県政報告
平成27年2月定例会(第5号)
2015年3月9日
(主な質疑)
- 午前十時十分開議
◯議長(三浦孝司君) ただいまから会議を開きます。
直ちに議事日程に従い会議を進めます。
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日程第一 諸般の報告について
- 2:◯議長(三浦孝司君) この際、諸般の報告をいたします。
本日、知事から追加提出されました議案は各位のお手元に送付いたしました。
以上、御報告いたします。
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日程第二 第八十号議案副知事の選任について(提案理
由の説明)
- 3:◯議長(三浦孝司君) 次に、第八十号議案副知事の選任についてを議題といたします。
直ちに知事の提案理由の説明を求めます。
大村知事。
〔知事大村秀章君登壇〕
- 4:◯知事(大村秀章君) このたびの二月定例県議会におきまして御審議をいただきます案件は、去る二月二十五日に提案したところでございます。
本日は、永田清副知事が本年三月三十一日をもって任期満了となることに伴い、その後任者として、知事政策局長の石原君雄を選任いたしたく、その同意議案につきまして追加提案をいたした次第でございます。
よろしく御審議の上、適切な御議決を賜りますようお願いを申し上げます。
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〔議案は別冊付録に掲載〕
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日程第三 一般質問
- 5:◯議長(三浦孝司君) これより一般質問を行います。
通告により質問を許可いたします。
かじ山義章議員。
〔七十一番かじ山義章君登壇〕(拍手)
- 6:◯七十一番(かじ山義章君) 通告に従い、青少年の健全育成に関連して、順次質問してまいります。
まず、少年犯罪について質問をいたします。
先月の二十日、川崎市川崎区港町の多摩川河川敷で中学一年の上村遼太君がグループのリーダー格である十八歳の少年と十七歳の二人の少年に暴行を受け、遺体となって見つかった事件は、多くの人が非常にショックを受け、怒り、悲しみ、悔しさ、さまざまな感情を覚えた事件でありました。
マスコミ等の報道によりますと、上村君は、ことしに入り、年上のグループから暴力を受けていることを友人らに打ち明け、グループをやめると言ったら暴力も激しくなり、殺されるかもしれないと漏らしていたそうであります。そのことが現実となってしまいました。
この事件について、まず私が思ったことは、学校、親、友人たちがもっと早く異変に気づき、対応することはできなかったのか、本当に防ぐことができない事件だったのかということであります。
川崎市の教育委員会によると、上村君が学校に登校しなくなったため、担任教諭は、自宅や母の携帯に三十回以上電話をし、五回の家庭訪問をしたが、本人とは一度電話で話しただけで会うことはできなかったとのことであります。殴られ、顔が腫れ上がった写真まで友人が持っていた。しかも、殺されるかもしれないというメッセージまで届いていた。なぜそれだけの兆候があったにもかかわらず、周りのみんなが何のアクションも起こさず、放置したままになっていたのかに疑問を感じている人は多いと思います。
通り魔のような事件、突発的に起こった事件ではなかったのであります。狂気で卑劣な犯人に殺害されてしまった上村遼太君は本当に無念でなりません。
この事件が起きる二週間ほど前には、和歌山県紀の川市の住宅地で、小学校五年生の男の子が二十二歳の男に胸などを刺され死亡した事件が、昨年十二月七日には、名古屋大学理学部一年の女子大生が七十七歳の女性の首を名古屋市昭和区の自宅で絞め、殺害した事件がありました。
和歌山の事件については、二十二歳の青年が小学校五年、十一歳の子供にばかにされたからという理由だけで殺してしまった。名大生においては、ただ人を殺してみたかったという、昨年、佐世保市において、高一女子高生殺害事件を起こした十六歳の少女と同じ理由でありました。
もはや今、誰からも恨みを買うことなく、トラブルを起こしていなくても、誰もが突然被害者になるおそれがある世の中になってしまったということであります。
罪を犯した子供たちは、悪いことをした、大変なことをしてしまったという自覚や意識が乏しいことは、逮捕後の取り調べのコメントを聞いても感じ取ることができます。
過去には、経済的な理由で非行や犯罪に走ったということはありましたが、最近では、日ごろきちんと学校に通って、親の目から見れば、また、周りから見てもいい子だと言われる子供たちが罪を犯してしまうというケースが少なくないということであります。
罪の意識が薄いということでは、興味本位がエスカレートする、あるいは集団での群集心理からいじめ、強要、暴力などに発展し、また、自殺という自分を見失う行為に至ることもしばしばであり、こうした状況はゆゆしき事態であり、教育委員会及び警察本部を含めた県の関係部局のしっかりとした対策はもとより、我々県民一人一人が二度とこうした事件を起こさせないという強い決意のもと、広く犯罪に対する認識を深め、このような事件をどうしたら防ぐことができるのか、関係者はどうしたら立ち直ることができるのかということを、我が身にも起こり得ることとして真剣に考え、その対策に一致協力して取り組む必要があると考えます。
警察庁生活安全局少年課が発表した平成二十六年における少年非行情勢において、刑法犯少年の概況を見てみますと、過去十年間の刑法犯少年の検挙人員は、平成十六年から十一年連続で減少しており、殺人、強盗、放火等のいわゆる凶悪犯の検挙人員を見ても、平成二十二年の七百八十三人以降、おおむね横ばいで推移しておりましたが、二十六年中の検挙人員は七百三人と一割ほど減少し、放火が八十人と前年より二七%増加、殺人については、平成二十年以降、五十人前後とほぼ横ばいで推移をしております。
これらの推移を見ますと、人員で見る限り、世間で騒がれているほど増加はしておりませんが、これまで起きた子供や若者の事件で見られるように、一見普通の子がいきなり事件を起こす、いきなり型と言われるケースがふえてきております。
一方、過去十年間の刑法犯少年の再犯者数の推移に目を向けますと、平成二十六年度中の再犯者数は一万二千四百五十七人と前年より一二・七%減少しておりますが、再犯者率は三四・九%と十年から十七年連続して上昇して、統計のある昭和四十七年以降で最も高くなっております。大ざっぱに言えば、検挙された少年の三人に一人が非行の経験がある少年ということになります。
また、悪質な非行を犯している少年ほど再非行率が高いと言われております。
私は、この悪質な非行を犯す前に、非行への入り口と言われている万引きや自転車盗など初発型非行、さらには、喫煙や深夜徘回といった非行の前段階で適切な対応、措置をすることが重要であると考えます。
警察においては、全都道府県において、少年問題に関し、専門の警察官及び少年補導職員が中心となり、関係機関やボランティア等と連携をして、街頭補導、被害少年支援、立ち直り支援等の活動を行っている少年サポートセンターを設置し、愛知県においても、名古屋、春日井、一宮、半田、岡崎、豊橋に設置をされ、幅広い活動を行っております。
教育委員会においても、あいちの教育に関するアクションプランIIの重点目標の取り組みの柱に、道徳性、社会性の向上を掲げ、命を大切にする教育の充実、社会全体のモラルの向上、道徳教育の充実などに取り組んでおります。
そこで、まず、警察本部長にお伺いをいたします。
本県における最近の少年犯罪の実態はどのような状況であるかお尋ねをいたします。
さらに、少年非行の防止、再非行防止は社会全体の問題であり、警察、学校、教育機関、地域、家庭全ての連携が必要だと考えますが、その方策について、警察本部長、そして、教育長にもお伺いをいたします。
また、立ち直りを支援するという立場から、少年院を出て更生した若者たちが出院者の社会復帰を支援しようと、二〇〇九年一月に全国ネットワーク、セカンドチャンスを設立し、二〇一一年には、名古屋においてもNPO法人として設立されております。
以前の友人とのつき合い方、親との向き合い方、少年院と社会のギャップなどの悩みを抱える出院者たちを支え、その居場所をつくるため、少年院での講話や行事参加、交流会の開催といった活動を行っているそうです。
みずからの経験を踏まえた支援は非常に有効なものと考えられます。県内には、非行だけでなく、ひきこもりやニートなど、社会生活を円滑に営む上で困難を抱える子供、若者が多数おり、そういった子供、若者たちを支援する仕組みもあると聞いております。その支援の中で、こうした経験者も大いに活用すべきと考えますが、県民生活部長の御所見をお伺いいたします。
次に、愛知県青少年保護育成条例に関連してお伺いをいたします。
本県では、平成十三年三月に、あいちの青少年育成計画21が策定をされ、地域社会と一体となって青少年施策の総合的、計画的な推進が図られてきましたが、二十一世紀を担う子供、若者の健やかな成長と自立を積極的に支援するため、愛知県青少年問題協議会の提言に基づき、平成二十二年三月にあいち子ども・若者育成計画二〇一〇が策定をされました。
この計画の期間は、平成二十二年度から平成三十一年度までの十年間とし、子供、若者を取り巻く社会情勢の変化に応じ、計画の見直しを行うものとなっております。
近年では、青少年の携帯電話やスマートフォンの所持率が急速に普及し、犯罪被害に巻き込まれる事例が発生していることから、有害情報の閲覧を制限できるフィルタリングの普及を図るため、愛知県青少年保護育成条例により、携帯電話販売店等や保護者に一定の義務が課されたところであります。
また、いわゆるJKビジネスと言われる女子高生をJKと称し、商品化し、性を売り物にした多様な営業形態があらわれており、これを起因とした性犯罪の被害を防ぐ対策の強化として、条例の一部が今議会において改正される運びとなっております。
今回、私が質問で取り上げたいと考えたのが、最近若者に人気のある入れ墨であります。
昨年秋ごろ、とある居酒屋で友人とお酒を飲んでいると、隣のテーブルでお酒を飲んでいた二十二歳の青年とスポーツの話題をきっかけに意気投合し、楽しくお酒を飲んでいました。しばらくして、彼の左手首の内側に五百円玉大の星のデザインの入れ墨を見つけ、その入れ墨、いつ入れたのと聞くと、十九です、どうして入れたの、何かわけあったのと聞くと、いや、乗りですと明るく答えてくれました。その彼によると、単に格好がいいから、友達が入れているからという理由で気軽に入れ墨を入れてしまっている若者が多くいるそうであります。
皆さんも町なかでさまざまな模様の入れ墨を入れた若者を見かけたことがあると思いますが、最近では、有名なスポーツ選手や歌手などに憧れ、タトゥーといってファッション的な要素で入れ墨を入れている若者も多く、中には、交際相手の名前などを入れ、数年後に別れてしまい、頭を抱えている人もいるそうです。
一旦入れてしまった入れ墨を消すためには、入れるときに支払った金額の数倍もの費用と手間がかかり、しかも、手術の跡が残ってしまったり、なかなかきれいにもとどおりになるというわけにはいきません。
そのような中、本県では、愛知県青少年保護育成条例において、入れ墨を施す行為等の禁止、全ての者は、青少年に対し、正当な理由がある場合を除き、入れ墨を施したり、入れ墨を受けるよう勧誘、周旋したり、入れ墨を受けることを強要してはならないとし、違反すると一年以下の懲役または五十万円以下の罰金となっております。実際に、昨年は三件、三人が条例違反で罰則を受けているそうであります。
入れ墨を入れてしまった青少年が実際にどのような不利益を受けてしまうのか。サウナやプール、ゴルフ場などの入り口で、入れ墨、タトゥー、暴力団風の方の入場お断りという掲示を見たことがあると思いますが、それ以上に、就職活動において、お客様と接する機会が多い営業やサービス業では採用を断られることが多く、その結果、働ける職種が限定されてしまうとのことであります。
そこで、県民生活部長にお伺いをいたします。
入れ墨の禁止の規制から十年がたち、改めて条例での禁止項目であることなど、入れ墨の有害性を青少年はもとより、社会全体に周知していくべきだと考えますが、県としてどのように取り組んでいかれるのかお尋ねをいたします。
また、中学校や高等学校での指導も大変重要であると考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。
次に、青少年保護育成条例の有害図書類の規制についてお伺いをいたします。
平成二十一年の二月議会、議案質疑において、我が党のかしわぐま光代議員が児童ポルノ犯罪対策の質問で、児童ポルノなどの有害な画像や図書については、特に成長過程にある青少年に閲覧させたり、販売するようなことは何としても防がなくてはならないと考えますが、警察による取り締まりだけでなく、青少年の健全育成を図る観点からどのような対策がとられているのかという問いに対し、当時の石川県民生活部長は、著しく性的感情を刺激する図書や写真、ビデオなどの図書類については、青少年にとって有害な図書類ということで指定を行い、青少年へ販売することだけでなく、閲覧させることも禁止をしている、また、図書類を取り扱う事業者に対しては、有害図書類を青少年が閲覧できないよう包装した上で、一般の図書類とは別の場所に陳列することを義務づけている、これは、いわゆる区分陳列といいますが、このような条例の規制を書店などに徹底させるため、毎年継続して立入調査を実施し、指導していくと答弁しております。
この区分陳列については、そういったものから守るという観点から各店で徹底されなければならないと思いますが、子供たち、青少年が書店やコンビニでいわゆる有害図書類を遠巻きに興味深く眺めている姿を見かけたことがあるのは私だけではないはずです。
青少年保護育成条例では、図書類取扱業者が有害図書類を青少年に販売、頒布、贈与、貸与、閲覧等をさせると六カ月以下の懲役または五十万円以下の罰金とありますが、県警にお尋ねをしたところ、昨年の違反件数はゼロ件でありました。
しかし、やはりその規制レベルは、欧米等に比べると非常に低く、コンビニでは区分陳列が行われているにもかかわらず、相変わらずヌード写真が掲載された週刊誌が子供向けの雑誌と一緒に販売されているのが実情であります。
海外のコンビニでは、女性の裸が掲載されている雑誌は全てビニールカバーをして販売されており、良識を感じますが、日本でビニールカバーがされている本は、立ち読みをされやすい漫画本や雑誌であります。この現実を見ると、商売上の駆け引きだけで商品の評価をしており、外国人が批判するのも当然であります。
また、見た目は普通の少女コミックでありますが、中身は過激な性描写があり、とても小学生や中学生に見せられるような内容ではない少女コミックが、わざわざ小学生が買うような少女コミックのところに置いてあるところもあります。
最近の少年少女向けの漫画が大変過激なものになっているとは聞いておりましたが、その刺激の強さ、えげつなくリアルな描写に実際驚いております。
条例では、性交等のページ数が二十ページ以上あるもの、またはページ数の総数の十分の一以上を占めるものは有害図書とされておりますが、それ以下のものが多く、また、有害図書類の指定状況を見ると、ポルノコミックは除くものの、平成十四年度の百二十三冊から二十四年度には三十三冊へと大幅に減少しており、一見有害図書となるべきものが減少しているのかとも思われ、販売店等への注意喚起としては不十分ではないかと思われます。
有害図書の指定は、どのような考え方で、どのように行っているのか、また、有害図書浄化に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、県民生活部長にお伺いをし、壇上からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
- 7:◯警察本部長(木岡保雅君) 初めに、最近の少年犯罪の実態についてお答えをいたします。
本県において、窃盗などの犯罪を犯した刑法犯少年は、この十年間で見ますと、平成十八年の約七千二百人をピークにその後おおむね減少を続け、昨年は約三千七百人でピーク時の約五割となって、統計を取り始めた昭和二十六年以降、最も少なくなっております。
そうした中で、殺人や強盗などといった凶悪犯罪を犯す少年もおおむね減少傾向にありますが、非行歴のない少年がいきなり凶悪な犯罪を犯すといったケースも認められているところであります。
続いて、少年非行の防止、再非行防止の方策についてお答えをいたします。
少年非行の防止につきましては、議員お示しのとおり、警察のみならず、学校や地域を初めとした幅広い連携が重要と考えております。私どもといたしましては、これまでも各中学校区に学校警察等連絡協議会を設置し、連携を図ってまいりましたが、さらに一歩踏み込んだ情報共有や連携を強化するため、平成二十五年八月には名古屋市教育委員会と、昨年二月には愛知県教育委員会との間でそれぞれ学校警察連携制度に関する協定を締結し、その後、各警察署と各市町村教育委員会による協定の締結を進めております。
また、退職警察官をスクールサポーターとして三十五警察署に三十六人を配置し、管内の小中高等学校を巡回するなどして、少年の問題行動への対応や相談活動等を行っております。なお、来年度から一名を増員し、さらなる取り組みの強化を進めてまいります。
このほか、非行少年の再非行防止を図るため、就学、就労等の支援を行う立ち直り支援活動を初め、ボランティアの方々と連携した学習支援活動や農業体験活動、スポーツ活動など、多岐にわたる居場所づくり活動も行っております。
今後も関係機関と緊密に連携を図り、少年の非行防止、再非行防止に努めてまいりたいと考えております。
- 8:◯教育長(野村道朗君) 少年非行の防止、再非行防止に向けた連携の方策につきまして、教育委員会にもお尋ねをいただきました。
問題行動の低年齢化、深刻化、犯罪や触法に当たる非行の粗暴化は、学校が直面する生徒指導上の大きな課題でございまして、日常の教育活動を通じて基本的生活習慣の確立や規範意識の醸成を図ることはもとより、地域や家庭なども含めた関係機関の協力を得て連携を図りながら、健全育成活動を進めることが不可欠であると考えております。
そこで、本県におきましては、学識者を初め、学校や関係機関等の代表者で構成する愛知県生徒指導推進協議会を開催し、非行などの問題行動の防止に向けた関係機関との連携のあり方について協議を深めてきているところでございます。
本年度は、関係機関の専門性や役割を理解して連携することの重要性をまとめたリーフレットを作成し、各学校で効果的な連携を促していくことといたしております。
また、昨年度から、協定書の締結により教育委員会と警察との連携強化を図っておりまして、定期的に青少年の喫煙や深夜徘回等の情報交換なども行っているところでございます。
今後もこうした連携の取り組みを一層充実させ、地域全体で少年非行の防止、再非行防止に努めてまいりたいと考えております。
次に、入れ墨に関する中学校、高等学校での指導についてお尋ねをいただきました。
各学校では、常日ごろから、生徒が問題行動を起こさないように指導に努めているところでございますが、特に生徒の気持ちが緩みがちな長期休業前を捉えて、好奇心や周りからの誘いなどをきっかけに生活態度が乱れ、非行に陥ることのないように指導しております。
議員御指摘の入れ墨につきましては、思わぬ不利益をこうむるなど、将来に大きな影響を及ぼすことが心配されますので、青少年に入れ墨を施すことを禁止する条例の趣旨を踏まえまして、入れ墨を入れることがないよう指導してまいります。
- 9:◯県民生活部長(寺澤義則君) 青少年の健全育成に関しまして、私からは三点お答えを申し上げます。
まず、青少年の非行や困難を抱える子供、若者への支援に対する取り組みでございます。
近年、急速な少子化の進行や情報社会の進展、家庭や地域社会の変容など、子供、若者を取り巻く社会環境が大きく変化しており、非行問題や社会生活を円滑に営む上で困難を抱える子供、若者の問題は深刻な状況にあると認識をいたしております。
こうした問題に対処するためには、一つの専門機関だけではなく、さまざまな機関がネットワークを形成し、それぞれの専門性を生かしながら、発達段階に応じた支援を行っていくことが求められております。
現在、子ども・若者育成支援推進法に基づき、社会生活を営む上で困難を抱える三十歳代までの子供、若者を対象といたしまして、教育、福祉、保健、雇用など、さまざまな分野の公的機関や福祉団体、NPO等が参画し、総合的、効果的な支援を行います子ども・若者支援地域協議会が市町村において設置されるよう取り組んできております。
この地域協議会の場などにおきまして、御指摘のように、少年院経験者やニート、ひきこもり、不登校など、さまざまな経験者からみずからの経験を生かした助言をいただくことは大変有意義でございます。
このため、こうした人材やノウハウを持つNPO等に関する情報を市町村に提供しながら、地域協議会への参画も促しますなど、より充実した支援体制づくりが促進され、子供、若者に対し適切な支援が図られますよう、関係機関とも連携し、取り組みを進めてまいります。
次に、青少年の入れ墨に関してお答えを申し上げます。
本県では、平成十七年に青少年保護育成条例を改正し、何人も青少年に対して入れ墨を施すことを禁止するなど、青少年の入れ墨に関する規制を設けております。
条例改正当時は、暴力団や暴走族から青少年が容易に抜け出せないように入れ墨を施される事案が後を絶たなかったことがその背景にございました。
こうした当時の状況からの変化はございますものの、議員御指摘のとおり、最近では、安易にファッション感覚で入れ墨を施している状況も見受けられるようになっております。
したがいまして、こうした状況も踏まえ、このたびのJKビジネスに係ります条例改正の周知の機会も捉えながら、改めて入れ墨など青少年にとって有害な行為につきまして、しっかり周知を図ってまいります。
次に、有害図書類の指定の考え方や浄化に向けた取り組みについてでございます。
書店やコンビニなどの販売店等で青少年が容易に目にすることができる図書類につきましては、その内容によっては、青少年の心身の発達に多大な影響を及ぼすものがございます。
本県では、青少年保護育成条例により、多種多様な図書類のうち、著しく性的感情を刺激するもの、著しく残虐性を有するもの、あるいは自殺または犯罪を誘発するおそれがあるものにつきまして、書籍等ごと、個々に有害図書類に指定をいたしますとともに、議員の御質問にございましたように、例えばわいせつな内容が当該雑誌等の十分の一以上となるなど、一定の基準を超えるものを直ちに有害図書類と指定いたしまして、青少年への販売等を規制いたしております。
この指定につきましては、表現の自由などとの均衡を慎重に判断する必要がありますことから、青少年保護育成審議会の意見を伺っておるところでございます。
近年の有害図書類の指定状況でございますけれども、少女コミックなどの漫画も含めまして、わいせつな内容が基準を超えるものが多数でございまして、個々の指定は犯罪誘発のおそれのあるものなどでございます。件数自体は減少してきております。
こうした有害図書類を青少年が容易に見られないように、また、間違って買うことのないよう、書店やコンビニなどの販売店等に対しまして、例えば、ビニール袋で包装する、専用の区画を設けるなどの陳列方法も義務づけております。
また、その遵守状況を確認いたしますため、県職員や警察官が逐次抜き打ち的に立入調査を行っておりまして、昨年度は全販売店の三分の一に当たります約千四百店に対しまして実施をいたしております。
この調査の結果でございますけれども、おおむね適切に取り扱われておりましたけれども、区画方法が不十分であったり、陳列場所が誤っているなど、一部の販売店に対しましては、現場におきまして直ちに是正指導をしておるところでございます。
今後とも、立入調査を通した監視を行いますとともに、厳格な指導や規制内容の十分な周知を図ってまいりますけれども、最近では、有害図書類はもちろんのこと、青少年に不向きな図書類についても取り扱わないといたします自主的な取り組みの動きも広がってきているところでございまして、販売店等の関係者や団体と連携の上、こうした取り組みの拡大への働きかけも強めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 10:◯知事(大村秀章君) 青少年の健全育成につきまして、私からもお答えをいたします。
青少年問題は、その時代時代でさまざまな形となってあらわれておりまして、最近では、JKビジネスなどが大きな社会問題となっておりますことから、スピード感を持って対応することが重要であると考え、今議会に条例改正を提案させていただいたところでございます。大人が青少年を被害に巻き込んでいる現状には、引き続き毅然とした対応をしてまいります。
また、私を本部長とする青少年育成推進本部では、県の青少年施策を横断的に総合調整しながら、青少年の健やかな成長と自立へ向けた支援、困難を抱える子供、若者の支援などを柱といたしまして、幅広く事業を展開してきておりまして、引き続きこうした施策の一層の充実にしっかりと取り組んでまいります。
青少年の健全育成は、愛知の将来を左右する大変重要な問題であると認識をいたしておりまして、教育委員会、県警察、市町村、関係機関・団体と一層連携、協力をいたしまして、愛知の次の時代を担う人づくりにつなげてまいりたいと考えております。
- 11:◯議長(三浦孝司君) 進行いたします。
石井芳樹議員。
〔五十九番石井芳樹君登壇〕(拍手)
- 12:◯五十九番(石井芳樹君) それでは、順次二項目について質問をさせていただきます。
一項目め、あいちトリエンナーレ二〇一六についてであります。
過日、中根議員がトリエンナーレ二〇一六について質問をいたしましたので、私は、総論については省略をさせていただき、地元事情を含めた各論に特化して質問をさせていただきたいと思います。
今回、トリエンナーレ二〇一六の開催に当たり、就任した港芸術監督が掲げるテーマは、「虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅」であります。
港芸術監督は、就任記者会見の席上で、トリエンナーレを旅の経験に例え、芸術祭の主役は観客、全ての人がここに来てよかった、もう一度行きたいと思えるわくわくする、楽しい、驚きに満ちた創造的な旅を皆さんと一緒につくっていきたいと語っておりました。
旅のように各地域での特性を生かしたアートの展開を行うかどうかは今の段階ではわかりませんが、各地域の魅力を生かした現代芸術の展開は、前回から始められた岡崎会場での開催やモバイルトリエンナーレの開催により、来場者の芸術に対する関心を高めることとなり、アートを通じてそれぞれの地域の町並みや特性を多くの方々に知ってもらい、この地域の魅力を広く発信することに役立ったと思えるところであります。
ぜひとも今回もその地域の枠を一段と広げていただき、多くの方々に各地域の人と特性に触れる機会をつくっていただきたいと強く思うところであります。
ここで、これまでのあいちトリエンナーレ二〇一六の開催までの歩みを振り返ってみたいと思います。
昨年の四月から企画検討に入り、広報活動や地元文化芸術団体、地元芸術系大学、NPO、ボランティア団体等との連携・協働体制の仕組みの検討を行ってまいりました。七月には、選考委員会の開催を経て、あいちトリエンナーレ実行委員会運営会議で芸術監督を決定し、翌八月には、多摩美術大学美術学部教授で映像人類学を専門とされ、また、写真家で著述家でもあり、海外での国際美術展の経験も豊富な港千尋氏が就任をされました。十月には正式にテーマが決定をされ、その後、招聘アーティストへの打診を開始しているところであります。
その中、今月二十六日に行われる会議にて、会期、主要会場、企画推進体制を含めた展開概要が正式に決定をされると聞いております。決定後は、その展開概要に沿って具体的にさまざまな事業を検討していくこととなると思いますが、その決定の前に質問をさせていただいたのは、リニモ沿線施設を活用したトリエンナーレ事業展開をぜひとも考えてもらいたいからであります。
前回のトリエンナーレ二〇一三では、従来の名古屋市内の会場だけではなく、新たに岡崎市に三会場十五組のアーティストの出展がなされたことにより、八万人を超える来場者でにぎわいを見せました。
現代芸術は、正直わかりにくい分野であり、そして、文化としてはこの地に根づき始めたばかりのものであります。だからこそ、まだまだ芸文センターを初め、会場へ足を運ぶ来場者は限られている中で、各地域での会場を展開していくことは、余り興味のない人たちにとっても、人々の生活の中で何げに足を運び、見てもらえ、そして、興味を持ってもらえるきっかけづくりとなると思うところであります。
前回のトリエンナーレにおいても、モバイルトリエンナーレとして、尾張部では春日井市、知多市で開催がなされました。しかし、開催期間はそれぞれ四日間と限られた日数であり、また、岡崎会場の来場者全体の一三%を占めているのに比べ、モバイルトリエンナーレは全会場四カ所合わせても一・二%にしか及ばない数字となっております。
こうしたことから、ぜひ尾張部の皆さんにもあいちトリエンナーレの風を感じていただき、あわせてその経済効果を実感していただく展開が必要だと思うところであります。
先日の知事の答弁でも、前回の名古屋、岡崎会場に加え、豊橋市内でも新たに会場を設けるとのことでした。これは名古屋のみではなく、西三河、東三河の皆さんにも現代芸術に触れていただくすばらしい機会であり、大いに歓迎するところであります。
そして、今後は、その波をさらに広げていただき、尾張部においても常設の会場設置を考えていただきたいと思うところであります。
私の地元である名古屋東部丘陵地帯に位置をするリニモ沿線の地域は、数多くの芸術家を養成、輩出する愛知県立芸術大学があるほか、愛知県陶磁美術館を初めとする数々の文化施設が集積をしており、長年にわたり蓄積した多様な知識や経験、ノウハウを有する人的資産や物的資産が豊富に存在する地域であります。
例えば人的資産として、リニモ沿線では、先ほど触れた県芸大のほかに、県立大学を初め、愛知学院大学、愛知医大、愛知淑徳大学、名古屋外語大、愛知工業大、南山大、名古屋商科大、名古屋学芸大、椙山女学園大学を入れて十一の大学が集約された立地にあり、リニモ合同大学祭を含めたつながりを持って活動しております。これらの若い力の参画によって、これまでのトリエンナーレにない躍動的なものが生まれてくると感じるところであります。
また、物的資産においても、陶磁美術館のほかにさまざまな文化施設も立地をしております。県有施設としては、二つの県立大学を初め、知の拠点あいち、愛・地球博記念公園があり、長久手の施設としては、郷土資料館、文化の家、そして、その他の文化施設としては、トヨタ博物館、名都美術館を含めた九つの施設が立地をしております。
利用者人数を見ても、リニモは年間約七百万人の利用者が、愛・地球博記念公園では約百五十六万人、陶磁美術館で約十万人、トヨタ博物館で約二十四万人の利用者が毎年足を運んでいただいております。
これらの施設の持つ魅力と集客力を生かすことによって、さらなるトリエンナーレを知っていただく絶好の機会につながるものであると思うところであります。
あわせて、リニモを基軸に地下鉄、愛知環状鉄道を結ぶことによって、名古屋会場である芸文センターから鉄道を通じて岡崎会場まで一貫してあいちトリエンナーレを感じていただき、双方の会場から足を運んでいただく動線づくりにつながると思うところであります。
そして、もう一つ、県として考えていただきたいのが陶磁美術館の活用であります。
施設の詳細は割愛させていただき、その要諦だけ述べさせていただきますと、陶磁美術館が陶磁資料館と呼ばれていた平成十年度の入館者数は十二万七千人でありました。その後、減少傾向にあり、平成二十年度には約七万人とピーク時の約半分近くまで十年間で入館者数が激減をいたしました。
四年前、自民党の県議団での行革プロジェクトチームにおいても、各種の活性化施策を提言させていただいたところであります。その後、さまざまな事業展開を行う中で、平成二十三年度からは入館者数は十万人を超え、少し持ち直しの感はありますが、ピーク時のその数字を上回るには至っておりません。
また、経費的に見ても、平成二十五年度決算ベースで歳出として約三億七千万円に対して、入館者等で得られる使用料収益は約三千五百万円と一割にも満たない数字となっております。これは、ここ十年間の決算資料を見ても、割合として経常的に続いている数字であります。
あわせて、来年度は過去四年間交付をされていた全国の地方団体等の出捐により設立された一般社団法人地域創造の助成金が、あいちトリエンナーレ二〇一六の開催の影響によりトリエンナーレ関連事業に交付されることによって、陶磁美術館への交付がされないおそれがあると聞いております。
ここで思い起こさなければならないのは、トリエンナーレを所轄するのは県民生活部であり、陶磁美術館を所轄するのも同じ県民生活部であるということであります。
トリエンナーレは、芸術監督の意向を反映させなければならないことはわかっておりますが、しかしながら、これは税金を持って行う事業である以上、多額の一般財源を充てて運営する陶磁美術館が同じ部内にある中で、トリエンナーレ開催はもっと知恵を絞り、双方の活性化施策を考えていかなければならないと思うところであります。
二年後には、リニモ沿線に出店が予定されておるIKEAは、工夫を凝らして年間三百万人以上の来店者があります。聞くところによりますと、中でも、陶器を見に来る来店者が多いそうであります。
すなわち、仕掛けづくりによって衆目を集めることは可能であり、IKEAにある陶器も、陶磁美術館にある古美術も、トリエンナーレの現代芸術も、まずはきっかけをつくり、見てもらうことが肝要であり、これらをコラボすることは県民生活部として行わなければならない課題であると考えるところであります。
以上、るる述べさせていただきましたが、今月末にはトリエンナーレの展開概要が決定され、今後、事業内容が具体化されていく中で、ぜひとも名古屋の東部丘陵地帯に位置するリニモ沿線地域の文化施設や有益な人的資産の活用を図ってもらいたいということであります。
各文化施設が実施する特色のある事業との連携を図り、トリエンナーレを一緒になってつくり上げ、大いに盛り上げていけたらと感じるところであります。
そこで、質問に移らさせていただきます。
あいちトリエンナーレ二〇一六において、名古屋の東部丘陵地帯に位置するリニモ沿線に集積する文化施設やその人的資産を活用した取り組みをしていくお考えはあるのかお伺いをいたします。
二項目め、県立高校についてであります。
グローバル化や情報通信技術の進展、生産年齢人口の減少など、社会が急激に変化する中で、我が国の将来はますます見通すことが難しくなっております。
現在の子供たちが大人になる十年後、二十年後には、世の中の職業のあり方もさま変わりしていると言われており、そうした中で、これまでと同じ教育を続けていくだけでは、子供たちにこれからの時代に通用する力を育んでいくことはできないものと考えます。
先を見通すことが難しい、こうした時代においては、生涯を通じて学び、考え、想定外の事態もたくましく乗り越えながら、みずからの人生を力強く切り開くとともに、社会に貢献していく気概を持った人間を育成することが大切であります。
そのために、幅広い知識と教養に基づいて、みずから考え、行動する力、柔軟な思考力と的確な判断力、さらには、他者と協働しながら困難を克服していく力を身につけていくことが、今、学校教育に求められているのではないでしょうか。
昨年十二月に出された中央教育審議会の答申、新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革についてにおいても、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度を養うこと、その基盤となる知識、技能を活用して、みずから課題を発見して、その解決に向けて探求し、成果等を表現するために必要な思考力、判断力、表現力等の能力を育むこと、さらに、その基礎となる知識、技能を習得させることが高等学校教育に求められることとして掲げられているところであります。
さて、その中、本県の県立高校においても、既にこれらの時代に求められる力を身につけ、先進的な教育活動を実践している学校が幾つかあります。
例えば県立豊田東高等学校は、平成二十四年度にユネスコスクールに指定され、以来、持続可能な開発のための教育、いわゆるESDの研究に取り組んでおりますが、ESDを体系的に推進するために各教科等が連携をして、矢作川水系の自然調査や地域の商店街の活性化に取り組んだり、マレーシアへの修学旅行、オーストラリアの姉妹校との交流、海外からの高校生派遣団の受け入れなど、積極的に国際理解教育を推進したりするなど、持続可能な社会づくりに向けた実践的な教育活動を取り組んでおられます。
また、県立知立高等学校では、平成二十四年度から、普通科におけるキャリア教育のあり方についての研究を行い、学校独自のキャリア教育科目を教育課程の中に設けるとともに、体験的な、探求的な学習活動を通じて、自己の将来のあり方や生き方について考えさせたり、その成果を発表させたりすることにより、生徒にみずから課題を見つけ解決していく能力や、人間関係を形成する能力、あるいは自己のキャリアを形成する能力を育んでおります。
こうしたいわゆる答えのない課題に対して、生徒自身に主体的に考えさせる学びこそ、これからの高等学校教育が目指すべき方向ではないのでしょうか。
その中で、以前、私は、本県で最初に設置をされた総合学科高等学校である県立岩倉総合高等学校を視察したことがありましたが、校長先生から、一年次から三人一組の教員チームが一人一人の生徒と面談を繰り返し行うことにより、当初は漠然としていた生徒の興味、関心や進路希望が徐々に明確になっていき、将来を見据えた主体的な科目選択につながっている。このことが生徒のやる気を引き起こし、その結果、意欲的な学校生活を送ることができるとおっしゃっておりました。
現在、県内には、岩倉総合高等学校、先ほど例に挙げた豊田東高等学校を含めて、県立の総合学科の高等学校が九校ありますが、生徒が将来の生き方や進路を考えるキャリア教育に計画的に取り組むとともに、職業選択を視野に入れて科目選択を行うことで、学ぶことの楽しさや達成感を覚えながら、生き生きとした学生生活を送っていると聞いております。
実際、中途退学者の減少や、遅刻、服装など、基本的生活習慣の改善が目に見える形であらわれ、また、進学や就職面においても大きな成果を上げているとのことであります。
つい先週の、来年度の本県の公立高等学校の入学者選抜の志願者数を見ても、総合学科の平均志望倍率は二・二八倍で、普通科の平均志望倍率の一・九四倍を大きく上回っており、こうした中学生のニーズの高い総合学科はさらにふやしていくべきであると思います。
また、本県特有の課題としての取り組みも行っていかなければなりません。次世代を担う物づくり人材を初めとする産業人材の育成が掲げられます。
本県は、製造品出荷額全国一位を誇る物づくり県であります。高等学校では、これまでも職業教育等を通じ、工業分野に限らず、幅広い分野で本県産業を支える多くの人材を育成してきましたが、今後も本県が日本一の産業県としてさらなる発展をしていくためには、これまで産業現場で培われてきた技術、技能をしっかりと受け継ぎ、物づくり愛知を支える人材を育てていくことが期待されております。
既に、全ての県立工業高校でそれぞれの地元企業と連携をし、生徒が熟練技能者から直接指導を受け、実践的な技術、技能を習得することを目指す地域スキルアップ講座を行ったり、農業高校生が農業大学校において専門家から指導を受け、さまざまな農作業体験に取り組む緑の学園研修を行うなど、専門的な知識や技術を持つスペシャリストの育成に積極的に取り組んでいるところであります。
また、平成二十八年度には、本県工業教育の中核を担う愛知総合工科高校が開校される予定であり、次代の物づくりを支える中核校として、本科三年の課程に加え、二年課程の専攻科を設置して、長期間の企業実習を取り入れるなど、最先端の物づくり産業の第一線で活躍できる人材育成に取り組んでいるところであります。
しかしながら、第三次産業の拡大など、産業構造の変化や科学技術の高度化に伴い、社会のニーズは急速に変化してきております。冒頭にも申し上げましたように、これからの時代は次々と新しい仕事が生まれてくるとも言われております。
そこで、こうした変化に対応できる柔軟性と創造性に富んだ人材を各産業分野において育成していくことが必要であり、その意味において、高等学校における職業教育の果たすべき役割は今後ますます重要になってくるものであり、こうした課題を県として対応していくことが必要であります。
また、高等学校教育には、多様化が進む生徒のニーズに応えていくこともあわせて求められております。
その一つは、外国人労働者の長期滞在化、永住化に伴う日本語指導を必要とする外国人児童生徒が増加していることへの対応であります。
本県の公立学校では、日本語指導が必要な外国人児童生徒が約六千人在住しており、他の都道府県と比較して断トツの一位であります。こうした外国人生徒の受け入れ体制や入学後の学びを支援する体制の整備なども、本県特有の大きな課題の一つであります。
また、二つ目として、中学校時代に不登校であった生徒や高等学校を中途退学した生徒などへの対応であります。
平成二十六年度の学校基本調査によりますと、小中学校の不登校者数が六年ぶりに増加に転じました。特に、中学校での増加の幅が大きくなっており、不登校生徒への対応が課題となっております。
不登校の要因は、学校での友人関係をめぐる問題や、学校生活への不適応などさまざまですが、複雑な家庭の事情から子供が放任されるケースもあり、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門家を学校に配置し、相談体制を整備することが肝要であります。
また、平成二十九年度には、名古屋市内で昼間部に普通科、夜間部にものづくり科を設置する複数部制、単位制高校、いわゆるステップアップハイスクールの開設を目指していると聞いております。
不登校生徒や中途退学者の再チャレンジの場としての役割を期待されているところでありますが、自分のペースに合わせて学習することができる昼間定時制高校の人気は大変高く、こうした学校のさらなる開設を検討するなど、社会のニーズに十分に応えてほしいと思います。
以上、何点か申し上げましたが、高等学校への進学率が九八%に達する中で、高校生の興味、関心や進路希望等はますます多様化しております。
そして、高等学校が国民的教育機関となっているからこそ、高等学校教育の質の確保、向上は重要であり、子供たちが卒業後どのような進路を選ぶにしても、我が国の社会の形成者として、自立して生き抜いていく力を身につけさせていくことが高等学校教育に課せられた使命であると思います。
その意味において、本県高等学校教育を取り巻く諸課題を踏まえながら、今後の高等学校教育のあり方を常に考え、県立高等学校づくりを進めていかなければならないと考えます。
そこでお伺いをいたします。
教育委員会では、間もなく十年後を見据えたグランドデザインとなる県立高等学校教育推進基本計画を策定されると聞いておりますが、この基本計画で示される県立高等学校づくりのビジョンと、その実現に向けた今後の計画の進め方についてどのように考えていらっしゃいますか、教育長の御所見をお伺いいたします。
以上、二項目について質問をさせていただきました。明確な答弁を期待いたしまして、壇上からの質問を終わります。(拍手)
- 13:◯県民生活部長(寺澤義則君) あいちトリエンナーレ二〇一六についての御質問をいただきました。
名古屋の東部丘陵に位置しますリニモ沿線は、美術館、博物館、大学などの文化的施設が集まる地域でございます。
あいちトリエンナーレの認知度、発信力を高め、愛知に根づかせていくためにも、こうした地域の持つ有益な資産との連携は重要な取り組みであると考えております。
前回開催をいたしました二〇一三年のトリエンナーレにおきましては、トリエンナーレの開催時期と同じくして展開されました愛知県陶磁美術館や県立芸術大学の現代芸術展を並行企画事業として一体的かつ相互に広報連携いたしましたほか、愛知県児童総合センターとの連携による普及・教育プログラムの実施や、県立大学の行う企画事業との連携を図ったところでございます。
あいちトリエンナーレ二〇一六における展開の中でも、開幕一年前に開催をするプレ事業の一部を、モリコロパーク内にございます愛知県児童総合センターや愛知県陶磁美術館の事業と連携して開催することを検討いたしております。
このプレ事業でございますが、本年夏ごろに開催をする予定としておりまして、愛知県児童総合センターの行う事業の中で、トリエンナーレ二〇一六の出品作家によります作品展示などを検討いたしておりまして、また、陶磁美術館におきましても、出品作家によるワークショップの実施を考えております。
さらに、愛知県陶磁美術館においては、このプレ事業とはまた別に、トリエンナーレ普及・教育事業の一環といたしまして、瀬戸、地元瀬戸の大地から掘り出した土からトリエンナーレ二〇一六のテーマカラーでございますイエローオーカー、このイエローオーカーをつくり出すといったワークショップなども陶磁美術館との共催により本年八月に開催をしたいと考えております。
また、県立芸術大学には、トリエンナーレ二〇一六に出品する作家の作品制作サポートや普及・教育事業の支援をいただいたり、ネットワークを生かした広報協力をいただくなど、専門性を生かした支援をお願いしてまいります。
こうしたことも積み重ねながら、さまざまな主体との幅広い連携を図りますことにより、地域の文化芸術の魅力をより多くの方に広げる契機といたしますとともに、祝祭感にあふれ、にぎわいのあるトリエンナーレにしてまいりたいと考えております。
- 14:◯教育長(野村道朗君) 県立高等学校づくりのビジョンとその実現に向けた今後の進め方についてお尋ねをいただきました。
議員御指摘のように、本県がさらなる飛躍を遂げていくためには、変化の激しい社会をたくましく生き抜いていく力を備えた人材を育成していくことが重要であると考えております。
教育委員会では、こうした時代の要請に応じた県立高等学校づくりのあり方を考えるため、今年度、県立高等学校将来ビジョン検討会議を設けまして、一年間にわたって協議を行ってきたところでございます。
今月末には、この検討会議のまとめをもとに、今後十年先を見据えたグランドデザインとなる県立高等学校教育推進基本計画を策定、公表する予定といたしております。
この基本計画では、まずはグローバル社会をたくましく生きる高校生を育てていくために、国際理解教育やICT教育の一層の推進を掲げております。
また、産業立県愛知をさらに発展させていくためには、物づくりを初めとする本県のさまざまな分野の産業の担い手を育てていくことが必要でありますので、体系的なキャリア教育や産業界と連携した職業教育の一層の充実を図っていくことといたしております。
このほか、魅力ある学校づくりの基盤となる教員の指導力向上と、施設、設備の老朽化への対応を図っていくこと、さらには、多様化する生徒のニーズを踏まえ、総合学科の新たな設置や不登校を経験した生徒、日本語の力が十分身についていない外国人生徒等の学びを支援する体制の整備を進めていくことなどを盛り込んでまいります。
今後につきましては、この基本計画を着実に推進するために、計画期間を第一期と第二期に分けまして、実施計画を策定することといたしております。
当面は、来年度から平成三十一年度までの五カ年の学校づくりを第一期実施計画として本年中に取りまとめまして、国の教育改革の動向も注視しながら、時代のニーズに応える県立高等学校づくりを計画的に進めてまいりたいと、このように考えております。
- 15:◯五十九番(石井芳樹君) トリエンナーレについて、一点要望させていただきたいと思います。
先ほど部長の答弁で、リニモ沿線上、プレ事業を含めて行っていただけることは大変にうれしいところでありますが、ただ、二〇一三年の際でも陶磁資料館とコラボして行ったという御答弁をいただいたわけでありますが、結果的に見れば、その入館者数は飛躍的に上がっているわけではありません。やはりしっかりとその地へ腰をおろして展開をしてこそ、初めて私は浸透していくものであると思うところであります。
文化の意味は、カルチャーという言葉があります。そのカルチャーの語源はラテン語で、耕すとか生成するという意味であるそうでありますが、ある意味、何もない大地に何かちょっとマイナーチェンジをして種を植えたとしてもなかなか生育するのは難しい。根本的に意識を持って力強く土壌から改善をしていかなければそこに根づいていかないと私は思うところであります。
そういう意味では、決して尾張東部だけではなくて、仮に南部でも、北部でも、西部でも構わないんですが、そういう事業展開を各地で広げていただき、地域の、例えば名称であったり、名産であったり、文化、風習、風土と同化することによって、そしてまた、あわせて、地域のボランティアの人と協働することによって、他とは違う愛知ならではのトリエンナーレが生成するものであると私は思うところでありますので、ある意味、各地で事業展開を行っていただきますことを要望させていただきまして、終わります。
- 16:◯議長(三浦孝司君) 進行いたします。
加藤喜久江議員。
〔四十七番加藤喜久江君登壇〕(拍手)
- 17:◯四十七番(加藤喜久江君) おはようございます。
本日、三月九日、五十五年前、大村知事が誕生された日でもあります。誕生日、おめでとうございます。
では、質問を順次させていただきます。
愛知県の地域医療構想についてお尋ねいたします。
日本の社会は、今後、急速に高齢化が進み、団塊の世代が全て七十五歳以上となる二〇二五年には、人口の五人に一人が七十五歳以上、三人に一人が六十五歳以上となると推計されています。
愛知県における七十五歳以上の人口は、平成二十四年の七十二万人に対し、平成三十七年には百十七万人と推計されており、全国平均である一・四倍を上回る一・六倍に増加すると見込まれています。
こうした超高齢社会において、国民、県民の皆さんが医療や介護が必要な状態となっても、できる限り住みなれた地域で安心して生活を継続できるように、地域において医療提供体制及び地域包括ケアシステムの体制を構築し、医療や介護の確保を推進するために、昨年六月に医療介護総合確保推進法が公布されました。
この法律では、地域における医療提供体制や介護サービスの提供体制、医療と介護の連携、それらの実現に向けた県における事業及び基金など、多くの関連する事項について規定されていますが、本日は、そのうち、医療計画の一部であり、医療提供体制に関する将来のビジョンである地域医療構想についてお尋ねさせていただきます。
現在、国のほうで地域医療構想策定ガイドラインの検討会が開かれており、今年度中に策定されるガイドラインを踏まえ、愛知県でも来年度以降に地域医療構想を策定することとなります。
二〇二五年には高齢者の人口が増加することに伴い、患者さんの数も当然増加することが見込まれています。現在でも罹患率の高いがん、脳卒中、心筋梗塞などに対する患者さんの数がさらに増すことに加え、高齢者に多い病気、例えば肺炎や骨折、認知症などの患者さんの割合が現在よりふえることが予想されています。
さらに、高齢者が病気になると、同じように治療をしても若い人よりも回復が遅いため、急性期を越えた後にも回復期のリハビリテーションなどが必要な患者さんや、長期的な療養が必要となる慢性期の患者さんの数がふえることも予想されています。
二〇二五年以降、こうした超高齢社会の影響のため、患者さんの数がふえ、また、医療ニーズが多様化することが予想される一方で、地域における病院や診療所、また、医師や看護師などの医療資源には限りがあります。超高齢社会において増加し、多様化した全ての患者さんが病状に応じた適切な医療を受けることができるようにするためには、限られた地域の医療資源を効率的かつ効果的に活用し、地域において持続可能な医療提供体制を構築しなければなりません。
それが実現できなければ、愛知県の地域医療は超高齢社会の波にのまれ、特に救急医療は崩壊してしまう可能性があります。限られた地域の医療資源を効率的かつ効果的に活用するための方法として近年議論されてきたのは、医療の機能分化と連携、つまり、地域の病院や診療所がそれぞれの得意分野を生かして役割分担をして、連携し、病状の異なる全ての患者さんに最もふさわしい医療機関で適切な医療を提供していきましょうということでした。
昨年の医療法の改正により始まった病床機能報告制度は、全ての病院が自分の病院の持つ病棟ごとの医療機能、つまり、役割を都道府県に報告するというもので、医療機能、つまり、役割は高度急性期機能、急性期機能、回復期機能、慢性期機能の四つに分類されています。
現在の日本には、急性期機能を持つ病院がとても多く、地域において似たような急性期病院が複数あるということが指摘されています。
しかし、二〇二五年の超高齢社会においては、急性期の治療が必要な患者さんがふえるのに加えて、回復期や慢性期の治療が必要な患者さんもふえることが予想されているため、似たような機能の急性期病院しかない状態では、増加し、多様化する全ての患者さんに適切な医療を提供することができません。
そのため、超高齢社会となった二〇二五年の患者さんの数を推計し、また、その患者さんに必要な医療機能を持つ病床の必要量を推計し、病床機能報告制度により県に報告された地域にある各医療機能の病床数と比較し、もし地域において不足する医療機能がある場合には、それに対応できるように地域の病院が県や県民とともに皆で話し合い、現在の役割とは異なる役割に病床が転換することも含めて役割分担をしっかりして、地域の医療提供体制を整えていきましょうというのが地域医療構想だと思います。
例えば、将来推計の結果、地域によって回復期機能の病床が足りない一方、急性期機能の病床が過剰であるのであれば、急性期機能の病院から回復期の病院床へ転換することで、患者さんをこの地域で対応することができるようになると考えられます。
お店に例えるならば、現状では地域において似たような種類の商品を並べているスーパーマーケットがたくさんある状態ですが、将来増加し、多様化するお客さんに対応するために、スーパーマーケットのみではなく、総合デパートやコンビニ、個人専門商店など、機能の異なるお店を地域で整備していきましょうということだと思います。
また、役割分担をした分、自身の役割の機能がより強化されるという利点があると考えられますが、一方で、患者さんが急性期や回復期などに応じた医療を適切に受けるためには、役割分担の異なる病院同士で患者さんを適切にスムーズに紹介するなどの緊密な連携が必要となります。役割分担と連携をすることにより、地域の全ての患者さんに機能が強化された医療を適切に切れ目なく提供することができるようになると考えられます。
また、二〇二五年以降の超高齢社会において、高齢者となった県民の皆さんができる限り住みなれた地域で安心して暮らしていくためには、病院における医療提供体制の整備のみならず、在宅医療や介護サービスの整備も必要です。高齢となり、通院困難となっても地域のかかりつけの医者と相談しながら、できる限り住みなれた地域で療養できるというのが地域医療を考えた場合にあるべき姿であり、地域医療構想においても、地域における在宅医療の充実について目標を定め、実現に向けて施策を行っていく必要があると考えます。
在宅医療には、退院支援、日常の療養生活の支援、急変時の対応、みとりという四つの大きな機能が求められています。特に急変時の対応やみとりについては、二十四時間体制での対応が必要となる大変な医療機能でありますが、これらの機能を果たしてくれる在宅医療に取り組む医師、看護師などの人材確保や育成の支援を県としても行うことが必要であると考えます。
また、患者さんの急変時などにおいては、在宅医療を担う診療所や訪問看護ステーションをバックアップする病院との連携が必要であり、これらの体制整備を地域医療構想として行っていく必要があると考えます。その際には、介護サービスとあわせて、高齢者の生活圏域である市町村と連携し、また、県の中でも医療と介護がしっかり連携していく必要があります。
昨年の医療法の改正において、国民の責務が規定されました。国や県、また、医療機関は、それぞれの医療機関の役割分担や連携についての情報を国民に適切に提供することに努める一方で、国民も良質かつ適切な医療が効率的に提供されるよう、医療機関の役割分担や連携について理解を深め、医療を適切に受けるように努めなければならないとされています。
高齢者が急速にふえ、患者さんの数も急速にふえることが予測されている二〇二五年でも、愛知県の各地域においては、県民の皆さんに住んでいる地域の各医療機関の役割分担や在宅医療、介護サービスの情報が十分に提供され、県民の皆さんもそれを十分に理解していただき、一部の医療機関がパンクするなどということがなく、地域の全ての患者さんが適切な医療を受けられるよう、県、医療機関、県民の皆さんが一丸となって地域医療体制を整備、維持していくことが必要であると考えています。
団塊の世代が全て七十五歳以上となり、超高齢社会を迎える二〇二五年に向けて、医療機関の役割分担や連携、そして、在宅医療の推進などを柱とした地域医療構想の策定と実現が必要となると考えます。
ただし、言うはやすし、行うはがたしの言葉どおり、例えば医療機関が現在と異なる役割に転換すること、医療機関同士の連携や医療と介護の連携、在宅医療を担う人材の確保など、難しい課題もたくさんあると思います。
しかし、二〇二五年の超高齢社会に向けて、地域の全ての患者さんに適切な医療を提供するためには、県がリーダーシップをしっかりとり、医療機関や保険者、市町村、県民の皆さんとしっかり議論をした上で地域医療構想を策定し、さらにそれを医療機関や保険者、市町村、県民の皆さんとともに実現していかなければ、愛知県の救急医療は高齢化の波にのまれて崩壊してしまう可能性があります。
愛知県全体が一丸となり、オール愛知として地域医療構想の策定と実現を行い、二〇二五年の超高齢社会においても対応できる地域医療体制をつくり上げていきたいと考えています。
そこでお尋ねいたします。
愛知県においても、地域医療構想をどのように策定していかれるかお考えをお示しください。
次に、心の教育の充実についてお伺いします。
昨年十月、私は秋田県へ視察に行かせていただきました。同僚の東裕子議員と一緒です。たまたま一緒の色のスーツを着ております。
秋田県といえば、小中学生の全国学力・学習状況調査において、毎年全国トップクラスの好結果をおさめているところでございます。学力の向上を図るために、秋田県はどのような教育活動を行っているか、また、愛知県が参考にできることはないかを調査するため、秋田県教育委員会と秋田市内の小学校を訪ね、お話を伺いました。
秋田県では、学力の向上を図るために、全国学力・学習状況調査の結果を分析するだけではなく、県独自の学力調査も実施して、学力定着を図るシステムを構築しておられました。
また、小学校一年から四年、中学校一年から三年の三十人程度の学級編制に加え、小学校五年、六年の主要教科での少人数指導を実施するために県独自に教員を加配したりするなど、積極的に事業を展開されているとのことです。
本県は、小中学校数が秋田県の四倍もあります。一校当たりの児童生徒数も秋田県の二倍です。学校が置かれている状況は秋田県と大きく異なっておりますので、秋田県の取り組みがそのまま愛知県に当てはまるとは思いませんが、学ぶべきところが多いと感じたところです。
さて、訪問した小学校の校長先生より、秋田県の教育について説明を伺った折、とても印象に残る内容がありました。私は、全国学力・学習状況調査で秋田県が全国一位という好結果を残し続けている理由は、秋田県が取り組んでいる学力向上施策の結果だと思っておりました。しかしながら、校長先生は、多様な体験活動を推進したり、命、心、言葉をキーワードにした道徳教育の充実を積極的に図ったりするなど、心の教育の充実に係る内容について多くの時間を費やしていることが熱心なお話から伝わってまいりました。
地域の方々との触れ合いや規範意識の向上、基本的な生活習慣の定着など、子供たちの心を育む取り組みが、実は学力向上に結びついているというお話を伺い、秋田県が子供たちの心を育てるということを重点に置いて、県全体として取り組んでいることに驚くとともに感心した次第であります。
全国学力・学習状況調査の質問紙調査における結果を比較してみると、人の気持ちがわかる人間になりたいと思う、人の役に立つ人間になりたいと思うと答えた秋田県の小学生は九六%を超え、本県の小学生も同程度の結果でありました。
一方、自分にはよいところがあると思うと答えた秋田県の小学生は八三%、将来の夢や目標を持っていると答えた秋田県の小学生は九二%で、どちらも本県の小学生より五%以上高い結果でありました。
教育の世界では、知徳体のバランスのとれた子供の育成が重要だとよく言われます。訪問した小学校では、この知徳体の順番をあえて、徳体知と入れかえて校訓とし、教育活動の基盤としての心の教育を重視した取り組みが行われているのです。
私は、この小学校の、まず、心の教育を第一に推進する姿勢に大変感銘を受けました。
現在、我が国では、校内暴力の低年齢化やいじめ認知件数の多さなどの問題が大きな課題となっております。そこで、国では、道徳の教科化を初めとして、人としての基盤として心の教育の充実を図ろうとしています。
産業や経済で日本をリードする我が愛知県においても、今こそ子供たちが夢や活力にあふれ、人を大切にし、思いやる心を育んでいくなどの心の教育が子供たちの人格形成の基盤として大変重要であると考えています。
そこで、愛知の未来を担う子供たちの心の教育の充実を図るためにどのように取り組んでいかれるか、教育長の御所見をお伺いします。
続きまして、動物殺処分ゼロに向けた取り組みについてお尋ねいたします。
数年前、私は、民主党のかしわぐま光代議員が県議会一般質問において、地域猫活動について質問されるのをお聞きして、こういった活動があるのだ、猫を通じて地域の活性化につなげることができるのではないかと大変感銘を受けました。これをきっかけに動物愛護活動に興味を持つようになり、実際に地元で地域猫活動を行っている方や、そのほかにさまざまな活動、研究をされている方にもお話を伺って、その思いはどんどんと膨らんでまいりました。
しかしながら、現実に目を向けますと、野犬として捕獲されたり、迷い犬として保護されるものや、飼い主等からの引き取りによって、毎年たくさんの犬猫が愛知県動物保護管理センターに収容されております。保護された犬猫のうち、飼い主が判明した犬猫は返還され、また、新しい飼い主のもとへ譲渡されるものもありますが、その多くは悲しい運命が待ち受けているのが現実です。
愛知県では、平成二十五年度に殺処分された犬猫の頭数が、犬は七百七十頭、猫は八百四十頭の合計千六百十頭であります。ただし、これを十年前の数値と比較してみますと、平成十六年度の殺処分頭数は、犬猫合わせて九千八百二十七頭であり、実に一六・四%にまで減少させることができております。
また、全国に目を向けますと、平成二十五年度は犬二万八千五百七十頭、猫九万九千六百七十一頭の合わせて十二万八千二百四十一頭であり、平成十六年度の三十九万四千七百九十九頭に比べて三二・五%に減少しております。
このように、殺処分数は各自治体の取り組みにより年々減少傾向にありますが、やはり究極的な目的としては、殺処分ゼロということになろうかと考えます。
先般、私は、熊本市動物愛護センターを訪れました。そこでは女性の所長さんが説明をしてくださいまして、職員の方は基本的に動物を好きであるという方を中心に、行政では異動人事がありますが、ここでは異動させないで長年勤務し、取り組みをされておられること、動物たちが昼間は日光浴で外に出されて飼育、きれいな施設で、殺処分の設備もありました。しかし、近年は使用されておらず、病気やどうしても凶暴な犬については、麻酔薬で人の腕の中で一匹ずつ殺処分するという方法をとっておられるという事実を伺い、動物に対する尊厳死も含めて、命の大切さを教えられました。
熊本市は、全国に先駆け、平成十四年度から犬猫の殺処分ゼロを目標に掲げ、引き取り依頼者への説得の強化、譲渡事業の充実に取り組んできた結果、平成十六年度には犬猫合わせて千七十七頭であった殺処分頭数が、平成二十五年度には十三頭までに激減しております。
また、平成二十六年三月には、同センター内に動物愛護の普及啓発の情報発信拠点となる愛護棟を新設し、これまで以上にその取り組みを展開していくとのことです。
動物の愛護及び管理に関する法律により、各都道府県では動物愛護管理推進計画を策定することが義務づけられております。愛知県におかれましても、平成二十年度に策定し、昨年度にその内容を見直し、改定されたところです。
同計画において、殺処分の減少については数値目標を設定し、これを達成すべく、さまざまな施策に取り組んでいらっしゃることと思います。
熊本市のように、収容した動物のほとんどを譲渡するなどし、殺処分頭数をゼロに近づけることができている自治体もあります。それぞれの自治体にあってはそれぞれの事情があって、また、人口や動物の飼養頭数等も異なりますので、単純に比較することはできませんが、殺処分を減らしたい、ゼロに近づけていきたいという思いは、どの自治体においても同じであると思います。
そのためには、まず、熊本市のように譲渡事業を充実させていく必要があると考えます。
そこでお尋ねいたします。
愛知県におかれましても、動物殺処分ゼロに向けた取り組みとして譲渡事業に御尽力されていると思いますが、その状況についてお示しいただきたいと思います。
次に、殺処分ゼロに向けた新たな取り組みについてお尋ねいたします。
先ほども申し上げましたとおり、各自治体で殺処分を減らすためにさまざま取り組みが行われていることと思います。しかしながら、その取り組み内容については、譲渡事業に代表されるように、人の情けに頼らざるを得ない状況にあると考えます。したがって、現在行っている取り組み以外に新たなより効果的な取り組みを取り入れていく必要があると考えます。
近年、動物と触れ合い、心を癒やす、いわゆるアニマルセラピーと呼ばれる活動が注目されるようになってきました。
アニマルセラピーは、もともとは動物を介在させた治療行為として行われる動物介在療法のことを指しておりますが、我が国では、これに加えまして、福祉施設等を訪問し、動物と触れ合うことで精神的な癒やしの効果等を期待する動物介在活動及び小学校等で子供たちに命の大切さを学んでもらうための動物介在教育の三つを総称してアニマルセラピーと呼んでおります。
アニマルセラピーの中で最も長い歴史を持ち、欧米で最も一般的なものが、馬を使った乗馬療法、ホースセラピーであります。ドイツやスイスでは健康保険が適用されているほどで、古代ローマ帝国時代、戦争で傷ついた兵士のリハビリに乗馬が用いられたという説もあります。
アニマルセラピーの歴史は古く、一七九二年に設立されたイギリスの精神障害者施設で患者たちにウサギや鶏などの動物を飼育させ、自制心を身につけさせるという試みが記録されております。
海外では二百年以上も前からアニマルセラピーが始まっていたようですが、残念ながら、日本での認識はいまだ低いようです。
家庭でペットを飼うこともアニマルセラピーの一種と言えます。ペットを飼うことで、人の心と体によい影響を与えることが海外の研究者から報告されております。
その幾つかを紹介したいと思います。
ペットの世話をするという仕事をつくり、運動するための刺激となって、規則的な生活を促進する、高齢者の孤独感や疎外感、ストレスの軽減に役立ち、情緒的に支え、治療的に役立つ、ペットをなでることで心拍数や血圧が安定し、鎮静効果がある、ペットの飼い主は、通院回数、薬の使用頻度、高血圧、高コレステロール値、睡眠障害が少ないなどと報告されております。
また、アニマルセラピーによる医療費の削減についても興味深い報告がされております。
オーストラリア、メルボルン大学のヘッデイ博士らが、ドイツ、オーストラリア、中国の三カ国でペット飼育と人の健康に関する大規模な調査をいたしました。その結果によりますと、ペットを飼っている人は、飼っていない人に比べて、年間の通院回数が一五%から二〇%ほど少なく、さらにこれを実際の医療費に換算すると、数千億円もの医療費削減効果があったとしております。
さらに、北海学園大学が行った高齢者福祉施設におけるアニマルセラピー導入の医療費削減効果分析によりますと、動物介在療法を取り入れることにより、全国で年間千三百五十億円以上の医療費を削減できるとしております。
ぜひ我が国でもアニマルセラピーを積極的に取り入れていくべきと考えますが、実際にアニマルセラピー事業を行っている団体の方にお話を伺いますと、アニマルセラピーを広めていきたいが、アニマルセラピーに使用する動物、いわゆるセラピーアニマルの確保、育成が課題であるとのことです。
アメリカ・ワシントン州では、受刑者たちが捨てられていた犬を引き取り、介助犬に育て上げ、障害者のもとに送り出すという先進的なプログラムもあります。日本では、より身近な動物として犬が使われることが多いと思いますが、セラピーアニマルを育成するためには時間も労力もかかります。
先ほどの北海学園大学の研究報告では、動物介在療法を取り入れることにより、医療費の削減に加えて十九万頭以上の新たなセラピー犬の需要が発生するとも報告しております。
このように、アニマルセラピーを導入することは、人の心と体の健康によい影響を与えるだけではなく、かわいそうな運命の動物を減らしていく取り組みとしても活用できるのではないかと考えます。
そこでお尋ねいたします。
動物殺処分ゼロに向けた取り組みの一つとして、動物保護管理センターで収容した犬猫をセラピーアニマルとして使用することはできないでしょうか、お尋ねいたします。
以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
- 18:◯健康福祉部保健医療局長(加藤昌弘君) まず、地域医療構想につきまして、どのように策定していくかとの御質問にお答えをいたします。
急速な高齢化の進行に伴い、今後、医療ニーズが大幅に増加することが見込まれており、限られた医療資源の中、地域包括ケアシステムの構築と並んで、効率的で質の高い医療提供体制を整備していくことが必要であると考えております。
地域医療構想は、急性期や回復期など患者の病状に応じた病床が地域でどの程度必要かを明らかにするものであり、本県の医療提供体制の今後のあり方を示す極めて重要なものと認識をしております。
必要な病床数の算定は、国のガイドラインにおきまして、受診状況などの医療情報をもとに、人口構造の変化なども勘案した推計方法が示されることとされておりますが、県民の皆様が地域において必要な医療を適切に受けられる体制を確保するとの観点から、愛知県医療審議会におきまして十分御審議をいただきたいと考えております。
さらに、保健、医療、福祉の連携を図ることを目的として、二次医療圏ごとに設置をしております圏域保健医療福祉推進会議の場などを活用いたしまして、地域の医療関係者や市町村等の御意見もしっかりとお聞きをしてまいりたいと考えております。
なお、愛知県医師会を初めとする県内の医療関係団体とは、さまざまな機会を捉え、緊密に意見交換を行ってまいります。
いずれにいたしましても、地域医療構想の策定は初の試みでありますので、さまざまな医療データをもとにして、県民の皆様方に安心していただける医療提供体制をお示しすることができますよう、幅広く御議論いただきながら策定をしてまいりたいと考えております。
次に、動物殺処分ゼロに向けた取り組みについての御質問のうち、まず、犬猫の譲渡事業の状況についてでございます。
犬猫の譲渡事業につきましては、動物保護管理センター本所及び三支所の合わせて四カ所で実施をしております。事業の内容といたしましては、譲渡を希望する県民の方に事前に予約をしていただき、犬のしつけ方や猫の飼育方法等について講習や指導を行った上で譲渡する個別譲渡、老齢であったり、性格に問題があるなど一般の方では飼育が困難と思われる犬猫を動物愛護ボランティア団体に譲渡する団体譲渡、土日を中心に日時を指定して開催する譲渡会の三つを実施しております。
実績といたしましては、平成二十五年度におきまして、個別譲渡は四百二十六名の方に、団体譲渡は十八団体に譲渡するとともに、譲渡会を二十七回開催し、犬猫合わせて六百四十九頭の譲渡を行っております。
次に、動物保護管理センターで収容した犬猫をセラピーアニマルとして使用することについてでございます。
本県といたしましては、平成十四年度から、アニマルセラピーの一つである動物介在活動に取り組むボランティア団体を支援する事業を行っております。これは、犬のしつけ方について専門知識や技術を有する動物保護管理センターの職員が、収容した成犬の中からセラピーアニマルとしての素質を持つと判定した犬について高度なしつけ、訓練を行い、支援犬と称してボランティア団体への譲渡を行うものでございます。
なお、猫につきましては、能力的にしつけが難しいことから事業の対象とはしておりません。
実績といたしましては、平成二十六年十二月までの約十年間で、二十五頭の支援犬を八つのボランティア団体へ譲渡いたしました。
また、結果的にセラピーアニマルには向かないと判定した犬についても、優良な家庭犬として譲渡することができ、犬の殺処分の減少につながることから、今後ともこれらの取り組みを推進してまいりたいと考えております。
なお、犬猫の殺処分を減らすためには、引き取り頭数を少なくすることも重要でありますことから、今後とも県民の皆様に対し、動物の愛護及び管理に関する法律に定める終生飼養の責務についてを周知徹底し、一頭でも多くの犬猫の命を救うことができるよう努めてまいります。
以上でございます。
- 19:◯教育長(野村道朗君) 心の教育の充実について御質問いただきました。
議員御指摘のとおり、子供たちが生涯にわたり生きる力を育み成長を続けていくためには、確かな学力とともに、正義や公正さを重んじる心や他人を思いやる心、美しいものや自然に感動する心など、豊かな心を育むことが大変重要でございます。このため、各学校におきましては、道徳の授業はもとより、学校教育活動全体を通して心の教育を推進していくことが求められていると考えております。
こうした考えから、県教育委員会といたしましては、これまで毎年、県内の小中学校二十校を道徳教育の研究校に指定し、討論を取り入れた道徳の授業で社会性を育んだり、地域の方の指導を得ながら栽培活動を行う中で、感謝する気持ちを高めたりするなどの活動に研究的に取り組んでいただいております。
そして、こうした取り組みにつきましては、各市町村の道徳教育の推進役を担う教師を対象にした研修会で紹介をし、県全体の道徳教育の向上に努めているところでございます。
また、学校における心の教育を効果的に進めるためには、家庭や地域との連携は不可欠でございます。そこで、多くの人とかかわる機会を設けたり、人の役に立つ喜びを実感させたりすることの大切さなどを示したリーフレットを県内の小中学校に配付し、PTA総会やホームページで家庭や地域にも発信していただくよう呼びかけ、社会全体で心の教育に取り組む機運の醸成に努めております。
今後は、研究校に幼稚園を加え、発達の段階に応じたより系統的な指導についての研究を進めるなど、子供たちの心の教育のさらなる充実に努めてまいりたいと考えております。
- 20:◯四十七番(加藤喜久江君) それぞれ真摯なる回答をいただき、感謝申し上げます。
本日のテーマは、誰もが関心を持ち、自分の立場に置きかえて、どんな事象も過去を許し、未来を見詰め、今を生きる営みにより、目の前の問題点をみんなで考えていけば、社会は楽しい日々を送ることができると確信いたします。
私の議員生活四年間は、大村知事初め、各党の議員、理事者の皆様、愛知県議会にかかわる全ての皆様にお育ていただきましたこと、無事に議員生活を送ることができましたことを心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
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- 21:◯三十八番(原よしのぶ君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 22:◯議長(三浦孝司君) 原よしのぶ議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 23:◯議長(三浦孝司君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時四十八分休憩
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午後一時十分開議
- 24:◯副議長(伊藤勝人君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
市川英男議員。
〔三十番市川英男君登壇〕(拍手)
- 25:◯三十番(市川英男君) それでは、通告に従い、順次質問をしてまいります。
初めに、国の交付金を活用した地域消費の喚起についてお伺いをいたします。
平成二十七年二月三日に可決成立した国の平成二十六年度補正予算において、地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金が盛り込まれました。この交付金は、昨年末に閣議決定された地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策に対応したもので、地域の消費を喚起する地域消費喚起・生活支援型の交付金と、地方版まち・ひと・しごと総合戦略の策定及び仕事づくりなど、地方の活性化につながる事業を支援する地方創生先行型の交付金と二つのタイプがございます。交付を受けた地方公共団体が地域の実情に合わせて事業を設計し、実施できるのが特徴となっております。
このうち、前者の地域消費喚起・生活支援型の交付金については、国からプレミアムつき商品券や旅行券などを発行する事業が活用例として示されております。これは御案内のとおり、販売金額に一定のプレミアム、つまり、割り増し分がついている券でありまして、例えば商品券であれば額面一万二千円の商品券が一万円で販売される場合、購入した消費者がその商品券を使って二千円分お得に買い物ができるものです。このような割り増し分がついた商品券などを発行することで、商品、サービスの購入価格の実質的な低下につなげ、このことを呼び水にして地域における個人消費を喚起しようというのが狙いです。
さて、内閣府が発表した平成二十六年十月から十二月期の国内総生産(GDP)の一次速報値によれば、昨年四月の消費税増税以降、マイナスが続いていた実質成長率が〇・六%増と初めてプラスに転じました。しかしながら、個人消費は〇・三%増と依然として低い水準で伸び悩んでおります。このタイミングで個人消費を喚起し、アベノミクスの恩恵を広く県民や事業者の皆様に行き渡らせるためには、この交付金を有効に活用することが肝要だと考えます。
本県の二月補正予算案においても、この交付金を活用し、ふるさと名物商品の割引やプレミアムつき商品券の発行支援、プレミアムつき宿泊券の発行などを通じて消費を喚起する事業、総額二十六億五千万円余りが盛り込まれました。
そこで、まず、観光を通じた消費喚起についてお伺いいたします。
地域の消費喚起を行うに当たって観光に注目することは、大変的を射た効果的な取り組みだと考えます。というのも、観光は県外からの観光客を誘致することで本県外からの消費を呼び込める上、産業の裾野が広く、運輸業や宿泊業、旅行サービス業などにとどまらず、食料品産業や飲食店業、小売業、農林水産業など、広い範囲に経済波及効果をもたらすためです。
観光庁の発表によれば、平成二十四年全国の旅行消費額は二十二・五兆円だったのに対し、その生産波及効果は四十六・七兆円にも達しております。また、これによる雇用誘発効果は三百九十九万人と、全国の就業者数の六・二%を占めるほどの効果をもたらしたとの調査結果もございます。
折しも昨年末、知事は、ことし二〇一五年をあいち観光元年とすることを宣言され、その中で、観光集客を物づくりに加えて本県の新たな戦略産業と位置づける旨、表明されました。このタイミングで地域消費喚起・生活支援型の交付金を活用した観光集客を行い、観光消費の喚起を図ることは、時宜を捉えた有効な取り組みだと考えます。
そこで、プレミアムつき宿泊券などを発行する観光消費喚起事業について、どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
また、消費喚起については、県外から消費を呼び込むだだけでなく、地元の消費喚起を行うことも大変重要であると考えます。そこで、地域の消費喚起策としてのプレミアムつき商品券の発行支援についてお伺いします。
プレミアムつき商品券発行事業は、いろいろと呼び名はございますが、既に幾つかの市町村で取り組まれておりまして、私の地元春日井市でも、平成二十五、二十六年度と続けて、はっぴーサボテン商品券と銘打ったプレミアムつき商品券を発行しております。今年度発行した五億円分の商品券は完売し、市民から大変好評を得ております。
この商品券は、一冊を中小小売店のみ利用可能な専用券と大型店を含む取扱店全店で使える共通券とのセットとして販売しており、商店街を初めとする中小小売店の振興にも配慮されたものとなっております。
今般、県内の市町村においては、消費喚起に効果の高いものとして、国が交付金の活用例に掲げるプレミアムつき商品券発行事業を実施されるものと思いますが、こうした地域の消費喚起を図る取り組みには、市町村のみならず県も積極的に関与すべきだと考えます。
そこで、市町村が行うプレミアムつき商品券発行の取り組みに対して、県としてどのように支援していくのかお伺いをいたします。
次に、障害者の芸術活動についてお伺いいたします。
平成五年に改正施行された障害者基本法の基本理念として、障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他のあらゆる分野の活動に参加する機会を与えられる旨が規定されて以来、我が国の障害保健福祉施策は、全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個人を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指して進められてきました。
障害者基本法に基づき策定されている国の障害者基本計画におきましても、障害及び障害者に関する理解促進や、障害者の自立及び社会参加の促進が位置づけられております。
障害のある方の社会参加を促進するには、特別支援教育や就労支援の充実はもちろんのこと、障害者スポーツの振興など、生活を豊かにするための取り組みも求められます。
そうした取り組みの一つとして、私は、障害のある方々もさまざまな芸術活動に参加していただくことが目指すべき共生社会の実現に一定の役割を果たすのではないかと考えているところであります。障害のある方が芸術活動に取り組まれ、御自身の気持ちを絵や形として表現し、展覧の場に出品しようと考えていただくことは、地域社会での活動の場を広げることにつながります。
そして、障害のある方が制作した芸術作品からは、私は、心の内部から湧き出るものを感じ、引きつけられます。障害のある方に芸術活動に取り組んでいただき、その作品を鑑賞する機会を数多く設け、多くの方々に作品に触れていただくことは、障害への理解を広げる一助となるものと考えます。
本県におきましても、平成二十二年度から平成二十四年度までの三年間、県内の障害者が制作した絵画や陶芸などの作品を募集し、展示するハートフルアート展を開催されました。今年度から新たに、障害者アート展(あいちアール・ブリュット展)など実施し、障害のある方の社会参加と自立を促進するとともに、広く県民の皆様方に鑑賞していただき、障害への理解を深めていただくため、障害のある方の芸術活動への参加促進に取り組んでおられます。
このフランス語のアール・ブリュットという言葉は、障害のある人の作品をあらわす言葉として普及しつつあるものであります。日本語では、生(ナマ)の芸術、あるいは生をキと読んで、生(キ)の芸術と訳され、美術の専門的な教育を受けていない人が内面から湧き上がる衝動のままに表現した芸術を示すものであり、私が障害のある方が制作した作品に感じる部分は、まさにこのところであります。
また、本年一月九日には、平成二十八年度の第十六回障害者芸術・文化祭の開催地が愛知県に決定されたところであります。平成二十八年には、三回目となる現代アートの国際芸術祭、あいちトリエンナーレ二〇一六が開催されます。そして、昨年一一月には、国民の各種の文化活動に全国的な規模で発表する場を提供する第三十一回国民文化祭の本県での開催が内定しているところであります。
この障害者芸術・文化祭の開催もあわせ、平成二十八年には、最新の現代アートから県内各地域で保存、継承されてきた伝統文化や障害者アートまで、多くの皆さんに鑑賞していただける機会となるものと期待しております。
障害者芸術・文化祭は、平成十三年度に第一回が大阪府で開催されて以来、毎年度開催されているものであり、厚生労働省、開催地都道府県、開催地市町村、障害者関係団体等の共催により開催し、その代表は都道府県となります。平成二十七年度には鹿児島県で開催されることが決まっております。
本県におきましても、全国規模で開催される障害者芸術・文化祭を契機に、障害者の芸術活動への参加がより一層促進されることを期待するものであります。
そこでお尋ねをいたします。
障害者の芸術活動についてのこれまでの取り組み結果と、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
最後の質問項目でございます。
小中学校における特別支援教育の推進についてお伺いいたします。
文部科学省の調査によりますと、義務教育段階の児童生徒数は減少しているにもかかわらず、小中学校の特別支援学級に在籍しているお子さん、また、通級による指導を受けているお子さんなど、特別支援教育の対象となる子供は年々増加しています。
本県においても、今年度小中学校に二千五百六十の特別支援学級が設置され、九千六十三人の児童生徒が在籍しており、平成十六年度からこの十年間で学級数は一・七倍、児童生徒数は一・八倍にふえていると聞いております。
私の地元である春日井市においても、今年度五十三校ある小中学校に特別支援学級は八十六学級あり、年々学級数はふえていますが、その一方で、特別支援学級へ入ることを希望しても、居住地の学校には自分の障害に合う特別支援学級がないので困っているといった声も聞かれています。
このことから、小学校で原則二人以上、中学校では原則三人以上の希望者がいる場合に特別支援学級を新設するというこれまでの基準を、来年度から小学校においては一人でも希望者がいれば新設が可能になるよう基準を改善すると聞いています。
本人や保護者としては、住まいのある地元の学校に通いたい、通わせたいというのが共通する願いであろうと思いますので、今回の基準の見直しは大変喜ばしいことであります。この先、中学校においても、子供たちが地元の特別支援学級に通うことができるようにお願いしたいと考えています。
また、特別支援学級がふえれば、当然のことですが、担当する先生もふえることになります。特別支援学級は、障害の種類ごとに少人数で編制されるため、子供にとっては一人一人に合わせてきめ細かな支援や指導をしてもらえるわけですが、例えば、今まで特別支援学級を経験したことのない先生が突然その担任となった場合、困ることはないだろうかと心配になります。
一方で、平成二十四年の文部科学省の調査によりますと、通常の学級に発達障害の可能性のある特別な支援を必要とする児童生徒が推計で六・五%程度の割合で在籍しているとされています。通常の学級に在籍する発達障害を含む障害のある児童生徒に対しては、各教科などの授業は通常の学級で行い、障害の状態に応じた特別な指導を特別な指導の場で行うため、通級指導教室が設置されています。
本県では、十年前に比べると通級指導の教室数は約四倍、対象児童生徒数は五・六倍にふえており、今年度は二百四十九教室で三千七百十三人の児童生徒が指導を受けています。
しかしながら、通級指導教室は年々増加しているものの、ニーズの高まりに対して十分な状況とは言えず、学校現場などからもさらなる増設を望む声を伺っております。それとあわせて、通級指導を担当する教員の専門性が重要であることは特別支援学級と同様であります。そして、通級指導を受ける子供たちはより多くの時間を通常の学級で学んでおりますので、その間、通常の学級でもそれぞれの障害に応じた適切な配慮が必要であることは言うまでもありません。
さらには、通常の学級には通級による指導を受けていないけれど、支援が必要な子供たちがいると思いますが、そうした子供にもしっかりと目を向ける必要があることを見逃してはなりません。
さて、昨年一月には、障害者の権利に関する条約が我が国においても批准され、誰もが互いに人格と個性を尊重し、支え合い、人々の多様なあり方を認め合える全員参加型の社会、いわゆる共生社会を目指した取り組みがより一層求められることになりました。
この条約の批准に先立って、国の中央教育審議会においても、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進について報告がなされ、改めて特別支援教育の重要性がうたわれているところであります。
その一節には、すべての教員は、特別支援教育に関する一定の知識・技能を有していることが求められる、特に発達障害に関する一定の知識・技能は、発達障害の可能性のある児童生徒の多くが通常の学級に在籍していることから必須であるとされています。特別支援教育を推進していくためには、施設や設備などいわゆるハードの整備も大切でありますが、特別支援学級の担任や通級指導教室の担当者を初め、全ての教員の専門性の向上が大変重要であると私も考えております。
先ほども申し上げましたように、特別支援学級や通級指導教室だけでも一万人を優に超える数の子供たちの教育を担う小中学校の役割には大変大きなものがあり、特別支援教育のより一層の充実が期待されるところであります。
こうした現状を踏まえ、小中学校における特別支援教育の推進について、全ての教員の特別支援教育に関する専門性の向上を初め、どのように取り組んでいかれるのか、教育長にお伺いいたします。
以上をもちまして、私の壇上からの質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
- 26:◯産業労働部長(小山和久君) 国の交付金を活用した地域消費の喚起についてお答えいたします。
観光消費喚起事業については、今後、詳細を国と調整してまいりますが、プレミアムつき旅行券の発行や旅行会社を通じた宿泊費の助成など、複数のメニューを用意し、主として県外や海外からの観光客を誘致して、本県内の観光消費を喚起していきたいと考えております。
このうち、プレミアムつき旅行券につきましては、今回の交付金の直接的な効果を宿泊施設のみならず、関連業界にも広く波及させるため、観光施設入場料、飲食、お土産購入など、宿泊以外の観光消費の機会でも利用できるようにしたいというふうに考えております。
事業実施に当たりましては、産業観光や武将観光、なごやめしなど、本県が有する観光資源の魅力をしっかりPRし、多くの方々に御来県いただけるように工夫してまいりたいと考えております。
次に、市町村が国の交付金を活用して行う消費喚起の取り組みへの支援についてお答えいたします。
プレミアムつき商品券の発行は、地域における個人消費を喚起するための重要な取り組みとして、国の交付金を受け、県内の全ての市町村が取り組みを進めていくものと承知をしております。
県といたしましても、市町村が行うプレミアムつき商品券発行事業を補完、支援し、消費喚起効果をより確かなものとしていくため、プレミアムつき商品券の発行規模を拡大することを目的として、国の交付金に加え、県からも交付金の交付を行うこととしております。
あわせて、プレミアムつき商品券の発行実績がない県内市町村も多いことから、この円滑、迅速な事業実施に向け、必要な情報の提供や適正な事業執行に対する助言など、側面的な支援もしっかり行ってまいりたいと考えております。
市町村に対するこれらの支援を通じ、さらなる地元消費の拡大と地域経済の活性化を図ってまいります。
- 27:◯健康福祉部長(伊藤輝明君) 私からは、障害者の芸術活動についてお答えをいたします。
本県では、従来から多くの障害者関係団体による作品展や絵画展が開催されるなど、芸術活動を通じた社会参加の促進の取り組みが行われておりまして、県としても、知事賞の交付や後援を行うことでその取り組みを支援してまいりました。
平成二十二年度からは、県主催でハートフルアート展を開催し、県内在住在勤の方から広く募集した作品を展示し、多くの県民の皆様に鑑賞していただいたところでございます。
さらに、今年度は、より多くの障害のある方々に芸術活動に参加していただくとともに、県民の皆様に障害への理解を深めていただくことを目的として、新たに障害者芸術活動参加促進事業を実施したところでございます。
具体的には、あいちアール・ブリュット展と銘打った障害者アート展を開催し、応募された作品全てを展示しますとともに、すぐれた作品を展示する優秀作品特別展並びに、芸術大学の教員等が障害者入所支援施設の利用者に指導を行う芸術活動支援事業を実施いたしました。
昨年秋に開催しましたあいちアール・ブリュット展では、八百三十五点もの多くの御応募をいただきました。その中から選考された優秀作品三十三点を改めて展示するとともに、その制作者に知事から賞状を授与する優秀作品特別展を三月三日から昨日の八日まで開催し、多くの県民の皆様に御来場いただきました。
また、障害者入所支援施設五カ所で実施をした芸術活動支援事業では、利用者の方々から、ぜひ今後も作品制作に取り組みたいと声をいただいております。芸術活動への参加促進に効果があったものと考えております。
こうした中、議員御指摘のように、本年一月には、平成二十八年度の第十六回障害者芸術・文化祭を愛知県で開催することが決定いたしました。
今後も、障害のある方の社会参加と障害に対する理解を促進するため、引き続き障害者芸術活動参加促進事業などの取り組みを地道に実施しますとともに、障害者芸術・文化祭の開催も契機として、より多くの方々が気軽に芸術活動へ参加していただけるよう、市町村や障害者関係団体と連携をしながら、しっかりと取り組んでまいります。
以上でございます。
- 28:◯教育長(野村道朗君) 小中学校における特別支援教育の推進についてお尋ねをいただきました。
議員御指摘のとおり、小中学校におきましても障害のある児童生徒が多く在籍していることから、教員の特別支援教育に関する専門性を高めることが大変重要であると認識をいたしております。このため、特別支援学級や通級の担当教員はもとより、管理職や特別支援教育コーディネーターなど、さまざまな立場や役割に応じた研修を実施しているところでございます。
今後は、特別支援学級担当教員のリーダーを養成するための研修を新たに実施するなど、引き続き研修を充実させていきたいと考えております。
あわせて、通常の学級担任につきましても、発達障害等に関する研修により多くの教員の参加を促すとともに、発達障害等の児童生徒に対する適切な指導、支援のあり方についての研究成果を県内に広く周知し、通常の学級担任の指導力向上を図ってまいります。
また、来年度から小学校の特別支援学級を希望者が一人でも新設できるようにするとともに、通級指導教室の増設にも努めているところであり、今後も引き続き子供たちの学習環境の充実に努めてまいりたいと、このように考えております。
- 29:◯知事(大村秀章君) 市川議員の質問のうち、障害者の芸術活動に関しまして私からもお答えを申し上げます。
障害のある方に芸術活動に参加していただくことは、社会参加の機会を拡大するとともに、県民の皆様に障害に対する理解を深めていただく上でも大変意義あるものだと考えております。
昨日まで愛知芸術文化センターで開催をしておりましたあいちアール・ブリュット優秀作品特別展では、優秀作品三十三名の方々全員に私から直接表彰をさせていただきました。いずれもすばらしい作品、力作ばかりでありまして、改めて感動いたしました。
平成二十八年度の第十六回障害者芸術・文化祭につきましては、あいちトリエンナーレ二〇一六に引き続きまして国民文化祭があり、その後で障害者芸術・文化祭を開催ということで、平成二十八年は、夏から秋にかけまして、現代アートから日本の伝統文化、そして、障害者アートまで、芸術、アートの年にしてまいりたいと考えております。
そして、何よりも障害のある方の社会参加と障害に対する理解を促進する絶好の機会となるよう、県民の皆様に御協力をいただきながら、愛知らしい障害者芸術・文化祭を開催してまいりたいと考えております。
そして、私の重点政策集におきましても、障害者アートの推進を掲げておりまして、今後とも障害のある方の芸術活動の推進にしっかりと取り組んでまいります。
- 30:◯副議長(伊藤勝人君) 進行いたします。
杉浦孝成議員。
〔七十四番杉浦孝成君登壇〕(拍手)
- 31:◯七十四番(杉浦孝成君) これで最後です。
それでは、環境政策についてお伺いをします。本県の環境政策について伺います。
二十一世紀は、環境の世紀と言われております。これは、世界的な人口増加の、また、経済の産業発展に伴う森林伐採、石油鉱物資源の過剰消費や海洋資源の乱獲などにより地球温暖化は進み、生物多様性や生態系は崩れ、地球環境問題は待ったなしの危機的状況と認識をしております。
この地球環境問題が世界で認識されたのは、一九七二年、アメリカの環境学者デニス・メドウス氏がローマクラブで発表した「成長の限界」が最初で、大変大きな反響を呼びました。それ以降、地球環境問題が世界的な議論になりました。
また、一九九二年、リオで行われた国連地球サミットでは、持続可能な開発が中心的な議題となり、気候変動枠組条約、CO2の削減、生物多様性条約、生態系の保全、環境教育の推進等、環境と開発に関するリオ宣言、アジェンダ21などが具体的に示されました。その後、二〇〇二年、持続可能な開発に関する世界首脳会議、ヨハネスブルグサミットが開催され、時の小泉総理大臣から持続可能な開発における人材の育成の重要性が強調され、持続可能な開発のための教育の十年が提唱され、これを受け、第五十七回国連総会決議により、二〇〇五年から二〇一四年までの十年間を国連ESDの十年、DESDとしてユネスコが主導機関として指名されました。
現在、世界には、環境問題だけではなく、貧困、人権、テロ、食料、開発といった地球規模の課題があります。持続可能な開発は、技術革新や政策的な枠組み、また、財政的なインセンティブだけでは達成できません。人々の思考、行動、様式の変更が必要です。
ESDとは、地球に存在する人間も含めた命ある生命が遠い未来までその営みを続けていくために、これからの課題をみずからの問題と捉え、一人一人が自分にできることを考え、行動し、実践していくことです。
日本は、ことし戦後七十年の節目を迎えました。戦後の日本は、平和憲法を基軸として豊かさを求め、世界に誇る経済発展をし、平和社会を築いてまいりました。
しかし、環境政策では大変大きな痛恨の経験もいたしました。一九五〇年から七〇年、経済優先の政策によって多くの公害を発生させました。四大公害病と言われた有機水銀による熊本、新潟の水俣病、カドミウム汚染の富山イタイイタイ病、四日市ぜんそくなど、悲惨な公害被害が発生し、スモッグ、コンビナートの大気汚染、海、川、湖の汚濁など、過去の教訓を忘れてはなりません。
現在でも、アスベストの問題、東日本大震災による福島原発の放射能汚染、温室効果ガスの大量排出などの問題は大変深刻です。地球温暖化対策、生物多様性の保全など、行政に任せる、また、企業に任せるだけでなく、みずからの問題として捉えていくことが大切であります。
本県は、平成九年、愛知県環境基本計画を策定以来、地球温暖化防止戦略、自動車環境戦略、生物多様性戦略などを策定し、環境政策に取り組んでいます。昨年五月に策定した第四次愛知県環境基本計画では、県民みんなで未来へつなぐ環境首都あいちを掲げ、本県は経済活動と環境対策の両面により、調和のとれた安全で快適な社会の実現を目指しています。
国連ESDの十年が始まった二〇〇五年には、自然の叡智をテーマとした愛知万博が開催され、二千二百万人を超える入場者があり、持続可能な社会の実現に貢献する国際博覧会として大成功をおさめました。この成功の背景には、多くのボランティアやNPOの方々が活躍したことにあります。また、県民の皆様の高い環境意識にもつながっていると考えます。
二〇一〇年、本県は、生物多様性条約第十回締約国会議(COP10)が開催されました。百七十九の締約国と国際機関、NGO、民間企業約一万三千人が参加し、遺伝資源の利用で生じた利益の公正、衡平な配分などに関する名古屋議定書の採択、森林保全、陸域、海域の保全について、実行力のある数値を盛り込んだ愛知目標(愛知ターゲット)が採択されました。
そして、昨年十一月、持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議が愛知・名古屋で開催されました。世界会議では、百五十の国と地域から七十六名の閣僚級を初め、政府代表、研究者など千名以上の関係者が参加し、国連ESDの十年の活動の成果と課題を協議し、二〇一五年以降の対策を推進していくグローバル・アクション・プログラムが発表されました。
このプログラムに示された指標に基づき、会議宣言として、ESDのさらなる強化、拡大のための緊急行動を求めるあいち・なごや宣言が採択されました。ESDあいち・なごや子ども会議では、六十五校百二十一名が参加し、ESDとは、未来を考えて、行動することです、みんながESDの主人公です、未来に向かって、ESDに取り組んでいきましょうと宣言がありました。
本県は、生活環境改善の認識と自然環境保護の意識は非常に高いものと思っています。私の地元高浜市では、「思いやり 支え合い 手と手をつなぐ 大家族たかはま」を合い言葉にまちづくりに取り組んでおり、その理念を実践するため、毎年六月と十一月の日曜日を市民一斉清掃の日として清掃活動をし、また、平成二十年、高浜市みんなでまちをきれいにしよう条例を制定し、環境美化指導員・推進員を育成し、清掃美化、また、清掃活動に努めています。
さらに、平成二十二年度より、まちづくりパートナーシップ事業として市民予算枠を設け、登録した団体、また、NPOにより、海岸清掃や干潟の生き物調査、油ヶ淵水系、稗田川の清掃や草刈り、川の水質調査、植栽など、市民の皆さんと一体となった活動を行っています。市長や私も毎週これに参加し、大変忙しいです。
これらの活動に参加しているNPOやボランティア団体の皆さんは、地域への思い、郷土愛も強く、こうした活動の担い手を育んでいき、さらに活動の場を広げていきたいと意欲的に取り組んでおみえになります。このような活動は、高浜市だけではなく県内の多くの市町村が展開していると思っています。
環境首都あいちの確立に向けて、愛知万博、COP10、ESDといった国際会議やイベントの開催で高まった県民の皆さんの活動をより発展させ、ESDの理念を継承する人づくりを進めていく必要があると考えております。
そこでお伺いします。
本県では、今後の環境政策推進の原動力となる環境首都あいちを担う人づくりについて、どのように進めていくのかお伺いをいたします。
次に、三河湾の環境と再生について伺います。
知事は、二月定例会の提案説明で、水産業については、日本一のアサリ漁業の振興のため、干潟、浅場の造成を進めるとともに、魚礁漁場を整備するなど、引き続き漁業の振興を図ってまいります、また、環境首都あいち確立の中で、三河湾環境再生プロジェクトについては、NPO、企業、業界団体、教育関係など、さまざまな主体から成る三河湾環境再生パートナーシップ・クラブを設置し、取り組みを充実してまいりますと発言されました。
本県は、先ほど申し上げました愛知万博、COP10、ESDの開催を経て、環境意識の高い県でありますが、海の環境についての認識は少し薄いのではと思っています。
これは、戦後の経済復興による港湾建設において、航路や泊地が多く形成され、多くの海岸が埋め立てられ、砂浜が失われ、海が遠くなったのが要因ではと考えています。
私の住む高浜市の海岸は衣ヶ浦と呼ばれ、昭和三十一年に衣浦大橋が完成しました。私の家はこの衣浦大橋の近くで、子供の当時、目の前に干潟が広がり、その海岸は、私たちの遊び場、憩いの場でした。小学生だった当時、私は、仲間と時間があればゴカイを掘り、朝な夕な竹ざおを持って魚釣りをした思い出があります。冬には、カキやノリをとり、春には潮干狩り、夏にはこの海で泳ぎ、エビやカニをとり、真っ黒になって遊びました。日が沈む夕なぎは海面が赤く染まり、水鳥が鳴き、小船が行き通う光景は、幼いころの憧憬として今でも記憶に残っています。やがて、私たちの憩い場、釣り場であったこのような海岸も埋め立てられました。子供心にも本当に残念な気持ちだったことを覚えています。
この地域には、半田の広大な乙川干潟、碧南の新須磨海岸、玉津浦海岸がありましたが、重要港湾衣浦港としての開発が進み、干潟、浅場の多くが工業地帯、住宅地へと変貌していきました。
現在、本県の海岸は、三河湾、伊勢湾、遠州灘に面し、海岸延長は五百九十八キロメートル、うち自然海岸の延長は三十七キロメートル、六%となっています。三河湾は、水域面積六百四平方キロ、平均水深九メートルと浅く、干潟面積十四平方キロ、浅場面積二百八十九平方キロの閉鎖性海域となっています。戦後、開発により干潟面積千二百六十ヘクタール、浅場千四百八十ヘクタール、合計二千七百四十ヘクタールが開発のため埋め立てられたと言われています。
豊穣の海として四季を通し海の恵みによる多くの漁獲と海の景観、自然環境が保たれていた三河湾、経済成長の必要性により海岸は埋め立てが進み、工場、港湾、宅地が形成されました。それによって、陸域からの負荷の増大や干潟、浅場が消失されることにより、一九七〇年代に入ると赤潮、貧酸素水塊が三河湾を覆うようになりました。毎年発生する赤潮や貧酸素水塊などによる被害は深刻で、ノリの色落ちや魚介類のへい死が海面漁業に大きな損害を与えています。
国や県の農林水産部、建設部によって、中山水道航路のしゅんせつ砂などを活用した干潟・浅場再生事業が進み、現在六百ヘクタール以上が再生されたと伺っておりますが、まだ三河湾再生にはほど遠いのが現状だと推察をいたします。
干潟、浅場は、川の上流から多くの土砂や有機物が流れ、堆積した地帯です。この海岸、海域は、アサリとか二枚貝、巻き貝、ゴカイなど海底生物が繁殖をし、ノリ、アマモ等海藻類が光合成を行い、酸素をつくり、魚の産卵場所、稚魚、カニなどの貴重な生息域として、豊かで多様な生態系があります。
しかし、都市化による生活排水の増大、農業の化学肥料の使用により窒素、リンが大量流入し、汽水海域では富栄養化が進み、植物性プランクトンが異常に大発生する赤潮になります。赤潮は、植物性プランクトンの異常発生によって起こります。プランクトンは毒性のものもあり、魚のエラに付着すると魚が死んでしまいます。
また、プランクトンは大量に酸素を消費するため、酸欠状態になります。生き物や魚が生息できなくなってしまいます。また、大量に発生したプランクトンの死骸が海底で分解されるときにも大量に酸素を使うため、酸欠状態になった貧酸素水海域ができます。この海域が海流や強い風によって広がります。これはいわゆる青潮、苦潮と言われる酸欠によると言われております。酸欠によって魚は大量にへい死し、魚が全くとれなくなることもあります。
現在、三河湾では、毎年、赤潮、貧酸素水塊が発生しますが、その対策として蒲郡の県水産試験場では、干潟・浅場再生の研究、取り組みが行われていると認識をしております。
しかし、現在の干潟、浅場の再生には、材料となる砂の不足があり、現在、海底のしゅんせつ土、ダム砂、川の堆積砂など、活用が検討されており、その材料の確保は今後の課題であると伺っています。
私は、干潟、浅場の再生により、三河湾の赤潮、貧酸素の海域はもっと改善されるのではと考えています。蒲郡、水産試験場の今後の取り組みに期待したいと思います。
話を変えますが、海の環境再生を考えるには、山、川、海の関係も大変重要であります。
二〇一〇年の第三十回全国豊かな海づくり大会が岐阜県で開催されました。参加された議員の皆さんもこの中におみえになると思います。この大会は、海のない県で初めての開催となりましたが、この岐阜県大会の意義は、水源となる山の森林が豊かな海づくりをするメッセージがあります。
森林は、光合成によって二酸化炭素を吸収し、酸素をつくりますが、広葉樹の森は、肥沃な腐葉土をつくり、森の豊かな生態系の活動により、有機物、鉄、ミネラルなど、栄養豊富な水を川、海に運びます。
岐阜県の森の涵養が清流となり、伊勢湾の豊かな海の環境を形成します。森の生態系は海の生態系と深くかかわり、つながっています。自然は全てが関係し、お互いに補完していることを忘れてはいけません。
水は、山間地を経て川となり、河川流域では潤いのある環境を形成し、飲料水、農業用水、工業用水として活用され、最終的には海に流れます。水の環境を守るには、広葉樹の森を育て、農業では化学肥料を減らし、流入を抑え、都市では生活排水による川の汚染を減少させるなど、多くの課題があります。
三河湾には、豊川水系による六条干潟、矢作川水系による一色干潟、境川・猿渡川水系には衣浦湾の干潟などがあります。流域ごとに状況は異なりますが、例えば一色干潟全体の生物による懸濁物除去能力は、一日九百八十八キログラム、約一トンとされています。これは、処理水量としては七万五千八百トン、また、処理人口としては十万人規模の処理能力を有する公共下水道処理施設の浄化機能に匹敵をします。
また、三河湾の漁業は、上流から流れ込む栄養をもとに育った魚類、アサリ、ノリなどを漁獲しますが、漁獲した貝類、魚類、ノリなどを人が食べることにより、窒素、リンなどを陸揚げすることにより、漁業の振興は結果として海の環境保全にもつながっています。
干潟、浅場は、海の資源を育て、陸域からの懸濁物を除去し、海水を浄化し、環境再生に欠くことのできない重要な役割を果たしています。
昨年、伊勢湾、三河湾の富栄養化による赤潮発生頻度は二十八件、赤潮発生延べ日数は約二百三十日ほどで、この十年での平均に比べ発生件数は減少しているものの、延べ日数では増加しています。この数年、赤潮の発生件数は増減を繰り返していると報告を受けています。
先ほど申し上げましたが、三河湾の干潟、浅場は、海の環境を改善する多様な生態系があり、強い浄化機能も有しております。衣ヶ浦に面した私どもの高浜海岸にも一部干潟を形成する海岸が残っていますが、ヘドロが堆積し、ゴカイさえ生息できない環境になってしまいました。
浅場の泥をしゅんせつし、新たな砂を覆砂すれば再生するかもしれません。本県が進める公共下水道事業が進み、海の環境が少しでも改善されることを願っています。
三月のこの時期は、県下の海岸では潮干狩りの季節を迎え、多くの観光客でにぎわいます。しかし、アサリはまだとれますが、トリガイ、アカガイ、シャコ、エビ類など、浅場の海底生物は激減しています。ハマグリは絶滅危惧種に指定されました。
三河湾は、人間の経済活動、人の生活の豊かさによって汚染されました。雨が降れば大量のごみが陸域から海域に流れ込みます。私も月一回、海岸清掃のボランティア活動に参加しますが、本当にたくさんのごみや漂流物が集まります。手の届かない浅場の海底はもっと汚れていると思います。人の手で汚れた海は、人の手で里海として再生する義務があると思います。海の環境を維持し、後世に残していくには、みんなが環境を守る主人公とのESDの精神が必要になります。海の環境改善に取り組む漁業者を初め、熱意ある多くのボランティア、団体の方々もふえていると認識をしています。
そこで伺います。
三河湾環境再生プロジェクトでは、これまで多くのNPO、学生、市民団体が参加して、「よみがえれ!生きものの里“三河湾”」と銘打って、里海である三河湾の再生に取り組んでこられましたが、環境首都あいちを掲げる愛知県として、今後どのように三河湾環境再生プロジェクトを進めていくのかお伺いをいたします。
終わります。(拍手)
- 32:◯環境部長(杉浦健二君) まず、環境首都あいちを担う人づくりについてお答えします。
本県では、愛知万博やCOP10、ESDユネスコ世界会議をきっかけとして、NPO、大学、企業などさまざまな主体により、環境をテーマにした人づくりにつながる活動が活発に展開されており、県といたしましても、より多くの県民の皆様が参加され、その活動の輪が一層大きく広がるように取り組んでまいりたいと考えております。
このため、そうしたさまざまな主体が活動の情報を投稿して発信したり、情報交流できるウエブサイト、エコリンクあいちを昨年七月から一部開設し、ことし一月末から全面公開しておりますが、これまでに一万六千件以上のアクセスをいただいております。
また、県内には、地球環境問題やリサイクル、水環境、自然観察など、幅広いテーマで学ぶことができる施設が県や市町村、企業などにより設置されておりますので、そうした施設を多くの県民の皆様に御活用いただけるよう、百五十一の施設が参加した愛知環境学習施設等連絡協議会、通称AELネットを組織しております。
平成二十五年度からは、AELネット環境学習スタンプラリー講座を初め、昨年度は延べ約五千人、今年度は延べ約四万五千人と参加者は大きくふえております。
そして、ことし二月には、ESDユネスコ世界会議の盛り上がりを生かして、NPO、企業、大学などに出展いただき、地球に優しい環境配慮行動を県民の皆様に呼びかけるLet,sエコアクション in AICHIを開催し、二万人を超える皆様に御参加いただきました。
このように、県内に大きく広がりつつある環境活動をさらに促進していくため、来年度も引き続きNPO、企業、大学など多様な主体と連携、協働して、より多くの県民の皆様に御参加いただけるよう努めながら、活動情報の発信、環境学習の推進、イベントの開催などを通して、環境首都あいちの担い手となる人づくりに取り組んでまいります。
次に、三河湾環境再生プロジェクトについてお答えします。
このプロジェクトにつきましては、昨年度、学識者等で構成する三河湾環境再生プロジェクト推進委員会におきまして、行動計画を取りまとめていただいたところでございます。その中では、多くの人々に三河湾に関心を持ってもらうことと、干潟・浅場・藻場の保全、造成を行うことの二つが目標として掲げられており、この目標に向けて各種取り組みを進めていくこととしております。
このうち、まず、三河湾への関心を高める取り組みとしましては、NPO、企業、市町等とともに、三河湾を楽しく知っていただける企画を盛り込んだ三河湾大感謝祭を今年度初めて開催したほか、大型ショッピングセンターにおけるPR活動、干潟観察会などを行ってまいりましたが、来年度は、こうした取り組みをさらに発展、定着させていくことを目指して、新たに三河湾環境再生パートナーシップ・クラブ(仮称)を設置することとしております。
このパートナーシップ・クラブは、今年度の三河湾大感謝祭に出展、参加をいただいたNPO、企業、各種団体、学校、市町を中心に設立し、その後、より多くの団体に参加を呼びかけてまいりたいと考えております。
また、次代を担う子供たちに恵みの海、三河湾を体感していただけるよう、県立三谷水産高校の実習船、愛知丸による学習会を開催するほか、引き続き、あいち森と緑づくり税を活用したNPOによる海の生き物観察会等の活動支援を行ってまいります。
次に、干潟、浅場、藻場につきましては、庁内連絡会議におきまして、関係部局間で造成事業の進捗に関する情報交換を行っていくとともに、国の関係機関とも調整しながら、その保全や造成を推進してまいります。
このほか、引き続き、工場、事業場の排水規制や下水道、浄化槽等の生活排水処理設備の整備を進めまして、きれいで豊かな親しめる三河湾を目指して取り組んでまいります。
- 33:◯知事(大村秀章君) 杉浦議員の質問の中で、環境首都あいちを担う人づくりにつきまして、私からもお答えをいたします。
昨年のESDユネスコ世界会議では、閉会会合で愛知の子供たちのメッセージや、併催イベントで大学生や高校生の発表がESDを大きく盛り上げ、世界会議の成功につながったものと考えております。
こうした若い世代の人たちが環境問題などに熱心に取り組んでいることは大変心強く感じているところでございますが、大学生などからは、もっと学び、学生同士のつながりを強化したいといった声を聞いております。
このため、こうした若い世代の意欲を生かし、活動や交流の輪を広げるリーダーとなる人材の育成を目指し、来年度、学生を対象に環境面における先進的な取り組みを学び、成果を発表するリーダー育成講座を開催いたします。
さらに、ほの国東三河においても、豊かな自然環境を保全、再生する活動の中心となる人材をフィールドワークなどにより育ててまいります。
また、三河湾環境再生プロジェクトでは、三河湾大感謝祭や干潟観察会などに多くの学生や子供たちに参加をいただいておりますが、来年度設置をいたします三河湾環境再生パートナーシップ・クラブ(仮称)にも若い世代の参加を呼びかけ、三河湾の環境再生を担う人づくりにつなげてまいりたいと考えております。
このように、次代を担う若者を中心に、未来の愛知の担い手となる人づくりを進め、環境首都あいちの確立を目指してまいります。
- 34:◯七十四番(杉浦孝成君) それぞれお答えをいただきました。
今回、環境問題、とりわけ三河湾の再生のための取り組みについてお伺いしたわけでありますけれども、質問の中にも申し上げましたように、戦後三河湾は本当に汚れてしまっているんです。このままいくと再生できないかもしれないぐらい汚れているんです。これで三河湾は再生できますか。環境部だけではできないでしょう。農林水産部も建設部も全てが関係して、環境政策を前に進めていかなければ、とても三河湾は再生しないと思っております。
最も閉鎖性な海だけに、かかわるのに、また、再生するのに最もいい、いいというのは、再生が目に見える地帯だと思っておりますので、ぜひこの部分も含めてしっかりと今後取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。
以上です。
- 35:◯副議長(伊藤勝人君) 以上で一般質問を終結いたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第四 第六十一号議案平成二十六年度愛知県一般会
計補正予算から第七十九号議案損害賠償の額の
決定及び和解についてまで及び諮問第一号退職
手当支給制限処分に係る異議申立てに関する諮
問について
- 36:◯副議長(伊藤勝人君) 次に、第六十一号議案平成二十六年度愛知県一般会計補正予算から第七十九号議案損害賠償の額の決定及び和解についてまで及び諮問第一号退職手当支給制限処分に係る異議申立てに関する諮問についてを一括議題として、これに対する質問を許します。
通告により質問を許可いたします。
小山たすく議員。
- 37:◯三十四番(小山たすく君) 第七十九号議案損害賠償の額の決定及び和解について質問をいたします。
この議案につきましては、県からの説明も裁判所から和解勧告があったので、それに応じるということ以外の説明はなされておりませんし、内容や経緯についても、十三億八千六百万円という和解金の金額以外は知らされておりません。これほど大きな金額の和解にもかかわらず、また、一審で県が敗訴し控訴したにもかかわらず、一転和解に応じるその理由さえも説明されないというのは、十三億八千六百万円もの県費を支払う議案の対応として、そして、県税を納める県民に対する説明責任として不十分ではないかと思います。
今回議案となっている裁判については、平成二十二年十二月、春日井市内に産業廃棄物処理施設の建設を予定していた企業が、操業前の試運転中に実施された行政検査の結果が県の改善命令に違反するとの理由で、県から施設の設置許可の取り消し処分を受けたことに対し、その改善命令と取り消し処分は違法であるとの損害賠償の支払いを求めた事案であります。
これに対し、昨年三月十三日、名古屋地方裁判所において、県に十二億三千万円余りの支払いを命じる県側敗訴の判決が下されました。私も判決当日に判決文の全文を読みましたが、まず驚いたことは、主な争点でことごとく県の主張が退けられていることとその理由であります。
このうちの幾つかを判決文から抜粋して御紹介をしますと、例えば、行政検査をめぐる主要な争点である排ガスの一酸化炭素濃度の測定方法については、県が基準値を超過していたと主張していることに対し、県がこの施設の検査のときのみ他の施設とは異なる検査結果の取り扱いをしており、仮に通常、他の施設で行われている検査と同様の取り扱いをしていたのであれば、数値は基準値内におさまっていたこと、あるいはにおいの臭気検査については、環境省の告示に基づき行うべきところを異なる方法で行ったことに加え、においを判定する人間を取り違えるという初歩的なミスを犯していたことや、臭気判定の専門機関がサンプルをとった当日に約十五分間で検査を終えているのに対し、県はサンプル採取の翌日に検査を開始し、検査に五時間三十分も要したこと、加えて検査結果が専門機関の結果と大きく乖離していたことなどから、適正な手順や手法によって測定されたものということはできず、明らかに判定を誤ったと認められると指摘されております。
また、焼却炉の燃焼度を確認するための検査では、本来複数の職員で測定結果の確認を行うべきところを一人で行い、一定割合を差し引いて計算するところをその処理を忘れ、計算ミスによって実際の数値を大幅に上回る検査結果を報告したことや、専門機関が同じ試料を用いて検査を行った結果、基準の範囲内であったことなどであります。
また、争点となっている法令の解釈についても、県は、改善命令の根拠法である廃棄物処理法の規定について、技術基準及び維持管理計画に適合しないおそれがある場合にも改善命令をすることができると解釈しているのに対し、判決では、維持管理計画等に適合しないと認めるときに改善命令を発することができるとし、適合しないというおそれがあるだけでは処分要件を満たすものではないことは明らかであると指摘されています。
加えて、改善命令によって命じられている内容が基準を超えない項目までを改善の対象としていることに対し、改善命令は必要な改善を命じるものでなければならないとし、本件改善命令は改善の必要のない検査項目にまで改善を命じている点において、社会通念に照らし、著しく妥当性を欠くものと言わなければならないとしていました。
さらに、先ほど申し上げた検査や処分の不備について、原告側から何度も問題点の指摘を受けたにもかかわらず、それを精査することなく改善命令を出したとし、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく、漫然と本件改善命令をしたものと言わざるを得ないと厳しく指摘されております。
一般に続審である控訴審においては、新たな証拠などが出されない限り、一審で相当な時間をかけて争った事実認定を覆すことは困難であると言われておりますが、県は、控訴理由書で、原判決には多くの事実誤認、恣意的で不公正な評価や認定、技術的な理解不足が含まれているとし、一審判決の見解についても、法が到底容認するところではない、廃棄物処理法の規定に正面から抵触する見解と言わざるを得ないなどと述べております。
つまり、県として控訴審において事実認定を覆すに足る十分な根拠を持っているということであり、一審判決をこのまま看過すれば、県の環境行政にとって著しい弊害が生じるおそれがあるからこそ控訴に及んだと思われます。
そこで伺います。
一審判決では、県の主張がことごとく退けられるという厳しい判決が下され、県としても中身を十分精査されたことと思います。その上で控訴をした理由をまずお伺いいたします。
また、一転して和解に応じた理由と、和解に応じるということは、相手の主張を受け入れ、一審判決で指摘されたことを県としても認めるということでいいのか、そして、県の手続に瑕疵があったと考えているのかお尋ねをいたします。
次に、賠償額について伺います。
今回の和解金は十三億八千六百万円と極めて高額であります。一審判決の賠償額が十二億三千万円でありますので、賠償額より約一億五千六百万円高い和解金額になっております。ここに賠償金の遅延損害金利息年五%、約六千百五十万円を現在まで加算した約二億六千二百万円の利息と合わせると約十四億九千百五十万円になります。
つまり、この金額と和解金との差額約一億円が結果として安くなるということでありますが、これはあくまで利息についてであり、相手方の求めていた損害賠償については、一審判決でも明らかなように、別件裁判で重複しているものなどを除いて、ほぼ満額が認められているということは押さえておかなければならないと思います。
そこで伺います。
今回のように県が敗訴、あるいは和解をした事例で支払った最も高額な賠償はどのような事例で、賠償額は幾らかお答えください。
また、今回の和解金は、本来適正な手続がとられていれば払う必要のない金額であります。新年度予算においても、各部局で必要な事業がありながらも、厳しい財政事情によって思うように予算が確保できず苦労されていることと思います。そうした中にあって、この十三億八千六百万円という金額は大変大きな支出であります。加えて、裁判によって手続の不備が認められている以上、組織としての責任の所在を明らかにしなくてはならないと思います。
最後に、この件について、県の責任についてどう考えているのかお伺いし、質問を終わります。
- 38:◯環境部長(杉浦健二君) 初めに、控訴した理由についてお答えいたします。
昨年三月の一審判決では、許可の取り消し処分を違法とした理由として二つの点を判示しておりました。
一点目は、平成二十年十月に県が行った二回目の行政検査につきまして、検査の結果、基準を超過したとされた一酸化炭素濃度、敷地境界の騒音値及び臭気指数は、測定した場所に問題があるなど、いずれも適正な方法によって測定、算出されたものということはできないこと、二点目は、同年十二月の改善命令の適法性について、改善命令は具体的な項目が基準に適合しないと認めるときに行うことができるのであって、基準に適合しないおそれがあるというだけでは廃棄物処理法の命令発出要件を欠くというものであります。
県といたしましては、行政検査は公的に定められた測定方法により適正に実施しており、数値超過の事実に誤りはないこと、また、改善命令についても、法解釈について慎重に検討した上で具体的に改善すべき項目を明示して発出しており、適法であると考えていたところでございます。
さらに、こうした法に定められた手続を得て行った取り消し処分は、廃棄物の適正な処理を確保することにより、地域の生活環境の保全を図る廃棄物処理法の趣旨に忠実に従った帰結であり、適法なものであると考えておりましたことから、廃棄物処理行政に対する信頼を確保するためにも控訴し、争う必要があると判断したものでございます。
次に、和解に応じることとした理由と相手方の主張を県としても認めるのか、手続に瑕疵があったと考えているのかについてお答えいたします。
控訴審におきましては、争点となりました行政検査や改善命令に関する事実認定や法解釈について、弁論や証拠の提出、証言などにより取り消し処分が適法であったことを丁寧に主張、立証してまいりました。
具体的には、まず、行政検査につきましては、公的に定められた測定方法により適切に行ったことを実際の測定記録紙や検査を行った職員の陳述書を証拠として提出するなどにより立証をいたしました。
また、改善命令につきましては、原告が施設の管理不備により二度の事故を起こし、さらに二回の行政検査で異なる検査項目の基準を超過させたため、適正な維持管理が行われるか否かを総合的に確認、点検する必要があると判断し、全ての項目を基準に適合させるため発したもので、地域の生活環境の保全を図る廃棄物処理法の目的を踏まえ、適正に行ったものであることを主張いたしました。
しかし、裁判所からは、この改善命令につきまして、改善不要な検査項目まで改善を命じており、命令の要件を欠く違法なもので、この命令違反を理由として行った許可取り消し処分も違法との厳しい心証や、判決となった場合の損害賠償額は一審判決を上回るとの判断を示されるとともに、和解の勧告がありました。
県といたしましては、取り消し処分は、地域の生活環境の保全を図る廃棄物処理法の目的を踏まえ、県民の皆様の安全・安心を確保する観点から適正に行ったものと考えておりますが、このたび、裁判所から示された県の取り消し処分に瑕疵があるとの見解は重く受けとめ、県としても認めざるを得ないと考えております。
こうしたことから、県の費用負担の軽減を図り、また、地域の皆様の不安を解消する観点からも、和解条項案に基づき和解し、早期の解決を図ることもやむを得ないと判断したものでございます。
次に、愛知県が支払った賠償額の事例についてお答えいたします。
愛知県が当事者となって損害賠償した事例として記録が残っているものといたしましては、平成十八年六月議会において御審議をいただきました八千六百万余円がこれまでの最高額でございます。これは、暴走族を追跡中のパトカーが道路中央付近に横臥していた被害者を死亡させた交通死亡事故に係る和解に伴うものでございます。
最後に、県の責任についてのお尋ねでございます。
平成二十年十二月の二回目の改善命令につきましては、同年十月に行いました二回目の行政検査の結果を慎重に検討した上で、廃棄物処理法にのっとって発出したものであり、許可取り消し処分も法に基づき慎重に検討した上で、必要な手続を経て行っておりますことから、職員に非違行為はなく、職員個人に責任はないものと考えております。しかしながら、結果として多額の和解金を支払うことになることにつきましては、県民の皆様に対して大変申しわけなく思っております。
今回の一連の経過をしっかり検証し、反省すべき点はしっかりと反省し、今後の環境行政に反映してまいることとし、これまで以上に適正、公正な法律の運用に努めるとともに引き続き県民の皆様の安心・安全や地域の生活環境を守り、また、生物多様性の保全や地球温暖化防止対策といった地球規模の課題にも取り組むという環境行政の役割をしっかりと果たしてまいります。
- 39:◯三十四番(小山たすく君) 先ほど答弁の中で、過去最大の和解額が八千六百万円というお話がありました。今回の和解額が十三億八千六百万円でありますので、今回の和解額がいかに大きいかということも明らかになったのではないかなというふうに思っております。
その上で、私が最後に伺った県の責任ということについてなんですが、これは責任の所在を明らかにするということについて言えば、これは言いかえれば、問題の本質を明らかにしていくということにもつながっていくというふうに思っております。このことは、やはり問題が起こったときに組織としてその問題にどう向き合っていくのか、それから、それに対してどう変えていくのかということに大きくかかわるというふうに思っております。
もちろん、県の職員も生活環境の保全と企業活動という二律背反する問題を法の枠組みの中で調整しなければならないという苦悩ももちろんあるとは思いますし、そのことによって環境行政が萎縮してしまってはならないとは思っております。一方で、そうであるならば、やはりこれは個人の問題というだけではなくて、組織としての問題が隠れているのかもしれないということを考えております。
例えば、これは知らず知らずのうちに自分たちなりの解釈、運用が積み重なって、自分たちは正しいと思っていることが実際は不適正な運用となってしまっていることがあるのかもしれませんし、先ほど部長から、過程の検証と適正、公正な法律の運用に努めるというふうに答弁がありましたが、県としての手続の瑕疵を認めているという以上、やはりこれはその場を乗り切るための方便ではなくて、文字どおり徹底的に、そして、苦い思いもしながら検証を行って、具体的改革の一歩を踏み出していただきたいと思っております。
そして、このことは環境部だけの問題ではなくて、他の部局も対岸の火事ではなくて、自分たちの部局の問題でもあると危機感を持って捉えていただきたいというふうに思っております。
この和解を機に、法令の解釈、運用、制度の運用など、改めて見直しをされていかなければならないと思っておりますし、今後同様の問題が起こらないように徹底した再発防止策を講じていくことで、これからの県政を停滞させない、混乱をさせない、そして、何より県の施策の信頼性と正当性を守っていく、このことが今回十三億八千六百万円もの和解金を払って県が得ることができる唯一のものではないかと考えております。
部として徹底的な検証と再発防止策を講じていくこと、部長にこのことを強く要望いたしまして、質問を終えます。
- 40:◯副議長(伊藤勝人君) 以上でただいま議題となっております議案に対する質問を終結いたします。
─────────────
- 41:◯三十八番(原よしのぶ君) ただいま議題となっております議案は、さらに審査のため、それぞれ所管の常任委員会に付託されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 42:◯副議長(伊藤勝人君) 原よしのぶ議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 43:◯副議長(伊藤勝人君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております議案はそれぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
なお、議案付託表は議席に配付いたしました。
──────────────────────────
- 44:◯三十九番(須崎かん君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 45:◯副議長(伊藤勝人君) 須崎かん議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 46:◯副議長(伊藤勝人君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午後二時三十分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後三時十分開議
- 47:◯議長(三浦孝司君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
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日程第五 第一号議案平成二十七年度愛知県一般会計予
算
- 48:◯議長(三浦孝司君) 直ちに第一号議案平成二十七年度愛知県一般会計予算を議題といたします。
この際、第一号議案平成二十七年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳入全部について質問を許します。
質問に際しましては、款項を明らかにして発言されるようお願いいたします。
通告により質問を許可いたします。
山下智也議員。
- 49:◯六番(山下智也君) 私からは、歳入第一款県税のうち、第一項県民税及び第九項自動車税についてお尋ねをいたします。
県税の徴収対策についてであります。
最近、少子・高齢化問題、経済社会の国際化、地方の活性化、社会保障費の負担などの観点から税制に対する関心が非常に高まっております。
望ましい税制とは、こうした諸課題に的確に対処し、国民、県民が豊かさを実感でき、安心・安全な生活の実現に資するものでなければなりません。
また、一方で、全ての施策に必要な税源確保にもつながるものであり、公平性にすぐれ、国民、県民が納得して納税できるものであるべきことは論をまちません。
このため、税制の執行という面において、県税の脱税、滞納の減少に努めるということは、負担の公平を保つと同時に、県にとっては大変貴重な財源を生み出すことにも寄与することであります。
そうしたこともあり、本県では、厳しい財政状況の中、第五次行革大綱において、個別取り組み事項として、県税徴収率の向上と収入未済額の縮減が掲げられ、これまでその目標の達成に向けて取り組んでこられました。
昨年の八月に公表されました第五次行革大綱の取り組み状況によりますと、県がみずから徴収する税目に係る収入未済額は、平成二十五年度末で約六十二億円となり、第五次行革大綱で示された一五%以上縮減するという目標を大幅に上回る約五〇%の縮減を達成されたようであります。
これは、インターネット公売などの滞納整理の強化や、コンビニ収納を初めとする納税環境の整備などの施策を着実に推進してこられた結果だと推察され、その努力は認められるところでありますが、収入未済額はいまだ多額なものとなっております。
こうした中で、今後さらなる収入未済額の縮減を実現するためには、悪質な滞納者に対する差し押さえなどの厳しい滞納処分を毅然とした態度で実施する一方で、善良な納税者に向けては、納付のための利便性の向上など、県民サービスの充実をより一層図っていく必要があると考えます。
そこで伺います。
納税環境整備の一環として、本年度からクレジットカードによる納税を導入されたと聞いておりますが、その内容と本年度の利用件数をお示しください。
次に、個人県民税の収入未済額の縮減対策についてであります。
平成十九年度に実施された国から地方への税源移譲に伴い、個人県民税の収入未済額は大幅に増加し、地方税法第四十八条による県の直接徴収や地方税滞納整理機構などの各種施策を講じても、なお平成二十五年度末で約二百九億円と多額となっております。
また、この間、県がみずから徴収する税目の収入未済額が滞納整理の強化などにより大幅に減少していることもあり、個人県民税の収入未済額は、県税全体の約二百七十一億円の七七・二%を占めるまでとなっております。
そもそも個人県民税は、市町村が個人市町村民税とともに個人住民税として賦課徴収しており、市町村の徴収体制の強化が図られなければ、個人県民税の収入未済額の縮減はかなわないものであります。
こうしたことから、個人県民税の収入未済額の縮減のため、県主導で設けられた任意組織であります滞納整理機構については、昨年度末で満了した三カ年の設置期間を、さらに三年間、平成二十八年度末まで延長し、引き続き一定の成果を上げていると聞き及んでおります。
そこで伺います。
個人県民税の対策につきましては、これまでどのように取り組み、どの程度成果が上がったのか、また、県内全ての地域に働きかけ、そうした対策を講じていくことも必要だと思いますが、御所見をお聞かせください。
さて、先般、東三河地域に広域連合の設置の許可がされたとの発表がありました。
それによりますと、処理対象事務として市町村税の滞納整理事務が含まれており、平成二十八年度からは、東三河広域連合において、現在滞納整理機構で行っている事務処理も行うこととされております。
滞納整理機構などの個人県民税対策については、既に述べましたように、県にとっても大変重要な施策であると考えておりますが、地方分権の立場から考えますと、継続することにより市町村の県への過度な依存が続いてしまう懸念もあると思います。
そうした観点から、東三河地域が一丸となってみずから滞納整理を実施していこうという姿勢は称賛できるものであり、こうした機運の盛り上がりに期待したいと考えるものであります。
そこで伺います。
東三河地域が広域連合を設置し、みずから滞納整理事務を充実させていくことについて、県はどのように考えているのか、御所見を伺います。
以上で終わります。
- 50:◯総務部長(平松直巳君) 県税の徴収対策についてお答えをいたします。
初めに、クレジットカードによる納税でございますが、多くの県民の皆さんに納付をいただきます自動車税の定期課税分について、本年度から導入をいたしました。
具体的には、パソコン、携帯電話などを利用して、県が指定するインターネットのサイトから納税通知書番号やカード番号など六項目の必要事項を入力することにより、金融機関などに赴いていただく必要もなく、二十四時間どこでも手軽に納税が可能となるものでございます。本年度の利用件数は五万六百四十九件であり、自動車税の定期課税件数全体の一・六%となっております。
本年度の自動車税の納期内納付率は、前年度を一・二ポイント上回る過去最高の八一・七%となり、また、一月末現在の自動車税全体の徴収率も前年度を〇・三ポイント上回るなど、クレジットカード納税の導入に一定の効果があったものと考えております。
次に、個人県民税対策のこれまでの取り組みでございますが、市町村税務職員を対象とした徴収実務研修のほか、県と市町村との共同公売、地方税法第四十八条による県の直接徴収、地方税滞納整理機構の設立などの対策を講じて、市町村の徴収体制が強化されるようきめ細かく支援を行ってきたところでございます。
このうち、市町村で徴収困難となっている滞納案件を対象とした地方税法第四十八条の県による直接徴収では、制度が導入された平成十六年度から二十五年度までに約三十四億円の個人住民税を市町村から引き受け、そのうち約二十二億円、率にして約六五%を徴収いたしました。
また、同様の滞納案件について、県職員と市町村職員が協働で滞納整理を行う地方税滞納整理機構では、平成二十三年度の設立以来、約六十二億円の個人住民税を市町村から引き受け、そのうち約三十五億円、率にして約五七%を徴収するなどの成果を上げているところでございます。
さらに、現年課税分の個人県民税対策といたしましては、平成二十四年度に県と県内全市町村が参加する個人住民税特別徴収推進協議会を設立し、市町村と協働して、普通徴収に比べて徴収率の高い特別徴収の推進を図ってまいりました。その結果、協議会が採択した特別徴収の割合を平成二十六年度までに三%以上向上させるという目標を達成したところでございます。
続いて、県内全ての地域を対象に個人県民税対策を講ずべきとの御指摘をいただきました。
県といたしましては、これまで地方税滞納整理機構への参加市町村数の拡大を図ってきたところでございまして、その数は設立当初の四十三市町村から本年度は四十七市町村にふえてきております。
一方で、市町村にも人員の余裕がないなどの個々の事情がありますことから、地方税滞納整理機構に参加できない場合には、地方税法第四十八条による県の直接徴収の積極的な活用を市町村に対して強く働きかけてまいりました。
この結果、平成二十七年度は、地方税法第四十八条による県の直接徴収を二十一市町が活用することとなり、地方税滞納整理機構には引き続き四十七市町村が参加をいたしますので、名古屋市を除く県内五十三市町村全てにおいて、いずれかの対策が講じられることになったところでございます。
今後とも、個人県民税対策につきましては、市町村との連携を深め、特別徴収の推進も含めて市町村徴収体制の強化が図られるよう支援に努めてまいりたいと考えております。
最後に、東三河広域連合についてでございます。
個人県民税につきましては、徴税事務の効率化の観点から、地方税法の規定により、個人市町村民税とともに市町村が賦課徴収することとされておりますので、個人県民税対策としての県の関与が過度にならないよう留意しなければならないものと考えております。
こうしたことから、地方税滞納整理機構などの実務研修を含む研修体制の充実を図り、可能な限り市町村への支援の主眼を市町村職員のスキルアップにシフトしてきたところでございます。
このような中、東三河八市町村が広域連合を設立し、自主的に連携して滞納整理を進めていこうとされておりますことは大変望ましいことと考えておりまして、県といたしましても、広域連合の取り組みをしっかり支援してまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 51:◯議長(三浦孝司君) 次に、第一号議案平成二十七年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳出第一款議会費から第五款環境費までの質問を許します。
通告により質問を許可いたします。
石塚吾歩路議員。
- 52:◯九番(石塚吾歩路君) 私からは、歳出第四款県民生活費第五項防災費のうち、災害対応力強化事業費の防災人材育成について、二点御質問をいたします。
毎年全国各地で大規模な災害が発生し、大きな被害を受けております。とりわけ近年では、地球温暖化の影響とも言われている気候変化により短時間の豪雨や大雨などが頻発しております。
我が国の状況を見ると、一時間降雨量五十ミリを超える大雨の発生回数は、ここ三十年間で約一・三倍に増加し、一時間降雨量百ミリを超える大雨の発生回数も増加傾向にあります。
また、これに比例するかのように、年平均の土砂災害発生件数もここ三十年間で約一・三倍に増加しており、今後も地球温暖化が進むと極端な気象現象の発生頻度が変化すると言われており、異常気象や気象災害の多発が懸念されるところであります。
こうした中、平成二十五年の台風第二十六号は、十月十六日明け方に大型で強い勢力で伊豆諸島北部を通過し、その後、三陸沖に抜けたわけでございますが、これにより東日本、北日本の太平洋側を中心に各地で大雨をもたらしました。
特に東京都大島町では、一時間に百ミリ以上の猛烈な雨が降り、二十四時間雨量が八百二十四ミリに達するなど、記録的な大雨となったことから、大規模な土砂災害が発生し、多くのとうとい命が失われました。
また、昨年八月十九日から二十日にかけての大雨により広島市内では土砂災害が発生し、七十四名の方がお亡くなりになられた被害も記憶に新しいところでございます。
突然として襲いかかる災害に対応するためには、行政の対応とともに、県民一人一人が対応力をつけていくことが必要であります。自分の身は自分で守る、地域の人がお互いに助け合い、地域の安全を確保するための行動ができることはとても大切であり、そういった人を育てていく人材育成は重要であると思います。
本県は、防災人材育成のために平成二十四年度から産官学が連携して防災・減災カレッジを開校し、地域の防災リーダー等の育成を行っているところであります。
また、総合防災訓練、津波・地震防災訓練、災害対策本部運用訓練など、実働訓練及び図上訓練をあわせて実施するなど、防災意識の向上や災害対応力の強化を図っておられるところであります。
また、あいち防災フェスタを開催するなど、あらゆる機会を捉えて、県民の方々に防災意識向上に向けた啓発を行っていることは承知しております。
しかし、昨年五月に公表されました南海トラフ地震の被害予測調査結果にあります想定の被害を軽減させるためには、さらなる県民の防災意識の向上や災害対応力の強化が急務であります。
こうしたことから、県は、昨年十二月に策定されました第三次あいち地震対策アクションプランにおきましても、全ての県民を防災人材にすることを基本方針に上げており、今後も引き続き防災人材の育成にさらに力を入れて取り組まれていくことと思います。
そこで、災害対応力強化のため、防災人材の育成を具体的にどのように進められるのかお伺いいたします。
全ての県民を防災人材とすることは、大変大きな意義のある目標でありますが、とりわけ災害時に災害対応を担う行政職員自身の防災対応力の向上も欠かせません。
住民の生命を守る上では、自治体の防災担当職員について、気象台からの予警報や住民からの情報を収集、把握し、的確に住民に避難を促す判断を下すなど、資質向上を図ること、また、自治体職員には人事異動があることから、継続的に災害対応力の知識及び技能を付与していくことは、災害対応力の強化に直結するものと考えられるところであります。
そこで、県内自治体職員の資質向上等を図り、災害対応力を強化するとのことですが、具体的にどのような取り組みをなされるのかお伺いいたします。
- 53:◯防災局長(小林壯行君) 初めに、防災人材の育成についてのお尋ねでございます。
南海トラフ地震等の大規模災害が想定される中で、地域の防災力を高めていくことは必要不可欠でございます。
今回策定した第三次アクションプランでは、防災力を高めるを五つの対策の柱の一つとして、教育啓発、人材育成により防災力を高めるを対策ターゲットに位置づけたところでございます。
また、このプランでは、防災人材は臨機応変にみずから判断して行動する力や、他人を思い助け合う気持ちを備えた人材としており、その育成は大変重要であります。
これまで本県では、県民の皆様を対象として地域の防災リーダーを育成する取り組みを進めており、企業や地域、ボランティアの方などが防災に必要な知識を学ぶことができる防災・減災カレッジを開校するなど、防災人材の育成に取り組んでまいりました。
さらに、来年度は、新たに防災・減災対策の研究を行っている名古屋大学減災連携研究センターと共同で、企業防災を担う人材育成のあり方や効果的な教育啓発方法、防災情報に関するあり方など、南海トラフ地震に対する災害対応や教育啓発に関する研究を行ってまいります。
また、その研究成果を活用して、行政、企業の防災担当者向けの講座を開催してまいります。
続きまして、県内自治体職員の資質向上等に関する取り組みについてのお尋ねでございます。
議員御指摘のとおり、近年、全国では大規模な災害が発生しており、本県でも、平成二十三年九月には、台風の影響から尾張東部で大雨となり、庄内川流域の越水で自衛隊派遣を要請するような災害が発生しております。
こうした災害が発生する場合には、情報の収集、把握や避難勧告・指示の判断等、防災担当職員に災害初動時における専門的な知識と迅速な対応が求められます。
本県では、新たに防災担当に従事することとなった県及び市町村の職員を対象とする防災情報システムの操作研修や、市町村から県への情報伝達訓練など、これまでにも防災担当職員の資質向上を図る研修、訓練を実施してきているところでございます。
来年度は、これに加えまして、災害応急対策上必要となる自治体の業務を整理、体系化し、さまざまな災害想定に応じて訓練内容を選べるオーダーメードの訓練カリキュラムを作成することとしております。この訓練カリキュラムは、自治体の実情に即して変更可能なものとし、それぞれの自治体で活用できるものとしてまいります。
さらに、第三次アクションプランでは、アクション項目に、県職員への防災人材育成プログラムの実施を掲げており、その取り組みの一つとして、先ほど申し上げました防災・減災カレッジに本県の新規採用職員全員を受講させることとし、職員の防災意識の高揚及び災害対応力の向上を図ることとしております。
以上でございます。
- 54:◯議長(三浦孝司君) 進行いたします。
稲垣昌利議員。
- 55:◯二番(稲垣昌利君) それでは、私からは、歳出第五款環境費第一項環境対策費のうち、環境学習等行動計画推進費及び第二項自然環境費のうち、東三河自然再生推進費について、自然環境保全、生物多様性保全における人材育成の観点からお伺いいたします。
二〇一〇年十月、愛知県でCOP10が開催されました。COP10の開催地として、また、愛知目標のふるさととして、愛知目標を達成していくために、県では、あいち生物多様性戦略二〇二〇を策定し、さまざまな取り組みを推進していると承知しております。
しかしながら、生物多様性という言葉の認知度は上昇していると思われますが、生物多様性の理解が十分に進んでいるとは言えないため、さらなる普及啓発の取り組み強化が必要であります。
こうした取り組みを進めていくためにかなめとなるのは、自然環境、生物多様性について理解を持ち、行動する人材をふやし、育てていくことであると考えます。
こうした中、県では、新たに来年度、東三河自然再生推進費でほの国東三河地域において、自然を保全、再生する人材を育成するのを目的とした事業を行うと聞いております。これについては大変よいことであると思います。具体的にどのような事業を行って、県としてどのような効果を期待しているのか、まず伺います。
さて、人材育成のためには、リーダーの養成とあわせて、将来を担う子供たちへの働きかけも大変重要であるかと考えます。
日本の未来、世界を背負う子供たちが自然の仕組みやつながりに感動したり、その大切さや人と自然のかかわりを楽しく学んで理解しながら育つことは、持続可能な社会づくりの基盤として最も大事なことの一つです。
COP10を契機に設立されました国連生物多様性の10年日本委員会では、子供たち向けの生物多様性の本箱として百冊を選定しております。子供たちに生物多様性への関心と理解を持ってもらうため、身近な図書を使ったこうした取り組みは大変有効で、もっと広がってほしいと私自身は思っております。
さらに、こうした図書で学んだことを、実際に自然の中でさまざまな生物に触れ合い、自然の不思議さや仕組みなどを体験できれば、子供たちにとって大変有意義なことと思います。
県では、愛・地球博記念公園にもりの学舎を整備され、子供たちの自然体験学習の場を提供されております。このもりの学舎では、子供たちに生物多様性や自然の大切さについて理解してもらうためにどのような取り組みを行っているのか伺います。
- 56:◯環境部長(杉浦健二君) まず、東三河自然再生推進費の事業の内容と期待している効果についてお答えいたします。
ほの国東三河地域は、豊川の流域圏として、原生林、湿地、干潟など全国的にも特色ある多様で豊かな自然環境を有し、貴重な動植物が生息し、環境学習のフィールドとしても高いポテンシャルを有している地域でございます。
その一方で、希少な植物の減少や外来種の増殖が見られたり、また、里山の手入れ不足などから、森林生態系の機能の低下や湿地の減少などが起きております。
こうした状況を改善していくためには、生物多様性の重要性や東三河地域の豊かな自然についてよく理解し、保全活動の中心となって行動できる人材を育てていくことが必要と考えております。
そこで、来年度新たに自然環境保全の指導者を養成する講座を開設し、人材の育成に取り組んでまいります。
この講座は、東三河地域の大学と連携しまして、NPOや企業の協力も得て、学生を初め若い世代を対象に、生物多様性の講義や自然の中で活動体験を行うフィールドワークといった内容を予定しております。
また、講座の一環といたしまして、受講生をツアーリーダーとして、県民の皆様の参加を募って、豊かな自然をめぐる体験型エコツアーを実施してまいります。
さらに、講座終了後には、受講生による成果・提案発表会を開催し、地域住民の皆様に自然を守る活動への参加を呼びかけてまいります。
この事業を通しまして、地域の自然を保全する活動を活発化させるとともに、東三河の豊かな自然の魅力を広く発信して、ひいては東三河地域の活性化にもつながるように取り組んでまいります。
次に、子供たちに生物多様性や自然の大切さについて理解してもらうためのもりの学舎の取り組みについてお答えします。
愛知万博で実施された自然体感プログラム、森の自然学校を継承、発展させるため、愛知万博のフィールドセンターの建物を改修して、平成十九年三月に子供たちや親子連れが自然をテーマに学習できる、もりの学舎として開館しました。
このもりの学舎では、子供たちが自分でさわったり動かしたりできる展示物やパソコンを使ったクイズのほか、全国から募集した環境絵本や子供向けの図書、この中には、御質問にございました国連生物多様性の10年日本委員会が推薦する生物多様性の本箱百冊に選定された図書も約四十冊ございますが、こうした図書により子供たちが自由に学べるようになっております。
また、子供たちや親子連れを対象に、環境絵本の読み聞かせや紙芝居、インタープリターと呼ばれる森の案内人と一緒に森や水辺をめぐるツアー、葉っぱや木の実など自然の素材を使った工作教室を行っているほか、毎年小学生を対象にもりの学舎キッズクラブのメンバーを募集し、一年を通じて森や池の中の生き物と触れ合う活動を実施しております。
こうした取り組みにより、もりの学舎では、平成十九年に開館してからことしの二月末までの八年近くの間に三十八万人を超える方々に御利用いただいております。
今後も、もりの学舎を拠点にさまざまな自然体感プログラムを展開し、将来を担う子供たちに生物多様性や自然の大切さについて楽しく学んでいただけるように取り組んでまいります。
- 57:◯二番(稲垣昌利君) ただいまの御答弁では、リーダーの養成ですとか、人材育成の取り組みもよくわかりましたし、また、もりの学舎についても、利用者も三十八万人ということで、たくさんの方が訪れているというのがよくわかりました。
こうした、例えばリーダーの養成などは、今の御説明ですと、大学と連携して若い世代を募ってというようなことがございましたが、そもそもそうした講座を受講しようとする方というのは、比較的自然保護や生物多様性などに関心が高い方だと思います。そうした方へのPRも大切であると思いますが、やはりもっと一般の方に浸透させていくことが重要であると考えます。
今回先ほど触れました生物多様性の本箱でございますが、実は昨年の十二月に私の地元の西尾市内のボランティア団体さんの皆さんによって、西尾市立図書館に百冊のフルセットが寄贈されました。
このボランティア団体さんは、二十年間にわたって地域でリサイクル活動などを行って、その長年の活動で得た収益を、何か環境の役に立つ生きたお金にできないかということで、この生物多様性の本箱というところに行き着いて、多くの子供たちに身近な自然について大切さなどを学んでほしいと考えて、今回寄贈してくださることになりました。
この愛知県で開催されたCOP10を契機に設立された生物多様性の10年日本委員会によってつくられた生物多様性の本箱でありますが、現在、これが閲覧可能な場所というのが全国で三十二カ所ほどしかございません。西尾市のように全巻そろっているところは大変珍しいとも聞いております。そして、残念ながら、このきっかけとなったCOP10の開催地である本県には、今回寄贈していただいた西尾市立図書館以外はフルセットで閲覧できるというところはほかにないということでありました。
この本箱が余り知られていない理由としましては、その仕組みが、行政が予算をつけて設置するというよりも、意識啓発のために企業、団体に寄贈、寄附していただくという仕組みであるため、なかなか広まっていないということであります。
しかし、内容を見ておりますと、大人が読んでも大変わかりやすい表現であったり、見えない世界を見せてくれる本ばかりであります。子供向けの図書でありますが、世代を問わずに生物多様性の理解促進につながる効果が期待できると考えております。
愛知県内でこうしたものを寄贈、寄附してくださる企業や団体さんがふえるように、今後もそうしたことも、環境活動をさまざまされている企業さんがありますけれども、こうしたアプローチの仕方もあるということをぜひPRしていただければと思っております。
最後に、二〇一一年から二〇二〇年までの十年間は、国連生物多様性の十年であります。COP10で採択されました、新たな世界目標であります愛知目標の実現のために、一人一人が自然や生き物に触れ、生物多様性を守って、その重要性を伝えていく活動に一層取り組んでいただくことを要望いたしまして、以上で終わらせていただきます。
- 58:◯議長(三浦孝司君) 進行いたします。
安藤正明議員。
- 59:◯二十二番(安藤正明君) 私からは、第四款県民生活費第五項防災費のうち、消防団についてお伺いします。
消防団は、本業を持つ傍ら、みずからの地域はみずからで守るという精神に基づき、各地で消防・防災活動を行っています。
火災などの災害時はもちろんのこと、日ごろから火災予防の広報や夜警などの警戒活動を初め、地域での、また、自主防災組織等への防火指導や応急手当ての指導のほか、地域の事情に応じてさまざまな活動を行っています。
消防団といえば、火災への対応が中心でしたが、現在では、その活動内容は広範多岐にわたり、地域の安全確保のために果たす役割は極めて大きく、欠かすことのできない存在となっています。
発災からあさってで四年がたちます東日本大震災では、多くの消防団員は、みずからも被災者でありながら、献身的に救助や捜索活動、避難所の支援活動などを行い、改めてその重要性が認識されたところであります。
その後も全国各地で発生している台風や局地的な集中豪雨などの災害時にも多くの消防団員が出動し、災害防御活動や住民の避難誘導などの活動が行われており、消防団は地域防災のかなめとして、地域住民からますます高い期待が寄せられています。
こうした中、本県では、南海トラフ地震の発生が懸念されており、大規模災害に備えて、地域防災力の向上を図るためには、消防団の充実強化に努めていく必要があります。
しかしながら、少子・高齢化の進展やサラリーマン層の増加、自営業者や農業、漁業者など、地元で働く人の減少など、さまざまな要因によって全国的に消防団員は減少傾向にありますが、愛知県も例外ではありません。
本県の消防団員数は、平成二十六年四月一日現在、二万三千四百三十人で、十年前の平成十六年の二万五千四百七十九人から八%、約二千人も減少しています。
消防団が地域における消防・防災体制の中核的存在として、地域住民の安心・安全の確保のために果たす役割がますます大きくなる中で、これからも消防団が地域の期待に応えていくためには、大前提として十分な団員を確保していく必要がありますが、減少傾向に歯どめがかからないのが現状だと思います。
愛知県では、広く県民に消防団を知ってもらい、消防団の加入促進を図るため、平成二十五年五月二十一日、毎年一月二十日をあいち消防団の日として定め、この日を中心に県内の市町村と連携して一斉に啓発活動を行っているほか、大須のアイドルグループ、OS☆Uをあいち消防団PR大使に任命して、消防操法大会や市町村の出初め式などに参加してもらうなど、消防団の加入促進を図るための啓発活動が行われています。
しかしながら、少子化で若い人自体が減っており、多くの方に消防団に入っていただくことが簡単ではありません。社会の高齢化同様、消防団自体の高齢化も進んでおり、特に若い人の加入が求められるところであります。ぜひとも若い人たちに消防団に加入していただき、地域防災力の向上につなげていく必要があります。
地域防災の担い手として次の世代を担う若い人たち、特にこれから社会に出ていく学生等に対して、消防団に関心を持ってもらい、活動に参加したくなるような取り組みが必要だと思います。
そして、学生のとき、消防団に参加して、その地域で活躍してもらうことはもちろんですが、卒業後に地元で消防団に参加する人材を育てていくことが大切だと思います。
そこでお尋ねします。
学生などの若い人材を確保するために、県としてどのように消防団員の加入促進に取り組んでいくのかお伺いします。
次に、消防団活動に対する事業所の協力についてであります。
現在の消防団員の就業形態を見ますと、全国では消防団員に占める被雇用者の割合は、平成二十六年四月一日現在で約七二・二%となっております。愛知県でも七四・三%となっており、消防団員の七割以上の方が被雇用者、サラリーマン層となっています。
そして、消防団員が減少傾向にある一方で、被雇用者の割合は逆に増加しています。被雇用者の消防団員の増加に伴い、消防団員を雇用する事業所の理解と協力を得ることが消防団活動を行うために不可欠となっています。
勤務時間中に消防団活動を行うことへの配慮はもちろんですが、例えば、夜間の火災などでは、多くの場合、火が消えれば消防団の活動が終了するわけではありません。
火が残っていないか、再び燃え上がる心配はないか、安全を確保するため、消防団員の方は周辺の警戒活動も行いながら、徹夜になることもあります。
山火事などの場合は、消火活動そのものが長時間に及ぶことが多いと思いますが、完全に火が消えて鎮火するまでの時間も長く、人数も大勢必要になると思います。
このように消防団活動が夜間や長時間にわたった場合に、その活動終了後すぐにまた次の翌朝から本来の仕事に勤務できるでしょうか。消防団活動を実際に行っている時間だけでなく、活動が終わった後にも事業所に配慮していただけるような体制が必要だと思います。
現在、消防団員である方にとって、事業所の理解が深まり、活動しやすい環境を整えることは、消防団活動を支える上で大変重要であり、長く消防団活動を続けていただくことにもつながると思います。同時に、事業所が消防団活動への理解を深め、地域の実情に応じて消防団を支援している状況をつくることによって、事業所の従業員の方が安心して新たに消防団に加入することにもつながっていくと思います。
消防団員を確保するために、先ほども申し上げましたとおり、若い人材の確保は大変重要でありますが、学生の場合は、多くの方が社会に出て就職することになります。七割以上を占める被雇用者の団員の方の活動環境を整えることで、これから消防団に入ろうとする方も安心して入団することができ、団員の加入促進にもつながっていくと思います。
そこでお尋ねいたします。
消防団活動に対する事業所の協力を得るために、県としてどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
- 60:◯防災局長(小林壯行君) 初めに、消防団の加入促進についてのお尋ねであります。
大規模地震の発生が懸念され、消防団の役割が高まる中、消防団員の確保は喫緊の課題であると認識しております。議員御指摘のとおり、特に少子・高齢化が進む中、消防団の活性化を図るためにも、若い人材の確保が重要であると考えております。
これまで、学園祭などで大学生等に対して消防団のPR活動を実施するほか、大学当局に対して大学生のみで組織する学生分団結成についての個別説明や、大学職員及び市町村担当職員を対象とした大学生の消防団活動についての研修会を実施してまいりました。
さらに、来年度は、大学生や専門学校生など若者を対象とした参加型イベント、消防団カレッジフェスティバル(仮称)を一月二十日のあいち消防団の日に関連事業として位置づけ、開催いたします。
学生みずからが、消防団を取材して作成したPR動画や、みずからデザインした活動服のコンテストなどを実施し、こうした取り組みにより実際に消防団活動に触れ、理解を深めることで、消防団に加入する動機づけとなるよう進めてまいります。
そのほか、ことし八月に開催予定の消防操法大会は六十周年という節目の大会となりますので、消防団PRブースを設置し、消防団活動への理解と加入促進を図ってまいります。
続きまして、消防団活動に対する事業所の協力についてのお尋ねであります。
消防団活動に協力する事業所を支援する制度として、消防庁や市町村が行っている消防団協力事業所表示制度がございます。
この制度は、従業員の消防団への加入や消防団活動への協力などを行っている事業所に対して、消防団協力事業所として認定し、そのことを示すためのステッカーの表示により事業所の社会貢献度を示すものであります。
本県では、現在二十市町がこの制度を実施しておりますので、さらに導入が進むよう市町村に働きかけてまいります。
また、本県では、消防団員の確保に積極的に協力し、従業員である消防団員の活動に協力しているなどの事業所に対し、平成十四年度から消防団関係優良事業所表彰も行っております。
本年度までに二百一事業所に対して知事からの感謝状を贈呈しておりますが、継続して事業所の取り組みを支援してまいります。
一方、通常の消防団員とは別に、活動内容や時間を限定する機能別消防団員の制度がございます。愛知県では二十市町村が導入しておりますが、事業所の従業員や地域住民の方が個別の事情に応じて消防団活動に参加できますので、各市町村の状況に合わせて機能別消防団員の導入を働きかけてまいります。
こうした取り組みを引き続き進めるとともに、従業員の消防団活動をサポートする事業所に対して、その協力を得るための効果的な手法について、先進県の事例など調査研究してまいります。
以上でございます。
- 61:◯議長(三浦孝司君) 進行いたします。
平岩登議員。
- 62:◯十番(平岩登君) それでは、私からは、歳出第四款県民生活費第五項防災費から、震災後復旧マニュアルについてお伺いをいたします。
昨年五月に愛知県が公表した南海トラフの地震、津波が発生した場合の被害予測調査結果によれば、過去地震最大モデルの地震、津波では約九万四千棟の建物が全壊、焼失し、死者数は約六千四百万人と想定されました。
ライフライン被害につきましては、上水道の復旧期間は六週間程度、下水道では三週間程度、電力、通信では一週間程度としています。
避難者数につきましては、避難所及び避難所外の合計は、一週間後に約百五十五万人、一カ月後におきましても約百十三万人の想定がされております。
また、被災地の復旧活動を阻害する災害廃棄物、いわゆる瓦れきと津波堆積物の合計数量は約二千二十三万トンと想像を絶する数字となっております。
一方、あらゆる可能性を考慮した理論上最大想定モデルの地震、津波では、約三十八万二千棟の建物が全壊、焼失し、約二万九千人もの人命が失われるおそれがあるという甚大な被害想定であります。
このような大規模地震による被害を軽減するには、住宅や建築物の耐震化を初めとした事前の防災・減災対策を着実に進めるとともに、災害が発生した場合には、まず生命の安全確保を最優先として、耐震性のある建物に避難するとともに、落下物等から身を守る行動を行い、揺れがおさまったらすぐに浸水、津波から避難を開始することが重要であります。
人命を守ることは最も重要な課題でありますが、県民の皆様の財産を守り、被災後の生活確保を図るための初動期の応急対策も大切であるということは言うまでもありません。さらに、震災後の県民生活や産業活動を早期に復旧することも重要な取り組みであります。
本県におきましては、復旧期に行うべき対策について、その手段と手順及び役割分担を定めた震災後復旧マニュアルについて、平成十八年三月には生活編を、また、平成十九年三月には産業編をそれぞれ策定しております。
生活編では、震災後、早期に県民生活の安定と生活再建を図るため、復旧期に行うべき対策として、住宅対策、雇用、就業対策、瓦れき、震災廃棄物処理対策、健康支援、心のケア、災害時要援護者対策、学業支援についてまとめています。
産業編につきましては、震災時の迅速な対応を実施するため、本県が取り組むべき施策と実施手順を具体的にまとめ、企業に期待される役割を明確にし、企業の自助への働きかけにより企業防災への取り組みを促進することを目指すものとなっております。
本県では、昨年十二月に平成二十七年度から平成三十五年度を計画期間とする第三次あいち地震対策アクションプランを策定されたところであります。
この中で、迅速な復旧・復興を目指すを五つの対策の柱の一つと位置づけ、平成二十七年度には震災後復旧マニュアルの見直しを行う予定であるとしております。
そこで、震災後復旧マニュアルについて二点お尋ねをいたします。
まず最初に、現在のマニュアルの特徴と来年度に見直しを行う必要性についてお伺いをいたします。
二点目でありますが、来年度、震災後復旧マニュアルの見直しを進めるに当たり、どのような取り組みを行っていくのかお伺いをいたします。
- 63:◯防災局長(小林壯行君) 初めに、現在の震災後復旧マニュアルの特徴と見直しの必要に関するお尋ねであります。
現在の震災後復旧マニュアルは、東海・東南海連動地震を前提としており、復旧期に県が取り組むべき内容について、その実施手順及び役割分担を定めたものであります。平成十七年度に住宅対策や雇用就業対策など六つの課題テーマで構成された生活編を、また、平成十八年度には事業継続への取り組みの促進など四つの課題テーマを設定した産業編を策定いたしました。
なお、マニュアルでは、復旧期とは、被災者が被災直後に一応の生命、資産等の安全が図られた状態から、もとの生活と同程度の生活を取り戻すまでと定義をいたしております。
このマニュアルの特徴は、課題テーマごとに県が取り組むべき対策を時系列で記載することにより、対策の全体像と流れをわかりやすく示し、あわせて、各対策の実施主体と役割分担を明確にしていることであります。
次に、見直しの必要性でございます。
このマニュアル策定後には東日本大震災が発生し、津波等による大規模な浸水、広域的な同時被災や大量の災害廃棄物の処理問題など、大規模災害時における住民生活や地域産業の早期復旧の支障となる課題が浮き彫りになり、また、新たな地震被害予測調査も実施したところであります。
このため、今後この地域で発生が危惧されている南海トラフの地震等に備えて、来年度中にマニュアルの見直しを行うものであります。
続きまして、マニュアルの見直しに係る取り組みについてのお尋ねであります。
今回の見直しにつきましては、現行のマニュアルの生活編、産業編といった基本となる構成は踏襲しつつ、東日本大震災の教訓と本県の地震被害予測調査結果を踏まえ、復旧期の新たな課題に対応した具体的な取り組みを盛り込んでまいります。
そこで、まず、現行マニュアル策定後に整備された復旧に係る諸制度や、東日本大震災での復旧過程における課題について調査してまいります。
また、産業界や市町村など関係団体との意見交換も行い、改めて復旧対策の手順や役割分担等の検討を進めてまいります。
さらに、地震対策の専門家などで構成する愛知県地震対策有識者懇談会から御意見をいただきながら、現行のマニュアルを全面的に見直してまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 64:◯議長(三浦孝司君) 進行いたします。
犬飼明佳議員。
- 65:◯十四番(犬飼明佳君) 私からは、歳出第五款環境費第一項環境対策費、環境調査センター管理運営事業費についてお伺いをいたします。
名古屋市北区にあります環境調査センターは、本県の環境に関する分析、検査、調査、研究を実施しており、環境行政を科学的、技術的に支える重要な施設となっております。
環境調査センターは、県民の安全・安心を守る大変重要な機関でありますが、現在の施設は昭和四十七年三月に建設されたものであり、既に四十三年が経過をし、新しい施設の建設に向けた準備が進められているところでございます。
この点について、私は、平成二十四年六月議会の一般質問において、老朽化した施設の建てかえは大変喜ばしく、また、新施設を環境首都あいちのモデル的な公共施設にするとの方向性に対して、大いに共感できると応援をさせていただきました。
そして、同時に、この施設は試験研究機関であって、その性格上やむを得ないところではありますが、県民の皆様にとっては、環境調査センターに直接足を運ぶといった機会が少なく、地域の方からも、何をしているのかわかりにくい施設になってしまっているといった点を指摘させていただき、新施設については、県民の皆様に親しみを持っていただける施設にしていく必要があると質問をいたしました。
さらに、昨年の二月議会の一般質問では、我が党の市川英男議員が、新施設を環境首都あいちにふさわしい全国モデルとなる新エネ・省エネ施設とすることについて質問し、大村知事から、研究施設では、全国トップレベルのゼロ・エネルギー・ビルディングとなるようチャレンジしていきたいとの力強い御答弁をいただいたところであります。
以上、環境調査センターの建てかえについて、これまでの状況を振り返ってきましたが、そもそもこの建てかえ事業は、県民の安全・安心を守るために不可欠な環境調査センターの機能を維持するための事業であり、一日も早く新しい施設を完成させることが最も重要であると考えております。
そして、この事業は、今年度から民間のノウハウが期待できるPFIの事業手法により進められておりますが、新施設を全国モデルの新エネ・省エネ施設とする点や、県民の皆様に親しまれる施設にするという点につきましては、県がしっかりと具体化していくことが重要だと考えております。
そこでお伺いいたします。
環境調査センターの建てかえ事業について、進捗状況と来年度の事業内容についてお尋ねいたします。
また、新施設を環境首都あいちにふさわしい全国モデルとなる新エネ・省エネ施設とすること、県民の皆様に親しみを持ってもらえる施設とすることについての検討状況はどのようになっているのかお尋ねいたします。
- 66:◯環境部長(杉浦健二君) 環境調査センターの建てかえ事業につきまして、まず、進捗状況と来年度の事業内容についてお答えします。
今年度は、PFI事業に関する詳細調査と新施設の基本設計を実施しております。
このうち、PFI詳細調査では、建設に当たっての県とPFI事業者の役割分担、建設資金の調達方法、PFIによる維持管理の期間などについて検討を進めたほか、PFI事業の経費削減効果の試算などを行っております。
また、大手建設会社やビル管理会社など十六社に対してアンケート調査を実施し、本件PFI事業への参加意欲を調査した結果、うち十四社から前向きな回答をいただいております。
基本設計におきましては、建物や各部屋の配置、構造などの検討に加え、新施設を最先端の環境配慮型施設とするための新エネ・省エネ設備の選定を行っております。
来年度の事業内容につきましては、夏ごろまでにPFI事業の概要、事業者の募集、選定方法などを定めた実施方針や、PFI事業者に求める内容を取りまとめた要求水準書などの作成を進めます。
秋以降には、この実施方針や要求水準書を公表し、事業者からの御意見をいただいた上で、PFI法に基づき、正式に事業方式を決定する特定事業の選定と呼ばれる手続を行う予定です。
その後、入札公告を行い、具体的な事業者募集手続に入り、年度内には事業者からの参加表明の受け付けと資格審査を行う予定であります。そして、事業者の決定に向けた手続を進めてまいります。
次に、環境首都あいちにふさわしい全国モデルとなる新エネ・省エネ施設とすることにつきましては、今年度の基本設計におきまして、最先端の設備を取り入れ、エネルギー消費の多い研究施設で全国トップレベルのゼロ・エネルギー・ビルディングとなることを目指し、具体的な設備の選定を進めております。
例えば、施設を二重外壁とし、壁全体を覆っても眺望の確保や施設内への太陽光の取り入れが可能なシースルー型太陽光発電や、日照の弱い北側壁面でも効率よく発電できる色素増感太陽光発電など、最先端の技術を取り入れた太陽光発電のほか、太陽熱、地中熱、井水、ガスコージェネレーションを組み合わせた空調システムなどを導入候補としています。
さらには、全館LEDや最新技術であります有機EL照明、自然の光を建物の奥まで届ける光ダクトも採用候補とするほか、コンピューター制御によって最適なエネルギー利用を実現するBEMS(ビル・エネルギー・マネジメントシステム)を導入する予定としております。
また、県民の皆様に親しみを持ってもらえる施設にしていくことにつきましては、今年度の基本設計におきまして、実習、研修室や会議室などを計画しておりますが、今後そうした部屋を活用し、小中学生が環境問題について学習できる講座や実験、展示ができるように検討を進めてまいりたいと考えております。
あわせまして、最新の新エネ・省エネ設備を多くの方々にごらんいただくための見学ルートについても検討してまいります。
以上でございます。
- 67:◯議長(三浦孝司君) 進行いたします。
島倉誠議員。
- 68:◯二十三番(島倉誠君) 私からは、歳出第二款総務費第一項政策企画費中、愛知万博十周年記念フレンドシップフェスタ開催事業について伺います。
申し上げるまでもなく、ことしは、二〇〇五年に開催されました愛知万博から十年という節目の年であります。
二〇〇五年の三月二十五日、小雪まじりの中で開幕を迎えた愛知万博は、開幕当初こそ来場者数は計画より伸び悩んだものの、多くの関係者の努力により国内外から二千二百万人もの来場者を迎え、大成功のもとに閉幕をいたしました。博覧会は、私たちに新たな出会いと発見、未来社会への夢と可能性など、多くの有形無形の財産を残してくれました。
博覧会の成功を支えたのが、ボランティアなどさまざまな形で参加された県民、市民の皆様であったと思います。とりわけ、県内各市町を百二十の公式参加国のホームシティー、ホームタウンと位置づけ、草の根の交流を目指した一市町村一国フレンドシップ事業は、過去の万博にない取り組みとして大きな注目を集めました。
参加国のナショナルデーでは、フレンドシップ市町村の住民の皆さんが式典への応援、催事への出演など、まさに地域を挙げ、ホスピタリティー、おもてなしを提供し、各国のナショナルデー、そして、万博の盛り上げに大きく寄与したものと記憶をしております。
私の地元の瀬戸市では、フランス、チュニジア、コンゴ共和国をフレンドシップの相手国としましたが、例えばフランスとの交流事業としては、愛知万博開催の前年に小中学校の給食でフランスにちなんだメニューを提供して食文化に触れるとともに、博覧会の機運を盛り上げるなどしてまいりました。また、博覧会期間中には、小中学生を中心とする市民千二百七十名が参加をし、フランスナショナルデーの応援に参加したり、フランスから柔道選手を招いて、柔道交流フェスタを開催したりしました。この柔道交流フェスタには、本県安城市出身の金メダリスト、谷本歩実選手にも参加していただき、参加者の皆さんからは、貴重な経験ができ、大変よかったとの声を多く聞くことができました。
このように、フレンドシップの取り組みは、参加国の皆様からも、平和と交流の祭典にふさわしい画期的な事業であったと評価されていると聞いているところであります。
一方で、万博開催からこの国際イベントを一過性のものに終わらせず、万博や一市町村一国フレンドシップ事業の経験、実績を地域の国際交流や活性化につなげていくことも求められていると思います。
そこでお伺いをいたします。
二〇〇五年の愛知万博開催以後、市町村における一市町村一国フレンドシップ事業を継承、発展させ、地域の国際化を進めるために、県ではどのような取り組みを行い、どのような成果があったのかについてお尋ねをいたします。
次に、今回、愛知万博十周年を記念して、一市町村一国フレンドシップフェスタが開催されるとのことでありますが、この事業はどのような目的を持って実施をしていくのか、また、フレンドシップ交流活動の経験を生かし、地域の国際化を進めるためには、市町村の積極的な参加が必要と考えますが、現在、市町村や市町村の国際交流協会などの参加見込みはどのような状況になっているのかお尋ねをいたします。
- 69:◯地域振興部長(植田昌也君) 一市町村一国フレンドシップ事業の継承、発展についてお答えいたします。
本県では、愛知万博という大規模な国際イベントの開催に当たりまして、地域を挙げてホスピタリティーあふれる万博公式参加国の受け入れやイベントの盛り上げを行うことを目的といたしまして、一市町村一国フレンドシップ事業を実施いたしました。
平成十九年度には、この一市町村一国フレンドシップ事業の理念を継承、発展させ、地域が主体となって国際交流を継続することにより地域の発展へつなげるため、フレンドシップ継承交付金制度を創設し、二十三年度までの五年間に、市町村によるフレンドシップ相手国との交流を初め、さまざまな国際化事業を支援してまいりました。
また、こうした取り組みについて、ウエブサイト、あいちフレンドシップ交流アルバムを立ち上げ、関係者の声などを交えて紹介し、広く草の根レベルの国際化の推進に努めてきたところでございます。
その結果、一宮市とイタリア・トレビーゾ市や幸田町とカンボジア・シェムリアップ州など十一の市町村で新たに十二の友好提携が締結され、現在では三十一の市町村で五十七の友好提携を数えることになりました。
また、北名古屋市とあま市で国際交流協会が設立され、市町村の国際交流協会も合計で三十三となるなど、地域の国際化が着実に進んできたものと考えております。
次に、愛知万博十周年記念一市町村一国フレンドシップフェスタについてでございます。
この事業は、市町村や市町村の国際交流協会の参加を得て、この十年間の各地域でのフレンドシップ事業とその後の国際交流活動の歩みや成果をブース展示やステージイベントなどで発表することにより、県民の皆様の国際交流や異文化理解への関心をより一層高めることを目的としております。
また、同じく愛知万博十周年記念として開催される第三十二回全国都市緑化あいちフェアや愛知万博十周年記念博覧会展と連携して開催することによりまして、県民の皆様に愛知万博の感動をいま一度思い出していただければと考えております。
次に、市町村及び市町村の国際交流協会の参加見込みでございますが、これまでのところ、ブース出展に十五の市町及び十三の国際交流協会が、ステージイベントに二市町及び五つの国際交流協会が参加する予定となっており、各団体がフレンドシップ相手国との交流活動の成果や友好提携への歩み、それぞれの国の伝統文化などを紹介することとしております。
愛知万博十周年となる節目の年にこのようなイベントを開催することによりまして、地域における草の根の国際交流活動のさらなる定着と地域の活性化につなげてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 70:◯議長(三浦孝司君) 進行いたします。
樹神義和議員。
- 71:◯四番(樹神義和君) 私からは、歳出第四款県民生活費第五項防災費のうち、一目の三防災政策・啓発事業費について伺います。
さて、先月二十一日、全国の自治体で初めて、三重県紀宝町にて台風等風水害に備えた事前防災行動計画、いわゆるタイムラインの連携に関する協定を、近畿地方整備局紀南河川国道事務所、中部地方整備局紀勢国道事務所、津地方気象台と締結したとの報道がありました。
このタイムラインとは、台風や暴雨などをあらかじめ予測し、水害に備えるものであり、特に台風の場合は、その影響が最大になることが予想される時間帯をゼロアワーと設定し、その数日前から関係機関と連携して、いつ、誰が、何をするかということを事前に決めて対策を練っておく手法であり、二〇一二年十月にハリケーンサンディがアメリカやカナダを襲い、甚大な被害をもたらしましたが、アメリカのニュージャージー州は四千棟以上が倒壊するも、タイムラインの運用で人的被害がゼロの地域もあり、タイムラインの運用が防災対策には有効であると注目を集めた新しい防災対策であります。
また、日本国内でタイムラインに取り組むきっかけとなったのが、平成二十五年十月の伊豆大島の土砂災害でありますが、災害発生時に町長、副町長が不在であり、かつ大島町と気象庁、東京都との連携がうまくいかなかったために避難勧告も出すことができず、死者、行方不明者三十九名を数える大惨事となったわけでありますが、この伊豆大島の土砂災害時の対応についての反省を踏まえて、市町村長が避難勧告等をちゅうちょすることなく発令できることと、夜間の豪雨が予想される場合を考慮して、あらかじめ発令基準を明確にすることが必要とされ、防災行動計画になるタイムラインの策定につながったと言われており、国土交通省原案が固まっている河川などを対象に、二〇一四年七月の台風八号から初適用され、各自治体としては冒頭の三重県紀宝町が先陣を切って、今回、自治体初の協定に至ったわけであります。
愛知県における防災・減災対策としては、第三次あいち地震対策アクションプランを昨年末に策定するとともに、平成二十五年十二月に公布、施行された強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法に基づき、今年度、国が実施している国土強靱化地域計画策定モデル調査に係る第一次実施団体に愛知県と名古屋市が選定され、現在、名古屋市と連携しながら国土強靱化地域計画が策定中でありますが、この国土強靱化地域計画策定は、国が昨年六月に作成した国土強靱化地域計画策定ガイドラインに示された策定プロセスを踏襲しながら進められていると認識をしております。
また、このガイドラインでは、国土強靱化に係る都道府県の他の計画等の指針となるべきものとして、国土強靱化地域計画を位置づけ、大規模自然災害等のさまざまな危機を直視して、平時から大規模自然対策等に対する備えを行うことが重要であるとしております。
現在、この国土強靱化地域計画については、愛知県、名古屋市ともに、まずは最も脅威となっている南海トラフの地震、津波を対象とし、年度内に計画案を作成し、来年度以降は風水害を追加検討し、段階的に計画を策定すると伺っておりますが、大きくは三点について質問します。
まず、一点目でありますが、本年度内に取りまとめが予定されている南海トラフの地震、津波を対象とした国土強靱化地域計画案の特徴について伺います。
また、県は、昨年末に第三次あいち地震対策アクションプランを策定されましたが、両計画の関係についても伺います。
二点目は、来年度に検討される風水害対策についてでありますが、風水害といっても、台風やゲリラ豪雨などさまざまな要因が予想されると思いますが、どのような進め方で計画を取りまとめていかれる予定であるのか伺います。
最後に、三点目でありますが、質問冒頭にタイムラインに関する内容を御紹介させていただきましたが、風水害、特に台風を想定した防災・減災対策としてタイムラインは非常に有効であると考えますが、愛知県としてタイムラインをどのように評価をし、今後、防災・減災対策のツールの一つとして、タイムラインを広げていく予定があるのかを伺います。
- 72:◯防災局長(小林壯行君) 最初に、南海トラフの地震、津波を対象とした国土強靱化地域計画案の特徴についてのお尋ねであります。
本県の国土強靱化地域計画につきましては、昨年六月に国が示した国土強靱化地域計画策定ガイドラインの策定手法に基づいて検討を進めており、次の三つの特徴がございます。
一つ目は、モデル事業に共同採択された名古屋市と密接に連携して策定作業を進めていることであります。学識経験者で構成する有識者懇談会や、国、地方公共団体やライフライン事業者等で構成する検討会議を共同で設置し、幅広い関係機関の御意見を踏まえて検討を進めており、帰宅困難者対策など名古屋市と連携した施策を盛り込むこととしております。
二つ目は、県土の強靱化を進めるための個別具体的施策について、本県が取り組む施策に加え、検討会議の構成員等から提案のあったターミナル駅となる名古屋駅の整備などの施策も幅広く盛り込んでいることであります。
また、三つ目の特徴といたしまして、首都圏が被災した場合のバックアップ機能や他地域が被災した際のサポート機能を備え、国全体の強靱化にも寄与し、東京一極集中是正の受け皿となる地域を目指すものと位置づけていることであります。
次に、第三次アクションプランとの関係についてであります。
国土強靱化地域計画は、地域強靱化に関する施策に関しては、さまざまな分野の計画等の指針となるいわゆるアンブレラ計画であり、第三次アクションプランは、国土強靱化地域計画の実施計画ともいうべき性格も有するものと考えております。
そのため、国土強靱化地域計画の個別具体的施策には、第三次アクションプランに掲載したアクション項目の内容をできる限り取り込んでまいりたいと考えております。
次に、来年度における国土強靱化地域計画の取りまとめの進め方についてのお尋ねであります。
本県では、現在、南海トラフ地震の発生が懸念されている中で、地震、津波を対象リスクとした地域計画の策定を進めているところであり、平成二十七年度の早い時期にパブリックコメントを実施した上で、夏ごろまでに計画を策定する予定であります。
その後、この地域計画の対象リスクに風水害などの自然災害全般を盛り込み、さらに計画を見直してまいりたいと考えております。
なお、その検討体制につきましては、知事を本部長とする愛知県地域強靱化推進本部を中心として、今年度同様に有識者懇談会や計画検討会議を設置して進める予定であります。
また、今年度、国のモデル調査で共同して計画の取りまとめを進めてまいりました名古屋市とも引き続き連携して進めてまいりたいと考えております。
続きまして、タイムラインに関するお尋ねでございます。
タイムラインとは、関係機関が大規模水害を想定し、あらかじめ共通の時間軸に沿って、いつ、誰が、何をするかを明確にする事前の行動計画であります。
国土交通省では、このタイムラインを導入することにより、あらかじめ災害の発生が予想される台風では、発災前から事前の準備、対応をとることで被害を最小化し、復旧に要する期間を短縮する効果が期待できるとしております。
本県では、現在、国土交通省中部地方整備局が設置し、本県も委員として参加している東海ネーデルランド高潮・洪水地域協議会において、伊勢湾台風を超える規模の台風による高潮を想定した危機管理行動計画の見直しが進められており、その中でタイムラインの活用が検討されております。
しかしながら、この危機管理行動計画におけるタイムラインでは、被害が発生する前の早い段階からの避難誘導や、避難のための交通規制の方法など、克服すべきさまざまな課題もあるものと考えられております。
本県といたしましては、引き続きこの協議会において、タイムラインの活用についての検討に参画してまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 73:◯四番(樹神義和君) それぞれ御答弁をいただきましたけれども、タイムラインに関しまして、一点要望させていただきたいと思います。
質問冒頭に紹介をさせていただきました三重県紀宝町では、タイムラインの導入により、過去の豪雨で浸水して作動しなくなったポンプ施設については、台風接近の三日前に、また、過去に土砂崩れが発生した現場は台風接近の二日前までに確認するなど、各種実施項目を時間単位で定めているそうであります。
紀宝町の職員は、報道機関の取材に対しまして、大きな災害が来れば全町を挙げて防災に取り組むことが必要ですので、職員一人一人が防災の情報を共有する必要があります、タイムラインの導入によって表にしていただくと改めてわかることがある、二日前、三日前にできることがあるので、大変有効な資料となりましたと述べられております。
愛知県においては、答弁にもありましたように、発災前から準備、対応をとることで被害を最小化し、復旧に要する時間の短縮が図れる効果があると評価するとともに、既にタイムライン導入に向けて検討されていることが今回の質問で確認できました。
避難勧告等のタイミングをどのように設定するかなど、検討すべき課題が多いのは理解できますが、ぜひ愛知県として早期導入を期待するとともに、各市町村単位でのタイムライン導入に向けて、県が率先的に指導、支援いただくことを要望して、質問を終わります。
- 74:◯議長(三浦孝司君) 進行いたします。
近藤ひろひと議員。
- 75:◯二十四番(近藤ひろひと君) 第三款振興費第一項振興総務費のうち、スポーツ振興事業費に関して質疑をいたします。
新年度から組織機構改革により、これまでの地域振興部は振興部となります。その中で注目すべき目玉と言えるのは、一つはスポーツ振興事業、いま一つは観光振興事業を所管することだと認識しております。
それぞれの事業を進めること、どちらかといえば地味なイメージのある愛知県を、日本国内はもちろん、世界にしっかりとその存在をアピールし、また、単にアピールするだけではなく、それを起爆剤として公共交通や道路整備、あるいは施設整備を促し、ひいては地域経済の活性化につなげていこうとも考えられることであり、大いに期待できる組織改編だと歓迎しております。
とりわけスポーツに関して言えば、自分自身で参加する運動はもちろん、見ることでも多くの感動を得ることができ、またさらに、大会ともなれば、規模の大小にかかわらず、その競技に熱中することで、人や、そして関係地域が一体となるすばらしい盛り上がりを見ることができると思います。
昨日開催された名古屋ウィメンズマラソンは、多くの市民ランナーが参加するシティーマラソンであると同時に、世界選手権の代表選考会を兼ねていることもあり、全国紙の新聞や全国放送のテレビで大きく報道されるなど、愛知県を日本中に知らしめるという意味でその効果は大変大きなものだったと思います。
また、多くの関係者の尽力により、日本サッカー協会がFIFAフットサルワールドカップ二〇二〇を招致することが決まっておりますし、去る今月二日には、愛知県と豊田市が共同して申請しておりましたラグビーワールドカップ二〇一九の開催都市として決定したことは、これまた大変うれしいニュースでありました。
ワールドカップといいますと、サッカー、ラグビーのほかにバスケットボール、バレーボール、卓球などが頭に思い浮かびますが、どの競技種目も世界最高の大会となるわけでありまして、それはまさに世界中のアスリート、一流選手が競技をするということで、そのパフォーマンスには誰もが感動、感激するところとなります。
今回のラグビーワールドカップは日本中で開催されることになりましたが、間もなく四年となります東日本大震災で被災をされた岩手県釜石市も開催地として決定しておりまして、全国制覇を続け、日本でのラグビー人気を一気に本物にいたしました新日鐵釜石を要した釜石市が注目されることとなり、被災地復興にも弾みがつくということで、あわせて喜ばしいことだと大変楽しみにしております。
愛知県での開催会場であります豊田市の豊田スタジアムは、県下のプロサッカーチームであります名古屋グランパスがJ1の強豪チームを迎え撃ちます公式試合のグラウンドとして有名でありますけれども、そのほかにも大型イベントを開催していると承知しております。愛知県にとっても、この実績のある会場で今回の国際イベントを成功させることは、今後のスポーツ並びにほかのイベントを誘致するための試金石でもあると言えます。
しかしながら、ラグビーの人気に関して言えば、先ほども話しました新日鐵釜石フィーバー以後、国内ではやや低調ではないかと考えられます。開催都市決定を受けて、これからその成功に向けてしっかり取り組まないといけないと思います。ラグビーの魅力を多くの皆さんに知っていただくことこそが、国内のラグビー人気につながり、そしてまた、ワールドカップ開催の二〇一九年に日本中がラグビーで盛り上げるための必須条件だと思います。
そこでお伺いをします。
ラグビーワールドカップ二〇一九の成功に向けて、今後どのような取り組みをされるのかお示しをいただきたいと思います。
- 76:◯地域振興部長(植田昌也君) ラグビーワールドカップ二〇一九についてお答えいたします。
ラグビーワールドカップ二〇一九の豊田スタジアムでの大会を成功させるためには、まずは、何といっても、国内外から多くの皆様に観戦に来ていただくことが必要であると考えております。
来年度当初には、豊田市とともに大会を支援する組織を立ち上げ、さまざまなイベントや広報媒体を活用して大会をPRし、県内外におけるラグビーワールドカップへの関心を高めてまいりたいと考えております。
また、子供でも安全にラグビーを楽しむことのできるタグラグビーを小学校の授業に取り入れてもらうよう働きかけるなど、ラグビー体験を通じて、幅広くファン層の拡大を目指してまいります。
さらに、ラグビーワールドカップ二〇一五イングランド大会に合わせて、ことし十月に日本の組織委員会がロンドンで行う日本大会のプロモーションに参画いたしまして、海外に向けて愛知・豊田をしっかりアピールしてまいります。
ラグビーワールドカップは、七週間にわたって大会が開催されることから、海外からの観戦者の平均滞在期間が二、三週間程度と長期間になることが特徴とされております。
こうしたことから、多くの観戦者を豊田スタジアムにとどまらず、宿泊の中心となる名古屋市周辺はもとより、多くの歴史、文化、食に触れていただき、さらには昇龍道といった広域観光に誘導するなど、大会の効果を地域全体に波及させていきたいと考えております。
そのためには、行政だけではなく、観光やマスメディアなどさまざまな分野の関係者が連携して、より大きな効果を上げていくことが重要であります。
そこで、来年度当初、地域の関係者とともに立ち上げるスポーツコミッションを積極的に活用し、ラグビーワールドカップを成功に導き、地域の活性化につなげてまいりたいと考えております。
- 77:◯二十四番(近藤ひろひと君) 御答弁いただきました大会のPR、タグラグビーで小学生の体験、そして、イングランドの大会を視察、名古屋周辺のいわゆる滞在、観光客に対する期待、そうしたことが聞いてとれたわけでありますけれども、スポーツイベントを開催することによる愛知県の経済効果、大変なものがあろうかと期待をするわけでありますけれども、この次に期待をしたいのがFIFAフットサルワールドカップであります。
さらには、その次のスポーツイベントをどう考えられるかということだと思いますけれども、さきの議会だったかと記憶しておりますが、寺西議員の質問にお答えになられて、アジア競技会についても視野に入っているというふうに認識をしております。
実は、昨年の秋に寺西議員と私、韓国の仁川大会を視察してまいりました。アジア競技会というのはどんな大会かというと、オリンピックのいわゆる弟分に当たる大会というような捉えでよろしいのではないかというふうに思いますけれども、エリアはもちろんアジア大会でありますから、アジアの国々の参加者ということになります。こうした限られた区域でありますので、日本人の選手が比較的上位入賞、あるいは金メダルもとりやすいということもあって、テレビ報道があったことを皆さんも記憶しておられると思います。
この大会でありますが、大きなポイントはオリンピック同様の多くの競技がある、そして、世界の各国の選手が来られるということであろうかと思います。そして、会場ですけれども、オリンピックのように大々的に新たな施設をつくる必要はさほどないようにその視察を見て感じました。
県内の市町村にある体育施設や、あるいは大学、愛知県には多くの大学があります。そこの施設を利用することによって、陸上競技場であれ、あるいは水泳の競技場、そしてまた、ほかの施設を含めてもそうでありますけれども、そういったところを利用することによって、このアジア大会、ある意味、愛知県であれば有効に成功に導けると考えております。
問題になるのはメーン会場ではないかというふうに思っておりますけれども、新たな建設か、あるいは改築かということは今後の検討が必要だと思いますけれども、ぜひともこのアジア大会、二〇二〇年がちょうど節目になろうかというふうに思っておりますけれども、誘致に向けて検討していただければと思います。
そして、あわせて、今議会の議案にもMICE誘致推進事業費、これも計上しておられますけれども、具体的にこうした内容について見えてくる、いわゆる愛知県にイベントをどんどん持ってくると、そういったものの御検討を進めていただくことを要望いたしまして、終わります。
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- 78:◯三十九番(須崎かん君) 本日はこれをもって散会し、明三月十日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 79:◯議長(三浦孝司君) 須崎かん議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 80:◯議長(三浦孝司君) 御異議なしと認めます。
明三月十日午前十時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時三十五分散会