県政報告
平成20年2月定例会(第7号)
2008年3月6日
(主な質疑)
- 午前十時開議
◯副議長(加藤精重君) ただいまから会議を開きます。
直ちに議事日程に従い会議を進めます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第一 第一号議案平成二十年度愛知県一般会計予
算から第六十一号議案包括外部監査契約の締
結についてまで及び第七十九号議案教育委員
会の委員の選任について
- 2:◯副議長(加藤精重君) 第一号議案平成二十年度愛知県一般会計予算から第六十一号議案包括外部監査契約の締結についてまで及び第七十九号議案教育委員会の委員の選任についてを一括議題として、これに対する質問を許します。
なお、第二十七号議案職員の給与に関する条例の一部改正について、第二十八号議案職員の給与に関する条例及び義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置条例の一部改正について、第二十九号議案職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正について、以上三件の議案について、地方公務員法第五条第二項の規定により、人事委員会の意見を徴しましたところ、いずれも妥当なものであると認める旨の回答を受けましたので、御報告いたします。
この際、第一号議案平成二十年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳出第六款健康福祉費から第八款農林水産費までの質問を許します。
通告により質問を許可いたします。
小久保三夫議員。
- 3:◯七十三番(小久保三夫君) おはようございます。簡にして要を得た質問をいたしたいと思います。
第七款産業労働費第四項労政費についてお伺いをいたします。
勤労福祉会館は、勤労者を初めとする一般県民の教養、芸術文化及び体育の向上などを目的として県内の各地に設置されてきました。その中でも、豊橋勤労福祉会館は、昭和五十一年七月に開館し、多くの県民の方々に親しまれ続けてきました地域の中核的施設であるとともに、東三河地域にとりましては、県営施設として唯一の複合的、総合的な施設であります。
とりわけ、千五百人規模の客席数を持つ講堂は、他施設では公演できない大規模な舞台芸術やすぐれた音楽の鑑賞、また、民謡、舞踊、学校教育における発表の場など、さまざまな目的で多くの県民の方々に利用されており、芸術文化活動の振興や発信の場としてかけがえのない施設として、これまで長い間利用されてきたところであります。
そうした中で、平成十七年二月に策定されたあいち行革大綱二〇〇五では、労働者福祉施設である勤労福祉会館等十一施設は、原則として施設経過年数をもとに、平成十八年度以降順次廃止を進めることとし、平成二十二年度までに六施設を廃止することになっており、豊橋勤労福祉会館は、平成二十年度末に廃止し、豊橋市が施設の活用を希望する場合は移管すると聞いております。
この県の方針に対して、豊橋勤労福祉会館は、東三河で唯一の大規模集会施設であり、施設が廃止されると活動の場がなくなってしまうことから、豊橋市、豊橋市議会、利用者団体及び市民団体などからの施設存続要望がたびたび出されており、自由民主党東三河県議団も施設存続要望を行ってきたところであります。
勤労福祉会館の地元移管に当たっての県の方針は、県有財産の譲渡や貸し付けは原則有償ですが、機能継承を前提に、施設の有効活用の視点から特別に、建物は無償譲渡、土地は無償貸し付けの条件で移管することで、県と地元市が協議を行っていると聞いております。
現在、豊橋市は、平成二十二年度までを計画年度とする第四次豊橋市総合計画により、豊橋駅前を中心とする整備事業を進めており、平成二十年度からの三年間だけでも総事業費が五億円を超える事業が五十五事業あり、豊橋市の財政事情は大変厳しい状況にあると聞いております。
こうした中、豊橋市の加藤副市長は、平成十九年十二月議会において、豊橋勤労福祉会館の存続問題については、熟度を高めながら県と協議を重ねており、利用者の方々の今後の企画や準備がリミットに近いことも十分認識しており、平成十九年度内に結論を見出すべく全力で取り組んでまいりたいと考えておりますと答弁を行っています。
これまでのたび重なる県と豊橋市の協議を踏まえ、この二月二十六日には、豊橋市長、豊橋市議会議長が知事に、豊橋勤労福祉会館廃止延長の要望を行ったところであります。このような地元からの存続要望や豊橋市の厳しい財政事情を踏まえ、県としてどう対応していくのか、お伺いをいたします。
- 4:◯産業労働部労政担当局長(青木学君) 豊橋勤労福祉会館の廃止延長についてのお尋ねであります。
豊橋勤労福祉会館は、あいち行革大綱二〇〇五に基づき、平成二十年度末の廃止を前提に、会館の機能を継承することを条件とする移管についての協議を豊橋市と重ねてまいりました。
議員御指摘のとおり、豊橋市内に千五百人規模の大規模集会施設がないことから、豊橋市や豊橋市議会、利用者団体、市民団体から県有施設としての存続要望を受けましたが、その都度、県としての方針を説明してまいりました。
そうした中、去る二月二十六日に、豊橋市長や豊橋市議会議長などから知事への要望があり、その際、県が廃止を三年間延長してもらえれば、その後、移管を受ける旨の新たな表明があったところであります。
県といたしましては、豊橋市が施設の有効活用を表明されたことは大きな前進で、高く評価しているところであり、豊橋市への移管に向けまして、諸事情を勘案して適切な対応を図らなければならないと考えております。
- 5:◯副知事(稲垣隆司君) 豊橋勤労福祉会館について、私からもお答えをさせていただきます。
豊橋勤労福祉会館の存続につきましては、当初、豊橋市からは、県有施設として存続してほしい旨の要望がございましたけれど、先ほど局長も答弁しましたとおり、先般、豊橋市からは、三年間延長していただければ受け入れるという意思表明が示されたところでございます。
県といたしましては、豊橋が受け入れ存続することによりまして、県有施設を有効に活用することができること、また、会館を利用される方々の利便を図ることができること、さらには、豊橋市が三年後に受け入れるとしたことには、先ほど議員御指摘のとおり、豊橋市の厳しい財政事情等もあろうかというふうに考えております。
これらを総合的に判断いたしまして、豊橋勤労福祉会館の廃止時期につきましては、豊橋市が移管を受けることを条件といたしまして、当初二十年度末を予定しておりましたが、三年延長し、二十三年度末とすることで考えてまいりたいというふうに思っております。
以上でございます。
- 6:◯副議長(加藤精重君) 進行いたします。
中村友美議員。
- 7:◯七十一番(中村友美君) 私は、歳出第六款健康福祉費第一項健康福祉総務費に関連してお伺いをいたします。
平成十八年六月、医療制度改革関連法と呼ばれる健康保険法等の一部を改正する法律及び良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律が成立をいたしました。
高齢化が進展する一方、厳しい財政状況下で、効率的、安定的に国民に保健、医療、介護を提供していかなければなりません。このような中で、今回の改革は、財政的観点のみの医療費削減を断行しようとするものであり、今、問題となっております医療現場の空洞化等医療崩壊を放置したままであるなど、患者の視点に立った医療制度改革ではないと私どもは言わざるを得ません。
さて、この改革を受けて、本県では、地域ケア体制整備構想、医療費適正化計画、地域保健医療計画、そして健康日本21あいち計画の策定及び見直し作業が行われております。
そこで、まずお伺いをいたします。
今回の国の改革によって、地域医療制度の大幅な見直しが余儀なくされておりますが、その率直な御意見をお聞かせください。
さて、今回の医療制度改革では、メタボリックシンドローム対策を目玉とした生活習慣病対策の推進が挙げられています。平成二十年四月から、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)、以下、メタボとも言わせていただきます。このメタボリックシンドロームに着目をした新しい特定健診・特定保健指導が義務化をされました。
四十歳から七十四歳が対象となり、腹囲、これは腹回りのことですけれども、または体格指数に加え、血糖、脂質、血圧の数値等をもとに判定し、メタボリックシンドロームと該当された人には積極的支援を、メタボ予備軍は、動機づけ支援と判定された場合に、医師や保健師などの専門職から、面接やメールなどで食事や運動の仕方といった生活習慣の改善を指導されます。
この特定健診等は、企業の健康保険組合や市町村などの保険者に実施が義務づけられ、新たに健康保険組合では、従業員の被扶養者も対象になるとともに、未受診者を受診させることも含めて保険者の義務となります。
厚生労働省は、四十歳から七十四歳までの男性では二分の一の発生率を見込むなど、男女合わせて約二千万人がメタボリックシンドロームとその予備軍に該当すると考えており、これを平成二十四年度末までに一〇%減、平成二十七年度までに二五%減とする数値目標を立てています。そして、これにより医療費の二兆円を削減するとしています。
さらに、平成二十五年度からは医療保険者ごとの達成状況に応じた形で後期高齢者支援金の加算、減算が行われます。
なぜこのような決定がされたかといいますと、それは、国が二〇〇〇年に始めた健康づくり運動「健康日本21」で、肥満な人はやせましょうと呼びかけましたが、国民は関心を持ちませんでした。しかし、内臓脂肪型肥満をあらわすメタボリックシンドロームという言葉に国民は反応したわけです。
昨年の流行語大賞でトップテンに入賞したメタボリックシンドローム、今やメタボは日常的によく使われるようになりました。
川柳でも大はやりです。ちなみに、メタボの川柳大賞は、「この油 資源になればと 腹つまむ」。こんなものもありました。「露天風呂 周りの腹に 癒される」、「どうせなら メタボ王子と 呼んでくれ」。でも、そんな悠長なことを言っているのも三月いっぱいかもしれません。
そこで、第二点目の質問でありますが、特定健診の周知についてお伺いをいたします。
周りを見ておりますと、メタボという言葉だけがひとり歩きをしているようですが、県民への周知はどのようになっているのでしょうか。
ある自治体のホームページにはこう書いてありました。医療制度の改正により、現在、老人保健法により実施をしている成人基本健康診査は三月で終了し、四月からは、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、医療保険者、これは国民健康保険や健康保険組合などをいいますけれども、医療保険者が加入者に対して実施する特定健康診査・特定保健指導に移行します。具体的な受診方法など詳細については、御加入の医療保険者へお問い合わせくださいというだけでした。
聞くところによりますと、市町村のある担当者でさえ、問い合わせは多いが、自分たちもしっかり答えられないと言っていました。
今回の改正により、特定健診等の実施義務者が市町村から保険者に移行するために、県は、制度の周知など保険者に任せっきりにしているのではないのでしょうか。
そこでお伺いいたしますが、特定健診の県民への周知はどのようになっているのでしょうか、お聞かせをください。
第三点目に、メタボリックシンドロームの診断基準についてお伺いをいたします。
本診断基準では、必須項目となる内臓脂肪蓄積のマーカーとして、腹囲が男性で八十五センチ、女性で九十センチ以上を要注意とし、そして、その中で、一つ、血清脂質異常、二、血圧高値、これは上が一三〇以上、または下が八十五以上ですけれども、三、高血糖、空腹時の血糖が一一〇、この三項目のうち二つ以上を有する場合をメタボリックシンドロームと診断をされます。
この基準についていろいろと調べてみますと、特定健診で基準とされる腹囲の数値は数百人の調査をもとに決められたもので、医学的な信用度は低いとおっしゃっておられる医療関係者が多くおられました。
さらに、腹囲やBMIが基準以下であれば、血糖値や脂質、血圧の数値が悪くても保健指導の対象にはならないという腹回り絶対主義の存在。これでは、数多く存在をするやせ型の糖尿病や高血圧の人が安心をしてしまい、改善の機会を失ってしまうなど、疑問を呈している人はたくさんおられます。
さらに、外国では、メタボリックシンドロームの概念も違うようです。外国では、高血圧や脂質異常症などについて複数の異常がある場合をメタボリックシンドロームと呼び、別に肥満でなければならないというわけではありません。腹囲のはかり方も欧米の基準とは違う日本独自のもので、科学的根拠も定かでないようですし、はたまた、国際糖尿病学会連合会からは、日本のおかしな基準は使わないようにと宣言文まで出ているともありました。
そこでお伺いをいたします。
特定健診のメタボ診断基準への異論があることについてどう認識をしておられるのか、また、実施に当たって、健康担当局長の御所見をお伺いをいたします。
第四点目に、がん検診との整合性についてお伺いをいたします。
そもそも、生活習慣病対策の必要性の背景は、高齢化の急速な進展に伴い、疾病構造も変化をし、疾病全体に占めるがん、心疾患、脳血管疾患、糖尿病などの生活習慣病の割合が増加し、医療費に占める生活習慣病の割合も国民医療費の約三分の一となっています。その生活習慣病で大きなウエートを占めているのががんです。日本人の死因のトップもがんです。
がんによる死者を減らすために、平成十九年六月に閣議決定されたがん対策推進基本計画は、がん検診受診率を五〇%に上げるとの目標を掲げました。それを受けて本県でも、来年度から二十四年度までの五年間を計画期間とした愛知県がん対策推進計画の策定作業が進められています。
がん検診は、昭和五十七年度から老人保健法の規定に基づき、国の補助事業として実施されてきました。平成十年度からは一般財源化され、現在は、市町村の独自事業として実施されています。さらに、平成二十年度からは、健康増進法に基づく事業として位置づけられ、引き続き市町村が実施していくこととなっています。
健診費用に国からの補助金はなく、市町村と受診者が負担をしています。がん検診は、市区町村が行うほか、企業や個人が自主的に実施するところもあり、正しい受診率はどこも把握できていないのではないでしょうか。
さて、特定健診は、高齢者の医療の確保に関する法律で保険者に義務化をしましたが、がん検診は、健康増進法による努力義務にとどまっています。日本人の死因のトップはがんです。本末転倒の施策と言わざるを得ません。
そこで、県としては、この矛盾をどう考え、今後、がん検診受診率の実態把握、がん検診受診率の向上に向けてどのような取り組みをされるのか、お伺いをいたします。
第五点目に、特定健診制度導入にかかわる労働問題についてお伺いをいたします。
一説には、特定健診で男性の五割がメタボと診断されると言われています。冒頭申し上げましたが、厚生労働省は、特定健診実施から五年後の平成二十四年度に特定健診の成果を判定し、平成二十五年度からは、メタボ予備軍及び該当者を大幅に減らした保険者には、後期高齢者医療制度への拠出金を減額をし、受診率が低く成績の悪い保険者には罰金の意味合いで追加負担金を求めるというあめとむちを用意しています。
これでは、健康促進どころか、各保険者は、追加負担金を免れるため、太っている人を人事上不利に扱ったり、差別したり、肥満の採用を控えたり、労働差別につながっていく心配はないでしょうか。太っている人のために健康保険組合が損害をこうむるとなれば、働く能力とは関係ないところで会社に経済的被害を与えると評価されかねません。
この点について、労働の福祉と雇用を守る管轄である労政担当局長にお伺いをいたします。
最後に、全世代にわたっての生活習慣病対策についてお伺いいたします。
本県は、全国で初めて小学校四年生の子供にメタボ健診を始めます。
まず、県内の一つの市をモデルとして進められるようですが、肥満は悪という大人の基準を子供にそのまま当てはめることは、医学的にいいことなのでしょうか。子供の成長には個人差があります。多少のぽちゃぽちゃ感があるほうが子供らしくてかわいいのに、特に女の子は太ることをとっても気にしてしまい、必要以上に食事をしなくなったり、あるいは摂食障害や拒食症の子供がふえるのではないか。メタボと言われ、いじめられるのではないか。親として子供にまでメタボ診断を広げるに当たっては、そこまでまだしなくてもという思いをしています。
そこでお伺いをいたしますが、この事業はどこの地域をモデルとして行われるのか、そして、どのような内容で行われるのか、お答えをください。
子供の健康のためには、まず、早寝、早起き、朝御飯を基本スタイルとして定着させることのほうが大切と思いますが、学童期からの予防が本当に意義のあることなのか、事業を実施される健康担当局長の御所見をお伺いをいたします。
以上です。
- 8:◯健康福祉部健康担当局長(五十里明君) 特定健康診査に関する五点の御質問にお答えをいたします。
まず、今般の医療制度改革に対する率直な感想、意見についてでございます。
この改革は、生活習慣病予防や長期入院の是正などによりまして、国民の生活の質(QOL)の維持向上を確保しつつ、計画的に医療費の適正化を進めることが大きな特徴となっております。本県は、今後、高齢者の急激な増加によりまして、医療費は大幅に増加するものと見込まれますことから、こうした医療費の適正化という視点は大切であると考えております。
しかしながら、この改革は、財政的視点のみで進めるべきものではなく、県民の皆様方の健康をより増進し、また、安心して医療や介護が受けられる体制の構築に資するものでなければならない、このように考えております。
次に、特定健康診査・特定保健指導の県民の皆様への周知についてでございます。
まず、特定健康診査・特定保健指導に関しましては、国からの情報を県の役割といたしまして、実施主体の一つである市町村へ直ちに伝達するとともに、適宜会議等を開催し、周知を図ってまいりました。県民の皆様につきましては、イベント会場においてのパンフレット配布などの広報活動、県のホームページでの情報提供、広報あいちなどにより広く周知をしております。
また、市町村におきましても、市町村広報などにより、この制度について周知に努めているところでございます。いずれにいたしましても、県民の皆様が安心して新しい制度を利用することができるよう万全を期してまいりたいと考えております。
次に、特定健康診査のメタボリックシンドロームの診断基準についてお答えをいたします。
まず、腹囲が基準以下でありましても、検査値に異常のあった方々につきましては、健診結果の通知時に異常の程度、異常値が持つ意味などについてわかりやすく受診者に知らせますとともに、必要に応じて保健指導や医療機関への受診勧奨を行うことになっております。
次に、メタボリックシンドロームの診断基準につきましては、議員御指摘のようなさまざまな御意見があることは承知をいたしております。しかしながら、国が定めておりますメタボリックシンドロームの診断基準は、心疾患や脳血管疾患の重要な危険因子でございます糖尿病、高血圧などの有症者や予備軍を判定するための基準として、日本内科学会を初め八学会から成るメタボリックシンドローム診断基準検討委員会、ここの審議を経て定められた基準でありますことから、本県といたしましても、この基準に従い、特定健康診査が行われるよう円滑な制度の実施に努めてまいりたいと考えております。
次に、がん検診との整合性についてお答えをいたします。
がんは、日本人の死因の第一位でありますが、がん以外の心臓病や脳血管疾患などの生活習慣病による死亡者数もかなりの数に上っております。
特定健康診査によって発見されるメタボリックシンドロームは、さまざまな生活習慣病を引き起こす反面、運動習慣を取り入れることなどによりまして、体重の減少などの改善効果を実感しながら予防に取り組むことができる面もございます。したがいまして、がん検診の重要性を否定するものではなくて、まずは、メタボリックシンドロームの発見に重点を置いた特定健康診査の実施を医療保険者に義務づけたものと、このように理解をいたしております。
また、がん検診の受診率の実態把握につきましては、従来どおり、市町村が実施する検診について把握するとともに、今後は、他の医療保険者にも検診結果を報告していただけるよう協力を求めてまいりたいと存じます。
さらに、受診率の向上策についてでございますが、平成二十年度にがん検診の普及啓発のための街頭キャンペーンを実施し、がん検診の重要性に対する県民の皆様の理解を深めていただくとともに、希望者が全員受診できますよう、がん検診のための予算を十分確保することを市町村に働きかけてまいりたいと思います。
最後でございますが、学童期における生活習慣病対策についてお答えをいたします。
この事業は、碧南市において実施することを予定しておりまして、同市の小学校四年生約七百名のうち、保護者に同意をいただいた児童を対象として、身体計測、血圧測定のほか、血糖値や中性脂肪値などを調べるための血液検査を実施する予定でございます。また、肥満だけでなく、広く生活習慣病予備軍の児童を対象に、保健師などによる個別の保健指導を実施することによりまして、生活習慣病の発症を抑えていこうとするものであります。
なお、個別指導の実施につきましては、市の健康福祉担当部門及び教育委員会並びに学校医や養護教諭の方々の協力を得まして、児童のプライバシーに十分配慮し、事業を実施するものでございます。
次に、学童期から生活習慣病予防を実施する意義についてでございますが、生活習慣病の若年化は以前より問題となっておりまして、小学校四年生で脂質異常を疑われる児童は二〇%前後であると推定をされております。このことから、生活習慣病の早期発見による早期治療を実施いたしまして、また、家族の方々の御協力をいただきながら、生活習慣病の改善を進めることは、未来ある子供の体にとって大変重要なことである、このように考えているところでございます。
- 9:◯産業労働部労政担当局長(青木学君) 私からは、特定健康診断制度の導入にかかわる労働者問題についてお答えいたします。
労務管理上、ただ単に太っているといった理由により不当な差別があってはならないと考えております。労働安全衛生規則が昨年改正され、この四月一日から定期健康診断の項目に肥満に関する検査が追加されることとなっておりますが、その健康診断の結果により、労働者に解雇など不当な措置を講ずることは避けるべきであるという国の指針も示されております。
県といたしましては、労使関係者に対し、こうした労働安全衛生法令等が遵守されるよう、労働教育講座や労働相談、各種啓発資料の配布などを通じまして、啓発に努めているところでございます。
- 10:◯七十一番(中村友美君) 再質問させていただきたいと思いますが、その前に、まず、質問の中でも申し上げましたけれども、今回の医療改革というのは、とりあえず医療費のみの削減を目的としている、決して本当に患者の立場に立った医療改革ではない、そのように再度ここでも申し上げたいと思います。
この今議会でも、先日の本会議の質問の中で知事が、国や厚生労働省の制度の見直しが地域医療を混乱に陥れるケースが大変に多い、そんなような不満をおっしゃっておられました。そういう意味合いもありまして、第一項に担当局長の率直な御意見を聞かせていただきましたけれども、担当局長さんということであって、淡々と答弁をされておられましたけれども、知事がああやっておっしゃってみえるので、きっと心の中はそんな気持ちなんだろうなと、そういうことをまず私自身推測をいたしております。
それで、質問に入っていきますけれども、私自身、この小学校四年生からのメタボ診断の実施、どうしても納得がなかなかいかないんです。先ほど来いろいろと問題点を申し上げました。腹囲のはかり方やいろんなことに関してもちょっと疑問点もありますし、この制度が一斉に全国で四月一日から始まる中で、早々と学童期からのことをやるということです。
伊勢のほうでは、メタボの改善の職員がその最中に亡くなってしまうというようなことも起こりましたし、そういったことで、小学校四年生という子供は、低学年から高学年へと移行していく大変大事な時期だと思いますし、そういう中でやられている、本当にこれは慎重にやっていっていただきたいなという思いがしております。
そういう中で、先ほど局長さんは、未来ある子供にとっては大変重要なこととおっしゃいました。これは、身長、体はそうかもわかりませんけれども、やはり心の問題というのも重要に考えていただきたいと思いますが、再度、なぜ小学校四年生なのかという根拠があればお示しをしていただきたいと思います。
- 11:◯健康福祉部健康担当局長(五十里明君) 学童期における生活習慣病対策の再度の御質問でございます。
平成十九年度学校保健統計調査の速報によりますと、小学四年生から肥満傾向ややせ傾向の児童が急増いたしております。この傾向は、本県におきましても十年以上前から顕著にあらわれているものでございます。また、この時期は自分の健康管理に関心を持ち、生活習慣が確立し始める大切な時期であると言われておりますことから、小学校四年生を対象としたものでございます。
議員御指摘のように、十分この事業の実施に当たりましては慎重に進めてまいりたいと考えております。
- 12:◯副議長(加藤精重君) 進行いたします。
原欣伸議員。
- 13:◯十番(原欣伸君) 私は、歳出第六款健康福祉費第一項健康福祉総務費のうち、健康福祉部の新規事業であるB型・C型肝炎患者医療給付について質問をいたします。
テレビ報道で、もし自分の家族だったら、奥さんだったら、子供だったらと考えてみてください、その言葉を聞いたとき、胸が張り裂けそうな思いをしたことを今でも忘れられません。これは、社会問題にもなった薬害肝炎被害者の方の救済問題に対して、切実で重みのある言葉でした。そして、福田首相の的確な政治判断で、ことしの一月に救済法が全会一致により国会で成立しました。さらに救済法の前文では、被害を拡大させた国の責任について、政府は被害者に甚大な被害が生じ、拡大を防止できなかった責任を認め、心からおわびすべきであると明記されました。そして、救済法の成立によって、特定の血液製剤の投与で感染された被害者の方に千二百万から四千万円を支給することが定められました。
しかし、これで肝炎対策が解決したわけではありません。この法案の支給対象者は、血液製剤の投与事実、因果関係の有無の症状を裁判所で確認された方に限られています。肝炎に対して私たちが理解し、求められていることが奥深いことを知らなければ、肝炎の解決には至りません。
まずは、現状を整理します。
B型・C型肝炎感染者が全国で三百五十万人も存在しているとされ、B型・C型ウイルス肝炎は国内最大の感染症であること。その中で、日常生活や就業に不便され、不安を感じている慢性肝炎患者も四十万人以上おみえになります。また、感染を放置すると、高い確率で肝硬変、肝がんへ進行すること。肝がんで亡くなられる方が一九七〇年代は一万人を下回っていました。その後、急増し、今日では年間三万人を超え、今後もふえ続けていくとされています。数値が示すとおり命にかかわることであり、感染者の方が非常に大きな不安を抱えてみえる現実がはっきりします。
最後に、最も治療に有効とされるインターフェロン治療に要する医療費が高額過ぎること。一年間インターフェロン治療を続けると、薬剤費の総額は平均二百五十万円と言われ、保険適用で患者負担はその三割の約八十万円の自己負担となります。早期治療が必要にもかかわらず、毎月七万円の治療費は家計を圧迫し、治療したくとも治療することができない患者が多いのは大きな問題です。実に慢性肝炎の患者が四十万人以上に対し、インターフェロン治療を受ける方は年間五万人程度にとどまっています。
そのため、国においては、B型・C型ウイルス肝炎に対する総合対策として、平成二十年度から肝炎治療特別促進事業を予算化しました。インターフェロン治療の促進を図るために経済負担の軽減策をとり、治療患者を年間五万人から倍増の十万人が治療を受けられるようにするために事業を創設しようとしています。そして、事業主体となる本県には重要な役割と責務が課せられます。本県の充実した取り組みに大いに期待をしています。それゆえに、あえて問題提起をさせていただきます。
早期の肝炎発見と早期のインターフェロン治療が必要とされる中で、県民に対してどのように周知、啓発をしていくのか。また、インターフェロン治療を受けても、副作用に耐えられず、インターフェロン治療を離脱する患者が三割に達するとされています。インターフェロン治療は、高額が問題ばかりでなく、重度の副作用の問題でインターフェロン治療を受けるかどうか悩んでいる方も多いと聞きます。副作用に対する理解がなければ、治療への第一歩は踏み出せません。そのための相談窓口や専門医の充実をどう進めていくかなどです。
しかし、本県のB型・C型肝炎患者医療給付事業の実施に向け、政府の決定がおくれたことや、国からの事業の詳細がなかなか決まらない中、実施主体である本県では、準備期間もほとんどなく苦労されながら懸命に取り組まれているのは承知しているつもりです。ついては、問題提起は今後の進展と充実を期待いたします。
そこで、今回は一点お聞きいたします。
どのような状況であろうと、この事業は県民の生命と一生にかかわり、B型・C型ウイルス肝炎に感染され、苦しみ悩んでみえる県民の完治と健康増進のためにも円滑に進められる事業であることが求められます。平成二十年度から本県が実施するB型・C型ウイルス肝炎に対するB型・C型肝炎患者医療給付事業がどのように進められ、どんな内容の事業となるのか、お聞きかせをください。
以上です。
- 14:◯健康福祉部健康担当局長(五十里明君) B型・C型肝炎患者医療給付事業についてお答えをいたします。
国におきましては、B型及びC型ウイルス肝炎に対するインターフェロン治療につきまして、現在、全国で治療を受けてみえる約五万人を十万人へ倍増することを目指し、今後おおむね七年間で、この治療を必要とする肝炎患者の方々のすべてが治療を受けられる機会を確保するために、肝炎治療特別促進事業を平成二十年度から予算化したところでございます。
そこで、本県におきましても、新たにB型及びC型ウイルス肝炎のインターフェロン治療を対象といたしまして、医療費の助成を行うものでございます。国の試算によりますと、本県では約四千人の方々が対象となる予定であり、それに係る医療費助成の事業費として約十一億八千万円を計上しておりまして、その財源につきましては、国と県が二分の一ずつ負担するものであります。
また、医療費助成の内容につきましては、所得階層に応じ、自己負担額に月一万円、三万円、五万円の上限を設定し、それを超える額を助成するものであります。さらに、議員御指摘のインターフェロン治療に伴う副作用等につきましては、県内の肝臓専門医療機関の方々の協力をいただきまして、肝炎の患者の方々に理解していただいた上で事業を実施してまいりたいと考えております。
現在、事業の詳細につきましては未定の部分もございますが、本事業をこの四月から円滑に実施できるよう準備を進めているところであり、B型及びC型ウイルス肝炎に対するインターフェロン治療を促進し、肝硬変や肝がんへの進行を予防することによりまして、県民の皆様の健康の保持、増進に努めてまいりたい、このように存じております。
- 15:◯十番(原欣伸君) 要望をさせていただきます。
今、局長のほうからさまざまの御説明をいただきました。そうした中、七年間ですべての慢性肝炎患者の方が治療を受けられる体制づくりを構築していくということをお聞きしました。大いに期待を申し上げます。
でも、その中で、いま一度、B型・C型肝炎患者の方は、常に病気への恐怖心、そして、治療の苦しみを一生闘い続けていかなければならないことを改めて強く受けとめなければならないと思っています。
それは、私たちがごく当たり前に過ごしているごく普通の生活をも奪われ、私たちの想像をはるかに超えるものだということが想像されます。この事業は、患者の方の立場に立たなければならない。やはり、もし自分の家族だったらという心がある事業となるよう、より一層全力で取り組んでいただきますことを改めて心から要望を申し上げまして、終わらせていただきます。
以上です。
- 16:◯副議長(加藤精重君) 進行いたします。
小島丈幸議員。
- 17:◯六十四番(小島丈幸君) 歳出第六款健康福祉費第一項健康福祉総務費の第五目疾病対策費に関して、がん対策、特にがん検診についてお尋ねをいたします。さきの質問にも同様のものがありましたが、私の視点から質問をしてまいります。
我が国のがん対策は、三次にわたる対がん十か年戦略等により、がんの早期発見技術や標準的治療法の確立を初めとして、診断・治療技術において一定の進歩を遂げるなど、がん対策は着実に成果をおさめてまいりました。
しかし、がんは、昭和五十六年以降、我が国の死因の第一位を占めており、平成十七年には全国で約三十二万人の方ががんで亡くなっております。これは、日本人の三人に一人ががんで亡くなっている計算であり、がんは、国民の生命と健康にとって依然として重大な課題であります。
私ども公明党では、平成十七年六月に、党内にがん対策プロジェクトチームを設置をし、国立がんセンターや財団法人癌研究会有明病院などの医療現場の視察や患者団体との意見交換を重ね、がん患者の方々の声や現場の視点からがん対策の法制化に取り組んでまいりました。その結果、我が党のリーダーシップによって、平成十八年六月にがん対策基本法を成立をさせ、昨年四月一日に施行をされております。
がん対策基本法は、がん対策の一層の充実を図るため、がん対策の基本理念を定め、総合的かつ計画的にがん対策を推進することを目的とした我が国で初めてのがん対策に特化した法律であります。
この法律では、がんの予防及び早期発見の推進、がん医療の均てん化の促進、研究の推進の三つが基本的施策として規定をされております。このうち、がんの早期発見の中心となる施策ががん検診であります。
我が国におけるがん検診は、昭和三十年代から一部の先駆的な地域における保健活動として開始をされ、その後、全国的な取り組みとして普及をいたしました。中でも、昭和五十七年度の老人保健法の施行に伴い、市町村にその実施が義務づけられたことにより、全国的な体制の整備がなされ、住民に身近な市町村で実施をされる検診として定着をしてまいりました。
市町村のがん検診では、昭和五十七年度から胃がん検診及び子宮頸部がん検診が実施をされ、昭和六十二年度からは、肺がん検診、乳がん検診及び子宮体部がん検診が、平成四年度からは、大腸がん検診がそれぞれ追加実施をされてまいりました。
当時は、がん検診の費用の三分の一ずつを国、都道府県及び市町村が負担をしておりましたが、平成十年度からは一般財源化され、市町村による実施は任意となったものの、本県では、今年度まですべての市町村において、肺がん、胃がん、乳がん、子宮がん、大腸がんの五種類の検診が実施をされております。
このように、今日までがん検診は着実に普及定着をしてまいりましたが、その受診率は近年伸び悩んでおり、検診でがんが発見される割合も余り高くはございません。
厚生労働省の地域保健・老人事業報告によれば、平成十七年度の県内市町村におけるがん検診受診率については、胃がんは一六・九%、子宮がんは二二・六%、肺がんは三五・二%、乳がんは一八・二%であり、いずれも全国値を上回っているものの、最も高い肺がんですら検診対象者の三人に一人しか受診していないということになります。これでは、せっかく多額の予算を使って検診を実施したとしても、がんによる死亡率の低減にはつながらないのではないかと懸念をされるところであります。
がん対策基本法第十三条では、国及び地方公共団体は、がん検診の受診率の向上に資するよう、がん検診に関する普及啓発その他の必要な施策を講ずるものとすると規定をされており、県は、検診の普及啓発にしっかりと取り組んでいかなければなりません。
また、我が公明党が特に力を入れて取り組んでいる乳がん検診については、平成十七年度からレントゲン撮影装置であるマンモグラフィーによる検診が導入され、触診とあわせて実施することにより、検診による乳がんの早期発見の可能性は高くなってきております。
本県では、平成十七年度及び十八年度の二年間に、県内市町村のがん検診実施機関のマンモグラフィー整備に対して補助をするなど、乳がんの早期発見に努力してきていることは承知をしております。
そこでお尋ねをいたします。
本県の市町村が実施をしているがん検診において、マンモグラフィーの使用状況はどうなっているのか、伺います。
また、がん検診の受診率の向上を図るとともに、検診の精度管理も非常に重要であると考えますが、どのように取り組みをしていくのか、お伺いをいたします。
以上でございます。
- 18:◯健康福祉部健康担当局長(五十里明君) がん検診に関するお尋ねにお答えいたします。
まず、市町村のがん検診におけるマンモグラフィーの使用状況についてでございます。
平成十七年度の地域保健・老人保健事業報告によりますと、乳がん検診の受診者総数十万四千七百三十六名のうち、マンモグラフィー検診の受診者は六万六千四百三十九名で、その割合は六三・四%でありました。これは、全国の平均値七〇・八%を下回っておりますことから、今後もマンモグラフィー検診の実施を市町村に働きかけてまいります。
また、がん検診の精度管理の取り組みについてでございますが、県といたしましては、従来からがんの専門家などから構成されるがん検診精度管理委員会を設置し、県内市町村で実施されましたがん検診のデータを集計、分析した結果を還元してまいりました。
今後も、市町村が国のガイドラインに沿った検診を実施できるよう助言を行いますとともに、検診精度の確保に重要な役割を担います臨床検査技師や診療放射線技師などの検診従事者の資質向上に努めてまいりたいと考えております。
- 19:◯副議長(加藤精重君) 進行いたします。
とね勝之議員。
- 20:◯二十番(とね勝之君) 私からは、歳出第六款健康福祉費のうち第一項健康福祉総務費第五目疾病対策費の三生活習慣病対策費と十三特定疾患医療給付費の二点についてお尋ねをいたします。
まず最初に、特定疾患医療給付事業についてであります。
原因不明で治療方法が確立していない病気、いわゆる難病に苦しんでいらっしゃる患者さんの高額な医療費に対して自己負担額が軽減される特定疾患医療給付制度につきましては、昭和四十八年に制度が開始され、三十五年余りの長きに渡って実施されているところであります。
そして、この制度の対象疾患の幾つかは、少しずつではありますが、その原因も解明されたり、薬剤の開発や新たな治療法が確立されるなど、一定の成果を果たしておると認識しておりますが、まだまだ多くの患者さんにとりまして、日常生活の中で身体的にも精神的にも大変苦しんでおられる現状があることには変わりはありません。
私の知人で、特定疾患の一つである強皮症、いわゆる膠原病の一種ですが、患っていらっしゃる方がおられます。原因不明の発熱、関節の痛みなどを訴えられ、特に今の寒い季節には、水に触れただけで手足がしびれたり、日常生活の中で突然呼吸困難に陥るなどの症状を聞いております。
難病に苦しんでおられる患者さんは、完治するめども立たず、医療費も特定疾患を患った患者さんにとっては大変高額であることから、日々不安の中で療養生活を送っていらっしゃいます。特定疾患と闘う患者さんにとって、医療費が公費負担されること、この制度は必要不可欠なものとなっております。
この制度は、ただいま申し上げたように、患者さんの負担を軽減する一方で、もう一つの目的があります。
それは、この制度を通じて、国が難病克服に向けた治療研究を行うとしているところであります。つまり、公費負担制度を利用される患者さんは、その申請の際、同意書の提出という形で治療研究への協力を確認させられます。要は、特定疾患に診断されたからといって、その医療費が自動的に公費負担になるわけではなく、患者さん本人の手続があって初めてこの制度が適用されるわけであります。
前述した強皮症を患っている私の知人は、自身の臨床記録がどのように研究されるかを懸念し、当初、申請を控えられておりました。
一般的には、難病を患って初めてこの制度に触れることになると思いますが、患者さんの中には、制度をよく理解していなかったり、医療費に対する公費負担の開始時期を知らなかったりするケースが見受けられます。
また、申請がしたくても治療が最優先で、例えば入院などをして申請の窓口である最寄りの保健所に物理的に足を運ぶことができないケースなども想定されます。
ここで質問いたします。
このように、制度を知らなかったり、またはやむを得ず保健所に行けなかったなどの理由で、この制度の申請がおくれた場合、患者さんにとりまして、申請日以前の医療費については公費負担されないことになります。
県においては、公費負担の開始日について、申請受理日ではなく、せめてその患者さんが特定疾患と診断された診断日にさかのぼって認定されるよう弾力的な運用をすることはできないものでしょうか、県の御所見を伺います。
また、難病は健康な人でもいつ何どき発症されるともわからないものであり、この制度がきちんと利用されるよう、医療関係者や県民の方々に対して広く周知すべきと考えますが、県はどのように対応されておられるのか、お伺いをいたします。
次に、喫煙対策についてであります。
私自身、かれこれ十五年余りの愛煙家でありましたが、昨年暮れから体調を壊したことをきっかけに一念発起し、ことしの元旦に禁煙宣言をいたしました。それ以降、たばこの誘惑と日夜格闘をしておりますが、日に日に隣で吸う人の煙、いわゆる副流煙も気になり出し、県の喫煙対策に自身の問題としても関心を持つようになり、今般質問をさせていただくわけであります。
平成十五年に健康増進法が施行されてから四年余りが経過しております。この法律では、喫煙が自身の健康を害するのみならず、他人の健康をも害するおそれが高いために、学校や飲食店を初めとした多数の人が利用する施設において、たばこの煙を吸わされる、いわゆる受動喫煙を防止するための措置をとることが努力義務として課されております。
また、社会全体で禁煙化が進んでいる中、本県におきましては、昨年五月には、名古屋市周辺におけるタクシーが禁煙となり、さらに十一月からは、県内全域でのタクシーにおいても禁煙となったことは記憶に新しいところであります。これによりまして、バスや電車を含む公共交通機関において、ほぼ全面的な禁煙が実現いたしました。受動喫煙が県民の方々の健康を害し、不快感を与えることを考えますと、乗り物の禁煙化の動きは愛煙家の皆様にとっては大変つらいことでありますが、時代の趨勢かと思っております。
しかし、一方で、飲食店、事業所などは、多くの県民の方々が利用しているにもかかわらず、禁煙が実施されていないばかりか、分煙コーナーすら設置されておらず、受動喫煙防止とはほど遠い状況にあります。今まで周囲への配慮も考えず、喫煙していた自分でありますが、禁煙をしてみて分煙の必要性を今さらながら感じております。
本年四月には、国の医療制度改革の一環として、医療費の適正化と疾病の予防を重視した生活習慣病対策がスタートされるわけでありますが、私は、医療費の軽減のみならず、がんやメタボリックシンドロームなどの生活習慣病の予防、ひいては県民の方々が長生きしてよかったと思える愛知の実現のためにも、効果のある喫煙対策もまたしっかり行う必要があると考えます。
また、昨今の女性の喫煙に関して、その動向を紹介させていただきます。
昨年五月に発表された平成十七年国民健康・栄養調査で、たばこを吸う人の割合を示す喫煙率は、成人全体では低下傾向にあるにもかかわらず、子供を産み、子供と一緒にいる時間の長い二十代から三十代の女性においては、ここ数年、喫煙率の下げどまりが見られ、相対的には上昇傾向にあると言えます。その背景には、女性の社会進出、喫煙に対するイメージの変化、たばこメーカーの戦略等が挙げられますが、若い女性の喫煙率の上昇は、将来世代への影響をも考えますと看過できない状況であると思います。
そこで、二点お伺いします。
一つ目は、他人のたばこの煙、副流煙を吸う、いわゆる受動喫煙の人への影響はどのようなものがあるのでしょうか。また、県として、これまでに受動喫煙防止対策としてどのように取り組んでこられたのか、お伺いいたします。
二つ目は、本県における女性の喫煙率はどのようになっているのか、お尋ねすると同時に、喫煙率の減少のために、今後どのような取り組みをされていかれるのか、お尋ねをいたします。
以上であります。
- 21:◯健康福祉部健康担当局長(五十里明君) 最初に、特定疾患医療給付費についてお答えをいたします。
まず、公費負担の開始日を診断日にさかのぼって認定ができないかの御質問でございます。
本事業は、福祉的な目的として医療費を公費負担するものではなく、難治性疾患の克服に向けた治療研究を推進するため、国の要綱に基づき実施しているところでございまして、診断書の内容を治療研究に利用することについての同意を伴った患者の申請意思を確認することが必要とされております。したがいまして、申請受理日を給付の開始時期とし、申請日以降の医療費を公費負担とする取り扱いとしているものでございます。
なお、この事業につきましては、法律に基づく制度となることが望まれるところでございます。
こうしたことから、従来より、全国知事会や全国衛生部長会を通じまして、国へ要望しているところでございます。
次に、医療機関や県民の皆様への周知に対する県の対応についてのお尋ねでございます。
特定疾患医療給付の対象となる疾患であるかどうかの判断は、主治医により診断されるものでありますことから、医師初め医療従事者の方々に対して、この制度を知っていただくことが特に重要でございます。
従来から、医療機関等に対しまして、要綱改正等の通知や研修会などの機会を通じまして、患者の方々に対する給付の開始時期や申請手続など、制度の内容につきましてお伝えいただくようお願いしているところでございます。
また、患者の方々に対しましては、保健所における相談時に手続について説明させていただきますとともに、県のホームページに制度の内容を掲載し、周知に努めております。
今後も、医療機関などや難病に苦しむ患者、家族の方々などに、この制度の理解を一層深めていただき、安心して治療が受けられますよう、給付の開始時期などを盛り込んだ事業案内、これを新たに作成し、周知に努めてまいります。
次に、喫煙対策についてお答えをいたします。
まず、たばこの副流煙による人への影響と受動喫煙防止対策についてでございます。
たばこの煙には、タールのような発がん物質を初め有害物質が二百種類以上含まれており、肺がんや心臓病などさまざまな疾患の発症要因となることがこれまでの疫学的研究で確認をされております。
たばこの煙には、喫煙者みずからが直接吸う主流煙と火のついた部分から立ち上る煙である副流煙、この二種類がございますが、これらの有害物質は、主流煙よりもむしろ副流煙に高濃度で含まれており、このため、たばこを吸う人はもちろん、たばこを吸わない周囲の方々にも健康被害が生じることが明らかになっております。
こうした受動喫煙による健康被害を防止するため、平成十五年十二月に策定いたしました県立施設受動喫煙防止対策推進計画により対策を進めてまいりました結果、昨年三月末にすべての県立施設で受動喫煙防止対策が完了いたしたところでございます。
また、本県では、平成十六年八月に受動喫煙防止施設の認定制度を設け、飲食店、学校、医療機関、事業所など多くの人々が利用する施設につきまして、禁煙または分煙施設として認定し、受動喫煙防止対策を推進してまいりました結果、この二月末現在、四千四百二十五施設を認定しているところでございます。
今後は、民間施設への啓発活動を一層積極的に進めていくことにより認定施設の拡大を図り、県民の皆様の受動喫煙防止に努めてまいりたいと考えております。
次に、本県の女性の喫煙率と今後の取り組みについてでございます。
本県が平成十九年に実施いたしました調査によりますと、女性の喫煙率は一二・八%となっておりまして、特に若い世代での喫煙率が高くなっております。また、全国的に見ましても、平成十七年の調査で、女性の喫煙率が一番高いのは、二十代と三十代の二〇・九%と、このようになっております。
こうした若い世代の女性の喫煙率を下げるための取り組みにつきましては、小中学校における禁煙教育の実施のほか、父兄や職員を対象とした県立高校の敷地内禁煙、各健康関連団体、ボランティアと連携した禁煙週間におきます啓発活動などを実施してまいりました。
今後の取り組みでございますが、妊娠、出産から子育てまで長期にわたり子供の身近にいる機会の多い若い女性の方々に対する禁煙の啓発は特に大切でございますので、来年度は、女子大学生などを対象にした喫煙に関するシンポジウムを開催するなど、若い女性の喫煙率の低下に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
- 22:◯二十番(とね勝之君) それぞれ御回答をいただきました。特定疾患医療給付事業について要望をさせていただきます。
今、御回答の中にもございましたが、この事業は法律に基づくものではなく、厚生労働省健康局内での通達レベルで制度化され、都道府県に事業が委託されているのが実情であります。つまり、実施主体はあくまで都道府県であり、その申請手続もその自治体で完結しているものであります。それゆえに、その制度の趣旨に合致すると思われる範囲内で、弾力的な制度の運用は自治体の長、つまり、本県でいいますと知事の判断でできると私は考えます。
先日、公費負担の対象である急性膵炎を患った方に直接お話を伺いました。その方は、入院して約一週間後に看護師さんとの世間話の中でこの制度のことを知ったそうです。その方は慌てて保健所に行こうとしたわけですが、身寄りもなく症状も安定していなかったので、結局、保健所に行って申請ができたのは、診断がされて一カ月後となったわけでございます。
その方から私は、なぜ私は一カ月前の診断日にさかのぼって給付が受けられないんだという質問を受け、その間、その答えを当局に私は求めました。ただ、私も当局のお答えを患者さんに御説明しても納得もされませんし、私も納得ができませんでした。ですから、今般このように質問をさせていただいたわけですが、単に知らなかった、入院をしていてどうしても行けない、身寄りがない、そういった本当に善意でこの制度を何とか利用したいんだけど利用できない、そういった方がいらっしゃるのも事実であります。
今、御回答の中で、この制度は福祉的な見地ではないというお言葉があったのは大変残念ですが、私は、社会福祉の観点からいって、自動的にこの特定疾患に診断をされたら、医療費が免除になるべきであると考えておりますが、今のお話のように法整備がされてない以上、現段階では、私は、この弾力的な運用を実施主体である都道府県が患者さんの立場になって真剣に考えるべきと私は考えております。
例えば、保健所じゃなく病院そのもので申請の手続ができるようにするとか、病院の関係者がしっかり告知をし、その告知をした上で患者さんがちゃんとそれに同意するかしないのかという、そこまで病院のほうにお願いをするとか、そして、最終的には、手続的に少なくとも診断日にさかのぼれるような、そういった制度運用が私はこの制度の趣旨からいっても適用できると思います。
どうか患者さんの立場に立って、この給付事業の適用の運用の見直しをお願いして、質問を終わります。
- 23:◯副議長(加藤精重君) 進行いたします。
森下利久議員。
- 24:◯二十六番(森下利久君) ノリ養殖の振興について、私は、歳出第八款農林水産費第六項水産業費第二目の水産業振興費のうち、ノリ養殖業に関して質問をさせていただきます。
伊勢湾、三河湾の沿岸では、ノリ養殖のために竹やFRPの支柱がたくさん立てられております。この風景を目にして冬の風物詩として感じられる方は、私以外にもたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
ノリは、日本の食卓には欠かせない独特の風味のある食材であります。ノリは、非常に栄養価が高く、たんぱく質が三〇%から五〇%含まれ、ビタミン類も豊富で、ビタミンA、B類、Cの含有量が多く、その他のアミノ酸の一種であるタウリンや食物繊維が多く含まれていることから、動脈硬化の防止や血中コレステロールの低下などに役立つ食品としても高く評価をされております。
ノリと日本人のかかわりは古く、千三百年前より続いております。大宝二年、西暦七〇二年に施行された大宝律令では、ノリが租税として定められましたが、この史実、歴史がノリに関する最も古いものとされております。
ノリの養殖は、江戸時代中期から始まり、本県では、江戸末期、安政元年、西暦一八五四年に豊川の河口で始まったとされております。その後、広大な干潟や浅場を有する伊勢湾、三河湾といった恵まれた環境により、明治から昭和初期にかけて県内各地の沿岸に広がり、昭和三十年代にはすべての沿岸市町村で行われるようになりました。
昭和三十年代の後半から四十年代にかけて行われた沿岸域の大規模な開発により、伊勢湾の奥部、衣浦港周辺、三河湾奥部で多くの漁場を失い、生産者も激減をいたしましたが、新しい養殖技術の開発や成長がよく耐病性にすぐれる品種の導入や経営体の規模拡大など、生産者を初め関係者の懸命な努力もあって、生産量は、昭和の間に限って見ると、増加の傾向にありました。とりわけ、昭和四十五年から四十七年までの三年間は全国一の生産を上げるなど、まさに愛知県が全国のノリ産地をリードする立場にもありました。
ところが、最近では、ノリの養殖が苦境に陥っております。過去最大の生産量は、昭和六十三年の十二億枚でしたが、昨年、平成十八年の生産量は、その約四割に当たる五万枚まで減少し、全国第七位まで順位が下がってしまいました。私は、このまま放置をすると、愛知県の浜からノリ養殖業がなくなってしまうのではないかという危惧をいたしております。
現在のノリ養殖業は、機械化のため、膨大な投資が要る上に、温暖化や赤潮に左右されて生産が不安定、もうからない、労働がきついため、若者から敬遠され、後継者がいないという状況にあります。このため、ノリ養殖業の生産者は減少の一途をたどり、昨年、平成十八年の生産者数は、十年前の八百三十六人に比べ、約半数の四百十三人まで減少いたしました。
このような中、経営改善の取り組みとして、小規模な共同加工場の整備が平成十三年度の大野漁協を皮切りに、小鈴谷漁協や私の地元であります大井漁協でも行われ、現在四カ所で稼働いたしております。
しかし、これだけでは十分ではありません。生産者が将来にわたって安心してノリの養殖業を営んでいけれるようにすることが、後継者の確保、漁村の活性化に結びつくものと考えております。
しかしながら、ここのところ、ノリを乾燥する油代が値上がりをいたしておりまして、養殖業者は悩んでおります。このような厳しい状況に対して、魅力あるノリ養殖業の実現を果たしていくため、県はどのような振興策をお考えなのか、お尋ねをいたします。
また、平成二十年度の予算におきまして、新たにノリ養殖経営構造改善の事業費補助金として計上されておりますが、具体的な事業内容につきましてお尋ねをいたしまして、質問を終わります。
- 25:◯農林水産部長(永田清君) ノリ養殖業の振興についての御質問のうち、まず、振興方策についてお答えいたします。
ノリ養殖業は、本県海面漁業の中では最大の生産額を上げ、経営体数においても三位を占めるなど、生産者はもとより、漁協、県漁連の重要な経営基盤となっており、ノリ養殖業の振興を図ることは、本県水産業全体の振興にもつながるものと考えております。
ノリ養殖業を取り巻く状況は、多額な設備投資が必要なことや早朝から深夜に及ぶ長時間の労働、さらに自然環境に左右される不安定な生産など、大変厳しいものとなっております。
県といたしましては、コスト削減や労働負担の軽減のため、これまでの家族経営から複数の生産者による協業化や漁協による直接経営など、経営体質の強化を目指す構造改善を積極的に進めてまいりたいと考えております。
また、水産試験場において、病害の発生予察技術や温暖化への対応のため、高水温にも耐えられる優良品種の開発を進めるとともに、水産業普及指導員によりまして、養殖技術の普及指導を進め、生産の安定化を図ってまいります。
次に、ノリ養殖経営構造改善事業費補助金についてでございます。
この事業は、県内最大のノリ生産地であります常滑市鬼崎地区をモデルケースとしまして、ノリ養殖業の諸問題に対し、経営構造改善を推進するものでございます。
この地区におきましては、高い生産コスト、単価の低迷、労働力の不足といったノリ養殖業の持つ構造的な問題に加えまして、加工場周辺の宅地化に伴う騒音など地域特有の問題を抱えているところでございます。
本事業におきましては、常滑市や地元漁協を国と県で支援いたしまして、鬼崎漁港に隣接した区域を新たに埋め立てまして、用地を確保するとともに、共同加工団地を整備し、経営の合理化と騒音対策を講ずるものでございます。
共同加工団地につきましては、最新設備を導入して、摘み取ったノリの陸揚げから加工、出荷に至るまでの一貫生産体制を確立するもので、平成二十七年度までの完成を目指しているところでございます。
平成二十年度におきましては、用地等の基盤整備に先立ちまして、防波堤や護岸の設計を行う予定としておるところでございます。
本県ノリ養殖業につきましては、この鬼崎地区をモデルケースとしまして、県全体の構造改善を進め、魅力ある漁業になるよう努めてまいります。
以上でございます。
- 26:◯二十六番(森下利久君) ただいま質問した中で、私、ちょっと数字を読み間違えたような気がいたしますので、先ほど、一番最高が十二億枚として、一八年度は五万枚だと、こういうふうに申し上げたが、五億枚でございますので、訂正をさせていただきたいと思います。
ただいまノリ養殖の振興について部長さんから御回答いただきました。確かに共同加工場の整備は、人手の少ない漁業者にとっては大変ありがたい事業であると思っています。今は昔と違って、ノリを生産するにもすべて機械化されております。例えば生ノリを機械に投入すれば、もう自動に製品化されて、きちっとして出てくるわけであります。そのために、作業工程を便利にすればするほど、莫大な投資、資金がかかるわけでございます。投資と採算性が合わないと、こういう厳しい状況になっております。
そうした中で、ここ数年、温暖化や、あるいは地球環境の変化により漁期がだんだん短くなってきたと、こういう中で、また燃油が上がっておるということで、大変一番厳しいのがやはり漁業を経営されておる人、またノリ養殖をされておる人であると思います。
そこで、これ以上ノリ養殖業者を減らさないためにも、何とかこのようないい構造改善の事業や、また新たな制度ができて、利用していただいて、養殖業者が共同で、個人個人でやるということは大変経営的にも難しいわけでありますので、共同で作業ができるような加工場の整備というのが望まれるわけでございますので、それと、まず、食物供給という、東京都は一%ということでございますけど、愛知県はそこまでは至っていませんけど、何とかそうした意味で、ノリの養殖業者が減らないように、そうした振興策等安定経営ができるように、今後も事業の推進をぜひともお願いを強く要望いたしまして、私の要望とさせていただきます。
- 27:◯副議長(加藤精重君) 進行いたします。
金澤利夫議員。
- 28:◯三十六番(金澤利夫君) 通告に従い、歳出第六款健康福祉費第三項児童家庭費の児童虐待対策事業費についてお伺いをいたします。
近年、児童が虐待を受ける状況は年々増加傾向にあり、児童相談センターに寄せられた児童虐待相談の処理件数の統計では、平成八年度に比べ、平成十八年度では、全国で九・一倍の三万七千三百四十三件、本県においては五・三倍の八百二十一件と驚異的な増加となっております。
本県の十八年度の状況について見ますと、主な虐待者は、実の母親が六〇%を超え、実の父親が二二%など、家庭内の最も身近な者から虐待を受けていることがわかります。また、被虐待児の状況は、生命、健康に被害がある身体的な暴行の身体的虐待が五二・六%、保護の怠慢や拒否により健康状態や安全を損なう行為のネグレクトが三三・三%、心理的虐待が一〇・七%、次に、性的虐待と続いております。
本来、温かい家庭において健やかにはぐくまれるべき子供たちがこのような虐待を受けていることを思うと本当に心が痛みます。
さらに、児童の死亡という最悪の結果となる事件が、特に児童虐待対策のかなめである児童相談センターがかかわりを持ちながらも、児童が亡くなる事件が依然として後を絶たないことはまことに残念な事態であります。
先日も、大阪で五カ月の男の子が父親からの虐待によって亡くなる事件が起こっていますが、これも以前から虐待が疑われ、大阪府の児童相談所に通告されていた経緯があったようです。
本県でも、平成十七年十二月に尾張旭市で、児童相談センターが指導中であったにもかかわらず、五歳の男の子が亡くなる事件があったことは、まだ記憶に新しいところであります。このように、児童虐待の問題は今や深刻な社会問題となっていると思います。
私は、児童虐待対策として以下に述べますことが確実に行われれば、悲しい事件は防げるのではないかと思います。
まず、地域住民からの迅速な通報が児童相談センター等になされることです。これを進めるためには、地域住民が児童虐待に対して関心を持つことが必要であります。今年度、県が行った児童虐待防止のシンボルであるオレンジリボンを普及するキャンペーンには、多くの県民の方が参加されたと聞いております。地域住民の児童虐待に対する理解を深めていくためにも、こうした啓発活動を継続していく必要があると思います。
次に、速やかで確実な児童の安全確認が行われることであります。
虐待の通報を受けた市町村や児童相談センターが昼、夜、休日を問わず、できるだけ速やかに、しかも、適切に対応する体制が整備されなければなりません。平成十九年一月に改定された国の児童相談所運営指針では、安全の確認が必要と判断される通報があった際には、児童相談所の職員等が現場に出向いて、子供を直接目で見て、その安全を確認すること、しかも、通報から四十八時間以内に行うことが定められているとのことでありますので、本県においても、児童相談センター関係職員の方々の迅速で的確な対応を期待するものであります。
また、児童の安全確認を確実なものとするために、児童虐待の防止等に関する法律の改正により、この四月から児童相談所の立入調査の権限が強化されます。これは、保護者が児童相談所の立入調査を拒む場合、かぎを壊してでも立入調査ができるものでありますので、児童の安全を最優先する姿勢を貫くためには、県としても毅然とした姿勢で望むべきであります。
もう一点は、児童の適切な保護が行われることであります。
速やかに児童の安全の確認を行った結果、緊急にその安全を確保することが必要となったとき、その児童を適切に保護する一時保護所の体制が整備されていることが大切なことではないかと思っております。
以上、児童虐待防止にかかわる対策について意見を述べてまいりましたが、これらの対応を確実に行っていくためには、やはりかなめの機関である児童相談センターの機能の強化を図ることが最も大切でありますことから、以下順次お伺いをいたします。
一点目、春日井児童相談センターについてであります。
県は、地方機関の再編の一環として、新年度の四月一日から、新たに愛知県コロニー内に春日井児童相談センターを設置することとしておりますが、愛知県コロニー内に設置することにした理由と、どのような効果を期待してのものなのか、また、センターの職員体制について伺います。
二点目は、さきに述べましたように、増加する児童虐待相談に対して、速やかで確実な児童の安全確認を行うためには、児童相談センターの機能強化が不可欠であると思いますが、県は、新年度において、春日井児童相談センターの設置以外にどのような強化を図っていくことにしているのか、伺います。
三点目、児童の保護体制についてであります。
一時保護所については、平成十八年度に拡充整備されたところでありますが、最近の児童虐待の増加に伴い、一時保護に十分対応できているのか心配であります。もし十分でないなら、それなりの対応をしていく必要があると思いますが、どのように考えておられるか伺って、質問を終わります。
- 29:◯健康福祉部長(小島通君) 児童虐待対策について、三点御質問をいただきました。
まず、春日井児童相談センターの新設についてでございます。
春日井児童相談センターは、管内の人口が百万人を超えます中央児童・障害者相談センターの所管地域を分割いたしまして、春日井市と小牧市合わせて人口四十五万人を管轄する新しいセンターを設置するものでございます。これにより、国が定める児童相談所運営指針の人口五十万人に最低一カ所程度という基準に沿うことができるものでございます。
児童相談センターを愛知県コロニー内に設置する理由とその効果といたしましては、既存の遊休施設の有効活用を図ることができますこと、また、障害児の相談におきまして、発達障害者支援センターを初め、コロニーの障害者ケアに関する設備とかノウハウが十分に生かせることなどが挙げられるところでございます。
また、職員体制でございますが、国の配置基準等に基づきまして、児童福祉司を七名、スーパーバイザーを一名、児童心理司を三名、その他事務職員など合計で十四名の職員を配置することといたしております。
次に、児童相談センターの機能強化についてでございます。
議員御指摘のとおり、増加する一方の児童虐待相談に適切に対応し、児童の安全を確保するためにも、県内の児童相談センター全体の機能強化が必要不可欠でございます。
このため、県におきましては、現場でさまざまな問題に直接対応する児童相談センターの専門職員の増員に毎年努めているところでありますが、新年度におきましては、さらに県内全十カ所の児童相談センターで、児童福祉司九名、児童心理司二名、スーパーバイザー一名の職員を増員いたしまして、体制強化を図ることといたしております。
また、中央児童・障害者相談センターに、来年度、児童虐待対策等に関する調査分析及び専門職員研修の企画運営などを担当する企画・児童指導課、こういった専門部署を新たに設置いたしまして、児童相談センター全体の機能強化に努めてまいります。
最後に、一時保護所についてでございます。
虐待通報を受け、児童相談センターが緊急に子供を保護すべきと判断した場合、まず、県の一時保護所において保護を行うことを基本とし、状況に応じましては、児童養護施設等へ一時保護の委託を行う場合もございます。
県の一時保護所につきましては、平成十八年度に移転をいたしまして、入所定員を二十名から四十名に倍増したところでございますが、虐待により保護しなければならない子供が予想以上に増加してきている状況にございまして、一時保護所では対応し切れずに、民間の養護施設等に一時保護委託をする事案がふえてきております。
このように、一時保護に支障が生じかねないことから、新年度におきましては、当面、現在の一時保護所の入所定員を四十人から四十八人にふやしますとともに、職員についても増員を図るなど、一時保護の体制強化をしてまいります。
以上でございます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 30:◯三十七番(田辺克宏君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 31:◯副議長(加藤精重君) 田辺克宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 32:◯副議長(加藤精重君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時三十八分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後一時開議
- 33:◯議長(青山秋男君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
山下史守朗議員。
- 34:◯二十七番(山下史守朗君) 私からは、歳出第六款健康福祉費第三項児童家庭費について及び歳出第七款産業労働費第四項労政費について、少子化対策、子育て支援、ワーク・ライフ・バランス推進の観点からお伺いいたします。
我が国は、国と地方の債務残高がふえ続ける一方、世界でも前例のないスピードで少子・高齢化が進展、ついに二〇〇五年には人口減少社会に突入し、経済、財政ともに将来の不透明感は増すばかりであります。
人口が減少しても、かえってゆとりができてよいとする見方が一部にあるようですが、人口ピラミッドの逆三角形が余りに急であり、老齢人口が増大し、財政負担が膨らむ中、このまま労働力人口が大幅に減少していけば、肥大化した老齢人口を支え切れないということは明らかであります。
少子化傾向に歯どめをかけ、急速な人口減少を食いとめるために、早急に効果的な施策を実施していくことが重要であり、私は、昨年の二月定例議会において、少子化問題に関する一般質問を行ったところであります。
また、近い将来、人手不足が深刻化することが指摘されている中で、労働力の確保という観点からは、外国人の活用や高齢者の再活用といった議論も重要な論点ではありますが、女性労働力の活用度が低い我が国においては、女性の労働市場参加を高める施策が一層重要であります。
さて、そうした中で、昨年十二月に、国は、少子化対策の重点戦略「子どもと家族を応援する日本」重点戦略を決定しました。
この重点戦略では、今日なお、妊娠、出産を機にそれまで就労していた女性の七割が離職する現状から、就労か、出産、子育てかの二者択一構造を解決しない限り、出生率は回復せず、労働力人口が大幅に減少すると予測しております。
女性を初め、働く意欲を持つすべての人の労働市場参加を実現しつつ、国民の希望する結婚、出産、子育てを可能にするためには、働き方の見直しによる仕事と生活の調和、いわゆるワーク・ライフ・バランスの実現と包括的な次世代育成支援の枠組みの構築を車の両輪と位置づけ、同時並行的に取り組んでいくことが必要不可欠であるとしています。まさに同感であります。
働き方の見直しについては、後ほど産業労働部にお伺いをいたしますが、まず、子育て支援の充実を図るための中心的施策である保育対策についてお伺いいたします。
私は、これまで、お子さんを保育所に預けて働いている地元のお母さん方と話す機会を何度か持ったことがありますが、そうした折に、お母さん方からは、保育所で急に熱が出たため、仕事をほかの人にかわってもらって、子供を迎えに行かなければならないことがたびたびあり、困っているとか、子供が病気になると保育所を休ませなければならないが、仕事の調整が大変で、たびたび仕事を休んでいては働きづらいといった声を数多く耳にします。
子供の発熱や病気は時間や場所を選びませんが、現在、一般に保育所では病気の子供を預かることはできず、今の話のように、子供が発熱や病気の際には、保育所からの連絡で仕事を途中で早退して迎えに行ったり、仕事を休んだりしなくてはならないのが現状であります。
働くお母さんやお父さんにとっては、子供のぐあいが悪いときこそ子供のそばについていてあげられることが理想ですが、その日の仕事や一週間の勤務割りが決まっている状況の中で、子供の発熱や病気でたびたび休みをとることや急な休みをとることは、現実的には非常に大変なことです。
特に、朝は元気だったので子供を保育所に預けて出勤したが、子供が発熱し、急に保育所へ迎えに行かなければならなくなったといったことは、子供を保育所に預けて働いている方は、だれしも一度は経験されていることだと思います。
こうしたことは、一方で、雇用する側の企業にとっても非常に困ることでありますし、女性の労働市場参加を妨げる一つの要因ともなっているのではないかと思います。
保育所が保護者へ子供の急変を連絡するということは当然必要なことでありますが、単なる発熱など重病でない場合にあっては、看護師などの専門職員が子供の状態を把握しつつ、保護者が迎えに行くまで引き続き保育所で保育していただくことができれば、保護者にとっては大変な安心であるとともに、その日の仕事を続けることができます。
このように、子供を持ち、就労している方が安心して働き続けることができるための環境を整えることは、至極当然であるとも言えます。
近年は、通常の保育時間を超えてお子さんを預かる延長保育や、保護者の急な用事等に対応する一時保育などの保育対策は、多くの市町村の保育所で取り組んでおられ、働いているお母さんからは、急に残業が入っても、保育所で迎えに行くまで預かってもらえて助かるとか、家庭で保育されているお母さんからは、私が病気になったときや知人の結婚式に出席するとき、子供を保育所で預かってもらって助かったといった声を聞きますが、子供の発熱や病気の場合に対応する病児・病後児保育については立ちおくれていると言わざるを得ません。
保育所や医療機関といった地域の身近なところで病児・病後児保育の推進を図ることは、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略に掲げる仕事と子育ての両立を実現するために不可欠なものであると考えるものであります。
愛知県においても、来年度予算に病児・病後児保育の推進のための予算を計上されており、大いに期待するものであります。
そこで質問いたしますが、今回、予算計上している病児・病後児保育のねらいと内容について、まずお伺いします。また、病児・病後児保育を県としてどのように推進していかれるおつもりなのか、お伺いいたします。
次に、歳出第七款産業労働費第四項労政費についてでありますが、先ほど申しましたとおり、少子化対策を進めていく上では、働き方の改革が重要であります。
国では、昨年十二月に、仕事と生活の調和憲章、いわゆるワーク・ライフ・バランス憲章と、仕事と生活の調和推進のための行動指針を策定しました。この憲章及び行動指針では、多様な働き方が選択、実現できる社会を目指して、個々の企業の実情に合った進め方を労使で話し合い、職場の意識や職場風土の改革など、自主的な働き方の改革に取り組むことが重要であるとされています。
こうした取り組みは、企業の活力や競争力の源泉である有能な人材の確保、定着を高めるものであり、企業の生産性向上につながるものであると考えます。
また、二月の新聞報道によると、次世代育成支援対策推進法の改正案が今国会に提出され、従業員百一人以上の企業に子育てを支援する計画の策定を義務づけるとともに、計画の公表と従業員への周知も義務として盛り込むこととされています。
愛知県では、少子化対策を推進するため、平成十九年三月に少子化対策推進条例を制定し、この条例の重要な柱として、既に仕事と生活の調和の推進を位置づけ、各種の施策に取り組んでおられます。
その一つとして、ファミリー・フレンドリー企業の登録制度を設け、専用サイトで子育て支援の取り組み内容を公開するなど、国の動きを先取りした試みをしているところであります。
サイトを見ますと、計画策定義務のない中小企業も多く登録されておられます。こうした取り組みは、愛知の中小企業の人材確保、定着にも大いに役立つものと思います。
しかし、一方で、大企業の取り組みを中小企業が同じように取り組むことは難しい部分もあると思います。また、女性従業員が少ない業種では登録が進まないといったこともあるようであります。
そこで、中小企業や女性の少ない職場でも取り組みやすい事例を多く集めていただき、男性も含めて多様な働き方を選択できる制度の導入や利用しやすい職場風土づくりを進められるよう、ファミリー・フレンドリー企業の質と量の充実を期待いたします。
一方、我が自民党県議団が昨年取りまとめた政策提言「夢あいち21」では、少子化対策の中で、男性も女性も育児休暇を取得しやすい環境支援を挙げていますが、まだまだ長時間労働であったり、休暇がとりにくい職場環境を持つ企業も多く存在しています。こうした企業への啓発活動を強め、国の取り組みと一体となって、仕事と生活の調和に向けた機運を醸成することも重要な施策であります。
そこでお伺いしますが、県として、仕事と生活の調和の実現に向け、今年度はどのように取り組んでこられ、その成果はどうであったか。また、二十年度に向けての取り組みについてお伺いいたします。
以上です。
- 35:◯健康福祉部長(小島通君) 病児・病後児保育についてお答えいたします。
まず、病児・病後児保育のねらいについてでございます。
県といたしましては、働きながら子供を育てておられる方が安心して働き続けられる環境を整備いたしますことが大変重要でありますことから、これまで、保護者のさまざまな就労形態に対応するための延長保育や休日保育、一時保育といった事業の推進に努めてまいりました。こうした事業に加え、子供が病気になった場合に、子供の心身の安定を図る療養環境を整えますとともに、保護者の就労を支援する、そういった取り組みが急務でございますことから、市町村の理解のもと、病児・病後児保育事業を新たに実施するものでございます。
次に、病児・病後児保育の事業内容でございます。
保育所に通う子供が病気の回復期には至っておらず、当面症状の急変が認められない場合、あるいは病気の回復期であるが、いまだ集団保育が困難な場合、保育所や身近な医療機関などに付設された専用スペースで預かる病児保育と、もう一つ、病後児保育がございます。
さらには、朝は元気であったが、保育中に微熱を出すなどの場合に、そのまま保育所におきまして保護者が迎えに来るまでの間預かる体調不良児保育、こういうものがございまして、これら、いずれの場合も看護師等を配置いたしまして、安心・安全な体制で実施するものでございます。
なお、新年度におきましては、名古屋市及び中核市を除きまして、十八市町二十五カ所での実施を予定いたしております。
次に、病児・病後児保育の推進方策についてでございます。
平成二十年度から県と市町村がともに次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画を改定する作業に着手してまいります。
県といたしましては、行動計画策定のための協議会の開催や子育てなどに対する県民意識調査の実施を予定しておりますので、その中での御意見も踏まえまして、平成二十一年度に策定いたします県の行動計画の中に、病児・病後児保育の推進を盛り込んでまいりたいと考えております。
また、市町村におきましては、改定作業の中で保育施策に対するニーズ調査を実施いたしますので、その結果を踏まえて、病児・病後児保育を積極的に推進する計画としていただくよう必要な助言を行ってまいります。
いずれにいたしましても、市町村と連携を密にいたしまして、病児・病後児保育を積極的に推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 36:◯産業労働部労政担当局長(青木学君) 仕事と生活の調和の実現に向けた取り組みについてお答えいたします。
これまでの仕事優先の働き方を見直すことは、議員御指摘のとおり、少子化の流れに歯止めをかけるとともに、企業の生産性向上につながるものであります。
このため、十九年度から、官民が連携した推進組織として、あいち子育て支援・働き方の見直し推進協議会を立ち上げるとともに、企業における子育て支援の取り組みを普及するため、愛知県ファミリー・フレンドリー企業登録制度を創設し、従業員三百人以下の登録企業には十万円の奨励金を支給いたしました。
本年二月末現在の登録企業数は二百二十六社であり、当初目標の二百社を超え、着実に増加しております。そのうち、従業員三百人以下の企業は百三十五社でありまして、中小企業にも普及が進んでいるところであります。
二十年度におきましても、引き続きファミリー・フレンドリー企業の普及拡大に努めるとともに、新たに育児等のため自宅で仕事をすることを希望する方に、在宅ワークに関する情報提供などの支援を実施することとしております。
また、所定外労働の削減や休暇をとりやすい環境づくりなど職場の意識改革を促し、県民運動として盛り上げるため、ゆとり創造月間である十一月に、労使、行政が一体となってキャンペーン活動を展開してまいります。
こうした施策を通じまして、経済団体や労働団体、国や市と連携しながら、仕事と生活の調和の実現に向けた取り組みを推進してまいります。
- 37:◯二十七番(山下史守朗君) それぞれ御答弁をいただきました。補足をし、要望を申し上げます。
少子化対策については、我が党の県議団の政策提言「夢あいち21」においても、また神田知事のマニフェストにおいても、その一丁目一番地に掲げる重要政策であります。
そこで示された施策のうち、例えば不妊治療費助成の拡充や第三子保育料無料化の実施などは既に実現をされ、この四月からは、乳幼児医療費無料化の拡充が図られることとなっております。こうした県の取り組みは評価に値するものでありますが、我が国の子育て環境は、諸外国と比較して依然として厳しいものがあります。
家族政策に関する財政支出規模を対GDP比との比較で見てみますと、スウェーデンの三・五四%を筆頭に、フランス三・〇二%、イギリス二・九三%、ドイツ二・〇一%、イタリア一・三%などとなっているのに対し、日本はわずか〇・七五%であります。
我が国の財政状況が厳しく、また今後も少子・高齢化、人口減少によって財政見通しが暗いことが家族政策への支出増加を阻んでいるように思われますが、しかし、これは、卵が先か鶏が先かという命題と同じでありまして、まさに今、家族政策により一層力を入れることによってこそ急速な少子化傾向に歯どめをかけることができ、また、女性の労働市場参加を向上させて、少子化による労働力の減少の穴を埋めることができ、さらには日本経済の活力、成長にもつながるものでありまして、いわば一石三鳥と言えるものだと考えるわけであります。
現に、昨年の一般質問でも紹介させていただきましたけれども、二〇〇五年に国が取りまとめた少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較報告書、これによりますと、OECD加盟国二十四カ国を対象とした調査において、女性労働力率と出生率との関係は、一九七〇年には、女性労働力率が高い国ほど出生率が低いという負の相関関係であったものが、二〇〇〇年には、女性労働力率が高い国ほど出生率が高いという正の相関関係へと変化しております。
これは、各国が女性労働力率の上昇に合わせて、女性労働市場参加や出生率に関する家族政策、制度や価値観等の社会環境を適応させ整備してきた成果であります。
特に、女性労働力率を上昇させながら出生率を回復してきている国の社会環境の特徴は、男性を含めた働き方の見直しや保育所整備等の両立支援、固定的性別役割意識の解消や男性の家事・育児参加、雇用機会の均等などが進んでいるということが指摘されております。
残念ながら、日本は、家族政策への取り組みが不十分で、子育て支援やワーク・ライフ・バランスについての社会環境の整備が大きくおくれているのであります。
ワーク・ライフ・バランスの推進について、特に男性の働き方の見直しを進めることは、企業の国際競争力を低下させるのではないかという懸念が一部にはあるようですけれども、ワーク・ライフ・バランスが進んだ諸外国と日本の成長率、これを比較すれば、その指摘は的を射ていないことは明らかであります。
昨年十二月の国の「子どもと家族を応援する日本」重点戦略が指摘をするとおり、むしろ、今、女性の就労か、出産、子育てかの二者択一構造を解決して女性労働力率を向上させなければ、近い将来、労働力人口が大幅に減少し、日本経済にダメージを与えることとなるのであります。
私が考えますに、女性労働力率、出生率、経済成長、これは、三者のどれかをとればどれかがだめになるというものではなく、適切な政策によって正の相関関係となるものであり、日本の今の現状を見ると、三者は一蓮托生であるように思えるのであります。
ぜひ県としても、総合的な見地から、少子化対策、子育て支援やワーク・ライフ・バランスの推進について、一層力強く本気の取り組みをしていただきますよう強く要望するものであります。
最後に、病児・病後児保育について二点の要望をいたしますが、一点目は、効果的に施策を実施するためには、ある程度の拠点数を確保する必要があると考えますので、来年度、再来年度と積極的な拡充をしていただきますよう要望いたします。
二点目として、この病児・病後児保育については、現在、県内のごく一部の限られた医療施設等において先行実施をされているわけでありますけれども、そこでお母さん方から出ている声として、どこで預かってくれるのか、どこに行けばいいのかわからない、知らないといった周知不足を訴える声を多く耳にしておりますので、実施施設と近隣保育所との連携を上手に図っていただきまして、実施に当たっては御留意をいただきたいと思います。
以上、要望いたしまして、質疑を終わります。
- 38:◯議長(青山秋男君) 進行いたします。
神戸洋美議員。
- 39:◯三十九番(神戸洋美君) 通告に従いまして、歳出第六款健康福祉費第三項児童家庭費のドメスティックバイオレンス(DV)対策についてお尋ねをいたします。
先月の初め、「DV講演会 抗議で中止」という見出しの新聞記事を目にしました。これは、茨城県のある市がDVをテーマにした講演会を予定していたところ、DV防止法に反対する団体から、拡声器を使って主張を訴えるなどの抗議を受けたため、市が講演会を開催すると混乱を生じかねないと判断し、一月十六日に中止を決定したものでした。
さらに、この市の講演会中止の状況を見て、同じ県のある県立高校では、一月二十八日に予定していたデートDVをテーマにしたDV被害者支援のNPO法人による出前授業を取りやめるという事態も生じるなど波紋が広がっています。
くしくも、市町村におけるDV被害者の保護支援の役割が強化されるなどの改正が行われたDV防止法が施行されましたことしの一月での出来事でした。
DV防止法は、配偶者間における暴力は絶対に許さないという社会を実現するためのものでありますので、どんな大きな反対の抗議があったからといって、それに屈してしまった対応にはとても残念に思うとともに、DV問題については、さらに強い気持ちで取り組んでいかなければならないということを改めて感じさせる事件でありました。
また、最近、デートDVの問題についてよく耳にするようになりました。夫婦間で行われる暴力をDVというのに対して、恋人による暴力をデートDVといいます。これは、親密な相手を思いどおりに動かすために複合的に使われるあらゆる種類の暴力で、アウェアプログラム・ファシリテーターの山口のり子さんが次のように説明しています。一、相手に向かって物を投げる、たたく、かむなどの身体的暴力。二、汚い言葉を言う、無視、嫌がらせやストーキング、頻繁の電話や過剰な嫉妬による言葉、心理的・感情的暴力。三、合意のない性交渉や痛めつけたり侮辱したりする行為の性的暴力。四、お金を貢がせる経済的暴力など、いろいろな種類の暴力によって自己決定権を剥奪し、力で相手を支配しようとするものです。
このごろでは、男女共同参画が進んできたことによって、昔から言われていた男らしさ、女らしさの差がなくなってきました。一般的に思われている男らしさとは、苦しくても弱音を吐かない、男は泣かない、感情をあらわさない、家族を養ってこそ男、強く競争に勝つ、女性を守らなければ、男は黙って点々々です。逆に、女らしさとは、か弱い、守られる、おとなしくついていく、控え目、貞淑、受け身、夫、子供を第一に、理屈を言わない、学歴はそこそこ、家事育児は女性の仕事などです。
男は、いつも自分が正しく、感情にふたをすることが当たり前という概念が頭にあり、思いどおりにならなかったときに怒りが爆発し、暴力となりやすい。女性は、自分の意見は持たず男性についていく。何か起こったときに暴力を振るわれてもしようがないという考え方が社会の中にまだ根深く根づいていると山口さんは言っています。
まだそんなことに縛られているのかと思われるかもしれませんが、優しい男性、たくましい女性がふえて、それぞれのらしさの壁が低くなっている一方で、少子化による影響で、兄弟の数が少なく、家庭の中で自分の思いどおりに育つ環境があり、自分の感情をうまくコントロールできず、気に入らないと感情が一気に爆発して暴力に走ってしまい、それがDVにつながるというケースもあるのではないでしょうか。
内閣府が平成十八年四月に発表した男女間における暴力に関する調査報告書によりますと、平成十七年十一月から十二月にかけて、全国の二十歳以上の男女四千五百人を対象とした調査を実施しておりまして、回答のあった二千八百八十八人分の集計結果を見ますと、十歳代から二十歳代のときの交際相手から、身体的暴行、心理的攻撃、性的強要のいずれかを一つでも受けたことがあったという人は、女性一三・五%、男性五・二%という状況になっており、若い人の間にもDVが広がってきている実態が見受けられます。
このデートDVは、DV防止法の対象とはなっておりませんが、交際から結婚へという流れのことを考えれば、当然恋人時代の段階で早く気づき対応していくことがDV防止につながっていくわけで、深刻化している現状から見ても、DV同様、その防止に向けての対応をしていかなければならない問題であると痛感しております。
以上のように、DVの問題は幅広く、依然として根深いものがあることから、昨年の六月議会においても、この問題について質問をさせていただきました。
少し述べさせていただきますと、昨年の五月に、長久手町において、DVの被害者である元妻を人質として立てこもる事件が発生いたしましたときに、この問題に関連いたしまして、DV被害者の安全の確保という面から、県の今後の対応について、また、市町村や地域でのDVに対する取り組みに対しての支援方策、平成二十年度からの新たなDV基本計画を策定するに当たっての考え方などについてお伺いいたしました。
その際、健康福祉部長から新しいDV基本計画の策定に関しまして、長久手町の事件での検証を踏まえた被害者の安全確保対策などについても検討を進め、DV被害者の保護と自立支援の充実が一層図られるような計画としていくとの御答弁をいただいております。
さて、この二十年度からの新たなDV基本計画の策定につきましては、県は、昨年の九月に、策定に向けての検討会議を新たに設置して、学識経験者、民間支援団体、社会福祉施設、行政関係者の方々による数回の審議を重ね、ことしの一月には計画案が取りまとめられ、あわせて、パブリックコメントも実施されたところであります。このDV基本計画は、平成二十年度以降の本県が行うべきDV施策についての方向づけを行う極めて重要なものでありまして、私も計画案を拝見いたしました。
そこで、この新たなDV基本計画を踏まえて質問いたします。
第一点目でありますが、新しい計画では、DV被害者の安全確保と危機管理という項目が新たに加えられておりまして、長久手町での事件を教訓とした県の今後の取り組みとして、危険度アセスメント表を作成し、DV被害者の危険度を関係機関で共有し、必要に応じて入所者が外出する際に同行支援を行うとしております。
被害者の安全を確保するため、愛知県女性相談センターを中心として、危険度アセスメント表を作成することとなると思いますが、具体的にこの危険度アセスメント表をどのように活用していくこととしているのか、また、同行支援のための体制はどのようにしていくのか、お伺いいたします。
二点目として、DV被害者は、繰り返される暴力の中で、心的外傷後ストレス障害(PTSD)等の障害を抱えてしまったり、加害者からの追及に対する恐怖や経済的な諸問題があったりして、将来への不安等により精神的に不安定な状態に陥る場合があります。このような被害者に対して自立支援を円滑に行うためには、精神的な安定を図ることが極めて重要であると思われます。
DV基本計画では、こういった観点から、DV被害者支援サポートグループの運営が挙げられていますが、具体的にどのようなことを行うのかをお伺いします。
三点目は、デートDVについてであります。
先ほど申し上げましたように、若い人たちの間で、心理的な面も含めて、恋人からの暴力による被害がふえてきています。DV基本計画の中でも若い世代に対する啓発が挙げられていますが、このデートDVへの対応をどのように行うのか、具体的にお聞かせください。
以上三点についてお伺いし、質問を終わります。
- 40:◯健康福祉部長(小島通君) DV対策に関しまして、三点の御質問をいただきました。
まず、DV被害者の安全確保のための危険度アセスメント表の活用方法や同行支援についてでございます。
危険度アセスメント表は、女性相談センターにおきまして一時保護いたしました際に、DV被害者本人や市町村等関係機関からできる限りの情報収集を行った上で、夫からの追跡などによるDV被害者の危険度を総合的に判断するために作成するものでございます。
また、このアセスメント表は、一時保護を経て婦人保護施設へ入所する場合に、施設に引き継ぎまして、その後もおおむね一カ月に一回程度の間隔で女性相談センター職員と連携を図りながら、施設側が更新をしてまいります。
このように、女性相談センターと婦人保護施設が常に緊密な連携を図りながら被害者の危険度をチェックし、共通の認識を持つことで、被害者に対して、適切な助言、指導を行っていくことができるよう活用していくことといたしております。
また、入所者が外出の際に施設の職員が付き添う同行支援の要否の判断におきましても、この危険度アセスメント表を活用する体制としてまいります。
そのため、来年度、女性相談センターの相談指導職員を一名増員いたしまして、同行支援などDV被害者の安全確保体制の強化を図ってまいります。
なお、アセスメント表につきましては、現在、試行的に運用を行っておりまして、最終的な修正をした上でこの四月から本格実施をしてまいる所存でございます。
次に、DV被害者の精神的な安定を図るためのDV被害者支援サポートグループの運営についてでございます。
この事業は、女性相談センターなどでDV相談をされた被害者のうち、精神的な面で問題を抱えておられる方々を対象として、心理学の専門的な知識を持ったファシリテーターと呼ばれる進行役のもとで話し合いを行い、悩みを皆で共有し、お互いに支え合うなど精神的サポートを目的とするものでございます。
来年度の新規事業として、おおむね十名程度のDV被害者に参加していただき、月に二回程度、一年間にわたり実施することといたしておりまして、このグループ活動を通して、DVによる精神的不安定な状況からの脱却を図り、心身ともに自立した生活ができるようになることを期待するものでございます。
第三点目がデートDVへの対応についてのお尋ねでございます。
DVの問題は、議員御指摘のとおり、配偶者の間だけではなく、若い世代の男女間などにも広がっております。デートDVは、被害が深刻化していくケースやストーカーなどの犯罪行為につながることもあるなど、その危険性が指摘されているところであります。
県といたしましては、若い世代のうちから配偶者や交際相手からの暴力の問題について考える機会を提供することがDV防止のために効果的であると考えております。
このため、今年度、デートDVも含めまして、DV防止の啓発のため、市町村等の住民向け研修会や大学、専門学校の講習会などに、DV関係のNPOのスタッフを派遣する出前講座の事業を実施いたしております。
このうち、学生に対する出前講座は、現在までに九回実施いたしまして、さらに今年度中にあと二回の派遣を予定しておりますが、講義を受けた学生からは、まだ軽度ではあるが、デートDVに当てはまる行為を自分がしていることに気づいたといったような意見がありまして、この事業の必要性を感じているところでございます。
このため、新年度におきましても、引き続き学生を対象とした出前講座の事業を積極的に行い、若い世代の男女が将来DV加害者あるいは被害者とならないよう予防啓発に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 41:◯三十九番(神戸洋美君) ただいま御答弁をいただきました。
今回、新たに策定されたDV基本計画は、一部の関係者だけで組織された検討会議ではなくて、民間支援団体や社会福祉施設等、本当に現場に直結している方々も加わり策定されたものでありますので、その点においては大変評価できるものだと思います。
でも、これでDVのすべての問題に対応できるものではありませんし、六月の一般質問でも述べましたけれども、DV対策は、被害者の救済及び支援対策の整備とあわせて、加害者への対応も行わなければならない。それでなければ根絶できないと思います。
デートDVの被害者は、暴力行為を受けた後、アンケートによりますと、半数以上の人が恋人と別れております。夫婦と違って、いろいろあれこれ選択することができますから、嫌なら別れれば、相手を変えればいいわけなんですけれども、それほど問題がないように見えます。
でも、加害者である男性が、女性もいるようですけれども、DVだと気づかなければ、相手が変わっただけで次の交際相手が被害者になるということを繰り返すだけです。先ほどの部長の答弁にありました本人が気がついたというケースもあるということですので、本当にそういう人たちがふえないとなかなかなくなっていかないと思います。
特に、加害者に対する取り組みといいますと、今回の計画でも、加害者への対応についての研究としかなくて、まだまだなかなか踏み込めていないというのが現状であります。もっともっと社会全体にDVは犯罪であるということをアピールしていくように出前講座をやっていくということでしたので、ぜひそれを推進していただきたいと思います。
また、被害者支援においても、今回の危険度アセスメントが事件から約一年たってやっと動き出すという段階でありますので、現場からすれば非常に歯がゆい思いだと思いますし、被害者の方は、一刻も早くという不安な日々を過ごしていると思います。同行支援ですとか精神的サポート、女性相談施設と保護センターの連携ですとか、そういうことでしっかり救済をお願いをしたいと思います。
特に、今回の計画期間は、二十年度から二十四年度までの五年間となっております。昨年の長久手のような事件が二度と起きないためにも、この計画がしっかり生かされるよう一つ一つチェックをしながら、当局の積極的な取り組みを強く要望して終わります。
- 42:◯議長(青山秋男君) 進行いたします。
佐藤ゆうこ議員。
- 43:◯六番(佐藤ゆうこ君) 私からは、歳出第六款健康福祉費第三項児童家庭費のうち、里親支援事業について質問をいたします。
昨年九月の定例議会におきましても、里親制度について取り上げられておりますが、その答弁として、昨年七月末現在で、名古屋市を除き、里親登録者数が二百六十七名、そして、実際に九十四名の里親のもとで百四十八名の子供たちが委託をされているとのことでした。となりますと、単純に百四十八名から九十四名を引きました五十四名の子供たちが二人目以降の里子として一つの里親家庭に受け入れられていることになります。
子供たちにとって、温かい家庭のもとで愛情を持って育てられる環境が必要なことは言うまでもなく、そのために一人でも多くの方に里親登録をしていただき、実際に条件が合えば、家庭に迎え入れていただくことが必要なこととなってきます。
里親になる一番の理由として、本県では、子供に恵まれない方が養子を希望されるケースが最も多く、また、家庭に恵まれない子供を温かい家庭で育ててあげたいという思いから引き受けてくださる里親も多くいらっしゃるそうです。規定では、実子を含め六人までの子供たちを養育することができますから、先ほども触れましたが、複数の里子を受託される里親も多くいらっしゃるとのことです。
今国会では、児童福祉法改正案により、養育里親について里親手当ての見直しが決まりました。毎月約五万円の教育費や生活費などのほかに、現行は、子供一人につき毎月三万四千円の里親手当てが支給されておりますが、平成二十一年一月より、一人目は七万二千円、同時期の二人目以降は、一人につき三万六千円の里親手当てが支給されることになります。
子供一人を育てていくことは、体力的、精神的にも容易なことではありません。里親は、お金にはかえられない深い愛情を持って育ててくださるものの、それでも、実子と同じように育てていこうとされたり、二人、三人と子供たちを引き取って育ててくださる里親にとっては、金銭的な負担が大きいと思います。
里親手当てが一人目の里子に対して現行三万四千円の倍以上に引き上げられますことは大変評価できるところですが、二人目以降の里子に対する里親手当てが現行のプラス二千円であることは、本県において里親をふやす啓発活動を進めていく中で、今後、疑問が出てくるのではないでしょうか。
常に子供の状況は変化していますから、子育てになれはないと思います。子供が一人から二人にふえた場合、大変さは二倍ではなく三倍になると言われています。一人目と二人目以降との里親手当ての差を考えるとき、一人目を受け入れるときは環境が変わるが、二人目を受け入れるときはなれているから大丈夫というような根拠であるならば、その考え方は間違っていると思います。
断っておきますが、お金の提示によって里親になる方が単純にふえると言っているわけではありません。あくまでも、家庭的な環境の中で、子供たちを育てていくための里親を普及していくためには、納得のできる形をとっていくべきだと言っているのです。
先ほども言いましたが、九十四名の里親のうち、約五十四名の里親が二人以上の里子を育てている計算になりますから、委託を受けた里親の半分以上が二人目以降の里子たちを一人目の半分の里親手当てで養育をしていくことになります。私は、一人一人同じ里子に対しての里親手当てですから、同じ額を支給すべきだと思いますし、手当てに差があるとなると、手当ての意味が一体何なのか考えさせられてしまいます。
また、児童養護施設年間支弁額の十八年度実績は二十六億二千二百三十三万八千円で、単純に措置児童数で割った約二十三万円が毎月子供一人当たりに要する金額となります。乳児院においては、毎月約五十五万円が一人当たりに要する金額です。もちろん、施設運営にかかる費用や人件費、事務費なども含んでいる金額ですから、一概に里親のもとで生活をしている里子一人当たりに要する金額と比べることはできませんが、里親家庭のもとでは、乳児と乳児以外での手当てに差がないため、里子の年齢にほとんど関係なく、現況では、里親手当てを含めて約九万円から十二万円が毎月かかる金額と計算されます。
私は、里親の経験がありませんから、手当ての金額について、多い少ないの判断はできません。しかし、里親制度の普及啓発を行い、新規里親の掘り起こしを行っていくという県の立場を確認する観点から、次の三つの質問をさせていただきます。
一つ目は、国が今回示した養育里親手当てを現行三万四千円から倍以上の七万二千円に引き上げる数字の根拠と、養育里親手当てが一人目は七万二千円、二人目以降は三万六千円と倍の金額の差をつけた根拠を県はどう認識をされているのか。
二つ目は、施設と里親のもとで生活をしている子供たち一人当たりに要する金額の差を里親制度を普及させていく立場の県としてはどう認識をされているのか。
三つ目は、国の施策に追従するだけでなく、愛知県独自に里親制度を充実させていくためにどのような支援を考えているかです。
施設では、専門の職員を配置したり、職員の交代制による人件費などがかかることは理解できますが、里親は交代もなく二十四時間体制で養育をしていることをお含みいただきまして、わかりやすい御答弁をお願いいたします。
- 44:◯健康福祉部長(小島通君) 里親支援につきまして、三点の御質問をいただきました。
まず、里親手当ての改正についてであります。
一人目を三万四千円から七万二千円に引き上げた数字の根拠についてでありますが、これは、国におきまして、パート労働の収入月額でありますとか、家庭保育事業の保育ママに支払われる月額などを参考に七方二千円と定められたものでございます。
また、里親手当ての一人目の額と二人目以降の額の差についてでありますが、これも国において、二人目は一人目の半額を加算するとした、そういう考えによるものでございます。
県といたしましては、この一人目の里子の手当てが大幅に引き上げられ、里親手当て全体の額が増額されることになりますので、里親の待遇改善がなされ、ひいては里親の掘り起こしにもつながるのではないかと考えているところであります。
したがいまして、このような国の措置費制度の中で、里親の手当てに対応してまいりたいと考えております。
二つ目が施設入所にかかる費用と里親に委託された場合の費用の比較についてであります。
御指摘のように、国や県が支給する措置費につきまして、子供一人分の額を比べますと、里親に支払われる費用よりも施設に支払われる費用のほうが多くなっております。
この費用の内訳で、子供一人一人の生活にかかる費用として支払われる額につきましては、両者に大きな差はございませんが、施設におきましては、一定数の専門職員の配置が義務づけられており、また、運営管理などの経費が必要でありますことから、里親との差が生じております。このように、施設と里親では、子供を預かる体制において必要な費用に違いがあるものと考えております。
三つ目が里親制度の充実についてのお尋ねでございます。
里親には、経済的支援だけではなく、養育の負担を軽減するための支援が必要でありますことから、県といたしましては、まず、里子の事故などに備え、安心して養育していただくための里親賠償責任保険の費用を県独自に助成しておりますほか、生活面での援助を行う里親ヘルパーの派遣制度、また、里親が集い相互に悩みを相談し合う里親サロンの開催、さらには養育が一時的に困難となった場合に、施設や他の里親に数日間預かっていただき、里親に休息をしていただくレスパイト・ケア、こういった事業などを行っております。
また、新年度には、県民の方々に里親への理解を深めていただき、ひいては、里親となっていただくためのキャンペーンなども行ってまいりますなど、本県として、里親制度の充実にしっかりと取り組んでまいります。
以上でございます。
- 45:◯六番(佐藤ゆうこ君) ただいま御答弁をいただきましたけれども、私から一点要望をさせていただきます。
現在、県下にある養護施設は、ほぼ定員に達しており、子供たちの今後の受け入れを考えますと、施設を新たに建設するか、子供たちを受け入れてくださる里親を早急にふやしていく、このどちらかになると思います。施設の規模にもよりますけれども、今回、移転改築をする豊橋の養護施設「平安寮」に対して、国と県が補助をする金額は約二億九千万円です。県としては、里親制度に力を入れていくと言われているわけですから、今後も、里親に対する真剣で積極的な支援を充実させていただきたくことを要望させていただいて、私からの質疑は終わります。
- 46:◯議長(青山秋男君) 進行いたします。
神野博史議員。
- 47:◯四十四番(神野博史君) 通告に従いまして、私は、歳出第八款農林水産費第一項農業総務費のうち、あいちの農産物輸出促進事業費及び花き地方卸売市場施設整備事業費補助金についてお伺いいたします。
まず、あいちの農産物輸出促進事業費についてであります。
近年の日本農業を取り巻く状況は、担い手の減少、高齢化の進行、また、食の安全・安心の確保の問題、安価な輸入農産物の増加など大変厳しいものがあります。特に、原油価格の高騰が続く中で、施設園芸農家は大変な打撃を受けているものと思われます。
このような状況においても、平成十八年の農業産出額が全国第六位の愛知県では、野菜、果実、花卉の中に、全国有数の生産量を誇る品目が多数あり、質、量ともに高い評価を得ております。とはいえ、人口減少社会に突入した今、今後、農産物の国内需要の飛躍的な伸びは期待できそうにありません。
ところが、海外に目を向けて見ますと、世界では空前の日本食ブームと言われ、特に、オリンピックや万博を控えた中国を初め、経済発展の著しい近隣のアジア諸国では、高価な日本食材を買い求める富裕層が急速に増加しているとのことであります。こうした現状を踏まえ、現況の農業生産の閉塞感を打破し、生産者などが未来に向けて明るい希望が持てる元気な産地づくりの切り札となるのが、海外に新たな販路を創出する輸出促進であると考えております。
この点、国におきましては、農林水産物などの輸出促進を後押しすべく、昨年五月に、平成二十五年に輸出額一兆円を達成するための我が国農林水産物・食品の総合的な輸出戦略を取りまとめ、官民一体となった総合的かつ計画的な取り組みを推進しております。
一方、中部国際空港の開港や道路交通網整備などによる物流の利便性と、愛知万博の開催により国際的に知名度が向上した愛知県では、今こそ県産農産物を海外へ積極的にPRし、攻めの農業として農産物輸出促進に取り組む絶好の機会であると考えております。
そこで、農産物輸出促進のこれまでの取り組みと、今後どのように県産農産物の輸出を支援していかれるのか、お尋ねいたします。
二点目は、花き地方卸売市場施設整備事業費補助金についてであります。
本県の花卉生産は、昭和三十七年以来全国一位を誇り、本県農業産出額の二割を超える重要な基幹産業の一つとなっております。ちなみに、平成十八年の産出額は七百六億円で、全国シェアの一八%を占めております。
しかしながら、花卉地方卸売市場における取引高については、平成十年の三百九十七億円をピークに減少傾向にあり、平成十八年は三百二十九億円と平成十年と比較して二割程度減少しております。
この点、東京都は、平成二年に九つの花卉卸売市場を統合して、東京都中央卸売市場大田市場を開設、また、大阪府は、平成六年に十の花卉市場を統合して、大阪鶴見花き地方卸売市場を開設し、花卉市場での取引高が全国的に減少する中で、平成十八年の取引額は、平成十年と比較して、大田市場が一一二%、鶴見市場が一〇三%とそれぞれ増加しております。
一方、愛知県では、平成八年に鉢物を中心に取り扱っていた三つの卸売市場を統合して、愛知豊明花き地方卸売市場を開設し、現在は全国有数の鉢物市場となっております。
ところが、切り花を中心に取り扱う卸売市場は、名古屋地域では、中区松原地区の住宅地の中に中小業者が密集しており、交通の便はよいものの、地区内の道路が狭いために、輸送が集中する深夜から早朝にかけては、各市場への積み下ろしによる大渋滞が起こっております。
さらに、大量輸送のできる大型トラックが進入できないことや、用地不足のため、省力化のための機械化や品質管理のための温度管理施設が整備できないことなど、東京や大阪などの主要な花卉市場に比べ、卸売市場施設の近代化が大変おくれているのが現状であります。
卸売市場の新設移転計画につきましては、平成六年以降、本格的に検討され、第三セクター構想など何度か計画されましたが、まとまるまでには至りませんでした。
こうした中、移転計画の中心となって活動していた地方卸売市場開設者五社が新たに開設者となる事業協同組合を立ち上げ、移転に踏み切ることとなったと伺っております。
県としては、ぜひこの機会をとらえて、花卉産出額全国一を誇るにふさわしい花卉卸売市場を整備して、育てていく必要があると考えます。
そこで、今回整備される新しい花卉卸売市場について、県としてどのような機能を持つ市場として整備していくのか、お尋ねいたします。
また、事業計画の概要及び今後のスケジュールについてもお尋ねいたします。
以上です。
- 48:◯農林水産部長(永田清君) 私から二点についてお答え申し上げます。
まず、あいちの農産物輸出促進事業費についてでございます。
農産物輸出は、県産農産物を海外へPRする絶好の機会であり、守りの農業から攻めの農業への転換を図り、新たな市場開拓や産地の活性化を図る上で有効な手段であると考えております。しかしながら、農産物の輸出には、輸出先の検疫や商慣習の違いなどさまざまな課題がございます。
そこで、本県では、平成十八年三月に、県、あいち経済連、輸出事業者等で構成いたしますあいちの農産物輸出推進研究会、これを設置いたしまして、県内産地に対する意向調査や手引書の作成、内外の情報の収集、提供などを実施し、県産農産物の輸出機運の醸成を図ってまいりました。
最近では、従来から輸出されております緑茶のほか、洋ランや大葉の輸出が定着化し、次郎ガキ、メロン、ナシなどのテスト輸出も行われ、県内の農産物輸出への関心は次第に高まって来ております。
さらに、こうした取り組みを一層加速させるため、この二月には、輸出に意欲のある産地を含めましたあいちの農産物輸出促進会議を発足させ、推進体制を強化したところでございます。
また、来年度には、意欲のある産地を支援するため、新たに輸出実践モデル事業を立ち上げ、県と産地が協働して、アジアで開催されます海外見本市への出展や展示販売等を実施し、愛知県産農産物の輸出の定着、拡大につなげてまいりたいと考えております。
次に、花き地方卸売市場施設整備事業費補助金についてのお尋ねのうち、どのような機能を持つ市場として整備していくのかについてお答え申し上げます。
今回、名古屋市港区に移転、統合される花卉市場は、平成二十二年に供用開始予定の名古屋高速東海線の船見町出入り口に隣接し、広域流通に極めて適した場所に立地しており、県内を初め広く中部圏までを視野に入れた需給調整機能や価格形成機能を持つ中核的な地方卸売市場としまして整備するものでございます。
事業計画の概要につきましては、新たに設立しました愛知名港花き卸売事業協同組合が事業主体となりまして、敷地面積はナゴヤドームにほぼ匹敵いたします四万五千平米、建物は延べ床面積が約一万六千平米の市場を整備するものでございまして、全体事業費としては約四十四億円を予定しております。
具体的な設備といたしましては、切り花の鮮度を保持するための全館空調設備やインターネットを利用した自宅競りの導入など、最新の物流システムを有する市場として整備を進めてまいります。
また、スケジュールとしましては、平成二十年度に基礎工事を終え、二十一年度に建物の本体工事を行い、平成二十二年三月のオープンを予定いたしております。開場五年目の市場取扱額といたしましては、地元愛知県はもちろんのこと、全国から切り花を集め、現行の二割増となる百九十四億円を目指しているところでございます。
新しい花卉市場につきましては、花の王国あいちにふさわしい市場となるよう整備を進め、流通関係者はもとより、花卉生産者にも大いに利用していただくとともに、消費者の方々に新鮮で高品質な切り花が供給できるよう努めてまいります。
以上でございます。
- 49:◯四十四番(神野博史君) それぞれ御答弁をいただきましたが、要望事項を一点申し上げたいと思います。
花卉地方卸売市場についてであります。松原地区から新しい花卉地方卸売市場への移転は長年の懸案事項でございましたけれども、ようやく平成二十二年三月に、港区の船見町のほうに新たな流通拠点となる花卉地方卸売市場が開設されることになりましたが、しかしながら、聞くところによりますと、移転をする人とまたそこにとどまる人がいるということで、必ずしも当事者間の意思統一がなされていないようであります。
私は、今、このように分裂したままで移転するのであれば、現在でも、十年前に比べまして、豊明市場は百六十三億から百四十六億円の約一割減、松原地区では百八十九億から百五十二億と十年前に比べて取引高が二割減ということで、いずれも市場取引がともに今減少傾向にある切り花市場が、僕は分裂されますとさらに悪化していくのではないかというふうに危惧をしております。
そこで、せっかく国と県と合わせて約十七億円という補助金を出して、新たな流通拠点となる市場を整備していく以上は、ぜひとも、当事者間の意見、要望を幅広く聞きながら意見調整をしていただきまして、現在、松原地区で営業活動をしている全員の皆さんが移転できるような環境づくりをしていただきたいと思います。
あわせて、現在、本県の花卉地方卸売市場の取引高は、東京都、大阪府に次いで第三位とのことでありますけれども、産出高で四十五年間全国一を誇る本県としては、市場の取引高においても全国一を目指して、それにふさわしい環境づくりを行っていただきたいと要望しておきます。
以上で質疑を終わります。
- 50:◯議長(青山秋男君) 進行いたします。
かしわぐま光代議員。
- 51:◯八十八番(かしわぐま光代君) 私は、第六款健康福祉費第四項高齢福祉費についてお尋ねいたします。
厚生労働省が昨年七月二十六日に発表した簡易生命表によれば、日本人の平成十八年の平均寿命が男性七十九・〇〇歳、女性八十五・八一歳で、過去最高を更新しました。
一方、同年の合計特殊出生率は一・三二であり、前年の過去最低の一・二六から若干持ち直したものの、依然として低水準に推移しております。
御案内のとおり、我が国は、平均寿命の伸びと合計特殊出生率の低下とが相まって、世界に例を見ないスピードで人口の高齢化が進展しており、平成十九年度版高齢社会白書によれば、前例のない高齢社会が到来しつつあると記されております。
さて、本県の高齢化率は、総務省の平成十九年十月一日現在推計人口によりますと、全国が二一・五%に対し一八・五%と三ポイントほど低い水準にありますが、今後確実に増加することが予想されます。
高齢者の方々が住みなれたこの地域で安心・安全で過ごしていただくためには、基礎自治体である市町村と県とが密接に連携を取り合いながら、それぞれの役割を全うしていくことが今後一層重要になると考えます。
そこで、三点お尋ねいたします。
最初は、認知症の高齢者の方に対する地域での支援の問題についてお伺いします。
高齢者の増加にあって、特に留意しなければならないのが、介護サービスの提供を要する高齢者の方や、中でも支援が必要な認知症高齢者の方が飛躍的に増大することであります。
認知症の高齢者の方は、記憶障害や認知障害から不安に陥り、その結果、周りの人たちとの関係が損なわれ、家族が疲れ切って共倒れになることも少なくありません。周囲の方の認知症に対する理解と気遣いがあれば穏やかに暮らしていくことができることから、その方のそれまでの生活や個性を大切にしながら、住みなれた地域で暮らし続けることができるよう地域での支え合いが必要であると考えます。
そのために、県では、認知症を正しく理解し、地域で支援する認知症サポーター養成事業を平成十七年度から実施しており、平成二十一年度までに名古屋市を除いて三万人の養成をすることとしておりますが、これまでの実績と今後の見通しについてお聞かせください。
二点目は、介護サービスを提供する介護保険事業所の問題についてお伺いします。
本県では、介護保険制度が創設された平成十二年から県庁高齢福祉課において、指定、変更、廃止等の事務を一元的に処理されているとお聞きしております。
ところが、この受け付け窓口が混雑し、長いときなどは一時間以上待たされることがあり、三河地域から出かける事業所にとって、下手をすると一日仕事になってしまいます。
また、新規の申請に際しては、遠方から何度も足を運ばざるを得ないなど、それに費やす労力や経費が大変な重荷だとの声を多くお聞きしております。
そこで、平成二十年四月の地方機関の再編時に、利便性の向上といった観点から何らかの見直しを行う必要があると考えます。県のお考えをお聞かせください。
三点目は、今回の地方機関再編における高齢者以外の児童、障害者の福祉部門の見直しについてお伺いします。
今回の再編は、現地性、現場性の強い事務は地域で行い、迅速性、専門性を強化することなどを基本的な考えとして行われると伺っておりますが、特に、県民の生活に直接かかわる福祉や健康に関する業務については、住民の利便性の向上を図ることが重要な課題であると考えます。
そこで、児童、障害者の専門部門において、県民の利便性の観点から具体的にどのような見直しを行うのか、あわせてお伺いいたします。
以上です。
- 52:◯健康福祉部長(小島通君) 高齢者福祉などに関し、三点の御質問をいただきました。
まず、認知症サポーター養成のこれまでの実績と今後の見通しについてお答えいたします。
認知症になっても住みなれた地域で安心して安全に暮らしていただけるよう、県民の皆様が認知症について正しい知識を持ち、状況に応じた声かけや手助けをすることが必要であると考えております。このため、県や市町村などにおきまして、県民の皆様を対象に認知症サポーター養成事業を実施しているところでございます。
養成人員の実績でございますが、平成十九年度までに一万四千十人を養成いたしております。また、今後の見通しについてでありますが、平成二十年度と二十一年度の各年度八千人ずつの養成を予定しており、二十一年度までに議員御指摘の目標三万人を達成できるものと考えております。
二点目は、介護保険事業所についてのお尋ねであります。
通所系の介護保険事業所の数は、本年二月一日現在で、尾張地区が四千百九十八事業所、西三河地区が九百七十二事業所、東三河地区が六百十八事業所、合計五千七百八十八事業所となっておりまして、現在、高齢福祉課におきまして、事業所の指定等の事務を行っているところでございます。
事業所の方は、県内各地から県庁まで来られ、書類不備の場合は数回来ていただくこともございます。また、月の下旬ともなりますと事業所の方が集中し、議員御指摘のとおり、一時間から二時間待ちとなることもございます。
こうしたことから、事業所の方々の利便性、そして県民サービスの向上を図りますため、本年四月一日から、この指定等の事務を尾張、西三河、東三河の各福祉相談センターにおいて行うことといたしております。なお、施設系の特別養護老人ホームなどの指定等の事務につきましては、引き続き県庁の高齢福祉課で所管いたします。
三点目は、児童、障害者の福祉部門における地方機関の見直しについてでございます。
まず、福祉事務所と児童・障害者相談センターを統合いたしまして、福祉部門の相談窓口の一本化を図ることといたしました。これまで、相談者や相談内容によって分かれておりました窓口を一本化することにより、大きく利便性の向上が期待できますとともに、児童虐待やDVなど相互に関連する複雑な相談に対しましても、対応の的確性、迅速性といった点で県民サービスの向上が図られるものと考えております。
さらに、児童部門では、増加する児童虐待などに対応するため、新たに春日井児童相談センターを設置することといたしました。
次に、障害者の方の相談窓口の拡充であります。
これまで、障害者の方に対する相談は、尾張、西三河、東三河の三カ所の児童・障害者相談センターで行ってまいりましたが、新たに、海部、知多、豊田加茂、新城設楽の四カ所においても行うことといたしまして、合計七カ所の福祉相談センターすべてで相談ができる体制といたしました。
このように、県民の皆様がより身近なところで利用しやすくなるよう、児童、障害者の方の相談窓口を拡充してまいります。
以上でございます。
- 53:◯八十八番(かしわぐま光代君) 三点にわたってお答えをいただきました。
まず、認知症サポーター養成事業の件です。
十七年度から始まって、一万四千十人養成をしたというお答えでした。これから二年間で八千人、八千人を養成しなければいけないということになりますので、結構これが大変なんだろうなというふうに思います。果たして、県民がどれほどこの養成事業のことについて知っているのかといえば、ちょっと心もとないのではないかなというふうに思います。
いい制度ですので、積極的にこの制度をPRする、宣伝すること、意義も含めて、それが大切じゃないでしょうか。この制度に自分がかかわらないとしても、受けないとしても、あるんだということだけ知ることでも、一つ意義があることだというふうに思いますので、二年間積極的にこの制度を推進していただくことをお願いをしたいと思います。
それから、このサポーターを三万人養成するわけですが、ある種ステップアップのようなものも必要ではないかなと思います。そういうこともよく研究をしていただいて、やっていただきたいと要望をしたいと思います。
それから、福祉の関係の事業所の方たちが三河から出て来るときに、大変労力と経費を使って大変だということで、その声を聞いていただいて、地方機関の再編の中で見直しをしていただくということは、非常にタイムリーなことですし、ありがたいことだというふうに思います。
この件については、キーワードが一つあると思うんです。これは、格差というキーワードで語れると思うんですが、例えば名古屋を中心にした地域と三河地域の格差、よく考えていただければわかります。今さら言うこともないかもしれませんが、この議会が豊橋にあれば、多くの方々がこりゃ大変だということになります。出勤していらっしゃることになるわけですが、非常に大変だということですから、その逆のことを考えていただければ非常な格差があるということ。
それから、もう一つ、大きな事業所と小さな事業所の格差があると思います。大きな事業所、たくさん職員の皆さんがいらっしゃるところの事業所で一人、二人が出てくることと、小さな事業所でこちらに出向くということになりますと、負担感は全く違ってくるということになります。
そういう意味で、この格差解消のために県民への利便性の向上、行政サービスの向上のためにぜひ御努力を願いたいと思います。
以上です。
- 54:◯議長(青山秋男君) 進行いたします。
伊藤勝人議員。
- 55:◯四十六番(伊藤勝人君) 歳出第七款産業労働費第二項商工業費、商店街振興費についてお伺いをいたします。
県におきましては、昨年三月に作成いたしました商店街アクションプランに基づき、中心市街地等商店街の活性化や地域中小商業の振興が図られているわけであります。街路灯の整備や空き店舗の活用、にぎわいのためのイベントなどに対する補助金を初めとして、さまざまな支援がなされていることは承知をいたしております。
しかしながら、多くの商店街では、来客数は減る一方であり、かつてのようなにぎわいを取り戻すのは大変困難と言わざるを得ません。郊外に巨大な駐車場を備えた大型店が依然として顧客を吸収し、これに伴って、中心市街地や主要駅の周辺商店街は衰退するという傾向を止めるまでには至っておりません。
一例を挙げますと、私の地元である春日井市におきまして、春日井駅から市役所にかけた鳥居松地区の商店街がまさにこれに当たります。昭和三十年代に土地区画整理事業が行われ、その後は、行政や商業などの複合的機能を有する拠点としてにぎわっておりましたが、現在では、空き店舗が連なり、人影はまばらで閑散といたしております。商店主は高齢化し、店を継ぐ若者も少ない中で、このまちをどうしたものかと地元の商店街では大変憂慮しているところであります。
鳥居松の商店街では、平成六年には、県の支援を得て大規模なアーケード整備をいたしました。平成十八年には、九十基の街路灯を整備しましたが、こうした取り組みが必ずしもまちの活性化につながっていないように思えます。
このため、七、八年前から、鳥居松の三商店街の役員が集まって、商工会議所、行政などにも参加をお願いして、鳥居松まちづくり協議会を設置し、毎月、商店街再生をテーマに議論をしていますが、ここで出てきたアイデアなどの具体化が難しく、危機感を一層募らせているところであります。
私は、商店街振興というのは、商店街独自の取り組みを支援するだけではもはや成り立たないのではないか。もっと広い視野に立って、行政や経済団体を初めボランティア、住民などが一体となって対策を考え、買い物や娯楽だけでなく、子育て、高齢者の支援、防災や防犯など総合的なまちづくりとして施策を実施していかなければ実効が上がらないのではないか、そう思うのであります。
これまで、鉄道等の交通手段にも恵まれて、名古屋市に隣接する住宅地として発展を続けてきました春日井市でありますが、今後、少子・高齢化が急速に進むことが予測される中で、まちづくりをどのように進めていくのか、その中で商店街がどのような役割を果たしていくのか、真剣な議論が必要と考えております。
国においても、これまでの郊外への大規模小売店舗の立地や公共公益施設等の移転がもたらした中心市街地の疲弊、衰退を反省して政策転換し、先ごろ改正されたまちづくり三法に基づき、今後の人口減少・超高齢社会に対応したコンパクトでにぎわいあふれるまちづくりを目指して、中心市街地にさまざまな都市機能を集中させるべく、支援制度整備を進めております。
こうした中で、県としては、来年度の予算において、中心市街地などの商店街振興をどのように進めていかれようとなされているのか、お尋ねをいたします。
まず、商店街の地域で果たす役割として、単なる買い物の場ではなく、高齢者や子育て世代にとっても住みやすく、安全で安心できるまちとして、極めて公共的な役割を果たすものとして支援すべきだと思いますが、県の御認識をお伺いをいたします。
また、そうしたまちづくりを進めていくためには、商店街の支援というだけでなく、市町村や経済団体、地域住民が一体となって取り組む総合的なまちづくりの一環として施策を展開していく必要があると思いますが、来年度の商業振興予算では、この点、どのように取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたします。
- 56:◯産業労働部長(富吉賢一君) それでは、まず、商店街の支援についての県の認識についてお答え申し上げます。
将来の人口減少・超高齢社会の到来を踏まえますと、今後は、国が進めますコンパクトシティーの考え方に沿いまして、都市の既存ストックを有効に活用し、公共交通機関の利用が可能な中心市街地が生活や買い物の拠点となるべきでございまして、中心市街地などにございます商店街の役割は、これまでにも増して重要になると考えております。
このためには、議員御指摘のとおり、商店街を核とした総合的なまちづくりの観点から商店街振興を進めていくべきであると認識をしております。
続きまして、来年度予算についてのお尋ねについてでございます。
商店街を核といたしました総合的なまちづくりの観点から商店街振興を進めていくためには、まちづくりの主体でございます市町村が商店街と一緒になって活性化に取り組むことが大切でございます。
このような活性化に取り組む市町村、商店街を支援いたしますため、平成十八年度にがんばる商店街推進事業費補助金を創設したところでございます。県内各地でこの支援制度に対しますニーズも高まってきておりますことから、来年度におきましても、こうした各地のニーズに的確に対応してまいりたいと考えている次第でございます。
また、他の模範となるような取り組みを行っております商店街を活性化モデル商店街に指定いたしまして、この補助金を活用して重点的に支援をいたしますとともに、その支援内容、取り組み内容を周知することによりまして、他の商店街の活性化に向けた取り組みを促進してまいりたいと考えております。
なお、この補助金の運用に当たりましては、単なる資金援助に終わることなく、県として、事業の企画段階から打ち合わせに積極的に参加し、効果を高めてまいります。
さらに、個々の商店経営だけではなく、商店街全体の活性化についても、専門的な知見を有します商業エキスパート指導員を養成し、商工会議所、商工会に配置いたしますとともに、商店街を核としたまちづくりに豊富な経験を有するタウンコーディネーターを配置いたしまして、その活性化を支援するなど、人材面での支援も引き続き行ってまいります。
以上です。
- 57:◯議長(青山秋男君) 進行いたします。
中根義一議員。
- 58:◯四十七番(中根義一君) 第八款農林水産費第一項農業総務費のうち、農作物鳥獣被害防止対策費についてお尋ねいたします。
近年、中山間地域を中心に、全国的に、イノシシ、猿、シカ、野生獣類による作物への被害が深刻となっております。
農林水産省がまとめた全国の野生獣類による農産物の被害額を見ますと、平成十八年度で百三十五億円に達しており、このうち、愛知県の被害額は約二億一千万円となっておりますが、実感としてはもっと多いような気がいたします。
このような被害の発生地域では、地元猟友会による捕獲のほかに、電気さくの設置による侵入防止などさまざまな対策が講じられておりますが、被害の減少には至っておらず、むしろ増加しているのが実態です。
今日、野生獣類による被害がふえてきた原因は、中山間地域の農業従事者の高齢化や過疎化が進み、里山への人の出入りが減ったことによる獣類の生息域が拡大したこと。このような獣類による被害は、農業者の営農意欲を低下させ、耕作の放棄へとつながり、その荒廃農地が野生獣類の格好の生息場所となり、さらに被害が増すという悪循環をもたらしています。
こうした状況が続き、中山間地域の主要な産業である農業が衰退するということは、集落の崩壊のみならず、中山間地域が果たしているさまざまな多面的機能の維持が困難となるなど、県下全体から見ても大きな損失であります。
このような中、昨年十二月に、鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律、いわゆる鳥獣被害防止特別措置法が成立し、この法律では、鳥獣害の深刻化を踏まえ、最も現場に精通している市町村が被害防止計画を作成し、主体的に被害防止対策を推進していくこととなっており、県は、こうした市町村の取り組みに対し、さまざまな援助を行うことが求められています。
そこでお尋ねいたします。
県では、野生獣類による農作物への被害防止について、これまでどのように取り組んでこられたでしょうか。また、今後どのように取り組もうとされていますか、お伺いいたします。
- 59:◯農林水産部長(永田清君) 野生獣類による農作物の被害防止についてのお尋ねのうち、まず、これまでの取り組みについてでございます。
野生獣類による農作物被害の防止は、中山間地域の農業を維持していく上で喫緊の課題であると認識しております。
このため、県単独事業により、中山間地域において、最近五カ年では、イノシシ等の侵入防止さく三十キロメートル、捕獲おり九十八基の設置に対しまして支援を行ってきたところでございます。
また、平成十七年度からは、遊休農地の解消を目的とします和牛の放牧をモデル事業として実施いたしましたところ、牛が雑草を食べることでイノシシの隠れ場所がなくなり、被害が減少したという効果も見られました。この和牛放牧につきましては年々拡大し、今年度は県内十カ所で取り組まれているところでございます。
さらに、被害防止対策は、農家が個々に取り組むよりも地域全体で取り組むほうがより効果的でありますので、平成十八年度から県内四カ所の集落をモデル地域に設定しまして、集落ぐるみの啓発研修会の開催や集落周辺の草刈りなど、地域が一体となった防止対策の実施について指導を行っているところでございます。
次に、今後の取り組みについてでございます。
農作物被害は依然として深刻な状況にございますので、県では、来年度、新たに県の動物保護管理センターなどの犬を訓練いたしまして、猿を追い払う、いわゆるモンキードッグといたしまして、県内二地区に配置し、その効果を実証するモデル事業を実施いたします。
また、県単独の補助事業を新たに創設し、中山間地域の市町村が実施いたしますイノシシ、猿などの捕獲につきましても助成することといたしました。
さらに、県農業総合試験場におきまして、鳥獣害防止支援チームを設置しまして、鳥獣害に関する情報を一元的に管理するとともに、現地へ出向き、専門的、技術的な指導を行いまして、被害の状況など地域の実情に応じたきめ細やかな対応をしてまいります。
なお、鳥獣被害防止特別措置法に基づきます市町村の被害防止計画につきましては、速やかに策定できるよう、県といたしまして、必要な情報の提供や技術的助言を行うこととしております。
いずれにいたしましても、野生獣類によります被害の防止対策は、中山間地域におきます農業ばかりでなく、その地域に住む人々の暮らしを守る上からも大変重要でございますので、市町村や農協など関係機関と十分に連携しつつ、さまざまな対策を工夫して取り組んでまいります。
以上でございます。
- 60:◯四十七番(中根義一君) 今お答えをいただきました、全く現在の状態でイノシシ等の鳥獣害の減少というのは見ていないわけでして、例えば地元岡崎市の実例を見ますと、岡崎市で、現在、鳥獣駆除ということで、平成十八年度のデータでございますが、これが四百八十三頭イノシシを捕獲しておるわけですね。シカが百五頭。狩猟期間、要するに狩猟期間で二百六頭と八十八頭。合わせますと、一年間で年間にイノシシが六百八十九頭、そしてシカが百九十三頭、そして猿が三十一頭という形になっておるわけでして、これはどういうことかといいますと、岡崎市全体で今こういう状態なんです。
ところが、この中で突出しておるのは、常盤地区というのがあるんですね。そんなに大きな地域ではないんですね。これがイノシシが百四十八頭とっているんですよ。旧額田町、要するに合併しまして旧額田町になりました地域でさえ、十倍の面積であるのに百二十一頭しかとっていないということになると。そのわずかな地域で百四十八頭もとっておると。
そして、そこの方の一部の五人でチームを組んでおられる方たちにお尋ねをしましたら、その方たちのチームだけで百二十一頭イノシシをとっておると。百二十一頭とって減っておるかというと、むしろ、実態はふえておると、そういうのが現実なんですね。
したがって、今まではぐっと山間地の奥地のほうでイノシシの被害が出ておったけれども、非常に今度はまちに近い常盤地域にまで被害が一番及んでおるというのが実態でございまして、言ってみれば、イノシシ等の、今、生息地というのが、今までは山奥であったけれども、最近はほとんど里山というか、もう食べるものは芋であり、あるいは果樹であり、そうした人間が食べるもののほとんどは食べておるわけでございまして、ましてや、水稲なんかは、要するに稲ですね、稲なんかは、一遍イノシシが入りますと、そこの稲はイノシシ臭くて値段がつかないというときがあるんですね。
そういう実態もあって、被害が少ない少ないと言うけれども、実際に売れなくて被害じゃなくて、売れても値段がぐーんと安くなって、それで被害額が出るかというと、それは共済の対象になっていませんので、被害額としては認めていないということ、そういう矛盾があるんです。
実態はどうかといいますと、鳥獣害駆除というのは、四月一日から十月三十日までが一つの区間なんですね。そして、狩猟区間というのは十一月十五日から二月十五日までなんです。その間の、要するに十月三十日から十一月十五日までの約十五日間と、そして二月十五日から四月一日までの約一カ月ちょっと。
要するに、イノシシでもシカでも同じですが、三月、四月が要するに繁殖期なんですよ。その時期、要するに二月、三月にとらなくて、繁殖してふえてきたときにとっても、それは意味がないわけでして、むしろ、三月ぐらいのおなかに子供があるときにとっておけば、一頭とったことによって二頭とったと同じなんですよ。
そういう事態、もっと具体的な例を申しますと、旧額田と下山の地域で昔、イノシシと豚とかけ合わせてイノブタというのをつくっておった農家がおるんですよ。そのイノブタは、従来、イノシシというのは一頭当たり、大体一年間に一頭子供を産むというのが普通常識だったんですね。ところが、イノブタで改良したために一年間に二頭ぐらい、そして春には大体おなかの中に二頭から三頭入っておるんですよ。年二回産んで、しかも、二頭から三頭産むようになったから、それがまた、結局、イノブタを飼っている方がやめられて、そのイノブタが逃げて、今、実際に額田からずっと、今、常盤地区で捕まる豚の、要するにつめの辺のここが白いんですね。本来、イノシシというのは、つま先までのというか、皮膚の部分は黒くなってなきゃいかんのに、豚がかかっていますので白いんですね。そういうイノシシが今逃げておるというか、野山を駆け回っておって、しかも、本当にうちのすぐ隣までみんな困っておる事態でおって、じゃ、実態はどうかというと、いまだにまだ三月の、言ってみれば、二月十五日から四月一日までは捕獲してはいけませんよと。
そこで、我々も地元の人たちが地元の市役所へそれぞれお願いに行った。とりあえず、十五日間は、十一月から二月までは狩猟期間ということで長い間認められてきた期間ですので、それと有害鳥獣との間に期間を設けなきゃいかん、最低十五日は日にちをとってくれということで日にちをとった。ところが、被害が出ない。要するに、被害届けがなければ、四月一日までは短縮しませんよという、そういう指導を得ている。それが岡崎市です。
じゃ、豊田市はどうかというと、豊田市は、実態と、そこをせんでも三月二日から有害鳥獣駆除としての駆除は認めますよと。十一月は十五日から休んでいただければ結構ですと。それぞれの市町村が対応が違うんですね。愛知県下全体に見て、それぞれの市町村がそれぞれのやり方でやっておるのが今の実態なんですよ。
そうなってくると、じゃ、県の果たす役割は何かと、今新しい方向として、言ってみれば、捕獲のための補助金を出しますよ、あるいはモンキードッグを入れますよという具体的な案も出されたんですが、問題はここからなんですよ。そういう捕獲に関したり、いろんなことに関する部署が農林水産部と環境部と二つに分かれておるということなんですよ。
農業被害に関するそういったデータを出したり、いろいろな農業に関して田作をしようじゃないか、あるいはモンキードッグをしようじゃないかというのは農林水産部ですよ。じゃ、捕獲のために、頭数を減らすために捕獲に許可くださいよというのは環境部なんですよ。統一してもらわないと地元は一番困っておるんですよ。農家がどうしていいかわからんというのが、はっきり言って、今の実態なんですよ。
そこら辺を今後、要するに、県の機関として、農林水産部も取り組むが環境部も取り組む、このことはありがたいんですが、そのことによって混乱しておるというのが今の実態なんですね。そこのところを直していただかないと、これは両部で幾ら話し合っても話し合いにならないわけでございまして、そういう意味で、知事さんにも一つ一肌脱いでいただきたい。
こういうようなこともしていかないと、やっぱり本来の行政というのは、住民の福祉のためにある、あるいは住民の人たちをきちっと守っていくという立場にあるということから逸脱していくのではないかということが感じられるわけでございますので、細かいことは割愛しますけど、まだいろいろと調べてきましたけれども、基本的に行政というのは一体どうすべきかということの基本をまず今後ともお考えをいただくということをお願い申し上げまして、終わります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 61:◯三十八番(酒井庸行君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 62:◯議長(青山秋男君) 酒井庸行議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 63:◯議長(青山秋男君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午後二時四十五分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後三時三十分開議
- 64:◯副議長(加藤精重君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
高木ひろし議員。
- 65:◯五十番(高木ひろし君) 私は、通告に従い、健康福祉費の高齢福祉総務費について、まずお伺いをいたします。
これは、今回見直しが新年度予算案の中で打ち出されております福祉給付金制度の内容に関するものであります。
四月から後期高齢者医療制度が始まりますが、これをめぐりましては、さまざま今議会でも議論を呼び、その主要な問題点につきましては、さきの波形議員の質問によってかなり整理をされ、明らかになったと思っております。
これを踏まえまして、この福祉給付金制度との関係でありますが、要は、国の動きというのは、ふえ続ける医療費を抑え、医療保険の会計の破綻を回避するために、一番医療費をたくさん使い、数もふえていくお年寄りからも保険料を払ってもらうし、窓口負担も払える人にはできるだけ払っていただこうと、こういう考え方であると思います。
先ほどの議論にもありましたように、これは一言で言って、非常に財政といいますか、医療保険の会計を運営する側の発想が色濃く出たものでありまして、福祉の観点から見ますと、肝心の高齢者の生活なり医療がどのような実態にあるのかと、どのようなニーズが存在しているのかという点が余り議論されていないというところが最大の問題ではないかと思います。
そこで、私は、日本社会の高齢化が急速に進む中で、高齢者の中にも他の世代以上に激しい貧富の差が広がっておりますので、その実態の一端に迫るような幾つかの数字をまず御紹介をして、議論に入ってまいりたいと思います。
一つは、一月十日の毎日新聞で紹介されました数字ですが、全国に今、生活保護の受給者が百四十三万三千二百人、急速にふえてこんな数字になっております。このうちの三九%が六十五歳以上の高齢者でありまして、また、そのうちの六割は女性であります。そして、その女性の高齢生活保護受給者のうちの七二%がひとり暮らし、こういうことになっております。
もう一つの数字は、二十二日の日経新聞で紹介されました、これは厚生労働省の数字でございますが、これもこの百四十三万にも上りました生活保護受給者の内容に関して、その過半数五二・九%に当たる方が公的年金を一切受け取っていない無年金者であるということであります。この無年金の高齢者の総数は四十五万人でありまして、その六割強が今紹介した生活保護に頼っていると、こんな数字であります。
この生活保護、そして年金、そしてひとり暮らし、この三つのキーワードをめぐって、ひとり暮らしの高齢者に対して、本当に必要な援護というのは何なのかということの一端が明らかになると思います。
今後は、無年金高齢者になることが確実だと言われている方が七十万人いるという厚生労働省の推計もありまして、この方々の多くがこのままですと生活保護に流れ込んでしまう可能性があります。
人間は、年をとれば、収入が多かろうが少なかろうが同じように、やはり医者のお世話になることがどうしてもふえてまいります。これは仕方のないことだと思うんです。こうした低収入の高齢者からも保険料や医療費を取ろうとすれば、ぐあいが悪くても余り医者に行かないようにして、結果、命を縮めてしまうことになるか、あるいはどうしても払えない医療費には、結局、生活保護の医療扶助で面倒を見てもらうしかないのかと、こんな選択肢しかないところに高齢者がだんだん追い詰められてくるような気がいたします。そして、その生活保護費の増大という形で、医療費以上に国と自治体の財政に重い負担がのしかかってくるのであります。
そこで、本県が打ち出した福祉給付金制度の見直しであります。
この制度の沿革を議事録を探って調べてみました。
現在の県の福祉給付金制度は、昭和五十八年、一九八三年から始まったものであります。そして、その源流は、昭和四十六年、一九七一年、県の独自制度として当時の桑原知事のもとで始まった七十五歳以上の老人医療費無料化制度であります。知事選挙の公約によりまして、翌四十七年には、対象が一気に七十歳以上と拡大されまして、その後、順次六十八歳まで引き下げられ、この当時は六十八歳以上のすべてのお年寄りが医療費無料というこの制度を享受しておりました。
しかし、この流れは大きく、昭和五十八年、一九八三年の老人保健法の制定によりまして流れが変わります。国は、ごうごうたる非難を押し切って、老人の一部負担金制度を導入して、これを機に地方主導で進められてきました老人医療の無料化制度はどんどんと後退し始めます。
これではいけないと、このままではいけないということで愛知県が創設をいたしましたのが、ひとり暮らし老人、寝たきり老人など援護が必要な人には、この老人保健法のあるもとでも県独自制度として、医療の自己負担分を県と市町村が二分の一ずつ負担して無料を維持しようと、こういう福祉給付金制度であります。
以後、平成四年に、対象者として、痴呆性老人、当時は痴呆性と言っておりました、今で言う認知症の老人が対象に追加され、二十五年にわたって県内全市町村と協調する形でこの愛知県の福祉給付金制度が営々と維持されてきたわけであります。
このたび、知事答弁によりますと、ひとり暮らしであることのみをもって医療の援助対象とする必要性は相対的に低くなった、知事はたしかこう説明されたと思いますが、こういう理由で、ひとり暮らし老人、もちろん所得制限がついております、市町村民税非課税のひとり暮らし老人を無料化対象から外そうという提案であります。この制度の恩恵を受けていらっしゃる対象は一体何人いるかと、愛知県下で一万七千七百五十人であります。私には、この一万七千七百五十人の医療無料化制度のおかげで生きてらっしゃるお年寄りの生活実態が大変気になります。
無料化をやめるということになりますと、平均的な愛知県の老人医療費は約八十万円とされておりまして、この一割、つまり、八万円ほどは御自分で負担してくださいということに当然なります。この見直しで一体県は幾ら支出が節約できるのか、財源ができるのかといいますと、およそ六億円だそうであります。
どうも、昨年来から市町村と県の健康福祉部が協議されている内容をずっと聞いておりますと、県の本音は、この四月から始まります後期高齢者医療制度で県が新たに財源調整として五十億円以上も持ち出さなきゃいかんと。この財源の一部に同じ高齢者の医療にかかわる福祉制度の一部を見直して、これを充てようと、こんな本音があるのではないかと私は推測をいたします。
私には、こうして二十五年以上も本県の老人福祉医療のシンボル的な制度であり続けたこの福祉給付金制度の、その一番多い対象者をこの制度から外してしまうと、こんな大きな後退が特段の抗議も受けることなくこうして提案されていることが不思議でなりません。
これも私の推測ですが、恐らく後期高齢者医療の創設と同じように、当の七十五歳以上のお年寄りの方々、ひとり暮らしでこの制度の恩恵を享受してらっしゃる方々には、こうした議論が全然届いていないんじゃないでしょうか。このままこれを進めていっていいのか、大変疑問に感じます。
そこでお尋ねいたします。
この福祉給付金制度の見直しについては、昨年来、市町村に提案、協議してきたと、そしておおむね合意を得ているというような健康福祉部の御説明でありますけれども、市町村は、県の動きを受けて、この制度をこれまでどおり維持するか、この場合には、県が半額負担をしておった分も含めて市町村が持ち出すことになります。あるいは県の動きに準じて、ひとり暮らしを給付対象から外すような制度の見直しを行うのか。県内市町村の対応についてどうつかんでいるのか、まず教えていただきたいと思います。
二番目、この給付金の対象となってきた県下一万七千七百五十人に上るひとり暮らしの高齢者の生活実態について、県は一体どのように把握し、その把握の上に立って、これは相対的に必要性が下がったということで今回の提案に至っておられるのか、説明をいただきたいと思います。
次に、歳出の中で健康福祉費の医薬費、医務費について、救急医療災害情報システムについてお尋ねをいたします。
救急医療の危機が大変叫ばれております。新聞で、たらい回しにあった、あるいは救急病院がその指定を返上したというニュースがない日が少ないぐらい毎日県民の関心を呼んでおります。
愛知県内でも、改めて伺ってみますと、ここ五年の間に県内の救急病院は百九十五から百七十九に減りました。救急診療所も六十あったのが四十六になっています。つい最近も、日赤病院までもが一部の診療科目において救急の受け入れができなくなったというようなニュースもつい先ほど聞いたように思います。
こうした中で、根本的には、医師の養成、そして経営上の、あるいは診療保険の点数制度の見直しとか、いろいろ根本的な問題はありますが、とりあえず、重要性を増して日々起こり得る救急ニーズに対応するために重要だと思われるのが、愛知県が愛知県医師会に委託して運営している救急医療情報システムであります。
急な病気や事故で受け入れてくれる病院を探そうとしたときに、二十四時間三百六十五日、県内のどこに受け入れ可能な病院があるのかということを電話の応対で、あるいはインターネットで探してくれる、瞬時に表示してくれるこの情報システムは実にありがたいものであります。
もちろん、病気やけがの状況にもよりますが、行くべき、運び込むべき病院さえわかれば、救急車を呼ばなくても自分で行ける、あるいは連れていっていただける、こういったケースも多いわけでありますし、そのほうが早い場合も当然あります。
この価値ある愛知県の救急医療情報システムをめぐりましては、しかし、昨年当初から大変残念な指摘が相次いでまいりました。過去二十年以上にわたって、県から医師会への委託費の一部が救急医療情報システムセンターの業務以外の医師会職員の給与に流用されてきたというものであります。その総額は二億円近くに上るという指摘もあり、私も、昨年のこの二月定例議会の予算質疑の場で、実態の調査とその是正を強く求めてきたところであります。
また、これは国庫補助事業でもあることから、行政評価局や会計検査院からも不適正という指摘を受けまして、県は、ことしに入って指摘された平成十八年度分の補助金の一部を国に返還したと聞いております。しかし、委託先である医師会と県の間で、不適正とされた過去の委託費の返還をどうするのか、またその責任をどう明らかにしてけじめをつけるのかという点については、年度末に至っておる今日もまだ結論をお聞きできないでおります。
そこで、年度の締めくくりでもあり、また、当該事業予算が二十年度予算におきましてももちろん提案されておりますので、幾つかお尋ねしておきたいと思います。
まず、一点目は、この救急医療災害情報システム事業費として、平成十八年度には三億八千七百一万円だったのが、問題が発覚した後の、昨年の二月議会で議論しましたときの予算は七百九十万円ふえまして、三億九千四百九十二万円になっておりました。そして、今、提案されている二十年度の予算案では三億九千四百十五万円と今度は減額されております。予算書を見る限りではそれ以上の内訳がよくわからないのでありますけれども、こうしてシステムの運用をめぐっては、人件費の問題を初めいろんな問題点が指摘されてきておったわけでありますから、当然これを受けて無駄が省かれたり、システム自体の改善がなされた結果、こうした予算の増減に反映されておるものだろうと推測いたしますけれども、システムに実質的に参加している医療機関の数を含めまして、どのように十八、十九、二十とシステムの改善が図られてきたのか、内容が変化してきたのか、御説明をいただきたいと思います。
次に、問題となってきました人件費の流用をめぐる医師会からの委託費の返還や精算についてでありますが、今議会直前になりまして、愛知県医師会の側からは、この問題を民事調停にゆだねたいという申し立てがされたそうであります。知事も代表質問に対する答弁で、調停にゆだねるというお考えを示されておりますが、私としては、これはいささか解せません。
一月の新聞報道では、五年分で話がついたとか、あるいは十年分を県は求めているとか、いろいろな新聞報道はありましたが、県と医師会の意見の相違なり、考え方の相違がどこにあるのかということが全くはっきりしないままに調停というのはおかしいんじゃないでしょうか。
まず、県としての医師会に対してどのような返還方式、計算によって幾ら精算をしてくれと、返してくれという要望をされておるのか、まず明らかにしていただきたいと思います。
以上です。
- 66:◯健康福祉部長(小島通君) 福祉給付金制度についてのお尋ねのうち、まず、その対象からひとり暮らしを除外することについての市町村の対応についてお答えいたします。
県におきましては、福祉給付金制度において、ひとり暮らし高齢者につきましてもその対象としてまいりましたが、このたび見直しを行い、より医療を必要とされる寝たきりや認知症の方に特化して助成することとしたところでございます。
今回の福祉医療制度の見直しにつきましては、乳幼児医療や障害者医療の対象の拡大を求める市町村からの強い要望を従来よりいただいておりましたことから、制度すべてについて検討を行うこととし、市長会、町村会から御推薦いただきました市町村長の方々による代表者会議を三回実施いたしますとともに、担当課長会議なども随時実施いたしまして、全市町村からの御要望も十分お伺いし、議論を尽くしてまいりました。
その結果、子ども医療は、通院は就学前、入院は中学卒業までと大幅に対象を拡大し、障害者医療では、精神障害者を対象に加え、また、福祉給付金制度は見直しを行うことなどを内容とする新たな福祉医療制度につきまして、実施主体であります全市町村との合意に達したものでございます。
この合意を受けてのひとり暮らし高齢者に対する新年度の市町村の対応といたしましては、まだ検討中のところもございまして、確たる数値にはなっておりませんが、県同様に廃止、または何らかの見直しを予定している市町村が全体の四割程度ございまして、残り六割ほどが従来どおりの内容で継続していく予定と聞いております。
次に、ひとり暮らし高齢者の生活実態についてでございます。
ひとり暮らし高齢者の生活実態につきましては、県として詳細な把握は困難でございますが、直接住民と接する市町村におきまして、民生委員の活動などを通じて把握されていると考えておりまして、それら市町村と何度も協議を重ねまして、今回の見直し合意に達したものでございますので、御理解賜りたいと存じます。
- 67:◯健康福祉部健康担当局長(五十里明君) 救急医療情報システム事業に関する御質問につきましてお答えをいたします。
まず、救急医療情報システムの予算額についてのお尋ねでございますが、平成十八年度のこのシステムに係る事業費は、医師会への委託料二億一千五百七十七万六千円を含めまして、総額三億八千七百一万三千円でございました。十九年度は、それから約七百九十万円増額の三億九千四百九十二万四千円であり、二十年度予算案では、十九年度予算額から七十七万円減額の三億九千四百十五万四千円を計上させていただいております。
十九年度予算での増額でございますが、救急医療情報システムの運用開始以来、救急医療情報センターへの電話の問い合わせ件数がふえ続けた結果、電話をしてもオペレーターにつながらず自動案内放送が流れる、いわゆるトーキーの件数も多くなりましたことから、その対応策として、十九年度からパートタイムのオペレーターを二名雇用し、繁忙時間帯に配置をしたためでございます。この結果、トーキー件数は、十八年度には一月当たり約三千六百件ございましたが、十九年度は一月末現在で一月当たり約三千件と約二〇%の減少という状況になっております。
また、二十年度予算案での今年度予算と比較しての減額でございますが、主に医師会への委託料におきまして、消耗品費など事務事業の節減に努めた結果でございます。
次に、インターネットでのシステム参加医療機関の数についての御質問であります。
従来、このシステムには、日常的に救急医療を担っていない医療機関につきましても幅広く参加していただいており、参加医療機関数は約一千二百に上っておりましたが、平成十九年九月に、二次救急医療機関や休日急病診療所など、日常的に救急医療を担っていただいている約三百の医療機関に整理をさせていただきました。この結果、インターネットでの検索もしやすくなり、また、最新の情報を的確に入手できるようにしたところでございます。
なお、インターネットでは、英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、フランス語の五カ国語について、それぞれ対応できる病院、診療所を日本語及び英語で紹介しておりまして、平成十八年度では約六千八百件のアクセスがございました。
次に、このシステムの運営等にかかわります委託料の精算についてでございます。
この件につきましては、先ごろ、医師会が名古屋簡易裁判所に民事調停の申し立てを行いましたので、今後、調停の中で県の考え方を主張することにしております。
精算に当たりましては、救急医療情報センター業務と医師会業務を兼務していた職員の人件費を案分し、医師会業務に従事していた分を精算すべく、人件費を中心に額の算定を行ってまいりました。
精算の対象期間につきましては、委託契約により支出関係書類の事業終了後五年間保存を義務づけておりますことから、まずは平成十三年度以降の関係資料に基づき精算額の調整を行ってまいりました。しかしながら、民法による債権の消滅時効が十年でありますことから、平成九年度から十二年度までの委託料につきましても、精算額の確定が可能かどうか調査を行ってきたところでございます。
今後、調停の中で県としての意見を申し述べ、中立な場である調停委員会の判断を仰ぎながら、早期の解決を図ってまいりたいと考えております。
- 68:◯五十番(高木ひろし君) それでは、残り時間も少ないものですから、最初に取り上げました福祉給付金制度の見直しについて、ちょっとまだ納得がいきませんので、再質問をさせていただきます。
要は、今のお答えを聞いておりますと、市町村と十分協議してきたと、その結果のこの制度の見直しであると言うが、六割の市町村はそのまま制度を維持すると、こういうことですよね。ということは、六割の市町村の判断としては、やはりこの制度の必要性が薄れたとは考えていないということじゃないんですか。
しかも、重要なことは、愛知県がこの制度の見直しをするに当たって、小児医療、子ども医療も大変結構です。精神障害者の医療も大事なんですが、お年寄りの福祉給付の必要性について、実態をほとんど全然つかんでいないということですよ。実態を調べもせずに、相対的に必要性が減ったとか減らないとか、なぜこんな議論ができるのか。
福祉給付金制度の無料化対象からひとり暮らしを外すという政策判断について、再度明確な答弁を部長に求めたいと思います。
- 69:◯健康福祉部長(小島通君) 福祉医療制度からひとり暮らし高齢者を除外する理由についてのお尋ねでございます。
この点につきましては、代表質問でも答弁がございましたが、ひとり暮らし高齢者を福祉医療の対象とした昭和五十八年度以降、核家族化とか高齢化の進展によりまして、社会環境が変化してまいりました。その一方で、介護保険制度など高齢者福祉施策も徐々に充実してまいったという背景があるわけでございます。
今回の福祉医療の見直しにつきましては、先ほども答弁させていただきましたように、ひとり暮らしのお年寄りと直接接する中で生活実態を把握しております市町村と十分協議を重ねさせていただき、福祉給付金につきましては、より医療を必要とされる寝たきりや認知症の方に特化して助成することといたしたものでございますので、その点、御理解を賜りたいと存じます。
なお、ひとり暮らし高齢者の方々に対しましては、地域での見守り対策なども含めまして、総合的な福祉対策としてしっかり進めてまいります。
- 70:◯副議長(加藤精重君) 進行いたします。
仲敬助議員。
- 71:◯三十五番(仲敬助君) 通告に従いまして、私は、歳出第七款産業労働費第二項商工業費に関連して、産業分野におけるベンチャー企業への支援及び新エネルギー実証研究推進事業費についてお伺いいたします。
愛知県は、産業構造の高度化を担う重要な戦略分野である情報通信産業を本県の基幹的産業として発展させるために、平成十四年度から、ITベンチャー育成のための環境整備として、あいちベンチャーハウス事業を始めました。
創業後間もないITベンチャーに対し、県の遊休施設を改修し、事業スペースを無料で提供しております。また、この施設の運営につきましては、民間のノウハウや手法を積極的に活用するとの考えから、ITベンチャーの育成や指導に必要な専門知識を有する公共的団体に運営をゆだねる方法により実施しております。さらに、常駐のインキュベーションマネジャーにより、入居企業の育成、指導を行うなど、積極的な取り組みを続けておられます。
そこでお伺いをいたします。
この事業での成果、つまり、ベンチャーが育成できたかどうかの評価はどのようにしているのか、また、これまでの利用者数と育成できたと判断できる利用者数についてお聞かせください。
さらに、これまでの結果を踏まえ、利用者の事業実現に向け、来年度の入居者支援計画で工夫した点についてもお伺いいたします。
これに関連し、県では、ベンチャー企業に対し、経営支援を行うベンチャー企業投資ファンドを平成十六年度より立ち上げておられます。私は、平成十六年三月のこの場にて、県の取り組んでいくその方向性について三つの質問をいたしました。
その後四年ほどが過ぎるわけで、その後の進展や成果、そして新たな課題抽出もできているものと思いますが、こうしたことについて順次お伺いをしてまいります。
当時の背景も含め、若干の呼び起こし説明をいたします。
多様な産業振興策を図り、中小企業、ベンチャーの成功例をつくり、雇用の創出と経済の活性化を誘発し、同時に県の税収確保の道筋をつけるためには、将来の愛知県を担う新たな産業群を生み育てていかなければなりません。こうした思いを持ってスタートしたこの事業は、県の一億円の出資を呼び水にして、民間からも四億円の資金を募り、総額五億円の投資事業組合を創設するということでございました。そして、県の期待するところとしては、ベンチャー企業が株式上場できるまで育つということでありました。
ここで、一つ目の質問です。
ベンチャーファンドの総額も当初予定した以上に集まり、二十件のベンチャー企業に対して一千四百万円から一億円ほどの投資が実行されていることは、インターネットにて情報公開されており、さまざまな業種において意欲のある取り組みがなされていることに期待をしているところでございますが、現段階において株式上場まで育ってきたベンチャー企業にはどのようなものがあるのか、お伺いいたします。
このベンチャーファンドの投資先選定は、無限責任組合員である日本アジア投資株式会社が行っています。投資先選定に当たっては、成長性、収益性、革新性といった事業面での可能性の判断に加え、経営者の熱意やバランス感覚、さらには事業としてのビジョンが明確に示されているかどうかが判断されていると思います。そうした選定基準をクリアして投資を受けるに至った二十件の事業ですが、必ずしもすべてが順調に行っているとは思えません。
ここで、二つ目の質問です。
うまくいっている事業例とそうでない事業例があると思いますが、それらから学んだことについて、今後の展開に生かすべき課題についてお伺いいたします。
特に、投資金額やその使い方について、また、どのような効果的な支援業務が行われているのか、さらには、事業を進めているベンチャー企業側の声についてもどのような意見や希望があるのか、お伺いをいたします。
さて、このファンドは、存続期間を十年一区切りとして、第一号ファンドであり、ベンチャー育成に向けての一つののろしであるとの県の答弁でございました。このファンドが呼び水となり、十分な資金は持っていないけれども、知恵とやる気のあるベンチャー企業が育ち、グローバルに通用する優良企業が多く出ることが期待されるところです。
ここで、最後の質問です。
ファンドの存続期間が終了した時点におけるベンチャー企業の株式の処分はどのように行うのかについてお伺いいたします。また、県を筆頭とする有限責任組合員と無限責任組合員である日本アジア投資株式会社との関係についてもお伺いしておきます。
次に、二つ目の新エネルギー実証研究推進事業費についての質問に移ります。
愛知万博の開催地にあって環境技術への取り組みを行っている県として、シンボル的な意味合いでの環境技術に関するNEDO委託事業が行われたことは大変な意味があったと思っています。しかしながら、新エネルギー等地域集中実証研究がその期間五年を経過し、技術の実証というフェーズを終了した後も、引き続いて二億円強の県費を投入して継続する必要性について確認をしておきたいと思います。
さて、環境に優しいさまざまな新エネルギー技術の実用化を目指して大企業は取り組んでいるところでありますが、太陽光、風力あるいは廃熱を利用したり、その他さまざまな新技術の組み合わせで、ベストミックスとしての発電ネットワークをつくり、常滑浄化センターへ平準化された電力供給を行いながら、それぞれの新技術の実証試験を行ってきたことについては承知しております。そして、個々の技術については、この実証試験を通して新たな技術課題が抽出でき、今後に向けてさらなる研究がなされることと思います。
今後も実用化に向けては、これまで使ってきたNEDO所有の試験設備を引き続き活用していくことも考えられると思います。そんな中で、県としては、この二万二千平方メートルのエリアに参加希望する企業、研究機関を公募で募集、選定して行く、そして県としてのインセンティブについても検討するとのことであります。
ここで、一つ目の質問です。
こうした取り組みは、NEDOや各企業との当初からの計画としてやるものなのか、あるいは県として産業振興に向けた独自の取り組みとして行うものであるのかをお伺いします。
また、二つ目の質問としては、これまでこのエリアには何社ほどの企業が参加されていたのか、また、新たな実証研究を希望されている企業は何社あるのか。また、今後の公募に向けては、規模もあわせて、県としてはどのような企業を期待しているのか、また、どのようなインセンティブを考えているのかについて伺います。
さらに、三つ目の質問ですが、今回の予算で要求されている二億円は、このエリアの改修工事費等だと思いますが、具体的にはどのような内容で見込んでいるのか、また、あわせて運営体制についてもお伺いをいたします。
最後の質問であります。
こうした新技術の研究開発は時間が必要なものであります。したがって、期間あるいは予算などのシーリングを明確にして取り組む必要があります。県としては、今後、このエリアについて、実施期間や事業評価など、どのようなお考えで運営していく予定なのか、お伺いします。また、その期間トータルとして、県としての人件費も含んだ予算の総額についてもお伺いしておきます。
以上です。
- 72:◯産業労働部長(富吉賢一君) それでは、最初に、あいちベンチャーハウス事業についてお答えをいたします。
まず、この事業が目指しているものでございますが、利用者が入居期間中にビジネスモデルを確立し、自立した企業として地域に根づくことであると考えております。このため、まず、入居中の支援育成指標といたしまして、例えば、入居者の対前年売上増加率一〇%以上を目指すことといたしておりまして、毎年四から六割の入居者がこれを達成しております。
また、平成十五年の開所以来、現在入居中の企業も含めまして五十五社がベンチャーハウスを利用しておりますが、既にベンチャーハウスを出ました三十四社のうち二十二社がこの地域に根づいて着実に成長しておりまして、育成支援の成果が上がっていると考えております。
ちなみに、本県は、今年度、マイクロソフト株式会社と協定を結び、同社、自治体及び地域のIT業界団体が協働してITベンチャー企業を育成支援いたしますITベンチャー支援プログラムを実施しておりますが、支援対象企業として、このプログラムを実施中の全国の四自治体から八社が選定をされておりましたが、本県はこのうち三社が選ばれておりまして、先月の二十二日に認定書を交付したところでございます。
この三社はすべてあいちベンチャーハウスの利用企業でございます。世界的企業でございますマイクロソフト株式会社からその技術力を高く評価されたものでございまして、これもこの事業の大きな成果と考えております。
次に、来年度の支援計画の工夫といたしましては、入居企業の資金調達、販路拡大を目的といたしまして、県内の各インキュベーション施設と共同いたしまして、投資家、ビジネスパートナーなどを幅広く集めまして、ビジネスプラン発表会を開催することといたしております。
次に、投資事業有限責任組合あいちベンチャーファンドについてのお尋ねでございます。
まず、投資先企業の上場に関する状況についてのお尋ねでございますが、いまだに上場している企業がないため、各企業の具体的な状況については申し上げられませんが、各企業とも上場を目指しており、ここ数年で上場可能と見られている企業もございます。
次に、今後の展開に生かすべき課題、効果的な支援業務、ベンチャー企業の意見や希望などについてのお尋ねでございます。
あいちベンチャーファンドでは、そもそも革新性の高い技術、製品、ビジネスモデルを有し、新しい市場を開拓する事業を行う企業に対して投資をしておりまして、予想と異なる販売動向でございますとか、市場環境の変化、こういったものに対応いたしまして、ビジネスモデルの変更も含めまして、臨機応変にスピード感を持って経営支援を行うことが必要でございますし、実際に投資先企業からもこのような要望が寄せられております。
このため、あいちベンチャーファンドを運営いたします事業投資組合の無限責任組合員でございます日本アジア投資株式会社では、投資先企業二十社に対しまして専門スタッフ五名を配置して、日ごろから緊密に連絡をとって各企業の抱える課題を的確に把握し、経営指導を行いますとともに、投資事業組合の組合員のネットワークも活用いたしまして、人材確保、資金調達、販路拡大等を図り、これによって業績向上を支援しているところでございます。
次に、あいちベンチャーファンドの存続期間が終了した時点における株式の処分、有限責任組合員と無限責任組合員との関係についてお答えをいたします。
あいちベンチャーファンドの存続期間でございます十年が終了した時点におきましては、残存している投資先企業の株式につきましては、投資事業有限責任組合あいちベンチャーファンド契約書に基づきまして、無限責任組合員でございます日本アジア投資株式会社が清算人となりまして、県、日本アジア投資株式会社などの組合員に無限責任組合員、有限責任組合員の区別なく出資額に応じて分配することとなります。
続きまして、新エネルギー実証研究推進事業についてのお尋ねについてお答えをいたします。
まず、この事業が独自の取り組みなのかとのお尋ねについてでございます。
万博、それから、万博後に常滑臨空都市で実施されましたNEDOの実証研究は、所期の目的を果たし、今年度で終了いたします。しかしながら、県といたしましては、次世代産業として育成を図ることとしております環境・エネルギー産業を振興する観点から、独自の取り組みとして、太陽光発電装置などNEDO実証研究に用いられました一部施設を無償で譲り受け、これらの施設を生かした新エネルギー実証研究の場を地元企業に提供することとしたところでございます。
続きまして、二つ目の質問でございます。
まず、NEDO実証研究の参加企業数でございますが、これは七社でございまして、これに愛知県が加わり八社で事業を実施してまいりました。
次に、新たに実証研究に参加する企業でございますが、現在、数社がエリアの活用に関心を示してございますが、正式には来年度早々公募を行う予定でございます。
また、どのような企業の公募を期待しているのかとのお尋ねでございますが、本県の産業特性などを生かせる新エネルギー分野を四つ挙げまして、これらの分野の実証研究に取り組む企業を公募することとしております。ちなみに、この四分野とは、太陽・風力エネルギー分野、バイオマス・廃棄物分野、燃料電池分野、それから、これらの分野が関連する革新的エネルギー分野でございます。
また、企業規模につきましては、大企業のみならず、すぐれたアイデアや技術を持っている中小企業の参加を大いに期待しているところでございます。
このため、来年度、中小企業に対しましては、既存の中小企業ものづくり基盤技術開発推進費補助金の対象事業といたしまして、新たに新エネルギー実証研究を目的とする事業を加えまして、研究費の一部をその助成対象としてまいります。
次に、平成二十年度の事業予算及び運営体制についてのお尋ねでございます。
まず、平成二十年度予算でございますが、電気設備、空調設備などの改修に係る初期投資費用として約一億八千万円を計上いたしますとともに、法的に必要となります電気主任技術者の配置などの運営費、これを約三千万計上しております。
次に、運営体制でございますが、NEDO実証研究用施設の一部を県が無償で譲り受けまして、電気、ガス、水道などの実験インフラを整備して参加企業の受け入れ体制を構築いたしますとともに、参加企業と県及び学識経験者で構成いたします実証研究推進委員会を組織し、効率的な実証研究や事業評価が行えるように運営してまいります。
最後に、事業実施期間や事業評価の考え方及び予算の総額についてでございます。
まず、事業実施期間につきましては、事業開始後おおむね五年間を目途と考えておりますが、毎年度その成果を評価した上での見直しも含めまして、運営管理をしていく考えでございます。
また、事業評価につきましては、事業対象としている四分野の実証研究の導入状況でございますとか、実証研究後の実用化あるいは実用化の見込みなどを指標として評価基準を検討してまいります。
さらに、事業実施期間をおおむね五年間とした場合の予算総額でございますが、事業の状況や評価によっても変わるものでございますので、あくまでも現時点での見積もりでございますが、四、五億円程度になるのではないかと想定をしております。
以上です。
- 73:◯三十五番(仲敬助君) 要望を一点申し上げておきたいと思います。
ベンチャー企業の支援やこういった新エネルギー振興施策は、産業振興、育成という言葉で語られますけれども、まさにそうではありますけれども、やはり将来の県のなりわい、つまり、法人二税の収入源を自力で育てている大事業であるとも言えます。
昨今の法人事業税の一部国税化の動きには、こうした県の取り組みに対し水を差すものではありますけれども、財政の厳しさが増す国の台所事情を考えますと、やがては地方分権のもと、自力で運営していかざるを得ない方向にあると思われますし、産業振興施策に手を抜くことはできません。とはいえ、愛知県としても今後の財政運営を考えますと、予算が潤沢にあるわけではなく、予算配分には重点思考が求められてまいります。
県みずからがこうしたベンチャー企業の経営を担っているわけでもなく、また、新エネルギー技術の開発に直接取り組んでいるわけではありませんけれども、担当している県の職員の方々の人件費も含めて重要な資源の一部であります。ベンチャー育成、新エネルギー実証研究推進など産業創出に向けては、専門家にお願いする点、大企業にゆだねる点、そして県の役割といったことを明確にしていただきまして、県の持ち出す投資と、将来的ではありましょうけれども、県への実入りといった指標を持って取り組んでいただきますよう、要望して終わります。
- 74:◯副議長(加藤精重君) 進行いたします。
中村すすむ議員。
- 75:◯十九番(中村すすむ君) 私は、歳出第八款農林水産費第一項農業総務費のうち、地産地消推進事業費についてお尋ねをいたします。
輸入食品に対する信頼が揺らいでおります。薬物入りの食品の発覚、製造日や生産地の偽装表示などなど、最近では、消費者のマインドも、商品表示内容をしっかり確認して、少々値段が高くても安心して食べることのできる食品を選択する傾向が強くなっているようで、生産者の顔の見える商品、特に野菜や肉類においては、国産品を求める傾向が強まっているようであります。消費者が安心・安全な食品を求めている今、改めて食料自給率の向上の促進が期待されるところでございます。
我が国の食料自給率は、カロリーベースで三九%。本県に至っては一三%という低いレベルにあります。ただ、私自身は、このカロリーベースによる食料自給率というものが食生活の実態とは多少ずれているのではないのかと、これからの野菜摂取によるヘルシーな食生活に改善していくこともあわせ考えますと、カロリーベースにかわる数値管理があってもいいんじゃないかというふうに考える一人であります。
例えば、本県は、野菜の産出額では全国有数のレベルであります。自給率向上に向けて、地元野菜のさらなる摂取を推進したいところであります。それを通じて、緑黄色野菜の摂取によるメタボの予防にも寄与できます。ところが、野菜の摂取がふえて食生活の改善が進められても、低カロリーであることからカロリーベースではそんなに貢献はいたしません。
また、鳥肉や鶏卵、これも全国的に愛知県は上位で県内自給率も高い農産品でありますけれども、愛知産の鳥肉であっても、鶏のエサ、これが外国からの輸入に多くを依存しているということで、結果としてカロリー自給率は低くカウントされているわけであります。
このように、実際の食生活や今後の食生活の改善などを考えて、地元食材摂取の県民運動を展開させようとしたときに、カロリーベースの数値だけでは必ずしも自給率を向上させるのにふさわしい指標とは言えないというふうに思っております。
という思いで、本県が食料自給率をどのような指標をもってとらえているのかということを見てみますと、平成十八年度に策定したあいち食育いきいきプランの中では、カロリーベースによる食料自給率を採用しておらず、県内産の食材を使うための施策を幾つか掲げて、それぞれ平成二十二年度の達成目標を示しております。これは、私は大変結構なことだというふうに思います。
例えば県産品を扱いますいいともあいち推進店の登録数を何店以上に設定していくとか、あるいは学校給食で全食品数に占める県産食品数の割合を幾らまでに引き上げていくといったような具体的な施策、それぞれに達成目標値を掲げておりまして、結果として、県産品の使用を高めていく、自給率を高めていくという計画になっている、このことはとてもいいことだというふうに思います。
そこで、質問のまず初めに、あいち食育いきいきプランに掲げました各種推進事業の結果、県産品を使うという意味での食料自給率はどの程度向上するというふうに想定されておられるのか。といいますか、事業の推進とこの食料自給率の向上をどのように関連づけておられるのかという基本的なところをまずお伺いをしたいというふうに思います。
次に、今回の予算案で計上されております地産地消推進事業として、具体的にどのような事業を展開していくのか。そして、その事業が県産品を扱うという意味での食料自給率の向上にどの程度反映されていくというふうに想定されておるのか、これをお聞きをいたします。
さて、県下の市町村でも、県のあいち食育いきいきプランを上位計画として、食料自給率の向上を目指した数値目標を掲げた基本計画を策定し、それに沿って事業を進めているところがございます。
地元豊田市では、第二次農業基本計画の中で、ここでは地産地食という言葉を使っておりますけれども、学校給食における野菜六品目(キャベツ、タマネギ、ニンジン、白菜など)、市内の農産物の利用割合を毎年何%にしていくかという目標値を掲げて取り組んでおる事例がございます。何も学校給食だけでなく、企業や病院などでもこうした取り組みが県下全体で広がっていくこと、そして、その需要に対応できる農業生産、供給体制が県下で整うことがこれからの課題だというふうに思います。
そこでお聞きをいたします。
県の掲げるあいち食育いきいきプランの方針に沿って、市町村が足並みそろえて活動を進めていくに当たって、県はどのような役割を担っていくのか、お伺いをして、質問を終わります。
- 76:◯農林水産部長(永田清君) 地産地消推進事業費についてのお尋ねのうち、まず、あいち食育いきいきプランに掲げた事業の推進により、食料自給率はどの程度向上するのかとのお尋ねについてでございます。
初めに、本県の食料自給率についてでございますが、本県農業は、全国第六位の産出額を誇ってはいるものの、議員御指摘のとおり、カロリーの低い野菜や食糧の多くを輸入に頼っている畜産物、さらには、自給率には全く反映されない花などの生産が盛んでありますので、県といたしましては、こうした本県農業の特色を踏まえ、自給率の目標は設定をしていないところでございます。
しかし、地域で生産された農産物を地域で消費し、食生活における県産農産物の使用割合を高めていくことは大変重要でございます。
こうしたことから、あいち食育いきいきプランにおいても、お米を中心に地域の食材をバランスよく組み合わせた日本型食生活の啓発、学校給食への地場産農産物や郷土料理の導入、産地直売の促進など、さまざまな取り組みや目標を掲げ、関係者と一体となって推進をしているところでございます。
こうした取り組みによりまして、県産農産物の生産と消費の拡大を図っていくことが食料自給率の向上にもつながっていくものと考えております。
次に、地産地消推進事業の内容と食料自給率の向上への反映についてでございます。
本事業は、消費者と生産者がお互いに理解を深め、いい友達関係となって愛知の農林水産物をもっと食べようといういいともあいち運動や、学校給食に県産農産物を積極的に利用する取り組みを推進するものでございます。
具体的には、県民運動としての輪を広げるため、地産地消に意欲的に取り組むいいともあいちネットワーク会員の加入促進やインターネットなどを利用した情報発信を行うほか、県産農産物を積極的に取り扱う店舗や飲食店をいいともあいち推進店として登録する運動を展開してまいります。
また、学校給食につきましては、現在、全国平均を上回る週三・一回の米飯給食を実施しており、その全量を愛知のお米で賄っているところでございますけれども、さらに、来年度は、学校給食センターや市町村、農協、食品業界と連携いたしまして、幅広く県産農産物を使った新しいメニューの開発や県産の米を使った米粉パンの導入、普及に向けた取り組みを進めてまいります。
こうした地産地消の推進を通じまして、県産農産物の消費拡大を図っていくことが食料自給率の向上にも寄与するものと考えております。
次に、あいち食育いきいきプランの方針に沿って、市町村が足並みをそろえて活動を進めていくに当たっての県の役割についてでございます。
あいち食育いきいきプランに掲げました取り組みを効果的に推進するためには、地域の実情に最も精通した市町村との連携が極めて重要でございます。
このため、各農林水産事務所に県と市町村で構成する地域食育推進連絡会議、これを設置し、情報の提供や意見交換を行い、市町村との連携、協力のもとに、食育の機運の盛り上げや効果的な推進に取り組んでいるところでございます。
本年度は、いきいきプランの初年度といたしまして、昨年六月に、市町村関係者を初め二千人を超える多数の方々の参加を得まして、食育県民大会を開催し、地域の産物を使った食事バランスガイドの活用事例の発表などを行いました。また、県内七カ所で地産地消などをテーマとする食と農の交流フォーラムを開催し、生産者や消費者など約六千人の参加をいただき、食育の機運の醸成に努めてきたところでございます。
地産地消を初めいきいきプランに掲げましたさまざまな取り組みを推進するためには、地域に根差した食育推進計画を市町村においても作成し、取り組んでいただくことが重要でございます。
今年度中には、九つの市町村で計画が作成される見込みではございますが、県といたしましては、今後とも市町村の計画の早期の作成に向け、必要な情報の提供などを行うとともに、取り組みの推進に当たっては、連携、協力してまいります。
以上でございます。
- 77:◯副議長(加藤精重君) 次に、第一号議案平成二十年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳出第九款建設費から第十五款予備費まで及び第二条繰越明許費から第六条歳出予算の流用まで並びに第二号議案平成二十年度愛知県公債管理特別会計予算から第六十一号議案包括外部監査契約の締結についてまで及び第七十九号議案教育委員会の委員の選任についてに対する質問を許します。
通告により質問を許可いたします。
石井芳樹議員。
- 78:◯十一番(石井芳樹君) 私は、歳出第九款建設費並びに第十一款教育費について、順次御質問をさせていただきます。
まずは、第九款建設費第七項都市計画費のうち、愛・地球博記念公園の地球市民交流センターについてお伺いをさせていただきます。
二〇〇五年博覧会終了後、私たち自由民主党県議団では、政策提言「夢あいち21」の中で、愛・地球博記念公園の整備の推進を掲げ、党として積極的な提言をしながら、夢のある公園づくりに全力を注いでいるところであります。
こうした中、会場として活用された元愛知青少年公園の新しい公園計画において、博覧会の理念と成果の継承の場として位置づけられたイデアのひろばにおける博覧会の理念と成果を引き継ぐ展開について検討を行うため、愛・地球博理念継承エリア検討委員会が設置をされました。
イデアのひろばの検討は、平成十七年度から十八年度の二カ年で基本構想・計画の策定を行い、六回の委員会が開催をされ、その提言を受けて、イデアのひろば基本計画が策定をされました。
その後、平成十九年には、この基本計画の中に位置づけられた地球市民交流センターの基本設計を取りまとめ、同十一月には、地球市民交流センターの設計概要が公表されました。
同センターは、公園の北入口に隣接をし、地球市民センター本体は鉄筋コンクリート平家延べ六千九百平米と、体育館、鉄骨平家延べ二千百平米で構成をされ、内部は、交流、スポーツ、管理の三つのエリアが存在をし、環境的にも、太陽光、風力発電、地中熱などの自然エネルギーを利用し、環境と交流をテーマにさまざまな技術の導入を図りながら、博覧会の理念と成果を発展させる市民参加や交流の拠点としての整備を進めていくことが紹介をされました。
私の地元長久手町でも、万博開催時に培われた市民参加のパワーはいまだ衰えず、エコマネー運動、植樹活動や、昨年、博覧会閉幕二周年記念イベントの連携事業として行ったながくて灯路まつりなど、さまざまな分野でのボランティア活動が積極的に活躍を続けていていただいております。
しかし、多くのボランティアの皆さんの声は、あの博覧会の感動の余韻を残し、活動しつつも、皆さんで集まるところもなく、他団体との意見交換の場も少なく、各団体が余り連携なく各事業を行っているのが現状であり、少しでも早く万博の象徴である愛・地球博覧記念公園に拠点づくりの整備を望む声を多く聞くところであります。
以上を踏まえ、愛・地球博記念公園が愛知万博の理念と成果を継承、発展させるための夢のある公園となることを大いに期待をし、その原動力となる地球市民交流センターについて、二点お尋ねを申し上げます。
まず、一点目として、地球市民交流センター完成予定は二〇一〇年と聞いております。同じく二〇一〇年には、COP10や国際芸術祭など多くの国際イベントが予定されており、各種イベントの内容的には、地球市民交流センターの活用により、国内外にその施設をPRできる絶好の機会であると思います。地球市民交流センターは、二〇一〇年のいつごろ完成を目指しているのでしょうか。
次に、二点目であります。
地球市民交流センターにおいて、市民のさまざまな交流活動が活発的に行ってもらうには、この施設を利用する市民の意見を最大限に反映をし、使いやすいものとしていく必要があると思います。
そこで、ここまでに至る経緯に当たり、どのようにして市民の意見を反映をしてきたか、また、今後、施設の運営等に市民の意見をどのように取り入れていくのかをお尋ねをいたします。
続きまして、第十一款教育費第八項大学費、県立芸術大学の施設整備についてお伺いをいたします。
長久手町にあります県立芸術大学は、昭和四十一年に、国公立の芸術系大学の中では、東京藝術大学に次いで二番目に美術、音楽の両部門を有する総合芸術大学として開学をしたと聞いております。以来、東西の中間にある中部地方に特色のある文化圏を築き、地方文化の向上と発展に寄与することを目的として、芸術の理論及び応用、教育、研究に努めるとともに、演奏会や美術展を開催し、親しまれてきております。
その中にあって、昨年十一月、我が自由党芸術文化振興議員連盟が県立芸術大学の視察を行いました。私自身も後日視察に参り、勉強させていただきましたが、その施設の老朽化、狭隘化に驚かされました。中でも、音楽学部では、カラオケボックスにも到底及ばない個人レッスン室での低レベルな防音機能や、美術学部では、教育研究スペースの狭隘化などにより廊下等でスペースを補っている姿を見せていただき、経年による老朽化や機能劣化を強く感じさせました。ハードの老朽化に伴い、本来はそのまま大学院に進むはずの学生が施設の充実した環境の整った私学に最近では流れてしまうとの危惧する声も聞かされました。
また、地域に開かれた大学を目指し、今ある施設で最大限に努力を行っているものの、地域交流を行いたくとも、昭和四十四年に建てられた演奏を聞かせることのできる奏楽堂では防音が十分でなく、内部の音や外部の音が入ってきて、地域住民に音楽学部の演奏を聞いてもらうことすらできない現状もあわせて聞いております。
学生並びに教員の御不便を痛感しているところであります。
県立芸術大学では、全国から学生が集まり、東京の藝術大学に対し、この地域が誇るべき全国有数の芸術にかかわる高等教育機関であります。
昨年十二月に、本県で取りまとめられた文化芸術創造あいちづくり推進方針においても、本県の文化芸術の振興に重要な役割を担う拠点の一つとして位置づけられており、その名に恥じない施設の充実と整備が必要であります。
また、二〇一〇年に開催が予定をされております国際芸術祭では、愛知万博により世界各国の文化芸術に対する関心が高まり、こうした万博の成果をさらに発展させ、継続的に行うことにより、独創的な魅力ある愛知を発信するとも目的にはあります。
以上を踏まえ、施設の現状は耐震一つとっても早急に対応しなければならない部分も多々あると思います。あわせて、本県が進める文化芸術の振興を真に進めるのであれば、アーティストの卵を育てるべく、県立芸術大学の将来的に幾つかの中長期ビジョン的なハードの整備も含めた計画性もさらに必要であると考えます。
そこでお伺いをいたします。
県立芸術大学の施設の現状について、県はどのように今の現状を認識し、今後どのように施設の整備に取り組んでいかれるかをお尋ねをいたします。
以上です。よろしくお願いします。
- 79:◯建設部長(湯山芳夫君) 愛・地球博記念公園に建設予定の地球市民交流センターの完成時期についての御質問です。
愛・地球博記念公園の核となります地球市民交流センターにつきましては、現在、設計の最後の詰めを行っているところであります。今後、仮契約の手続を行い、議会の承認をいただいた上で、ことしの十月には工事に着手してまいりたいと考えております。
完成の時期は、工事の工程などを勘案いたしますと、おおよそ二年の工事期間が必要となりますので、二〇一〇年の秋ごろになる予定でございます。しかしながら、県政におけるマイルストーンの年であります二〇一〇年には、COP10の誘致や国際芸術祭の開催など数多くの国際的な会議、イベントが予定されているほか、上海万博も開催されます。このことから、これらの会議、イベントなどに関連して、地球市民交流センターを活用していただくためにも、できる限り早期の完成に向け努力してまいります。
なお、完成前の時期でありましても、完成間近の姿をできる限り近くで見ていただくなど工夫をするとともに、解説パネルなどでわかりやすく説明するなどしていきたいと考えております。
次に、運営面などに関する市民の意見の反映についての御質問でございます。
地球市民交流センターは、NPO、大学、企業などを初めとする多くの方々の活発な交流活動の拠点となります。そのため、これまでに、愛知万博において、市民参加の仕組みづくりに携わった方々や実際に参画されたNPOなどの方々から意見をお聞きし、例えば利用人数に応じて部屋の大きさを変えて使用できるようにするなど設計に取り入れてまいりました。
また、公園全体の管理運営についても、市民の皆様と県とが協働して行うため、公園マネジメント会議を設置することとしており、現在、そのための準備会を行っております。
今後、この公園マネジメント会議の場を通じて、地球市民交流センターを初めとする公園全体の運営方法などに市民の皆様の意見を反映させてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 80:◯県民生活部長(石川延幸君) 県立芸術大学の施設整備について御質問をいただきました。
芸術大学につきましては、開学以来四十有余年が経過をいたしまして、建物の老朽化、機能劣化の問題についてございまして、これは十分に認識をいたしております。
音楽学部の防音機能は、開学当初はともかく、今の教育環境の水準にはそぐわないと、こういう指摘もございますし、また、大学院の拡充等での学生増や、それから昨今の美術作品の大型化、そしてデジタルコンテンツ研究、こういったこともございまして、スペース不足もございまして、狭隘化の問題もございます。
こうしたことから、大規模な改築、改修が必要であると考えておりまして、県立の大学の独立行政法人化に際しましても、これは、芸術大学の建物につきましては、県が整備した後に出資をすると、こういうことにいたしたものでございます。
整備を進めるに当たりましては、授業への影響やら学生の安全対策、それから施設の文化的価値への配慮等々から、短時間での全面的な整備は困難でございますので、法人の意向も踏まえながら、緊急度の高いものから順次計画的に整備をしていきたいというふうに考えております。
このため、平成二十年度につきましては、今後、順次施設整備を行っていく上で、緊急に着手すべき施設の選定のための調査を実施をする予定でございます。
また、耐震につきましては、これは緊急に対応する必要がございますので、順次進捗を図っておりますし、あわせまして、屋根防水とか外壁補修などの緊急修繕工事、これについても行っております。
以上でございます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
- 81:◯三十七番(田辺克宏君) 本日はこれをもって散会し、明三月七日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 82:◯副議長(加藤精重君) 田辺克宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 83:◯副議長(加藤精重君) 御異議なしと認めます。
明三月七日午前十時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時四十四分散会