県政報告
(主な質疑)
- (主な質疑)
《議案関係》
【小林 功委員】
職員の給与に関する条例に特2級を新設するということだが、給料表には165号給まである。1年に1号給上がるとして40年働いたとしても40号給あればよいのではないか。
- 2:【教職員課主幹(給与)】
従前は昇給により1年に1号給上がっていたが、給与構造改革により18年4月1日から1年に4号給上がることとなった。4号かける40年で160号給ということになる。
- 3:【小林 功委員】
年に4回上がるわけではなく1、5、9号給と上がっていくのか。
- 4:【教職員課主幹(給与)】
従前は年に4回昇給時期があり、その昇給期ごとに該当者があったが、現在は一度に4号給上がるのが標準である。勤務成績により号数は違う。
- 5:【小林 功委員】
1号給を四つに細分化したのか、また、実際に4号給上がっているのか。
- 6:【教職員課主幹(給与)】
従前の1号給の金額を四つに分けた額が1号給の額となっている。年に4回昇給時期があったものが年に1回、4月昇給になったということである。
- 7:【小林 功委員】
その他手当において、国と制度が異なるとあるが、地域手当について、国は6段階、県は一律支給である。国より高いのか、それとも低いのか。
- 8:【教職員課主幹(給与)】
手当によって異なるが、人事委員会の勧告により地域手当は、県内は一律10パーセントであり、都会と地方で違う率を適用することは、人事異動の関係で難しい。国の手当を下回るものもあるが、おおむね国より若干高くなっている。
- 9:【小林 功委員】
国立大学附属中学校に異動になると、給与は下がるのか。
- 10:【教職員課主幹(給与)】
地域手当の影響が最も大きいと思うが、国の給与制度となるため、若干下がる。
- 11:【鬼頭英一委員】
スポーツ会館のトレーニングサウナ施設が廃止されるが、その理由は何か。
- 12:【体育スポーツ課主幹(振興・施設)】
スポーツ会館のトレーニングサウナ施設は、昭和47年に開設した。当時は、サウナを備えた施設ということもあり、開設当初から多くの方に利用され、昭和59年度には、年間約4万7,000人、1日当たり155人が利用していた。しかし、その後減少が続き、利用促進のために、館内の他の競技場を利用した場合、トレーニングサウナの利用料金を割り引くなどの策を講じてきたが、平成18年度は年間約8,900人、1日当たり29人まで減少した。施設自体の老朽化もあるが、スポーツ会館の周辺に近代的設備を完備した施設として、名古屋市の3施設が順次整備されたこと、更に民間の類似施設が充実してきたことが大きな要因と考えられる。こうしたことから、県が地域におけるトレーニング施設普及を図るという設置の目的は達成されたものと考えている。そのため、今回条例改正と廃止後の改修工事の予算についてお願いするものである。
- 13:【鬼頭英一委員】
長年利用した者には愛着がある。廃止の理由もよく分かるが、廃止後のリニューアルの基本的な考え方、内容、スケジュール、リニューアル後の施設の活用方法についてはどのように考えているのか。
- 14:【体育スポーツ課主幹(振興・施設)】
スポーツ会館の近隣に名古屋市等の公的施設、民間のトレーニング施設が充実してきた。他方、スポーツ会館は、女性の多様なスポーツの参加機会の確保や高齢化社会への対応が必要であると考えている。こうしたことから、男性専用トレーニングサウナを、男性、女性、そして高齢者や子どもなど、だれもがフィットネスや軽運動など、多目的に使用できる運動室の整備を計画しており、平成21年4月には供用開始できるようにしたいと考えている。
- 15:【鬼頭英一委員】
すばらしい内容のリニューアルになることを期待している。スポーツ会館職員の、利用者への対応が非常に事務的・官僚的であり、サービス精神が見られないという厳しい意見が利用者から寄せられている。改善を望むが、その点どのように考えているか。
- 16:【体育スポーツ課主幹(振興・施設)】
最近、利用者の方からの声として、職員の対応についての指摘を受けた。利用者の方に気持ちよく利用していただく環境づくりが何よりも重要なことである。スポーツ会館は接客対応について、笑顔での対応を職員ミーティング、職員研修などで周知徹底を図っているところである。しかし、今回このような指摘を受けたため、改めて管理者である教育・スポーツ振興財団に職員教育の徹底を指導していく。更に、スポーツ会館以外の施設についても、同財団に対して指導の徹底を伝えていきたい。
- 17:《一般質問》
【谷口知美委員】
発達障害児の幼児期からの支援の継続について、現状は、小学校入学時の発達障害児の情報がまだまだ不十分であると思う。受け入れる側の支援体制の整備も必要であるが、幼稚園から小学校に的確に伝える必要がある。保育園や幼稚園から小学校への移行支援についてどのような工夫改善がなされているか。
- 18:【特別支援教育課長】
幼児期から学童期への移行支援をスムーズに行うためには、これを支える体制と具体的な連携の方法を整備することが重要であると考えている。小学校入学前の幼児の多くが、私立幼稚園や保育園に在園している実態からも、各市町村において関係する部局が連携する体制を整備する必要がある。愛知県では平成17年度より特別支援教育体制推進事業の中で教育、福祉、医療、労働や保護者からなる県及び地区の特別支援連携協議会を組織し、各市町村における連携促進を図ってきた。現在、県内の17の市町で「協議会」が設置され、14の市町で設置準備が進められている。今後も、市町村レベルでの連携が重要であるため、幼稚園や保育所も含め、協議会の設置について指導助言に努める。また、具体的な連携の方法として有効と考えられるのは個別の教育支援計画であり、現在先進的に取り組んでいる市町の事例を参考にしながら、各市町村の担当者会において紹介し、市町村では、教育支援計画の策定を進めている。更に、策定を進め活用を図っていくためにも、県として個別の教育支援計画作成のためのマニュアル作りや教員への研修、保護者に対する理解啓発を行う。
- 19:【谷口知美委員】
しっかりやってほしい。より良い方向になっていくようお願いする。
子育て支援の関係で、平成20年4月から育児短時間勤務制度が導入されたが、学校という特殊性から十分対応できるのか。この制度の問題点をどのように考えるか。
- 20:【教職員課長】
育児短時間勤務制度は、少子化対策の一方策として、子育て支援と公務運営の能率化を図るため、育児を行う職員が職務を完全に離れることなく育児の責任も果たせるよう、職業生活と家庭生活との両立を支援することを目的として導入するものである。しかし、育児短時間勤務に伴う後補充職員の確保の課題、小学校における担任の受け持ちの課題、同一校で複数の職員から育児短時間勤務の希望がある場合の対応など、多くの課題を把握している。中でも後補充職員の確保が大きな課題と考えており、教育事務所や市町村教育委員会の候補者名簿の充実を図ったり、他の理由で任用している非常勤講師と育児短時間勤務の後補充職員との兼務や、退職教員の活用など、児童生徒の教育に支障が生じないよう、円滑な学校運営に努めていきたい。
今後は、更に課題の把握に努めるとともに、保護者や市町村教育委員会、校長などが参加する会議等においても対応を協議していきたいと考えている。また、先般も文部科学省幹部と個別に意見交換する場があり、こうした実情を伝えたところであるが、今後も、必要に応じて要望も行っていきたいと考えている。
- 21:【谷口知美委員】
スムーズに運用が始まるよう準備をしてもらい、改善すべきは改善されるよう、国に対しても要望してもらいたい。
訪日教育旅行について、国土交通省が推進元となり事業が展開されるが、日本から海外へ行く人が1,600万人に対し、海外から日本を訪れる人は600万人しかおらず、1,000万人まで増やす計画の中で、小中高校生に訪れてもらいたいというものである。日本から行く人に比べ、日本へ来る人は5分の1しかおらず、変えていきたいという思いがあるようだ。本会議の一般質問における産業労働部の答弁では、来年度、訪日教育旅行の受け入れ実施予定の学校からヒアリングを実施し、予定を増やしていくということであった。意味のあることだとは思うが、観光産業振興に学校が利用されているような気がする。多忙な教員の中、産業振興にまで学校がかかわらなければならないのか。
- 22:【義務教育課長】
外国の子どもたちの訪問を受け入れることは、学校にとって国際理解教育に生かすことができ、子どもたちにとって国際感覚を身につける上で有効であると考えている。受け入れのための事業実施に当たっては、連絡会の開催や事前のアンケート調査も実施されると聞いている。この連絡会等を活用することによって、学校からの要望や条件を産業労働部等に伝える機会にもなる。また、教育委員会と他部局との連携のきっかけともなり、学校の状況を知らせることができる。今後もこれまで同様、学校の状況により、無理のない受け入れの体制をつくり、学校の負担にならないよう、できる限り情報交換や市町村教委との連絡調整に努めていきたい。
- 23:【谷口知美委員】
産業振興の中で話が進まないようにしてもらいたい。
- 24:【石井芳樹委員】
小中高校の読書調査では、1990年代の小学校では1か月で6冊から7冊に推移し2006年は9.7冊と増えているが、中学校が2.8冊、高校は1.5冊で、学年が高くなると減っている。現状をどう認識しているか。また、「みんなにすすめたい1冊の本」推進事業は、読書力の向上として、どのような内容で、どのような効果が期待できるか。
- 25:【義務教育課長】
本県でも学年が進むにつれて読書量がだんだん減っているが、小学校においては、全校読書や朝読書に90パーセント以上の学校が取り組んでいる。しかし、全国学力学習状況調査の結果では、家庭での読書の割合が減っている。「みんなにすすめたい1冊の本」推進事業は、スポーツや芸術、文化、企業など様々な分野で活躍する愛知県ゆかりの著名な方々の心に残っている本や、県内の公共図書館から児童生徒に読んでほしい本を紹介していただいたものを冊子にまとめ、その活用を通して読書への興味関心や知的好奇心を高めていくことをねらいとしている。この事業を進めるに当たっては、教育委員会だけではなく、学識経験者や学校関係者の協力の下、推進協議会を設置し、児童生徒にとってより魅力を感じられるものが作成できるよう、著名人の選考や冊子の内容などについて検討していく予定である。まず20年度に、内容の一部を紹介するパンフレットを作成し、各小中学校に配っていきたい。効果としては、本事業を通して、児童生徒がより多くの本と出会い、読書に親しみをもつことにより、自ら進んで本を読もうとする意欲や態度がはぐくまれ、考える力や表現力がおのずと身についてくることを期待している。
- 26:【石井芳樹委員】
子どもの読書活動の推進に関する法律により、読書に関する施策を総合的かつ計画的に推進することとされているが、本県ではどのような取組をし、今後どのように展開するのか。
- 27:【生涯学習課主幹(社会教育推進)】
平成14年に策定した国の第1次「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」の成果と課題等を整理し、主要施策の数値目標化と国・地方公共団体・関係機関等の連携体制を強調するなどの内容の第2次計画が、平成20年3月に閣議決定された。教育委員会では、平成16年に策定した「愛知県子ども読書活動推進計画」に基づき、子ども読書活動推進に向けた様々な事業を実施するとともに、各市町村に対して独自の推進計画の策定を促してきた。市町村の「子ども読書活動推進計画」策定状況としては、3月12日現在、18である。その他、県として、愛知県子ども読書活動推進協議会を年2回開催し、促進している。
- 28:【石井芳樹委員】
各市町村において定められ、子どもの読書力向上につながればよいと思う。家庭でできなければ、やはり学校で行わなければならないと思う。学校図書費は国から交付税措置がされているが、使途自由のため、他の目的で使う所もある。本来使うべき予算の3割程度と聞くが、本県ではどうか。学校図書の充足率が図書標準を達成しているのは、小学校で37.8パーセント、中学校で32.4パーセントと高くはないため、違う使い方がされているのではないか。
- 29:【義務教育課長】
平成18年度「学校図書館の現状に関する調査」によると、本県の1校当たりの蔵書冊数は、小学校で約9,000冊、全国は約7,300冊、中学校で約1万2,000冊、全国は約9,000冊で、いずれも全国平均を上回っている。また、学校における1校当たりの図書購入費は小学校で約64万円、全国約41万円、中学校では約108万円、全国約59万円であり、いずれも全国平均を大きく上回っている。これをもとに児童生徒一人当たりの図書購入費を算出すると、小学校では児童一人に対して約1,400円、中学校では生徒一人に対して約2,200円となる。各市町村によっては、学校規模に応じた蔵書冊数の目安を示す学校図書館図書標準が達成されていない学校もあるので、今後も、県としては計画的な図書整備が進められるよう、学校教育担当指導主事会などを通じて市町村に助言をしていきたい。
- 30:【石井芳樹委員】
市町のことは言いにくいと思うが、読書環境の格差がないよう指導してほしい。子ども読書活動の推進に関する法律により、4月23日が子ども読書の日と定められたが、何か特別なことをしたことがあるか、また、今後する予定があるか。
- 31:【生涯学習課主幹(社会教育推進)】
生涯学習課では、県図書館や市町村における「子ども読書の日」に関する取組状況を調査し、その結果を本課のホームページで公開したり、文部科学省が作成した「子ども読書の日」のポスターを県内の学校、社会教育施設、児童福祉施設等に配布するなどして、普及・啓発に努めている。また、取組状況の調査によると、平成19年度では、22市16町1村が、「子ども読書の日」の趣旨にふさわしい事業を実施している。事業の内容は、絵本の読み聞かせや紙芝居等の「おはなし会」やブックトーク、人形劇、映画の上映、子どもにすすめたい図書の展示などである。
- 32:【田辺克宏委員】
栄養教諭について、現在は県内に10名の配置であり、順次拡大するとのことであるが、効果はどうか。
- 33:【健康学習課長】
本県の栄養教諭配置から、ほぼ2年が経過した。3月11日に栄養教諭配置校連絡会議を開催しており、配置校から最終の報告を聞いたため、その会議で報告があった内容を紹介する。食育の大切さが教職員全員に伝わり、給食指導や家庭への啓発が活発になった。一人一人の子どもを大切にした栄養教諭のかかわり方が担任の食への関心を高めた。栄養教諭が保護者や地域を含めた活動を企画・運営することにより、学校への保護者の信頼が高まった。などであった。このことは、学校全体の食育の重要性への理解が一層深まり、子どもの教育の面では児童生徒の朝食欠食の減少や給食残量の減少につながり、子どもや保護者双方において食の知識の定着や家庭での実践する力につながっていると考えている。
- 34:【田辺克宏委員】
全体からすれば数が少ない。デメリットの報告はなかったがメリットとともにあると思う。食育推進校は学校がプランを立てるために、体制が整っているようである。それ以外では、栄養教諭の数が少ないため、栄養教諭が転勤すると食育は難しくなるのではないか。栄養職員では授業ができないため、クラス単位で教えることもできなくなってしまう。一人でも授業ができる人が増えれば教諭も助かるのではないか。栄養教諭の免許を持っている者は県内で何人くらいいるのか。今後の配置をどのように考えているのか。
- 35:【健康学習課長】
現在、県内では栄養教諭の免許を取得した者は405人である。今後の配置については、平成20年度は学校数の多い名古屋市と豊田市は2人ずつ、その他の市町村は1人ずつの配置を考えている。現在、栄養職員として勤務している者の中から新たに53人を栄養教諭として任用することを考えている。人事異動に伴う、新たな栄養教諭配置校には「食育推進委員会」などの設置をお願いしているが、栄養教諭の配置されない学校については、配置校での取組やその成果を紹介し、食育の進め方について啓発していきたいと考えている。
- 36:【田辺克宏委員】
405人もいるのであれば、早い時期に任用し、活躍できる場をできる限り早く作ってほしい。聞くところによると、予算もあまり掛からないようである。少ない予算で高い効果が出るようなことであり、愛知県としてアピールしてほしい。
- 37:【塚本 久委員】
スポーツ会館は私も利用者であった。明るいスポーツ会館にしてほしい。
教員の地位の低下が著しい。いじめや学級崩壊が社会問題化し、不祥事やわいせつ事件が続いており、東京都では交通事故死した子どもを無断でサイトに掲載したり、埼玉では校長が教え子にメールを送り続けるようなことがあった。公立高校の先生は法律で身分保障されている地方公務員であり、一定の手順を踏まないと処分されない。文部科学省は2007年6月に、指導力不足教員の人事管理を厳格化するため、統一的な指針を定めることとしたが、本県における指導力不足教員は何人いるのか。文部科学省の2005年度の調査では全国で506人おり、そのうち111人が退職、116人が復帰となっている。
- 38:【教職員課長】
国において教特法等の改正により指針を示すこととなっているが、県は15年度から指導力向上を要する教員に対して研修などに取り組んでおり、19年度は6人、18年度は11人で15年度から見ると延べ44人、実人員で30人を指導改善した。そのうち約半数が退職している。
- 39:【塚本 久委員】
15人は復帰したのか。
- 40:【教職員課長】
30人のうち、ストレートに復帰したのは8人である。退職・免職が14人、職種替えを行った者が1人、研修を継続する者が2人、休職した者が1人などである。
- 41:【塚本 久委員】
職種替えというのは、現場に戻ったことにはならないか。
- 42:【教職員課長】
生徒にかかわらない、実習助手という職に職種替えした。
- 43:【塚本 久委員】
実習助手は教員ではないか。
- 44:【教職員課長】
教員ではなく、例えば理科教員の実験などの補助をするものである。
- 45:【塚本 久委員】
県としてどう改善していくのか。大量退職もあり、少人数学級もある。教員の数が切実な問題だと思うが、指導力不足教員を現場に復帰させるためにどのような努力をしているか。
- 46:【教職員課長】
授業が適切に行えない、生徒指導が適切に行えない、同僚や保護者などと良好な関係が築けない、教員としての意欲に欠ける教員を指導力不足教員と定めている。総合教育センターで研修をし、現場でも研修をしている。その他にも、支援を要する教員もおり、現場において指導している。大多数の教員は献身的に頑張っているが、一部のこうした教員のためにすべてがそう思われるため、指導改善し、解決することが信頼回復につながる。現場の研修や総合教育センターでの研修を始め、免許の更新講習など、教員の資質向上につながるあらゆる場面で改善に取り組んでいきたい。
- 47:【塚本 久委員】
教員養成大学を志望する学生も減っているが、採用試験の倍率はどうか。
- 48:【教職員課長】
最近の状況では、19年度が4.8倍、18年度は5.5倍、17年度は5.8倍と低下傾向にあるが、数字のマジックもあり、採用数が増えているため倍率も下がっている。大都市圏では3倍を切るところもあるが、本県においては、一定の水準は維持していると考えている。また、教員離れに対応するため、教員養成大学に出向き教員の魅力や現状を説明し、優秀な教員の確保に努めている。
- 49:【塚本 久委員】
定員確保のために採用数を増やすのでは、質の低下を招くのではないか。
- 50:【教職員課長】
多様な能力を持った教員の採用のため、経験豊富な社会人の特別選考も実施している。また、集団面接や個人面接など人物重視の採用方法を実施している。その他、講師などで過去に教員の経験がある場合は、1次試験を免除するほか、関西、関東、北陸まで出向いて説明会も行い、質の高い教員の確保に努めている。
- 51:【塚本 久委員】
立派な教員を増やすことと指導力不足教員を減らす努力をしていただきたい。
免許更新制は来年度から実施されるが、公立のすべての教員が対象となるのか。
- 52:【教職員課長】
国・公・私立、幼稚園から高校まで、すべての教員が対象である。
- 53:【塚本 久委員】
何人になるのか。
- 54:【教職員課長】
19年5月1日の本務教員では5万5,455人である。
- 55:【塚本 久委員】
先般採決された教員免許事務費の1億6,000万円で5万5,455人分をやるのか。
- 56:【教職員課長】
1億6,000万円の補正については、二つの仕事がある。他県で免許状を取得しても愛知県で教員ができること、愛知県でAという免許を取得し他県でBという免許を取得した場合それぞれの県で登録されているが、全国共有のシステムを構築する必要がある。もう一つは、現在本県では、紙で原簿を整理しているが、各県で様式が異なるため、これも統一する必要がある。全国統一の免許システムを開発するため協議会を作り、その協議会に対する負担金と紙原簿をデータ入力する費用を合わせて1億6,000万円である。昭和48年までさかのぼると、約60万件をデータベース化することとなる。
- 57:【塚本 久委員】
更新講習を受講しなかったり、単位が認定されなければ免許がはく奪されると思うが、不適格教員を排除して、教員のレベルアップになるのか。
- 58:【教職員課長】
免許更新制は、教員免許状が教員としての資質能力を確実に保証するものであること、そして、教員一人一人が常に緊張感を持って、資質向上のため一層の研さんを積むことを目的に考えられたものであり、不適格教員の排除に関しては、2次的にはあるかもしれないが、そのことを目的としたものではない。30時間の講習を受けなければ失効ということになる。
- 59:【塚本 久委員】
個性豊かな教師が減るのではないか。法改正により、教員免許を取らなくなるものが増えるのではないか。入り口で質の低下が起きるのではないか。また、一方的な判断により、教壇を去るような教員が出るのではないか、といった行政の介入を危ぐされているがどうか。
- 60:【教職員課長】
免許更新制は資質向上がねらいである。二つ目の心配は当てはまらないと思う。一つ目については、大学への説明、他県での説明会の開催などを行っており、今後も教員は魅力ある職業であることをピーアールし、優秀な教員の確保に努めていきたい。
- 61:【佐藤ゆうこ委員】
奨学金制度について、貸付状況を見てみると、新高校1年生で17年度998人、18年度945人、19年度914人と減っている。生徒数も19年度は17年度の95.4パーセントと減少しているが、貸付状況は91.6パーセントになっている。景気が回復したのかと思ったが、先日の文教委員会では、愛知県民の特性だという説明であった。愛知の特性とはどういうことか。
- 62:【高等学校教育課主幹(奨学)】
愛知県民の特質とは、経済界においても無借金経営が多いことを指して説明した。県民所得も2番目であり、経済の好況が第一、そして堅実を旨としていることも考えて説明した。
- 63:【佐藤ゆうこ委員】
どうしても借りなければいけないのであれば、借りるはずである。この奨学金は、子どもが家庭の状況を把握して、自分で申請書を書いて提出している。学校に家庭の状況を、子どもを通して言わなければならないことが減少している理由ではないのか。各種の書類を学校へ提出し校長が推薦をするが、校長が推薦しないことがほとんどないのであれば、学校を経由させる理由は何か。
- 64:【高等学校教育課主幹(奨学)】
奨学金制度は、生徒の修学支援を目的とする制度であり、生徒本人が貸し付けを受け、卒業後には生徒自らが返還をしていく制度である。高校生自身が申請することは、勉学意欲の向上や社会的責任感の醸成に資するものと考えており、旧育英会や民間の奨学金も生徒本人の申請となっている。また、全国的にも同様な取扱いとなっている。学校においては、勉学意欲の証明や同種の貸付の有無の確認など、やってもらうことがいくつかある。現在の制度は適正だと考えている。
- 65:【佐藤ゆうこ委員】
学校にやってもらう必要があるのか。教育ローンなどは親が申請する。教育ローンは生活支援のためだから親が申請するのかもしれない。奨学金は学業への支援であり、また、親が勝手に借りることがあってはならないため、子どもが申請するのかもしれない。奨学金を借りて学校へ行くことは誇らしいことでもあり、自慢できる制度でもあるが、すべてがそうであるか。格差社会でリストラなどにより急に申請せざるを得なくなった子どもにはきついのではないか。教育委員会に直接提出させてはどうか。推薦した校長が、生徒が返還しない場合に肩代わりするわけでもない。教育委員会に直接提出すれば、借りやすくなるのではないか。
- 66:【高等学校教育課主幹(奨学)】
生徒自らが借りて、返すことに意義があると考えている。家計に教育ローンとして組み入れられるものではないと考えている。修学支援だと考えているため、一線を画したものになると考えている。
- 67:【佐藤ゆうこ委員】
申請を教育委員会に直接提出することはできないのか。
- 68:【高等学校教育課主幹(奨学)】
事務が大変膨大となる。学校において所得審査など手伝ってもらっている状況である。
- 69:【佐藤ゆうこ委員】
学校と保護者のやりとりになっていないか。県がやっていることのアピールにもなると思うがどうか。
- 70:【高等学校教育課長】
生徒をもっともよく把握できる担任が、意欲や家庭の状況を親身になって把握し、チェックして県に書類を上げてくるのが最適だと考える。県の担当が一手に行うのは相当の件数であるため不可能である。
- 71:【佐藤ゆうこ委員】
返還率は何パーセントぐらいか。9割は戻ってくるらしいが、実際はどうか。
- 72:【高等学校教育課主幹(奨学)】
18年度末は539人で、1,694万7,650円の調定に対し、収入未済は110人、実人員は69人で207万4,100円であり、88パーセントの返還率である。
- 73:【佐藤ゆうこ委員】
職員が取り立てに行くとのことであるが、対応などはどういう状況か。
- 74:【高等学校教育課主幹(奨学)】
生活保護基準1.5倍の低所得者層に貸付けを行っているため、返還は難しい状況である。返還意識の向上を図る必要があるため、あらゆる機会をとらえて啓発しているとともに、返還の手段も口座振替制度を導入する。夜間の電話や文書による督促、自宅や勤務先への訪問なども行う。悪質なものは法的措置も考えている。
- 75:【佐藤ゆうこ委員】
借りたい人が借りられて、しっかり返す制度になるよう周知してもらいたい。
- 76:【内田康宏委員】
副校長や主幹教諭の設置が検討されているが、教員からの要請ではなく、多忙な管理職の事務の軽減のために、文部科学省が決定したものである。どんな組織でも指揮命令系統は簡素化しているべきだと思う。校長と教頭の仕組みは良くできていると思うが、その間に副校長を置くとかえってやりにくいのではないか。
- 77:【教職員課長】
教育再生会議や中教審などで様々な議論がなされた。学校はなべぶた型の組織であるが、組織にはしっかりとした指揮命令系統が必要である。副校長は校長と教頭の間に位置付けられ、教頭は校長の補佐であることに対し、副校長は、校長からの命を受けた範囲で校務の一部を自らの権限で処理できる、いわば分任校長というべきものである。教頭のカバーや地域、学校現場の課題への対応など学校運営の効率化をねらいとしているものである。
- 78:【内田康宏委員】
一般教員はデスクワークに追われている。合理化すべきではないか。日常のペーパーワークなどに忙殺されてしまっている。同じ内容の調査が国や県や市から来る。一括できないか。また、必ずしも先生がやらなくてもいいことは、事務職員を増やして事務職員にやらせてはどうか。スクールカウンセラーには疑問を感じており、もともと先生が忙しくて、相談にのれないのではないか。事務職員を増やして、教員の手助けをしてはどうか。
- 79:【財務施設課長】
国でも多忙化解消について、様々な検討がされている。事務職員の増員は必要となるが、国においても一定の学校において、教員が担当している学校事務の一部を共同実施し、各学校では教員の事務仕事を事務職員に移行することで、教員の負担軽減を図れないかという方向で検討を進めている。県においても来年度から、小中学校において、国の加配定数を活用し、学校事務の共同実施の推進体制の整備を目的とした実践研究を始める。20年度は六つの学校で進めていきたい。
- 80:【内田康宏委員】
中高生に対する保健指導について、医師や看護師不足の影響で、病院の存廃などが問題となっており、緊急入院患者の拒否が問題となっている。産気づいた女性がたらい回しにされている。一昔前は、出産は命がけだった。そんな大変なことであるのに、事前検診を行わない人が多い。中高生の保健指導で言っておくべきである。事前検診を受けていなければ、病院は実際困ると思う。学校ではどのように教えているのか。
- 81:【健康学習課長】
中高生が妊娠・出産に関して学ぶことは大変重要であると認識している。各学校では、いわゆる「性教育」として、教科、特別活動、総合的な学習の時間等、学校の教育活動全体を通じ、子どもたちの発達段階に応じた教育を実施している。具体的な指導については、妊娠・出産等は、学習指導要領に基づき、主に「保健」の授業の中で取り扱っている。中学校では、受精・妊娠などを、また、高等学校では、妊娠・出産、更には家族計画などを学習することにより、思春期の体と心の健康について指導している。ちなみに高校の保健の教科書では、妊娠・出産期を健康に過ごすために、妊娠が分かったら妊娠届けを役所に提出して母子手帳を受け取ること、医療機関で健康診査を受けることなどが示されており、それに基づいて指導が行われている。
- 82:【内田康宏委員】
昔は女の子に対してのみ、体育館で保健指導が行われていた。今は、男の子にも教えておく必要がある。分かりやすく、具体的にした方がよいと思うがどうか。
- 83:【健康学習課長】
現在では、男女ともに必修となっており、一緒に学習している。今後においても、性教育を充実するため、教職員の研修も実施しながら保健指導を進めていきたい。
- 84:【内田康宏委員】
歴史教育について、近現代史は入試では余り出ないため、読んでおくだけになっている。自分の親など、昔は戦中派であったが、今は戦後派になり、実体験の話が聞けない。歴史的事実の認識は、置かれた立場で見方が違ってくる。多面的に子どもたちに教えてほしいが、近現代史の教育はどのように行われているか。
- 85:【義務教育課長】
小学校では、6年生において、日本の歴史を中心として、年間60時間から70時間程度学習している。そのうち3分の1程度の時間を使い、歴史上の代表的な事象を中心に、近現代史を学習している。学習を進めるに当たり、児童の興味・関心を重視し、取り上げる人物や文化遺産の重点の置き方に工夫を加えるなど、具体的に理解できるようにしている。中学校では、歴史分野の学習時間は、現在の学習指導要領では105時間である。そのうち、約半数の時間を使い、事象を厳選して重点化を図るとともに、我が国の歴史の大きな流れを理解し、学び方や調べ方を身に付け、多面的・多角的な見方ができるように、近現代史を学習している。学習を進めるに当たり、先人が築いてきた文化と伝統を尊重する態度を養い、我が国の歴史に対する理解と愛情を深めるようにしている。小中学校ともに、近現代史においても、年間計画に従って適切に学習が進められていると認識している。
- 86:【高等学校教育課長】
高等学校においては、日本史Aと日本史Bがあり、日本史Aは近現代史を扱い、週2コマで60時間学習する。明治維新からバブル経済崩壊までを学ぶ。日本史Bも同様であるが、単位数が多い分詳しくできる。
- 87:【内田康宏委員】
今の若い子は近現代史を知らないことが多い。今後もよろしくお願いしたい。
- 88:【長坂康正委員】
今回の高校入試で、695人が再試験を受けることとなったが、5分の誤りによる再試験について、どう考えているか。
- 89:【高等学校教育課主幹(進路・生徒指導)】
本日再試験を無事に終えた。受験生には多大な負担を掛け、申し訳ない。公平公正のためには、再試験はやむを得なかった。不注意でもあるが点検体制も問題があり、詳細の報告を待って今後の検討課題としたい。
- 90:【学習教育部長】
多大な迷惑を掛け、申し訳なく思っている。今後はもっと、緊張感を持って試験を実施していきたい。
- 91:【長坂康正委員】
今後はこうしたことのないよう、お願いしたい。
大量退職を控え、新聞では、名古屋市が即戦力教師を塾で養成するという記事があり、志望する人を自前で育成するということだが、県としてどう受け止めるか。
- 92:【教職員課長】
県としても、県内各大学の3年生の教員志望者にPRのため、10月以降大学に出向いて説明会を実施し、採用試験での特別選考や大学とのかかわり、制度、魅力ある教員などについてピーアールをしている。また、教員志望の学生を活用し、学習チューターとして小中学校に派遣するなど、対策を講じている。
- 93:【義務教育課長】
小中学校では、学習チューター派遣事業や理科支援員として、学校の教育活動に学生を活用し、学生の意識を高めている。
- 94:【長坂康正委員】
いろいろとやってもらいたい。
教育長は任期満了となるが、在職4年間を振り返って、印象深いことや今後の課題は何か。
- 95:【教育長】
この4年間は、国の教育政策が大きく変わった時期で、教育3法改正などの影響があり、対応の準備に追われた。教員の不祥事や未履修問題などでは、議会に心配を掛けた。一番印象に残っていることは、愛知万博に多くの子どもたちが参加できたことである。何よりも代え難い国際理解教育ができたと思っている。報道にもあるように、愛知県は、各小中高校を通じて特色のある取組をしている。全国に誇りうることであり、愛知の教育の良さを実感することが多かった。本日の委員会でも指摘をされたように課題はたくさん残されている。教育委員会事務局始め学校現場は頑張っている。愛知の教育は進展している。教育も競争の時代である。一層の飛躍のためには、何よりも教職員の更なる頑張りが必要である。常に先を見て、工夫をして学校教育に携わってほしい。議員の皆さんにも、頑張れと声を掛けていただきたい。励みになる。本当にお世話になり、重ねてお礼を申し上げる。