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県政報告・石井よしき発言
平成21年
平成21年2月定例会(第6号)
平成21年2月定例会(第6号)
2009年3月6日
石井よしき発言
37
(主な質疑)
1: 午前十時十分開議
◯副議長(鈴木愿君)
ただいまから会議を開きます。
直ちに議事日程に従い会議を進めます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第一 第五十号議案平成二十年度愛知県一般会計
補正予算から第七十三号議案控訴の提起につ
いてまで
2:◯副議長(鈴木愿君)
第五十号議案平成二十年度愛知県一般会計補正予算から第七十三号議案控訴の提起についてまでを一括議題といたします。
─────────────
3:◯三十八番(山下史守朗君)
ただいま議題となっております第七十三号議案は、委員会の付託を省略されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
4:◯副議長(鈴木愿君)
山下史守朗議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
5:◯副議長(鈴木愿君)
御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております第七十三号議案は委員会の付託を省略することに決定いたしました。
─────────────
6:◯副議長(鈴木愿君)
これより第七十三号議案を採決いたします。
7:◯三十七番(酒井庸行君)
第七十三号議案は原案のとおり可決されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
8:◯副議長(鈴木愿君)
酒井庸行議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
9:◯副議長(鈴木愿君)
御異議なしと認めます。よって、第七十三号議案は原案のとおり可決されました。
─────────────
10:◯三十八番(山下史守朗君)
ただいま議題となっております第五十号議案から第七十二号議案までは、さらに審査のため、それぞれ所管の常任委員会に付託されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
11:◯副議長(鈴木愿君)
山下史守朗議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
12:◯副議長(鈴木愿君)
御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております第五十号議案から第七十二号議案まではそれぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
なお、議案付託表は議席に配付いたしました。
─────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第二 第一号議案平成二十一年度愛知県一般会計
予算
13:◯副議長(鈴木愿君)
次に、第一号議案平成二十一年度愛知県一般会計予算を議題として、これに対する質問を許します。
この際、第一号議案平成二十一年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳入全部について質問を許します。
質問に際しましては、款項を明らかにして発言されるようお願いいたします。
通告により質問を許可いたします。
中村すすむ議員。
14:◯十九番(中村すすむ君)
一号議案歳入一款県税一項県民税、そのうちの一目個人県民税について質問をさせていただきます。
本県の県税徴収率、これはここ数年数字を上げてきておりまして、平成十九年度には、行革大綱二〇〇五に掲げた目標九七・五%をクリアして九七・八%に達しております。これは、税収確保に向けて御努力をいただいた、例えば納税をしやすくするために自動車税などのコンビニ納税を可能にしたり、あるいは悪質な滞納事案の整理策として差し押さえ、インターネット公売といった手法を講じてきたわけですが、その結果が今のような結果となり、財政規模の似通った他県と比較しても上位に位置する徴収実績に結びついたものと評価をするところであります。
その県税のうちで法人二税についてはこれまでも順調な推移をしております。当面、企業業績の落ち込みによって厳しい財政状況になりますけれども、そうした状況下にあっても、いや、そういう時期だからこそ各種県税の徴収率向上に向けた精度を上げていくことが必要だというふうに思います。
一方で、今回取り上げましたのは、県税の中の個人県民税であります。この滞納が心配されます。平成十九年度に国税の所得税から地方に税源が移譲されまして、住民税の税率が一律一〇%に改定されたということもありまして、個人県民税の税額もふえた反面、滞納額も増加しています。年間三百三億円といった県税全体の滞納額がございますけれども、これの半分以上がこの個人県民税で占められているという状況に至っております。これまでは経済環境も良好で余り注目してこなかった点でもありますが、経済環境や、あるいは雇用環境が一変した今、この個人県民税の滞納がさらにふえるのではないかというふうに懸念されるところであります。
先日、私の地元の豊田市の納税課で話を聞いてまいりました。やはり窓口相談の件数がふえているようであります。例えば、昨年末に解雇をされたと。これまでは源泉徴収だったんですけれども、この一月に納税通知書が本人のところに来まして、納税時期までにまとまった金額を納めるような通知を受けたんだけれども、まとまったお金というのは、今、用意できないといったような相談ですとか、あるいは外国人の相談件数というのがかなりふえてきているという話も聞いてまいりました。新たな滞納を懸念されるような状況が現場では出てきているのかなという感じでございます。
こうした経済や、あるいは雇用環境の悪化に伴って県税のうち、特に個人県民税の滞納が懸念される中で、税収の確保をどのように進めていくのか、あるいはまた少しでも納税者にとって納めやすい環境をどう整備していくのかといった視点で以下二点質問をいたします。
一点目、まず、県税の滞納の状況について、ここ数年の全体の推移と、その中で個人県民税の滞納額がどう変わってきたのか、お聞きをしたいと思います。
二つ目、経済と、それから、雇用環境、この悪化に伴って個人県民税の滞納がさらに増加することが懸念されるわけでありますけれども、県として具体的な滞納抑止策をどのように進めておられるのか、お聞きをしたいと思います。
以上です。
15:◯総務部長(島田孝一君)
県税の滞納の抑止と歳入の確保についての御質問をいただきました。お答えをいたします。
まず、県税と、その中で個人県民税、この滞納の状況でございます。決算の時点で収入となっておらない、いわゆる収入未済の金額でございますが、平成十九年度は県税全体で三百三億一千三十九万余円と相なっております。このうち、地方税法の規定によりまして、市町村が市町村民税とあわせて徴収しております個人県民税の分は百七十億一千八百三十一万余円、県が直接徴収しております自動車税などの税目分は合計で百三十二億九千二百八万余円と相なっております。
また、収入未済額の推移でございますが、過去三年度で見てみますと、個人県民税を除く県税に係る分は減少傾向にございまして、平成十七年度には百六十五億円ございましたが、十九年度には百三十三億円へ三十二億円減少しております。しかしながら、個人県民税は徴収率は九二・六%から九四・七%へと二・一ポイント向上はいたしましたが、収入未済額は百十九億円から百七十億円へと五十一億円増加をしております。このような状況でございますので、県税全体の収入未済額に占める個人県民税分の割合も四二%から五六%へと増加をしておる状況でございます。
このように、個人県民税の収入未済額が増加いたしましたのは、議員お示しのとおり、三位一体の改革によりまして税源移譲され、収入が千二百九十四億円ふえました。それに伴って滞納も増加したというところでございます。
そこで、次に、個人県民税の滞納抑止に向けました具体的な対策についてお答えをいたします。
個人県民税は、給料などの収入がありました年の翌年度に課税されますので、家計の収入と税負担の間でタイムラグがございます。したがいまして、現在の厳しい景気や雇用情勢によりまして、平成二十一年度にさらに滞納が増加することが懸念されるところでございます。このような状況ではございますが、県と市町村が協力、連携し合うことで、それぞれ個人県民税と市町村民税の収入未済額の縮減を図ってまいりたいと考えております。
そこで具体的な対策でございますが、主に四つの取り組みを進めてまいります。順に御説明したいと思います。
一つ目は、人事ローテーションが比較的短いために徴収経験の少ない市町村職員が多いということから、徴収の初任者向けの新規担当者研修を初めとするさまざまな研修会を開催して、徴収の実務能力の向上を図ってまいります。
二つ目は、県と市町村の徴収職員が一緒に滞納整理を行うことによりまして、お互いに切磋琢磨しながら徴収技術の向上を図る税務職員の相互交流制度でございます。また、差し押さえ財産を公売した経験の少ない市町村もございますので、県と市町村が共同で行う公売も実施いたします。
三つ目としまして、個々の市町村の実情に応じたきめ細やかな助言を行うために、県庁税務課内に市町村税徴収支援アドバイザー、これを設置して、県のベテラン徴収職員が電話などで相談に応じたり、市町村に出向きまして、ニーズに応じた実践的な研修や、一方で、コンビニ納税、インターネット公売の普及などを行っております。
四つ目ですが、滞納が高額であったり、徴収が困難なものについて、県が市町村から個人県民税及び市町村税の引き継ぎを受けましてこれを徴収する、地方税法四十八条の直接徴収制度の活用でございます。この徴収事務は、高額滞納者等を専門に処理をいたします名古屋東部県税事務所の特別滞納整理室で実施をいたしておりまして、本年度は、市町村から引き継いだ滞納額の約六割を既に一月末までに徴収をしております。
この制度は、その実施効果が高いということから、平成二十一年度は、本年度実施の十五市町村から三十一市町村に拡大して実施する予定でございます。
今後も、市町村と連携、協力しながら、個人県民税の収入未済額の縮減に努めてまいりたい、こう考えております。
以上でございます。
16:◯副議長(鈴木愿君)
次に、第一号議案平成二十一年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳出第一款議会費から第五款環境費までの質問を許します。
通告により質問を許可いたします。
川嶋太郎議員。
17:◯八番(川嶋太郎君)
それでは、通告に従い、歳出第二款総務費第一項知事政策費のうち、広報広聴費について質問いたします。
アメリカの金融問題に端を発した世界同時不況が我が国及び本県経済を直撃しており、県の財政状況も危機的状況にあります。景気の回復は全治二年とも三年とも言われておりますが、現在のところ急激な回復が見込めない状況であります。
深刻な財政状況を受けて、現在本議会で審議しております平成二十一年度当初予算案は、施策の必要性、緊急度、将来性などを十分に勘案して施策の選択と集中が行われ、編成されたものと思います。今後、施策の実施に当たっては、費用対効果も考慮しつつ、より効果が上がるように努力していく必要があると考えます。
私は、施策の効果を最大限に高めるためには、何より県民の理解と協力が不可欠であると考えます。しかし、私自身が民間で働いていたときのことを思うと、税金を給料天引きで納めた後は役所の人はうまいことやってくれるだろうという程度の認識しかなく、県の行う行政サービスについては何となく受けていただけで全く意識をしていませんでした。多くの県民の方々は、当時の私と同様に県の施策に対して単なる受け手でいるのではないでしょうか。
私は、県民の皆様に単なる受け手から県と目標を共有し、ともに県政を推進するパートナーとなっていただき、地域の活力の向上に向け力を合わせていくことが必要だと思います。
例えば、救急医療体制の確保において、県は、医師確保や体制整備を担い、県民の皆様には、現在の救急医療体制を御理解いただき、夜間のいわゆるコンビニ受診を控えるとか、救急車をタクシーがわりに使わないなど負担軽減に御協力いただく。
ほかに例を挙げますと、COP10やあいちトリエンナーレ二〇一〇の開催に向け、県は、プレイベントの実施や広報活動により機運の醸成に努め、県民の皆様には、各種イベントに観衆として、また、ボランティアとして積極的に御参加いただくなどが挙げられると思います。
県として県民の理解と協力を得る際に重要となってくるのは、県が進める施策をいかに県民に効果的に伝えていくのかという情報発信のあり方ではないかと私は考えます。より多くの県民の理解と共感を得て、それを地域の活力の向上につなげていくためには、きめ細かい広報広聴活動を行い、県政に対する県民の関心を高めていくことが重要であると考えます。
今まで県は、県民の理解を得るために、新聞、テレビ、ラジオ等のマスメディア、刊行物、インターネットなどさまざまなメディアを使い広報を行ってきておりますが、メディアで広報するだけではどうしても一方的になってしまい、十分な効果が得られていないと思います。
県では、平成二十年度の新規事業として、県職員が県民のもとへ直接出向き、県政についてフェース・ツー・フェースで説明をする県政お届け講座を実施しておりますが、私は、この事業は県政推進に大変有益な事業であると思います。
パンフレットを見ますと、県政お届け講座とは、県があらかじめ設けた県政に関するさまざまなテーマの中から県民の皆様が聞きたいテーマを選んで申し込みを行い、県は、おおむね二十人以上の集会等を対象に、事業を担当する職員を直接派遣して説明するという事業です。防災や地球温暖化など県民の皆様の関心の高い施策、事業等を中心にテーマが用意されており、派遣費用は無料で、平日の時間外や土日祝日にも対応するというものです。情報を伝える手段、ツールにはさまざまなものがありますが、県政お届け講座は、一度に広報できる人数には限りがあるものの、参加者のニーズに応じて県政の諸事業を詳しく説明できるものであり、県民の理解を得るための広報として適した事業であると考えます。
また、この事業に付随する効果としては、県民に対して県の情報発信に対する姿勢を示すことができること、事業の担当職員にとっては、自分の担う事業の重要性を再認識し、また、県民から直接事業に対する要望や期待など生の声を聞くことができ、業務に対するモチベーションアップにつなげることが挙げられます。
さらに、今後においては、県職員の事業に対する真摯な取り組みを県民の皆様に直接見ていただくことによって、そして、知っていただくことで、不適正経理問題によって失われた県の信頼回復にも必ずやつながっていくものと考えます。
そこで質問いたします。
県政お届け講座の初年度の実績はどのような状況であったのか、次に、その状況をどう受けとめ、来年度以降この事業をどう展開していくつもりなのか、御所見をお伺いいたしたいと思います。
以上です。
18:◯知事政策局長(小川悦雄君)
県政お届け講座について御質問をいただきました。
まず、初年度の実績についてでございます。
この事業は昨年五月からスタートをいたしましたが、先月末までに四十のテーマで延べ八十一回実施しまして、受講者は三千七百九十五名でございました。実施した八十一回を分野別に見ますと、長寿医療制度などの健康医療に関するものが十七回、地球温暖化などの環境に関するものが十五回、防災などの安全に関するものが十一回となっておりまして、暮らしに身近なテーマが上位を占めております。
受講者はさまざまなグループの方々でございますが、福祉関係団体、学校・PTA、女性団体、労働団体などの方々が多くなっています。なお、八十一回のうち約四分の一が夜間や土日祝日の実施となっております。この数字は二月末までの実績でございまして、年度末までにさらに九回実施を予定いたしておりますので、初年度の実績としましては九十回となる見込みであります。
次に、今年度の実績をどう受けとめ、来年度以降どう展開していくのかとの御質問であります。
各講座の終了時に受講者に対してアンケート調査を行っておりますが、これによりますと、テーマに関する知識やノウハウが得られた、県の取り組み姿勢がわかったと回答された方がそれぞれ七割を超えておりまして、おおむね高い評価をいただいております。
また、講師となった職員からも、県民の皆様の考えを肌で感じることができた、事業を直接説明することでその意義を理解していただけたなど手ごたえを感じたとの意見が多く寄せられました。このように、この事業は着実に成果を上げることができたと受けとめております。
一方で、反省すべき点もございました。アンケートの中には、内容が専門的過ぎた、話が具体的でなくわかりにくかったと、こういった意見もございましたので、こうした指摘をきちんと受けとめ、県民の皆様のニーズにこたえられるように事業の改善に努めたいと存じます。
このお届け講座は、新聞、テレビなどのマスメディアを使った広報や、インターネットなどITを活用した広報とは性格を異にいたしております。議員の御質問にもございましたように、職員と県民の皆様がフェース・ツー・フェースで向き合い、県の取り組みや事業の説明、意見交換などを行うものであります。担当職員の熱意や真剣さが直接伝わり、県民の皆様に県政を身近に感じていただけるという大きな利点があると考えております。
今後、この県政お届け講座を広く活用していただくため、県民の皆様の関心が高いテーマの一層の掘り起こしなどに努めまして、草の根の対話型広報として定着していくよう取り組んでまいります。
19:◯副議長(鈴木愿君)
進行いたします。
中村すすむ議員。
20:◯十九番(中村すすむ君)
第二款総務費第二項総務管理費のうちで行政改革推進費についてお尋ねをいたします。
今議会の代表質問及び一般質問の中では、今後の財政見通しとして県政運営の考え方に関する質問が多く出されておりました。
知事からは、財政に関してしばらく経済回復が困難であり、今後の財政運営の中では、基金、県債の活用にも限界があることから、地方交付税の確保など国に働きかけていくという御回答をいただきましたし、また、財政運営につきましても、行革による歳出削減を地道に取り組み、また、従来からの政策の指針に加え、雇用システムや産業構造の転換といった新たな課題にも取り組み、次なる時代において発展するために不可欠な取り組みを一段と加速させるという御答弁をいただいております。
今回上程された平成二十一年度予算編成においては、税収が大きく落ち込む中で、その財源の多くを県債発行に頼らざるを得ない、まさに急場をしのぐ予算編成内容となってしまいました。
問題は次年度以降です。財政課から出されました財政中期試算を見ますと、二十二年度以降も県債の額は二千八百億から二千九百億を想定し、一方で、償還額であります公債費は三千百億から三千四百億に膨らんで、一層財政の硬直化が進むというふうに懸念がされるところであります。そして、行革効果を加味しても、なお年間二千五百億円の財源不足が当面続くという、とても健全化どころではない試算結果でございました。
もう従来の財政の枠組みでは財政の健全化には行き着かない、あるいは地道な行革は必要であるものの、その延長だけでは大きく財政を立て直すにはほど遠いということがはっきりしてきました。確かに必要な事業は多少借金が膨らんでもやるべきとの意見もありますが、将来必要な行政サービスの実行に支障が出るような財政運営は厳に慎むべきであり、いつも現在及び将来の県民負担を考えた財政運営、つまり、後世にツケを回さないという考えが基本にあるべきだというふうに考えます。それだけに予算書に記載してあります次期行革大綱の策定、これがどこまで思い切った発想で事業を見直していくのかというところに注目が集まるところだというふうに思います。
以下、幾つか次期行革大綱で検討すべき視点を私なりに申し上げたいと思います。
まず、歳出削減に向けた事業のあり方としては、今後の県政の基本的運営を財政の規模に合った、身の丈に合った事業規模に思い切って縮小していくことを真剣に検討すべきだというふうに思います。
例えば、県の事業の中でも既に市町村との連携あるいは関係がルーチン化したような事業などは積極的に市町村に権限と財源を移譲していく、中核市、特例市に対してもどんどん移譲していって県の事業を縮小させる、そのかわり、将来の道州制移行に向けた基礎的自治体の体力アップを目指しては、県としてはしっかり応援していく、そういう事業に集中させていくとか、また、財政構造でいえば、今回はっきりしましたが、歳入は経済環境で大きくぶれるのでありますが、歳出は、職員、教職員、警察官の給与など固定費で硬直的であるといった歳入と歳出の構造のミスマッチ、あるいは借金をしなければ県の事業は進められないという根本的な問題、いろいろなものが浮き彫りにされました。
そして、何よりも地方交付税や交付税を当てにした臨時財政対策債といった国に大きく依存した財政運営がいつまで続けられるのかなどなど、思いつくまま課題を上げていきますと、やはり従来の枠の中での行財政改革だけでは限界があって、大きく事業の縮小に着手すること、そして、国や市町村との構造的な課題に道筋をつけること、そうでなければ次期の行革大綱は行革とは呼べないのではないのかとさえ考えるところであります。
そこでお聞きをいたします。
借金に依存した財政を背景とした県政運営が当面続くと想定される中にあって、これからの行政運営のあり方をどのように見直し、次期行革大綱を策定していくお考えなのか、お聞きをいたします。
21:◯総務部長(島田孝一君)
次期行革大綱の策定についてのお尋ねをいただきましたので、お答えを申し上げます。
本県では、平成十年度に戦後初の赤字決算に陥った際、直ちにあらゆる分野の見直しに取り組みまして、平成十一年度には一千六百億円、十二年度には九百億円の行革効果を上げ、二年で赤字からの脱却を果たしたところでございます。以降も累次の行革大綱に基づいて職員定数の削減を初め事務事業や公の施設、関係団体の見直しなど継続的に行財政改革に取り組み、全国的に見ても非常に大きな成果を上げてきたところでございます。
しかしながら、昨年来、世界的な同時不況に伴う未曾有の財政危機に直面するなど本県行財政を取り巻く環境に大きな変化が生じましたことから、これに早急に対応するため、一年早めて次期行革大綱の策定作業に着手することとしたものでございます。
最小の経費で最大の効果を上げることを目標に、毎年毎年努力を積み重ねていくことを基本としつつ、さらなる対応を模索してまいりたい、こう考えております。
まずは、緊急の課題である財政危機への対応として、合理化余地が狭まりつつある厳しい中ではありますけれども、新たな取り組みや手法の発掘を含めさまざま知恵を絞ってまいります。
さらに、中長期的な観点から取り組みも必要ということでありまして、厳しいながらも健全な財政運営に努めますとともに、第二期地方分権改革も踏まえ、県の真に果たすべき役割の見きわめや、国や市町村とのあるべき機能分担の促進、さらには県庁組織の再生、活性化など望ましい行政運営や組織のあり方についても検討してまいります。
次期行革大綱の策定に際しましては、行革を考える県民会議を新たに開催するなど県民の皆様の御意見を幅広くいただく機会を設けながら、全庁を挙げて取り組んでまいります。
以上です。
22:◯十九番(中村すすむ君)
御答弁をいただきました。再質問と要望をさせていただきたいと思います。
御答弁をいただいたわけですけれども、これを機に思い切った発想で構造的な改革に着手していこうといった積極的な姿勢だとか危機感というのは少し弱いように感じます。確かに十一年度、十二年度、手がけられた行革の効果は大きなものがあったと思いますし、体質を強化していくためにも今後も不断の行革努力が不可欠であるということはそのとおりだと私も思います。ただ、私は、この行革を機に構造的な改革にまで踏み込む必要性を感じますし、そのことがこれからの愛知県の主体的かつ自立的な県政運営につながっていくだろうというふうに思っております。その上で御答弁をいただきましたが、新たな取り組みや手法の発掘という言葉をいただきましたし、あるいは県の真に果たすべき役割の見きわめとか、国や市町村とのあるべき機能分担といった、ちょっとぼんやりした言葉ではありますが、私は、こういったところにキーワードがあるんだろうというふうに勝手に理解をさせていただきまして、一点突っ込んでお聞きをしたいと思います。
その新たな手法の発掘とか、国や市町村との機能分担という点で、今どのような問題意識をお持ちなのか、このことについて質問をしたいと思います。
もう一点は要望です。
最後に、次期行革大綱策定に際しまして、行革を考える県民会議を立ち上げて県民に広く意見をもらうといった答弁をいただきました。この会議の進め方についても十分検討をお願いしたいというふうに思うんです。といいますのは、こういう決断のスピードが求められるときに、白紙の状態から県民の多くの意見を聞きながら調整するといったやり方にもしも陥ってしまっては、かえってあれもこれもといった議論になりかねません。まずは知事のこうしたいんだという強いメッセージを発していただいた上で、会議のメンバーの皆さんにはそれをいかに迅速に展開できるかといった建設的な意見を上げてもらう場にしていくことが必要だというふうに考えます。
こうした会議の運営方法についても、従来の手法にこだわらず、スピードと効果を優先した運営方法にしていただくよう要望いたします。
以上、再質問と要望、よろしくお願いいたします。
23:◯総務部長(島田孝一君)
新たな取り組みや手法の発掘、あるいは国や市町村とのあるべき機能分担の促進ということに関しまして、今の問題意識やいかにと、こういうお尋ねでございます。
初めに、新たな取り組みや手法の発掘ということについてお答え申し上げますと、まずは行政評価、あるいは市場化テストなど現在の取り組みの充実を図って、さらに新たな手法はまさしく発掘しながら、採り得る手段を総動員して対応していくと、こういうふうに認識をしております。
例えば、県が直接に実施をしてきた事務事業の中で、民間の力を借りてより合理的に実施できる分野がまだまだ残っておるのではないかと、あるいは限られた職員数の中でもよりマンパワーを発揮できるような制度とか仕組みが構築できないかとか、そういった観点からまずは取り組んでいきたいと考えております。
もう一点、国や市町村とのあるべき機能分担の促進という観点からの御質問でございますけれども、これについては、第二期地方分権改革や市町村の規模能力の拡大と、これが進展をいたしております。
こういう中で、広域自治体として県が果たすべき役割をしっかり認識した上で、例えば県と市町村との関係で申し上げれば、市町村へのさらなる権限移譲の推進など分権型社会にふさわしい県庁づくり、こういったものに取り組んでまいりたい、こういう認識でおります。
以上です。
24:◯副議長(鈴木愿君)
進行いたします。
原欣伸議員。
25:◯十番(原欣伸君)
私からは、第三款地域振興費第一項地域振興総務費、第四款県民生活費第五項防災費についてお伺いをいたします。
まず最初に、第三款地域振興費第一項地域振興総務費、計画調査費のうち総合対策推進費についてお尋ねをいたします。
犬山の歴史ある公共交通機関に幕を閉じました。東京モノレールの見本になった犬山のモノレールが廃止になったことです。子供たちの夢を乗せ、四十六年間走り続けられたのにと残念な思いが募るばかりです。
しかし、企業が運営する不採算路線の定めです。こうしたことは犬山に限ったことではありません。実際に廃止された路線では、代替交通機関として自治体が巡回バスを運行しています。廃止には至らなかったものの、沿線自治体が運営に補助をして何とか運行してもらっている路線もあります。これ以外にも、事業者と自治体で路線の所有者と運行管理者が異なる上下分離方式という方法で運行を維持している路線もあります。
その状況で、本県の今後の公共交通機関の見通しはどうなのか、県民にとって欠かすことのできない足の確保は大丈夫なのか。厚生労働省の人口動態調査によると、平成二十年の一年間で日本の人口は約五万人減ったとのことです。出生数を上昇させる具体策も見当たりません。今日まで車社会とともに利用者が減ってきました。これからも人口が減り続け、電車やバスを利用する人はさらに少なくなります。不採算路線のさらなる拡大は避けられない現実となります。となれば、運行本数の減便、廃線等を検討しなければならない公共交通機関が今後もふえてくると思われます。
この中で、社会資本整備の方針が大きく転換されようとしています。今までは、車社会を前提とした道路網の整備が中心でした。公共交通機関網の整備は道路整備よりおくれていた。しかし、ここにきて道路整備よりも公共交通機関の整備に注目が集まるようになってきました。
理由は三つあります。まず、道路網の整備により郊外に大型ショッピングセンターが展開されてきました。結果、駅前の商店街は廃れ、シャッター通りと呼ばれるようになりました。ここで、郊外に行くためには車が必要になります。しかし、ここにきて、車を持たない、または運転をしなくなった高齢者の日常生活に支障が出てきました。そして、今後、高齢化がさらに加速する現実を見据えてのことです。
次は、環境への負荷軽減のためです。二酸化炭素の排出量が車よりも少ない電車やバスを利用しようと、パーク・アンド・ライドなどを推進する動きが広まってきたことです。
最後は、まちづくり三法が改正されたことによるものです。コンパクトシティなど限りある予算を集中的に投資する政策が導入されました。これらの政策は、中心市街地を再度活性化させることを目的としています。内容は、中心市街地に公共施設等を集める、また、住民もその周辺に住んでもらうことで都市の活力を保持しようとするものです。かつての均衡した国土の整備という方針を大きく転換したことにあります。
そこで、本県も、今後の公共交通機関の課題を正面から受けとめ、方向性を示さなければなりません。まして、現在の景気情勢により各自治体も厳しい財政運営を求められています。そうなれば、巡回バスの予算や補助金も見直しの対象になることが考えられます。一番影響を受けるのは言うまでもなく利用者である県民の皆さんです。ここで本県として、今後の公共交通機関対策、交通弱者対策を確立させるべきです。
そこで、最近注目を集めているBRT(バス・ラピッド・トランジット)を紹介させていただきます。
これは、バスを交通機関の中心に据えて道路などに専用路線を設けて運行するというものです。名古屋市内でいう基幹バスやガイドウェーバスと同じ仕組みです。違いは、道路の一部をバス専用路線として確保するのではなく、廃止された鉄道路線をバス専用路線として整備していることです。茨城県の小美玉市と石岡市では、県と協力して、平成十九年三月末で廃止となった旧鹿島鉄道の路線跡の一部をバス専用路線として整備する方針と聞いています。現在も地元市と鉄道会社で交渉しているようですが、新たな交通機関の整備策と思います。
そこで提案をさせていただきます。
本県でも、鉄道事業者の廃止路線、また、廃止検討路線、さらには沿線自治体からの補助金などで運行している路線について、バス専用路線として整備してはどうか。これならば、バスのネガティブなイメージである遅い、時間どおりに来ないも解消されます。鉄道が廃止されれば地域の衰退化を招くことになります。沿線自治体としては何らかの代替措置をとらなければなりません。しかし、どの地域でも名古屋市の基幹バスのように車線の一部を確保できない、代替として地域巡回バスを運行させてもラッシュ時等の運行時間が課題となる。また、採算も懸念されます。しかし、廃止された路線であれば道路の一部を確保する必要もありません。渋滞もありません。また、定期運行が確保できます。さらには、バス停として既存の駅舎が利用できます。鉄道事業者にとっても、他への転用が難しい細長い土地の有効利用につながります。また、賃貸による収入も期待できることから協力していただけることと思います。
そこで、一点目は、廃止された鉄道路線のバス専用路線への転用についてお伺いいたします。
現行の法制度で可能かどうかという答弁でなく、新たな公共交通機関の整備策としてどうか、整備策をどうしていくかという観点から県当局の見解をお聞かせください。
また、バス路線の廃止が相次いでいることを見過ごすこともできません。廃止については、バス事業者がバス路線の廃止の一年前に愛知県バス対策協議会に申し出ることになっています。申し出があってからでは時既に遅く、廃止が大前提であり、対応策も限られてしまいます。これからは、廃止の申し出があってから各市町村が検討するのではなく、各路線バスの利用状況を把握できている体制でなければなりません。
そこで、二点目は、情報把握について、本県として何らかの方策がとれないものか、お考えをお聞かせください。
続きまして、歳出第四款県民生活費第五項防災費、消防連絡調整費のうち、救急救命士再教育事業費についてお尋ねをいたします。
思い起こすと、二〇〇五年開催の愛知万博の会場で一般の方がAEDを使用して急病の人を救ったことがマスコミで大きく報道されました。そのとき、AEDが設置してあることに感心し、命が救われたことに安堵しました。また、一刻も早い応急手当ての必要を改めて知らされることになりました。そして、我々の生活の中で万が一のときに真っ先に対応してくださる存在が救急救命士の方です。県民の安心・安全の大きなよりどころの一つとなっています。
しかし、消防業務を取り巻く環境は変化しています。まず、平成十九年中の救急出動件数は二十八万三千件で、十年前の一・五倍と大幅に増加していることです。救急車で搬送された方は二十六万人に上ります。計算すると三十人に一人が救急車で搬送されたことになります。
次は、救急車の到着時間です。一件平均が六・八分で、十年前に比べると一分ほど到着時間が遅くなっていることです。こうした救急需要の増加や到着時間の遅延の要因に、一部の心ない方がタクシーがわりに使うからとの意見もあります。しかし、ほとんどは事故や急病でやむにやまれず、必死の思いで救急車を要請しています。そのために救急体制の整備体制は必要不可欠です。
その中で、救急救命士の果たす役割がますます大きくなっています。救急救命士制度の導入後は、救命士が真っ先に処置を施すお医者さんの役割をも担っています。処置範囲については、平成十八年四月に薬剤投与が開始されました。その後、医師の指示のもとに気管挿管をします。点滴による薬剤投与ができるようにまでなりました。また、脳卒中は発症から三時間以内に、心筋梗塞は一時間以内に高度治療が開始できれば救命の可能性が高まる、後遺症も少なくすることができると言われています。患者さんに最初に接する救命士が、いち早く脳卒中や心筋梗塞の症状かどうか判断できるかまで求められるようになってきました。つまり、早く判断できることで高度な治療ができる病院を選定し、搬入する。結果、患者さんが助かるということです。
こうした救命士を中心とした救急業務が高度化してきたことなどにより救急患者の救命率が大幅に向上しています。これは、現場の救急隊員の努力によることはもちろんですが、救急医療に携わる医療関係者など多くの関係者の力によるものと思います。今後とも一層の努力を重ねられ、さらなる救命率の向上を大いに期待します。その期待にこたえるものが、来年度から新規事業となる救急救命士の再教育です。より一層の専門性を高める重要な位置づけとなります。
二点お伺いします。
まず、再教育の内容について触れます。再教育の対象となる救命士は、愛知県じゅうの千十三人全員が対象です。救命士は、プログラムされている年間十六時間の講習と実技を二日間で受講します。そこで、救急現場で応急処置の中心となる救命士には、医療技術の維持向上や、患者さんの症状に応じた医療機関の選定などさらなるスキルアップが求められます。
まず、一点目は、今までの高度化に関する救命士教育と来年度から新たに実施される再教育の違いをお知らせください。
二点目は、本県として救命士の再教育についてどのような役割を果たしていかれるのか、お聞かせください。
以上で質疑を終わらさせていただきます。
26:◯地域振興部長(的井宏樹君)
廃止がされました鉄道路線のバス専用路線への転用についての御質問でございます。
一般に鉄道路線が廃止がされました後の代替交通につきましては、できるだけ地域住民の方々への影響が少なくできるように、地元市町村と鉄道事業者が中心となりまして代替手段が検討がされる中で、県、そして国も広域的な公共交通ネットワークの確保でございますとか、交通事業者の指導監督などそれぞれの立場でかかわっていくことになるものと考えております。
その具体的な代替交通手段といたしましては、一般の道路を走行する路線バスが選択される場合が多いのではないかと考えておりますが、そうした中で、廃止鉄道路線をバス専用路線に転用することにつきましては、議員の御指摘もございましたが、施設の有効活用でございますとか、あるいは定時性の確保などのメリットが考えられるところでありまして、一般の道路を走行する路線バスなどと比較する選択肢の一つと認識をいたしております。
その一方で、用地の利用に係ります調整でございますとか、線路や電気設備の撤去、路面の舗装などの整備コストの負担、需要の確保や採算性の検討や、行政や事業者のかかわりなどについて整理していくことも必要となってまいるものと考えております。
いずれにいたしましても、具体的なケースにおいて、その状況に即して比較考量や検討がされることになってまいるものと考えているところでございます。
次に、バス対策についてのお尋ねでございます。
県におきましては、乗り合いバス路線の利用状況などにつきまして、バス事業者との情報交換を密にいたしまして、その協力を得て、できる限りの把握に努めているところでございます。その一方で、国のようにバス事業に関する許認可権限を有していないこともございまして、情報の入手に一定の制約があることもまた事実でございます。
そうした中で、私ども、把握をいたしました情報や、県の補助路線に関する情報を活用いたしまして、関係市町村やバス事業者に対しまして、路線の維持、存続のため、積極的に利用促進を図るよう働きかけを行っているところでございます。
そのほか、市町村単位で地域にふさわしい乗り合いバス輸送等のあり方について協議、検討するために設置がされております地域公共交通会議などの機会を利用いたしまして、地域関係者が乗り合いバス事業者の路線利用状況についても情報を共有し、できる限り路線の廃止に至らないよう、事業者と連携して運行形態の見直しですとか、利用の促進に取り組まれるよう、今後も働きかけてまいりたいと考えているところでございます。
また、路線の維持、存続には、やはり日ごろからの利用が重要だと考えておりますので、多くの方々にふだんからバスを御利用いただけるように、公共交通の利用促進、エコモビリティライフの運動を引き続き推進をしてまいりたいと、このように考えております。
以上でございます。
27:◯防災局長(小出茂樹君)
救急救命士の再教育についてお答えいたします。
まず、今までの救急業務の高度化に関する救命士教育と、来年度から実施される再教育との違いについてでございます。
現在行っております救急救命士教育につきましては、救急業務に対する社会的要請や医療機器の進歩などから、救急救命士が実施できる救命処置の範囲が順次拡大されまして、気管挿管や薬剤の投与ができるようになったことに伴いまして、薬剤の投与など高度な救命処置ができるよう、医学的知識や医療技術の習得をするための講習や病院実習を県が実施しているものであります。
これに対しまして、来年度から実施する再教育は、教育内容を今までの病院実習のみの内容から現場中心のより高度で実践的なものに変更し、就業後の教育といたしまして、救急救命士の資格を持つすべての救急隊員の質を確保し、レベルアップを図るため、継続的に実施するものであります。
次に、再教育について、県としてどのような役割を果たしていくのかについてであります。
救急救命士は、進歩する医療技術や症状を判断する能力などを常に身につけておくことが必要でございます。このため、県といたしましては、今年度、救急救命士の再教育のあり方に関する検討会を設置いたしまして、医学的観点に立った再教育ガイドラインの作成を進めており、これを市町村の消防本部が行う再教育に役立ててもらうこととしております。
また、講習の企画や専門的な医学教育を行う講師、トレーニング用資機材の確保など市町村の負担軽減を図るとともに、再教育の質を確保するため、高度な医療に関する講義や実践的なトレーニングを県が統一いたしまして実施することとしたものでございます。この再教育を実施することにより救急業務の一層の高度化を図り、救急患者の救命率の向上や社会復帰率の向上につなげてまいりたいと考えております。
以上でございます。
28:◯副議長(鈴木愿君)
進行いたします。
小島丈幸議員。
29:◯六十三番(小島丈幸君)
私からは、歳出第二款総務費第二項総務管理費について質問をいたします。
本年の二月議会から議場が非常に明るくなりました。理事者の皆さんの顔もよく見えるようになりましたし、より快適な環境にもなりました。庁舎管理の方に聞いてみますと、今まで使用していた白熱灯から蛍光灯にかえたそうでありまして、全部かえたことによって、今までの少し暗い議場が明るく見えるようになったということであります。この変更によって明るさだけが変わったのではなく、何よりも際立って変化したことは、消費する電力量が今までのハロゲンや白熱灯を使っていたときと比べて約七〇%削減がなされたと聞いております。
地球温暖化に向けた取り組みの一つにCO2の削減が上げられます。本年度予算にも地球温暖化対策に向けた取り組みが数々愛知県においても実施をしていくわけでありますが、各事業所に対する施策もさることながら、この愛知県庁においても、本庁舎や地方出先機関でさらなるCO2削減に向けた先駆的な取り組みも必要と考えます。
さて、先ほどもお話をいたしましたが、電球をかえただけでも消費電力が下がる事例を紹介いたしましたが、現在、国においては、二〇一二年までに消費電力量の多い白熱電球の製造中止を呼びかけており、消費電力が五分の一程度と少ない電球型蛍光灯に切りかえる方針を打ち出しております。
また、白熱電球、蛍光灯に次いで第三の照明として普及が期待をされているのが、県警で道路の信号機に多く導入をされているLED(発光ダイオード)であり、そのLEDを使った照明であります。これは、まず何よりも消費電力が少ないということが上げられます。一説には、四〇から六〇ワットの白熱電球と比較した場合は、LED照明の消費電力は七分の一程度、寿命は四十倍の四万時間に上ると言われております。
ただ、現在のところ、普通の電球と値段を比較した場合は、その二十倍以上と高いところが欠点となっていると聞いております。
最近では、LED照明の技術も進み、今ある蛍光灯との互換性のあるものも出てきており、そのまま何も工事をすることなくつけかえただけで済むものもあると聞いております。
そこで質問であります。
CO2削減というテーマのもと、県有施設へのLED照明の導入についてどのようなお考えを持っておられるのか、県有施設の技術面を担当しておられる建設部にお伺いをいたします。
また、これに関連して、環境部にも質問をいたします。
CO2削減に向けた一般家庭や民間事業所の取り組みについて、太陽光パネルやヒートポンプ、電気自動車やプラグインハイブリッドと最新の技術が出てきておりますし、県においても、燃料電池車や常滑での取り組み等、先駆的取り組みもやっているわけでありますが、この次世代照明についても何らかの取り組みや啓発を行っていくことが肝要と考えますが、御所見を伺います。
以上です。
30:◯建設部建築担当局長(勢力常史君)
県有施設へのLED照明の導入について御質問をいただきました。
LED照明につきましては、御指摘のとおり、消費電力が少ないことや寿命が長いこと、点滅に強いなどのすぐれた性能がございまして、価格は通常の照明に比べますと高いものの、スポット照明や信号機、それから、イルミネーションなどに多く使用されてきております。最近では、一般的な室内照明器具としても利用可能な十分な明るさを持った製品も開発されてきておりますが、機器の価格が蛍光灯に比べますと約十倍程度と相当高い状況であります。
しかしながら、今後、技術開発が大きく進んでいく分野であると考えておりますので、その状況を踏まえながら、県有施設におきましても、施設の用途や設置場所、設置費、維持管理面などを総合的に検討いたしまして、導入を考慮していきたいと考えております。
31:◯環境部長(藤井敏夫君)
次世代照明の普及に向けた取り組みについてお答えをします。
照明で使用するエネルギー、これはオフィスビルで約二一%、家庭で約七%を占めておりまして、その省エネを推進すること、これは地球温暖化対策としてCO2削減に極めて有効であると考えているところであります。
このため、これまで白熱電球から蛍光ランプへの切りかえ、これをあいちエコチャレンジ21県民運動の取り組みの一つに位置づけまして促進を図ってまいったところであります。
御指摘のとおり、近年、蛍光ランプに比べ消費電力が少ない、長寿命であるなどより環境性能にすぐれましたLED照明が製品化されているところでありますけれども、本格普及に向けましては、非常に高価格であるという課題が残っておりますので、需要の拡大によりコストダウンが図られることが必要と考えるところであります。
本県におきましては、昨年、県庁の西庁舎に太陽光・風力発電の新エネルギー、これを新エネルギーとし、LED照明を組み合わせたエコ外灯、これをPRを兼ねてモデル的に導入いたしているところであります。
今後、このLED照明の普及について、あいちエコチャレンジ21の取り組みに位置づけまして、環境イベントあるいはストップ温暖化教室などさまざまな機会をとらえ、PRに努めてまいりたいと考えております。
以上です。
32:◯副議長(鈴木愿君)
進行いたします。
小山たすく議員。
33:◯一番(小山たすく君)
私からは、歳出第二款総務費第二項総務管理費のうち、地方分権・道州制推進事業費についてお尋ねをいたします。
昨年十二月八日、政府の地方分権改革推進委員会は、国の出先機関の統廃合と、法令による義務づけ、枠づけの廃止を柱とする第二次勧告を発表いたしました。この中で、特に地方自治体の自治事務にもかかわらず、国が事務の実施や手続、基準などを細かく規定している義務づけ、枠づけの廃止は、地方の裁量や自主性を確保するために不可欠であり、勧告は自治体側から高い評価を受けております。
さらに、この春には、地方税財源の移譲に踏み込んだ第三次勧告が出され、その勧告を受け、政府はことしの秋をめどに新地方分権一括法案を国会に提出すると言われております。
また、政府の道州制ビジョン懇談会は来年度末までに最終報告をまとめることとしており、地方分権、道州制の流れはこれから大きな山場を迎えようとしております。
こうした動きと軌を一にして、各党も地方分権や道州制についての検討会を立ち上げ、マニフェストに盛り込むなど、今後、地域主権に向けた流れはますます加速していくことが予想されております。
言うまでもなく、地方分権とは、私たちの暮らしに身近なことを私たち自身が決められるように、この国の仕組みを変えていくものであります。そうした観点から、道州制は究極の地方分権であり、今後求められる新しい国の形として国から地方への改革が必要であり、生活にかかわる基礎的な行政はより現場に近い地方公共団体が担うべきであります。
地方分権は地方が声を出さなくてはかち取れるものではありません。今やるべきことは、地方分権の旗手として確たる方向性を打ち出すことであり、県内外に愛知の決意を示すことではないでしょうか。
地方分権の分野で脚光を浴びている地域に共通しているのが経済界初め住民にも理解が進んでいることであります。特に経済界においては、全国画一的な政策のもとでは新たな活力が生まれないという強い危機感と広域的な地域がそれぞれの特徴、個性を踏まえ、独自性を発揮し、競争力を高める努力を行うことによって新たな成長を遂げるためにも地域主権の推進に力を入れていると言われております。
本県においても、地方分権を推進するためには、県民の理解と後押しが不可欠であると思います。しかし、愛知においては、県民の中には積極的に地方分権や道州制を推し進めようという機運はまだ余り盛り上がっていないのではないでしょうか。
その一つの要因として、なぜ地方分権を進めなくてはいけないのかという理由に、県民の立場、生活に立った視点からの具体像が見えにくいということがあったと思います。地方分権についての住民の理解が高い県では、保育所、病院などの利用や規制、道路の規格など住民の身近でわかりやすい例を使って地方分権のメリットや国の義務づけ、枠づけの不効率性についての説明がなされ、地方分権が進めば自分たちの生活にとって何がどう変わるかということが実感しやすくなっております。
また、住民に対しての説明も頻繁に行っており、北海道では、平成十六年からの四年間で講演会、意見交換会が七百三十八回開催され、延べ約三万八千人もの人が参加をしております。
さらに、全国十三都道府県では、その県が考える地方分権、道州制についての議論、方向性を対外的にまとめた提言書がつくられており、そこが議論の出発点となっております。
愛知県は、平成十六年に分権時代における県の在り方検討委員会から報告書の提出を受けておりますが、内容が分権以外にも多岐にわたるとともに総論的なこともあり、県民や議員向けにはほとんど活用されてこなかったと思います。
こうしたことから、愛知県においても県民世論を盛り上げていくために、県民にとって分権後の姿がイメージしやすい資料と丁寧な説明の場を数多く設ける必要があると思います。
ところで、愛知県には、対外的には公表されておりませんが、地方分権改革推進委員会からの要請によってまとめた第二期地方分権改革に向けて愛知県の提言という独自の提言書があります。私も内容をすべて読ませていただきましたが、まとめられたのが平成十九年十月と比較的新しいこともあり、先に触れた分権時代における県の在り方検討委員会の報告書よりも分権に特化し、その提言の多くが地方分権改革推進委員会の第一次勧告に盛り込まれるなど、かなり内容の充実したものであります。
また、愛知県独自の提案であるバス路線の維持に関する事務の移譲や、二級河川の河川整備計画等の大臣同意協議の廃止、がん診療連携拠点病院の指定権限の移譲など、移譲が実現すれば飛躍的に県民にとってのメリットが向上するものであると同時に、県民にとっても非常にわかりやすい具体例が幾つも提案されております。
私としては、この提言書の言葉をやわらかくし、イラストなどを入れるなどして再編集すれば、愛知プランとも言える分権の必要性を訴える資料として活用できる説得力のある素材になるのではないかと思っております。
また、地方分権改革推進委員会の第一次勧告を受けた権限移譲へ向けた県の検討については、本県においては、直轄国道の移譲について、国から示された国道だけでなく他路線の移譲も求めるなど、財政負担や管理の面から移譲を辞退している他県とは異なった積極的な姿勢を出していることは評価すべきことでありますが、権限移譲については、県と同様に移譲の受け手となる市町村の対応状況にも配慮していくことが必要であると思います。
そこで、以下三点についてお伺いをいたします。
まず、県は、先ほど触れました第二期地方分権改革に向けて、愛知県の提言を県民向けにPRの素材として活用していく考えはあるのか、お伺をいたします。
次に、地方分権の推進には県民世論の理解と後押しが不可欠であることは先ほど申し上げましたが、県民の皆さんが地方分権の必要性を実感するために、県は、地方分権、道州制のどういった点を重点として説明していくのか、お伺いをいたします。
最後に、権限移譲に当たっては、県だけでなく市町村の理解と協力も不可欠なことから、第二期地方分権改革の推進に向けて市町村と権限移譲について意見交換を行ったことがあるかということ、そして、その際の市町村の受けとめ方はどのようなものであったのか、また、その際に出された不安等をどのようにサポートしていくのか、お伺いをいたします。
以上で私の質問を終わります。
34:◯総務部長(島田孝一君)
地方分権、道州制についてお答えをいたします。
初めに、一昨年の十月に取りまとめをいたしました第二期地方分権改革に向けた愛知県の提言についてでございます。
この提言は、知事が政府の地方分権改革推進委員会の丹羽委員長から要請を受けまして、第二期分権改革に対する本県の考え方を取りまとめたものでございまして、分権委員会の会議の席上配付をされ、御活用いただいたものでございます。
この提言では、二期改革を推進するに当たり、地方の側からの地域の課題に即した提案を積極的に発信していくことが必要であると考え、具体的な改革案四十四件を提案をいたしております。
こうした中、昨年五月の分権委員会の第一次勧告においては、先ほど議員からもお示しもありましたように、さまざま本県の提案内容が随所に盛り込まれましたところでございます。このことは、愛知県の提言が勧告内容に大きな役割を果たしてきた、そういったことを示すものと考えております。
本県では、地方分権、道州制の動きや、本県の取り組みなどを広く県民の皆様に御理解いただくため、地方分権、道州制に関するホームページを開設をしておりますが、その中に愛知県提言の内容を盛り込むことを初め、さまざまな機会に提言の考え方等を紹介することにより、県民の皆様方に地方分権、道州制について理解を深めていただく取り組みをさらに進めてまいりたい、こう考えております。
次に、地方分権、道州制の県民へのPRについてでございますが、地方分権改革も道州制も、その基本は、国は国が本来果たすべき役割に専念し、住民に身近な行政はできる限り地方が担うという姿にこの国の形を変えていく取り組みでございます。
したがいまして、地方分権、道州制をPRするに当たりましては、この課題が地方の行政のあり方だけの問題ではなくて、国、地方を通じた国全体のあり方を問い直す改革であるという視点で、県民の皆様にさまざまな議論の素材を提供していくことが最も重要であると、こう考えております。
そのため、県といたしまして、これまでも、例えば、分権の観点から現在の我が国が直面しております厳しい財政状況などの国、地方を通じた改革の取り組みでありますとか、国と地方の関係で現在支障が生じている具体的な事例を、例えば、出前分権教室の機会を活用してお示しするなどさまざまなアプローチから県民の皆様に御議論をいただく素材を提供することに努めてまいっております。
さらに、今年度は、こうした活動の一環として、我が国とは異なった国の形を御紹介するということで、諸外国の地方分権改革をテーマに地方分権、道州制セミナーを開催し、参加者からは御好評をいただいたところでございます。
県といたしましては、さまざまな視点から県民の皆様に御議論をいただけるよう工夫を凝らしながら、そしてまた、できるだけわかりやすい内容とすることに心がけながら、PR、啓発活動に取り組んでまいります。
次に、市町村との意見交換についてお答えをいたします。
市町村とは、日ごろから機会をとらえまして意見交換に努めておるところでございますが、平成十九年度からは、国の第二期地方分権改革に対応いたしまして、本県における分権改革をより一層推進するということで、県の関係部局の地方分権担当課長と、市町村の地方分権担当部課長を構成員といたします県・市町村地方分権推進会議、これを開催をいたしまして、市町村と意見交換を行っております。本年度は、八月に会議を開催をいたしまして、地方分権改革推進委員会の第一次勧告に基づきます市町村への権限移譲の推進に向けて意見交換を実施をしたところでございます。
会議での議論に係ります市町村の受けとめ方でございますけれども、八月の会議の際には、移譲事務のボリュームが多い、あるいは財源の手当がきちんとされるか心配と、こういったような意見が市町村側から出されております。
そこで、意見交換で出されました不安等をもとに、どうサポートしていくかでございますが、まずは、今後、国の動向に注視しつつ、個々の移譲事務の内容や量の把握に努めまして、随時、また素早く市町村に情報提供をしてまいります。
また、財源につきましては、今後、地方分権改革推進委員会の第三次勧告に向けた議論の中で方向づけがなされる見込みでありますことから、県といたしまして、市町村へ移譲される事務量に見合った財源の移譲を強く求めてまいります。
いずれにいたしましても、市町村行財政基盤財源の充実確保を図って、住民に身近な事務はできる限りより住民に身近な市町村で行っていただくことが地方分権改革の理念と考えておりますので、引き続き市町村への権限移譲が適切かつ円滑に進められるよう取り組んでまいります。
以上です。
35:◯一番(小山たすく君)
それぞれ御答弁をいただきました。県民に対する説明や、市町村との連携については随分前向きな御答弁をいただきました。私からは、県の国に対する働きかけについて、一点要望させていただきたいと思います。
県は、地方分権については随分前向きに取り組んでいただいておりますが、やはり地方分権というものは地方が声を上げて決意を示す中で実現されていくものであると私は思っております。そういった中で、やはり県においても、他県であるとか、あるいは国の動向などなど気になるところはあるとは思いますが、しかし、私は、愛知は他を気にせずにあるべき地方分権の姿を目指して活動していくべきではないかというふうに思っております。地方分権を徹底するか、あるいは道州制が導入されるか、そういったことが問題ではなくて、それらの制度が十分に機能していくかということが大切であるというふうに思っております。そういった中で、愛知としては愛知の未来をどういうふうに考えていくか、そういったものの中で実現できるかどうかではなくて、それが何にとって、愛知にとって、あるいは県民にとって必要かという分権議論をもとにしていただいて、国に対して強く要望していただくことを期待しまして、要望といたします。
36:◯副議長(鈴木愿君)
進行いたします。
石井芳樹議員。
37:◯十一番(石井芳樹君)
私からは、歳出第四款県民生活費のうち第五項防災費、地震対策推進費に関連して、地震財特法の延長についてお伺いをいたします。
昨年の岩手・宮城内陸地震では、地形が変わってしまうほどの大規模な土砂災害や橋が落ちるなどの大きな被害を出しました。また、国外でも、死者、行方不明者八万七千人にも及ぶ被害を出した中国・四川大地震では、マグニチュード八・〇という東海地震の想定規模と同程度の大変大きなもので、そのエネルギーの大きさは、まちが一瞬にして瓦れきの山と化してしまうほど衝撃的なものでありました。これをそのまま我が国に当てはめることは適切でないかもしれませんが、この地方では、安政の地震から百五十年以上が経過をし、東海地震がいつ発生してもおかしくないと言われており、本県が取り組んでいる地震対策アクションプランの推進の重要性、緊急性をあわせて強く感じるところであります。
その中にあって、昭和五十五年度には、議員立法により地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、いわゆる地震財特法が成立をいたし、これまで五回延長され、東海地震を想定をした強化地域における地震防災対策の推進が図られているところであります。地震財特法は、強化地域における消防用施設、公共施設や学校の耐震化など地震防災対策の推進を図ることを目的としており、この法律の適用を受けますと、国の補助率のかさ上げや地方債などの特例が受けられ、厳しい地方財政による県や市町村の地震対策の推進に極めて大きな効果を期待ができます。
そこでお伺いをいたします。
本県では、地震対策緊急整備事業計画を策定をし、県、市町村の地震防災施設の整備を推進をしておられますが、地震財特法は五年間の時限立法であり、来年度末の平成二十二年三月に期限切れになると承知をしておりますが、現在までの本県の事業計画の進捗状況はどのようになっているのか、お伺いをいたします。
また、あわせて、東海地震の切迫性が高まる中、県民の生命、身体及び財産の安全を確保するために、さらに県は国に対して、地震対策緊急整備計画の根拠となっております地震財特法の延長を図るよう国へ要望し、地震対策事業を強力に推進していく必要があると思いますが、お考えはいかがでしょうか、あわせてお伺いをいたします。
38:◯防災局長(小出茂樹君)
いわゆる地震財特法の延長についてのお尋ねでございます。
まず、本県の事業計画の進捗状況でございますが、昭和五十五年度から平成二十一年度までの三十年間の計画事業費の合計額約三千二百億円に対しまして、平成十九年度末時点で約七三%の進捗率となっております。
続きまして、地震財特法の延長に向けての考え方でございます。
地震財特法は、長きにわたり、県内の地震対策の推進に大きく寄与してまいりましたが、時限立法のため、平成二十二年三月末でその効力を失うことになっております。しかしながら、東海地震の発生が危惧されている状況にあって、公共施設の耐震化や消防用施設の整備などは、現行の計画期間内では目標の達成が難しい状況にあります。さらに、今後新たに整備が必要となる事業も数多くございます。
したがいまして、本県といたしましては、県議会の御支援もいただきながら、関係市町村や強化地域のある七都県と連携いたしまして、国に対しまして地震財特法の延長を強く要望してまいりたいと考えております。
以上でございます。
39:◯副議長(鈴木愿君)
進行いたします。
かしわぐま光代議員。
40:◯八十八番(かしわぐま光代君)
第三款地域振興費第一項地域振興総務費、設楽ダム建設に関連して質問いたします。
日本一元気と言われた愛知県の経済も、世界同時不況の直撃を受け、歳入の急激な落ち込みは昭和六十三年当初予算に相当し、約四千九百億円という巨額な収支不足が発生しました。財源不足の穴を基金の取り崩しや臨時財政対策債の確保など必死のやりくりでしのいだものの、地方債の増発によって借金は最悪となりました。先ほど民主党議員団の中村議員が指摘しました県財政運営上の問題が残っており、県民生活に暗い影響を落としております。
このような厳しい環境の中、民主党議員団として、県民生活の不安感の解消や将来に向けての備えはどうか等を予算編成に当たっての検討課題とし、東部丘陵線支援や木曽川水系連絡導水路、設楽ダム関連事業費負担金等々を対象といたしました。
そこで、私は、設楽ダムに関連して質問をしたいと思います。
豊川水系寒狭川の上流にダム建設の話が持ち上がったのが一九七三年、昭和四十八年です。当初、町議会も町民もまちじゅうが反対しておりましたが、国や県が補償額を引き上げる等の条件を提示し、下流市町もこぞって水不足を訴えたこともあり、次第に条件交渉へと動き出しました。計画の発表から三十五年、建設の是非をめぐっていまだに町内は一つになっていませんが、本年二月五日に補償基準の妥結及び着工協定の調印が行われました。設楽ダム問題は第二ステージに入りました。いよいよ実感を持って巨額の支出と向き合うことになります。二〇二〇年度の完成を目指しており、建設費二千七十億円、水没地域の振興対策生活再建費等の関連事業費九百三億円、合わせて約三千億円が支出されます。また、その県負担額は約一千四百億円であり、多い年では三百億円を超えるのではないかと言われております。
ところで、徳山ダムを例に挙げるまでもなく、知らぬ間に増額されてしまうこともあり、今後、完成に向けての支出予測が立てられないという怖さがあります。現在、県財政は先の見えないトンネルの中にいますが、この支出に耐えることができるのか、大いに議論すべきものと考えます。
そこで質問いたします。
三十五年という気の遠くなるような長期にわたって中途半端な状態に置かれた地元の皆様を思うと心が痛みますが、全県民に祝福され、納得が得られてこそ犠牲が生きることになり、見切り発車は後に禍根を残すことになるのではないかと危惧されます。このダム建設に当たり、水需要予測が課題ではないかとか、川や海の環境に与える影響が大きくCOP10が乗り切れるかとか、さまざまな問題点が指摘されています。疑義を呈する人々の声を丁寧に聞き、検証する時間の猶予が必要だとする声や、県財政の厳しい状況から見て一時凍結すべきではないかという声がありますが、知事の見解をお伺いします。
質問の二点目、去る一月二十二日、国土交通省にダム事業プロセス検証タスクフォースが設置されました。片山善博前鳥取県知事等をメンバーに、長期間のダム事業で関係者の意見が変化したときの対応策を取りまとめることにしたものです。初会合では、川辺川ダムの白紙撤回を求める蒲島熊本県知事の発言要旨と、淀川水系の大戸川ダムは要らないとする三重県、滋賀県、京都府、大阪府の知事の合意文書が参考資料として配付されました。また、注目されるのは、ダム事業に対して主な批判を三つにまとめている点です。
一つ、水没者の生活基盤が失われるとともに、集落が消失、縮小し、地域社会が分断されることによって地域社会全体が衰退していくのではないかという批判。
二つ、自然環境に多大な影響があるのではないかという批判。
三つ、水需要の伸びが鈍化するなどの社会経済情勢が変化し、事業の必要性がなくなっているなど事業の評価に関する批判や、事業費の増大、工期の延長などの事業の透明性に関する批判を挙げている点です。
一九九七年の河川法改正によって流域委員会などで住民の意見を聴取することになったとはいえ、淀川流域委員会の結論をほごにしたことを思えば、このタスクフォースに対しても過大な期待を持つことはまだ早いのではないかと思う反面、国交省を含むダム事業者が既定の方針にとらわれることなく、すべてのダム事業の存廃論についても具体的かつ徹底した議論を尽くしていただけるものと大きな期待を抱かざるを得ないのです。
そこで、さまざまな批判が残る設楽ダム建設にかかわる問題について、納得のいく説明が足りないとする地元住民や学識経験者等々の声に耳を傾けるためにも、このダム事業プロセス検証タスクフォースにゆだねるのもいいのではないかと思うのですが、知事の見解をお伺いします。
質問の三、最後の質問になりますが、直轄事業を通して知事の地方分権に対する姿勢をお伺いしたいと思います。
昨年五月二十八日、内閣府の地方分権改革推進委員会が第一次勧告を行いました。その内容は、一つの都道府県で完結する一級河川の五十三水系は原則として都道府県に移管するというものです。十月には都道府県との個別の協議に入りました。結局合意に達したのは五十三水系のうち一一%の六水系だけが管理、権限の地方移管に合意し、愛知県で対象となるのは豊川ですが、県は権限の移管を断ったとのことです。
以前から国がやっているのだから引き続き国がやるべきだとか、愛知の場合は水利用に関して二重行政が不可避であり、引き続き国が管理すべきだと答えたと聞き、がっかりいたしました。
佐賀県は三水系が対象となっておりますが、古川知事は、一級河川も規模が大きいだけで治水には変わりなく、技術的にも十分に県で管理できる。現場の川を一番知り、住民の安全・安心に責任を持つ自治体が管理するのが当然だ。川は、治水だけでなく防災、環境保全などの対応も求められている。省庁で縦割りの国では無理だと発言されております。
分権委の丹羽委員長の、ここが地方分権の正念場だ。この程度で腰が引けるようでは、先にある国の出先機関の見直しなど夢のまた夢だという言葉を愛知県の知事にも向けられたものと重く受けとめるべきではないでしょうか。
そこで、一級河川豊川を引き続き国が管理することが妥当だとしたことについて、知事の見解をお伺いします。
知事に多くの質問をさせていただきました。ダム建設に当たり、水源地域の振興対策や生活再建対策等を担当するのは地域振興部、河川管理、ダム関連道路等を担当する建設部、双方の部長は国からの出向です。霞が関が気にならないといえばうそになるでしょう。初めから答えは見えていると言えるのではないでしょうか。知事のリーダーシップで地方分権を実行していただくことを心から願っての質問です。誠実な答弁をいただけるものと期待して、第一質問を終わります。
41:◯地域振興部長(的井宏樹君)
設楽ダム建設についてのお尋ねでございます。
豊川は、過去に幾度も洪水はんらんを繰り返し、流域の人々の生活を脅かしてまいりました。また、近年では、少雨化傾向にある中で、東三河地域は慢性的な水不足に悩まされてまいりました。こうしたことから、設楽ダムは、豊川の洪水調節や水がれ区間の解消といった治水目的に加え、農業用水や水道用水の利水目的も計画をしている多目的ダムでございまして、これまでも有識者において幅広い観点から調査や審議をいただいてきたところでございます。
県といたしましては、東三河地域の活力の維持向上のために不可欠な事業と考えておりまして、設楽ダムの基本計画につきましては、昨年の二月議会において、同意の御議決もいただいているところでございます。
また、設楽ダム関連事業費に係ります県負担額についてでありますが、ダム建設事業費につきましては、適正な管理やコスト縮減について、法手続時など機会あるごとに国に対して申し入れております。国におきましても、第三者から事業実施状況やコスト縮減対策などについて意見を求めるため、学識経験者や関係機関で構成される設楽ダム事業費等監理委員会を設置をいたしておりますので、県といたしましては、コスト縮減などについて必要な意見を述べてまいりたいと考えております。
また、水源地域の振興対策等の事業費につきましても、国費の導入を積極的に働きかけることで県負担額を軽減する努力をしてまいります。
設楽ダムは、水不足の改善や洪水被害の軽減のため、下流市町は長らく早期建設を望んできたところでございまして、また、水源町である設楽町と長い調整を経て、建設同意の御決断をしていただいたところでありまして、県といたしましては、現在、非常に厳しい財政状況にありますが、今の時期を失することなく設楽ダム建設を促進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
42:◯建設部長(湯山芳夫君)
設楽ダムについて、ダム事業プロセス検証タスクフォースに検討をゆだねてはとのお尋ねでございます。
この組織は、国土交通省が学識経験者及び国土交通省の関係者をメンバーとして設置し、本年一月二十二日に第一回会合が開かれたところでございます。このタスクフォース設置の目的は、事業の特性上、長期間かからざるを得ないダム事業を対象として、時間の経過等に伴い関係者の意見の変化があった場合に、水害等から国民の生命、財産を守る責務を有する河川管理者としてどのように対応すべきかを検討するなど、これまでのダム事業一般のプロセスを検証するため設置したもので、あくまでダム手続一般について議論する場でございます。
一方、個々のダム事業のプロセスの改善措置については、昨年一月の国土交通省の課長通達に基づき、今年度からすべての直轄ダム事業等について、事業の効率性や透明性を高めるため、学識経験者やダムの専門家などで構成されるダム事業費等監理委員会を設置し、コスト縮減などのコスト管理や工程管理に対し、第三者の意見を求める仕組みが始まっております。
設楽ダムにつきましても、先ほど地域振興部長が申しましたように、昨年八月に公認会計士やマスコミ関係者、大学教授などと県の関係機関で構成される設楽ダム事業費等監理委員会が設置されたところであります。県としても、より一層充実したコスト管理等が行われるよう必要な意見を述べてまいります。
次に、一級河川豊川を引き続き国で管理することが妥当と判断した理由のお尋ねでございます。
地方分権改革推進委員会の第一次勧告では、一つの都道府県で完結する五十三水系の一級河川は原則として都道府県に移管するとし、引き続き国が管理すべきものは広域的な水利用等がある水系などであっても極力限定するとしております。
中部地方整備局と本県との個別協議の中では、整備局からは、豊川は一つの都道府県で完結するものの、引き続き国が責任を持つべき広域的な水利用のある水系であり、また、はんらんした場合に流域に甚大な被害が想定される水系であるとして、移管候補としての提示がなされませんでした。本県としては、このような整備局の説明に対し、独自に実態に即して検討を行っております。
まず、豊川は天竜川水系からの導水があり、また、豊川用水を通じて静岡県西部にも給水を行っており、五十三水系の中で唯一県境を越えた広域的な水利用のある水系でございます。
また、豊川は、水資源開発促進法に基づく国民経済上重要な水系として国が指定する木曽川など七つの水資源開発水系の一つとなっており、国土交通大臣が水利用等に関する基本計画の策定を行っております。
このため、仮に河川法に基づく管理権限が知事に移管されたとしても、豊川の水利用に関しては、河川を管理する知事と水利用計画を引き続き所掌する国土交通大臣との二重行政が避けられないこととなります。
このように検討した結果、引き続き国で管理することが妥当と判断したものでございます。
43:◯八十八番(かしわぐま光代君)
知事にお答えを求めましたが、答えていただけませんので、非常に残念に思っております。大切な問題です。設楽ダムの地元の方はもちろんです、下流の方も、そして、愛知県民全体の利益にかなうものでなければいけないと思います。多額の県予算を使うということで、この点については知事にもお答えをいただきたかったと思っております。
蒲島熊本県知事が川辺川ダムの白紙撤回を求めて議会で発言をされました。私も、一月の下旬に川辺川ダムの現地に行ってまいりました。下流の八代市から流域を通って川辺川ダムの本体の部分、つけかえ道路を通って本体の部分がよく見えるところに立ちました。下のほうに五木の子守唄で有名な五木村があったというところが見えておりました。そこから上を見上げますと、しゃれた家が、どこかのまちに来たようなしゃれた家が建ち並んでいるんです。それが五木村だとお聞きして、本当にお気の毒な状況になってしまったんだと、長年の状況の中で非常に残念な結果になってしまったということです。結果的にはどうなるかよくわかりませんけれども、ダムはできないことになるんだというふうに思います。設楽ダムがそんなことにならないように、私たちは責任を持って、愛知県議会も県行政もきちっと向き合って対応していかないと、地元の方たちには本当に申しわけないことになってしまうという気持ちで、大変長いこと御苦労されている方たちには、もうこんなことは早く終わりたいという気持ちはよく理解できますけれども、結果的に悪いことにならないように、ぜひここで愛知県としてきちっと対応をしていくことをお願いをしたいというふうに思います。
先ほどタスクフォースの中で、長期にわたって判断ができていないダムについてタスクフォースで取り上げるということだというふうにお聞きしましたので、この問題、設楽ダムに当てはまるというふうに私としては理解をしております。また、タスクフォース以外の中ででも十分に関係者の皆さんの意見を聞き届けて、間違いのないような結果に持っていくようにぜひ慎重な審議をお願いすることを願います。
以上です。
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44:◯三十七番(酒井庸行君)
暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
45:◯副議長(鈴木愿君)
酒井庸行議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
46:◯副議長(鈴木愿君)
御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時五十四分休憩
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午後一時十分開議
47:◯議長(栗田宏君)
休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
須崎かん議員。
48:◯十二番(須崎かん君)
私は、第四款県民生活費第四項統計調査費についてお伺いをいたします。
平成二十一年一月二十九日、内閣府は、景気の山、谷を示す景気基準日付を発表しましたが、これによりますと、平成十四年二月から始まった景気の拡大は、暫定ではありますが、平成十九年十月を山とし、いざなぎ景気の五十七カ月を一年上回る戦後最長の景気拡大であったとしております。
この間、当地域の経済は、物づくり産業、特に自動車関連を初めとする輸出産業の順調な伸びに支えられ、当地域は、日本経済の牽引役あるいは元気のよい愛知と言われてきました。
しかし、昨年九月のリーマン・ブラザーズの経営破綻から始まった米国発の国際金融危機は、百年に一度の経済危機とも言われており、本県経済も、自動車関連企業の業績悪化の影響を大きく受けて、景気は急速な後退局面を向かえ、大変厳しい状況にあります。
最近、県が公表した鉱工業生産の動きをとらえる生産動態統計調査や、労働市場の動きをとらえる毎月勤労統計調査等の結果によりますと、昨年十二月の鉱工業の生産指標は、前年に比べて二九・六%減少しており、五カ月連続の減少となっています。
雇用面を見てみますと、同じ月の残業時間は前年に比べて二三・七%減と大きく減少しており、特に製造業では四五・二%減と、ともに現在の調査方法になってから最大の減少幅となっています。また、県内の完全失業者は、平成二十年平均で前年より七千人多い十一万五千人と七年ぶりに前年を上回り、完全失業率も二・九%と前年に比べて〇・二ポイントの増で五年ぶりに上昇に転じております。
さらに、全国的に減少傾向にある中で増加を続けていた本県人口も、昨年十二月には、愛知万博の終了により関係者の多くが県外に転出した平成十八年一月以来三年ぶりに百三十三人の減となりました。これは、東北、四国、九州方面への転出者が転入者を大きく上回ったことによるものです。急激な生産調整が残業時間の短縮や派遣切りと言われるような雇用調整にまで波及し、職を離れてふるさとに帰っていく、まさに日本の社会の断面を見るようです。
統計は社会を映す鏡であると言われますが、このように統計情報は社会経済で生じている事柄を正確に把握し、国や地方公共団体の的確な行政施策の実行や、民間企業が経営判断を行う上で不可欠なものであります。今回の金融危機の影響を受けて、経済社会の不透明感が世界的に強まっていますが、こうした不確実性の高い時代であればこそ、統計の果たす役割、特に経済統計の果たす役割は従来にも増して重要となっています。
こうした中、平成二十一年度に新たな経済統計として経済センサスが実施されます。経済センサスは、これまで経済に関する統計調査が工業や商業など分野ごとに異なる年次や周期で実施され、経済の全体像を包括的にとらえることが難しく、また、我が国の経済が置かれている状況を国際比較する場合のGDP(国内総生産)を推計するためのデータとして精度の不足が否めないとの反省に立ち、全産業を同じ時点で網羅的に把握した統計を整備することをねらいとして企画されたと伺っております。経済センサスの創設により、経済統計全体の整備充実と精度の向上が図られることを期待しております。
そこでお尋ねをします。
この経済センサスは、平成二十一年度に基礎調査を、二十三年度には活動調査が予定されているとのことですが、来年度実施される基礎調査はどのような調査で、また、愛知県としてどのように取り組まれるのかをお伺いします。
統計は社会を映す鏡であると先ほど申し上げましたが、統計は不透明な未来をしっかりとした足取りで切り開くための羅針盤でもあります。国、県、市町村、統計調査員の皆さんが連携を密にして、精度の高い信頼される統計の作成に取り組んでいただくことをお願いして、私の質問を終わります。
49:◯県民生活部長(石川延幸君)
経済センサスの基礎調査に関しまして御質問をいただきました。
経済センサスは、議員御指摘のとおり、新たな経済統計でございまして、統計法に基づき国が実施するものでございます。本県内における調査事務を県及び全市町村が法定受託事務ということで行ってまいります。
本年の七月一日現在で実施をいたします基礎調査の内容でございますけれども、調査対象は、農林漁業に属する個人経営の事務所等を除くすべての事業所及び企業でございまして、経営組織、資本金、従業者数、活動内容などの事項につきまして調査をいたします。
この調査では、調査票の記入負担の軽減やら統計精度の向上を図るために、商業・法人登記簿情報を利用すること、そしてまた、本社に支社や営業所も含め調査票の記入を依頼する本社一括調査、これを導入したり、また、一定規模以上の企業に対しましては、郵送やインターネットを利用した回答方法も導入したりいたします。
なお、基礎調査で得られました事業所、企業の情報をもとに、平成二十三年度でございますが、平成二十三年度に予定をされております活動調査で売上高等の経理事項を包括的に調査をすることといたしております。
次に、本県の取り組みについてのお尋ねでございます。
この基礎調査は、対象となります企業の規模に応じまして、国、県、市町村及び統計調査員がそれぞれ調査を受け持ちをいたします。このうち県が受け持つのは、支社等の数が三十から九十九の本社でございます。約二百五十社を見込んでおります。また、市町村は、支社等の数が十から二十九の本社でございまして、約六百八十社を受け持っていただきます。支社等の数が十未満の本社及び単独事業所につきましては、県内の約五千人の統計調査員が担当いたします。
初めての調査でございますので、市町村や統計調査員に対しましては、これから順次開催してまいりますけれども、説明会を通じまして調査方法の周知徹底を図り、円滑に調査が進むように努めてまいります。
特に、本年四月に全面施行となります新統計法では、調査対象者の秘密の保護が強化をされたところでございます。こういうことでございますので、県といたしましても、これまでにも増して調査票情報の秘密の保護を徹底してまいります。また、この二月から、事業所、企業を対象とした説明会を既に始めておりますし、また、職員が直接企業のほうへ出向きまして、調査への協力をお願いをしているところでございます。
県といたしましては、国、市町村、統計調査員の皆様方と一体となった正確で信頼をしていただける統計の作成に努めてまいりますので、今後とも一層の御理解をお願い申し上げます。
50:◯議長(栗田宏君)
進行いたします。
坂田憲治議員。
51:◯十四番(坂田憲治君)
私は、歳出第五款環境費第一項環境対策費における畜産バイオマス地域内循環推進費についてお伺いいたします。
まず、この事業予算は、本県が平成十九年三月、全国に先駆けて策定したあいちゼロエミッション・コミュニティ構想のモデルの一つとして、知多半島で計画をしている家畜バイオマスを活用した地域循環ネットワーク事業に関するものと理解をしております。
現在、畜産業は、家畜排せつ物の処理の問題や、輸入に頼っているえさの価格高騰の問題に直面しており、このことは、知多半島や渥美半島といった本県の畜産業集積地域において大きな問題となっております。
私は、去る十二月県会議において、石川県珠洲市が実施している生ごみと下水汚泥と魚のあらを活用したメタン発酵事業について御紹介をいたしました。そこでは、石川県庁が調整役となり、珠洲市役所内の環境部局と下水道部局と農林水産部局を連携させ、地域においてもそれぞれの業種の主体が横断的に連携して、未利用のバイオマスを効果的に活用をしておりました。
私は、この事業の推進に当たっても、珠洲市と同じように、県庁内における環境部と農林水産部との連携はもとより、地域のさまざまな関係者によるこれまでの枠組みを超えた横断的な連携が不可欠であると思っております。
先ほど申しましたあいちゼロエミッション・コミュニティ構想は、地域を舞台に関係者が横断的に連携して、地域と経済の好循環を実現する具体的なビジネスを起こし、持続可能な地域づくりを進めていこうとする構想であります。私は、愛知万博を契機として策定されたこの構想が本県が環境先進県として全国をリードしていく大きな推進力となるものであると確信をしております。
折しも、近年の世界的な景気低迷に対する効果的な施策として、環境にかかわるビジネスの振興を通して経済の活性化を図るグリーン・ニューディールが大きく取り上げられております。今回の知多地域の家畜バイオマスを活用した地域循環ネットワーク事業は、まさに、愛知版グリーン・ニューディールのよい事例となり得るものであると大いに期待しているところであります。
そこで質問をさせていただきます。
第一に、あいちゼロエミッション・コミュニティ構想に位置づけられている家畜バイオマスを活用した地域循環ネットワーク事業とはどういうものなのか。また、その事業の中で家畜バイオマス地域内循環推進費の事業はどのような役割を担うのか、お伺いをいたします。
第二に、事業全体の推進方法とその成果の活用方法についてお伺いをいたします。
以上で私の質問を終わります。
52:◯環境部長(藤井敏夫君)
畜産バイオマス地域内循環推進費に関連しまして、二点御質問をいただきました。
まず、知多半島において計画をしております畜産バイオマスを活用した地域循環ネットワーク事業についてお答えをします。
この事業は、議員お示しのとおり、本県が平成十八年度に策定をいたしましたあいちゼロエミッション・コミュニティ構想におきますモデル事業の一つとして位置づけているものであります。
その内容についてでありますが、畜産業の集積地の一つであります知多半島におきまして、地域で発生をします食品加工残渣、家畜排せつ物といった未利用のバイオマスを発酵処理をしまして、そこで得られましたメタンガスあるいはエタノールを燃料として使用しますとともに、発酵後の残渣、これを肥料や家畜飼料として活用するものであります。さらに、こうしたいわば地域発の飼料によりまして生産をしました畜産製品を安心・安全なエコブランド商品として売り出そうというものであり、こうした地域内循環を関係者がネットワークを組んで取り組んでいこうというものであります。
このモデル事業では、経済産業省による支援を受けまして、県内の団体、企業、大学による共同組織が固体アルコール発酵技術を初め四つの分野の実証実験を行いまして、温室効果ガスの削減などの環境負荷の低減効果、あるいは発酵技術の有効性などの検証を行ってまいります。
そこで、新年度予算の畜産バイオマス地域内循環推進費では、このモデル事業におきまして、先ほど述べました四つの実証実験の成果を生かしつつ、採算性の検証などの事業の成立可能性の評価を行うことといたしております。
次に、このモデルの事業全体の推進方法とその成果の活用についてであります。
議員お示しのとおり、バイオマスの地域内循環を実現するためには、さまざまな関係者による有機的な連携が不可欠であります。このモデルでは、それぞれの役割を担っていただきます畜産農家、栽培農家、そして、バイオ企業、食品流通業者といった農工商連携によりますネットワークをつくりますとともに、学識者の指導助言を受けながら、取り組みの推進を図ることといたしております。
さらに、循環ビジネスの振興を進めます私ども環境部と、畜産振興を進めます農林水産部が一体となって、このネットワーク全体をサポートいたすことといたしております。
また、成果の活用といたしましては、このモデル事業の実施結果を踏まえまして、知多半島におきます本格的なビジネスとしての定着を図り、さらに県内、他の地域への展開にもつなげてまいりたいと考えております。
以上です。
53:◯議長(栗田宏君)
進行いたします。
山田幸洋議員。
54:◯六十八番(山田幸洋君)
私は、第三款地域振興費のうち、第一項地域振興総務費のうち、設楽ダムの水力発電についてお伺いいたします。
長年の懸案であった設楽ダムについては、地元設楽町の建設同意の調印を終え、本格的な工事に着手されることになりました。県政の最重要課題の一つに位置づけて推進をしてこられた愛知県にとりましても大きな一区切りということで、今後ますます力を入れて、水没者などの方々の生活再建対策や、水源地域の振興対策に取り組んでいかなければなりません。
設楽町では、本年度、経済産業省所管の独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、通称NEDOの補助金を受けて、町の全域を対象に、木質バイオマスを初め風力、太陽光など再生可能なクリーンエネルギーに係る資源の状況及び賦存量を調査検討し、設楽町地域新エネルギービジョンを策定されたと伺っております。大変すばらしいことで、今後の取り組みに期待しているところでありますが、ダムを抱える町としてエネルギー開発のために力を注いでいただきたいのは水力発電であります。
流水の力を利用した水力発電は、太陽光、風力と並んで代表的なクリーンエネルギーであり、二酸化炭素を排出しない極めて環境に優しいエネルギーであります。
群馬県の西部、利根川水系で建設が進められている八ツ場ダムは、設楽ダムと同程度の貯水量と有効落差があることから、特ダム法の基本計画に水力発電を追加する計画変更が行われ、去年の九月に官報に告示をされたところであります。
設楽町においても、ダムの放流水によって得た電力を有効活用できないか検討しておられますが、地球温暖化対策が焦眉の課題である現在、私は、活用の可能性のある自然エネルギーは真剣に検討すべきであると考えております。
国は、水力などの自然エネルギーの利用促進は、ダムを管理運営していく上でも大変有益であるとして、町の要望に対して支援、協力する旨の回答をしています。
そこでお尋ねします。
設楽ダムの水力発電利用の実現に向け、愛知県はどのように対処されるのか、国のお考えをお聞かせください。よろしくお願いいたします。
55:◯地域振興部長(的井宏樹君)
設楽ダムの水力発電についてお答えをいたします。
設楽町におきましては、自然エネルギーの利活用を検討されておりまして、この一環として、設楽ダムの放流水を利用した電力を公共施設等へ活用したいと国に要望されたことを承知しております。
一方、国でございますが、ダム施設の管理のための管理用発電を計画をいたしておりまして、その費用を設楽ダムの概算事業費に盛り込んでおりまして、設楽町の要望を受けまして、水力発電利用の実現化に向けて町と協働し、支援、協力することとされています。
水力発電を初めとした自然エネルギーの利用につきましては、経済産業省を初め国全体として普及のための制度拡充が図られ、推進する方向にあると認識をいたしておりますので、県といたしましては、設楽町の要望を踏まえながら、管理用発電を中心に水力発電の利活用が可能となるよう町からの相談にあずかりながら、助言や国との調整など協力をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
56:◯議長(栗田宏君)
進行いたします。
峰野修議員。
57:◯二十四番(峰野修君)
歳出第三款第一項地域振興総務費のうち、三河山間地域情報格差対策費補助金について伺います。
この問題は、昨年二月議会の議案質疑において、小島丈幸議員が質問されました。そのときの御答弁とその後の進行も踏まえて、再度伺います。
二〇一一年問題としてテレビなどでよく目にし、地上デジタル放送への移行が待ったなしです。既にデジタルテレビに買いかえられ、御利用の方も多いと思います。
また、徳島県上勝町のつまもの事業「彩(いろどり)」や高知県梼原町の武の花、下井幸恵さんのつまもの販売など、インターネットを利活用して山間地域で新しい事業を立ち上げたすばらしい成功例も出ています。しかも、その事業の担い手の多くが六十歳以上の主婦の方たちで、大変な苦労の末に多くの売り上げを生み出しています。
また、私の地元新城市では、昨年敷設され、利用の始まったケーブルテレビを媒体とした、この三月議会から議会の生中継を始めたところであります。全市民がテレビのチャンネルの一つを通じて、お茶の間でいながらにして議会のやりとりの全容がわかるようになったのです。
聞くところ、愛知県の地上デジタル放送については、二〇〇三年の瀬戸デジタルタワーに始まり、本宮山、田原、豊橋二川、鳳来大野の各中継局が整備され、今では県内の約九九%の世帯が視聴できる状況とのことです。
しかし、三河山間地域では、地理的な問題から地上デジタル放送が依然として視聴できない地域が残っております。さらに、超高速インターネットや携帯電話については、民間事業者の事業展開の中で都市部ではサービスが受けられるのに対し、三河山間地域では、いまだこれらのサービスを利用できない地域が残っております。
地上デジタル放送に移行するまであと二年四カ月余りです。地元市町村としては、国や県の補助制度を活用しながら、期限までに情報基盤整備を確実に行う必要があります。特に北設楽郡の設楽町、東栄町、豊根村は最も山間部に位置し、三町村合わせて五百平方キロという広い面積の中で、住民は数千世帯という人口密度の低い町村であります。こうした中、昨年、三町村長が情報基盤の整備を共同して行うとの方針を表明されたことは非常に重要な決断であったと考えております。
県は、これまで、北設楽郡の三町村と一体となって、光ファイバーケーブルによる整備の検討を進めてこられ、平成二十一年度に始まる事業に補助を行う予定と聞いております。北設楽郡三町村の事業については、自治体をまたがる事業であり、制度的、技術的、地理的に非常に難しい課題がたくさんあります。また、事業実施後の県の指導も重要で大切であると思われますので、今後とも一枚岩で進んでいただくことを期待しております。
こうしたことを念頭に置き、以下の二点について質問します。
最初に、県は、三河山間地域の情報格差対策に取り組んできましたが、その進捗状況についてお伺いいたします。
次に、北設楽郡三町村にまたがる事業について、その取り組み状況についてお伺いいたします。
以上です。
58:◯地域振興部長(的井宏樹君)
三河山間地域の情報格差対策についてでございますが、県におきましては、平成十九年度に関係市町村が実施をいたします情報通信基盤整備に対する補助制度を創設をいたしまして、三河山間の対象地域を大きく四つに分けまして、対策を講じてきております。
まず、平成十九年度でございますが、新城市のケーブルテレビ網の整備と、設楽町の携帯電話用鉄塔整備に補助を行いまして、既にそれぞれサービスが提供をされているところでございます。
本年度でございますが、岡崎市の額田地域におけるケーブルテレビ網の整備に補助を行うことといたしておりまして、額田地域においては、この四月からデジタル放送と超高速ブロードバンドの御利用が可能となるものでございます。
さらに、来年度でございますが、豊田市の山間部におけるケーブルテレビ網の整備と、北設楽郡の設楽町、東栄町、豊根村における光ファイバー網の整備に対して補助を行っていくことといたしております。
これらによりまして、三河山間の四つの地域すべてにおいて情報通信基盤が整備され、情報格差対策が講じられることとなるものでございます。
次に、北設楽郡三町村での取り組みについてでございます。
昨年二月に三町村が共同で北設楽郡全域の基盤整備を進めることが合意がされました。これを受けまして、今年度から三町村と県とが協力をして詳細計画の策定に取り組んでまいりました。
具体的には、三町村の役場や公民館、小中学校等を結ぶ地域公共ネットワークにあわせまして、地上デジタル放送と超高速ブロードバンドの利用が可能となる光ファイバー網を三町村共同で整備するものでございます。
また、今回整備をいたします光ファイバー網の活用によりまして、携帯電話の通信事業者の進出も容易になるものと考えているところでございます。
こうした地元町村のお取り組みに対しまして、来年度、県としても補助を行いますとともに、引き続き地元町村と連携をいたしながら、円滑に事業が進むように努めてまいります。
以上でございます。
59:◯議長(栗田宏君)
進行いたします。
石黒栄一議員。
60:◯二十五番(石黒栄一君)
私は、歳出第三款地域振興費第一項地域振興総務費第三目国際交流費のうち、多文化共生教育支援事業費についてお尋ねをいたします。
急速な人口減少、高齢化の進展や、社会経済のグローバル化など、近年、地域を取り巻く社会環境は著しく変化しております。また、米国の金融問題に端を発した経済危機は世界同時不況をもたらし、予想をはるかに超える大きさで、この地域の産業にも大きな打撃を与えているところであります。
こうした状況の中、輸出大企業を先頭に、製造業など現場で企業を支えてきた非正規労働者の雇いどめの問題も大きくクローズアップされているところであります。この中には外国人労働者が多く含まれております。そういった方々が職を求めてハローワークなどに殺到しているのであります。
ハローワークによりますと、今まで人材を確保するのが困難であった介護や食品製造の分野にはまだ求人がありますが、日本語ができないとなかなか雇ってもらうことができず、新しい就職先が見つからず、御苦労されているということであります。
今回、雇いどめにあった外国人労働者の状況を見ますと、母国語に加えて日本語ができる人はバイリンガルとして重宝され、比較的早く次の仕事も見つかっているようであります。こうした状況があることから、外国人が多く暮らしている市の国際交流協会などが開催している日本語教室には、日本語を学びたいという外国人が急増しているそうであります。
岩倉市でも、昨年時点では、国際交流協会が開催している日本語教室に通う外国人は二、三人と非常に少なく、多いときでも十四、五人程度で、欠席も多かったとのことでありましたが、ことし一月に入ってから国際交流協会の日本語教室に通う外国人が急増しており、四十人程度にふえ、熱心に学んでいるとのことであります。
こうした状況を見ますと、日本で安心して暮らし、能力を発揮していただくためには、子供のうちからしっかりと日本語の教育を受け、そして、力を身につける必要があると強く感じたのであります。
文部科学省の平成十九年の調査によると、日常会話はできても読み書きができないなど、いわゆる日本語指導が必要な児童生徒が全国で約二万五千人おり、そのうち、本県には約五千人がおります。日本語能力が十分でない場合、高校、大学への進学が難しい状況にあり、その結果として、外国人の子供たちが自分の将来に夢を持てなくなってしまうことが心配されるところであります。外国人の子供たちにもしっかりと力をつけてもらい、この地域の未来を支える有用な人材に育ってもらうことが重要と思います。
今回の経済不況で職につくこともかなわず、帰国する人もいるようでありますが、本県では、外国人登録者の総数はまだまだ増加の傾向が続いていると聞いております。このような時代背景の中で、真に活性化に向けた地域づくりを推進するために、外国人も暮らしやすい多文化共生社会づくりは欠かせないものではないでしょうか。
外国人の保護者の多くは、日本語や、日本の学校の習慣もわからないことから、子供に親みずからが教えることができない状況にあると思います。特に日本の保育園に通っていない子供は、日本語に触れる機会も非常に少なくなっており、こうした子供たちに早い時期から日本語になじんでもらう機会を提供することは非常に有効であると思います。
日本語がわからないことから授業についていけなかったり、小学校に入学しても不適応になってしまう事例も多くあるようであります。
我が岩倉市においても、こうした外国人の子供たちを指導するために語学のわかる相談員を配置するなどの取り組みを行っていますが、そのような生徒に対応するための市町村独自の負担も少なくはありません。
小学生への適応をスムーズに促していくためには、外国人の子供たちに早期に日本語を学ぶ機会を提供するプレスクール事業の一層の普及が望まれるものであります。
お尋ねをいたします。
県は、十八年度から入学前の子供を対象に日本語などを教えるプレスクール事業をモデル的に進めておりますが、その成果についてお尋ねします。
こうした事業を県内の市町村に普及していく必要があると思いますが、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いします。
以上です。
61:◯地域振興部長(的井宏樹君)
プレスクール事業についてお答えをいたします。
外国人の子供たちに小学校の入学前に簡単な日本語ですとか、学校での生活習慣などを教えるプレスクール事業につきましては、平成十八年度から知立市、小牧市、豊橋市、半田市におきまして、県のモデル事業として実施をしてきたところでございます。
これまでの事業の成果でございますが、日本語の上達はもちろんのこと、外国人の子供たちが在籍する保育園や、保護者の方々などからは、日本語の学習に対する意欲が高まったなどの声をいただいたり、入学先の小学校からも、児童に落ちつきがあって、学級運営が円滑になったとの評価をいただいております。
今年度から知立市と西尾市では、県の事業の実績を生かして、市の独自の事業として取り組んでいただいており、豊橋市、半田市におきましても、来年度から事業化をする予定と伺っているところでございます。
プレスクール事業の効果を認識をしていただき、こうした取り組みが広がりつつあるところでございますが、今後さらに体系的、総合的な指導指針を確立するなど、市町村が実施をしやすいように取り組みを進めていく必要があると考えているところでございます。
このため、来年度は、これまでの事業の実績を活用し、指導方法や教材などをまとめたプレスクール実施マニュアルを全国で初めて作成をいたしますとともに、作成をしたマニュアルを使用してのプレスクール事業を行うことといたしております。
このような取り組みによりまして、外国人の子供たちが日本の学校で戸惑うことなく、早期に学校生活に適応し、勉学への意欲を培い、力をつけていけるよう、プレスクール事業の普及推進にしっかりと努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
62:◯議長(栗田宏君)
進行いたします。
大見正議員。
63:◯二十八番(大見正君)
私は、歳出第四款県民生活費第五項防災費のうち、風水害等災害対策計画推進事業費と、地震対策推進費の愛知県大規模災害時業務継続計画策定費について、あわせてお尋ねをいたします。
大規模災害時の業務継続計画、以下英語の頭文字をとりましてBCPと呼ばせていただきますけれども、このBCPにつきましては、平成十九年七月に発生をいたしました新潟県中越沖地震の際に、自動車部品工場が被災をし、国内自動車メーカー全八社が生産を一部停止しなければならなかった教訓の一つとして、災害発生時に業務が停止した場合に、優先的に再開、実施すべき業務について、あらかじめ優先順位や手順などを定めておく計画のことで、これまで民間企業を先頭にリスクマネジメントの一つとして普及拡大してきております。
本県でも、第二次あいち地震対策アクションプランの中で、中小企業のBCPの策定の促進を掲げ、モデル事業の実施や啓発リーフレットの配布などを通じて、策定の促進に取り組んでいると承知をしております。
今回、議案で提案されておりますBCP策定費は、東海・東南海地震を想定をして、県民の生命、身体、財産を守るとともに、社会経済活動機能を維持し、早期に県民生活や経済活動を災害から普及できるようにあらかじめ備えておくために作成されるものだと議案説明がございました。
昨年の議案質疑でも、実は、このBCP策定費につきましては議論がなされ、鈴木正議員から質問がされております。
その中で、大災害発生後、速やかに実施しなければならない災害応急対策のほか、例えば、生活保護にかかわる事務や、児童保護にかかわる事務、あるいは県立病院の診療など大規模災害の発生時であっても早期に再開をしなければならない業務を特定をして、それらの業務を再開する優先順位や、その時期などを決定していくことや、それらの業務を早期に再開するために、東海地震と東南海地震が連動して起きた場合の被害想定をもとに、庁舎がどの程度使用できるかなどの業務再開の支障となる要因をまず洗い出して、それらを解消するための対応策を平成二十一年度上半期までに策定していくという答弁がございました。
庁舎の耐震化につきましては、ちょうど私が所属をしております建設委員会で、議案説明会のさなかの二月二十四日に本庁舎の免震化工事が完了したということで視察をさせていただきました。
大変しっかりとした工事で、これなら災害時の司令塔としてしっかり機能ができると確信をすることができましたので、この上は、職員の参集や資機材の確保、被災状況の確認や業務の優先順位など、いち早く必要な業務を再開、継続していくためのソフト面の計画策定が待たれるところであります。
本県では、昨年、岡崎市や幸田町を中心に、県下の広範囲で被害が起こった平成二十年八月末豪雨がございました。市町村では災害対策本部が設置をされ、最初に災害状況の把握に取りかかったと思いますが、災害対応で手いっぱいの市町村の現場では、県を初めとする関係機関への連絡まで手が十分回らなかったと聞き及んでおります。
県は、防災体制を見直し、平成二十年四月から、主に風水害を中心とした災害に対する体制から、県内全域が被災地となる大規模地震災害にも対応できる体制に強化をしておられます。その中に、県民事務所に方面本部を置いて現場即応体制をとるとともに、市町村の情報収集や災害対策活動を支援するために、市町村に県職員を派遣するシステムをスタートしたと承知をしております。私は、平成二十年八月末豪雨では、このシステムが初めて運用された機会だったと考えております。
そこでお尋ねをいたします。
まず、大規模災害時業務継続計画でありますけれども、来年度の上半期までに作成するとのことでありましたけれども、現在の検討作業の進捗状況をお尋ねをいたします。
また、本年度の検討作業から優先すべき業務の内容など計画の概要をお示しください。
さらに、平成二十年八月末豪雨の災害対策を経験し、検証して判明した市町村に県職員を派遣するシステムの課題などがあったのではないかと思いますけれども、今後このシステムを生かしていく上でどのように改善していかれるのかをお伺いをして、質問を終わります。
64:◯防災局長(小出茂樹君)
まず、大規模災害時業務継続計画の検討作業の進捗状況についてでございます。
昨年四月に、計画策定検討会議や特別チームを設置し、これまでに、大規模災害時に他の業務よりも優先して早期に再開、実施しなければならない業務を非常時優先業務として選定いたしました。その上で、東海、東南海の連動地震による被害想定をもとに、非常時優先業務の早期再開の障害となる要因を洗い出す作業を現在も進めております。
今後は、大きな被害を受けた中でも、参集した職員や、使用可能な庁舎などの限られた資源を最大限有効に活用して、非常時優先業務を実施するための仕組みなどを十分検討いたしまして、この計画を本年九月までに策定したいと考えております。
次に、優先すべき業務の内容など計画の概要についてでございます。
まず、優先すべき業務につきましては、先ほど申しました非常時優先業務としておおむね二割の業務を約三千八百あります本県の全業務の中から選定いたしました。
主なものといたしましては、災害発生後、直ちに実施する災害応急対策業務のほか、食中毒や感染症対策、児童の一時保護、生活保護費や障害者の方への手当の支給、県立病院での診療や看護業務などでございます。
この計画の概要でございますが、策定の基本的な考え方、被害想定、非常時優先業務の内容や復旧目標、業務継続の障害となる要因とその対応策などを定めていきたいと考えております。
また、非常時優先業務を実施するために、職員が災害発生直後から迅速に初動対応ができるようなわかりやすい手順についても計画に盛り込み、計画を実効性のあるものにしていきたいと考えております。
続きまして、災害時に市町村へ県職員を派遣するシステムについてのお尋ねでございます。
本年度からスタートした新たな防災体制においては、大規模地震が発生した場合に県職員を市町村へ派遣して、被害情報の収集や災害対策活動を支援することとしておりました。
しかしながら、昨年の八月末豪雨では短時間に記録的な雨が降り、大きな被害が発生し、関係市町では応急対策に追われ、県への情報の伝達まで手が回らず、県全体の被害状況の把握に時間を要したところであります。
この教訓を踏まえまして、今後は、風水害においても相当の被害が見込まれる場合には市町村と連絡をとり、状況に応じて速やかに県職員を派遣することといたしました。
今後、こうした取り組みによりまして、市町村との連携を密にして、迅速な情報の収集を行い、実効性のある災害対策に努めてまいります。
以上でございます。
65:◯議長(栗田宏君)
進行いたします。
神戸洋美議員。
66:◯二十九番(神戸洋美君)
私は、第四款県民生活費第三項社会活動推進費のうち、地域協働促進事業費についてお伺いします。
ボランティア活動を初め市民が行う自由な社会貢献活動の健全な発展を促進することを目的とする特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法が施行されてから十年がたちました。
NPO法は、市民活動を行う非営利団体に対し、簡易な手続による法人格の付与と、市民への広範囲にわたる情報公開に関する仕組みを導入することで市民活動が社会に根づき、人々にとってより身近なものとなることに大いに寄与しているところであります。
本県のNPO法人の数は、平成二十一年二月末現在で千百八十九に達し、福祉、教育、文化、まちづくりなどさまざまな分野で活動しております。
ちなみに、私の地元春日井市では、現在三十余りのNPO法人があります。そのうちのある一つのNPOの代表者の方とは立ち上げる前から交流があり、遠方より春日井市に引っ越してきた際に子育て情報が全くなかったとのみずからの経験をもとに、子育て支援のNPOを立ち上げました。当時は、NPOに対する社会の認識が薄く、法人として立ち上げるのにとても苦労をされていました。いざ立ち上げた後も、人材確保や資金面でさまざまな問題があり、軌道に乗るまでの長い道のりはとても大変だったと思います。
どのNPO法人もそれぞれの専門分野の使命に基づいて熱心に活動されており、今後のさらなる発展に大いに期待を寄せるところです。
NPOは、行政でも企業でもない第三のセクターとして、福祉、教育、文化、まちづくりなどさまざまな分野における公共サービスの新たな担い手として期待されています。複雑・多様化する社会のニーズにきめ細かく、かつ機動的にこたえることができ、また、その活動において、人々が能力を発揮する場を得て、生きがいを感じたり、人と人とのつながりが地域の中で新たに生まれてきたりと、豊かで安心できる社会を実現するためにも、今後ますます重要な役割を果たすことが望まれます。
こうした中、本県では、平成十六年にNPOと県が対等な立場で議論し、双方が守るべき協働のルールをまとめたあいち協働ルールブック二〇〇四を全国に先駆けて作成しました。このルールブックを基準として本県の協働は、委託事業を中心に、金額ベースでは平成十六年度当時と比較した場合、約五倍に増加し、NPOとの協働が全庁的に促進されてきたと聞いております。
これからの地域づくりや、効率的な行政運営を進める上で、県とNPOとの協働はまさに時代の要請であり、より質の高い協働、ひいてはさらなる成熟を目指して継承していく必要があるのではないでしょうか。
委託事業などの実施段階における協働を一層充実させていくことはもちろんのこと、中長期的な展望のもとに、特定の課題について、行政、NPO双方が協議することをあわせて行っていくことも非常に大切であると私は思います。
こうした協議を通じて、両者が課題解決に向けた問題点や方向性を共有し、それぞれの役割に基づき積極的かつ果敢に取り組んでいくことがさらに重要だと私は考えます。
そこでお尋ねいたします。
第一点目として、県では、ルールブックに基づくNPOとの協働の一層の拡充を図るために協働ロードマップづくりを推進されると伺っておりますが、この協働ロードマップについてどのような検討がなされ、今後、全庁的にどう取り組んでいかれるのか、お伺いします。
二点目は、NPO活動を担う人材の育成についてであります。
地域では、行政の目が行き届かないさまざまな問題や課題が発生しており、そうした問題をいち早くキャッチし、何とか解決できないかと率先して一生懸命取り組んでいるNPOがたくさん存在します。しかし、個々のNPOでは人材や資金の不足などさまざまな課題を抱えているのが実情であり、とりわけ活動を継承、発展させるためには、運営実務を担う人材の育成が必要であると考えます。
県は、NPOの職員等を対象にセミナーや研修を実施すると伺っておりますが、NPOの人材育成についてどのような支援を行っていかれるのか、お伺いします。
以上で質問を終わります。
67:◯県民生活部長(石川延幸君)
NPOとの協働に関しての御質問でございますけれども、最初に、協働ロードマップへの取り組みについてでございます。
議員御指摘のように、行政、NPO双方が協議をする場を持つ、このことが非常に大切なところでございまして、協働ロードマップといいますのは、行政やNPOなどが県政の各分野における特定の課題をテーマといたしまして、一つのテーブルについて互いに協議をする、このことによりまして、中長期的な視点のもとでの問題意識やらビジョンをお互いに共有をいたしまして、課題解決への方向性を示していく、いわば行程書でございます。
この協働ロードマップづくりを広く展開をしていくためには、まずは、その策定の進め方、まとめ方、こういったものを標準的に示すことが有効でございます。このために、昨年八月でございますが、学識者、NPO、それから、県・市町村職員、こういった実務者十三名を構成員といたします検討会議を設置をいたしまして、協働ロードマップづくりを進めるための具体的な手法や、その活用方法などにつきまして、現在検討を進めております。この三月には、その成果といたしまして、協働ロードマップ策定手順書を取りまとめることといたしております。
平成二十一年度、来年度でございますけれども、この手順書を活用いたしまして、協働ロードマップを策定をしていくモデル事業を実施をいたしまして、その成果を全庁的な普及につなげていきたいと、このように考えております。NPOとの協働の一層のレベルアップを図ってまいりたいと、このように考えております。
次に、NPOの人材育成への支援についてでございます。
本県では、協働のパートナーとなるNPOの職員などを対象といたしまして、信頼されるNPOに必要な組織運営のノウハウやら、法律で義務づけをされております事業報告書などの作成について、これは専門家によるセミナーを開催いたしております。
また、NPOと行政の協働を本格的に展開していくためには、やはり市町村での協働促進が不可欠でございますので、市町村担当者や市町村のNPO支援センター、この職員などを対象に、協働のコーディネート能力の向上、そして、支援センターの機能強化につながるような、こういう研修を実施をいたしておりまして、今後とも協働の担い手のレベルアップを図ることによりまして、NPOと行政との協働を推進してまいりたいと思っております。
県といたしましては、協働ロードマップづくりなどによる協働の質的向上とそれを担う人材の育成、この二つを車の両輪といたしまして、今後ともNPOとの協働を全県的に推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
68:◯議長(栗田宏君)
進行いたします。
浅井喜代治議員。
69:◯四十番(浅井喜代治君)
通告に基づき、第四款県民生活費第三項社会活動推進費のうち、青少年健全育成活動推進費について伺います。
あすの愛知を担う青少年が豊かな社会性と創造力を持ち、みずから考え、責任を持って行動できる大人へと成長してくれることは私たちの願いであります。同時に、青少年が健全に成長することができる、そんな社会を実現することは私たち大人の責任であります。そのためには、家庭、学校、地域がそれぞれの役割をきちんと認識し、一体となって取り組むことが大切だと考えます。
しかし、家庭では、親から子へ、子から孫へと伝えられてきた経験に基づく子育ての知恵や知識が継承されにくくなっております。
例えば、私たちが親子、家族の触れ合いの中から身につけてきた社会生活で必要な知識やルールを身につけさせることも難しくなりつつあります。
また、地域においても、都市化の進展などにより隣近所のつき合いや連帯感が失われるとともに、さまざまな人たちとの交流を通して、社会の一員としての役割や責任を自覚したり、助け合いや思いやりの心を培うことができなくなってきていると思います。
そこでお尋ねをいたします。
新たな青少年育成計画を策定するに当たって、家庭、学校、地域が一体となり、社会全体で子供を育てるという考え方が重要であると思いますが、県はどのような認識を持っておられるのか、お聞かせください。
次に、現在の青少年育成計画が策定されてから約八年が経過しておりますが、この間、青少年を取り巻く環境は著しく変化してまいりました。
例えば、我が党の代表質問でも取り上げました出会い系喫茶の出現、インターネット上における性的描写や残虐表現、出会い系サイトなどの有害情報のはんらん、青少年の深夜徘回などの増加など、青少年がさまざまなトラブルや犯罪に巻き込まれやすい状況が生み出されています。
また、ニートやフリーターなど社会的自立が困難な若者が多くなっており、このことの問題点がさまざまな角度から取り上げられてはおりますが、いずれにしても、こうした状態が長期化すれば、若者自身の不安定な生活状態が長期化する可能性がますます高くなります。
また、少子化の傾向にさらに拍車をかけることにつながるだけでなく、若者の持つエネルギーを社会に生かすことができなくなり、社会全体にとっても大変な損失だと思います。
私は、社会環境の変化の影響を最も受けやすい者は青少年であり、また、それに対応するすべを持っていないのも青少年であると思います。したがって、新たな計画の策定においては、こうした社会環境の変化に的確に対応できる内容としていただくようお願いしたいと思います。
そこでお尋ねします。
新たな青少年育成計画の策定に当たり、社会環境の変化に対応してどのような視点を打ち出そうとしておられるのか、お聞かせください。
また、どのような手順で策定していくお考えか、あわせてお伺いします。
以上。
70:◯県民生活部長(石川延幸君)
新しい青少年育成計画の策定に関して御質問をいただきました。
まず、社会全体で子供を育てると、こういう視点についての県の認識についてでございますけれども、県では、これまでの青少年育成施策の基本方向の一つとして、ともに育ち合う地域社会づくりを位置づけておりまして、地域社会の中で青少年と大人がともに育ち合う、こういう関係をつくり上げることが重要であると、この認識を示しております。こうした基本的な方向は、今日においてもいささかも色あせることはないというふうに考えております。
また、昨年十二月でございますけれども、国が策定をいたしました新たな青少年育成施策大綱、ここにおきましても、基本理念の一つに、青少年一人一人の状況に応じた支援を社会総がかりで実施をすると、このことが明記をされております。
また、子供の家庭や学校、地域などでの生活実態や意識を把握するために、昨年の九月に、県内の小学校五年生、中学二年生の各一千人を対象に本県が実施をいたしました子供の生活実態調査でございますが、この結果では、父母や地域の人に話を聞いてもらえない子供は将来を否定的にとらえる傾向があると、こういう結果が出ておりまして、こうしたことからも、地域というものは子供の発達や自立にとって重要であるというふうに考えております。
議員御指摘のとおり、行政はもとより、家庭、学校、企業、地域、こういった主体が一体となりまして、青少年の健全育成に取り組むことがますます重要になってくるというふうに認識をいたしておりまして、新たな育成計画を策定する際にも、基本的な方向性の重要な柱の一つということで位置づけられるべきものというふうに考えております。
次に、社会環境の変化に対応する際の視点でございます。
議員御指摘のとおり、青少年を取り巻く社会環境の変化は著しいものがございまして、これに的確に対応するために、当初の予定より一年前倒しをしまして、新たな育成計画を策定することといたしました。
この計画には、社会全体で子供を育てているという視点を基本に置きながら、ニート、ひきこもりなどケアが必要な青少年に対する包括的、継続的な支援、地域や家庭の教育力の回復、向上を進める施策の充実、そして、有害情報から青少年を守るなどの育成環境の整備といった点を盛り込んでいきたいというふうに考えております。
特にニート、フリーターなど社会的自立がおくれている若者につきましては、その責任を個人だけに帰するのではなくて、社会にも責任があると、この認識のもとに、今年度、有識者から成る青少年の自立支援策に関する検討会を設置をいたしまして、その支援策をいろいろ検討していただいております。その結果も新しい計画づくりに反映していきたいと考えております。
最後に、新たな青少年育成計画を作成する手順についてでございます。
青少年育成計画のあり方につきましては、青少年の育成などに関する総合的施策の樹立につき、必要な重要事項を調査、審議をすると、これが役割になっておりますが、愛知県青少年問題協議会、この協議会から御提言をいただくこととしておりますけれども、具体の内容につきましては、この協議会のもとに、地域社会学、教育学、発達心理学など、こういった学識経験者に加えまして、青少年の代表やら、青少年育成活動に携わっておられるNPOなどで構成をいたします専門委員会、この専門委員会を設置をいたしまして、御審議をしていただくことを予定をいたしております。
青少年問題協議会からは秋ごろまでには御提言をいただきまして、その後、市町村やパブリックコメントによる県民の皆様からの御意見をいただいた上で、来年度中には新たな青少年育成計画を策定してまいりたいと、このように考えております。
以上でございます。
71:◯議長(栗田宏君)
進行いたします。
桂俊弘議員。
72:◯四十八番(桂俊弘君)
私からは、第四款県民生活費第二項文化学事振興費のうち、あいちトリエンナーレ二〇一〇の開催準備費について、順次質問をいたします。
あいちトリエンナーレについては、知事は、熟慮に熟慮を重ねられた上で、当初の予定どおり、二〇一〇年の開催を決断をされました。そして、今議会においては、トリエンナーレ二〇一〇の事業概要を明らかにされたところであります。
すなわち、トリエンナーレの開催期間を二〇一〇年八月二十一日から十月三十一日までとし、基軸になる現代美術については、国内外から七十人程度の作家が招聘され、愛知芸術文化センターと、サブ会場になる名古屋市美術館を初め、オアシス21やテレビ塔を中心とした久屋大通公園一帯でも作品を展示するとされました。
また、新進作家の企画コンペによる展覧会をオフィス街や商店街などでも行い、にぎわいや人の流れをつくり出していくことも示されました。
そこで、質問の一点目です。
今後、より詳細な事業計画について詰めていかれるとは思いますが、現時点でトリエンナーレ二〇一〇の開催に要する総事業費はどれくらいになる見通しなのか、まずお尋ねをいたします。
また、このトリエンナーレは地域を挙げて行われる事業であることから、事業費の財源確保についてはさまざまな工夫や努力が必要と思います。事業の財源についてどのようにお考えか、あわせてお伺いをいたします。
質問の二点目は、舞台芸術分野の展開についてであります。
あいちトリエンナーレ二〇一〇は、現代美術を基軸に展開していくとされていますが、あわせて、愛知芸術文化センターの複合機能を生かして舞台芸術も展開していくとされております。
現代美術については、招待する作家の名前や、全体の招聘する作家数などの情報が少しずつ公表されていますが、舞台芸術については、どういった場所でどのような公演内容を考えておられるのか、余り広報されていないように思います。舞台芸術の具体的な内容についてお伺いをいたします。
質問の三点目は、広報、PRについてであります。
トリエンナーレで展開を予定している現代美術や舞台芸術に理解を深めていただくことが大切なのは当然でありますが、あいちトリエンナーレの開催を広く外に向かって広報、PRしていくことも、トリエンナーレを成功に導くためには重要であります。
こうした広報、PRを行う際に、トリエンナーレのシンボルマークやロゴタイプを製作してさまざまな媒体を活用したり、ピンバッジ、Tシャツなどの広報グッズを作成をし、イベント等で配布したりすることがより効果的だと思いますが、お考えをお聞かせください。
さらに、トリエンナーレが開催される二〇一〇年は、COP10の開催、名古屋開府四百年記念事業などが予定されており、この地域が国内外から脚光を浴びる年であります。これは、あいちトリエンナーレを国内外に向けて効果的に発信できる絶好のチャンスであり、それらの行事と連携をとりながら広報を行っていくことによって発信力が倍増し、PR効果が高まると思われますが、お考えをお聞かせください。
質問の四点目、最後の質問でございますが、地元芸術家や芸術団体との関係についてであります。
先日、我が党の渡会団長の代表質問で知事は、トリエンナーレには地元の芸術家や文化芸術団体の方々に参加いただき、大いに盛り上げていただきたいと答弁をされました。県民に開かれたトリエンナーレとし、多くの地元の芸術関係者に参加いただくことがトリエンナーレの成果が地域の文化芸術活動に根づいていく上で非常に重要なことであると存じますので、私もこの点は大いに進めていだきたいものだと思っております。
さて、トリエンナーレは、芸術文化センターを拠点として開催されます。芸術文化センターは、県が誇るすばらしい施設であり、このような機会に大いに活用されるべきものと考えております。
一方で、従来より芸術文化センターは、多くの芸術家や文化芸術団体の方々に、その活動や発表の場として広く利用され、親しまれております。芸術文化センターは、トリエンナーレの基軸となる現代美術展の会場となることから、芸術団体の方々に利用いただいている美術館ギャラリーも使用しての展開が検討され、従来よりギャラリーを利用されている団体に対して、利用調整についての説明が行われていると伺っております。この説明会に参加した団体から、二〇一〇年の自分たちの展覧会開催の見通しについて心配する声も聞いております。
国際展たるにふさわしいトリエンナーレの現代美術展を開催するため、芸術文化センターをフルに使用することについては理解をするものですが、こうしたふだんからの利用者の方々への影響についても十分配慮した対応が必要と考えます。
そこで、ギャラリーの利用団体等への調整はどのようになっているのか、お伺いをいたしまして、質問を終わります。
73:◯県民生活部長(石川延幸君)
あいちトリエンナーレ二〇一〇について、数点御質問をいただきました。
まず、トリエンナーレの総事業費でございますけれども、二十年度から二十二年度までの三年間でございますが、総額で十四億円程度を想定をいたしております。
この総事業費につきましては、当初の構想段階では約二十億円程度で考えておりましたけれども、現下のまことに厳しい財政状況などを踏まえまして見直しを行い、国際展としての規模や発信力などを維持しながら、真に必要な事業に絞り込んで効率的に実施をすると、こういう観点から精査をした額でございます。
なお、この十四億円すべてを県が負担するものではございませんで、入場料などの事業収入を除く公的負担分につきましては、名古屋市にも県と市で三対一の割合で負担をいただくことといたしております。また、国等への各種助成金の働きかけやら、企業広告を初めさまざまな形での企業協賛もお願いをしてまいりたいというふうに考えております。こうしたことから、県の負担額は現時点で約八億五千万円程度になるというふうに見込んでおります。
次は、あいちトリエンナーレの舞台芸術についてでございます。
世界各地でトリエンナーレ、ビエンナーレといった国際展が開催をされておりますけれども、そのほとんどが現代美術展でございます。あいちトリエンナーレは、芸術文化センターの機能を生かしまして、舞台芸術も取り込んだ複合的な展開が大きな特色であると、このように考えております。
舞台芸術の具体的な事業内容といたしましては、斬新な演出によるオペラやら、時代の最先端をあらわすようなダンスなどを実施をしてまいりますほか、このトリエンナーレを象徴する複合的なジャンルといたしまして、舞踊、音楽、美術等を融合させました芸術公演を企画いたしまして、あいちトリエンナーレならではの公演をごらんいただきたいというふうに考えております。
開催期間中を通じまして、芸術文化センターの大ホール、小ホールなどを活用いたしまして、舞台芸術についても大いに盛り上げてまいりたいと、このように考えております。
次は、トリエンナーレの広報、PRについてでございます。
シンボルマークやロゴタイプ、いわゆるロゴマークでございますが、このロゴマークにつきましては現在策定中でございまして、今月末には発表できるというふうに考えております。
来年度は、このロゴマークを活用いたしまして、ポスターやパンフレットなどを作成をし、県民の皆様のトリエンナーレに対する認識度の向上を図ってまいりたいと考えております。
また、例えば、ピンバッジなどオリジナルの啓発グッズを作成をいたしまして、こうしたものを効果的に活用することによりトリエンナーレに対する機運の盛り上げを図ってまいりたいと考えております。
次は、COP10などと連携した広報についてでございます。
COP10の関連行事やら名古屋開府四百年記念事業につきましては、それぞれがさまざまな広報、PRを予定しているというふうに聞いておりますので、お互いの広報媒体の中で相互に広報、PRすると、そうした協力体制を築き上げてまいりたいと、このように考えております。こうした諸行事と連携することによって生まれる相乗効果によりまして、トリエンナーレの広報力を強化をし、より多くの方々に御来場いただけるように努めてまいります。
特にCOP10には、各国政府、NGO、報道機関などの関係者など国内外から多くの方々の参加が見込まれております。そうした方々にトリエンナーレをアピールいたしまして、御来場いただければおもてなしともなりますし、トリエンナーレの魅力を内外に発信することにもつながってくると、このように思っております。
次に、トリエンナーレ開催に伴う美術館ギャラリーの利用についてでございます。
トリエンナーレの基軸事業でございます現代美術展につきましては、国際展にふさわしい内容と規模で開催するためには、芸術文化センターのすべての展示室や共通スペース、さらにはサブ会場としての名古屋市美術館の展示室や、隣接都市空間への展開が必要というふうに考えているところでございます。美術館ギャラリーにつきましても、トリエンナーレ開催期間の前後を含めまして、約三カ月間はトリエンナーレの会場として使用を考えております。
そこで、従来から定期的にギャラリーを利用していただいております団体の皆様には、トリエンナーレの期間の利用調整につきまして、昨年からことしにかけまして説明会を開催したり、足を運んだりいたしまして、トリエンナーレへの御理解を深めていただくとともに、御協力をお願いをしております。
利用調整の内容でございますけれども、それぞれの団体の展覧会の規模や性格に応じまして、開催期間の短縮、開催時期の変更、利用展示室の縮小など御検討いただきまして、トリエンナーレ以外の期間でできるだけ多くの展覧会が開催できるようにして、影響を最小限にとどめてまいりたいと、こういう考えで進めてきたところでございます。
また、名古屋市博物館を初め市内の主要ギャラリーにも受け入れについて協力をお願いをいたしまして、また、団体の皆様にはこうした情報を提供しております。
こうしたことによりまして、トリエンナーレの意義につきましては大方の御理解をいただけるものと思っておりますけれども、今後とも各利用団体の皆様には引き続きトリエンナーレの趣旨などを御説明し、御理解と御協力をいただけるように努力をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
74:◯四十八番(桂俊弘君)
それぞれお答えをいただきました。二点要望をしておきたいと思います。
最後の質問の中で、地元の芸術家、芸術団体の参加に応援をしていただくため、十分説明をし、配慮していただきたいということでございます。
毎年秋に芸文センターのギャラリーで作品展を開催されております芸術団体の方々がトリエンナーレのために締め出されるような印象を持たれたということでございます。
知事が、経済情勢が極めて厳しい中、熟慮に熟慮を重ねられ、県民に勇気、元気、活力を持ってもらうため決定された大切なイベントでございます。知事のこの深い思いを一人一人の職員が受けとめて行動していけば、県民にその熱意や気持ちは伝わるものでございます。今後、細心の注意を払って進めていただきたいことを強く要望しておきたいと思います。
二点目ですが、開催期間は七十二日間とロングランでございます。当然検討されていると思いますけれども、幾つかの区分に分け、めり張りをつけ、一回見たら終わりではなく、リピーターとして参加できるような内容にしてほしいものだなと、こんなふうに思っております。
県広報広聴課の調査で、COP10の開催を知っていると答えた県民は三二%にとどまっています。また、県政モニター調査で知らなかったと答えた人は半数を超え、認知度が低迷しておりまして、トリエンナーレもまだまだでございます。トリエンナーレ開催まで一年半を切って、あと五百四十三日でございます。長いようで、いろいろな行事もあり、時間はないと思います。早急に楽しく元気で希望の持てる企画を立てて、強力に宣伝、広報をしていただくよう要望いたして終わります。
以上でございます。
75:◯議長(栗田宏君)
進行いたします。
吉田徳保議員。
76:◯四十一番(吉田徳保君)
私は、第五款環境費第一項環境対策費、環境学習推進事業費について質問いたします。
私は、さきの十二月議会で、生物多様性にかかわる学校教育での取り組みについてお尋ねをいたしました。今回は、同様の観点から環境学習について質問させていただきます。
本県では、県民一人一人が環境保全の意識を高めることにより環境に配慮し、行動できる能力を身につけるために必要な環境学習を推進するため、平成十七年一月に「愛知県環境学習基本方針─七百二十万県民のエコ協働プログラム二〇一〇─」を策定され、さまざまな環境学習を実施されているところであります。
そして、環境学習への取り組みを積極的に推進するため、名古屋市北区にあります環境調査センターにあいち環境学習プラザを平成十九年二月に開設し、ここを拠点として、環境学習を担う人づくり、環境学習のためのプログラムづくり、環境学習施設間での情報の共有化を図るネットワークづくりに取り組んでみえます。
また、愛・地球博で好評を博した森の自然学校の施設を利用し、万博当時のプログラムをさらに発展させた自然体験型の環境学習施設「もりの学舎」では、森の案内人と言われるインタープリターの指導により、恵まれた自然環境を生かした環境学習を展開されております。
このもりの学舎は、子供たちを初め多くの方が利用し、平成十九年三月の開館から一年八カ月目の昨年十一月には来館者が十万人を超えるなど環境学習の普及に努力されていることは大いに評価されるものと思われます。
こうした自然が持つさまざまな多様性に気づいていく環境学習の取り組みが環境問題を考えていく上での第一歩であり、子供たちが成長していく早い段階から学習する機会を広げていくことが大切ではないかと考えます。
このような子供たちへの環境学習をより効果的に進めるためには、こうした取り組みのほかにも学校教育との連携が非常に大切ではないかと考えます。折しも二〇一〇年には、愛・地球博の理念と成果を継承する事業として、生物多様性条約第十回締約国会議がこの愛知・名古屋で開催されることが決定され、そのための準備が着々と進められております。
この会議は、世界の百九十を超える国と地域が地球上での生物資源の保全や利用、利益の配分などについて話し合う重要な国際会議であり、この愛知で生物多様性の国際会議が開かれることはまたとないチャンスでありますので、できるだけ多くの子供たちにも生物多様性の重要さについてわかりやすく理解してもらう必要があると考えます。このためには、教育現場との持続的な連携が欠かせないのではないかと思われます。
そこでお尋ねを申し上げます。
県では、小学校における環境学習の推進のための支援事業として、環境学習副読本「わたしたちと環境」を毎年度配付していると聞いておりますが、その主な内容と利用の状況について伺います。
また、COP10を契機として子供たちに生物多様性の重要性について理解してもらうためのこの副読本に生物多様性にかかわる内容を盛り込むべきと考えますが、その取り組みについてもあわせてお伺いをいたします。
以上、二点について質問させていただきました。ありがとうございます。
77:◯環境部長(藤井敏夫君)
環境学習副読本についての御質問のうち、まず、副読本の主な内容と利用の状況についてお答えをします。
本県では、環境学習副読本「わたしたちと環境」を平成四年度から作成し、小学校四年生に配付をいたしているところであります。
この副読本の主な内容でありますけれども、愛知の環境に関心を持ち、理解を深めてもらうことをねらいといたしまして、愛知の自然環境を初め水や大気、ごみなどの身近な問題から、温暖化や酸性雨などの地球環境の問題まで幅広く取り上げておりまして、その表現においても、絵や写真、グラフなどを多く使用し、子供たちにできるだけわかりやすくなるように工夫、編集をいたしているところであります。
また、環境問題の現状を単に伝えるだけではなくて、セミの抜け殻や、川の中の生き物を利用した簡単な環境調査の方法、ごみを減らす工夫など環境問題について子供たちが自分で調べ、考え、実践できるような内容も盛り込んでいるところであります。
次に、副読本の利用の状況であります。過去に実施しましたアンケート調査結果では、約九割の学校で総合学習や社会科などの時間に活用いただいていたという結果が出ておりまして、学校におきましては、環境教育の参考書として定着しているものと考えているところであります。
次に、生物多様性の理解推進に向け、この副読本の見直しをしてはどうかと、副読本に盛り込んではどうかという御質問であります。
COP10の開催は、本県の将来を担います子供たちに生物多様性の重要さについて気づき、学び、活動していただく絶好の機会であると考えております。このため、新年度におきましては、現在の副読本、これを改訂しまして、絶滅の危機にある野生生物の現状を初め、生物多様性の大切さ、あるいはCOP10の開催の意義などを盛り込んだ新しい環境学習副読本を作成、配付することといたしております。
改訂に際しましては、教育現場との密接な連携を図りますため、小学校の先生の御意見もお聞きして、わかりやすく、興味を引く内容とすることに努めまして、子供たちの生物多様性への理解、促進に役立ててまいりたい、このように考えております。
以上です。
78:◯四十一番(吉田徳保君)
ありがとうございます、それぞれにお答えいただきまして。
それでは、一点要望させていただきます。
子供たちに対して、このCOP10の機会に環境学習をしていただくことは大切でございますが、地元の新聞が、きょう、ちょうど記事が載っておりましたが、このCOP10につきまして、五〇%以上の方がまだ理解をしていないと。また、中には、生物多様性が必要なのかというような、そういうようなお答えもあったということですので、子供たちはもちろんでありますが、やはり来年のCOP10に向けまして、もっと大きな意味で県下の方、また、県外の方につきましても、この生物多様性についてより多くの情報を発信していただけたらと思います。要望しておきます。
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79:◯三十八番(山下史守朗君)
暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
80:◯議長(栗田宏君)
山下史守朗議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
81:◯議長(栗田宏君)
御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午後二時三十七分休憩
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午後三時三十分開議
82:◯副議長(鈴木愿君)
休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
杉浦孝成議員。
83:◯四十四番(杉浦孝成君)
それでは、質問をさせていただきます。
第五款環境費第一項環境対策費のうち、生物多様性条約締約国会議開催準備費のうち、地域活動推進費についてお伺いをいたします。
COP10は、百九十を超える国と地域が参加する環境に関する世界最大規模の国際会議であり、生物多様性の損失速度を二〇一〇年までに顕著に減少させるという二〇一〇年目標の検証や、その後のポスト二〇一〇年目標の設定などについて話し合われることが想定されるなど、世界的な枠組みをつくっていく地球の未来にとって大変重要な会議であります。
COP10は、国連の生物多様性条約事務局が主催をし、日本国が中心となって進めるものでありますが、本県において、これほど大規模な環境に関する国連の会議が開催されることは初めてであり、こういった会議を一過性のものとすることなく、開催地にふさわしい地域づくりにつなげていくことが必要であると考えております。
このためには、県民の皆様方に生物多様性への理解を深めていただくことが重要であります。生物多様性は、自然や生き物についての話を聞くなど、知ること、そして、学ぶことから、地域の活動に参加するなど行動へつなげていくことで理解を深めていくことができると思っております。
今後も、COP10に関連した催しなどを幅広く周知をし、多くの県民の皆様方が御参加をいただくとともに、生物多様性についての講演会やセミナーなど生物多様性について知る機会を提供していくことが必要であります。さらに、こうした取り組みに加え、県民の皆様方や企業など多くの方々が気軽に参加できるわかりやすい取り組みを展開することが大切ではないかと考えます。
そこでお尋ねをいたします。
本県においては、いのちを支えるもりづくりや、身近な生きものの調査など県民協働運動を推進するということでありますが、この取り組みはどのような取り組みか、お答えをいただきたいと思います。
以上です。
84:◯環境部長(藤井敏夫君)
COP10に関連して取り組むこととしておりますいのちを支えるもりづくり、あるいは身近な生きもの調査についてお答えを申し上げます。
COP10開催を契機としまして、開催地にふさわしい地域づくりを進めることは大変重要であります。お尋ねの県民協働運動につきましては、COP10に向けまして、生物多様性について、県民の皆様方だれもが参加できるわかりやすい二つの行動の展開を図るものであります。
このうち、いのちを支えるもりづくりにつきましては、国連の生物多様性条約事務局が地球規模で進めております植樹活動、グリーンウエーブ運動といっておりますけれども、これと関連づけた取り組みとしまして、全県的に緑をふやす活動を展開しようというものであります。
この事業としましては、COP10に直接関連して、学校、民間団体、企業等と取り組む植樹活動を初めとしまして、森と緑づくり税を活用しました取り組み、さらにはこれまで市町村などで実施されているさまざまな植樹活動、これらを一体とし、いのちを支えるもりづくりとして、その推進を図るものであります。
次に、身近な生きもの調査についてであります。
これは、国で実施されている同様の取り組みと歩調を合わせまして、環境の変化により減少しております身近な生き物、例えばメダカとかトンボなどでありますけれども、これを指標生物として自然観察を行っている団体あるいは学校、また、関心の高い県民の皆様などの参加を得まして、県内全域を対象に調査をしようというものであります。その結果を広く発信をし、生き物への関心を高めようとするものであります。
こうした事業によりまして、県民の皆様方に生物多様性の大切さを実感をし、また、理解を深めていただきますとともに、こうした活動の一層の広がりを図ることによりまして、生物多様性に配慮した地域づくりへの参画を促していきたいと、このように考えているところであります。
以上です。
85:◯四十四番(杉浦孝成君)
説明をいただきましたが、一点要望をさせていただきたいと思います。
まず、このいのちを支えるもりづくりの取り組みでありますが、この二十一年度から森と緑づくり税、新しい新税がこの環境に配慮する、また、地域づくりのために活用されるということでありますけれども、とりわけ山の保全とか、いろんなところに使われるだけではなくて、先ほど答弁がありましたように、ぜひ都市部の緑化推進、あるいは地域の中で潤いのある緑の植樹事業の推進、これを地域の皆さんとともに、ぜひ市町村の意見を、要望を加えながら、順次推進していただきたいなと、そういうふうに思っております。
それから、身近な生きものの調査でありますが、お答えをいただいたわけですが、メダカ、トンボという話が出ました。
愛知県は、例えば今、三河湾あるいは伊勢湾などで浅場干潟の造成事業などを行っておりますが、愛知県は千二百ヘクタールの浅場がなくなっております。そして、中山水道などの、ああいった航路図などを使って六百ヘクタールが再生されたと言われているわけでありますが、私どもは、愛知県、物づくりの県として、海岸線を埋め、あるいは山を削り、道路をつくり、田んぼというのか、農業のそういった部分がどんどんと少なくなっているのが、環境という側面から見ればそういった問題があります。
私どもが、子供のころには、私のすぐ前には海がありました。今は、目の前に衣ケ浦という海でありましたけれども、その半分が埋め立てられて、もうないんですね。もう高浜も碧南も、そして、西尾もそうですが、昔は海岸線があり、その海岸線に干潟があり、干潟には多くの生態系がありました。そういうものがもう全くないわけで、子供のころには、私どもはそこで遊び、朝な夕な、その生活とともに自然と触れ合ったものであるわけですけれども、そういった体験がもう今の子供たちにはなかなかできないわけでありまして、せめて生物といいますか、そういった生き物を飼ったり、あるいは小学校の授業の中で体験学習を通して活動するのが精いっぱいではないのかなと、そんなふうに思っております。
時代は環境の時代、二十一世紀は環境の時代と言われているわけでありますけれども、ぜひ次の時代を担う子供たちのためにも、こういった身近な生きものの調査を通してよりよい環境学習に結びつけ、豊かな人間性をはぐくむのも、やはり自然と触れ合い、また、家族がいろんなところへ連れていくことによって、語ることによって、そういった自然環境に対する認識を深めていただくような、そういった活動をぜひ取り入れていっていただきたいと思っております。
COP10という、私ども、この愛知県にとっては大変有意義な事業といいますか、大きなこの自然環境に対する国際会議が開催をされるわけでありますので、ぜひ成功させるとともに、これを機会に、また豊かな子供たちの育成のためにも、この事業を有効に生かしていただくよう要望を申し上げて終わります。
以上です。
86:◯副議長(鈴木愿君)
進行いたします。
伊藤勝人議員。
87:◯四十五番(伊藤勝人君)
第五款環境費第二項自然環境費のうち、あいち自然環境保全戦略費の移入種対策費についてお伺いをいたします。
近年、外来種あるいは移入種という言葉をよく聞くようになりました。一般的には、海外から我が国に持ち込まれたものを外来種、国内の他の地域から持ち込まれたものを移入種といっているようでありますが、ここでは、海外から我が国に、あるいは本県に持ち込まれた外来種についてお尋ねをいたします。
日本は島国であります。長く続いた鎖国の時代には諸外国との交易はほとんどなく、人や物資の行き来が少なかったことから外来種が持ち込まれる機会も少なく、日本固有の在来種や生態系に対する影響は余りありませんでした。
しかしながら、明治時代以降、諸外国との交流が盛んになるにつれ、食料として、あるいは毛皮の材料として、これまで日本にはいなかった外国の動植物が国内に持ち込まれるようになり、さまざまな影響を与えるようになってまいりました。
昭和三十年ごろ、突然、エビガニ、今でいうアメリカザリガニでありますが、非常に繁殖をしました。それまでに在来の小エビだとか、あるいはザリガニのちっちゃなものが日本にもいたわけでありますが、あのアメリカザリガニが入ってきて駆逐をしてしまった。日本の在来のものは非常に少なくなってきた。それが今日もそうであります。
それがコリドールや、エンドリンや、パラチオンというような農薬をたくさん使うようにそのころなったわけですね。そうしましたら、小魚がたくさん死にました。ザリガニも食べ物がなくなったのかどうか知りませんが、急に減りました。今日ずっと見ていますと、水田であったり、小川なんかで見ていますと、ザリガニは元気ですね。平気で今でもたくさんいます。でも、昔のような大きなものは見ることが数少なくなってきたような気がします。
そのザリガニが在来種を全部どこかへ追いやってしまったり、殺してしまったというか、そんな中で、ただ単にザリガニといえばアメリカザリガニが私たちの目の前にあるというようなことがもう定着してしまったような気がします。
また一方、そういう動物的なものといいますか、そういうものだけでなくて、目的はそうではなかったにもかかわらず、知らず知らずのうちに日本に持ち込まれた外来種がたくさんある。その中の一つに、畑にこのごろ、牛のふんであったり、鶏のふん等々を肥料として、今、割とにおわないきれいな、そういうものをたくさんくれますので、入れる。そうしますと、入れた後、突然今まで見たこともないような草、我々は雑草だと思っていますが、その雑草のようなものがたくさん畑に急に生えてきた。
その雑草の困るのは何かといいますと、種を落とす時期が違うんですね。あるものは一年中種を落としている。取っても取ってもそれが次から次に出てくる。一年中元気です。そんな種類のものもたくさん生えてきました。
私たちがまさに気がつかないうちに外来種の侵入を許しているのかなということを思います。また、今、日本に入ってくるものだけをいけないいけない、これはいいものだ、これは悪いものだと選別のことが議論になりますが、日本からも外国に出ていっているものもあるだろうということも思います。
そのことは、一つの例として、庭園装飾用などにアメリカに持ち出されたクズがあります。このクズは、日本以上に生育に適していたのかもわかりませんが、あるいは競合する相手がいなかったのか、現地で想像以上に数がふえ、林の若木の成長を妨げるなど被害を引き起こし、アメリカでは侵略的な外来種に指定されているそうであります。
国境を越えて動植物が移動することによりその地域の生態系を乱してしまうなど、経済がグローバル化するにつれて外来種問題がますます顕在化しております。外来種の中には、私たちの生活の中で身近な生き物として親しまれているものもありますが、在来種を食べたり、生息場所を奪い取ったりして在来種に深刻なダメージを与え、その地域で保たれている生態系のバランスを崩し、最悪の場合、地域の在来種を絶滅させてしまいかねないおそれもあります。
こうしたことから、国では、平成十六年六月に、いわゆる外来生物法を定め、在来種や生態系への悪影響を及ぼすおそれのある動植物などの外来種の防除対策を始めました。
本県は、空港や港湾を有する国内でも有数の物流の拠点であります。そして、海外との接点が高いことから多くの外来種が持ち込まれる可能性があります。
毒グモの一種であるセアカゴケグモは、以前は港湾などの沿岸部でしか確認されておりませんでしたが、昨年五月には、内陸部の木曽三川公園でも確認されたとの報道がありました。また、ペットとして日本に持ち込まれ、その後、野生化したアライグマやヌー、そういうものによる生活被害が県内各地で発生をしております。
現在、本県では、生物多様性を将来の世代に継承し、その恵みを持続的に享受することを目的とした行動計画となるあいち自然環境保全戦略を策定し、さまざまな取り組みを実施していくこととしております。
人為的に持ち込まれた動植物によって、本県の野生生物や生態系に対し悪影響を及ぼすおそれが高まる中、この地域の豊かな生態系を守っていくためには、外来種対策を早急に進めることが重要な問題だというふうにとらえています。
そこでお尋ねをいたします。
私たちの日常生活においては、どの生物が外来種なのかどうかわからない、あるいは気がつかないことが多いかと思いますが、本県における外来種の状況はどのようになっているのか、お尋ねをいたします。
そして、いま一つは、外来種の生育域の拡大が懸念されています。今後、県としてどのような外来種対策を進めていかれるのかをお伺いをいたします。
88:◯環境部長(藤井敏夫君)
外来種に関するお尋ねをいただきました。
まず、県内における外来種の状況についてお答えを申し上げます。
本県では、特定外来生物による生態系などに係る被害の防止に関する法律、いわゆる外来生物法の制定を踏まえまして、生態系などに影響を及ぼすおそれのあるものとして、この法律に基づき指定されております特定外来生物の県内における生息・生育状況、これを把握することを目的といたしまして、平成十六年度から市町村などを通じ、その生息状況等の調査を実施をいたしているところであります。
これまでの調査結果におきましては、この特定外来生物九十六種類がリストアップされておりますけれども、このうち県内では、ヌートリア、アライグマなど動物としまして十四種類、荒れ地などに大きな群落をつくりますオオキンケイギクを初め植物八種類の計二十二種類の生息、生育が確認をされているところであります。
このうちヌートリアにつきましては、三河山間部を除く約九割の市町村で、また、ウシガエル、ブラックバス、オオキンケイギクなどは、半数以上の市町村で確認がなされているところであります。
さらに、先ほど御指摘がありました人の身体に影響を及ぼすおそれのあるセアカゴケグモを初めカミツキガメなども一部の地域で生息が確認をされている状況であります。
次に、本県におきます今後の外来種対策についてお答えをします。
御指摘のとおり、外来種対策は、生物多様性を保全する上で大変重要な課題であると認識をいたしております。このため、平成十六年度に実施をしました調査結果を踏まえまして、県内に広く生息しているということが確認されましたヌートリアあるいはアライグマなどの対策を進めますため、十七年三月に外来種捕獲手法マニュアル、これを作成しまして、関係機関に周知することによりその防除の推進を図ったところであります。
今後の外来種対策についてでありますが、本県の実態を踏まえ、適切に対応していく必要があります。そのため、平成二十年三月に改正をしました自然環境の保全及び緑化の推進に関する条例におきまして、生態系に著しく悪影響を及ぼすおそれのある外来種を選定、公表するとともに、これらの種の拡散につながる行為の禁止などの規定を新たに設けたところであります。
新年度におきましては、学識者などで構成をする検討会からの助言を受けまして、県内に生息、生育する外来種の種類、あるいはその分布の状況などを幅広く調査をし、生態系に悪影響を及ぼすおそれのある外来種については種の名前を公表することといたしております。
また、こうした外来種の分布状況や、生態系への影響の内容及び防除に関する情報などにつきましても、幅広く周知を図りまして、外来種の防除対策の推進に努めてまいる所存であります。
以上です。
89:◯副議長(鈴木愿君)
進行いたします。
中根義一議員。
90:◯四十六番(中根義一君)
私からは、第二款総務費第二項総務管理費のうち、研修費に関して質問させていただきます。
今回の不適正な経理処理については、本会議においても、我が党の代表質問を初め何人かの方が取り上げ、また、知事のほうからも答弁があったわけでございますが、私からは、少し焦点を絞って、職員の意識改革についての取り組みについてお尋ねをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
ちょうど一年前、昨年の三月ごろ、県の地方機関の職員が傷害で逮捕され、これをきっかけにして県の職員が相次いで逮捕されました。こうした不祥事を報道で見るたびに、本当に県の職員はどうなっているのかということを感じたのは私だけではないと思います。
これに対して、県は、不祥事防止対策として年二回の職員倫理週間を設定するとともに、不祥事防止チェックシートを作成し、いろいろな防止策を講じてきたわけでございますが、また、懲戒処分の基準等も見直し、国が定めた基準よりも県の基準のほうを重くしたり、あるいは職員の倫理意識の向上にも努めてこられました。にもかかわらず、不祥事の防止に歯どめがかかりませんでした。
とりわけ、今回の会計検査院の実地検査による不適正な経理処理の発覚でありました。これは幾つかありますが、問題は、需用費における預け、あるいは一括払い、差しかえ等の不適正な経理処理が、これを全庁的に調査した結果、十四億九千万に上っていたということでございました。
こうした不適正な経理処理等は、その後、これでないだろうと思っておったら、また監察によって明らかになった四つの地方機関において、不明朗な現金の問題が出てまいりました。
こうした一連の県政に対する問題については、県民の信頼を大変損ねたということは間違いないわけでございまして、そこで、その原因としましては、再三にわたるように、何遍も皆さんが言っておられる職員のコンプライアンス意識の点、あるいは公金意識の欠如という問題があるのではないかということを言わざるを得ません。
我々にとっては、公務員というのは法令を遵守し、言ってみれば、非常におかたい仕事だと一般の人たちは理解しているわけですが、そうしたことによって、民間の人たちを裏切るような行為があったということは本当に残念なことであり、ここでコンプライアンス意識の向上を一層しっかりしなきゃならない、あるいは職員全員そろってきちっとした形で取り組んでいかなきゃならんということが県民の不信に対する回復ではないかというふうに思うわけでございます。
そこで、まず、職員のコンプライアンス意識を高めるということが今何よりも重要なことと思いますが、質問に入らせていただきます。
一つは、県は、経理不適正のための改善あるいは再発防止策として、物品の調達事務を見直したり、あるいは監査体制の強化を図ることによって、業務としての改善を行うということに取り組んでまいるということですが、もう一つは、研修による職員のコンプライアンス意識の向上を図るということでありますが、ここでお聞きしたいのは、これまで行っていた公務員倫理研修のどこに問題があったのか、この点についてまずお伺いをします。それを踏まえて、倫理研修に問題があったということで、今度コンプライアンス研修を行うということでございますが、この点についてまずお伺いをさせていただきます。
二つ目は、新たに取り組むコンプライアンス研修についてでございますが、職員みずからがコンプライアンスを自覚して、不祥事や不適正な経理処理を二度と起こさないという、そういう意識を全職員が共有することが大切であろうというふうに思うわけでございます。
そして、この研修の実効性を高めるためにどのような取り組み、例えば具体的に研修日程だとか、あるいは対象者だとか、対象人員だとか、そういった問題についてどう取り組んでいかれるのか、質問をさせていただきます。
以上です。
91:◯総務部人事担当局長(河村敏文君)
公務員倫理研修についてお尋ねをいただきました。
まず、これまでの研修においての問題点を踏まえた今後のコンプライアンス研修についてでございますが、これまで実施してまいりました公務員倫理研修は、服務規律の保持ということを中心とした内容でございましたし、また、受講対象者も、各所属で職場研修を担当しておりますグループ班長を対象としておりました。
したがいまして、今回問題になりましたような財務規則の会計手続などについての法令遵守の観点がなかったこと、また、各所属におきまして、公務員倫理研修を直接受講した職員が限られていたこと、これが主な反省点でございます。
こうした反省点を解消するため、来年度から、服務規律を初め幅広く法令遵守に関する研修を行うとともに、対象者の幅を広げまして、各所属で研修を担当いたしますグループ班長のほかに、本庁の課室長、地方機関の長、それから、各所属の出納員、合わせまして約千百人を受講対象者といたしまして、対象者別に年三回のコンプライアンス研修を実施してまいります。
また、新規採用職員から管理職員に至るまでの約二千人を対象といたします階層別の研修において、新たにコンプライアンスの科目を設け、研修内容の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
また、講師につきましても、これまでの人事課職員のほかに、コンプライアンスを専門といたします大学教授や、会計の専門家あるいは地元企業の役員の方々を加え、幅広い観点から研修をしてまいりたいというふうに考えております。
次に、研修の実効性を高めるための取り組みについてでございます。
まずは、研修を受けた受講者一人一人が、コンプライアンスについてしっかり自覚することはもちろんでございますけれども、こうした研修の受講者が研修の内容を職場に持ち帰って、職場の職員にきちんと伝える仕組みにしていくことにしておりまして、こうしたことにより全職員が共通の認識を持つことになると考えております。
また、本年度から年二回、年度初めと年末に設けております職員の倫理週間、この機会をとらえまして、各所属にコンプライアンスを徹底してまいりたいというふうに考えております。
さらには、各職場で実施しておりますおはよういっせい運動、この際にコンプライアンス意識の重要性について一人一人が発言をすることによって、職員の自覚を促してまいりたいというふうに考えております。
いずれにいたしましても、こうしたことを繰り返し繰り返し行うことによりまして、より実効性を高めてまいりたいというふうに考えております。
以上です。
92:◯四十六番(中根義一君)
今、それぞれお答えをいただいたんですが、やはり問題は再発防止だと思うんですね。今、そういった取り組みの中で、じゃ、実際起きないかどうかということなんですが、例えば、鉄道なんかは、各電車電車、必ず運転手も車掌も、それから、駅員の皆さんも指差しできちっと確認をして、それぞれ出発したり、運行しておるわけでございますが、それでも、けさ、名鉄で朝、事故があったということでございます。
そこまでやっても人間の力で及ばないところがあるわけでございますが、やはり今言われたように、この際、もう徹底的に研修を行っていく、その中で、自分たちの、まず、朝、おはよう声かけ運動をしていくということですが、私は、この声かけ運動だけではなくて、朝礼で毎朝ある程度職場職場あるいは職域職域でそういった問題、きちっとした、きょう一日何をしていくんだ、そして、その中で自分たちの確認することは何だという、そういう確認事項をきちっとしていく必要があるのではないかと思うんですが、この点、今、おはよう声かけ運動をやっていくということですが、そういった、今私が言ったようなことは、実際これから取り組んでいかれるのかどうか、その点を一つお聞かせをいただきまして、再質とさせていただくと同時に、今申しましたことを含んで要望させていただきます。よろしくお願いいたします。
93:◯総務部人事担当局長(河村敏文君)
職場研修の充実についてのお尋ねでございます。
それで、先ほどお答えいたしましたおはよういっせい運動、これは既にかなり以前からやってございまして、これ、毎朝、各職場におきまして、職員の、以前でいいますと管理職なんかがやっていた時期もありましたけれども、最近ではどこでも、職員一人一人、担当の者を含めまして、毎日変えるような形でやっておりまして、そういった中で、職員が自分みずからコンプライアンスが大事だということを、一人一人が言ってもらうことによって自覚を促すといったことで、先ほど指差し点検のようなことをお示しいただきましたが、そういったことになるのかなというような気がしておりますので、そういったことを今後も続けてまいりたいというふうに考えております。
以上です。
94:◯副議長(鈴木愿君)
進行いたします。
鈴木正議員。
95:◯四十七番(鈴木正君)
私は、歳出の第二款総務費第二項総務管理費の地方分権推進費につきましてお尋ねしたいと思います。
と申しますのも、地方分権一括法が施行されて以来、私自身、この法律の成り行きといいますか、実際の対応について深い関心を持っておるわけでございます。そういった意味で、これは、県はもちろんでございますけれども、市町村に対しましても非常に関心を持ち、また、この進行の度合いによってはその対応を市町村自身がやっぱり考えていかなきゃならないというようなことにもなるわけでございます。
現在までの県の対応につきましては、本当に真剣に取り組んでおっていただきますので、ありがたく思うわけでございますが、そういったことを前置きして、質問に入らせていただきたいと思います。
皆さん御承知のとおり、現在、第二期地方分権改革の議論が進められておるわけであります。地方分権につきましては、政府の地方分権改革推進委員会が昨年五月に、道路や河川の権限移譲を初めとする重点行政分野の抜本的見直し及び都道府県から基礎自治体への権限移譲の推進を大きな柱とする第一次勧告を行っております。
また、昨年末には、地方整備局や地方農政局を初めとする国の出先機関の見直し及び国の法令による地方への義務づけ、枠づけの見直しを内容とする第二次勧告を行いました。
いよいよ本年は、分権委員会から第二次勧告で示された義務づけ、枠づけに関する具体的な見直し案や、税財政改革などを内容とする第三次勧告が示される予定であります。
そして、政府は、これらの勧告を踏まえ、地方分権改革推進計画を策定し、新分権一括法案の国会提出を目指すこととされております。このように、第二期分権改革はまさに正念場の年を迎えることになります。
こうした分権改革の動きに合わせて、地方分権の先にある道州制についても同様な動きがありました。
昨年三月には、政府の道州制ビジョン懇談会の中間報告、七月の我が党本部の道州制推進本部による道州制に関する第三次中間報告、十一月の日本経団連による道州制の導入に向けた第二次提言など各界から道州制に関する報告や提言がなされておりますが、まだまだあるべき道州制像についてはさまざまな意見や考え方があることから、議論の骨格が固まっているとは思えません。これからさらに議論を深めていく必要があるものと考えております。
こうした中、分権委員会の第二次勧告では、国の出先機関の見直しについて、地方整備局、地方農政局などを統廃合して、府省を超えた総合的な出先機関として、地方振興局や地方工務局を設置することとされております。
さらに、勧告では、これらの総合的な出先機関を、将来、道州制などの新しい行政体制が検討される際の新しい国と地方の関係に向けた先駆的移行措置として位置づけており、道州制議論をもにらんだ内容となっております。
ところが、国の出先機関を統合することがどのように分権型社会の実現につながっていくのか、また、道州制とどのような関係があるのか、勧告からは見えてまいりません。
また、これから進められる第三次勧告に向けての税財政改革の議論が国、地方を通じた財政危機の中、果たして地方にとって望ましいものとなっているのか、さきの三位一体改革の教訓が生かされるのかと大きな不安があるところであります。
こうした地方分権、道州制に関する国等の動きに対しては、我々も地方の側として黙って見ているわけにはいきません。分権や道州制の問題について地方の立場から積極的に取り組んでいくことが必要であると思っております。
そこでお尋ねいたします。
道州制を含めた地方分権改革に関するこのような課題に対し、どのように考え、今後どのような取り組みを進めていかれるおつもりなのか、お伺いをいたしまして、質問を終わります。
96:◯総務部長(島田孝一君)
地方分権改革への取り組みについてお答えをいたします。
まず、国の出先機関の見直しについてでございますが、昨年十二月に政府の地方分権改革推進委員会が行いました第二次勧告では、地方への権限移譲が極めて限られた内容にとどまっております。また、こうした中、新たに総合的な出先機関を設置する内容が示されておりますけれども、これでは、強大な国の出先機関が出現して、むしろ、分権、さらには分権の究極の姿である道州制に大きく逆行するのではないかと強い懸念を抱かざるを得ないところでございます。
次に、第三次勧告についてですが、現在、分権委員会におきましては、税財政制度の抜本的な改革に向けた議論が始まっております。さきの三位一体改革では、国庫負担率の引き下げなど国から地方への単なる負担のつけかえにすりかえられてしまったと、こういったことで、地方の自由度や裁量の拡大には至りませんでした。こうした轍は二度と踏んではならず、第三次勧告は、分権型社会にふさわしい税財政制度の構築、これにつながるものとならなければいけないと、こう思います。
そのため、今後こうした考えを基本として、本県独自に、あるいは他県と連携し、さらには全国知事会を通じまして、引き続き政府や分権委員会に積極的に働きかけをしてまいりたいと考えております。
こうした働きかけの一環として、本日、神奈川県、大阪府と共同して、三府県による地方分権改革の推進に向けた提言を政府や分権委員会に対し示し、強力に要請をいたしているところでありまして、今後ともこうした取り組みを重ね、真の分権型社会の実現を目指してまいりたい、こう考えております。
以上です。
97:◯副議長(鈴木愿君)
進行いたします。
米田展之議員。
98:◯八十五番(米田展之君)
私は、歳出第五款環境費第一項環境対策費のうち、本県における地球温暖化対策の自主的なCO2削減活動であります仮称排出量取引地域モデル事業についてであります。
さて、昨年八月に視察しました高知県では、同県の推進する排出量取引地域モデル事業が、昨年六月、環境省から国のカーボンオフセットの基準づくりモデル事業に選ばれました。
同県は、全国の自治体で初めて県CO2削減専門委員会による独自の認証制度を昨年一月に設計完了しておりまして、信頼・透明性のあるCO2削減量の認証方法などが国内共通の基準策定を進める上で先行事例となったものであります。
カーボンオフセットのカーボンは炭素、オフセットは相殺、埋め合わせ、こういう意味であります。個人や企業がみずからの日常生活や経済活動で排出するCO2量を認識して、自然エネルギーへの転換などによる排出削減に自主的に取り組み、削減が困難な分については、他者の削減活動に投資することなどにより埋め合わせをしようとする考え方であります。
高知県の排出量取引地域モデル事業は、カーボンオフセットの具体化に向けて、自県の豊かな森林資源を地域活性化に生かす観点から平成十九年十月にスタートいたしました。
県文化環境部環境共生課によりますと、制度の方向性として、間伐材を石炭の代替燃料として活用し、削減されたCO2排出量を県が認証する。
二つ目に、京都議定書に準拠した制度設計を行い、環境先進企業にCO2削減クレジットを発行していくというものであります。
同県の委託を受けまして、木質バイオマス発電によるCO2削減に取り組んでいるのは、同県須崎市の住友大阪セメント高知工場であります。平成十九年度前半の半年間で、県内山間地域の森林組合から集めた間伐材など約千百トンを社内の火力発電所ボイラーに使用。未加工の木材を均質な燃料にするために、専用の破砕機や選別機を導入しまして、本格稼働しているとのことであります。
同社は、須崎市が進めるクリーンエネルギーのまちづくりの一環といたしまして、製材くずや建築廃材なども利用。木質バイオマス使用量は年間三万トン以上で、同社総発電量の約一〇%を占めておりまして、平成二十年度は使用実績を四万トンに上げる計画だということであります。木質バイオマスを使うコスト上のメリットはないとのことでありますが、CO2削減の観点から、石炭にかわる燃料源への対応は必要だと同社は考えており、木質バイオマス等の利用は拡大するのではないかと今後の方向性を語る旨の新聞報道がなされておりました。
同事業における間伐材の活用は、平成二十年度で二千二百トンの予定でございますが、同県環境共生課では、木質バイオマス資源は、セメント工場の発電用ボイラーだけではなく、園芸ハウスの熱利用ボイラーなどにも利用幅を広げていくことも可能と利用対象の拡充を図っていく方針でございました。
ところで、同県がセメント工場に委託して取り組んでおります木質バイオマス発電で生み出されたCO2排出削減量をだれが購入するのかと申しますと、それは、首都圏でショッピングセンターを展開するJR東日本系の会社「ルミネ」がカーボンオフセットとして購入することが決まっております。
同社は、環境省の地球温暖化対策事業、自主参加型国内排出量取引制度にも参加するなどして、社を挙げてCO2削減に取り組んでいる企業であります。
同社は、購入した削減量で、社員らが通勤時に公共交通機関の利用や、オフィスでの電気や空調利用等々で排出するCO2と相殺するカーボンオフセット事業に取り組むことにより、企業イメージをより一層向上させようとしているわけであります。
一方の高知県は、間伐材を燃料にしたCO2削減を県内の森林整備の資金獲得につなげる環境戦略、産業戦略を立てておりました。今後の購入企業の広がりに期待を膨らませる担当者の職員の姿が印象的でございました。
もう少々高知県のことを御紹介させていただきたいと存じます。
平成十九年十月、高知県議会は、全国初のCO2±ゼロ宣言を決議をいたしまして、その実現に向け、高知エコデザイン地方議員連盟による実行計画づくりも進めており、平成二十年九月に、県民総ぐるみで地球温暖化対策を目指す高知県地球温暖化防止県民会議を設立をいたしました。
同県は、県土の約八四%を森林が占める全国一の森林県であり、その特徴を生かした木質バイオマスの活用や、また、地球温暖化対策を国の規制外の自主活動として今後進めていくために必要な仕組みでございますカーボンオフセット制度の具体化に向けた取り組みが全国から注目されているわけであります。
さて、このモデル事業の魅力は何かと申しますと、一つは、地方によるCO2排出削減量の商品化で、都会の人が田舎の植林整備に貢献する仕組みづくりができたことであります。
二つ目に、国内では、現在のところ、CO2削減量の測定方法が未整備でございますので、将来の排出量取引制度が実現されることを視野に入れ、環境省と連携しながら国内ルールを整備しようとしていることであります。
もう一点、カーボンオフセットをめぐる最近の世の中の動きを御紹介しておきます。
それは、インターネットで有名なヤフーが昨年七月から始めましたインターネット上のカーボンオフセットサービスであります。自室のパソコンからブラジルの水力発電事業などから生じたCO2排出枠を購入しまして、自分が出したCO2をオフセット、相殺するという仕組みであります。開始一カ月後で二千八百人以上が利用したと報道されております。一回当たりの購入金額は三百円。利用者全体の六割を二十代、三十歳代が占めているとのことであります。手軽さが環境意識に鋭敏な若者を呼び込んだのだろうと考えられます。
このように、カーボンオフセットという仕組みがだんだん世の中に普及してきております。
さて、本県にも、間伐の手が入っていない多くの森林山野がございます。これもまた、高知県の先進的な取り組みを本庁行政に導入する大きな誘引であるはずであります。
また、国や国際レベルに目を転じますと、我が国の温室効果ガス削減は、京都議定書の二〇〇八年から二〇一二年までの平均で、基準年の一九九〇年比でマイナス六%削減するという公約達成は大変厳しい状況でございます。
二〇〇六年における家庭部門からのCO2排出量は一億六千万トン強と一九九〇年時から約三割も増加しております。産業界が小幅ながら排出量を減らしたのとは対照的でございまして、家計部門に温暖化ガスを削減するバッファー、余地は十分にございます。
したがいまして、県行政による県民に対するエコ活動の推進、もう少し踏み込んだ形でのCO2削減のための啓発活動が大切になってまいります。これからは、社会の隅々まで行政、産業、家庭などすべての経済活動部門が環境を強く意識して動くようにする必要がございます。
昨年十月から国内の産業界部門では、自主参加かつ自主的な目標設定という形で国内排出量取引制度が施行されました。
また、もう一歩進んだ強制力を持った国内排出量取引制度が首都東京都が二〇一〇年度から実施するということも決まりました。東京都議会は、昨年六月にCO2削減を義務づける条例、環境確保条例改正案を可決をしたからでございます。内容は、原油換算で年間千五百キロリッター以上のエネルギーを使う大きな事業所千三百カ所を対象といたしまして、CO2排出量の削減を義務づけ、強制力のある国内排出量取引制度を国に先駆けて導入しようとするものであります。CO2削減ができない事業所には、最高五十万円の罰金が科されることになっておりまして、罰則を伴ったCO2削減条例ができるのは我が国で初めてでございます。
大企業に厳しい規制を課す一方、二〇〇九年から二〇一〇年の二年間で、都内四万世帯に太陽光パネルを設置する計画も発表しております。太陽光パネルの価格の約十分の一程度を補助しながら、再生可能エネルギーの価値を都が約九十億円の予算で購入するという考え方であります。
また、東京湾にあるごみ埋立地に約七万本の木を植えまして、海の森をつくる計画も立ち上げました。
このように、時代は、また世界は、環境というキーワードを軸に、ハード、ソフト両面で急速に新たな地平線に挑戦しようとしております。
そこで質問いたします。
本県も、農林業の活性化や、県民のエコ活動の活性化につながるカーボンオフセットの仕組みづくりに取り組む意思はあるのかどうか、伺いたいと思います。
99:◯環境部長(藤井敏夫君)
カーボンオフセットについて御質問をいただきました。
カーボンオフセットは、御指摘のとおり、事業活動などによる温室効果ガス排出量の全部または一部を別の場所での排出削減量や、森林による吸収量などを購入して埋め合わせをするという仕組みであり、市場メカニズムを活用した地球温暖化対策として効果が期待できるものと考えているところであります。
国では、環境省が中心となりまして、温室効果ガス削減量の算定の方法、あるいは第三者による認証の手続などカーボンオフセットの大枠を定め、昨年十一月に明らかにしたところであります。現在、この制度の対象となる排出削減事業の範囲あるいは認証基準の設定などの検討がなされている段階であります。
こうした市場メカニズムを活用した地球温暖化対策につきまして、統一的なルールのもと、広い市場で展開することが効果的であると、このように考えております。
本県といたしましては、環境省が主催をいたしますカーボンオフセット等についての情報の共有、意見交換の場でありますカーボンアクション・プラットホーム、これに他の自治体とともに参画をいたしまして、情報収集を進めながら、地球温暖化対策としての市場メカニズムの効果的な活用について、御指摘の高知県の事例も含め研究を進めているところであります。
以上です。
100:◯八十五番(米田展之君)
御答弁いただきました。
先ほども申し上げましたように、世の中は環境ということをキーワードにいたしまして、低炭素時代に向けて急速に走り出しているわけであります。
我が国政府は、京都議定書の、二〇一二年まででございますが、この期間中にも、債務負担行為といたしまして、たしか七千五百億円だったと記憶いたしますが、こういった規模で税金をつぎ込んで、国際市場から排出枠を購入する計画、こういうふうに承知をいたしております。もったいない話であります。
税金は、雇用を生み出す環境産業の創出、こういったところに積極的に生きた金として使うべきであります。後処理ではなくて、生きた金に回してほしいと強く要望するわけであります。
そこで、本県におきましても、スピード感を持ちまして、カーボンオフセットの仕組みを構築をいたしまして、先ほど環境部長さんがおっしゃいましたような広い市場でもって、農林水産業、こういったところの活性化に生かしていただくよう強く要望して終わりたいと思います。
以上でございます。
101:◯副議長(鈴木愿君)
進行いたします。
筒井タカヤ議員。
102:◯百番(筒井タカヤ君)
歳出第二款総務費第二項総務管理費からお尋ねいたしてまいります。
まず、総論から入ります。
私の自宅に数多くの意見が届いております。過日に行った不正経理についての県民の声です。県議会のインターネット放映及び録画を見ての意見です。改めてインターネットの威力を実感いたしました。
一般県民と県職員からです。
一般の県民からは、不適正と不正のあったことを初めて知った。筒井議員の話で、初めて民間の企業のように部、局、課、係でそれぞれが予算化されたお金がその時々に見合った効率のよい使い方をすると不適正になるんですね。何で今まで異常な経理処理を改善しなかったんでしょうね。今回の不適正とされることは、実態にそぐわないまま放置した知事及び幹部職員にこそ責任がある。マスコミも、裏金という表現で間違った報道もいけないという反応がありました。
県職員の声です。
県立病院の看護師さんや、若い職員の声の質問に何ひとつ回答されなかった知事、副知事さんってどういう人なの。議会での答弁を聞いていてがっかりしたわ。何で自分の生の声で、いろいろあるけれども、これこれの理由でぜひぜひお願いしたいと魂ある精いっぱいの思いを伝え、話さなかったのでしょう。あんなのじゃ説得力に欠け、進んで返還金が支払ってもらえないですよ。県職員の上司も、自分の職場の返還金ノルマもあって大変だ。今どきの若いドライな若者に、何とか頼むよなと御機嫌取りする姿が目に浮かぶ。給料も下げられ、処分も受け、返還金も支払って、部下に、あなたの指示で残業まで協力させられた、その人たちにも返還金を求める。こんなことで大丈夫ですかと言われ、私自身も返答に困りました。
きちんと話すべきとき、話すべき場所でもって堂々と知事及び副知事、お話しください。もっと強い心で愛ある言葉でもって話をしてください。
再質問において筒井議員が話された看護師さん、病院の医師、そして、不適正とされた期間に県職員でもなかった人にまで何で返還金を支払わなきゃいけないのか、もう一度、知事、副知事さんに尋ねてもらうようにとの要望もありました。
理屈なしの総ざんげだけとするのですか。きちんと納得できるように語ってください。
ましてや、先日の私の一般質問に対する答弁では、今回の返還金、二万四千人は、県職員の職務をかんがみての自主的な気持ちの総意としてのものである、返還金はあくまでも任意であると表現されました。
しかし、私は、昨日、二月二十六日付職員返還金事務局の資料を入手してびっくりしました。この資料の内容は、どう見ても任意返還金ではありません。理屈なしの準強要、強制であります。
返還金は、現職は所属、職場で取りまとめていただくため、振り込み用紙の必要は少なくなるとあります。職場で現金を集める方法は異常です。上司は部下の返還金を集め、振り込むのです。
また、日々の支払い状況を再々点検して、三月末まで、最終は七月末までに全員返還金を支払うようにさせよという内容です。
再度言います。ここから何が生まれるのでしょうか。こんな異常な状況をつくりながら、平然と返還金は任意ですという神経こそが異常だと私は思います。
一人の県民として県幹部職員は、もっともっと一人一人の県職員にまことを持って語り、理解を求める姿に戻っていただきたいと良心の叫びをここに届けます。
本論に入ります。
物品調達体制の拠点化についてです。
今回の一連の不適正な経理処理に対して、県は、全庁を挙げて膨大な調査を実施し、実態解明や原因究明を行い、外部委員会の意見も踏まえ、職員の意識改革、物品調達体制等の見直し、予算執行等の見直しなど、実にさまざまな改善・再発防止策を打ち出しております。
この改善・再発防止策の一つである地方機関における物品調達体制の見直しのために物品調達拠点整備費八百五十五万八千円が計上されておりますが、私は、これに関する予算案について、撤回もしくは執行の凍結及び延期をすべきとの考えから以下質問をいたします。
この見直しの背景として、県は、規則等を無視した前例踏襲など職員一人一人のコンプライアンス意識の欠如とともに、地方機関で物品調達事務を独自に実施してきたため、内部統制が十分に働かなかったことにより今回の不適正な経理処理につながっていたことなどを挙げています。
でも、私は、県知事を初め財政当局が実態にそぐわない、お役所だけが通じる硬直した独自の会計処理を放置してきたからであって、それを改善すれば、優秀な県職員は的確にお仕事はできると確信するものであります。
今回、一気に、これまで各地方機関で物品調達にかかわる一連の手続を行っていたものを出納事務局に調達課を設置し、三カ所の調達拠点で事務を集中しようとしています。
また、納品検査については、調達拠点の三カ所のほかに納品検査拠点を六カ所設置し、出納事務局の職員が出向いて行うとのことであります。まことに厳格かつ非効率的なやり方を考えておられると思います。そこまで今回の問題でやらなければならないのでしょうか。
県職員の多くは、三奉行所を尾張、西三河、東三河に設置し、さらに六カ所のお大目付所を設置すると言っております。さすが優秀な県職員だと感心しました。実にうまい的確な表現だと思います。
確かにこの見直し案は、不適正な経理処理の改善、再発防止策としては効果があるものと思われますが、一方では、出納事務局の拠点に調達事務が集約されることから、行政の硬直化の弊害や危険性を秘めているのではないかと思われます。これで本当に生き生きとした行政ができるのでしょうか。
再度申し上げます。
私のところにも職員から疑問の声が数多く上がっています。
地方機関の職員は、物品調達の集中化を図らなければならないほどレベルが低いと思われているのか。
こうして見てくると、本庁の職員は優秀で、地方の機関の職員はそうでないという意識につながっていきます。そのギャップはいつまでたっても埋まらない。今回の問題でさらに増幅する危険性があることを認識していただきたいのです。このような地方機関の職員の気持ちも心にとめていただきたいと思います。
そこで、三点をお尋ねいたします。
一点目は、この見直しによって、地方機関は物品調達の権限が実質的になくなり、地方機関が必要と考える物品も本庁の了解がないと買えなくなるという心配があります。これは、本庁集中、中央集権であり、地方分権の時代に逆行するもので、地方機関の長の権限や地方機関の職員のやる気すら奪ってしまう制度改革ではないかと思います。こうした見直しは行うべきでないと考えますが、所見を求めます。
二点目は、実施時期についてであります。
県は、平成二十一年七月から調達拠点での運用を開始するとのことでありますが、私は、これだけの大きな制度改革をするには拙速過ぎるのではないかと考えます。
職員は、皆二度と不適正なことはしないと思っているのに、なぜ急激な形で拠点化を急いで実施するのですか。もっと地方機関の職員の生の声を聞いてください。本庁だけでつくったものでなく生きた形にすべきだと思います。みんなが納得、理解した検討があってこそ抜本的な改善案が生まれるのです。
今回の不適正な経理処理に対する改善・再発防止策として、これらの見直し以外にもさまざまな再発防止策が講じられることから、これらの結果をじっくり見てから調達体制のあり方を検討しても遅くはないのではありませんか。
納品書でしっかりチェックするなど他の対策で適正化が図られ、チェック体制が整うのであれば、この拠点化は必要ないと考えます。事務処理や経費が増加するだけであります。
もっと地方機関の意見も真摯に聞いて、もっと全庁的にこの案を実施したら、どれほどの弊害が、すなわち、非効率的な中央集権的なものが生ずる危険性が含まれているかなどといったさまざまな角度でもって意見を検討するのが最善と思われますが、実施時期に固執しないという考えはありますか、所見を求めます。
三点目は、地元業者への影響についてであります。
調達拠点や納品検査拠点から離れた地元業者にとっては、それぞれの拠点まで契約時や納品検査時に出向かなくてはならず、非効率性と負担が大きくなります。また、地方機関の実情を十分に理解し、これまでさまざまな注文に迅速かつ的確に対応してきた地元業者の中に競争力のある大手の業者が参入してくることにより仕事が奪われ、これまでどおり取引を継続することができなくなるおそれがあるのではないか心配です。
未曾有の経済危機で地域経済も著しく冷え込んでいるところにこのようなことを行えば、致命的なダメージを与えかねないと考えます。地元業者に対してどのような対応策を考えているのか、所見を求めます。
再度申し上げます。
物品調達体制の今回の案には、一利あって百害が含まれていることを指摘します。もっともっと議論を尽くすべきであることを申し述べ、質問を終わります。
以上です。
103:◯会計管理者兼出納事務局長(夏目安孝君)
物品調達体制の拠点化につきまして御質問をいただきました。
まず、拠点化による地方機関の権限についてであります。
今回の不適正な経理処理の原因の一つとして、地方機関では、物品の購入決定、契約締結から納品検査、支払いまでの一連の事務をすべて同一の所属内で行っていたため、内部統制が機能しにくい状況にあったことが挙げられております。
こうしたことから、今回の見直しは、地方機関では物品の購入決定と支払い事務を、調達拠点では契約締結と納品検査をそれぞれ分担することで、発注側と契約側を分離し、不適正な経理処理が起きない仕組みを構築しようとするものであります。
最も重要な物品購入の決定権は、従来どおり地方機関に残りますことから、地方機関が必要な物品が買えないということはないものと考えております。
次に、実施時期についてであります。
県民の皆様の信頼を一日も早く回復するためには、できるものは迅速に対応することが必要であります。こうしたことから、不適正な経理処理に関する全庁調査報告書に物品調達体制の拠点化を四月に組織設置、七月からの運用開始を盛り込んだところであります。
拠点化を進めるに当たりましては、地方機関の事務事業に支障を来さないことが大切でありますので、これまでも地方機関の意見を聞いて検討しておりますが、四月からの三カ月間に事業者への周知や地方機関との意見調整をしっかり行いまして、七月から円滑に運用が開始できるよう努めてまいります。
次に、地元事業者への対応策でありますが、地域振興という観点からも十分に配慮する必要があるものと考えております。
調達拠点から遠い地元事業者の納品検査の負担等を考慮しまして、三カ所の調達拠点以外に納品検査拠点を六カ所設けることとしておりますが、その数や場所につきましては、弾力的に対応してまいりたいと考えております。
また、見積り競争への参加事業者を所在地で制限することや、調達拠点から遠い地元の事業者が調達拠点まで出向かなくても見積もり競争に参加できるよう、地方機関の調達案件を当該地方機関や納品検査拠点等に掲示したり、見積書の提出を郵送やファクシミリでも行えるようにしたりすることを検討しております。
さらに、取引事業者の利便性の向上のため、電子調達システムによるオープンカウンターの利用範囲の拡大を図ってまいります。
以上です。
104:◯百番(筒井タカヤ君)
ただいま地方機関の物品調達体制の見直しは必要であり、平成二十一年七月から予定どおり調達拠点での運用を開始するとの返答をいただきました。
しかしながら、一たんこのような組織体制をつくってしまうと、簡単には変更できなくなるのが役所であります。慎重にも慎重を期して十分検討していただきたい。そのためにも、何が何でも予定どおりに七月から実施するのだという概念にとらわれることなく、考えている体制を確立することによる弊害があるとするならば、何があるのかについてを県全体でもって検討することも重要だと申し上げているのであります。
そこで再質問を行います。
本当に七月実施を見直し、おくらすことはできないのか、私にはこの点がどうにも納得ができません。どうしても七月から運用を開始するなら、万一、調達拠点で運用を開始した後に弊害が発生したり、不都合なことがあった場合には、随時修正及び見直すこともあり得るのかについてお尋ねいたします。
また、地方機関の職員から見直し要望が出されたときには、柔軟に対応するおつもりがあるのかを所見を求めます。
再度申し上げます。
このような重要な事項の組織を慌てて立ち上げたことは余りにも余りにも拙速である。幅広く意見を求めることこそが必要であると申し上げる。
以上、私の県会議員としての良心に基づいた魂の叫びです。あとは、所管する委員会における十分な審議に期待するとともに、議員の皆様の活発な議論を期待して、再質問を終えます。
以上です。
105:◯知事(神田真秋君)
再質問にお答えを申し上げます。
まず、実施時期を見直す気はないかとの御質問でありますが、本年七月からの運用を現在のところ考えております。
実際の運用上、見直すことがあるのかということでありますけれども、当然のことながら、支障があり、問題があれば、よりよい形に改善することは必要でありますので、見直しもあり得るものと考えております。
それに関連して申し上げなければなりませんけれども、今回の私どもの方針と決定は、一日も早く信頼回復をしたいものだとの思いから、いろんな知恵を絞り、多くの皆様方の御意見をいただきながら考えた改善策であります。一日も早く信頼回復しなければ、さまざまな業務に影響を与えることになりますので、できるだけ早く信頼回復を行っていきたいということでございます。
もちろん完璧でないのかもわかりませんので、先ほど申し上げましたとおり、もしいろいろな問題点があれば、よりよい形に改善してまいりたいと思っております。
また、今回の件におきましては、県議会を初め県民の皆様方に本当に御心配をおかけし、信頼を裏切りましたことにつきましては、幾重にも頭を下げなければならないと思っております。
ただ、誤解のないように申し上げなければいけませんのは、今回の、例えば預け金だとか一括だとか差しかえというのは、私は、これは従来言われた、いわゆる空出張やら空雇用に基づく裏金とは、御指摘のとおり性格は違うと思います。違うと思いますけれども、県民から見た場合に果たしてその違いを声高に言えるかどうか、胸を張って言えるかどうか。会計ルールに違反したことは間違いないわけでありますので、私は、発覚したその日に、プレスにも裏金と問われても仕方がない、したがって、その観点から改善をしたいと、そのように発表したところであります。
また、善良な多くの職員にすべてに負担をさせることがいいのかどうかという議論も確かにあります。とりわけ今、大変な経済状況の中で、職員には給与の抑制も強いております。そういう中で、さらにこうした返還金を求めるというのは本当につらい思いでいっぱいであります。
しかし、県民に対し、県庁が組織としてしっかりと反省し、これから改善していくために、さまざまな事情の中で組織の責任として対応することも、私は、県民に対する立派な責任のとり方だと考えておりますので、職員一人一人にお願いをし、何とかこの返還金に協力してほしいと呼びかけを行っているわけであります。もちろん強制するものではありません。しかし、強制ととられるような職員があるいはあるのかもわかりませんが、そういう点については十分配慮していかなければならないと考えているところであります。
いずれにいたしましても、大変今回は県民の信頼を裏切ったことで私も責任を大きく痛感しておりますけれども、一日も早く改善し、立ち直り、また信頼を取り戻していきたいと思っているところでございますので、よろしく御理解をお願いを申し上げたいと存じます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
106:◯三十七番(酒井庸行君)
本日はこれをもって散会し、三月九日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
107:◯副議長(鈴木愿君)
酒井庸行議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
108:◯副議長(鈴木愿君)
御異議なしと認めます。
三月九日午前十時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時五十五分散会
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