県政報告
(主な質疑)
- (主な質疑)
《議案関係》
なし《一般質問》
【谷口知美委員】
外国人児童生徒について、日本語指導が必要な児童生徒に対しては、様々な取組がされているが、教育長はどう評価しているか。
- 2:【教育長】
とりわけ本県は外国人児童生徒が多く、重要な課題と認識している。学校教育のみではなく、社会全体の問題と考えている。そのため、外国人児童生徒が多い所には教員の加配を行っている。また、言葉の壁があるため、通訳的な支援員を配置している市町村もある。他府県においても外国人児童生徒は増加しており、国に対して、様々な省庁の連携の下に支援をしてもらえるよう、知事会の場においても要望している。その他、教員養成の段階から各大学においても、ポルトガル語などを話せる教員の養成についてお願いをしている。
- 3:【谷口知美委員】
学校現場からは、教員の加配について感謝されているが、文化の違う子どもたちであり、避難訓練の際も、地震という言葉を知らない、明日台風が来ると言っても分からないなど、細かく説明する必要がある。一人でも多く加配してほしい。更なる改善を今後もお願いしたい。
外国人児童生徒の不就学については、教育に関するアクションプランでは、平成27年度までに解消するとなっているが、実態把握も難しい状況でどのようにするのか。
- 4:【義務教育課長】
教育に関するアクションプランに掲げてある不就学の解消については、新しい政策の指針における多文化共生成熟社会づくりの中の、外国人児童生徒の教育環境の抜本的整備を受けて作成したものである。知事部局や警察本部と一体となって取り組んでいく。実態把握については、外国人登録時の住所と居住地が違っていたり、子どもの権利条約はあるが、もともと就学義務がないということもあり、保護者から就学させたいという意向がないと、実態把握も難しい。
どの市町村においても、一定の年齢に達すれば首長部局と連携して就学案内を翻訳して通知している。県としても多文化共生推進室などと連携を密にして解消に向けて取り組んでいきたい。
- 5:【谷口知美委員】
関係部局で連携しあって取り組んでほしい。
外国人児童生徒が日本の学校にすぐに受け入れられるのは難しい。多文化共生推進室の事業でプレスクールと聞いて期待していたが、就学前のものであり、学校現場が期待していたものと若干違うものである。学齢期において、教育委員会で何か事業はないか。
- 6:【義務教育課長】
外国人の多い豊田市や豊橋市において日本語の初期指導や日本の生活への適応指導を行い、日本の学校に円滑に編入できるように援助している。1か月から3か月ほど集中して日本語の指導や、生活習慣及び文化などを指導する。集中的に行うため成果はあるが、各市に1か所しかないため、日本語教室までの交通手段がない。また、同じ母国語を話す子どもが集まるため日本語を話さないなど弊害もある。現在は市町村で行ってもらっているが、県としては、多文化共生推進室と連携を図りながら、先進的な取組をしている事例の情報提供をしていきたい。
- 7:【谷口知美委員】
県として何をするかを聞きたかった。情報提供をしていくということだが、NPOや企業の協力を得るなどして、県として何かしてもらいたい。
各市町村の連絡協議会で指導主事が集まっても、情報交換で終わっている。豊田市などは外国人児童生徒が多いため効果的であるが、少ない所は情報が伝わらない。教材を共有できない。県で雇っている語学相談員の教材をどうしていくのか。
- 8:【義務教育課長】
語学相談員については、ポルトガル語対応5名の相談員を、今年度からスペイン語対応2名を増やし、7名配置している。相談員は小中学校を巡回指導している。内容としては生活面に関するアドバイス、保護者への相談、通知文の翻訳、教材開発などを行っている。月に1度連絡会を実施し、教材開発等の成果物を提供する準備をしている。また、市町村教育委員会の担当指導主事、県総合教育センター職員、関係教育事務所の指導主事などで構成する外国人児童生徒教育連絡協議会では、NPOも参加し情報交換を行っている。県ではないが、愛知教育大学においてもポルトガル語の教材開発を行っている。こうしたものを紹介していきたい。
- 9:【谷口知美委員】
教材の紹介については県内でも行っているが、著作権の問題で使えず、共有までいっていない。検討してもらいたい。進路指導においても資料が必要である。県で作って市町村へ配るなど、進路の関係で何かしているか。
- 10:【高等学校教育課長】
高等学校教育課のウェブページに「愛知県公立高等学校の受験を希望する外国人の皆さんへ」と題した情報を掲載し、本県の公立高等学校入学者選抜の仕組みの周知に努めている。同様の内容をポルトガル語、スペイン語、中国語、韓国語、英語に翻訳して「ネットあいち」にも掲載している。
また、愛知県国際交流協会の発行する「生活便利帳」にも掲載している。「生活便利帳」はポルトガル語、スペイン語、中国語、英語の4か国語で作成され、外国人に無料で配布されている。国際交流協会のウェブページにも掲載されている。
- 11:【谷口知美委員】
愛知県は外国人が多いため、県として何か手だてをお願いしたい。
- 12:【内田康宏委員】
昨年度も教員の不祥事が多かった。どんな所でも分母の数が大きければ、数が増えることも仕方がないと私は思っているが、問題なのは責任者がその詳細を知らないことである。平成4年に学ぶ側からの教育改革に関し、アンケート調査について一般質問をした。アメリカではかなり行われており、日本でも大学などでは行われるようになってきた。教師と講義の内容に対するアンケートであり、30から50ぐらいの項目を5段階で評価し、氏名や学生番号を明記して提出させる。アメリカでは教員は契約であり、その契約に反映された。その時の小金教育長の答弁では、教師と生徒の信頼関係が大切であり、それがうまく行かなくなる可能性があるとのことであったが、時がたち、再度提案したい。また、カウンセリングの実態について、カウンセラーの配置状況はどのようになっているか。
- 13:【義務教育課長】
委員指摘のようなアンケート調査については実施していないが、学校評価を実施しており、教育活動などの評価を受け、教育水準の向上を図っている。学校運営の中では授業が大切であるため、授業を評価することが多い。保護者や生徒など、状況に合わせて質問を考えている。その評価を今後の教育活動に生かすようにしている。
- 14:【高等学校教育課長】
県立学校においても平成17年度より学校の自己点検を実施している。学校運営の在り方を改善するため、生徒からの評価を取り入れている。各学校で主体的に実施している。
- 15:【内田康宏委員】
学校評価の在り方として、書面で実施しているか。
- 16:【義務教育課長】
書面で実施している。
- 17:【内田康宏委員】
統一化した方がいいのか分からないが、そろそろアンケート調査の形で実施してはどうか。
- 18:【義務教育課長】
義務教育問題研究協議会において、学校評価の在り方を検討しており、手引き書を作成中である。市町村に配布したい。
- 19:【内田康宏委員】
カウンセラーの実態はどうか。
- 20:【義務教育課長】
中学校では名古屋市を除く304校全校に配置している。また、19年度より拠点校方式で小学校70校にも配置している。相談件数については、中学校では生徒からの相談が1万8,681件、先生からの相談も1万6,068件あり、保護者からも1万534件あった。内容としては、不登校が45パーセント、発達障害が12パーセント、友人関係、その他家庭の問題、いじめの問題などである。カウンセラーは第三者的な立場であるため、子どもが安心して相談できる。配置校では、不登校生徒約4,500人のうち約1,800人の相談があり、そのうち約1,000人が保健室登校ができるようになるなどの成果が挙がっている。教員の研修にも講師として参加してもらっている。
- 21:【高等学校教育課長】
県立高校においては、21校に配置し、巡回を34校で実施しているため、155校中55校で実施している。いじめや学校不適応に対応する事業であるが、教員の指導にも当たっている。
- 22:【内田康宏委員】
現場の先生は親身になってやってもらっている。特に私学は力を入れている。地元の高校の教頭先生に授業について行けない生徒や不登校について、何か対応しているか聞いたことがあるが、その教頭は、進学校であるためそのような問題はないと言っていた。ついて行けない子どもたちにも目を配るべきである。事件があったときの校長のコメントでは、事実を把握していないため答えられない、信じられないなどといったものが多い。そうしたことを補うために、アンケート調査を活用してはどうか。個々の家庭にまで入り込むのはどうかと思うが、家庭内暴力もあるし、第三者だから相談できるカウンセラーもより有効に活用できると思う。35パーセントは誰にも相談していない。小さいうちに芽をつみ取らなければならない。中学校1年のいじめが高校に入ってから分かることもある。簡単なものでいいので、各学期にやってもらいたい。
- 23:【石井芳樹委員】
学校評価の実施状況について、法律改正を受け、実施状況及び今後の課題はどうか。
- 24:【義務教育課長】
学校における教育活動の成果を評価や検証し、学校運営の改善と学校、地域、保護者の相互の連携協力を促進していくことを目的としている。自己評価と学校関係者による外部評価に分かれ、自己評価は教職員が目標や計画等の達成状況や取組の適切さを検証し、評価するもので、県内の小中学校での実施率はほぼ100パーセントとなっている。外部評価については、保護者、学校評議員、地域住民などの外部評価委員会が実施し、県内小中学校で60パーセント前後の実施率である。今後の課題としては、教育活動の充実につながる評価項目の見直しと、評価の結果をどのように公表し、活用するかである。現在、義務教育問題研究協議会において検討されており、本年度末に手引書を発行し、県内全小中学校に配布することとしている。
- 25:【石井芳樹委員】
学校評議員制度の実施状況はどうか。
- 26:【義務教育課長】
学校評議員は、「学校教育法施行規則等の一部を改正する省令」において、学校、家庭、地域が連携協力しながら、地域に開かれた学校づくりをより一層推進することをねらいとして、各市町村教育委員会の判断で学校に置くことができるとされている。構成メンバーとしては、町の総代、区長、民生児童委員、保護司、PTAの役員、同窓会役員などである。本県では90パーセントを超える小中学校で設置されている。残りの10パーセントについては、実施していないわけではなく、もともと地域と密着したコミュニティ組織があり、そうしたところから意見を聞いている。学校評議員会では、学校経営の方針、教育課程、学校評価、児童生徒の健全育成、学習環境の整備など、様々な観点から話合いが行われ、地域で子どもを育てようという連帯感が徐々に定着している。学校評議員会が有効に機能するよう進めていきたい。
- 27:【石井芳樹委員】
派遣指導主事については、県の負担が2分の1、市町村の負担が2分の1で、市に2名、町村に1名派遣されており、大変役に立っている。町村においても市と同じぐらいの事務量があるため、町村へも2名派遣できないか。
- 28:【義務教育課長】
県の施策を市町村にお願いするときや市町村の状況把握をする際など大変助かっているが、増員については、予算面など問題がある。教育事務所にも市町村の教育支援をするために指導主事を配置しているため、そちらも活用してもらうよう充実していきたい。
- 29:【石井芳樹委員】
財政力のある市町村では県の負担分は要らないので派遣してほしいということで、何人か派遣されていると聞いている。財政力の違いで教育の格差ができてはいけないと思うので、一考をお願いしたい。
- 30:【佐藤ゆうこ委員】
子どもがいじめを受け、担任に相談したところ口止めをされた。担任は証拠がないと言い、校長は内容を全く知らずどうにもならないと、保護者から相談を受けた。何か問題が起こると会見などは校長が対応するが、校長はどれぐらい内容を把握しているのか。会見などでは、隣に担任や部活動の指導者も立ち会ってはどうか。神戸の陰湿ないじめにしても、学校は把握していない。教育委員会は未然に防ぐために、学校にどのような指導をしているのか。また、会見に担任が立ち会わないのはなぜか。
- 31:【義務教育課長】
本県では10年前の大河内君の事件以来、また昨年度のいじめ自殺事件を受け、見直しを行い、県教育委員会としてどうすべきかを検討してきた。国でも緊急の連絡会があった。県教育委員会としては「小さなサインが見えますか」という冊子を過去に発行したが、冊子も古くなったため、昨年度末いじめ対策のQ&Aを作成し、だれでも見ることができるようにホームページ上に掲載し、保護者などにも周知をした。また、相談がしやすいよう、相談活動機関が一覧となったカードを作成し配布もした。どんな小さなことも見逃さないという態度で臨むよう指導してきており、学校においては、連絡帳や心のノートなど、いろいろな手だてで子どもたちの変化を見逃さないようにしてもらっているが、現実的にはいじめがある。誠意を持って対応するよう指導している。学校だけではいけないため、市町村教育委員会にも間に入ってもらい、話合いをし、安心して子どもが通える学校づくりにまい進する努力をお願いしている。
- 32:【佐藤ゆうこ委員】
会見に担任は立ち会わないのか。
- 33:【義務教育課長】
学校の責任者は校長であるため、校長がしなければならないと思う。事によっては、市町村教育委員会やPTAなどとも話し合い、担任などが立ち会うことがあるかもしれない。
- 34:【佐藤ゆうこ委員】
今まででは、余りなかったように思える。担任にもある程度責任があると思うため、検討してもらいたい。また、今回のいじめは担任がいじめと思っていなかったことにも問題があると思う。生徒間の暴力は1,000人当たり1.1件であるのに対し、いじめは3.4件であり、陰湿ないじめが多いと思う。先生が把握しないことに対し、もう少し指導できないか。そして、日ごろから校長と担任が連絡を密にできないか。
- 35:【義務教育課長】
会見についてはいろいろなケースが想定されるため、県教育委員会が一律に答えることはできない。陰湿ないじめについては、現場の先生が家庭と連携を図りながら、子どもたちの変化を見逃さないようにしなければならない。やってはいけないことはしないなど、日ごろから学校だけでなく、社会全体や家庭でも啓発をする必要がある。学校からは保護者や地域にお願いしていくことが大切である。また、学校現場では、報告、連絡、相談に確認も含め、進ちょく状況を確認しながら、校長や教頭は現状を把握するよう指導している。
- 36:【佐藤ゆうこ委員】
ある保護者から、学校には相談できないため、どこに相談すればよいかと聞かれたため、教育委員会に相談するよう伝えたが、教育委員会も学校と同じ回答であるため、無駄であるとその保護者は言っていた。教育委員会事務局は半分以上が教員出身であるが、保護者として親の立場で考えてくれるような職員はいないのか。第三者的な立場で意見を言える人がいてほしい。教育委員会は頼られていないように思えるが、どうか。
- 37:【教育長】
教育委員会は、教育が本来の中心的な役割であるため、教員も教育委員会事務局には必要である。いじめ問題についても、県教育委員会や市教育委員会は詳細を第1報では把握できない。十分に学校と連絡を取り、しかるべき適切な措置を取るよう指導するのが原則である。すべての内容を県教育委員会や市教育委員会が把握することは難しい。そうした備えや指導をすることが大切であり、教育委員会に教員がいるという批判には当たらないと思うし、今後もそうした対応をする。教育委員会にはそれぞれの担当がおり、学校では校長始め組織で対応することを指導しているが、教育委員会でも心がけている。部分的なことをとらえて、教員出身者が多いと言われることには反論させていただく。
- 38:【佐藤ゆうこ委員】
教育委員会に言っても無駄であるという声があるということは知っておいてほしい。