県政報告
平成23年6月定例会(第3号)
2011年6月30日
(主な質疑)
- 午前十時十分開議
◯議長(岩村進次君) ただいまから会議を開きます。
直ちに議事日程に従い会議を進めます。
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日程第一 第百八号議案愛知県県税条例等の一部改正に
ついて
- 2:◯議長(岩村進次君) 第百八号議案愛知県県税条例等の一部改正についてを議題といたします。
- 3:◯三十八番(神戸洋美君) ただいま議題となっております第百八号議案は、委員会の付託を省略されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 4:◯議長(岩村進次君) 神戸洋美議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 5:◯議長(岩村進次君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております第百八号議案は、委員会の付託を省略することに決定いたしました。
これより第百八号議案を採決いたします。
- 6:◯三十九番(川嶋太郎君) 第百八号議案は原案のとおり可決されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 7:◯議長(岩村進次君) 川嶋太郎議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 8:◯議長(岩村進次君) 御異議なしと認めます。よって、第百八号議案は原案のとおり可決されました。
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日程第二 一般質問並びに第七十六号議案平成二十三年
度愛知県一般会計補正予算から第百七号議案人
事委員会の委員の選任についてまで
- 9:◯議長(岩村進次君) 次に、第七十六号議案平成二十三年度愛知県一般会計補正予算から第百七号議案人事委員会の委員の選任についてまでを一括議題といたします。
これより一般質問並びに提出議案に対する質問を許します。
通告により質問を許可いたします。
石井芳樹議員。
〔四十五番石井芳樹君登壇〕(拍手)
- 10:◯四十五番(石井芳樹君) おはようございます。
それでは、通告に従い、三項目について質問をさせていただきたいと思います。
一項目め、本県の財政問題について、三点お伺いをいたします。
最初は、一括交付金についてであります。
ひもつき補助金の一括交付金化は、民主党のマニフェストに位置づけられたものであります。政府は、昨年六月二十二日、地域主権改革の諸問題に関して、当面講ずべき措置や今後の取り組み方法等について定めた地域主権戦略大綱を閣議決定いたしました。
一括交付金化は、この大綱の中で、地域のことは地域が決める地域主権を確立するため、基本的に地方が自由に使えるものとの方針のもと、現行の補助金、交付金等を改革するものとして位置づけられたものであります。
大綱によると、一括交付金化の実施の手順として、投資にかかわる補助金、交付金等の一括交付金化は、平成二十三年度以降段階的に実施すること、経常にかかわる補助金、交付金の一括交付金化は、平成二十四年度以降段階的に実施することが明記をされました。そして、国の平成二十三年度予算において、総額五千百二十億円の地域自主戦略交付金が創設されることになったものであります。
内容を見ますと、この交付金は、ひもつき補助金を段階的に廃止をし、地域の自由裁量を拡大するために創設され、本年度は、第一段階として、都道府県を対象に投資補助金の一括交付金化を実施するというものであります。
交付金の対象事業としては、これまで国の社会資本整備総合交付金の一部、農山漁村地域整備交付金の一部などであります。
あわせて、交付までの流れといたしましては、内閣府が各都道府県に対し、客観的指標に基づき、恣意性なく算定した限度額を通知し、各都道府県は、その限度額の範囲内で対象とされた事業の中から、各都道府県の枠にとらわれず、みずからが交付金を財源として行う事業を自由選択し、内閣府に報告をします。それを受けて、内閣府は、各都道府県からの報告に基づいて、各府省に移しかえて交付金を交付するというものであります。
そこでお伺いをいたします。
交付金の本年度の交付限度額は、既に国から示されていると聞いております。本県への配分額がどれくらいの規模であるのかお伺いをしたいと思います。
私は、この地域自主戦略交付金について、各地方公共団体の自由裁量の余地を拡大していくものであれば非常に望ましいものだと考えます。
しかしながら、先ほど触れましたが、内閣府は、各都道府県の報告に基づき、各府省に交付金を移しかえて交付するというプロセスを経ることになります。こうした省庁に最終的な交付金の交付を移しかえてしまうことは、従来どおりの省庁の関与を招き、かえって各地方公共団体の自主性を阻害することになりかねないのではないかと感じるところもあります。
また、平成二十三年度の予算編成の際、各省庁が既存の補助金、あるいは交付金から地域自主戦略交付金として一括交付金化の対象としようとした動きは当初なかなか見られず、ようやく終盤になって五千百二十億円が積み上がったとの話も耳にしております。
また、客観的な指標を用いて各地方公共団体の行政需要などを測定するその手法は、まさに普通交付税の算定の手法であり、今後、投資関係のみならず、経常関係の補助金、交付金の一括交付金化も予定されている中で、交付税との違いをしっかりと説明できるのかといった点についても疑問を感じるところであります。
さらには、今回の地域自主戦略交付金には、旧来の補助金、交付金等の一部が対象とされたものが数多くあり、地域自主戦略交付金とこれら既存のものとの関係が果たして明確になっているのかという点もあります。これは、今回の五千百二十億円という規模が地方が必要とする水準になっているのかどうか、削減された結果なのか、判然とはいたしませんが、制度創設の初年度であり、これから固まっていくものという部分もあると思いますが、県としては、地域自主戦略交付金をどのように評価をしているのかお伺いをしたいと思います。
次に、質問の二点目は、県債についてであります。
臨時財政対策債は、従来の地方交付税として配分されていた一部を地方債として配分されることとなったものであり、地方交付税の振りかえ措置と言われております。
平成十三年の創設以来、本県では、臨時財政対策債の活用を続けてきております。本県は、急激かつ大幅な減税収入の減収から、平成二十一年度には地方交付税の交付団体に転じております。
また、平成二十二年度の国の地方財政対策では、臨時財政対策債の算定方法が見直され、従来の人口を基礎とする方式に財政力を基礎とする方式が加えられたことから、臨時財政対策債の発行額が急激に増加をいたしました。
これにより、毎年度の当初予算における県債予算額に占める臨時財政対策債の割合を見てみますと、平成二十年度は二五・七%、平成二十一年度は三五・八%、平成二十二年度は七五・〇%、平成二十三年度は、今回の六月補正予算まで反映したベースで七五・五%と、著しい増加と言わざるを得ない状況になっております。
予算計上額を見ても、平成二十年度の五百六十億円から平成二十一年度は千三百七十億円と二倍以上の伸びであり、平成二十二年度は三千億円、また、平成二十三年度は二千七百億円と、平成二十一年度のさらに二倍以上の規模となっております。
投資的経費に充当する通常の県債は抑制基調にある中で、臨時財政対策債の急増は県債予算額自体の大きな伸びの要因となっており、毎年度発行額の増加は、当然のことながら、県債残高の増加の要因ともなっております。通常の県債の残高は減少が続いているものの、臨時財政対策債発行額の急増から県債残高全体としては増加が続いており、平成二十三年度末には四兆四千八百億円を超える水準となることが見込まれております。
そこでお伺いをいたします。
地方財政が全体に厳しい中、多額の臨時財政対策債の発行が今後も続くと見込まれますが、財政面への影響をどう考えているのかお伺いをいたします。
また、平成十三年度に臨時財政対策債が創設されたときは、平成十五年度までの三年間の措置とされていましたが、延長が繰り返され、平成二十三年度の地方財政対策でも、平成二十五年度まで延長がなされている中で、制度が創設されてから十年以上になり、臨時財政対策債が恒久化されるのではないかという懸念があります。この状況をどう考えているのか、あわせてお伺いをしたいと思います。
三点目は、県債の格付についてお伺いをいたします。
本県では、県債を発行して、道路や河川の整備、あるいは公共施設の整備を行っているところですが、県債発行の際には、当然のことでありますが、安定的な資金調達が前提であります。
本県では、県債の大半を広く一般の投資家などから資金を調達する、いわゆる市場公募債の形で発行しており、安定的な資金調達を継続していくためには、第三者機関による判断材料を提供することにより投資家層の拡大を図る必要性から、平成二十年十二月に国内外の三社から格付を取得しております。
直近の状況は、県のホームページによれば、日本の地方公共団体などでは、東京都などと並び最上位に位置づけられているものとなっているとのことであります。また、各社の評価としても、二十ないし二十一もの格付がある段階の中で上位にランクづけをされています。
しかしながら、上位にランクされているものの、ことしに入ってから一部格付が引き下げられており、市場での資金調達にも影響が出るのではないかと考えるところであります。
そこでお伺いいたします。
現在の愛知県債の格付及び直近の格付引き下げについて、県としてはどのように評価をしているのか、また、格付引き下げにより実際の県債の発行に当たって何らか影響が発生しているのか、もし発生しているとすれば、どのような影響があるのかお伺いをいたしたいと思います。
次に、二項目め、民生児童委員制度であります。
昨年夏、東京都足立で、生存していれば男性最高齢となる百十一歳の遺体が発見されました。これを契機に、高齢者の所在不明問題が広がりを見せ、家族による年金不正受給が明るみとなり、社会問題になったことはまだ記憶に新しいところであります。
あわせて、とまらない児童虐待問題も含めて、豊かさにより希薄化した地域と家庭のつながり、親と子のつながりなど、人と人との根源的なつながりが、今、私たちに問われているところであります。
その中で、事件の都度ニュースで取り上げられ、社会奉仕の精神を持って常に住民の立場に立って必要な援助を行い、社会福祉の増進に努めておられる全国の民生児童委員さんには、心よりの敬意と感謝を表するところであります。
しかしながら、現在、本県では、名古屋市、中核市は除かれますが、委員は五千五百五十四人の方々が、民生委員協議会では、二百二十六カ所設置がなされ活動を続けておりますが、時代の変化とともに、事態は委員にとって決して働きやすい環境下でなくなってきているのも実情であります。
そこで、本県において、委員の現状と問題点を挙げ、三点についてお伺いをいたします。
まずは、活動の実態であります。
委員の御家庭への訪問回数は、平成二十年度の五十三万一千百九十八回から昨年の平成二十二年度、五十五万七千四百五十六件と、わずか二年間で二万五千件以上が増加をしております。あわせて、一委員当たり平均年間活動日数も、平成二十二年度は百九日で、一カ月当たりの活動日数にいたしますと、平均一委員九・一日となり、平成二十年度は八・八日、平成二十一年度は九・〇日と、こちらも年々増加をしております。
それに反して、業務を行う民生児童委員の平均年齢は、平成十六年の一斉改選時においては六十・六歳であったのが、三年後の平成十九年には六十一・三歳、昨年の改選時では六十二・四歳と、改選期ごとに年齢が上昇してきております。
さらには、民生児童委員の高齢化に伴い、旧来の規定では、委員の新任は六十五歳未満、再任は七十五歳未満との定めがありましたが、これも平成十九年以降、新任、再任とも七十五歳未満と年齢制限が緩和をされてきております。
次に、委員の配置基準であります。
県所管分でありますので、政令市、中核市は除きますが、改選前五千三百八十九人であった委員数は、改選後五千五百六十四人と増員になりました。委員数は、定めにより世帯数により配置がなされ、人口十万人未満の市では、百二十から二百八十世帯で一人、町村では、七十から二百世帯で一人と定めがあります。
例えば、これを私の選挙区であります長久手町、東郷町に当てはめますと、町でありますので、七十から二百世帯で委員は一人であります。多い世帯数二百で一人として計算をしてみても、長久手は、一万九千九百二十八世帯で委員は九十九人、東郷町は、一万五千二百六世帯で委員は七十六人が本来必要とされております。
しかしながら、現状は、平成二十二年度の改選後でも、委員は長久手町四十六、東郷町は三十七人で、充足率は長久手町四六・五%、東郷町は四九・三%と、半分にも満たない数字になっております。
一概に数字を追うだけでは、町の成り立ちや高齢化率や、さまざまな要素がありますので、比較は難しいところでありますが、県全体で見ますと、市ではおおむね充足率を満たし、町では基準を下回っているところが多く、さらには、人口急増地域であります尾張東部においては、各市町充足率を下回っている傾向がうかがえます。
あわせて、昨年の改選期からわずか半年しかたっていないにもかかわらず、既に県下で二十人の委員の欠員が生じております。これら問題は、民生児童委員の仕事量の増大や高齢化にとどまらず、なり手不足や欠員も含めて、時代に合わせた改善を行っていかなければならないと思うところであります。
聞くところによると、正月など、行政関係機関が機能していない日や時間帯に緊急性の高い支援を行っている委員や、長期的、恒常的にかかわる日常的な支援活動を行わなければならない委員など、職務内容は多様化、複雑化、専門化してきており、その責任もさらに重くなり、これら含めて、委員の負担感にもつながっていると思われます。県や関係機関は、少しでも負担軽減のため、新たなる体制の整備や仕組みづくりなどを考えていく必要性があると思います。
そこでお伺いをいたします。
負担軽減に向けて、今後どのような対策をもって改善を行っていくつもりなのか、また、昨年の改選期に、新たなる取り組みとして何かなされていることはあるのかお伺いをいたします。
次に、活動費であります。
委員は、特別職の地方公務員と位置づけがなされ、民生委員は、民生委員法第十条により、給与を支給しないと定めるボランティアであります。
しかしながら、今まで述べてきたように、活動は拡大し、負担はふえる中、県や多くの市町では、活動補助という形で、委員の活動拠点にある民生委員協議会に補助金を拠出しております。
本県でも、民生児童委員に対して交付する活動費は二種類あります。民生委員活動等費用弁償費と民生委員協議会活動費交付金であります。民生委員活動等費用弁償費とは、基本委員に直接手渡される活動費であり、一委員当たり年間二万九千五十円が支給されております。加えて、児童委員も兼ねていますので、児童委員としても同額が支給をされております。他方、民生委員協議会活動費交付金とは、民生委員協議会に支払われる活動費であり、一民協に年間三万三千九百円と、一委員当たり年間二千六百七十六円が支払われております。
しかしながら、このわずかな活動費も、県の財政状況の悪化とともに本県では引き下げられてきており、民協活動費に関しては、一民協に対して、二年前の平成二十一年度と比べて一万二千六百円の減額、一委員に対しても千二百二十四円の減額となっており、また、民生委員活動等費用弁償費についても、児童委員分と合わせて、一委員当たり百円の減額がなされております。
あわせて、各市町の民協は、負担金として、県民生児童委員連名会費や県社会福祉協議会会費などの会費を支出しなければならず、歳入の多くがこれら負担金と相殺されている現状があります。
以上を踏まえて、私がここでお金の問題を取り上げさせていただいたのは、使命感と責任感を持った民生児童委員の皆さんが、決してお金で活動していないことは重々承知であります。
しかしながら、それとは逆に、県や市町は、福祉行政において、民生児童委員に多くを頼らなければならないにもかかわらず、そのわずかな活動費すら減額する姿勢に私は疑問を感じるところであります。
活動費という名目でありますが、実際に活動にかかる経費と比較してどうかという議論は聞いたこともありませんし、また、その額の妥当性についても、はっきりとした根拠が示されているわけでもありません。県の財政が厳しいからというのであれば、他に縮減するところは幾らでもあるわけであります。その中で、県の減額理由と、今後さらなる減額もあり得るのかも含めて、所見を伺いたいと思います。
最後に、民生委員の権威向上と住民への周知についてであります。
本県において、現状、委員のその職務は十分理解していると言いがたい状況であります。なぜなら、民生児童委員の仕事は、地域活動において、自治会や体育推進指導員、消防団のような活動とは少し性質が違って、平素の活動は、むしろ表面化しないものでありますし、究極、民生児童委員は、ある意味、多忙でないことが望ましいと言えるからであります。だからこそ、町なかでは、地元の民生児童委員がだれなのか知らないや、民生児童委員は何をしているかわからないなどという声がささやかれます。ともすると、お金をもらっているのに何をしているのかとも勘違いをしたものまであります。
かつて、民生児童委員は、法律で名誉職と位置づけられたものでありましたが、その部分は、二〇〇〇年の民生委員法の改正により削除され、住民の立場に立った活動が求められるよう法律で明記がなされました。それにより、身近でより積極的な活動が求められているところであります。
地元の民生児童委員に仕事の現状を尋ねると、緊急通報システムの作動により一日何回も訪ねていく場合もたびたびあるし、時には応答がなく、警察立ち会いのもと、安否の確認をしたこともあるとおっしゃっておられました。
これら地道な御努力により、まちの安心感につながっていると思うところではありますが、現実、一人の委員が担当地域全体に目を配ることは極めて困難であり、本来であれば、住民一人一人が民生委員活動に理解を深め、皆ができる範囲で近所とのつながりを強める努力をする土壌をつくることが間接的に委員活動を補完し、支えることにつながっていくと私は思うところであります。
そのため、県や市町は、民生児童委員制度の説明や活動内容の魅力的なPRを積極的に行い、あわせて、民生児童委員が地域に存在する意義や、行政や関係機関とのかかわりを説明していくことが必要だと思われます。
そこで、今後、県として、民生児童委員の活動しやすい環境を整えるために、どのようにPRを行っていくのかお伺いをいたします。
最後に、飲酒運転根絶について質問をいたします。
平成十八年八月、福岡市において、幼い三人のとうとい命を奪った飲酒運転事故の発生を契機に、飲酒運転根絶の機運が社会的に広まり、平成十九年には、六月に刑法が改正され、危険運転致死傷罪の適用範囲が四輪自動車から原付以上の二輪を含む自動車に変更がなされ、新たに自動車運転過失致死傷罪が創設されました。
さらに、同年九月には、酒類や車を提供する飲酒運転を助長する行為についても罰則が科され、ひき逃げについても罰則が強化をされました。その後、平成二十一年六月に、飲酒運転やそれを助長する行為、ひき逃げなど、違反点数や処分内容が大幅に引き上げられております。
さらに、本年、とまらぬ飲酒運転に対し、五月、事業用自動車の飲酒運転ゼロの目標を達成するため、点呼時にアルコール検知器の使用を義務づけることを決めたところであります。
その中、本県の交通事故死者数は、昨年こそ全国ワースト六位でしたが、一昨年より過去五年は、連続全国ワーストワンであり、その中、飲酒運転による死亡事故件数も、平成十九年の二位を除き、過去五年で四回も愛知県が全国で一位を占める現状となっております。
飲酒による死亡事故は、法が厳罰化されてからも後を絶たず、本県でも、全体の死亡事故者数の約一割を毎年占めているところであります。さらなる厳しさを持って取り締まりを行っていただきたいところではありますが、その中、本県での飲酒運転の検挙状況は、福岡の事件を受けた平成十八年こそ八千百四十九件でありましたが、平成十九年は五千三十六件、平成二十年は三千四百二件、昨年は二千二百五十五件と減ってきております。これは、飲酒運転をやめようという機運が徐々に醸成してきているのかもしれませんが、しかしながら、それに反して、飲酒運転による死亡事故件数は、平成十九年からほぼ横ばいとなっている現状であります。さらに、自動車運転代行業の業者数を見ますと、本県では百六社で、これも全国的に見て少ない数字であります。
そこで、県警察にお伺いをいたします。
これまで飲酒運転検挙数はどのようになっているのかお伺いをいたします。
次に、条例制定による飲酒運転根絶についてであります。
宮城県では、平成十七年、飲酒車両が高校生の列に突っ込み、三人が死亡、十五人が重軽傷を負った事件を契機に、飲酒運転をさせない環境をつくるため、平成十九年に飲酒運転根絶条例が制定されました。
これは、県、県民、事業者等に責務を課し、必要な措置を講ずるよう定めたものであり、また、公安委員会では、市町村や事業所、事業団体に対し、飲酒運転による交通事故発生状況や、飲酒運転者の数の情報を通知することを規定しているものであります。その他、大分、山形、沖縄県においても、同様の条例制定がなされております。本県でも、二十八市町村において、既存の交通安全条例の中に新たに飲酒運転根絶に関する条項が盛り込まれているところであります。
本県において、飲酒運転根絶条例を制定し、それぞれの責務を明確にすることにより、県民総出で飲酒運転を根絶していく機運を一層高めていく必要があると私は思います。
飲酒運転は、過去、さまざまな事件の都度、国民の根絶機運の高まりを見せ、法も厳格化されてきたにもかかわらず、なくならないのは、心の奥底にいまだ、まあ、いいかと思う意識の人たちが存在するところにあると思われます。飲酒運転の根絶の機運の向上は、その都度ごとのブームで決して終わらせてはならないものでありますし、飲酒運転は犯罪であるという認識をしっかりと落とし込んでいかなければならないと思います。
そこでお伺いをいたします。
県警察、知事部局において、飲酒運転根絶に向けて、今後、県民意識の醸成をどのように図っていくおつもりなのかお伺いをします。また、知事部局においては、条例制定の考え方も含めてお伺いをいたします。
以上、私からは、三項目について質問をさせていただきました。明快な御答弁を期待いたしまして、壇上からの質問を終わります。(拍手)
- 11:◯総務部長(野村道朗君) 県財政についてのお尋ねのうち、まず、地域自主戦略交付金の配分額についてお答えをいたします。
今年度は、第一次分として、交付対象事業のうち継続事業が円滑に実施できるよう、交付金全体の九割程度が各都道府県における事業量を基礎に配分されたところでございます。
また、残りの一割程度が第二次分として、道路延長や第一次産業就業者数などの客観的指標により配分することとされましたが、東日本大震災の発生を踏まえ、国の他の公共事業予算と同様に、その半分の五%程度が執行留保となっております。
本県へは、これまでに第一次分として、百四十五億余円、第二次分として七億余円、合わせて百五十二億余円が配分されているところでございます。
この地域自主戦略交付金の評価についてでございますけれども、地域自主戦略交付金の理念は、箇所づけ等の国の事前関与を廃止し、地方が自由に事業を選択することで財源の活用について地方の自由度が高まり、地域のニーズに最も適した事業を効果的、効率的に執行していくことが可能となると、このように認識をいたしているところでございます。
しかしながら、本年度は制度初年度ということもあり、継続事業を中心とする配分でございましたので、地方の自由裁量の拡大に直ちにつながる状況ではございません。
また、第二次分の一部に財政力に応じた配分が盛り込まれました。財政調整機能は地方交付税が担う役割でございまして、地域自主戦略交付金に安易に持ち込まれてはならないと考えているところでございます。
平成二十四年度以降、対象事業や客観的指標による配分割合の拡大が予定される中で、財政力に応じた配分がどのように取り扱われるかについて、今後、その動向を注視してまいりたいと考えております。
なお、国庫補助負担金を廃止し、基本的に地方が自由に使える一括交付金としていくことは、現在の国庫補助負担金制度よりも望ましい方向でございますが、地方分権の観点から最も大切な点は、一括交付金化は過渡的な制度であり、最終的には税源移譲に向かうべきであると、このように考えております。
本県が必要とする事業を着実に実施できるよう、こうした点について、全国知事会などを通じ、国に働きかけていきたいと、このように考えております。
次に、臨時財政対策債についてでございます。
最近の本県の県債発行額や県債残高の増加の要因として、臨時財政対策債の発行が多額に上っていることが挙げられるところでございます。
現在のように、県税収入が大きく落ち込んでいる中で、本県が県民の皆様方の安心・安全の確保など、必要な施策を進めていく上では、臨時財政対策債などの特例的な県債の発行はやむを得ないものと考えております。
また、臨時財政対策債は、地方交付税の振りかえ措置として、その元利償還金が後年度において、普通交付税の基準財政需要額に全額算入され、地方財政制度の中で財源保障がされているものでございまして、多額の発行が直ちに財政面に影響を与えるものとは考えておりません。
しかしながら、この臨時財政対策債は、平成十三年度に創設されて以来、延長を重ね、現在に至っております。現下の経済情勢が直ちに大きく好転することは見込まれませんので、しばらくは地方交付税の振りかえ措置としての臨時財政対策債は継続するものと考えられるところでございますけれども、こうした暫定的な財政措置は決して望ましいものではないと考えております。
このような状況を抜本的に改善するには、地方交付税の原資となる国税五税の法定率の引き上げなどにより、地方交付税総額を増額確保することが必要でございまして、こうしたことを引き続き国に対して働きかけを行ってまいります。
次に、県債の格付に関して、二点お尋ねをいただきました。
まず、愛知県債の格付につきましては、議員御指摘のとおり、現在三社から取得しておりますが、うち一社が最高額のトリプルAとするなど、地方公共団体の中では最上位に位置づけられております。
これは、本県が我が国の経済活動をリードする産業県であり、強固な経済基盤を有していること、また、長年の行政改革の取り組みが高く評価された結果であると、このように認識をいたしております。
なお、三社のうちの一社が、ことし一月、日本国債、東京都債、愛知県債の格付を引き下げ、四月には、さらなる引き下げの方向での見直しを行いました。これは、本県固有の事情によるものではなく、国の財政状況悪化等を背景とした日本国債の引き下げに連動したものでございます。一般的に、本県債を含む地方債が国債の格付を上回ることはないとされておりますことから、今回の格下げはやむを得ないものと、このように考えております。
続いて、今回の格下げの影響についてでございますが、通常、県債の利率は、スプレッドと言われる国債の利率に対する上乗せ幅で決定され、格付等の評価が高いほど上乗せ幅が小さく、低利な資金調達が可能となります。格下げ以降も、その上乗せ幅が〇・一%にも満たない極めて有利な条件での発行が続いており、県債発行における影響は特段生じていないと、このように認識をいたしております。
しかしながら、格付は、財政状況等により随時変更が起こり得るものでございますので、今後も安定的な資金調達が可能となりますよう、引き続き通常の県債の抑制などの取り組みを進めていきたいと、このように考えております。
以上でございます。
- 12:◯健康福祉部長(五十里明君) 民生児童委員に関する御質問にお答えをいたします。
まず、負担軽減のための取り組みについてでございます。
民生児童委員の方々におかれましては、日ごろから高齢者や障害者の方々、子育て中の家庭などを訪問し、生活全般の相談や援助、見守りなどのさまざまな取り組みを通じ、地域福祉の推進に御尽力いただいておりまして、県といたしましても、その献身的な活動に深く感謝いたしております。
民生児童委員の活動は、議員御指摘のとおり、多岐にわたり、委員一人当たりの業務量も年々増加しておりますことから、昨年の改選期におきましては、人口増加地域を中心に、定数を五千四百十三名から五千五百七十四名に百六十一名ふやしまして、業務量の緩和を図ったところでございます。
また、今後の負担軽減についての取り組みでございますが、市町村に対し、現在生じております欠員につきまして、早期解消を要請いたしますとともに、今後の改選期におきましても、定数を増員し、負担の軽減を図ってまいります。
県といたしましては、新任、二期目、協議会会長の方々を対象に、それぞれの経験やお立場に最もふさわしい、時代に即したテーマによる研修会を開催し、複雑化、多様化している課題への対応力の向上を支援させていただいておりますことから、今後ともこのような支援の充実を図ってまいりたいと考えております。
次に、民生児童委員活動に関する助成についてお答えいたします。
民生委員協議会は、委員活動の連絡調整、情報収集、知識習得や関係行政機関との連絡の場であり、地域での民生児童委員活動を支える不可欠な組織であると理解しておりまして、お示しの交付金につきましても、予算の確保に努めてきたところでございます。
しかしながら、ここ数年における県税収入の落ち込みはすさまじく、非常に厳しい財政状況にありますことから、平成二十二年度の民生委員協議会活動費交付金につきましては、それまで一協議会当たり約十四万円でありましたが、やむを得ず三割程度の縮減をお願いしたところでございます。
こうした中ではありますが、本年度につきましては、さらなる縮減をすることなく、二十二年度と同程度の予算を確保したところでございます。
また、民生児童委員個人に支給される民生委員活動等費用弁償費につきましては、児童委員分と合わせて、平成二十一年度の五万八千二百円の水準を三年間ほぼ維持したところであります。
県といたしましては、このような民生児童委員の方々のための活動経費は、地域福祉を推進していく上で極めて重要な経費であると認識しておりまして、今後ともできる限り予算額の確保に努めてまいりたいと考えております。
最後に、民生児童委員の方々が活動しやすい環境を整えるためのPRについてお答えをいたします。
議員御指摘のとおり、地域住民の方々が民生児童委員活動について理解を深めるとともに、みずからが地域の問題解決に積極的に参加していただくことが地域福祉を推進していく上で、何よりも大きな力になるものと認識をいたしております。
このため、市町村に対しましては、引き続き広報紙等により地域住民の方々に民生児童委員の役割や活動内容の周知に努めていただくようお願いしてまいりたいと考えております。
また、県といたしましては、前年の一斉改選を契機に、民生児童委員の制度や活動内容につきまして、愛知県政リポート、愛知県政ファイルなど、ラジオやテレビの広報番組を活用した広報啓発活動を行っているところでございます。
県民の皆様の民生児童委員の方々に対する理解と協力をより一層深めていただくため、このような取り組みを今後も強化してまいりたいと考えております。
- 13:◯警察本部長(河邉有二君) 飲酒運転根絶についてのお尋ねにお答えいたします。
まず、本年のこれまでの飲酒運転検挙件数についてお答えいたします。
本年五月末現在の飲酒運転検挙件数は七百十六件で、前年同期と比べると百四十八件減少しておりますが、全国的に見ますと、大阪に次いで第二位となっております。
当県における飲酒運転の取り締まりにつきましては、全県規模で実施する警察本部主導の一斉取り締まりを、昨年同様、延べ約二千七百人で七回実施したほか、隣接警察署が連携するブロックでの取り締まりや、各署の署情に応じた取り締まりを本年も強化しているところでございます。
次に、飲酒運転根絶に向けた県民意識の醸成についてお答えいたします。
議員お示しのとおり、飲酒運転による交通死亡事故につきましては、過去五年間で四回全国最多となっており、憂慮すべき事態が続いていると認識しているところでございます。
私どもといたしましては、年初から飲酒運転の根絶を業務の重点の一つとして掲げ、諸対策を推進しているところであります。
具体的には、運転者はもとより、酒類を提供した者や同乗者などに対する検挙活動を進めているほか、飲酒運転の危険性を訴えるための参加、体験、実践型の交通安全教育を初め、自治体、関係機関、飲食店等の業界団体と連携して、ポスター、チラシ等の配布による広報啓発活動や、運転代行サービスの周知と利用促進を図るなど、飲酒運転を絶対にしない、させないという社会規範の確立に努めているところであります。
また、飲酒の機会が多くなる七月を飲酒運転根絶対策の推進月間と定め、取り締まりを強化するとともに、県内一斉飲酒運転根絶キャンペーンを実施するなどして、根絶意識の高揚を図ってまいりたいと考えております。
さらには、飲酒運転に対する罰則や酒類提供行為、同乗行為の禁止等を内容とするスポットCMを作成し、来月から年末にかけて放映することとしており、こうした活動を展開していくことで、県民の飲酒運転根絶に対する意識の一層の醸成を図ってまいりたいと考えております。
以上です。
- 14:◯県民生活部長(大野明彦君) 飲酒運転根絶についてのお尋ねであります。
本県では、従来より飲酒運転の根絶を交通安全県民運動の取り組み重点に掲げ、各種の取り組みを進めてまいりましたが、昨年からは、飲酒運転の増加が懸念される十二月を飲酒運転根絶強調月間として、また、ことしからは、新たに毎月第四金曜日を飲酒運転根絶の日と定めまして、家庭や地域、職場など、県民総ぐるみで、飲酒運転をしない、させないための諸活動を展開しているところであります。
具体的な取り組みといたしましては、市町村や警察、関係機関、団体の皆様と連携し、交通安全教室や街頭キャンペーンなど、機会あるごとに飲酒運転の危険性や、飲酒事故がもたらす悲劇を訴えるとともに、酩酊状態を疑似体験し、飲酒運転の危険性を体感できるゴーグルなどを効果的に活用した啓発活動も実施しております。
また、飲食店業界に対しましては、飲酒運転の防止を呼びかけるポスターの掲示のほか、お酒を飲まない人をあらかじめ決めて、仲間を車で自宅まで送り届ける、いわゆるハンドルキーパー運動への協力や、運転代行サービスの利用促進についてお願いをしているところであります。
今後も、引き続きこうした取り組みを関係の皆様と積極的に展開し、地域社会が一体となって飲酒運転根絶の環境づくりに一層努めてまいります。
なお、飲酒運転による死亡事故件数は、ここ数年横ばいではありますが、人身事故件数を見てみますと、平成二十二年は二十一年に比べ約二五%減少し、さらに、ことしも五月末現在で前年同期比で約二六%減少するなど、これまでの取り組みにより一定の成果もうかがわれます。
こうした状況を踏まえ、飲酒運転根絶条例につきましては、飲酒運転根絶の一方策として、その必要性や実効性などについて、県警本部とも十分意見交換し、引き続き研究してまいりたいと考えております。
- 15:◯四十五番(石井芳樹君) るる御答弁をいただきました。
私からは、二点につきまして要望をさせていただきたいと思います。
まずは、財政についてであります。臨財債。
本来であれば、これは返還額の一〇〇%が地方交付税措置としてもらえるものでありますが、過去に景気対策として実施した公共事業の財源として発行した交付税措置のある地方債の返済が本格化している中で、普通交付税総額を見ますと、現実的には減額になっております。これは、普通交付税の基準財政需要額が毎年度見直しが行われているからであり、約束した借金返済以外の部分が削減されているものだと考えるところであります。
臨財債についてもくれぐれも気をつけていただきながら、本来であれば、行わなければいけない起債ではなく、自治体の裁量でもって行うものでありますので、ぜひとも重々お気をつけいただきながら予算編成に努めていただきますことをお願い申し上げるところであります。
そして、もう一つ、民生児童委員制度であります。
私は、過日、同僚議員の皆さんとともに、陸前高田市にボランティアに行ってまいりました。御承知のとおり、八割が津波により失われた町であります。その何もない町の中で唯一あるのが、人と人とのつながり、人と人とのきずなであります。このきずなは、日本の歴史、文化、風習、風土に培われたものであり、海外では訳すことのできない日本独特の言葉だと聞いております。民生委員制度もまさに、私は、人と人とを結ぶ、きずなときずなを結ぶ役目であるわけであります。
先ほど御答弁の中で、県財政が厳しい中で一律カットをしましたという御答弁をいただいたわけでありますが、しかしながら、財政はプライオリティー、すなわち優先順位づけであります。私たちのところにもさまざまな団体や、いろいろな方々が陳情、要望に来られます。それに対してしっかりと予算づけを行うのが私たちの責務でありますが、しかしながら、声なき声のこの民生児童委員さんたちにも県がしっかりと、そして、町や市が見守るという姿勢が私は必要であると思うところであります。
過去は、水や空気のように、民生児童委員さんたちの活動も当たり前であったかもしれません。今からは、私たちがしっかりと感謝をし、そして、きずなときずなを結ぶ大事な職責がある職務として私たちが見守っていかなければならないと強く思うところであります。
今後とも、財政、そして、PR、さまざまな面で、物心両面で御補助いただき、そしてまた、予算編成も含めてしっかりとした取り組みを行っていただきますことを心よりお願いを申し上げて、要望とさせていただきたいと思います。
- 16:◯議長(岩村進次君) 進行いたします。
高橋正子議員。
〔七十一番高橋正子君登壇〕(拍手)
- 17:◯七十一番(高橋正子君) おはようございます。
私は、さきに通告をいたしました本県のがん施策について、順次質問をいたします。
今、がんによる死亡者数は全国で年間三十万人以上、心疾患や脳血管疾患を大きく引き離して、三人に一人ががんで亡くなる時代だと言われております。
本県でも、平成二十一年を見ますと、総死亡者数の約三割に当たる一万六千八百八十八人ががんでなくなり、昭和五十五年以降、がんが死亡原因の第一位となっております。
近年、がんの死亡者数、罹患者数の増加への歯どめは国民的課題となり、本県では、平成二十年三月にがん対策の基本的な方向性を定める愛知県がん対策推進計画を策定し、現在は、その計画に沿って総合的に取り組みが進められております。
本県のがん対策の基本方針は、平成二十四年度までの五年間に、予防と治療と研究の各分野にわたるがん対策の先進県を目指す、県内どこに住んでいても高度ながん医療が受けられる体制づくりを推進する、がん患者やその家族の方々の視点に立ったがん対策を実施するの三つです。
そして、全体目標としては、平成二十九年度までに四十歳から七十歳までのがん罹患率の一〇%減少と、七十五歳未満のがんの死亡率の二〇%減少、そして、すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の維持向上を本県は目指していきます。
昨年三月には、この愛知県がん対策推進計画をさらに推進するために、計画の中でも進めることが重要なたばこ対策、がん検診、がん医療の三つの分野に係る目標達成の指標と具体的な行動計画を示した愛知県がん対策推進計画アクションプランを策定し、今年三月に計画期間の中間地点でもある平成二十二年度までの進捗状況が示されました。各施策の目標達成度を検証することで、さらなる具体的な対処方針がまた一つ見えてきます。
私は、平成二十年にこの愛知県がん対策推進計画が策定されたときも、ここで質問をさせていただきました。このときはまだ計画も策定されたばかりで、これから取り組みをどのように進めていくのかとの観点から幾つか質問をいたしました。
そして、今回は、計画の中間地点として施策と目標の進捗状況を検証するがん対策推進計画アクションプランをもとに、本県のがん対策、がん医療の現状について、予防から治療、そして、がん対策の側面にも目を向けながら、多岐にわたって質問をさせていただきます。
まずは、がん予防の推進に関する取り組みで、筆頭に挙げられているのがたばこ対策です。
喫煙は、喫煙者本人のみならず、周囲の非喫煙者にも健康被害を及ぼし、一説には、屋外で一人が喫煙すると半径七メートルが汚染されるとの受動喫煙の指摘に、思わず愛煙家も肩身が狭くなってしまいます。
本県のがん対策推進計画の当初の目標では、平成二十年度から二十二年度の三年間で、平成十六年時の成人の喫煙率を半減、いわゆる男性一八・七%、女性五・五%に目標を設定しました。しかし、直近の数値であります二十一年度を見ると、喫煙率は男性二七・五%、女性九・三%と、減少はしているものの、目標の半減には至っておりません。
そんな中、平成二十二年二月二十五日付で、厚生労働省健康局長から都道府県知事に対して通知があり、多数の者が利用する公共的な空間については、原則建物内全面禁煙とすべきとされました。公共的な空間といえば、官公庁施設や病院、金融機関、遊技場、娯楽施設、ホテルに旅館、百貨店、飲食店などなどです。公共施設の全面禁煙化など、愛煙家にとって包囲網が狭まる中で、行政のたばこ対策への取り組みはどんどん加速化していきます。
本県では、受動喫煙防止対策実施施設の認定制度を設け、多数の者が利用する施設の禁煙化を推進してきた結果、民間事業所も含めた実施施設の認定数は、二十二年度で六千百九十六施設になりました。県民の受動喫煙対策への理解と協力がうかがえます。
そこでお尋ねをいたします。
国から原則建物内全面禁煙にすべきとの通知がされたことを受け、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
また、がん対策推進計画の最終年度である平成二十四年度までに喫煙率半減の実現に向けて、この二十三年度以降、どのような取り組みを行っていかれるのか伺います。
さて、社会全体に禁煙の動きが広がっている中で、未成年者の違法喫煙は大きな課題です。たばこの自動販売機も成人識別装置がつけられ、未成年者がたばこを入手するのが困難にもなりました。喫煙は、当然始める年齢が低いほど弊害は大きく、発育障害やニコチン異存になりやすい。
がん対策推進計画では、未成年者の喫煙率を〇%に、要は根絶することが目標であります。しかし、本県の未成年者、年齢十六から十九歳の喫煙率は、愛知県が実施した平成二十一年生活習慣関連調査によりますと、男子三・四%、女子一・八%と、未成年者の喫煙率は年々減少しているものの、目標の〇%には至っておりません。
ちなみに、愛知県警に不良行為少年として喫煙で補導された未成年者の人数を聞いたところ、平成二十二年は一万九千五十人、過去五年間を見ても、ほぼ一万九千人台で推移をしているようです。この数字が物語るものは何なのでしょうか。
そこで、教育長にお尋ねをいたします。
学校教育において、子供たちに最初の一本を吸わせない未然防止教育はどのように取り組んでいるのでしょうか。また、喫煙をしている生徒に対してはどのように指導を行っているのか伺います。
続いて、がんの早期発見の推進に関する取り組みとして、がん検診についての質問に移ります。
がん検診といえば、受診率の低迷が課題で、なかなか受診率アップにつながらないのが行政には頭の痛いところであります。
がん対策推進計画では、平成二十四年度までに、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮がんの五つのがん検診の受診率をそれぞれ五〇%以上に上げることを目標にしていますが、平成二十一年度の実績を見ますと、胃がん一六・〇%、肺がん二八・二%、大腸がん二三・四%、そして、乳がん一八・五%に、子宮がん二六・九%でした。それぞれ目標の五〇%にはほど遠い数字であります。
そこでお尋ねをいたします。
この受診率は、あくまでも市町村が行う自治体検診の対象者で、自営業者や主婦、健康な高齢者などであると推察いたします。職域として、企業の従業員が職場で受けるがん検診の受診率は含まれておりません。やはりがん対策を推進するに当たり、県内全体の検診状況の把握と分析は不可欠であり、本県として、職域のがん検診状況をどのように把握しているのでしょうか。また、職域を含めたがん検診受診率の目標五〇%達成に向けて、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
さて、愛知県がん対策推進計画アクションプランでは、地域において、県民が等しく質の高いがん診療を受けることができるよう、県内のどこに住んでいても、がん患者とその家族が納得できるがん医療が受けられる体制の整備を目指しています。
そのかなめとなるのが、国指定のがん診療連携拠点病院で、名古屋、尾張、知多半島、三河など、県内十二の二次医療圏に原則一カ所ずつ整備され、愛知県がんセンター中央病院を中心に、計十五の拠点病院が整備されています。
さらに、昨年六月には、がん医療体制の充実に向けた本県独自の病院指定制度として、県内十五の厚生労働大臣指定の拠点病院と同等の機能を有する名古屋市中川区の名古屋掖済会病院、同市天白区の名古屋記念病院、長久手町の愛知医科大学病院、そして、半田市の半田市立半田病院と刈谷市の刈谷豊田総合病院の五病院に対して、愛知県がん診療拠点病院に指定したほか、ことし四月には、名古屋市港区の中部労災病院も新たに指定をしました。
本県では、二次医療圏でより一層きめ細かながん医療体制が整備され、これでがん診療連携拠点病院は、国指定十五カ所、県指定六カ所の計二十一カ所になりました。
そこで、以下二点にわたってお尋ねをいたします。
一点目として、従来は、がん診療連携拠点病院の指定は二次医療圏に一カ所が原則だったのが、がん医療の均てん化をさらに進めるために、国指定と同等の基準を満たす病院にも新たに県独自の指定制度を導入しています。
実際のところ、本県として、国指定と県指定とでは支援体制で何が違うのでしょうか。また、都道府県がん診療連携拠点病院に指定される愛知県がんセンター中央病院を初め、県内二十一の拠点病院の連携体制についても伺っておきます。また、今後の県指定がん診療拠点病院の増設も含め、本県としての取り組みをあわせて伺います。
二点目として、医療機能が不足する山間僻地などの医療圏域では、がんの拠点病院のない空白医療圏であることが多いです。本県の場合だと、新城市を中心とした東三河北部医療圏が該当し、原則隣接医療圏でカバーすることになります。
愛知県がん対策推進計画の基本方針である県内どこに住んでいても高度ながん医療が受けられる体制づくりからすれば、東三河北部医療圏の地域住民の安心感が置き去りにされるようなことがあってはなりません。
新たに国のほうでは、指定要件を満たす病院の整備ができない場合のみを対象とし、地域内のがん患者の相談に応じるとともに、医療機関との地域連携の拠点となる医療機関をがん相談連携拠点病院等として例外的に指定できるやに聞いております。これを受けて、がん診療の拠点病院が不在な東三河北部医療圏に対して、県はどのように取り組んでいくのか伺います。
さて、がんの治療方法も、従来の切除手術のみだけではなく、化学療法や放射線療法、また、それらを併用する集学的治療など、選択肢も広がってきました。
同推進計画では、粒子線を利用した治療施設の整備促進に向けた支援を行うとしています。現在、粒子線を利用した治療施設の整備としては、名古屋市北区の複合医療施設クオリティライフ21城北内に、平成二十四年度内に開設予定の陽子線がん治療施設の整備が進められています。
放射線治療の一種で、陽子線は体への負担や副作用が少ないと言われ、通院で照射できるのが特徴。現在は保険適用されておらず、三百万円近い照射費用は自己負担であります。しかし、東海三県に粒子線治療施設がないことから、この陽子線がん治療施設の整備に期待する声も多いです。
そこでお尋ねをいたします。
愛知県がん対策推進計画にも、体への負担や副作用が比較的少ないと言われる粒子線治療を推進するため、粒子線を利用した治療施設の整備を目標にしています。名古屋市北区において整備が進められている陽子線がん治療施設に対して、本県としてどのような支援を考えているのか伺います。
ここまで、がんの予防と治療を柱に質問をしてまいりましたが、ここで視点を変え、がん患者のサポートについてお尋ねをしたいと思います。
近年、医学の進歩により、がんは決して不治の病ではなくなりました。早期発見で多くが治療可能となってきています。それに伴って、これまでは退職や長期の休業を余儀なくされてきたがん患者も、働きながら治療を行うことも可能となってきました。がん罹患者数の増加に伴い、働き盛りの年齢でがんに罹患し、治療後や治療を受けながら職場復帰する患者もふえています。
しかし、働き盛りのがん患者の多くは、職場復帰を希望しているものの、体力面で、あるいは治療との両立で不安や悩みを持っています。これからは労働力人口も減少していくわけですから、がんを罹患した働き盛りの勤労者が安心して治療を受け、円滑な職場復帰への支援は重要な課題になってくると思います。
メンタルヘルス対策での休業者の職場復帰への支援は企業も力を入れるようになり、本県でも企業へのサポート事業が行われています。がんは、早期発見で治療期間が短くなったとはいえ、まだまだ職場では十分理解し、受け入れる体制もできていないケースも多いようです。
そこでお尋ねしたいのは、がん患者を初めとする病気回復後の勤労者が病気療養から職場に復帰し、治療と並行しながらも働ける労働環境の整備について、県としてサポートができるとしたらどんな取り組みがあるのでしょうか。
最後に、昨今のがん医療は、手術や放射線、化学療法などを効率的に組み合わせた集学的治療を実施するために、専門的な知識や技能を持った医師に、看護師、薬剤師、放射線技師などがチームで機能することが重要となってきています。
そして、がんの治療をしながらも生活の質を維持できるように、治療の初期段階から切れ目なく緩和ケアが受けられる体制も充実し、より高度な先進医療の技術と設備、そして、がん専門の医療スタッフの配置など、拠点病院に求められる要件はかなりの高レベルだと思います。
本県のがん対策推進アクションプランの二十二年度までのがん診療拠点病院の目標達成状況を見ても、ここ三年でクリアしなくてはならない要件が確実に進んでいるとの印象です。しかし、達成目標の数字の側面では、おのおのの拠点病院の内情は、限られた予算と人員の中で高いハードルを超えていかなければならず、お家事情はかなり大変なのだと思います。
昨年の冬でしたが、私は、ある新聞記事に目をとめました。その記事の内容は、中部九県の全六十七のがん診療連携拠点病院に対して、日本人に多い胃と肺、乳がんについて、診断確定から手術までの手術待ち時間に変化はないかとのアンケート調査の結果です。回答は担当医で、現場感覚での答えです。
それによると、中部地方のがん拠点病院のほぼ半数が、これら三つのがんのいずれかで、最近五年間に伸びたと感じていると回答し、手術待ちが伸びた理由は、外科医不足で、手術数を減らしている中堅病院から拠点病院へ患者が集中していること、そして、高度な手術には必要な麻酔科医が不足していることなどを挙げていました。医学界では、一般的にはがんの手術は診断から一カ月未満が望ましいようですが、肺がんでは一カ月以上の回答が四〇%を占め、乳がんでも四五%、胃がんでは三七%、どちらも最長は二カ月だったとの回答は、やはりショッキングでした。
記事の最後に、愛知県がんセンターの二村雄次総長のコメントがあり、基本的には、告知から手術まで一カ月以内が理想で、二カ月も待たされたら、患者は地獄だろう。しかし、がん拠点病院には患者が集中し、激務で勤務医がどんどんやめていっているのが共通の悩みだと記事は締めくくられ、こうした拠点病院でも、改めて医師不足が引き起こす深刻な現状があることを知らされた気がしました。
愛知県がんセンター中央病院は、全国的にもがん治療の実力病院として広く認知され、本県のがん診療の中核を担っています。このがんセンター中央病院へやってくる患者さんは、紹介を受けて、ここを頼ってくる人ばかりです。
先ほど述べました手術待ち時間ですが、どの病院でも大なり小なりそれはあることだと推察しますが、がんセンター中央病院の実態はいかがでしょうか。また、この手術に関して何らかの課題があれば、それについても伺いたいと思います。
以上、本県のがん施策について、愛知県がん対策推進計画アクションプランの進捗状況も踏まえながら、多岐にわたってお尋ねをしてまいりました。明確な答弁を期待いたしまして、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
- 18:◯健康福祉部健康担当局長(加藤欽一君) がん対策につきまして幾つか御質問をいただきましたが、最初に、たばこ対策についてのお尋ねのうち、県の受動喫煙防止対策についてお答えをさせていただきます。
受動喫煙は、肺がんや循環器疾患等のリスクの上昇や、乳幼児突然死症候群、子供の喘息発作の誘発などの原因になると言われております。
この受動喫煙を防止するため、国の通知では、多数の者が利用する公共的な空間については、原則として全面禁煙であるべきと示されました。この通知を受けまして、県といたしましては、今年度、新たに重点テーマとして、「女性や子ども等の非喫煙者をタバコの害から守ろう」を掲げ、五月三十一日に世界禁煙デーキャンペーンを実施し、受動喫煙防止の啓発に取り組んでいるところでございます。
また、非喫煙者を含むグループの禁煙飲食店利用を促すキャンペーンを実施することで、禁煙飲食店を後押ししてまいりたいと考えております。
さらに、おくれております事業所の禁煙化を推進するため、受動喫煙防止対策推進フォーラムの中で、事業所の禁煙化を取り上げることといたしております。
これらの取り組みを通しまして、受動喫煙防止の実現を図ってまいります。
次に、喫煙率半減の実現に向けた平成二十三年度以降の取り組みについてのお尋ねでございます。
喫煙率を半減するためには、個人の取り組みだけでなく、社会全体で禁煙エリアの拡大や禁煙治療に対する敷居を低くするなどの禁煙に取り組みやすい環境を整えることが重要であります。
そこで、これらの課題に対応するため、新たに県のホームページを活用して、たばこの害についての動画の配信を行うとともに、受動喫煙による体への害、禁煙治療の紹介等を取り入れたリーフレットを作成することで、個人の禁煙の啓発や社会全体での禁煙化の推進に努めてまいります。
また、禁煙治療の敷居を低くするため、県民に身近な禁煙治療実施医療機関や禁煙サポート薬局の増加を促し、こうした施設が容易に検索できるよう、県のホームページへ掲載したり、リーフレットにインターネットのアドレスを掲載してまいります。
さらに、市町村などが実施しております特定健診、がん検診、母子健康診査などの場を活用して禁煙指導を行うため、健診を行う医療従事者に対する研修を充実してまいります。
次に、職域のがん検診についてお尋ねをいただきました。
本県では、昨年度、事業者が独自に実施しております胃がん、肺がん、大腸がんなど、五つのがん検診について実施状況調査を行いました。その結果、例えば本県で最も罹患が多い胃がんの検診については、従業員三百人以上の事業所では八割程度実施しておりましたが、事業所数全体の九割以上を占める従業員が三百人未満である中小企業の事業所では五割程度の実施となっておりました。
この調査結果を踏まえ、中小企業が多く加入しております全国健康保険協会愛知支部の広報紙に、がん検診の受診を促進する記事を掲載していただくなど、中小企業におけるがん検診の受診率向上を目指してまいります。
また、がん検診の受診率向上を図るためには、受診者の利便の向上を図ることも大切でありますので、職域の特定健診実施機関の情報と市町村がん検診の情報をあわせてお示しすることにより、従業員の家族の方ががん検診と特定健診を同時に受診できるよう配慮してまいります。
こうした取り組みを通じて、職域を含めたがん検診全体の受診率向上に努めてまいります。
次に、がん診療連携拠点病院について幾つかお尋ねをいただきました。
最初に、国指定病院と県指定病院との支援体制の違いについてでございます。
本県といたしましては、国指定病院と県指定病院の間に基本的機能の差はないと認識しておりますが、国指定病院に対しましては、国の補助制度が適用され、また、診療報酬において、がん治療連携計画策定料七百五十点等が認められております。
一方、県指定病院につきましては、国の補助制度は適用できませんが、診療報酬においては、国指定病院に準ずる病院として同様に認められております。
次に、愛知県がんセンター中央病院を初めとする二十一の拠点病院の連携体制についてであります。
本県では、愛知県がんセンター中央病院に愛知県がん診療連携協議会を設置し、拠点病院相互の連携協力体制の強化を図るとともに、地域の医療機関への診療支援などに努めております。県指定病院を創設した平成二十二年度からは、県指定病院にもこの協議会に参加していただいております。
今後の取り組みについてでありますが、手術、放射線療法及び化学療法を効果的に組み合わせた集学的治療や、緩和ケアに対応できることなどの要件を満たした病院に対しましては、適切な指導を行いつつ指定し、県民の皆様のがん医療に対する期待にこたえてまいりたいと考えております。
次に、指定病院が指定されていない東三河北部医療圏に対して、県はどのように取り組んでいくかというお尋ねであります。
議員お示しのがん相談連携拠点病院など、いわゆる空白医療圏における指定要件の弾力化につきましては、国におけるがん対策推進協議会で協議されているところでございますが、現在のところ詳細な内容は示されておりません。
東三河北部医療圏のがん医療体制の確保のためには、当地域の中核病院であります新城市民病院の医療体制の充実が前提となりますが、現時点では医師不足の影響等もあり、厳しい、難しい状況であります。
県といたしましては、新城市民病院の医療体制充実に向けた取り組みに今後とも積極的に関与してまいりたいと考えております。
したがいまして、当分の間、東三河北部医療圏にお住まいの皆様は、隣接する医療圏で地域がん診療連携拠点病院の指定を受けている豊橋市民病院を活用していただきますようお願いをいたします。
私からのお答えは以上であります。
- 19:◯教育長(今井秀明君) たばこ対策についてのお尋ねのうち、まず、喫煙の未然防止教育についてお答えをいたします。
小学校、中学校、高等学校では、それぞれ保健の授業の中で、喫煙による健康への影響について指導をしております。小学校六年生では、身近な生活における喫煙が健康に与える影響について指導し、さらに、思春期に入り、大人の生活に興味、関心が高まる中学校三年生と高等学校一年生において、喫煙の誘惑に負けない強い意思が持てるよう指導しております。
具体的な内容については、喫煙によって呼吸や心臓の働きに対する負担などの影響がすぐあらわれることや、受動喫煙により周囲の人々の健康にも影響を及ぼすこと、また、未成年の喫煙については法律によって禁止されており、身体に大きな影響を及ぼし、依存症になりやすいこと、さらに、喫煙を長い間続けますと、肺がんや心臓病などの生活習慣病にかかりやすくなることなどであります。これらの内容をそれぞれ子供たちの発達段階を踏まえながら指導しております。
次に、喫煙をしている生徒への指導についてお答えをいたします。
各学校では、喫煙をしてしまった生徒に対しまして、常に毅然とした姿勢で厳しく指導しております。その際には、喫煙に及んだ経緯や生徒が抱えるさまざまな問題にも目を向け、保護者の協力も得ながら再発防止に努めております。
今後も、生徒の健全育成を目指して、粘り強く指導してまいります。
以上でございます。
- 20:◯産業労働部労政担当局長(小島邦裕君) がん患者を初めとする病気療養者が職場復帰する際の労働環境整備について、県としてサポートできるとしたらどんな取り組みがあるのかのお尋ねをいただきました。
労働安全衛生法では、事業者は、労働者の安全と健康を確保しなければならないと定められておりまして、労働者に対する健康診断の実施を義務づけるとともに、必要があるときには、配置転換、時間外労働の制限や、労働時間の短縮などを講ずることとなっております。
こうした事業者の取り組みを支援いたしますために、本県におきましては、事業者の要請に応じまして、社会保険労務士を派遣して、安全衛生を含む就業規則や労務管理についての助言、指導を行うなどしております。
このような県の支援策は、事業者によるさまざまな病気の予防から治療、職場復帰まで幅広い取り組みを対象といたしております。
お尋ねの職場復帰に関しましては、現状では、事業者の取り組みは、メンタルヘルス分野に重きが置かれているように受けとめておりますけれども、県による社会保険労務士の派遣制度などは、事業者から御希望があれば、がん患者等の病気療養者の職場復帰についても御活用いただけるものと考えております。
- 21:◯病院事業庁長(二村雄次君) がんセンター中央病院における手術待ち時間の実態についてお尋ねをいただきました。
がん治療におきましては、早期発見、早期治療が極めて重要でございます。このために、手術による治療につきましては、診断から手術までの時間をできる限り短縮することが必要となってまいります。
現在の状況でありますが、食道がんや前立腺がんなど、一部の疾患におきましては、化学療法やホルモン療法など、手術前の治療を行ってから切除手術の期日を決定しますので、いわゆる手術待ち時間が長くなっております。全体的にはおおむね三週間から四週間となっておりまして、ここ数年、手術待ち時間の短縮ができているものと認識しております。
がんと診断されてから手術までの間には、治療方針の選択のための検査とか、全身麻酔を行う患者さんの全身チェックのためにある程度時間が必要となりますが、がんと診断された患者さんの精神的な不安ははかり知れないものがあると思われますので、待ち時間につきましては、引き続き短縮するように努力してまいりたいと考えております。
次に、手術に関連した課題についてお答えをいたします。
全国的な勤務医師の不足によりまして、がんセンター中央病院におきましても、特に外科系医師や麻酔科医の確保が難しい状況が続いております。
このため、給与面での処遇改善や勤務環境の改善による負担軽減などを行ってまいりましたが、現在も医師の欠員が生じております。特に麻酔科医については、ここしばらく充足できない状況が続いております。
そこで、大学医局等へ粘り強く働きかけるとともに、インターネットを活用した全国募集を行ってまいりました結果、この夏には三年ぶりに常勤の麻酔科医を一名確保のめどが立ちました。
手術室の実態から申し上げますと、現在、常勤麻酔科医四名が九つの手術室を稼働しておりまして、常勤麻酔科医では対応できない手術が約四割ございます。この麻酔業務につきましては、非常勤医師、または外科系のレジデント、いわゆる専門研修医師を活用しまして、この麻酔業務も常勤麻酔科医で行えれば理想であると思っております。
したがいまして、常勤麻酔科医が十分に確保されれば、一日当たりの手術件数を増加させ、手術待ち時間のさらなる短縮が図れるものと期待しております。
また、他の医師の欠員につきましても、早期に解消できますように引き続き努力してまいります。
いずれにいたしましても、今後とも、愛知県の都道府県がん診療連携拠点病院として必要な人材を確保しまして、県民の皆様の期待にこたえられますよう、最新かつ安心・安全で最先端のがん医療を提供してまいりたいと思っております。
以上でございます。
- 22:◯知事(大村秀章君) 高橋議員からは、がん医療、がん対策についての御質問をいただきました。私からもお答えさせていただければと思っております。
がんにつきましては、高橋議員御指摘のように、年間三十万人を超える方ががんで亡くなり、日本人の死亡の原因の第一位ということでございます。
日本の医療健康施策の中で、がん対策は大変重要であるというふうに思っておりまして、そういう意味で、五年前にがん対策基本法というのをつくらせていただきました。これは、自民、民主、公明三党が中心となって協議を進め、議員立法でつくったものでございます。当時、私は、自民党の窓口役をやり、民主党の仙谷さんとか、公明党の赤松正雄さんとか、そういった方々と真摯に議論を積み重ねて、がん対策基本法をつくったというのが懐かしい思い出になっておりますが、そのポイントは、高橋議員の質問の中にもありましたように、がん診療の拠点病院を全国三百五十の二次医療圏につくるということとか、がん医療のレベルアップを図るとか、また、がん患者さんの社会復帰を図るとか、そういったところが中心でございまして、引き続き愛知県といたしましても、このがん対策アクションプランに基づいて、しっかりと進めていきたいというふうに思っております。
そういう中で、私からは、名古屋市が整備を進めております陽子線がん治療施設に対する支援についてお答えを申し上げたいというふうに思っております。
この陽子線がん治療施設の整備によりまして、がん患者さんにとりましては、治療の選択肢がふえるということでございまして、現在、県内の多くの患者の皆さんが他県の同様の施設で治療を受けておられるということを考えますと、この地域のがん医療にとって大変重要なものであり、期待も大きいと思っております。これは、高橋議員御指摘のとおりだと思います。
したがいまして、名古屋市の陽子線がん治療施設の有効活用のため、本県といたしましても積極的に支援をしてまいりたいと考えております。
今後、名古屋市は、陽子線がん治療施設の開設に向け、本県が名古屋市と、平成二十年の二月に共同設置をいたしました粒子線がん治療医療連携専門家会議の御意見をお聞きしながら、治療基準の明確化に取り組んでいくことといたしております。
このため、本県といたしましても、それにあわせまして、当専門家会議で御助言をいただきながら、県内に二十一あるがん診療連携拠点病院を通じまして、適応患者が適切に陽子線がん治療施設を紹介されるシステムを構築してまいりたいと考えております。
これによりまして、県内にお住まいの多くのがん患者の皆様が陽子線治療を受ける際にスムーズに紹介されることになりまして、名古屋市の陽子線がん治療施設を有効に活用できるものと考えております。
以上でございます。
- 23:◯七十一番(高橋正子君) 多岐にわたって質問させていただきまして、それぞれ御答弁をいただきました。
私からは、幾つか要望させていただきたいと思います。
まず、たばこ対策ですけれども、愛知県の男性の死亡原因の第一位が肺がんであります。禁煙対策、あるいは受動喫煙防止対策、本県は今まで一生懸命取り組んできていただいていることは重々理解しておりますけれども、今、積極的に、また今後も取り組んでいくとの答弁をいただきましたので、また引き続き御尽力をいただきたいと思います。
そして、未成年者の喫煙対策ですが、教育長からも、きめ細やかな教育指導をしていくとの答弁をいただきました。
お聞きしますところによると、今は、たばこに手を出す子供も、好奇心だけからではなく、やはり孤独感とか、あるいはたばこに手を出す動機に複雑な背景もあるやにも聞いておりますので、学校の教育現場でもそういった子供たちの思いを受け入れながら、やはりそういったたばこは絶対だめだということをしっかりと教育指導していっていただきたいと思います。
また、がん検診につきましても、やはり市町村のがん検診と職域のがん検診と全体的ながん検診の状況を把握した上で、先ほどもちょっと御答弁がありましたけれども、何が原因で受診率が低迷しているのかということを探ることから始めるのが大事だと思います。
そんな中で、やはり制度管理、がん検診をせっかく受けても、がんが見つからなければ意味がありませんので、がんを検診、受診して、その中でどのぐらいの方が精密検査を受けることになったかとか、そういったことをやはり市町村と県と連携しながら、しっかりとがん検診の精度管理を進めていっていただきたいと思います。
それで、がん検診について、私は、ぜひとも要望が一つございます。
一宮市に平成二十二年の十月一日に開設をいたしました愛知県がんセンター尾張診療所でありますけれども、こちらでは、乳がんの二次検診、要は精密検診ですけれども、これをやっております。ただ、精密検診ということもあるのでしょうか、一日平均大体受診者は三人程度でございます。今、乳がんの死亡者が非常に増加傾向にある中で、やはり検診率が非常に低い。乳がんというのは、早期発見、早期治療をすれば治癒するというがんでもありますので、やはりがん検診を一人でも多くの方に受けていただく体制を整えることが必要だと思います。
そんな中で、女性が受診しやすい環境づくりというのがやっぱり大切だと思いますけれども、こちらの尾張診療所のほうは、診察も女医さんもいらっしゃいますし、マンモグラフィー検診のほうも女性の技師さんがいらっしゃるということを聞いておりますので、女性にとって非常に受診しやすい環境が整っていると思います。
ですから、県立病院の役割としては、性格上というか、一次検診の領域まで浸食することは本意ではないかもしれませんけれども、やはり乳がんによる死亡者、あるいは罹患者を一人でも少なくするには、ぜひともこちらの尾張診療所のほうで一次検診ができるような体制を考えていただければと思っております。
そして、あと、がん患者の職場復帰へのサポートについても、労政担当局長のほうから御答弁をいただきました。
やはりだれもががんと告知されてからは、かなり不安な日々を送るわけですから、大半の方が治療を終えて社会に復帰しても、再発、転移という不安をいつまでも抱きながら、それでも継続して働くことを皆さん望んでいらっしゃいます。
そんな中で、やはり県として、今、サポートができることをお話ししていただきましたので、できましたら、そういったがん患者を初め、病気療養後の方がスムーズに職場復帰できるような体制をメンタルヘルス対策同様に、また推進をしていっていただきたいことをお願いしたいと思います。
あと、最後に、病院事業庁長さんのほうから、がんセンター中央病院の手術待ちの実態のお話をお聞きいたしました。私は、新聞を読んで、こちらの中部地方のがんの拠点病院の半数以上がそういった手術待ちの実態があるということが非常にショッキングだったものですから、じゃ、愛知県のがんセンターはどうかなということでお聞きをいたしました。
今、御答弁をいただきましたけれども、手術待ちも少しずつでも短縮をしていく方向でしっかりと取り組んでいく、あるいは麻酔科医も不足しているけれども、こちらのほうもしっかりと充足していくように努力していくという答弁をいただきましたので、県民としては本当に安心だなというふうに思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
また、大村知事のほうからも御答弁をいただきました。
非常にがん対策には御理解があると私は思いましたので、ぜひとも、特にがんの拠点病院、なかなか県のほうからの予算も少ないようなので、地域の拠点病院は年間八百万円弱ということを聞いておりますので、できましたら、やはり設備も人的配置もしっかりとやっていただくにはそれなりの予算も必要だと思いますので、限られた予算とは思いますけれども、またそういうところも弾力的に御理解をいただけたらと思います。
最後に、愛知県がん対策推進計画が来年度見直されるということをお聞きしております。先ほど病院事業庁長からもお話がありましたように、やはり現場の声をしっかりと聞いて、見直すところはしっかりと見直して、真にがんの先進立県を目指して、引き続き御努力をいただきたいことを要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
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- 24:◯三十八番(神戸洋美君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 25:◯議長(岩村進次君) 神戸洋美議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 26:◯議長(岩村進次君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午前十一時四十一分休憩
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午後一時開議
- 27:◯副議長(深谷勝彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
飛田常年議員。
〔二十四番飛田常年君登壇〕(拍手)
- 28:◯二十四番(飛田常年君) 蒲郡市選出の新人議員の飛田常年と申します。
通告に従い、一般質問をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。
まず、東三河の将来ビジョンと東三河県庁のあり方についてお伺いをいたします。
まず、東三河の歴史をひもときますと、源流は、六世紀前後に現豊川市を中心に存在したとされる穂の国にさかのぼります。穂は、七世紀以降、西側にあった三河国と合併し、三河国の国府は今の豊川市国府町に置かれていました。戦国時代は、軍事的用地として注目され、駿河の今川氏、甲斐の武田氏、西三河の松平氏が争奪戦を繰り広げていました。
江戸時代には、東海道や伊那街道が整備され、交通の要衝となり、現在、遠州や南遠州と交渉が深いのは、戦国時代以来の活発な往来に端を発しています。
明治維新後は、一八七一年に三河の各藩を中心とする額田県となりましたが、翌年に尾張地域と統合して、現在の愛知県になっております。戦前は、豊橋に第十五師団司令部、豊川に海軍工廠が置かれ、戦後は、三河港の誕生を機に、自動車などの製造業、豊川用水の整備により農業の発展に弾みがつき、現在に至っております。
この歴史ある東三河地区に東三河県庁の設置は知事の公約でもあり、私ども東三河人としては、今までの西高東低の予算配分の是正を強く望んでおります。
知事は、平成二十四年度からの設置を目指し、一定の権限や財源を持たせることを想定し、東三河を県政の柱にしたいと、四月二十六日のプロジェクトチームの初会合で言われました。私も大いに期待をさせていただきたいと思いますが、今の県庁と東三河県庁のすみ分けをどのようにしていくのか。さきの代表質問で、大見議員の答弁で大枠はわかりましたが、私は、少し詳細にお尋ねをしていきたいと思います。
まずは、東三河の将来ビジョンの部分で、東三河地区の主要幹線道路についてお伺いをいたします。
東三河地区は、中京尾張地区に比べて、大変主要幹線道路整備がおくれているのが現状であります。主要幹線道路の中でも、特に蒲郡地区における一般国道二十三号バイパス、名豊道路については、平成二十四年度までに幸田町の芦谷インターから仮称蒲郡西インターと蒲郡インターまでが開通になるとお聞きいたしております。蒲郡インター以東は、平成十九年四月に事業化になっていますが、完成予定年度が明示されていないことから、当分の間、名豊道路利用交通が蒲郡市内に流れ込むことになると思います。
そこで、この交通を一般国道二百四十七号中央バイパスが受け持つことになるわけですが、その場合、いまだに都市計画道路衣浦蒲郡線までの第五工区と第六工区の坂本線からの西側の千九百二十メートルが未整備であります。
本路線は、蒲郡市の市街地外周部を東西に結ぶ主要幹線道路で、東名高速道や一般国道二十三号蒲郡バイパスなどの広域道路のアクセス機能を担うと同時に、ラグーナ蒲郡の交通アクセスといたしましても重要な道路であります。
蒲郡市の市街地における振動、騒音は、市民の安眠を妨害するものであり、また、慢性的な渋滞等を解消するためにも早期の全線開通が望まれます。
そこで、事業主体が愛知県の国道二百四十七号中央バイパスの進捗状況についてお伺いをいたします。
また、あわせて、蒲郡インターから南に流れる車だけでは交通量がはけ切れなく、インターより北の国道一号へ流れる車も出てくると思います。その場合、音羽蒲郡有料道路は、建設費四十一億三千万円で昭和六十一年十一月に供用開始し、平成二十八年十一月まで有料となっております。
当該道路は、東名高速道路や国道一号から蒲郡市へのアクセス道路として、観光、産業、広域交流等、広く利用され、交通量は計画に対し上回っており、償還金の早期返済の可能性は高いとうかがい知るところであります。
また、平成十四年四月にラグーナ蒲郡がオープンし、平成十九年四月には、国道二十三号蒲郡バイパスの全線事業化が決定いたしました。したがいまして、今後ますます交通量の増加が見込まれ、市街地の交通渋滞緩和や観光蒲郡の発展、地元産業の活性化のため、音羽蒲郡有料道路の無料化が必要条件となってくると思いますが、仮称蒲郡西インター、蒲郡インター開通と同時に無料化をぜひお願いしたいと思います。
そこで、無料開放の時期についてお伺いをいたします。
次に、名鉄西尾・蒲郡線維持存続のための支援についてお伺いをいたします。
現在、三河南部地域の主要公共交通機関として、名鉄西尾・蒲郡線があります。この路線は、学生や老人など交通弱者への配慮、環境保全、地域発展の観点から、沿線市にとって必要不可欠な路線となっています。
しかしながら、自動車の普及などにより大変厳しい経営を強いられており、名古屋鉄道は、事業者単独での存続は困難として、平成十七年十二月に、沿線の西尾市、蒲郡市、旧吉良町、旧幡豆町の二市二町と名鉄西尾・蒲郡線対策協議会を設立し、実に九回の協議を重ねてきました。愛知県も、平成二十一年九月から構成員として加わっております。
この路線は、高校生など定期乗車券での通学者が平成二十一年度実績で年間百五十三万人を超えるなど、利用者の半数を占めています。路線の廃止によって希望する高校への進学がかなわず、人生の選択肢が狭まってしまっては、希望に満ちた子供たちの夢をつんでしまうことにもなりかねません。そのため、名鉄西尾・蒲郡線を道路と同様の社会基盤ととらえ、鉄道施設保有にかかわる費用の一部として、沿線市で年間二億五千万円の支援を本年度から当面三年間行うことを対策協議会として決定いたしました。
また、行政、地域住民、地元経済界、学校等が連携した組織を立ち上げて、地域総ぐるみで利用促進と沿線の活性化に取り組んでいくと伺っております。
そうした中、県におかれましては、このたびの補正予算案において、沿線の西尾市、蒲郡市に対して三分の一支援する内容の予算を計上いただき、関係者の一人として大変感謝しているところであります。
そこでお伺いをいたしたいと思います。
県の補助予算は、毎年度議論していくことが当然であることは十分承知しておりますが、沿線地域も一生懸命汗を流し始めたところであります。例えば、ことし一年、思うように乗客数が伸びなかったからといって、もう県は支援しないというのではなく、現在、沿線市が考えている、少なくとも三年間は地域の取り組みに御理解をいただき、格別の配慮をお願いしたいと存じます。今後の補助について、県としてどのような考えを持っているかお聞かせください。
次に、東三河の物流の拠点であります三河港についてお聞きいたします。
直轄港湾整備事業の対象となる重点港湾の絞り込みの中で、昨年八月に、地域の拠点性、港湾の伸びしろ、民の視点等を総合的に勘案し、重点港湾百三港のうち、原則として新規の直轄港湾整備事業の対象となる港湾が四十三港に絞り込まれました。中部経済圏からは、三河港、衣浦港、御前崎港が選定されました。その中の三河港は、取扱貨物量は、二〇一〇年には年間二千三十五万トン、貿易額は二兆二百九十億円で、自動車の取扱台数は年間約七十五万台で、世界第五位であります。
この港湾計画が五月に改定され、新たな計画が策定されていますが、二〇〇八年の世界同時不況以降、新興国を中心とした自動車物流のグローバル化が進展する中、日本の自動車産業の停滞や海外流出は、自動車関連貿易の国際的な地位の低下、果ては、国内産業全体の衰退を招くことが懸念されています。
このような情勢の中、自動車港湾に対する振興策が提案されていますが、その中でも、三河港における港湾施設整備の現在の進捗状況と今後の整備の考え方をお聞きいたします。
また、三月十一日に東日本大震災がございました。未曾有の大災害であり、被災された皆様にはお見舞いを申し上げ、亡くなられた方々、行方不明の皆様には心よりお悔やみを申し上げます。一刻も早い復旧、復興を願うばかりでございます。今回の教訓を踏まえ、東海、東南海、南海の三連動地震に備え、津波対策もしっかりやっていかなければなりません。
東三河地域においては、二〇〇九年十月の台風十八号による高潮被害が記憶に新しいところでございますが、最近の知見による被害予測や災害対策を早急に見直すとともに、津波、高潮対策の強化を念頭に、埠頭用地のかさ上げ等の事業を早期に行うべきと考えます。
また、港湾を広域的で一体的なものとしてとらえ、災害情報を統括的に管理、伝達する体制の構築をお願いします。有事の場合、陸路からの緊急物資搬入が困難になるケースもあり、港の整備もしっかりやっていかなければなりません。
そこで、港の地震対策については、現状はどのように進んでいるか、また、今後の計画をお伺いいたします。
次に、東三河の農業生産基盤の整備についてお聞きいたします。
御存じのように、東三河の農業生産額は県全体の半分以上を占めており、平成十八年の農業産出額は千五百六十八億円で、岐阜県の千二百三十六億円、三重県が千百四十二億円を上回る全国指折りの農業生産を誇る地域となっております。
しかしながら、こうした先進的な農業地域であっても、担い手不足は否めません。将来にわたって意欲ある農業の担い手を育成、確保していくには、十分な所得が確保できる夢のある農業経営を実現していかなければならないことは言うまでもありませんが、そのためには、すぐれた生産力を維持し、競争力を高めることができる農業生産基盤の整備が不可欠であると考えます。
そこで、現在の東三河の土地改良事業の計画、特に蒲郡市における大塚千尾地区について、三月に県及び蒲郡市において作成された大塚地区活性化計画を国に提出し、計画の概要等の公告、総代会の承認を経て、施工主体である蒲郡市土地改良区は、平成二十三年六月二十日に申請書を提出したと聞いております。現在の進捗率と今後の見通しについてお伺いをいたします。
次に、豊川用水二期工事事業についてお伺いをいたします。
豊川用水の恩恵は、東三河になくてはならないものであり、このおかげで農業、工業の発展があり、今日があります。
しかしながら、通水以来三十年以上が経過し、施設の老朽化が進んでいることに加え、東海・東南海・南海地震などの大規模地震の発生が危惧されており、さらには、支線水路の石綿セメント管は水質面では問題ないものの、設置後三十年から四十年が経過し、漏水事故が多発しているとお聞きいたします。
この石綿セメント管対策では、県も水資源機構より工事の一部を受託施工していると伺いますが、東三河にとって本事業は非常に大事な事業と認識しており、一刻も早い完成が待たれるところであります。
そこで、豊川用水二期事業の進捗状況と今後の見通しについてお伺いをいたします。
最後に、東三河県庁のあり方についてお聞きをいたしたいと思います。
東三河に所在する県の地方機関について、東三河県民事務所、東三河福祉相談センター、東三河農林水産事務所など、多くの行政分野別の事務所が散在していますが、地域や行政分野を超えた課題については実質的な決定権を持っておらず、場合によっては、事務連絡の窓口としての機能にとどまっていることもあるのではないでしょうか。このため、現在の多様化する行政課題に対して迅速に対応ができていないのが現状です。
東三河のポテンシャルを最大限発揮することを可能にするため、県の権限事務の中でも、特に地域づくりの基礎となる分野においては、常に地域の実情を把握し、東三河県庁が決定権を持つべきだと考えます。
知事は、中京都構想と東三河県庁設置は決して相入れないものではなく、中京都構想の柱だと言われました。私どもから見ますと、愛知県と名古屋市が合体して世界に通用する中京都をつくることはわかるわけでございますが、愛知県庁と東三河県庁のすみ分けが理解できません。東三河の要望を聞いていただくために、東三河県民事務所が東三河県庁に名前が変更しただけということなら、今までよりもさらにもっと大きい防波堤ができたにすぎません。それでは私どもも困ります。決してそのようなことはないと思いますが、東三河にとってプラスになるように、以上、申し述べました項目を踏まえまして、今後、東三河県庁設置に当たり、財源と権限の移譲をどの程度までしていただけるのか、現在の検討状況についてお尋ねをいたします。
県の財政状況、大変厳しい中ではございますが、配慮いただきまして、以上で私の壇上での質問を終わります。(拍手)
- 29:◯建設部長(近藤隆之君) 初めに、東三河の主要幹線道路についてのお尋ねのうち、国道二百四十七号中央バイパスの進捗状況についてでございます。
このバイパスは、平成二十年度に荒子トンネルが開通し、これまでに全体約五・七キロメートルのうち、東側の約三・七キロメートルが供用済みであり、残る西側の約二キロメートルについて事業を進めております。
東側の供用済みの区間につきましては、近く供用する名豊道路の仮称蒲郡インターチェンジを利用し、豊橋方面へ向かう交通の主要なアクセスとして、大変重要な役割を果たすものと考えております。
また、事業中の区間のうち、特に芦谷蒲郡線より西の区間につきましては、仮称蒲郡西インターチェンジを利用して、蒲郡の市街地や、三河港の蒲郡地区へ向かう交通のアクセス性の向上を図るため、名豊道路の供用に合わせて整備を進めてまいります。
なお、このバイパスにつきましては、全線がつながることにより、蒲郡市の市街地へ流入する通過交通を迂回、分散させ、中心市街地の渋滞緩和を図るとともに、医療拠点の蒲郡市民病院やラグーナ蒲郡への主要なアクセス道路としての役割が十分果たせるものと考えております。
したがいまして、芦谷蒲郡線から東の残る区間につきましても、地元蒲郡市の御協力を得ながら、残る用地の取得に努め、用地がまとまったところから順次道路築造工事を進めるなど、全線の早期供用に向け、さらに努力してまいりたいと考えております。
次に、音羽蒲郡有料道路の無料開放の時期についてでございます。
音羽蒲郡有料道路は、東名高速道路の音羽蒲郡インターチェンジから蒲郡市に直結する三キロの有料道路で、観光客など多くの方々に御利用をいただいております。
昭和六十一年十一月の供用開始後、平成元年度からは交通量が計画を上回っており、平成二十二年度は、一日当たりの計画台数が四千三百七十六台に対しまして、実績台数が四千八百三十二台と、計画に比べ約一〇%の増となっております。
現在の状況がこのまま推移すれば、平成二十八年十一月の料金徴収期間満了を待たずに、料金徴収で建設費等を賄うことができる見込みであり、名豊道路の仮称蒲郡インターチェンジの供用開始時期までに無料開放ができるものと考えております。
次に、三河港における港湾施設整備の現在の進捗状況と今後の整備の考え方についてでございます。
三河港は、東アジア地域の急成長など、大きく変化する社会経済の中で、完成自動車の国際海上輸送のハブ港として、引き続き我が国の自動車産業を支える重要な役割が求められております。
このため、ことし五月に改定した新たな港湾計画で、蒲郡及び神野地区を自動車物流の中核として位置づけたところで、三河港がこれまで以上に自動車流通港湾として発展できるよう、さらなる港湾施設整備を図ってまいります。
蒲郡地区では、船舶の大型化に対応するため、水深十一メートル岸壁の整備を進めており、平成二十六年度末の一部供用を目指しまして、今年度、ケーソンの製作などを行っているところでございます。
また、神野地区においては、今後増加が見込まれる完成自動車の輸出入に対応するとともに、大規模地震時には緊急物資などの受け入れ拠点としての役割も担う水深十二メートルの耐震強化岸壁の早期整備を図ってまいりたいと考えております。
三河港につきましては、こうした物流基盤のさらなる機能強化を図るとともに、関係者と連携し、ポートセールスなどの港湾振興に取り組み、自動車ハブ港としての国際競争力のさらなる強化に努めてまいります。
次に、三河港における地震対策についてでございます。
三河港では、大規模地震が発生した際に、海上から緊急物資の受け入れ拠点となる耐震強化岸壁を、現在、蒲郡、船渡、田原の三地区に配置しておりますが、さらなる機能強化を図るため、神野地区で新たに、また、田原地区では、既存岸壁の改良を港湾計画の中で位置づけたところでございます。
今後、これらの耐震強化岸壁を早期に整備するとともに、そこに接続する臨港道路の橋梁について、耐震対策を進めてまいります。
また、平成二十一年の十八号台風による高潮被害対策として、港湾貨物の緑地への一次避難や港湾関係者への災害情報の提供などの対応を図ってきておりますが、今年度からは、コンテナ流出防止さくの設置や、埠頭用地等のかさ上げを順次進めてまいります。
これらの高潮対策につきましては、津波の対策としても効果があるものと考えております。
本県といたしましては、東日本大震災を受けて、港湾における津波、高潮に対するハード、ソフトの防災対策について、新たな知見を踏まえた見直しを行い、三河港の防災機能のさらなる向上に努めてまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
- 30:◯地域振興部長(山田周司君) 名鉄西尾・蒲郡線の維持存続のための支援についてお答えをいたします。
名鉄西尾・蒲郡線は、沿線地域住民の生活の足であると同時に、本県の広域交通ネットワークの一部を形成し、三河地域の活力の維持、活性化を図る上で重要なインフラだと認識しております。
そのため、本県としましては、沿線地域が中心となって行っている路線維持の取り組みにできる限り協力するとともに、今般、路線維持に必要な負担を行う沿線市に対し支援をすることといたしました。
しかし、この先も鉄道として維持していくためには、何よりも地域を挙げてしっかりと利用促進、地域の活性化に取り組んでいただく必要があると考えております。
そうした中で、今後につきましては、沿線市は、当面三年間の支援を行うこととしておりますので、県としましても、毎年の予算編成の中で、利用者数の動向や地域の利用促進に向けた取り組みの成果について検証を行いながら、支援のあり方を検討の上、対応してまいります。
以上でございます。
- 31:◯農林水産部農林基盤担当局長(溝田大助君) 東三河地域の農業生産基盤の整備について、二点の御質問をいただきました。
まず、東三河地域における土地改良事業の計画、特に蒲郡市における大塚千尾地区の進捗率と今後の見通しについてのお尋ねであります。
東三河地域では、本年度十八地区、約三千百ヘクタールの農地を対象として、農業用排水施設の整備や、農地の区画整理などの土地改良事業を実施しております。
今後の計画といたしましては、平成二十四年度以降の五年間で、新たに三十五地区、約二千五百ヘクタールの整備について、地域から御要望をいただいておりまして、関係市町村や土地改良区と連携を図りながら、事業化に向けた調査、検討を進めているところでございます。
特にお尋ねの大塚千尾地区につきましては、特産である蒲郡ミカンの果樹園、約八ヘクタールの区画整理などを行うもので、地元の皆様方の御熱意によりまして、本年度、国の農山漁村活性化プロジェクト支援交付金の対象地区として新規採択されたところでございます。事業実施初年度である本年度は約一・三ヘクタールを整備し、進捗率は約一六%となる見込みであります。また、今後の見通しにつきましては、平成二十七年度完了の計画となっております。
次に、豊川用水二期事業の進捗状況及び今後の見通しについてでございます。
豊川用水二期事業は、独立行政法人水資源機構が幹線水路などの老朽化対策、大規模地震対策及び農業用支線水路の石綿管除去対策を進めている事業でございます。
老朽化につきましては、幹線水路八十八・二キロメートル、支線水路五十五キロメートルの改築を進めておりまして、本年度末で完了する予定でございます。
大規模地震対策につきましては、東海地震及び東南海地震に対する耐震性が不足している幹線水路十六・四キロメートルと渥美半島の先端にある初立池の耐震対策工事などを進めており、本年度末の進捗率は三九%となる見込みであります。
石綿管除去対策につきましては、農業用支線水路四百十四キロメートルの改築を進めており、本年度末の進捗率は五一%となる見込みであります。本事業の今後の見通しにつきましては、平成二十七年度完了の計画となっております。
現在、国の土地改良事業予算の厳しい抑制が続いており、事業期間の延伸などの影響が懸念されるところでございますが、県といたしましては、今後とも農業生産基盤の整備に最大限努力してまいります。
- 32:◯総務部長(野村道朗君) 東三河県庁における財源と権限の検討状況についてお尋ねをいただきました。
東三河県庁は、東三河のことは東三河で決めていけるという体制を目指すものでありまして、いわば愛知県庁の分身ともいうべき組織となるよう検討しているところでございます。
県の行政組織として、各部局はそれぞれの行政分野を所掌するのに対しまして、東三河県庁は、東三河地域に関するさまざまな行政分野について、横断的に所掌する位置づけになるものと考えております。
このため、東三河県庁におきましては、現場主義で地域のニーズをしっかりとくみ上げ、東三河地域に真に必要な施策を見きわめた上で、企画立案段階から事業を組み立て、実現できるような仕組みや、それに必要な財源、権限のあり方について検討していくこととしております。
また、東三河地域にかかわる個々の事務処理に当たりましては、可能な限り、この東三河県庁で決めていけるような具体的な権限も必要と、このように考えております。
一方で、行革の取り組みを進める中で、簡素で効率的な体制としての視点も重要でございます。県全体としての効率性や統一性も考慮しながら、関係部局としっかり調整を進め、平成二十四年度の新体制のスタートに向け、組織、体制を整えてまいりたいと、このように考えております。
- 33:◯二十四番(飛田常年君) 私、四点の要望と一点の再質問をさせていただきます。
まず、主要幹線道路の一般国道二百四十七号中央バイパスにつきましては、慢性的な交通渋滞の緩和のために一刻も早い全線開通が望まれます。あわせて、仮称西蒲郡インター開通と同時に、音羽蒲郡有料道路の無料開放をぜひお願い申し上げます。
名鉄西尾・蒲郡線においては、道路と同様の社会基盤ととらえ、地元沿線地域の住民にはなくてはならない生活の足であります。今後、継続して蒲郡市、西尾市とともに支援をお願い申し上げます。
三河港における港湾施設整備については、地震対策を含め、蒲郡港のマイナス十一メートル岸壁と埠頭整備は、物流の拠点として、地元発展のため、首長を初め先輩議員が長年かけて要望してきた整備であります。ぜひとも早期の整備をお願い申し上げます。
農業振興の中で、大塚千尾地区農業基盤整備事業について、後継者育成、農業の活性化のために、地元の地権者が長年かけて要望してきた事業であります。こちらも強く早期の整備をお願い申し上げます。
最後に、一点再質問をさせていただきます。永田副知事にお願いを申し上げます。
東三河県庁のあり方については、非常に期待できる施策として知事の考えを受け入れさせていただき、ぜひとも財源と権限の移譲を最大限の努力をお願いいたします。
まず、東三河県庁というと、東三河のどこかに県庁が建てられるんだということを私も何人かの方に聞かれました。もしそういうことであるならば、一番大きな豊橋市ではなく、県も出資しているラグーナ蒲郡にぜひ建てていただければと思っております。土地はそこもたくさん余っておりますので。そして、年に一回は、東三河県庁において本会議を開催していただきたい。
また、東三河県庁設置については、いろいろなプロジェクトチームやアドバイザリーボードをつくって、幅広い意見を取り入れると言われておりますが、私ども県民の代弁者であります東三河の県議会議員にはまだ何もお話がありません。どういうことなのか、少し説明をお伺いいたしたい。
また、東三河担当の永田副知事におかれては、豊橋に現在住まわれているとお聞きをいたしております。東三河のよいところをたくさん引き出していただきまして、より発展できる東三河、愛知県にしていただきたいと思います。
最後に、永田副知事に、東三河県庁設置についての意気込みと抱負をお伺いいたします。
- 34:◯副知事(永田清君) 私から、東三河県庁の設置についてお答えを申し上げます。
私も、東三河、今、豊橋にこの四月から住んでおりますけれども、大変ポテンシャルの高い地域であると実感しているところでございまして、東三河の振興をこれからしっかり進めていかなければならないというふうに認識をしているところでございます。
そしてまた、例えば議員の地元でございます蒲郡市、今、お話がありましたけれども、私が建設部の時代に何度も足を運ばさせていただきましたラグーナ蒲郡がございますが、ここは、年間約三百万人の来場者を誇る、東海地方でも有数の観光施設でもございます。そしてまた、私が農林水産部のときに、これは平成二十二年の一月でございますけれども、農業部門で最も権威のあります日本農業賞の大賞に輝きました蒲郡みかんがございます。
このように、東三河地域には魅力のある地域資源がたくさんあるわけでございまして、東三河県庁は、まさにこうした地域の資源を生かし、地域を振興するための拠点でございまして、そしてまた、全国的に例のない全く新しい行政組織を目指すもので、今後の県政発展の大きな柱になるものと考えております。
これまでに、私ども、さまざまな方々にお会いしまして、地域の実情をつぶさにお伺いしますとともに、貴重な御意見、御要望を伺っております。それらを踏まえまして、東三河のことは東三河で決めていける、そのような体制づくりをしっかりと進めまして、来年四月から円滑にスタートできるよう全力で取り組んでまいります。
- 35:◯副議長(深谷勝彦君) 進行いたします。
みやけ功議員。
〔四十九番みやけ功君登壇〕(拍手)
- 36:◯四十九番(みやけ功君) 減税日本一愛知、名東区選出、みやけ功です。
本日の一番過酷な時間帯ではありますが、何とぞ御清聴のほどよろしくお願い申し上げます。
まずは、さきの東日本大震災で亡くなられた方、一万五千五百八名、現在もなお御不明な方、七千二百七名、合計二万二千七百十五名の多くの方々が悲しまれております。本当に御冥福を心からお祈り申し上げます。
さらには、震災でうちを流され、仕事もなくなり、本当に御不自由な生活をされていらっしゃる東北の方々の一刻も早い復興を祈念する一人であります。
ある方が、震災直後に罰が当たったと言われた方がいらっしゃいました。私は、罰が当たったとは思いませんが、しかし、自然界の大きな警告が日本人全体に与えられたんじゃないかなと思います。食べたいものだけ食べ、捨てるものを平気で捨て、買いたいものを買い、即捨てる。老人の孤独死、無縁社会と言われるがごとく、横のつながり、きずながなくなり、本来の日本人である温かい心がなくなるような現状、いじめ、虐待、本当に震災の前までに、もう既に日本は崩壊の状態だったかもわかりません。
ぜひ我々日本人が、大村知事が変えるがごとく、今こそ元気な日本をつくろうではないかということで、この愛知県、名古屋から日本一を目指そうという、本当にすばらしいことを掲げていただき、私は、その勇気に、そして、その気合いに感銘して立ち上がった一人であります。
たまたま今回の四月、我々県議会議員も一から出直しということで、本来の県議会議員、公職者としての原点をもう一度全員で見直す機会かとも思っております。
本日、私は、初めての質問をさせていただきます。この四月、公認の席で大村知事からミスター減税日本と言われ、マスコミの方から減税日本のエースとか最高の刺客とか言われ、持ち上げられ、わけもわからず選挙戦を戦い、そして、一番肝心なのは、多くの有権者の方、県民の方から、みやけならやってくれるだろう、何とかしてくれるだろうという大きな期待をいただいたのは事実であります。何もやっていないみやけがどこまでできるか、とにかく大きな期待にこたえる使命感と責任感いっぱいで、本日、この席に立たせていただきました。
時間の配分がわかりませんので、まず最初に、本日の私の質問を読まさせていただきます。
質問の趣旨は、公僕としての賃金と行政委員、特に議員選出監査委員の報酬についてであります。
四つの質問をさせていただきます。
まず、第一番目、そもそも現在の議員報酬及び職員給与の水準は何を基準にして決定したものでしょうか。
問い二、九委員会ある行政委員の報酬について、現在の報酬月額、最高四十九万九千円から六万四千九百円という報酬を本年の八月一日より半額とし、職務を行った日数に応じて日額報酬を支給する見直しを知事は提案されていらっしゃいますが、その報酬日額一日二万四千円、あるいは一日二万六千円という額は何を基準にして決められた額なんでしょうか。
問い三、九つある行政委員会の中で、特に監査委員の任期は地方自治法上四年とされていますが、なぜか議員から選出される監査委員は、慣例により一年で交代しております。過去の監査の議事録を拝見させてもらいますと、ベテランの議員選出の監査委員といえども、残念ながら発言は非常に少なかったように思われます……
〔「そんなことはないよ。もう一回言い直してくだ
さい」と呼ぶ者あり〕
- 37:◯四十九番(みやけ功君) (続) はい。ありがとうございます。
これは、専門的な知識や経験が必要な監査委員を一年で交代していることの弊害ではないかと考えられます。もし一年じゃなく二年、三年と経験を積めば、かなりの発言が出るのではないかと私なりに感じさせていただきました。なぜならば、議員選出の監査委員に求められる役割は、議員経験をもとに議員としての視点より監査を行うという大切な役割であります。
このように、行政委員というよりも県議会議員として監査に参加するということであるならば、議員選出の監査委員に限り月額報酬部分は支給をせず、監査を行った際に支給する日額報酬のみとすべきではないでしょうか。見解を求めさせていただきます。
最後の質問ですが、現在、東日本大震災の被災地には、本県を初め全国各地から大勢のボランティアが集まり、復興支援に大きな役割を果たしております。
このように、県民のボランティア意識は非常に高いものがございます。行政委員会の委員は非常勤の特別職であり、公式な行事の日数は月に数回、限られたものであると思いますので、各専門分野のボランティアによる参加が可能ではないでしょうか。
そこで、この際、他府県はともかくとして、我が愛知県の行政委員については、各専門分野のボランティアの方々に委員に就任していただくよう改めることはできないでしょうか。現在の行政委員の報酬予算である総額約二億円を削減しようというお考えはないでしょうか、お尋ねいたします。
この質問をさせていただくに当たりまして、私は、過去の議事録を調べさせていただきました。残念ながら、今回の賃金、あるいはこの行政委員に関する質問は、私は見つけることができませんでした。ということは、今回の私が、賃金とか、あるいは報酬とか、この行政委員の、特に議員選出の報酬について、初の質問ではないかと思います。現在、愛知県民の皆さんが一番注目をしております議員報酬、あるいは二重取りじゃないかという、そういった議員報酬に関するテーマの質問をさせていただく、あるいは情報公開の一翼になればと思って質問させていただいております。一生懸命勉強をやらさせていただいております。
さて、現在の我が国は、戦後の混乱期以来、実に五十九年ぶりに生活保護受給者が二百万人を突破いたしました。ことしの三月三十一日現在、二百二万二千三百三十二名という大変な数字であります。受給者の内訳は、高齢者とか障害者が多い。それはもちろんでありますが、問題なのは、今ふえているのは、まさしく現役世代の失業であります。二〇〇九年度の数字を申せば、現役世代の十七万世帯が生活保護家庭となっており、先般の東日本大震災の東北三県下では、実に十一万人を超える方の失業が生まれました。三月、四月では、その両月では、東北三県下では、五百四十九世帯の新しい生活保護申請世帯が生まれました。
一億総中流社会と言われた日本は一体どこへ行ったんでしょうか。今こそ日本人全員で元気な日本に再生する、しかも、特に愛知県知事が言っている日本のど真ん中から愛知県を元気にするんだ、そして、日本全体を引っ張っていくんだという、まさしくそのときではないでしょうか。
私が所属しております河村たかし代表率いる減税日本の掲げる減税と議員報酬の半額八百万円は、平成不況の今だから多くの有権者の方から支援をいただいたのではないでしょうか。
私個人の公約は、議員報酬と定数の三割カットでありましたが、私も多くの有権者の方々にこたえて、七月より事務所費を削減し、人件費を大幅に削減し、私は名古屋市会議員ではございませんが、八百万円の報酬で議員活動を努力させてもらいたい。個人的ではありますが、個人的に努力させてもらいたい。
そして、けさの朝刊にも載っておりました議員報酬のことについて、本当にマスコミ、そして、有権者、多くの方々が注目しております。我々減税日本一愛知も減額を求め、そして、きょういらっしゃる議員の皆さん方も報酬の減額は同意されているかと思います。
どうかこの厳しい現況、平成不況の、生活保護者がいっぱいいる、失業者がいっぱいいる、そんな中での報酬の御検討をいただければ、県民の皆様の期待にこたえることになるのではないでしょうか。
さらに、本日の質問にかかわる私の公約は、議員特権の完全公開です。これが私の有権者との約束であります。名古屋港管理組合の問題、競輪、競馬、三組合の議員報酬廃止案でも話題になりましたとおり、議員報酬の二重取りではないかという御指摘、そういった問題を我々は真摯に受けとめなくてはならないのではないでしょうか。
私は、河村市長の支援者として、二十三年間、河村たかしさんの政治活動を見てまいりました。我々公職者は、常に税金で活動させていただいております。税金で県民の皆様、有権者の皆様から活動させていただいております。その原点を忘れない、そういう思いで今回の質問をさせていただきました。
若干時間がありますので、確認の意味で質問に入らさせていただきます。
四つの質問の中で、確認でありますが、まず、問い一の、世間では議員報酬はお手盛りだと言われる方が多いです。どうかお手盛りではない、議員報酬の基準、水準はここなんだという御答弁をいただければありがたいです。
そして、問い二の、行政委員の月額を半額にされたという大村県政の大英断、これが八月一日から実施されたならば非常にすばらしいことかと思いますが、しかし、どうしても日額二万四千円、二万六千円という日当のその基準、それが私、まだ民間人のつもりであります、どうしても理解ができません。その基準を御答弁いただきたいと思います。
そして、我々県議会議員としての報酬をいただく、さらに、いろんな専門知識が必要な県議会議員選出の監査委員。確かに大変でしょうが、先ほど来申しているように、日本じゅうで不景気で仕事がなく、収入が減り、そんな中で、我々県議会議員が幾ら時間を使う、幾ら専門知識が必要だといえども、議員選出監査委員ということで月報酬までもらっていいんでしょうか。せめて日額報酬で抑えることはできないでしょうか。
最後の質問ですが、これだけボランティア意識が高まった中で、確かに行政委員、各県全部専門家の方だと思いますが、しかし、今こそ愛知県から専門的なボランティアが愛知県の行政に深くかかわり、そして、みんなで県の行政のコストを下げていくんだと、そういう日本全体の中のモデル県になるお考えはないでしょうか。
以上、私の一般質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
- 38:◯総務部人事担当局長(戸田正彦君) 最初に、議員報酬及び職員給与についてお答えさせていただきます。
まず、議員報酬につきましては、毎年度、条例で設置しております特別職報酬等審議会を開催し、一般職員の給与改定状況、他の特別職の給与、他県の議員報酬などを参考に検討していただいており、改定が必要な場合には、具体的な報酬額の答申をもとに議案を提案し、議会で御審議いただいているところであります。
また、職員給与につきましては、県内の民間企業従業員と職員の給与水準の均衡を図る人事委員会勧告制度があり、この制度に基づく勧告をベースに、国の給与制度との整合も図りながら、毎年度、議会で給与改定の御審議をいただいているところでございます。
次に、今回の見直しによる報酬日額についてであります。
行政委員会は、執行機関として法律に定められた行政事務をみずからの判断と責任において、管理、執行する義務を負っていることから、委員には、その職務、職責にふさわしい報酬を支給すべきと考えております。
今回新たに設定いたしました報酬日額につきましては、本県の審議会委員の報酬日額、他県における行政委員会委員の報酬日額の水準等を考慮したものでございます。
次に、議員選出の監査委員に対する報酬の支給についてであります。
監査委員は、地方自治法及び関係条例の規定により、本県にあっては二人を議員から選任するものと定められております。議員から選任されている監査委員につきましては、議員としてではなく、独立した執行機関として監査委員の職務権限を執行することが求められており、議会の議員としての活動と監査委員の活動は重複するものではないと考えております。
したがいまして、監査委員としての独立した仕事に対して、恒常的な職務、職責を担っていただいておりますので、他の行政委員と同様の考え方で月額報酬を支払う必要があると考えております。
最後に、ボランティア化による行政委員報酬の削減についてであります。
行政委員会は、審議会とは異なり、地方自治法の規定により必ず設置しなければならない機関であり、専門の行政領域の中で重要事項を審議し、時として県民生活に大きな影響を与える決定を行うなど、重要な役割が求められる執行機関でございます。
こうした行政委員会の委員は、専門的な知識や経験が必要であり、所管の法令に基づいた重要な職務権限を行使する立場にあることから、ボランティア化にはなじまないと考えておりまして、その職務や職責に見合った報酬を支給すべきものと考えております。
以上でございます。
- 39:◯四十九番(みやけ功君) 要望させていただきます。
御答弁の中で、いろいろ現況が、初めて、私、わかりました。確かにいろんな意味で、今までの経験等を踏まえて、有識者等々のコストがかかるのはわかりますが、しかし、その職務や責務に見合った報酬、それがどうしても私ら民間人から出てきた者として理解がしづらい。なぜならば、私は、機械工具の問屋をやっており、関東、関西、中部全部回っておりますが、一番の人材不足の非常に、バブルと申しませんが、活況を呈したときでも、仮枠大工というか、とび職と申しますか、非常に危険率極まるそういう専門職ですら、八時間労働で日当が二万八千円、三万円、そういう人たちが今から十年、二十年前、関東でもざらにいらっしゃいましたが、しかし、今やこの平成不況においては、その方々が一万円台、とにかく民間の方々は、本当に、雨が降れば、そういう方々は当然収入がありません。別にそういう専門職の方々と言わず、普通の方々も年収は下がり、本当に苦しい中。ですから、今回の大村県政の半額にされたこと、これはすばらしいと私は思いますが、しかし、ぜひ今後とも、この日当にかかわる民間の感覚といかにずれているか、あるいはずれていないか、そういった御検討をしていただくよう強く要望を申し上げ、終わらさせていただきます。ありがとうございました。
- 40:◯副議長(深谷勝彦君) 進行いたします。
渡会克明議員。
〔七十番渡会克明君登壇〕(拍手)
- 41:◯七十番(渡会克明君) 議長のお許しをいただきました。通告に従い、順次質問をさせていただきます。
質問の第一は、東日本大震災を踏まえた今後の地球温暖化対策の取り組みについてお伺いをいたします。
去る三月十一日の東日本大震災とそれに続く福島第一原発の事故は、五月の浜岡原発の停止につながり、この中部地域においても、ことしの夏は、平日の昼間を中心とする電力の逼迫が大きな課題となっております。
このため、県内の大規模工場においては、土日に操業し、それ以外の日を休業に当てるなどの取り組みが表明をされており、身近なところでも、ショッピングセンターや駅、電車など、いろいろなところで看板や室内、商品棚の消灯や電灯の間引き、冷房温度の見直しなど、さまざまな努力が始められています。こうした企業の取り組みが進むにつれ、人々の意識も変わってきているものと思われます。
中部地域では、関東や東北のような節電の数値目標こそ示されてはおりませんが、各家庭や中小事業所でも、それぞれ自分のできることを精いっぱい考え、実践しているものと思われます。ありがたいことであります。
マスコミの報道によれば、家電販売店では、扇風機が例年の数倍という売れ行きであり、企業等の取り組みとともに、この夏の電力逼迫を乗り切るために大いに役立つものであると思われます。
こうした状況をさらに大きな課題である地球温暖化の防止対策という観点から見てまいりますと、今回の電力逼迫は、かつてない大きなチャンスであるという見方もできるのではないかと思います。もちろん、社会の省エネ化を進めるために、一時頑張るとか、我慢するというだけでは十分ではありません。エアコン、冷蔵庫といった省エネ家電の導入に始まり、車や、さらに長い目で見れば、住宅までも省エネ型のものに変えていくことが必要になってくると思います。そうした大がかりな社会の変革のためには当然長い時間が必要でありますが、機を見て、少しずつでもそうした方向に持っていくための不断の努力が必要であると思います。
昨年の十二月まで、政府により実施されていた家電エコポイントや、ことし七月末までに実施されている住宅エコポイントなどは、非常に大きな効果があったと思います。もちろん、これらの施策には、景気対策という別の側面があったことは承知をしております。しかし、県民の皆様に、こうしてほしいというメッセージと、そこで得られるメリットをセットで提示することが極めて有効であるということは言えると思います。
本県では、これまで地球温暖化対策に関する啓発に積極的に取り組んでまいりました。そうした中で、今回の電力逼迫で高まっている省エネ、節電に対する県民の皆様の意識を持続的な行動に転換していくということが重要であると考えます。
例えば県民と企業が一体となって省エネに取り組む運動を展開するなど、愛知県として、従来の施策から一歩進んだ取り組みを進めるべきではないでしょうか。
そこでお尋ねをいたします。
今回の電力逼迫を契機として、脱温暖化の観点も踏まえた省エネの実践行動を促進するために県民の皆様の意識啓発に県としてどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
次に、地球温暖化対策においては、省エネルギーの推進も重要でありますが、再生可能エネルギーの導入をさらに推進していくことも必要であると思います。
原子力は、資源のない日本が安定的に確保できるエネルギーとして、また、地球温暖化対策の一つとして、開発や利用が積極的に進められてきましたが、今後、その見直しは避けられないものと考えられます。
しかし、原子力が使えない分を石油や石炭、天然ガスといった化石燃料で埋め合わせた場合、地球温暖化につながるCO2の排出が増加することになり、中部電力だけで浜岡停止前に比べて二二%、一年間で一千二百万トンのCO2の排出が増加すると言われております。
こうしたジレンマを解決していくためには、国内で確保でき、かつCO2排出の少ない再生可能エネルギーの比重を高めていくことがぜひとも必要であると思います。
中でも、太陽光発電は、一年を通じて日差しが明るく、平野の広い本県の気候的、地勢的条件に合致し、特に重要であると考えられます。実際に住宅用太陽光発電の設置件数は本県が日本一であると聞いておりますが、震災を契機として、他の都府県でも力を入れているところであります。本県もその強みをさらに強化して、太陽光発電といえば愛知、愛知といえば太陽光発電と言われるように、今後さらに重点的に取り組んでいただきたいと思います。
加えて、住宅用太陽光発電は、東日本大震災の停電時にも自立運転に切りかえ、家電製品の電源として使うことができたと伝えられており、停電の影響を軽減し、災害時に生活を確保することにもつながるものであります。
そこでお伺いいたします。
知事の環境マニフェストでも、太陽光発電の支援が重点施策として取り上げられているところであり、今後の展開に大いに期待するところでありますが、県としてどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
質問の第二は、県民の命を守る食品衛生行政についてお伺いをいたします。
富山県を初めとする焼き肉チェーン店で四名の死者を出し、重症者も二十名を超える腸管出血性大腸菌O111による重大なユッケによる食中毒が発生し、大きな社会的問題となったのは記憶に新しいところであります。
この食中毒の原因となった食肉の生食、いわゆるユッケは、今回、食中毒の原因となった焼き肉チェーン店に限ったものではなく、日本全国多くの店が提供しているものであり、どこで同様の食中毒がいつ発生しても不思議ではなかったと考えられます。
そんな中で、実は先週末に、本県小牧市の焼き肉店で腸管出血性大腸菌O157による食中毒が発生した旨の報告がありました。六月十日にユッケ、レバ刺しなどを食べた女性客六名全員が下痢、腹痛などを訴えました。全員回復に向かっているとのことで安心をいたしました。
この焼き肉店には、愛知県が五月十八日に生食用食肉を取り扱う施設に対する緊急監視を実施し、営業者から生食用食肉の提供を当面自粛するとの回答がありましたが、あろうことか、翌五月十九日から生食用食肉の提供を再開していたとのことであります。
生食用食肉の衛生基準はあっても罰則がない。衛生的な取り扱いを厳守している業者が大多数だと思いますが、このように、違反を承知で加熱用牛肉を生で出す特定の業者のモラルが厳しく問われます。現在、この焼き肉店は、春日井保健所により営業禁止となっています。
ところで、厚労省は、一九九六年に腸管出血性大腸菌O157の食中毒事件で八人の死者が出たことを受けて、九十八年、局長通知で生食用食肉の衛生基準を設け、細菌がつきやすい表面を削り取るトリミングなどの処理を行うように定めました。しかし、これには法的強制力はなく、中には、この基準があったことを知らない業者もあると言われており、県などの食品衛生監視員による日ごろの監視指導が非常に重要であると考えます。
この問題は、食の安全、または人命に直結するものであります。法的不備を把握しながら是正しなかった厚労省の責任は重いと思います。今後、罰則つきの新たな基準の策定など、衛生基準の改正を急いで、再発防止に努めなければならないと思います。
一方で、県民の中には、食肉の生食の危険性を十分理解していない方もあり、このような食品のリスクに対する県民への啓発は食中毒の予防となり、ひいては食の安全・安心を確保する重要な要素であると考えます。
愛知県では、広報活動を行っており、リーフレットを発行し、啓発しています。
紹介しますと、肉は新鮮なら刺身で食べても大丈夫。これは間違いで、肉の鮮度にかかわらず、食肉等を生や加熱不足で食べてしまうと食中毒を起こす可能性が高くなります。また、子供や高齢者の方には、食肉等を生で食べさせてはいけません。
さらには、鶏肉は生食用の衛生基準がなく、生食用の鶏肉は存在しませんなどと周知を図っています。馬、牛は衛生基準がありますが、豚、鶏はありません。ところが、鶏の刺身は、今、普通に出回っています。カンピロバクター等々、危ないということを厚労省や愛知県も言っているわけであります。しかし、私も初め、県民の皆様がリスクを余りよくわからずに食べておられる場合が非常に多いのではないでしょうか。
ともかく、生では食べないでと訴えながらも、現状を追認し、生で提供するなら、この基準を守ってというのはわかりにくい。しかも、この衛生基準に法的な強制力はなく、安全は生食を提供する店側などにゆだねられているのが実情であります。
ある店主は、保健所の講習などのたびに、できれば生肉を出さないほうがいいと要請される。だが、その一方で、衛生基準がある。きちんとした規制をしたほうが事故も起きないし、お客さんも納得する。このように、行政のあいまいな姿勢を指摘する声もあります。
この北陸を中心とした焼き肉チェーン店の集団食中毒を受け、厚労省は五月十日、ことしの秋にも、食品衛生法に基づく生食用食肉の衛生規格を新設し、罰則を設ける方針を明らかにするとともに、違反業者に肉の回収や営業停止を命じることが可能になり、場合によっては、二年以下の懲役または二百万円以下の罰金が科せられることになるとも聞いております。
席上、厚労省は、規格新設までの措置について、都道府県などに通知したことを報告いたしました。生食を提供する際は、表面を削り取るトリミングなど、同省ガイドラインに従った処理をどこで行ったのか、メニューや店内に表示するよう、飲食店を指導することを求めました。
このような中で、北陸を中心とした今回の食中毒の発生を受け、県はどのような対応をしてきたのか、本県の食の安全に対する取り組みについてお伺いをいたします。
また、このような食中毒の発生防止を初め、食の安全・安心の確保には、日ごろから行政と業者がそれぞれの役割をしっかり果たすとともに、さらには、行政と消費者との連携した対応が重要であると考えます。
食品を扱う各営業施設には、県の条例、すなわち食品衛生に係る営業の基準に関する条例に基づき、食品衛生責任者の選任が義務づけられております。この食品衛生責任者の役割は、食品衛生上の危害の発生を防止するため、施設の衛生管理の方法に必要な注意を払うことなどであり、これがしっかりと機能していれば、今回の小牧市で発生したような食中毒事例は防げたのではないでしょうか。営業者は、各施設の食品衛生責任者の適切な業務遂行を徹底し、また、行政は、これが確実に機能していることを確認することが重要であると考えます。
一方、県民の皆様におかれましても、飲食店に対し、生肉の提供を強要するような誤った行動をとることのないよう、正しい知識の普及が不可欠であります。食の安全を確保する、県民の命を守る明快な対策は急務であります。私たちも注意を怠らず、食中毒を防いでいきたいと思います。
食の安全は、命の根幹にかかわる問題であります。今後、この食の安全・安心の確保のために、県としてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
最後の質問は、東三河地域における地震に強い道路づくりについてお伺いをいたします。
去る三月十一日に東北・関東地方で発生した巨大地震とそれに伴う大津波は、各地に甚大な被害をもたらしました。改めまして、亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された地域の一日も早い復興を願うものであります。
一方で、今回の東日本大震災は、我々にさまざまな教訓、気づきを与えてくれました。私は、その一つに、地震に強い道路づくりが挙げられると思います。
今回、東北地方から関東地方にかけての太平洋側を中心に、多くの箇所で道路が寸断され、道路網としての機能が低下する中、日本海側の北陸道や関越道などが救援物資の輸送等、震災発生直後の迂回ルートとして重要な役割を担いました。
また、被災地内陸部を南北に貫く東北道、国道四号は、震災翌日には速やかに緊急車両の通行が可能となりましたが、これらの道路を軸に、内陸から三陸沿岸の被災地にくしの歯形に国道等の救援ルートを多数確保するなど、災害に強い軸となる幹線道路が迅速な救援復旧活動に大きく寄与をいたしました。
このように、短期にルートが確保されたのは、阪神・淡路大震災での道路の被害を踏まえ、耐震補強対策を実施してきた結果、落橋などの致命的な被害を防ぐことができたことが一つの要因とも言われております。
こうした状況を私は被災地で目の当たりにして、改めて耐震対策や高速道路におけるダブルネットワークなど、緊急時の輸送を担う災害に強い幹線道路網整備の重要性を痛感した次第であります。
この地域においても、東海地震、東南海地震、南海地震の発生が危惧されており、私の地元の住民からは、今回の東日本大震災のような巨大地震が発生しても、既存の道路は大丈夫なのかという多くの声をお聞きいたします。東三河地域では、一級河川豊川を初め、数多くの河川によりエリアが分断されており、緊急時における避難はもとより、被災後の救援活動においても橋梁が通行できることが大変重要であると思われます。
そこで、道路、特に橋梁に対する耐震対策の方針と、東三河地域における現在までの実施状況及び今後の見通しについて、まずお伺いをいたします。
次に、幹線道路網の整備についてであります。
東三河地域の主要幹線道路の実情を見ますと、東西に走る東名高速道路と新東名高速道路や国道一号と名豊道路といったダブルネットワークを形成する道路の整備が進みつつあります。
新東名高速道路については、来年度には静岡県内が供用する予定と聞いております。県内の新東名高速道路の整備については、それより二年おくれの平成二十六年度と聞いておりますが、平成二十六年度と言わず、少しでも早い供用を願わずにはおられません。
また、名豊道路については、豊橋バイパス、豊橋東バイパス及び蒲郡バイパスの幸田芦谷インターから蒲郡インター──仮称でありますけれども──までの区間については工事が進み、今年度から来年度にかけて、順次供用が予定されていると聞いております。ただ、蒲郡バイパスの東部区間については、開通時期がいまだに示されておらず、心配しているところであります。
このように、新東名高速道路や名豊道路など、広域的な幹線道路網については、一部の区間を除き、おおむね順調に強化が進みつつあるようですが、問題は、これら広域的な道路と市街地を結ぶ地域の幹線道路の整備であります。
先ほど述べましたように、繰り返しになりますが、震災後の救援、復旧活動の状況を見ておりますと、高速道路等と市街地を結ぶ地域の幹線道路の整備状況が救援、復旧のスピードに大きく影響したのではないかと感じており、道路は、生活を守り、命を守るインフラであることを再認識させられました。
東三河地域においては、南北に長い当地域を連絡する東三河縦貫軸と豊橋、豊川の市街地の外周を環状に結ぶ主要地方道東三河環状線の早期整備が重要な課題であると考えております。
東三河縦貫軸は、国道百五十一号を初め複数の道路で構成され、奥三河山間部から渥美半島までをY字型の道路で、新東名高速道路や三遠南信自動車道、また、名豊道路といった広域的な道路と一体的に機能し、東三河一時間交通圏の確立に寄与する重要な道路であります。
昨年の三月には、新東名高速道路、新城インターへのアクセス道路として、国道百五十一号、新城バイパスが供用するなど、順次整備が進められています。いまだ未着手の箇所もあり、整備が急がれるところではありますが、まずは、現在事業を行っている箇所のますますのスピードアップをお願いしたいと思います。
一方、東三河環状線については、三月に供用した三上工区を含めても約七割の整備状況であり、環状機能が十分に発揮できていません。私の住んでいる多米地区でも、最初の共有部分が昭和五十三年、その後、北へ延長し、牛川地区へ抜けるトンネルをつくろうという部分までが昭和五十七年にできました。その後、工事は休止状態でありました。
地域の方にとっては、昭和五十年代からトンネルか掘割かわからないが、東三河環状線として道が抜けるらしいと、こう期待する話で持ち切りになりました。それがいつの話になるやら、三十数年間、今日まで待ち望んできた状態であります。これでは、ひとたび災害が発生した折には、救急搬送等に支障が出るのは必然であります。
したがいまして、これらの幹線道路は、東海・東南海・南海地震の発生が危惧されている当地域にとって、一刻も早く整備を行う必要がある道路であると同時に、東三河地域の一体化を促進し、産業経済や社会生活を支える上で不可欠な道路であると考えております。
また、東三河地域は、他の地域にない豊富な資源と特色を兼ね備えた非常にポテンシャルの高い地域であり、当地域の発展が県政の大きな柱になるとの認識から、知事は、東三河県庁の設置をマニフェストに掲げられ、この四月には、東三河担当の永田副知事も就任されました。私どもの期待も非常に大きいものがあります。こうした東三河地域の発展を支えていく上でも、産業や観光に伴う人、物の流れを支える幹線道路網の整備は欠くことのできない重要な施策であると考えております。
そこで、これらの東三河地域の骨格を構成する幹線道路のすべてを早期に整備していただきたいと思います。その中でも、特に私がミッシングリンクとして心配している名豊道路、蒲郡バイパスの東部区間及び東三河環状線の東部区間の今後の見通しについて、所見をお伺いいたします。
以上、私の壇上からの質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
- 42:◯環境部長(西川洋二君) 今回の大震災を踏まえた地球温暖化対策につきまして、二点御質問いただきました。
まず、省エネの県民実践活動の促進についてでございます。
現在の電力逼迫のもとで、省エネ、節電に対する県民の皆様の意識はかつてなく高まっておりますけれども、省エネ、節電はCO2の排出抑制につながりますことから、まさに今が地球温暖化対策を進める好機でもあると考えております。
このため、まず、隗より始めよということで、あしたからでございますけれども、実行いたします愛知県庁の省エネ・節電アクション、これは、電力逼迫が予想されます七月から九月にかけての期間限定的な行動ではありますけれども、その内容には、県民の皆様のさらなる意識啓発、日ごろからの省エネ、節電の実践につながる点も多々ございますことから、まずは、このアクションをしっかりアピールしてまいりたいと考えております。
また、省エネ型の社会の実現のためには、省エネ、節電を長く続けること、そのことが大変重要であると思っておりまして、そのためには、省エネ機器の導入、あるいは節電行動の結果として、例えばでございますけれども、電気代の削減といったメリットを実感していただくなど、その動機づけが大切だと考えておるところでございます。
このため、今年度、各家庭の取り組みごとに省エネの効果を数字でわかりやすく理解していただける家庭の省エネ指南書というパンフレットを新たに作成し、普及をいたしているところでもございますし、また、今回の補正予算案では、各家庭が環境家計簿などを用いて、省エネの実践に努力した場合に、協賛企業と組みまして、特典を得ることがといった仕組みづくりも提案させていただいているところでございます。
今後は、こうした知恵を絞った啓発に努めてまいりたいと考えております。
次に、太陽光発電の支援についてでございます。
太陽光発電は、活用が期待できる大変有望な再生可能エネルギーとして力を入れていくべき分野と考えておりまして、率先導入として、これまで西庁舎や、この議会議事堂にパネルを設置するなど、普及に努めているところでございます。
その中でも、特に、住宅用太陽光発電施設につきましては、平成十五年度から市町村と協調して補助を行っておりまして、国が、実は十八年度から二十年度までは補助を中断しておりましたけれども、県としては、その間も途切れることなく補助を実施してまいりました。その結果、累積設置数で約四万八千基と日本一となっているところでございます。
そして、今年度でございますけれども、県下五十四市町村中四十八の市町村と協調補助を行う予定でございまして、今回の補正予算案では、前年度を件数で一千件、金額で見ますと、二千万を上回る予算を提案させていただいているところでございます。
今後は、太陽光発電の導入促進に向け、幅広く検討してまいりますけれども、当面は、この住宅用太陽光発電施設につきまして、電力買取制度の動き、そして、設置費用の低廉化の状況なども踏まえまして、その支援に力を入れてまいりたいと考えておるところでございます。
以上でございます。
- 43:◯健康福祉部健康担当局長(加藤欽一君) 食品衛生行政についてのお尋ねのうち、北陸を中心とした焼き肉チェーン店での腸管出血性大腸菌による食中毒事故を受けた県の対応についてであります。
本県では、今回の事故発生を受け、直ちに生食肉を取り扱う可能性のある千五百五十九施設に調査を行い、このうち、実際に食肉を生食用として提供しているとの回答を得た六十八施設に対し、緊急監視のために立入調査を実施いたしました。
この結果、国の衛生基準に適合しない施設が六十一施設確認され、このうち三十一施設は、生食肉の提供を中止するとの申し出がありました。
提供を継続すると回答した三十施設につきましては、国の衛生基準に適合するよう強く指導を継続し、これまでに十二施設が基準に適合し、一施設は提供を中止しております。残る十七施設に対しましては、基準に適合させるよう引き続き強く求めてまいります。
また、六月二十五日には、生食肉の提供を中止するとの回答を得ていた小牧市内の焼き肉店において、腸管出血性大腸菌O157による食中毒事例が発生したことを踏まえ、既に提供を中止するとの回答を得た施設について、六月二十七日までに再度中止状況を確認いたしました。
なお、県民の皆様には、食肉の生食は危険であるという認識のもと、御家庭では十分に加熱して食べていただき、また、外食では、無理に生食肉の提供を求めないようにお願いをいたします。
次に、食の安全・安心の確保のための取り組みについてであります。
食の安全・安心の確保には、議員御指摘のとおり、食品関係者や県民の皆様と一緒になって対応していく必要があると考えております。
特に、食品関係営業者の皆様には、衛生管理業務の推進や食品衛生思想の向上を自主的に行っていただくことが重要でありますことから、これら営業者で構成する社団法人愛知県食品衛生協会には、今回の食肉の生食による食中毒事例も踏まえた食品衛生責任者に対する講習会の開催など、御協力をいただくこととしております。
また、本県といたしましても、食品等の検査結果から導かれる科学的根拠に基づいた監視指導を的確に実施してまいります。
さらに、県民の皆様に対しましては、今回の食肉の生食に対する注意喚起に限らず、不要な不安の解消や風評被害の防止のためにも、正確な情報の迅速な提供が非常に重要でありますことから、効果的な啓発に努めてまいります。
今後とも、食の安全・安心の確保に向けた施策を消費者や食品の生産者、製造・加工業者、流通関係業者、学識経験者などで構成いたします愛知県食の安全・安心推進協議会において、広く意見を伺いながら、庁内の関係部局とのしっかりとした連携のもと、関係団体の御協力もいただき、強力に推し進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 44:◯建設部長(近藤隆之君) 初めに、東三河地域における地震に強い道路づくりのうち、橋梁の耐震対策についてでございます。
大規模地震発生時において、救援物資の輸送などを円滑に進めるためには、災害時にも機能する道路ネットワークを確保することが極めて重要でございます。
本県では、約四千六百三十キロメートルの国道と県道を管理しておりますが、このうち、約千五百キロメートルを緊急輸送道路として指定し、他の道路に優先して地震防災対策を進めております。
また、とりわけ橋梁につきましては、一たび被災すれば復旧に長い時間がかかることから、重点的に耐震対策を進めていく必要がございます。
県では、平成七年の阪神・淡路大震災以降、落橋や倒壊の危険性が高い昭和五十五年より古い設計基準による複数径間の橋梁につきまして、耐震対策を進めることとしており、まずは、緊急輸送道路の橋梁から優先的に対策を進めてまいりました。
その結果、緊急輸送道路の橋梁につきましては、おおむねめどがついてきたことから、平成十九年度から平成二十六年度までの八年間で進めております第二次あいち地震対策アクションプランでは、緊急輸送道路に残る二十六橋とその他の橋梁を合わせて百六十七橋の対策を進めております。
財政状況が厳しい中ではございますが、これまでのところ、おおむね予定どおり事業を進めてきており、今後も計画的に進めてまいりたいと考えております。
次に、東三河地域における耐震対策の実施状況と今後の見通しについてでございます。
東三河地域の橋梁で第二次あいち地震対策アクションプランの対象となる橋梁は五十一橋あり、平成二十二年度末までに二十五橋の対策が完了しております。
残る二十六橋につきましても、計画どおり、平成二十六年度までに対策を進めてまいりますが、このうち、緊急輸送道路に残ります二橋につきましては、速やかに完成させたいというふうに考えております。
次に、東三河地域における幹線道路の整備についてでございます。
まず、名豊道路は、名古屋市から豊橋に至る全長約七十三キロメートルに及ぶ主要幹線道路であり、交通混雑が著しい国道一号及び国道二十三号などの渋滞を緩和するとともに、この地域の社会経済活動を支える重要な道路でございます。
お尋ねの蒲郡バイパスの仮称蒲郡インターチェンジから東側約九キロメートルにつきましては、平成十九年度に事業化され、現在、設計や用地調査が進められておりますので、今後、速やかに用地買収に着手できるよう、県といたしましても、国土交通省や関係市と連携しながら、地元調整に努め、事業の進捗を図ってまいりたいと考えております。
次に、主要地方道東三河環状線は、豊橋市及び豊川市の外周部を結ぶ環状道路であるとともに、東名高速道路や名豊道路などと連結し、この地域の骨格を形成する重要な幹線道路でございます。
このうち、東名豊川インターチェンジから国道一号までの東部区間につきましては、北は東名側から約二・五キロメートル、南は国道一号側から約三・三キロメートルが供用済みであり、残る区間のうち、南につながる豊橋市石巻町から牛川町にかけての約二・七キロメートルで事業を実施しており、石巻町においては、今年度新たに約一キロメートルの区間を供用する予定でございます。
また、牛川町においては、残る用地取得及びトンネル南側坑口での準備工事を実施し、引き続き来年度後半にはトンネル本体の掘削工事に着手する予定としてございます。
その北側に残ります約二・四キロメートルの未着手区間につきましては、豊川を渡る長大橋もありますことから、今後、事業化に向け、構造検討などを行ってまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、名豊道路や東三河環状線は、東三河地域の発展を支えるとともに、災害時の緊急輸送道路としての役割を担うなど、大変重要な道路でございますが、これらの機能はつながってこそ十分に発揮するものでありますので、一日も早い全線の供用に向け、今後とも全力で取り組んでまいります。
私からは以上でございます。
- 45:◯知事(大村秀章君) 渡会議員からいただきました太陽光発電の取り組みに関する質問について、私からもお答えを申し上げます。
今回の大震災を踏まえまして、今後は、太陽光、風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーの活用により、地産地消型のエネルギー供給システムを重視していく必要があるということを痛感しているところでございます。
そして、私のマニフェストでも掲げておりますが、再生可能エネルギーの一つであります太陽光でございますが、渡会議員も御指摘のように、愛知県は、全国的にも日照時間の長い県でございまして、年にもよります、調査のあれにもよりますが、大体上位トップテンに入っております、日照時間。
ということからいたしましても、本県の中核となる再生可能エネルギーになると思っておりまして、改めて、その普及、これまでもやってまいりましたが、これからもその普及を図っていかなければならないというふうに考えております。
このため、中京独立戦略本部に先駆けて設置をいたしました新エネ・省エネプロジェクトチームの中で、住宅用太陽光発電施設のさらなる普及はもちろんでありますが、メガソーラーでありますとか、ビルなどの住宅以外での普及対策など、太陽光発電をさらに普及させていくために、幅広に対策を検討してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
- 46:◯七十番(渡会克明君) 要望をさせていただきたいと思います。
初めに、地球温暖化対策の取り組みについてであります。
ただいまは、知事に力強い御答弁をいただいたところでありますが、改めて、そのリーダーシップに御期待申し上げたいと思います。
太陽光発電は、今やだれもが認める脱温暖化社会に向けた非常に効果的な手段でありまして、本県では、この六月の補正予算で予算の増額が提案されております。
今回の震災を契機として、神奈川県や群馬県などでは予算を倍増させておりまして、東京都では、一度終了しました補助制度を再開させるなど、全国の多くの自治体が本格的に支援の強化に乗り出してきたところであります。
また、本県には、補助制度のない市町村があるとのことであり、県内のすべての市町村が補助を実施するよう働きかけることが重要であります。
そこで、現在、住宅用太陽光発電施設の設置数が、先ほど申し上げました、日本一である愛知県が日本一であり続けるために、大村知事、今、答弁されましたけれども、県内のすべての住宅の屋根に太陽光発電を設置するぐらいの意気込みで、今後もしっかり取り組んでいただきたい、このように要望しておきたいと思います。
二つ目には、食品衛生行政について答弁をいただきました。
昨今、焼き肉店などのチェーン店がふえている中で、食肉の知識が十分でないスタッフが調理に携わっている可能性はないのか。これは、企業倫理の問題でもあります。店舗においては、食品衛生責任者が衛生管理を徹底しているか、これをしっかりと点検をしていただきたい、このように思います。
また、県民が食に関する誤った情報や風説に惑わされることなく、正しい知識を持って行動することが食中毒の予防を初め、食の安全・安心の確保に非常に重要であります。
そこで、広く県民の皆さんから意見も聞きながら、より効果的な啓発に努めていただきたいと思います。
さらに、食中毒の原因物質の特定や、流通食品の安全性を確保し、県民の食の安全・安心を確保するには、正確な科学的根拠に基づく迅速な対応が重要であります。そのためには、今、放射線量をはかる機械もさまざま話題になっているわけでありますけれども、時代に合った検査機器を適切に整備する、このことも大事なことだろうと思います。あわせて要望しておきたいと思います。
最後に、災害に強い道路づくりについてということで答弁をいただきました。
東三河を南北に結ぶ東三河縦貫軸の豊橋南部方面でありますけれども、これはトヨタの田原工場等々、さまざまに工業団地もあります。渋滞緩和はもとより、緊急輸送が可能な道路として整備が急務であると考えます。国道二百五十九号植田バイパスを早期に供用し、主要地方道、豊橋渥美線と国道二百五十九号植田バイパスをつなぎまして、先ほど壇上でもお話ししたダブルネットワークを整備すると。そして、その後にこの路線の四車線化を早期促進しまして、国道二五九の現道と合わせて三本で安全を確保すると、このことをぜひともお願いをしたいと思います。
最後に、名豊道路の四車線化でありますけれども、当面は、前芝インターから豊橋港インターまで供用開始の予定であり、将来的には、全線四車線化で整備を促進するとは聞いております。豊橋市内の渋滞緩和はもとより、災害に強い緊急輸送が可能な道路として、名古屋方面と浜松方面をダイレクトで結ぶ産業、経済の大動脈として、名豊道路の速やかな四車線化の整備を要望するものであります。
以上、要望して、私の質問とします。
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- 47:◯三十九番(川嶋太郎君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 48:◯副議長(深谷勝彦君) 川嶋太郎議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 49:◯副議長(深谷勝彦君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。
午後二時四十九分休憩
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午後三時三十分開議
- 50:◯議長(岩村進次君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
通告により質問を許可いたします。
神野博史議員。
〔六十五番神野博史君登壇〕(拍手)
- 51:◯六十五番(神野博史君) それでは、通告に従いまして、順次質問させていただきます。
まず最初は、財政問題についてお伺いいたします。
質問の第一は、行財政運営についてであります。
国の平成二十三年度一般会計当初予算は九十二・四兆円に上りますが、歳入では、税収が四十・九兆円、公債金が四十四・三兆円であり、二十二年度に続き、公債金が税収を上回る状況となっております。
一方、歳出につきましては、社会保障関係経費が二十八・七兆円、国債費が二十一・五兆円となっており、この二つの義務的な度合いの高い費用で予算規模の五割を超えている状況であります。
また、国及び地方の長期債務残高は、国が約六百九十二兆円、地方が約二百兆円、合わせて約八百九十二兆円で、GDPと比較して一八四%に上っており、財政運営上の大きな懸念材料となっております。
この厳しい財政状況は、国だけではなく、本県におきましても、二十三年度も多額の収支不足を補てんするため、六月補正予算までに財政調整基金を五百二十三億円、減債基金任意分を千二百九十六億円取り崩しており、この結果、これらの基金の残高はほぼ枯渇しております。
また、ここ最近、臨時財政対策債など特例的な県債の発行額が急増しており、県債残高は、二十三年度末には四兆七千八百四億円となる見込みとなっております。
一方、歳出におきましては、義務的経費が増加傾向にあり、二十三年度も六月補正予算までを反映しますと、義務的経費の規模は一兆二千六百九十五億円で、予算規模二兆二千六百七十七億円の五六%を占めております。その割合は、二十一年度当初予算では五二・一%、二十二年度当初予算では五五・六%と、そのウエートは年々高まっております。
本県は、このところ、収支ギャップについて、基金の最大限の活用などのやりくりで対応しておりますが、いつまでもこうした対応が可能とは考えられません。こうした現状を踏まえ、向こう数年間の通期的な収支動向を把握し、歳入構造や歳出構造をしっかりと見直して、財政構造の健全化を図ることは喫緊の課題であります。
そこで、行財政運営について、二点お伺いいたします。
一点目は、中長期の財政運営についてであります。
経済が停滞し、税収の増加が見込めない中で、少子・高齢対策や防災対策など、行政需要は増大するばかりであります。
一方、義務的経費は予算の五割以上を占めており、基金が枯渇する状況において、県財政は綱渡りを続けているのが現状であります。
そこで、このように財政が逼迫する中、県は、今後の中期的な財政運営について、どのような認識を持っておられるのかお尋ねをいたします。
二点目は、財政構造の健全化についてであります。
その一つ目は、法人事業税の一部国税化についてであります。
国は、都市と地方の財政力格差の是正を目的に、平成二十年度税制改正で、地方の基幹税である法人事業税の一部を国税である地方法人特別税とし、これを人口や従業員数に応じて、各都道府県に地方法人特別譲与税として再配分する制度を創設いたしました。
この制度は、地方分権の推進に逆行するものとして極めて理不尽なものであり、本県は、制度創設以前から強力に反対を主張し続けてまいりました。この措置による減収は、平成二十三年度当初予算では、本県が百二億円、東京都は千八百四十四億円、大阪府が百八十三億円で、東京都や大阪府に比べれば額が小さいとはいえ、法人事業税が大きく減収する中での減収であり、ダブルパンチの影響を受けております。
私は、税収の安定化策として、複合型産業構造への転換が必要と考えておりますが、この制度がある限り、転換が図られたとしても、その努力は報われません。法人事業税の一部国有化に対する考え方は、決して影響額の多寡によって左右されるものであってはならないと考えますが、県の認識をお尋ねいたします。
また、今後、法人事業税の一部国税化の廃止、法人事業税としての復元に向け、本県はどのような働きをしていかれるのかお尋ねいたします。
二つ目は、人件費についてであります。
本県の歳出予算は、約三分の一が人件費であります。このウエートは、赤字に陥った直後の平成十一年度六月補正後で三四・四%、今議会に提案中の六月補正予算を加えた後の平成二十三年度予算でも三一・四%と、この十二年間の間に劇的に変化したとまでは言いがたい状況になっております。
しかも、この数年、本県は、厳しい財政状況への対応として職員の給与抑制を行っておりますが、これはあくまでも臨時的な措置であり、恒久的な人件費の削減につながるものではありません。やはり定員管理を適正に行っていくことこそが県の財政をスリム化させていく一つの方法ではないかと考えております。
この点、定員管理につきましては、税収が減少傾向を続けている状況におきましては、これまでのように、業務量の増減に合わせて職員定数を決めるのではなくて、税収と人件費との割合を基準として、人件費、すなわち職員数を決定するという考え方を取り入れるべきだと思っております。
そこで、県は、人件費抑制のため、定員管理をどのような考え方に基づいて進めていかれるのかお尋ねをいたします。
三つ目は、公債費についてであります。
愛知県の二十三年度の六月補正後の予算におけるプライマリーバランスは、七十億円の赤字とのことであります。本県は、二十年度当初予算において、一たんは二百十八億円のプライマリーバランスの黒字化を達成いたしましたが、その後の急激かつ大幅な県税収入の落ち込みと、その穴埋めのために特例的な県債を大量発行せざるを得なくなったことから、二十一年度以降は赤字が続いております。
この特例的な県債の大量発行は、公債費の増加にもつながっており、二十三年度の六月補正後の予算における公債費の割合は一五・五%と、前年の一四・七%に比べて〇・八ポイント上昇し、公債費の増大は県財政の硬直化を招く一因となっております。
そこで、公債費の増加が続く状況において、県はどのような認識を持っておられるのかお尋ねをいたします。
質問の第二は、景気対策についてであります。
一点目は、減税についてであります。
かつて国では、平成十年度の総合経済対策における特別減税や、平成十一年度の緊急経済対策における恒久的減税が社会資本整備などの財政支出とあわせて行われましたが、GDPの押し上げ効果を見込んでのこうした減税は、一定の景気の下支え効果があったと受けとめております。
私は、減税については、景気対策という面からいえば、否定的のみ考えるべきではないと思っておりますが、基本的には、国が行ってこそ効果がある施策であり、一つの県のエリアの中で実施することによる効果は疑問であります。
また、この地域の活力を取り戻すためには、減税によって県内の消費が刺激されることが必要と考えますが、地域マネーのようなものを発行し、県内で使ってもらうという仕組みならばともかく、減税が直ちに消費に結びつくとは思えません。
さらに、減税の財源を仮に人件費のカットで賄っても、結果的には、県民の所得が移転するだけの結果になるものと考えます。
また、減税の実施時期という点におきましても、東日本大震災への対応は、今回の補正予算だけで完結するものだけでなくて、来年度以降もしばらくは必要であり、来年度からの実施はなかなか難しい面もあるのではないかと考えております。
そこで、減税の実施の効果や財源、時期について、県はどのように考えておられるのかお尋ねをいたします。
二点目は、公共事業についてであります。
本県の二十三年度における投資的経費は、六月補正予算までを含めれば二千二百三十七億円と、二十二年度当初予算の二千二百十二億円をわずかではあるが上回っており、四月に打ち出された公共事業の前倒し発注の促進もあわせて、景気対策の視点からの積極的な姿勢がうかがえます。
しかしながら、二十年度当初は三千六十二億円であった投資的経費が、リーマンショック以降急激に減少し、この三カ年で実にマイナス二七%となっております。
社会資本整備は、国土の発展のために必要なものであることは言うまでもありません。もとより、無駄なものは行う必要はありませんが、本県においても、まだまだ整備が必要な道路、河川などは数多く存在しております。
知事のマニフェストでは、世界と闘える愛知づくりが掲げられておりますが、この地域に人、物、金を呼び込み、真に世界と闘える地域に成長させていくためには、その土台として、交通インフラを初め、社会資本をしっかりと整備し、成長著しい世界の大都市圏と闘える力を養っていくことがぜひとも必要であります。
今、東日本大震災の発生により、震災対策においてもハード面の重要性が見直されております。私は、今こそ効率化や重点化に考慮しながら、社会資本整備に積極的に取り組んでいくべきであると考えますが、県の認識をお尋ねいたします。
三点目は、円高についてであります。
知事は、六月補正予算案の発表の際、最近の円高傾向は輸出産業の収益改善の妨げになるおそれがあり、景気の先行きは楽観視できる状況ではないとの認識を示されました。
本県は、自動車産業を中心とする輸出産業が集積しており、円価格の変動は県内企業の業績に直結し、さらに、県財政に大きな影響を及ぼします。したがって、円高の是正は本県にとって大変重要であります。日本経済の国際的評価が下がっている状況において、円がドルやユーロと比較して高過ぎるのは、意図的に操作が行われているとも考えられます。
こうした状況を踏まえて、知事は、国に対して、円高是正を積極的に訴えていくべきであると思います。
そこで、本県として、地域経済の下支えという意味からも、円高に対して今後どのような対応を行っていかれるのか、県のお考えをお尋ねいたします。
次に、防災対策についてお伺いいたします。
去る三月十一日、我が国に未曾有の大災害をもたらした東日本大震災が発生いたしました。まず、質問に先立ちまして、このたびの震災で犠牲になられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げます。そして、被災地の一日も早い復旧、復興に向け、日本全体で力を合わせて進んでまいりたいと思っております。
我々は、このような自然災害がいつ、どこで、どのくらいの規模で発生し、どのような被害をもたらすかを予知することはできません。しかしながら、この災害で失われた多数のとうとい命を無駄にしないためにも、この大災害を教訓として、今後、東海・東南海地震の発生に備える愛知県が、これまでの防災対策を根本から見直し、地域と県民を守るためには何をなすべきかを念頭に、命を守るための防災対策にしっかりと取り組んでいくことが何よりも重要であり、それが我々の使命であると考えております。
東日本大震災は、マグニチュード九という巨大地震により四十メートル近い大津波や原発事故など、かつて経験したことのないほどの大災害をもたらしましたが、その災害の甚大さに対して、国内のみならず、世界じゅうから救援隊や救援物資、寄附金などが寄せられました。
こうした中、私の地元東海市は、災害発生直後の三月十一日十五時四十分に第一回災害対策本部会議を立ち上げ、釜石市の被害の把握に努めましたが、通信が遮断されており、被害状況が全くわからなかったために、同日十九時三十分に、先遣隊として四名の消防署情報収集隊が対応、釜石市に派遣いたしました。そして、翌三月十二日十五時十五分に釜石市に到着した同隊は、毛布、水、食料、暖房設備などの要請を受け、東海市は、三月十三日十四時五分に第一次救援物資を輸送いたしました。
被災地への救援物資を最初に届け出た自治体としてニュースにも取り上げられましたが、東海市がこのような迅速な対応ができたのは、釜石市との間に災害時における相互応援に関する協定を締結していたからであります。
これは、被災時に物資や人的な支援、また、避難者の受け入れなどで協力し合う自治体間の助け合いの輪でありますが、この協定がこのたびの震災において効力を発揮したことになります。私は、釜石市の状況について、東海市の防災安全課から説明を受けましたが、死者、行方不明者合わせて千二百五十八人という悲惨な状況でありました。
このような大きな被害を受けた釜石市でありますが、その中で、地震発生時に学校の管理下にあった小学生千九百二十七人と中学生九百九十九人の全員が助かったというニュースは、釜石の奇跡として伝えられました。
しかしながら、これは奇跡ではなく、釜石市の小中学校における八年間にわたる実践的な防災教育の成果であると思います。この教育に携わった群馬大学大学院の片田教授は、教育で身につけた子供たちの災害対応力が命を守ったと説明しております。
三陸地方は、百年程度の周期で定期的に津波が襲来すると言われているのにかかわらず、市民の防災意識が低いことを懸念した片田教授は、やがて大人になる子供たちに防災教育をすることで、社会全体の防災意識の広がりを目指したと述べております。
教授は、小中学生に徹底して避難の三原則を教え込みました。それは、一、想定にとらわれるな、二、最善を尽くせ、三、率先避難者たれ、この三つであります。子供たちは、この三原則どおりに行動し、結果、学校にいたすべての小中学生が助かったばかりではなくて、子供たちが逃げる姿を見て、つられた逃げた保育園の幼児や近所のお年寄りの命をも救うことができました。これこそ真の防災教育と言えるのであります。
今回の震災では、津波による被害が大きく、巨大な津波は東北地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害をもたらしました。愛知県では、昭和三十四年の伊勢湾台風後につくられた海岸堤防が、平成七年の阪神・淡路大震災発生後に実施した調査の結果、地震が発生した場合、海岸沿いの海抜ゼロメートル地帯では液状化が起こり、堤防が沈むことがわかりました。
そこで、平成二十六年度までに海岸堤防の耐震化を完了する計画で工事を進めてきましたけれども、ことし三月末時点で六割しか完了しておらず、もし大地震が発生すれば、耐震工事を終えていない海岸は、津波の被害に遭う可能性が高いと言われております。
また、名古屋港では、高潮防波堤が重みにより最大二メートル沈下しており、東海・東南海地震による想定では、地震により液状化が発生した場合、最大二・九メートル沈下する可能性があると言われ、津波に対応できないおそれがあることから、早急な対応が必要であると指摘されております。
さらに、今回の震災では、地震により千葉県市原市でタンク火災が発生しましたが、県内の沿岸部にも多数のタンクが設置されており、同規模の地震が発生した場合におけるタンクの安全性の確保も重要な課題であります。
このように、千年に一度と言われる今回の大規模災害は、我々に防災対策に関する多くの課題を突きつけました。
これを教訓として我々が今後なすべきことは、まずは防波堤など、ハード面の整備であることは言うまでもありませんが、約千二百億円の費用と三十年の歳月をかけて完成した世界一と言われる釜石市の防波堤でさえ破壊されてしまったように、想定以上の災害に対しては、ハード面のみの対策では限界があります。ハード面の整備と合わせて、防災教育などソフト面にしっかりと取り組むことにより、地域と県民を守る実効性のある防災対策が可能になると考えております。
そこで、東日本大震災による大規模災害を踏まえて、防災対策について、三点お伺いをいたします。
一点目は、相互応援協定についてであります。
冒頭でも述べましたが、東海市は、応援協定により釜石市にいち早く救援物資を届けるとともに、その後も継続して必要な救援物資を送り続けております。このように、応援協定が効力を発揮できるのは、協定先にターゲットを絞って支援するために、行動しやすく、長期的な支援ができること、また、市町村単位で提携していることにより、国や都道府県に頼ることなく、即時に対応できるためであります。
そこで、東海、東南海、南海の三連動地震が危惧される本県としては、被害を受けないと見込まれる地域との相互応援協定についてどのように考えておられるのか、また、今後どのように取り組んでいかれるのかをお尋ねいたします。
二点目は、防災教育についてであります。
釜石市では、地震発生時に学校にいなかった子供たち五人が残念ながら亡くなったそうでございますけれども、学校の管理下にあった約三千人の小中学生全員が津波から逃げることができました。これは、長年にわたって実施してきた防災教育の成果であります。大地震の発生が危惧される本県において、子供たちへの防災教育は不可欠でありますが、釜石市のように、確実に命を守ることができ、地域の人材育成につながるような防災教育を行わなければ意味がありません。
そこで、本県では、現在、学校教育の中でどのような防災教育を行っているのか、また、今回の震災を教訓として、今後どのように取り組んでいかれるのかをお尋ねいたします。
三点目は、海岸沿岸部の防災対策についてであります。
愛知県防災会議の平成十五年に出した被害予測によりますと、東海・東南海地震が発生した場合、約二十分から三十分後に渥美半島外海に六メートル以上の津波が押し寄せ、名古屋港には九十分程度で二メートル以上の津波が到着するとされております。
しかしながら、東海地震が東南海・南海地震と連動して、東日本大震災と同程度の地震が発生した場合には、津波の高さは二倍以上になると予測されており、津波による堤防の破壊や液状化現象に伴う地盤沈下により、さらに浸水被害が拡大すると言われております。
そこで、県は、海岸堤防の地震・津波対策について、今後どのように進めていかれるのか、さらに、完成から約五十年が経過しようとしている名古屋港の高潮防波堤の地震・津波対策について、どのように進めていかれるのかをお尋ねいたします。
また、今回の地震で発生した千葉県市原市の石油コンビナート施設の火災は、九日間燃え続け、周辺住民に大きな不安を与えましたが、本県の沿岸部にも多数のタンクが設置されており、他人事ではありません。
そこで、県は、このコンビナート火災の原因についてどのように考えておられるのか、また、今後、県内の製油所に対してどのように対応していかれるのかをお尋ねいたします。
以上で私の壇上での質問を終わります。ありがとうございます。(拍手)
- 52:◯総務部長(野村道朗君) 初めに、今後の中期的な財政運営についてでございます。
本県財政は、東日本大震災や円高などの影響により県税収入の動向が懸念される一方で、震災対策に伴う財政需要や義務的経費の増加が見込まれ、当面厳しい状況が続くものと考えざるを得ません。
こうした状況への対応として、歳入歳出両面にわたる取り組みが必要でございますが、とりわけ税が減収局面にある現状におきましては、地方交付税など地方財政措置の確保が重要であり、地方一般財源総額の確保に向け、国への働きかけを積極的に実施してまいりたいと考えております。
また、本県におきましても、第五次行革大綱の深掘りにより、財源の確保や事務事業の徹底的な見直しを図ってまいります。
現在枯渇している財政調整基金や減債基金につきましても、安定的な財政運営が可能となるよう、残高の回復に努めていかなければならないと、このように考えております。
次に、法人事業税の一部国税化についてお答えをいたします。
法人事業税は、平成二十年秋以降引き続く景気後退によりまして、大きく税収が落ち込んでいることに加え、一部国税化により百二億円という減収が見込まれており、本県は二重の影響を受けているところでございます。
しかし、こうした実態面での影響も去ることながら、法人事業税の一部国税化は、受益と負担という税の原則に反し、地方分権の流れに逆行するものでありますので、本県は、導入時より制度そのものに反対をしてまいったところでございます。
去る六月十五日には、知事を先頭に、東京都、大阪府とともに、首相官邸、総務省、財務省及び民主党に対し、この制度の即時廃止に向けた緊急共同要請も行ったところでございます。
政府税制調査会におきましては、税制抜本改革までに暫定的に導入されている地方法人特別税の扱いをどうするかは、今後の大きな論点、こういう意見も出されておりますので、制度の廃止に向けた議論が進むことを強く期待しているところでございます。
今後とも、国の動向を注視し、この制度が廃止され、地方税として復元されるよう、積極的に働きかけを行ってまいりたいと、このように考えております。
次に、公債費の増加に対する認識についてでございます。
ここ数年、公債費が増加しております要因は、投資的経費に充当する通常の県債については、これまでも新規発行額を抑制してまいりましたものの、国の地方財政対策に基づく臨時財政対策債などの特例的な県債の発行が急増していることによるものでございます。
通常の県債につきましては、その残高を減少させることを第五次行革大綱に掲げておりますので、新規発行額の抑制に引き続き取り組み、目標達成に引き続き努めてまいりたいと存じます。
一方、臨時財政対策債などの特例的な県債の急増は、これは全国的な状況でございます。こうした状況を抜本的に改善するためには、地方財政対策において、臨時財政対策債のウエートを過度に高めるのではなく、地方交付税の原資となる国税五税の引き上げ等により、地方交付税総額そのものの増額を図ることが肝要でございますので、引き続き国に対して強く働きかけを行ってまいります。
最後に、減税についてでございます。
減税につきましては、庁内プロジェクトチームにおきまして、東日本大震災が今後の本県財政に及ぼす影響などを含めて、秋に向けて、具体の検討を進めていくこととしております。その検討状況につきましては、今後広くお伝えをし、御意見を伺ってまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
- 53:◯総務部人事担当局長(戸田正彦君) 財政問題についてのお尋ねのうち、人件費についてお答えさせていただきます。
職員定数につきましては、平成十一年度以降、知事部局等と教育の事務部門におきまして、積極的な事務事業の見直しを行い、定数削減を進めてまいりました。この結果、本年度までの削減実績を合計しますと三千二百八十三人の削減となり、これは、平成十年度定数一万四千七百五十六人から約二二%の純減と大幅な定数削減となっております。
一方で、約七万四千人の本県職員のおよそ八五%を占める警察職員及び学校教職員については、国の法令に基づく配置基準により職員数が決められており、平成十一年度以降、これまでに二千五百三十八人の増員がありました。
議員からお示しのありました平成十一年度六月補正予算後と、今議会で提案しております六月補正予算後の一般会計ベースの人件費を比較いたしますと、この間で約五百億円減少しており、定数削減が人件費抑制に寄与しているものと認識しております。
現在、第五次行革大綱に基づき、平成二十二年度から二十六年度の五年間で五百人削減という数値目標を掲げて、定数削減に取り組んでいるところでありますが、長年にわたる行革の取り組みの結果、削減できる分野も限られてきております。
税収の大幅な回復が見込めないなど、厳しい財政状況を踏まえて、身の丈に合った事業や組織体制とするためにも、毎年度、事業、予算、人員をセットで見直すことを徹底し、この数値目標の達成に向けて取り組んでまいります。
こうした計画的な定員管理により人件費抑制につなげてまいりたいと考えております。
- 54:◯建設部長(近藤隆之君) 財政問題のうち、景気対策の二点目、公共事業についてでございます。
物づくりの愛知にとって、国際競争力に対応する港湾機能の強化や物流を支える広域幹線道路網の整備は必要不可欠であり、さらに、県民の皆様の安心・安全を確保するためには、河川の改修や交通安全対策、また、地震対策といった事業も大変重要であると考えております。
また、このたびの東日本大震災においても、緊急輸送道路が被災地への救援に大きな役割を果たしており、その整備の重要性を強く再認識したところでございます。
本県の社会資本整備の状況につきましては、道路を例にとってみますと、都市部では、依然として渋滞の激しい箇所が多く見られることや、名古屋環状二号線の西南部、南部など、広域幹線道路網にミッシングリンクがあること、また、河川につきましては、新川などの主要河川では時間雨量おおむね七十ミリから八十ミリ、その他の河川ではおおむね五十ミリ対応の整備を行っておりますが、その整備率は約五三%にとどまるなど、まだまだ道半ばの状況にあります。
議員御指摘のとおり、財政的には厳しい状況ではありますが、今回の東日本大震災を踏まえますと、当面は震災対策に軸足を置きつつ、選択と集中による事業の重点化や、さらなるコスト縮減による事業の効率化など工夫を凝らしながら、今後とも社会資本の整備に着実に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、海岸沿岸部の防災対策のうち、海岸堤防の地震・津波対策についてでございます。
本県では、東海、東南海の二連動の地震を想定し、背後が海抜ゼロメートル地帯で、地震時の液状化に伴う沈下により大きな浸水被害が想定される海岸堤防約四十一キロメートルを優先対策区間と位置づけ、耐震対策を進めております。平成二十二年度末までに約二十六キロメートルが完了し、約六三%の進捗率となっております。
また、津波に対する防護機能を高めるため、老朽化が著しい海岸堤防約十二キロメートルについて、コンクリートの補強対策などを進めており、平成二十二年度末までに約七キロメートルが完了し、約六〇%の進捗率となっております。
さらに、水門を確実に閉鎖できるよう耐震補強をするとともに、防潮扉の軽量化などを百十四カ所で進めており、平成二十二年度末までに八十四カ所の整備が完了し、約七四%の進捗率となっております。
今回の大震災を踏まえますと、ハード面だけでの対応には限界があり、ソフト対策も強化する必要がありますが、まずは、第二次あいち地震対策アクションプランの目標としております平成二十六年度の完了に向け、海岸堤防の耐震対策を重点的に進めてまいります。
続いて、名古屋港の高潮防波堤の地震・津波対策についてでございます。
名古屋港の高潮防波堤は、伊勢湾台風の高潮被害を教訓に国により整備された施設であり、完成以来、海岸堤防や防潮壁と一体となって、県民の皆様の安心・安全な生活や、この地域の産業活動を守ってまいりました。
こうした中で、伊勢湾台風から五十年の節目に高潮災害に対して防災・減災対策を検討するため、国が設置いたしました伊勢湾高潮災害低減方策検討委員会は、平成二十二年三月、東海・東南海地震を想定した海溝型地震が発生した場合に、知多堤と鍋田堤で最大二・九メートル沈下するとの結果を示しました。
国は、これを受け、平成二十二年度に沈下対策の検討を進めておりましたが、今回の東日本大震災の発生により、東海、東南海、南海の三連動地震の津波による大きな被害が懸念されることから、高潮防波堤に対して津波が与える力の見直しなど、新たな検証が必要となっております。
高潮防波堤につきましては、国の中央防災会議における検証や本県の行う被害予測調査など、最新の知見による検証を踏まえ、より効果的な地震・津波対策を進めていかなければなりませんが、災害に対する県民の皆様の不安を早期に軽減する必要がありますので、今後、国や名古屋市、名古屋港管理組合などと連携して取り組んでまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
- 55:◯産業労働部長(木村聡君) 私からは、円高に対する対応についてお答え申し上げます。
リーマンショック以降、円は、米ドルやユーロなど主要通貨に対し増価する方向で推移しております。特に、急速な円高が進展した昨年夏以降、政府はG7との協調為替介入等を行いまして、一時的に円安方向に振れたこともございましたが、その後も円高基調は続き、足元では、リーマンショック直前と比べ二割以上の円高となっているところでございます。
この円高に加え、東日本大震災に伴います電力の安定供給に対する懸念などから、製造業においては海外展開の動きも見られるところでございます。
県が中小企業を対象として実施いたしました調査におきましても、これまでに中小企業は必死に円高に耐え忍んでいる、円高、電力供給の不安等のため、仕事が海外へシフトすることが心配などの声が寄せられているところでございます。
こうした中、県では、昨年度来、県融資制度におきまして、円高の影響を受け、売り上げ等が減少している中小企業を対象といたします円高対応緊急枠を設けまして、その資金繰りを支援してきております。
また、県内の中小企業支援機関や産業技術研究所に経営や技術に関する相談窓口を設置いたしまして、中小企業に対し、その経営資源を活用した新たな販路開拓支援や、製品の高付加価値化のための技術開発支援などに取り組んでいるところでございます。
県といたしましては、今後とも、商工会議所、商工会など、県内約百カ所に設置しております相談窓口などを通じまして、これらの取り組みの周知に努めながら、円高の影響を受ける中小企業をきめ細かく支援してまいりたいと考えているところでございます。
私からは以上でございます。
- 56:◯防災局長(中野秀秋君) 防災対策のうち、相互応援協定についてお尋ねをいただきました。
東海地震や東南海、南海の連動地震などのあらかじめ想定されている巨大地震については、国の中央防災会議において、国、地方公共団体を含む全国的な災害応援体制を内容とする応急活動要領が定められておりまして、本県では、これに対応した災害応援の受け入れのため、広域受援計画を定め、体制整備に努めているところであります。
このような応急活動要領による全国からの災害応援体制に加え、より迅速かつ円滑な広域防災体制の確立には、相互応援協定が有効であることは、議員御指摘のとおりと考えております。
本県の相互応援協定としましては、東海、北陸の中部九県と名古屋市で災害応援に関する協定を締結し、毎年定期的な情報交換と通信運用訓練により、隣県との広域応援体制を確認しております。
今後の広域応援体制につきましては、中部九県一市の連携関係を基本としながら、相互応援が円滑にできるよう、地域の諸課題の調査研究や、訓練の充実強化を図る中でできるだけ緊密な連携関係を構築し、日ごろから顔の見える関係づくりに努めてまいります。
次に、千葉県市原市の石油コンビナートでの火災についてであります。
コスモ石油千葉製油所では、液化石油ガスの球形タンクの支柱が折れ、タンクが落下して配管等が損傷し、液化石油ガスが漏えいして、大規模な火災、爆発事故が発生いたしました。
この事故の詳細につきましては、現在国において調査中でございますが、当時、このタンクは定期検査中であり、タンク内の空気を抜くために液化石油ガスよりも比重の大きな水を満たしており、通常よりも大きな荷重が加わっていたことが一因と考えられております。
この事故を受け、経済産業省原子力安全・保安院から、タンクの耐震性能の確認や、検査時のタンク周辺の配管等の保護などの漏えい防止措置を行うよう要請があり、本県においても、この要請の内容を愛知県高圧ガス安全協会などを通じて関係事業所へ周知したところでございます。
また、消防庁においては、危険物施設等の地震・津波対策のあり方についての検討会を設置し、本年十二月を目途に対策の検討が進められております。
これらの結果を受け、関係法令や基準の改正等が行われるものと思われますので、国の動きを踏まえながら、市町村とも連携し、適切な管理について事業所の指導に努めてまいります。
なお、石油コンビナートについては、石油、ガス事業所など、関係者による訓練を実施するなどの安全確保の取り組みを行ってまいります。
以上でございます。
- 57:◯教育長(今井秀明君) 防災教育についてお答えをいたします。
児童生徒がみずからの命を守るため、状況に応じて危険を予測したり、回避する能力を高めるような防災教育は大変重要と認識しております。
本県の各学校におきましては、特別活動の時間などの中で不測の事態に対応できるよう、年間複数回の防災訓練を実施しております。中には、外部から講師を招いて講演を行ったり、避難訓練を事前に予告せず抜き打ち的に行っている学校もあります。
また、みずからの力で災害に対応できる力を身につけ、学校や地域の防災リーダーとなる人材を育成するため、昨年度から県教育委員会が名古屋大学と連携いたしまして、県内の高校生を対象に高校生防災セミナーを実施しております。
今後の取り組みでありますが、今回の大地震を受け、四月初旬に各学校に対しまして、避難経路等の緊急点検を行うよう通知した上で、市町村と連携した防災計画の見直しを依頼しているところでございます。
さらに、すべての小中学校の防災担当教員を対象として防災教育の専門家を招いた研修会を開催し、より実践的な防災教育のあり方について指導するとともに、今回の大震災を踏まえた地震防災啓発パンフレットをすべての児童生徒に配布することで、防災意識をより一層高めるよう周知してまいります。
今後とも、各学校が市町村と連携したより実効性のある防災教育を計画的かつ継続的に実施するよう働きかけてまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 58:◯六十五番(神野博史君) ただいま私の質問に対しましてそれぞれ御答弁をいただきましたが、要望を一点申し上げます。
防災教育についてであります。
先ほどの質問の中で私が述べましたように、釜石市で学校の管理下にあった約三千人の小中学生全員が津波から逃れ、無事だったという事実。これは、長年にわたって実施してきた防災教育の大きな成果であると思っております。
片田教授は、この八年間にわたって釜石市で子供たちに教えてきたのは、姿勢の防災教育、すなわち、命を守るために最善を尽くすという姿勢を醸成することであります。これこそがまさに生きる力をはぐくむという教育の実践であります。
先ほど教育長の答弁にございましたけれども、今後はすべての小中学校の先生を対象として防災の専門家を招き、指導を受けるということでございましたので、大変うれしく思っております。
本県におきましても、ぜひ命を守り抜く力を育成する真の防災教育を学校教育の中にしっかりと行っていただくことを要望いたしまして、終わります。
- 59:◯議長(岩村進次君) この際、お諮りいたします。会議中時間経過のおそれがありますので、時間を延長することに決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 60:◯議長(岩村進次君) 御異議なしと認めます。よって、時間は延長することに決定いたしました。
進行いたします。
西川厚志議員。
〔五十四番西川厚志君登壇〕(拍手)
- 61:◯五十四番(西川厚志君) もう随分昔のことのように感じられますが、ことし二月六日の日曜日、夜八時を過ぎるや否や、テレビ画面に大村新知事当確のテロップが流れました。翌日の朝刊はどれを見ても、「河村氏、大村氏、圧勝」、「減税タッグ満願」、「河村氏、トリプル勝利」、こんな一面記事と、そして、「民主王国無残」、「既成政党形なし」といった大見出しが踊りました。確かに我々としては、かなりの大差をつけられて敗北を期したものの、個人的には、ありのままにこの結果を受け入れることのできない強がりと、この異様な盛り上がりが、続く四月の自分たちの選挙までには収束していてほしいというふらちな願望、これがこの時点での私の正直な気持ちでありました。
多少唐突ではありますが、例えるならば、古代中国史で初めて中国全土を統一した始皇帝、この始皇帝の没後、圧政に耐えかねた農民を率いて大規模反乱を蜂起し、一時の成功をおさめた陳勝・呉広の乱、世界史上これが最初の農民革命という指摘もあるそうですが、河村市長の言う庶民革命なるものも、後の世からいえば、社会の過渡期にありがちな一種のブームにすぎないのではないのかと勝手にあれこれ結論づけたりもしてみました。ただ、やはり大村知事の本心に興味があったのは事実であります。
知事選挙を振り返って、当選翌日のインタビューの記事の中で、大村知事は、勝因の分析についてみずから、河村さんと組んだインパクトが一番大きいと応じており、一人河村さんだけが時代の寵児としてもてはやされたあのころは、彼に追随することが当選への最短距離であったのは間違いではなかったし、知事の選挙戦術が思惑どおりに機能したのだと思います。
当然、選挙戦術ですから、この点について私がとやかく言える立場にはありません。ただし、私から申し上げれば、知事の目玉政策であった中京都構想。この中京都構想も、つまりは、選挙戦術の一つであったと指摘をさせていただきます。
その具体的構想はすべて後回しにして、とにかく愛知県と名古屋市の合体だけをうたい、このフレーズのみを繰り返し繰り返し発信することによって、河村さんのパートナーは自分なんだ、市長に河村さんを支持する方は、自動的に知事には大村秀章ですよ、私の名前を書いてくださいよ、いわばそんなすり込み作業の成果であって、決して中京都構想が政策的な内容で有権者を引きつけたのではないということを申し上げておきます。
それから、もう一つ、減税についてであります。
河村流一律減税の理屈は、減税で行政コストを抑えることにより、役所は民間の経費削減術を学び、おのずと市民サービスが向上するのだというものです。
例えば、世の奥様方がだんなさんのお小遣いを下げたところで、それでも御主人が会社帰りに一杯やりたいときは、いつもより格安の居酒屋を探して見つけるだろうから、恐らく何も問題はないだろう、これと似通った発想です。
例えは、いま一つかもしれませんし、世のお父さん方には申しわけありませんが、お小遣いの減額と行財政の効率化は、結果、おのずと努力を強いられるという点では当たらずとも遠からずと言えるのかもしれません。
しかしながら、金持ち減税だとか恩恵対象だとか、経済効果や財政状況など、この間もさまざまな議論がありましたが、これらをうやむやのままにして通すことは、たとえ百五十万の大村票をもって数の理論を振りかざしたとしても、私どもの責任として許すことは到底できません。
行財政の効率化が第一にあり、その分で節減できたお金を市民、県民の皆さんにお返しする話と、減税を押し通すために行財政の効率化を持ち出して、これを正当化し、あたかも職員の給料カットや借金さえも美徳であるとするのは、詭弁以外の何物でもありません。特にこの部分は、マスコミの皆さんにもよくよく御理解をいただかなくてはなりません。
そして、何よりも私の素朴な疑問は、今日までの一連の選挙に当たって、減税日本の公認なり推薦を全国各地の候補者に与えた河村市長の姿勢であります。そもそも愛知、名古屋で減税と規制緩和を行い、全世界から人、物、金を呼び込むねらいであったはずです。これがいつもの知事答弁です。
しかしながら、一方、全国で減税を展開しようとすれば、結果として、少なくとも減税の観点からは愛知、名古屋の持つ有利性は希薄になってしまいます。むしろ、本当に愛知、名古屋の将来を思い描き、名古屋市議会を解散させてまで減税にこだわったのであれば、全国各地からの公認、推薦依頼に対してはかたくなに拒まれるのがあるべき姿勢ではないのでしょうか。果たして、市長さんの目指すものが一体何なのか、御自身が減税効果にそれほど期待をしていないのではないのかと疑ってみても不思議はありません。
そこでお伺いいたします。
今申し上げたように、知事と河村市長の共通マニフェストのうち、二大公約だけでも課題と矛盾が山積をしております。中京都構想については、まだそれでも選挙戦術としての段階のころのほうが断然県市の一体感がありました。実際、今議会に提案された内容を見ても、県と名古屋市では、本部運営費こそ折半で賄うとされておりますが、それぞれが別々に調査項目費用を計上し、予算額もばらばらです。本来掲げた二重行政の撤廃を目指すのであれば、とりあえずまずは同額の予算を出し合い、そこに集う職員は県市の縄張りを捨て、いわばそれこそ中京都の職員として一体となって仕事に臨める体制づくりこそ最優先すべきです。
そして、減税についても、先ほどの問題に加えて、震災の影響や迷走が続く名古屋市議会での推移等を考慮し、そのあり方についてもより深く時間をかけた議論が必要かと考えます。
もしも、知事がおっしゃるとおり、河村市長の支えが当選の一因だとお考えだとしても、今、知事が誠実でなければならないのは、河村市長に対してではなく、愛知県民に対してであるのは言うまでもありません。今後、この二大公約を初め、河村市長との仕事の進め方について、知事の見解をお示し願います。
次に、日本一愛知の会代表としての大村知事にお聞きしてまいります。
知事は、二月六日の大勝利の翌日、既に続く県議会議員選挙についても言及されており、政策を実行するために議会で多くの仲間が欲しい。新人を立てるつもりで、もう何人かから話が来ている。これまでの経緯を水に流して、現職の方でも一緒にやってくれるというなら、民主、自民でも構わない。市町村議員も含めて出たい人を公募するつもりだ。もちろん、私のマニフェストに賛同してくれることが前提。こんな言葉で、日本一愛知の会を中心に議会過半数を目指す意気込みを語っています。
その後の報道では、百五十万を超える大村票の争奪戦が繰り広げられ、我先にと公認、推薦の依頼が殺到し、四月一日の告示日には、日本一愛知の会公認二十四人、減税日本公認十九人、公明党への全員推薦六人、自民党への推薦二十一人、民主党、無所属への推薦各一人、以上合計七十二人の皆さんがこの時点で知事マニフェストに賛同の上、立候補されたことになります。
しかしながら、結果を見てみますと、知事の思いは民意に届くことなく、七十二人の方々のうち四十四人の同志の当選にとどまり、過半数の獲得はかなわなかったこととなりました。選挙に勝敗はつきものですので、お互い結果は受け入れるしかありません。
ただし、ここからが政治の非情な世界と言うべきなのか、この選挙結果を受けて、当初は三顧の礼を尽くして知事の推薦を求めたものの、当選後は手の平を返したように知事の政策に距離を置くという傾向があると新聞記事にありました。
私自身は、この一連のいきさつを傍観していただけの立場ではありますが、もしもこうした記事が真実であるとすれば、余りにも知事がお気の毒でなりません。実際、知事が推薦した候補者の方から、当選後、舌の根も乾かぬうちに目玉公約の一〇%減税に否定的な発言があったかと記憶をいたしております。
そこで、知事の人生観、あるいは政治哲学を把握させていただく上でも、今の率直なお気持ちを打ち明けていただければと存じます。
あわせて、知事にとって、確かに今回、議会運営にはかなりの配慮を要する会派構成となりましたけれども、今後どのような姿勢で議会に臨むおつもりかお伺いをいたします。
続いて、議会改革について、知事のお考えをお聞きいたします。
私も含め、この議場におられるすべての議員の皆さんは、この四月の選挙に当たって議会改革を大きなテーマにされたと思います。
とりわけ、四月七日付の中日新聞には、全候補者へのアンケート結果が掲載され、ふさわしい県議会の定数、議員報酬の額、具体的な議会改革のプランについて、一人一人の考えが述べられています。ある意味で、このアンケート結果が私たちおのおのの公約となるわけですが、何名かの方が、議会の通年化や土日・夜間開催を具体的な改革プランだとして回答し、これら以外にも回答のあったさまざまなプランを実行しようとすれば、いずれも新たに多額の議会費が必要になるのは言うまでもありません。
ここでこれだけは申し上げておきますが、私ども民主党県議団は、今六月議会に先立ち、団員全員が、この先一期四年間、超党派による海外重点課題調査の参加を自粛することといたしました。全国的にも自粛の流れにある中で、その意義は認めつつも、やはりより有効な議会費の使途を目指すのであれば、四年間で二十六名、過去の実績から、一人当たりの予算をおよそ百二十万円とすると三千百二十万円、これを可能な限り選挙でお約束をした議会改革に当てたいと個人的にも考えております。議会過半数を持たない会派でも、信念と覚悟さえあれば、できることは速やかに取り組む、必ずこうした姿勢が県民の皆さんの共感を得ていくものと信じております。
一方、それでも我々の努力だけでは解決できない課題が多々あるのも残念ながら事実であり、議会改革に前向きな大村知事の力をこの際ぜひともおかりしたい案件を一つ申し上げたいと思います。
御存じかどうかはわかりませんが、私ども民主党県議団は、かねてから県議会議員選挙の際にも選挙公報を発行すべきと求めてまいりました。現行の法律下で候補者が有権者に訴える最も有効な手段の一つとして、また、投票率を上げる意味でも極めて有益であるのは明白でありながら、自分自身、初めて立候補したときにも、国や名古屋市では発行されるのに、何ゆえに愛知県だけ出ないのか不思議でなりませんでした。
その後、この県議会に身を置き、その理由を知るのですが、一つ、予算が一億近く必要だということ、二つ、市町村の事務が煩雑になること、三つ、インターネット等の解禁が近いだろうということ、これらの理由によって、私たちの提案はことごとく、そのたびに多数会派によって却下されてきたところです。
四十七都道府県中、今や三十六都道府県議会の選挙で認められ、うち宮崎、大分、愛媛では、一般選挙としては今回の統一地方選挙から初めて適用されるところとなり、それはいずれも知事からの提案が議会の同意を得て発行となったところであります。
ここでも都合よく河村発言を引き合いに出して大変心苦しいのですが、名古屋市議会の解散出直し選挙には、民主主義の必要経費だとして三億以上の税金が余分に投入されています。その三分の一の額でより意義のある民主主義が実現できるのです。ぜひ大村知事には、議会改革の第一弾として、選挙公報の発行について、知事提案へ向けての御検討を強く要望するものでありますが、御所見を求めたいと思います。また、知事として、我々の側に対し、今後どのような議会改革を期待するのかお聞きいたします。
続いて、知事給料削減の考え方についてお伺いをいたします。
今議会で知事は、御自身の給料の三〇%、また、期末手当については二〇%のカット続行を提案されました。そして、私たち議員も、今、現在の八%をさらに踏み込んで身を削る姿勢が求められています。
誤解を恐れずに言えば、私自身は、議員の報酬はあくまでもみずからが云々言う性質のものではなく、しかるべき適切な評価の受け方があって、それに従うのが本来のあり方だと思っています。
極論では、報酬が高かろうが低かろうが、たとえ幾らであったとしても、議員としての職務を果たしていない者は必然と選挙で淘汰されることわりです。よって、万一、その上でも報酬に見合っていない議員が多いとの判断を受けた際には、まずは定数を削ることが先であり、報酬の多寡を論ずるのはその後の話であります。ましてや、みずからが報酬の減額を公約にうたうということ自体、当事者みずからの質の低さを告白するようなもので、質の低い議員の乱造は選挙の意義を真っ向から否定するものであって、議会全体の品位を落とすことにもなりかねません。
話を戻しますが、このたびの知事提案ですが、率直に申し上げて、知事の退職手当について全く触れられていないのが疑問として残ります。本県の場合、知事の退職手当は、現行の給料掛ける在任月数掛ける手当割合六〇%という数式で算出されています。本来の月給で試算しますと、四年間勤めた場合は、およそ一期で四千万円余という額になります。ちなみに、全国では、最高額が兵庫県で五千四百万円余。ただし、現在は減額中ですけれども、そして、最も少ないのは、鳥取県の二千九百万円弱、愛知県は二十五番目に位置しています。
そんな状況ではありますが、当然知事によってはみずから退職金の減額を申し出る方もあり、例えば、この近隣では、静岡県知事が現任期はゼロ、先般最年少となった三重県知事もゼロとすることがちょうど先日決定されております。大村知事が同志と頼る大阪府知事にあっては、現任期五〇%カット、そして、言うまでもなく、河村市長はゼロであります。
私は、決して大村知事に対しても退職金をゼロにすべきだとか何%カットだとか、強要するものではありません。ただ、率直に、多くの首長の皆さんがみずから身を削ろうとする場合、給料と期末手当、そして、退職手当を総合的に勘案されていらっしゃるのに対して、大村知事が退職手当に言及されなかった理由をお聞きできればと思います。
あわせまして、給料は三〇%、期末手当は二〇%続行とした削減幅の根拠、考え方についてお示し願います。
最後の質問に移る前に、冒頭、私が触れた中国の古代史についてもう少し続けさせていただきたいと思います。
先ほど取り上げた陳勝・呉広の農民蜂起は、その後、半年間で鎮圧され、かわって表舞台に登場するのが、日本でもおなじみの項羽と劉邦です。秦の帝国を滅ぼした連合軍の中心がこの二人であったわけですが、項羽と劉邦は義兄弟の契りを結びながらも、決して盟友関係にはあらず、それどころか、劉邦は天下統一に突き進む項羽の攻めを受け続け、敗戦を繰り返します。
しかしながら、敗戦と流浪の中で、劉邦のもとには、彼の人徳により多くの秀でた知将、猛将がはせ参じ、ついには項羽を討ち果たして中国統一をなし遂げ、前漢を起こすこととなります。
この両者の対照的な生きざまの違いはたびたび取り上げられますが、一言で言えば、自分の凡庸さを自覚し、常に部下の進言を聞き入れ、手柄以上の恩賞を与えて徳を高めた劉邦と、対して、戦場では当代無二の武勇を誇り連戦連勝を果たすものの、野心的で独善的な数々の蛮行が人心の離反を招いた項羽という構図になります。
ただし、項羽最後の四面楚歌の場面は、高校の漢文の教科書で習うほど有名であり、その美学に準ずる姿に情を寄せるファンが多いのもうなずけます。また、この両者をもって、英雄並び立たずとの語源にもなったという説があります。
さて、そこで、この両者に大村知事と河村市長をそのまま投影してああだこうだということはいたしません。いたしませんが、この史実が何かを暗示するのではないかとの思いで、また、知事が歴史物を愛読されることも承知の上で御紹介させていただいた次第です。
そこで、最後の質問ですが、私には、今まで河村市長が本当に名古屋市政のために政治生命を全うしようとしているのか、数々の振る舞いは国政への返り咲きを見越しているのではないのかと思われる場面が多々ありました。最近では、近い将来の国政再挑戦を御本人が公言されたという話もあちこちで耳目にいたします。もしもそうだとしても、たとえ本当にこのことが事実になったとしても、そのときに結局名古屋市も愛知県もたった一人に振り回されて何も残らずというような最悪の事態だけは断じて避けなくてはなりません。まさに今、知事が市長にかける言葉はどんな言葉であるべきかお尋ねをいたします。
そして、終わりにあえて愚問を一つさせていただきますが、知事御自身の国政復帰へのお考えをお聞かせ願います。
以上で壇上からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
- 62:◯知事政策局長(中西肇君) 中京都構想に関連いたしまして、名古屋市との仕事の進め方についてお答え申し上げます。
中京都構想は、県が持つ全県下を対象といたしました広域的な機能と、名古屋市が持ちます大都市機能について方向を合わせて一体的に強化し、県全体の底上げを図っていくということをねらいとするものでございます。
この中京都構想を初めといたしまして、県と名古屋市が共同で取り組むべき施策の立案、推進についての協議の場が中京独立戦略本部でございます。
この本部立ち上げに向けまして、名古屋市の企画部門と密接に協議を重ね、二月にその絵姿、また、六月十七日には、本部員メンバーについて、知事、市長が共同して発表したところでございます。
また、本部の立ち上げに先行いたしまして、中京都プロジェクトチームを初め五つのプロジェクトチームを設置いたしまして、県市の関係部局の職員が具体的な検討を進めてございます。
こうした中、今議会でお願いしてございます中京独立戦略本部関連の予算につきましては、本部の運営に関します共通経費については、県と市が同額を計上しているところでございます。また、調査費につきましては、県は広域的な機能を担うという観点から、また、そして、名古屋市は都市機能を強化するという観点から、それぞれの自治体の役割に沿った形で必要な予算をお願いしているところでございます。
このように、名古屋市とはそれぞれ担うべき役割のもとに一体的に取り組む体制となってございまして、今後も議会明けに立ち上げます中京独立戦略本部での議論を踏まえつつ、施策を実行してまいりたいと考えてございます。
- 63:◯総務部長(野村道朗君) 二大公約でございます減税についてのお尋ねにお答えをいたしたいと存じます。
減税は、規制緩和と合わせて実施をすることによりまして、全世界から人、物、金をこの愛知県に呼び込み、県全体産業経済をさらに発展させていくことをねらいといたしております。
減税につきましては、知事が代表質問で答弁をさせていただきましたとおり、庁内プロジェクトチームにおいて議論を行い、今後、震災が本県財政に及ぼす影響を含めて、秋に向けて具体の検討を進めていくことといたしております。その検討状況につきましては、今後広くお伝えし、御意見を伺ってまいりたいと考えております。
次に、選挙公報の発行についてお答えをいたします。
県議会議員選挙における選挙公報の発行につきましては、これまでも議会において議論が行われ、さまざまな御意見があることは承知しているところでございます。これは、県議会を構成する議員の選挙にかかわる事柄でありますので、今後におきましても、議会における御議論、御意見をお聞きして、その結果を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 64:◯知事(大村秀章君) 西川議員からの御質問にお答えを申し上げます。
まず最初に、私と河村名古屋市長との仕事の進め方についてということでございます。
私と河村市長さんは、世界と闘える強い大都市、愛知、名古屋をつくっていこうという同じ思いを持ち、これを実現するためにまさに行動をともにする同志だと思っております。もちろん、私と河村さんは同じ人間ではありませんので、考え方や行動がすべて同じということにはなりませんけれども、今申し上げました共通の政策を実現するために共同マニフェストというものもつくらせていただきました。今後とも情報を共有いたしまして、また、愛知、名古屋、ベクトルを同じといたしまして、その強い強い愛知、名古屋をつくっていく、その発展に向けまして、力を合わせて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
続きまして、今の率直な気持ち、そして、県議会へどういうふうな姿勢で臨んでいくかということについての御質問をいただきました。
私は、二月六日の知事選でいただいた御支援にお答えをするため、マニフェストに掲げた施策、そして、東日本大震災を踏まえた地震・防災対策、そして、現下の経済状況を踏まえ、今こそこの愛知が日本経済を支えていくんだと、そのための景気対策といったようなものなど、現下の情勢に対応していくための政策を着実に実行していくことといたしておりまして、そのことこそが愛知県民の負託にこたえるものだというふうに考えております。
このことは、六月議会に提案をさせていただいております予算議案にお示しをしているとおりでございまして、これを着実に実行していくこと、これに尽きると思っております。
こうした中で、議会との関係でございますが、これは二月議会でも御答弁申し上げましたが、我が国の地方自治制度は、首長と議会の議員をそれぞれ直接選挙で選ぶいわゆる二元代表制を採用いたしております。
住民自治の観点から、国政における議院内閣制とは異なる制度が導入されたことを考えますと、私は、首長と議会がそれぞれ県民、市民の代表として建設的な議論を積み重ねていくのが健全なあり方であると考えております。
したがいまして、私は、今後ともさまざまな機会をとらえ、県政における諸課題につきまして、議会の皆様方に十分御説明をし、御理解と御支援を賜りながら、また、時にはちょうちょうはっしの建設的な議論を闘わせながら、よりよい県政運営に努めてまいりたいというふうに考えております。
続きまして、議会改革について御質問をいただきました。
今後どのような議会改革を期待するのかというお尋ねをいただきました。
私のマニフェストの中では、議員定数、報酬の削減や県議会のオープン化、情報公開の推進などなどを掲げておりますが、まずは、議会の皆様方みずからが真剣に議論していただいて、その方向を決めていただくことが大変大事だというふうに考えております。
そうした議会の中での御議論、御検討の中で、あわせまして、必要な場面に応じて、そういう機会があれば私自身の考え方も申し上げさせていただいて、議員の皆様とともに建設的な議論を積み重ねていきたいというふうに考えております。
続きまして、御質問をいただきました給料、期末手当、退職手当についての御質問でございます。
この点につきましては、私のマニフェスト、それから、現下の財政状況、そして、東日本大震災を踏まえた地震・防災対策や周囲の状況、それから、もろもろの状況をよくよく考えて勘案をさせていただいて、決めさせていただいたことを今回の六月議会で提案させていただいているところでございます。
それから、最後に、河村市長に関する御質問についてお答えを申し上げます。
河村市長は、ここ日本のど真ん中、名古屋から日本を変えていこうという強い思いで、市政の運営に全力で取り組んでおられるというふうに考えております。そういう市政に対する思い、熱意は今後も変わることがないというふうに私は受けとめているところでございます。
また、私につきましてもお尋ねがございましたが、県民の皆様の負託にこたえるべく、知事として愛知の発展に向け全身全霊を傾けてこの愛知の発展に取り組んでまいりたい、その思い一つでございます。
以上でございます。
- 65:◯五十四番(西川厚志君) 今、知事から思った以上に丁寧な御答弁のあったところ、また、もっとお聞きしたいところはあったんですけれども、とりあえずきょうのところは一つだけ再質問をさせていただきたいと思います。
まずその前に、今の知事の最後の答弁をお聞きしまして、知事御自身も、この愛知県制に骨を埋めるんだと、そういう御答弁でありまして、やはり私の愚問であったということはおわびをしたいと思います。
ただ、だとすれば、当然四年置きに知事選挙があるわけでありますので、我々も次こそは大村知事に勝てる選挙戦術を編み出して、お互いに愛知県制発展のために頑張っていきたいと思っております。
そこで、まず一つ申し上げたいと思いますが、去年、日本一愛知の会が設立されて以来きょうまで、政治団体としての届け出上の代表者に大村秀章という名前は出てきません。法律上問題があるわけではありませんので、ペナルティーが科せられるということはないと思います。
しかしながら、世間一般にこの会の会長は大村さんだとだれもが認識されているわけでありますので、また、さまざまな場面で知事御自身も公にされていらっしゃるはずです。
御自身が公文書に代表者として記載できない事情が何かあるのか、あるいはただの記載漏れなのか、それはわかりません。少なくとも、ただ、今のままでは心にもないことを指摘されたり、変な誤解を受けても堂々と反論するのは到底無理なのではないのかなということを申し添えたいと思います。
それから、もう一つは、知事のホームページです。
きょう現在の知事のホームページを印刷させていただきました。この中にスタッフ募集という欄がありまして、大村秀章の政治活動を支える事務所スタッフを募集しています。勤務地は、安城、刈谷、碧南、知立、高浜。これはそのまま知事のかつての選挙区であった十三区の選挙区であったと思いますけれども、なぜスタッフの勤務地を十三区に紋るのか。国政復帰の意思がないのであれば、なぜこういう表現になるのか、なぜ影響力を残そうとするのか、この点について一つ再質問だけさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
- 66:◯知事(大村秀章君) 突然のお尋ねでございますが、お答えを申し上げたいと思います。
私の日本一愛知の会は、代表は民間の方にお願いをいたしております。これは私の応援者が、支持者が、ぜひやりたい、引き受けたいということでございましたので、そういうふうにお願いをしております。日本一愛知の会の代表は民間の方、会長が私ということで、中の規約でそういうふうに決めさせていただいております。それが一点。
それから、ホームページのスタッフ募集のところは、私が国会議員時代から常に多くの市民、県民の皆さんの御支援をいただきたいということで、そういうボランティアのスタッフ、応援の方も含めて広く募集しているということでございまして、そこのところが、勤務地のところが私の愛知十三区、私の地元ということでございますが、その点につきましては、私は地元を大変大事にしているということで御理解をいただきたいというふうに思っております。
以上でございます。
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- 67:◯三十八番(神戸洋美君) 本日はこれをもって散会し、明七月一日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
- 68:◯議長(岩村進次君) 神戸洋美議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
- 69:◯議長(岩村進次君) 御異議なしと認めます。
明七月一日午前十時より本会議を開きます。
日程は文書をもって配付いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時五十二分散会