県政報告
平成19年9月定例会(第5号)
2007年9月28日
(主な質疑)
- 午前十時開議
◯議長(青山秋男君) ただいまから会議を開きます。
直ちに議事日程に従い会議を進めます。
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日程第一 一般質問並びに第百十二号議案平成十九年
度愛知県一般会計補正予算から第百三十二号
議案教育委員会の委員の選任についてまで及
び決算第一号平成十八年度愛知県一般会計歳
入歳出決算から決算第十八号平成十八年度愛
知県臨海用地造成事業会計決算まで
- 2:◯議長(青山秋男君) 第百十二号議案平成十九年度愛知県一般会計補正予算から第百三十二号議案教育委員会の委員の選任についてまで及び決算第一号平成十八年度愛知県一般会計歳入歳出決算から決算第十八号平成十八年度愛知県臨海用地造成事業会計決算までを一括議題といたします。
これより一般質問並びに提出議案及び決算に対する質問を許します。
通告により質問を許可いたします。
石井芳樹議員。
〔十一番石井芳樹君登壇〕(拍手)
- 3:◯十一番(石井芳樹君) 愛知郡選出の石井芳樹でございます。それでは、通告に従いまして、一項目め、地域防犯活動について、二項目め、リニモ沿線開発について、順次質問をさせていただきます。
まず初めに、地域防犯活動についてであります。
我が愛知県では、平成十五年、戦後最高となる約二十二万五千件余りの刑法犯が発生をし、治安情勢はまことに危機的な状況であったと言えますが、平成十六年四月には、愛知県安全なまちづくり条例を制定し、さらに、昨年、神田知事みずから治安回復元年と位置づけられ、県を挙げて治安対策を進められてきました。
特に、昨年三月、県知事部局、愛知県教育委員会、愛知県警が共同して策定をされたあいち地域安全緊急三か年戦略では、県民総ぐるみ運動を展開し、刑法犯認知件数を毎年一万件以上減少させる戦略を目標に掲げられ、短期的、集中的に治安回復に向けた施策を推進していただいているところであります。
また、愛知県警においても、平成十五年の危機的な治安情勢をとらえ、平成十六年から三年間で街頭犯罪の二〇%減少などを目標とした愛知県警察治安回復アクションプランを定められ、本年からは、さらなる犯罪減少を目指したアクションプランIIとして、平成二十一年にかけて、街頭犯罪、侵入犯罪のさらなる減少、女性、子供が被害者となる犯罪の減少並びに不法滞在者の減少などを図り、治安回復に向け、発展、継続した取り組みを展開されているところであります。
一方で忘れてはならないのは、こうしたいわゆる官の取り組みにあわせて、県民の皆様が地域の安全はみずから守るという意識のもと、県内各地において防犯ボランティア団体を結成され、パトロール活動などの活発な自主防犯活動を展開されておられるところであり、市町村、自治体においても、こうした活動に対する支援が次第に充実しつつあるところであります。
私の地元であります愛知郡長久手町、東郷町両町においても、人口の増加や都市化の進展に伴う治安情勢の変化から、交番の増設を要望しているところではありますが、なかなか交番の設置は難しいところであります。
その中、長久手町では、平成十六年度、県から防犯モデル地域の指定を受け、県警並びに町と地域の住民が一体となり、「犯罪ゼロのまち」をスローガンに、ガラス割りの実演等を入れた防犯講習会の開催や、防犯設備士と連携をし、町の死角をなくす防犯診断の実施並びに自主防犯組織の立ち上げのボランティアリーダー養成研修などを積極的に行ってまいりました。
また、町としても、いわゆる町費で民間交番を設置し、警察官OBの方を嘱託職員として採用、配置するとともに、パトロール車で町内を巡回警備に日々安全のため努めていただいております。
加えて、その民間交番を町の自主防犯活動の中心地と定め、犯罪の情報の提供、各種防犯会議の開催並びに自主防犯の啓蒙・啓発活動を行ってまいりました。その成果は着実に実となり、現在では、各小学校区において、住民の皆様が積極的に防犯ボランティア団体を結成し、活発なパトロール活動が行われるようになりました。
こうした県内各地において、警察、自治体、県民の皆様が一体となって、まさに総ぐるみとなった取り組みを行った相乗効果として、危機的状況にあった平成十五年と比較し、平成十八年には七万件近くもの犯罪の減少を見るなど、数字上では多大な成果が挙げられたところであります。
しかしながら、こうした数字の減少が県民の皆様の治安に関する不安感の減少につながっていないのが現状であります。これまで類を見ないような凶悪な犯罪が全国各地で発生をし、新聞紙面を飾らない日がないと言っても過言ではないと思います。
本県においても、本年五月、まだ鮮明に記憶に残る長久手町において警察官の方が殉職されました。けん銃を所持した犯人による人質立てこもり事件が発生をいたしました。私自身もほぼ事件発生直後から、規制線の外からではありますが経過を見守っておりました。鳴り響くサイレンの音と暗闇の中、不意に聞こえてくる発砲音に不気味さを感じ、深夜十二時近くになっても警戒区域内に自宅があるため帰宅のできない小学生や、また、それとは逆に現場に隣接する民家では、安全のため自宅退去を命ぜられ、同じく帰宅ができなくなった地域住民の方々、警察官の皆様のその姿に力強さを感じながら、一たび事件が起こってしまえば何もできず、ただただ早期の事件解決を願い、経過を見守ることしかできない中で、不安に駆られた住民の方々の会話を通じて感じたことは、デマや憶測、そしてさまざまなうわさが飛び交う中で、現場で正確な情報を入手することは大変に難しいことではありますが、しかしながら、皆様が不安の中で望むのは、やはりしっかりとした情報であります。そのわずかな情報でも共有することで、二次被害の対策を含め、住民の皆様の安心感と落ちつきに変わるということを痛切に感じました。
また、つい一カ月前には、名古屋市千種区において、帰宅途中の女性が拉致され、殺害される事件も発生しております。犯人らと面識もなく、何の落ち度もない女性が金目当ての身勝手な卑劣きわまる者たちによって希望に満ちた人生を奪われたわけであり、被害者の方、御遺族の方の無念さは到底言葉にあらわせるものではありません。事件が発生した地域では、直ちに防犯ボランティアの夜間パトロールなどが行われ、治安に対する不安感を一生懸命に払拭しようと頑張っておられます。
数字上の犯罪減少を名実ともに治安の回復につなげるには、警察当局が今まで以上に県民の皆様の不安感を解消するための活動を行っていただくのは当然ではありますが、自治体や県民の皆様と一層の連携を図っていくことも必要不可欠であり、特に地域において頑張っておられる防犯ボランティア団体との連携がますます重要になってきているものと考えます。
そこでお尋ねをいたします。
警察においては、地域防犯ボランティア団体と日常どのような連携を図っておられるでしょうか。また、他方でこうした凶悪事件の発生とともに、他県では、小中学生を初めとした子供が犯罪の被害に遭う事件も後を絶たないところであり、子供を持つ保護者の皆様は、いつ自分の子供が犯罪に巻き込まれるかわからない不安感を常にお持ちでないかと思います。
学校の教育の観点からも、子供が誘拐、虐待といったさまざまな暴力に出会ったときにどうやって対処してよいか、子供自身の問題を解決する力を信じ、その力を引き出すCAPプログラムを各学校で実施したり、PTA並びに地域住民の皆様が中心となって、登下校の際、子供が被害に遭わないように見守り活動やパトロールを行うなど、社会全体で子供を見守ろうとする機運が高まってきているところではありますが、子供を絶えず見守ることにも限界はあろうかと思います。特に、小学生以上にもなれば一人で行動することも多く、こうしたときに犯罪被害に遭うことを思えば、子供自身に自分の身を守る方法や防犯意識を植えつけることも大変に重要であろうかと考えます。
そこで再度お尋ねをいたします。
小中学生の防犯意識の向上を図るため、どのようなことを行っておられるか、お答えをいただきたいと思います。
次に、二項目め、東部丘陵線リニモの沿線開発についてであります。
東部丘陵線リニモは、愛知県、名古屋市、豊田市、瀬戸市、日進市、長久手町の五市町が中心となり、名古屋市の地下鉄東山線藤が丘駅と豊田市の愛知環状鉄道八草駅の間、八・九キロメートルを所要時間十七分で結ぶ新しい交通システムとして平成十七年三月に開業いたしました。
建設に当たっては、支柱、けたなどのいわゆるインフラ部は、愛知県と名古屋市が公共事業として建設をし、軌道、車両、通信、電気施設などのインフラ外部は、愛知県や近隣市町の沿線自治体と名鉄、日本政策投資銀行、中部電力、UFJ銀行、トヨタ自動車ほか二十三の民間企業が出資する第三セクター、愛知高速交通株式会社により建設をされました。開業直後の愛・地球博開催期間中は、博覧会会場へのメーンの交通手段として、一日平均十万人を超える利用者があり、期間中の六カ月間で約二千万人に上るお客様に御利用いただき、博覧会の環境輸送に大いに活躍をいたしました。
また、日本初の磁気浮上リニアモーターということで博覧会中は動くパビリオンとも言われ、大人から子供まで大変な人気を博し、博覧会の成功にリニモは大きく花を添えたことは周知の事実であります。
このように、愛・地球博の成功に大きく貢献したリニモも博覧会終了後は役割を変え、現在では、名古屋市営地下鉄と愛知環状鉄道を結ぶ交通ネットワークとして沿線の大学、高等学校への通学手段としての利用をいただいており、また、再整備が進められている愛・地球博記念公園や沿線施設でもあります陶磁資料館、トヨタ博物館などへの来場手段としての利用や、さらには、名古屋都心方面、豊田、瀬戸方面への通勤手段としての利用をいただいております。
このように、地域に密着した交通手段となるべく輸送サービス向上に努力をし、万博の理念どおりの環境に配慮した交通機関として利用促進に努めていただいていることは重々承知ではありますが、しかし、その反面、数字的に見ますと、昨年は博覧会終了後、平年ベースでの初めての営業年度となりましたが、年間輸送人員は約五百一万人、一日平均利用人員は一万三千七百人であり、当初の計画の利用者数には達しておらず、特に通学利用が減少する八月、十二月、二月、三月の利用者の減少が顕著となっております。
今年度に入ってからは、通学利用の定着と通勤利用の増加により前年度同月比で一〇%を超える増加となっており、年々御努力により利用者が増加してきているものの、まだまだ開業前の計画に比べると少ないことから、リニモを運行している愛知高速交通株式会社は依然厳しい経営状況にあると言えます。
開業前の収支の見通しでは、一日三万一千五百人の利用で、開業後十五年目に単年度黒字転換、二十六年目に累積赤字が解消し、黒字転換となる見込みでありましたが、現在のように利用者が開業前の予想を下回っている状況が続くことになりますと、こうした黒字転換の時期が先へ延びていくことが心配されるところであります。
このため、お聞きするところによりますと、愛知高速交通株式会社では、さらなる利用促進のため、ことしから朝の通勤通学の時間帯の列車の増発や最終列車の繰り下げなどを盛り込んだダイヤの改正を行い、また、日中の時間帯でも時間六本の運行を継続するなど、輸送サービスの維持並びに向上に努めております。
さらに、経費削減という意味では、出向社員中心の現場組織から固有社員を中心とした組織体制への切りかえがスムーズに進むよう、平成十八年度においては六名の、十九年度においては二名の社員を中途採用し、社員の養成を行っており、将来的には固有社員の割合を現行の三分の一から三分の二まで引き上げるとともに、社員数も現行の八十四名から七十四名まで削減を行う予定であり、コスト削減や収入増加に必死に取り組んでおられるところであります。
私自身も最近リニモに努めて乗車するようにしておりますが、そこで感じるのは、かつては白い色が目立っていた車内が最近は色とりどりの広告が出ております。例えば、沿線にある大学のオープンキャンパスや、駅の近くにある中華料理屋さんの宣伝、少し離れたところにあるボウリング場の広告など、地下鉄でよく見かける週刊誌などの広告とは違った一風変わった見なれない広告ばかりであります。これは、お聞きしたところによりますと、愛知高速交通株式会社の担当者が広告をとりに駆けずり回った成果とのことでありました。
また、先日、杁ヶ池公園駅でリニモの紺色の作業服を着た人たちが暑い中汗びっしょりになって駅のガラスをふいておられました。これもかつては外部委託をしていた清掃作業の委託をやめ、社員が直接行い、駅清掃などの日常的な経費についても直営化を図るなどして、サービスの水準を低下させることなく経費削減に取り組んでおられるとのことでした。
また、本年七月には、モリコロパークにて浅田舞さん、真央さんや安藤美姫さんも来て、スケートショーが開催をされました。博覧会時を思わせる乗客でありましたが、そのとき、スケート会場の入り口付近にテーブルを出して、リニモの社員が観客の皆さんに声をかけてリニモカードを必死になって売っておられました。中には、車で来られた人にも記念になるからとリニモカードを買っていただいたということであります。
こうした愛知高速交通株式会社の努力とともに、愛知県でもリニモ沿線の企業や学校などに対する通勤や通学利用の働きかけを初め、モリコロパークなどの県の施設や、さらに、長久手町を初めとする沿線自治体やトヨタ博物館などの民間施設とともに連携をし、リニモの利用増に向け、施設の紹介ビデオや沿線ガイドマップ、イベントカレンダー等を作成したり、集客力のあるイベントを企画し、さらには、駅前のパークアンドライド駐車場の整備並びにPR推進など、さまざまな取り組みが展開をされているところであります。
また、愛・地球博で活躍した環境負荷の少ない乗り物ということで、エコマネーや地球温暖化防止キャンペーン、環境セミナーなど環境面からリニモを活用した社会的、経済的な取り組みが積極的に進められております。
このように、愛知高速交通株式会社、愛知県、関係市町を初め沿線の施設などが協力し合って、リニモの利用促進や経営安定化に資する取り組みを継続していくことは大変重要でございます。しかしながら、将来に向けてリニモの安定経営を目指すためには、当然のことながら、リニモ沿線周辺の定住人口をふやすことであり、また、あわせて、魅力ある施設に地域内外から人が集まるという交流人口も同時にふやす観点が大切であります。
それを実現していくためには、中長期的にリニモの沿線のとりわけ駅周辺を中心に適切な開発を推進するとともに、愛・地球博記念公園、トヨタ博物館、大学など、文化・レクリエーション施設を最大限に生かし、また、新たな集客施設の誘致を含め、集客力を高めていくような新たな地域づくりが必要だと考えております。
私の出身であります長久手町では、これまで名古屋市からの開発の波及を受け、名古屋市に隣接する町西部の市街化区域に、主に区画整理という手法により住みよい住宅地が形成されてまいりました。また、反対に町の東側に広がる市街化調整区域では、町の施策として推し進める田園バレー構想という農業に従事した暮らしの中で、豊かな自然と触れ合いながらも都会的で便利な生活を享受する新しいライフスタイルの実現に向けた取り組みが進められてまいりました。
今後は、町の東西を貫くリニモを活用したまちづくりによりさらに地域を活性化させていくことは、町にとっても重要な課題であります。さらに、リニモの利用促進につながる開発を考えていくとなると、例えば田園バレー構想の推進により都市と農村の交流を一層促進し、市街化調整区域であっても町の顔となるリニモの駅に近い所については、住宅を集積し、居住人口を高めるまちづくりなども検討していく必要があるものと考えます。これはほんの一例でありますが、こうした議論、検討を関係市町であります瀬戸市、豊田市とも行いながら、県においてよりよい地域づくりに取り組んでいただきたいと考えております。
そこでお尋ねをいたします。
現時点でリニモの沿線においてはどのような開発計画があり、どのように進んでおられますでしょうか。また、先ほど述べましたとおり、中長期の取り組みとしてリニモの沿線開発は極めて重要と考えますが、今後の地域づくりについて県としてどのような調査検討が行われ、今後どのように取り組んでいかれるお考えか、御質問をさせていただきたいと思います。
以上、二項目について質問をさせていただきました。知事を初め県当局の明快な答弁を期待いたしまして、私からの登壇しての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
- 4:◯警察本部長(松尾庄一君) 私からは、防犯ボランティア団体との連携についてと小中学生の防犯意識の向上方策についての二点についてお答えをいたします。
まず、防犯ボランティア団体との連携についてでありますが、平成十六年に安全なまちづくり条例の制定以降、県民の皆様の防犯意識が飛躍的に高まり、自主防犯団体は、刑法犯認知件数が戦後最高となった平成十五年と比較して、本年六月現在、団体数で約十四倍、人員で約八倍に増加しております。
また、特に自主防犯パトロールのシンボル的存在となっております青色回転灯を搭載した自動車を使用した自主防犯パトロールは、本年六月には三百三十七団体、車両にして一千三百八十三台と全国トップレベルにあり、県内の各地において自主防犯パトロールを初めとしたさまざまな防犯活動が活発に展開されているところであります。
こうした地域の皆様方の積極的な防犯活動への取り組みが犯罪の減少に大きく貢献していると考えているところであり、大変心強く感じているところであります。
警察としては、こうした自主防犯団体の活動に対して、合同パトロールの実施、防犯ベストやサインライトなど物的支援、犯罪の発生状況等の情報提供を行ってまいりましたが、今後とも、知事部局、市町村、関係機関・団体と協力し、これまで以上にしっかりと支援活動に取り組んでまいりたいと思います。また、本年度から警察署単位で防犯ボランティアネットワークを構築し、自主防犯団体相互の連携と活性化を促進するための意見交換、合同研修会、キャンペーン等の取り組みを行っております。引き続きネットワークとの連携を深めてまいりたいと考えております。
次に、小中学生の防犯意識の向上方策についてお答えいたします。
議員御指摘のように、小中学生の防犯意識の向上を図ることは重要であり、そのため、犯罪に遭わないための危険予知能力や犯罪に遭いそうになったときの回避能力を高める防犯教育を行うことが必要と考えております。
私どもといたしましては、これまでにも県内の小中学校において、連れ去り防止等を目的とした防犯教室を積極的に開催するなど、防犯意識の向上に努めております。
また、昨年度は、警察においてこうした防犯教室で使用するための紙芝居、ゲームソフトを作成し、県内の小学校等にお配りしたところです。
ところで、子供の安全対策は、これまでは大人が子供を守る運動を重点に行ってまいりましたが、子供みずからが防犯について学び、行動することができるよう、その中核となるリーダーを育成することが重要であると考えます。
そこで、本年七月、水上署、空港署を除いた県内全署に一校ずつモデル校を指定し、五年生を中心としたおおむね十名の児童による防犯少年団を設立しました。そして、この八月、県内三カ所で防犯少年団を対象に参加体験型の防犯教室「子ども安全アカデミー」を開催し、防犯意識と指導能力の向上を図ったところであります。
今後とも、学校や地域との連携した防犯教育に努めるとともに、防犯少年団の活動を促進するなどして、小中学生の防犯意識の向上に努めてまいります。
なお、ただいま青色回転灯を使用した自主防犯パトロールの車両につきまして、一千三百八十三台と発言いたしましたけれども、一千三百九十三台の誤りでございましたので、訂正をいたします。
以上です。
- 5:◯地域振興部長(的井宏樹君) リニモの沿線におけます現在の開発計画とその進捗状況についてのお尋ねでございます。
現在、リニモ沿線で進められている主な事業といたしましては、サンヒル上之山住宅、長久手中央土地区画整理事業、愛・地球博記念公園の整備、そして知の拠点の整備などがございます。
このうち、サンヒル上之山住宅は、愛知県の住宅供給公社が博覧会瀬戸会場のバスターミナル跡地で進めております戸建て住宅の整備事業でございます。既に土地の粗造成は済んでおりまして、本年九月には約二百三十戸の住宅分譲を実施する民間事業者が選定され、来年度には工事に着手をいたしまして、翌二十一年度から順次分譲が開始される予定となっております。
次に、長久手中央土地区画整理事業でございますが、これは、長久手古戦場駅前におけます約二十七ヘクタールという比較的規模の大きな区画整理でございまして、住宅だけではなく商業施設など複合的な土地利用などが検討をされております。本年八月には都市計画決定に向けた地元説明会が実施されておりまして、二十一年度には事業主体となります組合の設立が目指されております。
次に、愛・地球博記念公園でございますが、昨年七月に開園をいたしまして、ことし三月に開園区域を広げ、全体の約半分に相当いたします約九十ヘクタールが開園をいたしております。今後につきましては、花の広場や多目的広場は来年度の供用を、また、現在設計を進めております、仮称でございますが、地球市民交流センターにつきましては、二十二年度内の供用を目指しております。さらに、野球場、テニスコートなどのスポーツ施設も今後順次供用をしていく予定でございます。
次に、知の拠点でございますが、陶磁資料館南駅前の十六・八ヘクタールの区域で次世代物づくり技術の創造・発信の拠点を整備しようとするものでございまして、昨年度末に基本計画が策定をされたところでございます。現在、ナノテクノロジーを核に、IT技術、バイオ技術を融合した研究プロジェクトを産学行政により実施する場としての先導的中核施設の二十二年度供用開始を目指しているほか、小型シンクロトロン光利用施設などを段階的に誘導、整備していく予定でございます。
次に、リニモ沿線における今後の地域づくりについての取り組みについてのお尋ねでございます。
県では、今年度、沿線の瀬戸市、豊田市、長久手町と共同いたしまして、リニモ沿線地域における中長期的な地域づくりに関する基礎的な調査を進めております。この調査では、沿線地域の現状や既存の事業計画の把握、駅周辺の開発適地の検討などを行いますとともに、この地域で強化が求められている機能や今後の地域づくりの方向性などについて、順次検討を行っていくことといたしております。
これまでの検討によりまして、リニモ沿線の地域づくりについて浮かび上がってまいってきている観点といたしましては、愛・地球博の理念や成果の継承、発展でございますとか、既存の文化・レクリエーション施設の集積などを生かしました交流人口の拡大でございますとか、あるいは大学や研究機関の集積を生かした研究開発機能の連携強化、さらには、リニモの駅を中心としたコンパクトなまちづくり、こういった点が挙げられようかと思います。
今後は、さらに幅広く検討を進めまして、地域づくりの方向性を深めてまいりたいと考えているところでございます。
本年度の基礎調査の成果を踏まえまして、来年度には、有識者や地元市町の関係者の参画なども得まして、リニモ沿線の中長期的な地域づくり構想の策定に進んでまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
- 6:◯十一番(石井芳樹君) 一点要望させていただきたいと思います。
リニモの件についてでありますが、先ほど部長のほうから御説明をいただきました。瀬戸市、そして長久手町においては、定住人口をふやすための施策、そして、知の拠点並びに愛・地球博記念公園にては交流人口をふやす予定があるということでありました。
しかし、開発というものは非常に時間のかかるものであります。リニモの沿線駅を見ていただいても、半分以上が市街化調整区域の中にあり、市街化区域の中にあっても、例えば、はなみずき通駅、杁ヶ池駅などは、本来なら皆さんが歩いて藤が丘まで通勤通学に通っている方たちもおみえになりますし、また、自転車で通勤通学をしている方たちもおられます。今のような形でリニモ、愛知高速交通株式会社や愛知県の皆様がどれほど努力をしても、多分一日三万以上という当初の予定人口には非常に難しいことだと思います。
ですから、なるべくこの市街化調整区域で万博の理念「自然の叡智」を生かしながらのまちづくりを早い段階で計画を策定していただき、そして、早い段階で周知をしていくことにより、基本計画、実施計画、そして、地域住民の皆様の同意が必要でありますので、どうぞ早くに地域開発をしていただきながら、リニモの利用増につなげていただければと思います。
一点要望させていただきまして、終わらせていただきたいと思います。
- 7:◯議長(青山秋男君) 進行いたします。
西川厚志議員。
〔二十一番西川厚志君登壇〕(拍手)
- 8:◯二十一番(西川厚志君) 順次、二つの項目について質問いたします。
先月五日の新聞報道によりますと、高速道路の料金所で一たん停止せずに支払いができるETCで料金を払わずに強行突破をするなど、不正通行が二〇〇六年度は過去最多の九十六万件に達したことが高速道路各社のまとめでわかりました。年度途中でETCがスタートした二〇〇一年度の約二十八万件を基準にすると三・四倍の台数に上ります。その背景には、現在六八%のドライバーが利用するETC利用率の増加が挙げられます。各社の監視強化で伸びは鈍化しているものの、依然として不正通行の実態が浮かび上がったものと言えます。
ちなみに、ETCの導入前から問題となっていた無料通行宣言書と書いた紙を提示して料金所を突破する不正は、無料通行運動をしていた団体「フリーウェイクラブ」の会長が昨年九月に逮捕された後は激減しているそうであります。
しかしながら、ETCカードを挿入せずに無人専用レーンの開閉バーを押しのけて通行する手口が増加、また、ETCレーンを適正に通行する車の背後をほとんど距離をとらずに走行し、バーが下りる前にすり抜けるケースや軽乗用車のデータを登録した車載器をトラックに取りつけ、料金の差額を浮かそうとする例もあるとのことです。
昨年度一年間の高速道路各社の不正通行は、首都高速が最多で三十六万七千件、次いで阪神高速が二十五万九千件、東日本は十二万八千七百件、中日本八万五千六百件、西日本十一万六千四百件、本州四国連絡四千四百件の計九十六万一千百件であります。
二〇〇五年度との比較では、高性能カメラを導入して一六%の減少となった阪神以外はすべて増加、中日本の三二%増を最高に、東日本では二六%、本四連絡一三%、西日本八%、首都高は二%のそれぞれ増となっております。
そこで、名古屋高速でありますが、ETC運用開始の二〇〇四年度、つけ加えますと、この年は六百五十円から七百五十円に料金がはね上がった年でもありますが、不払い通行車両は年間八千三百三十台、翌五年度は一気に増加し三万五百六十三台、六年度三万三千三百九十九台、七年度はわずかながら減少傾向にあるようですが、ここ二、三年はおよそ一日に百台弱のドライバーが料金を払うことなく通行していることになるわけであります。
ここで最初の質問をいたします。
名古屋高速における料金の不払い通行車両の推移を当局はどのように認識をしているのか、各高速道路のデータあるいは名古屋高速のETC利用率との関連性があれば、あわせてお答え願います。
次に、不払い車両通行対策でありますが、ここ最近の不払い総額を計上すると、未収額は毎年二千数百万円で推移していることになります。にもかかわらず、かつて告発は一件たりともなされておりません。果たして当局として、今日まで不払い車両対策をどのように取り組まれてきたのか、お伺いをいたします。本腰を入れて目に見える成果を上げた阪神高速の例もありますが、名古屋高速として今後は本気でやるぞという姿勢をぜひお示しください。
二つ目の項目に移ります。八月二十四日夜、名古屋市千種区の路上で一人の女性が拉致、殺害されてしまいました。逮捕された三人の男は、やみの職業安定所と呼ばれる携帯電話のインターネットサイトで知り合い、犯行のわずか数日前に初めて顔を合わせ、互いに本名を名乗る必要もなく、ただ金を奪うために力の弱い女性をねらった極めて許されざる最も残虐、凶悪な犯行であります。犯人のうちの一人が自首をした結果、今回の犯罪が発覚したわけでありますが、そうでなければ、警察の捜査もかなり難航したのではないかと思われます。
今日、インターネット上には数え切れない裏求人や裏募集などといったやみサイトがはびこり、こうしたサイトが確実に犯罪を助長させているものと思われます。そして、そこでは匿名での会話のやりとりが成立し、罪を犯す側にとっては極めて都合のよい情報交換の場となり、いざ捜査の手が入っても難解な作業が強いられることになります。
加えてもう一つの大きな問題は、警察が摘発できるのはあくまでも違法情報を発信するサイトに限られるという点であります。警察庁によると、全国の警察がことし一月から六月に検挙したインターネットに絡むサイバー犯罪は千八百八件、このままでいくと年間最多の四千四百二十五件を記録した昨年並みになるそうであります。主な検挙内容は、ネットオークション絡みの詐欺や出会い系サイトを介した児童買春など、また違法薬物や銃器の密売情報、架空請求や振り込め詐欺の財布として使われる口座売買の勧誘、携帯電話の匿名貸与業、無断譲渡業などの勧誘などは当然違法情報であり、検挙対象となります。
しかしながら、今回のやみの職業安定所について言えば、犯罪仲間を募るだけの掲示板でしかなく、それ自体は有害情報ではあるけれども合法だという位置づけがなされております。同様に、爆発物の製造方法を教える、運転免許証やパスポートの偽造方法を教える、これらの情報も違法行為を直接的かつ明示的に請負、仲介、誘引する情報として分類され、有害ではあるが合法だというのが現在の法の解釈ということになってしまいます。
ただし、直接人命にかかわる自殺サイトについては、一昨年十月から警察がインターネット接続業者からの情報提供を受け、未然防止に乗り出す手続が定められ、昨年は四十三人の命が救われたそうであります。
それでも、やはり合法ではあってもネット上の有害情報のはんらんを食いとめようとする民間組織が昨年六月警察庁の委託を受けて立ち上がりました。名称をインターネット・ホットラインセンターといい、主な業務が、まず、インターネット利用者に目についたすべての悪質情報を寄せてもらうよう呼びかけます。
次に、受け付けた情報が違法なのか有害なのか、あるいはそれ以外の情報に該当するのかを分類します。違法情報については、当然警察に通報するとともにプロバイダーや電子掲示板の管理者にその情報の削除を依頼します。また、有害情報と判別されたものも、警察へ通報されることはありませんが、プロバイダーなどへの削除依頼がなされています。
現実に、昨年六月の受け付け開始から一年間で計約六万件の情報が寄せられ、そのうち殺人の請負などの有害情報は二千五百六十二件、センターが確認中に削除されていたり、海外サーバー発信などのものを除く千二百九十七件について、プロバイダーや掲示板の管理人に削除を依頼した結果、七四・二%に当たる九百六十二件が削除されたそうであります。今後も、インターネット利用者の幅広い理解、さまざまな関係機関の協力のもと、より一層の成果が期待されるところであります。
また、ここへきて、新たに警察庁は、無料サイトだけではなく有料サイトの違法、有害情報も積極的に洗い出し、取り締まりに生かすとし、来年度からこれらの監視業務を一つの民間団体に委託し、有料サイトにも登録させ、把握した情報をインターネット・ホットラインセンターや警察で受け付けることといたしました。
つまり、従来の取り組みに加え、組織化された民間のプロが探索すれば、違法情報発見の精度が上がり、同時に有害情報の提供者にもネット上には警察の目が光っているということを示し、自主的な情報削除や自粛を促す効果が期待できるようになるというわけであります。ぜひこうした取り組みが幾重にも機能し、犯罪の抑止につながることを強く願うわけでありますが、ここで県警本部長に質問をさせていただきます。
現在、愛知県警でもサイバー犯罪対策室を設置し、鋭意県民の皆さんからの情報収集に努め、着実に検挙実績を上げておられるのは承知しておりますが、こうしたサイバー犯罪の傾向をどのように認識し、違法情報とあわせて、特に有害ではあっても法には触れないとされる情報に対してどのような姿勢で取り組んでいかれるのか、考えをお聞かせください。
もう一つの大きな問題は、私は、やはり匿名のあり方であると考えます。例えば、趣味や生活情報の交換をするのに匿名の気安さはより情報を濃密にし、利用者にとっても重宝する本来のネット通信のあり方であります。しかしながら、それは罪を犯す人間にとっても同様であり、匿名サイトは反社会的行為にも余りに都合のよい仕組みでもあると言えます。ただでさえ犯罪を助長する裏求人、やみ募集などと呼ばれるたぐいのサイトは、およそ名前を変えながら短期間で開設と閉鎖を繰り返し、監視、追及をする側にしてみれば、途方もない労力と根気が必要になってきます。加えて、匿名性という仕組み自体がさらに悪事を助長させてしまう一面を持つということであります。
自分がだれであるのかを特定されなければ、後に自分の言動に対する責任を追及される危険性は少なく、匿名であることをよいことに他人の誹謗、中傷をするといった行為がすこぶる頻繁に目につきます。恐らく、議員の先生方の中にも、インターネット上にホームページを開設し、広く有権者の皆さんから意見や要望を募る目的で掲示板を立てたのに、匿名にて趣旨と全く異なる情報が寄せられたり、身に覚えのないことを書かれたり、あげくの果てには、何の根拠もなくこちらの理念や信条を全否定されてしまう、そんな御経験はありませんでしょうか。
私個人は、今までホームページについては幾度か開設の誘いを受けたことはありますが、どうしてもITになかなかなじめないこともあって、極力そうした意見や要望は直接御本人にお会いしてお聞きしたいと思いますし、匿名を望まれる方であれば、せめて電話で声だけはお聞かせいただけるよう努めております。そして、何よりもやはりみずからの実態を明かさないとき、人間の心理として人は醜さをあらわにしてしまうのも避けられない事実だと思いますし、そうである以上、人の弱さ、醜さを引き出してしまうものからはできる限り逃げていたいという率直な思いがあります。
ただ、私自身の弁解はともかく、今、もうこれ以上見放しておけないのが学校裏サイトであります。ある特定の学校の話題のみを扱う非公式の匿名掲示板で深刻な社会問題になっています。時期的には少なくとも二〇〇五年には存在し、いつの間にか現在、国内には一万五千以上の数に上ると言われています。一連のいじめ報道でその存在が取り上げられるようになり、ことし四月、大阪府警がある中学校の学校裏サイトの管理者を書類送検したことでさらに広く知られるようになりました。
このときの事件については、かつて幇助罪が侮辱的犯罪に適用された判例がなかったという理由で不起訴処分になったそうでありますが、携帯電話からのアクセスに限られる学校裏サイトがほかのパソコンから書き込まれるサイトに比べて一番手をやくのは、電話会社が個人情報を盾になかなか捜査の問い合わせにも応じず、問題の核心にたどり着きづらいという点が挙げられるそうであります。
また、学校裏サイトを舞台にした子供たちの実態は、群馬大学大学院社会情報学部、下田教授の研究室の調査によると、もはやいじめは際限なく広がり、祭りだと報告されております。従来のいじめを仮に身体や物を使った手段と分類し、比較をすると、その内容は、対面での悪口。暴力、中傷の落書きや物を隠す。そして、この場合の加害者は当然特定しやすい。被害の範囲も狭く、学校内などに場所は限られやすい、こんな傾向にありました。対して、ネット上でのいじめに発展すると、まず内容は、言われなき誹謗、中傷の書き込みとうわさやデマの垂れ流し、画像や個人情報の流出の無制限、匿名ゆえに加害者は特定困難、被害の範囲もたとえ本人が目を向けないように努めたとしても周りの多くの目にさらされ、人にどう見られているのか最も気になる時期の中高生には、その心理的ダメージははかり知れません。
こうした問題に対し、行き過ぎたいじめにはこれまでにも学校内での処分、児童相談所への通告、迷惑防止条例違反での逮捕など、全国でも数例見受けることはできます。ただし、くどいようでありますが、現在の法制度では、悪質ではあっても、ただ匿名による掲示板を開設しただけでは、たとえどこのだれが開設したのか明らかになったとしても、刑事的に処罰することはできず、決定的な対策は存在しません。
さきの下田教授によれば、高機能を備えた携帯電話を安易に子供に与えている日本の現状が最大の問題であるとしており、辛うじて、フィルタリング機能の周知と奨励、インターネットリテラシー教育、これはインターネットを健全に扱う能力の教育という意味になるそうでありますが、こうした教育などの充実を根気よく世に物申していくしかないと指摘なされています。あわせて、教授によれば、このような子供たちのすさんだありさまは、日本以外ではほとんど顕在化していないと語られています。
先ほども述べましたけれども、私自身は、まずは匿名性が反社会的行為を引き起こす大きな要因に間違いないと考えます。そして、だれもが人間としての弱さや醜さを持ち合わせ、匿名性によって容易に引き出されてしまう以上、また、法によって縛ることのできない現在、この国の子供たちに教えなければならないことは、匿名であれ実名であれ、責任を持てる発言をすること。自分だけ一人安全なところから隠れて石を投げつけるのは最も卑劣な行為だということ。そして、それを教えるのは親以外にはあり得ないということ。決して学校の先生ではないということ。不幸にも親が未熟であれば、まずは社会が親に教え込むということ、そう確信をいたしておりますし、そうあってほしいと強く願うものであります。
ネット社会で羞恥心を欠落させた匿名人が大挙して群がり、本来だれもが身につけていた日本人古来の良識や美徳をみずから犯していくのを黙って見過ごすわけにはいきません。そのためには、しばらくの間、そう思うすべての大人がひたすらに警鐘を鳴らし続けていくしかないのかもしれません。
そこで、知事にお考えをお聞かせいただきたいと思います。
日々進化するコンピューター社会が法の整備を待つことなくあらゆる犯罪の形態をつくり出しています。何よりもこの国の秩序がむしばまれています。法律家としての見地から、また愛知県政の長として、そして一人の政治家として、今なすべきは何か、思うままお示しいただければと存じます。
最後に、社会的立場にある人が本音を述べるのに、あるいは正しいことを口にする際、どうしても匿名でないと困難であることもまた事実であります。さきの千種区の痛ましい事件について、ある警察関係者と話をしたとき、その方はこう言われました。何の罪もない人の命をいとも簡単に奪っておいて、自分だけは命が惜しいと自首をする。こんなことは到底許されるものではないし、自首をしたからといって断じて減刑すべきでない。職業云々ではなく、人道上沸き出る正論は、匿名であってもだれの心にも響いてきます。このことを申し添え、以上で壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
- 9:◯建設部長(湯山芳夫君) 名古屋高速についてのお尋ねのうち、まず最初に、不払い通行の推移についてのお尋ねでございます。
平成十五年度は、不払い車両台数約二千五百台、総通行台数に占める割合は〇・〇〇三%でしたが、平成十六年三月にETCが導入されてからは、ETCの利用率が増加するにつれて不払い車両も増加し、平成十六年度は不払い車両台数約八千台で、総通行台数に占める割合〇・〇一%、平成十七年度は約三万台で〇・〇三%、平成十八年度は約三万三千台で〇・〇三%となっております。
なお、総通行台数に占める不払い車両の割合は、首都高速では〇・〇九%、阪神高速では〇・〇八%であり、他の都市高速と比べて名高速は低いものでありますが、県といたしましても、不払い車両の現状を是正する必要があると考えております。
次に、不払い通行車両の対策についてのお尋ねでございます。
不払い通行車両には、悪意のないうっかり型の車両と悪意のある確信犯的な車両があります。このうち、ETCカード未挿入やレーンの誤進入などの、いわゆるうっかり型の車両に対しては、一般車とETC車の混在レーンの廃止、ETC専用レーンの着色による明確化、カード未挿入お知らせアンテナの設置などの対策を順次実施してきております。
一方、悪意のある確信犯的な車両に対しては、監視班による監視の強化、監視カメラの設置による常時監視などの対策を順次実施してきております。
こうした対策を実施することにより、不払い通行車両は、平成十八年度の一年間で一カ月当たり約三千台となっていたものが、平成十九年四月から七月の四カ月間では一カ月当たり約二千台と減少しております。
最後に、不払い通行車両対策に対する今後の姿勢でございますが、不払い通行という行為は料金を払わず通行する犯罪行為でございます。公社におきましては、平成十九年六月までに利用者の多い料金所に監視用カメラを設置し、常時監視を行っており、これらの映像データを分析し、不払い通行車両を特定するよう進めているところでございます。
なお、悪質な利用者に対しては、今後、警察とも連携を図りながら厳正に対処していくこととしております。
- 10:◯警察本部長(松尾庄一君) 私からは、サイバー犯罪の最近の傾向と違法有害情報への取り組みの二点についてお答えいたします。
サイバー犯罪については、昨年中の愛知県内における検挙件数は二百五十四件であり、五年前と比べ二・五倍の増加を示しております。その大半は、児童ポルノ等わいせつ図画を陳列する事案、出会い系サイトを利用した児童買春事案、虚偽の広告を掲載し代金をだまし取る詐欺事案などのネットワーク利用犯罪であります。
被疑者の年齢を見ますと、二十代、三十代の世代の検挙が目立ち、六割強を占めており、中には、小学校六年生がオンラインゲームで他人のパスワード等を使った、いわゆる不正アクセス事案も起こっているところであります。
最近の傾向としては、議員御指摘のとおり、やみの職業安定所などインターネット上で共犯者を募っているサイトや他人名義口座の売買などのサイバー空間の特性を悪用した事案が目立ち、インターネットオークション詐欺の多発や、児童の性的被害に係る犯罪の増加などが見られます。
次に、違法情報あるいは有害情報、有害ではあるが法には抵触しない情報に対してどのような姿勢で取り組んでいるかということでありますが、警察としては、違法有害情報がインターネット上にはんらんしている現状を大きな社会問題ととらえて、所要の対策に努めております。
まず、体制でありますが、サイバー犯罪情報の収集、整理、分析などの事務を処理する組織として、平成十七年の四月に警察本部の生活安全総務課にサイバー犯罪対策室を設置したほか、情報管理課にはデータ解析などを行う技術支援室を設置いたしました。
また、ハイテク技術に精通したものを警察官として採用するほか、各種の教育、訓練を通じて、この種事犯の捜査技術の向上を図るなど、人的基盤の充実にも努めているところであります。
次に、違法・有害情報への取り組みについてでありますが、サイバーパトロール専用のパソコンを各警察署に配置し、違法・有害情報の検索を行っているほか、サイバー犯罪対策室において一般人からサイバー犯罪に関する相談や違法・有害情報の提供を受け付け、その把握に努めております。
また、議員御指摘のとおり、警察庁においてもインターネット・ホットラインセンターと連携し、違法・有害情報の把握に努めているほか、来年度には、民間活力を活用したサイバーパトロールの強化を行うこととしております。当県におきましても、警察庁を通じて違法情報等の提供を受けているところであり、そのほか、さきに述べました独自に把握した情報とあわせ、情報の掲載そのものが犯罪となる違法情報は積極的に事件化を図り、犯罪を誘引するなどの有害情報についても、これを端緒として事件化を図っているところであります。
また、関連事業者で組織する愛知県インターネットサービスプロバイダー防犯連絡協議会などの機関や団体と連携して、プロバイダーや掲示板の管理者に対し、違法・有害情報の削除や警告を含めた自主的対応を要請しているところであります。
また、サイバー犯罪対策室においては、違法・有害情報から少年を守るため、教育機関と連携の上、児童生徒を対象にネット利用の危険性を理解させ、情報モラルの向上を図るためのインターネット安全教室を平成十八年中には百二十七回開催するなど、若年層に対する教育や広報にも力を入れているところでございます。
以上です。
- 11:◯県民生活部長(石川延幸君) 犯罪を助長するネット社会への対応の御質問に関しまして、インターネット社会における子供たちを含めた青少年の健全育成の観点からお答えを申し上げます。
インターネットは、今や私たちの生活に欠かせないものとなっておりまして、非常に便利な反面、議員御指摘のように、その使い方を一歩間違えますと非常に恐ろしい道具となってしまいます。インターネットの急速な普及によりまして、有害サイトを利用して青少年が犯罪に巻き込まれる事件が多発をしておりますことから、平成十七年の三月でございますけれども、愛知県青少年保護育成条例の一部を改正いたしまして、青少年がインターネットを利用する際に有害な情報の閲覧などをさせないようにする努力義務の規定を新設いたしたところでございます。
その主な内容でございますが、保護者、学校などがフィルタリングの活用などによりまして、青少年に有害情報の閲覧などをさせないように努めること、また、プロバイダーや携帯電話の販売者などに対しましても、フィルタリングに係る情報提供を積極的に行うよう努めることといった義務を課しまして、青少年の健全な育成を阻害するような有害情報を青少年の周りから排除することでございます。
また、学校裏サイトなどインターネット掲示板での誹謗、中傷、こういった問題につきましては、インターネット上におけるコミュニケーションマナーやルール、また情報発信の責任などにつきまして、利用者の自覚を促すことが重要でありますので、これは本年度からの事業でございますけれども、小中学校の児童生徒及びその保護者を対象といたしましたインターネット利用安全・安心講座を開催いたしまして、モラルの向上や犯罪被害の未然防止に資するように努めているところでございます。
今後とも、教育委員会や警察とも連携をいたしまして、また、家庭、学校、事業者などと一体となりまして、青少年がインターネット社会の中で健全な成長ができますように施策に努めてまいります。
以上でございます。
- 12:◯二十一番(西川厚志君) それぞれ答弁をいただきました。知事から答弁をいただけなかったのは残念でありますけれども、私の質問の仕方がよくなかったんじゃないのかなと少し反省もいたしております。
ただ、先日の議場で神田知事と宮崎県知事はいろんな意味で違うんだというやりとりがありました。当然です。知事は、芸能人ではなくて法律家だったんですから。であるならば、余計こうした問題、こうした問題というのは、法は許しても人道上大いに問題がある、こうした問題について、ぜひ、どう考えていらっしゃるのか、思いをお聞きしたかったわけであります。
ただ、きょう、私自身の思いは知事にも必ず伝わっておると信じておりますので、ぜひ今後は、幅広い見識、経験を生かしていただきながら、一歩踏み込んだお取り組みを期待したいと思います。
以上で終わります。
- 13:◯議長(青山秋男君) 進行いたします。
横井五六議員。
〔五十六番横井五六君登壇〕(拍手)
- 14:◯五十六番(横井五六君) 通告に従い、順次質問をさせていただきます。
まず最初に、多重債務問題についてお伺いをいたします。
全国の消費者金融の利用者は千四百万人を超え、そのうち二百万人以上の方々が返済困難な多重債務に陥っており、自殺、夜逃げ、離婚、犯罪などの原因となっております。本県でも、人口比等から十万人ぐらいの多重債務の方が存在すると思われます。
こうした多重債務者のほとんどは、家族にないしょで借金をして一人で悩んでおります。しかし、法的処理を支援する弁護士や司法書士は敷居が高い存在となっており、多重債務者はなかなか解決への筋道が見つけられずにいます。税金や公共料金などの滞納、借金返済のためのヤミ金利用、あげくは家族の生活まで破壊し、追い詰められて自殺につながってしまうこともあり、大きな社会問題となっております。このようなことから、昨年六月、定例県議会において、国民が安心して生活できる消費者信用市場の構築と、多重債務問題の抜本的な解決を図るため、上限金利の引き下げなどを盛り込んだ出資法及び貸金業規制法を早急に改正されるよう意見書を全会一致で可決したところであります。
国では、貸し手の規制として、昨年十二月に新たな多重債務者をつくらないという目的で、貸出上限金利の引き下げ、貸出額についての総量規制などを盛り込んだ貸金業法の改正が行われました。ただし、今回の法改正は、既に多重債務者となっている人を救う道を拡大するものではありません。貸金業法成立時には、多重債務者に対する相談窓口の設置など多重債務者への支援体制を整備するよう自治体に要請するなどの衆参両院の附帯決議がされております。
そこで、借り手の対策として、多重債務者の救済を一層進めるための対策が必要として、多重債務者対策本部を立ち上げ、本年四月二十日に多重債務問題改善プログラムが決定されたところであります。
住民に身近な自治体が多重債務者対策に積極的に取り組めば大きな効果があります。借りた人が悪い、多重債務者の救済に自治体が取り組む必要はないという声も聞きますが、多重債務者の子供が思うように進学できない、多重債務が原因で夫婦が離婚して子供も困窮生活を余儀なくされる、あるいは子供の虐待にまでつながるといったことも珍しくはありません。多重債務が解決できれば、本人だけでなく配偶者や子供など家族が平穏な生活を取り戻せるのであります。
多重債務者の中には、税金や公営住宅の家賃、学校の授業料や給食費などを滞納している人が多いというのが実態であります。多重債務が解決できれば、こうした滞納が解決をしてまいります。
また、多重債務者の多くは、借金の返済に追われて新たな借り入れを繰り返し、何とか窮状をしのいでいると言われていますが、貸金業者への厳しい規制により、その場しのぎの追加融資も受けられなくなってしまい、ついにはヤミ金に手を出してしまうことになります。こうした面からも、自治体が多重債務者に解決法の道筋を示す必要性が高まっております。
さらに、国や自治体で自殺対策の取り組みが始まっていますが、日本の年間自殺者は三万人を超えており、そのうち七千人から八千人は経済問題が原因で、その大半が多重債務者と見られております。多重債務者対策に取り組むことは自殺対策にも連なるものであります。
このような状況の中、本県では既に種々の取り組みがされているようですが、具体的な施策として重要となるのは、県が主体となって、国、警察、教育委員会、多重債務者救済に取り組む弁護士会、司法書士会、NPO法人などをメンバーとした多重債務者対策協議会を設立し、どのような取り組みをしていくのか、知恵を出し合って施策の進め方を協議していくことです。
また、県税、県営住宅、授業料の徴収や生活保護、学校教育、貸金業、警察など多重債務者対策に関係する庁内機関による連絡会議を開催し、多重債務者の掘り起こし、問題解決に連携を図って当たることです。
庁内関係機関への多重債務の啓発パンフレットの配置、関係機関の職員等を対象とした多重債務に関する研修会の開催は、多重債務者の掘り起こし、相談窓口への誘導につながるものと考えます。こうした連携は、県民に一番身近な市町村にも広めていくことで、さらに効果的な施策になると考えております。
次に、相談を受けた場合の対応ですが、相談を受けたら、多重債務の解決方法を説明し、必要があれば確実に弁護士や司法書士、市民団体などにつないでいく、このネットワークを円滑なものにしていくことが最も重要です。多重債務者は、悩み抜いた末の相談ということが多いので、大丈夫、助かりますよと言葉だけでも救われるものです。
多重債務の解決法や相談窓口を示した啓発パンフレットを作成し、相談窓口に置いておき、相談者に渡します。さらに、生活保護、税金滞納などの関係機関に置いておき、多重債務者の発見、相談窓口への誘導等に活用するとともに、ホームページや広報紙に掲載し、広く啓発することが必要です。
弁護士会、司法書士会等の専門機関と連携し、無料相談会を行うのも効果的です。無料相談会の案内は、新聞や広報紙、市町村広報紙などに掲載します。また、こうした無料相談会を市町村でも実施すると、市町村の相談窓口の充実にもつながる有効な対策になると考えております。
多重債務者発生予防のための啓発等に関しては、生活情報紙に多重債務問題の掲載、大学生や新入社員向けの多重債務問題の講座を設けるなど、実行できることが多いと思います。
多重債務者救済の取り組みは、庁内の関係機関や弁護士会、司法書士会等の専門機関と連携して取り組むことでより大きな効果が得られることと考えております。
多重債務問題改善プログラムでは、丁寧に事情を聞いてアドバイスできるよう、相談窓口の整備強化、借りられなくなった人に対するセイフティーネット貸し付けの提供、多重債務者発生予防のための金融経済教育の強化、ヤミ金撲滅に向けた取り締まり強化を掲げ、国、自治体及び関係者が一体となって取り組むこととされております。
特に、多重債務者がどこにも相談できないまま生活に行き詰まるおそれもあり、市町村相談窓口の整備や弁護士会、司法書士会など、多重債務問題に取り組んでいる専門機関との連携などによる相談体制の整備強化はすぐに措置すべき課題とされております。
本県の多重債務者対策につきましては、県民生活プラザにおける相談や関係機関の連携により取り組まれているところですが、こうした相談体制の充実や専門機関等との連携は、すぐにも充実すべき重要な課題であると考えております。ついては、このプログラムを受けて、こうした多重債務者対策の充実に積極的に取り組んでいく必要があると考えます。
そこで質問いたします。
一点目は、多重債務問題が社会問題となっているところですが、最近の多重債務相談の状況や対応など、多重債務者対策の現状についてお伺いをいたします。
二点目は、プログラムではできることから取り組むこととされていますが、このプログラムを受け、今日までどのような対応をされてきたか、また、今後どのように取り組もうとしていかれるのか、多重債務者対策の緊急性、重要性から知事の御所見をお伺いいたします。
次に、統計法の改正についてお尋ねします。
我が国の統計制度は、明治四年、廃藩置県の直後に伊藤博文の建議により設けられた大蔵省統計司と太政官の政表課に始まると言われております。その後、第二次世界大戦により壊滅的な打撃を受けましたが、戦後、マッカーサーに対し、もし日本の統計が正確だったら、無茶な戦争などしていなかったと言ったと伝えられる吉田茂首相が統計制度の再建に尽力され、昭和二十二年に現在の統計法が制定されたものであります。以来、この統計法に基づき、さまざまな分野に関する統計調査が実施され、これらの調査結果は広範囲に活用されております。
我々県会議員の定数は、国勢調査の人口が基礎となっておりますし、三河山間の過疎地域の認定も国勢調査の人口が使われております。全国の中でも最も元気のよい県と言われている愛知の姿を統計データで追ってみますと、昨日公表された平成十八年工業統計調査結果速報によりますと、製造品出荷額等は約四十三兆七千億円で三十年連続で全国第一位、昨年実施された事業所・企業統計調査によると、製造業に従事する従業者数は約九十四万四千人で、東京都を抜き、昭和二十二年の調査開始以来、初めて全国第一位となっております。
こうしたデータのみ見ますと本県は工業県と思えますが、平成十六年の商業を営む事業所の年間販売額は約四十兆九千億円で全国第三位、七・六%を占めており、また、平成十七年の農業産出額は約三千億円で全国第五位、三・七%を占めており、このように本県は農業、工業、商業にわたりバランスのとれた県となっております。
次に、雇用面を見てみますと、完全失業率は本年四月から六月平均で二・七%と全国の三・八%に比べ一・一ポイント低くなっており、有効求人倍率も二・〇五倍、全国の一・〇七倍に比べ〇・九八ポイント高くなっており、雇用面では元気のよい愛知を印象づけております。元気のよい愛知は、このように統計データによってもしっかりと裏づけされているわけでありますが、この元気をいかに持続発展させていくかが課題であります。
少子・高齢化、グローバル化の対応はもとより、間近に迫った人口減少社会は愛知県も避けては通れないものとなっております。このため、現在の社会経済情勢を如実にあらわす統計、将来の羅針盤となる統計は、今後の県行政や企業活動の指針として、その役割はますます重要なものとなっており、精度の高い統計データの提供が望まれます。
しかしながら、最近の統計をめぐる環境は、単身世帯や共働き世帯など昼間の不在世帯が増加するとともに、オートロックマンションの普及により接触困難世帯が増加しており、さらには、県民のプライバシー意識の高まりにより調査に非協力的な世帯がふえるなど、大変厳しいものと聞いております。このため、調査の最前線で従事されます統計調査員の皆様の御苦労は大きなものと思います。
国では、こうした厳しい調査環境や現在の統計制度が社会経済環境の変化に必ずしも十分対応し切れていない、こういった状況に対応するため、現行統計法が抜本的に見直しをされ、本年五月二十三日に新しい統計法が公布されたところであります。
そこでお伺いします。
今回の統計法改正のポイントはどのようなものか、お伺いをします。また、改正に伴い、県として今後どのように対応していかれるのかもあわせてお伺いします。
先ほども申し上げましたが、先行き不透明な未来をしっかりとした足取りで切り開いていくためには、社会の羅針盤となる統計の役割は大変重要であります。引き続き精度の高い統計の作成と早期提供をお願いいたします。
最後に、伊勢湾浄化についてお伺いします。
三河湾を含む伊勢湾は、水域面積が約二千三百平方キロメートルの規模を持つ我が国最大の内湾で、海水の交換が悪い閉鎖性水域となっております。また、伊勢湾の流域は広大で、本県を初め岐阜県、三重県、さらには長野県の四県に及んでおります。
この伊勢湾は、アサリやシャコなどが全国的な生産量を誇るなど高い漁業生産力を有し、人々に豊かな海の幸を与えてきました。また、総取扱貨物量、貿易額ともに全国一位を誇る名古屋港、自動車の輸出、輸入港として発展を遂げる三河港など、海上輸送の場として、さらに住民の憩いの場として利用されてまいりました。
一方で、近年の工業化、都市化の一層の進展を背景として、水環境の悪化や自然海岸、海生生物の生息の場の減少などの問題も抱えております。
この六月に公表された公共用水域の水質調査結果を見ましても、河川の水質は改善傾向にありますが、伊勢湾の水質につきましては、長期的には横ばいで推移とのようであり、水質の改善はなかなか進まない状況にあるのではないでしょうか。さらに、赤潮や貧酸素水塊の発生も問題となっております。
このような伊勢湾の環境再生に向けて、平成十八年二月には、国土交通省中部地方整備局が伊勢湾再生推進会議を設置しており、本県を初め岐阜県、三重県、名古屋市、名古屋港管理組合などが参加し、水質の改善や生態系の回復を目指して、伊勢湾再生行動計画の取りまとめが行われております。
先日、私は、伊勢湾と同様な閉鎖性水域である東京湾で、東京都がお台場の海浜公園でカキやアマモなどを使った水質浄化実験を始めているとの記事を見ました。本県が伊勢湾の水質改善を図るため、現在進めている第六次総量削減計画の中でも、工場等に対する総量規制や下水道整備などに加え、干潟、浅場の造成といった海の生態系の機能を回復して浄化を進める取り組みが盛り込まれており、その着実な推進に期待するものであります。
そこでお伺いします。
伊勢湾、とりわけ三河湾における干潟、浅場の再生の取り組みは、全国にも例を見ない規模で実施したと聞いておりますが、その実施状況と今後の計画についてお伺いします。
また、伊勢湾を含めた水環境改善のため、県は、昨年三月に、本県独自の施策としてあいち水循環再生基本構想を策定されました。この構想の推進に当たっては、私は、地域のNPOや民間団体など県民の参加により、水環境改善の機運を盛り上げていくことが必要と考えますが、今後、具体的にどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをしまして、壇上からの質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
- 15:◯県民生活部長(石川延幸君) 多重債務者対策につきまして、まず、対策の現状についてでございます。
本県では、県内八カ所の県民生活プラザにおきまして、県民相談や消費生活相談など、県民の皆様のさまざまな悩み事、お困り事の相談を受け付けておりますけれども、多重債務に関する相談につきましてもその中で対応をしてきております。
貸金業利用に関する相談状況は、平成十八年度、四千七百九十九件でございまして、ここ数年五千件前後となっております。その多くは、多重債務問題やヤミ金融問題に絡んだものとなっております。相談者は幅広い年齢層にわたっておりまして、本人のみならず家族の方からの相談も多々ございます。相談への対応といたしましては、生活の自立や債務整理の方法など一般的な解決方法を助言するほか、相談の内容に応じまして、弁護士会や警察など紹介をいたしております。
また、生活情報紙でございますが、「あいち暮らしっく」、こういったものによりまして、多重債務に陥らないための啓発などにも努めております。多重債務問題に関する情報交換、相談、啓発などにつきましては、庁内各課はもとよりでございますけれども、県警察、東海財務局や弁護士会、司法書士会など関係機関とも連携をして取り組んでいるところでございます。
次に、国の多重債務問題改善プログラムを受けての今日までの対応などでございます。
庁内関係機関、市町村、専門機関等に対しまして、プログラムの周知や多重債務者対策の積極的な取り組みをお願いしたところでございます。
また、多重債務者対策にかかわります関係機関の協議組織といたしまして、従来から全国に先駆けて、愛知県貸金業対策連絡会議多重債務問題部会を設けておりましたけれども、今回のプログラムを機に、県税徴収やら生活福祉資金などを所管する関係機関、また、多重債務者の支援活動を行っておられますNPO法人を加えるなど、構成員を大幅に拡充をいたしまして、愛知県多重債務者対策協議会と改称いたしまして、必要な対策を協議いたしております。
さらに、多重債務に陥った債務者を早期に債務整理に導き、生活再建を目指していただくべく、相談の対応方法などを検討するため、弁護士会、司法書士会等との、専門機関との連絡会議を設けております。
また、県税や福祉、公営住宅などを所管する庁内関係機関との連絡会議を開催いたしまして、多重債務者の早期発見につながるよう、窓口職員に対する研修や窓口への啓発紙の配置など、こういったことにつきましても検討協議を重ねてきております。
市町村への支援でございますが、専門機関とのネットワーク構築を目的といたしました市町村の担当課長会議やら相談員を対象とした研修会の開催など、相談体制の充実のために支援に努めております。
今後の対応といたしましては、弁護士会、司法書士会などとの連携によります県、市町村の担当者、相談員に対するより専門的な研修会の開催などを通じました相談対応能力の向上、さらには、多重債務者発生予防のための消費者教育など、積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
続きまして、統計法の改正についてのお尋ねでございます。
今回の改正のポイントでございますけれども、行政にとどまらず、個人、企業、こういった方々に対しまして役立つ情報をいかに提供するか、言いかえれば、これまでの行政のための統計から社会の情報基盤としての統計への転換を目指して行われたという点でございます。
新統計法は四つの柱がございまして、一点目は、国など公的統計の体系的・計画的整備の推進でございます。おおむね五年ごとに国が公的統計について基本計画を策定いたしまして、総合的、計画的に整備が進められるということになりました。
二点目が、統計データの有効利用の促進でございます。
学術研究などの公益性が認められれば、利用者からの要請に応じまして統計データから個別に統計を作成し、提供することなどができることになったわけでございます。
三点目でございますが、統計調査の対象者の秘密保護の強化でございまして、守秘義務違反をした者に対する罰則の強化、これがされますとともに、統計調査員をかたってのいわゆるかたり調査に対する罰則も新設をされております。
四点目が、統計整備の司令塔機能の強化でございます。
内閣府に新たに統計委員会を設置して、この法律の施行に関しまして関係行政機関へ意見を述べること、ということになっております。
次に、統計法の改正に伴う今後の県の取り組みでございますけれども、新統計法の全面施行、これは平成二十一年四月の予定と、こういうふうに伺っておりますけれども、それにあわせまして、愛知県統計調査条例の改正など必要な措置を講じてまいりたいと思っております。
本県では、平成十八年度に統計課をこれまでの企画振興部から県民生活部に移管をいたしまして、県民の視点に立った統計の作成、提供に積極的に取り組んでおりますけれども、今回の統計法の改正を機に、国、市町村、また、日々統計調査に御尽力をいただいております統計調査員の皆様と協力をしながら、社会の情報基盤としての統計、この実現に向けましてより一層努めてまいりたいと、このように考えております。
以上でございます。
- 16:◯農林水産部長(永田清君) 伊勢湾浄化についてのお尋ねのうち、三河湾における干潟、浅場の再生の取り組みについてお答え申し上げます。
干潟、浅場につきましては、多様な生物が生息する貴重な自然環境であるとともに、アサリ等の二枚貝が多数生息し、海中に含まれる植物プランクトンなどをろ過、除去するという高い水質浄化機能を持つことから、その再生が非常に重要となっております。
干潟、浅場の再生のこれまでの実績でございますが、平成十年度から十六年度までの七年間に、国土交通省が実施しました中山水道航路整備事業で発生したしゅんせつ砂約六百二十万立米を用いまして、国土交通省、本県の建設部及び農林水産部が連携しまして、三河湾の三十九カ所で約六百二十ヘクタール、ナゴヤドーム約百三十個分の面積に相当する干潟、浅場の再生や覆砂などの事業を全国一の規模で実施いたしました。
再生された干潟、浅場では、周辺の海域に比べまして、海底のCODや硫黄含有量などの数値も低くなるなど、海底の環境が改善され、多数の二枚貝やゴカイなど底生生物の生息が確認されております。この結果、増加した底生生物の働きにより水質浄化機能が発揮され、三河湾の浄化に役立っているものと考えております。
今後につきましても、国土交通省や建設部と連携しまして、一層の砂の確保に努め、干潟、浅場の再生に着実に取り組み、三河湾の浄化につなげてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 17:◯環境部長(林清比古君) 伊勢湾浄化についての御質問のうち、あいち水循環再生基本構想に関連して、水環境改善の機運の盛り上げについてどのように取り組むのかとのお尋ねでございます。
水環境の改善については、従来、水質面に重点を置いて取り組んでまいりましたが、この構想では、これに加え、水量の確保、多様な生態系の維持や水辺の保全といった健全な水循環の持つ機能に着目し、上流の森から下流の海まで流域一体として取り組むことにより水環境の総合的な改善を目指すものであります。
このため、具体的な取り組みといたしましては、県内を大きく三つの流域に分け、関係行政機関はもとより、地元の森林組合、農業団体、漁業組合や、さらには、水環境の改善に携わっておられる民間団体、NPOなどの方々を構成員とする地域協議会を発足させたところでございます。
現在、それぞれの協議会において目指すべき目標を掲げ、水環境を改善する取り組みを行動計画として取りまとめる作業を進めているところでございます。
また、この協議会では、こうした計画づくりと並行して、河川など実際の現場で県民参加によるモデル事業を実施することにしております。例えば、尾張地域では、川辺のビオトープづくりや、丘陵地に見られるわき水を利用した生態系の回復などの取り組み、西三河地域では、上流と下流との協力による水源林の間伐や、それを支える指導者の育成を行うことにしております。また、東三河地域では、「森・川・海でつながる地域」をテーマとした東三河水循環再生フォーラムがスタートしたところでございます。
このほか、従来から毎年実施しております水生生物調査や、毎年十月に県内の市町村が一斉に取り組むクリーン排水推進月間での各種イベントや河川清掃の活動などを通じて、県民参加による水環境改善の機運を盛り上げてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 18:◯知事(神田真秋君) 本議会の代表質問でも多重債務についての深刻さと重要さが指摘されたところでございますが、来年度に向けてという視点で私からも御答弁を申し上げたいと思いますが、各県民生活プラザでこうした多重債務の専門的な相談窓口を設置していきたいと、その検討をしていきたいと考えているところでございます。
また、こうした問題は、住民と身近な市町村が相談に乗っていくことが大変重要でございますので、全県的な相談窓口の構築が必要であります。それを支援するために、市町村と専門機関とのネットワークの構築がとても重要でありますので、私ども県と市町村と専門機関合同で巡回の無料相談会の実施などを行うことによりまして、市町村の支援に努めてまいりたいと、そのような計画でございます。
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- 19:◯三十八番(酒井庸行君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 20:◯議長(青山秋男君) 酒井庸行議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 21:◯議長(青山秋男君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時四十三分休憩
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午後一時十分開議
- 22:◯副議長(加藤精重君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
水谷満信議員。
〔二十三番水谷満信君登壇〕(拍手)
- 23:◯二十三番(水谷満信君) 通告に従い、大きく四つの項目で順次質問をいたします。
まず最初に、防災対策について。
第一点目に、緊急地震速報についてお伺いいたします。
緊急地震速報とは、日本の気象庁が来月十月一日から国内一般向けに速報する予定の地震情報のことで、震源地付近で検知したP波の初動データを使い、震源地情報をコンピューターで分析し、S波による強い揺れが起こる事前に告知する情報です。
これまでの研究調査により、P波は秒速約七キロメートルで伝達し、S波は秒速約四キロメートルであり、大きな揺れが到達するまでには数秒から数十秒あると言われており、地震による被害の多くはS波によってもたらされることから、このP波とS波の速度の差を利用し、大きな揺れが到達する前にその進路と予測到達時間を警戒情報などで発することにより、地震による被害が大幅に軽減できると考えられています。
緊急地震速報配信サービスは、気象庁の地震活動等総合監視システムから提供される緊急地震速報を財団法人気象業務支援センターの配信システムで分岐配信され、平成十八年八月一日から先行的な活用を行う分野への緊急地震速報の提供のために配信サービスを実施しています。
そこでお伺いいたします。
阪神大震災のような内陸型地震における緊急地震速報の有効性をどのようにお考えか、また、東海・東南海・南海地震など海溝型地震では大きく期待されますが、どのようにお考えか、お伺いいたします。
また、緊急地震速報は、十月一日よりテレビやラジオ、集客施設の構内放送など県民に伝えられる予定ですが、このほかの施設などや、個別に財団法人気象業務支援センターまたは民間の情報配信会社から入手することとなり、活用に当たっては各事業者の判断となりますが、ことし七月十七日には、国公私立学校長を初め教育機関、水戸原子力事務所長など、文部科学省大臣官房長から緊急地震速報に関する周知についての依頼がなされるとともに、文部科学省大臣官房文教施設企画部長などからも、各都道府県知事、教育委員会、教育長、附属学校を置く国立大学法人学校長へも同様の依頼がなされました。
その内容は、緊急地震速報の仕組み、特性や受け取った際にとるべき行動等、また、テレビ放送等から情報を得る以外にも、各施設において地震装置等を設置することなどにより、直接情報を受け取ることや各機関において緊急地震速報の地震を必要に応じて検討する旨のものでありました。
そこでお伺いいたします。
このように、国からは緊急地震速報に関する周知等の依頼が文書で出されていますが、これを受けて愛知県はどのように対応しているのか、お伺いいたします。
次に、第二点目に、津波情報についてお伺いいたします。
本年八月二日、十一時三十八分ごろ、サハリン南部付近のごく浅い場所を震源とするマグニチュード六・四の地震が発生し、〇・一から〇・二メートル程度の津波が観測され、この地震で北海道内では震度二を観測し、その後、十四時二十二分にはマグニチュード五・九の余震により震度三が観測されました。
気象庁は、この地震に対して、津波予報のデータベースにより、日本において極めて微弱な津波しか予測されなかったことから、十一時四十五分に津波の心配なしの地震情報を発表し、その後、十三時過ぎから北海道の留萌と稚内などで高さ〇・二メートル程度の潮位変動が大きくなり始め、津波の可能性があると判断し、十三時三十七分に北海道沿岸北部に津波情報を発表、十四時二十六分に解除されました。翌日の新聞報道では、津波観測三十分後に注意報と報じられましたが、気象庁の説明では、決定した地震の規模は、世界の主な観測・研究機関で決定したものと比較しても妥当であり、今回の地震は規模の割に津波の起こりやすいタイプの地震ではないことが考えられ、また、検潮所によっては、潮位が大きくなり始めた時間と津波の到達予測時間がずれており、この時間に停滞前線、南側に発生した気象擾乱が北海道西部の沿岸を通過したと見られ、各検潮所での潮位変動、振幅が大きくなり始めた時刻が大局的には擾乱が通過した時刻と合致し、また、留萌では、気圧や風向風速の急変と潮位変動が大きくなった時刻がほぼ一致しており、潮位変動の周期も過去の副振動の周期と一致しているとのことから、留萌の潮位変動については、気象状況や過去の副振動の事例との類似性から判断して、気象擾乱によって励起された副振動によるものと考えられ、そのほかの検潮所についても同様の可能性が高いと考えられる、なお、潮位変動のごく一部には津波が寄与している可能性もあると述べています。
そこでお伺いいたします。
今回の場合、津波を予測しにくい状況ではあるものの、十四時二十二分に比較的大きな余震があり、危険性の残る四分後の十四時二十六分に津波情報が解除されました。また、気象状況と津波が寄与し、潮位変動があった可能性があるかもしれませんが、長い海岸線のある愛知県にとっての御所見をお伺いいたします。
次に、第三点目の局地的集中豪雨についてお伺いいたします。
二〇〇〇年九月十一日から十二日の東海豪雨は、七年後の現在も県民の記憶の中にとどまっています。集中豪雨は、近年、日本国内において各地で頻発し、別名ゲリラ雨とも呼ばれ、気象学的には明確な定義はないようですが、目安として、直径十キロから数十キロの範囲に時間雨量五十ミリを超える場合を言うそうです。
台風などと異なり予測が困難であり、また、地形によって、土石流、地すべり、がけ崩れなどの土砂災害や洪水などの内水はんらんの被害が起きていることがあります。集中豪雨の原因には、前線、集風線、大気の不安定などさまざまなものがあり、それらの原因により発達した積乱雲が発生して局地的な豪雨をもたらします。
実際には、これらが単独で集中豪雨をもたらすことは少なく、複数の原因が重なっていることが普通であり、例えば、前線に集風線が交差したところや、強い寒冷前線の通過時に気温が急激に下がり、大気が不安定になるなど、また、昼間から続いた雨が夜間に強まり、集中豪雨が発生することが多く、これは前線や大気の不安定により生じた積乱雲が、夜になって上空と地上との温度差が生じて上昇気流が強まり積乱雲が発生します。また、都市部においては、ヒートアイランド現象が関係しているとも言われております。
そこでお伺いいたします。
河川上流部でこのような集中豪雨が発生し、下流部で急激に増水して被害を受ける事例もありますが、雨量や水位など河川に関する情報を県民にできるだけ早くお知らせするため、どのような対策を進めているのか、また、内水対策で雨水貯留タンクや雨水浸透ますに対して国の補助制度がありますが、どのように県民に活用させるか、お伺いいたします。
次に、二項目めの名古屋高速道路についてお伺いいたします。
名古屋高速道路は、昭和五十四年四月に大高線十・九キロが初めて開通して以来、開通区間を順次拡大し、現行の整備計画に定められた八十一・二キロメートルの全線開通を三年後の平成二十二年に控えて、建設の促進とともに管理の効率化や交通対策への取り組み等を一層強めていく必要があります。
また、平成十六年二月に経営改善計画を定め、これに基づき経営を行ってきましたが、三年余り経過したことから、その間の実績を整理するとともに、現在の経営状況を確認し、世界情勢の動向などを踏まえ、さらに利用者の立場に立って新たな課題への対応が求められています。
このため、今後、名古屋高速道路のネットワークを整備計画どおり完成させ、名古屋高速道路が将来にわたって地域における規格の高い自動車専用道路網として機能し続けるためには、需要に応じてさまざまなサービスの提供に努めていく必要があります。
第一点目は、ETCサービスについてお伺いいたします。
平成十八年二月には、ETC車を対象として新たにお得意様サービスを目的としたありようの頻度に応じた割引、ETCマイレージサービス、名古屋高速ETCコーポレートカード割引及び施設の有効性等を目的としたETC日曜・祝日の割引を実施し、また、ETC利用促進のキャンペーンとして割引の拡大等を平成十八年二月から平成十九年七月まで実施するとともに、平成十八年十一月に自動二輪車のETCは、モニターからの一般のお客様へ利用拡大がされ、これによりETCの利用は、平成十八年度末、利用者の約七割まで普及しました。
そこでお伺いいたします。
さらに普及を図るためにも、ETCを活用した割引策はどのようなものを考えているのか、お伺いいたします。
二点目は、高架橋の安全確保についてお伺いいたします。
本年八月一日のミネアポリス高速道路崩落事故は、ミシシッピ川にかかる高速道路の橋が崩落した事故で、この橋は、一九六七年建造された長さ五百七十九メートル、幅三十三メートル、合計八車線のトラス橋で、当時、この橋では補強工事が行われており、車線が片側二車線に制限されていました。ラッシュアワーと重なり、当時は混雑した状態で橋は三、四秒で崩落しました。この事故で、八月十三日現在、少なくとも六十台の車が転落し、九人が死亡、百人以上が負傷、また四人が行方不明となっているとのことです。
私がこの報道をテレビで知った瞬間、あの九・一一テロ事件が頭をよぎりました。その後、現状が判断できた段階では、日本では大丈夫なのかという意識になり、日ごろからの点検が危険予知の観点から特に大切であると認識いたしました。
そこでお伺いいたします。
名古屋高速道路は、都市景観や環境対策上に配慮した構造となっていますが、大部分の区間の完成がオイルショック後にずれ込み、建設費が相対的に高くなったそうですが、開通区間の約九割が高架構造であり、約一割がトンネル半地下構造となっていますが、将来にわたる安全性の確保のために点検はどのように行っているのか、お伺いいたします。
第三点目は、渋滞対策についてお伺いいたします。
名古屋高速道路は、都市幹線道路として重要な役割を果たしていますが、名古屋都心地域から名古屋南部方向への交通は一車線しかない大高線に集中して、恒常的な渋滞が見受けられます。その理由としては、ネットワークが未完成であることに由来する問題や、一日の利用台数が徐々に増加することにより、高辻入り口や堀田入り口を先頭とした大高線の渋滞や、進入路やジャンクションなど合流部を先頭とする都心環状での渋滞が生じるものであります。
そこでお伺いいたします。
今後さらに清須線などの新たな路線の開通に伴い、交通量の増大が想定されますが、渋滞対策はどのように考えているのか、お伺いいたします。
また、渋滞発生時には交通渋滞情報を利用者に速やかに伝える必要性がありますが、その対策はどのように考えているのか、あわせてお伺いいたします。
次に、第三項目めの労働者確保、技能伝承についてお伺いいたします。
産業の持続的な発展と県民生活の安定を確保していくためには、産業振興を図ることはもとより、産業や企業の展開、発展を支える労働力の確保が極めて重要な要素であります。
今日、我が国では、少子・高齢化に伴う生産年齢人口の減少が既に始まり、長期的に労働力人口の減少が予見され、本県においては、物づくり産業を中心とする好調な産業活動の展開に伴って、有効求人倍率がこの三月に二倍を超え、七月には二・〇三倍と三年半にわたり全国一を続けており、県内企業の人手不足が日増しに強くなっているものと認識しております。そうした中、県内企業においては、人材の確保が容易な地方に生産拠点を移す動きが既に広がっております。
自動車産業では、北部九州を中心とした自動車関連企業の新たな集積を形成し、平成二十年度には自動車生産が百五十台に届く勢いと聞いております。また、福岡県では、アジアの自動車生産拠点を目指して、自動車産業の人材育成の取り組みを進めており、企業の技能指導者を工業高校に派遣したり、生徒や教師を企業で実習させたりする取り組みを進めております。
一方、本県では、労働力不足への対応が喫緊の課題となっていることに加えて、若者の物づくり離れが進み、本県産業の重要な要素であります技能を継承するべき物づくり人材の育成が急務となっております。
そうした中、愛知県では、モノづくり人材育成愛知モデルの中で、物づくりの技術、技能者を志す若者、子供をふやすことを目標として掲げ、小学生から社会人まで、ライフステージに応じた人材育成の取り組みを産学行政の連携により推進しているところであります。
既に夏休みに、米村でんじろうさんのサイエンスショーや物づくり体験など子供たちの科学技術や物づくりへの関心を高めるイベント「キッズ・テクノ・サイエンスショー」や、中学生の職業意識を醸成するあいち・出会いと体験の道場の実施など、中期的に科学や物づくりへの関心を高める取り組みが実施されています。しかし、団塊世代の有する技能、技術を継承するためには、とりわけ高校生を対象にした実践的な技能教育が重要であり、産業界や教育界と密接に連携して推進していく必要があると考えております。
そこでお伺いします。
本県において、不足している人材をどのように確保するつもりなのか、そして、即戦力として期待される工業高校生に対する技術、技能の継承、実践的な技能教育のため、産業界や教育界と連携して実施している具体的な取り組みについてお伺いいたします。
次に、第四項目めの労働者研修センターについてお伺いいたします。
労働者研修センターを初めとする勤労福祉会館は、講堂、会議室、宿泊施設、体育館施設等を備え、県内勤労者の福祉の向上を目的として、昭和四十年代後半から順次県内十一カ所に設置されました。
特に、労働者研修センターは、県政百年記念事業の一環として昭和四十九年に開館しました。このセンターは、名古屋市近郊にあって比較的交通の便もよく、自然環境に恵まれた瀬戸市定光寺の山頂に、県内の勤労者を初めとする県民の文化の向上、余暇の健全な活動など、研修、休養の両面の機能を持つ総合的な福祉施設として、この三十二年間多くの勤労者や県民が宿泊を伴う研修などに利用してまいりました。
ところで、本県では、平成十七年二月にあいち行革大綱二〇〇五を策定し、公の施設については、民間と競合していないか、県としての存置の意義が薄れていないかなどの観点から見直しを行い、労働者福祉施設である勤労福祉会館など十一施設が原則として施設経過の年数とともに、平成十八年度以降、順次廃止を進めることとし、毎年一館程度ずつ廃止する、なお、施設の活用を希望する地元市には移管するとされています。平成十八年度末には、この行革方針に基づき、豊田勤労福祉会館と刈谷福祉会館が廃止され、地域住民を中心とした利用のできる公の施設として、豊田市及び刈谷市に移管されるところです。
そこでお伺いいたします。
先ほど申し上げたとおり、県政百周年記念事業の一環として建設され、全県的施設として位置づけられた勤労者のシンボル的施設である労働者研修センターが本年度末に廃止されると聞いておりますが、廃止後の施設の利活用について、現在どのように考えているか、御所見をお伺いし、私の壇上からの質問を終わります。(拍手)
- 24:◯防災局長(石川光博君) 災害対策につきましてのお尋ねのありましたうち、まず、緊急地震速報の有効性についてでありますが、緊急地震速報は、内陸型あるいは海溝型にかかわらず、震源からの距離に比例いたしまして、大きな揺れが来るまでの猶予時間に長短がございます。阪神・淡路大震災のような内陸型地震が本県内の直下で発生した場合には、震源が近いため有効性が少なくなります。また、東海地震、東南海・南海地震のように震源までの距離が離れている場合には、大きな揺れが来るまでの猶予時間がある程度見込まれます。
例えば、東海地震が発生した場合、大きな揺れが来るまでの猶予時間は、愛知県東部でゼロから十秒程度、愛知県西部では十秒から二十秒程度と予想されております。また、東南海・南海地震が発生した場合の猶予時間は、四十秒から六十秒程度と予想されております。
このように、震源地によりまして猶予時間に長短がありますので、地域によっては間に合わない場合もありますけれども、少しでも猶予時間ができることによりまして、その間に適切な行動をとることによりまして、身の安全を図ることに役立つものと考えております。
次に、緊急地震速報の周知についてでございますが、国では、緊急地震速報が適切に活用されるには、国民の理解を深めることが不可欠であることから、気象庁を初め各省庁がその周知に取り組んでいるところでございます。
そうした中、本県に対しましても、住民などへの周知について依頼がありまして、市町村を初め関係機関へ文書でお願いをしたところでございます。
また、緊急地震速報のPRのため、県といたしましても、速報に接した場合の行動などを掲載いたしましたパンフレットの配布、ホームページへの情報の掲載、広報紙でのPRに取り組むとともに、市町村、県の各部局、施設管理者を対象といたしました説明会を開催するなど、関係機関への周知にも努めているところであります。
次に、津波情報についてでありますけれども、津波情報の発表は、気象業務法第十三条によりまして気象庁が行うこととされております。気象庁では、過去の地震のデータをもとに膨大なシミュレーションを組み込んだものを最新の科学技術によりましてシステム化し、津波予報を発表しておりますけれども、気象の変化を完全に予測することは困難であることも事実であると思われます。
県といたしましては、津波予報は住民の避難行動に直接影響する大切な情報でありますので、できる限り精度の高い情報を提供していただき、適切な対応をとってまいりたい、このように考えております。
以上でございます。
- 25:◯建設部長(湯山芳夫君) 局地的集中豪雨対策の一環として、県民の皆様に対する河川情報の提供についてのお尋ねでございます。
河川の水位、雨量などの情報の提供については、国等と連携してその充実に努めており、インターネットや携帯電話などを利用してリアルタイムで直接県民の皆様に情報提供できるようにするなど、順次システムの増強を図ってきております。
さらに、国管理の庄内川初め六河川及び県管理の新川については、水防法に基づく洪水予報河川として、上流域で降った雨による下流部での増水の予測情報を、また、天白川など十九河川については、水防法に基づく水位周知河川として、住民の避難判断の目安となる水位情報を県民の皆様や市町村等に提供しているところであります。
住民の迅速な避難や防災活動に役立てるためにも、このような洪水予報や避難判断水位の情報提供を今後ともさらに拡充してまいります。
次に、内水対策の補助制度を県民の皆様方に活用していただく方策についてでございます。
集中豪雨等による浸水被害をできる限り軽減するためには、地域全体で雨水を貯留したり、地下に浸透させるなどの流出抑制は非常に有効な取り組みです。このため、市町では、みずから学校のグラウンド等を利用して貯留施設を整備するほか、個人の方や企業が貯留浸透施設を設置する場合に助成する制度を設けており、現在二十九の市町がこれを制度化しております。さらに、この整備、助成に対する国庫補助もございます。
県といたしましては、この助成制度を設けていない市町村に対する国庫補助等に関する情報の提供や制度創設の働きかけを行っているところでございます。また、この制度を利用していただく県民の皆様方に対しては、ホームページへの掲載やパンフレットの配布などによるPRに努めているところでございます。これにより、県下における貯留浸透施設の設置数は、十年前の年間百基程度から近年では七百基を超える年もあり、大幅に増加しております。
今後とも、市町村への働きかけや県民の皆様方へのPRを行い、浸水被害の軽減に資する貯留浸透施設設置の促進に努めてまいります。
続きまして、名古屋高速道路公社についてのお尋ねのうち、ETCを活用した割引施策についてのお尋ねでございます。
公社においては、これまでも、日曜・祝日割引、夜間割引、端末特定区間割引などのETC割引を実施してきております。公社が本年六月に公表した中期経営計画によれば、ETCについて普及を促進し、利便性の向上を図るとともに、ETC料金割引内容の効果等を検証し、着実な償還を前提としつつ、多様で弾力的な料金施策の検討を進めるとしております。
具体的には、清須線等の供用にあわせた新たな端末特定区間割引の設定や、早朝や夜間の需要が少ない時間帯への交通の誘導を図り、渋滞対策にも資する夜間割引の拡充を検討しているところでございます。
次に、道路点検についてのお尋ねでございます。
お客様から料金をいただいている有料道路としての信頼性や、構造が橋やトンネルでできているという特殊性から、一般の道路と比べより充実した点検を実施しております。
具体的には、路上からの日常点検は、本線が週三回、ランプについては二週間に一回実施、そのほか、高架下や管理用通路からの点検、さらには雨天時の漏水点検も実施しております。また、高所作業車などを使用する定期点検を原則として五年に一回実施するとともに、他の道路で問題があった場合は、類似の構造物についての臨時点検も実施しております。
これらの点検により、道路構造物や施設の状態を常に把握し、異常を発見した場合は、補修等必要な措置を講じることにより安全の確保に努めているところでございます。
次に、今後の渋滞対策についてのお尋ねでございます。
公社においては、これまでも料金所の増設や頻繁に渋滞が生じていた山王カーブを拡幅するなどの渋滞対策を行ってきたところであります。今後、清須線、東海線の開通により、大高線などの放射状の路線は交通の分散により混雑が緩和されると考えているものの、放射状の路線が集まる形の都心環状線については、新たな路線の開通により交通量が増加し、渋滞は悪化するおそれがあります。
こうしたことから、公社では学識経験者を含む委員会を設置し、渋滞対策に関する中間取りまとめを作成し、本年五月に公表しております。この中では、容量に余裕のある東西方向路線を利用した都心環状線の交通分散を図る方策や、今後も需要のふえる大高線の高辻、堀田の入り口に対する合流長延伸などの提案がなされております。
公社の中期経営計画におきましても、渋滞対策を今後の公社が取り組むべき重要な課題として、ハード、ソフトの両面から総合的に実施していくこととしております。
最後に、渋滞情報についてのお尋ねでございます。
渋滞情報は、路線の選択などお客様の御判断に資するため、できる限りリアルタイムの情報提供が重要と考えております。
現在、入り口情報板や高速本線上の情報板で渋滞の有無や所要時間などについてお知らせするとともに、VICSによるカーナビでの情報提供やインターネット、お客様センターでの電話による情報提供等を行っております。
公社といたしましては、今後とも、これらの渋滞情報の利用について一層のPRを行うとともに、新たな情報板の設置など渋滞情報提供の強化に取り組んでいくこととしております。
以上でございます。
- 26:◯産業労働部労政担当局長(青木学君) 本県において不足する人材をどのように確保するかについてのお答えをいたします。
本県は、全国一元気な県と言われておりますが、この元気さを維持し、地域の発展を図るためには、本県の基幹産業であります物づくり産業の安定した成長、発展を支える人材の確保が極めて重要であると認識しております。そうした認識からいたしましても、昨今、人材の逼迫感が強まっている現状につきましては、県としても大いに危惧しているところでございます。
そうした中で、特に次代を担う若年人材の確保は、今後の少子・高齢化の進展を考慮いたしましても、喫緊の課題であると考えております。
このため、大卒人材の確保については、従来の県内における大学生の会社説明会などの開催に加え、本年度は新たに首都圏や関西圏の著名な大学や大学の連合組織と連携して企業説明会の場を設けるなど、県内企業の求めている多様な基幹人材の確保を支援しております。
また、新たに新規高卒者を確保するために、高卒の求人が比較的少ない東北と九州の四県の工業高校を中心に職員が訪問し、本県企業への就職をアピールしたところであります。そして、今回訪問した五十七の高校から収集した情報を県のホームページや経済団体のホームページを通じて県内企業に提供したところでございます。
今後も、さらに大学や高校との連携、接触を強め、人材確保のネットワークを拡大して企業支援を図ってまいりたいと存じます。
次に、工業高校生に対する実践的な技能教育のための産業界や教育界と連携した取り組みについてのお尋ねでございます。
本県産業の持続的発展を支える人材の確保、育成のためには、次代を担う工業高校生などに対して、地域産業のニーズを踏まえた実践的な教育を進める必要がありまして、産業界と教育界との密接な連携による取り組みが重要になっていると考えております。
このため、本県では、平成十七年度から県立高等技術専門校を活用し、工業高校生を対象に、企業の熟練技能士を講師として、技能検定三級及び二級の合格を目指した実践的な旋盤技能実習を全国に先駆けて行っております。
この事業には、今年度までの三年間で十校から百四十一人が参加しておりまして、特に、高校生では難しい技能検定二級試験については、平成十七年度から二年連続十名の合格者を出すなど、全国一の成果を上げております。
また、今年度から、西三河南部地域の三つの工業高校と商工会議所の会員企業が企業実習と学校での実践的な技能教育を連携して行い、自動車関連産業を初めとする地域産業を継承する人材の育成を図る取り組みを進めております。県といたしましては、この事業の立ち上げ段階から深く関与し、国などの関係機関との連携のもと、積極的に事業を推進しているところでございます。
さらには、技能尊重機運の醸成を図るため、若者の目標となるすぐれた技能者を知事が認定する愛知版マイスター制度を今年度から創設いたしました。十月にはマイスターを認定し、工業高校の生徒や教師に対する実習指導などで活躍していただく予定であります。
今後とも、産業界、教育機関などと密接な連携を図り、物づくり愛知を担う人材の育成に努めるとともに、広く社会全体で技術・技能者を尊重する機運の醸成を図ってまいりたいと存じます。
最後に、労働者研修センターの廃止後の利活用についてお答えいたします。
議員お示しのとおり、あいち行革大綱二〇〇五に基づきまして、労働者研修センターは今年度末に廃止することになっております。しかし、労働者研修センターは、これまで多くの県民の皆様に利用されてきた施設であり、県としても何らかの形で引き続き活用できないか検討してきましたが、大規模施設であることや宿泊に特化した施設であることから、県庁内での利活用計画はございませんでした。
また、行革大綱では、施設の活用を希望する地元市には移管するとなっておりますので、機能継承を前提に施設の有効活用の視点から、特別に、建物は無償譲渡、土地は無償貸し付けの条件で労働者研修センターの移管について瀬戸市と調整を重ねているところでございます。
しかしながら、瀬戸市は、市の最北部にある大規模施設であり、市民利用率も約一〇%と低いことから、市単独での移管受け入れは難しいとしております。
こうしたことから、施設の利活用についてはなかなか難しい状況でございますが、引き続き瀬戸市と協議を密に行いまして、できるだけ早く方向性を出していきたいと考えております。
- 27:◯二十三番(水谷満信君) それぞれ御答弁をいただきましたが、一点、労働者研修センターについて要望をいたします。
労働者研修センターは、開館以来、労使が一体となって利用してきた勤労者のシンボル的な施設であります。また、自然と親しむことのできる環境で、家族や友人とのレジャーにも利用されております。
ただいま瀬戸市との調整を一生懸命されているというふうにお伺いいたしましたが、瀬戸市単独での移管受け入れは難しいという状況との答弁がありました。労働者研修センターはほかの勤労福祉会館とは少し異なり、利用者が県内全域に及んでいます。また、県政百年で建設されたこの県議会議事堂や陶磁資料館などと並ぶ貴重な県有財産だと私自身考えております。
県におかれましては、労働者研修センターの廃止後の利活用ができるよう、瀬戸市と、またはその近隣市町との移管受け入れなどを調整いただき、さまざまな検討を強く要望し、私からの要望を終わります。
以上です。
- 28:◯副議長(加藤精重君) 進行いたします。
小島丈幸議員。
〔六十四番小島丈幸君登壇〕(拍手)
- 29:◯六十四番(小島丈幸君) 議長のお許しをいただきましたので、私からは三点について順次質問をしてまいります。
最初に、ことばの教育についてであります。
私は、昨年十一月に、私の地元の挙母小学校の研究授業を見学する機会がありました。それは、文部科学省の平成十七年度から十九年度までの三年間の事業として行っている確かな学力育成のための実践研究の一環としての授業の参観でありました。豊田市内の多くの小学校の先生も見学に来ておりまして、調べて伝え合う力を確立する授業をどうクラスの中で取り入れ、実践しているのかを学んでおりました。
たくさんの先生に囲まれての授業で児童が上がってしまってうまくいくのかなと不安も感じましたが、授業を見て、聞いて、びっくりいたしました。
それは、児童一人一人が非常に内容の濃い発言をしているということと、そうしたたくさんの意見を担任の先生がうまくリードしてコーディネートしていることでありました。その様子を見て、これは今までとは少し違う授業内容であり、一人一人の個性や発言に対するフォローも先生にとっては非常に簡単ではないことのように思えました。
内容を少し紹介しますと、ある六年生のクラスでは、豊田市の駅前の今と昔について調査研究を行ったものを自分の意見として発表を行い、他の人の意見も聞くという授業でありました。子供たちはさまざまな感想を持ち、その感想を自分の意見として練り上げて発表しておりました。
ある子供は、お年寄りから、昔はこの辺はにぎやかでよかったけど、今は人通りが少ないということを聞いて、もっと人通りを多くする手だてを意見として言っておりました。これは、昔がよかったというお年寄りの意見を、これから私たちが住むこの地域はこうなってほしいという意見に発展させた形としてまとめており、ただ聞いたものを、調査してきたことをそのまま発表するという従来よくあったような授業での発表にとどまっておらず、その聞いたものを自分の中に取り入れて、こうしたほうがよい方向ではないかと考えを進めておりました。
それもある特定の人だけの意見がよかったというのではなく、クラス全員の意見がそうであったということが驚異でもありました。一人一人の言葉は、あるときは論理的であり、情感もあり、感性が豊かで、日本語の言葉の美しさをうまく表現しておりました。
小学校の時代にこうした授業でもって言葉を培っていけば、将来にわたって言葉での表現力はどこまでも発展していくのではないかと希望の持てる授業参観となりました。
また、低学年の教室では、そこかしこで詩の朗読も行っており、言葉の基礎的な技能習得を目指す活動も活発に行われており、そうした言葉の技能の習得とそれを表現する能力の開発が相まって、子供たちの感性と表現力の向上がますます高まっていくものと思われます。
また、その研究授業でもう一点驚いたことは、その授業を行う先生の手際よさについても感心をいたしました。
それは、今までの授業では、ただ教壇から児童に対して一方的に教えていればよかったことを、児童の意見を引き出し、それら意見をまとめていく力を培い、何よりも児童たちが調べる研究課題に対して精通することが求められます。ただ教えていればよいのではなく、児童から意見を引き出す力、それは今まで先生という職業に求められてきた、大学の教職課程において実践されてきたものと違った要素が今回の授業においては求められており、その研究授業に参画された教員は大変に苦労されたものと思いますが、児童から意見を引き出す作業を見事に行い、一定の成果を上げている現場を見させていただきました。
最近、学習指導要領の改訂に向けて、ゆとり教育の見直しや基本教科の授業時間の拡大や総合的な学習の時間の縮小が取りざたされております。
その中にも、確かな学力向上のために、自分の考えや言葉で表現する言語力を全教科で育成していく方針がありました。これは、この議場でも伊藤勝人議員からも再三にわたり指摘されてきた国際的に低下してきている文章表現力や思考力を向上させていくねらいが含まれているものと思います。
豊田市の挙母小学校での先ほどの研究授業は、こうした文科省のねらいである言葉は学力向上のために欠かせない手段となり得るのかを実践した全国の小学校の一例となっております。今回の学習指導要領改訂に合わせて実施されるということは、このことばの教育がある一定の成果を得ることができると文科省は判断したものと推測されます。
翻って、こうしたことばの教育について、全国の状況を調べてみますと、広島県では、ことばの教育県づくりを提唱し、平成十五年度から実施しているということでありました。早速行ってまいりました。広島県教育委員会から説明を受けました。教育委員会いわく、聞く、読む、話す、書くといった基本的な技能の習得や、考える、感じる、あらわすといった能力の開発に取り組んでおり、このことばの教育は、学習と生活の両面での基盤となることばの力を育成する教育として今後一層重視されてくるというものでありました。
また、広島県では、こうした取り組みをバックアップする県民運動として、言葉を大切にする意識を県民全体で共有することを目的に、ことばについて考える百人委員会を設立し、県が取り組むことばの教育への理解を図るための努力を積み重ねております。
ことばの教育を推進していくための教員の養成についても、指導者養成講座や言語技術指導講座を開き、今までの先生としての授業のやり方と少々異なる教員の言語技術向上に向けた取り組みも行っておりました。
こうした取り組みは、県内ではまだ三十一校のパイロット校での実施となっておりますが、一、二年後には、教員の養成が整えば、全県での実施に向けていきたいと話しておりました。どうしてそこまで早目に実施していくのか聞いてみますと、何よりも成果がはっきりとあらわれているからだということでありました。
広島県独自の学力テストのある項目をパイロット校とそれ以外の学校で比較したところ、小学校の国語では六・九ポイント、中学校では十二・四ポイントの差となってあらわれているとのことであります。ことばの教育が今課題となっている学力低下に対する確かな手ごたえになり得るものとの広島県の認識は、傾聴に値するものと私は理解いたしました。
また、平成十七年度から実施の挙母小学校でも、数字としては挙げられておりませんでしたが、三年目となる本年、児童の学力は着実に向上しており、その源はこのことばの教育に負うところが多いと話しておりました。
以上、さまざまな事例に基づき、このことばの教育について話をしてまいりましたが、こうした文科省の学習指導要領改訂に伴う言語力向上の方針や、広島県での取り組み、挙母小学校での取り組み等を踏まえ、愛知県としてのことばの教育についての認識と現状について伺います。また、ことばの教育に関して、教員の指導力をどのように高めていかれるのか。以上二点について伺います。
次に、自動車NOx・PM法の車種規制と県が行う公共事業について伺います。
NOx・PM法は、大都市地域における窒素酸化物(NOx)や浮遊粒子状物質(SPM)による大気汚染を抑制するため、一定の自動車に関して、より窒素酸化物や粒子状物質の排出の少ない車両を使っていただくよう、車種規制という規制が柱となっております。
また、本年五月に局地汚染対策などを盛り込んだ改正が行われたところであります。車種規制は、対策地域内にある事業所が購入する新車と現在使用している車について適用されるもので、愛知県内のほとんどの地域が、現在、この対策地域となっていることから、順次適合車種への更新が行われているところであります。
この車種規制に伴う措置として、対策地域における事業所に対しては、車の買いかえや低公害車の取得等に関して、税の軽減措置や低利の融資、補助の制度が用意されており、現在、この地域の事業所すべてで車の買いかえ等を行っているところであると聞いております。
また、愛知県においては、あいち新世紀自動車環境戦略で、人が安心して快適に生活できる自動車環境の実現を目指して各種の取り組みを行っており、愛知県庁への物品納入業者に対しては、物品等の納入に際しては、エコカーを保有している運送業者に配送を委託したりするなどのグリーン配送に協力をお願いしているようであります。
また、公共工事においても、環境に優しい工事車両の導入もなされており、請負業者と契約図書で低公害建設機械の使用を義務づけたり、万博の建設工事においては、排出ガス対策型、低騒音型、低振動型建設機械を活用したと聞いております。
こうした環境に優しい取り組みは、NOx・PM法と愛知県の自動車環境戦略によって、大都市圏の大気汚染の改善に向けて歩み出していると思いますが、数値や実際の大気が改善に向かっているということは聞かれていないと思います。
先日、中小の建設業の方にお話を伺いました。その方いわく、公共工事で私たち体力のない中小の建設業者は、対策地域内にあって業を営んでいることから、国の基準に従い車両を新しく買いかえ、公共の工事に参加しておりますが、その現場で他県のナンバーや業者が多く参加をしており、買いかえをしないで済んでいる方たちと同じ仕事をしなければならないのは対等ではないということを言われておりました。
NOx・PM法の車種規制は、通過交通には適用されないということであろうと思いますが、対策地域内において愛知県が行う公共工事という観点から見れば、やはり何らかの大気汚染を守るという視点が欲しいと思います。
そこで質問でありますが、まず、環境部長に伺います。
このNOx・PM法に基づき各種施策を実施されているところでありますが、愛知県の対策地域内におけるNO2とSPMの改善は見られるのか、伺います。
また、NOx・PM法の趣旨について、県の各部局への周知徹底はなされているのか、伺います。
また、これからの施策として、NOx・PM法及び自動車環境戦略がどのように推進されようとしているのか、伺います。
次に、建設部、農林水産部、企業庁、いわゆる公共工事の発注部局を代表して、建設部長に伺います。
今までの行ってきた工事に対して、NOx・PM法と自動車環境戦略における規制や戦略をどう具現化し行ってきたのか伺うと同時に、今後どのようにしていくおつもりなのか伺います。
次に、三点目、県民参加で支える農業についてお伺いをいたします。
去る八月十日の農林水産省の発表によりますと、我が国の食料自給率は、平成十七年度まで八年間、四〇%を維持しておりましたが、平成十八年度は三九%まで低下していることが明らかになりました。
世界的な食糧需給の逼迫が懸念される中、我が国の食料自給率を向上させていくことが必要ですが、私は、生産者だけでなく消費者まで巻き込んだ取り組みを行うことが重要であると考えております。
愛知県は、農業産出額全国第五位の農業県で、県内には、全国に自慢できるすぐれた農産物や元気な産地が数多くあり、これらの産地では、農業の体質強化に向けたさまざまな取り組みが行われていることと思います。
しかし、県全体で見ると、農業従事者の半分以上が六十五歳以上となっており、今後、高齢化の進展によって、都市化が進んでいる地域や条件が悪い山間地域では、産地の維持が難しくなるところが発生するのではないかと懸念されているところであります。
高齢化が進めば、農業生産が縮小するだけでなく、これまで農業者が主体となって行ってきた農地や農業水利施設等の維持、保全も困難になり、洪水の防止、水源の涵養、農村景観の維持など、いわゆる農業の持つ多面的な機能が低下することが心配されます。
山間地域の代表的な風景である千枚田を例に挙げますと、千枚田は田ごとの月などと表現され、四季折々の日本人の心情に親しまれてきました。しかし、農家にとっては、急傾斜の上に、田んぼ一枚の面積が小さく、稲作は重労働で、全国で多くの千枚田が失われてきました。
新城市鳳来地区の四谷では、このような状況に対応するために、平成九年に地元有志が千枚田保存会をつくり、耕作放棄地が出た場合は、ボランティアを紹介するとともに、農山村を支援したいという都市住民を呼び込んで、田植え体験、稲刈り体験などのイベントを開催して耕作放棄を防ぎ、水路の掃除やあぜの補修なども共同で行って、県民共通の財産とも言うべき千枚田の景観を保存することができました。
平成十七年に、ふるさと回帰支援センターというNPOが愛知県を含む全国の主要な都市地域で実施したアンケート調査によれば、五十歳台の勤労者の四割が田舎暮らしにあこがれ、そのうち一割が農業をやりたい、すなわち百人のうち四人が田舎に住んで農業をやってみたいという意欲があるとの結果が出ております。また、県の調査によりましても、野菜づくりや花づくりをしたいという県民の方は多くみられます。
私は、こうした農業に関心がある県民の方々に、農業の応援団として県内各地で農作業や農村景観の維持に参加していただくような取り組みを進めることが農業や農村の活性化につながり、農業の持つ多面的機能も維持できるのではないかと考えます。
県は、平成十六年三月に、食と緑が支える県民の豊かな暮らしづくり条例を制定いたしました。その第九条には、県は、県民、事業者またはこれらの者の組織する団体が自発的に行う農地の管理に資する活動が促進されるよう、情報の提供その他必要な施策を講ずるものとすると書かれております。
そこでお尋ねをいたします。
こうした県民参加で支える農業について、県としての取り組みの現状と今後の対応について伺います。
以上で壇上からの質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
- 30:◯教育長(伊藤敏雄君) ことばの教育について御質問をいただきました。
言葉は、自分の気持ちを表現するだけでなく、他人の考えを理解するために必要であり、日常生活の中で人や社会とのかかわりを築いていく上で大切な役割を担っております。
言葉は、幼少期より主に家庭を中心としてはぐくまれるものでございますが、学校教育におきましては、すべての学習活動の基盤をなすものでございまして、国語教育はもとより、あらゆる教科、領域におきまして取り組むべき重要なものであると認識をいたしております。
広島県での取り組みもお示しをいただきましたが、本県におきましても、御紹介いただいた豊田市の取り組みのほかに、確かな学力育成のための実践研究事業や国語力向上モデル事業など、ことばの教育の推進を図る事業を県内の小中学校に委嘱し、思いや考えを伝え合う話し合い活動など、言葉を重視した学習活動の推進に努めているところでございます。また、県内のほとんどの小中学校におきましては、表現力や読解力を身につけるための読書活動に積極的に取り組んでいるところでもございます。
議員も触れられましたように、現在、国では、中央教育審議会におきまして、学習指導要領の改訂に向け、言語力の育成について議論が進められております。県といたしましても、その内容を十分注視しつつ、本県の取り組みの成果が生かされるよう、学習や生活に生きて働くことばの教育の充実に一層努めてまいりたいと考えているところでございます。
次に、ことばの教育にかかわる教員の指導力をどのように高めていくかについてのお尋ねでございます。
こうした指導力を高めるには、教員一人一人が自己研さんや学校における授業研究を中心とした研修の充実を図るとともに、ことばの教育についてのすぐれた取り組みや研究成果に広く触れる機会を持つことが重要であると考えます。
県教育委員会といたしましては、毎年、県内の小中学校教員を対象に言語教育の指導力向上を目指し、県総合教育センターにおける国語科の専門研修とともに、教育課程フォーラムを開催し、文部科学省の担当官の講演や国語力向上モデル事業推進校などにおける成果の発表を通して、研修を深めているところでございます。
さらに、近年、ことばの教育の重要性が指摘されていることを受けまして、県教育委員会で毎年編集をいたしております教員研修の手引に読解力や国語力の育成を方針の一つとして盛り込み、ことばの教育の充実を図っているところであります。
いずれにいたしましても、ことばの教育にかかわる教員の指導力は重要でございますので、先進的な取り組みの事例も参考に、各種研修の機会などを通して一層の向上に努めてまいりたいと考えております。
- 31:◯環境部長(林清比古君) 自動車NOx・PM法についての御質問のうち、まず、県内の対策地域において、二酸化窒素と浮遊粒子状物質の改善は見られるのかとのお尋ねでございます。
平成十四年十月の自動車NOx・PM法の施行以来、いわゆる車種規制の導入により、排出ガス規制の進んだ車への転換が順次進んできているところでございます。
お尋ねの対策地域内の大気汚染の状況でございますが、この法律の施行前である平成十三年度と直近の十八年度における自動車排出ガス測定局の結果を比べてみますと、二酸化窒素については〇・〇三四から〇・〇三〇ppmに、浮遊粒子状物質については〇・〇四四から〇・〇三六ミリグラム・パー・立米になっており、徐々にではございますが、改善の傾向が見られております。
次に、NOx・PM法の趣旨について、県の各部局へ周知徹底されているかとのお尋ねでございます。
自動車環境対策は、自動車そのものの排出ガス対策、交通量・交通流対策、道路環境改善対策、あるいは低公害車の導入やエコドライブの普及など多岐にわたりますことから、県民、事業者、行政など関係者のそれぞれの取り組みが不可欠でございます。
こうしたことから、国、県、市町村や関係業界団体などを構成員といたしましたあいち新世紀自動車環境戦略会議などの各種会議や、特に庁内の関係部局で構成をいたしております自動車NOx・PM法や、あるいは自動車環境戦略に係る庁内連絡会議などの場において、毎年度の進捗状況の把握や情報交換を行う中で、対策地域内での公共事業については、自動車NOx・PM法の趣旨にのっとり、できる限り車種規制適合車を使うよう周知を図ってきたところでございます。
今後とも、車種規制に適合した車両ができる限り使用されるよう、庁内だけでなく市町村や関係者への周知徹底に努めてまいります。
次に、これからの施策として、自動車NOx・PM法及び自動車環境戦略をどのように推進していくのかとのお尋ねでございます。
本県では、自動車環境対策として、自動車NOx・PM法に基づく総量削減計画の進行管理やエコドライブなどの啓発事業、さらには、事業者に対する低公害車の導入補助や低利融資、あわせて県公用車への低公害車の導入事業を継続して実施しているところでございます。これらは今後も引き続き進めてまいります。
また、このたびの改正自動車NOx・PM法に基づき、本県としては、新たに対策地域内の大気汚染が特に著しい地区を重点対策地区に指定し、重点対策計画を策定してまいりたいというふうに考えております。このままでは環境基準の達成が困難な名古屋南部の国道二十三号などの幹線道路沿道を対象に現地調査や将来予測を行い、効果的な局地汚染対策を検討してまいります。
以上でございます。
- 32:◯建設部長(湯山芳夫君) 県発注の公共工事における自動車NOx・PM法とあいち新世紀自動車環境戦略の取り組みについてのお尋ねでございます。
公共工事における工事標準仕様書には、自動車環境戦略に基づき、工事現場で使用するブルドーザーなどの主要な建設機械について、排出ガス対策型建設機械の使用を義務づけるとともに、建設機械の省エネ運転と適切な点検整備などを示した国の指針の遵守についても定めているところでございます。
また、自動車NOx・PM法による対策地域内においては、県の総量削減計画に基づき、工事現場で使用するトラックなどについても、できる限り排出基準適合車とするよう建設業団体への啓発を行っているところでございます。
今後とも、環境部と連携の上、自動車NOx・PM法などの趣旨に沿って、公共工事における排出ガスの抑制に取り組んでまいりたいと考えております。
- 33:◯農林水産部長(永田清君) 県民参加で支える農業についてお答えいたします。
農業は、食糧供給のほか、洪水の防止など、私たちが安全・安心で豊かな生活を送るためのさまざまな機能を発揮しており、生産者のみならず、消費者も含めた県民の皆様全体で支えていくことが重要であると考えております。
このため、これまでも担い手の育成、確保など、農業の体質強化に向けた取り組みに加えて、都市の住民の方々に農作業を体験していただくための市民農園の整備や、農業を応援していただくボランティアの育成など、農業に対する理解と参加を促す取り組みを推進してまいりました。
さらに、今年度からは、農業大学校や農林水産事務所において、新たに農業を始めようとする団塊世代の方々を対象とした野菜や果樹栽培の研修を始めたところでございます。
また、農家だけでなく自治会や子供会など地域の皆さんが一体となって、農道の草刈りや水路の掃除など、農地や農業用水などを保全する共同活動への支援も開始しており、その活動は、五十一市町村の三百六十五地区、約二万七千ヘクタールに及び、本県の農用地区域の約四十%をカバーしております。
今後におきましても、都市と農村が近接している本県の特徴を生かしながら、地域の交流を進め、一人でも多くの県民の皆様に農業に参加していただける施策を積極的に推進し、本県農業・農村の活性化に努めてまいります。
以上でございます。
- 34:◯六十四番(小島丈幸君) 答弁をいただきました。二点要望させていただいておきます。
最初のことばの教育でございますけれども、教育長も、愛知県でもたくさんのところでやっていっていただけるというお話をいただきました。
広島県の教育委員会で、私、お聞きをしたときに、この教育というのは、要するに、教育力とか授業の力を高めるということと同時に、今までの先生たちがやってこなかった授業の新しい形がある。教員の養成、そういった講師についても、パイロット校の先生たち、この人たちが講師になって、こういうふうにやっていくと子供たちの教育力が向上しますよということがわかってきた人たちが率先してそういった教員の方たちの研修を行っているということがございました。
豊田市の挙母小学校でも三年間やってきました。その先生方というのは、本当に三年間やってきたこの成果をやっぱり見せたいということもこの前も言っておられました。何よりも、このことばの教育、形が必ず子供たちにとって向上するものをたくさん持っているということでございますので、なるべく早く、指導要領が出て一年とか二年とか三年とか研修をやって、その後でまたやればいいという話ではなくて、子供たちは待っていてくれません。一年ごとに、一年生が二年生になり、二年生が三年生になっていきます。そういった意味から、早目にこういったことばの教育について習熟した先生たちを早く育てていただいて、新しい愛知県の教育、子供たちにとって本当にプラスになるような教育をやっていっていただけるように強く要望をさせていただきます。
もう一点は、NOx・PM法についてでございます。
公共工事にかかわるものについて、公のところが工事をやっていて、その車両は旧態依然とした車両でいいのかどうかと考えますので、トラックについてはできる限りというふうに、今、部長のほうからお話をいただきました。公共が持つ公共性を本当にこちらのほうとしてもよく理解した上で、工事発注については一生懸命になって、そういった環境にも配慮した工事をお願いしたいというふうにお願いを申し上げまして、質問を終わります。
- 35:◯副議長(加藤精重君) 進行いたします。
杉浦孝成議員。
〔四十五番杉浦孝成君登壇〕(拍手)
- 36:◯四十五番(杉浦孝成君) それでは、議長のお許しをいただきまして、環境行政について二問の質問を行います。
まず最初に、現在、本県が開催を目的としている、生物多様性条約第十回締約国会議、いわゆるCOP10についてお伺いをいたします。
二十一世紀は環境の世紀と言われておりますが、地球環境問題は現代社会における最大の課題であり、豊かな環境を残していくことは、二十一世紀に暮らす人類にとっての大きな使命でもあります。
特に、地球温暖化及び生物多様性の危機は、私たちの生活基盤に大きな影響を与えることは予想されております。地球温暖化をもたらす温暖化効果ガスの排出量は、世界全体では二百六十五億トン、日本の排出量は二〇〇五年レベルで十三億六千万トンというそうであります。京都議定書の一九九〇年のレベルより七・八%の増加になっております。持続的な世界経済の成長の中では、温暖化効果ガスは今後も増加する傾向にあり、一刻も早い対応が求められております。
世界の地球温暖化対策に対する問題意識もここに来て急速に高まりつつあります。ことしの六月にドイツ・ハイリゲンダムで開催をされた主要八カ国首脳会議、いわゆるG8において、温暖化効果ガスの実質的な削減が合意を見ております。これは、日本の安倍首相が貢献をしたと報道されております。もっとも安倍首相はおやめになりましたけれども。
安倍首相は、気候の変動に関する日本の新戦略美しい星50を示され、この内容は、一として、世界全体の温室効果ガス排出量の二〇五〇年までに半減することを目標とした革新技術の開発と環境に調和したライフスタイル、社会システムづくり。
二番目として、京都議定書が規定しない二〇一三年以降の気候変動対策の国際的な枠組みづくりに向けての提案。
三としては、一人一日一キロの温室効果ガスの削減を目標とし、民間運動の展開を行うとする気候変動に関する日本の新戦略美しい星50を示しております。また、この提案は、二〇〇八年に日本で開催される北海道洞爺湖サミットにおいて、ポスト京都議定書に向け、各国の合意を取りまとめ、公表するとしております。
また、本年六月に日本政府が策定した二十一世紀環境立国戦略においても、地球温暖化の危機と生態系の危機は、資源の浪費による危機とともに、三つの地球規模の環境問題として取り上げられております。
さて、COP10でありますが、一九九二年、リオの地球サミットにおいて、気候変動枠組条約及び生物多様性条約が採択をされました。それぞれの条約について、各国代表による締約国会議が定期的に開催をされ、世界各国が一体となって対応の協議を重ねているところであります。
生物多様性条約については、バハマ・ナッソーで第一回のCOP1が開催をされ、以降、おおむね二年ごとに開催をされ、来年二〇〇八年五月にドイツのボンで生物多様性条約第九回締約国会議、いわゆるCOP9が開催をされる予定となっております。
この国際会議は、生物多様性の保全、生物多様性の構成要素の持続可能な利用、遺伝資源の開発、利用から生ずる利益の公平、均衡な配分の三つを掲げております。食糧問題や自然環境保全の問題など、人類が将来に安心して暮らせる環境の維持と保全をテーマとして国際会議は開催をされております。
そんな中、昨年七月に、我が党は、政策提言夢あいち21において、二〇一〇年に開催をされる生物多様性条約第十回締約国会議(COP10)の誘致を提案し、愛知県においても、名古屋市、地元経済界とともに誘致活動を積極的に進めており、本県が地球環境問題という世界的な課題の解決に貢献することに対しては、私も大変誇りに感じているところであります。
地元の誘致活動の成果も着実にあらわれているようで、本年一月には、COP10の開催候補地を愛知・名古屋とすることが政府で閣議了解されており、六月に愛知県は、名古屋市、名古屋商工会議所、中部経済連合会とともに、地元における誘致組織として、COP10誘致委員会が発足をし、九月十一日に有識者による初会合である誘致構想策定委員会が開催をされております。同委員会の会長である森嶌昭夫NPO日本気候政策センター理事長は、COP10に愛知万博の成果を継承していきたいとあいさつをされております。COP10開催に向けて、地元が行う関連事業や開催機運の盛り上げを図るための方策などを盛り込んだ誘致構想の検討が進められているとのことであります。
このCOP10の開催地は、さきに申し上げましたが、来年五月にドイツのボンで開催される第九回締約国会議(COP9)の会議において正式に決定をされますとのことでありまして、大いに支援をしていきたいと思っております。
さて、誘致が決定をすれば、生物多様性に関する世界的課題に向けて検討するため、世界各国から政府代表者、国際機関、NPO等、約四千名の参加者が三週間にわたり、ここ愛知・名古屋に集まると言われております。会議自体は、生物多様性条約の事務局が中心となって運営することになるわけですが、開催地となる本県としても、会場や宿泊施設、交通アクセスの確保など、地元として積極的に支援する必要があります。
会議にあわせて行われるエクスカーション(体験型の見学会)や開催関連イベントなど、また、開催機運盛り上げの事業等は地元が企画運営するものであり、地元の役割は大変大きいと思います。
二〇一〇年のこの年は、現在の生物多様性の損失速度を二〇一〇年までに顕著に減少させるという、いわゆる二〇一〇年目標の目標年であり、これまでの取り組みの成果の検証及びその後の枠組みも行われる重要な会議になると思われます。
それと同時に、二〇一〇年は愛知万博から五年目の節目の年であり、この地域にとっても特別な年として進めていく必要があると認識をしております。
幸い、この地域には、「自然の叡智」をテーマとした愛知万博に多くの県民が参加をし、大成功をおさめた開催地であり、愛知万博の理念と成果を継承し、実現するための海上の森の保全や最新の環境技術に関する実証実験が現在進められているところであります。
当地は、長年にわたり世界に誇る物づくりの県であり、また多くの自然にも恵まれたバランスのとれた地域でもあります。産業振興と自然環境の調和に関するモデル地域としても、各地から注目が得られるものと考えております。
また、県民は、愛知万博についての一市町村一国フレンドシップ事業の開催により、国際交流の浸透ともてなしの心の醸成、NPO、ボランティアとの連携により、市町村の地域力を遺憾なく発揮をし、愛知万博を成功に導きました。この国際交流の成功は、現在も各地域で継承され、国際交流のさらなる進展と親交が図られております。
このCOP10の開催は、日本一元気な愛知の地域力と県民パワーを再び愛知県の環境再生へと導く絶好の機会と考えております。神田知事を初め県環境部当局におかれましては、積極的な誘致活動を進めるとともに、COP10の開催を通して、環境先進県愛知の名を世界に発信できる絶好の機会として、計画の推進をお願いいたします。
しかし、生物多様性の保全はその重要性にもかかわらず一般に余り知られておりません。同じ時期に議論が始まった気候変動、地球温暖化の問題に比べると、生物多様性締約国会議は一般に浸透しているとは言いがたい状況であります。
さきに申し上げましたが、COP10は大規模な国際会議であります。単に一過性の国際会議の開催というだけではなく、県民の間に生物多様性の保全と大切さを広める絶好の機会ではないかと考えております。
そこでお伺いをいたします。
第一点目として、現在、地元のCOP10誘致構想は、その策定委員会において検討が進められておりますが、県としての愛知万博の理念、成果の継承も含め、どのような内容の構想を策定するのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
第二点目として、さきに申し上げましたが、生物多様性の国際会議はまだまだ県民に知られておりません。どのように県民に周知をし、開催機運を高めていくのか、お伺いをいたします。
次に、資源循環型社会の構築に向けての取り組みについてお伺いをいたします。
愛知県が将来にわたり、豊かな自然環境を保全するとともに、私たちの生活水準や経済活動を維持、持続していくために、地球上の限られた資源を可能な限り有効的に活用する資源循環型の社会を構築していくことが大変重要になっています。また、愛知県は、絶え間ない技術革新、蓄積された産業技術により全国一の物づくり県であり、日本一元気な県として注目を集めております。
経済の活性化を維持することは、物づくりのため多くの資源を消費し、世界に向けて多くの製品を送り出しており、経済活動が活発であればあるほど、大気、水、海、山といった環境への負荷が増大をし、廃棄物の量もまた増加することになります。これまで経済活動と環境とは相矛盾するものとしてとらえられてまいりました。
例えば、環境問題は、昭和四十年代に水俣病、イタイイタイ病、四日市公害など、深刻な社会問題として多くの公害訴訟が発生をし、また、大量不法投棄の問題や廃棄物の不正処理の問題など、環境問題が多く社会問題化された時代がありました。今でもそうですが、当時はなかなか予測ができない問題であったとはいえ、今思えば、痛ましいことではなかったかなと、そんなふうに認めざるを得ないと思います。
また、このような経過から規制行政が展開をされました。各企業、産業界は、環境対策に真剣に取り組むようになりました。そして、多くの環境負荷低減の技術が生まれました。環境に対する規制行政は一定の成果を上げたと考えられております。
また、環境負荷低減の規制は今後も必要だと思いますが、さきに申し上げましたが、将来に向けては、未来を担う子供たちのためにも、自然が豊かな安心して暮らすことのできる資源循環型社会を積極的につくっていくことが一層大切になってくると考えております。そのためにも、これまでのように経済と環境を対立させるのではなく、新しい技術や工夫によって両立させていく取り組みが重要になってまいります。
愛知県は、物づくりの県として、今日まで、日本、また世界をリードしてまいりました。この集積された技術力を活用し、環境と経済を両立させる資源循環型社会を構築し、リードすることは、本県の物づくり県としての地位を維持し、発展させていくために避けては通れない道であります。
愛知県は、二〇〇五年には、「自然の叡智」をテーマとして環境問題に取り組んだ愛知万博が開催をされ、大成功をおさめております。環境問題が世界的な課題として議論される現在、新しい高付加価値型の資源循環ビジネスの創出や、県民全体が一層の環境改善に取り組む機運は十分に醸成されている、また、高まっているのではないかと考えております。
本県においては、平成十六年にあいちエコタウンプランを策定し、廃棄物の現状を踏まえ、地球環境に配慮した循環ビジネスの創出と、環境と経済が好循環する資源循環型社会づくりを目標に、今日までに企業関係者、大学の研究者などによる環境ビジネス創出会議が設立され、産学行政の協働による廃棄物を資源とする循環ビジネスの創出、また、育成を進め、資源循環型社会をいち早く構築するために戦略的に取り組んでいると聞いております。
現在、このプランは、全国二十六の県や市で取り組まれ、経済産業省と環境省が共同でエコタウンプランが計画推進されていると聞いておりますが、このエコタウンプランに位置づけられたリサイクル施設の整備に対する国庫補助金は、三位一体改革の中で平成十七年度に廃止をされてしまいました。しかし、本県では、十八年度から産業廃棄物税を活用した県単独の補助制度を創設され、積極的にこの制度を推進しているところであります。
また、十九年三月から着手したゼロエミッション・コミュニティ構想は、我が国初の取り組みとして、地域内資源循環を進める新しい新ビジネスが明記され、持続可能な社会全体の取り組みを再構築する大きな足がかりになると評価したいと思っております。
神田知事も、持続可能な循環型社会の構築として、環境万博を開催した地域にふさわしい先進的な取り組みを推進し、常に世界をリードしながら実践をし、環境先進県あいちの構築を行うと明言をされております。
もう一度言いますが、あいちエコタウンプランは、一つとして、循環ビジネスの創出と支援、二つとして、企業の環境行政の実施促進、三として、ゼロエミッションの推進、四として、環境関連情報の整備、五として、環境学習・教育の充実を挙げ、産学行政の協働と県民参加による資源循環型社会づくりの推進を図るとあり、循環ビジネス創出会議が定期的に開催をされ、事業者、NPO、県民などが自由に参加して循環ビジネスの可能性を検討し、すぐれた環境ビジネスの計画をエコタウン推進会議に報告するとあります。
また、ゼロエミッション・コミュニティ構想は、愛知のポテンシャルを十分に生かしながら、県内の各地域に存在する廃棄物や余剰エネルギー、バイオマス資源、自然エネルギーなど、さまざまな未利用資源を有効に活用する新しいビジネスを起こすことによって、持続可能な社会づくりへ進めていくための構想です、とあります。
そこで、次の二点について質問をいたします。
第一点目は、本県は、あいちエコタウンプランを推進するため、具体的にどのような施策を行ってこられたのか、また、どのような成果を上げてこられたのか、お伺いをいたします。
第二点目は、今後、資源循環型社会の構築に向けて、あいちエコタウンプランやあいちゼロエミッション・コミュニティ構想をどのように展開していかれるのか、お伺いをいたします。
以上、申し上げましたが、環境対策は、COP10誘致とあわせ、今後、愛知県行政の中心課題となってくると思われます。環境部は各部局と連携をし、廃棄物を静脈産業として育成する寛容さと、自然環境を守る毅然とした姿勢、また、環境計画の揺るぎない推進が求められております。今後の環境部、また各位の取り組みに期待を申し上げ、壇上の質問といたします。(拍手)
- 37:◯環境部長(林清比古君) 環境問題についての御質問のうち、第一点目のCOP10の誘致構想についてお答えいたします。
誘致構想の策定に当たっては、COP10を契機に生物多様性保全をこの地域の取り組みとして定着させること、本県の魅力を国内外に発信すること、県民や企業など幅広い層からの参加を得ることなどを念頭に置いて策定を進めることが重要であると考えております。
誘致構想に掲げる主な内容といたしましては、一つには、COP10の開催期間中に地元が主体となって企画する各種イベントなどが、二つには、会議開催に先立って地元の盛り上げを図るために行うプレイベントなどが、三つには、会議を円滑に運営するための会議場や宿泊施設、交通アクセスの確保など、地元としての支援・協力体制のあり方などがあります。
具体的に申し上げますと、例えば、開催期間前後を通じて、生物多様性に直接、間接に関連したテーマによるシンポジウムや講演会の開催、あるいはさまざまな経過をたどって保全された海上の森や藤前干潟など、この地域における人と自然とのかかわりを紹介するイベントなどの企画、また、開催期間中には、本県の物づくりの伝統や最先端の技術を紹介する産業観光や、この地域が持つ歴史的遺産にも目を向けた広域観光などのエクスカーションやエコツアー、さらには、愛知万博で好評を博した一市町村一国フレンドシップ事業や、現在既に動いておりますEXPOエコマネーとタイアップした企画など、幅広く検討してまいりたいと考えております。
また、これらの企画、運営に当たっては、生物多様性の問題が企業活動とも大きなかかわりがあることから、関連する企業の参加を強く呼びかけるとともに、日ごろから自然保護の活動に取り組んでいるNPOや市民団体、あるいは愛知万博の期間中に活躍いただいたボランティア組織の協力を得るなど、さまざまな主体が参加できるような誘致構想にしていきたいと考えております。
次に、このCOP10の県民への周知と開催機運の盛り上げについてお答えいたします。
御指摘のとおり、生物多様性をテーマとする国際会議は、地球温暖化問題の国際会議に比べますと、必ずしも十分に県民の方々にその存在や意義が知られていないというのが現状でございます。したがいまして、COP10の本県での開催を実のあるものにするためには、生物多様性の保全の意義をわかりやすくPRするとともに、県民の皆様の理解と関心を高めるようなイベントなどの開催を通じて機運を盛り上げていく必要がございます。
このため、本年度は、五月二十二日の国際生物多様性の日のシンポジウムの開催を初め、全国野鳥保護のつどい、中部エコライフ・フェア、水シンポジウムなど、本県や国、市町村などが開催する行事など、さまざまな機会をとらえて、COP10のPR活動に努めているところでございます。
来年二十年五月にはCOP10の開催が決定されます。本県での開催が決定された後においては、これまで以上により多くの県内外の方々に周知、PRを図るため、環境省が名古屋市で開催するアジア太平洋環境会議、通称エコアジアと申しておりますが、や本県、名古屋商工会議所などが主催する見本市メッセナゴヤなど各種イベントの場を活用し、また、メディア等の協力もいただき、COP10のさらなる周知や開催機運の盛り上げを図ってまいります。
次に、資源循環型社会の構築についての御質問のうち、まず、エコタウンプランの推進のための施策とその成果についてのお尋ねでございます。
我が国を代表する物づくり県である本県は、県内全域に厚い産業技術の集積がございます。そうした本県ならではの特性を生かした先導的な循環ビジネスの事業化を誘導、促進するため、平成十六年にあいちエコタウンプランを策定いたしました。
その推進のための具体的な施策として、本県では、平成十八年度から産業廃棄物税を活用し、企業による新しい循環ビジネスの事業化可能性調査や施設整備に対する県単独の新たな補助制度を創設し、この二年間で合わせて二十二件の新たな事業化に向けての支援をいたしました。
さらに、産学行政の協働拠点として、あいち資源循環推進センターを西庁舎内に開設し、民間出身の技術コーディネーター三名による相談事業を行うほか、汚泥や瓦れきなど最終処分量の多い廃棄物七品目のそれぞれごとに専門家や企業の方々が集まり、意見交換する循環ビジネス創出会議を開催するとともに、企業のプロフィールなどの情報を提供する資源循環情報システムの開発、運用、あるいは資源循環の先駆的な技術、事業、活動、教育の取り組みを表彰する愛知環境賞を設け、その成果を広く情報発信しているところでございます。
こうした取り組みの成果として、エコタウンプラン策定から三年の間に十一件ものリサイクル事業について国の承認を受け、あいちエコタウン事業として推進してきたところでございます。
最後になりますが、今後、資源循環型社会の構築に向けてどのような施策を展開していくのかとのお尋ねでございます。
まず、あいちエコタウンプランでは、今年度は、食品残渣からバイオエタノールや飼料を製造する事業を初め三件について、国の承認を得てエコタウンプランに載せるべく現在準備を進めているところでございます。
今後も、先導的な廃棄物リサイクルビジネスの創出に向けてさらに一層取り組みを推進してまいります。
また、ことし三月に策定をいたしましたあいちゼロエミッション・コミュニティ構想は、廃棄物だけでなく、排熱やバイオマス資源など地域の未利用資源全般を対象とし、リサイクル技術と新エネルギー技術を結びつけ、地域内で循環的に活用するという全国で初めての構想でございます。
この構想では、当初の段階として、地域冷暖房のネットワーク化事業やバイオマス資源の利用事業、食品廃棄物のリサイクル事業など九つの事業例をまず位置づけておりますが、可能なものから順次事業化できるよう、学識者で構成する推進委員会で、事業提案者や関係者を交えて新たなビジネスモデルの構築や採算性の検討などを現在進めているところでございます。
いずれにいたしましても、さきのあいち資源循環推進センターを拠点といたしまして、地元企業の団体である環境パートナーシップクラブや財団法人名古屋産業科学研究所、さらには、地元大学などとの産学行政の協働を強め、こうした取り組みが愛知方式としてさらに全国に発信できるよう取り組みを推進してまいります。
以上でございます。
- 38:◯四十五番(杉浦孝成君) それでは、一点だけ要望をさせていただきたいんですけれども、このエコタウンプラン、また、ゼロエミッションの取り組みの中で、愛知県ならではのいろんな施策が、このエコタウンプランでは平成十六年から十九年まで、今日まで取り組んだ中でいろいろと事業が推進をされてまいりました。これは一定の評価をしたいなと、そんなふうに思いますけれども、今、愛知県は、日本一元気な県と呼ばれているんですけれども、やはり地場産業や、あるいはもろもろの中小企業の中では大変厳しい状態にあることは皆さん方御存じのとおりでありまして、産業労働部や、あるいは農林水産に関係した中でそれぞれ連携をしながら地域の産業振興を図っているわけであります。とりわけ、その中で、いわゆる静脈産業と言われる産業を育成するということは、こういった中小企業対策にも大変大きく貢献するのではないかと私は思っております。
このエコタウンプランで示された主要七品目の、いわゆる再利用の問題、一定の成果を上げております。しかし、その中には、まだまだ議論が足らなくて、中小企業対策のために、また、循環ビジネスの創出のために意見を集約しながらしっかりと取り組んでいただきたい、そういうふうに思っております。
神田知事も明記をしておりますけれども、この環境問題というのは、いわゆる産業のごみを出さない、そして、資源を活用するという大変大きなテーマでありまして、愛知県でなければできないこともたくさんあります。ぜひ環境部がしっかりとリーダーシップをとって、農林水産部あるいは産業労働部と連携をしながら進めていっていただきたいと思っておりますし、また、こういった問題は学校教育などにも大きく反映されるものであると思っております。
もう一点は、やはり学校教育の中で環境問題というものを取り上げていただいて、ぜひ、また、この環境立県あいちの推進のために頑張っていただきたいと思っております。
以上であります。どうもありがとうございました。
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- 39:◯三十七番(田辺克宏君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 40:◯副議長(加藤精重君) 田辺克宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 41:◯副議長(加藤精重君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午後二時五十九分休憩
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午後三時四十分開議
- 42:◯議長(青山秋男君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
住田宗男議員。
〔五十三番住田宗男君登壇〕(拍手)
- 43:◯五十三番(住田宗男君) 九月議会最後の一般質問となりました。大変お疲れのところだと思いますけれども、あと少しおつき合いをいただきたいと思います。
それでは、通告いたしました二項目について、順次質問をいたします。
最初は、公共調達システムの改革、いわゆる談合防止について質問をいたします。
談合は事実上税金の詐取であり、言うまでもなく犯罪である。とりわけ公務員が関与する官製談合は、地方行政に対する住民の信頼を損なう極めて重大な問題である。官製談合を防止するため、防止策、制度改革等について指針として取りまとめた。各都道府県は、この指針に沿って改革に真摯に取り組むことにより、失墜した地方自治への信頼回復に努めること。官製談合を行わない、行わせないという確固たる意思を持って、官製談合との決別を対外的に宣言し、アピールし続ける。
これは、全国知事会が設置した公共調達に関するプロジェクトチームが平成十八年十二月十八日に緊急報告した都道府県の公共調達改革に関する指針の基本的な考え方であります。この背景には、公共工事をめぐる入札談合事件の摘発が相次いだことから、全国知事会は、これらの一連の事項を地方全体の極めて深刻な問題と受けとめ、国民の信頼を取り戻すため、公共工事を初め公共調達に係るシステム全般を見直し、入札談合、とりわけ官製談合の根絶に向けて断固たる取り組みを進めるとの強い意思を示したのであります。全国知事会の指針であるだけに、本県は率先垂範に心がけ、指針に沿った改革を早急に進めなければなりません。
そこで、以下、本県の公共調達の現状、改革状況、課題、今後の進め方等について、順次質問をいたします。
最初は、コンプライアンス(法令遵守)の徹底について伺います。
官製談合を防止するには、まず、コンプライアンスの徹底こそが必要であり、それにより談合は犯罪であるという意識が生まれてくるものだと言われております。指針では、倫理規程や倫理条例の制定、コンプライアンス委員会を設置しての職員行動規範の整備などにより、談合は犯罪であるという意識はもちろんのこと、業者等の利害関係のある者との間で行われる疑惑や不信を招きかねない行為の禁止、制限のルール化を図るなど、法令を遵守する意識の向上を図ることといたしております。
私は、このことは談合防止の基本であり、極めて重要であると思います。本県では、職員倫理規程を制定し、第三条で職務に係る倫理原則等、第四条で職員の禁止行為を定め、第十一条で部局長の責務を定めております。
それによれば、各部局長は、研修その他の施策により、当該部局に属する職員の倫理観の涵養及び保持に努めなければならないとなっております。一万一千人余の職員を有し、出先機関が数多くある愛知にとって、全職員を対象に教育研修を実施し、職員倫理規程の趣旨を徹底することは容易なことではないかもしれませんが、最も基本であるだけに、すべての部局が定期的にきっちりと実施することは何よりも重要であると思います。
そこで伺います。
新部長に就任され、また、愛知県職員倫理規程が改正された本年四月一日から今日までの六カ月の間に、職員倫理規程の遵守に向けた研修会等をいつどれぐらいの規模で、どのような方法で何回ぐらい実施されたのでしょうか。部局長を代表して建設部長に伺います。
二点目は、内部通報制度の整備について伺います。
北海道の菓子「白い恋人」の賞味期限改ざん問題、食品加工卸会社ミートホープのミンチ偽装問題が明るみになったのは、内部告発が発端だと言われております。官製談合を防止するためには、良心や正義感を持った告発者が非違行為の疑いがある場合にそれを通報することができる内部通報制度を整備することが重要だと言われております。指針では、制度の整備に当たっては、知事や幹部職員の非違行為を防止するため、通報窓口を内部に設置することだけでなく、弁護士等外部の有識者による独立した通報窓口を設置すべきとしております。また、通報者が不利益をこうむることのないように、その保護に十分配慮することとなっております。
そこで伺います。昨日の質問にもありましたけれども、再度確認をいたします。
本県の内部、外部の通報窓口はどのようになっており、通報の実績はどれくらいあったのか、お示しください。
また、通報者の保護については、昨年四月に公益通報者保護法が施行されましたが、告発しようとしても、人事上の報復などを恐れてしり込みをするケースが多いと言われております。内部告発は、密告という陰湿な言葉で語られるのではなく、良心と正義を無駄にすることこそ罪悪であるとの認識を周知徹底するとともに、法が目的に沿って適用されるように工夫すべきであります。県としてのお考えと施策について伺います。
三点目は、職員の再就職問題などについて伺います。
職員が職務に関連した企業に再就職し、そのようなOB等が職員に働きかけることにより官製談合が行われる場合があることから、これらに対する厳しい制限が必要であります。
国においては、国家公務員法により規制が行われており、現在その見直しが進められておりますが、地方公務員にはその種の規定はありません。そのため、今回の指針では、企業との間に退職前五年間に担当していた職務と密接な関係を有すると認められる課長以上の職員については、退職後最低二年間、当該企業への再就職を制限する、また、OB等の口きき行為については、国家公務員法の改正の動向を見据え、地方公務員法の改正の要請を行うこととしております。
ところで、神田知事は、八月二十日の定例記者会見で、退職する職員が外部団体や第三セクターに再就職する際に、県が窓口となってあっせんしていることについて、必要だと思うと述べられ、今後も続ける考えを示されました。一方、民間企業などへ就職する際は、全国知事会の指針を適用するとの考えを示されました。県民がどのように受け取り、どのように感じたかはさまざまなようでありますが、私は、団塊の世代が大量退職を迎え、少子・高齢化時代に突入した今日、職員の再就職問題だけを論じるのではなく、職員の雇用問題全般及び外郭団体や関係団体、第三セクターの今後のあり方などを中長期的な観点から総合的に検討するべき時期に来ているのではないかと思います。
中でも、職員の六十五歳までの雇用問題、すなわち定年年齢問題並びに再任用制度の見直し、組織の活性化を図るべく幹部職員の若年化や部長の在任期間のあり方など、職員の雇用について総合的に検討すべきではないかと思います。知事の考えを伺います。
第四点目は、一般競争入札の拡大と指名競争入札の原則廃止について伺います。
一般競争入札を拡大し、競争性、透明性を高めることが談合防止のために有効な方策であることは多くの識者に共通する意見であります。
本県では、八月二十七日に入札・契約制度の改善内容が公表されました。これによれば、今までは一億五千万円以上の工事だけが一般競争入札の対象でありましたが、この十月からは五千万円以上の工事まで拡大することになり、改善が図られました。しかし、全国知事会の指針によれば、できるだけ早く指名競争入札を廃止し、一般競争入札の適用範囲を拡大することとしており、当面、一千万円以上の工事については原則として一般競争入札によることとなっております。
この十月から、この方針どおり実施する県が十二県になると聞いております。本県の今回の改定は、前進したとはいえ、全国知事会の指針よりおくれていることになりますが、なぜ先進他県と同じようにやれないのか、その理由を説明してください。
また、いつから一千万円以上の工事すべてが一般競争入札になるのか、お答えください。
五点目は、電子入札の拡大について伺います。
電子入札は、談合防止に大きな効果があると言われております。本県では、既にあいち電子調達共同システム(CALS)によって、平成十九年七月時点で二十六団体が運用開始しており、平成二十二年度からは全団体が全案件について運用開始する予定であると伺っております。
電子入札は、入札参加者が顔を合わせることがなく、だれが入札に参加するかを事前に把握することが困難なことから、談合防止に効果があると言われております。そのためには、入札に参加したい業者側のすべてがシステムに加入、運用できなければなりませんが、現在の加入状況はどのようになっているのか、また、いつからすべてが電子入札になるのか、伺います。
さらに、設計図書の閲覧・配付方法についても電子化を進める必要があると言われておりますが、私は、実務上極めて難しいのではないかと、こう思っておりますが、本県としての考えを伺います。また、実施するとなれば、実施時期についていつになるのか、お答えください。
六点目は、入札事務の適正化について伺います。
入札事務が各事業の担当部局において行われることが業者との癒着を招く原因となるとの指摘があります。このため、入札事務を事業担当部局から切り離し、独自性の確保された専任組織において一括して行うことは効果的な方法、方策と言われております。
本県においては、既に物品に係る契約については出納事務局において実施されておりますが、工事についても調達部門を独立させるべきだと私は思いますが、県の考えを伺っておきます。
最後に、本県の公共調達の現状をどのようにとらえているのか、そして、今後の改革の目標についてお伺いいたします。
平成十九年第一四半期、いわゆる四月、五月、六月の三カ月でありますが、この公共工事を除いた物品役務等に係る契約状況、これは出納事務局を初め契約十八部局の集計でございますけれども、集計いたしますと、全部で千三百四十八件、三百二十二億七千万円余であります。内訳を申し上げます。一般競争入札、件数は五%、金額七%、六十五件と二十三億三千万円であります。指名競争入札、件数三五%、金額一四%、随意契約、件数六〇%、金額七九%であります。
次に、同じ時期における工事に係る契約、いわゆる発注三部庁の集計をいたしますと、七百六十七件、百三十八億五千万円余であります。その内訳、一般競争入札、件数一%、金額一一%、指名競争入札、八五%、金額八七%、随意契約、件数一四%、金額一%であります。
この実績数値をどのようにとらえているのか、出納事務局長及び建設工事の発注三部庁を代表して建設部長に伺います。
また、今後、物品役務等の契約及び工事等の公共調達の一般競争入札はどの程度まで拡大できるとお考えなのか、伺います。
大きな二つ目は、物づくりのさらなる発展に向けた県の役割ということで質問をいたします。
昨日公表されました平成十八年の工業統計調査結果速報によれば、本県の製造品出荷額等は四十三兆六千億余円であり、三十年連続日本一になることは確実で、全世界の約一%弱の生産を担っており、まさに物づくりの県として発展し続けております。これは、本県の民官が物づくりに絶え間ない努力と創意工夫を重ね続けていること、さらには、民が中心となり、時流に先んじた技術開発、経営革新を行うとともに、技能の向上、継承に努力してきたことなどによる効果であります。これからもこの強みを生かし、我が国のみならず世界の産業経済を力強くリードしていくことこそ、本県に課された最も重要な産業政策であると考えます。
さて、我が国経済は、高度経済成長社会から成熟社会への移行、アジア諸国のキャッチアップによる産業のグローバル競争の激化、国内においては、公共事業に依存する体質からの脱却を図るため国際競争力の強い企業の誘致合戦など、大きな環境変化の中にあります。
このような変化の中にあって、本県の物づくり産業が国際競争に勝ち残り、引き続き愛知県の中で根を張り、従来どおり力強く発展し続けるためには、県、企業それぞれが現在抱えている諸課題に立ち向かい、積極的に対策を進めることが重要であります。
そこで、私が重要だと思っております四点について、県の考え、県の役割、今後の進め方についてお伺いいたします。
一点目、産業育成戦略と県の支援のあり方。
二点目、安価で使い勝手のよい産業用地の確保。
三点目、労働力の確保。
四点目、優秀な技能者の育成と技能の伝承についてであります。
一点目の産業育成戦略と県の支援のあり方について伺います。
本県では、今後も我が国における物づくりの中枢性を維持し、経済発展を遂げていくために、本県の基幹産業である自動車産業の進化を図るとともに、次世代産業である航空宇宙、ロボット、健康長寿、環境・エネルギーなどの四分野において、産業クラスターづくりを集中して進めるとしております。私は、これらの産業は、本県が世界をリードすることのできる有望な産業であると思います。
そこで、今回は、自動車産業と航空宇宙産業について、今後の産業の育成戦略と支援のあり方についてお伺いいたします。
まず、自動車産業について伺います。
自動車産業は既に世界をリードする水準になっておりますが、さらに優位に立つためのキーワードは、環境と安全であると言われております。そのため、民間企業ではさまざまな研究開発が進められているところであります。一方、本県の取り組み、支援としては、ITS推進事業とFCV、いわゆる燃料電池自動車の普及啓発事業等があります。ITS世界会議愛知・名古屋二〇〇四が開催されてから約三年が経過しますが、県として現在のITSの実用・普及状況をどのようにとらえ、今後の支援のあり方はどうあるべきとお考えなのか、伺います。
また、県が進めている知の拠点において、産学官の連携により自動車技術の進化を図るテーマが検討されているのであれば御紹介ください。
次に、航空宇宙産業について伺います。
次世代旅客機ボーイング七八七機用の主翼が中部国際空港から組み立て工場である米ワシントン州まで専用機で空路初出荷されました。この主翼は、炭素繊維を張りかため、軽さが売りものであり、今後二十年間に一千機以上の生産が見込まれるなど、今後の航空機産業の一翼を担うことが期待をされております。
ところで、本年七月にジェット飛行実証機の導入及び飛行研究施設の設置に関する要望活動を独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と文部科学大臣に行われたとお聞きしておりますが、今後、いつごろどのような検討が行われるのか、また、設置の見通しについての見解を伺います。
さらに、誘致が成功した場合、本県の航空宇宙産業にどんな効果をもたらすのか、また、本県のかかわり、財政負担はどのようになるのか、伺います。
次に、経済産業省は、国産ジェット機MRJの開発、生産に向けて支援を拡大するとのことでありますが、本県として、世界の航空機市場の中でMRJをどのようにとらえているのか、また、本県の果たすべき役割、支援をどのように考えているのか、伺います。
二点目として、安価で使い勝手のよい産業用地の確保について伺います。
現在、北海道、九州、東北を初めとした各自治体では、地域経済の活性化に向け、企業誘致活動を活発化させております。戦略として、安価な用地の提供、税制上の優遇策、自治体挙げての支援など、魅力ある諸施策を展開しており、本県からも多くの企業が転出し始めております。今までは、他県への進出となると大企業に限ると思っておりましたが、私がよく知っている従業員百人以下の中小企業においても、一社は青森県へ、一社は岐阜県の御嵩町へ、一社は三重県の大安町へと転出をいたしました。それぞれの社長に会って転出の理由を聞きますと、いずれも、愛知県では労働力と安価な用地の確保が難しく、今後の経営が成り立たないという理由から余儀なく転出を決断したということであります。そのことを聞くにつけ、私は、今日まで本県で頑張ってきた中小企業が今後も本県で生産活動を続けるためには、用地と労働力の確保という二つの課題を解決しなければならないと強く感じました。
ところで、企業庁は約九年間、県独自の新規産業用地の造成を行ってきておりません。また、公営企業であることから採算の合わない用地は造成しないという原則にしております。しかし、私は、産業用地の造成・分譲事業は企業庁だけの方針ではなく、全庁挙げて将来を見据えた戦略と総合的な観点から行うべき事業ではないかと思います。中小企業が産業用地を必要としていても、条件に合う物件が見当たらないような状況が続くならば、県外への転出がさらに進み、愛知における物づくりの将来が心配されます。
そこで、今後の産業用地の確保、産業立地の推進についてどうしていくつもりなのか、愛知県産業立地推進会議の会長である稲垣副知事にお考えを伺います。
三点目は、労働力の確保について伺います。
二〇〇六年事業所・企業統計調査結果で県内の製造従業員数は九十四万三千九百十一人となり、一九四七年の調査開始以来初めて全国一位となりました。このことは、愛知の物づくりの強みを反映した結果として喜ばしいことではありますが、一方、有効求人倍率が常に全国のトップレベルにあり、人手不足が常態化しており、今後も少子化の影響によりさらに労働力は確保しにくい状況が予想されます。物づくりの産業においては極めて深刻な状況であります。
労働力を確保するために、有効求人倍率の低い地域から愛知県に来ていただいて働いてもらうこと、さらには、外国人労働者による労働力の確保は考えられますが、両者とも現状では大きな問題を抱えております。それは、企業が労働力を確保する方策として、派遣労働者、期間従業員、アルバイトなど必要なときに労力だけを求める有期契約労働者(非正社員)としての採用を増加させており、それがゆえ、継続性もなければ社員としての教育、しつけもなく、ましてや、技能の蓄積、伝承など行われる状況にないということであります。
このままではこれからの社会を支える健全ですぐれた労働力を持ち得ない社会になってしまい、社会全体が衰退してしまう懸念があります。特に、物づくりは技術と技能の総合力によって成り立つ産業であるだけに、このまま放置することは日本の物づくりの危機と言えます。こんなときこそ行政の出番です。経済団体などと連携をとり、正社員登用制度の整備、登用機会の拡大、知識、経験、技能を伸ばせる教育訓練体制の整備、有期契約労働者の組合員化、正社員との均衡ある処遇の実現など、今の雇用形態を一刻も早く改善することが必要ではないでしょうか。最近、本県では、一部の企業や労働組合において、事態の打開に向けた取り組みを進める動きが出てきております。県としての考え、行うべき対策について伺います。
最後は、優秀な技能者の確保と技能の伝承について伺います。
物づくりには優秀な技能者の確保と技能の伝承が重要なことは言うまでもありません。しかしながら、日本の若者の理工系離れが進み、製造業を目指す学生が減り続け、加えて女性の社会進出が進む中、製造業に従事する女性が減っており、これでは日本の物づくりの将来が心配であります。このような状況下、本県が世界に誇り得る物づくりを維持するためには、優秀な技能者の育成が欠かせないとの思いから、私は、平成十二年九月議会で、当時埼玉県が行田市に物づくり大学を設立し、平成十三年四月から開校することを受け、愛知県にもぜひ物づくり大学を設置すべきではないかという提言をいたしましたが、残念ながら実現しておりません。しかし、このたびの新しい政策の指針年次レポートでは、物づくり人材育成愛知モデルの推進を図る取り組みとして、総合技術高等専門学校の設置検討となっておりますが、愛知は物づくりのさらなる発展を図らなければならないという至上命題をしょっていることから、私は、物づくりの大好きな日本じゅうの若者がこの愛知へ集まってくるような魅力ある日本一の一貫した物づくり学校の設置を検討するべきではないかと今でも思っております。そして、知の拠点とともに愛知だからこそと言える技の拠点をつくるべきだと考えます。
県の考えを伺い、以上、二項目について少し口早になりましたけれども、私の壇上からの質問にいたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
- 44:◯建設部長(湯山芳夫君) 談合防止に向けてお尋ねのうち、まず、職員倫理の研修会についてのお尋ねでございます。
建設部におきましては、談合防止や汚職防止に向けた職員倫理を保持するための研修会を職場単位で実施しております。今年度は、五月に二回、八月に一回、九月に二回の計五回実施し、延べ百十一名が受講しております。なお、昨年度は同様の方法で計十三回実施し、延べ五百二十六名の職員が受講しております。今後も談合・汚職防止に向け、引き続き多くの職員が受講できるよう研修を実施し、職員のコンプライアンスに対する意識向上を図ってまいります。
次に、一般競争入札の拡大についてでございます。
一般競争入札は、競争性、透明性を高める上ですぐれた入札方式の一つでありますが、一方では、不良不適格業者の参入や品質の低下を招くおそれなどの問題もございます。したがいまして、拡大に際しましては、点検、検証を行いながら段階的に進めてまいりたいと考えております。
こうした考えに基づきまして、この十月から五千万円以上の工事はすべて一般競争入札とし、さらに、一千万円以上五千万円未満の工事は二割程度の抽出試行を行ってまいります。これにより、四十七都道府県の一般競争入札への取り組み状況の中では、本県は中ほどよりも上位に位置することとなります。
また、この拡大にあわせまして、著しい低価格入札を排除する失格判断基準等の試行や、価格だけでなく技術力や地域貢献度なども評価する総合評価落札方式の拡充を図ってまいります。いずれにいたしましても、全国知事会の指針を踏まえ、このような試行を総合的に点検、検証しながら、一般競争入札の拡大を順次図ってまいりたいと考えております。
次に、電子入札の拡大についてのお尋ねでございます。
電子入札は、談合防止に効果があるとともに、コスト削減や事務の効率化が図られるものと考えております。現在の業者の電子入札への登録状況につきましては、建設関係の有資格者全体では約四五%にとどまっておりますが、発注件数の多い一般土木で見ますと約五四%であり、さらに、大規模な工事の受注が可能な土木A・Bランクに限りますと約七八%となっております。
建設部といたしましては、建設関係の入札参加資格を有する業者のうち、未登録の業者すべてに登録申請の案内書を郵送したところであり、今後とも、説明会の開催など、より一層の普及啓発活動を行ってまいります。
また、電子入札の今後の見通しでございますが、平成十八年度から試行を進めてまいりましたが、平成二十、二十一年度の入札参加資格審査申請がすべて電子申請に切りかわりますので、これにあわせまして、平成二十年度から全面実施したいと考えております。
次に、入札参加業者への発注図書の電子化による提供についてのお尋ねでございます。
入札に参加する資格を持っている方であれば、通常の家庭用パソコンでも発注図書をダウンロードでき、必要に応じてパソコン上での拡大や、また、プリンタを用意していただければ、A1サイズでの印刷も可能な仕組みとなっております。
今後の予定でございますが、この秋以降、発注図書の電子化による提供の試行を始めていく中で問題点の洗い出しなどを行い、平成二十二年度をめどに本格実施をしたいと考えております。
最後に、工事契約実績の現状と今後の一般競争入札の拡大についてでございます。
今年度第一四半期は、一億五千万円以上を一般競争入札としておりましたので、農林水産部、建設部及び企業庁における一般競争入札の契約実績は、議員御指摘のとおり、低い数値となっております。
この十月からの一般競争入札の拡大を平成十八年度契約実績に当てはめて試算いたしますと、一般競争入札は、件数ベースでは約二八%、金額ベースでは約七三%の割合となります。ちなみに、全国知事会の指針である原則一千万円以上の工事をすべて一般競争入札で実施した場合には、件数ベースでは約五九%、金額ベースでは約九五%となります。
いずれにいたしましても、一般競争入札の拡大に当たりましては、試行を総合的に点検、検証しながら、よりよい制度につなげてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 45:◯総務部人事担当局長(河村敏文君) 内部通報制度の整備についてお答えいたします。
平成十八年四月一日に公益通報者保護法が施行されたことに伴い、本県も同時に愛知県職員等公益通報要綱を制定し、県庁ホットラインという名称で、職員等を対象とした内部通報の窓口を人事課内に設置しております。制度発足後の通報件数は今のところはございませんけれども、内部通報制度は職員の法令違反を防止し、事務事業の公正な執行を確保する方策として大変有効であると考えておりますので、通報者が不利益な取り扱いを受けないことも含めまして、常時職員向けのネットワークパソコンに掲載するとともに、職場研修の場におきましても周知徹底をいたしております。
さらには、通報を行いやすくするために外部窓口の設置を検討してまいりたいと考えております。
次に、職員の雇用について総合的に検討すべきではとのお尋ねでございます。
まず、公務員の高齢者雇用につきましては、国、地方とも定年を延長することではなく再任用制度が取り入れられ、本県におきましても、平成十四年度から導入しているところでございます。
この制度は、職員が培ってきました知識、経験、特に団塊の世代が持つ技術やノウハウを継承する観点から有効に活用していかなければならないと考えておりますので、平成十八年度からは、一般の再任用よりも役割とともに処遇を高めた専門員への登用も図っているところでございます。
今後はさらにこれを拡大するとともに、常勤化も導入するなど、高齢職員がやりがいを持って力を発揮できる環境づくりに引き続き努めてまいりたいと考えております。
また、幹部職員の若年化と在任期間についてでございます。
これまでも意欲と能力に応じた適材適所の人事管理を行っているところでございますけれども、団塊の世代後をしっかり見据える必要もあり、引き続き人事管理のあり方について検討してまいりたいと考えております。
以上です。
- 46:◯総務部長(今井秀明君) 入札事務の適正化のための調達部門の独立についてお答えいたします。
本県では、入札・契約事務の担当部門は、現在、各事業担当部局にありましても、工事を担当している課から切り離し、工事の企画・執行業務に携わらない別の課が所管する体制をとるなどして適正の確保に努めているところでございます。入札事務を事業担当部局から独立した専任組織に担当させることにつきましては、全国知事会の指針を受け、その効果や問題点について、各事業担当部局とともに研究しているところでございます。
新たな専任組織の設置は、工事担当部署からの独立性を一歩進めるものとは思いますが、専門性や技術的観点が必要な業務について、各事業担当部局との調整が円滑に行われるかどうかといった課題などが考えられますので、そうした課題や業者との癒着防止という点で、現行体制と比較してどのような効果が期待できるかなど、さまざまな点について引き続き研究してまいりたいと考えております。
- 47:◯会計管理者兼出納事務局長(夏目安孝君) 物品役務等に係る平成十九年度の第一四半期の契約実績の現状でありますが、本年四月から全国知事会の指針を受けまして、物品の購入や印刷物の発注につきまして、一般競争入札の対象を三千二百万円以上から一千万円以上に拡大をしましたので、一般競争入札の割合は若干高まっております。
今後の一般競争入札の拡大につきましては、やむを得ず随意契約となるものが件数、金額とも約五〇%を占めておりますので、一般競争入札の拡大には限度がございますが、物品役務等に係るすべての契約について、原則一千万円以上を一般競争入札で実施した場合、平成十八年度の契約実績から試算をいたしますと、件数ベースで約一四%、金額ベースで約二四%の割合となります。
また、平成二十年八月の物品等電子調達システムの導入にあわせまして、一般競争入札の対象を順次一千万円以下に拡大をし、さらに一般競争入札の割合を高めてまいりたいと考えております。
- 48:◯地域振興部長(的井宏樹君) 自動車産業に関しまして、ITSについてのお尋ねでございます。
ITS、いわゆる高度道路交通システムの普及状況についてでございますが、有料道路のノンストップ自動料金支払いシステムでございますETCを例に見てみますと、現在の利用率は約七〇%となっておりまして、これはITS世界会議が行われました平成十六年十月の利用率約二二%の三倍を超えるものとなっております。
また、ナビゲーションシステムの高度化を目指しましたVICS、いわゆる道路交通情報通信システムの出荷台数でございますが、平成十九年三月時点で累計約一千八百万台を数えておりまして、平成十六年三月の時点の約二倍となりますなど、ITSは広く社会に浸透してまいりました。
本県では、全国に先駆けまして、愛知県ITS推進協議会を平成十年に設立をいたしまして、産学行政が一体となってITS推進の取り組みを進めてきておりまして、ITS世界会議の開催や愛知万博における円滑な観客輸送のためのITS活用などを通じまして、その有効性を広く国内外に発信するなど、ITSの普及に努めてきております。
ITSは、交通事故のない安心・安全な社会づくりはもとよりでございますが、環境、福祉などにも役立つまちづくりの手段として大いに期待がされておりまして、今後とも、ITSの先導県を目指しまして、ITSの活用の支援や普及促進に積極的に取り組んでまいります。
以上でございます。
- 49:◯産業労働部長(富吉賢一君) 私からは、知の拠点における自動車技術の進化を図るテーマについての検討、それから、航空宇宙産業に関します二点のお尋ねについてお答えいたします。
まず、知の拠点で取り組む研究開発テーマでございますが、このテーマにつきましては本年度から検討を開始しております。
テーマ検討に当たりましては、知の拠点の基本計画で示しました三つの視点、すなわち、強みのある分野をさらに高めて産業ニーズに対応する視点、健康長寿のような次の内需につながる社会ニーズに対応する視点、環境問題など社会課題を解決するという視点、この三点の視点から検討を行っているところでございます。
具体的には、物づくりの基盤技術となりますナノテクを核に検討していくこととしておりますので、自動車関連技術はもとより、新規産業分野の展開に寄与することを期待しているところでございます。
次に、航空宇宙産業についてのお尋ねでございますが、まず、宇宙航空研究開発機構、いわゆるJAXAの飛行研究センターの誘致についてお答えを申し上げます。
この飛行研究センターは、国産ジェット旅客機・輸送機等の開発に必要となる各種の実証実験、研究機能の充実を図るためのものでございまして、航空機産業の振興に大きな役割を果たすものと考えております。
一方、JAXAにおきましては、平成二十年度から二十四年度までの五カ年間にわたる次期中期計画を現在策定中でありますので、本県といたしましては、この中期計画に飛行研究センター実現の前提となりますジェット機導入を盛り込んでいただきまして、ジェット機、計測機器等の設備を備えた研究施設を県営名古屋空港隣接地に整備するよう、知事が先頭に立ちまして産業界と一体となって要望活動を行っているところでございます。
仮に、中期計画にジェット機導入が盛り込まれた場合には、研究施設の整備計画は二十年四月以降に検討される見込みでございます。本県といたしましては、その検討状況を見ながら、財政面も含めましてどのような対応ができるかを検討してまいります。
続きまして、MRJの開発生産に向けた本県の果たすべき役割についてのお尋ねでございます。
MRJは、今後大きな市場の伸びが期待されます座席数七十から九十の航空機の開発プロジェクトでございまして、これは、本県の航空機産業の振興に大きく寄与するものと期待をしております。本県といたしましては、産業創造計画において、航空宇宙産業を成長性の高い戦略的重点分野としてとらえ、その振興のために、資金面、技術面を中心にさまざまな支援を行ってきているところでございます。
さらに、中堅・中小企業の航空宇宙産業への参入を支援するため、来る十月二十三日と二十四日の二日間、航空宇宙シンポジウムを名古屋市中小企業振興会館で開催いたしまして、航空宇宙産業に関する講演会でございますとか、中堅・中小企業が中心に参加いたします展示・商談会を行うこととしております。
今後とも、MRJの開発を含め、航空宇宙産業の振興に向けまして、企業ニーズを踏まえ、必要な施策の推進を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 50:◯産業労働部労政担当局長(青木学君) 非正社員の雇用形態の改善についてのお尋ねでございますが、労働者がどのような働き方を選んでも意欲を持って働くことができるように、公正な処理が確保され、安心して働くことができる労働環境を整備していくことは極めて重要であると認識しております。
こうした観点から、国においても、本年五月にいわゆるパートタイム労働法を改正し、議員御指摘のような正社員への登用制度の整備、登用機会の拡大、適正な教育訓練体制の整備、正社員との均衡ある処遇の実現などが規定されたところであります。
また、この附帯決議として、パートタイム労働者以外の有期契約労働者の雇用管理の改善や通常の労働者への転換を支援するための施策についても引き続き検討することとなっております。
こうしたことから、県といたしましては、改正パートタイム労働法の立法趣旨やその内容、さらには、雇用管理上のポイントを労働教育講座の実施や各種普及啓発資料の配付により広く周知し、労働者の公正な処遇が確保されるよう一層の啓発に努めてまいりたいと存じます。
次に、愛知だからこそと言える技の拠点づくりについてお答えいたします。
物づくり産業中心の産業構造である本県にとりまして、物づくり人材を育成し、安定的かつ継続的に確保することは、本県産業の強さを維持し、さらなる発展を図るためにも重要な課題であると考えております。幸い本県には、既に地域の人材ニーズに対応した職業訓練を行う六カ所の県立高等技術専門校や高度な技術訓練を行う国の中部能力開発促進センターがあり、さらに、民間にも大企業を中心に充実した企業内教育訓練施設が多くあるなど、多様な物づくり教育訓練施設が県内各地に立地しております。
また、最近では、名古屋工業大学や豊田高専などが大企業の教育訓練施設と連携して、中小企業の工場長クラスや若手技術者の育成事業を行うなど、取り組みにも広がりが見られます。
そこで、本県としては、これからの愛知の物づくりを担う人材を育成するためには、特色のある多くの教育訓練施設を有効に活用していくことが効率的で効果的であると考えております。
こうしたことを踏まえまして、平成十八年二月に策定した物づくり人材育成愛知モデルにおいては、既存の多くの教育訓練施設や大学などを地域の核としてネットワーク化しながら、産学行政の連携によりまして、個々人の職業生活の各段階に応じた人材育成を強力に推進していくこととしております。
- 51:◯副知事(稲垣隆司君) 愛知県産業立地推進会議の議長の立場としての御質問をいただきましたので、私からもお答えをさせていただきます。
今、愛知は大変元気だ、活力があるというふうに高い評価をいただいておりますが、将来にわたって、この元気、活力を持続的に発展させるためには、優秀な人材の確保と新たな産業活動の受け皿となります用地の確保は大変重要なことであるというふうに認識をしております。
このため、関係部局の長で構成いたします愛知県産業立地推進会議におきまして、全庁挙げて各種事業に取り組みを進めているところでございます。具体的には、例えば人材の確保につきましては、従来から実施しております県内の大学生を対象とした企業説明会に加えまして、本年度からは新たに首都圏や関西圏の大学生も対象とした説明会を実施させていただいております。また、県立の高等技術専門学校を活用して、工業高校生を対象とした民間企業の方々を講師とした実践的な技術実習に取り組むなど、優秀な人材の確保、育成に努めているところでございます。
また、用地の確保につきましては、企業庁におきまして九年ぶりに新規の用地の開発に取り組んでおりますし、産業立地サポートステーションを県庁及び東京事務所に開設いたしまして、企業や市町村に対して適切な情報を提供するとともに、相談に応じているところでございます。
また、今年度の新規事業といたしまして、開発に適した土地の掘り起こしや、工場跡地など利用されていない土地の情報収集を行っておりますほか、市町村における企業立地の取り組みを促すため、企業のニーズや産業動向の情報を提供するなど、市町村との連携をしっかり図っているところでございます。
いずれにいたしましても、企業の誘致活動は国内外での地域間競争が大変厳しい状況でございます。したがいまして、本県といたしましては、他の地域にない空港、道路、港湾のすぐれた交通インフラや厚い産業集積などの優位性をPRするとともに、市町村や民間の開発力も利用し、愛知のパワーが損なわれないよう、産業用地の確保及び人材の確保に精いっぱい努力してまいる所存でございます。
以上でございます。
- 52:◯五十三番(住田宗男君) 二つ再質問と一つ要望を申し上げたいと思います。
まず、質問でございますけれども、きのうも知事が答えられましたし、さっきも答えていただきましたけれども、通報制度について、外部にも通報制度を設置するというお話でありましたけれども、いつごろ、どれぐらいの箇所を設置するのか、一つ伺っておきます。
それから、二つ目に、コンプライアンスの研修について、建設部長は、よくやっているだろうというような報告をされましたけれども、私が感じますと、まだまだ不十分ではないかなという感じを持っております。私は、民間企業なんかですと、部長がかわられた、役職者がかわられたというとき、あるいは規程が変わったというときであれば、即、全職員を対象に一斉にやるというのがその徹底の仕方であろうということからいきますと、半年たった今でもまだまだという状況でありますので、そういう感じを受けております。
そこで質問でありますけれども、なぜこういうことになったかといいますと、こういう行政の職員というのは、就業時間中に研修をやらなきゃならんということがあるんだろうと思います。民間なんかは、就業の後、教育時間をとって、教育手当をつけながらやるという方法もとっているわけでありまして、そういうことの検討ができないのかどうかということを人事担当局長にお伺いしたいと思います。
それから、要望だけ申し上げますと、今、副知事から詳しい答弁をいただきましたので、あえて要望にさせていただきますけれども、労働力と用地でありますけれども、労働力については、どうしたって外国人労働者に頼らなきゃならんという状況だと思うんです。そのときに、国に対する要望をやっぱり、法律の整備をきちっとやるだとか、あるいは今進めている多文化共生社会をきちっと早く整えて、外国人も一緒に学び、一緒に生活し、一緒にやれる状況をつくるということだろうと思っておりますので、それをお願いしたいということと、土地についての今のキーワードはアクセス道路なんです。岐阜県の御嵩町とか見向きもしなかったところが今わんさと押しかけているというのは、東海環状自動車道ができたとおかげだと、こういうことでありますので、愛知県の造成を行う場合には、アクセス道路も含んできちっと考えていただくということを要望しておきたいと思います。
以上です。
- 53:◯議長(青山秋男君) 答弁時間が経過しております。答弁は簡明に願います。
- 54:◯総務部人事担当局長(河村敏文君) まず、内部通報制度についてでございますが、ただいま、どういった方にどういったような中身とか、どういった形でお願いをするか、そういったようなことを検討しておりますので、できるだけ早い時期に導入をしていきたいというふうに考えております。
それから、コンプライアンスの徹底についてです。不十分ではないかといったお尋ねでございますけれども、現在、研修と会議を中心に取り組んでいるところでございますけれども、まず、職員の研修でございますけれども、人事課の職員を講師として開催されました各部局における研修の実施状況を見てみますと、平成十八年度は九回開催しておりまして、本年度は十四回開催する予定となっておりまして、受講者も昨年度より五割増しの千名程度に達する見込みでございまして、このほかにも各部局独自でさまざまな研修が実施されているところでございます。
このように、各部局におきましても積極的に開催をしておりますので、人事担当局といたしましてもしっかり支援をしてまいりたいというふうに考えております。
また、毎月、主管課連絡会議を開催いたしまして、監察結果を初めまして具体的な事例を示したり、不祥事が発生した際には緊急に監察連絡会議を開催いたしまして、綱紀の粛正などについて徹底を図っているところでございます。
今後とも、さまざまな機会をとらえまして、職員に働きかけてまいりたいというふうに考えております。
以上です。
- 55:◯議長(青山秋男君) 以上で質問を終結いたします。
─────────────
- 56:◯三十八番(酒井庸行君) ただいま議題となっております議案は、さらに審査のため、それぞれ所管の常任委員会に付託されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 57:◯議長(青山秋男君) 酒井庸行議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 58:◯議長(青山秋男君) 御異議なしと認めます。よってただいま議題となっております議案は、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
なお、議案付託表は議席に配付いたしました。
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一般会計・特別会計決算特別委員会の設置
- 59:◯三十七番(田辺克宏君) ただいま議題となっております決算第一号から決算第十三号までは、委員十三名の一般会計・特別会計決算特別委員会を設置し、これに付託されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 60:◯議長(青山秋男君) 田辺克宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 61:◯議長(青山秋男君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております決算第一号から決算第十三号までは、委員十三名の一般会計・特別会計決算特別委員会を設置して、これに付託することに決定いたしました。
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一般会計・特別会計決算特別委員会に付託された決算
決算第一号 平成十八年度愛知県一般会計歳入歳出決算
決算第二号 平成十八年度愛知県公債管理特別会計歳入歳出決算
決算第三号 平成十八年度愛知県証紙特別会計歳入歳出決算
決算第四号 平成十八年度愛知県母子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算
決算第五号 平成十八年度愛知県中小企業近代化資金特別会計歳入歳出決算
決算第六号 平成十八年度愛知県農業改良資金特別会計歳入歳出決算
決算第七号 平成十八年度愛知県県有林野特別会計歳入歳出決算
決算第八号 平成十八年度愛知県林業改善資金特別会計歳入歳出決算
決算第九号 平成十八年度愛知県沿岸漁業改善資金特別会計歳入歳出決算
決算第十号 平成十八年度愛知県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算
決算第十一号 平成十八年度愛知県流域下水道事業特別会計歳入歳出決算
決算第十二号 平成十八年度愛知県県営住宅管理事業特別会計歳入歳出決算
決算第十三号 平成十八年度愛知県印刷事業特別会計歳入歳出決算
─────────────
一般会計・特別会計決算特別委員会委員の選任
- 62:◯議長(青山秋男君) これより一般会計・特別会計決算特別委員会委員の選任を行います。
委員の選任については、議席に配付いたしました文書のとおり指名いたしまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 63:◯議長(青山秋男君) 御異議なしと認めます。よって、委員は議席に配付いたしました文書のとおり選任することに決定いたしました。
─────────────
一般会計・特別会計決算特別委員会委員
内田 康宏 岩村 進次
熊田 裕通 大竹 正人
吉田 徳保 大見 正
伊藤 辰夫 原 欣伸
波形 昌洋 榊原 康正
森井 元志 鈴木 あきのり
渡会 克明
─────────────
一般会計・特別会計決算特別委員会の正副委員長の選任
- 64:◯議長(青山秋男君) 次に、一般会計・特別会計決算特別委員会の正副委員長の選任を行います。
正副委員長の選任については、議席に配付いたしました文書のとおり指名いたしまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 65:◯議長(青山秋男君) 御異議なしと認めます。よって、正副委員長は議席に配付いたしました文書のとおり選任することに決定いたしました。
─────────────
一般会計・特別会計決算特別委員会の委員長及び副委員長
委員長 内田 康宏
副委員長 岩村 進次
─────────────
公営企業会計決算特別委員会の設置
- 66:◯三十八番(酒井庸行君) ただいま議題となっております決算第十四号から決算第十八号までは、委員十三名の公営企業会計決算特別委員会を設置し、これに付託されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 67:◯議長(青山秋男君) 酒井庸行議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 68:◯議長(青山秋男君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております決算第十四号から決算第十八号までは、委員十三名の公営企業会計決算特別委員会を設置して、これに付託することに決定いたしました。
─────────────
公営企業会計決算特別委員会に付託された決算
決算第十四号 平成十八年度愛知県県立病院事業会計決算
決算第十五号 平成十八年度愛知県水道事業会計決算
決算第十六号 平成十八年度愛知県工業用水道事業会計決算
決算第十七号 平成十八年度愛知県内陸用地造成事業会計決算
決算第十八号 平成十八年度愛知県臨海用地造成事業会計決算
─────────────
公営企業会計決算特別委員会委員の選任
- 69:◯議長(青山秋男君) これより公営企業会計決算特別委員会委員の選任を行います。
委員の選任については、議席に配付いたしました文書のとおり指名いたしまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 70:◯議長(青山秋男君) 御異議なしと認めます。よって、委員は議席に配付いたしました文書のとおり選任することに決定いたしました。
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公営企業会計決算特別委員会委員
水野 富夫 川本 明良
小久保三夫 田辺 克宏
吉田 真人 森下 利久
石黒 栄一 須崎 かん
中村 友美 仲 敬助
中村すすむ 安藤としき
岩田 隆喜
─────────────
公営企業会計決算特別委員会の正副委員長の選任
- 71:◯議長(青山秋男君) 次に、公営企業会計決算特別委員会の正副委員長の選任を行います。
正副委員長の選任については、議席に配付いたしました文書のとおり指名いたしまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 72:◯議長(青山秋男君) 御異議なしと認めます。よって、正副委員長は議席に配付いたしました文書のとおり選任することに決定いたしました。
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公営企業会計決算特別委員会の委員長及び副委員長
委員長 川本 明良
副委員長 仲 敬助
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- 73:◯三十七番(田辺克宏君) 本日はこれをもって散会し、明九月二十九日から十月十一日までは委員会開会等のため休会とし、十月十二日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 74:◯議長(青山秋男君) 田辺克宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 75:◯議長(青山秋男君) 御異議なしと認めます。
明九月二十九日から十月十一日までは委員会開会等のため休会とし、十月十二日午前十時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時三十七分散会