県政報告
平成21年11月定例会(第3号)
2009年12月2日
(主な質疑)
- 1: 午前十時開議
◯議長(吉川伸二君) ただいまから会議を開きます。
直ちに議事日程に従い会議を進めます。
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日程第一 一般質問並びに第百五十八号議案平成二十
一年度愛知県一般会計補正予算から第百八十
九号議案物品の買入れについてまで及び専決
第五十九号控訴の提起について
- 2:◯議長(吉川伸二君) 第百五十八号議案平成二十一年度愛知県一般会計補正予算から第百八十九号議案物品の買入れについてまで及び専決第五十九号控訴の提起についてを一括議題といたします。
これより一般質問並びに提出議案に対する質問を許します。
通告により質問を許可いたします。
石井芳樹議員。
〔十一番石井芳樹君登壇〕(拍手)
- 3:◯十一番(石井芳樹君) おはようございます。
過日、通告をいたしました発言通告書に基づきまして、三項目について、順次質問をさせていただきたいと思います。
一項目め、大学改革と看護系の人材育成について、地方公共団体が大学を設置する目的は、一般的に高等教育機関への進学機会の提供、特定分野を見据えた人材の育成、地域づくりの観点から産業、文化振興を含めた地域の活性化などが考えられると思います。
本県において、過去、県立大学、芸術大学、看護大学という三つの大学を設置をし、それぞれの大学の分野において、開学以来、学術研究を推進するとともに、多くの人材を輩出し、産業振興、文化振興、保健医療福祉の充実など、県政発展に大いに貢献をして、その役割を担ってきたことは周知の事実であります。
あわせて、高等教育機関としての大学は、社会を先導する学術研究の中心であり、学問、技術の高度化に対応した国際水準の学術研究を推進することで国際協力を確保するなど、重要な役割を果たしてまいりました。
しかしながら、近年では、社会、経済のグローバル化に伴うニーズの多様化や、若年層人口の減少に伴い、入学定員と志願者数が一致する、いわゆる大学全入学時代へ突入するなど、各大学は生き残りをかけた激しい競争下に置かれており、さらに、国公立大学の法人化、国、地方を含めた厳しい財政状況等、大学を取り巻く環境は大きく変化をしております。
これら社会環境の変化から、本県が設置し、県民の皆様の税金によって管理運営がされている県立大学は、改めて存在意義が問われており、独自の役割、個性の創出が求められ、時代のニーズに即応すべく、本県でも新たな姿に向けての大学改革は焦眉の急であると思うところであります。
その中、愛知県では、平成十八年三月に、愛知県大学改革基本計画を策定をし、その基本計画に基づき、改革の目標である二十一世紀に飛躍をし、競争力のある魅力あふれる大学づくりを達成するため、一つ目に、知の拠点としての大学、二つ目に、地元愛知に貢献する大学、三つ目に、県民、県政とともに歩む大学を改革の三つの柱とし、地方独立行政法人法に基づき、平成十九年四月には、県立大学の法人化を実施をいたしました。
地方独立行政法人法では、従来の大学の運営では、教育、研究などについての目標や達成度を全体的に評価するシステムが制度化されていなかった点を改善をし、目標の設定、計画の作成、そして実施を通じて、実績の評価を公表する義務が求められており、透明性を確保し、結果に応じて目標の見直しを行い、継続的な教育、研究の質の向上と業務の運営の改善が迫られるようになりました。
また、本年四月には、看護大学と県立大学の統合を実施をし、従来、県立三大学が他大学と比べて比較的小さな学部、学科を単位として構成されていた現状を、社会ニーズに合わせた学部、学科に再編をし、分野を横断した教育や研究を容易にするとともに、スケールメリットを生かした運営が行えるよう基盤強化を図るなど、目に見える形で県立大学は大きな変貌を遂げてきたわけであります。
御存じのとおり、さきに述べました愛知県立看護大学は、昭和四十三年に設置された愛知県立看護短期大学を前身として、平成七年に看護学の単科大学となり、その後、平成十一年には大学院を開設し、平成十五年には看護の現場で活躍をする社会人の看護職を受け入れるため、名古屋駅前にサテライトキャンパスを開設をし、時代のニーズに合わせた大学の形も変化をしてきたわけであります。
さらに、近年の医療現場においては、医師を中心として看護師や医療技術者等が幅広く参加するチームケアによる対応が進んでおり、これに参加する看護職に対しても、これまで以上の深い経験や豊富な知識、高い技術が求められ、高度な専門性を備えた看護職へ要求されるものは年々増加しているように思われるわけであります。
これらの変化に対応するため、看護大学でも平成十九年度から、大学院において、がん、家族、老人、精神の四つの看護専門分野において、看護ケアの指導的役割を果たす専門看護師や、マネジメント能力を有する認定看護管理者を育成する高度専門職コースを設置したり、また、特定の看護分野において熟練した技術を活用し、水準の高い看護が実践できる看護職が求められていることや、看護師の免許の取得後において、さらに高度な教育を受けられるよう、大学では、昨年度、中部六県で初めて日本看護協会が定めるがん化学療法看護及びがん性疼痛看護の二分野において、認定看護師教育課程を設置をし、加えて本年四月には、大学院において、博士後期課程を新たに開設をいたしたわけであります。
その中、やはり県立大学の大きな使命の一つは、地域貢献であります。大学は、積極的に教育研究の成果を県民の皆様や社会に還元するともに、生涯学習のニーズや社会人の方々への再教育のニーズの対応といったより直接的な社会貢献を積極的に推進をし、大学全体の存在意義を高め、個性化を図っていく必要があります。こうした機能は、県立大学においては、地域連携センターと看護実践センターという組織が担い、地域連携活動の総合窓口としての役割を果たしていると聞いておるわけであります。
しかしながら、どれだけ体制を大学内で整え、質の向上に努めても、公立大学という性格上、その成果の還元を確実に行っていかなければならず、わかりにくい分野だからこそ、広く県民の皆様に示していかなければなりませんし、また、その成果は確実な実績を持って裏打ちをされなければならないと思うものであります。
今、県立三大学の改革は、平成十九年度から二十四年度までの期間を定めた中長期計画に基づき実施をしているところであります。
その中、知事の附属機関である愛知県公立大学法人評価委員会においては、中期計画をおおむね順調に実施していると評価され、過日、議会でも報告がなされておりました。六年間の中長期計画も半ばを迎えつつあります。
そこで、この機会に、大学統合を経て大きく変わりつつあります看護大学を中心に、大学改革のための取り組みが県内でどのように受けとめられ、どのような成果が期待されるのか、実績を含めてお伺いをしたいと思います。
第一点目として、愛知県立大学改革基本計画では、大学の地域連携活動の窓口として愛知県立大学地域連携センターを設置するとあります。住民、NPO、各学校を含めてどのような地域連携へ取り組みがなされているのか、お伺いをいたします。
また、同じ目的を持って設置をされております愛知県立大学看護実践センターの取り組み状況についてもあわせてお伺いをいたします。
二点目として、少子・高齢化社会が進行し、医療看護の分野では高度化、複雑化がさらに加速する中、看護に携わる人材はこれまで以上に高い能力が求められていると考えます。平成十六年の県立大学のあり方検討会議から始まった大学改革の成果として、法人化並びに統合を経て、看護学部への入学志願者の状況や、入学者の動向はどのように変化してきたのでしょうか。また、これまでの高度専門職業人養成状況として、高度専門職及び認定看護師の養成実績はどれほどなのか、お伺いをいたします。
三点目といたしまして、県は、この大学統合を機に、新たに生まれ変わった県立大学看護学部が総合大学の一学部として、どのような教育方針で人材を育成することを期待をしているのか、お伺いをいたします。
続きまして、二項目めの陶磁資料館にぎわい創出について御質問をさせていただきます。
過日、この質問を行うに当たり、愛知県陶磁資料館へと足を運びました。当日、志野・黄瀬戸・織部のデザインと称する特別企画展が開催をされておりました。十六世紀後半から十七世紀初めにつくられた桃山陶器で、正直私はその価値はよくわかりませんが、自由闊達な文様を施したものが数多く展示をされておりました。
そもそも、愛知県における陶磁研究は、昭和初期までの間、奈良、平安時代の陶器において、生産地がどこだかわからない暗黒時代が続き、戦後を経て、古窯跡の関心の高まりとともに、尾張国と三河国にまたがる東郷町、三好町地内に古代の灰釉陶器窯跡が発見されたのが始まりであると聞いております。
その後、愛知用水建設工事に伴って、分布調査と発掘調査が行われ、猿投山の西南麓部に当たる広範囲に古墳時代から鎌倉時代を通じて、千二百基余りの古窯跡が所在することが確認をされており、これらの古窯跡群は猿投山西南麓古窯跡群と名づけられ、通称猿投窯と呼ばれております。
奈良時代には、国内最大級の古窯跡群に成長した猿投窯は、本県の地場産業の源であり、その後、数々の歴史を経て、瀬戸窯、常滑窯などは、その生産活動が絶えることなく現在まで続けられ、だれもが知る本県の地場産業となっておるわけであります。
これら陶器にかかわる貴重な文化財を収集、保存、展示するため、県政百周年事業の一つとして、住民の陶芸に対する教養の向上と陶磁器産業の発展に寄与することを目的として、昭和五十三年に全国でも県立では初めての陶磁器を専門に企画、展示する施設として開館をしたのが愛知県陶磁資料館であります。
この施設は、日本や世界各地のすぐれた陶器五千点を所蔵し、本館、南館、西館など約四千八百平方メートルの展示室において、常設展並びに特別展として順次展示をしております。また、産業陶磁の分野でも、愛知の地場産業である瀬戸、常滑、高浜などの窯業の歴史や発展も知ることができます。
あわせて、茶室陶翠庵を初め、作陶や絵つけの体験ができる陶芸館など約二十七万平米の森に囲まれた丘陵地に各施設が建設をされており、展示、作陶、お茶を含めて、一日かけて焼き物の文化をじっくりと体験のできる施設であります。
私も、今から十年前になりますが、時間があれば休日、友人と陶芸指導員の指導を受けながらろくろを回し、自分の湯飲みや茶わん、花瓶など、できのいかんは問わず、作陶を楽しんでいたことを記憶しております。中には、形は悪いが、思い出の作品として今なお捨て切れず、花瓶として使用しているものもあるわけであります。
その中、愛知県陶磁資料館は、昨年、開館をしてから節目であります三十年が経過をいたしました。開館三十周年を記念して、昨年に陶磁フェスティバルが開催をされました。これにより多数の来場者がありましたが、しかし、残念ながら、企画展や常設展などの展覧会への入場者の増加には最終的にはつながらなかったと聞いております。
毎年、陶磁資料館は、常設展、企画展、特別企画展を含め、六千万円から七千万円の事業費を費やし、展示事業を行っているわけでありますが、本来であれば、陶磁文化の広まりを多くの県民の皆様に感じてもらうべく、入館者が少しでも伸びていかなければならないところではありますが、私自身、通わなくなったせいか、昨今では、近隣市町からもこの施設を話題にする声は余り聞こえてこないのが実情であります。
あわせて、入館者数も見させていただきますと、平成十年度の十二万七千人を入館者のピークとして年々減少傾向にあり、昨年では、平成二十年度、七万人余りと、ピーク時の約半分近くに入館者がここ十年で激減をしておるわけであります。
あいち行革大綱二〇〇五では、陶磁資料館については、当面、指定管理者制度は導入せず、直営施設として効果的、効率的な管理運営のあり方を検討するとされております。県では、お伺いをいたしますと、人員削減や施設管理業務及び案内、監視業務の複数年度契約化を図るとともに、全国規模での陶磁資料館のPR及び入館者の増を図るため、条例改正をし、契約旅行会社が発行するクーポン券による常設展及び企画展の観覧を可能にするなど、経費縮減に努力されているようでありますが、しかしながら、入館者減がとまらないという状況は変わりありません。陶磁資料館はリニモの沿線上に位置し、施設の活性化次第では間違いなく集客増にもつながる施設であります。
今後は、陶芸愛好家だけではなく、より多くの県民の皆様に知っていただき、来てもらえるような、学校、幼稚園、家族連れを含めて、世代を超えて楽しめる施設としてにぎわいを創出していく必要があると思います。
そこで、最初にお伺いをいたします。
以上を踏まえて、県では、直営の施設として、にぎわい創出に向けてどのように運営を行っていくのか、お伺いをいたします。
次に、愛知県では、現在、昨年度制定された愛知県観光振興基本条例に基づき、観光振興基本計画を策定をしておられます。この計画では、今はやりの武将観光とともに、物づくりの現場など、特色のある地域資源や伝統工芸を体験できる産業観光をさらに進めていくとあります。陶磁資料館についても、観光振興基本計画の策定を行っているこの機会をとらえ、焼き物王国愛知の代表的な観光資源として魅力向上に努めるのとともに、本県の観光資源として旅行会社の旅行商品に組み入れ、全国的にPRを行い、県内だけではなく県外の方々も含め、この国内でも有数の施設を積極的な姿勢で売り込んでいくことも必要だと思いますが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。
三点目は、名称についてであります。平成十八年に出されました愛知の文化芸術振興に関する有識者懇談会報告書を見させていただきますと、陶磁資料館を陶磁美術館として企画、展示の水準を上げるべきであると提言がなされておりました。時代とともに言葉のなすイメージは変わってまいります。三十年前の資料館から美術館、博物館を含めた名称の変更も集客力向上のため検討すればと思いますが、館名についてはどのように考えているでしょうか、お伺いをいたします。
最後に、本館地下一階では、現代の陶芸が常設で展示をされております。これはまさに現代芸術であります。本県では、来年行われますトリエンナーレにおいて会場の一つとして位置づけをし、集客を図るのに、より幅広い世代に陶磁資料館のよさをPRできるチャンスと思われますが、いかがなものでしょうか、お伺いをいたします。
三点目、最後の質問になります。
県営住宅の自治会支援について御質問をさせていただきます。
本県において、県営住宅は、良質な住宅の供給とセーフティネットとして安定した住宅の供給が求められております。昨今の社会情勢を踏まえますと、その果たす役割は今後ますます重要になってくるものと思われます。
あわせて、県営住宅は、ハード面を支えるのが県並びに住宅供給公社であり、ソフト面を支えるのがその中に存在する自治会であります。自治会は、地域住民の自主的な意思による総意に基づき、触れ合いを通じて地域の連帯と住みよい環境づくりのためにさまざまな問題をお互いに協力し合い、解決していく住民組織であります。
しかしながら、ここ数年、私がよく耳にするのは、住宅入居者の高齢化により、住宅内での清掃、樹木の管理ができなくなったり、また、文化、風習、言葉が違う外国人の入居者が増加したことにより、地域コミュニティーを維持するのがより複雑化並びに煩雑化してきているということであります。それに伴い、自治会活動の縮小や、さらには自治会の役員のなり手が少なくなってきているということであります。
とりわけ、私がここで問題にしたいのが、住宅内で自治会が徴収を行う共益費であります。
本年二月議会において、筒井議員もこの問題に触れておりましたが、共益費とは、街路灯、階段灯の電気料金、野外散水の水道料金、エレベーターの保守点検費、汚水処理施設の維持管理費など、暮らしに密着した日常生活の上で不可分な費用を徴収するものであります。家賃と違い、支払わない者に対して強制的な法的手段を持たない共益費は、あくまでも住民相互の信頼関係に基づいて、ともに快適な暮らしを維持するために支払われるものであります。しかしながら、この共益費が、先ほども述べましたが、住民の高齢化や外国人居住者を含め、時代の変化とともに徴収を行うのが次第に困難となり、今後こうした傾向がますますふえることが考えられるわけであります。
平成十七年四月に結審した自治会費等請求事件においての最高裁の判例では、県営住宅の自治会に加入していようがいなかろうが、入居者は共益費を支払う義務があるという判決が下されており、本来は任意での支払いではなく、支払い義務が生じるものであることは明白でありますが、しかしながら、実情は極めて困難な状況にあります。
私は、過日、この質問を行うに当たり、現場の御苦労を知るために、東郷町にあります県営住宅の自治会の皆様に共益費に関する徴収の現状についてお話をお伺いをいたしました。
共益費の問題については、自治会としてもいかに徴収するかが最重要課題となっており、支払わない人に対して少額訴訟も考えたそうでありますが、しかしながら、入居契約時に共益費の文言が記載されていないため、保証人まで支払い請求ができず、本人が支払う意思を示さない限りはいつまでたっても解決しないということでありました。
また、自治会が支払い命令の判決を受ければ差し押さえも可能でありますが、もしそれを仮に執行するとなると、住宅内で血の雨の降る可能性があり、住民間の争いに発展しかねないとの御意見もありました。あわせて、未納者に対しては、まじめに支払っている人たちでそれら不足分を補っていかなければなりませんし、家賃と違い、何らペナルティーも科せられない共益費は、今後さらに支払わない人がふえてきてしまうのではないかと大変に心配をされておりました。
皆さんの希望は、共益費のうち、消費部分、すなわち電気代、水道代、公園管理費等でありますが、この部分において自治会が徴収を行わなければならないという認識ではありますが、保守管理費、すなわち合併浄化槽にかかわる費用やエレベーター点検、管理など、建物と一体とみなされる部分については、県が共益費の徴収を行うことをぜひ考えてもらいたいとのことでありました。
他府県の事例を見ますと、東京都では、エレベーターの保守管理費、汚水処理施設の清掃費は建物と一体という考え方から都が共益費の徴収を行っておりますし、大阪府では、共有部分の光熱水費やエレベーター、給水汚水処理施設の光熱水費並びにその維持管理費の二分の一を府が徴収を行っております。名古屋市も、共益費の一部を市が負担しているところであるわけであります。
こういった状況を踏まえて、以上、るる申し述べましたが、自治会役員は、大小さまざまな問題の解決に向けて御努力をされていると思います。県としても、県営住宅を維持していくために、自治会に対して何らか支援を早急に行う必要があると思います。特に、一部の自治会で従来から問題になっております共益費の徴収など、県として自治会支援をどのような形で行っていくのか、お伺いをいたします。
以上、三項目につきまして御質問をさせていただきました。明確な答弁を御期待を申し上げまして、壇上からの質問を終わります。(拍手)
- 4:◯県民生活部長(大久保裕司君) 大学改革と看護系人材育成のうち、まず、愛知県立大学の地域連携センター及び看護実践センターの取り組み状況についてでございます。
これらの組織につきましては、いずれも平成十九年四月の公立大学法人化に伴いまして、地域との連携活動を円滑、かつ組織的に推進するための総合窓口として設置されたものでございます。
その取り組みといたしまして、これまでに一般向けの公開講座として十一の講座を延べ三十回、学術講演会を七回開催をいたしまして、教育研究の成果を広く学外に情報発信をいたしております。
さらに、県立大学の研究者が行う他大学、あるいは研究機関との共同研究及び産業界と連携した研究活動を組織的に支援をしてまいりました、さらには、地元長久手町及び瀬戸市の教育委員会とボランティア学生派遣に関する協定を締結し、小中学校との交流を促進するほか、教育や多文化共生などの特定領域において、NPOや各種団体からの相談に対応するなど、県民の皆様の多様なニーズに対応できる開かれた大学づくりを目指しております。
また、大学統合により県立大学の地域連携センターの支部となりました看護実践センターにおきましては、これらの取り組みに加えまして、地域の現職看護職の方々に最新の知識、技術を伝えるセミナーや研究会を開催するとともに、より高度な専門教育の機会を提供するため、認定看護師教育課程を開設をいたしております。
次に、看護学部への入学志願者等の状況や、高度専門職業人の養成実績についてのお尋ねでございます。
新しく発足をいたしました県立大学看護学部の今春の一般選抜入試におきましては、入学定員を十名増加させたにもかかわらず、前年度の四・二倍から五・七倍に大きく志願倍率を上げております。また、推薦入学の志願者数につきましても、募集定員二十名に対し、過去最多の七十七名を数える結果となっております。これは、大学統合に伴い、教養教育の一元化、あるいは履修可能な選択科目の拡大がされたことなどを受験生が前向きにとらえてくれた結果であると理解をいたしております。
また、高度専門職業人の養成実績についてでありますが、平成十九年度に大学院へ開設をいたしました高度専門職コースでは、専門看護師コース五名及び認定看護管理者コース四名の修了生を送り出しております。さらに、大学と地域の連携を図る看護実践センターの事業として、平成二十年度に開講されました認定看護師教育課程におきましては、既に五十六名の方が認定看護師の資格を得て、医療現場において活躍をされておるところでございます。
こうしたことから、県といたしましては、公立大学としての大きな使命である地域連携、地域貢献の成果はしっかりと出ているのではないかと認識をいたしております。
最後に、新たな県立大学看護学部が担う役割と人材育成について、どんなことを期待するかというお尋ねについてでございます。
病院を訪れる患者さんは、社会的な立場や人生経験がさまざまであり、看護職としては、知識や技術だけではなく、相手の気持ちになってケアする心構えや豊かな人間性が必要となってまいります。そのため、学部教育の四年間におきましては、特定領域のスペシャリスト養成を目指すのではなく、広く豊かな教養や判断力を持ち、自己研さんが続けられる質の高い看護人材を育成するための教育が行われております。
また、大学院におきましては、広い視野に立ってみずからが目指す専門分野を研究して知識と技術を深め、医療・看護界において指導的な役割を果たす研究者や教育者を育成をいたしておるところでございます。
さらに、一たん社会に出た後に修得したい資格や、より深く研究したい分野がある場合には、看護実践センターや大学院で高度専門職の課程を履修できるなど、看護職の皆様が生涯にわたり看護学の教育を受けられるシステムが用意されておるところでございます。
公立大学法人の設立者である県といたしましては、今後も優秀で社会に役立つ人材を育成するため、県立大学の看護学部及び大学院において、時代のニーズに応じた多彩で先進的な質の高い教育が展開されて、この地域の看護教育の分野での先導的な役割を担っていただくこと、さらには、地域の医療・看護界や産業界などとの連携を一層強化されて、地域貢献につなげられることを期待をいたしているところでございます。
続きまして、陶磁資料館についての御質問でございます。
まず、家族連れを含め、世代を超えて楽しめる施設として、にぎわい創出を図る取り組みについてでございます。
県内外から多くのお客様にお出でいただき、子供から大人まで楽しんでいただけるよう、来年度から三年間を実施期間といたしますにぎわい創出プロジェクトの策定をいたすことといたしております。この中で大きな柱として考えておりますのが、企画展の充実と子供に対する取り組みの強化でございます。
まず、企画展の充実につきましては、茨城県陶芸美術館、兵庫陶芸美術館など、全国の陶磁を専門とする六つの県立博物館で昨年度設立をいたしました陶芸ネットワーク会議の共同企画により、各館の特色ある所蔵品の相互活用やノウハウの結集により、質の高い魅力ある全国巡回展を実施してまいりたいと考えております。
また、著名な写真家による陶芸写真展の企画や金工、漆器など陶芸の枠を超えた複合的な展示を実施するなど、新たに来館者を拡大するための取り組みを検討をいたしておるところでございます。
また、子供に対する取り組みの強化としましては、子供たちが楽しみながら学習し、実際に陶器のおもちゃにさわって遊べるエリア「やきもの何だーランド」を設置をしてまいります。
さらに、来年の夏休みの時期には、県埋蔵文化財センターとの共催によりまして、「触れて見て、親子で楽しい愛知の考古学」と称しまして、古代の生活を体験できる竪穴式住居を再現し、子供たちが楽しみながら学べるプログラムを実施してまいりたいと考えております。
次に、陶芸資料館を本県の観光資源としてとらえ、県内外の多くの皆様に来館をしていただく取り組みについてであります。
まず、入場料金の割引が受けられる愛知県観光協会の主催をいたします産業観光スタンプラリーへ参加をいたしておりますほか、名古屋商工会議所が企画しました産業観光モデルコースの施設として掲載をしていただくなど、積極的なPRに努めております。
また、現在、株式会社ジェイアール東海ツアーズが販売しております「産業文化財を訪ねて」という日帰りバスツアーの見学先の一つとして、陶磁資料館を取り上げていただいております。
今後は、陶磁資料館と瀬戸の窯元をめぐるツアーや、陶磁器をキーワードとして県境を越えた広域観光ツアーなどを旅行代理店に提案するなど、積極的な観光PRに努めてまいりたいと存じます。
次に、資料館という名称についてのお尋ねでございます。
陶磁資料館が開設された当時でございますが、陶芸という文化芸術的な面と、現代及び将来の産業のあり方を探るという二つの側面をあわせまして、現在の名称に決定されたと承知をいたしております。陶磁資料館という名称につきましては、三十年間、この名称で定着している面もございますが、議員御指摘のように、有識者懇談会からの提言もなされておりますので、今後各方面の方々の御意見をお聞きするなど、現在の施設をあらわすものとしてふさわしい名称につきまして検討してまいりたいと考えております。
最後に、来年開催をいたしますあいちトリエンナーレ二〇一〇の会場の一つとして位置づけてはどうかということについてであります。
トリエンナーレ会場につきましては、余り広い地域に点在させることは避け、芸術文化センターを拠点として、同センターに隣接する都市空間としたものでございます。
あいちトリエンナーレの開催期間中には、県内外から多くのお客様が当地へ来県されますので、トリエンナーレパートナーシップ事業として、現代陶芸を中心としたテーマ展示を充実するなど、若い世代を含む幅広い世代へ陶磁資料館のよさをPRしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 5:◯建設部建築担当局長(勢力常史君) 県営住宅の自治会活動に対する支援についてお答えいたします。
県営住宅の自治会は、入居者の利便や住みよい団地生活のための自主的組織でございますけれども、御指摘のように、入居者の高齢化や外国人入居者の増加などに伴いまして、一部の住宅においては、自治会活動が思うに任せない状況になってきているところもございます。
このため、少子化対策のみならず、自治会活動など団地コミュニティーの活性化につながることも期待いたしまして、平成十八年度からの子育て世帯、そして、今年度からの新婚世帯の優先入居制度を実施してきたところでございます。
さらに、今年度は、集会所を利用した高齢者のふれあいサロンや、外国人入居者を対象とした日本語教室の開催、適正なごみ出しと資源ステーションの活用など、活発に自治会活動されている取り組み事例や工夫などを取りまとめまして、全自治会に配布することとしております。活動の活性化に役立てていこうと考えております。
共益費の徴収問題につきましては、特に高齢者や外国人入居者の割合が高い住宅を対象にしまして、自治会役員の負担軽減のためにどのように支援し、モデル的な取り組みができるか、現在、自治会役員の方々との意見交換を行っているところでございます。
今年度のこれらの取り組みの効果も検証しつつ、引き続き共益費徴収の有効な支援も含めた活性化策を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 6:◯十一番(石井芳樹君) るる御答弁をいただきましたが、二項目について要望させていただきたいと思います。
まずは、県営住宅の共益費であります。この質問が出るたびに、県のほうが御答弁をされるのは、県が徴収をいたしますと滞納が生じたときに歳入として入れていかなければならないという話、すなわち県が補償していかなければいけないという話と、また、共益費を集める自治会の人たちの人と人とのつながりを阻害してはいけないというような話を答弁としてよく聞くわけでありますが、しかしながら、先ほど壇上でも述べさせていただきました、外国人や、そして自治会役員の高齢化により、自治会の方々の負担はさらにふえる一方でありますし、また、県のほうでは、過日お伺いをさせていただきましたが、共益費の滞納はどれほどありますかというようなお話の中で、しっかりと把握をしておらないというような話も聞いたわけであります。
ぜひとも、一回県内の県営住宅の共益費の問題や、そして、その残ったお金も含めて事情聴取をしていただきまして、県民の皆さんの切実なる声を聞いていただいて、ぜひとも共益費を、県も含めた自治会支援をしっかりと行っていっていただきますことをまず一点強く要望させていただき、そして、もう一つは、陶磁資料館活性化の話であります。
館長さんが、陶磁資料館を訪れさせていただいたときに案内をさせていただきました。焼き物の文化、そして、焼き物のある暮らしをもう一度考えていただきたいという話の中で、説明を受けながら、実際、焼き物というのは洋服と同じぐらい身近なものであるんだなというのを改めて私も感じさせていただいたわけであります。
館長さんの言葉の中で、茶わんや湯飲み、そして、はしも含めて独自の焼き物を持って食事をする文化は日本しかないそうであります。ぜひとも、食育も含めて、今、この日本の中では、コンビニ弁当や、そして、ファストフードが世の食卓を席巻をしておるわけでありますが、マイカップ、そしてマイはし、マイ茶わんを持っていただいて、家族団らんを食育推進に含めて、またぜひとも陶磁資料館を一つの起点として考えていっていただきますことをお願いをするところであります。
とにもかくにも、あれをやってこれをやらないというわけじゃなくて、陶磁に関するものはすべてやる、何でもやるという姿勢で、多くの人たちにもう一度焼き物王国愛知を知っていただく意味で、陶磁資料館の活性化を強く要望させていただきまして、私の質問を終わります。
- 7:◯議長(吉川伸二君) 進行いたします。
浅井よしたか議員。
〔七番浅井よしたか君登壇〕(拍手)
- 8:◯七番(浅井よしたか君) 通告に従い、順次質問させていただきます。
私は、新型インフルエンザ対策と、メルセデス・ベンツの三河港からの撤退という二つの事例を通して、本県の危機管理能力や情報収集力に関する疑問や課題を可能な限り明らかにすることで、今後の本県施策の改善につなげるべく、質問を行いたいと存じます。
初めに、本年七月以降の累計患者数が一千万人を突破し、大流行中の新型インフルエンザへの対策についてお尋ねしてまいりますが、具体的質問に入る前に、私が現在抱いている危惧を皆さんに御理解いただくため、同様の心配を新聞等で表明されている専門家のお話をまず御紹介させていただきます。
その専門家は、国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長の田代眞人氏であり、田代氏が最も心配されているのは、間違った安心感が社会に蔓延することであり、今回の新型インフルエンザでも、五月の国内初感染当初は大騒ぎしたが、その後、大したことはないという雰囲気になり、対策が緩んでしまったと指摘されています。さらに、当時から専門家は、秋から冬にかけ本格的に流行すると指摘していたので、本来六月から七月は、ワクチン接種体制を整えるなどの備えに当てるべき貴重な時期だったが、有効に使われていなかったともおっしゃっています。
そして、今後のパンデミックに対して次のような警鐘を鳴らされています。高病原性鳥インフルエンザH5N1型が新型に変異するリスクは、今回の新型インフルエンザの騒ぎの間も決して減ってはいない。もちろん、本当に新型になるかどうかはだれにもわからない。不用意に恐れ、パニックになることは避けなければならないが、一方で、新型って大したことないのではといった誤解が広がり、将来起こり得る強毒型のパンデミックへの備えができなくなってしまうのは大変危険だ。六月から七月はまさにそんな空気があった。常に警戒心を持って臨む必要があると戒めておられます。まさに同感であり、そのような認識のもとで、以下質問を続けさせていただきます。
さて、昨日の我が党の中村すすむ政調会長の代表質問でも触れられましたが、インフルエンザ対策の中でも、現在県民の皆さんが大きな関心をお持ちのワクチン接種については、妊婦さんや基礎疾患のある一歳から小学校三年生までを対象にした優先接種が、県の調整ミスから予定どおりに実施できなかったという不手際があり、ワクチンの配分と円滑な流通の確保及び具体的な接種スケジュールの設定に責任を有する愛知県として、神田知事も陳謝されました。
それ以前にも、私の地元の東三河では、十月二十八日から全国一斉に始まった妊婦さんなどへの新型インフルエンザワクチンの優先接種の予約受け付けが県の調整不足により東三河のほとんどの医療機関で見送られたと新聞報道されるなど、県の準備不足、調整不足が原因とされる混乱が続きました。
今回の本県の新型インフルエンザへの対応には、医療関係者や県民から多くの疑問や批判の声が上がっています。もちろん、ワクチン接種に関する混乱の原因には、根本的にワクチンが不足していること、そして、厚生労働省のたび重なる接種スケジュールの変更などがありますが、本県の対応に果たして問題はなかったのでしょうか。
ここで、本県の今日までの新型インフルエンザ対策の取り組み状況を簡単に振り返ってみたいと思います。
本県は、平成十七年十二月に愛知県新型インフルエンザ対策行動計画を策定し、その改定を本年五月に行っています。また、本年一月には、国との共催による総合訓練も実施されています。それらの内容を簡単に御紹介いたします。
行動計画の中では、新型インフルエンザ対策の基本方針が示され、その上で、新型インフルエンザのパンデミックは必ずしも完全に予測どおりに展開するものではないため、常に行動計画やマニュアル等を見直すとともに、関係機関と事前に十分調整し、具体的な行動が速やかに行えるように準備する必要性が強調されております。
また、行動計画の実施体制の中心には、知事を本部長として県の全部局を構成員とする愛知県新型インフルエンザ対策本部があり、この対策本部を随時開催し、県として一体となった対策を強化すると定められており、訓練においても三回の対策本部会議が開催をされています。
加えて、ワクチン接種については、国の方針に基づき、市町村と協力して接種体制の構築を行い、円滑な接種が行われるよう十分な準備を進めることとされています。
これらの行動計画策定や訓練は、強毒性の新型インフルエンザを想定して実施されたとのことですが、当然弱毒性の今回のインフルエンザへの対応に通じる点も多々あるはずです。
そこで、最初の質問をさせていただきます。
今、御紹介した訓練や行動計画で定められたことは、今回の実際の対応にどのように生かされ、どの程度実行されたのでしょうか。また、常に行動計画やマニュアルの見直しをすべきと明記されていますが、本年五月以降どのような見直しをされてきたのでしょうか、お答えください。
本県は、ただいま御紹介したように、訓練や行動計画策定などさまざまな準備を実施してきたにもかかわらず、大変残念ながら、十一月上旬から三週間も全国一の感染状況が続いてしまい、現在もなお深刻な状況にあります。この感染の蔓延も大きな問題であるのは言うまでもありませんが、さらに見逃せない問題は、十月中旬以降明らかになってきた、基礎疾患のない小児が新型インフルエンザで重症化したり死亡したりするケースが全国で相次いでいる点です。この事態を重く受けとめ、日本小児科学会は、十月二十三日に、十代前半を含め健康な小児へのワクチン接種の早期実現を求める要望書を厚生労働大臣に提出をいたしました。この時点での入院患者は八割以上が未成年者であり、その約七割は基礎疾患を持っていなかったのであります。
現在では、さらに低年齢化が進み、五歳から九歳の小児が重症化する傾向が顕著になり、十分な注意と対策が早急に必要とされている状況なのは、御存じのとおりであります。
また、そのような状況を重く受けとめて、幾つかの都道府県では、小児への接種を優先させるための検討を十月下旬から始めましたし、厚生労働省もおくればせながら、十一月六日に都道府県に対し、小児への接種前倒し要請をするに至りました。しかし、いまだに本県では基礎疾患のない小児への接種が行われていないのはなぜなのでしょうか。大変疑問に思い、厚生労働省や他の都府県へのヒアリングも行ってまいりました。中でも、全国で最も早く十一月十四日から基礎疾患のない小児への接種を始めた大阪府と、次いで十一月十六日から接種を始めた東京都の事例を御紹介をさせていただきます。
念のため申し添えますが、本日の時点では、これらの自治体を含め、十二以上の都道府県が基礎疾患のない小児へのワクチン接種を既に前倒し実施をしております。
では、大阪府から伺った内容のうち、本県と異なる点を中心に御紹介いたします。
まず、事前準備についてですが、本県が国と合同で大がかりに行った訓練は実施されておりません。また、一連の経過を通して、専門家から成る対策協議会との連携を密にされ、意思決定に有効に活用されている印象を強く受けました。
続いて、本県の対応と最も異なる新型インフルエンザワクチン接種についてです。極めて重要である優先接種対象者の人数把握については、国から都道府県別のワクチン配分量が示された十月二日から即座に開始されたそうであります。その調査方法も、本県では卸売業者さんなどにも依頼をして、優先接種対象者数を対象グループごとに接種予定順に順を追って調べられておりますが、大阪では、大阪府の担当部局が医師会と市町村に直接調査依頼を行い、医療機関の意向、接種能力を踏まえた形で、優先接種対象者数を極めて短期間に一括して把握をされております。
このほか、国の情報を少しでも早く収集し、対応のシミュレーションに取りかかるという意味では、橋下知事と厚生労働大臣とのホットラインに加えて、医師資格を有する大阪府職員と国立感染症研究所の専門家同士での密な連絡による情報収集が非常に役立ったとのことでした。
そして、十月中旬には、重症化傾向が小児にはっきりと出てきたことに加えて、十月二十日に、国がそれまで最優先に位置づけていた医療従事者へのワクチン接種を二回から一回に方針転換したことにより、各自治体の判断で使えるワクチンが生じたため、国からの要請が出る十一月六日以前にもかかわらず、大阪府内の感染実態を勘案し、独自の判断で基礎疾患のない小児への接種前倒しの検討に着手されたとのことです。最終的には、橋下知事の、大阪府は子供を大事にしたいんだとの強い思いから方針変更が決断をされ、十一月十四日からの小児への接種に至ったとのことでした。
このころになると、各自治体ごとに優先接種の考え方、方針が明確に異なってきました。もちろん、ワクチンの絶対量の不足や、医療機関が非常に疲弊してきていること、また、卸売業者さんに大変御無理をお願いしているなどの状況は、どの都道府県でも大差はなく、大阪府も同様であるとのことです。
東京都にも、ほとんど同じ内容の質問をさせていただきましたが、ほぼ同様の考え方に基づいた対策がとられております。東京都も、厚生労働省が示した接種スケジュール案とは異なり、十月二十日時点での都内の入院患者の実態を見て、その六五%が十歳未満の子供であることを重視して、大阪府と同時期から前倒しの検討に着手。十月末には方針変更を決断し、国の方針では、十二月からの予定であった基礎疾患のない一歳から六歳の未就学児への前倒しを決め、十一月十六日から接種を開始しております。
今お示しした大阪府、東京都に共通して言えるのは、ワクチン優先接種対象者のグループごとの人数把握を優先順位が後のグループまで含めて、十月中旬にはほぼ、既に完了していたことです。そのおかげで、方針変更などにも極めて迅速に対応できたものと思われます。
また、府内、都内の感染実態把握や、国からの情報収集に全力で取り組み、そこから導かれた対策を国の優先接種方針の変更に先んじて、独自の考えで立案、実施する姿勢であります。その根底には、府民、都民の生命を守るという強い意思と正しい危機管理意識があるのだと感じます。
もちろん、先ほども申し上げましたが、今回の各自治体の混乱には、未経験の事態であることに加え、国の何度にもわたる方針転換が一因となっているのは否定できないところであります。であるからこそ、なおさら重要なのは、正確で迅速な実態把握、情報収集であり、それらに柔軟に対応できる組織だと考えます。
ここで、幾つか質問をさせていただきます。
まず、今回の本県の新型インフルエンザに対する感染実態把握や、ワクチン接種希望者調査などの情報収集について、その手法やスピードをどのように自己評価されていますでしょうか。また、大阪府や東京都のように、国の要請以前に小児への接種を検討し、実施されなかった理由は何なのでしょうか。そして、そもそも本県のインフルエンザ対策の意思決定はどこでどのようになされているのでしょうか。
大変理解に苦しむのは、対策実施体制のかなめに位置づけられているにもかかわらず、対策本部会議が六月一日以降一度も開催されていないことであります。また、幹事会さえも十月九日の開催が最後であり、他の都府県がワクチン接種の実施時期について前倒しの見直しを始めた十月中旬以降には一度も開催されておりません。これでは何のためにつくられた組織なのか、大いに疑問を感じますし、このあたりの対応に危機意識の希薄さと危機管理に対する本県の姿勢があらわれている気がしてなりません。いかがお考えでしょうか。
また、各診療所の負担軽減と十ミリリットル入りワクチンを有効に使うために、子供たちへの集団接種が東京都、大阪府などで始まっていますが、本県の方針をお示しください。
次がインフルエンザ対策に関する最後の質問です。
それは、今後の対策に役立てるために、今回の本県の対応について、他県の対策なども参考にして課題や反省点などを徹底して検証し、遅くとも今年度中には取りまとめ、公表することが極めて重要だと考えますが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。
続いて取り上げる質問も、愛知県の危機管理と情報収集力に関する問題です。
十一月十日の地元紙一面にこんな記事が掲載されました。「ベンツ、豊橋から撤退」との大見出しのもと、豊橋市で操業中の新車整備センター、いわゆるVPCを来年四月一日に茨城県日立市で操業中の日立VPCに統合することを決めたとその記事は続き、さらに、世界有数の自動車港湾・三河港周辺に自動車関連企業の集約を図る豊橋・三河港にとって大きな痛手であると報じられております。
メルセデス・ベンツ日本株式会社は、平成二年、県企業庁から三河港臨海部の埋立地約十万七千平方メートルを購入し、進出をされました。豊橋VPCは翌年一月から稼働し、輸入が開始をされました。この新車整備センターは、豊橋市以外に茨城県日立市内でも平成四年一月から稼働していますが、機能的には、日立VPCが東日本、豊橋VPCが西日本を担当流通エリアとして、新車整備、販売を行ってきました。
今回決まった両センターの統合合理化については、数年前からその検討の必要性がドイツ本社からも指摘されてきたとの報道や一部情報もありますが、実際には、昨年秋からの不況による輸入販売台数の減少が統合合理化を加速させたというのが真相のようです。そして、統合決定までの間にはさまざまな情報が飛び交いました。
まず、昨年十二月二十一日に「豊橋に新車整備センターを統合一元化決定」との一部新聞報道がなされましたが、その日のうちにメルセデス・ベンツ日本株式会社がその報道を否定するという出来事がありました。また、今回の決定とは直接の関係はないとされていますが、本年二月には、より迅速な部品供給を可能にするため、来年秋までに部品センターを豊橋市から千葉県習志野市に移転することも日本通運との合意により発表をされております。こうした拠点最適化の検討が行われた結果、去る十一月六日に、三河港からの全面撤退が発表されることとなったわけであります。
公式な撤退理由は主に二点あるようです。一つ目は、販売実績の多い首都圏への集約化で物流の一層の効率化を図ることであり、二つ目は、新車整備の効率化と販売実績の落ち込みにより、追加投資の不要な日立VPC一カ所のみで整備可能になったためと発表されました。しかし、これまでに行われた三河港豊橋基地への投資は、用地購入と設備などで総額二百億円近いとも言われ、ある意味、それを捨ててでもと思わせた決断の裏には、よほど有利な条件が物流業者や港湾管理者等から提示されたことも十分に考えられます。
そもそも、従来から、茨城県のほうが本県よりもアフターフォローが丁寧、熱心であったとの内部情報もありますし、今回のケースに限っても、モータープール用地として五ヘクタールの土地が準備されたとのことであり、茨城県及び日立市のほうが活発な動きをしていたのは確かだと言えます。
私が茨城県にヒアリングしたところでは、新聞報道のたびに、県の課長または課長補佐クラスが、その都度真相を把握するためにメルセデス・ベンツ日本本社に出向き、真偽の確認をしてきたのはもちろんのこと、ことしの春先に再度、豊橋VPCへの一本化のうわさが出た際にも、すぐ東京の本社を訪問するなどの接触を重ねてこられたとのことです。また、当然のことながら、地元の日立市との連携も随時とり、情報収集を行ってきたそうです。そして、ことしじゅうにどちらかへの統合が決定されるとの情報も本年四月末ごろにはつかんでいたため、この半年間はどちらに決まるか気が気でなかったとも言われました。
もちろん、そういった情報収集力の高さは、県の東京事務所とは別に、知事直轄の組織として茨城県産業立地推進東京本部を昭和五十九年秋から東京大手町に設置し、ポートセールスを専門に担当する専任スタッフ二、三人と企業誘致の専任スタッフを五人ほど常駐させて、荷主や船会社などへの企業訪問を定期的に展開し、各企業との密接な関係づくりに地道に努力してきたことによるものだと考えられます。
一方、今回のベンツ撤退に関する本県の動きを建設部にお聞きしましたところ、十一月六日に撤退発表を知り、慌てて十一月十日に産業労働部とともにメルセデス・ベンツ日本本社を訪問され、再検討をお願いされたそうですが、時既に遅しだったわけであります。
撤退についてのベンツ側の説明では、あくまで先ほど御紹介したように、経営効率によって決断したとのことだったようです。第一義的には当然そのとおりでしょう。しかし、額面どおりに受け取るだけで本当にいいのでしょうか。
私が本県に、日ごろのおつき合いの状況をお尋ねしたところ、昨年の九月二日とことしの四月二十二日の二回、メルセデス・ベンツ株式会社の豊橋事業所を訪問し、ヒアリングを行い、三河港からの撤退はないことを確認されたとのことでした。東京の本社へはすべての結論が出た後でやっと訪問されたようです。しかし、頻繁にメルセデス・ベンツの本社を訪問されていた茨城県のほうは、先ほど御紹介したように、ことしじゅうに統合先が決定されるという正確な情報を同じ四月末ごろには得ていたそうですから、情報戦においては、その時点で既に勝負あったと言えるのではないでしょうか。
つまり、今回の最大の問題は、企業側が最終結論を出すまで、本県は情報不足のため、ほとんど状況把握できていなかったことであり、県としての条件提示や物流業者への働きかけ等を一切行えなかった点だと言えます。自動車港湾三河港にとって自動車物流はまさに生命線であり、ベンツはフォルクスワーゲンとともにそのシンボルと言えましたので、今回の撤退は、三河港の物流にとってはもちろんのこと、地域の雇用確保の観点からも非常に大きな痛手であります。
改めて言うまでもないことですが、厳しい経済情勢の中で地域間競争が激しさを増しております。今後も、県内の事業拠点が生産の効率化や合理化のため、県外に流出してしまうかもしれないという危機感を常に持って、さまざまな情報に敏感に対応する姿勢と体制が必要不可欠だと思います。
また、地元の基礎自治体との連携、情報交換にも今まで以上に力を入れていくべきだと考えます。そうでなければ、全県的にも今回の事例と同じように、今後も企業の流出や撤退が起こる可能性を否定することはできないからであります。
そこで質問をさせていただきます。
私は、三河港の活性化という観点及び本県の産業立地の促進という観点のいずれから見ても、今回の事の重要性を理解し、このような状況が発生した原因を解明し、今後の対応を明確にすることこそが本県として不可欠であると考えますが、今回の一件についての御所見と、それを踏まえた今後の具体的改善策及び情報収集戦略についてのお考えをお示しください。
以上、るる申し上げてまいりましたが、新型インフルエンザ対策とメルセデス・ベンツの三河港からの撤退という二つの事例には、現在の愛知県が抱える課題、すなわち危機意識や情報収集力の不足がはっきりとあらわれている気がしてなりません。今こそまさに全庁的意識改革が求められていると思います。
ぜひとも前向きで具体的な御答弁をいただくことを期待をして、壇上からの質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
- 9:◯健康福祉部健康担当局長(五十里明君) 新型インフルエンザ対策についてお答えをいたします。
まず、行動計画と訓練についてでございます。
国の行動計画に基づき、平成十七年十二月に策定いたしました愛知県新型インフルエンザ対策行動計画は、強毒性の新型インフルエンザ発生を想定したものであります。今回の新型インフルエンザにつきましても、毒性等が明らかでなかった発生当初は、この行動計画に基づき、発熱相談センターの開設や発熱外来の設置、患者に対する入院措置などの対策を実施してまいりました。また、訓練につきましても、本年一月十三日に国と共催で強毒型の新型インフルエンザを想定した全庁的な訓練を実施したところでございますが、発生当初の保健所や医療機関における患者の入院措置や、発熱外来の設置、県庁各部局の初期対応等に生かすことができたと考えております。
次に、行動計画の見直しについてでございます。
平成十七年十二月の策定後、国の行動計画の一部改正に合わせまして、本年五月までに三回にわたり改正をしたところであります。しかし、その後、今回の新型インフルエンザが弱毒性であることが明らかになり、国は、強毒性を想定した行動計画とは別に、基本的対処方針や医療の確保、検疫、学校、保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針、これを策定したところでございまして、本県におきましても、これらに基づき対応しているところであります。
次に、感染の実態把握とワクチン接種希望者調査についてでございます。
まず、感染の実態把握でございますが、新型インフルエンザにつきましては、本年七月二十三日までは感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律、いわゆる感染症法に基づきまして、診察を行った医師が保健所に発生届を提出することによりまして、いわゆる感染者の全数把握、これを行っておりました。
その後、感染の拡大に伴いまして、本年七月二十四日に感染症法の施行規則が一部改正され、全数把握が中止されましたことから、これ以降は県内百九十五の定点医療機関から保健所への週ごとのインフルエンザ患者の発生報告のほか、学校等における学級閉鎖などの措置状況の報告や社会福祉施設等からの患者の集団発生報告、医療機関からの入院患者の発生報告などにより、県内における感染状況を把握いたしております。
次に、新型インフルエンザワクチンの接種希望者調査についてでございます。
今回の新型インフルエンザは、季節性インフルエンザなど例年実施されている予防接種とは異なり、流行の予測も難しく変動する接種希望者数を早い時期から医療機関が把握することは困難であると考えたところであります。
そこで、本県におきましては、接種を行う県内約四千カ所の医療機関から、接種開始日のおおむね三週間前から接種希望を受け付けていただき、必要人数の報告を受けることによりまして、より正確な接種希望者数の把握に努めているところでございます。
今後は、医療機関に対し、ワクチンについてのより詳細な情報を提供いたしますことによりまして、さらに正確な情報を速やかに入手してまいりたいと考えております。
次に、小児の接種時期の前倒しについてでございます。今回の新型のインフルエンザのワクチン接種につきましては、供給量が限られている中で、当初予定していた接種時期を前倒しすることについて、現場にさまざまな混乱を招くのではないかとの懸念がございます。
具体的には、国からの限られた供給時期や供給量のもとで、小児への接種を十一月に前倒しした場合、基礎疾患を有する小児など、本来、優先接種順位が高い方々への接種がおくれることが心配されます。実際に前倒しを実施した自治体において、そのような報道もございました。本県といたしましては、ある程度ワクチンの供給量の増加が見込まれる時期を勘案し、当初の十二月中旬の予定から十二月上旬に前倒しすることにしたところでございます。
次いで、新型インフルエンザ対策の意思決定についてでございます。
新型インフルエンザ対策につきましては、基本的には、県庁各部局において、それぞれの所管する業務に関する対策を推進しているところでありますが、全庁的な対応が必要なことから、健康福祉部におきまして、情報提供や連絡調整を行っており、必要に応じ、知事に報告や相談を行い、対策、対応を進めております。
次に、対策本部等の開催についてでございます。
本県では、関係部局が連携を図り、総合的、横断的に対策を推進するために対策本部を設置しており、世界保健機関による新型インフルエンザ発生の宣言や、国内及び県外における初の患者発生という重大な局面を受け、これまで三回の本部会議を開催しております。また、国による当面の対処方針やワクチン接種事業の公表などを受け、庁内各部局で構成する対策本部幹事会を五回開催してまいりした。
また、本格的な流行を迎えた九月ごろ以降には、月二回定例的に開かれる部長会議の場を活用して、流行の状況やワクチンに関する対応を報告し、県庁内の情報の共有化を図ってきたところであります。さらに、その間、十月一日には新型インフルエンザ対策室を設置し、感染の拡大に備え、庁内の体制の強化を図ったところであります。
次に、小児に対するいわゆる集団接種についてでございます。
予防接種は、接種現場での事故を極力防ぐためにも、集団接種からかかりつけ医などによる個別接種、これが原則となっております。しかしながら、接種対象者が多数となる今回のワクチン接種に関しましては、県といたしましても、小児科の負担軽減や接種の円滑な実施のため、小児に対する医療機関以外の場所における接種について、地区医師会等の協力を得ながら、関係機関との調整を行っております。なお、これまでに安城市がこの方法で実施することを決めておりますほか、数カ所の市町村でも実施についての検討がされております。
最後に、今回の新型インフルエンザに関する対応の取りまとめについてでございます。
今回の新型インフルエンザは、現在のところ、幸いにも弱毒性でありますが、このウイルスの強毒化や鳥インフルエンザH5N1の新型インフルエンザへの変異などに備えるためにも、今回の県の対応などについて検証することは意義があるものと、そのように考えております。
したがいまして、感染拡大が収束し、対策全般が落ちついた時点で、国の対応や他県の状況も把握しながら、今回の新型インフルエンザへの本県の対応状況や、今後の課題などを取りまとめ、対策本部会議に報告してまいりたい、このように考えております。
以上です。
- 10:◯産業労働部長(富吉賢一君) 企業撤退を踏まえた対応などにつきまして、産業立地の立場からお答えをさせていただきます。
百年に一度と言われる経済危機の中にございまして、各企業とも厳しいコスト削減が求められている中、全国的に事業所の統廃合が多く見られておりまして、今回のメルセデス・ベンツの撤退もその流れの中で起こったものと考えております。
私ども、直接メルセデス・ベンツに確認をいたしましたが、新車の販売台数の減少により施設稼働率が大幅に減少する中、二カ所の整備センターを一カ所に統合する必要が生じたため、需要の大きな首都圏に近く、また、整備能力が豊橋の一・五倍ございまして、現在の販売台数に追加投資なく対応できます日立に施設を集約することに決定したものであり、今回の豊橋からの撤退はあくまでも経営判断によるものとのことでございました。
しかしながら、立地企業のニーズ、動向につきまして情報収集をいたしまして、これに的確に対応していくことは大変重要なことであるというように認識をしております。このため、本県におきましては、東京事務所に誘致担当職員を配置いたしまして、本県に事業所を有する企業も含め本社への訪問活動を行いますとともに、地元では、市町村、商工会議所等の協力を得ながら、地域別に地元立地企業と県及び市町村の立地担当者が一堂に会する会合を持ちまして、きめ細かい情報収集、発信ができる環境づくりに努めているところでございます。
特に、本県に進出しております外資系企業に対しましては、県や地元企業との交流の場として、定期的な意見交換会も実施をしているところでございます。
今後とも、東京事務所はもちろんのこと、建設部を初めといたします庁内関係部局、市町村との連携をさらに強化いたしまして、本社も含めた地元企業への訪問活動などを通じまして、地元企業との接点をふやし、情報収集、発信の密度を高めることで、立地企業に対するきめ細やかなフォローアップを行っていきたいというふうに考えているところでございます。
- 11:◯建設部長(川西寛君) 三河港の港湾管理者としての所見並びに今後の対応についてお答えを申し上げます。
三河港の港湾管理者といたしましては、三河港の利用を促進するため、船会社、荷主企業、物流関係企業などに対しまして、ポートセミナーの開催やポートセールスミッションの派遣などを実施してまいりました。
このような中で、メルセデス・ベンツ日本株式会社につきましては、昨年九月の訪問後、本年の部品センター移転の報道に接しまして、再度本年四月に訪問し、港湾利用等についてのヒアリングをしたところ、撤退に関する情報は得られませんでした。その後、撤退の情報が流れ、急遽、メルセデス・ベンツ社を訪問し、真偽を確認したところ、立地の利便性上の優劣ではなく、企業の経営効率化の観点からの合理化ということでございました。
三河港は、世界でも有数の国際自動車港湾として発展してまいりましたが、今年度は、昨年からの世界同時不況に伴い、三河港の貨物量が減少しておりますので、本年七月から特に自動車メーカーなどの荷主企業や港湾荷役業者を中心といたしまして、個別に訪問し、物流面の要望を伺っているところでございます。
いずれにいたしましても、情報収集は大切でございます。今回のことも契機に、産業労働部や豊橋市など関係者と連携をより密にいたしまして、情報収集に努め、今後の三河港の利用促進策に生かし、より一層三河港の振興に努めてまいります。
以上です。
- 12:◯七番(浅井よしたか君) ただいまそれぞれ御答弁をいただきました。
まず、新型インフルエンザ対策についてですけれども、率直に申し上げて、私の認識とか問題意識とはかなり差があるなという気がしてなりません。なぜ小児への接種前倒しをしなかったのか、また検討をしなかったか、他県との考えがどう違うのか、そして、そもそも対策本部というものをつくって、六月以降一度も開かれないんやったら、つくった意味が本当にあったのかどうかなど、大変疑問を感じます。本当に残念ながら、十分納得がいく御答弁をいただけなかったのは本当に残念だというふうに思いますが、ただ、再度質問をしても、きっと平行線のままだと思われますから質問はいたしませんけれども、ただ、一つだけ評価できるなと思うのは、私が最も重要だと考えておりますけれども、今回の経験を今後に生かすために、他県の状況等も踏まえて、本県の課題や反省点を検証して、取りまとめをしていただけるということについては、明確にお約束をいただきましたので、これはしっかりとした総括をなるべく早く、いつ次の事態が起きるかわかりませんから、ぜひ県民の安心・安全を守ることが県政の最大の責務の一つであるというのは、これは論をまたないわけですから、まさに県民の生活が第一という姿勢を中心に据えた施策展開を要望したいと思います。
次に、三河港からのベンツ撤退についてでありますけれども、質問の中でも申し上げましたが、大変激しい地域間競争に打ち勝つためには、やっぱり今までどおりの活動や発想だけでは通用しないんだという現在の厳しい経済情勢をやっぱり再度認識をして、徹底した意識改革を全庁的に進めていただくことがまず第一歩であるというふうに私は思います。
その上で、関係部局間や、そして、先ほども部長御答弁ありましたように、地元自治体との連携をより緊密に、そして、スピーディーにしていただいて、情報戦をリードしていただかなくてはなりません。
そういった姿勢は、知事が今議会冒頭の提案理由説明の中でおっしゃいましたが、アンテナを常に高くして、変化に迅速に対応できる愛知県を目指すんだという趣旨に直結をするわけですから、ぜひとも具体的な情報収集戦略を早急に構築していただきますことを強く要望して終わります。
以上です。
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- 13:◯三十七番(山下史守朗君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 14:◯議長(吉川伸二君) 山下史守朗議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 15:◯議長(吉川伸二君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時二十四分休憩
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午後零時五十九分開議
- 16:◯副議長(鈴木孝昌君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
神野博史議員。
〔四十三番神野博史君登壇〕(拍手)
- 17:◯四十三番(神野博史君) 議長のお許しを得ましたので、通告に従いまして、順次お伺いをいたします。
まず最初は、地域医療再生計画についてであります。
本県における公立病院は、そのいずれもが救急医療、僻地医療、周産期医療など、地域医療において欠くことのできない役割を果たしております。
しかし、その経営状況を見ますと、平成十三年度ごろまでは、市町の公立病院のうち、約半数は黒字病院でありましたが、平成十四年度に約七割の病院が赤字となって以降、大半が赤字病院という大変厳しい状況が続いております。
この原因といたしましては、診療報酬のマイナス改定なども挙げられておりますが、特に平成十六年度から必須化された新たな医師臨床研修制度を契機とした勤務医不足による診療の制限が大きく影響していると考えられます。救急医療を初めとする地域医療体制をしっかりと維持していくためには、その根底にある医師不足、特に病院勤務医の不足問題を解決しなければなりません。
この点、本県においては、人口十万人当たりの勤務医師数が全国平均を下回っており、医師不足のために診療制限をしている病院は約二〇%に達するなど、非常に大きな問題となっております。
こうした医師不足問題を打開するため、県では、平成十八年度からドクターバンクなどの方策により医師確保に努めるとともに、昨年度からは、将来、県の指定する公的医療機関で一定期間勤務することを条件とした奨学金制度を実施いたしました。また、今年度からは、地域医療へ積極的に貢献する医師を確保するため、診療科全般にわたって高い診療能力を有する総合医の養成を目的とした講座を大学医学部に設置するなど、さまざまな取り組みが行われております。
一方で、限られた医師などの医療資源の中で地域医療を確保するためには、地域において重要な役割を担っている公立病院を含めた医療機関の機能分担と相互連携による効率的で的確な医療体制を構築していくことも重要であります。
こうした認識のもと、県では、昨年三月、県内に医学部を有する四大学の病院長などの参画を得た有識者会議を設置するとともに、地域ではワーキンググループを設け、二次医療圏を単位として、医療機能の分担、連携のあり方について検討が行われました。
また、ことし二月には、有識者会議から地域医療連携のあり方についての提言が出され、神田知事みずからがこの報告書を受け取られております。
この提言は、地域医療、特に救急医療体制の確保の観点から、課題を抱えている五つの医療圏に関して、今後さらに地域医療連携の実現に向けて、関係者に求められる取り組みについて、その内容を提示したものであります。
私の地元東海市のある知多半島医療圏についても、具体的な提言をいただいたところであります。このように地域の多くの関係者によって、地域医療をテーマに、二次医療圏ごとの機能強化、連携や、医師確保のための踏み込んだ議論が行われたのは全国的にも初めてのことであります。
一方、国においても、本年五月に経済危機対策の一環として、平成二十一年度第一次補正予算において、都道府県が行う医療圏単位での医療機能の強化、医師確保の取り組みなどを支援するために、地域医療再生臨時特例交付金が創設されました。ところが、その後、政権交代によって補正予算の執行見直しが行われ、まことに残念なことに、全体で七百五十億円規模の執行停止がありました。
そのため、地域や有識者会議において議論を重ね、真摯に計画策定を進めてきた本県においても、事業内容を縮小するなどの見直しを余儀なくされました。とはいえ、都道府県では対象となる地域を選定し、地域ごとに二十五億円規模の地域医療再生計画を策定し、交付金を財源に基金を設け、平成二十五年度までの間、それを取り崩しながら、計画に従って、救急医療や地域の医師確保など、地域の実情に応じた取り組みを実施することが可能となりました。
そこで、一点目、県は、この地域医療再生計画についてどのような考えに基づいて策定されたのか、お尋ねをいたします。
二点目は、地域医療再生計画に基づく医師確保対策についてであります。
有識者会議の提言の中で、知多半島医療圏については、圏域北部における救急医療の確保を図るため、東海市民病院と知多市民病院の統合を視野に入れた医療機能連携の検討を積極的に進めるべきであるとの提言がなされました。
これを受けて、両市では、ことし四月に東海市・知多市病院連携等協議会を設置し、知多半島北部地域に求められている医療提供の確保及び充実に向けて、両病院の経営や施設を完全に統合し、適切な場所に適正規模の新病院を建設することを目標として具体的な協議を進めております。そして、この十一月にはまず両病院の経営を統合する協定書を締結し、今後、合併に向けての具体的な手続などを進めていくこととしております。
しかしながら、医師不足、特に病院勤務医不足の状況のもと、統合後の病院において、果たして医師が必要数確保できるのか、大変心配をしております。
そこで、地域医療再生計画では、医師確保対策など、県全体を対象として実施するほうが効果的な対策について、県はどのように取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたします。
三点目は、地域医療再生計画に基づく救急医療対策についてであります。
私の地元である知多半島医療圏における平成十九年度の救急搬送件数は一万九千八百六十五件でありました。そのうち、半田市立半田病院では三五・九%の七千百三十二件を受け入れており、続いて、常滑市民病院が九%の千七百九十三件、知多市民病院が七・九%の千五百七十六件、厚生連知多厚生病院が六・八%の千三百五十二件となっております。
なお、この医療圏は圏域外への救急搬送が多いという特性があり、名古屋医療圏へ六・六%の千三百十七件、西三河南部医療圏へ八・一%の千六百二件の搬送となっております。また、平成二十一年度の県の調査によりますと、医師不足のため、時間外救急の受け入れ制限をしている病院は一病院あり、知多半島医療圏における救急医療体制に対して不安を感じております。
県民にとって、命を守る救急医療体制の充実が最も重要な課題であり、医療機関の役割を明確にし、的確かつ機能的な医療体制にしていく必要があると思います。
そこで、県は、地域医療再生計画に基づき、救急医療体制の充実にどのように取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたします。
四点目は、地域医療再生計画に基づく周産期医療対策についてであります。
本県においては、分娩を取り扱っている病院が平成十九年度の六十一カ所から平成二十年度は五十九カ所へ、診療所についても、平成十九年度の百八カ所から平成二十年度は百二カ所へと減少しております。
平成二十一年度の県の調査によりますと、医師不足のため、診療を制限している診療科の中で最も割合が高いのが産婦人科の二四・六%、二番目が小児科の一二%となっております。
知多半島医療圏においても例外ではなく、愛知県地域保健医療計画の周産期医療連携体系図によりますと、圏域内で産科のある病院は六病院でありますが、このうち二病院が産科の診療制限をしており、知多半島医療圏における周産期医療体制に対して大変不安を感じております。
平成二十年の消防庁の調査によりますと、本県において、最初の照会で搬送患者が受け入れられなかった率は五・八%で、全国平均の一六・三%と比較してかなり低い率となっております。とはいえ、平成十九年度に周産期母子医療センターにおいて受け入れ要請があった千三百五十三件のうち、一四・三%に当たる百九十三件について受け入れができなかったのも事実であります。
さらには、重篤な患者を受け入れる新生児集中治療室(NICU)や、小児集中治療室(PICU)の病床数も不足しており、分娩応需体制や小児救急を含む周産期医療については、取り組むべき多くの課題があります。
中でも、周産期医療体制の充実には、まず、病院で助産師が中心となって分娩を取り扱うバースセンター(施設内助産施設)の整備や、そこで活躍する助産師などの育成を急ぐことが重要であると考えます。
そこで、県では、周産期医療体制の充実に今後どのように取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたします。
地域医療再生計画における最後の質問になりますが、五点目は、地域医療再生計画における知多半島医療圏への取組みについてであります。
過日行われました有識者会議において、県内に十一ある二次医療圏のうち、五つの医療圏について、早急に体制を見直すべきと提言されました。しかしながら、地域医療再生計画では、四つの医療圏については見直しの対象となっておりますが、知多半島医療圏は計画の対象になっておりません。
そこで、県では、知多半島医療圏について、今後どのように取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたします。
次に、まちづくり事業の推進についてお伺いをいたします。
平成十年に制定された改正都市計画法、大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法のいわゆるまちづくり三法は、各種の支援策により地域の実情を反映したまちづくりを進め、中心市街地の活性化を実現しようとするものでありました。しかしながら、中心市街地の活性化に取り組む地域は数多くあるものの、目に見える効果が上がっているところは少なく、一向に中心市街地の空洞化に歯どめがかかりません。
少子・高齢社会の進展の中で、現状のまま中心市街地が衰退し、市街地の機能が郊外へと拡散していくと、都市のインフラ維持にコストがかかるとともに、コミュニティーが荒廃するおそれが出てまいります。
こうした状況を背景に、市街地の郊外への拡散を抑制し、まちの機能を中心市街地に集中させるコンパクトシティーの考え方に基づいて、まちづくり三法の見直しが進められ、平成十八年五月に改正法案が成立いたしました。
改正中心市街地活性化法は、その目的を少子・高齢化、消費生活などの状況変化に対応して、中心市街地における都市機能の増進及び経済の活力の向上を総合的かつ一体的に推進することとしております。
そして、基本理念を地域における社会的、経済的及び文化的活動の拠点となるにふさわしい魅力ある市街地の形成を図ることを基本とし、地方公共団体、地域住民及び関係事業者が相互に密接な連携を図りつつ、主体的に取り組むことの重要性にかんがみ、その取り組みに対して、国が集中的かつ効果的に支援を行うこととし、地域が一体となってまちづくりを進めることの重要性を指摘しております。
その後、平成十八年九月八日に、中心市街地の活性化を図るための基本的な方針が閣議決定され、九月二十六日には、中心市街地活性化本部より、中心市街地活性化基本計画認定申請マニュアルが策定されました。これを受け、まちづくりに取り組んできた全国の市町村では、中心市街地の指定を受けようと計画づくりに取り組んでまいりました。
こうした状況の中、私の地元東海市の太田川駅周辺では、東海市の玄関口にふさわしい、にぎわい魅力あるまちづくりの実現を目指して、太田川駅周辺土地区画整理事業、鉄道高架事業、市街地再開発事業の三事業を三位一体で実施してまいりました。
まず、太田川駅周辺土地区画整理事業は、平成四年に事業計画が決定し、平成二十年度末の事業進行率は約六六%で、平成二十七年度完成を目標に、県内の土地区画整理事業の中で最多の七百十九戸の建物移転が、年間四十戸、五十戸というハイペースで進行しております。
また、鉄道高架事業は、平成二十年十一月二十三日より仮線営業が開始され、現在、本線高架工事が進行中であり、市街地再開発事業については、駅前にふさわしい土地利用、高度利用を目的に駅東西の二地区に計画され、土地区画整理事業及び鉄道高架事業の進捗に合わせた事業展開を図っております。
さらに、太田川駅周辺地区は、平成二十年度新規施策、エコまちづくり事業、すなわち先導的な都市環境形成促進事業に採択され、地区の中心部で計画されている五十メートル歩道や、駅前広場再開発用地など駅前空間を中心に、低炭素型のまちづくりに向け、公共公益施設の駅周辺配置や、自転車、歩行者ネットワークの整備など、まちの機能を中心市街地に集中させるコンパクトシティーの形成を目指し、まちづくり事業が進行中であります。
また、全国に先駆けて、国の平成二十一年度新規施策である都市環境改善支援事業、すなわちエリアマネジメント支援事業を活用し、地域、民間、行政が一体となって、太田川駅周辺の整備とまちづくりを実践しております。
ところで、太田川駅周辺の地域住民によるまちづくり事業への関与は、昭和四十七年に始まり、平成九年の大田まちづくり研究会の発足、そして、景観業務部会の設立を契機に、平成二十年七月に大田まちづくりの会へと発展してまいりました。太田川駅周辺のまちづくり事業は、このように全国的にもまれな地域住民主導で進められ、これまですばらしい成果を上げてまいりました。
地元住民は、まちづくりに対する意識が非常に高く、大型店舗の跡地に地産地消をコンセプトとした商業施設であるどんでん広場を設立したことは、その代表的なものであります。これは、大型店舗の閉店で太田川駅周辺の衰退を心配した地元住民の有志により、平成十五年六月に設立され、今では新たな中心市街地のにぎわいの拠点としての役割を担っております。
こうして、太田川駅周辺の三位一体事業は順調かつ着実に進行してまいりましたが、ここに来て、突然、政権交代という大波に翻弄されることになったのであります。
去る十一月十二日に行われた行政刷新会議で、民主党と民間有識者などによるワーキンググループは、概算要求総額千八百二十一億円のまちづくり関連五事業、市街地再開発事業、都市再生推進事業、まちづくり交付金事業などは、地方自治体と民間の判断にゆだねるべきと判定いたしました。現政権は、ハード事業を削減する傾向が強く、財源はどうなるのか、まちづくり事業の先行きは大変不透明となってしまいました。
こうした状況を受けて、これまでまちづくり事業に積極的に参加してきた地元住民は、順調に推移してきた各事業が停滞するのではないかと大変不安に思っております。ここに至るまで、長年にわたってさまざまな面で不便を強いられてきた住民は、高齢化が進み、世代交代の波が押し寄せております。できる限り速やかな事業の進行は地元住民の切なる願いであります。
以上の観点から、まちづくり事業の推進について、二点質問させていただきます。
まず、一点目は、国のまちづくり施策と県の考え方についてであります。
行政刷新会議、ワーキンググループにより、まちづくり関連事業は自治体の判断にゆだねるべきという結論が出されました。もとより、まちづくりは地域の特性を生かして行われるべきではありますが、共通する大きな課題があります。これからのまちづくりは、少子・高齢化の進展や人口減少社会の到来、あるいはCO2の削減といった課題に対応していかなければなりません。このような大きな課題には、やはり国による一定の枠組みが必要であり、その中で、それぞれ地域の実情に合ったまちづくり事業を展開していくべきと考えます。この点、国のまちづくり施策及びその施策に対して県はどのように考えておられるのか、お尋ねいたします。
二点目は、県の事業である太田川駅周辺立体交差事業の今後の見通しと、市町村が行うまちづくり事業に対する県の支援の考え方についてであります。
まちづくり事業は地域に移管するとの結論が出されたことで、財源問題がクローズアップされることになりました。これまでのようにまちづくり事業の財源が地域に配分されるかどうか、先行きが不透明になったからであります。
太田川駅周辺の地元の皆さんは、これまで順調に進行してきたまちづくり事業に、中断あるいは停滞といった支障が出るのではないかと大変危惧しておられます。長年、不便を強いられてきた地元住民のことを思うと、本当にやるせない思いでいっぱいであります。まさに順調に上っていたところで、いきなりはしごを外されたようなものであります。
これまで住民の皆さんは、まちづくり事業についてよく理解し、積極的に協力してきました。面積六十四・三ヘクタールという広大な土地区画整理事業に当たっても、これといった強い反対意見も出されず、全国的にもまれな、地元住民の理解と協力のもとで事業が進められてきた地区であります。官民一体で先進的な取り組みを導入しながら進めるこのまちづくり事業は、全国的にも注目され、視察の方も多く訪れております。このような事業こそ、国、県ともにしかるべき評価をしていただきたいと思っております。
そこで、県の事業である太田川駅付近連続立体交差事業の今後の見通しをお尋ねいたします。さらに、土地区画整理事業を初めとする市町村が行うまちづくり事業に対してどのように支援していかれるのか、県の考え方をお尋ねいたします。
以上で私の壇上での質問を終わります。(拍手)
- 18:◯健康福祉部健康担当局長(五十里明君) 地域医療再生計画についてお答えをいたします。
まず、地域医療再生計画の策定の考え方についてでございます。
地域医療の充実は、県民の方々の安心・安全を守るため、県政における重要課題の一つと認識をいたしております。本県では、昨年三月に公立病院改革を契機として、地域医療連携について検討するために、公立病院等地域医療連携のための有識者会議を設置し、本年二月には提言が取りまとめられたところであります。
今回、地域医療再生計画の策定に当たりましては、この提言を踏まえ、地域医療の充実のためには、医師不足など救急医療体制の確保が最大の課題であるという観点から、特に支援が必要な海部及び尾張西部医療圏を基本とする尾張地区、そして、東三河北部及び南部医療圏を基本とする東三河地区の二地域を対象とした計画を策定したところでございます。
この計画に従い、二つの地域においては、入院や外来救急に対応する医療機関の機能分担を進めながら、病床などの整備充実を図るとともに、県全体として、医師確保対策や周産期医療体制の強化策などを総合的に推進してまいりたいと考えております。
平成二十五年度末までと限られた期間ではございますが、国の交付金により、今後造成いたします基金の効果的な活用を図り、地域医療の充実に努めてまいります。
次に、地域医療再生計画に基づく医師確保対策についてであります。
医師確保対策につきましては、本県の地域医療再生計画の一つの大きな柱となっておりまして、病院の勤務医不足の解消を目指し、地域医療を守るため、地域で必要とされた医療機関に医師を派遣するシステムの整備を進めます。
具体的には、地域医療連携について検討するため、医療圏を単位として新たに設置いたしますワーキンググループにおいて、地域の医師派遣にかかわる意見、要望を取りまとめ、また、全県単位では、これまでの有識者会議を発展させた地域医療連携のための有識者会議を新たに設置いたしまして、地域で議論された医療連携や医師派遣の必要性について協議を行ってまいります。
そして、県内に医学部を有する四大学で構成する医師派遣にかかわる大学間協議会において、有識者会議で必要とされた医師派遣について具体的な調整を行うという愛知県独自のシステムづくりを進め、地域からの要請にこたえてまいりたいと考えております。
一方、将来的に医師数を増加させるため、大学医学部の定員増に伴い、卒業前における教育の充実、特に救急医療を担う医師を養成するため、大学に寄附講座などを設置してまいります。中でも、特色ある取り組みといたしましては、名古屋大学に、卒業後の後期研修医や若手医師の教育指導を行う地域医療支援センター、これを設置し、地域医療を担う即戦力の医師の養成を行ってまいりたいと考えております。
次に、地域医療再生計画に基づく救急医療体制の充実策についてであります。
まず、入院治療を必要とする救急医療につきましては、脳卒中や心筋梗塞など緊急性の高い疾患について、三百六十五日二十四時間、複数の高度救命救急医療機関が対応できる体制を確保いたしますとともに、その他の疾患については、他の医療機関で対応するという医療機関相互の機能分担を図ってまいります。そのために、高度救命救急医療機関の整備や、急性期を過ぎた患者を受け入れる連携支援病床の整備、これに対する支援を行い、一方で、勤務医不足の病院に対しまして、地域の基幹病院から医師を派遣することにより、地域の入院救急医療体制の確保に努めてまいります。
さらに、通常の診療時間外に患者がみずから受診する外来救急医療につきましては、軽症患者が安易に病院の外来に集中しないようにするため、地域の医師会等の協力により、患者が受診しやすいよう、決まった場所、いわゆる定点で時間外診療を行うことにより、病院勤務医の負担軽減を図る取り組みを進めてまいります。
こうした取り組みを二つの地域で重点的に実施することにより、医師などの限られた医療資源を有効に活用し、救急医療体制の確保を図ってまいりたいと考えております。
次に、地域医療再生計画に基づく周産期医療対策についてであります。
周産期医療対策につきましては、地域において安心して出産できる体制づくりが喫緊の課題であると認識をいたしております。産科医不足により出産のできる施設が減少しておりまして、通常分娩対策の充実に努める必要がありますことから、助産師の方々が分娩を行う病院内の施設、いわゆるバースセンターを尾張部と三河部の基幹病院に一カ所ずつ設置することを計画しております。そこでは、地域の分娩の担い手の育成を図るために、助産師を初めとした医療従事者を対象とした研修センターの機能を持たせたいと考えております。
また、新生児医療における採血や診察、処置などの基本的な技術を模型やコンピューターなどを使い、シミュレーションを行って医師に習得させるセンターの整備に対する支援も計画しておりまして、地域の新生児医療を担当する医師の養成、確保に努めてまいります。
さらには、小児科や産科に多い女性医師が職場へ復帰するための支援事業についても、引き続き取り組み、充実させてまいりたいと考えております。
最後に、地域医療再生計画における知多半島医療圏への取り組みについてであります。
本県では、ことし二月の公立病院等地域医療連携のための有識者会議の提言を真摯に受けとめ、この提言に基づく取り組みの進捗状況の把握、評価、さらなる地域医療連携の取り組みについて検討を行うため、今年度も既に三回有識者会議を開催しており、知多半島医療圏を初め、すべての医療圏を対象とした議論を進めております。
来年度からは、地域医療連携について踏み込んだ検討を行うために、県内すべての医療圏ごとにワーキンググループを保健所に設置いたしまして、具体的な地域医療連携に向けた検討も行ってまいります。
なお、知多半島医療圏におきましては、東海市民病院と知多市民病院の統合を視野に入れて検討を進めている新しい病院を臨床研修の拠点病院としてモデル的に位置づけ、そこへ大学間協議会を通じ、医師を派遣する取り組みを計画しておりまして、今後調整をしてまいりたいと考えております。
引き続き、有識者会議の委員の方々の知恵と力をおかりしながら、県に求められている役割をしっかりと果たせるよう、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
- 19:◯建設部長(川西寛君) まちづくり事業の推進についてお答えを申し上げます。
まず、一点目の国のまちづくり施策と、その施策に対する県の考え方についてでございます。
国のまちづくり施策につきましては、今後どのように変わっていくか不透明な状況にございますが、こうした中でも、今後の人口減少、超高齢社会の到来、環境制約といった社会経済状況の変化に的確に対応し、安全で住みやすいまちづくりを進めていく必要があると考えております。
このため、県では、現在、策定中の都市計画区域マスタープランの中でも、集約型都市構造への転換や環境負荷の低減など、今後の都市づくりの基本的な目標を示しているところでございます。
また、その目標を実現するため、都心、町なか居住の促進、拠点への都市機能の集積、空港、港湾や都市の拠点間の連携を強化する道路網の充実、公共交通網の維持強化、物流の効率化が図られる地域での工業系市街地の形成や、自然的環境の整備、保全の促進を図ることとしておりまして、県としては、今後ともこのような方向に沿いましたまちづくりを支援してまいりたいと考えております。
続きまして、二点目の太田川駅付近連続立体交差事業の見通しと、市町村が行うまちづくり事業に対する県の支援の考え方についてでございます。
財政制約を初めとして、公共事業を取り巻く環境が大変厳しい中、まちづくり事業におきましても、今後は優先順位を明らかにして、選択と集中の方針のもと、効果的、効率的に事業を実施していく必要があると考えております。
こういった観点から、県が進めております太田川駅付近連続立体交差事業につきましては、駅周辺のまちづくり事業と一体となって進めてきていることから、引き続き事業効果の早期発現を目指し、重点的に取り組んでまいりたいと考えております。具体的には、現在、高架線路の基礎部分の工事を進めておりまして、全体では約四〇%の進捗状況となっております。今後は、仮線から高架線路への切りかえを平成二十三年度内を目標に進めてまいりたいと考えております。
また、市町村が実施中のまちづくり事業につきましては、公的部門だけでなく、地域住民の方々も積極的に参加して、都心、町なか居住の促進や、拠点への都市機能の集積などの施策に取り組んでいる当地区のような事業に対しましては、県として引き続き重点的に支援してまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 20:◯知事(神田真秋君) 地域医療再生計画につきまして申し述べたいと思います。
県民の皆様方の大切な命を守るために地域医療を確保することは、県にとりまして大変重要な仕事であり、最重要な課題だと考えております。
そこで、お示しをいただきました有識者会議でございますが、これは本県独自の取り組みであります。そして、この有識者会議での議論をきっかけにし、地域では既に医療連携が動き始めております。一例を申し上げますと、第一赤十字病院から公立尾陽病院への医師派遣、あるいはほかの例として、医師会から協力をいただき、時間外診療における医療連携の取り組みが新たに始まっております。このように、着実にその成果が上がっているところでございます。
ところで、国の補正予算におきましては、地域医療再生基金事業が盛り込まれておりますが、他県に先駆け、地域医療の再生に取り組んでまいりました、先ほど申し上げた本県の有識者会議の活動が高く評価されてのことであると私ども自負をいたしております。
また、県内の医学部を有する四大学で連携をした医師の育成派遣システムにつきましては、全国的に初めての試みとなります。今後、本県独自のこうした愛知方式ともいうべきさまざまな取り組みを確実に定着させてまいりたいと考えております。
今後とも、有識者会議を初め、関係者の皆様方の御支援をいただきながら、地域医療再生計画に基づき基金の効果的な活用を図りまして、本県の地域医療の再生のためにしっかりと取り組んでまいる考えであります。
- 21:◯四十三番(神野博史君) 先ほどは、私の質問にそれぞれ御答弁をいただきましたが、要望を三点申し上げます。
一、二点目は、地域医療再生計画についてであります。
一点目、先ほどは、県が作成した地域医療再生計画の対象になってはいない知多半島医療圏に対しても、財政上の問題はあるにせよ、しっかりと取り組んでいただけるとの御答弁をお聞きしまして、安心いたしました。
去る十一月六日に東海、知多両市は、それぞれの市民病院、東海市民病院と知多市民病院を経営統合して、今後、新病院の建設を目指すことで合意いたしましたが、この計画の成否は、必要な数の医師が確保できるかどうかにかかっております。ぜひとも、医師の確保対策に重点的に取り組んでいただくことをまず要望しておきます。
二点目、地域医療再生計画では、周産期医療体制の充実にしっかり取り組まれるとのことで、大変大いに期待をしたいと思います。また、バースセンターを整備されるとのことでありますが、地域では助産所も頑張っておりますので、バースセンターで地域の分娩を扱う助産師の育成をしっかりとお願いしたいと思います。
一方、あいち小児保健医療総合センターについても、私はかねがね、小児救急医療と周産期医療の必要性を述べてまいりましたが、地域医療再生計画の上で、小児センターのポジション、役割はどうなっているのか、大変関心があります。魅力ある病院として全国から多くのレジデントや研修医が来ておりますが、残念ながら周産期医療部門がありません。小児センターを活用した取り組み、例えばPICUの設置などについても、工夫して取り組まれることを要望いたします。
三点目は、まちづくり事業の推進についてであります。
太田川駅周辺のまちづくり事業は、先ほど質問の中で述べましたように、住民の皆さんの深い理解と多大なる協力のもと、全国に先駆けた先導的な取り組みによりこれまで進めてまいりました。今後とも、ぜひ重点的に支援していただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
- 22:◯副議長(鈴木孝昌君) 進行いたします。
木藤俊郎議員。
〔三十番木藤俊郎君登壇〕(拍手)
- 23:◯三十番(木藤俊郎君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、私は、県民にとって暮らしやすく、働きやすい社会の構築に向けて、愛知県が取り組むべき課題について、三項目お尋ねをいたします。
まず最初に、人にやさしい街づくりについてお伺いいたします。
バリアフリーという言葉は、今では一般的に使われるようになりましたが、今から三十五年前、一九七四年六月の国連障害者生活環境専門家会議の報告書、バリアフリーデザインに用いられたことにより広く知られるようになりました。
現在のバリアフリー新法は、正式には高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律といいますが、ここに至る経緯を振り返りますと、本格的な高齢化社会の到来を迎えて、高齢者、障害者の自立と積極的な社会参加を促すため、公共性のある建物を高齢者、障害者が円滑に安全に利用できるような整備の促進を目的として、平成六年六月にハートビル法が制定されました。その後、駅構内へのエレベーター、エスカレーター、スロープなどの設置による段差対策の促進、車いすや人工膀胱、人工肛門利用者対応のトイレの設置、交差点などへの音声案内つきの信号機の設置などを促進するための交通バリアフリー法が平成十二年十一月に施行されました。
その後、平成十八年十二月にハートビル法と交通バリアフリー法が統合され、バリアフリー新法として施行されました。その第一条には、「高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性にかんがみ、公共交通機関の旅客施設及び車両等、道路、路外駐車場、公園施設並びに建築物の構造及び設備を改善するための措置、一定の地区における旅客施設、建物等及びこれらの間の経路を構成する道路、駅前広場、通路その他の施設の一体的な整備を促進するための措置その他の措置を講ずることにより、高齢者、障害者等の移動上及び施設の利用上の利便性及び安全性の向上の促進を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする」とうたわれております。
愛知県においては、平成六年十月に、人にやさしい街づくりの推進に関する条例を制定し、第二条で、「県は、人にやさしい街づくりに関する総合的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する」と県の責務を規定し、第三条で、「県は、市町村が実施する当該市町村の区域の状況に応じた人にやさしい街づくりに関する施策に協力するものとする」と市町村に対する協力を規定をしております。
さて、国土交通省は、十月一日、平成二十年度末におけるバリアフリー新法に基づくバリアフリー化の進捗状況を発表いたしました。今回発表された進捗状況を見ますと、旧交通バリアフリー法の施行以降、公共交通事業者等による旅客施設や、車両等のバリアフリー化は全体として着実に進んでいるものの、個別の公共交通事業者や、地域によってはバリアフリー化の推進のおくれが見受けられます。
さて、まだ記憶に新しいことですが、愛知県では、二〇〇五年に中部国際空港(セントレア)が開港いたしました。セントレアは、最新のバリアフリー化の技術を採用しており、そのことがバリアフリー化の推進に極めて顕著な功績、功労のあった個人あるいは団体を対象としたバリアフリー化推進功労者表彰の二〇〇七年度内閣総理大臣表彰団体として選出をされました。
また、二〇〇五年に行われた愛・地球博では、グローバルループなどバリアフリーに配慮した設計が随所に施され、その内容をバリアフリーガイドブックとして作成、配布するなど、高齢者、障害者に大変配慮した会場設営が行われたと思っております。
さて、話を戻しますが、私は、今回、特に注目をしたいのは、バリアフリー新法に基づく基本方針では、来年、平成二十二年までに、一日当たりの平均的な利用者数が五千人以上のすべての旅客施設について、原則としてバリアフリー化を実施する等の目標が掲げられている点です。
そこでお尋ねいたします。
まず、バリアフリーで多くの人が利用する鉄道、地下鉄などのいわゆる鉄軌道駅において、バリアフリー新法に基づくバリアフリー化の目標に向けた県内の進捗状況がどうなっているのか、お尋ねいたします。
また、県内の鉄軌道駅における目標の達成見込みはどうなっているのか、お尋ねをいたします。
三点目は、愛知県では、バリアフリー新法に先駆けて、人にやさしい街づくりの推進に関する条例を制定し、諸事業を行ってきましたが、その事業内容と今後の取り組みについてお尋ねをいたします。
次に、自治体の避難支援プラン策定についてお尋ねをいたします。
本年の台風災害で記憶に新しいのが、十月八日早朝に知多半島に上陸した台風十八号です。知多市内の日長川にかかる国道百五十五号線の東橋が崩れ、同じく知多市の名古屋鉄道常滑線では、線路の一部がふさがれるなど、愛知県内に大雨と強風による被害をもたらしました。
さて、本年は、伊勢湾台風来襲から五十年に当たり、国、県、市町村による総合的な防災訓練の実施や、台風の惨事を風化させない記録展示や催しなど、多彩に開催されました。
私ども公明党愛知県本部では、十月、伊勢湾台風記録画展を開催いたしました。この記録画は、伊勢湾台風の記録を絵に残す運動推進委員会が、平成三年、県民に呼びかけて集めた絵画三百五十八点のうち二百二十点を展示し、未曾有の被害をもたらした伊勢湾台風から五十年を迎え、改めて被災の体験を教訓にしようと十八年ぶりに展示したものです。
最も脳裏に残っている災害の一シーンをみずからの筆にその思いを乗せて描いた力作ばかりで、台風で荒れ果てた土地や河川、そして、家族を失いながらも必死に生き抜く被災者の苦渋の生活が生々しく描かれ、訪れた人が熱心に見入っておられました。
さて、災害でその被害者となる方の多くが高齢者や障害者の方です。内閣府の資料による近年の災害による犠牲者のうち、高齢者の占める割合を示す数字を見ますと、平成十六年、新潟・福島豪雨、死者行方不明者十六人中十三人が高齢者、八一・三%。平成十六年、福井豪雨、五人中四人、八〇%。平成十七年、台風十四号、二十九人中二十人、六九%。平成十八年、七月豪雨、三十人中十五人、五〇%となっており、災害時要援護者として、高齢者、また障害者の方の避難対策が必要であることがわかります。
現在の対策の概要でありますが、内閣府初め四庁省において、平成十九年十二月の通知では、次の三点を市町村にその取り組みを促しております。
まず、第一点目は、全体計画の策定でありますが、これは、各市町村が人口規模、世代別の構成など地域の実情を踏まえ、要援護者対策の基本的な方針や要援護者の対象範囲など、災害時要援護者対策の取り組み方針を明らかにしたものであります。
第二点目は、災害時要援護者名簿の整備ですが、要援護者の名前が掲載され、災害時には、自治会、町内会や民生委員等が避難支援や安否確認を行う際に活用するものであります。
第三点目は、個別計画の策定であります。これは、災害時要援護者名簿をもとに、要援護者の個々の生活実態を踏まえたもので、毎日の主な生活を具体的に示し、災害時の支援者、支援方法等を記載したもので、災害時には自治会、町内会や民生委員等が避難支援等を行う際に活用するものであります。
国は、このうち、第一点目の各市町村の全体計画については、平成二十一年度をめどに策定することを求めております。本県議会でも何度も質問がなされておりますので、皆様御承知のとおり、特に災害時要援護者名簿の整備につきましては、個人情報の保護の観点から、また、個別計画策定では、二十四時間いつ起こるかわからない災害に、だれがどう支援するのかという個別、具体的な計画であることから、策定は容易ではなく、全国の市区町村でも大変苦労しています。
こうしたことから、国では、先進的な取り組み事例十団体をホームページなどで紹介し、計画策定の支援をしているところであります。
本年六月、総務省消防庁では、平成二十一年三月三十一日現在における全国千八百市区町村を対象にした災害時要援護者の避難支援対策への取り組み状況の調査結果を公表いたしました。平成十八年度より毎年度、全国調査が行われていますが、今回初めて都道府県別、市区町村別の取り組み状況が発表されました。この調査結果では、全体計画を策定した市区町村が全体の三二%に当たる五百七十六自治体にとどまり、未策定の市区町村のうち、五百四十九自治体、全体の三〇・五%は策定中、六百七十五市区町村、三七・五%は策定に着手すらしていないことが明らかになっています。
また、全体計画のほか、災害時に支援が必要な高齢者や障害者の名簿の整備状況については、整備中が六六・四%、未着手が三三・六%、一人一人の具体的な支援方法まで定めた個別計画は五九・七%が未着手という状況です。
そこでお尋ねいたしますが、愛知県内の避難支援プラン作成状況はどうなっているのでしょうか。また、先ほどの平成十九年の国の通知では、本年度中に全市区町村が全体計画を作成することを求めていますが、その見通しをお示しください。さらに、災害時要援護者名簿の整備、個別計画の策定の今後の見通しと市町村への支援策についてお尋ねをいたします。
次は、働きやすい環境づくりについて、育児の面からお尋ねをいたします。
本年七月に、育児介護休業法が改正されました。これまでの状況は、勤労者世帯の過半数が共働き世帯となっているにもかかわらず、男性が子育てや家事にかかわっておらず、その結果、女性に子育てや家事の負担がかかり過ぎていること、また、男性の三割が育児休業をとりたいと考えているが、実際の取得率は一・二三%にすぎず、その気持ちはあっても男性の育児参加は進んでいない状況にあります。
また、女性の育児休業取得率は約九割に達する一方、約七割が第一子出産を機に離職しており、この二十年間、この率はほとんど変わっていない状況にあります。仕事と子育ての両立が難しかった理由は、体力がもたなそうだったが最も多く、育児休業から復帰後の働き方の見直しが課題となっていました。
国では、こういった状況を踏まえ、男性も子育て参加できる働き方を実現するため、我が党が主張する父母ともに育児休業を取得する場合の休業可能期間を延長するパパ・ママ育休プラス制度や、出産後八週間以内の父親の育児休業取得による再度の育児休業取得特例制度などの導入を図りました。さらに、女性が育休後も働き続けられる育児短時間勤務制度の導入や、所定外労働の免除を事業主に義務づけ、育児介護休業法が改正されたところであります。
さて、愛知県のファミリー・フレンドリー企業の登録及び表彰制度の導入とあわせ、企業は、育児雇用環境づくりにさまざまな工夫や改善を行ってきました。ファミリー・フレンドリー企業の定義として、仕事と育児、介護とが両立できるようなさまざまな制度を持ち、多様で、かつ柔軟な働き方を労働者が選択できるような取り組みを行う企業をいいます。具体的には、以下の三つの柱から成るものです。
一、次世代育成支援推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、愛知労働局に届け出ていること。二、育児・介護休業法を遵守した就業規則、育児・介護休業規定等が整備されていること。三、一般事業主行動計画に定めた取り組み目標や内容など、子育て支援に向けた企業の取り組みを明らかにし、公表に同意することとなっています。
愛知県内にもその取り組みを高く評価され、企業価値を高めている企業が多くある一方で、中堅、中小企業では、円高や景気の悪化で業績の落ち込みは目を覆うものがあり、労働環境の改善が犠牲となり、まずは企業の存続なくして待遇の改善はないとの厳しい状況に置かれていることも現実問題であります。
そこで質問です。
県は、これまで勤労者の育児雇用環境づくりにどのように取り組んでこられたのか、また、ファミリー・フレンドリー企業の現状と達成状況について、また、今後の方向性と具体的な取り組みについてお尋ねいたします。
次に、二点目は、産業労働センターにおける労働政策についてお尋ねします。
昨年秋以来の急激な雇用情勢の悪化は、最近の経済情勢の底打ち感にもかかわらず、依然として歯どめがかかっていません。愛知県が発表した七月から九月期の労働力調査では、完全失業率は五・〇%と前期比で〇・一ポイント改善、愛知労働局が発表した十月の有効求人倍率も前月比〇・〇二ポイントプラスの〇・五二倍に上昇したものの、水準自体は依然悪く、年末から明年にかけて厳しい雇用情勢が続くとの見方が優勢です。
そのような中、愛知県では、中小企業対策、雇用対策、生活対策、そして、内需拡大対策の四つを柱に据えた緊急産業雇用対策を取りまとめ、既に実行に移されていることと承知しております。
さて、今述べました愛知県の産業労働政策を支える重要な拠点として、本年十月に産業労働センターがオープンし、稼働を始めました。今後は、多くの企業や労働組合など、皆様の活用が図られ、ビジネスチャンスの創造や、企業が抱える困難な課題の克服に、また、労働者の福祉のためのさまざまな取り組みにと期待が高まります。
そこでお尋ねいたします。
現在までの貸し館施設の利用状況はどうなっているのか、また、県は、産業労働センターの機能の一つである労働施策について、行革大綱二〇〇五の中で、勤労者福祉の向上及び就業支援の推進を図る拠点施設として整備するとしておりますけれども、産業労働センターにおける労働施策のワンストップ機能の整備についてどのように考えておられるのか、お尋ねいたします。
以上、壇上からの質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
- 24:◯地域振興部長(片桐正博君) 人にやさしい街づくりについての御質問のうち、まず、鉄軌道におきますバリアフリー化の進捗状況についてお答えを申し上げます。
バリアフリー化の目標対象となっております一日の利用者数が五千人以上の鉄軌道駅は、県内に、平成二十一年三月末の時点で二百四駅ございます。そのうち、エレベーターやエスカレーター等による段差の解消が講じられております駅は百五十六駅で七六・五%、視覚障害者誘導用ブロックが整備されております駅は百七十八駅で八七・三%、障害者対応型トイレが設置されております駅は百四十四駅で、設置対象百九十九駅に対して七二・四%となっており、段差の解消と障害者対応型トイレは、全国の整備水準を上回っております。
また、この整備率をバリアフリー新法の施行直前の平成十八年三月末と比較いたしますと、段差の解消で二三・九ポイント、視覚障害者誘導用ブロックで四二・五ポイント、障害者対応型トイレで三五ポイントそれぞれ増加しており、バリアフリー新法を契機に、鉄道事業者を初め関係機関の御努力により、着実に整備が進んでいる状況にございます。
次に、一日の利用者数が五千人以上の鉄軌道駅において、平成二十二年度までに原則としてすべてバリアフリー化するという目標に係る県内の達成見込みについてでございます。
目標年でございます平成二十二年を来年に控えまして、国土交通省におきましては、整備目標の確実な達成に向け、整備困難駅の解消等、バリアフリー化を加速することなどを目的に、国土交通省バリアフリー推進本部を本年六月に設置いたしまして、バリアフリー化に向けた取り組みを一層強化しているところでございます。
こうした中で、県内におきましても、鉄道事業者により、引き続きバリアフリー化への取り組みが行われておりますけれども、整備目標でございます一〇〇%の達成につきましては、駅の構造上の制約に加え、時間的あるいは資金的制約などもございまして、容易でないものと認識をいたしております。
そうした状況ではございますが、本県といたしましては、国や市町村と連携しつつ、引き続き鉄道事業者に働きかけを行いまして、バリアフリー化が進展するよう取り組んでまいります。
以上でございます。
- 25:◯建設部建築担当局長(勢力常史君) 人にやさしい街づくりの推進に関する条例に基づく、これまでの事業内容と今後の取り組みについてお答えをいたします。
本県では、平成六年に制定しました条例に基づき、道路や公園等の公共施設につきましては、施設管理者にバリアフリー化の整備を義務づけるとともに、商業施設など多くの方が利用される民間の建物については、事業者に整備を義務づけた上、建築確認申請にあわせて計画の届け出を行っていただき、施設整備を着実に進めてきております。
また、市町村や事業者の取り組みを促進するため、市町村の人にやさしい街づくり計画の策定や公共施設整備、それに鉄道駅舎へのエレベーター設置などに対して、財政的な支援も行ってまいりました。
このほか、人にやさしい街づくり賞を創設いたしまして、議員からお話のございました中部国際空港(セントレア)などのすぐれた施設整備や団体の活動などを表彰するとともに、人にやさしい街づくりを指導、支援していただけるアドバイザーの養成なども実施してまいりました。
今後の取り組みでございますが、県民や事業者の方々の人にやさしい街づくりへの御理解も深まってきたことを踏まえまして、昨年一月、個々の施設の利用状況に応じて、一層利用しやすい整備を進めていただくために、条例の基準を上回る望ましい整備指針を策定いたしましたので、これまでの整備計画の届け出制度など、基本となる施策を着実に進めつつ、新たな指針の普及啓発に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
また、あわせて、現在までに登録していただきました八百九十名の人にやさしい街づくリアドバイザーの方々がより一層地域や施設整備にかかわり、きめ細かな取り組みが進められるよう、その活用を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 26:◯健康福祉部長(野村道朗君) 自治体の避難支援プランの策定についてお尋ねをいただきました。
まず、県内の災害時要援護者避難支援プランの作成状況でございます。全体計画につきましては、平成二十一年三月三十一日現在で三十一市町村、全体の五〇・八%で策定済みでございまして、策定中が十八市町村、それから、未着手が十二市町村ございます。災害時要援護者名簿につきましては、四十四市町村、全体の七二・一%で整備中でございまして、未着手は十七市町村でございます。個別計画につきましては、三十二市町村、全体の五二・五%で策定中でございまして、未着手は二十九市町村となっております。これら全国平均と比べますと、全体計画では一八・八ポイント、災害時要援護者名簿は五・七ポイント、それから、個別計画では一二・二ポイントそれぞれ上回っている状況にございます。
次に、今年度中の全体計画策定の見通しについてでございますが、本年三月末現在で未着手でございました十二市町村すべてが策定に着手をいたしております。また、既に策定中でありました市町村も含めまして、いずれの市町村も年度内の策定を目指しておりますので、今年度中にほぼすべての市町村で全体計画がそろうことになると、このように見込んでおります。
また、災害時要援護者名簿の整備と、それから、個別計画の策定についてでございますが、本県におきましては、市町村の要援護者対策の指針となります市町村災害時要援護者マニュアル、これを平成二十一年三月、ことしの三月に改定をし、その後四回の会議を開催をいたしまして、その周知と先進事例を紹介するなどいたしまして、避難支援プランの策定の促進を図っているところでございます。
こうしたこともありまして、今年度に入りまして、新たに名簿の整備については七市町村、個別計画につきましては十一市町村で取り組んでいただいております。
しかしながら、これらの災害時要援護者名簿や個別計画につきましては、議員御指摘のとおり、個人情報保護の問題のほか、それぞれの地域の特性や個々人の実情を踏まえる必要もございますので、完成までにはやはり時間を要しますし、未着手の市町村もまだまだ残っているという状況でございます。
こうしたことから、県といたしましては、今後も引き続き市町村の担当部課長会議等を通じまして、他市町村のすぐれた取り組み事例の紹介など情報提供に努めますほか、必要に応じまして個別に助言を行うなど、個別計画等が全市町村で早期に作成されますよう支援に努めてまいりたいと、このように考えております。
以上でございます。
- 27:◯産業労働部労政担当局長(志治孝利君) 働きやすい環境づくりと産業労働センターについてお答えいたします。
まず、働きやすい環境づくりについて、三点御質問をいただきました。一点目は、育児雇用環境づくりについてのこれまでの取り組み状況についてでございます。
本県では、すべての世代がライフステージに応じて多様な生き方を選択し、仕事と生活の調和を実現できる社会を目指しており、中でも、子育て世代が仕事と育児を両立することができる仕組みづくりが大きな柱であると認識しております。
平成十九年四月に、こうした趣旨を盛り込んだ愛知県少子化対策推進条例が制定されましたことを機に、経済団体、労働団体、有識者、行政機関から成りますあいち子育て支援・働き方の見直し推進協議会を立ち上げまして、この協議会を中心に、官民一体となった取り組みを進めてまいりました。具体的には、毎年十一月をキャンペーン月間として、啓発グッズの配布やポスター掲示、標語募集などの広報活動を展開するとともに、中小企業の人事担当者等を対象にワークライフバランスセミナーを開催してきております。
今年度は、こうした取り組みに加えて、これから仕事や育児を迎える大学生を対象に、将来を見据えた働き方を考えるフォーラムを県内二つの大学で開催しまして、約二百五十名の大学生が参加したところでございます。
また、平成十九年七月、議員お示しのファミリー・フレンドリー企業の登録制度を創設しましたのも、育児雇用環境制度等の整備を促すための取り組みの一環でございます。
二点目は、そのファミリー・フレンドリー企業の現状と達成状況でございます。
平成十九年七月の制度創設以降、社会保険労務士を普及アドバイザーとしまして、県内約二百社の中小企業に延べ約三百回派遣いたしまして、育児休業規定の整備などをアドバイスしてまいりました。
また、登録企業の取り組み内容を広く紹介するために専用のサイトを立ち上げるとともに、就職活動を開始する大学生などを対象に、企業合同説明会を開催するなど、ファミリー・フレンドリー企業の普及拡大に努めてまいりました。
その結果、登録企業数は、十九年度末に二百四十六社であったものが、二十年度末、四百二十四社、二十一年十一月末現在、五百四十社と順調に増加し、当面の目標として掲げておりました五百社を達成したところでございます。
御質問の三点目は、育児雇用環境づくりの今後の方向性と取り組みについてでございます。
議員御指摘のとおり、今回の育児介護休業法の改正により育児雇用環境制度が着実に充実していく中で、男性の育児休業の取得率が依然として極めて低い現状からしますと、今後、男性の育児参加に向け、職場や本人の意識改革をより一層進めることを重点にした取り組みが大切であると認識しております。具体的には、今後これまでの取り組みに加えまして、企業側の意識改革を促すべく、トップセミナーを開催したり、ファミリー・フレンドリー企業などにおける先進的な取り組み事例集を作成、配布するとともに、勤労者向けには、育児休業制度の内容をわかりやすく説明する手引書を作成するなど、これまで以上に男性の育児休業の取得を促す取り組みを進めてまいります。
次に、産業労働センターにおける労働施策のワンストップ機能の整備についてお答えいたします。
来年四月、産業労働センターの十七階に、労働に関するワンストップサービス機能を担います労働総合支援フロアを開設すべく、現在準備を進めているところでございます。このフロアには、労働関係情報の提供、労働相談、求職者総合支援、職業適性相談、この四つのコーナーを設けまして、労働者、求職者や中小企業などの方々に対して、労働、就業に関し、幅広い最新情報を提供するとともに、さまざまな相談に応じてまいりたいと考えております。
まず、労働関係情報コーナーでは、勤労者福祉、就業支援初め、労働就業関係全般に関するパンフレットなどを収集、提供したり、専門図書の閲覧貸し出しやホームページによる情報発信を行ってまいります。
労働相談コーナーでは、専門の相談員を配置しまして、賃金、解雇、労働時間など労働問題全般に関する相談を実施してまいります。
また、求職者総合支援コーナーでは、愛知労働局と連携して、県が生活就労相談を、国が職業相談、職業紹介を行ってまいります。
そして、職業適性相談コーナーでは、これまで愛知県勤労会館において、中高生のキャリア教育や中小企業の雇用管理などに利用され、年間約六万件の実績がございます職業適性検査を引き続き実施し、その結果を活用した相談支援を行ってまいります。
以上でございます。
- 28:◯産業労働部長(富吉賢一君) 私からは、産業労働センター貸し館施設の利用状況についてお答えをいたします。
オープン当初の十月については実績が出ておりまして、大ホールが七一%、小ホールが八九%、展示場六四%、会議室が五三%と比較的高い利用率でございました。十一月以降も予約状況等から見ますと、ほぼ同じ水準の利用が見込まれておりまして、順調に滑り出したところでございます。
産業労働センターは、PFI事業者を施設の指定管理者として指定をいたしまして、三十年間の施設の維持管理、運営業務の費用をすべて貸し館施設の利用料金で賄うこととしておりますので、施設の利用率の動向が事業の成否に大きく影響いたします。
これからも、施設のPRと利用者に御満足いただける良質なサービスの提供に努めまして、利用率の安定向上につなげたいと考えております。
以上でございます。
- 29:◯知事(神田真秋君) 無事、産業労働センターをオープンすることができました。これまで、議会からもさまざま御理解と御協力をいただきました。改めてお礼申し上げたいと思います。
十月一日のオープン以来、貸し館施設として順調にスタート、滑り出しをしたところでありますが、十四階以上のフロアは、産業あるいは労働両分野の拠点施設として位置づけているところでございます。既に財団法人あいち産業振興機構を初め産業関係団体が入居し、中小企業の支援拠点としてそれぞれ機能をいたしているところでございます。
加えて、来年の四月には、十七階に労働総合支援フロアを開設し、いわゆるワンストップサービスの拠点として、労働者など支援を行ってまいりたいと考えております。
とりわけ、このフロアには、昨今の厳しい雇用情勢をかんがみ、名鉄東岡崎の駅前に次いで、県内二カ所目になります求職者総合支援コーナー、これを設け、県と国が共同して求職者の生活面、雇用面、就労面など、幅広な支援を申し上げようと計画をしているところでございます。
このように、順調に滑り出しはできたわけでございますけれども、これはPFIとして長丁場で管理運営をしていかなければならないものでございます。また、名古屋駅前という大変便利のいいところにありますので、大いに御活用いただき、有意義に御利用いただけようPRにも努めていきたいと思っております。
- 30:◯三十番(木藤俊郎君) それぞれ御答弁いただきました中から、一点だけ御要望させていただきます。
要援護者の避難支援プランについてでございます。
先日、地元で身体障害者団体の会長さんとお話をさせていただき、いろいろお話を聞く機会がありました。御自分も障害者であられまして、こうおっしゃっておられました。要援護者の避難支援プラン、この件は、障害者団体の中でも自分の身を自分で守ろうという思いがあるし、いろいろ話が出ていると。災害時におけるいろんな方法について知恵があるんだと、こうおっしゃっていた傍ら、しかし、行政からの働きかけが何もありませんと。こういう現実の話を聞く機会がありました。そうですかと申し上げて、そうかなと思ったわけございますけれども、これ、現実であると思います。
ただ、市町村にいろいろばらつきや温度差があると思いますので、一概ではないと思いますけれども、先ほど述べました避難支援対策策定の通知がございましたけれども、その全体計画は、これは、先ほどの御答弁で、しっかりめどがついていることですね。ところが、やはり二番目、三番目の名簿の作成、個別具体の策定、これは容易でないというふうに思います。ここの推進につきましてはぜひ、知恵は現場にありということで、障害者団体の皆さんや高齢者の皆さん、当事者の皆様方と腹を割って話しながらつくっていく必要があると思います。
これについて、全体計画は期限を区切って、表現は厳しいですが、しりをたたいてつくるという側面があるかもしれませんが、具体的な計画と名簿の作成については、これはやはり期限を切るべき問題ではなくて、当事者の方の御意見、御要望、また知恵があるとおっしゃっていますので、そういう御意見を交えながら、ぜひ当事者の皆さんと同じ目線でつくっていただくということが大事だと思います。現場に即した実現可能な計画策定を進めるために、市町村への一層の御支援を要望いたしまして、質問を終わります。
- 31:◯副議長(鈴木孝昌君) 進行いたします。
浜崎利生議員。
〔五十二番浜崎利生君登壇〕(拍手)
- 32:◯五十二番(浜崎利生君) それでは、通告に従い、愛知県環境行政の評価と今後の取り組み課題について、順次お伺いをいたします。
私たちは、これまで、科学技術の進歩と経済の発展を基礎に、物質的な豊かさや生活の利便性を求め、その結果、所得水準の向上や情報の享受など、さまざまな面で豊かさを獲得することができましたが、その一方で、多くの資源の消費と大量の廃棄物を排出する社会経済活動が生活様式の中に定着するようになり、地球温暖化や酸性雨、オゾン層破壊など、地球規模で環境に影響を及ぼす地球環境問題が生じるようになりました。
こうした中、私たちの愛知県では、「自然の叡智」をテーマに、二〇〇五年、日本国際博覧会を開催し、世界に人類と自然とがいかに共生をしていくのか、そのあるべき姿について発信をし、その一方で、宮民挙げた取り組みは、この地域においても大きな自信と誇りをもたらしました。
ほぼ時を同じくして、地球環境問題が人類の生存基盤に影響を及ぼすほどに深刻化していることが世界各国で認識されるようになり、中でも、地球温暖化は最も重要な問題とされ、一九九七年に開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)で採択された温室効果ガスの削減目標を定めた京都議定書が発効されましたのが、二〇〇五年、万博開幕の一月前でありました。
こうした国内外における環境問題への取り組みの流れの中で、私たち愛知県は、「自然の叡智」をテーマにした環境万博開催県として、環境先進県愛知を標榜し、全国の中でも先導的な役割を果たすべく、二〇一〇年に向け諸施策を展開してきたところであります。
とりわけ、昨年三月に策定されました第三次愛知県環境基本計画においては、「自然の叡智に学ぶ持続可能な循環型社会づくり」を目標に掲げ、県民が安全・安心して暮らせる社会の形成を環境政策の基本としつつ、脱温暖化を初め、資源の循環、自然との共生、参加、協働を推進するための施策を盛り込んでおります。
今回の質問は、二〇〇五年の環境万博開催県として環境先進県を標榜し取り組んでいる五つの計画目標の中から、これまでの四年間の県の環境施策と今後の展開について検証をし、国内外から真に環境先進県と評価が得られるのか否か、議論をさせていただきたいと思います。
まず、地球温暖化対策の取り組みについて、初めに、世界と国内のCO2排出量について申し上げ、県の考えをお伺いをいたします。
世界の二〇〇八年、化石燃料の燃焼に伴う二酸化炭素CO2の排出量は、炭素換算で八十七億トンとなり、二〇〇七年より二・〇%増加をし、一人当たりの排出量は一・三トンと過去最多であったと、日本や欧米の研究機関が加わる国際研究チームが発表したところであります。二〇〇八年のCO2排出量は、九〇年比では四一%増加しており、この国際研究チームは、これまでのところ、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が予想する最悪ケースのシナリオに沿って排出がふえていると警告をしたそうであります。
一方、国内の排出状況を見てみますと、二〇〇八年度の速報値では、九〇年度と比べて一・九%増加しており、そのうち、製造業のCO2排出量は国全体の三割強を占め、オフィスや店舗から出る業務部門は国全体の一八%、家庭部門は一三%を占め、それぞれ九〇年度に比べ三割以上ふえております。経団連の発表によりますと、産業部門におけるCO2排出量は、大手製造業が二〇〇八年度に排出した二酸化炭素の量が九〇年度を大きく下回り、鉄鋼大手四社は九〇年度比で一一%、自動車五社は同三五%減少しております。
さて、こうした世界や国内のCO2排出状況や地球レベルの環境問題をかんがみ、鳩山首相が国連気候変動サミットで、温室効果ガスを一九九〇年比で二〇二〇年までに二五%削減するという新たな中期目標について表明をされたことについて触れておかなければなりません。
私たち民主党愛知県議団は、環境をテーマとした研究会において、二五%削減について、現在、民主党愛知県議員団としての考えを取りまとめるべく議論を進めている過程にありますので、今回は、私自身の考えを申し上げて、知事の御所見を求めておきたいと思います。
二五%削減の詳細は、今のところ明らかになっていませんが、七月のイタリアでの主要八カ国首脳会議で、主要先進国は、二〇五〇年までに八〇%以上削減するとの目標が示され、また、国連の専門家でも、二〇二〇年までに先進国が二五%から四〇%削減する必要があるとされております。イギリスでは三四%、ドイツでは四〇%の削減が打ち出されており、鳩山政権下における二五%削減は、こうした国際的な議論の積み上げに基づいて出された数字であると受けとめております。
地球の運命をかけた温室効果ガスの削減交渉は、先進国と途上国がお互いに責任と義務を譲らず、手詰まり状態にあった中で、欧州連合に続いて、日本が高い削減目標を示したことで、打開への薄日が差したことも事実であろうと思います。
しかしながら、主要排出国である米国や中国の参加が前提条件であり、それが満たされなければ、真の国際公約とはなり得ないものと受けとめております。
その一方で、産業界から見れば、一層の排出削減は新たな負担にもなるわけであります。工場の二酸化炭素(CO2)排出量を九〇年比で二、三割削減するという対応を迫られる状況も考えられ、排出量の多い企業は生産抑制に追い込まれる可能性もはらんでおり、コスト増となる産業界からの風当たりには強いものがあると受けとめております。
しかしながら、その反面、企業に新たな収益機会をもたらすことにもつながるものがあります。風力発電機の生産拡大、省エネ型半導体への投資など、温暖化対策関連の投資や商談が活発になってきたのは、事業拡大の余地を見て走り出したあかしであろうと思います。
政府は、国際的な公約を果たすためにも、CO2削減二五%に対する具体的な施策の裏づけを積み上げることが必要であり、不足分は海外排出枠の購入でつじつまを合わせ、財源は環境税に求めるという安易な後づけ策は避けなければならないものと考えております。
間もなく、コペンハーゲンで気候変動枠組条約第十五回締約国会議(COP15)が開催され、二〇〇八年から二〇一二年を目標とする京都議定書に続く二〇一三年以降の新たな枠組みが議論される予定でありますが、日本は、この機会をとらえて、実効性のある温室効果ガスの削減など、主要排出国のすべてが合理的で裏づけのある公平な削減目標を負う必要があることについて提言すべきものと考えます。二五%削減は、日本経済にとって、産業界にとって極めて高いハードルでありますが、地球温暖化問題の国際世論の中にあって、避けて通ることのできないものと考えます。
以上、私自身の現段階での見解を申し上げましたが、世界や国内のCO2排出状況を踏まえ、改めまして、鳩山首相の一九九〇年比で二〇二〇年までに温室効果ガスを二五%削減するという表明に対し、環境先進県を標榜する愛知県としていかにお考えか、御所見をお伺いをいたします。
次に、本県における地球温暖化対策についてお伺いをいたします。
本県では、二〇〇五年一月に策定したあいち地球温暖化防止戦略に基づき、二〇一〇年度に九〇年度比六%削減を目標に、二十五の重点施策に取り組まれ、そのうち、十二の施策については、具体的な数値目標を掲げ、先進的、先導的な九つの取り組みについては、あいちecoモデルとして発信をしています。
その主なものの中では、産業部門のCO2マニフェスト作戦は、目標百件に対し、本年三月末時点で四十六件どまり、家庭部門では、太陽光発電や高効率給湯器の普及拡大を図るソーラーミリオン作戦が、百万基の目標に対して約十九万基、業務部門の省エネESCO作戦は、目標五百施設に対して八十二施設。一方、運輸部門では、公共交通機関への転換を促進するパーク・アンド・ライド駐車場は、目標二千台を達成済みでありますし、運輸部門のエコカー三百万台作戦は、エコカーへの買いかえが進み、達成できる見込みのようであります。
しかしながら、県内の温室効果ガス排出量は、基準年度と最新の二〇〇六年度の結果を比較いたしますと、排出量の五割を超える産業部門は基準年度比四・四%と微増、家庭部門は三五%増、業務部門は四四・八%増と大きく伸びており、全体では八千七百トン、九・五%増となっております。
二〇〇八年度後半からの金融危機の影響による急激な景気後退を反映して、製造業を中心に排出量は減少すると思われますけれども、それでも、九〇年比六%削減の目標達成は極めて困難と言わざるを得ないのが現状であろうと思います。
こうしたことを踏まえ、本県が来年度策定することとしている新たな戦略では、資金力に乏しい中小企業や、伸びの著しい家庭などでどのような削減ができるのかが重要であり、環境問題に対する行政の役割は、民間企業の開発技術をいかに社会に広く普及させていくのか、その仕掛けや仕組みや制度を築き上げていくことであろうと思います。各自治体も、国の制度と併用できる独自の取り組みや、新たな導入目標や、きめ細かな補助制度を打ち出す取り組みが不可欠であると考えます。例えば、あいち太陽光発電世界一プランなど、日本はもとより世界のトップランナーとなるような施策を打ち出してはどうかと思っております。
そこでお伺いをいたします。
県は、これまでの取り組みをどのように評価をされているのか。また、二〇一〇年度六%削減に向けてどのように取り組まれるのか。そして、二〇一一年以降の新たな戦略について、今後いつまでにどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
次に、新エネルギーの研究開発についてお伺いをいたします。
環境への取り組みに力を注いだ愛知万博では、サブテーマの一つに循環型社会が掲げられ、地球規模の温暖化問題に対応すべく、多くの最先端技術が披露されたところであります。数多くの展開されたプロジェクトの中で注目されたのが、化石燃料を使わずに生ごみ発電や太陽光発電といった新エネルギーで日本館の電力をすべて賄う取り組みでありました。
この取り組みは、独立行政法人新エネルギー・産業技術開発機構の委託事業として、環境に優しい地域循環型エネルギーシステムの実施研究プロジェクトであり、この実証実験は、世界に情報を発信する愛知万博という一過性のイベントのみでなく、万博終了後も万博会場から常滑の中部臨空都市へ実証研究の場を移し、あいち臨空新エネルギー研究発電所において、二〇〇七年度まで引き続き実証研究が行われたものと承知しております。
これらの発電システムは、愛知万博の理念と成果の継承という視点から、ぜひとも実証研究を継続し、広く社会に普及させていかなければならないものと考えます。
愛知県が新たに整備したあいち臨空新エネルギー実証研究エリアでは、どのような考えで、どのような計画を持って事業展開されているのか、お伺いをいたします。
次に、資源循環社会づくりについてお尋ねします。
従来の大量生産・大量消費型の経済社会活動は、大量廃棄型の社会活動様式を形成し、膨大な量の廃棄物を生み出すとともに、天然資源の枯渇に対する懸念や温室効果ガス排出による地球温暖化問題、さらには、大規模な資源採取による自然破壊など、適正な物質循環や良好な環境の保全を阻害する要因になっております。
このような状況下、経済・社会・環境問題のいずれにも対応し、廃棄物の発生抑制や循環資源の利用などを通じて、天然資源の消費抑制と環境負荷低減を目指した循環型社会の構築に向けた視点を持ちつつ、今日の世代のニーズを満たす発展を実現する持続可能な社会づくりが求められております。
史上初の環境博として開催された愛知万博では、さきにも申し上げましたが、太陽光や風力などの自然エネルギーの活用はもとより、廃棄物を利用した新エネルギーバイオマスのリサイクルなど、地域内循環システムの実験が行われたわけであります。
こうした成果を踏まえて、愛知県では、未利用資源を地域内で循環活用する新たな社会システムの確立によって、持続可能な社会づくりを進めていくための提案として、あいちゼロエミッション・コミュニティ構想が二〇〇七年三月に策定をされました。この構想は、地域から排出された未利用資源を、さまざまなリサイクル技術と最新のエネルギー利用技術の融合により、電気、熱などのエネルギーや資源として、再び地域へ供給、還元される地域循環型システムを目指すというものであります。
構想の実現に向けて、愛知の特徴を生かしながら、都心部における地域冷暖房ネットワーク事業や、農村、山間部におけるバイオマスの利活用事業など、先導的な九つの事業モデルを構想に掲げ、多様なビジネスの創出と地域への展開を進めていると聞き及んでおります。
そこで、こうした事業モデルのうち、三つのモデルが事業に向け動き出していると聞いておりますが、それらの進捗状況と事業化の見通し、構想の具体化に向けた課題についてお尋ねをしておきます。
次に、環境基本計画の三つ目の柱に位置づけられております自然共生社会づくりについてお伺いします。
本県では、ことし三月、あいち自然環境保全戦略を策定をされました。この戦略では、「恵み豊かな生物多様性を育む地域づくりを通して、人と自然との共生を実現する」ことを目標に掲げ、現在、その具体的な推進に取り組んでいるものと聞き及んでおります。
しかし、自然の再生産能力を超えた自然環境の過剰な利用や、里山に代表されるように、人による自然への働きかけが減ったことなどによって引き起こされる自然環境の悪化によって、地球規模で生物多様性の劣化が進んでいると言われております。
そうした中にあって、バランスのとれた生物多様性の保全と利用のあり方を模索し、人と自然との共生を実現していくことは人類共通の課題となっております。とりわけ、活発な産業活動を有する本県にとって、快適で安全・安心な暮らしや、活力ある経済活動の維持と、本県独特の豊かな自然環境の保全が両立された地域づくりを進めていくことは極めて大きな課題であると考えます。
本県がCOP10の開催を契機としてどのような取り組みを進めていこうとしているのかは、県民はもとより県内産業界もまた注目しているところであると思いますし、私は、本県がCOP10の理念を生かしながら、全国のお手本となるような先導的な取り組みを発信していくことこそ、環境先進県を標榜する開催県としての責務であると考えます。
そこでお伺いします。
あいち自然環境保全戦略において掲げられている人と自然との共生の実現に向けて、今後も想定される地域開発と自然環境保全を両立させていくためにどのような考え方で取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたします。
さて、来年一〇年十月に開催されます生物多様性条約第十回締約国会議(COP10)にも触れておかなければなりません。
富山県高岡市で去る十月に開催をされました第九十二回中部県知事会議において、神田知事は、生物多様性条約第十回締約国会議(COP10)について、国際会議とともに、地域がかかわる会議やフォーラムが重要とし、生物多様性の考えを根づかせるためにそれぞれの地域でも取り組みをと各自治体に協力を呼びかけられました。
また、生物多様性条約事務局の呼びかけで、世界じゅうの学校が植樹活動を進め、緑の波を広げるグリーンウェイブ運動などの取り組みを紹介されたと聞いております。
議長国となる日本政府は、生物多様性保全のための新たな世界目標として、二〇五〇年までに人間の活動による生物の多様性の損失をとめるとの素案を示し、目標を達成するため、地球温暖化や外来種、乱開発などへの具体的な対策を盛り込むとともに、保護区面積や森林率などで各国に数値目標の設定を呼びかけるといたしております。
COP10は、二十一世紀初頭に日本で開催される国際会議で最大規模であり、この地域にとって初めての国連の会議となり、国際的にも十分な都市機能や人的資源、そして、組織力があることを示すことのできる絶好の機会でもあります。また、二〇〇五年の愛知万博から五年目の節目でもあり、自然と人との共存という理念を再確認するとともに、生物の多様性を守ることを地域づくりの新たな柱にしていく取り組みにもしていかなければならないと考えます。
ただ無事に滞りなく開催されただけでは意味がありません。私たちは、本体会議とともに、子供、青年、自治体、企業、学術、市民団体が意見を交わす各種会議やフォーラムを企画展開し、活動のあり方を発信をし、行動を見詰め直し、今後の方向性を見出す大きな舞台にしなければなりません。
環境先進県を標榜する我が愛知県としては、二〇〇五年の愛知万博の成功例をCOP10に継承をし、会議が円滑に行われるよう運営を支援するなど、ホスト県として果たす役割は大きいものがあります。そこで、COP10の成功に向けての決意のほどをお伺いをいたします。
また、二〇一〇年は、COP10とあわせて上海万博も開催をされます。現在、上海万博の予定地では大規模な工事が進められ、入場者目標は史上最多の七千万人が予定されており、開発万博とも指摘をされているようでありますが、その一方で、会場の敷地内の三〇%を緑化し、各パビリオンの屋上に太陽光パネルを張って、太陽光発電なども導入され、会場内はすべて電気自動車を利用するようであり、担当者は、環境重視の愛知万博の精神を受け継いだと強調しているようであります。このことは、この地域が環境を重視した万博のあり方の一つのモデルを示したということであろうと思います。
そこでお伺いをいたします。
COP10の国際会議との相乗効果を図る意味において、上海万博では、自然と人との共生を目指した愛知万博の理念の継承を前面に出しながら、県が主体となって展示やイベントなどを実施してはいかがでしょうか。環境先進県をアピールする絶好の機会であると考えますが、県のお考えをお聞かせください。
いずれにいたしましても、今後は、COP10を契機に新たな地域づくりのモデルを示し、環境先進県としてさらにステップアップしていくことが重要であると考えます。
そこで、最後にお伺いをいたします。
今回の質問の大きなテーマであります脱温暖化、資源循環、自然共生という個々の課題も踏まえつつ、環境先進県愛知をさらにステップアップさせていくという全体的視点から、改めて万博後の取り組みの評価と今後の展開についてお伺いをし、壇上からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
- 33:◯環境部長(藤井敏夫君) 本県の環境行政の評価と今後の取り組み課題につきまして御質問をいただきました。順次お答えを申し上げます。
まず、温室効果ガス二五%削減に対する所見についてであります。
地球温暖化は、将来の人類世代はもとより、生態系全体に重大な影響を及ぼすおそれのある問題でありまして、お示しのとおり、二〇〇八年におけますCO2排出量が九〇年と比較して世界あるいは国内において増加しているという現状を見ましても、まさに一刻の猶予もできない地球規模の重大な課題であります。
世界の温室効果ガスの削減量、これにつきましては、気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCCがまとめました第四次報告書におきまして、深刻な被害を最小限に抑えるためには、二〇二〇年までに先進国全体で一九九〇年比で二五%から四〇%削減する必要があるという考えが示されているものであります。
こうしたIPCCの議論を踏まえて表明をされました二五%削減という目標は、先進国が率先して目指す必要がありますとともに、一方で、その実現に向けましては、県民生活あるいは産業活動への影響も大きく、その負担に関する社会的合意の形成など、多くの課題もあるものというふうに認識をいたしております。したがいまして、国に対しましては、どのような方法で目標を達成していくのかという道筋などにつきまして、できるだけ早く示していただけるよう要望をいたしているところであります。
次に、現在の地球温暖化防止戦略に基づきます取り組みの評価と新たな戦略の策定についてのお尋ねであります。
本県では、戦略に基づきまして、十二の施策につきまして具体的な数値目標を定め、その達成に重点的に取り組みを進めているところであります。その結果、エコカーの普及など七つの施策については、目標を達成できる見込みでありますが、市場投入がおくれました家庭用燃料電池の普及など五つの施策につきましては、目標達成には至っていない状況にあります。
一方、本県におきます最新のデータであります二〇〇六年度の温室効果ガス排出量を見てみますと、製造品出荷額の伸び、あるいは世帯数、業務用ビルの増加などから、一九九〇年比で九・六%増加となっているところであります。こうしたことから、六%削減という目標に一歩でも近づくべく、これまで実施しておりますエコカーや住宅用太陽光発電への補助などに加えまして、中小企業における省エネ対策の支援など、取り組みの強化を図っているところであります。
また、二〇一一年度以降の新たな戦略につきましては、学識経験者、経済界、NPO等、幅広い分野の委員で構成をいたします検討委員会をこの十月に立ち上げまして、太陽光発電の大量普及といった視点も含めて検討を進めているところであります。
こうした検討を踏まえまして、パブリックコメントなどにより県民の皆様方の御意見も反映させて、来年度中に新しい戦略を策定してまいりたい、このように考えております。
次に、資源循環社会づくりについてお答えをいたします。
まず、現在進めております三つの事業モデルの進捗状況と今後の見通しであります。
モデルの一つ目は、都市の排熱、未利用エネルギーを有効に活用しようとするものでありまして、名古屋駅前地区の複数の地域冷暖房施設を配管でつなぎ、相互に熱を融通し合うネットワーク事業、これが昨年六月に始まったところであります。この事業、順調に進みまして、効率的な熱利用が図られているということから、県としまして、今後他地域への普及拡大を目指してまいりたい、このように考えております。
二つ目は、木質バイオマスの有効利用モデルでありまして、西三河山間地域の建設会社が地域で発生をいたします廃木材などから木炭、炭を製造いたしまして、製鋼工場のコークス代替として提供する事業が本年四月から始まっているところであります。この事業につきましては、原料の安定確保、あるいは製品の安定供給といった面で課題もありますことから、採算性のある事業の確立に向けまして、関係者に対し、働きかけを行っているところであります。
三つ目は、農業、畜産業のバイオマスを利用するモデルでありまして、現在、知多地域の耕作放棄地を利用させていただきまして、畜産廃棄物を活用し栽培をいたしました資源作物からバイオエタノールや飼料を製造する実証実験を行っているところであります。この事業、さらに規模を拡大して実証実験を継続していくということといたしております。
次に、構想の推進に必要な残る事業モデルの具体化に向けましては、循環ビジネスを担う事業者の発掘、あるいはビジネスパートナーとしての企業ネットワークづくりなど、さまざまな課題があります。このため、県といたしましては、先導的な環境ビジネスの発掘の場と位置づけております循環ビジネス創出会議、これの開催や初期投資に対する財政援助、さらには、ビジネスパートナーとのマッチングなど、さまざまな角度から支援を引き続き進めてまいりたい、このように考えております。
地域開発と自然環境の両立に向けました取り組みについて御質問をいただきました。
生態系の仕組みというものは大変複雑で、十分に解明されていないことが多くあるところであります。このため、まず、希少な生物のすみかとなっている場所などはしっかりと保護する一方、開発を行います場合は、生態系に及ぼす影響をできる限り少なくするという視点から、さまざまな情報を集める、そして、必要な対策を講じるという予防的な措置を行いますとともに、失われた生態系に対する代償的な措置を講ずる、さらには開発後におきましても、その生態系を継続的に注意深く観察をしまして、その結果を踏まえ、適切に対応していくということが重要であります。
こうした開発と生態系保全との両立を図るエコシステムアプローチという考え方をことし三月に策定をいたしましたあいち自然環境保全戦略に盛り込みまして、現在、その研究を進めているところでありまして、今後、その具体的な手法を開発行為におけるガイドラインとして取りまとめ、その普及を図っていきたい、このように考えております。
また、これまでの開発によって孤立しつつある生態系の再生を図りまして、より豊かなものにしていくということも大変重要であります。このため、戦略におきましては、生き物が円滑に移動できるように、生態系を緑地あるいは水辺などによってつないでいくという生態系ネットワークの形成ということも重要な柱と位置づけておりまして、現在、そのモデルとなる取り組みにつきまして、地域の大学、NPOなどと連携をいたしまして、検討を進めているところであります。
このような取り組みを着実に積み重ねまして、その成果の普及を図ることにより、開発と自然環境保全との両立、これを目指してまいりたい、このように考えております。
COP10についてお尋ねをいただきました。
COP10は、愛知万博の理念と成果を継承する事業でありまして、その実績を生かしていくこと、これは大変重要なことであると考えております。このため、まず、県民の皆様方には、愛知万博の成功に導いたあのボランティアの力といったものをCOP10の会議会場を初め、空港、駅での通訳、案内などといった形で再び発揮をしていただきまして、大いに活躍していただきたい、このように考えております。
また、愛知万博の会場内で高い評価を受けました環境配慮の取り組みにつきましても、COP10において、例えばグリーン電力の活用あるいはエコカーの利用、さらには、ごみの徹底分別などを幅広く導入をしていきたいと考えております。
さらに、COP10の成果を地域に根づかせていくということも大変重要であります。このため、生物多様性保全に向けて、この地域で重要な役割を担っていただく市町村、企業、NPO、学術、子供、青年といった各主体がその関連会議に積極的に参加していただきますとともに、多くの県民の皆様が愛・地球博記念公園などで行うさまざまなイベントで学び体験していただく、こういったことを通じまして、生物多様性保全の意識をしっかり高めていただき、地域に根づいた具体の行動につなげてまいりたい、このように考えているところであります。
環境先進県愛知をさらにステップアップさせるという視点からの万博後の取り組みの評価と今後の展開についてであります。
環境先進県づくりを進める上でも、「自然の叡智」をテーマとした愛知万博の成果を継承、発展させていく、これも重要なことであります。万博におきましては、新エネルギーの導入や資源の循環利用、あるいは自然に触れ、学ぶという体験型の環境学習など、環境に関する先進的な取り組み、これが幅広く展開をされまして、そうした中で、県民、事業者の環境意識が大きく高まったところであります。
こうした万博の成果を引き継ぎ、さらに発展させていくため、県といたしましては、太陽光発電の普及拡大、あるいはゼロエミッション・コミュニティづくり、さらには、もりの学舎での環境学習の推進など、さまざまな施策を展開してまいったところであります。
こうした県の施策にも呼応する形で、県民の皆様方におきましては、エコカーや住宅用太陽光発電の全国一の規模での導入が進められますとともに、NPOなどによる地域の環境保全活動が広がっているところであります。
また、事業者の皆様方においても、物づくりの中で培われました環境技術の開発普及、これはもとより、ISO14001の認証取得事業所数の着実な増加など、事業活動における環境配慮の徹底、さらには、地域住民と連携をした自主的な環境活動の展開といった企業内におきます環境の取り組みが一段と活発に進められているところであります。
今後とも、こうした県民、事業者の皆様方の環境パワー、これを最大限に生かし、温暖化対策、生物多様性保全、資源循環といった取り組みの促進を図る中で、環境先進県づくりの一層の推進を目指してまいりたいと考えております。
以上です。
- 34:◯産業労働部長(富吉賢一君) 愛知県環境行政の評価と今後の取り組み課題に関するお尋ねのうち、あいち臨空新エネルギー実証研究エリア及び上海万博についてお答えをいたします。
まず、あいち臨空新エネルギー実証研究エリアでの計画、事業展開についてでございます。
これは、愛知万博の理念と成果を継承いたしますとともに、実証研究を通じて新エネルギーに関する実用化を促し、新たな産業を育成する拠点といたしまして、平成二十一年二月、中部国際空港空港島の対岸の臨空エリアに開所いたしました。
このエリアでは、本県の産業構造などの地域特性を踏まえまして、導入すべき新エネルギー分野を決めました上で、公募により実証研究に取り組む企業を募り、エリアを無償で提供することによりまして、その実証研究を支援いたしております。
現在は、集光式太陽光発電など三つの研究が行われておりますが、来年一月には、新たに小型風力発電の実証研究が二つ立ち上がります。また、エリア内に新エネ体験館を開設しておりまして、新エネルギーに関する展示、新エネルギーの原理が体感できる設備を置きますとともに、小中学生を対象とした新エネルギーの理解を深める教室、いわゆる新エネルギー教室を開催するなど、県民の方々に最先端の新エネルギー技術を紹介するさまざまな取り組みを行っております。
なお、今後の事業展開でございますが、現在の事業は、当面、平成二十四年度まで実施いたしまして、その成果を評価した上で、今後の取り組みについて検討をすることといたしております。
次に、COP10と相乗効果を図って、上海万博で展示やイベントを実施してはどうかとのお尋ねでございます。
本県は、上海万博で日本館に設けられますイベントステージを中心に、来年の七月三十一日から八月五日までの間、催事を行うことといたしております。この催事では、トリエンナーレ開催の直前であることも踏まえ、現代アートの手法を取り入れたイベントステージを行うほか、物づくりや県内各地の景観、自然など、さまざまな本県の特色、魅力を来場者に紹介していくことといたしております。
また、環境に関しましては、万博期間中に開催されますCOP10のPRを行うのみならず、あいち臨空新エネルギー実証研究エリアや、江蘇省で本県技術者による汚水・汚泥処理に関する技術支援が行われておりまして、こういった取り組みなど、愛知万博の理念を継承した本県独自の取り組みを映像や展示といった手法により紹介することを検討しているところでございます。
なお、昨年十月、上海万博への日本政府の参加のあり方について、専門家から意見を聞く有識者懇談会が開催されておりますが、この場で知事から日本館の展示内容につきまして、生物多様性にも配慮するよう発言をしておりまして、これを踏まえて、日本館の展示内容について、そのような内容が盛り込まれるとお聞きしているところでございます。
以上でございます。
- 35:◯環境部長(藤井敏夫君) 先ほど、私の答弁の中で一部誤りがありました。訂正させていただきます。
現在の地球温暖化防止戦略の中におきます答弁の中で、本県の二〇〇六年度におきます温室効果ガス排出量の一九九〇年度比九・五と申し上げるところを九・六と答弁としたようであります。九・五の誤りであります。修正をさせていただきます。よろしくお願いします。
- 36:◯知事(神田真秋君) 鳩山総理の表明に対する評価という御質問をいただきました。
総理は、二五%削減という目標を掲げられたわけでありますが、このことは、国際社会をリードする大変チャレンジ性がある数値が出されたものと評価をしているところでございます。言うまでもなく、その目標の位置づけには、国民生活あるいは企業活動にかかわるさまざまな面で大きな変革が必要であります。また、その変革をなし遂げるためには、環境技術の飛躍的な開発あるいは普及が必要であり、また、国民あるいは企業も新たな負担への理解やら協力も必要になってくるものと考えております。
私ども愛知県は、新しい戦略づくりをこれから進めようとしておりますけれども、これから国際社会やら国の動き、あるいはまた、本県の物づくり技術、さらには県民あるいは企業の皆様方の高い環境意識、こうしたものをうまく活用させていただける方向での戦略づくりに知恵を絞っていきたいと思っております。
- 37:◯五十二番(浜崎利生君) それぞれ御答弁をいただきました。知事からも答弁をいただきましたけれども、要望だけさせていただきたいと思います。
二〇〇五年、環境をテーマに開催をいたしましたこの愛知万博は、地球規模において、人と自然との共生の必要性を世界に発信をした取り組みが評価をされたわけでありますし、その取り組みを継承すべく、二〇一〇年に開催されますこのCOP10、国際的な取り組みの中にあって、我が愛知県の果たす役割は大きいものがあるわけでありますし、国内外から見ても注目をされているわけであります。こういう点においては、環境先進県として大いに評価をされるところであろうと考えております。
その一方で、県内における脱温暖化への取り組み、CO2削減は、目標に対して十分と言えるものではありません。環境先進県を標榜する我が愛知県のこれまでの評価は、私自身は相対的に、俗っぽく言いますと、外づらはいいけれども、県内の内づらの取り組みは不十分だなということではないかと受けとめております。
今後の課題として、COP10の成功に向けたホスト県としての役割を果たすことはもちろんでありますが、県内における脱温暖化社会、資源の循環、自然との共生等、他府県に対して先導的な役割を果たしていかなければなりませんし、その実効を上げていかなければならないわけであります。とりわけ、CO2削減は、環境行政の中でも特化すべき最重要課題であると受けとめております。
また、あいち臨空新エネルギー実証研究エリアにおけます研究開発及び事業の普及に成果が上がりますことを大いに期待をするところでございます。
いま一度、環境先進県として目指すべき低炭素社会の姿を明確にイメージをした上で必要となる中長期の目標を設定し、その目標達成に必要な具体的な施策を打ち出して、低炭素社会に向けたロードマップを県民に示す必要があるものと考えます。
県を挙げて、国内外において、愛知県は環境先進県だと認められる、そういう環境先進県づくりを推し進められますよう強く要望し、私の質問を終わります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 38:◯三十八番(大見正君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 39:◯副議長(鈴木孝昌君) 大見正議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 40:◯副議長(鈴木孝昌君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午後三時九分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後三時五十分開議
- 41:◯議長(吉川伸二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
吉田真人議員。
〔二十七番吉田真人君登壇〕(拍手)
- 42:◯二十七番(吉田真人君) 通告に従いまして、順次御質問をいたします。
国、県ともに観光に関する動きが活発化していますが、その中で、現在県が観光振興に取り組む方向性についてお伺いします。
先月の十月二十五日より北米班の海外視察に同行いたしました。二十年ぶりのニューヨーク訪問のため、大きな期待に胸を膨らませながら、ラガーディア空港からバスは市中へ向かいました。
当時のニューヨークの印象は、経済、文化の世界の中心で、エネルギーに満ち、活気あふれるまちとして、若かった私には刺激的で魅力的なまちでありました。しかし、その反面、決して町並みがきれいで、治安がいいまちではなかったと記憶しております。
車窓から見るニューヨークは、初めは余り大きく変わった印象はなかったものの、うわさには聞いておりましたが、中心地に行くにつれ、まちの変貌には少し驚かされました。至るところにあった落書きは著しく減り、とにかくまちがきれいになったのと同時に、まちを散策しても、以前に比べ格段に身の危険を感じる場所が減っており、とても快適なまちに生まれ変わった印象でありました。
開くところによりますと、住みよい安全なまちにしよう、観光客に喜んでもらおうと、市長を先頭に市民の方々が一生懸命に取り組んだことが大きい成果を生んだとのことでありました。
ニューヨークで訪れました市の文化局で、文化団体の活動や運営についてお話を聞くことができたわけでありますが、説明者の話の中で印象に残った話がありました。
ブルームバーグ現市長政権は、芸術を大切にし、投資している。文化に対する投資がシティーの生活、アイデンティティー、経済を向上させるという考え方に基づいている。投資により観光客を引き寄せていて、インバウンド、外から人を呼び込むことでありますが、ビジネスや観光を含めて年間四千七百万人。恐らくその半数以上は文化を楽しむためにニューヨークを訪れ、より長く滞在し、そして、お金も使ってくれる。我々には税収も生まれる。インバウンドは経済に好影響を与えるものであり、観光客はここ八年くらいふえてきている。ニューヨークの観光は急成長産業である。観光の中心は文化であり、文化は観光を支えている。
恐らく多くの皆さんは、この意見に異論はないだろうと思います。
どこかを訪ねる場合、人は、その地域にしかない文化に触れたくなるものであります。従来の日本人は、自然景観や温泉に行くといった物見遊山的な観光が主流でありました。しかし、現在は、多様な価値観を持った個人や小グループの自由な旅行が主流となりつつあり、また、産業観光という新しい観光のあり方に気づきました。日本にも世界に誇れる文化がある、世界に誇れる産業もある、日本はもっとインバウンドをふやし、産業の柱にしようと考え始めたのであります。
国において、平成十九年には、立国という言葉を法律上初めて使用した観光立国推進基本法が施行され、昨年十月一日には、国土交通省のもとに観光庁が発足するなど、観光施策を精力的に推進する形が整ってきています。
これはそもそも、小泉政権時代に二〇〇三年一月、観光立国宣言を行い、二〇一〇年までに五百万人程度の訪日外国人旅行者数を一千万人にするという数値目標を掲げたビジット・ジャパン・キャンペーンから始まっています。
それ以降、今後、観光客の増加が見込まれる東アジア、特に中国の観光ビザの問題にも積極的に取り組み、今まで北京、上海、広東の地域に限定し、団体旅行でしか受け付けなかったものをその他の地域にも拡大し、個人旅行も受け付けるといった施策を講じてきました。その他の国々においても同様に、訪日しやすい環境づくりに力を注いでいます。
我が国は、二十世紀の後半には、日本人が世界を知るために大いに世界じゅうの国々に海外旅行をしようというアウトバウンドの促進に力を入れてきました。しかし、海外では、特にアメリカやヨーロッパでは、インバウンド政策を積極的に推進していたことがわかります。例えば、雇用の面でいえば、日本では、観光に従事して生計を立てている人たちの数は、さまざまな推計がありますが、間接部門まで含めて六%ぐらいと言われていますが、アメリカやヨーロッパでは一〇%を優に超えると言われ、雇用や経済両面において産業の重要な役割を果たしています。
つまり、日本では、観光産業は、社会の戦略として重要な位置づけではなかったと言わざるを得ません。我が国は、技術大国日本、物づくり日本と言われるように、物づくりに特化すべく、大変な努力によって世界でも認められる成功をおさめてきました。
しかし、昨年の金融危機による世界同時不況が消費の低迷を長引かせ、輸出産業の収益の落ち込みは大変なものであります。もちろん、今後とも物づくり日本の地位を死守するための後押しを行政として進めていくことは当然でありますが、それと同時に、二十一世紀の国づくりの重要な柱になり得る、また、新たに成長が期待できる産業分野を育成していく必要があります。まさに観光産業がその潜在的能力を秘めたものであり、観光戦略の進化を実践するときに来ていると考えます。
観光産業は、大変すそ野の広い産業であります。一昨年の統計でありますが、二〇〇七年度の国内旅行消費額は二十三兆五千億円、そして、この旅行消費がもたらす経済波及効果は、生産波及効果が五十三兆一千億円、付加価値効果は二十八兆五千億円に及び、二〇〇七年度における名目GDPの五・五%に相当すると言われており、雇用に至っては四百四十一万人の雇用創出効果があると推計されています。
観光産業はこれから成長すると言われている産業であり、魅力のある観光資源の発掘や観光施設の整備など、観光をより戦略的に運営し、積極的に取り組んでいくことが重要と考えます。
ことし十一月に見直された平成二十二年度の観光庁における概算要求によれば、今年度予算と比較して、全体として約四倍に増額がされています。中でも、観光を核とした地域の再生、活性化という地域が主体となった取り組みを支援する予算は、六億円から三十二億円へと実に約五倍もの要求額となっており、地域を応援する姿勢が強く打ち出されています。
また、訪日外客誘致策のさらなる強化充実に対して、三十一億円から百八十九億円へと約六倍の拡充がされ、訪日外客数にかかわる現行目標値、二〇二〇年に二千万人の前倒しを確実に実現ならしめるために、インバウンド施策を強力に推進し、さらには、訪日外国人三千万人プログラム第一期の始動としています。
さて、我が県においても、平成二十年十月に愛知県観光振興基本条例が制定されました。そして、その条例に基づき、観光振興基本計画の策定が急がれています。これは、平成二十二年度から二十七年度までの今後六年間の計画であり、観光振興基本計画検討委員会がその作成に当たっています。先週の十一月二十六日には中間報告がなされました。中身を見ますと、これまでの愛知の観光や現状分析、また、今後講ずべき施策がさまざまな角度から提案されており、最終報告が待たれるところであります。
基本計画の中間報告によれば、観光振興の目標として、感動の旅を見つけられる愛知の創造と産業としての観光の発展を掲げ、以下三点について、明確な数値目標が設定されています。
まず、一点目は、愛知県内の観光地を訪れた方々の満足度の向上を目指し、観光旅行者の満足度をアンケート調査により、非常に満足と回答した割合を現在の一六・三%から二五%に上げることであります。
二点目に、観光交流人口の拡大を目指し、県内宿泊数を一千四十八万人から一千五百万人へと拡大、そのうち、東アジア四カ国地域、韓国、台湾、中国、香港からの宿泊数を四十九万人から三倍強の百五十万人にするとしています。
そして、三点目は、産業としての観光と地域社会の発展を実現することとし、県の試算によれば、観光消費額を現状の五千三百九億円から一兆円とし、生産波及効果を八千三百十二億円から一兆五千六百四十億円、雇用誘発効果を六万四千七百人から十二万一千八百人へと約倍増させる計画としています。
また、現在も御活躍いただいており、日本一多い愛知県の観光ボランティアガイドの方々を二千二百二人から三千人へ増員するとしています。産業としての観光の推進、観光による地域の活性化、また、おもてなし愛知の実現と、官民が協働し、この地域の観光に対する機運を高める姿勢は期待できるものであります。国内国外を問わず、多くの方々が愛知県を訪れたいと思われるような地域づくりが必要となってきます。
昔から砂漠の旅人たちは、次に来る狩人のために泉を清く保てというジンギスカンの教えを泉のおきてとして永遠に守っていると言われています。二階前経済産業大臣も、観光に携わるすべての人たちが次に来る旅人たちのために何をなすべきか考えようと提言されています。
そこで、以下何点かについてお伺いします。
初めに、あくまで概算要求で、事業仕分けによる大幅な予算削減の対象となっており、予測しづらい状況でありますが、愛知県の財政状況が極めて厳しい中、基本計画に位置づけられた施策をどのように実施していくのか、お伺いします。
次に、観光地における満足度のアンケート結果によりますと、おおむね満足だが不満点があると答えた項目では、インフラの整備が上位を占めていました。道路が渋滞している、観光地での駐車場が足りない、未整備、観光地のトイレが不備、観光地、交通機関等の案内表示がわかりにくいなど、観光客を迎える整備は重要であります。これらの観光施設について、今後県としてどのように整備していくのか、お伺いします。
三点目に、観光交流の拡大を目指すために愛知の魅力をいかに広報していくのか、お伺いします。
インターネット社会の進展は著しいものがあります。中間報告の中でも述べられていますが、インターネットを活用した戦略的な情報発信が喫緊の課題であり、コンテンツや情報量、多言語化の充実が必要であります。それと同時に、人による情報発信も重要と考えます。つまり、口コミであります。
知事を初め知事部局の皆さん、また我々議員団も、日ごろから愛知県の広報部員として頑張っていますが、何か地味であります。地道な活動も必要でしょうが、広報は目立つことも大事であります。最近では、観光大使としてその土地の著名人が各地で広報活動をしていることをよく耳にします。神田知事みずからが派手なパフォーマンスをしていくから大丈夫とおっしゃられるなら別でありますが、そうでなければ、観光大使の選任も一つだと思います。
また、愛知県民七百四十万人の人々が観光を推進する機運の醸成も大事であります。また、知事初め県幹部がエアポートセールスや観光セミナーなどで出かける場合、愛知県側からの一方通行の広報に終わることなく、相手方にもメリットを感じていただけることも重要であります。
以上、戦略的な広報活動が必要と考えますが、御所見をお伺いします。
四点目に、観光のコンテンツの充実についてお伺いします。
推進計画の中間報告には、観光によって自慢できる、誇れる、元気な地域づくりを進めるとあります。観光旅行者の多様なニーズにこたえるため、テーマ性、ストーリー性を持って観光魅力づくりを行うとともに、地域主体の観光まちづくりに取り組むとし、産業観光と武将観光の推進や、地域資源を生かした観光魅力づくり、ハード、ソフト両面からの観光地づくり、広域連携推進の充実を図るとしています。
さまざまな提言、まことにすばらしいものがあります。しかし、それと同時に、日本一もしくは愛知にしかない目玉をぜひ検討願います。財源の面から新規が難しいのであれば、愛知県内にある既存のものを生かし、市町村もしくは民間との協力のもと、あと少しの投資で、またはアイデアで日本一になれるものが幾つもあるのではないでしょうか。
また、来年は、COP10やあいちトリエンナーレ、名古屋開府四百年祭のイベントが行われます。近隣自治体とイベント、ツアーの造成を複合してやれば効果が出るのではないでしょうか。観光のコンテンツの充実について御所見をお伺いします。
最後に、基本計画施行後のフォローアップについてお伺いします。
観光振興基本計画にある数値目標を実現させるためには、計画を定期的にフォローアップする作業が必要になってきます。観光には、世界景気の動向、インフルエンザの流行やテロの発生など、予測できないマイナス要因が影響してきます。また、普遍的なものもありますが、はやり廃りもつきものであります。その対応として、今回の検討委員の方々だけにとどまらず、より多くの方々の意見を参考にする場の設置も必要になってくると思います。
以前は、百人委員会という中央委員と中部七県から成る組織がありました。観光ボランティアの方々の意見も重要であります。さらには、公募での意見募集も有効と考えます。県として今後どのように計画のフォローアップを行っていくつもりか、御所見をお伺いします。
財政厳しい昨今でありますが、それぞれの数値目標達成に向けて、不断の努力を期待しまして、次の質問に入ります。
次に、県立循環器呼吸器病センターについてお尋ねします。私の住んでいる一宮市大和町は、一宮駅から西へ二キロほど行ったところでありまして、循環器呼吸器病センター、以下循呼センターと呼ばせていただきます、循呼センターへも一宮市民病院へも車で十分ほどで行くことができます。ちょうど二つの病院のほぼ中間点に位置しておりまして、実際に病院にお世話になることがなくても、自宅からそれなりの距離に信頼できる大きな公立病院が二つあるということは、少なからず安心感を与えてくれております。
そのうちの一つである循呼センターについては、昭和三十二年、今の地に、尾張地域の結核医療を確保するために、尾張病院として設置されましたが、平成十七年四月には、循環器系疾患と呼吸器系疾患の急性期で高度な医療に機能特化するため、現在の名称に変更し、尾張西部医療圏を中心とする地域の皆様に安心で安全な医療を提供されてきました。特に循環器部門は、年間延べ三万人前後の入院患者を受け入れ、五百件を超える手術を実施しており、その高度な技術は国内でも高く評価されています。そのような病院がそこにあるということ、そのことが与えてきた信頼や安心感というものは、患者さんならずとも、循呼センターにお世話になったことがなくても、地元の住民の皆さんは強く感じてこられたと思います。そして、その安心感こそが循呼センターの大きな役割の一つであったと思います。
さて、その循呼センターでありますが、さきの九月議会において、知事から、その保有する循環器機能と結核機能を一宮市民病院に移行する方向で進めたいとの御答弁がありました。勤務医不足に苦慮し、高度な医療機能を十分に発揮することができず、尾張西部医療圏において、その役割を果たすことが難しくなりつつある循呼センターの厳しい状況をいかに打開すべきか、地域の医療を守るためにはどうしたらよいか、そのために熟考に熟考を重ねられた上での苦渋の決断による方針が示されたものであったと思慮しています。
確かに、循呼センターにおいて、このままの状況が続き、循環器治療に当たって、合併症やほかの持病を持つ患者さんを受け入れることができない、持っている高度な診療技術を十分に発揮できないということでは、患者さんにとっても、また、一生懸命働いている医療スタッフにとっても大きなストレスであり、やがて患者さんだけでなく、医療スタッフも循呼センターを離れ、圏域外どころか、他県に流出してしまうおそれもあります。
そんな状況下での一宮市民病院への医療機能移行の方向性の表明は、この圏域の医療水準を確保するための愛知県としてのぎりぎりの決断でありますが、この機能移行によって循呼センターが持つ医療機能が確保され、尾張西部医療圏の医療水準が守られることになり、患者さんにとっても、地域の方々にとっても次善の策ではありますが、必要なものであると一定の評価をしております。
そこでお伺いします。
医療機能の移行で具体的にどのようなことを考えているのか、お伺いします。また、先ほど知事の決断を評価していると申し上げましたが、その一方で、患者さんやその御家族にとりましては、今、入院している病院、今、通っている病院の医療機能がほかの病院へ移ってしまうということで、大きな不安を感じていらっしゃることも事実であります。例えば、転院はいつになるのだろうか、自分の主治医は変わらないのだろうか、自分のカルテはどうなるかなどということも聞きたいと思っておられる方もいらっしゃるのではないかと思います。
そこでお伺いします。
知事は、九月議会で、患者の皆さんや地域の住民の方々が不安や心配のないように十分な説明に努めてまいりますと答弁されています。私も、患者さんやその御家族、地域にお住まいの方々の御不安や御心配、そして御疑問を少しでも早く解消するために、できる限り早く説明会などを開いて、十分に説明を尽くす必要があると考えますが、説明会の開催状況についてお伺いします。
加えて、一宮市民病院などの関係機関との調整を進められていると思いますが、循呼センターの医療機能を一宮市民病院へ移行するのはいつごろになるのか、お伺いします。
さらに、もう一つの話として、地域にお住まいの方々から、循呼センターがなくなった後はどうなるのだろうかとの声が聞こえてきています。循呼センターの機能を一宮市民病院に移行した後の話でありますが、循呼センターの今の病棟や診療棟は、平成五年から六年に建てられたもので、まだ十分に使用できるものであり、機能移行後、例えば、これを壊して更地にしてしまうには余りにももったいない話ではないかと考えます。
したがって、この建物をこのままで壊すことなくうまく活用できないでしょうか。先ほども申し上げましたように、まさにそこにあった医療施設の機能がほかに移ってしまい、地域にとっては安心感というものが欠けてしまうような思いがありますので、そこにお住まいの方々のためにも、できるなら医療に関連した施設として活用していただきたいと思います。
そこで、最後にお伺いします。
循呼センターの施設や敷地の後利用について、現時点で何かお考えはあるのでしょうか。方向性だけでも結構ですので、お示しください。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
- 43:◯産業労働部長(富吉賢一君) 観光に関するお尋ねについて、順次お答えをいたします。
まず初めに、本県の財政状況が極めて厳しい中、観光振興基本計画に位置づけられた施策をどのように実施していくかについてでございます。
この基本計画に基づいて、まず重点的に行っていく施策といたしましては、経済成長が著しい東アジアからの観光客誘致や、本県観光振興上の課題として指摘されております観光情報の発信強化を考えているところでございます。本県の財政状況は極めて厳しいところでございますが、このような重点施策を中心に、優先順位をつけて、必要性の高いものから実施していきたいと考えております。
また、国の予算編成の状況が現時点では不透明ではございますが、国が観光立国重視を引き続き打ち出しておられることから、相当の予算がつくものと期待をしており、国の予算も可能な限り活用してまいりたいと考えております。さらに、基本計画では、県の取り組みだけではなく、県民、市町村、観光事業者、観光関係団体など、各主体がそれぞれの立場で果たす役割についても位置づけることといたしておりまして、地域全体で観光振興施策を進めていきたいと考えております。
次に、観光地におけるインフラ整備についての御質問でございます。
魅力ある観光地を形成していくためには、観光地そのものの魅力に加えまして、駐車場、トイレ、案内標識など、観光客の方々の利便性の向上に寄与する観光施設の整備も重要であると認識しております。このため、本県では、市町村などが整備いたします観光施設等に対しまして、その経費の一部を助成しているところでございます。
今後も、多くの観光客の方々に満足していただけるよう、市町村と連携いたしまして、観光施設の整備を進めていきたいと考えているところでございます。
三点目、愛知の魅力に関する戦略的な広報戦略についてお尋ねをいただきました。
ことし七月に韓国、中国を訪問いたしまして、愛知の観光PRを行いましたが、その際、中韓の旅行社から、観光地として愛知の知名度が低いということを指摘されました。観光に関する情報発信を強化する必要性を改めて実感したところでございまして、本県として講ずべき観光施策の中で、広報活動はその基盤となる共通項的施策であると考えております。
具体的には、まず、東アジアからの観光客誘致に重点を置いていることも踏まえ、これらの方々に対しまして、母国語で情報発信をする、いわゆる多言語化を図ることといたしておりまして、これをインターネットを使って行ってまいりたいと考えております。一方、人による情報発信も重要だと考えておりますので、東アジアを中心に市町村とも連携しながら、私どもの地域に観光客を送り込んでいる現地旅行社を訪問いたしまして、きめ細かく愛知の観光PRを行うとともに、各県の愛知県人会等に委嘱をしておりますふるさと大使による本県PRを一層充実させまして、観光地としての愛知の知名度の向上に努めてまいりたいと考えております。
次に、観光コンテンツの充実についてでございます。
この点につきましては、それぞれの市町村で観光資源の発掘、磨き上げを行いまして、県は、これらについて、共通の観光ブランド化やネットワーク化を図る、このような県と市町村の役割分担、連携により観光コンテンツの充実を図っていくことが重要であると認識しております。
このような認識のもと、県といたしましては、愛知の特性を踏まえ、産業観光と武将観光という、いわゆる共通ブランドに力を入れておりまして、ネットワーク化を図っているところでございます。
例えば、産業観光につきましては、岐阜、三重両県と連携いたしまして、産業観光スタンプラリーを実施、関連施設の誘客を図っております。また、武将観光の分野では、今年度、武将のふるさと愛知百選の選定を進め、これらをめぐるモデルコースを紹介するパンフレットを作成し、数多くのスポットを広く紹介してまいります。
また、議員御指摘の各種イベント、コンベンションも本県の観光コンテンツとしてとらえることができますので、こうしたイベント、コンベンション等の誘致、活用も図っていきたいと考えております。
県のこうした取り組みを生かすためにも、各市町村におかれまして、各地が有する地域の観光資源のさらなる磨き上げを行っていただき、県、市町村が連携して、観光客が多く訪れる観光コンテンツを充実していきたいと考えております。
最後に、今後どのように観光振興基本計画のフォローアップを行っていくかでございます。
観光振興基本条例では、第九条第六項におきまして、基本計画に定められた観光振興に関する施策の実施状況を毎年議会に報告、公表すると定められております。
さらに、去る十一月二十六日に開催いたしました第三回の観光振興基本計画検討委員会におきまして、委員から計画の進行管理、事業評価などのフォローアップ体制の必要性について御意見をいただいたところでございます。
本県といたしましても、基本計画に位置づけられた各種施策の進捗状況を初め、社会経済情勢の変化に応じた新たに取り組むべき課題への対応など、毎年きちんと取りまとめますとともに、外部の有識者や観光に関係する各層から幅広く意見を伺う仕組みを設けていくことを検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 44:◯病院事業庁長(二村雄次君) 県立循環器呼吸器病センターについてお尋ねをいただきました。私のほうからは三点ほどお答えさせていただきます。
まず、医療機能の移行とは、具体的にはどんなことを考えているのかという御質問でございます。
医療というものは、医師だけで行えるものではなくて、看護師とか、ほかの職種の医療スタッフの力が必要不可欠でございまして、そのために彼らが一つのチームをつくって動きませんと医療の質を確保することができません。したがいまして、循環器呼吸器病センターからは、医師だけではなくて、医療スタッフとしまして、看護師、それから臨床工学技士、臨床検査技師、それから臨床放射線技師及び理学療法士、全体を一宮市立市民病院の方へ動いていただきまして、これまでと変わらない、あるいはそれ以上の質の高い医療を患者さんに提供したいというふうに考えております。
そうすることによりまして、一宮市立市民病院のほかの診療科と共同いたしまして、循環器系の患者さんでもしも合併症や他の持病をお持ちの方がございましても、そのような方の治療については、確実に対応できるようになるものと期待しております。このようなことから、医療機能の移行という表現をさせていただいております。
また、このように医療機能の移行をすることによりまして、患者さんには、病院の場所が違いましても、今までと同じ医師や看護師などのスタッフによる医療を安心して受けていただけるものと考えております。そのようにできることを期待しております。
次に、説明会の開催状況についてお尋ねをいただきました。
機能移行に関する説明会につきましては、まず最初に、患者さんとその家族の皆様方を対象としまして、十月十七日の土曜日と十一月十三日の金曜日の二回にわたって開催をいたしました。二回で延べ二百四十五人の御参加をいただきまして、循環器呼吸器病センターの院長のほうから、医師、看護師などを移行させまして、今までと変わらない、またはそれ以上の医療を受けられるようにしますというふうに御説明をさせていただきましたところ、患者さんや御家族の方々からの御理解はいただけたものと考えております。
また、地域の方々への説明につきましては、まずは近隣地区にお住まいの方々にということで、十一月二十六日の先週の木曜日でございますが、近隣の町内会長さんなどの役員の方々を対象といたしまして、移行の経緯、それから、内容につきまして説明をさせていただきました。
さらに、今後の予定といたしましては、近隣地区の一般住民の方を対象といたしまして、説明会を十二月中に三回ほど開催させていただく予定となっております。そこで十分な御理解をいただいているところでございます。
今後は、十二月に開催いたします近隣地区の一般住民の方々を対象とした説明会などを通じまして、地域住民の方々の十分な御理解を得られるように努めてまいりたいというふうに思っております。
三つ目の御質問でございます循環器呼吸器病センターの機能移行の時期についてお答えをいたします。
一宮市立市民病院の受け入れ体制につきましては、今後、一宮市議会の議決を経て進められますと聞いておりますので、すべてが整いますのが平成二十二年九月ごろと、そのようになる見込みであると考えております。つきましては、平成二十二年の四月から九月までの間を移行のための準備期間というふうにいたしまして、患者の皆様方に御不安がないように、そして、安全で、かつ円滑な移行に努めてまいりたいというふうに思っております。
以上でございます。
- 45:◯知事(神田真秋君) 循環器呼吸器病センターの機能移転後の後利用のことについて、私からお答えを申し上げたいと思います。
このセンターを廃止した後の施設などの利用につきましては、いろいろと検討を続けてまいりました。地域の皆様方の御意向でありますけれども、医療系での活用をという声が大変強うございます。一方で、がんセンター中央病院におきましては、乳がん検診を御希望される方が大変多く来院されまして、治療に支障が生ずることが懸念されておりますし、この地域では手薄になっていると感じているところでございます。また、外来化学療法のベッド数も不足をしておりまして、早急に拡充する必要がございます。
こうしたさまざまな状況を考慮いたしまして、当センターの後利用につきましては、がんセンター中央病院の乳がん検診と、それから、外来化学療法の一部を展開する方向で、現在、実務的な詰めを行っているところでございます。
なお、この旧尾張病院、センターの敷地は大変広うございます。敷地全体の利活用の中身につきましては、今後、関係の皆様方やら議会の関係の皆様方の御意見を十分聞きながら、さらにある程度時間をかけてこれから検討してまいりたいと考えております。
- 46:◯議長(吉川伸二君) この際、お諮りいたします。会議中時間経過のおそれがありますので、時間を延長することに決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 47:◯議長(吉川伸二君) 御異議なしと認めます。よって、時間は延長することに決定いたしました。
進行いたします。
渡辺まさし議員。
〔三十三番渡辺まさし君登壇〕(拍手)
- 48:◯三十三番(渡辺まさし君) 通告をしてあります交通政策について質問をしてまいります。
一つ目は、環境対策と交通についてであります。
京都議定書、平成十七年二月十六日に発効し、地球温暖化対策は、全世界の人々が取り組まなければならない課題でもあります。
今、国内のすべての分野が総力を挙げて、CO2排出量の削減目標達成の取り組み、地球温暖化防止への具体的な行動を起こすことが今求められております。地球環境問題は、急速な資源の浪費やエネルギーの増大を引き起こし、地球温暖化、使い捨てなどの廃棄物問題や化石燃料などの資源制約がますます高まる中、喫緊の課題となっております。
鳩山政権は、九月二十二日の国連総会で、温室の効果ガスCO2を二〇二〇年までに一九九〇年度比で二五%削減すると国際公約に上げました。日本の二酸化炭素の排出量のうち約二〇%は運輸部門であり、そのうち約半分が自家用車からの排出と言われております。
自動車の量産化は、世界じゅうで社会の変化をもたらし、自動車産業を中心とした経済成長は、私たちに利便性を拡大をしてまいりました。
一方で、自動車の大量普及は、都市部の渋滞をもたらし、自動車の排出ガスは、人々の健康を損なう面もあり、大量に普及した自動車が消費をする化石燃料とともに、地球規模での気候変動に影響を与えるほど、大気中の温室効果ガスの濃度を高め、利便性の向上と引きかえに地球環境を悪化させております。
交通手段のCO2の排出の量を調べてみますと、一人一キロメートル運ぶのに排出をされるCO2は、鉄道では十九グラム、バスが五十一グラム、自家用車(マイカー)は百六十八グラムとなっております。また、一人を一キロメートル運ぶのに排出をされるCO2(気体の容量)は、二リットルのペットボトルに換算をいたしますと、鉄道では約五本分、自家用車(マイカー)では約四十四本分でもございます。交通手段でのCO2削減の観点から、自家用車(マイカー)よりも、鉄道や路線バスの利用の方が環境に優しい移動手段であり、望ましいと言えます。
本県は、自動車の開発、生産の世界的な拠点であり、自動車全体の保有台数は大変多く、約五百万台と全国一となっております。
さらに、旅客輸送における自家用車の依存率は約七五%に及ぶなど、東京や大阪といった他の大都市圏に比較して非常に高くなっており、自動車の利用は盛んとなっております。このため、自動車からの二酸化炭素の排出量が多くなっているものと思います。
そこで、環境部にお伺いをいたします。
本県における自動車全体から二酸化炭素排出量の現状はどのようになっているのか。また、自動車から二酸化炭素の排出を削減するためには、低公害車や低燃費車といった、いわゆるエコカーの普及拡大が必要でございますが、その普及の現状と今後どのように取り組んでいくのかについてお示しをください。
二つ目でございますが、人が中心となる環境的に持続可能な交通についてであります。自家用車は、大変便利な交通手段でございますが、交通渋滞や駐車場の混雑、排気ガスによる環境への負荷の増加など問題も抱えています。
先日、電車、バスに乗って来たときに目に入りましたエコモビのポスターでございました。県庁の玄関にも掲示がしてございました。車と電車、バス、自転車、徒歩など賢く使い分けるライフスタイル、それがエコモビリティライフ、エコモビであるということでございます。環境に優しい移動手段の選択を促す取り組みは、まさに車への依存度が高い愛知県から取り組んでいかなければならない課題と言えます。
そこで、公共交通の促進に向けた取り組みについてお伺いします。
まず、エコ通勤、エコ通学への転換促進の取り組みについてであります。
エコモビリティライフの推進に向けましては、昨年、平成二十年七月七日に、県知事を会長とするあいちエコモビリティライフ推進協議会を立ち上げ、公共交通の利用促進につながるさまざまな活動を展開をしていただいているところであります。
こうした活動の中で、エコモビリティライフの推進の重点取り組み事項として挙げられているエコ通勤、エコ通学への転換促進は、とりわけ重要な取り組みであると認識をいたしております。そこで、エコ通勤、エコ通学への転換促進にかかわる取り組み状況と今後の取り組みの考え方をお示しをください。
私は、また、平成十八年二月定例議会で、リニモ、東部丘陵線とパーク・アンド・ライド駐車場に関する質問の中で、リニモ沿線における利用促進や駐車場拡大の提言をしてまいりました。ことしの四月からは、リニモの愛・地球博記念公園駅北側にあるパーク・アンド・ライド駐車場の拡大をしていただきましたが、リニモの利用促進の取り組みと、そしてまた、今後の取り組みの考え方をお示しをいただきたいと思います。
次に、地域交通の活性化についてであります。
鉄道軌道関係についてでございますが、鉄軌部門、〇八年の輸送人員は、日本全体で九十五億四千八百万人、大手民営鉄道十六社、前年度比〇・七%増、関東九社では対前年度比一%増、関西五社では対前年度比〇・五%減、中部一社では前年度比〇・六%増となりました。中小地方鉄道の現状は、〇七年度のデータでございますが、五十六社によりますと、輸送人員は六億二千五百七十五万人、前年度比七百六十八万人増で、二年連続の増加となりました。
鉄軌道につきましては、安全対策、踏切及び運転保安工事など、多額の投資負担などで営業費用が増加をし、営業損益では減収となっているのが現状でございます。公共交通の利便性の向上、活性化に向けた取り組みとして、バリアフリー法、地方公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づいて、段差の解消、視覚障害者誘導ブロックの整備等、取り組みを推進をいただいております。
そこで、建設部にお伺いをいたします。
本県では、お年寄りや子供、障害者に優しい駅舎のエレベーターの設置など支援をいただいております。人にやさしい街づくりの推進に関する条例を平成六年に制定をしていただき、取り組みを推進していただいておりますが、これらの取り組みは、公共交通の利用を支える上でも重要な対策と言えます。駅舎エレベーターについて、財政的支援等、内容と実績についてお示しをいただきたい。
最後でございますが、バスに関してであります。
乗り合いバス輸送人員の現況は、〇六年から二年連続で増加傾向にありましたが、国土交通省が発表した〇八年度は再び減少に転じ、民営バス全体の輸送人員は〇・六%減の三十億一千百万人となっております。これまで、輸送人員が増加傾向にあった三大都市圏でも〇・六%減、それ以外の地域は一・八%減となっています。構造悪化の原因とも思われます。
バス会社については、規制緩和によって、安全問題を初め、さまざまな弊害を生み出しているのが現状であります。コミュニティバスや契約輸送(スクールバス、通院バス)にかかわる自治体発注の事業者選択は、価格重視で決定される場合もあり、〇六年九月の国土交通省ガイドラインが生かされていない状況にあります。
国や自治体が公共委託事業を民間事業者に発注する場合は、一部の悪質事業者によって、人件費、安全性を無視したダンピング受注などが横行する場合は、そこに働く人たちの生活と地域経済を破壊する要因となります。また、規制緩和につきましては、民間バス路線廃止の問題も多く出てきております。
そこで、これに関連して、コミュニティバスについてお伺いをいたします。
バス利用者の減少、道路運送法の改正や規制緩和などにより、民間バスの路線バスが廃止をされる状況の中、多くの市町村においては、住民の生活交通を確保するため、コミュニティバスを大変努力しながら運行をしております。今後とも、コミュニティバスの運行、充実に取り組む市町村がふえることが予想されます。
このような状況の中、コミュニティバスに対する支援について、利用促進も含め、県としてどのように考えておられるのか、お伺いします。
以上、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
- 49:◯環境部長(藤井敏夫君) 自動車全体からの二酸化炭素排出量の現状とエコカーの普及拡大に向けた取り組みについてお答えを申し上げます。
まず、自動車全体からの二酸化炭素の排出量でありますけれども、最新のデータである十八年度におきます排出量、これは一千四十一万トンでありまして、県内の総排出量の一二・四%となっております。また、平成十四年度以降、排出量、割合とも、自動車の燃費の改善などによりまして減少傾向にあるということであります。
次に、エコカーの普及についてであります。
平成十四年度に策定をいたしましたあいち新世紀自動車環境戦略、これに基づきまして、エコカーの導入に対する補助、融資といった経済的な支援、あるいは多くの自動車を使用する事業者に対しますエコカーの導入義務化などの施策を進めているところであります。その結果、平成二十二年度末までに三百万台を普及させるという目標に対しまして、二十年度末の台数、これは約二百二十八万台、保有台数に占めますエコカーの割合約四六%となっておりまして、いずれも全国一位の高い水準となっているところであります。
さらに、今年度から、二酸化炭素の大幅な排出抑制が図れますプラグインハイブリッド自動車、あるいは電気自動車といった次世代自動車の本格普及に向けまして、自動車メーカー、電力事業者、充電器メーカー等々、さまざまな事業者との協働によりまして、その率先導入や充電インフラの整備に取り組み始めたところであります。
今後は、従来のエコカーの普及に加えまして、こうした次世代自動車の本格普及に向けた取り組みの推進にも力を注いでまいりたい、このように考えております。
以上です。
- 50:◯地域振興部長(片桐正博君) 公共交通機関の利用促進に向けた取り組みについてお尋ねをいただきました。
初めに、公共交通等を利用したエコ通勤、エコ通学への転換に係る取り組みについてお答えを申し上げます。
本県が取り組んでおりますエコモビリティライフを推進していくには、県民の方々が日々の生活の中で繰り返す通勤通学において、環境に優しい交通行動を実践していただくことが最も大切であるというふうに考えております。
そこで、本県といたしましては、今年度、アンケート方式によりまして、鉄道やバスに関する情報をお伝えしながら、エコ通勤が環境に優しく、健康にもよいこと、さらに、交通事故のリスク低減につながることなどを意識に強く訴えまして、交通行動の自発的な転換を促すモビリティマネジメントの手法を使った取り組みを進めております。具体的には、この手法を用いまして、市町村や商工会議所等の協力をいただきながら、三百社を超える企業とその従業員を対象に、エコ通勤への転換を促しているところでございます。
今後も、この成果を踏まえつつ、市町村やさまざまな団体と連携いたしまして、エコ通勤、エコ通学への転換を幅広く訴えてまいりたいと考えております。
また、エコモビリティライフの意識づけと実践を促すきっかけづくりといたしまして、本年十月から毎月第一水曜日をあいちエコモビリティライフの日、略してエコモビの日としておりますが、本日はたまたまエコモビの日に当たりますが、街頭でのキャンペーンなどPR活動を行っているところでございます。
こうした取り組みを通じまして、エコモビリティライフの認知度を上げ、意識を高めていただくことによりまして、エコ通勤、エコ通学への転換促進につなげてまいりたいと考えておるところでございます。
次に、リニモの利用促進の取り組みについてのお尋ねでございます。
マイカーからの通勤通学転換を促進するため、今年度、リニモ沿線四千世帯を対象にアンケートを活用したモビリティマネジメントの手法を用いまして、リニモの利用が環境に優しく、健康にもプラスであることなどを啓発し、自発的な転換を働きかけているところでございます。
また、リニモ駅と沿線の大学や企業との間で利用する無料レンタルサイクル事業を実施しているほか、本年四月からは、愛・地球博記念公園駅北側のパーク・アンド・ライド駐車場の料金を半額にするとともに、駐車可能台数を拡大したことによりまして、現在の契約者数は、昨年同期と比べほぼ倍増をいたしております。
さらに、沿線大学への働きかけの結果、来年四月からリニモ駅と大学間でスクールバスを新規に運行していただける見込みの大学もございます。リニモの利用者が減少いたします夏休みや春休み対策といたしましては、沿線施設と連携した各種イベントを開催しているほか、毎年恒例のイベントとして人気のございますリニモ沿線ウオーキングの開催回数をふやすなど、多様な利用促進に取り組んでいるところでございます。
今後の利用促進につきましては、これまで進めてまいりましたさまざまな取り組みはもとより、中長期的には、利用者の着実な増加が見込まれます沿線のまちづくりが最も重要であるというふうに考えております。このため、長久手町を初め、沿線市町と緊密に連携をしつつ、沿線の新たなまちづくりに取り組んでまいりたいと考えております。
私から最後になりますが、市町村のコミュニティバスについてお答えを申し上げます。
地域における生活交通の維持確保に関しまして、複数市町村にまたがる広域的で幹線的なバス路線につきましては、県は国と協調して路線の維持を図ることとしておりますが、一つの市町村の区域内におきます路線につきましては、地元市町村において対応していただくことを基本に考えております。
コミュニティバスを初めとする公共交通の活性化、再生に向けましては、市町村を対象とした国の地域公共交通活性化・再生総合事業がありますが、この制度の活用に当たりまして、県といたしましては、広域の観点から、コミュニティバスの利便性の向上や利用促進が図られるよう取り組んでおります。具体的には、企画立案の段階から検討に参加いたしまして、国や関係バス事業者との調整、市町村の公共交通会議でのアドバイスなどを行っております。
このように、地元市町村において対応することが難しい事項につきまして、県としても積極的に取り組んでおりまして、今後も引き続き市町村を支えてまいりたいと考えております。
なお、多くの県民の方にコミュニティバスを知っていただき、利用促進を図るため、十二月から県内三十八市町村の参画を得まして、コミュニティバスに実際に乗っていただくあいちコミバスラリーなどにも取り組んでいるところでございます。
以上でございます。
- 51:◯建設部建築担当局長(勢力常史君) 鉄道駅舎のエレベーター設置に対する本県の財政的支援の内容と実績についてお答えを申し上げます。
本県では、平成七年度から、一日の乗降客がおおむね五千人以上の鉄道駅などを対象にしまして、エレベーターの設置に対する支援を行ってまいりました。県の支援は、市町村が鉄道事業者にエレベーターの設置の補助を行う場合、市町村に対して費用負担の一部を補助する県独自の先導的な制度でございましたが、その後、国も同趣旨の補助制度を整えてまいりましたことから、平成十三年度以降は国と連携して市町村に対して補助を行ってきております。
平成二十年度までの実績でございますが、名古屋鉄道とJR東海、合わせて三十六駅において、八十二基のエレベーター設置に対して支援をしてきております。
以上でございます。
- 52:◯三十三番(渡辺まさし君) 要望を一点させていただきたいと思います。
エコモビリティライフの答弁を今いただきましたが、さらに利用促進に向けた政策を推し進めていただきたいと思います。例えば、ノーマイカーデーの日の拡大とか、時差出勤などPRの拡大を進めていただきたいと思います。車、電車、バス、自転車を賢く使い分けるまさにエコモビであります。県の格段の御支援をお願いをいたしまして、私からの発言を終わります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 53:◯三十七番(山下史守朗君) 本日はこれをもって散会し、明十二月三日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 54:◯議長(吉川伸二君) 山下史守朗議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 55:◯議長(吉川伸二君) 御異議なしと認めます。
明十二月三日午前十時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時五十五分散会