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県政報告・石井よしき発言
平成26年
平成26年2月定例会(第6号)
平成26年2月定例会(第6号)
2014年3月6日
石井よしき発言
46
(主な質疑)
午前十時開議
◯議長(久保田浩文君)
ただいまから会議を開きます。
直ちに議事日程に従い会議を進めます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第一 第六十七号議案平成二十五年度愛知県一般会
計補正予算から第九十六号議案損害賠償の額の
決定及び和解についてまで
2:◯議長(久保田浩文君)
第六十七号議案平成二十五年度愛知県一般会計補正予算から第九十六号議案損害賠償の額の決定及び和解についてまでを一括議題といたします。
─────────────
3:◯三十八番(坂田憲治君)
ただいま議題となっております議案は、さらに審査のため、それぞれ所管の常任委員会に付託されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
4:◯議長(久保田浩文君)
坂田憲治議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
5:◯議長(久保田浩文君)
御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております議案は、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定をいたしました。
なお、議案付託表は議席に配付いたしました。
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日程第二 第一号議案平成二十六年度愛知県一般会計予
算
6:◯議長(久保田浩文君)
次に、第一号議案平成二十六年度愛知県一般会計予算を議題といたします。
この際、第一号議案平成二十六年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳入全部について質問を許します。
質問に際しては、款項を明らかにして発言されるようお願いいたします。
通告により質問を許可いたします。
河合洋介議員。
7:◯一番(河合洋介君)
私からは、歳入第一款県税第一項県民税及び第九項自動車税について、順次質問をさせていただきます。
今議会に提出をされております平成二十六年度当初予算案の内容を見ますと、回復基調にある景気によって、歳入の大もと、根幹であります県税収入は大幅に増加をしております一方、皆さん御存じのとおり、国の財政措置の減少や、引き続き伸び続けております本県の義務的経費によって、依然として大変厳しい財政状況が続いていると認識をいたしております。
県税収入の正しい納入に関しては、財源確保の面からもその重要性を十分理解しているのはもちろんのこと、税負担の公平性を担保するものとして、せんだって昨年の九月議会において、私は、県税の徴収対策について一般質問をさせていただきました。
その際に担当部長さんから、納付期限内に、言うなれば当たり前に、正しく納税をする納税者の方々に関しては納税しやすい環境をつくる、言うなれば利便性の向上などのサービスを行う、そして、やむを得ず滞納状態にある方々へは、行き過ぎた取り立てなどに十分配慮していただきながらですが、正当な理由もなく滞納している方々には毅然とした滞納整理を行うことを目指していく旨の御答弁をいただきまして、大変評価をさせていただいたところであります。
そうした観点の中、平成二十五年度、本年度で設置期限が切れます地方税滞納整理機構は、二十六年度以降も三年間設置期間を延長するということでございましたが、まず一点お伺いします。
二十三年度から三年間という期限つきで設置をしておりました地方税滞納整理機構は、これまで県税歳入の予算にどの程度貢献をしてきたのかお示しをいただきたいと思います。
また、二十六年度から三年間の延長を決められましたが、これまでの高い徴収実績を踏まえて、今後どのようなものを目指していかれるおつもりかお聞かせをいただきたいと思います。
住民税の滞納をなくして、県の収入未済額を減らしていくという動きで始まった議論の中、設置をされたこの地方税滞納整理機構であります。二十三年度から設置をし、御案内のとおり、県内を六ブロックに分けて、私の地元知多半島の地域でも五市五町、十の市町村全てから参加をして、そして、県の指導のもと、滞納整理に当たられておる。そしてまた、高い実績を上げられておる。そして、今回、地元首長さん、市長さん、町長さんからも大変大きな要望によって三年間延長を続けたわけであります。
本来は、市町村の役割であるこの住民税の徴収を、こうした機構を設立し、県がサポートしてきたという意味は大変大きいというふうに思っております。税の徴収率の向上はもちろんのことでありますが、そのノウハウの蓄積や市町村の税務課職員の能力の向上及び意識の向上など、大変大きな役割を果たしていることと認識をいたしておりますが、しかし、その一方で、こうした滞納整理機構は、あくまでもピンポイントでのサービス、サポートのようなもので、いつまでも続いていくようでは、逆に市町村の税務課、徴収現場の自立を阻むことになるのではないかという懸念、危惧もあると思います。
そこで、三年間の、今回設置の延長を決定いたしましたが、その後の想定をしている期間はどのようなものなのか、また、それに関する懸念もあればお聞かせをいただきたいと思います。
続いて、納税者の利便性の向上という観点からも質問をさせていただきます。
社会の変化に伴って、私どものライフスタイルも当然変化をいたしております。特に、通信技術の発達は目覚ましく、スマートフォンやタブレット型端末などは、今では先進的な機器というよりは、住民の多くの方々が当然のように手にするようなものになってきておると思いますし、また、時間という感覚の拡大も我々の生活に大きく変化をさせてきていると思います。これは、二十四時間営業の店舗やコンビニエンスストアなどは、一昔前では考えられないような時代になったと言えます。
そうした中、各種税金などの納付金をコンビニエンスストアで納付できるということも今では当たり前のようになっておりますし、それが納付率の向上に寄与しているということも当然の流れのように感じております。
このように、生活スタイルに合わせて、手間や時間をかけずに、いつでもどこでも納税できる環境を整備することは大変重要であると考えております。
本県は、二十六年度より、新たに県税収入確保に向けた取り組みの中で、自動車税の納期内での納付率向上のため、クレジットカードでの納税が可能になると承知をいたしております。
そこでお尋ねをさせていただきますが、クレジットカード納税はどのような手続で行われるのか、また、他県での導入実績や取り組み状況もあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
加えて、今回、自動車税のみにクレジットカード納税を導入するとのことでございますが、どのような効果を期待しているのか、そして、自動車税以外、他の税目にも適用していくような動きはあるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
以上、御答弁を願います。
8:◯総務部長(中西肇君)
まず、地方税滞納整理機構の県税歳入予算への貢献につきましてお答えいたします。
県税歳入予算につきましては、特に本県の場合、景気動向等に大きく影響を受けるものでございますので、地方税滞納整理機構の設立がどの程度歳入予算に貢献しているかを厳密に積算することは困難でございますが、地方税滞納整理機構が直接徴収いたしました個人県民税相当額は、平成二十三年度、平成二十四年度とも約五億円となってございます。
なお、設立前の平成二十二年度の個人県民税の徴収率九一・七%が、平成二十四年度には九二・五%と〇・八ポイント向上していることなどから、県税歳入予算の確保に一定の効果を上げていると考えているものでございます。
次に、地方税滞納整理機構の今後についてお答えいたします。
地方税滞納整理機構では、これまで主に高額かつ処理困難な事案を対象として滞納整理を進めてまいりました。こうした取り組みにより、設立から三年を迎えまして、参加市町村からは、対象となる引き継ぎ事案が減少してきているとも聞き及んでいるところでございます。
このため、今後は、地方税滞納整理機構への引き継ぎ事案の基準を弾力的に運用することも検討しながら、市町村の税務職員のスキルアップに重点を置きますとともに、滞納者には、納期限内に完納するのが当たり前であるといった意識の醸成を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
こうしたことにより、個人住民税を初めといたします市町村税全体の徴収率のさらなる向上を目指してまいりたいと考えております。
次に、三年後の再延長につきましてでございます。
個人県民税の収入未済額が年々増加していたことから、平成二十三年度に地方税滞納整理機構を設立いたしまして、県が市町村への徴収支援を行うこととしたところでございますが、御指摘のとおり、個人県民税の徴収は、本来、市町村が行うべきものであり、地方分権の観点からも、市町村がみずからその役割を果たすことが重要であると考えております。
そこで、長期にわたる設置が県への依存につながることのないように、三年間の期限を切って設立いたしました。
今回は、市町村税務職員のスキルアップがさらに必要であることや、参加市町村の延長要望が強いことから、設置期間を三年間延長することといたしましたが、地方税滞納整理機構につきましては、市町村の税務職員のスキルアップを通じて、市町村の収納担当部署が組織として徴税のノウハウを会得し、個人住民税を初めといたします市町村税全体の徴収率の向上が図られた段階で、本来その役割は終わるものだというふうに考えてございます。
このため、こうした考えのもとで、三年後には県内市町村と設置について協議してまいりたいと考えております。
次に、クレジットカード納税につきましてお答えいたします。
まず、クレジットカードによる納税の手続につきましては、納税窓口などでカードを使用するのではなく、パソコン、携帯電話などを介したインターネット環境を利用して、指定のサイトからカード決済をいたすものであります。したがいまして、金融機関、コンビニ、県税事務所などに出向くことなく、また、その営業時間にかかわらず納税できるものであります。
既に同様の方式を導入済みの都府県につきましては、東京都、大阪府を初めとする十六都府県ございまして、本県を含む五県が平成二十六年度から導入予定でございます。
次に、クレジットカード納税の効果及び対象税目の拡大につきましてお答えいたします。
その効果でございますが、既に導入した都府県では、おおむね自動車税に係る納期限内の納付率が上昇しているため、本県でも同様に納期限内の納付率が向上することを期待しているところでございます。
なお、当面は自動車税の納期限内納付のみを対象といたしますが、今後、その結果の検証を行いますとともに、社会環境の変化なども踏まえ、対象税目の拡大の可能性については研究してまいりたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
9:◯一番(河合洋介君)
るる御答弁を賜りましてありがとうございました。
一点、地方税滞納整理機構の存続に関しての懸念について、ちょっと一点要望させていただきます。
今回の三年間の延長は、これは大変好意的に受けとめておるのはまずもって申し添えておきますが、やはり部長さんの御答弁にもありましたとおり、この滞納整理機構、設置の性質上、組織の性質上、やはりこれは特別なサポート体制であって、いわばワンポイントリリーフのようなものであると認識をしております。
いただいた資料によりますると、全国的にこの地方税、これを共同で滞納整理を行っていくという組織は、早いところでは平成十三年から、茨城県の茨城租税債権管理機構という一部事務組合を設置したというところから始まって、そして、平成二十年前後に、多くの県で一部事務組合での取り組みですとか、あるいは広域連合、愛知県のように任意組織での取り組みなど、さまざま形はありますけれども、こうした組織の設置に至り、そして、現在も全て継続をしているというふうに伺っております。
これは設置の期間もまちまちで、二年から五年ほどの期間を設けて、その都度延長を繰り返しているケースから、あるいはそもそも設置期間を設けていないというケースもあるというふうに聞き及んでおります。
任務を全うして解散に至った組織というのは、いまだ三十五あるこうした全国の組織のうち、一つもないというふうに聞いております。
徴収ノウハウの蓄積や、まさに市町村職員のレベルアップ、こうしたものが十分に発揮を、十分果たされて、その役目を終えるときというのは必ずあると思います。一言で言えば、ずるずる続けて、市町村からすれば、難しい案件は全て県だとか、あるいは機構にお任せというような状況になっては本末転倒になりかねませんので、今回初めての三年間延長と、この設置の延長を受けて、こうした組織の意味合いを十分御認識いただいて、適切な今後の動きを期待させていただいて、私から要望とかえさせていただきます。
以上、終わります。
10:◯議長(久保田浩文君)
次に、第一号議案平成二十六年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳出第一款議会費から第五款環境費までの質問を許します。
通告により質問を許可いたします。
山本浩史議員。
11:◯八番(山本浩史君)
歳出第四款県民生活費第一項県民生活総務費、県民生活総務事業費、戦争に関する資料館について及び第四款県民生活費第三項社会活動推進費、男女共同参画推進費について、二点について伺います。
初めに、第一項県民生活総務費、戦争に関する資料館について伺います。
戦争に関する資料館の整備については、平成六年県議会において、九名の超党派紹介議員により請願が提出され、採択されており、また、平成七年に名古屋市議会においても建設の請願が採択されております。
請願者は、元名古屋大学学長の飯島宗一氏外九十二名であり、飯島氏は、名古屋大学学長のほか、愛知芸術文化センター総長なども務められ、名古屋を中心とした学術や地域文化の向上、発展にも中心的役割を果たされたとともに、原爆症の解明に全力を尽くされ、多くの集会やシンポジウムで医学者の立場から核兵器廃絶を訴えてこられた方です。残念ながら、平成十六年三月、八十一歳で他界されております。
本事業のもととなる請願、戦争メモリアルセンターの建設についての要旨は、次のようなものです。
戦争メモリアルセンター(仮称)の建設について
(要旨)
一九四五年八月、アジア・太平洋戦争が終わってか
ら、早くも五十年近い歳月が流れました。今や戦争は遠
いものとなり、日本の社会全体が過去の戦争のことを忘
れ去ろうとしています。戦争体験者は次第に少なくな
り、戦争に関する資料も散逸しつつあります。
しかし、日本にとって今世紀最大の出来事であり、平
和な社会と繁栄の時代への出発点となったあの戦争のこ
とを忘れ去ってよいものでしょうか。
戦争の実態、戦争が残した計り知れない教訓を、日本
の歴史の中にしっかりと残し、次の世代に伝えること
は、二十世紀に生きた人間の共通の責務であると思いま
す。それは、戦争でなくなった人々への鎮魂であるとと
もに、再びわれわれが戦争の惨禍を引き起こさないよう
にし、次の時代の平和の基礎を築くことでもあります。
いま全国各地で、戦争に関する資料の収集・保存・展
示と平和研究のための施設がつくられています。大阪で
は府と市が共同で「ピースおおさか」を開設しており、
京都には「国際平和ミュージアム」、川崎市、埼玉県に
も同種の施設がつくられました。岐阜市、高松市、神奈
川県、滋賀県、東京都にも建設計画があります。
愛知県は、軍需産業が最も集積した地域であっただけ
に、空襲による民間の被災もとりわけ大きいものでし
た。戦争に関する資料はまだ多く存在し、その収集や戦
争体験の伝承活動もなされています。それらを次代の
人々が有効に利用できるように集約し、戦争体験を次の
世代に伝え、国際平和について生涯学習の拠点となるよ
うな施設の建設が強く望まれます。
ついては、二十世紀を供に生きた証として、この愛知
においても、県・市と県民・市民が力を合わせ、戦争の
資料を収集・保存・展示する資料館(仮称「戦争メモリ
アルセンター」)を建設するよう請願します。
この請願が採択された後、平成九年に県と名古屋市が共同で戦争に関する資料館調査会を設置し、建設に向けた調査、検討が進められ、平成十一年三月には資料館の基本構想が取りまとめられたそうです。
しかし、新設による整備が困難な状況が続き、また、利用可能な施設もなく、常設展示が実現できない状況が続いていました。
こうして長い間、進展がありませんでしたが、平成二十六年度に大津橋分室の耐震工事が実施されることに伴い、県史編さん室が自治センターに移転することとなり、この耐震工事にあわせて展示室として整備し、終戦七十年の節目となる平成二十七年から戦争に関する資料の常設展示を行うため、調査会において展示に向けた準備を行うとのことです。
年月を重ねるごとに戦争の記憶は失われていきます。昭和二十七年に設立された日本傷痍軍人会は、設立当時の会員三十五万人が五千人まで減少し、また、平均年齢も九十二歳と高齢化するなど、組織運営が難しくなり、昨年十一月末に解散されました。
請願にあるとおり、戦争が残したはかり知れない教訓を歴史にしっかり残し、次の世代に伝え、平和の基礎を築くことは私たちの責務です。
そこで伺います。
現在までの資料の収集・整理状況と、どのような常設展示を考えているのでしょうか。
また、県庁大津橋分室の改修工事の内容はどうなっており、また、大津橋分室をどのように利用していくのでしょうか。
次に、第三項社会活動推進費、男女共同参画推進費について伺います。
平成二十四年十二月に発足した第二次安倍内閣は、相互に補強し合う関係にある三本の矢、いわゆるアベノミクスを一体として推進し、長期にわたるデフレと景気低迷からの脱却を最優先課題とし、昨年六月、それまでの停滞の二十年を踏まえ、デフレからの早期脱却と再生の十年に向けた処方箋を提示し、三本の矢を柱とし、取り組むべき道筋を明らかにした経済財政運営と改革の基本方針を閣議決定いたしました。
第一の矢は、デフレマインドを一掃するための大胆な金融政策。第二の矢は、湿った経済を発火させるための機動的な財政政策。そして、第三の矢は、企業や国民の自信を回復し、期待を行動へ変える新たな成長戦略です。
この第三の矢である成長戦略において、女性の活躍推進が掲げられ、出産、子育て等による離職を減少させるとともに、指導的地位に占める女性の割合の増加を図り、女性の中に眠る高い能力を十分に開花させ、活躍できるようにすることは、成長戦略の中核であると提言されています。
具体的には、若者・女性活躍推進フォーラムの提言を踏まえ、女性が活躍できる環境整備を推進するとし、成長戦略に盛り込まれました。
このフォーラムは、昨年二月から五月にかけ八回にわたり、経済再生担当大臣の調整のもとで開催されており、関係閣僚が連携して、若者や女性等の雇用にかかわっている人の生の声を聞きながら、若者や女性等の直面する課題の抜本的な解決方法を検討するというものであり、最終会議により取りまとめられた女性の活躍推進のための提言は、一番目に、女性の活躍促進や仕事と子育て等の両立支援に取り組む企業に対するインセンティブ付与等、二番目に、女性のライフステージに対応した活躍支援策、三番目に、男女がともに仕事と子育て、生活を両立できる環境の整備、四番目、隗より始めよの観点から、公務員における女性の採用、登用の拡大等の取り組みの促進とされていますが、こうした提言には前提となる二つの課題があります。
その一つが、女性の労働力率が子育て期に当たる三十歳代で低下するM字カーブ問題です。
我が国では、第一子出産を機に約六割の女性が離職すると言われていますが、一方で、就職希望者は二十五歳から四十九歳までを中心に三百万人超に上り、非常に大きな潜在力があるとされています。まさに、この潜在力を生かすことが日本の成長戦略に不可欠であると言えます。
M字カーブ問題の解消に向けては、二〇二〇年の就業率を二十五歳から四十四歳の女性について七三%とすることを目指しています。
もう一つの課題が、企業等における役員や管理職に占める女性の割合が国際的に見ても依然として低い水準にとどまっているということです。
政府は、指導的地位に占める女性の割合を二〇二〇年までに三〇%程度とすることを目指しています。この課題への取り組みは、M字カーブ問題の改善につながるともされており、二つの課題への一体的な取り組みが女性の活躍推進には不可欠であると言えます。
こうした中、本県の状況に目を向けてみますと、女性の管理職が一人もいない企業の割合が五二・二%と、東京都、大阪府、福岡県の四大都府県で最下位と民間調査機関の統計結果が示しており、この地域における女性管理職の登用に向けた取り組みにスピード感と実行力が求められています。
調査を行った民間調査機関は、愛知県に女性管理職が少ない原因の一つとして、製造業を主要産業とする本県の産業構造が影響していると分析しておりますが、また、この地域の固定的性別役割分担意識が全国的にも高いといった状況も影響しているものと考えられます。
女性の活躍促進に向けては、長時間労働を前提としたこれまでの男性中心の企業経営を改め、男女の別なく多様な生き方を認め、能力によって評価する制度を確立させることが大変重要であり、経営トップの意識はもちろんのこと、人材を育てる立場にある中間管理職の役割が重要であると考えられます。
そこで伺います。
企業における女性の活躍の鍵を握る中間管理職の意識改革に向けて、県はどのような取り組みを行っていくのでしょうか。
また、企業で働く女性の管理職への登用に向けて、県はどのような支援を行っていくのでしょうか。
以上、伺います。
12:◯県民生活部長(寺澤義則君)
戦争に関する資料館についてのお尋ねのうち、まず、現在までの資料の収集・整理状況と、どのような常設展示を考えているのかについてでございます。
戦争に関する資料につきましては、県と名古屋市で設置しております戦争に関する資料館調査会、ここにおきまして、これまでに七千三百六十五点の資料を県民の皆様から御寄贈いただきまして、収集をいたしております。
具体的には、戦中の学校教科書などの図書類、それから、召集令状、引き揚げ証明書といった文書、当時の写真や絵はがきなどの視聴覚資料、そして、慰問袋、防空頭巾といった実物資料等でございます。
これらの資料につきましては、文字の判読が難しいことなどによりまして、その来歴等が不明なものも少なくなく、これまでに分類、整理をいたしました資料は約二千三百点にとどまっております。
来年度は、さらに一千点程度の資料につきまして、既にこうした資料の調査に実績のございます民間団体と協力いたしまして、分類、整理の促進を図ってまいりますとともに、調査会といたしまして、専門の知識を有する学芸員を採用いたしまして、展示内容の検討や展示資料の選定などを進めてまいりたいと考えております。
展示内容でございますけれども、来年度、その詳細を検討していく予定でございますが、基本的には、平成十一年に、外部有識者等から構成されます戦争に関する資料館検討委員会、ここでおまとめをいただきました報告書がございます。これをもとに進めてまいりたいと考えております。
この報告書では、展示に関する基本的な考え方といたしまして、県民の戦争体験、そして、戦争にかかわる地域史、この二つを軸に、県民の皆様から寄せられた各種の資料や証言を基礎に構成するとございますので、そうした考え方を参考にいたしまして、具体的、個別的な実物資料を中心に、戦時下での県民の暮らしやこの地域の空襲体験など、地域性を重視した展示内容となるよう工夫をしてまいりたいと考えております。
こうした展示を行いますことで、戦争体験を次の世代に伝え、平和の基礎を学ぶことができる場としてまいりたいと考えております。
次に、県庁大津橋分室の改修工事の内容と今後の利用についてでございます。
県庁大津橋分室は、昭和八年に建築された建物でございまして、これまで大規模な改修工事もなかったことから老朽化が進んでおり、また、空調設備等のふぐあいも生じております。
このため、地上三階建ての建物のうち一階部分につきまして、戦争に関する資料の常設展示スペースといたしまして、県民の皆様に安全、快適に利用していただけるよう、玄関のスロープ、トイレ等のバリアフリー工事や内装の改修工事も行ってまいりますとともに、全館の空調設備の改修も予定をいたしております。
また、今後の利用でございますけれども、当面は一階部分を展示室として活用してまいるわけでございますけれども、二階、三階部分の利用につきましては、今後、調整、検討いたしまして、有効に活用してまいりたいと考えております。
次に、女性の活躍促進についてのお尋ねでございますが、まず、企業の中間管理職の意識改革に向けての取り組みについてでございます。
少子・高齢化の中で社会経済の活力を維持しながら企業が成長をしていただくために、企業における女性の活躍を促進する取り組みは大変重要であると考えております。
企業での女性の活躍促進に向けましては、日々の業務を通じまして仕事のマネジメントを行い、あるいは人材育成の役割を担っていただいております中間管理職の方々の御理解、意識の向上が不可欠であると指摘がされております。
そこで、県といたしましては、企業の管理職の多くを占めます男性を対象にいたしまして、男性管理職向けのワークショップを名古屋で二回、三河で一回、各回三十名ずつでございますけれども、対象に開催をしてまいる予定でございます。
このワークショップでございますけれども、日々の仕事の与え方や業務の指示、指導方法、これらが固定的な性別役割分担意識に根差したものになっていないか見直していただくとともに、女性社員とのコミュニケーションや育成方法のノウハウ、効率的な働き方による組織づくりなどにつきまして、問題解決やトレーニングの手法を取り入れながら学んでいただくものでございます。
このワークショップの実施によりまして、女性社員の育成や多様な働き方に対します中間管理職の方々の御理解や意識が向上し、企業における女性の活躍促進につながるものと考えております。
次に、企業で働く女性の管理職への登用に向けての支援でございますが、企業における女性の管理職の登用に向けては、女性自身の仕事に対します意識の向上や、働く女性のロールモデル、いわゆるお手本でございますけれども、こういった先輩女性をふやすことへの重要性が指摘をされております。
そうしたことから、県内企業の中堅女性社員を対象といたしまして、女性管理職養成セミナーでございますけれども、これは平成二十四年度から実施しておりまして、このセミナーの参加者からは、管理職としての役割、あるべき姿について学び、仕事に対する意識が変わったですとか、今後は自分自身がロールモデルとなって、後輩の手本となれるよう一層努力していきたい、こういった感想が寄せられておりまして、女性社員の意識向上につながっておるものと考えております。
企業からも大変好評をいただいておりますこの事業でございますけれども、来年度、新たな取り組みを加え、実施してまいります。
具体的には、三河地区でのセミナーの開催に加えまして、より参加しやすい土曜日のコースを開設いたしますとか、あるいは修了生を対象としたフォローアップセミナー、こういった取り組みを実施することとしております。
こうしたことによりまして、より多くの管理職候補者となる女性人材を育成することで、これまで以上に企業における女性の管理職への登用の促進を支援してまいります。
以上でございます。
13:◯議長(久保田浩文君)
進行いたします。
河合洋介議員。
14:◯一番(河合洋介君)
たびたび失礼をいたします。
第三款地域振興費第一項地域振興総務費のうち、私は、第三目国際交流費について、順次質問をさせていただきます。
まず、あいち医療通訳システム推進協議会負担金について伺います。
日本語が堪能でない外国人の方々にとって、暮らしの中で不安なことは何ですかとお聞きをいたしますと、体調を崩したときに、あるいはけがをしたときに医者へ行くことに不安があるといったように、医療に関する不安を挙げられる方々が多くおみえになります。
このあいち医療通訳システムというのは、日本語での会話に不安のある外国人の方々にも安心して医療機関にかかることのできるように、英語、中国語、スペイン語、ポルトガル語、そして、フィリピン語と、五つの言語の通訳者を医療機関に派遣をしたり、あるいは電話での通訳、紹介状などの文書翻訳などを行ったりと、こういったサービスを提供するシステムであり、平成二十四年度からスタートした事業であると伺っております。
このシステムを構築するために、愛知県と県内の全ての市町村、そして、愛知県病院協会や医師会などの医療関係の五団体、そして、愛知県内の四つの大学と連携をして推進協議会を立ち上げられ、その運営費の分担金としての予算計上であると伺ってございます。
この施策は、言語の壁によって医療機関にかかることができないのではないかという不安を払拭する大変すばらしい施策であると思っておりますし、地元自治体や、私も地元で外国人の方々や、あるいはハーフのお子さんとかからも、大変ポジティブな意見を実際にお聞きすることもございます。
そこで、まずお伺いをいたしますが、制度が開始をされておおむね二年が経過をいたしております。その運用状況についてお聞かせを賜りたいと思います。加えて、今後の利用促進に向けた取り組みについてお聞かせを賜りたいと思います。
続いて、外国人留学生の受け入れに関して、県の施策について順次お伺いします。
本年度新たに行うことになりました愛知のものづくりを支える留学生受入事業、これは既存の事業でありました愛知留学生受入事業をより充実をさせて、そしてまた、なおかつ、卒業後に県内企業への就職の意思のある留学生を対象とした奨学金制度として、大変大きな期待をしている事業の一つであります。
卒業後に本県産業を支えると認められる分野、すなわち物づくり中心の、技術系中心の選考であるとは思いますけれども、こうした留学生の県内企業、県内への定着を期待、そして、意図しての新設の事業であると思いますし、そこがみそであると認識をいたしております。
海外からの留学生の受け入れ、そしてまた、その後の就職となりますと、今までは首都である東京の一極集中化というのが顕著であると思います。
こうした中、本県の物づくり産業を支えるグローバルな人材、優秀な人材、本県で学んだ外国人留学生にそのまま定着してもらうことを意図したこの施策、大変的を射た施策であって、今回五年間という新規受け入れ期限が決まっておりますが、ぜひ成功して、今後継続して取り組んでいただきたいものであると、まずもって申し添えておきます。
そこでお伺いをさせていただきますが、本制度を活用した留学生、一期生十名が昨年の十月に来日をしたというふうに聞き及んでおりますが、既存の愛知留学生受入事業との違いも含めて、来日後、受け入れ後の状況についてお聞かせを賜りたいと思います。
また、本県として、来年度以降、留学生の就職支援に向けてのサポート体制など、どのように取り組まれていくおつもりかお聞かせをいただきたいと思います。
以上、御答弁を賜ります。
15:◯地域振興部長(近藤正人君)
まず、あいち医療通訳システムの運用状況と今後の利用促進に向けた取り組みについてお答えをいたします。
今年度二月末までの十一カ月間の利用件数は八百八十三件、昨年同期と比べますと約三割増しという状況でございます。
利用可能な医療機関は前年度から三病院ふえ、六十六となっておりまして、この制度が少しずつ認知され、評価をいただいているものと考えております。
また、通訳者も今年度新たに六十三名を養成いたしまして、累計で五言語、二百余名の方に御活躍をいただいております。
今後、本制度のさらなる利用促進に向けましては、外国人の方や医療関係者に、この制度の利用のメリットや活用方法などについて広く知っていただくことが肝要であると考えております。
そのため、昨年度定めました愛称、あいち医療通訳システムの英語訳、アイチ・メディカル・インタープリテーション・システム、この頭文字をとったAiMIS、さらには、キャラクター「やくすくん」、これなどを活用いたしまして、啓発資材を多言語で作成するとともに、外国人の方が多く参加するイベントでの配布、外国語の雑誌などへの掲載を行うことで周知を図ってまいります。
加えて、外国人の方が身近な医療機関で利用できる利便性の高いものとするために、医療機関の拡大に積極的に取り組みますとともに、引き続き、医療通訳者を養成することで、このシステムの充実にも努めてまいります。
次に、外国人留学生の受け入れについてでございます。
平成二年度にスタートした外国人留学生への奨学金制度、愛知留学生受入事業では、ASEAN十カ国を中心に毎年約三名、今までに累計六十六名の留学生を受け入れてまいりました。
その上で、本年度からは、本県企業への就職の意思を有することを条件といたしました愛知ものづくりを支える留学生事業に発展的に切りかえました。対象国をアジア二十二カ国に拡大いたしますとともに、受け入れ数も十名に増員し、全国トップレベルの奨学金を支給することといたしました。
本事業は、留学生の本県企業への就職を促し、全国一の物づくりを支える人材の集積を図ることを目的としたものでございます。
このものづくり留学生一期生十名は、昨年十月に県内の大学に研究生として入学し、現在、四月からの大学院入学に向けまして、専門的な知識の習得とともに、将来の就職を見据えた日本語のレベルアップに取り組んでいるところでございます。
また、この二月には、就職に対する意識を高めるため、県が開催をいたします県内企業の見学ツアーに参加をし、物づくりの現場を勉強するとともに、そこで働く外国人社員と意見交換も行ったところでございます。
二年目となる来年度は、卒業後の就職に向けまして、より実践的な取り組みが必要であると考えております。
具体的には、今年度に引き続き、より多くの物づくり企業を見ていただくとともに、県内企業において就労体験いただくインターンシップを実施することとしております。
また、定期的に面談を行い、学業、生活面等に対する相談や助言を行いますとともに、各大学の就職支援窓口や担当教官とも連携を密にし、留学生の就職活動が円滑に進むようしっかりとサポートしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
16:◯一番(河合洋介君)
いずれも前向きな御答弁を賜りましてありがとうございます。数点要望させていただきたいと思います。
まず、あいち医療通訳システムに関して。
これも、地元での御評判どおり、利用率も三割増ということで大変大きく伸びておると思います。利用率も伸びておって、各市町村や住民の方々からも大変好評で、これはまだまだニーズがこれからもあるのではないか、周知をもっともっとしていけばあるというふうに感じております。
しかし、そんな中、二十四年度からの新規事業スタートであったと思いますが、本年度が三百七十万円の予算計上で、昨年はたしか四百万円であったというふうに決算のときにも思っておりますが、大変厳しい財政状況でありますので、年々、大体一割かそこらずつ、ちょっとずつちょっとずつ減っていくというのはいろんな事業でもありますが、こうした地元のコミュニティー紙への掲載ですとか、地元外国人の方々への周知を行えば、まだまだこれは利用件数も伸びていくような事業でもあると思いますので、ぜひとも適正な予算措置、予算の確保と、そして、さらなる利用促進を要望させていただきたいというふうに思います。
そして、もう一点、留学生の受け入れ事業についてでございますが、これは先ほどお話があったとおり、既存の愛知留学生受入事業からの発展的な切りかえということで、物づくりを支える留学生受け入れというような名前が変わったわけであります。
一期生の十人が今回来日をして、ぜひこの十名の方々、初期メンバーじゃないですけれども、こうした方々が、本当に全ての方々、地元の本県企業に就職をしていただいて、御活躍を賜って、そうしたものがまた母国へも評判が広がって、そしてまた、留学生の方々が本県に来て、そして学ばれて、また就職をするというようないい循環がぜひ起こるように、五年間、今回期限を決めての新規受け入れということでありますけれども、ぜひこれが軌道に乗ってすばらしい事業となっていくようないい循環が起こるように、我々もバックアップをさせていただきたいと思いますので、これを要望させていただいて、発言を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
17:◯議長(久保田浩文君)
進行いたします。
近藤ひろひと議員。
18:◯二十四番(近藤ひろひと君)
第二款総務費第二項総務管理費のうち、行政改革推進事業費について質問をさせていただきます。
愛知県のホームページ、トップページを見ますと、大村知事の爽やかな写真と、そして、さまざまなバナー、メニューが出てまいります。その中に、愛知県政というバナーがあります。そこをクリックしますと、愛知県の紹介、記者発表、広報・広聴・情報公開、統計データ、県の計画・プロジェクトなど、県民が知りたい項目がずらりと並んでおります。その中に、行政改革という項目も入っております。
その行政改革に入ってまいりますと、最近の行政改革に関する記者発表や情報を詳細に確認することができます。
また、今回の質問に当たりまして、この県のホームページ内で行政改革と検索を打ってみましたところ、百六十五件がヒットいたしました。つまり、これだけ県の行政改革について、これまで多くが議論されたり、あるいは県民の皆さんからの認識が高く、関心が高いものだというふうに思いますし、これまでの取り組みが現実に積み上げられたものだというふうに思います。
ここで、愛知県の行政改革の歩みを少し振り返ってみたいと思いますけれども、昭和六十年、第一次行革大綱に当たります愛知県行政改革推進計画が策定されました。平成十年に、十年間の計画として策定された愛知県第三次行革大綱は、本庁部制の再編、職員定数の削減などを前倒しした取り組みをしつつ、三年後には最少の経費で最大の効果を上げる行財政システムの構築に向けて、改訂愛知県第三次行革大綱、いわゆる県庁改革プログラムとして策定をされました。
さらに取り組みを進めるために、七つの重点取り組み事項として、職員定数の削減目標の見直し、組織・機構と運営の改革、電子地方政府化と業務改革、成果重視型の推進に向けた行政評価制度の実施、能力、勤務成績が適切に反映される給与制度等の確立、県民、NPO、市町村との協働関係の拡大、財政健全化に向けた取り組みなど、「見直します 意識と組織と仕事ぶり」というキャッチフレーズで全庁を挙げて取り組んでこられたというふうに認識しております。
平成十七年に策定されたあいち行革大綱二〇〇五を経て、その後、社会情勢の急激な変化、いわゆるリーマンショックでありますけれども、世界同時不況が起こり、自動車産業を中心とする物づくり輸出産業が大打撃を受け、五千億の税収の落ち込みという大変な財政危機に落ち込んだことは、皆さんも御承知のとおりかと思います。その時期に第五次行革大綱が策定され、現在に至っていると認識しております。
今、言葉で申し述べただけでは、これまでの計画が時系列的にどうであったかわかりづらかったと思いますけれども、もちろん議場におられる皆さんはよく御認識のこととは思いますが、再度整理してみますと、平成十年十二月に策定された十年間の行政改革推進計画は、平成十三年の十二月には改訂愛知県第三次行革大綱、これが先ほど申しました県庁改革プログラムであります。七年間の計画期間であったものが三年後に、平成十七年二月になりますが、あいち行革大綱二〇〇五と改められ、さらに、この大綱の計画を一年前倒しして、現行の第五次行革大綱を策定するという、県としては不断の努力をされてきたことが見てとれます。
ここへ来て感じられる景気の持ち直し、実際に来年度の税収も一兆円を超えるものとなり、先行きはやや明るい兆しも見えております。しかし、締めるべきところは引き続きしっかりと締めてかからなければならないと思います。
そこでお伺いをいたします。
今回予算計上されている行革推進費には、次期行革大綱策定の費用が含まれておると思いますが、計画期間が平成二十六年度までとなっている第五次行革大綱ではどのような取り組みをし、成果はどうであったか、お答えをいただきたいと思います。また、次期行革大綱、どのような方針で策定していくおつもりか、お答えください。
県のホームページの愛知県の行財政改革の欄には、行政の経営改善として、市場化テスト、PFI、指定管理者、県関係団体、出資法人等、ネーミングライツなどが挙げられております。
今回の事業費には、今申し述べました中のPFI推進事業が含まれているとお聞きをしておりますが、今定例会でも、一般質問で何度もPFIという言葉が出てまいりました。このPFIについて、県では今までどのような実績があり、どのような効果があったか、お答えをいただきたいと思います。
また、今回のPFI推進事業について具体的に、平針の運転免許試験場の建てかえについて、基礎調査などについての予算と伺っておりますが、その前提として、平成二十五年度、今年度ですね、PFI検討調査を行っておられます。その結果はどのような内容であったか、また、それを踏まえて、平成二十六年度、どのような検討を進めていくおつもりかお答えいただきたいと思います。
19:◯総務部長(中西肇君)
まず、第五次行革大綱の取り組みとその成果についてお答えさせていただきます。
本県では、厳しい財政状況が続く中、第五次行革大綱及びそれを深掘りする重点改革プログラムに基づきまして、徹底した行財政改革に取り組んでまいりました。
第五次行革大綱の計画期間であります平成二十二年度から二十六年度までの五年間で、職員定数五百十人の削減、また、公の施設二十五施設の廃止、地元移管などの成果を生み出してきたところでございます。
その結果、行革効果額といたしましては、歳入面では、自主財源の確保として、未利用財産の適正な処分のほか、県税徴収率の向上などによりまして百十三億円を見込んでございます。
また、歳出面では、施策の見直し、事務事業の工夫、改善として九百十一億円、また、給与などの適正管理として、退職手当を初め各種手当のあり方の見直しなどの取り組みにより二百五十五億円、歳入歳出合わせまして、総額一千二百七十九億円の行革効果を見込んでいるところでございます。
次に、次期行革大綱の策定方針についてお答えします。
次期行革大綱につきましては、スピード感を持って策定作業を進め、本年の十二月を目途に策定、公表してまいりたいと考えてございます。
具体的な検討課題や取り組み方策につきましては、今後、県議会の皆様を初め、県民の皆さんや各界関係者、また、市町村などから幅広く御意見をいただきながら詰めてはまいりますが、現時点では、健全で持続可能な財政基盤の確立や、より一層効果的、効率的な行政運営が検討項目の柱になるのではないかというふうに考えてございます。
健全で持続可能な財政基盤の確立に向けましては、例えば、県債の新規発行の抑制や自主財源の確保、県税徴収率の向上などの取り組みを検討していく必要があるというふうに考えてございます。
また、より一層効果的、効率的な行政運営につきましては、引き続き、事務事業の見直しや定員、給与の適正管理を着実に進めますとともに、例えば、女性職員の活躍促進や民間活力の一層の導入、県有資産の適正な管理などの取り組みについても、検討を深めてまいる必要があるというふうに考えてございます。
次に、PFIにつきまして、本県での実績と効果についてお答えさせていただきます。
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI法が平成十一年に成立して以来、本県では、これまで、森林公園ゴルフ場、産業労働センター、県営浄水場排水処理施設二件の計四件のPFI事業を実施しております。
これらPFI事業につきましては、例えば、産業労働センターにおきまして、県が直接実施する場合と比べて約三十七億円、約三四%の削減効果が生じるなど、民間の経営ノウハウを活用することにより、いずれの事業につきましても総事業費の削減が図られております。
また、多様なニーズを適正に把握することによりまして、森林ゴルフ場におきましては、PFI導入前と比べまして利用者が大幅に増加いたしますとともに、アンケート結果によれば、利用者の方々からゴルフ場の整備状況や職員の対応についても高い評価をいただいております。
また、産業労働センターにおきましても、当初の予定を上回る高い利用率を保っておりまして、施設の運営は順調に推移しているところでございます。
このように、PFIの導入によりまして、事業の効率的な執行と良質なサービスが提供されるなど、民間活力を生かした成果は得られているところでございます。
次に、平針の運転試験場の調査についてお答えさせていただきます。
まず、今年度の検討に当たりましては、土地の現況や利用規制などの諸条件を整理した上で、余剰地の活用を視野に入れ、PFI手法を用いた場合と従来型公共事業方式で整備した場合とのコスト削減効果などを比較するためのPFI検討調査を実施してございます。
この調査につきましては、三月末までを調査期間といたしてございますが、これまでの検討状況では、先行する他県の類似事例と比較しても遜色のないコスト削減効果が見込まれる見通しでございまして、現地建てかえについて、土地利用上の特段の問題も見当たらないところでございます。
こうしたことから、二十五年度の調査結果を踏まえ、引き続き、PFI手法を用いた施設整備の検討を行うことといたしまして、二十六年度の基礎調査では、庁舎や技能試験コースの面積、施設の全体配置など、運転免許試験場に要求される機能や規模などについて検討を深めることを予定しております。
以上でございます。
20:◯二十四番(近藤ひろひと君)
再度発言をさせていただきます。
行革の効果、ちょっと今はっきり聞き取れませんでしたが、千億を超える効果があったというふうにお聞きをしました。そういった内容に続いて、新たな大綱をおつくりになられるというふうに認識しました。
PFIについてでありますけれども、それなりの成果があったというふうなことだと思います。
先ほど河合議員も言われましたけれども、景気の持ち直し、きょうも朝のニュースで、春闘でしょうか、ベアがトヨタさんは四千円を要求、満額回答をというようなお話もありますし、県の一般職員の皆さんも、給与が久しぶりに戻られるということで、非常に明るい内容での新年度を迎えるようなことになろうかと思います。
しかしながら、先ほど話をしましたように、改めてこういった行政改革の意識は持ち続けていただきたいというふうに思います。
つきましては、ただいま申し上げた、まず、PFIについてお話をしたいわけなんですけれども、民間の活力、先ほど民間の経営ノウハウを活用してというふうなお話がありました。これは、指定管理とも多分かかわってくるんだろうなというふうに思うんですが、民間の力を活用するということは、その民間の方たちは自分のところの利益のために動かれるわけであって、果たして全てが、税金が正しい使い方になっているかということが若干疑問であります。
例を申し述べますと、ある自治体で、外郭団体であった、いわゆる指定管理といいましょうか、管理をしていた外郭団体を、その自治体が一〇〇%出資をした法人、株式会社をつくりました。株式会社には民間の社長さんが入られました。その運営に当たって大変な努力をされたおかげで、その会社は利益を出されました。税金で委託をしたお金が利益として出ました。それが税金として吸い上げられます。一〇〇%の出資の自治体にはその何割かの配当が出ます。しかしながら、その自治体が、皆さんが集めたお金がそのまま返らず、要するに削減だけされたんじゃなしに、県や国に召し上げられたという議論が──実はある自治体、日進市の話でありますが──ありました。こういったことがあって、どうしたかというと、要は委託費を見直しましょう。こうすると、努力した企業にしてみれば、何だったんだというお話になってしまうんですね。
何が申したいかというと、行政は、当然のことながら、経費を削減するために民間の力をかりたいということで、そういったところへ委託をされるわけですが、果たしてそのままよかったのかどうか。
例えばの話、第三セクターがこれまで何回やってもうまくいかなかった。いっているところもあると思います、余裕があるからいっているんだというふうに私は思います。そういうふうな民間の力をかりようとすると、バックには、いわゆる行政、自治体のブランドがついているから何とかもっているんだという甘い考えが生じるのではないか。責任の所在がどこにあるかがわからないといったことがあるので、大変そういったことを心配するわけであります。
PFIについては、実は私の同期で北九州市のほうへ視察に行かせていただきまして、新たなスタジアムの建設に当たって、その事業を取り入れたいというふうなお話がありました。
いわゆる民間にそういったことをお願いするわけですので、もちろん相当な調査をして、それなりの成果はあるとは思います。しかしながら、基本的には、やはり行政がお金をかなり出すわけであって、そしてまた、その中には、お聞きしたところ、toto、いわゆるくじですね、くじのそこの補助が相当あるので、かなりその部分が軽減できるんだというようなお話でありました。
いずれにしても、こうしたことを総合しますと、これまでのPFIや、あるいは指定管理者制度、こうしたものの導入が本当に適切に税金を納めておられる県民の皆さんの御理解を得られるかどうか、事細かなチェックが必要ではないかと思います。
もう一度指定管理者制度に戻りますけれども、事業委託としてぽんと出てしまうと、議会も実はチェックのしようが余りありません。先ほども申し述べた民間の事業委託したところが、日進市が一〇〇%の株主だったから、その決算書を取り寄せて、それを議員が取り寄せて確認することができたということであります。これが普通であれば、そうは簡単にまいりません。そういったことをシステムづくりとして取り入れていくことが必要なことではないかというふうに思います。
今回、事務事業評価書、久しぶりにこういった書類を見せていただきました。率直な感想を言わせていただくと、これは平成二十五年度の先ほどの行革推進費の内容でありますけれども、行革大綱推進費に四百五十二万円。それから、例えばネーミングライツに百五十万円、公開ヒアリング開催費に百三十万円、PFI事業導入検討費に二百万円。民間の方がこれを見たときに、本当にこんなにかかるのかな、率直に思われると思います。
先ほど指定管理の話をしましたけれども、一般の、なぜ、例えば指定管理の方が利益が出たか、それは自分が仕事をするからであります。仕事をほかの人に委託すれば、その人にお金が行きます。そういったことを事細かに見詰め直していただき、ぜひともこれからの県財政がきっちりとしたものになるように、そしてまた、今定例会に追加提案された副知事さんの議案がありますが、民間からの初めての登用ということで、まさに改善のトヨタさんから来られます。大村知事が大変な御英断で、こういった方を登用したいということだというふうに思います。この改善のトヨタの意識が愛知県庁全域に行き渡るように期待を申し上げて、質問を終わります。
21:◯議長(久保田浩文君)
進行いたします。
鈴木まさと議員。
22:◯十三番(鈴木まさと君)
私からは、歳出第三款地域振興費第一項地域振興総務費のうち、山村振興事業費についてお伺いします。
日本全体が人口減少社会に突入すると言われておる中、山間地域では、昭和四十年代からの過疎化や少子・高齢化の進行により、地域社会の活力の低下が進み、それがさらなる過疎化につながり、現在では、地域社会が崩壊の危機に直面しておると言われるような地域も見られるような状況であります。
そのような中で、本県の三河山間地域でも、集落機能の維持が困難となりつつある地域がふえてきていると聞いておるところであります。
しかし、三河山間地域では、新東名高速道路や三遠南信自動車道路の開通など、高速道路網が充実してきておるところから、名古屋市など都市地域に比較的近いという強みがあることから、田舎暮らしに関心を持つ方々にとって魅力ある地域でもありますので、積極的な情報発信を行い、移住、交流を受け入れることにより、地域の活性化につなげていく必要があると考えておるところであります。
愛知県では、関係市町村や民間と一体となり、平成二十年度に愛知県交流居住センターを設置し、都市地域から三河山間地域への人の流れを創出しようと、都市住民と地域の方々との交流事業などに積極的に取り組まれておるというところでありますが、このような取り組みでは、いかに多くの方々に三河山間地域の情報を発信していくかが、これが重要であると考えております。
現代では、その一番有効な方法は、ウエブ上での情報発信ではないかと考えておるところであります。
しかし、センターのホームページを見ると、田舎暮らしを希望する方々にとって非常に重要である住まいや地域での生活に関する情報が少ないように感じておるところであります。また、仕事に関する情報についても、法律上の規制はあると思いますが、十分ではないと思われております。
そこでお伺いしたいと思います。
まず、一点目として、愛知県交流居住センターにおける住まいや仕事に関する情報発信について、どのように考えておるのかお伺いしたいと思っております。
次に、三河山間地域の総合的な窓口である愛知県交流居住センターの情報を充実させていくことは重要でありますが、同時に、移住希望者が実際に住みたいと考える市町村において、知りたい情報が得られ、相談に乗ってもらえる体制を充実していくことも必要ではないかと考えております。市町村単位での情報発信、相談体制の充実について、県のお考えをお伺いしたいと思っております。
次に、移住を希望する方々が山間地域での生活を理解する上で、本格的な移住の前に試験的に住むことができるお試し住宅のような仕組みが必要だと考えておるところでありますが、県のお考えをお伺いいたします。
最後に、山間地域への交流居住を推進していくために、今後どのように施策を展開していくのか、県の考えをお伺いしたいと思います。
以上です。
23:◯地域振興部長(近藤正人君)
山間地域の交流居住について、何点かお尋ねをいただきました。
まず、愛知県交流居住センターにおける住まいや仕事に関する情報発信についてでございます。
山間地域への移住を希望される方からは、空き家を求める声が多くございますが、空き家所有者の中には、他人に家を貸すこと自体に抵抗を感じる方が多くおられますことから、貸し出せる物件が少なく、センターで提供している情報は、市町村営住宅や別荘などの売り物件などがほとんどでございます。
こうした中、一部市町村では、所有者の理解を求めることで空き家を発掘している例もございますので、県といたしましては、このような事例も踏まえまして、市町村において空き家提供の環境づくりが進むよう、一緒になって検討してまいりたいと考えております。
また、仕事の情報につきましては、リアルタイムで情報の更新ができないなど、センターで扱うことには課題が多く、ハローワークを活用していただいている状況にございます。
しかしながら、一方で、地元の森林組合や企業などには、地域に密着した求人があるとも聞いておりますので、市町村においてこうした情報を積極的に把握し、移住希望者からの問い合わせに対応していただくようお願いをしてまいりたいというふうに考えております。
次に、各市町村における情報発信、相談体制についてであります。
三河山間地域の各市町村では、それぞれの企画担当課が交流居住に関する窓口となり、情報の発信や各種相談に当たっておりますが、市町村単位で見てみますと、まだその取扱件数が少なく、ノウハウの蓄積も十分でないというふうに考えております。
県といたしましては、今後、市町村の情報発信、相談体制の充実が図られますよう、各市町村やセンターが保有するこれまでの相談対応の情報などをセンターが取りまとめ、提供する仕組みをつくり、支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
次に、移住を希望する方が山間地域での生活を理解するための取り組みについてお答えをいたします。
豊根村では、地域における祭事や行事、草刈りなどの活動に参加することを条件といたしまして、一カ月から最長で五年まで借りられる、議員お示しのいわゆるお試し住宅が九棟整備されておりまして、これまでに延べ三十九組の方が利用され、その後、豊根村に定住された方もおられます。
また、お試し住宅ではございませんが、豊田市が足助地区に交流体験施設である里山くらし体験館すげの里、これを整備しておりまして、この施設を利用された方の中から七世帯十八名の方がこの地区に移住されております。
このように、事前に田舎暮らしを体験することで居住環境などを理解することは、移住の促進にとって重要なことと考えており、県といたしましては、農家に一時的に滞在する農家民泊を初め、地域に合ったよりよい体験方法を市町村とともに検討してまいりたいと考えております。
最後に、交流居住に関する今後の施策展開であります。
交流居住を促進するためには、移住希望者への対応はもとより、都市部の人を受け入れることに対し不安を持つ山間地域の方々の理解の促進が必要でありまして、まずは一時的に都市住民を受け入れていただき、一緒に活動していただくことが有効であると考えております。
県といたしましては、都市部の企業、団体、大学や個人などが山間地域において、集落のニーズに合わせた活動の実施を促進するため、昨年八月から、三河の山里サポートデスク、これに取り組んでおり、現在、企業等への参加の働きかけや受け入れを希望する集落の掘り起こしを進めております。
今後、この取り組みを通じまして、地域の方々と都市部の方々との相互理解を深めていただき、交流居住の拡大につなげてまいりたいと、このように考えているところでございます。
以上でございます。
24:◯十三番(鈴木まさと君)
いろいろ考えていただきましてありがたいと思っております。
田舎暮らしを希望している方は、私の聞いておるところでもたくさんいらっしゃると思っておりますが、現状では、その受け入れ体制が整っていないため、田舎暮らしが進んでいないのが現状だと思っております。
ですので、受け入れ体制が整えば田舎暮らしが進み、新たなライフスタイルの提案につながり、ひいては田舎暮らしの推進が、新しいビジネスの創出につながっていくと考えておるところでありますので、ぜひ受け入れ体制の整備を進めていただきたいということを要望し、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
25:◯議長(久保田浩文君)
進行いたします。
市川英男議員。
26:◯三十一番(市川英男君)
それでは、私からは、歳出第五款環境費第一項環境対策費のうち、充電インフラ整備事業費についてお伺いいたします。
本県は、自動車保有台数が約五百万台と全国一位であり、日ごろの通勤、通学、業務、買い物など、移動手段として自家用車に依存する割合が七五・八%と、東京都の一七%や大阪府の三九・四%と比べて極めて高い地域となっております。
経済の発展には自動車は不可欠であるものの、自動車の利用には、窒素酸化物や浮遊粒子状物質といった大気汚染物質の排出により大気汚染を引き起こす負の側面もあります。また、自動車から排出される二酸化炭素については、喫緊の課題である地球温暖化の原因の一つであり、その削減も重要な課題であると考えております。
こうした中、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHV)などの次世代自動車の普及は、窒素酸化物や浮遊粒子状物質だけでなく、二酸化炭素の排出量も抑制する効果があります。
しかしながら、EV、PHVは、電気による走行可能距離が長い車種でも二百キロ程度と、ガソリン車に比べて短いことが課題とされています。このため、EV、PHVの普及を促進するためには、県内各地に充電インフラの整備を促進し、走行中の電池切れの不安を払拭していくことも必要不可欠であります。
こうした状況の中、本県は、EV、PHVの普及に、平成二十一年度からあいちEV・PHV普及ネットワークを組織し、積極的に推進を図っています。
充電インフラの整備に関しては、昨年七月に、愛知県次世代自動車充電インフラ整備・配置計画を策定し、その時点で全国一の千六百基を目標として掲げました。この計画に位置づけられた充電インフラは、経済産業省の補助金の補助率がかさ上げされるなど優遇されることから、本県はこの計画を策定し、民間事業者や市町村による充電インフラの整備を促進しています。
私は、民間事業者や市町村による充電インフラの整備を促進していくためには、引き続き、あいちEV・PHV普及ネットワークの参加者と連携して整備を促進するとともに、県としても率先して充電インフラを県庁などに整備し、EV、PHVの普及に取り組んでいる姿勢をアピールしていくことが重要であると考えています。
そこで、今回、当初予算案に計上された充電インフラ整備事業費についてお伺いいたします。
まず、愛知県次世代自動車充電インフラ整備・配置計画による民間事業者等の充電インフラの整備について、現在の進捗状況をお伺いします。
次に、来年度当初予算案には、充電インフラをいつ、どこに、何基設置する予定なのかお伺いします。また、今後、充電インフラをさらに増設していく予定があるのかもあわせてお伺いいたします。
27:◯環境部長(杉浦健二君)
次世代自動車充電インフラの整備に関しまして、まず、民間事業者等による充電インフラ整備の進捗状況についてお答えします。
整備状況につきましては、平成二十五年三月末現在の県内設置基数は、全国一の六百六十一基でございました。その後、平成二十五年十二月末現在の設置基数は、県内の市町村と自動車メーカーや充電器メーカーなどが参加するあいちEV・PHV普及ネットワークのメンバーへのアンケート調査では七百二十七基となっており、着実に設置基数は伸びております。
また、経済産業省の補助金を受ける前提として必要になる本県への事前確認申請の件数は、平成二十五年七月から二十六年二月までの七カ月間で二百二十三件となっており、これは全国一の申請件数でございます。このことから、本県における充電インフラの設置基数は、引き続き全国一位を維持しているものと考えています。
なお、経済産業省は、充電インフラの補助金申請の受け付け期限を本年二月までとしておりましたが、これを一年間延長して、充電インフラの整備、促進に取り組むこととしており、本県といたしましても、あいちEV・PHV普及ネットワークの参加者と連携して、この制度の有効活用を図り、引き続き充電インフラの整備を促進してまいります。
次に、本県が整備する充電インフラの設置時期でございますが、専用の変圧器の設置や、本庁舎地下にある変電室から地上までの配線敷設などの電源工事が必要になりますので、本年の秋ごろを目途に設置する予定でございます。設置場所と設置基数につきましては、本庁舎正面玄関横、向かって左側の来庁者用駐車場の一角に一基設置する予定でございます。
今後の充電インフラの増設につきましては、民間事業者等による整備の状況や、今回設置する充電インフラの利用状況などを見て、考えてまいります。
28:◯三十一番(市川英男君)
御答弁いただきました。私からは、一点要望させていただきたいと思います。
このインフラにつきましては、今現在、愛知県内でもいろんなところがありますけれども、現実問題、私もそうですが、一体どこにあるのかというのが、例えば、ホームページとかそういったものを見ないとわからない状況でもあります。
本県が全国一位という形でありますけれども、例えば充電についても、急速充電と普通充電とではまた全く違うわけでありまして、そういったところが明確に区別できるとか、ここには間違いなく充電器があるとか、そういったところも含めまして、ますます充実をお願いしたいなというふうに一点要望させていただきまして、終わります。
29:◯議長(久保田浩文君)
進行いたします。
堀嵜純一議員。
30:◯四十番(堀嵜純一君)
私からは、歳出第四款県民生活費第五項防災費のうち、消防団活動についてお伺いいたします。
東日本大震災から間もなく三年になろうとしておりますが、復興への道のりはまだまだ遠く、長い時間を要する状況であると感じております。この大震災では、消防団活動中に二百五十四人もの消防団員のとうとい命が津波の犠牲となっております。
消防団は、地域の実情を熟知しており、多くの人員を動員することができる上、日ごろからの訓練により災害対応の知識や技術を持っており、いざというときにはすぐさま現場に駆けつけて活動できる、地域防災の重要なかなめであると思っております。
東日本大震災においても、地元の消防団は、団員の多くがみずからも被災者でありながら、地域が大きな被害を受ける中で、避難誘導や水門閉扉、消火はもちろん、救助活動から瓦れき撤去、行方不明者の捜索など、災害発生時から長期間にわたり、あらゆる活動に献身的に従事し、国民全体に消防団を強く印象づけるとともに、深い感謝とともに高く評価され、その重要性が再認識されたところであります。
本県におきましても、南海トラフの巨大地震の発生が危惧されており、想定死者二万三千人という大規模な災害が予想されておりますので、消防団の充実強化が急務であることは論をまたないところであります。
しかしながら、全国的な消防団員数の減少は本県においても同様であり、平成二十五年四月一日現在では二万三千五百四人となっておりますが、これが十年前の平成十五年の二万五千六百三十人から約八%、数にして二千百二十六人、消防団員が減少しております。
消防団員の減少には、社会環境の変化や少子・高齢化の進展などさまざまな原因が考えられます。大きな原因として、地元の自営業者や農業に従事する方などが減り、サラリーマン層が増加していること、地域のことだからと入団する意識の低下も考えられます。
愛知県では、平成二十五年四月現在で、消防団員二万三千五百四人中、被雇用者は一万六千六百七十三人で約七割以上を占めておりますが、全国平均で見ましても、平成二十四年四月現在では、やはり七一・六%となり、決して高いわけではありません。
被雇用者の多くは、昼間は会社などで働き、時間的には当然拘束されております。少し大ざっぱな言い方をすれば、平日の昼間には、消防団員の七割もの団員が、いざ有事には参集できないということになろうかと思います。少ない人数では十分な活動ができないばかりではなく、消防団員の安全管理も不十分で心配になるところでございます。
こうした状況を踏まえ、ある特定の活動や大規模災害時の活動など、その内容を限定して活動する機能別消防団員の制度が平成十七年一月に創設されました。愛知県では、平成十八年二月に瀬戸市消防団に初めて設置されました。私の地元であります半田市でも、平成二十一年に設置されたところであります。平成二十五年五月現在では、県内の機能別消防団員数は十八市町村で九百八十九人となっており、徐々に機能別消防団の導入をする団体がふえておると聞いております。
市町村の実情に応じて活動内容は異なりますが、消防団員の減少はどこの市町村でも共通の課題であると考えられます。機能別消防団員は、団員の確保対策の一つとして大変有効であると思いますので、全ての活動に参加する基本的な団員をうまく補完する形で、消防団活動の充実強化を図っていけるものと考えられます。
それらを受けまして、地域住民の皆さんに消防団をよく知っていただくため、愛知県では、今年度新たに、毎年一月二十日を「あいち消防団の日」として定められ、消防団のPR活動を展開されてみえました。私も、消防団の活動しやすい環境を整えるためにも、県全体で行う啓発活動は重要なことだと思います。
また、消防団活動の充実強化を図るためには、消防団員確保ももちろんでありますが、必要な資機材がなければ活動も思うようにできないばかりか、安全確保も十分にできておりません。
東日本大震災では、多くの消防団員が津波の犠牲者となりました。トランシーバーがあれば、津波の襲来を知らせることができたはずだ、また、ライフジャケットがあれば、津波に襲われても助かった命があったのではないかと思うと残念でなりません。
消火や救助のための資機材とあわせて、消防団員の命を守る、団員が安全に活動するために、こうした資機材の整備も大変重要であると考えております。
また、東日本大震災のような大規模災害のときに消防団はどのような行動をするのか。例えば、津波の襲来の何分前に消防団員も活動を打ち切って避難するなど、事前に行動の基準や活動計画が定められていて、訓練が行われておれば、津波が来る前に逃げられたのではないかとも思います。
愛知県では、昨年度、大規模災害時における消防団活動指針を策定されましたが、各消防団の活動内容はそれぞれ異なりますので、実際に活動する際の活動マニュアルがあれば、安全を確保した上で必要な活動を行いやすいと思いますし、マニュアルに従った訓練をして、活動内容の充実強化につなげていくこともできると思います。
そこでお尋ねいたします。
消防団員の確保対策と活動内容の充実強化について、資機材の充実も含め、愛知県としてどのように考えているのか伺います。
31:◯防災局長(小林壯行君)
消防団員の確保対策と活動内容の充実強化についてでございます。
団員の確保対策としましては、消防団についての理解を深めていただくための啓発活動を初め、団員の被雇用者率が高い水準であることを踏まえて、事業所の理解と協力を求めていくことや、大規模災害時などに活動を限定した機能別消防団員の導入により、消防団活動に参加しやすい環境を整えること、さらには団員の処遇向上などが考えられます。
県といたしましては、特に啓発活動に力を入れているところでございまして、議員御指摘の、今年度新たに定めました「あいち消防団の日」、一月二十日におきましては、県内の全市町村と県が連携して、駅前やショッピングセンターなど、県内各所で一斉に啓発活動を実施したところでございます。
来年度におきましても、「あいち消防団の日」には市町村と連携して啓発活動を実施し、団員の確保を図るほか、新たに大学等で消防団に関する研修会を実施するなど、若年層に対しましても、地域の安心・安全を守るために活躍する消防団の魅力を発信してまいります。
次に、資機材の整備につきましては、南海トラフ巨大地震等対策事業費補助金におきまして、小型動力ポンプなどの消火資機材やチェーンソーなどの救助用資機材のほか、トランシーバーや救命胴着など、各消防団の実情に応じて活動に必要な資機材を整備していただけるよう支援してまいります。
さらに、消防団活動のマニュアルにつきましては、本県が策定いたしました大規模災害時における消防団活動指針の趣旨を踏まえて、地域の実情に応じたマニュアルの整備が進められており、昨年度に策定済みの二団体に加え、今年度は新たに二十六団体で策定していただく予定となっております。
できる限り早期に全ての市町村でマニュアルを整備、策定していただけるよう、引き続き市町村へ積極的に働きかけを行い、消防団活動の充実強化を図ってまいります。
以上でございます。
32:◯議長(久保田浩文君)
進行いたします。
樹神義和議員。
33:◯四番(樹神義和君)
私からは、歳出第三款地域振興費第一項地域振興総務費第二目計画調査費のうち、七、交通対策事業費について伺います。
本事業費には、リニア中央新幹線の開業による時間短縮効果を広域的に波及させ、最大限に活用するため、県内の鉄道ネットワークの再検証を行い、リニア時代の鉄道ネットワークの充実強化に関する方策案を取りまとめるリニアインパクト検討調査費を初め、リニモの経営安定化に向け支援に取り組むとともに、リニモの利用促進と沿線の活性化を推進するリニモ沿線地域活性化事業費及び愛知高速交通株式会社出資金など、県内交通の維持、充実に向けて重要な施策が盛り込まれています。
一方、国においては、交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、交通政策基本法が成立しておりますので、本法律の成立を受けた県としての取り組みと考えについてお聞きします。
では、この交通政策基本法とはどのような法律であるか、少し触れたいと思いますが、過去には、交通基本法として、二〇一二年の第百八十回通常国会において参考人質疑まで行われましたが、衆議院が解散となり、一度は廃案となったものの、大規模災害時における対応、運輸事業基盤の強化、交通施設の老朽化対策、国際競争力強化を図るための港湾、空港の整備等々が加筆され、昨年十二月に交通政策基本法として成立したものであり、まさに交通に携わる関係者にとって念願の法律と言っても過言ではないものであります。
本法律では、交通が国民の自立した日常生活及び社会生活の確保、活発な地域間交流及び国際交流並びに物資の円滑な流通を実現する機能を有するものであり、国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図るために欠くことのできないものであることに鑑み、将来にわたって、その機能が十分に発揮されることにより、国民等の基本的な需要が適切に充足されることが重要であるという基本認識のもとで、国際競争力強化及び地域経済の活性化、大規模災害における交通機能の確保、環境への負荷の低減、交通の安全の確保などを基本理念として掲げ、その実現を図るのに基本となる事項を定め、交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進すると定められております。
国においては、さきに述べた基本理念にのっとり、交通に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有するとともに、情報の提供その他の活動を通じて、基本理念に関する国民等の理解を深め、かつその協力を得るよう努めなければならないとされており、あわせて、地方公共団体においても、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的、経済的、社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有し、情報提供その他活動を通じ、基本理念に関する住民その他の者の理解を深め、かつその協力を得るよう努めなければならないと定められております。
また、本法律では、政府は、一、交通に関する施策についての基本的な方針、二、交通に関する施策についての目標、三、交通に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策、四、一から三に掲げるもののほか、交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項、これら四点を盛り込んだ交通政策基本計画を定めることと義務づけており、国は、この基本計画に基づき、日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保、交通の利便性向上、円滑化及び効率化、国際競争力の強化に必要な施策などに取り組むこととされています。
さらに、地方公共団体は、その地方公共団体の区域の自然的、経済的、社会的諸条件に応じた交通に関する施策をまちづくり、その他の観点を踏まえながら、当該施策相互間の連携及びこれと連携する施策との連携を図りつつ、総合的かつ計画的に実施するものと定められております。
そこでお伺いします。
地球温暖化の原因となるCO2の低減が世界的な課題となっており、また、本県の交通事故死亡者数が十一年連続で全国ワーストワンとなっていることから、交通政策基本法の理念のうち、交通に関する施策の推進に当たっては、交通による環境への負荷の低減と交通の安全の確保がとりわけ重要であると考えますが、こうした観点から、県としてどのように取り組まれるのかを伺います。
また、交通政策基本法を受けて、国においては、今後、交通政策基本計画を策定することになりますが、こうした動きに対して、県としては、平成二十六年度に実施予定のリニアインパクト検討調査を含め、どう取り組んでいく考えなのかをお伺いいたします。
34:◯地域振興部長(近藤正人君)
最初に、交通政策基本法が掲げる理念に関しての本県における取り組みについてお答えをいたします。
本県は、自動車の保有台数が全国一で、東京や大阪などの他の大都市圏に比べて、県民の皆様が自動車を使って移動する割合が高いという地域特性を有しております。
こうしたことから、まず、交通による環境への負荷の低減を目指しまして、環境に優しく、安全で健康的な県民生活の実現に向けて、車と公共交通、自転車、徒歩などを賢く使い分けるライフスタイルでありますエコモビリティライフ、これを平成二十年度から推進しております。
これまで、エコモビ推進表彰の実施や県民の集いの開催、県内各地における普及啓発活動などに取り組んできておりますが、来年度は、こうした取り組みに加えまして、県内の企業等を対象として、一定期間にエコ通勤を初めとする取り組みを集中的に行いますエコモビ実践キャンペーン事業、これを行うこととしております。
また、交通の安全の確保を図るため、人と車と道路を情報通信技術でネットワークさせ、交通事故や渋滞などの交通問題の解決を目指すITS、すなわち高度道路交通システムについて、全国に先駆けまして、産学行政が一体となって愛知県ITS推進協議会を設立し、その普及、実用化に取り組んでおります。来年度は、新たにITSを活用した交通安全システムの実証実験を実施することといたしております。
県といたしましては、今後とも、こうしたエコモビリティライフやITSの推進といった取り組みを一層進めることで、交通政策基本法の理念の実現に向けて努めてまいりたいと考えております。
次に、交通政策基本法を受けて、県として今後どう取り組むかというお尋ねでございます。
交通政策基本法の成立を受けて、国では、交通政策基本計画の策定など、さまざまな交通施策が進められることとなりますが、議員の御指摘にもありましたように、同法には、地方自治体の責務及び施策のあり方についての記載はありますものの、具体的な事業展開などは自治体の主体性に委ねられた形になっております。
こうした中で、国は、同法の成立を踏まえまして、地域公共交通の充実に向けた制度的な枠組みを構築するため、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案を二月十二日に閣議決定いたしました。
この改正法では、現行制度で認められている補助金や道路運送法上の特例がより一層充実されるとともに、市町村が作成することができる、地域における公共交通の連携計画の策定主体に都道府県が追加されるということになっておりまして、県としても大いに注目をしているところでございます。
具体的なことはこれからということで、国からはまだ制度の詳細は示されておりませんが、県といたしましては、国の動向を注視しながら情報収集に努め、地域公共交通としての鉄道やバスの確保、維持だけではなく、リニアインパクト検討調査の結果を活用した鉄道ネットワークの充実強化などの課題についても、国の制度が活用できないかなどを研究してまいりたいと、このように考えているところでございます。
以上でございます。
35:◯四番(樹神義和君)
ただいま御答弁をいただきましたが、一点要望させていただきたいと思います。
昨年の六月、一般質問において、私は、リニアインパクトを活用した地域づくりに向けて、他県から人を呼び込むためには、県内回遊性の確保が必要であり、そのためには、名古屋市内のみならず、各種交通機関が高度に連携をし、県内全域を網羅した交通ネットワークの整備が必要不可欠であり、さらには、少子・高齢化社会における交通弱者対策や環境面からも、交通対策は大変重要であると訴えさせていただきましたが、時を同じくして、国において交通政策基本法が成立をし、交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進することがうたわれています。
県におかれましては、交通政策基本法の趣旨とリニアインパクトを生かしたまちづくりを関連づけながら、この地域の交通ビジョンの策定を前向きに検討していただくよう要望いたしまして、質問を終わります。
36:◯議長(久保田浩文君)
進行いたします。
佐藤一志議員。
37:◯四十一番(佐藤一志君)
私からは、歳出第五款環境費第一項環境対策費のうち、災害廃棄物処理計画検討調査費についてお伺いをいたします。
国の予測によりますと、本県では、東海・東南海・南海の三連動地震、南海トラフの巨大地震などの大規模災害が発生する可能性が高いとされております。本県においてこのような大規模な災害が発生すれば、県民の生命、財産に多大な被害を生じるばかりではなく、本県が我が国の製造業の中心でもあることから、日本の産業、経済にも大きな影響を及ぼすことが懸念されます。
また、こうした災害時には、家屋、ビル、工場、橋などの倒壊や火災により大量の廃棄物が発生し、県民生活や産業・経済活動に重大な影響を及ぼすとともに、その処理のおくれは、災害からの復旧・復興の大きな障害となります。
過去、平成十二年九月の台風十四号による記録的な大雨により、九月十一日、十二日の二日間で、降雨量は多いところでは六百ミリ前後に達し、大規模な浸水被害が発生したため、名古屋市を初め二十一市町に災害救助法が適用されました。水没により災害廃棄物が約八万トンと大量発生し、市町ではすぐに処理できないため、私の地元である知多市南五区を仮置き場とし、悪臭などの発生もありましたが、災害からの早期の復旧・復興のため、最大限協力をしてきたところです。
また、平成二十三年に発生した東日本大震災では、未曽有の大災害となり、亡くなられた方、行方不明の方、合わせて二万人を超える災害をもたらしました。また、災害廃棄物等も、岩手、宮城、福島合わせて約二千八百万トン、うち瓦れきは約一千七百万トンに達し、県内処理ではどうにもできず、近隣県や東京都等が災害廃棄物を受け入れ、処理されたところであります。東日本大震災からもうすぐ三年が経過しますが、宮城県と岩手県では、ようやく処理のめどが立った状況とお伺いをしております。
こうした状況を考えますと、大規模な災害の発生が懸念される本県においては、発生からの早期の復旧・復興につなげていくため、東日本大震災の経験を生かして、あらかじめ災害廃棄物をどのように処理していくのかを検討し、準備を整えておくことが大切であります。
そこで、二点お伺いを申し上げます。
来年度予算案に県災害廃棄物処理計画の検討調査費が計上されていますが、県では、どのような考え方のもと、県全体での災害廃棄物の処理に対応しようとされているのかお伺いします。
次に、来年度、具体的にどのような検討、調査を行い、災害廃棄物の処理計画を策定していくのかお伺いします。
38:◯環境部長(杉浦健二君)
災害廃棄物処理計画に関しまして、まず、県全体での災害廃棄物の処理に対応する考え方についてお答えいたします。
災害に伴って発生する廃棄物につきましては、各家庭から発生するものも、事業場から発生するものも、一般廃棄物として市町村が処理することとされております。
しかしながら、大規模災害時には、個々の市町村では処理し切れない大量の災害廃棄物が発生することも想定されるため、周辺市町村、さらには県全体で、また、災害の規模によっては他県とも連携して、広域的な処理を行う体制を整えていく必要があると考えております。
このため、既に個別に話し合いや情報交換を始めておりますが、県内各市町村とともに災害廃棄物の処理のあり方を検討し、その迅速な処理のための体制を災害廃棄物処理計画として取りまとめてまいることとしております。
この災害廃棄物処理計画は、市町村がその区域内で発生する災害廃棄物について処理する体制をまとめた市町村処理計画と、個々の市町村では処理し切れないものについての広域的な処理体制をまとめた県処理計画の両方を、それぞれ整合がとれたものとして策定することが必要と考えております。
次に、来年度の検討調査の内容と災害廃棄物処理計画の策定についてお答えします。
検討調査に当たりましては、まず、防災局が取りまとめる被害想定をもとに、災害廃棄物の種類別、市町村別に分けた発生量の予測調査、市町村や民間の廃棄物処理施設の現況、処理能力、被災の可能性の調査などを行い、それらを踏まえまして、災害廃棄物の仮置きから選別、破砕などの中間処理、リサイクルや最終処分までの効率的な処理体制を検討してまいります。
さらに、災害廃棄物を迅速に処理するために必要な国、県、市町村や廃棄物処理にかかわる関係団体、事業者等との連絡体制の検討や協力体制の整備を行った上で、応急時や復旧・復興時などの段階に応じた対策を盛り込んだ計画の骨子を取りまとめてまいります。その上で、平成二十七年度には計画骨子を市町村にお示しし、それぞれの市町村において計画策定を進めていただくとともに、地域ごとに周辺市町村間の協力体制を構築するための協議、調整を行うなど密接に連携しながら、本県における災害廃棄物処理計画の策定を進めてまいります。
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39:◯三十九番(原よしのぶ君)
暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
40:◯議長(久保田浩文君)
原よしのぶ議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
41:◯議長(久保田浩文君)
御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時五十分休憩
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午後一時開議
42:◯副議長(鈴木正君
) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
荒深久明臣議員。
43:◯二十八番(荒深久明臣君)
それでは、午後のトップバッターとして質問させていただきます。
私は、歳出第四款県民生活費第三項社会活動推進費のうち、交通安全推進事業費について質問いたします。
本県の交通事故発生状況は、過去十年を見てみますと、着実に減少傾向を示しており、平成二十五年の死者数は二百十九人で、前年より十六人減少したものの、平成二十三年度策定の第九次愛知県交通安全計画で掲げた目標、平成二十七年までに年間の二十四時間死者数を百八十五人以下とするには遠く及ばず、十一年連続して全国ワースト一位であったことは、皆さん御承知のとおりです。
また、死傷者数は六万一千八十六人で、前年より七百二十五人減少したものの、同計画で掲げました目標、平成二十七年までに交通事故死傷者数を五万五千人以下とするには、ことしの死傷者数の約一〇%に当たる六千百人も減らさないと目標を達成できない状況で、これについても全国ワースト一位で、甚だ不名誉な状況にあります。
これらの要因として、自家用自動車への依存度が他の大都市圏に比べて高いこと、運転免許保有者、自動車保有台数及び道路実延長距離の交通関係指標が全国的に見て高い数字にあること、そして、人口の増加が続いていること等の本県特有の実情が考えられますが、これを言いわけにしておいてはいけないことは確かです。
交通死亡事故の原因を見てみますと、昨年二十五年は、二百十四件中百七十一件、率にすると約八割が自動車、バイクによる法令違反となっていることから、ドライバーの法令違反、悪質危険運転の根絶は、取り締まりの強化とともに、ドライバーの交通安全意識の向上が重要であると考えます。
そこで、ドライバーの法令違反、悪質危険運転の根絶に向けた取り組みについて、本年度との違い、及び私の地元の名古屋市北区でも選定されてしまいましたが、重点対策市町村十市区に対する施策の内容もあわせて、どのように取り組んでいくのかお伺いします。
44:◯県民生活部長(寺澤義則君)
ドライバーの法令違反、悪質危険運転の根絶に向けた取り組みについてお答えを申し上げます。
本県の平成二十五年の交通死亡事故の第一原因者は、約八割をドライバーが占めております。お示しいただきましたとおりでございます。
交通事故を減らすためには、ドライバーの交通安全意識の向上が極めて重要であり、特にドライバーの法令違反、悪質危険運転の根絶対策を重点的に実施しているところでございます。
来年度でございますけれども、平成二十四年、二十五年、過去二年間におきまして、交通死亡事故に直結しやすい信号無視、あるいは横断歩行者妨害といった四つの法令違反、悪質危険運転によります人身事故が多かった十市区を重点対策市町村といたしまして、強力に広報啓発活動を展開してまいります。
事業内容でございますけれども、ドライバーに安全運転を呼びかけますメッセージをラッピングいたしました広報車を昨年の一台から二台にふやしまして、よりきめ細かく広報を実施いたしますとともに、新たな取り組みといたしまして、交通安全活動を自主的、積極的に御実施をいただいております交通安全パートナーシップ企業等の保有される車両へ啓発ステッカーを張っていただいたり、ポスターにつきましても、公共施設やガソリンスタンドなど、ドライバーが多く立ち寄る場所に掲示をしてまいりたいと考えております。
また、市町村、警察署と連携いたしまして、スーパーマーケットや主要な駅などで啓発キャンペーンを実施して、法令違反、悪質危険運転の根絶と交通事故防止を訴えてまいります。
これらの事業につきましては、広報車やステッカーなどに統一したデザインを採用いたしますなど、広報啓発活動をより効果的に実施することで、ドライバーの方々に一層安全意識を高めていただき、本県の交通事故の減少、ひいては交通死亡事故の減少につなげてまいりたいと考えております。
45:◯副議長(鈴木正君)
進行いたします。
石井芳樹議員。
46:◯五十九番(石井芳樹君)
私は、第四款県民生活費第一項県民生活総務費のうち、消費者行政活性化基金事業について質問をいたします。
消費生活相談体制の改善については、愛知県行革大綱の重点プログラムの中に入っており、これは現在八カ所設置をされている県民生活プラザを今後徐々に縮小していくという計画のものであります。
その中にあって、市町村での窓口である消費生活相談員さんからの声では、まだまだ相談体制が脆弱な市町村窓口にあって、県がその体制を縮小していくことは、きめ細かい住民サービスに本当につながっていくのかとの不安の声も上がっております。
そもそもこれは、国が平成二十一年から地方消費者行政活性化交付金により造成した消費者行政活性化基金を財源として、県及び市町村の消費者行政の充実強化を図るために制度設計がなされたもので、これにより県は、より専門的、広域的な相談を受ける機関として役割が定められ、市町村は、被害の未然防止、拡大防止のため、身近な窓口として、さらに相談事業の整備、強化を図るものであります。
すなわち、これは法律によって、県と市町村は互いの役割を明文化して、基金を利用して整備を行っていこうというもので、県は、その役割の中、プラザを縮小して専門性を高めた相談員の強化に当たっていくことは必然であり、あわせて、県の責務として積極的に市町村窓口の強化に努めていかなければなりません。しかしながら、本県では、これを行革という言葉を用いているがために疑義が生じている原因になっているように思われます。
今回、この基金の活用期限がさらに一年延長された中で、今後、県は、市町村との連携強化を図り、消費者問題の解決力の向上を図るためには、丁寧にこの基金に対する周知と役割を市町村に対して説明をしていかなければならないと思うところであります。
その中、ここで、本県の市町村での消費生活相談窓口の現状を見てみますと、各市町村での相談窓口の設置状況は、昨年度をもってようやく全五十四市町村に窓口が設置をされたばかりであります。
次に、相談窓口の開設状況は、週四日以上相談を行っている市町村が十五、週二日から三日が九、週一日からそれ未満が三十となっており、ほとんどの市町村が週一回相談を行うのがやっとというのが現状であります。
これは、クーリングオフの期間を考えますと、本県で半数以上の窓口で相談している間に、または相談できぬまま被害に遭われてしまう可能性が高いということであります。
また、地域で消費生活センターとして認められるための設置要件の一つとして、相談窓口が週四日以上開かれていることが要件でありますが、この要件に照らし合わせてみると、県下約七割以上の市町村がセンターとして認められる件数に至っていないことがわかります。さらに、このセンターの要件を満たすには、他に専門的知識及び経験を有する相談員の配置、全国消費生活情報ネットワークシステムの端末を設置することが必要条件でありますが、これを備えている市町村は、現在では、県下名古屋市を含む八市にしか至っておらず、これは県全体の一五%にすぎません。
重ねて、これを全国のセンター設置率と比較をしますと、全国では、人口十万人以上の市町村では九三%以上がセンターの設置がなされているにもかかわらず、本県では五三%の設置率であり、人口五万人以上十万人未満での設置率は、全国で約六五%に対して本県はゼロ%、人口五万人未満では、全国では約二五%に対して本県では同じくゼロ%であります。
また、相談内容の対応についても、市町村相談窓口で扱う事案は年々複雑化しており、時には税理士へ、時には弁護士へと相談事例も見られ、緊急時においては、相談員のみずからの人脈を伝って御苦労しながら、その救済に当たっている方もおみえになるのが現状であります。
他方、消費者トラブルによる相談件数においても、ここ数年、相談件数は高どまりで推移をしており、特に高齢者を対象とした健康食品、ファンド型投資商品等のトラブルが近年増加をしております。
年齢層別でも、六十代では対前年度比約二五%増、七十代では約三三%増と各年代層で最も高くなっており、その手口も悪質・巧妙化しております。
そこでお伺いをいたします。
質、量ともにまだまだ脆弱な本県の市町村窓口の相談体制にあって、国からこの一年さらに延長された消費者行政活性化基金を活用して、県として市町村の消費生活相談窓口のさらなる充実強化に向けて、どのような支援を行っていくのか、また、高齢者を初めとする消費者被害の未然防止を図るため、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
47:◯県民生活部長(寺澤義則君)
まず、消費者行政活性化基金を活用いたしました市町村への支援についてでございます。
本県では、これまで市町村の消費生活相談体制の充実強化に向けまして、消費者行政活性化基金を活用いたしました支援を行って、平成二十四年度には県内全ての市町村において消費生活相談窓口が設置されたところでございます。
しかしながら、年々複雑・巧妙化をいたします悪質商法などによる消費者被害に対応いたしますためには、市町村相談員の増員と資質の一層の向上によります市町村の消費生活相談窓口のさらなる充実強化が急務であると考えております。
このため、質の高い相談員の確保に向けて、市町村からの要望が多い消費生活相談員養成研修にしっかり取り組み、今後の消費生活相談窓口を担っていただく人材を新たに養成してまいります。
また、県の経験豊富な相談員を引き続き市町村に派遣をいたしまして、市町村の相談員の実務能力の向上に向けて直接的な指導を行いますとともに、市町村の相談員の資質向上のためのレベルアップ研修を開催いたしますなど、市町村の相談窓口の充実強化が図られますよう、消費者行政活性化基金を活用しながらしっかりと取り組んでまいります。
次に、高齢者を初めとする消費者被害の未然防止の取り組みでございますけれども、平成二十六年度には新たに基金を活用いたしまして、消費者被害防止キャンペーン啓発広告事業を実施いたします。
この事業は、消費者トラブルに遭いやすい高齢者や若者に向けまして注意を喚起するため、それぞれの世代にあわせまして情報がより行き届きやすいメディアを効果的に活用いたしますとともに、注目度の高いタレントを起用した啓発広告をキャンペーンとして集中的に実施をするものでございます。
また、地域において高齢者と接する機会の多いケアマネジャー、ホームヘルパー、あるいは民生委員といった方の中から、消費生活相談サポーターとして御協力をいただいている方々には、消費者被害防止のため、日ごろからの見守りや啓発、あるいはトラブルがあった場合の消費生活相談窓口への誘導といったことをお願いしております。
このような啓発キャンペーンの取り組みと地域における高齢者へのサポート、さらには、先ほど申し上げました市町村の相談体制の充実強化をあわせまして、県と市町村が一体となりまして、高齢者を初めとする消費者の被害、一件でも減らせるよう取り組みを続けてまいります。
48:◯副議長(鈴木正君)
進行いたします。
浅井よしたか議員。
49:◯五十七番(浅井よしたか君)
私からは、歳出第二款総務費第二項総務管理費第九目財産管理費の中から、インフラを含む県有資産の老朽化対策についてお伺いをいたします。
県の当初予算案を県有施設の老朽化への対応という観点から見ますと、農業大学校の学生寮や警察の待機寮のように、民間のノウハウや資金を活用して整備をするもの、また、心身障害者コロニーや第二青い鳥学園のように国の地域医療再生基金を活用して改築工事を進めるものなど、依然として厳しい財政状況の中にあっても、老朽化施設の整備を進める予算が盛り込まれております。
このように、本県では、施設の状況に応じて個々に老朽化への対応をしてきておりますが、今後は、さらに庁舎を初め、県営住宅や県立学校などの県有施設のほか、道路、橋梁などのインフラの老朽化が進みますので、それらへの対応が大きな課題となってまいります。
もちろん、こうした状況は本県のみではなく、一九六〇年代の高度経済成長時代を中心に集中的に整備された社会インフラが建設後五十年を経て、一斉に老朽化が進んでいく我が国全体にとっても喫緊の課題であります。
記憶に新しいところでは、平成二十四年十二月に中央自動車道笹子トンネルにおいて天井板が落下し、九名の方の命を奪った大惨事があり、当時の事故のことを思い起こしますと、一刻も早くインフラなどの老朽化対策を進めていかなければならないとの思いを強くいたします。
このような事故は、自然災害ではなく人工の構造物に起因する事故でありますから、人間の努力により断ち切ることができるものであり、それを未然に防ぐために最善の努力を行っていくこと、国や地方自治体が抱える公共施設やインフラの老朽化問題に、その地域の住民皆が危機意識を共有化し、速やかに対応策を講じること、こうしたことが我々が果たすべき責務であると考えております。
このような問題意識のもと、私は、この議場において、早急な対策への着手が必要である旨を再三にわたり訴えてまいりました。
笹子トンネル事故直後の平成二十四年十二月議会での一般質問におきましては、県有施設及びインフラの老朽化対策について、総務部を中心とする全庁的な推進体制の整備の必要性を訴えかけましたところ、平成二十五年の四月には、総務部長をトップとし、施設を所管する全ての部署から構成される研究会が設置され、全庁を挙げた老朽化対策への取り組みがスタートいたしました。
また、昨年の六月議会での代表質問におきましては、老朽化対策に関する今後の具体的なスケジュールをお尋ねしましたところ、知事からは、今年度中に現状分析や課題の整理を行い、平成二十六年度には維持、更新に必要な経費の見込みを試算するとともに、課題を踏まえて老朽化対策を軸とした基本的な方向性を取りまとめていく旨の御答弁をいただいたところであります。
一方、国におきましては、愛知県がこうした取り組みに着手した二カ月後の昨年六月に、日本再興戦略において老朽化対策に関する基本方針を策定する旨が明記されました。そして、十一月になって、関係省庁の連絡会議でインフラ長寿命化基本計画が決定されたところであります。
この計画の冒頭にその趣旨が示されておりますので、引用し、紹介をさせていただきます。
国民の安全・安心を確保し、中長期的な維持管理・更新等に係るトータルコストの縮減や予算の平準化を図るとともに、維持管理・更新に係る産業の競争力を確保するための方向性を示すものとして、国や地方公共団体、その他民間企業等が管理するあらゆるインフラを対象に、「インフラ長寿命化基本計画」を策定し、国や地方公共団体等が一丸となってインフラの戦略的な維持管理・更新等を推進するとあります。
この計画の中では、地方自治体に対して、平成二十八年度を目途にインフラ長寿命化計画、いわゆる行動計画を策定するとともに、平成三十二年を目途に個別施設ごとの個別施設計画を策定することが要請されております。
このインフラ長寿命化に向けた行動計画については、計画に記載すべき内容が詳細に示されております。
その内容について少し説明をさせていただきますと、まずは施設の現状を明らかにするとともに、課題を整理することが重要であるとされております。そして、中長期的な維持管理・更新コストの見通しを明示するとともに、点検や診断、マニュアル等の基準の整備、施設の状況等を管理する情報基盤の整備と活用、新技術の開発・導入、予算管理、人員・人材の確保など、体制の構築、法令等の整備などに関する方針を示す必要があるとされております。
私は、これまで、老朽化対策を軸とする資産マネジメントの構築に向け、まず何よりも県が管理、保有する施設の全体像を明らかにし、中長期的なコストの見通しを試算する必要があると主張してまいりましたが、国の目指す方向も軌を一にするものであると理解をしております。
なお、総務省からも、今年度中にはインフラを含む保有施設全体を対象とする公共施設等総合管理計画の策定が要請される予定でありますが、その内容が、さきに策定を要請されたインフラ長寿命化に向けた行動計画と共通する部分が多いことから、この二つの計画は一体のものとして策定してもよいとの方針が示される見込みとなっております。
本県は、こうした国の動きに先行して老朽化対策への取り組みを進めており、今年度中には、試行導入した新公会計制度の一環として整備する固定資産台帳のデータを活用して現状分析を行うとのことであります。
昨年十二月には、新公会計制度において、平成二十五年四月一日期首時点の資産と負債の状況を明らかにした開始貸借対照表が公表されましたので、固定資産台帳の整備は終了し、現在は老朽化対策の基礎資料となるデータ分析等の取り組みを進められている段階にあるのではないかと思います。
先ほど申し上げました国からの計画策定の要請に伴い、新たな財政支援も期待されますことから、国の動きを追い風にして、本県として老朽化対策を軸とした資産マネジメントの確立に向けた取り組みをさらに加速する必要があるのではないかと考えます。
そこでお伺いいたします。
昨年末に開始貸借対照表が公開され、固定資産台帳のデータが固まったと思いますが、データを分析した結果、本県の管理する県有施設及びインフラの状況について、現時点でどのような事実が判明したのでしょうか、お聞かせください。
また、国からの計画策定の要請を踏まえ、県としては、今後どのように取り組みを進めていく予定であるのかもお尋ねをして、私の質問を終わります。
50:◯総務部長(中西肇君)
まず、固定資産台帳データの分析結果についてお答えいたします。
今年度から試行運用してございます新公会計制度導入の前提となる固定資産台帳を整備することによりまして、インフラを含む県有施設の基礎データが把握できたものと考えております。
その主な分析結果でございますが、固定資産台帳の価額をもとに、県有施設を今新たに建設するとした場合の価額を積み上げますと、庁舎や公の施設などの建物で約一・五兆円、道路や河川などのインフラに係る建物及び工作物で約七・三兆円となり、両者を合わせますと全体で約八・八兆円規模となっております。
また、建設年度別の分析を行いましたところ、全体の半分近くが築三十年を経過しており、総体として老朽化がある程度進行した状態にあることが判明したところでございます。
なお、耐震改修や集中点検などにより、施設の安全・安心に向けた対策については必要な取り組みを進めておりますとともに、橋梁などの必要なインフラにつきましては、現在の長寿命化計画に基づきまして中長期的な対策を講じているところでございます。
次に、国の動きを踏まえた今後の取り組みについてお答えいたします。
現在、庁内に設置しております研究会におきまして、施設の種別ごとの現状分析を行うとともに、有識者へのヒアリングや課題の整理などを進めているところでございます。
将来的には、建てかえや大規模改修などの経費が増加していくことが想定されますことから、こうした課題に対応するため、来年度中には、老朽化対策を軸とした基本的な方向性を取りまとめる予定でございます。
議員お示しの、国から策定を要請されました計画につきましては、本県が想定しておりました基本的方向性とおおむね要素が共通してございますので、国からの要請にも対応できるような形で取りまとめてまいりたいと考えております。
以上でございます。
51:◯副議長(鈴木正君)
進行いたします。
須崎かん議員。
52:◯六十番(須崎かん君)
私からは、歳出第四款県民生活費第三項社会活動推進費の交通安全推進事業費についてお伺いをいたします。
本県の交通事故情勢は、依然大変厳しい状況が続いておるわけでありますが、平成二十五年の交通事故死者数は二百十九人で、前年に比べて十六人減少したものの、十一年連続で交通事故死者数全国ワースト一位となりました。
平成二十六年に入っても交通死亡事故が多発し、一月二十九日には交通死亡事故多発警報を発令しなければならないほど大変な状況下にあるわけであります。
平成二十五年度の本県の交通事故の特徴としては、交通事故死者二百十九人のうち、高齢者が百十八人、五三・九%を占め、死者数は全国ワースト一位であること、また、交通死亡事故の主たる原因を生じた者、つまり、第一原因者は、平成二十五年の全死亡事故二百十四件のうち百七十一件、七九・九%をドライバーが占めていることが挙げられております。
本県の交通死亡事故を減少させていくには、本県における特徴の一つである、先ほど申し上げました交通事故死者数の半数以上を占める高齢者の方の事故防止対策、二つ目に、交通死亡事故の原因の大半を占めるドライバーに対する法令遵守やマナー向上を訴える取り組みを着実に実施していく必要があります。
これまで以上に少子・高齢化社会が本格的に進んでいく中で、交通事故死者数の減少を目指し、これまで以上の交通安全県民運動を中心とした県民総ぐるみの広報啓発活動を展開していかなくてはなりません。
その特徴を踏まえ、来年度は交通安全対策にどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
53:◯県民生活部長(寺澤義則君)
本県の交通死亡事故の特徴を踏まえました来年度の交通安全対策の取り組みについてでございます。
議員から御指摘いただきましたように、交通事故死者数の半数以上が六十五歳以上の高齢者であること、また、交通死亡事故原因の約八割をドライバーが占めている、こういった状況を踏まえまして、県では、高齢者対策とドライバー対策に重点を置いた施策を実施することとしております。
まず、高齢者対策といたしましては、高齢者の方が数多く交通事故に遭われている、そういったことにつきまして、県民の皆様みずからが考えて、慎重に行動していただくきっかけともいたしますため、高齢者の交通安全をテーマにして、高齢者の方々にもなじみやすい川柳のコンテストを実施いたしますとともに、その優秀作品をラジオコマーシャルの放送や広報車にラッピングするメッセージとして活用いたしまして、効果的な広報啓発を実施してまいります。
また、高齢者の方から好評をいただいております道路の安全な横断方法を体験、学習できます歩行環境シミュレーターや、自転車の正しい乗り方を体験、学習できる自転車シミュレーター、こういったものを活用した参加体験型の出張講座も県内各地で引き続き開催をしてまいります。
次に、ドライバー対策でございますが、法令違反、悪質危険運転による人身事故の多い市町村を重点にいたしまして、効果的な広報を実施するため、統一したデザインを採用して、ラッピングした広報車による広報啓発や、交通安全パートナーシップ企業等の保有車両への啓発ステッカーの貼付、ドライバーが多く立ち寄られる場所へのポスターの掲示などを実施いたしますことによりまして、法令違反、悪質危険運転の根絶を訴えてまいります。
県といたしましては、こうした事業も含めまして、来年度も、県警察、市町村、関係機関、団体等の皆様方と連携いたしまして、春、夏、秋、年末の四季の交通安全県民運動を中心として、思いやり運転の励行や交通モラルの向上を目指して、各種啓発事業を県民総ぐるみで強力に展開し、県民の皆様の交通安全意識を高め、交通事故の減少につなげてまいりたいと考えております。
以上でございます。
54:◯副議長(鈴木正君)
進行いたします。
鈴木純議員。
55:◯三十七番(鈴木純君)
通告に従いまして、第一号議案平成二十六年度愛知県一般会計予算のうち、歳出第三款地域振興費第一項地域振興総務費の中から、国際交流のあり方についてお伺いします。
一月末に教育文化・福祉対策特別委員会で大分県から福岡県に移動中の車中からカメルーンの横断幕を目にしました。覚えている方もいらっしゃるかもしれませんが、サッカーワールドカップ日韓大会で、大分県中津江村、現在の日田市中津江村をキャンプ地として活躍したサッカーカメルーン代表への応援横断幕でありました。
二〇〇二年の大会当時、選手団の到着がおくれたことで、カメルーン代表と中津江村は日本で一躍有名になりました。両者は、その後も交流を継続し、節目となる二〇一二年には、カメルーンキャンプ十周年記念祝賀会が開催され、今も交流を続けているそうであります。
さて、本県での市町村の国際交流といえば、一番に思いつくのは、やはり二〇〇五年の愛・地球博のときに行われた一市町村一国フレンドシップ事業ではないでしょうか。この事業は、愛知県内の名古屋市を除く市町村を公式参加国のホームシティー、ホームタウンと位置づけ、地域を挙げたホスピタリティーあふれた公式参加国の受け入れや博覧会の盛り上げ、さらには、草の根の交流を含めて、幅広く国際交流の推進を図っております。
また、地域における国際交流を定着させるため、愛知万博の盛り上げに大きな役割を果たしたこの一市町村一国フレンドシップ事業を継続、発展させる継承交付金事業として、二〇〇七年度から二〇一一年度までの五年間は、一市町村一国フレンドシップ交流推進事業が実施されております。
語学講座の開催や、相手国の文化紹介等の国際理解事業など、取り組み内容は多岐にわたっていますが、この事業開始後に締結された友好提携は、幸田町とカンボジアのシェムリアップ州など八市町村に及び、国際交流協会も二市町で設立されております。
ところで、本県のホームページによりますと、二〇一四年二月現在で、県内市町村の友好・姉妹提携数は五十六に上っていますが、相手国を地域別で見ますと、一番多い地域は北アメリカで二十一件、アジアは十四件で二番目となっております。ただし、アジア圏内で中国、韓国を除きますと、先ほど御紹介したシェムリアップ州のカンボジア一国のみであります。
新年度予算では、二〇一三年三月に策定されたあいち国際戦略プランに基づき、アジアの活力を取り込み、世界と闘える愛知を目指して、この地域の特色を生かした施策を実施するとし、新規事業として、タイ政府、バンコク都知事との会談に要するアジアパートナーシップ戦略推進費が計上されているほか、産業労働部、農林水産部といった各部局と連携した県の総合力の取り組みが示されております。
既にバンコク都とは、相互協力に関する覚書が一昨年に締結され、経済連携を初め、パートナー関係の構築が本格的に進むものと大いに期待しているところであります。
こうした中、私の地元の稲沢市では、旧平和町が一市町村一国フレンドシップ事業の相手国として、万博当時、タイ王国とイベントを開催しております。そして、そのもととなっておりましたのが、県事業を引き継ぐ形で一九八七年から民間ボランティアとして、へいわ西尾張インターナショナルクラブが実施しているタイ日親善国際交流使節団受け入れ事業であります。
先日、代表の若山氏と事務局の橋下氏からお話を伺いましたが、一九八七年に日タイ修好百周年を記念して第一回の交流が始まって以来、今回で節目の二十五回目を迎え、県庁や稲沢市の表敬訪問、平和地区の皆さんを中心とした日本伝統文化体験活動など、四月二十五日から六日間の予定で、タイの青年を中心に本年も二十五名の方がおいでになるとのことでした。
そこでお伺いします。
県は、東南アジアの重要拠点であるタイ、バンコクをターゲットに戦略的に事業を実施することとしていますが、経済面を中心とした、いわゆるウイン・ウインの交流が重要である一方、長期的な視点に立った市民レベルでの交流も重要であると考えております。
当局の御所見をお伺いして、発言を終わります。
56:◯地域振興部長(近藤正人君)
国際交流のあり方についてのお尋ねでございます。
タイのバンコク都とは、平成二十四年七月に締結した相互協力に関する覚書に基づく事業として、現在、高校生訪問団を受け入れる事業、これを実施しております。
この事業では、県内高校での授業や部活動への参加、一般家庭でのホームステイによる日常生活の体験など、人と人との触れ合いに重点を置いた交流を行っております。こうした交流を通じて知り合った訪問先の高校生やホストファミリーとは、帰国後もフェイスブックによる交流が続いていると聞いているところでございます。
来年度は、受け入れの人数を本年度の十名から二十名に倍増するとともに、新たにスーパーイングリッシュハブスクール十二校の生徒さんとのディスカッションを行うなど、さらに多くの若者同士が交流する機会をつくってまいります。
本県といたしましては、来年度実施する経済交流の促進や知名度向上を図ることを目的としたタイ、バンコク戦略的交流事業に加えまして、この高校生訪問団受け入れといった県民レベルでの交流や、さらには、議員お示しの、稲沢市において長年行われているような草の根交流など、幅広い交流を進めていくことが、今後、タイ、バンコクとの関係をより強固で活発なものにしていく上で重要だと考えているところでございます。
以上でございます。
57:◯三十七番(鈴木純君)
御答弁ありがとうございました。
部長も指摘されましたように、今まで築いてきた交流、いわゆる財産でありますので、ぜひそういった面も御活用いただければと思います。
また、県が東南アジア地域との交流、連携を図る上では、市町村の取り組みも重要と思います。これからますます重要となるアジア諸国、諸都市と県内市町村との友好提携などが進むように、県としても働きかけの検討をお願いしたいところであります。
最後に、本年十一月には、ESDユネスコ世界会議が開催されることとなっており、ユネスコに加盟する百九十五カ国の政府代表を初め、世界中から多数の方々がお見えになりますが、国際戦略、国際交流という観点からも大きな成果を上げていただくよう要望して、終わります。
58:◯副議長(鈴木正君)
進行いたします。
伊藤辰夫議員。
59:◯六十一番(伊藤辰夫君)
私からは、歳出第三款地域振興費第一項地域振興総務費のリニアインパクト検討調査費に関連して、リニア中央新幹線開業を見据えた本県内の鉄道ネットワークの充実強化についてお尋ねします。
品川─名古屋間が四十分というリニア開業がもたらす時間短縮効果を最大限に生かすためには、ターミナル駅である名古屋駅での乗り継ぎ利便性を高めることはもとより、そこから県内各都市や空港へのアクセス強化が重要であることは言うまでもありません。
中央新幹線の整備計画が審議されました交通政策審議会中央新幹線小委員会の答申付帯意見の中でも、我が国の国際競争力を維持向上させるためには、三大都市圏における中央新幹線の駅と国際拠点空港の間のアクセスの利便性を十分に確保することが極めて重要とされているほか、各沿線地域の利便性の維持・向上を図るため、国、建設主体及び営業主体、沿線自治体並びに沿線交通事業者等による検討の場において、駅アクセス圏の拡大方策を含めて、中央新幹線の整備効果を最大限に波及させる方策を検討すべきとされ、空港アクセスの強化とともに、駅アクセス圏の拡大の重要性が指摘されているところであります。
名古屋駅は、リニア開業によって、国土の中でリニアと東海道新幹線とが唯一クロスするターミナル駅として、我が国の交通の要衝としての重要性が一層高まることになると想定されます。
そうした中で、航空機に匹敵するリニアの超高速性の効果を点から面へと広げるためには、名古屋駅へのアクセス可能な圏域をできる限り拡大することが重要であります。
そのためには、リニアとの継続列車の運行、在来線の高速化、乗りかえの短絡化、インフォメーションテクノロジーの活用による乗りかえの円滑化など、既存の鉄道ネットワークを充実強化し、最大限に生かし切っていく方策を検討していかなければならないと考えます。
本県内の鉄道整備は、平成四年の運輸政策審議会答申の基本計画に基づき進められてきたところです。この基本計画は、名古屋駅を中心とする半径四十キロメートルの範囲の交通網整備計画であり、本県内では、新線の整備や複線化による輸送力の増強、結節改善、相互直通運転が推進されてきました。
具体には、中部国際空港へのアクセス鉄道や、名古屋東部と豊田市を結ぶ東部丘陵線などの新線のほか、岡崎市から春日井市に至る愛知環状鉄道の一部複線化などの整備が進められ、地域の発展や需要に応じた鉄道ネットワークとして見た場合、一部未整備の路線はあるものの、おおむね充実してきたと評価はできるものと捉えております。
他方で、本県は、交通手段における自動車依存の割合が高く、平成二十一年度の旅客地域流動調査を見ますと、人の移動手段における鉄道の分担率は東京都の七一%、大阪府の五二%と比べ、本県は一九%と著しく低くなっております。
自動車依存度が高い本県にとって、鉄道ネットワークを充実強化することは、リニア開業の効果を広域に波及させるだけではなく、鉄道への利用転換を促すことにもつながります。
そうした公共交通へのシフトといった観点からも、鉄道ネットワークの充実強化は重要であると考えます。
本二月議会における我が党の代表質問、リニア開業に向けた対応についての中の名古屋駅を中心とした鉄道ネットワークの充実強化について、今後どのように取り組んでいかれるのかとの質問に対して、知事からは、新年度早々に交通事業者等と検討組織を立ち上げるとともに、四十分交通圏の拡大を図るといった視点などから現在の鉄道ネットワークを再検証し、県内拠点都市や空港へのアクセス利便性の向上策を二十六年度中には取りまとめたいとの御答弁がありました。
これを裏づけるように、県では、来年度、リニアインパクト検討調査において、リニアの開業による時間短縮効果を広域的に波及させ、最大限に活用するため、県内の鉄道ネットワークの再検証を行い、リニア時代の鉄道ネットワークの充実強化に関する方策案を取りまとめるとしております。
中でも、鉄道ネットワークの再検証に当たっては、名古屋駅を中心とした四十分交通圏の拡大や、現状のサービス水準が適正かどうかといった視点から検証するとしております。
そこでお尋ねいたします。
検証の視点の一つとして、名古屋駅を中心とした四十分交通圏の拡大を挙げておられますが、これはどのような考え方に基づくものなのか伺います。
あわせて、四十分交通圏の拡大という視点から、具体的にはどのような調査、検討を行うのかお伺いします。
さらに、現状のサービス水準を検証の視点とした調査とは、どのような内容を考えておられるのかお伺いします。
60:◯地域振興部長(近藤正人君)
リニアインパクト検討調査についてお答えをいたします。
初めに、四十分交通圏の拡大でございますが、これは、名古屋駅からおおむね半径四十キロメートルの範囲内にある県内拠点都市までを鉄道によって四十分以内に到達できるようにすることで、首都圏との日帰り圏を広げようとするものであります。
この考えは、自宅などの出発地から最終目的地までおおむね片道三時間以内が日帰り圏域とされていることに基づくものでございまして、具体的には、名古屋駅と品川駅を中心としたそれぞれの四十分圏を移動する時間にリニアの四十分を加え、これに途中の乗り継ぎや出発地及び目的地とそれぞれの最寄り駅までのアクセスに要する時間をトータル六十分として合計で三時間と、このように設定したものでございます。
品川からの四十分圏には、さいたま、千葉など首都圏において特徴的な役割を担う拠点都市が多く分布しておりますことから、こうした諸都市とのビジネスや観光などの交流が一層拡大することが期待できると考えております。
また、加えて申しますと、名古屋駅から尾張、西三河のほぼ全域が入る四十キロメートル範囲内における移動を、少なくとも品川─名古屋間の移動時間と同じ四十分以内におさめることも意識したものでございます。
次に、四十分交通圏の拡大に向けての具体的な調査、検討の内容についてでございます。
まずは、現状の県内鉄道ネットワークについて、名古屋駅からの所要時間という観点から再検証を行い、ボトルネックとなる箇所や路線などを把握いたします。次いで、乗車時間の短縮策としての複線化や急行運転化、あるいは乗り継ぎ時間短縮策としてのダイヤ調整や運行本数の増加などについて、費用対効果を算定して施策の優先づけを行い、その上で、事業主体など実施に向けての検討事項を整理してまいりたいと考えております。
具体の例といたしましては、この地域の産業の中心都市である豊田市は、名古屋駅からの直線距離は約三十キロメートルでございますが、鉄道による移動には現状では約一時間を要しております。
そこで、知立駅付近において実施されている連続立体交差事業などを活用した直通運転化や、三河線の一部複線化などにより、到達時間を四十分以内に短縮することができないかなどを検討してまいりたいと考えているところでございます。
最後に、サービス水準を検証の視点とした調査についてであります。
鉄道のサービス水準を図る指標といたしましては、所要時間だけではなく、運行本数、混雑率、乗りかえ回数や乗りかえに要する時間・距離、バリアフリー化などの各種の指標がございます。
こうした視点から見てみますと、例えば西尾張地域については、名古屋駅から四十分交通圏内には入ってはいるものの、運行本数が少なく、待ち時間が長いとか、乗り継ぎが不便であるなど、まだまだ課題はあるものと思われますので、改めて現在の鉄道ネットワーク全体について、サービス水準を切り口とした洗い出しを行いまして、改善の必要性などを検証してまいりたい、このように考えております。
いずれにいたしましても、新年度早々には、国や交通事業者等と検討組織を立ち上げ、県内拠点都市や空港などへのアクセス利便性向上策を平成二十六年度中には取りまとめてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
61:◯副議長(鈴木正君)
進行いたします。
鈴木喜博議員。
62:◯六十二番(鈴木喜博君)
私からは、歳出第四款県民生活費第五項防災費のうち、救急救命士教育事業費についてお伺いをいたします。
急病や事故により命の危険に瀕した傷病者を病院へ搬送する時間は一分一秒を争います。このような切迫した状況の中でいち早く必要な応急処置を行うことができるのが救急救命士です。
平成二十五年四月現在、県内の消防本部の救急隊には千百七十一名の救急救命士が登録されており、救急現場での活動において中心的な役割を担い、県民の安全・安心を守る上で大きな存在であると言えます。
一方では、救急の業務を取り巻く環境は年々厳しさを増しており、平成二十四年中の県内の救急出動件数は三十一万二千九百十四件、救急搬送人員は二十八万五千二百六十二人と、いずれもこの十年で約一・三倍に増加をしております。これは、県内のどこかで約一・七分に一回の割合で救急車が出動し、県民の約二十六人に一人が救急搬送されたことになります。
このようにふえ続ける救急需要に対して、県内の消防本部は応えていかなければならず、救急隊員一人一人に高い対応能力が求められる中で、救急救命士の役割はより一層重要になっております。
救急救命士の制度は、平成三年に法制化され、救急隊員は、この資格を取ることにより、生命が危険な状態にある傷病者が病院へ搬送されるまでの間に、著しい容体の悪化防止と生命の危機を回避するため、医師の指示を受けて、医療器具を用いた気道の確保や、電気ショックなどによる心拍の回復といった処置を行うことができるようになりました。
それまで救急隊の役割は、単に病院へ搬送するだけで、搬送時の医療行為が一切制限され、目の前で苦しむ患者に対して手を差し伸べることができずにいました。欧米の諸外国が既に救急隊の医療行為を導入し、その効果を示す中で、日本の救急業務はおくれをとっていると言われておりましたが、この救急救命士制度ができたことにより、救命の効果の向上と救急の業務に大きな変化がもたらされたと思います。
この制度ができてから早くも二十二年が経過しましたが、その間、救命効果のさらなる向上を図るため、救急救命士の行う処置は数度にわたって拡大されてきました。
平成十五年には、これまで救急現場から電話により医師の直接の指示を受けて心臓の除細動を実施していたものが、医師が事前に指示した手順書により速やかに除細動を行うことが可能となりました。
また、平成十七年二月には、傷病者の気管に直接チューブを挿入し酸素を送る気管挿管が可能となり、さらには、平成十八年四月に強心剤のアドレナリンを投与することが可能となりました。
このように、救急の業務が高度化されてきたことなどの効果があらわれ、全国の心肺停止した患者が社会復帰される割合は、平成十七年から平成二十四年まで七年間で約二倍に向上したと伺っております。
こうした中、厚生労働省の救急救命士の処置範囲に係る研究班が行った実証研究の結果を経て、平成二十六年四月からは、新たに二つの医療行為の実施が可能となると伺っております。
一つ目は、血糖値の測定と低血糖発作の傷病者へのブドウ糖溶液の投与であります。この処置ができるようになると、糖尿病患者等の低血糖発作に対し、救急救命士による早期の判断と早期の処置が可能となり、重度の後遺症を防止することにつながります。
二つ目は、心肺機能停止前の静脈路確保と輸液の実施です。重度の外傷などによる血液循環の不全のためショック症状に陥った患者に対し、輸液を実施することで症状が改善され、容態の急変を未然に防ぐことができます。
これらの新しい救急救命処置を多くの傷病者が必要としており、これまで以上に多くの県民の生命を救うことにつながることと大いに期待をしています。
県民の期待に応えるため、本県においても、早期に処置範囲拡大に対応していくことが必要と考えます。
また、このように救急業務が高度化していく中で、救命処置を行う救急救命士は、進歩する医療や技術や症状を判断する能力を常に身につけ、さらにレベルアップを図っていくことが不可欠であり、そのための教育体制を充実させることが必要であります。また、そんな中で県の果たす役割は大変大きいと考えます。
そこで、二点お伺いします。
一点目は、県内消防本部の救急救命士の技術の維持向上のため、救急救命士の再教育に対して、愛知県がこれまでどのような取り組みをしてきたか、そして、その取り組みの結果、どのような効果が見られたのかについてお聞かせください。
二点目は、新たな救急救命士の処置範囲の拡大に対し、本県としてどのように対応していくのかをお伺いいたします。
63:◯防災局長(小林壯行君)
救急救命士の再教育についてのお尋ねのうち、まず、本県のこれまでの取り組みについてであります。
救急救命士は、高度な救命処置を行うことから、日ごろからの教育により知識や技術の質を確保することが重要であります。
このため、消防庁の通知では、各救急救命士が二年間で百二十八時間以上の再教育を受ける必要があるとしており、このうち、四十八時間程度は病院での実習を行い、そのほかの八十時間相当の教育を消防本部の日常的な教育体制の中で、技能の実践教育等により行うこととされております。
本県では、この日常的な教育を効果的に実施するため、八十時間のうち三十二時間分の教育を県が主体となって行うこととし、平成二十一年度より救急救命士再教育事業として実施しております。
この県の行う再教育では、救急医療に精通した医師や救急救命士の協力のもとに、県統一の教育プログラムを作成し、病態や処置に関する医学的な講義やシミュレーション実習などを実施しております。
次に、こうした取り組みによる効果についてでありますが、県内各地域のさまざまな症例に関する情報を広く共有できることや、指導する医師を県で確保することにより、県内全域での救急救命士に高いレベルの教育の場を提供し、その知識や技術の質の確保に寄与しているものと考えております。
また、救急医療機関と消防機関が県と協力して再教育を実施することにより、関係機関同士の連携強化にもつながっているものと考えております。
次に、救急救命士の処置範囲拡大に対する本県の対応についてでございます。
新たに救急救命士に、血糖値の測定と低血糖発作の傷病者へのブドウ糖溶液の投与及び心肺停止前の傷病者に対する静脈路確保と輸液という二つの医療行為の実施が可能となるに当たって、国の通知により救急救命士は、再教育とは別に二十四時限以上の講習を受講することが必要になります。
県としては、来年度、救急の専門医等の御意見を伺いながら、県統一の講習カリキュラムを作成し、県内の救急救命士に対する講習を実施してまいります。
また、二つの医療行為のうち、特に心肺停止前の傷病者に対する静脈路確保と輸液の実施については、一定の危険性を伴うことになります。そのため、救急救命士に医療行為の指示を出す医師の協力や、救急救命士の行った医療行為が適切であったかどうかについて、医師を含めて検証する体制を整備する必要がありますので、関係者と十分な調整を図りながら、導入を進めてまいりたいと考えております。
今後とも、県として、救急医療機関、消防機関など関係機関と連携して、救急救命士の教育体制の充実を図り、救急患者の救命率や社会復帰率の向上につなげてまいりたいと考えております。
以上でございます。
64:◯副議長(鈴木正君)
進行いたします。
高橋正子議員。
65:◯七十一番(高橋正子君)
歳出第二款総務費第二項総務管理費のうち、行政改革推進事業費、自主財源確保策としてのネーミングライツの積極的な導入について伺います。
景気が回復基調の中で、本県の二〇一四年度の税収は六年ぶりに一兆円を超えるとの明るいニュースの一方で、県債残高は過去最高の五兆三千億円に達し、平成二十六年度当初予算は財源不足を補いながらの依然として厳しい財政状況の中での編成でありました。
累次にわたる行革大綱のもとで継続的に行財政改革に取り組み、成果も上がってきてはいるものの、高齢社会に起因する義務的予算の増大が慢性的な財源不足につながっています。こうなると、歳出削減はもちろんのこと、安定的な歳入確保が求められ、どの自治体も自主財源の確保対策を行財政改革の一本の柱として、その取り組みを加速させています。
本県では、平成二十三年十二月に策定した行革大綱に係る重点改革プログラムにおいて、これまで県の直営としてきた分野について、活性化に向けての一層の工夫を凝らすとともに、民間に委ねるべき業務は民間に委ねるなど、民間の知恵やノウハウの導入による活性化を促進してきました。
その深掘りの視点として、民間活力の導入拡大で位置づけられたネーミングライツの積極的な導入は、公共施設の名称を企業などに売却して資金を得る民間資金活用策として全国の自治体でも広がっています。
ネーミングライツとは、所有権はそのままに、企業名や商品ブランド名などを冠した愛称を命名する権利を譲渡するもので、一九七〇年代にアメリカのプロフットボール界で生まれ、日本では、東京都調布市の東京スタジアムが平成十五年三月一日から味の素スタジアムに変更されたのが第一号です。身近なところでは、名古屋市南区の名古屋市総合体育館が日本ガイシスポーツプラザに、名古屋市熱田区金山の名古屋市民会館が日本特殊陶業市民会館にネーミングライツ、命名権が譲渡されていることは周知されているかと思います。
ネーミングライツの目的は、自治体が公共施設の命名権を企業に付与することにより得た対価を施設の維持管理や補修費に充当して、安定的な管理運営を行うための財源としたいことです。
一方、ネーミングライツパートナーとなる企業側は、施設に企業名や商品名などの愛称を表示することにより、企業を幅広くPRすることができると同時に、公共施設などへの経済的支援を通じた社会貢献を行うことになるので、CSR、企業の社会的責任が高まるとの狙いもあります。
ネーミングライツは、まさに新しい広告概念であり、近年では、ネーミングライツの売却もスポーツ、文化の大規模集客施設にとどまらず、まちの歩道橋や道路、自治体の事業などにも拡大し、ネーミングライツ市場への参入の多様化が図られています。
本県のネーミングライツ導入への取り組みとしては、第五次行革大綱の計画期間である平成二十六年度までに順次導入、公募を進めてきたところであり、手始めに行ったのが県道にかかる歩道橋の命名権の売却です。
平成二十四年度から県管理の歩道橋約四百カ所のうち、最近、設置、再塗装した六十カ所について、公募をスタート、ネーミングライツ料は一カ所当たり年二十万円以上で、契約期間は三年以上、命名権料は、歩道橋の維持管理に充てられます。
現在の売却状況は、初年度の二十四年度は、歩道橋六十カ所のうち七カ所で、二年目となる二十五年度は、新たに三カ所が売却でき、県道六十カ所のうち、現在は十カ所でネーミングライツを導入、合計で年額二百十八万七千二百五十円のネーミングライツ料が税外歳入となります。
以後、本県のネーミングライツ導入二例目には、尾張旭市の森林公園ゴルフ場を同ゴルフ場の指定管理者である森林公園ゴルフ場運営株式会社の構成法人である株式会社ウッドフレンズが取得し、平成二十五年四月一日から平成二十八年三月三十一日までの三年間の契約です。愛称は、ウッドフレンズ森林公園ゴルフ場となり、年間三百万円のネーミングライツ料は、森林公園の施設整備に役立てられます。
そして、三例目は、平成二十六年四月一日から三年間の契約で、蒲郡市にある海陽ヨットハーバーに導入、パートナー企業は、株式会社豊田自動織機に決まり、豊田自動織機海陽ヨットハーバーのネーミングライツ料は年間二百七十万円で、施設の修繕などに役立てられることになっています。
以上、これら三例が生み出すネーミングライツ料は、平成二十六年の歳入見込み額七百八十八万七千円となり、公共施設の維持管理費などを賄う新たな財源確保となるわけです。
冒頭でも申し上げましたが、ネーミングライツの導入は、民間活力の導入拡大を視点に、深掘りする重点改革項目四十六のうちの一項目、しかも、積極的な導入とされているからには、本県の本気度がうかがい知れます。
本県のネーミングライツ導入の歴史はまだ浅く、先駆的に取り組んでいる自治体からは幾つかの課題も聞かれます。
そこで、まず、ネーミングライツ導入を重点改革項目に、積極的なとの一文を添えて挙げた理由とネーミングライツ制度への期待について伺います。
さて、先ほど先駆的にネーミングライツに取り組んでいる自治体からは幾つかの課題も聞かれると申し上げました。
一つは、短期間の契約期間なので、名称が次々と変わっていく可能性もあり、施設利用者の混乱や施設に対する愛着が薄れる指摘です。そして、もう一つは、対象施設の選定です。
施設の性質や設置目的などから、どのような施設にネーミングライツの導入を検討すべきかです。本県では、ネーミングライツの制度設計や募集方法を定めたネーミングライツ導入ガイドラインに基づき、各施設への導入の検討を進めているわけですが、今後さらに積極的に導入していく上で、本県として、ネーミングライツ制度の課題をどのように認識しているのか、さらには、課題を検証し、解消に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
最後に、本県としてのネーミングライツの導入方針について伺います。
歩道橋、森林公園ゴルフ場、そして、海陽ヨットハーバーに次ぐ、第四、第五のネーミングライツ導入についても、スピード感を持って進められると推察いたします。愛知県武道館、口論義運動公園、一宮総合運動場の三施設については、導入可能性調査結果を踏まえ、導入への調査を進めているとのことです。
そこで、今後の導入計画について伺い、質問を終わります。
66:◯総務部長(中西肇君)
まず、重点改革プログラムの取り組み項目をネーミングライツの積極的な導入とした理由についてお答えさせていただきます。
ネーミングライツにつきましては、県が持っている資産を有効に活用し、施設の整備維持などの財源を確保することができる有効な取り組みとされる一方で、県有施設に企業名をつけることへの抵抗感などのデメリットを指摘する御意見もございまして、本県においては導入事例がございませんでした。
このような中、全国の都道府県の約半数にネーミングライツが導入されるなど、一般的な理解が進み、財源確保としての効果も明らかになってまいりましたので、平成二十三年度に第五次行革大綱を深掘りする重点改革プログラムに位置づけ、愛知県ネーミングライツ導入ガイドラインを策定し、取り組みを具体化、加速してまいることとしたところでございます。そうした当時の検討姿勢が項目名の積極的なという表現にあらわれたものと考えてございます。
今後も順次導入を拡大し、さらなる財源確保に努めてまいります。
次に、ネーミングライツ制度の課題についてお答えします。
名称が次から次へ変わることで利用者の混乱を招く懸念や、ふさわしい対象施設の選定といった制度自体の課題に対しましては、平成二十三年九月に策定いたしました愛知県ネーミングライツ導入ガイドラインでその対応を定めてございます。
具体的には、契約期間につきましては、施設の名称が次々変わることのないようにとの配慮から、原則として三年以上確保するとともに、契約満了時には継続交渉をまず優先させることといたしております。
また、施設については、既に公募により県民の方々に愛称をつけていただいたものとか、また、県の庁舎などはネーミングライツにふさわしくないとして、基本的に対象外としてございます。
さらに、この制度を運用し、導入を進める中で明らかになった課題といたしましては、企業の広告宣伝費の削減により市場環境が厳しくなっていることが挙げられます。
その対応といたしましては、市場のニーズに即した適切なネーミングライツ料を設定することはもちろんのこと、今後は、よりきめ細かく歩道橋や海陽ヨットハーバーの募集の際にお聞きした御意見とか、また、御要望を参考に、企業の皆様がより応募しやすい募集方法を検討する必要があると考えてございます。
例えば、歩道橋につきましては、今までは比較的状態のいい歩道橋を選んで企業さんに対して受け付けてございましたが、それ以外の自社の近隣の歩道橋に名前をつけたいとの御意見もございました。二度の公募を通じて、こうした改善点が明らかになってまいりましたので、さらに多くの方々に御応募いただけますよう、次回の公募に向けて、応募方法の見直しを検討してまいりたいというふうに考えてございます。
次に、今後の導入計画についてでございます。
ネーミングライツの導入拡大に向けましては、専門業者を活用しながら、導入に関する障害の有無や市場価値を考慮したネーミングライツ料の金額を調査するなど、拡大に向けて取り組んでおります。
具体的には、愛知県武道館など、多くの県民の皆様に利用していただいているスポーツ、レクリエーション施設につきましては、企業の御関心も高いと思われますので、導入に向けて、現在、鋭意検討を進めているところでございます。
今後も、施設所管部局としっかり調整しながら、導入施設の拡大を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
67:◯副議長(鈴木正君)
進行いたします。
松山登議員。
68:◯八十八番(松山登君)
私からは、第三款地域振興費第一項地域振興総務費のうち、中部国際空港対策事業費についてお伺いいたします。
ちょうどもう四、五年前になりますが、後ろの倉知先生や前の小島先生、それから、中村友美先生や、前に座ってみえる日高先生なんかと一緒にベトナムへ一緒に行かせていただいたことがあります。
今のベトナム議員連盟の初回の旅行ではなかったかなというふうに思っておりますが、そのときは実は飛行機がハノイまでしか飛んでおりませんでした。ハノイからまた……。
〔「ホーチミン」と呼ぶ者あり〕
69:◯八十八番(松山登君)
(続) ホーチミンか。ホーチミンは、これはまた別で国内線で行ってというような、大変な不便な旅であったことを思い出しますが、そのときに倉知先生が責任者で行っていただいて、これはおかしいと、この飛行機はおかしいから、ホーチミンはホーチミン、ハノイはハノイで飛ばしたらどうだろうかということで、ベトナム航空との会合のあるたびなんかに、一年か二年かかりましたけど、それが今はホーチミンへ、またはハノイへというような非常に、今はある面ではドル箱路線にもなって、たくさんの方がこの飛行機を使って観光に行ってみえるというようなことを思い出しながら、きょうはベトナムじゃありません、インドネシアのことについてお聞きをさせていただきたいと思います。
私は、本年一月二十七日から三十日と三日間です、非常に短い間でしたが、インドネシアのジャカルタへ行く機会を得ました。当初は、私の友人がインドネシアで企業進出をし、そのときにジャカルタのオフィスを開所すること、また、開所式及びレセプションに参加することが目的でありました。
インドネシアのジェトロには、元産業労働部長の富吉賢一さんが所長を務められておりますし、特にジャカルタの周辺、スンター工業地区やカラワン工業団地という工業集積地があり、我が国が世界に誇る愛知県の基幹産業である自動車関連企業も次々と工場を建設されるということで、いろいろ勉強になると思い、友人と一緒に出発することになりました。
この訪問は不思議な縁がありまして、昨年の十月にジャカルタでクリニック、病院をつくるということで、医療法人の偕行会の川原理事長から、パートナーであるインドネシア日本友好協会のラフマット・ゴーベル理事長を紹介されました。
面談の機会を得たのがきっかけで、ゴーベル氏とは、まず知事にもお会いになってもらい、いろいろと日本へ来られたときに何回か会合を持たせていただきました。
ここで少し、ゴーベル氏について皆さんに紹介をしたいと思います。
一九六二年にジャカルタで生まれ、日本に留学をされ、中央大学を卒業後、松下ゴーベル財団を通じて人材育成活動も評価され、二〇〇二年には、拓殖大学から名誉博士号を授与されました。
父モハマド・ゴーベル氏は、一九六〇年に松下電器産業と技術提携をし、一九七〇年にはパナソニック・マニュファクチャリング・インドネシアを設立した方で、ゴーベル氏は一九九四年から複合企業ゴーベル・インターナショナルの社長を務め、松下幸之助の教えである、リーダーになる人は現場を知らなきゃならない、人の気持ちがわかる人でなければならないという経営理念を持った方であります。
ゴーベル・グループは、現在、合弁会社六社の事業を展開され、従業員は二万名というふうに言われております。最近では、鉱業、石炭とか鉄なんですけど、鉱業関連にも投資を相当行っている企業だそうです。
特にインドネシアのユドヨノ大統領には、インドネシアの工業を発展させていくにはどうすればよいのか、国内の資源は豊富にあるが、必ずしも製造業の発展にはつながっていない。資源に付加価値をつけるために、日本の物づくりの技術と精神を学ぶべきだというふうに大統領にも提言されているような方であります。
なかなか日本の人脈とかインドネシアにも大変人脈を持ってみえる。そのことをお聞きしまして、実はガルーダ航空の社長とも、趣味を通じて大変仲よくされているということもお聞きしました。
それで、私は、実は、このゴーベル氏とは、名古屋で二回、東京で一回、三度しか実は行くまでにお会いをしておりません。ですけれど、私は、かねて経済界や中部国際空港から話を聞いておりました、中部国際空港とインドネシア、とりわけ、ジャカルタ間の直行便は必要であるというふうに聞いておりましたから、一度お会いしたときに、まず最初に、ぜひ、二〇一三年の三月に撤退となった国営ガルーダ・インドネシア航空の定期便をお願いしました。
この機会にゴーベル氏にもぜひお願いをして、そして、この一月の終わりに行くということで、これはチャンスであろうというふうに思いまして、大村知事のメッセージももらい、訪問したんですが、県当局は余り私に期待をしておらんかったようでありまして、それはよくわかります。たかが県会議員ぐらいじゃやれんだろうというふうに思われたと思いますが、しかしながら、ジャカルタへ到着するなり、多少友達と一緒に行きましたから、空港ではVIPの待遇で出迎えを受けました。初めて経験するようなことですから、私自身も大変目をみはりました。
三日間の間、大変短い間でしたけど、スケジュールはとても過密でありました。
一日目は、インドネシアナショナル大学での教授や先生との講演及び交流会、日本インドネシア経済協力事業協会の研修センターの視察、それから、インドネシア三井住友銀行の平山雅也社長との懇談。
二日目は、ラフマット・ゴーベル氏との意見交換会を中心としたインドネシアの方々との懇談。
三日目は、友人の会社の開所式、レセプションにも出席しました。そのレセプションの席で、ジェトロの富吉氏ともお会いをし、一時間ばかりですけど、インドネシアの様子を聞き、そして、最後には、ガルーダ・インドネシア航空、エミルシャ・サタル社長兼最高経営責任者とも面談を二時間ほどさせていただきました。
この面談には、サタル社長及びファイク・ファーミサービス部門上級副社長、テンテン・ワードハヤネットワーク管理副社長、ヘリヤントCEOオフィス副社長、そして、先ほど紹介しましたゴーベル氏が同席をされました。
エミルシャCEO及び幹部の皆さん方にお目にかかれたのも、実はこの手配をしていただいたのはゴーベル氏のおかげであります。これはどうしてかといいますと、この社長は、そのときにイギリスから仕事で帰ってきたばっかりのときに、実はもう急遽、会社じゃなくてホテルで面談を二時間ほどしたわけですから、大変な無理を言ったわけであります。
私は、その会合、一人しかおりませんから単身で乗り込んだ。ところが、余り語学がしゃべれませんから大変苦労しました。ゴーベル氏の通訳で、彼は日本にも長年留学をされていましたから、何とか話が通じたのであります。
私は、就航いただくためにも、インドネシアへ進出する地域の企業を中心に考えてと、それまではそういうふうに県からも、また、いろんな方にも思ってきました。しかし、その点については、彼らは十分プロですから十分に理解をされており、そうしたことよりも、これからこの中部、愛知とインドネシアの交流やきずなについて考えられているようでありました。
彼らは、こうした文化の交流、観光の交流を中心として、実は二度撤退させていますから、もう撤退のないような交流をしたいという思いがひしひしと実は話し合いの中で感じたわけであります。そのために、お互いの観光の交流人口をふやさなきゃならないと思ったわけであります。
事前にいろいろと情報を得ましたが、シンガポール、または香港、成田経由の旅客が二〇一二年で約五万名、中部国際空港から行かれたのが。ところが、ガルーダ・インドネシア航空の統計では、現在はもうそれが八万人、この中部の関係の人が来てみえるということも、逆に向こうから教えていただいたということであります。
このガルーダ・インドネシアの就航には、企業、ビジネスの需要も当然大切であると思いましたが、それ以上に観光の交流が重要であるということを改めて痛感したわけであります。
私は、事務的手続はよくわかりませんから、東京支店のほうで具体的な打ち合わせをまずお願いしました。そしてまた、実は四月にこのエミルシャCEOは日本へ来られるということはもう間違いなく聞いておりますから、そのときにぜひ愛知県に、また、この名古屋へ来てもらえんだろうかというようなお願いも、これは再度再度、実はさせていただきました。そのときの返事は、私は大変いい返事であろうと、そのときに、こういうことをやりたい、ああいうことをやりたいということも言われていましたから、大変いい返事であろうというふうに思って、帰りました。
帰国後、知事に報告し、二月七日金曜日、中部国際空港の取締役執行役員の方々と一緒に、東京のガルーダ・インドネシア航空東京支店での打ち合わせに一緒に行かせてもらいました。内容については、インドネシアのエミルシャCEO、副社長より連絡も入っており、大変スムーズに進行しました。
これからも私としては、インドネシアのゴーベル氏、また、ガルーダ・インドネシア航空の東京支店のリスナンディ地区総代表とも連絡をとりながら、何とかこの中部にガルーダ直行便が入るように活動していきたいというふうに思っています。
そこで、まず質問します。
まず、二月七日、ガルーダ・インドネシア航空の東京支店への打ち合わせ以来約一カ月がたっておりますが、中部国際空港会社のほうが内容をやってみえると思いますが、どのように県として聞いているのか、この点について、この一カ月半の動きについてお伺いをします。
次に、私は、ジャカルタでエミルシャCEOに来名をお願いし、四月ということでも御返事をいただきました。そして、東京支店のリスナンディ地区総代表からも、四月を目途としてというような話も具体的にいただきました。
そこでお伺いしたいのは、ぜひ、これは四月にエミルシャCEOに名古屋に来ていただくことが一番の課題ではないかと思いますから、その点についてはぜひお願いをしたい。改めてお願いをしていただきたく思います。
それで、来年度についての予定でありますが、エアポートセールスについてはどのように実施をされていくのかお伺いをしたいと思います。
それから、二点目、エミルシャCEOから名古屋の訪問の際には、知事との会合、愛知の財界の人たちとの会合などを提案してみえました。また、お互いの観光をする会社、企業の紹介なども具体的に提案されました。まだ具体的に、四月は間違いないと思いますが、日程は決まっていませんが、準備をする必要があろうかというふうに思います。
そこで、観光についてお伺いします。
現在、東南アジアから観光に来ていただく人たちにはゴールデンルートというのがあります。そのゴールデンルートは何かというと、関空から大阪、京都を回り、そして、新幹線で東京へ行き、東京見物をして成田から帰るというゴールデンルートであります。それから、また、今、売れ筋では、成田へ来て東京へ入り、東京から北海道へ行き、北海道から関空へ戻って関空から帰るというのも、今は東南アジアの方の売れ筋だそうであります。
中部が言っている観光ルートは、昇龍道というんですか、ぐぐっと上へ上がっていくだけのというような提案でありました。あれでは、私は大変魅力がないなというふうに感じました。ということは、十分そういう、この中部にもあると思ってなりません。もっと大きなルートを考えるべきじゃないか。
簡単に言えば、愛知から岐阜、岐阜から北陸を回り、長野へ回り、長野から成田、東京へ行ってもらって東京から戻るなり、または中部へ来てもらって、また今度は北陸へ行って、関西へ戻って関西から行くというような、京都へ入り、京都から関空へ戻っていくような大きなルートがとても必要ではないかと思いますが、その点についてのお考えをお聞きします。大分原稿と違いますが、済みません。
なお、ジェトロの富吉所長が言ってみえる、これは大変おもしろい、参考になる話ですから聞いてください。
ジャカルタの中心地でいろいろ日本イベントを開催したそうであります。実は一つの、写真を撮るパネルをつくりました、大きなパネルを。一つは、名古屋の武将隊だそうです、名古屋の武将隊。それから、もう一つは、日本の富士山の撮影用のパネルを設置したそうです。富吉さんが言われるには、インドネシアの八割の人が武将隊の前で写真を撮っている。二割の人が富士山の前で写真を撮っているというようでありますから、大変、この武将隊にはインドネシアの方々は興味をお持ちのようであります。
そこで、この地域には名古屋城がある、岡崎城もある、それから、犬山城もある、小牧城もある、岐阜城もあるし、豊臣秀吉は中村区の豊国神社しかありませんが、そのような観光資源があります。そういうところの武将隊を中心とした人と人とのそういうところの提案というのが何かあれば、ぜひお聞きをしたいというふうに思います。
もう一つ、また、次、三番目、まだインドネシアの人々は、八八%がイスラム教徒で、宗教上の違いがあると思います。ホテルの料理長に聞きましたが、新規の調理場をつくらなきゃならんというようなことも言っておられました。こういう点について県はどういうふうに思うのか。
最後に、第七款産業労働費第二項商工業費について聞きます。
先日、シンガポールで開催されていましたエアショーにおいて、三菱航空機のMRJの商談会にエミルシャCEOの顔が見えました。この際、名古屋へ見えたら、ぜひMRJの導入を考えた働きがないかを考えてもいいのではないかと思いますが、どのようにお考えか伺います。
以上。
70:◯地域振興部長(近藤正人君)
まず、ガルーダ・インドネシア航空と中部空港会社との協議の進展状況についてお答えをいたします。
中部空港会社としては、今回のガルーダ・インドネシア航空の最高経営責任者との面談を契機として、セントレアへの就航に向けて具体的な検討が始まるのではないかと期待をしているとのことであります。
現在、中部空港会社では、ガルーダ・インドネシア航空の営業担当者と就航の検討に必要となる旅客動向等のマーケティング情報を提供しながら、交渉を進めているところと聞いております。
県といたしましても、中部空港会社と情報を共有しながら、また、経済界とも連携し、実現に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
次に、来年度のエアポートセールスについてでございます。
本年度に実施したエアポートセールスでは、知事と航空会社の最高経営責任者や政府関係者との直接面談により、エアアジアXのクアラルンプール線の新規就航が実現するなど、大変大きな成果が得られました。
このように、航空ネットワークの拡充にはトップセールスが効果的でありますことから、来年度は、本県から企業が進出するなど、ビジネス面での交流が活発で、ビザの解禁等により日本への観光需要の増加も見込まれる東南アジアを中心にトップセールスを実施していく方向で検討しているところでございます。
今後とも、地元経済界、中部空港会社と緊密に連携しながら、より効果的なエアポートセールスとなるよう取り組んでまいります。
以上でございます。
71:◯産業労働部長(小山和久君)
まず、東南アジアからの観光客誘致についてお答えいたします。
中部には、豊かな自然や温泉、日本文化を伝える史跡、グルメなど数々の観光資源がありますが、東京、大阪に比べ知名度が高いとは言えないことから、中部・北陸九県が中心となって昇龍道プロジェクトを立ち上げ、この地域の官民が一丸となって中部の魅力を海外へ伝え、誘客を図っております。
一方、いろいろな地域を回りたいという観光客の多様なニーズもあることから、中部を含めた幅広いエリアの魅力をPRしていくことも重要です。京都、奈良などにも近く、交通の結節点でもある本県の特性を生かし、中部国際空港を利用して、中部から関西をめぐるような広域を周遊する旅行商品の造成を、海外での観光プロモーションの機会なども通じて、現地の旅行会社などへ働きかけてまいりたいと考えております。
次に、武将に関する観光資源を活用した観光PRについてです。
海外からの観光客にとっても、武将は、ドラマのテレビ放映や歴史小説などで広く親しまれており、日本らしさを感じる観光資源であると聞いております。
このため、本県では、武将に関する史跡などをめぐるモデルコースを掲載した外国語のパンフレットを作成し、名古屋、岡崎、犬山など、武将に関する観光資源を有する自治体とも連携して、海外の旅行者に対し、本県を訪れる旅行商品の造成を働きかけております。
インドネシアなどでも同様の取り組みを行い、武将を初めとした本県の魅力ある観光資源を積極的にPRしてまいります。
次に、ムスリムへの対策についてです。
政府のビザ緩和措置などもあり、インドネシアなど東南アジアからの観光客の増加が著しいことから、ムスリム観光客への対応が重要となります。
本県では、県内の観光事業者にムスリム対応の情報をお伝えするために、昨年五月に、日本アセアンセンターの協力を得て、ムスリム観光客受け入れセミナーを開催し、また、この一月には、日本政府観光局の講師をお招きして、同様のセミナーを開催しております。
いずれも、ハラルフードやお祈りの場所、用具などの例、取り組みの具体的事例を挙げて紹介したところ、参加者の関心も高く、好評でございました。
今後も、専門家の協力を得ながら、こうした情報提供を行い、ムスリムの方々が安心して本県に来訪していただけるよう、受け入れ環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
最後に、MRJ導入に向けた働きかけについてです。
MRJについては、三菱航空機株式会社により、世界各地でのエアショーへの出展などを通じて、各国の航空会社等への精力的なセールスが行われていると認識しております。
県では、平成二十二年から、国の施策・取組に対する愛知県からの要請において、海外へのトップセールスの実施により、その普及拡大を支援することを政府に対して要請してきており、経済産業省においては、昨年七月、茂木大臣から、ベトナムではございますが、ベトナムのズン首相に対してMRJ導入を要請するなど、国を挙げた働きかけが行われているものと承知しております。
県といたしましても、さまざまな機会を捉えて、各国政府、航空会社などに対し、当地の航空宇宙産業の高度な技術力、産業集積や製品の環境面などでの優位性をアピールし、当地で生産される航空機の普及拡大を支援してまいります。
72:◯八十八番(松山登君)
あと一分しかありません。簡単に言います。
先日、実は、三月四日の日経新聞の一部記事を読みました。「ルピア安、航空各社直撃」というような記事が載っておりました。これは、御存じのように、インドネシアで今、通貨ルピアが安になっている、苦境に立っている。各航空会社も大変厳しい状態である。国営ガルーダ・インドネシア航空も、純利益が九割減ったというふうにここに書かれてあります。
そういう中で、今また中部へ一つ直行便を入れようと思うと大変厳しい、実は状況に今なっているのではなかろうかと。しかしながら、今、年間八万人、中部圏内の方が行ってみえますから、これはもうドル箱の路線になるというふうに私は確信しておりますが、ぜひ知事が東京へ行かれたら、知事、答弁はきょうはないと思いますから求めませんが、ぜひ支店でも寄っていただいて、ぜひ名古屋へ来てくれという要請はどこかで言うべきじゃないかなと。
〔「行く予定はあるぞ」と呼ぶ者あり〕
73:◯八十八番(松山登君)
(続) そう、来月のことですから、ぜひひとつお願いしたいと思います。
74:◯副議長(鈴木正君)
発言は簡明に願います。
75:◯八十八番(松山登君)
以上です。
76:◯副議長(鈴木正君)
次に、第一号議案平成二十六年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳出第六款健康福祉費から第八款農林水産費までの質問を許します。
通告により質問を許可いたします。
須崎かん議員。
77:◯六十番(須崎かん君)
歳出第六款健康福祉費第三項児童家庭費の病児・病後児保育促進モデル事業費についてお伺いをいたします。
出産後も安心して働き続けられる環境を整えるため、県は、市町村と連携して保育所整備を進めることにより、待機児童の解消を図っておられるところですが、保育所への入所した後においては、子供が病気になった際、預け先の確保が大きな課題となっております。
私自身、保育所にお子さんを預けて働いている親御さんから、子供を保育所に預けているけれど、インフルエンザにかかったときは、熱が下がった後も三日間預かってもらえず、本当に困ったとお聞きしたことがあります。
一般的に保育所は、ほかの子供への感染防止から、感染症にかかっている子、発熱をしている子、発疹、嘔吐、激しい下痢などの症状のある子を預かってはくれません。
子供が病気になったとき、同居する親や近くの親戚、近所の人に子供を見てもらうことができる方は、子供を預けて仕事に行くことができますが、それができないと仕事を休むしかありません。しかし、急に仕事を休めないこともあるでしょうし、特に病気が長引く場合には、都合をつけ合うことが難しいこともあろうかと思われます。
平成二十一年に民間企業が行った調査によると、保育所や幼稚園に通っている子供がいる人のうち、子供が病気だけれども仕事は休めない、もしくはどうしても外せない外出の用事があるといった経験がある人は、保育所に通っている子供がいる人の場合、八〇・六%、幼稚園に通っている子供がいる人の場合、六〇・八%に達しています。
また、そのような場合、どのような対応をするのかと複数回答形式の問いに対しては、近くに住んでいる両親に預けるが七二・九%と最も多く、以下、病児保育施設・サービスを利用するが一六・八%、近くに住んでいる友人に預けるが一五・八%でありました。
せめて病気のときくらいはそばにいてあげたいという思いは、どの親御さんも当然持っておられると思います。しかしながら、特に乳幼児は頻繁に病気になることが多く、そのたびに仕事を休むことができず、また、核家族化等によりいざというときに頼る先がないといった現実があります。
そんな状況に対する強い味方が病児・病後児保育であります。病児・病後児保育とは、病気または病気の回復期にあり、集団保育が困難で、かつ保護者が就労等により家庭で面倒を見ることが困難な子供を一時的に預かるものであります。
この病児・病後児保育については、本県でもその必要性を十分認識され、少子化対策推進基本計画であるあいちはぐみんプランにおいて、その実施箇所を重点チェック項目の一つとして挙げられています。
具体的には、計画策定時の平成二十一年次に、政令市、中核市を除き二十四カ所であるものを、計画期間終了時の平成二十六年度末には四十二カ所にする目標が挙げられておりますが、現在二十九カ所と進捗がおくれている状況とのことであります。
そこで、まずお尋ねをいたします。
病児・病後児保育の進捗がおくれている原因をどのように認識しておられるのかをお伺いいたします。
次に、病児・病後児保育の拡充への取り組みについてであります。
平成二十一年に内閣府が子育て中の女性に対して行った意識調査によりますと、保育所のサービスに望むものとして、待機児童解消のための保育所整備を求める割合が六四・九%であるのに続いて、病児・病後児保育の充実が五四・七%となっており、病児・病後児保育に対する要望は非常に高いものがあります。
働き方を見直し、子供の看病のために仕事を休むことができる社会を目指していくことも非常に重要ですが、現実問題として仕事を休むことができない場合もあることから、仕事をしながら子育てできる環境づくり、さらには、女性がその能力を生かして活躍できる環境づくりにとって、病児・病後児保育の拡充は重要な課題の一つであります。
進捗がおくれている中、県民の皆様のニーズに応えるため、県として病児・病後児保育を促進していく必要があると考えます。
そこでお尋ねをいたします。
県は、新年度当初予算案において、病児・病後児保育促進モデル事業費を計上されました。これは、病児・病後児保育の拡充を目指して取り組むものと思いますが、このモデル事業を実施することとした考え方と事業内容についてお伺いをいたします。
以上です。
78:◯健康福祉部長(伊藤輝明君)
病児・病後児保育促進モデル事業についてお答えをいたします。
まず、病児・病後児保育の進捗がおくれている原因についてでございます。
病児・病後児保育は、病気または病気の回復期にある児童を一時的に保育するものでありますことから、子供の病態の変化や感染防止への備えが必要でございます。
このために、施設・設備面での対応や看護師の配置など、設置や運営に一定の負担が必要となってまいります。
国の補助制度としては、医療機関や保育所などの専用のスペースで預かる病児・病後児保育の運営などに対する補助事業と、地域住民の相互援助活動でございますファミリー・サポート・センター事務局の運営費補助がございます。
病児・病後児保育事業につきましては、補助要件として、施設面で保育室及び調理室のほか、観察室または安静室の確保が求められますとともに、人材面でも保育士のほかに専従の看護師の配置が求められております。
しかしながら、保育士、看護師の確保は困難な状況である上に、運営に対する補助は、人員配置に応じた補助ではなくて、利用実績に応じたものとなっておりますことから、利用する子供が定員に満たない場合には、実施主体である市町村の負担が大きくなるということになります。
また、ファミリー・サポート・センター事業では、児童一人を預かりますことから他の児童への感染のおそれはありませんが、病児・病後児を預かることに、預ける側、それから、預かる側双方の不安があります。
こうした人材確保、経費負担及び預かりへの不安などが、市町村において病児・病後児保育の進捗がおくれている主な原因であると認識をしております。
次に、モデル事業を実施することとした考え方と事業内容についてでございます。
女性が元気に働き続けられる愛知を実現するためには、出産後も安心して育児と仕事が両立できる保育環境を整えることが求められます。中でも、女性の就業継続にとって大きな課題となっておりまして、ニーズの高い病児・病後児保育の充実に緊急に取り組む必要があると認識をしております。
病児・病後児保育事業を促進するためには、事業実施の支障となっております人材確保、あるいは経費負担、預かりへの不安といった課題に対応することが必要でございます。
このため、今回、本県独自の全国初とも言える取り組みとして、ファミリー・サポート・センターの援助会員を預かり人材として活用しまして、その報酬を子供を預けた依頼会員が支払うことによりまして、人材確保及び運営負担の課題に対応するものでございます。
また、預ける側、預かる側双方の不安を軽減するために、市町村が医療機関の協力を得まして、医療機関の敷地内などに専用の預かりスペースを確保しまして、必要に応じて医師の診察を受けることのできる医療機関連携型の病児・病後児預かり事業をモデル的に実施することとしたものでございます。
県といたしましては、こうした市町村が行う預かりスペースの整備費に対して新たに助成してまいりますとともに、いわゆる潜在保育士などに働きかけまして、預かり人材の掘り起こしと事業実施に必要となる研修を行ってまいりたいと考えております。
さらに、このモデル事業の実施状況を各市町村にもお伝えし、病児・病後児保育事業の促進を働きかけてまいりたいと、このように考えております。
以上でございます。
79:◯副議長(鈴木正君)
進行いたします。
長江正成議員。
80:◯三十六番(長江正成君)
私は、第六款健康福祉費第六項生活衛生費の食品営業許可について質問をいたします。
私は、地元の瀬戸物とB級グルメ瀬戸焼きそばの応援団の一員として、瀬戸焼そばアカデミーに入会し、全国に瀬戸物をPRする活動の一助としてできることをさまざま行っています。
本日の質問は、四月、奈良市で瀬戸物と瀬戸焼きそばの魅力をPRする予定があることから、事前準備を行った瀬戸焼そばアカデミーから聞いた内容も含め、質問をいたします。
奈良市では、食品衛生法第五十二条第二項営業の許可に該当する事務手続は、三日以内のイベント、催し物などでの営業行為に限り、愛知県とは異なり、同手続は許可ではなく、報告することで手続が終了することを瀬戸焼そばアカデミーを通じて知りました。
この許可の項目は自治事務であり、それぞれの自治体が独自に定めていることを改めて理解しましたので、本日は、露店により行う営業の手続についてお伺いします。
瀬戸保健所での指導手続では、露店営業は、テントや手洗い用の水を入れておくポリタンク等施設のものに許可を出すものであり、申請書を受理したときに、露店営業で使用するものを実際に瀬戸保健所で職員が確認後、許可をしているとのことです。
また、レンタルしたテントを使用する場合は、営業に使用するものに対して露店営業許可をするため、許可を持っている事業者であっても、改めてイベント期間に合わせた許可を申請し直すと指導しています。
私は、瀬戸保健所の指導内容は大変、ある意味行き過ぎた指導であると思いますので、一点目、露店営業の許可に関して、愛知県は、十二ある各保健所で異なる手続を行っていないか、最初に確認、質問いたします。
二点目、次に、露店営業の許可を取得したい事業者は、食品営業許可申請書と添付する書類を保健所へ郵送し手続を行うことができるのかお伺いをします。
あわせて、三点目、郵送手続は、食品営業許可全般に対しても可能でしょうか。
四点目、次に、レンタルしたテントなどで露店営業する場合、瀬戸保健所の指導のように、イベント催事期間内での許可となるのかお伺いをいたします。
以前には、加藤健康担当局長さんが瀬戸保健所長をなさっているときに、瀬戸焼卸組合の役員の方と瀬戸保健所に伺い、九月のせともの祭に際し、屋外でざるそばを提供し、瀬戸物のそばちょこを楽しんでもらう企画の相談に伺ったことがありました。
そのときは、露店により行う営業で調理、販売及び製造できる品目にそばはありましたが、温かいもの限定であり、冷たいざるそばは残念ながら取扱品目になく、露店での許可をお願いすることを諦め、二日間の間、プレハブの建物を建て、上水道を引き、新規店として営業許可を取得されたことを覚えております。
このせともの祭での瀬戸焼卸組合さんのイベントは数年続けられましたが、昨年九月は、十月四日を陶器の日、お茶漬けの日として、業界全体で全国的な取り組みになったということで、ざるそばから丼茶漬けに変えられ、二百食余りをせともの祭で、組合員のお店で陶器を買われたお客さんの中から抽せんで見事当たりを引かれた来場者に、瀬戸の老舗料亭の主人が調理した丼茶漬けを振る舞われ、なおかつ使用された器はプレゼントをするPR事業とされました。
一方、本年度見直された露店営業には品目の追加があったそうですから、そこでお伺いをさせていただきます。
五点目、ざるそば等、冷たい麺類を露店営業の品目に追加することは検討されたのでしょうか。
また、六点目、お茶漬けについても許可品目として認める考えはないでしょうか、お伺いをいたします。
今も触れましたが、昨年九月のせともの祭での丼茶漬けに関して、ハウスのレンタル代からハウス運搬、設置、撤去、水道工事費等三十数余万円をかけられ、食材調理代と器代に三十万円と大変な費用をかけられたPR活動であったことを、先日、組合事務局長さんからお聞きをしました。食をテーマに発信していきながら、陶器のある暮らしを広めていくためには、今後も手をかえ品をかえてでもPR活動をせともの祭では続けていくとお話しされました。
そこで、臨時営業についてお伺いをいたします。
本年度から新たに臨時営業を規定し取り扱うこととしたそうですが、いま一度確認をさせていただきます。
何度も申し上げている、せともの祭での丼茶漬けでの一連の手続で、瀬戸焼卸組合の役員の方から私が聞き取りをしたところ、申請に当たり、組合側から保健所に内容を説明したが、保健所からは助言、指導、提案等はなく、もちろん許可手続に関し詳しい説明はなかったと言われました。
本年度から取り組まれている臨時営業であるならば、申請者に対して瀬戸保健所はしっかりと説明するべきであったと私は考えますが、七点目、県下十二保健所で取扱事務方法に違いなどがあったかなかったかお伺いをいたします。
次に、臨時営業における調理、販売、また、製造行為の内容に応じ分類をしているようですが、瀬戸焼卸組合の役員の方は結果を御存じではありませんでした。私が確認したところ、せともの祭での丼茶漬けは、分類する例示に丼茶漬けがなかったため、単純に危険度の高い食品の調理行為を伴うものとして区分をし、瀬戸保健所は臨時営業を許可したようです。
そこで質問をいたします。
八点目、例示されている食品数は限られていますが、今回のように例示食品にない場合、どのような根拠で分類されているのかをお伺いします。
九点目、また、分類結果が申請者に不利益が生じたときに、申請者に対してどのように対応されるのかをお伺いいたします。
次に、第八項医薬費についても質問をいたします。
今回、瀬戸保健所事業概要を、例年と異なり、一月二十八日に正式にいただきましたので、保健所業務推進に関し順次質問を行います。
十点目、監視体制についてでありますが、生活衛生費及び医薬費に関して、保健所は、日常どのような監視体制であるのでしょうか、最初にお伺いをいたします。
次に、事業概要では、瀬戸保健所職員配置は定数四十人ですが、兼務者が九名みえ、合計で五十名となっています。
十一点目、県下の保健所監視体制における実際の職員配置は、どのような実配置数であるのでしょうか、お伺いをいたします。
次に、監視員についてもお聞きをいたします。
興行場法、旅館業法、公衆浴場法、理容師法、美容師法、クリーニング業法に規定する生活環境衛生施設についても、薬事監視員が環境衛生監視員として指導を行っているとのことですが、薬事法に基づき、薬局及び医薬品販売施設へ立入指導を行ったと瀬戸保健所事業概要にありましたので、私は、県下保健所について調べさせていただきました。
県下十二保健所間で監視件数割合がでこぼこしていることがわかりました。また、特に瀬戸保健所は、監視件数割合が県下一番であり、平成二十一年六月に改正された薬事法で新たな販売制度になりましたが、瀬戸保健所管内では、制度定着が不十分なのか、それとも、再三の指導に対して改善されない薬局、店舗があるのか、さらには、薬事法違反疑いのある事例がたくさんあるのか、私は心配になりました。
そこで質問いたします。
十二点目ですが、薬局への監視について、各保健所はどのような観点に基づき行っているのかお伺いをいたします。
十三点目、あわせて、薬事監視員と環境衛生監視員が兼職と聞きますが、覚醒剤監視員、麻薬及び向精神薬取締法第五十条の三十八第一項に該当する職員、毒物劇物監視員も兼ねていると聞きますので、お一人の職員で多くの法律にかかわる分野で監視をされていますから、各種各分野の監視体制強化が言われる昨今、現在の体制で十分監視できるものなのかお伺いをいたします。
最後に、薬事監視、環境衛生監視、そして、食品衛生監視について、今回の質疑に当たり、本庁担当課では、保健所事業概要に掲載された諸表について、保健所に確認をしないと説明できない事項が多々ありました。言いかえれば、情報集約が旧態依然のままで、県民の方々が安心して購入、使用、利用できる情報管理ができていないと私は考えます。
そこでお伺いをいたします。
十四点目、薬事監視に関しては、市町村ごとの集計は無理とのことでしたが、今後改良される予定があるのかお伺いをいたします。
また、十五点目、食品衛生総合情報処理システムの中でも改善される予定があるかお伺いをし、以上十五項目の質問に対して、簡潔、明快な答弁をしていただくことをお願いいたしまして、終わります。
81:◯健康福祉部健康担当局長(加藤昌弘君)
食品営業許可についてお尋ねのうち、まず、露店営業についてお答えをいたします。
露店営業につきましては、取扱要領を定め運用しておりますが、レンタル物品の使用につきましては明確に規定をしていなかったために、レンタル期間に合わせた営業期間で営業者に申請をいただいているケースと、期間にかかわらず原則五年許可としているケースがございました。
今後は、この取り扱いを統一し、原則五年の許可として運用してまいります。
次に、食品営業許可の郵送による申請についてお答えをいたします。
食品営業の許可申請に当たりましては、申請書の内容を確認させていただくだけでなく、新たにお店を始められる方もございますので、調理または製造する食品の内容に応じて、食中毒予防の観点から、食品の衛生的な取り扱いなどについて指導させていただくことが食の安全・安心につながるものと考えております。
このため、申請に当たりましては、申請の内容がわかる責任のある方に直接持参していただくこととしており、今後ともこれまでと同様の取り扱いとさせていただきたいと考えております。
次に、露店品目についてお答えいたします。
露店営業における取扱品目につきましては要領で規定しておりますが、本年度から新たに追加をいたしました露店品目は、焼肉とおやきの二品目でございます。
品目についての基本的な考え方といたしましては、食品衛生上の危害を防止するため、原則として、調理または製造の最終工程でしっかり加熱を行うもののみとしておりますので、議員お尋ねのざるそばとお茶漬けにつきましては、露店品目として追加はしておりません。
次に、臨時営業についてお答えいたします。
近年、まちおこしなど地域活性化を図る観点から、露店の取扱品目以外の品目を屋外で調理または製造したいとの声があるなど、その形態が多様化していることから、衛生確保が可能であることを条件として施設基準の一部を緩和し、臨時営業として昨年四月一日から運用しているところであります。
その取り扱いにつきましては、保健所間で差異が生じないよう運用開始前に説明会を開催し、統一化を図ったところであります。
次に、臨時営業の取扱品目についてでございます。
臨時営業の施設基準につきましては、調理、販売または製造行為の内容に応じて六つに分類し、食品を例示しております。例示のない食品の分類につきましては、その都度調理工程等を確認し、判断することとしております。
なお、分類結果により申請者に不利益が生じることのないよう適切に判断しておるところでございますので、御理解をいただきたいと考えております。
続きまして、保健所の衛生関係の監視指導についてお答えをさせていただきます。
まず、保健所の監視体制についてお答えします。
理容所を初めとする環境衛生営業施設、薬局、薬店及び食品営業施設等の衛生水準の維持向上を図るため、各保健所に薬剤師や獣医師等の資格を有する職員を環境衛生監視員、薬事監視員及び食品衛生監視員等として配置して、理容師法、薬事法、あるいは食品衛生法等、それぞれの法律の規定により関係施設の監視指導を計画的に行っておるところでございます。
次に、保健所における監視員の配置数についてでございます。
環境衛生監視員及び薬事監視員につきましては、十二の県保健所に五十四名を専任で配置しております。そのうち五保健所には、より専門的な監視を行うため、広域機動担当として十五名を配置しており、合わせて六十九名の体制となっております。
次に、食品衛生監視員でございますが、同じく十二の県保健所に四十八名を専任で、五保健所に広域機動担当として二十五名、合わせて七十三名を配置しております。
これ以外に、環境衛生監視員、薬事監視員及び食品衛生監視員を兼務する職員十二名を加えた総勢百五十四名を監視指導の対象となります施設数に応じて各保健所に配置し、監視指導を実施しておるところでございます。
次に、薬局の監視指導と衛生関係施設の監視体制についてお答えをいたします。
医薬品等の品質、有効性及び安全性を確保するとともに、保健衛生の向上及び地域医療の推進を図るため、おおむね三年に一回は薬局に立ち入り、監視指導を実施しております。
各保健所に配置されている薬事監視員は、多くの業種の監視指導を実施しておることから、保健所によっては、年度ごとに重点監視対象施設を定めて実施をしております。そのため、単年度で見てみますと、薬局の監視件数は保健所間で差が生じていることも認識しております。
また、衛生関係施設の監視体制についてでございますが、本県では、施設への立入検査による監視と、自主管理点検結果や衛生講習会の開催による指導を組み合わせて、効率的に監視指導を実施するとともに、研修等により監視員の資質向上を図ることで、現配置人員の中で最大限の効果が上がるよう努めておるところでございます。
今後とも、衛生関係施設の自主的管理に加えて、監視員による監視指導を着実に実施することで、県民の皆様が安心して御利用いただけるよう、衛生水準の維持、確保を図ってまいります。
最後に、薬事監視及び食品衛生監視の監視実績の集計についてお答えをいたします。
食品衛生総合情報処理システムの中で、市町村別の集計業務の改善の予定は現在のところはございませんが、薬事監視及び食品衛生監視の監視実績を平成二十六年度から市町村ごとに集計を行い、県民の皆様が安心して施設を利用していただくための基礎的な資料として情報提供をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
82:◯三十六番(長江正成君)
要望させていただきたいと思います。
十五の質問をまとめて御答弁いただいたような気がしますが、まず、質問でもちょっとだけ触れさせていただきましたけど、本年度、瀬戸の保健所の事業概要、本当にいただいたのは一月二十八日になります。
二十五年度の事業概要ですから、残り二カ月の時点でいただいたということだけは改めてお考えをしていただいて、県下の十二保健所をある程度統一したような形での作成と、また、配付も徹底していただきたいなと要望をさせていただきたいと思います。
そして、その中身についてなんですが、保健所の事業概要の中身に関して、たくさんのもろもろの表が掲載をされております。その表を見る限り、今、御答弁いただいたとおり、市町村ごとの集計もされるとお聞きをしましたが、やはり多分、保健所は一つの管轄エリアを持っているだけであって、そこにあらわされている表の数字というのは、やはり市町村ごとの表が一番参考になるものだと思いますので、ぜひともそのもろもろの表に対しても改善できる点は、できたら市町村ごとで集計できるような改善もしていただきたいと思いますし、何よりも一生懸命監視・指導業務をしていただいておる職員の皆さんの監視の部分についても、今は延べ件数なのかというのがなかなかわからない表になっております。延べ件数であれば、しっかりと延べ件数というような形で表記もしていただいたらなと思います。
それから、食品衛生に関し、これは条例の中に規定されておりますが、ぜひとも地域活性の観点から、今後も見直しをされるときには、他の多くの自治体の事例等を見ていただいて、より愛知県の地域が、それぞれの地域が活性できるような観点で見直しをしていただくことをお願いさせていただいて、要望を終わります。
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83:◯三十八番(坂田憲治君)
暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
84:◯副議長(鈴木正君)
坂田憲治議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
85:◯副議長(鈴木正君)
御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午後三時九分休憩
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午後三時五十分開議
86:◯議長(久保田浩文君)
休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
藤原宏樹議員。
87:◯五番(藤原宏樹君)
私からは、歳出第八款農林水産費第四項農業用水費第二目豊川用水事業費についてお伺いをさせていただきます。
私の地元豊川市では、大村知事に名誉会長を務めていただいたご当地グルメまちづくりの祭典、B─1グランプリin豊川、通称B─1グランプリが昨年十一月九日、十日に開催され、過去二番目に多い五十八万人余りが来場し、開催地豊川市はもとより、東三河全体を盛り上げていただきました。
さらに、今春の選抜高校野球に豊川高校が初出場することで大いに盛り上がっている豊川市でありますが、このほかにも、バラの産地として市場から高い評価を受けているとともに、大葉や菊の生産も盛んで、また、豊川稲荷周辺の商店街は多くの人でにぎわい、御津工業団地への企業誘致も進むなど、農業、商業、工業がバランスよく発展してきたまちであります。
そして、こうした豊川市の発展を縁の下でしっかりと支えてきているのが、農業用水、水道用水、工業用水を安定して供給してくれる豊川用水であります。
豊川用水は、現在の田原市、旧赤羽根町の出身で県会議員、国会議員、豊橋市長を歴任した近藤寿市郎氏が大正十年に、当時オランダ領であったインドネシアの大規模水利事業を視察した際にヒントを得て、豊川上流に貯水池を設け、渥美半島まで用水を引こうとした、その時代としては夢のような構想に思い至ったことに始まります。
その後、多くの関係者の長年にわたる努力が実り、昭和二十四年に農林省の直轄事業として宇連ダムの建設工事が始まりました。当初は、農業用水のみで計画されていましたが、昭和二十六年には、水道用水、工業用水を含む総合用水事業となりました。昭和三十六年には、この事業を愛知用水公団、現在の独立行政法人水資源機構が受け継ぎ、昭和四十三年には、東三河地域の平野部と渥美半島全域を潤す豊川用水が完成いたしました。
この豊川用水の完成により東三河地域は一変しました。温暖な気候と大都市圏に近い地理的条件に加え、安定した農業用水が供給されることとなり、キャベツ、ブロッコリーなど畑作物や、菊、バラなど花卉類の施設園芸がふえ、東三河地域の平成十九年の農業産出額は、通水開始時の約四倍の一千四百億円と、全国でも有数の農業地帯に生まれ変わりました。
また、平成二十四年の製造品出荷額は約四兆円と、これは通水開始時のおよそ二十倍、さらに、こうした産業の発展に伴い人口も増加し、豊橋市、豊川市を初めとする東三河地域五市の人口は、平成二十三年度に七十五万人近くと、これも約一・三倍となっております。
そんな中、昨年の夏は、気象庁が異常気象だったとの見解を示しておりますが、うだるような猛暑に加え、京都の嵐山や伊豆大島など、全国各地で局地的な豪雨による大きな被害が発生いたしました。
一方、東三河地域では、五月上旬以降、降雨が少なく、八月までの四カ月間の雨量は平年の四割程度しかありませんでした。このため、九月四日には、宇連ダムの貯水率が〇・八%と枯渇寸前になるなど、豊川用水では、水道用水で最大二八%、農業用水と工業用水では最大四〇%と節水を余儀なくされました。
豊川市でも、田んぼに二日間通水したら二日間断水となる、いわゆる隔番かんがいの実施で、水門やバルブの操作に奔走し、農家の皆様方は大変な御苦労をされました。また、小中学校では、プールの利用を中止するなど大きな影響が出ましたが、九月五日以降のまとまった降雨により宇連ダムの貯水量は回復し、大きな被害に至らなかったのが幸いでありました。
こうした中、大村知事の御英断により設楽ダムの建設が大きく前進したことを大変うれしく思いますとともに、改めて水の大切さを忘れてはならないと強く感じるところであります。そして、将来、設楽ダムの水を安全かつ確実に私たちへ届けてくれる豊川用水も非常に重要であると考えます。
豊川用水を管理している独立行政法人水資源機構は、建設後三十年、老朽化が著しい豊川用水の幹線水路や支線水路を改修する豊川用水二期事業に平成十一年度から着手し、その後、豊川用水の全域が東海地震の防災対策強化地域に指定されたことを受けて、平成十九年度から幹線水路の大規模地震対策を計画変更で追加がされました。
これは、豊川用水が新城市の大野頭首工から西部幹線水路では蒲郡市、東部幹線水路では渥美半島の先端にまで及ぶ長大な水路で、交通量の多い国道や名鉄、JR東海道本線、新幹線と交差するなど、地震により水路施設が決壊した際の二次災害を防止する上で、耐震対策が喫緊の課題となったからであります。
そこでお尋ねいたします。
豊川用水二期事業における大規模地震対策の進捗状況と今後の見通しについてお伺いいたします。
次いで、東北地方を中心に未曽有の被害をもたらした東日本大震災が発生して三年がたとうとしております。被災地では、いまだ避難生活を強いられている方もおみえになる中で、復興を目指し、多くの方々が御尽力されており、本県からも多くの職員が復興支援に行かれていると聞いております。
東日本大震災は、マグニチュード九というまさに想定を超える巨大地震でありましたので、国は、このような想定外に対応するため、南海トラフ沿いで発生する大規模地震対策を検討するに当たっては、これまでの東海・東南海・南海地震の三連動型ではなく、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震、津波を対象として検討しております。
平成二十四年八月には、震度分布や津波高、建物や人的な被害が公表され、平成二十五年三月には、経済的な被害も公表されました。
また、本県においても、被害予測調査委員会を設置し、経済被害を含む被害予測調査が行われており、昨年五月に公表された市町村別の被害想定では、建物の倒壊や津波、急傾斜地の崩壊による死者数は、東三河地域では五千人を超えるとされております。
そこでお尋ねいたします。
現在実施している豊川用水二期事業の大規模地震対策は、東日本大震災以前に計画されているものでありますが、その後、東日本大震災を踏まえた検討は行われているのかお伺いいたします。
次に、豊川用水を利用した小水力発電についてお伺いいたします。
東日本大震災の原発事故以来、多様なエネルギー対策が求められている中、再生可能な自然エネルギーを利用した取り組みは重要なものであると考えております。中でも、環境に優しく天候に左右されない小水力発電は非常に有用な方法だと思います。こうした中で、水資源機構では、豊川用水において、小水力発電を積極的に推進していくとお聞きしております。
そこで、豊川用水における小水力発電の取り組みを今後どのような状況から取り組んでいくのかお伺いして、質問を終わります。
88:◯農林水産部農林基盤担当局長(溝田大助君)
水資源機構が実施しております豊川用水二期事業についてお答えを申し上げます。
まず、大規模地震対策の進捗状況でございます。
豊川用水二期事業の大規模地震対策は、平成十九年度から平成二十七年度までの工期で、幹線水路の耐震性が不足している区間十六・四キロメートル及び渥美半島先端の初立池の耐震補強工事などが進められておりまして、本年度末の進捗率は約七二%の見込みでございます。
また、今後の見通しでございますが、主要工事は本年度までにおおむね発注済みでございまして、工事も順調に進捗しておりますことから、平成二十七年度に計画どおり完了する予定と伺っております。
次に、東日本大震災を踏まえた耐震性の検討でございます。
現在実施中の大規模地震対策が計画されました平成十九年当時の一般的な考え方といたしまして、かたい岩盤の中にあるトンネルは耐震性に問題なしとされておりました。
しかし、東日本大震災の発生を受けて、水資源機構は、岩盤内にあるトンネル区間三十六キロメートルについても耐震性を検証するため、地質ボーリングなどの基礎的調査を進め、昨年十二月に構造力学や地盤工学などの専門家を委員とする豊川用水施設に係る大規模地震対策検討委員会を立ち上げております。
この委員会では、過去の地震における岩盤内にあるトンネルの被災事例を踏まえた耐震性の解析手法などにつきまして、現在掘り下げた検討を行っていると伺っております。この結果は、来年度早々に開催されます検討委員会を経て取りまとめられる予定でございますので、県といたしましては、その結果を注視してまいりたいと考えております。
最後に、小水力発電でございます。
水資源機構は、豊川用水のダム、幹線水路など十九カ所の候補地を選定して検討を進めた結果、採算が見込まれる五カ所で小水力発電施設を設置する方針であると伺っております。
この五カ所のうち、大島ダムは最大出力二百四十キロワット、幹線水路の二川地点は最大出力七キロワットで、この二カ所について本年度中に工事を発注し、平成二十七年度に発電が開始される見込みでございます。また、宇連ダム、大野頭首工及び駒場池の三カ所では現在設計が進められておりまして、来年度には工事発注の予定と伺っております。
以上でございます。
89:◯議長(久保田浩文君)
進行いたします。
平岩登議員。
90:◯十番(平岩登君)
私からは、歳出第七款産業労働費から第二項商工業費より貿易振興事業費についてお伺いいたします。
本県では、アジアパートナーシップ戦略として、東南アジアの重要拠点であるタイ、バンコクをターゲットに事業を実施するということであります。
アジア諸国との連携では、本県は、あいち戦略プランに沿って、二〇〇八年の三月にベトナムと、十月に江蘇省と経済連携、そして、二〇一二年七月に大村知事とバンコク都知事との間で本県とバンコク都との相互協力に関する覚書に調印したところであります。
それ以降、タイ、バンコク都とは、二〇一三年四月にはバンコク都高校生訪問団が来県、十月にはバンコク都知事が来県と、交流を重ねているところであります。
タイは親日と言われていますが、日本とタイとの関係は歴史が古く、一八八七年九月、日タイ修好条約が調印され、続いて、一八九七年、バンコクで日タイ修好通商航海条約が締結、互いに公館が設置され、アジアの中で日本が修好条約を結んだ初めての国でもあります。
現在の日系企業の進出状況は、帝国データバンクのタイ進出企業の実態調査によると、二〇一四年一月末時点で三千九百二十四社の日系企業が、また、本県から現在二百五十六企業がタイに進出し、タイは東南アジアにおきまして、最も多くの日本企業、県内企業が進出している国であります。
これは、二〇〇七年十一月に日タイ経済連携協定が発効したのを初めとして、貿易のみならず、投資や政府調達など幅広い分野における経済関係の一層の強化がなされ、進出企業もふえているところであります。
また、日本は、タイにとって最大の貿易額と投資額、援助額を持ち、自動車関連企業の多くが進出しているほか、家電メーカーなども多く進出し、国内市場への供給を行っているほか、関税特典があるASEAN諸国内への輸出拠点としても活用されているところであります。
今回のあいち国際戦略プランのアジアパートナーシップ戦略は、成長著しいアジアの活力を取り込むため、平成二十六年四月にバンコク産業情報センターが開設されるタイ、バンコクをターゲットに戦略的に事業を実施し、緊密な友好関係の構築、民間分野での交流促進などをうたったもので、進出企業支援や人材交流の重要な事業だと思っております。
一方、現在は、政治状況の不安定化や関税撤廃による進出企業への影響などの課題もあり、本県としても緻密な戦略が必要とされているところであります。
昨年より、タイ国内での大規模なデモが展開されている官庁街は旧市街にあり、進出企業が集まるオフィス街や工業団地からは離れてはいますが、商業省の閉鎖で輸出に必要な原産地証明書を取得できないなど、申請や許認可取得の手続が滞る例があるとも言われ、二〇一一年に見舞われたタイの洪水問題から発生した失業者の増加や最低賃金の上昇、また、タイ国内の物価上昇など、タイを取り巻く環境は、一昔前と比べても随分とさま変わりをしており、成長著しいインドや近隣のミャンマー、カンボジアなど、タイ以外の国への新規投資も視野に入れる企業が出てきているとも伺っております。
これは、ASEANの自由貿易協定の影響もあると言われ、二〇一〇年には、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ブルネイの六カ国の域内関税がほぼゼロに引き下げられ、二〇一五年には、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムでも実施する予定になっており、タイを含めた隣国との貿易関税がゼロの状態であれば、タイ国内での生産だけでなく、隣国を含めた事業展開を考える企業も多くなってきております。
ASEAN諸国や中国の生産能力が高くなっている上、ASEAN内での関税撤廃などが後押しとなり、品質の高い製品がタイでも購入できることになった結果、タイの国内企業も価格競争力のある製品を生産しないと輸入品の競争に負けてしまい、製品コスト競争の激化や製造コストが極端に違うものに対し、販売市場を守るため、ある程度の関税操作が必要という意見も伺うところであります。
また、二〇一一年に自動車部品の輸入関税撤廃がされた場合、進出企業の恩恵はどうなるかなど、日系企業に対するサポートを強化してほしいという意見も多くあります。
しかしながら、製造拠点としてのタイの魅力は、一九八〇年代には既に本格化していたという進出の歴史の長さにあり、進出実績がふえることで産業集積が進み、現地でのサポート体制も整い、工業団地や電力などのインフラ整備や現地労働者の熟練も進んでいます。
こうして長年かけて培われてきた魅力は、一度の災害や政情不安で損なわれるようなものではないとも言われているところであります。
このような中で、本県の交流推進事業において、タイ政府経済関係省庁との経済交流に関する協議や経済交流トップセミナーなどが行われると伺っておりますが、進出企業の諸問題等ある中で、相互がウイン・ウインの関係にある事業推進が必要であると考えます。そのためには、本県としても言うべきことはしっかりと言って、タイとの信頼関係をつくっていくことが、タイのみならず、本県とのアジア諸国への交流発展につながっていくと思います。
そこでお伺いをいたしますが、今回の経済交流推進事業の中で、タイ政府関係省庁との経済交流に関する協議に、愛知県としてどのような姿勢で臨むのかお伺いをいたします。
また、経済交流会の開催を通じて、今後、進出企業交流をどのように進めるのかお伺いをいたします。
91:◯産業労働部長(小山和久君)
今回のこの経済交流推進事業の中で行う政府間の協議では、タイとの経済交流のさらなる発展を図っていくために、本県とタイの中小企業を協力して支援をしていくという姿勢で臨んでまいりたいと考えております。
また、そのための取り組みとして、タイ政府との間で情報交換や意見交換を重ね、セミナーやビジネス交流会の開催などの活動を行っていくことを相互に確認してまいります。
また、経済交流会は、知事が出席するハイレベルの交流の機会として開催し、これを皮切りに、その後にはバンコク産業情報センターが本県進出企業間の意見交換会などを定期的に開催し、進出企業間の情報交換や課題解決の場づくりを行ってまいります。
92:◯十番(平岩登君)
では、要望させていただきます。
進出企業のタイでの問題点として、人材に関しても求めるレベルの人材確保が難しいことや、定着率が低いことなどが言われております。タイ人の教育及び研修ビザの申請手続を簡素化してもらいたいという意見も伺うところであります。
現在行っている大学生のインターンシップの受け入れ事業や、グローバル人材育成インターンシップ派遣事業で、開発途上国から日系の中小企業が日本の大学生を短期間インターン生として受け入れるなど、こうした事業を活用してタイ人の人材教育をもっとバックアップしていくことで、タイ人の技術レベルも確実に向上しますし、人材も定着してまいります。
現地の進出企業からも、とにかく現地人のリーダーの育成が難しいと伺っており、こうしたリーダーが育つと、もっと人材確保や社員の定着率が上がると言われております。こうした点も、御答弁にあったように、バンコクセンターを活用して、しっかり議論をいただきたいと思います。
そして、本県においても、現在始めた県内にて人材交流を行うことで、現地に戻ってからの進出日本企業の有能リーダーとして活躍していただく土壌を積極的につくっていただくことを要望します。
また、現地の法制度についてですが、法制度はできていても運用が非常に煩雑で、職員による対応や関税率の見解が人によって異なるなどの問題があるとも伺っております。こうした法制度の運用面等の改善も今後しっかり相互で進めていっていただくことを要望して、質問を終わります。
93:◯議長(久保田浩文君)
進行いたします。
犬飼明佳議員。
94:◯十四番(犬飼明佳君)
私からは、二点お伺いいたします。
まずは、第六款健康福祉費第八項医薬費第二目医務費の中の災害時の救急医療体制についてお伺いいたします。
本県では、南海トラフ巨大地震が発生した場合は、多数の負傷者が出ることが懸念されております。さらに、地域で多くの医療機関も被災し、医療資源が不足することを考えると、災害が発生した直後の救急医療が円滑に実施される体制を整備することは喫緊の課題であります。
私は、平成二十四年十二月議会一般質問で、本県の災害時における救急医療体制の拡充を取り上げました。当時の答弁でもありましたとおり、本県では、医療機関の施設機能を強化するハード面の対策と、災害時に医療関係者が連携して活動する体制を整備するソフト面の対策、この両面においてさまざまな事業に取り組んでおります。
ハード面の対策としては、医療施設耐震化支援事業基金を設置し、災害拠点病院や二次救急医療機関が行う耐震整備事業に対して補助事業が実施されております。
また、医療機関の自家発電設備や衛星電話の配備等、医療機関の災害対応力を強化する事業にも取り組まれており、本県の災害拠点病院を初めとする医療機関のハード面の整備は順調に進んでいると評価するところであります。
一方、ソフト面の対策としては、昨年度の十二月に、災害時に円滑な医療を提供するための調整役として、県は、災害医療に精通する災害拠点病院の医師三十六名を災害医療コーディネーターとして任命されました。
また、今年度の愛知県地域防災計画に、災害時の医療に関する調整機能を担う新たな組織として、県庁の災害対策本部の中に災害医療調整本部を設置するとともに、二次医療圏単位で保健所に地域災害対策会議を設置することが位置づけられたところです。
今後は、災害医療コーディネーターを中心として、地域における災害医療対策が具体的に進展していくことが期待されております。
平成七年の阪神・淡路大震災では、災害現場で活動する専門の医療チームがなかったことや、被災地の医療ニーズを関係者が共有する仕組みがなかったことなどから、災害時の医療体制の不備などから、通常の救急医療が提供されていれば助かったと考えられる防ぎ得た災害死が多数発生したと言われております。
こうした反省を踏まえて、専門的な訓練を受けた災害派遣チーム、いわゆるDMATの養成や、インターネットを活用して関係者が医療ニーズを共有する広域災害情報システムの整備が図られてきました。
東日本大震災では、津波被害による死者、行方不明者が多かったため、阪神・淡路大震災のような急性期の医療ニーズは少なく、救急医療活動は限定的ではありましたが、近い将来の発生が懸念される南海トラフ巨大地震においては、被災地域が広範にわたることや、膨大な数の負傷者が発生することが想定されております。
県内における災害本部と地域の災害対策会議との連携、さらには、本県内だけでなく、周辺県の関係機関との連携を深めていかなければなりません。県民の皆様の生命を守り、安心・安全を確保するため、災害発生直後の救急医療が円滑に機能する体制を早急に構築する必要があります。
そこでお尋ねいたします。
災害発生直後の救急医療を適切に提供するための関係者による連携体制について、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。
次に、第七款産業労働費第五項職業能力開発費より、第五十二回技能五輪全国大会・第三十五回全国障害者技能競技大会開催費についてお尋ねをいたします。
両大会は、技能五輪・アビリンピックあいち大会と称されますが、私からは、このアビリンピックあいち大会に焦点を当て、障害者雇用につながる取り組みについてお伺いいたします。
アビリンピックの開催目的は、障害者が技能労働者として社会に参加する自信と誇りを持つことができるよう、その職業能力の向上を図ることに加え、広く障害者に対する社会の理解と認識を高め、その雇用の促進と地位の向上を図ることであります。
障害者の雇用につきましては、障害者の雇用の促進等に関する法律、いわゆる障害者雇用促進法において、民間企業は、常時雇用者としての障害者雇用が義務づけられております。
昨年四月一日から、民間企業における障害者の法定雇用率は、政令の改正により、従来の一・八%から二%に引き上げられました。しかし、昨年六月一日現在の民間企業における障害者雇用率の全国平均は一・七六%となっており、法定雇用率を下回っております。
本県に目を向けますと、障害者雇用数は前年より千三百七十八人増加し、二万五千六十六人となり、過去最高を更新いたしました。しかしながら、雇用率は一・六八%となっており、法定雇用率はおろか、全国平均も下回っている状況です。障害者雇用の促進に向けて、今後もしっかりと取り組んでいかなければなりません。
このような状況の中で、アビリンピックあいち大会の開催は、障害者雇用に対する広報啓発の絶好の機会であり、障害者雇用の促進施策に結びつけていくことが重要であると考えます。
また、障害者の方の中には、民間企業への就労を目指して、授産施設や作業所などで頑張っている方々もたくさんいます。私は、障害者雇用の裾野を広げるためにも、障害者を多く雇用する企業とこうした障害者就労施設への支援を行うことが必要であると考えます。
ここで、一つ提案ではありますが、本県には、本県が行う物品及び役務の調達に関して、従来から二つの制度があります。一つは、障害者を多数雇用している事業所に対して優先発注を行う制度、もう一つは、障害者就労施設に対して優先発注を行う制度です。ともに、本県が行う物品及び役務の調達推進を図ることとされております。これらの制度にしっかりと取り組み、具体的に県の仕事を発注し、県が率先してバックアップをする姿勢を示していくことが大切であると考えます。
アビリンピックあいち大会開催の来年度は、県の各部局から過去最高となる調達を実施して、アビリンピック開催機運を盛り上げていただきたいと思います。
ともあれ、今大会を障害者雇用促進に結びつけるには、関係者だけが集まる大会ではいけません。これまで障害者とのかかわりが余りなかった一般の方々や、特に企業の経営者の方々にもできるだけ大勢見に来ていただくことが肝要であります。
また、愛知県選手団は、これまでも全国アビリンピックで優秀な成績をおさめてこられましたが、あいち大会で一層すばらしい成績を上げることによりまして、障害者の職業能力の高さを広く県民にアピールしていくことが、ひいては障害者の雇用率の向上にもつながると存じます。
そこでお尋ねいたします。
まず、一点目として、アビリンピックあいち大会の本番に向け、より多くの方々に見に来ていただくため、どのようなスケジュールで機運の盛り上げを図っていかれるのか。
次に、二点目として、アビリンピックあいち大会での本県選手の一層の活躍に向け、出場選手の確保、育成、強化にどのように取り組んでいかれるのか。
最後に、三点目として、アビリンピックあいち大会の開催をどのように障害者の雇用促進につなげていかれるのか。
以上の三点を質問させていただきます。
95:◯健康福祉部健康担当局長(加藤昌弘君)
災害時の救急医療体制についてお答えをいたします。
南海トラフ巨大地震のような大規模な災害が発生した直後は、広い範囲で多数の方が同時に負傷し、医療救護所や災害拠点病院では大きな混乱が予想されます。そうした状況の中で、膨大な数の負傷者に迅速に対応するためには、地域の医療関係者だけでは対応することが困難でありますので、DMATを初めとするさまざまな医療チームに支援をお願いする必要がございます。
本県では、昨年の八月三十一日に、内閣府、自衛隊、海上保安庁、消防、愛知県警などの関係機関と連携して、全国のDMATが参集する過去最大規模の訓練を実施いたしました。この訓練に参加した県内の多くの参加機関からは、今後も継続して関係者が連携した実践的な訓練を実施すべきであるとの御意見をいただいたところでございます。
そこで、来年度においても、県内の保健所及び災害拠点病院と中部九県のDMATや自衛隊等が連携、協力して、南海トラフ巨大地震を想定した実働訓練を実施することとしております。
さらに、訓練の検証をしっかりと行い、災害発生直後の救急活動が円滑に行われるよう、災害医療コーディネーターを初め関係者と十分に検討を進め、平成二十七年度を目途に南海トラフ巨大地震を想定した医療救護活動計画を策定してまいります。
こうした取り組みにより、今後も県民の皆様に安心していただける災害医療の体制づくりにしっかりと取り組んでまいります。
96:◯産業労働部労政担当局長(森鋭一君)
第五十二回技能五輪全国大会・第三十五回全国障害者技能競技大会開催費について、まず、どのようなスケジュールで機運を盛り上げていくのかについてお答えをいたします。
大会本番に向け、PRイベントを初め、機会あるごとに技能五輪はもとより、アビリンピックについてもしっかり周知してまいります。
その第一弾といたしまして、この八日と九日には、障害者ワークフェアinあいちを栄のオアシス21で開催いたします。これは、全国アビリンピックとあわせて開催される障害者ワークフェアのいわば愛知県版として開催するもので、その内容は、愛知県内での企業の障害者雇用の事例や、特別支援学校の活動内容などを紹介するコーナー、福祉施設などでつくられている商品の販売コーナーなど、障害者雇用や障害のある方々について理解を深めていただくことができるものとしております。
また、九月ごろに名古屋市内で開催を予定しておりますカウントダウンイベントにおいても、アビリンピックの競技種目に関連したデモンストレーションや、大会出場選手による合同公開練習会などの実施を考えております。
さらに、大会本番では、より多くの方々に興味を持ってお越しいただけるよう、物づくりの楽しさを体験できるようなイベントも併催行事として開催いたします。
加えて、JR名古屋駅において、ポスターやのぼりの集中掲出を行い、大会開催機運を盛り上げるとともに、競技会場までの無料直行バスも運行して、幅広い層の県民の方に来場していただけるよう努めてまいります。
次に、アビリンピックあいち大会出場選手の確保、育成、強化への取り組みについてお答えをいたします。
選手の確保につきましては、これまで出場実績のある企業や特別支援学校などに対しまして、継続して出場していただくことや、出場種目をふやしていただくことを働きかけてきたところでございます。さらに、選手を参加させる新しい企業などの発掘にも努め、新たな選手層の開拓にも取り組んでまいります。
選手の育成、強化につきましては、出場が期待される特別支援学校の生徒に対しまして、競技委員などの専門家を講師とした出前講座や、競技種目の体験実習を開催しており、来年度は、これを十回以上開催することを予定しております。
また、大会へ出場するための練習会を実施する中小企業や特別支援学校などに対しまして、外部講師への謝金や練習に使用する材料費、会場借り上げ費の助成を平成二十四年度から継続して行っており、来年度も引き続き実施してまいります。
さらに、出場する選手を対象としまして、多数の観客がいる中で競技課題に取り組む合同公開練習会を実施いたします。これは、全国大会と同様の雰囲気を経験することにより、日ごろの練習で身につけた技能を大会本番で存分に発揮していただこうとするものでございます。こうした取り組みにより、大会での本県選手の一層の活躍につなげてまいりたいと考えております。
最後に、アビリンピックあいち大会の開催をどのように障害者の雇用促進につなげていくのかについてであります。
障害者の雇用促進につきましては、雇用する側に障害者の就業意欲や技能について理解を深めていただくことが大切でございます。
このため、県としては、従来より愛知労働局と連携して、法定雇用率未達成企業に対する雇用要請文の送付や、経済団体への雇用の要請を行っております。
加えて、昨年十一月には、大会が一年後に開催されることもあり、障害者を雇用していない企業五百社に対して、障害者雇用に対する理解を深めていただくためのリーフレットと、大会に御来場いただくためのパンフレットを送付いたしました。
障害者を多数雇用している企業に対して優先発注を行う制度につきましては、平成十六年度から実施しており、また、平成二十五年四月一日に施行された障害者優先調達推進法に基づき、本県では、昨年十一月に障害者就労施設等からの物品及び役務の調達方針を定め、実施しているところでございますけれども、大会のPRイベントの中で、これらの制度の一層の周知を図ってまいります。
さらに、来年度は、大会の開催のタイミングを捉え、毎年実施しております障害者雇用や就労支援に係る取り組み事例の発表などを内容とする研修会に参加される事業主や企業の人事担当役員などの方々に大会で活躍する選手の姿をごらんいただくなど、この大会を障害者の雇用促進につなげていく工夫をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
97:◯十四番(犬飼明佳君)
アビリンピックあいち大会につきまして要望させていただきます。
本県の物品及び役務の調達に関する優先発注の制度について取り上げさせていただきましたけれども、障害者を多数雇用する事業者に対しての制度は、今、答弁いただいたとおり、産業労働部の所管であるというふうに思います。
また、障害者就労施設等につきましては、これは健康福祉部の所管であるというふうに思います。さらに、この調達自体は、県の全部局、全ての機関が対象というふうになっておりますので、どうかこのアビリンピックを盛り上げるためにも、また、障害者雇用を促進するためにも、全庁挙げて過去最高の調達に取り組んでいただくことを要望いたします。
また、アビリンピックの前回大会は金メダル一個、そして、メダル獲得十三個という大変優秀な成績をおさめられました。今回のアビリンピックあいち大会におきましても、多くのメダルが獲得できるように、ぜひ成功に導いていただくとともに、本県におきましても、障害者雇用率、こうした部分においても金メダル、ぜひ全国一となるような取り組みを強化していただくことを要望いたしまして、発言を終わります。
98:◯議長(久保田浩文君)
進行いたします。
中根義高議員。
99:◯七番(中根義高君)
第八款農林水産費第一項農業総務費より、農業大学校学生寮整備費についてお伺いをいたします。
私の地元岡崎市にございます県立農業大学校は、前身の追進農場の発足からおよそ八十年の歴史を持ち、これまで愛知の農畜産業を牽引してこられた多くの先人を輩出してまいりました。
本県の農業大学校の特徴としましては、早朝から始まる作業、夜中の牛の出産にも対応する全寮制があります。農業を志す青年らがすぐれた農業経営者となるとともに、地域のリーダーとして本県農業の発展に貢献できる人材となるよう、実習を主体とした実践的な農業教育が行われております。
教育施設の充実につきましては、平成八年の総合整備計画の策定より、温室や牛舎など最先端の農業技術を学ぶに欠かせない実践教育施設、また、教室や講堂を備えた中央教育棟の整備が図られたとお伺いをしております。
一方で、学生寮や食堂につきましては、県の財政難等の事情から老朽化や一部耐震強度不足が指摘されながらも、未整備のまま今日に至り、全国三十七道府県の農業大学校の中で日本一古い学生寮となってしまっております。
したがって、今回、農業大学校の学生寮整備費が平成二十六年度及び二十七年度の予算として計上されましたことについては、同窓会初め多くの関係者、野田議員もOGでいらっしゃいますけれども、多くの関係者の念願であったと認識をしております。
そこで、県立農業大学校の学生寮建てかえについて、二点質問をさせていただきます。
まず、今回採用されますデザインビルド方式についてであります。
これは、設計、施工の一括発注ということでありますが、発注方法として、設計と施工をそれぞれ別々に行う従来の方法とは異なり、近年、採用事例が出てきた方法と伺っております。今回、学生寮は、デザインビルド方式により建てかえられることとされておりますけれども、まず、この方式がどのようなもので、なぜこの方式により建てかえを行うのかということについてお伺いをいたします。
次に、学生寮の設備についてであります。
デザインビルド方式が一括発注ということから、建設側のノウハウを生かした提案を受けることとなります。県の求める学生寮の機能、設備をいかに確保するかが課題となってまいります。せっかく建てかえるのでありますので、二年間そこで暮らす学生が使いやすいよう、細やかな点にも心配りがあってほしいと思います。
他県の農業大学校の学生寮の建てかえ事例を調べてみますと、平成二十七年に完成予定のものと平成二十四年に完成したものとがあります。
お話を伺ってみると、インターネットについては、一方は、有線LANを各部屋に整備予定ということでありましたが、もう一方は、施設としての整備はなく、学生が個々で通信事業者と契約をしているということでありました。食堂や教室など部屋の外に持ち出して使う機会が多くあるのであれば、場所に制限をされずインターネットを利用できるほうが実は使い勝手がよいのかもしれません。どちらが適しているのかは、実際に農大で生活を経験されている現役の学生やOB、OGの意見を聞いてみることが一番の近道のようにも感じます。
また、現在の学生寮を見ましても、玄関に通常のげた箱と、長靴を脱ぐためのげた箱が別々にあるという農大ならではのつくりもありますものですから、OBやOGが実際に感じた必要な機能や設備など、利用者目線での意見を反映して、機能的で魅力ある寮としていただくことが重要だと思います。
そこで、学生寮整備に当たっては、教育的効果に配慮しながら、より使い勝手のよい寮とするため、どのように利用者目線の意見を収集し、それらを反映していくのかをお伺いいたしまして、以上、二点質問をさせていただきます。
100:◯農林水産部長(中野幹也君)
農業大学校学生寮整備費についてお答えいたします。
まず、お尋ねのデザインビルド方式についてでございますが、これは、設計と施工を一括して事業者に発注する契約方式でございます。
従来の県による建築物の整備では、まず、県が仕様を定めてから設計業者を決定して設計書を作成し、その後に施工業者を決定し工事を行うため、今回の学生寮規模の整備では、最短でも、基本設計、実施設計に一年、施工に二年弱と、竣工までに約三年を要することとなります。
一方、デザインビルド方式では、同一の事業者が設計と施工を一括して受注するため、事業者選定の手続が一回で済むこと、建築確認に必要な部分の設計が完了すれば、直ちに建築工事に着手できることなどによりまして、工期の大幅な短縮が期待できます。
さらに、事業者は、設計の段階から施工部門と一体的に取り組めるため、例えば、寮と類似したアパートやマンション建築などで培った、自身が得意とする施工技術を採択したり、自身が持つ汎用的な建築部材を活用したりするなど、独自の工夫をしやすくなります。
また、県においては、事業者の多彩な技術提案の中からすぐれたものを選ぶことが可能となります。
議員御指摘のとおり、農業大学校学生寮は老朽化が著しく、そのほとんどが耐震性能を満たしていないことから、平成二十七年度中に県有施設の耐震性確保を目指し、県の計画に沿って早急に建てかえ、学生の安全を最優先に確保する必要がございます。
このような理由により、学生寮の建てかえには、民間の技術力を生かすことができ、かつ工期の短縮が可能なデザインビルド方式を用いることとしたものであります。
次に、学生寮整備に当たっての利用者の意見の反映についてでございます。
農業大学校の学生寮は、建築後およそ五十年が経過し、機能面でも現代の生活にそぐわない状況となってきており、保護者の方などから多くの改善の要望をいただいております。
そこで、県においては、学生寮整備の参考とするため、学生及びその保護者の方を対象にアンケート調査を実施し、新しい寮に必要な機能、整備などについて、要望、意見をお伺いいたしました。その結果を参考に、現在、校内検討委員会において、部屋は個室とすること、各部屋にエアコンを設置すること、談話室を設置するなど、寮生活が協同精神の醸成につながるよう配慮することなど、学生寮にふさわしい機能の検討を進めており、今後、同窓会の方々からも御意見をいただきながら、案をまとめていくこととしております。
これを踏まえ、技術提案の募集要項案を作成し、学識経験者等で構成する総合評価委員会から意見をいただいた後に公募を行い、着工につなげてまいります。
新しい寮が、農業を志し、農作物や家畜を育てながら農業の実際を学ぶ学生にとって、その礎を築ける環境となるよう整備を進めてまいります。
101:◯議長(久保田浩文君)
進行いたします。
安藤としき議員。
102:◯五十三番(安藤としき君)
私は、歳出第六款健康福祉費第三項児童家庭費のうち、病児・病後児保育事業費及び病児・病後児保育促進モデル事業費について、先ほどの須崎議員からの質問と重複する部分を除き、お伺いをいたします。
働きながら子育てをしている親にとって、育児と仕事の両立を阻む問題の一つに、子供が病気のときの対応があります。子供がインフルエンザなど感染症や発熱などの症状がある場合、ある程度元気になっても、感染の疑いがあれば、保育所では預かってもらえません。このため、一旦子供が病気になると、完全に回復するまで保護者は何日も仕事を休まざるを得なくなります。
二〇一〇年の国勢調査では、愛知県の子育て世帯は約八十万二千世帯で、百世帯当たり二十七・三五世帯となります。つまり、全世帯の四分の一以上が子育て世帯という計算になります。また、八割以上が核家族世帯となっており、親や兄弟などの親戚から気軽に支援を受けにくい状況にあり、働きながら子育てをしている親にとって、子供の病気は、現実として育児に負担が偏りがちな女性の就労継続に大きな壁となっています。
内閣府が二〇〇八年度に行った最新の少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査でも、五割以上の方が病児・病後児保育の充実を求めており、四年前の前回調査よりも一〇ポイントも高くなっています。
子供が安心して静養できる環境をつくり、保護者にかわって優しく適切に保育、看護を行える病児・病後児保育は、女性の就労継続に、今の子育て世帯にとってなくてはならない存在です。
そこで、現在整備がされている病児・病後児保育事業と、ファミリー・サポート・センターを活用した医療機関連携型モデル事業について、順次お伺いをいたします。
まず初めに、病児・病後児保育施設の整備について、県は市町と連携して取り組んでおられますが、現在、十三市十二町村では未設置となっています。また、設置している市町でも、その大半で病児・病後児保育施設は一カ所しか整備がされていません。そして、その利用定員は、多いところで十人、少ないところでは二人、平均四人程度と大変少なく、求められているニーズとは大きな差があります。
病児・病後児保育施設の整備が普及しない原因については、さきの議案質疑の答弁で、運営に対する財政的な厳しさも一つの原因に挙げられていますが、求められているニーズについては県も承知をされておられます。
そこで、まず、現在整備されている病児・病後児保育施設の利用定員を引き上げる対応が潜在的需要に対して必要だと思いますが、県のお考えをお伺いいたします。
次に、あいちはぐみんプラン及びあいち健康福祉ビジョンでは、県所管の施設二十九カ所を平成二十六年度までに四十二カ所にする整備目標が示されています。現在整備されている病児・病後児保育施設の利用は設置自治体の在住者に限られていることから、就労継続の支援に自治体間の格差が生じています。この状況をどう解消していかれるのかお伺いをいたします。
次に、来年度から瀬戸市の公立陶生病院敷地内でファミリー・サポート・センターを活用した医療機関連携型モデル事業の展開を予定されていますが、現在の病児・病後児保育施設との相違点と、モデル事業としての評価をいつまでに行い、普及に向けてどう事業支援をしていかれるのかお伺いをいたします。
次に、病児・病後児保育が真に社会に定着していくためには、この取り組みが必要悪ではなく、地域の子育て力を再構築するものとして認識されていくことが必要だと思います。
そのためには、病児・病後児保育の広報を強化し、この事業に対する社会の認知度を上げていくことが求められますが、県はどう取り組みを進めていかれるのかお伺いいたします。
最後に、病児・病後児保育施設の経済安定を促すことが、より身近でより使いやすい施設整備の充実につながっていくと思います。県のお考えをお伺いして、発言を終わります。
103:◯健康福祉部長(伊藤輝明君)
病児・病後児保育事業について、何点かお尋ねをいただきました。
最初に、現在整備されている病児・病後児保育施設の利用定員についてであります。
国庫補助制度の対象となっております県所管の病児・病後児保育施設における利用状況を申し上げますと、平成二十四年度、一施設当たり定員が平均四・一人なのに対しまして、利用実績は一日当たり一・三人となっておりますことから、県民の方々の一定のニーズには対応はできているものと考えております。
現在、市町村においては、平成二十七年四月から本格施行が予定されております子ども・子育て支援新制度に向けまして、事業計画の策定のためにニーズ調査や検討が行われているところでございます。その中で、病児・病後児保育の必要量につきましても検討されることになっております。
県といたしましては、住民のニーズを踏まえた病児・病後児保育事業が実施されるよう、市町村に働きかけてまいりたいと考えております。
次に、自治体間の格差の解消についてであります。
病児・病後児保育施設につきましては、現在、県所管の五十市町村のうち二十五市町村で未設置となっております。県といたしましては、住民のニーズに応じた病児・病後児保育が実施されるよう、子ども・子育て支援新制度の計画策定に合わせて、実施主体であります市町村へ働きかけてまいりたいと考えております。
次に、今回のモデル事業と現在の病児・病後児保育施設との相違点などについてでございます。
現在の病児・病後児保育施設は、その大部分が国の補助制度に基づき運営されておりますが、医療機関や保育所等に設けられた専用の預かりスペースにおいて、専従の保育士及び看護師が病気または病気の回復期にある子供を一時的に保育するものでございます。
利用実績に応じた補助制度になっていることから、利用する子供が定員に満たない場合には、実施主体である市町村の負担が大きくなることになります。また、子供の病態が変化した場合には、医療機関での受診が必要になりますことから、保育所に併設した施設の場合、施設の保育士等が医療機関に連れていくことが必要になります。
一方、今回実施するモデル事業は、市町村が医療機関の敷地内等に預かりスペースを設置し、ファミリー・サポート・センター事業として実施することによりまして、預かり手の確保、それから、費用の負担といった課題に対応するものであります。
また、子供の病態の急変時には、連携医療機関で速やかに医師の診察を受けることができ、預ける側、預かる側双方の課題が軽減されるものでございます。このように両者は、人材確保及び経費負担の面で相違がございます。
次に、モデル事業の評価についてでございますが、事業開始後、モデル事業の利用状況や利用者並びに関係機関の意見などを適宜把握しまして、それらをもとに県と市町村で意見交換を行いながら、事業評価を行ってまいりたいと考えております。
また、普及に向けた事業支援につきましては、今回のモデル事業の実施状況を各市町村にお伝えしますとともに、病児・病後児保育の実施に当たって不可欠な預かり人材の確保について、潜在保育士などへの働きかけと事業実施に必要となる研修を行うなど、病児・病後児保育の事業支援を図ってまいりたいと考えております。
次に、病児・病後児保育の広報強化についてでございます。
現在、市町村は、病児・病後児保育を含めた住民の皆さんの子育て支援に関するニーズを把握した上で、平成二十七年四月に本格施行予定の新制度に係る市町村子ども・子育て支援事業計画の策定に向けた作業を進めているところでございます。また、県といたしましても、市町村と調整を図りながら、都道府県子ども・子育て支援事業支援計画を策定してまいります。
これらの計画の中に、地域のニーズを踏まえた病児・病後児保育をきちんと位置づけますとともに、県はもちろんでございますが、市町村におきましても、住民の方々に対して計画の内容を積極的に周知、広報していただくよう働きかけてまいりたいと考えております。
最後に、病児・病後児保育施設の整備の充実についてでございます。
病児・病後児保育事業につきましては、国の運営補助制度がございますが、補助要件が実態に合わず、施設整備が進んでいない状況がございます。
子ども・子育て支援新制度においては、幼児期の学校教育、保育、地域の子ども・子育て支援を総合的に推進するために、消費税率引き上げによる税収を充当して、子ども・子育て支援を充実させようとしております。この新制度が適切に実行されることにより、より身近でより使いやすい子育て支援策の充実につながっていくものと考えております。
県といたしましては、新制度の趣旨を踏まえ、市町村とともに、より一層子育て支援策が充実できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
104:◯三十九番(原よしのぶ君)
本日はこれをもって散会し、明三月七日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
105:◯議長(久保田浩文君)
原よしのぶ議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
106:◯議長(久保田浩文君)
御異議なしと認めます。
明三月七日午前十時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時五十分散会
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