県政報告
平成23年地域振興環境委員会
2011年10月4日
(主な質疑)
1:(主な質疑)
《一般質問》
【飛田常年委員】
近年、多くの外国人が日本に住んでいる。リーマンショック以降、少し減っていると思うが、現在、県内に何人住んでいるのか。また、一市町村一国フレンドシップ継承交付金事業が今年度で終わるが、成果を伺う。
2:【多文化共生推進室長】
平成22年末時点での県内に住んでいる外国人の人数は、全体で20万4,836人であり、東京、大阪に次いで全国第3位である。推移としては、平成20年をピークにリーマンショック以降は減少傾向が続いている。国別で多いのはブラジルの5万8,606人で、以下、中国、韓国・北朝鮮、フィリピンと続いており、この4カ国で全体の84パーセントを占めている状況である。
3:【国際課主幹(渉外・交流)】
一市町村一国フレンドシップ継承交付金事業は、愛知万博の剰余金を活用して、平成19年度から23年度までの5年間に、名古屋市を除く市町村に10億円を交付する事業で、平成22年度までに87パーセントが交付済みであり、23年度には全て交付する見込みである。
事業の成果としては、この事業期間に8市町村が友好提携を締結し、2市町が新たに国際交流協会を設立しており、根付き始めた市町村レベルの国際交流が、更に拡大できたと考えている。
4:【飛田常年委員】
私の住む蒲郡市でも、この事業により子供向けの日本語教室を3教室開設したが、今年で終わってしまう状況である。施設を借りることにはそれほどお金がかからないが、現状では講師がなかなか見つからず、ボランティアも何人か来ているが、講師料がいる。県は、事業が終わったら後は知らないということではなく、他に代わる助成制度があれば教えてほしい。
5:【多文化共生推進室長】
一市町村一国フレンドシップ継承交付金事業は終了するが、日本語教室の事業は、多文化共生の地域づくりを進めるうえからも非常に重要であると考えている。外国人が日本で生活するうえで日本語は欠かせず、また、文化の違いなどを理解し、交流できる場としても、日本語教室は大きな役割を果たしている。そのため、日本語教室が地域に広がるよう、愛知県や愛知県国際交流協会では、教室の立上げやスキルアップの講座を開催している。
特に子どもにとっては、学習するうえでも日本語の習得は重要なことなので、「日本語学習支援基金」を設け、子どもたちを対象とした日本語教室に助成をしている。蒲郡市の日本語教室についても、日本語指導者の設置や実施回数などの要件に合えば、助成をすることができる。
また、基金事業では、「外国人の子供のための日本語ボランティア養成講座」を行い、本年度は豊明市、江南市、蒲郡市の3会場で実施しており、人材育成の面からも支援をしていきたい。
6:【飛田常年委員】
そうした助成制度については、各市町村に情報提供をしてほしい。
県内には様々な国の外国人がおり、各市町村がごみ出しのマナーなどの情報を多言語で知らせているが、多言語で知らせるシステムについて、県は情報提供をしているか。
7:【多文化共生推進室長】
外国人に対する多言語での情報提供は大変重要であると考えており、公益財団法人愛知県国際交流協会のホームページでは、日本語のほか、英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、韓国語などで情報提供している。多文化共生推進室でも、外国人が読みやすいよう資料に振りがなを振るなどしており、また、内閣府でも多言語で生活情報を提供しているので、リンクを貼り、案内をしている。多言語での情報提供は、基本的な取組なのでしっかりやっていきたい。
8:【飛田常年委員】
その国の言葉で話すと日本語に変換されるシステムがあるとよいので、各市町村に情報として提供してもらうよう、ぜひお願いしたい。
9:【小島丈幸委員】
一般的に利用されるクラウドについては承知しているが、自治体クラウドというのはどういうものなのか、メリット、デメリットを含めて伺う。
10:【情報企画課主幹(地域情報化推進)】
県が提唱している「あいち自治体クラウド」は、市町村の住民記録、税、福祉などの内部業務にかかる情報システムを個々の団体が有するのをやめて、データセンターの中にある情報システムを複数の団体がネットワーク経由で共同利用するものである。
その際には、事業者と市町村の間の通信回線はインターネットではなく、地方公共団体の全てを結ぶ総合行政ネットワークであるLGWANなどの専用回線を用いる。また、特定の業者の特定のデータセンターを使い、業者と個別に詳細な契約を結んで、セキュリティには万全を期すという点で、一般的なクラウドとは異なるものである。
自治体クラウドのメリットとしては、情報システムの開発や機器類の調達といった、多額の初期費用が原則不要になることや、複数市町村でシステムを共同利用することにより、割り勘効果が発生し、運用コストの削減が見込まれることである。
また、業者の堅ろうなデータセンターを利用するため、災害に強いという特性を有している。更に、遠隔地にデータのバックアップをとれば、万一データセンターが損傷しても復旧は可能であり、同じシステムを使う他の自治体に協力を仰ぐことも可能となる。
デメリットというか、クラウド推進上の課題としては、自治体の多くはシステムに独自の仕様を加えているので、複数の自治体の共同化を図るためには、その独自仕様を見直すという、自治体内部の調整や自治体間の調整が必要となる。
また、データ形式が異なる場合には、新システムに移行するのに多額の経費を要する場合もある。なお、自治体間の調整については、県が間に入ることで、乗り越えられるものと考えている。
11:【小島丈幸委員】
愛知県議会として、国へ自治体クラウドの推進に関する意見書の提出を考えているが、この中では、外字の取扱いが全国の自治体間で異なり、その統一が問題となっていることに触れている。
そこで、愛知県において、外字の統一は難しいことであるのか伺う。
12:【情報企画課主幹(地域情報化推進)】
団体が違うと、同じ文字コードをつけても、異なる漢字が出てくる場合があり、この外字の統一が、複数の自治体が共同でクラウド化するうえでの一つの課題となる。このため、国は「自治体クラウドの円滑なデータ移行等に関する研究会」を設け、まず、全国の市町村に対し、使用している外字に関する実態調査を行った。今後、この外字の統一問題に、国がどのように取り組んでいくのか、注視していきたい。
なお、県が考えている自治体クラウドでは、小規模なグループの中で外字を統一する作業となるので、作業的に面倒ではあるが、余り問題なくできるものと考えている。更に、今後、国が文字コードを統一すれば、それに合わせた形で移行を進めることになると考えている。
13:【小島丈幸委員】
外字の統一について、多くの自治体が関わるものでなければ、それほど問題にはならないことは分かった。今後、国が外字を全国で統一した場合にも、一旦作業に着手したら修正できないわけではないので、必要に応じて修正をするなど対応してほしい。
四・五年前に長崎県を訪問したところ、自分たちの専門性を高めるため、富士通の職員をCIO(最高情報責任者)として雇い入れていた。情報の部門は非常に高い専門性が求められるため、愛知県の職員もクラウドをはじめ非常によく勉強しているとは思うが、改めて、県はCIOについてどのように考えているのか伺う。
14:【情報企画課長】
全国の都道府県では、CIOについて、外部の専門家を任期付きで採用しているところが相当数あり、その役割には、CIOとCIO補佐官の2種類ある。
近県では、三重県が情報主管課の中にCIO補佐官を置き、仕様書の作成や開発費の積算などを行い、部局の情報化を支援している。愛知県では三重県のようにCIO補佐官を置くのではなく、「情報システム適正化支援事業」としてシンクタンク系の業者に、仕様書の作成や積算など、県職員ができない作業を外部委託することで、同様の仕組を作っている。
もう一つは、岐阜県のように部の次長級、または一部の都道府県のように副知事級の職員等をCIOとして置くものであり、この場合は、知事の近くにいて、トップダウンで情報化を推進する役割を果たしている。
本県としては、情報化というのはあくまで手段であり、目的となってはいけないという考えがある。また、CIOは任期付きのため、任期のうちに目立つ情報化を進めようとして、全国の先頭を切るような格好が良いことをやりはじめるなど、情報化自体が目的となってしまう場合が多く見られる。また、情報主管課とCIOとの役割分担が難しく連携がうまくいかない、財政当局との調整が問題となるなどの話も多く聞いている。
したがって、現時点ではCIOを置くことは考えていないが、しいて言えば、本県では、あいちIT活用推進本部が最高機関であり、様々なことを決定しているので、その本部長である知事がCIOの任にあると言える。
15:【小島丈幸委員】
いろいろな活用の仕方やいろいろな方法があり、県としては、今のところCIOを置く考えがないことは分かった。
しかしながら、今回の電子入札システムの不具合に関して、専門家がいた方が良かったのではないかと思う部分もある。情報システムの漏えいがあったり不具合があったりすると情報が全て出て行ってしまうので、個人情報の保護が取り沙汰される昨今、そうした情報を取り扱う情報主管課として、今後とも厳しい目で取り組むよう、お願いする。
16:【稲垣昌利委員】
県は、動画を活用した様々なPRを行っており、ホームページもこの半年でコンテンツが増えて、見やすくなっている。その中で、ヤフーにも取り上げられた「知多娘。」は、知多半島の5市5町の特徴を生かしてキャラクター化したもので、公開から5か月で17万アクセスに達し、大変話題になった。この「知多娘。」は、NPO法人が地域の若者の就労支援の活動の中で、「知多みるく」というPRキャラクターを作ったところから始まったものと聞いている。
まず、この「知多娘。」の現在の状況を伺う。
17:【情報企画課主幹(情報企画)】
「知多娘。」の動画は、昨年度、県がインターネット動画による地域情報の発信を促進するために、いくつか作成した動画の一つである。NPO法人が考案した、知多半島の5市5町の御当地キャラクターである「知多娘。」を活用した動画「デート de 知多あるき」を作成し、今年の4月1日から配信したところ、新聞等で紹介され、現在までの半年間で28万件を超えるアクセスがあり、非常に多くの人が見ている状況である。
これは、新聞やテレビでの報道のほか、インターネットの情報サイトで紹介されたことをきっかけに、ツイッターやブログサイトなどのソーシャルメディアを通じて、この情報が幅広く伝わり、非常に大きな反響があったと考えている。
18:【稲垣昌利委員】
「知多娘。」は、先週のNHKの番組でも、中継で取り上げられていたが、県が行うPRとしては珍しく、堅苦しくなく、知多半島をよく知る者から見ても、良く特徴をつかんでいるという印象を受ける。
知多半島では「知多娘。」を生かして様々な取組が行われているが、取組の広がりの状況について伺う。
19:【情報企画課主幹(情報企画)】
動画や「知多娘。」を活用した取組は、いろいろな分野に広がっている。例えば、地元のケーブルテレビでは動画を1か月間放送し、名古屋鉄道では、金山駅のコンコースで、動画の声を担当している声優によるイベントを開催すると同時に、改札口に設置されているモニターで半月間、動画の放映を行い、名鉄タクシーでも車内のモニターで放映を行った。
また、知多半田駅前のビジネスホテルでは、「知多娘。」の特典付きの宿泊プランを8月に設定したところ、多くの人が利用しており、半田市の酒造メーカーでは、「知多娘。」の声優と一緒に行う「日本酒講座」を開催したところ、非常に好評であったと聞いている。
このように、地元企業なども、積極的に「知多娘。」を活用した様々な取組を始めているので、今後もこうした取組が地元に広がっていくことを期待している。
20:【稲垣昌利委員】
県のホームページでは、様々な事業や施策を動画を利用して映像で伝えているものが多く見られ、文章やパンフレットを読むより分かりやすく、いい活用方法である。ネット動画を活用して地域をPRしていく取組を進めることが大切だと思うが、動画の活用方法について、今後どのような取組を考えているのか。
21:【情報企画課主幹(情報企画)】
地域振興部では、県だけでなく、市町村、観光団体、農協、NPOなど、地域全体でネット動画の活用を推進していく取組として、ホームページにも掲載している「PLAY!AICHI プロジェクト」を推進している。
具体的には、昨年度、「知多娘。」の知多半島を始めとして、リニモ沿線、奥三河、佐久島の県内4地域において、見本となるモデル動画を日本語版だけで35本制作し、県の各部局や市町村などによる動画づくりの参考にしてもらう取組を行った。
また、動画の発注方法を分かりやすく解説した「動画活用マニュアル」を作成し、動画制作に関心を持っている各部局や市町村に配布して、動画製作の参考にしてもらった。こうした取組により、各部局や市町村などからは、動画を制作したいという問い合わせも増えてきている。
また、今年度は、AR(拡張現実)という新しい情報通信技術を活用して、スマートフォンを通じた動画視聴のモデル的な事業に取り組む予定であり、今週末に行われる「いきもの交流フェスタ」では、愛知の身近な野鳥の動画や画像、解説文をオアシス21及びセントラルパークにおいて、スマートフォンで見ることができるようになった。
また、制作した動画を多くの方々に視聴してもらう取組も必要だと考えており、県のホームページの動画ギャラリーの充実や、企業との連携など様々な手法を駆使しながら、動画を活用した地域PRを促進していきたいと考えている。
22:【稲垣昌利委員】
携帯メーカーもスマートフォンに移行しているので、それを早速利用するのは良いことだと思う。また、県により佐久島で展開されたゲームアプリケーションソフトである「ミッション in 佐久島」についても、好評であったと聞いている。
最後に要望であるが、動画やスマートフォンなど情報端末の利用について、例えば、佐賀県の武雄市では、市のホームページをフェイスブックに移行したと聞いている。フェイスブックは知事も議員も活用しており、そういう新しいメディアや端末に対応した、時代に合ったPR、おもしろい取組を今後も進めていただきたい。
23:【石井芳樹委員】
あおなみ線について質問する。名古屋臨海高速鉄道株式会社は平成16年10月に開業し、平成22年7月に、経営悪化を理由に事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)を申請し、現在経営再建が進められているところである。愛知県は同社の筆頭株主ではないが、出資割合は11.4パーセントで、約18億円の出資と約42億円の貸付けを行っている。
このような状況に陥ったのは、リニモの時と同様に、需要予測と実績値のかい離が原因である。リニモでは、当初1日あたり3万1,500人の乗客を見込んでいたが、実績は大きく下回った。
あおなみ線においても、平成9年の免許取得時には、1日あたり8万3,000人の乗客を見込んでいたが、運賃許可時には下方修正し、1日あたり6万6,000人を見込んで開業した。しかし、平成16年度の実績は、1日あたりわずか1万8,000人という状況であった。桃花台線やあおなみ線、リニモなど、本県の鉄道事業において、なぜ需要予測と実績に大きなかい離が生じたのか伺う。
24:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
需要予測については、予測実施時点において採用可能であった最新の技術手法や知見の中で適当と判断し実施したもので、リニモやあおなみ線の需要予測の手法自体に問題があったという認識はない。
しかしながら、需要予測を実施した後の人口の動向、経済動向等の社会情勢の変化によって、結果的にかい離が生じてしまったことは、課題であると認識している。
あおなみ線については、金城ふ頭地区の開発に伴う集客施設の需要の増加や、沿線住民、事業所従業員の利用が期待どおりに進まなかったことが大きな原因と聞いている。
25:【石井芳樹委員】
過去にも県議会において同様の質問をした議員がいたが、その時も今と同じ答弁を繰り返しながら、数字だけがかい離してきている。この鉄道を作りたいから、そのためにはこれぐらいの乗客数が必要なので、このような需要予測の数字を作ったのでは、と勘ぐってしまう。これは誰が責任をとるのか。責任の所在が不明なままに税金が投入され続けているので、最初の需要予測は細心の注意を払って行われなければならない。
あおなみ線は、第二次の支援策の中で、平成31年度までに1日あたり3万2,800人の乗客数を予定している。平成22年度の見込みは1日あたり2万8,095人であり、平成23年度は3万500人が計画予定になっているが、平成23年度及び将来の目標達成の見込みを伺う。
26:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
平成22年度の乗客数は、1日あたり2万8,220人で、事業再生計画の目標値である2万7,500人を上回った。平成23年度についても、平成23年4月から8月の実績において、1日あたりの乗客数が3万730人であり、事業再生計画の目標値である3万500人を上回っており、3月14日にオープンしたリニア・鉄道館の効果や名古屋市の利用促進事業の効果もあるので、今年度も目標を達成できると考えている。来年度以降についても、平成24年度は1日あたりの乗客数で3万1,700人という目標を立てているが、達成できるように努めると聞いている。
27:【石井芳樹委員】
私は、鉄道は公共交通であるので、必ずしも黒字であれば良いという立場ではなく、時には県費や市町村費により支えていかなければならないことは理解できるが、余りにも計画と実績が違ってくると、計画は大丈夫なのかという思いがある。あおなみ線については、平成16年に開業して、平成17年に第一次の経営支援策が発表されたが、その支援策の中では平成22年度までに1日あたりの乗客数を3万5,000人にするという目標を立てたが、実際にはその目標を達成できないまま第二次事業再生計画を作っている。計画は、しっかりと見直しながら、過去のデータも踏まえて細心の注意を払って作ってもらいたい。
次に収支について、名古屋臨海高速鉄道株式会社の会計において、平成21年度に413億円の特別損失を計上し、過去から累積損失額が膨らんでいるが、具体的にどういうことか。
28:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
平成21年度に需要予測の見直しを行った結果、平成31年度の1日あたりの乗客数の見込みが3万2,800人であり、当初の需要予測6万6,000人が達成できないことが判明したことから、投下した資本の回収不能が発生した。その結果、実勢価格に合わせた資産評価を行い、大幅な資産価値の低下に基づく減損処理を行った結果、413億円の特別損失を計上するに至った。
29:【石井芳樹委員】
今後、県の現金の出資、いわゆる損失補てんが計画の中であり得るのか伺う。
30:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
平成22年度に策定した事業再生計画では、1日当たりの乗客数を3万2,800人と下方修正したことによって、債務超過や資金不足といった二次破綻をすることがないような財務基盤の確立が大きな柱となっている。
具体的には、建設時の長期借入金を会社経営から切り離し、資本の強化を図るとともに、営業収益でランニングコストを賄い、自立的かつ持続的に運営を行い、3年程度で債務超過の解消及び経常損益の黒字化を目指すことを重点として掲げている。
現在のところ、この事業再生計画に沿って順調に事業が進捗していることから、更なる出資については全く考えていない。
31:【石井芳樹委員】
JRを始めとした民間の株主について、県や名古屋市の経営支援の際に、DES(債務の株式化)や現金出資などの対応は行ったのか。
32:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
事業再生ADRにおける経営支援は、名古屋市が主体で県も協力してやってきており、民間企業にも増資等の協力を依頼はしたが、経済情勢などから協力をしてもらえなかったと聞いている。したがって、民間からの借入れのDESや現金出資は行っていない。
なお、事業再生ADR実施前の民間からの貸付けは、日本政策投資銀行からのみである。
33:【石井芳樹委員】
株式を保有していれば、会社が黒字の場合には価値が上がり配当を受け取れる。民間の株主は、利益は享受するが赤字になった場合には関与せず、一番都合が良い投資の状態になっている。やはり、利益を受け取る以上は、債務が膨らんだ場合には民間にも責任を持ってもらうべきであり、その話は最初に出資してもらう時に、県と市から言っておくべきではないか。景気が悪いから民間は関与せず、その補てんを税金で行うのでは話が通らない。今後も民間には出資の意味について話をして、少しでも支援をしてもらえるよう、お願いをしてほしい。
桃花台線の時は、経営が苦しくなった時に値上げをした結果、更に乗客数が減ることとなったが、あおなみ線は値上げをする予定はあるか。
34:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
値上げの予定は全く聞いていない。
35:【石井芳樹委員】
次に組織について聞く。開業当初と比べて、名古屋臨海高速鉄道株式会社の社員数の増減はどのようになっているか。また、プロパー化とその給与体系はどうなっているか。
36:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
平成23年10月1日現在の名古屋臨海高速鉄道株式会社の職員数は151名で、そのうち名古屋市及び鉄道会社からの出向者は42名、嘱託員を含めたプロパー職員は109名なので、プロパー率は72.2パーセントとなる。なお、プロパー職員の給与体系は年齢、勤続年数、役職により決定する会社独自の給料表に基づいている。
また、事業再生計画により、本年度から期末手当の支給割合を引き下げている。
37:【石井芳樹委員】
出向社員については、名古屋臨海高速鉄道株式会社が、出向元にいるのと同じ給与を払っているのだと思うが、黒字会社ならまだしも、経営が苦しい中で、民間からの追加出資もないのに、民間からの出向社員の給与を満額払うのはどうなのか。愛知高速交通株式会社と同様に、プロパー職員より多い部分の給与については、出向元で払ってもらうべきではないのか。
38:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
現在、出向元の負担はないため、今後そういったことについても話をしていく。
39:【石井芳樹委員】
役員構成については、第二次経営改善計画により開業当初と比較してスリム化されたが、役員報酬はどうなっているのか、過去から減額はしているのか。
40:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
平成22年度の事業再生ADR実施により、役員数を13名から10名に減らすとともに、代表取締役社長を名古屋市OBから民間出身者へ交代するなど、経営体制の見直しを行った。役員も、当事者意識の強い関係者であり、なおかつ実務レベルにある者で構成をし直し、現在有効に機能している。
また、第一次経営改善計画の実施にあたっては、役員報酬のカットを5パーセントから10パーセントの間で実施している。
しかし、役員報酬については、社長が名古屋市出身から民間出身者に変わったこともあり、それぞれの出身母体に応じた適正な額を設定していると聞いている。
41:【石井芳樹委員】
第一次経営改善計画では、人件費を1億7千万円、経費を1億9千万円削減するとしているが、その目標は達成したのか。
42:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
第一次経営改善計画に基づく削減状況について、平成17年度決算と平成22年度決算を比較すると、人件費は、第一次経営改善計画を上回る3億2,600万円の大幅な削減ができた。経費については、2,300万円増加している。これは平成22年度に事業再生ADRを実施したため、これに要する経費が大きかったものであり、この経費を除くと、7,200万円程度の削減であり、達成率は37.7パーセントと低いが、事業再生ADRを実施したということで御理解願いたい。
43:【石井芳樹委員】
今後も削減に努めてもらいたい。
愛知県と名古屋市で様々な問題に関して話し合う機会はどの程度あるのか。
44:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
取締役会の回数を増やし、それに伴って実務者レベルの会議も増えており、その中で会社の経営について県の意見を言っている。
45:【石井芳樹委員】
今後、県としてどう関わっていくのか。
46:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
県と名古屋市と名古屋港管理組合で「あおなみ線沿線活性化協議会」を設けており、毎年「あおなみ線ツアーズ」などの事業を実施し、活性化に寄与している。また、名古屋市では「あおなみ線活性化協議会」という産学行政などによる会議を行っており、県も参加している。更に、中部運輸局が主導的に関わり、「観光・鉄道・みなと連携推進会議」により観光振興と利用促進を兼ねた事業を実施しているため、県もそれらに積極的に協力して、あおなみ線の利用促進に努めたい。
47:【石井芳樹委員】
頑張っているのはわかるが、くれぐれも今度は計画値の3万2,800人を下回ることのないようにお願いをする。
次に9月に「リニモ・愛環沿線活性化特区」を国に申請したと聞いたが、これは昨年7月に申請したものと違うのか。
48:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
今回申請したものは、昨年度アイデア募集の際に申請したものとは別のものであり、昨年度の申請はアイデア募集であるため、採択、不採択といったものではない。
49:【石井芳樹委員】
今回の申請には、ICカードシステム導入に対する支援が入っているが、リニモも地下鉄と同じマナカカードに一元化できれば、券売機で切符を買う手間が省け、足の不自由な人を始めとした障害を持っている人にも、もっと使い勝手がよくなる。
設備投資に金がかかるのは重々承知しているが、この補助金がもらえればリニモのICカード化につながると思うが、この特区の見込みはどうか。
50:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
今回の提案にはICカードシステム導入支援を盛り込んでいるが、まだリニモのICカード化を決めたわけではない。導入にあたっては、初期投資に10億円、維持費に年間1億円かかり、すぐに意思決定をすることはできないため、少しでも軽い負担でICカード化ができるような環境整備を進めるために提案したものである。
特区の今後の予定であるが、11月中旬を目途に1次審査があり、それを通過できればプレゼンテーション審査に臨むことになるので、まずは、1次審査の結果を待ちたい。
なお、初期投資費用及び維持費については概算であるため、今後ハード及びソフトの仕様をしっかりと精査し、経費の算出を行うこととしたい。
51:【石井芳樹委員】
今回の申請は、昨年の申請よりも現実的な内容であると思う。今後も補助制度があるものは国へ要望し、県内全ての鉄道の活性化のために努めていくよう要望する。
52:【半田晃士委員】
県が推進している「エコ モビリティ ライフ」の内容と参加企業について伺う。
53:【交通対策課主幹(地域公共交通)】
「エコ モビリティ ライフ」、略して「エコモビ」は、日頃の交通行動を、クルマ、公共交通、自転車、徒歩などをかしこく使い分けるライフスタイルに変えていこうというものであり、本県では、これを県民運動として展開することを目指している。
平成20年度に「あいちエコモビリティライフ推進協議会」を設立し、交通事業者、教育団体、経済団体など160の団体等に参加してもらい、啓発活動を行ったり、エコ通勤・エコ通学への転換を進めている。また、毎月第1水曜日を「エコモビの日」と定めて、PRに取り組んでいる。
54:【半田晃士委員】
「エコモビ」に関して、例えば名古屋の市バスは、路線図等を見ると、利用者にとって非常に分かりづらく、行き先のバス停名もなじみのない場合がある。また、大型バスにより少ない本数で運行されており、ダイヤも時間ごとにばらばらである。
「エコモビ」の目的が、交通行動を工夫して、できるだけ二酸化炭素の排出が少ないように生活していくことであるのならば、例えば市バスについて、地下鉄の駅を中心に、小型バスを15分間隔で循環あるいは放射状に運行するなどして、利便性の向上を図り、使いやすい公共交通の整備を行うことを提案してはどうか。
55:【交通対策課主幹(地域公共交通)】
「エコモビ」の推進にあたり、使いやすい公共交通は重要な観点であると考えている。そのため、「あいちエコモビリティライフ推進協議会」には、公共交通の担い手である交通事業者も構成メンバーになっており、協議会の活動を通じて、公共交通の維持、充実や利用促進に取り組んでいる。
また、本県としては、主な民間の交通事業者とは、個別に意見交換の機会を設けているほか、市町村がそれぞれ設置している公共交通の維持、整備に関する会議に委員として参画しており、名古屋市については、市内の交通に関する総合的な指針である「なごや新交通戦略」や、その推進に向けた協議会等に、本県も構成メンバーとして参画しているので、そうした様々な機会を捉えながら、必要に応じて、市バスも含め、利用者の立場に立った公共交通の利便性向上について働きかけていきたい。
56:【半田晃士委員】
名古屋駅や栄といった名古屋市中心部には、駐輪場が余りないため、市民が自転車を利用して「エコモビ」を実践しようと思っても難しい状況にある。県内の駐輪場について「エコモビ」の観点から、整備を推進する提案はできないのか。
57:【交通対策課主幹(地域公共交通)】
平成22年10月現在、県内の自転車駐輪場は、公営、民営あわせて1,402か所、35万台分あり、うち名古屋市内には523か所、12万台分設置されている。
県としては、ハード整備は基本的に市町村で対応してもらい、放置自転車対策の啓発などについて、市町村と連携して取り組んでいる。
58:【半田晃士委員】
カーシェアリングについて、「エコモビ」の中で推進を検討しているのか。
59:【交通対策課主幹(地域公共交通)】
カーシェアリングは、「あいちエコモビリティライフ推進協議会」の会員企業の関連会社で取り組んでいるところもあり、「エコモビ」の取組の一つと考えているので、「エコモビ」の啓発の中で、カーシェアリングについてもPRしていきたい。
60:【半田晃士委員】
ICカードを活用して、地下鉄と市バスを乗り継ぐ際に割引をしたり、1枚のカードで地下鉄、市バス、駐輪場、カーシェアリングを利用できるようにするなど、公共交通の利用を喚起する工夫を行ってはどうか。
また、「エコモビ」の取組に期限の設定はないと思うが、効果を上げることは重要だと思う。今後の「エコモビ」の取組について長期的な考え方を伺う。
61:【交通対策課主幹(地域公共交通)】
「エコモビ」の取組については、平成20年度から始めてまだまだ県民に浸透していない状況なので、まずは「エコモビ」を知ってもらうことから始め、息の長い取組として推進していきたい。