県政報告
平成22年2月定例会(第6号)
2010年3月8日
(主な質疑)
- 1: 午前十時開議
◯議長(吉川伸二君) ただいまから会議を開きます。
直ちに議事日程に従い会議を進めます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第一 第五十五号議案平成二十一年度愛知県一般
会計補正予算から第七十五号議案損害賠償の
額の決定及び和解についてまで及び第七十七
号議案平成二十一年度愛知県一般会計補正予
算
- 2:◯議長(吉川伸二君) 第五十五号議案平成二十一年度愛知県一般会計補正予算から第七十五号議案損害賠償の額の決定及び和解についてまで及び第七十七号議案平成二十一年度愛知県一般会計補正予算を一括議題といたします。
─────────────
- 3:◯三十八番(大見正君) ただいま議題となっております第五十五号議案から第七十五号議案まで及び第七十七号議案は、さらに審査のため、それぞれの所管の常任委員会に付託されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 4:◯議長(吉川伸二君) 大見正議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 5:◯議長(吉川伸二君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております第五十五号議案から第七十五号議案まで及び第七十七号議案は、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
なお、議案付託表は議席に配付いたしました。
─────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第二 議員提出第一号議案県議会議員の議員報酬
の月額の特例に関する条例の制定について及
び第一号議案平成二十二年度愛知県一般会計
予算
- 6:◯議長(吉川伸二君) 次に、議員提出第一号議案県議会議員の議員報酬の月額の特例に関する条例の制定について及び第一号議案平成二十二年度愛知県一般会計予算を一括議題として、これに対する質問を許します。
この際、第一号議案平成二十二年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳入全部について質問を許します。
質問に際しましては、款項を明らかにして発言されるようお願いいたします。
通告により質問を許可いたします。
中根義一議員。
- 7:◯四十六番(中根義一君) それでは、第一号議案歳入第一款県税第一項県民税についてお伺いをさせていただきます。
そのうち、県民税の徴収確保対策について質問させていただきますが、一昨年の世界的な景気の急激な悪化の影響により、平成二十二年度の県税当初予算は八千六百六十六億円と、本年度よりさらに一千十四億円の減収が見込まれることとなり、未曾有の財政危機と言えるかと思います。
先日、発表されました第五次行革大綱にも掲げているように、歳出面での事務事業の見直しはもとより、歳入面では国に対する財源措置の要望のほか、自主財源の確保も喫緊の課題となっております。
さて、県では、県税徴収率の向上及び県税収入未済額の縮減を、さきのあいち行革大綱二〇〇五にも掲げ、これまでコンビニ収納の拡大等の納税環境整備、タイヤロックを活用した自動車の差し押さえ等の滞納整理強化、地方税法第四十八条を適用した直接徴収等の個人県民税対策などのさまざまな取り組みをされてきました。
平成二十年度までの過去五年間で、県税徴収率は九七%から九七・七%と〇・七ポイント向上し、県税収入未済額も個人県民税を除けば百八十二億円から百二十一億円へと約三四%、六十一億円縮減されました。
しかしながら、ここが問題でございまして、個人県民税については、平成十九年度に行われた税源移譲に伴い、収入未済額が、平成二十年度決算で平成十八年度に比べて約九十三億円も増加し、収入未済額全体約三百三十五億円のうちの六割を占める二百十四億円となっているところです。
加えて、本県の平成二十二年度当初予算には、個人県民税が三千五十八億円余り計上され、県税全体に占める割合も三五・三%と一番高くなっている状況を踏まえますと、個人県民税の徴収対策はますます重要になっていると言えます。
さらに、個人県民税は、地方税法の規定により、市町村においても市町村民税と一緒に賦課徴収することとされていることから、市町村においては、市町村民税の収入未済額が同様に増加しているわけであります。
こうした中、他県では、近年、一部事務組合や任意組織による県と市町村が連携した滞納整理など、新たな対策を講じております。
また、これは制度上の問題でありますが、個人住民税は前年の所得に応じて翌年課税される税金であるため、非正規雇用者が非常に多くなるなど雇用情勢の流動化や雇用状態の変化に伴い、納税意識はあるが、その時点では所得がなく、納税に支障を来す例をよく聞くところであります。
これについては、既に全国市長会議の要望、あるいは平成二十二年度の税制改正大綱でも検討課題として取り上げられておりますが、根本的には現年課税方式に制度を改正しなければ収入未済額の縮減にはつながらないのではないかと考えます。
そこで、三点質問します。
まず、一点目ですが、個人県民税の徴収対策としては、これまでの取り組み状況やその効果を踏まえ、現在どのような対策を講じておられるのか、お伺いします。
次に、二点目は、本県でも第五次行政改革大綱に、滞納整理のため地域ごとの任意組織を設立し、活動への支援を掲げておられますが、県では、こうした任意組織についてはどのように考え、進めていかれるのか、お尋ねします。
三点目は、個人住民税の賦課徴収の仕組みとして、所得税と同じように現年課税方式の改正が必要であると思いますが、県としてはどのように考えておられますか。
以上、三点についてお伺いします。
- 8:◯総務部長(島田孝一君) 個人県民税の徴収確保対策についてお答えします。
まず、これまでの取り組みについてでございますが、お示しの地方税法第四十八条に基づき県が行う直接徴収は、市町村で滞納となっております個人住民税を対象とするものでございまして、その実績といたしましては、平成十六年度から二十年度までの間に、延べ四十八団体から八億六千六百万円の引き継ぎを受けまして、四億二千五百万円を徴収いたしました。徴収率では四九・一%となりますが、これは市町村における滞納繰越分の徴収率が約二〇%程度でございますので、かなり高い率でございます。
このほか県・市町村税務職員交流制度といたしまして、平成十四年度から二十年度までの間に、延べ百二十団体に対し県から職員を派遣いたしました。また、こういった直接的な支援に加えまして、差し押さえ物件の共同公売や実務研修の実施などといった側面的な支援も行ってまいりました。
こうした取り組みにより、税源移譲前の平成十六年度から十八年度までの三年間で、個人県民税の徴収率は九一・九%から九三・二%へ一・三ポイントアップをし、また、調定額がこの間約三百二十八億円増加している中、収入未済額はほぼ同額でおさまったところでございます。
また、平成十九年度からは、税源移譲に備えまして、従前からの取り組みに加え、市町村税徴収支援アドバイザー制度を導入して、きめ細かい支援にも努めてまいりました。
この結果、平成二十年度の個人県民税の徴収率は、平成十八年度と比較して〇・六ポイントアップの九三・八%となっております。しかしながら、調定額の増加に伴いまして、収入未済額自体は、議員御指摘のように、平成十八年度と比較しますと九十三億円ふえております。
このため、個人県民税対策として実効性が高い地方税法第四十八条による直接徴収の対象市町村を、今年度は十五団体から三十一団体に、さらに来年度は三十七団体に拡大するなど、取り組みをさらに充実強化しているところでございます。
次に、滞納整理のための任意組織についてでございます。
県と市町村が連携して税を共同徴収することは、滞納整理の効率性が上がるとともに、職員の能力の向上にもつながり、県と市町村の双方にメリットがあるものと考えております。
他県等の状況を見ましても、近年は、設立の手続が簡便で費用対効果もすぐれている任意組織を活用した取り組みが多く、本県でも、既に東三河地域において、平成二十三年度の任意組織設立を目指した自主的な勉強会が立ち上げられておりまして、県内の地域ごとにこうした組織が形成されることが望ましいと、こう考えております。
このため、県としましては、県内の市町村に対しまして、任意組織の設立に向けて積極的な働きかけを行い、設立後は職員を派遣してその活動を支援してまいりたい、このように考えております。
続いて、三点目の個人住民税の賦課徴収制度の改正についてでございます。
税負担の公平を図るためには、徴税をしっかり行うと同時に、制度面でこれを支える必要がございます。個人住民税は、地方税法の規定によりまして、前の年の所得を基礎として課税する、所得の年から見て、翌年課税の仕組みをとっておりますが、議員お示しのように、最近の経済環境の悪化や雇用形態の変化が徴収率に悪影響を与えることも懸念されるところでございます。所得課税は、所得の発生に応じた税負担を求めるものでありまして、そのため、所得の発生時点と税の徴収時点とのタイムラグをできるだけ少なくすることが望ましいと考えられます。
こうした中、国は、平成二十二年度税制改正大綱において、個人住民税の改革の方向性として現年課税化の検討を掲げておりますが、一方で、現年課税化をいたしますと、給与支払い者が新たに行うこととなる年末調整や税額算出に係る事務負担増など、いろいろ課題も指摘されているところでございますので、県としましては、今後の国における検討過程を注視してまいりたい、このように考えております。
以上でございます。
- 9:◯四十六番(中根義一君) ただいま、それぞれ三点についてお答えをいただきました。
初めの一点目については、三十七市町村に拡大されたということでございまして、一層の努力をされていることに感謝するわけですが、任意団体を立ち上げ、それぞれ愛知県だけではなくて、全国そうした収納率を上げていこうというそういう努力に対しては敬意を払うわけですが、ただ問題は、根本的には現年課税方式にしていかないとこの問題は解決していかないと思います。あの手この手を尽くしても、やっぱり例えば、外国人労働者は国へ帰ってしまえば収納の方法はないわけでございますし、あるいは今のように非正規社員がふえてきた時代において、しかも、その方たちが例えば雇用解雇などで次の年に収入がない場合は、明らかに納めたいと思っても納めない、先ほど質問したとおりでございますが、こういう矛盾を解決するのはもう現年課税しかないと。問題はこれからなんだと思います。
県は幾ら言っても、これは国の制度でございますし法律でございますので、この点、国が変えられない限り県はどうにもならないというのが現状でございますので、こういった点について、問題は、今、仕分けだとかあるいは見直しだとか行われている中で、早急に国に対して県としての要望をきちっとしていくと。先ほども部長お答えになられましたが、もっと強く要望していただきますことをお願い申し上げまして終わります。
- 10:◯議長(吉川伸二君) 次に、第一号議案平成二十二年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳出第一款議会費から第五款環境費までの質問を許します。
通告により質問を許可いたします。
川嶋太郎議員。
- 11:◯八番(川嶋太郎君) それでは、第四款県民生活費第二項文化学事振興費第一目文化学事振興総務費、あいち・出会いと体験の道場推進事業について及び第四項統計調査費第一目統計調査費人口経済統計費国勢調査費についてお伺いいたします。
まず初めに、あいち・出会いと体験の道場推進事業費についてお伺いいたします。
大変に厳しい経済状況が続く中、本県の今年度新規学卒予定者の就職内定率は、昨年末の時点で、大学生六四・六%で前年同期比一三・〇%のマイナス、短大生で五七・四%で一三・八%のマイナスと不景気の影響をまともに受けてしまっています。県としても、できる限り多くの方々が就職できるよう、精いっぱいの対応をしていただいているものと思います。
また、一方で、一たん就職はするもののすぐやめてしまう若者が少なくないという実態がございます。平成十八年三月に卒業した若者の例で申し上げれば、高校卒で約四五%、大学卒で約三五%が就職してから三年以内に仕事をやめてしまっているというデータがあります。
こうした状況から見ますと、私は、若者の職業に対するイメージの欠如や、理想と現実のミスマッチが存在しているのではないかと思います。自分自身の学生時代を振り返って考えてみますと、学校教育の中で職業観を育てることをしていないのが大きいのではないかなと思います。
県では、平成十五年七月に、教育の問題を学校だけの問題としてとらえるのではなく、社会全体の幅広い観点から議論する場として愛知の教育を考える懇談会を設置され、足かけ二年にわたるさまざまな議論の末、十七年二月に愛知の教育新生に向けた取り組みが懇談会から提言されましたが、その目玉となる取り組みの一つとして、平成十八年度にあいち・出会いと体験の道場を導入されました。以降、知事部局が中心となり、地域社会を中学生の社会性をはぐくむ道場として位置づけ、商店や企業の方々など社会で働く先人に導かれながら社会に貢献していくことの大切さを学び、身につけていく事業を進めてこられました。今年度は、名古屋市を除く県内すべての公立中学校で実施される予定とお聞きしています。
この事業は、職場体験を通じて、働くことに対する理解や体験先の方々との世代を超えたコミュニケーション能力、社会生活上必要となるルールやマナーなどを体得することができる大変有意義な事業であります。学校現場の御努力もさることながら、事業所や御父兄などの御協力が不可欠であり、こうした現場の皆様からの評価も高いと聞いております。
私自身も議員になる前、名古屋市内の特別養護老人ホームで働いていたときに、中学生の職場体験を受け入れたことがあります。職場体験の日数としてはほんの二、三日ではありましたが、実際に現場を見ていただき、利用者さんとお話をしたり、一緒にレクリエーションに参加するなどする中、また、職員の働く姿を目の当たりにして多くのことを感じてもらえたように思います。また、議員になってから学生インターンを受け入れた際にも、その特別養護老人ホームで一日介護体験をしていただきましたが、多くの方がインターン終了後の感想の中で、最も印象に残ったことだと書いていました。やはり現場には多くの学びがあるものと私は思います。
中学生は、まだ具体的に職業を意識することは難しいかもしれませんが、職業観をはぐくむための入り口として、大変重要な時期であると思います。そうした時期にこのような取り組みを行うことは、今後の日本の将来を担う子供たちの育成に必要不可欠なことではないかと感じております。
そこで質問ですが、この事業は、子供たちの社会性や職業観を育てる重要な事業であると考えますが、これまでにどのような取り組みを行い、その成果はどのようなものであったのか、お伺いいたします。
また、職場体験につきましては、文部科学省が新しい学習指導要領に盛り込むなど、その重要性はますます高まってきておりますが、今後この事業をどのように進めていくのか、お伺いいたします。
次に、国勢調査についてお伺いいたします。
我が国の人口は、昭和二十年の七千二百万人から戦後一貫として伸び続け、昭和四十二年には一億人を超え、平成十六年には一億二千七百七十九万人となりました。しかしながら、少子・高齢化の進展により、この平成十六年をピークとして減少に転じ、我が国は現在、過去にない人口減少社会を迎えております。
そうした全国的な人口減少傾向にある中で、増加を続けておりました本県人口も、昨年十二月に公表されました平成二十一年十月一日の人口年速報によりますと、総人口は七百四十一万四千人となり、前年に比べ、一万六千人ほど増加しているものの、その増加数は戦後最低になるなど急速な減少傾向を示しております。
さらに、この調査における年齢区分別人口の割合で見ますと、〇歳から十四歳までの年少人口の割合は、昨年と比べ〇・一ポイント低下し一四・五%になっているのに対し、六十五歳以上の老年人口の割合は〇・七ポイント上昇し一九・七%となっており、本県におきましても、少子・高齢化は確実に進んでおります。
このように、少子・高齢化の進行により人口が減少する中、我が国は、出生率の回復、年金・社会保障制度の安定化、経済活力の維持などさまざまな重要課題に直面しており、本県におきましても例外ではありません。こうした重要課題に対する適切な施策を策定するためには、地域の実態を正確に把握し、これを今後の地域の施策に生かすことが肝要であると思います。
このような状況の中で、いよいよ本年十月には五年ごとに実施される国勢調査が実施されます。国勢調査は、我が国の人口や世帯の実態を明らかにする国の最も基本的な統計調査であります。その結果は、衆議院小選挙区の画定の基準、都道府県、市町村会議員の議員定数の基準、地方交付税の交付算定の基準など法定人口として利用されるほか、福祉政策、生活環境整備、防災対策等の国・地方公共団体におけるさまざまな施策の実施や計画の策定など、行政施策の基礎資料として利用されます。さらには、人口学、経済学等の学術研究や企業の需要予測、店舗等の立地計画などに利用されるなど、広範な分野で活用されています。国勢調査はまさに国・地域の姿を映し出す鏡であり、我が国の座標軸となるものです。また、平成二十二年国勢調査は、我が国が人口減少社会を迎える中で初めて実施されるものであり、日本全体あるいは地域コミュニティーの未来を描くためには、正確で信頼できる統計データを提供しなくてはなりません。
しかし、近年、個人情報保護意識の高まりや、共働き世帯や単身世帯など日中不在世帯の増加、オートロックマンションなどセキュリティが強化された建物の増加などにより、統計調査員が訪問しても会えない世帯や、会えても調査に理解を得ることが困難な世帯が増加しているものと思われます。
ここで私が強く訴えたいのは、県民一人一人に当事者意識を持っていただく必要があるということです。自分の個人情報だけは知らせたくないとか、面倒だから協力したくないという方が多く出れば出るほどデータの信頼性は下がり、それに基づいて立案される施策はそれだけ現状と乖離したものになり、結果、施策は十分な効果を上げることはできないでしょう。逆に、県民の皆様の御協力で正確で信頼できるデータとなれば、的を射た施策が実施でき、県民の生活向上に資することができるのです。つまり、国勢調査に協力することが最終的には自身の生活向上につながっている、自分のためでもあるということを県民一人一人に理解していただくことが重要であると思います。
そして、県としては、県民の皆様が積極的に協力していただけるように、個人情報の管理徹底はもちろんのこと、国勢調査の意義についてしっかりと広報啓発活動を進めていただきたいと思います。
そこでお尋ねいたします。
本年実施される国勢調査においては、昨今、国民の個人情報保護意識の高まり等とともに、このような調査が難しくなってきている状況に対応して調査票の提出方法が改正されると聞いておりますが、どのような提出方法になるのか、お伺いいたします。
また、国勢調査の結果を行政機関や民間企業等が利用するためには、正確で信頼できる調査結果が求められます。このためには、県民の皆様が国勢調査の意義を共有し、全員参加のもとで国勢調査が実施されなくてはなりません。今回の国勢調査の結果を正確で信頼できるものとするため、どのように取り組まれるのか、お伺いいたします。
以上です。
- 12:◯県民生活部長(大久保裕司君) まず、あいち・出会いと体験の道場推進事業につきまして、二点の御質問をいただきました。この事業の取り組み状況と成果についてでございます。
平成十八年度の事業開始以降、この事業が効果的に推進できますよう、知事をトップに経営者団体や病院、農協、書店などの事業所関係団体初め三十六団体で構成いたします推進協議会を開催し、職場体験の受け入れ先となります事業所の開拓に関する協力をお願いしてまいりました。
また、知事から、この事業に御協力いただくようお願いをし、受け入れいただいた事業所の皆様に、応援団として認定証を配付するとともに、中学校に対して活動経費を支援するなど、現場を受け持つ教育委員会と連携しながら、県民生活部において取り組みを進めてまいったところでございます。
事業所を初め、地域の方々や市町村の御努力、御協力のおかげをもちまして、参加中学校も順調にふえ、今年度、名古屋市を除く県内すべての中学校三百三校におきまして職場体験を実施するに至っております。また、今年度までに応援団認定証をお渡しした事業所の数は約一万六千を数えておりますことから、着実にこの事業が定着化してきているものと認識をいたしております。
中学生からは、働いて収入を得るということはとても大変だと感じた、あいさつや時間厳守など社会のルールを学ぶことができたという意見、保護者からは、親子の会話がふえた、子供が学校のことは今まで余り話したことがなかったが自分から職場体験での出来事を話してくれたという意見、さらに、受け入れ事業所からは、仕事の大変さやおもしろさを中学生にわかってもらえたという意見など、総じて好評をいただいております。
先日、私も職場体験の現場を訪れましたが、地元企業の皆様が親身になって子供たちを指導したり、保護者の方々がボランティアで現場を巡回し、子供たちを激励しておられる姿に感銘を受けたところでございます。
このように、中学生本人の社会性の育成はもとより、学校と地域との連携の強化、さらには、地域の子供は地域で育てていくという機運の高まりなど、さまざまな面で大きな成果が得られているものと認識をいたしております。
次に、この事業の今後の進め方についてでございます。
この事業は、これまで県内全域での実施を目標に、教育委員会と連携しながら進めてまいりました。そして、平成二十年度にその目標をほぼ達成し、先に申し上げましたとおり、現場での取り組みもおおむね軌道に乗り、全公立中学校においてこの事業が定着してきたものと考えております。
加えて、平成二十年三月に改訂されました新しい学習指導要領におきまして、総合的な学習の時間における職場体験の積極的な推進が盛り込まれたことから、中学校の教育活動において職場体験がますます重要視されるものと考えております。
このように、職場体験の重要性は高まっており、幅広い職場体験の受け入れ先の確保とともに、教育効果を一層高める手法の開発など、今後とも内容の充実を図っていく必要がございます。
この事業は、お受けいただく事業所の皆様の協力なしには成り立ちません。お忙しい仕事の中で、受け入れ日程の確保はもとより、生徒の安全確保、指導者の手配、体験プログラムの作成など、並々ならぬ御苦労をいただいておるところでございます。
来年度におきましては、この事業の実施を通してさらに充実、定着を図るとともに、今後も市町村がその実情に応じて無理なく続けていけるよう、県としての支援のあり方について、市町村や事業所の方々の御意見も伺いながら、県教育委員会と検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
次に、平成二十二年国勢調査に関してのお尋ねについてでございます。
国勢調査は、我が国の人口や世帯の姿を明らかにする最も基本的な調査として、大正九年以降、ほぼ五年ごとに実施されており、本年十月に実施される調査は十九回目の調査となります。
まず、今回の調査において、どのような提出方法が導入されるかについてのお尋ねでございます。
議員御指摘のとおり、昨今の個人情報保護意識の高まり、日中不在世帯の増加、オートロックマンションなど建物のセキュリティ強化によりまして、調査環境は大変厳しくなっております。
こうした点を踏まえ、今回の調査では、個人情報保護に配慮し、すべての世帯において調査票を封筒に入れて提出いただく方式を採用することといたしております。
また、日中不在がちな世帯などでも調査票を円滑に提出していただけるよう、市町村への郵送による提出もできることといたしております。
このような新しい手法の導入によりまして、すべての世帯から調査票を提出していただけるよう努めてまいります。
次に、この調査結果を正確で信頼できるものとするための取り組みについてのお尋ねでございます。
国勢調査は、日本国内に居住するすべての人及び世帯の実態を調査するため、本県では約七百四十二万人、二百九十五万世帯が調査対象となります。この調査のため、市町村からの推薦を受けまして、約五万人の統計調査員を任命し、調査に当たっていただく予定でございます。
この統計調査員が各世帯を訪問して調査票を配付、回収するわけでございますが、十年前、平成十二年国勢調査における本県の調査票回収率は九八%でありましたが、五年前の平成十七年国勢調査では九五%と三ポイント低下をいたしております。
こういった回収率の低下傾向に歯どめをかけ、正確で信頼できる調査結果とするためには、この調査の意義についての県民の皆様の御理解が大変重要であると認識をいたしております。
このため、国と地方公共団体が連携して、効果的、効率的な広報を実施してまいりますが、国が広く国民一般を対象とするテレビ、ラジオ、新聞など全国展開のマスメディアによる広報を実施するのに対しまして、県、市町村では、行政広報誌の活用やイベントの展開、自治会等への働きかけなど地域に密着した広報をするなど、役割を分担して実施してまいります。
また、特にオートロックマンションでは、統計調査員は共用玄関のインターホン等で訪問の了解を得た上、各住戸を訪問しますが、了解がなかなか得られないことや、了解が得られても共用玄関と各住戸との往復を繰り返さなければならないなど調査が難しくなっております。
このため、統計調査員が訪問する日時を居住者へ事前にチラシやポスターで連絡し、各住戸を連続して訪問させていただけるようにするなど、マンション管理会社等の業界団体に協力をお願いしてまいります。
さらに、高齢者等視力の弱い方には、文字を拡大した調査票を、また、外国人の方には、外国語で書かれた手引を用意するなど、すべての県民の皆様に協力していただきやすい調査方法をとってまいります。
なお、本県の実施体制といたしましては、来年度早々に実施本部を設けまして、国、県、市町村、統計調査員、関係者が一体となって正確で信頼していただける国勢調査の実施に努めてまいります。
以上でございます。
- 13:◯八番(川嶋太郎君) ただいま答弁いただきましたが、一点要望させていただきたいと思います。
提出方法に関しまして、郵送での提出も可というふうにお伺いいたしましたが、以前は、地域にお住まいの、まさに地元の方が歩いて歩いて一軒一軒訪ねて集めていただいた。面倒くさいなと思う方も、その方が訪ねて来るからこの人に迷惑もかけれんなと言って出してきていただいたものもあったと思いますが、郵送もいいよとなってしまいますと、お手軽になった分、逆にうっかりミスということもありましょうし、また、まあ、私一人出さなくてもそんな顔が見える話じゃないからいいだろうというようなことがやはり起こり得るのではないかなと思います。そうなってきた場合に、やはりこの調査の意義というものをどれだけしっかり伝えていくのかということが非常に重要になってくると思います。
今、国においても、この愛知県においても、どの地方公共団体においても財政に余裕があるところなんかありません。そんな中、この先、日本が向かっていく先、その正確な先を見通すために、この調査がどれだけ必要かということは自明の理だと私は思っています。ですので、その調査の必要性というものをどこまで皆さんに認識していただけるかということが、本当にこれは勝負だと私は思っていますので、ぜひとも、この正しいデータということは、たとえどの政党がどんな政体が政治をやろうが、どの首長さんがやろうが、データだけはやはり正確じゃないと困るんです。いいかげんなデータを持ってきて、こういうふうにやれますよ、ふたをあけたらやっぱりやれませんでした、それでは困るんです。もう日本は寄り道している余裕はないと私は思っていますので、少なくともこのデータだけは正確なものを皆さんの協力のもとでつくる、それは本当に必要だと思っていますので、ぜひとも、やれること、どんな細かいことでも一生懸命やっていただくように心から要望して終わります。
- 14:◯議長(吉川伸二君) 進行いたします。
小山たすく議員。
- 15:◯一番(小山たすく君) 私は、第三款地域振興費第一項地域振興総務費のうち、日進東部丘陵にかかわる情報公開について質問をいたします。
この東部丘陵の問題につきましては、我が党の波形県議、水谷県議が繰り返し本会議等で取り上げておりますので、事業の詳細については割愛し、概要のみをまず御説明をいたします。
そもそもの発端は、日進市の北部、豊田市及び長久手町と境界を接する、いわゆる日進東部丘陵と言われる地域において、事業者が、平成十一年の鉱業権の出願以来、この地域の保安林で珪石及び耐火粘土の採掘を目的とする鉱山開発を計画したことであります。
この鉱山開発計画につきましては、当初より地元住民の強い反対があり、地元の日進市、日進市議会もそれぞれ保安林解除に関し支障ありとの意見書や、保安林指定の解除をしないよう求める決議がなされ、また、名古屋市議会においても同様の請願が採択されており、こうした意見はさまざまな機会に県にも寄せられていると聞いております。
この鉱業権の設定に際しては、地元の日進市だけでなく、知事においても支障ありとの意見を国に表明されておりますが、結果として、当初申請面積の約六十五ヘクタールの半分、約三十三ヘクタールに及ぶ広大な範囲の鉱業権が設定されました。
その後、事業者は鉱業法に基づく施業案を他の法令に先んじて申請し、平成十五年にはその認可を得ております。
この日進東部丘陵の問題を考えるに当たり、そもそも現行の鉱業法のあり方自体が現行の時代にそぐわない法体系であり、法制度自体を抜本的に改変する必要があると考えておりますが、その中でも、特にこの施業案の認可に際しては、地元である愛知県、日進市の意見は何ら反映されず、地域主権の大きな流れに逆行する制度のあり方に大いに疑問を感じるところであります。
一方、県の関与する許認可に関する事業者の動きとしては、愛知県が土地開発を行う事業者に対し実施を要請している愛知県土地開発行為に関する指導要綱に基づく事前協議が平成十六年に提出されております。
情報公開という観点からいえば、住民には平成十一年の鉱業権の出願以来、この開発に関する情報が国、県、事業者から何ら提供されておらず、みずからの手で集めた限られた情報のみを手がかりに反対運動を継続せざるを得なかったと聞いております。
平成十七年には、こうした状況を打開すべく、この事前協議に関し情報公開条例に基づく情報公開請求を行いましたが、法人の個別情報としてそのほとんどが開示されませんでした。以後、この個別情報という文言のもと、事業の進捗状況、協議内容等の情報が公開されることはなく、昨年の十二月まで状況が表面化することはありませんでした。
しかし、昨年十二月に、日進市長に対し森林法に基づく保安林解除申請に対する意見が求められ、この時期に至って、正式に保安林解除申請書が県に提出されていることが明らかになったわけであります。
聞くところによれば、鉱業権の設定区域を大きく超えた範囲が事業区域として解除申請の対象となっているとのことであります。
そこでお伺いをいたします。
平成十六年に、愛知県に土地開発指導要綱に基づく事前協議が提出されて以来、事前協議の審議に関する情報が公開されておりませんが、現在どのような審議経過にあるのか、お尋ねをいたします。
次に、開発行為は、行政手続上、当然に愛知県土地開発行為に関する指導要綱に基づく事前協議を経てから個別法令への手続に入ることが求められておりますが、この事業者は関係課間の調整も未了であるにもかかわらず一方的に協議を打ち切り、個別法令、具体的には森林法に基づく保安林解除申請を提出したと聞いております。
そこでお尋ねをいたします。
県は、事前協議を経ずに個別法令への申請がなされた場合、それを有効な申請とみなすのか、御認識をお尋ねいたします。
最後に、事前協議に関する情報公開についてお尋ねをいたします。
この東部丘陵に関する事前協議の情報公開につきましては、先ほど述べましたように、県は平成十八年度にその大部分を非公開とする結論を出しておりますが、私としては、やはり住民の生活に直結する住民の生活を脅かしかねない開発については、住民からの情報公開請求を待たずとも、広く情報開示すべきであると考えております。
知事は、この情報公開を問うた波形県議の質問に対し、こう答弁をされております。情報公開の基本的な考え方は、原則公開であります。これは条例の全文あるいは第七条その他から明確にうかがわれることであります。こうした大きな開発行為でございますので、事業者が地域住民の皆様方に親切にきちんとした説明を果たしていくことは重要だと思っておりますし、今までもそのように指導してまいりました。残念ながらこれは強制力を持ちませんので、私どもも歯がゆい思いをしているところではありますけれど、そのような気持ち、考え方は変わっておりませんので、今後とも事業予定者に対しては、そのあたりについてはきちんと指導していきたいと考えているところでございます。
ここで知事が明確に言及されているように、開発に際しては、地域住民への丁寧な説明が重要であるということと、県の指導には強制力がないため、指導に従わない事業者へは歯がゆい思いをすることもあるということであります。
そこでお伺いをいたします。
こうした観点から、愛知県土地開発指導要綱に基づく事前協議に際しては、事業者に対し、住民を初めとする利害関係者に事業内容の説明を義務づけるべきであると考えますが、県のお考えをお伺いいたします。
以上三点につきまして、明確な答弁を求めまして、質問を終わります。
- 16:◯地域振興部長(片桐正博君) 初めに、日進東部丘陵の鉱山開発に関しまして、愛知県土地開発行為に関する指導要綱に基づく事前協議の審議経過についてのお尋ねでございます。
大規模な開発行為を行う場合、関係法令に基づく各種の認可申請が必要になることが一般的でございます。本県では、関係課室であらかじめ事業計画の内容を把握し、必要な調整を行うことにより、その後の許認可が円滑に進むよう事前協議制度を設けております。この事前協議の運用は、開発行為を行う事業者にとりましても、各種認可申請に係る事務的な負担の軽減や、速やかな事業着手にもつながるというメリットがございます。
愛知県土地開発行為に関する指導要綱に基づく協議申請書は、市町村を経由して県に提出するという扱いになっておりますが、日進東部丘陵の鉱山開発につきましては、日進市が受け取りを拒んだため、平成十六年十二月に事業者が県に直接提出したという経緯がございます。
県におきましては、平成十七年二月から庁内関係課における検討、調整を行った結果、本件において、まずその最大の調整事項でございます保安林解除について、県の担当課と調整を行うよう事業者に対して指導したところでございます。
その後、担当課は保安林解除に関する事業内容について繰り返し協議してきましたが、事業者は、平成二十年十二月に、この協議が整わないにもかかわらず保安林解除申請書を一方的に提出してきたものでございます。
次に、事前協議が完了していない中で、事業者が森林法に基づく保安林解除の申請書を提出したことについてのお尋ねでございます。
先ほど申し上げましたように、指導要綱に基づく事前協議は、県の要綱にその制度の根拠を持つもので、事業者の任意の協力によって運用されているものでございます。
事前協議制度がこのようなものであることから、事前協議が完了していない段階で正式な許認可申請を行うことは法的には問題なく、県としては、その受理を拒むことはできないものでございます。
しかしながら、今回事業者が、事前協議が完了していないにもかかわらず保安林の解除申請を行ったことは、これまで土地開発行為に関する事務の適正、効率化を図るため事前協議制度を維持してきた私どもとしては、制度をないがしろにするものであり、まことに遺憾でございます。
さらに、本件開発行為は、保安林解除以外の許認可も想定されますことから、今後の許認可手続が進められていく中で、手戻りが生じることも懸念されるところでございます。
最後に、事業者に対する事業内容の説明の義務づけについてのお尋ねでございます。
指導要綱に基づく事前協議は要綱に基づく制度で、事業者の任意の協力により行われるものでございます。こうしたことから、事業者に対しては、事業内容の地元住民への説明を法的拘束力を持つ形で義務づけることはできません。
しかしながら、開発に際して地元の理解を得るということは、地元の住民にとってだけでなく、事業者にとっても重要なことでございまして、県としても、これまで事業者に対し、地元に事業内容を説明するよう要請してきたところでございます。このことは、本件開発についても同様でございます。
事前協議は、単に関係法令によって事業計画の内容を事前に検討、調整することを目的とするのみでなく、地元住民との円満な合意形成に資することも目的の一つでございますので、今後とも、必要に応じて、事業者に対して地元住民への事業内容の説明を行うなどの要請をしてまいりたいと考えておるところでございます。
以上でございます。
- 17:◯一番(小山たすく君) それぞれ御答弁をいただきまして、随分と踏み込んだ答弁をいただいたというふうに思っております。そういった中で、経過に関しては、繰り返し県の担当者の方が協議に応じるようにということでお話しされていたそうなんですが、一方的に取り下げたという県の強い不満もあらわれていたというふうに思いますし、二つ目の審査のところについては、手戻りが生じるという言葉の表現であったと思いますが、やはりこれは、事業側に対してスムーズに行かないのではないかという懸念を表明されているということであると思いますので、随分踏み込んだ発言をいただいたというふうに思っております。
その中で、三点目の義務づけは難しいということに関してであります。これは、確かに上位法令との関係の中で大変厳しい問題ではあると思いますが、あえて一点再質問をさせていただきたいというふうに思っております。
この中で、県の指導要綱というのは昭和四十九年にできているというふうに伺っておりますが、そもそもこの指導要綱ができたときというのは開発ブーム、日本列島改造論であるような、ああいった開発ブームのときに乱開発が起こってそれの規制をしていく、それは、さまざまな住民の方との事業者との紛争が起こっていく中で規制をつくらなければいけない、そういった中でできてきた背景があるというふうに思っております。
そういった中で、当初は、この申請に従わない事業者に対しては行政上の便宜を供与しないであるとか、あるいはその法令に基づく許認可申請を受け付けないというようなかなり強い権限を持っていたものであったものが、これが法令の改正等により徐々に内容が変わりまして、協議と適正な指導ということにその内容が、重点が変わっていったわけでありますが、しかし、この協議と適正な指導の中の適正なというところについては、やはり私は、地域の住民にとって受忍できる程度のものが適正であるというふうに思っております。
そういった中で、この指導要綱については、強制力がないからといって法令に従わない事業者が、その理屈がそのまままかり通るということはやはり認めてはいけないというふうに思っております。そういった中で、先祖返りとまでは言いませんが、やはりある程度の強制力を持つ中で、こういった不正は許さないんだとか、あるいは行政指導に従わない、守らないということはいけないという、そういった認識を事業者に与えるように、やはりそういった県の意思とか態度、メッセージを発していくべきではないかというふうに考えておりますが、部長のお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
- 18:◯地域振興部長(片桐正博君) 事前協議制度に関しまして、重ねてのお尋ねでございますけれども、大規模な土地開発行為を行う場合、各種法令が関係することが通常でございます。こうした場合に、事前の調整、検討により適切かつ円滑な手続でありますとか、あるいはその後の開発行為を進める制度でございまして、この制度自体、事業者にも随分メリットがある制度であるというふうに思っております。このような制度を、趣旨を御理解いただけない事業者が仮にあるとすれば、そういった事業者に対しては強くこの制度の趣旨を御理解いただけるように説明を重ねまして、御理解を求めていきたいと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、この制度によりまして、事務だとか開発行為が円滑に進むよう今後も努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 19:◯議長(吉川伸二君) 進行いたします。
長坂康正議員。
- 20:◯七十四番(長坂康正君) 私からは、第二款総務費第一項知事政策費のうち、政策指針の推進について伺います。
県は、二月九日に、二〇一〇年から二〇一五年の六年間の地域づくりの新たな羅針盤として政策指針二〇一〇─二〇一五の素案を公表し、現在パブリックコメントを実施中で、今月末に公表する予定と聞いております。本年、COP10、あいちトリエンナーレなど、知事がマイルストーンと位置づける事業が実現する一方で、本県経済は国内でも最大幅の落ち込みを経験し、今後の回復もまだまだ先が見えません。特に厳しい雇用環境にあって、現在失業している人が生活の困難に直面しているだけでなく、いよいよ学校を卒業し新しい生活を始めようとする若者が、就職が決まらず大きな不安を抱えています。第二の就職氷河期とならないよう、景気の回復、雇用対策が何より大切であると考えるところであります。
さらに、その原因を掘り下げてみますと、貿易外需に依存した本県の産業構造が今回の景気の落ち込みをより大きなものにしたわけであります。現在、中国を初め、新興国の外需と麻生内閣以来政府の実施している経済対策のもとで、本県経済も一息つきつつあるとの見方もありますが、下請け企業に低コスト化を迫り、何とか企業収益を確保するだけでは産業構造の抜本的解決にはならず、また、企業の海外流出がさらに加速することによって、まさに本県産業が立ちどまったまま空洞化するおそれもあります。
さらに、県財政をめぐっては、二年連続の大幅な県税収入の落ち込みは言うまでもなく、景気のV字回復が現実的でないことからすれば、この厳しさが数年にわたって続く事態を想定せねばなりません。
一方で、国の民主党政権は、昨年、大変短い期間にあわただしく予算編成を行いました。確かに年末に繰り広げられた事業仕分け会議はワイドショー的にはおもしろく、いわゆる密室でやりとりされていた交渉をテレビカメラのもとに置くことによって、多くの国民の皆さんの行政施策に対する関心を高めた効果は否定できません。
わかりやすいことはよいことでありますが、すべて一時間程度の公開のやりとりの中で解決できると思わせること自体が大変危険な発想であります。本来、長期ビジョンのもとに複雑な利害を検討し調整すべき政策議論を一刀両断にさばいてみせるポピュリズム的な手法の危うさは、多くの識者の指摘するところであり、ようやく国民の皆様に理解されるようになってきており、内閣支持率も急速に低下してきています。ましてや、その結論を幹事長の申し入れという形で粉砕するような手法にも違和感を覚えざるを得ません。
また、なぜスーパーコンピューターが世界一でならなくてはいけないのかと言ってばっさり研究費を切り捨てるやり方は、一番しかなく二番三番のない知的財産権の世界を全く理解していない暴論ですし、事業仕分け会議のシナリオを用意したのは財務省の官僚であることは明らかであり、いくら注視しても民主党の科学技術政策はもちろんのこと、成長戦略もうかがえません。それどころか、効率性を重視して経済成長、財政再建を目指すのか、格差是正と称してばらまき方式、護送船団方式になるのかという基本方向すら判断することができません。結果として、無駄を切れば財源が確保できるという主張の非現実性だけが立証されたのではないでしょうか。マニフェストの目玉として位置づけた子ども手当からして、財源の確保ができず、結局一部を都道府県など地方自治体に押しつける中途半端な船出であり、地域主権に逆行する姿と言わざるを得ません。本来、これだけ経済が傷んでいるのですから、きちんとした経済回復策、そして、成長戦略があり、それを実現するための政策を切れ目なく実行するのが政権与党の責務であり、務めではないでしょうか。
成長戦略については、政府予算案が作成された後の十二月三十日に骨子が公表されただけで、全体像がまとまるのは六月になるとのことであります。そして、それに基づく政策が実現されるのは再来年度、二十三年度予算になるというのでは、世界が既に新しい成長の姿を求めて走り出しているときに、我が国だけが一年半以上ものおくれをとることは火を見るより明らかであります。
我が県は、このような横道にそれることなく、むしろ、社会経済が大きな変化があるときには県政に一刻の途切れもなく、常に社会経済の変化の先を見通し、先手を打って、愛知の発展を目指していかねばなりません。
こうした意味で、空港、万博を成功させた直後の平成十八年三月に策定された今の新しい政策の指針を全面的に改定し、今回、政策指針を策定しようとしていることは、時代の変わり目をとらえた適切な判断であると感じます。かつてのような網羅的ではあるが分厚い総合計画書では、こうも簡単に切りかえはできなかったでしょうから、戦略的な政策に絞り込み、情勢変化に柔軟に対応し、軌道修正を行うことができる政策指針の手法が今の時代に合っていると考えます。
そこで、問題は、政策指針が示した羅針盤の方向が合っているのか、そして、そこに示された戦略的な政策がきちんと展開されるのかということであります。
まず、政策指針の羅針盤の方向、すなわち今後の地域づくりの基本方針については、さきに我が党の代表質問で、知事にお答えをいただきました。知事は、政策指針のキャッチフレーズ、安心、希望、そして風格ある愛知へに込められた思いとして、まず第一には、雇用や福祉、医療をめぐる不安を一掃する安心の社会にすること。第二には、だれもが自分の夢に向かって挑戦できる希望あふれる社会にする。そして、第三の風格については、愛知の経済力に加えて環境面での世界への貢献、文化芸術の土壌づくり、さらには、愛知の歴史、文化資源の世界への発信を掲げられました。
経済の厳しさにあえぐ県民、中小企業者のことを考えますと、最初に安心や希望といった県民目線での目標を掲げられたことは、全くそのとおりという感想を持ちました。風格ある愛知、これはなかなか難しい概念ではありますが、私は、愛知が自信にあふれた産業力を取り戻し、また、その経済力に見合った見識の高さ、魅力ある地域をつくることで、世界からも尊敬を集めたいという気持ちのあらわれと受けとめました。ぜひとも、こうした愛知をともに目指したいと感じているところであります。
それでは、一方、その実現のための政策はどうであろうかと言いますと、さらにめり張りをつけ、具体的な事業の展開をはっきりさせる必要があるのではないかと思います。すなわち政策指針の素案では、先ほど申し上げた地域づくりの基本方針のもと、六つの基本課題を設定し、五十の主要政策を掲げられています。
五十の主要政策といっても、その下にぶら下がるたくさんの具体的施策から構成されているのでありまして、担当課に尋ねますと、全部で二百七十の取り組みが政策指針に書かれているとのことでありました。二百七十すべてが新規事業ではないでしょうから、結果として、地域づくりの力点、重点を示そうとしたはずが、多くの課題に目配りしたせいで本当に新たに力を投入すべき、いわば一丁目一番地の政策が目立つようになっていないのではないかと懸念をします。社会の構造的変化にどう対応するのか、産業構造をどう強くするかといった問題に絞り込んで、突っ込んだ戦略を目に見えるようにしていくことが求められているのではないかと思います。
県政の担当分野は幅広いのでありますから、戦略的地域づくりと言っても、その対象は広くならざるを得ないかもしれません。また、中期ビジョンであることからは、実行計画、具体的工程を示すことが役割ではないかもしれません。そうであるならば、二十二年度以降の具体的な推進策が問われます。愛知の地域づくりの一丁目一番地の政策は何であり、どう実行していくのか、それをきちんと示していかなければ大きな社会変化は乗り切れません。県財政が大変厳しく、新しい事業に投入できる人材も財源も限られている中で、なおさらであります。
そこでお尋ねをいたしますが、政策指針が描く愛知づくりに向け、新年度、どのような考えのもとに、どのような形で推進していくのか、伺います。
- 21:◯知事政策局長(小川悦雄君) 政策指針二〇一〇─二〇一五の推進について御質問をいただきました。新年度、どのような考え方のもと、どのような形で推進するかということでございます。
新年度は、この政策指針の初年度、スタートの年に当たります。指針に位置づけた政策につきまして、肉づけしながら着実に実行に移していく、いわばプランからドゥーの段階に入るわけでございます。
その際、御質問にございましたとおり、厳しい財政状況の中、財源が限られておりますので、さまざまな問題に一律に対応するのではなくて、的を絞って重点的に取り組むめり張りのある政策展開がとても大切でございます。重要課題を幾つか絞り込み、これを的確に受けとめる各行政分野の取り組みを横断的に組み合わせまして、重点プロジェクトとして打ち出していきたいと考えております。
そこで、その重点プロジェクトでございますが、例えば、格差や貧困の連鎖を食いとめるため、子供、若者の意欲や能力をどう育てていくか、あるいは外需依存の強い本県産業構造の転換に向けて、自動車産業の新展開を含めまして次世代産業の育成、振興をどう図っていくか、さらには、成長するアジア地域をターゲットとしてビジネス、観光などの交流をどう深めていくか、こういった構造的な課題を中心にテーマを設定いたしまして、これらにきちんと対応できる政策を組み立てる考えでございます。
さらに、五十の主要政策のもとに位置づけた二百七十の具体的な取り組みにつきましても、それぞれブラッシュアップしながら、当面の工程表をお示しすることで、適切に進行管理していく予定でございます。
こうした形で当面の地域づくりの方向性をより明確にし、そこに向かって各部局が足並みをそろえて、連携して取り組むことによりまして、安心、希望そして風格ある愛知に向けた地域づくりを着実に前進させてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
- 22:◯七十四番(長坂康正君) 今後は、政策指針二〇一〇─二〇一五をもとに重点的、戦略的な地域づくりを進めるということでありました。どうぞ、さらに知恵を絞り、大胆に取り組みを進めていただきたいと思います。
そこで、せっかくの機会ですから、ここで勇退される西村副知事に再質問をさせていただきたいと思います。
西村副知事は、四十年に及ぶ県庁人生の半分以上を総務部部門で過ごされました。財政のプロ、地方行政のプロとしての道を歩んでこられたわけでありますが、その仕事の成果は、みずから事業を手がけることのできない管理部門、必ずしもスポットライトに照らされたり、外から目立つものであったとは言えませんけれども、県政の土台を支えるいわば縁の下の力持ちの役割を担われたと思います。予算をつければ事業部門の手柄となり、逆に予算をカットすれば我々からも悪者扱いをされるなど、人知れぬ苦労や辛抱を重ねたことも多かったと思いますけれども、それを表に出さず、常に県政発展を第一に取り組んでこられたことは、私も何度も目の当たりにし、心強く感じてきたところであります。
私は、三年前に自民党県議団の団長を務めた折には、団の役員の皆さんと何度も意見交換をいたしました。我々は積極財政派ですから、時々、副知事さんに議論を申し入れたこともございました。
あるとき、どうしても西村さんが夜八時過ぎまで先約があるからとおわびの電話がありまして、どうせ予算カットで各部局をやり込めているのかなと思いながら軽い夕食を用意してお待ちしておりましたら、以前からの約束で、夜間定時制の高校生のために講師に講演に行っていたということでありました。伺えば、御自身も定時制で苦学をした経験から、皆を励ましてきたとのことでありました。
私どもは、そんなあなたの姿勢に共感を受けました。さすが神田知事が副知事に登用されたのも、行財政のプロとしての能力だけでなく、西村副知事のこうした責任感、使命感を評価されたものと考えます。
そして、副知事としての四年間は、知事の右腕として地方分権の推進を初め、空港、港湾、社会資本整備、設楽ダムや三河山間地域の振興等々、県政発展のまさに屋台骨づくりに多大な尽力をされたと心から敬意を表する次第であります。そのすべてが必ずしも順風満帆であったわけではなく、我が党政権下でも、法人事業税の一部国税化問題を初め、県財政の危機的悪化、新政権ではダム事業など公共事業の見直しなど、大きな波乱に何度となく遭遇されました。しかし、こうした困難の中にあっても、西村さんは、持ち前の明るさと前向きな姿勢、また理不尽なことには決して屈しないという不屈の精神で臨んでこられたのであり、こうした姿勢がこれからの地域主権の時代を担う県職員に求められるものだと確信をいたしております。
最後に、西村副知事に、振り返って最も心に残る仕事は何であったのか、困難を乗り越えるときに何が支えとなったのか、そして後進の皆さんに対して望むことなど、率直な思いを伺って質問を終わります。
- 23:◯副知事(西村眞君) 私に再質問ということでございますが、身に余る私への御配慮、ねぎらいの言葉をいただき、大変恐縮をいたしております。
まずは、議会の皆様方には、本当に長い間終始変わらぬ温かい御指導、御鞭撻をいただき、お礼を申し上げます。ありがとうございました。
素直な思いということでございますが、この四十年余りの県庁人生を振り返ってみますと、予算編成、行革、地域振興、社会資本整備などさまざまな重要な仕事にかかわらせていただき、まず、このこと自体大変幸せに感じております。
任された仕事につきましては、誠心誠意、事に当たるということを信条にしてまいりました。どんな仕事にも困難はつきものでありますが、誠心誠意取りかかれば人とのつながりができ、困難な場面も乗り越えることができたと、こう思っております。また、こうしたことが別の困難な場面を乗り越える支えになってきたと改めて実感をいたしております。
また、後進に対して望むということも、問いかけもございました。職員の皆様には一つだけ申し上げるとするならば、愛知は本当にすごい底力を持っており、どんな困難も乗り越える力を持っております。その力を引き出すのが県職員の務めであるというふうに思っております。職員一人一人が、持ち場は違いますが、それぞれ誠心誠意努力をし、その力が一つにまとまることによって愛知はさらに発展するものであります。ぜひそうした思いを皆様が共有して、その可能性を広めていただきたいというふうに思います。
最後に、任期いっぱい務めることができましたのは、神田知事のリーダーシップに導いていただき、すべての職員の皆様の支えがあったからだと思っております。皆様方に心からお礼を申し上げたいと存じます。本当にありがとうございました。(拍手)
- 24:◯議長(吉川伸二君) 進行いたします。
小島丈幸議員。
- 25:◯六十二番(小島丈幸君) 私からは、歳出四款県民生活費五項防災費緊急市町村地震防災対策事業費補助金について質問をいたします。
本年度新規補助メニュー事業として行われるこの孤立集落対策事業は、内陸型地震や、東海・東南海地震などの大規模な災害が発生した場合、県内の四百九十三集落、農業集落が四百八十五、漁業集落、八が孤立する可能性があることから、中山間地域の集落について市町村が実施する事業を支援する事業で、衛星通信電話の配備や移動系防災無線子局、同報系防災無線の子局の配備、避難場所に発電機、投光器の配備やヘリコプターでの活動を実施するための緊急離発着場の整備を市町村とともに行うということになっております。
これは、二〇〇四年の中越地震や二〇〇八年の岩手・宮城内陸地震や、最近頻発する局地的な豪雨の際に、中山間地や漁村において孤立集落が発生しているという現状にかんがみ行われる補助事業ということであろうと思います。大変に時宣を得た施策と考えられますが、内容について質問をしてまいります。
まず、この事業で、何年間で四百九十三集落すべてに何らかの機材やヘリコプターの離発着場が配備されるのか、最初に伺っておきます。
次に、県財政の厳しい状況の中で、緊急市町村地震防災対策事業費補助金の補助メニューとしてこの孤立集落対策事業が追加されました。市町村においては、緊急市町村地震防災対策事業費補助金を活用して、避難施設の耐震化事業や同報系無線の整備など、さまざまな地震防災対策事業を行っておられます。孤立集落を抱える市町村では、平成二十二年度からは孤立集落対策に関する新たな補助メニューもふえるわけでありますが、既存の補助事業に補助金の多くが割り振られると、せっかく追加した孤立集落対策事業にまで充分に補助し切れなくなるのではないかと危惧しております。
そこで、孤立集落対策を推進するためには、他の事業よりも優先していく必要があるのではないかと考えますが、県のお考えをお伺いいたします。
最後に、内閣府調査によれば、孤立する可能性のある全国の約一万九千集落のうち約七割が避難訓練が未実施であり、無線通信手段を確保しているのに操作訓練をしていない集落も約六割に上っていることが内閣府の調査で明らかになっておりますが、県の行うこの事業は主にハードの面に対しての助成であることから、ソフト面での避難訓練等について、各市町村に対してどのように訓練を行っていくのか、どう指導していかれるのか伺い、質問を終わります。
- 26:◯防災局長(小出茂樹君) 孤立集落対策につきまして、三点の御質問をいただきました。
最初に、何年ですべての集落に何らかの機材やヘリコプターの離発着場の整備がされるのかとのお尋ねでございます。
新潟中越地震や岩手・宮城内陸地震では、孤立集落問題が大きくクローズアップされました。内閣府ではこれらの地震災害を受けて全国調査を実施した結果、本県では四百九十三の集落で孤立する可能性があることが明らかとなりました。
これらの集落では地形や道路の状況、通信や物資の備蓄状況、ヘリコプターの離発着可能場所などそれぞれの状況が異なりますことから、本県では、現在、緊急雇用創出事業基金を活用いたしまして、この四百九十三の集落を対象に調査員が直接現地に入り、実態調査を実施しております。集落ごとの詳細な状況が調査結果により明らかになりますので、集落の状況に応じどのような資機材が必要か市町村と十分に相談しながら、今回追加する補助メニューを活用していただき、少しでも早く整備を進めてまいりたいと考えております。
次に、孤立集落対策を推進するためには、他の事業よりも優先して助成していく必要があるのではないかとのお尋ねでございます。
このたび追加する衛星携帯電話や移動系防災無線機などの配備、避難所への発電機、投光器などの配備、ヘリスポットの整備などの事業は、孤立可能性のある集落の防災力を強化する上でいずれも緊急性、優先性の高い事業であると考えております。
県といたしましては、緊急市町村地震防災対策事業費補助金の中で、これらの事業を最優先に採択し、孤立集落対策の推進を図ってまいります。
最後に、各市町村に対してどのように訓練を行っていくのか、どう指導していかれるのかとのお尋ねについてであります。
災害に備え、通信機器や資機材の操作を習熟しておくことが必要でございまして、そのためには常日ごろから操作訓練や避難訓練が欠かせないものと考えております。このような訓練は、自主防災会や地域単位での防災訓練を利用することが有効であると考えておりますので、積極的に実施するよう市町村に働きかけてまいります。
県といたしましても、集落と役場、集落と県民事務所との通信訓練を実施したり、ヘリスポットを整備した市町村の総合防災訓練に防災ヘリを参加させるなど、できる限り協力をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 27:◯議長(吉川伸二君) 進行いたします。
安藤としき議員。
- 28:◯十八番(安藤としき君) 私は、歳出第二款総務費第二項総務管理費の県職員採用における障害者雇用の推進に関してお伺いをいたします。
最近の世界的な景気後退の影響から、本県の雇用環境は急速に悪化しており、特に障害のある方の雇用を取り巻く環境は厳しさを増しています。平成十八年四月から施行された障害者自立支援法により、障害者がもっと働ける社会にと施設から地域へ、地域から社会、就労へと、自立した日常生活、社会生活を営むための就労支援施策が行われています。
障害者の雇用状況をあらわす数値の一つとして、障害者雇用率があります。これは、障害者雇用促進法に基づき、民間企業、国、地方公共団体は法定雇用率に相当する数以上の身体障害者または知的障害者の雇用を義務づけており、毎年六月一日現在で算定、公表がされています。
平成二十一年六月一日現在の愛知県内の企業の障害者実雇用率は一・五七%と、前年の一・五三%を〇・〇四ポイント上回る改善が見られましたが、いまだ法定雇用率の一・八%を下回っています。
一方、地方公共団体である愛知県知事部局の状況は二・三二%と、前年を〇・一一ポイント上回り、法定雇用率の二・一%以上の最低基準はクリアしていますが、都道府県知事部局の全国平均である二・四九%より下回っており、県内市町村においても二十以上の団体が県の数値を上回った障害者の雇用率となっています。
全国的な状況では、東京都や大阪府の三大都市や神奈川県、福岡県など算定の基礎となる職員数が本県と近い県では、いずれの雇用率も三・一四%から三・四一%と、地方公共団体の法定雇用率である二・一%を大きく上回る三%を超える障害者の雇用が行われています。
このように、地方公共団体の法定雇用率である二・一%以上を大きく上回る三%台の障害者雇用には、何か政策的な意図があるのではと調査したところ、東京都や大阪府では、障害者計画に職員採用の障害者雇用率目標を三%とする計画を立て、平成二十一年度の障害者雇用率は東京都が三・一四%、大阪府が三・一六%となっています。また、神奈川県では、身体障害者採用方針に障害者雇用率三%達成をうたい、平成元年度には目標の三%を達成しています。このため、今後も三%を維持するための計画見直しを行い、平成二十一年度には三・四一%の障害者雇用率となっています。
そして、これらの自治体では、採用した障害のある方の配置状況においても特色があります。東京都では、事務職のほかに、障害者の医事相談に採用された障害のある方が配置されており、神奈川県でも福祉職の採用が、大阪府では研究補助員や電話交換業務への配置がされております。お聞きしたいずれの自治体の担当者からも、民間企業を牽引するにはまず自治体からと、障害者雇用促進法の法趣旨を理解し、各部局の理解と連携により法定雇用率を大きく上回る障害者雇用が行われています。
また、国では、障害者の自立促進に向けた雇用・就労支援の推進に、いわゆる「チャレンジ雇用」の推進、拡大の取り組みが平成二十年度から進められています。
これは、一年以内の期間を単位として非常勤職員として雇用し、一年から三年の業務経験を踏まえて、ハローワーク等を通じ一般企業への就職を進める取り組みです。さきの東京都、大阪府、神奈川県においても、国の取り組みに基づきチャレンジ雇用に取り組まれていますが、障害者法定雇用率の算定外である一年以内の雇用のため、雇用率を引き上げる目的ではなく、障害者が一般雇用に向け経験を積むチャンスととらえて取り組まれています。
実は、私の兄は障害者でした。他界をいたしましたが、一緒に暮らしていたとき母親はよくこんなことを言っていました。この子が生きているうちは、何が何でも死ねないと。考え方のよしあしは別としても、自分たちがいなくなった先の兄の将来を案じた言葉だと思っています。障害者自立支援法や障害者雇用促進法は、障害のある人も、ない人も、ともに暮らす社会を目指し、ともに働ける場の確保を求めているものです。
折しも本年七月から、障害者雇用促進法の改正により、短時間労働者の雇用義務対象への追加や、法定雇用率を達成していない企業等の罰則的な雇用納付金の適用対象が現行の常用労働者三百一人以上から二百一人以上へと拡大されるなど、除外率の引き下げ内容が施行されることから、愛知県では、障害者雇用率未達成企業へ障害者雇用拡大を文書で要請することを本年二月十日の記者発表で明らかにしています。
そこで、三点についてお伺いをいたします。
一点目、現下の厳しい雇用環境だからこそ、東京都や大阪府のように障害者雇用率三%と具体的な目標設定を行い、愛知県みずからが計画的に障害者雇用を先導、促進することが県内民間企業の障害者雇用を牽引することになると思います。県職員採用の障害者雇用には、障害者雇用促進法の目指すべき法趣旨を理解され、三%のように高い目標を掲げ、職員の採用職種や配置に考慮して計画的に進めるべきだと考えます。お考えをお伺いいたします。
二点目、障害者雇用促進法の一部改正により、本年七月から短時間労働者も雇用義務対象へ追加がされます。障害者の短時間勤務の採用について、お考えをお伺いいたします。
三点目、国が平成二十年度から進めている、一般企業への就労、定着促進に向けたチャレンジ雇用について本県でも実施し、県内民間企業の障害者雇用促進を牽引することが望ましいと考えます。お考えをお伺いします。
以上、三点についてお伺いいたします。
- 29:◯総務部人事担当局長(原田泰君) 県職員の採用における障害者の雇用の推進についての質問のうち、まず、高い目標を掲げ、採用の職種や配置に考慮して計画的に進めるべきとのお尋ねについてお答えをいたします。
障害者の本県の採用でございますけれども、昭和五十二年度から身体障害者、平成二十年度からは、他県に先駆けまして、知的障害者の採用を行っているところでございます。
ここ数年の採用者数の状況でございますけれども、平成二十年度が三名、二十一年度は四名、二十二年度の採用予定は六名となっております。一方、採用試験に合格後、採用を辞退される方もおりまして、採用試験の合格者すべてが採用に結びついていない現状もございます。こうした状況でございますけれども、本県の知事部局の障害者雇用率は年々引き上がってきております。
次に、採用職種と職員の配置についてでございます。
現在、本県は事務職として採用しておりまして、採用後は本人の能力や適性、経験などを考慮して、障害の状況も踏まえた上で、本庁を初め幅広く地方機関にも配置をし、多種多様な業務に従事をしております。中には、心身障害者コロニー、福祉相談センターなど、障害者支援を行う福祉の現場にも配置をしているところでございます。
雇用率につきましては、目標の設定はしておりませんけれども、今後とも現状にとどまることなく、少しでも雇用がアップするよう計画的な採用に取り組んでまいります。また、障害者がその能力や適性を発揮できる業務への配置などにつきましても一層努めてまいります。
次に、障害者の短時間勤務の採用についての御質問でございます。
本県では、短時間勤務の非常勤嘱託員の採用試験におきましては、今まで障害者の採用は行っておりません。今回の法改正によりまして、短時間労働者の雇用が義務化されましたことから、来年度の非常勤嘱託員の試験に向けまして一定の障害者枠を設けるなど検討をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 30:◯産業労働部労政担当局長(志治孝利君) チャレンジ雇用の本県での実施についてお答えいたします。
チャレンジ雇用は、議員御指摘のとおり、国や地方公共団体が知的障害者などを非常勤職員として雇用し、一年から三年業務経験を積んだ後、ハローワーク等を通じて一般企業などへの就職を実現しようとするものでございまして、平成二十年度からスタートしたものでございます。
一方で、本県では、県内の高等養護学校生等の方々を県の職場で体験実習生として受け入れます知的障害者インターンシップ事業を平成十八年度に開始し、以降毎年度実施してきております。今年度は、県民生活課情報コーナーの資料整理業務初め本庁で八カ所、産業技術研究所技術開発交流センターの受付業務初め地方機関で三カ所、計十一カ所の職場業務で十一人の高等養護学校生などを受け入れて実施してきております。
実習生の方々が一生懸命しっかり働いている姿を副知事初め幹部職員が見させていただきまして、改めて、きちんとした理解が進めば知的障害者の雇用は必ずうまくいく、そうした思いを深めたところでございます。
チャレンジ雇用の本県での実施につきましては、こうしたこれまでのインターンシップの取り組みを踏まえ、国などにおきます取り組み状況を参考にしながら、人事担当局初め関係部局と一緒になって検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 31:◯十八番(安藤としき君) 県職員の採用における障害者雇用推進についてそれぞれ御答弁をいただきました。
一点、御要望をさせていただきたいと思います。
一点目でお伺いした県職員採用の障害者雇用には、障害者雇用促進法の目指すべき法趣旨を理解され、三%のように高い目標を掲げて採用の職種や配置に考慮した計画的に進めるべきことについて、これまでの実績や他県に先駆けた取り組みについて報告をいただきました。現状のままではよしと考えておられず、計画的に障害のある方の採用を引き上げていくとの御笞弁をいただきました。
しかし、計画的に引き上げていくとのことですが、県で策定しておられる計画がそうであるように、ただ漠然と取り組みを進めるのではなく、目標を明確にして、達成しなければならない数値と、いつまでにという期間を定めて取り組みを進めなければ、あいまいな計画になってしまいます。ぜひ、県として目指さなければならない高い目標数値と、いつまでに目標を達成するかという期間を計画に明示するとともに、あわせて職場の意識改革をさらに進めていただき、職員採用における障害者雇用を計画的に引き上げていかれますよう要望いたしまして発言を終わります。
- 32:◯議長(吉川伸二君) 進行いたします。
奥村悠二議員。
- 33:◯五十八番(奥村悠二君) 第五款環境費第一項環境対策費のうち環境基本計画推進費についてお尋ねいたします。
第三次愛知県環境基本計画の中で、目標実現に向けて五つの社会づくりが明らかにされています。脱温暖化社会、資源循環社会、自然共生社会、安心・安全社会と参加・協働社会です。そこで、今後の基本計画の推進に当たって、この参加・協働社会づくりに向けてどのように取り組まれるのか、お尋ねいたします。
- 34:◯環境部長(藤井敏夫君) 環境基本計画推進に当たっての参加・協働社会づくりに向けた取り組みについてのお尋ねであります。
今日の環境問題、事業活動を初め、都市活動あるいは日々の暮らしなどさまざまな人の活動が原因となっておりまして、その影響が積み重なって地球環境にまで及んでいる、こういう状況にあります。その解決に向けましては、国、県、市町村という従来の公の領域にとらわれず、NPO、地域コミュニティー、あるいは企業も含めました地域社会を支える各主体が役割分担しつつ、協働して取り組みを進める新しい公という考え方を踏まえまして、さまざまな分野において各主体が参加、協働し、環境に配慮した行動を進めていくということが大変重要であると考えております。
このため、本県の環境行政の指針となります環境基本計画の推進に当たりましては、地域の経済団体、消費者団体などさまざまなセクター四十七団体の代表に参加していただくあいち環境づくり推進協議会、ここにおきまして、各セクターが相互に連携、協働して取り組む重点活動方針を定め、その推進を図っているというところであります。
また、協働を進めます具体的な取り組みとしまして、例えば、本年度から導入されましたあいち森と緑づくり税を活用し、地域で市町村、NPOなどが参加して行う里山整備などの環境保全活動あるいは環境学習活動などを支援する事業を進めているところであります。
さらに、COP10に向けてさまざまな主体が連携して行う植樹活動、あるいは清掃・美化活動などの県民協働運動も展開をいたしているところであります。
こうした県民の皆様に参加、協働していただくさまざまな取り組みを通じまして、いわば地域の環境力、これをより一層高めまして、環境先進県づくりのさらなる推進を図ってまいりたいと、このように考えているところであります。
以上でございます。
- 35:◯五十八番(奥村悠二君) 参加・協働社会づくりが環境問題の解決のためにいかに重要かということがよくわかりました。今後の推進を期待しております。御健闘をお祈りします。
そこで、愛知県環境行政の泰斗とも言うべき稲垣隆司副知事にお尋ねいたします。
あなたは、岐阜薬科大学厚生薬学科を卒業された後、愛知県庁に入られてからは一貫して環境分野を歩かれました。その高い理念と深い学識のもと、昭和四十年代以降の公害問題や地球温暖化問題などに真剣に取り組まれ、その解決に尽力をいただきました。
二〇〇五年、自然の叡智をテーマとした愛知万博においては、環境部長として陣頭指揮され、万博の成功に大きく貢献いただきました。まさに愛知県行政に稲垣さんありとの名声を欲しいままにされたのであります。
このこともあって、神田知事の全幅の信頼を受けられることになり、二〇〇六年副知事に就任されました。以来四年間、困難な愛知県行政の中で、県民の幸せのために奮闘される神田知事を西村副知事とともに助けられた稲垣副知事の御功績は衆目の認めるところであります。
一方、ほかの人に対する細やかな心配りに加えて、頼まれたら嫌とは言えないそのお人柄は、部下はもちろんでありますが、市町村、経済界、市民団体などだれからも愛され、親しまれ、慕われ、信頼されて、稲垣ファンはいっぱいです。
今回、御勇退されるに当たって、COP10の開催など県政諸課題に挑戦する職員に対し、激励と御指導をいただきますようお願いし、質問のほうとさせていただきます。よろしくお願いします。
- 36:◯副知事(稲垣隆司君) ただいまは身に余るお言葉をいただき、大変恐縮をいたしております。
私は、学生時代から取り組んでまいりました環境問題、当時は公害問題と言っておりましたけれど、四十年の長きにわたり携わることができました。大変幸せでございました。これも、神田知事初め議員の皆様方、愛知県職員の皆様方の御指導、御支援のたまものであると深く感謝を申し上げる次第であります。
退任するに当たって、職員に対して激励をということでございますが、私自身、まだまだ勉強中の身でございます。大それたことは言えませんけれど、私が四十年間仕事に取り組んできた中で感じたことをお話しさせていただきたいと思います。
私は、四十年間、どのような仕事を担当したときも、県民の皆様から見れば仕事には軽重はないという信念を持って、常に問題意識を持って精いっぱい務めさせていただきました。その間、多くの方々と出会い、行政を進める上で大変重要な人的ネットワークをつくることができ、大変ありがたく思っております。これは、まさに先般策定いたしました第五次行革大綱で示す新しい公につながるものではないかと考えております。ぜひ職員の皆様方には、交流、連携というものを大切にしていただきたいというふうに思います。
さて、私が申し上げるまでもございません。今、愛知の経済や本県財政は大変厳しい状況にありますが、また、直ちに取り組まなければならない課題も多くございます。行政は一刻たりとも停滞することは許されません。県民の皆様が安心・安全に過ごせ、県民の皆様がこの愛知に住んでよかったと言われる元気な愛知、安心な愛知、希望そして風格ある愛知を今後一緒になってつくっていただかなければいけないというふうに思っております。職員の皆様方には、県民の皆様が今何を望んでいるかを常に考え、県民の皆様の目線に立って、常に前向きにかつ問題意識を持って勉強し、精いっぱい頑張っていただきたいと思います。
私は、大学の恩師であります故小瀬洋喜博士から、卒業に当たってのせんべつとして、専門は深く常識は広いという言葉をいただきました。自分の担当している仕事については常に勉強し、だれにも負けない専門の知識を身につける。また、自分が担当していない他の仕事、他部局の仕事も含め、一般的なことはきちっと理解できる幅広い視野を持った常識ある職員として仕事に取り組んでいただきたいというふうに考えております。
ことしは、県が長年多くの関係者などの協力、連携で準備を進めてまいりましたCOP10、トリエンナーレ初め多くの事業がございます。職員の皆様方には、常に健康に留意し、神田県政発展のために頑張っていただきたいと思います。
最後に、私がこうして任期を全うすることができましたのも、神田知事初め県職員の皆さん、議員の皆様方初め多くの方々から温かい御指導、御鞭撻によるものと深く感謝する次第であります。重ねてお礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 37:◯三十七番(山下史守朗君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 38:◯議長(吉川伸二君) 山下史守朗議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 39:◯議長(吉川伸二君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時四十四分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後一時開議
- 40:◯副議長(鈴木孝昌君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
とね勝之議員。
- 41:◯二十番(とね勝之君) 私は、歳出第三款地域振興費第一項地域振興総務費のうち、名古屋臨海高速鉄道株式会社、いわゆるあおなみ線にかかわる施策を伺います。
既に一般質問の場で、中根議員より第三セクターの運営に関して触れられておりますが、私からは、経営危機に陥っているあおなみ線に絞って、そのより具体的な再建策を伺ってまいりたいと思います。
平成十六年十月より開通をいたしましたあおなみ線は、ことしで六年目に突入したことになります。当初見込まれました乗車利用人員は一日六万六千人でありましたが、平成二十年度で一日平均約二万六千四百人と大変厳しい状況が続いております。
開業前の事業計画並びに財務計画は、当然一日六万六千人分の料金収入を見込んで立てられたものでありますから、その半分の収入すら丸五年を経過した現在もなお入ってこないとなると、会社の経営も当然やっていけるわけがないのであります。
会社側は、平成二十一年度、つまり、今年度から営業収益でランニングコストは賄うことができる減価償却前営業損益の黒字化を見込んでおりますが、長期借入金約四百五十億円もの返済を当初の予定どおりしていくことは事実上困難であるということは火を見るより明らかでございまして、実質的にあおなみ線は経営破綻をしていると言わざるを得ません。
こういった状況におきまして、いよいよ債務超過が目前に迫り、今回、県は名古屋市と連携を図りながら、DES、いわゆる債務の株式化や現金出資に踏み切ったわけでございます。
公的交通機関を行政の責任で守っていくことに異論はございませんし、今回の出資は、これ以上あおなみ線をあかなみ線にしないようにするために、つまり、目の前で借金の火の手がぼうぼうと燃え盛っている以上消さないわけにはいかないという、緊急避難的な予算措置であるという点のみで私は同意しております。
そもそも鉄道事業は莫大な初期投資を必要とし、その回収が長期にわたる事業であることは周知の事実でございます。それゆえに、その決定には、より緻密なデータに基づく慎重な判断が要されたのではないでしょうか。開業前の需要予測と実際の利用人員のここまで大きな乖離は、会社の経営にとってまさに致命的な傷となりました。あおなみ線経営再建に当たり、まずはこの問題をしっかりと受けとめ、その原因を徹底的に究明し、そして、その責任の所在をはっきりしなければ、四十億円にも上る今回のいわば税金の投入に対し、県民の皆様の理解は得られないと思います。
そこでお聞きします。
乗客の利用人員が当初の需要予測の半分にも満たないのはどうしてなのでしょうか。そもそも需要予測の算定方法に問題はなかったのでしょうか。予期せぬ外的要因などが起きたのでしょうか。そして、この予測がここまで乖離してしまった責任の所在はどこにあるとお考えでしょうか、お示しを願います。
次に、結果的に、民間会社でいえば、いわばあおなみ線は経営破綻状態に陥ったわけであります。この結果責任を出資者としての県はどのようにお考えでしょうか、御所見を伺います。
次に、あまり後ろ向きな話ばかりしていてもいけませんので、前向きな課題をお聞きしたいと思います。
要は、あおなみ線にもっと多くの市民、県民の皆様に乗っていただく策を真剣に考えていかなればなりません。
あおなみ線には十一、駅がございますが、行政区でいいますと、名古屋市の中村区、中川区、港区を走っております。沿線の小学校区は九学区ありまして、合わせて約三万八千世帯、約九万人の方がお住まいでございます。その沿線住民の方がどれだけ利用していますかと会社に問い合わせたところ、そういった数字は把握しておりませんと言われてしまいましたが、こういった数字を把握していないこと自体に問題があると私は思いますが、単純に計算して、この住民の一割の方が一日、通勤や通学で利用してもらうだけで片道九千人、往復で一万八千人の利用者増となるわけでございます。
昨年六月には、あおなみ線沿線の活性化を議論する場として、あおなみ線沿線活性化協議会が設立されました。本県も地域振興部交通対策課が副会長職を担っていただいておりますが、残念ながら、地域住民の代表は一人もその構成員になっておりません。愛知県武道館、名古屋競馬場やポートメッセなごやといった既存の集客施設はその構成員になっておりまして、協議会を通じて連携を深めていただいておりますが、そういった集客施設のさまざまなイベントによって沿線の活性化をしていただくことは大変必要なこととは存じますが、一番のターゲットは、老若男女を問わず、その駅周辺にお住まいの皆さんの足なのではないでしょうか。あおなみ線にとってだれよりも大切なお客様は、すぐ目の前にいらっしゃる。
そこでお聞きいたします。
駅周辺開発、大型施設誘致に利用者増を依存、期待するのではなく、地道に沿線住民の皆様に御利用していただくことが何よりも肝要かと考えます。名古屋市と連携をしながら、地域沿線住民の方にまずは気軽に乗っていただくための施策を考えるべきではないでしょうか。県の御所見を伺い、質問を終えます。
- 42:◯地域振興部長(片桐正博君) まず、需要予測が当初見込みを下回ったことについてお答えいたします。
需要予測につきましては、当時、一般的に交通需要予測で行われている方法により、その時点で得られる最新の知見をもとに事業会社である名古屋臨海高速鉄道株式会社において推計されたものでございますが、結果として大きく乖離してしまったことにつきましては、事業に当初から参加いたしました県としても反省すべき点があったものと考えております。
また、この予測が実際の利用を大きく下回っている理由については、次の三点があると考えております。
一点目は、あおなみ線沿線にお住まいの方々が移動される際に鉄道を使われる割合、いわゆる鉄道分担率が予測を下回っているということでございます。これは、もともと鉄道サービスの空白地域で鉄道に依存しない生活をされてきた方が多く、自動車からの転換が思ったほど進んでいないことが主な原因と考えております。
二点目は、駅ごとに、ある程度広い範囲にお住まいの方々の利用を想定しておりましたが、名古屋駅での乗りかえの不便さやバス、地下鉄との競合などもあり、利用が伸びていないことが考えられます。
三点目は、金城ふ頭で集客を期待したイベントの規模や件数が予想を下回り、利用者が十分ふえていないことが考えられます。
なお、今回の支援策を検討するに当たり、名古屋市は需要の見直しを行い、当初の需要予測、一日当たり六万六千人を平成三十一年度で三万二千八百人と堅実に見込んだ上で、具体的支援計画をまとめております。
次に、県の責任についてのお尋ねでございますが、あおなみ線は広域交通の結節点である名古屋駅と名古屋港の中枢機能を担う金城ふ頭を結ぶ重要な路線であり、県としても、建設時から名古屋市に協調し、出資者として事業に参加するとともに、補助金、貸付金による支援をしてきたところでございます。
御指摘のとおり、残念ながら当初の見込みほど利用者が確保できず、結果として当初の需要予測と実際の利用が大きく乖離していることについては申しわけなく思っております。
しかしながら、徐々に利用者も増加し、今年度決算では、営業収益でランニングコストを賄うことができるところまで至っており、走れば走るほど赤字がふえていくという状況ではなくなってきておりますが、会社の経営状況は極めて厳しく、建設時の四百五十億円余りの多大な借入金償還のめどが立たず、このままでは会社の存続ができない状況にございます。
したがって、会社を存続させるためには、長期借入金負担を会社経営から切り離す以外にないと考えております。
あおなみ線は、今や年間一千万人もの多くの方々に利用されており、今後の地域のまちづくりに欠くことのできない重要な路線でありますので、名古屋市と協調しながら引き続き利用促進に取り組むとともに、応分の経営支援により存続を図ることで責任を果たしてまいりたいと考えております。
次に、沿線住民の方に乗っていただく取り組みについてでございます。
あおなみ線沿線は、住宅や商業施設などが建ち並び、相当程度市街化が進んでいるところでございますので、利用増加に向けては、議員御指摘のとおり、現在沿線にお住まいの方々の利用を働きかけることが極めて重要であると考えております。
あおなみ線を運行する名古屋臨海高速鉄道株式会社におきましては、沿線住民の方々のあおなみ線への利用を図る取り組みを進めておりますが、特に沿線に新しくマンションの入居説明会の折に利用ガイドを配布いただくようお願いしたり、住民の異動が多い三月には沿線の学区へ新聞の折り込みチラシを入れるなど、さまざまな利用促進に努めているところでございます。
本県といたしましても、これまで関係施設やイベント等を通じてあおなみ線のPRに努めてきたところですが、今年度、名古屋市とともに設立いたしましたあおなみ線沿線活性化協議会において、あおなみ線の体験ツアーを企画し沿線地域の情報発信を行うなど、沿線施設とも連携した利用促進に取り組んでいるところでございます。
また、県民の皆様に自動車と鉄道、バスなどを賢く使い分けていただくエコモビリティライフの促進に当たりまして、会社と連携して意識啓発や利用促進に取り組んできております。
いずれにいたしましても、今後とも会社、名古屋市との連携を密にしながら、沿線住民の方々に御利用いただけるよう、一層の需要喚起に努めてまいります。
以上でございます。
- 43:◯二十番(とね勝之君) 要望させていただきます。
ただいまのお答えの中で、需要予測のお話が出てまいりました。確かに平成三十一年度に向けて現実的な需要予測として三万二千八百人と、かなりの下方修正をされておりますが、六万六千人から比べますとそれでも半分以下でございます。返す返すもこの数値の根拠は一体何だったのか、それをもとにしてさまざまな投資が行われ、そして、県も市もさまざまな、そして民間企業も出資をしてきたわけでございます。今後そういった需要見込みの大幅な乖離による経営破綻が起きないような、そんな仕組みづくり、そういった検証も含めてしっかりと、なぜこれだけの需要見込みが狂ってしまったのか、しっかりと解明をしていただきたい、改めて要望させていただきます。
そして、地域の皆様との触れ合いというお話をさせていただきましたが、たまさかあおなみ線の会社に地域の方の要望がございましたので、港区のある学区の委員長さんに、名古屋市は御案内のとおり学区連絡協議会という組織がございまして地域の声を代表してあおなみ線の会社に訪れたわけでございますが、五年たってあおなみ線の課長さんも赴任されたばかりだったかもしれませんが、その学区の委員長さんに向かって初めましてと。その学区の委員長さんは、もう二十年来その地域の顔役として御活躍で、さまざまな現場であおなみ線の諸活動に参画をされているにもかかわらず、そこで初めましてとごあいさつをされて、むしろ、その委員長は閉口されていました。
先ほど御紹介しましたように、沿線だけでも九学区の小学校区があるわけでございまして、それぞれに学区連絡協議会が構成をされ、地域のコミュニティーが形成をされております。私は、少なくとも、まず、あおなみ線に地域の方が一回でも乗っていただくことが必要かと思います。そのためには、例えば毎月一日、一日は学区の方の開放デーとか、無料でまずは乗っていただいて、その見晴らしのよさ、そして名古屋駅までの快適さ、さまざまなその利便性を享受していただいて、そして初めて自動車から鉄道のほうにシフトしていただけるのではないかと思います。そういった、まずは触れていただく、乗っていただくということを、第一歩をいかにして進めるかということを第一に念頭に置いていただきたいと思います。
昨年は、七月にポートメッセなごやでガンダム展というのがございまして、三日間でありましたが、その三日間の集客によって前年比で約二割ぐらいの、二割増のお客様がその月は乗っていただきました。そしてまた、十一月には名古屋競馬場でJCBという大きな地方競馬の大会がございまして、これもやはり二割増のお客様が乗っていただきました。
こういってお話をしますと、確かにイベントが来ることによってそれなりの利用増は見込まれるわけでございますが、やはり過渡的なものであって一過性にすぎません。足腰の強くしっかりとした経営基盤をつくるためにも、常に乗っていただく地域住民の皆様があおなみ線を御愛顧していただく、そういったためにどういった施策が必要なのか。いま一度、名古屋市、愛知県、連携をとっていただいて、このあおなみ線をこの港のシンボルとして、本当にこう潮風を切って走るすばらしい鉄道だと私は思っておりますので、お育てをいただきますようお願い申し上げ、質問を終わります。
- 44:◯副議長(鈴木孝昌君) 進行いたします。
原欣伸議員。
- 45:◯十番(原欣伸君) 私は、歳出第四款県民生活費第三項社会活動推進費のうちNPO活動の推進についてお伺いをいたします。
我が国は、環境や少子・高齢社会の進展のもとに経済社会構造が大きく変化してきました。暮らしにも近隣の人々からの支援や協力を必要とするさまざまな課題をもたらしています。
こうした中、平成七年の阪神・淡路大震災において、ボランティア、NPOが大活躍をしました。ボランティア元年とまで言われました。また、平成十年にNPO法が施行されます。その後、任意団体であったNPOが法人格を取得できるようになったのです。ここから、自分たちの地域は自分たちの手でつくる、自分たちの地域の課題は自分たちの手で解決するための原動力として、NPOの活躍が始まります。NPOが行政、企業に続く新しい公として注目されることになったのです。
これまで公共分野の担い手は行政が中心でした。しかし、これからは県民が積極的に行政に参加をする、みずから考え、みずからの意見を反映しながら、行政とともに地域社会をつくり上げる時代となったのです。
さて、NPOに関する報道は毎日のように目にし、耳にします。NPOがこれほど注目されるのには理由があります。それは、社会的課題に取り組むNPO活動が今後の地域を豊かにするからです。NPOが行政とは異なる発想で、県民のニーズに対応した公共サービスを提供できるからです。
一例を御紹介します。
半田市内に二階建てのどこにでもある民家があります。その民家で、一階と二階を別々のNPO法人が共同利用しています。一階では、菜の花というNPOが高齢者に対するデイサービスを行っています。二階では、トピアというNPOが精神障害やひきこもりの若者のためのフリースペースを運営しています。これだけであればルームシェアでしかありません。しかし、ここでは精神障害のある方が、一階のキッチンで高齢者の食事づくりを手伝います。ひきこもりの若者が高齢者の話し相手になっています。これにより、みずからも生き生きと暮らすことができるようになりました。高齢者にとっても、孫やひ孫世代との交流で楽しい時間を過ごすことができます。一つの民家で種の異なる二つのNPOが共同利用することで、多世代交流が行われているのです。
もし、これが行政であればどんな姿になるのか。ここは高齢者のための施設だから障害者の方はこちらですなどと区別して対応してしまうはずです。
NPOは、そのような縛りにとらわれません。自由な発想で一層効果的な活動を行うことができます。NPOの事業は、行政が実施する画一的で平等なサービスだけでもありません。それぞれのニーズに合ったきめ細かいサービスが可能となります。また、縦割り行政にありがちな制約さえもありません。そして、何よりもこうしたサービスこそが県民が求め、必要とするニーズなのです。
一方、本県では、NPOを推進するため、平成十六年にあいち協働ルールブック二〇〇四を発行しました。また、平成二十一年には協働ロードマップ策定手順書を策定しました。これは、本県とNPOが対等な関係を築き深めることができます。さらなる協働のレベルアップを図っていくもので、評価と期待をしています。
しかし、現実は、NPOに大きな夢があり、ミッションがしっかりしていて計画があっても、多くの課題が山積みです。以後、課題を指摘しながら三点の質問をさせていただきます。
一点目は、NPOとの協働の推進についてお聞きします。
ここで、本県の、NPOとの協働の状況に目を向けてみます。平成十六年と平成二十一年の委託や補助金などの協働の件数と金額を比較します。つけ加えると、本県のNPO法人数は、千三百に迫る法人が活動をしています。委託や補助金などの協働件数では、平成十六年の六十八件から平成二十一年には百十件と一・六倍。金額では、平成十六年の六千四百万から平成二十一年の三億一千六百万円の四・九倍と、協働は確実に拡大されています。
平成十二年に地方分権一括法が施行されました。これからは、これまで以上に地域の実情を踏まえた政策立案が求められます。効率的な行政改革が望まれます。今後は、地域課題の解決に向けて、NPOと行政がさらに協力を深めていくことが課題です。
そこでお尋ねします。
今後、本県では、どこまでNPOとの協働を推進していくのか、具体的な数値目標を持っているのか、また、これからはどの分野で拡大が見込まれるのか、お伺いをいたします。
二点目は、県民のNPOへの理解、認識についてお聞きします。
一つの調査を紹介します。今後、NPOの活動が一層活発になるためには何が必要かという調査です。その一位は、NPO自身が積極的に理解を求め認識されることで、四六%を占めました。これは本県の実情、課題にも一致します。
さきに紹介した頑張っているNPOがあるにもかかわらず、NPOの活動実態が見えてきません。NPOがどこで何をやっているのか県民にはよく知られていません。これからの新しい公として、我々の地域課題を担っていくことのできるNPOをよく知りません。このように、県民の理解、認識がないとどうなるのか。県民が知らなければ、県民が支援し参加することはできません。となれば、NPO活動が活発化する好循環が発生しないということ、つまり、NPOは成長できないということになります。これが二点目の課題です。
NPOの不可欠な財産は、自主、自立して社会的活動を解決しようとする「人」です。そこに協働の立場でかかわる職員という「人」がいます。ここに構成員である愛知県民という「人」がNPOを理解、認識し、参加することが必要なのです。
そこでお尋ねをいたします。
県民のNPOに対する理解と認識は十分になされていると考えているのか、その必要性をどのように考えているのか、また、県民への周知のためにどのような取り組みを行っていくのか、お伺いをいたします。
三点目は、資源等でNPOが必要とする支援とその確保についてお聞きをします。
NPOは思いと考えの強い個人が集っての積極的活動体です。しかし、資源不足で苦労するNPOが多いのも大きな課題です。本県のNPOの年間収入は、百万円未満が三一%を占め、全体の五四%が五百万円未満となっています。この数字は、財政規模の小さい団体も多く、財政規模で二極化が生じていることを示しています。また、常勤スタッフや専属事務所を持つNPOの数もこれに比例します。NPOがより発展するためには、資金、マネジメントノウハウ、人材、情報が不可欠であることは言うまでもありません。となれば、本県としても最大限のサポートをしていかなければならないはずです。
この状況下で、今後に期待できる知事発言が提案説明の中で提示されました。その内容は、多様な公共の担い手による豊かな地域社会づくりを目指すため、NPOと企業の協働に関する検討会議を開催し、今後のNPOと企業の協働の推進について協議、検討を行うというものでした。これは、NPO、企業、行政が連携することで、従来解決できなかった課題がさらに解決できる。活動分野や活動地域を超えたネットワークや協働、連携の推進など新たな可能性を秘めている。資源不足の解消につながる。大いに進めるべきと考えます。
そこでお尋ねをいたします。
NPOが本県に求めているものは何なのか。その求めに対して、どんな役割を果たしているのか。今後はどう発展的に対応していくのか。また、NPOと企業の協働に関する検討会議がどんな検討会議で、これによりNPOがどう成長していくことができるのか、お伺いをいたします。
以上です。
- 46:◯県民生活部長(大久保裕司君) NPO活動の推進につきまして三点御質問をいただきました。
まず、今後のNPOとの協働の推進についてでございます。
議員御指摘のとおり、県では平成十六年度に発行しましたあいち協働ルールブックに基づく協働を積極的に進めており、県とNPOとの協働事業は、件数、金額とも着実にふえてまいりました。
今後とも、引き続きNPOとの協働を推進することは、新しい公を実現していく上で大変重要なことと考えております。
そのためには、事業の実施段階における協働はもとより、県が事業を企画立案する前の段階から、地域のさまざまな課題を中長期的な視点で現場に精通しているNPOとともに協議し、問題意識を共有し、具体的な取り組みにつながるような解決方策を見つけていくことが今後重要になってまいります。
そうしたことから、行政とNPOが協働して課題解決に取り組んでいくための手順を示す協働ロードマップの策定を進めております。
今後、どこまで協働を推進していくのかにつきましては、この協働ロードマップの策定を通じて、協働の量的拡大とともに質的な向上も図ってまいりたいと考えております。
なお、こうしたNPOとの協働事業そのものが発展途上の段階にありまして、具体的な数値目標につきましては設定いたしておりません。
次に、どのような分野で協働の拡大が見込まれるのかについてでありますが、本県が昨年十一月に実施いたしましたNPOとの協働事業調査結果によりますと、二十年度に県が実施した委託、補助等の協働事業の分野は、特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法に定められております社会教育の推進、地域安全など十七の分野のうち四つの分野、環境保全、保健・医療・福祉、まちづくり、子供の健全育成、この四つの分野で全体の六三・二%を占めております。分野における偏りが見られるところでございます。
そこで、今後は特定の分野に偏ることなく、県民の皆様の多様な公共ニーズにこたえられるよう、地域安全、学術文化等の振興、雇用機会の拡充など、県政のあらゆる分野におきましてNPOとの協働をさらに推進してまいりたいと考えております。
二点目は、NPO活動の県民の皆様への周知についてのお尋ねでございます。
県民の皆様のNPOに対する理解は、現状では十分とは言えないと考えております。NPO活動の活発化のためには、県民の皆様がNPOの魅力についてよく理解し、共感できる活動への参加と支援を進めていただくことが必要であると考えております。
あいちNPO交流プラザでは、NPO法による公開が義務づけられております各NPO法人の事業報告書や財務諸表をだれもが閲覧できますし、また、インターネットでも見ていただくことができます。
しかし、これは、県民の皆様にさまざまなNPO法人の活動の魅力をリアルに伝えたり、複数のNPO法人を簡便に比較していただくという面ではまだ不十分と言わざるを得ません。
そこで、本県では、今年度から、NPO情報発信サポート事業を実施しておりますあいちNPO交流プラザでのポータルサイト上で、NPO活動をわかりやすく紹介するシステムを構築いたしておるところでございます。
このシステムは、NPO法人みずからが作成する文字と映像の情報から成っておりまして、文字情報には、NPO自身がアピールしたい活動を初め、スタッフやボランティアの状況、行政や企業との協働事業実績などが記載され、様式を統一することでNPOの比較評価が容易にできるものとなっております。また、映像情報は、動画やスライドショーでNPOの活動やメッセージを視覚的にアピールする仕組みとなっております。この三月中には情報発信をスタートし、平成二十二年度は、県内約千三百のNPO法人のうち、半数を超える法人に参加してもらえるよう努めてまいります。
こうした取り組みにより、県民や企業の方々がNPOへの理解を深め、NPOを支援し、参加できる環境づくりに努めたいと考えております。
最後に、NPOが求めているものと、求めに対する県の役割及びNPOと企業の協働に関する検討会議についてのお尋ねでございます。
議員御指摘のとおり、NPOに不可欠な資源としては、資金、マネジメントノウハウ、人材、情報などが挙げられると思います。中でも、資金の確保と人材の育成が最も大きな課題であると言われており、県には、これにつながる支援が求められていると考えております。
まず、資金につきましてですが、行政の事業をNPOに委託することなどは、公共サービスの充実とあわせて資金面でNPOを支えることにもなると考えます。また、公益信託愛・地球博開催地域社会貢献活動基金、いわゆるモリコロ基金を通しまして、NPOのすぐれた事業企画に対し毎年度百数十件、総額一億二千万円の助成が行われております。
また、人材育成の要望に対しましては、県において、研修事業を得意分野とするNPOと連携し、NPOスタッフを対象にしまして、マネジメントなど各種のテーマによる研修を実施しております。
さらに、平成二十二年度は、NPOの実情を把握するため、NPOの雇用や人材育成の実態などを調査、分析することといたしております。
NPOが必要な資源を獲得し発展していくのは、NPO自身の努力によるところが大きいわけですが、県の役割はこれを後押しすることにあると考えており、今後も資金面、人材育成面を中心に支援をしていきたいと考えております。
次に、NPOと企業の協働に関する検討会議でございます。これは、平成二十二年度に新たに設置するものでございまして、NPOと企業の双方から協働に取り組んでいる方々十数人にお集まりいただき、行政も一緒になって今後の協働を促進していくための方策について協議するものでございます。
NPOと企業の協働促進は、NPOと企業にとっても、また、地域にとっても大きなメリットがございます。何よりもNPOにとっては、企業が持つ資金、人材等を活用できるだけでなく、組織マネジメントや経営手法などを学ぶよい機会となります。
県といたしましては、以上のような取り組みを通しまして、県に求められている役割を果たし、NPOの成長を支援してまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 47:◯十番(原欣伸君) それぞれ御答弁をいただきました。さらなる推進、進展に向けてぜひともお願いを申し上げたいと思います。
その中で、やはりこのNPOの存在というのは非常に大きな存在であります。先ほど来述べていますように、これからの地域課題をNPOが解決することによって、それぞれの地域が強くなる、愛知の力がアップするということだと思います。ですから、このNPOの推進ということは欠かすことができません。
その中で、やはり、最後にお答えをいただきました資金不足の問題があります。当然、資金が少なくてもやりがいを持ってやってくださっているNPO団体はたくさんあります。でも、現実を見ていくのであれば、継続性をしっかり持たせていくためには、やはりどうしても資金は必要不可欠になってきます。その中で、モリコロ基金を活用して年間一億二千万、これは十分に承知しております。しかし、これは県の中でのNPOへの委託に関するものであります。例えば、国がNPOに対して協働に関してこういった事業があるとか、いろいろな企業が持っている財団法人もあります、そういったところがNPOを支援する方法、策もたくさんあると思うんです。そういった情報を一元化して、県がNPOの皆さんに情報提供していくということも非常に大きな役割だと思っておりますので、そういった観点からもNPOの支援ができるようになるようにお願いを申し上げまして、要望いたしまして質問を終わらせていただきます。
- 48:◯副議長(鈴木孝昌君) 進行いたします。
石井芳樹議員。
- 49:◯十一番(石井芳樹君) 私は、歳出第四款県民生活費第三項社会活動推進費多発事故対策推進事業費についてお尋ねをいたします。
交通事故のない安全で快適な社会を実現することは、住民すべての願いであり、本県の取り組む重要な喫緊の課題であります。犠牲者を一人でも減らすため、各界、各層と連携を図りながら、総合的な交通事故防止策を進めていかなければならないと思うところであります。
本県の交通事故死亡者数は、昨年平成二十一年は平成二十年と比べて四十九名減少し二百二十七名で、平成十七年の三百五十一名から五年連続で総数は減少傾向にありますが、しかしながら、都道府県別で見ますと、愛知県は五年連続交通事故死者数が一番という数字には変わりないわけであります。
その中、愛知県の交通環境を他の都道府県と比較をしてみますと、道路実延長距離では、愛知県は全国一位の北海道の約二分の一の四万九千キロであり、運転免許人口では一位は東京都の七百四十万人で、愛知県は四位の四百九十万人であります。しかしながら、それとは別に、愛知県は、自動車などの保有台数では二位の東京を上回り、全国一位で約五百四十万台であり、さらには旅客地域流動調査、すなわちこれは住民がどの交通手段を使って生活をし、移動しているかをはかるデータでありますが、東京では鉄道、バス、タクシーを含めた公共交通の利用の比率が八二・五%に対して、自家用乗用車の比率は一七・五%であります。他の都市部であります神奈川県、大阪でも公共交通の利用率はおおむね六〇%に比べて自家用乗用車の利用率は約四〇%を占めるにとどまっているのに比べて、本県ではその約七五%を自家用乗用車での移動が占めており、他の都市部と比べて車に対する依存度が非常に高い数字となっております。
さらに、本県の交通事故死者数を事例別に見ますと、歩行者六十九名、車六十四名、自転車四十名、自動二輪三十一名、原付二十二名、その他一名となっております。そのうち六十四名の車のうち、助手席並びに後部席も含めシートベルト非着用で亡くなられた方々が約七割を占め、さらにそのうちの約半数がシートベルトをもししていれば助かったというデータが出ていることから考えても、シートベルト着用率の向上を含め、本県の交通事情に通じた正確な特徴を把握し、交通知識を深め、啓発、啓蒙運動をさらに行っていかなければならないと思うところであります。
中でも、本県の交通事故減少策のキーワードは、交差点と高齢者であります。交差点での事故件数の割合が全国平均の三七・八%と比べて、本県では五八・八%と、二十一ポイントと非常に高くなっていることから考えても、交通事故を減らすためには、事故多発交差点の場所や交差点での事故の特徴を地域住民が理解をして、交通ルールの順守や交通マナーの向上など、交通安全意識を町ぐるみで高めていく必要性があると感じるところであります。
他方、もう一つのキーワード、死者数の半分を占める高齢者が犠牲となる事故の減少にも努めていかなければなりません。高齢者事故の特徴としては、歩行中並びに自転車運転中に事故に巻き込まれ、とうとい命を失った方々のその約八割が、自宅から一キロ圏内のよく知った自分の地域で事故が発生している点であります。この実態を高齢者はもちろんでありますが、その家族のみならず、子供、その保護者、さらには地域住民も含めて事故の実態を知ってもらい、地域が一体となって高齢者を守る交通安全意識の向上に努める必要があると思います。
こうした本県での交通事故の特徴である交差点における事故や高齢者の事故を防止するため、具体的にどのような取り組みを進めていかれるのか、お伺いをいたします。
- 50:◯県民生活部長(大久保裕司君) 交差点事故及び高齢者の事故防止についてのお尋ねでございます。
本年は、交通事故死者数のさらなる減少を目指すため、交通安全県民運動を中心とした広報啓発活動を県民総ぐるみで展開してまいります。
議員お示しの交差点と高齢者の死亡事故の多発は、本県の大きな特徴でございます。これらの対策を交通安全推進事業の重点に据え、特に力を注いでいくこととしております。
具体的な取り組みとしましては、まず、交差点における事故防止対策でございますが、とりわけ歩行者が横断中に犠牲になる事故が大変多いことから、県内を十一エリアに分け、各エリア内で事故が多発した交差点を明示し、事故の特徴や防止方法をきめ細かに紹介する交差点事故多発マップを配布して、交差点の危険性を広く県民の皆様へ周知してまいります。
また、道路のさまざまな交通状況のもとで、安全な横断方法を身につけていただくため、それを体験学習できるシミュレーターを活用した出張講座を県内各地で開催し、交差点事故の抑止を図ってまいります。
次に、高齢者対策でございます。
高齢者が被害者となった事故の多くが、議員御指摘のように自宅周辺で発生している実態や、高齢者が交通事故の加害者になるケースが増加傾向にあることを踏まえまして、従来実施しております高齢ドライバーを対象とした交通安全教室のカリキュラムに新たに安全な歩行方法や自転車の乗車方法を加え、運転技能の再確認のみならず、高齢者自身の安全意識を一層高めてまいります。
また、高齢者の人身事故が多い小学校区を重点として、子供や高齢者、地域住民が一緒になって、例えば、自転車の安全な乗り方を学ぶ教室を開催したり、学区内を巡回して交通危険箇所の情報を共有化するなど、地域が連携した独自の啓発活動に取り組んでまいります。
さらには、県内の全小学生から祖父母や近所のお年寄りに対して交通安全を呼びかけるメッセージを手紙に託し、高齢者自身の交通安全に対する意識や行動を変えていくきっかけをつくり、高齢者や子供の交通安全意識の向上を図ってまいります。
こうした新たな取り組みにより、交通事故の犠牲者を一人でも多く減らし、交通事故死ワーストワンの返上にぜひともつなげてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 51:◯副議長(鈴木孝昌君) 進行いたします。
西川厚志議員。
- 52:◯二十一番(西川厚志君) それでは、歳出第四款県民生活費第二項文化学事振興費のうち、あいちトリエンナーレ二〇一〇開催費についてお伺いをいたします。
まずは、私の実体験を御紹介させていただきます。
先月の十七日、県営名古屋空港の開港五周年記念の式典に出席し、名古屋市内へ帰ってきたときのことです。時刻はおよそ午後四時ぐらい、栄の錦通本町の交差点でその集団を見かけました。数年前、連日ワイドショーで取り上げられた白装束に身を固め集団移動を繰り返す一団がありましたが、まさにそれを思い起こさせるような、全身を白い布でまとい、見たところ二十前後の五、六人がフラフープのようなものを持ち、ゆっくりと練り歩く光景でありました。車の中からではありましたが、私にはかろうじて彼らの胸にピンクの矢印らしきマークが見えましたので、トリエンナーレに関するパフォーマンスであろうということは推察できたのですが、運転をしていた高校時代の同級生の口からは、何だあれは、気持ち悪いと一言発せられ、一目散でその場を後にしようとするありさまでした。
文化芸術課にお伺いをしたところ、やはり彼らはトリエンナーレPR隊の一員であり、かつ昨年秋の緊急雇用創出事業の応募に通った元失業者の方々だと教わりました。さらには、そのいでたちやパフォーマンスにもアートプロデューサーと呼ばれる演出家の確たるイメージがあるそうで、そうした専門家の厳しい指導を受けて名古屋市、愛知県内だけではなく、東京、大阪などにも出向き、延べ五百回以上のPR活動を計画、実施しているとのことです。
さて、さきの十二月議会でも、現代美術の解釈をめぐるやりとりがありました。知事の言葉をお借りするなら、現代アートを理解する第一歩は衝撃であり、少しずつなれていくことにより、同じ時代に生きる作家の息吹を感じ取れるようになるとおっしゃっています。確かにみずからの意思でとある美術館に入り、現代アートに触れるんだという心構えを持って臨んだ場合、その場ではたとえ理解に苦しんだとしても、その体験は衝撃としていつまでも心に残り、関心へとつながっていくのかもしれません。しかしながら、ごくありふれた日常の中で何の前触れもなく、いきなりあのような現代アートが待ち構えていた場合、人によっては強く嫌悪感や拒絶感を抱いてしまうこともあり得るのではないのでしょうか。果たしてこうした手法がトリエンナーレの宣伝に適切なのか、それとも、いやいやそこまでやらないと効果はないんだ、あえて過激に、多少ブラックにアピールしているんだと言われるのか。私には判断がつきませんので、この点については議論を避けますが、それでも現代アートのあり方として私の願いを述べるのであれば、例えば、もともと正解のない問題をあくまでも解いてみろというような姿勢ではなくて、難しい問題かもしれないけれどヒントをあげるから頑張ってみようと、ぜひそんな姿勢であってほしいと望まずにはいられません。
そんな意味で、神田知事の書きおろされた「忙中美あり」という一冊は、お世辞抜きで、芸術音痴の私にとりましてもとても親切な入門書となりました。美術品や芸術品の味わい方を初心者にもつぶさにわかりやすく説明され、かつたわいもない民芸品や菓子箱といった日常の生活用品ですらが立派に芸術品たり得ることを諭し、時にはみずから制作に挑んだときの苦労話なども交え、芸術の響きが持つ、いわゆる近寄りがたさを見事に取り払っています。さらには、知事らしい控えめな語り口ではあるものの、一ページ一ページからはトリエンナーレ開催にかける不退転の決意がほとばしり、正直なところ、私に限って言えば、この本が開催支持に傾いたきっかけともなりました。
そこで、最初にお尋ねをいたします。
今回トリエンナーレの中心となる現代アートでありますが、当然芸術作家の生きざまとしては大衆に迎合することはもってのほかでしょうし、あるいは第三者に解説を加えられることすら拒まれることがあるかもしれません。ただ、先ほども申し上げたとおり、鑑賞する側、それを見て何かを感じたいと思う方々へは、どうかできる限りの配慮を期待するところであり、そんな宿命を背負った作家との距離を少しでも縮める工夫が必要であるかと存じますけれども、そのためには県当局の役割をどのように考えているのか、お聞かせください。
次に、このトリエンナーレの成否の判断についてであります。
かつて愛知万博を十六カ月後に控えた二〇〇三年の十二月議会において、私は同じように万博の成否の判断基準をお聞きいたしました。あのときは、早い時期から来場者数一千五百万人を目標とするその数値だけに話題が集中しがちで、私も、もっとほかに重要なことがあるはずではないのかと、そんな思いで質問をしたわけでありますが、答弁をする側も、よほどこの点に触れてほしかったのでしょう、待ってましたとばかりに運営面や展示内容からの切り口、また、理念の継承の重要性、そして、環境先進県としての飛躍こそ何よりであるというような内容で、とても歯切れよく流暢にお答えをいただいたのを覚えております。
一方、トリエンナーレの成否でありますが、今日まで我が党からも数々の投げかけをいたしております。しかしながら、開幕まで半年を切ってもいまだに明確な基準、指標、数値化はできないにしてもその考え方やとらえ方など、全く示されているものがありません。成否の判断基準という言葉が重荷になるのであれば、目標という言葉に置きかえていただいても結構ですが、万博のときと比べて明らかに当局の口の重さが気になります。
そこで、二点目としてお伺いいたします。
ちょうど先日、チケットの料金もそれぞれに決まり、少なくとも先催事例との大きな比較材料がそろったわけですので、ぜひこの際、トリエンナーレの成否の考え方、あるいは目標について、当局の自信に満ちた頼もしい答弁をお聞かせいただきたいと思います。
以上です。
- 53:◯県民生活部長(大久保裕司君) あいちトリエンナーレ二〇一〇につきまして二点の御質問をいただきました。
まず、現代アートを県民の皆様により理解していただくための県の役割についてでございます。
現代アートは、評価の定まった名画、名作などと違い、その入り口部分において、どうしてもわかりづらいというハードルがあるのは確かでございます。そのハードルを少しでも低くし、県民の皆様が現代アートを理解し楽しんでいただくための橋渡しとなるようなさまざまな取り組みをする必要があると認識をいたしております。
そのため、開催期間中には、作品解説ボランティアによるガイドツアーの実施やイヤホンガイドなどにより、作者の思いであるとか、伝えたいことなどをわかりやすく説明してまいりたいと考えております。また、アーティスト・トークなどもできる限り開催をしまして、作家本人の言葉で作品について語っていただく機会も設けてまいります。さらに、鑑賞の際に参考にしていただくためのガイドブックには、作品の傾向や作家の人となりなど、作者や作品を身近に感じていただき、理解を深める解説を載せていくことといたしております。
あいちトリエンナーレは、現代アートについての普及、教育も重要な柱としておりますので、こうしたさまざまな取り組みに力を入れ、県民の皆様に作品を楽しく鑑賞していただけるようにしてまいります。
また、開幕に向けて、県民の皆様に現代アートの楽しみ方や、出品作家や作品の情報をできる限りお伝えしてまいりたいと考えており、例えば、今月二十日午後四時からでございますけれども、若手人気タレントが現代アートの制作現場などを訪れ、その魅力や楽しみ方をお伝えする番組、「アーっと驚くアートです」をテレビ放映いたします。さらに、現代アート入門用の冊子の第二弾、第三弾を作成、配布するほか、出品作家の情報などを盛り込んだ番組を毎月制作し、ケーブルテレビやインターネットで提供してまいります。
なお、トリエンナーレPR隊でございますが、御質問にありましたように、緊急雇用創出事業として行ったものであり、応募いただいた方々を専門家が指導して、多くの皆様方に現代アートの楽しさに触れていただく目的で実施をしたものでございます。トリエンナーレについて知っていただきたいということもあり、かなり目を引く衣装であったため一見すると奇異に感じられたかも知れませんが、若者や家族連れからは握手や記念撮影を求められるようになってきておりまして、トリエンナーレのPRに一定の効果があったものと考えております。新年度におきましても、斬新かつ親しみやすい工夫を加えまして、トリエンナーレの閉幕まで活動していただくことにより、県民の皆様が現代アートになじみ、トリエンナーレにつながるようなPR隊としてまいりたいと考えております。
次に、あいちトリエンナーレの成功をどのような指標をもって考えるかについてでございます。
万博のように、入場者数や経済効果など、その開催目標としてある程度共通認識のある事業と比べまして、トリエンナーレ、ビエンナーレといった事業については、私どもで把握をしております限りでは、事前に入場者数などの目標を設定している例はないと承知をいたしております。新しい価値を創造しようという性格を持つ文化芸術の事業については、その事業を実施した時点で評価することが難しい面がございますし、ベネチア・ビエンナーレの例をとるまでもなく、長年の開催の積み重ねによりその評価が定まってくるという面もございます。
他方で、あいちトリエンナーレは、今回を第一回目として今後継続的に開催しようというものであり、何らかの形で事業評価を行い、次回のよりよい開催につなげてまいることは重要であると認識をいたしております。
あいちトリエンナーレの開催目的といたしましては、新たな芸術の創造、発信により世界の文化芸術の発展に貢献すること、現代芸術等の普及、教育により文化芸術の日常生活への浸透を図ること及び地域の文化芸術活動を活発化していくことの三点を挙げております。
こうした開催目的がどの程度達成されたかどうかは、入場者数はもとより、トリエンナーレに参加、関与した団体や事業の数、ボランティア参加者の数、来場者や関係者のアンケート、参加者や専門家からの評価などを分析することが必要であると考えております。こうした多面的な評価をきちんと行いながら、芸術に触れることによりわき起こる感動や喜び、また、今回、都市の祝祭というテーマのもとに、県民の皆様が高揚感を持ってどれだけ楽しんでいただけたかといった数値にあらわれない面も含めて、県民の皆様に、楽しかった、三年後もぜひ行ってみたいと評価していただけるトリエンナーレとなるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 54:◯副議長(鈴木孝昌君) 進行いたします。
須崎かん議員。
- 55:◯十二番(須崎かん君) 私からは、歳出第四款県民生活費第三項社会活動推進費青少年健全育成活動推進費についてお伺いをいたします。
本県の総人口に占めるゼロ歳から二十九歳までの子供、若者の人口の割合は、私が生まれて間もない昭和四十五年には五五・三%を占めていましたが、約四十年後の平成二十一年には三一・七%と約三割にまで減少しています。
しかし、その貴重な存在であり、将来を担ってもらわなければならない子供、若者が社会から大切にされ、健やかに育っているかといえば、必ずしもそうとは言えないのではないでしょうか。もちろん本県の子供、若者の多くは、さまざまな分野において大いに活躍していますが、その一方で、一部の子供、若者には不登校、ニート、ひきこもりなど、社会にうまく適応できない状況が見られるところであります。
本県の学校における平成二十年度間の不登校児童生徒は、小学校では千六百五十二人で、在籍者に占める割合は〇・四%、中学校では六千五百九十三人で三・一%となっており、中学校は五年連続の増加となっています。また、高等学校の中途退学者は三千七百八十九人で、在籍者に占める割合は二・〇%となっております。三%とか二%など小さな数字に思われるかもしれませんが、その周辺には不登校親和群と言われる人たちが相当数いると言われています。
ひきこもりの問題は潜在化する傾向があるために、実態を把握することが困難であると言われておりますが、厚生労働省の研究事業として行われた地域疫学調査をもとにした愛知県の推計によれば、ひきこもりの子を持つ家庭は、少な目に見ても、県内の一万五千五百世帯に上るとされております。
さらに、派遣社員や雇いどめが社会問題となり、近年では、雇用形態の見直しなどが検討されつつあるものの、いわゆる就職氷河期に卒業を迎え正社員として就職できなかった多くの若者は、いまだに定職につけない、あるいはつかないフリーターやニートとして不安定な生活を送っています。
このような状況は、若者からキャリア形成の機会を奪い、不安定な生活状態が将来的に続くおそれを高めます。その結果、社会全体にとって、社会保障費の増嵩、少子化の進行、重要な社会の担い手の損失などが懸念されるところであります。
そして、これらの問題は相互につながっていると考えられます。平成十九年度に、愛知県と名古屋市が共同で実施したひきこもり状態の若者に対するアンケート調査の結果によれば、ひきこもりが始まった年代は十代後半から二十代前半が五八・一%を占めており、しかも半数以上の人に不登校の経験があったとのことです。
また、内閣府が行った調査の中に、回答者数の少なさなどから統計的には十分なものではないと言われるものの、興味深いものがあります。それは、平成十六年度当時に中学三年生で不登校であった者と、高等学校を中途退学した者を対象に、四年後の状況について調査したところ、不登校生徒の一六・五%、中途退学者の二〇・八%が仕事についておらず、学校にも行っていなかったというものです。対象者とほぼ同じ年代の人に占めるニートの割合が、十五歳から十九歳までで二・三%、二十歳から二十四歳までで五・九%となっていることと比べると、調査結果の数値は極めて高い割合となっており、このことから、不登校であった子供がニートやひきこもりにつながる傾向があることがうかがわれます。
このように、不登校であった子供がニートやひきこもりにつながる傾向があることと、また、ニートやひきこもりに至る背景には、複雑かつ多様な問題が存在することを考えると、こうした問題に的確に対応し、困難を抱える子供、若者に対して包括的、継続的な支援をしていくためには、従来の個別分野における縦割り的な対応だけでは難しいのではないかと考えます。
現在では、不登校の問題については教育の分野で、ひきこもりの問題については精神保健の分野で、また、ニートの問題については就業支援や職業紹介の分野でそれぞれ取り組んでおられることと思いますが、これらの機関の連携強化が課題ではないかと考えます。
例えば、不登校であった児童生徒と学校との関係は、卒業によって切れてしまいます。一方、就労支援を行っている地域若者サポートステーションを訪れる人の最も多い年代は二十代の後半であるとのことであり、すなわち、この間の年代の若者を学校から引き継いで支援するという仕組みは、今のところ存在しないのではないでしょうか。
こうした中、子ども・若者育成支援推進法が昨年七月八日に公布され、本年四月一日から施行されます。
この法律は、子供、若者を社会全体で育てるという姿勢を明確にしたものですが、特に社会生活を営む上で困難を抱える子供、若者への総合的な支援を打ち出し、地方公共団体には、そのために専門的な支援機関によるネットワークの整備を求めています。しかし、このネットワークは、教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用といったさまざまな分野の国と地方公共団体の多くの機関のみならず、NPOなどの民間機関も含めて構成されることとされており、非常に幅広い連携が求められています。
また、きめ細かい支援を進めるためには市町村の役割が重要であると思われますが、市町村の規模や実情はさまざまであり、このネットワーク整備に関する規定が努力義務にとどまることも相まって、法律の施行後においても地域協議会の設置はなかなか進まないことも予想されます。
そこで、県として、法律の施行を受け、このネットワーク整備に向けてどのような役割を担い、どのような取り組みをされるかをお尋ねいたします。
- 56:◯県民生活部長(大久保裕司君) 困難を有する子供、若者を支援するための連携組織、すなわちネットワーク整備に向けた取り組みについてのお尋ねでございます。
子ども・若者育成支援推進法の制定を踏まえ、本県が今年度内に策定をいたしますあいち子ども・若者育成計画二〇一〇におきましても、ネットワークとしての子ども・若者支援地域協議会の設置を促進していくこととしております。
ところで、法律は、その設置を地方公共団体に求めておりますが、具体的な支援は住民に身近な市町村で行うことが望ましいことから、地域協議会は市町村が設置し、県はそのバックアップをするという役割分担を考えております。
しかし、ハローワークや保健所、学校、NPOといったさまざまな分野の機関、団体を構成員とする地域協議会の設置に当たっては、議員御指摘のとおり、多くの困難が予想されます。
また、法律においては、複数の市町村が共同で設置することも想定されておりますが、市町村同士の調整が必ずしもスムーズにいくとは限りません。
そこで、平成二十二年度におきましては、市町村による地域協議会の設置を県が促進し、バックアップするための取り組みを実施いたします。
まずは、県内を六つのブロックに分け、ブロックごとに地域協議会の構成員として想定される機関、団体が参加する会議を開催いたします。そこにおいて、地域協議会の意義について理解を深めていただくとともに、相互に情報交換をしていただき、地域の実情に応じた地域協議会の設置を促進してまいります。
また、専門家やNPO、有識者がチームを組み、地域協議会を設置、運営する上で課題になると思われる事項、例えば、情報管理のあり方などについて検討し、その成果を市町村初め関係機関にお示しいたします。あわせて地域協議会の構成員として想定される機関、団体の活動内容に対する調査を行い、その結果につきましても、市町村初め関係機関に提供をいたしてまいります。
こうした取り組みによりまして、五年後の平成二十六年度には、本県の子供、若者の七〇%がこの地域協議会を利用できる体制となることを目指してまいります。
以上でございます。
- 57:◯副議長(鈴木孝昌君) 進行いたします。
金澤利夫議員。
- 58:◯三十五番(金澤利夫君) 歳出第五款環境費第一項環境対策費のうち、あいち新世紀自動車環境戦略推進費に盛り込まれております次世代自動車普及促進事業費についてお伺いをいたします。
本県の自動車保有台数は、平成二十年度末でおよそ四百九十五万台と全国一位を占めており、また、日ごろの通勤通学、業務、買い物などの移動手段として自家用車に依存する割合が、東京や大阪といった他の大都市圏に比べて極めて高くなってきております。
こうしたことから、本県で地球温暖化防止に取り組むに当たっては、自動車環境対策を総合的に推進し、自動車からの二酸化炭素排出量を減らすことが重要であると考えます。
このため、本県が全国に先駆けて平成十四年度に策定したあいち新世紀自動車環境戦略では、県内において平成二十二年度末までに三百万台のエコカーを普及する目標を掲げ、補助や融資といった経済的な支援、エコカー利用の意識啓発などの施策を進めてきたところであります。その結果、平成二十年度末の県内におけるエコカーの普及台数はおよそ二百二十八万台と、全国一の状況になっております。
このようにエコカーの普及は進みつつありますが、自動車から排出される二酸化炭素の量を減らすためには、二酸化炭素の排出量が極めて少ない電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHV)などの次世代自動車の普及が必要不可欠であると考えます。
こうした中、経済産業省は、昨年から販売が始まったEVやPHVの本格的な普及に向け、EV・PHVタウンモデル事業を開始し、本県を含む八都道府県を実施地域として選定をいたしました。
本県においては、この選定を受けて、モデル事業の実施計画となる愛知県EV・PHVタウン推進アクションプランを昨年六月に策定し、現在、これに基づいて取り組みを進めているところであります。
このアクションプランには、EV、PHV普及のための推進体制をつくることや、平成二十五年度までの目標として、EV、PHVを五千台以上普及させるとともに、一般開放される充電設備を百基整備することなどが掲げられております。
そこで、以下順次お伺いしてまいります。
EV、PHVの普及に向けて、どのような推進体制で取り組みを行っておられるのか、また、現在までのEV、PHVの普及台数や充電設備の整備基数がどのようになっているのか、お伺いをいたします。
EV・PHVタウンモデル事業は、平成二十一年度から二十五年度までの五カ年の事業であると伺っておりますが、今後の取り組みを進めるに当たっては、今年度の取り組み結果を総括し、的確に評価する必要があると思います。
そこで、今年度の取り組み結果をどのように評価しておられるのか、お伺いをいたします。
また、こうした評価を踏まえ、EV、PHVの早期の本格的な普及に向けて、今後の取り組みをどのように進めていかれるのかをお尋ねして、質問を終わります。
- 59:◯環境部長(藤井敏夫君) 次世代自動車の普及促進に向けた取り組みにつきまして、三点御質問をいただきました。
まず最初に、次世代自動車であります電気自動車、いわゆるEV、プラグインハイブリッド自動車、いわゆるPHVの普及に向けた推進体制と現在までの車両の普及台数、充電設備の整備基数についてお答えをします。
議員お示しのEV・PHVタウンモデル事業については、EVは都市内での利用に、PHVは遠距離利用にも適するそれぞれの特性を踏まえ、これらの本格普及を図るための実証事業として実施しているものであり、その推進に当たっては、自動車や充電器のメーカーはもとより、自動車の率先導入を図ります自治体、電力会社、充電設備の設置が想定されます小売業者あるいは駐車場事業者など、幅広い分野の関係者との連携、協働が不可欠であります。
このため、本県におきましては、昨年四月に、こうした幅広い関係者で構成をいたしますあいちEV・PHV普及ネットワーク、これを設立したところでありまして、現在六十二の事業者、団体が連携、協働しまして、EV、PHVの率先導入、あるいは充電設備の整備などに取り組んでいるところであります。
こうした取り組みを進めました結果、今年度末までにEVが九十三台、PHVが四十七台導入される予定でありまして、また、一般開放されます充電設備につきましては、六十三基が整備される予定と、このようになっております。
次に、今年度の取り組み結果の評価についてであります。
EV・PHVタウンモデル事業の初年度であります今年度におきましては、その実施計画となる愛知県EV・PHVタウン推進アクションプラン、これを昨年六月に策定をし、これに基づいてEV、PHVの率先導入や充電設備の整備、試乗会や展示会といった普及啓発事業、EV、PHVの利用者に対するアンケートなどの取り組みを進めてきたところであります。
その結果、本年度、車両メーカーからの供給台数、これが限られている中で、先ほど申し上げましたように、合計百四十台のEV、PHVが導入でき、また、一般開放される充電設備も六十三基が整備され、順調に導入や整備が進んだところであります。
また、延べ十二回にわたります試乗会、展示会を通じまして、EV、PHVに対する県民の皆様方の関心の高さということが明らかになったところであります。
さらに、EV、PHVの実際の利用者に対するアンケート調査の結果から、車両や充電設備に対する満足度、改善点、あるいは充電設備の整備を希望する場所など、今後の取り組みにおいて参考となる情報も得ることができたところであります。
こうしましたことから、モデル事業の初年度として一定の成果が得られたものと、このように評価しているところであります。
最後に、今後の取り組みについてのお尋ねであります。
来年度は、EVの個人ユーザーへの販売が始まりますなど、本格的な市場投入、これが予定されておりますことから、県といたしましても、EV、PHVの普及に向けた取り組み、これをさらに充実させていく必要がある、このように考えております。
このため、来年度は、県みずからもPHVをさらに導入いたしますとともに、EV、PHVを導入する可能性のあります市町村、タクシー事業者、レンタカー事業者などに対する働きかけを行い、EV、PHVの導入拡大を図ってまいりたいと考えております。
また、EV、PHVの普及に不可欠な充電設備につきましては、先ほどのアンケート調査の結果において、その整備が望まれておりますスーパー等の事業者に対して、充電設備の整備を働きかけてまいりたいと考えているところであります。
さらに、試乗会、展示会の機会をふやしますとともに、リーフレットも作成しまして、県民の皆様方への普及に向けた啓発活動、これにも一層の充実を図ってまいりたいと考えているところであります。
また、EVの新しい都市内利用の姿といたしまして、カーシェアリングへの導入や集合住宅における共同充電設備の整備、さらには、充電設備の活用促進に向けました位置情報の発信などの取り組みも進めてまいりたいと、このように考えております。
こうした幅広い取り組みを積極的に進めますことにより、EV、PHVの本格的な普及を目指してまいりたいと思っております。
以上でございます。
- 60:◯副議長(鈴木孝昌君) 進行いたします。
伊藤辰夫議員。
- 61:◯十三番(伊藤辰夫君) 第四款県民生活費第三項社会活動推進費、飲酒運転の根絶対策について伺います。
今年度、警察委員会では、宮城県と北海道で県外調査を実施しましたが、宮城県での調査項目の一つが、飲酒運転の根絶を目指した条例の制定についてでありました。平成十七年五月二十二日に宮城県多賀城市内で飲酒暴走車による高校生多数が死傷するという凄惨な交通事故が発生し、この事故を契機に、県民の方々などの中に飲酒運転の根絶機運が高まったことを背景に、二年半の調査検討を経て宮城県飲酒運転根絶に関する条例が施行されたとのことです。
まず、ここで思うのは、県民の機運が高まって制定につながったという点です。
昨年中、我が愛知県内では、二十三件の飲酒運転絡みの交通死亡事故が発生しており、この件数は何と全国ワーストワンです。また、昨年中の飲酒運転の検挙件数は二千五百七十件で全国的に三本の指に入る数です。もちろん我が県警が事故防止のために他県よりも飲酒運転の摘発に力を入れた結果かも知れませんが、私にはとても五年も連続して交通事故死者数がワーストワンの県民意識とは思えないのですが、いかがでしょうか。
県として、飲酒運転根絶に向けた県民意識の醸成をどのように図っていかれるのか、お尋ねします。
この宮城県の条例の特徴として、飲酒運転の発生対策源ということで飲食店営業者や駐車場所有者などの責務を具体的に挙げて明確にしているとのことですが、私が最も関心を持った点は、この条例を受けての活動の中に、商工会、飲食店及び運転代行業者が連携して、運転代行補助券を発行し、運転代行車の利用促進を図っているという点です。
私の地元の飲食業界の方々からも、飲酒運転の罰則が厳しくなってからお客が減って大変だなどという声がよく聞かれます。不況の影響であるとか、それなら以前は客はみんな飲酒運転で帰っていたのかという議論は別として、お酒を提供する飲食店には車を使ってでもお客さんが集まり、しかも飲酒運転は撲滅させるという、いわば究極の対策の一つを宮城県では進めていると私は思うのであります。ただ、こうした別々の業界や機関が連携するには、やはり行政の力が最重要ではないかと思います。
そこでお尋ねします。
県として、宮城県のような飲食店業界と運転代行者などの連携といった取り組みについてどのように感じておられるのか、また、今後このような発生源対策について、どのように進めていかれるおつもりのか、お答えください。
県に対する質問の最後として、交通事故死者ワーストワンで、しかも飲酒運転絡みの交通死亡事故の発生もワーストワンという愛知県としては、宮城県のように、条例をつくってでも飲酒運転を根絶する意気込みが必要ではないかと思いますが、条例制定などについてどのようにお考えになるのか、お答えください。
関連して、警察本部長にもお尋ねします。
県警として、飲酒運転の根絶に関してどのように考え、どのような施策をとっていかれるおつもりなのか、お尋ねして、質問を終わります。
- 62:◯県民生活部長(大久保裕司君) 飲酒運転根絶について三点の御質問をいただきました。
まず最初に、飲酒運転根絶に向けた県民意識の醸成に関するお尋ねについてでございます。
飲酒運転につきましては、法改正による厳罰化が図られ、社会的な根絶機運が全国的に高まっている中、本県においては、減少傾向にはあるものの、飲酒運転による死亡事故件数がここ数年全国一多い状況であることは大変残念なことでございます。
県としましては、交通安全県民運動における年間の取り組み重点の一つでもある飲酒運転の根絶について、家庭や地域、職場において、飲酒運転をしない、させないための取り組みを引き続き県民総ぐるみで展開していくことといたしております。
具体的な取り組みといたしましては、市町村や警察、関係機関、団体の皆様と連携し、交通安全教室や交通安全イベント、地域の集会等におきまして、飲酒運転の危険性や飲酒運転がもたらす悲劇を訴えるとともに、法改正による罰則の強化を周知するチラシによる広報や、酩酊状態を疑似体験し飲酒運転の危険性を体感できるゴーグルなどを効果的に活用した啓発活動を実施してまいります。
こうした従来の取り組みに加えまして、本年一月に策定されました交通安全県民運動年間実施要綱におきまして、毎月二十日が飲酒運転ゼロの日、飲酒運転の増加が懸念される十二月が飲酒運転根絶強調月間として新たに定められました。
今後は、飲酒運転根絶に向けたキャンペーンやイベントを積極的に開催し、飲酒運転根絶の気運を一層盛り上げてまいります。
飲酒運転の根絶は、県民一人一人の自覚とモラルによるところが大でありますので、これらを喚起する啓発活動に一層努め、飲酒運転の根絶を期してまいりたいと考えております。
次に、飲食店業界や運転代行業者等との連携といった取り組みに関するお尋ねについてでございます。
飲酒運転に対する考え方としましては、お酒を飲む場所に車を運転していかないのが大原則でございます。お酒を飲む前は運転代行業社を利用するつもりであっても、アルコールの影響で規範意識や倫理感が希薄になり、運転代行を依頼するのが面倒になったり、大して飲んでいないから大丈夫との勝手な思い込みや、さらには、運転代行業者が込み合っていて利用できないなどの理由から、結局運転をしてしまうというおそれが多分にございます。
したがいまして、お酒を飲む場所には、まずは公共交通機関やタクシーの利用ということを第一義に考えていただきたいのであります。しかしながら、運転者がやむを得ず飲酒した場合には、運転代行業の利用が飲酒運転防止には有効な手段であります。
そうした観点から、県としても、飲酒をした運転者にかわって運転代行業等が利用されるような啓発を図っていくことも必要ではないかと考えております。
また、酒類を提供する飲食店に対しては、運転者には酒類を提供しないことの徹底を図るため、ポスターの掲出や講習会を随時開催するなどして、飲酒運転根絶に向けた意識やモラルの高揚を図ってまいります。
そうしたことにより、飲食店業者による客に対する飲酒運転防止の声かけや最寄りの駅までの送迎、あるいは運転代行の利用の推奨など、来店客に飲酒運転をさせないさまざまな取り組みが広がっていくよう努めてまいりたいと考えております。
最後に、飲酒運転根絶のための条例制定に関するお尋ねでございます。
現在、この種の条例を制定している県は、宮城県のほか大分、山形、沖縄の計四県でございます。いずれもその内容は、県や県民、事業者、飲食店営業者等の飲酒運転根絶に向けた責務規定が中心となっております。
県といたしましては、条例の実効性や県民の皆様に対する啓発効果等につきまして、県警察本部とも十分意見交換し研究してまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 63:◯警察本部長(河邉有二君) 飲酒運転の根絶についての考え、施策についてお答えいたします。
県内の飲酒運転による交通死亡事故は、平成十九年に飲酒運転に対する罰則が強化されたことなどから年々減少しておりますけれども、依然として後を絶たず、議員お示しのとおり昨年も二十三件発生し、全国最多でありました。
私どもといたしましては、飲酒運転取り締まりを強化するとともに、飲酒運転を行った者に酒類を提供した飲食店や同乗していた者などの責任についても徹底した捜査を行っているところであります。
また、本県は、飲酒運転根絶の受け皿として期待されている運転代行サービスの利用が他府県に比べて非常に低調ですので、国土交通省とタイアップして運転代行業者の組織化や健全化を図り利用促進に努めるとともに、県や自治体等の関係機関や飲食店業界等と連携して飲酒運転根絶キャンペーンを実施するなど、広報啓発活動を推進し飲酒運転の根絶に努めているところでございます。
今後、こうした施策を一層強化するため、春の組織改正により、全国に先駆けて、交通総務課に飲酒運転根絶対策係を新設することといたしております。
いずれにいたしましても、飲酒運転は重大事故に直結する悪質、危険な違反であり、徹底した取り締まりと根絶意識の高揚を図ってまいりたいと考えております。
- 64:◯副議長(鈴木孝昌君) 進行いたします。
峰野修議員。
- 65:◯二十四番(峰野修君) 私からは、歳出第五款環境費第二項自然環境費のうち、あいち自然環境保全戦略推進費についてお伺いいたします。
今年十月に開催されるCOP10は、この地域初の本格的な国際会議であり、八千名以上の参加者が想定される大規模な会議であります。その会議の開催県として安全、円滑な運営を支援し、参加者をおもてなしすることは大変重要な仕事であります。ちなみに、COP10の主要議題としては、一、ポスト二〇一〇年目標、二、ビジネスと生物多様性、三、都市と生物多様性、四、遺伝資源へのアクセスと利益配分、五、生物多様性の経済評価、六、生物多様性に関する科学政策プラットフォームなどの政府間会合であります。
しかし、地球規模の課題を議論するCOP10という会議の開催地として愛知の名をより大きく歴史に刻むためには、会議の運営をしっかり支援するということとあわせて、世界のお手本となるような先駆的な取り組みを本県が行っていくということが必要であると思います。
このような背景を踏まえ、本県は、昨年三月にあいち自然環境保全戦略を策定し、その推進を図っているところであると理解しております。
この戦略では、人と自然の共生の実現を目標に掲げておりますが、物づくりを初め、農業や水産業など多様な産業の集積を有する本県にとって、生物多様性の保全とその持続可能な利用とをいかに両立させていくかということは、大変重要な課題であると思うのであります。
私たちの暮らしは、生物の恵みによって支えられております。例えば、米や野菜など食べ物のほとんどすべてが生物であります。いただきますと言うのは、生物の命をいただいていることへの感謝の言葉であると思います。また、医薬品の多くは生物からつくり出されております。私たちが呼吸によって取り込んでいる酸素は植物がつくり出しているものであり、森林は酸素を生むだけでなく、水源を養い災害の防止にも大きな役割を果たしています。水田や森林といった第一次産業の生産の場は、同時に生き物の生存の場でもあります。したがって、あいち自然環境保全戦略を効果的に推進していくためには、第一次産業の生産の場をどのようにして生き物の生存の場として生かしていくかということが大切ではないかと考えるものであります。
そこで、あいち自然環境保全戦略費のうち、来年度の新規事業として計上されている自然共生社会推進調査費についてお尋ねいたします。
この事業では、水田や森林、緑地、水辺などをつなぐ生態系ネットワークの形成を目指して、モデル事業の実施に向けた調査検討を行うと伺っておりますが、この生態系ネットワーク形成のモデル事業とはどのような考えで、どのような取り組みをされるのか、伺います。
- 66:◯環境部長(藤井敏夫君) 生態系ネットワーク形成のモデル事業についてのお尋ねをいただきました。
生き物には、生きていくためにえさをとり、また、休息や繁殖を行う場所となる森、水辺、草地など第一次産業の生産の場も含め、さまざまな環境が一体として存在している必要があります。しかしながら、近年の開発や社会構造の変化に伴いまして、これらの環境が分断されたり、あるいは劣化しつつあるという状況にあります。このようなことから、これを再生し、一体のものとしてつないでいく、こういう生態系ネットワークの形成、これが大変重要な課題となってきているところであります。
こうしたことから、来年度、県内の市街地、里地、里山を代表する三つの地域におきまして、生態系ネットワークの形成に向けたモデル事業、これに着手することといたしております。
このモデル事業の内容でありますが、まずは、これらモデルとする地域の自然環境についての情報をしっかり収集、整理しますとともに、学識者、企業、NPO、あるいは市町村などの参加を得まして、地域にふさわしい生態系ネットワークの姿、あるいはこれに向けた取り組み方法などについて検討していただき、その成果を実施計画として取りまとめる、さらに、緑地や水辺で生き物の住みかなどをつなぐネットワーク形成の取り組みにも着手していくと、このように考えております。
さらに、今後これらのモデル事業の成果を踏まえ、生態系ネットワークづくりに向けましたガイドラインなどを作成いたしまして、県内全域へ普及させていきたいと、このように考えているところであります。
以上であります。
- 67:◯二十四番(峰野修君) 要望させていただきます。
ただいまの環境部長の御答弁をいただきまして、私も先回の一般質問に続いての議案質疑であります、あいち自然環境保全戦略、いただきましたパンフレットを五回ほど読み返してみましたけれども、なかなかやはり対象が目に見えないというか、効果が目に見えにくいという事業でありますので、非常にわかりにくいというか、説明しにくいかなというのが実感であります。その中でも、やらなければいけないということは、最近のいろいろな事例からも明らかでありますので、何とか皆さん、全体の総意、英知を結集して取り組んでいく事業であろうというふうに認識しております。
それから、環境省のほうでいただいた資料によりますと、二十七項目、四十七億円の独自事業の展開をなされるという形で伺っております。それをいかに愛知県の中で取り込んでいくかということで、いろいろな関係の資料もいただきました。まだまだ知られていないことがあると思って見させていただきました。
その中に、申しますと、地域生物多様性協議会という、そういったものをつくっていこうということで、野生鳥獣の保護管理であったり、重要地域の保全、再生であったりという項目で上げられております。
それから、国連大学への拠出金として、国際SATOYAMAイニシアティブ構想推進事業という形での予算も組まれておるということで、国内外の調査、未来に引き継ぎたい里地、里山の調査であったり、自然資源の管理、利活用方策の検討、世界における事例調査、それから、それをもとにして国内における取り組み支援というようなことも言われておるようでありますので、愛知県としても、そのような取り組みをできるだけわかりやすく具体的に、地域として取り組めるような方策として考えていく。特にこれは、市町村というのはわかりにくいものですから、そういう意味での愛知県の位置というのは、非常に重要であると私は考えておりますので、ぜひそのような視点を持って取り組んでいただきたいということと、わかりやすく具体的な形で検討をしていっていただきたいと要望して終わります。
- 68:◯副議長(鈴木孝昌君) 進行いたします。
森下利久議員。
- 69:◯二十六番(森下利久君) 通告に従いまして、私から、歳出第五款環境費第一項環境対策費のうち、衣浦港三号地最終処分場の設置事業について質問をさせていただきます。
三R(リデュース、リユース、リサイクル)の進展により産業廃棄物の最終埋立処分量は年々減少いたしておりますが、県内で排出される廃棄物について、一般廃棄物は約三十万トン、産業廃棄物は約百十万トンが一年間に埋立処分をされておる状況にあります。
一方、民間業者や市町村による最終処分場の設置は困難な状況となっており、処分場が確保できない事態が生ずれば廃棄物の適正処理に困難を来し、産業界や県民に多大な影響を及ぼしかねません。
こうしたことから、県においては、安全・安心な最終処分場を公共関与により整備し、これまで名古屋港南五区において広域的廃棄物の受け入れを行ってきたところであります。平成二十一年度をもって廃棄物の受け入れ事業を終了したと聞いております。
また、衣浦地区では、衣浦港臨海の周辺市町が中心になり、財団法人衣浦港ポートアイランド環境事業センターを設立し、最終処分を行ってきたところでありますが、この処分場についても受け入れ可能な容量が少なくなってまいりました。
こうした中、産業界及び市町村からは、新たな広域処分場の早期整備との要請があり、県はこれを受け、衣浦港三号地において、平成二十二年度当初の開業を目指して施設整備を進めてきたところであります。
この衣浦港三号地処分場は、名古屋港南五区において実績のある財団法人愛知臨海環境整備センター、いわゆるアセックが事業主体となり、平成二十年四月に工事着手をしましたが、十三年に施工された地盤改良工事において、鉄鋼スラグが使用されたことによりかたくなった海底地盤のあることが確認をされ、この対策工事のため、当初計画に比べ工事完了が九カ月ほどおくれることになり、新しい処分場の全面供用は二十三年一月ごろになると聞いております。
一方、名古屋港南五区の処分場は、既にこの二月末をもって廃棄物の受け入れを終了したと聞いており、衣浦港三号地の処分場の全面供用まで十カ月の空白を生じることになりますが、事業者にとっては深刻な状況ではないかと懸念をいたしております。
また、私は、工事着工前の平成十九年の六月及び二十年の二月の県議会において、この処分場の整備事業に関し、護岸の安全性、環境保全対策についてお尋ねをし、耐震性、遮水性に関して万全な対策を要請したところでございます。
さらに、昨年の九月、現地を視察させてもらいましたが、アセックから工事の概要について説明を受け、お願いしたとおり耐震性、遮水性に関して万全な対策を講じていることが確認できました。
しかしながら、硬化地盤の問題が明らかになり、住民や海域の関係者は、今回の処分場整備工事に対する漠然とした不安を口にされることもあります。こうした地域住民等の不安をなくすため、工事の内容、進捗状況を十分に説明していくことが大切だと思います。
そこで、三点についてお伺いをいたします。
まず、一点目といたしまして、衣浦港三号地の廃棄物最終処分場の整備事業の進捗状況はどのようであるのか、お伺いをいたします。
二点目といたしまして、衣浦港三号地処分場の開業がおくれることに関し、処分場確保に苦慮している排出事業者や市町村に対して、何らかの対応が必要ではないかと思いますが、県としてはどのようにお考えなのか、お伺いをいたします。
三点目といたしましては、工事中はもとより供用開始後においても、地域住民への適宜適切な情報を公開するなど、地域住民等の不安をなくすための取り組みが必要であると思いますが、いかがお考えなのか、お伺いをいたします。
以上で質問を終わります。
- 70:◯環境部長(藤井敏夫君) 衣浦三号地廃棄物最終処分場に関して三点の御質問をいただきました。お答えを申し上げます。
一つ目は、整備事業の進捗状況であります。
衣浦三号地廃棄物最終処分場につきましては、瓦れき、ガラス、ガラスくずなどの廃棄物を埋め立てする安定型区画と、燃え殻、汚泥等の廃棄物を埋め立ていたします管理型区画、この二つがあります。
安定型区画の護岸の建設工事につきましては、四月末ごろに完了をし、排水処理施設や管理施設の建設工事が六月ごろまでとなりますので、安定型区画の供用開始は本年七月ごろを予定しているところであります。
また、管理型区画につきましては、議員お示しの、鉄鋼スラグのかつての使用を原因といたします硬化地盤の影響によります護岸建設工事の日程のおくれがあり、これを取り戻すべく本年十二月ごろの完成を目指しまして、鋭意工事を進めているところでありまして、供用開始は来年の一月ごろの見込みとなっておるところであります。
いずれにいたしましても、名古屋港南五区処分場は二月末をもって廃棄物の受け入れを終了しておりますことから、一日でも早い衣浦三号地廃棄物最終処分場の供用開始を目指しまして、事業主体であるアセックとともに着実に整備を進めてまいりたい、このように考えているところであります。
次に、衣浦港三号地最終処分場の供用開始がおくれることに伴う排出事業者等への対応についてであります。
これまで、安定的に廃棄物の埋立処分を委託することができた名古屋港南五区の処分場がなくなり、新処分場開業までに空白期間が生じますことは、南五区処分場を利用していた排出事業者などにとりまして大きな影響があるものと、このように認識をいたしております。
このため、この空白期間におきます廃棄物の処理体制につきまして、関係者と種々調整、検討をしてまいったところであります。
その結果、財団法人豊田加茂環境整備公社及び同公社の処分場があります地元豊田市の御理解をいただきまして、衣浦港三号地最終処分場が開業するまでの間につきましては、これまで受け入れていた区域を豊田市及びみよし市に限定していたところ、地域限定を解除して受け入れていただくこととなったところでありまして、空白の期間も支障なく埋立処分が継続できる体制、これが整ったところであります。
三つ目のお尋ねは、工事中及び供用開始後におきます地域の皆様方の不安を解消するための取り組みについてであります。
まず、工事中におきましては、事業者でありますアセックが定期的に実施をしております周辺海域の環境モニタリングの調査結果や工事の進捗状況などについて、有識者や地元の武豊町内関係者などで構成をいたします環境監視協議会において報告をし、工事による環境への影響がないことを御確認いただいてきたところであります。
また、この調査結果などは、アセックのホームページと武豊町の役場内に設置しております情報コーナーでも公開しているところであります。
供用開始後におきましても、地域住民の皆様方の御理解が得られるよう、必要に応じて廃棄物の処理や維持管理の状況、環境モニタリング調査結果などについての説明会を開催するなど、きめ細やかな情報の提供に努めることといたしております。
いずれにしましても、県とアセックが連携をいたしまして、住民の皆様に安心していただけるよう、情報の共有化を図り、安全性と信頼性の確保に万全を期した廃棄物埋立事業を推進してまいる所存であります。
以上でございます。
- 71:◯二十六番(森下利久君) ただいま、それぞれ三点にわたる質問のお答えをいただきました。
そこで、数点の要望をさせていただきたいと思います。
衣浦港ポートアイランドの処分場につきましては、地域、産業界からの要請にこたえ、廃棄物の埋立期間、終了期間を本年十二月まで延長することになったとお聞きしまして安心をいたしました。いずれにしても、衣浦港三号地の処分場の一日も早い供用開始を望むところでありますが、地域住民等が安心できるように計画をいただいた施設の耐震性や遮水性に万全を期すために、まず、間違いのない工事、施工を第一に望むものであります。
今議会に、三号地処分場の供用がおくれた原因となった工事の施工業者への損害賠償請求に関する訴えの提起が提案されております。四十億円を超える損害賠償の請求であり、難しい裁判となることと思いますが、県民は不正工事があったことを許すものではありません。どうか県民を代表して、県が一丸となって施工業者を追求していただくことを強くお願いをいたしますし、また、衣浦港の三号地処分場へは十数年にわたって県内全域からの廃棄物が搬入され、地域住民はこの施設と長期にわたって共存をしていくことになります。お示ししたように、これまで同様、処分場運営に関する住民の理解が進むよう取り組みを引き続きお願いしますとともに、今後におきましても、住民に受け入れられる施設となるように、武豊町とよく協議をしながら、必要な地元周辺対策、周辺の環境対策を講じていただきますよう強く要望いたしまして終わります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 72:◯三十八番(大見正君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 73:◯副議長(鈴木孝昌君) 大見正議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 74:◯副議長(鈴木孝昌君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午後二時五十二分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後三時四十分開議
- 75:◯議長(吉川伸二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
高木ひろし議員。
- 76:◯五十番(高木ひろし君) 私は、歳出第三款地域振興費第一項地域振興総務費、設楽ダム関連予算について伺いたいと思います。
鳩山内閣のコンクリートから人へという方針に基づきまして、国土交通省は、これまで進めてきた公共事業全体の抜本的見直しに着手をいたしました。ダムに関して言えば、群馬県の八ッ場ダム、熊本県の川辺川ダムを正式に本体工事を中止とし、生活関連工事を切り離して継続するということ、このほか全国九十カ所で実施中のダム事業につきましては、本体工事に入ることを凍結し、事業実施の是非そのものについて検証の対象にすることを決定いたしました。公共事業費を対前年比で一八・三%も切り込んだ画期的な政府予算を編成したところであります。
昨年十二月十五日、前原国土交通大臣は、ダム事業の関係する本県を含めた道府県知事あてに、できるだけダムに頼らない治水への政策転換に対する協力のお願いと題した文書を出しております。知事も受け取られたことだと思います。
この背景には、国の長期債務がGDPの一・九倍という危機的な水準に達したこと、そして、この長期債務を生み出したものに、公共事業に大きく依存する日本の特殊な経済、財政体質の問題があると、こういう認識があります。
そして、また、これだけ公共事業に国の資金を投入する仕組みとしての旧治水特別会計、社会資本整備特別会計の問題にもメスを入れようとしております。これが、この四月から始まる事業仕分け第二弾であります。そして、本県が深く関係する設楽ダム、あるいは木曽川水系連絡導水路、この二つの大きな事業についても、凍結、再検証の対象とされたわけであります。
検証の手順は、国交省によりますと、九人の有識者会議、十二月三日に初会合が開かれておりますが、今日まで五回開かれているこの会議によります今後の治水対策のあり方についての討議を進め、本年夏ごろに中間報告をまとめる、そこに盛り込まれる新たな基準に沿いまして個別事業の検証に入っていくと、こういうことになっております。
この段階で、地元自治体を初めさまざまな利害関係者との協議や、専門家による討議が必要となると思いますが、個別の事業を中止するのか、継続するのか。中止する場合には当該地域の生活再建や地域振興を含めた手当をどうするのかなど、重たく複雑な課題に結論を出さねばならず、相当な労力と時間がかかることが予想されます。
このような国の大きな政策転換を受けて、今、本県としては何をなすべきなのかということについてお尋ねしたいと思います。
まず第一は、県自身としても、これら二つの事業について、改めてさまざまな角度から虚心坦懐に検討を加え、県民に開かれた形で議論をし直してみるべきではないかということであります。今日の国、地方を通じた危機的な財政状況を考えたときに、国の予算を投入するにせよ、県の予算を投入するにせよ、総事業費三千億円を超す設楽ダム事業、九百億円を投じる導水路事業による費用対効果は、改めて厳しく吟味される必要があります。
この論点として主なものを列挙してみますと、一、それぞれの事業の治水、利水上の効果というものを一体どのように評価するのか。二として、特にダムの場合、堆砂による維持コストへの影響をどのように見積もるのか。三として、特に治水の効果は、河道の改修や堤防の改修、強化、また流域の森林整備など、ダム以外の手法によってどの程度可能なのかという問題。四番目には、発電、農業用かんがい、都市用水、それぞれの利水における水利権の調整の仕組みというものを一体どう改革すべきかという問題。五番目として、水没で失われる森林の価値。この設楽ダムの場合も、三百ヘクタールに及ぶ水没の中はほとんど森林であります。この価値をどう計算の中に入れるのか、そして、これが注ぎ込む三河湾の海域に、水質を含めてどのような自然生態系に影響を及ぼすのか。六番目に、そもそも流域住民が川というものとどうかかわっていくべきなのか、こうした根本的な問題も含めて極めて多岐にわたります。しかも、こうした問題は容易に我々素人が口を挟むことを許さない専門的な知見が、鋭く対立した形で示されておることも見ておかなければなりません。
片方の導水路問題をめぐりましては、昨年七月、名古屋市長が主催をされまして、賛成反対双方の立場の有識者を交えた公開討論会が公邸で開催されました。私も参加させていただきましたけれども、極めて限定されたただ一回の場であったとはいえ、これを開催したことによりました市民の関心の盛り上がりというのは非常に大きかったと思います。そして、問題の本質がこれによってかなり浮き彫りになったことは事実でありました。その後の地元新聞社の世論調査によれば、名古屋市民の八割がこの導水路は必要ないのではないかという判断に傾いております。
愛知県は、この導水路についても設楽ダムにつきましても、これまで推進一本やりで来たわけでありますけれども、ここに来て、その事業主体である国が、一たんここで立ちどまって再検討してみようと言い出したわけでありますから、県としても客観的で冷静な議論の場をつくるべきであります。そして、論点を整理し、県民意見を集約する作業を地元でも早く始めることによりまして、国が個別事業の検証の段階に至った際に、その結論を促すことにもつながるのではないかと考えます。
事業に批判的な立場の専門家の方を交えた有識者会議を設置するとか、あるいはそうした専門家をパネリストとして公開討論会を設定するなど、県民の意見形成に資するようなアクションを起こしてはどうかと提案したいと思いますが、県のお考えをお聞かせください。
二点目の問題は、今提案されております県の新年度予算に計上されておる設楽ダム事業にかかわる水源地域の振興対策についてであります。
本体工事が、今述べましたように、凍結されまして、ダムそのものを建設するのか中止するのか、これから一、二年かけて再検討しようという段階に入ったにもかかわらず、ダムの関連道路の整備や、水没を前提とした土地改良、水道整備など、公共施設の建設土木事業が昨年の三割増の二十四億円も計上されている点であります。
こうした事業の中には、もし本体工事が中止とされた場合には全く無駄となってしまうものがかなりあると思われます。確かにダム関連事業と位置づけられることによって国や県の補助率が上がったり、優先採用されるという事情から、地元設楽町にとっては極めて少ない負担で道路など公共事業が整備できるというメリットがあることは周知のことでありますけれども。こうした事業の連鎖が、これまで一たん動き出した公共事業はとまらない、その見直しは極めて困難だと言われる構造を構成したものであることを留意しなければなりません。
一方、ダム関連予算の中には、長年にわたってダム計画に翻弄され続けてきた住民の皆さんのいわゆる生活再建対策、移転先の住居の保障や生活資金の貸し付け等の事業もありまして、これらが停滞させることができないということも事実であります。これを分けることが必要だと思います。
こうしたダムの結論が出るまで進めるべきでない事業と、ダム本体の結論いかんにかかわらず独自に進めてもよい事業との仕分けがきちっとできており、国の言うとおり最小限の予算となっておるのかどうか伺っておきます。
- 77:◯地域振興部長(片桐正博君) 設楽ダムに関して二点御質問をいただきました。
まず、ダムの問題について県民の意見形成に資するアクションを起こしてはどうかとの提案でございますけれども、設楽ダムは、豊川水系におきます水資源開発基本計画や豊川水系河川整備計画の策定において、専門家の意見を十分聞きながら、利水面、治水面での必要性及びその効果を十分に検討、検証を重ねまして、国により平成二十年十月に設楽ダム建設の基本計画の決定がされたところでございます。
したがいまして、県といたしましては、設楽ダムの建設自体の是非について、改めて検討する場は必要ないと考えております。
なお、設楽ダムの計画の必要性や水需要予測、さらには県民の方々などから寄せられる疑問や意見に対する御説明は県のホームページに掲載し、いつでもどなたでもごらんいただけるようにしているところでございます。また、県民からのさまざまな問い合わせ等につきましても、その都度丁寧に説明させていただいているところでございます。
次に、ダム関連予算は仕分けがきちっとできており、最小限の予算となっているかとのお尋ねにお答えを申し上げます。
設楽ダムにつきましては、これまで流域が受けてきた渇水や洪水の被害の状況を踏まえ、国において河川法の改正や環境影響評価法の制定を見定め、慎重に建設に係る法手続を進めてきた事業であり、今後の検証作業においてもダムの必要性は理解されるものと考えております。
道路や簡易水道などの整備を行う水資源地域の振興対策は、設楽町の要望をもとに、水資源地域対策特別措置法に基づき、国が決定いたしました水資源地域整備計画等に沿って実施するものでございまして、その実施に必要な所要額を計上させていただいておるところでございます。
なお、当面予定しております振興対策は、水没しない地域において実施するものでございまして、検証結果のいかんにかかわらず整備の効果が発揮され、設楽町の活性化に寄与するものでございます。
以上でございます。
- 78:◯五十番(高木ひろし君) 大体私も予想いたしました回答ではございますが、さすがはぶれない、このダムについては特にぶれない知事が副知事に指名された部長らしい御答弁と思いますが、私は、今日の大きな時代の転換点にありまして、こうしたいわば問答無用、説明は聞かれればするが、みずから世論の形成や論点を浮き彫りにするようなことは必要ないと言って捨てる姿勢は非常に問題ではないかというふうに思います。
これからの一年を考えてみますと、秋にはCOP10、世界じゅうから自然環境保護に、生態系に極めて鋭い感覚を持つ専門家たちがこの愛知に集いまして、当然ここでは、この地域で行われる公共事業がどのような生態系への影響を与えるかということについても関心を呼ぶでしょう。そうしたときに、かつての海上の森で計画された新住事業と、そして、それによる万博の開催という基本方向が大きく変更を余儀なくされたような事態を迎えないとも限りません。
私は、県がこれまで、ダムに関して言えば、矢作川の河口堰という、これも大きな長年にわたる事業、国の事業の中止を受け入れた経緯もあります。そして、今述べましたように、万博に絡んで、空港に絡んでも幡豆の土砂採取の大きな事業を中止したり、万博会場における海上の森の利用について、開かれた県民討議を経て大きな変更をし、そして、結果的には国際世論も納得する万博の成功に導いたという貴重な経験も知事自身お持ちなわけでありますから、この事業に関しても、もう絶対反対とか絶対推進という二分法ではなく、もう一度これは県民の立場から、そして、新たな学識の経験、国際的な動向も踏まえた議論が加えられるべきであるということを強く提案申し上げまして、意見といたします。要望といたします。
- 79:◯議長(吉川伸二君) 進行いたします。
神戸洋美議員。
- 80:◯二十八番(神戸洋美君) 私からは、歳出第三款地域振興費第一項地域振興総務費、県営名古屋空港の役割と取り組みについてお伺いします。
県営名古屋空港は、コミューター航空やビジネス機など小型機の拠点空港として開港し五周年を迎えました。開港当初は六都市へ就航していた路線も、現在は九都市まで拡大し、旅客も平成十七年度に約三十万人であったものが、昨年度は四十一万人を超えるなど、着実に利用されております。
中部国際空港の建設に当たっては、名古屋空港において自衛隊の基地化が進むと危惧し、民間機の運航を強く要望した地元としても一安心しているところであります。
このような中、経済界の一部から、県営名古屋空港の定期便を中部空港へ一元化すべきという発言があった旨の報道がありました。これは、県営空港の地元の事情や今までの経緯、経過を全く無視した発言であります。空港周辺の春日井市、小牧市、豊山町からは強い怒りの声が上がっており、私としても心穏やかではありません。
さきの神田知事の御答弁のとおり、一都市二空港の考え方のもと、両空港がそれぞれの役割を分担しながら、連携、補完して、この地域の発展につなげていくのが最も望ましいと私も確信をしております。
県営空港で行われているコミューター機による運航は、非常に評価されたビジネスモデルであり、運航事業者であるジェイエアは、広島西空港から県営空港に本社を移してきて成功であったと聞いております。最近では、ブラジルのエンブラエル社製E170という新機材を導入するなど事業を着実に拡大されており、日本航空グループの中でも重要な役割を担う企業に成長していると伺っております。今日では、会社の従業員数も五百人を超える規模にまでなり、周辺地域には雇用を初めとする大きな経済効果をもたらしております。この点からも、ジェイエアにおかれましては引き続き県営空港に本拠地を置き、この地域の航空ネットワークの維持、充実ができるように役割を担っていただきたいと考えております。
そこでお伺いします。
第一点目として、ジェイエアが今後も県営空港に本社、本拠地を置き、地域に親しまれる航空会社として成長してほしいという地元の期待に、県としてどうこたえようとお考えなのか、お聞かせください。
次に、県営名古屋空港の課題についてお伺いします。
先日、県営名古屋空港開港五周年記念式典に出席させていただいた際に、改めて空港全体を見学する機会を得ました。滑走路に面した場所には新しい格納庫が建ち並び、コミューター航空やビジネス機の拠点として着実に整備が進んでいるとの印象を受けました。関係者からは、今後とも小型機の活躍する分野がますます広がることが予想され、新たな格納庫用地などのニーズは高いとお聞きしました。
また、空港隣接地ではMRJの開発、生産が進められているなど、航空機産業の面でも県営空港の役割がますます増大してきております。
そこでお伺いします。
第二点目として、今後増大するニーズに対応していく必要があると考えますが、現在の県営名古屋空港が抱える課題にどのように取り組んでいくのか、お考えをお伺いします。
次に、歳出第五款環境費第一項環境対策費、生物多様性条約締約国会議開催支援費について質問いたします。
生物多様性条約第十回締約国会議COP10の開催まで、残すところ七カ月となりました。
COP10は、条約に基づき国連や政府が行う会議ではありますが、生物多様性はありとあらゆる人々に深いかかわりを持つものであり、さまざまな主体がみずからの問題として認識し、世界的な議論を行い、それぞれの立場から発信していくことが重要です。
このため、COP10あいち・なごや開催計画においても、自治体、企業、学術、NGO、NPO、子供、青年などの各主体による世界規模での会議などがCOP10に合わせ計画されております。中でも、とりわけ未来を背負う子供や青年がCOP10に参加していくことが重要と考えます。
都会に暮らしている日本の子供たちや青年は、自然と実際に触れ合うことが随分少なくなっているものと感じております。私は幼児教育の現場にもかかわっておりますが、ダンゴムシやカタツムリを知らない、さわることができない子がふえてきました。地元春日井市はまだ自然が多く残り、公園も整備され緑が美しい町ですが、駅周辺や町の中心地ではマンションやアパートが建ち並び、町の風景が大きく変化しています。
さらに、不審者情報が飛び交い、戸外で子供たちが遊ぼうと思っても、危ないからと親が警戒して出さないため部屋の中で遊ぶことが多くなり、日常生活の中で自然に触れる機会が極端に減少しています。
このため、生き物についての関心も少なくなり、自分たちの生活が生き物からの恵みによって支えられているという事実をなかなか認識できないものと思います。ましてや、海外からの食料、資材などが輸入されることによる海外の生き物への影響については実感することがなおさら難しいことでしょう。
しかし、私たちの暮らしは生態系からの恵みがなくては成り立ちません。身の回りの自然、国内の自然、海外の自然、そのすべてが私たちにとって必要なものなのです。例えば、インフルエンザ治療薬のタミフルは、八角という植物からの抽出物が原料の一つです。スズメバチの繭から取り出したホーネットシルクは、細胞が表面に付着しにくいため、傷が治った後、患部を傷つけずにはがせる可能性があり、医療分野への応用が期待されています。新幹線の車両はカワセミのくちばしの形状をまねたものですし、ハスの葉の微妙な凹凸によって球状になった雨水が汚れとともに流れ落ち、葉の表面が清潔で乾燥した状態に保たれる性質を利用して、水や汚れを強力にはじく塗料を開発しました。
生命の誕生は三十六億から三十八億年前、これまでに大絶滅が五回発生しており、現在は第六回目の大量絶滅時代と言われ、人間活動による影響でけた違いの速さで一年に四万種が絶滅しており、地球は大変な危機に遭遇しているのです。次代を担う子供たちや青年に、我々人間は大自然の一部であり生物多様性の恵みをたくさん受けていることを伝え、環境問題への理解と関心を深めていくことが美しい地球を守るために重要なことと考えます。
こうした中で、COP10の開催は、子供たちや青年が日本や世界の生物多様性に関心を持つ大きなチャンスとなります。とりわけ日本の子供たちや青年が、国際子ども環境会議や国際ユース環境会議の場において海外の子供や青年と直接話し合うことは、世界の生物多様性の状態を実感し、自分たちが世界の生物多様性とどうかかわっているのかを肌で感じる絶好の機会と考えます。
そこでお尋ねいたします。
これらCOP10において計画されている子供、ユースによる国際会議について、具体的にどのように行おうとしているのか、お伺いします。
- 81:◯地域振興部長(片桐正博君) 県営空港に関して二点お尋ねいただきました。
まず、ジェイエアに対する地元の期待に関する県の対応でございますが、県営空港はコミューター航空などの小型機の拠点空港を目指し、そのためさまざまな工夫をしながら取り組んでまいっております。
施設面におきましては、地上から直接乗り入れるコミューター航空機の特性に合わせまして、旅客動線をすべて一階に集約したコンパクトなターミナルにつくり変えたり、日本初の屋根つき搭乗用通路、いわゆるフィンガーコンコースを整備するなど、利用者の利便性を追求した整備を進めてまいりました。
また、開港当初から、利用促進団体として県や地元市町、経済界で県営名古屋空港協議会を構成し、就航路線やすぐれた利便性のPRに努めてまいりました。
こうした取り組みの成果として、ジェイエアが県営名古屋空港の開港と同時に本社を移して五年が経過し、就航先は開港時の六都市から現在九都市に広がっております。
また、ジェイエアは、ことし二月には機材を整備するための格納庫を新設するなど、県営名古屋空港を本拠地として事業展開する形を充実させつつあります。
しかし、昨今の景気後退により航空業界を取り巻く環境は非常に厳しいものがあります。日本航空は経営再建の最中であり、今後のジェイエアの県営名古屋空港を拠点とした路線展開についても不確定な部分がございます。
このため、ジェイエアが引き続き県営名古屋空港を本拠地として事業展開できるよう、現在の着陸料の減免に加えまして、本議会で条例の一部改正をお願いしておりますように、ジェイエア本社事務所に係る使用料の減免も講じてまいりたいと考えております。
また、利用促進に当たりましては、県営名古屋空港協議会を中心に県と市町村、経済界が一体となって取り組むとともに、さらに就航先の各地域とも相互に観光地や見どころ、イベントのPRをするなど、連携を強めてまいりたいと考えております。
その際には、さきの五周年イベントでお披露目をいたしましたマスコットキャラクターなごぴょんを活用するなど、皆に親しまれ、より多くの方々に利用いただける空港となるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、県営名古屋空港の課題への取り組みについてでございます。
今年度、空港内の事業者や航空関係者に対しまして、今後の事業展開や空港の利用ニーズなどについてヒアリングを行うなど、県営名古屋空港の課題とその対応について調査検討を行ってまいっております。
その結果、先ほど申し上げましたジェイエアが本拠地として展開する中で機材の増加に対応できる駐機スペースが不足していること、また、ビジネス機の拠点に不可欠な格納庫の用地が不足していること、ビジネス機ユーザーに対する本格的なサービスが提供できる機能がないこと、さらには、MRJ事業が本格化した時点において、完成機のテスト飛行に対応できる駐機スペースが不足する見込みであることなどの課題が明らかになってまいっております。
さらに、今後十年ほど先を見通したときに、欧米のみならず、中国などアジアでも利用が広がりつつあるビジネス機の需要増や、MRJなど航空機産業に不可欠な空港として県営名古屋空港の重要性が高まることが予測されております。
こうした中長期の見込みの中で、今後の空港整備のあり方について、どのような施設が、どの程度の規模で必要となるかなどを中心に空港機能の拡充を目指しまして、さらに調査検討を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 82:◯環境部長(藤井敏夫君) COP10におきます子供、青年による国際会議についてのお尋ねであります。
地球の未来を担う子供、青年がCOP10に参加して、世界規模で議論をし、交流を深めることは大変重要であります。
まず、国際子ども環境会議についてでありますが、この会議では、COP10開催期間中の十月に、国内外約百七十名の小中学生の参加のもと、生物多様性に関連した幾つかのテーマごとに生物多様性の保全に向けみずから取り組んでいくことや、大人に要望することなどについて議論をしていただきますとともに、この結果を、この後に開催します千名規模の子供などが参加する全体会議の場でさらに意見交換をして、未来を担う子供たちの宣言として取りまとめることといたしております。
加えて、会議終了後におきましては、海外から参加する子供たちが県内の学校などを訪問し、子供たちと交流を深める予定であります。
次に、国際ユース環境会議についてであります。
この会議では、夏休み期間中の八月に、国内外の約百名の高校生及び大学生の参加のもと、昨年八月に開催をいたしましたアジアユース会議の経験、成果を踏まえ、分科会やエクスカーションなどを通じて生物多様性についての青年としての行動計画などを取りまとめますとともに、この成果を国内の同世代に広く周知し、取り組みの輪を広げるため、この後に開催をいたします一千名規模の青年などが参加する場で発表をすることといたしております。
さらに、海外からの青年の参加者につきましては、ホームステイや大学などへの訪問により、この地域の青年と交流を深めていただくことも予定をしているところであります。
また、これら二つの会議でまとめられました成果につきましては、COP10の閣僚級会合の場などでしっかりと発信をしていきたいと考えております。
こうした議論、交流の場を通じまして、本県の未来を担う子供、青年が地球規模での生物多様性の課題や解決の方向について理解を深め、さらなる行動へとつなげていければと、このように考えているところであります。
以上でございます。
- 83:◯二十八番(神戸洋美君) ただいま、それぞれに答弁をいただきました。
私から一点要望させていただきたいと思います。
私も、二月十七日に行われた名古屋空港の開港五周年記念式典で、公募で選ばれたなごぴょんというイメージキャラクターに会いました。ペンギンとジェット機がミックスされたゆるキャラというようなそういう感じだったんですけど、でも、子供たちはとても喜んで、一緒に写真におさまっておりました。子供たちの将来の夢と言いますと、男の子は必ずパイロットですし、女の子はキャビンアテンダントというのは定番でありますので、その空港自体が子供たちの大きな夢が膨らんでくる場所だと思います。
また、式典及び講演などにも、関係者だけでなく一般の方々も本当にたくさん参加されていましたし、コミューター航空やビジネス機の拠点として順調に進んでいるということが手にとるように見てわかりました。本当に子供にとっても大人にとっても夢のある場所なんだなということがよくわかりました。
航空産業関連会社からすれば、名古屋空港はまだまだ開発できる魅力がたくさんありまして、全国からも注目を浴びております。私が聞くところによりますと、今、大学が学生さんが減っているということで、新しく航空科を新設する大学も多くて、その大学からのニーズも、ぜひというようなことも計画にあるというふうに聞いております。MRJの開発ですとか生産がさらに進めば、空港周辺利用に際しましては、さまざまな方面からの提案、また計画が出てくるものと考えられますし、物づくり愛知がもう一度元気を取り戻す重要なキーポイントが名古屋空港にあると私は思います。
先ほどの御答弁にありましたように、名古屋空港は将来的に拡張の計画もというようなことがお話にありましたので、そこに拡張されれば、さらに企業が入ってまた雇用にもつながってまいりますし、地域の活性にもまた結びついてくると思います。ぜひどんどん、関連会社からはいろいろなニーズが多分行っているとは思うんですけれども、その受ける側のほうが何となく、まだ十分名古屋空港の機能は伸びているわけですし、間に合っていますよというような雰囲気が何となくあるようなふうに私は会社関係の方からお聞きをいたしました。ぜひふえてくるニーズに対して、十年先、二十年先を見据えて迅速に対応していただくように要望したいと思います。
ただ、周辺の地域住民にとりましては、名古屋空港は町の中に存在しておりますし、安全への不安が常につきまといます。子供たちの夢の育成、また地域の活性化、空港のさらなる発展を願いつつも、やはり安全第一ということが我々住民の願いでありますので、ぜひそのこととのバランスをとりながら計画を推進していただくように要望して終わります。
- 84:◯議長(吉川伸二君) 進行いたします。
かしわぐま光代議員。
- 85:◯八十八番(かしわぐま光代君) 歳出第二款総務費第二項総務管理費、県有施設内の自動販売機設置料の入札について伺います。
平成十九年に地方自治法が改正され、それまでは県有施設内の自動販売機は設置場所の状況や占有面積によって使用料が定められておりましたが、行政財産の余裕部分の貸し付けが可能になり、貸し付けの相手を一般競争入札によって選定できるようになりました。
平成二十一年四月に、本庁舎と西庁舎の一階のそれぞれ一台、計二台の自動販売機設置料を試行的に公募したところ、実績は五月一日から三年間分で、これまでの約七十一倍の増収、これまでは使用許可による使用料が二十八万八千七百九十二円でしたが二千五十九万二千一円となりました。
そこで、平成二十二年度から、県有施設内に設置予定の九百七十九台の自動販売機のうち四百六十四台を公募に移行する見込みで、この一月から順次入札を実施しています。既に入札の結果がまとまっていると思いますので、その実績をお伺いし、今後の課題について県当局のお考えをお伺いしたいと思います。
質問の一、自動販売機九百七十九台のうち四百六十四台を公募にかける予定で事務を進めていますが、その選定基準をお聞かせください。
質問の二、公募結果はどうであったか、これまでの使用料の総額と公募制度移行後貸付料の総額は幾らで、何倍になったのかをお聞かせください。
質問の三、一般競争入札ですから、公平公正でなければなりません。また、社会的影響も考慮に入れた上での適正な競争を促すことを忘れてはなりません。貸付料が高ければそれですべてよしということではないと思いますので、入札後、見えてきた課題についてお伺いしたいと思います。
現在、各メーカーから販売されている商品に、中の飲料がほぼ同じなのに定価が異なる商品があります。消費者が判別しにくいものもあるそうです。今回の入札では、これらの販売基準がわかりにくく、これらの商品を用いた場合に不公平が生じるのではないかという点です。
例えば、A社商品五百ミリリットルのペットボトルは、一見したところ百五十円の商品とほとんど見分けがつきませんが、価格が異なる商品であり、一般の商品より二十円安い百三十円の定価になっております。今回の入札条件では、ペットボトル五百ミリリットル百三十円、缶三百五十ミリリットル百十円を基準として設定されておりますので、A社は優位な条件提示が可能となります。これでは中小の代理店や町の牛乳販売店では競争にならず、今後エントリーができなくなるという声が上がっております。これは大きな問題であると思います。
そこで、入札で条件に定価を明確にすること、すなわちオープン価格の場合は一般市場価格を基準として、それより一律幾ら引いた金額で販売するのかを記載する必要があるのではないかと思います。また、設置後の商品価格は定期的な検証が必要だと思いますが、県のお考えをお聞かせください。
質問の四。自動販売機業界も、設置先の経営状況の悪化等、リーマンショックの余波を受けて厳しい経営の中にあります。特に中小の業者は瀕死の状況だとお聞きします。中小の地元自販機業者は、地域の活動に積極的に参加、参画し、地域経済に貢献しており、ただ単に公募実績が上がればよしとすれば、県の姿勢は公共としての役割を放棄したことになるのではないかと思います。地元の中小自販機業者が生き残るための何らかの工夫が要ると思いますが、県のお考えをお聞かせください。
以上、県有施設の自動販売機設置料の入札制度について質問いたしました。県の収入をふやすための努力は徹底すべきでしょう。しかし、大きな企業の寡占を許し、結果的に県民の生活を脅かすようでは元も子もありません。県の公平公正であり、公共の役割を充分に認識した政策、制度の執行を心から望みます。
- 86:◯総務部長(島田孝一君) 自動販売機の公募についてのお尋ねにお答えをいたします。
まず、公募に移行する自動販売機の選定基準に関する御質問でございますが、身体障害者福祉法や母子及び寡婦福祉法等の規定により福祉団体に許可をしているもの、あるいは施設内の食堂、売店等と一体的な管理、運営でなければ採算がとれないと判断されるものなど配慮を必要とするものは除きまして、それ以外は原則として移行対象としているところでございます。
次に、公募をしました結果でありますが、公募へ移行する予定の四百六十四台のうち、ことしの二月末までに四百三十七台の公募を実施いたしました。
結果でございますが、三年間の総額で約九億五千七百万円、年間では三億一千九百万円となりました。これまでの行政財産の使用料は三年間で約二千六百万円、年間で八百六十万円となっておりますので、貸付料と比較いたしますと約三十七倍となったところでございます。
次に、一般市場価格を基準とした一律の値引き額を入札条件において定めるべきではないかとのお尋ねでございます。
今回の入札の実施に当たりましては、まずは、利用者への配慮を第一に考え、入札への移行により従来の販売価格が変動することのないよう条件を定めることを原則といたしたところでございます。
例えば、五百ミリリットルのペットボトルは、一般の自動販売機で販売されております価格は百五十円が標準的でございますが、今回入札に付します自動販売機の従来の販売価格である百三十円を標準例としてマニュアルで示しており、実際の入札条件は、この標準例を参考に各施設管理者が定めることとしております。
また、価格条件のほかに、商品構成が偏らないように、例えば四社以上の商品を扱うとするように複数メーカーの商品を取り扱うことや、商品の具体的な構成について施設管理者と協議を行うことを定めております。したがいまして、入札条件を定めるときに想定した一般市場価格より割安な商品が一部含まれていたとしても、取り立てて不公平が生じるものではないと考えております。
このように、今回は利用者への配慮を第一に考え入札を行いましたが、議員お示しの一律の値引きも一つの方法と思われますので、今後に向けて研究してまいりたいと考えております。
また、設置後の商品価格の検証も必要と考えられますので、今後定期的に実施をしてまいります。
最後に、地域の中小自販機業者への配慮についてでございます。
今回の入札実施に当たりましては、利用者への利便のことも考慮し、各施設管理者の判断により、迅速な商品補充や容器回収ができるよう施設の所在市町村内に事業所があること、あるいは一定時間内での対応ができること、こういった入札条件を付することができるようにいたしました。
今後とも、入札参加機会の公平性を保ちながら、利用者の視点に立ちつつ、地域にも配慮したよりよい条件設定を検討し見直しに生かしてまいりたい、このように考えております。
- 87:◯議長(吉川伸二君) 進行いたします。
木藤俊郎議員。
- 88:◯三十番(木藤俊郎君) 歳出第四款県民生活費第五項防災費について伺います。
住宅用火災警報器の設置についてですが、消防法及び市町村条例により、すべての住宅に火災警報器等の設置が義務づけられました。新築住宅は平成十八年六月一日から、既存住宅は市町村条例により定められた日から設置が義務づけられ、愛知県内の全市町村では平成二十年六月一日から条例により義務化されました。
住宅用火災警報器を設置することとなった背景には、住宅火災で亡くなった人のうち、約六割の高齢者が逃げおくれが理由で命を落としている状況にあり、特に気づくのがおくれやすい就寝時間帯に死者が多くなっています。愛知県では平成二十一年中の住宅火災死者のうち、約七割の方が火災警報器を設置していませんでした。したがって、今回の設置義務となっている場所は寝室と階段とされています。市町村によっては台所にも設置が義務づけられております。
アメリカでは、一九七〇年代後半には火災によって約六千人の死者が発生をしておりましたが、二〇〇二年には住宅用火災警報器等の普及率が九〇%を超え、死者数が三千人弱と、ほぼ半減しています。この警報器は、国民の命を守る大切な働きをするものだと思います。
総務省消防庁では、このたび平成二十一年十二月時点の住宅用火災警報器の普及状況の推計結果を発表いたしました。それによりますと、全国では五二%、愛知県は六八・三%でした。
さて、私の地元、公明党一宮支部では二月、住宅用火災警報器の設置状況のアンケート調査を行いました。傾向として、古い一戸建てに設置が進んでいないことに注目し、一戸建ての調査を実施いたしました。結果を紹介いたしますと、サンプル数千六十二で、設置しているが五一・四%、設置していないが四八・六%とほぼ半々でした。設置した方で寝室に設置した方は約六〇%にとどまっています。設置していない理由を聞いたところ、多い順に、余り必要性を感じないが一五%、取りつけの義務を知らなかった、値段が高いが同数で一〇・八%となっています。また、つけてはいるが台所のみが二二%であり、趣旨が理解できていないものと思われます。
そこで質問ですが、警報器の普及に向けてのこれまでの取り組みと平成二十二年度の取り組みについてお聞かせください。
- 89:◯防災局長(小出茂樹君) 住宅用火災警報器の普及に向けてのこれまでの取り組みと平成二十二年度の取り組みについてのお尋ねでございます。
国では、住宅用火災警報器の設置すべき期限を平成二十三年五月末日までの日で、市町村の条例により定めることとしております。
本県では、少しでも早く設置が進められるよう市町村に積極的に働きかけた結果、三年早い平成二十年五月末日までに、すべての市町村で設置を義務づけることとなりました。この住宅用火災警報器の設置が義務づけられたことを周知するため、県といたしましては、テレビ、ラジオ、新聞、チラシ、ポスター、県のホームページなどを活用した広報活動を行うとともに、消防団、婦人消防クラブ、町内会などに、住宅用火災警報器の共同購入を積極的に取り組んでいただくよう働きかけてまいりました。
このような取り組みにより、議員御指摘のように、総務省消防庁の調査によりますと、住宅用火災警報器の設置率は本県で六八・三%になっており、全国平均の五二・〇%を大きく上回る結果となっております。
さらに、設置率を向上させるため、今年度は緊急雇用創出事業基金を活用いたしまして、住宅用火災警報器設置促進キャラバン隊を編成し、住宅火災が多くなる十一月からイベント会場やショッピングセンターなどで、住宅用火災警報器の早期設置を促す啓発活動を実施いたしました。
また、平成二十二年度の取り組みでございますが、これまでの啓発活動をしっかり実施するとともに、特に設置率の低い市町村にキャラバン隊を重点的に派遣いたしまして、設置率の向上に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 90:◯議長(吉川伸二君) 進行いたします。
浅井喜代治議員。
- 91:◯四十番(浅井喜代治君) 通告しました歳出の第二款総務費第四項市町村振興費のうち、愛知県市町村合併特例交付金について伺います。
今、平成の大合併が一つの節目を迎えようとしています。当初は全国で三千二百三十二の市町村がありましたが、この三月末には千七百二十七の市町村になると見込まれています。たまたま、きょうの新聞ですと、市の数が町の数を上回ったと、市が七百八十四、町が七百八十三ということで、要は半減をするということであります。
そんな中、本県におきましては、八十八市町村がこの三月のあま市の誕生により、五十七市町村になることは御案内のとおりであります。
このように、本県の市町村合併が着実に進みましたのも、関係市町村が将来を見据えた積極的な取り組みをなされたことはもとより、県当局においても市町村合併支援本部の設置など、全庁的な体制のもと、さまざまな支援を講じながらその推進に努められたことが大きな力となったものと考えております。中でも、合併市町村への財政支援の観点からの愛知県市町村合併特例交付金が効果的であったのではないかと思っております。
そこで、まず、この愛知県市町村合併特例交付金の交付実績について伺います。
これまでに合併手続を終了した市町村に対してどれだけの交付をされたのか、また、合併市町村がどういった事業に活用してきたのか、伺います。
次に、今後の市町村合併特例交付金のあり方についてでありますが、現在の特例交付金は、市町村の合併の特例等に関する法律、いわゆる合併新法に基づき合併した市町村を交付対象としております。この合併新法は、この三月末で期限が切れることから、本年四月一日以降に合併をする市町村に対し県がどのように支援していくかということは、今現在、合併の議論を進めている地域、あるいはこれから合併に向けた取り組みを考えようとしている地域にとって関心の高いところであると考えております。
国においては、本年二月九日に、いわゆる合併新法の一部を改正する法律案を閣議決定し、同日、国会に提出されました。この法案は、自主的な市町村合併が引き続き円滑に行われるように、合併の障害除去を中心とした内容に改正した上で十年間延長する内容となっています。国は、全国的な合併推進運動を一区切りとしつつも、自主的に合併を選択する市町村に対して、行財政基盤強化のため、法律により合併における障害を除去する措置を引き続き行おうとしております。
県当局におきましては、私が昨年十一月議会で質問しました際に、答弁として、国の動向や県の財政状況を考慮しつつ法期限後においても自主的、主体的に合併を進める地域に対してはできる限りの支援をしていかなければならないと考えている旨の答弁をされたところであります。この質問をさせていただきましたときには、国の法改正の動向は明確になっていませんでしたが、できる限りの支援と当局が答弁をされていることから、私の地元でも来年の三月三十一日を目指して合併を進めておるわけでありますので、特に大きな期待をしておるわけであります。
そこで、県として、平成二十二年四月一日以降に合併する市町村への市町村合併特例交付金をどのような考え方に基づき実施されようとしているのか、お伺いをいたします。
- 92:◯総務部長(島田孝一君) 愛知県市町村合併特例交付金のお尋ねにお答えをいたします。
まず、交付実績についてであります。
平成十五年の田原市から間近に迫りました、あま市の誕生までの十八件の合併に対する平成二十一年度の交付予定額を含めた実績額は、八十五億九千万円でございます。
また、この交付金の充当事業につきましては、電算等のシステム統合事業に約三十六億円、防災無線の統合事業に約二十億円、庁舎整備事業に約四億円など、合併に伴い一時的、臨時的に必要となる事業がおおむね七割を占めており、このほか、地域間格差を是正し地域の均衡ある発展を図るための事業や広域的なサービス提供のための事業として、小中学校の耐震改修事業でありますとか、合併を記念する公園整備事業などにも活用されております。
次に、来年度以降の合併市町村に対します市町村合併特例交付金の考え方についてお答えをいたします。
議員御案内のとおり、国においては、現行の合併新法の期限である三月末をもって、合併政策の基本的な考え方を合併の推進から合併の円滑化へと転換し、合併の障害除去に対する措置を中心とした法律に改めた上で、その期限を十年間延長することとしております。
本県といたしましては、市町村の自主的、主体的な合併を支援するため、まことに厳しい財政状況ではありますが、市町村合併特例交付金を存続することとした上で、先ほど述べました国の考え方を踏まえ、その交付対象を合併の障害となる電算システムの統合などの一時的、臨時的経費に重点化し、交付基準額を四億円から三億円とする見直しを行うこととしております。
現在、西尾市及び幡豆郡三町におきまして、平成二十三年三月を合併の目標として法定協議会を設置し、合併協議が進められておりますことから、来年度予算に交付金所要額を計上し、御審議をお願いしておるところでございます。
以上でございます。
- 93:◯議長(吉川伸二君) この際、お諮りいたします。会議中時間経過のおそれがありますので、時間を延長することに決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 94:◯議長(吉川伸二君) 御異議なしと認めます。よって、時間は延長することに決定いたしました。
進行いたします。
鈴木正議員。
- 95:◯四十七番(鈴木正君) 私は、第二款総務費第二項総務管理費のうち、行政改革推進費につきましてお尋ねをいたします。
質問の前に一言、県の今までの行革推進について評価をさせていただきたいと思うわけでございますが、今日まで県当局におきましては、神田知事を先頭に大変真剣に行革に取り組んでおみえになりました。これは、数値が示すわけでございますが、私が感ずるところ、常に数値目標を定められまして取り組んでみえた。可能な限り数値目標を掲げてみえたような気がするわけであります。これは、私たちは、市町村におきましても、行革ということになりますと、この数値目標というのがなかなか定められない、これが実情でありまして、市町村議会におきましても、数値であらわせ、あるいはどれだけ予算的に行政効果があったのかというようなことも問いかけがあるわけでございますが、そういった点で、県の第四次行政改革、今日までの改革につきまして数値で示され、目標を設定されたことにつきまして評価をしたいと思っております。ところで、本題に移りたいと思います。
去る二月十五日に策定された愛知県第五次行革大綱について、先般の我が党の代表質問に対し、知事からは、このたびの大綱のもとでは量の改革だけでなく、効果、効率といった県行政の質の向上に関する取り組みに力を入れていくという答弁がありました。これまでのたゆみない行革努力の上に、さらに取り組みを重ねていくという第五次大綱の計画期間においては、質の向上という視点が重要になっていくことについて、私も賛同の意を表するものであります。
さて、県は、ただいま申し上げましたように、これまで第四次にわたる大綱のもとで、組織、機構や公の施設の見直しに積極的に行革に取り組んでこられました。特に第三次行革大綱以降の十年余りの期間をみると、本庁組織については平成十二年度と十八年度、地方機関については平成十四年度と二十年度にそれぞれ大幅な再編、見直しを実施されました。その結果、地方機関の数は、平成十四年度に百二十二機関、そして平成二十年度には百八機関になったところであります。また、公の施設についても、平成十年度の百五十三施設から、現在では九十七施設へと見直しが進んでおります。
私の地元であります西三河地域を見ますと、平成二十年の地方機関見直しにより、総合出先機関であった西三河事務所、豊田加茂事務所が県民サービスと安心・安全の中核機関としての西三河県民事務所へとさま変わりをいたしましたし、農林水産事務所に置かれる農業普及指導センターについても西三河と安城のセンターが統合され、専門職員の集中化が図られたところであります。また、平成十五年には岡崎市の中核市への移行により、県の岡崎保健所が廃止されるということもありました。
ところで、こういった県の組織、機構の公の施設の見直しが進みますと、利用しない施設が出てくると思いますし、利用を続けるにしても、組織が縮小し職員が減ることなどにより、その状況が変わってくる施設も出てくると思います。その際、県では未利用となったものは適正な処分を進めておられるようでありますし、低利用となったものについても、それぞれの施設を管理するところで有効活用に取り組んでいただいていると聞いております。
しかし、果たしてそれだけで十分と言えるでしょうか。さらに一歩踏み込み、県民全体の貴重な資産である県有の施設、建物をどのように活用すれば県民が利用しやすくなるのか、維持管理コストを最小限に抑えられるのか、あるいは職員の執務環境を良好に保てるのかということを、部局の枠組みを越えて、県庁全体で考えていくことも必要であると思うのであります。
そのような中、このたびの大綱には、個別取り組み事項として、未利用財産の適正な処分、あるいは県有財産の有効活用の推進と並んで、新たに、県有施設を戦略的に利用、管理、保全する仕組みの構築に向けて検討していくという取り組みが位置づけられております。これは、時宜を得た取り組みではないかと思うものであります。
県は、この十年余りで、三千人を超える職員定数の削減に取り組んでおり、第五次大綱においては、引き続き定数削減に取り組んでいくものの、その規模は、これまでに比べれば小幅なものになるとのことであります。が、また、組織、機構についても大幅な変更は予定をせず、現行の組織体制を基本としつつ、環境変化に柔軟に対応するという方針を掲げています。そういった面からスリム化が大きく進行し、県の組織そのものが激動の中にあったこれまでの大綱の期間中には手をつけることが困難であった取り組みに、腰を据えて取り組んでいくチャンスであると考えられます。そのことが、第五次大綱の「はじめに」で知事が表明しておられますように、これまでの改革の成果を生かしながら県行政の質を高め、改革をブラッシュアップの段階へ発展させていくことにつながると思うのであります。
そこでお尋ねいたします。
庁舎などの県有施設の最適な利用に向けて、第五次大綱のもと、どのような方針で取り組むのか、また、大綱の初年度となる二十二年度には、具体的にどのような取り組みを進めていかれるのか、お伺いをいたします。
次に、同じく行政改革推進費に関し、第三セクターの経営改革についてお尋ねをいたします。
平成二十年四月一日から施行された地方公共団体の財政の健全化に関する法律、いわゆる地方財政健全化法により、第三セクター等の負債の一定部分も含めて県の将来負担比率が算定されるようになりました。第三セクターの経営は、県の行政運営において、これまで以上に関心を寄せるべき重要な課題になったところであります。第五次行革大綱では、第三セクターの経営改革に関し一つの項目を設けて、取り組み方針を明らかにされております。
具体的には、県が経営に主導的立場にある五十三法人を対象に、外部有識者による愛知県出資法人等経営検討委員会において経営状況の点検、評価を行い、改革の必要があると判断された愛知県私学振興事業財団、愛知県農林公社及び愛知県住宅供給公社の三法人について、県として改革プランを策定し、経営改革を進めるとされたところであります。
昨年十二月に取りまとめられた出資法人等経営検討委員会の改革案によりますと、この三法人はいずれも多額の借入金を抱え、そのうち多くについて県が損失補償を行っていること、また、このまま放置した場合にはさらに債務が拡大するおそれもあることなどから、経営の改革が必要であるとされているところであります。
個別に見てみますと、私学振興事業財団については、県の私学振興施策実施のための財源調達及び助成窓口の役割を担ってきたものの、財政的な設立意義が薄れてきていることや、毎年度の利子負担を考慮して改革が必要とされたものであります。農林公社につきましては、主要事業である農地保有合理化事業と分収林事業が、ともに金融機関等からの借入金を原資とした事業スキームであり、農地保有合理化事業については、未処理農地に含み損が生じていること、分収林事業については、木材価格の大幅な下落により当初想定した経済的契約としてとらえることは難しくなってきたことが指摘されております。また、住宅供給公社については、民間住宅市場の成熟や人口動向の変化により、事業資金の多くを借入金に依存して行っている住宅用地分譲事業や賃貸住宅事業の見直しの必要性が指摘されております。
そうした中、折しも先週末にはこの三法人の改革プランが公表され、さまざまな報道がなされました。これら改革プランでは、三法人がいずれも長年にわたり県行政推進の上で重要な役割を果たしてきたものの、時代の変化の中でその位置づけが問われるようになっているとの問題意識のもと、法人のあり方の抜本的な見直しを打ち出すなど思い切った改革方針を示しておられます。
私は、三法人について、将来を見据えてこうした改革方針を示されたことを、まずは高く評価するものであります。
しかし、重要なことは、その実行であります。具体の取り組みに移ると、予期せぬ障害や問題も生じてくると思いますが、ひるむことなく改革の成果を上げていただきたいと思うところであります。
そこでお尋ねいたします。
今回、改革プランを策定した三法人を含め、第三セクターの経営改革を実効性のあるものにするため、今後、具体的にどのように取り組みを進めていくのか、お伺いをいたします。
第五次行革大綱の副題にある確かな未来へ向けて、県がこれまでに引き続き県民の目線に立って、着実かつ果敢に改革に取り組まれることを大いに期待をして、質問を終わります。
- 96:◯総務部長(島田孝一君) 行政改革の推進についてお尋ねをいただきました。
まず、県有施設の最適な利活用に向けた取り組みについてお答えをいたします。
組織とか機構、あるいは公の施設の見直しによって必要となります県有施設の利活用については、これまでも庁内で県有財産利活用調整会議を開催し、調整に努めてきたところでございます。
一方、これまで不断に組織、機構等を見直してきたところでありますので、例えば、現在、庁舎等として活用されている施設に関して執務、来客、展示、資料等の保管といった利用に充てられているスペースの詳細や施設の保守管理の実情、あるいは施設の詳細な仕様等を改めて把握し、部局横断的に検証することを通じて、なお改善を図る余地が見出せるのではないかと考えております。
このため、第五次行革大綱においては、個別取り組み事項として、新たに全庁的な視点から、県有施設を戦略的に利用、管理、保全する仕組みの構築に向けまして、平成二十二年度から検討に着手することを位置づけたところでございます。
具体的には、県有施設全体の現状を調査し、その結果を踏まえて、県有施設の利用の最適化、管理業務の効率化、計画的な保全管理のための仕組みを構築することによって、県民共通の貴重な資産である県の施設をより効果的、効率的に活用することができるよう取り組んでまいりたいと考えております。
そのため、二十二年度においては、これまで組織が大きく動いてまいりました知事部局等の所管施設を対象に現況調査を実施し、実情を詳細に分析、検証した上で、施設の利用の最適化に向けた方針を検討していくこととしておりまして、所要の経費を行政改革推進費に計上したところでございます。
次に、第三セクターの経営改革に関する取り組みについてお答えをいたします。
議員お示しのとおり、この三月五日に私学振興事業財団、農林公社及び住宅供給公社の三法人について、県としての改革プランを取りまとめ公表したところでございます。
この改革プランは、外部専門家五人で構成する愛知県出資法人等経営検討委員会から提示されました改革案を踏まえ、各法人の所管部局において十分検討の上、各法人のあり方を含めた抜本的な経営改革に向けての対応策を定めたものでございます。
今後は、この改革プランに基づき、各法人において具体的な計画を策定し、できる限り速やかに経営改革に着手するよう指導してまいりたいと考えております。
県におきましても、来年度以降は、経営検討委員会の意見もいただきながら、三法人の経営改革の実施状況についてしっかり進行管理をしてまいります。
また、三法人以外の第三セクターにつきましても、経営検討委員会に諮りながら、経営状況を定期的に点検、評価し、経営の健全性が保たれるよう、きちんと対応してまいりたい、このように考えております。
以上でございます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 97:◯三十七番(山下史守朗君) 本日はこれをもって散会し、明三月九日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 98:◯議長(吉川伸二君) 山下史守朗議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 99:◯議長(吉川伸二君) 御異議なしと認めます。
明三月九日午前十時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時五十五分散会