたします。
耐震改修につきましては、工事の二年前に基本調査、前年に実施設計を行うこととしております。来年度には、耐震改修工事を実施する全ての施設につきまして基本調査が完了しますので、計画どおり、平成二十七年度末までに耐震改修工事を完了するよう努めてまいります。
以上でございます。
- 17:◯七番(中根義高君) 要望になりますけれども、対象となります全ての県有施設の耐震化が早期にできますよう、引き続きお願いをいたします。
この耐震改修の対象となっている建物の中には、現在、廃止か存続か、あるいは建てかえか補強かといった検討の建物は含まれていないということでありますので、これは、お答えをいただきました建設部さんというよりも、各施設や事業を所管される各部局の皆様に対してとなりますけれども、検討中の建物ができる限り早期に、できれば県が示しております平成二十七年度までに耐震性能を備えた建物となりますよう、速やかな検討を進めていただきますようお願いいたしまして、要望を終わります。
- 18:◯議長(小林功君) 進行いたします。
永井雅彦議員。
- 19:◯十七番(永井雅彦君) 歳出第十款警察費第二項警察活動費のうち、歩行者等の安全通行の確保のための道路標示の更新整備について質問をいたします。
平成二十四年中の愛知県の交通事故死者数は二百三十五人であります。このうち、歩行中に亡くなられた方は八十九人と全死者数の約三八%にも当たります。そして、そのうちの二十人は、横断歩道を横断中に事故に遭われて亡くなられています。
その二十人のうちの十七人は高齢者の方であります。また、歩行者の負傷者は三千六百四十六人であり、そのうちの千百十人もが、同じく横断歩道を横断中に事故に遭われております。
さらに、登下校中の事故についても調べてみますと、歩行者の死傷者は百三十八人であり、そのうちの五十八人が横断歩道を横断中に事故に遭われています。
この数字を見ても、横断歩道や通学路に対する交通安全対策は待ったなしで早期にやっていかなければならないと感じております。
まだ記憶に新しいと思いますが、昨年四月、京都府亀岡市において、登校中の児童の列に自動車が突っ込むという大変に痛ましい死傷事故が発生をいたしました。そして、その後にすぐ本県の岡崎市内においても、集団登校中の児童の二人について、横断歩道で車にはねられ、大けがをする事故が発生いたしました。
愛知県警では、岡崎の事故発生を受けて、緊急に学校周辺における交通安全施設の点検を行い、その後、全国一斉で教育委員会が主体となり、道路管理者と県警が連携をして通学路の緊急合同点検が実施をされ、その結果、全国で安全対策が必要と判断された場所は七万四千四百八十三カ所であり、本県では四千六百九十三カ所になり、県警の対策が必要な箇所は千四百八十六カ所とお聞きをいたしております。
さて、私の地元では、交通安全ボランティアとして、高齢者の皆さんが毎日小学生の集団登校時に横断歩道に立ち、交通安全を呼びかけながら安全確保に御尽力をいただいております。そうしたボランティアの皆さんから、歩行者の安全を守らなければならないはずの横断歩道が消えかけている箇所が多い、こうした御指摘を受けることがふえてまいりました。
白い線が消えて見にくい状態になっている、こうした歩行者を守るべき基本的なことがしっかりと実施されないようでは愛知県の交通事故は減少しないぞと率直な意見を届けていただいております。実際に私も車を運転中に気をつけて見てみますと、地元もそうでありますが、県内の至るところで消えかけた横断歩道を目にするようになりました。
道路交通法二条では、横断歩道とは、道路標識または道路標示によって歩行者が横断するための場所であることを示している道路の部分をいうと規定されております。
また、三十八条には、横断歩道等における歩行者の優先が規定をされ、横断歩道に接近する場合、ドライバーの義務として、歩行者がいないことが明らかな場合を除いて、その横断歩道等の直前で停止できるような速度で進行しなければならないとなっています。これは、ドライバーとして当然の守らなければならないルールだと思います。
簡潔に言えば、横断歩道という道路標示等によって歩行者は安全に道路を渡ることができ、ドライバーは、運転席から横断歩道を確認し、歩行者の通行を優先するということになります。
岡崎市の事故は全国ニュースで取り上げられました。テレビを見ますと、横断歩道の標示についてほとんどが消えかかっていたのがわかりました。こんな状態で果たして歩行者の安全確保が最優先なのかと正直感じました。
横断歩道の事故が全て標示が消えかかっているとは思えませんが、道路を歩行者が横断する場所であることを歩行者とドライバーに知らせる重要なものであるにもかかわらず、消えかけている箇所が多いというのが現状であると思います。早急な対応が必要でありますが、厳しい財政状況もあり、いろいろ苦労しながら補修しているのが現状であると思います。
そこでお尋ねをいたします。
昨年、県内で行った通学路の緊急合同点検では、県警が対策すべき箇所は千四百八十六カ所とのことでありますが、どんな内容であったのか。その中で、横断歩道の整備に関するものはどんな内容で、どれくらいあったのか。また、その対応状況は現時点でどうなっているのかお尋ねをいたします。
次に、愛知県内の横断歩道はどれくらいあって、全国と比較してどうなのか、塗りかえ基準はどうなっているのか、その基準に基づき塗りかえていくとしたら、どれくらいの費用が必要となるのかお尋ねをします。
以上であります。
- 20:◯警察本部長(沖田芳樹君) 初めに、通学路の緊急合同点検についての御質問にお答えいたします。
緊急合同点検において、警察が対策を講ずべき箇所の内容といたしましては、信号機に関するものが二百カ所、横断歩道の標示に関するものが五百七十七カ所、交通指導取り締まりの強化に関するものが百五十八カ所、その他の交通安全施設の整備等に関するものが五百五十一カ所となっております。
次に、点検で確認された横断歩道に関する内容と措置状況についてでございます。
横断歩道に関する具体的な内容とその箇所数につきましては、新規の設置に関するものが百九カ所、塗り直しに関するものが四百五十五カ所、設置位置の見直しに関するものが十三カ所となっております。
これらの把握した箇所については、現時点で八割程度の措置が講じられており、来年度中には全て完了することといたしております。
次に、横断歩道の塗りかえについての御質問にお答えいたします。
初めに、横断歩道の設置数と更新基準についてでございます。
県内の横断歩道は、昨年末現在、約八万三千本あり、東京都に次いで全国二番目の設置本数となっております。また、その更新基準年数は四年としているところでございます。
次に、この基準どおり塗りかえる費用について試算いたしますと、年間約五億円となります。
いずれにいたしましても、横断歩道は歩行者の安全を確保する上で重要な場所でありますことから、人優先の考えのもと予算を効果的に活用し、その整備に努めてまいる所存でございます。
- 21:◯十七番(永井雅彦君) ただいま詳細に御答弁いただきましてありがとうございました。
横断歩道の補修について要望させていただきたいと思います。
交通事故を減少させるためには、歩行者の安全確保は最優先の取り組みであります。御答弁にありましたように、通学路の対策は八割程度完了するということで、しっかりと対策をいただいているというふうに思っておりますが、しかし、一方で、通学路以外のほかの道路標識の更新整備に必要な予算につきましては、厳しい財政状況のために計画的な更新に必要な年間の事業量の二割程度と、そのようにお聞きをいたしております。
財政状況が厳しい中で、県警としても、例えば、横断歩道では摩耗箇所のみ補修をする、また、通行者の多い場所や、通学路を含めた生活道路を中心に重点的に補修するなど、効率的な維持管理に努めていると、このようにお聞きをいたしておりますが、これだけ交通死亡事故が多く発生する本県におきまして、人の命を守るための予算に制約があることが本当によいのかと感じております。
ことしも既に横断歩道を横断中にお二人の方が亡くなられております。全国ワースト一位の汚名を返上するためにも、交通事故防止に必要となる予算が十分に確保いただきますように、これは関係します部局の方々につきまして、適切な対応を強くお願いいたしまして要望を終わります。
以上です。
- 22:◯議長(小林功君) 進行いたします。
島倉誠議員。
- 23:◯二十三番(島倉誠君) 歳出第十一款教育費第一項教育総務費のあいちグローバル人材育成事業についてお伺いをしてまいります。
本事業については、先日、浅井議員も質問をしておられますので、一部割愛をしながら、それぞれの事業の具体的な取り組み内容と基本的な考え方について伺ってまいります。
本事業は、今年度策定するあいち国際戦略プランを推進する上でも、国際戦略の基礎となる重要な事業であります。
現代は、人、物、金が国境を越えて活発に行き来する時代であり、産業、経済を初め、文化やスポーツなどさまざまな分野でグローバル化が急速に進展しています。物づくりの県である本県の多くの企業においても、経済のグローバル化や円高を背景に海外進出が増加しているところであります。
そうした中、昨年、衆議院が解散され、政権が民主党から我が党自民党に移り、行き過ぎた円高は若干是正をされましたが、グローバル競争の激しさを鑑みますと、今後も本県企業の海外進出は増加すると予測され、海外で活躍できる人材をいかに確保するかが大きな課題となっています。
しかしながら、OECD等の統計調査によると、海外へ留学した日本人の数は大幅に減少するとともに、海外勤務を望まない新入社員も、二〇〇四年度には約二九%であったものが、二〇一〇年には約四九%に上昇するなど、若者の内向き志向が指摘をされているところです。
本県の産業や文化などが今後とも世界において高い評価を得ていくためには、豊かなコミュニケーション能力や異文化体験を身につけた国際的に活躍できるたくましい人材を数多く育成する必要があります。そのためには、子供たちが異文化に触れたり、さまざまな国の人たちと交流したり、コミュニケーションのツールである語学力を向上させたりする取り組みが必要であると考えます。
とりわけ、日本人の英語力は、近隣アジア諸国とも比べて低いと言われています。詳細については先日も述べられておりますので省略いたしますが、グローバル社会に適応していく上で大きな障害となっております。
こうした実態を踏まえ、改訂された学習指導要領においては、小学校に外国語活動が導入され、中学校の外国語の授業時間数が増加されました。また、高等学校においても、来年度入学生から英語の授業は英語で行うことを基本とするとされたところであります。
小学校、中学校、高等学校、そして、大学へと学校の段階が上がるにつれて、子供たちの英語力を確実にステップアップさせるとともに、子供たちが異なる言語や文化に生きる人々への関心を高め、より視野を広くして、環境やエネルギーなど国際的な課題に対して積極的にかかわっていけるような意欲と能力を育てていく必要があると思います。
今回の新たな事業として、世界を舞台に挑戦し、活躍できる人材の育成を目指す取り組みであるあいちグローバル人材育成事業を立ち上げられたことは大変評価をいたします。また、その成果に大きく期待をするところであります。
そこで、この事業に関して、教育長に幾つかお伺いをしてまいります。
まず、スーパーイングリッシュハブスクール事業についてお尋ねをいたします。
一つ目は、文部科学省が平成十四年度から十九年度の五カ年でスーパーイングリッシュランゲージハイスクール事業を行っています。本県では、三校の県立高校がこの事業に参加をしています。そこで、この事業の成果と課題はどのようなものがあり、今回のハブスクール事業にどのように生かしていかれるのかお伺いをいたします。
二点目に、県内十二のブロックから各一校の県立高校を選抜し、英語以外の科目を英語で指導すると伺っていますが、その場合、ある程度の基礎英語のレベルが求められると考えます。選考基準はどのようなもので、どういった教科で、どの程度予定をしているのかお伺いいたします。
次に、イングリッシュキャンプinあいちについてお尋ねいたします。
この事業は、県内二カ所、各四泊五日の日程で、小中学生と高校生合わせて各地区六十名が参加をし、実施予定されているとのことでありますが、参加者の選考方法はどのように行うのか。また、共同生活を送る外国人は何名程度を予定しているのか。あわせて、どのような内容で異文化交流を図ろうとされているのかお伺いいたします。
次に、高校生海外チャレンジ促進事業についてお尋ねいたします。
この事業は、高校生を対象に一週間から一カ月程度の短期留学に対して約二十五万円を上限に支援をされるとのことでありますが、その選考方法はどのようにされていくのか。また、チャレンジ促進というが、短期の語学留学、スポーツ大会への参加、バックパッカー等幅広くあると考えますが、どのような取り組みがチャレンジの対象となるのかお伺いをしてまいります。
次に、国の事業でありますが、国際バカロレアについてお尋ねいたします。
国際バカロレアとは、世界中の大学に入る資格を与えるだけでなく、入ってから国際人の卵として勉強に邁進できるようにするためのプログラムであります。
その理念は全人教育であり、具体的な学習像として、一、探究する人、二、知識のある人、三、考える人、四、コミュニケーションができる人、五、信念のある人、六、心を開く人、七、思いやりのある人、八、挑戦する人、九、バランスのとれた人、十、振り返りができる人などを挙げています。
認定校では、さまざまな分野から六科目を選択して学ぶことになります。多くの授業は、英語などの国際語で行われ、さらに、六科目に加えて百時間以上の知識理論という授業や課題論文のほか、毎週三から四時間程度の社会体験活動も課せられます。
ここでお伺いいたしますが、旭丘高校が認定校ではなく、国際バカロレアに準じた形で新たに参加するとのことでありますが、この国際バカロレアの趣旨をどのように踏まえ、具体的にどのような取り組みをされるのかお伺いいたします。
同じく、国の事業である高校生留学促進事業についてお尋ねをいたします。
この事業は、一年間の長期留学に対して一人四十万円を上限に支援するものであります。従来、全国で五十名に支援してきたものを、平成二十四年度より三百名に拡大をし、本県には十五名の枠が与えられたと聞いております。
この事業への平成二十四年度の参加者の多くは私立高校の生徒だと伺っていますが、応募状況はどのようであったのか、また、公立高校生徒の留学者が少なかった理由をどのように分析されたのか伺います。
さらに、文部科学省は、この事業と同様に、国際的視野の涵養と留学機運の醸成事業を展開しています。内容は、高校生留学促進協議会の開催、グローバル人材育成のための講師の学校派遣、留学相談員の配置などですが、本県は、平成二十四年度にこれらのような取り組みは行っていません。グローバル社会に適応できる人材の育成は取り組まなければならない喫緊の課題であります。
この留学生促進事業もチャレンジ事業もそうでありますが、留学資金の一部補助は大変ありがたいことですが、その対象者はいずれも高校生であります。留学する生徒も、送り出す保護者も、情報収集の機会や相談窓口等が充実をされれば、一歩踏み出して世界に飛び出す機会がふえるのではないかと考えます。
そこで、こうした事業も積極的に展開していくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
あわせて、この二つの事業、どちらも夏休みを起点とした利用が多いと考えますが、そうしたことを考えれば、時間的な余裕は余りありません。推進のための広報や支援体制が急務と考えますが、この点についてもお伺いをして、質問を終わります。
- 24:◯教育長(野村道朗君) あいちグローバル人材育成事業に関しまして、多岐にわたるお尋ねをいただきました。順次お答え申し上げます。
まず初めに、文部科学省のスーパーイングリッシュランゲージハイスクール事業の成果と課題ということでございますけれども、成果といたしましては、英語の授業を教員が全て英語で行う指導や、大学やJICAなどの国際機関と連携した国際理解を深める取り組み等を積極的に進めましたことで、生徒の英語力を高め、国際感覚を育成することができたと考えております。
一方、課題といたしましては、この取り組みを他校に十分に広げることができなかったことなどが挙げられます。
新年度に予定をいたしておりますスーパーイングリッシュハブスクール事業でございますけれども、この事業では、こうした点を踏まえまして、特にハブスクール校における成果を地域の他の高校にも普及、還元できるように工夫してまいりたいと考えております。
次に、英語以外の科目の英語による指導についてでございますが、主に総合的な学習の時間等での実施を想定いたしております。実施校の選定などにつきましては、現在検討中でありますが、実施の詳細については各校の実情に応じて考えてまいりたいと、このように考えております。
次のイングリッシュキャンプinあいちについてのお尋ねでございますが、この事業では、さまざまな国の人たちとの全て英語を使っての共同生活を送ることで、英語によるコミュニケーションに対する自信を育み、外国の文化や考え方への興味、関心を高め、相互理解の大切さを学ぶことを狙いとして行うものでございます。
参加者の募集や選考の方法につきましては、現在検討中でございまして、参加する外国人の人数についても、まだ確定はいたしておりませんが、外国人語学講師のほかに、県内の大学や高校の留学生にも多数参加してもらいたいと、このように考えております。
キャンプの具体的な内容につきましては、児童生徒の学年や英語能力に応じてクラス分けを行い、それぞれのレベルに応じた異文化交流の取り組みを実施する予定といたしております。その中で、自国の文化について英語で紹介する取り組みなども進めたいと、このように考えております。
次に、高校生海外チャレンジ促進事業についてでございますが、この事業は、子供たちの内向き志向を打開し、世界に目を向けさせるためのきっかけづくりを狙いとして行うものでございます。
選考に当たりましては、海外でチャレンジしたいことについての企画書や作文、学校長の推薦書等を提出してもらいまして、それらをもとに選考委員会を設けて審査してまいりたいと考えております。
対象となるチャレンジの内容につきましては、幅広く受け入れていきたいというふうに考えておりますけれども、短期の海外語学研修を初め、本県企業の海外工場等におけるインターンシップ、あるいは海外ボランティア活動、こういったようなものを想定しているところでございます。
次に、国際バカロレアのお尋ねでございます。
本年度から旭丘高校では、国際バカロレアの目指す全人的な教育プログラムを授業に取り入れまして、グローバル社会で必要とされる論理的思考力やコミュニケーション能力を高める方法について研究しているところであり、来年度も文科省の助成を受けて継続してまいります。
具体的には、総合的な学習の時間や、公民科の授業の中で知識の理論と呼ばれる、例えば、環境問題などの教科横断的なテーマについての課題学習等を取り入れたカリキュラムについての調査研究を行っているところでございます。
これは、あくまでも学習指導要領に基づいて行うものでございまして、バカロレアに準じた形をすぐに目指すというものではございません。
最後に、文部科学省の高校生の留学促進事業についてもお尋ねをいただきました。
平成二十四年度の本事業への応募者は、国公立高校七名、私立高校十三名の計二十名でございまして、そのうち、国公立五名、私立十名の生徒が選考されたところでございます。私立高校は、留学コースなどを持つ学校からの積極的な応募があったことから公立高校を上回る結果となっております。
御質問にございました文部科学省の三つの施策につきましては、本年度は実施をできなかったところでございますが、来年度も同様の事業が実施される予定でございますので、留学への機運を高めるためにも、これらの事業を活用いたしまして、留学フェアの開催やグローバル語り部の派遣などの取り組みを進めていく予定といたしております。
今後の広報につきましては、年度当初にチャレンジ事業は全県立高校に、また、留学促進事業は県内の全高等学校に通知をいたしますとともに、ホームページ等にも掲載をしてまいりたいと、このように考えております。
以上でございます。
- 25:◯二十三番(島倉誠君) ありがとうございました。大変前向きな御答弁をいただきました。
少し要望させていただきたいと思います。
世界と闘える愛知の実現には、優秀な人材の育成は欠かせません。本事業をより実りあるものにするためには、先日、浅井議員からも御指摘、要望されましたが、やはり長期的視野に立った事業展開をしていただきたいと思います。
教育長も御存じだと思いますが、東京都では、本県よりも早くから長期的かつ戦略的に取り組んでいます。石塚議員からは、リニアインパクトによるストロー現象の懸念についての発言もありましたが、そうならないためにも、現在実施している、例えば、ALT講師の派遣の充実や指導内容の充実など、また、小中高の連携の推進なども積極的に取り組んでいただきたいと思います。
また、せっかく育てた人材も、将来受け皿となる企業がなければ流出をしてしまうことにもなります。そうしたことにならないためにも、教育委員会としても、庁内関係部局はもちろんでありますが、時には経済界や企業にも直接お出かけをいただき、経済界や企業側のニーズも把握しながら進めていただきたいと思います。
世界で活躍する人材を育てるために熱意と深い愛情を持って、教育委員会には学校現場ともどもしっかりと取り組んでいただくよう要望して、終わります。
- 26:◯議長(小林功君) 進行いたします。
宮地美角議員。
- 27:◯三十番(宮地美角君) 歳出第九款建設費第三項河川海岸費のうち、都市小河川改修費、河川環境対策事業費について伺います。
都市河川は、四季折々の景観の変化などにより都市の個性を生み出すとともに、都市に残された貴重なオープンスペースとして、また、生活用水、あるいは産業用水としての水利用等の側面からも、かねてより重要な役割を果たしてきました。
河川は、他の公共施設と比較して、上流から下流の河口部まで線的で連続的な空間を形成しており、水や空気の流れが確保された空間である。
沿堤の木々の新緑や落葉、水量の増減等をかいま見ることができる、都市の風土、文化を形成する重要な要素である。
都市のランドマークとなるとともに、四季折々の風景の変化も相まって、人々に潤いを与えるといった性格を有しています。
こうした特性を有する都市河川は、都市の貴重な財産として今後さらなる活用が考えられると思います。
一つ目は、子供たちが自然に親しむ貴重な場としての役割です。
都市化の進展に伴い、自然に触れる機会の少ない子供たちが自然の息吹を体験し、環境を保全することの重要性を学ぶ場として、都市河川はますます重要性を高めていくと思います。
もう一つは、中心市街地等で失われつつある都市住民のコミュニティー復活に関する役割です。
大都市においては、古くからの歴史、文化の喪失、コミュニティーの崩壊等の問題があり、また、高齢化と相まって、市街地の衰退、空洞化が進行しています。そうした状況下、都市河川沿川を歴史や自然を感じることができる散策等の触れ合いのある空間として整備すること、あるいは都市における貴重な資産として守り育てるボランティア活動ができる空間として整備することなどにより、新たなコミュニティー形成の場としての河川空間の役割が期待できると思います。
一方で、都市河川は、平常時には流量は極端に少ないが、豪雨時には流域に降った雨が短期間に集中して流出する性質をも有しており、時として自然の厳しい顔を見せることもあります。都市河川の貴重な役割を維持していくとともに、防災の観点からも都市河川の円滑な整備の取り組みを引き続き行っていく必要があると思います。
さて、私の地元であります名古屋市緑区には、身近な川として天白川とその支川である扇川があります。天白川は、日進市を源とし、名古屋市東部の市街地を流れる、流域内の人口約六十二万人の典型的な都市河川であります。
平成十二年九月の東海豪雨時、天白川の流域は緑区で一時間最大雨量百ミリ、降り始めからの総雨量は、年間総雨量の三分の一にも及ぶ六百四十七ミリという記録的な豪雨に見舞われ、長時間にわたり河川水位が計画水位を超える状態が続きました。
このとき、天白川沿川で発生した被害は、浸水面積約千ヘクタール、浸水戸数約八千二百戸、被害総額約三千五百億円に達し、伊勢湾台風以来の大水害となりました。
この水害を契機に、愛知県は、おおむね五年間で緊急的な治水対策を実施する河川激甚災害対策特別緊急事業、いわゆる激特事業の採択を受け、再び東海豪雨と同等の豪雨に見舞われるような事態に備えて、総額約二百八十二億円を投じて対策を実施し、平成十六年度に完成しました。
東海豪雨時の天白川の水位は一般家屋の二階相当までありましたが、この激特事業により川幅が大きく広げられ、川底は約三メートル掘り下げられ、洪水時の水位を大幅に低下させることができました。
平成二十三年九月には台風十五号が東海地方を襲い、庄内川流域の各所で大きな浸水被害が発生しましたことはまだ記憶に新しいところであります。この天白川流域におきましても、緑区で一時間最大雨量六十ミリという大雨を記録し、野並橋付近では、いつ堤防が決壊してもおかしくないと言われる氾濫危険水位に迫るほどの出水でありました。
この台風による豪雨は、東海豪雨以降では最大クラスであったと思われますが、県のホームページによれば、今回の出水を激特事業の前後で比較しますと、天白川の水位を三・三メートル以上も下げることができたと試算されています。
このため、幸いにも浸水被害は最小限にとどまり、激特事業による河川改修や、これと並行して実施された名古屋市の緊急雨水整備事業による内水ポンプの増強や、雨水貯留施設の整備が効果を発揮したものであり、まさに治水の原則は洪水時の水位を少しでも下げることであると以前お聞きしたことがありますが、それを改めて認識いたしました。
一方、扇川は、緑区内を東西に流れ、天白川に合流する支川でありますが、天白川と同様の都市河川であり、上流域の都市化が著しいため、降雨時は河川の水位があっという間に上がり、下流部の市街地では雨水が排水しづらい状況でありました。
天白川の激特事業にあわせ、名古屋市により汐田ポンプ所の増設や、扇川右岸、左岸に二カ所の雨水調整池を設けるなど治水対策が進められてきましたが、河道改修につきましては、河床の掘削工事や橋梁のかさ上げ工事が残されております。事前に治水対策を講じることが大切であることは激特事業で経験したわけですから、ぜひとも早期の整備をお願いしたいと考えております。
このように、治水対策を着実に進めていくとともに、ふだんの生活の中で私たち県民が望むものは、オープンスペースとしての河川です。このことは、天白川流域のような都市の河川では特に求められることであります。とりわけ天白川は、川沿いに浦里公園や天白川公園、野並公園など多くの公園が整備されており、また、遊歩道も多くの方々に利用されております。
私も川沿いを歩くことがありますが、散歩やウオーキング、ランニングなどで扇川や天白川を利用している姿を多く見かけます。利用者の年代はさまざまで、お年寄りや女性の方でも利用しやすく、日常の散歩コースとして、また、御近所や御友人の方との交流の場として親しまれている様子が見受けられます。
私は、天白川がこのように利用されるようになったのは、激特事業のおかげでもあると思っております。といいますのも、激特事業により堤防の幅と川幅を広げましたが、それにより水際へのアクセスがよくなったこと、また、川に余裕ができ、緑が生えやすくなったこと、そして、以前より広々として開放感にあふれた川の風景となったのではないのかと思っております。
このような自然の緑や景観などの河川環境は、除草作業などにより手を入れて維持してやらないと、堤防が雑草で覆われ、流れの阻害になるとともに、良好な景観を損ねたり、人々の水辺利用に支障を来してしまうものと思われます。
そこでお尋ねいたします。
天白川の支川である扇川の治水対策及び天白川の維持管理と自然豊かな川づくりについて、今後どのように進めていかれるのかお聞かせ願います。
以上です。
- 28:◯建設部長(近藤隆之君) 都市小河川改修費と河川環境対策事業費につきまして御質問をいただきました。
初めに、都市小河川改修費の扇川の治水対策についてお答えをいたします。
扇川につきましては、天白川と同様に、洪水時の水位を下げることを目的といたしまして、手越川合流点より上流に向けた河床掘削及び橋梁の工事につきまして、名古屋市により計画的に進めているところでございます。
なお、この都市小河川改修費は、扇川などが平成二十三年四月に県から名古屋市へ河川改修権限が移譲されたことに伴い、市の財政負担の増加を考慮し、五年間の期限で事業費の六分の一を補助するものでございます。
次に、河川環境対策事業費の天白川の維持管理と自然豊かな川づくりについてでございます。
天白川の激特事業では、堤防に環境保全型ブロックを使用したり、旧堤防の土を表面に使用するなど、河川の植生が早期に回復するよう配慮をいたしました。現在は、回復した植生を適切に管理するため、堤防の除草を行っており、特に緑地や遊歩道のある利用者の多い場所では年に二回実施しているところでございます。
また、上流部では、地域の皆様の手で川沿いに植樹する水辺の緑の回廊事業や、地域の方々に参加していただきながらビオトープ整備を進めるなど、さらなる自然豊かな空間の創出にも取り組んでいるところでございます。
天白川は、都市に残された貴重なオープンスペースでありますので、今後とも、地域の皆様とともに自然豊かな川づくりを進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 29:◯議長(小林功君) 進行いたします。
近藤ひろひと議員。
- 30:◯二十四番(近藤ひろひと君) それでは、通告いたしました歳出第九款建設費第七項都市計画費のうちの街路事業費、そして、第十三号議案平成二十五年度愛知県県立病院事業会計予算のうち、がんセンター愛知病院緩和デイケアセンターについて質問をさせていただきます。
まず、街路整備事業費についてであります。
社会基盤整備の中でも、道路は単に人や車の往来というだけでなく、インターネット、携帯電話、あるいは携帯型端末などの発展による高度なIC、ICT社会になった現在でも、現実の人、物の輸送という観点から、経済活動には欠かせない重要なインフラであるということは言うまでもありません。
とりわけ、市街化区域の幹線道路、街路は、物の輸送、いわゆる物流を確保する本来の機能だけでなく、上下水道や電力、通信など、ライフラインを確保するための空間や、あるいはまちに緑と潤いを与える都市環境の向上といった機能も備えており、その街路を整備する街路事業は、都市機能の向上を図るための最も基本的な都市基盤として、市民生活や経済活動などに伴う自動車交通を円滑に処理するとともに、さまざまなイベントの空間であったり、あるいは防災空間として安全で快適な都市活動を支える事業として捉えられております。
愛知県の街路事業は、暮らしを支え、環境を守り、県民の声を生かす、こうした基本理念のもとに、人、経済、地域にとって快適な道路環境の創造を目指すとされております。
これまで、現道拡幅、バイパス、鉄道との立体交差などにより道路交通の円滑化を図る、いわゆる幹線街路の整備、道路・駐車場情報などを提供し、道路利用者の利便性を図るITS関連施設の整備。
駅周辺を整備し、鉄道とほかの交通施設との乗りかえの利便性、快適性の向上を図る交通結節点の改善。
安全、円滑な道路の確保と景観の整備等を図るため、電線類の地中化をする電線共同溝整備事業。
こうした幹線道路の整備に加え、街路の再整備や景観整備を図り、テーマを持ってまちづくりに取り組む地区を対象とした事業、身近なまちづくり支援の街路事業。
あるいは、幹線街路沿道市街地において、調和のとれた沿道市街地の創出を図る区画整理手法を活用した街路事業、沿道区画整理型街路事業などを進められておられると聞いております。
このように、県内の多くの市町で市街地整備とあわせて街路が整備され、都市づくりに大きく寄与していると認識しておりますが、特に住宅団地開発に伴って整備された新しい地区では、植樹帯と自転車歩行者道を有する比較的幅の広い街路を有しており、地域のシンボルとなる都市景観が形成されています。また、街路沿線には大規模商業施設や路面店が立地するなど、街路を中心にまちづくりが進んでいるところも多いと思います。
しかしながら、県内の市街化区域での交差点や鉄道交差部では慢性的な渋滞が起き、歩道が整備されていない通学路や、まちの幹線道路とも言える街路で未整備区間が数多くあります。
中心市街地を貫く幹線道路が渋滞を起こしますと、通行車両は生活道路を抜け道として利用することとなり、特に朝の通学時にはそうした傾向があると思われます。大変話題に上がります交通事故死ワーストワンの記録をさらに継続する要因ともなりかねません。
街路事業は既成市街地での事業であることから、多数の地権者との合意形成が必要でありますが、交通安全対策やそれぞれの市町で進めるまちづくりの推進からも街路整備が重要であると思います。
そこでお伺いをします。
本県の現在の街路整備はどのような状況でしょうか。また、今回の街路事業費予算での進捗をもお示しいただければと思います。
きょう、この議会冒頭に黙祷をささげました、ちょうど二年となります東日本大震災で、都市部における震災の影響を改めて感じたところでありますけれども、本県においても、近い将来、巨大地震の発生が懸念されており、大規模災害等における緊急輸送路に位置づけられている都市計画道路でもある街路整備が進められていると思いますけれども、地域防災の観点から事業の一日も早い完成が住民の強い要望であると思います。
そこでお伺いをいたします。
都市防災としての街路整備はどのように取り組んでおられるでしょうか。
また、先ほど愛知県の街路事業で交通結節点の改善があると認識していると述べましたが、多くの県民は、通勤通学にそれぞれ最寄りの駅を利用しておりますが、アクセス道路がスムーズに接続されていないことから、朝夕のラッシュ時には大変な渋滞を引き起こしているところも多いと思われます。
私の地元の日進市、名古屋市地下鉄鶴舞線の最終駅に当たります赤池駅では、周辺は、最近、土地区画整理事業も進められてまいりましたけれども、駅周辺の送迎自家用車と公共バス、あるいはタクシーが入り乱れ、駅ロータリー広場が大変混雑することから、周辺再整備計画が検討されている状況であります。今後のまちづくりでは、人や車が集まる駅周辺での街路を初めとする都市基盤の整備についても非常に重要であると考えます。
そこでお伺いをいたしますが、駅周辺での街路整備について、どのように取り組まれるかお示しをいただきたいと思います。
次に、がんセンター愛知病院緩和デイケアセンターについてお尋ねをいたします。
がんセンター愛知病院は、平成十七年四月にがんセンターに組織統合され、三河地域におけるがん医療の拠点として位置づけられております。西三河南部東医療圏で唯一となる緩和ケア病棟を平成十八年四月に開設し、がんによる痛みに対する緩和ケアにも取り組んでいると認識しております。
日本人の死因の第一位であるがんは、人口の高齢化とがん治療成績の向上により生存期間の延長もあり、今後もますます患者数が増加すると予想されます。今後は、がん患者数の増加に伴い、がんという病気を抱えながらも入院による治療ばかりでなく、住みなれた地域とのかかわりを持って、自宅で生活を続けながら安心して治療を受けたいと希望される患者さんも多いと思われます。
そうした中、がんの治療に伴う副作用や、がんそのものから生ずる苦痛の緩和は、治療を継続していく上でも欠かせないものであります。これから増すでありましょう在宅患者さんの希望に応えるためにも、医療機関におけるその支援が重要であると考えます。
そこで、今回のがんセンター愛知病院緩和デイケアセンター施設整備費計上が上げられたと思っております。
私は、がんセンター愛知病院にお伺いをいたしまして、実際に緩和デイケアの現場を視察してまいりましたが、がんセンター愛知病院は、三河地域におけるがんに対する高度・専門医療を提供する基幹的病院でありまして、特に緩和ケアについては、入院病棟を持った実績のある病院であることがよくわかりました。緩和ケア病棟における入院治療に加えて、平成二十年からは、外来においての緩和デイケアにも取り組んでおられます。
がんの入院治療を終えられて退院された患者さんや、がんと診断されて外来診療のため通院されている患者さんに対して、手術後に副作用として生じるリンパ浮腫、いわゆるむくみを緩和するためのマッサージや、主に乳腺がんの患者さんのために行うリンパ浮腫のセルフケア指導など、身体面の緩和治療をしていただいており、患者さんや家族が集って交流を図る場となるサロンスペースも提供していただいております。患者さんとその家族を対象にした精神的症状の緩和にも取り組んでいただいておりまして、その利用者は開設以来、年々増加しているとお聞きしました。
現在、緩和デイケアに使用しております診療管理棟の二階にあるその部屋は、ほかの外来部門と併用する部屋でありまして、視察した際には二十名くらいの患者さんが来ておられまして、皆さん、とても楽しそうに会話をされ、雰囲気はよいものでありましたけれども、セルフケア指導などをするには十分なスペースとは言えません。また、緩和デイケアの開設日が、部屋のあいている週二日しか、しかも、半日しか開かれないため、この部屋におられた患者さんから、毎日開いてほしいとのお話をお聞きしました。
今回の緩和デイケアセンター設置で、これまでのように日にちが、あるいは時間が限定されることなく、いつでも受診できることになるので、本当に楽しみだという声をお聞きしました。
そこで、一点目のお尋ねでありますけれども、新たに建設される緩和デイケアセンターはどのくらいの規模でお考えでしょうか、また、整備スケジュールはどのようにお考えかお聞かせください。
また、昨年制定されました愛知県がん対策推進条例においても、緩和ケアの充実、がん患者等の意向により住みなれた家庭や地域でがん医療を受けることができるようにするためにも、在宅医療の推進などを定めておりますけれども、私ががんセンター愛知病院へ伺った折に、現場の医師から聞いた話の中にも、がんになっても自宅で安心して生活できるようにと、在宅で治療を続けておられる患者さんを地域の開業医と一緒になって支援するという活動を始めつつあるという話も聞きました。
多くの患者さんやその家族の方々、また、多くの県民の方々からも、がんセンター愛知病院に対して、新たな活動の展開が大きな期待として寄せられているものと思います。
そこで、二点目の質問でありますけれども、がんセンター愛知病院では、今回、緩和デイケアセンターが建設されるのを機に、今後はどういった取り組みを拡充されるかお考えをお伺いします。
- 31:◯建設部長(近藤隆之君) 街路事業につきまして、三つの御質問をいただきました。
初めに、現在の街路整備の状況と二十五年度予算での進捗についてでございます。
本県では、市街化区域内に都市計画決定されております幹線道路、いわゆる街路を主に街路事業と土地区画整理事業により整備をしてきております。公表されております全国統計値では、平成二十三年三月現在でございますが、名古屋市内を除く街路は、計画延長二千十七キロメートルのうち千四百六十七キロが整備済みでございまして、整備率は、全国平均の約六五%を上回る約七三%となっておりまして、毎年約一ポイント程度整備が進んでいる状況でございます。
また、二十五年度の街路事業費予算での進捗でございますが、広域ネットワークの形成、防災・減災対策、渋滞対策などの観点から、江南市の布袋駅線を初め三十路線三十二カ所において事業を実施する予定で、このうち、清須市の枇杷島小田井線初め二路線二カ所の事業を完了させる予定でございます。
次に、都市防災としての街路整備の取り組みについてでございます。
平成七年に発生いたしました阪神・淡路大震災では、街路などの都市基盤が未整備な既成市街地において、建物倒壊による道路の閉塞や大規模な火災の延焼により車両の通行が妨げられたことから、市街地では、一定の幅員を有する緊急輸送道路の重要性が指摘されたところでございます。
このため、本県では、阪神・淡路大震災を契機に、地震対策アクションプランに緊急輸送道路の整備を位置づけ、重点的かつ計画的な事業推進を図っているところであり、現在進めております第二次のプランにおきましても、日進市の東山岩藤線を初め、約五・八キロメートルの街路事業を実施しているところでございます。
今後とも、緊急輸送道路の整備を初め、電線類の地中化、避難路や既成市街地における防災空間の確保といった街路整備に取り組み、安心で安全なまちづくりを目指してまいります。
次に、駅周辺における街路整備の取り組みについてでございます。
今後の都市整備に当たっては、人口減少や高齢化の進展、中心市街地の衰退などの社会情勢の変化に伴い、既成市街地の再編成や歩いて暮らせるまちづくりに向けて、駅を中心とした市街地の拠点性を高めることが求められております。
この実現には、駅へのアクセスとなる街路の整備のほか、駅前広場、自由通路、自転車駐車場の整備など、交通結節点としての機能の向上とともに、図書館や病院などの立地によるにぎわいの再生を一体的に行うことが効果的であり、今後とも、市町と連携を図りながら、総合的な見地から街路整備に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 32:◯病院事業庁長(二村雄次君) がんセンター愛知病院の緩和デイケアセンターについてお尋ねをいただきました。
まず、新たに建設いたします緩和デイケアセンターの規模と整備スケジュールについてお答えをいたします。
新たな緩和デイケアセンターは、病院敷地内に木造平家建てで床面積三百平米の建設を予定しております。
施設内には、これまで乳がん手術などの後遺症でありますリンパ浮腫の治療としてのリンパマッサージなどを自費診療で実施しておりましたが、プライバシーを重視した治療室など、必要となる設備の整備を進めまして、精神面や身体面のケアに十分対応できる施設にしてまいります。
また、がん患者自身ばかりでなく、その家族も一緒に交流できる場といたしまして、談話コーナーやキッチンスペースなどを備えたデイルームを設けることにより、精神面のケアにも十分対応できる和みやすい雰囲気づくりに配慮した施設となるように工夫してまいります。
整備スケジュールでございますが、来年度、設計及び建設工事に速やかに取りかかりまして、年度内には工事を完了いたしまして、平成二十六年四月から新たな施設での診療を開始する予定でございます。
次に、緩和デイケアに関する今後の取り組みにつきましてお答えをいたします。
がんセンター愛知病院では、緩和デイケアセンターの建設を機に四つの機能に重点を置きまして、緩和ケアの充実、在宅医療の推進をしてまいります。
まず、地域がんサポートチームによる在宅患者を支援する地域連携の機能の強化でございます。
がんセンター愛知病院では、今年度の国の診療報酬の改定で在宅患者の緩和ケアが評価されましたので、地域の診療所との連携が活発になりまして、入院から外来へ、外来から在宅へと、治療の場が変わっても切れ目のない緩和ケアの提供が可能となる新しい診療体制を構築してまいりました。その実績は、二月末現在で、十四の診療所と連携し、延べ四十五人の在宅患者の診療を行ってまいりました。
二つ目は、緩和デイケアの提供でありますが、専用の施設と必要なスペースが確保されますので、これまで週二日、それぞれ半日に限られていた実施日を拡大いたしまして、がんと診断されたときから、患者、家族へのサポートや患者間の交流を含めて、体系的な緩和デイケアのシステムを提供してまいります。
三つ目は、緩和デイケアセンターから、患者、家族のほか、地域住民に向けても緩和ケアに関する情報を積極的に発信し、情報提供の機能を強化してまいります。
最後の四つ目は、人材育成の機能として、地域の緩和ケアに携わる医療従事者や介護従事者を対象に、緩和ケアに関する実務研修を開催するなど、地域の緩和ケア技術の向上や人材育成につなげてまいりたいと考えております。
こうしたさまざまな取り組みによりまして、新たな施設が緩和ケアに関する地域連携のキーステーションとなるように努めてまいりたいと思っております。
以上でございます。
- 33:◯二十四番(近藤ひろひと君) それでは、再度発言をさせていただきます。
緩和デイケアセンターについて、がんの医療に関しては、県立の病院が果たす役割は大変大きいというふうに思います。新しくつくられますケアセンターがなじみの深い、そして、地域に根差したものになることを期待したいと思いますし、今後の取り組み、サポートチームやらいろいろな四つの項目を述べていただきましたけれども、ぜひともこのがんセンターがモデルケースとなって、ほかの病院、中央病院から始まり、あるいは民間の病院にも派生してくれることを期待したいと思います。
入院でなくて地域や自宅で過ごせるという環境整備がこれからますます必要だと思います。がんに限らず、先般、私の一般質問で述べさせていただきました精神障害に関するアウトリーチ、ACTなどについても、こうしたものと一緒だというふうに思います。
県立病院の経営黒字化はもちろん重要な要件でありますけれども、公立病院としての医療サービスの向上や、たまたま中央病院に行きましたときに、早朝よりもう既にたくさんの人が来られ、駐車場がいっぱいでありましたことを見ても、大変混雑をするというところではあると思いますけれども、サービスがより向上して、スムーズに病気と闘う患者さんや御家族の方の精神的な負担が軽減されるようお願いをしたいと思います。
次に、街路事業について述べさせていただきたいと思います。
防災や交通安全という観点から社会基盤整備が進められるというふうに理解をいたしますけれども、都市計画決定された道路は、それぞれの地域の発展のために必要な計画だというふうに思います。
計画からかなりの年月が過ぎて、いまだ未着手の道路については、市街化区域であっても放置するしかなくて、土地所有者は大変な負担と将来の不安を感じておられると思います。
震災の状況をたまたま視察しましたときに、計画がいまだに明確にならないということで、民間の皆さんは、建物を建てたり、あるいは商業施設をつくったり、そうしたことが既に行われて、実は新たな計画によってその建物が白紙に戻される、そういったお話もつい二月の頭に、視察してきた際にお聞きをしております。
こうした状況にならないように、できますれば、個々の自治体とも連携して、地域住民の皆さんにしっかりと周知をいただいて、計画がどのように進むのか、そうした工程をお示しいただくことが必要だと思います。
基盤整備がおくれている地域では、街路事業に限らず、それらの計画の説明責任を果たされて、進められることが必要でありますし、道路などの社会基盤整備が最大の福祉である、そういう言葉がありますけれども、どうかよろしくお願いをしたいと思います。
そうしたためにも、盛んに出てまいります厳しい財政、厳しい県財政という言葉が早く解消されるように、大村知事におかれましては、景気対策のためにしっかりと企業誘致策を進めていただき、健全な財政で潤沢な予算が道路事業に向けられるように期待をいたします。
終わります。
- 34:◯議長(小林功君) 進行いたします。
柴田高伸議員。
- 35:◯三十四番(柴田高伸君) それでは、歳出第十一款教育費第一項教育総務費のうち、スクールカウンセラー設置事業に関してお伺いをいたします。
今日学校が抱えるさまざまな問題であるいじめ、不登校、暴力行為、学級崩壊、発達障害、虐待問題、学力低下など、これらはまさに社会を反映したものであり、もはや学校内部だけでの問題ではないことは明らかであります。
こうした問題は、家庭、地域、学校相互の連携を強化し、児童生徒への理解を深めることに基づいて、社会全体の教育力を高めることによってのみ解決されると考えます。
児童生徒は、もともと個性を持った人であり、その価値観や人格は、現代においてはより多様で複雑なものとなってきています。今日、彼らの問題行動の背景には、心の悩みを誰にも打ち明けられないで悩んでいるという実態があるようであります。
このような状況に対応するために、本県では、スクールカウンセラーを設置し、年々その拡充に努めることで教育相談体制を整備してきたと聞いております。
スクールカウンセラーの具体的な効用は、臨床心理に関して高度に専門的な知識及び経験を有し、児童生徒のカウンセリングに当たる専門家であり、児童生徒の心、内面に焦点を当てて問題解決に当たることができることから、教師の持たない視点から行う児童生徒への直接的援助を初め、教師と児童生徒との中間で援助できるシステムとして存在することなどが挙げられます。
また、スクールカウンセラーは、児童生徒理解に欠かせないカウンセリングを直接的に問題解決するだけでなく、学校現場に新たな視点を吹き込み、教師や保護者などに児童生徒にかかわる全てにおいて、コンサルティングするという意義のあるものと考えられます。
さて、現在、国においては、大津市の事件を受け、いじめ問題に対する総合的な取り組みの推進について検討されており、いじめなどの問題の早期発見、早期対応の方策として、外部人材を活用した教育相談、関係機関との連携強化を挙げています。具体的には、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置拡充を挙げております。
技法は異なりますが、児童生徒を支援していく活動という共通の趣旨を持つスクールソーシャルワーカーとは、教育分野に関する知識に加えて、社会福祉分野の専門的な知識及び技術を用いて問題を抱える児童生徒への支援を行う専門家であり、問題行動の背景にある子供を取り巻く環境に焦点を当てて問題解決に当たることができ、主な効用は、問題を抱える児童生徒が置かれた生活環境への働きかけを初め、関係機関とのネットワークの構築と連携、調整などが挙げられます。
心の問題とともに、児童生徒の問題行動の背景に、家庭や学校、友人、地域社会など、児童生徒を取り巻く環境の問題が複雑に絡み合い、特に学校だけでは解決困難なケースについては、積極的に関係機関と連携した対応が求められている背景もあり、さらには、特別支援教育や外国人児童生徒への対応でも専門的な観点からの支援が求められており、学校現場におけるソーシャルワークのアプローチの需要は高まっていると言えます。
そこで、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの共通点についてお話をします。
まず、共通点については、専門性と外部性の二点が挙げられます。専門性とは、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーに任用されるための資格に関する専門性であり、外部性とは、教師でない独立したスタッフとして位置づけられることで、児童生徒、教師、保護者のどの立場からも相談しやすい体制のことであります。
例えば、児童生徒にとっては、スクールカウンセラーが評価者として日常接する教師とは異なることで、教師や保護者に知られたくない悩みや不安を安心して相談できる。教師からは、保護者と教師との間で第三者としてかけ橋的な仲介者の役割を果たすことができるなどが挙げられます。
一方、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの相違点は、スクールカウンセラーは、人の心理、内面に焦点を当て、個人の変容を目的としますが、スクールソーシャルワーカーは、人と環境との関係に焦点を当てるエコロジカルな視点にあります。
例えば、文科省では、スクールカウンセラーは、学校で出会った子供たちに対して内面の理解や葛藤に焦点を当てて、受容しつつも明確化して、場合によれば直面化して葛藤の解決を図るのが中心的活動であるとし、一方、スクールソーシャルワーカーは、その子供の環境、学校や家庭、地域を十分に把握して、その子供を援助するにはどういう社会資源を活用、改善、開発したらよいかという支援のネットワーキングやチームアプローチを図っていくことが中心的活動であるとしています。
一方、対人援助という近接領域であるがゆえに、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーは、個々の活動においては重なる部分が少なくないとも言われています。
いずれも、いじめや不登校など多様化、複雑化している生徒指導上の諸問題の対応に当たっては、外部人材を積極的に活用し、各学校のカウンセリング機能の充実を図っていくことは不可欠であると考えます。
そこで、二点、端的に教育長にお伺いをいたします。
まず、スクールカウンセラーの必要性、また、有用性についてどのように評価をされているのかお伺いいたします。
また、本年度からスーパーバイザーを配置されておりますが、その経緯と成果についてお伺いをいたします。
- 36:◯教育長(野村道朗君) スクールカウンセラー設置事業についてのお尋ねのうち、まず、その必要性や有用性、評価につきましてお答えを申し上げます。
いじめや不登校など、児童生徒の問題行動の対応に当たりましては、学校における相談活動の充実を図ることが重要でございまして、県教育委員会といたしましては、平成十三年度よりスクールカウンセラーの配置を順次拡充してきたところでございます。
スクールカウンセラーによる相談件数は年々増加をしており、昨年度は延べ十万件を超えておりまして、児童生徒を初め、保護者や教職員からの相談にも対応している状況でございます。
また、その有用性についてでございますが、とりわけ、小中学校の不登校児童生徒が改善に向かう割合は、スクールカウンセラーに相談していない場合、約二割程度でございますけれども、スクールカウンセラーがかかわった場合には、約六割の児童生徒に改善傾向が見られたという報告を受けております。
いじめ問題につきましても、スクールカウンセラーがかかわることで、子供のささいな言動から心の変化を捉え、早期発見、早期対応に結びつけることができた事例も多くございました。
県教育委員会といたしましては、今後、教員が子供たちの心情や人間関係を理解しながら、発達段階に応じた指導や支援ができる力を身につけられるよう、スクールカウンセラーを教員研修などにも積極的に活用いたしまして、いじめや不登校の未然防止にも努めてまいりたいと、このように考えております。
次に、スーパーバイザーを配置した経緯とその成果についてお答えを申し上げます。
スクールカウンセラーの配置拡充に伴いまして、学校での勤務経験の浅いスクールカウンセラーが増加をし、その資質の向上が課題となってまいりました。また、学校や家庭における突然の事故や重大事件により児童生徒が大きな動揺や不安を抱え、一刻も早く適切な心のケアが必要となる事態もございました。
県教育委員会といたしましては、こうした状況に対応するため、今年度新たに、特に豊富な経験と指導力を持つスクールカウンセラーをスーパーバイザーとして三名配置することといたしました。今年度は、勤務経験が二年未満のスクールカウンセラー八十名に対しまして、スーパーバイザーが延べ百二回の巡回指導を行い、それぞれの勤務校の状況に応じた相談体制を構築するよう指導してきたところでございます。
また、市町村や高等学校の要請に応じまして、これまでに小中高等学校合計二十校の緊急支援に入りまして、児童生徒の心の安定を図ることで正常な教育活動の回復に成果を上げております。
来年度は二名増員する予定でございますが、今後もこれらのスーパーバイザーを有効に活用しながら、スクールカウンセラーを軸とした各学校での相談活動の充実に努めてまいりたいと、このように考えております。
- 37:◯三十四番(柴田高伸君) それでは、要望させていただきます。
ただいま御答弁をいただきましたように、学校現場における教育相談体制の整備にはスクールカウンセラーが不可欠であるということでありました。各種現場の調査などによっても、スクールカウンセラーの必要性とその効果の定着については確認ができるところでありますので、本県においても一層の拡充をお願いしたいというふうに思います。
あわせて、これも先ほど御答弁いただいた中にありましたけれども、経験の浅いスクールカウンセラーの資質向上、あるいはそもそも心理専門職などの有資格者が不足しているということ、あるいはスクールカウンセラーの勤務条件などの雇用形態、あるいは所属などの派遣形態、あるいはスクールカウンセラーに求められるソーシャルワーク的活動への支援など、さまざままだ現場における改善点もあるようにお聞きをいたしておりますので、今後は現場の声もしっかりと聞いていただきながら、スクールカウンセラーの役割が十分発揮できるように体制を構築していただきますように要望して、終わります。
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- 38:◯三十九番(坂田憲治君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 39:◯議長(小林功君) 坂田憲治議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 40:◯議長(小林功君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時五十二分休憩
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午後一時十分開議
- 41:◯副議長(澤田丸四郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
堀嵜純一議員。
- 42:◯四十番(堀嵜純一君) 第九款建設費第五項港湾費の中から、衣浦港港湾計画についてお伺いいたします。
衣浦港は、昭和三十二年に重要港湾に指定され、大規模な臨海工業用地を背景に発展を続けてきており、知多地域、西三河地域の物流・生産活動を支える工業港としてだけではなく、海上物流の拠点として重要な役割を果たしております。
平成二十三年の衣浦港の取扱貨物量は千九百万トンを超え、全体の三分の二に当たる千三百万トンは外国からの輸入貨物であり、主な輸入貨物は、石炭、トウモロコシ、木材チップ、珪砂などになります。
特に石炭は、国内最大の石炭火力発電所である碧南火力発電所の発電用燃料として使用され、県内で使用される発電の半分がここで発電されております。また、珪砂や鉄鋼などの工業原材料も輸入しており、本県産業を支えるエネルギー供給基地であるとともに、物づくり愛知に欠かせない重要な港となっております。
衣浦港では、昭和三十年代から本格的な港湾整備を進めてきておりますが、当時は、国内の港間の輸送が主体であったため、水深の浅い岸壁が多く建設されました。現在では、外国からの貨物が主体になっており、大型船舶の入港が多くなってきておりますので、当時建設された水深の浅い岸壁は、現在では余り利用されなくなってきております。
先日、私も衣浦港を海上から視察をいたしましたが、こうした施設は、港湾という厳しい自然環境の中、施設の老朽化が顕著となっているにもかかわらず、十分に維持管理されていない状況が見られました。また、建設当時は十分な広さであった岸壁背後の埠頭用地についても、大型船舶から一度に大量におろされる貨物に対し、岸壁に近い場所に十分な広さの保管用地がなく、分散した保管用地にトラックで運搬しており、非効率的な状況であると感じました。
このように、使われなくなった施設や効率的な荷さばき、保管が困難となってしまった埠頭用地をどのようにしていくのかが、この港湾計画改訂の大きな課題であると思っております。
さらには、東日本大震災を踏まえて、この地域での発生が危惧されている巨大地震への対応も急務と考えます。港湾には、港湾関係者や立地企業の従業員など多くの方々が働いており、一たび巨大地震が発生し、津波に襲われれば、最も早く危険にさらされることになります。
また、衣浦港の沿岸には、半田市を初めとする市街地が広がっており、台風の巨大化も懸念される中、台風に伴う高潮への対策も忘れてはなりません。こうした地震や台風などへの災害への備えも大変重要であります。
現在の衣浦港港湾計画は、平成十三年に策定され、この港湾計画に基づき、臨港道路武豊線の四車線化や武豊北ふ頭の耐震化が進みましたが、船舶の大型化などの衣浦港を取り巻く社会経済情勢の変化に対応し切れなくなっており、災害対策を含めた新たな港湾計画に改訂する必要があると考えております。
また、港湾は、周辺住民にとって最も身近な海辺空間であります。半田運河には、運河を利用していた当時の蔵のまちの景観が保存され、住民の散策路として利用されているとともに、多くの観光客も訪れております。しかしながら、工業用地造成などにより海辺に近づける場所は限られた空間のみとなっております。周辺住民の憩いの場を提供することも必要であると考えております。
そこでお尋ねいたします。
今回の港湾計画改訂において、衣浦港の将来を見据え、どのような方針で取り組まれるのかをお伺いいたします。
また、衣浦港港湾計画改訂のスケジュールはどのように考えてみえるのかお伺いいたします。
- 43:◯建設部長(近藤隆之君) 衣浦港の港湾計画について、二つの御質問をいただきました。
初めに、港湾計画改訂の取り組み方針についてでございます。
今回の衣浦港の港湾計画の改訂は、取扱貨物量や土地需要の推計に基づき、港湾施設や土地利用などを平成三十年代後半を目標年次とし、計画を見直すものでございます。
計画の改訂に当たっては、中部圏の産業を支える物流拠点としての港づくり、豊かな地域資源を生かした快適な港づくり、災害に対して粘り強い港づくりの三つの基本施策を柱に検討を進めております。
一つ目の柱として、衣浦ポートアイランドを活用した物流機能の強化を初め、貨物の荷さばき・保管施設の利便性向上や、利用頻度の低い施設の利用転換など、港湾機能の再編による使いやすさに十分配慮した港づくりを進めてまいります。
二つ目の柱といたしまして、衣浦港にある多くの歴史的・文化的地域資源を生かした海浜緑地など、親しまれる港湾空間の形成を図るとともに、人工海浜の造成など海辺環境の改善にも取り組んでまいります。
最後、三つ目の柱として、地震や台風による災害に備えて、耐震強化岸壁の整備などの大規模地震対策や、港湾BCPの策定、既存施設の老朽化対策などに取り組んでまいります。
次に、スケジュールについてのお尋ねでございます。
計画の改訂に当たっては、平成二十三年十一月に、学識経験者、国、地元市町、港湾関係者による衣浦港港湾計画検討委員会を設置し、おおむね三十年後の将来を見据えた長期構想を作成いたしました。
昨年十二月から一月にかけ実施したパブリックコメントでは、物流機能の強化や大規模地震に対する備えなど、港湾整備への期待や、自然環境への配慮を求める御意見をいただいたところでございます。
これらの御意見も踏まえまして、検討委員会で計画案を取りまとめ、地元市町や関係機関と調整し、平成二十五年度中に計画を改訂してまいりたいと考えております。
本県といたしましては、衣浦港が知多・西三河地域の活性化のかなめとなって、臨海部に立地する企業を初め、本県の産業を資源やエネルギーの供給などで支える国際貿易港として一層発展し、その役割をしっかりと果たせるよう取り組んでまいります。
以上でございます。
- 44:◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。
谷口知美議員。
- 45:◯三十五番(谷口知美君) まず、歳出第十款警察費第二項警察活動費について伺います。
エコや健康との関係から自転車が人気となっていますが、自転車と歩行者、そして、自転車と自動車、今回は四輪の自動車ということで質問しますが、それらの関係において、自転車が安全に通行することが大きな課題となっています。
本県でも、昨年の自転車がかかわった事故は一万六百六十件、うち自転車運転者の死亡事故は四十三件となっています。
私自身が自動車を運転していて自転車を特に危ないと思うのは交差点です。公益財団交通事故総合分析センターによると、平成二十三年は、信号交差点における事故のうち、自動車と自転車の事故はその四分の一に上っています。もちろん、自動車が気をつけるのは第一義ですが、交差点における自転車が守るべき信号や通行すべきところはいろいろな場合があり、自動車側の注意の仕方、また、自転車が守るべきルールがわかりにくいのが実態だと思います。
道交法による自転車が従う信号機は三つあります。一つは、通行している車道の進路に対面している信号機に従う。もう一つは、対面する位置に一般の信号機と自転車専用信号機の両方が併設されている場合は、自転車専用信号機に従う。さらに、もう一つは、歩行者自転車専用信号機がある場合は、その信号に従う。この場合、車道を通行してきた自転車も歩行者自転車専用信号機に従うとなりますが、インターネットで検索すると、さまざまな解釈が示されていました。
歩車分離式信号機については、その効果がうたわれているところですが、自転車の通行については、利用者によって勝手な解釈がされている場合や、どう通行すべきかわかりにくい場合があり、危ないと思う場面にも出会います。
また、地元名古屋市昭和区を通る幹線道路の一つである八熊通を高辻交差点から桜山交差点まで、西から東に向けて交差点の自転車の通行の示し方を見ても、道路標示については、横断歩道と自転車横断帯があるところ、横断歩道のみのところ、何の道路標示もないところがあり、信号機もないところ、歩行者専用のもの、歩行者自転車専用のものといろいろありました。
一つ一つ確認しながら進みましょうというのが道交法なのでしょうが、安全のためにはわかりやすい規則性が必要だと考えます。
さらに、道幅が広く、二車線、三車線、四車線とある交差点では、横断歩道に沿って自転車横断帯があり、歩行者自転車専用信号機が設置されていますので、自転車は左側に入り込んで通らなければなりませんが、最近はしばしば、自転車が一般の信号機で交差点をわたるのを見かけます。歩道でとまっている自転車と車道を直進する自転車の双方が存在し、右左折する自動車が自転車を巻き込んでしまいかねなく、大変に危険です。自転車がどこを通るべきなのか、どの信号を守るべきなのか、道路標識や信号をぜひわかりやすくしていただきたいものです。
さて、愛知県内でも、自転車の安全通行のため、鶴舞地区や桜通など、何カ所か自転車道等が整備されました。また、昨年十一月には、国土交通省から、安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインが示されました。歩行者、自転車、自動車がそれぞれに安全に利用できる環境を整えていくことが必要です。
そこで、県警本部長に質問です。
一点目です。信号交差点における自転車の通行について、現在どのような課題を持っており、どのように対応していくのかお示しください。
二点目です。本年一月、県警が名古屋市千種区に設置した自転車専用レーンについて、自転車専用レーンの設置場所の選定理由と、自転車専用レーンという方式をとった理由をお示しください。また、今後の自転車専用レーンの拡大についてのお考えもお示しください。
今回は県警に二点質問しますが、自転車の通行については、信号無視、ヘルメットの着用、自転車が守るべき停止線の問題、道幅が狭い道路の自転車の通行など、まだまだたくさん課題があります。安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインで示された内容も踏まえ、道路管理にかかわる建設部にも積極的に取り組んでいただいて、自転車の安全走行の環境を整えていただくよう要望して、次の質問項目に移ります。
次は、第十八号議案知事等及び職員の給与の特例に関する条例の制定についてについて伺います。
平成十年十一月以降、十九年度、二十年度を除き、本県の職員には給与抑制が続いております。教育長、指定職、管理職のみの年度もありますが、来年度に向けてはまた抑制が示され、実施されれば、一般職員は五年連続の給与抑制となります。
人事委員会から、こうした異例の事態が長きにわたり継続することは、給与勧告制度に照らし、極めて遺憾であると言わざるを得ない。回避に向けて最大限の努力が尽くされることを強く要望すると条例意見が示された件については、さきに小山議員が人事委員会制度等とともに質問されましたので、繰り返しの確認はいたしませんが、それも踏まえての私の質問をさせていただきます。
公務員給与や服務などの処遇に関しては、よく耳にする、県民理解を得る、国や他県との均衡という観点は大変に大切なことだと私も認識しております。しかし、本当の県民理解は、しっかりとした県施策を行うことで得るものであると考えます。
そして、それを主に推進するのは県職員です。県の福祉、治安、教育、産業振興などを初めとしたさまざまな職務は、その課題の多様化と巨大地震対策などの新たな課題により、職員に求められる業務は多様化、複雑化しています。業務は増大し、人手は減る中、本県独自の給与抑制が続き、職員の負担感が肥大化しています。
ある小学校教員は、他都市でアレルギーがある女子児童が給食によるアナフィラキシーショックで死亡した事故に大変にショックを受けていました。学校では事故を起こさないよう細心の注意を払っているけれども、連絡ミス一つで大変なことになってしまうかもしれない。学校では一日にどれだけのことが起こり、いじめや虐待問題などもある中で、一人一人の児童生徒にどれだけの配慮が必要か。
ここにいらっしゃる方にも御想像いただきたいのですが、学校では教員が皆忙しく飛び回り、以前と違って、職員室には人がいないような状態で、アレルギーに関しても、急な対応が必要な場合など、余裕を持って確実に連絡することができるのだろうかと不安が募っています。子供たちの命に関する緊張感が続く本当に厳しい状態であると言ってみえました。
これは一つの学校だけの話ではありません。人的な配置も求めるわけですが、精神的にも追い詰められながら働いている職員に、さらに、五年連続の給与カットの追い打ちです。職員の給与も労働の対価です。その対価が人事委員会勧告というルールに守られないことにも職員は力を落としています。
今はどこも厳しい労働環境です。経営者の苦労もまた並大抵ではないことも聞いています。しかし、安易な形で人件費をカットするようになれば、公務員だけの問題ではなく、制度にも守られにくい非正規の労働者がふえている中、さらに、海外での人件費と比較して、人件費は安いほうがよい、幾つもの働き方がある現在、同一労働なら安いほうの賃金に合わせればよいという考えにもつながります。格差は広がり、貴重な働き手から希望を剥ぎ取っていくことにもなります。
さて、地方公務員給与に関しては、初めて国家公務員が平成二十四年度、二十五年度と平均七・八%の給与抑制をすることにあわせ、国から地方公共団体でも国に準じて必要な措置をとるよう削減要請が出されました。
本県では、平成十一年度の第三次行財政改革大綱から現在の第五次に至るまで、削減額は平成二十四年度までのところで既に約五千八百億円に達し、約三千四百人の職員定数削減を行っており、職員給与はこの四年間で七百八億円の抑制額に上っています。
しかし、平成二十五年度国予算においては、国家公務員と同様の給与削減を地方で実施することを前提として、約八千五百億円の給与関係経費の削減と、それを踏まえて、地方交付税をカットすることが地方財政計画に示されました。
また、教育の重要性は述べられながら、義務教育費国庫負担金までもカットが示されています。国からの要請に対し、それぞれの地方公共団体がどのように対応するのかはまた大きな問題となります。
本年一月十五日の定例記者会見において、大村知事も、国からの地方公務員人件費削減については、愛知のこれまでの行革努力を示し、反論を述べられました。
また、その後、全国知事会、議長会など地方六団体からは、国から給与削減を強制することは、地方自治の根幹にかかわる問題であるとの意見や共同声明が出されています。
私も、地方公務員法に基づく地方の人事委員会の勧告制度をないがしろにした要請は、地方のあり方を揺るがす問題であると考えますし、愛知県において、もうこれ以上の給与削減はされるべきではなく、給与抑制も解除されるべきだと考えます。
ここで質問です。
一点目です。平成二十五年度の給与抑制について、なぜ愛知県は五年も連続で給与抑制をしなければならないのか、その原因の分析をどのようにし、その改善策をどのように考えているのかお示しください。
二点目は、知事への質問ですが、国からの地方公務員の給与削減要請に対し、現在、知事はどうお考えでしょうか。また、地方財政への影響のみならず、地方の自主性を担保するため、今後どのように行動しようとお考えかお聞かせください。
- 46:◯警察本部長(沖田芳樹君) 初めに、信号交差点における自転車の通行に関する課題と今後の対応についての御質問にお答えいたします。
議員お示しのとおり、自転車については、自転車専用信号機等の設置の有無により従うべき信号機が異なりますので、自転車利用者の交通ルールの不知やルール無視による事故の発生が懸念されるところであり、交通ルールの周知徹底とルール遵守意識の向上を図ることが重要な課題であると認識いたしております。
今後の対応といたしましては、小中学校、高等学校等における自転車安全教育や、対象者を高齢者、社会人等にも拡大して、地域、職場における実践的な自転車教室を開催するほか、啓発チラシや県警ホームページ等を活用した広報啓発活動を継続実施してまいります。
さらには、自転車の信号無視等に対する指導警告や取り締まりにより、自転車の安全な利用の促進を図ってまいります。
また、議員お示しの自転車横断帯に関しましては、自転車横断帯の有無によって自転車の交差点における通行方法が異なりますことから、交差点の形状や交通実態等に応じて、自転車横断帯の撤去や自転車専用レーンの設置など、自転車の通行環境の整備に努めてまいります。
次に、千種区に整備いたしました自転車専用レーンについての御質問にお答えいたします。
議員お示しの自転車専用レーンにつきましては、名古屋市内で初めてとなるもので、千種区の都通一丁目交差点から名電校東交差点までの約九百メートルを本年一月に整備したものであります。
この自転車専用レーンを整備した理由についてでございます。
自転車専用レーンは、自転車の安全かつ円滑な通行を図りつつ、歩行者と分離することにより歩行者の安全も確保していくものでありますが、当該道路周辺は人口が集中する住宅地であり、盲学校を含む学校が多い地域となっております。このため、歩道では、生徒を初めとした歩行者と自転車の接触が懸念され、その対策を求める声も寄せられていたことなどからこのたび整備したものであります。
続いて、今後の自転車専用レーンの整備方針についてであります。
自転車と歩行者の安全を確保する必要があると認められる地域について、自動車及び歩行者の交通量、沿道環境等を踏まえ、地元の御意見も踏まえながら自転車専用レーンの整備を検討することといたしております。
- 47:◯総務部人事担当局長(戸田正彦君) 給与抑制の原因等についてお答えをいたします。
まず、本県が給与抑制を行っておりますのは、ひとえに本県の厳しい財政状況によるものであります。平成二十年秋以降の世界的な経済危機が本県経済を直撃する中で、平成二十一年度には、県税収入の大幅な減少に伴う収支不足に対処するため、給与抑制を行わざるを得ませんでした。
その後の各年度においても、本県の税収構造が法人二税に依拠し、景気変動の影響を受けやすいことから、税収がピーク時の平成十九年度を約五千億円下回る水準で推移する厳しい税収環境が続く一方で、扶助費や公債費が増加するという状況の中で多額の収支不足が生じておりますことから、例外的、時限的な措置として給与抑制を実施しているものであります。
給与抑制を回避するためには、まずは収支不足の解消に向けて、県財政の一層の健全化を図る必要がありますことから、産業、経済の活性化などによる税収の回復、地方財政措置の確保や、第五次行革大綱及び重点改革プログラムに基づく歳入歳出全般にわたる行財政改革の取り組みにさらに力を入れてまいりたいと考えています。
- 48:◯知事(大村秀章君) 谷口議員からの御質問の中で、国からの給与削減の要請についてどう考えるかということの御質問をいただきました。
まず、基本的には遺憾千万であるというふうに思っております。そして、その旨も強く申し上げております。
地方公務員の給与は、地方が自主的に労使交渉も経て決定をすべきものであり、そして、議会の御議決をいただいて決めていくものでございます。今回の国からの要請は、地方自治の根幹にかかわることでございまして、極めて遺憾であるということでございます。
また、国家公務員の給与削減は、今回初めて二カ年に限り実施するものでございまして、こうした国の一時的な措置をもって、これを倣えということで給与削減を要請してきたということは、地方自治の根幹にかかわる極めて遺憾なことだというふうに思っておりますし、また、あわせて、地方交付税の削減をそのことでもってやっていくということも、地方交付税は地方の自主財源でありますから、制度そのものの根幹にかかわる、まさに私は、制度の趣旨にもとる法律違反ではないかというふうにも思わざるを得ません。
そういう中で、本県は、これまで独自の給与削減を平成十年度以降実施しておりまして、二十一年度からは四年連続、そして、今回、来年度も大変心苦しいわけでございますが、削減を御提案させていただいております。職員の皆さんには、議員が御指摘をされましたように、その負担感が増しているということは大変申しわけなく思っております。
こうした削減措置によりまして、平成十年度からの給与削減額は、来年度、二十五年度も含めますと一千五百五十億円になるということでございます。
そして、本県では、平成十一年度以降、二十五年度までに行政改革により六千億円の効果額を生み出しておりますが、この中で、職員定数や給与の見直しによる人件費に係る効果額が一千三百六十億円、給与削減の一千五百五十億円と合わせまして、人件費総額では二千九百億円の抑制削減を行っているということでございます。
国からの今回の一方的な要請は、こうしたこれまでの本県の取り組み、また、本県財政を全く考慮しないものであり、極めて遺憾だというふうに思っております。
今後、こうしたことにつきましては、国に対しましては、これまでも地方は、特に私ども愛知県は、既に、そして、常に血のにじむような行財政改革をやってきておるということをこれまでも政府には強く申し上げてきたところでございまして、これからも、今後とも機会を捉えてこうした主張を申し上げていきたい。そして、このことは地方自治制度の根幹にかかわることであり、極めて遺憾だということも強く申し上げていきたいというふうに思っております。
なお、この本会議でもこれまで御質問いただきましたが、こういった今回のケースはもちろんでありますが、そもそも今から五年前でございますが、法人事業税の半分を、地方の自主的な税源であった法人事業税の半分を地方法人特別税として国に召し上げて、また配分し直すということ、当時、徹底的に反対したのでありますけれども、結局、東京と愛知を狙い打ちするような形で押し切られたと。
私、いろんな会合で、当時、国会議員として、愛知県の代表として、とにかくこんなことはおかしいじゃないかということを申し上げたら、ほかの県の国会議員さんは、はっきり言って、せせら笑いながら、早く諦めろと、早く俺たちによこせという形のことを言われて、極めて残念だったということを覚えております。
それから、今も基準財政需要額と税収に自主財源を加えたその差額を、本来、地方交付税で、本来、これは現金で地方交付税をいただかなきゃいかんところを、臨時財政対策債を愛知県はこういう厳しい状況でも財政力指数で東京に次いで二位だということで、一番たくさんの、八十何%という臨時財政対策債を割り振られているということでございました。
そういったことも踏まえれば、私は、こういった地方財政制度そのものがそろそろ限界に来ているというふうに思えてなりません。そういう中での今回のこの要請でありますから、引き続き、遺憾千万だと、極めて問題だと、何を言っておるんだということを強く申し上げていきたいというふうに思っております。
以上です。
- 49:◯三十五番(谷口知美君) 知事にも力強く思いのほどを言っていただきました。本当に地方の自立という言葉が言われている中で、先ほどもありましたけれども、地方の根幹にかかわるというような状況だと思っています。
愛知県の収支不足ということに関しましては、それも本当に厳しい状況であるとわかっていながらも、でも、私としては、やはり地方公務員の人件費というものについてもしっかりと考えを持ってやっていただかなくてはいけないというふうに思っての質問であります。
また、さらなる削減要請ということに関して、知事も今厳しく言っていただくというようなことでございましたけれども、ぜひ全国の、できれば連帯のもとにというようなことも動きの中に入れていただきながら、地方で働く公務員、そしてまた、その公務員の周りにはたくさんの人がいる、県の職員の周りにはたくさんの県民の方々がいるということをしっかりと念頭に置いて、人件費についても考えていただき、また、地方の自立についても考えていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
- 50:◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。
佐藤一志議員。
- 51:◯四十一番(佐藤一志君) 私は、歳出第九款建設費第二項道路橋りょう費のうち、通学路緊急合同点検の結果に対する県管理道路の対策についてお尋ねをいたします。
京都府亀岡市で昨年四月、集団登校中の児童らの列に車が突っ込み、十人が死傷した事故で、京都地裁は、二月十九日、自動車運転過失致死傷と無免許運転の罪に問われた無職の十九歳の少年に、懲役五年以上八年以下の不定期刑の判決を言い渡されました。
市川太志裁判長は、無免許運転は常習的で、遊び疲れと睡眠不足で居眠り運転に陥った。一方的な過失で、その程度は極めて悪いと判断。地獄絵のような事故現場は社会に衝撃を与え、遺族の処罰感情も峻烈であり、刑事責任は重いと判決理由を述べられたと聞いています。
判決は、少年は友人らと連日夜通し遊び回り、事故二日前からの睡眠はわずか五時間二十分だったと指摘し、負傷した被害者は母親や友人を失い、心に大きな傷を受け、将来への影響もはかり知れない、被害の重大性から、少年には刑罰を科し責任を明確に自覚させるべきだとしたものです。
これは、記憶に新しい、昨年四月二十三日に京都府亀岡市で発生した登校中の児童らが死傷する事故の判決記事の一部です。
また、この事故に続き、四日後の四月二十七日には、本県岡崎市においても、登校のため横断歩道を横断中の小学生の列に車が突っ込み、二人が重軽傷を負う事故が発生し、同日、千葉県館山市でも、登校のバス待ちの小学生の列に車が突っ込み、一人のとうとい命が奪われる事故が発生いたしました。その後も全国で同様な通学児童を巻き込む交通事故が相次いで起きています。
これらの事故をきっかけに、国では、文部科学省、国土交通省及び警察庁が連携して、全国の公立小学校等の通学路について、交通安全の確保に向けた緊急合同点検が実施されました。
本県では、大村知事の主導のもと、県民生活部、建設部、県教育委員会、県警察で構成される通学路の交通安全に関するプロジェクトチームを五月二十五日に立ち上げ、通学路の安全について取り組むこととしました。そして、昨年十二月には、このプロジェクトチームが中心となって、通学路緊急合同点検の対策必要箇所への取り組みなどを内容とした最終取りまとめが行われました。
その最終取りまとめでは、本県の対策必要箇所は四千六百九十三カ所となりました。ことしの一月二十五日に国が発表した全国の対策必要箇所は七万四千四百八十三カ所で、本県は全国で最も多い箇所数となっております。これは、プロジェクトチームが緊急合同点検を行う各機関に、合同点検が現場において丁寧にかつ円滑に実施されるように支援したことによるものではないかと考えています。
しかし、このような取り組みが進められる中、ことしの二月二十日には、岩手県奥州市胆沢区の交差点で乗用車と軽トラックが衝突。はずみで乗用車が歩道を歩いていた集団登校中の小学生の列に突っ込み、五人の児童がけがを負う事故が新たに発生してしまいました。
私は、交通事故により失われた子供たちの未来や御家族の悲しみを思うと、二度と京都府を初めとした悲惨な事故は繰り返してはならないと強く思っています。そのため、この通学路緊急合同点検で対策が必要になった箇所については、一刻も早く対策を実施し、通学児童の安全を確保することが肝要と考えております。
そこでお尋ねをいたします。
本県の対策必要箇所のうち、県管理道路の対策箇所は三百十六カ所とされており、緊急に対応が必要である箇所の路肩のカラー舗装などについては、既に今年度の当初予算にて一部対策を実施されるとお聞きしておりますが、残りの対策箇所については今後どのように取り組まれるのかお聞かせください。
以上です。
- 52:◯建設部長(近藤隆之君) 通学路緊急合同点検における県管理道路の取り組みについてお答えをいたします。
昨年、学校、保護者、警察、道路管理者が連携して通学路の緊急合同点検を行った結果、県全体で四千六百九十三カ所の対策必要箇所が抽出され、そのうち、県管理道路において歩道がなく路肩を通学しているなど、緊急性が高く、早期に安全対策を実施すべき箇所が三百十六カ所ありました。
このうち、小学校に近く、安全性を早期に確保する必要がある箇所で、路肩のカラー舗装を行う三十四カ所と、側溝修繕などのすぐに対策が必要な五十五カ所につきましては、今年度の当初予算で既に対策を実施しているところでございます。
また、残りの対策箇所二百二十七カ所のうち、関係機関との調整など、着手の準備が整った二百六カ所につきましては、今回の補正予算を活用し、警戒標識や路面標示などの対策を実施することといたしました。
さらに、残る二十一カ所につきましては、平成二十五年度の当初予算で防護柵設置などの対策を実施し、来年度中に抽出された対策必要箇所全てを完了させる予定でございます。
今後も、歩道設置や交差点改良などの抜本的な対策を推進するとともに、引き続き関係機関と連携して定期的に通学路などの点検を行い、危険箇所の速やかな対策を実施し、児童がより安全に通学できるようしっかりと取り組んでまいります。
以上でございます。
- 53:◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。
いなもと和仁議員。
- 54:◯四十六番(いなもと和仁君) 私からは、歳出第十款警察費第二項警察活動費と、歳出第十一款教育費第七項保健体育費についてお尋ねをいたします。
まず初めに、犯罪被害者支援についてであります。
グアムや吉祥寺の通り魔殺人事件を初め、毎日のように新聞やニュース番組などで殺人、強盗、強制わいせつや飲酒運転、脱法ハーブ吸引など、悪質な運転者による交通事故などが報道され、事件のない日は一日もありません。
犯罪が起きれば、警察は捜査をし、犯人を逮捕します。犯人が逮捕されれば、事件は解決したと思われがちであります。しかし、被害に遭われた全員の方の気持ちまでが解決となるわけではありません。犯罪の数だけ被害者が存在します。被害者の家族など周囲の方も含めれば、その何倍もの被害者が存在することになるのであります。
何の落ち度も責任もない人が、ある日突然、他人の勝手な行為により命を奪われたり、けがをさせられたりしてしまう。非常に無念であると思います。愛する肉親を失った家族の悲しみ、また、幸いにも命は助かったものの、体や心に傷を負ってしまった被害者、その家族の気持ちは到底図り切れません。
被害者の方は、被害に遭ったその日から警察からの事情聴取や治療のための通院、各種書類の届け出など、やらなければいけないことが数多くあります。一家の大黒柱の父親などが被害に遭ってしまうと、残された家族には経済的な負担が重くのしかかってしまいます。
犯罪被害者は、命を奪われる、身体を傷つけられる、物を盗まれるといった生命、身体、財産上の直接的な被害だけでなく、事件に遭ったことによる精神的ショックや身体の不調、医療費の負担や失職、転職等による経済的困窮、捜査や裁判の過程における精神的、時間的負担、周囲の人々の無責任なうわさ話、マスコミの取材、報道によるストレス、不快感など、いわゆる二次的被害と言われるさまざまな問題にも苦しめられ、つらい気持ちを抱えながら、これからの生活をすることとなるのであります。
先日、私は、中川警察署で開催された犯罪被害者支援のための地域ネットワーク、被害者支援連絡協議会の定期総会に出席をいたしました。その会の中で、実話をもとに再現されたドラマを見ることができました。その内容は、ストーカーにより最愛の娘の命を奪われた家族の実話をもとに作成されており、同じような家族構成の私は、そのDVDを見たとき、涙がとまりませんでした。
今回、この会に出席し、私が考えていた以上に被害者の方というのは苦労され、大きな悲しみを背負って生きていかなければならないということがわかりました。
そして、被害者に対する支援は非常に大切であり、県や市などの行政機関や企業などが積極的に被害者支援に取り組み、周囲の人たちはもっと理解をしていくことが大切であると改めて認識をいたしました。
被害者支援は社会全体で考えていくことが必要であります。私は、社会全体がもっと被害者の現実や被害者支援について理解をすることで犯罪の抑止にもつながっていくものと考えております。
そこで、誰もが犯罪被害者になる可能性があるこの世の中で、犯罪被害者支援について、数点についての現状と、今後の取り組みについて、県警本部長にお尋ねをいたします。
まず、一点目は、被害者支援活動についてであります。
被害者支援活動の対象となる事件及びその内容、そして、昨年、愛知県内で対応した件数はどれくらいあったのか。
二点目は、カウンセリング体制についてであります。
県警本部住民サービス課には危機介入カウンセラーという方がいて、被害者の支援対応を行っていると聞いております。昨年九月に中川区で発生した女児監禁・男性殺人事件の被害聴取に対し、支援対応しているともお聞きをしております。現在、何人の方がいるのか、また、年間どれくらいの相談を受けているのか、現在の人数で十分な対応はできているのか。
三点目は、緊急通報装置についてであります。
被害者宅から警察署に緊急に連絡ができる緊急通報装置というものがあるとお聞きをしております。どのような活用目的で、どのような被害者に何台貸し出しているのか。
そして、これは最も重要なことでありますが、関係機関、団体等との連絡などの支援体制の充実について、今後どのように取り組んでいかれるのかお尋ねをいたします。
次に、学校給食振興事業費についてお尋ねをいたします。
先ほど谷口議員も少しお触れになられましたが、学校給食における食物アレルギーの対応についてであります。
大変悲しい出来事でありましたが、昨年十二月に東京都調布市で、牛乳や乳製品にアレルギーのある女子児童が給食で出たチーズ入りチヂミをおかわりの際に誤って食べたことにより死亡した事故は、まだ記憶に新しいところであります。
また、つい先日、川崎市の小学校で出されたキウイフルーツが原因で、児童数十名にアレルギー症状が確認されたとの報道もありました。
平成十六年度の文部科学省の調査によりますと、全国の小中学校の児童生徒のうち、二・六%、約三十三万人が食物アレルギーを持っているという結果が出ております。中でも、学童期になっても治りにくい子供、いろいろな種類の食物に反応する子供、わずかな摂取でも強い症状を引き起こす子供が増加をしていることが近年の特徴と言われております。
食物アレルギーは、鶏卵、牛乳、小麦、ピーナッツ、甲殻類、そばなどのアレルギーの原因となるアレルゲンを摂取して二時間以内に症状が起こる即時型と、数時間以上たってから起こる非即時型の大きく二つに分けられます。
症状としては、皮膚のかゆみ、じんま疹、湿疹などの皮膚症状が最も多く見られ、唇やまぶたが腫れる粘膜症状、腹痛や嘔吐などの消化器症状、咳や息苦しさなどの呼吸器症状も引き起こされます。
これら複数の臓器症状が急激に起こることをアナフィラキシーといい、血圧低下や意識障害を伴う症状はアナフィラキシーショックと言われ、生命の危機となる場合もあるため、エピネフリン自己注射、エピペンを使用することが必要になることもあります。
この重症のアレルギー反応であるアナフィラキシーの経験がある子供の割合は〇・一四%であり、学校数にすると二校に一人は在籍していることとなり、これらの児童生徒にとっては学校給食での対応も必要になってくると思います。
言うまでもなく、学校給食は、児童生徒が必要な栄養をとる手段だけでなく、食の大切さ、食事の楽しさなどを理解するための教材としての役割も担っておりますが、このことは食物アレルギーを持つ児童生徒にとっても同様でなければなりません。
あと一カ月もすれば新一年生が入学をいたします。アレルギーのある子を持つ親にとって、自分の子がみんなと一緒に給食を食べることができるのか、他の子供たちと違う代替食を食べることがいじめにつながらないのか、万が一何かあった場合の対応は大丈夫なのか、不安は尽きないと思います。
こうした保護者の方の不安を払拭するためには、教職員に対するアレルギーについての研修を初め、抗アレルギー薬等薬剤の知識、エピネフリン自己注射、エピペンの使用方法、先生と保護者との連絡方法など、いろいろな対策を講じておく必要があると思います。
そこでお尋ねをいたします。
まず、県内の小中学校において、学校給食でアレルギー対応が必要な児童生徒はどれくらいいるのでしょうか。
また、そうしたアレルギー対応が必要な児童生徒を持つ親が安心して学校給食を食べさせることができるよう、県教育委員会ではどのような対応をして、そして、今後の対応策についてお尋ねをいたします。
以上です。
- 55:◯警察本部長(沖田芳樹君) 初めに、犯罪被害者に対する支援活動についてお答えいたします。
警察は、犯罪被害に遭われた方々にとりまして、被害当初から最も身近で密接なかかわりを持つ機関であることから、犯罪被害に遭われた方々の視点に立ち、被害者の支援、捜査過程における精神的負担など、二次的被害の防止、軽減と、被害者の安全確保のために各種取り組みを推進いたしております。
まず、被害者支援活動についてですが、その対象となる事件につきましては、殺人、強盗、傷害致死などの社会的反響の大きい事件、他の犯罪に比べて精神的被害が大きい強姦、強制わいせつ等の性犯罪及び交通死亡事故等でございます。
支援の具体的内容につきましては、被害者の方々に対する事情聴取や実況見分などの捜査活動に際しての付き添い、不安や心配事への対応、事件に関する手続及び捜査活動に関する説明などでございます。
なお、昨年の県内で対応した支援件数は約千五百件でございます。
次に、危機介入カウンセラーによるカウンセリングについてでございます。
精神的被害が極めて深刻で、著しいストレス障害を抱えているなど、専門的知識に基づく支援を必要とする被害者等に対応するため、住民サービス課犯罪被害者支援室に危機介入カウンセラーとして臨床心理士二名を配置し、必要なカウンセリングを行っており、昨年中のカウンセリング回数は八十一回でございました。
臨床心理士は、このほか、犯罪被害により心に傷を受けた方からの相談電話、ハートフルラインを担当し、昨年は三百三十一件の相談に対応しており、また、部内の職員に対して被害者心理に関する教養を行うなど、多様な業務に対応しております。このため、この臨床心理士の体制をさらに充実させるべく検討しているところでございます。
続きまして、緊急通報装置についてでございます。
緊急通報装置は、ストーカー事案や逆恨みなどで犯罪被害者等の生命、または身体に再び被害が及ぶおそれがある場合に被害者に対して貸し出し、危険が迫った際に活用するものでございます。現在、DVやストーカー事案などの被害者宅に十一台を貸し出しております。
最後に、関係機関、団体等との連携についてでございます。
被害者の方々が持っておられるさまざまなニーズに応じ、また、途切れることのない支援を行うためには、警察のみならず、社会全体で被害者を支えていくことが必要でございます。
このため、相談活動などにより被害者を支援する民間団体、公益社団法人被害者サポートセンターあいちとの連携による中長期的な被害者支援を図っております。
また、愛知県安全なまちづくり条例に基づく支援体制として、愛知県被害者支援連絡協議会が平成二十三年に設置されておりますが、この協議会は、愛知県のほか、名古屋市、愛知県医師会、愛知県弁護士会、被害者サポートセンターあいちなどによって構成されており、協働して被害者支援に関する施策に取り組んでいるところでございます。
このほかにも、各警察署が中心となり、地域に密着した支援活動を行うため、自治体や地域の団体などで構成する警察署被害者支援連絡協議会を設立し、地域レベルでの被害者支援ネットワークを構築しております。
今後も、これらネットワークの活動をより活性化し、被害者支援の充実を図ってまいりたいと考えております。
- 56:◯教育長(野村道朗君) 学校給食における食物アレルギーへの対応についてお尋ねをいただきました。
昨年五月の本県独自の調査では、県内の公立小中学校の児童生徒六十三万七百六十一人のうち、給食においてアレルギー対応が必要な児童生徒は一万五千六百十四人で、全体の約二・五%となっております。ほぼ全国と同様の数字でございます。
次に、県教育委員会での対応についてでございますが、平成二十年三月に文部科学省から示されました学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン、こういうものを受けまして、本県では、食物アレルギーを持つ児童生徒の把握や、その対応などをまとめました学校給食における食物アレルギー対応の手引き、こういうものを平成二十一年度に発行いたしまして、全ての小中学校へ配付しているところでございます。
この手引を活用いたしまして、県では、毎年度、教職員に対する研修会等の機会に啓発をしておりまして、各学校ではそれぞれの実情に合わせて対応していただいているところでございます。
特に、アナフィラキシーショックが起きた際に使用するエピネフリン自己注射、エピペンの取り扱いにつきましては、該当する児童生徒の担任などの教職員を対象とした講習会を開催しているところでございます。
今後とも、研修会においてこの手引等を活用して教職員の意識をさらに高めますとともに、学校としてアナフィラキシーの重症度や状況にあわせて、適切かつ実践的に対応できるよう指導することによりまして、食物アレルギーを持つ児童生徒や保護者にとりまして、学校給食がより一層安全・安心なものとなるよう努めてまいります。
- 57:◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。
渡辺昇議員。
- 58:◯四十四番(渡辺昇君) 私は、歳出第十一款教育費第二項小学校費及び第三項中学校費についてお伺いいたします。
初めに、養護教諭を支援する取り組みについてお尋ねいたします。
私は、昨年の九月議会の一般質問において、大津市のいじめ問題を受けての対策問題について質問をさせていただきました。その中で、子供たちが自分の心に抱え込んでしまっているような隠れたいじめをできる限り見つけ出すような努力をしていくことが重要であると申し上げました。
これに対し、県教育委員会から、県が設置しているいじめ相談電話のチラシとシールを改めて作成し、配布することで、教師や保護者に相談できず、一人で悩んでいる子供たちにできるだけ相談してもらえるように働きを強めた。また、相談員の研修を充実するとともに、夜間電話回線を増設し、相談数の増加に対応できる体制も整えたとの御答弁をいただきました。
確かに、いじめ相談電話を積極的にPRし、誰にも相談できず悩んでいる子供に働きかけることも大切ではありますが、私は、何より子供たちに身近な教職員が学校において子供たちに寄り添い、心をほぐしていくことで、小さないじめ、そして、見えないいじめを早期に発見し、素早く対応することこそが必要だと考えております。そして、校長のリーダーシップのもと、教頭、学級担任、生徒指導担当教員、養護教諭などがみずからの役割を十分に果たし、学校全体で連携して、子供たちにきめ細かく対応できる体制を整えることが重要だと考えます。
とりわけ、養護教諭は、子供たちの心身両面にわたる保健指導を担っており、その専門性を生かして健康相談を行うなど、他の教職員とは異なる観点から、健康問題の解決に向け、子供たちを指導する中心的な役割を担っております。
また、養護教諭は、保健室の先生として、学校で子供たちにとって身近な相談相手になり得る存在であります。養護教諭がいる保健室は、いつでも誰でも利用可能で、子供たちにとってのケアはもちろんのこと、心の支え場、ほっとする場所ではないかと思います。体の変調を訴える子供や悩みを抱える子供、教室に入れないが保健室には入れる、いわゆる保健室登校の子供だけではなく、表面上は特に問題の見えない子供も訪れます。
こうした子供たちの話に耳を傾け、会話をしていく中で、隠れたいじめ問題やさまざまな課題を見つけることもあると思います。
身体症状は、心の問題からあらわれることがあります。養護教諭は、そうした小さなことを見逃さず、素早く対応できる専門性がなければなりません。
また、子供の心身の健康問題は、近年の少子・高齢化、情報化等による社会環境や生活環境の急激な変化に多様化しており、養護教諭の専門性を生かした対応が一層求められております。
こうした重要な職責を担う養護教諭の配置でありますが、標準法では、小学校、中学校とも原則一人配置で、小学校は児童数八百五十一人以上の学校、中学校は生徒数八百一人以上の学校は複数配置となっております。学校によっては、ある年度に複数配置基準を一旦下回っても、その翌年に上回る場合もあります。子供の数はそれほど変わらないにもかかわらず、養護教諭の配置数が年度ごとに変わることは、一貫した指導体制がとれなくなり、学校現場に大きな影響を及ぼすことになります。こうした学校では、子供たちへの対応にできるだけ影響を及ぼさないよう工夫するなど、大変苦慮されていることと思います。どこかで線を引く必要がありますが、一律基準で配置を決めるのではなく、柔軟な配置も必要ではないでしょうか。
また、多様化している心身の健康問題へ適切な対応をするためには、当然のことながら、豊富な専門知識、経験が求められるわけです。養護教諭の柔軟な配置はもちろんのことですが、より専門性を高めることが大切であり、そして、平成二十四年度の養護教諭の年齢と経験年数の構成をお聞きしたところ、年齢では五十一歳以上の者の占める割合が三二%と最も多い一方で、三十歳以下が二六%、五歳ごとの区分でも二十六歳から三十歳が一番多くなっているなど、今後も若返りが加速することが見込まれております。
また、経験年数別の区分では、五年以下が二六%で最も高い割合になっております。したがって、若く現場経験の浅い者であっても一人配置校に配属され、子供の健康問題への対応で中心的な役割を求められることとなります。
二人配置の学校であれば、経験豊富な者から学び、得るものが多いと思われますが、現状の複数配置校は、小中学校合わせて全体の八%程度と限られたものになっております。こうしたことから、若く経験の浅い養護教諭の専門性を高めていく取り組みが必要であります。
そこで質問いたします。
健康問題は命にもかかわってきます。子供たちへのきめ細かな指導を継続的かつ適切にできるよう、養護教諭の専門性を高めつつ、これを柔軟に配置するなど、支援体制を整備する必要があると考えますが、県教育委員会はどのように取り組まれていくのかお伺いいたします。
次に、愛知県における優秀な教員の確保についてお尋ねいたします。
学校教育は、児童生徒に直接携わる教員の資質、能力に負うところが大きく、すぐれた資質、能力を持つ教員であるからこそ、子供たちに夢を与え、学ぶ意欲を引き出し、その能力を大きく伸ばすことができると考えます。
また、近年、教員が対応するべき課題が急増する中で、高い資質やさまざまな経験を持つ多様な人材を教員として採用していくことができれば、学校という組織の中で、組織的で計画的な学校経営、教育活動が展開されることと思います。
愛知県では、今後しばらくの間は教員の大量退職が続いていくと聞いておりますが、大量採用になりますと、競争率の低下に伴う質的な低下も懸念され、教職に対する意欲や情熱、教師としての使命感が希薄な者が採用されるという危惧もあるところでございます。
近年の競争倍率の状況は、平成二十年度実施の採用試験においては競争率が四・七倍まで低下しましたが、二十一年度以降は志願者が増加に転じ、二十三年度実施の採用試験は一万人を超える志願者を確保し、競争率も六倍まで上昇、二十四年度実施はやや減少し、五・八倍であったとのことであります。
教員の場合、新規採用だとしても、四月からすぐにほかの教員と同様に授業、生徒指導などの役割を担い、保護者からは、ベテラン教員と同様に大きな期待をかけられることとなります。特に、小学校においては、ほとんどの新規採用教員が学級担任として学級の一人一人の児童全員にほぼ一日かかわっていくことになり、児童に与える影響は大きいと言えます。
学校においては、価値観の多様化や地域社会の変容など、子供を取り巻く環境が変化する中で、学力向上、いじめ、不登校など、生徒指導上の問題、特別の支援を要する児童生徒、外国人児童生徒への日本語指導など、さまざまな課題が山積みしております。
こうした状況の下、各学校では、子供たちの豊かな人間性を育み、確かな学力を定着させていくなど、学校教育本来の役割を果たしていくことが大切であると思います。
教員採用に当たっては、教育への情熱、使命感、子供への愛情、子供や保護者との良好な人間関係が築けるようなコミュニケーション能力なども備え、さまざまな教育への課題に対応できる優秀な教員を確保していく必要があると思っています。
そこで質問いたします。
しばらくの間、大量退職が続きますが、本県教育の充実のためには優秀な教員の確保が必要となります。現在までどのような考えで採用を行ってきたのか、また、今後どのような方策を持って取り組んでいかれるのか、教育長にお伺いいたします。
- 59:◯教育長(野村道朗君) 二点にわたってお尋ねをいただきました。
まず、養護教諭を支援する取り組みについてお答えを申し上げます。
小中学校における養護教諭の配置につきましては、基本的に標準法に沿って行っておりますが、子供の心身の健康問題には、専門的見地を踏まえ、どの学校でも適切に対応していかなければなりませんので、国の基準では、配置対象外になります二学級以下の小規模校や分校にも県独自に養護教諭を配置しているところでございます。
また、複数配置基準に近い比較的規模の大きな学校におきましては、小幅な児童生徒数の増減でも年度ごとに配置数が変わることがございますが、特に児童生徒数が減って養護教諭の配置が二人から一人になります場合は、子供たちへ継続的にきめ細かな指導を行えない、こういう状況も生じてまいります。
こうしたことから、平成二十四年度から児童生徒数の減少にも弾力的に対応できるよう基準から二十人少ない緩和幅を設けまして、本来は単数配置になる場合でも、二年を上限に複数配置を継続することといたしました。
一方、養護教諭の専門性を高める取り組みにつきましては、経験の少ない者でも専門職としての実践的能力が必要とされますので、これまでも退職した養護教諭の知識と経験を活用した新規採用者の専門研修や、採用二年目を対象とした実践力向上研修を行っているところでございますが、来年度からは新たに採用三年目を対象としたスキルアップ研修を実施することといたしました。
今後におきましても、子供の心身の健康問題に適切に対応するために、養護教諭の支援体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
次に、教員の確保への取り組みについてお尋ねをいただきました。
まず、現在の教員採用への取り組み状況についてお答えを申し上げます。
議員お示しのとおり、今後五、六年は約千二百名前後の数多くの退職が見込まれているところでございます。
このため、優秀な教員を数多く確保するには、まずは多くの方に受験していただくという、こういう必要がございますので、平成二十四年度は受験説明会を、県外では川崎市初め五つの市で、それから、県内では江南市、刈谷市において実施し、三千四百一名の参加を得たところでございます。また、大学三年生に対しましても、例年十月ごろから県内、近県の各大学へ出向いて説明会を開催いたしております。
優秀な教員を確保するには、数の確保だけでなく、多様な能力や経験を持つ人材を幅広く採用していくことも大切となります。
このため、選考方法等の工夫、改善に努めているところでございまして、民間での経験や特定の分野におけるすぐれた能力や経験を持つ方を評価する社会人特別選考、それから、ポルトガル語やスペイン語など、外国語が堪能な方を対象とした特別選考、さらには、教職経験を評価した元教諭・講師経験者特別選考、こういったものを順次導入してきたところでございます。
また、選考に当たりましては、単に専門知識だけでなく、人物を重視していくことが大切でありますことから、集団面接、集団討議、個人面接の三つの口述試験を取り入れておりますほか、二次試験の面接委員に臨床心理士やPTA関係者等の民間の方をできるだけ起用いたしまして、受験者の資質、能力を多面的に評価しているところでございます。
最後に、今後の取り組みについてでございます。
来年度は、受験説明会を新たに東三河地区でも開催することといたしているほか、応募者が少ない理数系教科を中心に大学推薦特別選考、こういったものを取り入れるなど、より一層優秀な人材の確保に努めていくことといたしております。
今後とも、有識者を初め、民間企業、保護者、市町村教育委員会等から成る公立学校教員採用選考試験選考会議の場におきまして、一層の工夫、改善を図ってまいりたいと、このように考えております。
- 60:◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。
河合洋介議員。
- 61:◯一番(河合洋介君) 私からは、歳出第十一款教育費のうち、第七項保健体育費第三目体育施設費について質問をさせていただきます。
平成二十五年度予算案には、愛知県の管理する八つの体育・野外活動施設の管理運営事業費並びに整備費としてそれぞれ五億八千七百四十二万五千円、七千二百三十七万四千円が計上されております。
八つの施設とは、愛知県体育館、スポーツ会館、武道館、一宮総合運動場、岡崎総合運動場、口論義運動公園、総合射撃場、そして、愛知県野外教育センターであり、全ての施設で指定管理者制度を導入いたしております。
現在、愛知県の行革大綱にかかわる重点改革プログラム、県内資産の適正管理という視点で、この八つの施設のうち、具体的に四つの施設の名前が具体的に上がって議論をされております。その中から、今回、二つの施設に絞って質問をさせていただきます。
まず、一つ目は、愛知県体育館についてお尋ねをいたします。
重点改革プログラムにおいては、愛知県体育館の利用拡大が現在議論をされているところであると思います。言わずと知れた愛知県のスポーツ施設のシンボル的なこの愛知県体育館は、大相撲名古屋場所やプロレス、各種プロスポーツやコンサート等に加え、運動会や入試試験会場など、教育機関の利用や大型イベントにも多く利用され、県民ニーズも非常に高く、利用者数も年間約五十五万人と高い水準を推移してございます。
重点改革プログラムによりますと、本年度、平成二十四年度から順次毎年度三千人の利用者増を目標として掲げられておりますが、現状とその進捗について、まずお聞かせをください。
続いて、その利用拡大の方法についてもお尋ねをいたします。
愛知県体育館の第一競技場は、稼働率、平成二十一年度においては七一・三%、二十二年度は七七・五%、二十三年度には七二・五%と高い水準で推移をしてございますが、利用拡大について、まだその余地は残っていると私も考えてございます。
先日、とある団体から相談を受けた例を御紹介させていただきますと、その団体は千名以上の子供たちを集めて、相撲大会を継続的に行っているということでございました。保護者の方々などを含め、来場者も非常に多いですし、相撲ということですので、特に愛知県の相撲の聖地であります愛知県体育館で子供たちに相撲をさせてあげたい、そういう御意向で、過去に使ったことがあるというふうにおっしゃっていましたが、毎年、愛知県体育館を利用したいんだけれども、日程がなかなか合わず、ガイシホールやナゴヤドームなど、毎年会場探しに苦労しているんだと、そういうことでございました。
早速、所管する体育スポーツ課にも御相談をさせていただいて、結果的には、本年、愛知県体育館の第一競技場で開催できることになりまして、来年以降も同施設での開催を継続的に続けていきたいというふうに御意見をいただきました。
これは一つの例でございますが、こういった潜在的な利用希望者は非常に多いようにこのケースで感じました。
今回のケースで何が問題であったのかを考えますと、愛知県体育館の利用事務取扱の規則によりますと、過去約十年間継続的に毎年利用実績がある団体には優先的に一年前から利用調整が可能であった。しかし、通常の申し込みですと六カ月前からしか申し込みができずに、加えて、年度をまたぐケースでは、前年の十二月一日からしか翌年度四月一日以降の申し込みができなかった。要するに、新たに今後継続的に利用する意向のある団体には、日程調整をするにしても大変厳しいものがあったということでございました。
今回の例は、利用率の向上に何かヒントが隠されているように私は感じました。
また、土日祝日などに比べて平日の利用率が低いのも特徴であります。愛知県の体育施設として非常にシンボライズで格式の高い愛知県体育館でございます。第一競技場、いわゆるアリーナだけの問題ではなく、その他施設も含めて、その稼働率を上げ、利用者増をぜひ目指していってほしいと私も思っております。
そこで、教育委員会として、指定管理者との協議の中で、愛知県体育館の利用者増への具体的な取り組みについてお聞かせをいただきたいと思います。
次に、二つ目の施設、次は、愛知県野外教育センターについてもお尋ねをいたします。
野外教育センターは、一部一般団体の利用もありますけれども、主に学校行事としての野外活動に用いられる県管理の施設であります。
この施設は、重点改革プログラムによりますと、平成二十五年度までに施設の老朽化や県有施設としての必要性を勘案し、県民の意見を踏まえ、地元である岡崎市への移管、または廃止等を視野に入れ、施設のあり方を検討し、結論を出すとなっております。
愛知県野外教育センターは、一九七二年に設置をされた施設で、近年は利用率、この利用率というのが宿泊率で計算をしてございますが、平成二十年度は二八・三%、平成二十一年度は三一・九%、二十二年度、二九・四%、直近の二十三年度では二八・〇%と、ちょっと低いかなとなってございます。
まず、そこで一点。
特に冬場、十一月から二月は利用率が極端に低いということもありますけれども、その利用率向上と効率的運営について、指定管理者との意見交換を含め、現在検討をしているところであると思いますので、本年度の取り組み状況についてまずお聞かせをください。
続きまして、県内の児童生徒の野外活動実施に当たっての施設の必要性についてお伺いをいたします。
小中学校の児童生徒にとって、私もそうでしたけれども、仲間と外で火をおこして、カレーをつくって、飯ごうで御飯を炊いて、キャンプファイヤーして、寝泊まりして、学校生活の中で、野外活動とは修学旅行と並んで結構な目玉行事であります。その必要性は言うまでもございませんが、教育関係者にとりましても、岡崎市や豊橋、あるいは春日井市や瀬戸市のように、ある程度大きな自治体で、自前でそういった施設を持っている場合は別ですけれども、愛知県として野外教育センターをきっちりと管理運営をしていただくことが望まれていると私は考えますが、いかがでございましょうか。
ちなみに、平成二十三年度の実績といたしましては、大村知事の地元でもございます碧南市や、刈谷市、幸田町、私の地元東浦町では、市内、町内全ての小学校が愛知県野外教育センターを利用し、野外活動を実施してございますし、一宮市や西尾市の小学校の利用も多く、半田市や稲沢市では半数以上の市内小学校が利用をいたしております。
そういった自治体では、もし検討状況により愛知県野外教育センターの廃止となった場合、大変困惑をしてしまうのではないでしょうか。現に全小学校が当センターを利用している東浦町の教育関係者からも、新聞でしか情報は知らないが、もし廃止となったら大変困る、ぜひ存続をしてほしいという御意見もお聞きをいたしました。加えて、二〇一一年に行ったパブリックコメントにおいても、存続を希望する意見が県民からも多く寄せられたということもお聞きをいたします。
そこで、最後にお尋ねをいたします。
県内自治体にとって、愛知県の所有する愛知県野外教育センターの重要性は大変大きいものであると考えます。早ければ、現在の指定管理期間の終わる平成二十七年度で廃止ということも視野に入れて検討が続いているこの愛知県野外教育センターでございますが、その県有施設としての必要性と存続について、教育長の御所見をお伺いいたしたいと思います。
以上、御答弁お願いを申し上げます。
- 62:◯教育長(野村道朗君) 体育・野外活動施設管理運営事業費についてのお尋ねのうち、まず初めに、愛知県体育館における利用拡大の進捗状況につきましてお答えを申し上げます。
平成二十四年度の二月末現在の利用者数でございますが、五十四万二千百一人でございまして、前年度の同時期と比較して三・六%の利用増と、こうなっております。このままの利用で推移をいたしますと、年間ベースで前年度と比較をいたしまして約二万人の増加が見込まれるということで、重点改革プログラムで掲げました三千人増の目標は大幅に上回ると、このように考えております。
これは、有名音楽家のコンサートなど規模の大きなイベントが開催されましたことや、それから、平日利用の促進を図るために、ダンスやフィットネスを初めとする各種教室を開催したことなどによるものと、このように考えております。
また、施設面では、子育て世代が利用しやすいよう、キッズムールの設置も行っているところでございます。
次に、利用者増への具体的な取り組みについてお答えを申し上げます。
愛知県体育館の利用拡大のためには、大規模な競技大会の誘致が最も重要になってくると、このように考えております。そういうことから、県体育協会やその加盟団体などを通じまして競技大会の情報を得ながら、その誘致のために県と指定管理者が連携をいたしまして、積極的な働きかけを行っているところでございます。
また、各種学校行事での利用開拓、これも大切だというふうに考えております。これまで平日に専門学校等の運動会利用はございましたけれども、まだまだ平日利用が十分ではございませんので、指定管理者が私立幼稚園連盟や私学協会などに対しましても、学校行事としてのスポーツ大会や運動会はもとより、さまざまな行事に施設を幅広く利用していただけるようPRに取り組んでいるところでございます。
このほか、施設の幅広い利用を図っていくために、今後は施設の予約方法や利用料金のあり方などについても検討を進めていく必要があると、このように考えております。
次に、野外教育センターの本年度の取り組み状況についてお答え申し上げます。
野外教育センターは、主に小中学生の野外活動に利用されているところでございますが、閑散期となる冬季期間の利用率の向上を図ることが大変重要な課題だというふうに考えております。
このため、企業や大学に向けましては、研修利用を応援するプランを提案することなど、利用率向上を図っているところでございます。
また、ファミリー層の利用拡大も重要でありますので、利用者が枝打ちや丸太切りなどを行ったり、五平餅をつくったりするなどの体験学習プログラムをより充実させているところでございます。
県内の小中高等学校に対しましても、夏場の野外活動の利用だけではなく、クラブ活動合宿とか学習合宿など、新しい利用形態を提案する案内チラシを配布するなど、積極的なPRに努めさせていただいております。
当該施設は暖房設備が十分ではございませんので、冬場の利用率向上には限界はございますが、これらの取り組みによりまして、平成二十四年度の閑散期、十一月から二月まででございますけれども、この期における宿泊者数は、平成二十三年度と比較しまして約一・五倍の利用というふうになっております。
最後に、野外教育センターの県有施設としての必要性と存続についてのお尋ねでございます。
野外教育センターは、自然豊かな三河山間地域にございまして、主に小中学生の野外活動に利用されておりますことから、五月から八月までの利用はほぼ満杯の状況にございます。
また、豊富な体験ができることから小中学生に大変好評でございまして、毎年利用している小中学校も数多くございます。議員御指摘のとおり、施設を利用している自治体からは存続要望も出されているところでございます。
利用の範囲につきましても、周辺市町村を初め、県内のほぼ全域にわたっておりまして、県有施設として重要な役割を果たしていると考えております。
施設のあり方につきましては、平成二十五年度までに結論を得ることとなっておりますが、今後、閑散期を中心とした利用をさらに向上させていくことが最も大切であると考えておりますので、引き続き利用拡大に努めてまいりたいと、このように考えております。
以上でございます。
- 63:◯一番(河合洋介君) 御答弁賜りましてありがとうございます。
私からは、一点、野外教育センターについて要望を述べさせていただきたいと思います。
景気が今よりずっとよかった時分には、恐らく県内市町村の中で自前でそういった施設を持って管理してなんていうところは結構多かったと思うんですが、今、こういった御時世でございますので、知多半島でも、実は、大府市さんですとか知多市さんなんかは自前で施設を持っていらっしゃるわけなんですが、今後ということを考えていくと、なかなか一つの基礎自治体でそうした施設を管理運営していくというのは大変難しいと思っております。
そうした観点、先ほど質問でも述べさせていただいた内容でも触れましたけれども、逆にこういった時代だからこそ、あくまで教育という観点でもって、県の県有施設として一つこうした施設を管理運営していくことは、これからもますます重要性が増していくように感じております。
利用率でいろいろ調べておりますと、宿泊率を利用率として捉えてというような感じがありましたので、二百五十名定員の愛知県野外教育センターをビジネスホテルの稼働率を上げるかのように、常に七割、八割なんていう、なかなか難しいことだと思いますし、複数の学校を一遍に入れて、じゃ、雨のときどうするんだとか、いろいろあると思うので、なかなか難しい、利用率だけを見れば、それをただ上げていくだけというのは難しいように感じてはおりますが、重要性はもちろん認めるんですが、無駄があってはもちろんいけませんので、現在の重点改革プログラムの中において、指定管理者の方々ともいろいろと御検討されておると思いますが、例えば、冬場は閉鎖をするだとか、あるいは一般利用をどんどんふやしていくとか、思い切った改革に取り組んでいただいて、ぜひとも存続ということをさせていただけるように私からは強く要望をさせていただきまして、発言を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
- 64:◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。
石井芳樹議員。
- 65:◯五十九番(石井芳樹君) 私は、歳出第九款建設費第七項都市計画費のうち、全国都市緑化フェア開催準備費についてお伺いいたします。
全国都市緑化フェアは、国土交通省が提唱する花と緑に関する全国的なイベントであります。その開催要綱によると、都市緑化意識の高揚と都市緑化に関する知識の普及等を図ることにより、国、地方公共団体及び民間の協力による都市緑化を全国的に推進し、緑豊かな潤いある都市づくりに寄与することを目的としており、昭和五十八年度に第一回が大阪府で開催をされ、毎年全国持ち回りで実施をされております。
愛知県でも、四半世紀前になりますが、名古屋市により第六回のフェアが昭和六十三年秋に名城公園及び若宮大通公園の二会場で開催をされました。「緑ゆたかな快適空間の創造」をテーマに、公共施設や民有地の緑化をより一層推進し、あわせて、市民の緑化意識の普及啓発を図ることを狙いとして開催をされ、五十五日間の会期中に約百五十万人の来場者がありました。名城公園には今でもフェアで整備をされたオランダの風車やフラワープラザなどが残されております。
また、近年では、昨年秋に東京都で第二十九回全国都市緑化フェアTOKYOが「緑の風がふきぬける東京」をテーマに開催をされました。六つのメーン会場のほか、複数の公園、河川の緑、地域の緑などを線でつなぎ、広がりのある面として都市緑化をアピールするといった取り組みがなされており、三十日間の会期中に五百十六万人もの来場者がありました。
また、ことし秋には、第三十回のフェアが鳥取県鳥取市で開催をされ、さらに、平成二十六年春には、静岡県浜松市で浜名湖ガーデンパーク及びはままつフラワーパークで開催が予定をされております。
さて、その中、本県における全国都市緑化フェアについては、昨年九月の知事の定例記者会見において、花卉産業の振興を図るとともに、愛知万博開催十周年を記念して、平成二十七年度秋にモリコロパークをメーン会場として開催を目指し、今年度中にフェアの基本構想を策定するとの発表がありました。
全国規模の緑の祭典である都市緑化フェアがモリコロパークで開かれることは、八年前に開催をされた愛知万博のにぎわいをほうふつされるものであり、リニモ沿線の活性化も含めて、大いにその開催を期待するところではありますが、現在のモリコロパークを会場にして、二〇〇五年に開催された愛知万博は、自然の叡知をテーマに、人類と自然が共生できる持続可能な社会の方向性をさまざまな方法で示すものでありました。グローバルループを初め、最新の造園技術が導入をされたバイオラングなど、会場整備の工夫がされるとともに、フードコートやレストランの食器には、土の中の微生物により分解をするプラスチックの製品が使われておりました。また、ごみの減量や再資源化の推進のためにボランティアによる分別指導がなされていたのも思い出されます。
こうした環境への先進的な取り組みは、その後、愛知県におけるCOP10、ESD、さらに、全国都市緑化フェアの開催につながるものと考えます。
そこでお尋ねをいたします。
現在策定中である基本構想は、本県で行う全国都市緑化フェアの方向を決める重要なものでありますが、そこでは、愛知らしさや万博の理念を反映させるため、どのようなフェアの開催をしようとしているのかお伺いいたします。
次に、今後、全国都市緑化フェアの開催決定時期も含めて、開催までどのようなスケジュールで準備を進めるのかお伺いいたします。
- 66:◯建設部長(近藤隆之君) 全国都市緑化フェアにつきまして、二つの御質問をいただきました。
初めに、愛知らしさや万博の理念を反映するため、どのようなフェアを開催しようとしているかについてのお尋ねでございます。
全国都市緑化フェアでは、花卉生産額が全国第一位である愛知県の特徴を生かし、菊やバラ、ランなど、県内産の園芸植物の魅力を全国に発信してまいりたいと考えております。
さらに、愛知万博の継承として、自然の叡知を表現する最先端の緑化技術の展示や、エコツアーによる緑の力の体感、会場運営へのボランティア参加、さらには、緑のまちづくりのためのボランティアリーダーの育成など、県民協働の取り組みも取り入れてまいりたいと考えております。
現在検討中の基本構想では、こうした考え方を踏まえ、緑化や園芸に関する学識者などによる懇談会を開催し、各専門分野からの御意見をお聞きするなど、さらにフェアの魅力を高め、会場を訪れた方々が緑を愛し、緑の力を知ることにより、緑のある暮らしのすばらしさを味わえるフェアとしてまいりたいと考えております。
次に、フェア開催までのスケジュールについてでございます。
全国都市緑化フェアの開催には、国土交通大臣の同意を開催の二年前までに得る必要があり、平成二十七年秋の開催のため、ことし夏までに同意を得たいと考えております。
その後、関係行政機関、経済団体及び緑化、園芸の関係団体などから成る実行委員会を立ち上げ、展示施設、交通輸送、観客誘致、植物調達など、具体的な計画を策定してまいります。
平成二十六年度には、会場の設計や整備に取りかかるとともに、キャンペーンなどの広報宣伝活動、植物生産農家との調整、自治体、企業、団体及び県民への参加、協働の呼びかけ、さらに、皇室に御臨席をいただくフェアの中心的行事である全国都市緑化祭の調整などを進め、全国に誇れるフェアとなるよう開催準備を精力的に行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
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- 67:◯三十八番(川嶋太郎君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 68:◯副議長(澤田丸四郎君) 川嶋太郎議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 69:◯副議長(澤田丸四郎君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午後二時四十四分休憩
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午後三時二十分開議
- 70:◯議長(小林功君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
加藤喜久江議員。
- 71:◯四十八番(加藤喜久江君) 私からは、歳出第十一款教育費第一項教育総務費第四目学校教育指導費のうち、特別支援教育推進費の体制推進事業費についてお尋ねいたします。
初めに、日本の有名な文学作家、乙武洋匡さんは、現在三十六歳、生まれつき両足、両腕がないという障害があり、移動の際には電動車椅子を使用し、早稲田大学政治経済学部を卒業されました。大学時代に早稲田のまちづくり活動に参加し、この活動を取材したNHKの番組出演がきっかけで、障害者としての生活体験をつづった「五体不満足」を執筆し、出版されました。屈託のない個性と、障害は不便です、しかし、不幸ではありませんと言い切る新鮮な乙武さんのメッセージが相まって、大ベストセラーとなりました。この「五体不満足」は、一般書籍としては日本第三位の記録を持っています。
ジャーナリズムから子供の生き方パートナーとして幅広い分野に関心を持たれている乙武さんは、長崎男児誘拐殺人事件をきっかけに、子供の人格形成に大人がどのような影響を与えているかについて問題意識を抱いたことから、二〇〇七年二月に小学校教諭二種免許を取得されたそうです。二〇一〇年三月三十一日まで杉並区立第四小学校に勤務されました。平成二十五年二月議会では、東京都猪瀬知事の推薦により、教育委員会の委員として起用されるという報道があったところです。
自身のツイッターによりますと、身長百七センチ、体重三十八キロではありますが、元気に活躍される障害者の代表として励まされるところでございます。みずから障害を持ちながらも克服してきた視点から、いろんな境遇にある子供たちへの支援を行えるに違いないと思います。
さて、発達障害を含む障害のある児童生徒への適切な指導及び支援については、今日的な課題ではありますが、特別支援学校だけではなく、小中高等学校等における特別支援教育の充実が求められております。
実際に私の地元の小中学校の特別支援学級に通う児童生徒の保護者の方から、特別支援学級の担任だけではなく、通常の学級の先生に対しても、障害についての正しい理解や適切な支援を望む声を聞きます。
小中学校における特別支援学級については、知的障害や自閉症、情緒障害など、障害種別に応じて設置されており、対象となる児童生徒が年々ふえていると聞いております。
とりわけ、担任の先生については、子供の実態に応じたきめ細やかな指導、支援のために、一人一人の児童生徒の障害の状況に応じて特別な学習計画を立てる必要があり、特別支援学級の担任の先生の専門性は、いろいろな境遇にある子供たちの支援を行う上でとても重要なのではないでしょうか。専門性があれば、保護者の相談にも対応できると思います。
特別支援教育については、特別支援学級の先生だけではなく、通常の学級の先生の専門性の向上も求められると思います。発達障害のある児童生徒が通常の学級の中にも何人かおみえになるという話も聞いております。
また、特別支援学級に在籍している児童生徒は、ずっとそのクラスの中だけで学習しているわけではなく、校外学習や運動会などの学校行事や交流及び共同学習の中で、通常の学級の児童生徒とかかわり合いながら学ぶ場面もあるそうです。
そんなときには、当然通常の学級の担任の先生も指導に当たりますので、特別支援学級の担任以外の先生方にもぜひ専門性を向上していただき、学校全体での支援体制を整えていくことが必要なのではないかと思います。
さらに、保護者の方から、学校行事などで通常の学級との交流をもっとふやしてほしいという声があったこともお伝えさせていただきます。
これからも学校の先生を初め、特別支援教育を進める全ての人が、障害のある子供たちの将来の自立と社会参加を見据えて、子供たちや保護者の願いに十分応えていくことが重要であると考えます。一人一人に応じた障害の正しい理解や適切な支援のもとに、小中高等学校全体での支援を充実させていってほしいと願います。
教育委員会では、これまで特別支援教育推進事業により、障害のある児童生徒に対する教育支援を行うための体制整備を進めていると聞いています。
そこで、来年度もこの事業の予算が示されておりますが、小中高等学校における特別支援教育の充実に向けてどのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。
- 72:◯教育長(野村道朗君) 小中学校等における特別支援教育の充実に向けた取り組みについてお尋ねをいただきました。
特別支援教育への理解が進んだことや、通常の学級に発達障害の可能性のある児童生徒が在籍することなどから、小中学校等におきましても、特別支援学級や通級指導教室など、特別支援教育の対象となる児童生徒は増加しているという、こういう状況にございます。
こうした障害のある児童生徒一人一人に対しまして適切な支援を行っていくためには、議員お示しのとおり、教員の特別支援教育についての専門性を向上させていくことが非常に重要であると考えております。
このため、特別支援学級の担任や通級指導担当者を対象とした研修はもとよりでございますが、管理職や校内の支援体制整備の中心となるコーディネーターを対象とした研修、さらには、通常の学級の担任に対する研修など、それぞれの立場や役割に応じまして、また、必要な場合には、幼稚園、高等学校も対象に含めまして、さまざまな研修を実施しているところでございます。
また、来年度の新たな取り組みといたしまして、通級指導教室のある小中学校をモデル校に選び、発達障害等のある児童生徒に対する効果的な指導や支援のあり方について研究を行う予定でございまして、その成果を県内の各学校で活用してもらうことといたしております。
このような取り組みによりまして、障害のある子供を支援する体制を整え、一人一人の教育的ニーズに適切に応えてまいりたいと、このように考えております。
- 73:◯四十八番(加藤喜久江君) ありがとうございました。
先日、小学校と中学校の特別支援学級の卒業生を励ます式典があり、いつまでも仲よく交流していくための会として、最後にみんなで合唱した「きみとぼくのラララ」の歌詞を紹介したいと思います。
さよならなんて いわなくても いいよね また あ
えるね げんきでなんて いわなくても げんきで ま
た あえるね ぼくのみるそらと きみのみるそらは
つながっているから おんなじそらだから ラララ さ
よならのかわりに なみだのかわりに ラララ きみと
ぼくのあいだに ラララ ひとつのうた
こころがちょっと いたいのは えがおが まぶしい
からだね さみしいなんて いわないのが いいよね
きっと あえるね ぼくのあるくみちと きみのあるく
みちは つながっているから おんなじみちだから ラ
ララ かなしみのかわりに てをふるかわりに ラララ
きみとぼくのあいだに ラララ ひとつのうた
ぼくのみるゆめと きみのみるゆめは つながってい
るから おんなじゆめだから ラララ さよならのかわ
りに なみだのかわりに ラララ きみとぼくのあいだ
に ラララ ひとつのうた
折しも卒業式シーズンではありますが、同じ仲間として心をつなぎ、いつまでも交流できるきっかけが持てたのは、学校が存在しているおかげでございます。
これからも私たちは、この子たちの笑顔を絶やさない努力が大切であります。特別支援教育の充実に向けての取り組みに対しての要望をお願いして、終わります。ありがとうございました。
- 74:◯議長(小林功君) 進行いたします。
渡会克明議員。
- 75:◯七十番(渡会克明君) 私は、歳出第九款建設費第七項都市計画費のうち、都市の緑化についてお伺いをいたします。
本県には、三河山間部を中心とする森林、名古屋圏を中心とする都市の緑、その中間に位置する里山林とさまざまな形の森と緑がありますが、近年、手入れの進まない森林、里山林が増加するとともに、都市の緑については、市街地の大部分を占める民有地の緑の減少により緑の全体量は減少をしております。
民有地は、市街地の約三分の二を占めていることから、この民有地の緑を保全し、ふやしていくことが、都市の緑を確保する上で特に重要となっております。
こうした森林や都市の緑は、人の手を加えなければ良好な維持が難しく、また、一旦荒れた緑を短期間で回復することは困難となります。
そこで、森と緑の重要性を再認識し、県民全体で森と緑を守り育てていくための仕組みづくりに積極的に取り組んでいくことが重要であり、森林、里山林、都市の緑をバランスよく整備、保全する新たな施策を進めるため、平成二十一年度から、県民の皆様や企業の方々に御負担をいただくあいち森と緑づくり税が導入をされました。
この税を活用したあいち森と緑づくり事業では、山から街まで緑豊かな愛知の実現を目指して、手入れが行き届かない人工林の間伐、放置された里山林の整備、保全、都市緑化の推進、環境学習などの取り組みが計画的に進められています。
都市の緑は、県民の皆様が身近な自然と触れ合うことができる場であり、人の目に安らぎを与え、心を和ませるとともに、安全な都市や美しいまちづくりを進める上でも重要な役割を果たしております。
特に近年では、ヒートアイランド現象の緩和や、生物多様性の保全などの環境改善の機能もあることから、住みよいまちづくりには欠かせない貴重な存在であり、都市の緑を保全、創出する都市緑化推進事業が実施をされております。
私の住む豊橋市でも、都市緑化推進事業により、ビオトープの整備、市民の皆様や企業の方々が行う民有地の緑化に対する助成、市道の並木道の再生、市民参加による植樹祭、保育園の園庭芝生化などの取り組みが実施されております。
植樹祭に参加した県民の皆様のアンケートでは、森や緑の関心が高くなった方が七〇%以上、今後も地域の緑化や緑を守る活動に参加してみようと思う方が八〇%以上となっております。また、園庭の芝生化については、園児のけがの減少、園児の環境や緑化への興味の増加などの多様な効果も報告されており、この事業が有効に活用されていると思います。
そこで、まず、この都市緑化推進事業の取り組み状況についてお伺いをいたします。
また、豊橋市の朝倉川では、県民の皆様の参加によりこれまで植樹を行ってまいりました。植樹などを行い緑をふやすことは、水辺の生態系の保全にも役立ち、大変よいことですが、樹木が大きく育ったため、地元の皆様からは、樹木により見通しが悪くなり、景観が悪くなったとの声や、防犯上の問題やごみが捨てられるようになったなどの意見もあり、その管理が課題となっていました。
そのため、県により間伐が行われるとともに、県民の皆様に除草を行っていただいたり、樹木に愛着を持っていただくために、樹木の名前を書いた樹名板を取りつけるなどの活動も行われております。
このように、健全な樹木や樹林を育てるためには、その後の維持管理に取り組み、しっかりとケアをしていくことが重要であると思います。
あいち森と緑づくり事業においても、事業を行った市町村、県民の皆様や企業の方々が責任を持って、その後の維持管理を行っていくことが必要であります。そのためにどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
次に、歳出第十一款教育費第一項教育総務費第四目学校教育指導費のうち、あいちグローバル人材育成事業費についてお伺いをいたします。
現在は、大企業や一部の業種に限らず、さまざまな分野で国境を越えた活動がもはや当たり前のこととなっております。グローバル人材の育成は時代の趨勢となっております。本県の多くの企業においても、海外進出が増加し、英語のみならず進出先の母国語など、二カ国語まで話せる人材が求められる時代となっております。二カ国語は無理としても、せめて英語をコミュニケーションのツールのベースとして使えるようにしておくことは、これからの子供たちにとって、また、本県の産業界にとっても大変重要なことであります。
県内の私立高校では、海外の高校と姉妹校提携をし、長期、短期の交換留学などを積極的に行っている学校が少なくありません。こうした学校の生徒は、実践的英語力や国際感覚を身につけるためのさまざまな機会に恵まれております。
一方、県立高校においては、海外の高校と姉妹校提携を結び、隔年で相互訪問等を行っている学校も一部ありますが、全体としてはまだまだ低調であり、日ごろの学校生活の中で子供たちが海外事情を直接知り、英語の必要性を実感する機会がそれほど多くないと思われます。
今回、県内の高校生の三分の二が在籍する県立高校において、あいちグローバル人材育成事業を立ち上げられ、高校生海外チャレンジ促進事業や、スーパーイングリッシュハブスクール事業等に取り組まれ、経済的理由で留学等をちゅうちょする生徒の後押しをしたり、英語をコミュニケーションツールとして使いこなせる人材育成に力を入れられたりするとのことですが、これは本県の将来にとって大変よいことだと考えます。
特に、スーパーイングリッシュハブスクール校となった学校においては、実践的英語力や豊かな国際感覚を身につけるためのさまざまな取り組みが進められ、学校の特色づくりにつながることが期待されます。
そのため、ハブスクール校の選定については、恐らく多くの生徒や保護者の方が高い関心を寄せられているのではないかと思います。
このことは、極端なことを言うと、学校の評価、志願校の選択はもちろん、志願者数の増加につながり、地域の受験に対する考え方まで変えかねないと思います。
この事業においては、拠点となる学校を十二校指定されるとのことですが、私としては、最初は拠点校の数をもっと絞り込んで、特定の学校を集中的に支援して比較的短期間に高い成果を上げさせる、それから、その成果を他の県立高等学校に広げていくというやり方もあるように思います。
しかし、一方では、各地域に平等になるように支援するという配慮も教育委員会としては必要なことであると思いますし、これまで愛知の教育として大事にしてきた部分であるとも理解をしております。その意味では、県全体のレベルを均等に上げていく上で、各地区におけるハブスクール校の果たすべき役割は大変大きいように思います。
そこで、スーパーイングリッシュハブスクール事業の狙いは何か、具体的にどのような取り組みを進められるのか、また、拠点となるハブスクール校をどのように選定し、どのような役割を期待しているのか、教育長にお伺いをいたします。
- 76:◯建設部長(近藤隆之君) 都市の緑化について、二つ御質問をいただきました。
初めに、都市緑化推進事業の取り組み状況についてでございます。
あいち森と緑づくり事業につきましては、平成二十一年度から十年間の事業計画を策定し、計画的に取り組んでいるところでございます。
このうち、建設部が行っております都市緑化推進事業につきましては、緑地の買い取りや整備を行う身近な緑づくり事業が、平成二十四年度までの四年間でございますが、四年間で五十二カ所の実績となってございます。
同様に、民間の屋上や駐車場などの緑化に助成する緑の街並み推進事業が三百十六件、街路樹を植えかえる美しい並木道再生事業が六十一カ所、植樹祭などを行う県民参加緑づくり事業が三百三回でございます。
また、昨年度までの、こちらは三カ年でございますが、三年間に県民参加緑づくり事業で約三万九千人の県民の皆様の参加を得るとともに、四つの事業を合わせまして、約二十六万本の植樹を行ったところでございます。
いずれの事業も、市町村、県民の皆様や企業の方々に好評を得て、要望も年々ふえてきておりますことから、引き続き都市緑化推進事業を有効に活用し、都市の緑の保全、創出に努めてまいりたいと考えております。
次に、維持管理への取り組みについてでございます。
都市の緑には、二酸化炭素の吸収やヒートアイランド現象の緩和、きれいな町並みの形成などのさまざまな機能があり、これらの機能を十分に発揮させるためには、緑を適正に維持管理し、良好な状態を保っていくことが大変重要でございます。
このため、事業を実施する市町村、県民の皆様や企業の方々には、助成金の交付に当たって適正な維持管理をお願いするとともに、名前を記載した表示板を設置していただいております。
きめ細やかな維持管理を進めるためには、県民参加緑づくり事業に参加した方々や、その緑の恩恵を受ける地域の方々が緑への愛着を深めるとともに、管理の必要性を強く認識していただくことが必要で、今後は、表示板に事業の目的や効果を記載するなど充実を図り、自分たちの緑を育てているという意識を高めていただき、広く地域全体で良好な維持管理に取り組む環境づくりを進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 77:◯教育長(野村道朗君) あいちグローバル人材育成事業のうち、スーパーイングリッシュハブスクール事業について御質問をいただきました。
まず、この事業の狙いでございますけれども、県内十二地区に英語教育の拠点となるハブスクール校を一校ずつ指定して、英語をコミュニケーションの道具として使いこなせる人材を育成するとともに、その成果を地区内の高等学校及び中学校、小学校に普及、還元することで、本県全体の英語力の向上を目指すということでございます。
具体的な取り組みにつきましては、大学等と連携した英語指導法の研究、ディベートやディスカッションなど、生徒の言語活動を積極的に取り入れた授業の実施、外部検定試験等の積極的な単位認定、国際機関と連携した国際交流事業の充実、こういったことを考えているところでございます。
また、ハブスクール校を中心といたしまして、小中学校と高等学校の英語科教員の合同研修会を実施するなど、地域の小中学校と高等学校との連携を進めまして、小中高のつながりのある英語教育のあり方についても研究してまいりたいと考えております。
ハブスクール校の選定につきましては、現在検討中でございますが、県内全体でバランスよく事業を展開したいと考えておりますので、国際教養科や国際理解教育に関するコースを持つ学校などを中心に、各地域の拠点となるにふさわしい学校を選んでまいりたいと考えております。
なお、ハブスクール校におきましては、イングリッシュキャンプや高校生海外チャレンジ事業にも積極的に参加してもらうことを期待しているところでございます。
以上でございます。
- 78:◯七十番(渡会克明君) 一点要望をさせていただきたいと思います。大村知事の教育懇談会の議論も参考に要望したいと思います。
あいちスーパーイングリッシュハブスクール事業は、事業目的にあるように、世界を舞台に挑戦し、活躍できる人材を育成するとのことであります。そのように私は説明を教育委員会から受けました。私も大変期待をしているところであります。
これは、大村知事が掲げる世界と闘える愛知・名古屋を目指すためには、県内のみならず、全国からすぐれた人材を集め育成すべきであり、そのためには、生徒、保護者が注目するような特筆すべき教育環境を構築しなければなりません。その具体策として、大都市には欠かせない教育インフラとしてスーパーイングリッシュハブスクールをつくる必要があると考えます。
私は、このスーパーイングリッシュハブスクールをグローバルな特色を持つスーパー進学校として位置づけたらと思います。
例えば、通学区域、いわゆる学区や県内の十二のブロックにはとらわれず、オール愛知から選抜するのを基本とし、あえて地域を意識したとしても、尾張、名古屋市内、西三河、東三河、計四校に、例えばでありますけれども、絞るなど、愛知の教育は県内のどこに住んでいても一定の大学進学環境を提供するといった教育環境の均てん化に重きを置いてきたと思います。それが愛知の教育の特色だと私は思います。
今まではよかったし、これからもこれでよいのかもしれません。ただし、愛知県や名古屋市が厳しい大都市圏間の競争に勝ち抜くには、教育的な是非論は別にして、飛び抜けた進学校をつくることは避けて通れないことであると思います。受験競争をあおり、学校間の格差拡大につながる、こういう反対論もあるとは思います。しかし、学校は、入学試験という選抜を行う限り、必ず序列化が生まれます。現在の複合選抜制度でも存在します。複合選抜の見直しの議論は大いに必要だと思いますが、今回は先に送るとしても、自由競争社会のもとで、子供たちが自分の夢を明確に持ち、その目標に向け、自分で望んだ高校で努力をする、そこには健全な競争が存在すると思います。このことが今の時代、とても大切ではないかとも感じます。
また、産業振興と教育とは切り離すことができません。自動車産業、航空宇宙産業を初め、さらなる国内外からの企業誘致を考えたとき、子女の通う学校の存在を抜きには語れません。
大企業の管理職、教育者、科学者、エンジニアなど、教育環境を理由に愛知県に住むことに難色を示す人がいます。例えば、大企業の在名支店、支社の管理職は、子供が中学生以上の場合はほとんどが単身赴任だといいます。これは、自分の子供を通わせたいと思う中学、高校が愛知県にはないからです。また、愛知県に本社を置く有力企業のトップにも、子供を東京の私立中学や高校に通わせている方が何人もいるそうです。
引き合いに出して申しわけありませんが、東大に五十名以上合格する高校が幾つもある東京の人たちからは、残念ながら愛知県にはまともな進学校はないと思われています。こうした認識を変えるには、東大合格者が全国五指に入るぐらいの進学校を愛知県につくる、こういうことも考えられます。いわゆるスーパー進学校は、本格的な国際空港や高度な医療機関などと同列の大都市に欠かせないインフラとして必要なものであります。
以上、申し述べたことを考えると、繰り返しますが、私は、このスーパーイングリッシュハブスクールをグローバルな特色を持つスーパー進学校として位置づけ、全国に発信すべきではないかと思います。
以上、提案して、要望とします。
- 79:◯議長(小林功君) 進行いたします。
安藤としき議員。
- 80:◯五十三番(安藤としき君) 私からは、歳出第九款建設費第九項住宅費のうち、民間住宅・建築物耐震診断費補助金及び民間住宅耐震改修費補助金についてお伺いをいたします。
昨年八月に国が公表した南海トラフ巨大地震が発生した場合の被害予測調査では、愛知県内の死者が二万三千人以上に上るという東日本大震災を上回る恐ろしい被害想定が示されました。
中でも、建物倒壊による死者は一万五千人と全国最多の死者数が想定され、本県死者数の六五%を占めています。しかし、一方で、建物の耐震化や家具などの転倒・落下防止対策を一〇〇%実施した場合では一万五千人から二千五百人へと、実に五分の一以下に減少する想定も示されていることから、減災には建物の耐震化率の向上が大きな鍵となります。
県では、これまで住宅等の耐震化率を平成二十七年度までに九〇%にすることを目標に取り組まれてきましたが、平成二十二年六月に閣議決定された国の新成長戦略で、平成三十二年度までに住宅等の耐震化率を九五%にする決定を受け、愛知県建築物耐震改修促進計画、あいち建築減災プラン二〇二〇を平成二十四年三月に策定されています。
このプランでは、耐震化率九五%の達成に向け、平成三十二年度までの今後九年間で二万一千戸の住宅耐震化の促進と、段階的耐震改修や耐震シェルターの整備等の減災化に取り組むことが示され、平成二十五年度一般会計予算案には、民間住宅・建築物耐震診断費補助金及び民間住宅耐震改修費補助金が計上されています。
そこで、あいち建築減災プラン二〇二〇の取り組みについて、数点お伺いをいたします。
このプランでは、平成二十三年度時点で県内には、居住世帯のある住宅数は約二百八十万戸、うち約二百四十万戸はこの時点で耐震性があると推計されていることから、耐震性がないと判断される約四十万戸の住宅耐震化に努めなければならないとしています。
住宅等の耐震化率九五%を目標に、平成三十二年度までの九年間で二万一千戸の耐震改修に取り組む計画ですが、目標達成には、単純計算で毎年二千三百戸ほど実施しなければなりません。しかし、平成二十四年度見込みは千四百三十五戸、二十五年度予算では千四百四戸と六割ほどの耐震改修にとどまっています。
今後どのような計画で耐震化の促進を図っていかれるのかお伺いをします。
次に、耐震性がないと判断される住宅のうち、耐震診断判定値が低い推計約二十一万戸の住宅については、住宅の状態によっては耐震改修費が建てかえ費用とほとんど変わらないことから、新耐震基準を満たす住宅への建てかえを促進して、耐震化率九五%を目指す計画となっています。平成三十二年度までの九年間で、この二十一万戸の建てかえを具体的にどう推進される計画なのかお伺いをいたします。
また、費用的な面から補助を受けての耐震改修ではなく、建てかえにより新耐震基準を満たす選択をされた方々への支援についての考え方をお聞かせください。
最後に、段階的耐震改修費補助、耐震シェルター整備補助についてお伺いします。
平成二十五年度から、この段階的耐震改修や耐震シェルター整備について、新たに補助対象に加えられます。これは、これまでの耐震診断、耐震改修の状況から、耐震診断の評点が悪い住宅ほど改修されない傾向があることから、減災化をさらに進め、命を守る施策を推進していただくためにも時宜を得た政策だと思っています。
しかし、この追加される補助を受けるには、同時に市町村においても補助対象に加える改正が行われなければ補助対象とはなりません。平成二十五年度から県の補助制度と連動して補助を予定されているのは、県下五十四市町村中、段階的耐震改修が十五市町、耐震シェルター整備は二十四市町村と聞いています。
命を守る施策は、居住地による格差があってはならないと思います。県は、いつまでに全市町村と連携して減災に向けた段階的耐震改修や、耐震シェルター整備の補助を行える体制とされるのかお伺いをいたします。
- 81:◯建設部建築担当局長(松井宏夫君) 民間住宅耐震改修について、三点御質問をいただきました。
初めに、住宅の耐震化促進のための取り組みについてお答えいたします。
平成二十四年度の実績見込み及び平成二十五年度予算の耐震改修費補助の戸数約千四百戸は、東日本大震災以前の年平均千戸未満の実績に比べれば増加しているものの、まだ少ないものと考えております。
これは、費用負担の面で耐震改修をちゅうちょされている方や、耐震改修の必要性を感じられておられない方もおみえになるためではないかと思われます。
このため、安価な工法の開発、普及や、耐震改修の必要性の啓発に引き続き努め、最大九十万円を限度とする耐震改修費補助で耐震改修の促進に努めてまいります。
また、平成二十五年度からは、通常の耐震改修に比べ安価な費用で倒壊しにくいレベルまで補強する場合にも、一戸当たり最大六十万円を限度として補助する段階的耐震改修費補助を行うことといたしました。
この制度の活用によりまして、耐震化にちゅうちょされている方々が、まずは簡易な耐震改修に着手していただき、その後、耐震基準を満たす改修をされることで耐震化も促進されるものと期待しております。
今後も、県民の皆様の生命、財産を守る住宅の耐震化の促進について積極的に取り組んでまいります。
次に、住宅の建てかえの促進についてでございます。
耐震診断の結果、耐震が劣ると評価されました住宅を耐震化する方法といたしましては、耐震改修のほかにも建てかえがございます。耐震改修に多大な費用がかかる場合や、老朽化が進んでいる場合などには、耐震改修ではなく建てかえを選択される方もいらっしゃるものと思います。
耐震改修や建てかえにより住宅の耐震化を図るためには、まずは耐震診断をしていただき、御自身の住宅の耐震性について把握していただくことが必要であると考えております。このため、耐震診断にかかる費用を全額補助することで耐震診断の促進を図ってまいりました。
また、平成二十年度からは、この耐震診断の結果をお知らせする際におおむねの改修費用をお示しし、耐震改修や建てかえ実施の判断材料としていただいているところでございます。
また、建てかえによる耐震化の支援につきましては、新たな個人資産形成へ補助することになるなど課題がありますので、慎重に検討してまいりたいと考えております。
最後に、平成二十五年度から新たに実施する段階的耐震改修費補助と耐震シェルター整備費補助の市町村との連携についてでございます。
平成二十五年度からは、県にあわせて新たに制度を創設される市町村もございますので、段階的耐震改修につきましては十五の市町村が、また、耐震シェルター整備につきましては二十四の市町村が補助を実施する予定と伺っております。
また、平成二十五年度当初予算で制度を創設されない市町村につきましても、会議の場だけではなく直接訪問して働きかけをすることなどによりまして、できる限り早期に制度を創設していただけるよう努めてまいります。
以上でございます。
- 82:◯議長(小林功君) 進行いたします。
筒井タカヤ議員。
- 83:◯百三番(筒井タカヤ君) 第十款警察費第二項警察活動費のうち、道路標識、道路標示について質問いたします。
私の地元名古屋市名東区は、日本を代表する土地区画整理事業によって最良の住宅環境が整備されました。名古屋市民のアンケートでは、自分が新たに住むんだったら名東区と言われるほどの都市交通、教育、医療、福祉、緑地の環境が整っています。
その最適とも言われるまちに異変が起きています。整備されている道路に、本来は追い越し禁止であるべきところが追い越しせよとの標識や、大型貨物自動車等通行どめであるべきところに大型貨物自動車等通行せよとの標識がどんどんと出現しています。
警察に問い合わせると、日本の交通標識には追い越しせよとか、大型貨物自動車等通行せよというようなものは一切ないと反論します。しかし、実際に道路標識を写真に写して警察に出向くと、なるほど、そう言われればそのようにも見えると感心してくれます。
本来は、追い越し禁止や大型貨物自動車等通行どめの道路標識が、長い年月による経年劣化によって、標識の赤の丸と赤の斜めの線がほとんど消えているからです。だから、追い越し禁止が追い越しせよマークに見え、大型貨物自動車等通行どめが大型貨物自動車等は通行せよにも見えるのです。
なぜこんな状況が名東区に多いのかには理由があります。土地区画整理事業が名東区の各地で行われ、道路の標識もその事業者側が負担を持って、名東警察署、県警本部の指導で取りつけられました。
しかし、土地区画整理事業が終結して二十五年から三十年以上が経過して、道路標識の劣化が激しく、どこに行っても道路標識は標識の赤が消えかかっています。進入禁止の標識もぼんやりと白の横線、やたらと四十、五十だけの速度規制の標識、さらに、駐車禁止もはっきりとしない道路標識が多いのです。
名東警察署に出向いて標識板の取りかえもしてくださるのでありますが、ここもあそこもと言えば、標識板がもうありませんの一言です。
よくよく周辺の名古屋市内の各区及び各都市でも、最近は県内各地の道路標識の経年劣化が激増していることに気づきます。
今回の県議会での交通安全対策費のうち、道路標識及び道路標示の予算がどのようになっているのかについて詳しく調査をして、県警本部に詳細な資料の提出を求め、その予算の数字を見て、びっくりして物が言えないほど削減されていることを知りました。
以下、これから、私どもが正直に言って、背筋が凍りつくほど驚愕するような大幅に削減された予算の数字の実態を述べてまいります。
まず、道路標識の耐用年数は十年です。ただし、なぜか平成二十年度以降は二十年としています。大型標識の耐用年数は十五年です。道路標示は四年を耐用年数としています。
道路標識を見てみると、平成十年度、平成十一年度は、耐用年数経過本数はゼロでありました。すなわち、耐用年数を経過した道路標識はゼロでした。もちろん、この二年間の更新率は一〇〇%であります。それが平成十二年度になると、耐用年数を経過した道路標識は一万八千七百四十六本も出ました。平成十三年度には六万二千二百三十九本、平成十四年度にはさらに十一万九千九百五十七本、平成二十三年度では三十九万二千百七十一本もの路側標識が耐用年数を超しているのであります。
平成二十三年度には、路側標識に対する必要とされる予算の額は九十一億三千七百五十八万三千円なのに対して、更新された予算は何と四億三百九十七万五千円で、更新の予算の充足率はわずか四%にすぎません。
平成二十三年度の大型標識では、耐用年数経過は一万九千四百九十九本に対し、更新された予算は八千七百七十九万九千円だけです。更新の予算の充足率はわずか一%です。
きょうの午前中においても、横断歩道が県内の各地で経年劣化をして見えなくなっている旨の質問がなされ、県警本部長も、厳しい県財政の中で大変なことだが、大いに努力してまいりますとの答弁がありました。
しかし、先ほど私が質問した道路標識と同様に、道路標示においても、今議会で提示されている予算案を見ても、全く改善ができていないばかりか、さらに深刻な状況が続くことになっています。
例えば、平成十年度では、道路標示は耐用年数の四年を経過した率、更新率は一〇〇%であったものが、平成二十年度では七%の更新率に、平成二十一年度では六%に、平成二十二年度は八%、平成二十三年度は八%の道路標示の更新率なのです。
これを裏づけるように、平成十年度の道路標示の更新予算十億九千六十五万円であります。更新予算の充足率一〇〇%が、平成二十三年度では一挙に半分の五億五千六百四十四万二千円の更新予算となり、その予算でも更新予算の充足率が一一%なのです。今や、愛知県内の横断歩道や、とまれの道路の標示等も、ほとんどが県民の願い、県警本部の努力も、財政当局による予算削りでもって危機状況です。
交通事故現場に立ち会うたびに、警察官は、自分たちがこれほど危険だと言っている声が届かないと失望しています。まさに交通事故は起こるべくして起こった人災だと言ってもおります。これが愛知県における道路標識・標示の現在の姿です。
この数字から見る限り、愛知県内の道路標識と標示は、極限を超えた危険きわまりない状況であり、いつまでたっても改善されず、さらにさらに急速に経年劣化が進行し悪化しています。
そこで、県警本部長にお尋ねします。
この状況を知って、率直な感想を述べてください。この数字は、県警本部が承知していて放置されているんでしょうか。県財政当局の交渉の結果で今に至るも苦悩しているのだろうと私は推測をします。
愛知県の交通事故死十年間連続日本一を放置したのは、ひとえに交通安全対策の対応の予算を意図的に削除してきた県財政当局にあります。県財政当局は、交通安全対策費をどのような理由づけで毎年毎年削り、交通事故死日本一を平然と放置してきたのか、財政当局の所見を求めます。
また、この交通安全対策費の大幅削減の現状を体を張ってまで阻止できなかった県警本部の体質を県警本部長はどのようにお考えか、所見を求めます。
さらに、大村知事にお尋ねします。
交通安全対策の基本でもある道路標識・標示に対する予算を財政当局に指示されるよう求めます。答弁を求めます。
次に、交通信号機をLED信号灯に全て更新を完了するには、今の状況では、今後、車両で三十七年後、歩行者用で五十七年後に愛知県は完了するとの数字であります。私が聞く限り、東京都は知事の決断によって全力で取り組み、完了は平成二十八年のことのようであります。
行政の長による真剣な対処の取り組みがある東京都、今の愛知県の知事はこれといった計画を示さないため、私たちがこの世にいなくなってしまっても信号のLED化はできません。
大村知事は、交通事故連続日本一十年間の汚名返上に取り組むと口先だけで県民に向けて言っておられるが、実際は交通安全対策に対する具体的な予算づけなどはほとんどしていないのが実態であります。
大村知事は、口先だけでなく、本当に真剣に交通安全対策に今の県予算案を見て恥ずかしくはありませんか。大村知事の所見を求めます。
以上であります。
- 84:◯警察本部長(沖田芳樹君) 交通安全施設の御質問にお答えいたします。
初めに、道路標識等の整備状況の現状についてであります。
本県は、道路標識や標示の現有数が全国で最も多い中にあって、耐用年数を超え、劣化が進んでいるものも多いものと認識いたしておりますが、これらを全て更新するには多額の予算が必要となることなどから、一度に全てを整備することは極めて困難な状況にあると考えております。
そこで、私どもといたしましては、緊急性や必要性を判断しながら、腐食や摩耗など劣化の著しい道路標識等から優先して整備しているところであります。
また、耐用年数が従来の十年から二十年と二倍となる標識柱を導入したり、交通規制をきめ細かく見直して、標識、標示を削減するなどの措置も講じているところであり、今後とも計画的な維持管理を進め、標識や標示の整備に努めてまいりたいと考えております。
次に、交通安全施設整備費についてであります。
厳しい財政状況が続く中、交通安全施設整備費についても、その確保に努めてきたものと承知いたしておりますが、道路交通の秩序維持、安全確保の観点から、必要な予算の確保についてさらに努力してまいる所存でございます。
- 85:◯総務部長(中西肇君) まず、道路標識・標示の予算についての所見にお答えいたします。
本県の交通事故情勢は、平成十五年以降、交通事故死亡者数ワースト一位が十年連続して続いている状況にあり、交通安全対策は大変重要と考えてございます。
このため、交通安全対策の予算につきましては、厳しい財政状況の中にありましても、県警本部と協議の上、重点的に予算を計上してきたところでございます。
道路標識・標示の当初予算額につきましては、交通事故死亡者数が全国でワースト一位になりました平成十五年度では約七・八億円でありましたが、厳しい財政状況の中ではございますが、二十四年度には約十億円、二十五年度当初予算では十億二千万余円と推移してございまして、議員御指摘の交通安全対策費を毎年削り、交通事故死日本一を平然と放置してきたというわけではないことを御理解願いたいと存じます。
老朽化した道路標識・標示の更新につきましては、今後も警察本部と協議し、必要な予算を計上してまいりたいというふうに考えてございます。
次に、道路標識・標示に係る予算措置についてお答えいたします。
平成二十五年度の道路標識・標示に係る予算につきましては、厳しい財政状況の中にございましても、国の補正予算を活用した二十四年度二月補正予算を合わせ、通学路の安全対策として必要な事業量を全額確保するなど、今年度当初予算を上回る予算を計上してございます。
今後とも、県民の皆様の暮らしの安全・安心の確保のため、しっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
- 86:◯百三番(筒井タカヤ君) 愛知県警察に関する職員だけでも一万三千人もおられます。県民の治安を守るため、殺人犯や暴力団にもひるむことなく、みずから命をかけて日夜頑張っておられます。交通事故の現場にも立ち会い、この事故は道路状況を見て、信号機や道路標識及び道路標示をもっと県費を投入すれば交通死亡事故がなかった、防げたはずだという警察職員もいるということを耳にします。
歴代の県警本部長は、この愛知県に着任をなさって平均二年ほどの期間でもって他に転出されています。限りある期間でありますが、県警本部を代表して、愛知県警察が必要としている予算について、愛知県の財政当局と厳しい財政状況の中にあって折衝されてきたと存じます。県財政当局との交渉の中で、このままでの警察予算では、毎年毎年警察行政に支障が出るとの声も出されたであろうという状況が、でも、それにもかかわらず悪化しているものと私は思っております。
警察職員の中にも心ない人は、県警本部長の苦悩も察せず、どうせお偉いさんはたった二年だけの存在だから、愛知県警察の実情について言うべきところを言っていないから予算も獲得できないと陰口を言う人も多く聞きます。
警察本部長として、今、交通事故死連続十年日本一の愛知を返上するために、せめてこれぐらいの交通対策費の増額予算にせよと財政当局に叫びたいこともあったかと存じます。せめて交通対策費の基礎とも言われるような道路標識・標示の予算を愛知県財政当局から用意しなさいよとこの場で言えるように、そんな強い姿勢を示していただきたい。県警本部長の所見を求めます。
予算を調べて気づくことは、愛知県と他の行政の姿勢の違いであります。信号機のLED化が完了するのに東京都は三年後なのに、愛知県ではこのままでは五十七年後、このことにびっくりします。
大村知事にお尋ねします。
交通事故死が十年間連続で日本一愛知の返上には、それなりの交通安全対策費を計上せねばいけないのに、その対応ができているのでしょうか。最低でも道路標識、道路標示の経年劣化に対応一〇〇%と、信号機のLED化十年後に向けた取り組みをすべきと思いますが、大村知事の所見を求めます。
不都合なことは大村知事は一切話をせず、かわりに県幹部の職員に答弁させていますが、堂々と県民の命を守るための決意を御自身が語ってください。知事の答弁を求めます。
県警本部長に質問します。
道路標識も経年劣化で消えかけた横断歩道で交通取り締まりや交通事故現場に立ち会う警察職員が、違反運転者に向かって、今は横断歩道が消えてちょっとしか見えないけれども、ここはもともと横断歩道だった。この場でじっくり見れば横断歩道だとわかるはずだ。しかし、車から見るだけではわからないかもしれないけれども、とにかく昔からここは横断歩道だ。運転手の人には気の毒な違反だが、もう一度この場を見ると横断歩道だ。違反は違反だからねと、こんな会話を警察官がするようになるのではないかという事態が予測されます。
一万三千人の警察官を代表する県警本部長は、こうした愛知県警察の置かれた状況について、率直な所見を求めます。
以上であります。
- 87:◯警察本部長(沖田芳樹君) 交通対策費に関し、愛知県警察の置かれた状況についての再質問にお答えいたします。
交通対策費としての標識、標示の整備につきましては、交通の秩序維持、安全確保の観点から極めて重要であると考えておりまして、その更新等が強く求められているものと認識いたしております。
このため、今後とも、県議会の御理解、御支援をいただきながら、財政当局と協議の上、必要な予算の確保に努めますとともに、現場での適正な交通取り締まりにも配意してまいりたいと思います。
- 88:◯総務部長(中西肇君) 道路の標識・標示、また、信号機のLED化に係ります予算の取り扱いにつきましてお答えいたします。
重ねての答弁となりますが、本県の交通事故情勢は、交通事故死者数ワースト一位が十年連続している状況にございまして、交通安全対策は大変重要だというふうに考えてございます。このため、こうした交通安全対策の予算につきましては、厳しい財政状況の中にございましても、県警本部と協議の上、重点的に予算を計上してきたところでございます。
今後とも、県民の皆様の暮らしの安全・安心のため、精いっぱい取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
- 89:◯議長(小林功君) 進行いたします。
市川英男議員。
- 90:◯三十二番(市川英男君) それでは、私からは、第十款警察費第一項警察管理費のうち、地震災害警備対策費についてお尋ねいたします。
平成二十三年三月十一日の午後二時四十六分、皆さんはどこで何をしておみえでしたでしょうか。私は、県議会議員選挙初出馬の選挙準備活動中で、移動中の車内で揺れを感じました。お聞きしたところ、当議会は、この日、常任委員会の三日目で、やはり議事堂でも激しい揺れであったとのことを先輩議員からお聞きしました。
あれから丸二年、もう二年もたつと思われる方、いまだ二年しかたっていないと思われる方、感じ方は人それぞれかもしれません。私としては、いまだ二年しかたっていない、あの日のことは絶対に忘れてはいけない、このような思いから、南海トラフ地震への備えという観点で質問をさせていただきます。
本日の会議冒頭、黙祷をしながら頭に浮かんだことは、全てのものをなぎ倒しながら押し寄せ引いていく津波の映像と、ビルの屋上や学校の校庭で救助を待つ人々の姿、瓦れきの山と化した町並み、そして、行方不明の方々を救出、救助するために懸命に捜索活動をする警察官や自衛官の姿でした。
ここで少し東日本大震災の被害状況等をまとめてみます。
二月二十七日付で警察庁が発表した内容によりますと、亡くなられた方が一万五千八百八十名、行方不明の方が二千六百九十四名、全壊した家屋が十二万八千九百三十一棟、半壊した家屋は二十六万九千四十五棟、道路損壊箇所が四千二百カ所等々、聞けば聞くほど被害の甚大さを再確認できると思います。
このような大災害の発災当初から、実にたくさんの方々が被災地での各種活動に従事されてきたわけですが、その中でも、今回は、被災者の避難誘導や救出、救助、行方不明者の捜索、交通対策等々の警察活動に絞って質問していきます。
今回の大震災では、発災直後から被災地の岩手県、宮城県及び福島県の各県警に対して、全国の都道府県警察から警察官が派遣されており、その人数は延べ九十万人を超えるとのことです。二年がたった現在も続いており、私ども愛知県警からも延べ八万三千人余の警察官が被災地に派遣されて活動されてみえます。
派遣された警察官の任務もまちまちで、捜索、救出、救助はもとより、検視や遺族対策、警戒警ら活動に物資輸送、緊急交通路確保や交通規制、さらには、防犯指導や初動捜査活動と、ありとあらゆる活動の支援に当たられたわけです。
つまり、あれほどの大災害が一たび起こると、地元県警だけではとても人手が足らなくなり、ほかの都道府県警察の強力な支援が必要不可欠であるということです。
発災当日の愛知県警の活動についても確認してみました。大震災発生と同時に、広域緊急援助隊の隊員に招集をかけ、一時間もたたない十五時四十分に百三十九名の体制で宮城県に向け出発されたそうです。ところが、愛知県から宮城県までの大型輸送バスを連ねての移動であり、ある程度時間がかかることは想像していたそうですが、途中、東名高速道路が大渋滞していたり、都内の首都高速が通行どめで渋滞する一般道を走行せざるを得なかったり、はたまた東北道に至っては、地割れや路面が波打つなどしてとても普通には走行できず、低速走行を余儀なくされた等々、何と宮城県入りできたのは、翌十二日の午後一時ごろと実に二十二時間余りもかかったそうです。
もちろん、被災地に近い関東圏などの応援部隊はもっと早い時間帯に到着していたとは思いますが、発災直後の早い段階では十分な体制の応援部隊が被災地に入ること自体が非常に困難だということなのです。
今回、私が心配するのはこのことです。南海トラフ地震が一たび発生すれば、東日本大震災を超える被害が想定され、本県だけでなく東海地方、さらには、近畿地方から四国、中国地方と広範囲に被害が及びます。そうなれば、近隣の県からの応援は期待できず、遠方からの応援を待つことになります。
当然のごとく、交通の大動脈である東名、名神を初めとする高速道路網や、国道、県道などの交通インフラが完全に麻痺します。被災者の避難誘導や救出、救助、行方不明者の捜索、交通対策等々の警察活動を支援してもらえる応援部隊の到着にはかなりの時間を要することになります。
つまり、発災から何日間は十分な支援もなく、愛知県警の警察官のみで全ての任務を遂行しなければならないことに危惧しております。
そこでお尋ねします。
南海トラフ地震が発生し、特に応援部隊が到着するまでの数日間、県警の総力を結集した活動が必要になると思いますが、この点をどのようにお考えになり、どのような対策を進めていかれるかお示しください。
また、被災現場での活動となると、通常の警察活動とは異なった資機材が当然必要となってくるかと思います。来るべく南海トラフ地震への備えは十二分にしておかれるべきでありますが、災害警備活動用の資機材について、どのようなものを二十五年度当初予算で計画してみえるのかもあわせてお答えください。
- 91:◯警察本部長(沖田芳樹君) 初めに、南海トラフ巨大地震等の大規模な災害が発生した際における応援部隊到着までの災害警備活動の考え方と対策についてお答えいたします。
県警察では、県内において大規模地震等の災害が発生した際には、総員を招集して体制を確立し、全力を挙げて救出、救助などの災害警備活動に当たることといたしております。
また、その被害が甚大で、本県の警察官だけでは対応できない場合には、他府県警察に警察官の派遣を求めることとなりますが、議員お示しのとおり、東日本大震災の経験からも、必要な部隊が全て到着するまでには相当な時間を要するものと考えております。
このため、それまでの間は限られた警察力を有効かつ集中的に活用することが重要となりますことから、県警の機動隊や緊急援助隊に加え、管轄区域にかかわらず、被害が比較的軽微な地域を管轄する警察署員により、新たに編成されることとなった大震災警備特別部隊を被害甚大な地域に集中投入して、現地の警察署員とともに被災者の救出、救助など災害警備活動に当たることといたしております。
次に、災害警備活動用の資機材の整備についてお答えいたします。
災害警備活動に必要となる資機材につきましては、これまでエンジンカッター、チェーンソーなどの救助用工具を中心に整備を図ってまいりました。また、東日本大震災後は、被災現場での活動経験を踏まえ、瓦れきを除去するためのミニショベルや、水没地域での救出、救助用のゴムボートなどを整備いたしました。
平成二十五年度当初予算では、先ほども述べました大震災警備特別部隊の現場活動で必要となるヘルメット、ゴーグルなどの個人装備品を初め、夜間における救出、救助用の照明装置の整備を計画しているところでございます。
今後も、必要な資機材の整備に努めますとともに、県民の方々の安心・安全を確保するため、実戦的な訓練を積み重ね、対処能力の向上に努めてまいる所存でございます。
- 92:◯三十二番(市川英男君) 一点要望をさせていただきます。
私が言うまでもなく、事件や事故、災害等が発生した場合に県民が真っ先に頼りにするのは、やはり警察です。東日本大震災では、最後の最後まで住民の命を守ろうと避難誘導活動に当たられて、二十五名もの警察官が殉職され、いまだ五名の警察官は行方不明とお聞きしております。
今や、南海トラフ地震がいつ発生してもおかしくない現状にあります。いつ発生したとしても、県民の生命、財産をしっかり守っていただけ、また、警察官自身の安全も確保できるよう準備を万全と進めていただくことを強く要望し、質問を終わります。
- 93:◯議長(小林功君) 以上でただいま議題となっております議案に対する質問を終結いたします。
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- 94:◯三十九番(坂田憲治君) ただいま議題となっております議案は、さらに審査のため、それぞれ所管の常任委員会に付託されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 95:◯議長(小林功君) 坂田憲治議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 96:◯議長(小林功君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております議案は、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
なお、議案付託表は議席に配付いたしました。
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- 97:◯三十八番(川嶋太郎君) 本日はこれをもって散会し、明三月十二日午後一時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 98:◯議長(小林功君) 川嶋太郎議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 99:◯議長(小林功君) 御異議なしと認めます。
明三月十二日午後一時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時三十二分散会