県政報告
平成23年地域振興環境委員会
2011年12月7日
(主な質疑)
- 1:(主な質疑)
《議案関係》
なし《一般質問》
【飛田常年委員】
さまざまな新エネルギーの中で、メタンハイドレートについては未知数の部分があり、資源エネルギー庁の石油・天然ガス課が研究していると聞いているが、環境部としてどの程度認識しているか伺う。
- 2:【地球温暖化対策室長】
新聞やインターネット等から情報を収集しているところであるが、メタンハイドレートについては国が主導的にやっている。メタンハイドレートは石油と同じ化石燃料の一種であり、風力エネルギーや太陽光エネルギーとは異なるという認識を持っているが、資源のないわが国にとって、国産資源ということで注目を浴びていると聞いており、今後のなりゆきや見通しについては、期待を持って見ていきたいと考えている。
- 3:【飛田常年委員】
私も、メタンハイドレートが石油と同様に化石燃料の一種だということは認識している。大気中のメタンは、温室効果が二酸化炭素の20倍ほどあるため、メタンを使うと地球温暖化対策としては逆効果になることもあると聞いているが、その点の認識はどうか。
- 4:【地球温暖化対策室長】
委員指摘のとおり、メタンについては、同じ量の二酸化炭素と比べて20倍程度の温室効果をもたらすが、これは、気体のメタンがそのまま空気中に出た場合ということである。今回のメタンハイドレートは海底下にあり、しかも氷の中にメタンが包まれている状態であるので、この状態であれば大気中にそのまま出てくることはない。
エネルギー資源としてのメタンガスは、LNG(液化天然ガス)や昨今話題となっているシェールガスと同様の天然ガスであり、資源としてうまく取り出して燃料として使えば、メタンが二酸化炭素に変わり、石炭や重油と比べてはるかに環境にやさしい燃料となるので、上手に使えばよいと考えている。
- 5:【飛田常年委員】
メタンハイドレートは、燃焼させたときの二酸化炭素の排出量が、石炭や重油と比べて半分くらいであると聞いているので、開発が成功すれば、二酸化炭素削減に効果があるのではないかと思っている。
来年2月に、渥美半島沖で調査が始まると聞いているが、詳細が分かれば教えてほしい。
- 6:【地球温暖化対策室長】
メタンハイドレートの開発計画であるが、平成13年から平成30年までという非常に長い期間の計画が作られている。平成30年までに三つのフェーズ(段階)があり、平成20年までのフェーズ1では、基礎的な研究がいろいろ行われており、陸上での産出実験なども行われた。
平成21年からのフェーズ2では、メタンハイドレートが日本近海にあることが分かったので、そこからどのような技術を使えば取り出せるのかということについて実証実験をして、知見を得るという形で進めていると聞いている。フェーズ2の終了が平成27年であり、平成28年からのフェーズ3では、実際に商業的産出が可能か、掘削時に周辺環境に影響があるかなどの総合的な影響評価を行い、最終的にプロジェクトの評価を行うと聞いており、まだ少し時間がかかると認識している。
- 7:【飛田常年委員】
メタンハイドレート開発は国の施策ではあるが、本県として今後どのように関わっていくのか。
- 8:【地球温暖化対策室長】
本県の対応の方向であるが、メタンハイドレートの開発については、資源エネルギー庁の石油・天然ガス課が中心となり、民間企業がいくつか集まってコンソーシアムが形成されている。そして、このコンソーシアムで事業が進められており、都道府県のレベルでは、このコンソーシアムに入り込む余地はないと言ってよい。
そこで、本県としてはこれらの動きを見て、きちんと対応していく。メタンは、地球温暖化対策にとっては石油・石炭に代わる燃料との位置付けもあることから、その動きについて注視していきたい。
- 9:【飛田常年委員】
部署が違うかと思うが、メタンハイドレートは新エネルギーとして期待が持て、渥美半島沖だけでも、日本で消費される天然ガスの13年分から14年分の埋蔵量があり、全体として100年分くらいあるとも言われている。県として開発を注視し、できる範囲で支援してほしい。
実用化された場合、渥美半島沖から田原市へパイプラインで運ぶのか、船で港へ輸送をするのか分からないが、私の地元の蒲郡港が空いており、蒲郡市長も輸送経路の拠点として使うことを望んでいるので、要望する。
- 10:【寺西むつみ委員】
「国連ESDの10年最終年会合」を「愛知万博10周年記念事業」に位置付けることについては、本会議で知事から検討するとの答弁を得たが、「愛知万博10周年記念事業」の位置付けについて、所管部局としてどのようなタイミングや手順で行うのが理想的と考えているのか。
今回の会合については7地域が競った結果開催が決定したが、誘致に敗れた北海道・札幌市、浜松市、神戸市、北九州市、大分県とどのように連携を図り、相乗効果を上げて、国内での認知度を高めるつもりか。また、同時開催地となる岡山市との連携の方向性についても伺う。
海外におけるPRであるが、来年6月20日から22日まで「リオ+20(国連持続可能な開発会議)」の開催が予定されている。国連ESDの10年最終年会合が開催される2014年まででは、各国首脳が集まる最大規模の会議となるが、これをPRの機会として念頭に入れているのか。
また、国連ESDの10年最終年会合の前に開催され、世界が注目するイベントである2012年のロンドンオリンピック、2014年2月のソチオリンピック、同年6月のサッカーワールドカップブラジル大会などにおけるPRについて、環境部として念頭においていることがあれば伺う。
- 11:【環境政策課主幹(企画・法規)】
愛知万博10周年記念事業としての位置付けを、どのようなタイミングで、どのように進めていくのかということについて、現時点では具体的な回答ができるような準備はまだできていない。また、国からも、まだ具体的な内容が示されていない。
このような段階なので、国から情報を入手して具体的な内容を把握したうえで、どのようにしていくか詰めていきたいと考えている。
次に、今回、「国連ESDの10年最終年会合」の開催地として立候補した他の6つの自治体との連携について、今後、文部科学省が中心となって、各自治体と打合せ会議をしていくことになっている。その中で会議の内容や役割分担について示されると考えており、会議において各自治体と話し合いながら、どのようなタイミング、どのような形で広報の連携をとっていくのかについて詰めていきたいと考えている。
岡山市との連携については、本県との役割分担の概要は既に示されており、ステークホルダー(利害関係者)の主な会合は岡山市で、会議の本体である閣僚級会合及び全体の取りまとめ会合は愛知・名古屋で開催されることになっている。文部科学省、愛知県、岡山市で、人の流れや実施するイベントなども含め個別の打合せ会議を開くことになっており、その中で内容を踏まえ、広報について考えていきたい。
リオ+20は、国連環境開発会議(地球環境サミット)から20年ぶりに開催される、世界の首脳も集まる非常に大きな会議であると認識している。日本政府は、このリオ+20にブースを設け、「国連ESDの10年最終年会合」も含めてPRすることを検討していると聞いている。国と調整のうえ、国のブースの中で地元「愛知・名古屋」を宣伝してもらうことを検討している。
また、リオ+20以外のさまざまなイベントについて、今後、「国連ESDの10年最終年会合」をどのような形で宣伝していくのかについては、その時のタイミングで判断するものと考えている。現時点で担当レベルでは、2013年のユネスコの総会において、2014年の最終年会合の愛知・名古屋での開催について宣伝できればと考えている。
- 12:【寺西むつみ委員】
今、元気がなくなってきていると言われる地元愛知にもう一度元気を取り戻すために、より分かりやすい共通のキーワードとして、国連ESDの10年最終年会合の「愛知万博10周年記念事業」としての展開を早急に固めるよう強く要望する。県民の元気を取り戻すために、このESDの会議の誘致という機会を有効に生かしてほしいと思う。
また、誘致に敗れた地域に対しては、愛知県の懐の深さを見せるという意味でも、ぜひ協力したいと先方から言ってもらえるように手を差し伸べ、巻き込む戦略を立ててほしいと思う。日本と万博の誘致で争い敗れたカナダは、真っ先にパビリオンを出展したいと手を挙げてくれた。その時に日本政府の懐の深さを一国民として感じた。今回のESDの会議においても、敗れた地域にしっかりと手を差し伸べ、敗れた地域の都市から愛知をぜひサポートしたいと言ってもらえるような知恵を出すことが、県民にとっても愛知に暮らしてよかったとの思いにつながるものと考える。
それから、海外へのPRについてであるが、リオ+20は10年に1回しか開かれないと言われている地球サミットである。リオ+10で、日本政府が「ESDの10年」を提案し、また愛・地球博を人づくりと環境という視点で開催することについて発表し、そこからちょうど10年にあたる年に開かれるこの会議を、海外におけるPRの機会と捉えて、愛知のポテンシャルにつなげてほしい。
なお、オリンピック等における広報については、机上の空論ではない。愛知万博の際に万博会場で、ユネスコ、国連本部、FIFA(国際サッカー連盟)、IOC(国際オリンピック委員会)の共同で「スポーツと地球環境に関するサミット2005」が開催された。したがって、ワールドカップやオリンピックは愛知県に全く縁がないものではない。このように、これまで愛知県が積み重ねてきた実力を「国連ESDの10年最終年会合」開催に向けて発揮するよう強く要望する。
- 13:【小島丈幸委員】
東日本大震災に伴う災害廃棄物の広域処理について、県は、10月25日に国に質問書を提出し、11月21日に国から回答があり、それに対して知事がコメントを出している。災害発生時には災害廃棄物の受入れを表明した市町村があったが、その後、放射性物質の飛散といった問題があり、各市町村は受入れができない状況になっている。
こうした中で東京都は、災害廃棄物の処理支援ということで、岩手県宮古市の災害廃棄物の受入れを行っているが、これについてどう考えているか。
- 14:【資源循環推進課主幹(一般廃棄物)】
11月4日から岩手県宮古市の災害廃棄物について、都内の民間施設で受入れを始め、11月中に1,000トンの処理を終了したと聞いている。また、今月中旬から宮城県女川町の廃棄物の試験焼却を行い、来年2月以降に都の清掃工場などに受け入れる予定であり、全体計画として、平成25年度までの3か年で岩手、宮城両県から約50万トンの災害廃棄物を受け入れる予定と聞いている。
本県としては、もとより被災地の復興を強く願い、できる限りの支援をしたいという基本姿勢は震災発生以降変わりないが、放射性物質による汚染の問題は、災害廃棄物の受入れという問題を検討する上で避けて通ることができない。東京都とは状況やバックグラウンドが異なり、東京都には東京二十三区清掃一部事務組合の公営焼却施設があるが、本県には県直営の焼却施設がないため、まずは、市町村や県民に理解と納得をしてもらうことが不可欠であると考えている。
- 15:【小島丈幸委員】
市町村については、災害発生当初と状況が変わっており、放射性物質の受入れ基準が確立されていないため受入れが難しいという問題がある。東京都は都で焼却施設を持っているとのことであったが、東京都の資料に、宮古市の災害廃棄物については、都内の民間焼却施設で焼却を行っていると書いてある。本県として、民間の施設も含めて、災害廃棄物を処理できる能力はあるのか。
- 16:【資源循環推進課主幹(一般廃棄物)】
放射性物質の付着した災害廃棄物を焼却するためには、バグフィルターという集じん除去装置が必要である。焼却により気化したセシウムを急速冷却し、バグフィルターに集約させる。こうした施設があればセシウムが大気中に放出されることはほとんどないというのが国の知見である。
したがって、仮に災害廃棄物を受け入れるとすれば、焼却施設にバグフィルターが設置されていることが前提となるが、県内の市町村のほとんどの焼却施設には、バグフィルターが設置されている。
- 17:【小島丈幸委員】
東京都は都で焼却施設を持っているが、今回の災害廃棄物の処理は民間が行っている。
本県は、バグフィルターが設置された民間の施設で受け入れることも検討したのか。
- 18:【資源循環推進課主幹(一般廃棄物)】
本県としては、県民に理解と納得をしてもらうことが不可欠であり、そのための材料を国に求めている段階である。したがって、民間施設のうち、具体的にどの施設で災害廃棄物の焼却処理が可能かを検討する段階に至っていない。
- 19:【小島丈幸委員】
県民の納得を得ることは当然必要であるが、現実に東京都は災害廃棄物を受け入れている。国への質問書等を見たが、本県としては、どのような知見があれば納得できるのか。国にはもともと放射性セシウムについて災害廃棄物1キログラムあたり100ベクレル以下という基準があったが、今回、環境省が1キログラムあたり240ベクレル以下の災害廃棄物であれば、焼却しても焼却灰1キログラムあたり8,000ベクレル以下になるので問題ないという、今までとは全く異なる基準を設定して、災害廃棄物の受入れ要請をしているといった面はあるが、本県としては、災害廃棄物についての基準が決まった段階で、各市町村に対して受入れについての行動を起こすのか。
- 20:【資源循環推進課主幹(一般廃棄物)】
あくまでも、国から質問に対して満足できる回答をもらったうえで、そこで初めて受入れを検討して、市町村にも相談するという形になると思う。
- 21:【小島丈幸委員】
環境部としては、基準や前提などがいろいろ必要であるとは思うが、国が質問に全て答えることはなかなか困難であると思う。また、市町村の処理施設を使用する場合、ハードルが非常に高いと思うが、何とか被災地を支援したいと思っている。
私が被災地に行ったときに、現地では、公園に災害廃棄物が山積みされ、公園としては全く利用できない状況であり、安全な方法があれば、何とか災害廃棄物の受入れをしたいと考えている。
本県は、製造品等出荷額が全国一であり、自動車関係のサプライチェーンなど、東北地方とはつながりがある。安全性をどのように担保するのかという問題はあるが、知事のコメントにもあるように、心情としては何とか早めに災害廃棄物の受入れ態勢を整えたいと考えている。
東京都の災害廃棄物処理状況を見るなどして、何らかの形でサポートできる体制を整えていくよう要望する。
- 22:【大見 正委員】
災害廃棄物の広域処理について伺う。国に対する質問の趣旨は、放射性物質が付着した災害廃棄物の受入れについてであり、これに対して、国から、県民の理解が得られるような満足できる回答が示されなかったため、現段階では受け入れることができないとのことである。
福島県や宮城県南部の一部の地域では、放射性物質が付着した災害廃棄物がまだあるが、宮城県の北部から岩手県にかけては、余りないのではないかと思う。東京都は、再三放射能の測定をして安全性を確認したうえで、岩手県宮古市の災害廃棄物を受け入れている。
被災地の中でも、災害廃棄物に関して安全性が確保できるところがあると思うので、そういったところを調べるか、又は国に調べるように依頼して、放射性物質が付着していない災害廃棄物を受け入れればよいのではないか。
県として、国との1回の文書のやり取りで満足できる回答が得られないので、次の回答が来るのを待っているという姿勢でよいのか。放射性物質が一番ネックになっているのであれば、放射性物質が付着していない災害廃棄物の受入れ方法について研究したり、国に対して話合いを持ちかけてもよいのではないかと思う。放射性物質が付着しておらず、安全性が確保できる災害廃棄物があると思うのだが、県としてはどのように考えているのか。また、国から質問書に対する回答が来てからのやり取りについて教えてほしい。
- 23:【資源循環推進課主幹(一般廃棄物)】
国から回答書が来てからの話であるが、そもそも国へ質問書を提出する際に、県内の市町村から意見や質問をもらっており、質問書には市町村の質問を多く取り入れている。国からの回答書を受けた際には、直ちに市町村に回答書に対する意見を照会しており、現在は、市町村からの回答を待っている状況である。市町村から回答が来たら集約し、県として質問事項等を整理して、国に再質問をしたいと考えている。
- 24:【大見 正委員】
小島委員からも県の姿勢について意見があったと思う。今までの説明を聞いていると、県は国と市町村の仲介を事務的にするという話だが、大村知事は最初に、県として積極的に関与していくという姿勢を表した。大村知事の最初の姿勢と、県が市町村の回答待ちをしているという今の姿勢の間には相当な意識のかい離がある。
知事が災害廃棄物を積極的に受け入れるという姿勢を示したのならば、国に対して、市町村が受け入れることができるような条件について交渉するべきである。知事は被災地に行き、そこの知事に、マスコミにアピールできる形で格好よく、がれきの受入れについて協力すると言っている。災害廃棄物を受け入れるのであれば、何回も行き、安全性の確保のために何ができるのか聞くなどして、積極的に対応する必要があると思う。
私の感覚で言うと、岩手県の災害廃棄物はほとんど安全であると思う。災害廃棄物を受け入れる気があるのなら、県独自に岩手県に依頼してもよいので、放射性物質が付着しているか調査をしたうえで、そのデータを基に市町村と協議に入ったり、費用面や運搬方法について国と協議するなど、水面下で取り組むべきではないのか。
- 25:【資源循環推進監】
本県として、災害廃棄物の受入れに関する積極的な姿勢は変わっていない。質問書についても、国に提出したのは本県だけであり、他の県は提出していない。質問書は受け入れるための条件として提出している。
岩手県や宮城県の北の地域は大丈夫だと思うが、測定結果を見るとある程度の濃度のものは検出されてしまう。そのため、この数値以下なら安全だという基準を含めた、きめ細かな基準を作成するよう、国に対して質問書を提出している。
- 26:【大見 正委員】
岩手県や宮城県北部の災害廃棄物を測定した結果、放射性物質が検出されているということだが、濃度がそれ以下のところもあると思う。更に一歩踏み込んで、受け入れることができるものがないか調査すべきではないか。
被災地の復興の度合いによっては、本県においてもさまざまな産業の経済活動に影響が出ると言われており、復興が遅れるほど影響が大きくなる。復興の協力をするということではあるが、根本的な災害廃棄物の処理が進まなければ、やれることもやれない。
本県として、災害廃棄物の受入れに関する積極的な姿勢は変わっていないのであれば、安全性の基準について、国に粘り強くしっかりと要望する一方で、国や被災県に対して受入れ条件を示し、その条件に合致した災害廃棄物がどこにあるか教えてもらうぐらいの気持ちで取り組んでいくべきである。
全国に先駆けて質問書を提出したのであれば、基準をクリアすれば受け入れるということは示していると思うので、受け入れられるものについては市町村や国と協議に入るという気持ちで取り組んでほしいと思うが、どうか。
- 27:【資源循環推進監】
災害廃棄物の広域処理については、環境大臣が、国で全て取りしきると言っていることから、委員や市町村の意見を踏まえ、国に要望していきたいと考えている。
- 28:【大見 正委員】
愛知県や知事の本気度が問われていると思うので、格好つけただけで終わらずに、やれることを探し、それをやるという県の姿勢を示すよう要望する。
- 29:【環境部長】
県のスタンスは、基本的には受け入れたいということであり、知事も同じである。ただ、本県は国に対して10の質問をしたが、環境省が示したのは燃やした後の放射能の基準のみである。がれきに付着している放射性物質の濃度はいろいろであり、ゼロであることは考えられない状況であるが、受入れのための基準がない。
焼却灰1キログラムあたり8,000ベクレル以下という基準値を割り戻した、災害廃棄物1キログラムあたり240ベクレル以下という数字があるが、これは基準ではない。これを受け入れるかどうかは、それぞれの自治体の判断に任せているが、県として県民に対して説明する必要があるため、受入れに関する国の安全基準が必要となる。また、焼却後も基準に合致するか測定すべきだと思うが、それを最終処分場に埋める際の基準も示されていない。なるべく住居の利用に供さないようにとは言われているが、どれぐらいの期間埋めておけば安全なのかという基準も国に対して求めている。
また、国は岩手県や宮城県のがれきの放射性物質について測定しているが、示されているのは宮古市の基準のみであり、東京はその基準によりがれきを受け入れている。そこで本県としては、国に対して、きめ細くいろいろな場所で測定し、そのデータを示すよう要望した。
それに対する国の回答としては、放射性物質の基準については基本的に現在のままであり、細かな測定データについては、今後、測定結果が蓄積されるので、公表するとのことであった。やはり、放射性物質の基準は重要であり、その辺を踏まえて再質問をしたいと考えている。
今のところ、国が被災した自治体と処理を行う市町村とのマッチングをすると言っているので、国の意向を踏まえて進めたい。県が国の意向を飛び越えてやる方法もあるかもしれないが、現段階ではこの仕組みの中で動きたいと思っているところである。
- 30:【石井芳樹委員】
病院排水の安全確保について、環境部関係で質問をする。
病院排水を公共下水に流す場合における消毒殺菌方法としては、病院排水を直接公共下水に流す方法と、病院排水を原水槽、殺菌処理槽を通じて公共下水に流したり、浄化槽を通じて河川に流す方法がある。
病院排水には、放射性排水、実験系排水、薬品系排水、感染系排水などがあるが、日本医師会の調査によれば、病院で中和処理をしているのは約20パーセント、殺菌処理をしているのは約10パーセントであり、大半は未処理のまま公共下水道や浄化槽に流入している状態である。
下水処理場や浄化槽でも塩素殺菌は行われるが、病院排水に含まれる病原菌や薬品の処理という点では十分ではないと思われる。
現状では、法的規制がある病院排水は放射性排水や生活排水、一部の感染系排水のみであり、その他の排水は、水質汚濁防止法の規制はあるものの、同法が定める汚濁物質と余り関係がないため、実質的に規制対象外となっている感がある。
そこで、現在、病院排水の取締りや規制をする法律は存在するのか伺う。
- 31:【水地盤環境課主幹(調査)】
病院排水には、生活排水と薬品系排水や感染系排水などの特殊な排水とがあり、病院から公共用水域へ排出される水については、公共用水域の水質汚濁防止の観点から、水質汚濁防止法と浄化槽法等に基づき、規制が行われている。
病原菌を含む感染系排水などについては、水質汚濁防止法においては、対応した基準を設けていないので、実質的には規制対象外となっている。
- 32:【石井芳樹委員】
水質汚濁防止法では、病院の規模によって規制が定められているが、具体的にはどのような内容か。
- 33:【水地盤環境課主幹(調査)】
水質汚濁防止法での病院に対する規制については、300床以上の病院においては、ちゅう房施設、洗浄施設、入浴施設が特定施設となり届出が必要となる。また、病院が501人槽以上の浄化槽を設置している場合には、その浄化槽自体が特定施設となり届出が必要となる。
そして、これらの届出をした病院は特定事業場となり、1日の排水量が50立方メートル以上の場合には、pH(水素イオン指数)、BOD(生物化学的酸素要求量)、COD(化学的酸素要求量)、SS(浮遊物質量)等の項目について排水基準が適用される。
- 34:【石井芳樹委員】
県立病院の排水の現状はどうか。
- 35:【水地盤環境課主幹(調査)】
県立病院は5か所あるが、いずれも公共下水道に放流しているため、下水道法に沿って適切に処理されているものと考えている。
病院排水中の病原菌については、排水基準がないため把握していないが、病院排水は下水処理場若しくは浄化槽で処理され、放流水は殺菌効果のある消毒剤で消毒した後に公共用水域に放流されている。
- 36:【石井芳樹委員】
県立病院は公共下水道に接続しているようだが、公共下水道が来ていない地域の病院では、浄化槽で処理して河川に放流しているが、浄化槽に大量の薬品系排水を入れると、浄化槽内の微生物が死んで機能が損なわれると言われている。また、浄化槽は、感染系排水を処理するシステムではないため、病院排水の処理には十分な効果が得られない可能性がある。
その中で、薬品系排水や感染系排水は規制の対象外であると思えるが、これについて環境部の考えはどうか。
- 37:【水地盤環境課長】
薬品系排水や感染系排水については、実質的には規制の対象外となっている。
現行の水質汚濁防止法による排水規制は、生活環境項目又は農薬、重金属等の有害物質に関する規制であり、それ以外に対しては現行法では対応ができていないのが現状であると思っている。
感染系排水が公共用水域に影響を及ぼすような恐れが社会問題化するようなことがあれば、全国的に何らかの規制が必要になってくるかもしれないが、まずは発生源で抑え込むのが最もよい対策であると思う。
いずれにしても、病院排水にはこのような課題もあるということについて、健康福祉部とも相談しながら、国へも伝えていきたい。
- 38:【石井芳樹委員】
薬品系排水や感染系排水にかかる規制がないのは、今までそれによる被害がなかったか若しくは因果関係がはっきりしなかったためだと思われる。
しかし、2003年頃に大流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)は、トイレの排水溝が感染経路となった。そのため、中国ではマニュアルを作成して病院排水の規制を行っている。
我が国では、今、三面張りから自然型へ河川の形態を戻すことにより、子どもたちに水遊びをしながら川になじんでもらおうという施策が広まりつつあるが、その川の上流にある病院などの浄化槽からの放流水がこうした川を流れていくことになる。
水質汚濁防止法は、もともと工場系排水の規制から始まっている。新しい法律や条例の制定が必要とまでは言わないが、こうした新しいニーズやライフスタイルに合わせた施策の必要性を頭の片隅においた行政運営をお願いする。
- 39:【半田晃士委員】
鳥獣保護区について、環境学習の観点から質問する。
平成19年から実施されている第10次鳥獣保護事業計画の期間は、平成24年3月31日までとなっている。その中で、鳥獣保護区の施設整備の方針が出されており、特に鳥獣の観察に適する「弥富鳥獣保護区」、「昭和の森鳥獣保護区」、「県民の森鳥獣保護区」については、環境学習の場として活用を図るために整備に努めると明記されている。現在、期間が残り3か月弱となったが、どこまで整備が進んでいるのか伺う。
- 40:【自然環境課主幹(自然環境)】
鳥獣保護区は、鳥獣保護のため指定をする区域であるが、特に鳥獣の観察に適した保護区について、鳥獣の生息に影響を与えない範囲で、例えば観察路を設けるなどの整備を行い、環境学習等に活用することとしている。
一つめの「弥富鳥獣保護区」の中には「弥富野鳥園」があり、昭和50年の開園後35年が経過し、樹木が成長している。高木が密集して光が差し込まず野鳥が生息しにくい環境とならないよう、平成19年度から段階的に園内樹林地の間伐を実施して多様な環境を確保し、野鳥の生息環境の改善を進めている。
二つめの豊田市にある「昭和の森鳥獣保護区」であるが、ここには「愛知県緑化センター」があり、その保護区内では、野鳥の森を周回する観察路を設けているほか、緑化センター主催の野外教室として、「親子で楽しむ森のクラフト バードコールを作ろう」、「野鳥と紅葉を楽しむ」、「日本野鳥の会による野鳥写真展」などのイベントを開催している。
最後に、新城市にある「県民の森鳥獣保護区」であるが、ここは「愛知県民の森」としてハイキングや森林浴等で多くの県民に利用されているところでもある。環境学習の場としては、バードサンクチュアリを設け、そこで解説板の設置や鳥の餌となる食餌植物の移植を行っているほか、バードウォッチングも開催している。
- 41:【半田晃士委員】
第10次鳥獣保護事業計画に沿って、施設の整備や県民への広報を行っていると思う。三つの保護区については、野外の施設であり把握が難しいと思うが、年間にどのくらいの利用者がいるのか。
- 42:【自然環境課主幹(自然環境)】
まず「弥富鳥獣保護区」であるが、弥富野鳥園の周辺を保護区として指定しているので、利用者の把握は難しいが、弥富野鳥園としては、年間約6万人の利用者がいる。次に「昭和の森鳥獣保護区」であるが、愛知県緑化センターを中心に昭和の森として、年間約25万人程度の利用者がいる。最後に「県民の森鳥獣保護区」であるが、ここは愛知県民の森としてキャンプ場や宿泊施設なども整備されているが、そうした宿泊施設やキャンプ場を除いて、年間約50万人程度の利用者がいる。
- 43:【半田晃士委員】
第10次鳥獣保護事業計画の中にも、なるべく生物多様性の保全あるいは鳥獣の適切な保護・管理、狩猟の役割に関連する環境学習の機会を創出していくということが書かれており、環境学習の場として鳥獣保護区の更なる活用を図るためには、県民への一層の周知とともに、特に小学生や中学生など子供の利用促進をどう図るかが重要である。
例えば、名鉄等と連携するなどの交通手段を含めた対策や、施設案内人を確保して、利用者に正しい知識を習得していただくことが更に必要かと思われるが、この点についてどのように進めていくのか。
- 44:【自然環境課主幹(自然環境)】
それぞれの鳥獣保護区には、弥富野鳥園、愛知県緑化センター、愛知県民の森といった施設があり、これらの施設は、いずれも財団法人愛知公園協会が指定管理者として管理運営を行っている。公園協会では、利用者の増加を図るため、それぞれの施設に案内人等を設置している。全体を通した交通手段の確保については、地元の自治体に働きかけるなどして交通利便性の向上にも努力している。
また、環境部が所管している弥富野鳥園では、公園協会と連携して利用者増を図っており、具体的には、公益財団法人日本野鳥の会の方が園内で観察指導を行う体制にしているほか、弥富市に働きかけ、平成22年度から、市内を循環している「きんちゃんバス」のルートに弥富野鳥園を入れてもらい、利便性の向上を図っている。
愛知県緑化センターと愛知県民の森の中にあるモリトピア愛知については、いずれも農林水産部の所管であるが、環境部としては、農林水産部や公園協会と連携して、今まで以上に、こうした施設の利便性向上を図り、利用者増加に向けた取組を進めていきたいと考えている。
- 45:【半田晃士委員】
財団法人愛知公園協会が指定管理者として運営しており、県だけでは決められない部分もあると思うが、例えば犬山城では、入場者が20万人まで減っていたが、犬山市と名鉄がうまくタイアップを図ることにより、40万人まで増加したという報道があった。したがって、やり方によっては、更に利用者を増やすことも可能だと思う。
環境保護は大事であり、鳥獣保護区を設けることで、県民に保護しているものを理解し、見てもらうことが本来の目的であると思うので、更に工夫をして、県民の環境への意識を高めてもらうようお願いする。
- 46:【岡江智子委員】
12月は地球温暖化防止月間・大気汚染防止推進月間であり、県の取組として、月間中に工場・事業場への重点的な立入り、温室効果ガス、大気汚染物質の抑制指導及び各種広報媒体を通じた啓発活動をするとあるが、具体的にはどのようなことをするのか。
- 47:【地球温暖化対策室長】
地球温暖化防止月間・大気汚染防止推進月間についてであるが、12月は大気が安定するが、大気が安定すると汚染物質が拡散せず、薄まりにくくなる。また、12月に入ると暖房が多く使用されるため、暖房による汚染物質の排出が増えてくる。このように大気汚染物質の増加や温室効果ガスである二酸化炭素の増加が顕著となるので、12月をそれらの防止月間・防止推進月間としている。
具体的な内容であるが、大気汚染防止法上の、ばい煙発生施設設置の届出をしている、大気汚染物質を大量に排出する事業場に、各県民事務所の職員が重点的に立ち入り、義務付けされているばい煙測定結果のチェックをする。
啓発としては、12月15日に中電ホールで、自動車環境戦略と地球温暖化防止戦略の二つの推進大会を一緒に開催する。自動車の大会では、低公害車について、一定基準以上の導入をした事業所を知事が表彰し、また、緑のカーテンコンテストでは4部門でそれぞれ優秀賞2点、最優秀賞1点の表彰を行う。併せて自動車環境や地球温暖化防止について、啓発を兼ねて講演も行う。
- 48:【岡江智子委員】
家庭でもかなり暖房を使う時期であるが、二酸化炭素の問題も含めて、夏にはかなり節電という言葉を使っていたが、冬になって余り耳にしなくなった。家庭に対して月間についてのアピールというのはあるのか。
- 49:【地球温暖化対策室長】
家庭における二酸化炭素の排出削減の一つのツールとして「我が家のCO2排出量ダイエット作戦」と名づけて、各家庭に参加を呼びかけている。この事業は、12月から来年の3月まで実施し、各家庭の電気・ガスの検針票に書かれた使用量をホームページ上に登録すると、いろいろな企業から提供された特典が当たる仕組みで、県民に広く募集をかけている。
節電については、夏ほどは言われていないが、中部電力管内でも、具体的な数字は示されていないが、できる限りの形でやってほしいとの呼びかけがされているので、これについても併せてやりたいと思う。本県においても、例えば、室内温度設定19度の確認を始め、さまざまな冬のエネルギー対策についても各部局に呼びかけて推進していきたい。
- 50:【岡江智子委員】
二酸化炭素の全排出量の中で、各家庭からのものが大きな割合を占めているので、いろいろな工夫をしていることに感謝する。来年のリオ+20に向けて、愛知県が手本となるようお願いする。