県政報告
平成21年2月定例会(第5号)
2009年3月4日
(主な質疑)
- 1: 午前十時二十分開議
◯議長(栗田宏君) ただいまから会議を開きます。
直ちに議事日程に従い会議を進めます。
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日程第一 諸般の報告
- 2:◯議長(栗田宏君) この際、諸般の報告をいたします。
本日、知事から追加提出されました議案は各位のお手元に送付いたしました。
以上、御報告いたします。
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日程第二 第七十三号議案控訴の提起についてから第
七十五号議案監査委員の選任についてまで
(提案理由の説明)
- 3:◯議長(栗田宏君) 次に、第七十三号議案控訴の提起についてから第七十五号議案監査委員の選任についてまでを一括議題といたします。
直ちに知事の提案理由の説明を求めます。
神田知事。
〔知事神田真秋君登壇〕
- 4:◯知事(神田真秋君) 議員の皆様方には、二月十九日の開会以来、当初予算案を初め各議案につきまして熱心に御審議をいただき、深く感謝申し上げます。
本日、控訴の提起に係る議案を初め三件を追加提案をさせていただきましたので、その概要を申し上げたいと存じます。
提案をいたしました案件の一件目は、いわゆる耐震強度偽装事件において、本県の建築主事が行った建築確認審査に関し、国家賠償法に基づき県に責任があったとして係争中でありました損害賠償請求事件に係るものであります。
去る二月二十四日の第一審判決におきまして、愛知県が一部敗訴をする判決の言い渡しがあったことに対し、控訴の上、敗訴部分の取り消し及び同部分に係る相手方の請求の棄却を求めるものでございます。なお、控訴期限が三月十日でありますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
二件目の知事の給与の特例に関する条例の制定につきましては、不適正な経理処理及び不明朗な現金等の問題に関しまして、知事としての道義的・政治的責任を明らかにするため、私自身の給料を四月、五月の二カ月間、十分の一減額することにいたしました。また、不適正な経理処理問題に係る返還金の一部に充てるため、六月の期末手当から二百四十万円を減額するものでございます。
三件目でありますが、さきに提案をいたしました監査委員に関する条例の一部改正により、監査委員の定数が現行の四人から五人に一人増員となりましたことから、新任者を選任いたしたく、その同意議案を追加提案するものでございます。
どうかよろしく御審議の上、適切な御議決を賜りますようお願いを申し上げます。
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〔議案は別冊付録に掲載〕
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日程第三 一般質問
- 5:◯議長(栗田宏君) これより一般質問を行います。
通告により質問を許可いたします。
須崎かん議員。
〔十二番須崎かん君登壇〕(拍手)
- 6:◯十二番(須崎かん君) おはようございます。通告に従いまして、順次質問いたします。
最初に、愛知県議会において、新税導入に当たり、これまで幾度となく取り上げている里地里山の活用、保全についてであります。
都市部の県民の方々から、里地里山とは具体的にどのようなところを指しているのかわかりにくく、イメージがわいてこないという話を伺うことがしばしばあります。里地里山という言葉がまだ県民の皆様に浸透していないと思われます。
そこで、里地里山についてひもといてみました。
日本最古の書物である日本書紀の巻第一において、初めてイタケルノカミが地上にやってきたとき、たくさんの木の種を天から持ってきてまき、日本じゅうを青山にしたとの記述、イタケルノカミの父であるスサノオノミコトは、子供のために日本じゅうに木々を植えたとの記述もあります。これは、千三百年以上前の古代日本人が植林や緑を大切にする重要性を既に認識していたという事実を示しているものであります。
さて、この地方で里山という言葉が使われたものを見ますと、一七五九年六月に、この愛知県、当時の尾張藩で作成された木曽御材木方という文書の中で、里山は村や人家の近くの山という意味で使われていたとの記録があります。
平成十九年に国が策定した第三次生物多様性国家戦略では、里地里山を長い歴史の中でさまざまな人間の働きかけを通じて特有の自然環境が形成されてきた地域であり、集落を取り巻く二次林と人工林、農地、ため池、草原等で構成される地域概念としており、国においても、里地里山について明確な定義はありません。恐らく一般的な人々が抱く里地里山のイメージは、原生林のような自然ではなく、自然に住む人々がある程度手を入れ、活用してきた自然というところが妥当ではないでしょうか。
里地里山は、なりわいの場として幾世代にもわたり、人々が自然に働きかけ、持続可能な農林業の営みが行われてきた一番身近にある自然であります。里山林や竹林、水田、畑、果樹園などの耕地、ため池、水路など水辺を含んで多様な環境により形成され、裏山の雑木林で燃料となるまきや炭をつくり、肥料として落ち葉を集めたり、生活資材として竹を利用するなど、日常生活の中で活用する雑木のことを金木というなど、里地里山は大切な場所でありました。
しかし、近年は、電気、ガス、水道等の普及等による生活スタイルの変化や、都市部へ働きに出る人の増加などにより、人々の里山林の利用が衰退し、手入れされなくなった里山がふえ、竹林も放置され、遊休農地が増大するなど、人と自然とのかかわりの中で形成されてきた里地里山は、生物の生息環境として豊かさも失われつつあり、大きく変貌しています。
このような中、来年十月に愛知・名古屋で開催されるCOP10や、開催にあわせて実施されるエクスカーションや国際自治体会議などにおいても、里山は重要なキーワードになると考えられます。
人と自然との共生モデルとも言える里地里山が日本の原風景として豊かな自然の象徴として紹介され、世界の関心を集めることが予想されます。
今さら申し上げるまでもなく、里地里山は、農業、林業の生産活動の場だけではなく、日本の原風景としての価値、地域文化の伝承、生物多様性の確保や自然環境学習、健康づくりの場、洪水防止など多くの機能を有しております。地域住民とともに都市部住民も大きな恩恵を受けております。
景観十年、風景百年、風土千年という言葉がありますが、里地里山は日本の風土として根づいてきた文化的な財産と言えます。
このように、多面にわたる機能を有し、私たちの心のふるさととも言える里地里山は、県民共有の財産として、生物の生息環境としての保全だけではなく、生物資源の持続可能な利用の面においても適切に維持管理し、上手に活用することは、単に里地里山地域に住む人だけでなく、都市部住民も含めた県民共通の願いであり、大きな課題であります。
ここで、新城市北部の鞍掛山ろくに広がる四谷千枚田の取り組みを紹介いたします。
この四谷地区の石積棚田は、かつて千二百九十六枚の棚田がありましたが、米の生産調整などにより休耕、転作が進み、作付される棚田の減少を目の当たりにした地区住民が、これ以上棚田を減らしてはならないとの思いから、平成三年からその姿を写真に撮影し、全国から大勢の人が訪れる平成六年の愛知国体開催時に、山岳競技のメーン会場である山彦の丘ギャラリーで写真展を開くなど、いろいろな場所で棚田と美しい景観の保全を訴えてまいりました。
そのような中でも、平成八年には作付される棚田は三百七十三枚まで減ってしまいました。こうした写真が大勢の人の目にとまることとなり、平成九年一月に鞍掛山麓千枚田保存会が発足して、棚田の保存活動が本格化すると同時に、都市部住民との協働による地域活性化への取り組みが始まりました。
今では、地元の耕作者の平均年齢は五十九歳で、その若さに対してはよその棚田関係者から驚きの声が多く上げられています。
平成十八年、世界じゅうで社会貢献活動に力を入れている製薬会社から応援するとの申し出があり、現在では約百名を受け入れ、草刈り、植樹等の環境整備が行われています。
このようなボランティア、企業の受け入れなどに当たっては諸費用もかかることから、同保存会の運営は大変苦しく、地元住民の協力のもと、何とかやりくりを行っているのが現状であります。
しかしながら、先祖が築いた偉大な財産として受け継いだ棚田を連綿と守り、その棚田を糧にさまざまな活動を継続し、生き生きと暮らせる里地里山の村づくりに邁進している小さな集落でありますが、すこぶる元気がよいそうです。
知事は、提案説明において、COP10の開催を契機として、愛知万博で培われた地域の環境力を結集し、さらに高め、持続可能な社会づくりの先導的役割を担う地域を目指し、先駆的かつ着実な取り組みを進めていかなければなりません。また、豊かな生態系が将来にわたって継承される県土を目指すと表明されました。まさに私の考えと一致するところであります。
里地里山を地域で保全していくことが難しくなっている現状の中で、県民共有の財産である里地里山を保全し、多面的な機能を次世代に継承するためには、県当局による保全の施策の展開はもとより、都市、住民など多様な主体の参画による保全が何よりも必要であると考えます。
本県では、現在、あいち自然環境保全戦略の策定を進められており、その目標として、恵み豊かな生物多様性をはぐくむ地域づくりを通して、人と自然との共生を実現するを掲げています。そして、生物多様性の保全、生物多様性の持続可能な利用、生物多様性を支える基盤づくりを三つの柱にして総合的な取り組みを推進すると伺っております。
そこで、一点目として、現在の策定中のあいち自然環境保全戦略において、里地里山をどのように位置づけ、その保全に取り組むかをお伺いをいたします。
さて、いよいよ平成二十一年四月から新たに導入されるあいち森と緑づくり税を活用して、森林、里山林、都市の緑をバランスよく整備し、森や緑の公益的機能の発揮を目指すあいち森と緑づくり事業がスタートいたします。このうち、里山林の整備、保全については、人工林の間伐と違い、その里山林の立地環境や自然環境、また、地域での位置づけやニーズなどによりさまざまな取り組みが必要になってくるものと考えます。
また、その取り組みは行政のみで進めるのではなく、地域の関係者やNPO等、県民の皆様との協働により進めていくことが重要で、そのことが将来にわたり継続した里山林の保全活動の推進につながっていくものと考えられます。
そこで、二点目ですが、あいち森と緑づくり税を活用した事業では、さまざまなニーズに応じた里山林の整備にどのように取り組まれるのかをお伺いします。
また、愛知県下の特定非営利活動促進法に係る法人設立は、一月末現在、千百八十六団体で、そのうち活動分野が環境保全、子供の健全育成を目的とした団体数は合わせて二百二十三団体となっております。これに地域のボランティア団体を加えますと、環境保全や環境学習の取り組みを行っている団体は相当な広がりがあると見られます。
そこで、三点目として、同じくあいち森と緑づくり税を活用し、里山などの環境保全活動や環境学習などを実施するNPO等の活動団体に対し、支援を行うとされておりますが、どのような支援を行うのか、お聞きします。
一方、愛知万博の瀬戸愛知県館をリニューアルして平成十八年にオープンしたあいち海上の森センターでは、里山の象徴とも言える海上の森を愛知万博記念の森として将来にわたり保全するとともに、森林や里山に関する学習と交流の場としての活用が進められています。ここでは、広く県民が参加できる海上の森の会を初めとして、地元自治体や企業、大学等と連携して、里山保全の先駆的なモデルとなることを目指した取り組みが行われております。
そこで、四点目ですが、今後、県内の里地里山において、都市住民などが多様な活動団体による保全活動を推進するためには、担い手となる人材を育成する必要がありますが、海上の森センターでは人材育成についてどのように取り組んでいくのかをお伺いをいたします。
以上、四点について伺います。
次に、愛知のニューツーリズムについてであります。
世界的な景気後退が進み、人口減少時代を迎えた今、団体旅行など従来型のマスマーケットを対象とした国内旅行が低迷し、国内旅行市場の構造変化が大きく進展しています。一方、好景気時代の活発な余暇経験を経て、余暇なれ、消費者の旅なれが進み、余暇市場、観光市場ともに成熟する顧客に対して、よりきめ細かく対応し、質の高い新たなサービスを開発し、提供することが求められるようになってきております。
現在、余暇と国内観光という二つの領域に一種の閉塞状況が見られる中で、さまざまな生活領域や楽しみの間のクロスオーバーや越境、再編という形で見直しや付加価値を高める動きが進み始めたことは、ある意味自然なことであると考えております。そして、このような変化が余暇と観光に共通するものであり、顧客のニーズに対して余暇の資源を観光に生かし、観光の資源を余暇に生かすことが双方の閉塞状況を破る一つの引き金になる可能性があるのではないでしょうか。
こうした動きとして、新しい旅の形でありますニューツーリズムについて取り上げたいと思います。
ニューツーリズムとは、従来の物見遊山的観光旅行に対して、テーマ性を強く打ち出し、人や自然との触れ合いという体験的要素や交流的な要素を取り入れた新しい形の旅行です。具体的には、エコツーリズム、グリーンツーリズム、ヘルスツーリズム、産業観光、文化観光などがあります。いずれも従来の観光資源や観光施設に頼ることなく、地域の伝統産業や生活文化をそのまま旅行者に体験してもらったり、一緒に味わったり、見てもらうという新しい形の観光旅行です。
地域の自然環境や、それと密接に関連する風俗習慣等の生活文化を観光だからということで形を変えるのではなく、あるがままに観光する人に見てもらい、地域の環境と経済を持続的に両立させていくことにつなげることが肝要であります。エコツーリズムのような里山活動や生態系の観察ツアー、そして、グリーンツーリズムにおける農村体験、ブルーツーリズムの漁村体験において、自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在余暇活動などさまざまなものがあります。
平成十九年六月二十九日に観光立国推進基本計画が閣議決定されたわけでありますが、国土交通省は、観光政策の中で地域密着型ニューツーリズムの促進として、ヘルスツーリズム、産業観光、文化観光等の新しい形態の旅行市場を活性化するために、ニューツーリズム創出・流通促進事業を推進しています。
本事業において、旅行商品化を進めるための留意点等をまとめたマニュアルやガイドラインの策定を目指すとともに、各地域密着型ニューツーリズムの取り組みを支援するため、運輸局ごとに旅行会社や有識者等によるコンサルティングを行うとともに、モニターツアーの実施の支援等を行っています。また、これら地域密着型のニューツーリズム旅行商品の流通を促進するため、データベースを構築し、大都市部の旅行会社によるパッケージツアーの造成や、旅行者への情報提供を進めております。
実証事業採択事業の中に、平成十九年十月に実施された「南知多の元気になれる島『日間賀島』アイランドテラピーまるごと体感!!ひまかヘルシー理想島」という事業があります。これは、従来の食べる、体験するに加え、心身について自覚的になる、いやしのキーワードを学ぶことを加味した企画で、これまでのアイランドテラピーの取り組みに加えて、今後の精度向上を目指し、交流人口増に結びつける活発な事業であります。
このように、ニューツーリズムは、各地の地域事情や地域資源によく精通した地域の人々が企画する着地型観光であり、だからこそ個々の顧客ニーズに細かく対応でき、地域ツーリズムというものを推進することができると考えます。
我が愛知県では、昨年、議員提案により九月議会で愛知県観光振興基本条例を制定しました。その後、観光振興推進本部を十一月に設置し、全庁を挙げて観光振興に取り組む体制を整え、平成二十一年度には、条例に基づき観光振興基本計画を策定すると聞いております。
そこでお尋ねをします。
魅力ある地域づくりは、地域に住む住民みずからが取り組むことが肝要であると考えますが、そうした人々の意欲をかき立てるには、まず、愛知県がしっかりと取り組む必要があると思いますが、県は、どのような考え方で観光振興基本計画を策定するつもりなのかをお尋ねをいたします。
また、県のニューツーリズムの取り組みについてお伺いをします。
従来から愛知県では、地域の特性を生かした産業観光と武将観光の二つに取り組み、観光ブランド化に向けて努力されていると聞いております。産業観光については、愛知万博を契機に取り組みを始め、今や世間に定着した感さえありますが、平成十九年度から取り組んでいる武将観光については、現在どのような状況にあるのか、今後、産業観光、武将観光に加えて、新たな取り組みを行っていくお考えがあるのか、お聞かせ願いたいと思います。
以上で質問を終わります。(拍手)
- 7:◯環境部長(藤井敏夫君) 里地里山に関する御質問のうち、まず、あいち自然環境保全戦略における位置づけと、保全に向けた取り組みについてお答えを申し上げます。
里地里山の自然環境、これは議員お示しのとおり、長い歴史の中で農林業など人の働きかけにより維持され、独特の生態系や景観がはぐくまれてきたところであります。しかしながら、都市化の進展や生活様式の変化に伴い、里山林の手入れの不足、耕作放棄地の増加などにより荒廃が進んでいる現状にあります。
このような中、近年、里山里地は、多様な生き物の生息環境として、また、自然との触れ合いの場としてその役割の重要性が見直されてきているところであります。
こうしたことから、現在策定を進めておりますあいち自然環境保全戦略では、里地里山は本県を代表する自然環境であり、生物多様性の保全と持続可能な利用を進める上で重要な地域、このように位置づけますとともに、人のかかわりを深める中でその保全、再生を図ること、これを施策の主要な柱としているところであります。
このような戦略におきます里地里山の位置づけを踏まえまして、新年度におきます取り組みといたしましては、本県の里山を象徴します海上の森におきまして、シデコブシなど希少な野生生物の生息環境の整備、これを進めますとともに、すぐれた自然環境を有しております里山を自然環境保全地域として新たに指定をすることといたしております。
さらに、里地里山と人とのかかわりの促進に向けまして、多様な生き物と共生する農林業の振興はもとより、幅広い県民の皆様の参加による保全・再生活動への支援などを展開することといたしております。こうした取り組みを通じ、本県にふさわしい里地里山の保全、再生を推進してまいりたいと、このように考えております。
次に、あいち森と緑づくり税を活用した事業のうち、NPOなどへの支援についてお尋ねをいただきました。
里山などの保全、再生に向けましては、その土地の管理者の取り組み、これはもとより、それぞれの地域の特性、ニーズに応じまして、多様な主体による自主的かつ創造力あふれたさまざまな活動の展開、これが期待されております。
したがいまして、県といたしましては、こうした視点からあいち森と緑づくり税を活用し、NPOやボランティア団体などが行います里山などの保全、再生を目指す活動を支援してまいりたいと思っているところであります。
支援の具体的な内容といたしましては、里山林におきます除伐や竹林の整備などの保全活動、さらには里山における自然観察会などの環境学習の実施に要する経費を一団体当たり百万円を限度に交付することとしております。こうした支援によりまして、里山保全に取り組みますNPOなどの自主的な活動の輪を広げてまいりたいと考えているところであります。
以上です。
- 8:◯農林水産部農林基盤担当局長(松下栄夫君) 里地里山の保全についての御質問のうち、あいち森と緑づくり税を活用した里山林の整備についてお答えいたします。
里山林は、生活環境の保全や災害防止などの公益的機能が期待されているものの、長期間放置され、その機能を十分発揮できない状態になっているものが多くございます。このため、この新税を活用して放置された里山林の再生を目指してまいりますが、整備に当たっては、地域の特性や多様なニーズにこたえていくことが必要であると考えております。
そこで、市町村が地域の方々やNPO等の活動団体と協働して、保全、活用に関する提案をしていただき、これを実現するために必要な作業小屋や歩道などの施設整備に対する支援を行い、地域の独自性や創意工夫による里山林の整備を進めることとしております。
また、人が立ち入れないほど樹木が覆い茂ったり、竹の侵入が著しい里山林については、不要木や竹の伐採などにより健全な状態に回復させるための事業を実施したり、土砂の流出のおそれのあるところでは、簡易な防災施設を設置する事業にも取り組んでまいります。こうした取り組みで地域や都市の方々が里山林とのかかわりを深められ、新たな交流や連携が各地で進むことによって、本県の里山林の再生につながっていくものと考えております。
次に、あいち海上の森センターにおける里地里山の保全活動に携わる人材育成についてお答えいたします。
まずは、里地里山についての理解、関心を深めていただくことが大切であります。そのため、あいち海上の森センターでは、広く一般県民の方を対象にした学習プログラムとして、間伐等の森の手入れを体験する森の教室、地元農家の指導を受けながら農作業を体験する里の教室を開催しており、平成十八年度以降、これまでに延べ約二千名の方に参加をしていただいております。
このほか、より高度な知識と技術を身につけ、保全活動の指導者として活躍していただく人材を育成するため、大学教授や活動団体のリーダー等を講師として、あいち海上の森大学や指導者養成講座を開講しており、これまでに百五十六名の方が修了されております。また、こうした参加者や修了者の皆様方に対しましては、活動されている団体との交流の機会を設けるなど情報の提供を行い、県内各地で里地里山保全に携わっていただけるよう支援をしております。
今後とも、現地実習をふやすなど研修内容を充実させるとともに、幅広く県民の方に参加を呼びかけ、県内の里地里山保全の一翼を担っていただける人材の育成に一層取り組んでまいります。
- 9:◯産業労働部長(富吉賢一君) 愛知のニューツーリズムというお尋ねでございます。
まず最初に、観光振興基本計画の策定に当たっての考え方についてお答えをいたします。
まず、基本的な認識といたしまして、本県では、各地に豊かな自然、由緒のある伝統行事、歴史的な文化遺産などの観光資源が多数ございます。
例えば、祭りや伝統行事などが指定されております国指定の重要無形民俗文化財の数を見ますと、愛知県は十一でございまして、秋田県の十四に次ぎまして新潟県と並んで全国第二でございます。このような認識のもとに、各地がそれぞれの地域にございますさまざまな観光資源を生かしまして、主体的に観光振興を図っていく、こういうことを後押しする計画でなければならないと考えております。
また、近隣県はもとより、中部圏の各県が有します観光資源を活用する、いわゆる広域観光の視点を持つこともこれまで以上に重要であると考えております。
その際、訪日観光客の伸びが期待されます中国、韓国といったアジア地域からの誘客は大変魅力的でございまして、広域観光促進の有力候補として戦略的に位置づけたいと考えております。
さらには、直接的な観光振興のみならず、国際会議やイベントを誘致、開催することは、本県発の情報発信を強化することにもつながり、かつ国の内外から観光客を誘致するよい機会となりますので、基本計画においてもきちんとした取り組みを位置づけたいと考えております。
基本計画の中には、以上のような視点も含めまして、観光振興施策の方向性と具体策を盛り込むこととしております。また、策定に当たりましては、観光関係者、有識者、まちづくりを担っている方々など多様なメンバーを入れた検討委員会を立ち上げ、検討を進めていきたいと考えております。
次に、武将観光の取り組みについてお尋ねがございました。
本県は、三英傑のふるさとであり、江戸時代の大名の七割が愛知県出身であるなど武将ゆかりのさまざまなものがございます。
このため、本県では、平成十九年度を武将観光元年といたしまして、武将観光への本格的な取り組みを開始いたしました。十九年度には、まず、武将観光について県民の皆様方に知っていただき、興味と関心を喚起いたしますため、武将シンポジウムや武将観光展の開催、武将観光パンフレットの作成などを行いまして、武将観光が愛知県の有力な観光資源であるとの認識を広めたところでございます。
本年度におきましては、昨年度の取り組みを基盤といたしまして、実際の観光客誘致につなげる旅行商品化を始めたところでございます。具体的には、桶狭間の戦いや家康のルーツをめぐる信長・家康観光コースを作成いたしまして、モニターツアーを行いますとともに、関係者が一体となって受け入れ態勢をつくりますため、市町村、観光協会、観光ボランティアガイド団体などを構成員といたします武将観光推進会議を設置いたしまして、各地の取り組みを後押ししているところでございます。
来年度は、昨今、武将が全国的に人気を博しつつあるこの流れをうまく利用いたしまして、武将観光ツアーを売り出す旅行代理店に対しまして、訪問場所でございますとか、宿泊施設、こういった情報提供や提案を行いますなど、ツアーが魅力的になるようにお手伝いをいたしますとともに、武将のふるさと愛知を全国に向けてPRをするため、本県各地に存在いたします武将観光資源の中から武将のふるさと愛知百選を選定し、県内武将観光地への誘客をさらに推進していく考えでございます。
また、武将観光のシンボルともなります名古屋城本丸御殿復元事業に対して新たな支援を行うこととしておりまして、今後、名古屋市とも連携をして、武将観光のブランド確立に向け努力をしてまいる所存でございます。
次に、ニューツーリズムの新たな取り組みについてでございます。
本県では、環境万博と言われる愛知万博をきっかけに環境というものが人々に注目をされ、万博開催後、さまざまな取り組みが展開されているところでございます。
例えば、愛知万博で稼働いたしました新エネルギープラントの一部インフラを活用しまして、新エネルギーについて、実証研究の場と、県民の方々に対する体験施設を兼ねますあいち臨空新エネルギーパークを、愛知県がこの二月にオープンするなど、本県には経済活動と環境を調和させるような取り組みを紹介、体験する施設が数多くございますとともに、海上の森など人と自然の共生を体験できる自然環境にも恵まれております。
このようなことから、環境をテーマとする観光が愛知ならではの観光ブランドの有力な候補になるのではないかと考えまして、現在検討を進めているところでございます。
今年度は、旅行代理店や消費者アンケートなどを実施いたしまして、県内に環境をテーマとするどのような観光資源があるのか、発掘を行ってまいりました。
来年度は、発掘いたしました観光資源を活用して、環境をテーマとするモニターツアーを実施することとしております。
さらに、再来年度、二〇一〇年の秋には、環境をテーマとする大規模な国際会議COP10が当地で開催されることとなっております。全世界から環境に関心を有する多くの方々が集まってまいりますので、来年度行いますモニターツアーの成果も活用しながら、会議参加者に会議の外でも当地で環境を実感していただけるよう工夫をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 10:◯知事(神田真秋君) 観光につきまして、私からも御答弁申し上げたいと思います。
大変厳しい経済環境の中に現在ございますが、何としてでもこれを脱却して景気の浮揚を図っていかなければならないという中で、物づくり愛知としての中長期的な基盤づくりももちろん重要でありますけれども、観光という視点もとても重要だと思っております。なぜならば、幅広い産業分野への波及が期待されるのが観光だからでございます。
地域ごとの魅力づくりの取り組みがさまざまな需要を生み、その地域の魅力に触れるために人々が訪れ、交流が盛んになることがまた新たな需要を生み出していく、そうした地域での取り組みがいわば点から線へ、線から面へと広がることで需要が拡大していくということで、大変この連鎖やらの拡大していくトレンドがとても重要だと思っているところでございます。
その意味で、観光というのは次世代産業の一つとも言えるものではないかと考えているところでございまして、条例に基づく基本計画の策定という大変重要な年度を迎えるわけでございますけれども、産業の一つだという、そうした位置づけとしても、この基本計画の中にしっかりと位置づけながら策定していきたいと思っております。
- 11:◯議長(栗田宏君) 進行いたします。
仲敬助議員。
〔三十五番仲敬助君登壇〕(拍手)
- 12:◯三十五番(仲敬助君) 通告に従いまして、順次質問をしてまいります。
大きな質問の一つ目は、安心して子供が産める医療体制づくりについてであります。
救急医療体制の崩壊が日本の各地で報じられるようになって久しくなります。特に公立病院を中心とした救急医療体制の中で、特定の診療科医や看護師が疲れ果て、病院を離れて開業医に転身する現象が起きていると聞きます。こうした問題については、これまで本県議会においてもさまざまな観点から質問がされてきております。
本県では、十一の医療圏域を設定し、それぞれの圏域での課題を明らかにして、今後取り組んでいくべき方向を愛知県医療圏保健医療計画としてまとめ上げ、さらにそれらに対する具体的な行動計画が策定されていることは周知のごとくであります。
医療崩壊に対する地方各地からの大きな不安の声が国に届く背景にあって、最近になって文部科学省が、医学部の学生定員の増員を計画するなどの具体的措置案が出てきていることについては大変期待をするところではありますが、残念ながら効果があらわれるまでにはまだまだ時間が必要であります。
ぎりぎりのところであっても、今の仕組みの中で現状の救急医療体制を関係するみんなの協力により守っていかなければなりません。
具体的には、各医療圏域内を基本として、一次救急医療機関、二次、三次とうまく連携をとりながら、患者にも理解をしていただき、それぞれの役割を果たしていくことが求められます。
さて、昨年末のことであります。私の住む地域の町内会主催で社会福祉に貢献されている方々との懇談会がありました。老人介護やら防犯などさまざまな身近な話題の中で、安心して子供を産める愛知にしてほしいとの御婦人たちの意見がありました。こうした県民の声を受け、以下幾つかの質問をしてまいります。
昨年の十一月に愛知県が国に出した国の施策・予算に対する提案・要望の中に、県内各医療圏において、医師不足のため診療制限を行っている病院数や診療科の平成二十年六月末時点でのデータが記載されております。これによりますと、県内三百三十四ある病院中、診療制限を行っている病院数は合計で六十七あり、全体の二〇・一%であります。また、診療科目のうちで診療制限が最も多いのは産婦人科で、診療科標榜病院七十のうち十九病院、つまり、二七・一%の病院が産婦人科の診療制限をしているとのデータが示されております。
産婦人科医師数は全国的に見ても減少してきており、平成六年には一万一千三百九十一人であったものが、平成十六年では一万五百九十四人と約八百人の減少で、その内訳は、九県で増加、三県で増減なし、三十五県で減少という平成十六年の厚生労働省の統計が出ております。
また、産婦人科医は減少していても、出生数当たりの産婦人科医師数は横ばいであるとの全国の統計データとなっており、出生一千人当たりの産婦人科医師数は九・二から九・五人であります。つまり、産婦人科医師一人で年間に百五ないし百八名の赤ちゃんを取り上げている勘定になります。
ここで質問です。
本県における産婦人科医師数はどのように推移しているのか、お尋ねします。また、出生一千人当たりの産婦人科医師数についても、その平均値をお伺いしておきます。
昨年末のテレビ報道によりますと、北海道札幌のとある病院において、NICU、これは新生児集中治療管理室という意味ですが、これが満床であり、治療室がないと断られて、新生児が死亡したという痛ましい事件が発生しました。
周産期医療とは、妊娠満二十二週から出産後七日までのお産を扱う医療であり、最近の高齢出産などによる未熟児に対しても、技術の進歩とも相まって非常に高い生存率で助けることができるようになってきております。しかしながら、NICUが全国で二千床しかなく、ベッドが一千床ほど不足していることにより、NICUが必要な生まれてくる新しい命の約六割が満床のため受け入れ拒否となっているとの報道でありました。
そこでお伺いいたします。
愛知県内におけるハイリスク妊産婦及び未熟児の周産期医療体制としては、総合周産期母子医療センターや、十一の地域周産期母子医療センターがあり、さらに医大病院などがありますが、合計幾つのNICUがあるのか、お伺いいたします。
また、NICUの満床により、過去においてこれらの受け入れができなかったことは県内でもあったと思いますが、その場合にはどのように対応されているのかをお伺いいたします。
さて、昨年の十二月議会の代表質問の中でも、こうした周産期医療に対する質問がございました。御答弁によりますと、愛知県では、平成二十年四月より名古屋第二赤十字病院に新たに三床のNICUを導入されたとのことでした。こうして周産期医療体制が強化されることは、安心して子供を産める体制づくりにつながることであり、少子化対策としては大変重要な取り組みであると思います。
一方で、母体の救命も大変大切な視点であります。昨年十月には、東京都内で妊婦が八病院に受け入れを断られ、出産後に死亡した問題が発生しております。いざというときに怖くて産めないのでは少子化に歯どめはかかりません。
厚生労働省は、受け入れ病院がない、妊婦のたらい回しが頻発しているこうした問題を重視して、省内に救急・周産期医療対策室をことし一月一日付で設置との新聞報道がありました。この対策室では、母体救命に対応できるよう、周産期母子医療センターの指定基準の年度内見直しや、慢性的に不足しているNICUを全国で最大八百増床するとのことであります。NICUに一たん超未熟児が入ったなら、六十日ほどは使いっ放しになるケースもあると伺っております。
ここで質問です。
愛知県全体においては、まだまだNICU数は足りないと考えますが、現状においては全体でどれほどのベッド数が不足していると考えておられますか、お伺いします。
また、さきに述べました厚生労働省の増床の動きに対して、愛知県としてはどのように検討されていくのか、お伺いいたします。
さて、NICUが不足している一方で、新聞報道によりますと、緊急処置の必要な妊婦や赤ちゃんを受け入れる全国の七十五施設ある総合周産期母子医療センターのうち、緊急調査に回答した六十施設中の五五%は、必要な産科の常勤医数を確保できずに定数割れに陥っているとのことであります。
産婦人科医の不足は今に始まったことではなく、二十年も前よりそうした現象があると伺っております。日本における産婦人科の女性医師比率は二〇〇四年調査で二一・七%でありますが、こうした女性医師が出産や育児によって退職したりするのも医師数の減少につながる一因であると言われております。
さて、こうした状況においては、幾らNICUを増設したとしても、肝心のお医者様が不足しているようでは県民の不安の解消につながってはまいりません。
ここで質問です。
病院がNICUを増設していく計画において、新たに産婦人科医が必要となる場合、県が特定の病院のために医師を確保するというのは難しいと思いますが、産婦人科医全体が不足している中で、県は、産婦人科医確保に関し、どのような対策をとられているのか、お伺いいたします。
さて、周産期医療に携わる産婦人科医が減る中で、これを食いとめようと国は待遇改善に乗り出したとのことですが、その一方で、NICUを必要とするような低体重や重い病気を持って生まれた赤ちゃんを専門に診る新生児科医には光が当たらず、特別の手当もないと聞いております。NICUの増床計画に並行して人材への投資をしなくてはなりません。そうでないと、NICUを増設しても専門医不足で稼働できない場合が出てきます。
ここで質問です。
こうした新生児科医を含む小児科医の待遇の問題を県はどのように認識されているのか、また、こうした人材の確保策についても県のお考えをお聞かせください。
さて、次に、少し観点を変えて、引き続き周産期医療に関して伺ってまいります。
総務省の有識者検討会は、医師不足が深刻な産婦人科や小児科、救命救急センターがある公立病院を抱える自治体に対する地方交付税の増額を政府に求め、総務省は、これを受け、来年度予算への反映を目指すとの新聞情報に接しました。
これは、東京都で妊婦が複数の病院に受け入れ拒否され、死亡した問題などを受け、公立病院の経営基盤を強化し、患者の受け入れ態勢を確保するのがねらいとのことであります。
現行では、市町村立病院の周産期医療に対しては、一床当たり二百四十四万円の特別交付税措置がされております。これにつけ加えて増額を求める理由としては、公立病院では、民間では困難な不採算医療を担うことが期待されているとの理由であります。
ここで質問です。
周産期医療は、公立病院だけではなくて民間病院でも担っているケースがありますが、こうした交付税のような措置は民間病院にはどのような形でなされているのか、お伺いをいたします。
民間病院でも周産期医療を担当している自治体はあるわけでして、この場合に病院としての採算性については同じ条件だろうと思うわけです。こうした議論は国で行われているのであって、県が直接的には関与していないことは承知しておりますけれども、疑問に思ったところについて質問をさせていただきます。
次に、私の地元であります安城市を含む西三河南部医療圏内における周産期医療及び産科や産婦人科との連携について、より地域性を絞って質問してまいります。
この西三河南部医療圏には約百八万人が住み、岡崎市民病院と安城更生病院がハイリスク分娩等重篤な場合の地域周産期母子医療センターとしての役割を担っており、現在NICUが合計で十五床あります。
さて、ここで質問です。
この西三河南部医療圏としては、NICUの満床に伴い、受け入れができなかったことが過去においてあったのかどうか、また、現時点において増床の計画が進行していると伺っておりますが、何床の予定なのか、県民が知りたいと思われるできる限り詳しい情報を提供いただきたいと思います。
この医療圏での平成十九年の出生数を調べてみますと、一万一千三百二名の赤ちゃんが生まれております。ちなみに、一番多く生まれたのは岡崎市で三千八百十五名、二番目が安城市の一千九百九十九名、そして、刈谷市の一千六百八十一名と続きます。
一方で、県が行った平成十九年度医療実態調査によると、西三河南部医療圏で産科を標榜している病院は七病院、診療所は二十施設で、常勤の産科医師数は、病院が十五名、診療所が二十九名の合計で四十四名となっています。この現状を踏まえたこの医療圏の課題としては、産科の医療機関、産科医が減少傾向にあり、確保の必要がありますと平成二十年三月発行の愛知県医療圏保健医療計画には記載されております。
ここで質問です。
この医療圏では、産婦人科医不足により診療制限を行っている病院が幾つあるのか、また、診療制限の前後で産婦人科医は何人減少したのか、お伺いします。
さて、これよりさらに地域を絞って質問を続けてまいります。
西三河南部医療圏での周産期医療体系図を見ますと、岡崎・額田地区、碧南・刈谷・高浜地区、安城・知立地区、西尾・幡豆地区に大きく分けられ、安城・知立地区においては、安城更生病院を筆頭に分娩実施医療機関が六つあります。この中で、更生病院は、地域周産期母子医療センターとしてより広域で高度な医療を担当する役目であり、最近のテレビ放送で見た方もおられると存じますが、ここでハイリスク分娩を受け入れる産婦人科医の先生方は眠る時間もないほどに県民のために活躍されております。
現状では、年間一千二百名程度の受け入れ能力に対して、一千四百名ほどが利用されていると聞いております。通常分娩であれば、医療というよりもケアという必要性の範囲で子供が生まれ育っていく、そして、未熟児や救急時などのいざという場合の対応もしっかりとできるように、周産期医療ネットワークの充実強化を図り、母体、胎児、新生児の総合的な管理と、安心して子供を産み育てる環境の整備こそが県民の望む安心して子供が産める愛知となることであります。
去る一月十六日に行われた民主党への健康福祉部の主要プロジェクト進捗状況等の説明によりますと、医療圏ごとに地域医療連携検討ワーキンググループを設置したとのことであり、大変頼もしく思っております。
ここで最後の質問であります。
さきに述べましたように、西三河南部医療圏での周産期医療体系図を見ますと、地域周産期医療施設は大きく四つの地区に区切って記載されております。そして、この四つの地区の各分娩実施医療機関において、患者がハイリスクとなった場合、地域周産期母子医療センターである安城更生病院、岡崎市民病院と連携するようになっております。また、各地区の中での連携も必要です。現在の医師不足の中、医療機関の間で密接に連携が図られていることは住民にとって大きな安心です。したがいまして、この体系図のとおり機能しているかどうか、きちんと状況を把握しておくことが必要であると思います。
私は、県において、その状況を把握し、その上で必要に応じ調整役を果たすべきだと考えますが、そのような体制がとられているのかどうか、お伺いをいたします。
大きな質問の二つ目は、市町村合併についてであります。
市町村合併については、平成の大合併によりまして、全国的に大きな合併の動きが見られたところであります。
本県におきましても、平成十五年八月に田原町と赤羽根町が県内の市町村では実に約三十年ぶりに合併したことを皮切りに、今議会で議案が提出されております一地域を含めて十三地域、十六件の市町村合併が行われ、かつては八十八あった市町村は、本年十月には六十にまで減少する見込みであります。
しかしながら、人口規模で眺めますと、例えば五万人を下回る市町村は二十七もあり、全体の四割強を占めております。合併してもなお小規模なところ、合併新法期限内を目指しているところ、合併協議はしたものの断念したところなど地域の考え方はさまざまであるとは思います。
とはいえ、住民に最も身近で総合的な行政主体として、二百万人都市から数千人の町村までが同じようにその役割を担っていけるとも思えません。それを合併ですべてを解決できるとまでは申しませんが、住民の視点から考えますと、合併が必要な地域も少なからず残っているのではないでしょうか。
合併は、合併をすることが目的ではなく、あくまでも一つの手法であり、より広域的な視点からまちづくりを住民と行政がともに考えていくというような前向きにとらえて推進することが重要であります。
合併新法の期限まで残すところ一年余りとなりました。市町村合併に向けた国の政策スタンスは今後どのように変化するのかはわかりませんが、市町村合併は中長期的な視点に立って引き続き推進していく必要があると思います。
そこでお尋ねいたします。
これまでの市町村合併を住民から見て、合併してよかった点、反省すべき点を踏まえて、県としてどのように評価しているのか、お伺いいたします。
あわせて、合併新法の期限後の市町村合併について、そうした評価も踏まえ、県はどのような基本的なスタンスで臨もうとしているのか、お伺いいたします。
以上で壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
- 13:◯健康福祉部健康担当局長(五十里明君) 安心して子供が産める医療体制づくりについての御質問に順次お答えをいたします。
まず、本県の産婦人科医師数の推移と出生千人当たりの産婦人科医師数についてでございます。
厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師調査によりますと、平成十八年十二月末の本県の産婦人科医師数は五百七十四名で、十年前の平成八年十二月末の六百十名と比較して三十六名の減少となっております。全国では同じ期間で一千百九十名減っておりまして、十年間での減少率は一〇・六%ですが、本県の減少率につきましては五・九%にとどまっております。
また、本県の出生千人当たりの産婦人科医師数は、平成十八年十二月末時点で八・二名となっており、これは過去十年間ほとんど変わっておりません。
次に、本県のNICUの数についてのお尋ねでございます。
平成二十一年二月現在、総合周産期母子医療センターは十五床、地域周産期母子医療センターは計六十六床、医大病院と愛知県コロニー中央病院では計二十七床で合計百八床でございます。
次に、過去において、NICUの満床により受け入れができなかった場合の対応についてでございます。
本県では、先ほど申し上げました総合周産期母子医療センター、地域周産期母子医療センター、医大病院及び愛知県コロニー中央病院の間で、空床情報などを共有する周産期医療情報システムを構築しております。NICUが満床という理由で受け入れを断られた場合には、要請した医療機関がこのシステムなどを利用して他の医療機関を選定の上、受け入れをしていただいているところであります。
次に、本県全体でどれほどのNICUのベッド数が不足しているかとのお尋ねでございます。
平成二十一年二月三日に開催されました厚生労働省の周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会、この報告書案によりますと、出生一万人に対し、二十五床から三十床を当面の目標として、地域の実情に応じたNICUの整備を進めることとされております。それを参考に試算いたしますと、本県では百七十五床から二百十床ほど必要となり、約七十床から百床の不足ということになります。
次に、厚生労働省のNICUの増床の動きに対する本県の取り組みについてであります。
本県のNICUの数は、平成十八年度当初八十七床、十九年度九十床、二十年度九十九床、現在は百八床とここ数年間で徐々に増加しておりまして、今後も増床を計画している病院もあると聞いております。また、設備は整っておりますが、看護師の配置が満たされていない中でNICUに準じた治療を行っている病床がございますので、NICUに移行できるよう働きかけをしてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、各周産期母子医療センターの連携を図り、高度かつ専門的な周産期医療体制を推進するために設置しております愛知県周産期医療協議会や、圏域ごとに設置しております圏域保健医療福祉推進会議におきまして、NICUの増床に向けた検討をしてまいりたいと考えております。
次に、産婦人科医確保対策についてでございます。
産婦人科医不足の原因といたしましては、議員御指摘のように、病院勤務医の過重労働や出産、育児等で職場を離れる女性医師の増加、また、医療にかかわる紛争の増加に対する懸念など、さまざまな要因が複合しているものと考えております。
この問題に対処するため、県では、産婦人科関係の医療関係者を委員といたします産科医確保に係る委員会を設置しており、この委員会から、産科医療機関の間の機能分担を検討すべきとの御意見や、産婦人科医を安定的に確保することは難しいことから、現状でいかにうまく運営していくかを考える必要があるなどの御意見をいただいておりまして、こうしたことから、病院勤務医の負担軽減を図るため、短時間正規雇用制度や交代勤務制度などを導入する医療機関に対しまして、医師の雇い上げの経費を補助するなどの対策を行っております。
次に、新生児科医を含む小児科医の待遇の問題と人材確保策についてでございます。
小児科医を有する病院に対しましては、平成二十年四月の診療報酬改定におきまして、小児入院医療管理料の見直しや、新生児入院医療管理加算などの引き上げの改善が図られたところでございますが、これが必ずしも勤務する小児科医の待遇改善に結びついていないとの意見もございます。
一方、小児科医の確保対策といたしましては、県におきまして、小児科医確保に係る委員会を設置しており、この委員会からは、本県では、小児科医を特定の病院に集中させることはなじまず、病院間の機能分担について検討すべきという御意見や、中心となる病院のサポートが重要で、開業医の協力が欠かせないなどの御意見をいただいており、一部の地域中核病院では、開業医の方が病院に出向き、夜間診療をお手伝いいただくなどの動きもございます。
また、地域医療確保修学資金貸付金での小児科医を志望する学生への貸付額の加算や、勤務医の負担軽減のための病院への補助などの対策も行っているところでございます。
次に、民間病院が行う周産期医療に対する助成についてでございます。
公立病院以外の民間病院に対しましては、周産期医療施設の新築や、増改築に必要な施設整備や、周産期医療施設として必要な医療機器などの設備整備に対する助成がございます。
さらに、総合周産期母子医療センターにつきましては従来から、また、母体・胎児集中治療管理室、NFICUでございますが、これが整備されている地域周産期母子医療センターにつきましては、平成二十一年度から収支に不足が生じた場合、運営に必要な経費を助成する制度が設けられております。
次に、西三河南部医療圏におけるNICUへの受け入れ状況についてでございます。
西三河南部医療圏の地域周産期母子医療センターは二カ所ございますが、平成十九年度のNICUの平均稼働率は、一カ所が九一・一%、もう一カ所は一〇〇%でありましたことから、満床を理由に受け入れを断らざるを得ないケースがないとは言い切れませんが、詳細は把握いたしておりません。
なお、この圏域で受け入れができなかった場合につきましては、周産期医療情報システムの空床情報などを利用して他の医療圏域で受け入れていただくなど、医療機関の御努力によりまして新生児の受け入れの対応がなされているところでございます。
次に、NICUの増床計画についてでありますが、厚生連安城更生病院がNICUを六床ふやすことを計画し、平成二十一年二月に開催されました愛知県医療審議会医療計画部会において承認をされております。
なお、これに加え、ハイリスク妊産婦や未熟児を対象とした母体・胎児集中治療管理室(NFICU)としての病床を六床、それから、NICUを退出いたしました新生児に必要な処置を行う後方病床として十九床、合計で三十一床の増床が承認されたところであり、安城更生病院は、平成二十三年二月を目途に総合周産期母子医療センターの指定を目指すと聞いております。
次に、西三河南部医療圏の診療制限を行っている産婦人科の病院数及び診療制限前後の産婦人科医の減少数についてでございます。
診療制限を行っている病院につきましては、県におきまして、平成二十年六月末時点で調査を行っておりまして、その結果によりますと、西三河南部医療圏で産科、産婦人科を標榜している七カ所の病院のうち三カ所で診療制限が行われておりました。その診療制限の内容は、二カ所が正常分娩数の制限で、一カ所が婦人科入院診療の制限というようになっております。
なお、診療制限を実施している三カ所の医療機関の制限前後の産科医師数でございますが、三カ所合わせて十六名みえました産婦人科医師が二名減って十四名になっております。
最後に、産婦人科医療機関の連携状況の把握についてでございます。
産婦人科医を含め医師不足の中、各医療機関が連携することは地域医療確保のために大変重要であると私どもも考えております。大量出血や脳血管障害などのおそれのある妊婦の方につきましては、各地域にございます周産期母子医療センターにおきまして受け入れが行われておりまして、これらハイリスク妊婦の方を確実に受け入れるため、周産期母子医療センターでは正常分娩の受け入れをある程度の数で制限せざるを得ない場合がございます。このとき、正常分娩は地域内の他の病院や診療所での受診となりますけれども、ハイリスク妊娠の方は命の危険がある場合もございますことから、このような対応につきましては、御理解、御協力をお願いいたしたいと思います。
西三河南部医療圏内の正常分娩に関します状況につきましては、各医療機関の御努力により現在のところ大きな混乱はないものと承知しておりますけれども、診療制限を行っている産婦人科の病院もありますことから、今後、必要に応じ、市町村、地区医師会、病院協会などを構成員といたします圏域保健医療福祉推進会議におきまして、産婦人科医療機関の状況の実情把握を行い、産婦人科医療の確保に向けた調整をしっかりと行ってまいりたいと考えております。
以上です。
- 14:◯総務部長(島田孝一君) 安心して子供が産める医療体制づくりについてのお尋ねのうち、周産期医療に対する交付税措置についてお答えをいたします。
周産期医療につきましては、これまで公立病院についてのみ特別交付税措置の対象とされていたところでございますが、平成二十一年度からはその措置が拡充されるとともに、公的病院等が地域医療において果たしている役割に注目いたしまして、これらの病院への助成についても新たに対象とされることとなりました。
具体的には、日赤、済生会、厚生連、こういったところが設置をいたします公的病院等の周産期医療に対して市町村が助成をする場合にも、公立病院に準じた特別交付税措置がなされる予定でございます。
次に、市町村合併についてのお尋ねのうち、まず、合併の評価についてでございます。
合併市町村においては、合併により行財政基盤が強化される中、例えば、福祉分野の専門組織の設置による住民相談体制の充実、保育所、図書館など公共施設の広域的利用、さらにはコミュニティーバス路線の延伸など住民生活に直結したサービスの拡充が図られております。
一方、スケールメリットを生かした行政の効率化やスリム化に関して、職員定数の削減や重複する公共施設の再編などといった中長期的な視点を持って取り組むべき課題がございます。
市町村合併は、地域の将来を見据えて行われるものでございますことから、その効果全般を地域の皆様が実感するまでには一定の期間を必要とする面を有しておりますが、県内の四十市町村が関係する十三の地域において合併が行われたことは、新たな時代への対応力が備えられたものと評価をしております。
続いて、合併新法期限後の基本的なスタンスについてでございます。
合併新法期限後の市町村合併につきましては、現在、国の第二十九次地方制度調査会で議論をされているところでございまして、方向性はまだ明らかになっておりません。
しかし、市町村合併は分権型社会にふさわしい足腰の強い基礎自治体を確立していく上で有力な手段でございますので、自主的、主体的に合併を進める地域に対しましては、県として引き続きできる限りの支援をしていかなければならない、こう考えております。
以上です。
- 15:◯三十五番(仲敬助君) それぞれの質問に答弁をいただきました。
要望を一点申し上げておきたいと思います。
医療圏ごとに地域医療連携検討ワーキンググループを設置したことは前進でありまして、一つの成果と考えますし、また、簡単ではない課題に対しても調整しながら解決していただいていることは、今回の質問を通じてよく理解できました。
しかしながら、現状での県当局の対応は、率先して課題のある現場に県として飛び込んでいって汗を流すというよりも、相談があれば調整してみましょうといったような受動的な取り組みがベースとなっており、県としての役割はそこまでなんだろうと割り切っている感がありますし、恐らくそうだろうと察するわけでございます。
市町村の合併の推進についても、当事者である市町村の問題ではありますけれども、愛知県内での合併については、各自治体の財務体質やら住民ベースでの生活にまつわる課題を県がつかんで、愛知県としての将来像を構築する、そういった気迫が欲しいと思っています。
県内での市町村の境界を越えての課題に対するマネジメント役が県の役割でありまして、解決役のリーダーでなければならないと私は思っております。行政区域をまたぐ広域での課題については、県は調整役であるとともに、その解決役でもありますようお願いをして終わります。
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- 16:◯三十七番(酒井庸行君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 17:◯議長(栗田宏君) 酒井庸行議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 18:◯議長(栗田宏君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時三十九分休憩
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午後一時開議
- 19:◯副議長(鈴木愿君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
奥村悠二議員。
〔五十九番奥村悠二君登壇〕(拍手)
- 20:◯五十九番(奥村悠二君) カキツバタの花とCOP10と薬草園について、御質問をさせていただきたいと思います。
私の住んでいるところは江南市でありますけれど、家からそんなに遠くないところに東海北陸自動車道が走っております。先日、この道路を通って、岐阜県に行ってまいりました。愛知県と岐阜県の県境はちょうど木曽川の真ん中あたりにあるんですが、そこを通るところに道路の案内標識が前方に張ってあります。
岐阜県、そして、その横にはウ飼いのかがり火の写真が張りつけてあります。岐阜県はもちろんウ飼いで有名でありますから、なるほど、ここから岐阜県なんだなということがよくわかるわけであります。
逆に、今度は岐阜県から愛知県にこの道路を走って帰ってまいりますと、今から愛知県に入ります。そして、その隣には金のしゃちほこが写っております。そうか、やっぱり愛知県は、尾張名古屋は城で持つというぐらいだから、しゃちほこで愛知県というのは代表されるんだなというふうに私も納得しましたけれど、大半の車のドライバーは納得したんだろうと思います。
それで、帰りまして、愛知県のホームページをのぞいてみました。トップページをごらんになった方は覚えていただいていると思いますが、一番左側の上にこの愛知県庁の建物の写真が載っています。そして、その横に万博記念館、元迎賓館の建物ですね。モリゾーとキッコロが立って、その右側にはリニモの車両が写っています。これが愛知県のホームページのトップページで、愛知県を象徴するものだろうなということがわかります。
どんどんどんどんいろいろ探していきますと、愛知県のシンボルというのがあります。愛知県のシンボル、もちろん皆さん方よく御承知のように、県の花はカキツバタ、県の木はハナノキ、県の鳥はコノハズク、県の魚もあります、クルマエビ。きょうは全部やる時間がありませんので、カキツバタ、県の花に限定して幾つかお尋ねをしたいと思うのでありますが、まず最初に質問させていただきます。
愛知県の花、カキツバタをいろいろ県はいろんな形で利用したり活用していらっしゃると思うのでありますけれど、どのように活用し、PRしていらっしゃるか、それをまずお教えをいただきたいと思います。
質問の二つ目であります。
愛知県には幾つか県営都市公園があります。この県営都市公園の中で一体カキツバタってどれくらい植えられているんだろう。あるいは、今後、当然県の花ですから、PRをするお考えもあるんでしょうから、どれくらい植えられる御予定があるか、お尋ねをしたいと思います。
カキツバタでありますが、この制定経過を少し御紹介をしておきたいと思いますが、昭和二十九年、随分昔のことであります。NHKが開局二十九周年を記念して、全日本観光連盟、それから、日本交通公社、そして、植物友の会という団体の協力を得て、全国に郷土の花というのの選定をやったことがあるのだそうであります。そのとき、愛知県は、カキツバタの花を郷土の花として選定いたしました。もちろん、皆様方、そうか、なぜ愛知県にカキツバタの花かというと、例の伊勢物語の中の三河の国八橋、今の知立市でありますが、あそこで東くだりの途中に在原業平がカキツバタの五文字を詠み込んで歌にしたというのを御存じの方は多いだろうと思っておりますが、あの故事にちなんでカキツバタを郷土の花として選んだんだということであります。
当然昔のことでありますけれど、私たちが小さいころはカキツバタはどこにでもある花でありましたから、当時の県民の皆様方も、伊勢物語の故事の話は別としても、愛知県の花としてカキツバタが選ばれたことは納得をされたろうと思っております。
現在、知立市は、その歌まくらである無量寿寺というお寺のところに立派な庭園がありますし、それから、東海市には上野台公園といって本当に立派な、これもカキツバタ園があります。
ところが、皆様のお手元にも届けられたと思いますが、第二次レッドリスト、絶滅危惧種の動植物の一覧表が届いたと思うんでありますけれど、あの中に実はカキツバタは絶滅危惧第II類、そういうものに入れられているんですね。絶滅危惧第II類というのは一体どういうことかというと、絶滅の危険が増大している、このままの状況でおくと絶滅の危機に瀕するという、いわゆる絶滅危惧I類に移行していく可能性が強い、そういうことであります。
参考までに、実はハナノキもコノハズクももちろん絶滅危惧種であります。愛知県がホームページで愛知県のシンボルであるといってきちっと出していただいているカキツバタも、ハナノキも、コノハズクも、実は全部絶滅危惧種なんですね。
そこで、質問の三つ目でありますけれど、このカキツバタは、実は自生地が愛知県にあります。刈谷市井ケ谷町小堤西池というところに、昭和十三年に天然記念物に指定されたカキツバタの自生地があります。周辺は随分広い田んぼに囲まれておりまして、背後に丘陵地がある。なるほど、こういうところが自生地なんだなと思わせるようなところでありますが、地元の皆さん方が随分応援をしていただいて、この保存のために努力をしていただいておる。こういった民間の動きもあるわけでありますが、このカキツバタの自生地を県はどのように保存のために応援をしていただいているのか、お聞かせいただきたいと思います。
きょう午前中、須崎議員からの御質問にもありましたように、里地里山が保全をされるということはなかなか難しいことであります。愛知県は、本当に産業が盛んでありまして、そのおかげで随分税収も潤ってきたわけでありますし、その過程の中で、いろいろな土地を開発していく、当然カキツバタの自生地であるような湿地がどんどんどんどんその開発の波に飲み込まれてきたのは、ある意味ではやむを得ないことだったかもしれませんが、やっぱり、とはいっても、県の花として指定しているカキツバタが少なくとも絶滅危惧種の一つに数えられるのは問題があるのではないかと思っています。
そういう状況の中で、皆様方よく御承知のように、今回の生物多様性条約締約国会議の開催であります。一九九二年の五月にリオデジャネイロで地球サミットがあって、そこでこの採択がされた。翌九三年には日本も条約に加入し、そして、二〇〇七年には第三次生物多様性国家戦略というのも策定されたんだそうでありますが、それを受けて、愛知県はもうじき、もうきっとできているだろうと思いますが、あいち自然環境戦略というのを打ち出されて、生物多様性の保全というようなものを強く打ち出され、的確な施策を打ち出されるだろうと思っておりますので、私は、これからはもっとそういったもの、絶滅危惧のようなものに日が当たるんだなというふうに喜んでいるわけでありますけれど、いずれにしても、私たちが非常に多くの生物種の中のたった一つの種にすぎない、ほかの種を守らなければいつかは自分たちの種の滅亡にもつながるということを考えるいい機会ができたなと思って、この一連の動きにはとても喜んでおります。
ぜひとも二〇一〇年のCOP10を成功させ、それから、県民にもそのほかの人たちにも私たちのこの考え方を広げることができるといいなと思っていますので、ぜひよろしくお願いいたします。
そこで、四つ目の質問でありますが、こういったこの一連の流れの中で打ち出された希少種の保存という意味で、実は希少種の生息域外保全という考え方が打ち出されております。本来は、さっきの小堤西池のように、こういったところに原種が育っている。そのままそこで育てていけば一番いいのでありますけれど、だんだん開発の波が押し寄せてまいりますので、一たんどこかよそへ移して、そうしてそこで育て、保存したらどうかという考え方が出ているわけでありますけれど、希少種の生息域外保全ということについて、国の動き、それから、愛知県の考え方というものについてお尋ねをしたいと思います。
この希少種の生息域外保全ということでありますけれど、カキツバタも含めてでありますが、この概念を導入して、これから保全をしていく、保存をしていくというのの中で、やはり受け皿が要ると思うのであります。現実には、既にあるいろんな植物園が絶滅種を引き受けていらっしゃるところもあるようでありますけれど、愛知県ももう一つ植物園を生息域外保全の受け皿としてつくられたらどうかというふうに私は思います。
実は、そのために既にいろいろな考え方が打ち出されておりまして、平成二年、愛知県薬剤師会からは、薬草園をつくったらどうだという陳情が出ております。薬草園であります。皆様方、もちろん薬草園も植物園の一つでありますので、薬草園と植物園は一緒だというふうに聞いていただければありがたいのでありますけれど。
私が小さいころ、ハチに刺されたときに、母親がアサガオの葉をとってすり込んでくれた覚えがありまして、植物には大体いろんな薬用効果があるというのを小さいころから聞いたこともあるのでありますけれど、皆様方も当然漢方薬や民間薬の原料が大半は植物だということを御存じであると思います。
全世界に三十万種ぐらい植物はあるんだそうでありますけれど、その植物のうち、大体五%から一〇%ぐらいに薬用効果があるのではないかということがわかっているそうであります。大体一つの植物には千種類ぐらいの成分が含まれているそうでありまして、この成分の大半は人工的に合成ができません。だから、薬用成分を含んでいる植物を守るということは、私たち人間の病気を治したり、けがを治したり、そういったためにはとても役に立つことでありますので、植物を保全、保存することは、とても私たち人間の生活にとって大事なことだろうというふうに思います。
ですから、絶滅危惧種の中には、実は随分本当は必要な植物が絶滅危惧種にカウントされてしまって、もうひょっとしたらあれがすごくいい薬の役に立つかもしれないというのは、もう今は探してもない、もちろんさっきも申し上げました、人工的に合成することもできないので、残念だったなということにならないためにも、絶滅危惧種を生息域外保全という形で違うところで育て、そうして、もちろん植物にとってもきっとそれがいいだろうと私は思ってますが、私たち人間のためにも役に立つために薬草園をつくったらどうかということを申し上げておりますし、さっきも申し上げました、平成二年に愛知県薬剤師会からこの陳情が出ております。
この後、平成四年に、前の愛知県知事であったと思いますが、知事の答弁がありまして、あいち健康の森の中に薬草園をつくりたいという考え方が本会議で明確にされております。そして、平成五年から十二年にかけて、薬草園の整備のために幾つかの施策が、施策というより実際のお金が使われました。平成十年、残念ながら神田知事が当選される前でありますけれど、財政非常事態宣言が打ち出されて、箱物が凍結されてしまったときから、実はこの薬草園は迷走し始めるのでありますけれど、平成十二年になりますと、また薬剤師会の皆さん方から、薬草園をやっぱりつくってほしいという陳情が出てまいります。
平成十八年、我が党の深谷勝彦議員が議案質疑の中でこの薬草園のあり方を尋ねられました。細かくこのときの健康福祉部理事の答弁を御紹介しますが、県民の健康に対する関心は高まっており、薬草園の意義は今でも変わらないが、構想策定から十年余が経過しており、社会環境の変化も踏まえていかなければならない。これが平成十八年の議案質疑に対する理事の答弁であります。
ちょっとわかりにくかったんですが、でも、その後、具体的にまたなります。平成十九年、知事のマニフェスト。あいち健康の森への薬草園の整備について検討します。これはマニフェストの中で明確にうたわれております。そして、マニフェスト工程表「ロードマップ二〇八」で、基本構想の見直し及び事業化検討、これが打ち出され、十九年度から二十二年にかけて検討すると明確にされました。
そして、昨年二十年には、ロードマップ二〇八に従って薬草園整備案検討会議が設置され、そこで検討されていると聞いております。
平成十九年度までに、既に薬草園の設置のために健康福祉部と建設部で既に合計して二億四千三百七十八万円ものお金が投じられて、その準備がされているのでありますが、今、平成二十一年になりますけれど、この薬草園建設のための準備と今後の取り組みについてお尋ねをしたいと思います。
きょう、一番最初、県の花のカキツバタの花から皆様方にきょうの質問を聞いていただきました。カキツバタの花も、実は夏に根っこをとりまして、あれをせんじて飲むと、たんを切る薬になるんだそうであります。カキツバタが絶滅危惧種と言いましたが、キキョウの花、最近ごらんになりますか。トルコキキョウはもう花屋さんにいっぱいあふれていますが、昔のキキョウはほとんどもう見ることができません。これも絶滅危惧種であります。キキョウは根っこがやっぱりせきをとめる薬だとか、それから、たんももちろん切ります。それから、炎症を防ぐとか、結構これは効能のある薬草なのでありますけれど、もうキキョウの原種を私たちは身近に見ることはないだろうと思っております。
皆様方にぜひ御紹介をしておきたい植物があります。中華料理でハッカクというちょっと変わったにおいのする香辛料がありますけれど、ハッカクというのは実からとるのでありますけれど、トウシキミ、中国のほうの暖かいほうでとれるものでありますけれど、トウシキミの実をつくって、あれからハッカクの香辛料をつくったりするのでありますけれど、これから、今もずっと話題になっておりますけれど、実はインフルエンザの治療薬タミフル、このトウシキミからつくるんだそうであります。
ですから、トウシキミはもちろん日本にはほとんどありません。温室の中でしか育ちませんけれど、同じようにシキミって、お葬式にいっぱい木の葉っぱで飾るシキミがあります。トウシキミではありません。あれは日本のシキミでありますけれど、これの実も実はハッカクと同じように星型みたいな八角形の実がなるのであります。大きいか小さいか。外国のは大きくて、これは薬、タミフルの原料。小さいと日本のシキミの実でありますけれど、これは猛毒であります。
猛毒ついでに、これも私、今回とても気になったので、皆様方にお伝えしておかなければならない。エンゼルトランペット、お庭に生やしていらっしゃるおうちはありませんか。私のうちは実はあります。チョウセンアサガオの洋種でありますが、チョウセンアサガオは、華岡青洲が例の日本初の麻酔薬を研究したときに使ったあれでありますけれど、これは花から実から根からみんな猛毒であります。だから、片一方では毒になるし、片一方では薬になるのでありますけれど、それの園芸種であるエンゼルトランペットは、私たちが最近非常に盛んでやっていますが、あれは猛毒でありますので、小さいお子さん方にさわらせるととても危険。
なぜ私が偉そうに一夜漬けのこのお花の薬効についてお話ししているかというと、さっきも言いましたように、私たち子供のころに親がこれは薬だからといって教えてくれたアサガオの薬効だったり、ドクダミの薬効だったりしたものを実は私たちも、私は六十五歳になるけれど、もう既に私自身が知らないから子や孫に伝えられません。だから、私たち大人がその前の世代から受け継がなければならなかったことがあるところで断裂してますので、私たちの子や孫の代にもう少し正確な情報を伝えられるためには、さっきから申し上げております薬草園というのは希少種の保全の受け皿ということも言いましたし、それから、今回のCOP10の記念的な事業でやってくださるといいなと思っていますが、もっと大きなことはやっぱり私たちが子に伝える、親の世代の知識、知恵の伝承というのの場に使われるなと思っています。
薬だという部分はなかなか使えませんが、それより怖いのは、毒だというものだけは絶対教えてやりたいというふうに思っております。ですから、薬草園、なかなかこういった財政状況の中では難しいかもしれません。でも、財政問題だけでこういったものをくくるのではなくて、もっと高い見地から考えていただいて、薬草園というものの問題も取り上げていただけるとありがたいと思っています。
加えて、私たちは、今もっと自動車が売れたらいいな、もっと景気がよくなったらいいなと思って、いろいろ苦戦してますけれど、そんなときに県の花カキツバタは、大きな声では言いませんが、それも大事だ、頑張りなさいよと。だけど、私たちが滅びていくときは一緒に人間も同じ船に乗っているんだから沈んでいくんだよというのを教えてくれているのではないというふうに僕は思っておりますので、どうぞ薬草園を箱物行政だということで考えずに、もっと私たち人間が生きるために必要なものだというような形で取り上げていただけるとありがたいと思っております。
これで私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
- 21:◯知事政策局長(小川悦雄君) 県の花であるカキツバタの活用、PRについてお尋ねをいただきました。
カキツバタは、半世紀以上にわたり県の花として県民の皆様方に親しまれてきており、さまざまな形で活用されております。
例えば、県民の皆様が県への各種手数料の納付にお使いいただいております愛知県収入証紙の図案に使われておりますし、県内外の多くの賓客が訪れる愛知県公館には、玄関前の外壁と一階応接の北側の壁面に大きな陶板が飾られておりますが、これらは著名な陶芸作家によりカキツバタをモチーフにして製作されたものでございます。
また、愛知県スポーツ功労賞など各種の表彰時の記念品の図柄にも使用されております。最近では、ノーベル物理学賞を受賞されました小林先生、益川先生に対する愛知県学術顕彰の記念品として七宝の花瓶を贈呈をいたしましたが、この花瓶にはお二人の研究成果の象徴である六個のクオークをカキツバタで表現をいたしました。
また、カキツバタの英語名アイリスを使用することもございます。その例としまして、愛知県職員の共済施設の名称はアイリス愛知でありますし、一昨年、愛知県農業総合試験場が岐阜県と共同開発しました新たな親豚は、アイリスナガラと名づけられております。そのほか、庁内各部局が発行する刊行物の表紙などにカキツバタの写真や図柄を掲載する例も多くございます。
この県の花カキツバタは、県民向けに毎年三万部発行しております県政ガイドあいちや、愛知の魅力を県外向けに発信するグラフ広報誌「あいち二〇〇八」、さらには県のホームページ「ネットあいち」の中で県のシンボルとして、その由来も含め紹介をしているところでございます。
今後もさまざまな機会をとらえ、周知、PRに努めて、できるだけ多くの人に親しんでいただけるよう取り組んでまいりたいと存じます。
- 22:◯建設部長(湯山芳夫君) 次に、県営都市公園におけるカキツバタについての御質問でございます。
県営都市公園において、植生として報告されているものは、愛・地球博記念公園で日本庭園の整備にあわせ植えたものが茶室の前の池に二百株ほどございます。また、同公園内のカキツバタ池に数十株程度ございます。
カキツバタは、本来、水辺または湿地を好む植物で、土が乾くと生育にはよくないと言われており、公園では池等の水辺に植栽するものでございますが、手を入れないと他の水生植物に負けて生育できなくなることもあり、十分な管理が必要でございます。
愛知県では、知立市の無量寿寺や、刈谷市の小堤西池がカキツバタの名勝地として有名であり、ここではしっかりとした育成管理がされております。
今後の予定でございますが、県営都市公園の中で適切な生育環境が得られる場合には、管理体制の確保とあわせて検討してまいりたいと考えております。
- 23:◯環境部長(藤井敏夫君) 刈谷市の小堤西池に自生をいたしますカキツバタの保全の取り組みについてお答えを申し上げます。
本県では、この地域がカキツバタやサギソウなどの貴重な野生植物、これが自生しているすぐれた自然環境を有するということから、昭和五十三年に池本体とその後背地を自然環境保全条例に基づく自然環境保全地域、このうちの最も保全のレベルの高い野生動植物保護地区として全域を指定をいたしまして、開発行為の規制に加え、カキツバタなど貴重な動植物の捕獲採取の禁止、これを行っているところであります。
また、地元の保護団体の御協力も得まして、後背地の竹の除伐、カキツバタの生育に支障を及ぼしますヨシの除去、あるいは花が咲く時期での盗掘の防止に向けました監視などを行いまして、生育環境の一体的な保全を図っているとこであります。
次に、希少野生動植物の生息域外保全、これについてお答えをします。
議員お示しのとおり、野生動植物種の絶滅の回避に向けましては、その種の生息域内において保全される、これが原則であります。しかしながら、生息数が極めて少なくなっていたり、あるいは生息地が脆弱であったりするなどによりまして、その生息地において保全することが困難な場合があります。
こうした場合の有効な種の保全策として、人間の管理下における飼育などで保護を図る生息域外保全という手法があります。この手法を用いまして、例えば、全国的にはトキやコウノトリ、県内におきましても、ウシモツゴやオニバスなどの種の保全の取り組みが動植物園、自治体、NPOなどによりまして行われているところであります。しかしながら、これまでこの飼育、栽培、増殖の技術などに関しまして、統一的な考え方がありませんでした。
このため、国は、本年一月に、絶滅のおそれのある野生動植物種の生息域外保全に関する基本方針を策定をいたしまして、生息域外保全に取り組みます関係機関、これの能力や体制のあり方、あるいは実施計画の策定など取り組み方法に関し、基本的事項を示したところであります。
これを受けまして、県としましては、動植物園や市町村など関係機関にこの基本方針の周知を図ったところであります。
県といたしましても、生息域外保全、この方法が野生動植物種の絶滅を回避するための有効な手法の一つと考えるところであります。さらに、生物多様性をテーマといたしますCOP10、これの開催地元でもありますことから、関係機関と密接に連携を図りまして、生息域外保全が適切に推進されるよう努めてまいる所存であります。
以上です。
- 24:◯健康福祉部健康担当局長(五十里明君) 薬草園に関する御質問にお答えをいたします。
まず、薬草園の準備状況についてでございます。
本県では、議員お示しのように、平成五年度に薬草園基本構想を作成し、あいち健康の森内への設置に向けて一部事業を進めてまいりましたが、その後、平成十年度以降は県の財政状況などにより中断しておりました。
しかし、薬剤師会や地元からなどの要望によりまして、平成十九年度に関係団体、薬草や生薬の専門家である薬系大学や薬業界、さらには園芸活動を利用した福祉を進めているNPOなどで構成いたします薬草園構想会議を開催し、基本構想の見直しを行いました。
新しい基本構想では、薬草をテーマとしてさまざまな視点から薬草園をとらえ、その目的を薬草に直接触れるなど楽しみながら自然との共生に気づき、薬を学ぶ場とするとともに、文化遺産とも言える薬草を次世代に伝えるための県民の憩いの場とするものといたしました。
薬草園の果たす役割は六点ございまして、自然との共生、五感をはぐくむ、教育施設、生きがいづくり、福祉施設、交流の場の六点といたしております。これを受けまして、今年度は薬草園整備案検討会議を開催し、委員の方々からは、薬草の見せ方の工夫が必要、維持管理費の精査が必要などの御意見をいただいているところでございます。
次に、薬草園整備の今後の取り組みについてでございます。
これまでの検討結果をもとに、今後はより具体化した各種施設の整備など詳細な内容について検討を継続してまいります。
本県は、江戸時代に医薬の分野において重要な役割を果たし、発展した地域である特色を生かし、来園者がその歴史を学び、また、現在の課題である生物多様性の保全にも貢献するものにしたいと考えております。
さらに、薬剤師会などの関係団体、関係業界及びNPOとの連携や、あいち健康の森公園の周辺にあります医療や福祉施設との連携、また、教育研究の視点から、県内の薬学部を有する四大学との連携をあわせて検討いたしまして、コスト削減を意識した管理運営方法など県民の皆様にとって有意義な施設のあるべき姿を検討してまいりたいと考えております。
- 25:◯副議長(鈴木愿君) 進行いたします。
水野豊明議員。
〔五十一番水野豊明君登壇〕(拍手)
- 26:◯五十一番(水野豊明君) 通告いたしました四項目について、順次質問をしてまいります。
最初は、民間活力の活用という視点でPFI事業における私の考え方を申し上げ、PFI事業と同様の留意が必要な指定管理者制度について質問をしてまいります。
まず、PFI事業についてであります。
PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)とは、公共施設等の整備、運営に民間の資金とノウハウを活用し、効率的かつ効果的な公共サービスの提供を図る事業手法であり、PFI法は、平成十一年七月に成立し、現在、全国で計画を含め昨年九月末現在で三百二十四件であり、病院のほか、学校、図書館、刑務所、ごみ処理施設など多岐にわたって運営されています。
本県も、PFI導入ガイドラインを策定して導入が始まっており、森林公園ゴルフ場、浄水場排水処理業務、汚泥処理業務、そして、本年十月より産業労働センターが整備をされ、供用が開始される予定であります。
一方、最近では、名古屋港イタリア村の破綻、滋賀県近江八幡市の総合医療センターがPFIで運営されておりましたが、二年余りで破綻した例が出てきております。また、名古屋港管理組合が当初はPFI方式を想定していたホテル整備事業について、業者が進出を断念するなどの問題も出てきております。
PFI事業を進めていく上では、事故、需要の変動、物価や金利の変動等の経済状況の変化、計画の変更、天災等、さまざまな予測できない事態により損失が発生するおそれ、リスクがあります。本県の三つのPFI事業については、現在のところ順調に運営されていると伺っておりますが、こうした不測の事態に陥らないよう、私自身、本県の三つの事業の動向を注視していきたいと思います。
次に、公の施設の管理に民間能力を活用する指定管理者制度の運営と取り組みについて、順次お伺いしてまいります。
この制度は、多様化する住民ニーズにより効果的、効率的に対応するため、公の施設の管理について、平成十五年度の地方自治法の一部改正により従来の管理制度にかわって創設されたもので、民間能力を活用しつつ、住民サービスの向上と経費の節減等を図ることを目的としております。
本県では、平成十八年四月に本格導入されており、指定管理者の選定は原則公募とする一方で、公募施設の範囲は、指定期間の更新にあわせて段階的に拡大することとして、本年一月時点で九十八施設に及び、県営住宅二百九十九団地で導入されています。
先般、視察させていただいた施設が指定管理者制度で運営をされていましたが、県の施設の多くは指定期間が五年とされており、本年三月には本格導入から三年が経過して、指定期間の中間点を過ぎることになりますので、指定管理者の施設の管理運営状況を総括をし、問題点の把握を行うことは大変重要なことであると思います。
そこでお伺いします。
本県の指定管理施設の運営についてはどのような状況か、伺います。また、五年の指定期間が満了するため、平成二十二年度に多くの施設で指定管理者の更新がなされますが、今後の取り組みについて伺います。
次に、環境対策の中で次世代自動車の普及について伺います。
地球温暖化問題は喫緊の問題であり、国内のみならず地球の将来を左右する問題として、現在、長期的な取り組みが検討されているところです。温室効果ガスは、産業、家庭、運輸など多くの分野から発生しており、それぞれの分野で精力的な削減対策を講じていくことが必要であります。
そうした中で、自動車は、輸送手段の主役として産業活動や日常生活においても欠くことができないものとなっており、一方では、運輸部門の二酸化炭素の排出量の多くを占めていることも事実となっています。
本県は、自動車保有台数が約五百万台と全国一であり、また、大都市の中でも旅客輸送を自動車に依存する割合が七割を超えているなど飛躍的に高い状況であることから、自動車による環境負荷の低減のため、全国に先駆けて、平成十四年度にあいち新世紀自動車環境戦略を策定して、その総合的な対策を推進しており、この戦略では、平成二十二年度までに本県が保有する自動車のうち三百万台を電気自動車、ハイブリッド自動車、天然ガス自動車などの低公害車、いわゆるエコカーに転換するという意欲的な目標を掲げています。
また、平成十七年には、あいち地球温暖化防止戦略を策定され、二酸化炭素の排出量を基準年度の六%にすることを目標にして、産業、家庭、運輸などの部門ごとにその削減対策に鋭意に取り組まれておられるところであります。
こうした中で、国において、平成二十年七月、低炭素社会づくり行動計画を定め、温室効果ガス排出量の約二割を占める運輸部門からの二酸化炭素削減を行うため、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車の次世代自動車について、二〇二〇年までに新車販売のうち二台に一台の割合まで拡大導入するという野心的な目標の実現を目指すこととしております。
オバマ大統領も提唱していますクリーンエネルギー対策として、日米、環境四分野で協力するといたしております。オバマ政権のグリーン・ニューディール政策に協力することとしています。
政府は、次世代自動車の普及や低炭素技術の四分野、日米エネルギー・環境技術協力で日米が世界をリードしていくことを確認することとしております。
エネルギー・環境分野の日米協力は、電気自動車、家庭用電源から充電できるプライグインハイブリッド車など次世代車の普及策、二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に削減できる革新的な低炭素技術、原子力の平和利用の四つが柱となっております。
日本がオバマ政権のグリーン・ニューディールに全面協力するのは、世界が戦後最悪の不況に陥る中、新たな成長分野を日米の存在感を高めるねらいがあるとされています。
石油の大消費国であると同時に産油国でもある米国は、ガソリン価格が低水準だったこともあり、経済成長を優先して地球温暖化問題への取り組みは鈍かったと思います。オバマ政権は、ブッシュ政権のこうした姿勢と決別する方針を掲げています。
しかし、資源輸入国日本は、一九七〇年代の第一次石油危機以来、省エネルギー技術の開発に官民挙げて取り組み、エネルギー効率はトップクラスになりました。燃料電池や電気自動車、太陽光発電など次世代技術も世界をリードしています。
中国やインドの新興国では、旺盛な経済成長でエネルギー消費が急増し、地球温暖化問題が深刻化する大きな要因になっています。我が国においても、グリーン・ニューディールの実施による経済復興と劇的な環境対策の推進が期待されております。
自動車への依存が高く、自動車産業の盛んな本県としては、二酸化炭素の排出量が飛躍的に少ない電気自動車やプラグインハイブリッド自動車などの次世代自動車の普及拡大に大いに力を入れていくべきではないかと思います。電気自動車やプラグインハイブリッド自動車は、来年度中に市場投入されることが予定されていますが、導入当初は積極的な需要を喚起し、普及を促進することが肝要ではないかと考えます。
そこで伺います。
あいち新世紀自動車環境戦略に掲げるエコカーの普及状況はどうなっているのでしょうか。また、二酸化炭素の排出が格段に少ない電気自動車やプラグインハイブリッド自動車の普及を促進するため、どのような対策を考えているのか、伺います。
三点目は、山村振興についてであります。
今予算は、足元を固める緊急対応の一つとして山村振興に力を入れていただいていますが、三河山間地域は、県土の保全や水源の涵養など都市地域を含めた県全体にとって重要な役を果たしている一方で、若年層の流失や高齢化の進行で深刻な課題に直面しています。
本県では、昨年一月に山村振興推進本部を設置され、四月には、本庁に山村振興室と、現地に新城設楽山村振興事務所を設置して体制の充実を図られたところです。
県では、今年度、山村振興対策をテーマとして県政モニターアンケートを実施しており、山間地域に定住することに関心がある人に、山間地域に定住するとしたらどこを希望するかと聞いたところ、県内の三河山間地域より長野県や岐阜県など県外を望む人が多かったという結果が出ております。また、定住や二地域居住を進めるために必要な取り組みとしては、住宅の情報発信、公共交通機関の充実などを求める声が多くありました。
さらに、三河山間地域を旅行やレジャーで訪れたとき不満に思ったこととして、トイレや休憩所が少ない、公共交通機関の路線や本数が少ない、道路が狭いなど、意見が多くありました。
今予算では、安心・安全な暮らしを支える生活環境の充実として、北設楽郡において、高齢者や高校生などの交通弱者が安心して暮らせるよう、新しい交通体系の構築を支援していくことや、地上デジタル放送や超高速ブロードバンドに対応する施設整備に対し、助成していくことが盛り込まれております。三河山間地域への定住者をふやしていくには、こうした取り組みをしっかりと行っていく必要があります。
また、三河山間地域には五百十八の集落があり、人口は十一万八千六百五十人。このうち、人口百人未満かつ高齢化率五〇%以上の小規模高齢化集落、いわゆる限界集落は五十一に及んでいます。
私の妻の実家も三重県熊野市紀和町で限界集落となっています。買い物に行くのに歩いて四十分から一時間かかりますが、週に一度か二度、移動販売車が来ていただく状況で、そのとき、次に欲しいものを注文するとか、また、販売員が安否も気にしていただき、大変住民に喜ばれていますが、余りにも利益が出ないため、廃業する業者も出てきている状況です。
先日、テレビで、愛知県北設楽郡東栄町では、町内の業者が集落を回って移動販売をしている様子が放映をされました。山合い走る移動販売車として地域のお年寄りたちに大いに喜ばれていると紹介されましたが、先ほど三重県の例を挙げさせていただいたように、厳しい経営で後継者難だと思われます。
そこで伺います。
こうした移動販売車の活動は、高齢化が進む三河山間地域にとって、安心・安全な暮らしを支えるためにも、また、小規模高齢化集落対策としても重要な役割を果たしており、何らかの支援も必要と思いますが、山村振興の観点から移動販売車についてどのようにお考えなのか、御所見をお伺いします。
また、山村地域では、野菜を生産している農家ですら、獣類被害のため、自分でつくった野菜が収穫できないため、移動販売車で野菜を購入しているのが現状です。信じられないかもしれませんが、猿、イノシシ、シカ等野生獣類による被害は予想を超えております。そこで、野生獣類による農作物被害の現状と被害対策について伺います。
最後に、消費者行政について伺います。
高齢者をターゲットにした訪問販売等の被害や苦情が全国の消費生活センターに寄せられている契約当事者が七十歳以上の相談件数は、二〇〇四年で十万件を超え、二〇〇七年度は約十一万件で相談全体の一〇%を占めていると言われます。
高齢者は、三つの大きな不安、お金、健康、孤独を持っていると言われています。悪質業者は、言葉巧みにこれらの不安をあおり、親切にして信用させ、年金、貯蓄など大切な財産をねらっています。また、高齢者は自宅にいることが多いため、訪問販売や電話勧誘販売による被害が多いのも特徴です。
不況、低金利が続く中、仕事についていない人にとってお金への不安は尽きません。特に最近は、新たな金融商品が次々に発売され、選択肢が多様化、複雑化しています。近年満期になる定期預金を有利な条件のものに変更、銀行に預金していても少しもふえない、外貨預金よりもさらに有利な為替取引をすれば、月々百万円くらいの利益が出る等、高利子、高収益を強調し、リスクについて十分な理解を得ないまま契約を迫り、トラブルになるケースが後を絶ちません。
また、資金面には、住宅の維持管理が手いっぱいである高齢者に対し、無料と言って耐震診断をさせ、地震でかわらが落ちると不安をあおり、高額な屋根工事を勧める手口等があります。
健康面では、痛む足が治る、血液がさらさらになる、がんが治ったなど健康に不安を持つ心理を巧みに突き、健康食品、電気治療器、布団などを購入させる手口があります。
孤独では、ひとり暮らしの高齢者や、一人で留守番をしている高齢者が自分の話を聞いて親切にしてくれるいい人だからと勧められるままに次々に契約を繰り返すケースが目立ちます。
また、新商品を紹介するなどと言って人を集め、閉め切った会場で日用品などを無料や格安で配り、楽しく得した気分にさせて、最終的には高額な商品を売りつけるSF商法が多いと言われています。
高齢者をねらう悪質商法に対して、国は、平成二十年度第二次補正予算において、生活安全確保対策として消費者行政の抜本的強化を掲げ、地方公共団体における消費生活相談窓口の強化に集中的に取り組むこととし、都道府県に消費者行政活性化を目的とする基金を造成するため、交付金百五十億円と、国民生活センターによる国直轄事業九十億円、都道府県は、国が交付する地方消費者行政活性化交付金により基金を造成し、消費生活相談窓口の設置、機能強化、消費生活相談員のレベルアップなど消費生活相談窓口の強化について取り組むとともに、市町村事業の取りまとめ、調整を行う。なお、この交付金による基金は、県事業の実施に必要な人件費及び市町村事業の指導事務費には充当できないとされています。
ほかにも相談事業は多岐にわたっていますが、今回の消費生活相談窓口を各市町村に設置する目的と市町村の対応について伺います。
各市町村では、相談体制構築に幾多の困難が伴われると考えますが、現在、相談事業はどのようになっているのか、あわせて伺い、質問を終わります。(拍手)
- 27:◯総務部長(島田孝一君) 指定管理者制度についての御質問にお答えをします。
まず、制度導入施設の運営状況についてでございますが、制度を導入いたしました後におきましても、施設の設置者としてモニタリングを実施し、指定管理者による運営状況を定期的に把握しております。具体的には、日報や月報によるほか、県と指定管理者がともに参加する運営会議において、業務の実施状況を把握したり、施設への立入調査を実施して、運営状況の確認を行っているところでございます。
平成十九年度の業務に関しましてモニタリングを行いましたが、いずれの施設についても、施設の管理業務が着実に履行されていることを確認しております。
具体的な運営状況でございますけれども、公募によって指定管理者を選定した施設の中で利用者が目標を下回ったため、赤字になっているものがありますが、その額は縮小傾向にあり、また、施設管理に携わるボランティアの登録数が伸び悩んでいるものはさらなるPRに努めているところでございます。
一方で、宿泊施設ですべてを営業日としたものや、受付時間の延長、お客様相談窓口の一元化等の新たな取り組みが実施されるなど、多くの施設でサービスの内容の向上が図られております。
このようなことから、指定管理者による施設の運営はおおむね良好に実施されているものと考えております。
次に、指定管理者制度に関する今後の取り組みについてでございます。
まず、公募施設の拡大につきましては、平成二十年三月に取りまとめましたあいち行革大綱二〇〇五後半の取り組みにおいて、廃止予定施設等を除いて、平成二十二年度までに指定管理者制度導入施設の六〇%以上となる四十八施設以上で公募を実施することを目標としておりますので、その達成に向けてしっかりと取り組んでまいります。
また、施設の管理運営についてでございますが、ただいま申し上げましたように、おおむね良好に実施されておりますが、他の自治体の施設では、指定管理者の破産でありますとか、経営悪化に伴う指定の取り消しがなされて、施設の管理運営に支障が生じた例がございます。このほか、昨年四月以降、原油価格が高騰した際には、急激な物価変動時のリスク分担のあり方が課題となったところでございます。
このような事例を初め各種の想定される課題について、考え方を整理して、平成二十二年度の更新手続に向けて、それが適性かつ円滑に実施できるようしっかりと対応してまいる考えでございます。
以上です。
- 28:◯環境部長(藤井敏夫君) 環境対策に関するお尋ねのうち、まず、本県におけますエコカーの普及状況についてであります。
全国に先駆けて平成十四年度に策定をいたしましたあいち新世紀自動車環境戦略において、県内のエコカーを平成二十二年度までに三百万台普及する、これを目標に掲げ、低公害車導入促進補助、あるいは環境対策資金融資といった経済的な支援、さらには条例による二百台以上の自動車を使用する事業者に対する低公害車の導入義務化などの施策を鋭意進めてきたところであります。
この結果、平成二十年三月末の県内におけますエコカー普及台数は約二百五万台に達し、また、県内の保有台数に占めますエコカーの割合も、全国平均が三三%であるのに対し四一%となっており、いずれも全国トップの状況となっております。
今後とも、引き続きこれら施策の推進を図りまして、県内のエコカーの普及拡大を目指してまいります。
次に、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車の普及促進についてのお尋ねであります。
次世代自動車であります電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、これらは二酸化炭素の排出量が極めて少ないことから、地球温暖化対策として大きな期待がかけられております。このため、本県では、新年度に、電力会社、自動車メーカー、名古屋市、刈谷市などの四市及び導入意欲のある事業所などの協力を得て協議会を組織しまして、協議会のメンバーが連携をして、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車を導入し、これを通勤あるいは営業業務などに実際に使用しますとともに、充電インフラを整備し、共同利用するというモデル事業を実施することといたしており、現在その準備の取り組みを進めているところであります。
また、環境省は、ことし発売予定の電気自動車を先行して自治体へ貸し出しをしておりまして、本県もこれを借り入れて、日常業務あるいはイベントに使用するなど県民への普及啓発にも取り組んでいるところであります。
こうした次世代自動車の販売に先立ちまして、初期需要の喚起に向けたこれらの取り組み、これをしっかり進めることによりまして、その普及促進に努めてまいりたいと考えております。
それから、先ほどモデル事業で名古屋市など四市の中で刈谷市と申し上げました。豊田市の間違いであります。修正させていただきます。
以上であります。
- 29:◯地域振興部長(的井宏樹君) 山村振興についてのお尋ねのうち、移動販売車についてお答えをいたします。
三河山間地域におきましては、移動販売といたしまして、奥地の集落などに自動車で出向いて食料品の販売などを行うものでございますとか、注文を受けて宅配サービスを行うものがございます。こうした移動販売につきましては、奥地の集落にお住まいの方、特に交通手段を持たない方や御高齢の方などにとって、非常に便利で喜ばれているものと承知をいたしております。
県といたしましては、今後、小規模高齢化集落等における定住対策の観点などから、移動販売について、その実態や市町村の考え方を把握の上、市町村と連携して検討を進めてまいりたいと考えております。
また、奥地の集落の方々の生活交通の充実の観点から、来年度より北設楽郡におきまして、玄関先と町村の中心部を結ぶ予約制バスの運行と、基幹的路線として町村境での乗り継ぎを解消したコミュニティーバス等の運行など町村を支援をしていくこととしておりまして、奥地の集落に住む方々を初めとして買い物などに出かけやすくなるよう取り組んでまいります。
こうした取り組みを通じまして、今後とも三河山間地域において、安心して暮らし続けられる生活環境の充実に努めてまいります。
以上でございます。
- 30:◯農林水産部長(永田清君) 山村振興についてのお尋ねのうち、野生獣類によります農作物被害の現状と被害対策についてお答えいたします。
まず、野生獣類による農作物被害の現状でございますが、年によって変動はありますが、最近五カ年の平均被害額は約一億八百万円となっており、そのうちイノシシによるものが約五割、猿とシカによるものがそれぞれ一割となっております。
次に、被害対策でございますが、県では、これまでも県単独の補助事業によりまして、電気さくなど被害防止設備の導入について助成してきたほか、平成十八年度からは、農作物の鳥獣被害対策をアドバイスする相談員を養成しており、現在五十名の方々に地域で活動していただいております。
また、今年度は、新たに猿を追い払うモンキードッグ六頭を育成し、豊田市と新城市の二カ所に配置するとともに、山村地域の市町村が実施しますイノシシ、猿などの捕獲についても支援をしております。
野生獣類によります被害の防止は、山村地域の農業だけではなく、その地域に暮らす人々の生活を守る上からも大変重要でありますので、今後とも市町村や農協など関係機関と十分に連携いたしまして、地域の実情に合った対策を講じてまいります。
- 31:◯県民生活部長(石川延幸君) 消費生活相談につきまして、三点御質問をいただきました。
まず、市町村に相談窓口を設置する理由などでございますけれども、近年、消費者トラブルはますます多様化、複雑化をしております。こうした中で、消費者が安全・安心に暮らしていくためには、困ったときにはすぐに相談でき、頼れる窓口が必要でございます。そういう意味で、地域住民の方に最も身近な市町村において、消費生活相談窓口があることが強く望まれておるわけでございます。
本県が昨年の十一月に県の消費生活モニターを対象に実施いたしましたアンケート調査におきましても、消費生活相談で最も中心的な役割を担ってほしいと、こう思う機関として、地元の市町村を挙げた方が最も多い四八・三%と、こういう結果が出ております。
今回の消費者行政活性化基金は、地方における消費者行政の充実強化を目的としておりますけれども、とりわけ市町村における消費生活相談窓口等の強化を集中的に支援していこうと、こういうものでございます。
二点目は、市町村の消費生活相談窓口の現状についてでございます。
現在、本県では、名古屋市を初め七市で消費生活センターが設置をされ、また、三十六市町で専門の相談員を配置して相談窓口が設けられておりまして、地域住民の方々の消費者被害の救済と未然防止に取り組んでおられます。
しかし、十八市町村においては、消費生活相談の窓口は未設置の状況でございます。なお、市町村に寄せられた平成十九年度の消費生活相談件数でございますけれども、二万八千件余りとなっております。ちなみに、県の県民生活プラザに寄せられた相談件数が二万二千件余りでございますので、県内全体の相談件数の約五六%が市町村に寄せられていると、こういう状況になっております。
三点目が市町村への支援についてでございます。
県といたしましては、今後、基金を活用しての市町村の事業計画の取りまとめを行ってまいりますけれども、市町村からは、消費生活相談窓口を設置したくとも、現実には相談員になれる人がいないと、こういう声も寄せられております。
そこで、まずは相談員となっていただける方の掘り起こしが必要でございますので、消費者問題に関心の高い県の消費生活モニター経験者など百六十名程度に呼びかけをいたしまして、研修などを行ってまいりたいと思っております。
また、県の相談員を市町村に派遣をいたしまして、一緒に相談を行うことで、市町村の職員や相談員の方々のスキルアップを図ると、こういったことも計画をいたしております。
既に消費生活相談窓口を設置をしている市町に対しても、さらに相談対応能力を高めていただくために、相談員を対象としたレベルアップのための研修会、これを来年度、平成二十一年度には三回程度開催することも計画をしております。
こうした取り組みを通じまして、市町村の消費生活相談窓口の一層の充実強化が図られますように支援してまいりたいと考えております。
- 32:◯知事(神田真秋君) 消費者行政につきまして、私からもお答えを申し上げます。
近年、元本保証や高利回りをうたった金融関連商品の多様化、あるいは携帯電話、インターネットを使ったネットショッピングやネットオークションの増加など、いわゆる高齢者やら、あるいは若者にかかわるトラブルが大変多くなっているところでございます。
加えて、食品の偽装表示の問題など安全・安心を脅かす事件やら事故も多発をしておりまして、多くの皆様方が消費者として大変不安を抱いておられるところでございます。
そういう状況の中にありますので、こうした不安を解消するための助言やあっせんを行います消費生活相談窓口の設置と充実強化はとても重要なことだと考えているところでございます。
そこで、今回の消費者行政活性化基金でありますけれども、市町村の皆様方にできるだけこれを活用していただいて、近隣で共同で設置される例も含めてでございますけれども、県内すべての市町村で相談窓口が設置できるよう、県としても積極的に働きかけをしてまいりたいと考えております。
そこで、愛知県が八カ所の県民生活プラザでいろいろ活動しているわけでございますけれども、これは地域におけるセンター・オブ・センターという市町村の指導的な役割を果たせるようなスキルアップ、充実を図ってまいりたいと思っておるところでございます。
なお、この基金でございますけれども、国の交付要綱などによりますと、いささか使い勝手の悪いところがございます。例えば、一番かなめになるのは相談員の人件費でありますけれども、これが対象にならなかったり、あるいは既に行っております事業につきましては、これも対象にならなかったりするわけでございまして、私は、大変使い勝手が悪い、問題点があるというふうな認識をしております。
より使い勝手のいいような、十分活用されるような、そんな制度になるよう国に対して積極的に働きかけをし、改善を図っていただくようお願いしていきたいと思っております。
- 33:◯副議長(鈴木愿君) 進行いたします。
小島丈幸議員。
〔六十三番小島丈幸君登壇〕(拍手)
- 34:◯六十三番(小島丈幸君) 私からは、大きくは二項目について、順次質問をしてまいります。
一項目は、ベトナムとの経済及び人的な交流、連携についてであります。
本年一月六日から五日間、日越友好愛知県議会議員連盟の倉知俊彦会長を初め役員及び関係者総勢六名でベトナムのハノイ市とホーチミン市を訪問させていただきました。あわせて、期間中にハノイ市において、愛知県とベトナムとの経済交流を記念した経済交流記念レセプションにも参加をさせていただきました。
今回は、その調査に同行した皆様から質問の機会をいただきましたので、順次質問をしてまいります。
日越友好愛知県議会議員連盟は、昨年十月、愛知県議会議員八十名で発足をいたしました。県議会として初めての海外との交流を目的とした超党派の議連の誕生となりました。この議連は、本県とベトナム社会主義共和国との交流を促進し、相互の理解と友好関係を発展させることを目的としてスタートをいたしました。その議連としての第一歩の事業として、急遽ではありましたが、愛知県との経済交流記念レセプションの機会をとらえ、行かさせていただきました。
今回の質問の視点は、議連会長からさまざまなベトナムの方たちとの会見の場で行われておりました愛知県とベトナムとの経済的な交流は、今、県内とベトナム国内で行われておりますけれども、さらにこの交流を発展させていくことが肝要であるということと、それに伴う人的交流について、特に以前、愛知県内の大学に通っていたベトナム人留学生との末永い交流がこれから大事になってくるとの話があり、今回はこの二点の視点から質問をしたいと思います。
まず、第一点目の今後の交流の推進についてであります。
今回、最初に五日間と申し上げましたが、実質三日間で二都市を回り、ベトナム政府の外務省及び計画投資省、外国投資庁の関係者、ハノイ越日友好協会、ハノイ市の関係者、ホーチミン市の副市長及びホーチミン市の関係者、それにベトナムに進出した日本企業の皆様等々、たくさんの方たちとお会いをいたしました。
帰国して名刺を整理しましたら、四十名を超える方々と愛知県とベトナムの現在と将来にわたるお話をさせていただいたということを実感しております。
私たちの調査に同行していただいた名古屋市在住のベトナム人の方がこのツアーを企画していただいたのでありますが、日越議連としての初めてのベトナム訪問という、こんな機会はそんなにはないということで、たくさんのベトナムの方たちとの交流を企画していただいたということであります。朝七時からの公式訪問もあり、朝から夜までさまざまな分野の方たちとの交流は意義深いものとなりました。
ベトナムは、人口八千六百万人で、年齢構成は三十歳未満が七〇%で、これは一九六〇年代の日本に類似をしております。成人の識字率は九〇%を超えており、このことからも教育水準も高いレベルにあるということを示しております。
宗教は、大乗仏教でこれも日本と類似しております。ハノイ中心部には、孔子廟も存在をし、儒教思想も定着しているものと考えられます。また、東アジアの日本、中国、韓国、それにベトナムとともに仏教、それも大乗仏教、儒教思想、また、食べるときにはしの文化を持つ国と、また、顔も非常に似ていると、大変これからの友好交流のしやすさを感じるところでもあります。
また、ベトナムへ進出された日本企業の皆様からは、ベトナムの若い人たちについて、大変に向学心が高く、まじめな姿勢が多く見受けられるところであり、ベトナム人と一緒に仕事をしていても、前向きな姿勢に好感が持てると言っておられました。
ある進出企業の日本人の技術者の方は、ベトナムに来て一年になるが、ベトナムの言葉を覚えなくていい環境にあると言っておられました。それは、技術上の細やかな表現も日本語で説明をしておくと、翌日にはその言葉の意味を勉強して、細やかなニュアンスも理解してくれているし、手先が器用なことも相まって技術習得が早く、仕事のしやすい状態にあるとお聞きをいたしました。
こうした人的資源を生かした投資環境のよさを愛知県の企業に訴えるため、先日、ベトナムの計画投資省外国投資庁のファン・フー・タン長官を迎えてのベトナム投資セミナーが名古屋で開催をされました。用意をした百二十席は満席となり、大変に好評を博しました。私も途中参加をさせていただきましたが、熱心にベトナム進出への可能性を探る日本企業の皆様の姿を目の当たりにいたしました。
タン長官は、先日、ハノイで行った経済交流レセプションにも参加をされ、今回の投資セミナーでは、みずからベトナムの有意性についての講演をされておられました。
こうした状況を考えますと、ベトナムでの愛知県のサポートデスクの存在は非常に重要さを増すものと考えております。また、県内においても、何らかの形で企業支援の体制も整っていくものと考えております。この不況下でどうなってしまっているのか定かではありませんが、ベトナム人の研修生がさまざまな企業で働いていた実績もあり、経済的な結びつき、双方での交流の深まりを感じることができ、希望のわく政策となることを期待をしております。
私ども日越議連も、今後、愛知県の施策のバックアップや交流促進に資する関係機関との連携、協調を行い、ベトナムとの交流に貢献をしてまいりたいと考えております。
そこで、今回、日越議連としてのベトナム訪問の成果を踏まえての質問でありますが、世界同時不況と言われる昨今の情勢を踏まえ、厳しい状況にあるとは思いますが、ベトナムにおける愛知県のサポートデスクについて、どういう役割となり、どの機関に運営委託をするのか、お伺いをいたします。
また、投資を行おうとしている愛知県内の企業に対し、産業労働部として、どのセクションでどう対応されようとしておられるのか、お伺いをいたします。
この項最後の質問でありますが、先日の投資セミナーに際し、神田知事も歓迎のあいさつをされておられましたが、ベトナムへの渡航のお考えはあるのか、お伺いをいたします。
もう一点は、ベトナム人留学生と本県との交流、連携についてであります。
本県の大学で勉強をしていただいた留学生が自国に帰っても何らかの交流がこの愛知県と行われていれば、よりよい交流が深まると思います。今回のベトナム訪問の折、名古屋大学の鮎京正訓教授と加藤武夫マネジメント専門職と御一緒をさせていただきました。
名古屋大学では、法政国際教育協力研究センター、通称CALEと呼ばれるセンターがあり、これは開発途上国において、法整備への努力に協力する取り組みとなっており、ベトナムとは一九八一年からハノイ法科大学との交流があり、現在、名大キャンパスには三十二名のベトナムからの留学生がおり、うち十一名は法学部で日本の法律の勉強をしていると聞いております。
国費の留学生は五名、私費留学生は六名と、円高の現在、大変厳しい生活となっておりますが、国の将来を左右する大切な使命を全うするため、勉学に打ち込んでいるそうであります。
ベトナムでのパーティーの際にも、名古屋大学に留学をしていた卒業生たちも来ていただいており、教授と同窓の方たちとの和やかな談笑が見られました。愛知県に留学をしていたときにどれだけ地域の方たちと交流ができたか、なかなかその時間はないとは思いますが、地域の方との結びつきをしていくことが末永く愛知県との交流の大事な人材となっていただけるものと考えております。
愛知県においては、万博のときのフレンドシップ交流が現在も継続をされておりますが、ベトナムのフレンドシップパートナー市町村は美和町であります。美和町では、従来からさまざまベトナムとの交流事業を展開されていると聞いております。二十年度は、ベトナム人留学生もベトナムの食を知ろうという講座に参加をしており、一定の成果も上げていると聞いております。
また、町では、来年度も留学生の活用を考えていると聞いております。日本語を学び、日本語で授業を受けられるまで習得をしている学生には、このような人的な交流が一層必要ではないかと感じております。
先日、アジアとの交流を先進的に行っている福岡県に行ってまいりました。その際、県の担当者と話したときに、留学生との交流について、昨年七月に福岡県留学生サポートセンターを開設したとのお話をお聞きいたしました。この事業は、現在、福岡県内で六千名の留学生が学んでおりますが、この留学生のさらなる受け入れや、県民との多様な交流を進めていくために、生活相談や奨学金、就職支援等といった大学や自治体等が個別に行っている支援に加え、総合的に留学生を支援する体制が必要となるということで、産学行政が一体となってサポートする仕組みをつくるというもので、優秀な留学生を確保するための広報事業や、経済的に厳しい留学生が安心して生活するためのアルバイト紹介事業、留学生のさまざまな相談に対応する生活相談事業、地域社会への参加を促進するための交流促進事業、県内初め国内で就職を希望する留学生を支援する就職支援事業等を行うと記されております。
また、本国へ帰国の後も福岡県との交流を継続していくための仕掛けとして、フォローアップ事業。その内容は、帰国留学生の紹介、留学時代の話や今の様子、各国留学生会活動状況の紹介や各大学の同窓会の紹介等、帰国してからも福岡にいてよかったと言える状況をつくり出していくよう設立したようであります。
名古屋大学の鮎京教授と先日お話をさせていただいた折にも、就職のサポートや地域の方たちとの交流を通して、例えば、留学生が下宿探しをしても、外国人だからといって住居の提供が難しいといったことに対処するために、地域の方たちとのより多くの交流があれば、そうした問題の解決の糸口になるのではないかというお話もいただきました。留学生をめぐる問題解決の方策の検討を図ってほしいというお話もいただきました。帰国したベトナム人留学生の同窓会については、名大レベルではでき上がっているということであります。他大学も入ってのそうした組織化は、産学行政の連携があればでき得るものとのお話もいただきました。
そこで質問でありますが、帰国した留学生について、どのような方法で組織化を図り、今後のベトナムとの交流に生かしていこうとされているのか、伺います。
もう一点は、広く愛知県内で留学をされている留学生に対してのサポートする仕組みづくりについて、愛知県としてのお考えを伺います。
次に、地域のバスの今後の政策について伺います。
今議会にも来年度予算で山間地域公共交通実証実験費補助金が計上をされております。これは、山間地域において安心して暮らせる交通体系の構築を目指して実証実験を行うもので、三河山間地域において、将来の地域の望みを膨らませる大事なものになるであろうことが予測されます。
バスは、通勤通学や通院、買い物の移動手段として地域住民の日常生活に密接に関与するものであります。特に高齢者や生徒児童など自家用車での移動が困難な人々にとっては必要不可欠な生活交通手段になっております。しかしながら、モータリゼーションや少子・高齢化、過疎化の影響によってバスの輸送人員が減少をし、それによって不採算バス路線の廃止や撤退が相次いでおります。
こうした状況に伴って、市町村では、路線バスに対する補助やコミュニティーバスの運行など生活交通の確保に努めているところではありますが、これらに要する各市町村での経費の負担が増大をしております。地域が確保すべき生活交通の水準をどのように設定し、それをいかにして実現するかという課題に直面しているのが現状であると考えております。
ここでは、そうしたバスを運行している各市町村と県の役割、市町村間のバス運行の今後と県の関係及び今回の三河山間地域の実証実験について伺ってまいります。
一昨年、東栄町の過疎を抱える地域に行ってまいりましたが、その地域では、車に乗れるのは、七軒の御家族の中で一軒だけ。いつもは隣近所で声をかけ合って、その一台の車に乗り合いをして、通院や買い物に出かけており、その人がいない、または都合がつかない場合は、昼でも暗い杉林の狭くて上り下りの多い道路を約三十分かけて歩き、たどり着いた県道のバス停で待つといった都会に生活する人たちには到底理解できない不便さの中で暮らしをしている現場を見てまいりました。
中山間地域におけるこうした現状を思うとき、福祉の一環としての生活交通の手段を考えるべきであろうと考えます。
ここで、今、豊田市が行っているバスの運行システムについて、中山間地域での交通対策として適した方策であろうと考えるものでありましたので、紹介をいたします。
私の住んでいる豊田市においても、九百十八平方キロという広大な面積を抱え、合併をした旧町村との交通手段についてさまざまな交通政策をとっておりますが、その中で、旧小原村の地域で昨年実証実験を行ったおばら桜バスというものがあります。
これは、普通のバスと異なり、乗るためには予約センターにあらかじめ電話で予約をし、乗車時間、乗車するバス停、降車するバス停を伝え、かつ車両があいていれば予約ができるというもので、来年度からは実際に予算をつけ、運行していくと言われております。
そのバス停も小原地域に点在している集落のうち百四十六カ所というほぼどの集落でも何カ所かはあるようにつくっており、運行の主体は、地元小原のタクシー会社を含む豊田市内のタクシー会社三社が共同で運行するもので、国道四百十九号線を通って名鉄豊田市駅とを結ぶ基幹バス路線上のどの停留所へも連れていってくれるというものであります。
平日限定の運行で、一回当たりの料金は百円。利用者にとっては使いやすい方式となっており、期待される施策であろうと考えております。
昨年の実証実験結果を見てみますと、一日当たりの利用回数は二十五・八回、利用人数は一日当たり三十三・四人、主な利用層は高齢の女性が中心であり、主な利用目的は、通院が五三%を占め、利用時間は午前が中心で、小原の診療所を中心にした地域に移動する方が多くいたことが調査結果には出ておりました。
翻って、今回、愛知県として行おうとしている山間地域公共交通実証実験費補助金は、こうしたおばら桜バスのようなデマンドバスの手法を行おうとしていると考えておりますが、こうした先進の事例について、県はどのように把握しておられ、実証実験に臨もうとしておられるのか、伺っておきます。
また、小原地域の実証実験結果でも大変に好評で、地域において、生活上の安心を挙げる方が多かったという結果もありますが、住民の方から今回の実証実験結果で非常に好評であるという結果が出た場合、通常運行への移行を考えておられるのかも伺っておきます。
次に、実験結果は、設楽町、東栄町、豊根村と町村域をまたぐ運行であります。こうした場合、愛知県として、その関係自治体とよく話し合いをして、リーダーシップをとって、双方をよりよき方向に導くことが要求されていると思います。
そこでお伺いするのは、今回、県立田口高校に北設楽郡三町村から通学する場合を想定して、乗りかえなしで行けるようにするということになっておりますが、田口高校には、豊田市でも稲武地域のお子さんが通っているケースがあります。幸い設楽町営バスが豊田市稲武地区に乗り入れるバスが存在し、足の確保という面からは一定の成果を得ているものと認識をしております。
こうした市町村域をまたいで乗り入れやバスの時間を合わせて乗り継ぎを行える形は、三河地域においてはさまざま行われていることを承知をしております。例えば、豊田市と三好町間では、高岡地区で豊田市のふれあいバスと三好のさんさんバスがバス停で乗り継ぎが行われるようにしているケースもありますし、安城市とも豊田市住民が安城の八千代病院に行くため、途中のバス停で乗り継ぎができるように検討しているとか、市民の利便性の確保のため、複数の市町村間でコミュニティーバスを乗り入れる試みも始まっております。
こうした取り組みについて、各市町村では、一次交通圏での話し合いや、その圏域を超えるケースであっても、双方の首長及び担当レベルでの話し合いの中から、市民生活の利便性の向上という観点でさまざま努力がなされていると理解をしております。こうした各市町村の取り組みについて、愛知県として、何らかのアドバイスや先進事例を各市町村に提供したり、二市町村間にわたる交通の問題に対して、何らかのアプローチが必要になると考えますが、そのお考えをお伺いをいたします。
また、各市町村の地域バスは、各市町村でさまざまな形で運行をされ始め、市町村民の足として定着しつつあります。こうした時期に際して、生活交通を確保するための課題や、地域の特性に応じたさまざまな生活交通確保方策を組み合わせた生活交通システムを検討していく中で、地域における生活交通確保のために愛知県としてどのような役割を果たしていくお考えか、御所見をお伺いをいたします。
以上で壇上からの質問といたします。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
- 35:◯産業労働部長(富吉賢一君) それでは、ベトナムとの経済・人的交流の連携についてのお尋ねのうち、まず、ベトナムにおけるサポートデスクの役割などについてお答えをいたします。
ベトナムへは、現在四十社を超える本県の企業が進出をしており、昨年も数社の新規進出あるいは拠点拡充が見られたところでございます。サポートデスクは、こうした進出企業の意見交換の場づくりと、それを通じました企業のネットワークづくりを行いますとともに、ベトナム政府との協議を通じて進出企業の要望を先方に伝え、あるいはベトナム政府から収集した情報を企業に提供することを主な役割としております。
次に、サポートデスクの運営機関でございますが、先月、ベトナム政府との間で契約を交わしまして、ハノイに所在いたします計画投資省の外郭機関の北部投資促進センターの中に開設を準備しているところでございます。
来年度におきましては、相手方政府との信頼関係の構築に努め、本県企業が安心して事業展開できるよう、サポートデスクの運営を軌道に乗せることに注力をしてまいる所存でございます。
次に、ベトナムに投資を検討している企業に対し、産業労働部としてどのセクションでどのように対応するのかとのお尋ねでございます。
まず、産業労働部の中でのセクションでございますが、国の内外で産業立地を推進しております産業立地通商課が担当でございます。県内企業の方々への対応につきましては、来年度、県内でのベトナム投資セミナーの開催でございますとか、関心のある企業から成る経済ミッション団の派遣などを実施することとしております。
また、本県における中小企業の支援機関でございます財団法人あいち産業振興機構にも、経済交流の相手方であるベトナムあるいは中国とのビジネスについての専門のアドバイザーもおります。この財団法人あいち産業振興機構とも連携をいたしまして、進出を検討する企業の意向の把握に努め、サポートデスクからのタイムリーな情報を提供しつつ、きめ細やかな対応をしていきたいと考えております。
以上でございます。
- 36:◯地域振興部長(的井宏樹君) ベトナム人留学生と本県との交流連携について、まずお答えをいたします。
留学生は、高度な知識や技術を有するのみならず、日本と母国の言葉や文化に精通する貴重な人材でありまして、県内の大学等で学びましたベトナムの方々の若い力の活用という観点から、御帰国後、各界で活躍をされている留学生のネットワークづくりに取り組み始めたところでございます。
本年度におきましては、県内大学等を通じて帰国留学生の現状を調査いたしますとともに、私ども職員をベトナムに派遣をいたしまして、ネットワークの中心となって活動いただける人物や機関を発掘をいたしますなど準備を進めてまいったところでございます。
来年度でございますが、実際に現地でネットワークの核となる方々にお集まりいただきまして、ネットワークづくりや帰国留学生への呼びかけなど発足に向けた協議を進めることといたしております。
ネットワークの構築後でございますが、ベトナムに設置をされましたサポートデスクと連携をいたしまして、帰国留学生の有します知識や能力などを生かしまして、経済交流をバックアップするなど、本県とベトナムとの多様な人的交流の核となる組織にしてまいりたいと考えております。
次に、県内の留学生をサポートする仕組みづくりについてでございます。
留学生は、この地域の人々や文化についても深い理解を有していただき、本県と母国とのかけ橋となるまことに貴重な人材でございまして、また、卒業後は、帰国をしてさまざまな分野で活躍をされるほか、特に近年は、日本企業への就職を希望する方々もふえております。
地域経済のグローバル化や少子・高齢化の進展などを考えますと、意欲あふれる多様な若者がこの地域の一員に加わりますことは、この地域の社会経済の活性化に大きな力となるものと考えております。
本県が留学先としてより魅力ある地域となり、来日後、安心して勉学に励むことができ、また、卒業後は母国で、あるいは本県企業でその能力を生かして活躍いただけるよう、総合的な支援を続けていくことが大変重要であると考えているところでございます。
既に本県におきましては、平成二年度から奨学金によります愛知留学生の招聘でございますとか、国際留学生会館によります宿舎の提供事業を実施をいたしておりまして、また、近年では、留学生や県内企業のニーズにこたえまして、留学生と企業双方に対する就職セミナーや、さらには留学生向けのインターンシップなどにも取り組んでまいったところでございます。
来年度におきましては、さらに積極的に大学や経済界等との連携を進めまして、セミナーやインターンシップの共催形式での実施でございますとか、留学生受け入れのための組織の検討など留学生の受け入れ態勢の強化を図りますほか、インターネットを活用いたしました留学生、企業などへの情報提供の推進にも取り組みますなど、長期的な視点に立った留学生施策の総合的な推進に努力をしてまいりたいと考えております。
次に、地域のバスの今後の政策についてお答え申し上げます。
まず、先進事例の把握についてでございます。
北設楽郡におけます公共交通のあり方につきましては、昨年九月から地元三町村と共同で検討を重ねてまいりましたが、この中で、予約制バスの先進事例として、議員から御指摘をいただきましたおばら桜バスでございますとか、他県の事例につきましても調査を行ってまいったものでございます。
このうち、おばら桜バスでございますが、昨年の九月から十一月にかけて、豊田市によりまして実証実験が行われたものと承知をいたしております。基幹バス路線との便利な接続でございますとか、きめ細やかなバス停の配置という方法は、住民の方の利便性を高めるものと考えております。
このような先進事例などを参考としながら、北設楽郡の地域特性を踏まえた公共交通体系の構築を目指しまして、玄関先と町村の中心部を結ぶ予約制バスの運行とあわせて、基幹的路線として町村境での乗り継ぎを解消したコミュニティーバス等の運行に地元三町村とともに取り組んでまいりたいと考えております。
次に、実証実験から通常運行への移行についてでございます。
今回の実証実験につきましては、地元三町村を中心に設立をいたします協議会が国の地域公共交通活性化・再生制度を活用いたしまして、予約制バス等の実証運行を行おうとするものでございまして、平成二十二年一月の開始を目指しているものでございます。
その後、平成二十三年度末までこの実証運行を継続することを予定をいたしておりまして、その間、地域住民の方々の御意見などを十分に調査をし、運行の改善を図っていくことといたしております。
この結果も踏まえながら、平成二十四年度以降につきましても、引き続き地元三町村が中心となって通常運行に移行ができるよう、県としても努力をしてまいりたいと考えております。
次に、市町村間のバスの乗り入れや乗り継ぎの取り組みに対します本県のかかわり方についてでございます。
バス路線の参入や撤退が自由化がされました平成十四年の改正道路運送法の施行以降、利用者の減少などを理由にバス路線の廃止が相次いでいるところでございまして、その代替方策として、市町村が自主的に運行いたします、いわゆるコミュニティーバスが年々増加をいたしているところでございます。
こうした中、市町村におきましては、利用者のニーズを踏まえまして、隣接市町村の駅や病院などの公共施設までコミュニティーバスの路線を延長いたしましたり、停留所を同じ場所に設けて乗り継ぎを容易にするなど利便性を高めるためのさまざまな取り組みがなされているところでございます。
こうした市町村境をまたぐコミュニティーバスの乗り入れでございますとか、コミュニティーバス間の乗り継ぎは、公共交通の利便性の向上や、その利用促進につながるものと考えておりまして、私ども、今回の北設楽郡におけます公共交通の実証実験も、こうした観点から具体化をしようとするものでございます。
県といたしましては、市町村間のコミュニティーバス連携を促しますために市町村の意向を把握をいたしますとともに、必要に応じ協議の場を設定して、実現に向けた検討や調整を行いますほか、各市町村がコミュニティーバスの運行について協議をいたします地域公共交通会議などの機会を通じまして市町村間の橋渡しができるよう、今後とも働きかけや調整に努めてまいりたいと考えております。
最後になりますが、地域の生活交通確保に関する本県の役割についてでございます。
本県の生活交通の維持確保に関しましては、複数市町村にまたがります広域的で幹線的なバス路線につきましては、国と協調して路線の維持を図ってまいりますとともに、一つの市町村の区域内における路線等につきましては、地元市町村において御対応いただくことを基本に考えております。
さらに、県といたしましては、山村・過疎地域の生活交通の維持充実を支援をいたしてまいりますほか、広域の観点から、先ほども申し上げましたが、市町村間の連携の促進や、あるいは国や交通事業者等との調整などの役割を今後もしっかり果たしてまいりたいと考えております。
また、バスをより多くの方に御利用いただくことが路線の維持確保にもつながってまいりますことから、公共交通の利用促進につきまして、あいちエコモビリティライフ運動の推進に引き続き力を注いでまいりたいと考えております。
こうした取り組みによりまして、県民の皆様の生活交通の確保が図られるよう、引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 37:◯知事(神田真秋君) 日越友好議員連盟の役員の皆様方には、正月早々からベトナム訪問をいただきました。経済交流行事にも御出席いただいたわけでございまして、日越交流のいわば応援団として大変御尽力をいただきましたことをお礼申し上げたいと思います。
アジアとの経済交流の中で、中国の江蘇省とベトナム政府ということで昨年スタートしたところでございますけれども、江蘇省とは長い長い本県との歴史がありますけれども、ベトナム政府とは新たな枠組みでのおつき合いということになりますので、大変不安に思っていたところでございますが、おかげさまで、まあまあ、現在、これまで順調に来れたものと思っております。
議員連盟として応援をいただけるのは大変力強いことでございますので、どうか今後ともよろしくお願いを申し上げます。
なお、ベトナムへ渡航する予定はあるかということでございますが、具体的な日程の予定は現在のところはまだ持ち合わせておりませんけれども、この経済交流の調印式には、ベトナム政府からわざわざ計画投資省の副大臣が愛知県庁へお越しをいただいたり、あるいはせんだっては、外国投資庁の長官にこの愛知県へお越しをいただいております。折に触れ、ベトナムへの訪問を強く要請を受けておりますので、どこかで訪問しなければならないと思っているところでございます。
儀礼上のことだけではなく、やはりつぶさに現地を見ることも重要でありますし、ベトナムへ進出しておられる企業の皆様方の現地での声もお聞きしたいものだと思っているところでございます。
いずれにしても、スタートを切ったばかりでございますので、これからでありますけれども、御質問にもありましたように、サポートデスクや、あるいは留学生のネットワーク、こういうものをきっかけにして足元を固めながら、末永い交流ができるよう努力をしていきたいと思っております。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 38:◯三十八番(山下史守朗君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 39:◯副議長(鈴木愿君) 山下史守朗議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 40:◯副議長(鈴木愿君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午後二時五十五分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後三時四十分開議
- 41:◯議長(栗田宏君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
石井芳樹議員。
〔十一番石井芳樹君登壇〕(拍手)
- 42:◯十一番(石井芳樹君) 通告に従い、順次質問をさせていただきたいと思います。
過日行われました代表質問でも、リニモの経営支援について御質問がございました。リニモを運営する愛知高速交通株式会社は、平成十七年三月六日に開業し、万博の際は期間中だけで二千万人の皆様に御利用をいただき、動くパビリオンとして多くの人気を博したことはまだ記憶に新しいことと思います。
博覧会終了後のリニモの利用者数は、平成十七年度下半期では一日当たり一万五百人であり、その後、平成十八年度一万三千七百人、平成十九年度一万五千六百人と増加をし、平成二十年度上半期で一万七千七百人と前年比五・八%の増加となっております。
県や市町並びに株式会社がこれまで沿線大学や近隣住民に対して通勤通学への利用促進の啓発運動を行ったり、また、モリコロパークを利用した各種イベントを通じて利用人員拡大に努めていただいている、その御努力には敬意を表するところでございます。
しかしながら、リニモの実情は当初の見込みを大きく下回り、試算では、二〇一八年度に単年度黒字、二〇二九年度に累積黒字を目指す計画でありましたが、今回示されました長期収支見通しでの試算表では、一日の利用者数が二万五千人に達するのが二〇二八年ごろになるとされ、あわせて二〇二七年度を単年度黒字とし、累積黒字においてはさらにその先になる厳しい状況のものでありました。
このような状況の中、株式会社においても経営改善努力に取り組んでおり、人件費の圧縮に向け、社員数は、平成十八年度九十二名、平成十九年度八十五名と削減してきており、そのうち民間より出向社員については、固有社員への技術移転を進めつつ、削減が進められてまいりました。
今後、平成二十五年度を目途に社員数七十七名を目指し、人件費を平成二十年度から六年間、累計四億三千万円削減する方針を出されました。今後は、さらなる経営改善に向け、スリム化を考えていかなければならず、鉄道は安全が第一でありますし、安全確保も含め、順次人員削減、経営改善を行っていかなければならないことは重々承知でありますが、思うに、開業以来会社は昨年度までで四名の役員で構成をされており、県OB一名、名古屋市OB一名、民間二名の計四名で約三千五百万円の給与水準であること、また、国のOB、県出向職員、民間出向職員等の出向職員の給与形態は、定めで派遣元の給与を下回らないようにと協定が結ばれており、人件費を抑える意味では、今後はより一層の速度を増したプロパー化を進め、固有社員への転換で人件費を抑えながら経営を行っていくことも大切であると思います。
さて、よくリニモの引き合いに出される桃花台線がございます。桃花台線とリニモの違いは、桃花台線が初期投資に伴う借入金なしでスタートしたものの、利用者数が一日二から三千人台に低迷をし、ランニングコストを一度も賄うことができないままでの運営であったのに比べ、一方、リニモでは、その逆で、来年度以降、ランニングコス卜は賄っているところまで利用者数は着実に伸びておるものの、初期投資で二百八十五億円の大きな借り入れをしており、その負担が直接経営を圧迫している状況であることが問題であります。
リニモに当たっての諸費用は、インフラ部で六百四十一億円、このお金は、愛知県、名古屋市が公共事業として建設をし、他方、軌道、車両、通信、電気設備などのインフラ外部三百五十六億円は、愛知県や沿線市町と名鉄、日本政策投資銀行を初め二十三の民間企業が出資する第三セクター、愛知高速交通株式会社により整備をされました。
そのうち、今回問題になっているのが、先ほど申し上げました会社初期投資額の三百五十六億円であります。その内訳は、出資金、すなわち資本金が七十一億円、借入金二百八十五億円から成り、実に八〇%という二百八十五億円の借入金が会社経営の重荷となっている状況であります。
平成二十年度末現在、この借入金残高は二百七十八億円で、さらにその残高の内訳を見ますと、県、市町からの貸付金が百四十八億円、民間金融機関から百三十億円となっております。この民間金融機関からの借入金は、平成十九年度より毎年約三億六千万円の返済が始まっており、平成二十一年度以降は、当分の間、約九億四千万円に増加をし、何らかの支援を行っていかなければ、これを返済する資金はなくなり、平成二十二年度からは現金による不足が予想されます。
また、初期投資に伴う減価償却費が多額であり、長期収支見通しでは、本年度には累積損失が九十二億八百万円と見込まれ、これを資本金の七十一億二千万から差し引きますと二十億八千八百万円の債務超過に陥ります。この債務超過を避けるため、県では、愛知高速交通株式会社への貸付金のうち、約四十億円を株式化して増資をする関連議案を本議会に上程をされました。
これにより債務超過は免れ、また、県貸付金約四十億円のうち二十四億円分が有利子、十六億円分が無利子の貸付金であるため、元金と合わせて二十四億円の有利子貸し付けから生じる利息が将来的に会社から軽減される見込みとなります。
しかしながら、県当局から提出をされました長期収支見通しを見ますと、本年度約四十億増資を行っても、来年度には累積損失が約百十四億三千万円と見込んでおりますので、資本金を七十一億二千万円から約四十億円ふやしても、また差し引き三億円の債務超過が再び発生をいたします。
今回の支援は、知事の答弁にもありましたように、現下の経済・財政状況を前提とした第一段階の取り組みであり、今後さらに資本金の増資と経営安定のための現金での支援を行っていかなければならないと思います。
これら会社の債務超過と資本金不足に対応するため、考えられる具体的な方策としては、県が行うように沿線自治体による貸付金の株式化による現物出資や、現金出資による対応や、有利子貸し付けの無利子化や、各市町の固定資産税の減免などが考えられます。
県は、積極的に会社に働きかけ、今回のリニモ長期収支見通しと同様に、それにかかわる長期の資金繰り並びに返済計画について、沿線自治体を巻き込んで早急な計画策定を行う必要があると思います。
私の住む長久手町に関して申し上げれば、これまで株式会社への初期投資額三百五十六億円のうち、七億円弱の出資金と約二十七億六千万円の貸付金で合計約三十四億五千万円を拠出してきております。これは、初期投資額の約一〇%に当たり、県の三〇%に次いで各自治体では二番目に多い額であります。実に長久手町の一般会計予算の四分の一相当に当たる額であります。
町として、今後、貸付金を仮に株式化をし、さらに現金での増資をしていくには、事前の資金計画なしには非常に難しく、また、県も同様でありますが、各自治体分の出資金百四十八億円を仮に株式化をしたとしても、有利子分については会社は利息の支払いはなくなりますが、県、市町は株式化した有利子分は金融機関へ利息を支払っていかなければなりません。
今後は、多額の所要額が見込まれるものの、リニモは地元にとりまして地域発展を支える基幹的な公共交通基盤であり、県土発展のためにも重要な役割を担っているものであります。
まずは、県、市町を初め関係者が一丸となって取り組んでいくことが最も重要であり、このことは関係者の間において共通の認識であることと思いますが、一方で、どのような経営支援がいつまでに幾ら必要なのかといった方向性を県民の皆様にお示しすべきではないかと私は思います。
そこでお伺いをいたします。
県は、今議会に約四十億円の増資を行う議案が提出されておりますが、以上申し上げたとおり、来年度には再び三億円の債務超過が発生をし、二十二年度には現金での不足も予想されます。県としては、来年度、再来年度を含め、今後どのように対応されていくおつもりなのか、お伺いをいたします。
次に、リニモ周辺の沿線開発についてであります。
県の試算で示される会社の収入でランニングコストを賄うには、今後、利用者が試算どおりに右肩上がりに増加することが大前提であります。古戦場駅から東の住宅開発、愛・地球博記念公園の活性化を含めた沿線施設の利用者の伸びが必要不可欠となってまいります。
我が国では、平成十八年を境に出生率の低下などにより人口が減少に転じてきております。愛知県においても、平成二十七年ごろをピークに人口が減っていくとの試算であります。その中にあって、リニモにおいては右肩上がりの利用者増で挑まなければならないわけであります。
過日いただきましたリニモ沿線地域づくり構想の素案に今後の沿線開発を含めた内容が取りまとめられておりました。それによりますと、対象区域は長久手の古戦場駅から東へ、瀬戸の陶磁資料館南駅、豊田の八草駅を含む六駅周辺の開発であります。現時点では、その地域の人口は一万二千三百人であり、実に面積の約八〇%が市街化調整区域の中にあります。
今後、二〇二五年までに区画整理事業、地区計画の手法を取り入れながら、その地域の人口を倍以上の二万五千人から三万人にふやしていこうというものでありました。また、あわせて交流人口、ここでは通勤通学や沿線施設への来訪など地域外からの流入人口のことでありますが、現在は一日当たり一万四千人であるところを二〇二五年までには既存の施設の充実や新たなる施設立地などにより一日当たり三万一千人から三万六千人へと推移できるよう計画されているものであります。
それら居住人口、交流人口増の計画を踏まえ、リニモが二〇二八年までに利用者数二万五千人を達するための需要見通しと重ね合わせますと、今、計画のあるところでは、古戦場駅周辺においては、来年度より区画整理事業が立ち上がる予定であり、今後、千七百人ほどの人口増を見込んでおりますし、また、沿線集客施設への利用者増の見込みの大きなものは、やはり愛・地球博記念公園に頼るところが大きく、県では、平成十九年度百十九万人の愛・地球博記念公園の利用者数を将来的には約三倍に近い三百万人を見込み、公園の整備を行っているところでありますが、やはり行き着くところは、沿線の開発なしに利用者数二万五千人の達成は難しいものだと思います。
あわせて、土地利用は、大店舗法の改正により市街化調整区域内での大型店の出店は見込めず、開発を行うには、このエリアを市街化区域への編入をするか、区画整理事業を行うか、また、地区計画を含めた手法を取り入れながら進めていくのか、いずれかの手法をもって取り組んでいかなければなりません。
前述のとおり、この地域の沿線は約八〇%が市街化調整区域であり、あわせて駅周辺には農振農用地区に指定されているところが多数存在することから、地区計画による開発が最も適していると思われます。
今、長久手町では、三月議会において、リニモ駅周辺を開発できるよう土地利用計画を今議会に上程をし、今後は都市計画マスタープランの策定を行うなど、速やかに地区計画を起こせるよう準備を進めながら、協力体制を整えております。
しかしながら、実際、地区計画を実施するには、町の定めも当然必要ではありますが、銀行や住宅デベロッパー等で構成される推進の民間事業者の誘導が必要不可欠であり、この点、市町では知識と経験と企業情報に乏しく、県はこれらを重々留意をし、市町から上がってきたものを許可するという姿勢ではなく、県が主となり、事業者への沿線情報の提供や相談窓口を設けて、迅速な仕掛けづくりを積極的に行っていく必要があると思いますし、また、土地の利用が有効で具体的な形として進行できるようにするためには、都市計画法、農地法を含めた法規制の解除についても県の協力が不可欠であるということは言うまでもありません。
一例ではありますが、リニモ沿線地域は万博前までは人里離れた山の中にあり、町内でも余り気にかけることがない場所でありました。しかし、万博の開催を控え、工事が進むにつれ、鉄道はリニモ駅が整備をされ、道路では長久手インターができ、今では立地としては最高の場所に存在する地域であります。そこには県有地があり、代替ができるところは一部土地をつけかえていただくことにより一括地主は県でありますので、開発が可能になると思いますし、また、住宅供給公社を利用しながらの地区計画も視野に入れながら、県は柔軟な対応と積極的な姿勢を持って土地利用に関して取り組んでいただきたいと思います。
あわせて、このリニモ沿線地域は名古屋東部丘陵に位置をし、尾張と三河を結ぶ重要な交通の要衝であり、また、こうした立地を生かし、この丘陵地には県立大学、県立芸術大学、愛知工業大学のほか、周辺を含め多くの大学が立地をし、また、農業総合試験場や豊田中央研究所などの研究機関もあり、今後は知の拠点の整備も計画をされております。
また、陶磁資料館、トヨタ博物館、長久手古戦場公園など文教施設も周辺に整備をされ、非常にポテンシャルとしては高い地域であるがゆえに、県と沿線市町との連携がリニモの将来を決めるものだと思います。
そこでお尋ねをいたします。
まず、リニモ駅周辺の開発について基本的な考え方をお伺いをいたします。また、県と地元市町との連携が事業推進の上でかぎを握るものだと考えておりますが、現在県では、リニモ沿線地域づくり構想に基づくパブリックコメントの募集をしたり、県及び沿線市町による東部丘陵線連絡協議会などを催したりと積極的に地元市町と話し合いの場を持っておられることは承知をしておりますが、今後は具体的に沿線市町とどのように進めていかれるのか、お考えをお伺いしたいと思います。
次に、愛・地球博記念公園の活性化についてお伺いをいたします。
博覧会終了後、平成十八年七月の第一期開園から平成十九年三月の第二期開園並びに、その後、追加開園を重ね、本年度であります平成二十年度は、多目的広場、花の広場等の十四ヘクタールが追加供用をされ、既存の供用面積と合わせますと全体で百五ヘクタールが利用可能となり、現在では五四%の開園率に及んでおります。
また、野球場や地球市民交流センター、フレンドシップ広場などが供用開始を目指し工事が進められているところであります。
こうした公園施設等のハードの整備が進むにつれて、あわせて重要になってくるのが運用面でありますソフト面での仕掛けづくりだと思います。目標人数である三百万人に近づけていくためには、我々が愛知万博に掲げた市民参加と市民協働の継承なしには決して達成できる数字ではありません。
その思いから、私は、昨年六月本議会におきまして、愛・地球博記念公園での県民協働の取り組みについてお尋ねをいたしました。その中で、県民と行政のパートナーシップによる公園マネジメント会議の設立に向けて、NPO、ボランティア団体、企業、大学、公園管理者である行政、指定管理者で構成する公園マネジメント会議準備会を設置をし、運営ルールの策定や実践活動についての議論を行っているとの回答でありました。
公園マネジメント会議は、イベント運営や情報発信などの公園運営にかかわる全般的なことを県民協働で行おうとする取り組みであります。
私の思うに、この会議は、愛・地球博記念公園において、元来、行政の不得手の分野であったきめ細やかなサービスの提供や、公園利用者の市場調査並びに満足度の向上や、魅力ある公園づくりを目指せる仕掛けの一つとなるように思えます。さらに、今後二〇一〇年に完成を予定をされておる市民参加と交流の拠点を役割とする、地球市民交流センターやフレンドシップ広場などの施設が充実していく中で、どのように運営を行っていくかを検討するのに非常に重要な役割を果たすものであると考えております。
また、昨年七月に行われたモリコロお誕生日会を初め秋まつり等、公園でのさまざまな催し物を通じて、私自身、県民の皆様から運営に関する御意見や御要望等を多数いただきました。それら数多く意見を吸収するよい場となる会議であっていただきたいし、あわせて万博後も、今もなお熱い思いを持って各地で活動されているボランティアの皆様方が愛知万博の理念と成果を引き続き県民参加とおもてなしの精神を持って運営をしていただけるのであれば、これほどすばらしい形はないものと思います。
そこでお尋ねをいたします。
昨年末に配布されましたパンフレットによりますと、平成十九年十一月から公園マネジメント会議の会員を募集されており、本年一月九日に募集を締め切り、今月中にも正式に設立されると聞いておりますが、現在どれくらいの応募があり、どのような方や団体が参加される予定なのか、お聞かせをいただきたいと思います。
また、今月正式に設立される公園マネジメント会議が実践する具体的な活動内容はどのようなものか、お答えをください。
次に、二〇一〇年に行われますCOP10と愛・地球博記念公園との関係であります。
昨年五月三十日に愛知県にてCOP10の招致が決まって以来、県では、知事を会長とするCOP10支援実行委員会や、副知事を議長とする愛知県COP10支援推進会議などを通じて、どのような形で行っていくのか、さまざまな議論がされていると思います。
そこでお伺いをいたします。
本年十月にはCOP10一年前イベントを行う予定と聞いております。そのイベントの内容並びにCOP10開催時にはどのように公園を活用していくつもりなのか、お答えをください。
また、あわせて、COP10終了後は、環境万博、環境会議を行った地として、小学校や中学校などの環境教育を行うに当たっての社会見学の場として活用できないものか、あわせてお答えをください。
以上、リニモとモリコロパークについて質問をさせていただきました。またリニモとモリコロパークじゃないかと御指摘をいただけるかもしれませんが、しかしながら、この二十年、三十年を思うに、今この一、二年の計画が将来の明暗を私は強く分けると思うところであります。
リニモに関しては、未来を見詰め、厳しい目で現実を見詰め直さなければいけませんし、また、モリコロパークに関しては、未来を見詰め、夢と希望を持って計画を策定していかなければなりません。寒暖差は双方にあるにしろ、いずれにしろ、施策、計画ではしっかりと地に足の着いた計画を県当局からの明確な御答弁を期待を申し上げまして、壇上からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
- 43:◯地域振興部長(的井宏樹君) まず、リニモの経営支援についてお答え申し上げます。
リニモの経営につきましては、多くの方に御心配をおかけしているところでありますが、リニモは、尾張と三河を結ぶ広域ネットワークを形成をいたしますとともに、今後の東部丘陵地域の発展にとりましても非常に重要な路線であると考えておりまして、その足元の利用状況でございますが、万博後、着実に増加をいたしております。本年度も、この一月までで一日平均約一万七千三百人となっておりまして、前年同期と比べて約六%の増加となっておりまして、年間では六百万人もの方々に御利用をいただいているところでございます。
また、会社における経費削減などの努力とも相まって、新年度には営業収入で運行経費を賄うことができる減価償却前営業損益の黒字転換が図られるものと見込んでいるところでございます。
一方で、多額な初期投資に伴います長期借入金、今年度末で二百七十八億円ございますが、これが会社の経営を圧迫をいたしておりますことから、これを切り離すことによりまして、将来にわたって自立的かつ持続的な運営ができる会社とすることが必要であるというように考えているところでございます。
しかし、未曾有の経済危機のもとで、県だけではなく沿線の市町や民間の株主も大変厳しい経営あるいは財政の状況であるといったようなことを踏まえまして、経営安定化に向けては段階的に対応するということといたしまして、その第一段階として、平成二十五年度までに見込まれます債務超過と資金不足、これを回避をすることといたしまして、県と沿線市町等が協調して毎年度の所要額を増資する方向で支援に取り組みたいと、このように考えているところでございます。
県におきましては、このまま何らの対策を講じない場合の試算をいたしておるところでございまして、この場合、平成二十五年度までに百十五億円程度の債務超過と見込まれており、また、平成二十二年度にも見込まれます資金の不足、これは平成二十五年度までに約五十億円程度と見込まれておりますので、これらに対応いたしますため、既往の貸付金の株式化によります現物出資とともに現金の出資が必要になるものと考えております。
いずれにいたしましても、引き続き沿線市町等と協調しながら対応の検討を進めまして、利用の促進や沿線開発の取り組みとあわせまして、リニモの経営安定化に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、リニモの駅周辺の開発についての基本的な考え方についてでございます。
リニモの沿線は、大学や研究機関、文化・レクリエーション施設などの集積があり、万博を契機に広域的な交通基盤の整備充実が図られたところでございます。また、都市の近郊にありながら、豊かな自然環境にも恵まれ、環境とも共生した地域づくりのモデルとしてふさわしい発展の可能性が高い地域でございます。
この地域のまちづくりを計画的に進めますために、沿線市町と共同で本年三月を目途としてリニモ沿線地域づくり構想の策定に取り組んでいるところでございます。
この構想の基本的な考え方といたしましては、環境負荷の低い公共交通でございますリニモを積極的に活用いたしまして、長久手古戦場駅から東側の各駅を中心に、徒歩圏でございます半径おおむね一キロメートル圏につきまして、駅ごとの環境や条件に応じて、住宅や利便施設などの立地を促進し、背後の豊かな自然と調和をしたコンパクトにまとまったまちづくりを進めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
また、駅へのアクセス手段につきましても、自動車やバス、自転車、徒歩など賢く使い分けるエコモビリティライフを推進をいたしまして、パーク・アンド・ライドでございますとか、あるいはコミュニティーバスの充実などによりまして、リニモの利用促進につなげてまいりたいと考えております。
こうしたことを進めまして、リニモを軸とした魅力あるまちづくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
最後でございますが、地元市町との連携についてでございます。
来年度以降は、リニモ沿線地域づくり構想の実現に向けまして、県と沿線市町はもとより、沿線に立地をいたしております施設やNPOなどの関連団体も交えました推進体制を整え、まちづくり事業の進捗に向けた調整や検討などに取り組んでまいりたいと考えております。
その中でも、沿線で宅地開発を行うなど計画的にまちづくりを進め、民間事業者を誘導していくためには、市町の土地利用計画、マスタープランなどの果たす役割が大きいものと考えております。そのため、沿線地域づくり構想を踏まえまして、市町において、その位置づけや策定を進めていただきますとともに、県といたしましても、市町と連携をして良好な景観形成や、リニモ駅へのアクセス手段の充実など市町を超えた広域の課題の調整などを行いまして、まちづくりのさまざまな取り組みの円滑な実施につなげてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 44:◯建設部長(湯山芳夫君) 愛・地球博記念公園における公園マネジメント会議の会員の応募状況についてお答えいたします。
公園マネジメント会議の会員募集につきましては、会議を円滑に発足させるため、ルールづくりなどを行う目的で設置しました準備会におきまして進めてまいっております。その中で、愛・地球博記念公園での活動実績がある、または今後活動が見込まれることなどを条件に、NPO、ボランティア、サークル、企業等の団体及び大学、研究機関の団体もしくは個人を対象としまして、昨年の十一月二十八日からことしの一月九日まで公募しましたところ、準備会のすべての会員を初め個人参加の方も含めた五十三団体の方から御応募をいただいております。このことを準備会におきまして資格審査を行った結果、すべて会員として参加していただくことになっております。
構成といたしましては、NPO法人十三団体、ボランティア及びサークル二十三団体、企業七団体、大学は個人参加を含み十団体、それに加え、愛知県などの行政及び指定管理者七団体の合計六十団体となっております。この六十団体によりまして、三月二十二日に公園マネジメント会議を発足し、公園の運営について協議、実践を行ってまいります。
続きまして、公園マネジメント会議の具体的な活動内容についてお答えいたします。
公園マネジメント会議は、愛知万博の理念と成果を継承、発展させ、公園の利活用促進のための活動提案や、イベント運営、プログラム活動、情報発信、広報活動など愛・地球博記念公園の運営について、県民と行政のパートナーシップにより協議、実践を行っていくものであります。
この公園マネジメント会議は、会議の協議、承認の場としての全体会と、活動の実行組織として会員の提案などにより設置する分科会で構成されておりまして、公園におけるイベント運営などの具体的な活動はこの分科会が行っていくこととなっております。
これまで準備会におきまして試行的にイベントの応援などの分科会活動が行われ、実践活動の経験を積み重ねてきております。この実績を踏まえ、今後は二〇一〇年にオープン予定の地球市民交流センターの利活用促進のための分科会や、本公園がCOP10と関連した会場となることから、COP10支援のための分科会など多くの分科会活動が行われ、公園利用者への質の高いサービスが提供されるものと考えております。
- 45:◯環境部長(藤井敏夫君) 愛・地球博記念公園のCOP10での活用についてお答えをいたします。
COP10では、愛・地球博記念公園を初め名古屋市内の白鳥地区及び栄地区の三カ所において、さまざまな主体と連携をし、交流を深める事業を展開することといたしております。このうち、愛・地球博記念公園におきましては、自然豊かな環境の中、県民の皆様初め多くの関係者が交流をし、楽しみながら生物多様性の大切さを体感する、その拠点となる場として活用してまいりたい、このように考えております。
まず、本年十月に予定をしておりますCOP10開催一年前記念イベントにおきまして、自然の恵みであります食べ物を通じて生物多様性を学んだり、主要な国々の特色ある生活、文化や、生物の多様性を紹介する事業などを開催しまして、COP10開催機運の盛り上げを図ってまいります。
さらに、COP10本番では、新たに整備をされます地球市民交流センターを中心に、里山等をテーマとした自治体、NGOなどによります身近な取り組みの展示や発表など県民の皆様や関係者の幅広い交流を行う催しを初め、里山の生き物などを素材とした楽しく体感できる催しなど、より多くの皆様方の参加が得られる事業について、幅広く検討を進めているところであります。
こうした愛・地球博記念公園を活用したさまざまな事業につきましては、現在取りまとめておりますCOP10開催計画の中に盛り込んでまいりたいと考えております。
以上です。
- 46:◯教育長(今井秀明君) 愛・地球博記念公園の活用につきまして、私からもお答え申し上げます。
現在、環境教育につきましては、各小中学校で教科や総合的な学習の時間などにおいて、身近な里山での生き物観察や河川の水質検査などさまざまな学習が行われております。
また、記念公園には、環境学習の場としてもりの学舎が整備されておりますので、現在、県内二十校程度の小中学校では、自然観察やクラフト工作など校外学習の場として活用しているところでございます。
愛・地球博記念公園は、自然と触れ合い、人が交わるすばらしい公園となるよう今後も整備が進められますので、県教育委員会といたしましては、小中学校が環境教育や社会見学の場として有効に活用できるよう、関係部局とも連携しながら、市町村教育委員会にPRしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 47:◯十一番(石井芳樹君) 御答弁ありがとうございました。一点要望をさせていただきたいと思います。
私は、地元沿線議員として、決して後ろ向きに思っているわけではありません。前向きに、そして、花あるリニモにしていかなければならないために感ずるところを質問させていただいたわけであります。
その中で、先ほどお答えをいただきましたリニモ沿線地域づくり構想についてであります。素案を見させていただきました。大変にそのとおりのまちづくりになれば、すばらしい活力ある県土づくりに努めていくまちづくりだと思いますが、しかしながら、私が御指摘をさせていただいたとおり、この地域は八〇%以上が市街化調整区域であります。すなわち、地区計画において民間の推進団体を頼まなければなかなか開発のできない地域であります。
民間はこのような時世であります。土地を買い、建物を建て、そして、早く売却をしなければ利益にならないわけであります。理想と現実のはざまの中で大変難しい行政運営をされることだとは思いますが、その点も踏まえて、しっかりとまた進めていただきますのと同時に、大阪万博から約四十年になります。関西に向かいますと、高速道路沿いから太陽の塔が見ることができます。私は、直接大阪万博は見ておりませんが、しかしながら、日本の高度経済成長の力強い印象として、また、大阪万博のシンボリックな存在としてオーラを感ずるところであります。
リニモにおいても、本県は世界に先駆けて環境万博を行った土地であります。二十年、三十年後の子供たちが大きくなったときに、リニモを見て、ああ、さすが先進地愛知県だと言っていただけるような、そのときにはリニモがしっかりと活性化しているように進めていただきますことを強く要望させていただきまして、私の質問とします。
- 48:◯議長(栗田宏君) 進行いたします。
佐藤ゆうこ議員。
〔六番佐藤ゆうこ君登壇〕(拍手)
- 49:◯六番(佐藤ゆうこ君) 通告に従い、最終登壇者として、順次質問をしてまいります。
初めに、被災後の対応についてです。
今から十四年前の阪神・淡路大震災におきまして、スイスからの災害救助犬が当時の報道で大きく取り上げられました。また、岩手・宮城内陸地震におきましては、土砂崩れに巻き込まれ、行方不明になった方のベルトや工具類を災害救助犬が発見し、その後の遺体発見に大きく貢献しました。
においの残っている物品をかがせ、そのにおいをかぎつけて、特定の人を追跡するのが警察犬であるのに対し、人間が異常事態に発生する汗や、皮膚からはがれ落ちた小さな組織のにおいをかぎわけ、不特定多数の人を見つけるのが災害救助犬です。簡単に言いますと、鼻を下に向けて捜索をするのが警察犬で、鼻を上に向けて捜索をするのが災害救助犬です。
愛知県は、東海・東南海地震により大きな被害がもたらされることが予想されており、人的被害に対しては、県は市町村からの要請によって動くばかりではなく、積極的な対応をとらなければなりません。
災害救助犬は、災害により行方不明になっている生存者を発見することが目的の犬です。生存の確率は時間とともに下がり、災害発生後二十四時間以内、冬季であれば十二時間以内に発見をしなければならず、今、災害救助犬の活動はとても注目をされています。
災害救助犬を有する団体は、私の知っているところで五団体ありますが、その中の一団体であるジャパンケネルクラブにお話を伺いました。現在、三百二十頭の救助犬を保有しており、災害救助犬の出動に関する協定を東京消防庁や岐阜、三重、京都、石川、高知、福島、宮城の七府県を初めとして全国八市町一区の合計十七の自治体と協定を結んでいます。
昨年は、全国三十一カ所の防災訓練に救助犬が参加。災害現場にはこれまで十一カ所出動しており、人命救助に大きく貢献してきました。災害救助犬育成訓練所は全国に三十五カ所あり、愛知県では、愛知郡東郷町にある名古屋警察犬学校がジャパンケネルクラブの訓練所として認定をされています。行方不明者が出なかった能登沖地震のときには、ジャパンケネルクラブは出動をしませんでした。なぜなら、先ほども申し上げましたが、災害救助犬の目的は行方不明者を捜索することであり、その目的以外に出動をすることは、逆に被災現場を混乱させてしまう危険性があるからです。
一頭の救助犬に対して一人または二人の指導手が担当をしており、日ごろから訓練に力を注いでいます。災害のニュースが飛び込んでくると報道だけではわからない部分があるため、すぐさま被災地のそばまで出向き待機をします。災害が局所であれば近隣から、災害が広域であれば被災地より離れたところから出動をさせます。初めは被災地に入らず、行方不明者の有無や、県の要請に応じて出動もしくは退散という形をとりますが、出動をした場合については、県が連絡をとる現場指揮官の指示に従い、捜索活動を行います。
救助犬の出動は基本的にボランティアであり、これまでの救助活動において、ジャパンケネルクラブでは一切自治体から費用を受け取っていません。日ごろの訓練を初め自治体の行う地域防災訓練、災害出動に要した費用は、ジャパンケネルクラブに所属する十三万人会員の会費や、血統書の登録料などで賄っているそうです。協定を結んでいなくても、必要であれば、県からの要請後、出動しますが、やはり連絡体制の面で多少の時間がかかるそうです。協定を締結することは、迅速に、そして、円滑に出動をしていただけますので、いち早い人命救助に有効であることは間違いありません。
こうした状況から、これまで協定を結んだ自治体から契約を取りやめる申し出は一切ないそうです。石川県では、災害救助犬の出動に関する協定を四団体と結んでいます。東京都では、公共施設を取り壊すときにその現場を災害救助犬の訓練の場として提供しています。宮城県では、災害救助犬の有用性が県議会で議論をされ、高い評価のもと、協定の締結につながりました。各自治体によって災害に対する認識に温度差があるかと思いますが、人の命がかかっていますので、愛知県もいま一度被災後の人命救助に係る対策を強化し、災害救助犬の位置づけを確立していただきたいと思います。
今、この瞬間に災害が起きた場合、私たち議員や県職員は県民の皆さんのために何ができるでしょうか。必ず起きるそのときのために、私たちは今できることは今取り組まなければなりません。
愛知県は、食料や物資の協定は十分に結んでおります。しかし、こういった協定だけではなく、いち早い人命救助のために災害救助犬の出動に関する協定を結び、市町村との連携をさらに強めていただきたいと思います。
以上のことを踏まえ、一点伺います。
大規模災害時において、行方不明者の捜索に災害救助犬は有効な手段であると考えられますが、県はこれまで災害救助犬についてどのような認識を持っていたのか教えてください。また、今後起こり得る災害に備え、災害救助犬の活用と協定についての県の考えをお示しください。
次に、子育て支援について質問いたします。
「子供を産んで育てることは簡単なことではありません。だれかが助けてくれればと思っているお父さん、お母さんが実はほとんどなのかもしれません。そんなとき、地域の人が親切にしてくれる、お店が優待サービスをしてくれる、小さなことでも子育て家族にとってきっと大きな心の支えになります。子育てがみんなにとっての喜びであるように、子育て家庭優待事業に御参加ください。まずは、あなたのお店、施設から。子育て応援宣言。」とのメッセージを添え、子育て家庭優待事業の協賛店舗や施設の募集を始めました。
愛知県と市町村が共同で平成十九年十月から導入し、十八歳未満の子供を持つ子育て家庭と妊娠中の方が協賛店舗で優待カードを提示すると、商品の割引やサービスなどさまざまな特典を受けられる制度です。名前ははぐみんカード。名古屋市では、同じ制度になりますが、カードの名前はぴよかカードといいます。このカードの名前、そして、県の制度を皆さん御存じでしたでしょうか。
愛知県の努力もあり、協賛店舗・施設は着実にふえ、現在、八千五百五十三件の店舗や施設に御参加いただいております。サービス内容は協賛店舗によって異なりますが、お米十キロ三百円引き、人形店や畳店では全商品一割引、お店のポイントサービス二倍加算、飲食店では食後のアイスクリームサービスや食事代金五%引き、宅配ピザではフライドポテトやドリンクのサービス、クリーニング店ではクリーニング代金五%引き、信用金庫では定期積立金利の〇・二%上乗せや、住宅ローン店頭金利の〇・一%優遇、マイカーローン基準金利の一%優遇、レンタカーでは基本料金の一五%引きや、チャイルドシートの無料貸し出しなどがあります。
協賛店舗のメリットとしては、店舗のイメージアップや、愛知県のホームページでの店舗紹介、商工中金からの借入優遇などがあります。使う側は、カードを提示すれば多くのサービスが受けられますが、提示をしなければ何もサービスを受けることができません。現在、四十程度の都道府県でこういった事業が展開をされていますが、その中の静岡県と兵庫県の取り組みを紹介いたします。
平成十九年十月から全市町で実施されることになった静岡県では、カード利用者、協賛店舗、行政が一堂に会して、年に五回程度のタウンミーティングや、県政に関心を持つ方へのインターネットモニターアンケートを実施し、広報の強化を図ってきました。平成十九年十一月に行ったアンケートによりますと、モニター四百六十六人中半数以上の人が、また、女性では七〇%の人がこの事業を知っており、カード配布者を対象にした利用状況では、三分の一を超える人が、また、女性では約半数の人がカードを常に携帯していました。カードを利用したことがある人は四〇%に上るとの結果も出ていました。
愛知県豊川市が協賛店舗に行ったアンケートによりますと、今までカード利用者がいない、思ったより反響がない、カード自体を知らない人も多い、カードの存在を知らなかったとの声が多数あった。宣伝不足でカードの利用価値がわかっていない世帯が多い、宣伝をしてほしい、認知度、利用度が低いのでPRを充実してほしい、学校や小児科病院で紹介してほしい、やる以上ははぐみんカードのPRをもっとやってほしい、ポスターやのぼり旗で宣伝したいなどの声がありました。
利用度においては、回答店舗八十二件のうち、一度も利用がないが三十二件で、利用があるが五十件でしたが、その利用も一日平均一・七件との結果でした。また、昨年十月に行った県民アンケートの中で、はぐみんの名前やデザインを知っているかとの問いに、知っていると答えた人が一七%で、名古屋市内においてはわずか四・二%にとどまっていました。
この状況の中、来年度からはぐみんカードが岐阜県、三重県の協賛店舗でも利用できるようになります。県は一層便利になるとの認識をされているようですが、利用者に余り周知をされていないこの状況の中で一層便利になると言えるのでしょうか。
兵庫県は、カードだけではなく、携帯電話の画面によるパスポートも利用することができ、関西二府八県で関西子育て世帯応援事業を展開しようとしています。すばらしいサービスがあっても、はぐみんカードを知らなければ、このカードはただの紙切れになってしまいます。クレジットカードを常時携帯するように、はぐみんカードが携帯されるには、広報はもちろんですが、サービスの魅力も重要なポイントになると思います。
これまで県は千七百二十五万円の予算を投入し、二十一年度も約二百三十万円を計上しております。資材の作成がその主な内容となっていますが、資材だけではなく、これまで以上に広報に力を入れ、周知の徹底を図っていただきたいと思います。利用者の皆さんのお財布にいつもはぐみんカードが入ってこそ、この事業の意味があるのではないでしょうか。
そこで三点伺います。
一点目は、県民に対して、はぐみんカードの浸透度が低いと思われますが、これまでの周知の方法と実績について、県はどのような評価をしているのか、お答えください。また、近隣県との相互利用をスタートさせる今後の事業について、その具体的なPR方法をお示しください。
二点目は、静岡県では、利用者などにアンケートを実施し、その声に耳を傾けていますが、愛知県では、この事業をよりよくするために協賛店舗や利用者に対し、今後どのような取り組みをしていかれるおつもりなのか、お答えください。
三点目は、兵庫県のような携帯電話を使った登録型パスポートは、利用者にとって、常に持っているアイテムとして有効であると考えられますが、こういった仕組みの導入についてのお考えをお示しください。
最後に、高等学校における中途退学者について質問いたします。
皆さん御存じのように、小学校、中学校は日本の義務教育機関であり、たとえ出席日数が足りなくても普通に卒業証書を受け取ることができます。まさしく今、卒業を迎える中学三年生の子供たちが新しい道に向かってスタートを切ろうとしています。その道はさまざまで、高校に進学をする子もいれば、就職や家業の手伝い、留学や専門の勉強をする子もいます。
私の今までの考え方は、特に高校進学に関しては、十五歳の子供たちの意見や希望を反映し、与えられた環境の中で周りの大人たちがサポートをして、多少の誤差はあるものの、一番よい道を歩んでいるとの認識でした。しかし、実際に高校に進学した子供たちの中には、選択した高校を後にする例も少なくありません。いわゆる中途退学者と言われる子供たちが後を絶たないということです。
愛知県立高校、過去五年の中途退学者数を見ますと、平成十五年度千八百八十人、十六年度千八百七十人、十七年度千九百八十三人、十八年度千八百二十二人、十九年度千七百四十人であり、率にしますと、生徒全体の一・五%から一・七%を示し、最低でも生徒二百人中三人は退学をしていることになります。中でも、高校一年時に退学をする子供が最も多く、中途退学者全体の五五%を占めています。また、過去五年においては、中途退学者全体の割合がほぼ横ばいになっていることに比べ、一年時の退学者率は年々増加をしています。
特定の高校名は挙げられませんが、一例を言いますと、平成十九年度、ある高校では一人も中途退学者がいなかったのに対し、一四・七%の中途退学者を出した高校もあります。この高校は、平成十七年度には二〇%の中途退学者を出しており、百人中二十人が中途退学をしたことになります。
本県における中途退学の主な理由は、もともと高校生活に熱意がないが一八・三%、就職希望が一三・九%、別の高校への入学希望が一〇・二%、人間関係がうまく保てないが一〇・一%となり、そのほかに学業不振、学校の雰囲気が合わない、授業に興味がわかないなどの理由が挙げられています。
本県の私立高校における中途退学者の割合は県立高校より高く、過去五年の平均は毎年約二・二%となっており、理由として一番に挙げられていますのが、県立高校と同じく、もともと高校生活に熱意がないで一六%です。続いて、人間関係がうまく保てないが一四・四%、別の高校への入学希望が一三・二%となっています。この結果を見ますと、県立も私立もどちらも高校に入ってみたものの、思い描いていた高校生活と現実とは違っていた。十五歳の子供たちが小さいころから一緒に通っていた地域の友達と離れ、自分で切り開く高校生活への不安を打ち消すだけの魅力を見出すことができなかった。もともと高校進学を強く希望していなかったが、周囲の勧めでわからないままに高校生活に入ってしまったなどの理由が考えられるのではないでしょうか。
高校側も、中途退学者が多く出る一年生の前半に十分配慮をし、早い時期に仲間づくりのためのオリエンテーション合宿を行い、高校での勉強方法や将来を見詰める適応指導などをしています。また、密な人間関係を築けるように部活動に入るように指導をし、担任の先生だけではなく、顧問の先生にも相談できる環境をつくり、高校一年時を乗り切ることに力を注いでいます。
入学した生徒全員で卒業することを目指しているとのことですが、実際には入学者全員で卒業を迎えることは難しく、それぞれの理由で高校を後にしてしまいます。
では、県立高校において中途退学をした子供たちは、その後、どういった生活を送っているのでしょうか。
教育委員会に尋ねたところ、退学をした後に学校に顔を出してくれる場合は状況がわかりますが、そうでない場合は状況を把握することは難しいとの回答でしたから、その答えはわかりませんでした。学習はしたいが、今の高校は嫌だとする子供たちは、通信制の学習を選ぶか、ほかの高校を探さなければなりません。愛知県の場合、公立高校全日制課程間において転学の制度はありますが、二年、三年の学年初めに限り、在学中一回に限るとの規定がある上、その資格は在籍している学年課程の修了見込み者に限られています。結局一年時の途中で退学した生徒はその資格がないことになり、基本的には全日制の高校には転学できません。
残された選択は定時制高校になりますが、この定時制高校につきましても、愛知県は募集時期が学年末のみになっていますので、入学できるのは在学していた高校を退学してから長い場合で十一カ月待つことになります。学校を退学した場合、学習意欲があっても十一カ月もの空白期間があれば、その意欲は薄らいでしまいます。実際に次の募集を待つ長い間に本格的にアルバイトを始めてしまい、新たな高校にチャレンジをする意欲をなくしてしまった子供もいます。
全国の公立高校を見ましても、退学者率は愛知県とほぼ同じ割合になっていますので、同じ現象が起きていると考えられます。そんな中、中途退学者が多く出ていることへの対応として、東京都立六本木高校では、学年末のほかに九月募集を、また、神奈川県立神奈川総合高校では、学年末のほかに七月募集をし、中途退学者を受け入れています。やむなく退学をしてしまった子供たちにとって空白期間が短いことは、学習意欲をなくすことなく次に進めるという大きな利点があります。
目的意識がないまま高校に進学し、授業や友人関係につまずくと学校に通えなくなるという状況が指摘されている。先週二月二十七日に文部科学省が、高校生の不登校や中途退学者が多数に上っていることを受け、高校生が学校に来られない状態になった場合、学校以外のフリースクールでの指導日数を高校出席扱いとするとの方針を固め、来年度からの実施を目指すと発表しました。国が支援措置が必要であると判断をしている現状を踏まえ、以下四点の質問をします。
一点目は、中途退学者が毎年多く出ている特定の高校に対し、県は、スクールカウンセラーによる相談や、若い積極的な教師を配置しているとのことですが、過去五年において、その退学者率は必ずしも減少しているとは言えません。年度によっては、一つの高校で二割もの退学者が出てしまうというこの現状を県はどう認識していますか。また、これまでの指導や対策について新たな改善策はお考えでしょうか。
二点目は、中途退学の主な理由を総合すると、思い描いた高校生活とは違った現実が待っていたと言えると思います。中学校で進路を選択するわけですから、中学校での進路指導や高校生活体験など、中高がこれまで以上に密に連絡をとる必要があると思いますが、県の考えをお示しください。
三点目は、愛知県立高校の中途退学者が毎年約一・六%ありますが、この数値を県はどうお考えですか。中途退学者減少に向けて、県の掲げる数値目標があれば教えてください。
四点目は、子供たちの学習意欲や高校生活に対する意欲をなくさないためにも、東京都や神奈川県のような学年末以外の募集が有効であると考えますが、県の方針と導入見込みについてお答えください。
以上で私の壇上からの質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
- 50:◯議長(栗田宏君) この際、お諮りいたします。会議中時間経過のおそれがありますので、時間を延長することに決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 51:◯議長(栗田宏君) 御異議なしと認めます。よって、時間は延長することに決定いたしました。
- 52:◯防災局長(小出茂樹君) 災害救助犬の活用と協定についてでございます。
災害救助犬は、阪神・淡路大震災などの大規模災害時における行方不明者の捜索活動に活躍しており、県といたしましても、災害時の捜索活動に有効であると認識しております。また、本県の地震を想定した防災訓練にもボランティアとして参加していただいております。
こうしたことから、既に災害救助犬の出動に関する協定の締結について検討を行っております。今後、具体的な内容につきまして、それぞれの災害救助犬を保有する団体と協議を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 53:◯健康福祉部長(小島通君) 子育て支援につきまして、三点のお尋ねをいただきました。順次お答えいたします。
まず、一点目は、子育て家庭優待事業の浸透度についてでございます。
本県のこの事業は、市町村との共同事業として実施しておりますので、これまでは実施市町村数の拡大に努めることで浸透していくと考え、積極的に市町村に実施を働きかけてまいりました。
実施市町村におきまして、はぐみんカードが利用対象者に確実に行き渡ることが重要でございますので、各市町において、保健所や小中学校を通じて、また、母子健康手帳の交付時などの機会を利用して配布していただいておりまして、その際、あわせて利用案内を配布いたしました。
また、県の広報といたしましては、広報あいちや広報番組、ホームページなどを活用いたしまして、周知を図ってきたところでございます。さらに、市町におきましても、記者発表や広報紙などを利用して広報に努めていただいているところでございます。一方、店舗に対しましては、協賛店舗であることがわかるステッカーを店頭に掲示していただいております。
このようにPRに努めてまいりましたが、昨年十月に実施した調査の結果から見ますと、議員お示しのとおり、県民の皆様への浸透度は十分ではないと認識いたしております。
このため、来る四月一日から東海三県での相互利用がスタートいたしますので、この機会に利用者全員にチラシを配布いたしますとともに、三県それぞれのカードの一覧と、相互利用できることを明示したステッカーを全協賛店舗に配布し、レジスターに張っていただくなどさらなる周知に努めてまいります。
第二点目は、この事業をよりよくするための今後の取り組みについてでございます。
本県では、平成十九年十月の制度開始の当初から事業実施をしている豊川市の御協力をいただいて、市内の協賛店舗を対象にアンケート調査を昨年十一月に行いました。また、本年二月には、豊川市内の利用者、協賛店舗の方にそれぞれお集まりいただき、子育て家庭優待事業についての意見交換会を行ったところであります。
利用者の方から出された意見といたしましては、市内の店舗の優待内容は印刷物で確認できるが、他の市町の協賛店舗の優待内容がわからない、あるいは協賛店舗であるかどうかがわからない、さらには協賛店舗が少ないなどがございました。
これらの意見を踏まえ、広報の充実や協賛店舗の増加に努めてまいりますとともに、来年度におきましても、引き続き利用者、協賛店舗の御意見をお聞きし、より使い勝手のよい事業になりますよう努めてまいります。
三点目は、カードのかわりに携帯電話の画面を利用することについてのお尋ねであります。
携帯電話の画面を利用する方法では、まず、利用者が登録の手続をしていただく必要がございます。子育て世代のほとんどの方が携帯電話を持っているという点では利便性が高まります反面、登録手続が支障となり、利用対象者がなかなかふえないのではないかという懸念もございまして、カード方式、携帯電話方式、それぞれに一長一短がございます。
したがいまして、今後の事業の進め方につきましては、この四月から三県での相互利用を始めますので、三県で種々協議する中で携帯電話の画面を利用することにつきましても研究してまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 54:◯教育長(今井秀明君) 高等学校における中途退学者について、順次お答えいたします。
まず、中途退学者の指導と対策についてでございます。
一部の高等学校で多くの中途退学者が出ていることはまことに残念でありますが、県内の高等学校では、入学後の早い時期からガイダンスやオリエンテーションなどの適応指導を実施したり、カウンセラーによる教育相談活動の充実を図っております。
また、生徒の多様な興味、関心に対応していくために、総合学科やコース制の導入など生徒にとって魅力と活力のある学校づくりに取り組んでいるところでございます。
中途退学の要因につきましては、学校生活への意欲や学力あるいは人間関係や家庭状況など種々の生徒の事情によりさまざまでありますが、入学させた生徒は全員卒業できるよう、今後とも最大限努力してまいりたいと考えております。
次に、中高の連携についてでございます。
高等学校への進学に当たっては、中学生が各高等学校の特色や雰囲気をよく理解した上で学校を選択し、円滑に高校生活を送ることができるようにすることが大切でございます。このため、中学校では、高等学校の教員を招いて、生徒と保護者を対象に進学説明会を実施したり、高等学校に依頼して卒業生から直接高校生活の様子を聞く機会を設けたりしております。
また、高等学校では、進路指導を担当する中学校の教員を対象として説明会を適宜開催したり、夏休み期間を中心として、中学生とその保護者を対象に一日体験入学をほぼ全校で一、二回実施し、各高等学校の生活の特色や授業、部活動の様子を肌で感じる機会を設けたりしております。
今後も、高等学校のホームページの内容を充実させ、中学生が高等学校における生活や学習について具体的にイメージできるようにするとともに、中学校の生徒、保護者や教員などを対象とした授業公開をさらに広めるなど中高の連携を一層深めてまいりたいと考えております。
次に、中途退学率についてでございます。
本県県立高等学校の中途退学率一・六%は、議員お示しのとおり、全国の平均と同程度でございます。県教育委員会といたしましては、中途退学率について数値目標は特に設けておりませんが、生徒一人一人に応じたきめ細かい適応指導を行うなど一人でも多く中途退学者を減らすよう、今後とも学校の指導体制の充実も含めてさまざま努力をしてまいりたいと考えております。
最後に、中途退学者を対象とした募集についてお答えいたします。
本県においては、定時制通信制高校が多様な事情を抱えた生徒の学び直しの場となっております。毎年比較的多くの中途退学者が入学しております。
御質問の学年末以外に募集する考えはないかという点についてでございますが、実施する場合、教育課程や単位認定制度の大幅な変更などが必要となってまいりますことから、現在のところ、こうした募集形態の導入については考えておりません。
以上でございます。
- 55:◯議長(栗田宏君) 以上で一般質問を終結いたします。
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- 56:◯三十七番(酒井庸行君) 本日はこれをもって散会し、明三月五日は休会とし、三月六日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 57:◯議長(栗田宏君) 酒井庸行議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 58:◯議長(栗田宏君) 御異議なしと認めます。
明三月五日は休会とし、三月六日午前十時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時五十二分散会