県政報告
平成24年6月定例会(第4号)
2012年6月22日
(主な質疑)
- 午前十時開議
◯副議長(澤田丸四郎君) ただいまから会議を開きます。
直ちに議事日程に従い会議を進めます。
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日程第一 一般質問並びに第九十五号議案平成二十四年
度愛知県一般会計補正予算から第百五号議案公
安委員会の委員の選任についてまで
- 2:◯副議長(澤田丸四郎君) 第九十五号議案平成二十四年度愛知県一般会計補正予算から第百五号議案公安委員会の委員の選任についてまでを一括議題といたします。
これより一般質問並びに提出議案に対する質問を許します。
通告により質問を許可いたします。
藤原宏樹議員。
〔五番藤原宏樹君登壇〕(拍手)
- 3:◯五番(藤原宏樹君) おはようございます。
それでは、通告順に従い、一般質問をさせていただきます。
今回、私は、B―1グランプリ全国大会についてと、あいちトリエンナーレについての二項目質問をさせていただきます。
まず、B―1グランプリ全国大会についてであります。
言うまでもなく、食とはすべての生活の基本であり、健康な体づくりのみならず、食を通じたコミュニケーション、伝統文化の継承、自然との共生など、私たちの生活において重要な役割を担っております。生涯にわたって豊かで健康で楽しく暮らすことのできるようにするためには、食は重要であります。
近年、世界的に見ても日本食の評価が高まっており、海外から日本食のヘルシーな部分や品質の高さが認知され、政府も、ことし三月に、「和食;日本人の伝統的な食文化」として、日本食文化をユネスコ無形文化遺産に登録申請をいたしております。
また、国内に目を向けると、安心・安全の観点から、食材そのものだけでなく、生産地や生産者に対するこだわりが消費者に芽生えつつあり、食に対する意識の高さが見受けることができます。
世界でも認められている日本食は、食材、料理、食文化は、その土地固有の自然環境や歴史と密接に結びついたもので、地域の魅力を構成する重要な要素であるため、これを生かした地域振興の取り組みが各地で展開され始めつつあります。
したがって、食材や食文化など食に関する資源は、地域の個性を表現する重要な要素の一つであり、つまり、地域の観光的な魅力とも密接な関係にあると言えます。
財団法人日本交通公社旅行者動向二〇〇九年によると、グルメ旅行は、日常生活からの解放に次いで上位二番目になっており、このことからも、食は主要な観光資源になっており、その地域の歴史と伝統の詰まった郷土料理は、旅の情感を豊かにしてくれる重要な要素であると考えます。
そこで、今回、その食を生かした日本最大まちおこしイベント、B―1グランプリについて質問をさせていただきます。
まず、御存じでない方のために、B―1グランプリとは、正式名称B級御当地グルメで、まちづくりの祭典であり、B級とは劣るという意味ではなく、高価でも珍しいものでもないという記号にすぎず、御当地グルメでまちおこしに取り組んでいる団体の大会なのであります。八戸せんべい汁、富士宮やきそば、姫路おでん、津山ホルモンうどん、豊川いなり寿司など、特別なメニューではなく、まさにそこでしか食べられない地域の料理を競う大会なのであります。
この大会の目的は、料理を通して地域をPRすることで、一人でも多くのお客さんに現地に足を運んでもらい、その地域活性化を目的としたまちおこしイベントであります。料理を売ることが目的ではありません。あくまで、B―1グランプリはB級グルメのチャンピオンを決めるイベントでもあり、売るのは料理ではなく地域であり、地域を売るために食べ物を使ったまちおこし団体による年に一度のお披露目の場がこのB―1グランプリの本質なのであります。ちなみに、最後に表彰されるのは、料理ではなく、まちおこし団体となっております。
B―1グランプリの運営は、一般社団法人B級ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会、通称愛Bリーグが行っておりますが、この愛Bリーグの正会員だけがB―1グランプリに出展でき、県内では、いなり寿司で豊川市をもりあげ隊と高浜とりめし学会が正会員になっております。
全国から来る来場者と地元市民との交流、ボランティアによるおもてなし、商店街の活性化、市の知名度アップ、このようにB―1グランプリはB級グルメの日本一を決めるイベントなのではなく、御当地をキーワードに現地に来てもらうことを目的に食をテーマとしたまちおこし、地域づくりそのものであります。
今までの開催事例を見てみると、平成十八年二月に第一回大会が八戸で開催され、参加団体は十団体、来場者は一万七千人でありました。翌年、第二回大会が富士宮で開催され、参加団体は二十一団体、来場者二十五万人、その後、第三回久留米大会、第四回横手大会、第五回厚木大会と続き、昨年開催された第六回姫路大会は、参加六十三団体と大きくふえ、来場者も爆発的に伸び、五十一万五千人を超え、まちおこしの国民的イベントと呼ばれるようになりました。
そして、来年行われる第八回大会が私の地元である豊川市で開催することがことし一月に決定したのであります。豊川稲荷で有名な豊川市では、平成十六年からいなりずしを使ったまちおこしに力を入れており、最近では、商工会議所や観光協会を中心に、民間組織いなり寿司で豊川市をもりあげ隊を結成して、いなりずしを豊川市のブランドとして確立しようと積極的な取り組みをしております。
平成二十二年一月に愛Bリーグ正会員と承認され、第五回の厚木大会へ初出場し、第六位に入賞いたしました。地元でも創作いなりずしのコンテストや学校給食にいなりずしを出したり、毎月十七日を「いいな、いなり寿司の日」として、市役所ロビーでさまざまないなりずしの販売を行うなど、徐々にではありますが、いなりずしのまちとしての知名度も市内外に対して高まってきているものと感じております。
来年、豊川市は、市制施行七十周年を迎えることになりますが、地元では、この記念となる年に、いわゆるB―1グランプリの誘致に地域を挙げて取り組んだ結果、第八回のB―1グランプリが豊川市で開催されることとなりました。
そこで、来年秋に開催予定の豊川大会でありますが、二日間で来場者が五十万人を超えた昨年の姫路大会の例からも、豊川市だけですべてを運営していくことはできません。宿泊施設も足りません。スタッフや警備、救護など関係者、ボランティアを含めると、大会前日から相当数の人が豊川市に集まることが予測されます。
開催地の規模を見てみると、昨年の姫路市は五十万人都市、ことし開催される北九州市は百万人都市と大都市で開催されるようになりましたが、人口十八万人の豊川市で人口の二倍、あるいは三倍を上回る来場者を迎えるには限度があります。豊川市を全国に売り出す格好の機会ではありますが、一方で、都市の規模を考えると、豊橋市や蒲郡市、田原市、新城市など東三河全域を受け皿としてとらえ、B―1開催の効果を東三河全域に広げていくことが重要であります。豊川だけでなく、東三河地域の活性化とまちおこしに結びつけるための広域的な対応が望まれるところであります。
ちなみに、昨年の姫路大会では六十三団体が参加し、経済効果は姫路市内で十六億円、兵庫県全体では四十億円を超えると試算が公表されております。また、当日の取材件数は約百六十件と、姫路の知名度アップに大いに貢献したと聞いております。
B―1をきっかけに東三河全体、さらには愛知県全体の視点から広域観光の位置づけとして考えていくことは、経済効果の面から、また、広域観光の面からも十分なものがあると考えます。
今後、豊川大会に向けて受け入れ態勢の整備、情報発信、実行委員会の設置など、急ピッチで開催に向けた準備が進められることになります。
今回、私は、この質問を通し、皆様に御理解をいただきたいことは、開催地の豊川市は、自分の地域だけ活性すれば、元気になればいいと思ってはおりません。混沌としたこの時代に、明るく夢の持てる取り組みが今最も必要な要素であると考えます。国民的イベントを通し、東三河地域、愛知県が元気になり、ひいては一人でも多くの国民が笑顔になっていただくために、地元住民それぞれがそれぞれの立場で汗をかき頑張っております。
そのようなことからも、愛知県としても御理解をいただき、来年秋に豊川市で開催されるB―1グランプリを本県として重要な位置づけをしていただけることを期待しております。
そこでお伺いいたします。
一点目として、豊川市で開催されるB―1グランプリに対して、本県はどのような認識を持っているのか。
二点目として、B―1グランプリに対して、広域観光の観点から県が実行委員会に参加するなど、どのような具体的な取り組みを進めるおつもりなのか。また、財政的な支援も含めて、B―1グランプリにどのような支援を行っていくつもりなのかお伺いいたします。
次に、二つ目の項目に移ります。
あいちトリエンナーレについて質問をさせていただきます。
今、私たちは、物の豊かさとともに心の豊かさを求めております。真に心の豊かさを実感するために文化の果たすべき役割は非常に大きいと言え、各地域においても伝統文化を生かしつつ、新たな文化を育て、魅力と個性ある文化を発信しようとするなど、地域の活性化を図る上で文化の果たす役割は極めて重要になってきております。
文化の振興を図っていくためには、国と地方公共団体がそれぞれの果たすべき役割を踏まえ、連携を図りながら文化の振興に取り組んでいくことが重要であると考えます。
二〇〇一年に国において文化芸術振興基本法が制定されました。このことは文化芸術にとって大きな一歩であり、高度成長期の物質的な豊かさから精神的な豊かさへと考え方が移行されていることであります。文化芸術は、人々の創造性を育て、その表現力を高めるとともに、多様性を受け入れることのできる心豊かな社会を形成するため、これまで培ってきた伝統的な文化芸術を継承し、創造することが課題となり、この法案が策定されました。
この基本法の第三条、四条の国、地方公共団体の責務として、国は、基本理念にのっとり、文化芸術の振興に関する施策を総合的に策定する、また、地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定すると述べられております。
国のこのような流れの中、愛知県においても、六年後の二〇〇七年に文化芸術創造あいちづくり推進方針が策定され、これらを踏まえ、二〇一〇年に本県の芸術文化における先導的役割を果たす第一回あいちトリエンナーレ開催に至りました。
一昨年、第一回として開催されたあいちトリエンナーレ二〇一〇は、愛知芸術文化センターの愛知県美術館や名古屋市美術館を中心に、長者町会場、納屋橋会場などの町なかでも展開がされました。また、都市空間を活用した目をみはる展示も行われ、オアシス21では、世界的にも有名な前衛芸術家である草間彌生さんの水に浮かぶ水玉模様の作品が見られました。また、名古屋城では、期間限定ではありましたが、成層圏まで届くような壮大な光のタワーが立ち上がる作品を間近に見ることができました。
各会場で国内外のアーチストによるバラエティーに富んだ展示が行われましたが、国際芸術祭としてのクオリティーの高さはもとより、ふだん現代アートになじみのない方々も引きつけた展示の多様性やバランスのよさ、また、歴史の環境をうまく取り入れた町なか展開など、専門家から高く評価されるとともに、五十七万二千人という多くの来場者を呼び込む原動力になったと伺っております。
トリエンナーレがそのように盛り上がった一方で、会場がすべて名古屋市内であったことから、名古屋だけの祭典だった印象があるという意見も聞かれました。
そうした中、ことし三月に公表されたあいちトリエンナーレ二〇一三の企画概要では、前回の会場に加え、岡崎市内の町なかにも会場を設けるとともに、県内を移動しながら参加アーチストの作品を展示する仮称トリエンナーレトラックといった事業を新規に打ち出すなど、県内各地域で展開していくこととされております。
名古屋市内の会場を中核とし、愛知県の中央に位置する岡崎市内に町なか会場が設けられ、また、その他の幾つかの地域でも現代アート作品が見られることは、名古屋市内からは遠方の地域の方々が容易に最先端の現代アート作品に触れ、それぞれの感覚で感じていただくことを可能にいたします。また、ごらんいただいた方に名古屋市内の中核会場に足を運んでいただく契機にもなりますので、非常に有意義な取り組みであると思います。
次回のトリエンナーレでは、県内各地域での展開に大いに期待しているところであります。
そこで、トリエンナーレの県内各地域での展開について、現在の企画の進捗状況についてお伺いいたします。
二問目として、あいちトリエンナーレの持続可能性について質問いたします。
持続可能性とは、進化し続けるという意味でもあります。知事は、あいちトリエンナーレを世界から注目される国際芸術祭に育てていかなくてはならない、また、文化力のみでなく、産業、経済力など、愛知の総合力の成長へとつながるものとする、そして、この地に芽生えたトリエンナーレを育て、進化させてまいりたいと述べております。
知事の言われる世界からの注目、産業、経済力の成長という観点で見てみると、来場者は五十七万二千人、経済効果は約七十八億円、広告宣伝効果は四十七億円以上であり、二十四の国と地域から百三十一組のアーチストが参加した物づくり大国愛知が本気で仕掛けたプロジェクトであり、第一回トリエンナーレは、国内外で類を見ない規模の芸術祭として大成功であったと私も認識しております。
しかし、知事の言われる、この地に芽生えたトリエンナーレを育て進化させるためには、持続可能な芸術祭にすることが極めて重要な課題であると考えます。
昨日、我が党の寺西議員の質問に対する答弁でも、今後、あいちトリエンナーレが世界に発信するアートフェスティバルとして発展していくためには、歴史を積み重ねていくことが必要であり、愛知万博から八年目に開催する第二回目は、トリエンナーレを軌道に乗せる上で大変重要でありますと言われるとおり、イベントの難しさ、課題は一過性で終わらせることなく、将来構想をしっかり持ち、進めていくことが重要であります。
次世代を担う子供たちに本物の文化、芸術に触れ、その効果があらわれるのに十年、二十年もかかるものです。また、景観十年、風景百年、風土千年と言われるように、今後、芸術、そしてアートをこの地域の文化、風土にしていくためには、多くの時間を費やすことが何よりも必要なことであると思います。
そこで、次回開催のあいちトリエンナーレ二〇一三が愛知県にとって重要な事業として位置づけられていることは十分理解しておりますが、来年行われるあいちトリエンナーレ二〇一三の次には、また時代に即した新たなトリエンナーレが開催され、それは三年ごとに必ずめぐってくる愛知の世界発信の機会であります。
そこで、今後、あいちトリエンナーレを持続可能な、すなわち進化し続けるアートフェスティバルとしていくためには、本県としてどのようなお考えを持っているのかお伺いし、登壇での質問を終わります。御清聴ありがとうございます。(拍手)
- 4:◯産業労働部長(木村聡君) お答え申し上げます。
まず、B―1グランプリに対する認識についてでございます。
B―1グランプリは、平成十八年以降、全国各地で六回開催され、昨年、兵庫県で開催された姫路大会は、五十万人超の来場者を集めるなど、地域の知名度やイメージの向上、観光交流人口の拡大を通じまして、地域経済の活性化に貢献しているものと承知をいたしております。
来年秋にB―1グランプリ第八回全国大会が豊川市で開催されることは、広く県内外から観光客の誘致に取り組む県といたしましても喜ばしいことでございまして、ぜひとも成功していただきたいと、このように考えているところでございます。
次に、B―1グランプリに対する県の取り組みについてお答え申し上げます。
豊川市における全国大会を盛り上げますためには、まず、県内外の多くの皆様にその全国大会を認知いただくことが重要でございます。このため、県といたしましては、当面、県や関係団体のホームページ、機関紙などを通じまして、あるいは首都圏などで実施する観光プロモーションにおきまして、豊川市における全国大会を紹介いたしますほか、旅行会社に対し、当該イベントを組み入れた旅行商品の造成を働きかけてまいります。
また、全国大会の開催時には、他県からも多くの参加者、来場者が見込まれますことから、そうした機会を豊川市を含みます東三河地域や本県全体の観光振興にもつなげられるよう、県内の市町村が有します多様な観光資源をあわせてPRする準備を進めてまいります。
いずれにいたしましても、豊川市における全国大会は、本県の観光振興や東三河地域の活性化にとって有意義なイベントでございますので、県がどのようにかかわっていくのか検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 5:◯県民生活部長(大野明彦君) あいちトリエンナーレ二〇一三についてのお尋ねのうち、私からは、県内各地域での展開についてお答えいたします。
長者町地区や新たに拡大する岡崎市内の町なかを初めとする県内各地域での展開は、多くの県民の皆様が世界最先端の現代アートに身近に触れたり、まちの魅力を再発見する機会を提供するものであり、日常生活への芸術の浸透や、文化芸術活動による地域の魅力の向上につながる重要な取り組みであります。
現在、五十嵐芸術監督を中心に企画の具体化を進めておりますが、新たに町なか会場を設ける岡崎市内については、芸術監督が町並みに関心を持ち、町なか展開のイメージに合うとして選定した岡崎城北東の中心市街地にある康生地区の空き店舗などを活用した展開を考えております。
また、仮称ではございますが、トリエンナーレトラックについては、参加アーチストの作品二十五点程度を県内数カ所の文化施設などに順次移動し、トリエンナーレ会期中の週末を中心に展示したいと考えております。
現代アート作品の斬新さやおもしろさ、わくわくするようなトリエンナーレの高揚感を県内各地域で多くの方々に感じていただけるような展開を目指してまいります。
- 6:◯知事(大村秀章君) 私からは、あいちトリエンナーレの持続可能なアートフェスティバルとしていくための考え方についてお答えを申し上げます。
あいちトリエンナーレは、平成十八年度に開催をいたしました愛知の文化芸術振興に関する有識者懇談会の提言を受けて、愛知の文化芸術百年の軸をつくるための総合戦略として計画したものでございまして、世界の文化芸術の発展に貢献するため、百年先を見据えて継続的に新たな芸術を創造、発信していくことを目指しております。
このような持続可能なアートフェスティバルとしていくためには、世界じゅうで開催をされております他の国際芸術祭との違いを明確にし、この愛知ならではの特色を打ち出していくことが重要だと考えております。
このため、第一回のトリエンナーレで愛知の独自性として高く評価をされました舞台芸術を含めた複合性や、長者町などでの町なか展開、また、普及教育の取り組みなどを基本的な枠組みとして継承しながら、各回に選定される芸術監督の感性やアイデアによりまして、常に時代性を持った新たな視点で先端的な芸術と社会や、その時代とのかかわりを提示してまいりたいというふうに考えております。
こうした特色を世界に発信し続けることにより、あいちトリエンナーレを上海やシンガポールなどアジアのビエンナーレと対等にやっていけるように、そして、さらには百年以上の歴史と権威のあるベネチアビエンナーレ、なかなかすぐにはそこまでいくことは大変だと思いますが、目標は持って、そういったところを目指しながら、求心力の高いアートフェスティバルに育成してまいりたいと考えております。何とぞよろしくお願いいたします。
- 7:◯五番(藤原宏樹君) B―1グランプリについて、トリエンナーレについて、るる御答弁をいただきました。
トリエンナーレについての持続可能性、知事に御答弁をいただきました。御理解をするところであります。今後の取り組みに対して期待を申し上げる次第でございます。
一点、再質問をさせていただきます。
B―1グランプリについてでございます。
今回のB―1につきまして、単なるグルメイベントではなく、まちおこし、地域づくりの取り組みであることが少しでも御理解いただけたものと考えております。
今回、私がこの質問をするのに当たり、東三河地域が来年のB―1グランプリの開催に対してどのぐらい期待しているのか、東三河各自治体へアンケートをお願いいたしました。
少し御紹介をさせていただきたいと思います。
B―1の開催を期待していますかの質問に対して、奥三河の一つの自治体が普通ですと答えた以外、その他すべての自治体は期待していると回答がございました。具体的にはどのようなことを期待していますかの質問に対しては、地域としての経済効果、東三河地域のPR、広域観光のネットワークの強化、拡充、推進、当地域が全国から注目されること、観光客、宿泊客、飲食店への増加などでありました。
このことから、東三河各市町村が期待しているイベントであり、B―1を東三河地区の目玉事業ととらえ、各自治体の観光、経済、産業、雇用等が発展するための大きなチャンスと見ていることが理解していただけたと思います。
そこで、豊川大会を成功させるためには地元の努力が一番ではありますが、周辺地域の連携、すなわち東三河地域の連携、また、愛知県の連携支援、財政的な援助もまた欠かせないものと考えております。愛知県も実行委員会に参加していただき、豊川市と同等の立場で役割分担をお願いしたいと思いますが、この点について再質問をさせていただきます。
そこで、この施策は東三河地域の大きな目玉事業となると考えることから、東三河担当副知事にB―1グランプリに対する考え方、東三河振興ビジョンへ位置づけなどをお伺いし、私の質問を終わります。
- 8:◯産業労働部長(木村聡君) B―1グランプリへの県の取り組みに対する再質問に対し、お答え申し上げます。
このような地域で自主的に展開されますイベントにつきましては、県が後援などの形で支援することが多く、県が実行委員会に参加する例はこれまで余りありませんでしたので、今後のかかわりにつきましても、豊川市を初めといたします地域の関係者の御意見を伺いつつ、検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 9:◯副知事(永田清君) B―1グランプリに関しまして、私からお答え申し上げます。
B―1グランプリ、各地の名物料理を一堂に集めて、それらのPRを行うことによりまして、地域経済の活性化を図ることを目的とするイベントであると承知しております。
豊川市におけます全国大会には、県内外から多くの参加者、来場者の方々が東三河地域を訪れるものと想定されますので、来年のB―1グランプリは、東三河地域の知名度の向上、そしてまた、経済活性化にも寄与するものというふうに考えております。
現在、東三河ビジョン協議会では、将来ビジョンと主要プロジェクト推進プランから成ります東三河振興ビジョンの策定に取り組んでいるところでございまして、今年度の主要プロジェクトとして広域観光の推進のあり方、これを議論する中で、豊川市のみならず東三河全域の市町村、経済界、市民の皆さんなど、関係者が一体となりまして、どのようにイベントを盛り上げていくのか検討してまいりたいというふうに考えております。
- 10:◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。
岡江智子議員。
〔五十番岡江智子君登壇〕(拍手)
- 11:◯五十番(岡江智子君) 議長の御許可をいただきましたので、通告に従い、まず、タブレット型端末の活用について質問いたします。
近年の情報通信技術、いわゆるICTの進歩は、無線LAN、ワイヤレスブロードバンドの普及を促し、我が国のブロードバンド環境は世界最高水準に至りました。今では、いつでも、どこでも、何でも、だれでもがネットワークに簡単につながる、いわゆるユビキタスネットワーク社会は、将来のビジョンではなく現実のものになりつつあると言われています。
このユビキタス社会の実現において重要なことは、人がICTの技術を特段意識せずにいろいろなサービスを享受することができるということであります。こうしたユビキタス社会を実現、実感できる道具として、iPadやGalaxy Tabといったタブレット型端末が現在普及しつつあり、今後、ノートパソコン以上に広まることが予測されます。
このタブレット型端末は、インターネットに接続するネットワーク機能を備えた多機能情報端末であり、薄型、軽量で持ち運びが容易であり、情報の入力や表示にはタッチパネル方式を用いて、だれもが直観的なタッチ操作で簡単に取り扱うことができる点が大きな特徴となっています。
県会議員きってのアナログ人間であります私も実際に使ったことがあるのですが、文字や写真の拡大、縮小を親指と人さし指の簡単な操作で行うことができ、最新のICT技術が情報機器を扱うという敷居を限りなく低くしていることを実感いたしました。
また、最新のクラウドコンピューティングの技術を用いて、必要とするソフトウエアや文書、画像などのデータを端末側に持たず、外部のデータセンターなどを活用することで、一般的なパソコンと同等の機能を持つほか、セキュリティーも確保しているのです。
こうしたことから、タブレット型端末は単なるインターネット端末にとどまらず、パソコンにかわってユビキタス環境を利用するための主要な道具にもなり得るものと言え、現在多くの利用者を獲得しつつあるのです。
ところで、さきの二月議会で我が党の錦見議員が県におけるソーシャルメディアの活用についてお尋ねいたしましたが、県当局からは、ツイッターやフェースブックなどを用いた情報発信について、あいちICTアクションプラン二〇一五の重点施策に位置づけ、全庁を挙げて活用に取り組んでいくという力強い御答弁をいただきました。
これは、県民のスマートフォンやタブレット型端末の利用拡大という環境の変化に的確に対応された取り組みとして評価するものでありますが、今回、私は、逆に県みずからがこうした端末の使い手として、その利活用に取り組んではどうかという観点から質問を行いたいと思います。
タブレット型端末を活用する取り組みは、既に行政の幅広い分野で始まっています。例えば、学校教育の現場では、タブレット型端末を使った授業が試験的に始まっております。教諭が板書の補助として動画などを使った授業を行うことで、学習理解を促し、学力向上に結びつける。生徒自身も、グループ発表や情報収集ツールとして利用することで情報活用能力を育成する効果もあるとのことです。
また、防災対策として、大規模災害地に災害地の映像を含めリアルタイムに災害情報の収集や伝達ができる有用なツールとして、現地に派遣する職員などにこうした端末を導入しようという自治体もあるとのことです。
県行政にタブレット型端末を導入するに当たっては、そのメリットとデメリットをつぶさに検討する必要がありますが、その上で、私は、こうした端末の導入、活用については、県みずからがまず取り組んでいくべき課題ではないかという思いを強くしたのであります。
その理由の一つ目は、業務の広がりであります。薄型、軽量、コンパクトで持ち運びに便利なタブレット型端末は、インターネットへの接続環境を確保すれば、いつでも、どこでも知りたい情報を確認することができ、時間や場所にとらわれない柔軟な業務運営が可能になります。
二つ目は、ペーパーレス化による業務改善と経費の削減であります。
先ごろ、ソフトバンク社が社内業務で紙を使わないペーパーゼロ宣言を行い、紙ゼロの取り組みを始めたことが新聞などで報道され、世間の大きな注目を集めたことはまだ記憶に新しいところです。
社内での資料や情報共有は、グループの全社員約二万人に支給したタブレット型端末などを使い、紙を使わないことでコストの削減と生産性の向上につなげていこうというものであり、このような取り組みは、環境負荷の少ないエコな取り組みとしても十分評価すべきものと考えます。
そのほかには、業務の効率化や非常時の対応などが挙げられます。配付資料のコピーが必要なく、関係者間でタイムリーな情報共有が可能となるほか、説明ツールとして用いれば、動画などを使うことで視覚や聴覚に訴えられる優位性があります。また、災害時、緊急時の迅速かつ正確な情報収集、伝達にも役立ちますし、端末を使った位置確認を行うこともできます。
一方、こうした情報機器を導入するに当たっては、導入のコストを見据えた費用対効果やセキュリティーなどの安心・安全対策の視点が欠かせません。
まず、コストとしては、端末の導入時にかかる初期費用や運用に伴い、一台当たり月数千円の維持管理費が見込まれます。
次に、端末の紛失、盗難、情報セキュリティー対策を考慮する必要があります。情報のリスクに関しては、最新のクラウドコンピューティングの技術を用いて、端末側で保護すべき情報を持たない取り扱いが主流でありますし、端末の管理についても、管理する端末の情報を収集して一元管理する専用のシステムを導入し、利用を制限する機能や、遠隔操作によって端末をロックする機能により、不正利用や第三者による悪用を防ぐ取り組みが行われています。
以上、タブレット型端末を県行政に導入する際のメリットとデメリットを総合的に勘案いたしますと、その導入の効果は非常に大きいものと考えます。物づくり愛知として時代性を見据え、環境をも考え、取り組むべき課題として提案いたします。
そこでお伺いします。
タブレット型端末の活用について、本県における現在の状況はどのようになっておられるのでしょうか。また、今後の活用についてどのようにお考えになっておられるのでしょうか。
続きまして、愛知用水を活用した小水力発電についてお尋ねいたします。
愛知用水は、昨年、通水五十周年を迎え、その記念事業として、水源地感謝祭や記念式典など、さまざまな行事が行われました。私も、昨年九月二十三日に愛知県産業労働センターで盛大に開催された記念式典に参加させていただきました。愛知用水の偉大さを改めて実感いたしました。
愛知用水は、長年水不足に悩まされた知多半島に遠く離れた木曽川の水を送ろうという壮大な構想を提唱した知多市の篤農家、久野庄太郎氏と、安城農業学校の教諭、浜島辰雄氏らの熱意が実を結び、農業用水、水道用水、工業用水を備えた全国初の総合水利開発事業として建設されました。私の住む名古屋市南区を含む名古屋南部臨海工業地域にも工業用水が供給され、製造品出荷額日本一を続ける本県産業の原動力となっております。
さて、このように本県発展の原動力となった愛知用水には、現在、用水を利用した本県唯一の小水力発電所である東郷発電所が稼働しています。昨年三月に発生した東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故から一年三カ月が経過いたしました。昨年の夏は、原子力発電所の稼働停止によって厳しい節電対策が強いられ、県民生活に深刻な影響が生じました。この夏も、昨年に引き続いて厳しい節電が避けられないものと思われます。
このような中、地熱、風力、太陽光、小水力といった再生可能エネルギーが脚光を浴びています。再生可能エネルギーの利用を促進することは、二酸化炭素を削減することによって地球温暖化対策にも寄与するものであり、本県においても積極的に取り組んでいく必要があるものと考えられます。
こうした再生可能エネルギーのうち小水力発電に関して、大村知事は記者会見などで、愛知県は農業用水を利用した小水力発電のポテンシャルが非常に高く、日本一を目指す旨の発言をされておられます。
そこで、私は、昨年からのさまざまな動きの中で身近な東郷発電所の存在を知り、ぜひその施設をこの目で見たいと思いましたので、先日、東郷発電所の管理者である独立行政法人水資源機構に見学をお願いしましたところ、快く引き受けてくださいました。
東郷発電所は、愛知用水のほぼ中間地点、東郷町にある愛知池の直下に設置されていました。愛知池は総貯水量九百万立方メートル、堤防の高さ三十一メートルの巨大な調整池であり、木曽川からの取水量と需要地点への供給水量の時間差を調整するなど、大変重要な役割を果たしているとのことであります。
発電所では中の機械も見学させていただきました。私は、発電所というのは大がかりで複雑な機械でできているものと考えておりましたが、実際には想像していたよりずっとコンパクトな構造であることに大変驚きました。
しかし、このようにコンパクトでありながら、東郷発電所の最大出力は一千キロワット、年間の総発電量は約七千三百メガワット時で、これは一般家庭の約二千二百世帯が一年間に消費する電力量に相当するとのことでした。
この発生電力の利用状況をお伺いしたところ、次のようなお答えをいただきました。
発生した電力は、まず、発電所の近くにあり、愛知用水の取り入れ口から下流までで遠隔監視・制御をしている愛知用水総合管理所で利用されますが、まだ多くの余剰電力が発生するため、これを電気事業者に売電することによって、関係土地改良区や愛知県企業庁など、ユーザーの負担軽減に充てられているとのことでありました。
こうした中、来月からは、発電した電気をすべて電力会社が買い取る再生可能エネルギーの固定価格買取制度がスタートします。先日決定されました中小水力発電の調達価格によりますと、二百キロワット未満で三十五・七円、二百キロワット以上一千キロワット未満で三十・四五円、一千キロワット以上三万キロワット未満で二十五・二円となっており、採算性の飛躍的な向上が期待されています。
愛知用水では、幹線水路百十二キロメートル、支線水路一千キロメートル以上の長大な水路に豊富な水が絶えず流れていることから、東郷発電所以外でも小水力発電の大きな可能性を秘めているものと思われます。
そこでお尋ねいたします。
愛知用水には、今後、小水力発電の可能性がある候補地がどれくらいあるのかお伺いいたします。また、そうした候補地での小水力発電施設の整備に向けてどのように取り組んでいかれるのかをお伺いいたします。
これにて登壇の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
- 12:◯地域振興部長(近藤正人君) 本県におけるタブレット型端末の活用についてお答えをいたします。
まず、現在の活用状況についてでございます。
iPadなどのタブレット型端末は、画面の見やすさやタッチパネルによる直観的な操作性などすぐれた点があり、パソコンやスマートフォンと並んで高度情報社会における主要なツールの一つとされております。
昨年度策定をいたしました本県の情報化の総合指針でありますあいちICTアクションプラン二〇一五でも、タブレット型端末やスマートフォンなど、携帯情報端末を活用した業務改善を目標の一つと位置づけたところであります。
そこで、まず、職員が実際にタブレット型端末に触れ、基本的な機能を体験するため、試験的に機器を導入し、各部局に貸し出す取り組みを始めております。これまでに六部局十課に対し貸与を行い、タブレット型端末の有効性を実感してもらうとともに、イベント会場で来場者に対し、既存の動画や写真を見せるなど、効果的な広報、プレゼンテーション手法の検証等に利用しております。
さらに、道路や河川の整備などで現地において地権者への説明に利用するため、用地補償をわかりやすく解説した動画を建設部と共同で作成するなど、将来の導入に向け試行的な取り組みも行ったところであります。
次に、今後の活用についてであります。
タブレット型端末は、携帯性などパソコンと比べよりすぐれた特性を有しておりますが、現在、職員の業務利用において大半を占める文書や図表の作成、編集では、キーボードとマウスを備えたパソコンのほうが使い勝手がよいのが実情でございます。
また、職員が利用する行政情報通信ネットワークには、個人情報を初めとする重要情報が流れておりますので、タブレット型端末を出張先など職場以外から接続するには、不正アクセスによる情報漏えいの防止など、セキュリティー面での課題が多くございます。
このため、すべての業務においてパソコンにかわる新しいツールとして導入することは現時点では難しいと考えております。しかしながら、先ほどの用地補償の例のように、県民の方々へのわかりやすい説明や、文化施設での音声や画像を用いたきめ細かな案内など、タブレット型端末の優位性が認められる業務があることも確かでございます。
したがいまして、まずは交渉業務や案内業務など、庁舎外で行う業務への導入を前提に、タブレット型端末の特性を生かした効果的な活用方策などについて、関係部局と連携して検討を進めてまいります。
以上でございます。
- 13:◯農林水産部農林基盤担当局長(溝田大助君) 愛知用水を活用した小水力発電についてお尋ねをいただきました。
まず、愛知用水における小水力発電の今後の候補地についてでありますが、昨年度、県で実施いたしました概略調査の結果では、落差利用型発電機の設置が可能な落差一メートル以上の施設が独立行政法人水資源機構が管理する幹線水路で四カ所、土地改良区が管理する支線水路では七十九カ所ございまして、最大出力の合計は約三千七百キロワットでございました。
今後、これらの施設ごとに通水量の時期的変化や有効落差などを精査し、最適発電規模や発電機の形式等を検討の上、事業の採算性を含め設置の可能性について、順次検証していく予定でございます。
次に、こうした小水力発電施設の整備に向けた今後の取り組みでありますが、幹線水路を管理する水資源機構では、福島第一原子力発電所の事故を契機として、小水力発電の積極的な導入を図ることとして全国的な調査も進めておりますので、県といたしましても、その推進にしっかりと協力してまいりたいと考えております。
また、支線水路における小水力発電施設の整備につきましては、管理者である土地改良区や関係市町と十分な連携を図りながら、国の補助事業、交付金事業を有効に活用して、計画的な事業推進に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 14:◯知事(大村秀章君) 農業用水を利用いたしました小水力発電につきまして、私からもお答えを申し上げます。
議員お示しのように、愛知用水は、豊かな水を供給し続けることによりまして、本県の産業と県民生活にはかり知れない恩恵をもたらしております。そして、今、我が国のエネルギー政策が大きな転換期にある中、再生可能エネルギーという新たな分野でも大きな社会貢献を果たし得るものと考えております。
本県では、幾多の先人の御努力によりまして、愛知用水、豊川用水、明治用水など、多くの大規模用水がくまなく整備されたことにより、農業用水の水路密度は全国一を誇っておりますので、このすばらしい財産と、そこに秘められた小水力発電のポテンシャルを十二分に活用していかなければならないと考えております。
そうした考え方のもとで、本県の小水力発電が今後迅速かつ効果的に推進できるよう、国に対しましては、一級河川において既に許可されている水利権の範囲内で行う小水力発電の許可権限を国土交通大臣から知事へ移譲することなどを内容とする構造改革特区や、農業関連施設に限られている電力供給先を地域の公共施設にも拡大する助成対象の見直しなど、さまざまな提案を行っているところでございます。
要は、いろんな規制がありまして、なかなかやろうと思いましても、結構国との協議とか、例えば農業用水の関係のものだと、農業用水で発電施設をつくりますと、電力供給先が農業関係だけだとかいう、そういう規制もありまして、非常に使い勝手が悪いということなので、これをもうちょっと地域で機動的、弾力的にやれないかということを今提案させていただいているところでございます。
今後、再生可能エネルギーの利用を加速していく上で、農業用水を利用した小水力発電は重要な役割を果たすというふうに考えております。したがって、国、水資源機構や関係土地改良区、関係市町村などと新たな推進体制を早期に整備いたしまして、小水力発電におきましても日本一を目指してまいりたいというふうに考えております。
- 15:◯五十番(岡江智子君) ただいま丁寧な御答弁をいただきありがとうございました。
現在、職員が利用しているパソコンをタブレット型端末に置きかえて業務利用することは、セキュリティーの点で多くの課題があり、そうした活用は非常に困難であることは了解いたしました。しかしながら、タブレット型端末の携帯性や操作性といった機能上の優位性を考えますと、行政の他の分野においては活用の可能性は十分に残されているのではないかと思います。
県当局におかれては、あいちICTアクションプラン二〇一五に基づき、今後、タブレット型端末の活用、可能性を検討していかれるということですので、ぜひとも計画期間中には検討の成果を上げ、具体的な活用が進められるようお願いいたします。
続きまして、愛知用水を活用した小水力発電ですが、知事さんから力強い御答弁をいただきました。
一点御要望させていただきます。
農業用水の支線水路にピコ水力発電やマイクロ水力発電などもエネルギーの地産地消の観点からぜひ御推進よろしくお願いいたします。
以上、要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
- 16:◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。
石井芳樹議員。
〔四十五番石井芳樹君登壇〕(拍手)
- 17:◯四十五番(石井芳樹君) それでは、通告に従い、順次三項目についてお伺いをいたします。
一項目めは、警察行政についてのうち、警察施設の建てかえ計画についてであります。
警察署とは、警察法第五十三条を根拠に設置される都道府県警察の出先機関であります。全国では、平成二十三年三月現在で千百八十四署があり、愛知県では、四十六署が県民の安心・安全を守るため日夜業務を行っております。
その中、愛知県の警察署の特徴は、全国の署に比べて築三十年以上が経過した老朽化した署が多く見られることであります。平成二十三年三月現在、県全体の署で実に六五・二%を占める数字となっております。これは、埼玉県が約四〇%、兵庫県が約四五%、大阪、神奈川でも約五割弱という数字の中で、全国平均でも四八・五%であることをかんがみますと、極めて本県は老朽化した署が多いことがわかってまいります。
これを古い順に並べますと、豊川署が経年四十七年、蒲郡署が四十四年、蟹江署が四十三年と経年ワーストスリーに挙げられます。さらに詳細を申し上げれば、警察署に付随する公舎施設、すなわち寮、待機宿舎、公舎等も含めると、これらの待機施設全九十棟のうち、築三十年以上を超えるものが八十三棟とその大部分を占め、老朽化や改修工事の未施工で入居不能な施設が年々増加しているのが現状であります。
本県の過去十年の警察署の建てかえを振り返ってみても、春日井署、田原署の建てかえは、老朽化に伴ってのものというより、どちらかといえば、春日井署は留置所の増設、田原署は免許窓口の設置など、その他の要素が加味をされての初めての建てかえという意味合いが強く、老朽化を目安としての建てかえは二の次になっているような感があります。
あわせて、近年の防災意識の高まりから、県警は平成八年度より順次耐震診断を行ってまいりました。基準はIs値が〇・六以上なら大丈夫との判断から各署の点検を行ったところ、三十三署のうち二十九署に補強が必要と診断され、順次、今日に至るまで耐震補強工事が行われてまいりました。
そのうち、Is値基準を下回る警察署は、現在では豊田署だけでありますが、こちらは平成二十七年に建てかえ計画がありますので省きますと、特に問題であるのは、耐震診断数値でも、先ほど申し上げた署に付随する待機施設であります。耐震工事が必要な施設は、全九十棟のうち実に四十五棟と五〇%に工事が必要な状況にあります。
さらには、耐震診断が始まってから現在十五年以上が経過し、劣化の度合いも進んできている中で、Is値の再度点検も行っていかなければなりません。先ほど申し上げたとおり、Is値が〇・六以上なら大丈夫との判断から各署点検を行ってきましたが、これはあくまでも倒れたり崩壊したりする危険性が低いということであり、一回の地震には耐えることができても、大地震後に数度となく来る余震に本当に耐えることができるのか、そして、地域の治安を担う拠点として活動ができるのかは疑問があります。
昨年の東日本大震災の事例を見ても、発災後の警察官が地域で果たす役割は非常に大きく、例えば、津波警報、注意警報が発令された後は、地元の警察署においては、パトカー等による広報活動や、沿岸部での避難誘導を行ったことにより多くの人命が救われましたし、津波後も多くの警察官が人命救助や捜査に当たったことは記憶に新しいところであります。また、信号機の倒壊、道路の冠水など交通基盤に大きな障害が生じる中で、交通整理の実施や避難所、仮設住宅を初め、被災地域のパトロール等で犯罪抑止や検挙に努めてきたのも警察官であります。
私も被災地に赴き、被災者の声の中に、被災直後、光を失った何も見えない漆黒のやみ夜の中で、ただそこに警察官が、パトカーが巡視してくれるだけで心の安心につながったと切実なる声を聞かせていただきました。
その中、次に、津波の観点から個別に各署を見てみますと、例えば、蟹江署は海抜ゼロメートル地帯に署が建設をされており、津波や大規模水害の発生時には署が浸水する危険性が内在をし、さらには、地域司令室が一階に設置されていることを考えますと、浸水時には活動機能が停止するおそれがあり、救援、救助活動の拠点として本当に機能できるのかという疑問もあります。また、蒲郡署でも同様に、市民病院や消防署が高台に移転する中で、警察署は海岸から約五百メートル地点に立地しているため、蟹江署と同様のケースが想定をされます。
今後は、さまざまな事例を検討課題に入れた中で長期の建てかえ計画が必要に思われます。現状では、豊田署が治安悪化に伴い、平成二十七年度に機能強化も含めた建てかえ工事を行う予定でありますし、また、現在、名北分庁舎でも建てかえ準備に伴い地質調査を行っているところだと聞いております。
しかしながら、長期における署の建てかえ計画案はいまだ示されておらず、不透明感が漂う中、今後さらに各地域の建てかえ要望は増してくるものと予想されますし、あわせて、県内各警察施設は、つくる速度よりも使えなくなる施設のほうが徐々にふえ、最終的には初期体制の警察力の確保が不十分になったり、警察活動の地域基盤の脆弱化につながるものだと思うところであります。
さらに、警察署としては、しばしば問題として提起がなされるのが狭隘化についてであります。県内狭隘度ワーストスリーは、稲沢署、津島署、愛知署の順であります。これらの署では、取調室の狭隘や面会室の不足、さらには相談者のプライバシーが確保されないなど、問題を抱えております。
これら混在する問題を解決するには、現在の県の仕組みでは、県警本部が毎年度ごとに警察施設の建てかえを財政当局に要望しております。単年度の要望では、その時々の景気や県の財政状況もあり、見通しの立った建てかえ計画は行うことはできません。今後は、他県に見られるように、毎年一定の施設費をつけることにより、経済状況に左右されることなく計画的に署の狭隘化対策や建てかえを行えるような仕組みづくりが必要だと思いますが、県としてどう考えていくつもりなのかお伺いをいたします。
次に、各論になりますが、私の地元愛知署についてお伺いをいたします。
愛知署は、警察署建てかえの話が出るたびにいつも取りざたされる署でありながら、いつも建てかえ工事には至らない署であります。愛知署は、全国でも有数の人口増加地域である長久手、日進をエリアとし、東郷、豊明を管区とする東部丘陵地域に立地をし、名古屋市、豊田のベッドタウンとして急速に発展してきた地域であります。
過去五年間で一万人以上の人口が増加をしており、多くの流入人口のある中で、不名誉な記録ではありますが、平成二十三年度の刑法犯認知件数多発交番ランキングでは、一位が名古屋中署栄交番の九百二十二件、二位は西署小田井交番の八百十九件、そして、三位に愛知署長久手交番の八百十一件と続き、しかも、六位の岩崎交番、八位に浅田交番と、トップテンの中に愛知署管内交番が三つもランクインしております。また、重点罪種認知件数でも、トップテンのうち一位、二位、六位が愛知署管内の交番であり、さらには、刑法犯認知件数を各警察署の人員で割り算をすると、警官一人当たりの扱う犯罪件数が算出されるわけでありますが、こちらも件数は県下トップであり、いかに少ない人員で多発する犯罪に対応しているかがわかります。
また、建物を見ますと、築三十七年が経過する中で深刻なのは狭隘化の問題であります。ふえ続けるエリア内の人口増に対応するため、建設当時は約百人の警察官定数が想定であったのが、現在ではその二・五倍に当たる約二百四十人以上の人員が働いております。今では、本館では人員をすべて収容することができないために、万博の際に応急的に建てられたプレハブを交通別館として使用しておりますが、トイレ、水場がない中で業務を遂行しているのが現状であります。また、この別棟を除くと、愛知署は狭隘化でも県内一位の署であります。
また、耐震問題についても挙げられます。耐震診断で庁舎のIs値が耐震工事を不要とされる基準値と同じ最低ラインの〇・六という低い数値であります。署管内は立地場所も含めて軟弱な地盤が広範囲に分布をしており、既に庁舎西側の階段部分では階段一段分が地盤沈下をしております。
以上、ハード面で深刻な問題を抱える中で、愛知署は、建物だけの問題にとどまらず、建てかえを行うことにより定員数もゆとりができることで、さらなる警察人員を配置し、地域の防犯強化に努めることが期待をされております。管内では、ふえ続ける犯罪に対応するために早期の建てかえを望む声が多数あります。これらを踏まえて、県として今後の対応としてどのように考えていくおつもりなのかお伺いをいたします。
警察行政最後は、飲酒運転撲滅であります。
政府は、先月二十九日の閣議で、二〇一二年版交通安全白書を公表いたしました。それによると、二〇一一年の交通事故による死者数は、前年度より二百五十一人少ない四千六百十二人で、十一年連続の減少であり、飲酒運転による死亡事故の発生も十八件減少の二百六十九件で、警察庁の記録に残る一九九〇年以降で最少となったとありました。
理由づけといたしましては、シートベルトの着用率や飲酒運転の罰則強化などが列挙されておりましたが、しかし、その一方で、同じ日の別の夕刊の見出しには、「車突っ込み高一死亡 津島の道路わき 容疑者逮捕 酒飲んだ」との記事が。あわせて、同日の別の夕刊にも、「飲酒の死亡事故急増 愛知全国最多 ことしに入り十件」との記事もありました。
私は、ちょうど一年前の六月議会の一般質問で、同様に飲酒運転根絶について質問をさせていただきました。その中、県民の飲酒運転に対する意識の醸成をどのように図っていくつもりなのか、また、飲酒運転根絶のための条例制定に対して県のお考えをお尋ねしたところ、県は、各種運動など、飲酒運転をしない、させないための諸活動を積極的に展開し、地域社会が一体となって飲酒運転根絶の環境づくりに一層努めていきたいとの答えや、条例については引き続き研究していきたいとのことでありました。
あれから一年がたち、全国的には減少傾向にある飲酒運転による死亡事故が、愛知県に関しては全国ワーストワンという不名誉な現実を改めて直視しますと、県が積極的に努めてきたはずの飲酒運転根絶のための諸対策が果たして有効であったかどうか考えさせられるところであります。
あわせて、県内における交通事故について調べたところでも、本年五月現在で人身事故が一万九千七百二十六件で、そのうち飲酒運転が関係するものが百十五件あり、前年同期に比べ三十件増加をしております。また、ことしもワーストワンを続けている交通死亡事故については九十二件であり、そのうち飲酒運転が関係するものが十一件と、こちらも前年同期と比べると九件増加している現状であります。
その中、愛知県が条例の研究を続けている間に、あの痛ましい幼児三人が犠牲となった飲酒運転によるひき逃げ事故が起こった福岡県では、ことし二月の議会で、議員提出による福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例を全国初の罰則つきの撲滅条例として制定しました。これは、県民の責務とすべての事業者の責務と特定の事業者の責務、すなわちお酒を提供する者、お酒を販売する者、駐車場等を所有する者、タクシー事業者、運転代行業者の責務を定め、違反者には五万円以下の過料を科すものであります。
この条例も、福岡県としてさまざまな飲酒運転撲滅対策を打つ中で、確実にその数を減らしてきた実績の上に、さらなる決意としての条例として制定されたものであります。
本県としても、現状は、交通事故死ワーストワン及び飲酒運転事故による死亡事故ワーストワンという不名誉な二冠記録の中、これを脱却するため、県警として飲酒運転撲滅のため、今後どのような対策を進めていかれるつもりなのかお伺いをいたします。
次に、県では、飲酒運転根絶のためにこの一年間進めてこられた諸対策の有効性をどのように検証されているのかお伺いをいたします。また、今後の新しい対策についてのお考えはあるのかどうなのか、条例制定についても一年間研究をされ、どのような結論に達したのか、あわせてお伺いをしたいと思います。
次に、二項目め、主要地方道瀬戸大府東海線についてであります。
瀬戸大府東海線は、名古屋東部地域及び南部地域において、瀬戸、長久手、日進、東郷、豊明、大府、東海の各都市間を南北に結び、その中心地では一日約二万五千台以上の車が行き交う交通量を持つ地域の骨格である幹線道路であり、名古屋大都市圏の環状機能をあわせ持つ路線であります。
古くは、昭和三十三年に愛知県及び沿線の首長の方々により整備促進期成同盟が設立をされ、現在に至る長い間、整備推進の要望活動は続けられております。ことしで期成同盟会設立から五十五年が経過する県下で最も古い同盟会であり、あわせて、いまだ工事完了の見通しが全く立っていないことから、一部ではこれを称して、由緒ある、または格式ある同盟会との声も聞こえるほどであります。
現在までの整備の状況は、全長約三十八キロのうち、暫定二車線整備区間も含めますと九割の約三十五キロが供用済みの状況であり、瀬戸、長久手、大府において事業が進められているところであります。
しかしながら、私の地元である長久手市においては、全計画区間のうち唯一いまだ道路がつながっていない区間でありますし、瀬戸市においても計画の見通しすら立っていない状況にあります。
また、長久手市内には、東西を走る名古屋力石線と既に平面交差で整備済みの瀬戸大府東海線の区域とする土地区画整理事業が進められておりますが、この地域も将来は立体交差の計画になっているなど、長久手市内の瀬戸大府東海線には供用開始区間においても整備を必要とする箇所が残されているわけであります。
このように、瀬戸大府東海線の完成にはまだまだ多くの事業費が必要であります。当然のことでありますが、予算あっての道路であります。県全体のバランスを見て道路予算を配分していくことは重々承知をしております。しかしながら、常々県がこの路線はしっかりと行っていくという強い言葉とは裏腹に、同盟会の歴史を刻むように、結果としてその予算措置と計画性には大きな隔たりを感じるところであります。
実際、県の建設部道路建設関係補助予算を見ますと、平成十九年に二百七十七億円、二十年に二百八十一億円、二十一年に二百八十二億円、二十二年に二百二十四億円、二十三年に二百七億円、そして、本年度は当初予算で二百十億円となっております。最も予算の多かった平成二十一年度予算から今年度当初予算の比較では、二割五分の道路補助予算の減少となっております。
それに比べて、長久手市内においての当初予算を見ますと、平成十九年度、三億八千万円、二十年一億九千万円、二十一年、三億円、二十二年、二千万円、二十三年、六千万円、そして二十四年度は四千万円となっており、余りにも大きな削減幅であることがわかります。路線の補助率は、国が五五%、県が四五%でありますので、国からの予算づけが大きいことは承知をしております。また、さらに時代背景として、リーマンショックや税制の改正、さらには政権交代等、経済、政治の影響によるものであることも重々承知はしております。
しかしながら、長久手市内で事業中の区間でも、いまだ三十筆以上の買収を行っていかなければならない中で、その予算規模を見ますと、約一筆分の買収費しかついていない現状にあります。さらに、事業区間には橋梁などの構造物も存在し、今後かかるであろう事業費は大きいことから、予算規模では完成がいつになるか甚だ心もとない状況にあります。
そこでお伺いをしたいと思います。
現在の長久手市内の事業中区間の進捗状況と、県道田籾名古屋線から北側区間について、早期に用地買収に着手することを望む声が地元から上がっておりますが、この区間についての県の所見を伺いたいと思います。
最後に、消費生活相談体制の強化についてお伺いをいたします。
県における消費生活相談件数は、平成二十三年度、四万二千四百九十五件となっております。その内訳は、県での受け付け件数一万六千九百七十二件、市町村での受け付け件数二万五千五百二十三件となっております。
その中、昨今、国の消費行政に関する経緯は、平成二十年度第二次補正予算において、生活の安心を確保するため、消費者行政の抜本的な強化を掲げ、平成二十一年度から三年間、地方公共団体における消費生活相談窓口の強化に集中的に取り組むため、地方消費者行政活性化交付金を都道府県に交付し、同九月には、各省でばらばらであった消費者行政を一元的に担い、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現を目指して消費者庁が創設されました。
また、同年、消費者行政にかかわる基準財政需要を総額約九十億円から約百八十億円に倍増し、その中には、消費生活相談員の報酬を年額約百五十万円から約三百万円に倍増する措置も講じてまいりました。
これら国の一連の動きの中で、県も消費生活に関する施策について総合的、計画的に推進するため、平成二十二年度から五カ年を計画期間とする愛知県消費者行政推進計画を策定するとともに、国の地方消費者行政活性化基金を造成いたしました。
現在では、この基金を利用して、当初の目標であった県下すべての市町村で相談窓口が開設され、徐々にではありますが、相談員のスキルアップも含め、相談体制の強化に努めている途中であります。
しかし、その一方で、県は、平成二十三年十二月に行革大綱に係る重点改革プログラムを策定いたしました。そのうち、消費生活相談体制の見直しとして、相談については、これまでに市町村で相談窓口の設置が進んだことを踏まえて、県の役割は、県民生活プラザでの高度な相談対応や、広域調整に特化するなど、相談体制を今後見直し、具体的には、本年度までに市町村の相談体制の検証を行い、県と市町村の役割分担にかかわる考え方を示し、あわせて、県においても、規模縮小も含めた県民生活プラザの相談体制の見直しを行うとの計画案でありました。
しかしながら、市町村の相談窓口の現状はすべて整ったといっても、その実態は、国が望む週四日の相談体制を行うことができる市町村はごくわずかで、五十四市町村中三十二市町村と全体の約六割が開催日数が週一日以下という状況であり、中には、相談員が消費生活相談員ではなく、職員がその任に当たっているところもあります。
また、市町村の相談窓口設置には、国から市町村へ財政的な支援である消費者行政活性化基金が果たす役割が大変に大きく、この基金により市町村は、相談窓口の設置や拡充、さらには相談員のスキルアップに努めてきたわけでありますが、本年度、この基金も打ち切り予定となっております。
今後は、せっかく開設した相談窓口も基金による支援を失えば、市町村単独で相談体制を維持するのは大きな負担となっております。また、スキルアップが求められる相談員においても、国民生活センターの認定を得るなど、高度な知識や実務能力が必要であるにもかかわらず、相談員は一年雇用で嘱託がほとんどであり、その中、雇いどめを行う自治体も見られます。
このような状況下では、現場で培った経験や専門性が生かされないことにつながり、よいサービスを提供し続けるには、ある程度の期間、身分の安定を考えていく必要があると思います。
同時に、相談員は、数多い消費者関連法の知識はもとより、最新の商品知識、さらには解約に関する文書の作成や、事業者との交渉等を行うための知識と経験、そして、自主研修や情報収集等、多くのものを兼ね備えていなければなりません。しかし、実態は、スキルアップにつながる相談員の研修参加支援や参考図書の購入等は、県下市町村を見ますと、決して充実しているとは言いがたい状況であります。
私の地元である相談員さんにお話を伺うと、相談はかなり個人のプライバシーや財産権といった人権に踏み込んだ内容となるので、相談に際しては、相手の心を開くのに丸一日かかることもあり、相談者の信用を得ないと先には進まない。もっと言えば、本当に相談しないといけない人がなかなか相談に来ないという実態があるとおっしゃっておりました。
県内各市町村では、弁護士、司法書士の高度で専門的な知見を利用した相談に応じられる窓口の設置や、役所各課を横断したワンストップサービス等を望む現場の声も多く聞こえてくる中で、県として、今後、行革大綱に係る重点改革プログラムに基づき、消費生活相談体制に関してどのように見直しを行っていくおつもりなのかお伺いをいたします。
また、平成二十四年度の消費者行政活性化基金の終了後も今のサービスを維持していくには、県から市町村への支援は必要と考えますが、市町村への消費生活相談体制に対して、具体的にどのような支援を行っていくのかお伺いをいたします。
以上、三項目について質問をさせていただきました。理事者の明確な答弁を御期待申し上げまして、壇上からの質問を終わります。(拍手)
- 18:◯総務部長(中西肇君) 警察施設の建てかえにつきましてお答え申し上げます。
警察署を初めといたします県有施設につきましては、定期的なメンテナンスや改修、さらには狭隘化対策、老朽化に対応した建てかえを着実に進める必要があると認識してございます。
一方、東日本大震災を踏まえますと、まずは県有施設の耐震対策が喫緊の課題となってございまして、特に県立学校につきましては、生徒の皆さんの安全を確保する観点から耐震改修の一層の推進を図ることとし、重点的に取り組んでいるところでございます。
また、警察施設につきましても、治安や災害対策のかなめでございます警察本部庁舎の耐震改修を進めており、今年度から耐震改修工事に取りかかる予定としてございます。
現在の大変厳しい財政状況を踏まえますと、計画的に警察施設を建てかえることは困難な状況ではございますが、愛知警察署を初めといたします警察施設の狭隘化対策、あるいは老朽化に対応した建てかえにつきましては、県民の皆様の安心・安全の拠点として重要性をしっかりと認識した上で、財政状況や県有施設の全体の状況も踏まえまして、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
- 19:◯警察本部長(河邉有二君) 飲酒運転撲滅のための今後の対策についてお答えいたします。
飲酒運転撲滅のための対策につきましては、昨年に引き続き、本年も業務の重点の一つに掲げ、年初来、諸対策を推進しているところであります。特に、飲酒運転の取り締まりに関しましては、本年五月末現在で検挙件数は昨年同期を上回っております。
一方で、飲酒運転による交通事故は、議員お示しのとおり、増加傾向となっているなど、依然として警察の取り締まりを巧妙に逃れながら飲酒運転を敢行する者が多く潜在しているものと認められるところであり、今後もその撲滅に向けた取り組みを一層推進していく必要性を感じているところであります。
飲酒運転の撲滅を図るためには、徹底した取り締まりを推進するとともに、運転者の検挙のみにとどまることなく、車両や酒類を提供した者、同乗者等の責任についても追及捜査を行うなど、飲酒運転を助長している者への取り締まりをさらに徹底してまいります。
また、飲酒運転の悪質性や危険性、事故実態、飲酒運転違反の罰則等について周知徹底を図るとともに、交通安全教育用資機材の活用を初めとした参加体験型の交通安全教育を推進するほか、自治体、酒類販売業者、飲食店等と連携した広報啓発活動や、運転代行サービスの利用促進に努めるなど、飲酒運転を絶対に許さない社会環境づくりや意識の浸透に引き続き努めてまいります。
なお、飲酒運転による事故が多発する七月を飲酒運転根絶対策の推進月間と定め、取り締まりを強化するとともに、県内一斉飲酒運転根絶キャンペーンを実施することといたしております。
今後とも、自治体を初め、関係機関、団体、地域住民の皆様方と連携し、飲酒運転撲滅に向けて全力で取り組んでまいります。
以上でございます。
- 20:◯県民生活部長(大野明彦君) まず、飲酒運転根絶のための諸対策についての御質問にお答えいたします。
本県では、交通安全県民運動の取り組み重点に飲酒運転の根絶を掲げておりますが、飲酒運転の根絶は県民一人一人の自覚とモラルによるところが大きいことから、これらを喚起する啓発活動に県民総ぐるみで努めているところでございます。
飲酒運転による死亡事故件数は、平成二十三年は十件であり、前年の二十二件に比べて五四・五%と大幅に減少したことから、これまでの取り組みに一定の効果はあったものと思われます。
しかしながら、今年に入りましてからは、議員御指摘のとおり、顕著に増加しており、五月末現在で十一件と、既に昨年一年間の件数を上回っているところであります。現在の状況をかんがみますと、これまでの対策の徹底に加え、新たな対策を検討する必要があると考えております。
今後の新しい対策についてでございますが、議員お示しの飲酒運転根絶のための条例につきましては、現在、大分、宮城、山形、沖縄及び福岡の五県で制定されているところであり、県内の市町村においても、交通安全条例等において規定しているところがふえております。
飲酒運転の根絶には、一人一人の自覚とモラルを向上させる地道な啓発活動が基本であると考えておりますが、条例は飲酒運転をさせない環境づくりの手法の一つになり得るものと考えられます。
今後、既に条例を制定している県での効果を見きわめながら、県警察と十分な意見交換の上、検討してまいりたいと考えております。
次に、本県の消費生活相談体制の見直しについてお答えいたします。
消費者安全法においては、市町村は、住民に身近な相談窓口として第一義的に相談対応を行い、県は、市町村の区域を超えた広域的な見地や高度な専門性を必要とする相談に対処することとされております。
このため、平成二十三年十二月策定の行革大綱に係る重点改革プログラムでは、このような県と市町村の役割分担を踏まえ、県民生活プラザにおける相談体制の見直しの検討を行うこととしております。
平成二十四年度中には、市町村の相談体制の実情や今後の意向を十分把握した上で、より具体的な県の考えをお示ししたいと考えております。
さらに、これまでも行ってまいりましたが、市町村に対し、相談窓口の開設日数の増加や周辺市町村との共同運営など、地域の実情に応じた相談体制の充実強化の働きかけを引き続き行ってまいります。その結果を踏まえて、県民生活プラザにおける相談体制の見直しの検討を行うこととしております。
続きまして、市町村の消費生活相談体制に対する県の支援についてお答えいたします。
本県では、八カ所ある県民生活プラザに知識、経験の豊富な消費生活相談アドバイザーを配置し、市町村の相談員に対し、迅速かつ適切な相談処理ができるようサポートしたり、さらに相談対応力を高めていただくための研修会を開催しております。
また、実務経験豊富な県の消費生活相談員が市町村を巡回し、相談員や担当職員に対して、相談の対応や困難事案の解決等に関して直接助言などを行い、実務能力の向上を図っております。
さらに、住民の皆様がお住まいの市町村の相談窓口だけではなく、近隣市町村の相談窓口も利用できるよう、地域の実情に応じた広域連携を促進するなど、県と市町村が一体となって相談体制の強化に努めてまいります。
いずれにいたしましても、基金終了後も市町村の相談体制がさらに充実するよう、こうした取り組みを通じまして、引き続き市町村に対し支援を行ってまいります。
私からは以上でございます。
- 21:◯建設部長(近藤隆之君) 私からは、主要地方道瀬戸大府東海線の長久手市内の事業の進捗状況についてお答えをいたします。
本路線は、名古屋の東部から南部における名古屋都市圏の環状機能を持ち、都市間の連携強化はもとより、交通の円滑化、市街地の活性化などに大きな役割を果たす重要な幹線道路でございます。
長久手市内におきましては、事業区間約一・二キロメートルのうち、早期に事業効果を上げるため、南側の名古屋長久手線から田籾名古屋線までの約〇・九キロメートルで重点的に用地買収を進めており、現在までに八四%を取得しております。残りの用地につきましては、交渉が難航しているところもございますので、長久手市の御協力も得ながら、引き続き鋭意取得に努めてまいります。
また、田籾名古屋線から北側の区間につきましては、変形の四差路となっている大草交差点に、瀬戸大府東海線がさらに斜めに接続する複雑な交差点となることから、その形状検討など、事業着手に向けて準備を進めてまいります。
しかしながら、大草交差点は現在も大変混雑しておりますので、昨年度取得した交差点北西部の用地を利用し、当面の暫定的な対応として、今年度、右折車線を設置する工事を実施し、現道の渋滞緩和を図ってまいります。
今後とも、地元の皆様の御理解と御協力を得ながら、事業の早期完成に努めてまいります。
以上でございます。
- 22:◯四十五番(石井芳樹君) 一点再質問と二点要望をさせていただきたいと思います。
まず、警察署の建てかえについて、いかに地域によって必要性があるかということを壇上にて説明をさせていただきました。その中で、総務部長さんの答弁はよくわかるわけでありますが、しかしながら、最終的に端点に申し上げますと、施設としてつけていくのかということと、愛知署について、今後どう考えていくのかをもう一度御答弁いただきますようお願いを申し上げるところであります。
そしてまた、二点要望であります。
一点は、飲酒運転であります。
愛知県では、免許の取得者と、そしてまた、車の保有台数では全国一位、二位を争う県でありますので、当然確率論からいえば、私、運転をする者にとっても加害者になり、被害者になる可能性もあるわけであります。
しかしながら、再度申し上げますが、飲酒運転は犯罪であります。自分の快楽、もしくはまあいいやという思いから乗っているのであれば大間違いでありますので、ぜひとも県民啓発、さらには飲酒運転を、酔って運転をされる運転手に対してもしっかりと取り締まりを行っていただきますよう強く要望させていただくところであります。
もう一つは、消費生活相談員であります。
昨年、私は、この議場の場で民生児童委員の待遇について質問をさせていただきました。わずかでありますが、県から補助として民生委員の活動費が削られる可能性があると思ったからであります。政治は夢を語る、そしてまた、希望を述べるのも政治でありますし、また、今、話題になっているもの、クローズアップしているものを取り上げるのも政治であります。そして、あわせて、光の当たらないところにしっかりと光を当て、額に汗する人にも予算措置を行っていくのも政治であるわけであります。
今、ともすると、拝金主義的思想が世の中を席巻する中で、昨年三月十一日の東北の震災の際には、お金ではなく、物ではなく、無形のものであるが、人と人とのつながりやきずながいかに大切であるかということを痛感させられたわけであります。そのまさに地域で無形のものに対して汗をかく自治会長さんであったり、もしくは消防団であったり、民生児童委員、消費生活相談員さん等がそれに当たるわけであります。
特に、その相談者にとっては、地域とのきずなが切れかけている、もしくは切れている方たちも多い中で、ある相談員さんにお話をすると、これらの方たちをしっかりと地域の輪に戻して、そしてまた、納税者として地域で活躍してもらうのが私たちの仕事だとおっしゃっていた相談員さんもみえたわけであります。
ぜひともその辺をしっかりととらえていただきまして、市町村の窓口、さらには相談員体制を見ながら、県の行政改革もあわせて進めていただきますようお願いを申し上げるところであります。
以上です。
- 23:◯総務部長(中西肇君) 警察施設の建てかえにつきましては、毎年度一定の枠を前提にしてという形ではございませんが、建てかえの必要性や緊急度、優先度を勘案して、これまで予算計上しているところでございます。
最近の建てかえといたしましては、春日井署、田原署と順次建てかえを進め、また、本年度には豊田署建てかえの実績に着手してございます。
また、警察本部庁舎の耐震改修を含めました予算の状況を見ますと、二十二年度は四・五億円、二十三年度は五・五億円、今年度は六・四億円となってございまして、整備内容に対応した所要額を予算計上してまいりましたが、警察施設の整備につきましては、毎年度計画的に予算を計上しているところでございます。なお、来年度は本部庁舎の耐震改修工事が本格化いたしますところから、二十億円を超える規模になるというふうに見込まれてございます。
今後、一定額の予算を創出することは難しいと考えてございますけれども、警察施設の整備につきましては、今後も必要性や緊急度を勘案いたしまして、財政状況も踏まえて、毎年度適切に対応してまいりたいと考えております。
また、愛知署におきましても、こうした中での検討をしてまいりたいと考えてございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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- 24:◯三十八番(川嶋太郎君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 25:◯副議長(澤田丸四郎君) 川嶋太郎議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 26:◯副議長(澤田丸四郎君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時四十五分休憩
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午後一時開議
- 27:◯議長(小林功君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
佐波和則議員。
〔十七番佐波和則君登壇〕(拍手)
- 28:◯十七番(佐波和則君) 通告に従いまして、順次質問をいたします。
まず初めに、橋梁等の長寿命化修繕計画について伺います。
高度成長期に集中的に整備された社会資本ストックは、今後数十年間の間に集中的に更新の時期を迎えることとなります。中でも、地方自治体が管理するストックが多く、適切な維持管理、更新に向けた施策の展開においては、国のみならず、地方自治体の果たすべき役割は極めて大きいと考えます。
特に道路橋梁は、河川、鉄道、他の道路などの上空をまたぐなど、円滑な道路交通を確保するために必要不可欠な施設であります。これらの橋梁は、長期間安全かつ便利に使用でき、周辺の道路状況や建設する地域の環境に適するように多種多様な構造や形式が採用され、建設されており、また、これらを構成している各種の部材は、いずれも橋梁の機能を長く保つために必要なものであり、どれ一つとして欠けることがあってはなりません。
そのためには、橋梁を管理する道路管理者は、日々の管理を適切に行い、年月とともに衰える機能を最新の基準に適するように判断し、補修、補強し、機能回復を図っていかなければなりません。
さらには、やむを得ずかけかえを強いられるほど損傷が激しくなるまで手を加えないといったこれまでの概念を変え、定期的な点検を行って劣化や損傷を事前に予測し、計画的に対策を行うと同時に、適切な維持管理を行い、できる限りの延命化を図る予防保全管理型への転換が求められます。
私は、昨年、建設委員会の委員として、先進的な橋梁アセットマネジメントに取り組まれている青森県を調査してきましたので、特徴を紹介いたします。
青森県の橋梁アセットマネジメントアクションプランは、五十年間の投資シミュレーション結果に基づき、予算制約のもとでライフサイクルコストの削減効果を最大限発揮できる取り組みが進められております。
具体的には、最初の五年間において、劣化、損傷が発生している橋梁の健全度を回復するために集中的に投資を行い、老朽橋梁については、今後十年間で計画的に更新を行う方針を定めた青森県橋梁アセットマネジメント三十年予算計画が策定されております。
また、橋梁に関する技術力の向上のために、県内の若手技術者や現場で維持管理を担う県内建設業者を対象とした研修会等の実施、さらには、県内の市町村管理の橋梁にアセットマネジメントを導入した場合の削減効果の推定結果の公表支援など、市町村に対しても活発な取り組みが行われています。
このように、先進的な取り組みを行っている地方公共団体が存在する一方で、全国的に見ると、アセットマネジメントの普及はそれほど進んでいないと認識しています。この背景には、定期点検によるデータの集積やシステムの構築、小まめな補修工事の実施などに一定の人材や財源確保が必要となるなど、導入に踏み込むことが難しい実態があるのではないかと考えます。
本県においても、昭和三十年代から昭和四十年代にかけての高度成長期を中心に数多くの橋梁が建設されました。最も多くの県管理橋梁が建設された昭和四十三年度には、一年で百四十八橋もの橋梁が建設されるなど、この時期には毎年百橋ほどの規模で橋梁の建設が進められており、本県の管理する橋梁約四千橋のうち、実に約半数の橋梁がこの時期に建設されているとのことであります。
これは、要するに、本県における建設後五十年を経過した、いわゆる高齢化と言われる橋梁が現在は三割程度でありますが、十年後には五割を超え、さらに二十年後には七割を超える規模へと急速にふえていくということを意味します。これほどの勢いで高齢化が進めば、致命的な損傷が起こる危険性もこれに比例してどんどんと高まっていくため、安全・安心の確保が大変危惧されます。
こうした状況を踏まえ、本県では、平成十七年度橋梁等を対象に、維持管理予算の平準化や、ライフサイクルコストの最小化並びに施設の長寿命化を図りながら、将来にわたって行政サービスを維持向上させるための必要な取り組みと、その基本的な考え方を示す社会資本長寿命化基本計画が全国に先駆けて策定されました。
その後、この基本計画の考え方に基づく橋梁点検要領が作成され、平成十九年度から、まずは橋長十五メーター以上の橋梁を中心とした約千七百橋を対象とする橋梁の定期点検が始まり、この点検結果をもとに、愛知県橋梁長寿命化修繕計画が平成二十二年三月に策定、公表されました。
この中では、従来のように橋の損傷が大きくなってから大規模な修繕やかけかえを行う対処治療法的な対応の場合、ピークの年には年間三百億円を超える規模の費用が必要となるほか、年度別の予算のばらつきも大変大きくなると試算されております。
一方で、損傷が小さいうちに見つけて補修することで大きな損傷となることを未然に防ぐ予防保全型による対応の場合、この約千七百橋に対して、今後百年間では、対処治療法的な対応と比較すると約六一%、事業費で約三千五百億円もの縮減が見込まれるほか、計画的に修繕を行うため、年度別の予算のばらつきも平準化されると試算されるなど、改めて長寿命化計画の有効性が具体的に示されたところでありますが、本計画に示された種々の方策を着実に実行されなくてはなりません。
道路は、市町村道も含めてネットワークを形成して機能するもので、市町村の橋梁についても橋梁の長寿命化は重要です。私の住む東海市でも、市の管理する橋長十五メーター以上の三十三橋を対象とした東海市橋梁長寿命化修繕計画が昨年十二月に策定、公表されました。
一方で、近隣の知多半島の十市町の計画策定状況を調べてみたところ、まだ半分の市町で計画が策定されておりません。安全・安心の確保には、市町村も一緒になって橋梁の長寿命化に取り組んでいくことが重要だと感じております。
また、橋梁長寿命化修繕計画をより有効に活用していくためには、高い精度で定期的に橋梁点検を実施し、適切な修繕を行って大きな損傷となることを未然に防ぐ、この積み重ねが重要になってきます。これには、高い技術と豊富な経験を有する点検技術者が必要であり、継続的に育てていくことが不可欠であると考えます。
そこで質問いたします。
一点目は、県内の市町村における橋梁長寿命化修繕計画の策定状況はどのようになっているのか、また、県として市町村計画の策定支援にどのように取り組んでこられたのか、今後の対応も含めてお伺いします。
二点目は、県としてどのような考え方を持って点検技術者の育成や点検技術の継承を進め、計画の実効性を確保していかれるのかお伺いします。
三点目は、橋梁と同様に、港湾や下水道、河川などの社会資本についても、効率的、効果的な長寿命化修繕計画が必要と考えますが、その取り組み状況について伺います。
次に、名古屋港国際バルク戦略港湾について伺います。
私は、名古屋港の臨海部で勤務していたこともあって、名古屋港がこの地域の経済活動に多大な貢献をしていることは身をもって感じていましたが、今年度、名古屋港管理組合の議員となり、配付された資料の中にあった名古屋港の経済効果を示すパンフレットを見て、改めて驚きました。その一つを紹介させていただきますと、愛知県の生産額七十九兆円のうち、四割に上る三十一兆円が名古屋港と何らかの関係があるとのことです。
また、皆様は、名古屋港が日本一取扱貨物量の多い港であるということは御存じかもしれませんが、貿易黒字額も十四年連続日本一の港でもあります。これは名古屋港の大きな特徴で、港の東側で鉄鉱石など原材料を陸揚げし、臨海部の工場で一次製品化された後、県内各地でさらに加工され、自動車などの国際競争力のある完成品がまたこの港から輸出されているからであり、平成二十三年の貿易黒字額は四兆七千億円となりました。
しかし、この日本一の名古屋港が今のままで今後も国内産業を牽引していけるかといえば、極めて難しい状況にあると言わざるを得ません。世界に目を向けますと、海上輸送は、船舶の大型化による一括大量輸送で、物流の効率化、コストの削減などを競っています。
現在進められているパナマ運河の拡張では、現行の二倍以上の積み荷を載せた次世代の大型船舶が通行可能となります。これらの世界的な流れに合わせて、中国や韓国などでは、次世代の大型船舶の利用を前提とした港湾整備が国の主導で着々と進められているのです。
このような中、私は、この地域の産業が国際競争力を保ち続け、名古屋港が国際産業ハブ港となるため、国際バルク戦略港湾への取り組みが不可欠であると考えており、この取り組みをしっかり推進していかなければなりません。世界的な流れを踏まえ、昨年五月、国が選定した国際バルク戦略港湾は、大型化する船舶に対応する大水深の航路、岸壁などの港湾施設整備と、大型船舶で運んだ大量の原材料を効率的に利用するための民間企業の連携などが必要となっています。
このため、名古屋港の国際バルク港湾への取り組みは、次世代の大型船舶に対応する水深十七メートルの航路、泊地の整備と、知多市北浜ふ頭から延びる高潮防波堤の内側約七十ヘクタールを埋め立てし、現在、北浜ふ頭を中心に立地する穀物関連企業を移転集約した新食糧コンビナートを形成しようとするものです。特に、新食糧コンビナート建設のためには、施設を所有し、経営している民間企業の協力が不可欠であります。
しかし、民間企業による新食糧コンビナートへの進出は、新たな需要に基づく工場の増設といったような単純な投資ではなく、新たな投資をしてでも既存の施設を廃止し、新しい効率的な設備に更新して製品のコストダウンを図り、競争力を持ち続けるかどうか、まさにそれぞれの企業の生き残りをかけた重大な決断が必要となります。
このため、国、県を初めとする行政サイドが、新食糧コンビナートに関心がある企業が進出に踏み切れるよう、企業の要望をしっかり把握し、適切かつ効果的な支援をいかに行っていくかが、新食糧コンビナート成功のために重要なポイントになってくると考えられます。
そこで質問いたします。
一点目は、この地域の生き残りをかけて臨む、この国際バルク戦略港湾施策に対して、県としてどのように取り組まれるのかお伺いします。
二点目は、新食糧コンビナートの形成を初めとして、名古屋港の国際バルク港湾の実現がかぎとなる民間企業への支援に対する名古屋港の取り組みを県としてどのように支えていくのかお伺いいたします。
最後に、地域の安全確保についてお伺いいたします。
一昔前、日本人は、水と安全はただだと思っているなどという言葉が取りざたされたこともありましたが、今、こんな言葉を口にする人はだれ一人いないのではないかと思います。
さて、本県における刑法犯認知件数は、平成五年に十万件を超え、平成十五年には、戦後最多となる二十二万六千件を数え、こうした深刻な治安状況を打開するため、平成十六年に愛知県安全なまちづくり条例が施行されました。その後、平成十八年には、十年後の平成二十七年度までに年間二十万件発生している刑法犯認知件数を半減させるという目標を掲げた新しい政策の指針が策定されるとともに、あいち地域安全緊急三か年戦略、引き続き、あいち地域安全新三カ年戦略が策定され、犯罪のない安全なまちづくりのための取り組みが推進されてきました。
その結果、この六年間で、刑法犯認知件数が八万件減少し、一定の効果はあらわれているものの、依然として、県民の生命と財産に大きな影響を及ぼす住宅対象侵入盗、自動車盗が全国ワーストワンを継続している状況にあり、このことを重く受けとめ、これらの犯罪抑止に向けては、県民への意識啓発、情報提供の推進とあわせて、より重点的に対策を講じる必要があると考えます。
こうした中、本年、新たにあいち地域安全戦略二〇一五が策定され、刑法犯認知件数を対前年比で毎年五%以上減少させ、平成二十七年度までに十万件以下とするという目標が立てられました。
この戦略についても、皆さんも御存じのこととは思いますが、目標を達成するために、防犯意識の高揚、地域の防犯力の向上、犯罪が起きない生活環境づくり、子どもの安全確保、女性・高齢者等の防犯対策、重大犯罪・多発犯罪への重点的な対策の五つを基本戦略に、そのもとに重点的に取り組む二十二の施策と、主要な八十四の事業を位置づけ、それぞれの主要事業には四年間で達成する数値目標等が設定されています。
私は、新戦略を総合的に実施するため、県、県教育委員会、県警が連携を強化し、犯罪を起こさない地域づくりを進めるべく姿勢を感じるとともに、戦略の中で重点施策の一つとして新たに加えられた防犯カメラの普及促進に目がとまりました。
最近では、東京渋谷での殺人未遂事件や、オウム真理教の高橋容疑者の捜査に関する報道において、毎日のように防犯カメラの映像を目にしており、防犯カメラに対する関心が高まっております。
そこで、防犯カメラが最も効果的に犯罪の減少につなげたと感じた一例を紹介いたします。
今から四年前の平成二十年、大阪市では、ひったくり、車上ねらい、部品ねらいという犯罪被害が政令都市の中でワーストワンでありました。市民の安全と安心に危機感を持った市長の決断によりある施策を実施したところ、三年後には、部品ねらい四一%、車上ねらいが四七%、そして、ひったくりが何と五七%も減少し、見事ワーストワンを返上できたのです。これほどの成果を出したある施策とは、防犯カメラの設置拡充に向けた防犯カメラ設置補助制度であります。
具体的には、国からの交付金を充てたとのことではありますが、平成二十一年度当初は、一台当たり上限十五万円とし、補助対象経費の二分の一、補正では、上限を二十二万五千円として経費の四分の三、平成二十二年度は、一台当たり上限十万円として経費の二分の一を補助金で負担し、その結果、二十一年度は五千三百三十四台、二十二年度は千四百五十六台と、二年間で六千七百九十台もの防犯カメラを市内に設置し、防犯抑止に目を光らせていたのであります。そして、何よりも、何としても犯罪を抑止したいというリーダーの強い意気込みを強く感じた次第でもあります。
このように、防犯カメラの設置は、自転車盗、自動車関連窃盗、子供や女性などに対する街頭犯罪や空き巣などの侵入犯罪を抑止する効果が極めて高く、有効な防犯設備であることは御承知のとおりであります。
しかし、あいち地域安全戦略二〇一五においては、県と県警は、防犯カメラの普及設置を促進するとは言われておりますが、具体的な支援をするまでは至っていないものと認識しています。県内どの市町も、防犯カメラの設置に向けた大きな期待が寄せられているものの、決して財政が豊かだとは思えず、ただ促進だけの活動ではおのずと限界があり、県民の安全・安心の確保にはほど遠いのではないかと言わざるを得ません。
そこで質問いたします。
一点目は、県警では、昨年、住宅街における防犯カメラ設置モデル事業を行われたと承知しておりますが、その事業の検証結果はどうであったのか、警察本部長にお伺いします。
二点目は、防犯カメラの設置については、補助金を出すなどして普及拡大を図っていくことが望ましいと考えますが、今後どのような考え方を持って対処されていくのか、知事にお伺いをいたします。
三点目は、教育委員会では、防犯カメラの設置について、あいち地域安全戦略二〇一五では触れられておりませんが、防犯という観点から子供たちの安全確保についてどのように考えられておられるのか、教育長にお伺いします。
以上、三点にわたって質問をしてまいりましたが、当局の明快な答弁をお願いいたしまして、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
- 29:◯建設部長(近藤隆之君) 橋梁などの長寿命修繕計画について、三つの御質問をいただきました。
まず、市町村の修繕計画策定状況と支援についてお答えをいたします。
ことしの三月末の時点で橋梁長寿命化修繕計画を策定している市町村は、名古屋市を除く五十三の市町村のうち二十四の市町村であり、策定率は四五%にとどまっております。これは、技術者が不足していることや、予算状況が厳しいことが主な理由であると聞いております。県といたしましては、市町村の策定率を上げるために、これらの課題に対し、さまざまな支援を行っております。
まず、技術面についてでございますが、平成十八年度に県が開発いたしました橋梁長寿命化修繕計画策定システム、これを平成二十年度から市町村が活用できるようにした結果、平成二十年度に三市町、二十一年度に一市であったものが、二十二年度には八市町村、二十三年度には十一市町と飛躍的に増加し、今年度も十九の市町がシステムの活用を予定しております。
また、財源面につきましては、計画策定に国の交付金を活用する手法について、市町村担当者会議などで周知するとともに、要望のあった市町村に必要な交付金が受けられるよう、県といたしましても国に働きかけております。
こうした取り組みもありまして、今年度中には新たに二十二の市町が計画を策定する予定で、策定率は八七%となる見込みでございます。今後もすべての市町村が早期に修繕計画を策定し、適切な点検、修繕による橋梁の長寿命化が図られるよう、積極的に支援を行ってまいります。
次に、橋梁の点検技術者の育成などについてでございます。
本県では、橋梁の点検技術者の育成や、点検技術の継承のために主に二つの取り組みをしております。
一つ目は、橋梁点検実務研修の実施でございます。
この研修は、橋梁の維持管理の必要性や、橋梁点検要領などに関する座学と現場実習を組み合わせ、年三回実施しております。この研修には毎年二十名程度の市町村の職員も受け入れ、市町村の技術者の育成支援も行っているところでございます。
二つ目は、職員による橋梁点検を活用した技術者の育成と技術の継承であります。
本県では、五年に一度の割合で定期点検を実施しておりますが、このうち、比較的橋長の短い橋梁については、毎年三百橋程度を職員の手により点検を行っております。この橋梁点検を経験豊富な職員と経験の少ない職員が一緒に行うことにより、若手技術者の育成や技術の継承を図っております。
本県では、こうした取り組みを通し、高い点検水準を維持するとともに、橋梁長寿命化修繕計画を着実に実施することにより橋梁の安全性の確保に努めてまいります。
次に、橋梁以外の社会資本における長寿命化修繕計画についてでございます。
議員御指摘のとおり、橋梁以外の社会資本についても、今後、急速に施設の高齢化が進展し、維持管理や更新に係る費用の急増が懸念されております。このため、本県では、公園、下水道、河川、港湾などにおいて、長寿命化修繕計画策定の取り組みを既に進めており、県が管理いたします十二の都市公園すべてにおいて、また、河川の十五ある排水機場のうち、八つの排水機場で計画を策定済みでございます。
さらに、河川排水機場の残る七カ所と、流域下水処理場の機械・電気設備及び港湾における防波堤や係留施設につきましては、今年度末までに策定を終えるため、河川水門や歩道橋などに対象を順次拡大してまいります。
また、策定した長寿命化修繕計画が適切に機能していくためには、常に新しい情報をもとに更新していく必要がありますので、点検の結果や補修技術の進歩などを踏まえまして、見直しを行ってまいります。
いずれにいたしましても、厳しい財政状況の中、高齢化する社会資本ストックを健全に保つため、今ある施設を丁寧に手入れし、大切に使っていくという予防保全の考え方のもと、一層効率的な施設管理に努めてまいりたいと考えております。
次に、名古屋港国際バルク戦略港湾についての御質問のうち、この施策に対する県の取り組みについてでございます。
名古屋港管理組合は、昨年八月、穀物資源の安価で安定的な確保を目指して、二〇二〇年までの事業計画を定めた名古屋港国際バルク戦略港湾育成プログラムを作成いたしました、この育成プログラムでは、第一ステップとして、二〇一五年を目標に、現在のパナマ運河を航行できる最大級の穀物船が満載で入港できるよう、航路、泊地などの推進を十四メートルに整備すること、次に、第二ステップとして、二〇二〇年を目標に、拡張後の新パナマ運河に対応した最大級の穀物船が満載で入港できるよう、水深を十七メートルに整備するとともに、食糧コンビナートを新設することとしております。
このプログラムを着実に進めるためには、さきに京浜港と阪神港が選定された国際コンテナ戦略港湾で認められております国庫負担率のかさ上げや、民間企業への無利子貸し付けなどの支援措置が必要不可欠であります。
このため、県といたしましては、航路、泊地の水深十四メートル化への新規着工に当たり、国際バルク戦略港湾の推進に必要な支援措置を名古屋港管理組合を初め関係者とともに国に対して積極的に働きかけてまいります。
次に、民間企業への支援に対する取り組みについてでございます。
国際バルク戦略港湾は、官民一体となって推し進めるものであり、新食糧コンビナートへ多くの企業に進出していただくことが不可欠でございます。そのため、工場、サイロの新設に対する助成や、税制上の優遇措置などにより穀物関連企業の負担を軽減し、企業が進出しやすい環境を整えることが重要でございます。
さらに、公共桟橋や荷さばき地の運営を民間により効率的に行う埠頭運営会社の設立に向けて、十分な支援体制を整えていかなければなりません。
これらの課題を踏まえ、今月七日には、名古屋港新食糧コンビナート検討会が設置されたところであり、本県といたしましては、名古屋港管理組合や中部経済産業局を初めとする構成メンバーとともに具体的な支援策を検討し、国の支援や、規制緩和を初めとする制度改正を地元経済界などとともに国に要請してまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
- 30:◯警察本部長(河邉有二君) 県警が実施いたしました住宅街における防犯カメラ設置モデル事業の検証結果についてお答えいたします。
この事業は、平成二十三年九月二日から、平成二十四年二月二十九日までの六カ月間、名古屋市名東区北一社学区をモデル学区といたしまして、防犯カメラ二十台を設置いたしまして、その犯罪抑止効果の検証などを行ったものでございます。
モデル学区の犯罪発生状況について、防犯カメラの設置期間中と前年同期との比較を行ったところ、刑法犯総数では五一・八%、また、住宅対象侵入盗では六〇%、自動車関連窃盗では五七・一%といずれも大幅に減少いたしております。これは、名東区全体と比較いたしましても大きく減少していることから、防犯カメラは犯罪抑止に大きく資するものであると考えているところでございます。
また、モデル学区住民に対して、学区や自治会、公共の場所に防犯カメラを設置することについてのアンケート調査を行ったところ、設置に関して肯定的な意見が多数を占めております。
さらに、四回の住民ワークショップを開催して、住民自身が学区の防犯プレートを作成することなどを通して、地域の防犯に対する意識や、住民同士のコミュニケーションの向上につながるといったような効果も見られたところでございます。
本事業の結果は検証報告書として取りまとめ、県内市町村や各警察署に配付したところでございます。県警といたしましては、この報告書を活用して防犯カメラの設置を積極的に促進するとともに、引き続き防犯カメラの設置や管理に関する助言や指導など、支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
- 31:◯県民生活部長(大野明彦君) 防犯カメラの設置普及の取り組みに関するお尋ねでございます。
県におきましても、防犯カメラの有用性は十分に認識しておりまして、本年三月に本県が策定いたしましたあいち地域安全戦略二〇一五の重点施策の一つに位置づけ、県民の皆様に防犯設備の必要性について認識していただき、住宅、駐車場、店舗などに防犯カメラやセンサーライトなどの防犯設備を整備されるよう働きかけていくこととしております。
また、この六月に愛知県安全なまちづくり推進協議会において策定されましたあいち地域安全県民行動計画二〇一五でも、防犯カメラの設置が市町村や事業者の取り組みの一つに掲げられたところでございます。
議員御指摘の補助金につきましては、現在、共同店舗への防犯カメラの設置に対して補助を行う商業団体等事業費補助金などがありますが、他県の取り組み事例を参考にしながら、さらに研究をしてまいりますとともに、犯罪のない安全なまちづくりは全国的な問題でありますので、国に対しましても、地域安全施策を総合的に推進する法制度を整備し、所要の財源措置を講ずることを要望してまいります。
なお、防犯カメラを一層普及促進していくには、県民のプライバシー保護の問題との調和を図る必要がございます。このため、今年度、有識者の意見をお聞きしながら、撮影した画像の適正な管理など、防犯カメラの設置、利用に関する基本的な事項を定めたガイドラインの策定を進めてまいりたいと考えております。
- 32:◯教育長(野村道朗君) 教育委員会にも、子供たちの安全の確保の観点から防犯カメラの設置についてお尋ねをいただきました。
侵入犯罪や街頭犯罪などから被害者になりやすい子供たちの安全を守る上で、防犯カメラの設置は、犯罪抑止や不審者への素早い対応などの面におきまして有効であると、このように考えております。
実際にも、小中学校では防犯カメラの設置も進んでおりまして、このほかにも、それぞれの判断でセンサーやインターホンなどの設置により子供の安全対策が講じられているところでございます。
ただ、防犯カメラやセンサーでは、常時の監視や、通学路のすべてをカバーすることは困難であると、こういった問題もございます。このため、各学校では、校内への不審者侵入時のマニュアルを作成し、実際の侵入時を想定した場合の職員や子供たちへの訓練も行っております。
また、通学路の安全対策として、学校安全ボランティアやスクールガード、事業者の方の協力をいただきながら、見守り活動も行っているところでございます。
いずれにいたしましても、防犯カメラなどの機器の整備や、地域を挙げての見守りなど、総合的に子供の安全の確保に努めていくことが重要であると、このように考えております。
- 33:◯知事(大村秀章君) 佐波議員の御質問のうち、私からは名古屋港につきまして、管理者でもありますので、お答えをさせていただきたいと思います。
名古屋港は、総取扱貨物量、貿易額ともに日本一を誇る国際貿易港として、本県を中心とした中部地域の産業、そして、日本経済を支える我が国屈指の物流拠点であります。
国際バルク戦略港湾の大型船に対応する航路のしゅんせつは、穀物のみではなく、鉄鉱石など他のバルク貨物やコンテナ貨物の物流コスト削減を可能とし、名古屋港が引き続き競争力を維持していく上で大変重要だというふうに考えております。
したがいまして、国際バルク戦略港湾の早期実現に向けまして、官民一体となって制度改正や予算確保を国に要望していくこととともに、コンテナターミナルの整備や、民の視点を取り込んだ港湾運営会社制度の導入の検討を着実に進めるなど、名古屋港の国際競争力のさらなる強化を図り、今後もこの地域の経済と産業を牽引する国際産業ハブ港の実現に邁進してまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
- 34:◯十七番(佐波和則君) それぞれ御答弁をいただきましたが、一点要望をさせていただきます。
先ほど知事からも御答弁をいただきましたけど、名古屋港におけます新食糧コンビナートの形成に向けましては、工場の移転や新設に係る費用の支援、固定資産税などの減免や、工場跡地の売却支援など、さまざまな支援が考えられます。名古屋港新食糧コンビナート検討会におけます検討結果を施策として反映できるよう、官民一体となってしっかりと要望していくということとともに、県におかれましては、産業施策、農業施策にかかわる部分につきましては、部局横断的な取り組みがなされるよう要望しておきます。
いずれにいたしましても、新食糧コンビナートの稼働は二〇二〇年からと、随分先のように見えますが、民間企業の工場建設や、公設民営による埠頭運用会社の設立などを考えますと、決して時間的な余裕はありません。
今後、名古屋港管理組合を中心として、県としてもスピード感を持って名古屋港国際バルク戦略港湾に取り組んでいただくことを要望して、質問を終わります。
- 35:◯議長(小林功君) 進行いたします。
青山省三議員。
〔四十一番青山省三君登壇〕(拍手)
- 36:◯四十一番(青山省三君) それでは、通告に従いまして、順次質問させていただきます。
初めに、警察行政について質問させていただきますが、さきの石井先生による警察施設の、警察署についてのすばらしい質問がございましたので、私としては割愛させていただきます。
そして、なおかつ、今の佐波議員が防犯カメラについての質問もされました。私は、大変肩身の狭い思いで質問させていただきますが、御容赦のほどよろしくお願いいたします。
まずは、昨年の警察委員会での警察施設の中の運転免許試験場についての質問に、県警当局は次のように答弁されています。天白区平針にある運転免許試験場の整備構想について、リニモ沿線への移転、建てかえを計画しています。この構想においては、年間七十万人以上が来訪する運転免許試験場にあわせ、名古屋市北区にある第一交通機動隊、その他複数の交通警察関係施設を集約することによって建設コストを低減することや、跡地の有効利用を考えています。
また、このリニモ沿線の移転、建てかえ計画については、リニモの活性化という観点からも有効ではないかと考えていますと答弁されていますが、県民からの相談の中に、名古屋市のとある方々が、運転免許試験場はあおなみ沿線に移転すれば、あおなみ沿線が活性化する。用地なら幾らでもあると情報が入ってきています。県民の方々は真実が確認できず、少し不安になっております。
そこでお伺いしますが、リニモ沿線への移転計画はどこまで進められているか、また、あおなみ沿線への誘致がどのような話になっているかの状況をお答え願います。
次に、刑法犯についてお伺いします。
住宅を対象とした侵入盗については、平成十九年以降全国ワーストワンであり、自動車盗も全国一位が続いております。平成二十三年には忍び込みが増加しており、場合によっては、強盗や殺人事件などといった凶悪犯罪に発展するおそれがあります。県民の財産と生命が脅かされてしまいます。
このように多発する犯罪の抑止を図るには、防犯カメラを設置することが大変に効果的だと思いますが、平成二十四年度当初予算では、犯罪抑止に向けた防犯カメラ設置事業費三千九百二十六万四千円が組み込まれたのみで、歓楽街における街頭防犯カメラの増設費二千七百五十九万三千円と、防犯カメラ普及促進事業費千百六十七万一千円の内訳となっております。
そこでお尋ねしますが、愛知県内、大変に広い地域の中で、この少ない予算でどこの地域に何台のカメラを設置されるのか教えてください。この予算で刑法犯の減少を望めるのか、見解をお尋ねします。
次に、平成二十三年度の交通事故者数が二百二十五人と前年よりプラス二十八人と増加に転じ、全国ワーストワンになるなど、交通事故情勢は極めて厳しい状況が続いています。このため、平成二十四年度においては、信号機、道路標識、道路標示など、交通安全施設の継続かつ計画的な整備を促進し、全国ワーストワンを返上するとともに、交通事故死者数を減少させ、安全で円滑な交通環境の実現を図るものであります。
特に、経年劣化による交通標識の倒壊事故の発生や、標識の退色、道路標示の摩耗が顕著となっておるほか、昨年十一月に信号機柱の倒壊事案が発生するなど、施設の機能確保、維持管理面における問題が深刻化しているところから、交通安全施設の計画的な更新を図っていきます。
これは、平成二十四年度当初予算重点要求事業の交通安全施設整備費五十九億二千二百四十九万二千円の事業目的の説明ですが、老朽化した交通安全施設を今回の予算で更新基準をもとに整備や維持管理をしていくと、道路標識では三十年かかってしまうとお聞きします。
また、現在、倒壊した道路標識を修理、修復するのに六カ月から十カ月も要するとお聞きします。交通ルールの指示する標識の修理、修復が半年から十カ月もかかってしまえば、交通安全が確保できるとは到底理解できません。
そこでお伺いしますが、道路標識の整備に三十年間もかかってよいと思われますか。また、なぜ倒壊した道路標識を修理、修復するのに六カ月から十カ月もかかるのか。その間、標識が機能しなくなるため、交通事故を誘発することになったり、ドライバーの遵法意識が低下すると思われますが、いかがですか。見解をお聞きします。
最後に、警察署管轄区域将来構想について質問させていただきます。
地域の安全拠点の確立と警察力の強化を目指して、犯罪多発警察署の分割・管轄区域の合理化、経年狭隘問題の解消を計画構想されていますが、犯罪多発警察署の分割・管轄区域の合理化をする必要のある警察署は現在検討されていますか。検討されているとしたら、どの警察署でどのように管轄の合理化をするかをお聞かせください。
私ども尾張旭を管轄している守山署は、県下唯一の名古屋市部と隣接市を管轄に持つ警察署となっており、管轄区域も広く、人口は、名古屋市内の警察署の中で最も多く、都市化とともに人口増加がさらに進み、犯罪発生率は県下でも上位に位置づけられています。特に、志段味地区の開発によって人口が急激に増加しています。
先ほど石井先生が言われたように、愛知署と並び守山署のワーストランキングも、平成二十三年中の認知件数の警察署といたしまして、刑法犯総数第十位、重点罪種総数第七位、侵入盗第五位、自動車盗第二位、オートバイ盗第八位、部品ねらい第八位、車上ねらい第八位、強盗第七位、住宅侵入盗第四位、空き巣第二位と、どれも愛知署に負けず劣らず上位に位置づけられております。
また、私の地元尾張旭においては、住宅対象侵入盗は県全体では約一八%減少している中で、逆に一三%増加しております。また、自動車盗は、県全体では三九%の増加に対し、尾張旭ではその倍以上の約八二%の増加となっております。つい最近でも、三件立て続けに住宅侵入盗が発生しています。
愛知県警では、守山署警察署に対して人員を増強し、警備も万全を尽くしていますが、刑法犯罪は、警察署ワーストランキング、いつも上位で、特に尾張旭は犯罪が増加しております。
以上のことでおわかりのように、警察署管轄区域将来構想に基づいて検討しても、守山署の管轄の見直しが必要で、尾張旭に警察署を新設することが不可欠であります。早期実現をお願いしますが、当局の御見解をお願いいたします。
いま一つ、将来構想は長期的なものだと承知していますが、尾張旭においては、現在、犯罪が多発の現状、安心・安全を確保し、県民の生命と財産を守るために、尾張旭幹部交番の整備と人員の配置を至急充実させていただきたいと思います。いかがですか。御答弁お願いいたします。
それと、守山警察署管轄の見直しで、尾張旭が瀬戸警察署の管轄になる検討がされているという県民からの相談がありますが、事実なのか、根拠のない話なのかお伺いいたします。
次に、精神障害者への福祉についてお伺いいたします。
精神障害は、病気と障害をあわせ持っており、精神障害者が地域で生活するには医療と福祉の提供が必要となります。
日本における精神科病床数や入院患者の多さは先進国でも突出しており、これまで精神障害者への対応は、病院での医療を中心に行われてきました。
近年、うつ病を初めとする精神疾患患者は急増しており、厚生労働省が三年ごとに行っている患者調査によれば、平成十四年が二百五十八万人、十七年が三百三万人、二十年には三百二十三万人となっております。また、自殺者は、平成十年以降、十四年連続で三万人を超えており、その多くは何らかの精神疾患を抱えているとされています。
こうした背景を受け、厚生労働省では、今まで重点的に対策に取り組んできたがん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の四大疾病に新たに精神疾患を加え、五大疾病とするなどの見直しを行い、各都道府県が医療計画を作成するに当たって参考とすべき指針の改正が行われたところであります。
この指針の改正を受け、本県においても、医療計画の中で、精神疾患の医療体制の構築に向けた検討を進めていくと伺っております。
このような精神科医療体制の充実は、患者にとりましても、その家族にとりましても喜ばしいことであります。しかしながら、在宅で暮らす精神障害者の方々の中には、適切な医療や福祉サービスが受けられず、日常生活の支援を家族の頼らざるを得ない状況に置かれている方もみえます。
私がお聞きした家族の当事者、関係者の困窮事例についてお話しさせていただきます。
五十六歳の女性の例でありますが、この方は二十歳のころに仕事をやめ、家に引きこもってしまい、その後、三十歳ころに初めて精神科医を受診されました。収入はといえば、作業所の工賃の月三千円のみということで、将来に強い不安を感じておられます。家族は、両親が既に他界しており、弟と二人暮らしで、弟に収入があるため、生活保護も受けられないとのことであります。
また、身体的にも、歯が欠け、かみ合わせが悪いため、食事にも不便を感じ、足の関節の痛みもあって、階段の上りおりもつらい毎日を送っておられます。弟に負担をかけるので、医者にも行かず我慢しているということであります。
また、四十九歳の男性の方でありますが、この方は収入がなく、八十歳の母親と二人暮らしで、将来に強い不安を感じておられます。健康診断の都度、高脂血症のため治療を要すとの診断結果が出ても、通院にお金がかかり、親の負担となるため医者に行こうともしないということであります。このような事例は多くあり、皆さん苦しくて不安な毎日が続いています。
愛知県では、平成二十年から精神障害者の方も障害医療費助成の対象とされるところであり、精神障害者にとっては大きな進歩であります。しかしながら、身体障害者及び知的障害者の方に対しては、すべての疾患にかかわる医療費が助成対象になっているにもかかわらず、精神障害者にあっては、精神疾患にかかわる医療に限定されております。制度的な不均衡があると思われます。
また、こうした障害の種別による不均衡は、県の実施しておられる障害給付制度においても見られます。
在宅重度障害者手当制度は、重度の身体障害者や知的障害者の方に対して県独自で手当を支給するもので、平成二十四年度当初予算額は約六十二億、受給者数は七万六千余りとのことです。精神障害者については、精神障害者保健福祉手帳の等級が一級といった重度の障害がある方でも支給の対象とはされておりません。
障害者基本法において、施策の対象となる障害者の範囲に精神障害者が明確に位置づけられて以来、精神障害者に対する福祉施策の充実は大きな課題であると認識しております。
そこで、二点伺います。
初めに、障害者医療助成制度において、身体障害者及び知的障害者に対しては、すべての疾患にかかわる医療が助成対象になっているにもかかわらず、精神障害者に対しては、精神疾患にかかわる医療に限定した定義をお示しください。また、今後、制度の見直しを検討すべきと考えていますが、県の御所見をお伺いします。
次に、在宅重度障害者手当についても、精神障害者を支給の対象としていない経緯及び制度の見直しについて御所見を伺います。
次に、愛知県の企業立地についてお伺いします。
まず、内陸用地の新規開発と企業誘致についてお尋ねします。
愛知県は、日本のほぼ中央に位置する恵まれた地理的条件、豊かな地域環境を背景に、全国屈指の産業集積を築いてまいりました。特に工業では、製品出荷額等が一九九七年以来三十四年間連続日本一の座を占めるなど、日本経済発展の原動力の一つとして大きな役割を果たしております。
私は、当地域が産業、技術の中核圏域として、世界の産業経済の発展に大きく貢献していくためには、既存産業の一層の高度化を図るとともに、先端産業の誘致、育成を進めていく必要があり、その受け皿としての工業用地の確保が必要であると考えております。
企業庁は、昭和三十六年から内陸用地造成事業を開始して以来九十一地区、約三千八百ヘクタール、件数として一千百件の用地を処分し、産業振興に大きく寄与してきました。
現在、厳しい経済状況ではありますが、造成中の大府木の山や稲沢三宅といった内陸用地の分譲も順調に進んでおり、企業庁の内陸用地では着実に企業立地が進み、分譲用地が少なくなりつつある状況と伺っております。
こうした中、引き続き経済を牽引していく地域として発展し続けるため、企業庁では、工業用地の造成を実施していく予算が宅地造成事業費として今年度百三十五億三千三百七十三万六千円計上され、そのうち、内陸の新規地区に約六十億円が組み込まれていると伺っております。
そこで伺いますが、企業庁は、今後、内陸用地の新規開発をどのように進められていくのか、また、内陸用地についてどのように企業誘致に取り組まれていくのかお伺いします。
次に、額田南部工業団地について伺います。
先ほど申し上げたとおり、内陸用地の分譲が進んでいる一方で、額田南部工業団地は平成六年に造成され、広さ十三・九ヘクタールのうち一・二ヘクタールしか分譲が進んでいません。この額田南部工業団地は、三河地域の主要都市である岡崎市の南東部に位置し、また、東三河地域の主要都市である豊橋市から北へ二十キロにあり、平成六年に造成された、当時は工業誘致による税収の増加、従業員等の雇用の増加を期待していましたが、現在は一企業が立地しているのみであります。
私も現地を視察させていただきましたが、一部の区間は道路が狭く、大変な山奥で山道であることなどから、従業員の方が通勤するのにも心細く、不安になるのではないかと思います。私も不安になっていました。
工業団地は、本来、立地条件がよく、交通網の整備や雇用の確保が容易なことなどを考慮して用地を確保し、造成されると思いますが、そこで伺います。額田南部工業団地の開発に至った経緯と、工業団地への企業誘致に今後どのように取り組んでいくかお伺いいたします。
最後に、東日本大震災に伴う災害廃棄物の受け入れについて伺います。
さきの新聞報道に、知事が県内三カ所で計画している焼却炉の建設を取りやめる方向で調整していくと発表されたことに、県民のための勇気ある判断をされたと思っていますが、できることなら、代表質問と私の質問の後に記者発表をしていただくと、私も質問の内容を変えることなく、苦労も少なく、もっと喜ばしいものではないかと思います。まことに残念です。
さて、五月の臨時議会において、災害廃棄物を受け入れていくための検討調査費で専決処分された六億円が可決承認され、また、今議会に試験焼却や住民説明など、瓦れき受け入れに向けた関連費七千万円が計上されましたが、いまだ地元の県民の皆様の不安は取り除けず、私どもにも多くの意見が寄せられています。議員皆様のところにも寄せられて御存じだとは思いますが、朝日新聞岩手・宮古支局長の書かれた文面をここに紹介させていただきます。
震災瓦れき、広域処理にこだわるな。震災瓦れきの広域処理に疑問がある。膨大な運搬費をかけ、放射能汚染を心配する地域住民と摩擦を起こしてまで急ぐ必要があるのか。
朝日新聞宮古支局から一キロの宮古港にも、瓦れきの山がある。昨年十一月、東京都への運び出しが始まった。瓦れきの放射線量は東京のほうが高いこともあるのに、反対する人たちがいる。それに比べ、さすがは剛腕都知事と最初は感心した。
でも、東京に搬出するのに一トン当たり処理費四万四千円に加え、輸送費が一万五千円かかると知って考え込んだ。北海道、北陸などへ搬出すれば、さらに輸送費はかさむ。それでいいのか。
何しろ、県外搬出予定量は岩手が五十七万トン、宮城は三百四十四万トンに上るのだ。地元処理費を含めて、経費は全額国費負担。国は二年でまず一兆円を用意している。
環境省は、岩手は、ふだんの十一年分、宮城は十九年分ある。目標の三年以内の処理には広域協力が不可欠と説明する。でも、リサイクルに回すなどしており、岩手でいえば処理が必要なのは半分以下。しかも、被災地も仮設炉などで能力を増強しており、県外に頼む必要があるのはその一部だけだ。
三年にこだわらず、国費負担を一、二年延長すれば、県外に頼まなくても処理できる計算だ。量の多い宮城県石巻市などは、例外的に集中して広域支援すればいい。
置き場のグラウンドや港湾の利用が制約されるというが、被災地は広大だ。阪神大震災では三年以内に処理したが、都市部と同列に考えなくてもいいはずだ。瓦れきの山を見ることで被災者が傷つくという説明も聞くが、少なくとも私は現場でそういう人に会ったことがない。
岩手県の岩泉町長や田野畑村長は、ゆっくり地元で処理し、雇用や経済に貢献してほしいと私に話したが、現状は県が仕切り、首長の意向を反映する余地はない。
両町村計十三万トンの瓦れきをすべて東京に運べば、運搬費だけで二十億円。同村の一般会計の三分の二に当たる規模だ。処理速度を上げるため、大手業者などによる巨大な分別プラントが稼働している。これも期限を延ばせば、もっと地元が参入できるだろう。
仮設住宅の建設も急ぐ余り、国が費用を持ち、県が発注したところ、断熱材不足などでふぐあいが続出した。瓦れき処理も同じ構図だ。現場から離れた判断を懸念する。
地元記者の意見に私も納得される部分が多くあり、この記事は五月十九日に朝日新聞に掲載されて、震災地では一カ月以上も前から広域処理の矛盾を訴えております。当局の対応がいかに遅いかうかがえます。ましてや、これから焼却炉や最終処分場を建設してまで推し進めていくことに疑問視しています。何とか県内三カ所で計画している焼却炉の新設を取りやめる方向で調整し、被災地からの不燃物と、現地で焼いた瓦れきの焼却灰を受け入れることを柱とする方向で検討していると報道されましたが、県当局の定まらない方針にますます県民は不安になると思います。
確かに広域的支援は必要だと思いますが、もっと調査研究し、受け入れありきではなく、状況によっては断念するのも県民のための勇気だと思います。
そこで伺います。
五月臨時議会にて、緊急性があるとのことで検討調査費の六億円の予算が専決処分され、総額一億四千万円で業者と契約していますが、既に調査が行われていると思いますが、業者との調査期間の契約されているうちで最も最終的な期日をお伺いいたします。
また、知事は、焼却炉新設に絡んだ調査をやめる考えをお示しになられましたが、仮置き場と最終処分場の調査は続けることの考えと解釈してよろしいでしょうか、お答えください。
また、今回、可燃物の受け入れは断念されましたが、試験焼却については続け、そのための必要な予算は計上していきますと答弁され、市町に試験焼却をお願いし、できることなら本焼却もお願いしたい意向を伝えていますが、既に試験焼却を引き受けてくれる市町と、本焼却を引き受けてくれるような市町はありますか、お答えください。
また、試験焼却した焼却灰を市町村で最終処分されるのか、県としてはどのような処置をされるかお答え願います。
最後に、不燃瓦れきの受け入れについても、膨大な運搬費用をかけ、放射能汚染を心配する県民と摩擦を起こしてまで受け入れることに私は疑問を感じています。いま一度立ちどまって、県民や被災地の皆さんに一番よい支援のあり方を考えてはいかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
盟友の名古屋市長も言っておられますが、可燃物はともかく、不燃物は震災地で埋め立て、工業団地をつくったほうがどれだけ東北の人たちの産業の支えになるかわからんと言っておられます。
また、野田総理の構想にもありますが、震災瓦れきの処理は、岩手、宮城、福島の三両県で巨大な津波の大防波堤をつくりますと言われ、そして、我が党の先輩は、そこに覆土をして、土をいっぱいかぶせて、一大植林にする構想をしてはいかがということを言っております。愛知県も財政的、人的にも協力、支援するという表明でこたえられたら大変にすばらしいと思いますが、知事の所見を伺います。
以上、すべての質問に対して前向きな御答弁をお願いし、壇上からの質問を終わらせていただきます。(拍手)
- 37:◯警察本部長(河邉有二君) 警察行政に関する御質問について、順次お答えしてまいります。
まず、運転免許試験場の移転計画についてでございますが、運転免許試験場の将来構想は、運転免許試験場をリニモ沿線へ移転することによりリニモ沿線の活性化に寄与すると考え、県当局に提案するとともに、警察施設将来構想の一つとして掲げているものでございますが、現時点において移転時期、あるいは場所などが具体的に決定しているものではございません。
次に、あおなみ沿線への移転でございますが、平成二十二年十一月の名古屋市議会におきまして、名古屋市が、あおなみ沿線での大規模敷地開発につきまして、土地所有者等から協議を受けた場合は、試験場を所管している愛知県警と相談してまいりたいと答弁したことは承知しておりますが、現時点、名古屋市からの申し出はなく、具体的な検討はいたしていないところでございます。
次に、防犯カメラをどの地域に何台設置するかという質問についてお答えいたします。
まず、歓楽街における街頭防犯カメラの増設についてでございますが、暴力団排除条例の特別区域に指定され、最も犯罪発生密度の高い名古屋市中区栄地区に十台設置いたします。また、防犯カメラ普及促進事業といたしましては、防犯カメラの有効性をさらに検証するためのモデル事業として、平成二十三年中に住宅対象侵入盗や自動車関連窃盗が多発している名古屋市中川区荒子学区、守山区苗代学区、春日井市小野学区、清須市清洲学区及び一宮市丹陽西学区をモデル学区に指定いたしまして、九月から五カ月間にわたって、それぞれ二十台、合計で百台の防犯カメラを設置し、事業を推進してまいります。
次に、この予算で刑法犯の減少が望めるかとのお尋ねでございますが、防犯カメラは、これまでのモデル事業や他府県の検証結果から、犯罪の抑止、検挙に大きな効果が得られることが判明しております。
今回は、歓楽街や犯罪多発地域に限定しての措置でありますので、今後さらに大きな効果を得るために、防犯カメラの設置促進に向け、予算の確保に最大限の努力をしてまいりたいと思います。
あわせて、自治体、事業者等関係機関・団体に対し、防犯カメラの設置の働きかけを積極的に行い、犯罪抑止に努めてまいります。
次に、交通安全施設の整備等についてお答えいたします。
まず、道路標識の整備に三十年もかかってよいかというお尋ねでございますが、現行の更新事業量で推移いたしますと、すべてを更新するのに標識では約三十二年を要する計算になります。交通安全を確保する上で、標識の機能が果たせなくなることは大変大きな問題であることから、できる限り早期に整備ができるよう努めてまいります。
次に、修理・修復期間についてでございますが、点検活動等を通じ、倒壊など不備を発見、認知した場合、応急の措置といたしまして、警察署に配置してある修理専用器具を活用し、簡易補修をするなどして標識の機能保持に努めております。
一方、修復工事をするためには、実際の修復工事期間に加え、工事の設計や審査、一般競争入札の公告手続等にも時間を要することから、半年程度の期間を要することとなります。
次に、警察署の管轄区域の見直しについてお答えいたします。
限られた人員をより効率的に運用し、治安体制の充実強化を図るため、港警察署と名古屋水上警察署を統合する計画を策定し、平成二十五年四月の統合に向けて準備を進めているところでございます。そのほかには、現時点におきまして、警察署の管轄区域の分割や見直しを具体的に検討しているものはございません。
次に、警察署の新設についてお答えいたします。
守山警察署は、名古屋市守山区と尾張旭市を管轄しておりますが、同署は、管轄区域全体の中で東西のほぼ中心に位置し、尾張旭市の区域にも近接しており、事件事故対応につきましても円滑に行うことが可能であると考えております。
今後も、同地区の治安情勢に応じて警察力を確保していく必要があると考えておりますが、現時点におきましては、守山警察署の管轄区域を見直す必要があるとは考えていないところでございます。
続きまして、尾張旭幹部交番についてお答えいたします。
尾張旭幹部交番は、視認性、利便性に問題はなく、十分な駐車スペースと、地域住民との会合も可能なコミュニティールームも備えており、配置面では、警察官七名、そして交番相談員一名が配置され、小型警ら車、いわゆるミニパトも一台配置しております。幹部交番としての機能を有していると判断しております。
住宅対象侵入盗、自動車盗が増加している現状は、私どもも十分認識しており、尾張旭幹部交番を初め、市内四交番が地域の安全センターとしての機能を十分に発揮し、住民の方々の安心・安全のよりどころとなるよう、今後も犯罪及び地域情勢の変化に応じた適正な要員の配置に努めるとともに、活発な街頭活動の推進を図ってまいりたいと考えております。
最後に、尾張旭市が瀬戸警察署の管轄区域とすることについてのお尋ねでございますが、検討している事実はございません。
尾張旭市からは、警察署の新設や管轄区域の見直しに関する熱心な要望が毎年続けられていることは十分に承知しております。引き続き、県内全体の治安維持の観点から総合的な検討を行い、必要があれば、同地区の管轄区域の見直しについても検討してまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
- 38:◯健康福祉部長(五十里明君) 精神障害者の福祉対策に関する御質問にお答えをいたします。
まず、障害者医療費助成制度についてでございます。
精神障害は、適切な治療を継続して受けることにより病状の安定や回復が可能であり、精神障害者の方々にとりましては、精神科医療の継続が極めて重要でありまして、その医療費は大きな負担となっております。
そのため、精神障害の方が安定して医療を受けていただくためには行政による支援が必要でありますことから、平成二十年度から障害者医療費助成の対象としたものでございます。
制度設計に当たりましては、その実施主体であります市町村とも調整を行い、財政状況が極めて厳しい中で、すべての市町村において円滑に実施できるよう協議を重ねた結果、精神科疾患に限定して助成を行うことになったものでございます。
医療費助成につきましては、対象者の増加等により助成額は年々増加し、将来にわたって現行の制度をいかに維持していくかが大きな課題となっております。
このような状況のもと、昨年十二月に策定いたしました重点改革プログラムにおいて、限られた財源の中で持続可能な制度とするため、障害者医療を初めとする福祉医療制度の見直しを掲げたところであり、精神障害者に対する医療費助成のあり方につきましても、この中で検討してまいりたいと考えております。
次に、在宅重度障害者手当についてでございます。
重度障害者の方が在宅で生活を送る場合、移動や食事等において、その障害ゆえにさまざまな負担が生じてまいります。在宅重度障害者手当制度は、こうした負担の軽減を図る一助として手当を支給し、福祉の増進を図ることを目的といたしております。
在宅の重度障害者の方を対象とする国の手当には、特別障害者手当、障害児福祉手当などがありますが、本県の在宅重度障害者手当は、これらの手当が支給されない方を対象とするもので、県単独事業として国の制度の補完的な役割を担うものでございます。
在宅重度障害者手当の支給対象者でございますが、身体障害者手帳二級以上である重度の身体障害者の方や、IQが三十五以下である重度の知的障害者の方、また、身体障害者手帳三級でIQ五十以下の知的障害を重複する障害の方となっております。
精神障害の方につきましては、日常生活においてほぼ全面介助が必要な方や、他の障害が重複する方は、国の障害者手当の支給対象とされておりますことや、単独事業としても他県においてほとんど対象とされていなかったことから、本県におきましても支給対象としてこなかったものでございます。
このようなことから、精神障害者の方を新たに在宅重度障害者手当の支給対象とすることは、この厳しい財政状況下でもございまして、困難であると考えております。
いずれにいたしましても、在宅重度障害者手当制度のあり方につきましては、引き続き研究してまいりたいと考えております。
- 39:◯企業庁長(中野秀秋君) 企業立地について、まず、内陸用地の新規開発の進め方についてであります。
内陸用地の開発につきましては、県内企業の用地需要への対応や、県外への流出防止、そして、県外企業の立地のための受け皿として、企業ニーズや動向を把握しながら進めてきたところであります。
具体的には、交通アクセスにすぐれ、雇用の確保が容易で企業立地の見通しがあること、開発事業として採算性が確保できること、用地取得の見込みがあることなどを十分に見きわめた上で、地元市町の御意向も踏まえて取り組んでいるところであります。
最近の開発といたしましては、東名高速道路の豊川インターチェンジから約四・五キロメートルと近く、雇用の確保も容易な豊川大木地区について、昨年十二月に開発決定を行い、本年中には造成工事に着手する予定であります。
次に、内陸用地を含めた企業誘致の取り組みについてであります。
企業庁を挙げて、毎年一千社への企業訪問を行うとともに、東京事務所に専従の職員を配置し、大手企業の本社が集積する首都圏での企業誘致に取り組んでおります。また、企業の初期投資の軽減を図りますため、土地リース制度や長期分納制度を導入するなど、企業が立地しやすい制度の導入も図ってきたところであります。
さらに、産業労働部と一体となって、東京、大阪での産業立地セミナーの開催に加え、産業空洞化対策減税基金を原資とする補助制度の活用など、新しい施策も取り込んだ企業誘致を進めてまいりました。
なお、平成二十六年度の新東名高速道路の県内開通により、新城南部地区など東三河内陸用地において交通アクセスの大幅な向上が期待されますことから、こうした点に重点を置いて企業誘致に取り組んでまいります。
また、額田南部工業団地の開発経緯と企業誘致の取り組みについてもお尋ねをいただきました。
まず、開発の経緯についてでございますが、額田南部工業団地は、地元の強い要望を受けて、過疎対策の一環として、地域経済の活性化や地元の雇用確保などを目指して開発したものであります。
企業庁といたしましては、当時の景気が右肩上がりであったこと、国道一号まで約八キロメートルと距離的に近いことなどから、長期的な観点で分譲が進むものと考え、昭和六十一年度に開発に着手し、平成六年度に造成を完了しております。
次に、企業誘致の取り組みについてでございます。
現在は一企業の立地にとどまっておりますが、価格の安さに加え、周辺に民家がなく、騒音や振動への特別な配慮が必要ないこと、比較的地盤が強固なことなど、この地区のプラス面を積極的にアピールして立地につなげるよう誘致活動を進めているところであります。
また、地元岡崎市におかれても、今年度から専従の企業誘致班を設置し、誘致体制を強化するとともに、立地奨励金として三年分の固定資産税相当額を交付するなど、企業誘致に係る優遇制度を拡充されたところであり、岡崎市との密接な連携のもと、全力で企業誘致に取り組んでまいります。
以上であります。
- 40:◯環境部長(西川洋二君) 災害廃棄物の受け入れに関してお答えいたします。
まず、検討調査に関するうち、委託契約の期限についてでございます。
県では、受け入れ基準の策定、施設整備のための基本検討、生活環境影響調査など、十一件の業務を委託しております。その契約期限につきましては、委託内容によって異なりますけれども、最も遅いのが生活環境影響調査でございまして、来年の三月十五日となっております。これは、調査結果のフォローアップの期間が含まれているということによるものでございます。県といたしましては、すべての調査についてできるだけ早く取りまとめていくことを考えておりまして、委託業者からは八月ごろを目途に中間報告を受けることとしております。
また、仮置き場と最終処分場の調査についてでございますけれども、受け入れに向け不可欠な施設でありますので、引き続き、位置、工法等の調査を進めてまいります。
次に、試験焼却についてでございます。
まず、試験焼却を行う市町村ですが、現時点で前向きに検討している市町村は幾つか承知しているところでございますけれども、この十五日に災害廃棄物の受け入れに関する市町村長会議を開催し、全市町村に正式に文書でお願いしたところでございます。
また、試験焼却後の灰の処分につきましては、最終的には県が責任を持ちますが、しばらくの間は市町村で保管をお願いしたいと考えております。この点は、市町村とよくよく相談してまいりたいと考えております。
なお、本格焼却を受け入れようとする市町村は、今回の市町村への調査では把握することができませんし、現時点で表明している市町村は承知いたしておりません。
私からは以上でございます。
- 41:◯知事(大村秀章君) 災害廃棄物の受け入れにつきまして、私からもお答えをいたします。
御指摘の不燃物につきまして、現地で処理をするべきではないかという、そういう趣旨の御質問であったかと思います。この点につきましては、私は、三月に受け入れ方針を表明した際にも申し上げました。まずは現地で処理を進めるべきだと、こういうことでございます。
しかしながら、一年たっても現地の風景は変わらないと。被災地の復旧、復興のためには、この災害廃棄物の処理が不可欠である。これを避けて通れないと。何としてもこうした状況を打破して、復興を進めていかなければならないといったことも申し上げました。
そういうことで、ありとあらゆることに思いをめぐらし、私自身、考えに考えた上で、日本人として、日本国民として、災害廃棄物の受け入れに向けた検討進めていくことを三月に表明させていただいたところでございます。
そして、被災地の状況は刻々と変化しつつある中でも、現地からは、この廃棄物を処理で動かしてもらわないと、例えば、水産加工施設の再建ができないと、安定した雇用が生まれないとか、この廃棄物がここに居座っていると住宅の確保が進まないと、こういったような声があるのは事実でございますし、また、こうした状況を踏まえ、国からの広域処理の要請も強くございます。そして、先般五月には、岩手県議会からも強い要請があったわけでございます。
そして、そういう中で、広域処理の対象は可燃物だけではなくて、不燃物のニーズも大きくなっておりまして、その不燃物は、公共工事を初めとしてできる限り再生利用を進めていく中で、要は、編み目から落ちる、いわゆる土にガラスとか、金属とか、プラスチックとか、そういったものがまざっている。要は、海底の土だということが主なものだということで御理解をいただければと思いますが、復興資材としては利用ができないというものでございます。
そういうものを東北地方の被災地の方々が、ぜひ広域処理をお願いしたいということを言っているわけでございまして、私としては、そうした要請は真摯に受けとめて、最大限協力していきたいというふうに思っているわけでございます。
そういう意味で、この災害廃棄物の受け入れにつきまして、ぜひぜひ県議会の皆様、また、県民の皆様にも御理解をお願い申し上げたいというふうに思っております。
以上でございます。
- 42:◯四十一番(青山省三君) それぞれの質問について要望させていただきます。
まず、警察行政ですが、とにかく県民の皆さんの生命、財産を守るのが第一でございます。交通安全施設も、警察署の管轄も、すべてスピードを持って整備していってほしいと思います。特に予算がないのはどこも同じでございます。尾張旭の治安は日々確実に悪化しております。市民の財政財産を守るために至急対策をお願いします。
次に、精神障害者の皆さんの家族の方が明るく安心して暮らせるように、障害者福祉や精神医療の充実と、県立城山病院の整備を早急にお願いしたいと思います。
続きまして、確かに世界と闘える愛知をつくり出すために企業誘致は必要ではございますが、そして、すばらしい将来構想を見据えた開発も必要だと思います。ただ、問題の地区については、臭いものにふたをせずに、必ずきちっと解決していってほしいと思います。
それから、瓦れきについての受け入れでございますが、状況を見きわめて、慎重にいま一度立ちどまって、県当局の英断を期待して、すべての質問を終わります。
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- 43:◯三十九番(坂田憲治君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 44:◯議長(小林功君) 坂田憲治議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 45:◯議長(小林功君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午後二時二十九分休憩
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午後三時十分開議
- 46:◯副議長(澤田丸四郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
樹神義和議員。
〔四番樹神義和君登壇〕(拍手)
- 47:◯四番(樹神義和君) 豊田市選出の樹神義和でございます。
通告に従い、愛知の子供・子育てとリニアインパクトを活用した地域づくりの、大きくは二点に関する質問を順次行ってまいります。
それでは、まず初めに、愛知の子供・子育てについて伺います。
我が国は人口減少社会に突入していますが、合計特殊出生率は一九七五年前後からその低下が始まり、二〇〇五年においては過去最低の一・二六となっており、それ以降、若干の改善は見られ、二〇一一年の合計特殊出生率は一・三九となっているものの、少子化に歯どめをかける状況には至っておりません。
また、本年一月三十日発表の国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口によれば、全国の将来の出生、死亡並びに国際人口移動について仮定を設け、これらに基づいて推計を行った結果、我が国の総人口は、二〇一〇年国勢調査による一億二千八百六万人から二〇四八年には一億人を割り込み、二〇六〇年には八千六百七十四万人になるとの予想をされております。
少子・高齢化が引き起こす問題としては、社会保障制度の崩壊、経済活動の崩壊等々、さまざまな問題が挙げられていますが、特に年金、医療といった社会保障制度については、そもそも制度設計されたときに、日本経済の縮小や日本の人口そのものが将来的に減少するということが想定されておらず、我が国が恒久的に成長していくことを前提に制度設計されており、現状を踏まえての抜本的な見直しが必要不可欠であると考えます。
では、少子・高齢化対策として、年金制度や医療制度の見直しだけでよいのかといえば、国内経済の維持、発展のためには、やはり我が国は物づくり大国であるわけでありますから、日本の人口減少に歯どめをかけ、生産年齢人口の確保が必要であり、そのためにも少子化に歯どめをかける環境整備が必要であろうかと思います。
少子化の要因や背景としては、若者の生活基盤の不安定化や子育てなどの経済的負担、仕事と子育ての両立の難しさ等の社会、経済的な問題のほか、結婚や生き方に対する変化、子供を産み育てることをとうとぶ社会全体の意識の薄れなどが複雑に関係していると言われております。
本県の少子化対策としては、平成十九年三月に愛知県少子化対策推進条例を制定するとともに、少子化の流れに歯どめをかけるべく、息の長い総合的な対策が必要との認識のもと、あいちはぐみんプランを平成二十二年三月に策定し、さまざまな施策に取り組んでいる最中でありますが、今回は、仕事と子育ての両立の観点から待機児童対策を中心にお尋ねしてまいります。
本県の待機児童数は、昨年四月一日現在で、名古屋市、豊橋市、岡崎市、豊田市を除く全県で百三十一名でありましたが、これが十月一日現在となると二百九十六名と約二・二倍に増加をしております。さらに、政令指定都市、中核市を含めた本県全体の待機児童数では、昨年四月一日現在で一千四百二十二名であり、これが十月一日現在となると二千三百四十三名となっており、社会的問題としてクローズアップされております。
本県の待機児童対策としては、保育所定員の増加等に取り組むなど、一定の成果を上げてはおりますが、昨今の社会経済状況の悪化などに伴い、働きながら子育てをする女性が増加傾向にあることから、平成二十二年と比較すると待機児童数は増加をしております。
また、待機児童対策の一環として、認定こども園制度が平成十八年に創設されて以降、全国で九百十一園が開園し、国が実施したアンケート調査によると、利用者の八割近くが評価しているものの、本県では、本年四月一日現在で十六園の開園にとどまっており、さらなる支援が必要と考えます。
ここで、私の地元である豊田市における待機児童対策を含めた子育て支援策を御紹介させていただきます。
豊田市では、就学前の児童を対象とする幼稚園、保育園について、現行法制度の範囲内で両者の機能を統一することで実質的な一元化を図り、就学前児童やその保護者に対して、均等な保育、教育、子育て支援を提供できる保育環境整備に取り組んでおります。
具体的には、保育所において、保育に欠けない四・五歳児の受け入れを行い、市立幼稚園、保育園の人事交流と職名を統一し、さらには幼稚園と保育園のカリキュラムの統一を図り、市役所の所管部署の統一を行いました。
また、平成二十年度以降は、就学前の子どもに対して、等しい保育の機会を提供するという基本方針に基づき、幼稚園、保育園の一体化を市独自で推進し、施設名称をこども園に統一するとともに、職員の配置基準の統一、保育料等の保護者負担の統一を行いました。
この豊田市のこども園は、さきに述べた認定こども園とは異なり、幼稚園、保育園にかかわる現行法制度の範囲内での実施であるため、待機児童問題の直接的な解決策とはなり得ませんが、保育所認可のこども園の増設、改築や、幼稚園認可のこども園施設の老朽化に伴う建てかえの際に保育所認可に変更するなどして待機児童対策に取り組むとともに、昨年度からは、こども園内の空きスペース等を利用して、家庭的保育事業、いわゆる保育ママ事業をスタートするなど、待機児童対策に取り組んでおります。
本県においては、昨年六月策定のあいち健康福祉ビジョンにおいて、保育サービスの拡充策として、保育士を配置するための支援や、家庭的保育(保育ママ)の取り組み促進、さらには、公有地の活用等による市町村における保育所の整備、拡充の支援を掲げられています。
そこでお尋ねをしますが、待機児童解消に向けてのこれまでの取り組みに対する評価及び今後どのように取り組んでいかれるのか、答弁を求めます。
続きまして、本県における子供・子育て施策の充実について伺います。
国においては、子供の育ちや子育て家庭を社会全体で支えるため、市町村が制度を実施し、国、都道府県等が制度を重層的に支える仕組みを進め、幼保一体化を含め、制度、財源、給付について、包括的、一元的な制度を構築することを目指した検討が行われ、国会に子供・子育て新システムに関する三法案が提出されておりましたが、三党協議を経て修正合意がなされたところであります。
この子供・子育て新システムについては、平成二十二年一月に検討が開始された子供・子育て施策の抜本的な改革であることから、平成二十三年六月に策定されたあいち健康福祉ビジョンにおいて、子育て支援に関する基盤づくりには、この新システムの構築の行方を十分に見定めていく必要があると記載されているなど、新システムの稼働は本県の子育て支援策に大きな影響を及ぼすことが予想されております。
では、ここで、この子ども・子育て新システムとはどのようなものであるのか、少し解説をさせていただきたいと思います。
この新システムは、恒久財源を得て早期に、法案では消費税率を一〇%とするとされている平成二十七年十月一日の翌四月一日までに本格実施するとあり、すなわち、社会保障と税の一体改革においての消費税引き上げ分の一部約〇・七兆円に、税制抜本改革以外の財源も合わせて一兆円程度を原資とする制度改革であり、具体的には、認定こども園、放課後児童クラブ、地域子育て支援拠点、児童養護施設等の量的拡充を図るなど、さきに質問させていただいた待機児童問題にも大きな効果が期待をされております。
この新システムが導入されれば、実施主体である各市町村が国、都道府県等と連携し、自由度を持って地域の実情に応じた制度設計を行うことが可能となりますが、都道府県の役割としては、新システムの給付、事業が健全かつ円滑に運用されるよう、広域自治体として必要な助言、援助等を行うとともに、子供・子育て支援策のうち広域的な対応が必要な事業等を行うこととされております。
そこでお尋ねをしますが、このように国においては、社会保障と税の一体改革の一部として子育て支援策の充実に向けた議論がされておりますが、我が愛知県としても子育て施策の充実が必要と考えますが、だれもが子育てしやすい愛知の実現に向けて、今後どのような取り組みを行っていかれる予定であるのか、その考えを伺い、愛知の子供・子育てに関する質問を終わります。
続きまして、リニアインパクトを活用した地域づくりについて伺ってまいります。
我が国の経済状況は、内閣府による五月の月例経済報告では、景気は依然として厳しい状況にあるものの、復興需要等を背景として緩やかに回復しつつあるとの報告がなされていますが、欧州政府債務危機をめぐる不確実性が再び高まっており、これらの影響によって我が国の景気が下押しされる可能性もあり、予断を許さない状況にあります。
このような状況下にあって、短期的な対策を行うことは必要でありますが、一方で、皆さんが将来に夢を持てるような中長期的な施策を行うことも行政の責任であると思います。
それでは、将来に夢を持てるような施策とは何かと尋ねられれば、航空宇宙産業の育成や次世代自動車の開発等、皆さんの頭の中にはさまざまなイメージが浮かぶと思いますが、県が今から二十三年前の一九八九年に作成した愛知県二十一世紀計画では、膨大化し、高度化する世界的、全国的な高次機能を育て担っていくためには、首都圏の核となる東京圏や、近畿圏の核となる関西圏と相互に連携し、一体となって適切な機能分担を図る国土中枢軸の形成を目指していくことが基本であると記載をされております。
それでは、この国土中枢軸の形成のためには何が必要かといえば、首都圏と近畿圏、そして、ここ中部圏の三大都市圏の人、物、情報の交流をより拡大し、円滑にするとともに、この中枢軸全体を全国、環太平洋地域、さらに世界へと直結させる交通情報通信基盤の整備を推進していくことが不可欠の条件であり、そのためには、本格的な国際空港としての新東京、関西国際空港、それに続く中部新国際空港の建設や、第二東名・名神自動車道、そして、リニア中央新幹線の整備を一体的、計画的に進めることが必要であるとうたわれております。
この三大プロジェクトについては、皆様御存じのとおり、中部新国際空港は、愛称セントレアとして二〇〇五年に開港をし、第二東名・名神自動車道については、新東名、新名神と名称が改まり、新東名は、本年四月に御殿場ジャンクションから三ヶ日ジャンクションが開通し、二〇一四年度には、浜松いなさジャンクションから豊田東ジャンクションの約五十五キロが開通予定であるなど、新名神も含めて未開通区間はすべて事業中となり、二〇二三年までに全線開通予定であります。
したがって、愛知県二十一世紀計画で掲げられた三大プロジェクトのうち、残すはリニア中央新幹線のみとなったわけでありますが、リニア中央新幹線も昨年五月に整備計画が決定され、二〇二七年には東京―名古屋間が開業し、最終的に二〇四五年には大阪までの開業が予定をされております。
リニア完成の暁には、人、物、情報の動きがさらに大きく変わると予想され、リニアがもたらす効果を最大限に生かせる地域づくりが今から必要と考え、順次質問してまいります。
リニア中央新幹線開業に伴う本県への効果については、これからの調査によって具体的数値が明らかになっていくものと存じますが、二〇〇九年度に岐阜県が行った調査によれば、リニア開業に伴う沿線地域の単年度便益は、岐阜県が七十億円に対し、愛知県は三百二十二億円と、東京都の一千三百三十三億円には及ばないものの、神奈川県の三百七十六億円とほぼ同水準となると予測をされております。
また、沿線地域の単年度の生産額の変化については、岐阜県が百二十八億円増に対し、愛知県は七百五十五億円増と、これも東京都の一千二百七十九億円増には及ばないものの、神奈川県の四百九十一億円増を大きく上回る効果が期待できるとの結果になっております。
さらには、県内で消費される単年度需要額の変化では、岐阜県が七十一億円増に対し、愛知県は三百十八億円増となっており、このうち約三分の二は県内住民が県内で消費する需要額の増加であり、残りの約三分の一の百四億円が県外住民が県内で消費需要額の増加に回ると推計されるわけでありますが、東京都内における消費需要額の増加のうち、都民以外が都内で消費する需要額が全体の約二割にとどまることから考えれば、いかに愛知県における県外からの観光誘客等でのリニア効果が大きいかが推察されます。
しかしながら、産業面や観光、まちづくり面等、さまざまな分野でのプラス効果が期待できる一方で、リニア開通により宿泊を伴わない日帰り観光客の増加や、支所、営業所の撤退などの企業流出、さらには首都圏への消費流出等々、地域間競争激化によるマイナス効果、いわゆる人、物、金がより求心力のある大都市に吸い取られるストロー現象も懸念されており、今からその対策を講じていく必要があります。
そこで、私は、仲間の議員とともに、先月、北陸新幹線金沢開業を平成二十六年度末に控え、地域活性化に現在取り組んでいる石川県を訪れ、その取り組み内容を調査してまいりましたので、一部を御紹介させていただきます。
石川県では、新幹線開業によってリニア開業に伴う本県のプラスマイナス両効果予測と同様の現象が生じると予測をし、一点目、首都圏から一層の誘客拡大を図るために重点的に取り組むべき誘客策は何か、二点目、地域の魅力づくりとあわせ、県内回遊性の向上をどう図るのか、三点目、新幹線の開業を産業振興にどう生かすのか、マイナス面をどのように軽減させるのか、四点目、開業効果を金沢だけではなく県内全域に波及させる工夫が必要、五点目、新幹線開業に向けて、県民を挙げて取り組む盛り上がりが必要と、この五点に視点を置き、おもてなしの向上、食文化の魅力向上、歴史・景観を活かした地域づくりを切り口にアクションプランを策定し、新幹線開業を控え、さまざまな取り組みを行っている最中であります。
特に、県内での観光客の受け皿整備として、官民挙げての取り組みとして、先導的な民間プロジェクトを重点プロジェクト、リーディング事業に認定し、他県と比較しても最も手厚い財政支援を行い、開業効果を県内全域に波及させる取り組みを行っております。
同時に、金沢城公園の整備などの観光施設の充実、さらには、県内回遊性の向上に向けて、加賀産業開発道路の全線四車線化や、道路公社が管理する能登有料道路、田鶴浜道路、川北大橋有料道路の三路線すべてを無料化するなど、石川県が有する魅力を最大限に活用し、首都圏からの誘客五百万人という目標に向け、関係者が一丸となって取り組みを加速させておりました。
以上、リニア開業に伴う予測効果、他県の取り組み状況についてこれまで述べてまいりましたが、本県においては、今年度予算において、リニア開業にかかわる影響調査を実施し、今後の地域づくりにおける検討課題の整理につなげていくと伺っておりますが、これまで述べてきた内容を踏まえ、リニアインパクトを活用した地域づくりに向けた本県としての取り組み方針について伺ってまいります。
まず初めに、リニアインパクトを活用した地域づくりに向けた市町村や各種団体との連携について伺います。
リニアインパクトを活用した地域づくりについては、過去の質問に対する答弁では、昨年九月に中京独立戦略本部のプロジェクトチームとして、県と名古屋市の関係課長クラスから成るリニア中央新幹線対応プロジェクトチームを設置し、昨年度には、名古屋市において、名古屋駅周辺の現状調査や、リニア開業に向けての導入すべき都市機能について調査検討を行い、今後そうした成果も有効に活用しながら、本県におけるリニア開業が本県に及ぼす影響や、それらを踏まえた地域振興のあり方について調査検討を進めるとの答弁があったと理解をしておりますが、昨年度の名古屋市における調査結果を伺うとともに、今後は名古屋市のみならず、県内の市町村や各種団体とも連携し、全県を挙げてのリニアインパクトを活用した地域づくりに取り組む必要があると考えますが、県としての考えを伺います。
続きまして、企業立地策について伺います。
本県は、自動車産業を初めとした世界屈指の産業集積地でありますが、少子・高齢化に伴い生産年齢人口が減少し、県内生産体制が将来的にも維持できるかが大きな課題となってまいりますが、このような状況にあって、リニア開業による若年層を中心としたさらなる人口流入や、新たな企業や産業の進出による雇用の拡大が図られることなどが期待される一方、さきに述べたとおり、首都圏への一極集中をさらに加速させるおそれもあり、企業立地策の充実は本県の生命線であると言っても過言ではないと思います。
そこで伺いますが、今年度より産業空洞化対策減税基金を造成し、県外企業の誘致、県内企業の海外移転抑制に向けて、さまざまな規模の投資案件等を県として支援していますが、海外や県外企業のさらなる進出やビジネス機会の創出に向けて、一層の企業立地策の推進が必要と考えますが、県としての考えを伺います。
最後に、観光振興策について伺います。
観光・まちづくり面のうち、特に観光面については、岐阜県、長野県、山梨県といったリニア沿線各県にとっては、これまで移動時間の制約によって苦戦を強いられてきたわけでありますが、リニア開通により首都圏からの移動時間が飛躍的に短縮されるため、各県が特に力を入れてくるであろうと予測をされますが、それゆえに、石川県の北陸新幹線の事例でもあったとおり、官民挙げての観光客の受け皿整備や有料道路の無料化など、本県も観光面についてはかなりの覚悟を持って取り組むべきと考えます。
また、岐阜県の調査によれば、さきに述べたとおり、リニア開通により県外住民が消費する愛知県内の需要額は年間百四億円増加と推計されていますが、名古屋駅周辺だけにとどまっては意味がありません。
そこでお尋ねしますが、県内の観光回遊性を高め、全県にリニアインパクトを波及させるためには、今のうちから思い切った観光振興施策が必要であると考えますが、県としての考えを伺います。
以上、愛知の子供・子育てとリニアインパクトを活用した地域づくりの大きく二点について伺ってまいりましたが、前向きな答弁を期待いたしまして、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
- 48:◯健康福祉部長(五十里明君) 愛知の子供・子育てに関する御質問にお答えいたします。
初めに、本県の待機児童解消に向けた取り組みの評価についてでございます。
本県では、保育所の待機児童の大半がゼロ歳から二歳児までの低年齢児でありますことから、特に平成二十一年度以降、市町村に対しまして、あらかじめ国基準より多く担当保育士を配置するための経費を県単独で助成し、また、子育て支援対策基金を活用した保育所の整備を働きかけるなどの対策を重点的に進めてまいりました。
こうした取り組みにより、県全体の保育所での低年齢児受け入れ児童数は、平成二十一年四月の三万二千七十五名から本年四月には三万七千二百六十名と約五千二百名増加しておりますが、本年四月一日の待機児童数は十の市町で千二百七名となっておりまして、名古屋市を中心とする一部の市町におきましては、保育ニーズの拡大に追いついていないのが現状と認識をいたしております。
次に、今後の取り組みについてでありますが、こうした待機児童を抱える市町に対しましては、補助率を通常の二分の一から三分の二にかさ上げするなど、引き続き基金を活用した保育所整備を積極的に働きかけてまいります。
また、国に対しましては、平成二十五年度以降もこの基金が延長されるよう要望いたしますとともに、今年度、本県独自で新たに保育ママを活用した事業所内保育施設について調査研究を行う新保育モデル調査事業を実施いたしますことから、この成果も踏まえ、待機児童解消に向けた対策に今後もしっかりと取り組んでまいります。
次に、子育て施策の充実への取り組みについてであります。
本県では、愛知県少子化対策推進条例の基本計画であるあいちはぐみんプランに基づき、子育て期だけではなく、若者の就職、結婚、出産も含めたライフステージに応じた総合的な少子化対策に取り組んでおります。
このプランでは、的確な進行管理を行うため、三十二の重点チェック項目を設定しておりまして、延長保育や放課後児童クラブの実施箇所数が着実に増加するなど、平成二十六年度の目標に向けて、おおむね順調に進捗しているものと認識をいたしております。
今後も、引き続きプランの着実な推進に努めますとともに、国において検討されております新たな子供・子育て支援策につきましても、その動向を注視しながら、子育て施策の充実を図ってまいりたいと考えております。
- 49:◯地域振興部長(近藤正人君) リニアインパクトを活用した地域づくりについてお答えをいたします。
リニア中央新幹線は、本県の将来の発展のかぎとなるビッグプロジェクトであります。その開業効果をこの地域のさらなる経済的発展や国際競争力の強化に結びつけていくためには、名古屋駅周辺の大改造を初め、リニアと接続する広域交通ネットワークのレベルアップ、積極的な産業・観光振興戦略や地域の魅力向上策など、ハード、ソフト両面でさまざまな課題への対応を検討していく必要があるものと考えております。
このため、県といたしましては、名古屋駅を有する名古屋市の調査結果も活用させていただきながら、県下全域の地域づくりを検討していくこととしております。
そこで、お尋ねのありました、昨年度、名古屋市が行った調査結果でございますが、二つの調査がございます。
一つは名古屋駅周辺の現況調査で、将来、リニアのターミナル駅となる名古屋駅周辺について、土地利用、交通、民間再開発事業等にかかわる基礎的データを収集、整理などしたものとなってございます。
もう一つは、リニア開業によるインパクトを踏まえ、名古屋市に導入すべき都市機能について調査したもので、各種の統計データ等から名古屋市及び名古屋大都市圏の地域特性を整理するとともに、リニア開業による経済波及効果などの影響を試算し、名古屋市に必要となる役割と対応策を検討したものとなっております。
次に、県内市町村や各種団体との連携についてであります。
本県といたしましては、リニア開業の効果を名古屋駅周辺のみならず、県全域に広く波及させる必要があると考えております。したがいまして、今年度、本県が行う調査におきましては、昨年度の名古屋市の調査結果を踏まえた上で、県内各地から東京までの所要時間の変化や、旅客流動の変化など、リニア開業に伴う県内各地域への影響について分析を行いますとともに、リニア開業を見据えた交通ネットワーク、産業・観光振興など、今後の地域づくりにおいて検討すべき課題について整理を行ってまいります。
さらに、今年度の調査で整理される個々の課題につきましては、来年度以降対応を検討していくことになりますが、例えば、リニアやリニア開業後の東海道新幹線等を活用した交流人口の増加策を検討しようとすれば、地元の市町村や観光協会、経済団体などと連携して取り組むことも当然に必要になってくるものと想定されます。
県といたしましては、今後、こうした個々の課題に対応していく中で、名古屋市に限らず、広く県内の関係者と連携を進めつつ、リニアインパクトを県内に広く波及させ、地域の発展に最大限に活用できるように取り組んでまいります。
以上でございます。
- 50:◯産業労働部長(木村聡君) 私からは、まず、企業立地策についてお答え申し上げます。
このところ、円高基調や電力の安定供給に対する懸念などを背景といたしまして、多くの企業が海外への生産移転や、国内生産体制の再構築を検討いたします中、企業誘致をめぐる競争は、国内はもとより国境を越えて激化しているところでございます。
このため、県では、名古屋市とともに設置いたしました企業立地プロジェクトチームを中心といたしまして、企業立地を支援する優遇措置の充実や、プロモーション活動の強化に取り組んでいるところでございます。
具体的には、産業空洞化対策減税基金を原資とする補助制度を創設し、市町村とも連携しながら、県外企業の新規立地や県内企業の再投資を支援することといたしました結果、これまでにベルギーの世界的な機能材料メーカーの研究開発センターの新規立地や、県内の大手飲料メーカーの流出防止といった実績を上げることができたところでございます。
今後とも、首都圏、関西圏でのトップセールスや海外産業情報センターの取り組みなどを通じまして、広く内外の企業に対し、減税基金に基づく補助制度や、不動産取得税の軽減などの優遇措置をPRいたしますほか、中部国際空港、名古屋港などに加え、御指摘のありましたリニア中央新幹線や新東名高速道路の開業によりまして、交通の要衝である当地の利便性が格段に高まりますことなど、本県の立地環境の優位性を強力に発信してまいりたいと考えております。
県といたしましては、こうした一連の企業立地支援策やプロモーション活動を総合的に推進することによりまして、内外から人、物、企業を呼び込み、世界と闘える愛知・名古屋の実現を目指してまいりたいと考えております。
次に、リニアインパクトに備えた観光振興施策についてでございます。
平成二十三年度における本県の国内観光客は、本県を含む東海四県からの観光客が八割以上を占めます一方で、首都圏からの観光客は六%強にとどまっております。
こうした状況にあって、首都圏からのアクセスを大きく向上させる平成三十九年のリニア中央新幹線の開業は、当地への新たな観光需要を拡大する絶好のチャンスであり、県といたしましては、今のうちからリニア中央新幹線の開業を視野に入れ、本県の特性を生かした観光振興施策にしっかり取り組む必要があるものと考えております。
県では、現在、県内の観光周遊性を高める取り組みとして、産業観光や武将観光に関する各地の観光施設をめぐっていただくスタンプラリーを実施いたしますほか、地域の観光団体などが企画提案する各地の魅力ある観光資源を組み合わせた広域のツアー造成に対する支援を行っているところでございます。
また、本年五月には、首都圏から観光客を呼び込みますため、東京において初めて知事と名古屋市長による観光トッププロモーションを開催し、歴史、文化、産業、グルメなど、本県の多様な観光資源のPRを行ったところでございます。
県といたしましては、これらの取り組みを着実に推進いたします一方で、今年度実施するリニア開業影響調査の結果を踏まえまして、そうした取り組みのさらなる充実策について、順次検討をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 51:◯四番(樹神義和君) 御答弁ありがとうございました。
今回の質問については、喫緊の課題である待機児童問題を初めとする愛知の子供・子育てと中長期的な問題であるリニアインパクトを活用した地域づくりの大きく二点について質問をさせていただきましたが、質問に対し、おおむね前向きな答弁をいただいたと思いますが、答弁に対する要望を二点行わさせていただきます。
まず初めに、愛知の子供・子育てについてであります。
さきの質問でも申し上げましたが、少子化に伴う歯どめをかけるためには、あらゆるライフスタイルに合わせた子育てしやすい環境整備が必要不可欠でありますが、待機児童問題を中心に、愛知の子育て環境は必ずしも整備されているとは言いがたい状況にあります。
今回の質問を通じて、さらなる子育て支援策の充実の必要性を提言させていただきましたが、国の動向に注視しつつ、愛知の地域特性に見合った子育て環境の整備に向けて引き続き取り組まれることを強く要望いたします。
続きまして、リニアインパクトを活用した地域づくりについてであります。
リニア中央新幹線の東京―名古屋間の開業は二〇二七年であり、十五年後を想定しての質問のため、企業立地策や観光振興策に関する具体的な取り組み内容はこれから検討されていくとの答弁であったと思いますが、リニア開通により人、物、情報の動きは、私どもの想像以上に大きく変わる可能性が極めて大きいため、各市町村や各関係団体との連携を密にし、ストロー効果による首都圏への一極集中や、リニア沿線各県への流出という事態に陥らないよう、県がリーダーシップを発揮し、計画的に企業立地策や観光振興策を推し進められることを要望し、私の質問を終わります。
- 52:◯副議長(澤田丸四郎君) 進行いたします。
森下利久議員。
〔六十一番森下利久君登壇〕(拍手)
- 53:◯六十一番(森下利久君) 通告に従いまして、これより三項目について、順次質問をしてまいります。
きょうは、私の地元であります知多半島の全部の組合長さんも傍聴に来ていただいておりますし、消防団長さん、あるいはあちらで手を振っておりますけど、地元の議員さんであります。そして、きょうは、瓦れき処理について不安を抱いておる若いお母さん方もお出かけをいただいておりますので、明確な答弁をよろしくお願いいたしまして、質問に入ります。
防災対策と消防団のあり方について。
平成十五年の九月の国の中央防災会議の想定では、東海地震、東南海、南海の三連動が起きた場合には、愛知県では、津波がおおむね三メートルから七メートル程度とされておりましたが、内閣府が設けた南海トラフの巨大地震モデル検討会は、ことし三月三十一日に新たな想定を発表されました。この想定では、地震の規模を示すマグニチュードの揺れで九・〇、津波では九・一に設定をされました。
その上で、揺れについては五つのケースで推計をし、最大値で公表されました。震度七になり得る地域は十県百五十三市町村に及び、面積では、平成十五年九月の想定の約二十三倍に拡大をいたしました。
また、震度六強以上に想定される地域は二十一府県三百九十五市町村で、面積は五・六倍になり、震度六弱以上の地域は二十四府県六百八十七市町村で、面積は三・三倍になっております。
津波についても、十一のケースにより推計をした場合、最大値でまとめられました。その結果、茨城県から鹿児島県まで大幅に想定が広がり、津波の高さが十メートル以上の地域は、従来の二県十市町村から十一都府県九十市町村にふえ、二十メートル以上の津波が来る可能性がある地域は六都県二十三市町村に広がり、全国で最大の津波が三十四・四メートルと想定されるのは高知県の黒潮町で、人口は約一万三千人の漁師町であります。愛知県の田原市では二十メートル、豊橋で二十・五メートル、そして、我が町南知多町では十メートルと発表されました。隣の美浜町で五・九メートル、常滑市で五メートル、半田市や名古屋市の港区では三・八メートルと想定をされております。
平成十五年の九月の中央防災会議の想定では、例えば、豊橋市で六・六メートル、田原市で七・九メートル、また、南知多町では三・六メートルと推計をされていましたので、太平洋側や外海、伊勢湾の入り口に近いところではおよそ三倍ということになっております。それぞれの市町の防災担当者は、まさかこれほどに、と衝撃を隠し切れない状況であります。
東日本大震災後、それぞれの市町で独自で調査を研究し、震度六強で、津波の高さは外海で五メートルないし九メートルであろうと各自で目安として想定をし、避難準備を進めておりましたが、今回の発表で根底から防災の計画を大きく見直さなければなりません。南海トラフにおけるあらゆる可能性を考慮した最大級の地震を想定した今回の推計は、従来の想定をはるかに上回る衝撃的な数字であります。
津波の到達時間は、従来の想定時間とは格段の違いがあり、静岡県、和歌山県、高知県では、最短二分から三分で高さ一メートルの第一波の津波が予想されております。津波が今までの数倍と巨大になると予想されておりますので、堤防や防潮堤だけでは防ぎ切ることはできません。
また、東日本大震災が起きましてから一年と三カ月がたっておりますが、被災地では思うように復旧が進まず、復興にはほど遠い状況であると言われております。東北でも高台に住居の集団移転を希望されておりますが、法律や規制に縛られて、進んでいない状況であります。本県でも、津波の到達が予想される海辺の地域では、今後、高台への移転を希望する方々も出てくると思います。
南知多町にも土地改良事業として約三十年前に造成された市街化調整区域内の高台の土地があります。その地域のうち二十区画程度は、農家住宅などの要件を備えた人により立派な家が建てられておりますが、今も区画の半分はあいております。今回のように十メートルの津波が予想されている海岸の人たちが土地を買って、そこに移転をしたいと言っても家を建てることができません。
今後は、このような地区にだれでも建物が建てられる制度についても検討を早急に考える必要があると思っております。
そして、今回の南海トラフの巨大な地震では、静岡県から宮城県の日向灘沖まで七百五十キロにわたる巨大な領域で、最大マグニチュード九クラスの超巨大地震が想定され、地震の規模や津波の高さは東日本大震災に匹敵する、もしくはそれ以上に値する五ないし六連動型の地震が起きる可能性が十分にあります。
海岸線の七百五十キロに防波堤や防潮堤や防潮壁だけでは、皆さんのとうとい命を守ることはできません。海岸線には、漁港や港町に多くの住宅が密集をいたしております。命を守るためには、海岸から裏山まではそうは遠くありません。高台に逃げることしかありません。防災タワーなどの津波の想定した避難施設を建設するには莫大な費用がかかりますが、こういった裏山や高台への避難路の整備には費用もそれほどかかりません。
このたびの東日本大震災の被害額は二十兆円から二十五兆円と言われておりますが、西日本の大震災が起きれば、恐らく国家予算を超える百兆円以上になると思われます。建物全壊が八十万棟以上、死者も大幅に東日本大震災を超えるのではないかと思われます。
皆さんの財産を守るということはできませんが、最大級の津波により海岸堤防や防波堤などハードの面の対策はできませんが、逃げることを優先とし、避難の完了の目安を原則徒歩五分から十分と考え、高台の避難場所となる裏山への逃げる道を早急に確保する必要があります。
その上で、それぞれの地域には農道もあり、手すりをつけたり、農道の拡幅、山道の手直しをすれば、住民が迅速に避難するための安全が確保され、命を守ることはできると思います。ソフト対策の主軸となる迅速な避難をより確実なものにするために、それを下支えする対策を充実させるべきであります。
そこでお尋ねをいたします。
住民の命を守るため、こうした避難場所となる裏山、高台などへの避難路の確保、整備に全力を挙げるべきだと考えますが、これらに対する補助も含め、県はどのようにお考えなのかお伺いをいたします。
次に、消防団に関して質問をいたします。
五月十七日、愛知県大規模災害の消防団活動について、年内をめどに指針を定めることを決めました。東日本大震災では、二百五十四名の消防団員のとうとい命が津波の犠牲になっております。今回の東日本大震災を教訓として、安全確保や避難誘導、水門の閉鎖、マニュアル作成を促そうと、専門家や学識経験者、消防関係者による今後の消防団の重要な役割を担った活動体制をどうしていくのか、検討会が始まりました。
今後どのような大震災が起きようが、一番大切なことは、大規模の災害で活動する際、皆さんの命を守る消防団員が活動中に命を落とさないようにすることであります。そのためには、現場からの撤退を見きわめ、タイミングを図り、避難をするかが一番大きな、重要な問題であります。団員の安全確保の上、消防団員活動が重要であります。
五月十五日、NHKの「クローズアップ現代」で宮城県石巻市の消防団の活動状況を報道いたしておりました。消防団活動をしたくても被災をし、消防車もない、消防服もない、いまだ団の詰所もない状況であり、常に火災出動だけではなく、地震、高潮等、すべての防災活動を受け持つ身で、これからどうやって消防団活動をしていくのか困っております。
そうした中、次から次へと消防団員の退団者、つまり、消防団をやめたいという団員がふえており、消防団組織が成り立たない状況であると報道されておりました。
現在、全国の市町村消防団員は約八十八万人いますが、愛知県では、七万人以上いた消防団員が今や二万四千人と三分の一に減っております。このままでは、各地での消防団員の確保はだんだんと難しくなります。
もともと消防団員は、地域の奉仕団体の意識をもとに、自分たちのまちは自分たちで守るのだという奉仕の精神に沿って活動してきた地域に根差した防災組織であります。
そうした中、近ごろ、あちらこちらで消防団員の日夜の努力、苦労して一生懸命活動している報道よりも、消防団員が年に一度か二度宴席の席でコンパニオンを挙げて大騒ぎをしているとか、公費で一杯やっているとか報道されて、一般市民の人たちには消防団員の印象がよくない報道が優先をされております。
確かに消防団員も年間、階級によりそれぞれ報酬をいただいており、その報酬をためて一杯飲んでおるのであり、公費で一杯とはちょっと違うと私は思っております。本当に汗水垂らして活動しているところよりも悪いほうが注目されるような状況ではまことに残念なきわみであります。
消防団役員は、年間百日以上の活動を実施し、年間五万円から六万円の報酬であります。消防団活動に一生懸命打ち込んで活動していても、たまの宴会や懇親会が、批判が優先される状況では、地域のかなめとして、時には命の危険を冒す奉仕団体として消防団活動は難しくなります。
いつ起きてもおかしくないと言われている東海・東南海・南海地震について、一度これらの安全確保に向け、消防団員活動のあり方、地域住民の皆さんの消防団に対する考え方を早急に見直すべきであります。私も、二十八年間消防団活動を行ってきた一人であります。
そこでお尋ねをいたします。
現場を一番よく知っている実践活動を行ってきた人たちの意見を取り入れ、地域の消防団の今後のあり方を検討すべきであると思っておりますが、県当局として今後どのような方法で取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
東日本大震災が起きてから一年三カ月が過ぎました。二万人近い人が亡くなっております。東北では、復旧、復興が少しずつではありますが進んでおります。東北魂で元気に頑張っております。
そうした中、南海トラフの地震について、静岡から九州まで伸びる南海トラフの巨大地震がもし深夜に起きたら、最悪で三十万人規模の犠牲者となるとの、五月二十九日に報道をされました。二〇〇三年の時点では二万五千人が想定されておりましたが、その十倍以上であります。東日本大震災も、深夜であれば六万人規模になっていた可能性もあると言われております。
いつ起きても不思議でない東海・東南海の三連動だからこそ地元を一番よく知っている消防団員が重要であります。大災害では、消防署や警察官だけでは地域の住民の命は守れません。地域の隅々まで知っている消防団員の確保が大事であり、このためには消防団員の処遇改善が必要であります。
そこで質問をいたします。
消防団員の処遇問題、特に退職報償金制度について、どのように対応していかれるのかお伺いをいたします。
続きまして、福島原発と瓦れき処理について質問をいたします。
昨年三月十一日、未曾有の大震災でだれもが予期していなかった原発事故が起きました。福島県で被災された皆さん方には心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈りいたします。
原発から近い双葉町、大熊町、浪江町など近隣十二市町村の五万五千世帯は、恐らく三十年、四十年と自分のふるさとのまちには戻れないのではないかと大変に厳しい状況で悲しいことであります。それほど原発事故は恐ろしい事故であります。
放射性セシウム濃度一キロ当たり八千ベクレル以下、安全だと言われておりますが、放射性物質にはセシウムだけではなく強毒な危険物も入っております。年間総被曝量基準の五・五ミリシーベルト、現在の福島県は、毎時一マイクロシーベルトは年間八ミリシーベルトを超えます。総被曝量が年間一ミリシーベルトを超えると甲状腺障害が起きやすい。したがって、基準の八倍の濃度になります。危険かどうかは数字でわかると思います。福島原発一号機、毎時二十三ミリシーベルトから五千ミリシーベルトの濃度であります。
昨年五月、東電の発表だと、海への漏出量は、放射性ヨウ素とセシウムを合わせて四千七百テラベクレル、雨により海に流れ込んだ量を加えると、総放出量は一万八千百テラベクレル、汚染水が一万四千三百トン。一テラは単位であらわしますと一兆の単位になります。二号機については、毎時五から七万二千九百ミリシーベルト、汚染水が二万二千トン、三号機についても、毎時十から千六百ミリシーベルト、汚染水が二万四千トンになります。四号機については、状況は確認できない過酷な環境で、見通しができない状況であります。わかっているのは、一本四メートルの核燃料棒千五百三十五本が入っていることであります。もし地震、台風で崩壊したら、二百五十キロ圏内、三千万人以上の人は移動しなければならない大変なことになります。
未使用の燃料棒は、使用済みの燃料棒と異なり核分裂をしていないため、発熱はせず、危険性は少ないと言われておりますが、燃料プールには、使用済み燃料七百八十三本、原子炉から取り出したい燃料棒五百四十八本、未使用燃料棒が二百四本、合わせて千五百三十五本、危険性の少ない燃料棒は二百四本で、千三百三十一本は核分裂を起こしている危険な状態の燃料棒千三百三十一本であります。敷地内には、ドラム缶に入れられた汚染物でいっぱいであります。
広域処理瓦れきは、複合汚染されている疑いが高く、津波での建物倒壊には危険物がいっぱい入っております。それなのになぜ広域処理を考えるのか。
広域処理にかかる費用は、国から被災地に支払われる復興債、借金から捻出をされております。静岡県は、一トン当たり十万円の処理費で受け入れたと聞いております。また、北九州市は、八十トンで千四百万円、一トン当たり十七万五千円の運送代であります。現地で東北で瓦れき処理を行えば、一トン当たり二万円で処理ができるはず。被災地の人たちの雇用も促進をされ、地域の経済力も上がり、地元で処理をしたいという町村があるのに、願いが届かず残念であります。全国で放射能の危険性を不安に思っている人たちが大勢います。安心・安全な方法を願っております。
今後、福島県原発事故で一号機から四号機をすべて廃炉として整理をするには、三十年から四十年の歳月がかかる見込みであると東電が予想をいたしております。使用済み燃料棒、一号機、三百九十二本、二号機、六百十五本、三号機、五百六十六本、──千五百七十三本、四号機に千五百三十五本、合わせて三千百八本があります。燃料棒を取り出すには、来年十二月から取り出しを開始すると言っておりますが、しかし、今、世界じゅうで燃料棒をすぐに取り出す技術がないと報道されております。撤去したくても技術がなく、手が出せない現状では大変恐ろしいことになります。燃料棒を入れて保管する施設も四百六十五本分しかない、千百八本分は貯蔵施設もない状況であります。
国は、福島原発も処理できないのに福井県の大飯原発稼働にオーケーを出しましたが、本当にこれでいいんでしょうか。福島県原発処理の核燃料棒撤去と冷却水のドラム缶五十万本分、一日も早く処理をしないと取り返しのつかないことになると気がついていないのか、気がついていてもだれもそのことに触れるのが怖くて言葉に出すことができないのか、私には残念でなりません。
このような状況で本当に国民の皆さんの安全が守れるのでしょうか。この間に大地震や大型台風などで建屋の建物が崩れ崩壊したら、今までの避難区域の二十キロ、三十キロ区域では済まされない可能性が起こりうる現状を国はわかっているのか、全く理解ができません。
東電は、廃炉作業で最大の障壁は、原子炉建屋地下にある放射能を帯びた汚染水、五月二十七日現在、七万九千八百立方メートルは、ドラム缶四十万本分になります。汚染水を原子炉の冷却水に利用する循環注水冷却システムを設置し、地下水を今一日五百立方メートル増加をいたしております。貯蓄量を十九万八千立方メートルに拡大をいたしましたが、九月にも満杯になります。汚染水の状況も深刻の一途であります。
東日本大震災から一年三カ月が過ぎました東北では、災害廃棄物の処理が六割ほどしか進んでおらず、国は全国の自治体に広域処理の要請をいたしております。
既に災害廃棄物の受け入れを開始している自治体もありますが、今回の災害廃棄物問題は阪神・淡路大震災のときとは大きく異なります。それは、福島原発事故により放射能が拡散をし、震災で発生した廃棄物が汚染されている可能性があるからであります。
大村知事は、去る四月五日、知多市沖合の名古屋港南五区、中部電力碧南火力発電所地内、トヨタ自動車田原工場内に受け入れ可能量として、全体で百万トンの受け入れを表明いたしております。
また、過日、臨時議会で承認をされておりますが、知事は、四月九日、災害廃棄物受け入れのための調査予算六億円を専決処分されております。
愛知県民の特に若いお母さん方から、子供の将来を考えると不安でいっぱいで、どうしても災害廃棄物の受け入れに賛成することができない、受け入れに反対をお願いしますと、毎日のように私のところに手紙や電話が入ります。
私は、県民の皆さんの賛成できないという気持ちはよくわかります。県民が不安を抱えているこの問題を、東北の人を助けよう、協力したいという感情だけで行っていいものか、もっともっと慎重に考えていただきたいと思います。
南五区、碧南火力、トヨタ工場にしても、海を埋め立てられてつくられた処分場であり、セシウムは水に溶けやすいと聞いております。もし海水にセシウムが溶け、混入したと報道されたら、水産業者は死活問題になります。
そこで質問をいたします。
昨年三月十一日、東北大震災の日に県下のコウナゴ漁が解禁になりましたが、原発の風評被害を受け、単価も半値、漁期も短縮をされ、捕獲したコウナゴは売れず、水産加工業者は、これを冷蔵庫に保管せざるを得ない状況となりました。
ことしも三月八日、解禁となりましたが、昨年の在庫と原発による風評被害のため、値段は安く、売れなくて困っております。
このような被害が生じても漁業者は何の補償もされません。今回の災害廃棄物の受け入れを行うことで、放射能のセシウムが万が一にも海水に流出されたら、仮に流出されなくても風評被害が出たならば、愛知県の漁業はすべてだめになります。そのとき、愛知県としてどう責任をとられるのかお伺いいたします。
風評被害というのは広がりやすいものであります。五月二十九日、毎日新聞の二十三面、米国カリフォルニアの沖で捕獲されたマグロ十五匹から一キロ当たり最大で一〇・三ベクレルの放射能セシウムが検出をされた報道がされました。震災により福島原発では物すごい原発汚水が海水に流出をされており、日本近海でも調査を進めていくと、魚介類に大きな影響を及ぼしかねないと思われております。
そうした点からいうと、災害廃棄物の広域処理について、東北の方々を助けようと、協力したいという気持ちはわかりますが、災害廃棄物処理について、県民の不安を取り除くために、現地での処理が一番いい方法だと私は思っております。
現地で処理をすれば、一トン当たり二万円前後で処理できますが、愛知県でもし処理をすれば、十万円以上の費用がかかります。なぜ五倍も六倍もの費用をかけて処理をするのか。国も借金に困って消費税の値上げを今議論しておる最中であります。無駄金を使うのはおかしいのではありませんか。本当に東北の方々を支援したい、助けたいと思えば、東北の皆さん方にはまことに申しわけないが、東北で安く処理をし、広域処理にかかる多額の費用を東北県民の皆様方に支給していただいたほうが、被災された皆さんにとってもこれからの生活の一部として役立てていただくことができ、一番いい方法ではないかと私は思っております。
私のところに電話や手紙をいただいた方々にお話をしますと、こうした話に大賛成をしてくれます。愛知県民の皆さんにも一番いい方法だと言われます。ぜひとも私たち県民の声を議会にて伝えていただき、不安を解決してください、頑張ってくださいと言われます。
大村知事さんには知事としてのお立場もありますが、愛知県の知事として、愛知県民の安全・安心が一番大事なことではありませんか。
そこで質問をいたします。
県民の皆さんの中には、災害廃棄物の受け入れをしないでくださいという声が多くあります。不安を抱えて悩んでおります。知事さんは、県民の皆様の切なる願いをどのようにとらえておられるのか、知事の災害廃棄物処理についての明確な答弁をお伺いいたします。
これまでに知事さんは、百万トンの処理について精力的に取り組んでこられました。六月十五日には、各首長さんに試験焼却について説明会を行い、広域処理問題に十分活躍をされましたし、努力もされました。しかし、県民の大勢の皆さんの不安の声もあります。いま一度、県民の皆さんの安全・安心の確保のために……
- 54:◯副議長(澤田丸四郎君) 発言は簡明に願います。
- 55:◯六十一番(森下利久君) (続) ために勇気ある撤退を、決断をお願いいたします。
私たち県議会議員も党派を超えて、県民の皆さんの安全と安心のために、愛知県民繁栄のために、知事さんの勇気ある撤退をお願いいたしまして、質問を終わります。(拍手)
- 56:◯防災局長(小林壯行君) 最初に、避難路の確保、整備についてのお尋ねであります。
住民の生命、身体の安全を確保するため、避難場所への避難路の確保、整備は極めて重要であると考えます。
愛知県地域防災計画においても、津波予防対策として、市町村は、住民等の安全を確保するため、避難誘導計画、津波ハザードマップなどを具体的に策定することになっております。避難誘導計画の策定に当たっては、避難対象地区を市町村地域防災計画に明示し、地域の地形に応じた避難場所や避難経路を指定するなど、避難方法を具体的に示して、日ごろから周知することとされております。
したがいまして、避難路の確保、整備につきましては、まずは市町村が地域の実情に応じて作成する避難誘導計画において避難場所を位置づけ、必要な場合には避難路を整備することになります。
県といたしましては、市町村の地域防災計画の修正、あるいは避難誘導計画の作成において、具体的な相談があれば適宜必要な助言を行っております。
また、市町村の地域防災計画に定められた避難路の整備事業につきましては、県の緊急市町村地震防災対策事業費補助金や、国土交通省所管の社会資本整備総合交付金を活用いただけるよう支援してまいりたいと考えております。
次に、大規模災害時における消防団活動のあり方検討会についてであります。
この検討会においては、消防団の方々の御意見を広くお聞きし、大規模災害時の活動指針策定に反映することが大変重要であると考えております。このため、検討会や実務担当者での協議の場であるワーキンググループにおいては、地域バランスに配慮し、多くの団長や団員の方々に御参画をいただいております。
既に五月十七日に第一回の検討会を開催いたしましたが、消防団の方々からは、例えば大規模災害時において、実際に参集できる人員の範囲内でどの業務を優先的に行うべきかを検討することが必要などの貴重な御意見をいただいております。
今後は、県内のすべての消防団員約二万四千人を対象としたアンケート調査も実施し、その結果を活用し、各消防団が地域の実情に応じて組織力や能力を最大限に発揮できるよう、活動指針を策定してまいります。
続きまして、消防団員の退職報償金についてであります。
退職報償金は、法律で設立された消防団員等公務災害補償等共済基金に対して、市町村が掛金を拠出し、団員が退職する際に市町村を通じて全国一律の基準により支給されます。
支給のための要件は、勤務年数が五年以上であり、また、支給額を決定する際の勤務年数は、五年以上十年未満というように五年ごとに区分されています。この要件により、例えば五年で退職した団員の場合は十四万四千円が支給されます。
県内の消防団におきましては、例年退職される団員の三割に当たる約九百名の方が五年未満で退職をされており、退職報償金は支給されておりません。このため、支給のための勤務年数の引き下げ、勤務年数に応じたきめ細かい支給区分の設定や、支給額そのものの引き上げについて、関係機関から要望を寄せられておりますので、毎年県から国及び消防団員等公務災害補償等共済基金に要望いたしております。
県といたしましては、今後とも退職報償金制度の充実について引き続き働きかけを行い、消防団員の処遇改善に努めてまいります。
私からは以上でございます。
- 57:◯環境部長(西川洋二君) 私からは、災害廃棄物、これは福島県のものではなくて、岩手県、宮城県の災害廃棄物でございますけれども、その処理におきまして、放射性物質が海水に流出した場合、風評被害が生じた場合、本県としてどう責任をとるかという点に関してお答えいたします。
災害廃棄物につきましては、より安全なものを受け入れる。そして、安全な方法で処理し、施設においても安全に維持管理をしてまいる考えでございます。さらに、災害時におきましても、放射性物質が万が一にも海水に流出することのないよう、最新の知見を踏まえた安全な施設構造の検討に努めているところでございます。
県としてこうした取り組みを行い、災害廃棄物の受け入れが海産物に影響を与えないことを漁業関係者の皆様方を初め、地元の皆様に丁寧に御説明し、御理解を得ていくことはもちろんでございますけれども、流通業界でありますとか、消費者の皆様方に対しましても積極的な広報に努めてまいる考えでございます。
また、環境省からも、私どもの質問に対する回答において、文言をそのまま読みますと、災害廃棄物の広域処理に当たっては、安全性について説明に万全を尽くすとともに、放射線量等の測定や、そのデータの公表等をきめ細かに実施することなどにより、災害廃棄物の受け入れによる風評被害を生じさせないという文言がございます。
いずれにいたしましても、国や関係機関とも連携の上、漁業への影響、風評被害を発生させることのないよう万全を期してまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
- 58:◯知事(大村秀章君) 森下議員の質問に対しまして、私からもお答えを申し上げたいと思います。
今回の災害廃棄物の受け入れに当たりましては、議員も触れておられましたが、子供さんをお持ちのお母さん方の声、また、農業関係者、漁業関係者の皆様が風評被害を御心配されている声、さまざまな声や御意見を私も承知をしているところでございます。
その一方で、被災地の住民の皆様の、早く復興し、働いて、普通に自分の家で暮らしたいんだという声もお聞きをするわけでございます。今回の大震災による未曾有の被害から被災地が復旧、復興していくためには、日本全体で取り組み、また、日本人一人一人が被災地の復興なくして日本の再生、発展はないんだという思いを持っていただきたいというふうに私は考えるわけでございます。
そして、そういう中で、一日でも早く復興を実現していく上で最大の障害となっているのが、この山積みされた災害廃棄物ということでございまして、その処理を急いでいかなければならないというふうに考えるわけでございます。
こうしたさまざまな思いから私はいろんなことを、ありとあらゆることに思いをめぐらし、考えに考えた上で、日本人として、日本国民として、この災害廃棄物の広域処理、受け入れに協力していこうということを三月に表明をさせていただいたわけでございます。
恐らく、多くの県民の皆様も同じ考えだと私は思っております。そういう意味で、災害廃棄物が安全であると、安全で安心だということがわかれば、私ども本県の取り組みについても御理解をいただけるのではないかというふうに思っております。
また、風評被害のことにつきましては、環境部長から答弁をしたとおりでございますが、この点につきましては真剣に向き合っていきたいと。これは絶対に起きないように、起こさせないように万全を期していきたいというふうに思っております。そのためにありとあらゆる努力を尽くしていきたいというふうに思っております。
いずれにいたしましても、私どもは、何よりも県民の皆様の不安や御心配を取り除くことが大切と考えておりまして、国よりもかなり厳しい独自の受け入れ基準、埋立基準を設定いたしまして、先週の十五日、公表をさせていただいたわけでございます。
今後、安全面で細心の注意を払った適切な処理計画を策定してまいりたいというふうに考えておりまして、そうした中で、八月ごろをめどといたしますが、その受け入れの全体像を明らかにした上で県民の皆様にきちっと説明をし、御理解を求めていきたいと考えております。
県民の皆様には、そうした面で私どもの全体像をきちっと説明してまいりますので、その安全ということを前提とした私ども県の取り組みに何とぞ御理解をいただきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
- 59:◯副議長(澤田丸四郎君) 以上で質問を終結いたします。
─────────────
- 60:◯三十八番(川嶋太郎君) ただいま議題となっております議案は、さらに審査のため、それぞれ所管の常任委員会に付託されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 61:◯副議長(澤田丸四郎君) 川嶋太郎議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 62:◯副議長(澤田丸四郎君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております議案は、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
なお、議案付託表は議席に配付いたしました。
─────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 63:◯三十九番(坂田憲治君) 本日はこれをもって散会し、六月二十五日から七月四日までは委員会開会等のため休会とし、七月五日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 64:◯副議長(澤田丸四郎君) 坂田憲治議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 65:◯副議長(澤田丸四郎君) 御異議なしと認めます。
六月二十五日から七月四日までは委員会開会等のため休会とし、七月五日午前十時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時二十九分散会