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県政報告・石井よしき発言
平成24年
平成24年2月定例会(第6号)
平成24年2月定例会(第6号)
2012年3月6日
石井よしき発言
7
9
(主な質疑)
午前十時開議
◯議長(岩村進次君)
おはようございます。
ただいまから会議を開きます。
直ちに議事日程に従い会議を進めます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第一 第六十七号議案平成二十三年度愛知県一般会
計補正予算から第八十六号議案損害賠償の額の
決定及び和解についてまで
2:◯議長(岩村進次君)
第六十七号議案平成二十三年度愛知県一般会計補正予算から第八十六号議案損害賠償の額の決定及び和解についてまでを一括議題といたします。
─────────────
3:◯三十八番(神戸洋美君)
ただいま議題となっております議案は、さらに審査のため、それぞれ所管の常任委員会に付託されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
4:◯議長(岩村進次君)
神戸洋美議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
5:◯議長(岩村進次君)
御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております議案はそれぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
なお、議案付託表は議席に配付いたしました。
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日程第二 第一号議案平成二十四年度愛知県一般会計予
算
6:◯議長(岩村進次君)
次に、第一号議案平成二十四年度愛知県一般会計予算を議題といたします。
この際、第一号議案平成二十四年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳出第一款議会費から第五款環境費までの質問を許します。
質問に際しては、款項を明らかにして発言されるようお願いいたします。
通告により質問を許可いたします。
石井芳樹議員。
7:◯四十五番(石井芳樹君)
私は、歳出第四款県民生活費第一項県民生活総務費のうち、消費者行政の推進についてお伺いをいたします。
近年、社会経済のグローバル化や、高度情報化の進展などにより、さまざまな商品やサービスがいつでもどこでも手に入れることが可能となり、私たちの生活はますます便利で豊かになってまいりました。
しかし、その一方で、高齢者や若者を標的とした消費者トラブルも依然として後を絶たず、複雑化、高度化して、頻繁に新聞やテレビ等で報道されているのは、皆さんの御周知のとおりであります。
本県においても、これらトラブルに対応すべく、現在、県内八カ所に県民生活プラザを設け、消費生活相談を行っているところであります。
昨年の四月から十二月までに寄せられた本県の相談件数は一万二千九百八十一件で、そのうち、契約当事者の年代別に見ますと、四十代が二千四百三十七件で最も多く、全体の一八・八%を占め、次いで三十代の二千四百二十九件、七十以上の一千七百二件の順で、中でも七十歳以上の高齢者からの相談件数は、前年度同期に比べ一割程度の増加となっております。
また、品目別に見ますと、デジタルコンテンツ、インターネット接続回線などの運輸通信サービスが四千四百九十六件で最も多く、次いでファンド型投資商品、フリーローン、サラ金などの金融保険サービスの一千五百五十六件、電話機、電話機用品、音響映像機器などの教養娯楽品の一千十八件の順となっております。
中でも特徴的なのは、店舗外取引に関する相談で、八千七百十件と全体の六七・一%を占め、通信販売に関する相談が五千五百二十二件で最も多く、次いで訪問販売の一千五百二十二件、電話勧誘販売の一千三百六十六件となっております。
さらに、最近では、勧誘の手口は年々悪質化、巧妙化してきており、過去の消費者被害に遭った人をねらって執拗に勧誘し、新たな契約をさせたり、複数の業者が共謀してうまい話を持ちかけ、投資を勧めたりする劇場型と呼ばれる手口などが増加をしてきております。
あわせて、若年層からの相談についても、携帯電話やインターネットの利用者の低年齢化に伴い、アダルトサイトや出会い系サイトからの不当請求などの相談も後を絶ちません。
こうした悪質なケースにおいては、消費者被害が発生した後では被害の回復が困難になる場合が多く、今後は消費者被害の未然防止、拡大防止にもさらに力を入れていかなければならないところであります。
消費者を取り巻くさまざまなトラブルの未然防止や、その解決を図るためには、相談者に最も身近な市町村で消費生活相談が受けられることがトラブル解決に向けた迅速なる手法だと思います。
その中、国では、平成二十一年に、今後三年間、地方公共団体の消費生活相談体制を強化するため、地方消費者行政活性化交付金を都道府県に交付し、これにより県は基金を造成し、市町村が行う消費生活相談窓口の開設や充実、相談員のレベルアップなど、さまざまな事業に助成を行ってまいりました。
さらに、県では、平成二十二年に愛知県消費者行政推進計画を策定し、すべての市町村に消費生活相談窓口を設けることを短期集中的に取り組む重要な施策の一つとして目標を掲げてまいりました。
こうした状況の中、県内市町村における消費生活相談体制の整備は現在どの程度進んでいるのかお伺いをいたします。
また、消費者行政活性化基金は、当初の予定から一年延長がなされ、平成二十四年度に終了することになっておりますが、今後、市町村の消費生活相談体制の充実に向け、県としてはどのように取り組んでいくおつもりなのかお伺いをいたします。
8:◯県民生活部長(大野明彦君)
県内の市町村における消費生活相談体制の整備状況と今後の取り組みについてお答えいたします。
県は、これまで市町村に対し、市長会や町村会などを通じて、消費者行政活性化基金を活用した消費生活相談体制の充実、強化を積極的に働きかけてまいりました。
その結果、平成二十四年度には、県内すべての市町村において相談窓口が設置される予定でありますが、その開設状況は、週一日以下のところが五十四市町村中三十二市町村、全体の約六割とまだまだ不十分な状況にあると認識しております。
そこで、今後の取り組みでございますが、消費者行政の推進に係ります市町村の役割につきましては、平成二十一年に制定された消費者安全法においては、県は、市町村の区域を超えた広域的な見地や、高度な専門性を必要とする相談に対処することとされている一方で、住民からの消費生活相談に対する第一義的な対応は市町村が行うこととされておりますことから、基金終了後も市町村の相談体制がさらに充実するよう、市町村に対し、引き続き窓口開設日数の増加を働きかけてまいります。
また、住民の皆様がお住まいの市町村の相談窓口だけではなく近隣市町村の相談窓口も利用できるよう、地域の実情に応じた広域連携を促進し、消費者行政の強化に努めてまいります。
9:◯四十五番(石井芳樹君)
一点要望させていただきます。
先ほど私が挙げさせていただきました県の相談件数一万二千有余という件は、あくまでも県に来た相談件数であります。市町村の数を合わせればさらに多い数の中で、こうした市町村の相談窓口がふえたということは大変に喜ばしいことであります。
しかしながら、翻って考えるのであれば、交付金があればこそ、このように市町村の窓口がふえたということも考えられるわけであります。来年度、二十四年で交付金が切れるわけでありますので、ぜひとも窓口が閉鎖することのないように、さらに窓口のサービスの拡充が行われるように、県としてはしっかりとまた御指導いただきますようお願いをするのと同時に、また、もう一つ、相談員のスキルアップについてでありますが、こちらも、なかなか相談員が、なったからといってすぐに相談体制ができるわけではないわけであります。
当然のことながら、法律の知識も必要でありますし、あわせて、そこから生まれる体験、経験を含めて、それら総合力が相談員には必要でありますし、さらには、市町村の相談窓口は、地域の方に自分たちが話したくないことを相談されるというケースが多々あるわけでありますので、人間間の信頼関係も当然必要になってくるわけであります。それらを含めて、相談員の支援体制もしっかりと行っていただけるよう要望して、終わります。
10:◯議長(岩村進次君)
進行いたします。
日比たけまさ議員。
11:◯三番(日比たけまさ君)
私は、歳出第三款地域振興費第一項地域振興総務費愛知環状鉄道設備改修費補助金についてお伺いします。
愛知環状鉄道は、高蔵寺駅から瀬戸市、豊田市と経由し、岡崎駅まで通じる全長四十五・三キロメートルの路線で、沿線には工業団地や住宅団地、また、大学、高校等が数多く立地し、地域住民の足としてなくてはならない存在です。
愛知環状鉄道の経緯については御存じの方が多数おみえと存じますが、質問の趣旨にもかかわりますので、簡単に御紹介します。
岡崎と多治見とを鉄道で結ぶ構想は古くからあり、大正末期には、地域開発のためにと沿線一市六町七村が立ち上がって建設促進運動が始まり、昭和二年には、鉄道敷設法で規定された予定線の一つに上げられました。その後、鉄道ではなく、バス路線として運行された時期を経て、昭和四十年から岡崎―豊田間、四十二年には豊田―瀬戸間、四十八年には瀬戸―高蔵寺間で工事が始まり、昭和五十一年に岡崎―新豊田間が国鉄岡多線として旅客営業を開始しました。
しかし、乗客数が年間百九十万人と伸び悩む中、完成間近に控えていた新豊田―高蔵寺間が開通しても、輸送密度が国鉄路線の存続基準である一日四千人に満たないことが予測されたことから、昭和五十九年、国鉄は、愛知県に第三セクター化を申し入れ、県は、岡崎、豊田、瀬戸、春日井の沿線四市とプロジェクトチームを組み、検討を進めた結果、昭和六十一年、第三セクターとしての愛知環状鉄道株式会社が設立され、岡崎―高蔵寺間の路線運営を引き受ける形で昭和六十三年一月に開業することになりました。
開業当時の運賃は、国鉄岡多線に比べ平均二八%アップの設定をしたこともあり、利用客の伸び悩みも想定されましたが、実質初年度の昭和六十三年度決算においては、年間乗客数四百七十二万人、これは当初予想の一三%増、営業収益十二億三百万円、同三〇%増、経常利益三千五十万円を計上し、いきなり黒字決算となると、開業わずか五年で累積赤字を解消します。
その後は長らく黒字経営が続いていましたが、平成十三年度に赤字となり、平成十七年度に愛知万博による大幅な収入増により一たん黒字に転じたものの、平成十八年度決算で単年度約三億三千三百万円の赤字、前期純利益から相殺した繰越損失額は二億一千六百万円となり、再び赤字経営に転落しました。
しかしながら、翌平成十九年度決算では黒字転換するとともに、輸送人員も現在では一千四百万人を超え、営業収入も現在では三十六億円と順調に推移をしております。愛知環状鉄道は、第三セクターとしては珍しい優良企業としてその名を示す存在なのです。
次に、愛知県の支援について触れます。
これまで愛知県では、沿線市とともに数回にわたり大きな財政支援を行っています。平成十年度から十六年度にかけては、沿線地域の将来的な開発に対応していくための一部複線化や、車両基地拡張などの施設整備に対し、全体事業費約百五十六億円のうち約三十八億円を、平成十三年度から十六年度にかけては、愛知万博開催時の円滑な観客輸送のための高蔵寺駅での直通運転化の施設整備に対し、全体事業費約二十七億円のうち約六億二千万円を投じています。
さらに、平成十七年度から十九年度にかけては、トヨタ自動車による鉄道への通勤転換策や、豊田市が中心に取り組んでいるTDM、交通需要マネジメント施策による新規需要に対応する輸送力強化のため、新豊田―三河豊田間の複線化事業を実施し、全体事業費約三十一億円のうち約六億円を負担しています。
これらの支援により愛知環状鉄道の輸送力は大きく強化され、さきに述べたとおりの年間乗客数の大幅増につながっています。
このような経緯を踏まえ、今回の補助金について確認します。
私は、今回の補助金については、さきに述べた支援とは性格が異なるのではないかと考えます。すなわち、これまでは輸送力強化という目的が主であることから、地域活性化という観点からも、県や沿線自治体としても補助金を出す必要性は理解ができるところです。その一方で、今回の補助金は、耐震対策等の設備改修に対する支援を行うと伺っております。
冒頭に述べましたとおり、愛知環状鉄道は、県と沿線四市が中心となった第三セクター鉄道ではありますが、設備改修等の工事については、愛知環状鉄道株式会社が計画的にみずから行うことが基本であると考えます。
そこで、県の財政状況が非常に厳しい中、今回、県と沿線市が補助金を出すという点について、その必要性を確認したいと思います。
一点目として、県及び沿線市の支援の対象となる平成二十四年度の耐震対策事業等の工事内容、事業費の概要を伺います。
次に、二点目として、なぜ県や沿線市が支援するべきと考えるに至ったのか、補助の必要性について伺います。
12:◯地域振興部長(山田周司君)
まず、御質問の一点目の県及び沿線市の支援対象となる平成二十四年度の耐震対策事業等の工事の内容及び事業費の概要についてお答えをいたします。
愛知環状鉄道株式会社は、平成二十四年度に十億円程度の修繕、設備投資を見込んでおりますが、このうち、県及び沿線市が支援する事業の対象としては、まず、耐震対策事業として、災害時の緊急輸送道路と交差する橋梁の落下防止工事があり、事業費は五千八百万円であります。
また、鉄道施設設備の老朽化への対応の一つとして、高架橋のコンクリート剥離に対する措置があり、事業費は三千万円であります。
このほかの工事として、盛り土構造物の改良工事や、電車線路設備及び電力設備の更新工事などがあり、平成二十四年度の補助対象事業費は全体で約一億四千万円となります。
次に、御質問の二点目の県及び沿線市の補助の必要性についてお答えします。
最近の愛知環状鉄道株式会社の経営状況は、平成二十年度のリーマンショックに端を発する世界的な景気後退などの影響から経常損益は黒字と赤字が交互しており、不安定な経営状態が続いております。
また、昨今の厳しい経済情勢や少子化の進展を考慮しますと、今後、利用者の大幅増加を期待することはできず、一方で、耐震対策及び老朽化対策に伴う大規模な修繕、設備投資にかかる経費は、会社によりますと、今後十年間に毎年数億から十数億円と想定されており、厳しい経営状況が続くものと見込まれております。
こうしたことから、すべての工事を自社で実施することは体力的に厳しいと判断し、安全・安定輸送の確保の観点から、必要度、緊急度の高い工事についてのみ、国の補助制度に協調する形で沿線市とともに補助を行うこととしたものであります。
以上でございます。
13:◯三番(日比たけまさ君)
ただいま御答弁いただきました内容に関しまして、最後にもう一点質問します。
ただいま地域振興部長から愛知環状鉄道の経営状況を伺いました。黒字経営といっても、その内情は厳しいこともわかりました。
そうなりますと、利用者への負担、すなわち運賃が気になります。先ほど述べましたように、愛知環状鉄道の運賃は、当初から割高という印象が強くありました。今でも利用者からは、運賃が高いという声を数多く聞きます。
そこで、今後の運賃についてはどのようにお考えであるのか、値上げ等も考えているのかについてお伺いします。
14:◯地域振興部長(山田周司君)
愛知環状鉄道の運賃についてお答えをいたします。
愛知環状鉄道株式会社においては、開業以来、現在までのところ、消費税が導入されました平成元年四月と、その税率が引き上げられた平成九年四月の二回運賃を値上げしております。
運賃の値上げについては、経営状況だけではなく、鉄道事業関連の物価や、他の鉄道事業者の動向などから総合的に検討されるものでありますが、現在のところ、同社においては、経済情勢に大きな変化がない限り、値上げの予定はないと聞いております。
以上でございます。
15:◯議長(岩村進次君)
進行いたします。
藤原宏樹議員。
16:◯五番(藤原宏樹君)
歳出第三款地域振興費第一項地域振興総務費のうち情報推進費について質問させていただきます。
愛知県は、昨年十二月に、情報通信技術、ICTに関する第三次の総合指針として、あいちICTアクションプラン二〇一五を策定いたしました。
このプランでは、世界と闘える愛知を支えるを基本目標として、クラウドをベースとした業務システムへの進化や、デジタルコンテンツで加速する地域ブランディングへの進化、物づくりの高付加価値化を支える情報通信産業への進化など、五つの方向性を示し、さまざまな施策展開を図ることとしております。
そこで、今回、私は、現在の厳しい財政状況や、災害への備えの必要性を考えると、この五つの重点施策の中で、コスト削減と、災害対策としても有効なクラウドをベースとした業務システムへの進化、すなわち、自治体クラウドの推進が迅速に対応するべき取り組みでないかと考えます。
全国的に見ると、山形県置賜地域の八市町や、神奈川県西部の十四町村、奈良県西部の七市町など、クラウド技術を活用した情報システムの共同化の取り組みが各地で行われており、三割から四割程度のコスト削減が可能となったと聞いております。
自前のサーバー等の機器類を持たず、ネットワーク経由で情報処理サービスを導入する仕組みであるクラウドは、確かにハードウエアを備える必要がなくなることや、運用費用の割り勘効果の発生など、コスト削減効果は大きなものがあると考えます。ITコストの高負担に悩む自治体は、今後、この自治体クラウドに希望を託すようになると考えております。
次に、災害対策に対する効果の考え方です。
東日本大震災からちょうど一年が過ぎようとしております。この大震災では、地震やその後の津波で、役所が利用していた情報システムが崩壊し、住民情報等が流失して、復興の妨げになった事例が数多く見られたと聞いております。
また、昨年末には、国は、東海・東南海・南海地震について、従来の想定を見直し、震源域は従来の二倍に及び、高い津波が起きる津波地震と連動するという新たな想定を公表いたしました。この巨大災害による被害を最小限に抑えるための備えの一つとして、災害に強い自治体クラウドの導入は待ったなしの状況と言えるのではないでしょうか。
この自治体クラウドの推進に関しては、あいちICTアクションプラン二〇一五の策定に先立つ昨年六月の代表質問や、九月の一般質問においても、我が党自民党県議団の議員が積極的に推進すべきものと提言し、その際、知事や地域振興部長から、県としてしっかり支援してまいりたいとの力強い答弁をいただいております。
その後、どのように具体的に検討が進められているのか伺っていきたいと思います。
まず、一点目として、愛知県は、これまでに県内市町村の自治体クラウド化の推進にどのように取り組まれてきたのかお伺いいたします。
次に、二点目として、私の出身地である東三河地域は、特に大規模地震と正面から向き合っていかなければならない地理的特性を有しているため、その備えとして、情報システムの共同化、災害に特化した自治体クラウドの構築について、検討を始めたと聞いております。東三河地域を含め、県内市町村のクラウド化の現状はどのようになっているのかお伺いいたします。
次に、三点目として、私は、クラウドによるコスト削減のかぎはシステムの共同化にあると思っております。ほとんどの市町村は、これまでの業務のやり方に応じて、業務システムに独自の仕様を施しております。
今までの業務のやり方の見直しにもつながるシステムの共同化は、当事者である市町村のみで調整することはかなり難しいと考えます。今後、自治体クラウドの推進には県の役割は非常に重要であると考えます。
一昨年十一月に開かれた県・市懇談会においても、豊川市長から、クラウドへの移行は、基盤の検討など課題が山積しており、一自治体では対処が不可能であるとして、県のリーダーシップ発揮が強く要望されました。
クラウド化による共同利用は、いわばシステム上の市町村合併とも言えるものであると思います。一自治体で対処することが困難であるとの豊川市長の考えは、私も全く同感であり、県の支援がぜひとも必要であると考えます。
コスト削減に合わせて、県民に対するサービスの向上はもとより、将来的に道州制を視野に入れていく中で、システムのクラウド化は今後積極的に取り組まなくてはならない重要な施策であると考えます。
そこで、市町村が円滑にクラウド化に移行するために、今後、県は具体的に市町村をどのように支援していくお考えなのかお伺いいたします。
以上、三点について質問させていただきます。
17:◯地域振興部長(山田周司君)
まず、県内市町村におけるクラウド化の推進の取り組みについてお答えをいたします。
昨年度、県と県内市町村で構成するあいち電子自治体推進協議会の中に研究会を設け、国の担当官や、クラウド事業者と意見交換を行い、クラウドに関する理解を深めながら、県内市町村のクラウド化の指針を検討し、あいち自治体クラウド推進構想案として取りまとめました。
この構想案は、複数の市町村で共同してクラウド化を進めることや、各自治体がそれぞれの事情に合った時期にクラウド化を目指すことなどを内容としております。今後、年度内にこの構想案を協議会において正式に決定してまいります。
次に、市町村のクラウド化の現状でございます。
現在、構想案に沿って、県内各地で地域別や市町村の規模別での共同クラウド化の検討が始められております。そうした中で、昨年十一月に弥富市が、他市町村との将来の共同化を見据えて、県内では初の情報システムのクラウド化を実現いたしました。
また、豊橋市と岡崎市も、昨年七月に国保・国民年金システムの共同開発、共同運用のための基本協定を締結し、現在、全国初となる中核市による共同クラウド化に向けて、システムを開発中でございます。
最後に、本県の支援についてでございます。
来年度は、策定した推進構想に基づき、クラウドの共同化を目指す市町村が円滑に移行できるよう、県が中心となり、協議会事業としてあいち自治体クラウド推進事業を実施してまいります。
この事業は、市町村の現状システムを調査、分析し、規模や地域特性を考慮した最適なグループ分けや、それぞれのグループごとに現状業務に合った最適なクラウドシステムを市町村に提示するものでございます。
県といたしましては、この事業を通じて、市町村の共同クラウド化を積極的に支援し、市町村のIT経費の縮減と、災害に強い市町村行政が実現されることを目指してまいります。
以上でございます。
18:◯議長(岩村進次君)
進行いたします。
錦見輔議員。
19:◯十番(錦見輔君)
私は、歳出第三款地域振興費第一項地域振興総務費のうち、県民情報システム運営費について伺います。
県民情報システム運営費は、県民に情報を伝えるためのシステム、つまり、インターネット公式サイト等を扱う予算であります。
情報化社会の到来によりまして、市民の利用する情報伝達の手段、つまり、主に接触するメディアですが、これが新聞、テレビといったマスコミからインターネットへと重点が置きかわりつつあります。
昨年、広告代理店である博報堂が行った調査では、一日当たりに接触するメディアは、十代から六十代の全年代層において、テレビが約二時間五十三分、新聞が約二十九分、これに対して、携帯電話やパソコンからのインターネット利用、これが約一時間四十三分と大きく増加してきています。
さらに、十代から三十代の男性では、テレビとの接触時間をインターネットが上回る結果、まさに、一番一日のうち接しているのがインターネットだと、こういった結果になり、メディアの主役はテレビからインターネットに移りつつあります。
さらに、インターネットは、コストパフォーマンスの面でも非常に有利です。愛知県の公式ホームページは、合計で二万ページ以上あると伺いましたが、その費用は約二千万円であると伺っております。この二万ページ、すべて印刷して県内約三百万世帯に配布したとすると、一ページあたり〇・五円としても三百億円という莫大な予算が必要ですし、これに加えて配布のための予算も必要です。
このような状況をかんがみますと、県民にインターネットを通じて情報を伝達するための予算である県民情報システム運営費を拡充していくことは、今後ますます重要となってくるものと考えます。
さて、情報を広く伝える、いわゆる広報活動においては、言うまでもないことですが、伝えたい相手に確実に伝えること、これが大変重要でございます。大切な情報でも、きちんと相手である県民に伝わらなければ意味がないのです。
そのためにどうするべきか。情報という言葉そのものにそのヒントがあると思っております。この予算費目ともなっております情報という言葉ですが、翻訳によって明治時代以降につくられた言葉だということです。その語源ですが、敵情を報告するという軍隊用語を縮めて情報としたという説が有力であります。
私が何を申し上げたいかといいますと、広報活動においては、二つの点をしっかりと押さえなければいけないということです。
一つは、情報の情、敵情の情のほうでございます。つまり、相手に何を伝えるべきかという内容で、最近の言葉で申し上げますとコンテンツです。
そして、二つ目が情報の報。つまり、相手にどうやって伝えるべきかという方法で、これを指す言葉は、あえて言いますとアクセシビリティー等でございますが、なじみのない言葉でもありますので、本質問では媒体といたします。
伝えるべきコンテンツが適した媒体で伝達されているか、この観点から、県民情報システム運営費について、順次質問させていただきます。
まず、内容であるコンテンツです。大村知事就任以来、愛知県のホームページには大変意欲的なコンテンツがふえ始めたと感じております。私の事務所も大学生のインターンを受け入れているのですが、ある日、その大学生が、議員、こんなおもしろいコンテンツが愛知県のホームページにありましたと持ってきたものが、先日、河合洋介議員が御紹介された「知多娘。」でございました。
百聞は一見にしかずということです。議長のお許しのもと、これが実物でございます。こういった、結構、愛知県のホームページとしては革新的なコンテンツでございます。
この「知多娘。」というのが、まず、何といってもすばらしいのが、実際にインターンの大学生がおもしろいと言って持ってきたという事実そのものでございます。自治体のホームページにおいて、現役の大学生がおもしろいと感じられるものがほかにどれだけあるでしょうか。
この「知多娘。」は、河合議員が御説明されたように、もともとは若者の就職支援のために生まれたキャラクターです。まさに、大学生を伝える対象層としているわけで、そのメーンターゲットに情報が到達しているのはすばらしい成果であると思います。
愛知県のホームページや、ユーチューブに掲載された「知多娘。」の動画は、その閲覧数が三十六万回以上にも上り、テレビや新聞にも多数紹介され、自治体の制作する動画コンテンツとしては爆発的なヒットというよりもホームランとなりました。
このヒットの要素を、先ほど申し上げました情報において大切な二点、つまり、コンテンツと、それを載せる媒体という観点から分析してみますと、ただコンテンツがすばらしかったというだけではないことがわかります。何が申し上げたいかといいますと、このような意外なコンテンツが、愛知県のホームページという効果的な媒体に動画として掲載されたということがホームランにつながったということです。
この成功は、愛知県ホームページという場に「知多娘。」を掲載することを許可した大村知事と、それを推進した愛知県情報企画課の御努力が実ったものと思い、まず率直に賛辞を送りたいと思います。
そこでお尋ねいたします。
県は、ホームページの刷新に対してどのように取り組み、その結果として、アクセス数などの効果はどのようになっておりますでしょうか、お伺いします。
続きまして、長く述べてまいりましたように、情報においては、内容だけでなく、それを公開する媒体、場が非常に重要であります。
続いては、媒体について質問させていただきます。
前述のように、その存在感をどんどんと増しているインターネットですが、その中でも、数年前からツイッターやフェースブックといったソーシャルメディアが急激にその利用時間を伸ばしております。その中でも、フェースブックの伸びは非常に著しく、全世界で約八億人、日本では約六百七十万人以上が利用していると推測されております。
特に若者には普及が著しく、ある民間の調査では、約三五%の大学生が就職活動にフェースブックなどのソーシャルメディアを活用しており、このソーシャルメディアを活用した就職活動のことを俗にソー活と呼ぶという現象も起こっております。
ここで、フェースブックとは何か。今さらですが、簡単に御説明いたしますと、自分の友人が、今、どこで、何をしているかを簡単に把握できるシステムです。反対に、自分が、今、どこで、何をしているかを自分の友人にリアルタイムで把握してもらうこともできます。その特徴の一つが、スピードが早いということで、今すぐに知らせるべき情報をすぐに伝達することができます。
このように、フェースブックは全世代での利用者がどんどんとふえておりますし、特に若者にとって非常に親しみやすい媒体となりつつあります。
佐賀県の武雄市という自治体では、公式ホームページに掲載しておりますすべての情報をすべてフェースブックに移転するという試みまでされており、全国的な注目を集めておりますし、愛知県でも、豊根村が公式フェースブックページを開設し、活用されております。
愛知県としても、フェースブックに対し迅速に対応されており、全国的に有名となった「あいち離島八十日間チャレンジ!」は、まさにフェースブック上の特設ページで知名度を向上させましたし、この日曜日に行われます、マラソンフェスティバル ナゴヤ・愛知も、フェースブック上で話題となっております。
そこでお尋ねいたします。
愛知県におけるフェースブックを初めとして、ソーシャルメディアの活用状況はどうなっているでしょうか。
そして、今後、愛知県の情報、その中でも特に奨学金、就職といった若者に関連する分野の情報伝達の媒体として、今後、ソーシャルメディアの利活用をさらに促進していくべきであると考えますが、県当局のお考えはいかがでしょうか、お伺いいたします。
20:◯地域振興部長(山田周司君)
県ホームページの刷新とソーシャルメディアの活用に関する御質問をいただきました。
まず、今年度のホームページの刷新についてのお尋ねでありますが、日本一おもしろいホームページを目指し、関係部局の若手職員八人から成るプロジェクトチームを立ち上げ、知事とのブレインストーミングを行うなど、刷新について検討を重ね、ホームページのリニューアルを実施しました。
主なリニューアルの内容は、動画ギャラリーや、イベント情報などのおもしろいページを集めたワクワクあいちの開設や、画像を多用したトップページへの改修でございます。また、年末年始には新春版への模様がえも行いました。
その結果、一日当たりの平均アクセス数で、昨年度の五十二万件に対し、今年度は六十二万件と約二〇%増加しており、刷新の効果があらわれているものと認識しております。
次に、ソーシャルメディアの活用でございます。
既に着手している取り組みとして、ツイッターでは防災情報を発信しているほか、イベントのPRなどでも活用しております。また、フェースブックにつきましては、リニモ沿線地域のイベント情報などを発信するリニロコとぴっくすを運用するなど、パイロット的に利用を開始したところでございます。
こうしたソーシャルメディアの活用については、あいちICTアクションプラン二〇一五でも重点施策に位置づけておりますので、全庁を挙げて活用に取り組んでまいります。
なお、ソーシャルメディアには、利用料が無料、情報の伝達速度が速いという利点がありますが、成り済ましやデマ情報が流れる危険性も持っております。
そこで、先行的に行っている取り組みの成果や課題を踏まえて、ソーシャルメディアの活用指針を策定し、積極的かつ適切な活用に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
21:◯十番(錦見輔君)
前向きな御答弁ありがとうございました。
ソーシャルメディアの活用というのは、本当に使っていただいて初めて価値が出てくるものと思いますので、これからも前向きな御努力をよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
22:◯議長(岩村進次君)
進行いたします。
市川英男議員。
23:◯三十二番(市川英男君)
それでは、私からは、歳出第三款地域振興費第一項地域振興総務費のうち、名古屋飛行場費について、三点お伺いいたします。
私の地元にあります県営名古屋空港では、FDA、フジドリームエアラインズが、一昨年十月に福岡線を皮切りに、昨年三月には熊本線を、さらに、五月にはいわて花巻線、七月には青森線を就航させ、現在、一日の就航便数が四路線九往復となり、この地域の航空ネットワークの重要な一翼を担っております。
青森線は、就航直後の五カ月間は七割程度の搭乗率であり、いわて花巻線も、六月から十一月までの観光シーズンは、おおむね六割から七割という搭乗率で、夏から秋にかけての東北二路線は総じて好調でありました。ほかの路線でも、この期間の状況はまずまずの結果であると伺っております。
県営空港のターミナルビルを見回してみますと、東北二路線が就航する前は、日本航空が就航していたときと比べ、特に昼間の時間にはターミナルビル内が閑散とした雰囲気がしておりましたが、就航後は、朝夕だけでなく昼間も多くの乗客の姿を目にするようになり、県営空港の旅客数が相当戻ってきたように感じております。
そこで、まずお伺いします。
今年度の県営名古屋空港の旅客数はどれぐらいを見込んでいるのかお伺いします。
また、三月二十五日から東北二路線の二往復化や、新潟路線の新規就航により五路線十二往復となりますが、来年度はどの程度の利用旅客数を見込んでいるのかお伺いいたします。
次に、東北の早期復興に大きな役割を果たすと考えます東北二路線に関することでありますが、FDAは、この三月二十五日から青森、いわて花巻の東北二路線について、一日二往復に増便すると発表いたしました。
就航先の青森県と岩手県の強い要望があったとも聞いていますし、十二月までの搭乗率がともに約七割という実績がこのような増便をもたらしたことは大変に喜ばしいことと感じております。
このように利便性が向上することで、本県と東北両県との交流の促進が図られ、今後の震災復興に向けて一層弾みがつくものと確信しております。
しかし、増便されたことは大変に喜ばしいことでありますが、この二路線が増便に見合った多くの方に利用されるかを少し心配しております。
そこでお伺いします。
東北の復興支援に欠かせない東北二路線の利用促進について、今後どのような取り組みをされるのかお伺いいたします。
最後に、県営名古屋空港のにぎわいの創出についてお尋ねします。
先月十七日に県営空港において、開港七周年を契機に行われたイベントの一つに、ターミナルビルで開催されたピアノコンサートがありました。このコンサートで使われたピアノは、もともと旧愛知県勤労会館のコンサートホールで活躍していたグランドピアノを、勤労会館の閉館に伴い、県営空港が譲り受けたものであります。
この日のコンサートでは、犬山市出身で世界各地の音楽祭で活躍する女性ピアニストが、ショパンやモーツァルトの名曲を披露し、搭乗待ちの方々などがすてきな音色を楽しんだと聞いております。
そこでお伺いします。
空港のにぎわいの創出は、地域の方々を初めとする幅広い層の皆様に空港になれ親しんでいただくことでコミューター航空の利用につながるものであり、今後とも、ぜひ積極的に取り組んでいただくことを期待しておりますが、ピアノの活用を初め、にぎわいの創出に向け、どのように取り組まれるのかお伺いいたします。
24:◯地域振興部長(山田周司君)
県営名古屋空港に関する御質問をいただきました。
まず、県営空港の利用見込みについてのお尋ねでありますが、今年度は、二月末までで約二十八万人であり、直近の一カ月間の実績が約二万五千人であったことから、三月末までの利用者数は、おおむね三十万人になるものと見込んでおります。
また、来年度は、東北二路線の増便等により、フジドリームエアラインズでは、県営空港の利用者数を四十万人にしたいとの目標を掲げておりますことから、日本航空の子会社ジェイエアが運航していた時期の利用者数に近づくものと考えております。
次に、東北二路線の利用促進についてでありますが、東北地域とは、自動車関連企業が多数立地していることや、農水産物での取引などでこの地域とのつながりが強く、二往復化により日帰り出張も可能なダイヤとなることから、ビジネスでの需要が一層取り込めるものと考えております。
一方、観光面での需要拡大が復興支援に大きくつながることから、これまでも、この地域の方々が東北へ訪れるきっかけとなるよう、当地域での物産展やイベントなどのさまざまな機会を通じて、東北二路線のPRや利用の呼びかけを行ってきたところであります。
また、この路線を活用した交流の拡大に向け、昨年八月に知事が東北両県を訪問したところでありますが、さらに、東北地域の方々にこの地域へ訪れていただくため、青森県、岩手県の関係者とともに、東北両県において旅行代理店への働きかけや、愛知・名古屋を紹介するイベントも開催したところであります。
今後とも、青森、岩手の両県と連携して、双方向での需要拡大に向けた取り組みをしっかり行ってまいりたいと考えております。
次に、空港のにぎわいの創出に向けた取り組みについてお答えします。
旧勤労会館から譲り受けましたピアノにつきましては、今後も地元のピアニストや、大学等と連携した空港コンサートを指定管理者である名古屋空港ビルディング会社が企画、開催することでしっかり活用を図ってまいります。
このほか、空港ロビーでの就航先と連携した名産品の販売や、FDAの協力を得た航空教室なども開催していくこととしております。
さらに、県営空港になって以降閉鎖しているターミナルビル屋上の展望デッキにつきましても、空港の発展を長年支え、会社創立五十五周年を迎える名古屋空港ビルディングが、その開放に向けた整備を計画しているところであります。この展望デッキが整備されることで、多くの方々に県営空港を発着する航空機を間近でごらんいただけるとともに、MRJの初飛行が計画される中、この地域の航空産業の飛躍を直接感じていただけるようになることから、県としても必要な協力をしていきたいと考えております。
今後とも、こうした取り組みを通じて、県営空港がコミューター航空など小型機の拠点空港としての機能を果たしていくとともに、地域に親しまれる空港となるよう努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
25:◯三十二番(市川英男君)
御答弁いただきました。
一点要望のほうをさせていただきたいと思います。
昨年、一昨年と名古屋空港の収支をちょっと調べさせていただきましたが、順調に黒字にはなっていますけれども、国から県に移ったときに約二百四十億ほどの債務がございます。今のこの黒字状況では、これをどう、要するに返していったらいいかということを考えますと、民間機の着陸量をもっともっとふやさなければいけないと同時に、当然、そのにぎわいも含めて、我々が思っている以上に矢継ぎ早にいろいろと手を打たなければいけないというふうに心配しております。
どうかその点を一点、次から次へといろんなアイデアをしっかり出していただきまして、さらなる黒字化、債務返還によろしくお願いしたいということを一点要望して、終わります。
26:◯議長(岩村進次君)
進行いたします。
山下智也議員。
27:◯六番(山下智也君)
歳出第四款県民生活費第五項防災費について質問をさせていただきます。
ここ数年、火災の発生状況は減少傾向にありますが、残念ながら、死者数は余り変わっていないのが現状であると承知をいたしております。昨年の五月には、名古屋市瑞穂区で起きた一般住宅の火災で御家族七人が亡くなられるという惨事が発生し、報道でも大きく取り上げられたことを記憶している方も多いと思います。
さらに、ことしに入って、冷え込みの厳しかった一月三十一日の未明から早朝にかけて、愛知県で二名、岐阜県で二名、三重県で一名の計五名の方が住宅火災で亡くなられ、テレビや新聞で大きく報道されておりました。
また、三日の午後でありますが、私の地元であります小牧市でも工場火災が発生し、二百平方メートルを全焼いたしました。幸い出火時は無人で、けが人はありませんでしたが、一歩間違えば大惨事になっていたかもしれません。
そのほかにも、悲惨な火災のニュースは全国で毎日のように繰り返し報道されており、残念ながら、不幸な火災は後を絶つことはありません。
特に冬の寒い時期から春にかけて空気が乾燥することから、例年、全国的に火災の多い時期となっております。火災予防対策をしっかりと進めていかなければ、痛ましい悲惨な火災が繰り返されるのではないかと大変心配をしております。
火災による犠牲者の多くは一般の住宅火災によるものでありますが、そのうち、何と約七割が逃げおくれによるものであります。また、住宅火災による死者の六割以上を六十五歳以上の高齢者の方が占めており、高齢社会の進展に伴い、さらに犠牲者が増加することが懸念されるところであります。
住宅火災は、地震や台風など、発生そのものをなくすことができない自然災害とは違います。火災の発生原因は、たばこやガス器具、冬のストーブなどが多く、しっかりと注意をすれば防げないものではありません。そして、残念ではありますが、最も多いのが放火でありますので、万が一火災が発生した場合には、いち早く察知して、まず命を守らなければなりません。
そこで、住宅火災による犠牲者をなくすための切り札的な対策として、平成十六年に消防法が改正され、寝室などへの住宅用火災警報器の設置が義務づけられましたことは、皆さん御承知のとおりであります。設置の義務化の時期につきましては、市町村の火災予防条例で定めることとされております。
国では、平成二十年に住宅用火災警報器設置促進会議を設置し、消防関係者だけではなく、自治会、福祉、教育関係者や報道機関など、幅広い分野に対して協力を求め、社会全体の課題として国民運動的な展開を図り、早期設置を促進してきました。
本県におきましては、消防関係機関を初め、企業や関係団体による愛知県住宅防火推進協議会において、住宅用火災警報器の設置促進を最重要課題として、関係者が連携して取り組み、シンポジウムを開催するなど、普及に努めてこられました。
そして、国の目標よりも三年早い平成二十年六月を設置期限として、住宅用火災警報器の義務化を定めた火災予防条例が県下すべての市町村で制定されました。関係者が連携、協力して、本県では早くから住宅用火災警報器の設置促進に努めてこられましたが、昨年六月には全国の市町村で義務化されたと聞いております。
住宅用火災警報器は、熱や煙を感知し、いち早く火災の発生を知らせてくれます。寝ている間に煙にまかれてしまう、あるいは大きな火災になってしまう、そんな事態になる前に早く気がついて逃げることができた、あるいは初期消火によってぼやで済んだという話や、住宅用火災警報器のブザーが鳴っているのを聞きつけた隣近所の方が火災に気がつき、知らせてくれて助かったということもあるようであります。
ぜひとも各家庭への住宅用火災警報器の設置を進め、火災による犠牲者を減らし、県民の皆様の平穏な暮らしを守るための取り組みを進めていく必要があると思います。
火災予防を進めるためには、県と消防本部、市町村との連携はもちろんでありますが、地域の自主防災組織や婦人消防クラブなどとも協力して、相互に連携した対応を講じていく必要があるのではないでしょうか。
そこでお尋ねをします。
まず、一点目に、本県における最近の火災発生状況はどうなっているのか、また、昨年六月に全国的な設置期限を迎えた住宅用火災警報器の本県の設置状況と、その効果をどのように見ているのかお尋ねをいたします。
二点目に、これまでの火災の発生状況を踏まえ、県として、今後、火災予防についてどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
28:◯防災局長(中野秀秋君)
火災予防対策についてお答えいたします。
一点目の火災の発生状況でございますが、平成二十三年の県内の出火件数は二千八百九十八件で、十年前と比べ一千件以上減少しております。
一方、死者数は九十二人で、このうち、放火などを除いた住宅火災の死者数は六十一人で、さらに、そのうち六十五歳以上の高齢者が四十一人と六七・二%を占めております。この十年間を見ますと、その年によって増減はございますが、死者数はなかなか減らないのが現状でございます。
次に、住宅用火災警報器の設置状況でございます。
平成二十三年六月時点の総務省消防庁の調査では、本県の推計設置率は七七・八%となっております。全国平均の七一・一%を上回り、全国第七位で、前年の平成二十二年六月から四・九ポイント上昇しております。
その効果につきましては、平成二十三年の住宅火災の状況を見ますと、死者六十一人のうち、六八・九%が逃げおくれによるものであります。そのうち、七三・八%で住宅用火災警報器が設置されておりませんでした。この傾向は平成二十年からおおむね同様であります。
住宅用火災警報器が設置されておれば、多くの犠牲者を救うことができた可能性があり、その効果は高いものがあると考えております。
二点目の今後の火災予防の取り組みについてでございます。
出火件数が減少しておりますことは、ストーブやガスコンロの安全性能の向上などの効果もございますが、市町村と連携して重点課題として取り組んでまいりました住宅用火災警報器の設置促進の活動や、火災予防活動を通じての意識啓発などが効果を上げてきたものと思われます。
とりわけ、県内でクラブ員数が十四万五千人と全国一位を誇る少年消防クラブなどで、子供のころから火の用心の心を身につけること、そして、市町村が消防団や婦人消防クラブと協力して行う地域に密着した啓発活動なども大変重要でございます。
また、議員御指摘のとおり、高齢者の犠牲者が六割以上の高い割合を占めておりますが、高齢社会の進展とともに死者がさらに増加することが懸念されます。加えて、住宅用火災警報器の設置の促進とともに、今後は故障や電池切れなどの点検も重要な課題となってまいります。
こうしたことから、県としましては、今年度、市町村と連携して、住宅用火災警報器の設置の促進などを図りますため、市町村のイベントや、保育園、スーパーなどで、子供から高齢者の方々までの幅広い層を対象として、県内約百二十カ所でキャラバン隊を展開しております。来年度も引き続き防火意識の高揚が図られますよう、このキャラバン隊を派遣してまいります。
また、防火意識を高め、火災を減らしていくためには、地道な努力の積み重ねが重要となりますので、火災予防に主体的な役割を果たす市町村と引き続き連携、協力して、火災による被害の一層の軽減に取り組んでまいります。
以上であります。
29:◯議長(岩村進次君)
進行いたします。
樹神義和議員。
30:◯四番(樹神義和君)
私からは、歳出五款一項一目環境費、環境対策費のうち、あいち地球温暖化防止戦略費について質問いたします。
二十一世紀は環境の世紀と言われておりますが、二十一世紀に入り、早いもので十一年が経過をいたしましたが、環境面、特に地球温暖化に焦点を絞ると、過去百年の間に、気温は〇・七四度上昇し、想定される幾つかのシナリオでは、二一世紀末までには最高で六・四度上昇するとの予測が国際的専門機関より出されております。
そのことを裏づけるように、近年の異常気象により私たちの生活にも大きな影響を及ぼし、このような状況を受けて、先進国における温室効果ガス排出量を、二〇〇八年から二〇一二年の平均で、一九九〇年比、先進国全体で五%、我が国では六%削減を義務づける京都議定書が一九九七年に採択をされ、二〇〇五年二月に発効。そして、二〇一三年以降の取り組みについては、ポスト京都議定書の採択には至らなかったものの、コペンハーゲン合意に基づき、二〇二〇年までの自主的な目標を主要各国が提出するとともに、二〇二〇年以降の新たな枠組み合意に向けて、世界各国が議論しているところであります。
また、我が愛知県でも、一九九四年にあいちエコプラン21を策定以降、あいちエコプラン二〇一〇への改定や、あいち地球温暖化防止戦略を策定し、さまざまな取り組みを行ってまいりましたが、残念ながら、基準年度である一九九〇年度に対し、二〇〇八年度の温室効果ガスは一・八%増加となっており、あいち地球温暖化防止戦略に掲げる基準年度比六%削減の目標達成は難しい状況にあります。
したがって、県といたしましては、二〇五〇年に一九九〇年度比七〇%削減という目指すべき姿を定め、その達成のために、二〇二〇年度には一五%削減が必要との新たな目標を掲げ、先月、あいち地球温暖化防止戦略二〇二〇を策定し、愛知の地域特性を踏まえ、日々の暮らし、物づくり、地域基盤、県民意識と四つの取り組み方針のもと、十七の重点施策を示し、来年度予算案において、新たな戦略の推進に向けた費用が計上されておりますが、以下三点について伺ってまいります。
まず初めに、事業活動に伴う温室効果ガスの排出抑制について伺います。
産業部門における温室効果ガスの大部分を占めるCO2排出量の割合は、全国平均が排出量全体の三六%に対し、愛知県は五四%と非常に大きく、それゆえに、温室効果ガス削減目標を達成するには、産業部門における排出抑制は必要不可欠であります。
しかしながら、産業部門におけるCO2排出量のこれまでの推移を見ますと、基準となる一九九〇年度で四千二百九十万トンであったものが、景気後退等の要因はあったものの、二〇〇八年度は三千九百九万トンと増減率でマイナス八・九%と、部門別で唯一の削減を達成いたしました。それゆえに、これまで以上に温室効果ガスを抑制するのはかなり難しいとの意見をよく耳にしますが、事業活動に伴う温室効果ガスの排出抑制に向けて、県としての取り組みについて伺います。
続きまして、低炭素化への意識、行動変革の推進について伺います。
私たちの身の回りにある家電製品の中でも、特にエネルギー消費効率のすぐれた製品を省エネ家電といいますが、基準年度となる一九九〇年度と比較すると、省エネ家電の普及率は大幅に増加をし、県内住宅用太陽光発電施設の設置基数は全国一など、低炭素化への意識の高まりを私自身も感じますが、実際には、パソコン、衣料乾燥機、エアコン等の普及及び県内世帯数の増加により、家庭部門における県内のCO2排出量は、基準年度に対し、二〇〇八年度で二八・二%の増加となっており、新戦略の目標達成に向けて、県民挙げての行動のさらなる変革が必要であります。
新戦略においては、低炭素化への意識、行動変革の推進の重点施策として、CO2の見える化、環境負荷の少ない商品やサービスの購入、地域における地域温暖化防止活動の活性化と環境学習、環境教育、産学行政が連携した世界をリードする低炭素地域づくりと四つの施策を掲げていますが、地球温暖化防止に向けて、より多くの県民の皆さんの意識、行動変革に向けて、具体的にどのように取り組んでいかれるのか伺います。
続きまして、三点目として、あいち地球温暖化防止戦略二〇二〇の推進体制について伺います。
これまで二点に関する具体的取り組みについて伺ってまいりましたが、新戦略では、新エネルギー技術の開発や、スマートグリッドの先駆的導入、低炭素社会を支える都市づくり、さらには、大気中のCO2の吸収と、その長期貯蔵に向けた森林整備と、県産木材の利用拡大等、多岐にわたる施策が掲げられています。
したがって、新戦略の実施については、環境部のみならず、県庁組織全体で当たる必要があると思いますし、庁外関係機関との連携も必要だと思います。
そこでお尋ねをしますが、平成二十四年度予算編成に当たり、愛知が元気を取り戻し、日本を牽引することを念頭に置き、七つの柱の施策を重点に置いて予算編成を行ったと聞いておりますが、そのうちの一つである環境首都あいちづくりに向けて、あいち地球温暖化防止戦略二〇二〇の推進体制について伺います。
31:◯環境部長(西川洋二君)
あいち地球温暖化防止戦略費について、三点の御質問をいただきました。
まず、産業部門の事業活動に伴う温室効果ガスの排出抑制についてでございます。
物づくり県である本県の産業部門のCO2排出量でございますけれども、一九九〇年度比、マイナス八・九%でありますものの、県内の排出量の約半分を占め、絶対量が多いということ。また、商業、サービス業などの業務部門で排出量全体に占める割合は高くはございませんけれども、九〇年度比プラス二六%となっておりまして、こうした事業活動に対する対策の強化が必要と考えております。
そのため、現在、大規模な事業者に対し、自主的な削減努力を促すために、温室効果ガスの削減計画書及び取り組み状況書の提出を義務づけているところでございますけれども、今議会で条例改正をさせていただき、その対象事業者の範囲を拡大することなどによりまして、制度を強化していきたいと考えておるところでございます。
一方、対応のおくれがちな中小の事業者につきましては、業界団体と連携し、省エネ対策を推進できる人材を育成する事業、省エネ診断等の支援を実施してまいりますほか、省エネ投資につきまして、来年度から新たに環境対策資金の融資対象に加えるなど、ノウハウ面、資金面からの支援に力を入れてまいりたいと考えております。
次に、県民の意識、行動変革についてでございます。
県民の意識、行動を変えていくためには、まず、温暖化防止の意味するところを広く知っていただく必要があり、啓発活動、実際の行動につながるきっかけづくりなどを繰り返し行っていくことが重要であります。このため、あいちエコチャレンジ21を統一標語にした県民運動を県内に広げていくため、二十一の簡単な実践行動を記載したパンフレット、あるいは家庭の省エネ行動をみずからチェックし、具体の行動につなげる家庭の省エネ指南書などを活用した啓発とともに、家庭における環境家計簿の実践者を評価するCO2排出量ダイエット事業、さらには、緑のカーテンコンテストなど、具体的な実践行動の奨励となる取り組みを推進してまいります。
加えて、小学校で行うストップ温暖化教室など、子供たちに対する環境学習にも力を入れていきたいと考えております。
最後に、戦略の推進体制についてでございます。
温室効果ガスの削減のためには、議員御指摘のとおり、あらゆる分野での取り組みが必要でございますので、庁内各部局の連携が不可欠であると考えております。
このため、知事をトップにした各部局長をメンバーとする環境対策推進会議を通じまして、全庁一体となって戦略を推進してまいります。
また、庁内のみならず、国、市町村、さらには産学との連携も必要でございますので、戦略の策定にかかわっていただいた経済団体、学識経験者、NPO、そして、国機関など各界によるフォローアップ組織を設置していくこととしております。また、市町村とは、地域単位で開催する連絡会議を開催することにしておりますので、こうした会議を通じて連携してまいりたいと考えております。
以上でございます。
32:◯四番(樹神義和君)
三点に対する答弁をいただきましたが、それぞれについて要望させていただきます。
まず初めに、事業活動に伴う温室効果ガスの排出抑制についてであります。
大規模事業者については、答弁にもありましたように、これまで温暖化防止に向けて積極的に取り組んできておられますし、今議会において、温室効果ガスの削減のための計画書及び取り組み状況書提出の義務づけに関する対象事業者拡大の条例改正案が提出されており、今後も温室効果ガス排出抑制に向けて積極的に取り組んでいただけると私も思います。
一方、中小規模の事業者に関しましては、昨今の経済状況によって、温暖化防止に向けて意識はあるものの、投資しづらい状況にありますし、そもそも、どのような抑制対策を講ずるべきか悩んでいる事業者の方も多いと思いますので、資金面、人材育成面における行政としての支援をお願いといたします。
続きまして、低炭素化への意識、行動変革の推進についてであります。
ただいまの答弁において、さまざまな取り組み内容を述べていただきましたが、県内全体を対象としている割に、各施策に接する機会は限定的であるように感じられます。
さきの質問で述べさせていただいたとおり、県民意識は高いものの、家庭部門における県内のCO2排出量は、基準年度に対し、二〇〇八年度で二八・二%の増加となっていることを踏まえ、新戦略が掲げる目標達成に向けて、できるだけ多くの方が接することができ、かつわかりやすい施策の充実に努めていただきますようお願いを申し上げます。
最後に、新戦略の推進体制についてでありますが、知事をトップに、各部局長をメンバーとする環境対策推進会議を通じて、全庁一体となって対策を進めていくとの答弁をいただきました。
推進体制としては、知事をトップとする全庁組織で当たることは当然であると私も思いますが、私が危惧しておりますのは、二〇二〇年度一五%削減の目標があり、さらには、個々の施策についても目標が掲げられているものの、各部局がみずからの施策目標のみにこだわり、全体目標である一五%削減がおろそかになるのではないかという点であります。
したがって、毎年の排出量を確実にチェックし、ある分野の目標達成が難しいようであれば、その他の分野で補てんするような横の連携、協力を密にし、新戦略に取り組まれることをお願いし、私の質問を終わらさせていただきます。
33:◯議長(岩村進次君)
進行いたします。
山本浩史議員。
34:◯七番(山本浩史君)
歳出第三款地域振興費第一項地域振興総務費のうち、山村振興施策について及び歳出第四款県民生活費第三項社会活動推進費のうち、社会活動推進総務費について伺います。
まず初めに、山村振興策について伺います。
渥美半島は、これまで奥三河地域から大きな恵みを受けてまいりました。半島の農業や工業がここまで発展してきたのは、豊川上流域に住む人たちの理解によって水が供給されてきたからにほかなりません。
こうしたことから、昭和五十七年に、豊川上流の水源地域自治体である旧津具村と、豊川下流の受益地である旧田原町は、山のまち、海のまちとして、住民同士の触れ合いを通じて、相互理解をより一層深めることを目的に交流事業をスタートしました。
その後、スポーツ交流、小学校間の交流など、さまざまな交流に発展したことから、平成二年には姉妹提携を結びました。この関係は、平成十五年に田原町が田原市となり、平成十七年に旧津具村が設楽町と合併しても交流は引き継がれ、これまで続けられています。
田原市民は、設楽町との交流拠点グリーンメッセージや、廃校となった小学校を活用した三都橋・豊邦交流センターを訪れ、面ノ木原生林や段戸裏谷原生林など、設楽町の自然を満喫し、また、シイタケ栽培や、木工教室などの山の暮らしの体験を通じて、上流地域である奥三河地域に対して大変関心を持ち、親しみと愛着を抱くようになりました。
このグリーンメッセージから少し離れた愛知県最高峰の茶臼山のふもとに広がる茶臼山高原には、近年、芝桜公園が整備され、天空の花回廊の名のとおり、あざやかな芝生のじゅうたんを楽しむことができます。
この芝桜も渥美半島とは縁がございます。一昨年、二〇一〇年、この茶臼山高原天空の花回廊・芝桜の丘は、恋人の聖地に選定されたところでございますが、二〇〇六年、愛知県内で初めて恋人の聖地に選定されたのが、田原市伊良湖岬の恋路ヶ浜と灯台でした。
奥三河地域には、こうした風光明媚な自然、景観が各地に点在し、ほかにも魅力的なすばらしい地域資源が数多く残っています。
こうした奥三河の魅力の発信と、新たな観光資源の発掘を目的に、昨年九月、新城市において、愛知県観光交流サミットin奥三河が開催されました。また、平成二十二、二十三年度の二カ年にわたって行われた山里のアート巡り「きてみん!奥三河」では、奥三河の魅力とアートを融合させるといった手法を用いて、地域外から多くの方が奥三河を訪れたと聞いています。
折しも、三月四日には、三遠南信自動車道が鳳来インターチェンジまで開通しました。四月十四日には、新東名高速道路、浜松いなさジャンクションが供用開始となる予定です。さらに、平成二十六年度には、新東名高速道路が全面開通する予定であり、地元では、こうした地理的条件の大きな変化をチャンスととらえ、新東名高速道路、新城インターチェンジ予定地の周辺に情報発信拠点として道の駅を整備するなど、積極的な交流人口拡大策を図っております。
こうした中にあって、県としても積極的な交流人口を拡大する取り組みが望まれているところであり、平成二十四年度、すなわち東三河県庁がスタートする初年度に、目玉事業の一つとして、奥三河地域の観光客増加を図るための施策を予算に盛り込んでおられることは大変注目するところです。
そこで伺います。
平成二十四年度、東三河県庁において実施される奥三河地域情報発信事業のねらいはどのようなものでしょうか。
さらに、この事業では、県、奥三河の自治体及び地元観光協会、商工会などが奥三河プロモーションボードという協議体を立ち上げ、新たな地域資源の発掘を行い、奥三河という地域ブランドイメージの構築を図っていくとのことです。
奥三河地域に点在する魅力的な文化芸術資源、観光資源及び特産品を都市部の方々に効果的に発信し、山村と都市との交流人口の拡大を図っていくために、この奥三河プロモーションボードをどのように展開していくのでしょうか。
次に、社会活動推進総務費について伺います。
ことし一月に公表されました国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口では、少子・高齢化と人口減が加速し、十五歳から六十四歳の生産年齢人口は、二〇三〇年には六千七百七十三万人となり、二〇一〇年の八千百七十三万人から一千四百万人、率にして一七%も減少し、労働力の減少が深刻になる状況を浮きぼりにしました。
今後、消費は低迷して経済は停滞し、社会の活力がなくなっていくことが懸念されます。高齢者や女性の労働力に期待が寄せられていますが、特に女性の活躍こそ社会の活力を維持するためのかぎであると言われています。
一方、我が国では、固定的な性別役割分担意識が根強く、社会全体としても、家事や育児などの家庭責任が女性に偏っている状況があり、女性が社会で十分に活躍できていないのが現状です。女性が社会でもっと活躍できるように、過去の慣例や役割分担意識によって男女の間に生じている格差を解消していくことが求められています。
平成十一年に施行された男女共同参画社会基本法でも、男女間の格差改善のための積極的改善措置を規定し、地方公共団体にも施策の実施を責務としています。
この積極的改善措置、いわゆるポジティブ・アクションは、男女共同参画社会基本法によりますと、男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、機会を積極的に提供することをいうと規定されていますが、知事もマニフェストの中で、男女共同参画のために、理想的なワークライフバランスを目指し、県庁が率先して女性の力を活用するため、ポジティブ・アクションに取り組むと述べられております。
行政における女性の参画の拡大は、施策の立案や意思決定過程への男女共同参画という意味合いと、民間の男女共同参画を牽引していくという意味からも大変重要であると考えます。
昨年三月に策定されたあいち男女共同参画プラン二〇一一―二〇一五においても、政策・方針決定過程への女性の参画の拡大を基本的施策に掲げ、県の審議会や、委員や、県の管理職などへの女性の登用の推進に取り組むとされています。
平成二十三年四月一日現在、県の審議会等の女性委員の割合は三六%と、前年の三四・九%から一・一ポイント上昇し、また、知事部局職員の課長級以上の管理職に占める女性の割合は七・一%と、昨年度の五・八%を一・三ポイント上回ったとのことです。つまり、県庁におけるポジティブ・アクションは、一歩一歩ではありますが、着実に進んでいると言えます。
しかしながら、民間企業に目を向けますと、まだまだポジティブ・アクションへの取り組みが十分とは言えない状況にあるのではないでしょうか。
企業におけるポジティブ・アクションとは、固定的な性別による役割分担意識や、過去の経験から男女労働者の間に生じている差があるとき、それを解消しようと企業が行う自主的かつ積極的な取り組みをいいます。
平成二十二年の雇用者総数に占める女性の割合は四二・六%ですが、課長相当職以上に占める女性管理職の割合は六・二%と低く、平成二十一年の六・五%から減少しております。役員等については、平成二十三年五月のデータでは、上場企業三千六百八社の役員等に占める女性の割合は一・二%と非常に低い状況にあります。
一方、外国に目を移しますと、管理職や取締役における女性の参画を推進する積極的な取り組みが見られます。
例えば、ノルウェーでは、すべての株式会社を対象に取締役の人数に応じた割り当てを行っており、取締役が十名以上の場合は、男女双方をそれぞれ四〇%以上とすることが定められています。この割り当てを守らない場合は、企業名の公表、企業の解散という厳しい制裁が課せられるそうです。
女性の取締役の割合を法律で定めている国は、ほかにも、フランス、オランダ、スペインなどがありますが、このように性別を基準に一定の人数や比率を割り当てる手法をクオーター制といい、ポジティブ・アクションの手法の中でも厳格な取り組みとされています。
我が国では、クオーター制の導入はまだ難しいかとは思いますが、経済社会の活力のもととなる企業で女性の管理職をふやしていくことは喫緊の課題であると言えます。
既に平成十七年には、内閣府からポジティブ・アクション研究会報告書が出されており、その中で、女性管理職比率が大幅にふえている企業において、営業利益が大きく伸び、女性社員の活躍推進が企業の競争力向上に資するという調査結果が出ていること、そして、女性も活躍できるような人事・労務管理を行い、女性が活躍できる風土を持つ企業は利益率が高いこと、また、性別に関係なく個人を処遇する均等施策を行う企業は、女性比率も高く、経営成果も良好な傾向にあることから、均等施策は、女性の活躍と企業業績向上を両立し得ると報告されています。
しかし、いまだに女性の管理職の育成や登用が進まないのは、まだまだ関係者の理解が不十分であったり、女性自身も、社内にモデルとなる先輩女性がいないために、管理職のイメージを持ちにくいことや、管理職候補者に研修を実施したが、対象者が少ないためなどの理由があるかと思います。
これは企業の問題ではありますが、個々の企業の取り組みだけでは解決の難しい課題でもあります。このような課題こそ、県が解決に向け支援していく必要があるのではないでしょうか。
世界と闘える愛知の実現を目指すため、企業における男女共同参画が進むよう、県の積極的な取り組みに期待するところです。
そこで、企業がポジティブ・アクションを促進するため、県はどのような支援をしていくのか伺います。
さらに、男女共同参画を進める上で忘れてはならない視点として、女性の人権がございます。近年は、インターネットなどで間違った情報、過激な情報がはんらんし、的確な性教育がなされず、間違った学習をしている十代の若者がふえていると言われています。結婚していない十代、二十代の若いカップル、男女間で、身体的、精神的、社会的な暴力を指すデートDVの問題、性感染症の増加、十代の望まない妊娠、児童虐待など、これらは性教育のおくれが問題の要因になっていると考えられます。
これらの問題は、当事者の無知はもとより、周囲や社会の無知によるサポート体制のおくれや、偏見差別につながることで問題の解決を困難にしています。近年、人権と科学の視点を持った性教育が重要であると言われるゆえんです。
そこでお尋ねします。
十代の性教育について、男女共同参画の視点から県はどのような見解を持っているのでしょうか。
以上、大きく二点について伺います。
35:◯地域振興部長(山田周司君)
奥三河地域情報発信事業のお尋ねのうち、まず、事業のねらいについてお答えいたします。
一昨日の三遠南信自動車道の一部開通に続き、四月には新東名高速道路の一部も開通するなど、奥三河地域へのアクセスが格段に向上することが見込まれます。また、東三河県庁の設置により、奥三河地域を含めた東三河が一体となって地域の課題に取り組むことができる体制も整備されてまいります。
この事業は、こうした交通圏域の広がりや、地域が一体となる好機をとらえ、県、奥三河の四市町村と、地域の観光協会や商工会など民間団体を構成員とする奥三河プロモーションボードを設置し、奥三河地域が有する豊富な地域資源を最大限に活用し、情報発信を行うことで、交流人口の拡大につなげることを目的とするものであります。
次に、奥三河プロモーションボードによる事業の展開についてお答えをいたします。
奥三河プロモーションボードでは、地元の女性や若者の意見も取り入れ、伝統芸能、神社仏閣、特産品など、従来から地域資源として活用されてきたものに新たな価値を付加すること、あるいは都市部の大学生などへのアンケートを通じ、都市部の方々のニーズを取り入れることで、自然、景観、野生動植物などの有する地元の人では気づかない魅力を見出すことなどにより、新たな地域資源の発掘を行ってまいります。
さらに、発掘された地域資源のPRには、旅行雑誌編集者等の専門家からもアドバイスをいただきながら、奥三河の地域情報を満載した冊子を制作してまいります。
制作しました冊子は、都市部においてプロモーションイベントを開催して配布するほか、地域内外の公共施設や集客施設に設置するなど、広く奥三河の魅力を情報発信してまいりたいと考えております。
このような取り組みを通じまして、この地域の交流人口のさらなる拡大を図ってまいりたいと考えております。
以上です。
36:◯県民生活部長(大野明彦君)
企業のポジティブ・アクションへの支援についてお答えいたします。
社会のあらゆる分野で女性の活躍が期待されておりますが、そのためには、意思決定や方針決定のできる指導的な立場へ参画する女性がふえていくことが重要であると考えます。特に、社会経済の活力を維持するために、女性に寄せられる期待は大きく、企業におけるポジティブ・アクションの取り組みは大変重要であると考えております。
そこで、県といたしましては、昨年三月に策定いたしましたあいち男女共同参画プラン二〇一一―二〇一五に基づき、平成二十四年度は、新たにポジティブ・アクション推進事業として企業を対象とした事業を実施してまいります。
事業内容といたしましては、企業の経営トップや人事担当者を対象に、女性が持てる能力を十分に発揮して業績アップにつなげている企業の方を講師に迎え、ポジティブ・アクションへの理解を促進するための講演会を開催いたします。
また、今後、管理職として活躍が期待される中堅女性社員を対象に、民間女性管理職候補者セミナーを実施いたします。このセミナーでは、現に管理職として活躍する女性、すなわち、モデルとなる先輩女性を講師に迎えるほか、管理職として伸ばすべきビジネスセンスを専門家から学ぶ実践的なカリキュラムとし、企業の女性登用の促進を図ってまいりたいと思います。
次に、十代の性教育についてのお尋ねでございます。
男女が生涯にわたって健康で充実した生活を送ることは、男女共同参画社会の最も基本的な条件であります。そのためには、男女が互いの身体的性差を十分に理解し合い、人権を尊重しつつ、相手に対する思いやりを持って生きていくことが大変重要であります。
こうしたことから、あいち男女共同参画プラン二〇一一―二〇一五におきましても、適切な性教育を推進していくこととしており、今後とも、健康福祉部や教育委員会など関係部局と連携して推進に努めてまいりたいと考えております。
37:◯七番(山本浩史君)
要望を申し上げます。
まず、山村振興ですけれども、先ほども申し上げました新東名、三遠南信、また、東三河県庁と、非常に地域の期待も大きい時期でございます。ぜひともそうした期待を裏切ることのないように、積極的に推進をよろしくお願いいたします。要望いたします。
そして、社会活動推進総務費についてでございます。
男女共同参画社会の推進といいますと、やはり担当部局ではなくて、実際にそれぞれの部局での取り組みが重要でございます。特に性教育については、教育委員会との連携を密にして、ぜひとも推進をしていただきたいと思います。
以上、要望いたします。終わります。
38:◯議長(岩村進次君)
進行いたします。
石塚吾歩路議員。
39:◯八番(石塚吾歩路君)
私からは、歳出第三款地域振興費第一項地域振興総務費のうち、リニアインパクト検討調査及び四款県民生活費五項防災費の二点についてお伺いいたします。
まず、リニアインパクト関係でございますが、リニア中央新幹線については、昨年五月に整備計画が決定し、九月には環境アセスも始まり、いよいよ平成三十九年の東京―名古屋間開業に向けて大きく動き出しました。どこもかしこも閉塞感ただよう昨今の我が国におきまして、将来への夢と希望をもたらすプロジェクトとして、当地域においても大いに期待が高まっております。
高速での大量輸送手段であるリニア中央新幹線の整備は、この愛知県に大きなインパクトを与え、このインパクトにどう対応していくかにより愛知県の将来像は大きく変わるものと考えられます。
既に民間レベルでは、名古屋駅周辺の再開発構想など、リニア開業を見据えたさまざまな取り組みが始まっておりますが、民間任せではなく、県として、リニアを生かした地域づくりのビジョンをしっかりと示し、方向づけをしていかなければならないと考えております。
そういう意味では、大村知事が、リニア開業はこの地域のさらなる経済的発展や、国際競争力の強化を図る大きな契機となるものであり、英知を結集して、リニア開業を視野に入れた都市づくり、地域づくりに力を入れて取り組んでいく旨表明され、来年度予算案にリニアの影響調査費を計上されましたことは、まことに時宜を得たものと評価いたしております。
さて、リニア開業のインパクトを愛知県の地域づくりに最大限に活用していくために、来年度からこの調査が実施されることになりますが、具体的にどのような問題意識、観点でリニアの効果をとらえ、地域づくりに生かしていくかが重要であると考えております。
一例を挙げますと、私の地元である名古屋西側の海部地域は、名古屋都心に近く、名古屋のベッドタウン化が進んでいるにもかかわらず、名古屋と結ぶ道路や鉄道などの基盤整備がおくれております。
名古屋圏の鉄道網整備の基本計画において、平成二十年までに整備の推進を図ることが適当とされた地下鉄桜通線の七宝までの延伸についても、地域住民が長年にわたって待ち望んでいるのにもかかわらず、地下鉄の新路線建設については事実上凍結されたままというのが現状でございます。
せっかくリニアが開業しても、県内各地の魅力ある拠点が点在したままでは、このインパクトを最大限に活用することができません。
人口減少、少子・高齢化が一層進展するという厳しい社会情勢の中、名古屋都心部と県内他地域の格差がますます広がっていくのではないかと懸念いたしております。
さらに、一千三百万人規模の東京という大都市と四十分で結ばれる状況下で、当然ストロー現象も心配されるわけでございます。
リニアの効果を生かした地域づくりに向けて調査を始めるに当たっては、さまざまな観点があると思いますが、とりわけ重要な観点は、ターミナル駅となる名古屋駅とそれを取り巻く地域を一体として、どう利便性の高い魅力ある空間として整備するか。そして、名古屋駅を起点とした周遊や各地域への移動といった、名古屋駅で発生するリニアの利点を点で終わらせず、線や面として県内全体に広く波及させるような仕組みをどうつくり出すかが肝要ではないかと思います。
私の隣に座る同僚の寺西議員も、今回、この質疑を私に託していただきましたが、名古屋駅西側の地域は、戦国武将ゆかりの歴史、史跡をめぐるLRTなど、新交通システムを導入した観光産業活性化施策などが考えられると常に語っておりまして、地元である名古屋駅の核になる部分のみならず、その広がりの大切さを語っておられます。
名古屋都心部と県内各地域との交通アクセスを充実していくことが、観光や産業振興の面などにおきましても、リニア開業効果を広域的に生かす上で重要な課題であると認識しております。まさに交通ネットワークの充実がかぎとなるわけであります。
今、交通ネットワークの充実の必要性を例にとり、調査を進めるに当たっての私なりの方向性を申し上げましたが、そこでお尋ねしたいかと存じます。
来年度、県が行うリニアインパクト検討調査は、どのような視点、方向で調査をしていくおつもりなのかお伺いいたします。
次に、二点目の防災関係の質問でございます。
平成二十三年十二月二十七日に、国の中央防災会議の南海トラフの巨大地震モデル検討会の中間取りまとめで、新たに想定震源域、想定津波波源域のモデルが示されました。このモデルによりますと、西は宮崎県の日向灘、東は駿河湾奥の富士川河口断層帯まで、南は南海トラフの軸まで、北は、これまで対象とされていなかった深さが三十キロメートルよりも深いプレート部分まで拡大され、愛知県内の広い範囲で想定震源域にかかるようになりました。
また、想定地震の規模は、暫定値とはいえ、東日本大震災と同じマグニチュード九・〇となったことにより、地震のエネルギーがこれまでの国の想定のマグニチュード八・七の三倍強となり、この地域を強い地震動と高い津波が襲うことが見込まれております。
特に津波につきましては、その波源域が東日本大震災と比べて陸地に近い位置にあり、大津波が地震発生から極めて短時間のうちに襲ってくるのではないかと大変心配いたしているところでございます。
愛知県は、十九市町村、五百九十四キロメートルにも及ぶ長い海岸線を持ち、この沿岸部におきましては、人口の集積とともに、被災すれば、我が国の経済産業に極めて大きな影響を及ぼす産業集積や、交通、物流の根幹をなす中部国際空港や、名古屋港、三河港など重要港湾、あるいは幹線道路網を抱えております。
また、地形的な特徴として、極めて短時間で高い津波の襲来が想定される渥美半島外海や、一たん浸水してしまったら長時間水につかってしまうことが見込まれる、私の地元であります海部地域を含む日本一広大な海抜ゼロメーター地帯を抱えております。
今回の大震災での国民がその恐ろしさを知ることとなった津波から県民の皆様のとうとい命を守るために、避難を初めとする減災を目標としたさまざまな取り組みをできるところからスピード感を持って行わなければなりませんし、県と関係市町村が連携して強力に対応すべき課題ではないかと考えております。
そこでお伺いいたします。
既に愛知県と三十一の県内沿岸市町村等で愛知県沿岸市町村等津波対策推進協議会が組織され、津波からの避難に際しまして、高速道路ののり面の利用などについて取り組みが始められておられますが、この進捗状況と今後の見通しにつきましてお尋ねをいたします。
次に、津波避難訓練についてであります。
今回の東日本大震災において、ギネスの世界記録に認定された釜石港の湾口防波堤ですら破壊されてしまいました。
一方、死者、行方不明者が一千人を超えた釜石市では、小中学生の約三千人はほぼ無事でありました。釜石市では、数年前から実践的な防災教育に取り組み、避難訓練などを行い、多くの小中学生の命を救うことができました。
自然現象である津波の発生は防ぐことができませんが、津波が押し寄せた際、県民がいち早く避難することにより命を守ることは十分可能であります。そのための訓練への取り組みは非常に重要であると考えます。
そこで、県は、どのように津波避難訓練に取り組んでいかれるのかお伺いします。
また、津波対策は、本県ばかりではなく、外海に面し、同様に長い海岸線を持つ隣接の静岡県や三重県も同様な課題を抱えていると思います。
さらに、東日本大震災において、津波の河川遡上により、河口から七キロメートルも離れた地域でも被災しているという事実から、本県と木曽三川で隣接する岐阜県も、本県と同様に広い海抜ゼロメーター地帯を抱え、津波遡上により河川堤防が決壊した場合、広大な地域が浸水することが想定されることから、津波に対する対応策を迫られているのではないかと思うのでございます。
そこでお伺いします。
こうした広域に及ぶ甚大な津波災害への対応としては、愛知県のみの対応にとどまらず、共通の課題を持つ近隣各県が連携して、対応を検討して取り組まなければならないと思いますが、取り組みの状況と見通しにつきましてお尋ねします。
40:◯地域振興部長(山田周司君)
リニアインパクト検討調査についてお答えをいたします。
来年度、本県が実施するリニアインパクト検討調査は、リニア開業を見据えた今後の地域づくりを考えていくための基礎的な調査であり、リニア開業が本県に及ぼす影響と今後の検討課題を整理するものです。
リニア開業の影響は、私たちのライフスタイルや、就労環境、観光や企業活動など、広範にわたるものと思われますが、リニア開業によって生じるプラス効果をいかに県内全域に広く波及させるかが地域の発展戦略を考える上での基本的な視点であると考えております。
したがいまして、御指摘のありました名古屋都心部と県内各地域との交通ネットワークの利便性向上は、来年度の調査検討を進める際の重要な要素となるものと想定しておりますが、そのほかにも、既存新幹線の活用、ライフスタイルの変化への対応、時間短縮を生かした企業立地展開など、多くの要素が考えられます。
また、ストロー現象といったマイナス面の影響も視野に入れて考えていく必要がありますので、できる限り幅広い視点で影響を考え、課題の整理を進めてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
41:◯防災局長(中野秀秋君)
津波防災対策の取り組みにつきましてお尋ねをいただきました。
まず、愛知県沿岸市町村等津波対策推進協議会による津波対策の進捗状況と今後の見通しについてお答えいたします。
津波対策を推進するため、県及び沿岸市町村等が連携して対策に取り組む協議会組織を昨年十一月五日の津波防災の日に立ち上げました。その後、協議会構成市町村の総意といたしまして、高速道路ののり面を津波一時避難場所として利用すること及び電柱への標高表示を行うことを当面の取り組みとして推進することとなりました。
これらの検討を踏まえて、二月十三日には中日本高速道路とNTT西日本に、翌二月十四日には中部電力に、協議会会長の片桐副知事から要請書の提出を行ったところでございます。
今後の見通しについてでありますが、まず、高速道路ののり面を津波一時避難場所として利用することにつきましては、地元市町村と中日本高速道路との協定の締結に向けて仲介の労をとるなど、道筋をつけるよう取り組んでまいります。
また、関連して、国道ののり面の利用につきましても、道路管理者の立場にある国に対して要請を行ってまいりたいと考えております。
一方、電柱への標高表示につきましては、津波から避難する際、目安として重要な役割を果たすものであり、中部電力とNTT西日本の御理解をいただき、市町村が原則として無償で電柱を使用できる方向でありますが、今後は表示の仕方など、具体的な詰めの作業を行ってまいります。
次に、県の津波避難訓練への取り組みについてお答えいたします。
昨年三月十一日に発生いたしました東日本大震災での教訓によれば、巨大な津波は、防波堤などのハード対策のみでは防ぎ切れないことがわかりました。津波による被害の軽減のためには、津波警報が発令された時点の県民の皆様御自身の判断による主体的で迅速な避難が非常に重要だと考えております。
この迅速な避難を可能にいたしますためには、日ごろから住民の方々に対する海抜などの情報提供や、避難の意識づけ、あるいは避難行動を習熟していただくためのトレーニングなどが欠かせません。
そこで、本年度の南知多町との訓練では、実際に御自宅から避難場所まで徒歩で避難していただく実践的で効果的な訓練を行ったところでございます。
来年度十一月十日に田原市で予定しております訓練におきましても、本年度同様、実際に住民の方々に避難を行っていただこうと考えております。実践的な津波避難訓練は、一般の防災訓練に比べ、まだまだ蓄積が不足しておりますので、今回を含め、今後の訓練におきましては、東日本大震災での防災関係機関の活動や教訓を踏まえまして、自主防災会、市町村、県、自衛隊、第四管区海上保安本部等、地域の防災関係諸機関が連携して、他の市町村のモデルとなるような訓練にしてまいります。
最後に、津波対策に係る隣接県との広域連携についてお答えいたします。
津波被害に関連して、東海地域の各県が連携して対策を進めることは極めて効果的であると考えております。
そこで、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県の四県と、名古屋市、静岡市、浜松市の三政令市の防災監、防災部局長で組織しております東海四県三市防災・危機管理に関する連絡会議において、実務担当者による勉強会を昨年七月に立ち上げ、連携して対策に取り組んでいるところでございます。
この勉強会は、海岸工学の専門家をアドバイザーとし、また、国土地理院中部地方測量部の協力をいただきながら、これまで四回の勉強会を重ね、東海地方の津波特性や、河川、海岸の耐震対策などについて、情報や意見の交換を行ってまいりました。
来年度以降も、引き続き津波対策に関する勉強会を継続し、今年度の検討により抽出されました東海地方沿岸の地域別特性などを踏まえた課題につきまして、対策の検討を進めてまいります。
以上であります。
42:◯八番(石塚吾歩路君)
一点、リニアの関係で要望させていただきたいと存じます。
道州制、中京都構想、また、最近では、尾張名古屋共和国と、さまざまなこの地域の未来の形が議論されております。
先日、河村名古屋市長も交通インフラの重要性に言及しておりまして、名古屋西側の整備の前向きな再検討のお考えを示しておられるところでございます。
国土の姿が大きく変わるこのリニア開業において、勝負はここ十年から十五年ぐらいだと思っております。まさに、知事の言うリニア開業を視野に入れた都市づくり、地域づくりに力を入れて取り組んでいくことが重要なわけでございます。
地方分権、地域主権のための骨格のイメージが議論を深めている中で、このイメージだけではなく、具体的にまちづくりの施策を積み上げていくためにも、県としてしっかりとこの検討調査を行っていただきたいと存じます。
以上です。
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43:◯三十九番(川嶋太郎君)
暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
44:◯議長(岩村進次君)
川嶋太郎議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
45:◯議長(岩村進次君)
御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時四十九分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後一時開議
46:◯副議長(深谷勝彦君)
休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
佐波和則議員。
47:◯十七番(佐波和則君)
歳出第四款県民生活費第五項防災費のうち、大規模災害時の消防団活動指針の策定及び愛知県消防操法大会についてお伺いします。
地域住民の生命と身体及び財産を災害から守り、被害を軽減することを任務とする消防機関は、東日本大震災において、みずから大きな被害を受けながらも懸命な活動を行ったところであります。
しかし、一方で、活動中に消防団員を初め、多くの方々が命を落とされたところであり、この事実を私たちは重く受けとめなければなりません。
消防団は、住民の自発的な参加によって維持されている組織でもあります。この大震災では、なりわいを持ちながら地域で活動する消防団員の方々が犠牲となり、多くの消防団員は、水門の閉鎖や避難誘導等の活動中であったといいます。
住民を守るという強い使命感ゆえ、今回のような命を失うような事態に遭遇してしまったことは、絶対にあってはならないと痛感しています。
現在、総務省消防庁においては、東日本大震災での消防団活動を検証し、消防団の安全確保対策を重点として、東日本大震災を踏まえた大規模災害時における消防団活動のあり方等に関する検討会を設置し、本年八月ごろに最終報告を取りまとめる方向で検討がなされています。
このたびの震災では、被災地の消防団員は、身の危険を感じながらも、郷土愛護の精神と崇高な使命感から、消火活動を初め、水門の閉鎖、避難誘導、救出、救護などの活動を行い、また、これまで想定しなかった道路の瓦れき撤去、食料、燃料の調達、防犯のための夜間警備、避難所運営の支援に至るまで、広範にわたる活動が実施されました。
地元の消防署が被災し、また、橋梁の破損等により緊急消防援助隊や警察、自衛隊といった応援機関による支援が得られなかった地域では、地元の消防団や近隣地域からの消防団のこうした活動が、特に初動期において、被災地域の住民の方々の避難生活や心の支えに大きな役割を果たし得たと聞き及んでいます。
このように、地域の実情に精通した消防団は、地域密着性、要員動員力及び即時対応力の面ですぐれた組織であり、大規模災害時の対応や、身近な災害への取り組み、地域の安心・安全な確保の上で不可欠な組織であります。
こうしたことから、本県においても、東日本大震災の消防団活動の重要性にかんがみ、地域の自主防災のかなめである消防団の組織運営や、活動の充実強化を図るための活動指針を策定し、今後の大規模災害時の対応強化を図っていくこととされておりますが、ぜひとも県内消防団の実態調査など、きめ細かな取り組みを展開し、地域性を考慮した現場、現物に即した消防団活動の指針となることを強く望むものであります。
そこでお尋ねします。
大規模災害時のこれからの消防団活動の検討に当たって、どのような考え方で進めようとされているのか、また、具体的な検討スケジュールについてお伺いします。
二点目は、消防団員を初めとする地域防災力の向上を図るための教育、訓練についてお尋ねします。
発生が懸念される東海・東南海・南海地震の三連動地震などの大規模地震への備えが喫緊の課題となっており、一刻も早く地域の防災体制を確立しておかなければなりません。
地域の防災力を向上するためには、地域防災の担い手である消防団の充実を図るとともに、他の自主防災組織や女性消防クラブ、少年消防クラブといった地域コミュニティーによる防災活動、また、地元の企業による自衛防災組織との連携強化等、地域ぐるみでの防災対策の取り組みがこれまで以上に必要であります。
そのためにも、おのおのの役割に応じた教育、訓練を積み重ねていくことや、常備消防、消防団及び自主防災組織等の効果的な連携が重要と考えます。
そこでお尋ねします。
消防団員を初めとするさまざまな防災活動組織や、企業の自衛防災要員の教育、訓練の現状と今後の消防団教育のあり方について、どのように考えているのかお伺いします。
次に、県の消防操法大会についてお尋ねします。
愛知県の消防操法大会は、消防団員の日ごろの訓練成果を披露する場として、毎年、県内各地で開催されておりますが、長い歴史を持ち、今では関係者や一般見学者を含め、毎年三千名以上の参加者を得るなど、消防団員や関係者による活動発信や交流の場にもなっているようです。
とりわけ、昨年度は、全国の消防団の精鋭を集めた全国消防操法大会が蒲郡市で開催されましたが、併設された防災展や物産展の参加者も含め、県内外から一万五千人を超える消防団関係者や住民の方々が集まりました。
首都圏以外での開催は兵庫県に次いで二回目でしたが、団員の技術向上や活性化はもちろん、地域の防災意識の向上や地域の交流、活性化の面でも大変有意義な開催であったものと感じております。
また、消防操法の大会は、県内の市町村単位でも開催されています。郷土の代表として、県や国の大会出場を目指し、たくさんの選手関係者や地域の方々に運営や応援をいただいております。
このことは、消防団が地域の防火や防災活動の中核として、日ごろから町内会など地域コミュニティーと連携して活躍をいただいており、操法の活動を通じても、郷土の誇りとして地域とのつながりが深まり、いざ災害時には、顔の見える頼れる存在として期待されているのではないかと思っています。
しかしながら、消防操法大会に当たっては、訓練から大会当日までの間、消防団員はもとより関係者を含めた多くの方々が負担増となっている問題も少なからずあるところであり、工夫していくことも必要ではないかと思っています。
そこでお尋ねします。
愛知県消防操法大会について、県としてどのような開催意義をお持ちなのか伺います。
最後になりますが、今回の大震災での献身的な消防団の活躍により、大規模災害時の活動について、地域にとって消防団がいかに重要な組織であるかを再認識したところであります。
しかし、その一方で、消防団員が減少し、どこの消防団も新入団員の確保に苦慮しています。消防団員の確保や団員への負担の配慮など、足元の課題に対する積極的な取り組みとともに、大規模災害時における消防団員の身を守る装備の充実など、安心・安全が最優先された活動指針の策定を期待しまして、質問を終わります。
48:◯防災局長(中野秀秋君)
消防団活動への取り組みにつきましてお尋ねをいただきました。
まず、大規模災害時のこれからの消防団活動の検討の進め方とスケジュールについてお答えいたします。
大規模災害時の消防団活動の指針の策定に当たりましては、東日本大震災における活動の実績や教訓を踏まえ、まずは、各消防団の車両や装備の状況を初め、消火活動、後方支援活動等の具体的な内容や出動、通信体制など、県内の消防団の実態把握に努めてまいります。
大規模災害時に行うべき活動内容の検討に当たりましては、検討会を開催し、有識者による専門的な御提言や、消防職員及び団員の方々からの現場での御意見をいただくこととしております。
そして、都市、山間、海岸といったそれぞれの地域の特性を踏まえ、各消防団の水準や消防団員への負担も考慮しながら、地域の実情に応じた活動ができるよう工夫してまいります。
検討のスケジュールでございますが、検討会を四回開催し、年内を目途に活動指針を策定し、その内容について、県内の消防団員、また、その指導に当たる消防職員等を対象とした研修会を開催いたしまして、周知を図ってまいりたいと考えております。
次に、消防団員を初めとする防災活動組織や自衛防災要員の教育、訓練の現状と、今後の消防団教育のあり方についてのお尋ねでございます。
県の消防学校では、消防職員に対する教育のほかに、消防団員を対象に、火災防御活動に関する専門的知識、技能、ポンプ工学、安全管理などの教育を行っております。また、自衛防災要員、女性消防クラブ員及び少年消防クラブ員を対象に、消火活動や火災予防などのそれぞれに必要な知識、技能について教育を実施しております。
これらの教育訓練の今年度の実績は、消防団員教育として、中級幹部科及び震災救助科等四課程で一千二百十三人、自衛防災要員等教育科、女性消防クラブ指導科、少年消防クラブ指導科の三課程で二千三十七人となっております。
次に、今後の消防団員教育のあり方につきましては、検討会において、これからの消防団活動とあわせて検討していくべきものと考えておりますが、このたびの東日本大震災の教訓から、消防団は地域防災の核としてその役割の重要性が増していると認識しております。そのため、これまでの消防防災活動の知識、技能の習得に加え、消防団とそれぞれの地域コミュニティーとの連携や、消防団員が地域の防災リーダー、指導者としての役割を果たすといった視点が今後の消防団員教育を考えていく上で重要であると考えております。
最後に、愛知県消防操法大会の開催意義についてのお尋ねでございます。
愛知県の消防操法大会は、消防団員の消防技術の向上と士気の高揚を図ることを目的として、昭和三十一年以来、毎年開催しております。
県の操法大会は、消防ポンプ等の操作や基本動作、目標物への放水の所要時間を競うもので、これらの動作は消火活動の最も基礎となるものでございます。加えて、選手の士気、規律、迅速な行動、チームワーク等を審査の対象としております。
したがいまして、市町村大会を経て県の操法大会に出場することを目指す消防団員の方々は、繰り返しこうした訓練を積み重ねることにより消防技術が向上し、強い精神力と高い士気が培われます。
このたびの東日本大震災におきましては、地域に根差し、機動力及び統率力の面ですぐれた消防団組織の特性が大いに発揮されました。これは、消防操法を初めとする日ごろの訓練によって養われた強い精神力と高い技術によるところがまことに大であったと感じております。
いずれにいたしましても、県の操法大会は、例年、県内全市町村から選手、役員が参加し、応援の家族や一般の方々が見学するなど多くの人々が集まり、県民の皆様の消防団活動への理解と加入の促進を図る上で絶好の機会として、また、地域防災の核としての役割を担う消防団員の人材養成を図る上からも大変意義あるものと考えております。
以上であります。
49:◯十七番(佐波和則君)
それぞれ御答弁をいただきましたが、活動指針策定後の県の対応について、一点要望させていただきます。
活動指針の策定後は、各市町村におきまして、消防団の充実強化策や総合防災力をどのように整えるかについて議論が行われることになります。
県においては、指針の策定にとどまらず、その後の市町村への指導、助言をきめ細やかにしていただき、それぞれの地域で総合的な防災力が高まる取り組みが行われますことを要望いたしまして、終わります。
以上です。
50:◯副議長(深谷勝彦君)
進行いたします。
島倉誠議員。
51:◯二十二番(島倉誠君)
歳出第二款総務費第二項総務管理費第一目一般管理費のうち、行政改革推進費についてお尋ねいたします。
私は、今年度、行財政改革に関する特別委員会の委員として、また、自民党行革推進プロジェクトチームにも参加させていただき、県の行革への取り組みに大きな関心を払ってきました。
我が党県議団からは、昨年度に引き続き、さきの十二月、知事に対し、行革推進に関する提言をさせていただいたところであります。
県におきましては、平成二十二年二月に策定した第五次行革大綱に基づき、積極的に行政改革に取り組んでこられました。持続可能で質の高い行財政体制の構築を目指し、平成二十二年度から二十六年度までの五年間を計画期間とし、百六十三の個別取り組み事項を掲げ、これまでの間、事務事業の見直しに取り組み、成果を上げてきました。
さらに、本県の厳しい財政状況に対応するため、行財政改革のさらなる深掘りとして四十六項目を抽出し、昨年八月に改革の論点を公表し、十二月には、第五次行革大綱の深掘り、すなわち、行革大綱に係る重点改革プログラムを策定されました。
策定に当たっては、昨年八月以降、県民や市町村の意見を聞きながら、また、十一月には、外部有識者による公開ヒアリングも実施をし、四十六項目にわたる個別具体的な取り組み計画を取りまとめられました。
公表された重点改革プログラムでは、民間活力の導入拡大、資産の適正管理、効果の徹底的検証など、五つの深掘りの視点に基づいて個別の取り組みを具体化、加速、拡大する改革内容がスケジュールとともに示されています。
具体的に申し上げれば、四十六項目それぞれにおいて、平成二十三年度から二十六年度までの間、年次別に具体的に取り組む内容が目標、効果とともに示されています。また、二十七年度以降にわたり取り組みを続けていくといったものもあります。
ただ、改革内容をよく見てみますと、期限を決めてさらに検討するとの項目も多く、そのため、改革の方向性は示しているものの、どの程度行革効果があるのかはっきりしないことから、できる限り早期に具体案づくりを進め、具体案に基づき議論が幅広くできるようにするべきであると考えます。このことは、我が党の提言の中にもお示しをさせていただいたところであります。
今後大事なことは、重点改革プログラムに示した取り組みをスケジュールに従い着実に推進し、第五次行革大綱全般の取り組みとあわせて、いかに大きな行政効果を生み出すかであります。
この重点改革プログラムは、公表から二カ月を超えたばかりでありますので、今、多くを期待することは難しいかもしれませんが、しかし、私としては、重点改革プログラムがどのようにスタートを切ったのか、関心を持っているところであります。
県においては、平成二十四年度当初予算案に反映した行革効果額を百四十六億円であると示されました。
そこでお伺いいたします。
平成二十四年度当初予算案に反映した行革効果額百四十六億円について、重点改革プログラムに関する取り組みも含め、具体的な内容をお伺いいたします。
52:◯総務部長(野村道朗君)
平成二十四年度当初予算案に向けての行革の取り組みにつきましてお尋ねをいただきました。
平成二十四年度当初予算におきましては、歳入面では、自主財源の確保として十八億円、歳出面では、施策の見直し、事務事業の工夫、改善として百十六億円、また、給与等の適正管理として十二億円の効果を見込んでおります。
そのうち、重点改革プログラムに掲げた取り組みといたしましては、来年度予算の編成に向けて、例えば歳入面では、滞納整理機構への参加市町村の拡大による県税収入未済額の縮減、それから、歳出面では、雇用開発協会の廃止や、時限の徹底による事務事業の廃止、さらには、人員の見直しの徹底を行うなどの取り組みを進めてきたところでございます。
これらの効果を含め、二十四年度当初予算におきましては百四十六億円の行革効果を上げたものでございます。このほか、予算には反映されておりませんけれども、百四十六施設、約千四百棟ございます県の庁舎等を対象に、効果的、効率的な庁舎等の利用、管理を進めるファシリティマネジメントの導入にも新たに取り組んでいくことといたしております。
この取り組みの第一次分といたしまして、十六施設について、集約化や廃止により建物の総量を縮小するなどして維持管理費の縮減や、廃止した庁舎跡地等の有効活用を図っていくこととしたところでございます。
以上でございます。
53:◯二十二番(島倉誠君)
答弁いただきましたので、一点要望させていただきます。
今回、重点改革プログラムについては、平成二十四年度当初予算案とのかかわりで質問させていただきました。重点改革プログラムの推進により、歳入の増、歳出の削減への取り組みは、厳しい財政状況を考える中、さらに進めていかなければなりません。
ただ、一方で、答弁の中にもありましたが、行政サービスの中には、その場で費用対効果という視点だけで図ることができる事業ばかりではありません。予算の増減のみに一喜一憂するのではなくて、限られた資源をいかに効率的かつ効果的に配分し、施設の運営や施策の実施に対しては、利用率の向上や質の高い県民サービスを提供するという、こういうことも非常に大事であると考えております。
私の地元にあります陶磁資料館の活性化も、重点改革四十六項目の一つに掲げられました。
入館者数が低迷する中、重点改革プログラムでは、館の活性化や利用者の拡大につなげるため、新たな館の魅力を引き出す民間のアイデアや活力を導入した方策や、瀬戸市を初めとする地元や団体との連携強化について検討し、二十四年度から実施する。あわせて、指定管理者制度の導入の検討や、資料館にふさわしい名称への変更も行うと改革内容が示されています。
これに対し、我が党からも、展示品の解説方法の工夫や、ボランティアガイドの活用など、来館者へのわかりやすい展示案内に努めるべきである。また、お茶会の開催やあいちトリエンナーレとの連携、大学生等若者への陶磁文化の発信など、施設の積極的な利用拡大に努めるべきであるといった具体的な提言もさせていただいております。
そうした中、早速、陶磁資料館では、県内の各大学を訪問し、既に九大学等と連携し、パートナーシップ事業を立ち上げ、提携大学との事業連携企画立案や、観覧料の後納制度の活用、さらには、大学内での陶磁資料館の広報活動の協力などの取り組みをスタートさせていただきました。
このような取り組みも大切なことであり、率直に評価をいたしますし、今後、その成果に期待をするわけでありますが、一方で、四十六項目に挙げられた他の施設では、改善への取り組みが感じられない施設もあり、各施設によってその取り組み状況に大きな差が出ているように思います。
今後の行政改革の取り組みや進捗状況については、引き続き注目していきたいと思いますが、当局に対しましても、四十六項目に挙げられた施設に限らず、引き続き第五次行革大綱の目標達成に向け、さらに取り組みを着実に進めていかれることを強く要望して、質問を終わります。
54:◯副議長(深谷勝彦君)
進行いたします。
小山たすく議員。
55:◯十九番(小山たすく君)
私は、歳出第二款総務費のうち、第五項選挙費について伺う中で、選挙事務にかかわる問題点を幾つか指摘し、その改善と意識改革を促したいと思います。
まず、選挙ポスターの公営掲示板の設置場所について伺います。
約一年前の選挙のことですので、御記憶の方も多いとは思いますが、私たちの選挙区には、それぞれこんな場所に設置して本当に効果があるのかと疑いたくなるような掲示板が多数存在していることと思います。
それは、例えば交通量や人通りの変化によって人や車の往来がほとんどなくなってしまったにもかかわらず、同じ場所にあり続ける掲示板や、ほぼ車しか通らない道路で、最も速度が出ているあたりに道路と並行して設置されている看板、あるいは人がほとんど住んでいないようなところに忽然とあらわれる看板など、選挙区によってその形態はさまざまであると思いますが、共通しているのは、設置場所の見直しがされず、そこにあり続けているということであります。
また、掲示板の位置の変更については、県選管が把握すべき事項ではありませんが、見にくさや人通りの変化によって場所を変更した例は、今までほとんどないと言われております。
一方で、選挙ポスターは、選挙における有権者の投票行動の重要な判断材料の一つであります。ある調査によると、投票先を決めていない無党派の有権者のうち、約七割の方がポスターの印象、あるいはそこに記載された情報、つまり、政党名や政策、年齢などをもとに投票先を決めているとされております。
そうした重要な役割を果たすポスターの設置場所は、当然のことながら、より多くの人に目につく場所、あるいはその内容をしっかりと読み取れる場所であることを基準として選ばれるべきであります。
その一方で、ポスターには、顔写真、名前、キャッチコピー、政党名程度を載せるのが大半でありますので、投票の判断材料として十分な情報を提供できているかと言えば、その役割を果たし切れていないというのが実情であると思います。
やはり本来は、選挙公報などによって、その候補者が何を訴えているのかを公平に判断できる状態が担保されるべきであり、こうした判断材料が欠けている現状では政策判断による投票に結びつきにくく、ともすると、顔や名前をよく見るからとか、若いからといった抽象的な期待に基づく判断が多くを占めてしまうため、その改善も求められると思います。
しかし、こうした情報の制約をいかに解消するかという問題は残るものの、あくまで設置場所の適正化とは切り離して考えるべきであり、現行制度の中で、いかにその効果を最大化させるかが検討されなくてはならないと思います。
私たち議員に与えられた議決権や条例制定権などの権限の正当性は、選挙によって選ばれたということに起因しています。そうであるならば、選挙活動に不足するものが多々あるとしながらも、少なくとも現行制度上認められた選挙活動は、その一つ一つにおいて最大限その趣旨の反映において尊重されなくてはならないものであり、選挙において具体的効果を及ぼす公営掲示板の設置場所の見直しは早急になされるべきであると思います。
次に、立候補する側の活動環境の整備とあわせ、行政側の選挙態勢の見直しも同時に行っていかなくてはならないと思います。その最も端的な例は、開票作業の迅速化であります。
開票作業に当たっては、有権者の民意を正確に反映するため、開票の正確性が求められるのは当然であります。しかし、この正確性を重視する余り、現状では、法に定められた正確性と迅速性のうち迅速性が余りにもおろそかにされているのではないでしょうか。
選挙の開票には時間がかかるもの、多くの方がそう思い込んでいるかもしれません。しかし、東京都府中市や長野県小諸市、福島県相馬市など、開票作業の迅速化に取り組んできた多くの自治体では、正確性を担保しながらも迅速性も実現してきています。
具体的に申し上げれば、人口約二十四万人の府中市の市長選挙にかかった開票時間はわずか三十三分であり、小諸市の知事選挙の開票時間は三十四分であります。小諸市については、当時人口が約三万五千人でありましたが、見るべきことは、人口の多寡を基準とするのではなくて、開票作業の改善を図る前に比べ、その時間が半分以下に短縮されているということであります。
この開票作業の迅速化について言えば、私は、単に時間を短縮し、人件費等を削減するという効果だけを目的とするだけではなく、職員意識の改革による副次的な効果のほうが意義が大きいと考えております。
つまり、こうした開票作業の迅速化に取り組んでいる自治体に共通していることは、選挙の開票事務の改善に取り組んでいるだけではなく、そこを切り口にしてさまざまな施策が見直しをされているということであります。
こうした視点から見ると、愛知県の選挙にかかわる施策はまだまだ見直しの余地があるのではないか、あるいは今まで真剣に見直しがされてきたのかということが問われなくてはならないと思います。
例えば、騒音の苦情に配慮する余り、屋内や車の中にいるとほとんど聞こえないほど低音量に絞った自治体の選挙広報車や、駅頭での選挙期日を記載したポケットティッシュの配布など、その施策によって投票に行こうと判断している人がどれほどいるのかも検討されるべきであると思います。
選挙期日の周知ということであれば、むしろ、各候補者の街宣車が連日走り、至るところに選挙ポスターが張られ、新聞で特集が組まれ、自宅には投票所入場券が届く中で、選挙期日の周知はほぼなされているのではないでしょうか。
仮にこれら施策が投票率向上のためであるとするならば、私は、投票率の低下は選挙期日の不徹底によるものではなく、有権者が投票することに価値を見出せるかどうかではないかと思っております。
もちろん、そのためには、当然私たち政治家の責任が最も重いと思います。しかし、同時に、選挙の周知のあり方も大切な権利を行使しましょうという理念的なものではなく、なぜその権利を行使しなければならないのかという実体的な普及啓発に軸足を移すべきではないでしょうか。
私は、選挙にかかわる施策は、行政的思考の縮図ではないかと感じております。有権者から見れば違和感を感じる施策がなぜいつまでも改善されず、同じことが繰り返されているのか。それは、選挙が数年に一度という低頻度であることに加え、選挙の実務を担う市町村職員の多くが通常時は他の部署の仕事を兼職せざるを得ないということも理由の一つに挙げられると思います。
つまり、頻度の低い仕事に時間を割けず、選挙期間中やその直近では選挙事務が多忙をきわめ、そのほかのことには構っていられず、また、期間中は職員自身が事務処理に追われ、選挙の実態を見ることができないからであります。
さらに、選挙は、他市、他県とも重なることが多いため、選挙中の他の自治体の例を見ることができず、みずからの方法のみが判断基準になってしまうことなどが影響していると思われます。
しかし、それ以上に問題が改善されていかない最大の理由は、もんだ主義からの脱却が図られていないからであると思います。
この言葉は、元三重県知事で現早稲田大学マニフェスト研究所所長の北川正恭さんの言葉でありますが、行政とは、そんなもんだ、選挙とはそんなもんだ、政治とはそんなもんだという消極的な現状肯定によって改革の意思が阻害され、変えないことへの合理的な理由づけにされてしまっているというものです。
現在、県では、各部局が行革に取り組み、事業の見直しと費用対効果の検討がなされております。その究極の目的は、県民にとっての県庁とはどのような役割を果たすべきかを見出すことにあると思います。その中にあって、選挙にかかわるものだけが聖域であってはいけません。この際、選挙にかかわる施策を見直す中で、行政全体に共通する改革の視点を見出すべきではないでしょうか。
ぜひとも、もんだ主義から脱却し、一度立ちどまって事業を見直し、検証することが、ひいては実体的な県民の選挙意識の普及啓発につながり、県民の視点に近づくとはどういうことなのか、あるいは自分たちが乖離していた部分とは何だったのか、気づくきっかけになるのではないかと思います。
そこで伺います。
選挙管理委員会関係の事業の合理化と意識改革のため、選挙にかかわる事業の見直しを行うべきであると考えますが、事業見直しに向けた県の取り組みへの考えを伺います。
また、選挙事務を担う県内市町村へ選挙制度の趣旨の徹底による市町村選挙事務の改善を促すため、開票事務を初めとする他市町村の先進事例の紹介や、公営掲示板の設置箇所の検討を求めるなど、県全体の選挙制度に対する意識の底上げを図るべきだと考えますが、県の考えをお伺いします。
次に、歳出第四款県民生活費第三項社会活動推進費に関し、防犯カメラ設置促進条例の制定について伺います。
近年、全国各地で防犯カメラの設置が進み、犯罪抑止と検挙双方において効果を上げております。
本県においても、小牧市や一宮市、安城市など、防犯カメラの設置に補助金を出す自治体もあり、防犯カメラの設置に向けた動きは、今後、防犯意識の高まりとともにより一層加速するものと思われます。
まず、質問に入る前に、防犯カメラの促進イコール監視社会の進行という防犯カメラと監視カメラを混同した議論がよく見られることから、問題を整理する意味で、防犯カメラと監視カメラの違いを説明したいと思います。
大きく言えば、その違いは、画像の確認を現在進行形で行うか、事後的、限定的に行うかの違いであります。
ここでいう今後普及を目指す防犯目的のカメラとは、カメラの存在自体を周囲にアピールすることによって犯罪の抑止を最大の目的とするものであり、画像の監視を常時行っているものではありません。
その一方で、犯罪発生後などは検挙に資するため、その記録されたデータは裁判所の許可状などを担保に活用されますが、その他のほとんどの防犯カメラの画像は、何事もなければ画像を見ることもなく自動的にデータの上書きがなされ、データ自体も消滅してしまうものを指します。
これに対し、監視カメラとは、常時監視、あるいは常時見られる状態にあるカメラのことをいい、常時監視により不審者等の早期発見などを目的としているものを指します。
具体的には、空港や鉄道、重要施設などへの不審者、侵入者等がいないかをモニターを通して確認しているものであったり、スーパー等で万引き対策として警備員が店内の様子をモニター越しに確認しているものなどをイメージするとわかりやすいと思います。
では、その違いを踏まえた上で、以下、本題に移ります。
防犯カメラの効果については、多くの実績からその有効性が示されておりますが、愛知県内においても、過去県警が防犯カメラをモデル的に設置し、その効果を検証した事例が幾つかあります。
その事業によれば、一宮市、名古屋市中川区における駐輪場及び駐車場における自転車盗、自動車関連窃盗の抑止効果を目的とした実験では、前年同期と比べ、その減少率はそれぞれ五四・五%減、七五%減という大きな効果が出ています。また、現在実験中の名古屋市名東区の住宅街における住宅侵入盗を対象とした実験では、実験期間六カ月中四カ月分の速報値ではありますが、刑法犯認知件数で五六・一%の減、住宅侵入盗で六六・七%の減という非常に高い抑止効果が認められております。
もちろん、これらの効果は防犯カメラのみによるものではありませんし、あくまで実験であるため、その期間や母数が少ないという条件は差し引いて考えなければなりませんが、それを差し引いたとしても、その効果において相当程度の高い有効性が認められるべきであると思います。
では、こうした高い有効性を示す防犯カメラでありますが、一方で、県や市町村などの公的な機関が設置、普及促進を図ることに慎重であるべきとの指摘もあります。
そこで、県や自治体が防犯カメラを公共空間に設置することに問題がないかについて述べたいと思います。
この指摘の争点は、防犯カメラの効果とプライバシーの保護法益との対立をどう調整していくかということに尽きると思います。
確かにプライバシー権は、個人が生活する上で最大限尊重されなくてはならない権利の一つであります。しかし、プライバシー権といえども、無制限に保護されるわけではなく、社会生活を営む以上、当然に公共の福祉による制約が課されることになります。
防犯カメラの公共性とプライバシー権が争われた裁判で、判例は、その適法性について、設置目的の正当性や、設置の必要性と被撮影者のプライバシー侵害の程度を比較考量し、設置状況の妥当性や使用方法の相当性が認められれば、防犯カメラの設置、使用に適法性が認められると述べております。
私は、ここに防犯カメラ設置促進条例の必要性が生じると考えております。つまり、設置目的と情報の管理、権利侵害への救済措置の創設であります。
既に民間分野では、コンビニ、スタンド、駅やスーパーなどと至るところに防犯カメラが設置されておりますが、これらの防犯カメラには設置運用基準がなく、情報の目的外使用や漏えいへの罰則規定もないのが現状であります。プライバシーの侵害をいうのであれば、こうした現状こそ問題であり、防犯カメラをめぐる問題の本質は、個人が撮影されるか否かではなく、その情報を適切に管理できるかどうかにあると思います。
そのため、少なくとも公共が設置する防犯カメラについては、その情報を厳格に管理するための条例を整備しなくてはならないと考えております。
では、次に、仮に情報の管理を徹底するための条例が制定されたとしても、果たして公的分野が防犯カメラの設置、あるいは普及促進を図る必要があるかについて述べたいと思います。
まず初めに、県初め行政の施策は、つまるところ、限られた財政のパイをいかに配分するかであります。当然、もととなる財政の大きさは変わらないことから、どこかを伸ばせばどこかを減らさざるを得ず、そこが政策判断とされるところであります。
その政策判断を下す基準としては、縦軸としての世代間の受益格差と横軸である職種間の偏在性の解消が一つの基準として考えられるのではないかと思います。
具体的に言えば、子育て世代の支援を大きく充実させるために高齢者世代の施策を大幅に減らせば、高齢者からは不安と不満が漏れ、その逆もまた同じであります。
そして、ある施策が仮に特定の業種や限られた受益者のみを対象とする場合、その受益を受けることができない側から見れば政策の差別化であり、不公平感を生じさせることになります。そのため、受益対象とならない立場の人々を説得させるだけの合理的な理由が欠かせません。
この政策判断の縦軸と横軸の観点から、防犯カメラ、とりわけ、その効果である治安の向上を見た場合、どうなるでしょうか。
犯罪は、子供の殺傷や連れ去りから空き巣、車上荒らしやひったくり、振り込め詐欺など、全世代に共通する課題であります。また、治安の向上は、商店、工場での盗難や従業員の安全確保、商取引の健全化など、特定の業種にとってのみ利益を生じさせるというものではなく、どの業種の人にとっても等しく利益を享受できる、極めて汎用性の高い政策であります。
つまり、治安の向上は、世代、業種を問わず、共通利益としてその向上に努めるべき施策ではないでしょうか。
加えて、治安対策においては、具体的効果のある施策が少ない中、防犯カメラは、その効果において相当程度の有効性が認められることから、行政が主体となって防犯カメラの普及に努める正当性が生じるのではないかと考えております。
次に、権利侵害に対する救済制度の創設について述べます。
プライバシーについては、一度侵害されるとその回復が困難であることから、侵害を未然に防ぐことが重要であります。しかし、その一方、侵害が発生した場合は、早期に被害の拡大を防止し、その再発防止に努めなくてはなりません。それが、公の設置した防犯カメラによるものであればなおさらであります。
そのため、防犯カメラによる権利侵害の可能性、あるいは侵害について苦情を申し立てる機関が必要であり、その設置を根拠づける条例が必要となります。
以上述べてきたことから、私は、愛知県においても、防犯カメラ設置促進条例の早期の制定が必要であると考えております。
最後に、全国で初めて防犯カメラの設置及び利用に関する条例を定めた東京都杉並区について述べます。
かつて杉並区は、東京の中においても非常に犯罪発生件数が高い区としてその対策に苦慮しておりましたが、平成十六年にこの条例を制定したことを皮切りに、犯罪抑止への取り組みを強化したことによって、ピーク時に約一万一千件あった刑法犯認知件数が平成二十二年には約半分の六千件まで減少しています。
また、条例により設置した苦情申し立て機関については、情報の厳格な管理と住民への説明を徹底した結果、平成十六年から現在に至るまで苦情は過去一件も発生していないとのことであります。
また、区民を対象にしたアンケートでは、杉並区の魅力として、治安のよさを掲げる人が過半数を超えて一位であり、同様に区外から転入してくる企業、個人もその理由の一位に治安のよさを挙げています。その結果、多くの著名人や優良企業、人気店などが進出し、それが相乗効果をもたらして人口がふえているとのことであります。
愛知・名古屋に人、物、金を呼び込むとする大村知事においては、大いに参考にすべき事例ではないかと思います。
また、個人的には、さきに述べた理由から、防犯カメラを設置促進するためには条例の成立を前提とすべきであると考えておりますが、条例制定においては検討すべき課題も多いことから、早期に検討に着手すべきであると考えております。
そこでお伺いします。
防犯カメラ設置促進のため、その前提となる情報の管理とプライバシー保護の観点から、愛知においても条例を制定する必要があると考えますが、県の考えを伺います。
また、現在までに県警が取り組んできたモデル事業を検証し、その上で条例制定の可否も含めた専門委員会の設置を検討する必要があると考えますが、県の考えを伺います。
56:◯選挙管理委員長(安藤公爾君)
選挙事務の見直しに関するお尋ねでございます。
御指摘の選挙運動用ポスターの掲示場の設置場所や、開票事務の具体的な作業方法などは、各市町村の選挙管理委員会の判断にゆだねられておりますが、県選挙管理委員会が管理執行する選挙の際には、選挙事務説明会を通じまして、有権者が見やすい場所へのポスター掲示場の設置や、正確かつ迅速な開票事務など、有権者の視点に立った選挙事務の改善を働きかけてまいりました。
また、毎年、県内市町村の選挙事務研究会に参加し、投票用紙の取り扱いなどで選挙の管理執行上問題となった事例を示して注意を促したり、開票作業を効率的に行う全国の新たな取り組み事例を紹介して、積極的に助言を行ってまいりました。
さらに、選挙啓発につきましては、昨年の知事選挙及び県議会議員選挙について、有権者の投票行動に関する意識調査を実施いたしましたので、その結果を今後の選挙啓発のあり方を考える際の参考にしてまいりたいと考えております。
また、従来、小中学校、高校へ出向いて模擬投票などを行う講座を実施しておりますが、今年度から新たに大学と連携し、学生が選挙啓発のあり方や、投票行動の分析を研究、発表する事業などにも取り組み、若い世代の政治意識の向上に力を注いでおります。
改めて申し上げるまでもなく、民主主義の基盤となる選挙において最も大切なことは正確性を確保することでありますが、それとともに、有権者の立場からの改善、事務の効率化や迅速化が求められているところであります。
今後におきましても、常に選挙事務の見直し、点検を働きかけ、市町村選挙事務の一層の改善を支援してまいりたいと考えております。
以上でございます。
57:◯県民生活部長(大野明彦君)
防犯カメラの設置に関する条例の制定に関するお尋ねでございます。
防犯カメラにつきましては、自転車盗、自動車関連窃盗などの街頭犯罪や空き巣などの侵入犯罪に対する抑止効果が高く、有用な防犯設備であると認識しているところであります。
このため、今月五日に本県が策定いたしましたあいち地域安全戦略二〇一五において、新たに防犯カメラなどの防犯設備の普及、設置の促進を重点施策の一つに掲げ、その中で、県警察がこれまでに実施したモデル事業の検証結果などを活用し、防犯カメラの普及促進を図っていくこととしております。
なお、防犯カメラの設置に際しましては、プライバシーへの配慮や、録画した情報の管理などについて一定のルールが必要であることから、全国では、東京都の杉並区、世田谷区、三鷹市、そして、千葉県の市川市の四団体がそれぞれ条例で防犯カメラの設置者に対し、設置や利用の基準を定めることと、それを届け出ることや管理責任者を置くことを義務づけております。
ちなみに、都道府県では、東京都を初め十余りの都府県でプライバシーの保護に配慮した防犯カメラの設置及び利用に関する要綱やガイドラインなどを定めておりますが、条例を定めているところはございません。
これは、防犯カメラの設置者について具体的な運用を定める条例は、それぞれの地域の実態に応じて市町村レベルで制定することが実効性が高く、合理的であるためと考えております。
こうしたことから、本県といたしましては、現時点では防犯カメラに関する条例を制定することや、そのための検討委員会を設置することは考えておりませんが、プライバシーの保護への配慮など、防犯カメラの設置、利用に関する基本的な事項を定めた要綱やガイドラインの策定については、今後検討してまいりたいと考えております。
58:◯副議長(深谷勝彦君)
進行いたします。
近藤ひろひと議員。
59:◯二十三番(近藤ひろひと君)
それでは、歳出第四款県民生活費第二項文化学事振興費第一目文化学事振興費総務費、あいちトリエンナーレ事業費についてお伺いをいたします。
さきのあいちトリエンナーレ二〇一〇は、その基本構想の段階から、国際的視野という観点で、イタリアのベネチアビエンナーレ、ドイツで開催されますドクメンタについての研究、調査をされたということで、愛知県内外大勢の人が来られ、盛会のうちに終了したと認識しております。
昨年、私は、所属しております教育文化・福祉対策特別委員会の場で、あいちトリエンナーレ二〇一三の芸術監督の五十嵐教授御本人からコンセプトなどを説明いただき、質疑の機会がありましたので、二〇一〇年当時の一般の方々の率直な感想として、あいちトリエンナーレというよりもなごやトリエンナーレであったと、そうした感想を述べさせていただき、次回は、できれば愛知県としてのトリエンナーレにしていただきたい。例えば、モリコロパークでのサテライト会場を企画していただければ、県施設でもある陶磁資料館への動員、あるいは県の関係交通機関であるリニモの利用促進にもなるなどという話をさせていただきました。
今回の当初予算では、あいちトリエンナーレ事業費のうち、二十三年度に引き続き地域展開事業費が計上されておりまして、大変期待をしているところであります。
今月初めには、自民党県議団の一期生、一二三会で、芸術文化振興、また、観光についての調査目的で香川県高松市を訪れ、そこでの瀬戸内国際芸術祭の取り組みについてお聞きをしてまいりました。また、直島では、島内にある美術館、二〇一〇年の芸術祭で展示された現代アートを現地調査してまいりました。瀬戸内の島々という広範囲での開催は、あいちと銘打つ本県のトリエンナーレの開催へのヒントがたくさんあったと思いますので、ここで紹介をさせていただきます。
担当からお聞きした内容を箇条書きで申し上げますと、Uターンの方、県外の方が新しい価値を見出してくれたことで瀬戸内の再発見があった。ボランティアとして参加された島民の意識が変わった。県内外から多くの人が来られたことで老人が元気になったなどという御意見がありました。
また、お聞かせいただきました数字的なデータでは、来客は七割が女性であった。県外からは五八%、宿泊が六〇%であったということであります。
このデータを見まして、まず、女性が多いという点を注目したいと思います。
私たちが訪問したときに、若い女性や、あるいは芸術に関心のありそうなカップルが島を訪れておられました。さきの開催から関心が続いているということを感じたわけでありますが、こうした方々は、芸術に関心のある学生さんたちであると思われます。
聞くところ、この瀬戸内国際芸術祭は、愛知県立芸術大学、または名古屋造形大学の学生さんがかかわった作品があるなどと大学との連携があったということで、そこが大きなポイントであったと思われます。
女性に限らず、若いアーチストの卵たちがこうした活動の場を得ることによって、さらに伸びていくきっかけになることは大変意義のあることだと思うとともに、芸術祭や、またそれを開催する地域にも活力を与えるものだと感じました。
本県は、愛知県立芸術大学初め四つの芸術大学があり、芸術を志す若者が集まってきております。この地で開催されるトリエンナーレをきっかけとして、世界に羽ばたく芸術家となる可能性を持った若者を育てる土壌を持った地域であります。
愛知が真の芸術立県となるためには、こうした財産を生かし、すぐれた才能を持った芸術家の卵を支援する取り組みが必要であると考えます。そのための取り組みが大変重要であるわけですが、どのように取り組んでおられるかをお伺いいたします。
また、瀬戸内国際芸術祭では、瀬戸内に浮かぶ島が会場であったことで、県内は日帰り、県外からは宿泊という方が多かったということでありますが、お聞きをしますと、外国人来場者もとても多かったということであります。
愛知県にも、できれば県外、そして、海外からも長く滞留していただけるように、県内各会場の移動も考えながら、一泊、あるいは二泊でトリエンナーレを楽しんでいただく工夫をされることが必要だと思います。
会期について、我が党の代表質問の答弁で、開催期間を八月上旬から十月下旬とされましたけれども、夏休みを生かすのであれば、七月の下旬からのほうがよいと思うところであります。
また、現地調査をしました瀬戸内国際芸術祭の会場となった直島では、地元企業の協力で常設の美術館があり、会場となった島々では出品作品が残されております。期間以外でも美術に興味がある人が訪れる環境が整っていると言えます。
あいちトリエンナーレでも、そのように出品作品を残しておくお考えはおありでしょうか。また、本県も民間企業などの美術館、博物館が県内にあると思いますが、そうした企業との連携をどのようにお考えかお聞かせを願いたいと思います。
60:◯県民生活部長(大野明彦君)
若手芸術家を支援する取り組みについてお答えいたします。
文化芸術の振興には、文化芸術を担い支える人づくりや、活躍の場づくりが重要であり、特に、新たな価値を生み出し、次代を担う若手芸術家が飛躍、発展するための機会を提供することは大変重要と考えております。
このため、本県では、平成十八年度から若手芸術家の企画公募展を実施しており、この公募展の過去の入選作家があいちトリエンナーレ二〇一〇の出品作家に成長するなど、若手作家の登竜門としてその育成に成果を上げてきていると考えております。
また、本県に立地する芸術大学との連携の取り組みとして、昨年八月に、前回のトリエンナーレのまちなか会場であった長者町にアートラボあいちを開設して、地元芸術大学の在学生や卒業生による作品展示など、若手アーチストの発表の場として活用をしていただいております。
来年度は、こうした取り組みのほか、今年度同様、県内三カ所において、若手作家の作品展示を行ったり、愛知県美術館において、若手作家を紹介するテーマ展示の回数をふやすなど、若手芸術家の発表の場をさまざまな形で提供してまいります。
さらに、次回トリエンナーレにおきましても、若手作家を発掘するために、企画コンペの実施や、地元芸術大学との連携を検討するなど、若手芸術家の支援に一層取り組んでまいります。
次に、あいちトリエンナーレにおける出品作品の継承や、企業との連携についてのお尋ねでございます。
出品作品につきましては、作品の内容が固有の場所にこだわって制作される作品が多く、また、作品の所有権が作家に帰属し、それを譲り受ける場合には相当額の追加費用が発生しますので、一般に出品作品の継承は困難でありますが、トリエンナーレの作品が一部でも終了後に愛知に残り、記憶をつないでいくことができれば有意義なことと考えております。
前回のトリエンナーレのまちなか会場となった長者町や、作品譲渡の希望があった東栄町には、出品された作品のうち数点が現在でも展示、保存されており、地元の方々にとってトリエンナーレの記憶として継承されている例もございます。
次回のトリエンナーレにおきましては、作家の意向や、まちなか会場の地元や市町村のほか、展示場所を提供いただいた企業などの要望も踏まえまして対応してまいりたいと考えております。
また、トリエンナーレに御来場いただいたお客様に企業が設置した美術館や博物館など愛知の文化施設もあわせて訪れていただくことは大変有意義なことでありますので、企業ともパートナーシップ事業として連携、協力し、互いに広報協力やチケット割引を行ってまいります。
61:◯二十三番(近藤ひろひと君)
御答弁いただきまして、要望を幾つかさせていただきたいと思います。
若手芸術家の育成には大変力を入れていくという意向がうかがえました。
芸術大学という名前が出てまいりましたけれども、一般大学でもそうした美術や芸術の課程を持っておられるところがあります。そうした学生さんの参加もぜひとも呼びかけていただきたいと思います。
それから、企業との連携、それから、現代アートの残し方でありますけれども、先ほどの質疑の中で、もんだ主義という言葉がありましたが、こういうことができないんだと思われないで、ぜひとも、まずは交渉していただいて、お話の過程では、芸術家の方も、そうだな、愛知県にこういうのを残しておけばそういうことにつながるなということを思っていただけるかもしれません。しっかりとそういったことも力を入れていただければと思います。
一つ大きなことでお願いをしたいと思うんですが、皆さんも御承知のとおり、文化や芸術は短期間で根づくものではないと思います。総監督がかわって、毎回コンセプトも変わってまいりますけれども、愛知県が文化芸術県として世界に誇れる、そうなるようにするためには、ベネチアビエンナーレやドイツのドクメンタとまではいかなくても、せめて十回ぐらい、三十年、それぐらいは続けて開催をしていただきたい、そういうふうに思います。そうすることによって、多くの芸術家が育つ環境ができると思います。
そのためにも、質問の中でも述べさせていただきましたように、愛知という県内で数多くの展開をしていただきたい。それから、ちょっと話がずれますけれども、今、NHKの朝のドラマで、戦後、女手一つで洋裁店を経営して、その娘たちが有名なファッションデザイナーとして育っていくというお話を放送しております。
けさほど見ました場面で、娘さんが開催しましたファッションショーを見て、そのあでやかな状況から、七十歳になる主人公が、ええな、だんじりと同じやといったつぶやきを、私は、きょう、この質問をするということが前提にありましたけれども、すごくひっかかりました。
申し上げたいのは、文化や芸術はかたい言葉ではなくて情熱だということだと思います。この女性主人公がファッションショーを見て、だんじりだ、お祭りだ、そういうふうに感じたのは、まさにそういうところではないかというふうに私は思います。
人が熱くなるところに人がまた集まってきます。そういうパワーこそが芸術文化だと私は思います。
私たち自由民主党県議団の一期生が、先ほどお話ししましたように、調査を高松でさせていただいたとき、高松の担当者は、愛知県は同時期に開催をしておりましたので、ある意味ライバルだとおっしゃっておられましたけれども、その説明をする姿がとても楽しそうでありました。島の皆さんは、県外はもとより海外からのお客さんも本当に心からお迎えをしている、そういう姿が感じ取れました。
また、飛田議員が一般質問でもお話しされましたけれども、大阪府の大阪ミュージアム構想を説明してくださった府の職員の皆さんも、ほうっておいたらいつまでも自分たちの企画をしゃべる、そういう勢いがあるほどの入れ込みようでありました。
ぜひとも、この愛知県で開催するあいちトリエンナーレ二〇一三、この後もずっと続けていただきたい、そういう思いで、この熱い思いをぜひとも県の担当者の皆さんも持っていただいて、ずっと続けることによって、今、部長が答弁してくださったような思いが通ずると思います。
愛知が世界と闘えるように、何度も出てくるフレーズでありますけれども、これが実現になるようにぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思います。
62:◯副議長(深谷勝彦君)
進行いたします。
堀嵜純一議員。
63:◯二十五番(堀嵜純一君)
私からは、第五款環境費第一項環境対策費、循環型社会形成推進費についてお伺いいたします。
循環型社会は、廃棄物の発生抑制と適正な資源循環を促すことにより天然資源の消費が抑制され、環境への負担ができるだけ低減される社会を目指すものと言われております。
とりわけ、本県は、活発な経済活動が営まれている物づくり県であり、企業の事業活動等による資源投入も多いことから、他の地域にも増して企業の力を生かして資源循環に積極的に取り組むことが必要であります。
本県では、この社会づくりを進めるために、県庁西庁舎一階にある資源循環推進センターを拠点としてリサイクルビジネスを行おうとする、また、現在行っている企業の方々に対してさまざまな情報を提供したり、ビジネスがうまく展開できるよう、民間派遣のコーディネーターを中心にいろいろな取り組みをされております。
この組織は、廃棄物のリサイクルの促進という観点から、製造業はもちろん、森林や畜産、建設や下水汚泥など、従来の縦割り行政に余りとらわれずに、幅広い分野の企業の方々を対象に、循環と経済が両立するビジネスの支援をしておられると伺っております。
センターの主な施策の一つが、循環型社会形成推進事業費補助金の交付であります。この補助金は、産業廃棄物の埋立抑制、リサイクルの促進を目的とする産業廃棄物税を財源として、リサイクル施設の整備やビジネスを検討しようとする場合の財政支援制度と伺っております。
しかし、私の地元を含め、この制度は、まだまだ県内企業、とりわけ、中小企業の中には知らない方も多いのが実情であります。
これまで、この補助制度を活用する企業の多くが、産業廃棄物処理業、食品製造業、建設業と伺っておりますが、物づくりが盛んな本県には、まだまだリサイクルビジネスの可能性が埋もれていると思います。
このため、より幅広い業種から先導的、効果的な技術やシステムを有する事業を募り、廃棄物の発生量を減らしたり、リサイクルを進めるビジネスの促進を図ることで、この地域の物づくりの産業が持続されるものと思います。
また、リサイクル事業を始めたものの、技術的に高い付加価値を持つ製品ができなかったり、バージン製品と比べて価格が高いなどの理由で、リサイクル製品の販売が滞るということも多いと聞いております。
ビジネスを継続的に発展していくためには、補助金などの財政支援にとどまらず、中小企業の中には、販路拡大を含め、その後のビジネス展開の支援を望む企業が多い状況であります。
そこでお伺いいたします。
このように、先導的、効果的な技術、システムを有するリサイクルビジネスの振興に向け、今年度は具体的にどのような支援策を行ってきたのか。また、来年度にはどのような取り組みに力を入れていかれるのかお伺いいたします。
64:◯環境部長(西川洋二君)
リサイクルビジネスの振興に向け、まず、今年度の取り組みについてでございます。
県では、西庁舎一階に、議員の御指摘にもございました資源循環推進センターという組織がございます。そこと一緒になりまして、学識者や企業経営者などのメンバーから成る循環ビジネス創出会議を開催し、ビジネスの可能性のある取り組みを発掘し、具体化に向けた検討を行っておりますし、さらには、企業によるリサイクルビジネスを支援するため、先導的なプラント整備に対しましては五千万円まで、全国的にも珍しい事業化の可能性を探る調査には三百万円を限度に助成をいたしております。
この助成事業につきましては、今年度、三十二件の応募がございました。施設整備につきましては、廃食油のリサイクル設備を初め十件、調査につきましては、ソーラーパネルガラスのリサイクル事業初め九件を採択したところであります。
このほか、県内の資源循環、環境負荷の低減に秀でた技術、あるいはその取り組みを表彰する愛知環境賞を実施しておりまして、今年度は十一の企業、団体を表彰させていただいたところでございます。
次に、来年度の取り組みでございますけれども、ただいま述べました取り組みにつきまして、引き続きその内容を工夫、充実してまいりますほか、中でも、御指摘のございました助成事業につきましては、まだまだ浸透が不十分と考えておりまして、商工会議所、あるいは業界団体などとも連携し、その周知に力を入れていきたいと考えております。
また、リサイクルビジネス振興の上でリサイクル製品の販路拡大というものが大きな課題になっていると認識しておりまして、来年度からは、新たにメッセナゴヤなど見本市を活用いたしまして、PRする機会のない中小企業を対象に、広くその製品を宣伝する場を提供していくことといたしております。
来年度、こうした取り組みを通じまして、リサイクルビジネスのさらなる振興を進めてまいります。
以上でございます。
65:◯副議長(深谷勝彦君)
進行いたします。
柴田高伸議員。
66:◯三十三番(柴田高伸君)
歳出第四款県民生活費第一項県民生活総務費のうち、消費者行政に関してお伺いをいたします。
消費生活の現場は、地域であります。消費に伴うさまざまな問題は、まさにここで生じております。地域という現場にあって、消費生活を支える行政の適正な運用なくして、消費者被害の未然防止や救済、あるいは消費生活の安定や向上はあり得ないと考えます。
本県における消費生活相談件数は、平成十六年度の約四万四千件をピークに年々減少してきてはおりますが、相談内容は複雑化、高度化、長期化という傾向を指摘することができます。つまり、現場には相談件数だけではとらえ切れない厳しい実情があるということができます。
平成二十一年九月には消費者庁が発足、同時に施行された消費者安全法は、地方公共団体の事務として、事業者に対する消費者からの苦情処理のためのあっせんなどの消費生活相談の事務、消費者安全の確保に資する情報の収集と提供を行うことなどを定めるとともに、これらの事務を行うために、消費生活センターの設置について、都道府県においては必置の義務として、市町村においては努力義務としてそれぞれ定めております。
同時に、消費者基本法は、国と地方公共団体が消費者の利益の擁護と増進、消費者の権利の尊重とその自立の支援という理念にのっとり、消費者政策を推進する責務を有することを定めています。
その主要な機能の一つとしての情報一元化の根幹を担っているのが、地方公共団体の消費生活センターや相談窓口であることなどにかんがみれば、地方消費者行政は、地域という現場のニーズにこたえるとともに、現場を支える国の行政の一端を担うという性格を持つものであるとも言えます。
そうした中、本県では、平成二十二年三月に消費者行政推進計画を初めて策定し、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことのできる社会の実現を基本理念として、その一、消費者被害の救済と未然防止の強化、その二、主体性のある消費者教育、その三、消費生活の安全と安心の確保という三つの目標のもとに、九十二施策を平成二十二年度から二十六年度までの五年間において展開することとしております。
さて、近年、消費者を取り巻く社会・経済環境が大きく変化する中で、消費者トラブルが複雑・多様化していることから、県及び市町村における消費者被害救済のための消費生活相談体制のさらなる充実及び強化が求められております。
特に、住民にとって最も身近な市町村において、その相談窓口の充実や、住民への周知を図るとともに、地域に細かくセンサー機能を張りめぐらせることが重要であり、あわせて、都道府県において、その消費生活センターの機能の高度化を図るとともに、市町村を的確にバックアップすることが重要であると考えます。
このような両者の連携と役割分担のもと、地域が一体となって消費者の相談にきめ細かに対応していくことが期待される中、最近では、相談窓口に不当な取引行為に係る相談が多数寄せられています。取引の公正を実現するためには、こうした行為による被害を防止する取り組みを強化しなければなりません。
不当な取引行為については、法に基づく厳正処分が必要な事例もありますが、新たな被害を早急に防止する観点から、まずは法律や条例に抵触する疑いがある段階で迅速に指導を実施し、事業者に業務の改善を求めていくことが最も重要だと考えます。
とりわけ、不当な取引行為に係る指導を実施する場合には、その実施基準について、消費生活相談件数のほか、行為が悪質かどうか、今後の被害の拡大がどの程度見込まれるのかといった観点から具体的な基準を定め、対応しなければなりません。
そこで伺います。
不当な取引を行っている疑いがある事業者に対して、早い段階で指導を実施する必要があると考えますが、県としてどのように取り組んでいるのかお尋ねをいたします。
次に、早い段階での指導を実施したにもかかわらず、被害の拡大をもたらしている事業者には、不当な取引行為を是正せしめるために、その事業者に綿密な調査を行った上で厳正な法執行が不可欠と考えます。
厳正な法執行のためには、まず、体制を整える必要があります。特に、執行を担う人材の強化が重要な課題であります。執行の過程では、綿密な調査や証拠の積み重ねが必要となり、法執行は決して少人数で片手間でできる事務ではありません。
さらには、執行担当者が相談者からもたらされる情報を中立、公正な立場で厳密に分析し、執行につなげるための法解釈や、客観的事実として認定する能力を高めていくために、法解釈や違法事実の裏づけにおいて、関係法令を初めとする各分野の専門家の知見を活用するなど、執行過程において、弁護士などの専門家との連携を十分に図ることが必要であります。
消費者保護といえども、ずさんな調査や事実認定によって事業者に冤罪を着せてはならないのは言うまでもありません。
そこでお伺いをいたします。
不当な取引を行っている事業者の処分に当たっては、綿密な調査の上で厳正な法執行が重要であり、そのためには実施体制の強化が必要であると考えますが、県はどのように取り組んでいるのかお尋ねをいたします。
さて、さきに述べた事業者に対する取り組みのほか、消費者に対する取り組みも重要と考えます。
消費者保護が叫ばれる昨今でありますが、諸外国と比べて、これまで日本の消費者が特に不利な立場にあったわけではありません。それどころか、厳しい企業間競争の結果、事業者は消費者の信頼や評価に非常に敏感であります。したがって、非常に信頼性の高い商品やサービスを供給する結果となっており、一方、そうした事業者の姿勢が、結果的に消費者が主体的に品質を判断することなく、事業者に過度に依存する傾向を強めてきてしまったという指摘ができます。
そうした事業者依存体質が結果的に深刻な問題を引き起こすことがあるため、日本の消費者はより自立した防御姿勢を持たなくてはならないと考えます。
そこで、近年、消費者と事業者との間の情報や交渉力の格差を前提として、消費者保護のため、事業者に対するさまざまな施策が推進されていますが、一方の消費者みずからが被害に遭わないように注意したり、消費者問題に直面した際にみずから考え、主体的に行動していく能力を身につけていくことが重要であります。
こうした自立した消費者を育成するための消費者教育は、若年層から成人、高齢者に至るまで、生涯の各時期、場面に応じて効果的に取り組むことが必要と考えます。
そのためには、学校、地域、職場などにおいて、消費生活について学習することができるよう環境を整えることが重要であり、特に小中学生、高校生に対しては、教育委員会や学校関係者と連携し、学校教育の中に消費者教育が取り入れられるよう積極的に支援し、あわせて、高齢者、障害者、社会経験の浅い若者に的を絞った効果的な学習機会の提供にも取り組む必要があると考えます。
そこでお伺いいたします。
悪質な事業者の被害に遭わないためには、主体性のある消費者を育成することが必要であると考えますが、県はどのように取り組んでいるのかお尋ねをいたします。
67:◯県民生活部長(大野明彦君)
消費者行政に関しまして、事業者に対する指導の実施についてであります。
県民生活プラザに寄せられたすべての消費生活相談の中から、不当な取引の疑いがある事業者を常に把握し、その事業者に係る相談件数や、相談内容の悪質性などにより指導が必要と認められる場合には、早い段階で事業者指導を実施しております。
先月には、行為の悪質性、今後の被害の拡大可能性などといった観点に着目した基準を定めたところであり、今後は、この基準を活用し、より一層迅速な事業者指導の実施に努めてまいります。
なお、相談件数が特に多い事業者や、悪質性が極めて高い事業者に対しては、消費者被害の拡大を迅速に防止するため、事業者指導を経ないで綿密な調査に基づいた処分をしております。
次に、悪質な事業者の処分についてでありますが、厳正に処分するためには、多くの被害者から詳細に被害状況の聞き取りを実施するとともに、事業者に対して立入調査や報告聴取を行うことにより、特定商取引に関する法律に違反する不当な取引行為を明確に把握する必要があります。
こうした調査を行うには実務的な能力を有することが求められるため、警察を退職した被害者聴取の経験が豊富な職員を不当取引指導員として配置しており、特に今年度は一名増員し、二名体制としたところであります。
また、事業者指導グループを新たに設け、職員が集中して事業者指導、処分を行うことができる体制を強化し、必要に応じて弁護士とも相談しながら、迅速かつ適正な調査による厳格な処分を行ってまいります。
次に、主体性のある消費者の育成に向けた県の取り組みについてであります。
主体性のある消費者を育成するためには、消費者教育と消費者被害の未然防止の取り組みが大切であると考えております。
消費者教育の取り組みといたしましては、学校に対し、教員向け情報提供紙を配付するほか、消費者教育モデル校を指定し、消費生活相談員を講師として派遣するなど、学校における消費者教育の実践を支援しております。
また、消費者被害の未然防止の取り組みといたしましては、消費生活講座を開催するほか、消費生活情報誌あいち暮らしっくや、県のホームページ消費生活情報サイトなどによりタイムリーな情報提供を心がけております。
特に、来年度には、タブロイド版新聞折り込み広告や、公共交通機関の車内づり広告などにより、県民の皆様に広く消費者被害の未然防止のための啓発を行ってまいります。
今後も、あらゆる機会をとらえ、さまざまな媒体を用いながら、主体性のある消費者の育成に取り組んでまいります。
68:◯三十三番(柴田高伸君)
一点要望いたします。
消費者行政は、これまで事業者への規制と消費者への支援の大きく分けて二つの柱で推進されてきております。これからもう一つの柱として、各業界団体や消費者団体による独自の取り組みと積極的に連携をして、消費者施策を協働推進することが重要であるというふうに考えます。事業者、消費者、行政が相互に連携をして理解を深めることによって信頼関係を確立することが求められていると思います。
今後、三者の連携強化による消費者行政の協働推進を強く要望いたしまして、終わります。
69:◯副議長(深谷勝彦君)
進行いたします。
青山省三議員。
70:◯四十一番(青山省三君)
第四款県民生活費第三項社会活動推進費に関し、安全なまちづくり推進費について伺います。
本県の刑法犯認知件数は、平成五年に戦後初めて十万件を超え、平成十五年には、戦後最多となる約二十二万六千件を記録しました。
本県では、こうした深刻な治安状況を打開するため、平成十六年四月に安全なまちづくり条例を施行し、県民、行政、警察が一体となって、犯罪のない安全なまちづくりのための取り組みを積極的に推進することとしました。
その後、平成十八年三月に、平成二十七年までの十年間の戦略的、重点的に取り組むべき政策を示すものとして新しい政策の指針を策定し、その中で、犯罪を半減させる地域防犯県づくりを掲げ、平成十七年に約二十万件発生している刑法犯認知件数を、平成二十七年までに半減させることを目標として、短期的、集中的に実効性の高い対策を強力に実施することとしました。
また、同時に、平成十八年から二十年度までを取り組み期間とするあいち地域安全緊急三か年戦略が策定されました。
この戦略では、防犯意識の高揚、地域の防犯力の向上、犯罪が起きない生活環境づくり、子供の安全確保の四つを基本戦略とし、刑法犯罪認知件数を三年間で三万件以上減らすことを目標に掲げ、県民総ぐるみで安全なまちづくりに取り組んだ結果、約五万四千件減少させることができました。
そして、引き続き、平成二十一年二月に、平成二十一年度から二十三年度までを取り組み期間とするあいち地域安全新三か年戦略を策定しましたが、この戦略では、防犯意識の高揚、地域の防犯力の向上、犯罪が起きない生活環境づくり、子供の安全確保と女性、高齢者等の防犯対策、多発犯罪への対応の五つを基本戦略とし、刑法犯認知件数を三年間で二万件以上減らすことを目標に掲げました。
このうち、多発犯罪への対応においては、体感治安を悪化させる住宅対象侵入盗や自動車関連窃盗、自転車盗などが多発する犯罪への対策を推進することとし、地域の犯罪情勢に即した広報啓発活動の実施、住宅や駐車場への防犯設備の普及などに取り組むとともに、県民、事業者、団体や市町村など、地域が一体となった県民総ぐるみ運動を展開し、さまざまな対策に取り組んだ結果、約二万六千件減少させることができました。
こうした二度にわたる三カ年戦略により、刑法犯認知件数は六年間で約八万件減少し、昨年の認知件数は約十一万九千件と、最も多かった平成十五年の約二十二万六千件に比べ十万件以上減少しております。
しかしながら、本県の昨年の犯罪情勢を全国的に見ますと、刑法犯認知件数の総数が東京、大阪に次いでワーストスリーであることを初め、住宅対象を含む侵入盗、自動車盗、部品ねらい、車上ねらい、自動販売機ねらい、強盗、恐喝のいずれもが全国ワーストスリー以内に入っております。
この中でも、住宅対象侵入盗は平成十五年から五年連続、自動車盗は平成二十年から四年連続で全国ワーストワンであるなど、依然として県民の安心・安全を脅かす犯罪が身近で発生しております。
私の地元尾張旭の昨年の犯罪情勢を申しますと、住宅対象侵入盗は、県全体で約一八%減っている中で、逆に一三%増加しております。また、自動車盗は、愛知県全体で三九%の増加でありますが、尾張旭では、その倍以上の八二%の増加となっております。
こうした中、平成二十四年から二十七年度までの四年間を取り組み期間とするあいち地域安全戦略二〇一五が新たに策定されたところでありますが、この新しい戦略においては、県民の生命と財産に大きな影響を及ぼす住宅対象侵入盗や自動車盗などを重大犯罪と定義し、最重点に取り組むこととされております。
私は、住宅対象侵入盗は、財産的な被害はもちろんのこと、万が一、泥棒と鉢合わせになれば命にかかわる非常に危険な犯罪であり、自動車盗は被害額が百万円単位の大きな金額になることから、犯罪の件数だけではなく、質的な面にも着目し、対策を講じていかれる県の方針を高く評価するものであります。大きな成果を期待するところであります。
そこでお尋ねいたします。
新しい戦略の中で最重点に取り組むこととされた住宅対象侵入盗と自動車盗への対策として、来年度はどのような取り組みを行われるかお伺いいたします。
71:◯県民生活部長(大野明彦君)
住宅対象侵入盗と自動車盗への対策に向けた来年度の取り組みについてのお尋ねでございます。主に五つの取り組みがございます。
まず、一つ目は、ラジオ放送による住宅対象侵入盗や自動車盗の防犯対策の広報です。ラジオは、自動車の運転中や、御自宅で家事や作業をしながら聞くことができるため、啓発効果は大きいものと考えております。
二つ目は、愛知県商店街振興組合連合会と連携した住宅対象侵入盗の防犯キャンペーンの実施であります。今年度は十三の商店街に御協力をいただき、窓に補助かぎをつける、いわゆるツーロックの普及キャンペーンを実施いたしましたが、来年度はこれをさらに充実してまいります。
三つ目は、県が委託して自主防犯団体から御提案をいただいた効果的な防犯活動を実践してもらう自主防犯団体活動推進事業であります。来年度予定をしています十五団体のうち八団体には、住宅対象侵入盗や自動車盗への防犯活動に取り組んでいただくこととしております。
四つ目は、住宅対象侵入盗対策に重点を置いた防犯ボランティア養成講座の開催でございます。この養成講座は、自主防犯活動のリーダーとなり得る人材の育成を目指したもので、これまでも住宅の防犯講座を開催しておりましたが、来年度はこの割合を高めて実施いたします。
五つ目は、安全なまちづくり県民運動の実施であります。春、夏、秋、そして、年末の県民運動において、住宅対象侵入盗と自動車盗への対策を運動の重点取り組みに位置づけ、県民の皆様への啓発に取り組んでまいります。
こうした取り組みを着実に実施することにより、県民の皆様の防犯意識と地域の防犯力の向上につなげ、住宅対象侵入盗と自動車盗を一件でも多く減らしてまいりたいと考えております。
72:◯四十一番(青山省三君)
一点要望させていただきます。
安心・安全なまちづくりのために、地域の皆様と全力を尽くして協力をしていただき、住みよい愛知県にしていただきたいと要望して、終わります。
73:◯副議長(深谷勝彦君)
進行いたします。
犬飼明佳議員。
74:◯十五番(犬飼明佳君)
私からは、歳出第四款県民生活費第三項社会活動推進費のうち、安全なまちづくり推進費についてお尋ねいたします。
先ほど青山議員からも御指摘がございましたが、本県における昨年の刑法犯認知件数は約十一万九千件となり、最も多かった平成十五年の約二十二万六千件に比べ半分近くまで減少しております。
これは、本県が平成十六年に安全なまちづくり条例を制定して以降、行政と民間で愛知県安全なまちづくり推進協議会を設置し、県民の皆様と県、市町村、事業者等が一体となって、県民総ぐるみの安全なまちづくりに取り組んできたこと、そして、平成十八年度から今年度までの六年間、あいち地域安全緊急三か年戦略とあいち地域安全新三か年戦略に基づき、短期的、集中的な策を展開してきたことの成果であることは御承知のとおりでございます。
こうした取り組みの中で、私が最も関心を寄せるものは、県民の皆様による自主防犯活動であります。
平成十五年十二月末時点の自主防犯団体の数はわずか百三十団体でありましたが、昨年二月末現在で県が把握している自主防犯団体の数は約三千六百団体となっており、八年間で三十倍近くふえています。私は、この自主防犯活動が刑法犯認知件数の大幅な減少に大きく寄与しているのではないかと思います。
泥棒は、時間、光、音、地域の目を嫌うと言われております。それらを防犯の四原則というそうですが、確かに侵入に時間がかかる、音で威嚇される、周りが明るいという三つは、泥棒にとって都合が悪いことだと思います。そして、それらの対策はそれぞれの家庭で対策を講じることができますが、四原則のもう一つ、地域の目は地域が一体となって取り組む必要があります。
地域のつながりが希薄になった現代において、また、特に都市部では、なおさら地域の目を強化することは難しい面があります。私は、名古屋市の北区に住んでおりますが、隣近所のあいさつ、声かけはさておき、もう少し広い地域となりますと、こちらからあいさつしても反応がないことも多くあります。
ところが、防犯パトロールをされている方々とすれ違うときは、お互い大きな声であいさつを交わします。このときばかりは、この人たちが地域を守ってくれているといううれしさと感謝で思わず顔がほころんでしまいます。
防犯パトロールは地域の目と言われますが、泥棒も大きな声であいさつされると、さすがにそこにはいづらくなるので、防犯の抑制に大きな効果があると思いますし、自動車の屋根に青色回転灯をつけたパトロールカー、いわゆる青パトも最近よく見かけますが、この青パトも地域の皆さんに安心感を与えているのではないかと思います。
こうした防犯パトロール活動は、地域の皆さんの目によく触れることから、住民の防犯意識を高める効果もあると思います。
自主防犯活動をされている県民の皆様が、本県の安全なまちづくりのために日ごろからそれぞれの地域において地道なパトロール活動などに取り組んでいただいていることはまことにありがたいことであり、改めて感謝申し上げたいと思います。私は、こうした自主防犯活動をされている県民の皆様を支援してくことは行政の務めであると考えております。
県は、このたび、新しい地域安全戦略をつくられましたが、その基本戦略の一つに、地域の防犯力の向上が掲げられております。そこには、自主防犯団体の活動の活発化のための支援をしますと書かれております。
そこでお尋ねします。
自主防犯団体活動の啓発化に向けて、来年度、どのような取り組みを行っていかれるのかお伺いいたします。
75:◯県民生活部長(大野明彦君)
自主防犯団体活動の活発化に向けた来年度の取り組みについてのお尋ねでございますが、主な取り組みといたしまして二つございます。
まず、一つ目は、それぞれの地域の実情に合った効果的な防犯活動について、優良な御提案があった自主防犯団体に県が委託し実践してもらうという自主防犯団体活動推進事業でございます。
平成二十一年度から今年度までの三年間で六十二団体に委託し、県内各地で防犯活動を実施していただいております。来年度は、この事業の中で、新しい戦略において重大犯罪と位置づけた住宅対象侵入盗と自動車盗に対する防犯活動を八団体募集いたしますが、今回は、過去に受託した実績のある団体も応募可能とし、経験を生かしたより実践的な活動も展開できるようにいたします。
そして、その活動結果につきましては、県が取りまとめ、冊子やインターネットにより他の防犯団体等に広く周知していきたいと考えております。
二つ目は、地域における自主防犯活動のリーダーとなり得る人材の育成を目指した防犯ボランティア講座の開催であります。
この講座につきましては、来年度は県内十二カ所で六百人の参加者を予定しておりますが、新しい戦略の中で重大犯罪としている住宅対象侵入盗対策の講座の割合を高めてまいります。
また、実際の活動事例発表とそれに対する講師からのアドバイス、防犯リーダーとしての実践的活動方法など、講座の内容もさらに充実してまいります。
これらの事業を実施していくことにより自主防犯活動を活発化させ、地域の防犯力の一層の向上を図ってまいりたいと考えております。
76:◯十五番(犬飼明佳君)
一点要望させていただきます。
委託事業につきまして、二十四年度は十五団体で行うということですけれども、現在、三千六百団体に対しまして非常に数が少なく、また寂しくも感じます。さらなる支援が必要であるというふうに思います。
二十四年度、その分、この十五団体の取り組み、成功事例を三千六百団体に伝え波及していくことが重要になると思います。県として、各市町村との連携も深めて、こうした情報が全団体の隅々まで行き渡るようにより一層取り組んでいただきますように要望いたします。
77:◯副議長(深谷勝彦君)
進行いたします。
渡辺昇議員。
78:◯四十三番(渡辺昇君)
私からは、歳出第三款地域振興費第一項地域振興総務費の愛知環状鉄道設備改修費補助金に関連いたしまして、愛知環状鉄道と沿線地域の活性化のほうについてお尋ねいたします。
岡崎と高蔵寺を約一時間で結ぶ愛知環状鉄道は、平成二十四年度に開業二十五周年を迎えますけれども、現在、年間一千四百万人以上を輸送し、県民生活や産業生活を支える足といたしまして、地域にとってなくてはならない重要な役割を果たしております。そして、愛知万博のときには、名古屋駅からの直通列車も走らせ、万博の成功に大いに貢献したことはだれもが認めるところであります。
さらに、環状線という名前にふさわしく、西三河と尾張北東部を結ぶだけではなく、名古屋都心から放射状に延びますJR、名鉄、リニモと結び、有機的なネットワークを形成しておるわけです。
このため、例えば、去年の夏の台風十五号のときには、東海道線や名鉄がストップし、帰宅困難者が発生しましたけれども、名古屋勤めの通勤者が地下鉄、リニモ、愛知環状鉄道経由で岡崎まで帰ることができたように、非常時にはバイパス機能としての役割も果たしております。
このような愛知環状鉄道でありますけれども、中でも一番誇るべきは、開業以来、人命にかかわる事故が一件も発生していないという安全性であります。これは、日々の会社における安全管理マネジメントがしっかりなされているというあかしであると思いますけれども、全線高架、踏切なしという構造上の優位性によるところも大きいのであります。
しかし、裏を返せば、高架構造であるがゆえに、耐用年数を踏まえてきちんとメンテナンスをしていかなければいけないということであります。開業二十五周年とはいうものの、構造物自体は国鉄時代からの築四十年以上のものを引き継いでおり、老朽化もかなり進んでおり、最近では、高架下にコンクリートがはげ落ちるような事例もあったと伺っております。
したがいまして、今後、計画的に修繕、改修していくことは、安全・安定輸送のために非常に重要なことで、優先してやっていくべきことであると考えます。その意味で、今回、県と沿線市が協調して支援していく姿勢を高く評価するものであります。
こうして、安全・安定輸送のために取り組んでいただくことは大変よいことで、今後ともしっかりお願いしたいと思っておりますけれども、一方で、少子化など公共交通の経営を取り巻く環境は大変厳しいものがあります。
そこで、利用促進策にも県はしっかりと対策を立ててやっていくべきだと考えます。
県は、リニモに関しては、従来からリニモ沿線活性化事業費を組み、通勤通学転換策やイベントの開催、リニモを活用したまちづくりに積極的に取り組んでいることがわかりますが、愛知環状鉄道についてはどうなっているのでしょうか。
沿線には、岡崎城を初めとする徳川家康ゆかりの史跡や、大規模集客施設である豊田スタジアムを初め、それぞれの市に魅力的な観光資源や施設も数多くあります。また、先月は知の拠点も一部オープンいたしました。
そこで、こうしたさまざまな地域資源の活用を含めまして、愛知環状鉄道と沿線地域の活性化に向けた県と沿線市のこれまでの取り組みと、今後、どのように取り組んでいくおつもりなのかをお伺いいたします。
79:◯地域振興部長(山田周司君)
愛知環状鉄道と沿線地域の活性化に向けた取り組みについてお答えをいたします。
県と岡崎、豊田、瀬戸、春日井の沿線四市では、愛知環状鉄道の開業前から、安定的な運営と鉄道を中心とした地域の発展に寄与することを目的として、愛知環状鉄道連絡協議会を設立し、これまで地域の情報発信パンフレットや乗りかえマップの作成配布、花いっぱい運動、ウオーキングの開催など、継続的な取り組みを行ってまいりました。
こうした中、特に今年度は、国の協力も得て、愛知環状鉄道を基軸とする公共交通ネットワークの充実強化のため、利用者アンケートなどの調査事業にも取り組んでおります。
協議会では、この成果も生かして、今年度中に愛知環状鉄道沿線地域のいわゆる活性化ビジョンを取りまとめてまいりたいと考えております。
具体的には、沿線四市を合わせて一つの百二十万都市圏ととらえ、交通、観光、産業などの分野で、例えば四市内の地域資源を有効に活用した広域観光プロモーションの実施といった一体となった取り組みを進めることにより、沿線地域のさらなる活力の向上を目指すものであります。
県としましては、このビジョンも踏まえながら、今後とも愛知環状鉄道の利用促進と沿線地域の活性化を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
80:◯四十三番(渡辺昇君)
私から一点要望させていただきたいと思います。
今、地域振興部長から、新たにビジョンを策定し、愛知環状鉄道と沿線地域の活性化に取り組んでいくとの答弁がございました。ぜひとも大いに進めていただきたいと思っております。
私は、先ほどの質問の中で、愛知環状鉄道の老朽化に伴う修繕、改修に向け、県と沿線市が協調して支援する姿勢を高く評価すると申し上げましたが、この修繕、改修は一年や二年で済むものではないと聞いております。鉄道の安全対策、人命にかかわることだけに、何よりも優先して実施していただきたいと思っております。
今後とも、愛知環状鉄道の安全対策に万全を期されることを要望いたしまして、終わらせていただきます。
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81:◯三十八番(神戸洋美君)
暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
82:◯副議長(深谷勝彦君)
神戸洋美議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
83:◯副議長(深谷勝彦君)
御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午後二時五十分休憩
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午後三時四十分開議
84:◯議長(岩村進次君)
休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
西川厚志議員。
85:◯五十四番(西川厚志君)
それでは、歳出第四款県民生活費第二項文化学事振興費について、宗教法人へのかかわり方という観点からお伺いをいたします。
愛知県では、つい最近まで、私立による特別支援学校の設立が想定されてはいなかったとお聞きいたしました。そこまでの篤志家の出現を期待できなかったと言われれば確かにそうなのかもしれません。全国的に見ても、私立による特別支援学校の数は、宮城まり子さんの設立されたねむの木学園が有名ではありますが、その数はわずか九校程度にとどまります。
そうした中、実は今、本県の豊川市において、宗教法人ひのもとという団体が、肢体不自由の子供たちのために特別支援学校、つくし学園といいますが、この設立に向けて取り組んでいらっしゃいます。
私学振興室も、この思いもよらぬ学校設立の計画を聞き及んで、早速、あらゆる整備条件等をお調べいただき、また、学園準備側も広大な敷地を既に取得し、指導を仰いできたわけですが、地元の皆様の建設反対運動に遭って、現在は前にも進めず、後ろにも引けずという状況になっているようであります。
私自身は、やはりオウム真理教事件以降、どうしても地域に聞いたことのない宗教団体が、たとえ学校といえども、何らかの施設をつくるのに、地元から拒否感が生じるのはいたし方ないことなのだと理解いたします。
ただ、私は、彼らの学校開設へかける真剣さ、それも、こんな言い方は不謹慎かもしれませんが、恐らく私学経営でも採算見合わないであろう特別支援学校の必要性を説く姿勢には、少なからず心を打たれたのも事実であります。
そこで、きょうは、このひのもとなる宗教法人の活動内容を御紹介させていただきますので、議場の皆さんにも、どんな思いを抱かれるのかは別として、とにかく一度お聞きいただければと思います。
まず、ひのもととは、言ってみれば、学校開設のための手続段階上の法人格であり、その実体は、福岡県に拠点を置く株式会社アースハートという団体がそのまま母体となっております。そして、この株式会社アースハートですが、一言で言えば、西洋医学とは全く異なる理論によってさまざまな疾患を治癒する施術の実践とその理論のセミナー開催が主な活動となっているようです。
具体的な施術の方法は、患部からおよそ二十センチ離れた距離で包み込むように両手をかざし、十分程度そのままでいるだけ。見ている側にしてみると、いわゆる中国の気功術のようであり、ただそれだけの処置でしかないのですが、彼らは、この治癒力をマインドパワーと呼び、この力を身につけることで無病息災に行き着くものとしています。
本当に信じられない話でありますが、ここでは、私のもとに寄せられた実例のうち三つを申し上げたいと思います。
一人は、二年前、六十五歳で末期がんを宣告されたものの、毎日一時間、この施術を受けて快方に向かった東京在住の男性。この方は、名古屋大学の名誉教授、神奈川大学の教授を歴任されていらっしゃいます。
また、一人は、大分市にお住まいの現職の精神科医の方、患者さんがこの力で考えられないような回復するさまを目の当たりにし、当初は戸惑いと混乱に嘆きつつも、みずから力を備えた今では、現代医療にも、代替医療、統合医療の一環として積極的にこの治療を取り入れることを進言されておられます。
そして、もう一人は、小学校四年生のときに脳腫瘍を患い、大学病院ではさじを投げられ、すがるようにこのアースハートに救いを請い、五年後、奇跡的にすべての腫瘍が消滅した女の子。現在は、家族全員がこの力を信じ、そして、この父親がかつて名古屋市立の中学校の校長先生であったことから、つくし学園開校時には学園長を任される予定でもあるそうです。
ここに、今、例に挙げましたほかにも、全国から二百を超える報告が私のもとへ届けられ、しかも、この場では個人の名前までは申し上げませんでしたが、すべての報告書には、それぞれ奇跡的な体験談とともに、名前、住所、電話番号、顔写真までが記載添付され、場合によっては公にしても全く構わないともお聞きいたしております。
あわせて、この力を肯定し、学園開設を切望される医療従事者、教育関係者の署名が、浜松医大の名誉教授を筆頭に、これも公にしてもよいと添えられ、三百を超える数が寄せられました。
果たして、これだけの思いと覚悟を持った関係者の皆さんから、だからこそ、つくし学園開設をとの願いを前に、それでも常識では信じられないとの一言で済ませてしまうのは、私個人としてはどうしても許されることではありませんでした。
もちろん、彼らにとって前向きな答弁が望みづらいことは承知いたしておりますが、以下三点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
まずは、一般論としてお伺いいたしますが、本県において、日ごろ、宗教法人に対する指導監督はどのようになされているのかお尋ねいたします。
続いて、このような治療、施術の方法、そして、今、御紹介した事象について、健康担当局長、どう思われるか、本当に思うままで結構でございますので、お答えを願えればと存じます。
それから、県警本部長にも、大変恐縮でありますが、お伺いをさせていただきたいと思います。
やはり特にオウム真理教事件以降、こうした案件に対してはだれもが敏感になり、ましてや、目には見えない力を信じ、常識を超えた効能をうたえばなおさらだと思います。実際、このアースハートに対して、つい最近、東京と九州で二件の訴訟が上がったことは彼ら自身からお聞きし、ただ、もしも入会手続等に誤解があったのだとしても、当然それは法律にのっとり、誠意を持って対処するともお伺いをいたしました。
そこで、本県での状況をお伺いいたしますが、きょうまで、この愛知県内において、宗教法人ひのもと、あるいはアースハートに対して被害届けや地域からの苦情、相談など、お示しをいただける範囲内で結構でございますので、事実関係だけでも明らかにしていただければと思います。
以上三点、引くことも進むこともできない現在の彼らにとって、何らかのしるべとなるものをぜひ与えてやっていただきたい、この思いだけでありますので、どうかよろしくお願いをいたします。
86:◯県民生活部長(大野明彦君)
宗教法人に対する指導監督についてお答えいたします。
宗教法人は、宗教法人法の規定により、事務所に規則、役員名簿、財産目録等の書類、帳簿を備えつけておかなければならないものとされており、毎会計年度終了後四カ月以内の所轄庁への提出が義務づけられております。
県では、毎年度提出されるこれらの書類により、各宗教法人がその目的に沿って適正に管理運営されているか、その状況を継続的に把握し、問題のある法人については個別指導を行っております。
また、宗教法人法では、所轄庁の権限として、宗教法人に対し、公益事業以外の事業の停止命令、設立及び合併に関する認証の取り消しや、裁判所に対する解散命令の請求が認められており、そのため、法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為など、その事由に該当すると疑われるときには、業務運営に関する事項について報告等を求めることができることとされております。
宗教法人が適正に管理運営されるよう、今後とも、こうした宗教法人法の規定にのっとり、適切に指導監督してまいります。
87:◯健康福祉部健康担当局長(加藤欽一君)
近代西洋医学以外の漢方医療ですとか、鍼灸等の伝統医学、温泉療法、音楽療法等を西洋医学と組み合わせることによって治療の効率を上げる統合医療の検討が平成二十二年二月から厚生労働省において始められているところであります。
その検討内容は、統合医療には多種多様なものがあり、科学的根拠が乏しいものが含まれているとの指摘があることから、まずは実態を把握し、科学的根拠に基づいて技術評価をした上で、新たな知見の創出のための研究を推し進めつつ、国民に情報発信をしていくとするものであります。
私としては、この国の検討状況をまずは注視してまいりたいと考えております。
医療には、ただいま申し上げました統合医療のように、西洋医学に基礎を置かないさまざまな形態のものがあることは承知しておりますけれども、議員お示しのマインドパワーにつきましては、私自身、実態を承知しておりませんし、これに関する科学的根拠等に基づいた技術評価の情報がないので、このマインドパワーによる治療、施術の方法が、こうした統合医療の一翼を占めるかどうかも含めまして、評価は差し控えさせていただきたいと思います。
以上でございます。
88:◯警察本部長(河邉有二君)
宗教法人ひのもと、あるいはアースハートに関する被害届け、苦情、相談の受理状況についてのお尋ねでございますが、個々具体的な案件に関するものでございますので、説明を差し控えさせていただきたいと思います。
以上でございます。
89:◯議長(岩村進次君)
進行いたします。
伊藤辰夫議員。
90:◯五十七番(伊藤辰夫君)
私からは、歳出第五款環境費第一項環境対策費、あいち森と緑づくり環境活動・学習推進事業費についてお尋ねいたします。
我が党の近藤ひろひと議員が一般質問において、あいち森と緑づくり税を活用した取り組み全般に関する質問をいたしましたので、私からは、その取り組みの一つでありますあいち森と緑づくり環境活動・学習推進事業に絞ってお尋ねします。
本県では、平成二十一年度に導入したあいち森と緑づくり税を財源として、災害の防止や水源の涵養といった森や緑の持つさまざまな働きを今後とも十分に発揮させるため、森林や里山林の整備、都市緑化などの施策に取り組まれております。そして、その一環として本事業が推進されています。
この事業は、県民の皆様に森と緑の大切さへの理解を深めていただくとともに、森と緑づくりの積極的な参加を促すことを目的としており、NPOやボランティア団体などが実施する植樹や間伐、下草刈りなどによる里地、里山の整備や、貴重な野生動植物の保護やその生息地の整備といった保全活動、あるいは水源の緑を訪ねるエコツアーや森林での作業体験といった環境学習など、多岐にわたるメニューに対し、県が上限百万円を補助することにより支援するものです。
その活動内容は、山間部での蛍の復活を目指して渓流の森を整備する保全活動から、都市部での小中学生が窓辺でアサガオやゴーヤなどを緑のカーテンに仕立て、日陰をつくることでエアコンの使用を減らす活動まで幅広く活用されており、大変使いやすい補助金として県民の方に喜ばれている事業であります。
こうした活動は、参加していただく多くの県民の方に森と緑の大切さに気づいていただくだけではなく、一昨年秋に開催されたCOP10のテーマであります生物多様性の保全の必要性を知っていただく絶好の機会ともなります。
COP10開催時には、この事業を活用した活動が県内の至るところで関連事業として行われ、開催機運の盛り上げにも大きく貢献したと聞いております。
また、森や緑がたくさんの二酸化炭素を吸収していることを学ぶことにより、地球温暖化についての関心を深めることにもなります。
さらに、県民の方々がこうした環境活動や環境学習に参加していただくことを通して環境への意識を高め、環境保全の実践活動や、環境に配慮したライフスタイルへの転換といった具体の行動につながれば、これこそまさに二〇一四年に本県で開催される国連ユネスコの世界会議のテーマである持続可能な開発のための教育、いわゆるESDの目指すところとなり、次世代の環境首都愛知を担う人づくりにつながります。
このように、私は、本事業が大変有意義かつ重要なものであると考えております。
また、この事業は、名古屋市内の活動についても支援していただけるということです。具体的には、山崎川や庄内川などの地域の河川をステージに、河川敷に咲く花々や水辺の生き物の調査や観察会といった身近な自然を直接その目で見て肌で感じる活動や、動物や植物のすみかとなっている森や野原の危機を扱った絵本を幼児に読み聞かせ、森や緑の大切さを伝えるといった活動が行われており、大変多くの市民の方が参加していらっしゃいます。
私は、十分な森や緑が身の回りになく、自然との触れ合いの機会が乏しくなっている都市部だからこそ、なおさらそこに住む県民の方々は、緑や自然に対するあこがれにも似た思いがあり、そうした思いがこの事業に多くの方々が参加される動機にもなっているのではないかと感じており、多くの県民の方々のこうした気持ちにこたえていくことが大切であると考えております。
そこでお伺いします。
これまでの三年間の成果について、環境部としてどのようにとらえているのかお尋ねします。また、来年度の事業において、特に力を入れていく点があれば、あわせてお聞かせください。
91:◯環境部長(西川洋二君)
まず、環境活動・学習推進事業の成果についてでございます。
この事業の助成を受けた活動団体は、初年度の平成二十一年度には四十五、翌二十二年度には八十三、そして、今年度は九十二と着実にふえてまいりました。その結果、今年度までの三年間に二百二十の団体、延べ十万人を超える参加者を得、多くの県民の皆様に対する啓発、活動への参加促進という点で大変大きな成果があったものと認識いたしております。
また、参加団体による成果報告会を毎年開催しているところでございまして、そこで活動状況の報告でありますとか、意見交換などを行っております。そうした活動を通じまして各団体間の連携が生まれ、活動の拡大へと進展した例も幾つか見られ、こうした点も成果の大きな一つというふうに考えております。
次に、来年度、力を入れていく点ということでございます。
引き続き、より多くの県民の方にこの助成事業を利用していただけるよう、その周知、PRに力を入れてまいりますけれども、支援する活動内容の点で、主に山間部や陸域での活動が中心となっておるのが現状でございますので、来年度はこの点を改善すべく、森と海とのつながりに注目いたしまして、海域も含めて県内全域で森と緑を守っていく機運を醸成していきたいと考えておるところでございます。
具体的には、来年度、予算額を増額いたしまして、三河湾環境再生プロジェクトの一環として、沿岸地域における森と海との関係を学ぶNPOやボランティア団体の活動に対し、支援してまいりたいと考えておるところでございます。
以上でございます。
92:◯五十七番(伊藤辰夫君)
ただいま環境部長から、三年間の事業の成果として、各団体間の連携が進んだ結果、活動に広がりが見られることや、来年度には、新たに森と海とのつながりに注目して、海域での活動にも力を入れていくとの前向きな答弁をいただき、ありがとうございました。
私自身も、この事業は大変いい事業であると思いますし、二〇一四年に開催される国連ESDの十年最終年会合に向けて、一層充実が図られるべき事業であると考えます。
現状では、応募される団体が多く、残念ながら選ばれないケースもあるとお聞きしますが、こうした活動を行う方々の気持ちには優劣はないことから、できるだけ多くの団体がこの制度による支援を受けられるようにしていくことが必要であると思います。こうした点についても改善を要望いたしまして、私の質問を終わります。
93:◯議長(岩村進次君)
進行いたします。
峰野修議員。
94:◯六十一番(峰野修君)
歳出第三款地域振興費第一項地域振興総務費のうち、山村振興施策についてお伺いいたします。
ただいま伊藤議員からも、森と緑の大切さを訴えていただきました。私は、山村振興についてお伺いをさせていただきます。
大都市の発展を目指す中京都構想は、現在、活発に議論されていますが、そのバックグラウンドとなる木曽三川、矢作川、豊川の上流にある森林地帯の存在なくしては成り立ちません。そのことは、メソポタミア文明など古代四大文明を初め、幾多の盛衰を繰り返してきた人類の都市文明の歴史を振り返れば一目瞭然であります。
森を粗末に扱った文明は、間違いなく衰えていきます。大都市へ人、物、金を集めると言われますが、これ以上、山間地域から持ち出さないでいただきたいと思います。まさに都市と山間地域は表裏一体をなし、コインの表と裏とも言えると思います。山間地域の活性化なくして都市の発展はあり得ないと思っております。
県土の面積の三分の一を占める三河山間地域は、戦後多くの人材を周辺の都市に送り出し、また、三百六十五日毎日休むことなく飲み水を備蓄、供給し、CO2を吸収、固定化し、空気を製造し、自然環境の保全、三河湾の浄化等の機能を果たし、都市地域を含めた県民全体の命を支える極めて重要な役割を担い続けています。
しかし、最近は、人口が百人未満で高齢化率が五〇%以上という、いわゆる小規模高齢化集落が目立つようになり、その約三割に当たる地域においては、高齢者のひとり暮らしも多く、コミュニティー活動ができなくなり、行政からの連絡も届きにくくなるなど、集落機能が著しく低下しています。
また、生徒数の減少により学校の統廃合が進み、その上、さらなる少人数化で複式学級がふえ、教育環境が厳しくなっております。そして、そこに住まれる方々が減少すればするほどこの傾向に拍車がかかり、その結果、さらに山村の持つ重要な機能が損なわれていく深刻な状況になっております。
こうした状況に歯どめをかけ、三河山間地域に人、物、金を還流させる、この戻すことが大切だと思っております。豊かな自然を守る、このことで都市の方との共生、お互いの共存共栄が図っていけるのではないかというふうに考えております。
県は、山村振興ビジョンの具体化として、平成二十年度に関係市町村などとともに愛知県交流居住センターを設置し、都市と山村の積極的な交流に努められており、その結果として、平成二十二年度には十七世帯二十六人の方が三河山間地域へ移住されるなどの成果も見られるようになってきております。大自然に囲まれて暮らすことのすばらしさ、大切さをもっと多くの方に御理解、体験していただき、戦時中の疎開のような人の流れを再びつくり出したいものだと思っております。
こうした中で、平成二十四年度には、二十四回目の全国過疎問題シンポジウムが本県で初めて開催されるとのことであります。全国から同じ悩みを持つ人々が集まる機会を活用し、山間地域の活性化に結びつく提案、企画が生まれることを心から期待するものであります。
そこで、二点についてお尋ねいたします。
まず、全国過疎問題シンポジウムを本県で開催する意義をどのように考えておられるのか。また、このシンポジウム開催の機会を活用して、今後の三河山間地域の活性化をどのように役立て、引き継いでいかれるのか、以上、お伺いいたします。
95:◯地域振興部長(山田周司君)
全国過疎問題シンポジウムについてお答えをいたします。
まず、本年十月に開催するシンポジウムの意義についてでございます。
このシンポジウムは、昭和六十三年度から過疎地域を抱える都道府県で毎年一回実施されておりますが、本県で開催されるのは初めてであります。
このシンポジウムにおいて、全国から参加される過疎関係自治体やまちづくり団体などの多くの方々と、過疎地域が抱える課題や振興施策の新たな視点などについて幅広く議論を深めることは大変意義のあることだと考えております。
また、参加者には、本県の過疎地域であります豊田市、新城市、設楽町、東栄町及び豊根村を訪れていただきますので、本県や関係市町村における過疎地域の振興に向けた取り組みや、花まつりを初めとする伝統芸能などの三河山間地域の魅力を全国にアピールできますことも大いに意義のあるものと考えております。
次に、今回のシンポジウム開催を今後の三河山間地域の活性化にどのように役立てるかについてでございます。
シンポジウムで議論するテーマにつきましては、今後、総務省、県内市町村などと相談の上で決定していくことになります。県といたしましては、議員御指摘のありました交流、定住施策など、本県の過疎地域が抱える活性化に向けた課題を選定し、全国から参加の皆様との間で議論を深めてまいりたいと考えております。
また、過疎市町村四カ所で開催されます分科会においては、地元地域の皆様にパネルディスカッションなどの議論に加わっていただき、地域の抱える課題の解決につなげていただくことで、三河山間地域の活性化に役立ててまいりたいと考えております。
以上でございます。
96:◯議長(岩村進次君)
進行いたします。
森下利久議員。
97:◯六十二番(森下利久君)
歳出第四款県民生活費第五項防災費のうち、消防団活動についてお伺いをいたします。
東海・東南海・南海の三連動地震の発生が懸念をされております。昨年十二月、三連動の地震について検討するため、国の中央防災会議が設けられました。南海トラフの巨大地震モデル検討会は、想定される震源域を従来の約二倍に拡大をし、マグニチュード八・七から、暫定的ではありますが、九・〇に高める中間取りまとめを公表いたしたところであります。
これにより愛知県では、名古屋港付近から知多半島と三河湾のほぼ全域を含む広範囲が震源域に含まれることになりました。加えて、新たに設定された津波の波源域により、東日本大震災のような巨大な津波が発生することが想定をされております。
また、今回の国の公表と前後して、この地域の大学や自治体、国の機関は、三連動地震が発生した場合の津波について、高さや浸水範囲などの予測結果を公表いたしておりますが、いずれも従来の想定を大きく上回るもので、地震による地盤沈下に加え、老朽化した防潮堤や高さの余りない防波堤が、地震、津波、さらには液状化の影響を受けることを考えると、海抜の低い地域では津波により甚大な被害が出るおそれがあると思われます。
私どもの地域は、海抜二メートルから三メートルのところに海岸付近まで民家が密集をいたしており、東日本大震災の状況や、こうした津波の予測結果を見て、この地域にお住まいの皆さんは大きな不安を持っておられます。一日も早くこの地域の皆様の生活と命を守るためのハード、ソフトの両面から総合的な津波対策を進めていただくことが強く求められております。
私は、昨年の六月の議会で、ハード面の対策として海岸線の防災対策について質問をいたしましたが、海岸堤防の補強対策については、ぜひとも早期の完成に努めていただくとともに、裏山に逃げる山道の整備などについても早急に取り組んでいただきたいと思います。
一方、ソフト面の対策としては、既に同報無線の整備事業や、津波ハザードマップ作成に係る補助率のかさ上げをしていただいておりますが、命を守る上で何よりも重要なのは、津波から逃げることであります。
折しも、昨年十月二十九日には、師崎港にて大村知事の計らいにて、愛知県初の津波防災訓練を、防災局指導のもとに、自衛隊、警察、関係団体の皆さんの協力のもと、町民参加のもと、大規模に実施をしていただきありがとうございました。これを契機に、津波に対する町民の皆さんの意識の向上や、自主防災組織の設立、施設の整備が図られたところであります。
自分たちの地域は自分たちで守る、自分たちの命は自分たちで守るという意思を持ち、地震が起き、津波が発生したときには裏山の高台に逃げるという住民の意識が格段と高まりました。
また、消防団員によっては、防災扉の操作、広報車による災害広報、避難誘導など津波災害を想定した訓練により、切迫した状況下のもとで具体的な災害活動を実施し、大変貴重な経験となりました。
このたびの大震災では、残念ながら、津波を含め二百五十四名の多くの消防団の命が奪われております。海岸地域で活動する消防団員は、決して人ごとではありません。
今回の災害現場で見られるように、消防団員は、一たん出動要請を受ければ、危険を顧みず、まさに命をかけた奉仕団体で、地域の安全・安心確保のかなめであります。
三連動、四連動の地震による津波の際には、消防団員は、直ちに水門、防潮壁の閉鎖や、町民の皆さんの生命、財産を守るために避難誘導などを実施し、常に命をかけた任務を遂行しなければなりません。
国が実施した消防団員の退避基準のアンケート調査によれば、宮城県気仙沼市には、十分前撤退完了ルールが定められており、少なくとも津波到達十分前には任務を取りやめ、避難をしなければなりません。そのためには、このたびの大震災で明らかになったように、消防署と消防団、また、消防団員相互の情報の伝達や共有が極めて重要であります。
そこでお伺いをいたします。
津波の最前線で活動する消防団員の安全を確保するためには、無線、携帯電話などの通信の装備が重要だと思いますが、そうした情報通信体制についてどのようにお考えかお伺いをいたします。
各市町村の消防団員活動は、火災出動だけではなく、病人の搬送、お祭りの警備、夏場の海水浴の警備など、まさに地域密着型奉仕団体であります。
しかしながら、近年は、消防団員に入団する若者が少なく、消防団員確保もなかなか難しく、団運営にも影響がありそうな分団もあると聞いております。
消防団員確保ができない理由もいろいろありますが、その要因の一つに、職場が遠くなったとか、また、土日に消防活動をすると休みがなくなり、自由行動ができないとかいろいろな理由はありますが、伝統ある消防団活動、自分たちのまちは自分たちで守るという郷土愛の奉仕の精神の欠如のあらわれでしょうか。非常に残念であります。
消防団員の減少は、地域の安全・安心確保の観点からも重要であり、一人でも多くの消防団員活動に協力をお願いしたいと期待いたしております。
そこで質問をいたします。
このたびの大震災の教訓から、消防団員の存在意義が増し、消防団の役割がますます重要となっておりますが、消防団の確保対策について、県としてこれまでどのように取り組み、今後どのように進めていくお考えなのかお伺いをいたします。
98:◯防災局長(中野秀秋君)
消防団活動についてお尋ねをいただきました。
まず、消防団員の安全を確保するための情報通信体制についてのお尋ねでございます。
地震発生に伴う津波来襲時において、安全で円滑な消防団活動を確保するためには、気象庁から発表される津波警報や、津波到達の予想時刻などの情報、また、それに基づく指示、命令などの情報を活動中の消防団員に確実に伝達することが大変重要であると考えております。
しかしながら、今回の東日本大震災では、消防団員のトランシーバーなどの装備が不十分であったことや、携帯電話の使用制限により消防団員との連絡がうまくとれず、発災後の情報が伝達できなかったという消防団活動における情報通信体制の課題が浮き彫りになる結果となりました。
県では、これまで緊急市町村地震防災対策事業費補助金におきまして、消防団員の活動に必要なトランシーバーなどの携帯用無線機の整備について助成を行っております。
国におきましても、今年度、第三次補正予算で同様の助成が臨時的に行われております。
現在、国におきましては、活動中の消防団員の安全を確保するための検討会におきまして、情報伝達体制の整備の必要性について検討が行われておりまして、来年度、県が実施いたします大規模災害時の消防団活動の指針づくりに国の検討結果を反映してまいりたいと考えております。
次に、消防団員の確保対策についてのお尋ねであります。
消防団は、地域の自主防災のかなめとして地域に密着し、特に大規模災害時には機動力や統率力を発揮し、地域の安全と安心を支える大きな役割を果たすことが期待されております。
しかしながら、その一方で、全国的に消防団員数は減少しつつあり、本県では下げどまりの傾向にはあるものの、団員の確保が課題となっております。
こうした状況を踏まえ、県といたしましては、市町村と連携、協力し、団員の確保に向けた取り組みに努めております。
具体的には、まず、将来の担い手としての若年層に対しまして、消防団活動への理解を高めるため、県内の大学の学園祭などで、地元の消防団と連携して消火活動やAEDの講習会などのPR活動を実施するとともに、県内の大学や専門学校等に対して、毎年、パンフレット等による普及啓発活動を実施してまいりました。
また、消防団員の多くの方々がサラリーマンであることから、活動への理解を促進するため、事業所に県職員などが訪問し、協力の要請を行うとともに、団員の確保に努力していただいた企業等に対して、消防団関係優良事業所として表彰を行うなどの取り組みを行っております。
さらに、今月中には、県内の消防団の活動を広く県民の皆様にアピールするため、その活動を県のホームページに掲載し、消防団に対する情報を県民の方々に広く発信してまいります。
なお、来年度、大規模災害時の消防団活動のあり方検討会でも、災害時のみの活動等、特定の役割を担う機能別消防団員の確保について検討を行ってまいります。
今後とも、こうした取り組みを通じ、引き続き消防団員の確保に努めてまいります。
以上であります。
99:◯六十二番(森下利久君)
防災局長から御答弁をいただきました。消防団に対する考え方、前向きに持ってしっかりとやっていただきたい、こんなふうに思っていますが、私から一点要望させていただきます。
私も、長い間、消防団活動を行ってまいりました。今、まさにきょう起きるかもしれません三連動、四連動の地震や津波、そうしたとき、地域の皆さんの生命や財産を守る、そして、皆様を安全に誘導するには地元の消防団員が絶対に必要であります。消防署や警察だけでは郷土は守れません。消防団員の人材確保のためには、これまで以上に消防団員の処遇の改善を図っていく必要があると思っております。
自由民主党愛知県議員団消防・地震防災議員連盟の総会においても従来から要望を行ってまいりましたが、消防団員の退職報償金の算定に当たっては、勤続年数区分五年以上を三年以上の勤続とするとともに、五年以上の勤務者については一年ごとの受給資格とするよう、勤務年数に応じたきめ細かい報償制度を確立するとともに、退職報償金の引き上げについても、国及び消防団員等公務災害補償等共済基金に強力に働きかけるよう、私からもお願いをいたします。
地元の安全・安心の確保には、消防署や警察だけでは災害時には地域の安全を守ることはできません。そのことをよく御理解をいただき、私の要望といたします。
100:◯議長(岩村進次君)
進行いたします。
鈴木正議員。
101:◯七十五番(鈴木正君)
それでは、通告に従いまして、歳出第五款環境費第二項自然環境費におけるツキノワグマ被害防止対策費、これは新規に計上されておりますが、これに関しましてお伺いをいたします。
三河山間地域につきましては、中央アルプスに連なる赤石山系に属しております。最近、イノシシやシカ、猿など、ここ五、六年前からこの議会でも再三皆様方から御意見があるわけでございますが、環境部と、そして、農林水産部が真剣に取り組んでいただける様子がうかがえます。
ところで、私の住む幸田町も、この被害におきましては例外ではございません。幸田町は、どちらかというと、里山、あるいは平野部だと思っておりましたが、国道一号線、そして、東名高速道路を越えて山伝いに動物が移動してきておりまして、猿はもちろん、シカ、あるいはイノシシ、こういったものが農作物の被害を大きくし、これについては大変驚いておるところでございます。
そうした中で、愛知県では、昨年度に三河山間地域を中心にツキノワグマが大量に出没したとのことでありますが、愛知県内にクマがたくさんいるというのは、これまで余り聞いたことがありませんでした。
クマの出没は、えさとなるドングリの実のなりぐあいに大きく左右されるとのことであり、三年に一回程度不作の年があると聞いております。このため、今後もドングリの不作の年には、再びクマの大量出没の可能性があるのではないかと思います。
幸いにも、今年度は本県におけるクマの出没は少ないと聞いておりますが、大量出没する年に備えて、今のうちからしっかりと対策をとっていくことこそ必要ではないかと考えております。
そこで、二点お伺いをいたします。
まず、一点目でありますが、愛知県では、これまでどのぐらいのクマの出没があり、それに対し、これまでどのような対策をとってこられたのかお尋をいたします。
それから、二点目でありますが、来年度、具体的にどのような対策をとっていかれるのか、その内容についてもお尋ねしたいと思います。よろしくお願いいたします。
102:◯環境部長(西川洋二君)
まず、ツキノワグマの本県での出没状況とこれまでの対策についてでございます。
クマの出没状況は、今年度九件でございますけれども、十件前後の年が大変多い状況でございまして、その中でも、三年から四年ごとに出没増が見られ、平成十八年度には三十七件、また、二十二年度は、かつて例のない七十件の大量出没がございました。
そこで、平成二十二年度の大量出没のような場合に備えるために、昨年九月でございますけれども、猟友会など地元の専門家、岐阜県、長野県で実際にクマ対策にかかわっておられる大学関係者をメンバーとする愛知県ツキノワグマ専門家会議を設置し、県や市町村の対応を定めた暫定的なマニュアルを作成いたしたところでございます。
また、十月には、関係市町村や県関係機関で構成いたします対策協議会を尾張西三河地区と新城設楽地区で設置いたしまして、関係者が連携して適切かつ迅速な対応ができるような体制を整えたところでございます。
次に、来年度の対策の内容についてでございます。大きく三点ございます。
一つは、ツキノワグマ専門家会議において、これまでの暫定的なマニュアルをさらに掘り下げまして、県、市町村の出没時の対応などの点で、よりきめ細かで充実した新たなガイドラインの作成を行います。
二つ目は、隣県と協力して、ドングリが豊作か凶作かの調査を実施いたしまして、その調査結果を踏まえて、クマが出没する秋ごろまでに出没予想を公表する仕組みを整えてまいります。
そして、最後でございますけれども、住民の方々に対するクマに関する知識の普及啓発でございまして、クマは、実際は臆病で、出会い頭とか子連れのときなど、限られた場合を除けば、人に危害を加えることはないと言われておりますので、こうしたクマに関する知識について、住民説明会などで普及してまいります。
以上でございます。
103:◯七十五番(鈴木正君)
ありがとうございました。
今の部長の答弁によりますと、来年度は、出没時のマニュアル等をつくって、真剣に取り組んでいくという様子がうかがえました。
そうした中でも、数の上においても驚くほどの数値も、今、答弁の中にあったわけでございますが、平成二十二年度が大量の出没であったわけでありまして、ことしはドングリの生育と申しますか、ドングリがまあまあ量があるというようなことではございますが、二、三年後は出没することもまた予想されるわけであります。それに備えて、取り組みは必要だが、私は、あくまでもこれは対症療法でしかないというようにも思っております。
以前は里山があり、広葉樹の中で暮らしてきたのが、ドングリなどの食べ物がなくなったことにより出没するようになったと思われてもおります。これは、地域づくりにも大きくかかわる課題であり、地域の住民の安全のためにも、こういった取り組みを長期に進めていただくことを要望いたしまして、御質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
104:◯議長(岩村進次君)
進行いたします。
筒井タカヤ議員。
105:◯百三番(筒井タカヤ君)
歳出第三款地域振興費第一項地域振興総務費のうち、東三河県庁について質問します。
先日、私の事務所に、豊田市足助町に住む日本大学の同窓の大先輩から電話が入りました。
愛知県は、東三河に県庁をつくるようだが、自分たちが住む西三河地域のことが何ひとつ話が出ていない。そこで、ぜひあなたも県会議員として長くやっておられたのだから、西三河にもきちんとした県庁をつくってほしいとの陳情でありました。
私は、同窓の大先輩に対し、東三河県庁なるものについての説明に大変苦慮いたしました。大村秀章氏が知事選挙対策の戦略の一環として、県民の多くがわざと誤解するような絶妙な名称、ネーミングをつけて、選挙を有利に導いたのだと改めてその力量に感心した次第であります。
先日も、豊橋市選出の議員からも、東三河県庁がつくられるのであれば、当然この地域の拠点である豊橋市に東三河県庁をつくってくれるんだろうとの素朴な問い合わせがあったと、この一般質問で、この議場でお話をされました。
大村知事が言う東三河県庁をつくる中身は、本当は東三河地方に関する行政を体系的に再編成するだけのもので、正しく表現するならば、県庁の組織の中の東三河県民事務所と新城設楽山村振興事務所を一元化したのが東三河総局だけのものをあえて東三河県庁と言っているのです。あえて簡明に東三河総局と言えばいいのに。大村秀章選挙のために、だれもがあえて誤解し、期待と夢を抱かせるような東三河県庁というネーミングをつけたところがみそだと思うんです。
県議会の総務委員会でも、東三河県庁なる名称、ネーミングについて議論がされたと聞き及んでおります。文書を見ても、東三河県庁の名称には必ずかぎ括弧がついています。実に括弧づけされた東三河県庁。この東三河県庁は、実在するようで実際は実在しない。すなわち、幽霊だと仲間の議員が語ってくれました。幽霊なら足が地に着くわけがありません。
三月四日日曜日、愛知県全域に、中日、朝日、毎日、読売等の各新聞社に、広報あいちの広報がでっかく全紙二ページにわたって、貴重な税金を投入した大宣伝が行われました。「四月一日スタート、東三河県庁、みんなであすの東三河をつくります」、こういったタイトルでした。虹の上に東三河県と書いてありました。
しっかり記事を読めば、どこにも東三河県庁なるものが完成し、竣工したわけではありません。要するに、効率よく運営するために、従来からある県庁組織を再編成しただけのことです。殊さら東三河県庁とネーミングをつけたところが、まさに誇大広告を意図する大村知事ではなかろうかと考えた次第であります。
これだけ実在しない東三河県庁を大ぶろしきで巨額な税金を投入して宣伝する手法は、もうこれくらいにしていただきたいと思います。幽霊も虹もすぐ消え去るイメージが重なります。東三河県庁を殊さら税金を使って繰り返し繰り返し宣伝なさることにくぎを刺しておきます。
今回の大々的な広報あいちによって、西三河にも県庁をとか、さらにまた尾張名古屋では、尾張名古屋共和国の独立の機運が県民の中で高まってきたと推測します。ここまで来たら、早急に西三河県庁をつくること、尾張名古屋共和国の独立をお認めになるべきではないかと大村知事に率直にお尋ねします。
もしこれをお認めにならないとするなら、その理由もあえて答えてください。
次に、歳出第三款地域振興費についてのうち、第一項、友好提携交流事業費についてお尋ねします。
愛知県は、オーストラリアのビクトリア州と中国の江蘇省と姉妹提携を結んでいます。平成二十四年度にも、姉妹都市提携としての予算が組まれています。中国の江蘇省には、姉妹都市関係もあって、愛知県内の企業も数多く進出し、活躍されています。そして、数多くの人々も江蘇省で現地の中国の人々と一緒になって仕事に従事しておられます。
最近、中国江蘇省南京市が姉妹都市名古屋市に友好訪問に来られ、名古屋市役所において懇談の折、河村たかし名古屋市長から、さきの大戦における中国南京市における不幸な事件に際し、あの事件の真相についての疑問を突然みずからの主張を独演され、その反響は今や各方面に多大なる影響が出ています。あたかも日本と中国友好関係を結んで四十周年になる記念式典が、南京市において、日中友好親善の交流事業が中止となっています。こと名古屋市と南京市の友好関係だけにとどまらず、中国全土でも反日運動の機運が拡大、危険性も含まれております。
河村市長も、時と場所をわきまえずに、わざわざ友好訪問に来られた南京市代表団に対し、非礼な方法でお話をされたかについては、私は、その真意を理解できません。
しかし、南京市は江蘇省の中心都市でもあります。河村名古屋市長による事態の収拾は、今の状況では不可能であるだけに、ここは、盟友関係のあります河村さんの不始末だけに、大村知事が即江蘇省に出向かれて、これ以上に中国側の反日感情が拡大しないように、ひざを突き合わせて話し合いに出向いてくださることを求めます。大村知事の答弁を求めます。
さらに、江蘇省に進出する愛知県企業の責任者と江蘇省の責任者による会合をもあわせて実現されたい。私ども愛知県内に住まわれる進出企業の御家族の安心・安全を期するためにも、早急に大村知事の江蘇省へのお出かけを期待します。大村知事の答弁を求めます。こうした素早い行動こそが海外進出する企業の愛知県民をしっかり守る愛知県の信頼とつながるものと信じます。
さらに、万が一にも愛知県と江蘇省との友好関係を築く中で、名古屋市に愛知県庁があるからと江蘇省側がちゅうちょしておれば、御安心ください。このたび、愛知県は名古屋市外に東三河県庁をつくりましたので、そこでお出迎え、対応しますと回答なさるが一番だろうと思います。
以上です。
106:◯総務部長(野村道朗君)
東三河県庁につきましてお尋ねをいただきました。
まず、東三河県庁は、組織を再編成しただけで実体がないのではないかという趣旨の御質問がございました。
東三河県庁でございますが、東三河総局を核といたしまして、担当副知事のもとに、東三河地域の県の機関が一体となって東三河振興に取り組むネットワーク型の推進体制を指すものでございます。
このネットワークを十分に機能させて、具体的な実を上げていくことが肝心でございますので、東三河総局には、政策立案と総合調整の機能を持つ企画調整部を新たに設置することとし、この企画調整部を司令塔に、東三河の県の機関の総合力を結集して東三河の振興を図ってまいりたいと考えております。
また、市町村や民間組織を巻き込んで地域一丸となって東三河の振興に取り組むため、常設の協議機関として、新たに東三河ビジョン協議会を設置することといたしております。
こうした新しい仕組みで、東三河のさまざまな地域振興施策を積極的に展開してまいりたいと考えております。
また、今後、西三河等にも県庁をというような趣旨の御質問もございました。
本県では、これまでも県内のバランスある発展を目指しまして、各地域の特色を踏まえた地域づくりに取り組んでまいったところでございます。このうち、東三河は、地域資源などの面で開発の潜在力が極めて高い地域でございまして、三河港の活用や三遠南信地域連携などにより、今後さらに飛躍的な発展の可能性を秘めた地域であると考えております。
こうした東三河地域の底上げを図り、愛知県全体の一層の発展につなげていくことが重要でございますので、全国に例のないモデル的な取り組みとして東三河県庁をスタートさせることといたしました。
西三河や尾張地域の発展ももとより大切でございまして、東三河県庁における成果も踏まえながら、それぞれの地域特性を生かした地域づくりの進め方を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
107:◯地域振興部長(山田周司君)
河村名古屋市長の南京事件発言による江蘇省への本県進出企業への影響についてでありますが、南京市にあります本県のサポートデスクからの報告によりますと、現在のところ、南京市内の状況はふだんと変わりなく、本県進出企業の事業活動に大きな影響は見られないとのことでございます。
なお、江蘇省政府は、本県に対し、個別の政治家の言論が江蘇省と愛知県の友好関係を損なうことはない。江蘇省の各界と愛知県、名古屋市の民間との正常な交流を阻止することはないと言明しております。
本県といたしましては、河村名古屋市長の発言の影響等について、今後の動向を注視してまいりたいと考えております。
以上です。
108:◯百三番(筒井タカヤ君)
今、回答をいただきました。
大村知事におかれては、きのうのTVタックルのあの元気さがどこにもなく、ここでずっと休憩されているだけのような状態であります。私は、あなたにあえて御自身の考えを聞いておるのでありまして、後ろの部長等の回答もそうですが、あなた自身の回答はないのか、考えはないのかということをもう一度お聞きしたいと思います。
議長におかれては、議会のいわゆる進行を図る上において、こうした黙っておれば済むというような知事の態度に対して、発言への促す一つの指導をしていただきたい。
以上であります。
109:◯副知事(永田清君)
東三河県庁につきまして、筒井議員からいろいろお尋ねをいただいたところでございます。私から答えさせていただきたいと思います。
私は、知事の東三河マニフェストの実現のため、昨年四月から東三河、豊橋に居を移しまして、現場主義、これを第一に、地域に密着してさまざまな課題の把握に努め、そして、地元の生の声を精力的にお聞きするとともに、積極的な意見交換をしてきたところでございます。
また、知事さんにも東三河に何度も足を運んでいただきまして、知事からは、地元の熱い期待をしっかりと受けとめて取り組むようにとの指示を受けているところでございます。地元の市町村長さん、そしてまた、経済界の皆様、農業関係の皆様、地元の皆さんとは、東三河県庁のコンセプトづくりの段階から幾度も協議を重ね、時には正直厳しい御意見もいただきました。そしてまた、時には熱い激励もいただいたところでございまして、この一年、こうした地域の思いにしっかりとこたえられる東三河県庁づくりに努めてまいりました。
いよいよこの四月から東三河県庁がスタートをいたします。私は、この全国にも例のない新しい組織をフルに活用しまして、地域の皆さんと一緒に東三河の未来を切り開いてまいりたいというふうに考えておりますので、御理解、御支援を引き続きよろしくお願いいたします。
110:◯知事(大村秀章君)
ただいま永田副知事から東三河の振興にかける熱い思いをお聞きいただきました。全く同じでありまして、東三河の振興に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
111:◯議長(岩村進次君)
この際、お諮りいたします。会議中時間経過のおそれがありますので、時間を延長することに決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
112:◯議長(岩村進次君)
御異議なしと認めます。よって、時間は延長することに決定いたしました。
進行いたします。
小島丈幸議員。
113:◯六十九番(小島丈幸君)
私からは、歳出第四款県民生活費第五項防災費から質問をさせていただきます。
東日本大震災が発生してから一年が過ぎようとしております。この大震災では、死者の約九割が津波による犠牲者であり、そのため、県民の関心は津波対策に焦点が当たっております。
一方、この愛知県に最も甚大な被害を及ぼすと言われている東海・東南海・南海地震を起こす南海トラフ巨大地震について、昨年十二月二十七日に、国の中央防災会議の南海トラフの巨大地震モデル検討会が中間取りまとめを公表いたしました。この中で、想定地震の規模が東日本大震災と同じマグニチュード九・〇となり、地震のエネルギーは国の想定の約三倍となりました。
加えて、南海トラフの地震は、震源域が海域にあった東日本大震災と異なり、震源域が愛知県を含む陸地の下に及んでいることを忘れてはなりません。つまり、大津波はもちろんのこと、同時に強い揺れが本県を襲うということであります。
先日、名古屋大学減災連携研究センター長の福和教授のお話をお聞きいたしました。津波対策に加えて、揺れに対する対策の重要性について改めて考えさせられました。強い揺れに対して、自分の生活拠点である家を守ることが最も重要になります。
そのためには、まず、地盤のよい揺れにくいところに住むことが理想であります。昔、海や川の底だったところは要注意であります。古い地図や写真を参考にすると、その場所がどんなところだったかがわかります。地名からも昔の地盤をうかがい知ることができ、津、江、川、谷、沢、窪、橋などの漢字が使われているところは、地盤が比較的弱い可能性があります。それでも、住みなれた郷土から新しい土地に住みかえるのは容易なことではありません。
次に、壊れにくい家に住むことが大切であります。構造用合板や筋交いを入れるだけでも家の耐震性能はかなり強化ができます。しかし、家の耐震化には、自治体からの補助はあるものの、数百万円のお金がかかります。耐震工事は、自分の家族の安全を考えても慎重な決断が必要となります。
このように、住みかえや耐震工事などの対策は費用もかかり、簡単にはできないかもしれません。そこで、最も安価ですぐにでも実行できるのが家具の固定であります。地震で強い横揺れが起きると、重くて倒れそうにないと思っているたんすや冷蔵庫などが倒れるだけでなく、テレビや電子レンジなどは飛んできます。正しい固定方法で壁にしっかり家具を固定する必要があります。
家具の固定は、L字型の金具やベルトチェーンで壁に固定するもので、住みかえや自宅の耐震改修工事と比較しても非常に安価で、今すぐ簡単にできます。
皆さんの記憶からは少し薄れてしまった感があるかもしれませんが、平成七年の阪神・淡路大震災では、約六千人の死者のうち、その約九割近くが家の倒壊や家具の転倒による圧迫死でありました。このことからも、耐震化とともに家具の固定の重要性は明らかであります。家具の転倒防止対策の促進は今すぐにでも対応可能な取り組みであると考えます。
しかしながら、平成二十二年一月に実施した県民意識調査では、東海・東南海地震への関心があるという人は九三・九%と高い数字にあるものの、その一方で、家具などを固定している人は五割以下となっております。家具の固定は、減災効果が高い取り組みにもかかわらず、余り進んでいないというのが現状であります。
家具の固定は、自身の生命と家族の安全に不可欠であり、最も安価に効果的に、しかも、すぐに県民の皆様ができる地震対策の特効薬と言え、これまでも行政はさまざまな啓発や助成などを行ってきました。しかしながら、さらに家具の固定を推し進めるには、例えば、家具を固定するための器具を取り扱っているホームセンターなどの事業所と啓発活動やモデル展示などについて連携する取り組みがあってもいいのではないでしょうか。
これまで、災害に遭ったときの応援協定を提携している事業所と平時についても連携して啓発すれば、大きな効果が期待できるものと考えます。
そこで伺います。
家具の固定を一層促進するため、事業者との協定見直しを含めて、今後の県の取り組みについて伺います。
114:◯防災局長(中野秀秋君)
家具の固定の取り組みについてお尋ねをいただきました。
本県が進めております第二次あいち地震対策アクションプランにおいても、家具固定は重要な取り組み事項と位置づけております。
具体的には、家具等の転倒防止対策の促進のため、アクションプランにおきましては、家具転倒サンプルの作成とPR映像の作成を行うこととしております。
このうち、家具転倒サンプルにつきましては、平成二十年度に作成し、現在、西三河県民事務所に配備しております地震体験車に搭載し、家具固定のあるなしで家具がどのように倒れるかなどを実際にごらんいただき、その有効性を実感していただいております。
また、PR映像につきましては、今年度、緊急雇用創出事業基金を活用いたしまして実施したKIDSぼうさいキャラバン隊事業におきまして、啓発用DVDを作成し、県内の小学校を中心に配付いたしますとともに、県のホームページの愛知県防災学習システムでも配信しているところでございます。
このほか、これまでは家具固定に関する啓発資料を作成したり、防災に関する講演会や、ハウジングフェアなどの行催事の機会をとらえ啓発に努めるとともに、県民の各界各層の皆様により構成されております防災協働社会推進協議会の推進テーマとして家具の固定を取り上げ、県民運動として展開してまいりました。しかしながら、東日本大震災を踏まえ、その取り組みをさらに加速していくことが重要だと考えております。
議員御指摘のように、現在、本県では、既にホームセンターなどと災害時の応援協定を締結しておりますので、他県の例などを参考にして、今後は、平時から啓発活動につきまして連携して取り組むことができますよう、協定内容の改定を図り、家具転倒防止の啓発を一層効果的に実施してまいりたいと考えております。
以上であります。
115:◯六十九番(小島丈幸君)
前向きな答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。
ホームセンターとの常日ごろの連携、協力は、他府県においても、これは実施しているということを伺っております。高齢者とか独居老人等の災害弱者となると思われる方への各市町村での器具助成や設置補助など、さまざま行っておりますけれども、一般家庭における器具固定については、先ほども部長お話をいただきましたように、広報広聴活動、またはさまざまな県民運動としてとらえて実施はしていると思いますけれども、広く一般県民の方たちが、いつでもどこでも啓発事業を行っていっていただいている、土日なんかだと、ホームセンターへ行くとたくさんの方たちが御家族連れで来ている、その中で、愛知県が後援をして、一緒になってホームセンターとともに家具固定のことについてお話をさせていただいている、その光景によって、本当に広がりを持つ、そういった災害対策を行っていただきたいことを要望いたしまして、終わります。
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116:◯三十九番(川嶋太郎君)
本日はこれをもって散会し、明三月七日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
117:◯議長(岩村進次君)
川嶋太郎議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
118:◯議長(岩村進次君)
御異議なしと認めます。
明三月七日午前十時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時五十四分散会
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