愛知県議会議員
石井よしき
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県政報告・石井よしき発言
平成22年
平成22年2月定例会(第8号)
平成22年2月定例会(第8号)
2010年3月10日
石井よしき発言
29
(主な質疑)
1: 午前十時開議
◯議長(吉川伸二君)
ただいまから会議を開きます。
直ちに議事日程に従い会議を進めます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第一 議員提出第一号議案県議会議員の議員報酬
の月額の特例に関する条例の制定について並
びに第一号議案平成二十二年度愛知県一般会
計予算から第五十四号議案包括外部監査契約
の締結についてまで、第七十八号議案副知事
の選任について及び第七十九号議案副知事の
選任について
2:◯議長(吉川伸二君)
議員提出第一号議案県議会議員の議員報酬の月額の特例に関する条例の制定について並びに第一号議案平成二十二年度愛知県一般会計予算から第五十四号議案包括外部監査契約の締結についてまで、第七十八号議案及び第七十九号議案、いずれも副知事の選任についてを一括議題として、これに対する質問を許します。
この際、第一号議案平成二十二年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳出第六款健康福祉費から第八款農林水産費までの質問を許します。
通告により質問を許可いたします。
立松誠信議員。
3:◯百五番(立松誠信君)
後期高齢者を迎えましたところの立松誠信に、本議会におきまして質問の機会を与えいただきました、我が党県議員団の皆さんを初め、各会派の同僚の皆さんにも心から感謝と敬意を表しつつ、同時に私は、お隣に豊田の選挙区の倉知議員がいらっしゃいまするが、豊田市が選挙区ではございません。また、同時にトヨタ労組の皆様方の推薦も残念ながら受けて当選しておる今日ではありません。そのようなことを御理解いただきつつ、第七款産業労働費中第二項商工業費及び第四項労政費に関連をしてお尋ねいたします。
まことに遺憾、残念なことでありまするが、二〇〇九年八月、アメリカにおいて、レクサスES350のアクセルペダルがフロアマットにひっかかるトラブルが発覚、八車種計四百二十六万台の自主改修が発表され、自来、本年二月までに、アクセルペダルのリコールを含め、北米はもとよりカナダ、ヨーロッパ、中国、アフリカ、中東、中南米、そして日本を含め約八百五十三万台とも言われるトヨタ車がその対象となり、二月二十四日、昨日も質疑がなされたように、トヨタ自動車の豊田章男社長みずからがアメリカ議会下院に招致され、トヨタのトップ責任者として、ともすれば政治ショーになりがちな公聴会で問題の矢面に立ち、虚心坦懐にわびるべきはわび、今後なすべきことはなす決意を述べ、しかも、その足で二十七日、アメリカより中国へ直行され、三月一日、北京において、中国におけるトヨタ車に対する対応策及び信頼回復に積極的努力を惜しみなく発揮されている姿に、私は、熱いものをこの胸に感じたのであります。
もちろん、トヨタ自身の身から出たさびといえばそれまでですが、しかし、どこかの総理や幹事長と異なり、言葉でわびるのみならず、結果に対する反省に立った積極的行動を私は大いに評価すると同時に、日本のトヨタ、世界のトヨタのこの苦しみを少しでも柔軟にしてやろうという気風が我が国政界財界その他もろもろの面からもいまだに見えてこないことが無性に腹立たしく、一抹の寂しさを感じ、ざんきにたえないところであります。
この原稿を整理しているうちにも、トヨタ車の二月アメリカにおける新車販売台数が前年同月比八・七%減と二カ月連続大幅減の報道がありました。また、去る三月五日には、豊田市本社にて緊急報告会が開かれ、多くの従業員を前に社長みずから、アメリカ議会で公聴会のあった二月二十四日をトヨタ再出発の日とし、みんな一緒に頑張れば、この難局を切り開くことができると決意も新たに、みずからはもちろん、従業員も含め、その士気を鼓舞、激励されたのであります。
思えば、かつて、トヨタがくしゃみをすれば愛知県が風邪を引くとまで言われてまいりましたほど、本県税収に大いなる貢献があり、最高年度の平成十九年度、トヨタ自動車関連九社の法人事業税納税額は一千五百三億円、法人県民税三百四十二億円、ちなみに同年度全法人事業税の収入決算額は五千二百三十三億円、法人県民税は一千七十一億円で、トヨタの法人事業税が総決算額に占める割合は二八・七%強、同様、法人県民税は三二%弱が関連九社の本県への納税額、納税率でありました。
もちろん、それら関連九社には、下請・孫請企業等が多くあり、そうした企業がさまざまな形で県へ納税されている額は、さらに相当なる額になるであろうと推測するものであります。
また、雇用の面でも、国内生産工場十五工場のうち、本県内に十二工場あり、そこで働く従業員数は、昨年三月末現在、四万二千五百十八人と言われ、加うるに、部品サプライヤーの任意団体として協豊会と称せられる組織加盟社が全国に二百十七社、そのうち東海地区に百二十一社、それに前述の本県事業所の従業員を含めた全トヨタ労連参加組合員は、百十一組合三十万六千人と膨大なる雇用関係が保持されているのであります。
まさに本県にとって、否、我が国にとって、トヨタ自動車の存在価値というものは、財政面からも雇用の面からも忘れてならない存在であると思います。
しかるに、今日、トヨタ車のリコール問題発生以来今まで、各界各層が対岸の火事のごとく、また、さわらぬ神にたたりなしと傍観されている気風に憤りを感ずるものであります。問題があるときは知らぬ存ぜぬで、問題がないときはトヨタ様々では、余りにも無情な感を抱かざるを得ません。
昨年、政権がかわり、時の経済産業大臣はトヨタ出身の直嶋大臣ではありませんか。政府の構成メンバーの一員であるにもかかわらず、そのための活躍場面が少しも見えてまいりませんことは、これまた残念の一言に尽きるのであります。
幸い、本県産業労働部、富吉部長は、経済産業省より派遣された部長でいらっしゃいます。もう一度申し上げます。産業労働部、富吉部長は、経済産業省より派遣された部長でいらっしゃいます。
かつて、昔、田中内閣当時であったと思いまするが、大手証券会社山一證券が破綻しかかったとき、政府はてこ入れをいたしました。同様のことが第一次橋本内閣で住専問題としてあり、近くは日航が同様の政府支援を得ました。幸い、トヨタの現状中身というものはそれ等の内容とは異なりますゆえ、すなわち体力のある今のうちに政治的解決策を考えるべきであると存じます。
中央省庁よりあなたをお迎えし、今日、その席にお座りの意味はいかなる重責か、言わずもがなにおわかりのことと存じます。
したがって、今回のトヨタ車のリコール問題をどう認識し、地元愛知県として、トヨタ自動車及び関連下請企業等の中小零細企業に対していかなる形で支援されようとしているのか、昨日、松山議員への答弁がありましたが、文字どおり、私に言わせれば、事務的、抽象的でありましたから、具体的にこの国の自動車産業支援を働きかけるおつもりがあるのかないのか、胸中を明らかにしていただきたく存じます。
さて、こうしたトヨタ車のリコール問題は、アメリカ議会下院での公聴会により政治問題化してきた感を払拭することはできなくなったと思います。
巷間、新政権が普天間の移転案でもたもたして煮え切らないから云々とか、あるいはもともと自動車はフォードやGMが元祖であるのに、トヨタの進出によって大きな変化を見ることになった腹いせがトヨタ車のリコールに拍車をかけたのだともささやかれております。
真意はわかりませんが、例えば普天間の空港移設問題等は、半世紀以上にわたり、沖縄に米軍基地があることにより我が国侵略の抑止力となっていたというのであれば、これは政府はもとよりのこと、一都一道二府四十二県の知事が沖縄に感謝し、煮え切らない現政権に成りかわり、知事会としてその打開策を模索し、半世紀以上にわたる親密な日米関係の保持、日本の平和維持のため、トヨタ救済のために立ち上ってはいかがでしょうか。
かつて私が県議会議員として仕えました各知事、すなわち桑原先生は六期七十九歳で、仲谷先生は二期五十七歳、鈴木先生は四期七十歳で各勇退されました。現在の神田知事は三期五十八歳、年齢的に政治家として、知事として最も活躍できる当選期数・年齢であり、かつ四十七人の知事のうち、八番目に知事歴が長く、どこかの市長や、どこかの知事のごとく、パフォーマンスを得意とするのでもなく、また、奇人、変人、凡人でもなく、極めて常識的、現実的な発言、施策をモットーに着実に本県政を推進されてこられた人柄だと私は高く評価しております。
したがって、くどいようでありますが、かつて本県財政に潤いを、そして、行政に活力を与えてくれましたトヨタの現況を、豊田社長を初めとする従業員や関連企業の皆さんとともに憂い、この際、そのことを真剣に真摯に受けとめて、トヨタのため、愛知、日本のために御尽力を賜りたいと思います。
不肖、立松誠信、四十年の長きにわたる県議生活、ことし秋、八十歳を迎えます。先日、我が党議員団の長坂、奥村両議員から、勇退される西村、稲垣両副知事に対し、感謝と激励の質疑がなされました。
しかし、私は、神田知事にまだまだ大いなる期待と信頼を寄せているがゆえに、いささか厳しい文言を使いましたが、我が国自動車産業界の牽引役として、業界のみならず、我が国経済の繁栄に寄与してまいりました我らがトヨタ、我らが愛知、我らが祖国日本のために、たかが県議会議員ではありますが、されど県議会議員としての意気に燃え、地球の表面に針の縫い針で穴をあけたくらいの小さな声とは思いますが、老骨にむちを打ってお尋ねをいたしました。
どうか私の期待を裏切ることのなきよう、神田知事の御決意をお伺いいたします。
4:◯産業労働部長(富吉賢一君)
トヨタ車のリコール問題についてのお尋ねにお答えをいたします。
まず、トヨタ車のリコール問題をどう認識し、県として、トヨタ自動車及び関連企業にどのような支援を行っていくかについてでございます。
このたびのリコール問題は、高い品質を誇りますトヨタ車に対する信頼を揺るがしかねない大変な事態でございます。自動車産業は、愛知県にとりまして一番の基幹産業でございます。その中でも、トヨタ自動車は中心企業ですので、リコール問題の影響やトヨタ自動車の対応について、県としても強い関心を有しております。
このため、県として、今回のリコール問題を受けまして、先月、トヨタ自動車から、その影響、今後の対応などについて直接お話を伺いました。現時点では、本県における産業、雇用への直接的な影響はないとのことではございましたが、生産計画の下方修正や、これに伴う下請企業や雇用への影響が大いに懸念されるところでございまして、地域経済への影響という面でも大いに心配をしているところでございます。
したがいまして、今後とも、トヨタ自動車からの情報収集、意見交換を行いますとともに、昨年三回にわたって行いました中小企業訪問、これをことしも続け、その中で、リコール問題の影響や、県に対する施策要望などを直接伺いながら、これらに基づきまして、金融支援、技術支援、下請相談など、自動車産業が支える中小企業に対する支援を引き続ききめ細かく行ってまいりたいと存じます。
また、県では、本県産業と労働の中長期的なあり方を示す産業労働計画を来年度末までに策定することとしておりますが、その中で、足腰の強い複合的な産業構造を構築するとの方向性を打ち出すことといたしております。
この産業構造の柱の一つとして、環境対応のために、いわゆる電気化が進んでおります次世代自動車産業の育成、振興を位置づけ、本県の自動車産業の一層の高度化を図ってまいりたいと考えております。
次に、国に対する自動車産業支援の働きかけについてでございます。
国では、昨年十二月三十日に閣議決定をいたしました新成長戦略におきまして、次世代自動車などの革新的技術開発の前倒しを位置づけております。さらに、その中長期的な戦略を構築するため、経済産業省では、次世代自動車戦略研究会を設置いたしまして、産学官で次世代自動車産業をどのように支援、振興していくのか、検討を進めております。この夏を目途に取りまとめられるとお聞きをしております。
また、自動車産業が集積する当地域では、経済産業本省におけるこうした取り組みと呼応いたしまして、中部経済産業局が中心となって関係企業と有識者によりますクルマの未来とすそ野の広がりを考える懇談会が開催をされております。本県を初めとしまして、局管内五県と名古屋市もオブザーバーとして参画をしております。報告書が今週三月十一日に取りまとめられることになっておりまして、この報告書の中で、愛知県の考え方や施策がきちんと反映されるように働きかけているところでございます。
本県といたしましては、こうした国の取り組みと連動して、先ほど答弁申し上げましたとおり、現在策定中の産業労働計画の中に次世代自動車産業振興を位置づけ、国と一緒になって連携して、その育成、振興に努めてまいります。
5:◯知事(神田真秋君)
トヨタ自動車のリコール問題を取り上げていただきました。
私も、この問題発生以降、大変関心を持ち、眺めてまいりましたし、とても心配をしてまいりました。本県にとりまして最大の基幹産業でありますし、その中心的企業でありますので、当然のことであります。
トヨタ自動車が、そして、豊田社長がこの問題に対してどのような対応をされるのか、深い関心を持って注意を払ってまいりました。アメリカの下院におけるさまざまな公聴会での議論、あるいは工場や販売店の皆さんを集めての対話集会、そして、中国における記者会見など、メディアの報道に注意を払いながら眺めてきたところでございます。
そうした中で、私が特に強い印象を持ちましたのは、先ほどもお示しをいただきましたけれども、社長が帰国されて、報告会をされました。そこで、取引先や社員らに対し、二月二十四日をトヨタ再出発の日にしたいと、我々なら絶対できると訴えかけられた点であります。この二月二十四日は、言うまでもなく、公聴会に出席された日であります。この日を再出発の日とする決意を社長みずから表明されたわけであります。
私は、かねてから組織のトップのリーダーシップとは、困難に直面したとき、その困難を正面で受けとめ、むしろ、それをみずからに与えられた試練と考え、その試練を乗り越えることができたときに、かつての姿よりもより大きな存在として成長することができると、そのような心持ちにあると考えているところでございまして、私は、世界注視の中で公聴会での証言をされた日をもって再出発の日とされた、そうした姿を拝見するにつき、社長の心の中にそのような強い決意を見たような思いをいたしております。リーダーシップの姿、まさにかいま見たような思いであります。
自動車産業は、本県にとりまして、今後も引き続き最重要の産業であります。これなくして愛知の雇用も、愛知の財政もなかなか成り立たない、そういう大切な存在であります。それゆえ、県といたしましても、さまざまな産業政策を通じ、自動車産業のより一層の高度化をしっかりと図っていかなければならないと思っているところでございまして、先ほど部長が御答弁申し上げましたさまざまな施策を通じ、県当局としても頑張ってまいりたいと思っております。
また、トヨタ自動車には、ぜひともこの試練を乗り越えていただいて、さらに、本県のため、そして、日本経済のために再生を果たし、御貢献をいただきたいものだと思っております。
6:◯議長(吉川伸二君)
進行いたします。
桂俊弘議員。
7:◯四十八番(桂俊弘君)
立松誠信先生の議場隅々にわたる澄み切った声での御質問にいささか私も緊張いたしておりますが、私からは、歳出第六款健康福祉費第八項医薬費の薬物乱用防止対策費について質問いたします。
我が国の薬物乱用でありますが、その歴史は第二次世界大戦に始まるとされております。戦後直後には厳しい現実からの逃避、薬物による活力増進の期待から覚せい剤が蔓延をし、第一次覚せい剤乱用期と呼ばれておりました。
昭和四十年代から六十年代初期には、暴力団の資金源として、通称シャブと言われている覚せい剤の密売や、青少年の乱用と中毒者の凶悪犯罪が問題化していた第二次覚せい剤乱用期がありました。その後、平成七年からは、暴力団に加え、不良外国人の密売組織が街頭等で無差別で販売し、中高生が好奇心やファッション感覚で乱用するといった第三次覚せい剤乱用期が始まり、現在もなお引き続いております。
昨今でも、新聞等で多く報道されているとおり、覚せい剤、大麻、合成麻薬などによる薬物の乱用問題が後を絶ちません。昨年は、有名タレント及び俳優が覚せい剤や麻薬取締法違反などの容疑で逮捕されたほか、ミュージシャンなど、とどまるところを知りません。昨日も有名ロックバンドのJAYWALKのボーカルが薬物所持で現行犯逮捕されたというニュースが流れておりました。さらには、日本の国技である相撲界にも及んだり、また、政界においても、県内の現職国会議員が薬物を使用したという衝撃的な事件も記憶に新しいところであります。芸能人やスポーツ関係者の逮捕は、国民の関心も高く、青少年に大きな影響を与えていると思われます。
違法薬物は、これまで暴力団関係者の間での取引が中心でありましたが、最近では、芸能人やスポーツ選手など、いわゆる有名人だけではなく、乱用のすそ野は一般の市民層まで広がっております。警察が取り締まりを強化する中、インターネットや携帯電話を利用した巧妙な密売方法も多くなり、汚染はますます拡大する傾向にあるようです。
最近こそ薬物全体の検挙者数は減少傾向でありますが、大麻事犯では増加を続けており、検挙者数の六割以上を三十歳未満の若者が占めるなど、青少年への薬物汚染の広がりが懸念されております。
夜回り先生と呼ばれている水谷修先生と我が党の浜田昌良参議院議員の活動が取り上げられた新聞のレポート記事を読みましたが、一人では抱え切れない寂しさやや悲しさから懸命に逃れようとする子供たちが深夜の繁華街にたむろし、満たされぬ心のすき間を埋めるために薬物に手を出している現状もあるようです。
覚せい剤など違法薬物は、妄想や幻覚から凶悪事件の引き金になるばかりか、常用すると心身ともにむしばまれ、脳が傷つくことによって二度と健康な体に戻らなくなる恐ろしいものであります。
不正な薬物を一度でも使用すれば、それは乱用となります。その乱用を繰り返すと、脳や臓器が障害を受け、さまざまな症状を引き起こす中毒状態となります。そのうち、自分の意思ではやめられなくなるといった依存が生じます。たばこやアルコールの依存とは比べることのできないほど恐ろしい薬物依存の悪循環にはまり、薬物の量はどんどんふえていきます。
薬物依存症者を受入れられる診療施設は、全国でもわずかであるとのことであり、そもそも薬物依存のメカニズムは現在調査研究中で解明されておらず、薬物依存の予防や有効な治療法はいまだ確立されておりません。
そのため、何よりも薬物に手を出さないことが肝心と思われます。薬物の密売を完全に根絶することができない現状もある中、青少年を含めた一般の人々が安易に薬物に手を出さないようにするためには、違法薬物の恐ろしさや、薬物の正しい知識について、広く啓発することが必要不可欠と考えます。
さらには、薬物に関して身近に相談できる場所があることが重要でありますことから、薬物問題を抱える方々に対しても、行政として適切に相談に応じ、指導していくことは大切なことと考えております。
そこで質問ですが、一つ目は、本県では、薬物乱用防止のための啓発活動として、どんな事業を展開していくのかをお伺いいたします。
二つ目は、本県における薬物に関する相談体制についてお伺いをいたします。
以上です。
8:◯健康福祉部健康担当局長(五十里明君)
薬物乱用防止対策費に関する二点の御質問にお答えをいたします。
まず、啓発活動についてでございます。
最近の薬物乱用の傾向につきましては、議員御指摘のように、低年齢化、それから規範意識の低下、不良外国人の関与、携帯電話の使用などによる手口の悪質巧妙化が挙げられまして、大変憂慮されるものであると、そのように認識をいたしております。
本県では、教育機関、PTA連絡協議会、保護司会連合会や、ライオンズクラブなどのボランティア団体などから成る愛知県薬物乱用防止推進協議会を設置いたしまして、情報交換やそれぞれの立場からの御意見をいただき、関係機関と連携を図りながら、効果的な啓発活動を推進してきております。
来年度におきましても、六月には、国際麻薬乱用撲滅デーを中心に「ダメ。ゼッタイ。」普及運動を展開し、県内各地でボーイスカウトやガールスカウトなどのボランティアの参加によるヤング街頭キャンペーンの実施や、ナゴヤドーム、それからJリーグ会場、大相撲名古屋場所など、さまざまな場所において啓発活動を行ってまいります。
また、十月、十一月には、麻薬・覚せい剤乱用防止運動といたしまして、薬物乱用防止指導員に委嘱されました保護司の方々の応援を得て、県内各地で啓発用資材を配布し、薬物の乱用防止を図ってまいりたいと考えております。
このような活動を通しまして、広く県民の皆様に薬物乱用の恐ろしさを訴えまして、薬物に絶対手を出すことのない社会づくりに一層努力してまいります。
次に、薬物に関する相談体制についてでございます。
県内すべての保健所や精神保健福祉センターなど三十五カ所に薬物相談窓口を設置し、電話や面接などにより乱用薬物などに関する相談に当たっております。相談の具体的な内容といたしましては、本人よりも家族からの相談が多く、薬物に関する副作用などのほか、薬物依存に関すること、入院、治療に関すること、さらに薬物を使用した方への接し方などの相談を受けております。
この相談窓口を通じまして、薬物依存者の復帰支援を行いますNPOや医療機関などと連携し、対応しているところであります。また、精神保健福祉センターにおきましては、薬物に悩む家族同士が交流を行います家族教室も開催し、家族の方々が抱える孤立感や不安感の軽減に努めております。
さらに、県内の各地域に先ほどの薬物乱用防止指導員を配置いたしまして、街頭活動や薬物相談についても活動していただいております。
今後も、民間団体の方々の御協力をいただきまして、関係機関と一体となって県民の皆様に対する薬物乱用防止活動の一層の充実を図ってまいります。
9:◯議長(吉川伸二君)
次に、第一号議案平成二十二年度愛知県一般会計予算のうち第一条中歳出第九款建設費から第十五款予備費まで及び第二条繰越明許費から第六条歳出予算の流用まで並びに第二号議案平成二十二年度愛知県公債管理特別会計予算から第五十四号議案包括外部監査契約の締結についてまで、第七十八号議案及び第七十九号議案、いずれも副知事の選任についてに対する質問を許します。
通告により質問を許可いたします。
渡辺昇議員。
10:◯九番(渡辺昇君)
歳出第十一款教育費第七項保健体育費のうち、第六十七回国民体育大会冬季大会開催準備費について質問いたします。
スポーツは、健康の保持、増進、そして、体力の向上に資するとともに、明るく豊かで活力に満ちた社会の形成、心身の両面にわたる健全な発達に不可欠なものとなっております。競技者が最後まであきらめず、全力でひたむきに戦い、その結果として生まれる記録や勝利する姿は、多くの人々に夢と感動を与えております。
スポーツは、活力ある豊かな生活を送るためには欠かせないものであり、その振興を図ることは大きな意義があり、中でも、スポーツイベントの開催は、青少年の意欲を高め、若い選手の将来への夢を大きくはぐくむとともに、競技を間近に見たり、選手やコーチのそれぞれの人生観に触れたりすることで感動を得ることにつながっていくわけです。
先日、バンクーバー冬季オリンピックが閉幕いたしました。日本代表選手の活躍は、私たちに明るい話題を提供し、冬のスポーツに対する県民の関心はすごく高まったと思っております。
冬のオリンピックが盛り上がる一方で、日本の総合スポーツ大会である国民体育大会の冬季大会は、開催地の決定が毎年難航しておると聞いております。平成二十年は長野県で、そして、昨年、平成二十一年は青森県で、そして、ことし、平成二十二年は北海道で、それぞれ開催の一年前に決定されており、準備期間が短く、大変だったと聞いております。
こうした中で、平成二十四年の第六十七回国民体育大会冬季大会、スケート競技会のフィギュア、ショートトラック及びアイスホッケー競技が愛知県で開催されます。
国体は、国民の間に広くスポーツを普及し、体力向上を図るとともに、スポーツの振興に寄与することを目的に都道府県対抗で行われ、昭和二十一年に第一回大会が開催されて以来、愛知県で開催する平成二十四年には六十七回を数えます。
思い起こしてみれば、平成六年に愛知県で第四十九回夏と秋の国体を開催し、三十八の競技で、監督、選手など全国から二万五千人を超える多くの皆様をお迎えいたしまして、熱戦が繰り広げられておりました。
国体開催となった市町村においては、競技種目が国体終了後も我がまちのスポーツとして定着しておると聞いております。そして、国体開催が一過性に終わることがなく、これをステップとしたスポーツ振興が図られてきております。
愛知県では初めての冬の国体となるわけですけれども、トップレベルの鍛え抜かれた力とわざを県民の皆さんが間近で観戦できる絶好のチャンスであり、開催競技となるフィギュアの華麗な演技、ショートトラックのスピードと駆け引き、そして、氷上の格闘技と言われるアイスホッケーの激しさなど、各競技のだいご味を存分に味わっていただきたいと思っております。
また、愛知県代表として出場する選手の皆さんは、地元の声援にこたえ、存分に力を発揮して活躍されることが期待されております。そして、地元の皆さんはもとより、他県からいらっしゃる方々が気持ちよく観戦し、応援していただける環境づくりを進め、大会開催に向けた準備に万全を期す必要があると思います。
バンクーバーオリンピックで高まった冬季スポーツへの関心をより一層深めるためにも、大会開催にかかわる県民の皆さんへの周知が何より重要であると考えております。
経済・雇用情勢など暗い話題の多い昨今でありますが、冬季国体開催は、県民に明るい話題を提供するとともに、夢や感動、元気を与え、活力ある地域社会づくりに寄与するまことに有意義なことであり、ぜひとも成功させなくてはなりません。
愛知県では、万博で培われたおもてなしの心が現在に受け継がれておりますけれども、冬季国体開催への機運を高め、大会に参加する皆様を温かく迎え、参加してよかったと言われるような大会にしていかなければなりません。
そこでお尋ねいたします。
冬季国体の開催地の決定が難航している理由と、愛知県が開催することとなった経緯、そして、今後開催されるところの準備状況、さらには、愛知県での冬季国体のこれまでの準備状況や、平成二十二年度はどのような開催準備を進められておるのか、教育長にお伺いいたします。
11:◯教育長(今井秀明君)
冬季国体の開催についてお答えをいたします。
冬季国体につきましては、冬季競技の性格上、開催可能な都道府県が限られ、特定の都道府県に開催が集中していることに加えまして、特に最近の財政状況から開催地の負担感が増している状況にございます。
こうしたことから、日本体育協会は、開催地の経費負担を軽減するための方策とあわせまして、開催地選定の円滑化を図るために、屋内リンクなど競技会開催に必要な施設を有する県を新たに加えたローテーション化を導入いたしたところでございます。
この中に、本県も四カ所のリンクを有しておりますので、位置づけられまして、岐阜県で開催されます第六十七回の本大会に合わせ、冬季大会の岐阜県との共同開催を要請され、これを受諾したものでございます。
先催道県の開催準備状況については、北海道、青森県のように十回を超える開催実績のあるベテランの道県においても、短期間での開催準備は大変であったというふうに聞いております。
本県のこれまでの準備状況でありますけれども、昨年の七月に開催決定した後、十一月に愛知県の準備委員会を設立いたしまして、現在、その大会の周知に不可欠なテーマ、スローガン、シンボルマークを募集しているところでございます。
平成二十二年度は、実行委員会を設立いたしまして、大会の円滑な運営が行えるよう開催準備を進めるとともに、テーマ等の決定、公式ポスターの作成など、県民の皆様に周知し、機運を高めるための広報啓発事業を行ってまいります。
また、本県代表選手が地元開催にふさわしい活躍をし、県民の期待にこたえることができるよう、選手強化事業も実施いたします。
こうした事業を推進することによりまして、諸準備に万全を期し、来県される方々を温かく迎えられる大会として、冬季スポーツの振興と地域の活性化につなげてまいりたいと考えております。
以上でございます。
12:◯九番(渡辺昇君)
一点要望させていただきます。
冬季国体、県内の小中学校、そして高校の授業の一環として、多くの人に観戦をしていただきたいという配慮もよろしくお願いいたします。
以上です。
13:◯議長(吉川伸二君)
進行いたします。
小山たすく議員。
14:◯一番(小山たすく君)
私は、歳出第十款警察費第二項警察活動費のうち、公用携帯電話の現状と今後の見通しについてお伺いいたします。
現在、愛知県警察では、愛知県内の犯罪総量抑制と、犯罪抑止と徹底検挙等による治安向上を目的とした安全なまちづくりアクションプラン二〇一〇を取りまとめ、平成十六年から開始された治安回復アクションプラン等の一連の諸施策とあわせ、さまざまな取り組みを行っているところであります。
それら諸施策の中では、犯罪抑止や検挙率向上などの重点項目や数値目標を定めると同時に、警察官の増員も図られ、人員不足と使命感による過剰な負担が指摘されてきた警察官の負担軽減が図られていることも大きな改善点であると思います。
これら諸施策の結果、平成十九年には、大きな問題点であった空き交番も解消し、刑法犯認知件数も、ピークであった平成十五年の二十二万五千七百六件に比べ、昨年は十四万五千八百十四件と約四〇%も減少し、さらに、そのうち、重点罪種である空き巣などの侵入盗は約五〇%減、車上ねらいは六〇%減少するなど、着実にその成果を上げております。
一方で、災害時等の治安・交通維持の拠点となる庁舎の耐震化、老朽化や業務効率の向上のための狭隘度の改善など、施設面において、今後も取り組むべき課題はあるものの、あわせて、犯罪捜査や警察業務に直結する装備についても優先的に整備し、警察官が犯罪捜査や抑止、交通事故の防止等の本来業務を効率化し、その業務に専念できる環境を積極的に整備すべきであると思います。
その業務の効率化のために必要な装備といえば、例えば、既存の無線機の機能を大幅に拡充させた新型デジタル無線機の導入や捜査員に対する公用携帯電話の配備が考えられます。
このうち、新型無線機については、主に地域課の交番勤務員などに代表されるいわゆる制服警察官に対して有効であり、公用携帯電話は刑事部、生活安全部などのいわゆる私服警察官による捜査活動に有効であると思われます。
デジタル無線機の配備については、国主導と聞いておりますが、公用携帯電話については、都道府県により整備状況が異なると聞いておりますので、愛知県の公用携帯電話の配備状況についてお伺いいたします。
まず、公用携帯電話が必要な理由としては、捜査活動における捜査員同士、あるいは本部との連絡、報告、指揮のために欠かせない機材であることに加え、捜査で使用した携帯電話の経費まで、その個人に負担させることは適切ではないとの理由からであります。
また、例えば麻薬や銃器などの暴力団、組織犯罪などの捜査に当たり、情報提供者との連絡に個人携帯を使用すれば、万が一その番号が捜査対象者に漏れた場合、その番号から捜査員の個人名、自宅等が判明し、本人やその家族に脅迫や報復などの被害が及ぶことを防ぐ必要があることも一つの要因であると考えられます。
一方で、捜査に当たり、捜査員同士の連絡においても携帯電話が使用されておりますが、現状では私用電話で使ったものを事後清算する方法がとられております。これは捜査員に費用負担をかけないよう配慮している制度でありますが、当然請求手続が必要であり、捜査員同士や情報提供者と頻繁に連絡をとり合った場合、その都度、通話時間を記録するなどして書類をつくらねばならず、その煩わしさから携帯電話の費用を請求せずに自腹を切る方もいるのではないかと思われます。
また、それぞれの課で一台であるとか、署で何台という、いわゆる使い回しをしている携帯電話では、例えば捜査協力者から連絡をしてきた場合、連絡をとりたい捜査員が持っているとは限らないため、仮にその捜査員以外が電話に出た場合、その情報提供者と捜査員の信頼関係が損なわれるなど、捜査に支障を来す懸念があります。
私が知り合いの東京都議に聞いたところ、警視庁では、階級に関係なく捜査にかかわるほぼすべての捜査員に公用携帯電話が配備されているとのことでありました。もちろん、警視庁は、その規模、財政、首都警察という特殊性から単純に比較することはできませんが、その施策は参考にすべきであると考えております。
そこでお伺いいたします。
現在の愛知県警察全体の公用携帯電話の配備台数とその運用状況をお尋ねいたします。また、今後の整備見通しについてもあわせてお伺いをいたします。
15:◯警察本部長(河邉有二君)
愛知県警における公用携帯電話の配備台数とその運用状況についてお答えいたします。
議員お示しのとおり、携帯電話は、各種捜査活動には必要不可欠な機材となっております。現在、警察本部で整備しております公用携帯電話の配備台数は全体で六百十七台でございます。このうち、警察本部の捜査部門を中心に二百四十台を配備し、県内四十六警察署には三百七十七台を配備いたしております。
その運用状況についてでございますけれども、刑事、生活安全などの捜査員については、内偵捜査等の各種捜査活動時に捜査員同士が連絡をとり合ったり、警察本部や警察署の捜査幹部から捜査員への指揮や緊急時の報告などに運用しております。
捜査以外では、地震等の大規模災害が発生し、有線電話が不通になった場合に備え、衛星を利用した携帯電話を配備し、運用することといたしております。
次に、今後の整備の見通しについてでございます。
平成二十二年度には三百台の公用携帯電話の追加配備をする予定であります。この三百台につきましては、警察本部及び各警察署の捜査員等に配分する予定でございます。これにより、県警全体で九百台余りの公用携帯電話を配備することとなりますけれども、現場捜査員の活用状況等を踏まえ、今後も可能な限り状況を整備してまいりたいと考えております。
16:◯議長(吉川伸二君)
進行いたします。
原欣伸議員。
17:◯十番(原欣伸君)
私は、歳出第十一款教育費第四項高等学校費のうち、施設整備費の耐震改修費についてお伺いします。
ここ数年間で、本県の耐震化は、市町の努力もあり、確実に進められてきました。県立学校の耐震化率は六六・九%、小中学校の耐震化は八六・五%と全国でも上位に位置づけられています。
もう一つ、耐震化が進んだ理由があります。平成二十年の地震防災特別措置法の改正です。Is値〇・三未満の耐震工事で補助割合の特例が二分の一から三分の二に引き上げられたからです。それから地方自治体の負担割合が軽減され、耐震化が進展します。
また、なぜ地震防災特別措置法が改正されたかを再認識しなければなりません。改正は、中国で起きた四川大震災からの教訓です。学校の崩壊で多くの子供が圧死したことに端を発していることを忘れてはなりません。耐震化は迅速に取り組むべき重点課題です。
そこで、一点目をお尋ねします。
来年度の県立学校の耐震改修は、幾つを整備し、それにより耐震化率の数値はどうなるのか。また、その後の計画をお示しください。
さて、こんな新聞記事を目にしました。高校の授業料無償化に押し出される形で、公立小中学校などの耐震化予算が認められなかった。耐震工事の先送りで耐震化工事が六三%削減された。それが自治体に大きな不安を与えているとの記事でした。
どうしてこのような状況になってしまったのか。小中学校の学校施設整備費の概算要求から予算案までの経緯を振り返ります。
まず、八月に示された平成二十二年度概算要求では、要望枠を活用し、地方自治体の事業計画を踏まえて要求されました。ここで再度強調しなければなりません。繰り返しますが、概算要求は、地方自治体の事業計画を踏まえて要求されたのです。
その内容は、耐震化棟数五千棟、要求額は二千七百七十五億。耐震化は子供の生命にかかわることから優先的に予算要求がなされたものです。つけ加えると、本県では、五千棟のうち、東京、大阪に次いで三番目に多い二百三十八棟の工事計画と報道されていました。
次に、新政権発足後に示された十月の平成二十二年度概算要求では、マニフェスト実現に向けて減額要求となりました。耐震化棟数二千百棟、要求額は千八十六億でした。ここで小中学校の耐震化が大きく減らされます。その後、平成二十二年度の予算案が提示される前に行政刷新会議の事業仕分けが行われます。ということは、削減できるだろうで小中学校の学校整備費について審議されたということです。
その中で、一人の事業仕分け人の方が言いました。予算の執行繰り越しが多いことを見ても、耐震補助予算の実際の削減も可能と考えるとの発言です。仕分け人の方の削減ありきのこの意見にははっきりと違うと言わなければなりません。幾ら補助金があっても経費の多くを自治体が負担しなければならない実情があります。だから、思い切って踏み出せず、予算が使われず残ってしまう。予算そのものが必要ないわけではありません。やりたい、やらねばとの思いがあっても、財政事情が厳しい自治体もたくさんあるということです。現場の実情を知らない机上の議論に寂しく残念に感じたことを思い出します。
また、この間に全国市町村長などでつくる全国公立学校施設整備期成会が動きました。耐震化関連予算の復活を要望したのです。そして、事業仕分けの結果、予算を削減すべきの判断が下され、予算案が注目されることになります。
平成二十二年度予算案では、予算額を縮減したものの、耐震化棟数は十月の概算要求より増加となりました。内容は、耐震化棟数二千二百棟、予算案額千三十二億の計上です。それでも、地方自治体の事業計画を踏まえた八月の概算要求からは二千八百棟もの耐震化工事が宙に浮いてしましました。
その後、国から県、県から市町へ通達がされます。それは、国からの平成二十二年度公立学校施設整備費の執行方針及び執行方針に係る事務処理で、耐震化事業のうち危険性の高いものを事業採択するIs値〇・三未満の耐震化事業を最優先で採択するというものでした。
まだ続きます。文科省の施設助成課では、予算を優先配分して施設の選定に入る。でも、この予算案では、耐震性の低い学校でも工事ができない学校もあるかもしれないとまで言われていました。これに地方自治体の不安が一気に広がることになります。宙に浮いた二千八百棟の地方自治体も補助金を盛り込んだ予算編成を進めているからです。国の補助がなくなれば単独での工事は困難となります。工事は中断か延期を余儀なくされます。
それに伴い、東京都教育委員会では、緊急の高い事業ではしごを外されるものと反発しました。さらには、仮に国からの補助がゼロになっても、来年度に予定している耐震・改築工事は計画どおり実施すると明確にする自治体までもがあらわれました。国でも、耐震化の重要性について多くの審議がされてきました。こうしてやっと動くことになります。来年度の予算枠に二兆円の景気対策枠がある、これを活用して充実させていくと示されました。
しかし、問題は、最終着地するまでの過程、プロセスです。コンクリートから人への方針からすれば、予算案の耐震化については予算上の配慮がされたと言えます。しかし、学校イコールコンクリートではありません。学校施設の耐震化工事はコンクリート予算でなく、人の命を守る予算です。学校イコール人であり、命です。学校施設は、子供たちが一日の大半を過ごす場所です。と同時に、地域の災害時には地域住民の避難場所として大きな役割を果たします。その上で、学校現場の安全確保は極めて重要です。この考え、思いを心から持ち合わせていれば、今回のような事態は起きていないはずです。
一方で、ハイチ、チリ、台湾、トルコと世界じゅうで大きな地震が続き、被災地の惨状は御承知のとおりです。まして、東海地震はいつ起きてもおかしくないとまで言われています。本県は、県民の安心と安全のため、東海地震に備えて徹底的な対策を講じなければならない立場にあります。
そこで、愛知県の子供と命を守る、そして、愛知の小中学校の耐震化は本県の課題の立場で二点目と三点目をお聞きします。
二点目は、現在の小中学校の耐震化率は八六・五%となっています。今年度の耐震改修が終了することで耐震改修率がどうなるのか。耐震化が必要な施設が残り幾つになるのか。その中でIs値が〇・三未満の施設はどれだけあるのか。また、来年度に耐震化工事を予定している校舎が報道では二百三十八棟となっていました。本県の小中学校の耐震化棟数は、報道のとおり二百三十八棟で間違いないのか。さらに、その中で国の来年度予算案で実施されるであろう、Is値〇・三未満の施設がどれだけあるのか。そして、それぞれの市町で来年度の予算編成を進めながらも、国の来年度予算案では工事ができない学校施設が幾つとなったのか、お尋ねをいたします。
三点目は、二兆円の景気予算枠を活用すると明示されたものの、それがいつなのか、どうのように進められるのか、制度設計が全く不透明です。また、説明した経緯のとおり、再来年度はどうなるのか不安に思うばかりです。こうした国の動向に本県としてどう考えるのか、見解をお示しください。そして、何よりも本県として国に対してしっかり提言すること、働きかけをしていくことが不可欠です。市町の不安を解消する役割を担わなければならないはずです。
そこで、本県として、国に対し、どのような姿勢を示していくのか、明確にお聞かせください。
以上です。
18:◯教育長(今井秀明君)
学校の耐震化につきまして、三点の御質問をいただきました。
初めに、県立学校の耐震化についてでございますが、来年度におきましては、三十二校で三十三棟の耐震改修工事を行うことといたしておりまして、その工事が完了いたしますと、来年度末における耐震化率は七二・九%となる予定でございます。
また、その後の計画についてでございますが、第二次あいち地震対策アクションプラン及び愛知県建築物耐震改修促進計画によりまして、平成二十七年度の完了が目標とされておりますので、それに向けまして、今後とも着実に耐震化を図ってまいりたいと考えております。
次に、小中学校の耐震化事業の進捗状況及び来年度の計画等についてお答えします。
本県小中学校の今年度末での耐震化率は約九二%になる見込みとなっております。今後、耐震化が必要な棟数は全体で残り五百三十棟ほどになり、そのうちIs値〇・三未満の施設は約四十棟でございます。今申し上げた五百三十棟のうちで、市町村において、来年度耐震改修を計画されている施設は、この二月末現在での調査では、今年度からの継続分三十棟を含めまして二百三十一棟あります。そのうち、国庫補助採択が優先的に見込まれるIs値〇・三未満の施設は二十四棟でございます。
したがいまして、差し引き百七十七棟残るわけでございますが、全国的に見ますと、このIs値〇・三未満の施設が多くありまして、そちらが優先的に採択されるとのことでございますので、今申し上げた百七十七棟が国庫補助事業としての採択が難しい状況だということになっております。
最後に、国の対応に対する県の考え方と今後の取り組みについてお答えいたします。
国の採択方針が厳しいという声は、県内の市町村はもとより全国的にも上がっておりまして、議員お示しのとおり、国会審議においても取り上げられております。その中で、鳩山総理は、来年度の二兆円の景気対策枠をできる限り学校の耐震化に充当してまいりたい旨の答弁をされております。
学校施設は、お示しのとおり、子供たちが一日の大半を過ごす場所であると同時に、災害時の地域住民の方々の避難場所として大きな役割を果たしております。したがいまして、市町村が要望している事業量に見合った予算ができるだけ早期に確保されるよう、市町村ともども県教育委員会といたしましても、全国公立学校施設整備期成会を通して国に強く働きかけてまいりたいというふうに思っております。
以上でございます。
19:◯議長(吉川伸二君)
進行いたします。
米田展之議員。
20:◯八十五番(米田展之君)
歳出第九款建設費第二項道路橋りょう費について質問いたします。
春日井市の最北西部、小牧市との境界に近いエリアを東西に走る道路に一般県道小牧春日井線がございます。春日井市の最北西部には上田楽町があり、その一角に大縄手団地という百五世帯ほどの団地がございます。その大縄手団地から自動車で団地外の道路へ出る唯一の方法は、県道小牧春日井線にかかる小さな橋、これは小牧春日井を南北に流れる新木津用水にかかる約十一メーターの小さな橋でございますが、この北条橋の西端に出る以外にありません。つまり、昭和四十年代半ばに大規模開発された大縄手団地の住人は、当初計画されていたというもう一つの団地外につながる道路もその後の経済成長の低迷でできず、一般県道小牧春日井線に出る以外の手段はないのであります。
ところが、この道路は、現在、幅員七、八メーターの狭い道路でございまして、北条橋の東端で九十度に近い角度で曲がっておりますので、朝夕の通勤の混雑時に片側を大型車が通行する場合、辛うじてすれ違うことができるような状態でございまして、大変混雑をいたします。通勤者から見ても、ここらあたりを通過するにはなかなか気を使い、フラストレーションがたまります。朝夕の道路状況はこのようでございますので、大縄手団地の住人が県道小牧春日井線に出て、そこから東西に分かれ、通勤するのにはなかなか苦労を要するわけでございます。
さて、この一般県道小牧春日井線の田楽グランド北交差点から北条橋までの約三百メーター強の区間を幅員十六メーターで直線化し、整備することは、昭和四十七年に都市計画で決定済みでございます。現在、政権がかわり、必要不可欠な生活道路の整備、補修予算も大幅に削減されている、結果、そうなっておりますので、地方自治体は大変窮屈な思いをし、困っているわけでありますが、この区間の道路整備はいつごろできるのか、当局に御質問をいたします。
21:◯建設部長(川西寛君)
県道小牧春日井線の整備についてお答えを申し上げます。
来年度の県が行います道路事業は、厳しい財政状況の中、債務や協定に基づく義務額、他機関、他事業と共同で行う事業について優先をいたしますとともに、事業効果の早期発現を図る観点から、事業年数の短い箇所、プロジェクトや重点施策に関連するものに重点化することといたしております。
このため、県道小牧春日井線につきましても、市街化区域内の春日井市上田楽町地内の現道拡幅工事や、小牧市堀の内地内の国道四十一号線との交差点改良工事を実施する予定でございます。
御質問の箇所は、小牧市と春日井市にまたがります延長約一・三キロメートル、幅員七から八メートルの二車線に改良された区間でございます。したがいまして、直ちに整備に着手することは困難であると考えておりますが、見通しの悪い箇所もございますので、当面、朝夕の渋滞状況などを現地を調査し、現道内でできる対策を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
22:◯八十五番(米田展之君)
二段階に分けて、短期と中長期でやっていただけるという答弁でございました。極力予算がついて、めどが立つという段階になりましたら、現在、この道路は非常に幅員の狭い片側一車線の道路でございますが、イオンを初め新しい物流センター等がたくさんできて、混雑が増しております。
どうか当局におかれましては、早急に予算のめどがついた段階で整備をしていただくよう強く要望いたします。
以上であります。
23:◯議長(吉川伸二君)
進行いたします。
谷口知美議員。
24:◯六番(谷口知美君)
歳出第十一款教育費第一項教育総務費からインターネットを介した犯罪やトラブルから子供たちを守る取り組みについて伺います。
まず、二月十八日に警察庁から発表された平成二十一年中のいわゆる出会い系サイトに関係した事件の検挙状況についてをお示しします。
出会い系サイトが関係した事件として警察が把握している件数は千二百三件、前年と比べて三百八十九件、二四・四%減少、その中で出会い系サイトを利用して犯罪被害にあった児童は四百五十三人で、前年と比べて二百七十一人、三七・四%の減少となっています。
しかし、出会い系ではないサイト、いわゆる非出会い系サイトを利用して青少年保護育成条例違反や児童買春、児童ポルノ法違反などの犯罪の被害に遭った児童は、前年と比べて三百四十四人、四三・四%も増加しており、合計で千百三十六人にも上っています。大変に憂うべき状況です。
ここまでが発表された内容ですが、出会い系での被害が減ったのは、昨年四月一日、青少年インターネット環境整備法が施行され、一定の基準に基づいて青少年の閲覧を制限するフィルタリングサービスを事業者が提供する義務ができ、また、出会い系サイトへの監視が強まっているのが功を奏しているのではないかと考えます。しかし、このフィルタリングは、保護者が利用を解除するのは認めており、書類に印を勝手に押して、フィルタリングを解約する子供たちがいることが話題にもなっています。
被害がふえている非出会い系の例としては、プロフと言われるものがあります。これは、インターネットを通して自己紹介をするプロフィールサイトと言われるものの略語ですが、小中学生でも簡単につくれ、不特定多数の人が見たり、書き込んだりすることができ、このプロフを利用して援助交際や薬物売買を行っていることが近年大きな問題になっていると愛知県生涯学習情報システムの学びネットあいちに説明がありました。
ほかにも、インターネット上には、家出中の少女らが情報交換をする家出サイトというものがあり、泊まる場所や食事を提供してくれる男性を簡単に募集できてしまいますし、また、こうしたサイトにあえて飛び込んでいかなくても、単に情報を得ようとして知らないうちにわなにはまっていく子供たちもいて、実際に犯罪に巻き込まれている子供は、さきに挙げたデータより何倍もいるのではないでしょうか。
さて、インターネット社会に疎い一人である私は、昨年十二月に、愛知県教育・スポーツ振興財団と愛知県視聴覚教育連絡協議会が主催、愛知県教育委員会が共催の情報モラル対応講座に参加させていただきました。
これは、十八歳未満参加お断りの講座でしたが、私が思っていた以上の割合で子供たちが携帯で知り合った見知らぬ人と実際に会っているのを知りました。また、携帯電話会社から借り受けた五十台の携帯を教育センターの方が一つ一つ実際の非出会い系サイトを体験できるように設定してくださり、それを用いて、年齢詐称、性別詐称、顔写真も詐称の人と友達になれてしまう世界を体験させていただきました。
こうしたサイトへの接続は携帯電話からが九割を超えるとのことですが、さらに今は携帯電話からだけではなくゲーム機からでも可能で、保護者の方がゲームをやっていると思っていても、実は子供はインターネットで見も知らない人とやりとりをしているとのことです。子供たちにとっては周知の事実、インターネット社会に疎い私を含めた大人には全くわからない社会が存在するのは大変に怖いことです。
石川県では、賛否両論ある中、携帯を子供に持たせない努力義務を定めた条例ができ、この一月から施行されています。そうした中、北陸携帯電話販売店協会は、携帯の悪いイメージが広がることへの警戒感から、問題があるのは携帯ではなく有害サイトとして、フィルタリングの利用を説明し、勧める取り組みが始まっています。石川県の場合、条例がきっかけとなって、販売店側から保護者への啓発を積極的に行っているようですが、有害サイトの現状を愛知県でも、携帯やゲームの販売店などの業者やNPOなどにも協力していただいて、保護者へ啓発活動ができれば効果的だと考えます。
インターネット社会に対する子供たちの危機感を高めること、インターネットの世界を野放しにしないこと、また、そのためにも、保護者を初めとした大人がまずしっかりと実態を把握し、子供たちがインターネットを使う場合に安全に利用させる方法を知ることが必要です。
ここで質問です。
一点目、今年度、教育委員会としては、子供たちの情報モラルを高める学校での取り組みを進めるためのi─モラルというサイトや、大人への講座を開設して取り組んでみえます。その成果と、来年度取り組む情報モラル教育推進に関する事業をお教えください。
二点目、他県では、県レベルで教員やボランティアなどでインターネットの書き込み等を監視しているところがありますが、愛知県ではどのように取り組んでいるか、お示しください。
関連して、青少年の健全育成に取り組んでいる県民生活部にも二点伺います。
一点目、県民生活部としては、インターネットを介した犯罪などから子供たちを守る取り組みとして、具体的にどのようなことをしていくのか、お聞かせください。
二点目、教育委員会は、情報モラル向上研究会議に携帯事業者の方にも参加していただくなど、民間との連携も行っているようですが、県民生活部は、販売業者を含めた民間への働きかけや連携について、どのようなお考えをお持ちか、お聞かせください。
以上です。
25:◯教育長(今井秀明君)
インターネットを介した犯罪から子供を守る取り組みについてのお尋ねのうち、まず、情報モラルを高めるための取り組みについてお答えをいたします。
県教育委員会では、今年度、情報モラルの向上を重点テーマに掲げまして、一丸となって取り組んでいるところでございます。その取り組みの一つとして、情報モラル専用のサイト、i─モラルといいますけれども、それを設けて、小中学校や高等学校における取り組みや、保護者が知っておくべき情報を日々発信しております。二月末現在で約九〇%、千五十校が取り組みを掲載しておりまして、各学校が情報モラル教育の参考にしたり、保護者が情報モラルの必要性を感じることのできるサイトとなっており、来年度はさらに工夫、充実してまいりたいというふうに考えております。
また、大人が子供たちの実態を十分に理解して適切な指導をすることが重要なことでありますので、議員お示しの保護者や学校関係者を対象とした講座を今年度県内四カ所で開催いたしました。子供たちの置かれている現状を携帯電話を使って実体験する機会を設け、延べ三百人の参加がありました。受講者のアンケートによりますと、いかに自分が知らなかったのかよくわかったとか、親である自分がさらに勉強して、よく考えてから携帯電話を持たせなければいけないなどの感想が寄せられ、大きな反響がありました。
高度情報化が進展する中で、情報モラル教育の推進は喫緊の課題でありますので、来年度も引き続き情報モラルの向上を重点テーマに掲げ、取り組むことといたしております。
主な取り組みといたしましては、まずは保護者である小学校のPTA指導者を対象に研修を行い、知っている人から知らない人に伝えることで輪を広げてまいりたいと思っております。
また、子供の発達段階に応じて啓発活動ができる安心ネットインストラクターをNPOの方々の協力を得て養成してまいりたいと考えております。
次に、ネットの書き込み等の監視についてお答えをいたします。
日々書き込まれるネット上のいわゆる学校裏サイトやブログ、プロフ等での誹謗中傷等の書き込みをすべて監視、把握し、対応することは非常に困難な状況にあります。ネット上のいじめの早期発見、早期対応につなげるため、昨年の十一月から県の総合教育センターにおきまして、県立学校の学校裏サイトやプロフ等を定期的にチェックしてまいりました。
来年度でございますが、こうした県立学校の裏サイトなどを監視するネットパトロールを続けるほか、インターネットの有害なブログや掲示板の監視をしていただくボランティアの方を愛知県版「ネット見守り隊」養成講座において養成し、生涯学習推進センター等で活動していただくことといたしております。
今後とも、子供たちが安全に安心してインターネットが利用できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
26:◯県民生活部長(大久保裕司君)
本県では、インターネット上の有害情報から青少年を守るための取り組みとして、安全な利用方法の啓発活動を実施いたしております。
具体的には、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律、いわゆる青少年インターネット環境整備法が制定される前の平成十九年度から警察本部サイバー犯罪対策室の専門職員を小中高等学校へ講師として派遣し、青少年や保護者を対象にしたインターネット利用安全・安心講座を開催いたしております。
この講座は、インターネットを利用する上での危険性やフィルタリングの使用を初めとした安全な利用方法につきまして、実例を紹介しながら学習をしていただくものでございまして、今年度は五十講座を実施し、一万三千五百人の方に受講していただいたところでございます。
また、この三月には、インターネットの正しい利用方法やトラブルに遭った際の対応を記載いたしました「十八歳未満の青少年が安全に安心してインターネットを利用するために」と題しましたリーフレットを十万部作成いたしまして、小中高等学校あるいは関係団体を通しまして、県内の青少年や保護者に広く配布をいたしてまいります。
こうした取り組みによりまして、引き続き有害情報サイトへのアクセスを制限するフィルタリングの普及促進を図り、また、フィルタリングは万能ではございませんので、青少年にインターネットを適切に活用する能力を習得させることにより、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにしてまいりたいと存じます。
次に、販売事業者への働きかけや連携についてのお尋ねでございます。
本県では、これまでにも情報モラルの啓発活動を行っているNPOなど民間団体から講師を招きまして、青少年育成団体などを対象にインターネットの適正な利用に関する講演会を開催したところであります。議員お尋ねの販売事業者との連携につきましても、そうした方法を検討してまいりたいと存じます。
まず、法律では、保護者が携帯電話を購入する際には、その使用者が青少年であることを販売事業者に申し出ることにより、事業者にはフィルタリングソフトを提供することが義務づけられております。多くの事業者におきましては、フィルタリングソフトの提供のみならず、みずから進んで携帯電話の適正な使用につきましても利用者に案内する活動を行っております。
そこで、県が事業者のこうした活動を紹介することは、県民の皆様に対する啓発効果を上げるとともに、事業者自身の意識の向上にもつながるものと考えております。
また、保護者の中には、携帯電話を介した有害サイトの実態について認識していない方も多く、販売現場においては、契約後、青少年のみが保護者の同意書を持参して、フィルタリングの解除を申し出るといったような状況が見られると聞いております。
そこで、こうした実態を関係者が認識し合う場を県が設けることにより、インターネットを介した犯罪などから青少年を守ってまいります。
このように、今後は、販売事業者との連携方法につきましても検討し、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に努めてまいりたいと存じます。
以上でございます。
27:◯六番(谷口知美君)
それぞれ御答弁いただきましてありがとうございました。
来年度、教育委員会が中心となって、教育振興基本計画が策定されることになっておりますので、またこうしたところにも具体的な取り組みをしっかりと位置づけて、そして、子供たちが安心・安全にインターネットを使えるように県として進めていただければと思います。
以上、要望して終わります。
28:◯議長(吉川伸二君)
進行いたします。
石井芳樹議員。
29:◯十一番(石井芳樹君)
私は、歳出第十款警察費第二項警察活動費についてお伺いをいたします。
近年の犯罪は悪質かつ凶悪で、これら複雑化する事件、事故に対応するためには、警察の素早い立ち上がりと一刻も早い現場への到着並びに捜査活動が求められるところであります。
平成二十年に起こりました東京の秋葉原の事件、栃木県鹿沼事案など、事件を受けて、警察の初動対応の強化並びに必要性が強く指摘される中、平成二十年十二月には、警察庁から初動警察刷新強化のための指針が全国警察に示され、その重点推進事項として、通信指令のあり方、通信指令機能の強化、通信指令を担う人材の育成強化並びに初動警察における事案対応能力の強化などが盛り込まれております。
初動警察の強化とは、犯罪者の検挙という意味合いから当然求められるものではありますが、事件、事故を起こし、不安な中で一刻も早い警察官の到着を待つ県民の方々の気持ちにこたえるためにも、対応の強化が求められるところであります。
こうした中、愛知県警がパトカーの緊急走行の積極的な運用を始めたという記事を本年一月に目にいたしました。内容は、これまでパトカーが赤色灯をつけ、サイレンを鳴らして現場に向かう緊急走行の適用範囲を広げ、殺人、強盗、ひき逃げなどの重大事件に限らず、街頭犯罪、交通事故などを対象に加え、一刻も早く現場につくことを目指し、あわせて、事件発生を赤色灯とサイレンで住民に知らせることにより防犯意識を高めようというものでありました。
近隣の県であります岐阜県、三重県では、この施策の導入には慎重との記事がありましたが、本県の県民意識調査の結果によりますと、治安回復に向けて力を入れてほしい警察活動の一位は、パトカーによるパトロールであります。警察人員が限られる中で、警察初動並びに犯罪抑止も含め効果は高いように思われます。
そこでお伺いをいたします。
パトカーの緊急走行の積極的な運用を始めてから二カ月余りがたちましたが、その効果や住民の反応はどのようなものか、お尋ねをいたします。
また、まちをパトロール中のパトカーが一刻も早く事件現場へ到着するためには、指令を受けて緊急走行する以前に、現場に最も近いパトカーに指令を出すことが肝要であります。このため、予算化をされておりますパトロールカー動態管理システムを活用して、個々のパトカーの現時点を県警本部や警察署が把握をして指令を出しているその姿は、私も県警本部の見学のときに見せていただきましたが、自転車、バイクなどでパトロールをしていただいているたくさんの交番警察官の皆さんも同じような形態にはならないのでしょうか。
過日、私は、岡山県警の警察官が全国に先駆けて、交番の無線以外に、PITシステムと呼ばれる携帯電話ほどの大きさの端末を配備され、携帯しているという記事を見ました。調べたところによりますと、PITシステムとは、メール機能や現場写真の送信はもちろんのこと、二輪、四輪などの盗品に対するナンバー照会機能を有していたり、緊急通報があった際、地図にその現場を表示できたり、地域巡回中、警察官を位置情報として把握ができ、交番の空き情報を含め、どこにだれがどのように移動しているのかがわかる機能を有したものであります。
パトカーであれば、各警察署で数台しか活動しておりませんが、交番の警察官となれば、何十人という方々が地域で活動されております。こうした交番の警察官の方々が今どこで活動しているのか、県警本部や警察署が把握をし、新たに発生をした事件、事故の現場に一番近い警察官に出動を指令することができれば、サイレンを鳴らしてパトカーが走る以上に早く、現場で待ちわびる県民のもとに警察官が駆けつけることになるのではないでしょうかと私は思います。
岡山県の警察官の方々は、無線機とPITシステムの二つの機材を携帯しておられるそうでありますが、近々、警察庁の主導で無線機とPIT機能が一体となった新型無線機が開発、導入される予定があると聞いておりますが、県警としては、このような新型無線機の開発、導入に関してどのように考え、推し進めていくおつもりがあるのか、お伺いをいたします。
あわせて、初動警察の強化という最重要課題に対しまして、県警として今後どのように進めていかれるのか、お伺いをいたして、質問を終わります。
30:◯警察本部長(河邉有二君)
初動警察体制の強化に関して、三点お尋ねでございます。順次お答えいたします。
まず、パトカーの緊急走行の積極的な運用の効果等についてお答えいたします。
県警には、毎日約千八百件の一一〇番通報がありますが、多くの方は、不幸にして事件や事故に遭遇し、当事者となり、不安な気持ちを抱えながら通報されておられます。通報された方は、少しでも早く来てほしいという気持ちでパトカーを待っておられますが、一分一秒でも早く現場に到着し、事件や事故をいち早く解決に導くために赤色灯を点灯し、サイレンを鳴らし、他の車両に優先して走行する緊急走行を積極的に実施しているところでございます。
これまでは、緊急走行の必要性について厳格に解釈し、極めて緊急性の高い事件に対してのみ緊急走行で対応しておりましたが、現場において犯人を検挙したり、次なる犯罪や事故を未然に防ぐためには、一刻も早い現場到着による事案の正確な把握が極めて重要でありますことから、一一〇番通報された事案については、積極的にサイレンを鳴らして現場臨場し、県民の方々の期待にこたえることといたしております。
この積極的な緊急走行の運用により、パトカーが現場に到着するまでの時間、いわゆるリスポンスタイムは、昨年と比較いたしまして約二十秒ほど短縮されました。また、交通事故現場に臨場したパトカー乗務員が事故当事者から、サイレンを鳴らして早く来てくれてありがとうと感謝の意を表されるなど、不安な気持ちで一一〇番通報をし、パトカーの到着を待っていた県民の方々の気持ちにこたえることができたものと考えているところでございます。
今後も引き続きパトカーの積極的な運用に努め、県民の方々の期待する警察活動の実現に努力してまいりたいと考えております。
次に、新型無線機の開発、導入についてお答えいたします。
現在、県警では、パトカーや捜査車両の位置と活動状況を常時把握し、的確な指揮指令を行うために、有効なカーロケータシステムを導入しております。平成二十二年度中には、新型無線機が警察庁より配備されることが予定されておりますけれども、これは、交番勤務員の位置と活動状況を常時把握する。警察本部、警察署からの一斉指令情報を送信する。現場写真、手配写真の送受信を行う等を可能とするものでございます。
これらの機能は、初動警察活動において画期的な戦力の導入となり、現場検挙の重要なかぎになるものと考えております。今後、この新型無線機を最大限に活用するため、関連するシステムの改善、整備を進めるともに、その運用や具体的な指令方法についての検討、訓練等を実施し、組織の総合力を発揮し得る初動体制の確立に向け、最善を尽くしていきたいと考えております。
最後に、初動警察の刷新強化の進め方についてお答えいたします。
私どもといたしましては、通信指令機能の強化、事案対応能力の強化及び通信指令を担う人材の育成強化を重点に進めております。通信指令機能の強化につきましては、通信指令が初動警察活動の司令塔としての役割を果たすために、所属長級の警視を通信指令室に、捜査経験豊富な警部を副指令官に配置して、二十四時間体制で指揮をさせております。さらに、通信指令に係る資機材やシステムを充実させるほか、指揮するために必要な情報の集約、共有化を進めているところでございます。
事案対応能力の強化につきましては、実践的な共同訓練や自動車警ら隊、機動捜査隊、交通機動隊等の機動力を持つ執行隊の総合的な運用に努めてまいります。
通信指令を担う人材の育成については、現在、警察庁指定の広域技能指導官が全国で二人指名されておりますが、そのうちの一人が当県の警察官であります。この指導官を中心に実践的な指導を行うほか、警察無線通信指令協議会の開催、警察学校における専科教養、通信指令技能検定の実施などにより通信指令技能の向上を図ってまいります。
以上でございます。
31:◯議長(吉川伸二君)
進行いたします。
古俣泰浩議員。
32:◯十五番(古俣泰浩君)
歳出第九款建設費のうち、第八項建築費第一目建築指導費に関して、民間住宅の耐震化についてお尋ねをいたします。
ことしに入り、ハイチ、またチリで大規模震災が続発し、改めて大規模地震の脅威、猛威を感じるところでありますが、阪神・淡路大震災から十五年が経過した今、本県の地震対策のうち、民間住宅の耐震化についてお伺いをいたします。
本県では、地震に強い愛知を目指して、平成十四年度から十八年度の五年間を目標年度とする第一次あいち地震対策アクションプランを作成、さらに、平成十九年度から二十六年度までの八年間を計画期間とする第二次あいち地震対策アクションプランを作成し、震災時の予想死者数二千四百人から半減及び経済被害の半減を達成するため、民間住宅の耐震化率七八%を九〇%にするなど、十四項目の具体的な数値目標を設定しております。
阪神・淡路大震災では、六千四百三十四人もの方が亡くなられましたが、そのうち、地震が直接的な原因での死者数が約五千五百人で、その九割もの方が建築物の倒壊による窒息死、圧迫死であったとされています。第二次あいち地震対策アクションプランの予想死者数二千四百人を千二百人に半減する目標を達成する上で、民間住宅の耐震化の促進は数々のアクション項目の中でも最も重要であると考えます。
第一次アクションプランでは、二百三十七のアクション項目のうち、目標達成が困難な項目九項目のうちに、民間住宅の耐震診断及び耐震改修の項目が入っておりますが、この目標達成に至らなかった原因を県としてどうとらえられているのか、まずお示しをください。
また、第二次あいち地震対策アクションプランでは、それぞれのアクション項目、目標達成の確実性を図るため、二十三年度までの五年間の目標を設置していますが、民間住宅の耐震診断及び改修の現時点での状況もお示しをください。
全国的に見て、多数の自治体が民間住宅の耐震化促進に苦慮しておりますが、住宅の耐震化促進における問題点として、耐震改修の必要性が十分認識されていないこと、また、改修の工法や工期、費用等や住宅耐震改修費用助成制度の情報が十分に周知されていない等々が挙げられています。
ある調査機関が愛知県、東京都、大阪府で行った地震対策に関する意識と実態調査によりますと、地震対策について考えたことがあるという方は七〇%以上に上りますが、現在どのような地震対策を実施しているかとの設問には、避難場所の確保が六三・五%、食料、飲料水などの備蓄が四三・七%、避難経路の確認三八・一%といった地震発生後の対策はポイントが高い一方、家具の固定や配置がえ三一・二%、ドアの耐震性の確保一二・七%、住宅の耐震補強一〇・九%と予防的なポイントが低いことが明らかになり、地震への対策を考えてはいるが、最も重要である予防対策より発生後の対応に偏りがちであることがうかがえます。
また、地震対策の情報に関しては、地震対策に関する情報を持っている人が二三%なのに対し、持っていない人が四四・三%と二倍近くの開きがあり、また、その相談先は、家族が七一・七%と圧倒的に多く、相談しない一八・五%、親戚一五・三%が続き、自治体八・三%、消防機関五・九%などと行政機関への相談が少ないことが判明いたしました。
また、耐震診断、改修について補助金や税制優遇があることも認知されておらず、七四・三%の人が住宅耐震化に関する適切、詳細な情報に接していないという結果でありました。
このように実態調査から見ますと、現状では耐震改修の必要性を認識されている方のほとんどは、既に耐震改修施工済みであると推測され、耐震が必要であっても行動に移されていない方は、改修に関心が全くないか、関心があっても適切な情報に接してない方々であると思われ、第二次アクションプランの耐震改修目標達成にはこれまで以上のさらなる取り組みが必要になると思われます。
調査結果を見ても、耐震化促進に当たっては、自分や家族の命を守るためには、発生後の対策よりも予防措置のほうが大切だという耐震化の重要性を個々に認識させるための詳細な情報提供や広報が最も重要だと考えます。
東京都におきましては、被災者軽減に向けて、広報及び情報提供の重要性を認識し、都のホームページに耐震化の必要性、都としての取り組み、診断から改修までの手続の流れ、改修の工法の紹介、施工に当たっての補助や税制優遇措置等を大変わかりやすく紹介する東京都耐震ポータルサイトを作成しております。
また、私が入手しましたパンフレット「きっと来る その日に備えて 耐震化」と題して都が作成しておりますパンフレットは、安価で信頼できる木造住宅の耐震改修工法、装置の事例紹介として、都が認定した工法部門四十四種類、シェルター等の装置部門九種類、その他アイデア部門等七種類をそれぞれ、施工企業名、事例の建築年、延べ面積、全体の工事費用、工期、改修前後の評点の変化、事例の改修内容等々を二十ページにわたりカラー写真つきで紹介しており、また、各自治体の助成制度の実施状況及び担当部署、連絡先も一覧にして掲載しており、一見して大変わかりやすいものとなっております。
都の担当者のお話では、耐震改修が必要なお宅の住人は御年輩の方が多く、このパンフレットはお年寄りの方にもわかりやすいと評判で、また、都の認定業者と連絡先を写真入りで掲載していることから、耐震改修を装った悪徳業者の被害低減にもつながり、大変好評だということでありました。
阪神・淡路大震災でのたくさんの犠牲者のとうとい教訓を生かし、長年住みなれた家がある日突然凶器となって自分自身や大切な家族の命を奪う、そんな悲劇に見舞われる方を一人でも少なくする上で欠かすことのできない民間住宅の耐震改修、その一層の促進とアクションプランの目標達成に向けて、県として、県民に対して今後どのような情報提供と啓発、広報に努めていかれるのかをお尋ねして、質問を終わります。
33:◯建設部建築担当局長(勢力常史君)
民間住宅の耐震化について、三点御質問をいただきました。
初めに、第一次あいち地震対策アクションプランで目標達成に至らなかった原因でございます。
まず、達成状況でございますけれども、耐震診断は、目標十三万八千戸に対し、実績は六万五千九百八十戸。耐震改修は、目標六千二百戸に対し、実績は四千三百六十二戸であり、達成率はそれぞれ四八%と七〇%でありました。
達成できなかった原因でございますが、この当時は、主な広報として市町村広報紙での掲載やチラシの配布などの方法を中心としておりまして、耐震化が必要な基準に満たない住宅にお住まいの方々に対しまして、耐震化の必要性や支援制度の内容を十分にお伝えすることができなかったのではないかと考えております。
また、耐震改修費用は、改修方法など専門的な相談ができる建築士などの情報提供や相談体制を十分に整えることができなかったこともその要因ではないかと考えております。
次に、第二次あいち地震対策アクションプランにおける平成二十三度までの目標と民間住宅の耐震診断及び耐震改修の現況であります。
平成十九年度からの第二次アクションプランでは、地震被害の半減を目標に、平成二十六年度までに住宅の耐震化率を約九〇%にすることを目指しておりまして、平成二十三年度までの五年間の目標は、耐震診断を八万二千戸、耐震改修を一万戸としております。
今年度までの三年間の実績でございますが、耐震診断が二万七千二百十三戸、耐震改修が二千五百八十戸となる見込みでありまして、二十三年度までの計画に対しては六割程度の進捗が必要でありますが、現在のところ、耐震診断は三三%、耐震改修は二六%の進捗となっております。
最後に、第二次あいち地震対策アクションプランの目標達成に向けて、県がどのように情報提供と広報を進めていくかという御質問でございます。
第二次あいち地震対策アクションプランでは、耐震改修の必要な方々によりきめ細かく適切に情報提供を行っていく取り組みが重要であると考えております。このため、初年度の平成十九年度から、すべての市町村に目標を持って取り組みを進めていただけるよう、市町村ごとに県と同様の耐震改修促進計画を策定していただくよう依頼をしまして、平成二十一年度までにすべての市町村で策定がされております。
また、県が平成十九年度に五市においてモデル的に実施しました町内会の役員や建築士、市町村職員などが耐震診断をお勧めする、いわゆるローラー作戦を市町村みずから行っていただくこととし、これまでに二十八市町で実施されたところでございます。
これとあわせ、県内の大学などと連携して開発した安価な耐震改修工法の普及にも努めているところであります。このほか、平成二十年度からは、耐震診断制度を改め、診断を受けた方には結果をお伝えする際に概算工事費や耐震改修工事のイメージを説明するとともに、建築士など専門家の紹介も行うことといたしました。
なお、本県は、耐震診断件数が全国第一位、耐震改修件数が全国第二位となっておりまして、本県から見ますと、東京都の耐震診断等の実績はかなり少ない状況ではありますが、御紹介のありました東京都のホームページでは、わかりやすく情報が提供されておりますので、今後の参考にしてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、市町村のきめ細かな取り組みが重要と考えておりますので、今後とも十分連携して事業進捗を図ってまいります。
以上でございます。
34:◯議長(吉川伸二君)
進行いたします。
坂田憲治議員。
35:◯十四番(坂田憲治君)
それでは、通告に従い、第十一款教育費第一項教育総務費のうち、教育推進計画策定費についてとあいち理数教育推進事業についてお伺いをいたします。
現在、教育委員会では、あいちの教育に関するアクションプランを平成十九年四月に策定し、愛知の基本理念とみずからを高めることと社会に役立つことを基本的な視点とした愛知の人間像の実現を掲げ、その目指す愛知の人間像を示され、その実現に取り組んできてみえます。このプランは、知事部局、警察本部も含めた教育に関する総合的な行動計画であることから、本県の教育推進基本計画に位置づけられておりますが、目標年度が平成二十二年度までになっており、平成二十三年度からの新しい計画を策定するということをお伺いしております。
このあいちの教育に関するアクションプランを見直すに当たって、社会全体で子育てを支援するといった立場からすれば、社会全体の思いや願いといったものをプランに反映させることが大切であると考えます。
そこで、今回の見直しでは、教育に直接携わる人や見守ってくれる人や、社会を形成しているいろいろな方々から、その思いや願いを取り入れながら進めていただきたいと思っております。
例えば、教育のあるべき姿を理念的に検討するグループ、教育する側に携わるグループ、教育を受ける側のグループ、教育を見守る保護者のグループ、教育を地域で見守るグループ、教育を受けた人を雇用する側のグループなどが考えられます。
こうした多面的な意見や考え方に率直に耳を傾けながら、多角的な検討をしながら見直すことが私は大切なことだと考えております。
平成十九年に策定した際には、愛知の教育を考える懇談会からの提言や、国の動向などを踏まえて策定されたと聞いておりますが、今回は、より愛知らしい県民視線を取り入れたプランにするために、懇談会等協議以前に、前に述べたような方々からの意見聴取に力を入れていただきたいと思っております。
また、教育を考える場合、発達の視点を欠くことができないと思っております。達成基準学年が小学校六年生や中学三年生といった一律のものではなく、発達の節目節目の達成目標を設けていただくとより厚みのあるプランになると考えます。
そして、教育では、数量的達成をすることよりも、その目標に向かって努力すること、その過程を大切にしなくてはならないこともあると考えます。こうした質的な視点をどうとらえるべきかも検討材料にしていただきたいと考えます。
そこでお伺いをいたします。
あいちの教育に関するアクションプランの実施結果などを踏まえて、どのような視点で新しい計画を策定していかれるのか、また、どのような手順や方法で策定していかれるのかをお伺いいたします。
次に、あいち理数教育推進事業についてお伺いをいたします。
昨年の秋、国の行政刷新会議ワーキンググループの事業仕分けにおいて、世界一を目指すコンピュータの開発が凍結の判決を受けるなど、科学技術に関する基本事業の重要性が十分に理解されない状況がありました。
それに対して、ノーベル賞を受賞した最先端の研究者たちが厳しい批判を加え、資源のない我が国においては、世界水準から抜きん出た科学技術開発をなくしては未来はないと強く訴えたことは記憶に新しいところであります。
また、それに先立つ昨年八月には、国の基礎科学力強化総合戦略が示され、国の方針としての科学技術創造立国を再認識し、基礎科学力の強化に社会総がかりで取り組む必要性が述べられております。
その中で、小学校から大学までの各学校段階における理数教育等の充実を図るとともに、科学者や技術者などの外部人材を学校で活用し、理数好きの子供たちのすそ野を広げつつ、才能豊かな子供に高度な内容を学ぶ機会を提供することが求められております。
経済状況が厳しい中、世界における日本の競争力を持続、強化していくことは喫緊の課題であり、そのためにも、日本の前途を担う若者たちの科学技術に対する興味、関心を喚起し、学ぶことの目的意識を持たせ、長期的な視野に立って科学技術の振興に努めることは非常に重要であると考えております。
本県は、自動車産業とともに航空宇宙産業でもすぐれた基盤を有しておりますが、本県が日本を代表する物づくりの拠点として一層発展していくためには、これらの産業分野のみならず、ナノテクノロジー、IT、バイオテクノロジーなどの分野においても、物づくりの伝統を積極的に生かしながら、新たな産業を育成していくことが大切であると思います。
そして、このような新たな産業の育成に向けて、本県がまさに知の拠点となるよう、県内の産業界、大学、高校などが連携して、科学技術者を育成するための施策を講じる必要があると考えます。
本県では、現在、県立岡崎高等学校を初めとする県立高校三校が国のスーパーサイエンスハイスクールの指定を受け、理科や数学に関する教育課程などについての研究開発や、大学や研究機関などと連携して、生徒が大学で先端的な研究を体験することで、大学の教員や研究者が高校で授業を行うことなど、先進的な理数教育に取り組んでいるところであり、同様の取り組みを県教育委員会が独自に指定したあいちスーパーハイスクール校においても実践されていると聞き及んでおります。
こうしたさまざまな取り組みの中で各学校が蓄積してきた理数教育の指導のノウハウをさらに充実させるとともに、より多くの学校の生徒が最先端の科学技術研究などに直接触れることなどにより、自然科学への興味、関心と学習意欲を一層高められるような仕組みづくりを進めていくことはとても重要なことであります。
そこでお尋ねをいたします。
来年度、教育委員会が新たに開始するあいち理数教育推進事業において、あいち科学技術推進協議会議を設け、高校・大学連携の充実を図るとのことではありますが、この事業の具体的な内容とねらいについてお伺いをいたします。
36:◯教育長(今井秀明君)
まず、教育振興基本計画策定費についてお答えいたします。
あいちの教育に関するアクションプランにつきましては、本県初の教育に関する総合的な行動計画といたしまして、平成十九年四月に策定し、家庭、地域、学校の協働を基本姿勢といたしまして、二十二年度を目標に毎年度重点的な取り組みを掲げて推進してきたところでありまして、来年度に新しい計画の策定作業を行うことといたしております。
アクションプランを策定して以来、少子・高齢化や情報化、人々の価値観やライフスタイルの多様化はますます進みまして、社会・経済状況が大きく変化する中で、本県が飛躍と発展を遂げるためには、将来を担う人づくりが極めて重要であると考えております。
しかし、近年、いじめや不登校等の問題行動、子供の学習意欲の低下や家庭、地域社会の教育力の低下など、教育を取り巻く課題はさらに複雑、多様化してきております。
昨年八月、新しい計画を策定するに当たりまして、県民の意識を把握するということで、あいちの教育の推進に関する県政モニターアンケートを実施いたしました。その結果によりますと、子供の将来のために愛知県はどのような教育分野に力を入れていくべきとの問いに対しまして、道徳教育が五八・五%と最も高く、次にキャリア教育が三七・六%、続いて、学力の育成が二八・四%と上位を占めております。
また、毎年度実施いたしておりますあいちの教育に関するアクションプランの点検評価結果について、有識者の方からは、教育には継続性が不可欠であり、家庭、地域、学校が協働するためには、地域や世代を超えたボランティアなどが参加できる環境づくりが欠かせないとの意見もいただいております。
こうしたことを踏まえまして、あいちの人間像の実現に向けまして、教育を取り巻くさまざまな状況に対応して、十年程度先を見据え、今後五年間の重点的な取り組みや、家庭、地域、学校の連携を強化する取り組みなど、愛知らしさを盛り込んだ新しい計画を策定してまいりたいと考えております。
次に、どのような手順や方法で策定していくかというお尋ねでございます。
計画の策定に当たりましては、教育関係の各分野の有識者、経済界やNPOの方、教育現場から小中高、特別支援といった各学校の代表者、さらには、子供たちの置かれている状況や実態に十分精通した方々に参加していただき、検討会議を設けてまいります。
その場で示されました課題について、さらに深く掘り下げて議論を検討するため、二つの部会を設置するとともに、県庁の関係課室の担当者と意見交換をする庁内連絡会議を設置するなど、愛知の教育についてさまざまな視点から幅広い議論を行ってまいりたいと考えております。
また、このほかにも、PTAや私立学校、大学関係者や企業の方など、幅広い方々からもさまざまな形で意見をお聞きするとともに、パブリックコメントも行いまして、より議論を深めながら、教育の総合力がより一層発揮できるよう計画を策定してまいりたいと考えております。
次に、あいちの理数教育推進事業についてお答えをいたします。
県教育委員会では、高校生の創造性を高め、将来の物づくりを担うすぐれた人材を育成するために、平成十六年度に全国に先駆けまして、高校と大学及び産業界が連携したあいち・知と技の探究教育特区事業を開始いたしました。以来六年にわたり、その趣旨を引き継ぎ、大学と連携した知の探究講座並びに企業と連携したわざの探究講座を開催してまいりました。
さらに、御質問にもございましたスーパーサイエンスハイスクール校、あるいは愛知スーパーハイスクール校などにおきましては、それぞれの学校が大学と連携しながら、理科や数学において学校独自の科目を設けたり、実験を重視して生徒の探究活動を促すなど、意欲的な取り組みを進めてまいりました。
来年度でありますけれども、新たに開始するこのあいち理数教育推進事業は、本県におけるこうした理数教育の実績をもとに、生徒の自然科学や技術革新への興味、関心を高め、あわせて、教員の指導力の向上を図ることによって、この地域における科学技術教育の一層の発展を目指すものであります。
このため、本事業における中核的な役割を担う組織といたしまして、あいち科学技術教育推進協議会議を設け、県教育委員会と理数教育に力を入れている県内十数校が科学技術に関するさまざまな教育活動についての情報交換や研究協議を行い、各学校の取り組みの成果やノウハウをほかの多くの学校に広く普及してまいりたいと考えております。
昨年十二月には、スーパーサイエンスハイスクール校を中心に、先進的な理数教育に取り組んでいる高校の生徒、教員約三百名と、大学、研究機関の研究者約三十名が参加して研究発表会を開催したところでありまして、出席していただいた独立行政法人の科学技術振興機構の方からも、全国的にもすぐれた取り組みであるとの高い評価をいただいたところでございます。
こうした研究発表会をあいち科学技術教育推進協議会議の主な取り組みの一つとして引き続き開催することといたしておりまして、将来は、全国をリードする理数教育に関する発表会としたいというふうに考えております。
また、先進的な理数教育を推進するためには、大学との関係を円滑かつ機能的に維持することが非常に重要でありまして、その協議の場として、新たに高大連携連絡会議を設けることといたしております。さらに、従来の知の探究講座を継承する事業として、高大連携による科学技術講座を開講いたしまして、夏休みなどを生かして、大学において講義や実験実習を行うことにより、より多くの学校の生徒に先進的な理数教育を受ける機会を積極的に提供してまいりたいと考えております。
県教育委員会といたしましては、これらの取り組みを有機的に結びながら、本県理数教育のさらなる充実と発展を目指してまいりたいと考えております。
以上でございます。
37:◯十四番(坂田憲治君)
それぞれ御答弁いただきました。
それでは、要望させていただきます。
あいちの教育に関するアクションプランに関してですが、いろいろな立場、いろいろな年齢の方々のなるべく多くの思いや願いを収集していただいて、帰納的に集約、整理をしてまとめていただきたいと思っています。くれぐれも演繹的に進められないようにお願いをいたします。
また、学校の教頭先生の給料が、同じ学校に勤めてみえる同年齢の先生よりも低いといった現状があるように聞き及んでおりますが、仕事量や忙しさからしてもちょっと首をひねらざるを得ないかなというふうに思っております。
そうしたことから、国の教育振興基本計画にもありますが、めり張りのある教員給与体系の推進に御努力いただくとともに、今、実施されてみえます教員評価制度の定着を図っていただくことを強く御要望申し上げます。
次に、理数教育の推進ですが、国の基礎科学力強化総合戦略にもありますように、理数好きな児童生徒のすそ野の拡大に努めていただくことを要望して終わります。
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38:◯三十七番(山下史守朗君)
暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
39:◯議長(吉川伸二君)
山下史守朗議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
40:◯議長(吉川伸二君)
御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時五十九分休憩
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午後一時開議
41:◯副議長(鈴木孝昌君)
休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
長江正成議員。
42:◯十六番(長江正成君)
歳出第九款建設費第二項道路橋りょう費についてお伺いします。
道路の構造の技術的基準は、道路の種類ごとに政令で定めるとなっています。その政令は、平成十五年七月に一部改正された道路構造令です。改正の背景は、地域の実情に応じた道づくりを推進し、道路整備のコスト縮減のため、地域特性に応じた構造基準を見直すローカルルールの導入を進めていくということです。
愛知県においては、平成十六年四月に道路構造の手引きが抜本的改訂され、財団法人都市整備協会で現在も販売をされているところです。その総則には、愛知県独自の基準も盛り込みながら、愛知県建設部としての統一的な運用を図ることを目的に取りまとめられたと述べてあります。また、適用範囲として、愛知県建設部で実施する道路の計画、設計、施工監督業務等に適用すると規定されています。
ここでお伺いしたい点ですが、愛知県は、道路構造の手引きを策定し、道路構造令の柔軟規定をそこに取り入れられていますが、県下市町村道路管理者が道路構造令の柔軟規定の認識や活用について把握をされているか、お伺いをします。
次に、私たち道路利用者側としては、安全かつ安心して移動できる道路の早期整備を望むところです。不特定多数の交通の用に供される道路は、国道、県道、市道等区分や、道路の種類は関係のないところであり、私も建設行政の成果を非常に重視するところでもあります。もちろん、国道、県道、市道等、各道路管理者の裁量と責任に基づくところですが、道路は、ネットワークとして相互に連絡して初めてその機能が全うするものであり、愛知県として、県下市町村に対し、技術的助言として扱えるものとその手引きを私は理解したいところです。
そこで、道路構造令の手引きを県道、市道等の区分けなく県内の道路に適用できるよう、今後改訂されるつもりがあるかをお伺いいたします。
次に、第九項住宅費について、愛知県住宅供給公社が進めているサンヒル上之山に関連し、御質問を行います。
愛知県住宅供給公社は、みずからが所有する愛知県瀬戸市上之山の土地について、宅地として造成し、分譲する開発を計画し、民間住宅業者に対し、企画を公募しました。最終的に住宅事業者八社が共同して申し込むことになり、平成十九年十月十二日に開発提案型宅地分譲に関する協定書を締結しました。
その後、開発予定地域に推定活断層が存在することが判明し、昨年一月にはその旨の新聞報道もなされたことから、宅地として造成することは困難と判断した住宅事業者八社が計画の白紙撤回による協定の解除及び既払金の返還を求め、平成二十一年九月二十九日付で名古屋簡易裁判所に対し、調停の申し立てを行いました。現在、調停不成立と聞いております。
そこで、国土地理院の都市圏活断層図では、サンヒル上之山計画地をまともに横断している推定活断層が記載されておりますが、今までに県が公社に対してどのような指導をされたのかをお伺いいたします。
次に、地域から受け入れられる住宅地とは、安全でかつ信頼できる住宅地と考えます。例えば社団法人全国都市清掃会議がまとめた廃棄物最終処分場整備の計画・設計要領では、候補地選定の考え方で候補地周辺一キロメートル以内に活断層がない候補地が自然条件の適正度が高いとしています。
また、県が整備を進める知の拠点やリニモ軌道構造物においても、直下の活断層に対して調査と対策を講じたと聞いております。活断層直上の住宅地はどのような調査や対策を行えばよいのか、お考えをお伺いします。
最後に、現在、市街化調整区域にあるサンヒル上之山は、既存開発地として、今後、瀬戸市は地区計画制度を利用すると聞いていますが、公社が開発を断念した場合、サンヒル上之山北側の分譲済み地区に住まわれている住民は不利益をこうむることがあるか確認し、質問を終わります。
43:◯建設部長(川西寛君)
道路構造令の弾力的運用について、二点御質問をいただきました。
まず、県内市町村の道路構造令における柔軟規定に対する認識や活用について把握しているかというお尋ねについてお答えを申し上げます。
道路構造令は、道路の安全性や円滑性を確保するため、国が最小限保持すべき技術基準として定めている規定でございますが、特例や緩和条項といった柔軟規定が設けられているにもかかわらず、十分に活用されておらず、過大な道路整備を生む要因になっているとの指摘がなされております。
このため、国は、平成二十年九月に全国の自治体に道路構造令における柔軟規定の認識に対するアンケートを実施しております。これによりますと、県内六十市町村のうち十四町がよく知っている、四十四市町村が存在は知っているが詳しくは知らないと、合わせて五十市町村が知っているものの、実際に柔軟規定を活用していたのは二十一市町村にとどまり、十分に活用されていない状況がうかがえます。
次に、道路構造の手引きを県内の道路全体に適用できるよう、今後改定するつもりがあるかというお尋ねにお答え申し上げます。
政府は、本年三月五日に地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案を閣議決定したところでございます。この法案の中で、県道及び市町村道の技術基準につきましては、交通の安全性、円滑性を担保する上で、設計に用いる車両の重量など、全国一律に国が設定する項目を除きまして、道路管理者である県及び市町村の条例で定めるということになっております。
したがいまして、道路構造の技術基準を県、市町村それぞれが条例化しなければならないという大きな改正が進んでおりますので、条例化に当たりましては、県、市町村一体となって連携をとりながら、本県の地域特性を考慮した技術基準が策定できるよう検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
44:◯建設部建築担当局長(勢力常史君)
愛知県住宅供給公社のサンヒル上之山宅地開発事業について、三点の御質問をいただきました。
まず、サンヒル上之山における推定活断層に関する住宅供給公社への指導についてお答えをいたします。
平成十六年に発行されました国土地理院の都市活断層図に、サンヒル上之山南部分を横断する推定活断層が記載されましたが、そこには、推定活断層とは地形的な特徴により活断層の存在が推定されるが、現時点では明確に特定できないもの、または今後も活動を繰り返すかどうか不明なものとの記載もありましたので、共同開発者となる民間事業者を募集した平成十九年当時、公社は特段の注意を払うべきものと認識しておりませんでした。
県としましては、個別の事業に係るものでありますので、公社に特段の指導をしておりませんでした。
なお、昨年一月に推定活断層についての報道がなされた以降は、民間事業者との調整が適切に図られるよう助言してまいりました。
次に、活断層の直上の住宅地についての調査及び対策についてお答えします。
活断層を考慮した土地利用の事例といたしましては、神奈川県横須賀市において、住宅地を開発する際に、断層や建築構造の専門家の意見をもとに、活断層から両側十五メーターの区域は公園や広場として計画されました。
また、アメリカ合衆国のカリフォルニア州においては、活断層線から両側五十フィート、これは約十五メーターになりますけれども、この範囲で集合住宅の建築を禁止する活断層法がございます。
以上の例からも、断層の位置や活動した場合の特性を考慮し、活断層と判断された場合には、その直上付近には建築物を配置しないなど、住宅計画を工夫することが適切であると考えております。
最後に、サンヒル上之山北側の分譲済み地区にお住まいの方への影響についてお答えします。
瀬戸市や住民の方々は、この地域に地区計画を適用し、良好な居住環境の維持に努力されようとしておりますが、南半分の造成工事が中断し、昨年一月には推定活断層についての新聞報道もありましたので、不安をお持ちの方も多くいると認識をしております。
北側の分譲済み住宅と推定活断層とされる位置は、近いところで約百メーター離れておりますが、推定活断層については、まずは調査が必要でありますし、調査等の情報を住民の方々にお伝えしていくことが大切であると考えておりますので、必要に応じて住民の方々と意見交換を行い、状況を説明していくよう、公社に助言してまいります。
また、公社は事業撤退は考えておりませんが、現在準備が進められております地区計画については、まずは北半分の分譲済み地区への適用も可能でありますので、瀬戸市との調整を進めていくよう、公社への助言を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
45:◯副議長(鈴木孝昌君)
進行いたします。
石黒栄一議員。
46:◯二十五番(石黒栄一君)
第九款建設費第八項建築費のうち、長期優良住宅推進指導費についてお尋ねをいたします。
住宅は、人生の大半を過ごす場であるとともに、経済活動や社会生活の基盤であり、長期にわたる住生活の安定及び向上を実現する上で不可欠な貴重な資産であります。
我が国の住宅政策は、これまで住宅の量の確保を図ることを通じて、深刻な住宅不足の解消や居住水準の向上などに努めてきました。しかし、近年では、少子・高齢化が急速に進展し、また、環境問題が深刻化するなど、新たな課題への対応が必要とされております。住宅や居住環境の質を向上させるとともに、その長期使用を進めることは重要な課題となっております。
今後の住宅政策においては、平成十八年に施行された住生活基本法や、平成十八年九月に国が策定した住生活基本計画にあるように、住宅単体だけでなく、居住環境を含む住生活全般の質の向上を図り、良質な住宅を将来世代へ受け継ぐための政策に転換することが求められております。
本県におきましても、住まい・まちづくりマスタープラン二〇一五を策定し、良質な住宅ストック形成のための施策に取り組まれているところであります。
ところで、このマスタープランにおいても、新築住宅の質、性能を確保し、住宅の平均寿命を延ばすことを目標の一つにしているところでありますが、我が国の現状を見てみますと、取り壊される住宅の平均築後年数は約三十年と言われており、イギリスの約七十七年、アメリカの約五十五年など、諸外国と比較して我が国の住宅は非常に短い期間で取り壊されております。
住宅を世代を超えて長持ちさせて大切に使い、資源の有効利用や地球温暖化防止を図ることにより、持続可能社会へと転換するための取り組みが必要になると考えます。
また、家計にとっては、住宅ローンや家賃などが重い負担となっております。住宅を長持ちさせ、住宅の建てかえに要する費用を削減することにより住宅ローンなどの負担を軽減し、その部分を住宅の最新設備の導入やリフォームなどによる住生活の質の向上に生かしたり、福祉や余暇活動などに当てることで経済的なゆとりを創出し、豊かな住生活が実感できる社会の実現につながると考えられます。
さらに、住宅ローンを返済し終えたときには住宅の資産価値がゼロになると言われているように、一定期間経過すると住宅の資産評価は大きく下がってしまいます。長期にわたって住宅を利用し続け、住宅が本来持つ価値に見合った適切な評価がされるようになれば、住宅を長く資産として見ることができると考えられます。
このような状況の中、長期にわたり良好な状態で使用できるようにつくり、維持される住宅の普及を促進するため、長期優良住宅の普及の促進に関する法律が昨年六月から施行されていると聞いております。
そこで、この法律に基づく長期優良住宅の認定制度及び、本県の対応についてお伺いいたします。長期にわたり優良な状態で使用するための措置が講じられた住宅として長期優良住宅が認定されると思いますが、どのような基準を満たした住宅が長期優良住宅になるのか、お尋ねをいたします。
また、メリットがないとこうした仕組みは普及しないと考えられます。長期優良住宅として認定された場合、特に申請者にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
次に、この制度が始まってから約九カ月がたちましたが、本県では、今までにどれくらいの住宅を長期優良住宅として認定されたのでしょうか。長期優良住宅の認定後の対応も大変重要であります。住宅の所有者は、住宅の維持保全を定期的に行わなければ、住宅を良好な状態に保つことはできません。そのために県はどのようなことをお考えなのか、お聞かせください。
以上です。
47:◯建設部建築担当局長(勢力常史君)
長期優良住宅につきまして、四点の御質問をいただきました。
まず、一点目の長期優良住宅の認定基準についてお答えいたします。認定基準は大きく分けまして、住宅の性能に関する基準と、建築後の維持保全のための基準がございます。
まず、住宅の性能に関する基準としましては、建物本体が長期間の使用にも耐えるような対策が講じられていることや、地震に対しても大きな損傷なく継続して利用できるように、建築基準法で定められた耐震性を二五%以上高めることが求められます。
また、内装や設備の維持管理のしやすさ、高い省エネ性能などを満たす必要がございます。
このほか、地区計画や建築協定などで定められた基準に適合し、地域の居住環境へ配慮することや、良好な居住水準を確保するため、一定規模以上の床面積であることが求められます。
もう一つの維持保全に関する基準では、柱、壁、屋根などの構造上主要な部分や、屋上防水やサッシなどの雨水浸入防止部分、給排水設備について、その点検、補修を少なくとも十年ごとに実施していただくことや、そのための資金計画が求められます。
次に、二点目の長期優良住宅の認定を受けた場合の申請者にとってのメリットについてでございます。
メリットは、主に税金や住宅ローンでありますが、まず、税の優遇措置としましては、所得税の住宅ローンの特別控除率が一般住宅の場合は一・〇%でございますが、これが一・二%となりまして、最大五千万円のローンの場合、十年間で六百万円の控除が受けられます。
このほか、登録免許税の税率、不動産取得税の控除額、固定資産税の軽減期間がそれぞれ一般住宅よりも有利になっております。
二つ目は、住宅金融支援機構の住宅ローンであるフラット35の特例が適用されまして、一般の金利よりも有利な金利となっております。ことし中は、当初十年間マイナス一%の金利優遇が適用されることになっております。さらに、通常、最長で三十五年のローン期間のところを五十年間のローンを組むことができるフラット50という制度も新設されております。
次に、三点目の本県での認定状況についてでございます。
昨年六月からこの制度がスタートいたしましたが、本年一月までの八カ月間で県内で認定された住宅は四千五百五十九戸となっておりまして、全国で認定された住宅四万四千九十五戸の一割強になっておりまして、都道府県別では第一位であります。この数字からも、本県では、長期優良住宅への期待や関心がかなり高いことがうかがえると考えております。
最後に、長期優良住宅の認定後の対応についてであります。
住宅を良好な状態に保っておくためには、建築主の方に住宅の維持管理をきちっと行っていただくことが大切でございます。
国においては、建築後の修繕等の記録作成や、保存に関する手法について検討を進めていると聞いておりますが、現在のところ、維持管理に関するマニュアル等は示されておりません。
本県の長期優良住宅への関心はかなり高く、既に相当量が供給されておりますので、来年度、維持管理の大切さや、点検、修繕の方法などをわかりやすく解説した維持管理マニュアルを国に先駆けて作成することといたしました。
このマニュアルを建築主の方々に配付し、適切な維持管理にお役立ていただくとともに、住宅事業者や不動産業者の方々にも説明会等を通じ、維持管理の大切さを認識していただくよう努めてまいります。
良質な住宅取得の形成を進めていくためには、長期優良住宅の普及は重要であると考えておりますので、国及び関係事業者と連携し、事業の促進に努めてまいります。
以上でございます。
48:◯副議長(鈴木孝昌君)
進行いたします。
鈴木純議員。
49:◯十七番(鈴木純君)
通告に従いまして、歳出第九款建設費第九項住宅費及び第十二号議案愛知県営住宅管理事業特別会計についてお伺いいたします。
ともに、県営住宅の地上デジタル対応についてですが、前者は、県営住宅の内側の県民に対して、後者は、県営住宅の外側の県民に対しての対応をお伺いするものです。
さて、二〇〇一年の電波法の改正により決定されたアナログ放送を終了し、地上デジタル放送へ完全移行する二〇一一年の七月二十四日がいよいよ来年と迫りました。
本県では、二〇〇三年十二月に瀬戸デジタルタワーからデジタル放送が開始され、先月の十日には、テレビ愛知に対し、都市部の難視聴を改善するため、名駅中継局と国際センター中継局の予備免許が付与されるなど、最終段階の整備が進められています。
また、県民に対する周知、広報も、昨年九月の総務省の調査によりますと、アナログ放送終了の認知度は全国で九八・〇%、終了の時期についての認知度は八九・六%です。地上デジタルテレビ放送対応の受信機の世帯普及率も、エコポイント制度の導入などもあり、全国六九・五%、県内七二・五%となっています。
先日、総務省東海総合通信局に確認したところ、デジサポが今年度内に三千七百八十回を予定している住民説明会も、一月末時点で二千八百四十九回に上り、開催件数は計画を上回る予定とのことでした。
このように、地上デジタル放送の施設整備が進められ、県民の地上デジタルへの移行の認識が高まっている中、県営住宅について、地上デジタル放送への対応の状況を最初にお伺いします。
昨年十二月に、地上デジタル推進全国会議が策定した第十次デジタル放送推進のための行動計画では、県営住宅も含まれる集合住宅協調施設のデジタル化対応について、今年度末の対応率八〇%を目標としています。本県の県営住宅の地上デジタル放送への対応計画では、平成二十年度からの三年間で実施するとお伺いしていますが、その進捗状況並びに対応方法をお伺いします。
次に、県営住宅の受信障害対策地域の地上デジタル放送への対応についてお伺いいたします。
地上デジタルは、ハイビジョンやデータ放送など、多様で高度な放送サービスを実現するとともに、電波障害に強い特徴があります。推計では、受信障害世帯がアナログ放送に比べておよそ十分の一になると言われています。
しかし、強制的にアナログ放送が終了されてしまう中、県民の中には、その対応に不安を抱いている方もいらっしゃいます。
先日、県営住宅による受信障害対策を受けている地域の区長さんから、デジタル放送に移行するに当たってどのようになるのか、ちょうど年度の切りかわりの総会の時期で、皆さん、気にされているというお話がありました。今までどおり県で受信障害として対応してもらえるのか、聞くところによると、障害の対策範囲がかなり限定され、同じ行政区の中でも対策範囲から外れて、自分でアンテナ等の設置が必要となる世帯とそうでない世帯が出るのでしょうかということでした。
県営住宅の中で、近隣住民に受信障害対策を実施している施設は百六十七施設、一万五千世帯を超えるとお聞きしていますが、最初に、今までのアナログ電波に対してどのような対策をとられてきたのか。
次に、今後、デジタルに移行するに当たり、対応はどのようにされるのか、受信障害の範囲外になる世帯はどれくらいになるのか、どのような方法で、いつごろ関係住民にお知らせするのかをお伺いいたします。
また、実際にデジタル化により受信障害が解消され、対策の範囲外になった世帯については、御自分でアンテナを設置するか、ケーブルテレビに加入ということになると思いますが、アナログの受信障害として使用していた共同受信設備をUHFアンテナに変更して再利用することは可能なのかもあわせてお伺いします。
最後に、愛知県の建物施設数は千七百施設ほどあり、ただいまお伺いした受信障害対策をしている施設も各部局にあると思いますが、県営住宅の地デジ対応については、建設部が独自に判断をして実施していただいているとの理解でよろしいのかをお伺いして、一回目の発言を終わります。
50:◯建設部建築担当局長(勢力常史君)
県営住宅の地上デジタル放送への対応について、四点お尋ねをいただきました。
まず、一点目の県営住宅における地上デジタル放送への対応の進捗状況と対応方法でございますが、県営住宅全体千五百四十八棟のうち、平成十六年度以降に建設した新しい住宅四十九棟と、修繕工事を実施しました三百八十四棟は既に対応がされております。残り一千百十五棟につきまして、平成二十年度から三カ年計画で地上デジタル対応を進めているところでございます。
今年度までに全体の約八五%に当たる一千三百十四棟で対応が完了する見込みであります。残りの住棟につきましては、平成二十二年度中に完了する計画となっております。
対応方法でございますが、改善工事やその後の維持管理に要する費用を考慮しまして、主として地上デジタル放送用のアンテナを設置する方法で実施しており、一部の地域では、ケーブルテレビへ接続する方法により実施しているところでございます。
次に、二点目の県営住宅による電波障害への対応等についてのお尋ねでございます。
まず、これまでアナログ電波で受信障害が発生した場合は、主として共同アンテナを設置して対策を行っておりましたが、一部の地域においては、設置工事の費用等々、比較検討しまして、ケーブルテレビによる対策も実施をしております。
次に、地上デジタル放送移行に向けての対応でありますが、これまでアナログ放送の受信障害対策を実施している建物のうち、地上デジタル放送においても、県営住宅の影響で引き続き受信障害が発生する建物に対して受信障害対策を実施することとしております。受信障害の範囲外になる世帯数につきましては現在精査中でありますが、これまでアナログ放送の受信障害区域にあります一万五千を超える世帯のうち、約九五%の世帯が範囲外になると思われます。
なお、御質問にありましたように、今後、テレビ愛知の名駅中継局と国際センター中継局が六月に開局する予定となっておりますので、障害が解消される世帯はさらにふえるものと考えております。
また、関係住民の方へのお知らせの方法と時期でございますが、これまで先行して実施してきました東三河地域では、県営住宅の影響による地上デジタル放送の受信障害の発生の有無と、それに対する県の対応内容について、事前に文書でお知らせをしてまいりましたので、これ以外の地域につきましても、平成二十二年の四月から文書により順次お知らせしていくこととしております。
次に、三点目の障害の範囲外となる方がこれまでの共同受信施設を利用することは可能かとのお尋ねでございます。この場合は、新たな共同アンテナの設置や電波を増幅分配する機械の設置、そのほか、電柱への共架料なども必要になってまいりますが、これらの多額の費用は利用者の負担となります。
したがいまして、個別アンテナを設置されるほうが大幅に費用が軽減されますので、県としては、共同受信施設の再利用は考えてはおりません。
最後に、県営住宅の地上デジタル放送の対応については、建設部独自に判断をして実施しているかとのお尋ねでございます。
公共施設のデジタル化改修につきましては、平成二十年七月三十一日付で総務省より計画的な実施を要請する通知がございましたが、県営住宅は非常に多くの施設の改善が必要なため、早目の対応を行うこととし、この通知以前から独自に計画を立てて実施をしてまいっております。
以上でございます。
51:◯十七番(鈴木純君)
御答弁ありがとうございました。
アナログ放送終了まであと五百一日ということでありますので、県営住宅の受信障害地域の住民の皆さんへの対応として、年度明けから順次お知らせをしていただけるということであります。速やかに対応していただくようよろしくお願いを申し上げます。
あと一点、要望でありますけれども、県の施設、ほかにもいろいろな部署で抱えていらっしゃいますが、二、三の部署について少しヒアリングをさせていただきました。
例えば警察本部管轄の施設では、平成二十年に机上調査を始め、同年十二月に実施調査に入る旨を関係住民にお知らせし、一年後の昨年十二月に結果説明、両方とも警察職員の方が一軒一軒歩かれたということであります。四十分間立って御意見を伺ったこともありましたが、長い間受信障害対策を行っていただきありがとうございましたと声をかけてくださった方もいらっしゃったそうです。
警察行政と県営住宅の管理ではもちろん違いがありますが、県民の目から見れば、同じ県の施設です。他の部局では、二十二年度中には対応しますというところもあり、県民への対応がさまざまなようです。県民にお知らせする時期をある程度合わせるとか、縦割りではない、少なくとも他の部局での対応がお互いにわかるように情報が共有できるような県民目線でのチーム神田としての取り組みをお願いし、発言を終わります。
52:◯副議長(鈴木孝昌君)
進行いたします。
吉田真人議員。
53:◯二十七番(吉田真人君)
通告に従いまして、歳出第十一款教育費第五項特別支援学校費のうち、尾張地区新設養護学校整備費に関して質問いたします。
本県の知的障害養護学校は、当初想定された児童生徒数を大きく超えております。その結果、教室不足による狭隘化や、スクールバスによる長時間通学などの問題が明らかになっております。
これまで本県では、知的障害養護学校の過大化解消に向け、平成十六年度養護学校課題研究調査委員会を設置し、知的障害養護学校の想定規模を児童生徒数が三百名を超えない規模にするために、県立高等学校の余裕教室など県有施設の活用や、県立高等養護学校の生徒募集増、県立の養護学校の新設等により対応されてきました。
具体的には、平成十八年度には、桃陵高等学校に半田養護学校桃花校舎を開校したり、高等養護学校二校の募集人員を一学級八人から九人へと募集定員を増加したりしました。
さらに、平成二十一年四月には、安城養護学校の過大化を解消するために、岡崎市内にみあい養護学校を新設開校するとともに、宝陵高等学校に豊川養護学校本宮校舎が開校されました。これらのことにより過大化の改善が順次図られてきております。
しかし、今後も児童生徒数の増加が見込まれることから、適正規模の確保や通学時間の短縮化を図るために、養護学校の新設を早急に進める必要があると考えます。
県教育委員会は、昨年六月に知的障害養護学校の今後の方策についての報告書をまとめられ、その中で、喫緊の課題への対応として、稲沢市にある元平和高等学校を活用することによって、一宮東養護学校及び佐織養護学校の過大化解消を図っていくこととなりました。厳しい財政状況の中、こうして新たに養護学校が建設されるということは大変評価できます。
尾張地区に新設の養護学校が設置されることにより、一宮東養護学校及び佐織養護学校の教育環境が改善され、小中学校も含め、地域の特別支援教育をリードする学校がふえるということとなり、地域にとってもまことに喜ばしいことであり、住民の期待も大きいと思われます。
しかし、高等学校の施設設備と特別支援学校の施設設備では、教室配置や児童生徒の動線など幾つかの課題があり、どのような活用方法があるのか、また、築三十年を超える校舎の改修はどのように行われるのか、課題が残るのではないかと考えていました。
本年度は、児童生徒が伸び伸びと学習できる教育環境づくりのために、元平和高等学校の具体的な活用についての調査検討が行われ、元平和高等学校の校舎等の改修ではなく、新たな養護学校の校舎等を建設するための基本設計が進められていると伺っております。
このことは、子供たちにとっても、保護者にとっても、新しい学校の施設設備を生かした教育を展開していく上で期待の大きいところかと思います。
この尾張地区新設養護学校は、小学部、中学部、高等部の児童生徒を対象とした学校になり、一宮東養護学校及び佐織養護学校と新設養護学校を含めた三校の通学区域の見直しも必要になると考えます。
平成二十一年度には、尾張地区にある一宮東養護学校及び佐織養護学校の児童生徒数がそれぞれ四百五十人強、三百十人強と過大化しておりますので、一宮東養護学校、佐織養護学校、新設養護学校の三校が適正規模を維持できるように、スクールバスの運行経路や通学時間、公共交通機関の利便性等を勘案した上で通学区域を設定していただきたいと考えます。
現在、一宮東養護学校に在籍している児童の中には、一宮東養護学校の隣接している児童クラブに行っている児童がいます。この児童の中には、居住地によって新設養護学校へ移動することになり、児童クラブに行けなくなるのではないかという保護者の不安も心配されますので、一宮市内における一宮東養護学校と新設養護学校の通学区域の設定には十分配慮していただきたいと思います。
新設養護学校が開設される稲沢市は、植木、苗木の産地として全国的に知られるとともに、全国一のギンナンの産地であります。また、名古屋市のベッドタウンとして、近年、発展が目覚ましく、交通の便のよさから大企業の工場などが多いなどの特色があります。
このような地域の特色を生かしたり、地場産業と連携したりすることで、障害のある子供たちの就労支援の可能性が広がり、自立と社会参加に向けた職業教育の充実を図ることができると考えます。
さらに、新たな養護学校ができることで、地域の障害のある子供たちへの指導、支援の充実や、教育相談、指導内容、方法等に関する情報提供、また、福祉、医療、労働などの関係機関等との連絡調整など、地域における特別支援教育を推進する体制を整備していく上で中核的な役割を担うことが期待されます。
特に、小中学校の通常の学級に在籍する発達障害の児童生徒を含め、その教育的ニーズに応じた適切な教育を提供していくことが大切となります。このために、特別支援学校が高い専門性を生かしながら、地域の小中学校を積極的に支援していくことが求められておりますので、地域の特別支援教育のセンター的役割を果たす学校づくりを期待しています。
知的障害養護学校の整備については、障害のある児童生徒一人一人にとって、安全で安心な学校づくりをすることが重要であり、児童生徒の教育的ニーズに応じた教育環境を効果的に整備するべきであると考えます。
また、地域に根差した環境で学べることは、地域の子供たちや保護者にとって切実な願いでもあると思います。
そこで、尾張地区新設養護学校の整備に当たって、どのようにしていこうとしているのか、教育長に伺います。
54:◯教育長(今井秀明君)
尾張地区新設養護学校の整備についてお答えをいたします。
この新設養護学校につきましては、元平和高校の校舎が築三十年を経過していることでありますとか、障害のある子供たちの学習環境を検証した結果、改築により建設することといたしまして、平成二十六年度開校に向け、来年度実施設計を予定しております。
改築に当たりましては、児童生徒一人一人の障害の状態や特性に適切に応じられるよう、教室配置や子供たちの動線、バリアフリー化などの基本的な学習環境の整備に合わせ、日常生活の指導や職業自立のために必要な特別教室やコミュニケーションのスペースなどを確保することによりまして、安全性に配慮した安心感の持てる学校にしてまいりたいと考えております。
また、稲沢市は、古くから野菜、植木などの産地でありますので、これらの地域の特性を生かした体験学習や作業学習も行っていくなど、地元としっかり連携しながら、地域に開かれた学校づくりを進めてまいりたいと考えております。
さらに、地元の小中学校、高等学校との交流を深めるとともに、地域の障害のある児童生徒への支援を行う特別支援教育のセンター的役割を果たしてまいりたいと考えております。
なお、新設養護学校の通学区域に関してでございますが、関係市町の意見や、現在、一宮東養護学校に通学している児童生徒の保護者の意見も踏まえながら、柔軟に対応してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、子供たち一人一人が持てる力を十分に発揮し、元気に伸び伸びと学べるよう、安全でゆとりと潤いのある学校にしてまいりたいと思っております。
55:◯副議長(鈴木孝昌君)
進行いたします。
中根義一議員。
56:◯四十六番(中根義一君)
第二十六号議案愛知県名古屋飛行場条例の一部改正について、簡潔に質問させていただきます。
一昨年秋のリーマンショック以降の急激な景気後退により、航空業界は世界的に大変厳しい状況にあります。国際線につきましては、海外の航空会社と競争や国家間の交渉による路線の制約など、また、国内線においては、整備が進む新幹線や高速道路網の影響など、さまざまな要素に左右されるため、今後も航空会社の路線展開については難しい経営判断が続くものと考えております。
こうした中、本県の発展に不可欠の国際、国内の航空ネットワークの充実を図るためには、国際拠点空港である中部国際空港と、小型機の拠点を目指す県営名古屋空港という機能の異なる二つの空港をしっかりと活用していくことが必要不可欠であります。
しかし、日本航空は経営再建の最中であり、昨年十一月には、神戸空港と静岡空港から、十二月には、信州松本空港から撤退を発表しており、県営名古屋空港を拠点としている日本航空のグループのジェイエアも今後どのようになるのか、非常に心配するところであります。
最近では、県営名古屋空港路線においては、半分以上の路線で搭乗率が五割を割り込んでおり、大変厳しい状況ということを伺っております。一方、国においては、急激に悪化した景気の影響を受けて、落ち込んだ航空需要に対処し、地方航空ネットワークの維持を図るため、昨年七月から着陸料を十分の七から十分の六への引き下げを行っております。
さらに、県営名古屋空港の就航先空港においても、路線維持のため、高知県は、着陸料相当の全額を航空会社へ援助し、秋田県は、着陸料を三分の二から三分の一へ引き下げるなど、独自の支援措置を実施しており、山形県や帯広市においても、着陸料等について引き下げ議論がされていると聞いております。
このような中、県営名古屋空港の航空会社本社事務所に係る使用料の減免措置を講ずるため、本議会に条例の一部改正が提案されております。
そこで、三点質問いたします。
一点目につきましては、今回の減免措置による年間の減免額はどのぐらいの金額になるのか、また、今回の使用料の減免措置により、ジェイエアは引き続き県営名古屋空港を拠点としていく見込みがあるのか、伺います。
二点目は、今回の減免措置が県営名古屋空港の収支に何らかの影響を及ぼすのではないかと思われますが、来年の県営名古屋空港の収支の見通しについてお尋ねします。
三点目は、今後ますますコミューター航空の役割が重要となってくると思われますが、つきましては、今回の条例改正は、コミューター航空会社が県営名古屋空港を拠点として事業を展開する上で大きなインセンティブとなると思われますが、ジェイエア以外の航空会社で新たに県営名古屋空港を拠点として事業展開する動きがあるのか。
以上、三点について質問いたします。
57:◯地域振興部長(片桐正博君)
愛知県名古屋飛行場条例の一部改正に関しまして、三点お尋ねをいただきました。
初めに、使用料減免についてお答えを申し上げます。
今回、本議会に提案させていただいております名古屋飛行場条例の一部改正は、県営名古屋空港のターミナルビルにおきます航空会社の本社事務所に係る使用料について、一カ月一平方メートル当たり通常四千五百円のところを維持管理費相当額の千七百円とする減免措置を講じようとするものでございます。この措置による減免額は年間約八千八百万円を見込んでおります。
ジェイエアは、県営名古屋空港の開港と同時にターミナルビル内に本社を移しておりまして、開港以降の路線拡大や新機材導入などにより社員数もふえ、本社事務所を拡大してきており、この使用料に係る負担は大きいものとなっております。今回の本社事務所に係る減免措置は、ジェイエアが県営名古屋空港におきまして本社機能を維持していけるような環境を整えるものでございまして、引き続き県営名古屋空港を拠点としていただけるものと考えております。
次に、県営名古屋空港の収支についてでございますが、大規模な修繕や施設整備を除きまして、空港の管理運営に要する費用は空港収入で賄うことを目標といたしまして、効率的な運営に努めてきております。
平成二十年度決算におきましては、収入、支出ともに約十二億円余りでございましたが、支出が収入を若干上回る状況ではございました。
今年度の決算見込みといたしましては、自衛隊機の着陸料の増加などによりまして、収入が支出を上回る見込みでございます。来年度におきましては、今回の減免によりターミナルビル使用料収入は減少いたしますが、新たな格納庫用地の使用料や、自衛隊機や民間機の訓練による着陸料の増加によりまして、収入を十二億三千九百万円、支出を十一億七千六百万円と見込んでおりまして、若干収入が上回るものと予想をしております。
しかし、昨今の景気後退によりまして航空需要が落ち込んでいる状況もございますので、引き続き利用促進、あるいは経費の節減に努めてまいりたいと考えております。
最後に、県営名古屋空港に新たに進出する航空会社の動きについてお答えを申し上げます。
ジェイエアのような、百席以下の機材を運行しているコミューター航空会社は全国で十二社ございますが、その多くは、数機の機材を使用して離島地域など限定された地域において運行している会社でございます。航空会社が特定の空港に本拠地を置いて事業展開をするには、当該空港と結ぶ採算がとれる路線が必要でありますが、この地域におきましては、中部国際空港、県営名古屋空港が、合わせて既に国内二十五都市と結ぶ路線があり、空港需要も厳しい中で、新たに採算の見込める路線の設定は大変難しいものと思われます。
こうした事情もあってか、今のところ県営名古屋空港を拠点として新たに進出を考えている航空会社は承知をいたしておりません。
以上でございます。
58:◯副議長(鈴木孝昌君)
進行いたします。
鈴木愿議員。
59:◯五十九番(鈴木愿君)
第九款建設費第五項港湾費の中から、国際コンテナ戦略港湾の選定についてお伺いいたします。
さきの我が党の代表質問で、国際コンテナ戦略港湾についてお聞きしましたが、関連して少しお伺いいたします。
国土交通省は、全国で三つあるスーパー中枢港湾を一つないし二つの港に絞り込み、国際コンテナ戦略港湾を選定しようとしております。国は、これまでに三回の国際コンテナ戦略港湾検討委員会を開催し、選定基準等について検討を行い、二月十二日より公募を開始しております。これにより、この三月二十六日の提出期限に向けて、各港湾管理者は目論見書を提出していくものと思われます。
このような状況の中、本県にとって、名古屋港が国際コンテナ戦略港湾に選定され、引き続き重点的な整備を行い、中部の物づくり産業を支え、本県の経済発展を図っていくことは大変重要なことであります。
そこで、代表質問における知事の答弁に関連して、以下何点か質問いたします。
第一点目ですが、地元の名古屋港国際戦略港湾検討協議会において、名古屋港の特性を生かした今後の港湾戦略を検討しているとのことですが、具体的にどのような戦略なのか、まずお伺いします。
二点目は、知事は、答弁の中で、名古屋港の成長性、将来性を強調していく上で、民間会社による自働化コンテナターミナルの運営を挙げられておりましたが、具体的にはどのようなものなのか、お伺いいたします。
三点目、選定基準の重要項目である将来のコンテナ船の大型化への対応について伺います。
現在、名古屋港では、スーパー中枢港湾施策として水深十六メートルのコンテナバースを整備中でありますが、将来、国際戦略港湾を目指すならば、大水深バースとして水深十八メートル級が大きなかぎとなるはずであります。選定基準である水深十八メートル級のコンテナターミナルの確保は必須条件であり、名古屋港の現在どの埠頭を整備するにしても、一千万から二千万立方メートルの大量のしゅんせつ土砂が発生するものと思われております。
現在のポートアイランドも既に計画高よりも十メートル近く山積みにしている状況を見ますと、大量の土砂の処分は、現港湾区域内ではほとんど不可能と考えられます。したがって、港の外に求めざるを得ないと考えられます。
さらに、港の外といえども、この大量の土砂を適切に処分できる場所は、まずはセントレア周辺などに限られてくるのではないかと思われます。
本県では、かつてこの大量の土砂が発生する事業として、数年前、平成十一年から十六年、ちょうどセントレアの中部国際空港をつくるときと同じ年月なんですが、中山水道航路の整備が国土交通省の直轄事業として全額国費で行われております。この事業は、三河湾の入り口にありました浅瀬を大型船舶が安全に航行できるように掘り下げるものでありました。幅七百メートル、長さ二千九百メートルを平均の厚さ三メートルで、つまり、掘り下げるしゅんせつ工事をしたのであります。
私も、この工事は現場につぶさに見てまいりまして、世界最大級のグラブ船を使って一度に掘ると、二百立米も掘り返すような大型船で工事をしたんですが、長年の懸案事項でありました中山水道航路の完成によりまして、我々三河港を利用している大型船が安全に航行できるようになり、今日の三河港の発展を支えているわけでありますが、この工事で実は注目したいのは、しゅんせつで発生した土砂の有効利活用でありました。これは今度の名古屋港につなげたいと思うんですが、この中山水道航路の工事では、今の工事、約六百二十万立方メートルという大変膨大な、しかも、良質な砂が発生しました。国土交通省と愛知県あるいは地元の市町村も連携して、このしゅんせつ土砂を三河湾内の干潟や、あるいは浅場の造成に活用したのであります。
御存じのとおり、三河湾は、渥美半島と知多半島に挟まれた大変閉鎖的な海域でありまして、水質の悪化が問題となっておりました。干潟や浅場は海のゆりかごとも呼ばれているように、魚介類の産卵の、稚魚の生息の場として大きな役割を果たしており、そこで育っているアサリなどの二枚貝は、この水質の浄化にも大きく貢献していると言われております。この中山水道航路のしゅんせつ土砂で造成した干潟や浅場では、各地でアサリなどの二枚貝が戻ってきた。大変、今喜ばれていると聞いております。
このように、航路の整備事業は、単に航路を整備したというだけでなく、それから、発生した土砂を有効に活用して、干潟、浅場を造成するという関係機関が極めて連携をとってできた大変すばらしい取り組みでありました。
たまたま、この中山の砂はいい砂であった、良質な砂でありましたので、こういった干潟、浅場にも活用できたんですが、先ほどの、今回の名古屋港の水深十八メートルを掘ったときのその土砂がどうなのか、条件から同じようなのであればいいんですが、悪かった場合は同じようにはできないかもわかりませんが、しかしながら、中山水道航路しゅんせつのときに取り組んだように、使いようによって一石二鳥にも三鳥にもなる、こういったような土砂の処分方法を考えていく必要があると思います。
いずれにいたしましても、名古屋港が選定されるためには、何としてもこの水深十八メートルのコンテナターミナルを確保し、この土砂処分を具現化していくことが何よりも必要であると思いますが、現在の検討状況についてお伺いします。
最後に、四点目として、今後の選定に関する詳しいスケジュールについてもお伺いします。
以上で質問を終わります。
60:◯建設部長(川西寛君)
国際コンテナ戦略港湾の選定に関しまして、四点御質問をいただきました。
まず、一点目の戦略港湾についてでございます。
国の新成長戦略にもありますとおり、経済発展著しいアジアの成長を取り込むことが重要であると考えております。名古屋港では、中国とのコンテナ取扱量がこの六年間で約二倍に達しまして、五大港のうちでも最も伸び率が大きいなど、飛躍的に伸びます中国との貿易に対応するため、既に鍋田ふ頭コンテナターミナルでは新たなバースの整備を進めております。こうした戦略をしっかりと訴えることが重要と考えております。
二点目でございますが、自働化コンテナターミナルについてお答えを申し上げます。
これは、遠隔操作によりましてターミナル内のコンテナを無人で移動させるもので、荷役作業の効率化、省力化によりますコスト削減や、ターミナルの二十四時間化に大変有効なシステムであります。名古屋港では、既に他港に先駆けて導入をしておりまして、現在の一バースから二バースに拡充することといたしております。このような民間の先進的な取り組みも名古屋港の大切なアピールポイントと考えております。
三点目のコンテナ船の大型化への対応についてお答えを申し上げます。
現在の港湾計画では、整備中の水深十六メートルのコンテナターミナルなどから発生いたします土砂を名古屋港内で処分する計画となっておりますが、新たな土砂を受け入れる余地は少ないと思われます。
今回、戦略港湾選定の重要な項目であります将来のコンテナ船の大型化に対応し得る水深十八メートル級のコンテナターミナルを確保する上で発生をいたします大量の土砂を適切に処分するには、港外に求めざるを得ない状況と聞いております。
このため、新たな処分場所の問題も含めまして、現在、本県や経済界、港湾管理者などで構成をいたします協議会でその内容を検討しているところでございます。応募の締め切りは今月二十六日でございますので、これまで述べてきましたアピール点を盛り込んだしっかりした内容の目論見書をまとめていく必要があると考えております。
最後に、今後のスケジュールでございますが、目論見書を提出後、四月二日に港湾管理者等によるプレゼンテーション、五月ごろに計画書の再プレゼンテーション、そして六月ころに選定される予定となっております。
いずれにいたしましても、本県といたしまして、今後とも関係者と連携して、名古屋港の成長性、将来性を主張し、名古屋港が選定されるよう最大限努力をしてまいります。
以上です。
61:◯五十九番(鈴木愿君)
さきの代表質問の知事の答弁にもありましたが、私も今回の選定は、日本を支える主要港の競争であり、名古屋港にとって決して楽観できる状況には今ないと思っております。であるからこそ、名古屋港の実力や今後の成長性、将来性が十分に評価されるように、国に対して説得力のある提案をしていくようにお願いいたします。
河口部に位置する名古屋港においては、港湾整備により大量に発生する土砂の処分が大きな課題であります。一方で、この大量の土砂の処分は埋め立てに活用すれば広大な土地を生み出します。名古屋港、この百年の港の発展は、一言で言えば、しゅんせつ土を埋立地に活用してきたものです。
先ほどの質問の中で、私は、セントレア周辺を新たな処分場所として提案させていただきました。さまざまな問題はあるかとは思いますが、総合的によりよい判断をして、この土砂処分についても早期に具体化していただきたいと思います。
いずれにいたしましても、中部地域のみならず、我が国産業の国際競争力を支えている名古屋港が引き続き重点的に整備されるよう、選定に向けた万全の取り組みをお願いして、終わります。
62:◯副議長(鈴木孝昌君)
進行いたします。
とね勝之議員。
63:◯二十番(とね勝之君)
通告では、二つの項目を質問させていただく予定でしたが、第九款建設費第五項港湾費についてのみお聞きいたします。
ただいま鈴木愿議員より、名古屋港の国際コンテナ戦略港湾選定に関して、その概要についての質問がございましたが、私も重複を避けつつ、より具体的にお聞きしてまいります。
昨年十月、前原国土交通大臣が打ち出した国際コンテナ戦略港湾の選定事業は、釜山港などアジア諸国の港湾との国際競争がますます激化する中、国際競争力をさらに強化するためにスーパー中枢港湾からさらに選択を行い、その特定した港湾を集中して開発をしていこうとする、まさに国策であります。言うなれば、東京、横浜を中心とした京浜港、大阪、神戸を中心とした阪神港、そして、私どもの地元であります伊勢湾を中心とした名古屋港、この三つの港湾地域から一つないしは二つの港湾を国が日本の将来をかけて開発していこうとするわけであります。
国内の総取扱高全国一位の名古屋港は、選ばれて当然といった感覚がないわけではございませんが、その選定はこれからが本番であり、全く予断が許されない状況であります。それはなぜか。理由は、その選定を申し込む応募方法にございます。
ことし二月に、国土交通省は、国際コンテナ戦略港湾の選定を検討する港湾の募集要領を発表いたしました。その中で、応募者の要件は、スーパー中枢港湾関係、港湾管理者等となっています。この等、などというのがみそであります。さらに、応募の方法では、その港湾管理者などが単独またはグループで所定の計画書を今月の二十六日までに提出することとなっています。
つまり、簡単に言えば、この募集要領は、何も港湾管理者だけでエントリーしなくていいんですよ。地元の自治体などとよく考えて、連携して、グループでアピールしてもらっていいですよと書いてあるのであります。ライバルは、東京と大阪であります。自治体規模からいえば、愛知は三番手になるわけでして、東も西もその地域でそれぞれ強力なタッグを組まれることになると、名古屋港にとってはどちらも大変強力なライバルになり得るというわけでございます。
御承知のとおり、名古屋港は、本県と名古屋市が出資している一部事務組合であります名古屋港管理組合が港湾管理者として港湾行政をつかさどっております。港湾のプロフェッショナル集団約六百名が今日までの名古屋港を支えていただいておりますが、中部圏の今後の産業発展のかぎを握る今回の国際コンテナ戦略港湾への取り組みだけは、そういったわけで、管理組合だけにゆだねているわけではないと私は思うわけであります。
むしろ、名古屋市、東海市、知多市、弥富市、飛島村という四市一村に広がる名古屋港を本県がリーダーシップを発揮して、国際コンテナ戦略港湾指定に向けて、国により積極的にアピールすべきと考えます。
昨年暮れに、名古屋港国際戦略港湾検討協議会が発足され、経済団体、港湾関係者、官公庁などが一堂に会し、応募に向けてその検討が始まっておりますが、この会はあくまで実務的な協議の場であって、外向きにアピールをしていくには少し迫力を欠いているような気もしております。ちなみに、その協議会には、東海市、知多市、弥富市、飛島村は入っておりません。
来月二日には、先ほどもお話がありましたが、早速、国土交通省の場でプレゼンテーションの場も控えておりますし、マスコミに対しても、国際戦略港湾にかける名古屋港の熱意をより具体的に伝えていき、機運の盛り上げも必要になってくると私は考えます。
そこでお聞きいたします。
国の国際コンテナ戦略港湾の選定に向けて、本県ではどういった体制で取り組んでいくおつもりでしょうか。名古屋港国際戦略港湾検討協議会がその実務的な組織となるならば、国に対して、地元自治体の結集体のような組織を立ち上げ、よりアピール度の強いものにしていく必要があると私は考えます。また、その取りまとめを本県が主体的にしていくべきではないでしょうか。本県の御所見を伺います。
次に、コンテナ港湾の選定に引き続き、バルク戦略港湾選定も四月に入るとその公募が始まると聞いております。バルクというのは、いわゆるばら積み貨物を意味しておりますが、今回の対象は、穀物、トウモロコシと大豆、そして鉄鉱石、石炭に絞られるようであります。
総合港湾として発展してきました名古屋港にとりまして、バルクの取り扱いも重要な港湾要素でございます。ライバル港湾は、東西だけではなく地方港湾まで広がってくることも予想されますし、コンテナ港湾応募以上の取り組みが必要となってくると思われます。その際、やはり本県のリーダーシップは不可欠と考えます。
最後に、名古屋港の国際バルク戦略港湾選定に向けての本県の取り組みの御所見を伺い、質問を終えます。
64:◯建設部長(川西寛君)
国際コンテナ戦略港湾の選定について、二点御質問をいただきました。
まず、一点目の国際コンテナ戦略港湾についてお答えを申し上げます。
本年二月十二日に公表されました国際コンテナ戦略港湾の募集要領におきまして、応募者の要件は、スーパー中枢港湾、またはそれとおおむね同程度の貨物取扱量、サービス水準を実現し得る港湾の港湾管理者及び埠頭公社、または埠頭株式会社とされております。この応募者が国の委員会に提出する目論見書や計画書の作成及びこれらのプレゼンテーションなど、選定に向けて重要な役割を担うこととなります。
したがいまして、港湾管理者であります名古屋港管理組合が港の将来性や成長性を積極的にアピールできるように目論見書などを取りまとめていくことが重要であると考えております。このため、本県や経済界、港湾管理者などで構成をいたします名古屋港国際戦略港湾検討協議会を立ち上げまして、各自がその役割を担いながら、名古屋港の特性を生かしました今後の戦略港湾を現在検討しているところでございます。
その中で、本県は、名古屋港管理組合の設立母体として、本県並びに中京圏の産業活動を支える名古屋港の整備や運営につきまして、広域的な視点から主体的にかかわり、支援をしているところでございます。
具体的には、国土交通大臣からスーパー中枢港湾の絞り込みの公表がされた直後、知事は速やかに前原大臣と面談をいたしまして、中京圏の地域特性を踏まえました発展戦略を説明し、名古屋港が絞り込みに名乗りを上げることを表明いたしております。
さらに、広域的な貨物集積に必要なアクセス道路であります名古屋環状二号線の必要性や、選定基準の重要項目の一つであります水深十八メートル級のコンテナターミナルの確保など、港湾管理者だけでは調整が困難な事項につきまして、県も積極的にかかわり、検討中でございます。
今後とも、県として、選定に向けて、名古屋港の将来性、成長性を関係者と十分連携しながら、積極的に国に働きかけたいと考えております。
次に、二点目の国際バルク戦略港湾についてお答えを申し上げます。
現在、我が国の産業及び国民生活に欠かせない鉄鉱石、石炭、穀物を安価かつ安定的に輸送するため、大型船によります一括大量輸送の拠点となる港湾の選択と集中を進める国際バルク戦略港湾の議論が国土交通省において進められております。
これまで、合わせて三回の委員会が開催されておりますが、現時点では、選定基準や公募スケジュールについて明らかにされておりません。したがいまして、本県を含みます関係者といたしましては、国が名古屋港を国際コンテナ戦略港湾として選定し、引き続き着実に整備されることが本県並びに中京圏の発展にとって必要不可欠と考えておりますことから、現在、その選定に向けて最大限の努力を払っているところでございます。
なお、現時点では、国際コンテナ戦略港湾の選定後の対応まで協議会で議論をしているところではございませんが、国際バルク戦略港湾の選定基準などが明らかとなり、必要ならば適切に対応してまいりたいと考えております。
以上です。
65:◯二十番(とね勝之君)
私の質問に対して御答弁、私は、新たな組織を立ち上げるぐらいの意気込みが欲しいということで、その協議会とは別に自治体の結集体のようなものを立ち上げて、さらにアピールをすべきということでお訴えをさせていただきました。
ぜひ、今の御答弁で、県も積極的にかかわっていくというお話はございましたが、あくまでも協議会は実務的なレベルの中で内向きで議論をされているんです。これが事実なんです。協議会が表に出てきて、一生懸命アピールをするという場は私は聞いたことがございません。
ですから、時間もございませんし、三月二十六日が、これは目論見を出していただいて、すぐにプレゼンが始まるわけですから、期間も予算も人員も限定で結構でございますので、しっかり県としてもフォローしていただきたいと、重ねて要望させていただきます。
歴史は繰り返すというわけではございませんが、五十年前、世界の海上輸送でコンテナが出てきた際に同じようなことが国策で行われました。そのときは、本格的なコンテナ輸送時代を迎え、外貿埠頭公団という公団が日本で二カ所、やはり京浜地区と阪神地区を指定して、五十年前、初めてコンテナ埠頭をつくっているのが国策なんです。そのとき、中京地区は外れているんです。それが五十年前、名古屋港のコンテナ埠頭がおくれた一つの理由にもなったわけです。今回、その歴史を繰り返すわけにはいかないと、そういう強い意思で今回のこの国際港湾攻略に臨んでいただきたい。
前原大臣が二月十四日に名古屋港、視察に来ていただいております。そのときには副知事もたしか同席をしていただいていると思いますが、名古屋の河村市長が今港湾管理者であるので、河村市長と大臣が話をされているようですが、雲行きは決してよくないというような状況もにわかに聞こえております。ぜひ最終、最後まで盛り上げて、この四月のプレゼンに臨んでいただきたいと要望して終わります。
66:◯副議長(鈴木孝昌君)
進行いたします。
筒井タカヤ議員。
67:◯百番(筒井タカヤ君)
歳出第十一款教育費第一項教育総務費に関連して質問いたします。
障害のある児童生徒に適切な教科書を提供するなどの教育環境を整えることはとても重要であります。弱視児童生徒の多くは、通常の教科書の活用が困難であることから、学校において、教科書の文字や図形等を拡大して複製した拡大教科書を用いたり、視覚補助具等を活用したりして指導を行っております。
拡大教科書は、児童生徒の見え方に合わせて、字体、字のサイズ、字間、行間、背景、色など、個々のニーズ、読みやすさに配慮して制作される大変有効なものであります。この拡大教科書は、盲学校の小学部や中学部、小中学校の弱視児を対象とした特別支援学級で使用されてきた拡大教科書に加え、平成十六年度から小中学校の通常の学級に在籍する視覚に障害のある児童生徒に対しても拡大教科書が無償給与の対象となってきました。
一つとして、そこで、この拡大教科書についてお尋ねをいたします。
サンプルが、こういうものであります。後ろのほうから見えるかどうかわかりませんが、こんなに大きな字で書いてあります。この県内の小学校、中学校、特別支援学校における拡大教科書の使用状況について、まずどうなっているかの御所見を求めます。
二つ目、拡大教科書を使用する児童生徒が、小中学校の通常の学級と特別支援学級及び特別支援学校では、本県教育委員会の事務分担を考えますと、義務教育課と特別支援教育課の両方にまたがっているように思えます。どのように分担になっているのか、御所見を求めます。
三として、教育基本法第三条、教育の機会均等にすべての国民は等しくその能力に応じる教育を受ける機会を与えられなければならないとあります。現在、拡大教科書は、視覚障害手帳を持つ児童生徒が対象となっていますが、学習障害児等の発達障害児にも拡大教科書なら見やすいので入手したいという保護者がいて、みずからつくっているケースがありますし、購入する場合は、三冊分で一冊数万円かかると言われています。
さらに、先般の高校の教科書の文科省教科書課における委員会では、出席した委員のある民間拡大業者は、一冊八百万円必要という非常識な発言があったと聞いております。視覚障害のある児童生徒のみでなく、発達障害のある児童生徒の拡大教科書の使用についてどのように考えているか、御所見を求めます。
四つ目、網膜色素変性症、夜盲症とか先天性虹彩欠損症の児童生徒はまぶしいので、黒の紙に白い字で書かれているほうがずっと見やすいということがあります。この制作費は、カラーの拡大教科書より安くできることです。
現在、小中学校の通常の学級においても、拡大教科書は無償給与の対象となっておりますが、白黒反転教科書はその対象になっておりません。要するに、こういうものです。真っ黒な字の中に白が出ている教科書です。
そこで、白黒反転教科書についてはどのように考えておられるのか、所見を求めます。
昭和二十八年に義務教育期間中の使用教科書が無償給与となって以来、弱視児童生徒にとっては見えない教科書が何の思いやりもなく支給されてきたのでした。平成十六年度から、小中学校の通常の学級に在籍する視覚障害のある児童生徒に対する拡大教科書が新たに無償給与の対象となりました。しかしながら、ボランティア団体等の努力によって制作されているものが大半であり、拡大教科書を発行するための方策を早急に検討する必要があると考えます。
拡大教科書が見やすいのならば、発達障害児にもそれが支給されるべきであり、白黒反転教科書が有効である児童生徒には、その環境を整備し、学習が進むようにすべきだと考えます。この考えは、教育行政として重要な問題であると考えておりますが、あわせて教育長からも所見を求め、質問を終えます。
以上です。
68:◯教育長(今井秀明君)
拡大教科書等について、何点か御質問をいただきました。
まず、拡大教科書の使用状況についてでございます。
拡大教科書は、議員お示しのとおり、弱視児童生徒など、通常の教科書の活用が困難である児童生徒のために、教科書の文字や図形等を拡大して複製した教科書であります。
平成二十一年度の使用状況でございますが、小学校中学校のうち、通常の学級で三十二名、延べ八百八十五冊、特別支援学級で十八名、延べ四百十一冊でございます。また、特別支援学校では、二十二名、延べ二百七十七冊でありまして、合計いたしますと、全体で七十二名、延べ千五百七十三冊の拡大教科書が使用されております。
この拡大教科書は、児童生徒一人一人の障害の状態に合わせて作成されておりまして、平成二十一年度については、小学校、中学校、特別支援学校において、教科書出版会社十社、そして、ボランティア団体二団体で作成された拡大教科書が使用されております。
次に、拡大教科書を扱う事務分担についてでございます。
小学校、中学校の通常の学級に在籍する児童生徒の教科書につきましては、弱視児童生徒の拡大教科書も含めまして、義務教育課で担当しております。また、特別支援学級及び特別支援学校に在籍する児童生徒については、特別支援教育課が担当しておりまして、拡大教科書の取り扱いにつきましては、両課で連携しながら取り組んでいるところでございます。
次に、発達障害のある児童生徒の拡大教科書の使用についてお答えいたします。
現在、通常の学級に在籍する発達障害のある児童生徒の多くは、通常の教科書を使用しておりますが、中には、視覚の障害はありませんが、一般的に使用される文字、図形等を認識することが困難な児童生徒がおります。その児童生徒には、個別に教科書を拡大コピーしたり、個別教材を作成したりなどして対応しているところでございます。
現在は、拡大教科書の無償給与の対象は、いわゆる視覚障害のある児童生徒に限られております。しかしながら、学校現場の今申し上げた状況を踏まえて、現在、国において、発達障害のある児童生徒の拡大教科書の使用に関する調査研究が進められておりますので、その動向を注視してまいりたいと考えております。
なお、この拡大教科書の取り扱いにつきましては、県教育委員会におきましては、平成十八年度に義務教育課と特別支援教育課の両課で相談窓口を設置し、情報提供や相談に応じているところでございます。
最後に、白黒反転教科書についてお答えいたします。
白黒反転教科書は、障害の状態によって児童生徒一人一人の障害特性に対応できる新しいタイプの教科書の一つであると言われております。一部ボランティア団体によって作成されていると聞いておりますが、普及していないのが現状でございます。
盲学校におきましても、白黒反転が必要な児童生徒には、通常の教科書を白黒画面に反転させて映像で見せる拡大読書機を使用するなどの対応をしているところでございます。
いずれにいたしましても、拡大教科書や白黒反転教科書につきましては、利用する児童生徒のことを第一に考え、可能な限り障害特性に応じた教科書が配付されるよう対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
69:◯副議長(鈴木孝昌君)
進行いたします。
高橋正子議員。
70:◯三十二番(高橋正子君)
歳出第十款警察費第一項警察管理費のうち、第二目警察本部費で、警察官増員について伺います。
平成二十二年度は、警察署の鑑識体制と死体取扱業務を推進するための体制強化に五十五名の警察官の増員が図られるということです。どちらも犯罪の多発化、多様化、そして、複雑かつ巧妙化の傾向にある現在に犯罪を見逃さないという観点で、とりわけ警察の初動対応を強化することは、犯罪の検挙にも成果をもたらすものと考えます。
そこで、私が今回お尋ねをしたいのは、警察官五十五名増員のうち、死体取扱業務、いわゆる検視官室の体制を強化するために警察官三名の増員が図られることです。
本県では、平成十九年、大相撲時津風部屋の力士が暴行を受けて急死した事件をめぐって、県警の初動対応の不備と検視のあり方に批判が集まった苦い経験があります。あの事案から三年、本県の検視体制はその後どのように強化されてきたのでしょうか。愛知県内でここ三年に県警が取り扱った変死体数は、平成十九年は五千九百五十一体、二十年は六千八百一体、そして、昨年二十一年は六千六百三十二体と三年間で七百体ふえ、自殺や高齢者の孤独死も増加の要因であると言われています。
本来、死因がわからない変死体が発見された場合、その死が犯罪に起因するものであるかどうかを判断する検視は、初動対応として現場を受け持つ所轄署のベテラン刑事課員と警察本部長から委嘱された検視立会医師が現場に出向き、目視による外表からの検査で死体の状況を見分するのが基本です。
しかし、立会医師は、医学的見地から検案はするものの、また、刑事もベテランであるとはいえ、両者とも実際のところは法医学の専門知識には乏しく、現状では的確に死因を究明することは難しく、犯罪に起因するケースを見逃してしまう可能性もあることは否めません。
そこで、全国の警察本部には、誤認検視を防止する目的で専門教育を受けた検視官が所属し、慎重な判断が求められる事案には現場に臨場する措置がとられています。検視官または刑事調査官とは、刑事部門における十年以上の捜査経験を有する警視または警部の階級にある警察官で、警察大学校における法医専門研究科を修了したものから任用される検視のスペシャリストです。この検視官が検視に立ち会う臨場は、他の警察官の臨場とは統計も区別して臨場率として重視されます。
そこで、本県のここ三年間の検視官臨場率を見ると、平成十九年は四百一件で率にして六・七%、それが昨年二十一年は九百八十四件で率にして一四・八%と、力士暴行死事件のあった平成十九年から三年間で臨場率は二倍以上になっています。
死因究明制度は、死者の人権を守る制度であり、死者の尊厳のためにも決して犯罪を見逃してはなりません。
他県の事例ですが、警察の死因究明で自殺と判断されながらも、何年か後に実は保険金目当てに事故や自殺に見せかけた殺人事件だった。もしも警察の初動対応で犯罪性を疑い、司法解剖さえしていれば、早期に犯罪の検挙はできたはずだと誤認検視を批判する報道もここ最近ありました。検視の現場には常に高度な判断が求められるのだと痛感します。
そこで質問です。
本県では、死因究明の入り口である検視体制について、現場に出向する刑事課員や警察医の法医学的教育も含めて、この三年間でどのように強化されてこられたのでしょうか。
さて、犯罪の疑いがあると判断すれば司法解剖に回されるわけですが、実際のところ、法医学は地味な分野だけに、解剖医の不足が本県のみならず全国的に深刻化しています。我が国では、一割を切る低い解剖率が犯罪の見落としにつながり、その解剖率は先進国で最低レベルだとも指摘されています。力士の暴行死事件のときも、司法解剖せずに病死としたことについて、解剖していれば事件性を見逃すことはなかったと批判が上がる一方で、本県の場合は、七名の法医学専門医に委嘱しているものの、実質は三名の法医が手いっぱいの状況の中で解剖に当たっている現実がクローズアップされました。
その後、本県の解剖状況はどうなっているのかと県警に尋ねてみると、私はその数字に驚きました。解剖率はまだまだ低いものの、解剖件数は大幅にふえていたのです。平成十九年の解剖件数は、司法解剖と行政解剖、合わせて百三十八体、解剖率は二・三%だったのが、二十年には百体増の二百三十八体、解剖率は三・五%。さらに、昨年の二十一年は、前年より四十八体増の二百八十六体、解剖率は四・三%と、ここ三年の間で何と百五十体もふえています。
そこで質問です。
解剖医が不足していると言われる中で、本県の解剖件数はここ三年間で飛躍的に上がっています。その要因はどこにあるのでしょうか。
最後に、国のほうでは、死因を調べる責任を警察に一元化し、警察庁に死因究明局を設け、法医解剖の体制整備のため、内閣府に法医学研究所を置き、監察医務院や法医学教室と連携して、各地で執刀医もふやすなど、犯罪の見逃しを防ぐために制度を抜本的に見直す動きも出ています。誤認検視の報道もされる中、適正な検視業務を推進するためにより検視体制の強化が求められます。
そこで、最後の質問です。
今後、検視体制のさらなる強化について愛知県警察として、どのように取り組んでいかれるのでしょうか。
以上、三点についてお尋ねをいたしましたので、御答弁よろしくお願いいたします。
71:◯警察本部長(河邉有二君)
検視体制の強化に関しまして、三点お尋ねをいただきましたので、順次お答えいたします。
まず、法医学的な教育を含めたこの三年間の検視体制の強化状況についてお答えいたします。
死体の取り扱いにつきましては、議員御指摘の平成十九年の時津風部屋力士傷害致死事件を契機といたしまして、検視事案における誤認検視の絶無を期するため、さまざまな取り組みを実施してまいりました。
体制面では、九名であった検視官室の体制を翌二十年四月に検視官二名、検視補助者一名を増員したほか、昨年四月には検視補助者八名を増員、倍増となる二十名体制といたし、検視体制の強化を図っているところでございます。
教養面におきましては、警察署において、死体を取り扱う捜査員を検視官に同行させて指導する検視特別研修を平成二十年から導入したほか、刑事課長等捜査幹部に対し、配置後直ちに特別教養を実施するなど、第一線における検視技能の強化に努めているところでございます。
また、検視に立ち会う医師を対象といたしまして、愛知県医師会と連携し、検視医研修会を開催するなど、検視の現状等に関する知識の共有化を進めております。
制度面におきましては、平成二十年から死体発見の認知時には検視官室に第一報として報告させ、早期の段階から検視官が警察署の検視を指導するシステムを取り入れ、検視官が早期に状況を把握できるよう改めたところでございます。
運用面におきましても、いささかでも犯罪性がうかがわれる場合には、捜査幹部の臨場、検視官の臨場はもとより、解剖を積極的に実施するなどの取り組みを行ってきたところでございます。
次に、解剖件数の増加要因についてお答えいたします。
解剖件数につきましては、昨年中は、司法解剖、行政解剖、合わせまして二百八十六件を実施しておりますが、これは、平成二十年の約二割増加、平成十九年と比べますと二倍以上の増加となっております。
増加の要因といたしましては、まず、体制面が強化されたことが挙げられます。検視官の体制につきましては、先ほど申し述べたとおりでございますけれども、解剖医につきましても、平成十九年当時三名でございましたが、平成二十年三月に四名、平成二十一年四月には五名の体制になっておりまして、解剖必要数の量的増加への対応が可能となっているところでございます。
また、県警といたしましても、平成十九年の事件後、死因究明に対しまして積極的に解剖を行ってきた結果と御理解いただきたいと思います。
最後に、今後の検視体制のさらなる強化についてでございます。
検視体制の強化につきましては、死因の究明、犯罪の見逃し防止等の観点から重要な課題であると認識しております。
本年四月に、検視官一名、補助者二名の三名を増員することとしており、現在の検視体制をさらに強化することとしております。体制が強化されることにより検視官のチェック機能が強化されることになり、誤認検視の絶無に資することとなるものと考えております。
また、体制強化にあわせまして、死体を取り扱う第一線警察署警察官に対する教養を継続的に実施するとともに、医師会と連携して、検視立会医の検案技能向上にも配意してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、誤認検視の絶無を期するため、死因究明のより一層の徹底に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
72:◯副議長(鈴木孝昌君)
進行いたします。
渡会克明議員。
73:◯六十三番(渡会克明君)
私は、第十一款教育費第一項教育総務費に関しまして、本県におけるすぐれた教員の確保についてお尋ねをいたします。
今日、学校を取り巻く状況は複雑多様化し、いじめ、不登校、問題行動等の生徒指導を初め、外国人児童生徒への対応、保護者からの理不尽な要求や要望、苦情への対応など、学校現場においてはさまざまな教育課題が山積しており、その解決が早急に求められています。こうした教育課題を解決していくためには、校長先生、教頭先生を中心として、学校全体で具体的な方策を講じて対応していかなければなりません。
子供や保護者等と直接触れ合う教員一人一人の資質、力量に負うところが極めて大きいと考えております。しかし、ここ数年、団塊の世代を中心とした大量退職に伴い、経験豊富なベテランの教員にかわって若い教員がふえています。本県においても、今年度千八百四十五人が採用され、来年度新たに千六百三十人が採用されると伺っております。
学校現場からは、若い教員によって学校全体に活気が出てきたという声が届いていますが、一方で、今日のさまざまな課題に対して、専門的知識や技能はあっても、経験不足や実践力の不足から適切な対応が十分できないのではないかと、このようにも思います。
また、全国的に教員の需要が高まる中、採用試験の倍率の低下とともに質の低下が懸念されています。幸いにも、本県においては、教育委員会のさまざまな御努力により、ここ数年は九千人近くの志願者を確保するとともに、一定の倍率を維持されているわけであります。しかし、採用数が増加すれば、免許を有する者がふえない限り必然的に倍率が低下してまいります。
そうした中、教員養成課程の充実の方策として、民主党がマニフェストで目指す教員養成課程六年制も含め、さまざまな議論がなされております。
ところが、先月の二十七日に行われた福井市内の講演の中で、鈴木文科副大臣は、六年制にこだわらず、四年プラスアルファというように修士課程の期間を柔軟に考える立場に軌道修正をしたという記事が出ておりました。
六年制になれば学費の負担増につながるとともに、教員を養成する大学側にも大きな影響を及ぼし、結果的には多様な人材の確保が困難となったり、志願者が減少するのではないかと大変危惧をしておりました。修正、ありがたいことであります。
また、文科省の調査によりますと、採用から一年に満たない退職者が増加傾向にあり、平成二十年度は、全国で過去最多の三百十五人に上るということが報告されています。そして、そのうち九十三人が病気を理由とした退職であり、報道によりますと、文科省は、イメージと現実とのギャップで自信を喪失し、うつ病などになるケースがある、このようにコメントし、先輩教員らの支えや目配りを求めています。
その一方で、保護者や地域社会では、新規採用教員といえども、ベテランの教員と同様に一人の教員として子供たちの心身の発達や学力の向上、人格形成を初め、今日のさまざまな教育課題に使命感を持って対応できる資質、能力を求めているのも現実であります。
したがいまして、教員の採用に当たっては、幅広い教養と教育に対する使命感を持ち、さまざまな教育課題に対応できる優秀な教員の確保が極めて重要ではないかと考えております。
あわせて、私も常々申し上げている経験豊富なベテラン教員の指導力を生かすという観点から、再任用教員の活用についても、この大量退職、大量採用という時期だからこそ重要であると思っています。
折しも、つい先日まで、バンクーバー冬季オリンピックが開催され、浅田真央選手初め、本県出身の選手の活躍は、県民に大きな感動や夢を与えてくださいました。とりわけ、子供たちへの影響は多大であったと思います。大変うれしいことであり、感謝したいと思います。
さて、いよいよこの次は芸術文化面でぜひ感動を味わわせたいものであります。そうした意味でも、ことし、本県で開催されますトリエンナーレの成功を大いに期待し、応援もしたいと思います。
教員が尽くすべき本分は、他県のマスコミ報道にあるような学校外にその活動の場を求めるのではなく、子供と真正面に向き合うところから始まると思います。私は、教員の役割は、将来を担う子供たちに感動や夢を与えることにあるのではないかと、このように思っております。
そこで、本県の教員採用に対する基本的な考え方と、志が高く質の高い優秀な教員の確保に向けての取り組みについて、これまでの成果を含めて、教育長の御所見をお伺いいたします。
以上です。
74:◯教育長(今井秀明君)
すぐれた教員の確保につきまして御質問をいただきました。
優秀な教員を数多く確保していくためには、専門的知識や技能はもとより、情熱と使命感を持った教員を人物重視の視点で採用していくことに加えまして、多様な能力や経験を持つ教員を幅広く採用することが大切であると考えております。
このため、まず、人物重視の方策といたしまして、選考に当たり、集団面接、集団討議、個人面接の三回の面接試験を取り入れておりまして、二次試験の面接委員には、県の教育委員でありますとか、市町村の教育長、そのほかPTA関係者など民間からの方々も起用しまして、受験者の資質、能力を多面的に評価しているところでございます。
また、多様な能力や経験を持つ教員の確保の取り組みといたしましては、平成十九年度実施の教員採用選考試験から、民間企業での経験や特定分野におけるすぐれた能力経験を評価する社会人を対象とした選考、あるいはポルトガル語やスペイン語など語学が堪能な方を対象とした選考を導入してまいりました。
その成果でございますが、例えば放送局のキャスターから採用した教員につきましては、その経験と知識を生かし、言葉の大切さなど、子供たちの興味を引き出す授業ができたという報告がございます。また、外国語が堪能なことから教員に採用した教員につきましては、ブラジル人児童生徒の指導のほか、学級通信をポルトガル語で発行したり、家庭訪問や電話応対などに活躍しております。
こうした成果を踏まえまして、本年度実施いたしました教員採用選考試験からは、子供たちに専門的な知識、技能を生かした指導ができ、さらに、自分の経験から夢や希望を語れる人材を確保するため、新たに芸術やスポーツの分野で優秀な成績をおさめた方や、英会話能力にすぐれた方を対象とした多様な選考方法を導入したところでございます。
今後も、選考方法の一層の工夫、改善のほか、他府県や大学における受験説明会等のPR活動の充実を図るとともに、指導力にすぐれた再任用教員も積極的に活用するなど、教員として確かな資質を備えた熱意あふれる人材の確保に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
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75:◯三十八番(大見正君)
暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
76:◯副議長(鈴木孝昌君)
大見正議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
77:◯副議長(鈴木孝昌君)
御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午後二時四十八分休憩
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午後三時三十分開議
78:◯議長(吉川伸二君)
休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
富田昭雄議員。
79:◯四十九番(富田昭雄君)
歳出第十一款教育費について、幾つかお尋ねいたします。
まず、第四項高等学校費第九項私立学校費に関連して、高校の授業料実質無償化についてお聞きします。
高校の授業料実質無償化は、ことし四月から実施される予定であり、実施が目の前に迫っています。これは国の政策として実施されるものでありますが、その恩恵は当然愛知県の高校生も受けることとなり、生徒や保護者のことを考えれば、一刻も早く実施すべき事柄ですし、国においては、急ピッチで制度の詳細設計を進めているものと思います。
愛知県においても、本年四月から実際に公立高校の授業料を無償化し、また、私立高校の生徒に対して就学支援金を支給することが必要となります。このため、県としても、主体的、積極的に制度の具体化を進めることが必要と考えますが、本県における現段階での取り組み状況について、まずはお聞きします。
高校の授業実質無償化は、県立の高校はもちろんのこと、就学支援金が支給される私立の高校生も大きな恩恵を受けるものであり、愛知県民である公立十三万人、私立六万人の高校生や、その保護者にとっても大きな関心事であります。
四月から実施されるものであり、混乱なくスムーズに実施をしていくために、県としても現段階でわかっている制度の概要について、生徒や県民に積極的に広く周知していく必要があると考えますが、県当局のお考えをお聞きします。
今回の高校の授業料実質無償化により、私立高校生に対しても、公立高校の授業料年額に相当する約十二万円の就学支援金が支給されることになるだけではなく、さらに低所得世帯の生徒に対しては約十八万から二十四万が支給されることになっており、私立高校生に対してより手厚く措置されることになっています。
しかし、私立高校の平均授業料が愛知県では約三十八万円であることを考えれば、愛知県としても、私立高校生に対する授業料軽減補助事業をこれに上乗せして実施することが必要です。
これまで全国の各都道府県が私立高校向けの授業料軽減補助事業として約二百九十億を実施してきたと聞いていますが、新制度の導入により、各都道府県の支援のかなりの部分について、国の就学支援金で対応することができるようになります。
愛知県においても、私立高校生のさらなる負担軽減を図るため、これまで実施してきた私学に対する授業料軽減補助事業の財源を活用し、上乗せして支援を行うべきと考えますが、お考えをお伺いします。
従来、愛知県が実施してきた授業料軽減制度を就学支援金制度導入後も今まで以上に上乗せ措置をする場合、新しい就学支援金制度で投入される四十六億円が活用できるわけです。
十億円を拡充する計画のようですが、中身を分析してみますと、甲I甲IIと乙I乙IIと四層に授業料軽減制度がありますが、そのうち、乙I乙IIが最もボリュームのある層で、その層だけで全体の四四%あります。この乙I乙IIの層の公立高校との格差が以前の制度と比べると差が広がっているということです。低所得者層に手厚いのはいいのですが、このボリュームのある乙I乙IIの層に上乗せ額が少なく、この層が公立と私立の取り合いになり、公立高校へ流れるようなことがあれば、私学は募集困難になってしまいます。
この乙I乙IIと公立高校の差が広がったことについて、どのようにとらえているのか、お考えをお聞きします。
また、問題を是正するためにさらなる上乗せをするお考えはないか、お考えをお伺いします。
それでは、授業料についてもう一点お聞きします。
授業料の滞納を理由に卒業式に出席ができない生徒や卒業ができない生徒がいると新聞報道にありました。実際のところはどうなのでしょうか。もし本当にあったとしたら、本人にとってはとても悲しいことであり、まさにいじめであります。
また、学校教育法の施行規則では、卒業証書を授与しなければならないと定めており、法律違反に当たるのではないかとの見方もあります。
授業料滞納は保護者の問題であり、子供たちの問題ではありません。卒業式に出席させないのは子供の人権問題でもあります。
昨年は、愛知県の県立四校で授業料滞納を理由に卒業式の日に卒業証書を渡していない事例があったようであります。結果的には、三月末日までに全員渡したということでありますが、ことしは大丈夫でしょうか。
私学においては、ことしも授業料の滞納を理由に卒業式に出席させないとか、卒業させないといった事例があると聞いておりますが、どのような実態なのでしょうか。
ある高校では、単位も取得し、進学する大学も決まっている女子生徒が授業料の滞納を理由に卒業式に出席できず、自宅待機になった事例があると聞いています。この場合、生活福祉資金貸付制度を活用し、具体的な入金日まで決まっていたにもかかわらず、卒業式までに入金がないため、内規に従って卒業を保留したとされています。友達と一緒に卒業式に出たかったのでしょう。大変に悲しいことです。
そこでお聞きします。
このような事例が愛知県下でどれぐらいあるのでしょうか、具体的な状況をお示しください。
また、生活福祉資金貸付制度など、救う手だては幾つかあります。特にことしは、国においては、政府が生活給付金貸付制度の条件を緩和するなど、緊急的な措置もしております。学校関係者にも当然周知徹底されているとは思いますが、学校関係者が生徒や保護者にこのような制度を紹介し、実際に卒業できた事例もあわせてお示しください。また、このような実情についてどのようにとらえているのか、御所見をお伺いいたします。
次に、第八項大学費、芸術大学音楽学部校舎整備費についてお聞きしたいと思います。
今回の予算に、県立芸術大学の音楽学部棟を新築するための実施設計費一億一千百万余が計上されています。この愛知県の県立芸術大学は、その前身が戦前からあった東京芸術大学と京都市立芸術大学に続く戦後初の新設の芸術大学として、当時の桑原知事の発案で構想され、カリキュラム作成から建物の設計策定まで、そのすべてが東京芸術大学に依頼されたとお聞きしています。
これを受けて、計画の時点で建築科の教授だった吉村順三先生と門下生の奥村昭雄助教授が中心となり、多くの東京芸術大学の教授陣と建築科の教室が総力を挙げて設計に携わり、一九六四年の計画開始から第一期工事の完了まで七年という長い年月をかけて実現されたものです。
我が国の建築界で活躍された吉村順三先生が残した数少ない大学キャンパスの計画として、竣工当時から広く知られています。
また、二〇〇七年には、日本を代表する近代建築として、二十世紀の建物の保存を訴える活動をしている団体「DOCOMOMO Japan」の選定建築物にも選ばれています。
この大学は、貴重な生態系が保持された環境にあり、キャンパスは延べ四十万平方メートルに及ぶ広大な敷地で、自然に恵まれた緑豊かな丘の上に展開されています。そこには千人近い学生が学んでおります。敷地全体に点在する形で配置された建物は、自然の地形をそのまま生かし、大半の建物は伏せったように低く、延べ四万平方メートルになるという大きさを感じさせない設計になっています。また、その建物の全体の構成は、配置設計から建物の細部に至るまで徹底して合理的に設計されたものであると言われています。
吉村順三先生は、キャンパス全体が完成した当時、自然の地形を損なうことなく、建物の間に生まれる変化のある空間によって大空や緑に共鳴する交流の場をつくりたいと語っています。
しかし、その建物も四十三年が経過し、ところどころがほころびが出て、老朽化しています。教室やホールでは、遮音効果も不十分で音が漏れています。これでは、確かに学生たちにとって授業には支障があり、学ぶためのよい環境とは言えないでしょう。
そこで、校舎を建てかえるのか、改修するのか、財政的なコストの面と吉村順三先生方の当初の思いを考えながら、どうすることが望ましいのか熟慮しなければなりません。
先日、吉村順三先生の長女の隆子さんが私どものところにお見えになりました。吉村順三先生のつくられた芸術大学の建物の保存を求める多くの声を聞いてほしいと二千三百十二人の署名を高尾副知事に手渡され、次のように要請されました。
財政的にも厳しく、環境に配慮しなければならない時代に、新しく建てかえるのではなく、技術的にも可能で、費用も少なくて済む増改築で対応するのがよいのではないか、現状を使う形で改修してほしいとのことでありました。
また、この芸術大学の建物は、二〇〇六年に第六回JIA(日本建築家協会)の二十五年賞を受賞しています。この賞は、二十五年以上にわたって長く地域の環境に貢献し、社会に対して建築の意義を語りかけてきた建築物を表彰するものです。
吉村順三先生のこの作品は、第一回にもノミネートされていましたが、芸術大学側が建てかえ計画があるからといって、当時、辞退された経緯があるそうです。
その後、バブル崩壊ともに県財政も悪化したため、建てかえ計画がなくなり、また、大学の組織改革により独立行政法人として運営されることとなり、その時点では現在の建物を補修しながら使用していく方向で、建物が消滅することを免れたようであります。
だから、この作品の受賞は、この地域の環境にしっかりと根をおろして、地域の景観、文化に貢献していくこと、建物がもとの姿のまま、耐震改修・補修工事を行いながら、使用していこうとする大学側の姿勢が評価され、JIAの二十五年賞にふさわしいと判断されたものであります。
ところが、少子化、大学間の競争の激化など、大学を取り巻く環境の変化は著しいものがあり、独立行政法人後においても、内部でこれからの将来ビジョンが話し合われたと聞いております。
そのための検討機関として、大学施設整備委員会が設置され、検討を重ねた結果、「愛・知・芸術の森」をコンセプトに、四十三年前に建設された現キャンパスの概念を踏襲しながら、これからの芸術大学を見据えたマスタープランをまとめられたそうです。
それがどのような中身かということでありますが、それは建てかえが主で、一期目で音楽学部棟及び講義棟、学生会館の整備、二期目は、美術学部棟、美術館及び図書館改修、三期目にコンサートホール、音楽学部施設、その他の施設等、順次建設改修を行っていく計画であるとされております。
独立行政法人になった時点で、芸術大学の建物は当面県側が貸し付けとし、改修完了後、芸術大学に出資するとされています。そして、この財政措置は当然愛知県がすることとなっております。
この現場がつくったマスタープランを県当局が認知されておられるのか、このマスタープランをベースに施設整備を行っていくための第一弾が今回の音楽学部の校舎の新築であるとすれば、マスタープランどおり、結果的にはすべて建てかえなければならないことになります。だとすれば、この全体計画の詳細を議会に説明するべきではないでしょうか。
先日、吉村順三先生の長女の隆子さんが高尾副知事にお会いして、署名をお渡しになられたときに、隆子さんがマスタープランについてお聞きになられたときは、マスタープランはないと県当局はその場できっぱりと否定されました。
であれば、全体構想や全体計画が不明のままで、音楽学部校舎だけの新築計画であり、後は白紙ということなのでしょうか。
そこで、まずお聞きします。
この大学が創設した当時の思いを大切にし、吉村順三先生の歴史ある建物を残しながら、新しく建てかえるのではなく、改修していくお考えはないか、御所見をお伺いします。
私もキャンパスを見せていただきました。大学としては、学生がいる限り休むわけにいきませんと学長に御説明いただきました。それは、本当になるほど、そのとおりだと思います。当時に比べれば学生もふえ、大学院も新設されました。それは、確かに機能的で新しいよい環境で学ばせてあげたいでしょう。生徒もふえ、手狭になった校舎を新しく増築することも必然性があると思います。
だからといって、まだ改修して十分使える歴史あるよいものを壊すということはいかがでしょうか。
どうも県当局は、マスタープランをお認めにならない。財政的に厳しいのに、そんなことは認められないということだと思いますが、しかし、建築士など専門家に聞けば、建物は全体計画があって初めて部分計画も可能で、全体構想がなく、その都度考えるのはやっつけ仕事で、根本的におかしい、ひいては将来に問題を残すと言われております。
私もそのとおりだと思いますが、大学現場でこのようにマスタープランができている以上、それに沿って建築改修が行われると考えるのが必然でしょう。そして、すべて建てかえれば、推測すると、二百億から三百億の計画だと言われています。
今までも補修、改修、増築による場合は、幾らかかるか、当然さまざまな角度から調査されているとは思いますが、コスト的には何分の一で済むと思います。壊さずに直す方法は幾らでもあると専門家は言います。
東京芸術大学は、既存の建物は壊さず、ほぼ改修を終え、常に維持作業を持続していると聞いております。
そこでお聞きします。
あくまで、大学現場の作成したマスタープランをお認めにならず、その都度、財政状況によって判断されるということなのか、お考えをお聞かせください。
また、今回は、音楽学部校舎の計画ができたとのことでありますが、本当に将来に向けて全体計画が承認されないまま、今回の音楽学部校舎の計画が進められていいのか、現在の音楽学部棟の活用も含め、今後の芸術大学の施設整備についてはどのようにされるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
以上です。
80:◯教育長(今井秀明君)
公立高校の授業料無償化の制度概要の周知についてお答えをいたします。
この新たな制度は、四月から実施することで、現在、国会において、無償化に関する法案の審議がなされておりますが、国費の算定方法など、文部科学省において、いまだ制度の詳細について検討中のものもあり、私どももその対応に苦慮しているところもございます。
しかしながら、その制度を高校生の保護者や高校入試を目指す中学生の保護者に早急にお知らせすることは必要でありますので、県といたしまして、公立高校においては、専攻科を除き授業料を徴収しないこと、また、入学料やPTA会費、修学旅行費などは従前どおり納入が必要であることなど、現時点で判明している範囲で制度の概要を記載したチラシを作成いたしました。
このチラシを県立高校の在校生及びその保護者につきましては、二月十二日付で県立高等学校長に対し、また、公立高校への入学を控えた中学生及びその保護者につきましては、二月二十三日付で市町村教育委員会を通じて、公立中学校に対し、配付、周知されるよう依頼したところでございます。
なお、高等学校を設置しております名古屋市及び豊橋市に対しましても、同様の周知をされるようお願いしたところでございます。
次に、授業料滞納を理由に卒業証書を渡していないことについてでございます。
昨年の経緯を踏まえまして、県教育委員会といたしましては、こうしたことを繰り返さぬよう、各学校に対しまして、授業料減免制度や奨学金制度の案内を含めて、個々の家庭の事情も考慮しながら、適切な対応を早目に行うよう指導してまいりました。
昨年の十二月には、卒業式までに滞納分の授業料が納入されていない場合の対応といたしまして、保護者に対しては、卒業後の支払い計画の提出を求めることとし、卒業証書は、卒業式当日に生徒に授与するよう全校の校長を指導いたしました。
その結果、数校から卒業式直前の二月末日時点での滞納者の報告を受けておりましたが、いずれも三月中に納入するとの計画書が提出され、全員が卒業したことを確認したところでございます。
最後に、生活福祉資金貸付制度についてでございますが、県教育委員会といたしましても、経済的に困難な生徒に対する就学支援につきましては、家計が急変した世帯の生徒を対象とする奨学金の緊急融資や、民間の奨学金等を随時情報提供していたところでありまして、今回の健康福祉部の取り扱いについても、重要な情報と考え、二月中旬に健康福祉部長から各県立高校に通知されたことを受けまして、二月二十三日開催の県立学校長会議においても、家庭と緊密な連絡をとって、この制度を活用するように周知したところでございます。
なお、今年度は、滞納の報告があった卒業生のうち、この制度を利用した生徒はございませんでした。
以上でございます。
81:◯県民生活部長(大久保裕司君)
まず、私立学校の就学支援金制度の周知についてのお尋ねでございます。
このたびの就学支援金制度では、生徒が在学する学校を経由して県に申請し、学校が代理受給することとなっております。一連の手続の中心は学校となりますことから、まず、学校設置者に対する制度の周知を図ることが肝要と考えます。
一月十五日に文部科学省が都道県事務担当者に対する説明会を開催し、事務手続に関する素案が示されました。また、一月二十九日には、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案が閣議決定されたところでございます。
これを受け、県は、二月二十三日と二十四日に私立学校の設置者に対する説明会を開催しました。申請様式、対象生徒数の判定に要する必要事項、支払い時期など詳細がまだ固まっていない部分もございますが、制度の概要について情報提供を行ったところでございます。
また、保護者への周知につきましては、二月二十三日付で市町村教育委員会を通じて、公立中学校に対して制度の概要のチラシを配布し、周知を依頼したところであります。
次に、県の授業料軽減制度についてのお尋ねでございます。
本県の私立高校の平均授業料は、公立高校授業料の約三倍であります。今回、国は、公立高校の授業料を実質無償化する一方で、私立高校に対しては、一部加算のある低所得者層を除いて、公立高校授業料相当額の十一万八千八百円を就学支援金として措置をいたしました。
したがって、こうした国の新しい施策の導入によっても、私立高校に通わせる父母の負担は依然として残るものであります。
国の施策として、高校生を持つ家庭の教育費負担を軽減するのであれば、公私の授業料格差を考慮した上で施策を構築されるべきではないかと考えます。
なお、これまでの本県授業料軽減制度は、債務負担行為による償還費補助方式をとってきたため、過去の授業料軽減に係る県費負担の解消には、今後十年間を要することになります。
県財政は、昨年来極めて厳しい状況に陥っております。そのような状況の中で、本県では、現行の私立高校授業料軽減補助にさらに上乗せして、授業料の実質負担ゼロの所得層を年収三百四十万円程度まで拡充するとともに、年収八百三十万円程度以下の中間所得層の補助単価を増額することといたしたところであります。
本県は、これまで私立高校生の父母に対し、全国トップクラスの助成を実施することにより、父母負担の軽減を図るとともに、公私格差の是正に努めてきたところであり、今後ともその維持に努力してまいります。
次に、私立高校における授業料滞納による卒業式への出席停止などに関してのお尋ねでございます。
今春、卒業式当日まで授業料を滞納していた生徒は、十一校で十五名であり、そのうち、学校長の判断で卒業式に出席させなかった生徒は五校で五名ございました。
また、生活福祉資金貸付制度につきましては、私立学校に対して二月中旬に周知を行い、利用をお願いしたところ、三校四名の利用がありました。
この制度の利用もあり、さきに述べました授業料滞納者十五名につきましては、授業料納入のめどが立ち、全員が卒業できるとのことであります。
経済的な理由など、やむを得ない事情による授業料の滞納は、生徒個人の責任ではありませんので、今後は卒業式への出席停止といった事態を招くことのないよう、学校に対し、保護者との面談を通じ、授業料の納付期限の延期や、分割納入を認めるなど、授業料滞納者への早い時期からの一層のきめ細かな対応に努めるよう求めてまいります。
次に、県立芸術大学の整備に関しての御質問であります。
議員御指摘のいわゆるマスタープランについてでありますが、これは、公立大学法人が独自に試案として作成したものでありまして、設立者である県の整備計画として認知されたものではございません。したがいまして、今回の音楽学部校舎の整備もそれに基づき進めているのものではありません。
芸術大学は、昭和四十一年の開学以来、四十年以上が経過し、老朽化はもとより、学生定員の増加に伴う狭隘化や、作品の大型化による天井高の不足、さらには、レッスン時の音声が他の部屋に漏れるなど、防音機能の劣化が著しく、学生に対して良質な教育環境を保証するという大学の使命を十分果たすことができない状況にあります。
このため、大学側の強い要請を受けて、県としては、緊急度の高い施設から順次整備を図っていくこととし、来年度は、今年度実施した基本設計に引き続き、音楽学部校舎の実施設計を行うものであります。
今回の音楽学部校舎の整備は、現場の意向も踏まえ、現在の校舎とは別の場所に新たに建設するという手法を選択したものでありますが、既存施設との機能連携や景観調和が図られるよう、建設場所や建物の高さ、外観などにも十分留意した上で設計を進めてまいります。
以上でございます。
82:◯副知事(高尾和彦君)
県立芸術大学の整備についての御質問にお答えします。
芸術大学の建物は、老朽化が著しく、教育研究環境の向上や学生、教員の安全確保の面からも早急な対応が必要だと認識をしております。
他方、県財政が極めて厳しい状況にあることや、その時々の大学のニーズに的確かつ柔軟に対応するため、その施設の改善につきましては、緊急度の高いものから順次整備をしていくこととしたところでございます。
その場合、新しく建てかえるのか、今ある建物を改修して使うのかという点に関しましては、まず、芸術大学は、開学時と比べまして、学生定員が約一・五倍に増加しておりまして、その整備に当たっては、狭隘化の解消、それからバリアフリーへの対応、こういったことを確実に行う必要がございます。
また、改修による場合は、代替施設の確保が必要となりますが、平たん部が少ないキャンパス内では、仮設建物の建設適地が限られておりますことや、防音、音響、空調などの機能を新しく建て直す場合と同様の水準に保つことができるかどうかという課題もございます。
芸術大学の施設の中には、我が国の近代建築の第一人者であります吉村先生の代表的な建築物があることは十分承知をいたしております。
今後の整備につきましては、それぞれの施設について、その現状や文化的な評価、教育研究活動への影響や効果、さらには、時間や経費面でのコストなどを総合的に勘案して決定してまいりたいと考えております。
83:◯四十九番(富田昭雄君)
ありがとうございました。
授業料の実質無償化については、スムーズに行えますようによろしくお願い申し上げます。
それから、卒業に当たっては、卒業式に出られるように早目からの貸し付け、いろんな方法があると思いますが、対策を打っていただきますように今後よろしくお願いしたいと思います。
それと、今の芸術大学の校舎の問題でありますが、試案は試案として、それを認めないというか、それはそれとして、財政的に大変だということはよくわかるわけでありますが、しかし、財政的に大変だから、それが全部機能、私も見ました、天井が低いというのもわかります。しかし、残して建てかえられるものなら建てかえて、それが幾らかかるのかとか、新しく建てかえると幾らかかるんだと、そういうようなことも含めて、説明がしっかりできて、その上で判断をされるということが大事だと、そういうことが言いたいわけでありまして、今後白紙だというかわりには、今後はそういう形でしっかり説明があって、次に進むということがされるんでしょうか。そこだけ確認して終わります。再質問です。
84:◯議長(吉川伸二君)
答弁時間が経過しております。答弁は簡明に願います。
85:◯県民生活部長(大久保裕司君)
まだ今後の整備計画については、先ほど答弁申し上げましたように、未定でございますけれども、今後さらに計画を明確化する段階において公表して、いろいろ御意見も伺いながら、よりよい計画にしてまいりたいと考えております。
以上です。
86:◯議長(吉川伸二君)
進行いたします。
高木ひろし議員。
87:◯五十番(高木ひろし君)
歳出第十一款教育費第五項特別支援学校費について、私は、障害のある児童生徒の学校選択についてお伺いいたします。
知的障害養護学校のマンモス化、この解消が課題になる中で、これに対する対応の一環として提案されております新年度予算案においても、尾張部に知的障害養護学校の新設の方針が盛り込まれております。
この背景には、全国的に特別支援学校や特別支援学級に通う子供が急増しているという現状があります。文部科学省が昨年末にまとめた資料によりますと、平成五年と平成二十年、この十五年間におきまして、特別支援学校や特別支援学級に在籍する児童数、小学校ですね、これが一・六倍、中学校の生徒数は一・四倍にふえている。平成十六年に発達障害支援法、法律が定められまして、十九年からは、特別支援教育が学校教育法に正式に盛り込まれておりますが、こうした節目を契機にして、ふえ方が顕著になってきておるわけであります。
そして、こうした生徒らの進学希望も当然ふえまして、養護学校高等部のマンモス化として全国的傾向となっているわけであります。
さて、そこで、生徒数自体は決してふえてない、むしろ、減少している、また、障害のある子供の率がふえているわけでもないのであります。
では、なぜ特別支援学校や特別支援学級に通う児童生徒数がこのようにふえ続けるのでしょうか。
発達障害という新しい障害概念が強く意識されるようになりまして、より手厚い教育や療育が保障されるという期待から、特別支援学校や特別支援学級に入れるほうが我が子のためだというふうに考える保護者も当然少なくないでしょう。
その反面、やはり近所の子供たちと同じように地元の小中学校に通わせたい、そして、普通高校で学ばせたいというふうに願いましても、なかなか当該の学校や自治体から必要な支援や配慮を受けることができないために、やむなく特別支援学校を選択せざるを得ないという声も多数寄せられております。
それと、もう一つ見逃すことができないのは、親の経済的な格差が大きく広がっている今日、特別支援学校や特別支援学級に通う場合に限って、所得に応じて支給される特別支援教育就学奨励費というものの存在も、この影響も無視できないと思います。この奨励費は、本県だけでも五億円を超える予算が組まれておりまして、障害のある、そして、学級、学校に通う子に対して、平均で年額約十万、所得等の状況によっては二十万近い額が支給されることもあります。
政府が批准手続を現在進めております障害者の権利条約では、その二十四条に、障害を根拠として一般教育制度から排除されないこと、自己の住む地域社会での平等に教育を受ける権利、これが保障されております。必要な合理的配慮や個別的支援が与えられなければならないということを明記されております。これをインクルーシブ教育と呼んでおります。
障害のある子は特別支援学校、障害のない子は普通学校と、現在の日本の分離別学を原則とした特別支援教育のあり方がこの条約の考え方とかなり食い違っているということは明らかでありまして、政府に設置されました障がい者制度改革推進会議においても、今後議論される重要課題の一つに挙がっております。
教育委員会や就学指導委員会、あるいは就学支援委員会が子供の障害度合いを判定し、就学先を決めるのではなく、障害がある子もそうでない子も一たんは地域の普通学校に通うことができるということにした上で、就学奨励費も含めて必要な支援や配慮が保障されるのが本来の姿ではないかと考えます。
その上で、保護者や本人が希望する場合には、特別支援学校に通う、特別支援学級で学ぶことができるというふうにすべきなのだと考えます。
そこで、教育委員会にお尋ねしたいと思います。
質問の第一点は、特別支援学校ではなく、県内の公立の小中学校において学んでいる障害のある児童生徒の人数について、その中で特別支援学級に入っている子、そして、通常学級に在籍している子の内訳もお示しいただきたいと思います。
そして、これらの特に通常学級に在籍している障害のある児童に対しては、どのような支援、配慮がなされているのか、御説明をお願いします。
質問の二は、こうした障害のある生徒が特別支援学校高等部ではなく一般の高等学校にどの程度進学する道が開かれているのかという問題であります。
学校教育法が改正されまして、高等学校を含めたすべての学校において、特別支援教育への取り組み、障害のある児童生徒への取り組みが義務づけられております。
そして、鳩山内閣によって、先ほども話題になっております、高校の実質無償化という原則が立てられたことによって、基本的には、すべての子供たちに経済的理由や障害による理由とは別に、高校教育を受ける権利が保障されたということが、これを意味しているのではないかと考えます。
県内の公立高校入試に関しましては、数年前から障害によるハンディキャップをなくすために、特別配慮の申請という制度が入試の要項に制度化されております。
障害に応じて、別室での受験や時間の延長、あるいは先ほども話題に出ました、拡大の問題、答案用紙、そして、介助者の立ち会いなど、いろいろな障害に応じた配慮が認められるという例を聞いておりますが、昨年の入試において、こうした申請を行って公立高校の入試に臨んだ障害のある生徒は何人いらっしゃるのか。そして、現在、県立高校で学んでいる障害のある生徒数は何人いらっしゃるのか。
私立の高等学校においても、障害のある生徒が在籍している状況があると伺っておりますので、把握をされておればお答えいただきたいと思います。
最後に、障害のある生徒の進学希望を増大するということに対し、特別支援学校の高等部の拡充、新設だけでこれを受けとめようとするのではなく、私立を含めた一般の高等学校の門戸をさらに広げ、エレベーターやトイレなどの設備面、あるいは介助などの人的体制の面において、就学の支援体制を充実していくことが不可欠だと考えるものでありますが、県としてどのような方針でこの問題に臨んでいかれるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
以上です。
88:◯教育長(今井秀明君)
障害のある子供の学校選択に関して何点かお尋ねをいただきました。
初めに、小中学校に在籍する障害のある児童生徒の人数と、なされている支援、配慮についてお答えをいたします。
まず、名古屋市を除きます県内の小中学校の特別支援学級に在籍する障害のある児童生徒のうちで、車いす使用の肢体不自由等の児童生徒は約四十名、それから、視覚障害のある児童生徒は数名であります。それから、聴覚障害のある児童生徒は約十名でございます。
また、小中学校の通常の学級に在籍する障害のある児童生徒のうちで、車いす使用の肢体不自由等の児童生徒は約七十名、視覚障害のある児童生徒は数名、それから、聴覚障害のある児童生徒は約四十名でございます。
このような障害のある児童生徒に対しましての支援、配慮といたしましては、移動のためのスロープや洋式トイレの設置など、施設設備面での整備が行われております。
また、障害の状態に応じて、チーム・ティーチングで指導するなどの指導形態の工夫や、教室内での座席の位置の配慮、それから、視覚障害のある児童生徒の拡大教科書の使用、聴覚障害のある児童生徒への聾学校教員による専門的な指導の実施など、学習面での支援、配慮も行われております。
このほか、食事等の補助や教室移動補助などの日常生活の介助や、学習支援や安全確保などの学習活動上のサポートのために、特別支援教育支援員や介助員の配置など、人的な支援配慮も進められております。
さらに、特別支援学級においては、障害種別に学級を設置し、少人数でのより専門性の高い指導が行われるとともに、一人一人の実態に応じた弾力的な教育課程を編成し、指導計画においても個別に作成し、障害に配慮した指導を行っているところでございます。
次に、障害のある生徒の高等学校への進学に関する御質問であります。
まず、入学者選抜における配慮申請の状況でございますが、御質問にもありましたように、これまで高等学校に入学を希望する生徒については、入学者選抜の公平性を確保する観点から、病気や障害による受験上の不利益が生じないよう、受験生の状態に応じて、別室受験や試験時間の延長などの配慮を行ってきたところであります。
平成二十一年度の入学者選抜におきましては、実人数で六十八名の受験生から受験上の配慮を求める申請がされ、昨年度に比べまして二十名余り増加しております。
次に、県立高校に在籍する障害のある生徒数についてでありますが、障害の有無を教員が専門的な知識がないまま判断することは適当でないと考えております。
しかし、県立高校において、特別支援教育を推進していくためには実態の把握が必要でありますので、平成十九年度から、障害のため特別な支援が必要である旨、保護者から申し出があった生徒と、そういうことについて全校調査を行ってまいりました。
平成二十一年度は、発達障害を含め、全日制、定時制、合わせて約二百七十名の生徒が保護者からの申し出があった生徒として報告されております。なお、この人数につきましては、調査開始以来、年々ふえております。
最後に、高等学校に障害のある生徒が入学した場合の支援についてであります。
障害のある生徒の県立高校への入学に当たっては、本人、保護者の要望も踏まえながら、県教育委員会と学校とが十分に相談した上で具体的な対応を進めております。
例えば平成二十一年度でありますけれども、県立高校に二人の全盲の生徒が入学いたしましたが、当該生徒の中学校における学習環境や保護者の要望等にも配慮し、校内の点字ブロックや点字用プリンターの整備、それから、県立の盲学校の支援による教材やテストの点訳の実施、あるいは点訳支援員の配置などを行っているところであります。
このほか、生徒の障害の状態に応じまして、必要な校内設備の整備や学習内容、指導方法の工夫を各学校において進めているところでございます。
しかしながら、先ほどお示しした調査結果にも見られますように、高校においても、特別な支援を必要とする生徒が年々ふえております。学校としての新たな対応も求められております。
そこで、平成二十二年度までに特別支援教育コーディネーターを校内組織に位置づけることとし、同じ地域内の高校と特別支援学校の連携を強化するためのコーディネーター等による連絡協議会や、障害のある生徒に対する具体的な指導の支援のあり方を研究するための事例研究会を新たに立ち上げるなど、高等学校における特別支援教育を推進するための体制の整備と教員研修の充実を図ってまいりたいと考えております。
施設設備面での対応でございますが、これまでにも校舎の大規模改造などを行うときに合わせまして、スロープでありますとか、洋式トイレなどの整備を進めているところでありまして、今後も同様の対応をしてまいりたいと考えております。
また、エレベーターの設置につきましては、校舎の新築や改築に合わせて検討してまいりたいと考えております。
こうした取り組みを通じて、まずは、障害のある生徒に対する高等学校の教員の理解をより一層深め、個々の生徒の実情に応じた適切な対応が行われるよう配慮していくことが大切であると考えております。
以上でございます。
89:◯県民生活部長(大久保裕司君)
私立高校における障害のある生徒の在籍状況及び支援体制についてのお尋ねでございます。
平成十九年四月一日付で、文部科学省初等中等教育局長から、特別支援教育の推進について通知がなされております。
この通知により、二十一年度に行った調査では、五十五校中二十四校が特別支援体制を要する生徒の実態把握を行ったという回答がありますが、この調査は、学校が実態把握を行ったか否かの質問のみであり、それ以上の詳細についての回答は求められておりません。
なお、教育長の答弁にありましたように、障害があるかどうかの判断については、極めて専門的な立場で行われるべきものであり、本県として、私立学校における在籍状況については把握をしておりません。
また、各私立高校の入学者決定は校長の判断にゆだねられており、多くの私学では、障害のある生徒について、受験前に保護者や在籍校から進路先として事前に相談があった場合には学校での対応など、保護者等とよく相談し、その上で受験していただくよう配慮を行っていると伺っております。
以上でございます。
90:◯五十番(高木ひろし君)
二点指摘して、要望を申し上げたいと思います。
一つは、小中学校における通常学級に在籍する障害のある子の数字をお示しいただきましたけれども、これは当然名古屋市を除く数字でありますね。
名古屋市のほうはどうなっているかといいますと、名古屋市は、先ほどお示しになった視覚障害や聴覚障害のほかに、知的障害、発達障害とは区別された知的障害があると思われる子の数も数字がきちっと出ておりまして、名古屋市内、全体数がわかりませんが、小学校二百五十二人、中学校二十八人が知的障害を持っていらして、なおかつ通常学級で勉強しているという子がいるということを名古屋市は、教育委員会はつかんで、これを明らかにしております。
現在、先ほどの数字になぜ知的障害をお持ちの児童生徒の数が把握されていないのかということ、ここでは詳しくは申し上げませんが、やはりここに一つ、まだ実態の把握が必ずしも十分じゃない、すなわち裏を返して言えば、障害のある子は、知的障害はもちろんです、養護学校があるじゃないかと、特別支援学校へ行きなさいよと、こういう指導が当たりまえのように行われておって、知的障害があるのに通常学級にいるということ自体が建前として認めたくないといいますか、認められていないということだと私は理解をいたしました。
したがいまして、まず、一人一人の子供に合った、教育ニーズに合った教育という特別支援教育の趣旨からして、まずはどこにどういう困難や障害を抱えた児童がいるのかという把握がまず大前提でありますから、高校におきましても、私立高校もそうであります。先ほどのお話のように、県は、国のお金も含めて、私立も含めた高校教育全体について責任を持つ立場で、特別支援教育、障害のある生徒に関する対応についても責任を持つべきという点からいえば、これは、県としてももう少し踏み込んで実態を把握し、そして、特別支援学校・学級ということだけではない生徒の進路保障を広げていただくようにお願いをいたしまして、終わります。
91:◯議長(吉川伸二君)
進行いたします。
鈴木あきのり議員。
92:◯三番(鈴木あきのり君)
私は、第十八号議案平成二十二年度愛知県臨海用地域造成事業会計予算のうち、第二条について三点お伺いをします。
一つ目として、企業誘致に対する県民参画について申し上げます。
近年の景気動向もあって、工場立地が全国的に低迷し、本県も同様な傾向にあります。
また、立地する企業等のニーズは、製造工場のみならず、物流施設や研究施設などさまざまな分野に広がるとともに、地域の立地環境に対する要求も多様化しております。
企業に愛知県を選んでもらうためには、さまざまなニーズに的確にこたえていくとともに、愛知のすばらしさを理解してもらえるよう、県民一丸となって全力を挙げて企業誘致活動に取り組んでいくことが不可欠であります。
今まで企業誘致に関しましては、どこの自治体も助成金の額が大きい、土地代などのインフラ費用が安いといった企業のコスト意義を魅了する点をアピールすることが多く、金額の大小の競争でありました。結果として、賃金も地価も安い海外へ企業をフライトさせてしまうことになりました。
日本がこれまで求め続けてきた経済の拡大の失敗を愛知が後追いして繰り返してはならないと思います。発展なき拡大ではなく、みずからのふるさとの資源を有効に活用して企業と共生し、ともに発展していくことが大切であります。
発展とは英語でディベロップ、ほぐす、ほどくという意味であります。つまり、前の段階で内在させていたものを開花させていくのが発展ということであります。
例えば植物は種から芽が出、幹になり、花を咲かすということであります。よって、外から別の力を加えるのは発展とは言わないのであります。
これからは、県民一人一人が知恵を出し合って行政に参画し、自分たちに必要な経費をみずから考え、発展していくことが必要な時代であります。
そこで、地域が企業とともに発展できるよう、企業誘致に対し、審査会なども設け、地元住民が企業選定に参画できるシステムづくりについてのお考えをお伺いいたします。
二つ目として、今後の企業誘致に対する基準制定について申し上げます。
今までの企業誘致は、どちらかといえば、県民の方向よりも企業の方向に目を向けていました。これからの企業価値判定としては、今までの基準に加え、大量生産し、資源略奪型の企業だけではなく、地球環境を守り、資源を浪費しない地域の基幹産業となるような企業を求めることが必要だと思います。
例えば熊本県は、水が豊富でありますが、進出企業に対して、水の再利用や、水を守る基金への協力など、水を大切にする義務づけなどを厳しくしております。
水俣病やアスベスト等の教訓のように、将来大きな問題になり、禍根を残すことにならないようにするためにも、企業誘致に対する基準は厳しい条件というものを考えていく必要があると思います。
そこで、今後の企業誘致に対する基準制定についてお考えをお伺いいたします。
最後に、三点目として、三河港臨海工業用地の高潮被害と対策について申し上げます。
平成二十一年、台風十八号、アジア名、MELORは、マーシャル諸島で発生し、トラック諸島、北マリアナ諸島を経た後、十月八日早朝、本県知多半島に上陸し、三十万戸が停電、農林水産業被害が百三十億円と大変大きな被害を出しました。
三河港臨海工業用地にも高潮による被害が発生しましたが、その被害状況と、安心して操業できる工業用地を提供するため、今後の高潮対策についてお伺いいたします。
以上です。
93:◯企業庁長(山川利治君)
企業誘致と昨年十月の台風十八号による高潮被害について、合わせて三点御質問をいただきました。
まず、企業誘致について審査会などを設け、地元住民の方が企業選定に参画できるシステムづくりについてのお尋ねでございます。
企業誘致につきましては、議員お示しのとおり、地域が企業とともに発展していくことが大切でございます。
立地企業が地域に定着し、企業市民として長く事業活動していただけるよう、企業庁といたしましては、地元市町の理解を得ながら企業誘致を行っているところでございます。
企業立地は、とりわけ道路交通でありますとか、環境面など、地域住民の方々の日常生活に影響を及ぼすことも考えられますことから、必要に応じまして、地元住民の方々にも市町を通じ、立地企業の業務内容、工場の規模、従業員数等を説明いたしまして、御理解をいただいているところでございます。
今後の企業誘致におきましても、このような考えによりまして、地元住民の方々からの御理解が得られるよう、さらに市町と連携を強化して取り組んでまいります。
続きまして、企業誘致に対する基準制定についてのお尋ねです。
企業庁が工業用地を分譲するときは、まず、企業から立地の相談を受け、その後、分譲の申し込みをいただいた後、企業庁の立地基準による立地審査を行っております。
その基準でございますが、一点目として、雇用機会の増加、地域の生産活動の活性化など、地域社会の発展に寄与できること、二点目といたしまして、工場の建設計画及び資金計画が確実であること、三点目といたしまして、公害防除のため、各種関係法令に基づく基準及び手続を遵守するとともに、関係行政機関の指導に従うことなど、公害防止対策が十分であること、四点目といたしまして、企業の経営内容が健全であり、発展性があることでございます。
この基準により立地審査の後、地元市町の同意を得まして立地企業を選定しているところでございます。
議員お示しのとおり、地球環境を守り、資源を浪費しないことは時代の要請と考えておりまして、誘致する企業に共通して取り組んでいただく大切なことでございますので、今後もこの視点を念頭に置いて立地審査を行ってまいります。
最後に、昨年の台風十八号による高潮の被害状況と今後の対策でございます。
まず、高潮による被害の状況でございます。
昨年の台風十八号による高潮は、伊勢湾台風後の五十年間において最大規模のものでございました。企業庁が分譲いたしました三河港の臨海工業用地における被害状況でございますが、台風後すぐに現地調査や電話確認を行いまして、企業庁が分譲しております土地への立地企業百五十二の事業所がございますが、このうち建物への浸水を七件確認したところでございます。
そのほか、強風によるフェンスの転倒など施設の一部が壊れたり、停電となって一時的に操業が停止した企業もございました。
また、道路の冠水や緑地の倒木等の被害も発生したところでございます。
次に、今後の高潮対策についてでございますけれども、企業誘致の観点からも安全な工業用地を提供しなければならないことはもちろんのことでございます。
台風後の昨年十一月十七日に、今後の高潮対策等を調査、検討する目的で、国、県、関係市によります三河港埋立高潮災害検討会、これが立ち上げられまして、企業庁もこれに参加をいたしまして、先月二月十六日には、この検討会が埋立地の高潮対策を公表したところでございます。
この内容は、今回のような高潮被害を最小限に抑えるため、国、県、関係市が協力して高潮対策に取り組むものでございまして、ハード対策とソフト対策から成り、それぞれに今すぐ行動に移す対策からある程度の期間をもって取り組む対策を網羅的に整理したものでございます。
この中で、企業庁といたしましては、まず、ハード面の対策でございますが、高潮が埋立地の外周護岸の緩衝緑地の通路部分から侵入したということがございましたので、関係市とも調整の上、その箇所のかさ上げ工事、これを順次実施していくことにしておりまして、既に御津一区ではこの工事を一部完了したところでございます。
また、これから緑地整備をするところにつきましては、緑地のかさ上げによりまして、防潮的な機能を持たせるように工事を進めてまいります。
さらに、ソフト面の対策でございますけれども、立地していただく企業の方々には、埋立地であり、異常気象時には浸水被害の危険性があることをこれまでも説明して立地していただいたところでございますけれども、今後は、今回の台風被害の経験も踏まえまして、十分に説明をしてまいります。
以上でございます。
94:◯議長(吉川伸二君)
進行したします。
鬼頭英一議員。
95:◯八十四番(鬼頭英一君)
第十二号議案平成二十二年度愛知県県営住宅管理事業特別会計予算、特別県営住宅空き家について質問をいたします。
私の地元の名古屋市中川区に、清船南住宅と大畑住宅という県営住宅があり、その住宅の中に特別県営住宅があります。
特別県営住宅というのは、昭和六十年代から平成十年ごろまでに主に建設されたもので、当時、量、質ともに不足していた中堅所得所帯向けの民間賃貸住宅を補完するものとして、また、当時、普通県営住宅の入居者の約四分の一は収入超過者であり、これらの転居先としての需要も見込んで、主に都市部において建設されたものであります。
この清船南住宅と大畑住宅にある特別県営住宅について、最近、空き家がふえているということで調べてみますと、この二月現在で、清船南住宅が管理戸数三十四戸のうち、空き家が十九戸、大畑住宅が管理戸数三十戸のうち空き家が十一戸と多数の空き家があることがわかりました。
さらに、県内の他の特別県営住宅の空き家も調べみると、立地条件のよい住宅では空き家のないところもありますが、多数の住宅で空き家があり、空き家数も相当数に上ることが判明をいたしました。
このように、県民の税金で建設された住宅の多数が空き家で放置されているという状況については、県民の貴重な財産が有効活用されていないということであり、突き詰めて言えば、税金の無駄遣いではないかと言わざるを得ないのであります。
特別県営住宅の家賃はとても高くて入居できないということであります。その家賃は、管理開始時に近隣地域の民間市場家賃を基準に決められているということです。
ただ、この特別県営住宅は、ほとんどの場合、低所得者向け住宅である普通県営住宅と同じ住宅内にあり、さらに同じ棟の中に普通県営住宅と特別県営住宅とが併設されています。
そのため、それぞれの家賃を比較した場合、どうしても特別県営住宅の家賃に割高感を感じてしまい、住宅への入居を敬遠されてしまう傾向にあるのではないかと思います。
この特別県営住宅の家賃については、平成十九年四月に空き家対策として、特に空き家率の高い一部の住宅を対象に家賃を引き下げており、空き家の解消に効果があったということであります。
また、名古屋市市営住宅においても、特別県営住宅と同じ中堅所得所帯向けの住宅があり、その住宅についても、県と同様に空き家対策として、平成十九年十月に一部の住宅の家賃を引き下げています。
しかし、私の地元の県営清船南住宅と大畑住宅については、平成十九年四月の家賃の引き下げが行われておらず、家賃の割高感がより強く残っています。そのため、空き家が多数発生してしまっています。
清船南住宅のみならず、空き家が発生している他の住宅についても、家賃の引き下げを行わないことには空き家が解消しないのではないかと思います。
たとえ、家賃を引き下げたとしても、空き家にしておくより少しでも家賃が取れることにより、よほどいいのではないかと思うのです。
そこでお伺いします。
特別県営住宅の空き家の現状と空き家を解消するためにどのような対策をとられるのかお伺いします。
以上です。
96:◯建設部建築担当局長(勢力常史君)
特別県営住宅の空き家についての御質問にお答えいたします。
中堅所得者を対象としました特別県営住宅につきましては、平成二十二年二月一日現在で三十八住宅六百四十六戸の管理戸数のうち、空き家は二百二十六戸となっております。
このように、空き家が多数発生している原因につきましては、この特別県営住宅が普通県営住宅や周辺の民間賃貸住宅と比べて居住面積が広く、その分、家賃が高くなるため、家賃の割高感を持たれることが要因の一つであると考えております。
また、最近の経済状況の悪化によりまして入居者の収入が減り、退去者が増加していることも一因ではないかと考えているところでございます。
今後の空き家解消のための対策でございますが、まず、県営住宅の募集パンフレットへの特別県営住宅の情報掲載はもとより、県及び住宅供給公社のホームページへの掲載、さらに、民間賃貸住宅情報誌への掲載など、広く募集のPRに努めてまいります。
また、普通県営住宅に入居しております高額所得者の移転先としてのあっせんをさらに強く進めてまいりたいと考えております。
さらに、家賃の引き下げにつきましても、平成十九年四月に五〇%を超える空き家がある特別県営住宅について、約二〇%程度の家賃の引き下げを実施したところ、空き家の減少に効果がございましたので、今後、対象住宅を拡大し、近隣の民間市場家賃とのバランスを考慮しつつ、検討してまいりたいと考えております。
97:◯議長(吉川伸二君)
以上でただいま議題となっております議案に対する質問を終結いたします。
─────────────
98:◯三十七番(山下史守朗君)
ただいま議題となっております議案は、さらに審査のため、それぞれ所管の常任委員会に付託されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
99:◯議長(吉川伸二君)
山下史守朗議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
100:◯議長(吉川伸二君)
御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております議案は、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
なお、議案付託表は議席に配付いたしました。
─────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━
101:◯三十八番(大見正君)
本日はこれをもって散会し、明三月十一日午後一時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
102:◯議長(吉川伸二君)
大見正議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
103:◯議長(吉川伸二君)
御異議なしと認めます。
明三月十一日午後一時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時三十八分散会
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