県政報告
平成24年地域振興環境委員会
2012年3月13日
(主な質疑)
- 1:(主な質疑)
《議案関係》
【大見 正委員】
予算に関する説明書114ページの「7環境学習基本方針推進費」について伺う。本県は、平成17年1月に愛知県環境学習基本方針を策定し、その後様々な環境学習を進めてきた。こうした中、昨年6月に環境教育推進法が一部改正されたことに伴い、現在の環境学習基本方針を見直し、具体的施策等を盛り込んだ行動計画を策定していくとの答弁があった。そこで、平成24年度の環境学習事業の内容についてはどのようになっているのか伺う。
- 2:【環境活動推進課主幹(環境活動)】
平成24年度における環境学習事業であるが、県の東大手庁舎にある「あいち環境学習プラザ」と愛・地球博記念公園内に開設している「もりの学舎(まなびや)」を拠点施設として、様々な事業を行うこととしている。具体的には、「あいち環境学習プラザ」では、大気汚染、水質汚濁、廃棄物といったテーマで、簡単な実験を交えながら環境学習講座などを実施するとともに、インターネットを活用した環境学習情報の発信なども行うこととしている。
また、「もりの学舎(まなびや)」では、愛知万博で実施された自然体験プログラムを継承し、森の案内人と呼ばれるインタープリターと一緒に自然の中を歩く「もりのツアー」など、自然を身近で大切なものと感じてもらえるような環境学習プログラムを実施していく。そのほか、毎年実施している小学校4年生を対象とした環境学習副読本の作成や、環境をテーマとした「あいち環境絵本」を全国から募集し県内の保育園・幼稚園や図書館で活用してもらう事業も実施していくこととしている。
- 3:【大見 正委員】
昨年の東日本大震災や福島第一原発の事故の発生により、県民の間には、放射能汚染に対する関心が高まってきているような気がする。この問題については、本委員会においても議論がなされ、県ではモニタリングを行い、その数値を誰でもインターネットで見られるという説明もあったが、県民に対する周知は、まだまだ十分ではないと感じている。
こうした中、環境学習の中に放射能の学習も入れ、県民の不安に対して、放射能に対する情報の提供ができていることについて、環境学習の中で示してもらうことも今日的な取組としては必要であると考えている。
そこで、県民の放射能に対する不安解消のため、県はどのような取組を行っているのか伺う。
- 4:【環境活動推進課主幹(環境影響評価)】
福島第一原発の事故後は、県民の不安を解消するため、大気中の放射線量や水道水に含まれる放射性物質の量を毎日測定し、その結果を速やかに知らせるなど、環境監視に努めてきた。また、本年度は、大気中の放射線量を測定するモニタリングポストを県内4か所に追加配備するなど、監視体制の強化も図っている。
県民の不安解消に当たっては、測定データの速やかな提供のみならず、放射能に対する正しい知識を持ってもらうことが大切であると考えており、例えば、モニタリングポストなどが設置してある環境調査センターの施設見学を実施したり、講演会などに職員が出向き、放射能に関する説明を行うなど、様々な機会を捉えて、県民の知識の向上に努めている。
- 5:【大見 正委員】
県民の放射能に対する不安を解消するためには、県民が放射能に対する基本的な知識を持った上で、何が安全で、何が危険かということを判断できるようにすることが大切であると思う。
そこで、環境学習の講座の中に、放射能に関する講座を設けて、県民が放射能に関する正しい知識や県の取組状況を学べるようにしてもらいたいと考えるがどうか。
- 6:【環境活動推進課主幹(環境活動)】
環境部としては、県民の放射能に対する不安を解消するために、様々な機会を捉えて、説明をしているところであるが、県民の方々に放射能についての知識を更に深めてもらうためには、その機会を更に充実させることが必要であると考えている。今後、環境学習プラザで実施している講座の中に新たに放射能に関する講座を加えるなど、放射能に対する知識を深めてもらう機会の充実を図っていきたい。
- 7:【大見 正委員】
県は、放射能に関する情報を県民にいち早く提供するとともに、県民が情報にいつでもアクセスできるような体制を整えてほしい。また、国に対しては、様々な基準や指針の整備をするよう要請してほしい。
次に、このたび策定する行動計画には、放射能に関する学習の機会が盛り込まれると思われるが、まず、行動計画の中身や推進の体制などの概要について伺う。
- 8:【環境活動推進課主幹(環境活動)】
行動計画の策定に当たっては、まず、その内容を協議するための組織づくりを行うよう法に定められているので、それから始めていく。具体的には、まず、新たな行動計画を協議するための環境教育等推進協議会を、来年度の第1四半期中にも立ち上げる。この協議会の構成員については、教育委員会や学校教育・社会教育の関係者、県民、民間団体、更には学識経験者などによる旨が法に定められていることから、そうした方に委員をお願いしたいと考えている。
また、その方々を中心に、協議会の中に作業部会を設け、そこで具体的な議論をしてもらい、第3四半期を目途に素案を取りまとめ、パブリックコメントを実施して広く県民の意見を伺い、第4四半期頃に策定していく予定である。
更に、この計画の策定に当たっては、本県の環境学習を取り巻く情勢を適確に把握する必要があることから、その基礎情報を得るために事業者やNPO、県民など多様な主体の環境保全活動について、実態調査や聞き取り調査なども実施して進めていきたい。
- 9:【大見 正委員】
県は、今日的な課題も踏まえ、全国をリードするような形での環境学習を推進してほしい。また、次代を担う子供たちが、地球環境のような大きな視点から環境問題を捉えるとともに、原発などの問題も含めて、地域性のある視点も育てるような環境学習を推進してほしい。
- 10:【小島丈幸委員】
予算に関する説明書の118ページ「2ツキノワグマ被害防止対策費」について伺う。先日の議案質疑における答弁の中で、平成23年度は9件の出没情報があったとのことであるが、まず、その9件は具体的にどこであったのか教えてほしい。
- 11:【自然環境課主幹(自然環境)】
ツキノワグマの9件の出没場所であるが、豊田市内で2件、その内訳は足助地区で1件、稲武地区で1件であった。また、新城市で1件、設楽町で4件、豊根村で2件で、豊根村の内訳は豊根地区で1件、富山地区で1件であった。
- 12:【小島丈幸委員】
平成18年度以降で、豊田市内の出没件数を教えてほしい。
- 13:【自然環境課主幹(自然環境)】
平成18年度以降の豊田市内での出没件数であるが、平成18年度は16件、19年度は3件、20年度は0件、21年度は5件、大量出没があった22年度は50件であった。更に、細かく地域別に見ると、5年間のトータルでは、豊田地区で8件、藤岡地区で8件、小原地区で21件、足助地区で7件、旭地区で8件、稲武地区で24件であった。また、下山地区では目撃はなかった。やはり県境に接する小原地区や稲武地区での出没が多くなっている。
- 14:【小島丈幸委員】
ツキノワグマの出没予想については、どのような方法で発表していくのか。
- 15:【自然環境課主幹(自然環境)】
出没予想であるが、ツキノワグマの大量出没は、ドングリの生育に左右されると言われている。クマが多く出没する岐阜県や長野県では、ドングリ類の豊凶調査を実施し、その結果を基に出没予想を公表している。本県も同様に、ブナ、ミズナラ、コナラなどの指標となる木を選び、ドングリの実の結実が確認できる8月頃に県や市町村の職員が調査を行い、ツキノワグマの出没が多くなる前の9月頃には公表したいと考えている。
公表の方法であるが、まず、ツキノワグマが出没する地域では、市町村と県関係機関により対策協議会を設置しているので、この対策協議会の中で、市町村の広報誌による情報提供等、地域住民に対する効果的で実状にあった情報提供体制を検討していきたい。
また、記者クラブへの情報提供であるが、新聞やテレビで大きく取り上げてもらえるよう働きかけていきたい。更に、クマの出没予想は、岐阜県や長野県の出没予想とも大きく関係しているので、今後、両者とも連携を図ることにより効果的な広報を実施していきたい。
- 16:【小島丈幸委員】
県として出没情報を提供するわけであるから、県民の方々に対しては、それなりの形で周知してほしい。
- 17:【半田晃士委員】
予算に関する説明書の117ページの「2あいち自然環境保全戦略費」について、あいち自然環境保全戦略の行動計画の進捗状況について伺う。
- 18:【自然環境課主幹(生物多様性)】
あいち自然環境保全戦略では、人と自然との共生を実現することを目標として、長期的な視点をもって様々な取組を総合的に進めていくこととしている。また、戦略では、目標達成のため、「生物多様性の保全」、「生物多様性の持続可能な利用」、「生物多様性を支える基盤づくり」の取組を行動計画として位置づけており、取組の数値目標として26項目を掲げている。
平成22年度末の進捗状況であるが、26項目のうち、鳥獣保護区の指定地区の数など14項目について目標を達成しており、戦略に基づく取組は順調に進んでいるものと認識している。
- 19:【半田晃士委員】
新たに策定される戦略の目標年次については、どのように考えているのか伺う。
- 20:【自然環境課主幹(生物多様性)】
愛知目標は、COP10で採択された世界共通の国レベルの目標であるが、その達成に向けては、自治体の役割が非常に重要であるとされ、とりわけ、本県に対しては、COP10の開催県として大きな役割や期待が寄せられている。
そうした認識の下、本県の新たな戦略の目標年次については、まずは、愛知目標を踏まえた目標年次に設定し直していきたいと基本的には考えているが、国家戦略の改定動向や、環境基本計画など関連する計画の施策との整合性なども考慮しながら来年度検討していきたい。
- 21:【半田晃士委員】
新たな戦略については、具体的にどのような視点や狙いをもって策定していく必要があると考えているのか伺う。
- 22:【自然環境課主幹(生物多様性)】
新たな戦略の策定に当たっては、まずは、COP10の大きな成果である愛知目標のうち、愛知県としてしっかりと受け止めていく必要がある項目を整理した上で、例えば、開発との調和などものづくり県である本県ならではの目標や施策をしっかり位置づけていくことが重要であると考えている。
そうした中で、生態系ネットワークの形成など、COP10を契機として本県が全国に先駆けて進めている様々な取組について、新たな戦略にしっかりと位置づけて、県内へ着実に広げていくことが重要ではないかと考えている。
また、国の国家戦略の改定に併せ、愛知目標を具体的に踏まえた戦略をいち早く策定し、COP10開催県として、本県の先導性を国内はもとより世界に向けて強くアピールしていきたい。
- 23:【半田晃士委員】
新たな戦略の策定については、COP10の開催県としてふさわしい内容になるようにしてほしい。
- 24:《一般質問》
【飛田常年委員】
東日本大震災の災害廃棄物の広域処理について伺う。新聞報道等によると、現在、災害廃棄物の推計量は岩手県、宮城県、福島県で約2,253万トンあり、3月5日時点での処理量は約142万トンで、処理率は約6.3パーセントにすぎないとのことである。
こうした中、広域処理が必要とされている災害廃棄物の量は、岩手県では約57万トン、宮城県では344万トンとなっている。
先日、国の回答に対する知事のコメントがあったが、災害廃棄物の広域処理について、現時点で、愛知県としてはどのような考えを持っているのか伺う。
- 25:【資源循環推進課長】
本県としては、3月11日の大震災の発生以降、被災地の復興を強く望み、できる限りの支援をしているところであり、災害廃棄物の広域処理に関する基本姿勢については、現時点でいささかも変わりはない。しかしながら、放射性物質の飛散が被災地の広範囲に及んでいるため、災害廃棄物の受入れに当たっては、県民の皆様に理解と納得を得るための詳細なデータが必要不可欠であると考え、昨年の10月以降2回、国に要請・質問書を提出した。2回目の回答が3月5日にあったが、その内容については、納得のいくものではなかった。基本的には、一次的な受入れは市町村であるため、現在、国の回答に対する意見を市町村に照会しているところである。
- 26:【飛田常年委員】
広域処理が可能な災害廃棄物の放射性セシウム濃度に関する考え方の中で、現在示されているのが、ストーカ式焼却炉で燃焼する場合、災害廃棄物1キログラム当たり240ベクレル以下であれば、焼却灰1キログラム当たり8,000ベクレル以下になり、流動床式焼却炉で燃焼する場合、災害廃棄物1キログラム当たり480ベクレル以下であれば、焼却灰1キログラム当たり8,000ベクレル以下となると言われている。また、放射性セシウムの濃度が1キログラム当たり8,000ベクレル以下であれば、埋立処分した場合に50センチメートルの覆土が保たれていれば問題はないとされている。現在、県としては、どのような基準値を求めているのか。
- 27:【資源循環推進課長】
国が定めている基準については、埋立てに際しての8,000ベクレル以下という基準がある。可燃物を焼却した場合、可燃物から焼却灰への濃縮率は最大で約33倍となるため、国は、災害廃棄物の放射性物質の平均濃度が240ベクレル以下であれば、焼却灰の平均濃度が8,000ベクレルを超えるおそれはないとしている。私どもとしては、廃棄物を当地に搬入した際、保管や移動の段階において、燃やす前にどういうものであれば安全なのかを国に聞いているが、国は8,000ベクレルを基本として、それを逆算する形で、240ベクレルを目安とするという回答となっている。私どもとしては、これでは十分でないと考えている。また、8,000ベクレル以下という埋立て基準についても、居住等の用途を除くとされ、それでは人が住めないことになるので、埋立地の利用に当たってのきめ細かな基準の設定を求めている。この点についても、2回の回答でも十分納得できるものではなかった。
- 28:【飛田常年委員】
県が受入れをしない場合、市町村が受け入れることについては、法律上の定めがあるのか。
- 29:【資源循環推進課長】
廃棄物の処理については、基本的に市町村がその市町村内の廃棄物の処理を行うことが原則であり、他の地域の廃棄物を受け入れる義務はない。ただ、新聞報道にあるように、今回、国が法に基づいて広域処理を要請する。国の働きかけに応じて市町村が対応するという状況である。
- 30:【飛田常年委員】
各市町村で対応するとのことであるが、私の聞いている範囲では、受け入れてもよいという市町村もある。例えば、市が市議会の了解を得て、受け入れてもよいと言った場合、県は協力するのか。
- 31:【資源循環推進課長】
もし受入れをするという市町村があれば、直接その趣旨を聞いて対応していきたい。
- 32:【飛田常年委員】
燃焼する際の排出ガスの処理について、バグフィルターを付ければセシウムが99.9パーセント以上除去できると聞いている。広域処理については費用がかかるが、被災地の県が負担することであり、また国もいろいろ真剣に考えている。もう既に震災から1年が経過しており、これは早急に解決すべき問題となっている。国全体の問題ではあるが、県としても早急に対応されるよう要望する。
次に、蒲郡市くじ港の廃船処理の問題について伺う。
蒲郡市くじ港において、廃船が放置されており、油が海に流出するなど環境問題となっているが、県の対応について伺う。
- 33:【廃棄物監視指導室長】
状況を一度確認させてほしい。
- 34:【飛田常年委員】
地元の強い要望があるので、ぜひ調査してほしい。
- 35:【島倉 誠委員】
東日本大震災関連の産業廃棄物の搬入について伺う。まず、県外からの産業廃棄物の搬入の現状はどのようになっているか伺う。
- 36:【資源循環推進課主幹(産業廃棄物)】
産業廃棄物の県外からの搬入については、条例に基づき排出事業者が事前に知事に届出をすることが義務づけられている。平成21年度の実績では、県内への搬入量は約60万トンである。
- 37:【島倉 誠委員】
東北被災県から放射性物質に汚染された産業廃棄物の搬入は行われているのか。
- 38:【資源循環推進課主幹(産業廃棄物)】
従来、放射性物質で汚染された廃棄物は、廃棄物処理法の対象ではなかったが、今般、放射性物質汚染対処特別措置法という新法が定められた。これによると、原発施設周辺の汚染廃棄物対策地域内の廃棄物や、周辺都県で発生した8,000ベクレルを超える廃棄物は、指定廃棄物として国が直轄管理することとされた。
それ以外の廃棄物については、特定都県の下水処理施設から発生した汚泥や産業廃棄物焼却施設から発生した燃えがらを特定産業廃棄物として指定するものである。
これらを県内で処理する場合は、廃棄物処理法の適用を受けるとともに、特別措置法に定める特別の処理基準や処理施設の維持管理基準が適用される。今般、特別措置法の施行を受けて、特定産業廃棄物を処理する可能性のある汚泥の脱水、焼却、埋立処分を行う県内の85の事業者に対して、特定産業廃棄物の搬入計画を調査した。その結果、全ての事業者から特定産業廃棄物の搬入計画はないという回答を得ている。
- 39:【島倉 誠委員】
特定産業廃棄物以外の産業廃棄物の搬入に当たって、特定産業廃棄物に当たるかどうかの確認はしているのか。
- 40:【資源循環推進課主幹(産業廃棄物)】
特定産業廃棄物に当たるかどうかは、排出者が調査をして判定する。特定産業廃棄物かどうかは排出場所や品目で特定され、その結果、特定産業廃棄物に当たらない産業廃棄物は通常の産業廃棄物として廃棄物処理法により処理される。
- 41:【島倉 誠委員】
特定産業廃棄物以外の産業廃棄物の県外からの搬入については、チェックがかからないようだが、災害廃棄物である一般廃棄物の搬入については非常にデリケートになっているので、産業廃棄物についても、県として搬入状況をチェックすることはできないのか伺う。
- 42:【資源循環推進課主幹(産業廃棄物)】
産業廃棄物の処理に当たっては、施設周辺の住民の理解が得られるよう適正に処理される必要がある。そのため、事業者に特別措置法の内容の周知を徹底していきたい。
また、産業廃棄物の業者団体などとも連携して産業廃棄物の適正処理がなされるよう、しっかりと啓発していきたい。
- 43:【島倉 誠委員】
処理場への立入りの際には、放射線量等をチェックしてもらうよう要望する。
- 44:【安藤としき委員】
東日本大震災の災害廃棄物の広域処理について伺う。県は、被災地の災害廃棄物の処理について、国に2度回答を求めたが、いまだ詳細な基準は示されていない。焼却灰の埋立てについては、放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8,000ベクレル以内という基準が示されているが、県は、例えば、この基準以下なら受入れができるという数値を考えているのか。また、知事は災害廃棄物の処理に当たり詳細な基準が必要と発言しているが、これは県としての考えなのか、あるいは処理をお願いする市町村の考えなのか。
- 45:【資源循環推進課長】
県として8,000ベクレル以外の基準を考えているかについて、放射性物質については、私どもも十分に理解できていないところもある。このため、どのような基準であれば、県民の安心・安全が得られるのか、国にしっかり確認していきたい。
また、市町村は県と同様に、詳細な基準が必要であるとしている。この受入れ基準については、自治体によって様々な考えがあり、私どもも混乱している。そこで、受入れに当たっての基準、埋立てに当たっての基準はどのようなレベルであれば安心なのかということを国に聞いているところである。
- 46:【安藤としき委員】
放射能のことはよく分からないということであるが、それを聞くと私たちも不安になる。8,000ベクレルを割り戻した240ベクレルが一つの基準であるという考え方もあると思うが、国が240ベクレルと定めれば、県はそれで了解するのか。県としては、一体どのような基準であれば、受入れを考えるのか。ゼロならば受け入れるのか。
- 47:【資源循環推進課長】
ゼロということはない。例えば、100ベクレルは一つの基準であるが、100ベクレルでよいのかということは検討する余地がある。また、燃やせば濃縮されるが大丈夫かということを見極める必要がある。それより低濃度のものについて、例えば、10ベクレルや20ベクレルの低濃度のものを受け入れるといっても、現地にそういったものがないと言われれば、それで終わってしまうので、その点との兼ね合いになる。現在は、そのレベルで本当に被災地の支援ができるのかということを勘案し、検討できる材料を国に質問し、市町村に確認している状況である。
- 48:【安藤としき委員】
なかなか難しい問題と思うが、愛知県の立場として、市町村に対する説明責任の一環として、国にきちんとしたものを示すよう求めているとのことであるが、自分の基準がなく、国に示してくれと言うだけではこの問題の解決に向かわない気がする。受入れを進める意見や拒否する意見など様々な意見があることは理解しているが、その中でどのような復興支援ができるのかを考えるべきであると思う。放射性物質についてよく分からないという回答ではなく、検討を重ね、県としての体制を示すことが必要であると思う。その点について、しっかり検討して対応してほしい。
- 49:【吉田真人委員】
いまの議論を聞いていると、どうも愛知県は消極的であると感じる。大村知事は、全国に向けて受け入れると公表したのに、国の基準がとか、受入れは市町村が決めることであると言っている。こうした逃げ腰行政でよいのかと私は思う。災害廃棄物の受入れは、最終的には市町村長の判断となるのか。
- 50:【資源循環推進課長】
廃棄物の焼却施設は、市町村や一部事務組合が保有しているので、最終的には市町村の判断が不可欠となる。
- 51:【吉田真人委員】
国から今後正式に要請があるということであるが、災害廃棄物を受け入れた場合の責任の所在は、市町村長にあるということか。
- 52:【資源循環推進課長】
責任については言えないが、最終的には市町村長の判断となる。廃棄物処理施設については、その市町村の廃棄物を処理する場合でも、長年の調整を経て設置されたものであるが、一方で、他の地域の廃棄物を受け入れることになると、その地域の方の理解を得るのが大変である。県としては、被災地を支援していく姿勢はいささかも変わらない。それは市町村長も同様だと思うが、現時点で周辺住民を説得できるか疑問であり、県としては、そのための材料を国に求めている段階であり、情報収集に努めているところである。
- 53:【吉田真人委員】
放射能の影響については難しいことはよく分かるが、県は積極的に情報収集し、それを市町村に伝達するとともに、市町村と一緒に責任を取るくらいの気持ちで進めてほしい。これは、市町村の方々も判断しにくい問題であるため、県が先頭に立って進めることが重要であると思う。ぜひ前向きに検討することを要望する。
- 54:【環境部長】
私どもにも少し対応が遅いという意見があるが、災害廃棄物の広域処理については、仕組みをきちっと整える必要があり、しっかり議論して仕組みを整えることに時間をかけ、そこから一気にスタートするというのがスタンダードなやり方ではないかと思う。その点で今の仕組みを見ると、一般質問でも答弁したが、例えば放射能濃度が1キログラム当たり240ベクレルのものを燃やすと、焼却灰の濃度は8,000ベクレル以下になることについて、県民の皆様が納得するかどうか疑問である。県は焼却施設を持っていないため、基準を市町村長に説明し、市町村長は市民に同様の説明をせざるを得ないが、その際に住民から、予測に過ぎないのではないかと言われたときに返答に窮するようではいけないと思っている。
そこで、これはこういう理由なので大丈夫であるという説明をしっかりする必要がある。そのため、2回に分けて国に質問した。受入れ基準、埋立て基準についても同様である。最終処分場を公園にすることはよくあるが、一般の方から、公園は子どもたちの遊び場であるが、そこで土を掘り返して遊具を設置しても大丈夫かと言われたときにきちっと答える必要がある。そのため、国には2回質問し、一部に評価できる点はあるものの、不満足な回答であった。今言ったことを引き続き国に話していくが、国が前に回答したとおりですという姿勢ならば、そこで市町村の皆様に相談し、意見をもらい、次にどうするかということを考えたい。今はまだ市町村の意見を求めている段階である。
県として基準を持っていないことについては、頭を白紙の状態にして市町村に意見を求め、今後のことを考えたい。また、他県の状況はきちっと把握している。100ベクレル以下のものならば受け入れるという自治体が多いが、被災地の災害廃棄物には100ベクレルを超えるものもある。100ベクレル以下のものは処理が進み、100ベクレルを超えるものは残るが、その処理をどうするのか、国は仕組みをしっかり整えてからスタートすべきであると考えている。
- 55:【寺西むつみ委員】
「国連持続可能な開発のための教育(ESD)の10年」最終年会合の本県における位置づけについて伺う。11月定例議会の私の一般質問において、国連ESDの10年最終年会合を愛知万博10周年記念事業として位置づけ、より広く国内外へ発信してはどうかという提案に対し、知事から、愛知万博10周年記念事業として位置づける提案は新しい視点であり、国に対しても働きかけていきたいとの前向きな答弁があった。
また、3月7日に行われた議案質疑において、愛知万博10年目に当たる平成27年度に開催を目指す全国都市緑化フェアに関する質問に対し、建設部長から全国都市緑化フェアを愛知万博10周年記念事業として位置づけて開催したいとの予想外の答弁があった。大変驚くと同時に、これで本県における国連ESDの10年最終年会合の位置づけが明解になったとうれしく思った。
愛知万博が、誘致構想以来、幾多の困難を乗り越えて開催され、また、生物多様性条約第10回締約国会議がこの地で開催された。これら二つの大きな礎があったからこそ、国連ESDの10年最終年会合の誘致・開催に至ったと考えている。
そこで、今後の最終年会合の位置づけを考える上での提案であるが、愛知万博10周年という地域再活性化に向けた千載一遇の機会を、本県全体を包含した巨大なシンポジウムであると考えると、愛知万博が開幕した2005年3月から年度で数えて10年目の平成26年度の秋に開催が予定されている国連ESDの10年最終年会合は、平成27年度に開催される様々な愛知万博10周年記念事業の基調講演的な、全ての事業が寄って立つべき支柱として位置づけることができるのではないか。
これは図らずも、11月定例議会における知事答弁と今議会における建設部長の答弁によってその道筋が示されたと言えるのではないかと考えている。そこで、こうした知事答弁等を踏まえ、愛知万博10周年という機会に、今後、どのように国連ESDの10年最終年会合を本県として位置づけ、県民のみならず広く全国に訴求していく考えか伺う。
- 56:【環境政策課主幹(企画・法規)】
国連ESDの10年最終年会合の位置づけについて、2014年度と2015年度という時間的なもの、また地理的な広がりを含む空間的なものを全部含んだ万博10周年記念事業として、また、その初めの時期の重要なポイントとして位置づけるという指摘があった。
しかし、これだけの期間に行われる県の事業、例えば全国都市緑化フェアなどを含む、膨大な内容について、環境部の一存で全体を整理して、その中で国連ESDの10年最終年会合を位置づけるのは難しいと感じている。
また、国連ESDの10年最終年会合に向けては、来年度、名古屋市、経済界、教育関係機関にも入ってもらい、支援実行委員会を設立し、地元組織として進めていくが、その委員会とも意見交換をして進める必要がある。したがって、今、この場で位置づけができるかどうかを答弁するのは難しい。
- 57:【寺西むつみ委員】
建設部長から、本会議の場で、愛知万博10周年記念事業へ位置づけたいとの答弁があったので、ひょっとして、県の中で既に愛知万博10周年記念事業についての議論が始まっているのかと思い質問をした。
最後に一点だけ要望する。こうした大規模な事業に臨むとき、ともすると目的と手段を知らず知らずのうちに勘違いし、事に当たってしまうことがある。この先、この会合を担当される職員の皆さんには、監督所管する中央官庁との複雑な折衝や、共同開催自治体との調整等、大変な御労苦があると推察するが、ぜひ国連ESDの10年最終年会合の誘致・開催のための条件を満たすことだけがいつの間にか会議開催の目的となってしまわぬよう強く要望する。
私としては、巨大なこの地域全体を含めての時間軸と空間軸の中での巨大なシンポジウムの基調講演に当たるタイミングで開催される国連ESDの10年最終年会合を成功に導いてもらえるよう、今後の皆さんの取組に大いに期待して、私からの質問と提案と要望を終える。
- 58:【稲垣昌利委員】
知事は、今議会での提案理由説明の中でも「今や環境施策を抜きにした経済成長はあり得ない。環境と産業経済を両立させていく必要がある。」と強調しているが、環境部としては、環境と産業・経済の両立について、どのように捉えているのか伺う。
- 59:【環境政策課主幹(企画・法規)】
以前は、公害対策は経済にマイナスというイメージがあったが、現在は、むしろ環境に配慮した方が経済をより活性化できるという時代に変わってきたと感じている。第3次の環境基本計画でも環境と経済の関わりについて取り上げているところであり、関連があるものとして捉えている。また、施策としての取組であるが、環境首都あいちづくりを進める上で、再生可能エネルギーの導入や資源の循環利用などは、地球温暖化対策や資源循環対策に効果があることはもとより、経済活動にも良い影響を与える、いわゆる環境と産業・経済を両立させるものであり、これは環境部としても望むべき方向であると考えている。
本県での環境分野における具体的なものとしては、これまで実施してきた住宅用太陽光発電施設設置に対する補助や、来年度、本県独自に新たに導入されるエコカー免税などがあり、これらは環境対策になると同時に、経済対策にもなっていると考えている。
- 60:【稲垣昌利委員】
知事の発言は、より環境と経済を結びつけようとするものと思うが、具体的にどのように取り組んでいるのか。
- 61:【環境政策課主幹(企画・法規)】
2011年6月に産業労働部があいち産業労働ビジョン2011-2015を策定する中で、取組の内容について環境部にも意見照会があり、積極的に意見を述べたところである。ビジョンは五つの柱から成っており、次世代自動車産業振興プロジェクトや内需型新産業育成プロジェクトの中でも環境部の施策が織り込まれている。このように、産業労働部と連携を取りながら取組を進めているところである。
- 62:【稲垣昌利委員】
産業への投資やビジネスチャンスを拡大するための取組について、部局を飛び越えて今以上に取り組んでほしいと思うがどうか。
- 63:【環境政策課主幹(企画・法規)】
昨今の経済・社会状況の変化もあって、現行の環境基本計画を見直すこととしており、2030年を目指したものとしていきたい。この計画策定に際し、庁内関係部局を構成員とする環境対策推進会議において各部局と意見調整を行うこととしており、こうした中で、環境部としての考えを各部局に理解してもらい、各部局の取組に反映してもらうようにしていきたい。
- 64:【稲垣昌利委員】
環境と経済を両立させていくため、部局が横断的に垣根を越えて取り組んでいくよう要望する。
- 65:【石井芳樹委員】
県立芸術大学建て替え工事における環境対策について伺う。カワモズク、ホトケドジョウ、ギフチョウは国、愛知県では希少種としてどのような定義がなされているのか伺う。
- 66:【自然環境課主幹(自然環境)】
カワモズク、ホトケドジョウ、ギフチョウの3種については、国や県のレッドデータブックにおいて絶滅危惧種として掲載されている希少種で、国の法律である種の保存法や愛知県自然環境保全条例において採取などの規制をされているものではない。
カワモズクは、国のレッドデータブックでは絶滅危惧II類で、ホトケドジョウは、国のレッドデータブックでは絶滅危惧IB類に、ギフチョウは、国のレッドデータブックでは絶滅危惧II類となっている。
- 67:【石井芳樹委員】
現在、愛知県立芸術大学では、音楽学部棟の建て替え工事が行われている。この大学のキャンパス一帯では、東海丘陵要素植物群と言われる独特な自然環境が残されており、また、キャンパスを源流とする堀越川では、先ほど述べた希少な野生生物の生息が確認されている。こうした中、今回の音楽学部棟の工事が、これらの希少種に悪影響を及ぼすのではないかという懸念の声が上がっているが、県は環境への配慮をどのように行っているのか伺う。
- 68:【自然環境課主幹(自然環境)】
建設工事に当たり、希少な野性生物の保護など事業実施区域の自然環境保全については、できる限り配慮していく必要がある。今回のような工事については、通常、事業主体が自発的に環境調査や環境保全措置を実施することとなる。この工事においては、希少種の生息・生育が確認されたことから、それに配慮するための環境調査を、県民生活部と公立大学法人が協力して行っている。今後は、こうした結果を踏まえ、事業者により環境保全措置が適切に実施され、実行可能な範囲でできる限り自然環境への配慮がなされていくと考えている。
- 69:【石井芳樹委員】
この工事の所管は県民生活部であるが、環境への配慮として、環境部はどのように関わっているのか。
- 70:【自然環境課長】
環境部としては、1点目として希少種の保護を最大限に行っていく、また2点目としてキャンパス全体の生態系を保全していくという二つの観点から、県民生活部からの相談に応じて適宜、助言を行っている。
具体的には、まず、音楽学部棟の建て替え工事については、工事箇所付近を流れる堀越川に生息・生育する希少野生生物の保護のため、工事により発生する排水をできる限りこの川へ流さないように配慮することについて、また、開発により影響が避けられない野生生物に対して、生育の可能性が考えられる他の場所へ移植する代償措置を取ることについて助言した。
また、大学敷地内の生態系の保全と向上に向けた検討が行われているが、これに対しては、名古屋東部丘陵の生態系ネットワーク形成の観点から助言を行っている。
今後においても、工事の進捗に伴い予想される自然環境への影響に対して最大限の配慮がなされるよう、環境部としては、必要に応じて環境影響の回避・低減及び生物多様性の向上の視点から助言していきたいと考えている。
- 71:【石井芳樹委員】
音楽学部棟の建設に当たり様々な希少種が発見されたことにより、環境調査が実施されたが、この調査に費やされた予算は幾らか。また、予算が費やされた事業内容についても教えてほしい。
- 72:【自然環境課長】
この建て替え工事では、関連する環境調査を県で所管する県民生活部と愛知県公立大学法人が共同で行っており、発注はいずれも愛知県公立大学法人が行っている。この調査には大きく分けて3種類ある。一つ目は、工事による希少生物種に対する影響の低減措置の実施と工事中の環境監視のための環境対策調査及び工事中環境モニタリング調査を本年度から平成24年度まで契約額1,824万9,000円で行っている。二つ目は、キャンパス全体の植生調査と動物及び水生植物の調査を平成22年度から平成24年度にかけて契約金額1,897万4,000円で行っている。三つ目は、大学敷地内の生態系を保全し向上させていく計画づくりを進めるため、生物多様性対策検討業務を本年度から平成24年度まで契約金額447万3,000円で行っている。
- 73:【石井芳樹委員】
県はCOP10の成果に基づき、県立芸術大学を始めとする東部丘陵地域の23大学と連携して、東部丘陵生態系ネットワーク形成モデル事業を推進している。この計画では、大学、NPO、住民、行政等が主体的な役割を果たして自然を守ることとなっているが、一部から不満の声が上がっている。音楽学部棟の建設工事と生態系ネットワーク形成の計画との整合性は環境部の中で取れているのか伺う。
- 74:【自然環境課長】
生態系ネットワークは、残された自然を保全するとともに、新たに緑地や水辺を整備して、自然と自然をつなぐことによって、生態系の向上を図っていくものである。県立芸術大学が立地する名古屋東部丘陵地域においては、現在モデル地域としてこの生態系ネットワーク形成が進められている。
この生態系ネットワーク形成の推進に当たっては、大学を中心にお願いをし、大学所有の土地に存在する自然を調査した上で、その生態系の質を向上させるための助言や、周囲の自然環境とのつながりを作っていくための提案をして、大学等で自発的に取り組んでもらう方法を採っている。
生態系ネットワークは、必ずしも開発そのものを否定したり、自粛したりするということではない。開発が行われても、工事に伴い、周囲の生態系とのつながりを作るような環境配慮を実施してもらうことによって、地域全体の生態系を向上させるといった、内と外でつながった相乗的な効果を挙げていくことが重要と考えている。
今回の音楽学部棟の建設地に希少種が生育しているという問題は、生態系ネットワークの問題と言うよりは、あくまで開発事業に係る環境配慮の問題と考えている。生態系ネットワークという視点で言えば、県立芸術大学においては、建設工事に直接関連する環境配慮とは別に、キャンパス全体の自然の調査を自ら行い、環境保護地区の設定を始め、周囲の環境とのつながりを作るための全体的な計画を検討しており、生態系ネットワークの趣旨を踏まえてやってもらっていると受け止めている。
- 75:【石井芳樹委員】
県芸大音楽棟の場所が適正であったかどうかは別の判断になるが、建設予定地に新たにカワモズクやホトケドジョウが見つかり、当然のことながら、今まで建設しようとしていた方法を変えた。それに伴って、スズカカンアオイの移植や環境調査も実施され、多分、当初の予算以上の費用が使われていると思う。こうしたことを踏まえ、事業主体が県民生活部であっても、環境部はパートナーとしてしっかり助言をしていくべきである。
今後は、県芸大としても音楽学部棟だけで終わるのではなく、新たに作成されたロードマップによると、キャンパス以外の自然を調査事項としていることから、そこでもまた新しいものが見つかる可能性が十分にある。これを教訓として、今後は他部局にもしっかり助言をして、環境部としての存在意義を示してもらうよう要望する。
- 76:【岡江智子委員】
ゴルフ場排出水農薬調査について伺う。愛知県内には58か所のゴルフ場があるが、このうち、ゴルフ場からの排出水に含まれる農薬による水質汚濁の防止を図るため、県が水質調査を行っているゴルフ場は28か所あると聞いている。ゴルフ場からの排出水は生活用水につながっており、排出水の農薬による水質汚濁は近隣で生活する県民にとって大きな問題となっている。ゴルフ場の環境を守るために使用している農薬が、近隣で生活している県民の体に影響してはならないと思う。先日、ゴルフ場農薬調査の結果を公表したようであるが、この調査を実施している背景、理由はどのようなものであるのか伺う。
- 77:【水地盤環境課主幹(規制)】
ゴルフ場で使用される農薬による公共用水域の水質汚濁の未然防止を図る観点から、平成2年に当時の環境庁において、ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止に係る暫定指導指針が策定され、当初は21種類の農薬について、指針値、排水中の濃度の値が設定された。
これは、当時の知見等から見て可能な範囲で水質汚濁の未然防止に資する対処の方策を明らかにするために、また、地方公共団体が水質保全の面からゴルフ場を指導する際の参考となるよう定められたものである。
この指針は、現状の実態や科学的知見の集積等により、必要に応じて改定がなされており、最近では平成22年9月に改正され、現在の指針では75種類の農薬69項目について指針値が策定されている。県は、この指針に基づいてゴルフ場からの排水を調査している。
- 78:【岡江智子委員】
この暫定指導指針について、もう少し詳しく内容を教えてほしい。
- 79:【水地盤環境課主幹(規制)】
この指針では、水質保全の面からゴルフ場を指導するに当たり、農薬使用量を的確に把握するとともに、ゴルフ場周辺の水域に対する水質汚濁を未然に防止するという二つの観点から、ゴルフ場排出水の農薬の調査と指導、各農薬の指針値、分析方法等が示されている。指針値については、現在75種類の農薬69項目という状況になり、現在ゴルフ場で使用されている農薬のおよそ8割がこの指針において把握されている。
- 80:【岡江智子委員】
最近の行政検査の結果はどのようになっているのか。
- 81:【水地盤環境課主幹(規制)】
ゴルフ場農薬調査については、愛知県と水質汚濁防止法を所管する政令市がそれぞれ行っており、平成22年度に県及び政令市が行った調査結果を取りまとめて、今年の1月26日に公表している。
本県の調査では、ゴルフ場に農薬の使用状況を事前に聞き取り調査した上で、調査時期の直近に散布された農薬の中から、使用量の多い3種類の農薬をゴルフ場ごとに選定して調査分析を行っている。このため、ゴルフ場ごとに調査する農薬は異なっているが、平成23年度の調査においては全体で25種類の農薬を調査している。調査結果については、県管轄分の調査ではここ10年ほど指針値超過は認められていない。なお、政令市を含めた状況では、平成22年度であるが、指針値を超過した事案が1件あった。
- 82:【岡江智子委員】
指針値をもし超えてしまった場合には、ゴルフ場に対してどのような指導をしているのか。
- 83:【水地盤環境課主幹(規制)】
指針値を超過した場合には、農薬使用の適正化、可能な範囲での農薬の使用量の削減などについて、農水部局等と十分連携を取りつつ、ゴルフ場関係者を指導している。
- 84:【岡江智子委員】
この10年ほど指針値が守られているのは、県の監視がきちんとしているからであると思う。現在は放射性物質による汚染が取り沙汰されているが、県民の安心・安全のため、ゴルフ場における農薬の適正使用について、環境部は今後も引き続き監視に努めてほしい。
- 85:【吉田真人委員】
一宮市内のガソリンスタンドの地下槽から灯油が大量に漏れ出した。その調査結果として地下水に影響がないという新聞の見出しがあったが、その調査結果を教えてほしい。
- 86:【水地盤環境課主幹(規制)】
一宮市内における灯油の漏れ出しであるが、この地下水汚染については、一宮市役所が所管しており、県は直接対応していない。
- 87:【吉田真人委員】
県ではなく、市が対応しているということでよいか。
- 88:【水地盤環境課主幹(規制)】
そのとおりである。