県政報告

(主な質疑)
- 1:(主な質疑)
《議案関係》
【青山秋男委員】
太陽光パネルを1億7,752万円で16校に設置するが、1校あたり1,000万円ぐらいかかる。どういう理由で導入するのか。エコだから導入するのか。
- 2:【財務施設課主幹(管財・整備)】
1校あたり約1,000万円であり、効果としては太陽光パネルを学校教育の中に取り入れ、学校教育に資するため、先行的に16校、全体の1割程度に導入する。また、節電効果は数パーセントである。
- 3:【青山秋男委員】
何年ぐらいもって、1年にどれぐらいの金額が節約されるのか。
- 4:【財務施設課主幹(管財・整備)】
耐用年数は10年である。また、節電は数パーセント、10万円程度である。
- 5:【杉岡和明委員】
16校の内訳を見ると、工業、農業、商業の16校である。なぜ普通科には導入しないのか。学校は防災の面から大地震の際の避難所となっている。大災害が起きると電力供給は混乱し、太陽光のエネルギー供給が効果を発揮し着目される。その観点で、配置のバランスも配慮しているか。また、太陽光というと屋根の上というイメージであるが、県庁は下の方に設置してある。校舎の屋根に付けるのか、地面に付け工業高校などでは生徒に研究させるのか。
- 6:【財務施設課主幹(管財・整備)】
16校の理由としては、国庫補助制度の補助対象が小・中・特別支援学校であり、高校については産業教育施設整備の一環として、工業、農業、商業の学科のある学校が補助対象であったため普通科には導入しない。設置方法については、各学校の状況があるため相談しながら決めていきたい。教育の面からモニターを設置し、発電状況が分かるようにすることなどを考えている。
- 7:【杉岡和明委員】
防災の面ではどうか。耐震工事の対象校が優先なのか。耐震工事と一緒にやるのか。
- 8:【財務施設課主幹(管財・整備)】
国庫補助も勘案しながら、今後検討していきたい。16校については、地域バランスも考慮し選定していきたい。また耐震改修と同時に、可能なものは屋根おきにするなどを考えていきたい。
- 9:【杉岡和明委員】
省エネ関連の改修は耐震と一緒に行うのか。
- 10:【財務施設課主幹(管財・整備)】
特別支援学校において省エネ関連を実施するが、耐震と合わせてできるものは一緒に実施していきたい。
- 11:【立松誠信委員】
小中学校では、神奈川や静岡、三重、愛知は耐震改修実施率がいいようであるが、高校において今回12校実施しても100パーセントにはならないと思うが、どれぐらいになるのか。
- 12:【財務施設課長】
小中学校は4月1日現在、86.5パーセントで全国でも6位であるが、今年度の当初予算及び補正予算の計画を合わせると92パーセントになる。県立高校はCランクを平成18年度までに終了しており、現在Bランクを実施している。4月1日現在では66.9パーセントであるが、当初予算や補正予算により年度末では70パーセントになる。全国でも中の上位ぐらいである。
- 13:【立松誠信委員】
この地域は50年以内に、大地震が30パーセントの確率で起きると公の場でも言われてきた。学校は子どもたちがいる場所である。中国四川のような学校倒壊が起きてはいけない。一刻も早く実施してほしい。大地震の対象県でもあるため、努力してほしい。
- 14:《一般質問》
【浅井よしたか委員】
学校評議員の趣旨は、校長が学校運営に当たり地域の声を聞く、教育目標を進めるために地域と連携を図る、学校として特色ある活動を積極的に展開することであるが、小中学校における本県の現状と県立高校における制度の進ちょくや現状はどうか。
- 15:【義務教育課長】
小中学校における学校評議員制度は、名古屋市を含め、また、類似制度も含めて97.4パーセントが導入し、地域の実情に応じて進めている。
- 16:【高等学校教育課長】
県立高校では平成12年4月に学校管理規則を改正し、順次、設置が広まってきた。現在、151校のうち112校で設置されている。
- 17:【浅井よしたか委員】
小中学校は100パーセント近いが、県立高校は7割ぐらいであるため、今後は、今年度末に学校管理規則を改定し、来年度は全県立高校に設置する方針だと聞いているがどうか。
- 18:【高等学校教育課長】
現在の学校評議員制度は、導入するかしないかは校長の判断で進めているが、平成22年度に全校設置できるよう準備を進めている。ねらいとしては学校評価との関係もある。学校評価は17年度から全校で実施しており、目標設定をし、自己評価を実施して学校運営の改善を進めている。更に、文部科学省より学校関係者評価を積極的に実施するよう指導があった。学校関係者評価は教職員以外の評価であり、とりわけ学校に関係の深い人、具体的には保護者を基本として地域の人等で行うが、現在の学校評議員を評価者として活用したいと考えている。評議員からは色々な意見をいただいたが、反映されたかどうかの確認が難しいところもあった。学校の自己評価を評議員がチェックし、提言などがどう取り入れられ活用されるか確認してもらう。22年度から全校に学校評議員を設置し、評議員を活用して学校関係者評価を実施していきたい。
- 19:【浅井よしたか委員】
学校評議員制度はどう機能しているか。制度自体の課題の総括をしないと、見識を生かすなどの当初のねらい通りにはいかない。112校で実施しているが、課題をどう分析しているか。
- 20:【高等学校教育課長】
それぞれ校長の推薦により学校評議員を委嘱しているが、どのような意見を求めるかなどは学校にゆだねている。評議員の意気込みと校長の意見が一致しないこともある。年度末に評議員の意見とそれを生かした例の報告をさせており、実際、保護者を含めた学校公開の実施や通学路の安全確保など、地域への働きかけによる成果の報告もあるが、委員の意見がすぐに生かされないということもある。きちんとした役割明示がされていないという課題がある。
- 21:【浅井よしたか委員】
評議員の選び方について、小中学校は地域に密着しているが、県立高校は違う。評議員は教育に関して識見のある人という定義はあるが、選定においては校長のネットワークの広さや制度を生かそうという思いが影響する。校長の意識はどうか。112校のモチベーションを上げるためにどのようなことを行っているのか。
- 22:【高等学校教育課長】
外部の声を校長が聞くのは色々な角度から意見を聞くことになり、学校運営上大きな参考になるが、活用の仕方が各学校にゆだねられているため、あいまいな部分もある。関係者評価を契機として、校長研修会などで説明したい。評議員については、改めて位置づけなどを周知・徹底していきたい。
- 23:【浅井よしたか委員】
評議員の方からも自分の意見がどう生きているか分からないという声もある。外部からの意見はメリットもあるが、年に二・三回の会議で本当に効果があるのか。改めてこの制度の目的、子どもたちのメリット、評議員の役割など、課題を整理して、うまくやれば効果も大きいと思う。地域と一体となり、教育の先進県となってほしい。
- 24:【高等学校教育課長】
学校評議員制度は外部からの貴重な意見をもとに自ら振り返り、学校がより良くなるためのものである。幅広い意見をもらい、地域連携を高めていくために、現状の課題も十分に踏まえた上で、再度各学校に指導・徹底を図り、本制度が生かせるよう進めていきたい。
- 25:【浅井よしたか委員】
メールでのいじめや、インターネットを利用して犯罪に巻き込まれたり、学校裏サイトといった、昔はなかったような事案が増えている。子どもを守り育てるための有識者会議では、利用実態の把握などが提言されている。文部科学省の通知では利用の把握、取扱方針の明確化、ネット上のいじめ等に対する取組の徹底、情報モラル教育の取組、有害情報に関する啓発活動の推進について更なる取組が必要とされている。昨日の石川県議会では、全国初となる、防災や防犯など特別な場合を除き携帯電話を持たせない条例が議決された。他府県においても、兵庫県ではフィルタリングの解除を厳格化する改正青少年愛護条例の施行、東京都教育庁は注意喚起のためのアピール、横浜市教育委員会では携帯、ネットから子どもたちを守る提言を発表、大阪府教育委員会は小中学校への持ち込み禁止などをアピールしている。石川県の条例についての意見や感想はどうか。愛知は何かアピールしているか。
- 26:【義務教育課長】
重要な課題と受け止めている。小中学校に対し、学習に不必要なものは持ち込み禁止という統一見解をもって進めている。家庭の事情により、保護者が事前に許可申請し、授業後返却することもある。石川県の条例については、保護者の様々な考えがあり、一律に持たせないことがいいかについては、十分検討する必要がある。保護者とも連携し、解決していきたい。
- 27:【浅井よしたか委員】
禁止が解決ではない。実態把握が重要である。大阪府は昨年7月に実態を把握し、年末に提言しているが、実態把握の現状はどうか。
- 28:【義務教育課長】
義務教育問題研究協議会において、平成20年9月に子どもと保護者の実態調査を行った。小学校50校、中学校25校の児童生徒及びその保護者が対象であり、ウェブページにより公表した。例えば、携帯を持っているかという質問に、小学校では33.1パーセント、中学校では57.9パーセントが何らかの形で持っているという回答であった。
- 29:【浅井よしたか委員】
愛知の実態調査は終わっている。どう分析し、どう生かすかが重要であるが、モラル先進県を目指すなど、新しい取組をやっている。実態把握を生かして、愛知県としてどう取り組んでいくのか。
- 30:【教育企画室長】
平成19年4月に策定したあいちの教育に関するアクションプラン以降、毎年度テーマを決めてプランを推進している。今年度は携帯やインターネットのトラブルに巻き込まれるケースが増えているため、情報モラル向上に取り組んでいる。内容は大学の学識経験者、学校関係者、PTA代表、携帯電話の会社、総務省、県警などをメンバーとする情報モラル向上研究会議を5月に立ち上げ、情報モラルをどのように向上させるか、高校生に対する実態調査の実施などである。また、情報モラルについては、ウェブページ専用サイトi-モラルを立ち上げ、色々な取組をウェブページに載せ、指導の参考にしてもらうよう、毎日更新している。教育委員会全体で取り組んでいきたい。
- 31:【浅井よしたか委員】
今年中に愛知県としての方向性を示す会議を行ってほしい。中身のある会議にしてもらいたい。地域の人や保護者、子どもたちに怖さを教えたり、議論を巻き起こしていくことが大切である。今年、方向性を示してほしい。
- 32:【神戸洋美委員】
全国学力・学習状況調査について、今年から犬山市も参加したが、市町村の公表状況はどうか。
- 33:【義務教育課長】
平成20年の結果であるが、平均正答率など生のデータではないが、全国平均との比較や特徴などを文章の形で公表している市町村は、名古屋市と犬山市を除く59市町村のうち32が公表している。公表の方法としては、ウェブページでの公表が16市町村、広報紙等は5市町村、教育委員会会議や議会などの公開会議での公表が18市町村である。重複している市町村もある。
- 34:【神戸洋美委員】
県として公表していないところには働きかけていくのか。
- 35:【義務教育課長】
32市町村以外にも分析し、保護者等に示しているところもある。有効に活用してもらうため、幅広く公表していただくよう、市町村に対して働きかけていきたい。
- 36:【神戸洋美委員】
調査結果を踏まえて、県としてどのように取り組んでいくのか。また、何か具体的な対策を取っているのか。
- 37:【義務教育課長】
市町村教育委員会や学校が分析し指導に生かすことが目的であるため、県として支援している。そのため分析プログラムを開発し配付している。平成20年度も12月に配付したが、20年度は年度間比較ができる機能も付加して配付した。またプログラムを生かす手引きとして学習状況充実プランも配付し、使い方や活用例なども示した。県全体のものとして分析し、上位県と比較し、愛知県として劣っている点や優れている点を分析して指導について改善してほしい点を4点示した。例えば学習規律の維持、書く習慣を付ける指導、日常の指導の充実などである。愛知県の特徴として日々の指導に生かしてほしい。その他、家庭学習への意欲や習慣づけも愛知の子どもたちが劣る部分であるため、改善を促している。市町村では個人指導に生かしたところが74.8パーセント、今後の指導計画に反映させたのは76.6パーセント、教師の力量向上、指導方法工夫改善も70パーセント近くが活用している。県が示した改善の指針や各市町村全体の傾向などを各学校に説明し、改善への取組を促しているところや、授業改善委員会で結果の分析を行うとともに、それを踏まえた改善策を教材、指導案、ワークシートなどの形で各学校に配付しているところもある。
- 38:【神戸洋美委員】
2年連続トップは秋田県で、秋田県は体力テストも2位である。また学力テストが2位だった福井県が体力テストで1位だったことを踏まえると、学校の勉強だけでなく、健全な生活習慣に大手学習塾は着目している。習慣づけと言われるが、ある程度家庭に協力を求めないと効果が上がっていかない。70パーセントが改善策を取っているが、学校だけでなく家庭にもどれだけ呼びかけていくかである。一人ひとりの能力のどこを引き上げるかが大切である。学力テストは公表により競争意識をあおると言われているが、ある程度競争することは、お互いに切磋琢磨して能力を高めていくには必要なことである。愛知県全体として、家庭にどれだけ呼びかけていくのか。より効果を高めるためにどこに重点を置くのか。
- 39:【義務教育課長】
学校だけでなく、家庭、地域社会の協力なくして子どもの成長はあり得ない。基本的生活習慣との相関関係も指摘されている。基本的生活習慣がしっかりしている子は学力が高いという話もある。家庭における学習意欲付け、習慣づけなど、保護者にも呼びかけていきたい。
- 40:【かじ山義章委員】
知的障害養護学校について、平成20年度の全国の大規模校トップ10に愛知が5校も入っている。愛知県はなぜ大規模校が多いのか。
- 41:【特別支援教育課長】
本県における知的障害養護学校は昭和54年度の養護学校教育義務制施行以後、比較的規模の大きい学校のメリットを生かし、スクールバスを適正に配置することにより広域からの通学を確保するという方針で整備してきた。しかしながら、発達障害者支援法の施行や障害者自立支援法及び教育基本法の改正により本格的な特別支援教育がスタートし、保護者の間に特別支援学校における教育に対する理解が深まったこと、中学校の特別支援学級から高等部への進学希望が増加したこと、児童生徒に占める特別支援学校や特別支援学級に在籍する者の割合が増加したため、想定した児童生徒数を大きく超えるようになった。
- 42:【かじ山義章委員】
みあい養護学校の新設により、安城養護学校の過大化は解消できたのか。
- 43:【特別支援教育課長】
みあい養護学校は平成21年5月1日現在、児童生徒数185人、学級数35学級である。安城養護学校は20年度の児童生徒数は514人、学級数は87学級であったが、21年度は児童生徒数377人、学級数68学級となり、20年度と比較して児童生徒数137人、学級数19学級が減少した。
- 44:【かじ山義章委員】
知的障害養護学校の今後の方策について、養護学校課題研究調査検討会議の報告があり、喫緊の課題として、平和高校の跡地を活用し一宮東養護学校の過大化を解消するとあるが、過大化は解消されるのか。
- 45:【特別支援教育課長】
具体的には旧平和高校の改築と改修の両方で検討しているが、一宮東養護学校から446名のうち200名程度が動くことにより、解消が図れる。
- 46:【かじ山義章委員】
今後も支援教育の対象児童生徒は増えると思うが、過大化解消にどのように対応していくのか。
- 47:【特別支援教育課長】
県立高等学校の余裕教室など県有施設の活用、県立高等養護学校の生徒募集増、小・中学校の余裕教室等の活用、市町村立の養護学校の設置、県立の養護学校の新設といった5つの方策により、今後は尾張地区新設養護学校の建設準備を進めるとともに、知多地区にある半田養護学校の過大化解消策についての検討を進めたいと考えている。更に他の地区についても、関係市町村に働きかけながら、順次、過大化解消に向けて取り組んでいきたい。
- 48:【石井芳樹委員】
小中学校の校務用のパソコン普及率はどれぐらいか。また、学校ICT環境整備事業に関する補正予算による平成21年度末のパソコンの普及率はどれぐらいか。
- 49:【義務教育課長】
平成18年度から国が進めており、22年度末までに1人1台を目標としている。文部科学省の調査では、19年度末で名古屋市を除く県内の小中学校における校務用パソコンの整備率は81.5パーセントである。全国が51パーセントであるため、本県は積極的ではないかと考えている。
- 50:【石井芳樹委員】
平成21年度末の見込はどうか。
- 51:【義務教育課長】
補正予算で学校ICT環境整備事業により、学校のデジタル化を図るもので、市町村の計画書では7,400台の教員用パソコンが整備される予定で、整備率は103パーセントとなる。おおむね1人1台となる。
- 52:【石井芳樹委員】
学校施設についての国有地の貸付について伺う。学校施設の整備や運営は基礎自治体に責任がある。国庫補助や地方向け臨時交付金での耐震補強も含め、財源が不足していた市町村では急ピッチでこれを利用して整備を進めようとしている。各市町村が財政状況厳しい中、財務省が学校施設に全国の国有地の貸付を行っている。本県の小中学校並びに県立高校で国へ貸付料を支払っている学校は何校あるのか。またその貸付料は年間いくらになるのか。
- 53:【財務施設課長】
県立高等学校は3校であり、年間5,600万円ほど支払っている。小中学校は設置者である市町村が対応する。土地の取得に助成制度がないため、市町村の状況は把握していない。
- 54:【石井芳樹委員】
3校合わせて5,600万円なのか。
- 55:【財務施設課長】
3校合わせた金額である。
- 56:【石井芳樹委員】
法令上学校施設について例外的に無償貸付が認められているのは、災害被災等の特別な事由がある地域における義務教育施設に限られている。また、人口が増える見込の所も無償だったが、平成18年度の義務教育諸学校施設国庫負担法の改正により、無償貸付から減額貸付に変わった学校は県下において8校である。守山で2校、豊橋で2校、瀬戸で1校、豊明で3校である。名古屋市は1番高いところで、1校で2,800万円、豊橋市でも2,900万円、豊明市の1番安いところで27万円を減額貸付でも国に支払っているのは、考え直さなければならないことではないか。国の法令のため直接県の力では如何ともしがたいことがあるのは承知しているが、今後、地方分権が進むにつれて、国と地方のあり方の見直しも含めて考えていかなければならない。この件について、県の考え方、今後の対策を伺う。
- 57:【財務施設課長】
学校用地として国から貸し付けられた経緯が様々であり、また、国有財産の貸付は法律に基づき適切に行われていると考えているが、県教育委員会としては判断が難しい問題である。
- 58:【石井芳樹委員】
教育委員会のみでなく、色々な部署でも県有地、国有地、市町村有地の問題はあると思う。一度精査して一般質問でも取り上げなければならないと思っている。緑地公園、ため池、火葬場などは無償貸付が認められている。財政法第9条第1項の例外規定で教育施設以外の無償貸付施設は、生活保護法の救護施設などの生活保護施設、障害者自立支援法の障害者自立支援施設がある。学校教育施設は有償、福祉施設は無償ということについては判断できない。豊明市も国へ要望しているようである。また全国都市教育長協議会からも義務教育施設用地内の国有地の無償払い下げの制度化及び恒久的な無償貸付制度の創設の要望が毎年のように出ている。地方分権、道州制も踏まえ、しっかりと県として考えてほしい。
- 59:【小島丈幸委員】
緊急雇用創出事業の基金の積立について、今回補正予算としているが、教育分野では教員補助者とICT事業が上がっているが、教育委員会としてどう行っていくのか。
- 60:【総務課長】
教育委員会の主な事業としては、教員採用試験の選考システムを改修する教員採用試験選考システム整備事業、スポーツに関する意識・実態調査事業、高等学校キャリア教育やモノづくり実践教育のための教育プログラム作成や企業との連絡調整を担うコーディネーター育成のための人材育成コーディネート推進事業、特別支援学校での学習支援、生活介助、手話通訳を行う県立特別支援学校いきいきプラン事業、県立高等学校に在学する全盲生徒への支援事業がある。また補正での追加事業は県立学校のICT環境整備事業や文化財出土遺物整理事業、11月に予定しているタイムカプセル開封式典の企画運営委託事業などの他、新たな事業も検討を進め準備している。
- 61:【小島丈幸委員】
特別支援学校におけるたんの吸引のための看護師の配置事業については、今年度も増員しているが、看護師不足であり、保護者が週5日のうち3日は学校に行かなければならないと聞いた。本来は緊急雇用ではなく継続した事業としてやってほしいが、緊急雇用で配置してもらえないか。また、他県では、学校裏サイトの削除や外国人児童生徒不就学児の対応に人を付けている所もある。各県の事情もあるため、愛知県らしい学校のための、生徒のための形で、緊急雇用を創出するだけではなく、生徒の側に立って考えてほしい。情報収集や就職先の新規開拓を補助する臨時職員を雇うなど、その時期に応じた人材を確保するなど、もっとたくさんの事業ができるのではないか。予算は基金を使えばよいので、事業を拡大するよう考えてほしい。
- 62:【特別支援教育課長】
医療的ケアに係る看護師への活用については、緊急雇用の対象が離職を余儀なくされた非正規労働者、中高年齢等の失業者であるため、看護師不足で採用に苦慮している中で雇用することが困難である。また、見つかっても短期であるため、子どもとの関係が築きにくい。しかし、看護師の増員は重要なことと考えているため、今年度4人増員して計18人配置した。今後も引き続き医療的ケアの充実に向けて努力していく。
- 63:【総務課長】
県にとっても厳しい財政状況下であるため、有効活用できるものは活用していくべきである。補正分も含め、新たな検討を積極的にしていきたい。
- 64:【峰野 修委員】
田口高校において6年前から設楽中学校、津具中学校、豊根中学校との中高一貫教育が実施されているが、その現状と成果はどうか。
- 65:【高等学校教育課長】
設楽中学校、津具中学校、豊根中学校の3校と6年前から連携型の一貫教育を実施している。田口高校の教員が3中学校へ出向き、ティームティーチングを行っている。また、ソフトテニスでは県教育委員会のスーパーハイスクールの指定校となり、部活においても交流を行っている。入試においても連携型で学力検査を課さず、中学校での指導経過を学習のまとめとして提出させて進学させ、その結果、地元の3中学校から田口高校への進学希望が年々増え、10年ほど前の4割から6割に伸びた。入学者が増えるにつれ、地元の教育長からも田口高校がたくましく、いい学校になった、地元の信頼が高まったなどの評価があり、中高一貫教育が良い方向に進んでいる。
- 66:【峰野 修委員】
今年から山村振興ビジョンにより愛知教育大学が推薦枠を設けることが決まった。目的を持って入学する子もいる。人数の問題でなく、田口高校をグレードアップする意味で効果のある制度である。具体的に制度の説明と、これからの予定について聞かせてほしい。
- 67:【高等学校教育課長】
愛知教育大学はすでに高大連携の推薦入学を一部の高校で実施しており、その制度を山村振興に活用するものである。先ほどの3中学校出身で田口高校において学ぶ子を対象としている。高校1年生でオープンキャンパスに参加し、2・3年生で長期休業中に開催する高校生向け講座に参加し、学習の様子を大学で見てもらい、高校では将来地元出身者として地元へ帰り教員になるという志のしっかりしている生徒を推薦し、大学でこれを評価する形で大学への道を開く制度である。今後は平成21年度の田口高校の1年生から正式に始まるが、現在の2年生でも高校生向け高大連携講座に参加すれば配慮してもらえるため、実質は2年生からとなる。同様の制度を作手中学校から作手高校に進学する生徒にも適用してもらう。地元で育った子どもが教員として地元に戻り、地域の担い手として文化の継承や地域の活性化に貢献してもらいたいと、中高一貫の会議の中でも地元からの声が強くあった。それを受け、県の山村振興事務所や県教育委員会が山村地域で根を張って活躍できる教員が必要、愛知教育大学自身もそうしたところに力を入れたいと、三者の思いが一つになって制度ができた。将来のステップになるようにしていきたい。
- 68:【峰野 修委員】
小規模校の再配置や大きな問題を抱えた地域であるので、教育委員会としての真剣な取組を期待する。
- 69:【小出典聖委員】
小中学校の児童生徒一人にかかる公費負担はどれぐらいか。そのうち県費はどれぐらいか。
- 70:【教育企画室長】
文部科学省の平成19年度地方教育費調査では、小学生では約80万円でうち県費は約43万円、中学生は約92万円でうち県費は約49万円である。
- 71:【小出典聖委員】
県立高校の生徒一人ではどうか。
- 72:【教育企画室長】
全日制では一人あたり約106万円で、うち県費は約100万円である。
- 73:【小出典聖委員】
毎年予算編成の直前になると、校長会や教職員組合が35人学級の拡充や待遇改善の陳情に来る。その場で子どもたち一人ひとりにどれぐらい公費が払われているか知っているか、そのことを子どもたちに教えているかと尋ねると、まともな返事をしない。新城・設楽では地域を挙げていい条件で教育をという熱気が伝わってきた。世代を超えてみんなに助けられて子どもたちは教室におり、先生は教壇に立っている。そうしたことが定着していれば、携帯電話や裏サイトとの問題などは極めて限られたところでしか現出しない。校長会の代表や教職員組合の代表の反応がないのは、教育委員会の努力が足りないのではないか。教育委員会としてどう認識しているか。
- 74:【義務教育課長】
学校における子どもたちへの指導としては、社会科で税の指導をしている。その他、愛知県租税教育推進協議会で、税務署職員が県内の小中学校を訪問し租税教室で指導している。平成20年度は小学校の82.5パーセント、中学校の58.4パーセントで租税教室を行っている。小学校6年生や中学校3年生に配付されている租税教育資料の中に、義務教育の費用が具体的に載っており、どれぐらい税金が使われているか、租税教室の中で勉強している。
- 75:【小出典聖委員】
やっていることは分かった。額や仕組みの話ではない。世代を超えて教室を支えていることを子どもたちに実感してもらいたい。6月15日付けの校長会報では課題として、教員免許更新制度や学力テストの情報公開問題、教職員評価制度、給与減額措置の問題などをあげている。学校教育への社会的評価の厳しさが原因であるとしており、評価に応えるには毎日のきめ細やかな指導の積み重ねによる子どもの姿で表すことだと抽象的な話になっている。教育費の公費負担は水や空気のように捕えられており誰も認識していない。なんとかしてほしいと考えているが、教育長どうか。
- 76:【教育長】
教育に係る経費は、実際、県の一般会計予算の4分の1がかけられている。学校現場では色々な課題を抱えていることも事実である。みんなの支えがあり、成り立っていることは、県の予算の4分の1も使わせていただいていることからも心の根底にはある。現状を良しとするのではなく、更に良くするにはどうするかを考えていかなければならない。確かに今は教員免許更新制も大変な課題である。学校現場は厳しい。教員が子どもたちと向き合う時間がないという中で、新たな制度により年間30時間の研修も始まる。教員の資質向上のためにはきっちりとやらなければならないが、学校現場にはその他にも色々な課題がある。何をしたらよいかを模索しながら進めていきたい。教育は教育委員会だけではやっていけない。家庭や地域の力を借りてやっていく。典型的な例として情報モラル教育がある。学校だけでなく家庭、地域など社会全体で取り組まなければならない。感謝の気持ちを持ちつつ、前進するような施策を進めていきたい。
- 77:【立松誠信委員】
3月卒業の高校生の就職状況はどうか。
- 78:【高等学校教育課長】
県立高校の3月末の就職決定率は98.0パーセントとなっており、昨年よりも0.1パーセント上回った。そこに至るまでには内定取り消しなどがあったが、最終的には98パーセントとなった。
- 79:【立松誠信委員】
国家公務員など、公務員として採用された生徒はどれぐらいか。
- 80:【高等学校教育課長】
就職決定状況の調査しか行っておらず、分野別の内訳は持ち合わせていない。
- 81:【立松誠信委員】
愛知県や名古屋市を始めとした市町村の職員になりたい生徒に対してはどのようにPRしているのか。
- 82:【高等学校教育課長】
各学校に進路指導部があり、民間企業と同様に日程や申し込みの時期などを連絡し、最終的には担任や保護者の意見を含めて公務員になるのか、民間企業への就職かを決めている。
- 83:【立松誠信委員】
自衛隊への進路指導は行っているか。
- 84:【高等学校教育課長】
一つの選択肢として同様に扱っている。
- 85:【立松誠信委員】
一般の公務員と同じように扱っていると自信を持って言えるか。
- 86:【高等学校教育課長】
個々の学校の指導であるため言いにくいが、私自身の経験から言えば対等に示してきた。
- 87:【立松誠信委員】
自衛隊に対しては別格な指導がされている気がする。自衛隊はいざとなれば、かなりの覚悟が必要である。しかし、先般も国際連合が目標とする役目を果たして、全員がサマワから帰国した実態を踏まえ、今後生徒が自衛隊を希望したとき、決して差別のあるようなことをしないでほしい。
河村名古屋市長は市議会においても名古屋弁を使用しているが、名古屋弁がいいとかではなく、小学校の国語の授業は年間1,337時間あり平成23年度から1,461時間である。中学校でも350時間、24年度から385時間である。国語教育の目標は何か。標準語を教えて読み書きさせる。そして国家社会のために頑張るということではないか。
- 88:【義務教育課長】
学習指導要領においても方言の指導があり、国語等の授業において指導している。共通語と方言が役割を持って共存することが望ましいと考えている。学校の中での方言指導は、例えば地域の民話や芸能、お年寄りとのコミュニケーションで方言に触れる、言語感覚を養い、豊かな心を育てる意味でも有益である。家庭や地域社会で方言に親しんでいく工夫が望ましいと考えている。
- 89:【立松誠信委員】
河村市長は市議会やテレビのインタビューで、ことさら強調して使っている。学校で標準語を教えても、テレビで流れては意味がない。井戸端会議で話すようなことも、市長が公に言えば重みが増してしまう。教育予算も3分の1を国、3分の2を県が負担しているというときに、市長がそうした言葉を使うことには抵抗がある。遠慮せず名古屋市教育委員会にものを言ってほしい。公の場では標準語を使ってほしい。民主党の最高顧問である渡部恒三先生は福島県の出身であるが、苦労して標準語を使っている。口元を見れば分かる。子どもの教育が大切であるため、しっかりと日本語を教えてもらいたい。教育長の所見を伺いたい。
- 90:【教育長】
言葉遣いは時、場所、目的を考慮して使うべきと考えている。共通語で話すべき時、普段の言葉で話す時などがある。名古屋市長は名古屋弁を特徴としているため、判断しかねるが、学校現場では方言のいいところを教え、共通語は共通語で教えて共存できるよう、子どもたちにはしっかりと教えていきたい。
- 91:【立松誠信委員】
真剣に考えてほしい。
