県政報告
(主な質疑)
- 1:(主な質疑)
《議案質疑》
【島倉 誠委員】
第3款地域振興費、第1項地域振興総務費、第2目計画調査費、「身近でやさしい民主主義」推進費について、高浜市のような手法を想定しているのか、あるいは、名古屋市の地域委員会のような手法を想定しているのか伺う。
- 2:【地域政策課主幹(地域振興)】
市町村によって、これまでの地域活動等の状況は様々であると思われるので、市町村がそれぞれの実情にあった手法を考えてもらえればよいと考えている。
- 3:【島倉 誠委員】
この事業は何か年を計画しているのか。また、申請件数はどれくらいを想定しているのか。更に、申請件数が多数ある場合は、予算を補正して増額するのか。
- 4:【地域政策課主幹(地域振興)】
この事業はモデル事業であるので二・三年程度を予定している。また、申請件数は1年当たり3件程度を想定している。更に、申請が多数あった場合の対応については、その活動が地域住民の結束力を高めるものかどうかなど、取組の効果が十分見込まれるかを慎重に審査して採択していきたい。
- 5:【島倉 誠委員】
申請が多数の場合は、3件程度で締め切るということでよいか。
次に、この事業の成果を各地域の活性化につなげていくためには、新しい住民組織の立ち上げだけでなく、既存の住民組織の活動自体に対しても助成すべきではないかと考えるが、この点については、どのように考えるか。
- 6:【地域政策課主幹(地域振興)】
申請が多数の場合に補正することは、現時点では考えていない。
また、県としては、当面、地域づくりを担う住民組織の立ち上げや運営に要する経費を補助対象とする枠組みで制度を進めたいと考えている。
- 7:【島倉 誠委員】
3年間は住民組織の立ち上げを支援していくということであるが、できれば事業についても何らかの形で後押しすることを十分検討するよう要望する。
- 8:【安藤としき委員】
「身近でやさしい民主主義」推進費について関連して伺う。県は、なぜ今、新たな住民組織を立ち上げ県内に広めなければならないと思い立ったのか。また、この事業について、県はどの範囲までを想定して広めていくのか伺う。
- 9:【地域政策課主幹(地域振興)】
新たな住民組織を立ち上げなければならないと思った理由であるが、町内会のような小さな住民組織を連合したような組織を作ることで、狭い範囲ではなかなかできなかった事業ができるようになったり、マンパワーが増えたり、世代を超えた連携もできるようになったりというような利点があることから、こうした新しい取組を市町村に紹介し、支援していくためである。
また、どの範囲までということであるが、既存の地縁組織がしっかりしていて地域活動が活発に行われている地域には、必要はないと考えている。
- 10:【安藤としき委員】
今回の事業については、県は市町村の半数くらいに広めて地域力を高めていくことを目指しているのか。それとも、市町村の実情に合わせてやってもらえればよいというスタンスなのか。
- 11:【地域政策課主幹(地域振興)】
あくまでもモデル事業であるので、こうした仕組みを必要としている市町村に広がっていくことを期待しているが、現時点では半数に広げることは想定していない。
- 12:【安藤としき委員】
先行事例には成功した例もあればそうでない例もある。地域力を高めるということであれば、まずは少しずつ広めていくような形で、長い目で応援してもらえると市町村も喜ぶのではないかと考えるがいかがか。
- 13:【地域政策課長】
この事業の推進によって、地域に混乱を招いたり既存の組織と新しい組織に摩擦が生じてしまっては本末転倒であるので、事業採択に当たっては慎重に進めていくとともに、市町村への啓発については、いろいろな事例を紹介していきたい。また、今後の取組については、モデル事業終了後に検討していきたい。
- 14:【石井芳樹委員】
先進事例である高浜市においては、既存の組織と立ち上げた組織との調整が様々な面で難しいといった課題や、立ち上げた組織でマンパワーが増えていないという課題等があったと聞いている。今回、県は高浜市をモデルにした事業を実施しようとしているが、高浜市の事業内容をしっかり調べているのか。
- 15:【地域政策課主幹(地域振興)】
先行事例として、高浜市、知多市、豊田市を挙げたものであり、高浜市をモデルとしているわけではない。また、先ほどマンパワーが増えると申し上げたのは、狭いエリアから広いエリアに区域が拡大した場合の一般論を申し上げただけである。
- 16:【石井芳樹委員】
いたずらに二・三年やってやめるのではなくて、二・三年を一つの目途として、更なる支援を行ってもらうとともに、既存の組織との調整は慎重に行ってもらいたい。
- 17:《一般質問》
【稲垣昌利委員】
佐久島航路は、通勤、通学、通院に利用する生活航路として島民の生活基盤を支えるとともに、今後の佐久島の活性化においても大事な一翼を担う交通インフラである。ところが、最近は島の過疎化による利用者減少や燃料代の高騰により航路の維持が難しくなってきている。
そこで、航路事業者や利用者の負担を減らし、離島における交流人口を増やしていくため、県はどのような施策を考えているのか伺う。
- 18:【地域政策課主幹(地域振興)】
離島航路については、離島の振興、交流人口の増大になくてはならない基盤であると考えている。佐久島航路は、昭和43年から離島航路整備法に基づく離島航路に指定され、国、県から運営費の助成を受けており、平成22年度には利用者の増加、経営努力により初めて黒字化を達成したと伺っている。なお、平成23年度から、国の離島航路補助制度が地域公共交通確保維持改善事業として制度改正されている。県としては、制度改正に対応して新たに設けられた西尾市の離島航路協議会に参画しており、今後とも中部運輸局や建設部と連携して航路維持に努めていきたいと考えている。
- 19:【稲垣昌利委員】
制度が改正されたことによって、これまでよりも補助が手厚くなるのか。反対に自分たちでやっていきなさいということになるのか。どういう方向で制度の改正が行われるのか伺う。
- 20:【地域政策課主幹(地域振興)】
今回の改正は、離島航路補助だけでなく地域公共交通に関する制度全体が改正されているものであり、国の予算はかなり増額されている。また、改正に伴い協議会の設置が義務付けされており、県はこれに参画して島の住民の代表の方とどうしたら航路の維持ができるのか議論を行っている。
- 21:【稲垣昌利委員】
佐久島では、アートによる島おこしとして、三河・佐久島アートプラン21が平成13年度から展開されているが、この事業は、もともと島にある貴重で独特な資源やお金で買えない残された自然環境などとアートを融合させて、オンリーワンの島づくりを島民の方々と協力して実施しているものである。しかし、この事業費は毎年1,200万円程度とかなりの負担となっている。そこで、こうした事業に対して、県は今後どのように支援していくのか伺う。
- 22:【地域政策課主幹(地域振興)】
佐久島では、三河・佐久島アートプラン21を始めとして、様々な文化事業が展開されていると承知しているが、県は、そうした島の文化的な魅力、自然の魅力を広く伝えるため、平成21年度より「あいちの離島PR大作戦」と称して、駅やイベント会場での観光リーフレットの配布等の街頭キャンペーン、あいちの離島PR大使によるイベント、テレビ・ラジオによる広報などを実施している。今年度も、「あいちの離島情報発信事業」として、離島のPR事業を実施して離島の魅力を更に発信していきたい。いずれにしても、関係部局とも連携しできる限りの取組を実施していきたい。
- 23:【稲垣昌利委員】
篠島では、老朽化して撤去できない展望台など自然環境を破壊したようなものが残っている。すぐには改善できないと思うが、生活する者にとっては不便なものである。今後の課題として認識してもらいたい。
- 24:【寺西むつみ委員】
1点目として、「エコ モビリティ ライフ」の啓発・普及について伺う。本県では、CO2削減を目標にした新しいライフスタイルの提案として「エコ モビリティ ライフ」という啓発活動を行っていると伺っている。この活動を始めて3年が経過したと聞いているが、この活動の中で、成果や評価に値することがあれば教えてほしい。
- 25:【交通対策課主幹(地域公共交通)】
「エコ モビリティ ライフ」略して「エコモビ」は、日頃の交通行動に関して、クルマと公共交通、自転車、徒歩などを賢く使い分けるライフスタイルに変えていこうとするものである。本県では、これを県民運動として展開することを目指している。
「エコモビ」は、これまで3年間の取組があり、平成20年7月に、県内の幅広い団体が連携して「エコモビ」の推進に取り組む組織として「あいちエコモビリティライフ推進協議会」が設置され、この協議会を中心に、エコ通勤・エコ通学への転換の促進、パーク・アンド・ライドの普及・拡大、公共交通の利用促進を進めてきた。
その成果と評価であるが、こうした取組を通じ、協議会の構成員は、設立当初の130から現在160にまで増加している。それぞれの構成員においては、「エコ通勤デー」運動などの取組も行っており、「エコモビ」の取組は、徐々にではあるが、広まりつつあると考えている。
また、「エコモビ」の県民への浸透についてであるが、「エコモビ」の認知度を聞いたアンケート結果では、「エコモビ」を「知っている」あるいは「聞いたことがある」との回答が5割になるといった数値も出ているが、一般の県民にはまだ十分に浸透しているとは言えないと認識しているので、今後、一層の取組を進めていきたいと考えている。
- 26:【寺西むつみ委員】
今年に関して具体的な計画が決まっていれば伺いたい。
- 27:【交通対策課主幹(地域公共交通)】
「エコモビ」の今年度の取組については、県内の地域団体による「エコモビ」の取組を支援するモデル事業を引き続き実施する。また、県民を対象に、「エコモビ」をテーマとした絵日記やフォトエッセイといった具体的な体験談を募集する事業も新たに行っており、昨日から募集を始めたところである。
更に、これまでのPRキャンペーンを一層充実していくとともに、今年度の新たな取組として、協議会の構成員だけでなく、広く県民の参加を募って、「エコモビ県民の集い(仮称)」を11月上旬に開催することを予定している。
- 28:【寺西むつみ委員】
「エコ モビリティ ライフ」というキーワードは、愛知県独自で考え出した言葉と伺っている。広く県民に意識改革を図るという意味で、チャレンジングな課題ではあるが、こうしたイベントを続けてほしい。
次に、本県の国際交流の現況について伺う。本県においては、海外の友好提携先等とどのような交流が行われているか伺う。
- 29:【国際課主幹(渉外・交流)】
本県は、海外の友好提携先であるオーストラリア・ビクトリア州及び中国江蘇省と、それぞれ30余年に渡り交流を行い、強い信頼関係を築き上げてきた。最近は単なる友好親善にとどまらず、平成20年には、江蘇省との間で経済連携を強化する合意書に調印し、これに基づく進出企業支援や環境技術協力、観光客誘致等を行っている。また、ビクトリア州とは、昨年、友好提携30周年を記念して知事がビクトリア州を訪問した際に、芸術文化交流に関する覚書に調印し、芸術文化交流を一層推進することとしている。
- 30:【寺西むつみ委員】
芸術文化交流としては、具体的にはどのような交流が図られているのか。
- 31:【国際課主幹(渉外・交流)】
県の関係機関や団体、例えば、県立芸術大学と南京芸術学院、愛知芸術文化センターとビクトリアン・アーツ・センターなどが独自の交流を積極的に行っているところである。
- 32:【寺西むつみ委員】
今後の国際交流を進めるに当たっては、例えば、既存の施設で姉妹提携をするなど、プラスアルファで大きな予算をかけずに、これまである県内の資産を棚卸しして再編集することによって、新たな国際交流の切り口を見出すという考えもあるということでいいか。
- 33:【国際課長】
機関同士の国際交流ということであるが、国際課としては、例えば、機関同士の連携のアイデアや提案があれば、これまで培った国際交流のノウハウや既存のネットワークを活用しながら、積極的に働きかけを行っていきたい。
- 34:【寺西むつみ委員】
国際交流には戦略性と継続性が大切だと考えるので、ぜひ途切れることなく行ってほしい。
最後に、人的資産による国際交流について伺う。スポーツの世界には、メジャーリーガーのイチロー選手、フィギュアスケートの安藤美姫選手や浅田真央選手、柔道では「LOVEあいちサポーターズ あいちスポーツ大使」になった谷本歩実選手、陸上ではハンマー投げの室伏広治選手など、愛知県にゆかりのある方々がいる。また、学問の世界では名古屋大学の野依特任教授、経済界では世界に冠たる一流企業であるトヨタ自動車やソニーの創業者なども愛知県にゆかりのある方々である。こうした世界で既に活躍している愛知県にゆかりのある人材を活用して国際交流を行うことについては何か考えているか。
- 35:【国際課長】
国際課では、国際的な親善大使の委嘱は特に行っていないが、委員から例示があったように、知事政策局において、本県出身の著名人の方々に「LOVEあいちサポーターズ」とか「あいちスポーツ大使」としてPR活動の委嘱を行っている。これは、親善大使と同趣旨と思われるので、既存の手続部門とも相談しながら、そうしたことができるかどうかについて検討していきたい。
- 36:【寺西むつみ委員】
世界をリードする多くの愛知県人がいるということは、これから世界に飛び立とうとしている若者の勇気付けにもなると思うので、大いにこういった人的資産を活用することを要望する。
- 37:【半田晃士委員】
愛知県においては、様々な地域・分野での国際交流が進展している。愛・地球博以降、市町村ではフレンドシップ事業という国際交流事業が進められていると聞いているが、この現況と来年以降のプランについて伺う。
- 38:【国際課長】
フレンドシップ事業は、地域における国際交流を定着させるため、平成19年度から、「愛知万博基本理念継承発展基金」を活用して、各市町村がフレンドシップ相手国等との間で進めてきた国際交流事業である。各市町村においては、例えば、相手国の子供たちとの相互交流の実施や、国際理解を深めるためのセミナーの開催など、地域に根差した数多くの取組が実施されてきたところである。
次に、今後についてであるが、フレンドシップ事業は5年間の事業であり、今年度が最終年度となる。現在、この事業の成果について市町村からアンケートを取っている。今後の取組については、事業の検証を行いつつ、市町村の要望も聞いて検討していきたいと考えている。
- 39:【半田晃士委員】
最近の若者は、海外に目を向けるのではなく、内向きのことばかり考えているということが一般的に報道されているが、留学生の交流等の現在の状況について伺う。
- 40:【国際課長】
留学生の状況であるが、日本学生支援機構の調査によると、海外からの留学生は、平成22年5月現在で約14万人と過去最高になっている。これに比べて、海外で学ぶ日本人については、文部科学省の調査によると、平成16年の約8万3,000人をピークに、平成20年は約6万7,000人と約2割の減少になっている。特に米国への留学生については、中国やインドからの留学生がここ10年で倍増したのに対して、日本からは、平成9年の約4万7,000人をピークに平成21年は約2万5,000人とほぼ半減している。こうしたデータからも若者の海外志向が低下しているのではないかと思っている。
- 41:【半田晃士委員】
知事が訴えている世界と闘える愛知・名古屋ということからすると、やはり愛知・名古屋が率先して国際的な人材育成のための交流を活発にしていくべきであると思うので、ぜひ来年度に向けて積極的な交流を進めるためのアイデアを検討してほしい。
- 42:【石井芳樹委員】
リニモについて伺う。県はリニモに対して44.7パーセントを出資し、あおなみ線にも11.7パーセントを出資している。昨年、あおなみ線は経営破たんしたが、県は39億余円の貸付金の株式化を図るなど、多額の負担をしている。桃花台線、リニモなど本県の鉄道事業における需要予測は甘かったと思う。これらの予測は、外部委託で実施されており、リニモの場合も指名競争入札によって1社が選ばれているが、この業者は桃花台線、愛知環状鉄道と同じ業者であった。万博後におけるリニモの1日当たりの利用者数は、平成18年では1万3,737人であり、これは当初の需要予測の半分にも達していない。なぜ、このような大幅なかい離が生じたのか。
- 43:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
リニモの需要予測については、平成12年の特許申請時の計画では、平成17年度に1日当たり約3万1,000人の利用を見込んでいたが、平成22年度の実績である1万7,825人との比較では、約6割程度となっている。この予測については、需要予測当時における最新の技術手法等によって実施したが、結果的に、公共交通分担率の低下、スクールバスの乗降場がリニモ駅に変更されなかったことやリニモ駅のバスターミナル化が実現できなかったことなどから誤差が生じたものである。こうしたかい離が生じたことを重く受け止め、現在進めている経営安定化策においては、沿線開発の進展に伴う定住人口や通勤・通学、施設利用等の交流人口の増加を慎重に予測し、利用者数が平成40年度に1日当たり2万5,000人程度になると見込んでいる。
- 44:【石井芳樹委員】
平成23年1月に発表された県の包括外部監査の結果報告書によれば、需要予測に対する実績や、予測値と実績値のかい離の原因を県民に対して報告すべきと書かれているが、どのように考えているのか。また、今後かい離が出た場合にはどう対応するのか。
- 45:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
県では、包括外部監査の結果に対応して、各年度の利用者の見込みと実績、当初の需要予測とのかい離について、交通対策課のホームページできちんと公表している。また今後、見込みが外れた場合については、しっかり精査して分析を行い、将来的なかい離が生じないようにしていきたい。
- 46:【石井芳樹委員】
現在の予測については、1日当たり3万1,000人とした当初予測が、経営安定化策を策定する際に減らされたものであるが、これは守られるべき最低限のラインだと思っている。経営支援を実施している沿線市町も、利用者数の実績に注目しているので、予測を下回らないように、危機感を持ってもらいたい。そこで、現在の予測では、平成40年に2万5,000人になるとしているが、達成できるのか、また、その根拠はどうやって積算されたものなのか伺う。
- 47:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
利用者数の実績については、平成22年度は1日当たり1万7,825人であり、経営安定化策における見込みの1万7,700人を上回っている。また、利用状況とともに重要な要素である経営状況を見ても、当面の目標としていた減価償却前の営業損益の黒字化を21年度に2,500万円、22年度に1億500万円達成しており、順調に推移している。また、23年度は、1日当たりの利用者見込みを1万8,100人としているが、4、5月の実績では、前年同期比で3.9パーセント増加と順調に推移しており、見込みを上回ることはできるものと考えている。経営安定化策における需要見込みについては、19年度の実績である1日当たりの約1万5,600人をベースとして、沿線開発による利用者増、沿線大学や沿線施設等への通勤・通学による利用者増、沿線の集客施設への来訪者増加を見込んで2万5,000人と設定したものである。なお、この試算は、外部委託ではなく、愛知高速交通株式会社社員と県職員が一緒に見積もったものである。
- 48:【石井芳樹委員】
リニモ沿線地域づくり構想は2015年を取組の目標年次と定めているが、これは具体的にどのようなことか教えてほしい。
- 49:【地域政策課主幹(地域振興)】
リニモ沿線地域づくり構想の中で掲げている36本の主要施策の具体化の目標年次であり、県の新しい政策の指針の目標年次とも合わせているものである。
- 50:【石井芳樹委員】
36本の施策のうち、どのくらいが取り組み中であるか。
- 51:【地域政策課主幹(地域振興)】
36本の主要施策については、2011年頃までに具体化する短期事業と、2015年頃までに具体化する中期事業に分かれている。このうち知の拠点の整備など短期事業20本については、来年度中には全て具体化される見込みであり、計画どおり進んでいると考えている。中期事業16本については、これから2015年に向けてしっかりと進めていきたい。
- 52:【石井芳樹委員】
この構想では、平成20年の居住人口の1万2,300人が2万5,000人から3万人に増えるとされているが、居住人口が倍以上に増える根拠はどこにあるのか。
- 53:【地域政策課主幹(地域振興)】
構想における居住人口は、長久手古戦場駅から八草駅までの各駅からおおむね1キロの範囲を対象として積算している。
平成37年の居住人口については、構想策定時に想定されていた長久手古戦場駅周辺での長久手中央土地区画整理事業や公園西駅周辺での宅地開発など、対象区域内での宅地開発から想定される人口増を積み上げた結果として、2万5,000人から3万人という数字を盛り込んでいる。
- 54:【石井芳樹委員】
リニモ沿線環境共生まちづくり特区について、昨年7月と9月に県から国に提案されているが、現在の状況はどのようになっているのか。
- 55:【地域政策課主幹(地域振興)】
昨年秋に国からアイデア募集があった際に、リニモ沿線環境共生まちづくり特区を提案した。これはリニモ沿線を低炭素社会実現のモデル地区にしようとするものである。国に提案した内容はアイデア段階のものであるため、現場のニーズを探りよりよいものにしていく必要があると考えている。このため、地元市町や低炭素まちづくりに取り組んでいる住宅メーカー等にヒアリングを行うとともに、庁内関係課との調整を行うなど総合特区の申請に向けて検討を進めているところである。
- 56:【石井芳樹委員】
愛知高速交通株式会社において、綱紀の乱れやサービスの低下があると聞いているが、どういう状況なのか。
- 57:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
こうした話があること自体が大変残念なことだと認識している。綱紀の乱れの対応については、昨年度発覚した横領事件を契機に、再発防止のための管理・監査体制を強化している。更に、現場職員も含めた職員と役員との間のコミュニケーション不足も要因と考えられるため、社全体の一体感を高めるべく、毎月1回、職員と役員との意見交換会も開催している。
また、利用者からの苦情については、現場と本社の連携により即座に対応しており、同様の苦情を受けないよう、運輸連絡会議において社全体に周知徹底していると聞いている。なお、昨年度から今年度にかけて特に深刻な苦情はないと聞いている。
- 58:【石井芳樹委員】
一旦悪いイメージが付いてしまうと、払拭するにはかなりの労力がいるので、しっかりと対応してほしい。
次の質問であるが、平成22年4月末に名鉄からの出向社員による横領事件が発覚し、その被害額は8,900万円にも上るものであった。これまでに2,200万円が返済されたと聞いているが、その後の経過はどうなっているか。
- 59:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
元社員は事件発覚後、親族の援助を受けて横領額の一部を弁済したが、全額弁済には程遠いため、沿線市町等の信頼感を失ってはいけないということも踏まえて、愛知高速交通株式会社は、平成22年12月27日に元社員と出向元の名鉄に対して、損害賠償請求訴訟を提起し、現在民事訴訟が行われているところである。なお、現在の損害賠償請求額は6,361万5,800円となっている。
- 60:【石井芳樹委員】
係争中なのでこれ以上は言わないが、回収額によっては、経営支援を行っている沿線市町との信頼関係が崩れるので、しっかりと進めてほしい。
次に、愛知高速交通株式会社は、債務超過になりそうな状況下にあっても、役員の退職金を800万円も支払っていた。そこで、私は、役員や企業からの派遣者の給与等が高いことを指摘したわけである。その後、同社は役員を削減し、企業からの派遣者の給与についても、負担額を減らしたようであるが、規約上はどのようになっているのか。
- 61:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
現在の規約では、名鉄からの出向職員に対しては、名鉄基準による給与を名鉄が支払って、愛知高速交通株式会社が自社基準で算出した一定額を名鉄に負担することとしている。役員については、この基準がないため、愛知高速交通株式会社が名鉄に対して個別の金額を提示したうえで、負担をしている。退職金も同様にして支払っている。全額ではなくあくまでも一定額の負担である。
- 62:【石井芳樹委員】
愛知高速交通株式会社への民間企業からの出資は45パーセント程度となっており、特に名鉄は長久手町と同じくらい出資している。経営支援の実施については、民間企業は経営が苦しいということで負担していないわけであるが、民間負担についてはどうなっているのか。
- 63:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
厳しい経済状況が続き、企業の経営も厳しい状況にあることから、当面増資をしてもらうことは難しいと考えている。特に名鉄には、出資以外の支援として、派遣職員の人件費の一部を負担してもらっている。今後も引き続き支援してもらえるよう愛知高速交通株式会社と一緒になって要請していきたい。
- 64:【石井芳樹委員】
地元では、沿線市町だけが支援し、民間企業が支援しないことに対する不満の声もあるので、しっかりと対応してほしい。
次に、今年2月に知事が交代したが、リニモに関する指示はあるのか。
- 65:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
リニモの利用促進については、沿線施設と一体となって取り組むように言われている。このため、庁内の関係課室で構成する「リニモの利用促進と沿線の活性化プロジェクトチーム」を4月に設置し、現在、このPTを中心に全庁挙げてリニモの利用促進に取り組んでいる。
とりわけ、夏休みの需要喚起策が重要であることから、夏休み期間にリニモ沿線で実施する様々なイベントについて、関係課室が共同でPRを行っているところである。また、県が実施する採用試験や各種資格試験の会場をリニモ沿線施設に移転してくれるよう関係課室に働きかけたり、リニモと関係課室の事業を組み合わせた新規ツアーの造成を検討するなど、2万5,000人の利用に向けて、全庁で取り組んでいる。
- 66:【石井芳樹委員】
知事の公約にリニモ沿線の活性化が掲げられているが、具体的にどのような対応をしているのか。
- 67:【地域政策課主幹(地域振興)】
沿線の活性化については、リニモの利用促進と沿線の活性化プロジェクトチームの下部組織として、沿線活性化ワーキンググループを設けて取り組んでいる。先月には、関係する庁内35課室を集めて会議を開催し、長久手町が進める公園西駅周辺整備事業について、全庁的にバックアップしていく体制を整えたところである。
また、リニモ駅と沿線施設を結ぶ道路について、にぎわいのあるプロムナードにしていこうという検討も行っている。更に、沿線4市町と連携した事業も行っており、こうした事業を着実に推進して、沿線の活性化を進めているところである。
- 68:【石井芳樹委員】
本会議の一般質問の中で、警察本部から運転免許試験場のリニモ沿線への移転について検討するという答弁があったが、地域振興部としてはこの移転についてどのように考えているのか。
- 69:【地域政策課長】
平針にある運転免許試験場は、現在、年間約77万人が利用している施設であり、地域振興部としてはこの施設がリニモ沿線に移転することとなれば、リニモの利用促進に大いに貢献するものと考えている。
一方、この試験場の面積は約10ヘクタールあり、リニモ沿線にこれだけの土地を用意するのは容易ではないとも考えており、今後、用地確保等について、警察本部を始めとする関係者としっかり調整を図っていきたい。
- 70:【石井芳樹委員】
リニモの沿線開発においては、とりわけ居住人口が3万人になると見込んでいる点について心配している。今後、長久手古戦場駅、公園西駅を中心に開発を進めていったとしても、3万人は難しい。モリコロパークも年間利用者を310万人と見込んでいるが、現状を見る限り困難だと思う。したがって、予測には既にミスが生じていると考えている。県においては、現在、短期的な利用促進の取組がなされていることは十分承知しているが、中長期的な計画では非常に甘さがあると考えている。この点について、部長の見解を伺う。
- 71:【地域振興部長】
確かに当初の予測と実績にはかい離が生じているが、現在の数値も根拠に基づいて積算している。したがって、この目標に向けて、何を実施していくかが大事だと考えており、その達成に向けて、県と関係者が一丸となってできる限り努力していきたい。
- 72:【石井芳樹委員】
私も本会議の一般質問で、太陽の塔が大阪万博の象徴であれば、リニモは正に愛知万博の象徴である旨の発言をした。私もこの象徴を無くさないように努めるつもりでいるし、県当局も厳しい目で見積もってもらいながら、暖かい援助をお願いしたい。
- 73:【安藤としき委員】
県営名古屋空港の事故対策、緊急時の対応について伺う。県営名古屋空港については、民間の定期航空路線の空港として、また、航空機製造における産業空港として、更には、論議の過程であるが、基幹的広域防災拠点を含めた防災拠点空港として、期待される空港になってきたのではないかと考えている。そのような状況の中で、空港機能の安全性も今後ますます重要になってくるのではないかと思われる。御承知のとおり、県営空港になる前の名古屋空港時代、今から17年前になるが、中華航空機の墜落事故が起こり、264名の貴い命が犠牲になっている。また、最近では、2007年10月に、航空自衛隊のF2戦闘機が離陸に失敗して炎上するという事故を起こしている。
こうした中、県営名古屋空港では、愛知県名古屋飛行場緊急計画連絡協議会を主体として、毎年、県営空港における航空機事故に対応した空港消火救難総合訓練が実施されていると聞いている。昨年は11月4日に実施され、今年度も実施されると伺っている。そこで、昨年行われた訓練において、緊急車両等の空港内もしくは滑走路内への進入については、どこから、どのような形で実施されたのか。また、今年5月30日に連絡協議会の会合が開かれたと聞いているが、今年10月27日に予定されている総合訓練に向けて、何か課題のようなもの、若しくは、今年の訓練は昨年とはこのように形を変えて行われるという予定があれば教えてほしい。
- 74:【航空対策課副空港長】
昨年の総合訓練では、航空機事故発生に備え、消火活動から救助救難活動、負傷者の治療の優先順位を決めるトリアージ訓練を含む救急医療活動、患者の病院搬送までの訓練を実施した。航空自衛隊小牧基地、西春日井消防、名古屋市・春日井市・小牧市の3市消防、医師会などの関係機関が連携して、迅速・的確・円滑に活動することができた。訓練後に関係機関で行った事後検討会では、トリアージや応急処置に時間を要したなどの課題はあったが、全体的な分担・対応・連携については円滑にできたとの評価を得ている。
今年度の訓練においては、こうした課題も踏まえ、更に活動の精度、熟度を上げた訓練となるようにしていきたいと考えている。なお、飛行場緊急計画では、事故発生時の消防車両等の進入口については、管制塔南の第2西門、航空自衛隊小牧基地の正門を進入路として定めている。この他に、必要に応じて小牧市消防の進入に関しては北門を使用することとしている。
- 75:【安藤としき委員】
なぜこのようなことを伺うのかというと、以前は空港南側の県道沿いにもう1か所ゲートがあった。実は、先ほど申し上げた中華航空機の墜落のとき、私は地元で消防団に入っており、発生と同時に召集がかかったが、出動した際にはすごい野次馬でなかなか空港に近寄れず、正規の空港の出入口からは入れない状況であった。道路を逆走しなければ入れない状況であったため、名古屋市消防や春日井市消防が南側の出入口から進入したという経過があったように記憶している。しかしながら、この南側の出入口のゲートが、県営空港に必要な面積以外の国有地部分の一部として売却されてしまい、現在、この南側の入口が無い状況となっている。そのようなことを含めて、どこから入ったか伺ったわけである。
一番懸念をしていることは、民間路線が充実したということもあるが、2008年から現在の航空自衛隊小牧基地には、KC767という空中給油機が配備されている。この航空機は空飛ぶガソリンスタンドと呼ばれ、輸送可能な最大燃量重量が91トンで、現在の主力であるF15戦闘機約15機分を満タンにできる燃料を搭載して飛べ、小牧基地をメインとして離着陸訓練を行っている。私は、KC767の事故について非常に懸念をしている。今、県営名古屋空港でこのKC767の離着陸訓練は、年間でどれくらい実施されているのか。
- 76:【航空対策課主幹(空港企画)】
概数で約1,100回利用されていると把握している。
- 77:【安藤としき委員】
先ほどの総合訓練には、KC767の事故も想定の中に入っているのか。
- 78:【航空対策課副空港長】
県の訓練は、基本的には民間機の事故を対象としている。自衛隊機の事故に関しては航空自衛隊小牧基地の消防能力で対応するものと考えている。
- 79:【安藤としき委員】
なぜ南側の入口にこだわるかというと、県営名古屋空港での着陸で、名古屋の方から入ってきて南側から降りるルート、風向きからしてこの着陸ルートが一番多いからである。あるデータによると、着陸時の事故が離陸時の10倍多く、全体の航空機事故の約3割を占めると言われている。それからすると、南から入ってくる着陸コースにおける事故の可能性が高いということである。また、17年前の中華航空機事故でも南側の所に墜落している。今回行われる消火救難総合訓練においても、KC767の事故を想定に入れた形での訓練を展開するべきではないかと思うが、その点についてはどうか。
- 80:【航空対策課長】
基本的に、KC767の事故を想定に入れた訓練については、自衛隊側で実施されており、県としては、民間の航空機の事故を想定した訓練を実施していきたいと考えている。
- 81:【安藤としき委員】
次に、もう一つ心配する点は、県営名古屋空港になってからの振興策で、従前の国際線ターミナルが今は商業施設になっている。これまで、国際線のエプロンであった所が駐車場として利用され、土日には渋滞が出るほど、車で満杯の状況になっているが、そこは場所的には南側の位置になる。こうした状況の中で、訓練用に使っているKC767が燃料を満タンにして帰ってくる場合もあるかと思うし、その辺のことも想定に入れるべきだと思う。
一つ提案であるが、売却した土地を買い戻せということではなく、非常時には何らかの形で南側のルートから入れるような方策を検討してほしいと考えるがどうか。
- 82:【航空対策課副空港長】
航空機事故の際に緊急車両が迅速かつ円滑に空港内に進入でき活動できることは、事故対応において重要なことで、最優先すべきことだと考えている。しかしながら、空港及び航空機運航の安全を確保するために、空港ではフェンス等を設置して、ハイジャック等を含めて不法侵入等を防止しており、そのような点で空港の保安対策との兼ね合いもある。門を新たに設置するとなると、その対策もしっかり講じていく必要が出てくる。
したがって、航空機事故の際の対応については、当然のことながら、消防活動について最優先で考えたいと思うが、事故発生の場所により、どのような経路で進入し活動することが良いのか、新たな門の必要性も含めて、地元の西春日井や3市の各消防関係者とよく相談しながら研究していきたいと考えている。
- 83:【安藤としき委員】
エアフロントオアシスのすぐ脇には、事故を忘れないという意味で、中華航空機事故の大きな鎮魂碑が設置されている。一度、事故が起きれば、空港内といえども周辺の地域を巻き込んだ事故になる可能性がある。その辺も含めた総合訓練の想定と、今後においてもあらゆる方向からいち早く救助に駆けつけられる方策を検討してもらうよう要望する。
- 84:【飛田常年委員】
設楽ダム建設事業について伺う。設楽ダム建設事業については、昭和48年に県が調査の申入れをして以来38年が過ぎているが、平成20年3月には、県議会においても特定多目的ダム法に基づく基本計画に同意し、国に回答したところである。現在、民主党政権に変わり、コンクリートから人へと言うことで、ダム事業の見直しが行われているが、現在の県としての設楽ダムに対する考えを伺う。
- 85:【土地水資源課主幹(水源地域対策)】
現在、設楽ダムは、国によるダムの再検証の対象となっており、中部地方整備局が検証のために設置した「関係地方公共団体からなる検討の場」がこれまでに3回開催されている。県からも副知事がメンバーとして参加しており、4月からは東三河担当の永田副知事がメンバーとして国の検証作業に粛々と取り組んでいる。
- 86:【飛田常年委員】
「関係地方公共団体からなる検討の場」が第3回まで開催されていることは、私も承知している。既に治水・利水を検証し、地元の同意ももらった中で、関係市町の首長全員が、なぜ今更検証するのかという考えを持っていると聞いている。第3回までの検討の場における意見の集約状況はどうなっているのか。
- 87:【土地水資源課主幹(水源地域対策)】
現在の検討の場の状況であるが、ダム計画の総事業費や工期などの点検を行いつつ、ダムに代わる「複数の対策案の立案」として、治水・利水などの目的別に代替案をそれぞれ12案から24案立案し、この案に対するパブリックコメントを1か月間実施した。第3回の検討の場においては、これらの意見を踏まえ、対策案をそれぞれ3案から4案追加した後、概略評価を行い、治水・利水などの目的別にそれぞれ4案から7案に絞り込んでいる。今後は、利水関係者などへ意見聴取し、目的別に詳細な評価を行い、その結果を踏まえて総合的な評価を行う。その後、学識経験者、関係住民、関係地方公共団体の長等への意見聴取や事業評価監視委員会での審議を経て、ダム事業の継続又は中止といった対応方針案を決定すると伺っている。
- 88:【飛田常年委員】
今更検討というのはいかがなものか。130戸ほどある水没者の方々は、移転準備を進めており、困っている状態である。地元との建設同意がなされ、既に進んでいる事業について中止を含めて検討を行うというのはいかがなものか。
- 89:【土地水資源課主幹(水源地域対策)】
国における水没者の生活再建対策の柱である補償については、移転対象者の124世帯中、平成22年度末で28世帯しか契約が完了しておらず、未契約が96世帯となっており、7割を超える世帯が補償契約を待っている状況にある。本県では、水没者等の生活再建対策として、集団移転地の整備を設楽町内と新城市内で進めており、まもなく新城市杉山地区の集団移転地の分譲を開始するとともに、設楽町内の2か所の移転地についても今年度中に完成する予定である。しかしながら、多くの方が補償契約を早期に望んでおり、中でも高齢等の理由で早期の生活再建が必要な個人移転世帯があるので、補償予算の十分な確保について、引き続き国に要望していきたい。
- 90:【飛田常年委員】
当初の計画では平成32年度完成となっていたが、水没者の方々からは、後継者もいない中、将来のことが読めないという切実な思いを、現地の声として聞いている。また、私の地元の蒲郡も、農業、工業、家庭用水は、100パーセント県水に頼っており、地元の特産の蒲郡みかんも豊川用水のおかげで生産できている。渥美半島においても、それまで水が確保できなかったが、今では農産物の一大産地となり、トヨタの工場ができた。また、東三河の農業生産額が県の5割を占めるのも豊川用水のおかげである。しかし、宇連ダム、大島ダムができた後にも、渇水が過去何年も起こっている。ここ数年渇水がないからと言っても、この異常気象の中で、いつ渇水が起きてもおかしくないと考えている。設楽ダム建設については、調査申入れから既に38年を経過し、治水・利水に関しては全て検証し、ゴーサインが出ていると考えている。ぜひ進めてほしい。
視点を変えて、東日本大震災の影響で、浜岡原発の運転が停止された。エネルギー関係の話になるが、多目的ダムとして、設楽ダムに水力発電の機能を加えることはできるのか伺う。
- 91:【土地水資源課主幹(水源地域対策)】
特定多目的ダム法に基づく設楽ダムの基本計画は、平成20年2月定例県議会において、同意の議決をいただいた上で、平成20年10月に国土交通省により決定されたが、その目的の中に発電は含まれていない。設楽ダムにおける水力発電の可能性については、ダム予定地が川の上流部に位置しており、発電用ダムとしては、水量が少なく十分な電力が確保できないとのことから、現在のところ、電力会社が事業に参画する動きは聞いていない。かつて、特定多目的ダム法の基本計画決定以前に電源開発株式会社に試算してもらった結果によると、発電量は最大限に見積もっても一般世帯換算で2,000世帯分程度であり、発電参加を判断することは困難との回答をもらっている。また、ダムから河川環境を守るために義務的に放流する維持流量を現在の計画ベースである毎秒0.9立方メートルにセットし、再試算をしたところ、一般世帯換算で900世帯程度となって、一般に供給できる電力量は更に落ちるものと見込まれ、水力発電は採算の面から大変困難なものであり、現実的ではないと考えている。
- 92:【飛田常年委員】
水力発電が難しいことは分かった。しかしながら、何度も申し上げるが、設楽ダム建設については、既に治水・利水の検証が終わったものと考えている。中止ということになれば、水没者の方々を含め私どもは本当に困る。検討の場においては、東三河の5市長、設楽町長は全員賛成の立場であるので、県としても推進の立場で取り組んでほしい。
- 93:【島倉 誠委員】
愛知環状鉄道の駅におけるエレベーター設置について伺う。昭和63年に開業した愛知環状鉄道は、乗客数も着実に伸びており、黒字経営が続いている。その一方で、利用者も高齢化していることから、駅にエレベーターを設置してほしいという要望が増えてきている。
そこで、バリアフリー法の改正後、愛知環状鉄道においては、エレベーターを設置しなければならない駅がどれくらいあるのか。また、どのような計画で整備していくのか。
- 94:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
エレベーターの設置状況について説明する。平成22年末までの旧基準によると、エレベーターを設置しなければならない鉄道駅として国が示している基準は、1日当たりの乗降客が5,000人以上の駅となっている。愛知環状鉄道の23駅のうち乗降客が5,000人以上の高蔵寺、瀬戸市、新豊田、三河豊田、岡崎の5駅全てにエレベーターを設置しており、その他にもエレベーター設置が義務付けられている新駅と大規模改修駅を加えた9駅にエレべーターを設置している。平成23年3月31日から施行された新法による目標基準は、平成32年度までに1日当たりの乗降客が3,000人以上の駅全てに対してとなっている。この新基準からすると、現状では、瀬戸口駅と北岡崎駅が新たな対象となる。2駅のエレベーター設置については、今後検討していかなければならない課題であると認識している。
- 95:【島倉 誠委員】
それ以外にも地上から高い駅で乗降客は3,000人に満たないが利用が不便な駅があり、エレベーター設置に向けては、このような駅も視野に入れて計画していくべきではないかと思うが、どうか。
- 96:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
愛知環状鉄道では、鉄道設備が老朽化しているため、その更新を最優先にやっていかねばならない状況にある。その費用には毎年十数億円が必要となるため、厳しい経営状況が続くことになる。そうした中で優先順位をつけながら、どのようにエレベーター設置を進めていくか愛知環状鉄道株式会社とともに検討していきたい。
- 97:【島倉 誠委員】
次に、愛知環状鉄道の利用促進について伺う。愛知環状鉄道の沿線市町には、素晴らしい地域資源が埋もれている。そこで、今後は、こうしたものを活用した愛知環状鉄道の利用促進策について、沿線市町を交えて考えていくことが大事であると考えるが、この点について伺う。
- 98:【交通対策課主幹(鉄道第二)】
設備投資の資金を確保する観点から、できるだけ利便性の高い鉄道にしていく必要がある。そこで、愛知環状鉄道株式会社の方でも急ピッチで設備の更新を進めてもらい、それを契機として沿線市町においても自動車依存を解消していくため、愛知環状鉄道を基軸とした公共交通機関のネットワークについて再度精査してもらう必要があると考えている。
こうした中で、県としては、県と沿線4市で設置している「愛知環状鉄道連絡協議会」において、ワーキンググループを設置し、利用者の増加及び沿線の活性化策等について会社と沿線4市とともに十分議論を深めて振興方策をまとめていきたいと考えている。